水本ゆかり「人形の檻」【ゆかさえ】
��
↓ ��
1- ��
覧 ��
板 ��
20
100: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:12:20.73 ID:iX/HvtXE0
駅に着き、コインロッカーに荷物を預けたあと、私たちは適当なカフェに入って軽くランチを済ませた。
「これから行くところなんだけど……」
101: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:12:52.11 ID:iX/HvtXE0
その洋館は駅からバスに乗って二〇分のところにあった。
こうして町の方から上って行くと、本当に人里離れた山の中にあるのだと感じる。
102: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:13:50.34 ID:iX/HvtXE0
「――……ここに来るのも久しぶりだね」
「だいぶ感じ変わって見えるなぁ」
103: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:14:45.34 ID:iX/HvtXE0
私たちはお互いになんとも言い出しかねて、まるで建物に立ち入るのを渋るかのように庭の辺りをうろうろしていた。
かと言ってベンチに座り込む気にもなれず、そうして歩きながら本当に話したい事とは全然関係ないような事ばかりしゃべっていた。
が、結局、私たちは気付かないうちに入口のポーチの前に流れ着くようにして立っていた。
104: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:15:34.54 ID:iX/HvtXE0
こうした違和感は決して私たちを戸惑わせはしなかったけれど、どこか失望にも似た諦めが頭をもたげてきたのも確かだった。
しかし一階の応接間に入った瞬間、思い出が向こうからぶつかってきて私は思わず立ち尽くしてしまった。
105: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:16:18.01 ID:iX/HvtXE0
ふいに、横で声がした。
「ねえ、二階のベランダは開いてるかしら?」
106: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:17:01.71 ID:iX/HvtXE0
ノラ『――……ここに居たらあそこの水車小屋から見えてしまうわ。もしバレたりしたら……』
ハル『大丈夫よ、どうせ誰もいやしないわ……』
107: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:18:09.59 ID:iX/HvtXE0
ノラ『私……私あなたのことが分からないわ、ハル……どうして私にばかりそんな態度を取るの? 他の子には一度だってからかったりなんかしたことないじゃない』
ハル『あなたのことが好きだからよ』
108: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:18:47.67 ID:iX/HvtXE0
「……ゆかり? 大丈夫?」
異様な胸騒ぎに襲われ、言葉を失っていた私の耳に、紗枝ちゃんの心配そうな声が聞こえた。
109: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:19:48.56 ID:iX/HvtXE0
私は呆気にとられた。
直後、これまで感じたことのないような激しい後悔に胸を貫かれ、咄嗟に彼女の方を振り返った。
彼女も最初は何が起きたか分からないようなぼんやりした表情で私を見つめ返していた。
110: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:20:25.70 ID:iX/HvtXE0
私はその歪んだ眼差しから彼女の心を読み取ろうとした。
彼女は私を責めていた。
192Res/249.13 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20