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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その32 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/12(月) 18:53:01.09 ID:QT0KVdSOo
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代……
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である……。


                           ――かもしれない……。

〜前回までのあらすじ〜

世界でも有数の使い手となった召喚士、王の落胤でもあり
心優しき気丈な魔道士。本国最強の槍使いの父を持つ、
抜群なセンスと強さを兼ねた戦士。東方の忍でもあり
寡黙ながら心技体と美貌に優れた盗賊。
魔王ラーヴァナとの決戦は佳境に入り、その結末とは……?

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その31)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312161458/
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/12(月) 18:54:01.00 ID:QT0KVdSOo
◆過去ログ(その1〜30)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308493316/
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 18:57:32.11 ID:AAsUEoAIO
>>1Love乙!
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/12(月) 19:25:57.42 ID:p7QzXR4mo
>>1あり!
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/12(月) 19:42:36.61 ID:SWL8rdalo
まだやってたのかこれ
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 19:45:32.69 ID:w/Gne31DO
>>1乙っす
今後の展開が楽しみすぎる
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/12(月) 20:33:38.98 ID:QY+FgCbAO
>>1

魔王は知恵付けずに単純にぶつかってきたほうが強い気がしなくもない

シンプルな敵こそヤバいって聞仲が言われてた
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 21:21:30.27 ID:/NzSeTRDO
>>1
そういや詩人とかいたよな、あれってまだ謎のままだよね?
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 22:25:22.71 ID:UOno1lh1o
おつ
やっぱり戦士が主人公だったのか
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 22:38:11.94 ID:ta7TbLbfo
>>7
確かにあの機動力で単身突撃された日には一瞬でやられそうだな
ただ華麗な進軍とか行動を自ら制限してしまうのが魔族なんだろうからそういう事はないんだろうな
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/12(月) 23:00:20.78 ID:JGzhAdtBo
>>7
人間ごときを戦闘相手と考える様な魔王はいなそう(好戦的だったパズスがそうかもしれないけど)
ちまちました戦闘なんかせずに、圧倒的な力で殲滅しようとしたアンラ・マンユが
後世の歴史で見ると一番ヤバい評価されそう
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/13(火) 02:41:18.65 ID:MdvjdhBAO
今回の作戦は成功したこど中ボスレベルは誰も倒してないってのは怖いな
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/13(火) 03:36:25.67 ID:6mHiegkN0
>>1 おつ
いつもあり!
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/13(火) 17:06:18.91 ID:uh0vW/N2o


大軍師「さて、射手と付加の魔法を担う者は決まりましたね」

南方参謀「あとは何が必要なの?」

大軍師「各々を運ぶ担ぎ手ですね」

南方弓長「担ぎ手? どういう事?」

大軍師「おいそれと魔王に近づけるとは思いません。遠方より射撃致します」

南方魔道長「だから、どうすんだっての」

大軍師「……上空より狙い撃ちます」

西方副司令「上空って……まさか……」

大軍師「はい。召喚獣です」

召喚士「やっぱり……っ! さっき言ってたそれくらいでも運べるって言うのは……」

大軍師「いけますよね? 3、4人であれば」

召喚士「……まぁ、多分ですけど」

戦士「んじゃ空を飛べる召喚獣も5匹必要って事か?」

大軍師「そうなります」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/13(火) 17:06:45.18 ID:uh0vW/N2o
南方司令「1人は召喚士で確定だな」

召喚士「……が、頑張ります」

青年兵「僕ももちろん行きますよ」

青龍士官「俺もです。これで3人……」

魔道士「えっと、あと2人……」

戦士「……」

同門「……何だよ」

召喚士「あ、同門さんがいるじゃないですか!!」

同門「……」

大軍師「担って頂けますか?」

同門「……」

戦士「まさかてめぇ、散々人に愚痴っといて、自分は行かねーなんてないだろうなぁ?」

同門「……ちっ、やりゃいいんだろうがよ」

召喚士「同門さん……っ」

大軍師「助かります。これであと1人」
16 :酉忘れてた… ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:07:26.06 ID:uh0vW/N2o
盗賊「……あやつはどうだろうか?」

魔道士「へっ?」

盗賊「……ほら、アマゾネスの」

魔道士「アマゾネスさん! そうですよ! いるじゃないですか!」

大軍師「そういえばそうですね。確かこちらに来ていると伺ってますが」

南方副司令「あぁ、火山の連中か。確かにさっき合流したな」

騎士団長「南西砦からの増援と共におるはずだ。その者が助力してくれれば……」

占い師「これで……揃うっ」

南方参謀「完璧じゃない……っ、いけるわよこれ!」

南方副司令「だな。よし、女賢者とアマゾネスと呼んできてくれ」

大軍師「あとはスグリーヴァ軍と合流出来れば問題なしですね」

バーテン「早まって出過ぎたりしなきゃいいけどな」

南方参謀「大丈夫だとは思うけど……。特に出る理由もないし」

大軍師「そうですね。念の為、考慮して動きましょうか」

召喚士「……」
17 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:08:33.30 ID:uh0vW/N2o


テクテクテクテク

南方魔道長「連れてきたぞ」

女賢者「はいは〜い♪ お呼びかしら、んふっ♪」

アマゾネス「……」

大軍師「すみません。お二方にはこれからの任務にご参加頂きたいと思いまして」

女賢者「任務?」

大軍師「はい。魔王討伐の為の任務です」

アマゾネス「……構わんが、力になれるだろうか」

魔道士「大丈夫ですよっ、アマゾネスさんなら力になれます!」

女賢者「何をすればいいの?」

大軍師は今しがた立案した内容を、2人へ説明を始める。

アマゾネス「なるほど、召喚獣を……か」

大軍師「やって頂けますか?」

女賢者「モチロンいいわよ♪ やってやろうじゃありませんか〜んふっ♪」
18 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:09:06.41 ID:uh0vW/N2o
南方副司令「おーし、それじゃメンバーは決まったな。整理すんぞ」

南方参謀「まず1番手。召喚士くん、戦士くん、魔道士ちゃんの3名」

戦士「おう」

魔道士「頑張りましょうっ!」

召喚士「ええ!」

南方参謀「2番手はバーテンさん、双子姉妹、あとは……アマゾネスさん」

双子姉妹「宜しくお願い致しますわっ、アマゾネスさん」

バーテン「何だお前ら、知り合いなのか?」

アマゾネス「ん、まぁ。本国では王宮で世話になってるからな」

南方参謀「3番手、弓使いちゃんに幼女ちゃん、女賢者ちゃんと……同門くん」

同門「!?」

南方副司令「不満か?」

同門「……いや、別に」

南方参謀「4番手は弓将軍、マジシャンさん、白馬騎士さん、青年兵」

青年兵「畏まりました」
19 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:09:37.95 ID:uh0vW/N2o
南方参謀「最後5番手は南方弓長、南方魔道長、西方魔道長に青龍士官ね」

南方弓長「宜しくね」

青龍士官「はっ。こちらこそ」

西方魔道長「難儀な事になっちまったねぇ」

南方魔道長「やるしかねぇさ。それ以外の道はねぇんだからな」

大軍師「以上の面々は、討伐隊として別行動と致します」

西方参謀「動くなら早い方がいい。宵の闇い紛れるも良しだな」

大軍師「ですね」

騎士団長「しかし直にラーヴァナの城を目指すのも危険ではないか?」

大軍師「はい。スグリーヴァ様の城を経由するが良いかと思います」

南方参謀「どうせあっちにもキーパーソンはいるんだし、丁度良いんじゃないかしら」

大軍師「先に作戦を伝える必要もありますので、朱雀先生、青年兵殿、同門殿」

召喚士「……?」

大軍師「後ほど、ちょっとお願いします」

青年兵「は、はぁ……」
20 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:10:11.23 ID:uh0vW/N2o
大軍師「それ以外の方々は、この町を拠点に防衛線となります」

南方司令「攻め入らんのか?」

大軍師「どうせ明日以降は向こうから来てくれますよ」

西方魔道士長「物騒な事をさらっと言うもんじゃないよ全く」

盗賊「……あ、あの」

大軍師「ああ、そうそう。盗賊さんなど一部の方には、討伐対の護衛を務めて頂きますので」

盗賊「っ!!」

魔道士「みんな一緒だ! 良かったですね、盗賊さんっ!」

盗賊「う、うん……っ」

大軍師「それでは以上、何も無ければ深夜に行動を開始致します」

南方参謀「下準備や仮眠取ったりしておいてね。明日以降はかなりハードになるわよ」

南方副司令「では解散。不明な点などあれば都度、確認してくれ」

ガタガタッ…ザザッ

光明が見えたかのように思える作戦会議であったが、一同の表情に笑顔は見られない。

それ程までに、今回の戦いは過去のものと比較しても異様な状態であった。
21 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:10:53.06 ID:uh0vW/N2o
大軍師「見事な編制でしたね。流石です」

南方参謀「まぁ半ば、適当だけれどね」

テクテクテク

召喚士「あの、大軍師さん」

大軍師「ああこれはすみません。実はお三方には先立ってスグリーヴァ様の城へ向かって貰おうかと」

青年兵「我らがですか?」

大軍師「はい」

同門「……」

召喚士「さっき決定した内容を伝えればいいんですか?」

大軍師「はい。それと後続の為に、魔物が居ないかなどの偵察も念の為」

青年兵「畏まりました。何かあればすぐにお知らせ致します」

大軍師「現地でもまだ動きがあるようでしたら、援軍にもなりますしね。ふふっ」

同門「んで、行きゃいいんだよ」

大軍師「お任せ致しますよ。準備が整い次第、3人で向かって下さい」

召喚士「……分かりました」
22 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:11:52.26 ID:uh0vW/N2o


カチャッ

南方司令「様子はどうだ?」

プリースト兵「とてもじゃないですが、良いなどとは言えませんね」

西方司令「総司令……っ」

衛生兵「おそらく、全治は1ヶ月程度は必要とするかと」

南方司令「1ヶ月もか!?」

衛生兵「司令だからと踏んでですよ。常人ならば3ヶ月いや、半年は必要かも……」

西方司令「もう駄目だ……終わったあぁ!!」

南方司令「……とにかく、最善を尽くしてくれ。今回は我らが踏ん張るしかないな」

西方司令「わ、私もおおぉぉ!?」

テクテクテク…パタン

天才「……へっ」

プリースト兵「ん? 今……笑わなかったか?」

衛生兵「気のせいだろ。重傷だぞ?」
23 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:12:30.57 ID:uh0vW/N2o
テクテクテクテク

バーテン「おう、司令は?」

南方司令「全治1ヶ月だそうだ」

マジシャン「おいおい。人の事引っ張り出しておいて、自分はベッドインかよ」

バーテン「全く、困ったもんだ」

南方参謀「はいはーい、ここは禁煙よ〜。タバコ吸うなら外行って頂戴っ!」

バーテン「……厳しい時代になったもんだな」

マジシャン「全くです事」

スタスタスタ…シュボッ

バーテン「はぁ〜うめぇ〜」

マジシャン「こうしてまた、タバコ吸えるとは感謝だなぁ……ハッハ!」

ザッザッザ

バーテン「!?」

マジシャン「おいおい、今日は同窓会かぁ?」

戦士父「何だ、来ていたのか」
24 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:13:21.60 ID:uh0vW/N2o
バーテン「俺らは正式なお呼ばれ組だよ。お前こそ何してんだこんな所で」

戦士父「届け物をしに来ただけさ」

バーテン「届け物? あぁ、ゾディアック……見つかったのか」

戦士父「まぁな」

マジシャン「見ない間に、随分とボロボロになったもんだなぁ」

戦士父「お前こそ、人の事言えんだろ」

マジシャン「ハッハ! 確かにな!」

バーテン「お前も戦うのか?」

戦士父「いや。俺の仕事はもう終わったよ」

バーテン「そうかい。そりゃご苦労さん」

戦士父「……」

スッ…ザッザッザッ…

バーテン「……なぁ、たまには店に来いよ」

戦士父は振り向く事なく、左腕だけ頭上にかざし、その場を後にした。

無言の2人の手元から、煙草の煙がゆらゆらと暗闇の中へと消えていた。
25 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:13:53.63 ID:uh0vW/N2o
〜スグリーヴァの城〜

ガーゴイル「クソォーッ! イテェよー!」

トロル「ギャーギャー騒ぐナ、大した傷じゃないだろうがヨ!」

テクテクテク

マーマン「怪我したラクシャーサ、全員運び終えたみてーだぞ」

ハヌマーン「そうか」

マーマン「オークは?」

ハヌマーン「まだ意識は戻らぬようだ」

マーマン「……無茶しやがって……ッ」

テクテクテク

法師「怪我人はこれで全てですか? 手の空いている者は手当ての手伝いを」

錦将軍「手当てって言ってもよ、人間と一緒いいのか? 勝手が分からんぜ」

弓将軍「まさか魔物の手当てをする事になろうとはのぅ。数奇なものじゃ……ほっほ」

剣士「白馬騎士様っ!!」

白馬騎士「どうしました?」
26 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:14:33.99 ID:uh0vW/N2o
タッタッタッタ

番長「周囲の魔物は全て追い払ったでゴワスよ」

親衛隊長「我らのハンドにかかればノープロブレム!」

白馬騎士「良かった。お見事です」

剣士「どうやら華国方面への進軍も防げたようですね」

白馬騎士「ええ。これで後顧の憂いは絶ちました」

弓使い「でも……スグリーヴァ様は……」

幼女「……っ」

ハヌマーン「……」

マーマン「まだ死んだと決まったわけじゃねーだろ!」

剣士「マーマン……」

マーマン「一時的なモンかもしれねぇ。諦めたらそこで終わりだろ」

ハヌマーン「マーマンの申す通りだな。それにまだ肝心の敵が残っておる」

兄者「ラーヴァナか」

白馬騎士「魔王を討つ事こそが今回の目的なのですからね」
27 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:15:11.05 ID:uh0vW/N2o
弟者「しっかし、この先どう展開するんだ?」

錦将軍「こっちの手数だけじゃあどうにもならんかもしんねーぞ?」

剣士「確かに。敵の本拠地まで攻め入る事は出来ても決定打に欠けるようでは……」

白馬騎士「南方軍本隊が何とかしてくれますよ」

兄者「まぁ、彼らに頼りきるのは不本意ではあるが、どうしようもないしな」

マーマン「……俺は……行くぞ」

弓使い「行くってどこに……」

マーマン「このままで終われるかよっ、せめて魔王に一撃食らわしてやるぜ」

ゴブリン「そうだそうだ!」

オーガ「フガアァ!!」

ラクシャーサ「行くのか? そんなら俺達が案内すんぜ」

マーマン「何っ!? マジかよ!!」

ハヌマーン「落ち着け。まだ敵の動きはおろか、味方の動きも分からぬのだ」

マーマン「んな事言ってる場合かよ」

ハヌマーン「お主が申した事であろう」
28 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:16:00.93 ID:uh0vW/N2o
マーマン「!?」

ハヌマーン「スグリーヴァ様が命を賭して守って頂いた身だ。無駄にするでない」

マーマン「……」

法師「ハヌマーンの申す通りですよ。軽率な行動は意に反します」

マーマン「……分かったよ」

剣士「新しい仲間も増えたんだし、大丈夫! みんなと合流すればうまくいくよ!」

ラクシャーサ「仲間!? ち、ちげーよ俺らは……」

トロル「何だよ仲間じゃねーのカ? じゃあ殺スゾ!」

弓使い「ちょっと物騒ねぇ。照れてるのよ、ねぇ?」

ラクシャーサ「照れてるって何だよ!」

幼女「魔物って不器用……っていうか、極端?」

剣士「はは……っ、きっと純粋なんじゃないかな?」

白馬騎士「裏切ってしまったからには戻れまい。協力はして貰うぞ?」

ラクシャーサ「……道案内くらいは出来る。あとは……知らん」

白馬騎士「十分だ。それでいい、共に戦おう」
29 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 17:16:36.14 ID:uh0vW/N2o
南方軍とラーヴァナ軍の激突から丸3日。水面下での作戦が遂行されるに反し、

戦場はそれを感じさせぬ程、至って静寂なものであった。

やや残暑の残る中、南からの風が夜間においても温さを運び、

何とも言えぬまとわりついたような空気が不安を掻き立てる。

ここまで魔王軍の被害、おおよそ7万程度に対し、人間側の被害は数百名程度。

しかし全兵力で比較すれば、南方の増援など全てを含めても8万に届くかという数字。

そして魔王軍は未だに30数万の兵力を抱えている。

勝利条件は魔王ラーヴァナの殲滅。これ以外にはない。

果たして明日以降、両軍合間見える大戦の行く末はどんな結果を描くのであろうか……。



〜第五十一部、完〜
30 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:11:49.06 ID:uh0vW/N2o
バシュウウゥゥゥゥ…

召喚士「……」

コカトリス「真っ直ぐ西で良いのだな?」

召喚士「うん。スグリーヴァ様の城まで直で向かおう」

青年兵「そうしましょう。休憩は必要ですか?」

同門「要らん」

青年兵「了解です。それじゃワイバーン、飛ばしてくれ」

ワイバーン「おう」

フェニックス「……」

ゴウッ!!…ドシュウウゥゥゥゥ

俺ら3人は先立って、スグリーヴァ様の城へと向かう事になった。

召喚士「そういえば同門さん」

同門「何だ」

召喚士「他の皆さんは元気ですか? 最近、一緒には……」

同門「……」
31 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:12:34.44 ID:uh0vW/N2o
召喚士「……同門さん?」

同門「俺は……」

青年兵「……?」

同門「……いや……何でもない。無事だと信じている」

召喚士「どういう意味です?」

バシュウウゥゥ…

青年兵「召喚士さんっ! あれ……っ!!」

召喚士「!?」

青年兵「見えた……スグリーヴァ様の城……っ」

召喚士「何で……」

同門「何を驚いている?」

青年兵「おかしいんです。上空から見えるだなんて……」

召喚士「青年兵くんも知ってた……?」

青年兵「はい。スグリーヴァ様の城は結界により、外界からは見えないはずなんです……っ!」

同門「!?」
32 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:13:24.11 ID:uh0vW/N2o
召喚士「それが見えている……一体どうして……」

同門「結界が破られたのか?」

青年兵「もしかして……スグリーヴァ様の身に何か……」

召喚士「……急ごう! 何かあった事は間違いなさそうだ」

青年兵「ええ!」

嫌な予感が胸を締め付ける。でも、いつもと変わらぬ城の姿がそれを少し和らげる。

召喚士「……っ」

スグリーヴァ様はきっと死ぬ気なんだ。それはずっと分かってた。でもそれは違うんだ。

召喚士「スグリーヴァ様……」

あの人には自分の目で見て貰わなきゃいけないんだ。あなたが望んだ世界を。

バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

召喚士「城は無事だ! 城内へ行こう!」

青年兵「はい!」

召喚士「頼む……っ、無事でいてくれ……!」

でも、それは叶わなかった。スグリーヴァ様は……死んだ。
33 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:14:17.52 ID:uh0vW/N2o


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第五十二部〜
34 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:15:14.24 ID:uh0vW/N2o
〜スグリーヴァの城、城内〜

召喚士「……」

ハヌマーン「ご苦労だったな、召喚士殿」

召喚士「……っ」

ガクッ…ザッ

ハヌマーン「これで確定的なものとなったな」

マーマン「結界が吹っ飛んだ如きで決め付けんなよ!」

ハヌマーン「マーマン、お前もとうに理解しておるのだろう? 認めよ、スグリーヴァ様はもう……」

マーマン「うるせーな! じゃあ見たのかよ! あぁ!? スグリーヴァ様が死――」

ハヌマーン「いい加減にせぬか!!」

マーマン「……ッ」

ハヌマーン「戦いはまだ終わってはいないのだ。犠牲は……付き物なのだ」

マーマン「……だからってよぉ……ッ」

弓使い「ハヌマーン、彼だって分かってはいるのよ。でも……」

ハヌマーン「……済まない。少し頭を冷やしてくる」
35 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:16:11.65 ID:uh0vW/N2o
スッ…ザッザッザッザッ…

剣士「マーマン、分かっているだろ? 一番辛いのはハヌマーン殿なんだ」

マーマン「……」

剣士「気持ちは分かる。だが結界無き今、どういう事かは君がよく理解しているはずだ」

マーマン「…………」

剣士「どうかハヌマーン殿の気持ちを察して、君が彼を支えてやってくれ」

マーマン「……クソッ、何で……なんだよぉ……ッ」

召喚士「……」

白馬騎士「それで、本隊からの連絡は?」

青年兵「あ、はい。明日以降の作戦が決定致しました。これは大軍師様からの書面です」

白馬騎士「ふむ」

カサッ…パラパラ

弟者「何だって?」

白馬騎士「……魔王を遠距離射撃で討つ……!?」

錦将軍「どういうこっちゃ?」
36 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:17:41.06 ID:uh0vW/N2o
青年兵「簡単に言えば、5人の射手が一行ずつを同時に放ち、五行を撃ち込む作戦です」

兄者「成程。して、我らは何をすれば良い?」

青年兵「弓将軍様」

弓将軍「……?」

青年兵「射手の1人を担って頂けますか?」

弓将軍「儂がか?」

召喚士「それと……弓使いさんにも」

弓使い「!?」

青年兵「その他、白馬騎士様、幼女ちゃんにも魔法付加を手伝って頂きます」

幼女「へっ? わ、私が……ですか?」

青年兵「やはり気心知れた近しい者がスムーズに進みますので……」

幼女「でもっ、私の魔法で大丈夫……ですか?」

白馬騎士「私もそれは不安だな。魔王を倒す程の魔力を持ち合わせているとは……」

青年兵「それはご安心を。おそらく別紙に詳細があるかと思いますが、それぞれ補佐が付きます」

弓使い「……なるほどね。私に……出来るかしら」
37 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:18:40.95 ID:uh0vW/N2o
召喚士「大丈夫ですよ。腕前は一流ですから」

剣士「ああ。弓使いならきっと出来る。大丈夫!」

弓使い「そ、そうかしら……」

青年兵「射撃は上空から行います。各隊、召喚獣が付きますので」

兄者「召喚獣に乗り、上空から狙い打つと言うわけか」

弟者「すげぇ発想だな。なんつう作戦だよおい……」

青年兵「弓使いさんと幼女ちゃんの所には、この同門さんが付きます」

同門「……」

弓使い「よ、宜しくね」

幼女「宜しくお願いします」

同門「あ、あぁ」

青年兵「弓将軍様と白馬騎士様らには私が付きます。宜しくお願い致します」

白馬騎士「分かりました。出来る限りやってみましょう」

弓将軍「一世一代の射撃、見せてやるかのう……ひょっひょ」

青年兵「期待しております」
38 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/13(火) 18:20:39.73 ID:uh0vW/N2o
兄者「それで、他の者らは時機に此処へ来るのか?」

青年兵「はい。既に向かっております。明け方には到着するかと思います」

白馬騎士「本陣や赤壁の方は大丈夫ですか?」

青年兵「そちらもぬかりはありません。ご心配なく」

召喚士「南東国は大丈夫ですか?」

白馬騎士「はい。こちらから猿兵の皆を派遣し、万事備えております」

召喚士「良かった……」

錦将軍「ちょいちょいちょい、話は分かった。分かったがどういう事だぁ?」

召喚士「え?」

錦将軍「俺らは何もしないってのか? ここにきて何もしねーのかって聞いてんだよ」

青年兵「それならご安心を。前線で存分に暴れて頂きます」

弟者「何だよ、それを早く言ってくれよ!」

錦将軍「勿体振りやがって……全くよぉ、はっはっはっは!!」

青年兵「た、頼もしい限りですね……っ」

召喚士「う、うん……ははは……っ」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/13(火) 18:23:10.38 ID:uh0vW/N2o
長くなりそうなので前半、後半で切りました
とうとう32スレ目になっていましました…本当に申し訳ないです
今年中にいけるかなこれ…不安になってきた…はぁ

それではこれにて失礼致します!新スレでも宜しくです!ノシ
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/09/13(火) 18:50:06.35 ID:pWmNC8WP0
新スレ!てか前スレ最後の投下量…
本当に終わるのだろうか
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 19:49:20.68 ID:6cAdCZbTo
完結は今世紀中でいいんだぜ?
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/13(火) 20:52:50.00 ID:COFSMTdho
ガンバッテ、ママー
            キャッキャッ
   アイシテル
           ギュット、ササエテ
 ウフフ


( ^ν^)「・・・・・・この組み合わせ嫌がらせだろ」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/09/13(火) 20:55:25.17 ID:/EqsNXAAO
>>1
今世紀か
必死に生き抜かねばいかんな
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/13(火) 23:09:32.85 ID:jcw6zRcDO
とうとう同門とアマゾネスの種付けか

胸熱
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/13(火) 23:48:11.03 ID:MdvjdhBAO
32000レスに加えてVIPも加えると25000レスくらい>>1が書き込んでそうだな。ほんとお疲れ様だよ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/14(水) 00:09:53.68 ID:Ool5I0VAO
黄忠ならきっと…
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 01:28:39.99 ID:RoC7UAdSO
「のぅ厳顔どの 見たか先程の奴らの顔を…」

「納得いかない顔をしておりましたな」

「儂らが老人だと思って馬鹿にしおる」

「ふむ…」

「ここは力を合わせて大きな手柄をたて、奴らの度肝を抜いてやろう」

「そうともそうとも」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/14(水) 07:24:36.95 ID:OzyZclrAO
がんばれジジイ
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/14(水) 08:29:55.16 ID:T7YB3BeAO
>>1

よし!よしっ!!
今年中の完結の可能性がなくなってきたか
勝手な話だが、永遠に続いてくれても私は一向に構わん!!
目が見える限り読み続けるさ
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/14(水) 11:30:21.34 ID:WncQ8hC+0
>>1
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/14(水) 12:43:36.57 ID:i2+y/lXSO
本当長いな
52 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:29:47.95 ID:tM8RJUy4o
〜南方、林道〜

ザザッ…キョrキョロ

盗賊「……うん、大丈夫だ」

戦士「おっし、そんじゃ進むか」

女賢者「は〜い。んふっ♪」

前衛に戦士、盗賊、魔道士、女賢者が進み、そのすぐ後ろをバーテンとマジシャンが続く。

後列には南方弓長、南方魔道長、西方魔道長が連なり、最後尾には双子姉妹、、

アマゾネス、色黒、おさげ、ポニテ、ツインテ、青龍士官といった召喚士らが固まっている。

一同を知る者であればその豪華な顔触れに驚きを隠せないであろうが、

その光景を目撃した者は、張本人ら以外には居ないであろう。

バサッバサッ

おさげ「うーん、上空も異常なし。前後左右、魔物の気配はないわ」

アマゾネス「すまないな、お前らばかりにやらせてしまって」

ポニテ「気にしないで、長はこれから働かなきゃいけないんだから」

ツインテ「そうそうっ♪」
53 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:30:13.73 ID:tM8RJUy4o
色黒「あなたも気にしないで」

青龍士官「すみません……お言葉に甘えます」

バーテン「しっかしまたコイツを使う事になるとはなぁ」

マジシャン「懐かしいなおい。まだ健在だったのかよ」

魔道士「何ですかそれ?」

バーテン「ん、ああ。俺が現役の頃に使ってたボウガンだよ」

魔道士「へぇ〜」

バーテン「正式名称はクロスボウ本国13式。稀代の名匠と俺が設計、開発した代物さ」

戦士「それってもしや……鍛冶屋の師匠さんか?」

バーテン「ああそうだ。お前が世話になったっていう奴だよな」

マジシャン「開発局の局長だったんだっけか?」

バーテン「ああ。ゾディアックの分解に成功したのも奴さ」

戦士「……っ」

バーテン「いい思い出だbな。まぁ二度と使う事もねーと思ってたけどな」

魔道士「そうだったんですねぇ……」
54 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:31:10.09 ID:tM8RJUy4o
マジシャン「俺もまさか、アンタが戦線復帰するとは思ってもみなかったよ」

バーテン「そういうお前は生きてた事すら奇跡だけどな」

マジシャン「ハッハ! 全くだ。本当にコイツらには感謝してるよ」

戦士「こっちこそ生きててありがとうってカンジだよ」

魔道士「そうですよ!」

マジシャン「生きててありがとうか……なんか感慨深いものがあるわなぁ」

盗賊「……もう……何ともないのか?」

マジシャン「んーそうだなぁ。延長戦ってとこかな」

魔道士「……?」

マジシャン「俺は確実に1度死んだ身だ。それに変わりはない」

盗賊「……」

マジシャン「おそらくあと1回、確実に魔力が戻るチャンスがある。その後は……どうなる事かねぇ」

魔道士「そんなっ、嫌な事言わないで下さいよ!」

マジシャン「いいんだよ、今生きてるのでさえ奇跡なんだからよ」

戦士「……何か。方法はねーのか?」
55 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:32:46.53 ID:tM8RJUy4o
マジシャン「人間の生き死になんざ、人間がどうこう出来るもんじゃないってのは分かるだろ?」

盗賊「……」

マジシャン「人は何かを背負って生きてる。肩の荷が降りれば役目も終わりって事さ」

魔道士「そんな……」

マジシャン「俺の背負った荷物が何なのか、それはまだ分からんがな。ハッハ」

バーテン「人はいつか死ぬ。それは仕方のない事だ」

マジシャン「そうそう。お前らが俺を必要とした刻はもう終わったんだ。気にすんな」

戦士「そういう問題じゃねぇだろ」

マジシャン「おいおい、人の心配より自分の心配しろよ」

バーテン「そうだぞ。今回だってオ布良が無事に乗り切れるとは限らないんだからな」

盗賊「……まぁ……そうだよな」

マジシャン「生きろよ。まだサプライズだってあるかもしれないぜ?」

魔道士「へっ?」

マジシャン「いやいや、生きてりゃ良い事あるって事さ。ハッハ!」

静かな林道の中には彼らの声だけが響き渡り、ゆっくりとその道を進んでいった。
56 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:34:08.81 ID:tM8RJUy4o
〜東の町〜

南方参謀「兵器の配置は?」

助手「バッチリよん♪ 南側に全て並べればいいのよね?」

大軍師「はい。おそらく魔王軍は正面から一気に来るはずです」

南方副司令「凌げるかねぇ。ざっと30万以上だろ?」

南方参謀「凌がないと終わりよ。流石に赤壁とて突破されるわ……っ」

西方副司令「南を破られたら本国まではもぬけの殻。本国だって兵は少ないんでしょう?」

大軍師「ええ。今はほとんどが南北に押し上げてますからね」

南方副司令「前線を上げたはいいが、カウンターで突破されれば中身は空っぽか」

西方参謀「どのみち抜かれたら一般人を巻き込む事になる。ここで止めなきゃなんねーのさ」

大軍師「その通りです。逆に言えば、ここでラーヴァナを食い止めれば南に敵はいません」

南方参謀「パズズ、アンラ・マンユ亡き今、残るはラーヴァナだけですもんね」

大軍師「北を攻略するには本国総動員の必要がありますからね」

西方副司令「北って……そんなにまずいの?」

大軍師「直接対峙した事はありませんので憶測ですが、それこそ100万規模かもしれませんよ」
57 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:34:54.75 ID:tM8RJUy4o
南方参謀「――っ!!」

大軍師「その程度は考えておいた方が良い、という事です」

西方参謀「負けていい戦なんてもんがあるかよ……ヒック」

南方副司令「極論だが、もっともな話だ」

大軍師「さて、そろそろ布陣の最終的な詰めに入りましょうか」

南方参謀「半ば篭城戦みたいなものだから、打って出る必要は皆無ね」

南方副司令「普通の篭城戦ならな。だがこちらは数が少ない」

西方参謀「現時点での兵数は10倍以上。まともにやってたら陥ちるわな……ヒック」

大軍師「まず最初は、赤壁からの後詰めが到着するまで持ち堪える事です」

西方副司令「いけるかしら……」

大軍師「基本は兵器による攻撃と魔法付加の弓による遠距離射撃で迎撃します」

南方参謀「それに加えて、竜騎士隊に上空から攻撃させましょ」

南方副司令「騎兵と歩兵の数が乏しいからな。そっちはどうする?」

大軍師「左右よりあたらせましょう。あくまで回り込ませないようにする為です」

西方参謀「だな。下手に突撃して失っても手痛い目に遭うのは分かってるしな」
58 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:35:57.97 ID:tM8RJUy4o
西方副司令「前線の指揮官は?」

大軍師「……司令お2人に出て貰うしかないでしょう」

南方副司令「ひとまずそんなところか」

大軍師「魔道兵は全員、動けますか?」

西方副司令「西方魔道長の話だと、特に問題ないと言ってましたよ」

大軍師「成程」

西方参謀「何か企んでやがるな?」

大軍師「……ふふ、まぁそうですね」

西方参謀「神風でも吹かせようってかい? ヒック」

大軍師「吹かぬなら吹かせるまでですよ」

騎士団長「よし、それでは始めるとするか」

南方参謀「討伐隊がラーヴァナを討ってくれるまで、何がなんでも凌ぐわよっ!」

南方副司令「おう!」

西方参謀「景気付けに飲んどくか? ほれ……」

大軍師「いえ、勝利の祝い酒までとっておきますよ。ふふっ」
59 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:37:23.26 ID:tM8RJUy4o


ザッザッザ

南方司令「……どうだ?」

占い師「まだ起きないみたい」

南方司令「そうか」

占い師「この人が寝てるなんて不思議ね。寝顔なんて初めて見たわ」

南方司令「そうか。君は彼に世話して貰ったのだったかな」

占い師「世話っていうか、身寄りのない私の後継人というか……何だろ」

南方司令「君には特殊な力がある。彼もそうだ。だからこそ放ってはおけなかったんだろう」

占い師「……そうかもね」

南方司令「心配は要らぬさ。君の予言にそんな結果が出ていたか?」

占い師「……いいえ。そうよね、流石お弟子さん。よく分かってる!」

南方司令「私も彼とは付き合いが長いからな」

占い師「やっぱり厳しい師匠だった?」

南方司令「……どうだろうな。確かに実技は厳しかったが、不思議と辛いと思った事はないな」
60 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:39:48.45 ID:tM8RJUy4o
占い師「気休めかもしれないけど、大丈夫よ。私達は勝つわ」

南方司令「ああ、そう信じている。正義は必ず勝つのだ」

占い師「そうね、ふふっ。それじゃ行くわ。頑張ってね」

カツカツカツカツ…

南方司令「……何をコソコソしている」

西方司令「ひぃっ! し……師匠は……?」

南方司令「生きてるよ。心配するな」

西方司令「……っ」

南方司令「お前とも長い付き合いだな」

西方司令「へ!?」

南方司令「何でもない。明日は我らが前線に立たねばならんだろう。頑張るぞ」

西方司令「はあぁ、駄目だぁ……死んだ……っ!!」

南方司令「……相変わらずだな全く。どれ、お借りするとしようか」

西方司令「……!?」

南方司令「今回は数が多すぎるのでは。仕方あるまい」
61 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:41:42.25 ID:tM8RJUy4o
〜ラーヴァナの城〜

シヴァ「…………」

アスラ「……申し訳……御座いません」

ラーヴァナ「何故だ?」

アスラ「不手際により、多数の兵を失う目に……」

ラーヴァナ「不手際があったのか?」

アスラ「……想像を遥かに凌ぐ力を蓄えております」

ラーヴァナ「人間がか?」

アスラ「はい」

ラーヴァナ「ならば仕方あるまい。不手際は俺の責任だ」

アスラ「!?」

ラーヴァナ「敵の力量を把握せず、兵を動かした俺の失態だと申したのだ」

アスラ「滅相もございません! 断じてそのような事は……」

ラーヴァナ「アスラ。此度の結果は不問とする。しかし敗北は敗北、挽回せよ」

アスラ「……あ、有難きお言葉……ッ」
62 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:42:27.61 ID:tM8RJUy4o
ラーヴァナ「してシヴァよ、貴様も同様か?」

シヴァ「……手も足もでない、というわけではありません。しかし厄介です」

ラーヴァナ「……」

シヴァ「奴ら、徒党を組めば倍にもそれ以上にも力を増します」

ラーヴァナ「何故だ?」

シヴァ「……?」

ラーヴァナ「あれだけの兵を率いておいて何故、徒党を組まれたのだ?」

シヴァ「そ、それは……」

ラーヴァナ「貴様が身勝手な行動を起こしたからであろうがぁ!!」

ドグッシャアアァァァァ!!

シヴァ「ガフウゥ……ッ!!」

ラーヴァナ「俺の指示が聞けぬなら、早々に我が下を離れるが良い」

シヴァ「グハッ……ガッ、ガハ……ッ」

ラーヴァナ「次は殺す。いいな?」

シヴァ「…………は……い」
63 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/14(水) 17:43:51.90 ID:tM8RJUy4o
ザッ

ラーヴァナ「では行けい。次は手土産を待っておるぞ」

アスラ「……必ずや!」

ズザッ

ラーヴァナ「シヴァ、貴様はどうする?」

シヴァ「……我が主アンラ・マンユが討たれ……うしなった力……ッ」

ザッ

シヴァ「助けて頂いた恩義は必ずや報います」

ラーヴァナ「良かろう。それでこそ魔族の戦士よ」

ザザッ…バッ

ラーヴァナ「……さて、あとはヴァーリンか。よもや討たれたとは思いたくないがな」

ジャガーノート「……」

ラーヴァナ「フッ、貴様も暴れたいか。良かろう……奴らが道を切り拓いた暁には……」

ジャガーノート「フゴオオォォォォ……ッ」

ラーヴァナ「さぁ人間共よ、第2ラウンドの始まりだ」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/14(水) 18:13:12.80 ID:tM8RJUy4o
多数のレス、本当にありがとうございます!
それではここまでにて!ありがとうございました!では!ノシ
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/14(水) 18:16:45.16 ID:CpLqsEvuo
>>1

ジャガーノートとか・・・機銃もって突進してくるのかよ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/14(水) 18:22:47.90 ID:zhNVvDWfo
1はオレの嫁!いつもありがとう!!!
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/14(水) 18:25:12.88 ID:O1IM5jZDO
>>1

>>65
CODやりすぎ
俺的にはX-MENが思い浮かんじゃうけどググれとだけ言っておく
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/09/14(水) 18:28:43.97 ID:TqXsoDlz0
>>65
突っ込んで来る時の太鼓が超怖いな・・・・
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/09/14(水) 18:32:37.31 ID:7xpmthPWo
俺はXーMENだな
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/14(水) 19:09:13.52 ID:T7YB3BeAO
>>1

ジャガーノートと言ったら
「タンポポゥ!!!」

が浮かぶわ
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/14(水) 19:51:35.74 ID:9d8pS8pho
>>1乙!

世界樹の迷宮2のジャガーさんが最初に出てくるな
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/14(水) 19:52:05.86 ID:9d8pS8pho
>>1乙!

世界樹の迷宮2のジャガーさんが最初に出てくるな
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/14(水) 21:08:55.44 ID:B1YpK0SAO
>>1

ジャガーノートにはお世話になりました(ハンマー的な意味で)
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/15(木) 01:29:34.98 ID:WLpXBi6AO
>>1おつ

まだ活躍もしてないのジャガーノートさん人気だな
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/15(木) 03:00:38.24 ID:/j+Jw1u3o
最初から読み直してるけど違った発見があってかなりおもしろいわ
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/15(木) 03:33:47.74 ID:1JzuAcHT0
いちおつ
何だまだ強い奴いたんだ
77 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:00:30.39 ID:4TXDkaLbo
バタバタバタバタバタバタッ…

南方司令「……」

西方司令「……」

深い朝靄の中、やや強く吹く風が布製のマントをバタつかせている。

ドドドドドド…

やがて、聞こえ始める地鳴り。それは言わずもがな、魔王軍の行軍が徐々に、

東の町へと北上してくる事を示すものであった。

〜4日目。東の町、南側〜

南方司令「なぁ」

西方司令「あんだよ?」

巨大な剣を地に引き摺りながら、西方司令はぶっきらぼうに返答する。

南方司令「怪我はいいのか?」

西方司令「はぁ? 怪我なんざしちゃいねぇっつーの。バカかテメェは」

南方司令「それなら良いが。昨日、魔王と交戦した時に負傷したかと思ってな」

西方司令「死ね!!」
78 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:02:26.84 ID:4TXDkaLbo
南方司令「……」

西方司令「それよりテメェ、お師匠の武器、勝手にかっぱらってきて……殺されてもしらねーぞ?」

並び立つ男の肩に担がれたツヴァイハンダーを見つめ、西方司令が呟く。

南方司令「数が多いからな。流石に素手ではしんどいものがある」

西方司令「年だな。情けねぇ、鍛錬不足だよボケ!」

南方司令「あのなぁ、私は正義の為に常々鍛え上げているのだ。鍛錬を怠った事などない!」

西方司令「ゴッチャゴチャうるせーんだよこの脳筋馬鹿野郎!」

南方司令「……」

西方司令「正義正義ってテメーはジャスティスか。いいか? 戦いってのは勝ちゃいいんだよ!」

南方司令「もういい」

西方司令「あぁ!?」

南方司令「そもそも何を言っているのかサッパリ分からん」

西方司令「けーっ、これだから脳筋は困る!さっさと討死ね!」

南方司令「それじゃそろそろ行くか」

西方司令「おーう。さぁ、たぎらせてくれよおぉ!!」
79 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:06:53.00 ID:4TXDkaLbo
ドドドドドド…

ラクシャーサ「前方、何かいるぞ!!」

町へ接近する魔王軍がまず発見したのは、突出した2人の司令であった。

ラクシャーサ「いや待て! 冗句からも何か近づいてくるぞ!」

バシュウウゥゥゥゥ

竜騎士兵「いいかっ、攻撃後は速やかに離脱するように!」

青龍兵「おうっ!」

後方、東の町より出撃した竜騎士隊は、直進してくる魔王軍と真っ直ぐぶつかり合うような形で、

上空をおよそ20匹程度の編制にて、密集しながら直進飛行を続けている。

頭上を通過する竜騎士隊を合図の如く、南方司令と西方司令が駆け出した。

ゴオオォォォォ…

青年兵「結界石……投下用意ーっ!!」

ワイバーンやワームといった青龍召喚獣の前足に括りつけられた布製の袋のようなもの。

その中には細かく砕けた結界石がぎっしりと詰まっており、背に乗る竜騎士隊の面々は、

合図と同時に袋を縛っていた紐を、ラクシャーサ達の頭上から一斉にばら撒いた。
80 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:07:31.07 ID:4TXDkaLbo
ジャラジャラ…ボトボトボトッ

最後尾に位置する2匹のワイバーン。その背中に乗った竜騎士兵は同乗者に声をかける。

青龍兵「投石完了!!」

南方参謀「ご苦労様っ、用意はいい!?」

振り落とされぬよう、しっかりと青龍兵の腰に両手を回ししがみ付きながら、

南方参謀は並列飛行するワイバーンに乗る西方副司令へと叫ぶ。

西方副司令「いつでも!」

南方参謀「魔法専門じゃないけど、結界石に付加するんなら……」

西方副司令「私達の魔力でも……効果はあるはずよ!」

キュイイィィィィ

南方参謀「いっくわよぉ〜!!」

南方参謀「あとは任せたわよっ、司令!」

ドドオオォォォォン!!…ズガガガガアアァァァx!!

青龍兵「命中っ! 作戦完了です、帰還致します!」

上空より雹のように降り注ぐ結界石が光を放ちながら、魔王軍の頭上へと降り注いだ。
81 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:08:02.76 ID:4TXDkaLbo
ズガガガガッ!!…ジュウウゥゥゥゥ

ラクシャーサ「グアアァァーッ!!」

上空からの不可思議な奇襲により、魔王軍はまたしても出端をくじかれる結果と相成った。

ラクシャーサ「何だこれ! くっそ、痛てぇな……ぁ!!」

アスラ「うろたえるな、おそらくは魔法を施した結界石であろう:」

ラクシャーサ「……ッ」

アスラ「こういった使い方もあるのか。色々と見せてくれるな……人間共よ」

ラクシャーサ「このまま……進みますか……ッ?」

アスラ「当然だ。この程度、臆するものでもなかろう」

ラクシャーサ「……前進! 進め進めぇ、立ち止まるなァ!!」

アスラ「シヴァ、アジ・ダハーカを使え」

シヴァ「……ラーヴァナ様の命は受けるが、貴様の下に付いた覚えはない。命令するな」

アスラ「我が命はラーヴァナ様の命に等しい。少なくとも今回の戦場においてはな」

シヴァ「それは貴様等、ラーヴァナ軍の勝手だ。俺にそんなものを押し付けるな」

アスラ「……ならば好きにするが良い。だがこれだけは言っておく。足だけは引っ張るなよ」
82 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:08:39.80 ID:4TXDkaLbo
シュウウゥゥゥゥ…

上空を、左右二手に分かれて旋回していく竜騎士隊。

西方司令「ありゃあ下から見てても気持ちのいいもんだわなぁ」

南方司令「虹色の煙幕など帯びたら派手で良いな。式典などにも使えそうだ」

西方司令「まーなぁ。魔物がいなくなりゃあ平和的な活用方法も考えにゃあならんわ」

南方司令「そういう事だ。当然、我ら自身もな」

西方司令「俺にゃあ無理だわ。戦いなくして生きていける程……器用じゃあないんでなぁ!」

南方司令「さぁ、見えてきたぞ」

西方司令「おらおらおらぁ!! どかねぇと……死ぬぜええぇぇ!!」

結界石の奇襲により前線が押し出されるように突出している魔王軍。

押し寄せる大波の、最初のさざ波のようなその一角が、瞬く間に宙へと舞い上がった。

ドグッシャアアァァァァ!!

ラクシャーサ「――ッ!?」

西方司令「地べたに這いつくばってろやゴルァアア!!」

南方司令「向かってくるものは悪とみなす! この正義の瞳で見定めてくれよう!」
83 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:10:32.60 ID:4TXDkaLbo
超巨大な刀身が回転すると、竜巻のうようにラクシャーサを飲み込み空へと放り出す。

ツヴァイハンダーも主は変わろうともその威力は変わらない。真横で暴れる巨剣に負けじと、

南方司令が腕を振るえばひとたび、数匹のラクシャーサを葬り去る。

ズドオオォォォォ

南方司令「今回は分断が目的ではないからな」

西方司令「おうよ! こっちが死のうが1匹でも多くぶっ殺す!!」

ラクシャーサ「何事だッ!?」

昨日同様、いきなりの出来事に浮き足立つラクシャーサの大群。

ラクシャーサ「前方にて人間が抵抗しております! 数は少ないもののかなり強いと……」

アスラ「来たか。良かろう、私が出る」

ラクシャーサ「アスラ様!?」

アスラ「腕の借りがあるのでな。直々に裁きを下してやろうぞ」

ラクシャサー「アスラ様ご出陣だ、正面の道を開けろぉ!!」

アスラ「シヴァ、軽率な行動は取ってくれるなよ?」

シヴァ「……」
84 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:11:09.86 ID:4TXDkaLbo
ズダアアァァァァン

ラクシャーサ「アスラ様!!」

アスラ「さぁ人間のつわものよ。今日こそ決着を付けてくれるわ!」

ダンッ!!

魔王軍と言う名の大波は町へ到達する前に、一度大きく引き始めた。

それは即ち引いて返し、また一層大きな波として押し寄せる。

西方司令「んだぁ!? 敵さん退いたぞ……?」

南方司令「上だっ!!」

陽の光が一瞬遮られ、それは上空より何者かが訪れる事を意味している。

その直後、振り下ろされた拳に大地が砕け、直前で察知した2人の司令は跳躍した。

アスラ「……別人か」

南方司令「……っ!!」

西方司令「きやがったなぁ大物!!」

舞い上がる岩石がスローモーションのように遮蔽物となり、その奥に目を光らせる

3つの顔を持つアスラを、ひと際、恐怖感と冷徹さを醸し出している。
85 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:11:43.38 ID:4TXDkaLbo
西方司令「ぶうぅちいいぃぃぃ殺す!!」

南方司令「はあぁ!!」

上下より襲いかかるツヴァイハンダーと巨剣の挟み撃ち。アスラは冷静にそれを見極め、

ツヴァイハンダーを半身をひねり避けると、そのまま今度は左手で拳を作ると、

地面ごと西方司令を側面へと殴り飛ばした。

ヒュバッ!!…バッゴオオォォォォン!!

西方司令「ぐぅ……っ!!」

南方司令「まだだっ!」

アスラ「……貴様等では他愛ない」

ツヴァイハンダーの残撃を手で軌道を変往なすと、そのまま宙返りの態勢で蹴りを放つ。

バギャアアァァ!!…ドシャアアァァ

南方司令「ぐあ……っ!!」

地面へ叩きつけられる形で蹴りを受けた南方司令は倒れるも、すぐさま飛び起き、

同じく態勢を立て直した西方司令と共に、アスラを左右より再び狙い定める。

アスラ「何度も言わせるな。貴様等では値せぬと申しておるのだ」
86 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:12:40.12 ID:4TXDkaLbo
西方司令「ナメてんじゃねぇぞゴルアアァァ!!」

南方司令「ここから先へ進ませるわけにはいかん!」

ゴッシャアアァァァァ

西方司令「ぐはぁ!!」

アスラ「……どけ」

南方司令、西方司令の頭をを同時に掴み、地面へと叩きつけるアスラ。

ガバッ

南方司令「悪を討つのが我らの使命!」

アスラ「頑丈さだけは認めよう」

ズザザッ

アスラ「だが、貴様等に構っている暇はない」

ラクシャーサ「ウオオォォ!!」

ガシガシガシィッ!!

南方司令「何だこいつらは……っ!?」

西方司令「離せ……こらああぁぁ!!」
87 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:13:21.02 ID:4TXDkaLbo
ラクシャーサ「アスラ様っ、今です!!」

ゴウッ

西方司令「ま……さかっ、仲間ごと殺る気か!?」

南方司令「……っ!!」

アスラ「しっかり抑えておけ、貴様等の功績は永く称えられるであろう」

西方司令「くっそぉ――」

カッ!!…ズッドオオォォォォン!!

爆音と共に激しく巻き起こる衝撃が、その一撃の強さを指し示している。

パラパラパラッ…クルクル…ザスッ

ラクシャーサ「ヘ、ヘヘッ。ご大層な剣じゃねぇか……」

ザッザッ…ガシィ

ラクシャーサ「――ッ!!」

ジュウウゥゥゥゥ!!

ラクシャーサ「ウッガアアァァァァーッ!!」

地面に突き刺さったツヴァイハンダーへ触れたラクシャーサが溶け、その場に倒れこむ。
88 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:14:18.93 ID:4TXDkaLbo
ラクシャーサ「な、何だ……ッ」

アスラ「何か特殊な剣なのだろう。触れるな、放っておけ」

ラクシャーサ「は、はい」

アスラ「さて、邪魔者は消し去ったようだ。進軍を続けるぞ」

ラクシャーサ「前進! 一直線に町へ突っ込むぞ!」

アスラ「……」

ラクシャーサ「アスラ様?」

アスラ「仮に生きていたとしても、これだけの大軍にシヴァもいる。問題はない、か」

ラクシャーサ「あの一撃を食らって生きているとは到底、思えませんが……」

アスラ「まぁな。だが、念には念を入れておいて損はない」

ラクシャーサ「な、なるほど……ッ」

アスラ「貴様等は構わず進め、あの人間には気をつけろよ」

ラクシャーサ「は、ははぁ!」

アスラ「奴は私が殺る。必ずな」

魔王軍は北上を再開した。2人の司令という壁を突破して。
89 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:15:32.02 ID:4TXDkaLbo
〜スグリーヴァの城〜

盗賊「……見えた。城だ」

戦士「あれ? 前来た時って、こんな橋あったっけ?」

魔道士「いえっ、以前は森を抜けたら崖があって、そこに見えない道が……」

戦士「どういうこっちゃ? 俺ら迎え入れる為に橋を作ったのか?」

魔道士「でも、位置は前と変わってないですよ?」

盗賊「……見えなかった物が見えているようだな」

マジシャン「どした? 先に進めないのか?」

魔道士「いえ、そうではないんですけど……」

バーテン「何か気になる事でもあったか?」

戦士「まぁ、とにかく先に進んでみようぜ」

盗賊「……ああ」

双子姉「うわぁ、凄い崖……っ」
双子妹「落ちたらひとたまりもないですわね」

アマゾネス「気を付けて歩けよ」

色黒「はいなっ」
90 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/15(木) 18:20:54.27 ID:4TXDkaLbo
ゾロゾロ…テクテクテク…

南方弓長「……す、凄いっ」

南方魔道長「ここがスグリーヴァ様の城か。でけぇな」

ポニテ「な、何か来るわよ!?」

ゾロゾロゾロ…

おさげ「魔物!?」

ツインテ「ひやああぁぁ!!」

盗賊「……大丈夫、あの者らは味方だ」

ガーゴイル「ご苦労さん、話は聞いてるぜ」

戦士「召喚士らはもう着いてるか?」

ゴブリン「召喚士? あーいるよ! あのヘナヘナした奴だろ!」

魔道士「……」

ガーゴイル「とにかく城に入ってくれ。みんな待ってる」

戦士「んじゃ、行こうぜ」

青龍士官「お、お世話になります……」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/15(木) 18:26:41.44 ID:4TXDkaLbo
ひとまずここまでにて失礼致します!
自分の中でちょっと中途半端なので後でもう少しだけ…

それでは今日もご支援ありがとうございました!ノシ

ジャガーノートって前スレで出し忘れたかと…焦った
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/09/15(木) 18:32:41.26 ID:rFHGcCVAO
最速の>>1
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/15(木) 19:07:24.04 ID:/Fda38FAO
>>1

前スレでも出てたはず
喋ったりしたのかは覚えてないが
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/09/15(木) 19:37:37.77 ID:3M/lHAeV0
>>1
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/15(木) 21:05:37.36 ID:yJD9VBhSo
>>1

ヘナヘナの主人公・・・
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/15(木) 22:06:25.02 ID:FbxrCDhyo
ち○こはヘナヘナでもラクシャーサを素手でぶっ飛ばせるくらいの腕っぷしはあるんだゾ
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/15(木) 22:39:57.77 ID:9aBmL81Z0
召喚士が召喚できる召喚獣を誰かまとめてくれ
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/09/15(木) 22:59:28.72 ID:aLDxEuIeo
朱雀 コカトリス

白虎 クジャタ ベヒーモス

あとはまかせた
99 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/15(木) 23:44:19.92 ID:kRnaj8WLo
〜スグリーヴァの城〜

ゾロゾロ…

魔道士「召喚士さーんっ!」

召喚士「!?」

戦士「悪い、待たせちまったな」

青年兵「いえいえ、ご無事で何よりです皆さん」

盗賊「……ハヌマーン」

ハヌマーン「元気そうで何よりだ」

魔道士「マーマンさん! あれ、オークさんは……」

マーマン「ああ、昨日の戦いでちょいと負傷しちまってな」

魔道士「えっ!?」

マーマン「大丈夫大丈夫。怪我してるわけじゃないからな」

白馬騎士「お久し振りです。皆様方」

戦士「うっす」

南方魔道長「こっちの防衛はうまくいったようだな」
100 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/15(木) 23:57:29.83 ID:kRnaj8WLo
兄者「いや、それが……だな」

魔道士「何か……あったんですか?」

テクテクテク

剣士「これは皆さん!」

魔道士「剣士さん! 弓使いさんに幼女ちゃんも!」

幼女「お姉ちゃ〜ん!」

盗賊「……それで、何かあったのか?」

弓使い「え? スグリーヴァ様の事……?」

戦士「スグリーヴァ様がどうかしたのかい?」

白馬騎士「……っ」

ハヌマーン「私が話そう」

召喚士「ハヌマーンさん……」

ハヌマーン「いや、構わぬ。大丈夫だ」

魔道士「一体、何があったんです……?」

ハヌマーン「……スグリーヴァ様は……戦死された」
101 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/16(金) 00:19:38.00 ID:G3PFC09Bo


ハヌマーン「……と、いう事だ」

戦士「……嘘……だろっ」

盗賊「……っ」

魔道士「スグリーヴァ様が……」

南方弓長「死んだってそんな……っ」

弟者「事実……なんだよ」

召喚士「……」

ハヌマーン「あの方は既に、それを望んでいた」

マジシャン「……」

ハヌマーン「弟であるヴァーリンと相打つ事を望んでおられた」

バーテン「……」

ハヌマーン「だから今は、主が切り開いてくれた道を進もうではないか」

魔道士「は……い……」

召喚士「それが、スグリーヴァ様も望んでおられる事ですよね」
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/16(金) 00:20:07.37 ID:uwZixxfAO
そういえば、戦場に天才がいない戦いって久しぶりだな
103 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/16(金) 00:24:16.06 ID:G3PFC09Bo
〜東の町〜

タッタッタ

ゴロツキ「ボス!」

ボス「……っ」

グググ…ヨロッ

チンピラ「やっぱり無茶だって、こんな身体じゃあ……」

ボス「バカヤロウ……こんな時に1人で寝てられっかよ!」

ゴロツキ「でもよぉ……」

ボス「いいから手を貸せ……っ」

ガシッ

チンピラ「……じ、じゃあ……行くか」

グッ…テクテクテク…

――「……おい」

チンピラ「!?」

天才「……こっちも……手を貸せ」
104 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/16(金) 00:28:51.21 ID:G3PFC09Bo
ボス「……総司令……?」

ググッ…フラッ

天才「俺様が頼んでんだ……早くしろ……」

ゴロツキ「ど、どうする!?」

天才「つべこべ言ってんじゃねぇ……っ!」

ボス「俺より重症じゃないっすか……」

天才「うるせー。早くしろって言ってんだよ」

チンピラ「し、仕方ねぇ……。それで、どうすれば……」

天才「連れてけ」

チンピラ「へっ?」

天才「兵器……そうだな、投石器がいい」

ボス「ど、どうする気……」

天才「いいから行くぞ。魔王軍……来てんだろ?」

ボス「……わ、分かった。行こう」

天才「ハーッハッハ……それでいい」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/16(金) 01:38:12.17 ID:uwZixxfAO
>>1
天才さん…死んでしまうん?(;´−ω−`)
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/16(金) 01:48:55.43 ID:w2UiSHtAO
>>1おつ
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/16(金) 03:26:36.76 ID:ZLtU+ElZ0
南方西方司令は死んではないと思うけど…どうなんだろ?
1乙
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/16(金) 08:27:36.08 ID:vIVhDTXAO
>>1

魔王討伐が始まってからつねに死亡フラグがつきまとう天才…
武道の天才はフラグブレイクの天才でもあったんや!!
109 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:10:48.22 ID:kIZ9U/gYo
バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

西方参謀「どうだ?」

南方参謀「やっぱり全軍で押し寄せてきてるわね」

西方副司令「司令2人が頑張ってるけど、敵の軍団長もかなりのものだわ」

南方参謀「そろそろ兵器の射程距離に入ると思うわ。準備して頂戴」

助手「はぁ〜い♪」

南方副司令「騎兵と歩兵も町の東西から出撃用意を」

騎士団長「了解した。西側は君に任せる」

南方副司令「やれるだけ……やってみますわ」

南方参謀「何度も言うけどここが陥落したらお終いよ」

南方副司令「右大臣様の後詰めが来るまで何が何でも凌ぐぞ!」

西方副司令「魔道兵、弓兵と共に城壁と櫓の上へ布陣して!」

南方参謀「南東国への連絡は?」

南方副司令「先程手配した。牽制の為に少し進軍して貰おう」

南方参謀「これで布陣は完了。さぁ、かかってらっしゃい……魔王軍!」
110 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:11:31.48 ID:kIZ9U/gYo
〜スグリーヴァの城〜

戦士「とりあえず話は理解した」

魔道士「……っ」

剣士「スグリーヴァ様に報いる為にも、一致団結してラーヴァナを討とう!」

白馬騎士「その通りです。華国や本国、全世界の安寧の為に……!」

青年兵「では早速、ラーヴァナ討伐作戦を決行致します」

召喚士「戦士、魔道士さん」

戦士「おう」

魔道士「頑張りましょうっ!」

青年兵「僕と共に行くのは、白馬騎士様、弓将軍様」

弓将軍「うむ。宜しく頼むぞ」

白馬騎士「……」

弓使い「私達はえっと……」

女賢者「私と一緒ね。んふっ」

幼女「わぁっ、また一緒だね、宜しく!」
111 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:12:44.04 ID:kIZ9U/gYo
剣士「皆を宜しく頼みます」

同門「……あ、あぁ」

バーテン「んで、俺らはと……」

双子姉妹「私達です!」

マジシャン「あとは……素敵なお姉ちゃんだな。ハッハ」

アマゾネス「……よ、宜しく」

青龍士官「南方弓長殿、南方魔道士殿、西方魔道長殿は私と共に」

南方魔道長「だな」

西方魔道長「やれやれだね……」

南方弓長「なんだか、緊張してきちゃったわ……」

錦将軍「おっ!? また会えたな、はは!」

南方弓長「……どうも」

錦将軍「アンタらの事は何が何でも守ってやんぜ!」

兄者「そうだ。射手らが無事、成功する為にも、我らが前線で食い止めてみせる」

弟者「だからよ、。安心して任務に集中してくれや」
112 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:13:26.35 ID:kIZ9U/gYo


青年兵「では、行きましょう」

ハヌマーン「私と剣士殿とマーマンは前衛を務める」

錦将軍「俺らもだ。なぁ?」

弟者「あったり前よ!」

兄者「お主も共に参るか?」

盗賊「……うん。宜しく」

アマゾネス「お前達も共に行動して、援護してやれ」

おさげ「了解〜っ!」

剣士「後衛は各々の組に固まって、いつでも動ける態勢を」

召喚士「了解っ」

戦士「ところでよ、ラーヴァナんとこまではどうやって行くんだ?」

ハヌマーン「うむ。それならば彼らが案内してくれる」

魔道士「!?」

ラクシャーサ「……ッ」
113 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:15:26.36 ID:kIZ9U/gYo
マーマン「アイツらはこちら側に寝返ったんだ。心配する必要はねぇ」

マジシャン「信頼出来んのか?」

ハヌマーン「彼らにとって欺く道理がないからな」

白馬騎士「それに、信頼しなくてはなりません」

バーテン「……なるほどな」

ラクシャーサ「命を助けて貰った恩義だけは返す。決して寝返ったわけではない事は分かってくれ」

錦将軍「どっちでもいいさ。共に戦うなら仲間、そうじゃねぇなら敵。ただそんだけだ」

白馬騎士「よし、それでは参りましょう」

青年兵「ええ。皆様、決して無理はしないように」

一同「おーう!!」

ハヌマーン「留守は頼んだぞ。何かあればすぐに華国と本国に知らせよ」

ガーゴイル「任せとけ! 大丈夫!」

ゴブリン「俺達頑張る! だからみんなも頑張れっ!」

ザッザッザッザッザ

ハヌマーン「!?」
114 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:16:16.95 ID:kIZ9U/gYo
マーマン「お……お前……っ」

魔道士「オ−クさんっ!!」

ザッ

オーク「……オラも……行くです!」

剣士「オーク! 大丈夫なのか……?」

法師「外傷はないようです。しかし万が一という事もあるかもしれませんが……」

オーク「構わない! みんな苦しんでる……オラだけ休んでられねぇです」

召喚士「オーク……」

戦士「……いいよ、連れて行こうぜ」

幼女「……っ」

戦士「その代わり、足手纏いになったら捨ててくぞ。いいな?」

オーク「……はい!」

戦士「死にかけても、誰も助けやしないぞ?」

オーク「……分かってるです」

戦士「じゃあいい。前衛に混ぜてやってくれ」
115 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:17:37.79 ID:kIZ9U/gYo
剣士「分かった。オーク、一緒に戦おう」

オーク「はいですっ!」

ザッザッザ

戦士「盗賊」

盗賊「……?」

戦士「オークの事、頼んだぞ」

盗賊「分かっている。あやつは私が守る」

戦士「すまねぇな」

盗賊「……いや、当たり前の事だ」

ザッザッザ

魔道士「何話してたんです?」

戦士「別に〜」

魔道士「あ……っ、そういう事ですか……」

戦士「どういう事だよ?」

魔道士「い、いえ……っ、ごめんなさい……っ///」
116 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:18:55.84 ID:kIZ9U/gYo
ザッザッザッザッザ

弓将軍「城に残した手勢だけで大丈夫かのぉ」

白馬騎士「法師様もおられますし、大事はないと思いたいですが……」

兄者「気掛かりなには同化したと思われるヴァーリンが姿を見せぬ事よ」

弟者「あのまま死んだんじゃないか?」

ハヌマーン「いや、それは考えにくいな」

ラクシャーサ「ここから先は山脈伝いにほぼ道なりだ」

戦士「意外と近いんだな」

魔道士「よく、攻めてこなかったですね」

ハヌマーン「今までは攻める必要がなかったのだ。双方ともな」

盗賊「……成程」

ハヌマーン「だが一度動き出せば、どちらかが滅びるまで終わる事はない」

召喚士「……」

剣士「さぁ、先へ進みましょう」

青年兵「なんとか夜までには辿り着きたいところですね」
117 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:19:36.16 ID:kIZ9U/gYo
〜東の町〜

南方副司令「撃てぇーっ!!」

ズガガガガッ…バシュウウゥゥゥゥ

昨日同様、兵器による遠距離攻撃が開始されている。しかし今日においては、

若干ではあるが、その攻撃方法にも変化があった。例えば角度である。

助手「昨日は高度を高めに取ってけど、精度が高い事分かったから、今日は低弾道でいくわよ〜」

当然の事ながら、角度が低ければその分飛距離も伸びる。

初の実戦導入にて高精度を確信した彼女らは、兵器の射出角度を低く設定した。

ドウンッ!!…ズッガアアァァァァン!!

ラクシャーサ「グギャアアァァ!!」

アスラ「ふむ、まずはこれを何とかせねばならぬな」

飛距離が伸びた事で接近される心配もはるかに低くなり、篭城においての防衛も楽になる。

変わったのは角度だけではない。その射撃方法においても変化が見られた。

西方兵「……3、2、1……発射ぁ!!」

投石器、バリスタ問わず、ほぼ全ての兵器より同時に射撃が行われている。
118 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:20:29.23 ID:kIZ9U/gYo
ザッザッザ

大軍師「投石器とバリスタ、混合での射撃ですか」

助手「断続的な射撃より、隙間なくビッシリでの定期射撃の方が効率良いみたい♪」

大軍師「量より質ですか。確かにその方が相手への恐怖心も植えつけられるかもしれませんね」

助手「でーも、それだけじゃないのよ〜?」

大軍師「……?」

ズドドドドドドドドドッ

ラクシャーサ「あの棒みてぇなヤツは結界石だ!触れると手痛い目にあうぞ!」

アスラ「……ならば、岩を蹴散らせばよかろう」

上空より迫る無数の投石とバリスタの矢。アスラはその中で岩石だけを標的と捉え、

空中へと跳ぶと、そのまま速やかに岩を砕き、撃破していく。

アスラ「――ッ!?」

突如迫る岩を寸前でかわし、呆気にとられるアスラ。その目先ではラクシャーサ数匹が、

岩の中に隠された結界石に押し潰され、息の根を絶っていた。

アスラ「……人間が、味な真似をしてくれる……ッ!!」
119 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:22:31.20 ID:kIZ9U/gYo
ズドオオォォォォ

大軍師「成程、カモフラージュですか」

助手「この方が効果ありそうじゃない? 相手もビックリするでしょうし〜♪」

案の定、昨日までとは同じ方法でも手段が全く異なる攻撃に、

魔王軍はアスラを始め、進軍の勢いが滞り始めていた。

アスラ「……態勢を立て直す。人間共め、一辺倒ではないようだ」

ラクシャーサ「左右から挟み撃ちにしてみてはどうでしょうか?」

アスラ「……悪くないな。正面は私が司る。試してみよ」

ラクシャーサ「はっ!」

ザザッ…ドドドドドド…

西方参謀「魔王軍が左右に展開! 騎兵、歩兵は動けるか!?」

騎士団長「いつでもいける!」

南方副司令「雑魚だけなら正面からぶつかってもある程度はもつはずだ、行くぞ!」

助手「……えっ、何!? ちょっとぉ〜!?」

大軍師「どうしました?」
120 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:23:52.30 ID:kIZ9U/gYo
ズザッ…スタッ

大軍師「……司令!?」

天才「おーおー、ドンパチ頑張ってんじゃねぇか」

大軍師「何をなさっているのです!?」

天才「……んーと、コイツでいっか」

ヨジジヨジ…ストッ

ゴロツキ「な、何するつもりなんだ……?」

天才「いいぞ、撃て」

チンピラ「――っ!?」

大軍師「何を仰っているのです!? そんな無茶な……」

天才「ほれ、早くしろ!」

西方兵「し、しかし……っ」

天才「いーから撃てって言ってんだよ!!」

ブチンッ

助手「あぁ〜っ!!」
121 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:25:28.57 ID:kIZ9U/gYo
バシュッ!!…ゴゴオオォォォォ!!

ゴロツキ「自ら縄切って……飛んでった……」

大軍師「……全く、仕方ありませんね。いいですか、司令を援護しますよ」

助手「に牽制射撃開始ー! 司令に当てないようにね〜♪」

西方兵「無茶苦茶だ……っ」

1台の投石器より発射された天才は低い弾道のまま凄まじい勢いで、

単身、空を舞いながら魔王軍の中へと突っ込んでいく。

オオォォォォ…

アスラ「岩石や結界石はいざ知らず……」

ゴオオォォォォ!!

アスラ「まさか生身の人間まで放ってくるとはな!」

天才「おっと、アスラちゃんじゃねぇか!」

アスラ「しかも……貴様かぁ!!」

天才「どーれ、必殺……ジーニアスキーックなんつってな!」

アスラ「ッ!!」
122 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:27:20.34 ID:kIZ9U/gYo
バッゴオオォォォォン!!

天才のとび蹴りがアスラの顔面に直撃する。

アスラ「ガ……ッフ!!」

天才「ハーッハッハッハ!!」

蹴り飛ばした顔を更に大きく経じき飛ばし、ラクッシャーサの群れの中へと飛び込む天才。

そして目に飛び込むは、地面に突き刺さった自身にも等しいとも言えるツヴァイハンダー。

それを両手で引き抜きながら、一回転し地面に叩きつけながら着地する。

ギュルルッ…ズッドオオォォォォン!!

先程のアスラにも負けじと地に大きな穴を開けながら、衝撃で宙へと舞い上がる

魔物らを見つめながら、天才は大声で叫ぶ。

天才「おらー! いつまで寝てんだ! さっさと起きろ!」

ズシャッ!!…ガバァ!!

南方司令「……」

西方司令「……」

天才「テメーらはモグラか! いつまでも埋まってんじゃねぇ!」
123 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/16(金) 18:33:42.49 ID:kIZ9U/gYo
南方司令「面目ない」

顔に付いた土を払いながら、南方司令は拳を鳴らしながら天才の元へと歩む。

西方司令「師匠こそいつまで寝てんだよ。蝉の幼虫かこのボケ」

首を左右に鳴らしながら、巨大な剣を担ぎ上げ、西方司令は天才の元へと歩む。

天才「なんだよ、ラーヴァナちゃんは来てねーのか」

2人の弟子を左右に従え、天才は髪を掻きあげながら1つ、深呼吸をした。

天才「昨日の礼を返してやろうかとおもったんだがなぁ……残念。ハーッハッハ!」

南方司令「あれはどうします?」

天才「弱いから興味ねーんだよなぁ。テメーらで何とかしろよ」

西方司令「望むところだ! 土付けてくれた礼は返してやらんとなあぁ!」

天才「おめーもよ、不得手な剣なんぞ使ってないで、普通に戦えよ」

南方司令「いや、数が多かったんで……」

天才「はぁ? 数が多かったら正義の拳は働かねーのかよ?」

南方司令「……正義は我にあり!!」

天才「それでいい。てめーの信念は曲げるモンじゃあないぜ? ハーッハッハ!」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/16(金) 18:43:02.15 ID:kIZ9U/gYo
久々の3連休だぁ…また後ほど来ます〜
ご支援ありがとうございました!それでは!ノシ
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/16(金) 18:44:51.32 ID:uHmNanHUo
乙!
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/16(金) 19:18:58.41 ID:vIVhDTXAO
>>1

天才さん…良いんですかジーニアス名乗っちゃって…
って、もう周知なんだっけ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/09/16(金) 21:37:53.61 ID:KOgqRlOlo
投石機にヨジヨジ登る天才に萌えたw
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/17(土) 01:36:18.12 ID:iyK79RtAO
>>1おつ

投石機で飛んでる天才はスーパーマンみたいな格好で飛んでそうだな
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/09/17(土) 02:03:25.39 ID:Q42yaHHOo
スーパーマン
→光魔法かっこいいポーズ(でアスラちゃんと会話)
→ライダー(ジーニアス)キック

きっとだいたいこんな感じ
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/17(土) 02:23:30.24 ID:QiqXQJlDO
>>1乙!
天才……驚異的な速度で回復してるんだよな……?
全身骨折のまま戦ってるとかじゃないよな?

ああ…見てて心配になる……
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/17(土) 11:17:14.12 ID:eclsdU1IO
あんた手ェかせっていうくらいだから
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 05:26:53.83 ID:QjQkszbDO
回復はしてないだろうな
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 09:07:51.38 ID:XnPPNADDO
だが、それでも天才なら
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/18(日) 20:22:20.86 ID:5Mquj6qDO
やってくれる。
135 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/18(日) 23:30:22.04 ID:apJl54/5o
ラクシャーサ「アイツら……い、生きてやがったのか!」

アスラ「お……のれぇ……っ!!」

天才「ラーヴァナには!?」

南方司令「別働隊があたっています。城へ直でね」

天才「なるほどな」

西方司令「おい、まさか行く気じゃ……」

天才「いいからさっさとアスラ片付けて来い!」

西方司令「!?」

バッ

天才「先行ってんぞ! ハーッハッハッハ!」

西方司令「おいコラ!!」

南方司令「相変わらずだな。まぁ、あの人なら大丈夫だろうが」

西方司令「……だといいがなぁ」

南方司令「……?}

西方司令「気付かーのかバカ。とても普通に戦える状態じゃねぇぞアレ」
136 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/18(日) 23:31:05.62 ID:apJl54/5o
タタタッ…ズキィ

天才「……っ」

ラクシャーサ「何だこの人間は!?」

天才「どけどけどけぇ!!」

ズガシュウウゥゥ!!

天才「……ぐっ!」

ズザザッ…フラッ

天才「おいおい……ハーッハッハッハッハ!!」

ラクシャーサ「グワアアァァ!!」

天才(情けない話じゃねーかよ)

ラクシャーサ「何だコイツ……強えぇ!!」

天才(五行全開でこんな雑魚共に手間取ってんのかよ……っ)

ラクシャーサ「この先何十万いると思ってんだぁ!? まさか1人で突破する気か!?」

天才(正直ラーヴァナの力は予想外だな。正面からぶつかって勝てる相手じゃねぇ)

ラクシャーサ「どこまで押し込まれてんだ! 全員で囲め!」
137 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/18(日) 23:32:59.01 ID:apJl54/5o
天才「ウザってぇんだよ……オラアアァァ!!」

ドッガアアァァァァン!!

天才(別働隊が向かってるって事は、作戦通り遠距離射撃か……)

ラクシャーサ「人数かけても意味ねぇなんて……コイツ本当に人間かよ……ッ」

天才(選択は間違ってねぇな。ラーヴァナ討つにゃそれっきゃねぇわ)

ラクシャーサ「グハアアァァ!!」

ドシャアァ

天才今回は俺様も……役に立てそうにねぇわな……ははっ)

ラクシャーサ「くっそ……っ、これ以上進まれるとシヴァ様の下へ……」

天才(だがなぁ……予言でハッキリ出てんだよ。俺様は死なねぇ)

ジャキッ…グググッ

天才「死ぬのはラーヴァナ……てめぇだ!!」

ゴッシャアアァァァ!!…ドドオオォォォォン

天才「……よう、アンラちゃんが居なくなって……寂しそうだなぁハーッハッハ!」

シヴァ「……[ピーーー]」
138 : ◆1otsuV0WFc [sage]:2011/09/18(日) 23:34:39.13 ID:apJl54/5o
天才「だーれを[ピーーー]って?」

シヴァ「貴様だ!」

土煙と共にシヴァの体が宙を舞う。標的は無論、目の前に現れた人間、天才だ。

シヴァの右拳が大きく振りかぶられ、地面へと叩きつけられた。

その瞬間、拳に纏った竜巻が地面を抉り取り、周囲を丸ごと吹き飛ばした。

ゴゴウッ!!…ズッガアアァァァァン!!

天才「おっほー、すげぇ威力だ事!」

シヴァ「オアアアアーッ!!」

右拳に続き、左拳、そしてまた右拳と左右交互に何度も放たれる突き。

その度に巻き起こる竜巻が破壊の限りを尽くし、暴れまわる。

シヴァ「ガアアアアァァァァ!!」

天才「ハーッハッハッハッハッハ!!」

ガッキイイィィィィン!!

シヴァの拳と天才のツヴァイハンダーが何度も激しくぶつかりあった。

纏う風を弾き飛ばし、五行輝く刃がシヴァの両拳を痛めつける。
139 :saga忘れてた… ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/18(日) 23:35:45.43 ID:apJl54/5o
バッゴオオォォォォン…ズザザザザアアァァ

シヴァ「……ッ!!」

天才「ハッ、ハッハッハッ……ハッ」

いつものように笑い声を上げているわけではなかった。その発する息は、

明らかに息を切らせた、普段の姿からは想像も付かないものであった。

それでも、満身創痍の状態でも、天才はシヴァ相手に優勢を保っていた。

シヴァ「こ……の人間風情がぁ!!」

天才「魔王様でもねぇ、テメーみてぇな雑魚の後塵拝するわけねーだろうがよぉ!」

キュイイイィィィィ!!

天才「ここまできたら俺様とてめぇ、どっちかが死ぬまでガチンコ続けるだけだ」

シヴァ「……ッ」

天才「もっとも、死ぬのはてめぇだって分かってるけどな!」

シヴァ「ゴチャゴチャとぉ……ッ!」

天才「そう時間もかけてらんねぇし……ありがたく思え、フルパワー見せてやるよ」

不気味な自信を放つ1人の人間に、シヴァは得も言われぬ恐怖を感じていた。
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/19(月) 00:40:34.44 ID:3Pdoz/JAO
>>1おつ
141 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/19(月) 01:22:39.77 ID:s/RD/3A7o
〜東の町〜

ドオオォォォォン

南方参謀「さっきから魔王軍の後方で何か起きてるわね……」

西方参謀「いやそれより……さっき人みてーのが射出されなかったか?」

西方副司令「これだから酔っ払いは……」

大軍師「いえ、見間違いではありませんよ」

テクテクテク

南方参謀ちょっと、どこに行ってたのよ!」

大軍師「先程、司令が投石器から出撃致しました」

西方参謀「……いや、意味が分からん」

ゴロツキ「だから、こう……ビョーンって……」

西方副司令「ますます分からないわ……」

大軍師「とにかくです、敵の指揮官はこれで抑えられるはずです」

西方参謀「今のうちに雑魚共を殲滅出来るって事か?」

大軍師「はい。左右からの迎撃部隊は既に出ているのですね?」
142 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/19(月) 01:23:56.01 ID:s/RD/3A7o
〜東の町、外部〜

ドドッドドッドドッ

騎士団長「いけぇーっ! 深入りはするな、押し込めば良い」

頭上にかかげた長剣を振り下ろすと、それを合図に騎兵が横に広がり、

ラクシャーサの群れに対し、槍を構えて突撃を開始した。

縦横に振られる槍に慌てふためき、魔王軍は1度の突撃に対し、

数十匹が負傷し、止む無く後方へと退いていった。

南方副司令「流石は騎士団長。こちらも東には負けていられんぞ!」

騎兵「おぉう!!」

東側の騎士団長による突撃が南方軍の士気を更に高める。

西側の南方副司令率いる騎兵もそれに負けじと、突撃を開始した。

先頭を駆る南方副司令の大きなハンマーが馬上から振り下ろされ、

1匹、また1匹とその餌食となって、悲鳴をあげながら倒れていく。

それを後方の騎兵が踏み潰すかの勢いで疾走に、こちらもやはり敗走し始めていた。

当初の予定通り、魔王軍は中央へと徐々に押し込まれる形となった。
143 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/19(月) 01:24:46.39 ID:s/RD/3A7o
ドドドドドド…

西方司令「やるじゃんかよぉ! 他の連中もよおおぉぉぉ!」

南方司令「あとは我らがここで、この者を止めねばならぬ」

アスラ「……」

西方司令「いよぉ旦那ぁ! 昨日は世話んなったなぁ!!」

南方司令「前方へも後方へも、貴様は進ませはせんぞ」

アスラ「……どいつもこいつも……イラつかせる!!」

左足を1歩下げ、力を加えると同時に、正面の南方司令、西方司令が

有無を言わさぬ勢いでアスラめがけ真っ直ぐ突進した。

アスラ「ハアアァァァァーッ!!」

力を入れた足で地面を蹴ると、アスラはその2人へぶつかるかのように、

一気に直進し、前宙から右足で飛び蹴りをそのまま繰り出した。

南方司令「西方司令っ!」

西方司令「おうよ!!」

アスラの飛び蹴りと南方司令の右拳が直線上でぶつかる。
144 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/19(月) 01:25:33.03 ID:s/RD/3A7o
南方司令「押し……返す!!」

アスラ「グヌウウゥゥゥゥ!!」

ズガガガガッ!!

アスラの一撃を食い止めた南方司令はその場に膝を着くが、

その背後より跳躍した西方司令の両手から、巨大な剣が振り下ろされる。

アスラ「――ッ!!」

西方司令「死ねやこらああぁぁぁぁ!!」

バッギャアアァァァ!!…ドゴオオォォォォン!!

アスラ「ガフ……ッ!」

腹部を直撃し地面へ叩きつけられるアスラへ更なる追撃が襲う。

南方司令は片足立ちの状態から下半身へ力を加えると、そのまま跳び上がり、

先程のアスラ同様、右拳を大きく振りかざす。

南方司令「ジャスティイイィィィス……パアアァァァァンチイイィィィ!!」

ギュオォッ!!…ドッズウウゥゥゥゥン!!

アスラ「ゴブゥ……ッ!!」
145 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/19(月) 01:26:47.38 ID:s/RD/3A7o
南方司令の拳がアスラの顔面へ深くめりこんだ。

西方司令「まだまだだぞこるあぁ!!」

巨剣を振り上げ、再びアスラの腹部へと叩きつける西方司令。

ゴッシャアアァァァァ!!

南方司令「ジャスティス…キーック!!」

西方司令「死ねや死ね死ね死ねコラアアァァ!!」

交互にアスラを痛め付ける2人の司令。アスラはその猛攻に溜まらず間合いを取り、

流れる血を振り払うと咆哮をあげ威嚇する。

アスラ「ゴアアアアアァァァァーッ!!」

ビリビリビリッ

アスラ(先程までと強さが違う……ッ。何なのだこれは……)

手を抜いていたわけではない。南方司令、西方司令共に、リミッターが外れたのだ。

それは南方軍の先程見せた突撃により士気上昇と、天才の存在である。

西方司令「お師匠や他の連中があんだけ頑張ってんだ」

南方司令「我らが易々とやられているわけにはいかないな」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 01:36:44.51 ID:udbddNzIO
燃えてきたぁぁ!
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/19(月) 02:20:03.17 ID:sHYBRwsAO
みんな超頑張れ
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/19(月) 04:36:14.35 ID:voknqV/F0
いちおつ
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/19(月) 08:37:05.88 ID:7jHOiBIDO
ここ何日か燃えっぱなしだぜ
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/20(火) 01:05:24.74 ID:YtAssdnAO
>>1おつ
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/20(火) 08:32:07.65 ID:apUcHbwAO
>>1

それでもきっと西南司令はピッコロポジションだと信じてる
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/20(火) 13:57:57.52 ID:jXEoM00IO
熱いバトルに濡れるっ!
いちおつC
153 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:23:28.94 ID:EKu+XmzUo


戦闘は熾烈をきわめた。午後になると双方被害は減少したものの、

互いに牽制が増え、一進一退の攻防が繰り広げられ、数時間にも及んだ。

本陣のある東の町もさる事ながら、前線にて軍団長と対峙する3名の師弟は、

それらを上回る体力と精神力を消費し、本陣への侵入を防ぐ事に専念していた。

ガキイイィィン!!…ズザザザザァ

西方司令「くっはあぁーっ!!」

南方司令「2人がかりで陥ちぬとは……やはり、一筋縄ではいかぬか」

アスラ(彼奴ら、この小さな体のどこにこれ程までの力を蓄えておるというのだ……ッ)

昨日の失態を踏まえつつ、己が攻撃を仕掛けつつも、左右から東の町へと進軍する

ラクシャーサの大群へと目を配らせている為、個としての全力を出せずにいるアスラ。

西方司令「クソが! このままじゃ日が暮れちまうだろうがよぉ!」

最早、剣とは言い難いくらいに刃こぼれが酷く、打撃武器と化した巨剣を担ぎ上げ、

その苛立ちを自身、はたまた南方司令への叫びとして声を荒げる西方司令。

南方司令「……」
154 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:24:05.96 ID:EKu+XmzUo
両拳からは流血し、対峙直後に浴びたアスラの一撃にて既に右腕には傷を負った南方司令。

西方司令の叫びを耳に入れつつも、その右腕を見つめ、目線を再び敵へと向ける。

南方司令(西方司令が言っていた、師匠が五行を開放しっ放しで戦っていると……)

アスラ(1の策はこの2匹を殺し、後方のシヴァと合流し、もう1匹も始末する)

南方司令(それに加え、私はおろか、西方司令とて負傷している事は明白)

アスラ(2の策はこの2匹を捨て置いて、人間の本陣へと突入する)

南方司令(敵はさほどダメージを負ってはいないが、部下に神経を配っている以上踏み込めない)

アスラ(だが、どちらもラクシャーサを捨てる事に相成る)

南方司令(このまま継続か……さすれば時間稼ぎにはなる。その間に……)

アスラ(昨日までならいざ知らず……30万以上の兵を預かっている身とものれば……)

南方司令(赤壁からの援軍が到着すれば、前線への負担も軽減出来る)

アスラ(私は……ラーヴァナ様の代わりなのだ……ッ)

南方司令(ここはこう着状態に持ち込んで退かせるが得策)

アスラ(強攻策は取れない。時間はある。日没まで様子を見て、一旦退かせるか)

理由は違えど双方の思惑は一致し、故に戦線は膠着状態のまま、時間は経過していた。
155 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:24:35.71 ID:EKu+XmzUo
ガシュウウゥゥゥゥ!!

天才「ハァーッ、ハァ……はぁ……はぁ……」

シヴァ「ヌグウウゥゥゥ……ッ!」

天才「……ハーッハッハ、どうしたよ? 随分と苦しそうじゃねぇか」

シヴァ「そういう貴様こそ、全力ではなかったのか? たかがしれてんぜ」

天才「……んだとコラ?」

シヴァ「所詮は人間よ、1匹の力など恐るるに足らんというわけだ」

天才「殺す!」

シヴァ「何度聞いた事か! いい加減……貴様こそ死ねぇい!」

徴発に乗ったわけではないが、天才は無心でシヴァへと突撃していた。

怪我人として他の者らに迷惑を掛けては要られぬ思いが1つと、

軍や重責を背負わずに、ただ1個人として戦える機会が訪れた事、

この2つが天才の闘争心をかき立て、シヴァの徴発が後押しするような形となったのだ。

天才「五行……聖!」

シヴァ「!?」
156 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:25:03.46 ID:EKu+XmzUo
眩い光を放ったツヴァイハンダーの刀身が、シヴァの腹部を側面から捉えた。

シヴァは必死で後方へと間合いを取るが、その巨大な刀身はシヴァの間合いを容易く捉え、

とても避けきれるものではなかった。そこでシヴァは咄嗟に、左足を大きく前に突き出した。

その足で天才を蹴り飛ばすと、ツヴァイハンダーは左足首を一閃し、シヴァの左足は落とされた。

と、同時に、天才は蹴りの反動で転がるように突き飛ばされ、地面に身を擦り付けられた。

ザシュウウゥゥ!!…ズザザザザザアァ

シヴァ「――ッ!!」

天才「がっはぁ……っ、はぁ……はぁ……っ、はぁ」

シヴァ「貴……様ぁ……ッ!!」

天才「結構シンドイがよ、割と清々しい気分なんだよな……ハーッハッハ」

シヴァ「よくも……タダでは済まさんぞおぉ!!」

天才「やーっと若いのも育ってきた。総司令としての俺様もいよいよを以ってお終いだ」

シヴァ「ぶっ殺す!!」

天才「総司令の復活はあと1度。それまでは最強ワーカー……天才様の全開だああぁぁ!!」

更なる五行を蓄え、付加したツヴァイハンダーを掲げた瞬間、天より巨大な雷が降り注いだ。
157 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:25:34.22 ID:EKu+XmzUo
天才「何ぃ――っ!?」

シヴァ「――ッ!!」

初撃の落雷はシヴァの動きを制止させる、もう少し言葉を付け加えるなら、

本攻撃に向けた照準を定める為の、標的を麻痺させる為の落雷であった。

キュイイィィィィ

シヴァ(まさかこの雷……ッ!! 間違いない……奴かああぁぁ!!)

2撃目の雷は明らかに初撃とは打って変わったものであり、その轟音、放出量、大きさ、

全てにおいて、1撃目に放たれたものとは比べ物にもならぬ光の裁きであった。

天才(っざけんなバカヤローが!!)

巻き添えを避ける為に天才は必死でその場を離脱する。一瞬視界に入ったシヴァの姿が、

ふと、視界から途切れ、そこへ新たな魔物が目に飛び込んだ。

天才(アジ・ダハーカ!?)

アジ・ダハーカ「グゴオオォォォォーッ!!」

ドッスウウゥゥゥゥン!!

シヴァ「――ッ!!」
158 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:26:09.19 ID:EKu+XmzUo
シヴァを体当たりで突き飛ばし、その勢いで落雷の麻痺から開放すると共に、

己自身と次の本攻撃を避ける為に、突き飛ばされた威力そのまま、後方へと退く2匹。

その直後、戦場へ2撃目となる本攻撃の轟雷が、上空より地面へと撃ち放たれた。

チカッ!!……ズッゴゴオオォォォォン!!

天才「――っ!!」

とてつもない爆風と電撃が辺り一面へと散る中、天才やシヴァらはおろか、その周囲に点在する、

進軍中のラクシャーサらをもその衝撃にて吹き飛ばされた。

結果、雷の落ちたその周囲には、おびただしい量の粉塵と、生えていた草木へ電撃が迸り、

その影響で発火した炎がゆらめくのみであった。

パラパラパラッ…ゴトッ

アジ・ダハーカ「グウウゥゥゥゥッ」

シヴァ「……イ、インドラ……ッ」

岩をどけて起き上がるシヴァは、目を細めて上空を見つめたが、落雷を放ったと思われる者は、

既にそこにはなく、立ち昇る白と黒の煙が周囲を漂っていた。

苦虫を噛み潰したような表情をしたシヴァは、無言のままその場を離脱した。
159 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:26:37.98 ID:EKu+XmzUo


天才(……何が起きた?)

暗闇の中でゆっくりと目を開けた天才は、まず頭の中でその言葉が浮かび上がった。

天才(確か……サルワと交戦してて……んで、仕掛けようと思ったらいきなり落雷が……)

状況を把握してゆく中、徐々に身体にも変化が訪れる。

ズキィ!!

天才「……っ!!」

身動きの取れぬ状態。それは身体にダメージを負ったから、というわけではなかった。

天才(……岩、か? どうやら埋まっちまったみてぇだな……っ)

爆風の衝撃で岩石の下敷きとなってしまった天才は、身動きを封じられていたのだ。

天才(ったく、しかたねぇな……)

グググッ…ググッ

天才「……おいおい……っ、これしきの……岩ぁ……っ」

グググッ…ガクンッ

天才「――っ!?」
160 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:27:34.31 ID:EKu+XmzUo
岩を持ち上げようと両手を上げるが、岩はやや動くものの、移動するには至らなかった。

今度は両足も用いて岩をなんとかしようとするが、これもやはりうまくはいかない。

天才「……冗談じゃねぇぜ……おいおい」

思いの外、ダメージを負った天才の肉体。自力での脱出も困難な状態であった。

天才「……ん……ぬおおぉぉぉぉ!」

グググッ…ググッ…グッ…

天才(……ははっ、俺様とした事が情けない限りじゃねぇか……!)

苦笑する天才はやがて、両手両足の力を抜き、暗闇の中でゆっくりと目を閉じた。

天才(はぁ……単身で良かったわ。こんな情けねぇ姿、誰にも見せらんねーよ……)

背中にあたるツヴァイハンダーを、居心地悪そうにもぞもぞと姿勢を整え、仮眠に入る。

天才(ひとまず休憩だ。あの威力じゃサルワもすぐには動くまい……)

体力を戻しつつも現在、そして明日以降の作戦の為、天才の脳内は目まぐるしく働いていた。

天才(読みが正しければ今日の交戦はこれで終わる。そして……勝負は明日……)

次第に呼吸を整えると、天才はそのまま眠りについた。

そして訪れる日没と同時に、彼の読み通り、4日目の交戦は終わりを迎えた。
161 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:28:08.54 ID:EKu+XmzUo


アスラ(これ以上はやはり戦う意味がない。後方の混乱も放ってはおけぬしな)

ザッ

西方司令「んだぁ!? 逃げるかコルァ!!」

アスラ「逃げる? 違うな、助かったのは貴様等であろう?」

西方司令「何だとぉ!!」

南方司令「待て」

西方司令「あぁ!?」

アスラ「其方の人間は多少、頭が働くようだな」

西方司令「馬鹿にしてんのかテメーは!! 死ね!!」

アスラ「今日で貴様等の行動は理解した。明日は……覚悟しておくが良い」

ススッ…バッ!!

西方司令「待てコラ逃がすかああぁぁ!!」

南方司令「待てと言っただろう、深追いするな!」

西方司令「じゃあこのままみすみす逃がせってのかぁ!? あぁ!?」
162 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:28:36.70 ID:EKu+XmzUo
テクテクテク…グイッ

西方司令「!?」

南方司令「今日はもういい。その方がこちらにとっても好都合だ」

西方司令「ひ、ひいいぃぃぃぃ! 死ぬううぅぅ!!」

南方司令「そうそう、死ぬから今日はもう退くぞ」

西方司令「はああぁぁぁぁ!!」

ラクシャーサ「後退だっ! 全員、速やかに後退ーっ!」

騎士団長「……敵が退いていくな。今日はこれまでか」

騎兵「追いますか?」

騎士団長「いや、無用だ。余計な被害を出す事もあるまい」

騎兵「了解であります!」

ドドドドドド…

南方副司令「敵さん退いたか。なかなかやるな。こちらも動く気配はないようだし兵を退くぞ」

南方兵「はい!」

アスラ主導の下、ラクシャーサ全軍においても撤退を始めた。
163 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:29:05.87 ID:EKu+XmzUo
〜東の町〜

南方参謀「撤退したわね……」

大軍師「ええ、そのようですね」

西方参謀「奴ら、思ったより手強いな」

大軍師「力押しで来るかと思いましたが、ラーヴァナはどこまでも真似事がお好きなようで」

西方参謀「気味悪いな、まるで……人間の軍隊を相手にしているようだわ……ヒック」

大軍師「あながち間違ってはいないでしょうね。余計な入れ知恵をしてくれたものです」

南方参謀「……?」

大軍師「さて、兵器の射出物を回収に入りましょう」

南方参謀「そうね、弾数も底を尽きそうだし、回収出来る者は再利用しましょ」

西方司令「射出人も回収か?」

南方参謀「そういえば……っ。総司令、無事かしら……」

大軍師「……帰還を待ちましょう」

西方司令「戻らなかったら?」

大軍師「総司令時代から何百回と出撃致しましたが、1度も帰って来なかった事はありませんよ」
164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:29:32.84 ID:EKu+XmzUo
西方参謀「そりゃそうだが、今回はケースが違うだろ」

大軍師「……」

西方参謀「怪我した状態で単身出て行って、軍団長とぶつかってる」

大軍師「……」

西方参謀「そもそも、五ヵ年最後の年だからってあれ、ほとんど休んでないだろ……ヒック」

大軍師「では、貴方は司令に何かあったと申したいのですか?」

西方参謀「お前も見ただろ? さっきの落雷。あれは自然なものじゃねぇ、明らかに魔法だ」

大軍師「……」

西方参謀「しかも、とびっきりの、人間のモンじゃあない。魔物のモンだ……ヒック」

大軍師「間違いないでしょう」

西方参謀「この戦場は奇妙だ。どうも普通じゃない。だからこそ心配なんだよ」

大軍師「では、総司令を止められますか、あの方抜きで魔王軍を抑えきれますか?」

西方参謀「……予言か。まぁお前さんが言うなら、俺はこれ以上口出ししねぇさ」

大軍師「ハッキリと諫言する。貴方のそういう所……私は好きですよ」

西方参謀「野郎に褒められてところで嬉しくも何ともねーよ……ヒック」
165 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:30:00.56 ID:EKu+XmzUo
日没より30分も経たないうちに、魔王軍は東の町より後退し、

2キロ程度離れた平野に横一列で布陣を敷いていた。

人間側へ隠す事もなく松明の灯りや武器、そして瞳と牙や爪を月明かりに光らせて、

東の町から眺める一同を恐怖と不安へとかき立てていた。

ザッザッザ…

南方司令「まだ……戻らんのか?」

南方副司令「これから捜索隊を出すつもりだ」

南方参謀「司令は見かけなかったの?」

南方司令「出現から数分で姿を消したからな。かなり敵陣深くいったように思える」

西方参謀「総司令が死ぬタマかよ。そうだろ?」

大軍師「……帰還を待ちましょう。我らにはまだやるべき事が残っているはずです」

西方参謀「そうそう、人様の心配もいいが、自分達の心配した方がいいぜ……ヒック」

大軍師「おそらくですが、明日は総力戦となるでしょう」

西方副司令「あっちも決着を付けようって考えね」

南方副司令「なぁ、夜襲なんかは考えられないか?」
166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:30:34.03 ID:EKu+XmzUo
南方参謀「確かに気になるところね」

大軍師「いえ、今宵はないと思いますよ」

騎士団長「断言出来るのか?」

大軍師「断言、と言われますと難しいところですね」

西方参謀「夜襲があるならハナっから夜に仕掛けてるはずじゃねぇか?」

南方参謀「確かにそうね。魔物は夜の方が得意なわけだし」

南方副司令「それをしないって事は……何かあるな」

大軍師「気づきませんか?」

西方副司令「え……っ?」

西方参謀「……そうかっ! 畜生……最初からそういう魂胆かよ……っ」

南方司令「どういう意味だ?」

西方司令「ひいいぃぃ!! 明日は満月……もう終わりだああぁぁぁぁ!!」

西方副司令「あ……っ!!」

大軍師「夜襲は明晩、しかも魔王ラーヴァナ直々に出陣する事でしょう」

南方参謀「道理で時間を掛けてくるわけよ! やってくれるじゃない魔王軍……っ!」
167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:31:20.18 ID:EKu+XmzUo
〜ラーヴァナの城〜

アスラ「……」

ラーヴァナ「今日も陥ちぬ、か。人間もなかなか頑張るではないか。楽しみな事だ」

アスラ「……ラーヴァナ様、やはりご自身で出られると……?」

ラーヴァナ「アスラ、貴様に慎重策を取らせた意味、分からぬとは言わせんぞ?」

アスラ「……明日は満月です」

ラーヴァナ「ふっふっふ。ところでシヴァの姿が見えぬが……まさか死んだか?」

アスラ「いえ、そうは思えませぬが……」

ラーヴァナ「失踪……逃亡か? いや、まさかな。まぁ良い、好きにやらせてやれ」

アスラ「その件について、1つ気掛かりが……」

ラーヴァナ「申してみよ」

アスラ「人間との交戦中、上空より巨大な落雷が起こりました」

ラーヴァナ「落雷……」

アスラ「インドラの仕業かと」

ラーヴァナ「……ほぉ」
168 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:31:55.40 ID:EKu+XmzUo
アスラ「人間以上に厄介となる可能性もあります」

ラーヴァナ「全く、アンラ・マンユも余計な遺物を残してくれたものだ」

アスラ「奴の……インドラの矢は、ラーヴァナ様の身へも危害を加えかねません」

ラーヴァナ「確かになぁ。あれは厄介なものよ……」

アスラ「……もし、ラーヴァナ様がご出陣なされるのであれば、私はインドラに注力する事となります」

ラーヴァナ「スグリーヴァが消えた今、インドラを撃てば最早、南に厄介者は居らぬなぁ」

アスラ「必ずや、ジャガーノートをお傍から離さぬよう」

ラーヴァナ「フハハッ! アスラ、貴様の思慮深さには感心させられる」

アスラ「……」

ジャガーノート「……ゴフゥ」

ラーヴァナ「ん? どうしたジャガーノート。貴様も昂っておるのか?」

城の外部をじっと見つめるジャガーノート。闇夜は月に照らされ、連なる山々を写し出していた。

ラーヴァナ「さぁて、明日はいよいよ本番だ。それまでは下手な事をさせるなよ?」

アスラ「はっ。ラクシャーサにもシヴァにもきつく申し付けておきまする」

戦場へ戻るべく姿を消すアスラを見送り、ラーヴァナは高らかに笑った。
169 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/20(火) 18:33:32.86 ID:EKu+XmzUo
ホーッホーッホーッ

盗賊「……っ」

錦将軍「何だ……今の、見られたような感覚は……っ」

弟者「まさか……バレたか?」

兄者「いや、それはあるまい。この距離では例え魔王ですら勘付くとは思えぬ」

白馬騎士「あのぼんやり見えるのがラーヴァナの城ですか?」

ラクシャーサ「あ、あぁ……っ。悪いが俺達はもうここまでにしてくれ……ッ」

山の頂上から遠方にある米粒のような城を、一同は息を飲み込み眺める。

青年兵「本来は闇に乗じたいところですが、流石に情報もなく進むのは愚策です」

青龍士官「青年兵の言う通りだ。ここはひとまず、様子を伺った方が良い」

1人も欠かせぬ討伐隊だからこそ、慎重に為らざるを得ない事は全員が承知の上であった。

故に反論は一切なく、各々はその刻に備えて下準備を進め、身体を休めるに留まった。

戦士「……いよいよだな」

盗賊「ああ」

魔道士「絶対に失敗は出来ませんね……っ、頑張りましょう!」

召喚士「……ええ、頑張りましょう」
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/20(火) 18:34:32.72 ID:EKu+XmzUo
それではここまでにて失礼致します
ご支援ありがとうございます!それではまた!ノシ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/20(火) 19:25:01.90 ID:YtAssdnAO
>>1おつ
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/20(火) 19:53:47.44 ID:Vd+A1dEAO
>>1
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/20(火) 20:58:13.11 ID:apUcHbwAO
>>1

俺は天才だぁ〜!とか名乗っちゃった時はカマセ臭がハンパなかったけど
本当に頼りになる男だな天才さん

ゴルリンらへんでちょっと苦戦してるようにも見えたけど
本当に頼りになる男だな天才さん
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/21(水) 03:28:54.17 ID:8mJ5cZIB0
1乙
インドラすごいなあ、魔王にもやっかいって言われるほどかよ
175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:06:24.31 ID:spBp7Gwoo


ザッ

剣士「お疲れ様。見張り変わろうか?」

召喚士「……剣士さん」

手にした軽食と飲料を渡し、剣士は召喚士の横へ腰掛ける。

剣士「いよいよだね」

召喚士「はい。頑張りましょう」

剣士「召喚士くんは流石だね」

召喚士「……?」

剣士「いや、この状況でも冷静さを保っててさ」

召喚士「そんな事ないですよ。ほら、見て下さい」

小刻みに震える手を広げ、召喚士は剣士の正面へと突き出す。

剣士「召喚士くん達は、魔王や軍団長と何度も戦ってきたよね。それでも……」

召喚士「何度戦ったってやっぱり怖いですよ。自分が強くなれななる程、余計に感じます」

剣士「そっか……」
176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:07:28.24 ID:spBp7Gwoo
召喚士「剣士さんは怖いですか?」

剣士「……もちろんさ。自分が死ぬ事もそうだけど、それ以上に弓使いや幼女の事を考えるとね」

召喚士「……っ」

剣士「だから、どんな小さなミスも許されないし、皆の気持ちが団結しないと駄目なんだ」

召喚士「剣士さんの言う通りです」

剣士「それぞれが出来得る限りの事を遂行して任務達成に導く。言わばチームワークだね」

召喚士「……昔、剣士さんが言ってた言葉、今でもずっと響いてます」

剣士「言葉?」

召喚士「人の力。仲間の力が今、本当に大切なんだなって改めて感じてますよ」

剣士「あぁ、そんな事もあったね。もう随分と前の話になるかな」

召喚士「5年ですもんね、長い付き合いです」

剣士「そうだね。最初はお互い、自分達の事で精一杯だったね」

召喚士「今もそうですよ」

剣士「そんな事はないさ。君は既に、人の為に戦っている」

召喚士「……」
177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:08:12.87 ID:spBp7Gwoo
剣士「損得抜きに、誰かの為、世界の為に戦ってるんだ」

召喚士「そう……ですかね」

剣士「僕は君達に何度も助けられ、何度も世話になった」

召喚士「こちらこそ……」

剣士「今僕や弓使いがこうして生きているのも、君達のお陰なんだ」

召喚士「そんな事っ……」

剣士「僕らだけじゃない。召喚士くんに救って貰った人は沢山いるよ」

召喚士「……」

剣士「ねぇ?」

召喚士「……?」

ザッザッザ

青年兵「僕もそうですよ、召喚士さん」

召喚士「青年兵くん」

青年兵「剣士さんの仰る通りです。ここまで来られたのは召喚士さんのお陰です」

召喚士「そ、そんな……」
178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:09:08.52 ID:spBp7Gwoo
青年兵「勝手ですけど、僕は召喚士さんを兄のように、そしてライバルのように思っています」

召喚士「青年兵くん……っ」

青年兵「そして仲間であり、友人であり、師匠でもあり……特別な存在なんです」

召喚士「……う、うぅ」

青年兵「5年前のあの時、召喚士さんと出会って、僕の召喚士としての人生は変わりました」

召喚士「……」

青年兵「出会っていなければ、国軍の一青龍兵で終わってましたよ」

召喚士「違うよ、青年兵くんは素質があったからこそ今の立場に……」

青年兵「少なくとも、短期間でここまで来られたのjは召喚士さんのお陰ですよ」

召喚士「……」

剣士「だkら僕は、もしどうしようもなくなった時には、死んでも君を守る」

青年兵「僕もです。召喚士さんは絶対に必要な存在ですから」

召喚士「駄目だよっ、そんな事は……」

剣士「ははっ、もちろん死ぬつもりはないよ。万が一の話さ」

青年兵「はい。誰1人だって死なせるつもりは毛頭ありません」
179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:09:37.39 ID:spBp7Gwoo
召喚士「剣士さん……青年兵くん……っ」

剣士「君が居てくれるだけで頼もしい。それぐらい大きな存在だって事、忘れないで欲しい」

青年兵「召喚士さんは救世主なのかもしれませんね」

召喚士「……っ」

剣士「それじゃ、見張りは僕が代わるから」

召喚士「で、でも……」

青年兵「僕らは仮眠も取りましたし、召喚士さんも休んで下さい」

召喚士「……っ。じゃあ、お言葉に甘えて……っ」

剣士「ゆっくり休んでくれ」

青年兵「おやすみなさい」

召喚士「……おやすみなさい」

テクテクテクテク…

召喚士「……」

2人の言葉が頭から離れなかった。誰かの為にやってきた事ではないにしろ、誰かを救っていた。

その事が召喚士の心に溜まった不安を、ほんの少しだけ軽くした。
180 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:10:10.68 ID:spBp7Gwoo
〜東の町〜

南方兵「動きはないな!?」

西方兵「ないけど……不気味なモンだぜ……っ」

防壁の上から闇の先に蠢く光に目を凝らしながら、兵らは小声で不安を吐き出す。

わずか2キロ程度の距離に控える数十万の魔物。その動きははっきりとしたものではないにしろ、

見張りを務める彼らの目にも存在が確認出来る程度には映っている。

ザッザッザ

南方副司令「兵もかなり疲労が見えているな」

南方参謀「こう取り囲まれていては、精神的な疲労が大きいわね……」

南方副司令「ああ。連日の勝利で士気は高いし、食糧や物資も問題はないしな」

南方参謀「負傷者も予想以上に抑えられているわ。ここまでは明らかに順調」

南方副司令「問題はここからだ。さっさと決めてくれないとな」

南方参謀「そうね。この状態が数日も続けば、明らかに士気も落ちてくるわ」

南方副司令「赤壁の増援が来たところで、ここの士気が低けりゃ連携も取れん」

南方参謀「……頼むわよ、討伐隊のみんな」
181 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:10:48.74 ID:spBp7Gwoo


ザッザッザ…

南方司令「……捜索隊は?」

大軍師「何度か往復しておりますが、今のところ何も動きはありませんね」

西方司令「まさか……ひ、ひいいぃぃぃぃ!!」

西方副司令「大丈夫よ、ねぇ……そうでしょ?」

占い師「あの人は大丈夫よ。私を信じて」

南方司令「君が言うなら間違いない。ならば、安心して待つとしよう」

大軍師「分かっているとは思いますが、これ以上は時間を掛けていられません」

西方参謀「だわな。増援が到着次第、仕掛けた方がいいな……ヒック」

西方副司令「でも仕掛けるって、ここには貯水池もないしどうやって殲滅するの?」

南方司令「力押しか? 被害が甚大だぞ?」

大軍師「……火計、ですかね」

西方副司令「それは無茶ですよ、今は東南の風が吹いてますから火を使えば……」

南方司令「全てこちらに降りかかってしまうぞ」
182 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:11:25.14 ID:spBp7Gwoo
大軍師「簡単な話です。吹かぬなら吹かせるまでですよ」

占い師「!?」

西方参謀「だわな。まぁもっとも、簡単な話とは思えないけれどな」

西方副司令「吹かせるって……そんなおまじないみたいな事出来る訳……」

大軍師「まじない……それは面白いですね。天に祈ってみましょうか、ふふふっ」

南方司令「任せて良いのか?」

大軍師「お任せ下さい。その為の……軍師ですから」

カツカツカツカツ…

騎士団長「伝令が到着したぞ。明朝には赤壁の増援も到着するようだ」

西方参謀「整ったな」

大軍師「ええ、ではいよいよ明日……総力戦に入りますよ」

西方司令「総力……もう無理だぁ……はああぁぁ!」

西方副司令「大丈夫よ、司令にかかってるわ。頑張って!」

西方参謀「やるしかねーわな。みんなで生きて帰んぞ! ヒック!」

南方司令「我々は絶対に負けない。何故ならば……正義だからだ!」
183 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:11:55.10 ID:spBp7Gwoo
〜最南、山脈〜

南方弓長「……ふーっ」

テクテクテク

錦将軍「よぅ、デカパイのねーちゃん」

南方弓長「……どうも」

錦将軍「いいね〜その表情、やっぱり無愛想でソソるわ」

南方弓長「用がないなら邪魔しないで貰えます?」

錦将軍「悪い悪い、褒めたつもりなんだが……機嫌損ねちまったか! ハハハ!」

南方弓長「……」

スクッ…ザッ

錦将軍「おい待て待て!」

南方弓長「何なんですか?」

錦将軍「んーあーえーとだな……お前、男いんのか?」

南方弓長「……いないですけど、何か問題あります?」

錦将軍「いや、ないない。むしろ全く問題ない」
184 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:12:50.42 ID:spBp7Gwoo
南方弓長「だから、何なんですか」

錦将軍「……えーと、あれだよあれ」

南方弓長「失礼します」

錦将軍「待った! あーえーと……いいわ、やっぱ終わってからにするわ!」

南方弓長「……はぁ」

錦将軍「あ、その代わりよ、ちょっとお願い!」

南方弓長「……?」

錦将軍「膝枕してくれ! 膝枕!」

南方弓長「おやすみなさい」

スタスタスタスタ…

錦将軍「……」

弓将軍「ひょっひょ、フラれちまったのぉ」

錦将軍「!? ジジイ……てめぇいつから!!」

弓将軍「気にするな、若いんじゃから機会はまだあるわい。ほっほっほ!」

錦将軍「まだフラれてねぇだろ!!」
185 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:13:53.02 ID:spBp7Gwoo


召喚士「……休めと言われても、緊張しちゃって寝られないよなぁ」

テクテクテク…ザッザッ

召喚士「……あれ? マジシャンさん?」

マジシャン「おーう。どした、寝ないのか? ならちょっと付き合え」

召喚士「酒ですか……。構いませんけど、少しですよ?」

マジシャン「分かってるよ。二日酔いで戦闘不能なんて後世に残る恥だ。ハッハ!」

テクテクテク…ストッ

マジシャン「ほれ」

召喚士「ありがとうございます」

マジシャン「……いやーようやくお前と話せる機会が出来たわ」

召喚士「……?」

マジシャン「まだきちんと礼を言えてなかったからな。ありがとうよ」

召喚士「何言ってるんですか! 礼だなんて……っ」

マジシャン「いや、お前のコカトリスがなければ確実に死んでた。本当に感謝してるよ」
186 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:15:23.21 ID:spBp7Gwoo
召喚士「そんな……」

マジシャン「お陰でほんの僅か、こうして余命に繋がった」

召喚士「……っ」

マジシャン「俺にはまだやらなきゃならん事がある」

召喚士「……サタン……ですか」

マジシャン「それもそうだが、かつての仲間を救ってやらねばならん」

召喚士「……あの、ツヴァイハンダーの人ですか?」

マジシャン「そうだ。魔剣士……お前も知っているだろうが、再来の1人さ」

召喚士「……どうして、魔剣士さんは魔物化してしまったんです?」

マジシャン「自分が許せなかったんだろうなぁ」

召喚士「……?」

マジシャン「最も大切な者を守れなかった。その事が自分を追い詰めたんだろうな」

召喚士「大切な……者」

マジシャン「プリースト。魔剣士の恋人で同じく再来の1人さ」

召喚士「……師匠にも少し、教えて貰った事があります」
187 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:16:31.95 ID:spBp7Gwoo
マジシャン「元々あの2人は俺と師匠みてーにツーマンセルで仕事しててな」

召喚士「……」

マジシャン「お互い2人同士だから、結構色々な任務で鉢合わせて顔見知りだったわけだ」

召喚士「そうだったんですね……」

マジシャン「フォーマンセル限定ん時はお互い組んだりもしてて、割と気心知れた仲だったよ」

召喚士「……なるほど」

マジシャン「いつぞや、もういっその事4人でやるか、みたいな話になってな」

召喚士「それでパーティーを……」

マジシャン「ああ、そうだ」

召喚士「それからは……再来ですもんね」

マジシャン「元からバランスの取れた面子だし、自分で言うのも何だが個々の力も強かった」

召喚士「そうですよね、分かりますよ」

マジシャン「トップランカー達の仲間入りもあっと言う間さ。まぁ頂点にはアレがいたけどな」

召喚士「……ああ、天才さんですか」

マジシャン「ちなみに魔剣士は天才の最後の弟子だ」
188 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:17:26.13 ID:spBp7Gwoo
召喚士「え……っ!?」

マジシャン「天才の弟子は4人の司令に魔剣士。全部で5人いた」

召喚士「そうか……それで、ツヴァイハンダーを!」

マジシャン「オリジナルを一行ずつに解体して、弟子に預けたんだったか」

召喚士「今は全て1つに戻ったようですけれど……」

マジシャン「だな。まぁオリジナルでないと魔王は倒せないさ」

召喚士「……」

マジシャン「先に言っておくが、天才はおそらくサタンまではいけないだろうな」

召喚士「……え……っ?」

マジシャン「どういう順序で行くか知らんが、ラストはサタン、その手前はベルゼブブだろう」

召喚士「……っ」

マジシャン「サタンもだが、ベルゼブブがとんでもなく厄介だ。天才はおそらく、そこで死ぬ」

召喚士「――っ!!」

マジシャン「天才だけじゃない。ベルゼブブ戦でかなりの死んでいくだろうな」

召喚士「…………」
189 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:18:33.65 ID:spBp7Gwoo
マジシャン「もしお前がそれをどうにかしようと思っているなら、お門違いだ」

召喚士「……っ」

マジシャン「お前にはサタンを倒すっつぅ、でっかい仕事があるんだ」

召喚士「俺が……サタンを……?」

マジシャン「そろそろ気付いてもいいだろ。お前は特別な存在、言わば救世主なんだ」

召喚士「……俺が……救世主……?」

マジシャン「世界中にたった1人、全ての召喚属性を扱える存在。それがお前だ」

召喚士「……」

マジシャン「他の奴に代わりは利いても、お前の代わりは居ない」

召喚士「……そんな」

マジシャン「自覚して、認識して、自分の存在をどういったものか捉えるんだ」

召喚士「マジシャンさん……俺……」

マジシャン「いや、お前も薄々は気付いてたはずだ。だが、あえて受け入れずに拒否してた」

召喚士「俺……俺……っ」

マジシャン「辛いだろうな。苦しいだろうな。でもな、お前がやらないといけないんだ」
190 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:19:33.20 ID:spBp7Gwoo
召喚士「俺……っ」

マジシャン「お前にしか出来ないんだ。それを自覚して、そんな自分を好きになってやれ」

召喚士「……俺……出来ますかね」

マジシャン「月並みな台詞だが、お前なら出来る」

召喚士「……」

マジシャン「お前の師匠は誰だ?」

召喚士「……っ!」

マジシャン「お前の親父は? 2人共……弱い男だったか?」

召喚士「……いえ。強くて偉大な男でした」

マジシャン「そうだろ? お前が不甲斐ない事してたら、化けて出てくんぞ? ハッハ!」

召喚士「……そうですよね、ここまで来て泣き言なんか言ってられませんよね」

マジシャン「そうそう。それによ、振り返ればいつも、お前を支えてくれる奴らがいるだろ?」

召喚士「……っ!!」

クルッ

マジシャン「……な。だから何も心配せず、がむしゃらにやればいいんだよ」
191 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:20:10.45 ID:spBp7Gwoo
召喚士「……はい」

マジシャン「よく似てるよ」

召喚士「えっ!?」

マジシャン「俺ら再来とお前ら……救世主ってとこか?」

召喚士「……っ」

マジシャン「だから心配でもあるけどな。お前は失ったりするなよ」

召喚士「……はい。死んでも守ります」

マジシャン「それは違う。死んだら駄目だ。4人全員で生きろ、それが俺からの命令だ」

召喚士「……はい」

マジシャン「……よし。さーて、そんじゃ少し休むわ。晩酌付き合ってくれてありがとうな」

召喚士「こちらこそ、ありがとうございました」

マジシャン「早く行ってやれ。待ってるぞ」

召喚士「……はい」

テクテクテクテク

召喚士「……震え……止まってる。は……ははっ」
192 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:21:14.46 ID:spBp7Gwoo
テクテクテクテク

戦士「なに話してたんだ?」

召喚士「うーんと、いや……秘密」

魔道士「え〜っ、ずるいですよー!」

召喚士「あははっ」

盗賊「……休んだのか?」

召喚士「はい、もう大丈夫です。魔力もだいぶ戻りました」

戦士「決行予定は次の夜だし、ギリギリ間に合いそうだな」

召喚士「うん」

魔道士「うー緊張してきたぁ……っ」

召喚士「魔道士さんならきっとうまくやれますよ、大丈夫です」

魔道士「そう……ですかね……?」

召喚士「はい。俺が支えますから。何があっても……必ず」

魔道士「――っ!?」

召喚士「あ、ちょっと作戦の配置を確認してきます」
193 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:22:13.62 ID:spBp7Gwoo
ザッ…タッタッタ…

魔道士「…………」

盗賊「……だ、大胆な事を……申したな」

戦士「あ、ああ……。ビックリしたぜ……っ」

魔道士「……っ」

盗賊「……良かったな……魔道士」

魔道士「そそっ、そんなんじゃないですよきっと……っ!」

戦士「どうかねぇ〜? 本人に確認してみっか?」

魔道士「大丈夫ですからっ!」

盗賊「……ふふっ」

戦士「ま、そんだけアイツも気合い入ってるって事だろ。負けてらんねーな」

盗賊「……そうだな」

魔道士「みんなで絶対に、成功させましょうね!」

戦士「おうよ!」

盗賊「……無論だ」
194 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:23:00.61 ID:spBp7Gwoo
〜東の町、南東部〜

ザッザッザッ…

ラクシャーサ「そっちは異常ないかぁ?」

ザッザッザッ…

ラクシャーサ「ああ。そっちの崖はどうだ?」

ズザザッ…ゴトッ

ラクシャーサ「しっかしヒデェ有様だな。がけ崩れみてーになってんぞ?」

パラパラッ…コトン…

ラクシャーサ「何でもよ、インドラが人間の味方してるらしいじゃないか」

コロコロコロッ…カツン

ラクシャーサ「ふぅん……人間の味方ねぇ」

ザッ

ラクシャーサ「……ん? 何か匂わないか? なんかこう……人間みてぇな――」

ボゴォ!!…ゴシャアアァァァァ!1

ラクシャーサ「どうしたぁ!?」
195 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:24:06.45 ID:spBp7Gwoo
ヒュオッ…ザシュッ!!

ラクシャーサ「……ア……ッ」

ドサッ…ゴロゴロゴロ…

崖の中より突如飛び出し、偵察のラクシャーサ達を一瞬で始末した後、

その転がった首を見つめ、肩ををぐるぐると回すツヴァイハンダーを手にした人間。

天才「……ふーっ。仮眠終了〜」

ザッ

天才「……ま、悪かねぇな。そこそこイケんだろ」

周囲の様子を伺いながら、天才は崖を登り、夜空を見つめていた。

天才(深夜3時……おいおい、7時間近く寝てたのかよ……)

気だるそうに背伸びをし、ツヴァイハンダーを背中に担ぐと、その目つきは鋭くなった。

天才(魔王軍が偵察を出してるって事は夜襲はない。やはり狙いは満月か)

ザッザッザ

天才(と、なると……明日の日中は互いに総力戦は免れねぇ)

ザッザッザ
196 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/21(水) 16:25:22.53 ID:spBp7Gwoo
天才(そっちは大軍師に任せておきゃ問題ねぇ。問題は……討伐隊)

ザッザッザ

天才(ラーヴァナ単体ならともかく、軍団長共がどう動くかが鍵だな)

ザッッザッザ

天才(アスラとシヴァ、それにアジ・ダハーカか。もう何枚か手札があればいいんだが……)

ザッ

天才(四の五の言っても仕方ねぇか。あとは奴らの習性に賭けるしかねぇ)

ヒュバッ…ザザザザッ

天才(……そういやそうだよな)

木々を縫うように疾走しながら、天才はふと、自問自答していた。

天才(軍団長クラスがあれだけって事があるか? ラーヴァナの側に居るんじゃねぇか?)

改めて浮かび上がる疑問。こちら同様、魔王軍とて全軍が出撃しているとは限らない。

天才(やっぱりここは、ラーヴァナの城へ乗り込むのが賢明だな)

目の前に布陣する30数万の魔王軍を迂回し、天才は単身、ラーヴァナの本拠へと向かった。

いよいよ夜は明け、5日目となる交戦が始まった。
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/21(水) 16:28:58.70 ID:spBp7Gwoo
台風で早退になりました。失礼致します!
これからの皆様もお気を付けて下さいませ!では!ノシ
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/21(水) 16:39:37.11 ID:5WvQ6VFd0
>>1
1も気をつけてね!
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 17:09:00.33 ID:Dp1MosZDO
>>1
ジャガーノートの実力が未知数で怖い
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/09/21(水) 17:41:19.09 ID:0/s/J5220
>>1
しかし今年は日本にアバドンが出現したかのようだ
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 18:16:37.65 ID:P8RSzgODO
1乙
色々なキャラが着々と死亡フラグを立ててるのがすごい辛いな…
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/21(水) 19:17:42.69 ID:YQD3+wLAO
>>1

電車が止まっても川が危険水位まで上がっても返さない、社長だけ帰る、エブリデイ二時間サービス残業のうちのブラックカンパニー(株)…
嵐で早退って凄いな羨ましい

これが底辺と優良職との差か………
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 20:06:58.62 ID:XM4Q9YINo
>>1

>>202
>>1はきっと凄い美少女なんだ
だから仕事中に更新できるし
台風でも身を心配してもらえるんだ
!
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/21(水) 23:38:32.63 ID:Dp1MosZDO
最近調子が悪いのも女の子の日だからですねわかります
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/09/22(木) 00:04:05.56 ID:VbbgV3doo
>>1乙です

コカトリスの名前を間違えて呼んだ男とは思えん成長ぶりだなwwwwww
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 00:04:17.53 ID:l+nbB8olo
1おつ
天才最後の弟子って…
格闘家くんの立場は…
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/22(木) 00:08:46.93 ID:0bY7m6RAO
フラグが…
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/22(木) 04:40:51.19 ID:milhmoK00
召喚士が主人公っぽくなってきたww
いちおつ
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/09/22(木) 05:45:27.23 ID:wnmxKDcJ0
>>206
弟子は基本みんなツヴァイハンダー使いだからなー

ツヴァイハンダーを使う“天才”の弟子ではない、ってことで
格闘家“マスクドジーニアス”としての弟子なんだよ
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県) [sage]:2011/09/22(木) 08:40:28.85 ID:EAEkDmEvo
>>205
そういやあいつペニスだったな…
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 09:28:10.66 ID:JINiMa1Ho
コカトリスも随分素直に従うようになったよな
212 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 17:58:25.76 ID:PZ5f5S8/o


アスラ「……進軍」

ラクシャーサ「おぉ!」

アスラ「今夜はラーヴァナ様が直々にお見えになる。それまでに失態を晒すでないぞ」

ラクシャーサ「おおーっ!」

アスラ「人間共を蹂躙し、ラーヴァナ様への供物とせよ。行けぃ!」

ラクシャーサ「おおぉぉぉぉ!!」

5日目早朝、アスラ指揮の下、再編制された魔王軍が正面、左右と10万ずつ、

3つの師団に展開し、東の町へ続々と進軍を始めた。

ドドドドドド…

南方兵「来たぞぉーっ、食い止めろぉ!」

南方参謀「兵器の準備はいい!?」

助手「いつでもオッケー♪」

騎士団長「本国騎士団、正面より出るぞ!」

大軍師「……出陣!」
213 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 17:58:59.82 ID:PZ5f5S8/o
戦闘開始直後、進軍を続ける魔王軍に対し、南方軍は兵器による牽制を仕掛ける。

これにより魔王軍は早くも足と止め、兵器の射程ギリギリのポイントで停止した。

ラクシャーサ「どうすんだ! 固まっても散っても駄目だぞ!」

言葉の意味するところは、密集して進軍を続ければ兵器の的となり、それを避ける為に

分散して進軍すれば、個別撃破を狙う騎兵隊や竜騎士隊に狙い打たれる。

魔王軍は攻め手に欠いた。これがもし人間側の立場であれば幾らでも打開策はある。

所詮は人間の真似事をしているに過ぎず、その本質までは全く見えていないのだ。

結局、魔王軍は分散よりは力押しにまだ分があると判断し、多少の犠牲を覚悟の下、

従来通り、全軍で突撃を敢行する事となった。

ラクシャーサ「いっけええぇぇ!!」

弓兵「うてうてうてうてぇーっ!!」

交戦より数十分後、東の町の北側が騒がしくなり、歓声とどよめき、そして馬の蹄が響いた。

ドドドドドド…

西方参謀「来たかっ!!」

南方参謀「赤壁からの援軍よ! みんな、見える!?」
214 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 17:59:58.69 ID:PZ5f5S8/o
ドドッドドッドドッ…

南方兵「おぉ!! すげぇ数だ……っ!! これなら勝てる……勝てるぞぉ!!」

魔道兵「見ろっ!! 赤壁の連中だ、エリート様もいるぞぉ!!」

パッカパッカパッカ…

エリート「待たせたな。増援、予定通り約5万程いる」

大軍師「ご苦労様です。赤壁には5千ですか?」

エリート「一応な。最終防衛拠点でもあるし、避難民も収容しているからな」

大軍師「本国からは?」

エリート「陛下の話ではあと僅かばかり南へ向かっているそうだが、まだのようだ」

南方参謀「さぁ、ここからが本番よ」

南方副司令「ようやく反撃出来るな」

エリート「戦況は?」

大軍師「悪くありません。ですが、良くもありません」

エリート「……上々だ。ではこれより、私が指揮を司る」

大軍師「お願い致します」
215 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:00:31.41 ID:PZ5f5S8/o


エリート「町の東側からは西方司令部の面々が出撃。数は2万」

西方副司令「了解です!」

西方参謀「随分と飲んだし……魔力も溜まった頃合いだわなぁ……ヒック」

西方司令「う、うひいいぃぃぃぃ……っ」

西方参謀「おい、司令の武器は?」

西方副司令「昨日の戦闘でボロボロになっちゃって……修理中なのよ」

西方参謀「たった1日でボロボロ……? はぁ、仕方ねぇな。これでも多少はマシだろ」

パシッ

西方副司令「何それ?」

西方参謀「俺のダガー……ヒック」

エリート「大丈夫か? それでは頼んだぞ」

西方副司令「り、了解ぃ!!」

西方参謀「おら大将、行くぞ!」

西方司令「は、はぁ……大丈夫かな? 死なないかな? 大丈夫だよね? いやでもなぁ……」
216 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:01:14.99 ID:PZ5f5S8/o
エリート「反対の西側は南方司令部、宜しいな?」

南方副司令「おうよ!」

南方参謀「やってやろうじゃないの」

南方司令「今日でカタを付けてくれる。待っていろよ、悪の魔王!」

エリート「残り1万は正面を務める。騎士団長殿に指揮を任せる」

騎士団長「任せて下され」

エリート「更には正面より竜騎士隊。状況に応じて側面に展開してくれ給え」

青龍兵「ははっ!」

エリート「渡しと大軍師殿はここで殿を務める。兵器隊、弓兵、準備は良いな?」

助手「はいな〜♪」

弓兵「いつでもいけますっ!」

大軍師「魔道兵は弓兵や皆を援護しつつ、魔力を溜めておいて下さい」

魔道兵「了解であります!」

エリート「では行くぞ勇敢なる諸君ら。簡単に死んではならぬぞ!」

一同「おぉう!!」
217 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:03:04.36 ID:PZ5f5S8/o
ゴゴオオォォォォン

ラクシャーサ「んだぁ!? 門が開いたぞぉ!?」

騎士団長「突撃ーっ!! 騎士団の力、存分に味わわせてやれい!」

竜騎士兵「竜騎士隊っ、上空より援護開始ーっ!」

西方参謀「火計の予定に変更はねぇな?」

大軍師「ええ、今のところは」

西方参謀「よーし、ちょっくら背後から援護してやるぜぃ……ヒック」

南方参謀「援護?」

西方参謀「精鋭で魔王軍の奥底までブチ抜いて、そのまま合流だ!」

南方副司令「生きてたらな!」

南方司令「兵の指揮は任せるぞ。私は先頭を行く!」

南方司令「司令っ!そっちは最後尾! こっちこっち!」

西方司令「勝てるかなぁ……大丈夫だよなぁ、いや駄目かなぁ……いや、いけるかな?」

西方副司令「ゴチャゴチャ言ってないで行きますよ」

西方参謀「なかなか頼りになる司令共だこと……ヒック」
218 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:03:34.18 ID:PZ5f5S8/o
ドドドドドド…

ラクシャーサ「人間共が打って出てきたようです!」

アスラ「ほぉ、まさかラーヴァナ様のご出陣に勘付いたか……?」

ラクシャーサ「どう致しますか?」

アスラ「数は?」

ラクシャーサ「こちらの半分以下です」

アスラ「……」

ラクシャーサ「攻撃も単調で、」ただの雑魚の群れかと……」

アスラ「何か狙っているのかもしれん。少し様子を伺ってみようか」

ラクシャーサ「ははっ」

アスラ「前線の奴等を速やかに退かせろ。射程範囲外にまでだ」

ラクシャーサ「ただちに!」

アスラ「これでどう出るか、人間共よ」

魔王軍30万を率いるアスラが下した決断は、一旦、兵を後退させると言うものであった。

その判断は想像以上に、人間側へ影響を及ぼすものとなった。
219 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:04:02.66 ID:PZ5f5S8/o


エリート「後退した?」

大軍師「はい。どうやら魔王軍も、一筋縄ではいかぬようですね」

エリート「……」

大軍師「如何致しますか? 追撃するか、こちらも後退するか……」

エリート「追撃、と言いたいのは山々だが、かなりの被害が出る事は明白」

大軍師「ですね」

エリート「止むを得ん、こちらも一度、後退するしかないようだな」

大軍師「畏まりました」

エリート「君の狙う火計とて、敵を引きつけねば無意味であろう?」

大軍師「……まぁ、そうですね」

エリート「よし、後退の合図を出せ」

赤壁兵「はっ」

後退の合図を示す発光弾が打ち上げられると、魔王軍の後退を見送った後に、

正面、左右全ての南方軍も速やかに後退を始めた。
220 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:04:53.44 ID:PZ5f5S8/o


ダンッ!!

南方副司令「何なんだアイツらは!」

西方副司令「ちょっと、落ち着いてよ」

西方参謀「イラ立つのも分からんでもないがなぁ。魔物のくせにやるじゃねぇか全くよ……ヒック」

大軍師「いよいよ決断を迫られましたね」

エリート「篭城かはたまた……」

大軍師「総攻撃か、ですね」

南方参謀「でも、これ以上の篭城は危険じゃない? 今日は満月よ?」

大軍師「満月……」

西方参謀「魔物の力も徐々に上がってる。夜は更に激しくなるぞ」

南方副司令「今夜さえ凌げばあとは弱体化する一方なんだがな……」

南方司令「召喚士の少ないこちらに満月のメリットはないからな」

エリート「昼のうちに叩けるだけ叩いた方が賢明か。これで魔王でも来ようものなら……」

大軍師「東の町ではまず、勝ち目はないでしょうね」
221 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:05:35.71 ID:PZ5f5S8/o
エリート「……よし、総攻撃を仕掛ける」

南方参謀「そうなると、兵器も動かす事になりますわよ?」

エリート「兵器は建造に時間を費やす。極力、失わぬよう務めて貰いたい」

助手「えぇ〜っ? 出来るかなぁ……」

騎士団長「30万に対し、こちらは6万程度がやっと。どこまでやれるかだな」

大軍師「本当に宜しいですね?」

エリート「他に手があれば伺いたい」

その問いに返答出来るものは1人として居なかった。

大軍師「分かりました。それではこれより、魔王軍に対し、総攻撃を仕掛けます」

エリート「正面より密集して突撃する。下手に分散すれば狙い打ちされるぞ、気を付けてくれ」

西方副司令「司令の武器は?」

助手「もうちょっと! 町に投石器1台置いとくから、射出するわん♪」

南方副司令「ほれ、余ってる長剣見つけてきましたぜ」

パシッ

西方司令「……うぅん、総攻撃かぁ。なんか勝てるような気がしてきたなぁ」
222 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:07:33.17 ID:PZ5f5S8/o


ザッ

騎士団長「では行くぞ。怯むなよ、開門と同時に真っ直ぐ突き進め!」

南方兵「開門ーっ!」

ゴゴンッ…ギイイィィィィ…

エリート「出陣!!」

門が開くと同時に、雪崩のを打って勢い戦場へと良く飛び出す一同。

騎兵に続き歩兵、更には後方より弓兵、魔道兵が後に続く。

最後尾からは兵器がゆっくりと出撃すると、それを確認した竜騎士隊が、

上空より一気に飛び出し、先頭のラクシャーサめがけて低空飛行で突撃した。

ラクシャーサ「来たぞぉ!!」

アスラ「突撃か、慌てずに迎撃しろ」

南方軍の突撃に対応する為、魔王軍も中央へ兵を寄せつつ迎撃の構えをとった。

やがて、両軍の先陣が激突する。迎え撃つ魔王軍に対し、騎兵が一気に雪崩れ込んだ。

騎士団長「はああぁぁ!!」
223 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:08:48.83 ID:PZ5f5S8/o
ドドッドドッ…ズガアアァァ!!

騎士団「押せ押せ押せぇ!!」

騎兵「撹乱しろぉ! 左右に分かれて円を描くように突撃するんだ!」

目まぐるしく動き回る両軍。戦場は一気に騒がしくなり、混戦を極めた。

南方副司令「騎兵に続けぇ! 打ち漏らした魔物を徹底的にねじ伏せろ!」

ラクシャーサ「死ねええぇぇ!!」

西方司令「いけそうだなぁ……勝てそうだなぁ」

ヒュオンッ…ザシュウウゥゥ!!

南方司令「ジャスティス……キーック!!」

バッゴオオォォォォン!!

南方参謀「流石の2人ね。悪いけど、盾にさせて貰いましょ」

西方副司令「そうね、それがいいわ」

ラクシャーサ「こっちが手薄だぞ! もっと兵を……ぐわあぁ!」

西方参謀「弓兵、援護射撃だ!」

弓兵「了解っ!」
224 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:09:48.27 ID:PZ5f5S8/o
バシュシュシュシュッ!!

アスラ「……小賢しい。もっと左右から回り込まぬか」

ラクシャーサ「は、はいっ!」

正面から突撃を図る南方軍に対し、魔王軍は左右から挟撃の態勢を整え、

一気に包囲しようと試みるも、そこにはすかさず兵器による援護射撃が入る。

ドッゴオオォォォォン!!

ラクシャーサ「ま、回り込めません……ッ」

アスラ「回り込むのだ。でなくば貴様等、死ぬぞ」

ザシュウウゥゥ!!…パキイイィィン

西方司令「ぎゃああぁぁ! 剣が折れたぁ! もう駄目だああぁぁぁぁ!」

西方参謀「誰か、代わりの武器をよこせ!」

騎兵「これを!」

西方参謀「スピア? いいのか……?」

騎兵「……持ち主だった者は……既に討ち死に致しました」

西方参謀「そうかい……そんじゃ遠慮なく。ほれ、司令! 大事に使えよ!」
225 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:10:32.80 ID:PZ5f5S8/o
パシィ

西方司令「……うーむ、みなぎって来たぞ!」

ヒュオッ!!…バッギャアアァァ!!

西方司令「勝てるんじゃねーかこれ? いけるいける!」

南方司令「おい」

西方司令「ん?」

南方司令「アスラを討ちにいくぞ」

西方司令「……ほっほー。そいつはなかなか名案」

騎士団長「無茶はするなよ?」

エリート「いや、面白いな。敵の大将を叩けば軍の機能も止まる。いけるか?」

南方司令「いける!」

西方司令「まぁいけるでしょうよ!」

大軍師「では道を切り拓きましょう。手の空いてるものは支援を」

騎士団長「手薄な所を一斉攻撃で叩くぞ!」

エリート「我らに続けぇ!」
226 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/22(木) 18:11:23.08 ID:PZ5f5S8/o
両軍入り乱れるその一部分が、大海から別れ流れる川のようにうねりを見せる。

先頭の騎士団長、エリートを筆頭に、周囲の南方軍が密集し、更に奥深くへと進軍する。

魔王軍の乱れた急所を的確に突き、奥へ奥へと進んでゆく。退路はない。

進めば進む程、道は魔物に塞がれ、包囲は何重にも及んでいた。

それでも彼らの援護、そして包囲を解く為に、上空の竜騎士隊と後方の弓兵らが、

必死の援護を続ける。その甲斐あってか、突撃を敢行した彼らの目に、

巨大な魔物の姿が飛び込んだ。魔王軍の大将、アスラの姿である。

大軍師「……他の軍団長はいないようですね。ならばこのまま行けるかもしれません」

エリート「後方は無事か? この隙に突破されぬよう注意を!」

南方参謀「分かってます! 今のところは大丈夫よっ!」

アスラ「虫ケラは何匹群がろうが……虫ケラなのだぁ!!」

ゴウッ!!…ズッガアアァァァァ!!

騎士団長「くっ!」

南方兵「がはっ――」

交戦から3時間余り。被害は南方軍800人、魔王軍においては6000にも及んでいた。
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/22(木) 18:21:59.25 ID:PZ5f5S8/o
それではひとまずここまでにて!
本日も多数のご支援、ありがとうございました!

〜オマケ〜

南方司令「おい」

西方司令「あぁ?」

南方司令「シボーフラグってのは何だ?」

西方司令「知るか!!」

南方司令「なかなか響きがいいな。私もシボーフラグとやら、欲しくなってきたぞ」

西方司令「武器か!? 武器なのかっ!? だったら俺にもよこせシボーフラグ!」

南方参謀「……やめた方がいいわよ」

西方参謀「安心しろい。あいつら既にバリバリ手に入れてるわ……ヒック」

南方司令「貴様には負けぬぞ! シボーフラグは渡さん!」

西方司令「んだとぉ!? シボーフラグは俺のモンだゴルァ!!」

西方副司令「……あっ、シボーフラグが落ちてる」

南方司令「ジャスティスゲーットオオォォォォ!!」

西方司令「なぁに〜!? どっけええぇぇ!! 俺のモンだああぁぁぁぁ!!」

南方副司令「遊ぶなよ……」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/09/22(木) 18:26:54.13 ID:RD+ETF4v0
>>1
西方司令は武器によってで性格かわるのか
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/22(木) 18:54:22.92 ID:Px6vKKtAO
>>1

シボーフラグらめぇええっ!!!!!
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 19:11:53.08 ID:9USEDMaDO
>>1乙!
西方司令は武器が長くなればなるほど強気になるのなwwww
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/09/22(木) 20:14:43.54 ID:5XyUGiGn0
あ長さで変化してたのか
自分でしっくりする武器の時だけだとばかり
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/22(木) 20:41:27.04 ID:R3CGA1FIO
>>1

シボーフラグでメタボですね、わかりますん。
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/09/22(木) 22:01:09.62 ID:ywx82Moqo
一乙!
長さだったらパイクとかやばいんじゃないか
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/23(金) 01:43:15.42 ID:iS8xJe6AO
>>1おつ

西方司令に竹槍渡せば神風アタックしてくれそうだな
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 03:05:07.70 ID:CDsJWraDO
西方司令「13kmや」
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/23(金) 06:06:48.82 ID:zBDZIelSO
長さって言うより単純にデカさじゃないの?
巨大な鉄球でも持たせりゃいいんじゃないかと

西方司令の素手の強さが気になる
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 07:30:24.06 ID:HBGl8bbDO
>>234
西方司令の最期がきまったな
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/23(金) 11:18:04.80 ID:LKzl82xLo
>>235
いつから長さで性格が変わると思い込んでいた?
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/24(土) 01:39:41.75 ID:S8/oOltAO
>>235
不覚にも
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/24(土) 19:00:38.84 ID:w8/GspEDO
そういやかぎまとめでもまだ最初の方だけどまとめられていたね
241 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 00:01:56.38 ID:BqsAIZ1Ho


ヒョコッ

天才「……おーおーハデにやってやがんぜ」

崖の上から戦場を見下ろす天才。その先には大軍同士がぶつかり合う、

壮観な眺めを堪能しつつ、その目は更なる先を見据えつつあった。

天才「ちょいと風が出てきたか。どれ、少しだけ手土産置いてくか」

にやりと笑いながら、天才は崖を勢いよく降りて行った。

ズザザザザァ

ラクシャーサ「――ッ!?」

天才「ハーッハッハッハ! 天才様……参上!」

ラクシャーサ「何だコイツ……グワアァァ!!」

出会い頭一発、天才のツヴァイハンダーが地面を粉々に打ち砕く。

天才「さーて、いっちょブチかますかぁ!」

突き刺したツヴァイハンダーが地面を切り裂きながら柄を握る主は、

地面を真っ二つに斬り分けるかの如く疾走する。
242 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 00:02:28.86 ID:BqsAIZ1Ho
ズッガガガガガガッ!!

天才「おっりゃああぁぁぁぁ!!」

やがて疾走の摩擦からツヴァイハンダーは熱を帯び、天才がほんの少し

魔法を加えると、発火し、火走りが立ち上った。

ゴウッ!!…メラメラメラッ!!

ラクシャーサ「なんだぁ!?」

天才「このまま炎の壁で……分断じてやるぜぇ!!」

ラクシャーサ「たかがこんな炎ぐらいでやられっかよぉ!」

ズシャアアァァァァ

アスラ「その通りだ」

ラクシャーサ「アスラ様ッ!?」

アスラ「先日の借り、忘れたとは言わせぬぞ」

天才「あーそのまま貸してやるよ。いらねー」

アスラ「……殺す!」

天才「ちっ、メンドクセーなぁ」
243 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 00:03:07.08 ID:BqsAIZ1Ho
ズドオオォォォォン!!

天才「……な……にぃーっ!?」

アスラ「……貴様」

シヴァ「そいつを殺せばいいんだろう? 手を貸してやる」

アスラ「余計な世話だ」

シヴァ「ゴチャゴチャ言っている場合か」

アスラ「……」

シヴァ「私怨をに囚われれば、今宵の勝機は失うぞ」

アスラ「……まさか貴様に言われるとはな」

シヴァ「だからこそ分かる事もある」

天才「なーにゴチャゴチャほざいてんだ? 用がねーなら先進ませて貰うぞ」

アスラ「仕方ない。足は引っ張るなよ」

シヴァ「こっちの台詞だボケ」

シュバッ!!

天才「んなにぃーっ!?」
244 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 00:03:38.27 ID:BqsAIZ1Ho
襲い掛かってくるアスラとシヴァ。その光景に天才は驚愕する。

2対1となったその局面だが、天才にとってその相手が有り得ない魔物であるからだ。

ラーヴァナの腹心であるアスラと、力を拝借したとはいえ、元はアンラ・マンユの

部下であるシヴァ。元来は共闘など決して有り得ない2匹なのである。

その2匹が拳を握り締め、己の下へ一心に突き進んでくる。

その目に映る光景に、天才は驚きと共に心を躍らせていた。

天才「メンドクセー事してくれんじゃねぇか……ハーッハッハ!!」

両者の攻撃を受け流しつつ、天才はひたすらに笑っていた。

天才「悪いが、今日の俺様はちょいとアブナイぜ?」

アスラ「恥を捨て、名誉を捨て、貴様を殺しにかかっている」

シヴァ「誇りに思え、そして今ここで息絶えるが良い!」

天才「やれるもんなら、さっさとやってみろや!」

シヴァが攻めればアスラが続く。アスラが攻めればシヴァが続く。

天才は揺らめく炎の中で、己の剣技を存分に振るっていた。

おそらくこの先、自分の力を全力でぶつけられる相手はそういない。
245 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 00:06:50.29 ID:BqsAIZ1Ho
天才「……」

全力を出してぶつかる相手は魔王と推測していた。

だが、魔王と対峙する時には、全力でぶつかる意味合いが変わる。

それは文字通り、全身全霊を以って魔王にぶつける。命をぶつける事。

最早それは腕試しでも、実力を示すでもない。ただ、命を投げ出す所業。

そこから導き出される自身の残された刻はあと僅か数ヶ月程度。

ここ数年程、彼は五ヵ年計画に基づいて行動をすると共に、

限りなく力をセーブする事で来るべき決戦に備え続けてきた。

ズガアアァァァァ!!

天才「……っ」

シヴァ「ハハハハアァ!! どうした、その程度かぁ!!」

天才「かすり傷程度でハシャいでんじゃねぇよボケ」

アスラ「……」

天才「見せてやるよ、天才様の正真正銘……本気の力をなぁ!!」

大きく弾ける威圧が当たり一面の炎を吹き飛ばす。
246 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 00:30:01.78 ID:BqsAIZ1Ho
ズゴゴゴゴゴゴ…

アスラ「……ッ!?」

シヴァ「な……んだぁ……ッ!!」

天才の強さを裏付けるものに、その圧倒的な力と技、そして精神力。

更には魔力や身体能力を兼ね備え、それは他者の追随を許さない。

しかしそれだけではどうにも納得出来ないものがある事は、なかなか知られていない。

それは対峙した者しか知る由のない、言葉には出来ない強さであった。

アスラ(何なのだこの者は……ッ)

シヴァ(まるで……こちらの動きを全て読みきっているようではないか……ッ!)

実際、その通りであった。天才の特殊能力、その1つがそれを為し得ている。

その能力こそが先読み。つまりは予言の力であった。

天才(右に蹴り。その後は横からシヴァが……右拳を振り下ろす……っ!)

シヴァ「な……にぃ!?」

天才「おらぁ!!」

たかが1人の人間に2匹の軍団長が苦戦を強いられる。そこにはそんな不思議な光景があった。
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/25(日) 00:33:15.85 ID:PMFL+SjAO
つぇぇ…
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/25(日) 00:34:39.97 ID:PMFL+SjAO
つぇぇ…
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 00:39:42.83 ID:OIQRgWz5o
ふぇぇ…
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 00:48:08.14 ID:ssjDD8WIO
ふぇぇ…
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/25(日) 00:53:22.79 ID:kHN8FVtAO
じぇぇ…
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/25(日) 01:04:05.48 ID:TEKPvo9AO
>>1おつ
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 01:12:15.31 ID:e62WEbEDO
>>1
そういや天才は予言の民だったな
本気の天才はチートキャラだよな
つぇぇ…
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/09/25(日) 09:47:45.81 ID:FA6y+nx+o
いちおちゅ!
>>240
読者数の割にマイナーな印象だから増えるのは嬉しいね!
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/25(日) 18:07:38.04 ID:dUWG5rWDO
ふぇぇ…
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 19:24:04.81 ID:WP3VavRIO
ぬぇぇ…
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 19:42:16.79 ID:ABrEg8jIO
にぇぇ…
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/25(日) 19:46:47.36 ID:gJ4VbNHN0
>>1
漫画化されないかな~
ガンガンとか月刊誌で
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/09/25(日) 20:04:31.12 ID:QGGtYHvk0
ママレがあの扱いじゃ無理無理


というか気持ち悪いよ
こういうのはSSで納めるからいい出来になるんだよ
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/25(日) 20:10:35.45 ID:sMMPKCKDO
これを早く完結させて、作家デビューしてほしいな!
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/25(日) 20:11:15.74 ID:PMFL+SjAO
>>259
完全同意
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 20:20:53.34 ID:kPrdEJxDO
>>259
そうだよな
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/09/25(日) 21:31:27.05 ID:QxDHG3bDo
挿絵ぐらい自分の頭の中で想像しろと
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/25(日) 22:13:32.24 ID:sMMPKCKDO
>>263
マンガ読まないの?
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/09/25(日) 22:20:33.14 ID:tGuYkS6Uo
>>264
くっせぇから帰って良いよ
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 22:23:34.48 ID:XPDrl8+DO
更新あるから見に来たら…

定期的に湧くNE!
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) [sage]:2011/09/25(日) 23:25:31.58 ID:ajCB7F07o
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
268 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:36:39.42 ID:BqsAIZ1Ho
ゴゴオオォォォォ…

青龍兵「火の手が上がったわ! 合図かしら!」

エリート「……いや、どうも様相が違う気もするが」

大軍師「司令ですかね。これは良い手土産を頂きましたね」

ゴロツキ「どういう事だぁ!?」

大軍師「火計の条件である発火が起きたと言う事です」

エリート「しかし、敵陣の奥深くであるな。風向きとしては間違ってはいないが」

大軍師「ええ。今は東南の風ですからね、丁度良い具合です」

ゴロツキ「で、でもよ……っ、このまま広がれば……」

エリート「こちらにも及びかねんな」

大軍師「放っておけばそうなりますね」

エリート「風でも起こすというのか……?」

大軍師「……ふふっ」

チンピラ「お、起こすってどうやって……っ」

大軍師「では早速、参りましょうか」
269 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:37:24.94 ID:BqsAIZ1Ho
ザッ

大軍師「準備は宜しいですか?」

竜騎士兵「いつでも!」

大軍師「それでは竜騎士隊、出撃して下さい」

青龍兵「行くぞっ、目標は魔王軍後方への着火!」

エリート「成程。上空より火を放つか」

大軍師「放たれた炎は東南の風に煽られ、魔王軍を焼き尽くします」

エリート「さらには北より我らが攻撃を仕掛ける事で挟撃」

大軍師「その後は、此方から最後の仕掛け、というわけです」

エリート「流石だな。恐れ入った」

大軍師「ここまで為し得たのは、前線の皆々のお陰ですよ」

エリート「……そうかもしれんな」

大軍師「さて、我々も限界まで進軍致しましょう」

エリート「よし、動ける者、魔道兵を護衛しつつ進軍するぞ」

ゴロツキ「おう! ……っと、ボスも呼んでこなくちゃな!」
270 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:37:56.51 ID:BqsAIZ1Ho
タッタッタッタ

チンピラ「……あれ? ボス……は?」

女賢者「えっ、出撃じゃないの? さっき命令だって言って……」

ゴロツキ「――っ!?」

大軍師「困りましたね。手傷を負った状態だったのでしょう?」

チンピラ「ボス……っ」

ゴロツキ「勝手に出てったってのかよ!?」

女賢者「だって……命令だって言うんだもの……っ」

エリート「当然だが、そんな命令は出てはおらんな?」

大軍師「勿論です」

エリート「仕方ない。捜索隊を……」

ゴロツキ「それなら俺らが行く! ボスは俺らのボスなんだっ!」

エリート「……出来るのか?」

チンピラ「ああ! もちろんっ!」

エリート「分かった、ならば任せよう。但し1つ言う通りにする事だ」
271 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:38:46.91 ID:BqsAIZ1Ho
ゴロツキ「……?」

エリート「3人無事に戻ってくる事。良いな?」

チンピラ「……了解でありますっ!」

ダダッ!!

大軍師「貴女も行けますか?」

女賢者「勿論よ」

エリート「出撃準備整ってるな。行くぞ!」

ザザッ

大軍師「「さて、頼みますよ竜騎士隊」

バシュウウゥゥゥゥ

青龍兵「いいかっ、狙いはこの奥だ!」

竜騎士兵「おうっ!」

ゴオオォォォォ!!

青龍兵「…・・・よーし、左右に展開して一気に――」

竜騎士兵「待てっ!! 何か来るぞ……正面!!」
272 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:39:19.67 ID:BqsAIZ1Ho
ゴオオォォォォ…

青龍兵「あ……れはっ!!」

アジ・ダハーカ「グガオオォォォォーッ!!」

竜騎士兵「何ぃーっ!?」

青龍兵「緊急回避いぃーっ!!」

竜騎士兵「間に合わ――」

ドッゴオオォォォォン!!

竜騎士兵「!?」

西方参謀「させるかいっ!!」

西方副司令「撃って! 竜騎士隊を地上から援護っ!」

弓兵「うおおぉぉ!!」

バシュシュシュシュッ!!

アジ・ダハーカ「――ッ!!」

西方司令「んだぁ!? あのデカブツ……畜生っ」

西方参謀「……おぉ、アイツら!!」
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:39:55.17 ID:BqsAIZ1Ho
ザザザザッ

南方参謀「西側も無事抜けたみたいね!」

西方副司令「それよりも上空! 竜騎士隊が狙われてるわっ」

南方副司令「ちっ、あのデケェのか来たか……っ」

南方司令「地上からでは手も足も出んな。どうする?」

西方司令「……」

それとほぼ同時に、後方のバリスタより1本の武器が射出された。

助手「打ってぇーっ!」

西方兵「発射ぁ!!」

バッシュウウゥゥ!!…キイイィィィィン…

西方参謀「何だっ!?」

西方司令「来たっ!!」

ザッ

南方司令「……何だ?」

西方司令「いいから手ぇ貸せ!」
274 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:40:30.95 ID:BqsAIZ1Ho
空を切り裂く巨大な武器を見上げ、西方司令は南方司令の下へと駆け寄る。

西方司令「思いっきりやれ!」

南方司令「跳ぶか?」

西方司令「おうよっ!!」

南方司令「……よし、手加減はせんぞ!」

ガシィ!!

南方司令「ジャスティス……ジャイナントスイングウウゥゥ!!」

ビュンビュンビュンッ…ゴウッ!!

南方参謀「んな無茶苦茶なぁ!!」

西方司令「無茶は師匠譲りでいっ!」

南方司令により空中へと投げ飛ばされる西方司令。その勢いのままに、

空中で飛んで来た武器をキャッチすると、アジ・ダハーカめがけそれを叩きつける。

ガシイッ!!

西方司令「来た来た来た来たああぁぁ!! 死んどけやコルァ!!」

グオォッ…バッゴオオォォォォン!!
275 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:41:21.98 ID:BqsAIZ1Ho
アジ・ダハーカ「――ッ!!」

西方司令「もういっちょおおぉぉぉ!! 脳漿飛び散れこの死ねヤロー!!」

ゴッシャアアァァァァ!!

アジ・ダハーカ「グウウゥゥーッ!!」

ギュウウゥゥゥゥン…ドッズウウゥゥゥゥン!!

西方副司令「墜落確認っ!」

南方参謀「追撃ぃ!!」

西方参謀「燃やせえぇ!!」

ドドオオォォォォン!!…ゴオオォォォォ!!

天才「……?」

シヴァ「今のは……アジ・ダハーカ?」

天才「やーっと来たか。ったく、世話かけさせやがるぜ」

アスラ「……まさか、あの大軍を突破した来たとでも言うのか……ッ」

ドドッ…ズザザァ

西方司令「……いよぉ、アスラっつったっけか、このボケナス」
276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/25(日) 23:41:55.81 ID:BqsAIZ1Ho
南方司令「今日こそ貴様を討つ。正義の為にな」

アスラ「……虫ケラがぁ……ッ!」

天才「よぉよぉ、ご苦労さん」

西方司令「ご苦労さんじゃねーよこのクソボケ」

天才「あぁ?」

西方司令「てめぇ、五行はおろか……予言の力まで使いやってんな」

南方司令「これ以上消耗して、あなたはここで死ぬ気か?」

天才「アホ。俺様がこれしきの事で死ぬかっつーの」

西方司令「死に体だったくせに何ホザいてんだ!」

南方司令「モメている場合ではないぞ」

天才「そうそう。何だか知らんが2匹も出てきちまってよ。ゴキブリかっつーのな」

西方司令「くだれねー事ホザいてる場合か!」

天才「仕方ねぇ、アレかますぞ」

南方司令「あれ?」

西方司令「あーあれね。死んでも知らんぞ! てかもうむしろそのまま逝っちまえ!」
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 23:47:02.21 ID:BqsAIZ1Ho
>>275
正→西方司令「もういっちょおおぉぉぉ!! 脳漿飛び散れこの[ピーーー]ヤロー!!」

週末も多数のご支援ありがとうございました!
また明日宜しくお願いします!それでは!ノシ

〜オマケ〜

東方司令「……」

東方参謀「何をウロウロしておる」

東方司令「別に」

テクテクテク

東方司令(女剣士は居ないし、北方司令部は男臭いし……はぁ、もうヤダ)

テクテクテク

副官「……あら、東方司令様。こんばんは」

東方司令「――!?」

副官「どっ、どうしました!?」

東方司令「……お宝発見!」

副官「へぇっ!?」

新たな得も……人材を発掘した東方司令! 副官の運命や い か に !?
278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/09/25(日) 23:54:29.35 ID:6XfZpmb4o
おおおつ!

まあまあ、それだけみんなこのSS期待してるって事だよ!喧嘩いくない!
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/09/25(日) 23:56:11.28 ID:Lt9GgVSAo
いちおつおつおつ!!
西方司令と並ぶと南方司令も大人しく見えるな
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/25(日) 23:56:17.99 ID:2G4pHmJIO
おつ。とうとうアレをするのか。アレならいけるな。
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/26(月) 04:38:59.94 ID:6nvMenrU0
いちおつ
天才 北までもつのか…
282 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:46:54.37 ID:sIGqV5tso
シヴァ「何をベラベラとホザいているかぁ!!」

天才「俺様が引きつける。準備しとけ! しくじるなよ!」

西方司令「さっきかましたんだ。しくじるかっての!」

南方司令「距離が取りにくい。少し下がってくれ」

ズザッ

シヴァ「ヌオオォォォ!!」

天才「でっりゃああぁぁぁぁ!!」

ガッキイイィィン!!…ズガガガガッ…ガガキイイィィン!!

アスラ「隙ありぃ!!」

天才「隙なんざねーんだよバカヤロウ!!」

バッゴオオォォォォン!!

アスラ「……ッ!!」

ドズウウゥゥゥン…シュタッ

アスラ「……馬鹿なッ、完全に死角であったはずだ……ッ」

天才「見えるんだよ、テメーの動きなんざなぁ!」
283 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:47:27.78 ID:sIGqV5tso
グアッ…ザッシュウウゥゥゥゥ!!

天才「おらおらおらぁ!!」

シヴァ「コ……コイツやはり……ッ」

アスラ「未来の動きが見えているだとぉ……ッ!!」

天才「右っ、左……もいっちょ左で下段がガラ空き!!」

バギャアアァァ!!…ズザザザザアァ

シヴァ「……ゴハ……ッ!」

アスラ「やはりこの人間、ここで潰さねば……ラーヴァナ様にも届き得る」

ザシャッ!!…ダンッ!!

天才「来たっ、縦一列! いくぞおらぁ!」

シヴァとアスラが線上に並ぶ予見を得た天才は、後方へ勢い良く跳躍した。

天才が高速で回転しながら両足を伸ばすその先には、巨大な武器を構えた西方司令。

西方司令「あーんと、名前何だっけか? 超級覇……」

天才「違げぇ! ハイパーウルトラジーニアスライトニング……何だっけ?」

西方司令「メンドクセー! とにかく行っくぞおぉ!! 吹っ飛べやゴルアアァァァァ!!」
284 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:47:59.11 ID:sIGqV5tso
天才を叩きのめすかの如く、回転を加えながら武器を振り回す西方司令は、

真芯で捉えたフルスイングで天才を圧倒的な力で跳ね返す。

ガキイィ…バッゴオオォォォォン!!

西方司令の武器に両足を乗せた天才は、その衝撃を利用し、大きく前方へと飛んで行った。

それはあたかもバリスタの射出にも似た、凄まじい威力と速さである。

シュゴオオォォォォ…

南方司令「……」

天才「頼んだぜぇ!」

南方司令「ぬおりゃああぁぁぁぁ!!」

高速で前方へと飛び出す天才の両足を、南方司令の両手が空中で掴み捉える。

ガッシイイィィィィ!!

南方司令「ジャスティス……ジャイアントスイングフルパワー!!」

ブンブンブンブンッ…バッシュウウゥゥゥゥン!!

天才「方向ピッタリ!! グッジョブ!!」

南方司令「当たり前の事! これぞ愛と正義の力!」
285 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:48:27.23 ID:sIGqV5tso
2人の手が加わった天才の突撃は超高速で空中を疾走し、次第に天才の魔力が、

オーラのように周囲を取り囲み、巨大な球のような存在となった。

天才「喰らええぇぇぇぇーっ!!」

更にきりもみを加える事で先端はドリルのように回転し、周囲の地面を根こそぎ削り取りながら、

一直線にアスラとシヴァの両者を標的に捕らえた。

シヴァ「――ッ!?」

アスラ「ちいぃ――ッ!!」

前方のアスラが天才の突撃を既のことで直撃するのを回避し、伏せるように地面へと倒れこんだ。

後方のシヴァはアスラの動きによって刹那の時間を奪い取られ、回避するには至らなかった。

シヴァ「ウオアアアアァァァ!!」

故に、シヴァは天才による超高速の突撃を、正面より直撃する事を相成った。

ゴッガアアアアァァァァン!!

シヴァ「ウオオオオォォォォーッ!!」

巨大な球を両手で必死に受け止めるシヴァだが、その凄まじい威力に後方へ押し込まれていく。

腰を落とし地面を引き摺られながら踏ん張るシヴァの両手は、灼熱により崩れ落ち始めていた。
286 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:48:59.86 ID:sIGqV5tso
ドジュウウゥゥゥゥ!!

シヴァ「ガアアァァァァーッ!!」

天才「しぶてぇじゃねーか! ハーッハッハッハッハ!」

シヴァ「こ……んなものでええぇぇぇぇ……ッ!!」

天才「爆発っ!!」

ぽつりと呟いた一言と同時に、眩い輝きと耳をつんざく轟音が辺り一面へと広がった。

熱風が四散するとその直後に、天高く黒みを帯びた煙が勢いよく上がった。

カッ!!…ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

南方司令「くっ、物凄い熱風だな……っ」

西方司令「うっほぉ、煙がキノコみてーになってんぞ!」

後方に押し込まれたお陰か、シヴァ以外の者らにその被害はなかった。

それでも物凄い勢いで押し寄せる熱風と石つぶてに、一同は唖然とするばかりであった。

南方参謀「な……何が起きたわけ……?」

南方副司令「よく分からんが、総司令が突っ込んだようにも見えたが……」

西方副司令「……っ」
287 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:53:47.02 ID:sIGqV5tso
ゴゴゴゴゴゴ…

アスラ「…………」

地べたに伏せる魔物は、ただその変わり果てた景色を呆然と眺めていた。

アスラ(これ程……これ程なのか……ッ)

ズザッ

アスラ「ラーヴァナ様が危ない。奴の命と引き換えならラーヴァナ様とて防ぎきれるとは……」

天才と2人の司令が放ったとんでもない攻撃。その威力に魔王軍の軍団長であるアスラが凌駕した。

その威力はアスラの中で、魔王にも十二分に匹敵し、それがどういったものなのか、

命がけの一撃なのか、或いは何発でも放てるような代物なのか、

魔物の中でも最上級に近しい彼が似つかわしくない程に、地面へとうつ伏せに寝転び、

そんなプライドも恥もすてた状態で浮かんだ結論は1つであった。

天才がラーヴァナの城へと到達する前にとどめを刺す。その1つのみである。
288 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:54:17.58 ID:sIGqV5tso
ジャリッ…ザッ…ザッザッザ

西方司令「どこ見てんだアスラちゃん。てめーの相手はこっちだぜぃ!!」

南方司令「……」

アスラ「貴様等如きに構っている暇はない」

西方司令「あぁ!?」

タッタッタ…ジャリッ

南方参謀「司令っ! 大丈夫!?」

西方副司令「これが……アスラっ!」

西方参謀「そろそろ退くぞ。炎で退路が絶たれちまうわ……ヒック」

南方司令「そうはいかん。こやつをここで倒さねばならぬ。それこそ正義!」

西方司令「正義かどーかは置いといて、コイツを逃がすと厄介だって話だよこのクソボケ!」

南方参謀「なら急いで頂戴っ。悪いけど傍観なんてしてられないわよ」

西方参謀「ああ。怠慢だとかそんな事はどうでもいい。全力で叩くぞ! ノルマは30分!」

南方副司令「行くぞ! 司令を援護してやれっ!」

西方副司令「り、了解っ!」
289 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:54:44.23 ID:sIGqV5tso
ズザザッ…ダダダダッ

アスラ「1匹だろうと……何匹だろうとおぉ! 人間如きが群れたところで何の意味もおおぉぉぉぉ」

ピクッ

アスラ「……ッ」

西方司令「隙ありさようならご臨終ううぅぅぅぅ!!」

グワッ…バッゴオオォォォォン!!

南方参謀「もはや剣じゃないわね……」

西方副司令「直すにあたって刃こぼれ酷すぎるから金棒みたいな打撃武器にするって言ってた」

西方参謀「まぁちょうどいいんじゃねぇの……わはは!」

南方副司令「くっ喋ってる場合じゃねぇぞ! 追撃だ追撃!」

アスラ「……」

いつものアスラであれば、躊躇する事なくたった6人の人間へ攻撃を仕掛けていたであろう。

しかし彼は踏みとどまった。理由ははっきりしていた。恐怖である。

天才の己をも凌駕し、魔王にすら届きつつある力を体感し、今まで決して味わう事のなかった、

人間への恐怖を抱き始めていた。それが戦闘開始の第一歩を遅れさせたのだ。
290 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:55:10.14 ID:sIGqV5tso
アスラ「……」

だがそれは、決して悪い事ばかりではなかった。アスラにとって恐怖という感情を得た事は、

物事を冷静に見つめる彼の注意深さを更に高めるものと相成った。

アスラ(各々の強さをまずは見極めねばならぬ。全員をまとめて相手するのも容易ではあるが……)

ダンッ!!…ザスッ

アスラ(万が一の事もある。闇雲に攻めるは愚策、ここは時間をかけて各個撃破に務めるのみ)

西方参謀「何だぁ? 間合いを取りやがった……!?」

南方副司令「面倒だな。こちらは時間をかけたくないというのに」

南方司令「行くぞ、援護しろ!」

西方司令「知るかボケ! テメェが援護しろタコ!」

ヒュバッ…ザザザザッ

南方司令「ジャスティスバーニングパーンチイィ!!」

西方司令「燃え尽きて灰になって死ねおらああぁぁ!!」

アスラ(……この2匹は組まれると手間だな。分断して戦うが得策か)

両司令の炎を付加した攻撃がアスラの反撃を許さず繰り出された。
291 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:55:37.07 ID:sIGqV5tso
ゴゴオオォォォォ…

天才「……やるじゃねぇか」

シヴァ「……」

天才「まさかアレを食らって立ってるたぁ、流石は眷属ってとこか」

シヴァ「……」

天才「まぁもっとも、両腕吹っ飛ばされたそのすがたじゃ勝ち目はねーだろうけどなぁ」

シヴァ「……グ……オオォォォォ」

天才「まだやるか? それとも潔く尻尾を巻いて逃げるかい? ハーッハッハッハ!」

いつにも増して饒舌な天才。その理由は天才自身にしか分からない。

両手両足の震えを押さえる事が精一杯な彼の肉体は、回復が間に合っていなかった。

それを悟られぬよう、時間を稼ぐよう、天才はシヴァへと語り続けていた。

天才(早くしろ俺の身体……っ! この程度でなにガタきてやがんだよ……!)

仮にもしこの瞬間、天才が攻撃を受けていれば、確実に傷を負っていたであろう。

しかしそれを負わせられる者は周囲には存在しなかった。

居るのは天才以上に手傷を負ったシヴァのみであった。
292 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:56:06.55 ID:sIGqV5tso
シヴァ「……こ……んな事が……ァ」

天才「3分待ってやる。逃げるか死ぬか、好きな方を選びな」

時間を与える必要など一切なかった。無論これは天才自身の回復を待つ為の時間である。

しかし、シヴァがそれを知る由は当然なかった。そしてシヴァには退く理由もなかった。

シヴァ「何故だ……何故、アンラ・マンユ様の力を頂いたこの俺が……ッ」

ズザッ…ズズッ

シヴァ「何故……アンラ・マンユ様が負けたのだああぁぁ!!」

天才「時間切れだ」

シヴァ「ガアアアアァァァァーッ!!」

崩れ落ちてゆく体を引き摺りながら咆哮にも似た叫びをあげて、シヴァは天才めがけ突進した。

短い時間ではあったが、3分という時間は、天才が両手に握るツヴァイハンダーを

目前に迫る敵の腹部へ突き刺すには、十分な回復をもたらす時間であった。

ズグウウゥゥゥゥ…キュイイィィィィン

天才「さっきの問いだけどな。答えは簡単だ……弱ぇからだよ」

刀身から五行の光が広がり、シヴァの肉体は静かにこの世界から姿を消した。
293 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:57:07.82 ID:sIGqV5tso
ドドオオォォォォ…

天才「……ふーっ」

カランッ…ドシャアァ

天才「……あーしんど……っ」

シヴァの消滅を確認すると天才はそのまま地面へうつ伏せに倒れこんだ。

天才(アスラ置いてきちまったが……戻ってる暇も労力もねぇ……)

ググッ

天才(奴らに任せて、ラーヴァナの城を一足先に目指す。それしかねぇ)

力の入らぬ身体を懸命に起こし、拾い上げたツヴァイハンダーを杖代わりに立ち上がる。

天才「ラーヴァナさえ討てば……あとは……」

ズルッ…ドシャアァ

天才「……ハッ、ハハハッ! ハーッハッハ!」

誰も居なくて良かった。天才はまず最初にそう思い浮かべながら足を前に前にと進めて行った。

こんな惨めな姿を誰にも見られずに済んだ事が、彼にとって何よりの幸いであったからだ。

倒れては起き上がり、目を閉じる事はなかった。そして彼はこの先、死ぬまで眠る事はなかった。
294 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:57:33.30 ID:sIGqV5tso
〜最南、山脈〜

戦士「もうじき夕方だな」

南方魔道長「そろそろ月が出始める。さぇて、ラーヴァナの奴どう動くか……」

青年兵「伝令は大丈夫ですか?」

ハヌマーン「うむ。先程、連中に依頼しておいてのでな」

マーマン「連中?」

ハヌマーン「今に分かる。それよりも、何か違和感がある」

魔道士「違和感……ですか?」

ハヌマーン「ああ。どうにもあの城、ラーヴァナ以外の何かを感じるのだ」

白馬騎士「!?」

弓使い「まさか、他に魔物が……っ!?」

剣士「スグリーヴァ様を吸収したヴァーリンじゃないかな……っ」

召喚士「もしくは、サルワとアンラ・マンユの魔力で出来たドラゴンか……」

白馬騎士「はたまたそれ以外の何者か」

錦将軍「とにかく魔王以外は俺らがぶっ潰す。それでいいんだろ?」
295 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:58:00.15 ID:sIGqV5tso
兄者「それはそうだが、容易くいくものではないぞ」

弟者「承知の上さ! やれるかどうのよりも、やらなくちゃならねぇ!」

盗賊「……だな」

白馬騎士「まずは魔王ラーヴァナをここで討つ事が最優先」

青年兵「それが出来ない場合は最悪、ここから動かさぬよう足止めする事です」

青龍士官「魔王が動けば南方軍は壊滅する。ここで食い止める事こそ最も重要な事だ」

剣士「ですね。その為には現戦力を考えると……」

召喚士「軍団長1匹が限界かな……」

戦士「上等だ。やってやろうじゃねぇかよ」

魔道士「……アマゾネスさん、どうしました?」

アマゾネス「何やら森がざわついているな……」

魔道士「えっ?」

アマゾネス「向こうで何かあったのかもしれない。木々が怯えているようだ」

南方弓長「……」

召喚士「みんな、無事だといいですけど……っ」
296 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:58:42.28 ID:sIGqV5tso
〜東の町、南側〜

南方司令「うおおぉぉぉぉ!!」

西方司令「いい加減朽ち果ててくたばれやこのデカブツ!!」

アスラ「……」

西方参謀「とにかく火だ、火で攻めろ! 炎の付加だ!」

南方副司令「行くぞぉ!!」

グワッ!!

西方副司令「魔法付加っ、火行……苦手なのよね……っ」

西方参謀「だいぶ燃え広がったぞ、そろそろこっちもヤバイな……ヒック」

南方参謀「夕方になって急に風が出て来たわね……っ。いいんだか悪いんだか」

南方司令「スピニングジャスティスキック!!」

バゴォ!!…ゴゴオオォォォォ

アスラ(炎一辺倒で必死な事だ。その程度では効きもせんと言うのに……)

燃え広がる炎がアスラの周囲を取り囲むように包んでいくが、アスラ自身にダメージはない。

後手に回りすぎた事で炎の壁のその先の事を、アスラは一切気にも留めていなかった。
297 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:59:21.45 ID:sIGqV5tso
ズゴオオォォォォ!!

ラクシャーサ「グギャアアァァーッ!!」

騎士団長「近すぎては此方にも火の手が及ぶぞ。もっと遠方めがけて点火せよ!」

ラクシャーサ「どこもかしこも炎で逃げ場がねぇぞクッソォ!!」

広がる火の手の中、騎士団長率いる本国騎士団と騎兵らが火を掻い潜りながら馬を駆り、

慌てふためくラクシャーサを次々と打ち倒してゆく。

騎士団長「無理に頭部や胸部を狙う必要はない。足を止めるのだ」

騎兵「動けなくすりゃ炎で焼かれる。トドメ刺す必要ねーぞ!」

ラクシャーサ「馬かっ! よこせコラァ!!」

騎兵「なっ、何だコイ……うわああぁぁ!!」

ドシャアアァァ

騎士団長「馬鹿者が! 油断するな、敵も死に物狂いで来るぞ。油断するなよ!」

馬首を返し落馬した騎兵を救う騎士団長。そこへ炎を切り裂く音と風が響き渡る。

騎士団長「何だ……っ?」

騎兵「うわああぁぁぁぁ!!」
298 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 17:59:51.30 ID:sIGqV5tso
ゴオオォォォォ…

アジ・ダハーカ「グゴオオォォォォ!!」

騎士団長「くっ、早く行け!!」

騎兵「騎士団長様ぁ!!」

己の馬に騎兵を乗せると尻を蹴飛ばし、騎士団長は騎兵を馬ごとその場から離脱させた。

騎士団長「……さぁ、来るなら来い!」

アジ・ダハーカ「ゴアアァァァァーッ!!」

迫るアジ・ダハーカに単身、長槍1本で迎え撃つ騎士団長。

騎士団長「我が命尽きてもぉ、ここは通さぬ!!」

アジ・ダハーカ「アアアアァァァァ!!」

ゴッガアアァァァァン!!

青龍兵「突撃ぃーっ!!」

竜騎士兵「騎士団長っ、無茶ですよ!」

騎士団長「……おぉ……竜騎士隊か……っ」

右翼に突き刺さる長槍でアジ・ダハーカは横へ大きくバランスを崩し、その隙に、

竜騎士隊の青龍召喚獣が次々と襲い掛かった。
299 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 18:00:23.51 ID:sIGqV5tso
ワイバーン「ハアアァァァァ!!」

アジ・ダハーカ「ガオオォォォォン!!」

青龍兵「何だコイツ……っ、これだけやってもビクともしねぇぞ!」

アジ・ダハーカ「ガオオォォォォン!!」

ドッガアアァァァァ!!

竜騎士兵「ぐわぁーっ!」

青龍兵「駄目だっ、回避! 召喚解除間に合うものは急げ!」

バシュッ…シュイイィィィィン

まとわりつく召喚獣を振り払うように縦横無尽に体を暴れさせるアジ・ダハーカ。

竜騎士隊の面々はたまらず召喚獣を潰され離脱し、またある者は召喚解除し、

宙に投げ出されたその身を地面に叩きつけられる様であった。

青龍兵「ぐ……うぅ……っ」

騎士団長「早く、逃げろ……っ!」

なおも迫るアジ・ダハーカは口を大きく開き、その牙の更に奥へ、力を溜める。

騎士団長「……っ」
300 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 18:00:57.47 ID:sIGqV5tso
キュイイイィィィィ…

アジ・ダハーカ「オアアアアァァァァ!!」

ズシャッ

ボス「させっかよぉ!!」

アジ・ダハーカ「――ッ!?」

ヨルムンガンド「オオォォォォーッ!!」

ギュルギュルギュルッ…ガシイイィィ!!

アジ・ダハーカ「グウウゥゥ……ッ!!」

ボス「今のうちに退がれぇ!!」

竜騎士兵「す、すまねぇ……っ」

青龍兵「騎士団長様っ、早く!」

騎士団長「……う、うむ。すまぬ!」

ボス「ヨルムンガンド……こんなモンじゃねぇよなぁ!!」

ヨルムンガンド「ハアアァァァァ!!」

アジ・ダハーカ「グブウウゥゥゥゥ……ッ!!」
301 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/26(月) 18:01:51.81 ID:sIGqV5tso
低空であったが故にそれが裏目となった。アジ・ダハーカは地面より突如現れたヨルムンガンドに

その身を拘束され、更には力強く締め付けられていた。

口内に溜め込んだ閃光は放たれる事なく、その口を蛇のような胴体で閉ざされ、

両翼もまた同様に、羽ばたく事の出来ぬ程に、ヨルムンガンドの手によって閉じられていた。

ドドッドドッドドッ

エリート「あれは!!」

大軍師「おぉ、大したものですね。しかし優位というわけではなさそうです」

エリート「すぐに救援へ向かえ!」

赤壁兵「おおうっ!!」

青龍兵「大軍師様、申し訳ありません! 着火は失敗に終わり……隊もこのザマです」

大軍師「いえ、ご苦労様です。炎は司令らがうまくやってくれたようですから心配なく」

竜騎士兵「面目ありません……っ」

騎士団長「いや、この者らはよくやってくれた。我が命を……救ってくれたのだ」

大軍師「共に後退なさって下さい。ここは右大臣様と私で預かります」

騎士団長「……すまぬっ」
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/26(月) 18:05:58.08 ID:sIGqV5tso
それではここまでにて!ご支援ありがとうございます!
それでは失礼致します!また!ノシ
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/26(月) 19:02:44.42 ID:kE9wiPJo0
>>1

ボス男前だな
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 20:37:47.57 ID:rXvNfy7xo
ヨルムンガンドはデカイ割りにパワーは無いようだけど
巧く使って役立ててるね
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/26(月) 21:37:50.84 ID:OEiUX+LIO
乙!

>>293の最後の一文が気になりすぎる…
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/27(火) 00:06:45.57 ID:2Z0IfwRAO
まあ>>1的にはここまでしたんだから金儲けはしたいだろうな
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/09/27(火) 00:26:45.74 ID:e5SMmRm4o
急にどうした?
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/27(火) 00:35:56.20 ID:2Z0IfwRAO
あああ
誤爆
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/09/27(火) 00:36:09.32 ID:LgnSYLSjo
南方参謀の抱擁で目を覚ますんだ
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/27(火) 01:59:18.55 ID:rzXtrf5AO
>>1おつ

それにしても主人公の影が薄いなオイ
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/27(火) 06:45:53.68 ID:MC4445gIO
なに?主人公は天才とその愛弟子だろ?
なにいってんだ?


おっと一乙です!
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/27(火) 07:14:54.53 ID:mZe4yVxAO
主人公は剣士さんでヒロインは弓使いじゃなかったっけ
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 07:40:36.75 ID:/ftisJ6IO
いちおつん

主人公は召喚士以外のみんなですwwwwwwww
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/27(火) 08:31:51.56 ID:ogDo/f1AO
>>1

天才さんやっと寝れたと思ったら二度と眠らないとか…
どんなブラック企業勤めなんだよ
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/09/27(火) 19:37:39.70 ID:WqBuWC/40
もしブラだな
316 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/27(火) 20:07:27.20 ID:1bhTjYQAO
>>1
317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 20:56:59.72 ID:Edu3DjlBo
エリート「退却を援護する。前で出るぞ」

ドドッドドッドドッ…

アジ・ダハーカ「グゴアアァァァァ!!」

ボス「ぐあ……っ!」

タッタッタッタ

ゴロツキ「ボス!!」

チンピラ「傷口開いてんじゃねぇか! 誰かいないかっ!?」

ボス「大した傷じゃねぇ……っ、それより他の連中を逃がせ!」

チンピラ「!?」

ボス「もう……召喚獣がもたねぇぞ!」

ヨルムンガンド「オオォォォォーッ!!」

アジ・ダハーカ「ガアアアアァァァァ!!」

バチイイィィィィン!!…ザシュウウゥゥゥゥ

ボス「がっは……ぁ!!」

ゴロツキ「ボスッ!? ヨルムンガンドが弾かれた!!」
318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 20:57:25.70 ID:Edu3DjlBo
大軍師「歩兵隊、前へ」

ザザザッ

大軍師の号令で歩兵隊が並ぶと、腰につけた布製の袋を各自手に取り、

それを頭上で振り回すと一斉にアジ・ダハーカめがけて放り投げた。

ブワッ…ジャララッ

エリート「あれは結界石かっ」

大軍師「加工時の端くれです。小さなものでもこういう使い方で……役立ちます!」

上空で布から飛び出した結界石のつぶてはアジ・ダハーカの前方にふらふらと舞う。

エリート「あの程度ではダメージを与えられるとは思えんが。目晦ましか?」

大軍師「ふふっ、お見せしましょう……真骨頂!」

笑いながら羽扇を前方へと突き出し、大軍師は瞬く間に風を巻き起こす。

その突風に煽られた結界石は風の威力に押され、矢のような勢いで次々と、

アジ・ダハーカの体へと突き刺さっていった。

ゴアッ!!…ドズズズズッ!!

エリート「成程、君らしい発想だ。環境が無ければ作り上げてしまうとはなっ」
319 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 20:57:55.91 ID:Edu3DjlBo
大軍師「さぁ、総仕上げです。魔道兵、私に続きなさい」

魔道兵「ははっ!」

ザザッ

大軍師「火の手は十分上がりました。さぁ、押し返しますよ」

エリート「そういう事か。南からの炎を更に来たから押し戻そうというつもりか」

大軍師「吹かぬ風なら吹かせてみえるだけの事ですよ……ふふふっ」

魔道兵「全員、隊列を崩すなよっ! 攻撃準備ぃ!」

ザシャッ

騎士団「魔道兵には1匹たりとも、魔物を近づけるなよ!」

騎兵「おうっ! 騎士団長様や竜騎士隊の分もやってやるぜっ!」

ラクシャーサ「な、なんだぁ!? 突っ込んでくるぞ!!」

ザザッ

ラクシャーサ「後退しろぉ! 正面から突っ込んできやがるッ!」

騎兵「突撃ぃーっ! 魔物を押し込んで魔道兵を護衛しろぉ!」

ラクシャーサ「下がれったって……後ろは火なんだよぉ! 無茶言うな!」
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 20:58:24.60 ID:Edu3DjlBo
エリート「敵は怯んでいるぞ、この隙に押し込めいっ!」

ラクシャーサ「アスラ様はどうなさったのだ……ぐわああぁぁっ!!」

ゴゴオオォォォォ…

アスラ「……」

西方司令「どうおりゃああぁぁぁぁ!!」

ジャキイイィィン!!…ブシュウウゥゥゥゥ

西方司令「がはぁ!!」

南方司令「退がれっ、私が行く」

西方司令「邪魔すんじゃねぇ!!」

南方司令「言っている場合かっ!」

ダンッ…ギュオオォォッ!!

アスラ「しつこい……」

南方副司令「もう限界だぞっ、そろそろ離脱しないとまずい!」

南方参謀「そうね……っ、司令達を何とかしないと……」

ズガアアァァァァ!!
321 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 20:58:59.71 ID:Edu3DjlBo
アスラ「しつこいにも程がある。勝てる要因もない分際でいつまで……」

ピクッ

アスラ(……思えば何故だ? どうしてここまで固執する?)

西方参謀「……マズイな、ヤロー気付き始めてねぇか?」

アスラ「……まさか」

ガバッ!!

西方司令「!?」

南方司令「しまった……っ!!」

バシュウウゥゥゥゥ!!

南方司令「逃がすかぁ!!」

アスラ「どいていろ!!」

バキイイィィィィ!!…ズシャアアァァ

南方司令「ごほっ、げほ……っ!」

タッタッタ…ザザッ

南方司令「司令っ、タイムアップよ」
322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 20:59:48.43 ID:Edu3DjlBo
南方司令「何ぃ!? くそ、火の手がこんなにも……おのれ魔物共め!!」

南方副司令「違げぇってかもうそれでもいいから早く来い!」

ザザァ

西方司令「何してんだこのクソボケェ! さっさと追えや殺すぞ!」

副司令「時間切れよ、撤退しますよ!」

西方司令「あぁん!?」

西方参謀「ったく、しゃーねぇなぁ……」

テクテクテク

西方参謀「あっ!!」

西方司令「!?」

パシッ…カランカラン

西方司令「ひいいぃぃぃぃ!! ししっ、死ぬううぅぅ!!」

西方参謀「んじゃ行くぞーっ。ヒック」

南方副司令「アスラはどうする?」

南方参謀「追ったところでどうにもならないし……手は全て打ったわ。後は任せましょ」
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/27(火) 22:41:10.76 ID:f9hl+NrDO
>>1
司令とか上官クラスが束になっても軍団長クラス一匹をなかなか倒せないとなると天才が死んだあとがつらいな
324 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 23:25:27.61 ID:Edu3DjlBo
ザッシャアアァァァァ

アスラ「……な……んだ……これはっ!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

ラクシャーサ「ぐおあぁっ! こ、この炎を何とかしろぉ!」

メラメラメラッ…ゴウッ!!

ラクシャーサ「もうダメだ……退くしかねぇ!!」

アスラ「どういう事だ……これはどういう事だ……ッ」

灼熱の炎燃ゆる平野に横たわる無数のラクシャーサ。

その光景を目の当たりにしたアスラはようやくそこで理解した。

アスラ「そういう事か……ッ」

ラクシャーサ「逃げるって後ろからは炎が……ア、アスラ様!?」

ダダッ

ラクシャーサ「アスラ様、ここはもう無理です! お退きを……ッ」

アスラ「貴様等は退け。時間は稼いでやる」

ラクシャーサ「アスラ様……ッ!?」
325 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 23:25:59.43 ID:Edu3DjlBo
ズドオオォォォォ

アジ・ダハーカ「グゴオオォォォォ!!」

タッタッタッタッタ…

南方副司令「うおっ、こ……こいつ!」

エリート「おぉ、連中戻って来たぞ!」

大軍師「間に合いましたね。それでは行きますよっ!」

魔道兵「大軍師様っ! 後方より軍団長らしき魔物が……っ!」

大軍師「構いません、そのままいきますよ!」

魔道兵「詠唱開始っ! 方向は北西を起点に放つ事!」

騎兵「兵器は最後の牽制を頼む! こっちは兵を割いて守りきれんのだ!」

弓兵「我らも30秒後に援護射撃っ! その後は速やかに後退する!」

アジ・ダハーカ「ガゴアアァァァァーッ!!」

騎士団「魔物が逃げるぞぉ!!」

エリート「捨て置け、巻き添えを食うぞっ!」

キュイイイイィィィィ…
326 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 23:26:27.20 ID:Edu3DjlBo
大軍師「……発射ぁ!!」

何百から連なる魔道兵が一斉に風の魔法を撃ち放つ。

凄まじい音と共に地面を走る北西の風は、差し迫る炎を一気に押し返した。

ゴッゴオオオオォォォォ!!

西方参謀「くあぁ……っ!!」

南方司令「捕まれ! 身を伏せて射程外に逃れるぞ!」

巨大な壁のような風圧は、炎だけではなく、魔物の群れ、

そしてアスラやアジ・ダハーカまでもを東の町から遠ざけるように吹き飛ばした。

ズゴゴゴゴゴッ…

アスラ「……グ……ヌウウゥゥ!!」

アジ・ダハーカ「グガアアァァァァ!!」

大軍師「魔力の続く限り……放ち続けますよ!」

魔道士「まだまだあぁ!!」

エリート「よし、歩兵もうまく進めたようだな。大軍師、君の策は見事成功したぞ」

大軍師「まだこれからが大切ですよ。魔王を討つ為には、ね」
327 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/27(火) 23:27:01.45 ID:Edu3DjlBo
ドドオオォォォォ

ボス「……ぐっ」

パアアァァァァ

女賢者「んふっ♪ これで傷口は塞がったと思うけど……無理は出来ないわよ?」

ボス「……」

ゴロツキ「ボス……っ」

ボス「分かった。退かせて貰おう」

チンピラ「そ、そうしてくれ!」

ボス「すまんが馬を一頭頼む」

ゴロツキ「お、おうっ!」

ボス「お前ら2人は本国のお偉いさん達を守ってやれ」

ゴロツキ「わ……分かったっ!」

ダダッ…ザッ

チンピラ「馬、連れてきたぜ!」

ボス「悪りぃな。先、戻らせて貰うぜ」
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/28(水) 00:39:15.10 ID:g6aTIakAO
>>1おつ
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/28(水) 02:35:04.52 ID:Th6eMhrAO
天才さんここで死んでしまうん?(´・ω・`)
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 06:56:45.03 ID:Hi2EOdoIO
昨晩はずいぶん遅い投下だったな

あっ、>>1
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 08:37:14.19 ID:7N62J1CDO
>>1
東南の風を自ら起こしたかww
大軍師いると戦略や戦術にバリエーションが増えて楽しいね

そして主人公がこれだけ影薄くても話が進むキャラの立ち具合すげぇwwww
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 09:59:07.93 ID:Hi2EOdoIO
大軍師に文官風の口髭は譲れない
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 11:22:09.26 ID:L7AlAqbDO
大軍師はビームがうてます
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/28(水) 15:07:17.16 ID:0Llq2noDO
魔導士って魔王討伐にいってるんちゃうの?
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/09/28(水) 16:57:48.78 ID:ybULQJsx0
>>334そこはおまえ脳内で魔道兵ぐらいにしろよ・・・
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 17:57:43.39 ID:4y+BOAOR0
アスラ、武人だな!かっこよす
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 18:01:23.17 ID:IPq+hLPko
昨日は具合悪くて寝てました。すみません…

>>334-335
これに及ばぬ程重大なミスがありました…
>>270以降の女賢者は衛生兵あたりに脳内変換でお願いします!><
ああぁぁ…久々に盛大にやっちまったぁ…申し訳ないはあぁ…

↓続き
338 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:03:06.34 ID:IPq+hLPko
グイッ…パッカパッカパッカ…

ボス「……」

ススッ…ドドッドドッドドッ

ゴロツキ「そんじゃボス、俺達は先に……あれっ!?」

チンピラ「もう戻ったみたいだな。そんじゃこっちも行くとしようぜ」

ゴロツキ「あ、あぁ」

タッタッタッタッタ…

ボス「……」

ドドッドドッドドッ

ボス「悪いな。ノンビリおねんねしてる場合じゃねぇんだ」

ドドッドドッドドッ

ボス「……待ってろよ」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

馬を全速力で駆るボス。しかしその方角は東の町ではなく、南方向であった。

炎と風の入り乱れる戦場をただ一騎、静かに森の中へと駆け抜けて行った。
339 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:05:51.29 ID:IPq+hLPko
ゴッゴオオォォォォ…

ラクシャーサ「退却退却ーッ!!」

アスラ「……チッ」

ゴウッ…メラメラメラッ!!

絶対、というわけではないが、その気候もあってか南はとりわけ炎の使い手が多い。

それは魔物も然り。牛魔王の火焔山やアンラ・マンユの火山にタルウィなどもそうであったように、

アスラも炎による攻撃を得意としていた。故に南方軍の火計はさほど通用しない。

だが逆に、鎮火する手段も持ち合わせていないという事にもなる。事実アスラは、

この大火を防ぐ術なく、広がる様をただ放置しておくしかなかった。

アスラ「ラーヴァナ様より預かりしラクシャーサの精鋭が……これ程のものかああぁぁ!!」

ズズッ…ジュウウゥゥゥゥ

魔道兵「軍団長らしき魔物っ、進軍を止めません!」

エリート「耐性付きか。まさか自身で殿を務めるつもりか? 魔物らしからぬ奴だ……っ」

大軍師「これ以上進まれる事は厄介ですね」

エリート「どうする? 歩兵はほとんどが東より前進している。残りは僅かな騎兵と支援隊のみ」
340 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:07:53.56 ID:IPq+hLPko
先程からエリートの言う歩兵とは、赤壁からの援軍を中心に編制された主力部隊である。

この時既に歩兵隊は、先の火計による混乱に乗じ、燃えさかる戦場を離れ、南下していた。

それ故に魔道兵への護衛も騎兵、騎士団、そして弓兵と兵器の支援隊が担っていたのだ。

魔王軍にとってそんな事は到底気付く由もなく、エリートの言う大軍師の策は成功したかに見えた。

……が、異常なまでに冷静さを備えていたアスラは、この僅かな異変に気付いた。

アスラ「……?」

ズドドオオォォォォ

アスラ(何だこの違和感は……ッ?」

騎兵「ラクシャーサはほぼ追い払った! 騎兵も後退せよっ!」

魔道兵「少し風向きが変わった! 若干、東へ修正しろぉ!」

アスラ(昨日、一昨日の前線構成と違う。何故だ? 作戦の為か……?)

西方司令「ぎゃああぁぁ!! 死ぬううぅぅ!! 熱いっ、もう焼け死ぬ! 遺書も焼け死ぬぅ!」

南方副司令「さっさと東の町へ退かせろ!」

アスラ(何だ、人間共は何を狙っている……?)

大軍師「……?」
341 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:08:50.54 ID:IPq+hLPko
ピクッ

アスラ(あの大剣の人間……何故、単身ラーヴァナ様の元へ向かったのだ?)

大軍師「あのアスラと言う魔物……信じられませんね」

エリート「どうした?」

大軍師「手の空いている兵はアスラを追います。竜騎士隊はもう1匹の魔物を!」

アスラ(前線の兵の少なさ、単独で動く人間の強者……そういう事か)

一旦足を止め、目を瞑ると深く息を吸い込み、目を開けると同時にアスラは咆哮した。

アスラ「謀ったなあぁ……人間共がああぁぁ!!」

ビリビリビリッ…バシュッ!!

騎兵「跳ん……逃げたぞっ!」

アスラ「アジ・ダハーカ!! 貴様も退がれぇ!!」

アジ・ダハーカ「グガオオォォォォ!!」

バシュウウゥゥゥゥ

エリート「成程、追撃命令の理由はこれか!」

大軍師「ラーヴァナの下へ帰還するつもりでしょう。食い止めねば作戦に支障をきたします」
342 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:10:24.73 ID:IPq+hLPko
青龍兵「出でよっ、ワイバーン! 出るぞ!」

竜騎士兵「動ける奴はざっと20程度。やるしか……ねぇか」

大軍師「無理に戦う必要はありません。帰還の足止めを!」

青龍兵「了解です!」

ザザッ…バシュウウゥゥゥゥ

エリート「よし、こうなったらこちらもアスラの追撃を」

魔道兵「ぐわあぁ!! まだ魔物が……っ!!」

アスラ「どけどけどけえぇ、この虫ケラ共がああぁぁ!!」

バギャッ!!…ズッドオオォォォォン!!

弓兵「弓の射程圏外へ移動しました」

西方参謀「兵器は!!」

助手「炎が激しくて的が見えないわよ〜」

南方副司令「支援はここまでか……」

エリート「あとは直にあたるしかないな」

大軍師「……いや、待って下さい! あれは……っ!」
343 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:11:39.13 ID:IPq+hLPko
バッゴオオォォォォン!!

アスラ「ラーヴァナ様の下へなど近づけさせるものかぁ!!」

騎兵「駄目だっ、物理攻撃で何とかなる相手ではないぞ!」

魔道兵「ひ、ひあぁーっ!!」

ガシュウウゥゥ!!

魔道兵「……あ……あぁ……!?」

アスラ「……?」

フェンリル「グウウゥゥ……ッ」

アスラ「……召喚獣……だとぉ!?」

ガルム「グガアアァァ!!」

アスラの体へと獰猛な牙で喰らい付き離さぬ召喚獣達。予期せぬ奇襲にアスラの足が止まる。

南方司令「あれは、召喚隊だとっ!?」

エリート「陛下からの、最後の援軍だな」

白虎兵「敵は怯んでいるぞっ、総攻撃ぃ!!」

フェンリル「ガウウゥゥッ!!」
344 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:12:28.75 ID:IPq+hLPko
ドガガガガッ…ズシャアアァァァァ

白虎兵「お待たせ致しました!」

大軍師「指揮官は?」

白虎兵「白虎長様ですが、既に先へ進まれました!」

エリート「早いな、素晴らしい動きだ」

白虎兵「青龍の連中だけにいい格好させておけませんからっ!」

アスラ「……小賢しい真似を!!」

ドッドオオォォォォン!!…バゴオォ!!

白虎兵「がはっ!」

ガルム「グウゥ……ッ」

白虎兵「危ないと思ったら咄嗟に召喚解除しろバカッ!」

アスラ「貴様等雑魚に構っている暇はない!」

体を丸め、一気に手足を広げると、アスラを起点に周囲へ爆発が巻き起こった。

グググッ…ズッガアアァァァァン!!

白虎兵「うぐああぁぁーっ!」
345 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:13:01.84 ID:IPq+hLPko
ズシャッ…ズザザザザアァ

アスラ「フンッ、ゴミめが。そこで朽ち果てるが良いわ」

スッ…バシュウウゥゥ

白虎兵「……くそぉ、足止めにもならねーのかよ……っ」

エリート「いや、十分だ。もう1匹との分断は出来たからな」

白虎兵「右大臣……様ぁ」

エリート「負傷者は町へ戻れ。動ける者は……私に続け!」

騎兵「西側は炎で立ち入り困難だ。正面の森を抜けて東に回るぞ!」

白虎兵「おう! 白虎隊はフェンリルとガルムに跨れっ、右大臣様の隊に合流する!」

南方副司令「俺らも動くか……?」

大軍師「いえ、消化活動と町の防衛が我らには残っています」

南方司令「……結局、取り逃がしたか。くそっ」

南方参謀「いいじゃない、何も倒す事が全てではないわ」

南方司令「軍団長1匹に手こずるとは、私の正義も先が思いやられるよ」

大軍師「目の前の正義より大局を見据えた正義も必要ですよ。さぁ、鎮火を始めましょう」
346 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:13:31.51 ID:IPq+hLPko
ズザザザザザザッ

アスラ(居るはずだ……この近くに人間共が……ッ)

森を抜けると、アスラは更にその先を進む南方軍の一団を発見した。

アスラ「いたっ!! それ以上先に進ませるかああぁぁ!!」

ブワッ…ズッドオオォォォォン!!

南方兵「なっ、何だぁ!?」

赤壁兵「敵襲ーっ!! 軍団長だっ、何でこっちに気付きやがった!?」

西方兵「迎撃用意っ!!」

アスラ「死いいぃぃねええぇぇーッ!!」

ザシュウウゥゥゥゥ

アスラ「……」

2度目ともなると、アスラにとってさほど驚きはなかった。至って冷静なものである。

白虎兵「フェンリルをものともしないだとぉ!?」

アスラ「この程度の召喚獣……何するものぞッ!!」

――「へぇ、そうなの」
347 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:15:34.90 ID:IPq+hLPko
キュイイィィィィ…ドッゴオオォォォォン!!

アスラ「――ッ!?」

ズガガガガッ…ドッドオオォォォォン!!

――「あら、もう倒れるなんて大した事ないですわね」

――「本当ですのっ! 一気にトドメ……刺しちゃうですの!」

――「従姉さん、もう1発いけるわね?」

アスラ「……高等……召喚獣……ッ!!」

ザッ

白虎長「もちろんよ! 白虎先生をナメないで頂戴!」

白虎嬢「そうよね、ごめんなさい」

朱雀嬢「玄武娘っ、貴女の言うとおり……一気に行きますわよ!」

玄武娘「はいですの! 準備オーケーですの!」

白虎兵「俺らは歩兵隊の援護に回るぞ! 後はお願い致します!」

白虎長「分かっているわっ、そっちこそ頼むわよ!」

南方兵「す、すみません……っ」
348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:17:31.86 ID:IPq+hLPko
ザザッ…ダダダダッ

アスラ「ウヌアアァァァァ−ッ!!」

白虎長「ベヒーモス!!」

ベヒーモス「グガオオォォォォ!!」

キュイイィィィィ…ドゴオオォォォォン!!

白虎嬢「かわしたって、こっちにも居るんだからぁーっ!」

アスラ「ヌウッ!」

朱雀嬢「上空へは行かせませんわっ!」

グリフォン「ハアァーッ!!」

バシィッ!!

地上、空中を問わず、縦横無尽に駆け巡る召喚獣の攻撃。それまでの召喚獣による

一斉攻撃とは質が代わり、連日の戦闘を繰り広げているアスラにとっては簡単なものではなかった。

2匹のベヒーモスが閃光を放つ傍ら、玄武娘によるリヴァイアサンがアスラの前へ立ちはだかり、

更には朱雀嬢がグリフォンのみならずワルキューレの召喚を行い、身動きを封じる。

アスラの足はここに来て、完全に停止する事と相成った。
349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:18:26.52 ID:IPq+hLPko
バゴオオォォォォ!!…ズシャアアァァ

アスラ「ク……ッ」

玄武娘「トドメですのぉ!!」

アスラ「――ッ!?」

クルッ…ヒュオッ

玄武娘「外したっ!?」

朱雀嬢「詰めが甘いですわよっ!」

スタッ…ザッ

アスラ「……これは流石に、たまらぬわ」

白虎長「さぁ、もう観念して頂戴」

アスラ「……ッ」

ォォォォオオ…

白虎嬢「ベヒーモス、目標に照準を!」

オオオオオオ…

アスラ(……どうするか……ッ)
350 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:19:17.78 ID:IPq+hLPko
ゴオオォォォォ!!

玄武娘「なっ、何ですの!?」

空を切り裂く轟音が徐々に近づいて来る。一同は思わず空を見上げ、音の主を目撃した。

アジ・ダハーカ「ゴガアアァァーッ!!」

朱雀嬢「魔物っ!?」

アスラ「今だっ!!」

グアァッ!!…ズッガアアアアァァァァン!!

白虎嬢「きゃあぁーっ!!」

白虎長「しまった……っ!」

バシュウウゥゥゥゥ

アスラ「いいタイミングであったアジ・ダハーカ」

南方兵「魔物が逃亡するぞ! 追えるか!?」

玄武娘「む、無理ですの……っ!」

朱雀嬢「飛行タイプの私なら……」

白虎長「待って! 1人じゃ危険よっ!」
351 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:20:47.75 ID:IPq+hLPko
朱雀嬢「でも……っ」

白虎嬢「まだ何か来るわっ!」

赤壁兵「まだ魔物がいんのかよ……っ」

白虎長「……いえ、あれは!」

バシュウウゥゥゥゥ

青龍兵「ドラゴンタイプの魔物はどっちに!?」

白虎長「竜騎士隊っ! 地上の1匹と合流して南へ向かったわ!」

竜騎士兵「よし、引き続き追跡するぞ! 間に合うか……っ」

朱雀嬢「私も行きますわ!」

竜騎士兵「……!?」

白虎長「お願い、連れて行ってあげて。私達もすぐに駆けつけるわ!」

青龍兵「……分かった。いいかお嬢ちゃん、隊列からは絶対に離れるなよ!」

朱雀嬢「了解ですわ! それじゃ……お先にっ!」

バシュッ…ゴオオォォォォ

玄武娘「朱雀嬢ちゃん! 頑張ってですのーっ!」
352 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:22:36.60 ID:IPq+hLPko
オオォォォォ…

白虎長「……さ、私達も急ぎましょう」

白虎嬢「他の人達と合流しなくて大丈夫かしら?」

南方兵「拠点なら問題ない。俺らはこれから魔王の下へと向かうところだ」

西方兵「で、出来ればあなた方が居てくれると非常にありがたいんだが……」

白虎嬢「そういう事なら……」

玄武娘「そうですのっ、朱雀嬢ちゃんに追いつかないとですの!」

白虎長「決まりね。このまま南へ向かうわよ!」

赤壁兵「おぉーっ!!」

白虎長「召喚隊は召喚獣を周囲に出しつつ、歩兵隊を護衛して!」

白虎兵「了解っ! 行くぞフェンリル!」

フェンリル「任せておけ」

玄武娘「私達も行くですの、リヴァイアサン!」

白虎長「肉体的にも精神的にも、バッチリ休ませて貰ったからね。気合い入れて行くわよっ!」

白虎嬢「おーっ!」
353 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:23:13.76 ID:IPq+hLPko
〜東の町、南側〜

魔道兵「水行、撃てぇーっ!」

ドドオオォォォォン!!…ギキイイィィィィン!!

南方参謀「森に火が行き渡らないように優先して頂戴っ」

西方参謀「ほれ、司令も手伝えっての……ヒック」

西方司令「ひゃああああぁぁぁぁ!!」

グイッ…ドッドオオォォォォン!!…ガキイイィィィィン!!

南方副司令「すっげぇ氷魔法だな……っ」

西方副司令「平常時の司令は超弱気状態だからねぇ。うまく出せば最強の水行よ」

西方参謀「武器手にしてる時ぁ、最強の火行だけどな。これ程極端な奴も珍しいわ……ヒック」

魔道兵「うわああぁぁーっ!!」

エリート「どうした!?」

魔道兵「ててっ、敵だぁーっ!!」

南方司令「!?」

大軍師「妙ですね。全て撤退したkと思ったのですが……」
354 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:23:55.40 ID:IPq+hLPko
ザザザッ…スタスタスタ

ラクシャーサ「……」

魔道兵「くっ、来るならきやがれ!」

ラクシャーサ「待て、俺達は……違うんだ」

エリート「……?」

ザッザッザ

大軍師「投降ですか?」

ラクシャーサ「俺達はスグリーヴァに降った。もうラーヴァナ軍ではないんだ」

大軍師「ほぉ、どういう事でしょうか?」

ラクシャーサ「ハヌマーン……って分かるか?」

大軍師「……成程。そうやら嘘ではないようですね、話を伺いましょう」

エリート「大丈夫なのか?」

大軍師「ハヌマーン殿を知る者ならば嘘偽りはなさそうです」

エリート「……分かった、おい、念の為に武器を地面へ置け。それからこちらへ」

ラクシャーサ「ああ、分かった」
355 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:24:54.38 ID:IPq+hLPko


ラクシャーサ「俺達は伝言を伝える為に、魔王軍の中に再び戻ったってわけさ」

大軍師「木を隠すなら森の中。良い案です」

エリート「それで、あちらはうまく進んでいるのか?」

ラクシャーサ「朝の段階では、既にラーヴァナ様……ラーヴァナの城近くまで接近した」

大軍師「全員無事なのですね?」

ラクシャーサ「スグリーヴァが死んだ。後は全員知ってるわけじゃねーが無事だ」

エリート「スグリーヴァ殿がっ!? な……なんと……っ」

大軍師「……そうですか」

ラクシャーサ「そうそう。ヴァーリンが最後の力を振り絞って、スグリーヴァの肉体を乗っ取った」

南方副司令「!?」

ラクシャーサ「そのまま行方を眩ましてる。死んだかもしれんし生きてるかもしれない」

大軍師「……他には?」

ラクシャーサ「日没と同時に作戦開始だと言っていた。とりあえずそんなもんだな」

大軍師「日没……もう間もなくですね」
356 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:25:27.38 ID:IPq+hLPko
ラクシャーサ「んじゃ、とりあえず伝えたぜ」

大軍師「皆はスグリーヴァ様の城へ戻っていて下さい」

ラクシャーサ「そのつもりだ。流石にラーヴァナと直接、戦いたくはないからな」

エリート「それ程までなのかラーヴァナは?」

ラクシャーサ「他の魔王を見たわけじゃないが、俺は一番強い魔王だと思ってるよ」

大軍師「……ご苦労様でした。お気を付けて」

ラクシャーサ「アンタらもな」

ザッ…スタスタスタスタ…

南方司令「……良いのか?」

エリート「あの調子ならばスパイや裏切るなどと言った事もないだろう」

大軍師「精鋭を集めて、彼らの後を追って下さい」

エリート「大軍師、何もそこまで……」

大軍師「いえ、護衛の為です」

西方副司令「護衛……?」

大軍師「ヴァーリン、姿を見せぬところが気になりますね」
357 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:25:59.14 ID:IPq+hLPko
時刻は間もなく、日没を迎えようとしていた。薄暗くなる空を疾走するアジ。ダハーカ。

更にはそれを竜騎士隊と朱雀嬢が懸命に追いかけ続けていた。

バシュウウゥゥゥゥ

竜騎士兵「でけぇ図体でなんて速さだチクショー!」

青龍兵「一向に追いつけない……っ、これでは魔王と合流されてしまうぞ!」

朱雀嬢「……っ」

竜騎士兵「とにかく追うしかない! 倒せないにしろ近づけさせるのだけは絶対に防ぐ!」

青龍兵「そうだっ、魔王さえ討てば……軍団長共は後回しでいいんだからな」

朱雀嬢「……飛ばしますわ」

青龍兵「!?」

朱雀嬢「私なら追いつけますわ。先に行って、奴を食い止めますわ!」

竜騎士兵「無茶だっ!」

青龍兵「いや、だが……3分でいい! いけるか!?」

朱雀嬢「……任せて。やってみせますわっ!」

竜騎士兵「俺達が不甲斐ないばかりに……すまねぇっ」
358 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:26:38.62 ID:IPq+hLPko
バシュンッ!!…ギュオオォォォォ!!

朱雀嬢「……グリフォン、もっと飛ばして」

グリフォン「無茶するなよ? お前が死ねば……悲しむ者もおるだろう」

朱雀嬢「……どうかしらね」

グリフォン「……少なくとも、私は悲しむぞ?」

朱雀嬢「あら、有難う。でも私が死ねば……貴方も死にますわ」

グリフォン「それもそうだな。互いに死なぬよう祈るか」

朱雀嬢「そうですわね」

バシュウウゥゥゥゥ!!

グリフォン「……居たぞ、追いついた」

朱雀嬢「前方へ回り込んでっ! ワルキューレを……うぅん、出し惜しみしてる場合じゃですわね」

アジ・ダハーカ「……ッ?」

朱雀嬢「手持ちの召喚獣、全て出して食い止めますわよっ!!」

グリフォン「待てっ、あれは何だ!?」

朱雀嬢「……城? ま、まさか……っ!?」
359 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:27:47.44 ID:IPq+hLPko
〜最南、山脈〜

ザッ

ハヌマーン「日没だ」

白馬騎士「時間です、行きましょう」

オーク「うぅ……っ」

弟者「いよいよだなぁ!」

青年兵「第1隊、召喚士さん、戦士さん、魔道士さんは南側からお願いします」

魔道士「はいっ!」

戦士「いつでもいいぜ」

召喚士「……コカトリス、行こう」

コカトリス「ああ」

青年兵「第2隊。バーテンさん、双子姉妹、アマゾネスさんは西側から」

アマゾネス「了解した」

双子姉妹「頑張りますっ!」

バーテン「さーて、失敗は許されねぇな」
360 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:28:33.02 ID:IPq+hLPko
青年兵「第3隊、弓使いさん、幼女ちゃん、女賢者さん、同門さん。東からお願いします」

弓使い「さぁ、しっかりやるわよぉ!」

幼女「うんっ」

女賢者「うまくいくといいわねぇ〜。んふっ♪」

同門「……」

青年兵「第4隊。弓将軍様、白馬騎士様、マジシャンさん、そして私は北から行きます」

弓将軍「ひょっひょ、腕の見せ所よ」

白馬騎士「援護はお任せ下さい」

マジシャン「無事、生きて帰ろうぜ……ハッハ!」

青年兵「最後に第5隊。南方弓長殿、南方魔道長殿、西方魔道長殿、青龍士官」

青龍士官「魔王の頭上からだな。任せておけ」

南方魔道長「手間はかけたくねぇ。ちゃっちゃと終わらせるぞ」

西方魔道長「その為には、アンタが頑張ってくれよ」

南方弓長「ここまで来たからには、絶対に決めてみせる!」

青年兵「以上の編制です。さぁ日没です……行きましょう!」
361 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:29:02.99 ID:IPq+hLPko
ザッ

召喚士「魔道士さん、手を」

魔道士「す、すみません」

戦士「よっと……おし、いいぜ」

召喚士「それじゃ行きます!」

青年兵「お気を付けて」

コカトリス「落ちるなよ」

バサァッ…バシュウウゥゥゥゥ

アマゾネス「こっちも行くわ」

色黒「長っ、頑張ってね!」

アマゾネス「お前達もな」

おさげ「任せておいて!」

バシュウウゥゥゥゥ!!

同門「……いいか?」

幼女「うんっ、大丈夫……っ」
362 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:29:29.95 ID:IPq+hLPko
弓使い「ふーっ、緊張するわね……」

女賢者「これ、乗っても大丈夫なの?」

同門「フェニックスの炎は人間に害はない! 早くしてくれ!」

女賢者「はぁい」

ザッ…ドシュウウゥゥゥゥ!!

青龍士官「さて、俺達も行くか」

青年兵「青龍士官」

青龍士官「ん?」

青年兵「見せてやろう。青龍先生から継いだ遺志を」

青龍士官「ああ。見せてやろう」

青年兵「……よし、後は頼みます」

ハヌマーン「ラーヴァナの気を引くくらいは何とかしてみせるさ」

マーマン「無事終えたら、みんなで酒飲もうぜ!」

青年兵「そうですね。では……」

青龍士官「待て青年兵、あれは何だ……!?」
363 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:30:01.98 ID:IPq+hLPko
ゴゴオオォォォォ…

青年兵「――っ!!」

青龍士官「魔物だ!! 飛行タイプの!!」

錦将軍「こんな時にぃ!!」

青年兵「あれはアンラ・マンユの……っ!」

青龍士官「どうする!? 作戦に支障をきたすぞ!!」

青年兵「他の人達は既に飛び立ってしまった……。このままでは勘付かれる可能性がある」

青龍士官「もしその騒ぎに魔王が気付きでもしたら……作戦は失敗だ!」

青年兵「仕方ない、僕らであの魔物を追い払うしかない!」

マジシャン「おい、大丈夫なのか!?」

青年兵「5分以内にカタを付けます! それまで待機していて下さい!」

ハヌマーン「我らも出るぞ! 囮程度にはなるはずだ!」

マーマン「おうよ!」

青龍士官「ハナから全開で行くぞ! 出でよ、バハムート!!」

青年兵「想定外とはいえ予測しなかったのは僕のミスだ……っ。何としても食い止める!」
364 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:30:34.40 ID:IPq+hLPko
ドッシュウウゥゥゥゥ!!

ハヌマーン「急ぐぞ! こんな好機、二度とは訪れぬ!」

マーマン「あぁそうだ! みすみす逃してたまっかよぉ!」

兄者「この赤兎なら他の馬とは勝手が違う。すぐにでも近づけるわっ!」

盗賊「……行こう!」

ドドッ

戦士「何か下が慌しいな」

魔道士「何か……あったんでしょうか?」

コカトリス「召喚士、正面を見ろ。あれは魔物ではないのか?」

召喚士「!?」

魔道士「あれって……魔王の!!」

戦士「何でこんな所にいやがんだよぉ!!」

召喚士「くそっ、どうす――」

ドッシュウウゥゥゥゥ

召喚士「バハムート! 青年兵くん達かっ」
365 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/28(水) 18:31:04.17 ID:IPq+hLPko
ゴゴオオォォォォ

青年兵「いっけぇーっ!!」

青龍士官「近づけさせぬ!」

アジ・ダハーカ「グガオオォォォォ!!」

ドドオオォォォォン!!…ズガアアァァァァ!!

朱雀嬢「あれは青年兵さんっ!?」

青年兵「グリフォン!? もしや朱雀嬢さんか……っ!?」

青龍士官「どうする!? このまま押し込んで北へ追いやるか?」

青年兵「……」

作戦決行。そして集うべき人々が揃った時、地響きに近い低音が周囲に鳴り響く。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

戦士「な、何だ……っ?」

召喚士「っ!?」

音の主はラーヴァナの住まう城の屋根が開く死への響き。左右に開いた屋根の奥で闇が動く。

嘔吐を誘うような威圧と共に、魔王ラーヴァナが満月の下に姿を現した。
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/28(水) 18:33:20.61 ID:IPq+hLPko
それではここまでにて!ご支援ありがとうございました!
たまにやらかしちゃうけど…暖かい目で見守ってねっ♪…なんちゃって

ああぁぁもうほんとごめんなさいでした!それでは失礼致します!ノシ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/28(水) 18:50:39.77 ID:7N62J1CDO
>>1乙!
とりあえず>>1にも大きな武器を持たせて上げたいと思ったww
いよいよクライマックスだな
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/28(水) 19:23:02.45 ID:y6/fLbkAO
>>1

居たのは女賢者
それ以上でも以下でもない

女賢者とは別の女賢者が女賢者と言う名前で女賢者しただけだから女賢者とは違う女賢者だと俺は女賢者う。
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/28(水) 23:22:34.21 ID:Th6eMhrAO
>>1乙!
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/09/29(木) 05:22:01.88 ID:H+0KO/d50
いちおつ
魔王も満月で そうとう強くなるんだろな
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 07:49:59.62 ID:zHiylhDIO
いちつお
372 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:01:39.49 ID:diA8A0EHo
ズガゴゴゴゴゴゴッ…

同門「な……んだっ!?」

青年兵「しまった……遅かったか……っ」

ゴゴゴゴゴゴ…

剣士「あれは……城がっ、屋根が開いている!?」

オーク「う……ああ……ぁ」

ゴゴゴゴゴゴ…ズズズッ

戦士「……初見でも分かる。あれが……魔王ラーヴァナ」

召喚士「……っ」

ズドオオォォォォ

ラーヴァナ「……」

コカトリス「少し距離を取った方が良さそうだな」

召喚士「え……っ?」

ラーヴァナ「ふむ」

上空で制止したラーヴァナは周囲を見渡す事なく突如、北のj方角へ光を撃ち放った。
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:02:06.72 ID:diA8A0EHo
チカッ…ゴゴゴゴゴゴ…

玄武娘「へっ?」

白虎長「何……きゃっ――」

ズッガオオォォォォン!!

南方兵「ごふ……っ!」

シュウウゥゥゥゥ…バチバチバチッ

玄武娘「な……何ですの……っ?」

白虎兵「見るな! こ、こりゃひでぇ……一撃かよ……っ」

西方兵「な……何人やられた……っ?」

赤壁兵「分からん、生き残ってる奴を数えた方が早いぞ……っ」

チカッ…ゴゴゴゴ…

白虎嬢「!?」

白虎長「ベヒーモスううぅぅ!!」

先程の同様、遠方で煌く輝きを目撃した白虎長達は、2発目の閃光を確信する。

一同は慌てて召喚獣を前方へと展開し、その攻撃に備えた。
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:02:32.72 ID:diA8A0EHo
ズッガオオォォォォ!!

玄武娘「くうぅーっ!!」

白虎兵「お、押し負けてたまるかぁ!!」

ベヒーモス「グオオォォォォ!!」

バッシュウウゥゥゥゥン!!

白虎嬢「はぁ、はぁ……はぁ……はぁ……っ」

西方兵「的を絞らせぬよう、分散するぞ!」

ザザッ…ダダダッ

白虎長「お願いよ、3発目は勘弁して頂戴……っ」

玄武娘「な、何事だったんですの……っ!?」

白虎嬢「分からない。魔物による遠距離攻撃……?」

白虎兵「それにしても長距離なんてもんじゃないぞこりゃあ……」

南方兵「これ以上の進軍は難しいか……っ」

白虎長「立ち止まっているのも危険だわ。周囲の地形をうまく利用して進みましょ」

白虎兵「それが良さそうですね。召喚隊も分散し、召喚獣を前面に押し出して進めぇ!」
375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:03:02.38 ID:diA8A0EHo
ドドドドドド…

ラーヴァナ「……ふむ。2撃目は防がれたか。これはなかなか」

南方魔道長「何だアイツ……っ、腕組んだまま何か撃ちやがったぞ……!」

マジシャン「魔王、ラーヴァナだな」

南方弓長「!?」

マジシャン「余裕かましやがって。気に食わねぇな」

白馬騎士「しかしここからでは打つ手立てないですね……。彼らに任せるしか……」

バシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「どこを見ている!!」

青年兵「バハムートぉ!!」

キュイイィィィン…ドッゴオオォォォォン

アスラ「……召喚獣か。大したものだな」

青龍士官「ば……馬鹿なっ、直撃のはずだ……っ」

青年兵「これが……ラーヴァナ」

アスラ「どれ、速さは如何程のものか」
376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:03:29.08 ID:diA8A0EHo
チカッ

青年兵「くうっ!!」

ババッ…バシュッ!!

アスラ「ほぉ、その巨体で避けるか! これは素晴らしい」

カッ!!…バッゴオオォォォォン!!…ゴゴゴゴゴゴ…

バーテン「山が……吹き飛んだぞ……っ」

青年兵(駄目だ、かわすので精一杯だ。とても戦える相手じゃない……っ)

青龍士官「よりにもよって魔王だけならいざ知らず……)

チラッ

アジ・ダハーカ「グガオオォォォォ!!」

アスラ「ふーむ、アスラもシヴァも見当たらぬな。まさか討たれたか?」

朱雀嬢「あ……っ」

バシュウウゥゥゥゥ

青龍兵「いたぞっ!!」

竜騎士兵「待てっ、奴だけではないぞ!? ていうかあれは……バハムート!?」
377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:03:57.85 ID:diA8A0EHo
ギュオォッ…バサッバサッ

青龍兵「隊長っ! ご無事で!」

青龍士官「おぉ……っ! お、お前ら……!!」

竜騎士兵「ここには20数名しか居りませんが皆、無事です! 2名程……やられましたが……」

青龍士官「そうか、ご苦労だったな」

バシュウウゥゥ…

朱雀嬢「青年兵さん!」

青年兵「朱雀嬢さんっ、どうしてここに……?」

朱雀嬢「力に……なりたくって……」

青年兵「……そうでしたか。心強いですよ」

朱雀嬢「あっ、い……いえっ。それで、どうすれば宜しいかしら?」

青年兵「……青龍士官!」

青龍士官「分かっている。竜騎士隊でラーヴァナの気を引いてみせる!」

青年兵「朱雀嬢さんは魔王討伐の……」

青龍士官「青年兵、お前も行くんだ」
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:04:29.94 ID:diA8A0EHo
青年兵「!? しかしっ、アジ・ダハーカはどうする!」

青龍士官「輸送用の召喚獣は5体必要。俺とお前が抜けて朱雀嬢さんを入れても1人足りん」

青年兵「……だったら、アマゾネスさんらの」

青龍士官「彼女らの魔力と技術で持つと思うか? 彼女らは戦闘向けに鍛えられたわけじゃない」

青年兵「……っ」

青龍士官「だが彼女らもアジ・ダハーカの牽制は問題ないはずだ」

青年兵「……本当にいいんだな?」

青龍士官「俺を信じてくれ」

青年兵「行きましょう、朱雀嬢さん」

朱雀嬢「っ!?」

青年兵「副司令として命ずる。死ぬなよ」

青龍士官「了解だ、副司令殿」

竜騎士兵「出るぞっ、相手は魔王だ! 1秒たりとも油断するなよ!」

青龍兵「おうよ!」

青龍士官「竜騎士隊の底力……見せてやる!!」
379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:05:03.33 ID:diA8A0EHo
タッタッタッタッタ

盗賊「……っ」

ハヌマーン「ラーヴァナめ、上空では手も足も出せぬ」

マーマン「どうするよ!? 魔法でもぶっ放してみっか?」

ポニテ「そういう事なら、私達の召喚獣が役立ちそうだわねっ」

ツインテ「やってやるです!」

ハヌマーン頼めるか?」

おさげ「もっちろんよ! 行けっ、ハーピー!」

色黒「さぁ、私達だってやれるってところ、見せてあげましょ!」

バシュウウゥゥゥゥ…

錦将軍「こっちはどうするよ?」

兄者「魔王が地上に降りたところで仕掛けるしかあるまい」

弟者「そんならもう少し先に進むかい」

盗賊「……だな」

ハヌマーン「よし、召喚士の女子らを護衛しつつ、城へ近づこう」
380 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:06:19.13 ID:diA8A0EHo
バシュウウゥゥゥゥ

ハーピー「……?」

ペガサス「何だ」

青龍士官「手助け、痛み入る」

セイレーン「別に〜。私達は主に言われただけだからね〜」

青龍士官「ラーヴァナは我ら竜騎士隊が引き受ける。諸君らはあれを頼む」

ハーピー「あの羽のあるヤツね。オッケー! 分かったわ」

ペガサス「魔王とやりあう気か」

青龍士官「やりあおうなどとは思っていないさ。数分でも足止めになればいい」

ペガサス「……ふっ。我らと違って人間は脆いからな。死ぬなよ?」

青龍士官「他属性の召喚獣に心配して頂けるなんて、光栄な限りだ」

ズバシュウウゥゥゥゥ

竜騎士兵「精鋭4名、準備完了です!」

青龍士官「よし、作戦通り行くぞ!」

青龍兵「了解!」
381 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 18:07:23.93 ID:diA8A0EHo
ザッ

青龍士官「……出でよ、ファフニール」

シュイイィィィン…スタッ

青龍兵「隊長、バハムートは……」

青龍士官「パワー、スピード申し分ないがバハムートでは魔力の消耗が激しいからな」

青龍兵「なるほど……」

青龍士官「行くぞ!」

ドウッ!!…バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「青龍士官が行ったな。朱雀嬢さん、僕らも行きますよ!」

朱雀嬢「はいですわっ!」

バシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「魔王ラーヴァナ! 倒せずとも一矢報いてくれるっ!」

アスラ「……ん、召喚獣を変えてきたか。次はどう来る事やら」

20数匹からなる青龍召喚獣の一斉攻撃。一団は密集し、ラーヴァナの足元へと潜り込み、

真下から一気に上昇し、目にも止まらぬ速さで間合いを詰める。
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 20:09:14.59 ID:DK7Sg6xno
さっきからラーヴァナがアスラになってるよ
単発なら脳内変換するけど、無意識に間違えてそうなので一言
383 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 20:09:28.75 ID:T3uM0oXDO
>>1
もう体調は大丈夫かな?
季節の変わり目で急に寒くなったししんどかったら無理すんなよー
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/29(木) 21:21:13.65 ID:6jSS3vjco
いちおつん
385 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 21:22:43.94 ID:xbFU3skSo
ズバシュウウゥゥゥゥ

ラーヴァナ「フハハッ、さぁどうする?」

青龍士官「開けぇ!!」

ラーヴァナの足元で召喚獣らは四方八方へと広がりをみせる。

青龍兵「うおおぉぉーっ!」

ラーヴァナ「四方からの一斉攻撃か」

迫る召喚獣を気にも留めず、ラーヴァナは冷静にその状況を見据えていた。

そして表情を変える事なく、接近するワイバーンらの一角へと左手を突き出した。

ラーヴァナ「……フハハ!!」

竜騎士隊の放つ攻撃と同時に、ラーヴァナの手より閃光が放たれた。

ラーヴァナの周囲には煙が立ちこめその前方では強襲した内の正面にいた数匹のワイバーンらが、

魔王の攻撃を近距離で直撃し、消滅した。

ラーヴァナ「……ほほぉ」

煙の奥より無傷のまま姿を見せるラーヴァナはニヤリと笑い、感嘆の声をあげる。

消滅したのはあくまで召喚獣のみ。臨機応変な戦い振りに、魔王は感嘆していたのだ。
386 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 21:23:29.40 ID:xbFU3skSo
ガクッ

青龍兵「……ちぃっ、早すぎんだろ……っ」

竜騎士兵「俺のワイバーンもやられたらしい。も、もう一度いくぞっ」

シュイイィィィィン…バシュウウゥゥゥゥ

青龍兵「魔力の続く限り召喚うぃ続けるぞ! 隊長らを援護するんだ!」

やや距離を取り、地上より青龍召喚獣を操る竜騎士隊の面々。

青龍士官が取った作戦とは、精鋭4名と自身を含め、限られた5名のみ召喚獣の背に乗り、

他の者らは召喚獣のみで魔王ラーヴァナと交戦するという手法であった。

ラーヴァナ「先程までは人間と召喚獣一体であったというのに、思い切った事をする」

青龍士官「もう一度だ! 回りこめぇ!」

ラーヴァナ「いや、召喚獣に乗るという行為自体が珍しいのか。そういえばそうだな」

バシュッ…ズガアアァァァァ!!

ラーヴァナ「……今度も外れか。こうなれば当たるまで続けてやろうか」

青龍士官「こちらがあたるのが先か、下の連中が魔力枯渇するのが先か……っ」

選択肢に光明はない。それでも竜騎士隊は魔王の気を引く為に戦い続けていた。
387 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 21:24:03.99 ID:xbFU3skSo
バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

青年兵「お待たせ致しました!」

マジシャン「おう、いいんだな?」

南方弓長「あれ? 貴女は確か……」

朱雀嬢「……」

青年兵「青龍士官は上空で魔王と交戦中です。代わりに朱雀嬢さんが行きます!」

白馬騎士「あまり時間をかけてはいられぬようだな。急ごう」

ザッ

西方魔道長「よっこいせ……っと」

南方魔道長「……おし、いいぞ」

青年兵「行きましょう!」

朱雀嬢「了解ですわっ!」

バシュウウゥゥ…バサァ

青年兵「……青龍士官っ」

ラーヴァナと交戦中の竜騎士隊を見下ろし、青年兵らは更に空高くへと羽ばたいていく。
388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 21:24:37.43 ID:xbFU3skSo
ズッガアアァァァァン!!

ワイバーン「グウゥ……ッ」

ラーヴァナ「……また外れたか」

青龍士官(数もだいぶ減ったな……っ、そろそろまずいか)

ファフニール「おい、次あたりはもう危険だぞ」

青龍士官「……ああ。各員、低空飛行に移れ!」

竜騎士兵「了解っ!」

バシュッ!!…ギュイイィィィィン

ラーヴァナ「作戦変更か?」

青龍兵「狙うは魔王の足元っ、そこだけに集中しろぉ!」

青龍士官「いけぇーっ!!」

ドドオオォォォォン!!

ラーヴァナ「フハハッ、そんなに低くては貴様等が不利ではないのか?」

ヒュオッ…ズッシイイィィィィン

青龍士官「しめたっ、魔王が着地したぞ!」
389 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 21:25:12.69 ID:xbFU3skSo
ザザッ

剣士「奴が地に降りたぞ」

ハヌマーン「よし、一気に仕掛けるぞ」

マーマン「おうっ!」

オーク「怖くない……怖くなんてないですっ!」

兄者「行くぞおぉ!! 突撃ぃーっ!!」

弟者「うおりゃああぁぁぁぁ!!」

ドドオオォォォォ

ラーヴァナ「……ん?」

盗賊「……はぁ!!」

ジャラッ…ビュオッ!!

錦将軍「でりゃあぁ!!」

ザシュッ!!…ギキイィン!!

盗賊「な……っ!?」

錦将軍「やっぱり普通にやっても効きゃしねーか!」
390 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 21:25:54.33 ID:xbFU3skSo
ラーヴァナ「地上にも居たかっ、人間」

ビリビリビリッ

マーマン「ほんとに……勝てんのかよぉ!」

ハヌマーン「やるしかあるまいっ!」

盗賊「……火遁、焔!!」

ドドオオォォンン!!…ゴアァッ!!

剣士「はぁーっ!!」

バギャッ!!

ラーヴァナ「フハハハハッ!! どうした、そんなものかぁ!!」

キュイイィィィィ…

盗賊「まずいっ!!」

オーク「んぬああぁぁぁぁーっ!!」

ガシィッ!!…ズッドオオォォォォン

ラーヴァナ「……ほぉ!」

錦将軍「魔王を投げ飛ばしただぁ!? お前……なんて馬鹿力だよっ」
391 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/29(木) 21:26:46.36 ID:xbFU3skSo
クルッ…スタッ

ラーヴァナ「なかなか楽しませてくれる。そうか、今宵は満月。貴様とて本領発揮とうわけか」

オーク「ふーっ、ふーっ、ふーっ」

ハヌマーン「魔王ラーヴァナ、今宵が貴様の命日でもあるぞ!」

ラーヴァナ「ハヌマーンか。スグリーヴァ亡き今、ようやるわ」

ハヌマーン「貴様……っ!」

オーク「――ッ!?」

弟者「どうした?」

マーマン「な、何だ……!? やっぱり何かいやがる!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

ラーヴァナ「……フハハッ、貴様も待ちきれなんだか。ジャガーノート」

ズッガオオォォォォン!!…ズザアアァァ

青黒い肌を持つ山のような魔物が姿を現し、鼻息荒く敵対する者を睨みつける。

ジャガーノート「ブシュウウゥ……ハアアァァァァ」

ラーヴァナの前方へ盾のように立ちはだかる魔物は、有無を言わさず攻撃を開始した。
392 :オマケネタ募集してマス [sage saga]:2011/09/29(木) 22:57:17.29 ID:xbFU3skSo
ご指摘感謝です!思いっきりアスラになってました…すみません
夕方急に書き込めなくなったので追加でここまで!ご支援ありがとうでした!
では失礼致します!皆様も体調にはお気を付けて!ノシ

〜オマケ〜

副官「はふぅ……」ヘタッ
東方司令「鍛え上げたテクですっかり虜になったな。もう立て続けに4回目ではないか」

めろめろめろりんにしたつもりであった東方司令だが……

参謀「副官殿、ちょっとこれを手伝って頂けませんか?」
副官「はいっ! 喜んで……っ///」

キャッキャウフフ

東方司令「きーっ! 結局男か……くぅ!」ジトーッ!!

万策尽きた彼女の脳裏にはもはや突拍子もない発想が閃いた。

東方司令「そうだっ! 女剣士も女侍さんも上様も……みんな東方にいるんじゃないかっ!」



左翼長「……東方司令部に戻るだぁ?」
東方司令「うむ。あちらでも戦闘があったと聞くしな」

左翼長「まぁそうだな。じゃあ頼むわ」
東方司令「イェス!!」グッ!!

左翼長「……?」

東方司令の運命や い か に ! ?
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/09/29(木) 23:42:03.19 ID:2eOv5qLAO
職務怠慢の1の運命や い か に ! ?
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 00:40:09.31 ID:4yBi3rNyo
いちおつ
東方司令って、前に風呂で召喚士と青年兵で腐った妄想してたのに
なんで眼鏡×魔法剣士に食指が動かんのだと思ってたけど
百合っぽくないからなのか
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/09/30(金) 00:46:40.90 ID:nEBPzM3AO
>>1
この章も終わりに近づいてるな…
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 09:29:16.71 ID:Xmxwxs1i0
久しぶりに学園コカトリスが見たいなー
運動会編とかなんとかかんとか
397 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:42:45.02 ID:7KTsK/f+o
ジャガーノート「グブルアアァァァァ!!」

ズガガガガガガッ!!

弟者「うぐあぁ!!」

猛進するジャガーノートは地面や岩を軽々と吹き飛ばし、左右に振り回す腕は、

木々をなぎ倒しながら竜巻のような威力で地形を変えながら突き進む。

ジャガーノート「ヴアアアアァァァァ!!」

兄者「正面からあたるな! 回避を優先せいっ!」

ドドッドドッドドッ

兄者「おおぉぉ!!」

弟者「流石は兄者っ、あの攻撃をものともしねぇでかわした!」

剣士「白馬騎士さんより預かったこの馬なら……っ」

グイッ…ドドッドドッドドッ

錦将軍「あっちも抜いた! やるじゃねぇか……っとぉ!」

マーマン「うおぉっ、今度はこっち来やがったぁ!!」

盗賊「っ!!」
398 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:43:12.16 ID:7KTsK/f+o
ゴガガッ…ドッズウウゥゥゥゥン!!

盗賊「……大丈夫かっ!?」

マーマン「すまねぇ、助かった」

ジャガーノート「ウウゥゥゥゥ」

盗賊「……理性を持たぬ魔物だな。ただ闇雲に突進を繰り返すのみだ」

マーマン「だーが、それが厄介だよな。俺っちらにとっちゃあよ」

盗賊「……うまく地形を利用し、高所から攻撃しよう」

マーマン「おうっ、それがいい!」

シュタッ…ザザザザッ

ジャガーノート「ヴグオオォォォォ!!」

ズガガガガッ…ゴッシャアアァァァァン!!

盗賊「……しつ……こいっ!」

マーマン「押しながられてろ!!」

高所からマーマンの放つ水が滝のように降り注ぎ、よじ登るように突進するジャガーノートを

水圧によって押し戻し、その巨体を地面へと叩きつけた。
399 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:43:44.57 ID:7KTsK/f+o
ドッドオオォォォォン…ザッザアアァァァァン

ラーヴァナ「おぉ、凄まじい威力だな。なぁ……ハヌマーン」

ハヌマーン「――ッ!?」

ヒュバッ…ガキイイィィン!!

ハヌマーン「ヌグ……ッ」

ラーヴァナ「したたかな貴様が間隙を突いてくる事など承知の上よ」

ハヌマーン「抜かったか……ッ」

ラーヴァナ「フハハハハアアァァ!!」

ヒュッ…バッギャアアァァァァ!!

オーク「ッ!!」

ラーヴァナの手を払うような仕草は、ハヌマーンの体をそのまま後方の岩壁へと叩きつけた。

ゴシャアアァァァァ…

ラーヴァナ「他愛ない。この程度の連中に、何故我が軍は苦戦を強いられておるのか」

ハヌマーン「ゴホ……ッ、信頼出来る者がおるから……だ……」

ラーヴァナ「……?」
400 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:44:54.21 ID:7KTsK/f+o
ズザッ…ドドッドドッドドッ

兄者「ぬおおぉぉ!!」

剣士「はあぁーっ!!」

アスラ「信頼? これがその信頼と言うやつか?」

ジャキイイィィン…クルクルクルッ…ザクゥ!!

兄者「なっ……」

剣士「死角だったはずだ……っ!」

ラーヴァナ「光栄に思うが良い。貴様等が猛者であるが故に、その気配も大きいのだぞ?」

ズザッ

弟者「そいつはありがてぇ!!」

錦将軍「あっち行ってろや!!」

バギャッ…ドサドサッ

弟者「ぐ……うぅ」

錦将軍「こ、これが魔王か……っ」

ラーヴァナ「どうした人間、所詮はこの程度で終わりか?」
401 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:45:30.27 ID:7KTsK/f+o
バシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「こちらにも居る事を、忘れるなぁ!」

ラーヴァナ「覚えているさ」

青龍兵「!?」

チカッ…ボシュウウゥゥゥゥ!!

竜騎士兵「ぐわぁーっ!」

ラーヴァナ「そうら、貴様等こそ背後に気を付けた方が良さそうだぞ?」

青龍士官「――っ!?」

アジ・ダハーカ「グゴアアァァァァ!!」

おさげ「なんなのよコイツぅーっ!」

ポニテ「前々止まらないよおぉ!!」

ツインテ「ふにゃあぁーっ!」

ラーヴァナ「フハハッ、どうするかね?」

青龍士官「……っ、朱雀召喚獣を援護する! 飛行タイプを狙え!」

ラーヴァナ「もう少し接近すればまとめて消したやったものだが。まぁ良い、先に地上を殲滅するか」
402 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:46:40.17 ID:7KTsK/f+o
ゴゴゴゴゴゴ…

ジャガーノート「ヴハアアァァァァ」

ガシッ…ガシィ

マーマン「しぶってぇな……」

盗賊「……借りるぞ」

マーマン「!?」

タタタッ

盗賊「……水遁、霧隠れ」

ススッ…パシャッ

マーマン「何ぃーっ!? 嬢ちゃんが何人も……そうかっ、分身か!」

流れ落ちるマーマンの水を利用し複数の霧隠れを行う盗賊。その数はおよそ8体。

マーマン「偽者に身を隠し、本物が攻撃するってわけだな! よぅし……!」

水圧を撥ね退け高所へ迫るジャガーノート。マーマンは負けじと水量を更に増やす。

ジャガーノート「ブグルアアァァァァ!!」

マーマン「行けぇーっ、嬢ちゃん!!」
403 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:47:09.19 ID:7KTsK/f+o
シュババババッ!!

盗賊「はあぁーっ!!」

8体の盗賊が一斉にジャガーノートへと襲いかかった。

ジャガーノート「ヴブアアァァーッ!!」

グアッ…ズッドオオォォォォン!!

マーマン「んな――っ!? 全て同時にブチのめし……嬢ちゃん!!」

ジャガーノート「……ヴグウウゥゥゥゥ」

パシャッ…チャキッ

盗賊「……全て偽者だ。元より本物などおらぬ!」

ジャガーノート「――!?」

盗賊「はあぁーっ!!」

右手に鎖、左手に手裏剣。それを全て同時に放ち、更には火遁、焔の炎が追尾する。

最後に盗賊は身を丸くし、宙を回転しながら下にいるジャガーノートへ両足で蹴りをかまし、

両手に握った愛刀、薄緑をジャガーノートの首筋へと深く突き刺した。

ジャガーノート「ブギャアアァァァァーッ!!」
404 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:47:43.16 ID:7KTsK/f+o
グラッ…ズッドオオォォォォン

マーマン「おっしゃぁ! 落ちたぞっ!」

盗賊「……はぁ……はぁ……はぁ、はぁ」

マーマン「ナイスだったぜ! 大丈夫か?」

盗賊「まだ、倒したわけではない。それに……」

マーマン「ラーヴァナか……。ハヌマーン達はどこ行ったんだ?」

盗賊「……おそらく……魔王のところ」

マーマン「あの突撃デカブツをシカトすりゃそれはそれでまずいし、魔王も放っておけねぇ……」

盗賊「……はぁ……はぁ」

マーマン「えぇい、とにかく目前の敵をやるしかねぇ! ぶっ倒れてる隙にもういっちょかますぞ!」

盗賊「……同意」

タタッ…ズザザザッ

盗賊「……っ!? ま、待て!!」

マーマン「……?」

盗賊「あそこっ、あれは……っ」
405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:48:14.28 ID:7KTsK/f+o
ガラガラッ…ゴトッ

ハヌマーン「…………」

マーマン「ハヌマーン!!」

タッタッタ…ガシッ

マーマン「おいっ、しっかりしろ!」

ハヌマーン「……魔王を……遠ざけねば……ッ」

盗賊「……っ」

マーマン「分かってるよ! 捉まれっ、行くぞ!」

盗賊「……休んだ方がいい。傷が……っ」

マーマン「止めたってコイツは行っちまう。だったら一緒に居た方がいい!」

盗賊「……っ」

ハヌマーン「すまぬな……」

マーマン「討とうぜ、スグリーヴァ様の仇をよ」

ハヌマーン「……ああ、そうだな」

盗賊「……分かった。ならば、共に行こう!」
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:49:19.22 ID:7KTsK/f+o
ズゴゴゴゴ…

錦将軍「ぐはぁっ!!」

ドシャアァ

ラーヴァナ「ふむ。最早、決め手に欠くかな」

剣士「化物め……っ」

ラーヴァナ「そろそろ楽にしてやるか」

ブゥン…キュイイイィィィィ

兄者「まずいっ、避け――」

チカッ…ズッドオオオオォォォォン!!

弟者「ぐあぁっ!!」

錦将軍「ここ……までとはな。ははっ、強えぇわ……」

剣士「……足止めすら出来ないのか……っ」

ラーヴァナ「ほぉ、まだ息があるとは。成程成程、確かに我が軍が梃子摺るのも頷ける」

オーク「……う……うぅ」

ラーヴァナ「……ん?」
407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:50:44.17 ID:7KTsK/f+o
ザッザッ…ズザッ

オーク「これ以上……やめろぉ」

ラーヴァナ「オーク1匹、何が出来る」

オーク「もう……やおめろおおぉぉ!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

ラーヴァナ「ぬっ?」

オーク「オアアァァァァ!!」

グググッ…ダンッ!!

ラーヴァナ「――ッ!?」

怒りによりオークの体は、ヴァーリンとの戦いで見せたように大きく膨れ上がり、

その圧倒的な力により舞おうラーヴァナをも殴り倒した。

バギャアァ!!…ズッドオオォォン

オーク「アアアアァァァァ!!」

バキィ!!…バギャッ!!…ズガァッ!!

ラーヴァナ「……フン」
408 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:51:17.64 ID:7KTsK/f+o
ガシィ!!…メキメキメキィ

オーク「……ッ!!」

ラーヴァナ「この俺を殴り倒し、更には連打を浴びせるか」

グググッ…グイッ

オーク「アガアアァァ!!」

ラーヴァナ「しかしその程度。まぁ、よくやってのけたと賞賛すべきか」

殴りかかるオークの拳は魔王の手により制御され、徐々に押し返されていく。

ミシミシと悲鳴を上げながらオークの拳はラーヴァナによって跳ね返された。

ズッドオオォォォォン!!

オーク「ガアッ!!」

ラーヴァナ「まさか、たかがオーク1匹がここまでやるとはな」

オーク「うう……ッ」

ラーヴァナ「オーク……オルクス。そうか、そういう事か貴様」

タッタッタッタ

マーマン「オーク!!」
409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:51:58.02 ID:7KTsK/f+o
盗賊「!?」

ラーヴァナ「フハハッ、面白い連中よ!」

ハヌマーン「……しっかり支えておけ」

ラーヴァナ「堕ちし者に覚醒せざる者か。いや、だからこそ人間に加担するのやもしれぬなぁ」

マーマン「な、何をゴチャゴチャ言ってやがる……ッ」

ラーヴァナ「共存の果てに何を望む? 平穏か? 安寧か? それとも……」

ハヌマーン「……伸びよ、如意棒!」

ズアッ!!…ビュオオォォォォッ!!

ラーヴァナ「ヌッ!」

ハヌマーンの手より如意棒が巨大に膨れ上がり、更にはとてつもない勢いでぜんぽへと伸びた。

ラーヴァナの腹部へ命中する如意棒は、ほんおすこしだけ魔王の体を退かせる。

ズザッ

剣士「魔法だ! 吹き飛ばせぇーっ!」

兄者「おおぉぉーっ!」

手傷を負いながら、一同は懸命にラーヴァナめがけ、全魔法を撃ち放った。
410 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:53:02.73 ID:7KTsK/f+o
ドッドオオォォォォン!!…バゴオオォォォォ!!

ラーヴァナ「……どうするつもりだぁ?」

盗賊「……来るっ!」

ラーヴァナ「……?」

キュイイィィィィ…バシュウウゥゥゥゥ

ベヒーモス「ゴガアアァァーッ!!」

リヴァイアサン「……ハアアァァァァ!!」

剣士「召喚獣!?」

タッタッタ…ザザッ

白虎長「さっきはよくもやってくれたわね!」

白虎嬢「あれって……まさか魔王!?」

玄武娘「凄くおっきいですの……っ!」

白虎兵「押せばいいんだなっ!? いっけぇおらぁーっ!!」

ラーヴァナ「召喚獣? 何と、まだいたのか」

如意棒、魔法、そして召喚獣の攻撃によって、ラーヴァナの体は宙に浮き、後方へと飛んだ。
411 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:54:22.35 ID:7KTsK/f+o
ズガガガガガッ…ズガシュウウゥゥゥゥ!!

錦将軍「や……った」

盗賊「……魔王を……吹き飛ばしたぞ」

ハヌマーン「ガハ……ッ、ゴホゴホッ! 意地を……見せてやったな」

ザッ…ズッダアアァァン

ラーヴァナ「……フンッ、この程度の事で何するものぞ」

マーマン「いいんだよ、これで」

ラーヴァナ「……?」

剣士「僕らの仕事は終わった。いや、次はあの魔物か」

ジャガーノート「ヴオオォォ……ッ」

ラーヴァナ「この俺を無視してジャガーノートだと? 愚弄するか貴様ァ」

兄者「違うな。我らの任務は終わったという事だ」

マーマン「ああ、最後の仕事は俺らじゃねぇ。時間は十分に稼いだぜ」

ラーヴァナ「何だと……?」

盗賊「……頼んだぞ、みんな」
412 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:54:50.69 ID:7KTsK/f+o
バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「みんな、良くやってくれた……ありがとう!」

バシュッ!!…ズガアアァァァァ!!

青龍士官「まだまだぁーっ!!」

アジ・ダハーカ「グゴオオォォォォ!!」

青年兵「これだけ頑張って貰ったんだ。絶対に決めてみせる! 行きましょう皆さんっ!」

アマゾネス「急降下する!」

バーテン「おうよ、いつでもぶっ放せるぜ」

双子姉「私達も……」
双子妹「準備オッケーですわ!」

ドッシュウウゥゥゥゥ

弓使い「見えたわっ、魔王はあそこよ!」

同門「行くぞ、フェニックス!」

女賢者「大丈夫。幼女ちゃんならうまくやれるわよ……んふっ♪」

幼女「……うんっ」
413 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:55:20.31 ID:7KTsK/f+o
ゴオオォォォォ…

南方魔道長「いよいよだな」

南方弓長「こっちも行きましょ。宜しくね」

朱雀嬢「……」

バシュウウゥゥゥゥ

朱雀嬢「私は……貴方達を心から許す事は出来ない」

西方魔道長「……?」

朱雀嬢「国軍のせいで祖父は……朱雀本家は……」

南方弓長「貴女……」

朱雀嬢「……でも、南方を守りたいという気持ちは一緒。今は共に戦いますわ」

南方弓長「……ありがとう。貴女のような強さを持った女性、年下だけど尊敬するわ」

南方魔道長「国軍は変わった。これからも代わり続ける。償いとは言わんが……信じてくれ」

西方魔道長「……」

朱雀嬢「……さぁ、行きますわよっ」

南方弓長「うん。絶対に決めてやりましょ!」
414 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/09/30(金) 17:56:22.13 ID:7KTsK/f+o
バシュウウゥゥゥゥ…

戦士「いよいよだな」

召喚士「……うん」

魔道士「詠唱完了。準備出来ました」

戦士「こっちもだ。このゾディアックにも……色んな思いがこもってる」

コカトリス「……」

戦士「しくじるわけにゃいかねぇ……いや、しくじるはずはないか」

召喚士「みんなの想いが導いてくれるさ」

魔道士「……ええ」

コカトリス「行くぞ、このまま下降して魔王の北側に回りこむ」

召喚士「うんっ、頼む!」

コカトリス「しっかり捉まっていろ! 吹き飛ばされるなよ!」

ゴゴウッ…バッシュウウゥゥゥゥ

召喚士「ラーヴァナ……見せてやる! これが本当の力だ……っ!!」

体を起こしたラーヴァナの頭上に5匹の召喚獣が舞い、その光は満月よりも更に輝いた。
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/09/30(金) 18:06:59.76 ID:7KTsK/f+o
ひとまずこれにて失礼致します!ご支援感謝感謝!
もうちょっとでひとくぎりですかね!それでは失礼致します!ノシ
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/09/30(金) 18:16:10.94 ID:aRhV73M8o
ああああ・・・
いい所で・・・

今から家族でお寿司食べに行ってくるwwww
回ってないのwwww
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/09/30(金) 18:23:04.27 ID:aLOqKoMb0
ふと思ったんだが
召喚士って召喚獣何が使えるんだっけ?
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 19:12:39.97 ID:7hfnPyuDO
>>1

>>417
朱雀…シルフ、コカトリス、ハーピー、ワルキューレ

玄武…ウンディーネ、スキュラ、シービショップ

青龍…サラマンダー、ワイバーン

白虎…ノーム、ユニコーン、スフィンクス、ザントマン、ゴーレム、クジャタ

白虎が多かったのも初期に青龍の習得に時間がかかったのも
伏線としてキッチリ回収してるから凄いよな
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 19:42:32.74 ID:nH8lYnjDO
一応ワルキューレ以外も朱雀習ったんじゃなかったっけ
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 19:42:32.87 ID:GgnexV3DO
>>418
朱雀にグリフォン、サンダーバードもプラスで
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 19:50:12.24 ID:5jz5qM5IO
いちおつ

あとバハムートとベヒーモスもいけるんじゃね?
白虎は含めていいのか微妙だな
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 20:03:13.65 ID:ZfNA1ESIO
ペガサスもだな
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/09/30(金) 20:11:17.13 ID:QpXxFCMAO
>>1

ペガサスが出たときに漏れた召還士の「やっぱりこれ系か…」
みたいなセリフは未だにたまに思い出し笑いするわ
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/09/30(金) 20:38:04.97 ID:q4bghgoAO
盗賊つええ!
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/09/30(金) 20:40:27.34 ID:5pD2tb5lo
>>1

でもこの先コカちゃん、ベヒモス、クジャタ、スフィンクスクラスの強召喚獣以外使われるのかしら
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 21:05:04.56 ID:Ewhs4u5jo
サンドマンはちょくちょく出てくるな
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/09/30(金) 21:07:06.06 ID:ccaXtDYDO
ケツアナルコアトルがいるじゃない!
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 22:31:48.91 ID:nH8lYnjDO
大量展開のワルキューレ
回復のシービショップ
守備のゴーレム
水属性のスキュラ
対召喚獣・対人のザントマン

用途別に使われそうだけど
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 22:58:52.88 ID:sEp3hG5DO
ケツアナからは噛ませ臭がしたが強いのだろうか
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/09/30(金) 23:22:22.87 ID:aLOqKoMb0
ケツァルコアトルは習得したんだっけ?
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 23:35:44.99 ID:ikpUYZew0
ケツは未収得だったはず
白虎の世界行ったときに次来た時は俺と絶対契約しろみたいなこと叫んでた気がするけど
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/09/30(金) 23:54:30.13 ID:JDwopcreo
ここまでコカトリスの出番無し
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/01(土) 00:05:53.67 ID:7XroVZLAO
フラグが乱立していたが、一つも回収することなく終わってくれ
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/01(土) 03:54:36.47 ID:MfP9CcTDO
沢山動いたからシボーは燃焼されてるかもしれないよ!
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/10/01(土) 12:55:16.00 ID:/X/xJ8z9o
ヘルカイトって倒せるの?
デモンズの時みたいにまず毒にしようと
毒矢50本打ち込んでも毒にならないんだが
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/10/01(土) 12:57:19.41 ID:/X/xJ8z9o
ヘルカイトって倒せるの?
デモンズの時みたいにまず毒にしようと
毒矢50本打ち込んでも毒にならないんだが
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2011/10/01(土) 12:57:48.55 ID:/X/xJ8z9o
連投してたすみません・・・
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/01(土) 12:58:14.17 ID:/X/xJ8z9o
ってしかも誤爆
もうやだ・・・
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/01(土) 17:25:01.91 ID:6AJNILqjo
さあロードランの地に帰るぞ
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/01(土) 19:55:05.30 ID:0PiZ8/ADO
>>435は俺の嫁
441 :sage :2011/10/02(日) 16:00:55.79 ID:L4xCJGMj0
>>1
久しぶりに来たらまだ続いてた!!
アツ過ぎる!!!!
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/02(日) 18:17:50.55 ID:G8GOTWqAO
>>1おつ

ダークソウルでツヴァイダー装備して天才ごっこでもするか
443 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/02(日) 20:54:34.29 ID:hNyuwX6AO
>>441
三年ROMってろ
444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:20:50.81 ID:l+ur0MsLo


守るものとか守りたいものとか、そんなんあるわけじゃねぇんだ。

だけどよ、南にゃあ妻も娘も、友人も沢山いるわけよ。

南方司令部の魔道長としても長い事務めてるけどよ、

なんつーか、最近は随分とまぁ忙しくなってまって。

でも、頼られる事に喜びを感じてる自分もいるってんは、悪くねぇもんだよな。

だからってわけじゃねぇけど、こういうでかい戦いに一役買うってのもたまにはいいか。

南方魔道長「……ま、やれる限りやってやるさ」



あたしはとっくに自分で踏ん切りがついたもんだと思ってたさ。

保守こそが最良。そう思って左翼に……左大臣に加担し、未来を託した。

でもそれが誤りだという事に、あいつら……学園長達に改めて気付かされた。

失った息子はもう戻ってこない。でも、今は息子にも等しい連中が沢山いる。

そいつらを守る為にも、残された少ない時間で戦う。そうだろ、青龍先生。

西方魔道長どこまでやれるか分からないけど……やるしかないねぇ」
445 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:21:22.02 ID:l+ur0MsLo


父は狩人で、昔から弓は遊び道具みたいなものだった。

森と動物と、そして南方を守るそんな父が好きだった。尊敬していた。

だから父が魔物に殺されたと聞いても信じられなかったし、

仇を討つべく魔物を倒そうと、国軍に入隊した事だって自然な流れだし、

南方司令部で弓を武器に戦う事だって、それは運命だと思ってる。

父の守ってきた南の自然を守る事だって運命なんだ。

南方弓長「……だから私は、戦う」



国軍の大召喚士が引き起こしたクーデターに巻き込まれた祖父は死んだ。

朱雀本家は没落し、父や母やも虐げられ、親族も引き裂かれた。

それでも上を向いて、明るく暮らしてさえいればきっといい事ある。

諦めず、朱雀本家復興の為に召喚術だって磨いてきたんですわ。

この生まれ育った南方を守る為、朱雀本家の為に私は戦う。

朱雀嬢「それが私に与えられた宿命……ですわ」
446 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:21:50.46 ID:l+ur0MsLo


あの日、召喚士くん達と出会ったあの日から……私は変わった。

剣士と2人、腕を磨いて、そして来るべき刻に備えてきた。

そして、新たな家族。幼女ちゃんとの出会い。

守るべき者が増えた。それはとても喜ばしくもあり、不安でもある。

でも、3人で生活してきて、剣士結婚して、私は気付いたんだ。

幸せは自分達だけのものじゃない。万人の為のもの。その為には……。

弓使い「魔王を倒す。今の私にはそれが全てよ」



お父は死んだ。私達を残して。私達を守って。

身寄りのない私を助けて、拾って、育てて、共に歩んだお父。

物心ついた時から私の全てはお父のもの。お父と一緒に生きていく事。

それが失われて、落ち込んだりもしたけど、それじゃ駄目なんだ……。

今の私には、新しい父と、そして母が出来た。私は本当に幸せ者だ。

幼女「見ててねお父。きっと、世界を平和にしてみせるから……っ!」
447 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:22:37.93 ID:l+ur0MsLo


私には記憶がない。だから何も覚えてないし分からない。

それでも1人で生きていける力は持っていた。だから1人で生きてきた。

ワーカーとして魔物と戦ってきたけど、それは生きていく為のもの。

少しずつだけど、変わっていく自分が好き。ない思い出は作っていけばいい。

だから今はとても楽しい。生きている実感がある。頼られる喜びがある。

全てが終わった時、自分はどうなっているんだろう。それを見る為に私は戦う。

女賢者「さぁ、一気に決めましょ。んふっ♪」



いつだって仲間なんてものは居なかったし、必要を感じなかった。

俺の目標は父の証明できなかった、最強の召喚獣フェニックスを示す事。

それもあの男に負けた。自分が不甲斐ないし許せなかった。

青龍のジジイが言っていた。守る強さ。それを得た。共に戦う仲間。

そして失った。また1人になった。もう誰も失いたくない。この命に代えても……。

同門「あんたらは絶対に死なせない。俺と……フェニックスがいる限りな」
448 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:23:03.28 ID:l+ur0MsLo


私達はずっと燻ってたのかもしれない。自分達の生きている意味を見出す為に。

政府高官の娘、双子というだけで好奇心の目で見られ続けてきた。

何もなくとも、決められた道を、決められた人生を、レールの上を進むだけ。

そんな生き方が嫌だとは言わないけれど、自分達だけがそんな生活は出来ない。

すこしくらいレールを外れたって、人々の為に出来る事があるはずなんだ。

双子姉妹「自分の為じゃない、今は誰かの為に戦うの!」



村の掟とかしきたりとか、縛られている事に疑問を感じたのは私だけじゃない。

母だってそうだったし、祖母もきっとそうだった。でも、前に進む事はしなかった。

私は前に進んだ。幼い頃から共に暮らす友人……ううん、家族がいたから。

村を出て本国に来た時、私は自分の道を進んで良かったと再認識したんだ。

世界は本当に広い。色んな物があって、色んな人が居て……。

そんな世界を絶対に壊したりさせない。家族と一緒に、見る為にも絶対に。

アマゾネス「私達の力は……魔王にだって絶対に負けない!」
449 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:23:57.99 ID:l+ur0MsLo


名目上は退役って話だが、結局俺は逃げたに過ぎねぇ。誰も言わねぇがな。

逃げて逃げて、行き着く先は港町でバーのマスター。ま、それも悪かねぇけどなぁ。

何度も来た服役の話は断り続けてきたが、徐々に受け入れちまったわけだ。

あぁ、保管庫でご丁寧に飾られてたクロスボウを見た時は正直感動しちまったけどな。

五ヵ年計画が終わったら今度こそ大声で言ってやるさ。退役だってな。

バーテン「今は戻ってやるよ。見せてやる、初代特遊……バーテン大佐の力をな」



今は生きてる事が不思議でならねぇ。あの時はマジで魔剣士と死ぬつもりだった。

でも生きた。生かされた。召喚士に助けられた。多分、宿命ってやつだろうな。

結局のところ、俺もアイツらもサタンの呪縛から逃れらねぇでいるんだよなぁ。

なぁ師匠よぉ、お前の弟子に命……貰ったぜ。俺も……お前もな。

自分の死に場所迎えるまでは、くたばるわけにゃあいかねぇもんなぁ……。

ちゃっちゃとラーヴァナ片付けて、次へ進もうや……ハッハ!

マジシャン「絞りカスみてーなもんだが、少しの足しにはしてみせるさ」
450 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:24:43.87 ID:l+ur0MsLo


華国を守る為、私は戦い続けてきた。それが私の全てだった。

魔物の手で崩された華国。長男様、次男様、三男様。……騎都尉。

決して魔物に恨みがないわけではなかった。だが今は、少し違う。

魔物も人間も心の奥底に在る悪は等しいもの。それが害の全て。

害の根源である魔王討てば、その先にあるものとは……。

白馬騎士「争いのない世界。その為の争い……か」



一度は華国を捨て、世を捨て、弓をも捨てたわが身。

復興した華国からの勧誘に乗るべきか、何日も迷った。

華国を裏切ったワシが今更のこのこ戻って良いものかどうか。

長い事生きた。余生は若い連中の為に使うとしようか。そう思った。

それは華国の為だけではない。だからこそ華国に戻ってきたのじゃからな。

わしは錆びても華国と共に歩んだ弓矢だけは決して錆びぬ。

弓将軍「ワシは死んでも、若い連中は逝かせんよ」
451 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:25:20.55 ID:l+ur0MsLo


実は、この戦いが始まる前、大軍師さんから一通の手紙を受け取った。

差出人は母さんを診てくれている医者からだった。

母さんの容態は更に悪化しているらしく、本国の病院へ移ったそうだ。

会おうと思えば会える距離。でも、互いにそれは望まない。

前に約束したんだ。次に会う時は大元帥になった時。胸を張って誇れる時。

その日の為に1日も無断は出来ないんだ。今日で南での決着を……。

青年兵「僕らの力が1つになれば、必ず魔王にだって勝てる」



多分、俺だけじゃねぇ。ここにいるみんなが感じてるはずだ。

魔王は強い。それも他に類を見ねぇくらいとてつもなくだ。

だが、今回は俺達の勝ちだ。みんなの思いが、気合いが気持ちいいくらい感じ取れる。

この思いは絶対、力になる。簡単に打ち崩せるモンじゃねぇ。

俺がやるんじゃねぇ。1人じゃねぇ。俺の力もみんなの力。全ての力なんだ。

戦士「これが終わりじゃねぇ。通過点なんだ。こんな所でもたついててたまるかよ!」
452 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:25:51.08 ID:l+ur0MsLo


私は1人じゃ何も出来ない。それは分かっているし、それは事実。

だからこうやってみんなの力になれるって事は本当に喜ばしいし、ありがたい。

私のワガママで色んな人を困らせてきた。両親や陛下やエリートさん。そして……。

自分の人生や運命なんて分からないけど、きっと今がそうなんだ。

私が弱くてもみんなで頑張ればいいんだよね。ねぇ、召喚士さん。

魔道士「……撃ちますっ!!」



正直、ここ数年で色んな事がありすぎて……今でも信じられない事も沢山ある。

考えたい事も色々あるし、気持ちの整理がつかない事だってないわけじゃない。

でも、立ち止まってる暇はない。自分1人が立ち止まってる場合じゃないんだ。

見渡せば頼もしい仲間がこんなにもある。信じあえる仲間が……。

だから自分の事は後でいい。今はみんなの為に生きていきたいんだ。

きっと後悔はしない。後悔なんてするわけない。前に歩き続けている限りは。

召喚士「まだ先に進む為にも……ラーヴァナ、お前を倒す!」
453 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:26:25.82 ID:l+ur0MsLo
キュイイイイィィィィ

その光は、知る限りで最も光り輝いた。

5ヶ所から織り成すその光は対象者の頭上で1つに集い、完成した。

一同はその僅か一瞬輝いた五行で勝利を確信した。それ程までに強い力だった。

バシュッ

言葉は要らない。併せ示したかのように音が1つに重なった4本の矢。

そこへ中心となるゾディアックの投擲。全てが揃った。奏でた。

巨大な1つの大きな矢となった光が、ラーヴァナの頭上に放ち落とされた。

ドンッ!!

シンプルながら巨大な音が響いた。それ以外の音が止まった。

ラーヴァナ「…………」

ジジッ…ズゴゴゴゴゴゴッ…

五行の光を一身に受けたラーヴァナは無言のまま直立していた。倒れない。

ラーヴァナ「……フハッ、ハハハハハハアアァァーッ!!」

確かに直撃した五行の光の行く末は、南方軍への絶望の光となった。
454 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:30:26.32 ID:l+ur0MsLo
ズザァ

天才「……おぉ」

ドズウウゥゥン

アスラ「ラーヴァナ様……ッ!!」

天才「アイツ……っ!」

ゴゴゴゴゴゴ…

ラーヴァナ「フハハハハハッ!! 残念だったなぁ……人間共ォ!!」

アスラ「おぉ……ッ!!」

召喚士「な……っ!?」

青年兵「失敗!? い、いや・・・…そんな馬鹿な……っ!!」

ラーヴァナ「人間の手でこの魔王ラーヴァナが滅ぼせるものかああぁぁ!!」

アスラ「……ッ」

ラーヴァナ「五行? そんなもので……俺は更にその高みに存在すべし者。五行如きでぇ……」

アスラ「……ラーヴァナ様」

ラーヴァナの言葉が暗示のような、何か不吉なもののような感じをアスラは覚えた。
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/02(日) 23:38:30.07 ID:htOtdesIO
おぉ…!!
456 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/02(日) 23:39:05.14 ID:l+ur0MsLo
アスラ「今、お傍に……」

ラーヴァナの下へと向かうアスラの、不吉なる暗示は的中した。

アスラ「――ッ!?」

チカッ…ガカアアァァァァッ!!

魔道士「きゃっ!!」

青龍士官「……っ!!」

剣士「な、何の光――」

ズッドオオォォォォン!!

ラーヴァナ「……?」

五行の光に包まれたラーヴァナの頭上へ降り注ぐもう1つの光。

ジジッ…ジジジジッ…

ラーヴァナ「貴様……ッ、イン……ドラ」

インドラ「五行では足りぬか。ならばこれで良かろう……ラーヴァナ」

ラーヴァナ「貴……様あぁ!!」

インドラの矢がラーヴァナを貫き、その直後、とてつもない大爆発が周囲を巻き込んだ。
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/02(日) 23:42:44.22 ID:Fdnw6DEDO
さすが主人公のインドラさんやでぇ
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/02(日) 23:43:38.41 ID:l+ur0MsLo
ご支援&オマケリクありがとうです!徐々にやってきます!
それではまた明日、おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

東方司令「東方司令部に帰ってきた……」

足軽「ややっ、これは本国の司令殿!」

東方司令「首尾は上々か?」

足軽「ええ、我らが居る限り、何も心配は無用――」

東方司令「そうか! それならば引き続き任せるぞ!」バヒューン!!

足軽「ははっ! 畏まり…………はい?」

東方司令「さぁ、いざ東方! ビバ東方! 夢の酒池肉林! 桃源郷! 黄金の国!」

東方兵「司令!? 何故ここに……」

東方司令「小型船借りるぞ! よし出せ!」

海兵「へぇ!?」

〜東方〜

女剣士「へっくち!!」

くの一「……大丈夫ですか?」

女剣士「悪寒が……。風邪引いたかな……?」
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/03(月) 00:53:51.33 ID:+Vou2wE+0
熱いのに鳥肌たった。
460 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 01:01:41.20 ID:0csUqPfpo
やだ…インドラさん素敵…
461 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県) [sage]:2011/10/03(月) 01:06:04.40 ID:9ZhBlCkSo
いちおつ
モノローグが死亡フラグに見えてびびった
462 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 01:11:38.98 ID:uYeLAwPko
インドラも主人公だったか
463 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/03(月) 02:54:36.87 ID:33AAUXJAO
インドラさん…
464 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 04:59:35.79 ID:H66SQH4DO
剣士ファミリーには幸せになってほしい
465 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 09:22:04.50 ID:PaBsn1SIO
>>464
そんなこと言うと惨殺フラグが…
466 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/03(月) 12:11:10.66 ID:kIuVo2L00
いちおつ
467 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 14:51:23.29 ID:2/nCyv2Zo
五円では足りぬか。ならばこれで良かろう……つI
468 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:08:51.74 ID:X13xpMg4o
アスラ「ラーヴァナ様ァ!!」

ドウッ!!

ラーヴァナ「インドラアアアアァァァァ!!」

ジジジッ…ズゴゴゴゴゴゴ…

インドラ「ラーヴァナ……貴様そこまで……」

ラーヴァナ「ニンゲンがゴギョウだけデ……上乗セはスグリーヴァかとヨンデいたガナァ!!」

インドラ「自身を起爆剤に相討つつもりか……ッ」

アスラ「なりませぬラーヴァナ様!!」

ラーヴァナ「オレはマケヌ……決シテ負ケヌ!! 勝たズともマケヌウウゥゥゥゥ!!」

インドラ「……させぬ!」

ヒュバッ…ガシィ!!

ラーヴァナ「――ッ!?」

インドラ「ならばこの私と……相討つが良いわッ!」

ラーヴァナ「死ヌ気か貴様アアァァ!!」

インドラ「アンラ・マンユは死んだ。そして貴様も死ぬ。私の役目は終わったのだ」
469 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:11:39.83 ID:X13xpMg4o
キュイイィィィィ…

召喚士「あの魔物……何者なんだ……っ?」

天才「インドラ……っ」

ハヌマーン「あれは……インドラッ、インドラ様かッ!!」

アスラ「インドラアァ!! やめろおおぉぉーッ!!」

ダァンッ!!

天才「あんの野郎っ!!」

インドラ「さぁ、共に逝こうではないかラーヴァナ」

ラーヴァナ「グオアアアアァァァァ……ッ!!」

ヒュンッ…ザシュウウゥゥゥゥ!!

アスラ「……グフゥ、フウゥ……フゥーッ」

インドラ「……アスラ」

アスラ「ラーヴァナ様は討たせぬ。この私が居る限りイイィィ!!」

インドラ「手遅れだな。ご苦労な事よ」

アスラ「腹を貫かれて減らず口叩くかアアァァ!」
470 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:12:37.34 ID:X13xpMg4o
イイイイィィィィ…

インドラ「我が魔力は全て、ラーヴァナに撃ち込んだ。起爆は免れんよ」

アスラ「――ッ!?」

インドラ「ラーヴァナだけでなく貴様の右腕も手土産に増えたな」

アスラ「ラーヴァナ様アアァァ!!」

ラーヴァナ「ハハははハハハはッ!! ニンゲンよ……今回ハ貴様ラの勝ちダ……ッ」

青年兵「……っ」

ラーヴァナ「果タシテこの先……無事ニ……ミモノよなアアァァァァ」

ハヌマーン「インドラ様……ッ」

インドラ「私とスグリーヴァの意思……ハヌマーンよ、貴様に託す!」

ラーヴァナ「次会ウ時ハアァ、地獄かソレトモ地上か――――」

アスラ「ラーヴァ――!!」

カッ…ゴッゴオオオオォォォォン!!

ラーヴァナの目論んだ爆発はインドラの手により規模は小さくなったものの、

あたり一面を荒廃させるに足る威力となり、爆風は東の町の南部にも行き届いた。
471 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:14:39.28 ID:X13xpMg4o
ゴッゴオオォォォォ…

エリート「……今のは」

大軍師「五行にしてはやや派手ですね」

占い師「……っ」

エリート「何もなければ良いのだが……」

大軍師「複雑な風ですね。不快なものと心地良い風とが重なり合ったような不思議なものです」

エリート「……総員、戦闘態勢に移行しつつ進軍を続けよ!」

騎兵「ははぁ!!」

占い師「……」

大軍師「……どうしました?」

占い師「い、いえ……っ」

ゴロツキ「ボス……どこ行っちまったんだよ……っ」

チンピラ「無事にいてくれよぉ」

大軍師「さぁ、行きましょう」

占い師「……ええ」
472 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:16:33.37 ID:X13xpMg4o
ゴゴゴゴゴゴ…ゴトッ…ガラガラッ

魔道士「……う……っ」

グググッ…ヨロッ

魔道士「……っ!? 召喚士さんっ!!」

召喚士「……」

魔道士「今、助けますからっ!!」

自身の下敷きとなり、岩の間に挟まる召喚士を助けようと、魔道士が必死で岩を持ち上げる。

グググッ…

魔道士「くっ、ふぬうぅ……っ!」

グイッ…ドズンッ

魔道士「あ……っ」

同門「下がってろ」

魔道士「あ、あの……ありがとうございます」

同門「……」

魔道士「……あっ、て……手伝いますっ!」
473 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:17:47.09 ID:X13xpMg4o
グイッ…ゴトン

同門「足を持ってくれ」

魔道士「は、はい……っ」

グイッ…ザッザッザ

魔道士「弓使いさん、幼女ちゃん!!」

幼女「お姉ちゃんっ! 大丈夫……っ!?」

魔道士「うん、私は大丈夫だったけれど……」

弓使い「召喚士くん!? 女賢者さん、回復を!」

女賢者「はいはい〜♪」

パアアァァァァ

弓使い「戦士くんは?」

魔道士「分かりません。気付いたらこんな状態だったので……」

同門「俺ら以外は爆風に巻き込まれたみたいでな。どうにも分からん」

幼女「……っ」

女賢者「あっ、気付いたみたいよ!」
474 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:19:41.75 ID:X13xpMg4o
召喚士「……んっ」

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「……魔道士さん」

魔道士「大丈夫ですか!? どこか痛みは……」

召喚士「いえ、大丈夫です。それよりも……」

ググッ

召喚士「……くっ」

同門「無理をするな。傷が開くぞ」

召喚士「そうだっ、戦士は……!?」

弓使い「戦士くんなら私達が探すわ。だから召喚士くんは休んでいて」

召喚士「……いえ、そうはいきません」

グググッ

同門「魔王は消滅した。だからお前は大人しく休んでいろ」

召喚士「駄目だ、魔王を倒したからって終わりじゃない。まだ終わってないんだ」

魔道士「……っ」
475 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:21:16.56 ID:X13xpMg4o
シュウウゥゥゥゥ…

戦士「……っぐ」

ドカッ…ゴトン

戦士「……ってぇ」

弓将軍「埋まっておったのか。気付かんかったわい」

戦士「……ジーサン。あんたも無事だったか」

弓将軍「宙で放り出されてな。何とか着地出来て命拾いしたわい」

戦士「俺も一緒だ。召喚士と魔道士は無事かな……」

ガタッ

戦士「――っ!?」

チャキッ…ザザッ

天才「待て待て。俺だ」

戦士「……なんだ、ってか無事だったんだな!」

天才「まーな。お前らも無事みたいで何よりだ」

戦士「……他の連中は?」
476 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:22:23.90 ID:X13xpMg4o
コオオオオォォォォ…

双子姉妹「……ありがとうございます」

ブリュンヒルデ「いや」

オルトリンデ「みんな救助出来たみたいね」

バーテン「悪いんだが、足じゃなく腕持ってくんねーかな?」

ロスヴァイセ「もうすぐ地上ですから辛抱して頂戴」

バシュウゥ…ストッ

マジシャン「おーう、生きてたか!」

バーテン「ひでぇ目に遭ったけどな。まぁ死ぬよりゃマシだ」

白馬騎士「弓将軍殿と青年兵殿は空中で爆風に飲み込まれてしまった。無事なら良いが……」

バーテン「それもなんだが、まだ敵も一掃したわけじゃねぇぞ」

マジシャン「だな。軍団長がまだ残ってやがる」

白馬騎士「周囲に警戒しつつ、まずは救護を優先致しましょう」

アマゾネス「ワルキューレ、上空から人が居ないか探してくれ」

マジシャン「おし、そんじゃこっちから行くぞ」
477 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:23:41.82 ID:X13xpMg4o
バシュウウゥゥゥゥ

南方魔道長「……すまん、助かった」

青龍士官「いえ、丁度見えたもので。ただ他の者達は……」

青龍兵「隊長!」

青龍士官「……おぉ!」

バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「青龍士官っ! 竜騎士隊は無事みたいだね」

青龍士官「2人程、行方不明だ」

青年兵「そうか。僕も西方魔道長を救うのに精一杯だった……」

南方魔道長「バーサンも無事だったか」

西方魔道長「間一髪助かったよ。いやはや本当に参っちまうねぇ」

竜騎士兵「隊長っ、あそこに見えるのは……他の者達のようです!」

青年兵「白馬騎士さんにマジシャンさん……っ! 他の皆も!」

青龍士官「よし、合流しよう! まずはそれからだ」

青年兵「ああ。まだ軍団長が数匹いる。注意しよう」
478 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:24:39.41 ID:X13xpMg4o
ザッ

天才「……」

戦士「すっげぇ、地面が根こそぎえぐれてやがるぜ……」

弓将軍「これが五行とやらの威力か。大したもんじゃな」

ザッザッザ

戦士「……んっ? これは……ゾディアックか!!」

天才「触るな!!」

戦士「えっ!?」

バチッ!!…ジジジッ!!

戦士「うがっ! いってぇ……っ」

天才「まだ膨大な魔力を帯びてる。ヘタすると死ぬぞ」

戦士「……っ」

ピクッ

天才「……おい、付いて来い! 始末すんぞ!」

戦士「!?」
479 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:25:10.39 ID:X13xpMg4o
サアアァァァァ

南方弓長「…………ん」

錦将軍「よぉ、お目覚めかい?」

南方弓長「あ、あなた何で……っ」

錦将軍「おいおい、降ってきたお前を受け止めてやったのに、そりゃーねぇだろうよ」

南方弓長「……そ、そう。ありがと」

錦将軍「なかなかいい身体してんな。はっはっは!」

南方弓長「太いだけよ。もう降ろして頂戴」

スタッ

錦将軍「んじゃ早速で悪いが……そのまま後方に逃げてくれや」

南方弓長「……?」

ゴゴゴゴゴゴ

南方弓長「あ……っ」

2人の前にそびえ立つ巨大な壁。アスラは背を向けたままラーヴァナの居た方向を見つめていた。

そして3つある顔の1つがゆっくりと後ろを振り返り、錦将軍を見下ろした。
480 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:25:38.97 ID:X13xpMg4o
アスラ「ラーヴァナ様が……ラーヴァナ様が討たれるなど……」

錦将軍「早く逃げろ。手負いの虎が一番厄介なんだよ……っ」

南方弓長「だったら私も……」

アスラ「こんなクズのような連中に……」

錦将軍「はあぁ!!」

ドドオオォォォォン!!

南方弓長「効かないっ!?」

錦将軍の放つ炎はアスラの背に直撃するも、か細い煙を立ち上らせただけに留まった。

アスラ「ラーヴァナ様が討たれるなどと言う事があって……たまるかああぁぁぁぁ!!」

錦将軍「片腕1本で余裕かましてんじゃねぇぞ!!」

南方弓長「――っ!!」

アスラ「……」

錦将軍「……へっ、雑魚が。一撃で……仕留める事も出来ねぇのかよ……っ」

アスラ「腕1本で貴様なぞ、何の問題でもないのだ! このクズめがぁーッ!」

飛び掛る錦将軍はアスラの「右腕で腹部を貫かれ、そのまま地面へと投げ捨てられた。
481 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:26:21.47 ID:X13xpMg4o
ポタポタポタッ…ブンッ!!

南方弓長「あぁ……っ!!」

ドサッ…ゴロゴロゴロッ

錦将軍「がふ……っ」

アスラ「何故だ、何故こんなにも脆く、弱く、非力な人間などにラーヴァナ様が……ッ!」

錦将軍「早……逃げ……ろぉ……」

南方弓長「……っ」

スチャッ…ギリギリギリ

南方弓長「仲間見捨てて……逃げられるわけないでしょおおぉぉ!!」

錦将軍「やめ……ろ。敵う相手じゃ……な……い……」

アスラ「ラーヴァナ様ラーヴァナ様ラーヴァナ様ラーヴァナ様アアァァァァ!!」

バシュッ…キィン!!

南方弓長「……っ!!」

アスラ「死してラーヴァナ様の供物となれイイィィ!! この餌共ガアアァァァァ!!」

南方弓長「――っ」
482 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:27:04.20 ID:X13xpMg4o
ギュルッ!!…ガシュウウゥゥゥゥ

南方弓長「……?」

ゆっくりと目を開く南方弓長。自分達に向けられたアスラの拳は、途中で止まっている。

アスラ「……ヌ……グ……グウゥ」

ザッザッザ

アスラ「……こ……れはッ」

ヨルムンガンド「オオォォォォーッ!!」

アスラの体へと絡みつくヨルムンガンド。その召喚獣によってアスラの身は拘束されていた。

ザッザッ…ザッ

南方弓長「……あ……っ」

ボス「姉御を危険な目に晒してんじゃねぇよ!!」

錦将軍「……へ……っ」

ボス「てめぇは俺が殺す!!」

アスラ「小賢しいわァ!! カズが1匹増えたところでこのアスラ様……」

天才「しっかり抑えておけよぉ」
483 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:27:45.01 ID:X13xpMg4o
ヒュバッ

アスラ「貴――」

天才「……死ねよ、お前」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

アスラ「グブァ……ッ」

天才「悪いな。オイシイとこ持っていっちまってよぉ。ハーッハッハ!」

アスラの背中をツヴァイハンダーで一突きすると、天才は高らかに笑いながら五行を輝かせた。

天才「アスラちゃんよ、テメーラの負けだ。ラーヴァナとあの世で仲良くな!」

アスラ「こ……の私が……」

天才「俺様との連戦にインドラへの一撃。お前さんにゃこれを防ぐ術はもう残されちゃいねーだろ」

キュイイィィィィ

アスラ「やはり貴様……早々に消すべき……った……」

天才「違うな。俺様が居なくとも他の奴がやった。これは全ての人間が得た勝利だ」

アスラ「ラーヴァナ様……魔族に……栄光あれエェ――――」

ツヴァイハンダーから放たれた五行がアスラを包み、その巨体は地上より姿を消した。
484 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:29:00.66 ID:X13xpMg4o
ドドオオォォォォ…

戦士「やった……っ!」

天才「……く……っはぁ」

ガクガクッ…ズシャッ

戦士「!?」

天才「……俺様の事はいい。それよりも……アイツを」

弓将軍「錦!!」

タッタッタ…ザザッ

錦将軍「……ごふっ!」

南方弓長「しっかりしてっ!! 今……治癒を……っ」

弓将軍「……これは……っ。お嬢さん、離してやれ」

南方弓長「……っ」

弓将軍「錦、この傷で治癒は無理じゃ。お前はもうここで死ぬ」

南方弓長「何言ってるのよっ!! 司令っ、貴方なら治癒を……っ」

天才「ん……あ、あぁ」
485 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:29:53.41 ID:X13xpMg4o
ヨロッ…テクテクテク…ズシャッ

戦士「だ、大丈夫なのか?」

天才「……さぁな。それ、見せてみろ」

ズイッ

天才「……」

南方弓長「ねっ、司令なら治せるわよねっ!? ねっ!!」

天才「……無理だ、諦めろ」

南方弓長「――っ!!」

天才「見りゃ分かんだろ。腹を貫かれてる。治癒魔法でどうにかなるモンじゃねぇ」

南方弓長「そんな!!」

天才「ま、痛み程度は取っ払えるけどな。……ただの気休めだ、どうする?」

錦将軍「……頼……む」

天才「……」

パアアァァァァ

弓将軍「おぉ……っ」
486 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:30:33.88 ID:X13xpMg4o
錦将軍「がはがはっ、ごほ……っ!」

天才「痛みは消えたろ。後は残り僅かの余生、楽しんでくれや」

ズイッ…ザッザッザ…

戦士「な、なぁ」

天才「……あんだよ」

戦士「自分で……回復しねーのか?」

天才「今ので枯渇だ。全く、俺様とした事が情けねー話だよ。他の奴らには黙っておけよ」

戦士「……」

天才「頼みがある」

戦士「……何だよ」

天才「この先にもう1つ魔物の気配がある。任せた」

戦士「何っ!?」

天才「早く行け。ここの二の舞になんぞ」

戦士「……分かった」

天才「頼むぜ。流石に俺様ももう……これ以上は無理だわ」
487 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:31:09.09 ID:X13xpMg4o
サアアァァァァ

錦将軍「……あー。悪かったな」

ボス「……?」

錦将軍「お前、この姉ちゃんに惚れてんだろ……?」

南方弓長「こんな時に何言ってんのよっ!」

錦将軍「大事な事だ」

ボス「……ああ。惚れている。姉御が好きだ」

南方弓長「――っ!?」

錦将軍「ははっ、真っ直ぐでいいぜ。素直な奴ぁ……好きだ」

南方弓長「もう喋らないで!」

錦将軍「俺もイイ女だと思うぜ。畜生、もう少し早く出会ってりゃあな……っ」

南方弓長「もう……喋らないで……っ」

錦将軍「なぁジジイ、前に言ったよなぁ。女の膝の上で死ねたらどんなに幸せかってよぉ」

弓将軍「……ああ、そうじゃな」

錦将軍「こんなイイ女の膝枕で逝けるなんて……最高の贅沢じゃねぇか」
488 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:31:49.69 ID:X13xpMg4o
南方弓長「駄目よっ! まだ駄目! 死んだりなんて……」

錦将軍「幸せにしてやんな。お前らお似合いだよ」

ボス「……いや、今の俺には無理だ」

錦将軍「……」

ボス「だがきっと、姉御から認めてもらえる男になるつもりだ。だから……見ててくれ」

錦将軍「ああ、あの世から見ててやるよ。お前らの色恋沙汰に嫉妬しながらなぁ」

弓将軍「ワシもすぐに逝く。待っておれ」

錦将軍「はっ、女以外はお断りだよ。あぁ……眠くなってきた……っ」

南方弓長「……っ」

錦将軍「落ち込むなよ、お前のせいじゃ……ねぇ。俺の力不足だ……」

南方弓長「何で……何でよぉ……っ」

ポロポロポロッ

錦将軍「泣くなよ……最後に笑顔で……見送ってくれ……や――」

南方弓長「う……ああぁぁ……っ!!」

ボス「……っ」
489 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:32:47.32 ID:X13xpMg4o
カランッ…コトッ

弓将軍「……」

錦将軍の頭から外れる虎を模した株と。弓将軍はそれをゆっくりと拾い上げて見つめる。

スッ

ボス「……?」

弓将軍「受け取れい。こやつの形見じゃ。お前さんが持つと良い」

ボス「……いや、それは……っ」

天才「貰っとけ」

ボス「司令……」

天才「お前もこの戦いで手柄あげまくったんだ。終われば昇進。士官だ」

ボス「!?」

天才「他の奴らに示しがつくくらい立派な兜じゃねぇか。貰っとけ」

ボス「……分かりました。ではありがたく……頂戴する」

弓将軍「うむ」

ボスは兜を受け取ると、被らず腰の脇に抱え、笑顔の錦将軍を見つめ涙した。
490 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:33:50.84 ID:X13xpMg4o
ザザザッ…タッタッタッタッタ

戦士「……どこだっ、どこにいやがんだ」

ゾワッ

戦士「!? こっちかっ!!」

タッタッタッタ…ガサッ!!

戦士「!?」

剣士「戦士……くんっ!?」

戦士「剣士さんかっ、他の連中は……?」

剣士「ハヌマーンとマーマンはラーヴァナの側近らしき奴を追ったよ。他の者は……」

戦士「やられたのかっ!?」

剣士「いや、分からない。ただ先程、この先で大きな音が……」

ズドオオォォォォン!!

剣士「やはり何か起きている!」

戦士「ちぃっ!」

木々を掻き分け斜面を下る戦士に続き、剣士も白馬で懸命に後を追った。
491 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:34:32.94 ID:X13xpMg4o
ズザザザッ…ザザァ

戦士「!?」

剣士「こ、これは……っ!!」

ヴァーリン「……貴様等も生きておったかぁ……!!」

戦士「スグリーヴァ様……じゃねぇ! こいつもしかして……っ」

剣士「ヴァーリン!」

ヴァーリン「スグリーヴァは死に、魔王ラーヴァナまでもが死んだ」

戦士「……っ」

スチャッ

ヴァーリン「最早、この地に残る敵は……瀕死のアスラに塵同然の人間のみよ!」

戦士「んだとぉ……っ!」

ヴァーリン「分かる、分かるぞぉ。疲弊しておるな? 大した力もあるまい! グフハハハハッ!」

――「どこ見てやがる!」

ヴァーリン「何……っ!?」

側面より痛烈な一撃を受けたヴァーリンは吹き飛び、2つの影は更に追い討ちをかける。
492 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:35:01.29 ID:X13xpMg4o
戦士「あんたら……っ!」

兄者「喰らえいっ!」

弟者「どうおりゃああぁぁぁぁ!!」

ヒュンヒュンヒュンッ…バッゴオオォォォォン!!

ヴァーリン「ゴフ……ッ!!」

ドザザザザアァ…スタッ

剣士「ご無事でしたか!」

弟者「当たり前よっ!」

兄者「魔王は死んだのか?」

戦士「ああ、間違いない! それにアスラって軍団長もな!」

ヴァーリン「何? そうか、アスラが死んだかっ! グハハハハッ!」

戦士「……ああ、だから何だってんだよ」

ヴァーリン「そうかそうか。クフフッ、グハハハハーッ!!」

ガバッ!!

ヴァーリン「更に好機が巡ってきおったわ!」
493 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:35:35.98 ID:X13xpMg4o
弟者「何だぁ?」

兄者「奴、何か企んでおるようだな」

ヴァーリン「ならば頂こう! 魔王の力!」

ダンッ!!

戦士は直感した。アンラ・マンユとの戦いにおいて、魔王を倒した直後、その燻った力が

アジ・ダハーカとして生まれた事を知っていたからだ。

戦士「奴の狙いは魔王の残した力だ!!」

剣士「なっ!?」

戦士「それを手に入れたらアイツは……駄目だっ! 止めねぇと……!」

ヴァーリン「もう遅い! 魔王の力を継承した私は……ついに魔王そのものと化――」

大きく跳躍しラーヴァナの消滅した地へと向かうヴァーリンであったが、上空で何かに遭遇する。

ヴァーリン「……ッ!?」

目の前に現れた小さな影は、その体かkらは想像もつかぬ威力でヴァーリンを殴り飛ばした。

オーク「ハアアァァァァ!!」

戦士「オーク!」
494 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:36:25.75 ID:X13xpMg4o
バッギャアアァァァァ!!

ヴァーリン「グブアアァァーッ!!」

ドッズウウゥゥゥゥン

オーク「フーッ、フーッ」

戦士「あれが……オークなのか……?」

剣士「いつものオークと、何か違う……」

ザッザッザ…シュタッ!!

ヴァーリン「貴っ様ぁ……ッ!!」

オーク「ここから先へは……通さない!」

ヴァーリン「何ィ……?たかがオーク1匹で何をほざくかぁ」

兄者「我らもいる」

弟者「何を企んでんだか知らねーが、逃がしゃあしねーよ」

ヴァーリン「……チッ」

剣士「ヴァーリン、貴様はここで倒す」

戦士「魔王もアスラも倒した、テメーも潔く諦めな!」
495 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:37:00.58 ID:X13xpMg4o
ヴァーリン「……ヌゥ」

ドズンッ

ヴァーリン「多少の被害は厭わぬ。魔王を力を得れば直ぐにもそれ以上の力を得られるのだ!」

ダンッ!!

オーク「オアアァァ!!」

ヴァーリン「ヌアアァァァァ!!」

バギイイィィィィ…ギギギギッ

戦士「互角っ!!」

ヴァーリン「寝ていろ……雑魚がっ!」

バギャッ!!…ドシャアアァァ

オーク「……グウ……ッ」

ヴァーリン「さぁ、どけどけどけえぇーッ!!」

キュイイィィィ…ドッゴオオォォォォン!!

ヴァーリン「――ッ!?」

戦士「この……光は!!」
496 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:37:45.09 ID:X13xpMg4o
ドッズウウゥゥン

ベヒーモス「グゴオオォォォォ…ッ」

戦士「やっぱりアンタらか!」

タッタッタ…

白虎長「無事っ!?」

玄武娘「これが魔王ですの……っ?」

白虎嬢「先程の魔物ではない。また新手……?」

ヴァーリン「召喚獣ッ、ここにきて厄介な……」

白虎長「これを倒せば終わり?」

兄者「いやっ、まだ居る! だがこやつは厄介だ」

ヴァーリン(他に何者か動いておるのか? そうか……成程なぁ!)

ズザッ…キョロキョロッ

ヴァーリン「どこかに居るはずだ。ジャガーノート」

戦士「何をキョロキョロしてやがる!」

ヴァーリン「グヌッ!」
497 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:38:31.01 ID:X13xpMg4o
バキャアアァァ!!…ズザァ

ヴァーリン「小僧……ッ」

弟者「続けぇ! 一気にぶっ潰すぞ!」

玄武娘「リヴァイアサン!!」

ヴァーリン「クッ!」

シュバッ…ダンッ!!

剣士「逃げる気かっ!」

白虎長「ベヒーモスを先回りさせるわよっ!」

白虎嬢「はいっ!」

ザザザザザザッ

ヴァーリン「どこかに気配があるはずだ……どこにいる……ッ」

ピクン

ヴァーリン「……いたっ!!」

ドドッドドッドドッ

兄者「待ていっ! どこへ逃げるつもりだ!」
498 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:39:05.38 ID:X13xpMg4o
ダァンッ!!

白虎長「逃がさないわよっ! 乗って!」

戦士「お、おう!」

白虎嬢「玄武娘ちゃんは私のベヒーモスに!」

玄武娘「はいですの! リヴァイアサン、追うですの!」

バサァッ…ダンッ!!

ヴァーリン「いたっ!!」

ジャガーノート「ヴゴオオォォォォ」

白虎兵「近づけば力で負ける! 間合いを取りつつ攻撃しろ!」

南方兵「ま、待てっ! 何だ……魔物がもう1匹!?」

ザザッ

ヴァーリン「……チィ、ラーヴァナが死に、力が衰えておるか……ッ」

ジャガーノート「ヴオオォォ……ッ」

ヴァーリン「まぁ良い、盾にくらいはなるであろう」

弟者「待て待て待てぇーい!!」
499 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/03(月) 18:40:11.12 ID:X13xpMg4o
ドドッドドッドドッ

兄者「……むっ、奴と合流したかっ!」

剣士「くそ……っ」

ダダッ…ズザザアアァァ

ヴァーリン「ジャガーノート、どうした! ラーヴァナ様の仇が目の前に居るのだぞ!」

ジャガーノート「……ヴフゥ」

ヴァーリン「こやつらを始末し、ラーヴァナ様を復活させるのだ!」

ジャガーノート「……ヴォオォ……ヴグアアァァァァ!!」

ゴアッ…ゴッシャアアァァァァン!!

赤壁兵「ぐわぁーっ!!」

剣士「おのれっ、これ以上好きにはさせないっ!」

白虎長「白虎隊、一斉攻撃ぃーっ!!」

ズガガガガガガッ!!

ヴァーリン「いいぞいいぞ、ここで食い止めるが良い。その隙にこちらは動かせて貰うとしよう」

不敵な笑みを残し、ヴァーリンは辞すかに姿を消した。
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/03(月) 18:42:31.10 ID:X13xpMg4o
それではここまでにて失礼致します!
ご支援ありがとうございました!では!ノシ
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/10/03(月) 18:44:30.13 ID:rSuasuTq0
>>1大量更新おつ
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 19:46:26.57 ID:33ASefZDO
>>1
シヴァたんどこいった
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/03(月) 20:12:14.95 ID:YsuLqjNmo
いちおつ

>>502
天才と司令二人と闘った時にアスラが盾にして消えなかった?
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/03(月) 20:15:28.21 ID:HuB5P4dAO
>>1

いやぁ、一気に涼しくなったな
盗賊の焔で暖めてもらいたいわ
胸でも可
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 20:37:07.42 ID:csnQbu9DO
1おつ

魔王倒したのにまだ安心出来ないとかどんだけだよ…
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 20:49:00.81 ID:44hPt2+co
オークちゃんとマーマンちゃんの伏線はやく回収してええええええええええええええ
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/03(月) 23:47:30.10 ID:33ASefZDO
>>503
勘違いしてた、ありがとう!
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/04(火) 02:03:58.52 ID:0RK1W/fAO
>>1おつ

早く召喚士が活躍してくれないと主人公としての威厳が…
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/04(火) 02:44:03.31 ID:kK3/yRtC0
活躍といえばいつかやって欲しいシチュエーション
敵軍団vs召喚士

ワルキューレ含めた召喚獣の多数同時召喚で、圧倒的物量差の相手に
一時的にでもたった一人で拮抗状態を作れる!みたいな
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/04(火) 05:14:17.10 ID:fOEbVrm+0
いちおつ
しかしどうやって軍団長を倒すんだ…
五行しかないよね?
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/04(火) 08:35:15.46 ID:UK+BpJUAO
相変わらずの大量投下乙んつん
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/04(火) 08:35:49.10 ID:UK+BpJUAO
相変わらずの大量投下乙んつん
513 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:11:16.98 ID:8+NNfCvlo
ドズガアアァァァァ!!

ジャガーノート「ヴルアアァァァァーッ!!」

戦士「何なんだコイツはよぉ!」

剣士「押さえ込めぇ!」

玄武娘「くうぅーっ!」

タタッ

マーマン「いやがった……って、うおっ!?」

ハヌマーン「お主ら……っ」

剣士「ハヌマーン……さんっ」

ハヌマーン「すまぬっ、まんまと取り逃がした」

戦士「らしくねぇな。どうしたんだ?」

ハヌマーン「……いや、それよりも今はジャガーノートを食い止める事が先決」

マーマン「魔王は倒したんだろ? あとは雑魚だけだ!」

ヒュバッ…タタタッ

戦士「……」
514 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:12:00.98 ID:8+NNfCvlo
剣士「ハヌマーン、さっきからずっと奴を食い止め続けて……重傷なんだ」

戦士「!?」

剣士「彼にばかり無理はさせられない。僕らも行こう」

タッタッタ…

戦士「……ったく、そうならそうって言えよ。頑張りすぎなんだよっ!」

ザザザザッ

ハヌマーン「ヌアアァァーッ!!」

ブオンッ…ズキィッ!!

ハヌマーン「――ッ!!」

ジャガーノート「ヴゴオオォォォォ!!」

ハヌマーン「しま――」

バギャッ!!…ドッズウウゥゥン…

ハヌマーン「……す、すまん。助かった」

白馬騎士「いえ。残るはこの魔物だけですか?」

戦士「いや、もう1匹……あれ?」
515 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:13:08.68 ID:8+NNfCvlo
タッタッタ

青年兵「戦士さんっ、状況は?」

戦士「……くそっ!! 剣士さん、ここは任せたぜ!!」

ダッ!!

青年兵「!?」

剣士「今はあの魔物と交戦中です。しかしもう1匹……ヴァーリンが残っています」

白馬騎士「何と……っ、姿を見せたか」

剣士「戦士くんは多分、ヴァーリンを追ったんだと思います」

青年兵「分かりました。ならば私が援護に……」

白馬騎士「いや、ここは私に任せてくれ。剣士殿、馬を!」

青年兵「……宜しいので?」

白馬騎士「うむ。まだ行方を晦ました飛行型の魔物もいる。青年兵殿はここに残って下され」

青年兵「……分かりました。行き先は分かりますか?」

剣士「奴は魔王の力を欲しておりました。おそらくはラーヴァナの消失した場所へ……」

青龍士官「上空から飛行タイプの捜索と同時に牽制してみよう。竜騎士隊、行くぞ」
516 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:13:42.85 ID:8+NNfCvlo
バシュッ…ゴオオォォォォ

マジシャン「んで、問題はコイツか」

バーテン「ま、これだけいりゃ何とかなんだろ」

マジシャン「おいおい、俺に五行使わせる気かぁ?」

バーテン「他に誰がいるんだよ」

マジシャン「……なにやってんだあのクソヤローはよぉ」

バーテン「そういや見ねぇな。くたばってねーだろうなぁ?」

マジシャン「他にも見当たらない連中が多くいる。何とかならんのか?」

白虎長「ここ抑えられる? 出来るなら白虎隊も捜索に出すわよ」

バーテン「だとさ」

マジシャン「……わーったよ、やるよ! 失敗しても恨むなよ!」

白虎長「白虎隊っ、戦闘中止! 周囲の捜索に移って!」

白虎兵「り、了解っ!」

青年兵「僕らは引き続き、この魔物を!」

剣士「了解!」
517 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:14:39.26 ID:8+NNfCvlo
ザザザザッ…ドズンッ

ヴァーリン「……」

ザッザッザ

ヴァーリン「魔王の力を得れば私も……ククッ」

スッ

ヴァーリン「……また貴様か」

オーク「お前だけでは許さない」

ヴァーリン「許すも許さぬも事実は事実。スグリーヴァは死んだッ!」

オーク「お前だけは……絶対に……」

ヴァーリン「さぁそこをどけィ! 私はラーヴァナの力を得て、新たな魔王とな――」

オーク「オアアアアァァァァ!!」

ヴァーリン「――ッ!?」

バッゴオオォォォォン!!

オーク「アアアアァァァァ!!」

ヴァーリン「なっ、何なのだコイツの……力は……ッ」
518 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:15:31.55 ID:8+NNfCvlo
ドガガガガッ!!…ズッドオオォォォォン

オーク「……フーッ、フーッ」

ヴァーリン「この……オーク風情がヴァーリン様に傷を負わすなどと……」

オーク「スグリーヴァ様と約束した……法師様と約束した……ァ!」

ヴァーリン「なああぁにをゴチャゴチャとオオォォォ!!」

オーク「みんなが笑って暮らせる世界を作るって……約束したああぁぁ!!」

ゴゴゴゴゴゴ…メキメキッ

ヴァーリン「!?」

オーク「お前ヲ……殺ス」

ヴァーリン「変身!? ど、どういう事だァ……!」

オーク「お前ヲヲヲヲヲヲ!!」

ヴァーリン「何だ……こ、このヴァーリン様が震え……?」

グッ

ヴァーリン「良かろう。魔王の力は後だ! 今は別の力を……」

オーク「ガアアアアァァァ!!」
519 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:16:27.80 ID:8+NNfCvlo
ドドッドドッドドッ

戦士「あんたらが来てくれて助かるよ」

兄者「なに、逃げてゆく奴を見かけたものでな」

弟者「まだヤローにはさっきの借りを返してねぇ」

白馬騎士「むっ!? あれではないか……っ!?」

ドドッドドッドドッ

オーク「アアアアァァァァ!!」

ヴァーリン「クッ」

ズザッ

ヴァーリン「あれは……しめたっ!」

意識してか無意識か、オークはジャガーノートと同様に、ヴァーリンめがけ体を突進させた。

ヴァーリンはそれを上手くかわし、更には視界に捉えた騎馬の集団を盾にするよう

ぐるりと回りこみ、オークの猛突進をその軌道上から見事に避けた。

弟者「何ぃーっ!?」

戦士「オ、オークなのか!?」
520 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:17:17.87 ID:8+NNfCvlo
オーク「――ッ!!」

突如鉢合わせの形となった戦友。馬上の4人は慌てて馬を左右へ展開させるが間に合わない。

その瞬間、オークは半ば強引に身をひねり、4人を避けるように地面を撥ね、大きく吹き飛んだ。

ギュバッ…ドッガオオォォォォン!!

戦士「オーク……?」

オーク「……グ……ウウゥゥ」

ヴァーリン「フハハハッ! 馬鹿めがッ、自滅しおったわ!」

戦士「て……めぇ……!!」

ヴァーリン「そこで仲良く戯れているが良いわッ! グハハハハァ!!」

バシュン!!…ザザッ…ザッ…

弟者「また逃げやがった……っ!!」

白馬騎士「オーク! しっかりせよっ!」

オーク「……う……うぅ」

戦士「意識はあるな!? 立てるか……?」

オーク「……あいつ……追わないと……ッ」
521 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:18:20.26 ID:8+NNfCvlo
戦士「分かってるよ」

オーク「違う……ッ」

兄者「……?」

オーク「あいつ……違う所へ向かってる……ッ」

白馬騎士「何……? い、一体どこへ……っ」

オーク「……あっち」

弟者「東? この地を離れるつもりか?」

兄者「逃亡か……。ひとまず回復しようという事か」

オーク「違うッ!!」

戦士「ど、どうしたんだよさっきから……」

オーク「あいつ……魔王の力は後って言った! 別の力って言ったッ!」

戦士「だ、だからどういう……」

白馬騎士「別の力……。ま、まさかあの方角……っ!!」

兄者「スグリーヴァ殿の城かぁ!!」

オーク「……法師様が……危ない!!」
522 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:18:59.95 ID:8+NNfCvlo
ザッ

戦士「おい、無理すんなって!」

オーク「早く……行かないと……ッ」

兄者「お主らはオークを頼む」

弟者「俺らが先に行って食い止めてやるぜ!」

白馬騎士「待――」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

白馬騎士「あやつら……っ」

戦士「任せて大丈夫なのか?」

白馬騎士「行ってしまったからには仕方ない。それに彼らは強いですよ」

戦士「そりゃ……分かってるがよ」

オーク「う……ぐぐぐっ」

戦士「おっし。白馬騎士さん、そっち持ってくれ。一気に持ち上げるぞ」

白馬騎士「はい。オーク、良いか?」

オーク「……すまねぇです」
523 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:19:51.77 ID:8+NNfCvlo


盗賊「…………」

アジ・ダハーカ「……」

おさげ「動かないですね。死んだのかな?」

盗賊「……静かに」

おさげ「……っ」

木陰から体を丸めているアジ・ダハーカをじっと見つめる盗賊。

盗賊「……気配はある。休んでいるようだ」

色黒「今のうちに……倒しちゃったら?」

盗賊「……いや、何も分からず仕掛けるのは危険だ」

ツインテ「……へっ、ふぇ……っ、へっくしょん!!」

ピクッ

アジ・ダハーカ「…………グウゥ」

ポニテ「バ、バカッ! 起きちゃったじゃん!」

ツインテ「ふ、ふにゃあぁ……っ!!」
524 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:20:48.32 ID:8+NNfCvlo
盗賊「いやっ、違う!!」

色黒「へっ!?」

ダダッ!!

おさげ「あっ! 私達も追いますわよ!」

何かに気付いたアジ・ダハーカは急に起き上がり両翼を大きく羽ばたかせる。

盗賊「くっ!」

バシュウウゥゥゥゥ

盗賊「召喚獣は出せるかっ!? 奴を……っ!!」

ポニテ「分かってる! いっけぇーっ!!」

ババシュウウゥゥゥゥ!!

色黒「どこに向かったの!?」

盗賊「……おそらくラーヴァナの下」

ポニテ「えっ!? だって魔王はさっきので……」

盗賊「……うん。そうなんだ。そうなんだけど……違う」

おさげ「よく分からないけれど私達も向かいましょ。召喚獣と距離を離しては危険だわ」
525 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:21:20.47 ID:8+NNfCvlo
ザザッ…タッタッタッタ

盗賊「……ここを降ればすぐ――」

アジ・ダハーカ「……コオオォォォォ」

ポニテ「な……なにあれ……っ」

ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「……何だ?」

魔道士「召喚士さんっ、上を!!」

弓使い「な、何……あの光の塊は……!?」

召喚士「まさか、魔王の魔力……っ!!」

幼女「えっ!?」

召喚士「魔王の肉体は倒した。でもまだ、魔力がこの世界に漂っているんだ」

弓使い「ど、どうすればいいの……っ!?」

召喚士「まさかアンラ・マンユの時のように魔物が……」

バシュウウゥゥゥゥ

盗賊「召喚士ぃーっ!! 背後だ!!」
526 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/04(火) 18:21:54.64 ID:8+NNfCvlo
召喚士「えっ!?」

アジ・ダハーカ「グガアアァァァァ!!」

召喚士「うわぁーっ!」

女賢者「くぅ……っ」

ラーヴァナの残魔力に気を取られていた召喚士らの背後より、アジ・ダハーカが襲いかかる。

召喚士「行けっ! スフィンクス!!」

シュイイィィィィン!!

アジ・ダハーカ「――ッ!?」

スフィンクス「じゃじゃーん……おわぁ!? パパッ、パーンチイイィィ!!」

ギュルッ…バッギャアアァァァァン!!

召喚士らの前方へ壁のように現れたスフィンクスは、目の前に急接近するアジ。ダハーカめがけ、

両拳で強烈な一撃を見舞い、敵を遥か後方へと吹き飛ばした。

スフィンクス「ちょっとお兄ちゃん! 急に危ないじゃんかよぉ!」

召喚士「ご、ごめん……っ」

スフィンクス「全くも〜っ、勘弁してよねっ!!」
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/04(火) 18:23:03.17 ID:8+NNfCvlo
それではここまでにてすみません
ご支援ありがとーでした!では!ノシ

>>502
シヴァは天才が倒したような気がします!
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/04(火) 18:37:53.66 ID:1haHf6vHo
いちおつ。
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 18:40:26.80 ID:sgmWysDDO
>>1乙っす
久々のスフィンクスかわいい
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 19:49:11.06 ID:F4Jxl4VIO
いちおつ

分かってはいるんだが目の前に急接近するアジで笑ってしまう
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 19:51:05.40 ID:G/mK8vcyo
いちおつ!
スフィたんは癒し
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/04(火) 20:23:33.95 ID:ks1ePwYDO
>>1乙!

>>527
気がしますわろたww
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/04(火) 22:15:47.76 ID:0RK1W/fAO
>>1おつ
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/05(水) 00:08:39.69 ID:IwurKtZAO
大漁じゃ
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 01:22:58.16 ID:Ijg1WD2DO
1おつ!

俺もアジで笑ったww
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 01:55:21.32 ID:gO7dlzjto
                 /!
             ______,イ//_____________イi                , 
        _, r '' " "      _,._,._,._,._,._,_,._, ~`''ー-.、          //
     _,r''""◎  ヽ     _,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._~`''ー-.、    / /
      ゙ヾ,,      |   _,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,..  ~`''=´  |
     ∠´___     ノ_,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,._,.  _..-‐'''"  \  ヽ
          ~`''ー-.、_______________________________,,...-‐'''"        \ ヽ
                        !    ,_    _ ',
                 ,;-‐'′    `Y´  i
                   /         i   ,!、
               /        _,,,ノ、  ; ヽ、
                ,/       ,;-‐''′`ヽ、    ゙;、
              i'  /_,,;-‐''′     ゙:、    ゙i
              i   `i           ゙:、   ;゙ヽ、
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/05(水) 01:57:40.81 ID:VaDKe07AO
>>1


スフィンクスwwwwwwww
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 13:43:13.62 ID:ZB4Zn6WIO
>>536
ちょっwwwwwwwwww

あ、いちおつ
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 17:10:51.07 ID:wpKDL/5IO
          ____
        / ―  -\
 ミ ミ ミ /   (●)  (●)       ミ ミ ミ
/⌒)⌒)⌒.      (__人__) \   /⌒)⌒)⌒)
| / / /      ` ⌒´   | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒)           /  ゝ  :::::::::::/
|     ノ            \  /  )  /
ヽ    /             ヽ/    /
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))


          ____
        / ― ― \
 ミ ミ ミ / (●) (●) \      ミ ミ ミ
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| / / /    ` ⌒´     | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒)           /  ゝ  :::::::::::/
|     ノ            \  /  )  /
ヽ    /             ヽ/    /
 |    |   l||l 从人 l||l      l||l 从人 l||l
 ヽ    -一''''''"~~``'ー--、   -一'''''''ー-、
  ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) )  (⌒_(⌒)⌒)⌒))
540 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:16:53.04 ID:fHOXjdVwo
バタバタバタッ…バサァ

アジ・ダハーカ「……グゥ」

スフィンクス「逃げるよっ!」

召喚士「よし、もう一発だ!」

スフィンクス「いっくぞぉーっ、両手パーンチィ!!」

グワッ…ブンッ!!

スフィンクス「くっそー届かなかった!」

召喚士「上空に逃げたか……ならば、行けっ! ワルキューレ」

シュイイィィィィン

シュヴェルトラウテ「おぉっと!? あれは何だぁ!?」

ブリュンヒルデ「あれはアジ・ダハーカ。アンラ・マンユの眷属であり、一部だったものだな」

ヘルムヴィーゲ「ひゃー! 姉さま物知り〜♪」

ブリュンヒルデ「い、いいから行くぞっ!」

グリムゲルデ「よーしっ、突撃ぃー!!」

空へと難を逃れたアジ・ダハーカへ、ワッルキューレの攻撃が始まった。
541 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:17:50.66 ID:fHOXjdVwo
ズババババッ…バシュウウゥゥゥゥ

ポニテ「私達も援護行くわよーっ」

ツインテ「おーっ!」

タッタッタッタ

盗賊「魔道士、皆……無事か?」

魔道士「盗賊さーん! ここに居る皆は大丈夫ですよー!」

弓使い「他は……あの朱雀召喚士達だけ?」

盗賊「……ああ。爆発の時に……はぐれた」

幼女「お父さん……大丈夫かなぁ」

弓使い「……大丈夫だとは思うけど、合流した方がいいかもしれないわね」

女賢者「でもぁ〜先にあの魔物も倒さないとねぇ」

同門「……厄介だな」

ドガガガガッ!!

召喚士「くそっ、流石に一筋縄ではいかないな……っ」

アジ・ダハーカ「グゴオオォォォォ」
542 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:18:26.09 ID:fHOXjdVwo
ドウッ!!…バッシュウウゥゥゥゥ

青龍兵「隊長っ、正面のあれ……」

青龍士官「いたっ! 交戦中かっ、急ぎ救援に入るぞ!」

竜騎士兵「了解っ!」

ドドオオォォォォン!!…ゴガアアァァ!!

ロスヴァイセ「きゃっ! あっぶないわねぇこの……っ!」

召喚士「……何か来る! 何だっ!?」

ギュバッ…ドシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「はあぁーっ!!」

おさげ「援軍っ!?」

竜騎士兵「ワイバーン! 左右より攻撃開始ーっ!」

ズガアアァァン!!

アジ・ダハーカ「グガアァーッ!」

召喚士「竜騎士隊っ! よし……この数なら押せるぞ!」

巨大なアジ・ダハーカの周囲を翻弄するかの様にに飛び回り、召喚獣達は攻撃を繰り返した。
543 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:19:06.04 ID:fHOXjdVwo


ジャガーノート「ヴオオォォォォ!!」

マジシャン「くっそぉ、見かけによらず……すばしっこいじゃねぇか!」

玄武娘「くううぅぅーっ!!」

白虎長「もっと左に寄って! 回りこまれるわよぉ!」

白虎兵「わ、わわっ!」

バーテン「馬っ鹿野郎!」

白虎長「だから言ったのにいぃーっ!!」

ジャガーノート「ヴゴアアァァァァーッ!!」

バッゴオオォォォォン!!…シュウウゥゥゥゥ

ジャガーノート「……グ、グウゥ?」

側面からの一撃により倒れたジャガーノートは何が起きたか分からず周囲をきょろきょろと見渡す。

その正面に殴り飛ばした主がゆっくりと歩み寄り、右拳を突きつけた。

ザッザッザ…ピタッ

南方司令「正義は……勝つ!!」
544 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:20:46.63 ID:fHOXjdVwo
白虎長「南方司令!?」

マジシャン「だけじゃねぇみたいだぞ!」

ドドドドドド…

エリート「魔物がいたぞ! 初見だな、奴も軍団長クラスか?」

大軍師「そのようですね」

南方参謀「交戦中みたいよ! 援護に入るわよぉ!」

西方参謀「おうよっ、まずは切り込み隊長……行ってこいやぁ!」

西方司令「うおりゃああぁぁ!! 死んねええぇぇぇぇ!!」

グワッ…ドッゴオオォォォォン!!

バーテン「敵は攻撃一辺倒だ。お前ら得意だろ?」

南方司令「ああ。ややこしくなくて助かる」

西方司令「連敗中でムシャクシャしてるんだ。殺らせて貰うぜぇ!」

ジャガーノート「ヴオオォォォォ!!」

西方司令「行くぞこらああぁぁぁぁ!!」

南方司令「おう!」
545 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:21:55.02 ID:fHOXjdVwo
ズババババッ…ガシュッ…バゴオオォォン!!

エリート「良いのか? 好きにやらせて」

大軍師「構いませんよ。お2人が前線へ立って頂けると防御も強固なものとなります」

エリート「まぁな」

大軍師「間もなく兵器隊も到着するでしょうし、ここで叩くと致しましょう」

エリート「……やはり、魔王は消滅したのかな」

大軍師「十中八九間違いないかと。念の為、偵察はだしておりますが」

エリート「……よし、騎馬隊も2人の援護に回るぞ。動きを封じれば良い」

騎兵「ははぁ!!」

西方副司令「ね、ねぇ……あれ……何かしら?」

西方司令「あん? 空が光ってるな。あの辺りはさっき大爆発の起きた場所か?」

南方参謀「ねぇ大軍師! あれってもしかして……」

大軍師「……嫌な予感がしますね」

南方参謀「ど、どうするのっ!?」

大軍師「ふむ……どうしましょうかねぇ」
546 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:22:20.68 ID:fHOXjdVwo
ゴゴゴゴゴゴ

弓使い「ね、ねぇ」

魔道士「……?」

弓使い「あの光の球……少し大きくなってない?」

その声に反応し、一同は上空を見上げた。

同門「……若干だが、そんな気がするな」

幼女「うん……っ」

魔道士「大きくなったというよりは……近づいてる……!?」

弓使い「確かにそうかも……」

魔道士「何か嫌な予感……っ」

タタッ

魔道士「召喚士さんっ!」

召喚士「!?」

魔道士「上をっ! あの光……近づいてますよっ!」

召喚士「えっ!?」
547 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:23:15.10 ID:fHOXjdVwo
ザッ

召喚士「……本当だっ、確かに地上へ迫ってきている」

青龍士官「どうかしましたか?」

召喚士「あれはラーヴァナとインドラ様が爆発して発生した光、魔力の残りなんだ」

青龍士官「……」

召喚士「それが徐々に地上へ迫ってきている」

青龍士官「つ、つまり……?」

召喚士「分からない、分からないけど……。とにかく近づけちゃいけないんだと思う」

郭勝はない。しかしアンラ・マンユの時と状況が似ていた。だからこそ召喚士は咄嗟にそう感じた。

召喚士「駄目だっ! あれを地上に落としてはいけない……っ!」

魔道士「……っ」

召喚士「あれは悲しみの光だ……。絶対に落としちゃならないんだ!」

青龍士官「ここは竜騎士隊が引き受けます。あなたなら……出来ますか?」

召喚士「……分からない。でも、やってみせる!」

魔道士「召喚士さん……っ」
548 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:24:54.57 ID:fHOXjdVwo
バシュッ!!

青龍士官「君達も、朱雀先生の援護に向かってくれ」

おさげ「大丈夫なの?」

青龍士官「魔物を倒そうともあれが落ちればどのみちアウトさ」

色黒「……行くわよ」

ダッ!!

ポニテ「あ……っ」

青龍士官「早く行くんだ! 奴もそろそろ反撃に打って出るぞ!」

アジ・ダハーカ「グ……ウウゥゥ……ッ!!」

ポニテ「……死なないでよっ、夢見が悪いからっ!」

タッタッタ…

青龍士官「さぁ行こう。君も手伝ってくれるか?」

スフィンクス「もっちろん!」

青龍士官「竜騎士隊の意地を……見せてやれぇ!!」

青龍兵「おぉう!!」
549 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:25:30.17 ID:fHOXjdVwo
タッタッタッタッタ

召喚士「ワルキューレ!」

ブリュンヒルデ「分かってはいるけど、支えきれるかしら……っ!」

オルトリンデ「やるっきゃないわねっ!」

バシュウウゥゥゥゥ…ズンッ!!

ヴァルトラウテ「くうぅーっ!!」

ブリュンヒルデ「凄い力……っ! これは……手強いわね」

バシュウウゥゥゥゥ

グリフォン「情けないな! もっと力を入れんか!」

サンダーバード「ここで押し負けては……朱雀の恥ぞ!」

ブリュンヒルデ「……!?」

ザザッ

召喚士「み、みんな……っ」

おさげ「さぁ行くわよ朱雀先生!」

色黒「負けてたまるもんですか!」
550 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:28:08.92 ID:fHOXjdVwo
魔王の残魔力による光の落下。他の場所にいる者らも徐々にその異変に気付き始めていた。

天才「おいおい、勘弁してくれよ。おい、まだ動ける奴は……」

南方弓長「ひっ、ひぐ……っ」

天才「ったく、いつまでメソってんだおめーは。おいジーサン、その泣き眼鏡と一緒に北へ向かえ」

弓将軍「……?」

天才「そろそろ本隊が動いてるはずだ。合流しろって事だよ」

弓将軍「アンタはどうする? そんな身体じゃあ戦えんじゃろ」

天才「戦えるかどうかは俺様が決める事だ」

弓将軍「だったらワシが……」

天才「そのおぶってる奴はお前の仲間だろ。最後まで責任持って届けてやれよ……国に」

弓将軍「……」

天才「おう、テメーは動けんだろ? 付いて来い」

ボス「は、はい」

天才「んじゃ、頼んだぞ」

弓将軍「やれやれ。死ぬでないぞ」
551 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:29:05.45 ID:fHOXjdVwo


バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「な、何だあの光……っ」

アマゾネス「嫌な予感がするな。木々がざわついている……」

大軍師「青年兵殿ーっ!」

青年兵「大軍師さん!? エリート様も……そうか、本隊が到着したのか!」

大軍師「嫌な予感がします。ここは我々に任せて、あの光の下へ……」

青年兵「了解です! ここはお任せ致します!」

アマゾネス「私も同行しよう」

青年兵「お願いします!」

ワイバーンを反転させ光の下へ向かう青年兵。それに続きアマゾネスを背に乗せたグリフォンが続く。

大軍師「貴方達ならきっと大丈夫です」

南方兵「大軍師様! 兵器隊が到着致しました!」

大軍師「いいタイミングですね。では、魔物の討伐にかかりますよ」

南方軍本隊、最後尾の兵器が音を立てて大軍師の背後より前線へと到着した。
552 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:30:01.30 ID:fHOXjdVwo
ゴtンゴトンゴトンゴトン…

助手「到着〜♪」

南方参謀「来たわねっ!」

占い師「ちょっと、交戦中じゃないの!」

西方参謀「戦場なんだから当たり前だろうがよ……ヒック」

大軍師「右大臣様、兵器を発射します。前線を後退させて下さい」

エリート「了解だ。騎兵隊、白虎隊、各自後退せよっ」

白虎長「後退!? 何かあるの……?」

白虎嬢「従姉さん、玄武娘ちゃん、退がりましょう」

玄武娘「は、はいですのぉ!」

ジャガーノート「ヴグオオォォォォ!!」

リヴァイアサン「ヌウゥ!!」

ガシィッ!!

玄武娘「今ですのっ!」

エリート「よし、後退完了だ。召喚獣を解いてくれ!」
553 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:30:35.84 ID:fHOXjdVwo
シュイイィィィィン

玄武娘「あっ!!」

白虎長「早く撃ってぇ! あいつ……止まらないわよぉ!」

助手「発射ーっ!」

ジャキッ…ガシュウウゥゥゥゥ!!

ジャガーノート「――ッ!!」

ドズンッ!!…ブシュウウゥゥゥゥ

西方兵「初撃命中!」

助手「次〜っ!」

ドズンッ!!…ブシュウウゥゥ

ジャガーノート「ヴグオアアアァァァァーッ!!」

エリート「怯んでいるぞ! 立て続けにいけっ!」

助手「次〜」

ジャガーノート「ヴ……ヴオオォォォォ!!」

南方参謀「ちょっとぉ!! 早く――」
554 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:31:07.76 ID:fHOXjdVwo
グアッ…ズガガガガガガッ!!

西方兵「ぐあぁーっ!!」

体に突き刺さる結界石で出来た巨大な矢。それを2本浴びながらも、

ジャガーノートの猛進は止まらない。そn矛先は兵器自体へと向けられた。

西方副司令「へ……兵器が……っ」

西方参謀「被害状況ぉーっ!!」

西方兵「2機やられましたぁ! 死者は不明!」

マジシャン「バッカヤロウがっ、易々と背後取られてんじゃねぇ!」

ダッ!!

ジャガーノート「ヴゴオオォォォォ!」

大軍師「兵器反転っ、急いで下さい!」

助手「そ……そう言われてもぉ〜」

ジャガーノート「ヴゴガアアァァァァ!!」

バーテン「来るぞぉ!!」

助手「反転反転反転〜っ!」
555 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:31:36.53 ID:fHOXjdVwo
ズアッ!!

西方司令「寝てろやコルァーッ!!」

南方司令「フライング……ジャスティスパーンチ!!」

ゴッシャアアァァァァ!!…ドドオオォォン!!

ジャガーノート「ガフゥ……ッ」

スタッ

南方司令「凄い……。またもや新たな技を思いついてしまった……っ」

西方司令「ただの空中パンチじゃねぇか! 死ね!」

マジシャン「じゃれてる場合じゃねぇぞ!」

ズザッ

マジシャン「大軍師、風だ!」

大軍師「了解ですっ」

2人の司令による攻撃で地面へとめり込んだジャガーノートが再び立ち上がり体を左右に揺さぶる。

再突撃を防ぐべく、マジシャンは大軍師へ風の魔法を指示し、突風が魔物へと向けられた。

ジャガーノート「……ッ!!」
556 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:32:40.62 ID:fHOXjdVwo
ドドオオォォォォン!!…ゴゴウッ!!

マジシャン「お次は……コイツだ!」

ドッドオオォォォォン!!…ゴゴオオォォォォ!!

西方参謀「なんつぅ炎だ……っ!」

バーテン「全開じゃねぇか!」

マジシャン「全開じゃねぇよ! おら、次はおめぇさんだよ、左目狙え!」

バーテン「無茶言ってくれるなよ……」

ジャキッ

ジャガーノート「ヴゴゴオオォォォォ!!」

バーテン「うろうろすんなっての。狙い定まんねぇだろうがよっ!」

ピタッ…バシュッ!!

空を切り裂く音と共に、バーテンの放った矢は熱風を迂回するような軌道で

見事、ジャガーノートの左目へと一発で命中した。

ザクゥッ!!

ジャガーノート「ヴギャアアァァーッ!!」
557 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:33:52.83 ID:fHOXjdVwo
大軍師「今ですっ!」

助手「反転完了っ♪」

西方兵「全兵器……一斉発射ああぁぁ!!」

ズドドドドドドドッ!!

ジャガーノート「ヴガッ――――」

ドドドドドドッ!!…ドズンッ!!

エリート「…………」

大軍師「…………」

白虎長「……や……った?」

ピクッ

ジャガーノート「……ヴ……ウ……ゥ」

マジシャン「まだ生きている! 魔法撃てる奴はありったけ、刺さった結界石目掛けてぶっ放せ!」

白虎嬢「ベヒーモス!」

玄武娘「リヴァイアサン、行くですのーっ!」

西方参謀「ちょいと飲み足りねぇが……出し惜しみなしだぜっ!」
558 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 17:35:50.34 ID:fHOXjdVwo
無数の結界石が突き刺さり、その場に制止するジャガーノート。

最早、流石のジャガーノートと言えど、この結果石の檻からは逃れられぬであろう。

そこへ南方軍の全力と言って良い程の魔法が撃ち放たれた。

留まる事を知らず、戦車のように突進を繰り返してきたジャガーノートであったが、

総力にも等しい総攻撃を受け、ついにその姿を消滅するに至った。

ゴッゴオオォォォォ…

南方兵「……目標……消滅です!」

西方副司令「勝った……ぁ」

白虎長「ふーっ、全く……とんでもない化物ね……っ」

玄武娘「やったやったーですの!」

白虎嬢「やりましたわね。ふふっ」

大軍師「……さぁ、後はあの魔王の置き土産ですか」

エリート「我らに出来る事は……」

大軍師「信じる事、のみですかね。私達は他の者らの捜索と救出にかかりましょう」

エリート「そうだな。全軍、再編制の後……捜索活動と残党の殲滅に移るぞ!」
559 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/05(水) 18:08:53.22 ID:fHOXjdVwo


ズザザァ

ヴァーリン「……あの光はまさかッ」

ザッザッ…

ヴァーリン「グフハッ、あれだ! あれぞ私の求める最高の輝き……ッ!」

ドドドドドド…

ヴァーリン「その前にまず、最上級の人間を喰ろうて……力を取り戻すとしよう」

ドドドドドド…

ヴァーリンが向かうはスグリーヴァの城。狙いは当然、最上級の人間と称した法師。

格別の食事を得る為、傷を負ったヴァーリンは足早に城を目指す。その途中の出来事であった。

ドドドドドドオオォォォォ

ヴァーリン「……ほぉ」

猿兵「ス、スグリーヴァ様ッ!?」

華国兵「三男様っ、スグリーヴァ様がお戻りに!!」

ヴァーリン「これは良い。グフッ、フハハハハハッ!!」
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/05(水) 18:10:15.99 ID:fHOXjdVwo
急にバタバタし始めてしまった…すみませんここまでにて!
多数のご支援、毎日感謝でございます!

アジは…ごめんなさい…アジ……アジ……
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 18:26:42.83 ID:Gtfhaf4DO
>>1
朱雀娘……
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 18:28:57.17 ID:3aLqiI56o
おいヴァーリンそれはいかんぞおおおおおやめてええええ
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/10/05(水) 18:29:59.86 ID:7htcfk/j0
アジは開き直って敢えてそれで行くか






アジの開きだけにな
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 18:30:42.30 ID:Ii9W6QuDO
>>1

ヴァーリンがんばれ
ちょうがんばれ
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/05(水) 20:17:26.94 ID:ge6Tn4lAO
>>1

>>563を観たらフリーズした
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/05(水) 21:39:14.75 ID:/yyMbNeM0
ワッルキューレ乙♪
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/05(水) 22:42:19.27 ID:Band9oLfo
1乙アジョット!
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/06(木) 00:06:19.29 ID:vfWhnlfAO
ジュニアってなにしてるんだろ
まだ穴掘ってるのかな
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/06(木) 09:12:28.57 ID:kvFEgKBYo
ジュニアいないから忘れとったwwwwww
570 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:03:10.65 ID:SbtZM4KWo
猿兵「我ら、人らの要請にて前進致していたところです。丁度良――」

ゴシュゥ…ドチャッ

猿兵「……?」

ヴァーリン「グフハハハハッ!!」

華国兵「よ、様子がおかしいぞ……っ!?」

猿兵「スグリーヴァ様ではない! 貴様……何も――」

ズガァッ!!…ドサッ

ヴァーリン「スグリーヴァはこの私が殺した! そして我が身へと吸収したァー!!」

猿兵「――!?」

ヴァーリン「猿兵共よっ、殺されたくなくば……このヴァーリン様に平伏すが良い!」

猿兵「ヴァーリン……ヴァーリンだとぉ!?」

三男「スグリーヴァ様が討たれたというのか……っ」

ヴァーリン「降伏か死か、2つに1つだぞ」

猿兵「なめるなぁ! 忠臣はニ君に使えず!」

ヴァーリン「……フンッ!」
571 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:04:22.28 ID:SbtZM4KWo
猿兵「貴様を道連れに、スグリーヴァ様への土産としてくれるわっ!」

シュバッ!!

ヴァーリン「勝てると思うてかあぁーッ!!」

ゴワシャアァ!!

三男「――っ!!」

ヴァーリン「一平卒風情が幾ら束になろうとも……このヴァーリン様の足元にも及ばぬわっ!」

猿兵「今のうちに三男様を連れて退くのだ」

華国兵「!?」

猿兵「こやつと戦うは我らの使命。主ら人間はその隙に退くのだ!」

華国兵「無茶だ! こうなれば我らも……」

猿兵「主らにはまだ、すべき事あるだろう」

華国兵「それは君達とて同じではないかっ」

猿兵「いや。我らの主、スグリーヴァ様は逝った。我らの任務は追えたのだ」

三男「これからの世界には、貴方達が必要なのです」

猿兵「……有難い御言葉。だが、代わりは幾らでもおりまする」
572 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:05:00.89 ID:SbtZM4KWo
シュバッ!!

華国兵「あぁっ!!」

三男「く……っ」

華国兵「……仕方ありません。後退致しましょう。彼らの死を無駄にはしたくない」

ザザザッ

猿兵「ヴァーリン! スグリーヴァ様の仇……討たせて貰うぞ!」

ヴァーリン「出来るものならばやってみるがいいわっ! フハハハッ!」

ドガァッ!!…バッギャアアァァ!!

猿兵「無……念……ッ」

ヴァーリン「さぁ、もう終わりか?」

猿兵「傷を追いながらもこれ程の力をのこしているとは……ッ、流石はヴァーリンか……」

ヴァーリン「最早、打つ手なしのようだな。ならば……潔くスグリーヴァの下へ逝くが良い!」

ブアッ…ブンッ!!

ヴァーリン「……ッ?」

猿兵「……お、お主は……ッ!!」
573 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:06:19.69 ID:SbtZM4KWo
ドドッドドッ…ドドォ

兄者「大丈夫か?」

弟者「やーっと追いついたぜ。さぁ、もう逃がさねぇぞ!」

三男「兄者、弟者!」

兄者「あれは三男様っ!?」

弟者「おいおい……ますますこれ以上先へは進ませらんねーなぁ」

ヴァーリン「フッ、たかが2匹で何が出来るか」

兄者「試してみるか?」

弟者「あんまり人間を馬鹿にすんなよ……?」

ブンブンブンッ…ジャキッ

ヴァーリン「死ぬ気満々だなァ?」

兄者「弟者、武人の意地、みせてやるぞ!」

弟者「おうよっ!」

ドウッ!!

ヴァーリン「グハハハハハハアアァァ!!」
574 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:06:56.13 ID:SbtZM4KWo
ザッ

三男「……!?」

華国兵「いまのうちに後退致しまする」

三男「何を……っ、まだ2人が戦っているではないか」

華国兵「……お察しくだされ」

三男「!?」

華国兵「兄者様、弟者様は命を賭して戦っておられるのです。おそらくは……」

三男「そ、そんな……っ」

猿兵「兵らの申す通り。ヴァーリンは予想を遥かに上回る強さ。到底、勝てはしません」

華国兵「……っ」

猿兵「なぁに、我らもおります。そう易々とは死にませぬよ」

三男「そなたらは……くっ!」

猿兵「では、頼んだぞ。早く行けいっ!」

華国兵「忝いっ、猿兵の皆……そして、兄者様……弟者様っ!」

三男「2人共……必ずや戻ってくるのだぞっ!!」
575 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:07:23.61 ID:SbtZM4KWo


ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「ぐぅ……あぁっ!!」

おさげ「耐え……切れないっ!」

サンダーバード「グガアアァァ――」

バシュンッ!!

召喚士「行……けぇっ、コカトリス! グリフォン! ペガサス! ワイバーン! サンダーバード!」

シュイイィィィィン…ズラァッ

弓使い「すっご……!!」

召喚士「もう手段は選んでいられない! とにかく食い止めるんだ!」

コカトリス「とは言っても、これは簡単な話ではないぞ」

ペガサス「愚痴ってないで行っくよ〜!」

ワイバーン「はあぁーっ!!」

召喚士「魔力が持つ限り……押してやるっ!」

魔道士「召喚士さん……っ」
576 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:07:57.88 ID:SbtZM4KWo
幼女「あれ……?」

弓使い「どうしたの?」

幼女「あそこ、何か来るよっ」

魔道士「!?」

バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「こ、これは……っ」

アマゾネス「何がどうなっておるのだ?」

召喚士「青年兵くん!」

色黒「長ーっ!!」

召喚士「こいつを……押し返すんだっ! 手伝ってくれるかい!?」

青年兵「勿論ですっ!」

アマゾネス「そういう事か。よし、お前らどうした? お前らの力はそんなものか?」

ポニテ「まっさかぁ!」

ツインテ「ふんにゃああぁぁーっ!!」

召喚士「いっけえぇーっ!!」
577 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:08:24.29 ID:SbtZM4KWo
ドドンッ!!

魔道士「落下が止まった!!」

弓使い「いいわよそお調子っ、頑張って!」

女賢者「ファイトよ〜。んふっ」

召喚士「コカトリス!」

コカトリス「乗るか? あまり近づきすぎるなよ」

召喚士「分かってる」

バシュッ…ゴオオォォォォ

青年兵「かなり……手強いですね……!」

召喚士「うんっ。食い止めるだけで精一杯だ……」

青年兵「もっと力のある召喚獣でいくしかないですかね……」

召喚士「……力のある」

青年兵「せめて青龍士官が居てくれれば、バハムート2匹で支えられるんですが……」

召喚士「そうだ、彼らは無事……い、いないっ!?」

青年兵「いやっ、上です! 更に上空に!」
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:09:04.99 ID:SbtZM4KWo
バシュウウゥゥゥゥ

アジ・ダハーカ「グゴアオオォォォォ!!」

青龍兵「逃がすかぁ!!」

青龍士官「まずいな。徐々に光へと近づいている」

竜騎士兵「このままでは奴自身も光にぶつかりますよ?」

青龍士官「何が狙いなんだ……っ」

アジ・ダハーカは竜騎士隊の猛攻を振り払い、光の下へと翼を羽ばたかせる。

青龍士官「あの光……魔王の魔力……」

バッ!!

青龍士官「まさか……っ!!」

竜騎士兵「隊長?」

青龍士官「退避ーっ!! 総員っ、退避だぁーっ!!」

青龍兵「!?」

青龍士官「早くしろぉ! 殿は俺が務める! 早く逃げろぉ!」

竜騎士隊はその言葉に困惑しつつも、青龍士官の指示に従いその場を離れた。
579 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:11:00.21 ID:SbtZM4KWo
バシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「朱雀先生っ、青年兵ーっ!」

青年兵「どうしたっ!?」

青龍士官「……目標、あの魔力を取り込むつもりのようです!」

召喚士「えっ!?」

青龍士官「朱雀先生っ、あなた達も早くこの場を離れて――」

召喚士「出来ないよっ! 俺が残るから他の人達を……」

青年兵「2人が残る中、僕1人戻れませんよ」

アマゾネス「私だってやれる」

召喚士「決まりだね。この4人とみんなの召喚獣で押し返してやろう!」

青年兵「……死んでも本国から慰謝料は出ませんよ?」

召喚士「ははっ、死なないよ。占い師さんだって何も言ってなかったもの」

青龍士官「そういわれると不思議と、やれそうな気がしてきますよ」

アマゾネス「まだ余力はある。いけるはずだっ」

召喚士「ええ、やってやりましょう!」
580 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:11:58.96 ID:SbtZM4KWo
ゴアッ…ズズズズズズ

青龍士官「出でよっ、バハムート!!」

青年兵「出でよ! バハムート!」

ドアガァッ!!…ゴゴッ…ゴゴゴゴゴゴ…

青龍兵「おぉ……っ、よし、俺らも援護だ! ワイバーン!」

おさげ「私達も長の援護よっ!」

ポニテ「オッケー!」

バシュッ…ゴゴゴゴゴゴッ…

召喚士「……よし、これならコカトリスに集中出来る!」

シュイイィィィィン

召喚士「コカトリス……フルパワーだ!!」

コカトリス「おうっ!」

その瞬間、光は徐々に縮小を始め、勢いを弱めていった。輝きが少しずつ小さくなる。

弓使い「やった……っ!!」

同門「いや待て、どうも様子がおかしい……」
581 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:12:47.07 ID:SbtZM4KWo
ゴゴゴゴゴゴッ…

青年兵「光が弱くなっているのに……」

青龍士官「威力が増している……だとぉ!?」

ズゴゴゴゴゴゴッ!!

魔道士「あっ!! あれは――」

アジ・ダハーカ「ガアアアアァァァァーッ!!」

光の中央に溶け込むアジ・ダハーカ。その身に取へ込むように、光は小さくなり、

やがてアジ。ダハーカの全身を包むと、もろとも消滅した。途端、空が歪んだ。

ズオッ…ゴゴゴゴゴゴ…

アマゾネス「何事だ……っ」

青年兵「何かが浮かび上がって……くる……っ!」

召喚士「――っ!!」

歪みから形成されるは1つの魔物の姿。それはかつて見覚えのある人型のもの。

召喚士「ま……魔王……アンラ・マンユ!!」

アンラ・マンユ「……ククッ、クククッ……ハーッハッハッハッハ!!」
582 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:13:28.03 ID:SbtZM4KWo


オーク「……ウ……ッ」

戦士「大丈夫か?」

白馬騎士「止血はしたが……これ以上は命にかかわるぞ。休んでおれ」

オーク「……命」

戦士「ああそうだ。お前の命がヤバイって事だ」

オーク「命……消えてゆく……」

戦士「……?」

オーク「どんどん……減ってる……ッ、駄目……だ……」

ググッ

白馬騎士「オーク! 後の事は我らに任せておけ」

オーク「違う……。減ってるんだ!」

バッ…ドウッ!!

戦士「バッカヤロウ!! 白馬騎士さんっ、追うぞ!」

白馬騎士「あ、あぁ!」
583 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:13:59.06 ID:SbtZM4KWo
グイッ…ドドッドドッドドッ

戦士「何やってんだよアイツ……!!」

白馬騎士「急にどうしたと言うのだ?」

戦士「分からねぇっ、だが……妙な事を口走ってたな」

白馬騎士「命が減っていると、消えていると申していた。もしや……」

戦士「……?」

白馬騎士「戦士殿、ヴァーリンは華国だ! 華国へ向かっている!」

戦士「何ぃ!?」

白馬騎士「オークや兄者らだけではない……他の者らも危ない!」

戦士「飛ばそうっ! 白馬騎士さん!」

白馬騎士「はぁっ!!」

グイッ…ドドッドドッドドッ…

白馬騎士「兄者……弟者っ、決してはやまるなよ……っ」

戦士「……くそっ、間に合ってくれよ!」

2頭の馬は林道を東へと疾走し、ヴァーリンの下へと向かったオークを追った。
584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:14:49.71 ID:SbtZM4KWo


ズシャッ

兄者「……まだだ……っ」

弟者「へ……へへっ、こんなモンかよぉデカブツ!」

ヴァーリン「しぶとい奴等だ。だが、周りを見渡して見るが良い」

弟者「……っ」

ヴァーリン「猿兵は最早、1匹も居らぬぞ」

弟者「だからどうしたぁ! 俺達は現に、ここに立ってるぞぉ!」

兄者「たとえ最後の1人になろうとも……貴様を華国へは侵入させぬ!」

ヴァーリン「ならば死ぬが良い」

兄者「弟者」

弟者「……?」

兄者「覚えておるか? 先代……いや、長兄との夢を」

弟者「……もちろんよ!!」

兄者「長兄との願いは叶わなんだが、お前とは――」
585 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:16:44.15 ID:SbtZM4KWo
……――

長兄『2人共、準備は出来たかぁ?』

兄者『うむ』

弟者『早くしようぜ! 俺ぁ飲みてーんだ!』

兄者『馬鹿者、これはただの酒宴ではないのだぞ』

長兄『いいって事よ。いつでも笑顔で、楽しくだ! わははっ!』

ズイッ

長兄『……我ら三人、生まれし日、時は違えども』

兄者『兄弟の契りを結びしからは、同年、同月、同日に生まれることを得ずとも……』

弟者『同年、同月、同日に死せん事を願わん!』

長兄『……ははっ! 見ろよ、桃の花がよーく咲いてらぁ』

兄者『酒のつまみにはならないが、格別な香りよ』

弟者『さぁて飲もうぜ!』

兄者『全く……お前と言う奴は』

長兄『わははっ! 改めて宜しくな、2人共!』
586 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:17:24.39 ID:SbtZM4KWo
――……

ふと、桃の香りが漂った。そんな気がした。

ヴァーリンへ正面より挑んだ2人の武人は、そう感じた。

兄者の偃月刀がヴァーリンの左腕を、弟者の矛が右腕をそれぞれ斬り落とした。

ヴァーリン「……ッ」

駆け抜けた2人の身体から桃の花より紅く染まった血飛沫が舞った。

弟者「ぐ……はぁ……」

馬上より崩れ落ち、地面へと叩きつけられる弟者。

兄者「……無念」

それを追うように、赤兎の背より兄者が落馬する。

ズザザアアァァ…

ヴァーリン「言うだけの事はある。見事な死に様よ」

両腕をもがれながらも、ヴァーリンは命と引き換えに奮闘した2人を称えた。

ヴァーリン「……死んだか。どれ、美味くはなかろうが……多少は腹の足しにでもなるであろう」

ザッザッザッ…
587 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:18:49.99 ID:SbtZM4KWo
ヴァーリン「……ッ?」

赤兎「……ブフウウゥゥ」

ヴァーリン「主人を守るか。まぁ良い、貴様に免じて去るとしようか」

ズアッ…ドンッ!!

ヴァーリン「失った腕などすぐに再生出来る。それに力を手に入れれば……クククッ!」

ダンッ…ダンッ…ババシュッ!!

ヴァーリン「さぁて、スグリーヴァの城まであともうじきよ。もう一跳びで――」

ドクンッ

ヴァーリン「……ッ?」

ダァンッ!!

ヴァーリン「……気のせいか」

ザッザッザッ…ズゥン

ヴァーリン「……さぁて、ここに居るのだろう? 最高級の美味たる力を持った人間よっ!」

ゆっくりと法師の居る城を目指すヴァーリン。城の中央部にぽつんと小さく見える人影。

ヴァーリン「……ほぉ潔い。自ずから身を差し出すか」
588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/06(木) 18:19:38.77 ID:SbtZM4KWo
スゥッ

――「それで救える命があるのならば」

ヴァーリン「救えるぞ……この、私の命がなぁ!!」

グワッ…ザシュウウゥゥゥゥ

ヴァーリン「……グ……ウゥ」

――「かかれぇーっ!!」

ロスヴァイセ「おぉーっ!!」

オルトリンデ「調子に乗ってんじゃないわよぉ!!」

ザシュザシュザシュウウゥゥ

ヴァーリン「召喚獣……何故、ここに……」

人影が、被った布を自らの手で脱ぎ捨てる。姿を見せたのは法師ではなく、召喚獣。

ブリュンヒルデ「動くな。少しでも動けば更に深く、このスピアを突き刺す事になるぞ」

ザッザッザ

ヴァーリン「貴様の所業かぁ……小娘ぇ……!!」

朱雀嬢「待っておりましたわ。ここに来る事、お見通しですわよっ!」
589 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/06(木) 18:22:57.65 ID:SbtZM4KWo
そりではここまでにて!ご支援ありがとうございました!
失礼致しますです!ノシ

ジュニアは北で魔物と戦ってます!蛇足になりそうなので
割愛したいとこですが、余力があればオマケか何かで書きます!
590 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 18:25:42.34 ID:pvrMT4oDO
乙でございます
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 18:46:52.07 ID:v19oivYDO
>>1
アンラ復活とか状況悪すぎワロえない
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/06(木) 19:43:17.81 ID:/BcWlGfAO
>>1

昨日の時点でアンラなんて前座レベルだったな。って書き込もうとしたけどエラー出たから諦めたが
もう前座レベルなんて言えないな
怖いよアンラちゃん…
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/06(木) 20:22:35.71 ID:/THI6RqDO
>>1

そこでアンラ復活なんて・・・
これはやばいな!!!
かなりやばいな!!!
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/06(木) 20:43:13.77 ID:MDUPO3QQo
あっさり死んだと思えば…。色んな意味でゾッとするな
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/06(木) 22:27:32.54 ID:vfWhnlfAO
アンラ・マンユ復活ッ!アンラ・マンユ復活ッ!
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/10/06(木) 22:31:31.12 ID:y36kfX0po
してェ・・・。
戦争してェ〜〜〜〜〜。
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/06(木) 23:39:53.20 ID:kOqXuOBAO
詰んだ…
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/07(金) 11:14:43.62 ID:hgC0UVrW0
いちおつ
魔王復活とかどうすんの…
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/07(金) 11:16:12.38 ID:aQiwQoxd0
>>1
朱雀嬢が好きすぎる
600 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/07(金) 15:36:08.81 ID:a0a+2txSO
魔王は立ち上がり、仲間になりたそうにこっちをみている。
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:31:34.51 ID:SHTnWgQfo


ドドドドドドッ

白虎兵「負傷者発見! 救出致しました!」

ドスッドスッドスッ

白虎兵「フェンリル、ここに降ろしてくれ」

剣士「錦将軍様……っ」

弓将軍「既に事切れておる。亡骸は華国へ連れて戻るつもりじゃ」

エリート「……左様であったか。ご冥福をお祈りします」

大軍師「死者を出してしまった事は指揮を担った我らの責務。後日、本国としてきっちりと……」

弓将軍「構わぬよ。錦も他の者もそしてワシも、元より命を賭けて戦っておるのじゃ」

大軍師「……」

弓将軍「戦場で死ねるは武人の本望。ましてや女子の膝の上で逝くとは、奴とて満足じゃろうよ」

エリート「そう言って頂けると、救われる」

大軍師「他に怪我人は?」

白虎長「南方弓長っ!」
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:32:35.93 ID:SHTnWgQfo
タッタッタ

南方弓長「……」

白虎長「大丈夫!? 怪我は……?」

南方弓長「……ふっ、ひぐぅ……っ!!」

ガバッ…ギュウウゥゥ

南方弓長「うあぁ……ああぁぁっ!!」

白虎長「ちょっ、ど……どうしたのよ……っ」

弓将軍「本国の司令と蛇のような召喚獣使いは前線へ赴いたぞ」

大軍師「司令が……?」

ゴロツキ「蛇のような召喚獣ってまさか……っ」

チンピラ「あ、姉御っ!!」

南方弓長「……うん」

ゴロツキ「やっぱり! ボスは怪我してるんだ、俺らも助けに行くぞ!」

大軍師「下手に動くと危険です。司令が付いていますから大丈夫でしょう」

南方弓長「いえ、助けに行った方がいいかも……」
603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:33:40.42 ID:SHTnWgQfo
エリ-ト「どういう事だ?」

南方弓長「司令も怪我してる。経つのもやっとって感じだったわ」

弓将軍「うむ。死にはせんじゃろうが、万が一強いのと当たれば危ういかもしれんぞ」

大軍師「……成程。分かりました、それではこのまま本隊ごと進めましょう」

エリート「赤壁と離れすぎやしないか?」

大軍師「赤壁には騎士団長様もいますし、仮に残党の反撃があっても陥ちる事はないでしょう」

エリート「まぁ、な。先程から消えた光も気にはなるし……南下するとしようか」

大軍師「兵器対と負傷者は速やかに後退。護衛には歩兵が当たって下さい」

助手「頑張ってねぇ〜♪」

大軍師「騎兵と白虎隊を先頭に、本隊はこのまま進みます」

剣士「僕らも一緒に同行致します」

玄武娘「……朱雀嬢ちゃんはどこですの?」

白虎嬢「そういえば見かけないですね。他の方と一緒なのかしら……?」

南方魔道長「爆発のせいで空中で散り散りだったからなぁ」

南方弓長「うん。無事だといいけど……」
604 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:34:52.57 ID:SHTnWgQfo


ゴゴゴゴゴゴ…

ヴァーリン「随分と威勢の良い事だ。小娘1人で勝てると思うておるのか?」

朱雀嬢「さぁ、やってみなくては分かりませんわよ?」

ヴァーリン「フハハッ、口は勇ましいが……小刻みに震えておるではないかっ」

朱雀嬢「……っ」

ヴァーリン「素直にここに居た人間を差し出せ。そうすれば、命だけは助けてやらん事もない」

朱雀嬢「残念ですわね。ここには既におりませんわよ」

ヴァーリン「何ぃ……ッ?」

朱雀嬢「貴方はここで足止めをくって、無駄な時間を過ごすのですわ。ほーっほっほ!」

ヴァーリン「愚弄しおってえぇ……ッ」

グワッ!!

ヴァーリン「殺す!!」

朱雀嬢「ワルキューレ!!」

猛進するヴァーリンの正面に、美しい戦乙女が9人威風堂々と居並ぶ。
605 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:35:55.15 ID:SHTnWgQfo
ズラッ…バシュウウゥゥゥゥ!!

ブリュンヒルデ「一斉突撃ぃーっ!!」

シュヴェルトラウテ「でやぁーっ!!」

ズババシュウウゥゥゥゥ!!

ヴァーリン「……チィ」

空中からのスピアによる攻撃。ヴァーリンの周囲を飛び回り、縦横無尽に繰り出される攻撃は、

美しくもあり、冷酷でもあり、ワルキューレとそして朱雀嬢の心中を表現しているかのようである。

ヴァーリン「……止む無し!!」

ゴゴゴゴゴゴ

ヴァーリン「ヌ……ウアアァァァァ!!」

ズアッ!!…ズズズズッ…ズボオ゙オォォ!!

ロスヴァイセ「腕が生えたっ!? キ……キモ……」

ヴァーリン「おぉ、この腕……我が両腕っ! 素晴らしいぞフハハハッ!!」

朱雀嬢「来ますわよ! 迎撃してっ!」

ブリュンヒルデ「さぁ来なさい。次はその首をおとしてやるわっ!」
606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:37:35.45 ID:SHTnWgQfo
ダァンッ!!…ズゴアアァァ!!

ヴァーリン「ハーッハッハッハッハアアァァ!!」

右拳を振り上げ突進するヴァーリン。それを正面と背面から同時にワルキューレが襲う。

9本のスピアは狙いすましたかのように狂いなく、ヴァーリンの首へと突き刺さった。

ガシュッ!!……ボトォ!!

ジークルーネ「やった! 首を刎ねたわっ」

ブリュンヒルデ「待てっ! 終わりじゃない!」

ジークルーネ「へっ――」

ガシッ!!…ボシュッ!!

グリムゲルデ「ジークルーネ!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

ヘルムヴィーゲ「ちょっとまさか……っ、嘘でしょ」

ズボオオォォォォ!!

朱雀嬢「……っ!!」

ヴァーリン「……グハハハハッ! 見よっ、我が顔も取り戻したぞおおぉぉ!!」
607 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:38:34.40 ID:SHTnWgQfo
斬り落とされたスグリーヴァの首を見下ろし、己の首を取り戻したヴァーリンは声高らかに笑う。

再生した顔と両腕を誇らしげに見つめ、地に転がるスグリーヴァの顔を蹴り飛ばした。

ヴァーリン「さぁどうするウゥ! 次は足でも落とすかあぁ!?」

ブリュンヒルデお望みとあらば……やってやろうではないかっ!」

バシュウウゥゥッ…ザシュザシュウウゥゥ!!

ヴァーリン「小賢しいわグハハハハアアァァ!!」

ガシィッ…ボシュンッ!!

オルトリンデ「ゲルヒルデ! くっそぉ……」

ヴァルトラウテ「オルトリンデ!! 後ろっ!!」

オルトリンデ「――ッ!?」

ヴァーリン「グハハァ!!」

バゴォ!!…ボシュッ

ヴァーリン「残り6匹か。まだ続けるかねェ〜?」

ブリュンヒルデ「はああぁぁーっ!!」

ザシュウウゥゥ…ボトッ
608 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:39:41.49 ID:SHTnWgQfo
ブリュンヒルデ「……次は右足だ」

ヴァーリン「なかなか威勢が良い。悪くないぞぉ?」

シュヴェルトラウテ「なめんじゃないわよぉ!!」

ヘルムヴィーゲ「さっさとくたばりなさい!!」

ブオッ…ズバシュウウゥゥゥゥ

ヘルムヴィーゲ「へんっ、どーだ!!」

ズウウゥゥゥゥン

ヴァーリン「……ククッ、ご苦労ご苦労」

朱雀嬢「……?」

ヴァーリン「ヌウアア……アアアアァァァァ!!」

ズルウウゥゥ…ズボオオォォォォ!!

ロスヴァイセ「りりっ、両足も再生したぁ!」

ヴァーリン「見よっ、この腕この足ィ! ヴァーリン様の完全復活だ! グッハハハハアアァァ!!」

朱雀嬢「まだ……始まったばかりですわよぉ!!」

ヴァーリン「もう終わりだぁ!! 安らかに眠れぃ!!」
609 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:40:08.58 ID:SHTnWgQfo
グアッ…バシュウウゥゥゥゥ

ヴァーリン「フハハハハハハ!! 死ねエエェェ――」

ドクンッ

ヴァーリン「――ッ!!」

朱雀嬢「サンダーバード!!」

ガカアアァァァァ…ドッドオオォォォォン!1

ヴァーリン「ガフアァーッ!!」

ドッズウウゥゥン

朱雀嬢「隙だらけですわよ」

ヴァーリン「何だ……今のは……ッ」

ググッ…ザッ

ヴァーリン「ええぃ……邪魔をするでない!」

朱雀嬢「……?」

ヴァーリン「ヌアアァァァァ!!」

朱雀嬢「出て来いっ、ペガサス!」
610 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:41:30.16 ID:SHTnWgQfo
ドクンッ

ヴァーリン「グアッ! ま……また……」

ペガサス「ペガサス……流――」

朱雀嬢「それ以上はいいですわっ!」

ブリュンヒルデ「叩き込めぇーっ!」

ドドドドドドッ…ドッシャアアァァァァ

ヴァーリン「……ククッ、クハハハハッ!」

朱雀嬢「……」

ヴァーリン「そうかそうか、そこまで邪魔をするかスグリーヴァよ」

グググッ

ヴァーリン「ウヌアアアアァァァァーッ!!」

ドズッ!!…ズブブッ

ヘルムヴィーゲ「み、自らの心臓をえぐり……」

ボトッ…グシャッ

ヴァーリン「ガハァーッ、ハァーッ、ハアアァァァァ……」
611 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:42:16.95 ID:SHTnWgQfo
ドクンッ…ゴゴゴゴゴゴ…

ヴァーリン「……爽快爽快、ようやく邪魔者が消え去ったわ」

朱雀嬢「雰囲気が……変わった……っ」

ヴァーリン「小娘、よく頑張ったが……いよいよをもって終いだ」

朱雀嬢「ワルキュ――」

ヴァーリン「小賢しいわ!!」

ズガガッ!!…ボシュン!!

ヴァーリン「……残る召喚獣はワルキューレとやらが2匹。他が2匹」

朱雀嬢「出そうと思えば、まだ幾らでもいますわよ」

ヴァーリン「召喚獣の特性は知っておる。討たれれば貴様にも被害が及ぶのであろう?」

朱雀嬢「……」

ヴァーリン「さしずめ、このワルキューレとやらは全て倒さねばならぬようだがなぁ」

朱雀嬢(コイツ……っ)

ヴァーリン「最早、決定打に欠く貴様の負けなのだよ! 小娘ェ!」

朱雀嬢「勝負は最後まで……分かりませんわよおおぉぉ!!」
612 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:42:57.55 ID:SHTnWgQfo


バサッバサッバサッ

法師「……んっ」

ガーゴイル「法師様、気付いたか?」

法師「ここは……そうだっ、私は」

ガーゴイル「変な姉ちゃんが逃げろって。そんで召喚獣に殴られて気を失ったんだ」

法師「そうだ! 今すぐ城に戻りなさい!」

ガーゴイル「ダメだって! 法師様を無事に逃がさないと俺が怒られる」

法師「何が駄目なものですかっ! ここで単身、おめおめと逃げる事の方こそ恥です」

ガーゴイル「そ、そうなのか?」

法師「少女が1人、懸命に戦っているというのに……私が逃げるなど許されません」

ガーゴイル「人間の事はよく分からないけど、法師様は偉いから逃げるんじゃないのか?」

法師「人に偉いも何もありません。皆、平等なのです」

ガーゴイル「ふーん。よく分からないけど、じゃあ戻ればいいんだな?」

法師「はい。ハヌマーンらが戻るまで、皆で城を守るのです。スグリーヴァ様の大切な城を」
613 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:44:06.75 ID:SHTnWgQfo


ドドッドドッドドッ

戦士「ちっ、オークの奴一体どこまで……」

白馬騎士「戦士殿っ! あれは……っ!」

戦士「!!」

ドドッドドッ…ドドォ…パッカパッカ

戦士「こ……れは……」

白馬騎士「兄者っ、弟者!!」

スタッ…タッタッタ

白馬騎士「……くっ、何という事だ……っ」

戦士「お、おいっ! 兄者さんはまだ息があるぞ!」

白馬騎士「!?」

兄者「……お……おぉ」

戦士「しっかりしろ! 何があった!?」

兄者「華国が危ない……急……げ」
614 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:45:31.27 ID:SHTnWgQfo
白馬騎士「ヴァーリン……!」

戦士「分かってる。俺らも奴を追って来たんだ。華国は必ず……」

兄者「ごほぉ……がはっ!!」

戦士「……っ」

兄者「白馬……華国を……」

白馬騎士「……はい」

兄者「華国を……頼……む――」

白馬騎士「あれほど言ったではないですか……。死んではならぬと……っ!」

ダァンッ!!

戦士「……」

スクッ…ザッザッザッ

戦士「白馬騎士さん、行くぜ」

白馬騎士「……」

戦士「弔ってやりてぇが、今はそんな時間はねぇ。あのクソヤローをぶっ殺す」

白馬騎士「戦士殿」
615 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:46:53.77 ID:SHTnWgQfo
ザッ

戦士「……お前も力になってくれるよな」

赤兎「……ブルルウウゥゥ」

グイッ…ゴゴゴゴゴゴ

戦士「おおおおぉぉぉぉ!!」

白馬騎士「……っ!!」

ビリビリビリッ

戦士「はああぁぁーっ!」

ドウッ!!…ドドッドドッドドッ

白馬騎士「戦士殿っ! く……っ」

兄者と弟者の得物を拾い上げ、先走る戦士を慌てて追う白馬騎士。

白馬騎士「戦士殿っ! はやまっては――」

正面を疾走する戦士の背中を見た時、白馬騎士は確かに感じた。

赤兎に跨り、右手に戟を携えた咆哮する男を。怒りに打ち震える攻撃的な威圧を放つ男を。

先程まで共に並走していた男ではない。それはかつて自らの前を先陣切って進む男の姿であった。
616 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:51:14.46 ID:SHTnWgQfo


ブリュンヒルデ「うあぁーっ!!」

ビュオッ…ガシィ!!

ブリュンヒルデ「……っ!?」

ヴァーリン「万策尽きたな」

ブリュンヒルデ「朱雀嬢っ、召喚解除を――」

ゴシュッ…ボンッ!!

朱雀嬢「……くは……っ」

ヨロッ…ザスッ

ヴァーリン「最早、立つ力も持たぬようだな」

朱雀嬢「……負ける……もんですか……っ!」

ヴァーリン「強がるのはよせ。今にも泣きそうな顔ではないか……ククッ!」

朱雀嬢「私はぁ!! 朱雀本家の……朱雀嬢ですわああぁぁ!!」

ググッ…ガシッ!!

朱雀嬢「あぐぅ……っ!!」
617 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:53:11.00 ID:SHTnWgQfo
ヴァーリン「このまま握り潰すのも芸がないか」

グググッ

朱雀嬢「……うっ、あう……ぅ!!」

ヴァーリン「フンッ、脆いにも程があるわ……グハハハハ!」

バキィッ!!…ザンッ…ゴロゴロゴロッ

朱雀嬢「あ……うあ……っ、あ……ぁ……」

ヴァーリン「首の骨でも折れたか? 虫の息とはこの事よ」

ザッザッザッ…ドズン

ヴァーリン「このまま一口で喰ろうてやるか。それともこの小娘を餌に、更なる大物を釣るか――」

ギュアッ!!…バッゴオオォォォォンン!!

ヴァーリン「ガハアアァァッ!!」

ドシャッ…ズザザアアァァァ

ヴァーリン「背後から不意打ちとは……無礼な奴だ。貴様もしつこいな」

オーク「お前を殺すまで……追い続ける」

ヴァーリン「出来るものならやってみよ!!」
618 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:55:34.46 ID:SHTnWgQfo
ギュバッ…ドガガガガッ!!

拳による壮絶なる打ち合い。オークとヴァーリン。2匹の魔物が繰り広げる攻防は、

人間の見世物など比にもならぬ程、壮絶で、乱暴で、無慈悲なものであった。

数十回にも及ぶ拳の打ち合いに両者は疲労を見せ始めた。だが両者共に倒れる事はない。

ヴァーリン「フーッ、フーッ、フーッ。なかなか頑張ったではないか」

オーク「……」

両手を広げ朱雀嬢の前に立ちはだかるオーク。しかしヴァーリンが声を掛けても返答はなかった。

ヴァーリン「死して尚、その小娘を守ったか。まぁそいつが死ぬのも時間の問題だがな」

ピクッ

ヴァーリン「……次から次へと小賢しい奴等だ。今度はどこの死に損ないだ?」

突如、ヴァーリンの全身が発火し、休息に灼熱を帯、周囲の酸素を消滅させる。

ゴオウッ!!…ゴッゴオオォォォォ!!

ヴァーリン「――ッ!! ゴッ……ガハァ!!」

業火の中より姿見せた魔物。その右手に握り締められた槍を突き出し、声を発した。

紅孩児「この俺をシカトして、勝手に魔王の後継を名乗るたぁ……いい度胸だな!!」
619 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:56:19.41 ID:SHTnWgQfo
ヒュバッ…ズザッ

ヴァーリン「貴様、見覚えがあるな。確か……紅孩児とか言ったか」

紅孩児「ああそうだ。いずれ魔王になる火焔山の紅孩児様だ。覚えとけ」

ヴァーリン「覚える必要もないな。どうせ今すぐ死ぬのだからな!」

紅孩児「やってみろや!」

ズガガガッ…バキイイィィィィ!!

ヴァーリン「我が一撃を受け止めるとは、大口を叩くだけあるじゃあないか」

紅孩児「お前、相当手傷を負ってやがるな。ここまで雑魚だと期待外れにも程があんぜ」

ヴァーリン「何だとぉ!!」

紅孩児「なーるほどな。連戦の挙句、再生を繰り返したのか。そりゃ道理で……雑魚なわけだ」

ヴァーリン「それでも貴様が勝てる理由はないわっ!」

紅孩児「ナメてんじゃねぇ!!」

グワッ…ガシュウウゥゥ!!

紅孩児「……ッ」

ヴァーリン「先程は虚を突かれたが、炎などこのヴァーリン様には無駄な事よ……クハハッ!」
620 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:56:51.42 ID:SHTnWgQfo


ズゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「アンラ・マンユ……!!」

アンラ・マンユ「ようやく力を取り戻せた」

フワッ

アンラ・マンユ「アジ・ダハーカに眠る僕の核なるものと、ラーヴァナの魔力によって……」

青年兵「まさか……こ、こんな事が……っ」

アンラ・マンユ「先日は世話になったな、人間共よ」

青龍士官「おのれぇーっ!!」

アンラ・マンユ「今度は、あの時のようにはいかんぞ! 虫ケラ共がああぁぁ!」

ギュオッ!!…キュイイィィィィ…

弓使い「な、何……っ?」

魔道士「あぁっ!!」

アンラ・マンユ「死して後悔するがいいっ! 魔王に盾突いた事をなああぁぁ!!」

姿を取り戻したアンラ・マンユの体から、再び先程と同じような光が発せられた。
621 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:58:13.55 ID:SHTnWgQfo
ゴゴゴゴゴゴ…

青年兵「来るぞーっ! 召喚獣を!」

召喚士「コカトリスー!!」

おさげ「くぅーっ!!」

ドジュウウゥゥゥゥ…ゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「ハーッハハハハ!! どうしたぁ、あの時はこんなものではなかったぞ!!」

色黒「も……持たないよぉ!」

竜騎士兵「すみません隊長っ、一時離脱します!」

ボシュッ!!

青年兵「青龍士官!」

青龍士官「分かっているっ、バハムートオオォォォ!」

バハムート「ゴガオオォォォォーッ!!」

ドスウウゥゥゥゥン

アンラ・マンユ「ほぉーっ、それで?」

2匹のバハムートが意地をみせ、アンラ・マンユの落下を懸命にこらえる。
622 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:59:08.17 ID:SHTnWgQfo
ゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「召喚獣か。人間如きに利用され、愚かな連中だよ」

コカトリス「ほざけ。愚かなるは貴様ら魔族であろう」

アンラ・マンユ「……何?」

コカトリス「この地上は人間の住まう世界だ。貴様ら魔族のものではない」

アンラ・マンユ「そんな事、誰が決めた?」

コカトリス「天の意思だ。それを貴様ら魔族は傲慢にも踏み込んだのだ」

アンラ・マンユ「力あるものが弱きものを制する。それの何が傲慢か!」

コカトリス「共に歩む道もある!」

アンラ・マンユ「召喚獣……貴様らはそれを選んだのか? 違うだろう!」

コカトリス「理由はどうあれ我らは人間と共に生きている。この世界でな」

アンラ・マンユ「いいや違うな。貴様らは所詮、屈したのだ。この世界で……人間になぁ!」

コカトリス「そう思うならばそう思えば良いさ」

アンラ・マンユ「……何?」

コカトリス「それは喜びを知らぬ哀れな事だ。せいぜい狩る側から狩られる側の気分を味わうが良い」
623 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/07(金) 17:59:40.96 ID:SHTnWgQfo
アンラ・マンユ「召喚獣風情が調子に乗るなあぁ!!」

コカトリス「語るに及ばずだな。召喚士、一気に決めろ」

召喚士「分かってる。的が小さくなった分、狙いは定めやすい!」

アンラ・マンユ「五行すら使わぬ貴様らに、これが防げるものかアアァァ!!」

召喚士「防ぐ必要なんてない!」

コカトリス「ハアァーッ!」

召喚士を背に乗せ、コカトリスはアンラ・マンユの胸元まで迫る。

そこへ至近距離による石化の吐息を一気に吐き出し、アンラ・マンユそのものの動きを止める。

ゴッガアアァァァァ!!

青年兵「凄い威力だ……っ!」

青龍士官「まるで、バハムートやベヒーモスの閃光のような……っ」

とてつもない石化の風がアンラ・マンユを襲う。それは今まで見た事もない威力であり、

召喚士決死の魔力による攻撃は、アンラ・マンユを徐々に覆い包んでいった。

アンラ・マンユ「石化……? たかがコカトリスがこれ程の力を出すというのか……地上でぇ!」

コカトリス「だから言ったであろう? 貴様には理解出来ない、とな」
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/07(金) 18:04:44.23 ID:SHTnWgQfo
ひとまずここまでにて。週末なので夜来られるかな…?
本日も多数のご支援、ありがとうございます!では失礼致します!ノシ
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/07(金) 18:41:44.82 ID:wUYwGJnho
>>1乙!
コカトリスに抱かれたい
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/10/07(金) 18:45:58.47 ID:u3W3xG82o
>>1乙
あああ・・・
次が楽しみだけど、休めるときは休んだ方がいいぞ
季節の変わり目は風邪をひきやすいからな
ゴホ・・・ゴホ・・・
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/07(金) 19:40:31.34 ID:9Usrk02Wo
>>1
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/10/07(金) 20:17:41.67 ID:uR0KjamKo
ペガサスはネタ要員だったのか
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/07(金) 21:03:36.91 ID:CynEPzGAO
>>1

主人公はキトイにもなれるのか
それに比べて召還士ときたら、やっと活躍しだしたか
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/07(金) 21:28:22.95 ID:ld2TWpLSO
紅孩児キタ━━(゚∀゚)━━!!!
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/07(金) 22:47:15.66 ID:VqGkv0QDO
>>1乙!
紅孩児△
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/08(土) 04:42:42.14 ID:+8zdW72AO
>>1
召喚士ってこんなに強かったのか…
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 06:25:03.12 ID:vV5NmL7SO
>>1
コカトリスの石化久々だなぁ威力まで上がっちゃって…まるで主人公
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/08(土) 07:33:41.79 ID:ERiDenhAO
ボス死なんでくれよ……
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 10:38:29.11 ID:icPmZfm0o
俺のオークちゃん死んじゃったの?法師様はやくううううううう
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/08(土) 11:56:37.33 ID:8+hNSVpTo
えっ?

ボス死んでくれよ……
に読めた
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/08(土) 20:27:36.32 ID:W664/xxAO
へえ
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/08(土) 23:17:33.51 ID:SkZcT1ZM0
乙です!
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空) [sage]:2011/10/08(土) 23:17:30.69 ID:1oi5jD7n0
乙です!
640 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 02:58:23.25 ID:a0PXBqRFo
アンラ・マンユ「何が言いたい――」

召喚士「はああぁぁーっ!!」

ズオッ!!…ドドオオォォォォン!!

アンラ・マンユ「な……っ!?」

召喚士「アンラ・マンユ、肉体が戻った事こそが盲点だったな!」

アンラ・マンユ「何ィ!?」

召喚士「小さくなった事で狙いが絞り易い。もう……怖くはない」

アンラ・マンユ「強がりを……」

召喚士「試してみればいいさ」

アンラ・マンユ「戯言を! ならばとくと相手をしてくれるわーッ!」

召喚士「……」

アンラ・マンユ「何時間、何日、何年であろうとなああぁぁーッ!」

召喚士はアンラ・マンユの言葉を否定しなかった。否定出来なかった。

正直、3人は連日に及ぶ戦闘行為で、既に魔力の疲弊は相当のものであった。

アンラ・マンユの体を覆うコカトリスの石化は、徐々にその威力を薄めていく。
641 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 02:59:58.39 ID:a0PXBqRFo


ズゴゴゴゴゴッ…ガガアアァァ

紅孩児「……ッ」

ヴァーリン「……ククッ、期待外れだなぁ」

紅孩児「何だと……!?」

ヴァーリン「期待外れだと言ったのだ。青二才が」

紅孩児「まだ全力も出しちゃいねぇぞ」

ヴァーリン「ならば早く出す事だ。でなくばあのオークのようになるぞ?」

紅孩児「……」

ゴゴゴゴゴゴ

紅孩児「やってみろやぁ!!」

ヴァーリン「馬鹿が……ッ!」

バッギャアアァァァァン…スタッ

紅孩児「……」

ヴァーリン「……クッ、ククッ……クククッ!!」
642 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 03:00:56.01 ID:a0PXBqRFo
紅孩児「……チィ」

ヴァーリン「これが業火か。笑わせるわ」

紅孩児「言うだけあるじゃねぇかオッサンよぉ」

ヴァーリン「数度打ち合って理解したであろう? 貴様では相手にならぬ」

紅孩児「……ああ、そうかもなぁ」

ヴァーリン「ほぉ、グハハハッ! 敗北を認めおったわ!」

紅孩児「早とちるなよ。だーれが負けたっつったよ」

ヴァーリン「……あ?」

紅孩児「勝てなくても、テメーの足止めは出来るってわけだ」

ヴァーリン「それで?」

紅孩児「今回は譲ってやるよ。お前さんを倒せる奴にな」

ヴァーリン「馬鹿がッ、そのような者がおると思うてかァ!!」

紅孩児「お前は知らねぇんだ。猛者をなぁ」

ヴァーリン「……ハハッ、笑わせる」

紅孩児「この世には、まだ見ねぇ猛者がまだまだいるぜ」
643 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 03:02:17.11 ID:a0PXBqRFo
ヴァーリン「……」

紅孩児「アンタらみてーに一箇所に留まってる馬鹿には分からんだろうけどなぁ」

ヴァーリン「そのな輩がおるならば、見てみたいがなァ」

紅孩児「少なくとも、俺は会ったぜ……そんな輩ってのになぁ」

ヴァーリン「そいつは貴様より強いのか?」

紅孩児「ハッ、まさか!」

ヴァーリン「だったら問題外だな。この私に勝てぬ貴様より弱いのではなぁ」

紅孩児「強さってのはよぉ、そんな簡単なモンなのか?」

ヴァーリン「何?」

紅孩児「そんな簡単に計れるモンじゃあねーだろうよ」

ヴァーリン「半人前が偉そうな口を叩きおる」

紅孩児「半人前だから分かる事もあるってんだよ」

ヴァーリン「来ると良いがなぁ」

紅孩児「……来るさ」

ヴァーリン「……?」
644 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 03:03:15.54 ID:a0PXBqRFo
紅孩児「アイツはそーいう男だ。俺にはわかる」

ヴァーリン「……ほぉ」

紅孩児「あの時より更に腕を上げてな」

ヴァーリン「良かろう。せいぜい来る事を祈っておるが良い」

紅孩児「……」

ヴァーリン「まぁ、その必要もないかもしれんがな」

紅孩児「……!?」

バサッバサッバサッ

紅孩児「馬鹿かよ……ッ、何で……」

ヴァーリン「餌が自ずから舞い戻ってきたわ! グハハハハアハァッ!!」

バサッバサッバサァ…スタッ

ヴァーリン「やぁやぁ、待っておったぞぉ」

法師「……」

ガーゴイル「ヴァーリンだ! アイツ……死んだはずじゃあ……」

法師「来てくれたのですか」
645 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 03:04:14.96 ID:a0PXBqRFo
紅孩児「……てめぇらの為じゃねぇよ。自分の為だ」

法師「……」

紅孩児「勝手に魔王名乗られちゃ、たまったモンじゃねーからな」

スタスタスタ…

紅孩児「……?」

法師「私のせいで、辛い思いをさせてしまったね」

朱雀嬢「…………」

法師「情けない。不甲斐ない。そして、心苦しい」

パアアァァァァ

ガーゴイル「お、おぉーっ!!」

朱雀嬢「……ん……ぅ」

法師「ガーゴイル、この方を皆の下へ」

ガーゴイル「法師様はどうするんだよ!?」

法師「ここに留まります」

ガーゴイル「はぁーっ!?」
646 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 03:05:33.31 ID:a0PXBqRFo
スタスタスタ…ザッ

法師「……」

オーク「……」

紅孩児「死んでまで立ってその人間守り抜くたぁ、大した奴だよ」

法師「……死んでおりませんよ」

紅孩児「!?」

法師「オークの魂はまだ、肉体におります」

紅孩児「まだ生きてるって事か?」

法師「……ヴァーリン」

ヴァーリン「これはこれは。餌自ら舞い戻ってくるとは大助かりだ」

法師「いい加減に、もうお止めなさい」

ヴァーリン「あぁ!?」

法師「貴方に勝ち目はない。貴方のような者には……」

ヴァーリン「ほざくなぁ! 餌は餌らしく捕食されるのみだ!」

法師「貴方は遠く及ばない。我らの……スグリーヴァ様の想いには」
647 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 03:07:05.55 ID:a0PXBqRFo
ゴゴゴゴゴゴ

ヴァーリン「……ウッ」

法師「……」

ヴァーリン(な、何だコイツは……何なのだ!)

紅孩児「……?」

ヴァーリン「やめろおおぉぉ!! その目をやめろおおぉぉ!!」

法師「私は目が見えませんよ? 貴方が見ているのは、私の心の目です」

ヴァーリン「……ッ」

法師「心眼は決して嘘偽りのないもの。貴方はそれを見て戸惑っているのです」

ヴァーリン「この私が……戸惑っているだとぉ!?」

法師「私にも見えますよ。貴方の心の目が」

ヴァーリン「――ッ!?」

法師「貴方は怯えている。一体、何に慄いているのです?」

ヴァーリン「や、やめろぉ!」

法師「死を恐れているのですか。だから戦っている」
648 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 03:08:03.01 ID:a0PXBqRFo
ヴァーリン「ほざくなああぁぁ!!」

法師「攻撃は最大の防御。貴方は死を恐れる故に戦っているのですか」

ヴァーリン「私は……」

法師「ヴァーリン。貴方は語るに落ちたり」

ヴァーリン「――ッ!?」

法師「その程度の心で我らの、スグリーヴァ様の志は打ち破れない!」

ヴァーリン「ゴチャゴチャと詭弁を……抜かすなぁ!!」

法師「良いでしょう。殺すなら好きにしなさい」

ヴァーリン「……グクッ」

法師「……」

ヴァーリン(何なのだこやつは……ッ。大した力も持たぬくせに……)

法師「……」

ヴァーリン「まるで萎縮して動けぬ……ッ。この人間……一体……」

紅孩児「……んっ?」

ヴァーリン「……」
649 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/09(日) 03:09:55.63 ID:a0PXBqRFo
ドドッドドッドドッ…

紅孩児「あ……れは……!?」

ドドッドドッドドッ…

法師「……なっ!?」

近づく騎馬の鼓動に法師は確かに感じた。

法師「……き、騎都尉!?」

ドドッドドッドドッ

戦士「うおああぁぁーっ!!」

紅孩児「来たぜ、お前さんが望んでいた猛者だよ」

ヴァーリン「アイツが……!? フハッ、ハハハハ!!」

法師「ち、違う。戦士殿……っ。しかし……今のは一体……」

ドドッドドッ…バッ!!

戦士「ヴァーリン!!」

ヴァーリン「お前如きが猛者とは……片腹痛いわぁ!!」

戦士「俺の怒り……全てをテメーに叩き込んでやるっ!!」
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/10/09(日) 04:14:16.04 ID:SOwcrEaAO
寝る前に来てよかった
>>1乙!
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/09(日) 05:08:25.35 ID:LuXuOIV30
いちおつ
オーク……
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/09(日) 08:16:00.09 ID:bqtlk9mm0
>>1
召喚士vsアンラちゃん、戦士vsヴァーリンか、むねあつ
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 08:29:03.06 ID:ATkS2lqUo
>>1
戦士、これでヴァーリンとタイマンはれたなら実力はすでに南方&西方司令以上って事かな
手負いとはいえ軍団長クラスだし
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 09:09:46.77 ID:CtYu+doDO
騎都尉絡みの話は涙腺がゆるくなっちまっていけねぇや
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/09(日) 10:01:17.37 ID:50PeQ68AO
グギギ…
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/10/09(日) 10:43:47.19 ID:iZ5A+0wco
主人公キター!
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/09(日) 14:56:21.58 ID:vwAYzBkZo
流石主人公の戦士さんだ
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/09(日) 23:31:34.41 ID:PzdhcWKAO
>>1おつ
659 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:16:25.41 ID:zOZ4P1eYo
ドドッドドッドドッ…

白馬騎士「戦士殿っ」

ドドドドドド…

猿兵「ヴァーリン!? 華国を避けたが裏目に出たか……ッ」

華国兵「いや、しかし様子がおかしいぞ……?」

三男「白馬!? それにあれは騎都尉……!?」

華国兵「馬鹿なっ!? いや、しかしあれは騎都尉様なのか……?」

ゴゴゴゴゴゴ…

ヴァーリン「やれるものならやってみるがいいッ!」

戦士「……ああ、遠慮なくやらせて貰うぜ」

ゾクゥ

ヴァーリン(こやつ……先程、対峙した者とは別人なのか……ッ?)

それ程までに、ヴァーリンが躊躇する程に、戦士の内面は変わっていた。

戦士「……いくぜ」

躊躇や手加減は一切ない。ただただ真っ直ぐに戦士の刃は向けられる。
660 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:16:59.23 ID:zOZ4P1eYo
ズアッ

ヴァーリン「……ッ!!」

戦士「うおりゃああぁぁぁぁ――」

ピキイイィィィィン…パアアァァァァ

戦士「――っ!?」

瞬間、戦士の視界が真っ白に開けた。そこには戦士とヴァーリンしか存在しない。

戦士(な……んだこれ……っ!?)

スローモーション。ヴァーリンの動き全てがゆっくりと目に映っていた。

ヴァーリンの振るう右腕が止まっているかのように戦士へと迫る。

戦士は赤兎の手綱を引くと、左へと回り込み、戟を振り下ろしていた。

ボンッ!!

ヴァーリン「なッ――」

宙を舞う右腕をくぐり抜け、赤兎を反転させる戦士。

戦士「次は……」

ヴァーリン「ヌガアアァァァァ!!」
661 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:17:29.49 ID:zOZ4P1eYo
右腕を吹き飛ばされたヴァーリンは、怯む事なくその反動で左腕を振るう。

その時、スローモーションに進む景色の中、戦士の耳には確かに聞こえた。

――「左だ。来るぞ」

戦士「――っ!?」

自身に透過するかのように大きく、太い腕が重なり合った。

赤兎が手足のように動く。馴染む。戟が軽く、早く動く。

――「斬り払え!」

戦士「おぉっ!!」

ザシュウウゥゥゥゥ!!…ボンッ!!

ヴァーリン「ガアッ!!」

休む事なく続けざまに、戦士と赤兎は疾走する。

――「右足」

戦士「はああぁぁぁぁ!!」

ズバシュッ!!…ドボォッ!!

ほぼ同時にバーリンの右腕と右足が空中を待った。
662 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:18:02.09 ID:zOZ4P1eYo
ブシュウウゥゥゥゥ

ヴァーリン「こんな事がああぁぁーッ!!」

――「左足ぃ!」

戦士「うっりゃああぁぁ!!」

ヒュバッ!!…ドボシュッ!!

白馬騎士「…………っ」

ドッズウウゥゥゥゥン

ヴァーリン「……ッ」

四肢を斬り落とされながら、ヴァーリンは倒れる間もなく、地面へと直立させられた。

――「さぁ、トドメだ」

戦士「おぉーっ!!」

白い景色が戻る。戦士の右腕が刹那に輝きを見せた。

戦士「!?」

それは先程の事。ラーヴァナを討った地にてゾディアックを触れた時の事。

僅かな刻ながら、戦士の腕にそれは宿っていた。
663 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:18:55.59 ID:zOZ4P1eYo
……――

戦士『……んっ? これは……ゾディアックか!!』

天才『触るな!!』

戦士『えっ!?』

バチッ!!…ジジジッ!!

戦士『うがっ! いってぇ……っ』

天才『まだ膨大な魔力を帯びてる。ヘタすると死ぬぞ』

戦士『……っ』

――……

戦士(そうか……五行の力が俺に……っ)

――「戟を引き、腕をねじるのだ」

戦士(俺にも……微々たるモンだが魔力があったわけだ)

ヴァーリンの体を正面に、赤兎が真っ直ぐ大地を駆けた。

――「いけ、ぶちかませ」

戦士「これで……終いだああぁぁ!!」
664 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:19:32.44 ID:zOZ4P1eYo
ギュルッ…ズゴオオォォォォ!!

華国「あれは……っ!!」

白馬騎士「騎都尉の必殺技っ、螺旋突き!?」

戦士の繰り出した突きは、静かに空を切り裂いた。

その重い一撃はヴァーリンの胸を一突きで正確に捉えた。

ボッ!!

ヴァーリン「ガアアアアァァァァーッ!!」

断末魔の雄叫びと共に、螺旋状の突きはヴァーリンの胸をえぐる。

その威力と風圧で、突きの中心部分よりヴァーリンの体は斬り裂かれていく。

五行の力を纏った螺旋突きは、四肢のないヴァーリンの体を内より消滅させた。

ドッバアアァァァァンッ!!…ドサッ

ヴァーリン「グ……ウゥ……ッ」

パッカパッカパッカ

戦士「……」

首だけとなったヴァーリンの下へ、戦士を乗せた赤兎が近づき、立ち止まった。
665 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:20:27.67 ID:zOZ4P1eYo
ヴァーリン「貴……様……ッ」

戦士「……」

ヴァーリン「何なのだ……お前はッ、人間とは何なのだ……!!」

戦士「お前には一生分からねぇよ」

ヴァーリン「クソ……クソォ、クソがああぁぁぁぁ!!」

戦士「悪いがとどめだ。だが、とどめを刺すのは俺じゃねぇ」

ヴァーリン「クッソオオォォォォーッ!!」

パッカパッカパッカ…

戦士「白馬騎士さん、頼む」

白馬騎士「……」

戦士は赤兎を降りると、そのまま後方に控える法師らの下へと歩いていった。

ヴァーリン「貴様ァ!! トドメも刺さずに退くと言うのかアアァァ!!」

白馬騎士「戦士殿が申してくれたであろう。とどめはこの2人が刺す」

ヴァーリン「……ッ?」

白馬騎士の両手に握られた偃月刀と矛がヴァーリンの頭部を貫いた。
666 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:21:28.60 ID:zOZ4P1eYo
ズバシュッ!!

ヴァーリン「――――ッ」

白馬騎士「兄者、弟者。お主らにンが決着をつけたのだ」

シュウウゥゥゥゥ…

三男「終わった……」

法師「……お見事です」

戦士「俺じゃねぇさ。これは華国のみんなが導いてくれた勝利だ」

パッカパッカパッカ

白馬騎士「法師様、三男様……ご無事で」

三男「白馬。貴方も無事で何よりです」

法師「その偃月刀と矛は……」

白馬騎士「2人は最後まで、臆する事なく戦い抜きました」

三男「――っ!!」

法師「逝き……ましたか」

戦士「最後まで、立派な武人だったよ。国は違えど仲間として誇りに思う」
667 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:22:16.13 ID:zOZ4P1eYo
華国兵「そんな……っ。兄者様と弟者様が……」

白馬騎士「……無念だ。あの2人を失うとは華国の両腕をもがれた思い」

戦士「……」

白馬騎士「その思いを戦士殿が見事、仇を討って下さった。感謝する」

戦士「い、いや……俺はそんな……」

法師「時に戦士殿」

戦士「……?」

法師「……いえっ、何でもありません」

華国兵「あれっ? 赤兎……?」

三男「!?」

何時の間にか赤兎は集団の輪から外れ、遠くへと離れていた。

戦士「赤兎……」

――「見事だった。ありがとう」

戦士「!?」

その声は先程よりも力強く、そしてはっきりと戦士の耳に響き渡った。
668 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 01:23:59.27 ID:zOZ4P1eYo
パッカパッカ…ドドッドドッドドッ

三男「赤兎が……」

白馬騎士「なっ!?」

走り去る赤兎の馬上に、確かにその大柄な身体はあった。

黒い甲冑の人影は、振り向く事なく赤兎の手綱を握り、駆けてゆく。

白馬騎士「騎都尉!!」

華国兵「騎都尉様……騎都尉様だぁ!!」

戦士「……まさか……嘘だろ!?」

一同が瞬きをした後見直すと、そこには赤兎の姿のみであった。

戦士「バカ……ッ!! そっちは崖――」

ドドッドドッドドッ

赤兎「ヒヒイイィィィィン!!」

赤兎は崖を大きく跳ぶと、そのまま姿を消した。還って来る事は決してなかった。

法師「いってしまったようですね。主人の下に……」

戦士「……ありがとよ騎都尉、赤兎」
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 01:33:48.88 ID:zOZ4P1eYo
〜オマケ〜

東方司令「ついに到着、東方〜!」

町娘「あら、本国の方? 今日は観光どすかぁ〜?」

東方司令「!?」

団子屋「良かったらお立ち寄り下さいまし〜♪」

花魁「あらぁ〜。異国の方もお綺麗ねぇ」

東方司令「……パラダイス」

町娘「はぁ?」

東方司令「い、いやっ! 私の目的はそうではないだろっ!」

バシバシッ!!

東方司令「さて、いきなり上様の下を訪ねるのは気が引ける。まずは……」

ついに東方へと上陸した東方司令。運命や い か に ! ?

帝「へっち!!」

名代「……お風邪でも召されましたか?」

帝「いや、ちょっとむずむずしただけだ」
670 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/10(月) 01:37:00.36 ID:ungFDFSAO
祝日だからといって深夜まで起きて余裕ぶってる1の運命や い か に ! ?
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 02:01:52.74 ID:5LGKIpuSO
>>1乙です!

主人公の戦士は流石の活躍ぶりwwww
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/10(月) 04:51:28.75 ID:AN5f9h1N0
いちおつ
673 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/10(月) 10:27:35.85 ID:L3jdFTZAO
>>1
華国は犠牲がひどいな…
674 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 12:42:11.26 ID:1WCcVomDO
どっかで「予言では本国の要人は死なないけど華国は・・・」みたいなのあったよね?
675 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 13:29:53.29 ID:vl5RWbUho
法師「その偃月刀と矛は……」
法師様目見えてるのかしら・・・?
676 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/10(月) 13:31:27.36 ID:3NP/Ua4Ao
一緒にいた武人の使ってたものなら感じ取れるんだろ
並みの人間じゃないんだし
677 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 16:39:34.83 ID:v85dbc8IO
華国ってあと白馬と弓将軍しかいなくね?
678 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 19:41:22.54 ID:CLXedboDO
そういや戦士父と戦った拳法使いみたいな奴はまた出るのかな?
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 19:42:00.89 ID:CLXedboDO
拳法使いじゃなくて棒術使いだった
680 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 23:26:33.17 ID:zOZ4P1eYo


朱雀嬢「……ぅ」

戦士「おいっ、しっかりしろ!」

法師「大丈夫ですか?」

朱雀嬢「……終わりましたの……?」

戦士「ああ。お前が頑張ってくれたお陰でな」

白馬騎士「見事でした。しかし、何故このような危険な真似を……」

朱雀嬢「……急にヴァーリンが来たので」

戦士「だからって無茶すんなよな」

朱雀嬢「時間が……なかったから」

戦士「……ま、よく頑張ったよ」

朱雀嬢「……どうも」

法師「おや、ところで彼が見当たらないようですね」

戦士「彼?」

法師「ええ、炎使いの……紅孩児と言いましたか」
681 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 23:27:12.45 ID:zOZ4P1eYo
〜スグリーヴァの城、玉座〜

紅孩児「……」

ボウッ

紅孩児「……何だよ、まだ居たのか」

――『此度の事、感謝するぞ』

紅孩児「アイツらにも言ったが、別にお前らの為じゃねぇよ」

――『魔王になる為か?』

紅孩児「ああ。ラーヴァナもヴァーリンもクソ親父も、そしてアンタも消えた」

――『……』

紅孩児「だよな、スグリーヴァ」

スグリーヴァ『ヴァーリンは、君の救いになったかね?』

紅孩児「いいや。かつては目にかけて貰った事もあったけどな……ハハッ」

スグリーヴァ『善悪のそれに気付いたか?』

紅孩児「んなモン興味ねぇし分かんねーよ」

スグリーヴァ『お主はまだまだ強くなれる』
682 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 23:28:10.59 ID:zOZ4P1eYo
紅孩児「あったりめーだ。俺は魔王になるからな」

スグリーヴァ『強さとは魔王になる事か?』

紅孩児「……あ?」

スグリーヴァ『それは真の強さとは言えぬ。それではお主は強くなれぬ』

紅孩児「じゃあ魔王は弱いってのかよ?」

スグリーヴァ『魔王などというものは、ただの言葉だ』

紅孩児「言葉?」

スグリーヴァ『言葉に囚われては、真の強さは得られぬ』

紅孩児「魔王は絶対の存在なんだろ? だったら……」

スグリーヴァ『ならば何故、魔王は人間に討たれた?』

紅孩児「……ッ」

スグリーヴァ『紅孩児、お主は真の強さを求めよ。その道は自ずと見え始めている』

紅孩児「真の強さ……何なんだよそれは!」

スグリーヴァ『言ったであろう。お主には見え始めている』

紅孩児「……」
683 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 23:28:37.17 ID:zOZ4P1eYo
スグリーヴァ『新たな世界の為に、お主がその道歩むのだ』

紅孩児「……ちっ」

スグリーヴァ『最後に1つ。ハヌマーンに後事を託すと伝えてくれ』

紅孩児「ハヌマーン? あぁ、そんなもん自分で伝え――」

シュウウゥゥゥゥ

スグリーヴァ『お主の道、じっくりと見させて貰うぞ』

シュウウゥゥゥゥ…パアアァァァァ

紅孩児「……」

スグリーヴァ『感謝するぞ、紅孩児――』

バシイイィィィィン!!

紅孩児「……ッ!?」

再び静寂に包まれた部屋には、ただぽつんと玉座が残されていた。

紅孩児「勝手な奴だ。何でもかんでも押し付けやがってよ……ッ」

否定的な言葉を口にしながらも紅孩児の顔は晴れやかだった。

スグリーヴァは死んだ。しかしその魂は確かに残っていた。
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/10(月) 23:34:26.39 ID:teUrGDiWo
>>1

柳沢「急にヴァーリンが来たので」
685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/10(月) 23:48:06.27 ID:zOZ4P1eYo


華国兵「それでは……兄者様、弟者様の遺体改修へ向かいます」

白馬騎士「頼む」

ドドッドドツドドッ…

戦士「なぁ、オークの容態はどうなんだ?」

法師「……」

戦士「お、おい……っ!?」

法師「仮死状態とでも言いましょうか。息はありませんが、魂は存在しています」

戦士「……?」

法師「蘇るかどうかはオーク次第です。信じて待ちましょう」

戦士「……オーク」

三男「それで、戦は無事、終わったのか?」

白馬騎士「いえ、まだです。まだ最後の戦いが残っています」

法師「……」

戦士「こっちはやったぜ。後は……頼むぜ、召喚士!」
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/10(月) 23:55:09.19 ID:zOZ4P1eYo
連休終わった。お仕事だった皆様はお疲れ様でした!
それでは明日よりまたよろしくです!おやすみなさい!ノシ

>>670
お腹壊しました

>>671-672
ありがとうございます!主人公は今回も大活躍!

>>673-677
華国は今回大活躍という事で…!
法師は心眼で感じました!多分

>>678-679
槍侶でしたっけ?た、多分東方編?で出るかなぁと…
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 00:23:37.18 ID:jJkDTpuDO
>>1

今回の切り方ジャンプの打ちきりを彷彿とさせるなw
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/11(火) 01:31:02.65 ID:467k0cZAO
>>1おつ

兄者「ヴァーリン倒すとはさすがだよな俺ら」

弟者「え?あぁ…」
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/11(火) 02:36:44.92 ID:mPEGMW4j0
てか東方司令…
本編とあまりに違う雰囲気ww
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 06:02:27.98 ID:J8mnT18Lo
>兄者様、弟者様の遺体改修
改造人間か
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/11(火) 07:15:13.27 ID:xLr1yP3AO
ネクロマンサーがアップを始めました
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 10:45:39.95 ID:XPXxx4Xto
兄者弟者が合体して合体戦士になりそうだ
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 13:10:23.75 ID:iNj6zDjSO
胡車児で脳内再生してる
694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:08:01.46 ID:RHqXcVZAo
ズゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「ヌウウゥゥゥゥ!!」

召喚士「ぐ……うぅ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

アンラ・マンユ(……どういう事なのだ)

力は勝っている。しかし押し切る事の出来ない現実に、アンラ・マンユは戸惑っていた。

アンラ・マンユ(分かっている。人間の力は然程のものではない。そう、前回のもの程では……)

青年兵「何……とかっ、もってくれぇ……っ!」

青龍士官「く……ぐぬぅ……っ!」

アンラ・マンユ(なれば答えは1つ。己の力不足か)

ラーヴァナの力を吸収したとはいえ、アンラ・マンユにとってもそれは始めての経験でもあり、

未だにその力を上手くコントロールしきれていない。魔王はそう解釈していた。

アンラ・マンユ(しかし……それにしてもこの違和感は何なのだ……ッ。不快な違和感が……)

透き通った水の中に混入された泥のような異物アンラ・マンユはその存在を感じ取った。

アンラ・マンユ「まさか……ッ」
695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:08:41.44 ID:RHqXcVZAo
シュゴオオォォォォ…

――「何百年振りであろうか、我が主……よ」

アンラ・マンユ「やはり貴様か……インドラッ!!」

インドラ「今再び、貴方の下へと帰って来たぞ」

アンラ・マンユ「ええいッ、お前など求めておらぬ! 僕の内から消えよ!」

インドラ「そうはいかぬ。我が力は既にラーヴァナと混同している」

アンラ・マンユ「……ッ」

インドラ「ラーヴァナの力を得た貴方は、よもや逃れられる事は出来ぬ!」

アンラ・マンユ「……やってくれるじゃないか」

インドラ「この刻をどれ程の間、待ち、望み、欲した事か」

アンラ・マンユ「つくづく呆れ果てるよ。貴様といいスグリーヴァといい……」

インドラ「これが世界の為だ」

アンラ・マンユ「魔王なくして魔族の未来はない! 分かっているのか!」

インドラ「それはただの驕りに過ぎぬ。何故、魔王が必要か」

アンラ・マンユ「決まっているだろう。魔王なくばこの地に魔力を汲み取れぬからだ!」
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:10:04.34 ID:RHqXcVZAo
インドラ「それが驕りなのだよアンラ・マンユ」

アンラ・マンユ「何……?」

インドラ「この地は魔族のものではない」

アンラ・マンユ「人間のものだとでもぬかすか!」

インドラ「違う。誰のものでもない。自然の形そのものなのだ」

アンラ・マンユ「詭弁だな」

インドラ「魔力などという異質のものを存在させるからこそ、世界はおかしくなるのだ」

アンラ・マンユ「馬鹿が。だからこそ人間共とて魔法を使えるのだろうが!」

インドラ「魔族が居なくば魔法など無用だ」

アンラ・マンユ「どうかな。僕にはそう思えないけれど」

インドラ「魔法がなくば新たな力を生み出す。人間にはそれだけの知恵がある」

アンラ・マンユ「だからこそ滅ぼすのだろうが。人間は欲がある意地汚い欲がな」

インドラ「それはこの世界で留まれば良い。我らが干渉すべき事ではないはずだ」

アンラ・マンユ「……ならばもし、人間がこの世界を終焉へと導いた時、どうするのだ?」

インドラ「……」
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:10:33.59 ID:RHqXcVZAo
アンラ・マンユ「奴らはやるぞ。世界を切り取り我がものとし、食い荒らし、荒廃した地が見えるわ」

インドラ「人間はそこまで愚かじゃあない。道を外してもすぐに修正出来る。それが人間だ」

アンラ・マンユ「それでもし人間が魔界や召喚界に手を伸ばしてきたらどうするのだ?」

インドラ「その時は滅ぼせば良い。貴方の考えは早すぎるのだ」

アンラ・マンユ「……」

インドラ「餌だと言いながら、人間に捕食される事を恐れていたのだ貴方達はな」

アンラ・マンユ「馬鹿を言え! どうして僕らが人間を恐れなくちゃならんのだ!」

インドラ「それは魔王である貴方達しか知らぬ事よ」

アンラ・マンユ「……ッ」

インドラ「この地上で六芒星を敷き、魔力を組み上げて、何かを企んでいたのだろう?」

アンラ・マンユ「……」

インドラ「しかし魔力は自分達に留まらず、人間へも影響を与えてしまった」

アンラ・マンユ「貴様……」

インドラ「誤算は徐々に脅威へと変わっていった。違うか?」

アンラ・マンユ「貴様ァ! さっさと消えろぉーッ!」
698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:11:07.54 ID:RHqXcVZAo
インドラ「皮肉なものだ。餌であるはずの人間に力を利用され、地上支配の邪魔をされ……」

アンラ・マンユ「消えろと言っている!」

インドラ「挙句、分け隔てた召喚獣は人間との共存、協力を選択し、魔族に対抗している」

アンラ・マンユ「召喚獣は愚かなだけだッ! 並べて語るなぁ!」

インドラ「愚かさと賢さを履き違えていては、こうなる結果も目に見えていたわけだ」

アンラ・マンユ「もういい。貴様は所詮、僕の一部に過ぎない。戯れも程にしろ」

インドラ「さぁ終わりだ。帰る事も生死もない地で永遠を過ごすのだ、アンラ・マンユよ!」

アンラ・マンユ「!?」

シュゴオオォォォォ…

召喚士「う……ぐぐううぅぅ!!」

青年兵「くあ……っ、くぅ!!」

青龍士官「ぬ……くぐっ、ぐぅ……っ!!」

アンラ・マンユ「カスがッ! 塵がッ! 虫ケラがッ! ゴミがッ! 貴様等如きがぁ……ッ!」

ゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「この魔王アンラ・マンユ様に敵うはずなど断じて有り得んのだああぁぁぁぁ!!」
699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:11:50.68 ID:RHqXcVZAo
ズガオオォォォォン!!

召喚士「絶対に……負けられないんだああぁぁ!!」

弓使い「また押し返したっ!」

魔道士「召喚士さんっ! 頑張ってぇ!」

タッタッタ…ザザッ

魔道士「天才さんっ!?」

天才「……よく踏ん張ってる。だが、かなり苦しいな」

ボス「援護したいところだが、玄武召喚獣では……」

同門「……っ」

ドドドドドド…

白虎長「見えたわっ、ようやく到……」

大軍師「司令っ!!」

エリート「負傷していると聞いたぞ。大丈夫なのか?」

天才「俺様の事はいい。召喚隊で援護出来る奴はいないか!?」

白虎長「まだ、余力はあります」
700 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:12:30.41 ID:RHqXcVZAo
天才「頼む。援護してやってくれ」

白虎長「でも、白虎召喚獣でどうやって……」

天才「空まで上がればいけんだろ?」

白虎長「……まぁ」

大軍師「竜騎士隊の中で、まだ召喚可能な者はおりますか?」

青龍兵「は、はいっ。短時間であれば召喚程度は可能です」

竜騎士兵「私もいけますっ!」

天才「ワイバーンでこいつを上空まで乗せてくれ」

青龍兵「畏まりました。それでは私が……」

竜騎士兵「いや、私が……」

白虎嬢「私も行けます。従姉さ……白虎先生と共に戦わせて下さい!」

青龍兵「……では、白虎先生はお前に託すぞ!」

竜騎士兵「いや、私がこちらを……」

白虎嬢「あ、あのぉ……」

天才「ゴチャゴチャぬかしてねーで早くしろ!」
701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:12:58.94 ID:RHqXcVZAo
ザッ

竜騎士兵「それでは行きます! しっかりおつかまり下さいませ!」

白虎嬢「は、はいっ!」

ギュウゥ

竜騎士兵「はうぅ、生きてて良かったあぁ!!」

白虎嬢「へっ?」

バシュウウゥゥゥゥ

青龍兵「それではこちらも行きます」

白虎長「……いつでもいいわよ」

ザッザッザ

エリート「何卒、お気を付けて」

白虎長「へぇ!? は、はぁ……どうも……でございますっ!」

エリート「くれぐれもご婦人の安全を第一に頼むぞ」

青龍兵「は、はいぃ! 了解でありますっ!」

バシュウウゥゥゥゥ
702 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:13:28.73 ID:RHqXcVZAo
玄武娘「が、頑張ってですのー!」

オオォォォォ…

大軍師「落ち込む事はありませんよ。貴女は十分に戦ったのですから」

玄武娘「玄武召喚獣も空を飛べたらいいですのに……」

ザッザッザッザ

ゴロツキ「あぁーっ!? ボ、ボスー!!」

チンピラ「やっと見つけた! 無茶しやがって全くもう……!」

ボス「……どけ」

ゴロツキ「!?」

ボス「なぁ玄武先生よ」

玄武娘「はえ?」

ボス「これじゃあ玄武は恥晒しだ。このまま黙って終わっちまっていいのか!?」

玄武娘「……でも、どうしようもないですの」

ボス「諦めたら終いだろ! 俺に考えがある、手を貸して貰えないか?」

玄武娘「……?」
703 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:13:59.65 ID:RHqXcVZAo
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「ぐくく……っ!!」

青年兵「あ……れは……っ」

青龍兵「隊長ーっ!」

青龍士官「お……前ら!」

竜騎士兵「助っ人をお連れ致しました!」

白虎長「大丈夫!? 持ちそう?」

召喚士「白虎長……さん……!」

青年兵「厳しいですっ、何とか……持ち堪えますが……ぁ!」

白虎長「上空でベヒーモスを召喚するわ」

青龍士官「!?」

白虎長「でも勿論、落下があるから持って3秒! 何とか出来そう!?」

青年兵「召喚士さんっ、出来ますか?」

召喚士「……3秒かっ、となると手は1つ……!」

白虎嬢「……?」
704 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:14:37.42 ID:RHqXcVZAo
シュイイィィィィン

シルフ「召喚士ちゃん、大変そうだから私が代弁しまーす!」

青年兵「!?」

シルフ「いい? もうこうなったら最後の力で、魔王をぽーんと遥か上空へ飛ばしちゃいましょー!」

白虎嬢「上空へ?」

シルフ「そうそうっ! お星様にしてやるのです大作戦! ん〜シビレるぅ〜!」

白虎長「うまくいくの?」

シルフ「コカトリスの石化を限界まで放って魔王を固めた後、一気に押すわ」

青龍士官「……ぐくっ!」

白虎長「召喚士くんはどうすんの?」

シルフ「解除後は……どうすんの?」

召喚士「いい……から……早くっ!!」

シルフ「とにかくやるしかないのっ! いいわねっ!?」

シュイイィィィィン

青年兵「3秒間……かっ!」
705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:15:42.37 ID:RHqXcVZAo
ズゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「石化の中和に魔力を……ましてやインドラのせいで……クソッ!」

青龍士官「そろそろ……こちらも持たないぞ!」

アンラ・マンユ「こうなればやはり、この地上なぞ不要! 消し去ってくれるわ!」

ズアボッ!!…ゴゴゴゴゴゴ…

白虎長「来たわよ!」

召喚士「コカトリス! フルパワーだ!」

コカトリス「おうっ!」

ズッガアアァァァァ!!…ドッドオオォォォォン!!

幼女「す、凄い……っ」

マジシャン「あの野郎、あんなペースじゃ枯渇まであっと今だぞ!?」

バーテン「……? お、おい!?」

ザッ

ボス「行くぜ!」

玄武娘「はいですの!」
706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:16:16.22 ID:RHqXcVZAo
ズザッ

ボス「はああぁぁぁぁ!!」

玄武娘「おいでっ、リヴァイアサン!!」

シュイイィィィィン…ゴッボオオオオォォォォン!!

2人の召喚が重なり合い、リヴァイアサンとヨルムンガンドの2匹が強烈な水の竜巻を作り上げる。

その巨大な水柱は地面より一気に伸び、アンラ・マンユの元へと垂直に突き進む。

ゴオオォォォォ!!

アンラ・マンユ「――ッ!?」

召喚士「あれは……っ!」

ドッゴオオォォォォォ!!

アンラ・マンユ「まだ邪魔をするかああぁぁ!! 召喚獣――ッ!!」

エリート「いけるのかあれは……」

天才「あとはもう気迫の問題だな。やってくれるのを祈るしかねぇよ」

マジシャン「ダメならてめーと心中だ。ハッハ!」

この一撃が駄目ならば天才との命を掛けた五行で幕を閉じる。マジシャンはそこまで理解していた。
707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:16:59.34 ID:RHqXcVZAo
ズゴゴゴゴゴッ

青龍士官「あい……つら……っ」

召喚士「今……だあぁぁ!」

青年兵「はああぁぁーっ!!」

白虎長「3秒よっ! 頑張ってね!」

白虎嬢「いらしてっ! ベヒーモス!!」

シュイイィィィィン

ベヒーモス「ゴガアアァァァァーッ!!」

弓使い「来たっ!」

タッタッタ

剣士「弓使いっ! 幼女!」

幼女「お父さん……っ!!」

弓使い「良かった……無事だったのね! 怪我はない!?」

剣士「ああ、2人も無事で何よりだ。さぁ……今は祈ろう!」

幼女「……うんっ」
708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:17:48.78 ID:RHqXcVZAo
タタッ…ズザァ

魔道士「盗賊さんっ!」

盗賊「……勝てるぞ、召喚士」

魔道士「ええっ! もちろんですよ!」

残された時間は3秒。召喚士はベヒーモスの登場と入れ替わりでコカトリスの召喚を解除した。

落下する召喚士の両脇から、2匹のバハムートが特攻する。

その背に召喚主の姿は既になかった。バハムートの突撃によりアンラ・マンユの軌道は斜めに変わる。

吸い寄せられるかのように、吸い付くように、地上からの水撃が軌道を修正している。

召喚士「……すぅーっ」

大きく息を吸い込み、召喚を開始した瞬間、ベヒーモスの閃光を掻い潜り、

アンラ・マンユが決死の一撃を見舞った。

スゴアオオォォォォッ!!…ボッシュウウゥゥゥゥ!!

アンラ・マンユ「まとめて滅べええぇぇぇぇーッ!!」

青年兵「――っ!?」

アンラ・マンユの放った光が青年兵のバハムートを飲み込み、覆い尽くした。
709 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:19:42.69 ID:RHqXcVZAo
ドッガアアアアァァァァン!!…バシュウウゥゥゥ…

南方司令「やられ――」

大軍師「いやっ!!」

シュイイィィィィン

アンラ・マンユ「ッ!!」

青年兵「再……召喚っ!!」

瞬時に召喚を解除し、バハムートを再召喚する青年兵。しかしその威力は最早、ないに等しい。

そしてほぼ同時に3秒が経過。2匹のベヒーモスは存在するものの、落下は早まり、

閃光の威力も徐々に弱いものとなり始めていた。

召喚士「駄目だっ、間に合わない!!」

落下する召喚士は完全に召喚のタイミングを外され、足並み揃わぬ召喚獣らは

完全に劣勢となり、空中での攻防はアンラ・マンユの攻撃が押し戻す形となっていた。

召喚士「く……っそおぉ!!」

チカッ…ゴオオォォォォ!!

召喚士(……光?)
710 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:20:52.31 ID:RHqXcVZAo
その光は赤く輝き、燃えさかる炎を纏い、鳳凰は翼を広げ天へと翔けた。

召喚士(フェニックス!?)

フェニックス「グガアアァァァァーッ!!」

同門「負けられないんだよおぉーっ!!」

女賢者「もう魔力ないのに、なんて無茶な――」

ガクンッ…ガクガクガクッ

同門「まだ……倒れるわけにはいかねええぇぇ!!」

アンラ・マンユ「ガアアアアァァァァ!!」

フェニックス、リヴァイアサン、ベヒーモス、バハムート。個々の力はその最強とも謳われた

召喚獣のものとは思えぬ程に弱々しく、威力は微々たるものとなっている。

それでも、各属性の召喚獣が揃うと共に、召喚主達の気迫が高まっていた。

各自、枯渇寸前の魔力を振り絞り、その最後となる召喚士が召喚を始めた。

召喚士(……何とか踏みとどまった。最後の一押しは瞬発力のある一撃でないと駄目だ)

シュイイィィィィン…ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「約束守れなくてすみません!、青龍先生っ!」
711 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:21:52.02 ID:RHqXcVZAo
……――

青龍先生『朱雀先生』

召喚士『は、はいっ!』

青龍先生『お主も、バハムートは見ておったよな?』

召喚士『……はい』

青龍先生『こやつらにもしもの事あらば、頼んだぞ』

召喚士『……俺は……使う気はありません』

青龍先生『……』

召喚士『青龍先生の魂は、この2人がきっと担っていくと信じてますからっ!』

青龍先生『……ひょっひょ、そうじゃな。ああ……そうじゃ』

――……

召喚士「使うけれど……見えますか先生っ、魂はあの2人がしっかりと引き継いでますよ!」

バッ!!

召喚士「行けぇーっ! バハムート!」

曇る空へ3匹目のバハムートが今、大きく羽ばたいた。
712 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:22:41.62 ID:RHqXcVZAo
ズガオオオオォォォォ!!

青年兵「これで最後ぉーっ!!」

青龍士官「死んでも……全力でぇ……」

白虎長「全てをぶつけるっ!!」

白虎嬢「絶対に……絶対に……」

玄武娘「魔王をーっ!!」

ボス「俺達の手で……」

召喚士「倒すんだああぁぁーっ!!」

ドッガアアアアァァァァンッ!1

アンラ・マンユ「こんな……こんな事があってたま――――」

インドラ『人間の強さ、分かってであろう……アンラ・マンユ』

アンラ・マンユ「……フッ、強さか」

インドラ『ああ。人間の持つ多々なる強さ。破壊や暴虐だけが強さではない』

アンラ・マンユ「見ててやるよカス共。貴様等、人間が……どこまで……やれるか……を――――」

斜めに迸る光は、まるで太陽へとぶつかるように、空高くへと雲を突き抜け、消えた。
713 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:23:31.68 ID:RHqXcVZAo
オオォォォォ…

召喚士「……や……ったか?」

バタバタバタッ…バサアアァァ

召喚士「……ああ、何とかなる……かな」

朦朧とした意識の中で、召喚士は大空に両手を広げ、太陽を見つめていた。

先程までの曇り空を魔王もろとも吹き飛ばし、嘘のように晴れ渡っていた。

盗賊「召喚士っ!!」

魔道士「召喚士さん!!」

召喚士(2人の声が聞こえる……っ)

魔道士「盗賊さん!」

盗賊「分かっている!」

弓使い「あなたじゃ受け止められないわよ!?」

盗賊「……やるだけやってみる……っ!」

木の上に飛び乗り、太い枝を見つけると、盗賊はそこで待機し、落ちてくる召喚士を見つめる。

盗賊「……よしっ、今だ!」
714 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:24:09.05 ID:RHqXcVZAo
ジャララッ…ビュオッ!!

召喚士「!?」

ガシッ!!…グルグルグルッ!!

召喚士「うわああぁぁ!!」

盗賊「……やあぁーっ!」

鎖は勢いよく枝に絡みつき、召喚士は蓑虫のようにえだへと吊るされていた。

盗賊「……ふーっ!」

召喚士「……あの……もう少しこう……なんと言うか」

盗賊「文句を言うなっ、たわけ!」

召喚士「あっ! 他の2人は……!?」

盗賊「……ん」

召喚士は盗賊の指差す先を見つめた。

召喚士「!?」

盗賊「……青年兵は……木に括り付けられてる」

召喚士「あれ……括り付けられてるっていうのかなぁ」
715 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:25:23.42 ID:RHqXcVZAo
ガサガサッ…ザッザッザ

バーテン「おぉ、いたいた!」

マジシャン「うおっ!? 首筋ギリギリじゃねぇか!」

バーテン「バッカ、お前……精密射撃と言えよな。なぁ?」

青年兵「ど、どうも」

天才「まさか矢で射られるとはなぁ。鳥の気分を味わえたか? ハーッハッハ!」

青年兵「ええ。今度から食す時は、今以上に感謝する事にします」

バーテン「んじゃ抜くぞー」

ズボッ…ドサッ

天才「ご苦労だった。大手柄だぞ?」

青年兵「じゃあ……」

大軍師「ええ。見事、魔王アンラ・マンユは消滅致しましたよ」

青年兵「……やった……良かった……良か……った!」

マジシャン「おいおい、泣く奴があるかよ……ハッハ」

天才「今は泣かせてやれ。そんだけ過酷な戦いだったんだ。特にコイツらはな」
716 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:26:42.46 ID:RHqXcVZAo
バシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「……すまんな、助かった」

青龍兵「いえっ!」

青龍士官「……しかし、もう少し何とかならなかったのか?」

ワイバーンの口に咥えられた青龍士官は、しかめっ面で愚痴をこぼす。

青龍兵「すみません……。ワイバーンの上は定員オーバーでして」

白虎長「ごめんなさいね、青龍センセっ」

青龍士官「……まぁ、いいですけど」

白虎長「でもお見事だったわ。トリプルバハムートだなんて驚いたわよ」

青龍士官「青年兵や朱雀先生のお陰ですよ」

白虎長「そんな事ないわよ〜」

青龍士官「同じバハムートでもその戦い方は……やはりあの2人、並外れている……」

白虎長「これからは私達2人が国軍の召喚隊を担うの。弱音は禁物よ?」

青龍士官「ですね。とにかく、無事倒せて良かった……」

白虎長「さぁ、地上でみんなが待ってるわよ!」
717 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:28:58.27 ID:RHqXcVZAo


盗賊「……よっと」

召喚士「助かりました。ありがとうございます」

タッタッタ…ガサガサッ

魔道士「召喚士さーんっ!」

召喚士「魔道士さんっ!」

剣士「召喚士くんっ、無事――」

ギュウウゥゥゥ

召喚士「!? 魔道士さんっ!?」

魔道士「無事で良かったぁ〜っ! もう……心配しましたよぉ〜!」

幼女「ほらほらっ、先に戻りましょ!」

弓使い「えっ!? あ、うん……っ!」

召喚士「魔道士さん、俺らもひとまず戻りましょう」

魔道士「えっ、は……はいっ! すみません!」

この時、笑顔だった俺らはまだ他の戦地で起きた色々な事を知る由もなかったんだ。
718 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/11(火) 18:34:17.49 ID:RHqXcVZAo
〜北の港〜

パリンッ!!

名士「……」

従者「失礼致しました。すぐに新しいカップを……っ」

フキフキ…ササッ

名士「……最後の別れかい? インドラ」

――南の脅威は取り除かれたぞ。魔王も3体がこの地上より消え去った。

名士「そうだね。ご苦労様」

――北はお前に託す。正しき世に導いてくれ。

名士「前も言っただろう? 魔族と人間の争い事などに興味はないよ」

――そうか。それでもお前は動くだろう?

名士「この美しい景色が壊されるような、そんな危害があればね」

――フッ、頼もしいかぎりだよ。先に行くぞ……友よ。

名士「ああ、元気で」

名士の体へと吹き付ける風は秋を感じさせる、少し冷たい風だった。
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/11(火) 18:35:41.53 ID:RHqXcVZAo
ではここまでにて!もうちょっとで終わり!
本日もご支援ありがとうございました!感謝!
それでは失礼致します!ばいばい!ノシ
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 18:44:48.80 ID:HVeLLYp30
1乙!

バハムート3体とかかっけーな
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 18:52:18.67 ID:mLOYP1uDO
>>1乙っす
いやぁ熱い展開だった
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 20:49:43.01 ID:Q4avTJeZo
さすが主人公のインドラさん
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/10/11(火) 21:00:12.64 ID:ov3pH5Y00
おいおいお前らスレタイに主人公が書いてあるだろ?
ほら格好よくコカトリスってさ
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方) [sage]:2011/10/11(火) 21:58:34.22 ID:QEa4EyKAO
インドラさんまじ主人公
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/11(火) 23:14:30.22 ID:3ZOw6Q5po
その内アンラ・マンユは考えることをやめるのか・・・
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 23:17:25.86 ID:/e2VnjY0o
法師と三男、インドラと名士がなんかごっちゃになってたわ
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/11(火) 23:35:13.16 ID:VIbouErDO
1乙 ボスが死ななくて良かった…
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/11(火) 23:58:47.63 ID:aZit0aIAO
インドラさん…もっと背景が知いです(>д<)

何はともあれ>>1
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/12(水) 00:09:45.73 ID:81zBv/kDO
主人公のインドラさんだぜ
もちろん外伝用意してあるさ

なっ?>>1
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 05:40:38.91 ID:uhYn/BhSO
>>1
最近召喚士さんが主人公やってて戸惑うwwww
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 06:45:33.99 ID:7B7yTrClo
>>1
え、召喚士さんって主人公狙ってるの?
ちょっwwwwウケるwwwwwwww
コカトリスさんにマジ謝れwwwwww
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/12(水) 08:31:26.35 ID:94ituafAO
>>1

今回はいつも以上に沢山散ったイメージだな
華国ボロボロだ
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/12(水) 09:37:55.63 ID:O/gT+1ZY0
青龍兵と竜騎士兵から、シルフちゃん、召喚士のバハムート召喚、最後の落下の落ちと
いや今回特に面白かったわ
734 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:03:36.40 ID:mSM2mSEno


バシュッ!!…バシュシュシュシュッ!!

五色の発光弾が青空を彩る。国軍による終戦、勝利の合図である。

エリート「魔王ラーヴァナを倒した、我らの勝利だ!」

ワアアァァァァ!!

大軍師「ラクシャーサの残党がまだ多く残っているはずです」

エリート「うむ。追い討ちと言うよりは、防衛に務め、投降を待つが得策だな」

大軍師「仰る通りです。ハヌマーン様を筆頭に、猿兵の力をお借り致しましょう」

エリート「よし、それでは騎兵を中心に早速取り掛かれ」

玄武娘「朱雀嬢ちゃん……まだ見当たらないですの?」

白虎嬢「うん……。無事だとは思うけど、ちょっと心配ね」

召喚士「戦士もまだ戻らないですね」

盗賊「……ああ。おそらく、東に向かったのだと思うんだが」

魔道士「戦士さん……」

召喚士「……」
735 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:04:28.64 ID:mSM2mSEno
〜スグリーヴァの城〜

各地で上がる五色の発光弾。それはスグリーヴァの城でも確認出来た。

白馬騎士「あれは……」

戦士「えぇと、ちょいと待ってくれ」

ゴソゴソ…カサッ

戦士「五色は……終戦、勝利の合図だ!」

三男「どうやら、戦いは終わったようですね」

法師「皆、無事ならば良いのですが……」

白馬騎士「2人の遺体は回収終えたか?」

華国兵「は……いっ。うぅ……うっ」

三男「泣いてはならぬ、胸を張れ。我らは勝利したのだ」

白馬騎士「三男様の仰る通りだ。下を向いていてはあの2人に面目が立たぬぞ?」

華国兵「は……っ!」

戦士「大丈夫か?」

朱雀嬢「えっ? あ、私はもう大丈夫ですわ……っ」
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 17:04:38.15 ID:uwGii3nDO
>>1
華国には生死の問題は予言伝えてないんだね
737 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:05:11.27 ID:mSM2mSEno
スクッ…ヨロヨロ

戦士「いいから大人しく横になってろって」

朱雀嬢「……っ」

白馬騎士「それでは、再び東の町まで戻ると致します」

三男「我らも参ろうぞ」

白馬騎士「し、しかし……」

三男「戦いは終わった。我らが行かぬのでは無礼であろう」

白馬騎士「……」

三男「それに残党ならばどこに居ようと危ういんは同じ事」

法師「三男の申す通りかもしれませんね。確かに、皆一緒である方が安全」

白馬騎士「分かりました。では、皆で東の町へ向かいましょう」

戦士「そうだよ、みんなで帰るんだ。なぁ、オーク」

オーク「……」

戦士はオークの顔を見つめ津腰だけ微笑むと、再び正面を向き直し、足を1歩進め始めた。

負傷者と遺体を乗せた馬車が最後尾から出発し、一同は主を失った空の城を後にした。
738 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:06:13.52 ID:mSM2mSEno


ハヌマーン「ガハゴホ……ッ!」

マーマン「もうじき城だぞ、頑張れ!」

ハヌマーン「……あ、あぁ」

マーマン「しかし、急に静かになったな。魔王はどうなんったんだ……?」

ハヌマーン「……?」

マーマン「な、何だ!? 何か強い魔族の気配――」

ガサッ!!…ゴオウウゥゥゥゥ

ハヌマーン「……ッ!!」

メラメラッ…バチチッ

紅孩児「……何だ、随分とまぁ死にかけだな」

マーマン「てんめぇ! 何しにきやがった!」

紅孩児「おいおい、何でいきなりキレてんだよオメーは」

マーマン「あぁ!?」

ハヌマーン「紅孩児の申す通りだ、大人しくしておけマーマン……」
739 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:06:41.42 ID:mSM2mSEno
マーマン「ヌグッ」

ハヌマーン「……それで、何用か?」

紅孩児「伝言だよ、アンタにな」

ハヌマーン「伝言?」

紅孩児「ああ。語るのはめんどくせぇ。心読んでくれ」

ハヌマーン「……」

紅孩児の前に立つと、ハヌマーンは目を瞑り、紅孩児の心中を読み取った。

ハヌマーン「…………」

紅孩児「…………」

スゥッ

ハヌマーン「礼を言うぞ」

紅孩児「別に礼を言われるような事はしてねぇ」

ハヌマーン「……そうか」

紅孩児「もうじき人間共がここを通る。大人しくしてりゃ合流出来るぜ」

ハヌマーン「……なぁ紅孩児よ、お主これから――」
740 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:07:21.61 ID:mSM2mSEno
ヒュオオォォォォ…

ハヌマーン「!?」

マーマン「……い、いねぇッ! どこ行きやがった!?」

ハヌマーン「去ったか……」

マーマン「全く、敵なのか味方なのかいまいちよく分からねぇ奴だなぁ」

ハヌマーン「敵ではないさ。今はもがいておるのだろう」

マーマン「ふぅん」

ハヌマーン「いつの日かきっと、自ら歩み寄ってくれるはずだ」

マーマン「そうかねぇ。とてもそうは見えねーけどな」

ハヌマーン「奴にの力を貸して貰わねばならぬ。亡き主の願望を叶える為にな」

マーマン「……まぁ、そうだわな」

ドドドドドド…

ハヌマーン「……ん? この音は……ッ」

マーマン「人間達だなッ! あぁ良かった……やっと一息つけるぜ」

ハヌマーンとマーマン。2匹の魔物は戦士らと合流し、東の町へと戻っていった。
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:07:49.65 ID:mSM2mSEno


夜。東の町の周囲には今まで以上の松明が焚かれ、月明かりと共に町を照らす。

各々、傷つきながらも戻ってきたこの地で、口数も少なく身体を休めている。

道中、否が応でも目に飛び込む、南方軍や魔物の焼死体。そして荒廃した土地。

正義の為の戦いとは言え、戦後の傷跡は重々しく、疲労を更に大きくしていた。

南方魔道長「……どうだ?」

南方参謀「駄目ね。これ以降の戦いにはちょっと厳しいかも……」

南方魔道長「まぁな。目の前で人が死んだ、ましてや自分を守ってだもんな」

南方参謀「それもあるし、焼けた森や傷付いた自然にも心を痛めちゃってるわ」

南方魔道長「……ま、南の仕事は終わったんだ。しばらく休ませてやろうじゃねぇか」

南方参謀「……そうね」

チラッ

南方弓長「……」

南方参謀「仕方ないわよね、涙が出ちゃうわよね。だって、私達女の子だもん」

南方魔道長「何か言ったか?」
742 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:08:45.26 ID:mSM2mSEno


赤壁兵「来たっ! 戻って来ました!!」

ドドドドドド…

騎士団長「開門ーっ!」

ゴウンッ…ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「……いたっ! おーいっ、戦士ー!!」

魔道士「戦士さーんっ! ほらcつ、盗賊さんも手を振って!」

盗賊「う、うん……っ」

ヒョイッ…ブンブンブンッ!!…ササッ

戦士「…ん、おぉ。あいつらも無事か」

パッカパッカパッカ…

大軍師「よくぞご無事で」

三男「皆々に救われました。本国の皆様方も辛かったでしょう」

大軍師「いえいえ。さ、どうぞお入り下さいませ」

三男「有難う」
743 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:09:48.15 ID:mSM2mSEno


タッタッタッタ

魔道士「戦士さーんっ!!」

戦士「おう。ラーヴァナ倒したんだって?」

魔道士「そうですよ〜! 召喚士さんがやってくれましたよっ!」

召喚士「違いますって。みんなの力ですよ」

盗賊「……そっちこそ、大変だったみたいだな」

戦士「まぁ……な」

召喚士「とにかく無事で良かったよ」

戦士「……いや、それが」

魔道士「……?」

盗賊「……被害が……出たのか?」

戦士「ああ」

召喚士「っ!!」

戦士「来てくれ。詳しくはみんなと話そう」
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:10:25.12 ID:mSM2mSEno


タッタッタ…ドテッ…ヨロヨロ

玄武娘「朱雀嬢ぢゃああぁぁん!!」

朱雀嬢「……騒がしいですわねもう……っ」

玄武娘「だっでええぇぇ!!」

朱雀嬢「大丈夫ですわ。私はこの通り無事よ」

白虎嬢「でも本当に心配したんですからね」

朱雀嬢「……反省してますわよ」

玄武娘「朱雀嬢ちゃああぁぁぁぁん!」

朱雀嬢「ちょっと!! 鼻水付きましたわよっ!!」

戦士「朱雀嬢は1人で法師さんを救う為に頑張ってくれたんだ」

召喚士「そうだったんだ。全然気が回らなかった……。朱雀嬢さん、凄いなぁ」

魔道士「でもほんと、無事で良かったです……っ」

盗賊「……だな」

戦士「んで、お次はだ……」
745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:11:48.34 ID:mSM2mSEno


剣士「ハヌマーン、マーマン! オーク……っ!」

幼女「オーク!? 大丈夫……っ!?」

法師「大丈夫です。オークは生きていますよ」

幼女「……っ」

法師「でも今は、休ませてあげて下さい。いつか必ず、目を覚ましますから」

剣士「ハヌマーンも……傷が広がってるじゃないか! 無理をして……っ!」

ハヌマーン「この程度……直ぐに治るさ」

マーマン「命あるだけマシさ」

弓使い「それはそうだけど……」

ハヌマーン「ヴァーリンやラーヴァナの脅威はなくなった。我らが戦うのもあと数回程度だろう」

マーマン「まぁな。それまでゆっくりと休ませて貰うさ」

召喚士「ハヌマーンさん……っ」

ハヌマーン「だから案ずるな。我らは勝ったのだぞ」

召喚士「……ええ」
746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:12:54.72 ID:mSM2mSEno


テクテクテク…ヨロッ

三男「……兄者、弟者……っ」

弓将軍「まさか……この2人までもが逝くとは……」

白馬騎士「……?」

弓将軍「こちらへ」

南方兵「はっ」

ザッザッザ…ゴトッ

白馬騎士「棺桶? ま……さか……っ」

弓将軍「錦が逝った。ワシより先にな」

三男「――っ!!」

白馬騎士「五虎将が……3人も……」

弓将軍「残るはワシらだけじゃ。まさか動じに3人も逝っちまうとはなぁ」

法師「……」

白馬騎士「悲し……」
747 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:13:40.40 ID:mSM2mSEno
三男「悲しむ必要がどこにあるか」

弓将軍「……?」

三男「彼らはこの世界を、そして華国を守る為に戦い抜いて死んだのだ」

白馬騎士「陛下……」

三男「弱肉強食。我らはもっと強くならねばならぬ。泣いている暇などないのだぞ」

華国兵「そ、そう……だよな」

法師「彼ら3人に騎都尉、そして我が兄もきっと見守ってくれている事でしょう」

華国兵「そうだ! あの方達に笑われぬ為にも、今以上に頑張らねば!」

三男「……」

スッ

白馬騎士「陛下、どちらへ?」

三男「用を足してくる。ついでに喉が渇いた」

テクテクテク

法師「私が行きます」

白馬騎士「お願い致します」
748 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:14:36.84 ID:mSM2mSEno
華国兵「陛下の護衛にお供致します!」

タタッ

華国兵「俺も俺もっ!」

白馬騎士「行ってはならぬ!!」

華国兵「――っ!?」

白馬騎士「……いや、行く必要はない。君達も身体を休めよ」

華国兵「は、はい……っ」

ザッザッザ

三男「…………」

法師「見事だったぞ、三男」

三男「兄上……っ」

法師「今日だけは好きなだけ泣けば良い。明日からはまた……」

ギュッ

三男「うあ……ああぁぁっ!!」

法師「お前には辛い役目を背負わせてしまった。すまないな……」
749 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:15:36.98 ID:mSM2mSEno


天才「華国の被害は?」

大軍師「報告では死者100名程度。負傷者は不明です」

天才「本国は」

大軍師「……死者2800名余り。行方不明者は1000名程です」

南方司令「……かなりの被害だな」

天才「それでもよくやった方だ。魔王軍の壊滅状態から考えりゃあな」

騎士団長「心底、喜べる数字ではないですがね」

天才「……少し休む。もうクタクタだわ」

テクテクテク

占い師「……っ」

天才「……なんつぅ顔してんだよ」

占い師「だって……」

天才「予言で分かりきってた事だろ。お前のせいでも何でもねぇよ」

占い師「華国は……」
750 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 17:18:46.57 ID:mSM2mSEno
天才「俺様はな、どんな戦いでも1031通りの策を考えてる」

占い師「……」

天才「その中で最良と思える作戦を選んだ結果がこれだ」

占い師「何よ……1031って……」

天才「テンサイだよ、語呂がいいだろうが」

占い師「繊細の間違いじゃないの?」

天才「うるせーなぁとにかく、華国の奴らも事前に伝えた上で望んだ事だ」

占い師「だからって……」

天才「じゃあ予言で全てを回避する方法があったか? これは宿命なんだよ」

占い師「……っ」

天才「人はいつか死ぬ。だがな、死ぬまでに何をするかがそいつの人生を左右するってモンだ」

占い師「私は……」

天才「ま、己の生まれの不幸を呪うんだな」

占い師「生まれの……不幸」

天才「今は余計な事は考えるな。お前がまた潰れたら……人間に未来はねぇ」
751 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 18:13:54.80 ID:mSM2mSEno


南方参謀「食事出来たわよ〜」

玄武娘「さぁ、行くですの!!」

白虎嬢「あっ、もう……。朱雀嬢ちゃんも行きましょっ」

朱雀嬢「そうですわね」

スタスタスタ

南方魔道長「おっ、無事だったようだな。心配したぜ」

朱雀嬢「それはどうも」

南方魔道長「何だよ、冷てぇな」

朱雀嬢「別に、たかがワーカー1人死んだところで困らないでしょう? それに朱雀本家……」

南方参謀「……」

ツカツカツカ…パシイイィィン

朱雀嬢「……っ!?」

南方参謀「そんな言い方はやめて頂戴っ!」

朱雀嬢「何するのよっ!!」
752 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 18:14:28.20 ID:mSM2mSEno
南方参謀「どれだけ皆が、あなたの心配をしていたと思ってるの!」

朱雀嬢「……」

南方参謀「国軍だとかワーカーだとか、朱雀本家の人間だとか関係ないのよ!」

朱雀嬢「……っ」

南方参謀「だから、二度とそんな事は言わないで頂戴」

朱雀嬢「何なのよ……っ」

南方参謀「あなたには笑っていて欲しいの。素敵な笑顔が出来るじゃない」

朱雀嬢「……」

南方参謀「召喚フェスの時に見せてくれたような笑顔が……」

朱雀嬢「あれは……」

南方参謀「いきなり叩いてごめんなさいね。とにかく、もう心配させないで頂戴ね」

朱雀嬢「……分かってますわ」

南方参謀「なら良し」

朱雀嬢「あの……あり……」

南方参謀「私の役目はここまで。後は彼に慰めて貰って頂戴っ」
753 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 18:15:16.79 ID:mSM2mSEno
南方魔道長「……あん?」

南方参謀「アンタじゃないわよオジン! ほら行くわよ」

南方魔道長「な、何だってんだ……引っ張るなよおい」

テクテクテク

朱雀嬢「……あっ」

青年兵「朱雀嬢さん」

朱雀嬢「……」

青年兵「心配しましたよ」

朱雀嬢「……ごめんなさい」

青年兵「いえいえ。とにかくあなたが無事で良かった」

朱雀嬢「……っ」

青年兵「……あ、えっと……良かったら何か食べませんか? 食事の用意が――」

タッタッタッ…ギュウゥ

青年兵「――っ!?」

朱雀嬢「ごめ……んなさ……い……っ」
754 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/12(水) 18:15:51.95 ID:mSM2mSEno
青年兵「えっ、えっ、えぇ!?」

朱雀嬢「私っ、必死で……」

青年兵「い、いいんですよ! 朱雀嬢さんのお陰で被害を最小限に留められたわけですし!」

朱雀嬢「……ひぐっ」

青年兵「う……っ」

朱雀嬢「青年兵さんにも迷惑かけて……本当に申し訳ないですわ……」

青年兵「朱雀嬢さん……」

朱雀嬢「……はっ! 私ったらはしたない……ごっ、ごめんなさい!」

サッ…ガシッ

朱雀嬢「……っ!?」

青年兵「構いませんよ。今は頼りない胸ですけど、好きなだけ涙で汚して下さい」

朱雀嬢「……ひっ、ひぐぅ」

青年兵「いつか必ず頼られるような……」

朱雀嬢「ひぐっ、ひぐっ、え……?」

青年兵「いえ、何でもないですよ……何でも」
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/12(水) 18:16:42.80 ID:mSM2mSEno
なんだか忙しくて投下量少なく、すみません…
ひとまずここまでにて。ご支援ありがとうでした!
それでは失礼致します〜!!ノシ
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/12(水) 18:18:39.07 ID:zo4XEmTAO
青しね
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 18:40:54.74 ID:ssPytUKGo
天国の女記者の反応が気になるところだ
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 18:45:44.71 ID:JWS7Ia/DO
>>1
お互い失恋者だしな
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/12(水) 18:49:28.05 ID:81zBv/kDO
女記者は別に青年兵のこと好きじゃなかったんじゃ?
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 21:00:16.33 ID:ulm3a2gDO
>>759
そっちじゃない
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/12(水) 22:13:13.22 ID:94ituafAO
>>1

青年兵のくせに!
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/12(水) 22:25:46.96 ID:zLF7OpiAO
流石主人公の青年兵さんや
モテモテや
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 22:49:12.77 ID:l9e3/JfDO
>>1乙!
投下量充分多いだろ−
終戦パートは見てる方も一息つく感じになるね

バーテンとマジシャンが無事で良かった
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 22:50:11.95 ID:h8PVYOObo
青年兵「出でよ!パイパーン!!」
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 22:55:11.62 ID:JWS7Ia/DO
※場の空気を正常化にするためにシルフが頑張ってます!しばらくお待ちください……
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/12(水) 23:13:36.52 ID:rR6pDaJIO
※場の空気を正常化にするためにシルフが頑張ってます!しばらくお待ちください……
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/13(木) 05:08:31.12 ID:altKlzCa0
>>1 おつ
夫人が出て来ないともったら 東方に住んでたんだ
夫人と一緒にいた強そうな魔物は まだ謎のままだね
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/13(木) 08:16:29.24 ID:SZJem4o2o
>>1乙!

>>764
くそ、こんなので...
769 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 17:53:25.17 ID:qWi5zxyAo


南方司令「さぁ、酒ならまだあるぞ。飲みたまえ」

白虎長「……ありがとうございます」

グビッ…コトッ

エリート「今日は酔っていないようだな」

白虎長「右大臣様……。ええ、とても飲みたい気分にはなれなくて」

エリート「そうか……」

白虎長「こんな気分では20杯が限界です」

エリート「……そ、そうか」

白虎長「あっ、す……すみません。右大臣様にこんな愚痴を述べてしまって……」

エリート「いや、構わんよ。白虎先生とは言え女性なのだ。話を聞くのが男としての務め」

白虎長「そんな事は……」

エリート「白虎隊の長として不安な顔を覗かせていては、部下も心配するぞ?」

白虎長「……はい。すみません」

エリート「時に白虎先生は、親しい男性は居らぬのか?」
770 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 17:54:06.63 ID:qWi5zxyAo
白虎長「居ませんよそんな人……って……え?」

エリート「あ、いや……っ! もしそういう男が居たら支えて貰えと言いたかったのだ」

白虎長「あ、あぁ……っ」

エリート「君には支えとなってくれる男性が必要なのではないかと思ってなっ、変な意味ではない」

白虎長「でっ、ですよね! は、はは……っ」

エリート「……」

白虎長「…………」

エリート「で、では失礼する……っ!」

白虎長「あ、はい! 有難うございました……っ!」

カツカツカツカツ

白虎長「……支えか。年も年だし……早々居ないわよ」

チラッ

エリート「――!?」

白虎長「……悪いどころか素敵だけど……高望みしすぎよね。ふふっ」

そう言いながら、振り返り目が合うエリートへと白虎長は笑顔で見送った。
771 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 17:54:42.44 ID:qWi5zxyAo


おさげ「長ーっ!!」

色黒「みんな無事だぁ! 良かった〜っ!」

ダキッ…ギュウウゥゥ

アマゾネス「お、おい……苦しいよ」

ポニテ「もうクッタクタだよぉ」

ツインテ「魔力使い果たしたにゃあ……っ」

アマゾネス「だが、その甲斐あって魔王は倒した。お前らもよく頑張ったな」

ポニテ「でへへ〜」

おさげ「もう戦わなくていいの?」

アマゾネス「どうかな。北にも魔王はいるようだしな」

色黒「でも私達、必要かしらねぇ?」

おさげ「ワーカーって言うんでしょ? 必要なんじゃない?」

ポニテ「それに北にはまだ見ぬ町が沢山あるわよ?」

ツインテ「そうだそうだ! 北にもいくべきっ!」
772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 17:55:27.34 ID:qWi5zxyAo
アマゾネス「あのなぁ、観光に行くわけじゃないんだからな」

色黒「でもっ、観光も兼ねてじゃないとやってらんないわよぉ〜」

おさげ「そうそう」

アマゾネス「全く、お前らときたら……」

テクテクテク

双子姉妹「お疲れです〜」

アマゾネス「あ、あぁ。どうも」

テクテクテク…

バーテン「おう。お疲れだったな」

双子姉妹「お疲れ様でしたっ」

マジシャン「若いのに災難なもんだな。魔王討伐なんかに狩り出されて」

双子姉「そんな事ありませんわよ」
双子妹「志願しての事ですし」

マジシャン「そうなのか!?」

双子姉妹「ええっ」

バーテン「若いのにしっかりしてるわ……」
773 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 17:56:15.92 ID:qWi5zxyAo
双子姉「あら、若いと言ったって」
負後妹「もっと若い子だっていますわよ?」

マジシャン「あん?」

タッタッタッタ

幼女「お母さ〜ん。これ食べてもいい?」

弓使い「うん。せっかくのご好意なんだし食べなさいなっ」

幼女「はーい!」

カチャカチャッ…ググッ

幼女「……ふぬっ、届かない……っ」

スッ

幼女「!? あ、ありがとう……ございます」

三男「いえいえ。確か、幼女さんだったかな?」

幼女「そ、そうです!」

三男「他に何か食べたい物は? あれば遠慮なく申し付けてくれ」

幼女「いやいやいやっ、大丈夫です!」

三男「そうか」
774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 17:56:56.68 ID:qWi5zxyAo
ジーッ

弓使い「ねぇ、見て見て! 玉の輿のチャンス!」

剣士「ん、あぁ」

弓使い「ちょっともう……っ、どうしたのよ〜」

剣士「いや、今回は流石に疲れたみたいで……」

弓使い「大丈夫? 確かに顔色悪いし、先に戻って休んだら……?」

剣士「うん。そうさせて貰おうかな」

弓使い「1人で大丈夫? 一緒に行こうか?」

剣士「幼女と一緒に居てやってくれ。僕は1人で大丈夫」

弓使い「あまりに酷いようだったら、軍の救護室にちゃんと行ってね」

剣士「ああ、ありがとう」

スッ…テクテクテクテク

女賢者「あらっ、もう戻るの?」

弓使い「具合が悪いんですって」

女賢者「頑張ってたもんねぇ〜んふっ♪」
775 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 17:58:18.87 ID:qWi5zxyAo
テクテクテク…ザッザッザ

剣士「……あっ」

白馬騎士「剣士殿」

剣士「白馬騎士さん、こちらにいらしてたんですか」

白馬騎士「今夜くらいは共に居てやろうかと思いまして」

剣士「……」

白馬騎士「剣士殿こそどうなさったのです……?」

剣士「……とても、食事などしている気になれなくて」

白馬騎士「剣士殿……」

剣士「短い期間かもしれませんが、華国とは色々と縁あって……」

ツツーッ…ポロポロ

剣士「辛い事も苦しい事も……色々あって……」

白馬騎士「有難う」

剣士「……」

白馬騎士「彼らの為に泣いてくれて、有難う」
776 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 17:59:02.39 ID:qWi5zxyAo


白馬騎士「落ち着きましたか?」

剣士「すみません……お恥ずかしい」

白馬騎士「なぁに、気にする事はありませんよ」

剣士「白馬騎士様は強いですね」

白馬騎士「……?」

剣士「お辛いでしょうに……気丈でいらっしゃる」

白馬騎士「涙など、とうに捨てました」

剣士「……」

白馬騎士「ましてや華国の中枢に近しいとも言える、大将軍の身ですから」

剣士「やっぱり強いですよ、白馬騎士様は」

白馬騎士「ここに居る者は、皆同じですよ。同じ強さを持っております」

騎士「……」

白馬騎士「魔王と正面から対峙する志を持っておられる。強い、貴方も貴方の家族も」

剣士「……?」
777 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 18:00:07.55 ID:qWi5zxyAo
タッタッタッタッタ

幼女「お父さ〜ん」

剣士「幼女!? 弓使い……っ!」

弓使い「心配で結局来ちゃった。まだ戻ってなかったの?」

剣士「えっ、あ……うん」

幼女「……大丈夫?」

剣士「ごめんな、大丈夫だよ」

幼女「良かった。私……お父さんに何かあったら……」

剣士「心配かけてごめんな、幼女。でも大丈夫だから」

幼女「……っ」

剣士「幼女や弓使いが一緒に居てくれる限り、僕は絶対に死んだりはしない」

弓使い「そうよ。これからたーんと稼いで貰わないといけないんだから」

剣士「うっ」

幼女「……ぷっ、あははっ!」

剣士「あははははっ!」
778 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 18:01:00.48 ID:qWi5zxyAo


大軍師「魔王軍の動きはどうです?」

南方兵「今のところ動きは見られません。このまま日数をかけて南下を継続致します」

大軍師「みな見における魔王は殲滅致しました。無駄な交戦は避けるように」

南方兵「はっ。極力、多数の投降を促します」

大軍師「お願いします」

タッタッタッタッタ…

大軍師「……」

天才「規模がでけぇと戦後処理も大忙しだな」

大軍師「ええ。まぁ後は南方司令部にお任せ致しますよ」

天才「跡地はどうなってる? 動きはないか?」

大軍師「今日は西方司令部の面々が駐屯しております。特に問題はなさそうですよ」

天才「そうかい。明日、持ち主連れてゾディアックの回収に向かうぞ」

大軍師「畏まりました、伝えておきます。……次は、西ですか?」

天才「だろうなぁ。東に行くにはまだその刻じゃねぇ」
779 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 18:01:50.44 ID:qWi5zxyAo
〜ラーヴァナの城、東側〜

西方副司令「異常はない?」

西方兵「はい。魔物はおろか、動物の気配すらありませんよ」

西方参謀「みーんなビビって逃げちまったのさ……ヒック」

西方司令「ひいぃ、怖いなぁ……っ」

西方副司令「大丈夫ですって、もう戦いは終わったんだし……でも、確かに不気味――」

ガササッ!!

西方副司令「――っ!?」

西方司令「ぎゃああぁぁ!! 死んだああぁぁぁぁ!!」

ラクシャーサ「ま、待てっ! 俺達だっつっても……人間には区別つかねーか」

西方副司令「も、もしかして……投降した連中?」

ラクシャーサ「ああそうだ。戦う気は一切ねぇ。見てくれ、誰も武器なんざ持ってねぇだろ?」

西方参謀「本当みてぇだな。んで、どうなすったよ?」

ラクシャーサ「……この先に、残党が沢山いる。頼む! どうかみのがしてやってくんねぇか?」

西方司令「み、見逃す! 見逃しますううぅぅ!」
780 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 18:03:06.69 ID:qWi5zxyAo
西方副司令「ちょっと司令、勝手に決めないでよ……っ」

西方司令「見逃すからお命だけはどうかあぁーっ!」

西方参謀「コイツは放っといてくれ。見逃すのは構わんが……戦闘はこりごりだぜ?」

ラクシャーサ「それはこちらも一緒さ。奴らは必ず、俺らが説得してみせる。だから頼む!」

西方副司令「……出来るの?」

ラクシャーサ「時間はかかると思う。だがラーヴァナ様のいない今、どうしようもねぇんだ」

西方参謀「そりゃそうだろうな。後ろ盾がねぇんじゃ戦う事も出来んだろ」

ラクシャーサ「だから頼む。……仲間を救いてぇんだ」

西方参謀「……だとさ」

西方副司令「そういう事なら……司令、もう1回言ってあげて頂戴」

西方司令「ひえぇっ、助けます! 見逃しますううぅぅ……っ!」

ラクシャーサ「すまねぇ……ッ」

西方参謀「ついでにお前らが安心して暮らせる領地も確保せにゃあならんな」

西方副司令「それならここもあるし、スグリーヴァ様の所もあるから平気よ」

ラクシャーサ「ありがてぇ……ッ」
781 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 18:04:40.16 ID:qWi5zxyAo
〜東の町、宿〜

召喚士「……っ」

――『お前が……殺した』

召喚士「……う……ぐうぅ……っ」

――『お前が……我らを殺したのだ……』

召喚士「……ち……がっ」

――『今に貴様とて、同じ目に遭うのだ……我らと同じ目にな……』

召喚士「ちがう……許……し……」

――『他の命を犠牲に得た勝利……せいぜい噛み締めるが良い……』

召喚士「許……し……」

――『今後……もっと多くの犠牲が出るぞ……もがき苦しめ……』

召喚士「…………っ」

――『そして……貴様も……クククッ……』

ガバッ!!

召喚士「……はぁ……はぁ……はぁ、はぁっ」
782 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 18:09:36.58 ID:qWi5zxyAo
〜次の日〜

夜通し進められていた戦後処理。次の朝を迎えてもその状況は変わらず、

国軍を中心に、後退で中断する事なく進められていた。

そんな中、召喚士ら4人は天才、大軍師、そして南方司令部の面々と共に、

西方司令部が待つラーヴァナの居城へと向かっていた。

大軍師「申し訳ありませんね。お疲れのところ」

戦士「いんや、どのみちゾディアックは俺のなんだし……」

魔道士「そうですよ〜っ。ねっ、召喚士さん!」

召喚士「……えっ、あ……あぁ、そうですね」

魔道士「……?」

盗賊「……どうした? 冴えぬ顔がいつにも増して酷いぞ?」

魔道士「ちょっとっ、盗賊さん!?」

盗賊「奮起させる為の鼓舞だろ……っ!」

召喚士「……すみません」

天才(……こいつ、もしかして)
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/13(木) 18:21:00.29 ID:qWi5zxyAo
あとちょっとなのに進まない…申し訳ありませぬぐぐぐ…
ひとまずここまでにて失礼致します!ご支援サンクス!それでは!ノシ
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/10/13(木) 18:23:11.97 ID:aCRJVtXBo
>>1乙
もしかしてって、その後なんだよー!
気になって仕事にならないから帰る!
785 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/13(木) 18:57:05.77 ID:Sittch6DO
天才「こいつもしかして童貞喪失・・・」
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/13(木) 19:00:55.89 ID:Blb0ahiG0
>>785
!?
787 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/10/13(木) 19:19:14.38 ID:QnXIuhxgo

そう考えると天才の童貞は誰が獲っていったんだろうな
788 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/13(木) 19:31:28.75 ID:zBkU7PCIO
ついに召喚士は童貞をこじらせたか…
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/13(木) 21:31:23.65 ID:PQycsrB/o
あぁ…PTSDか…
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/13(木) 22:21:24.90 ID:5P8K629DO
まぁ主人公(戦士)の引き立て役だから仕方ない・・・
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/13(木) 23:08:29.98 ID:YxlvXs+AO
>>1おつ
792 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 23:57:17.72 ID:FD/YDjV3o
ザッザッザ

南方副司令「おーご苦労さん」

西方参謀「やっと交代か……。もうグッタリだぜ」

南方参謀「異常はない?」

西方副司令「特になし……あっ」

大軍師「何かありましたか?」

西方副司令「そういえば昨日、魔物達が来たわ」

南方司令「何……!?」

西方参謀「あーあれだ、投降した連中だよ」

天才「んで、何だって?」

南方参謀「残党を説得するから見逃してくれってよ」

南方司令「見逃したのか!?」

西方副司令「確証はないけど……心配はないわよ。魔王も倒したんだし」

南方司令「……むっ、それならば……良いが」

天才「さーてと、本題に入るとすっか」
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 23:58:06.41 ID:FD/YDjV3o
ザッザッザ

大軍師「戦士殿、こちらへ」

戦士「おう」

ザッザッザ…ザッ

戦士「……」

天才「どうした? 早く抜けよ」

戦士「あ、あぁ……」

ソーッ…チョン

戦士「……ふー」

天才「魔力ならもう抜けただろ。死地くぐって来てそんなことでビビってんじゃねぇよ」

戦士「うるせーなぁ」

グイッ…ズボッ

戦士「おらよ、これでいいんだろ?」

カッ!!

戦士「!?」
794 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/13(木) 23:59:01.49 ID:FD/YDjV3o
魔道士「な、何ですか?! 何か光った……」

南方副司令「地面に何か埋まってるみたいだぞ!?」

大軍師「これは……もしや……っ」

ザッザッザ

天才「バカデケェ結界石だな」

南方参謀「――!?」

天才「なーるほどな。ラーヴァナの居城だもんなぁ。そりゃああるわな」

戦士「……ど、どういう事だ?」

大軍師「アンラ・マンユの火山でもありましたよね?」

盗賊「……あっ、火の……鉱石!」

大軍師「それと同様です。魔王の居場所は言わば竜脈の重要な場所」

西方参謀「つまりそこには魔力が集って、巨大な結界石が出来るってわけか?」

天才「そこまで細かく解明は出来ちゃいねぇが、まぁそういうこったろうよ」

魔道士「今、光ったって事はもしかして……っ」

召喚士「……っ」
795 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 00:00:24.87 ID:cQDRZDp2o
タッタッタ…ガバッ

戦士「稲妻……って事は!?」

天才「雷の結界石だな」

盗賊「……おぉ」

戦士「こっ、これ……少し分けてくんねぇか!?」

天才「別に構わんぜ。武器にでも使うのか?」

戦士「ああ! これだけあれば……直せるってもんだ!」

魔道士「そうですよっ! 戦士さんの雷切もこれで……っ!」

盗賊「……直せるかもしれんな」

西方参謀「こんなん大人数じゃねぇと運び出せねぇぞ?」

大軍師「後ほど、輸送隊を派遣して、回収致しましょう」

西方参謀「んじゃもう帰ろうぜ。早くゆっくり飲んでひと眠りしてぇ」

南方副司令「まだ飲むのかよ!」

西方副司令「うちの司令も早くしないと死んじゃいそうだしね……」

西方司令「あ……あうぁ……っ、魔物……説得されてぃ、死ぬ……っ」
796 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 00:06:35.85 ID:cQDRZDp2o


大軍師「それでは戻ると致しましょう」

南方司令「うむ。こちらは任せておけ! 正義の名の下に必ずや……」

南方副司令「戦いも終わったってのに必ずや何なんだよ」

南方参謀「それじゃ各自、配置に付いて頂戴っ」

南方兵「ははっ!」

西方副司令「西方司令部は速やかに引き上げるわよ〜」

ザザッ…ザッザッザッザッザ…

戦士「んじゃ、俺らも戻るとしようぜ」

魔道士「召喚士さん、行きましょ」

召喚士「あ、はい……」

天才「ちょい待て、お前は残れ。先に戻っててくれや」

盗賊「……う、うん」

天才「ちょっと話がある」

召喚士「……?」
797 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 00:12:07.19 ID:cQDRZDp2o


ザッザッザ

召喚士「あ、あの……」

天才「お前さ、なーんか責任感じてねぇか?」

召喚士「え……っ?」

天才「えっ? じゃねーよ。上の空で何考えてやがる」

召喚士「……」

天才「人が死んだからとか、誰かを救えなかったとか、んな事考えてんだろって言ってんだよ」

召喚士「……俺は」

天才「前も言ったような気がするんだが、お前1人で何が出来んだ?」

召喚士「……っ」

天才「自惚れんなよ青二才。テメー1人の云々で戦況が変わるかってんだよ」

召喚士「で、でも……っ」

天才「お前よ、今のままなら……舞台から降りろ。足手纏いだ」

召喚士「――っ!!」
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 00:18:11.26 ID:cQDRZDp2o
〜オマケ〜

カポーン

魔道士「お風呂ーっ!」

幼女「おふろーっ!」

盗賊「……」

白虎長「いやー広いとはいえ……賑やかねぇ」

白虎嬢「ほーんとですね」

女賢者「んふっ♪」

占い師「何なのこいつら……くっ!」

朱雀嬢「くっ!」

弓使い「どうしたの2人とも……?」

コソォーッ

マジシャン「いやー生き返ってて良かったぁ〜!」

西方魔道長「きゃーっ! 覗きじゃー!」

マジシャン「ぎゃああぁぁぁぁ!!」



東方司令「……な、何だろう。南の方から何か素晴らしくも残念な気配が」
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/14(金) 00:23:36.94 ID:C4doO5zAO
>>1
でも実際召喚士の存在で戦況変わりそうだけどな
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 00:25:57.63 ID:uGfUKa8DO
1乙、やっぱり来てくれたか
天才ツンデレだなぁ
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/14(金) 01:01:07.94 ID:5qVVGzQAO
>>1おつ
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/14(金) 05:06:50.42 ID:Lqpb0yfz0
いちおつ
召喚士の夢枕に立ったのは誰だろ?
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/14(金) 05:27:54.98 ID:ZtNppp4p0
おちんちんびろーん
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 07:43:15.25 ID:RhaFyjWIO
今までの死者リスト作ってくれ
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 08:18:28.06 ID:NKxLKIQIO
ホントに>>1にブラボー
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/14(金) 08:50:52.81 ID:FuPRjZuAO
>>1乙乙

>>802
そりゃあれだ
召喚士DSだろ
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 10:33:03.48 ID:A+RC+l7Fo
DS=童貞喪失・・・つまりっ(ガタッ
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/14(金) 18:02:31.71 ID:0y6Sel+Po
すみません!キリいいところまで行ってまとめて投下します!
後で必ず来ますので、もう少々お待ち下さいませ!ごめんなさい!
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 18:04:56.49 ID:/OPn/GxDO
>>1
誰も文句言わないからごゆっくり
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/14(金) 18:08:14.90 ID:NKxLKIQIO
律儀さに胸厚
>>1はおれの嫁!!
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/10/14(金) 18:32:58.96 ID:R4peoRIMo
その二人の子供は俺
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/10/14(金) 18:48:56.06 ID:3I8gK/yUo
     .,,......、         ..,,                           ,,,,,_             ....,,_
     `゙ヽ `'i         ゙l `',                     `l `'j 、          ゙l  l
      .,!  .! ,‐..,      / ,/ .!\                  ,,、  l  /ゞ`'i        ! .l-、 ._
      .,!  ゙'"  l  .ト.. -'''゛ ._,、`'、ヽ.\       _,     ヽ ̄   ._..-'゙ __.  .l゙''''″ .,/r'"  . \
      !  ,i--'"゛  .ヽ .,,、 ./ | │..l  l i、._.. ‐''",゙......,.`''、,   `''フ /゛.,./ "゛ .`l, .ゝ v  '"./⌒';;  .l
      !  .!      ゛/ /  |  .l  | │ヽ  ,/   `i. .l   ./ / '゙‐'' フ_.-‐′  ./  ./     .!  .!
    _,,,,,,,)  |      /  /  .l゙  l゙゙ヽ,  .|  `"      .!  !   /  !  .,、″     /   .|    │  !
  /..,,,,,_.   `''-、   /  i,゙ ./   !  ゝヾ        /  l  ./  ,!  /.!      /  .i  | / ̄`"  /
  | .'(__./  .,、  `'、 /  / ゙i`"  /             _/ ./   i′ l゙ | ゙―-‐⌒゙' l、 .ヘ´  ,!|  〈,゙>   `、
  .ヽ,、   _./ `'-、,,ノ .ヽノ  .! ,./            _,;;;;'  ,-‐´   .l ./   ヽ、    _ノ.″ ! ./ ヽ、  _..-、 ノ
    . ̄´               ´             ̄       `゛     .`゙゙゙゙゙゙´    `´    ̄   `゛
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/14(金) 19:14:32.52 ID:Rgs3Jk+AO
脱いでればいいのか?
脱いで…待っていればいいのか?!
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/14(金) 20:39:49.75 ID:C4doO5zAO
wktk
815 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:43:27.47 ID:cQDRZDp2o
天才「聞こえなかったか? 足手纏いになるから降りろって言ったんだよ」

召喚士「そ、そんな……っ」

天才「朱雀先生を襲名して、数々の戦功立てて、いっぱしの英雄気取りか?」

召喚士「違います! そんな事は……」

天才「勘違い甚だしいぜお前」

召喚士「……っ」

ザッ…ジャキッ

召喚士「!?」

天才「おう、ちょっくら殺り合おうや。本気で掛かって来い」

召喚士「天才さんっ!?」

天才「俺様はてめぇを殺すつもりで攻撃する。テメーも本気出さないとマジで死ぬぜ」

召喚士「ち、ちょっと……っ!!」

天才「はああぁぁぁぁ……」

ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「っ!!」
816 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:44:12.87 ID:cQDRZDp2o
ヒュッ…ザザザザッ

召喚士「くぅ……っ!!」

天才「遅せぇぞコラァ!!」

驚異的な瞬発力で間合いを詰め、召喚士の腹部へ蹴りを見舞う天才。

バギャッ!!…ドザザザザアァ

召喚士「げっ、げふ……っ!!」

天才「休んでんじゃねぇぞボケ!!」

蹴りの反動で地面へ転がる召喚士へ、天才は続けざまに攻撃を仕掛けた。

天才は飛び上がると、そのままツヴァイハンダーを地面へ突き刺すように構え、

召喚士の顔の前へと勢いよく落下、そしてツヴァイハンダーでの突きを放つ。

召喚士「行けっ! コカトリス!!」

シュイイィィ…シュウウゥゥゥ

召喚士「――っ!?」

ザッシュウウゥゥゥゥ

召喚士「…………っ」
817 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:44:47.23 ID:cQDRZDp2o
真横に突き刺さるツヴァイハンダーの刀身に映った自身の顔。

覇気無く虚ろなその表情は、天才が言うのも一理ある。そんな顔だった。

ズボッ

天才「召喚獣なんぞ出るわけねぇだろ。枯渇の挙句、そんな精神力じゃあよ」

召喚士「……天才……さん」

天才「次は殺すぞ。死にたくなかったらいつまでも泣いてねーで戦え!」

召喚士「……」

天才「ま、その調子じゃ俺様が殺す前に魔物にやられてはいサヨーナラだろうけどな」

召喚士「お、俺……」

天才「泣き言は聞きたくねぇ。後はテメー自身で何とかするんだな。ハーッハッハッハ!」

ザッ…シュバッ!!

召喚士「……」

去りゆく天才を追う事もなく、召喚士は身体を起こすとその場にうずくまった。

召喚士「……畜生……畜生っ!!」

言葉は誰にかけたものでもない。召喚士の自分自身へ繰り返す声だけが森の中に響き渡った。
818 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:45:25.10 ID:cQDRZDp2o
ザザザザッ…スタッ

天才「……ふーっ」

大軍師「あれで宜しかったのですか?」

ビクッ

天才「……てめぇ、居たのかよ」

大軍師「司令ともあろう方がお気付きにならないとは、ふっふ」

天才「久々に爆睡したんでまだ神経研ぎ澄まされてねーんだよ」

大軍師「成程」

天才「

天才「しっかしこの位置から覗き見たぁ悪趣味なヤローだ」

大軍師「ふっふ。しかし意外でしたね、てっきり叱咤激励するものかと思いましたが」

天才「叱咤してやっただろうが」

大軍師「鞭だけですか……」

天才「下手に激励しても一時的なモンだ。先の事を考えたら中途半端な事はしない方がいい」

大軍師「確かにそうかもしれませんね」
819 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:46:04.29 ID:cQDRZDp2o
天才「ここで徹底的にどん底まで叩き落す。そしたらあとは上がるだけだ」

大軍師「時間的にも丁度良いかもしれません」

天才「それにアイツ、マゾッ気があるからな。褒めるより叱った方が伸びるだろ」

大軍師「……はぁ」

天才「とにかくだ、ここでアイツに潰れて貰ったら……俺らに勝ち目はない」

大軍師「ですね。代わりなど居りませんからね」

天才「今やアイツ1人で戦局はおろか、魔王を倒せる可能性も秘めてやがる」

大軍師「それ、素直に言ったら喜ぶと思いますよ?」

天才「誰が言うか」

大軍師「ふっふ、素直じゃありませんねぇ」

天才「……テメーも俺様と一手交えるか? あ?」

大軍師「遠慮しておきます。まだ死にたくはありませんから」

天才「ああそうだ。おめーにゃ治世でもしっかりと働いて貰わにゃならんからな」

大軍師「……分かっております」

天才「おし、そんじゃとっとと本国に帰んぞ」
820 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:46:44.06 ID:cQDRZDp2o


召喚士「…………」

無言のまま右手で前方を指差し、召喚を試みる召喚士。

シュイイィィン

召喚士「……」

シルフ「何?」

召喚士「……いや、別に」

シルフ「だーかーらー、用がないなら呼ぶなってあれ程言ってるでしょお?」

召喚士「ごめん」

シルフ「何、落ち込んでんのよ」

召喚士「俺、何なんだろ」

シルフ「はぁ? 知らないわよ。私にとっては餌くれる人! それ以外の何者でもないし!」

召喚士「そっか」

シルフ「何? アンタ慰めて欲しいわけ?」

召喚士「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
821 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:47:14.08 ID:cQDRZDp2o
シルフ「あぁもうっ! うじうじウザったらしいわねー!」

召喚士「……」

シルフ「何を落ち込んでんのか知らないけれど、アンタ何かミスったわけ?」

召喚士「……いや、どうなんだろ」

シルフ「アンタがいつまでもウジったところでミスは取り返せないのよ?」

召喚士「うん……」

シルフ「だったらさーシャキって次に頑張りなさいよ!」

召喚士「……うん」

シルフ「アンタの事必要とも思ってない奴は声もかけたりしないわよっ」

召喚士「……!?」

シルフ「誰かの為もいーけどさ、たまには自分の為に頑張ったら?」

召喚士「シルフ……」

シルフ「ってアンタ! 魔力全然ないじゃないっ! もう終わりなワケ〜?」

シュイイィィン

召喚士「……そうだよな。ありがと、シルフ」
822 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:48:07.13 ID:cQDRZDp2o
夕刻。召喚士と天才らを除く一同を乗せた馬車は再び東の町へと戻ってきた。

パッカパッカパッカ…ドドォ

魔道士「到着〜!」

西方参謀「はぁ腰痛てぇ……。酒飲んで寝よ」

戦士「おっ、付き合うぜ!」

盗賊「……おい」

西方副司令「残念だけれど、南からの撤退準備をしなきゃいけないのよ」

西方参謀「げぇー」

西方副司令「ほらっ、司令もシャキっとなさいな」

西方司令「うひぇ……っ」

盗賊「……召喚士達…まだなのかな」

魔道士「どうしたんでしょうね?」

戦士「説教でもされてんじゃないのか?」

魔道士「そんな事ないですよっ! 召喚士さん悪い事してないですもん」

盗賊「……まぁ、な」
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:48:45.65 ID:cQDRZDp2o
テクテクテク

戦士「おっ」

南方弓長「ねぇ、南方司令部のみんな知らない?」

戦士「それならラーヴァナの城に行ったぜ。戦後処理だとさ」

魔道士「南方魔道長さんなら魔道兵を連れて赤壁に戻ったみたいですよ」

南方弓長「そうなの? 何で言ってくれないのかしら……」

戦士「体調不良で休んでたんだろ? 気を浸かっての事だろ」

南方弓長「……」

テクテクテク

バーテン「おう、ちょうど良かった。手伝ってくれ」

盗賊「……?」

バーテン「これから夕食意でな。人手が足りねぇんだ」

魔道士「そういう事なら任せて下さいっ! 行きましょっ、盗賊さん!」

盗賊「えっ、あ……うん」

バーテン「悪いな、毎度毎度」
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:49:29.20 ID:cQDRZDp2o
ザッ…テクテクテク

戦士「……」

盗賊「……っ」

テクテクテクテク…

南方弓長「……みんな行っちゃったけど、いいの?」

戦士「俺が行ったところで役に立たないし、邪魔になるだけだよ」

南方弓長「……そう」

戦士「んじゃ、俺は武具の手入れでも……」

南方弓長「ねぇ」

戦士「ん?」

南方弓長「ちょっと……いい?」

戦士「何かあんのか?」

南方弓長「ううん。ちょっとだけ話がしたいなって思って」

戦士「……あ、ああ。まぁ構わねぇけど」

南方弓長「……ありがと」
825 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:50:27.08 ID:cQDRZDp2o
……――

戦士『んーっ!!』

戦士は宿の前に立ち、大きく背伸びをする。

パカラッパカラッ…

戦士『んっ?あれは確か…』

早朝の道を駆ける一頭の馬は、騎上の手綱により速度を弱める。

南方弓長『……貴方!?』

戦士『よぉ、もう足はいいのかい?』

ザッ…スタッ…カツカツカツ…

南方弓長『あの時は本当にありがとう…』

戦士『別に。まぁ…お互い様だろう』

南方弓長『……』

戦士『昨日は顔見なかったが…治療に専念してたのか?』

南方弓長『それもあるけど…ああいうノリって苦手なのよ』

南方弓長は照れるように後頭部を掻き、はにかむ。
826 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:51:11.95 ID:cQDRZDp2o
戦士『そっか…』

南方弓長『お酒も苦手だし〜』

戦士『へぇ、意外だな…』

南方弓長『あら?どういう意味かしら…?あ…っ!』

南方弓長の左足が、バランスを崩しよろける。

ガシィッ

戦士『だ、大丈夫か…?』

南方弓長『……あ』

南方弓長は顔を横に背け、目線を逸らす。

戦士『やっぱまだ完治してないんじゃ……』

南方弓長『とにかくありがとう…!お礼はまた…』

カツ…カツ…

戦士『ところで…こんな朝っぱらからどこ行くんだ?』

南方弓長『……貴方も…来る?』

戦士『…?』
827 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:51:38.35 ID:cQDRZDp2o
パカラッパカラッ…

馬は風を切り、街道を真っ直ぐ駆ける。

南方弓長『良かったのか!?突然来てー』

戦士『ああー!フロントにも伝言したし問題ねー!』

南方弓長『そうか〜!!』

戦士『悪いなー!狭くてっ!!』

南方弓長『いや!大丈夫ー!』

戦士『ツラかったら降りるからー!言えよ〜!』

南方弓長『いやっ!……このままで…いいよ』

戦士『あーん?風で聞こえねぇーっ!!』

戦士の前で窮屈そうに南方弓長が呟く。

南方弓長『……こういうの…いいな』

戦士『何だーっ?』

南方弓長『何でもない〜!!』

二人を乗せた一頭の馬は、平野を駆け抜け東の森を目指す。
828 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:52:09.77 ID:cQDRZDp2o
〜東の森〜

ザッザッザ…

戦士「昨日の事が嘘みたいだな…」

森は小鳥が囀り、葉の隙間からキラキラと朝日が差し込む。

南方弓長『……うん』

南方弓長はしゃがみ、地面に落ちる枝を手に取る。

戦士「……」

南方弓長『いくら戦いとはいえ…私達は身勝手よね…』

戦士「……森の事か…?」

南方弓長『ええ…』

南方弓長の手にする枝は焼け焦げ黒く染まり、微かに焼けた臭いを漂わせる。

戦士「……」

南方弓長『例え傷つけてしまったとしても…それを正さなければ…』

戦士「……ああ』

南方弓長『そうでなければ人も魔物と変わらないもの…」
829 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:52:51.82 ID:cQDRZDp2o


戦士「おっし、と…。こんなもんでいいか?」

戦士はかき集めた枝葉を端に避ける。

南方弓長『ありがと。後は輸送兵が来てから』

戦士「おう」

二人は高台へ登り、遠景を見据える。

南方弓長『綺麗でしょ?』

戦士「…だなぁ」

南方弓長『私、生まれはここじゃないんだけどさ…』

戦士「……」

南方弓長『この景色を初めて見た時、何が何でも守りたいって思ったの…』

戦士「…へぇ」

南方弓長『そう…。まるで自分を包み込んでくれる故郷みたいな感じ…』

戦士「確かに…。自然も多いし、海も綺麗だわ』

戦士は左右を見回し、大きく深呼吸をする。
830 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:53:40.60 ID:cQDRZDp2o
南方弓長『私はこの土地が大好き…』

戦士「ちょっと湿度は高いけどな…ははっ!」

南方弓長『そうね…。うふふっ』

二人の間に、心地良い風が流れる。

南方弓長『次は……どこへ行くの?』

戦士「まだ決まってないけど…、多分北かな…』

南方弓長『そう……」

戦士「……?」

南方弓長『……あのさ』

戦士「…ん?」

南方弓長『…‥ううん、何でもない』

戦士「何だよ…」

南方弓長『いいの…。うふふっ』

戦士「…そうか?はは…っ!」

二人はしばらく朝日を浴びながら、その美しい景色を楽しんだ。
831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:54:21.86 ID:cQDRZDp2o
――……

戦士「……そういやそんな事もあったなぁ!」

南方弓長「覚えてた?」

戦士「そりゃ覚えてるよ。南に来て始めての大きな戦いだったし」

南方弓長「あれから5年近く経つけど、結局成長してないよね……私」

戦士「……」

南方弓長「守るって言ったのに私……っ、結局……」

戦士「仕方ないさ」

南方弓長「仕方ないからいいの!? 仕方ないからってこんな事……っ」

戦士「それは……そうだけどよ……」

南方弓長「……ごめんなさい。貴方が悪いわけじゃないのに」

戦士「……いやっ、別に」

南方弓長「あーあ。私ってほんと……嫌な女ね」

戦士「……」

南方弓長「……もう、何が良くて悪いのか分かんない。不安ばっかりなのよ……っ」
832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:55:13.15 ID:cQDRZDp2o
フワッ…ガシッ

戦士「お、おい……っ」

南方弓長「私のせいで人が死んで……私のせいで森が犠牲になって……」

戦士「……」

南方弓長「私、どうしたらいいか分かんないのよっ!」

戦士「……みんなそうだって」

南方弓長「……」

戦士「俺だって何が良くて悪いのなんか分かんねぇ。生きるのに精一杯だよ」

南方弓長「…………」

戦士「環境や生きてる世界は違っても、みんなもがいて苦しんで生きてるんだ」

南方弓長「……うん」

戦士「あんたも1度、自分と向き合って考えるってのも必要なんじゃないか?」

南方弓長「私……が?」

戦士「何も今のままじゃなくたって、出来る事はあるんだし」

南方弓長「……!!」
833 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:56:08.43 ID:cQDRZDp2o
戦士「……っと、俺も偉そうな事言えた義理じゃないけどな。はははっ」

南方弓長「ううん、ありがとう。すっごく楽になったかも」

戦士「ははっ、そりゃ良かった」

南方弓長「……」

戦士「……」

南方弓長「……」

ススッ

戦士「……悪い」

南方弓長「……ううん」

戦士「俺にはあんたは受け入れられねぇ」

南方弓長「……分かってる」

戦士「それに、あんたの事を抱き締めるのは、俺の役目じゃねぇ」

南方弓長「……?」

戦士「……んじゃ、俺は行くよ」

南方弓長「……!?」
834 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:56:37.93 ID:cQDRZDp2o
テクテクテク…ポン

戦士「後は任せたぜ」

ボス「……」

ザッザッザ…

南方弓長「貴方……っ」

ボス「姉御」

南方弓長「な、何よ……っ」

ボス「今はしがない一兵卒だし、大した力も持ってねぇ」

南方弓長「……そ、そうねっ」

ボス「だがよ、必ず強くなる、強くなってみせる」

南方弓長「……っ」

ボス「姉御を守れるよう、抱き締められるようになってみせる」

南方弓長「……そ、それで……っ?」

ボス「だからもう少しだけ時間をくれ! 待ってて欲しい! 俺……姉御の事、好きだ!」

南方弓長「――っ」
835 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:57:12.96 ID:cQDRZDp2o
ボス「俺……絶対に姉御の事、守るから」

南方弓長「…………」

ボス「絶対、先に死んだりしねぇから」

南方弓長「……生意気」

ボス「……?」

南方弓長「下っ端のくせに生意気なのよ……っ!」

ポロポロポロッ

ボス「あ、姉御っ!?」

ギュッ

ボス「――っ!!」

南方弓長「貴方、抱き締める力はもう十分あるわよ……っ」

ボス「……お、おう……っ」

ギュウウゥゥ

ボス「あ、姉御……あの……っ」

南方弓長「しーっ」
836 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:58:07.21 ID:cQDRZDp2o
ススッ…チュッ

ボス「――――っ!!」

南方弓長「……今はここまで」

ボス「……っ」

南方弓長「予約、承りましたっ」

ボス「姉御……」

南方弓長「ありがと。なんか、少し吹っ切れたかも」

ボス「そ、そっか……良かった」

南方弓長「あんまり……待たせるんじゃないわよ?」

ボス「お、おうっ」

南方弓長「ふふっ」

ボス「は、はは――」

天才「何してんのお前ら?」

ボス「――っ!?」

南方弓長「し、司令っ!」
837 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/14(金) 23:59:02.21 ID:cQDRZDp2o
天才「なーに戦地でサカってんだこら」

南方弓長「ちっ、違います!」

天才「まぁいいけどよー。若いのだっていんだし程々にしとけよ? ハーッハッハッハ!」

大軍師「司令、あまり男女の色事をからかうのは宜しくないですよ?」

南方弓長「だからー!」

天才「あ、そうそう。お前よ」

ボス「……っ!?」

天才「何畏まってんだよ。別に罰するわけじゃねえっての」

ボス「……は、はい」

天才「お前さ、出世したかったら……ちょいと本国に来てみねーか?」

ボス「お、俺が……ですか!?」

天才「1枠空いてんだよ。お前の精神力ならまー何とか滑り込めるかもしれん」

ボス「……え、えっと……あの」

天才「お前、特遊になる気ねぇか?」

ボス「――っ!?」
838 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:00:03.98 ID:OLrncsqoo


召喚士「……」

テクテクテク…

俺は弱い。毎度毎度、同じ事の繰り返し。同じ事でいつも悩んで、同じ事で後悔する。

だったら……天才さんの言う通り、舞台から降りて逃げてしまうのだって手かもしれない。

でも、それだけは絶対に後悔する。後で絶対に、自分自身が許せなくなる。

今はいい。もう余計な事は一切考えない。がむしゃらにすすむだけだ。

どうせ大した力も持ってない俺なんだ。何やったって、後悔なんてするもんか。

誰かの為もそうだけど、自分が後悔しない為にも……戦い抜いてやる。

先の事なんて分からないけど、自分に納得出来るまで戦い抜いてやる。

守りたい人がいる、守りたい仲間がいる。守りたい世界がある。

どんな敵が現れようと、もう恐れない。くじけない。負けない。それが俺の役目。

将来の為に、未来の為に、生きてきた過去の為に……今の精一杯生きる。

それが……俺。そうだろ、召喚士。

召喚士「……やってやる……やってやるぞおおぉぉぉぉ!!」
839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:01:12.59 ID:OLrncsqoo
〜次の日〜

召喚士「はぁ、やっと着いた」

テクテクテク

魔道士「召喚士さんっ!? どこ行ってたんですかぁ!」

盗賊「……心配したぞ」

召喚士「すみません。ちょっと考え事とかしたくて……ぶらぶらしてました。ははっ」

戦士「お前なぁ、戦いが終わったといえ、魔力もなしに1人であぶねぇだろ」

召喚士「ごめん……っ」

魔道士「お腹空きましたっ!? 何か食べます!?」

召喚士「あ、いえいえ。大丈夫です」

ザッザッザ

白馬騎士「召喚士殿、皆様。それでは我ら、これにて失礼致します」

召喚士「白馬騎士さん、剣士さん」

剣士「悪いけど、先に戻らせて貰うよ」

魔道士「お疲れ様でした〜っ!」
840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:02:39.08 ID:OLrncsqoo
弓将軍「世話になった。またな」

戦士「おう。ジーサンもな! 白馬騎士さんと一緒に頑張ってくれよ!」

弓使い「みんなも元気でね! また会いましょっ」

幼女「じゃあね!」

盗賊「……うん。またね」

テクテクテクテク

三男「では、世話になった」

天才「おう。華国には申し訳なかったな」

三男「……いや、彼らとて無駄死にではない。本望であろう」

天才「……まぁな。とにかく助かった。華国の戦いはこれで終わりと思ってくれ」

三男「もっと力があれば支援も出来るのだが……申し訳ない」

天才「十分さ。今度はアンタらが一丸なって、国造りを進めてくれ」

大軍師「本国としても全面協力致しますので」

三男「ありがとう。それでは」

ザッ…テクテクテク…
841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:03:48.95 ID:OLrncsqoo
天才「……聞いてなかったみてぇだな」

大軍師「……と、言いますと?」

天才「華国の連中には予言の結果を戦の前に伝えてる」

大軍師「本人にですか?」

天才「ああ。結局、予め言わなかったわけだな」

大軍師「何とも、華国の武人らしいですね」

天才「まぁな。さーて、俺らも本国に戻る準備を進めてくれや」

大軍師「あらかた出来ておりますよ。既に兵は少しずつ撤退しております」

天才「お前ってやつは本当に優秀なこった。ハーッハッハッハ!」

大軍師「このくらいせねば、貴方の右腕は務まりませんから」

天才「それもそうだわな! ハーッハッハ!」

カツカツカツ

西方参謀「そんじゃ西方司令部はこれより撤退しますわ……ヒック」

大軍師「ご苦労様でした。限られた時間ですが、ゆっくりと休んで下さい」

西方副司令「……?」
842 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:04:42.02 ID:OLrncsqoo
天才「次は西だ。もっとも、お前らよりは……」

西方参謀「イブリースか。激しい戦いになるなぁ」

天才「なんたって、最強と謳われた魔王だからなぁ」

西方司令「最強……っ、駄目だああぁぁ!! もう終わったああぁぁぁぁ!!」

西方副司令「それでは、失礼致します」

天才「おーう」

ザザッ…カツカツカツカツ

大軍師「明日には東の町からの撤退も完了すると思いますが……如何致します?」

天才「どんな事があろうと故郷は故郷だ。潰すわけにはいかんだろ」

大軍師「畏まりました。それでは撤退と同時に、復旧作業へと入ります」

天才「早急にな。早く我が家に帰りたい奴だっているだろうしな」

大軍師「はい」

天才「んじゃ、ひとまず赤壁行くぞ」

大軍師「手の空いている士官は部下をまとめ、順次、赤壁へ向かいなさい」

天才「これで終わりじゃねーんだからな。ちゃっちゃとやれよ〜」
843 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:05:44.91 ID:OLrncsqoo
速やかに行われた撤退は、あっと言う間に南のちへ静けさを取り戻させた。

その日のうちに華国軍、西方司令部が撤退し、本国軍も赤壁へと移動した。

更に次の日には、赤壁からも続々と本国へと帰還が始まっていた。

〜赤壁〜

戦士「昼には本国へ帰れそうだな」

魔道士「ですね」

盗賊「……お前らはどうするのだ?」

玄武娘「あっ、そうですの」

朱雀嬢「私は……ここに残りますわ」

召喚士「!?」

朱雀嬢「やっと戦いが終わって、家に帰れますもの」

魔道士「あ……っ、そうだよね……」

朱雀嬢「だから私は残りますわ」

玄武娘「……だったら、私も残るですの!」

朱雀嬢「貴女……っ」
844 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:07:10.23 ID:OLrncsqoo
玄武娘「朱雀嬢ちゃんとはパーティー仲間ですの! 一心同体ですの!」

召喚士「うん。朱雀嬢さんの傍に居てあげて下さい」

朱雀嬢「……っ」

召喚士「それじゃ2人共、元気で」

戦士「またな!」

魔道士「頑張ってね、朱雀嬢ちゃん!」

盗賊「……しっかりな」

朱雀嬢「……必ず、必ず戻りますからっ!」

召喚士「ええ、待ってます!」

玄武娘「待っててですの!」

テクテクテクテク

玄武娘「行っちゃったですの」

朱雀嬢「さぁ、私達も行きますわよ」

玄武娘「そうですの! 自分の家へ帰るですの!」

朱雀嬢「残ってるといいですわね。ふふっ」
845 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:08:13.33 ID:OLrncsqoo
〜華国、東の城〜

老文官「これはこれはお帰りさないませ!」

若文官「陛下、さぞやお疲れでしょう」

三男「私の事は良い。それよりも……」

側近「……?」

白馬騎士「兄者、弟者、錦将軍が戦死致しました」

老文官「――っ!!」

若文官「そ、そんな……っ」

弓将軍「これが形見の品じゃ。家族を呼び、直ぐにでも渡すように」

側近「亡骸は……」

白馬騎士「城外に。墓も並べてやろうかと思いましてな」

側近「騎都尉の墓とですか……。それも良いかもしれませんね」

華国兵「陛下っ、兄者様の奥方が面会をと……っ!」

三男「すぐに通せ」

華国兵「ははっ!」
846 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:08:59.15 ID:OLrncsqoo


三男「ご苦労である」

兄者嫁「ご無沙汰致しております。陛下」

三男「此度は……」

兄者嫁「分かっております」

白馬騎士「……!?」

兄者嫁「私は、予め主人より伺っておりました故」

三男「な、何と……そうであったか」

兄者嫁「戦が終わった後、この書を陛下に渡して欲しいと……」

三男「……?」

白馬騎士「失礼。拝見させて頂きます」

兄者嫁「どうぞ」

カサッ

白馬騎士「……遺書……です」

三男「っ!! よ、読んでくれ」
847 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:10:13.76 ID:OLrncsqoo
……――

この書がお手元へ届く頃には、我らは既にこの世には居らぬものと思います。

我ら、既に本国の予言結果を聞き、結末は存じております。

この事、陛下や白馬騎士に伝えようかとも考えましたが、伝えずに書に記す事で

全員一致しましたので、こういう形にてご報告させて頂きます。

華国や陛下の下を離れるは、寂しい限りですが、これにて華国の安寧が約束されるも同然。

喜んでこの命、差し出す所存に御座います。弟者や錦も同様です。

決して悲しむなかれ。死しても騎都尉や亡き長男様。そして我が義兄……前陛下に会える、

そう思うだけで某の胸は死しても高まるばかりに御座る。

そして、一同と華国の栄華、繁栄をじっくりと見させて頂く所存。

白馬騎士、弓将軍や文官の各々方は陛下を支え、精進するべし。

手を抜くような事あらば某が枕元に立ち、叱りつけさせて貰う。他の二人も同意見也。

残された家族の事は不憫ではあるが、武人の家族として覚悟はしております。

どうか、皆々様に誤字を託したく候。
          
                                      錦将軍、弟者、兄者。
848 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:11:24.85 ID:OLrncsqoo
――……

老文官「う、うぅ……っ!!」

弓将軍「早く言ってくれれば良いものを……っ!!」

若文官「馬鹿者が……っ」

側近「言えなかったのでしょう……余計な心配をかけまいと……」

三男「馬鹿者……馬鹿者……っ」

白馬騎士「今更悔やんでも仕方ありあせん」

老文官「彼らは華国の為に散ったのだぞ!? あんまりではないかっ!!」

側近「老文官殿」

白馬騎士「構いません。薄情と言うならばその通りです。それが大将軍の務めですので」

若文官「……」

白馬騎士「奥方、此度は誠に無念。心より哀悼の意を表します」

兄者嫁「う、うぅ……っ」

白馬騎士「では、失礼」

老文官「白馬っ!」
849 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:12:43.26 ID:OLrncsqoo
カツカツカツカツ

弓将軍「行かせてやれい」

側近「分かっているでしょう。一番辛いのは彼なのですよ」

老文官「……」

弓将軍「我らが出奔した後も1人でこの国にを支え続け、戦ってきた」

三男「……」

弓将軍「そしてワシ以外の、全ての武人を失った。今にも泣き崩れたいはずじゃ」

兄者嫁「う、うぐぅ……っ!」

三男「白馬……」

カツカツカツカツ…

華国兵「大将軍様っ、どちらへ……?」

白馬騎士「自室に戻る」

華国兵「な、何か食されますか?」

白馬騎士「構わん。すぐに戻る」

華国兵「……は、はい」
850 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:13:49.07 ID:OLrncsqoo
カツカツカツ…カチャッ

白馬騎士「……」

自室に入ると、既にその瞳は涙に溢れていた。

白馬騎士「……ぐっ」

祖国の為に涙を捨て、心を鬼にして戦い抜いてきた。

そのはずだった彼の目からは、留まる事なく涙が流れ続けた。

白馬騎士「……ああぁぁぁぁぁ!!」

ドガァッ!!…グググッ

白馬騎士「何故だ……っ、どうして……」

事前に知っていながらもそれを秘めたまま戦地へと赴いた戦友。

そして気付いてやる事が出来ず、みすみす死なせてしまった自分の不甲斐なさ。

あらゆる思いが1つとなり、白馬騎士に涙を蘇らせた。

この日以降、白馬騎士が涙を流す事は1度きりしかなかった。

それは己が死する最後の時。この日より数十年後の事である。

武人達の熱き魂と引き換えに、華国、そして南の地に平和が訪れた。
851 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:15:16.58 ID:OLrncsqoo
――遡る事数日前。満月の夜。

サモナー「……何と、仰いました……?」

神官「……これを」

スッ…カサッ

サモナー「……っ」

神官「本国の総司令殿より頂いた密書です」

サモナー「ま……さか……っ」

神官「ご存知ですか? 本国には未来を予知出来る力を持つ者が居るそうです」

サモナー「……こ、こんな事が……っ」

神官「書かれている通りです。……私は、死にます」

サモナー「……っ」

神官「しかし、私は無駄死にはしない」

サモナー「神官様、貴方は……」

神官「人としてただ死ぬならば、私は……永遠を生きる道を選びます」

サモナー「それってまさか……」
852 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:16:29.42 ID:OLrncsqoo
カツカツカツ…ゴトッ

サモナー「……」

神官「サモナー殿のお望みである、禁呪の書かれた書物です。どうぞ、お持ち下さい」

サモナー「神官様っ! 貴方はこれ得て――」

神官「ここに書かれている禁呪、それは……召喚獣への転生方法です」

サモナー「――!! や、やはり……っ」

神官「満月の夜に、特殊な魔法陣を生成し、それを条件に転生するのです」

サモナー「満月……っ、今宵は……」

神官「ええ、満月の夜ですね」

サモナー「間に合った……っ」

神官「……いえ、残念ですね。もう1ヶ月程早ければ……止める事も出来たやもしれませぬ」

サモナー「!?」

神官「私には最早、無用の物となりました。どうぞお受け取り下さい」

サモナー「神官様……貴方は、何と言う事だ……」

神官「勘違いなさらぬように。どうせ死する身ならば、有効に使いたいまでの事です」
853 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/15(土) 00:19:31.79 ID:OLrncsqoo
サモナー「だからって……っ」

神官「時にサモナー殿。貴方も、召喚獣への転生を模索させれいるのでは?」

サモナー「……っ!!」

神官「今宵は満月。日が昇るまで8時間余りございます」

サモナー「な、何を申されたい……」

神官「貴方ほどの方ならば、数時間もあれば解読し、実行出来ると思いますよ」

サモナー「僕が……禁呪を!?」

神官「さすれば貴方は、永遠に召喚獣と……」

サモナー「やめてくれっ!!」

神官「……とにかく、もうすべき事は何もありません。後はその刻を待つのみです」

サモナー「……」

ごめんよ召喚士くん。僕は……神官さんを止められなかった――。





〜第五十二部、完〜
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/15(土) 00:28:39.30 ID:rh1rID8DO
アヌビス神官たん…
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/15(土) 00:29:35.41 ID:xx1xeWIAO
錦将軍、弟者、兄者「どうか、皆々様に誤字したく候。」
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 00:40:54.46 ID:C1eZJpCIO
華国の武人はカッコいいのう!
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 01:01:28.95 ID:L8Xmpk2No
神官「マーメイドといちゃいちゃしたいんだろ?YOU転生しちゃいなYO」
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/15(土) 01:03:32.25 ID:OLrncsqoo
>>847>>855
自分でクソワロタww後事をリアルに誤字るとはこれは酷い…もう末期…

ひとまず五十二部おしまいです。ありがとうございました
気が付いたらもう丸2年経っちゃいますね。ほんと申し訳ないです
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/15(土) 01:23:31.09 ID:HIRWdkWB0
>>1
いや長々続けてくれて感謝しかしとらんよwwwwww
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 01:42:27.80 ID:Woh6BEl9o
>>1
むしろずっと読んでいたいような面白さ
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/15(土) 03:30:24.23 ID:LiYTYp8Mo
>>1
最近一番の楽しみだよ
だが誤字で派手にずっこけた
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/15(土) 03:35:04.21 ID:DXCak9mAO
>>1おつ

もう2年かぁVIPで読んでた頃が懐かしいな。しかし>>1は兄者にすら誤字の心配をされるとはな
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 03:44:54.49 ID:ZsSnfmVDO
>>1乙!
丸2年はマジで凄いな!
VIPで始めた時は短レスで終わりそうな感じだったのに、
ここまで壮大な物語になるなんてちょっと感動する

これからも続きを読むの楽しみにしてるぜー!
改めて、>>1乙!
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/15(土) 06:07:34.78 ID:/4wSwdqwo
冒険のきっかけがクリトリスだもんなwwwwww
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/10/15(土) 08:24:37.59 ID:H2vKSLsDo
最初からずっと読んでるぜ
そういえば、人気投票生きてるかな?
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 11:11:43.73 ID:tiunKomDO
たまに忙しく、溜まってから一気読みする時の幸福感ってなんていうの?
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 11:14:36.06 ID:tiunKomDO
たまに忙しく、溜まってから一気読みする時の幸福感ってなんていうの?
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/10/15(土) 13:03:05.86 ID:cmwjuku50
サンドウィッチ伝説の幕開けや!!
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/15(土) 13:47:49.82 ID:1d2sk6dz0
いちおつ
2年はすごいな 無理せずがんばって
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 15:55:37.12 ID:/Sr2PYwqo
カスタムアイテムで
★トンファー・光子銃作ってみた!ドゴォ
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/15(土) 15:56:28.45 ID:/Sr2PYwqo
ごめんね・・・誤爆しちゃったよorz
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/15(土) 16:13:52.13 ID:LiYTYp8Mo
このスレでティリス民を見るとは
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/10/16(日) 03:51:00.33 ID:CvpbVzjVo
>>1乙!

誤字と言えば>>1の代名詞!
つまり兄者たちのメッセージは
「3年目に入った『行け!コカトリス』及び>>1を今後とも宜しくお願いします」
と言う意味だったんだ!
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/16(日) 05:37:55.31 ID:P8qdEHNC0
西方での戦闘は久しぶりだなあ ピラミッドのバンパイア以来かな
未知なとこが多くて楽しみ
いちおつ
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 07:22:07.47 ID:L+bcnFnuo
二年で32/100だからあと四年は読めるわけだ
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/16(日) 08:16:51.38 ID:1k600ClAO
まだまだ魔界平定とか召喚獣の世界の統一とか残ってるから、あと4年で足りるかな?w
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/16(日) 09:44:27.82 ID:FYk4PomDO
掲示板なんか卒業して、プロ作家になってくれ!
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/10/16(日) 10:32:16.04 ID:d2vHME7D0
少し黙ろうか^^
879 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/16(日) 12:08:54.50 ID:mCJwCVuGo
たんたんと支援
880 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/16(日) 21:41:03.12 ID:/Dl6FS+AO
次は東かと思ったが、先に西なのか
ドッペル元気かな…
881 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 01:28:50.18 ID:d78jNt6SO
>>1

毎日楽しく読ませてもらってます
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/17(月) 01:47:24.11 ID:Q4096Qqbo
俺はメガネの方が心配だわ
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/17(月) 14:22:14.58 ID:wYkhnkeDO
俺は師匠が生き返る前に氷がとけて腐らないか心配だわ
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 17:41:25.21 ID:MEoQ80WIO
俺は俺が社会に出る前に腐らないか心配だわ
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:43:04.48 ID:j5PPBHkho
〜魔王城〜

パタン

ベルゼブブ「ラーヴァナが死んだ?」

アスタロス「はい」

唐突な報告にベルゼブブは本を閉じ、思わずアスタロスへと聞き返した。

ベルゼブブ「アンラ・マンユ、パズズに続きラーヴァナまでもが死んだか」

アスタロス「……」

ベルゼブブ「弱者は本当に足を引っ張ってくれる。身勝手、傲慢、不遜。どうしようもない」

アスタロス「如何に」

ベルゼブブ「別に良いさ。こことは離れた地での出来事。興味はないな」

アスタロス「御意」

ベルゼブブ「次はマーラかイブリースか……それとも」

アスタロス「西、かと」

ベルゼブブ「イブリースか。これまた人間も無茶をする。あんな絶対悪、余ならば相手にもしたくないがな」

アスタロス「……」
886 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:43:42.73 ID:j5PPBHkho



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第五十三部〜
887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:44:14.55 ID:j5PPBHkho
魔王ラーヴァナとの死闘を終えた南方はひとまずの平穏を取り戻した。

それとは打って変わり、本国では次なる戦いに備え、慌しい動きを見せていた。

〜本国、王宮〜

皇太子「此度の戦も、ご苦労であった」

天才「本当にな。流石に疲労困憊だったわ」

エリート「詳細についてはこちらの報告書と大軍師から述べさせて頂きます」

大軍師「では早速、詳細のご報告を致します」

皇太子「頼む」

エリート「では我らはこれにて。失礼致します」

皇太子「うむ。宜しく頼むぞ」

スッ…カツカツカツカツ

エリート「次は西か?」

天才「ああ。東を制するには、連戦であたれる程の戦力は余っちゃいねぇ」

エリート「だろうな。マーラはラーヴァナ同様、大軍同士での戦闘となるだろう」

天才「そういう事。対してイブリースは、個の力はあるが、あくまで単体だからな」
888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:45:00.22 ID:j5PPBHkho
エリート「西国の戦力は、華国や東方に比べれば、充実している」

天才「本当は静観気味のイブリースは後回しにしてぇんだが、とにかく時間がない」

エリート「五ヵ年計画に沿えば悠長な事は言っていられないからな」

天才「いやはや、切れ者の右大臣様がいるとこちらも心強いわ」

エリート「下らん世辞はよしたまえ。本国の兵は動かすか?」

天才「いや、今回はいいっつーか、これ以上は正直厳しい」

エリート「……北か?」

天才「ああ。北は最大勢力。本国も10万規模の兵を動員する必要がある」

エリート「温存か。承知した。物資の輸送と周辺の偵察程度は請け負うとしよう」

天才「頼むぜ」

エリート「その代わり必ずや勝利を。そして……いや、何でもない」

天才「……ハーッハッハッハ! ま、頑張ってみるさ」

カツカツカツカツ

エリート「……」

そして1人も死なせる事なく。それが不可能だと悟ったエリートは、途中で言葉を止めた。
889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:45:39.14 ID:j5PPBHkho
〜中央広場〜

戦士「あぁー流石に身体がダルイ……」

魔道士「ですね……。私も魔力が全然回復しませんよ」

戦士「でもよ、次はすぐに西なんだよな」

盗賊「……ああ」

魔道士「久々に王子や神官さんと一緒ですかね。ねぇ、召喚士さん?」

召喚士「……え、ええ。そうですね」

戦士「何だよ、また考え事か?」

召喚士「いや、そうじゃないんだけど、そういえばサモナーさん……大丈夫かなぁ」

魔道士「サモナーさんって、神官さんの所へ行ったんでしたっけ?」

召喚士「ええ。あれから1週間近く経っているのでもう終わったと思いますけど」

戦士「ワークショップに連絡はなかったんだろ? 三日月島へ行ってみるか?」

召喚士「……うーん」

戦士「どうせ西へ行くんだから、そのついでに寄ればいいだけさ」

召喚士「……まぁ、そうだね。そうしてみようか」

戦士「おっしゃ!」
890 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:46:23.56 ID:j5PPBHkho
盗賊「……?」

魔道士「おっしゃって何です?」

戦士「えっ? あ、いや……別に……」

パッカパッカパッカ…

大軍師「「おや、これは朱雀先生」

召喚士「大軍師さん。早速西方へ出発ですか?」

大軍師「いえいえ。我らはこれより北へ向かいます」

盗賊「……北? 戦でもあるのか?」

大軍師「大きな戦いなどなくとも、北では毎日戦続きですよ」

魔道士「……っ」

大軍師「それに今、北方軍では来るべき日に備え、進路を確保しています」

召喚士「進路? 魔王城までの……ですか?」

大軍師「そういう事です。南を平定した今、少しでも多く、兵を北へと回さねばなりません」

戦士「あっち行ったりこっち行ったり、大変だなぁ……」

大軍師「まぁそれが仕事ですからね。ふっふ」
891 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:47:02.44 ID:j5PPBHkho
魔道士「頑張って下さいねっ!」

大軍師「皆様方も西方でのご活躍、心よりお祈り申し上げます」

バーテン「そんじゃ、気を付けてな」

マジシャン「頑張れよ! ハッハ」

戦士「おーう……っておい!?」

バーテン「ああ。俺らはついでに送って貰うだけだ」

マジシャン「そんな怒鳴るような事じゃねーだろ……」

戦士「気付いてんなら声かけろって事だよ! 何、サラっと立ち去ろうとしてんだよ」

バーテン「今更、お前らにかける声なんぞないさ。俺らはとっくに第一線を退いた身だしな」

魔道士「でも、今回の時だって……」

マジシャン「おいおい、あんまりオッサンを働かせるんじゃねぇぜ? ハッハ!」

盗賊「……」

マジシャン「とにかく、今はお前らが頼りっつーか主力なんだ。頑張れよ」

バーテン「疲れた時にやいつでも店に来い。待ってるぜ」

召喚士「ありがとうございます」
892 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:47:39.35 ID:j5PPBHkho
大軍師「あ、そうそう。戦士殿、例の物……本部にてご用意出来ておりますよ」

戦士「マジか!? 助かるぜ、サンキュ!」

魔道士「例の物?」

大軍師「それでは、ご武運を」

ドドッ…パッカパッカパッカ…

魔道士「例の物って何です?」

戦士「ちょっとな。んじゃ早速、国軍本部に行ってくるわ」

盗賊「……一緒に行くよ」

召喚士「うん。国軍本部にはどうせ行かなきゃいけないしね」

魔道士「それじゃみんなで行きましょうっ!」

戦士「そうすっか」

召喚士「それじゃ先に行ってて下さい」

魔道士「どこか行くんですか?」

召喚士「結界石と傷薬などを買ってきます」

魔道士「あっ、それなら私も行きます!」
893 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:48:16.95 ID:j5PPBHkho


テクテクテクテク

召喚士「すみません、付き添って貰ってしまって……」

魔道士「いーえっ、私が好きで付いてきただけですから」

召喚士「あ、ありがとうございます」

魔道士「ところで、結界石と傷薬なんて今更必要なんですか?」

召喚士「俺の魔力が枯渇してしまったので、万が一の事も考えて……」

魔道士「あ……っ」

召喚士「すみません。もう少し俺が強ければこんな苦労はしないんですが……」

魔道士「何言ってるんですかっ! 召喚士さんは十分すぎる程、頑張ってるじゃないですか!」

召喚士「……」

魔道士「だからもっと、自信を持ってえばってていいんですっ。えへへ!」

ニパッ

召喚士「……っ」

魔道士「ん? あれ……っ!?」
894 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:49:28.39 ID:j5PPBHkho
テクテクテクテク

アマゾネス「朱雀先生!?」

召喚士「あ、アマゾネスさん」

おさげ「いいないいな〜。2人でデートぉ?」

魔道士「違いますっ!」

色黒「照れちゃって〜っ! 顔が真っ赤よぉ〜?」

魔道士「もうっ! からかわないで下さいっ!」

ポニテ「今日はお買い物?」

魔道士「そうなんですよ〜っ。次は西へ行きますので!」

ツインテ「ほにゅ〜っ。なんか、大変だねぇ〜」

アマゾネス「ところで朱雀先生」

召喚士「はい、何でしょうか?」

アマゾネス「あの……もう1人、朱雀召喚士がいた……よね?」

召喚士「……あっ!」

アマゾネス「彼は、どこへ行ったのだ?」
895 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:50:00.62 ID:j5PPBHkho
〜北方、山脈〜

同門「……」

ザッザッザ

――「しっかし寒みぃな〜」

同門「……」

――「北ってこんなに寒いのか? もっと北に行ったら更に寒いのか?」

同門「……」

――「やっぱ帰ろうかなー」

同門「五月蝿いな貴様は!」

紅孩児「貴様じゃねぇ! 俺様は紅孩児だ、何度言ったら分かるんだ! 覚えとけ!」

同門「魔物の名前なんぞ興味ないな」

紅孩児「んだとぉ……!?」

同門「貴様が勝手に付いて来たのだ。大人しくしていろ」

紅孩児「……クソが。着いたら覚えてやがれよ」

同門「……ちっ」
896 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:50:28.73 ID:j5PPBHkho
〜2日前、南方〜

同門「……」

ザッ…スタスタスタ

同門(魔王ラーヴァナには勝った。勝ったが……)

紅孩児「1人、冴えないツラしてんなぁ……」

同門「――っ!?」

ザザッ…ジャリッ

紅孩児「そう警戒すんなって、敵じゃねぇよ。まぁ味方でもねーけどなハハハ!」

同門「……」

紅孩児「おぉい無視かよっ!? はっはーん、さてはテメー友達いねえ――」

スタスタスタスタ

紅孩児「くぉらああぁぁ!!」

同門「……何なんだあいつは」

紅孩児「……ちっ、魔王を倒したはいいが俺の実力では足元にも及ばなかった」

同門「心を読むんじゃねぇ!!」
897 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:51:55.27 ID:j5PPBHkho
紅孩児「おっ!? 当たった!?」

同門「……てめぇ」

紅孩児「なーんだ。1人足手纏いで逃げ帰るってわけか。ハハハ!」

ピタッ

同門「殺す。降りてこい」

紅孩児「やなこった! 大体勝てると思って……」

同門「行けっ、フェニックス!」

シュイイィィィン…ゴゴウッ!!

紅孩児「――っ!!」

同門「降りてこぬならそのまま殺す!」

紅孩児「馬鹿が! 炎の紅孩児様相手に炎で勝てるとでも思ってんのかぁ!?」

ズッガオオォォォォ!!

同門「!?」

紅孩児「効くわけねぇだろーがよぉ!」

シュバッ!!
898 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:52:53.77 ID:j5PPBHkho
ドゴオオォォッ!!

紅孩児「……!?」

同門「お互い様だな」

紅孩児「ちっ、相性悪すぎ」

同門「無駄な力は使いたくねぇんだ。さっさと消えろ」

紅孩児「おーおー消えてやるよ。こっちもテメーなんか用はねぇからな!」

同門「……」

クルッ…スタスタスタ

紅孩児「……なぁおい」

同門「いい加減しつこいぞ貴様」

紅孩児「お前、北に行くのか?」

同門「……さぁな」

紅孩児「北に行くんならちょっと連れてけよ。付いてってやるよ」

同門「意味が分からん。死ね」

紅孩児「あぁ!?」
899 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:53:40.52 ID:j5PPBHkho
同門「何故俺がお前と一緒に行かねばならんのだ」

紅孩児「ほぅ、やはり北に行くのか」

同門「……っ」

ザッ

同門「だったら何だ! 貴様に構っている暇はない!」

紅孩児「まぁそう言うなよ。別にテメーの邪魔するってワケじゃねぇんだ」

同門「ならば勝手に行け。俺は知らん」

紅孩児「そうしたいのは山々なんだが、俺様、北にはどうやって行けばいいか分からん」

同門「……だから何だ」

紅孩児「いや、1回だけ行った事あんだけどよ、方向がイマイチ分からんのよ」

同門「……」

紅孩児「飛んでったんだけどさ、なんつーの? 後を付けてっただけだし方角が……」

同門「五月蝿い奴だな。だったらあっちだ、真っ直ぐ飛べ。早く視界から消えろ」

紅孩児「うわームッカツく奴だなぁ。だからダチの1人もいねーんだよ」

同門「……やはり殺す!」
900 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:54:14.49 ID:j5PPBHkho
〜現在〜

紅孩児「なぁなぁ、夜になるともっと冷えるのか? あ、これが冬ってやつか?」

同門「……」

紅孩児「しっかしまだ着かねーのかよ〜。人間ってのは空も飛べずに不便なモンだわな〜」

同門「もうここまででいいだろう」

紅孩児「あん?」

同門「お前の言う町ってのは、ここから西にずっと行けばいずれ見えるはずだ」

紅孩児「……」

同門「海沿いだ。すぐに分かる」

紅孩児「……お前はどうすんだ?」

同門「このまま真っ直ぐ北へ向かう。だからここまででいいだろう」

紅孩児「そーかい。そんじゃそうするかね」

同門「さっさと行け」

紅孩児「へいへい。んじゃ、世話になったな。あばよっ!」

同門「……ちっ」
901 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:54:56.25 ID:j5PPBHkho
〜本国、大通り〜

アマゾネス「そうか、行方は分からずか」

召喚士「気付いた時には既に居ませんでしたから……すみません」

アマゾネス「いや、別にいいさ」

魔道士「ところで、何で同門さんに会いたいんです?」

アマゾネス「へっ!?」

召喚士「何か召喚術の事ですか? それなら俺でも答えられるかも」

アマゾネス「い、いやっ! いいんだ! 大丈夫!」

魔道士「……?」

アマゾネス「忙しいところ引き止めてしまったなっ、それじゃ失礼する! ほら行くぞっ!」

おさげ「あ、はぁ〜い。それじゃまったね〜!」

色黒「しっかり楽しんでね♪ デ ェ ト !」

魔道士「だから違いますっ!」

召喚士「は、ははっ。なんだか賑やかですね……っ」

魔道士「そ、そうですね……えへへ……っ」
902 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:57:22.25 ID:j5PPBHkho
〜国軍本部、正門〜

タッタッタ

戦士「遅かったな」

召喚士「ごめんごめんっ、ちょっとアマゾネスさん達と話し込んじゃって」

盗賊「……さて、行こうか」

魔道士「はいっ!」

テクテクテクテク

戦士「すんません。大軍師さんから荷物を受け取りに来たんスけど」

受付「これはこれは朱雀先生方ではありませんか。どうぞお入り下さいませ」

召喚士「ど、どうも」

テクテクテク…

盗賊「……とうとう何もなく入れるようになってしまったぞ」

戦士「出世したもんだなぁ。駆け出しだった頃が懐かしいよ」

召喚士「本当にね……」

魔道士「……あっ!」
903 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:58:07.38 ID:j5PPBHkho
カツカツカツ

隊長「よぉ、今回も大活躍だったそうだな。話は聞いたぜ」

女隊員「ご苦労様ッス〜!

召喚士「特遊の皆さんっ! 皆さんこそ大丈夫でしたか?」

男隊員「ああ。海峡での戦後処理だかんな。別に何事もねーさ」

召喚士「そうでしたか」

隊長「イブリース、行くのか?」

戦士「ああ。勿論だ」

女隊員「たまには休んでもいいんスよ?」

盗賊「……まぁ、な」

戦士「そうしたいとこなんだが、おたくの司令直々のご用命でね」

格闘家「師匠が?」

魔道士「そうなんですよ。西国との交流もあるからって……」

隊長「ああそういう事か。まぁ確かに戦力として考えても適任だわな」

召喚士「……どうなんでしょうね」
904 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:58:48.97 ID:j5PPBHkho
男隊員「ま、今回は俺らも一緒だ。安心して戦ってくれや」

隊長「こいつらは大丈夫だろ、むしろお前が心配だよ」

男隊員「おいおい。いくら隊長と言えど発言には気をつけろよ?」

女隊員「客人の前で揉めないで下さいッス!」

隊長「んで、何しに来たんだ? 作戦会議か?」

戦士「あぁ、ちょいと大軍師に頼んでおいた荷物が……」

格闘家「結界石ですか。それなら保管庫に移しましたので。どうぞ」

魔道士「結界石!?」

盗賊「……もしかして……ラーヴァナの」

召喚士「……なるほどっ! そういう事か!」

戦士「ん〜まぁな」

魔道士「ど、どういう事です……?」

戦士「付いてくりゃ分かるよ。とにかく行こうぜ」

隊長「こっちだ、付いてきな」

召喚士「はい」
905 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 17:59:34.04 ID:j5PPBHkho
〜保管庫〜

ガチャッ

本国兵「ご苦労様ですっ!」

隊長「大軍師が確保してた分があるはずだが、受取人が来たぞ」

本国兵「あ、はい! こちらです」

テクテクテク

戦士「で……でけぇ!!」

召喚士「こ、こんなに巨大な結界石だったのか……っ!!」

本国兵「掘り起こすのに半日を費やしたそうです」

盗賊「……よく運べたな。こんな物……っ」

隊長「竜騎士隊がいるからな。今は輸送も楽なもんだよ」

魔道士「な、なるほどですね……っ」

本国兵「えぇと、この程度で足りますか?」

戦士「いや、十分すぎるよ。ありがとう」

保管庫「見ての通り、有り余る程の量ですので、不足の際にはいつでもどうぞ」
906 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 18:00:04.48 ID:j5PPBHkho


男隊員「んで、そいつをどーすんだ?」

戦士「ああ。アンラ・マンユに得物ぶっ壊されたからな」

魔道士「そっか! それを素材に……」

戦士「そゆ事。雷切復活だ!」

召喚士「これだけの雷の力を持った結界石があれば、威力も大きく増えるね」

戦士「おうよ。魔力がねぇ分、こっちで補わねーとな」

隊長「ところで西方には直に行くのか? 軍船は明後日の朝、三日月島へ出航の予定だが」

魔道士「ご一緒します?」

召喚士「戦士はどうするの?」

戦士「ああ、お前らが良ければ今日中にも三日月島に行きたいところだな」

召喚士「それじゃ俺らは直に行きます」

隊長「了解だ。作戦開始はまで週間程度あると思う。それまでに下準備して待っていてくれ」

戦士「了解!」

魔道士「頑張りましょう!」
907 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 18:00:46.80 ID:j5PPBHkho
隊長「そんじゃ、また後日」

女隊員「お疲れ様ッス!」

カツカツカツカツ…

召喚士「さて、それじゃ俺らも三日月島へ向かいましょうか」

魔道士「戦士さん、何で三日月島なんです?」

盗賊「……もしや……開発機関か?」

戦士「そういう事だ」

魔道士「鍛冶屋さんじゃないんですか?」

戦士「改良や時間をかけての作成ならおやっさんに頼りたいとこだが、今回はそうもいかんからな」

召喚士「確かに、あれだけの設備があれば短期間で仕上げられるもんね」

戦士「まぁ引き受けてくれるかどうかは別だけどな」

魔道士「天才さんあたりにお願いしたらどうです?」

戦士「個人の事でそこまでは気が引けるし、あんまり軍には借りを作りたくないからな」

魔道士「いっぱい貸してるし大丈夫じゃないかなぁ……」

盗賊「……貸しってその発想……流石は魔道士」
908 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/17(月) 18:01:25.62 ID:j5PPBHkho


召喚士「15時頃の船で大丈夫そうですね」

魔道士「じゃあそれまで少し遅めの昼食にして待ってましょうか」

戦士「だな。ノンビリ昼メシ食うのもいつ最後になるか分からんしなぁ」

召喚士「……」

魔道士「ちょっと、何て事言うんですかっ!」

戦士「す、すまんすまん。悪気はないんだ……っ!」

召喚士「戦士の言う通りさ。もしかしたら今日が最後になるかもしれない」

魔道士「召喚士さん……っ?」

召喚士「だから、1日でも1時間でも、悔いなく過ごそうよ」

盗賊「……同感だな」

戦士「ああ、そうだよな。そうじゃなきゃ駄目だよな」

魔道士「……もちろんですよっ!」

身勝手かもしれないが、そうする事で先に逝った者達への感謝の気持ち。

生きている、生かされた者のすべき事なのかもしれない。召喚士はそう心に思った。
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/17(月) 18:07:35.36 ID:j5PPBHkho
書き溜めして保存したメモリをまんまと忘れてきてしまった…
とりあえずここまでにて!ご支援ありがとうございました!
それでは失礼致しますですよ!ノシ
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/17(月) 18:09:33.35 ID:Q4096Qqbo
ベルゼの強敵臭ぱねえ
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 18:15:10.54 ID:jVa/5QXro
いちおついちおつ
戦いの合間の休息パートも好きだ
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 18:23:29.46 ID:DpDkgh4DO
>>1
保管庫がしゃべってワロタw
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/17(月) 18:30:59.35 ID:loR+HsDAO
>>1
西は手強そうだな
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/17(月) 18:41:22.66 ID:8bdpNEKco
>>1乙!
シレン2のマーモ思い出したわwwww
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 19:44:55.08 ID:90gifi2ro
結局、斧に五行付加は諦めちゃったのかな
ドワーフの悲願だし、今の戦士なら五行武器使いこなせると思うんだけどな
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/17(月) 19:45:46.34 ID:Au631uQjo
とりあえず雷切復活させて余ったらって感じじゃね
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/17(月) 19:46:34.17 ID:Q4096Qqbo
どう考えても流れ的にラストの方のさいきょうぶき
強い鉱石も魔王の所で補充して下ろうし
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/17(月) 19:59:28.30 ID:8wp/tvtDO
ドワーフ「ぼくのかんがえたさいきょうのぶき」
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/17(月) 20:59:34.60 ID:HXARmR+SO
武器一つに五つ全部じゃなくて全身の装備に散らすんじゃなかったっけ?
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/17(月) 22:10:01.94 ID:jvkvtdAAO
もう二年か〜…

>>1乙にも長いことお世話になってるなぁ

VIPの>>3くらいから見てます!
これからも応援してるので頑張ってください
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/17(月) 23:40:47.89 ID:JrjL++Gw0
自己紹介乙
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/18(火) 01:26:20.88 ID:gW90L4cAO
ベルゼブブってたしか元はゾロアスター教で天使的ポジションだったのにキリスト教が蠅はキモイって言って悪魔にされちゃったんだよな
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/18(火) 02:10:21.45 ID:5C0JDBPAO
イブリースはイスラム教のサタンだよね。
Wikiによると擁護論まであるとか
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/18(火) 02:44:17.45 ID:3dpPJPlk0
いちおつ
イブリースなんか強そう
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 03:06:41.92 ID:Vge4+9tIO
一つの武具に五行じゃツヴァイハンダーの二番煎じになっちゃうしな。
魔剣がどの部類に入るのかが気になるところ
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 06:02:00.66 ID:wKFspgGSO
イブリーズで臭いも取れる
927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/18(火) 06:21:21.72 ID:CBMAB9/9o
それファブリーズ

あれだろ、12月に玄関とかに飾る輪っか
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/18(火) 07:47:33.61 ID:d/XWcq/Bo
それ門松
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 08:59:00.35 ID:v6tJSfgIO
いやリースだろ

930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 10:04:13.21 ID:a61zcMfRo
アイルランドの紅茶か
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/10/18(火) 11:09:11.57 ID:j2ZkehaD0
そりゃバリーズだろ
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 12:13:10.48 ID:a61zcMfRo
FFTの畏国か
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 13:17:28.11 ID:aGr+8WFDO
防具全部で5行とか戦士さすが主人公
934 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:22:14.55 ID:U0w9Vl8go
〜南方、東の町〜

朱雀嬢「んっ!」

グググッ…ドサッ

朱雀嬢「……重いですわねぇ〜。このっ」

ゲシゲシッ

玄武娘「朱雀嬢ちゃーん! こっち終わったですのー!」

朱雀嬢「どうしてあのちっこい身体にあれ程の怪力が……はっ!」

ジーッ…ペタリンコ

玄武娘「……服の中、ゴミでも入ったですの?」

朱雀嬢「うるさいですわね。貴女には一生分からない悩みですわ」

玄武娘「……ほえ?」

朱雀嬢「とにかく玄関前の瓦礫を片さないと、出入りすら不便ですわ」

玄武娘「手伝うですの」

朱雀嬢「結構重いわよ?」

玄武娘「……うっ、確かに……これは……重い……ですのぉ」
935 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:25:04.46 ID:U0w9Vl8go
ヒョイッ

玄武娘「あっ!」

朱雀嬢「!?」

ゴーレム「ゴフーッ

番長「大丈夫でゴワスか? 瓦礫はゴーレムに任せるでゴワス」

玄武娘「おぉーっ、召喚獣ですの!」

朱雀嬢「成程っ。召喚獣に手伝って貰えばいいんですわ!」

玄武娘「あっ、そうですの!」

朱雀嬢「よーし、それなら早速……」

シュイイィィィィン

ブリュンヒルデ「……何、また戦争? 野蛮ねぇ」

ゲルヒルデ「ていうか〜魔力全然残ってないしぃ〜」

オルトリンデ「でーも、何だか様子が違うみたいだわね」

玄武娘「……大丈夫ですの?」

朱雀嬢「……さぁ」
936 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:28:06.86 ID:U0w9Vl8go


ヴァルトラウテ「これどっちー?」

朱雀嬢「そっちそっち! 右側に置いて頂戴っ」

ヴァルトラウテ「はぁ〜い」

老女「すまないねぇ、手伝って貰っちまってさ」

朱雀嬢「この程度、容易いですわよ」

玄武娘「よーし私も……」

朱雀嬢「!?」

玄武娘「おいで、ウンディ……」

朱雀嬢「ち、ちょっとバカッ、駄目ぇ……って、え!? ウンディーネ……」

玄武娘「ウ、ウンディーネ……駄目ですの? あ、リヴァイアサンの方が……」

朱雀嬢「だから駄目ーっ! ウンディーネがいいわっ! ウンディーネが一番いい! 最っ高ですわ!」

玄武娘「はぁ」

シュイイィィィン

玄武娘「よーし、道路を水洗いして瓦礫を押し流すですのー!」
937 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:29:39.35 ID:U0w9Vl8go


老人「助かったよ、ありがとうさん」

子供「どうもありがとーっ!」

朱雀嬢「……いえっ、感謝されるような立場ではありませんわ」

老人「……?」

朱雀嬢「私達のせいでこうなってしまったんですもの……。だから……」

老人「何を言っておるか、君達が居てくれたから、この町も形が残っておるんじゃ」

老女「そうそう。お嬢さん方が居なかったら町ごと無くなってたかもしれん」

朱雀嬢「……っ」

老人「国軍には腹が立つ事もある。でも、間違った事はしとらんよ」

老女「もうすぐなんだろ? 魔物を倒して平和な世が訪れるのはさ」

玄武娘「そうですの! もうすぐですの!」

老人「この子達が平和に暮らせるように、儂らが望んでいるのはそれだけじゃ。頑張ってな」

子供「頑張ってねっ、お姉ちゃん!」

朱雀嬢「……あ……りがとっ」
938 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:31:19.36 ID:U0w9Vl8go


番長「そっちは全て終わったでゴワスか?」

親衛隊長「ホワッツ? なぜ彼女はクライング?」

朱雀嬢「……何でも……ないですわよっ」

番長「うぅむ」

玄武娘「朱雀嬢ちゃんは悔しいんですの」

朱雀嬢「……」

玄武娘「町の人達はああ言ってたけど、悔しいんですの!」

特攻隊長「よく分かんねーが、悔しい気持ちがありゃいいんじゃねぇか?」

朱雀嬢「……」

番長「その悔しさをバネに、もっと強くなればいいんでゴワス」

親衛隊長「ミー達ももっとパワーアップするつもりさ!」

玄武娘「そうですの! だから朱雀嬢ちゃん、泣かないで頑張ろうですの!」

朱雀嬢「……分かってるわよっ」

番長「東の町は少しずつ落ち着きを取り戻してきたでゴワス。他所は大丈夫でゴワスかねぇ……」
939 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:32:15.06 ID:U0w9Vl8go
〜南方司令部〜

南方副司令「……あ?」

南方参謀「今、何て言ったの?」

南方弓長「ですから、軍を辞めさせて下さい」

南方副司令「あのなぁ、そんな急に……」

南方弓長「私はこれ以上、戦いを続ける事は不可能です」

南方参謀「貴女……っ」

南方弓長「別に逃げるわけじゃないんです。でも……国軍として戦うのはもう……」

南方参謀「……どうしても?」

南方弓長「軍人としての無能さを痛感しました」

南方副司令「思い込みも甚だしい。士官としてここまでやってきたであろう」

南方弓長「……共に戦う仲間や、守りたいものを守れずして軍人は務められません」

南方参謀「ねぇ、もう1度時間をおいて考え直して……」

南方副司令「分かった。但し直ぐには回答出来ん。ひとまず辞表は預かる」

南方弓長「ありがとうございます」
940 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:33:36.25 ID:U0w9Vl8go
カツカツカツカツ…

南方参謀「ちょっと……いいの?」

南方副司令「今は戦後の傷心が大きいだけだ。そのうち吹っ切れる」

南方参謀「だと良いけど……」

南方副司令「当面は休職という形で休ませよう。どのみちあれでは、今後の戦いには無理だ」

南方参謀「……そうね」

南方副司令「幸い、南での戦いは終えたし、後は北への援軍だけだからな」

南方参謀「……うん」

南方副司令「それで、復興はどうなっている? 問題はないか?」

南方参謀「ええ。ここまで魔王軍の手は届かなかったし、東の町も犠牲者は居ないわ」

南方副司令「建物の損害だけか。物資は既に送っているし、数ヶ月内に完了しそうだな」

南方参謀「そうね。ただ……森や自然は1からまた作り上げるしかないわ」

南方副司令「……こう言っちゃ何だが、人間のエゴなのかねぇ」

南方参謀「かと言って放っておけば、自然はおろか私達だって魔物にやられるわよ」

南方副司令「未来の為の今の犠牲。今を生きる俺達は歴史が評価する……か」
941 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:36:04.72 ID:U0w9Vl8go


カツカツ…ザッザッザ

南方弓長「……何?」

ボス「いいのかよ」

南方弓長「別に逃げるわけじゃないわよ」

ボス「それは……分かってるがよ。姉御がそんな奴じゃねぇ事ぐらい分かってる」

南方弓長「じゃあ放っておいて頂戴」

ボス「……なぁ姉御」

南方弓長「……」

ボス「俺、本国に行く。司令から特遊にならないかって誘われたんだ」

南方弓長「知ってる」

ボス「近いうちに南を去ると思う。次は北で戦いがあるし……」

南方弓長「うん」

ボス「姉御は……残るのか?」

南方弓長「残るわ。私はこの地が好きだもの」
942 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:36:59.99 ID:U0w9Vl8go
ボス「……そっか」

南方弓長「頑張ってね。あなたならなれるわよ、特遊」

ボス「お、おう」

南方弓長「それじゃ、元気でね」

ボス「……おう」

ザッザッザ

南方弓長「……私ね」

ボス「……?」

南方弓長「軍を抜けて、ワーカーになろうと思うの」

ボス「え……っ?」

南方弓長「そうすれば、南方の自然を守る事が出来るでしょ」

ボス「あ、あぁ……」

南方弓長「だから、逃げるわけじゃないから。目を背けて……逃げるわけじゃないから」

ボス「……姉御!」

南方弓長「……何?」
943 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:37:59.22 ID:U0w9Vl8go
ボス「俺、絶対に特遊になって……南方に戻って来っから!」

南方弓長「……」

ボス「だからさ、そしたら……結婚してくれ!」

南方弓長「……っ」

ボス「1年……いやっ、半年! この戦いが終わったら迎えに来っから!!」

南方弓長「……馬鹿。付き合ってもいないのにいきなり結婚だなんて」

ボス「だから、待っててくれ!!」

南方弓長「……」

ザッザッザッザッザ

南方弓長「……あんまり……待てないわよ」

ボス「!?」

南方弓長「いいから早く行ってらっしゃい! 半年なんてあっと言う間なんだからねっ!」

ボス「お、おうっ! 行ってくる! 姉御も……頑張ってな!」

タッタッタッタッタ…

南方弓長「……ほんと……馬鹿なんだから……っ」
944 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:39:06.93 ID:U0w9Vl8go
〜赤壁〜

南方魔道長「ラクシャーサの遺体はハヌマーン軍が引き取ってくれるそうだ」

南方司令「そうか。助かるな」

南方魔道長「次は西か。南方司令部としてはどうするんだ?」

南方司令「どうも出来まい。南を安定させる事こそが正義の為の急務」

南方魔道長「それもそうだわな」

南方司令「明後日、華国で合同葬儀が行われるそうだ」

南方魔道長「行くのか?」

南方司令「本国の代表として行くさ」

南方魔道長「華国にしてみりゃ盾にされたようなもんだ。恨まれてるかもしれんぜ?」

南方司令「だから何だ。我らも華国も間違った事はしていない」

南方魔道長「……まぁ、な」

南方司令「その上で咎めを受けるなら甘んじて受けよう。それは恥でも何でもないのだからな」

南方魔道長「……たまーにいい事言うよな」

南方司令「……何の話だ?」
945 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:40:09.46 ID:U0w9Vl8go
〜華国、東の城〜

老文官「葬儀の手筈は一通り完了した」

若文官「名高き五虎将が3名ですから、残り2つの街からも多くの民が来る事でしょう」

三男「……ああ」

側近「本国への連絡は宜しかったのですか?」

白馬騎士「本国は引き続き、戦を控えております。手間をかけてはいけませんから」

老文官「だがな、彼らが亡くなったのは本国の……」

三男「老文官、やめぬか」

老文官「……っ」

三男「もし彼らが拒めば、回避する事とて出来たはずだ。受け入れたのは彼ら」

老文官「し、しかし……っ」

三男「そして彼らの主は私だ。罪は私にある。裁くのであれば私を裁け」

老文官「……失礼致しました……っ」

三男「苦しいのは私達だけではない。本国や他の連中とて多数の犠牲を払っておるのだ」

白馬騎士「……陛下の仰る通りです。今はもう、国や人の隔たりすらないのですから」
946 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:41:10.62 ID:U0w9Vl8go
〜旧スグリーヴァの城〜

猿兵「ハヌマーン様、南方司令部への通達完了致しました」

ハヌマーン「うむ。敵とは言えかつては我らの同士だ。この地に葬ってやろうではないか」

ラクシャーサ「すまねぇな……本当に」

ハヌマーン「お主らの為ではない。魔族としての事だ」

ラクシャーサ「……ッ」

ハヌマーン「さて、オークの様子を見てくる。ここは任せるぞ」

猿兵「はっ」

スタスタスタ…

猿兵「ハヌマーン様、辛いであろうに気丈に振舞われて……」

ラクシャーサ「すげぇ奴だよ、ほんと」

猿兵「スグリーヴァ様亡き今、それでもハヌマーン様に頼らねばならぬとは……」

ガーゴイル「なっさけねぇよな俺達……ッ。もっと頑張ろうぜ!」

ラクシャーサ「俺らだって何でもする。アンタらにこの命貰ったようなモンだからな」

猿兵「……よし、早速取り掛かろう」
947 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:42:27.86 ID:U0w9Vl8go


スタスタスタ

ハヌマーン「オークの様子はどうだ?」

マーマン「んにゃ、ピクリともしねぇ。本当に生きてるかどうかも俺っちにゃ分からんよ」

法師「生きていますよ。オークは間違いなく生きています」

ハヌマーン「お前はお主は法師殿の申す事が信じられぬのか?」

マーマン「いや、そうじゃねぇけどよ」

ハヌマーン「だったら落ち着いて待っていられぬのか」

法師「いつ目編めるかは分かりません。明日かもしれませんし、何百年後かもしれません」

マーマン「そんなに待つのか……気が滅入るな」

法師「待てるだけ良いではないですか。私などせいぜい5、60年しか待てませんよ」

マーマン「あーあ。なーんかポッカリと穴が空いちまったみてぇだなぁ……」

ハヌマーン「あれだけ激しい戦いであったからな。そう思うのも仕方あるまい」

法師「暇潰しに何か始めてみたらどうですか?」

マーマン「うーん……。別にやりたい事も特にないしなぁ」
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:43:14.29 ID:U0w9Vl8go
ハヌマーン「旅にでも出たらどうだ?」

法師「それは良いかもしれませんね」

ハヌマーン「南方以外にはまだ多くの魔族が居る。中にはまだ同志に為り得る者も居るだろう」

マーマン「うーん……」

ハヌマーン「それに人間達はまだ、他の魔王と戦っているのだ。お主が助力したらどうだ?」

マーマン「なーんか気が乗らねぇんだよな〜」

ハヌマーン「お主と言う奴は……」

法師「まぁまぁ。休んで心を整える時間を大切ですよ」

マーマン「……おっしゃ、まぁ行くだけ行ってみるか〜」

法師「良いのですか?」

マーマン「ここでボーっとしてても始まらねぇし、気晴らしにもなるってもんだ!」

法師「……まぁ、無茶はせずいつでも戻って来るように」

ハヌマーン「しっかり働いてくるのだぞ」

マーマン「分かってますって! じゃあオーク、帰ってきたらまた美味いモンでも食おうな!」

オーク「…………」
949 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:44:31.85 ID:U0w9Vl8go
〜三日月島、西国側の港〜

ザザーン

魔道士「到着〜っ」

召喚士「すっかり日が暮れ始めてますね」

戦士「もう冬も近いしなぁ……。こっちは暑ちぃけど」

盗賊「……うん。じめじめはしなくなってきたかな」

魔道士「まずはどうしますっ?」

召喚士「西国の拠点へ行ってもいいですか?」

盗賊「……何かあるのか?」

召喚士「神官さんが居るなら、会って話をしたいと思いまして」

戦士「俺は全然構わんぜ」

魔道士「私もですっ!」

盗賊「……ならばm、、まずは行ってみようか」

召喚士「ええ、すみません」

三日月島へと到着した4人は、西国の拠点を目指し馬車へと乗り込んだ。
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 17:44:53.76 ID:eDWuBIMDO
いちおつ
951 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 17:45:14.19 ID:U0w9Vl8go


パッカパッカパッカ

魔道士「わぁっ、夕日が綺麗〜っ!」

盗賊「……本当だ、神秘的だな」

赤く染まった空と海。夕日が暮れる光景と西国独特の砂を含んだ大地の景色。

馬車から見えるその不思議な景色に、4人は無言で心を奪われる。

戦士「こんな景色、大事にしたいよな」

召喚士「うん。その為にも……早く戦いを終わらせなきゃ」

魔道士「えぇ……っ」

パッカパッカパッカ

盗賊「……おっ、見えてきたぞ」

戦士「以前来た時より作りもしっかりしてきたなぁ!」

召喚士「うん。お店の数も増えてるし賑わってるね!」

魔道士「楽しそう〜っ。私達も早く行ってみましょうよっ、えへへ!」

召喚士「そうですね、行ってみましょう!」
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 17:57:21.96 ID:U0w9Vl8go
よし!残り50切りましたので久々にオマケ投下して、
本編は次スレから再開致します!

33スレ目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318927989/

今回はちゃんとあっちのスレもテンプレに入れ忘れずに出来た!
それでは引き続き、ご支援よろしくお願いします&ありがとうございます!ノシ
953 :>>396さんリクありがとうでした! [sage saga]:2011/10/18(火) 17:59:06.87 ID:U0w9Vl8go
キーンコーンカーンコーン

召喚士「……はぁ」

戦士「おーす! どしたぁ? 元気ねぇじゃんか!」

召喚士「だって今日は体育祭だよ?」

戦士「体育祭大歓迎っ! 今年はぜってぇ優勝してやるぜ! なっ?」

召喚士「でも俺……運動は苦手だから……」

戦士「大丈夫だって!」

召喚士「それに、写真部は撮影の仕事もあるし……」

戦士「そうなんか!? そんじゃ俺の勇姿、バッチリ写しといてくれよ〜?」

召喚士「それは任せといてよ!」

戦士「ハハッ、んじゃ早く教室行って、準備しようぜ!」

召喚士「うんっ」



召喚士「行けっ!コカトリス学園」

      〜第ニ部〜
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 17:59:47.56 ID:U0w9Vl8go
〜教室〜

戦士「んで、どういう組分けだっけ?」

召喚士「去年と一緒、棟ごとの組分けだよ」

戦士「んじゃ俺達中央棟の圧勝じゃんか」

召喚士「そうでもないよ。各棟にはそれぞれ運動神経抜群の人が揃ってるからね」

魔道士「おっはよ〜♪」

戦士「おう魔道士。今日も元気だな」

魔道士「もっちろん! だって今日は体育祭よ? ね、召喚士くんっ」

召喚士「う、うん」

魔道士「あ、そうだ! 召喚士くん写真部だから撮影あるんだよね?」

召喚士「えっ、う……うん。そうだけど……どうかした?」

魔道士「午後の応援合戦で中央棟のチアガールやるからバッチリお願いねっ!」

召喚士「!?」

魔道士「綺麗に写してくれないとぉ〜怒っちゃうぞっ! なーんてねっ、えへへ!」

召喚士「は、はははっ」
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:01:11.82 ID:U0w9Vl8go


ヒュルルーッ…パンッパンッパンッ!!

大軍師「えーそれでは、これより体育祭を始めます」

ワーワーワー!!

大軍師「まずは校長先生の挨拶です」

スケル「んなモンいらねーぞ! 校長死ねやコラ!」

ゴルリン「タリーんだよ! さっさと始めろや!」

カツカツカツ

総司令「……」

大軍師「……校長?」

カポッ…ポイッ

天才「ハーッハッハッハ! オラてめぇら、気合い入ってんのかコラアアァァ!!」

リザード「校長じゃねええぇぇ!! 生徒会長じゃねえぇかああぁぁぁぁ!!」

天才「俺様はなぁ、校長兼生徒会長なんだよ」

スタッ…ザッザッザ
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:01:38.47 ID:U0w9Vl8go
ゴルリン「あ、ああぁぁ……っ」

天才「テメーとテメーとそこのオメー。さっき死ねとか殺すとか言ってたよなぁ?」

スケル「そこまで言ってねええぇぇ!」

リザード「てか俺は一言も文句言ってねええぇぇ!」

天才「はいさようなら。教頭、コイツら退場させて」

大軍師「はい。それじゃ警備員さん、連れてって下さい」

騎士団長「ほら、早くしろ! 迷惑かけるんじゃない!」

天才「さぁ気を取り直して始めんぞ!」

ワアアァァァァ!!

大軍師「それでは第一種目、男子100m走です。参加の生徒はトラックへお集まり下さい」

ザワザワ…ゾロゾロ

戦士「さーて、ぶっちぎりで勝ってやんぜ!」

西方副司令「西方司令〜頑張ってぇ〜!」

西方司令「ひえぇっ、絶対無理だあぁ……転んで骨折して死ぬうぅ!」

戦士「雑魚ばっかだな」
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:02:46.90 ID:U0w9Vl8go
――「どうかな」

戦士「て、てめぇは……!!」

ハヌマーン「陸上部エースの私が南棟代表として走る」

戦士「きたねーぞ南棟! 本職の外人出すなよ!」

南方司令「何故だ、卑怯な真似はしとらん」

火忍「おいおい、何熱くなっちゃってんの? 俺も忘れちゃ困るぜ」

戦士「……誰だよ」

火忍「おい!」

眼鏡「北棟は僕だ。君達には負けないよ」

戦士「……雑魚ばっかかと思ったら意外と強敵揃い」

天才「ちっ、やっぱ俺様が出ればよかったぜくそ」

召喚士「戦士ーっ、頑張って!」

戦士「やるだけやってみるしかねぇか」

大軍師「それでは位置について……」

ゾロゾロゾロ
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:03:49.95 ID:U0w9Vl8go
南方魔道長「あの眼鏡って奴、クラウチングが犬みてーだな」

玄武娘「本当ですの!」

眼鏡「……」

大軍師「よーい……」

パァンッ!!

戦士「くぬっ、早い!」

ハヌマーン「はあぁーっ!」

眼鏡「……っ」

ダダダダッ…タタッ!!

ハヌマーン「圧勝だな」

眼鏡「……ふーっ、届かなかったか」

戦士「くっそー! まさかの3位かよ……っ」

火忍「……お、俺が4位……嘘だろっ」

タッタッタ…ヨロッ

西方司令「ひっ、ひっ、ひいぃ……死ぬううぅぅ」
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:04:33.44 ID:U0w9Vl8go
大軍師「続きまして女子100m走です。参加生徒は同じくトラックへお集まり下さい」

ザッザッザ…ドヨッ!!

魔道士「出ました優勝候補!」

戦士「あん? あぁ、盗賊か」

火忍・水忍・風忍・雷忍・土忍「せーのっ、ひ〜め〜!!」

盗賊「やめいっ! このたわけ共が……っ」

西方副司令「はぁヤダヤダ。テキトーに走って終わらせましょ」

くの一「ふん。貴様には負けんぞ」

魔法剣士「剣道部のエース対決か。面白いな」

東方司令「2人の後輩が汗を流しながら戦いあう……たまらん」

魔法剣士「お前はその流している鼻血を拭け」

南方参謀「ちょっと! 私が出るって言ってるでしょ!」

南方弓長「馬鹿なんじゃないのっ!? 女子なのになんでオカマのアンタが出るのよ!」

戦士「んで、中央棟は誰なんだ?」

召喚士「あの人みたいだね」
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:05:33.10 ID:U0w9Vl8go
女隊員「よーし、頑張るッスよ〜」

大軍師「それでは位置について、よーい……」

パァンッ!!

盗賊「……っ」

くの一「くぅ……っ!」

タタタタタッ…タタッ

戦士「おぉーっ、やっぱ盗賊か! 流石運動神経抜群だな!」

召喚士「は、早っ」

戦士「ところで写真いいのか?」

召喚士「あ、うん。今は元部長が撮ってくれてるから」

カシャカシャカシャッ

神官「……むっ、これは我ながらベストショットなんじゃないか?」

西方副司令「だいたい文科系揃いの西棟が勝てるわけないじゃないっ!」

助手「本当よねぇ〜うふふっ」

1位:盗賊、2位:くの一、3位:女隊員、4位:南方弓長、5位:西方副司令
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:06:17.61 ID:U0w9Vl8go
大軍師「続きましての種目は、ニ人三脚です。男女1ペアで行います」

剣士「南棟は僕らだ。頑張ろう、弓使い」

弓使い「ええ、頑張りましょ」

南方副司令「これは南棟の勝ちだろ!」

南方参謀「いやー西も手強いわよ〜」

サモナー「頑張ろうねマーメイド」

マーメイド「ええ、頑張りましょうサモナー」

玄武娘「あーっ! サモナー先輩すごく親しそうですの〜ぐぬぬ!」

朱雀嬢「校内でも有名じゃないあの2人」

名代「大丈夫ですか?」

帝「うむ。小さくてすまんな」

隊長「あれも手強いぞ。あの1年、財閥の娘で3年の奴が住み込みの使用人だからな」

男隊員「どこもチームワーク抜群だな。んでウチら中央は……」

ウィッチ「はぁ、緊張してきたでございます……っ!」

青年兵「頑張りましょう、ウィッチさん!」
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:06:57.47 ID:U0w9Vl8go
隊長「こりゃ駄目そうだな」

東方司令「何故貴様となのだ!?」

魔法剣士「こっちが聞きたい」

大軍師「位置について、よーい……」

パァンッ!!

剣士「いっちにっ、いっちにっ」

サモナー「せーのっ、せーのっ」

天才「やっぱりあの2組がダントツだな」

エリート「どちらが勝つか……っ」

タッタッタッタ…タタッ

サモナー「か、勝った!」

マーメイド「やったぁ」

召喚士「サモナーくんっ、凄いよ!」

戦士「やるじゃねぇか漫研!」

サモナー「あ、ありがとう……ははっ」
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:08:28.81 ID:U0w9Vl8go
大軍師「次の種目は玉入れです。全員参加となります」

ゾロゾロゾロ

戦士「さぁ、野球部の腕の見せ所だ」

男隊員「関係あんのかそれ?」

大軍師「それでは……はじめっ!」

戦士「うおりゃああぁぁ!!」

双子姉「飛距離は十分っ!」
双子妹「でも全然入ってない!?」

南方司令「いけぇ! ジャスティスハリケーン!」

シュババババッ!!

南方弓長「それ全然意味ないですよ先輩……」

天才「てめぇコラ! きたねぇぞ何だそれ!」

博士「何だって投石器なのら。この角度で……射出」

バシュッ…ポスッ

天才「反則だろうがこらああぁぁぁぁ!!」

博士「ルールには機械を使っちゃ駄目とは書いてないのら」

1位:西棟、2位:中央棟、3位:北棟、4位東棟、5位、南棟
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:09:36.28 ID:U0w9Vl8go
大軍師「4種目は綱引きです。トーナメント制になります」

天才「ここはぜってぇ取るぞ!」

戦士「おう!」

大軍師「一回戦、東棟対西棟」

火忍「ぶっ殺す!」

雷忍「カカカッ!」

鍛冶娘「絶対勝ち目ないじゃん……」

西方参謀「いやぁ〜そうでもないぜ? ゲップ」

西方副司令「綱引き前にコーラばっか飲んでると吐くわよ?」

大軍師「それではよーい……どんっ」

西方司令「んおっ!? なんか知らんがパワーが漲るぜええぇぇ! 死ねやおらああぁぁ!!」

西方参謀「ほらな……っ、縄と言えどこんだけ太くて長けりゃ……うっぷ、おえっ」

西方司令「おらおらおらおら早く滅べ死ね吹っ飛べ消えろ消失しろおおぉぉぉぉ!!」

グイィッ…ズザザーッ

大軍師「西棟の勝利〜!」

風忍「まさか西に負けるとは……っ」

盗賊「……凄いのが居たな」
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:10:37.74 ID:U0w9Vl8go
大軍師「続きまして南棟対中央棟〜」

召喚士「もしかしてうちら、勝っても北棟とやるの?」

戦士「みたいだな。ま、仕方ねぇ」

天才「連戦だ。一気に片付けんぞぉ!」

南方司令「やれるものならやってみよ!」

天才「ほぉ、偉そうなクチ叩くじゃねぇかコ……」

ズイッ

番長「行くでゴワスよー」

兄者「うむ」

弟者「ふんっ」

騎都尉「捻り潰してやる」

戦士「な、なんだこの筋肉ダルマ共は……」

召喚士「ラ、ラグビー部の皆さんと……不良の番長だね……っ」

大軍師「それではよーい……どんっ」

天才「クソがああああぁぁぁぁ!!」
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:11:24.68 ID:U0w9Vl8go


大軍師「それでは二回戦、南棟対北棟」

天才「覚えてろよラグビー部が。部費下げてやるわくそ」

戦士「おーいてて、すっげー力」

魔道士「召喚士くん大丈夫だった!?」

召喚士「う、うん。大丈夫……ありがとう」

大軍師「それではよーい、どん」

北方司令「勝てるわけないぃ〜!」

ズザザザザッ

参謀「しっかり働いて下さいよ留年コンビ」

左翼長「うるせー!」

騎士長「留年は関係ねーだろ、留年はよぉ!」

大軍師「続きまして決勝、西棟対南棟」

西方副司令「……本当に勝てるの?」

西方参謀「いや流石にこれは予想外……。無理だわ、ゲップ」
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:12:00.35 ID:U0w9Vl8go


南方司令「よし、追い上げてきたぞ!」

ボス「綱引きの勝ちはデカイな!」

大軍師「さてここで昼食休憩です。午後は13時より再開致します」

ゾロゾロゾロ

戦士「召喚士〜。メシ食おうぜー」

召喚士「あ、うん。撮り終わったらすぐ行くよー」

魔道士「ねぇねぇ、良かったら私達と食べない?」

戦士「おっ、いいんかよ!?」

魔道士「ちょっとお弁当作りすぎちゃって〜」

デデーン

戦士「……何これ」

魔道士「お弁当〜♪」

召喚士「す、すご……っ。おせちみたいになってる……けど」

大商家「体育祭だと言うのに、早起きして自分で弁当などこしらえてしまってねぇ」
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:12:28.43 ID:U0w9Vl8go
魔道士「もうお父さんっ、別にいいじゃない」

召喚士「ははっ」

スタスタスタ

師匠「うい〜っと。お、こーんなとこにいやがったぁ。やってっかぁ?」

召喚士「と、父さん……っ!」

師匠「おうおう、美味そうじゃねぇか。どれ……ん、美味い!」

召喚士「ちょっと何やってるんだよ! す、すみません本当に……」

魔道士「いえいえ、構いませんよ〜」

召喚士「ちょっと父さん、また昼間から酒飲んで……」

師匠「ワリーかよこら。お?」

召喚士「みんなもいるんだし、しっかりしてよ……」

師匠「んだぁ〜? 親に説教垂れるってかコラ!」

騎士団長「何が騒ぎですかな?」

師匠「ちっ何でもねーよ。あーあ……キャバクラでも行ってアマゾネスちゃんに相手してもらお」

召喚士「ごめんなさい、何だか迷惑かけて……」
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 18:13:01.14 ID:U0w9Vl8go
戦士「いやいや、まぁうちの親父も似たようなもんだし別に気にもならねぇって」

召喚士「戦士のとこも?」

戦士「ああ。何だか定職にも就かずプラプラと……」

ババッ!!

召喚士「ど、どうしたの?」

戦士「いや、背後から何か視線を感じて……気のせいか」

クルッ…ババッ!!

戦士「……今、木の影に何かいなかったか?」

召喚士「さ、さぁ……」

戦士「……ま、いいか。さて頂くとすっか」

魔道士「ドンドン食べて下さいね〜っ、えへへ!」

召喚士「いただきますーっ」

ジーッ

戦士父「……見守っているぞ、息子よ」

こうしてお昼休憩はおわたわけです。そして午後の部!
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 19:00:12.42 ID:U0w9Vl8go
大軍師「まずは女子による応援合戦です」

ワーワーワー!!

番長「フレーッ、フレーッ、み・な・み!!」

ボス「邪魔だどけ! 見えねーだろうがっ!」

ポヨンポヨンポヨンッ

玄武娘「頑張れですのー!」

ポヨンポヨンポヨンッ

白虎嬢「ファイト〜♪」

ポヨンポヨンポヨンッ

弓使い「頑張れ頑張れけ・ん・し♪」

召喚士「特定名!?」

ポヨンポヨンポヨンッ

南方弓長「ちょっとキツイわねこの服……」

チマッ

朱雀嬢「……くっ!」
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 19:00:43.39 ID:U0w9Vl8go
チマッチマッ

朱雀嬢「おっ……」

幼女「ふぁいとー!」

朱雀嬢「……くうぅ!」

戦士「なんか小学生がいんぞ?」

召喚士「飛び級だよ。天才児って評判だよ」

エリート「可愛いものだな」

天才「……」

エリート「何だ?」

天才「いや、そういう趣味なのかってドン引きしただけだ」

エリート「……?」

隊長「応援合戦は南の圧勝だな」

南方参謀「そーれっ、ファイト〜♪」

西方参謀「ブホアッ!!」

隊長「前言撤回」
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 19:01:29.40 ID:U0w9Vl8go
西方参謀「西だって負けてないぜ〜?」

男隊員「おっ!?」

西方副司令「ゴーゴー西棟!」

鍛冶娘「恥ずかしい……っ」

南方魔道長「タンクトップにツナギか。なかなか変わったコスチュームだな」

南方副司令「流石は工業系。なかなかいいアイディアだな」

ゴロツキ「女も悪くねぇな!」

チンピラ「おうおうっ!」

ポヨンポヨンポヨンッ

助手「いぇ〜いっ♪」

左翼長「北も負けんな〜!」

くの一「……」

東方司令「なんでボクらがこんな……くっそー」

参謀「人手不足が否めない……」

副官「で、ですねぇ……ファイトー」
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 19:02:07.29 ID:U0w9Vl8go
やばい終わらなかった…とりあえず帰りますごめんなさい
ご支援ありがとうございました!では!ノシ
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 19:07:57.72 ID:d5gAo1WIO
乙乙
オレもコカ学か通いたかった…
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 19:23:38.81 ID:15wYXxPCo
>>925
でも今までツヴァイハンダーしかなかったのが
二番煎じを造れる様になったら人間にとって大きな前進だ
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/18(火) 19:24:48.28 ID:CzbUi+xBo
久々のオマケだ!!
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/18(火) 19:29:52.53 ID:ZSmeyWaAO
>>1
久しぶりに爆笑した気がする
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:03:43.18 ID:cppb3WFDO
>>1
アマゾネスがキャバ嬢って想像できん
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/18(火) 20:13:33.54 ID:pRaLp9C30
いちおつありがとう!
はじめてリクエスト叶いました!

校長兼生徒会長ワロタ
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/18(火) 23:22:18.81 ID:Ea4CFNgbo
>>1
ゴルリン!ゴルリンじゃないか!
981 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 23:31:18.95 ID:czXJuSlBo
西方参謀「さぁて、東棟の連中は……」

男隊員「ぬおっ!?」

ポン……ポ゚ン…ポンポンポン

戦士「おぉ!?」

ススッ…

盗賊「……」

帝「ちと、照れくさいのぅ」

眼鏡「まさか着物とはな。これは驚きだ」

北方司令「人数こそ少ないが、華がありますね」

召喚士「凄い……っ」

戦士「写真撮っとけ!」

召喚士「えっ!? う、うん……っ」

盗賊(見て……くれてるかな?)

チラッ

盗賊「――!?」
982 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/18(火) 23:33:02.13 ID:czXJuSlBo
召喚士「……どしたの?」

戦士「な、何でもねぇよ!」

盗賊(みみっ、見てた……っ!?)

天才「さぁいよいよ中央棟だぜぇ?」

ピーッ!!

魔道士「ファイトーッ! オーッ!」

双子姉妹「ファイトーッ! オーッ!」

ウィッチ「ファイトーッ! オーッ!」

占い師「ファイトーッ! オーッ!」

男隊員「な、なんかフラットな感じだな」

ピクッ…ゴゴゴゴゴゴ

魔道士「ファイトーッ! オーッ!」

戦士「すっげぇ気合い入ってんなぁ……」

召喚士「そ、そうだ! 写真撮っておかなきゃ!」

戦士「そうそう。後で怒られちまうぞ? はははっ」
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:42:24.63 ID:czXJuSlBo
大軍師「さぁ……各棟、熱のこもった応援合戦を終えたとろで、次の種目です」

戦士「次って何だっけ?」

召喚士「借り物競争……って、俺の番だ!」

大軍師「借り物競争へ参加の生徒はグラウンドへお集まり下さい」

南方司令「何が何でも勝つ。正義の名において!」

左翼長「何の正義だよ……」

王子「西棟代表として頑張るぜぇ〜!」

槍侶「が、頑張るぞ!」

大軍師「合図と同時に正面にあるテーブルから、紙を1枚選んで下さい」

召喚士「よ、よーし……頑張るぞっ!」

大軍師「それではよーい……スタート!」

南方司令「これにするか」

召喚士「よしっ! これだ!」

ガサッ…パラッ

召喚士「!?」
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:48:35.38 ID:czXJuSlBo
南方司令「……きゅうりのぬか漬け?」

左翼長「あん? ねこさん剣士のぬいぐるみ……? 何だそりゃ」

召喚士「好きな物……? カ、カメラ――」

クルッ…キョロキョロ

召喚士「しまった! 撮影交代で元部長が持って行っちゃった……っ」

カシャカシャカシャッ

神官「……うーむ。屋上から見下ろしての撮影も味があって良いなぁ」

召喚士「くっ、あんな所にいいぃぃ!!」

槍侶「ピアノ? ピアノって普通のピアノでいいのかな? それなら音楽室に行けばすぐだっ」

ダダッ

召喚士「まま、まずい! 今から部室に行ってたら間に合わないしえぇと……っ」

王子「魔道士せんぱーい!」

召喚士「魔道士さんっ!? し、仕方ない……好きな……もの!」

ダダッ…タッタッタッタッタ

魔道士「へぇっ!?」
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:51:12.31 ID:czXJuSlBo
召喚士「!?」

王子「魔道士せんぱーいっ! 失礼しまーす!」

ギュッ…グイグイ

魔道士「なっ、何!?」

王子「ほらほら、これ見て!」

魔道士「……っ!!」

王子「おっぱいって書いてあるからさ。あ、でも……先輩って……」

ソーッ…ツンツン

王子「おっぱいあるかなぁ〜? 触って確かめてみよっかな〜?」

召喚士「な、何だあいつ……!」

王子「うへへへー」

ガシッ

王子「!?」

皇太子「そこまでだ。ちょっとこっちに来い」

魔道士「皇太子先輩っ!?」
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:53:24.24 ID:czXJuSlBo
王子「理事長の息子!」

皇太子「やって良い事と悪い事がある。お前は失格だ」

王子「じゃあおっぱいなんて入れておくなよなああぁぁぁぁ!」

ズルズルズル

魔道士「……よ、よく分からないけど助かった……っ」

召喚士「あ、あの……魔道士さんっ!」

魔道士「!?」

召喚士「……ししし、失礼しますす……っ!」

ギュッ…ダダダッ

魔道士「へっ? へぇっ?」

戦士「……まさか……あいつもおっぱい」

天才「バーカ。んなワケねーだろ」

タッタッタッタッタ

召喚士「はいっ!」

大軍師「……えぇと、うーんまぁ……はい。いいでしょう」
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/18(火) 23:56:53.80 ID:czXJuSlBo
召喚士「やったぁ!」

魔道士「一体、何だったんです?」

大軍師「えぇとですね、好――」

召喚士「わーわーわー!!」

魔道士「……な、何よもうっ。気になるなぁ〜」

召喚士「内緒でおねがいします! ひそひそ」

大軍師「は、はぁ」

ズシンスシンズシン

槍侶「ピピ、ピアノおおぉぉぉぉ!!」

騎士長「担いできたぁ!?」

隊長「リアルなピアノ持ってきやがった!!」

左翼長「ねこさん剣士ねこさん剣士……」

テクテクテク

左翼長「この写真と同じ……おぉ、あったあった! おい、これちょっと貸してくれ!」

盗賊「こっ、こらぁ!!」
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 00:13:56.68 ID:/P3Acchzo
大軍師「それでは次の種目に移ります。続いては……」

左翼長「おい、1人帰ってきてないぞ」

大軍師「遅そうなのでさっさと次、始めます」

西方参謀「意外と薄情だな……げっぷ」

大軍師「続いての種目は騎馬戦です」

戦士「うおぉ! 来たー!」

天才「何が何でも死んでも勝つぞ!」

南方副司令「団結力ならうちが1番だ」

南方参謀「肝心のリーダーが居ないけどね」

南方弓長「何やってんのよほんとにもう……っ」

左翼長「今年で4回目の騎馬戦だ。手馴れたもんだろ?」

騎士長「ああ、任せておけ……あんまり喜ばしくねーけど」

帝「東のちーむわーく、見せてやろうではないか」

名代「当然です。ここは是非にも勝利したいところ」

盗賊「うん。勝とう」
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/19(水) 01:13:42.31 ID:fYdKo7rAO
>>1おつ
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/19(水) 02:38:55.26 ID:c3SRU+Rf0
>>1
次スレもよろしく
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/19(水) 02:51:12.74 ID:haYyN3Xd0
いちおつ
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/19(水) 08:29:53.79 ID:vyXJoG8AO
>>1

何というオマケ…天才わろた
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 11:45:58.60 ID:ok3OkM4Fo
大軍師「それでは選手入場です」

【東棟】
騎手:盗賊、騎馬:火忍、風忍、水忍
騎手:帝、騎馬:名代、武士、雷忍

左翼長「女が出るのか……?」

参謀「そうみたいですね」

火忍「さぁ姫! 乗って下さい」

盗賊「変なとこ触るなよ。父上も見ておられる」

御館様「……」

影忍「妹よ。その勇姿はブログにアップしておいてやるぞ……っ!」

【西棟】
騎手:王子、騎馬:神官、サモナー、ドワーフ
騎手:博士、騎馬:西方司令、西方参謀、局長

王子「さぁ今度こそ活躍してモテモテになってやるぞー!」

神官「考えがやましいというか……」

男隊員「西には勝てそうだな」

隊長「どうかな。またお得意の発明品があるやもしれんぞ」
【北棟】
騎手:騎士長、騎馬:左翼長、北方司令、参謀
騎手:東方司令、騎馬:魔法剣士、眼鏡、詩人

騎士長「なんで急にお前が出る事になってんだよ」

東方司令「別にいいじゃん! 賢者どっか行っちゃったんだから代理よ代理!」

魔法剣士「おい軽音部。髪型はいいからせめてギターは置いてくれないか?」

ギュイィーン!!…ジャカジャカジャカ

詩人「それは出来ない相談だな。これは言わば、ぼくの魂で云々……」

【南棟】
騎手:白馬将軍、騎馬:兄者、弟者、騎都尉
騎手:南方司令、騎馬:オーク、剣士、ボス

西方参謀「きたねーよなぁ。南はスポーツ系が多いから人材豊富すぎんだろ」

西方副司令「ウチなんて芸能クラスの東にすら危ういわよ……」

白馬将軍「騎馬戦に勝てば南棟の優勝も見えてくるぞ!」

騎都尉「ブッコロス!!」

兄者・弟者「オーッ!!」

三男「お兄ちゃん、怖いよあの先輩達……っ」

法師「物騒ですね……ははっ」

【中央棟】
騎手:皇太子、騎馬:エリート、天才、隊長
騎手:召喚士、騎馬:戦士、青年兵、ジュニア

皇太子「さぁ、優勝目指して頑張るぞ!」

天才「何でこの俺様が馬役なんぞ……」

女子生徒達「きゃーっ! 皇太子様〜っ♪」

隊長「さすが理事長の息子で文武両道。怪我だけはさせちゃならねーな。はは……っ」
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 11:48:26.88 ID:ok3OkM4Fo
戦士「召喚士、いいか?」

召喚士「う、うんっ。宜しく……お願いします」

青年兵「こちらこそ! 頑張ろうね!」

ジュニア「ハッハ、まぁ適当にやってみましょーや」

大軍師「それでは各騎馬、位置について下さい」

ジャリッ…ザザザッ

大軍師「用意……」

天才(狙うは……)

左翼長(当然……)

パァンッ!!

天才「南だぁ! 集団でかかれば潰せる!」

左翼長「厄介な奴から先に始末しろおぉ!」

ズザザッ…グイッ!!

男隊員「さっすが留年組、騎馬戦をよく分かってやがる!」

天才「俺様は留年じゃねぇ! 校長兼生徒会長だっ!」

東方司令「何が起きても競技中の事故! これは不可抗力!」

モミモミサワサワ

盗賊「――っ!!」

帝「こ、こらっ!」

東方司令「ふへへ〜」

盗賊「先輩と言えど……手加減無用っ」

バキッ!!

東方司令「ぎゃあぁ!」

盗賊「……まず1つ」

ドドドドドド

白馬騎士「そりゃあぁ!」

南方司令「ジャスティスホースウォーアタック!」

戦士「何だそれっ!?」

召喚士「あ、あぶ……っ!」

南方司令「ええい、チョコマカと!」

王子「おらおらっ、さっきはよくも恥をかかせてくれたなぁ!」

皇太子「甘いっ!」

バキッ!!

王子「ぎええぇぇーっ!」

皇太子「ふっ、この私に正々堂々挑むその度胸だけは認めてあげよう」

女子生徒達「きゃーっ、皇太子様〜♪」

王子「馬が悪い! 馬が!」

神官「いい加減にしろ!」

サモナー「は、ははは……っ」
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 11:49:19.44 ID:ok3OkM4Fo
ドドドドドド

帝「むっ、あそこは弱そうだな。ていっ」

博士「甘いのら」

ミョーン

武士「何だそれは!?」

博士「マジックハンドなのら。そーれ、こちょこちょもみもみ」

帝「あ、あふんっ」

雷忍「てめぇ、ぶっ殺すぞ!」

帝「くそぅ……落馬してしまった」

ブー

博士「何故っ!?」

盗賊「隙あり!」

博士「うわっ」

火忍「さっすが姫! お見事!」

盗賊「……次っ」

ドドドドドド

南方司令「ええい、逃げるな!」

召喚士「ひ、ひえぇーっ!」

ジュニア「いいぞいいぞ、かわせかわせぇ!」

天才「ナイス囮!」

戦士「そんなつもりじゃねぇ!」

南方司令「チェックメイトおおぉぉぉ!!」

グワッ…バキィッ!!

南方司令「ぎゃあーっ!」

騎士長「どこ見てやがる! ばーかばーか!」

白馬騎士「このっ!」

戦士「今だ召喚士!」

召喚士「う、うん!」

ドンッ…ドサッ

白馬騎士「くっ、油断したか……っ」

盗賊「隙あり!」

博士「うわっ」

火忍「さっすが姫! お見事!」

盗賊「……次っ」
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 11:50:25.91 ID:ok3OkM4Fo
ドドドドドド

南方司令「ええい、逃げるな!」

召喚士「ひ、ひえぇーっ!」

ジュニア「いいぞいいぞ、かわせかわせぇ!」

天才「ナイス囮!」

戦士「そんなつもりじゃねぇ!」

南方司令「チェックメイトおおぉぉぉ!!」

グワッ…バキィッ!!

南方司令「ぎゃあーっ!」

騎士長「どこ見てやがる! ばーかばーか!」

白馬騎士「このっ!」

戦士「今だ召喚士!」

召喚士「う、うん!」

ドンッ…ドサッ

白馬騎士「くっ、油断したか……っ」

召喚士「やった……」

戦士「いよっしゃあ!」

青年兵「残るは東と北だね」

騎士長「でりゃああぁぁ」

皇太子「ぬうっ」

盗賊「はぁーっ!」

召喚士「う、うわっ!」

皇太子「危ないっ!」

バキッ!!

皇太子「……不覚」

女子生徒達「ああぁぁ……っ」

盗賊「よし、強敵撃破」

天才「何、雑魚なんざ庇ってんだこのボケ! カス!」

皇太子「あのな、こういうのはチームワークが重要でだな……」

エリート「頼むから終わってからにしてくれないか? こっちが恥ずかしい……」

ドドドドドド

戦士「挟まれたぁ!」

ジュニア「お、おわっ! こんのヤロー!」

ゲシゲシ

雷忍「蹴るとは卑怯な奴!」

ジュニア「うるせー! 騎馬戦はケンカだケンカ! ハッハ!」

騎士長「隙あり!」

盗賊「隙なし!」

バキッ!!

騎士長「ぎゃあぁーっ!」
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 11:51:49.26 ID:ok3OkM4Fo
左翼長「なにやってんだこのバカ!」

召喚士「残るは俺らと……」

戦士「盗賊んとこか……」

名代「弱そうなくせにやりおる」

戦士「余計なお世話だ!」

ゲシゲシゲシ

ジュニア「おらシッシッ! しねしね!」

雷忍「てんめぇ、静電気起こしてやる! しね!」

バチバチッ!!

ジュニア「ギャアァ!」

戦士「こら! 何やってんだ踏ん張れ!」

青年兵「くぅ……っ」

盗賊「終わりだ!」

召喚士「――っ!!」

父『大きくなったな……召喚士』

召喚士「あ、あなたは本当の父さん……っ! ユニコーン父さんなんだね!?」

戦士「よく分からん回想始まったぁ!?」

バキッ!!

武士「ぎえぇーっ!」

盗賊「な、謎の力で何故か負けた……っ」

戦士「よく分かんねーけど勝ったぞぉ!」

青年兵「召喚士くん、お見事だよ!」

召喚士「や、やったぁ!!」

大軍師「騎馬戦の優勝は、中央棟です!」
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 11:52:21.40 ID:ok3OkM4Fo
〜フォークダンス〜

チャーラチャララララーチャラチャラララララー

召喚士「あ……っ」

魔道士「よろしくねっ、召喚士くん!」

召喚士「こ、こちらこそ!」

魔道士「今日の召喚士くん、すっごくカッコ良かったよ〜」

召喚士「えっ!? そそ、そんな事……ないよ!」

魔道士「ううん、私見直しちゃった! 普段の召喚士くんからは想像出来なかったから」

召喚士「あ、ありがと……っ」

魔道士「写真、バッチリ撮れた!?」

召喚士「えっ? あ、うん! バ、バッチリ!」

魔道士「そっか、えへへ〜!」

召喚士「……えっとその、か……彼氏にでもあげる……の?」

魔道士「やだ〜。彼氏なんていないよぉ」

召喚士「そっ、そうなんだ。魔道士ちゃんモテそうだから、居るのかと思ってた」

魔道士「居ないよー。私、好きな人居るけど……全然振り向いてくれそうもないし」

召喚士「そ、そうなの!?」

魔道士「うんっ。とっても鈍感だからきっと気付いてくれないんだろうなぁ〜」

チラッ

召喚士「……う、うまく付き合えるといいね。は、はは……」

魔道士「……ほーんと。気付いてくれればいいのにねっ! えへへ!」
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 11:53:02.70 ID:ok3OkM4Fo
大軍師「さぁここで優勝棟の発表です!」

天才「おっしゃ、これは中央棟の勝ちだろ!」

南方司令「いーや、南の優勝は固い」

大軍師「ただいま先生方が集計しております」

青龍先生「うーむ。これもなかなか」

火の先生「そうかぁ? こっちじゃないか?」

水の先生「何も分かってない!」

学園長「早くして貰えないかしら」

大軍師「決まりました。優勝は……」

ゴクリッ

大軍師「……幼女ちゃんです!」

幼女「えぇーっ!?」

戦士「……はい?」

大軍師「とびっきりかわいい応援を見せてくれました! おめでとうございます!」

天才「……もう全体的にドン引きだよ」

こうして体育祭は無事、幕を閉じた。そして次なる強敵が彼らを待ち受ける。

〜魔王学園〜

アンラ・マンユ「コカ学のカス共が最近、駅前でいきがってやがるなぁ」

ラーヴァナ「仕方ねぇ。俺ら7人の番長がブチのめしてやるとするか」

ネクロマンサー「これは頼もしいですね。クックック!」

おしまい!
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 11:54:45.95 ID:ok3OkM4Fo
まさかオマケで日を跨ぐ事になるとは申し訳ないです

改めて次スレ!33スレ目です!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318927989/

引き続き宜しくお願い致します!
それでは次スレにてお会い致しましょう!ノシ

久々の1000ゲット!1000ならみんな幸せ!
1001 :1001 :Over 1000 Thread
      (ヽ、 _ヽ、  )\     ヽヽ
     _ヽ、     ⌒  ヽ、     \\
     \ ̄     __    )ノ     ヽヽ
    ∠⌒     / )    ⌒ヽ     | |
     )   / ゙̄- く       \   ノノ
    /  /ノ^)___)ノl       ヽ_//
   /   //(/ !_|_|       ヽ三ヽ
   レヘ  |j(/l_/    |ノヽ      |──)  
    ノ (/l_/  /⌒| | | |  !   |二 二ヽ
  /   |_/__| |  | -| | ノノ    ノ── 、)
  /    `───| | ノ -| |   |/(())   ヽ  
 /⌒) ∧    ヽ/_//  /j()ノ_   (()) i
    // ノ     |_// / ̄ ̄`\ (())  j
      (ヘ       ̄   |   ヽ   \   /
       )/(/) / ⌒ |⌒ヽ |\  /i\ /|   )ヽ
            |/      |    !  / | ノ |  ( (
     )ヽ           |  /  /  ( ((|   ) ヽ
    (  )           |  / /    ヽ|  (   )
    ) (      、    /  ) |ヽ、_ __ ノ   )  (
   (   ヽ    ((   /  /−、|        (   ヽ
(    )   )    )ヽ  ヽ_ノ |  |   ヽ   ノ     )
 )  (    (   ノ  )     |   |  ( (  (      (
 (_ ノ     )(  ( (    / /^)  ) )  )
               )  / / /  (  ( _ノ
                 (/__/// // // )
  .ト、.  /ヽ |\  /ヽ  /”゙ォv' .// // /
  |. ヽ./ | ヽ! .`、/  ヽ,/     '     /_  _
: --!          ,,,,, ,,,,,               ̄./
\      ,illllli,,,,,,,,, lllll llll               /
_ヽ    ,llllllllllllllll!' ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,             ̄ ̄ ̄''_,-
\    ,illll!' ,illll!'  !!!!lllll!!!!l゙`     ,,, ,,,     ,r-'''゙ ̄
  >   ゙゙゙゙' .,illlll゙    lllll|  llllllllll!!!!!  llll !ll! iiii,, <_.
/_   .,illlll'   ,,,,,,,llllll,,,,,,,,,,      ,,,iillll!!゙   >
 ̄/   ,llll!!'    lllllllllllllllll!!!l_      :ll!!!゙゙゜   <_
――――――――――――――――――――――――――――――――

   ( ⌒ )
    l | /

   .__⊥_    <こんなおわらせかたじゃあ、
  (____)     あとがこまるじゃないか!
  |_ノ_ヽ  ヽ
  | 3 | ◎| ̄ ̄6)  なんというむせきにんなわしだ!!
  ( ̄○丶   .|
  ヽ_◎__/)
  (
                                               SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
                                                 http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
トモダチ作成方法求む @ 2011/10/19(水) 10:49:05.42 ID:wJcfDOtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1318988945/

ニートだけどバンドやってみたいpart3 @ 2011/10/19(水) 03:38:31.82 ID:4ADFpPAA0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1318963111/

コンボイ「ドロッセルお嬢様?」 @ 2011/10/19(水) 02:46:45.13 ID:+bWp5Oa/0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318960005/

ゆま様もゆーな様も私にとって大事な神様ですからたとえどんなときでも傍に居たいとおもいますっていうか信仰しませんか? @ 2011/10/19(水) 02:43:50.27 ID:hdjBUPXRo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1318959830/

こうむ @ 2011/10/19(水) 00:59:15.06 ID:3S1iSiYio
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1318953554/

おすすめ百合物件について語ろうぜ @ 2011/10/19(水) 00:25:50.05 ID:58e2iEUAO
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ここがフロリダ州だったら、お前さんの頭に風穴が開いてたぜ @ 2011/10/19(水) 00:18:00.63 ID:dPpWviMmo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1318951080/

スマートフォンとゾマホンの違いを俺にやさしく教えてくれるスレ @ 2011/10/19(水) 00:17:12.06
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