過去ログ - 【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
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1:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:36:05.23 ID:MAqM1HVe0
 モバマス、佐久間まゆのSSです
 少しのあいだ、お付き合いいただければ幸いです

 【モバマス】「幸子、俺はお前のプロデューサーじゃなくなる」
 と、同じ世界観の話です

SSWiki : ss.vip2ch.com



2:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:37:24.73 ID:MAqM1HVe0
「本日は、佐久間まゆさんにお越しいただきました。宜しくお願いします」

 ――宜しくお願いします。

「佐久間さんは、立ち振る舞いも、仕草もしっかりされていて、大人の女性といった感じです」
以下略



3:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:38:39.53 ID:MAqM1HVe0
 インタビューを終えたまゆは、しぼりかすみたい。

 カフェの窓から射し込む光に頭がくらっとして、思わず表情を歪めてしまいます。

「まゆ、気を抜くなと言ったはずだ。自分が商品だということを忘れるな」
以下略



4:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:40:48.36 ID:MAqM1HVe0
 ディレクター主催の夕食会は、丁重にお断りしました。

 思ったよりも疲れが溜まっていたみたいで、帰りの電車で眠ってしまったみたい。

 最寄り駅を告げるアナウンスで目覚めて、慌てて飛び出せば、もう辺りが薄暗い。
以下略



5:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:41:16.12 ID:MAqM1HVe0
「どうかしたの?」

 膝立ちになり、鞄から取り出したティッシュで、弟の鼻を拭います。

「あのバカが、僕のアイスを食べたんだ。と、とと、取っておいたのに!」
以下略



6:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:42:50.75 ID:MAqM1HVe0
 二人をようやく寝かしつけ、時計の針は間もなく今日の終わりを告げようとしています。

 音を立てないようにふすまを閉めて、台所へと。

 水に浸けたままにしていた食器を洗っていると、ポケットの中で携帯電話が震えます。
以下略



7:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:43:26.98 ID:MAqM1HVe0
 食器洗いを終えたまゆは、裏の白いチラシとマジックを手に、居間へと。

 机の上に、ラップをかけて並べた夕食の脇に、チラシを置いて。

『お母さん、いつも遅くまで、お仕事お疲れ様です。
以下略



8:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:44:50.54 ID:MAqM1HVe0
 学校からの帰り道、ディレクターから電話が来ました。

『まゆ、今すぐ事務所に来い。今後の方針について話がある』

「今日は、これから、予定が……」
以下略



9:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:46:05.33 ID:MAqM1HVe0
 なにそれ。

 思わず顔を上げたけれど、ディレクターの、サングラスに隠れた瞳は別の方を向いてます。

 よく見れば、出席者たちの手元に置かれた資料が、当事者のまゆの席にだけありません。
以下略



10:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:47:41.38 ID:MAqM1HVe0
 打ち合わせが終わったのは、もう日が落ちきった頃です。

 蘭子ちゃんに合わせる顔がありません。

 連絡もなしに何時間も待たせて、きっと怒っています。
以下略



11:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:48:41.31 ID:MAqM1HVe0
「幻滅、しましたか」

「はい?」

「モデルの佐久間まゆは、庭付きの豪邸で、家族と優雅に暮らす、完璧な子みたいですから」
以下略



12:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:49:54.37 ID:MAqM1HVe0
 家を出たまゆに、外で待っていた彼が、全てを見透かすみたいに笑います。

「素敵な、家族じゃないですか」

「はい……」
以下略



13:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:50:52.86 ID:MAqM1HVe0
 学校が夏休みに入って、間もない頃。

 佐久間まゆがモデルからアイドルに転向すると、大々的に報じられました。

 取材の依頼が次々と舞い込み、先物買いみたいな仕事がいくつも飛んできて。
以下略



14:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:51:39.67 ID:MAqM1HVe0
「闇に飲まれよ!」

 扉が勢いよく開いて、花束を抱えた蘭子ちゃんが飛び込んできます。

 呆然とするまゆの胸に、色彩豊かな花束が押しつけられて。
以下略



15:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:52:13.70 ID:MAqM1HVe0
 ディレクターは、約束通り、イベントをスポンサードし、資金を回してくれたみたいです。

 会場の規模が拡大し、取材の数も桁違いに増えるそうです。

 大勢の人がまゆたちを見に来てくれる、そのことが純粋に嬉しい。
以下略



16:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:53:25.81 ID:MAqM1HVe0
 イベント当日、開始まで随分時間があるのに、会場周辺は大混雑していました。

 ディレクターの車で店舗前まで乗りつけると、何やら騒がしいです。

 警備の人と、押し問答をしている人たちがいて。
以下略



17:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:54:36.96 ID:MAqM1HVe0
 まゆに背を向け、ディレクターが去っていきます。

 取り残されたまゆは、膝を抱えてきつく目を閉じました。

 それでも、外では、まゆたちのライブを待つファンの声が、止むことなく聞こえていて。
以下略



18:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:55:51.80 ID:MAqM1HVe0
「まゆ姉ちゃんーッ!」

 たくさんの歓声に混じって聞こえた、確かな声。

「お姉ちゃん、頑張れーッ!」
以下略



19:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:57:04.80 ID:MAqM1HVe0
 ライブを終えて、楽屋に戻ったまゆを、ディレクターが待ち受けていて。

「ディレクター、まゆはプロダクションを辞めます。最後まで、身勝手で、ごめんなさい」

 殴られることも、覚悟していました。
以下略



20:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:58:03.95 ID:MAqM1HVe0
 そして、夏はまだ終わりません。

「まゆ、こんな仕事、本当に引き受けていいのか?」

「まゆは新米アイドルなんですから、仕事なんて選んでられませんよ」
以下略



21:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:59:09.72 ID:MAqM1HVe0
 以上となります。
 ありがとうございました。


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