2:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:05:48.88 ID:G1lrEIoLo
覚えているかい? 幼い頃を。
世界は自分を中心に廻っていて、小さくもたくましいその瞳は輝ける未来を見据えていたはずだ。
……ボク? ああ、ボクもさ。でもボクだけじゃない。そうだろう?
世界はボクのことなんて見向きもしていなかった。
3:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:08:56.33 ID:G1lrEIoLo
「こんなところにいたのか、飛鳥」
4:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:13:55.84 ID:G1lrEIoLo
「……アイドル、楽しいか?」
腕をさする手を止め、控えめな調子でボクにそう問うてきた。
楽しい。感情を四つに大別するなら、悲しくはないし、怒りもしていない。ならそれは楽しい、もしくは喜び?
5:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:17:18.74 ID:G1lrEIoLo
「近々行われる年齢別にユニットを組んでの対抗戦フェス、その14歳代表に推薦したら通ってな。三人組が上限で二人までは決まってたんだけどさ」
6:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:20:20.03 ID:G1lrEIoLo
「俺がこの前スカウトした新人だ。ほら、お前も挨拶したらどうだ」
「ん……そうだね。やぁ、ボクはアスカ。二宮飛鳥だ。よろしく」
7:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:23:46.73 ID:G1lrEIoLo
「二人とも、何を仰ってるんです? ああもう、蘭子さんについては覚悟してましたが、ボクの周りに話の通じる方はいないんですか……」
幸子の中ではボクと蘭子は同類らしい。ボク、そんなに難しいこと言ったか?
8:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:27:59.94 ID:G1lrEIoLo
「だって、カワイイでしょう?」
9:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:32:48.22 ID:G1lrEIoLo
「まぁ、そこを言うとプロデューサーはそこいらのオトナとは違うみたいだ。人を見る目というか、記号に惑わされない力がある。ボクはそう思うね」
「……我も同意しよう。その言の葉に内包された言霊を」
10:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:37:53.39 ID:G1lrEIoLo
「闇に飲まれよ!」
11:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:44:11.18 ID:G1lrEIoLo
別れの挨拶もそこそこにボクより一回り小さな背中を探して追い付くと、小言は既に止んでいた。
「飛鳥さんも寮にお帰りでいいんですよね?」
12:名無しNIPPER
2016/05/03(火) 22:48:32.19 ID:G1lrEIoLo
幸子のカワイイトークを流していると、先に部屋を出ていた蘭子が事務所のビルの敷地から出てすぐの辺りで、落ちかける夕陽を眺めていた。ボクらを待っていたのだろうか。
「来たか、我が同胞達よ。落日の彼方へその身を闇に染めん!」
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