過去ログ - 西住みほ「優花里さんに首輪をつけてもらったら大変なことになりました」
1- 20
1:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 19:40:14.28 ID:uVTtUoYmo
私はとても後悔しました。

事の始まりは大学選抜チームに勝利した記念で行われた祝賀会。
祝賀会と言いながらも実際は愛里寿ちゃんを交えた戦車道選手たちの懇親会でした。

その中でケイさん発案の『プレゼント交換タイム』なるイベントが始まり、みんなが持ち寄った贈り物を交換しました。

大洗でしか使えない食券10枚だったり、干し芋三日分だったり、結婚情報誌だったり、プラモデルの江戸城だったり。
全部個性溢れるものであり、みんなは一喜一憂して盛り上がりを見せました。

私は運よく愛里寿ちゃんがもってきてくれた、ボコの期間限定ぬいぐるみを手に入れることができました。
嬉しさのあまり、思わず愛里寿ちゃんの手を強く握ってしまったほどです。
愛里寿ちゃんがかなり驚いていたので、反省しないと。

自分の幸運に浸っているとき、優花里さんが近づいてきたのです。

「西住殿、見てください。ナオミ殿のプレゼントが当たりました」

優花里さんは笑顔でそれを見せてくれました。

それは紛れもなく首輪。
何故、プレゼントに首輪なのか疑問でしたが、他にも奇抜なものはあったし、特段首輪がおかしなものであるという意識はありませんでした。

「いいでしょ、それ。それを付けるだけでワイルドになれるわ」

後にナオミさんがそう説明してくれたのですが、そんなことにはなりませんでした。

このとき私がもっと首輪に対して疑念を抱いていれば、あんなことにはならなかったはずなのに。

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 19:54:31.10 ID:uVTtUoYmo
それからしばらくして、あの日は楽しい思い出に変わりつつあったとき、夜にとあるテレビ番組を偶然みてしまいます。

ボコの特集と銘打たれた番組だったので急いで録画しました。
どうやら島田家がスポンサーとなり閉館を免れたボコミュージアムを取材するといった内容のようです。

以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 20:05:29.26 ID:uVTtUoYmo
改装が行われたようで、最初に来た時よりも全てが眩く輝いていました。
生ボコの動きのキレだって見違えるほど良くなっています。

「みぽりん、早くいこーよ」

以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 20:19:42.73 ID:uVTtUoYmo
「ねえねえ、これじゃない?」

沙織さんが指差している場所へ行くと、そこに新作ボコ誕生と書かれたコーナーが。
駆け寄ってみると新作ボコの写真が飾られていて『オイラ、新しいぜ!』とのコメントが添えられていました。

以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 20:27:59.16 ID:uVTtUoYmo
『売り切れだ ごめんな〜』

ボコの切り抜き写真に吹き出しがあり、そこにそんなコメントが書かれていました。

売り切れ? どういうこと?
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 20:39:08.69 ID:uVTtUoYmo
結局、ボコミュージアムを堪能して、この日は解散することにしました。
沙織さんたちは最後まで一緒に探すと言ってくれましたが、そこまでみんなを付き合わせることはできません。
その気持ちだけで十分だったから。

「みぽりんがそういうなら、良いんだけどね」
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 20:48:04.86 ID:uVTtUoYmo
翌日、教室に入ると沙織さんと猫田さんが話しているのが目に入りました。
二人が話しているのが珍しいってわけでもないけど、なにやら真剣に話しているようで、挨拶するのを躊躇ってしまいます。

「おはよ、みぽりん」

以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 20:58:53.83 ID:uVTtUoYmo
「に、西住さん。テンバイヤーからは買わない方がいいよ。ああいうのを調子に乗せたら駄目だと思うし」

「でも、それでしか手に入らないなら……」

「再販される可能性は十分にあるよ。定価の倍以上するみたいだし、絶対にやめたほうがいい」
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 21:13:34.64 ID:uVTtUoYmo
再販の情報が飛び込んできたのは、あれから二週間後のことでした。
情報を持ってきてくれたのは意外にも丸山さんでした。

丸山さんによれば次の土曜日にボコミュージアムにて再販されるようです。
こうしてはいられません。
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 21:31:39.67 ID:uVTtUoYmo
そんなこんなで土曜日。
港から各チームの戦車で進み、ボコミュージアムに到着しました。

「戦車を使用することはちゃんと許可とってるんでしょうね?」

以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 21:43:36.46 ID:uVTtUoYmo
開館と同時に入りました。
ショップへも殆ど時間を空けずにいきました。
見たい場所、皆と一緒に遊びたかったアトラクションにも目もくれず、真っ先にショップへと入ったのです。

『売れきれだ ごめんな〜』
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 22:00:38.92 ID:uVTtUoYmo
新作ボコのことは忘れ去るつもりでミュージアム内のアトラクションを満喫しているとあっという間に夕方になりました。

「みんな! 家に帰るまでが遠足だからね!」

園さんの一言に麻子さんが鼻で笑いましたが、注意しなくてはいけない。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 22:08:16.07 ID:uVTtUoYmo
夜分にもかかわらず優花里さんのご家族は私を快く迎え入れてくれました。
優花里さんと同様に、とても優しいです。

「これです」

以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 22:18:56.04 ID:uVTtUoYmo
私の戸惑いを感じ取ったのか優花里さんは続けました。

「現状ではこの程度のことしかできないのですが、それでも西住殿の気が僅かでも紛れるなら本望です」

お願いします。と優花里さんは頭を下げた。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 22:28:57.88 ID:uVTtUoYmo
翌日。戦車道の練習が終了した後、私は急いで寮へと戻り、準備に取り掛かりました。

一応、ボコに成りきれるパジャマもあるけれど、それを引っ張り出すつもりはなかった。
そもそも愛里寿ちゃんぐらいの背丈でなければあれは着ることができない。
仮に優花里さんでも着用できるサイズだったとしても、きっとこのときの私は出さなかったと思う。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 22:36:04.09 ID:uVTtUoYmo
「新作のボコ、まだ再販される予定がないみたいで」

「そうなのですか」

他愛もない会話を交わしつつ、私は優花里さんの頭に包帯を巻く。
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 22:48:43.43 ID:uVTtUoYmo
「あ、あの、西住殿?」

当惑の声が聞こえても、私はお構いなしに後ろから抱きつき、ベッドに座る。

「これは、ど、どういう?」
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 22:58:27.70 ID:uVTtUoYmo
「にしずみどのー」

でも、今は逃げなくてもいい。私には信頼できる友達がいる。
一緒にボコミュージアムに言ってくれる人たちがいる。

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 23:08:41.63 ID:uVTtUoYmo
優花里さんに首輪をつけてもらったら大変なことになりました。

私がずっとこうしていたいと思ってしまっている。
何故か?

以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 23:18:28.37 ID:uVTtUoYmo
何分が経過したか。
時計の秒針の動く音と優花里さんの息遣いしか聞こえない部屋。
静かで心休まる空間。

きっともう私は抜け出せないんだろうな。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2017/01/17(火) 23:33:12.41 ID:uVTtUoYmo
目を見開く。
いつものように優花里さんが笑っていた。

「武部殿も五十鈴殿も冷泉殿も、いえ、みなさんが西住殿を支えていたはずです」

以下略



34Res/31.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice