69: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:01:14.69 ID:bJtf1eDj0
早く来すぎてしまっただろうか?
確かに平素よりはやや速いペースで来たが、今まで部室が開いていなかったことはなかった。
そのまま体の向きを変え、部室前の扉にとんと背を付けて雪ノ下の到着を待った。
70: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:05:36.92 ID:bJtf1eDj0
失礼します、と決まりきった挨拶をしつつ職員室の扉を静かに開ける。
目的の人物はすぐに見つかった。
自席で煙草を左手で持ち、煙を燻らせている。
ふーっと吐き出すと、少し疲れ気味な表情を浮かべた。
71: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:11:35.92 ID:bJtf1eDj0
「実はだな、雪ノ下は午後の授業中に体調不良を起こしてな……」
「えっ! ゆきのん大丈夫なんですか!?」
「まあ落ち着け由比ヶ浜」
72: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:16:42.64 ID:bJtf1eDj0
「はは、そういうものではないよ。ただ少し熱があるだけだから安心したまえ。最近寒かったから、その影響かもしれん」
確かに昨日はもの凄く寒い1日だった。それで風邪を引いてしまったと、なるほどそういうことか。
雪ノ下細いもんなー、主にどこがとは言わないけど。
73: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:19:35.46 ID:bJtf1eDj0
「ゆきのん……電話とかしなそうだよね。家族とあんまり仲良くなさそうだったし・・・・・・」
「……だな」
短く同意する。由比ヶ浜も俺と同様の考えを持っているようだった。
74: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:21:49.65 ID:bJtf1eDj0
「比企谷? 今何かの波動を感じたぞ?」
「ヒッ……なんでもありません……」
ゴゴゴ……と背景にオーラが見えた。新手のスタンド使いかっ!!
75: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:27:27.95 ID:bJtf1eDj0
職員室から歩いて間も無く、目的の場所は見えてくる。
保健室は奉仕部の部室と同じ特別棟に設置されている。
廊下にいても、保健室独特の消毒液の匂いが鼻についた。
76: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:30:18.39 ID:bJtf1eDj0
やっていることは変わらない。
普段と場所は違うが、ここでも穏やかな時間が流れている。
結局場所が重要ではないのだろう。大切なのは、誰と共にするかだ。
77: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:38:11.21 ID:bJtf1eDj0
『言葉のままだよ。あたし、さ。ヒッキーのこといつも考えてるんだ。今なにしてるのかなーとか、なに考えてるのかなーとか?
授業中の暇な時とか、部活中とかもさ。色々ね 』
『……そうか』
78: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:43:30.03 ID:bJtf1eDj0
保健室内は静謐な空気が流れていた。
時たまエアコンが暖かい空気を流す、僅かな駆動音が聞こえるだけだ。
由比ヶ浜からチョコを受け取った後お互いどうにも余所余所しくなってしまい、現在は一人待ちぼうけだ。
飲み物を買ってくると先ほど出て行ってから、まだ帰ってくる気配はない。
79: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:47:41.87 ID:bJtf1eDj0
「こちらこそごめんなさい……連絡が遅れてしまって。待たせたでしょう?」
そう言って反省の弁を述べる。表情は窺えないが、声の調子からなんとなくどんな顔をしているかは推察できる。
こういうところは本当になんというか律儀で、雪ノ下らしいなと微笑んでしまう。
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