73: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:19:35.46 ID:bJtf1eDj0
「ゆきのん……電話とかしなそうだよね。家族とあんまり仲良くなさそうだったし・・・・・・」
「……だな」
短く同意する。由比ヶ浜も俺と同様の考えを持っているようだった。
74: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:21:49.65 ID:bJtf1eDj0
「比企谷? 今何かの波動を感じたぞ?」
「ヒッ……なんでもありません……」
ゴゴゴ……と背景にオーラが見えた。新手のスタンド使いかっ!!
75: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:27:27.95 ID:bJtf1eDj0
職員室から歩いて間も無く、目的の場所は見えてくる。
保健室は奉仕部の部室と同じ特別棟に設置されている。
廊下にいても、保健室独特の消毒液の匂いが鼻についた。
76: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:30:18.39 ID:bJtf1eDj0
やっていることは変わらない。
普段と場所は違うが、ここでも穏やかな時間が流れている。
結局場所が重要ではないのだろう。大切なのは、誰と共にするかだ。
77: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:38:11.21 ID:bJtf1eDj0
『言葉のままだよ。あたし、さ。ヒッキーのこといつも考えてるんだ。今なにしてるのかなーとか、なに考えてるのかなーとか?
授業中の暇な時とか、部活中とかもさ。色々ね 』
『……そうか』
78: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:43:30.03 ID:bJtf1eDj0
保健室内は静謐な空気が流れていた。
時たまエアコンが暖かい空気を流す、僅かな駆動音が聞こえるだけだ。
由比ヶ浜からチョコを受け取った後お互いどうにも余所余所しくなってしまい、現在は一人待ちぼうけだ。
飲み物を買ってくると先ほど出て行ってから、まだ帰ってくる気配はない。
79: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:47:41.87 ID:bJtf1eDj0
「こちらこそごめんなさい……連絡が遅れてしまって。待たせたでしょう?」
そう言って反省の弁を述べる。表情は窺えないが、声の調子からなんとなくどんな顔をしているかは推察できる。
こういうところは本当になんというか律儀で、雪ノ下らしいなと微笑んでしまう。
80: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:53:50.77 ID:bJtf1eDj0
「開けるぞ?」
「ええ」
はらりとカーテンを開ける。こんなに薄いものなんだなと、ふと手で触って感じた。
81: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:57:29.51 ID:bJtf1eDj0
「あなたはいつもこんなことばかり言ってるのだから、少しは聞く側の立場にもなってみなさい」
「そうっすか……」
それから2つ、3つ会話をして、再び静かな時間が流れる。
82: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:01:59.88 ID:bJtf1eDj0
「で、お前は? 誰かにあげたの?」
ニヤリと少し意地の悪い顔になっている自覚があった。
雪ノ下は少し視線をこちらから外して窓の外を眺める。何かを憂うような表情に思わず惹きつけられる。
83: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:06:58.04 ID:bJtf1eDj0
暫時心ここに在らず状態の俺の顔の前に、いつの間にか綺麗な包装紙に包まれた箱が差し出されていた。
その元を辿れば、雪ノ下が穏やかに微笑みを浮かべている。
「そうね、比企谷くんは本当に幸せものね。私からチョコレートが貰えるのだもの」
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