1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[saga]
2011/11/23(水) 22:57:11.17 ID:iCVRijr50
律「手、繋ごっか」の(一応)続編にあたります
不定期更新ですが、完結までのんびりと書いていきます
宜しければ最後までお付き合いください
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 22:58:58.49 ID:iCVRijr50
「こんにちは」
太陽が真上に登った頃、私は久しぶりに部室に足を踏み入れた。
長いようであっという間に過ぎていった夏休みが終わり、受験生である先輩たちが いなかったため軽音部の活動がなかったから、久々に部室の空気を吸った私はなんとなくハイな気分になった。
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:01:16.24 ID:iCVRijr50
お茶を飲んでそれを流し込み、律先輩は涙目になりながら私を睨んだ。
「別にいいじゃん、部長が絶対に集合かけたりするわけじゃないんだし」
「律先輩は元々部長らしいとこなんてないですしね」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:02:35.85 ID:iCVRijr50
澪先輩が持っていたシャーペンの芯をカチカチ言わせる。
勉強していたらしく、ノートと教科書を閉じると「そうだな」と言ってカップに口をつけた。
ムギ先輩は私がいつも座る椅子の前にお茶を置いてくれながら、「楽しみ〜」と満面の笑みで言う。
「今年ももうそんな時期かー」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:04:07.73 ID:iCVRijr50
「私、夏休み中に詞書いたんだけど……どうかな?」
恥ずかしそうにノートを差し出す澪先輩。
それを律先輩が苦い顔をして受取った。
唯先輩とムギ先輩が身を乗り出してそのノートを覗き込む。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:04:41.35 ID:iCVRijr50
「皆それぞれ詞を作って発表するっていうのはどう?」
ムギ先輩が「はいっ」と手を上げてからそう提案した。
律先輩が「お、いいな」と賛同する。
唯先輩のほうを見ると、意外にも唯先輩もノリノリな様子だった。
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2011/11/23(水) 23:05:47.69 ID:iCVRijr50
だめだ、何も思いつかない。
歌詞を考えながら歩いても一文字も浮かんで来なかった。
私は作詞には向いていないのかも知れない。
「何唸ってるのよ?」
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)[sage]
2011/11/23(水) 23:06:42.82 ID:khcdU7RSO
地の文がくどくね?
そういうスタイル?
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:07:02.05 ID:iCVRijr50
あの時、私は初めて先輩たちの隣に立てればいいと思った。
いつか律先輩の差し出してくれた手に自分の手を重ねたいと。
今自分がその場所に立てているとは思えない。
まだ、先輩たちのように手を繋げない。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:08:06.21 ID:iCVRijr50
「はあ……澪先輩が……」
「それは澪先輩に失礼でしょ」
「うん……あっ、じゃあ梓、歌詞の作り方澪先輩に教えてもらえばいいじゃん!私がついてってあげるから!」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:09:37.46 ID:iCVRijr50
――――― ――
「澪先輩の電話番号は……っと」
家に帰ると、私は制服も着替えずにベッドに倒れこみ、携帯のアドレス帳を開いてみた。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:10:37.53 ID:iCVRijr50
「あっ、あの、澪先輩……」
『梓?珍しいな、梓が電話してくるなんて』
「はあ……えっと、突然すいません」
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:11:28.04 ID:iCVRijr50
「なんですかそれ」
『澪が私のほうを助けてって感じで見てくるからさー』
そんなふうには見てない!と澪先輩の大きい声が聞こえた。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:12:19.41 ID:iCVRijr50
「私は澪先輩に歌詞のことを聞こうと思って……」
『歌詞?』
「ほら、今日率先輩が明日考えて発表なって……」
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:13:23.23 ID:iCVRijr50
それにしても、まだ律先輩が電話に出ない。
一旦切ってからまた掛けなおそうかと迷っていると、やっと誰かが電話口に出た気配がした。
『もしもし、梓?』
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:13:54.03 ID:iCVRijr50
『いいよそんな。私も可愛い歌詞って言ってくれて嬉しいし。ただ、今日は律も来てるし明日でいいかな?』
「あ、はい」
『ごめんな、わざわざ電話してくれたのに』
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:15:07.74 ID:iCVRijr50
翌日、雨で少し濡れてしまった鞄を下駄箱で拭いていると、「おはよう」と声がした。
澪先輩だった。
その後ろで、律先輩がたぶんクラスメイトだろう、誰かにちょっかいをかけていた。
律先輩の性格だからクラスでもきっと友達が多いんだろうな、とぼんやり思ったまま、わたしは澪先輩に頭を下げる。
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:15:57.93 ID:iCVRijr50
昼休みの部室は朝から続く雨のせいでじとじとと湿っぽかった。
「私も行く〜」とうるさい純を諭していたせいで、遅くなってしまったかも知れない。
お弁当と筆記用具を持って中に入ると、なぜか澪先輩ではなく律先輩の姿があった。
「よっ、梓」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:16:49.55 ID:iCVRijr50
「言われなくても座りますよ」
「こわーっ、言うようになったなあ」
「あっ……すいません」
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:17:47.55 ID:iCVRijr50
けれど、まあいいか。
みんながいない部室より、先輩たちが皆いる部室の方がきっと楽しい。
こんなこと、昔の私ならきっと思わなかっただろうけど。
「それより唯先輩は何か書いてきたんですかー?」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)[sage saga]
2011/11/23(水) 23:18:52.95 ID:iCVRijr50
『誰に何を伝えたいのかを決めて、それを絞り込む』
伝えたいこと、思うこと。
誰に何を。
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