過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 18:56:10.95 ID:ESoSJTHeo

「夏休みももうすぐ終わるし、誰かの家で泊まりで遊ぼうぜ!」

 なんて言ってるうちは良かった。
 場所が俺の家になったのも、まあ問題じゃない。
 
 夏休みは実際、終わるまで十日を切っていた。
 その最後を飾るイベントとして、男友達三人だけで集まるのも悪くない。

 俺たちは近くのコンビニで大量のスナック菓子とジュースを買い込んで集まった。
 食事代わりのカップラーメンだって大量に買い溜めた。
 予定では三泊四日、部屋に引きこもり怠惰に時を過ごす予定だった。

 楽しかった。
 古いパーティーゲームで盛り上がり、トランプをしながらこの夏の思い出を語り合い……。
 ノートPCでエロフラッシュサイトを巡り、テンションをあげて猥談を始め……。

 そしてふと気付いた。気付いてしまった。

「俺たち……何をやってるんだ?」



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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 18:56:48.87 ID:ESoSJTHeo

 時間は二日目の昼過ぎで、家には誰もいなかった。
 俺たちは徹夜明けのテンションのまま「看護戦隊エンジェルナース」の続きを見ていた。

「なにって、何の話?」
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 18:58:07.39 ID:ESoSJTHeo

「あのさぁ、シスコン野郎」

 ビィ派は呆れたように言った。シスコン野郎というのはたぶん俺のことだと思う。

以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 18:58:47.83 ID:ESoSJTHeo

「こういうふうに集まってワイワイやるのもさ、楽しくていいと思うよ」

 シィタ派の彼はいつも良いことを言う。が、それをされるとこちらは何も言い返せなくなってしまう。
 話を強引にまとめられてしまい、消化不良に陥ることも珍しくなかった。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 18:59:18.03 ID:ESoSJTHeo

「というよりは、なんというか……」

「ないね。断言しよう。ない」

以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 18:59:48.91 ID:ESoSJTHeo

「断言する。こんな女の子は現実にはいない。絶対に、いない」

 そこまで言うと、彼は心底悲しそうに溜め息をついた。

以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:00:16.45 ID:ESoSJTHeo

「いいかシスコン。俺たちに選択の余地なんてないんだよ」

 ビィ派の声は段々と大きくなりはじめていた。
 大音声の蝉の合唱をかき消すほどに。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:00:59.84 ID:ESoSJTHeo



 今年の夏休み、家族以外の女性と交わした会話のいくつかを、俺は即座に思い出すことができる。

以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:01:47.10 ID:ESoSJTHeo



 昔はこうじゃなかった。……本当に。

以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:02:43.49 ID:ESoSJTHeo



 といっても、まったく話相手がいなくなったわけでもない。
 そのあたりは難しいところだ。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:03:31.28 ID:ESoSJTHeo



 もうひとりだけ、よく話す女の子がいる。
 その子とは学校の屋上でよく出会う。俺は不思議と、彼女とだけは普通に話をすることができた。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:04:10.96 ID:ESoSJTHeo



「俺たちにはどうせ何もできやしないんだよ!」

以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:04:41.29 ID:ESoSJTHeo

 特設ステージから聞こえるバンド演奏に耳を傾けていると、妙に薄ら暗い気持ちになる。

「……今年の夏、なんもなかったなあ」

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:05:09.42 ID:ESoSJTHeo

 気付けばバンド演奏は終わっていて、小学生の和太鼓演奏に変わっていた。

 暗くなってくると、辺りはより一層賑やかになりはじめた。
 商店街を歩く人々の組み合わせはさまざまだった。親子。家族連れ。学生の集団。若い男女。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:05:36.25 ID:ESoSJTHeo

「そんなに女の子と一緒に夏祭りに来たかったのか?」

「いや、そんなにってわけではないけど」

以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:06:26.53 ID:ESoSJTHeo

「分かった」

 とビィ派は言った。うんざりしたような声音だった。

以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:07:12.07 ID:ESoSJTHeo

「ナンパなんてできるような性格だったら、そもそもこんなことでうだうだ悩んでないよ」

「ナンパができないならどうする? 奇跡が起こるのでも待つか?」

以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:07:44.49 ID:ESoSJTHeo



 ナンパなんてするより、同じ学校の女の子と親しくなっていく方がよっぽど発展性がある。

以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:08:26.86 ID:ESoSJTHeo

「つまり、『恐怖を感じている間は、苦痛は実在しない』『恐怖は常に未来の苦痛に対する不安だ』
『同時にそれは過去受けた苦痛の反復に対する予感でもある』『苦痛は実在しない』『よって恐怖も実在しない』
『日常生活の範囲内では、大抵の場合、実際に訪れる苦痛は恐怖していたそれよりもずっと小さい』
『おまえが失敗しても俺は笑わない』『誰も気にしない』『何も傷つかない』」
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:09:18.91 ID:ESoSJTHeo



 実践編、その一。

以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/08/22(木) 19:10:00.23 ID:ESoSJTHeo

「あの」

 と俺は彼女の背中に声を掛けた。彼女は振り向きさえしなかった。
 声が小さくならないように注意したつもりだったが、聞こえなかったのだろう。
以下略



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