1:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 16:04:03.01 ID:rrYJ0K9qO
思いつくままの百合
2:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 16:19:10.00 ID:rrYJ0K9qO
5年程務めていた会社を辞めた。
理由は寿退職。
自己都合って文章を退職届に書かされたのが会社の社宅を出た一月前のこと。
まるでこっちに問題がありましたので、辞めさせて頂きます、という感じで。
後味の悪さを感じたり、感じなかったり。
3:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 16:29:43.91 ID:rrYJ0K9qO
会社を辞めると、途端に時間ができた。
自分の手に余る時間ができて、仕事の無くなった解放感を味わっていたのも束の間。
すぐに、自分自身の地に足の着かないような感覚に違和感を感じるようになり、
とりあえず、派遣会社に登録してぽっかりあいた穴を埋めつつ、家事に勤しむ日々を送っていた。
4:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 16:40:27.77 ID:rrYJ0K9qO
へとへとの彼を癒してあげなくては、というのは前職の職業病のようなものなのだけど、
誰かを支えて生きる喜びを感じて、これが一緒になるってことなのかとなんて。
そう、自分に言い聞かせていた。
一緒になれば、好きになれるはず。
5:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 16:45:19.79 ID:rrYJ0K9qO
たくさんたくさん感謝をしなくてはいけない存在だった。
彼は毎日私に愛をくれた。
それなのに、私が彼に『好き』と伝えたのはたった1回だけだった。
好きじゃないから、好きと言えないのか。
6:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 16:55:31.44 ID:rrYJ0K9qO
このまま籍を入れることもできたけれど、本当に私の人生はそれでいいのか、と繰り返し内側から求められた。
まだ、何かを知らないでいた。それを知らないといけないような気がした。
引っかかる。
その何かは、明確に、けれど答えのない何かで。
その答えを出すのは、本当に今さらで。
7:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 17:08:05.44 ID:rrYJ0K9qO
色々な所を旅行した。
どこかで、結婚したらどこにも行けなくなると思っていたのかもしれない。
自由じゃなくなってしまうのかもしれない。
子どもの私がいた。
8:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 17:14:55.91 ID:rrYJ0K9qO
翌朝。
同じ年の青年が、朝の散歩に誘ってくれた。
山深いところで、空気が澄んでいた。
「日本は不自由な事が多いね」
9:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 17:24:54.17 ID:rrYJ0K9qO
このゲストハウスに泊まる一日前に、私はもう一人、年上の女性と出会っていた。
一度だけ、友人の繋がりで電話したことのある人。
とても丁寧な印象を受けた人だった。
旅行の途中に、どうしてか、いや、どうしても彼女に会いたいと思った。
10:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 17:36:23.78 ID:rrYJ0K9qO
出会って緊張してはいたものの、趣味の友達の繋がりでもあったので、彼女の感覚がやや自分と似ていることがわかり安堵した。
色々と観光案内してくれて、まるで仕事をしているような口調で。
本当に真面目なんだろうなあと。
自然の風景に、すごく素敵ですと私が感想を述べると、とても嬉しそうに笑っていた。
11:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 17:43:48.41 ID:rrYJ0K9qO
夜店の射的にも案内してくれて。
細い彼女の指が引き金にかかった時、どきりとした。
気が付けば、目で追っている。
いけないと思い、彼女の方をあまり見ないようにした。
それでも、夕飯を食べ終わってお酒を含んだ体は、
12:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 17:53:01.35 ID:rrYJ0K9qO
思った以上に彼女の反応は深いものだった。
どうやら、同じような状況にいて、彼女は女性を好きという自覚を確立していたけれど、
男性と結婚する予定だということだった。片親で、迷惑をかけないようにと。
そうすることが普通。
そう思い込もうとしている。
13:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 18:06:27.95 ID:rrYJ0K9qO
本当に誰かを幸せにしたい、愛したいと思えるわけがないと思っていた。
自分が幸せになるために、結婚しないといけないと思っていた。
少しだけ、私たちは同調しあった。
初めて出会った人という感覚は無くなっていた。
14:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 18:39:11.88 ID:rrYJ0K9qO
もちろん、翌朝に彼女と私の乱れた衣服や下着を見て、ああやってしまったなという一晩だけだという冷静な自分に戻っていた。
それでも、別れ際に車の中で彼女に手を繋がせて欲しいと言い、少しだけその時間を貰った。
旅行から帰って、ああ、浮気してしまったんだと思った。
嘘をつくのは嫌だったので、正直に話した。
15:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 18:48:34.94 ID:rrYJ0K9qO
一夜限り、間違いなく互いにそう思っていた。
けれど、連絡を取り合う中で、
彼女も私も互いの好意に戸惑い、迷い、そうして、ダメだと思いながらも、
波のように軽い好意を伝え合った。
16:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 18:56:53.98 ID:rrYJ0K9qO
泣いている時も、悲しい時も、楽しい時も、愛し合いたい時も。
全て彼女と一緒がいいと思った。
熟成していなかった感情が、一気に枝を伸ばそうともがくような。
新しい感情に突き動かされて。
17:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 19:02:56.25 ID:rrYJ0K9qO
別れを告げても、もちろん彼にも冷静になれと言われた。
すぐには引っ越せないだろうし、考えながらまだ一緒にいたらいいと言われた。
彼はとても苦しそうだった。
他人事のように思いながら、時折罪悪感に飲まれ、人の幸せを踏みにじっている自分に自己嫌悪した。
18:名無しNIPPER[saga]
2019/02/11(月) 19:04:31.36 ID:rrYJ0K9qO
フリーター、嫁に出会う (百合)
おしまいです。
読んでくれてありがとう。
19:名無しNIPPER[sage]
2019/02/11(月) 19:46:48.17 ID:hFQ2L0RPo
しゅき…(語彙消失)
20:名無しNIPPER[sage]
2019/02/12(火) 12:35:58.76 ID:rQBV0js9o
おつ
21:名無しNIPPER[sage]
2019/02/12(火) 12:36:41.10 ID:RIjHH93XO
儚いな
おつおつ
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