39: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:53:44.13 ID:zJUkddjZ0
二年前。夜の冷たい風にかき消されそうなか細い、しかし尋常じゃないほどの情念が込められた問いが思い起こされる。
40: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:54:15.08 ID:zJUkddjZ0
「あ、あの! お願いです、待ってください!」
きびすを返そうとする俺を、マリアは懸命に呼び止めた。
「わけもわからず命を狙われて心細いのはわかるが、頼る相手を間違っているぞ」
41: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:54:46.08 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※
マリア・アッシュベリーの敵ではないと見なされたのだろう。林の中を通っていても、生々しい幻覚に襲われることはなかった。
42: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:55:29.60 ID:zJUkddjZ0
「まあ冗談はこれぐらいにしておきましょうか。私は寛大ですから、これからする質問に正直に答えれば、裏切ったことについて不問に処します」
「寛大ねぇ」
「不服でも?」
43: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:56:13.06 ID:zJUkddjZ0
「あ、それと」
何故かピタリと歩みを止め振り返った彼女は、真剣に、そしてとてつもない質問をした。
「マリア・アッシュベリーに本当に惚れたの?」
44: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:56:45.65 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※
あれからどれぐらい時間がたっただろうか。空を見れば、日が沈みかけている。茜色の空から降り注ぐ日差しはまだ暖かく、まるで今の私の胸の心境のようだった。
45: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:57:20.58 ID:zJUkddjZ0
ある考えが閃いた。あれほど強く鮮烈なイメージが見える人なら、離れていてもわかるかもしれない。
多分あれから経った時間は三時間ぐらいだろう。山のふもとにある街に彼はいるかもしれない。
その時、私はワクワクしていた。これだけ離れていても彼がわかるのなら、彼の意志が強いだけでじゃなくて、波長まで合っていることになるかもしれなかったから。
46: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:59:19.49 ID:zJUkddjZ0
〜第二章 逸脱の始まり〜
47: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 03:00:02.27 ID:zJUkddjZ0
足元にあった拳ほどの大きさの石を拾うと、両手で顔をかばう発起人に飛びかかり、何度も何度も腕の上から石を叩きつけた。やがて腕がダランと下がると、今度は頭に振り下ろし、目をつぶし鼻をつぶし口をつぶした。
そして男の息が止まると同時に、石を振り下ろすのを止めた。
そうしてしばらくの間、引き続いて俺は腫物を触るように扱われた。俺を排除しようにも、一人や二人でやる勇気が奴らには無かった。それ以上の数となると、まとめる者が必要となる。発起人の無残な死に方を知らない住人は誰もおらず、そんなことを引き受けようとする奴もいなかった。
48: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 03:00:35.93 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※
「……ふん」
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