神崎アオイ「どちらが先に炭治郎を落とせるか勝負よ」栗花落カナヲ「え、ええっ!?」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:02:23.97 ID:VhMZ4/6fO
『この世にどうでもいいことなんて無いと思うよ』

彼にそう言われてから私の世界は変わった。

自分の意思を持たず、周囲から人形と呼ばれていた私はあらゆることを銅貨の裏表で決めていた。何もかも全てがどうでも良かった。

自分で何かを選択することには必ず後悔が付き纏う。その重荷から目を逸らし続けた。
師範の言いつけを守り、蝶屋敷の人たちを助け、そして鬼を倒す。それだけが私の仕事。

それ以外のことは何も考える必要はない。
ずっとそうして生きてきたし、これからもそうやって生きて、そして死ぬのだろう。
漠然とそんな未来を想像して、けれど何ら不満も不安もなく、そして諦観すらなかった。

しかし、彼の言動で私は変わってしまった。

「炭治郎……」

任務の合間に蝶屋敷に立ち寄る際、彼が療養していないか確かめるのが癖になった。
病室を見て周り、傷ついた彼が伏してしないか確認して、姿が見えないことに安堵とも落胆とも言えぬ溜息を吐くのが一連の流れだ。

「また炭治郎を探していたの?」
「え? う、ううん。私は、別に……」
「隠さなくたっていいわよ」

そんな私の不審な行動を見て、蝶屋敷で働く神崎アオイがある日、こんなことを言った。

「カナヲも炭治郎が好きなんでしょ?」
「え……?」

予期せぬその言葉に、頭が真っ白になった。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:04:38.99 ID:VhMZ4/6fO
「見てればわかるわよ」
「え? え?」

アオイは今、なんと言った? 好きって?
誰が? 私が? いやでも、少しおかしい。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:07:01.95 ID:VhMZ4/6fO
「それで? カナヲはどうして彼を?」

またもや乱れてしまった呼吸が整うのを待って、アオイは私に尋ねた。好きの、理由。
もしもそんなものが私の中に存在するのならば、それはきっと、彼のあの一言だろう。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:09:15.43 ID:VhMZ4/6fO
「まったく、男の人はこれだから……!」
「でも、炭治郎はきっと誠実な人で……」
「そんなことはわかってるわよ! むしろだからこそタチが悪いのよ! ああ、もう!!」

憤りながらも、アオイの呼吸は乱れない。
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:11:16.12 ID:VhMZ4/6fO
「カナヲも炭治郎のことが好きなのね?」

念入りに確認されて肯き、声を絞り出す。

「わ、私も……炭治郎が、好き……」
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:12:59.96 ID:VhMZ4/6fO
「カナヲはどうやって落とすつもり?」
「お、落とすって、そんな……」
「受け身じゃあの鈍感は落とせないわよ」

不敵に笑うアオイに少しむっとして尋ねた。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:15:36.71 ID:VhMZ4/6fO
「とはいえ、わたくしも人のことは言えたものではないけれど。ようし、こうなったら」
「ど、どうするつもり……?」
「色仕掛けで迫るのよ!!」

色仕掛け? 色仕掛けって、もしかして。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:18:11.92 ID:VhMZ4/6fO
「こんなこともあろうかと」

アオイは何やら奥の戸棚から何やら持ち出してきた。風呂敷に包まった衣類だった。
それは隊服のようだが、違和感があった。

以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:20:50.29 ID:VhMZ4/6fO
「どう?」
「ッ!?」

私が悶々としているうちにアオイは小さい隊服に袖を通し終えていて、結果は予想通り。
甘露寺蜜璃にも負けて劣らず、私よりも二回りほど大きな乳房が今にも溢れ落ちそうで。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:23:53.26 ID:VhMZ4/6fO
「なるほど。話はわかりました」

消沈した私に代わって状況を説明したアオイの話を聞いて師範は全てを理解したらしい。

「カナヲ。あなたは恋敵を亡き者にしようと刀を抜いたわけではないのですね?」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:25:59.23 ID:VhMZ4/6fO
「あなたたちが今感じているお尻の痛み。それが私には痛いほどにわかる。何故ならば、私も幼い頃には姉にお尻を叩かれていたからです。花柱であった姉のカナエはとても優しい人でしたが容赦がなかった。凄まじい痛みの中に私は姉の愛を感じた。姉の継子として私はそれを継承して、そして次の代に託す。それが私の責務です。理解出来ましたか?」

たしかに師範の姉は優しくて姉に溢れた人だった。そして怒ると誰よりも怖かった。
私も生前何度かお尻を叩かれた経験がある。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:28:14.62 ID:VhMZ4/6fO
「カナヲ、大丈夫?」
「う、うん……しばらく座れないと思う」

私たちに"教育"を施して、師範は去った。
たしかに師範の平手には愛が込められていたけれど、口の端には少しだけ愉悦があった。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:29:58.75 ID:VhMZ4/6fO
「そうと決まれば早速練習よ!」
「れ、練習……?」
「そう! いつ炭治郎の美味しそうなお尻が目の前に現れてもいいように研鑽を積むの!」

なるほど。予習はたしかに大切だ。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:31:41.96 ID:VhMZ4/6fO
「カ、カナヲ……あ、あなた、今……!」
「私はアオイのことも大好き」

もちろん炭治郎に対するものとは違うけど。
躊躇なくお尻に接吻出来るほどには好きだ。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/11/08(日) 20:56:19.11 ID:VhMZ4/6fO
余談ですが、胡蝶しのぶ様の容赦ない尻叩きがカナヲに受け継がれている様子は単行本の第二十巻の幕間にて描かれております。

最後までお読みくださりありがとうございました!


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