過去ログ - 飛鳥「ボクがエクステを外す時」
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92: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/11(土) 23:11:18.77 ID:2YZyh0JIo

「……ごめんな」

 あと少し、あと少しと心の中で唱えている間に彼が痺れを切らしたようだ。
 ここまでボクが何の反応も示さなかったから、いたたまれなくなったのかな。
以下略



93: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/11(土) 23:13:20.01 ID:2YZyh0JIo

「どんな飛鳥も、飛鳥だよ」

 ……?
 どんなボクも、ボク。
以下略



94: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/11(土) 23:15:03.31 ID:2YZyh0JIo

「前に話したよな。アイドルになれても少し経って辞める人も多いって話。俺が担当してきた中にもいたんだが、そのうちの一人の辞めた理由がな……後から上司に聞かされて、ずっと引きずったままプロデューサーしてるよ」

 彼の心にいつまでも居座っているほどの理由、ね。
 理想と現実の乖離から続けられなくなる人が多いのなら、それで辞められても慣れで済ませられるはずだ。
以下略



95: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/11(土) 23:16:56.69 ID:2YZyh0JIo

「キミが恐れているのも理解る。余計な感情を抱かせて、つらい想いをさせたくないっていうんだろう?」

「……そうだな。自意識過剰みたいな言い方になるから、凄く恥ずかしいけど」

以下略



96: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/11(土) 23:19:00.88 ID:2YZyh0JIo

「笑うなよ。お前達のファン1号は俺なんだからな」

「なら、キミは相当に恵まれたファンみたいだね。アイドルとこうして触れ合えるファンなんて、そうはいないんじゃないか?」

以下略



97: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/11(土) 23:26:46.23 ID:2YZyh0JIo

「……そうだな。虫が良すぎる、よな。こんなんじゃ」

 ボクが重ねたままでいた手を、彼はそっと握り返してきた。
 彼は覚悟を決めたようだ。顔を見られないよう俯いていたボクは、そんなことも忘れて顔を上げる。
以下略



98: ◆KSxAlUhV7DPw[sage]
2016/06/11(土) 23:31:40.91 ID:2YZyh0JIo
あと1〜2回の更新で終わると思います

こんなに長くなった割に内容が無いよう状態になっている気がして反省点しかないです


99: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/12(日) 22:03:33.42 ID:SF7aGoloo



「――飛鳥、気分はどうだ? 体調は悪くないか? 水ならあるぞ? それとも何か……ああでも食べ物は持ってないな。急いで買ってこようか?」

以下略



100: ◆KSxAlUhV7DPw[saaga]
2016/06/12(日) 22:07:35.46 ID:SF7aGoloo

「え? ……あ、あれ? ボク、蘭子さんと話せてました?」

 お互いぽかんとしながら見つめ合う幸子と蘭子。
 先に動いたのは、仮面が外れて満面の笑みのまま幸子の手を取る蘭子だった。
以下略



101: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/15(水) 00:48:27.28 ID:daPPk+Poo



 幸運にも窓際に席を配置されたボクは、桜色に染まった景色をいつも見下ろせる権利を手に入れた。
 今日は始業式。まだ二ヶ月と過ごしていないこの学校で中学三年生へと進級した感想を述べるとするなら、早く帰りたい、に尽きる。
以下略



102: ◆KSxAlUhV7DPw[saga]
2016/06/15(水) 00:50:07.34 ID:daPPk+Poo

 踵を返して寮に帰ろうか、なんて迷い始めるボクのもとに、足音が近づいてくる。時間切れらしい。
 彼の助けも望めないこの日常の世界で、ボクは覚悟を決めた。足音が複数聞こえてこないのが唯一の救いだった。
 振り返ると、ボクを呼び出した張本人らしい女子生徒が佇んでいてた。顔を僅かにしかめていて、むすっとした表情からは不機嫌さが窺える。
 ……どこかで見覚えがあるな。そう、人を寄せ付けなくする雰囲気を纏っている彼女は、孤独だった頃のボクのようだ。
以下略



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