1: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 22:38:46.99 ID:/ZKesHprO
マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝の二次創作です。 
 書き溜めたものを順次投下して、書き溜めた分が尽きたら不定期で 
 書き上げて投下する予定です。 
  
  
 時系列は第二部第十一章の後日を想定。 
 本編には登場しない魔法少女もとして美国織莉子、呉キリカが登場。 
 おりこマギカイベント My Only Salvationが少々絡んでいます。 
  
 拙い内容ですが、よろしくお願いいたします。
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2: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 22:43:52.64 ID:/ZKesHprO
  
  
 それは今でも忘れられない、在りし日の神浜市という街の記憶。 
  
  
3: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 22:52:05.25 ID:/ZKesHprO
 「ご無沙汰しています。環いろはさん」 
 「……織莉子ちゃん?」 
 「急に尋ねてごめんなさい。その節は大変ご迷惑をおかけしました」 
  
 彼女の名は美国織莉子。未来予知の能力を持つ魔法少女で、みかづき荘の住人は 
4: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:00:37.83 ID:/ZKesHprO
 「誰か来ていたの?」 
 「それが、織莉子さんが訪ねて来たんです。深刻そうな顔をして……」 
 「織莉子って……あの時の、美国織莉子よね……?」 
 「これから出かけることを伝えたら、日を改めると。急なんですけど、 
  みんなの予定が空いている日はありますか?」 
5: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:07:02.38 ID:/ZKesHprO
 ショッピングモールのポイント10倍デーに備えて、出発準備が整っていた住人は、 
 居間で着席はせずにいろはの報告を聞いた。 
  
 織莉子によれば、全人類が死に絶える未来を予知したという。 
 それを止められる可能性にかけて、みかづき荘を訪ねたとのことだった。 
6: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:09:25.39 ID:/ZKesHprO
 『未来のことかー。わたくしも興味あるし、ねむと桜子、あとは書記を連れて行くね。 
  場所はみかづき荘でいいの?』 
 「うん。午前十時には織莉子さんが来るから、間に合うように来てほしいんだ」 
 『分かった。ねむたちにも言っておくね。それじゃ、またその日にね』 
 「よろしくね、灯花ちゃん」 
7: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:15:27.74 ID:/ZKesHprO
 織莉子が語る内容を簡潔にまとめると、彼女が視た未来には、世界にアリナ・グレイ以外の 
 魔法少女が存在しない。そこに生きている人類はアリナ以外におらず、世界には魔女とも 
 使い魔とも言えない異形が蔓延っている。 
  
 その世界でアリナは、巨大な魔女と思わしき存在と融合して力を振るっており、全人類を 
8: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:21:12.50 ID:/ZKesHprO
 「それが、キリカと一緒にアリナに関係する場所を巡っていますが、成果は上がっていません。 
  今のところアトリエを特定する方法も、侵入する手段も見つかってないんです」 
 「探せば見つかるような場所じゃない、ってことかな。それじゃ手の打ちようがないんじゃ?」 
  
 やちよの隣に腰かける鶴乃は、織莉子の説明が始まる前に、やちよが全員に用意した麦茶を 
9: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:25:47.21 ID:/ZKesHprO
 「こんなんじゃ、一度隠れたら、隠れた本人が自分から出てこない限り、どうにもならないね」 
 「こっちから乗り込んで、怖いねーちゃんを叩けねーってことかよ。ずりぃ」 
 「そうだ。キモチ石の時みたいに、灯花ちゃんからキュウべぇに接触できないかな?」 
 「そうしたいところだけど、まだ電波望遠鏡の修理は完了してないんだよ。 
  しばらく機械たちも動かしてなかったから、稼働試験もしないとだし」 
10: ◆3U.uIqIZZE
2022/07/25(月) 23:36:30.63 ID:/ZKesHprO
 「アリナが目指す、ベストアートの完成が目的なのかもしれない。自分以外に魔法少女が  
   存在しない時代であれば、誰の妨害なく悲願を成就できると考えたのだろうね」  
  「混乱のどさくさでアリナを逃したのは痛手だったよ。困ったことになったにゃー……」  
  「|だからといって、アリナを全く放置するわけにもいかない。  
    何か手を打つ必要があるけど、一旦休憩を挟むことを提案する|」  
11: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:40:07.03 ID:/ZKesHprO
 「わたくしたちが暮らす現在を世界α、百年後の未来を世界βと仮定してお話するね。 
  未来へ行って現在に帰ってくることは、わたくしたちにとっては世界αと世界βを 
  往復しただけ。これは分かるかなにゃー?」 
 「うん」 
 「だけど、宇宙の視点からすると、それはまた別の意味を持つの。世界αは、世界βを 
12: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:43:47.25 ID:/ZKesHprO
 「本来、未来は常に変動しているの。現在よりも先の時間であり、世界であり、 
  数多の可能性の中から選ばれた一つの可能性。現在を生きるわたくしたちの 
  行動次第で、いくらでも変えられるものなんだよ」 
 「だけど、僕たちが未来へ渡って現在に帰ってきたら、つまり、世界βへ渡って 
  帰ってきて、世界αが世界α’に、世界βが世界β’になったら、この宇宙は、 
13: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:47:50.36 ID:/ZKesHprO
 「それって、何かよくないことになるのかしら?」 
 「未来が変わって世界βに時間が繋がらなくなるとい、時間の連続性が失われちゃう。 
  宇宙による歴史の修正が働かなかったら、最終的に人類が理解する時空間の崩壊を 
  引き起こすかもしれない。タイムパラドックって言えば分かるんじゃないかにゃー? 
  そうならないように、宇宙は何らかの形で、干渉するかもしれないってことだよ」 
14: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:56:01.42 ID:/ZKesHprO
 「それどころか、未来から要員が出発元の現在に戻って来れた場合、 
  さっきも言ったけど、タイムパラドックスが発生する可能性が高いの」 
 「出発元の時間と、そうではない時間。具体的にはどのような違いが?」 
 「出発元の過去ではない場合は、出発した時代とよく似た歴史を辿った、 
  別の世界に到着すると思う。その世界に要員との同一存在がいた場合、 
15: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/25(月) 23:59:18.49 ID:/ZKesHprO
 「それじゃあ、話を続けるよ。未来へ送られた要員が過去へ戻ってきたら、その世界は、 
  未来から戻ってきた要員を内包する世界へ、上書きされるということ。でも、時間の 
  連続性の観点からすると、上書き前の世界から過去に戻ってきたという事実に対して、 
  矛盾が生じてしまうんだ」 
 「その矛盾について、もう少し詳しくお話を聞かせて下さい」 
16: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:01:35.51 ID:DJtq/vHtO
 「じゃあ、例え話をしよう。昔の機械装置は、大きな電力が一気に流れ込んだ際、 
  機械がそれで壊れたりしないよう、ヒューズという部品が未然に故障を防いだ。 
  ヒューズが飛ぶなんて表現、聞いたことないかな?」 
 「それなら聞いたことがある気がする」 
 「規定を超えた電力で、機械装置が壊れないようにするために、ヒューズが飛んで 
17: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:04:39.53 ID:DJtq/vHtO
 「頭がずっと混乱してる。こんなことなら、もっとSF物の漫画でも読んでおけばよかった」 
 「疑問を抱いているのは、鶴乃だけじゃないはずだ。どう説明しても頭の混乱は避けられない。 
  日常生活で宇宙と時間の連続性を考えたり、タイムトラベルなんて意識しないはずだからね」 
 「分からないことがあれば、どんどん聞いてね」 
  
18: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:06:44.10 ID:DJtq/vHtO
 二人の視線の先では、コールドスリープを選択した場合に備え、 
 百年後の未来へ送る要員の選定を巡って、議論が続いている。 
 織莉子自身も思案を巡らせた。 
  
 未来へ送り出されてしまえば、宇宙存続の問題が絡むことから、 
19: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:11:54.83 ID:DJtq/vHtO
 織莉子は帰路に就く前、約束通りかごめの取材を受けた。 
 取材の場で織莉子は、自身が世界に存在する意味と、自信の能力を以って、 
 自分が何を成すべきかを悩んだ日々を語った。 
  
 自分の目的のために、関係ない少女を巻き込んで魔法少女にしてしまったこと、 
20: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:17:29.55 ID:DJtq/vHtO
 「だけど、事実困ったことになったにゃー。これで浄化システムを、異世界に広げるのは難しくなったよ」 
 「元々、浄化システムを広げる方法も、まだ判明していないんだけどね」 
 「オレたちがミラーズに入れないなら、他のヤツに頼るしかねーな。でも、どう言い訳すりゃいいんだ?」 
 「それについては、追々考えましょう。今日はもう日が沈みかけてることだし」 
 「あの、私からもいいですか?もう手遅れじゃないかと思ったんですけど……」 
21: ◆3U.uIqIZZE[sage]
2022/07/26(火) 00:18:22.09 ID:DJtq/vHtO
 本日はここまでです。また明日以降に。 
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