160:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:17:18.52 ID:veqilnkN0
  * 
   
   赤十字病院の会議室で、汀は大声を上げた。 
    
   「せんせ!」 
161:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:18:18.15 ID:veqilnkN0
   大河内は咳払いをして、周りを見回した。 
    
   「……こちらが、先ほど説明した高畑医師と、マインドスイーパーです。特A級の能力者です。私が、個人的な要望でお呼びしました」 
    
   不穏な視線を向けている周囲の威圧感に、汀が肩をすぼめる。 
162:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:19:07.27 ID:veqilnkN0
  * 
  
   汀は、淡々とした目で、眠らされている赤ん坊を見た。 
   赤ん坊の頭には、マスク型ヘルメットが被せられている。 
   そこは円形の部屋になっていて、中心部に赤ん坊がいる。 
163:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:19:44.58 ID:veqilnkN0
   「仮に戦闘する羽目になったら、俺が直接回線を切る。得策のない話は嫌いだからな」 
    
   「それを聞いて安心した。頼むぞ」 
    
   「言われるまでもない。もらう分は働くさ。俺も、汀もな」 
164:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:20:33.10 ID:veqilnkN0
  * 
   
   汀は目を開いた。 
   彼女は、いや、「彼女達」は一面真っ白な空間に立っていた。 
   汀が少し離れたところに立っていて、他のマインドスイーパー達が固まってきょろきょろと周囲を見回している。 
165:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:21:16.56 ID:veqilnkN0
   「あ……あの!」 
    
   振り返った汀の目に、自分を見ている少年少女たちが映る。 
   中には、不穏そうな表情を浮かべている子もいた。 
   全員同じ白い病院服なので、判別がつけにくいが、明らかに汀に敵意を向けている子もいる。 
166:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:24:54.55 ID:veqilnkN0
   「あ……あなたが、もっと上手く治療できるなら、その方がいいですけれど……考えてる風だったので……」 
    
   「精神中核を触れるの?」 
    
   「はい。私、そのためにこのダイブに参加しました」 
167:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:25:46.86 ID:veqilnkN0
   理緒が精神中核から引き抜いた黒い筋が、途中から千切れてポタリ、と地面に落ちた。 
   途端にそこがボコボコと沸騰をはじめる。 
    
   「トラウマ……?」 
    
168:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:26:27.50 ID:veqilnkN0
   『回線を遮断するぞ!』 
    
   「駄目! 今遮断したら、中核を置いてトラウマを残しちゃうことになる!」 
    
   『乳幼児の頭の中にトラウマがあるわけが……ザザ…………ブブ…………』 
169:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:27:22.20 ID:veqilnkN0
   しかし、マインドスイーパー達は、とっさの事態に対応できないのか、迫ってくる黒蛇に背を向けて逃げるのが精一杯だった。 
   近くにいた女の子の胴体が、半ばから噛み千切られる。 
   噴水のように辺りに血が飛び散る。 
   鞭のように、蛇が体を振る。 
   数人のマインドスイーパーが、数十メートルも吹き飛ばされ、頭から落下して動かなくなる。 
170:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:28:14.32 ID:veqilnkN0
   「赤十字も、ピンポイントで僕が、『偶然』選ばれた患者の中に隠れてたなんて、思ってもみなかっただろうね」 
    
   「ナンバーX? あの人……!」 
    
   理緒が悲鳴のような声を上げる。 
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