26: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:01:49.81 ID:jzgcTAa+0
裕子(――私、なんてことを……)
怒りに任せてプロデューサーを吹き飛ばしてしまってから半日。未だにショックが抜け切らない裕子はゆらゆらと空間を
漂いながら、ぼんやりと考える。
27: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:02:54.49 ID:jzgcTAa+0
裕子(こういう時は糸でんわ……使えば……糸でんわ……なんでだっけ……?)
生身で宇宙に行っても生存可能になってしまった少女が、たった一人の女性に見捨てられるのが嫌で必死に悩む。その姿は
ある意味滑稽で、しかしとても大切な、堀裕子という人間がまだ残っている証でもあった。
28: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:06:22.31 ID:jzgcTAa+0
――それから6時間後。小惑星の接近を視認した裕子は急いでこの情報を千川ちひろに伝え、ちひろ経由で
位置情報を教えられた様々な宇宙機関がその小惑星の観測を行っていた。
そして観測を終えた者達は皆絶望的な口調でちひろに情報を戻し、なんとか足掻いてみるという力無い
29: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:08:34.01 ID:jzgcTAa+0
裕子「失礼しました!!」
ここで自分がプロデューサーに謝ることを決めるために宇宙に行っていたことを思い出した裕子は、慌ててちひろの部屋から
飛び出し、プロデューサーを探すためにプロダクションの屋上へと瞬間移動する。
30: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:10:25.37 ID:jzgcTAa+0
小惑星落下という危機を前に、ついに脳の解放率が60パーセントとなった裕子は、限定的な未来予知まで身につけた。
しかしそれがなんであるかなど今の裕子にはどうでもよく、ただただプロデューサーが消えてしまう光景が悲しくて、
気付けば彼女は涙を流してしまっていた。
31: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:12:48.50 ID:jzgcTAa+0
裕子P「ちひろさんから裕子が見つけたものについて話を聞いたから……」
裕子「それで私を探しに来たと……しかしまさかここまで私が接近に気付けないとは、やはりプロデューサーもエスパーですね!?」
32: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:15:13.64 ID:jzgcTAa+0
裕子P「ユッコって、本当にスプーン似合うね……」
裕子「そ、そうですか? な、なんだかそういうの照れますね、えへへ♪」
33: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:18:49.68 ID:jzgcTAa+0
裕子「もしかして……プロデューサーが私を信じてくれるのは……」
裕子P「初めて会った時にこんなの見せられると、信じるしかないから。サイキックアイドルになるのはこの子しかいないって」
34: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:21:17.41 ID:jzgcTAa+0
また宇宙機関からの情報で小惑星が落下する場所が東京と判明したことで、政府中枢は大騒ぎとなっているのだが、
そちらはちひろが対処していることを二人は知らない。
どちらにしてもここで裕子が動かなければ東京が壊滅することは必定であり、それを分かってか、プロデューサーは
35: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:24:07.68 ID:jzgcTAa+0
急速に脳の覚醒は進み、いきなり70パーセントまで解放されると、そこから時間を刻むように71パーセント、
72パーセントと脳の領域が開かれていく。
裕子「ググッ!」
36: ◆R4LxbbyKhE[saga]
2016/09/10(土) 22:27:22.46 ID:jzgcTAa+0
裕子「これ……来たぁ! 来ましたよー!! ここだ、ここです! むむむむーん!!」
いつの間にか自分の周囲を漂っていた粒子すらも小惑星に向けて放っていた裕子は、その両目から血の涙を流し、
小惑星を受け止めている状態になっている両腕を赤熱させながら、最後の脳の覚醒を行う。
45Res/66.78 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。