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2013/03/23(土) 21:27:42.17 ID:sFFUNv8Z0
【2】
突然、律子がレッスン室に連れてきた少女を見て、雪歩の心臓は大きく高鳴った。
星井美希と名乗るその少女は、つい先日、電車の中で雪歩達を助けた子であった。
二日ぶりの再会でも、彼女の姿は雪歩の瞳の奥にまぶしく映った。
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2013/03/23(土) 21:29:45.87 ID:sFFUNv8Z0
千早の様子も見に行くと言って、律子達が部屋を出てからも、残った三人は美希という少女の話題で持ちきりになった。
「雪歩は、あのダンスを通しで踊れるようになるまでどれくらいかかった?」
春香にそう聞かれ、雪歩は頭の中のカレンダーを一枚ずつめくり直してみた。
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2013/03/23(土) 21:32:18.68 ID:sFFUNv8Z0
翌日から、美希は事務所の話題の中心にいた。
水瀬伊織は、真と同様に美希に対してライバル意識を持った一人だった。
「ちょっと実力があるからって、まだ一花咲かせていないのはあんたも一緒なんだからね!」
ソファーに寝転がっている美希の前に立ち、ウサギのぬいぐるみを抱きながら人差し指を突きつけ、伊織はすごんで見せた。
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2013/03/23(土) 21:34:36.98 ID:sFFUNv8Z0
雪歩は、美希と他のアイドル達とのやり取りを、少し離れた所から見ていた。
春香の焼いてきたクッキーを美味しそうにほおばり、あずさの胸に飛び込んで甘えた。
やよいが来れば逆に頭を撫でてあげたし、真が拳骨を突き出せばパーを出して見せた。
なぜ、嫌がる千早のお腹をさすっていたのかは分からないが。
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2013/03/23(土) 21:36:29.41 ID:sFFUNv8Z0
家の用事があるからと、先に帰ったやよい達を見送った後、プロデューサーも雪歩に練習を切り上げようか聞いた。
「いえ―――まだ全然、ダメダメだから、もう少しだけ残って練習しますぅ」
意外にも根性があるなと、プロデューサーは事ある毎に思っていた。
しかし、雪歩のそのメンタリティがどこからくるものなのか、彼には分からなかった。
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2013/03/23(土) 21:37:59.68 ID:sFFUNv8Z0
一人残ったレッスン室で、雪歩は黙々と練習を続けた。
だが、どうしてもターンがうまくいかない。
時々、それらしく決まる時もあるが、どうしてなのか自分でも分からない。
何より、鏡に映る自分のダンスは、自分の目指す真のそれとは似ても似つかないものだった。
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2013/03/23(土) 21:39:37.22 ID:sFFUNv8Z0
「あれ、まだ練習してたの?」
美希も、まさか誰かがまだ残っているなどと思っていなかったから驚いたようである。
「う、うん。えへへ」
予想外の来訪に何を言って良いのか分からず、雪歩は何となく笑ってごまかした。
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:41:23.45 ID:sFFUNv8Z0
「ううん、いいよ。美希ちゃんだって、この間律子さんと私のことを助けてくれたんだから」
雪歩は、これまで言えなかったことをようやく美希に言うことができた。
「何が?」
「この間、美希ちゃん電車の中で男の人達と少しトラブルになっていたでしょう?」
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2013/03/23(土) 21:43:16.62 ID:sFFUNv8Z0
「雪歩も、トップアイドル目指してるの?」
美希が雪歩に問いかけた。
唐突な質問に、雪歩は少し戸惑いながらも返事をした。
ふーん、と少し視線を外した後、また雪歩の目を見て美希は尋ねた。
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:49:37.98 ID:sFFUNv8Z0
TBKテレビ局は新橋にあった。
品川へ向かう時と同様に第二京浜を北上し、虎ノ門の交差点を右折する。
翌日、プロデューサーはあずさと雪歩、美希を車に乗せ、オーディション会場である同局へ向かっていた。
今日は、あずさがエントリーした音楽番組のオーディション本番であり、雪歩と美希は付き添いである。
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/23(土) 21:52:21.95 ID:sFFUNv8Z0
オーディションにエントリーしたアイドルの中には、新幹少女の名も入っていた。
近頃、ローカル局を中心に数々のオーディションを勝ってきた実力者だ。
「チームでエントリーしても良いの?」
新幹少女がトリオであることを知り、美希は少しずるいと思ったのかも知れない。
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