何も無いロレンシア
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8: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:32:46.46 ID:zJUkddjZ0
 剣を肩に乗せ、“奴”が俺の目の前に立つ。

 “奴”の腕ならば、次の瞬間にも俺を[ピーーー]ことができる。

 許されるのは一言だけだ。
以下略 AAS



9: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:33:34.91 ID:zJUkddjZ0
「そうか。じゃあ最後の確認だ」

 それはまるで、今日の天気を確認するかのような軽い口調だった。

「オマエの利き腕は、右だな?」
以下略 AAS



10: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:34:12.19 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※



 こうすればどうなるか予想できていた。
以下略 AAS



11: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:34:53.53 ID:zJUkddjZ0
 楽しいから生きたい。楽しめなくなる死が怖い。

 多くの罪を犯し、断罪の刃が目の前に迫ってなおそう思えるほど、奴の人生は楽しいものだった。

 これでやっと終われるなど、微塵も考えなかったんだろう。
以下略 AAS



12: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:35:32.55 ID:zJUkddjZ0
 まるで俺がとんでもない提案をしたかのように、女は目を見開いて後ずさる。あまつさえ体を小刻みに震えさせてまで。

「奴が逃げ出して時間は経ってしまったが、何せあの傷だ。血は失い、体のバランスも以前とは違って思うように走れない。血の痕跡もあって追いやすいだろう」

「で、でも……」
以下略 AAS



13: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:36:14.90 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※



「目付け役がいてな。途中から置いてきてしまったが、道すがら目印は用意していた。多分もうじきここに来るだろう。奪われた物を運ぶのに人手も必要だから、そいつ等と合流してから帰る」
以下略 AAS



14: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:36:51.80 ID:zJUkddjZ0
 盗賊団の生き残りではない。茂みへの距離は約十メートル。こんな近くに接近されるまで気づかせない隠形の業を、奴ら程度ができるはずがない。

 血の匂いに惹きつけられた狂人か、俺の首を狙う賞金稼ぎか。考えにくいが、“魔に心を呑まれたモノ”の可能性すらある。いずれにしても只者ではない。

 とはいえ、これ以上のことは対峙しなければわからなかった。
以下略 AAS



15: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:37:25.81 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※




以下略 AAS



16: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:38:01.78 ID:zJUkddjZ0
 俺に礼を言えないことなど、どうでも良かった。

 そんなことよりも注目すべきことがあるのだから。

「俺に礼を言わなければならない。助けてもらったのに非難したことを謝らなければならない。けどこんな奴に、そんなことしたくない。でもしなければならない。そして――命の恩人に、形だけの礼なんて失礼極まりないことをするわけにもいかず、固まっている」
以下略 AAS



17: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:38:35.89 ID:zJUkddjZ0
「俺が引き受けた依頼と、その結末をいくつか話そう」

 一つは家族を皆殺しにされた少年が復讐を誓い、鍛錬を積み、さらに助けとして俺を雇った時のこと。途中で俺は犯人の正体に気づいた。殺されたはずの少年の姉が、魔に心を呑み込まれて変わり果て、少年以外を皆殺しにしたことに。

 少年は自分の手で犯人を[ピーーー]ことを何年も夢見ていたが、俺は少年に姉殺しをさせるのはどうかと思い、依頼を無視して俺がこの手で殺した。正気を失った少年は俺に襲いかかるが、敵わない。そして俺に吹き飛ばされ、怒りと無力感でさらに正気を失いかけたよりによってその目の前で、異形と化していた姉が元の姿に戻ってしまった。無残な死体の姿でな。
以下略 AAS



18: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:39:24.45 ID:zJUkddjZ0
「……そんな顔をするな」

「……だって」

 今にもこぼれそうなほど目じりに涙をためた妹に、ため息をつく。
以下略 AAS



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