20:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:43:37.98 ID:/p0Ll9udO
カレーパンマンがパトロールに出掛けてくれてからしばらく経って、外のお日様が傾き始めた頃。
窓ガラスを通って、オレンジ色の光が僕の部屋の中を照らした。
まるでオレンジジュースの中を泳いでいるような綺麗な光を、僕はぼんやりと眺めていた。
こんなにゆっくりしたのは久しぶりで、僕はどうしたらいいか分からなかったから、今はただ夕日に包まれていたいと思った。
21:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:44:42.60 ID:/p0Ll9udO
「あの……これは僕のなんでしょうか?」
「うん、まぁ、そういうことね」
22:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:47:12.17 ID:/p0Ll9udO
次の日、お日様は相変わらず光り輝き、野原の草や木も一本残らず照らしていく。
その優しさは僕の部屋にも届いて、壁にかけられた僕のマントや外行きの服を照らした。
この服はジャムおじさんが考えたもので、バタコさんが作ってくれた物だった。
そしてその服を着た僕を、チーズはカッコいいと言ってくれて、みんなは僕のマントが見えるとほっとすると言ってくれた。
23:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:48:36.64 ID:/p0Ll9udO
毎朝の軽やかな動きで、僕の顔は焼きたてのふかふかな顔へと変わった。
僕は自分の顔を洗ったことはないけど、きっと顔を洗うのと同じくらい清々しいことなんじゃないかと思う。
元気な明るい心で満たされていく僕に、ジャムおじさんが微笑みかける。
24:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:51:28.77 ID:/p0Ll9udO
「あ、そういえば、もうすぐ小麦粉が無くなってしまうんだっけ」
25:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:53:45.74 ID:/p0Ll9udO
「あ……あなたは……」
26:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:55:17.95 ID:/p0Ll9udO
空中でぴくりとも動かない僕を見て、しょくぱんまんが優しく手を差しのべる。
「アンパンマン、しっかりして下さい。
少し、木陰で休みましょうか」
27:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:57:31.23 ID:/p0Ll9udO
「アンパンマン、ちょっと今日はお前に話があるんだ」
「話って?」
28:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 05:58:57.49 ID:/p0Ll9udO
しょくぱんまんが倒れている森からあまり離れずに、僕たちはそばの草原へ降り立った。
そよそよと風に揺れる柔らかい草の中、ばいきんまんの顔を模した装置が、とても不釣り合いに置いてある。
ばいきんまんがスイッチを押すと、口のような扉が開き、僕はその中へ入るように言われた。
29:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 06:00:24.83 ID:/p0Ll9udO
「じゃあ、しばらくそこで大人しくしてるのだ」
30:名無しNIPPER[saga sage]
2016/02/10(水) 06:02:08.89 ID:/p0Ll9udO
僕はいつも通りに帰り道を飛んで、パン工場の前へ降り立った。
外はすでに闇に包まれていて、星の光がかすかに瞬いている。
月の光が今日は明るく、パン工場の扉を照らした。
急に僕は、扉についた古い傷や古い汚れに気がついたが、あまり気にせずに扉を開けた。
すると、中にいたみんなが一斉に僕を見た。
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