過去ログ - 高槻やよい「思い出はもやしと共に」
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1: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:24:48.98 ID:Pv92BcoZ0
※ このssにはオリジナル設定やキャラ崩壊が含まれます。
===
とんとんとんとリズミカルになる包丁の音と、台所から漂ってくる料理の良い匂い
――そろそろ、ご飯の時間だな――そんな風に、俺は自然と目を覚ましたかったのだ。
「はづき。ちょっとそこに座りなさい」
目の前の可愛らしい少女は、きょとんとした顔で俺を見下ろしていた。
頭の横で二つにくくられた、ゆるいウェーブのかかった髪。
その、母親譲りの綺麗な赤毛が、俺の呼吸に合わせてゆらゆらと揺れている。
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2: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:26:40.86 ID:Pv92BcoZ0
「えぇー。はづき、もう座ってるよー?」
「うん。座ってるのは、パパのお腹の上だな。そこから降りて、床に座りなさいと言ったんだ」
3: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:28:23.50 ID:Pv92BcoZ0
「いいかはづき? 何度も言ってるけど、パパを起こすときにお腹の上へダイブするのは止めなさい。」
「えぇー、でもぉ……」
4: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:29:48.36 ID:Pv92BcoZ0
「いいかはづき。あのねーちゃんのいう事は簡単に信じちゃいけないぞ?
あれは、パパを困らせる事を生きがいにしているような女だからなー」
「そうなの、お姉ちゃん?」
5: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:30:59.88 ID:Pv92BcoZ0
「大体な、お前は来るのが早すぎるんだよ。仕事はどうした仕事は」
「そんなもん、とっくに終わらせてるわよ。っていうか、今日は元から予定なんて入れさせる気、なかったもの」
6: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:33:04.35 ID:Pv92BcoZ0
「ありがと伊織おねーちゃん! はづき、このテレビ好きなんだ!」
「えぇ、知ってるわ。だから今日は、はづきちゃんと一緒に観たくてここに来たのよ」
7: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:33:58.67 ID:Pv92BcoZ0
「アンタが考えてる事、今度二人に言ってあげようかしら?」
「冗談でも止めてくれよ。ただでさえ最近のあずささんは年齢気にしてぴりぴりしてんだから」
8: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:35:05.26 ID:Pv92BcoZ0
「この前さ、会社の資料預かるために小鳥さんの住んでるアパートに行ったんだけど」
「ちょっと、怖い話は止めてよね」
9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:36:06.39 ID:Pv92BcoZ0
「もぉー。パパたちうるさいよー! テレビの音が聞こえないでしょー?」
「ご、ごめんなさいねはづきちゃん。お姉さんが邪魔しちゃって」
10: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:37:12.61 ID:Pv92BcoZ0
「ほほほほ……ホーント、どうしてこんな性悪男からこんなに可愛らしい子が生まれたのか、わたくしも理解に苦しみますわー」
「は、はは…………うっ……!」
11: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/23(水) 05:37:58.27 ID:Pv92BcoZ0
ここまで。書き溜めないので、ゆっくりと書いていきます
12:名無しNIPPER[sage]
2016/03/23(水) 08:58:55.96 ID:0eaNZt36o
はづきちゃん可愛い乙
13:名無しNIPPER[sage]
2016/03/23(水) 12:44:32.76 ID:J6lNtI120
乙
ピヨ…
14: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 04:53:30.89 ID:K/5XZl+00
===
『さぁてあずさお姉ちゃん。今日は風・邪・で!……お休みしてるいおりんの分も、二人でガンガン盛り上げて行こうね!』
『そうねぇ亜美ちゃん。風・邪・で!……お休みしている伊織ちゃんの分も、二人で頑張りましょ〜♪』
15: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 04:58:09.25 ID:K/5XZl+00
「それ、もしかしなくても俺のだよな? わざわざ通販で取り寄せた、美味いと評判の地酒だよなぁっ!?」
「これね、アンタの奥さんが用意してくれたのよ? 『伊織ちゃんお酒好きだったよねー』って」
16: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 05:00:34.92 ID:K/5XZl+00
しれっとした伊織の態度に、俺の涙腺がゆるむ。
なんだこれは? まるでいじめっ子といじめられっ子の関係ではないか。
悔しいかな、こういうところは出会った頃からいつまでも変わっていない。
17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 05:02:42.91 ID:K/5XZl+00
「だ、大丈夫!? パパっ! おねーちゃんが大変! お医者さん、お医者さんだよぉ!」
「そうだな。おねーちゃんにはきっと頭のお医者さんが必要だなー」
18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 05:05:25.55 ID:K/5XZl+00
「パパ? はづきのお話、ちゃんと聞いてますか?」
「お、おう。ちゃんと聞いてるよ……大丈夫、伊織の病気は、『仮病』だから」
19: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 05:08:41.19 ID:K/5XZl+00
「あぁはづきちゃんったら優しいのね! こんなにもお姉さんのことを心配してくれて!」
「ちょ、ちょっと! 伊織おねーちゃん……!」
20: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 05:10:05.97 ID:K/5XZl+00
「その辺で止めとけよ伊織。あんまりきつく抱きしめたら、はづきが泣いちゃうだろーが!」
「むぅぅ……お、おねーちゃんっ……!」
21: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2016/03/24(木) 05:12:52.81 ID:K/5XZl+00
「あぁっ……はづきちゃん……戻ってきてぇ……」
寝転がったままの姿勢で、名残惜しそうに自分から距離をとったはづきへと手を伸ばす伊織。
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