【グラスリップ】透子「かけるくん?」
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35:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:23:59.70 ID:4h98r15f0
<第4話 坂道>
庭に張ったテントで寝起きすることにも、少しずつ慣れてきた。
日が昇り、まどろみの心地よさと、覚醒しようとする意思とが、いつものように戦っていると、
36:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:28:07.43 ID:4h98r15f0
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「長いこと、おまえには迷惑かけたな」
芳ばしく薫るハムを皿に盛りつけながら、父さんはそんなことを言った。
37:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:31:39.20 ID:4h98r15f0
それに、俺なりに、こうしてみたい、という漠然とした希望もある。
母さんのようになりたい、という気持ち。
色々な場所を飛び回るような仕事をして、生きてみたい。
38:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:35:20.74 ID:4h98r15f0
答えを求めるように、俺は母さんの演奏を再現するオーディオプレイヤーに目を向け、ふと思う。
俺にとっての《未来の欠片》と、父さんにとってのこれは、似たようなものかもしれない、と。
「いつも聴いてるの?」
39:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:38:26.85 ID:4h98r15f0
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朝食を済ませると、俺は出かける準備を始めた。
透子の誘いを断った手前、というわけではないが、近辺を散策することにしたのだ。
40:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:42:49.91 ID:4h98r15f0
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麒麟館近くの坂道を下っていたときのことだ。
近づいてくる雨の気配に、俺はバックパックから雨具を取り出した。
41:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:48:04.28 ID:4h98r15f0
「足、つらそうだけど」
「ただの捻挫」
「そんな足で出歩くのは感心しないな」
42:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 11:52:51.19 ID:4h98r15f0
「カケルって――」
「馬偏に区」
誤った変換をされないように、食い気味に答える。
43:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 12:17:32.32 ID:4h98r15f0
†
そこは、誰からも見落とされたような場所だった。
それでいて、誰かに見つけられることを待ち望んでいるような場所だった。
44:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 12:27:28.54 ID:4h98r15f0
<第5話 日乃出橋>
通り雨の日に高山と話をしてから、数日。
工房で会って以来、透子から連絡はない。
45:名無しNIPPER[sage saga]
2019/04/07(日) 12:29:54.98 ID:4h98r15f0
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高山に案内されてやってきたのは、急な階段の上にある小さな神社だった。
日陰になっている社の軒下、礎石に腰を下ろし、俺は高山が何か言い出すのを待った。
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