【メルルのアトリエ】トトリ「待ってよお、ミミちゃん」
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1:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 01:55:10.76 ID:HgKOPu5U0
メルル後のssです
百合です


2:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 01:59:44.06 ID:HgKOPu5U0
 もう何日も凄まじい吹雪が続いていた。雪の大陸を南北に縦断する山脈、その中でひときわ高く聳える高峰に、小さなテントが光を灯してへばりついていた。


 狭いテントを吹雪が煽り、ばたばたと音を鳴らす。寝袋と錬金灯の熱だけでは防ぎきれない寒さに耐えるため、トトリとミミのふたりは寄り添って眠ろうとしていた。

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:00:18.81 ID:HgKOPu5U0
「もしも」


 カバンを放ってトトリは言う。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:00:46.12 ID:HgKOPu5U0
 トトリはそう言ってにっこり笑う。ミミにはトトリがどこまで本気で言っているのか分からなかった。無邪気に笑ってそんなことを語るトトリと、僅かに共感を覚える自分が恐ろしく、何も答えられなかった。


 ミミとトトリの間に妙な沈黙が下りる。質問を宙ぶらりんにしたままの、嫌な沈黙だった。ミミはまだ熱が残るカップを手に取り、口をつける。

以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:01:15.22 ID:HgKOPu5U0
「う〜ん………」


 トトリは口に指を当て長く唸る。彼女が自身の底を掘り起こす際の仕草だ。少し震えて、ミミに体を寄せる。寝袋に首を埋めると、トトリは語り出した。

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:01:46.22 ID:HgKOPu5U0
 雪の勢いがいくらか減じた朝、厚い防寒着を着てテントを仕舞い、再び出発することにする。高度を増すにつれ足取りは重く感じ、数歩ごとに大きく呼吸をする。数日前まで、アイゼンが氷を掻く感触を無邪気に楽しんでいたのが嘘のようだ。もはやモンスターすら現れることもなくなって、つくつぐ命の生きていられる環境ではないことを山が伝えてくる。


 それでも二人には不安は無い。お互いの体をロープで繋いで、ミミを前衛、トトリを後衛として歩いてゆく。こんなにも険しい環境においても、互いの存在を感じることができた。トトリは雪越しに覗くミミの背になら、自分の命を預けられた。その信頼を知っていてこそ、ミミの歩調は慎重で間違いが無かった。ナイフのような稜線を二人は歩いてゆく。頂上はもう少しのはずだった。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:02:13.64 ID:HgKOPu5U0
 岩壁の両側は切り立っており、迂回しようが無い。この垂直に立った壁は通らざるを得ない道だった。岩壁はそれ以上の高さの氷の壁を傍に伴っており、どうもその二つの隙間を潜らなければならないようだ。


 岩壁の足元に打ったハーケンに命綱を通し、二本のピッケルを持ってミミはずんずんと登っていく。トトリは蹴り落とされる氷の粒を受けながら、ミミを心配げに見上げている。トトリの心配とは裏腹に、この岩壁自体は取りつきやすく、ときには背の氷壁を支点にすることもできたため、高さを除けばそう難しい壁ではなかった。問題なく登り切れるはずだった。

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:03:33.89 ID:HgKOPu5U0
 トトリがミミを呼ぶより速く、ミミは岩と氷を浴びながら、岩壁を登った高さだけ落下して地面に叩きつけられ、斜面を転げ落ちて行く。ハーケンで固定された命綱は、はるか麓までミミが落ちていくのを辛うじて止めた。


「ミミちゃん!」

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:04:09.04 ID:HgKOPu5U0
 まずい。まずいまずいまずい。


 焦りと混乱で回るトトリの思考は、ある方法に辿り着く。本で、いくつかの物語で見たことがある。胡乱げな目で浅い呼吸をして血を吐くミミを見て決心した。

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:04:39.70 ID:HgKOPu5U0
「どう?行ける?」

「大丈夫、登ってみるね。じゃあ、お願い」


以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:05:13.43 ID:HgKOPu5U0
「「せーの」」

どすん。

 二人の冒険者によって、人の踏み入ったことのない山頂に旗が突き立てられた。旗にはトトリが自身を丸くデフォルメして描いた似顔絵と、シュヴァルツラング家の家紋が描かれていた。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:05:50.86 ID:HgKOPu5U0
 テントを張ると、適当な食事をして、手当たり次第に毛布を出して、一緒に包まった。疲れが全身に泥のように纏わりついていて、そのくせ興奮は醒めていない。トトリはミミを強く抱き、ミミはそれに応えた。


 彼女達の身体には、そのまま酔ってしまうほど妖しい熱と匂いが篭っていた。二人は激しく愛し合い、お互いの身体を抱いた。

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:06:18.26 ID:HgKOPu5U0
 トトリはミミの首筋に顔を寄せた。


「わたしとミミちゃんが一緒にいることに、理由がいるのかな」

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:07:09.57 ID:HgKOPu5U0
 手を繋ぎながら湖の畔を歩くトトリとミミ。


「ねえ、そういえば、なんでミミちゃんがわたしと一緒にいてくれるのか、それは聞いてなかったよね」

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2018/11/25(日) 02:07:44.64 ID:HgKOPu5U0
おしまい


16:名無しNIPPER[sage]
2018/11/25(日) 05:31:09.13 ID:YX+cDnyBO
乙です!


17:名無しNIPPER[sage]
2018/11/25(日) 15:20:11.49 ID:xJEfOEIEo
やっぱトトミミよ


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