【オリジナル】「治療完了、目をさますよ」2【長編小説】
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1
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天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:04:31.87 ID:wWVynNsm0
前スレ:
ex14.vip2ch.com
の続きです。
24話完結のサイコホラー小説です。
ご意見ご感想などいただけると嬉しいです。
気軽にお楽しみ下さいm(_ _)m
2
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:20:27.48 ID:wWVynNsm0
◇
第19話 フォーマット
◇
以下略
AAS
3
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:20:55.89 ID:wWVynNsm0
「まぁ、俺には関係のない話だが」
「……全くだ」
「汀を使いたいなら、無理だな。多少無茶をして『被験者』にダイブさせてみたが、夢傷にやられすぎていて話にならない。もう、再起不能だと言ってもいいな」
「……汀ちゃんのちゃんとした『治療』が必要だ」
以下略
AAS
4
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:21:30.44 ID:wWVynNsm0
「汀ちゃんの身柄を引き取る。文句は言わせない」
「文句はないが、今更ブッ壊れたガラクタ一つ手に入れて、何が変わるわけでもないと思うが」
「汀ちゃんはガラクタじゃないぞ……お前に、お前にだけはそんなことを言わせないぞ!」
首を絞めんばかりに力を込めている大河内の手を掴み、圭介は逆に彼を睨みつけた。
以下略
AAS
5
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:21:57.77 ID:wWVynNsm0
彼女は掴み合っている大河内と圭介を見ると、慌ててカルテをテーブルに投げ出し、駆け寄ってきた。
「何をしているのですか! あなた達は冷静に話し合いができないのですか!」
悲鳴のような声を上げて、彼女は無理矢理に二人を引き離した。
以下略
AAS
6
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:22:43.79 ID:wWVynNsm0
それを聞いたジュリアが弾かれたように振り返り、大声を上げる。
「……聞き捨てなりませんね。人間を人間とも思っていないのは、あなたの方ではないのですか!」
「話を聞いていたな。エドシニア女史。いや、『アンリエッタ・パーカー』と呼んだほうがいいかな」
以下略
AAS
7
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:23:11.17 ID:wWVynNsm0
「これ以上お前と話すことは何もない。汀が欲しいんなら、くれてやるよ。だから俺の目の前から今すぐ消えろ……!」
圭介が頭を抑えながら吐き捨てる。
大河内はニィ、と口の端を歪めると、きびすを返して二人に背を向けた。
以下略
AAS
8
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:23:41.91 ID:wWVynNsm0
◇
汀は弱々しく呻いて目を開いた。
辺りは薄暗く。部屋の窓にかかったカーテンから、夕焼けの赤い光が漏れている。
ここはどこだろう……そう思った汀の目に、隣に置かれた椅子に腰掛け、腕組みをしてコクリコクリと頭を揺らしている大河内の姿が映った。
以下略
AAS
9
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:24:17.60 ID:wWVynNsm0
◇
医師達によるテキパキとした処置が済み、汀はとりあえず鼻と喉のカテーテルから開放されて息をついた。
まだ喉に何かが刺さっているような感じがする。
しかし、体中に点滴が刺されて身動きを取ることも出来ない。
以下略
AAS
10
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:24:45.55 ID:wWVynNsm0
「私……成功したの……? 治療に……」
「ああ。君のおかげで私の更迭処分は取り消された。ありがとう」
大河内が手を伸ばして汀の頭を撫でる。
途端に安心したような顔になった汀に、しかし大河内は声を低くして続けた。
以下略
AAS
11
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:25:14.05 ID:wWVynNsm0
そして吐き捨てるように言う。
「あいつのことは忘れるんだ」
「……?」
「これから、君は、私と普通の女の子として生きていこう」
以下略
AAS
12
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:25:42.06 ID:wWVynNsm0
「心の整理がつかなければ、しばらくの間、旅行をしてもいいかもしれないな。うん、そうだ。そうしよう。医師連盟に君のための補助チームを作らせよう。汀ちゃんは東京から出るのは始めてかい? 沖縄はお勧めだぞ」
「……せんせ……?」
怪訝そうにもう一度問いかけられ、大河内は言葉を止めて汀のことを見下ろした。
以下略
AAS
13
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:26:14.26 ID:wWVynNsm0
淡々とした大河内の声を聞いて、汀はしばらくの間目を丸くしていたが、やがて持ち上げかけていた上半身をベッドに戻し、息を吐いた。
予想とは異なった汀の反応に、大河内は怪訝そうにその顔を覗きこんだ。
「汀ちゃん?」
「圭介が……そう言ったの?」
以下略
AAS
14
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:26:43.03 ID:wWVynNsm0
汀はそれを聞いて笑みを止めて言った。
「……うん」
「君のことは調べさせてもらった。不快に思ったなら、すまない。でも、私としてはどうしても高畑のことを知る必要があった」
「…………」
以下略
AAS
15
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:27:11.30 ID:wWVynNsm0
「そのうちの一つの勢力が、私が所属している秘密機関GDだ」
大河内は弄んでいたコーヒー缶のプルタブを開けると、中身を口に流し込んだ。
「ただ、GDの内部でも少々揉めていてね……私とは別に動いている者もいる」
以下略
AAS
16
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:27:37.48 ID:wWVynNsm0
「……私は、GDの目的を達するために、ナンバーIシステムの復活を任務にしてる。君をそれに使おうと思っていた。すまない。私にも事情があってね……テロリストと方法は違えど、そうすることが赤十字への復讐になると思っていた」
「…………」
汀はニッコリと笑って、かすれた声で言った。
以下略
AAS
17
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:28:03.08 ID:wWVynNsm0
汀は微笑みながらそれに返した。
「せんせが……そう言うなら、私、それでいいよ……」
「駄目なんだ。汀ちゃん……それじゃいけないんだよ」
「どうして? ……せんせは、私のこと嫌いになったの……?」
以下略
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18
:
天音
◆E9ISW1p5PY
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2017/05/20(土) 15:28:31.88 ID:wWVynNsm0
「…………」
「しかしそれは投薬で治療できる。君が今負っている夢傷もそうだ。全て治療できるんだ。君の体の麻痺だって治るかもしれない。普通の治療を受けて、精神と、体の状態を普通に戻せればの話だが……」
「…………」
「それを聞いても、同じことが言えるかい?」
以下略
AAS
19
:
天音
◆E9ISW1p5PY
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2017/05/20(土) 15:29:48.98 ID:wWVynNsm0
「……確証はないが、高畑の態度を見ていて想像がついた。あいつは、坂月君……君の夢に出てくるスカイフィッシュが、元は人間だったことを知ってる。おそらく変質の現場を見ているんだ」
汀は息をついて、ベッドに体を預けた。
そして大河内から視線を外してもぞもぞと体を動かし、彼と反対側に首を向ける。
以下略
AAS
20
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:30:16.98 ID:wWVynNsm0
◇
燃え盛る家の中、汀はグッタリと血まみれの包帯まみれの姿で座り込んでいた。
足を投げ出し、もはや動くことも出来ないといった状態でか細く息をしている。
その周りを、白い子猫が困ったように歩き回っていた。
以下略
AAS
21
:
天音
◆E9ISW1p5PY
[saga]
2017/05/20(土) 15:30:45.93 ID:wWVynNsm0
艶のかかった白髪だった。
女性のように後頭部で、長い髪を一つに結っている。
ニコニコとした笑顔を浮かべた、気さくそうな青年だった。
日本人ではない。
瞳が青いことから、おそらくフィンランドなどの日照量の少ない地域の人間であることが伺えた。
以下略
AAS
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