過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:16:18.69 ID:O8fGFwM8o
「なっ」

 花丸が本当に怒っていると知って、善子も動揺を隠せないようだった。
だが、すぐに動揺は反発に転化したらしい。
もともと吊り上がっていた眦も、鋭さを増している。
以下略



7:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:17:10.71 ID:O8fGFwM8o
 だが、それは花丸とて同じだ。

「勝手にするずら」

 花丸も顔を背けて突き放すように返した。
以下略



8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:17:51.52 ID:O8fGFwM8o

*

 花丸と善子の意地の張り合いに決着が付かないまま、
十二月二十四日のクリスマス・イヴの夜を迎えてしまった。
以下略



9:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:18:45.56 ID:O8fGFwM8o
 花丸は再び液晶上のイルミネーションへと視線を移した。
時折、霞んで見えるのは、そろそろ眠気が兆し始めているせいだ。瞼が重い。
折角のクリスマス・イヴの夜も、このまま終わってしまう。

「所詮、まるみたいなイモには無縁の世界ずら。だから、まるのクリスマスはこれでお終い」
以下略



10:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:19:20.92 ID:O8fGFwM8o

*

 初めて訪れる街だ。
黄金色の光に彩られた四方を見回した花丸の口から、思わず声が漏れ出る。
以下略



11:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:20:01.65 ID:O8fGFwM8o
 花丸の目には、たしかに善子の顔が映っている。
吊り上がった瞳と高く筋の通った鼻梁を特徴とする端正な顔立ちは、花丸の記憶にある通りだ。
だが、花丸よりも少し長かったはずのセミロングの髪は、項の辺りでカットされていた。
胸の膨らみもなくなり、代わって身体全体の印象がより鋭くなっている。
その身体が何よりも花丸の記憶と違っていた。明らかに背が伸びているのだ。
以下略



12:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:20:50.84 ID:O8fGFwM8o
「善男……くん?」

 花丸は戸惑いを隠せぬまま、呼称を言い改めてみた。不思議と違和感はなかった。
考えてみれば、髪の長さはともかく、
背丈や体格まで変わった人物を善子と呼ぶ方こそ違和感がある。
以下略



13:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:21:34.79 ID:O8fGFwM8o
 対する理亞は怯む花丸の姿を笑ってから、頭を翻して撥条のように跳ねた。
花丸の頭上を、理亞が前転しながら通過してゆく。

 花丸は呆気にとられて、奇行を見守る他なかった。
柔らかい新雪の上では、いくら勢いを付けても地面との反発は作用しない。
以下略



14:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:22:45.08 ID:O8fGFwM8o
 善男は花丸を守るように抱き寄せてから、理亞を睨み付けながら叫ぶ。

「おらぁっ。イブにケーキでもターキーでもなく喧嘩売るってどういう了見だぁ?
俺のツレを怯えさせてんじゃねーぞ」

以下略



15:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:23:30.91 ID:O8fGFwM8o
「綺麗な景色ずらね。沼津じゃまずお目にかかれないずら。
降雪に立ち会えなかったのは残念だけど、雪積もってるだけでもロマンずらー」

 善男と二人きりになって間の持たない花丸は、必死に燥いでみせた。
景色に夢中になっていないと、善男に口説かれてしまう。
以下略



16:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:24:29.38 ID:O8fGFwM8o
「言っただろ、口説くって」

 善男の指が花丸の顎を掴んで、無理矢理に正面を向かせた。
顔の動かせない花丸は、目だけ逸らして抗議する。

以下略



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