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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その29 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/17(火) 18:04:03.52 ID:PxOEeJJGo
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

〜前回までのあらすじ〜

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
ついに魔王アンラ・マンユを倒すべく、史上最大の作戦が発動される。

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その28)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/
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【進撃の巨人】俺「安価で巨人を駆逐する」 @ 2024/04/27(土) 14:14:26.69 ID:Wh98iXQp0
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
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佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/17(火) 18:04:53.66 ID:PxOEeJJGo
◆過去ログ(その1〜27)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/17(火) 19:12:30.20 ID:c9xLJwdAO
>>1

名士さんなんて覚えてるような覚えてないような…
イメージとしてはトイプードルなんだがなぁ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/17(火) 19:51:51.27 ID:+iL4RUfDO
>>1
新スレおめでとうございまーす!
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/17(火) 21:36:28.23 ID:vMv35UeFo
いちおつ

召喚士パーティそっくりさん騒動のときに話を聞きに行ったのが名士
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/17(火) 21:53:37.45 ID:i04GX5f4o
1001のAAが召喚獣っぽいものになってる
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/17(火) 22:09:07.56 ID:5y7I23fco
>>1
久しぶりに投票してきたぜ!
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/17(火) 22:49:36.13 ID:0kGgndCAO
>>1
乙!いつも楽しみにしてる
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/18(水) 08:36:38.38 ID:qgBpE/GQo
>>1
乙!いつも楽しみにしてる
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/18(水) 11:45:37.28 ID:StT/DakAO
1
乙!いつも楽しみにしてる
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/05/18(水) 13:10:51.86 ID:B2V2zZVV0
>>1
いつもあり!
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 17:18:30.03 ID:Av29U+7IO
7xからやっと追いつきました
>>1
13 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:02:25.98 ID:hxIeMsmVo
コオオォォォォ…

召喚士「……っ」

名士「ん? どうした、腰掛け給え」

天才「アンタが名士さんかい?」

名士「如何にも。そう言う貴公は何者かな?」

天才「おぉ、失礼。俺様は天才。まぁ国軍総司令みたいなもんだ」

名士「それはそれは、ご高名な方ではないか」

スクッ

名士「従者、場を変えよう。客人も腰掛け辛いようだしな」

従者「はい」

名士「中庭へ移ろうか。さ、皆も付いて来給え」

召喚士「……」

法師「あれが名士様です。私には見えませぬが、きっと優しいお顔をしているのでしょう」

召喚士「……ええ」

法師「さぁ、我らも参りましょう」
14 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:03:54.47 ID:hxIeMsmVo
サアアァァァァ

背後にそびえる小高い山から小さな滝。庭一面に広がる緑の中心に滝から続く

川が流れ、庭先で池を作り、そこへ魚や昆虫が水と花と戯れる。

マーマン「すっげ……っ」

オーク「綺麗です……」

名士「お気に召して頂けたかな?」

法師「なんと心地良い風か……っ」

名士「私もこの地が大好きでね。それで此処に住む事にしたのだ」

テクテクテク

名士「さぁ、此処なら話も弾むであろう」

中庭の中央に根を張る巨大な樹木。それを傘代わりに、脇にはテーブルと椅子が佇む。

ハヌマーン「……」

名士「遠慮するな。皆も座り給え」

ハヌマーン「……失礼致します」

名士「それで、今日はどういった用件なのかな?」
15 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:04:45.05 ID:hxIeMsmVo
天才「ご助言を伺おうと思ってね」

名士「助言。私が力になれれば良いが」

天才「存知てらっしゃるんだろ?」

名士「アンラ・マンユか」

天才「元眷属であるアンタなら、何か知ってるんじゃないかと思ってね」

名士「ふむ。しかし私もアンラ・マンユとは最早、全くと言って良い程、無関係でね」

天才「アンラちゃんの事はいいさ。それよりも気になるのは眷属だ」

名士「ほぉ、眷属か」

天才「つい先日だが、眷属は一通り葬った。驚くほどアッサリとな」

名士「それは大したものだな。賞賛に値するよ」

天才「そいつはどーも。そこで質問、どうも胡散臭いんだよなぁー」

名士「何がかな?」

天才「眷属様方だよ。本当にこんなアッサリ死ぬモンなのか?」

名士「それは難しい質問だな」

召喚士「……?」
16 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:05:28.41 ID:hxIeMsmVo
名士「例えば君はかなり強そうにお見受けする」

天才「ハーッハッハ! 分かってらっしゃる」

名士「そんな君でも、アッサリ死ぬ可能性はあるだろう?」

天才「……んーそりゃまぁな」

名士「今回は君らが強かった。そういう結果ではないのかな?」

天才「仰る通り。しかし、何か違うんだよなぁ」

名士「では1つ、助言になるか分からないが申しておこう」

召喚士「……」

名士「眷属という連中は、通常の魔族と違い、魔王直属に組する輩だ」

天才「ほぉ」

名士「つまり、眷属は直属のに当たる魔王の一部と言っても過言ではない」

天才「……やっぱりそういう事か」

召喚士「えぇと……」

名士「眷属の根源は魔王にあり」

天才「消滅させようと肉体が滅びようと、魔王の糧となるって事か」
17 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:06:35.25 ID:hxIeMsmVo
召喚士「それじゃ、倒しても意味はなかったって事ですか!?」

天才「いや、それは違う」

名士「魔王の持つ力の一部を貸し与えて、眷属を為しているのさ」

法師「つまり、眷属が滅せばそれは魔王の元へ帰る……と」

天才「眷属がそれぞれ武具みてーなモンだろ」

召喚士「……なるほど」

名士「しかし君らは聖なる光で葬ったのだろう?」

天才「聖なる……あぁ、五行ね。そうそう」

名士「それならば例え帰る力であろうと、衰えているだろうね」

召喚士「でもそうなると、眷属を倒さずに魔王を倒したほうが良かったという事ですか?」

天才「そりゃ合理的な意見だが、今までの経験からして出来ると思うか?」

召喚士「……不可能に近いですね」

天才「そ−いう事」

名士「眷属の役目は魔王の護衛。それは例え、その身が朽ちようともね」

召喚士「……ですね」
18 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:07:28.99 ID:hxIeMsmVo
天才「つー事はだ」

ハヌマーン「……?」

天才「つまり名士さん、アンタも魔王の一部ってわけだよな?」

召喚士「確かに、そういう事になりますね……!」

名士「そうだね」

天才「アンラ・マンユを倒せば、アンタも死んじまうって事か?」

オーク「……ッ!!」

名士「あぁ、死ぬね。だが、厳密に言うと少し違うかな」

法師「……?」

名士「魔王は己の一部を使用し、眷属を生み出す事が出来る。でも、戻す事は出来ない」

召喚士「……」

名士「だから私は死ぬが、魔王亡き後は遅延が生じるだろうね」

天才「タイムラグがあるって事か」

名士「それが数日なのか、数年なのかは分からないけれどね」

法師「しかし、何れは滅してしまうと……?」
19 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:08:00.59 ID:hxIeMsmVo
名士「そういう事になるだろう。だからと言って、別に悔やむ事もない」

法師「……っ」

名士「私は長く生きた。もう十分過ぎる程にね」

召喚士「名士さん……っ」

名士「元はと言えば、魔王アンラ・マンユが嫌になり逃げた身だ」

ハヌマーン「……」

名士「その魔王を打ち倒してくれるとは、願ってもない事ではないか」

マーマン「……」

名士「ただ、この景色を見られなくなる事は、少し寂しいものだがな」

スクッ

名士「眷属については以上だ。そこで一つ忠告をしておくよ」

天才「……ああ」

名士「先も述べたように、魔王の力は上がる。早めに倒す事をお勧めするよ」

天才「……元よりそのつもりだ。安心しな!」

名士「そうかそうか。ならば良い」
20 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:09:08.22 ID:hxIeMsmVo


召喚士「あ、あの……っ」

名士「ん?」

召喚士「名士さんは……どうして人間のお姿を?」

名士「人間になりたかったからかな」

召喚士「……」

名士「元は私もそれはおぞましい姿だったよ」

召喚士「……っ」

名士「ところが徐々に身体は萎み、気が付けば外見も人間のようになっていた」

召喚士「そうなんですか……」

名士「徳を積めば、魔族も人になれるのかもね」

法師「そうかもしれません」

名士「他にもいると思うぞ、そういう魔物は」

召喚士「!?」

名士「きっと私と同じさ。人間になる事を夢見ておるのだろうな」
21 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:10:19.07 ID:hxIeMsmVo
〜北の村〜

眼鏡「……」

テクテクテク

ワーカー「おっ、アンタら無事だったのか!!」

魔法剣士「ああ」

眼鏡「北への牽制はもう大丈夫。各自、村の警備と巡回に入ってくれ」

ワーカー「了解! おい、俺らは西方面へ行くぞ」

男「なら俺らは東側の村を巡回する」

タッタッタッタッタ

ヒゲの男「ご苦労だったな。ひとまず休んでくれ」

眼鏡「ありがとう」

ザッザッザ

副官「ご苦労様です。報告書の提出をお願い致します」

魔法剣士「ああ。眼鏡は先に休んでてくれ」

眼鏡「ありがとう」
22 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:11:15.11 ID:hxIeMsmVo
〜北方司令部〜

北方兵「戻ってきたぞー!!」

ゴウッ…ドシュウウゥゥゥゥ

青龍士官「……ん?」

チカチカチカッ

青龍士官「海峡からの船か」

夜明けの空を翔るファフニール。下を流れる川では、海峡からの船が

ようやく北方司令部へと到着したところであった。

ゴウンゴウンゴウン

北方兵「よーし、いいぞー!!」

カツカツカツ

参謀「ご苦労様です」

将軍「うむ。こちらの状況は?」

参謀「ちょうど今、会議室で報告をしているとkろですよ」

将軍「そうか。では、私も参加させて頂くとしようか」
23 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:13:24.87 ID:hxIeMsmVo
〜会議室〜

カツカツカツ

騎士長「おっ、来たか!」

将軍「海峡軍、ただいま船で到着したぞ」

東方参謀「陸路の部隊も北関へ入った頃であろう」

左翼長「ご苦労」

将軍「それで、こちらの状況は?」

左翼長「昨日、ドラゴンの襲来があって交戦した」

東方司令「ほぉ、大丈夫だったのか?」

騎士長「ああ。新戦力として導入した部隊が、そりゃもう大活躍――」

カツカツカツ

騎士長「噂をすれば主役のお出ましだ」

青龍士官「巡回終了致しました。魔王軍の動きはありません」

左翼長「ご苦労さん」

将軍「青龍召喚隊か。確か噂では……」
24 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:14:20.19 ID:hxIeMsmVo
騎士長「竜騎士部隊。召喚獣の背に自らも武器を携え乗り込む。騎馬隊の空中版だな」

参謀「昨日の戦果ではドラゴンを13匹撃破」

ザワッ

東方司令「それは大したものだな」

東方参謀「うむ。かなりの戦果ではないか」

参謀「被害は部隊の兵が2名死亡」

将軍「やはり犠牲は出てしまうか」

左翼長「自らも前線に出るからな。今までよりも致死率は高い」

参謀「貴重な召喚兵です。あまり失いたくはないところですが……」

左翼長「今回は最終テストだ。次は本番にしか使わん」

青龍士官「……」

左翼長「何もお前らの力を信用してないわけじゃない。信用しているからこそだ」

青龍士官「はっ。ありがとうございます」

左翼長「兵も揃った事だ、いよいよ北進する。1時間後に軍議を行うぞ」

将軍「了解した」
25 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:15:27.04 ID:hxIeMsmVo
……――

青龍士官『おおぉぉぉぉ!!』

ガオンッ!!…ズガガガガガッ

ドラゴン『グギャアアァァーッ!!』

青龍士官『動きをとめるなぁ、狙い撃ちされるぞ!』

青龍兵『了解っ!!』

老兵『はぁ、はぁ……っ』

青龍兵『じいさん! 後方へ下がれ!!』

老兵『バッカもん、若い連中に負けてられるかいっ』

ドラゴン『グオオォォ!!』

青龍士官『回避しろおぉ!!』

ズガンッ!!…ズシャアアァァ…

青龍兵『じいさんっ!!』

青龍士官『……敵が来るぞ。一旦、後方に移れ』

青龍兵『しかし――』
26 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:16:56.72 ID:hxIeMsmVo
青龍士官『墜落した……。最早、助けられん……っ』

青龍兵『く……っそぉ!』

青龍士官『残念だが……。しかし、無駄死にではないぞ!』

グイッ

青龍士官『老兵の弔いだ!! 全員……俺に続けええぇぇ!!』

青龍兵『おぉーっ!!』

ゴウッ…ドシュウウゥゥゥゥ!!

青龍士官『うおおぉぉぉぉ!!』

ガカアアァァッ!!

――……

グッ…

青龍士官「……っ」

ググッ…ドカッ!!

青龍士官「……もっとだ、もっと強くならなければ……っ」

壁に打ち付けた拳から流れる血が、青龍士官の足元にぽとりぽとりと落ちた。
27 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:18:45.20 ID:hxIeMsmVo
〜名士の家〜

名士「さて、用件はそれだけかな?」

天才「ああ。サンキュ」

召喚士「ありがとうございました!」

天才「さーてと、そんじゃ北の村へ行きますかねぇ」

名士「ほぅ、北へ参るのかね?」

天才「ああ」

名士「折角だ、送らせて頂こうではないか」

法師「いえいえ、そこまでは……」

名士「遠慮するな。さぁ来給え」

召喚士「あ、あの……っ」

名士「こういうのはあれだろう? 友人、と言うのだろう」

天才「友人か……。悪くねぇな、ハーッハッハッハ!!」

名士「従者、すぐに馬の準備を」

従者「はい」
28 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:20:09.73 ID:hxIeMsmVo
パッカパッカパッカ

名士「……」

従者「ご主人様の楽しそうなお顔、久方振りに見ました」

名士「そうかい? 人間の友人だなんて初めてでね、そりゃあもう嬉しくて」

クルッ

名士「乗り心地は問題ないかな?」

召喚士「え、えぇ……っ」

マーマン「そりゃあもう……最高の眺めで……はははっ」

天才「この馬車、どうやって飛んでんだ?」

名士「それは友人と言えど教えられないな」

天才「便利なモンだなおい」

召喚士「ですね……」

従者「間もなく北の村へ到着致します」

天才「早……」

召喚士「は、ははは……っ」
29 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:21:28.08 ID:hxIeMsmVo
〜アマゾネスの村〜

盗賊「……ふーっ」

ヒュバッ…シュシュシュンッ…バババッ!!

盗賊「……」

スタッ

アマゾネス「いい動きだ」

盗賊「……おはよう……ございます」

アマゾネス「おはよう。お前は剣士なのか?」

盗賊「……まぁ、一応」

アマゾネス「そうか。小柄な身で大したものだな」

盗賊「……」

アマゾネス「さて、朝食にしよう。皆を呼んで参れ」

盗賊「……ああ」

ザッザッザッザッザ

盗賊「……」
30 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:22:40.76 ID:hxIeMsmVo


玄武娘「いただきますのー!」

盗賊「……いただきます」

ガツガツガツッ

朱雀嬢「朝からよくもまぁそんなに……」

魔道士「全くです……」

白虎長「うぇーっ、頭痛い……」

白虎嬢「従姉さん、飲み過ぎですよ」

アマゾネス「面白い連中だ」

魔道士「へっ!?」

アマゾネス「いや、何でもない。そういえばあいつはどこに行ったのだ?」

朱雀嬢「あいつ……? あれ、そういえば……」

魔道士「朝起きたら既にいませんでしたけれど……」

アマゾネス「ふぅん。また散歩にでも行っているのか? 自由気ままな奴だな」

盗賊「……」
31 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:24:10.78 ID:hxIeMsmVo
スクッ

盗賊「……見てくる」

アマゾネス「それならば、村の者を出すが?」

盗賊「……いや……いい」

テクテクテク…タタッ

魔道士「盗賊さんが食事の最中に抜けるなんて……珍しい」

玄武娘「残した分、食べていいですの?」

朱雀嬢「おばかっ! でも……残す方が失礼だし許可しますわ」

玄武娘「やったですのーっ!」

タッタッタッタッタ

盗賊「……近いな」

スタッ…ザザザッ

盗賊「……何してる?」

青年子「うわぁ!!」

盗賊「!?」
32 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:25:58.89 ID:hxIeMsmVo
青年子「と、盗賊さんでしたか……っ」

盗賊「……こんな所で……何してるんだ?」

青年子「い、いや……そのぉ」

盗賊「……?」

青年子(一緒に居られるわけないじゃないか……っ」

盗賊「……大丈夫か?」

ボイーン

青年子「うわぁ!!」

盗賊「!?」

青年子「よ、よくここが分かりましたね……っ」

盗賊「……あぁ、気配がな」

青年子「あ、あぁー」

盗賊「女子の中に1つだけ、男のものが混じっているから分かりやすい」

青年子「……そうですか」

盗賊「……さぁ、みんなが待ってるぞ」
33 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:27:25.38 ID:hxIeMsmVo
〜西方、南の砂漠〜

戦士「あっつぅ……」

王子「夏になればもっと暑くなるよ」

戦士「マジかよ……。ぜってぇ西方にゃ住めねぇ」

隊長「……ん、人がいるな」

王子「ウチのれんちゅうですね。おーい!」

パッカパッカパッカ

西方兵「お待ちしておりました」

隊長「世話になります。それで、魔物というのは……」

西方兵「この先の……砂丘向こう側です」

戦士父「……方角としては確かに合致するな」

男隊員「ええ。こりゃもう確定っしょ」

女隊員「サルワッスか?」

隊長「だからそれを見に来たんだろ」

女隊員「そりゃあそうッスけど」
34 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:28:58.71 ID:hxIeMsmVo
戦士「……おぉ、すげー長い槍だな」

ザッ

パイク長「こいつはパイクといってな、対騎馬用なんかの槍じゃよ」

戦士「ほぉ」

戦士父「パイクか。最近では見かけないな」

パイク長「戦も変わった。昔のように武器を交える事も減ったからのぉ」

戦士「槍っつっても色々あるんだよなぁ」

戦士父「ああ。投擲用手持ちの武器……長さも大小さまざまだ」

王子「このじーさんはパイクの使い手なんだ。今じゃ西国にだってほとんどいないよ」

パイク長「ワシはこの槍でずっと戦ってきたのじゃ! 今更手離せるかい」

王子「ガンコジジイ」

パイク長「王子と言えど、その言い草は許せませんぞ」

王子「ジョーダンだよ……。もうっ」

戦士父「……パイク長殿、ちょっとその槍を……見せては貰えないか?」

パイク長「……?」
35 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:30:39.22 ID:hxIeMsmVo
ザッザッザ…パシッ

戦士父「……やはりそうか」

戦士「お、おい……っ、まさか……」

戦士父「見ろ、刻印がある。これは紛れもないゾディアックだ」

戦士「――っ!!」

隊長「何ぃ!?」

パイク長「一体、何を言っておるのじゃ?」

戦士父「そうか、西方の1本とはこれの事か」

王子「ゾディ……なんとかっての、確か……」

戦士父「パイク長殿、実は――」

西方兵「見えてきましたっ! あれです!!」

パッカパッカパッカ…ドドォ

戦士「……っ」

戦士父「間違いないな」

隊長「ええ……。サルワですね」
36 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:32:18.73 ID:hxIeMsmVo
〜アマゾネスの村〜

玄武娘「あっ、戻ってきたですのー」

テクテクテク

盗賊「……ただいま」

魔道士「青年兵……子さんっ、どこへ行ってたんですか?」

青年子「ほ、ほほ……っ。ちょっと朝の散歩に」

アマゾネス「散歩好きなのだな」

青年子「え、ええ……っ。ほほほっ」

盗賊「……あれ?」

白虎長「どうしたの?」

盗賊「……朝食」

朱雀嬢「あ……っ」

玄武娘「この中ですのー」

ポンポンッ

盗賊「……う、うぅ」
37 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:33:08.92 ID:hxIeMsmVo


青年子「えーと、それじゃ……そろそろ失礼しましょうか」

白虎嬢「もう帰ってしまうんですかぁ〜?」

青年子「え、ええ。まだ任務中ですし」

白虎長「それもそうね。私なんて合流すらしてないわ」

魔道士「それじゃあ失礼して――」

アマゾネス「待て」

朱雀嬢「……?」

アマゾネス「ワルキューレ、伝授してやっても良いぞ」

魔道士「ほっ、本当ですかぁ!?」

アマゾネス「ああ。但し条件がある」

玄武娘「へっ?」

アマゾネス「私達と召喚獣で戦い、勝ったら伝授しよう」

青年子「えぇ!?」

アマゾネス「まさか、断ったりはせんよな?」
38 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:35:52.19 ID:hxIeMsmVo
白虎長「あのーっ、後日って事じゃ駄目かしら?」

アマゾネス「駄目だ」

白虎長「何でよ、いいじゃない!」

アマゾネス「駄目だ」

白虎長「それじゃ放っておいて帰りま――」

ヒュンッ

ワルキューレ「……」

白虎長「……っ」

アマゾネス「ワルキューレの一人『ブリュンヒルデ』。彼女は強いぞ?」

ワルキューレ「ふふっ、残念だけど……帰さないわ」

盗賊「……なるほどな」

魔道士「……?」

盗賊「……力を試したいというわけか。道理で急に……親切になったと思えば」

アマゾネス「頭の良い奴は好きだぞ。ふふっ」

盗賊「……」
39 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:39:27.48 ID:hxIeMsmVo
〜北の村〜

召喚士「もう着いちゃった……」

テクテクテク

おじさん「お、おいっ。あの馬車……飛んでなかったか?」

青年「まさか。目の錯覚だろ……うん、きっとそう」

テクテクテク

ヒゲの男「うん? 国軍の方々かい?」

天才「おう。占い師はいるか?」

ヒゲの男「占い師ちゃんならそこの家にいるぜ」

天才「あんがとよ」

テクテクテク

ヒゲの男「……あれ? いま……魔物いなかったか?」

テクテクテク…ガチャッ

天才「しっつれーい」

占い師「きゃあぁーっ!!」
40 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:42:51.43 ID:hxIeMsmVo


天才「……いってーなぁ、頬が腫れたぞおい」

スリスリ

占い師「着替え中にノックもせず入ってくるからでしょ」

天才「誰がオバハンの着替えなんぞ見て喜ぶかっての……」

占い師「……」

副官「そそそ、それででっ! 総司令様ががっ、直々にどういった何用でそのぉ!」

天才「大軍師に頼まれてたアレ、無事なんだろうな?」

占い師「……当たり前でしょ」

天才「ならよし。コイツ連れて来た意味は分かるよな?」

召喚士「……?」

朱雀嬢「……うん」

天才「それにしてもお前、グッジョブだぜ」

召喚士「へ……?」

天才「付いてきな。お前の意地が成し遂げた結果だ。誇っていいぞ」
41 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:44:19.72 ID:hxIeMsmVo
テクテクテクテク

召喚士「あれっ!? 魔法剣士さんに眼鏡さん!!」

魔法剣士「……奇遇だな、どうした?」

召喚士「ちょっと付き合いで……

眼鏡「そう。こっちは順調だよ、そっちは?」

召喚士「順調ですよ……多分」

眼鏡「それなら良かったよ」

テクテクテクテク

名士「……」

ニコッ

眼鏡「……?」

名士「ちょっと、いいかな?」

眼鏡「……君は?」

名士「来れば分かるよ。君となら……色々と話せると思うけど」

眼鏡「……分かった。ちょっと行ってくる」
42 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:45:11.24 ID:hxIeMsmVo
テクテクテク

マーマン「何だ?」

ハヌマーン「さぁな」

天才「さてさて、こっちも行くとするか。あんたらはそこの家で待っててくれ」

法師「ええ、ごゆっくり」

オーク「オラ……腹減ったです」

天才「なんか適当に用意してやってくれ」

副官「は、はいぃ!」

ハヌマーン「ふむ。北もだいぶ暖かくなってきたようだな」

マーマン「俺にとっちゃあ、シンドイ季節だよ」

ハヌマーン「それもそうだな。ん、如何した?」

副官「い、いえっ! 魔物様方はそういった物をお食べにに……っ」

法師「人間と同様のもので構いませんよ」

オーク「美味しければ何でもいいです!」

副官「はははいぃ!」
43 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:46:03.25 ID:hxIeMsmVo


眼鏡「……君、魔族なのかな?」

テクテクテク…ザッ

名士「ケルベロスか。これまた凄い者と会えたなぁ」

眼鏡「……何者だ」

名士「貴公とは二千年前くらいに一度、顔を会わせた事があったか」

眼鏡「……」

ゴゴゴゴゴゴッ

名士「住む地域が違うと、同じ眷属でも会う機会などそうそうないからね」

眼鏡「……お前、ダエーワの一人か……っ」

名士「かつては『ノーンハスヤ』と名乗らせて貰っていたっけね」

眼鏡「……ノーンハスヤ……あの名高きノーンハスヤか」

名士「それは光栄」

眼鏡「確か、インドラと共にアンラ・マンユの元を離れたと聞いていたが」

名士「ああ。随分と昔の事になる」
44 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:47:02.26 ID:hxIeMsmVo
眼鏡「……」

名士「人間は本気で、魔王を倒そうとしているそうじゃないか」

眼鏡「そのようだね」

名士「貴公は最後まで、人間に組する気かな?」

眼鏡「だとしたら?」

名士「いや、別に意味はないさ。真意を伺いたかっただけの事」

眼鏡「貴方はどうするつもりなのだ?」

名士「私は何もしないさ。ただ同じ毎日を過ごすだけ」

眼鏡「……」

名士「下らぬしがらみや揉め事が嫌で逃げ出した身。戦にはどちらの肩入れもせぬよ」

眼鏡「成程」

名士「貴公は強いな。完全に人間と見間違う程だ」

眼鏡「そんな事はない。僕は……弱者だよ」

名士「……」

眼鏡「ただこうして罪滅ぼしをする事で、逃げているだけの臆病者さ」
45 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:48:14.96 ID:hxIeMsmVo


カツカツ…ザッザッザ

召喚士「……地下、というより洞窟のようですね」

天才「……」

口数の減った天才の様子を見て、召喚士は事の重大さに気付き始める。

占い師「……っ」

天才「……あれか」

ザッザッザ

そこには薄暗い松明に照らされた石の壁と、石棺が横たわっていた。

召喚士「これは……?」

天才「開けるぞ」

ゴゴッ…ゴガガガッ

占い師「……」

ズウウゥゥン

召喚士「――っ!!」
46 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:49:17.98 ID:hxIeMsmVo
石棺の中には人の姿をした石像が眠っていた。

召喚士「こ……れ……」

天才「どうしても知られたくなくてな。今日の今日までずーっと隠してきた」

石像は左腕を失い、全身もひどく傷を負っている。

しかしその顔は幸福に満ちたような、そんな笑顔だった。

天才「お前が最後の最後で勝ったんだよ」

召喚士は膝を落とし、その場で泣き崩れる。

天才「最後の最後でコカトリスを召喚して、石化させたんだ」

召喚士「……んだ……っ!」

ポタポタ…ボロボロボロッ

召喚士「あの時……間に合ったんだ……!!」

天才「五行で自爆を図ったコイツも、石化のお陰で肉体までは朽ち果てちゃいなかった」

占い師「……う、うぅ……っ!」

天才「確立半々だが、石化解除すりゃ可能性はある。相応しいじゃねぇか、再来の通り名によ」

召喚士「……マジシャンさんっ!!」
47 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/18(水) 18:52:27.98 ID:hxIeMsmVo
天才「ほれ、生き返らせてやれ。出来んだろ?」

召喚士「……うっ、ひぐぅ……っ!!」

ズザッ

召喚士「行……っけ、コカトリス……!!」

シュイイィィン

占い師「……うぐぅ」

召喚士「コカトリス……石化解除を……」

コカトリス「ああ」

普段は見せぬコカトリスの別の顔。石像と化しているマジシャンを、

コカトリスはやや暖かな吐息でその石化を解除し始めた。

コオオォォォォ…ピシッ…ピキピキッ

崩れる石の下から、脱皮のように現れたマジシャンに色が付く。

トクン…トクン…トクン…

占い師「生……きてるわっ、彼……生きてるわよぉ……!!」

召喚士「おかえりなさい……マジシャンさん……っ」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/18(水) 18:54:40.00 ID:hxIeMsmVo
新スレでもご支援&いちおつありがとうございますー!

>>12
うおーっ、ありがとうございます!!
本人は駄文ですが、皆様は楽しい方ばかりなのでごゆるりと!

それではここまでにて!失礼致しますです!ノシ
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 18:56:27.73 ID:+L7wGN+IO
乙!
マジシャン…ちょっと泣いちまったwwwwwwwwww
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/18(水) 18:59:46.37 ID:Q3nVq3Eoo
>>40
朱雀嬢が紛れ込んでます!

>>1おつ!
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/05/18(水) 19:03:46.49 ID:LCB1SJKXo
一乙!!
あれ…?目から汗が…
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 19:08:38.46 ID:2FbiVLUDO
>>1乙!!
マジシャン!マジシャン!!マジシャン!!!
くっそ!生きてたのかよ!なんだよ 超嬉しいじゃねぇか!
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/18(水) 19:16:58.10 ID:jLmz78qpo
>>1乙!
天界にいたからてっきりぽっくりだと思ったらwwwwwwwwwwwwww
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/05/18(水) 19:17:36.32 ID:ho1hMjB5o
ぼくも泣いていいのかな
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/18(水) 19:22:08.92 ID:rQHBLPbDO
目から汁がでてきたんだが・・・
なんだこれ・・・
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 19:24:40.24 ID:m6iCx6JDO
>>1
ギリギリで寸止めかと思ったら生き返ったw
隠しておきたかった理由が気になる、あとジュニアとの初対面も
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/05/18(水) 19:48:47.56 ID:9qFRC/DA0
でもステ下がってそうだな
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/18(水) 19:53:58.94 ID:cwqt6kWAO
>>1

マジシャンはなんとビックリ復活を果たしたが、魔導師ちゃんの人は復活しないのであろうか
たまに起こる殺伐とした流れに一石を投じてくれ

そしてここにきてあの世オマケバレが違うと言うことに驚きをかくせないでいる…
ってことは他のあの世オマケの奴らも、まだワンチャンあるで!?
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/18(水) 20:07:36.37 ID:litsJUaCo
目から汗が・・・
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/18(水) 20:15:33.70 ID:iyjHXPYMo
おおおマジシャンいきてたぁ…
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 20:34:27.26 ID:FhBylzcQo
あの世で師匠と騒いでたと思ったら無事だったでござる・・・ござる

よかったああああああ
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 20:53:37.14 ID:IFGa9zvDO
うわぁぁぁぁマジシャンンンンン!!!

よかったぁぁぁ(´;ω;`)

あ、>>1乙!
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/05/18(水) 21:14:18.82 ID:C9oq9t5eo
俺はあの瞬間からずっと信じてた
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 21:24:17.63 ID:5g8sBH5/o
オマケのあの世にはマジシャンは実は一瞬だけ出てそれ以降出てないんだぜ
さりげにそれも伏線なんだぜ
と言ってる俺のドヤ顔ったら
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 21:58:06.41 ID:FlAw6s7DO
石化中は仮死状態みたいなもので一時的にあの世にいたんじゃね
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/18(水) 22:39:13.06 ID:YFXnFsPAO
うぉおおお……感慨深くて何も言葉が出ない……
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/18(水) 22:57:22.32 ID:WCkX0UyEo
マジシャンが死んだときのを見返してみたが(その20)
左腕は魔剣士にやられたんだな
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/05/18(水) 23:18:28.83 ID:9YWHkCjs0
1乙!!!!
俺も少し涙出て来た……
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) :2011/05/18(水) 23:34:37.56 ID:huvaXEkW0
1乙! そして召喚士乙! 良かった。本当に良かった・・・っ!
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/19(木) 00:31:01.20 ID:FZfEQ2WAO
熱い展開にニヤニヤがとまらねぇ


ところで青年兵はたまらず[田島「チ○コ破裂するっ!」]してたんか?むしろ溜まったからヌいちゃったんか?
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 00:37:24.75 ID:BN59TCiSO
一乙!
よかったなぁホント。
早く魔道士らに知らせてやりたいな。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 01:22:20.26 ID:rAGBCia9o
やべぇ、今後マジシャンとジュニアが出会う機会があるかと思うと胸熱
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/05/19(木) 05:21:48.03 ID:3WCpVSxp0
1おつ
魔剣士も生きてたから、もしかしてって思ってたけど
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 14:48:40.96 ID:iB+LYxmSO
ゴルリンにも生き返ってほしい
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/19(木) 16:51:39.06 ID:tjdzCmCDO
たまには短髪君のことも思い出してあげて下さい
76 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:49:00.97 ID:tPGUQS6/o
ずっと長い夢を見ていた。何だったっけか? あぁくそ、思い出せねぇ。

天才「いつまで泣いてんだテメーはよ」

占い師「だって……だってぇ……」

アイツらと笑って、くだらない会話をしてたっけか。

天才「さて、回復魔法の治癒で意識は戻るはずだが……」

召喚士「……」

天才「まぁ、魔力は貯金があるだろうからそれを返して貰えば多少は戻るだろ」

そうそう。そん時、誰かに呼ばれたんだよな。いや……。

占い師「マジシャン」

ずっと、呼んでくれてたのかもしれないなぁ。ハッハ。

微かな心音と呼吸。仮死状態にあった男は、ゆっくりとその瞳を開いた。

マジシャン「……」

占い師「マジシャン!? マジシャン!!」

召喚士「良かった……本当に……っ」

マジシャン「……た……だいま。ハッハ」
77 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:49:37.15 ID:tPGUQS6/o
ガバッ

占い師「うぐっ、ふえぇ……っ」

マジシャン「……ハッハ、レディに抱きつかれるなんて……久々かな」

召喚士「マジシャンさぁん……っ」

マジシャン「男は遠慮しとくぜ、ハッハ」

天才「よぉ」

マジシャン「……おう。すまんが状況が把握出来ない。説明してくれ」

天才「立てるか?」

マジシャン「……ん、あぁ」

ヨロッ…ググッ

召喚士「肩、貸します」

マジシャン「すまんな……。全く、情けない話だよ。むぐっ!」

ズキッ

マジシャン「……あぁ、そうだっけか。左腕……やられたんだっけなぁ」

占い師「……帰りましょう。太陽の下へ」
78 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:50:35.55 ID:tPGUQS6/o


名士「君は、これからどうするつもりなのかな?」

眼鏡「分からないさ。でも、戦うよ」

名士「……主とか?」

眼鏡「……どうかな」

名士「ベルゼブブは強いよ。尤も、君が一番よく分かっているか」

眼鏡「……」

ヒュッ

眼鏡「!?」

名士「……何者かな?」

ザッザッザ

紅孩児「へぇ、そういう事か」

名士「魔族……君もお仲間かな?」

紅孩児「どういう意味?」

名士「人間側に組するお仲間かな、という意味だよ」
79 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:51:23.95 ID:tPGUQS6/o
紅孩児「ハハッ、そりゃ勘違い甚だしいよ」

名士「……ほぉ」

紅孩児「俺はな、魔王になるのさ」

眼鏡「……」

紅孩児「その為には今の魔王共が邪魔で邪魔で仕方ない」

名士「だから人間側の加勢をしようと?」

紅孩児「加勢じゃないよ。利用してるのさ」

眼鏡「何故そこまでして、魔王になりたいんだい?」

紅孩児「何故……って、魔王だぞ? 普通はなりたいと思わないのか?」

眼鏡「……どうなんだろうね」

紅孩児「じゃあアンタらは何の為に、人間に手を貸してるのさ?」

名士「……人間が好きだからさ」

紅孩児「好き? ハハッ、そいつは面白いや!」

名士「そうかな?」

紅孩児「餌や玩具に対して、そんな感情持ち合わせるなんてさ!」
80 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:52:19.19 ID:tPGUQS6/o
眼鏡「君は人間が好きじゃないのかい?」

紅孩児「何とも思わないね。好きでも嫌いでもないさ」

名士「魔王になってどうするつもりなのだ?」

紅孩児「決まってる。この世界を自分の物にしてやるのさ! 理想のままにね!」

名士「そうか。なれるといいな、魔王」

紅孩児「アンタらは野心もないみたいだから、放っておいてやるよ」

眼鏡「ありがたい話だね」

紅孩児「そんじゃ、精々頑張ってな」

ヒュオッ…メラメラメラッ

名士「……若いな」

眼鏡「うん。羨ましいよ、そんな感情はとうの昔に消し飛んださ」

名士「だな。魔王などと、なりたくても手は愚か、光すら届かなかったわ」

眼鏡「でも、人間と一緒なら……光も見える気がするし、届くと信じてるよ」

名士「ああ。この世界は美しい。やはりそれを壊す存在が間違っているのだろうなぁ」

眼鏡「……そうだね」
81 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:53:39.57 ID:tPGUQS6/o
ザッザッザ…ザッ

マジシャン「……っ」

天才「直視すると目ぇやられんぞ」

マジシャン「あったけぇな。こんなに明るいもんだったかねぇ」

天才「失って初めて実感する暖かみってやつか?」

マジシャン「……ハッハ」

4人は大きな家を出て、他の者が待つ家へと移動する。

テクテクテク…カチャッ

オーク「戻ってきたです!」

ハヌマーン「ん、その者は……」

マジシャン「これまた大層なお出迎えだな。ハッハ」

占い師「奥のソファーを空けて」

副官「は、はい!」

召喚士「さ、マジシャンさん。座って下さい」

マジシャン「ん……っむ、すまんなぁ」
82 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:54:51.98 ID:tPGUQS6/o


天才「そんで、お前はいつ死んだんだっけか?」

マジシャン「死んだって……えぇと、北での戦いで――」

当時の記憶がマジシャンの脳裏を横切る。

マジシャン「そうだ。魔剣士と俺は……」

天才「お前、あん時現地にいたんだよな?」

召喚士「……ええ。マジシャンさんは五行で敵と相打ちに」

天才「そこでお前は、無我夢中でコカトリスを出した」

召喚士「はい。まさかこういう結果になるとは思いませんでしたけど……」

天才「偶然なのか狙ったのかは知らんが、ともかくお前は石化して一命を取り留めた」

マジシャン「そういう事だったのか……」

天才「あれからだいぶ経つ。今は魔王討伐の段階に入った」

マジシャン「……お前」

天才「あぁ、もう素性も全て曝け出した。気にする事はねぇ」

続けざまに天才は、これまでの経緯をマジシャンへと説明した。
83 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:55:31.72 ID:tPGUQS6/o


マジシャン「なるほど。既にそんなところまで進んでいるのか……っ」

天才「お前さんにゃ、まだまだ仕事して貰わにゃ困る」

マジシャン「……」

天才「しばらく療養してろ。刻は必ず来る」

マジシャン「……ああ、流石に今のままじゃ戦力にもならんしな」

天才「分かってんじゃねーか」

マジシャン「ハッキリ言うね……ハッハ」

天才「お前はしばらくの間、コイツの面倒見てやれ」

占い師「……はい」

マジシャン「そんじゃ、俺の別荘で療養させて貰うよ」

天才「ああ。あとで場所を連絡してくれ」

ザッ

天才「さて、南に戻るかね」

召喚士「……はい」
84 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:56:36.33 ID:tPGUQS6/o
テクテクテク

天才「あ、そーだ」

法師「……?」

天才「ちょいと先に行っててくれ。すぐに向かう」

法師「はい」

ゾロゾロ

天才「お前は残れ」

召喚士「は、はぁ」

天才「そろそろ力も戻ってんだろ」

占い師「でも……」

天才「コイツでいいよ。どうせこの先、連れ回す予定でだし」

召喚士「……?」

占い師「……やってみます」

天才「おう」

占い師は手袋をおもむろに外し、召喚士の前へと立つ。
85 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:57:11.21 ID:tPGUQS6/o
召喚士「あ、あの……っ」

占い師「静かに、目を瞑ってて」

召喚士「はい」

言われるがまま、召喚士は目を閉じ、その頭の上に占い師が手を重ねる。

占い師「…………」

召喚士「…………」

占い師「ありがと。目を開けてもいいわよ」

召喚士「……何か、見えました?」

占い師「さぁ」

召喚士「……?」

占い師「今は力も落ちているし、私の能力は断片的なものだから」

天才「おら、早くしろよ。こっちはさっさと南に戻ってだな……」

占い師「はいはい」

召喚士の頭から手を離すと、占い師は愚痴る天才の元へと歩み寄る。

占い師「いくわよ」
86 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:58:13.79 ID:tPGUQS6/o
スッ

天才「……」

占い師「……」

先程と同様、天才の頭の上へ占い師の手が伸び、しばし二人は硬直する。

キィン…キィン…キィン…

天才「……ほぉー」

占い師「もういい?」

天才「おう」

スッ

天才「よし、そんじゃ帰るか」

召喚士「あ、あの……」

天才「あん?」

召喚士「一体……今のは……」

天才「予言だよ、よ・げ・ん!」

召喚士「……それは分かってますよ」
87 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 17:58:57.68 ID:tPGUQS6/o
天才「占い師が見た断片を俺様が汲み取る。んで、未来が見える。以上」

召喚士「……」

天才「……なんだよ」

召喚士「だって、気になるじゃないですか……」

天才「安心しろ。死にゃしねーよ。死ぬときはちゃーんと教えてやる」

召喚士「それも……やだなぁ」

天才「そんじゃ、しっかり養生しろよ? 再来のマジシャン殿!」

マジシャン「ご期待に沿えるよう頑張るよ……ハッハ」

占い師「気を付けてね」

天才「おーう」

召喚士「天才さんて、本当に何者なんです……?」

天才「あん? 野暮な事はいいじゃねーか」

召喚士「いや、だって……」

天才「しつこい男は嫌われますよぉ、召喚士さんっ。えへへ!」

召喚士「……誰の真似ですか」
88 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:00:06.03 ID:tPGUQS6/o
天才「いちいち言わんと分からんか? お前の大好きな大好きな――」

召喚士「わーわー!! 早く行きましょう!!」

天才「ハーッハッハッハ!!」

召喚士「ちょっと似ていると思ってしまった自分が嫌だ……」

テクテクテクテク

ハヌマーン「おっ、来たな」

召喚士「そういえば名士様が見えませんが……」

マーマン「さっき眼鏡の男と二人でどこかへ行ったぞ?」

召喚士「眼鏡さんと……?」

オーク「あっ、戻ってきたです!」

ザッザッザ

名士「おや、事は済んだのかな?」

天才「待たせたな。つーか、何してたんだ?」

名士「ああ、ちょっとして馴染みでね。少し話し込んでしまったよ」

召喚士「そうだったんですか!?」
89 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:01:25.87 ID:tPGUQS6/o
眼鏡「うん。とは言っても、面識程度だけどね」

召喚士「へぇ〜」

天才「そんじゃ、しっかり頼んだぜ。北の皆様方!」

魔法剣士「ああ」

副官「おおおお気をを付けてえぇ!」

名士「あぁ、行こう」

スクッ…パッカパッカパッカ…ゴウッ!!

副官「馬車が……飛んだ……」

魔法剣士「もう今更、何が起こっても驚かん」

眼鏡「そうだね……」



マジシャン「色々と、世話をかけたようだな」

占い師「ううん、マジシャンが無事で本当に良かった……っ」

マジシャン「ハッハ! モテる男はつらいねぇ。さぁて、別荘に向かうとするかね」

占い師「……はいっ」
90 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:02:37.54 ID:tPGUQS6/o
〜アマゾネスの村〜

アマゾネス「お、来たな」

ザッザッザ…ゾ゙ロゾロ

魔道士「その方達は?」

アマゾネス「我が村が誇る召喚士の者らだ」

盗賊「……ほぅ」

アマゾネス「私を入れて丁度5人。そちらの人数と全く一緒だ」

朱雀嬢「5対5で、戦うんですわね?」

アマゾネス「ああ。勝ち抜き戦でいいだろう」

白虎長「ここまできたら仕方ない、ちゃっちゃと終えてちゃっちゃと帰りましょ」

アマゾネス「ふっ。……おい」

ザザッ

アマゾネス「では互いに順番を決めるがいい」

朱雀嬢「やるしかないですわね……」

玄武娘「やってやるですのー!」
91 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:03:46.64 ID:tPGUQS6/o


白虎長「さて、どうしましょう」

青年子「そうですね……」

朱雀嬢「私、先鋒を務めますわ」

白虎嬢「朱雀嬢ちゃん、頑張ってね!」

朱雀嬢「貴女も戦うのよっ!」

白虎嬢「あら〜そうでした〜」

白虎長「じゃあ先鋒は朱雀嬢ちゃん。次鋒は……」

玄武娘「私、行くですの!」

白虎長「玄武先生はもっと後ろに回したいわね」

青年子「……ええ」

玄武娘「そうなんですの?」

白虎嬢「それでは、私が行きますね〜」

白虎長「……そうね。それで中堅は私」

玄武娘「えーと……私は?」
92 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:06:35.57 ID:tPGUQS6/o
白虎長「副将ね。それで大将は青年兵くん、いいわね?」

青年子「僕まで回りそうもありませんね」

魔道士「頑張って下さいね、皆さんっ!」

朱雀嬢「ふふっ、丁度良い腕試しですわ」

白虎嬢「頑張りましょ〜」

玄武娘「燃えてきたですのー!」

白虎長「頼もしい限りねぇ」

青年子「ええ」

テクテクテク

アマゾネス「準備は出来たか?」

青年子「……はい」

アマゾネス「よし、では付いて来い。場を変えるぞ」

魔道士「私達も頑張りましょう!」

盗賊「……?」

魔道士「応援ですよっ、えへへ!」
93 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:19:27.94 ID:tPGUQS6/o
〜本国、上空〜

天才「何だか悪いな〜。送ってもらっちゃって」

名士「急ぎなのだろう? 構わんさ」

召喚士「えっと、この辺りは……」

従者「間もなく本国上空ですよ」

マーマン「は、早……っ」

オーク「空を飛べるっていいなぁ。羨ましいです」

名士「目的地は火山で良かったかな?」

天才「ああ。アンタも久々なんじゃないのか?」

名士「……そういえばそうだね。最後に訪れたのは1000年以上前の話だな」

召喚士「せ、せん……」

ハヌマーン「魔族は長寿だからな」

天才「長寿ってレベルじゃねーけどな。ハーッハッハ!」

名士「さぁ、海を越えれば間もなく火山が見えてくるはすだ」

召喚士「……ええ」
94 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:32:18.45 ID:tPGUQS6/o
〜西方、南の砂漠〜

西方兵「配置、完了致しました!」

横たわるサルワをぐるりと取り囲むように、兵らが万が一に備える。

男隊員「……」

女隊員「……っ」

隊長「準備出来ました」

戦士父「すまんな。行ってくる」

ズザザッ…ザザァ

王子「大丈夫かな?」

戦士「さぁな。だが、親父は強い。簡単にやられるタマじゃねーさ」

王子「……うん」

スタッ…ザッザッザ

戦士父「……」

山のようにそびえるサルワの体。しかし、交戦時より萎んでいるように見えた。

戦士父はそのごつい山を登り、突き刺さるゾディアックの元へと足を進める。
95 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:34:14.19 ID:tPGUQS6/o
ガシッ

戦士父「ぬぅん!!」

ズボォ!!

男隊員「……抜けた」

隊長「サルワの様子はぁ!?」

女隊員「変化なしッスね!」

戦士「ん、何だ!?」

シュウウゥゥゥゥ

パイク長「魔物の体が縮んでおるぞ!?」

戦士父「……」

スタッ…タタタタッ

王子「何が起きたの?」

戦士「さぁ」

隊長「おそらく魔力を失ったんだろう。それで全身が縮小してるのさ」

戦士「なるほどな」
96 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/19(木) 18:42:00.52 ID:tPGUQS6/o
ザッザッザ

隊長「ゾディアックは無事ですか?」

戦士父「ああ。問題ない」

戦士「あれ……待てよ?」

王子「……?」

戦士「これでゾディアック全ての所在が判明したって事か?」

戦士父「ああ、そうなるな」

パイク長「このパイクの事か?」

戦士「ああ。そいつはゾディアックっつ――」

ドドオオォォォォン!!

隊長「何だっ!?」

西方兵「魔物が起き上がったぞぉーっ!!」

砂漠の砂が舞い上がり、その奥より小さく、しかし強靭な姿の魔物が睨みを利かせる。

サルワ「…………」

魔王アンラ・マンユの眷属、サルワが再びその意識を取り戻した。
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/19(木) 18:47:20.59 ID:tPGUQS6/o
それではここまでにて失礼致します!
多数のご支援ありがとうございました!マジシャンの反響にびっくり…

>>50
ごめんなさい…何で紛れ込んだんだろう…orz

〜先にオマケ〜

名士「あー疲れたー」スパー

眼鏡「経理部も忙しそうだなぁ」モクモクモク

紅孩児「お疲れさんです!」テクテクテク

名士「お疲れ。確か、営業部の紅孩児だっけか?」

紅孩児「はいっす!」

眼鏡「若いのは元気だなー」

紅孩児「部長達だって若いじゃないっすか。ハハッ!」

名士「いやいや、もう年よ年。しかしいつも頑張ってるな、新入社員なのに」

紅孩児「そりゃもう! バリバリ働いて、社長目指しまてすから……おっと、それじゃ失礼します!」タッタッタ

名士「社長かー。そんなの目指してた頃もあったなー。あの頃は若かった……」

眼鏡「遠い昔の事だねぇ。今は無事、定年を迎えられればいいさ。あはは」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/19(木) 18:49:28.78 ID:hQnznT4po
おつ!
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/05/19(木) 19:03:01.28 ID:lb3phMkbo
>>1おつー!
天才の魔道士のモノマネに吹いたww
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/19(木) 19:56:16.51 ID:nsHeayBAO
>>1

マジシャンも天才もどうせ頭禿散らかした髭モジャおじいちゃん面なはずなのに若くカッコ良く脳内に投射されちゃう不思議
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/19(木) 19:56:24.69 ID:mNRxq7sPo
サルワって水じゃなかった?砂漠で戦うとか絶望的すぎるだろ
つーかマジシャンさん…命の恩人の召喚士に感謝の言葉も無しかよ
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/05/19(木) 20:26:51.47 ID:ofwRYLYC0
マジシャンおかえりー
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/20(金) 00:01:05.40 ID:FsGCknwAO
予言の民…か
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 08:22:12.26 ID:6n8cx7GDO
(キリッ
105 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/20(金) 18:35:08.60 ID:P0WRBw3do
すみません。諸事情により本日明日とお休みさせて頂きます
本当に申し訳ありません…ご報告のみ失礼致します!
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/20(金) 18:38:50.69 ID:6uMsCVSOo
報告ありがと
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/05/20(金) 18:51:51.09 ID:8nOYbkxto
たまにはゆっくり休んでね
明けを楽しみにしてるよ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 18:54:30.44 ID:27+nxZ/a0
1乙
ゆっくりしてや〜
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/20(金) 19:04:54.98 ID:ooZq5VoAO
>>1

報告愛してる乙大好きラブユーセンキュー
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 19:06:05.33 ID:7cCGRKBDO
>>1
ごゆっくりー
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/20(金) 19:07:42.23 ID:CpHVd0NDO
>>1
ゆっくり休んでくれー
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/20(金) 21:25:03.59 ID:oF+ymVYAO
>>1
  __
  /。 \
 |ノ ゚|ノシ
 ノ ゴ ノ
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/21(土) 00:12:06.97 ID:qfGsnctIO
泥酔して帰宅してみれば…

嬉しいことならば、共に喜ぼう。
悲しいことなら、共に泣こう。

先ずは>>1にとって佳きことと祈りつつ、
元気でまた会おう!!
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/05/21(土) 04:52:58.04 ID:noONf8V00
1乙
待ってる
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/21(土) 08:18:36.29 ID:SceT7ntAO
>>1乙んつん
よし。オナ禁2日間だな
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 00:19:58.73 ID:3d7S9vcSO
>>1乙ッッッッ!!!
この続きが読みたいから今を生きてます
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/05/22(日) 14:28:45.18 ID:yIjVkQiI0
ありがとう。
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/22(日) 15:54:00.95 ID:ycm3Y286o
そしてありがとう!
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/05/22(日) 16:04:45.35 ID:ngE/aquto
こだま?
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/05/22(日) 16:05:24.51 ID:ngE/aquto
こだま?
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 16:11:21.83 ID:/SwdbcFto
>>119-120
お前がな
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/22(日) 16:55:29.25 ID:wVFWrEaEo
虎兎おもろいよな
123 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:29:23.44 ID:BBfMNs2qo
〜アマゾネスの村〜

アマゾネス「さて、それでは始めようか」

魔道士「朱雀嬢ちゃん、頑張って!」

朱雀嬢「……行ってきますわ」

テクテクテク

玄武娘「おぉ、真面目な顔ですの」

白虎嬢「本当ねぇ〜」

盗賊「……当たり前だろ」

ザッザッザ

――「あなたが私の相手? 私はおさげ。ヨロシクね」

朱雀嬢「……宜しくですわ」

アマゾネス「では、朱雀嬢対おさげの試合を始める」

朱雀嬢「出て来い、ハーピー!」

おさげ「……行け、ハーピー!」

朱雀嬢「!?」
124 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:29:59.15 ID:BBfMNs2qo
盗賊「……互いにハーピーか」

青年子「いや、それよりも今……」

魔道士「え、えぇ。『行け』……って」

シュイイィィィィン

朱雀嬢「……」

おさげ「……うふふ」

互いのハーピーが無言のまま睨み合う。

おさげ「あら、来ないのかしら? それじゃあ……こっちから」

ドシュンッ!!

白虎長「早いっ!!」

盗賊「……いやっ、大丈夫!」

猛スピードで突進するおさげのハーピー。だがこれを朱雀嬢のハーピーは、

ひらりと宙へ舞い上がり、回避する。

おさげ「うふふっ、空中戦がお好みなのね」

朱雀嬢「……はあぁ!!」
125 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:30:42.11 ID:BBfMNs2qo
ドガガガガガッ!!

魔道士「す、すご……っ」

玄武娘「早くて……何が何だか分からないですの」

2匹のハーピーがぶつかり合う度にはじける火花。互いに一進一退の攻防が

ノーガードの打ち合いとして繰り広げられている。

おさげ「ふぅん、思ったよりやるじゃない」

朱雀嬢「まだまだ……これからですわっ!」

おさげ「!?」

朱雀嬢はハーピーを更に上空へと羽ばたかせると、太陽を戦士に急降下を始める。

おさげ「目晦ましのつもり!? 甘いわよっ!!」

朱雀嬢「……」

バシュウウゥゥゥゥ!!…ブワッ

おさげ「――!?」

降下するハーピーを迎撃しようと、おさげのハーピーが腕を伸ばした瞬間、

朱雀嬢のハーピーはその場より姿を消す。いや、消えたように見えたのだ。
126 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:31:13.20 ID:BBfMNs2qo
アマゾネス「更に速度を……!?」

朱雀嬢「いっけぇーですわ!!」

再び姿を現した朱雀嬢のハーピーは、対峙するハーピーの真下から

弾丸のような勢いで螺旋を描き突撃を敢行し、両手の爪を光らせる。

おさげ「んなぁーっ!!」

ズガガガガガッ…バシュウウゥゥゥゥ

ドリルのように抉り突き上げた朱雀嬢のハーピーは、上空で回転を止めると、

おさげのハーピーの消滅を確認し、朱雀嬢にVサインを見せながら笑った。

朱雀嬢「……勝ち、ですわね?」

アマゾネス「……勝者、朱雀嬢」

魔道士「すっごぉい!! 圧倒的じゃない!!」

白虎長「ハーピーの特性を活かした、うまい戦術だったわね」

玄武娘「やったやったですのー!」

テクテクテク…ピタッ

朱雀嬢「さぁ、どんんどんかかっていらっしゃい!」
127 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:32:18.66 ID:BBfMNs2qo
アマゾネス「……次」

ザッザッザ

アマゾネス「朱雀嬢対色黒、始め!」

色黒「ハーピーの動きは見切ったわよ!」

朱雀嬢「……それなら」

シュウウゥゥ…

朱雀嬢「出て来いっ、グリフォン!」

シュイイィィィィン

色黒「ほぉ、召喚獣を変えたかいっ!」

朱雀嬢「さぁ、これならどうするのかしら?」

色黒「ならば……」

ザザッ

色黒「行け、サンダーバード!」

シュイイィィィィン

色黒「さぁ、行くわよぉ!」
128 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:33:43.20 ID:BBfMNs2qo
アマゾネス「……次」

ザッザッザ

アマゾネス「朱雀嬢対色黒、始め!」

色黒「ハーピーの動きは見切ったわよ!」

朱雀嬢「……それなら」

シュウウゥゥ…

朱雀嬢「出て来いっ、グリフォン!」

シュイイィィィィン

色黒「ほぉ、召喚獣を変えたかいっ!」

朱雀嬢「さぁ、これならどうするのかしら?」

色黒「ならば……」

ザザッ

色黒「行け、サンダーバード!」

シュイイィィィィン

色黒「さぁ、行くわよぉ!」
129 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:35:40.42 ID:BBfMNs2qo
巨大な嘴に、炎のように赤く燃える瞳。コカトリスとほぼ同等であろうか、

サンダーバードと呼ばれる巨鳥の召喚獣が姿を現す。

玄武娘「な、何ですのあれ!?」

白虎長「さぁ、初めてみる召喚獣ね……っ」

色黒「ふふっ、始めて見る召喚獣のようね! これはチャンス!」

朱雀嬢「……それは、どうかしら」

色黒「何……?」

朱雀嬢「貴女のサンダーバード……雷を使うわね?」

色黒「!? な、何故それを……」

朱雀嬢「ふふっ、お見通しですわ」

色黒「まさか初見で見破るとは……やるな貴様っ!」

盗賊「……名前で丸分かりのような気が」

魔道士「言っちゃ駄目ですよ……」

朱雀嬢「さぁ、行きますわよっ!」

色黒「来いっ!」
130 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:37:22.84 ID:BBfMNs2qo
朱雀嬢のグリフォンが低空飛行でサンダーバードの足元へ潜り込む。

青年子「うまいっ!」

玄武娘「ほえ?」

白虎長「雷相手なら、密着して真下へ潜るのが効果的なのよ」

青年子「そうすれば、相手は落雷や電撃を使えませんからね」

魔道士「なるほどですね……っ」

色黒「く……っ」

朱雀嬢「逃がしませんわっ!」

振り切ろうとするサンダーバードの動きを探知し、グリフォンが離れる事なく、

その後を追い、ぴったりと張り付きながら追跡する。

ドシュウウゥゥゥゥ

色黒「だがこうもくっ付いてちゃあ、そちらも攻撃は出来んぞっ!」

朱雀嬢「……どうかしら」

色黒「!?」

朱雀嬢「グリフォン!」
131 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:43:42.26 ID:BBfMNs2qo
グリフォンは一度地面をトンと蹴ると、身を回転させ、サンダーバードへと牙を向ける。

ドシュッ!!

グリフォン「グオオォォーッ!!」

色黒「甘いっ! その程度のスピードなら回避は余裕だ!」

サンダーバードはグリフォンの攻撃をひらりとかわし、反撃の態勢を整える。

朱雀嬢「残念ですわ」

色黒「……?」

朱雀嬢「狙いは……こっち!」

噛み付こうと空振ったグリフォンは、通過間際に獣のような後ろ足で、

サンダーバードの嘴を大きく蹴り上げた。

ガゴオォンッ!!

よろけるサンダーバードの背中に、グリフォンの鋭い前足が爪を立てて掴みかかる。

グリフォン「ウオオォォォォンッ!!」

ゴウッ!!

色黒「――っ!!」
132 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 19:46:22.34 ID:BBfMNs2qo
きりもみ状に、二匹の召喚獣は地面への降下を開始し、サンダーバードの上へ

のしかかるような状態で、グリフォンは地面へと相手を叩きつけた。

ドグシャアアァァァァ!!

朱雀嬢「さぁ、翼をもがれたも同然ですわよ?」

色黒「くっそぉ……!」

グリフォンは大地を疾走し、牙と爪で繰り返しサンダーバードへ攻撃を与え続ける。

青年子「しかし、本当に見事な戦いぶりですね」

白虎長「ええ。極力離れず、でも接近しすぎて反撃を受けず……」

青年子「かなりの経験を積んだのでしょうね」

玄武娘「朱雀嬢ちゃんは、凄く頑張っていたですの!」

色黒「まさか、ここまで封じられるとはぁ……っ!!」

朱雀嬢「さぁ、まだ続けるかしら?」

色黒「……っ、ま……参った!」

決め手を欠き一方的な展開となった勝負は、色黒の召喚解除にて幕を閉じた。

朱雀嬢「さぁこれで2人抜き。まだまだ行きますわよっ」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 20:39:27.42 ID:8e/i8D6Lo
 ,_    バサバサ
<l・ヽ/彡 ≡=
 `(_ミ彡 三ニ
    ヾ
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/05/22(日) 20:48:36.73 ID:yIjVkQiI0
一乙!

↑はカラス?
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/22(日) 20:57:26.56 ID:Wt8XuF9AO
鯉のぼりだよ
136 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 22:58:57.48 ID:BBfMNs2qo
〜西方、南の砂漠〜

サルワ「ウオオォォォォー!!」

ビリビリビリッ

男隊員「小さくなったってのに……なんつぅ威圧だよ……っ」

戦士父「ゾディアックは身を封じていたに過ぎない。奴の力自体は落ちていないぞ」

戦士「じゃあどうすんだよ!?」

戦士父「全員後退しろ。ここは俺がもつ」

ザッザッザッザ

戦士「い、いや……っ、おい……親父」

ザッザッザ

戦士父「……」

サルワ「オオォォォォ……ォォ……」

戦士父「……?」

ザッザッザッザ

戦士父「何だ」
137 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 22:59:52.60 ID:BBfMNs2qo
隊長「一人で行かせるわけにはいきません」

男隊員「これも仕事だし、しゃーないわな。ヒャハハ」

格闘家「援護します」

女隊員「それで、どうするッスか?」

戦士父「……全く」

隊長「各自、撃破はいい。ある程度の力を削げば火山へ戻るはずだ」

戦士父「……」

隊長「……ですね?」

戦士父「ああ。その通りだ」

男隊員「おっしゃ、行くぞ!」

戦士「おう!」

ザッ

男隊員「お前は西国陛下とここにいろ」

戦士「待てよ、俺も……」

男隊員「要人護衛も重要任務だ。絶対、守り抜けよ」
138 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:00:52.62 ID:BBfMNs2qo
戦士「……分かったよ」

格闘家「……?」

ザッザッザ

パイク長「ワシも行くぞい」

男隊員「ジーサン、アンタもだな自分の主を……」

パイク長「ここはワシの庭よ。余所者に好き勝手させるかい」

女隊員「……」

パイク長「それに、目の前の敵を放って指を咥えていられるかって!」

西国兵「我らも援護するぞ!」

ザザザッ

王子「よぉし……」

ザッ…グイッ

王子「げっ、ちょっと離せって……」

戦士「お前の護衛を任されたんだ。ここで大人しくしてなって」

王子「……」
139 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:02:20.97 ID:BBfMNs2qo
戦士「頼もしい限りじゃねーか」

王子「……西国の兵は皆、勇敢さ」

戦士「じゃあ信じてここにいろ」

王子「……分かったよ」

サルワ「ウオオォォォォ!!」

男隊員「くんぞっ!」

ザザッ

隊長「一撃離脱でいけっ、密着はするな!」

格闘家「了解」

まずは先手、格闘家がサルワの元へと走り夜。足場の不安定な砂漠を、

トントンと跳ぶように走り、瞬く間に、一挙に近づく。

格闘家「はあぁ……っ!!」

トンッ…バキャアァ!!

サルワ「何だその蹴りはああぁぁ!!」

格闘家「……」
140 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:07:30.35 ID:BBfMNs2qo
丁度サルワの膝の裏にあたる部分へ、格闘家の跳び蹴りがヒットするが、

サルワはものともせず身を反転させ、格闘家の身体を掴むべく右腕を伸ばす。

格闘家「……大丈夫、かわせる!」

ヒュオッ…ブンッ…フォンッ

サルワ「猿のように……ちょこまかとおおぉぉぉぉ!!」

格闘家「……どうぞ」

隊員「ご苦労っ!!」

続いて格闘家と入れ替わるように、男隊員がサルワの後頭部へと跳躍する。

右手に握り締めた長剣へ左手から発する炎を付加させ、一気にそれを振り下ろした。

ガシュッ!!…ゴゴオオォォォォ!!

男隊員「相変わらず固ってぇ!!」

サルワ「ゴミどもがああぁぁぁ!! 消えろおおぉぉぉぉ!!」

キュイイィィィ

戦士「撃つ気か!?」

隊長「焦るなよっ、大した威力は出せん!」
141 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:08:43.17 ID:BBfMNs2qo
男隊員「わーってる!!」

再び入れ替わるように、今度は隊長が男隊員の左側からサルワの懐へ潜り込む。

隊長「でりゃああぁぁ!!」

ヒュオンッ!!…ドズウウゥゥゥゥッ!!

鈍い音と共に、鋸状の長剣がサルワの右足に直撃する。

サルワ「――ッ!!」

バランスを崩したサルワは、照準が狂い、上空へと閃光を放った。

ドドオオォォォォ

男隊員「確かに大した威力じゃねーけど、喰らったら一溜まりもねーぜ」

隊長「十分避けられんだろ、お前ならな」

男隊員「ヒャハハ、まーな!」

二人はほぼ同時に着地すると、サルワの足元から左右に離れ、走り去った。

サルワ「グヌヌウウゥゥゥゥ……ッ!!」

女隊員「お次はこっちッスよ!!」

去りゆく標的を目で追うサルワの背後から、女隊員が間髪入れず攻撃へと入る。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/22(日) 23:11:14.31 ID:8e/i8D6Lo
サルワ    水と風を操る
143 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:11:35.47 ID:BBfMNs2qo
女隊員「おりゃあぁ!!」

ズガアアァァ!!

サルワ「……小賢しいわあぁ!!」

女隊員「くぅーっ、ハンマー持ってくれば良かったッス」

戦士父「十分だ」

ババッ

戦士父「……ふんっ!!」

サルワ「なっ、ぐああぁぁ!!」

バゴオオォォォォンッ!!…ズザザザアアァァ

王子「流石ゾディアック……!」

戦士「一撃でアイツを吹き飛ばしやがった……っ」

グググッ

サルワ「……たかが、人間如きがああぁぁ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

戦士「な、何だ……!?」
144 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:12:28.77 ID:BBfMNs2qo
サルワ「ガアアァァァァーッ!!」

隊長「力を使う気だな」

格闘家「……どうします?」

隊長「ここでは大した水は使えん。それに力の代償として……」

ブシュウウゥゥゥゥ

女隊員「体が……更に萎んでいくッスよ!?」

隊長「ああ。力を使う代償に、体の維持が出来なくなっている」

戦士父「大きさが縮めばそれだけ間合いも短くなる」

男隊員「懐にゃあ入りにくいが、牽制だけならそっちのが楽だわな」

隊長「そういう事だ。だが風の攻撃もある。油断はするなよ!」

男隊員「眷属相手に油断や手加減なんざぁしてられねーっつの!」

サルワ「まとめて……吹き飛べええぇぇぇぇ!!」

複数の巨大な竜巻が、サルワの周囲を覆い、徐々に軌道を外へ外へと広げていく。

戦士「何つう風だっ、こんな所にまで突風が……っ!」

王子「兵は全員、距離をとって退避しろぉ!!」
145 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:15:19.84 ID:BBfMNs2qo
ゴオオォォォォ!!

格闘家「……ちぃ、視界が――」

サルワ「ガアアァァァァ!!」

格闘家「何っ!?」

バギャアアァァァァ!!

格闘家「がはぁ……っ!!」

ザンッ…ドザザザザッ

サルワ「フウウゥゥゥゥ……ッ」

男隊員「何だぁ!? 今、誰かが――」

ピクッ…ババッ

サルワ「グラアアァァ!!」

男隊員「あっぶねぇ……っ!!」

砂塵舞う背後より現れたサルワの一撃を、男隊員はかろうじて回避する。

男隊員「しかしこうも風の壁があっちゃあ……回避も困難極まりないぜ……っ」

周囲に気を払いながら、男隊員はサルワの繰り出す攻撃を再び避ける。
146 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:20:05.35 ID:BBfMNs2qo
ブオッ!!

サルワ「ガアアァァァァ!!」

男隊員「しかも眼前にゃあ……っ」

ヒュオンッ…ブゥンッ!!

男隊員「直々のご指名だしよぉ!!」

ゴウッ!!

男隊員「しまっ――」

サルワの猛攻を回避し続けるが、男隊員は背中より迫る竜巻に飲み込まれ、

その身体を大きく空中へと投げ出された。

男隊員「ぐあぁ……っ!!」

サルワ「とどめだ」

バキャアアァァァァ!!

サルワ「!?」

パイク長「……ふん、足元がお留守じゃぞい」

サルワの腰に突き刺さる長槍。その使い手であるパイク長が大きく息を吸い込んだ。
147 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:21:50.28 ID:BBfMNs2qo
パイク長「そおぉりゃああぁぁ!!」

ズグッ…ゴシャアアァァ!!

サルワ「ぬぅ……ッ!!」

パイク長「さぁ、もう終わりかぁ!?」

サルワ「ほざけええぇぇぇぇ!!」

隊長「!? いやがった……っ!!」

戦士父「あそこかっ」

タタタッ

女隊員「……っ」

サルワは怒りに身を任せ、パイク長めがけ突進する。

パイク長「馬鹿めがっ! パイク相手に突進などぉ――」

ドドオォ…ドッグウウゥゥ!!

パイク長「……愚の骨頂よ」

突進の勢いを利用し、パイク長はしっかりと地面に柄をつけたパイクを突き出し、

サルワの腹部へとその穂先はものの見事に突き刺さった。
148 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/22(日) 23:22:42.99 ID:BBfMNs2qo
パイク長「……ぬっ、しぶとい奴じゃ」

サルワ「……どいつもこいつも」

グアッ

サルワ「目障りだあぁ!! 死ねええぇぇぇぇ!!」

戦士「!?」

王子「ジーサン!! 離れろっ!!」

サルワは再び力を溜め、身体が縮小する代償として、両腕より水を生み出す。

戦士父「まずいっ!」

ザザザッ…タタッ

サルワ「ガアアァァァァーッ!!」

ドドオオォォォォンッ…ゴボォッ!!

パイク長「ぐ……ぶふぅ……っ!!」

王子「パイク長っ!!」

サルワの攻撃により、全身を水で覆われたパイク長。水は柱のように高く伸び、

その中にパイク長は閉じ込められた格好となった。
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 01:34:46.22 ID:BKtaG3/+0
終わりかな?
終わりなら1乙!!
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/05/23(月) 01:37:54.24 ID:ldMQX2oAO
>>1
次元刀の出番ですね
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 01:42:25.61 ID:ZzdehzIDo
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 06:25:10.14 ID:tc9umfwDO
>>1
噛ませ臭ぷんぷんだったサルワが最後まで生き残るとは……
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/05/23(月) 07:17:05.03 ID:MXD7dKWb0
>>1
フラグ撒きまくったパイク長が最後の人質になるとは……
154 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 17:56:14.55 ID:7TxUulMCo
ガボォッ

パイク長「……っ」

サルワ「とっととその槍を抜けぇ!!」

パイク長「……ゴボッ」

グググッ

サルワ「……」

パイク長の手にする長槍は、さらに深くサルワの腹部へと突き刺さる。

サルワ「ヌゥ……ッ」

グッグッ

パイク長(ざまぁみろ……貴様こそ力を抜かねば、槍も抜けんぞい……っ)

サルワ「よぉしいいだろう。ならば溺死するまで続けているがいいわぁ!!」

ゴボッ…ゴボゴボォ!!

男隊員「み、水の勢いが……っ!? 隊長、俺の事いいから……」

隊長「水圧が強まったんだ。悪いがここに置いていくぞ。自力で何とかしろ」

男隊員「……了解っ」
155 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 17:56:49.78 ID:7TxUulMCo
王子「パイク長!!」

戦士「……くっそぉ」

王子「兄ちゃん、俺は行くぜ」

ザザッ

戦士「……っ」

ググッ

戦士「止めるような度量、持ち合わせちゃいねーよなぁ!!」

ダダッ…ザザザッ

戦士「王子っ!!」

王子「!?」

戦士「いいか? お前の事は俺が絶対に守りぬく!」

王子「……うん」

戦士「必ず助け出すぞ!」

王子「うん!!」

戦士と王子、二人は前方で交戦しているパイク長とサルワの元へ必死に走った。
156 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 17:57:19.90 ID:7TxUulMCo
ガボッ…

サルワ「まだ続けるつもりか?」

パイク長「……っ」

ザッザッザ

西国兵「撃てぇ!!」

ドドオオォォンッ!!

サルワ「……何だそれは? 攻撃か何かのつもりかあぁ!!」

ギュルルッ…ドドオオォォォォン!!

西国兵「ぐあぁーっ!!」

魔道兵「竜巻が来るぞぉ!!」

召喚兵「くそっ、ムシュフ……ぐわぁ!!」

ドドオオォォォォン!!

隊長「馬鹿野郎っ、下がってろ!!」

戦士父「だが、奴の体も更に小さくなっている」

隊長「ええ。今なら追い払えるかもしれませんね」
157 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 17:58:10.39 ID:7TxUulMCo
ズグゥ…ググッ

サルワ「……ヌアアァァァァ!!」

パイク長「……」

サルワ「先程の槍といい、何故だっ! 何故……抜けんのだぁ!!」

パイク長(力を入れれば抜けるものも……抜けんよ……)

サルワ「アァ!?」

パイク長(王子……いや、陛下)

タッタッタッタ

王子「……っ」

パイク長(我らの……勝ちじゃ――)

サルワ「ガアアァァァァーッ!!」

ゴボォッ!!…ビシャビシャビシャッ!!

サルワ「ハァーっ、ハァーッ、ハァ……ッ」

水の柱が上空に伸び、霧のような雨を降らせる。

パイクはサルワの腹部から抜ける事なく、パイク長の手に握り締められたままであった。
158 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 17:59:26.45 ID:7TxUulMCo
ドドオオォォォォ

王子「パイク長っ!!」

戦士「……」

ザザッ

戦士「……王子、早くっ!!」

王子「……」

戦士「王子!!」

王子「…………っ」

戦士「……?」

王子「パイク長はずーっと言ってた。戦場で死ねたら本望だ……って」

戦士「……お、おい」

王子「だからって……だからってさぁ!!」

サルワ「……グ……ゴアアァァァァ!!」

疲労を回復する為か、サルワは周辺の竜巻を解き、自身へと吸収させる。

そして呼吸は正常に戻り、再び目の前の標的に眼光を鋭く向けた。
159 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:00:21.07 ID:7TxUulMCo
オオォォォォ…

女隊員「竜巻が無くなって……」

隊長「!?」

格闘家「…………」

女隊員「格闘家くんっ!?」

隊長「お前はそいつを頼む! あっちにもう一人転がってる、そっちもだ!」

女隊員「り、了解ッス!」

ザザッ…タタタッ

サルワ「……こんな槍で……この俺を」

グッ

サルワ「……?」

戦士「……今、抜いてやるよ」

ズボォ!!

サルワ「グゥ……ッ」

パイク長の手に自分の手を添え、戦士は力任せにその槍を引き抜いた。
160 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:01:33.92 ID:7TxUulMCo
戦士「てめぇは許さねぇ」

サルワ「アァ?」

戦士「俺らが、倒す!!」

サルワ「!?」

ヒュバッ

サルワ(そういえばあのガキッ、どこへ行――)

王子「りゃああぁぁーっ!!」

サルワ「後ろかぁ!!」

ズバシュッ!!…ガカアアァァァァ!!

サルワ「この程度の……雷でええぇぇー!!」

戦士「ジーサン、槍……借りるぜ!」

ガシッ…

パイク長の固く握られた手が、優しく開く。その手から離れた槍を、戦士が握る。

王子が雷切で打ち込んだ一撃は、それを十分にこなす時間を稼いだ。

そして、戦士はパイクを右手一本、渾身の力を込めて振り抜いた。
161 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:02:23.66 ID:7TxUulMCo
グググッ…バッギャアアァァ!!

サルワ「ゴハァ……ッ!!」

ザンッ…ドザザザザッ…ズシャアアァァ

サルワ「クソがぁ……ッ」

大きく吹き飛ばされ起き上がろうとする刹那、サルワの顔に影がかかる。

サルワ「――!?」

戦士父「……」

戦士「親父っ!!」

叫び声を上げると同時に、戦士はパイクを戦士父へと投げる。

ブンッ!!…パシィッ!!

戦士父「……くらえ」

空中で2本の槍をくるくると回し持ち直すと、戦士父はその双槍をサルワの両肩へ、

それぞれ突き降ろしながら、サルワの胸部へと着地した。

ザシュウウゥゥゥゥ!!…ブシュウウゥゥッ

サルワ「ガアアアアァァァァァァーッ!!」
162 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:05:36.40 ID:7TxUulMCo
ズボッ…ヒュッ…スタッ

のた打ち回りながらも懸命に起き上がるサルワ。しかしその両腕は既になく、

足元の砂漠へと転がり、大量の血を噴き出していた。

サルワ「クソォ、クソォ、クソオオォォォォ!!」

戦士「よーし、あと一息だ」

戦士父「待て」

戦士「……?」

戦士父「無理に深追いする必要はない」

戦士「でもよっ」

隊長「五行もないのに、どうやって仕留めるつもりだ?」

戦士「……っ」

隊長「手負いの魔物が一番恐ろしい。今は退かせるだけで構わんさ」

戦士父「そういう事だ」

戦士「……ちっ」

サルワから目線を外した瞬間、立ち膝のままであったパイク長が横になるのを戦士は見た。
163 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:06:46.56 ID:7TxUulMCo
ドサァ…

西国兵「パイク長……っ」

戦士「……やっぱりよぉ、納得――」

サルワ「ゴアアァァァ−ッ!!」

ブワッ

隊長「各自、戦闘態勢!!」

ババッ

サルワ「……ク……クククッ、ハッハッハアアァァァァ!!」

女隊員「……っ」

サルワ「貴様等、この俺が退く事を望んでいるんだろう?」

隊長「ああ。是非そうして頂きたいもんだな」

サルワ「良かろう」

戦士「……?」

サルワ「退いてやろうじゃないか! この俺が退却する! 人間相手に退却をだ!!」

男隊員「ぐ……く……っ」
164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:07:28.38 ID:7TxUulMCo
サルワ「生涯初めてだ、このような……屈辱はなああぁぁ!!」

戦士父「……」

サルワ「そしてぇ! 再び力を取り戻した時はぁ! ……皆殺しだ」

戦士「……」

サルワ「地上の人間ッ、全てを皆殺しにしてくれるわああぁぁ!!」

ゴウッ

女隊員「う、腕が……っ!」

西国兵「ちぎれた腕が……浮いて……っ」

サルワ「時間はかけん。貴様等の寿命は短いからなぁ!!」

フワッ…ヒュウウゥゥゥゥ

サルワ「せいぜい束の間の人生を、楽しんでおくがいいわああぁぁ!!」

隊長「追うなっ! このまま放っておけ!」

サルワ「ハッハッハッハアアァァァァ!!」

地鳴りのような笑い声と共に、サルワは南へとその姿を消した。

魔物の消えた砂漠では、時折り吹く風と、苦痛に耐える呻き声だけが響いた。
165 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:08:16.56 ID:7TxUulMCo
〜アマゾネスの村〜

アマゾネス「それでは、次の試合だ」

ザッザッザ

朱雀嬢「今度の相手は貴女かしら?」

ポニテ「私はポニテ。宜しくね、朱雀嬢ちゃん」

アマゾネス「それでは朱雀嬢対ポニテ……始め!」

ザザッ

朱雀嬢(さぁて、今度はどんな召喚獣かしら?)

ポニテ「行けっ、ペガサス!」

シュイイィィン

青年子「ペガサス……!?」

ポニテの召喚獣ペガサス。汚れ一つない真っ白な毛並みを風に靡かせ、

更には背から生えた翼を優雅に広げ、空を駆る。

魔道士「うわぁ……素敵っ」

白虎長「白虎のユニコーンに似ているな」
166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:09:20.30 ID:7TxUulMCo
白虎嬢「そうですねぇ〜」

ポニテ「さぁ、勝負!」

朱雀嬢「……出て来いっ! ハーピー」

シュイイィィン

玄武娘「おぉ、ハーピーを出したですの!」

盗賊「……相手の特性が掴めないからな。汎用性のい高いハーピーなんだろう」

玄武娘「なるほどですの〜!」

朱雀嬢「ハーピー、まずは上空で様子を!」

ハーピー「はいなっ♪」

バシュッ!!

ペガサス「……」

ハーピー「ペガサスの力……何だっけ? あぁん、こっちだと全然思い出せないのよねぇ」

ポニテ「……さーて。来ないのなら、こっちから行っくわよぉ〜」

朱雀嬢「来るっ!」

静観していたペガサスが突如羽ばたき、空高く舞い上がる。
167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:11:01.25 ID:7TxUulMCo
バシュウウゥゥゥ

朱雀嬢「どうするつもりかしら……っ!?」

ポニテ「そ−れっ!」

キラッ

朱雀嬢「!?」

ドガガガガガッ!!

白虎長「何あれっ!?」

魔道士「流星……?」

盗賊「……いやっ、あれは風圧だ!」

魔道士「風圧!?」

朱雀嬢「くぅ……っ!」

太陽の中に隠れるペガサスの元より、風圧で生み出された無数の衝撃波がハーピーを襲う。

ハーピー「凄い数……っ、まだ増える……のぉ!?」

朱雀嬢「お、音が遅れて聞こえるなんて……まさか……っ」

ズガガガガガッ…バゴオオォォォォン!!
168 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:11:54.83 ID:7TxUulMCo
朱雀嬢「きゃああぁぁーっ!!」

白虎長「ハーピーが吹き飛ばされたっ!」

ドシャアアァァ

ハーピー「うぅ……っ」

ガクッ

朱雀嬢「はぁ……はぁ……っ」

ポニテ「だいぶ、魔力を消費してしまったらしいわね」

朱雀嬢「……くぅっ」

白虎長「朱雀嬢、無理する事はないわよ。これは殺し合いではないの」

玄武娘「そうですの! まだ、4人もいるですの!」

朱雀嬢「……っ」

ザザッ

朱雀嬢「……そうね、私の負け……ですわ」

目を瞑りながらゆっくりと起き上がる朱雀嬢は、少しはにかみながら降参を宣言した。

朱雀嬢「悔しいけれど、あとはお任せ致しますわ。……大切な仲間に」
169 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:15:59.25 ID:7TxUulMCo
テクテクテク

朱雀嬢「……ごめんなさいですわ」

玄武娘「凄かったですのー!」

白虎嬢「ほんと、かっこ良かったよ〜」

朱雀嬢「……」

白虎長「さぁ、あとは私達に任せて休んでなさいな」

青年子「まだこちらが有利、問題ありませんよ」

朱雀嬢「みんな……」

盗賊「……よくやったな」

魔道士「朱雀嬢ちゃん、偉いっ!」

朱雀嬢「……ぐすっ」

アマゾネス「さぁ、次の相手は誰だ?」

白虎嬢「よしっ、行ってきます!」

玄武娘「白虎嬢ちゃん、頑張ってですのっ!」

白虎嬢「うん、頑張るね〜」
170 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:17:16.12 ID:7TxUulMCo
テクテクテクテク

ポニテ「お次はあなた?」

白虎嬢「そうみたいです」

ポニテ「……ふふん、私はこのままでいいわ。さぁ……」

アマゾネス「それでは、白虎嬢対ポニテ……始め!」

白虎嬢「うふふっ♪」

ゴゴゴゴゴゴ…

ポニテ「な、何!? この威圧は……っ」

ゴゴゴゴゴゴ…

青年子「で、出た……ベヒーモス!」

ドズウウゥゥゥゥン

アマゾネス「あれがベヒーモス……っ! デカイな」

ポニテ「えぇいっ、見かけで優劣決まるものですかっ!」

ペガサスは先程同様、上空より風圧の流星を放つ。

ズドドドドドッ
171 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:18:00.41 ID:7TxUulMCo
ポニテ「か、固いぃ!!」

ベヒーモス「グオオォォォォ!!」

2本の角を突き上げるかのように顔を上げるベヒーモス。

その一撃でペガサスの風圧は悉く打ち消され、完全に隙だらけとなった。

キュイイィィィィ

ポニテ「まず……っ、回避――」

ベヒーモス「ガアアァァァァッ!!」

ズドオオォォォォン!!…ボシュッ!!

ポニテ「きゃああぁぁーっ!!」

青年子「……い、一撃で消滅……っ」

魔道士「凄い魔力……っ」

ドサッ

ポニテ「……ま、参りました」

アマゾネス「し、勝者、白虎嬢」

白虎嬢「……よしっ!」
172 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:18:40.43 ID:7TxUulMCo
玄武娘「白虎嬢ちゃん、凄ぉーいですの!」

朱雀嬢「相変わらず、えげつないですわ……」

アマゾネス「……次っ」

ザッザッザ…ザッ

アマゾネス「白虎嬢対……ツインテ。始めぇ!」

ツインテ「よろしく〜」

白虎嬢「こちらこそ〜」

青年子「白虎嬢さん、ベヒーモスを下げませんね」

白虎長「今回も瞬時に片付けようって作戦みたいね」

ツインテ「……ふふっ、そうはいきませんよぉ〜」

白虎嬢「……」

ツインテ「行け、セイレーン!」

シュイイィィィンン

魔道士「セイレーン……!?」

盗賊「……初めて見るな」
173 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:19:17.82 ID:7TxUulMCo
朱雀嬢「ま、まずいですわっ!!」

玄武娘「ほへ?」

朱雀嬢「皆さん、耳を塞いで!!」

青年子「!?」

ツインテ「そーれっ」

セイレーン「〜♪」

ベヒーモス「グガアアァァァァーッ!!」

ガクンッ

白虎嬢「な、何……この歌は……っ!?」

ツインテ「ふふっ、一度耳に入ってしまえば……こっちのものよ〜」

セイレーン「〜♪」

ベヒーモス「ググ……ガアアァァァァ!!」

シュウウゥゥゥゥ

白虎長「ベヒーモスが小さくなって……」

朱雀嬢「歌のせいですわっ!」
174 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:20:46.88 ID:7TxUulMCo
魔道士「!?」

朱雀嬢「セイレーンの歌には、相手の力を徐々に奪うんですわっ!」

セイレーンの音色が辺りに響き渡る。その美しい歌とは裏腹に、

直撃を食らったベヒーモスとその主である白虎嬢は、徐々にその魔力を奪われていく。

盗賊「……そ、そうか……だから耳を塞げと……うぅっ」

更には聴覚が発達している盗賊においても、耳を塞いだ上から微弱ながら効果が出ていた。

白虎嬢「きゃああぁぁ!」

ツインテ「今頃、耳を塞いでも……遅いですわよ〜」

白虎嬢「くぅ……っ」

ベヒーモス「……グ……ググ……ゥ」

シュイイィィィィン

魔道士「ベヒーモスがっ!?」

白虎長「白虎嬢っ、もういいわ! 棄権してっ!」

白虎嬢「……ごめんなさい、棄権ですわ……っ」

アマゾネス「そこまでっ! 勝者……ツインテ」
175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:21:27.01 ID:7TxUulMCo
フラフラ

白虎嬢「うぅ〜。ごめんなさい〜」

魔道士「大丈夫!?」

白虎嬢「少し休めば大丈夫だと思いますぅ」

青年子「まだこちらが勝っています。このままいきましょう!」

ザッ

白虎長「そうね、さーて……行ってくるわ」

アマゾネス「では、白虎長対ツインテ……始めっ!」

魔道士「白虎長さん、頑張ってーっ!」

玄武娘「ファイトですのー!」

白虎長「白虎先生の名において、一人も倒せずに負けるなんて出来ないわ」

ツインテ「……行け」

白虎長「セイレーンならもう効かないわよっ!」

白虎長は布などを合わせ簡易的に作った耳栓を、ちらりとツインテへ見せた。

ツインテ「……ちっ」
176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:22:09.50 ID:7TxUulMCo
白虎長「出でよ、フェンリル!」

シュイイィィィィン

ツインテ「行けっ、グリフォン!」

シュイイィィィィン

白虎長「グリフォンか……」

ツインテ「あなたも白虎のようね。それなら……」

バサァ…バサッバサッ

ツインテ「空中の届かないところから、一方的に攻撃しちゃうわ〜」

グリフォンはツインテの合図と同時に急降下し、鋭い爪を振りかぶる。

フェンリルはそれを素早くかわし、円を描くように地面を疾走する。

白虎長「さーて、どうしようかしら……」

ツインテ「チョコマカと逃げるなぁ〜!」

盗賊「……確かに、白虎は朱雀と相性悪いな」

青年子「白虎の場合、飛行タイプの召喚獣を持たないですからね」

魔道士「確かにそうですよね」
177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:22:51.88 ID:7TxUulMCo
青年子「そのぶん、攻撃力は4属性でも最も高いんですが……」

盗賊「……そうなのか?」

青年子「ええ。飛行などに無駄な魔力を使わずに済みますから」

盗賊「……なるほどな」

ザザッ

白虎長「ねぇ」

アマゾネス「……?」

白虎長「複数の召喚獣を出すのは、反則なんて言わないわよね?」

アマゾネス「勿論だ。召喚獣同士の戦いであれば他には何もルールはない」

白虎長「ありがとっ!」

ツインテ「えーいっ!!」

ズガァッ…ドゴォッ

白虎長「出でよ、ガルム!」

シュイイィィィィン

ツインテ「ふふっ、召喚獣を増やしたところで……」
178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:23:37.35 ID:7TxUulMCo
白虎長「出でよ、ゴーレム! カトブレパス!! スレイプニル!!!ベヒーモス!!!!」

ツインテ「え……えっ、えぇーっ!?」

シュイイィィィィン…ゴゴゴゴゴゴ

ツインテ「ち、ちょっと! 数多く出せばいいってもんじゃあ……」

白虎長「それっ」

朱雀嬢「あんないっぺんに出して……大丈夫なの!?」

魔道士「……?」

青年子「数多く出せばそれだけ魔力は分散されます」

盗賊「……つまり、1体あたりの強さが落ちる……という事か」

青年子「ええ。そこは白虎長さんなので問題ないと思いますが……」

白虎嬢「難しいのは、全てに指令を出さなければいけないところですね〜」

青年子「そうなんです。数多くいればそれだけ、数多くの指令を同時に出さなくてはいけない」

魔道士「な、なるほどっ。確かにそうですね……」

青年子「でも、それを為し得るのが白虎長さん。白虎先生を引き継ぐ実力の所以ですよ」

ツインテ「そっ、そんなに制御出来るわけええぇぇぇぇ」
179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:24:42.91 ID:7TxUulMCo
白虎長「試してみる?」

ツインテ「ひっ、ひええぇぇぇぇ〜っ」

ガルムとフェンリルが左右よりグリフォンの元へと駆け寄る。

ツインテ「ひ、ひいぃ!!」

グリフォンはたまらず上空へ回避するが、そこkへベヒーモスの閃光が撃ち放たれる。

ツインテ「ひ、ひああぁぁぁぁーっ!」

閃光も回避し、グリフォンは態勢を整えようと試みるが、そこへカトブレパスの一撃が撃たれる。

ツインテ「わっ、わわっ!!」

カトブレパスの一撃は、グリフォンの片翼を石化させ、グリフォンは地上へ着地した。

ツインテ「くうぅーっ!」

そこへすかさずスレイプニルが走り寄り、電光石火の如く体当たりをブチかます。

ツインテ「にゃああぁぁぁぁーっ!!」

吹き飛んだ先で待ち受けるゴーレムは、両拳を重ね合わせ、グリフォンを地面へ叩きつけた。

バッゴオオォォォォンッ!!…ドシャアアァァ…

ツインテ「ま、参りましたぁ〜」
180 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/23(月) 18:26:48.49 ID:7TxUulMCo
アマゾネス「勝者……白虎長」

白虎長「……う〜ん。半分くらいでも良かったかしらねぇ、ふふっ」

玄武娘「す、凄いですの……」

朱雀嬢「魔力だけなら玄武娘も可能だけれど……頭がねぇ」

魔道士「一体……どこにそんな頭脳が……っ」

盗賊「……さぁ」

玄武娘「分かった!」

白虎嬢「……?」

玄武娘「きっと、あの胸の中に詰まってるですの!」

バイーン

白虎長「……ん?」

朱雀嬢「貴女、本当に頭空っぽですわね……」

魔道士「……確かに、盗賊さんも頭いいし……ぶつぶつ」

盗賊「……おい」

青年子「…………」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/23(月) 18:30:41.57 ID:7TxUulMCo
週末はバタバタとすみませんでした!
たまーにペース落ちるかもですが、
基本は毎日投下出来るよう頑張ります!

それではご支援感謝!失礼致します!ノシ
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 18:32:35.54 ID:tc9umfwDO
>>1乙っした
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/23(月) 21:12:51.92 ID:FAgkXcH2o
いっこく堂つよいな!
>>1
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/05/23(月) 21:20:53.85 ID:pMcJBcnYo

戦士は相変わらず甘いなぁ
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/23(月) 23:10:11.00 ID:D+76mGXdo
ポニテにツインテ
さらにツインテが猫娘とはwww

ここも向こうも、続きが気になる〜
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/24(火) 08:25:34.04 ID://f3ARdAO
>>1

ツインテポニテポロリ…俺もその村に行きたい見たい
裸見たい!
187 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:24:54.68 ID:21IVfiAWo
〜南西砦〜

パッカパッカパッカ…ドドッ

従者「お待たせ致しました」

天才「あんがとさん!」

ゾロゾロ

法師「うーむ、戻っていないようですね。紅孩児はどこへ行ってしまったのでしょうか……」

マーマン「あんな奴ぁ、放っておきましょうよ」

召喚士「名士さん、本当にありがとうございました」

名士「いや、礼には及ばんよ。それよりも……」

召喚士「……?」

名士「本当に、アンラ・マンユを倒すのだな」

正面にそびえる火山を見上げ、名士は目を細めながら呟く。

名士「頑張れよ。手強いぞ」

召喚士「はい」

名士「……うむ」
188 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:25:20.93 ID:21IVfiAWo
天才「安心しな。何の為にここまでやってきたと思ってるんだ?」

名士「……」

天才「魔王の配置ずらして、龍脈絶って、ようやくここまで遭ぎ着けたんだ」

ハヌマーン「……」

天才「この世代じゃ間に合わねーかと思ったが、やっとなんだよ」

召喚士「……っ」

天才「魔族にゃ悪いが、キッチリとカタ付けさせて貰うぜぇ」

名士「ああ、健闘を祈るよ」

クルッ…スタスタスタ…

名士「戻るぞ」

従者「はい」

ガチャッ…パッカパッカハッカ

名士「……さぁて、高みの見物といこうかね」

フワッ…パッカパッカパッカ…

召喚士「……」
189 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:25:51.17 ID:21IVfiAWo
タッタッタッタッタ

大軍師「司令っ!!」

天才「おーう、戻ったぞ」

南西砦兵「い、今……馬車が飛んでなかったか?」

歩兵「まさか……はは……っ」

大軍師「いかがでした?」

天才「大収穫だな。あれも無事生き返った」

大軍師「……おぉっ」

天才「詳しい話は中に戻ってからだ」

大軍師「はっ」

天才「全員まとめて会議室へ集めとけ」

大軍師「……えっ?」

天才「それに本国と南方軍にも伝令、大急ぎでだ」

大軍師「あ、あの……」

天才「行くぜ……アンラ・マンユ討伐だ!」
190 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:26:16.26 ID:21IVfiAWo


天才「おい」

大軍師「はい」

天才「誰もいねーってのはどういう事だ!」

大軍師「ですから、まだ誰も帰ってきてないと……」

天才「なーにをチンタラやってんだバカ共がっ!!」

名代「確かに、遅いですね」

ジュニア「おいおい、まさかやられちまったなんて事はねーだろな」

賢者「……そこまで弱くないだろう……ふぅ」

天才「仕方ねぇ。ちゃっちゃと人だけかき集めて、準備だけは整えておくぞ」

大軍師「はい」

天才「伝令は送ったな?」

大軍師「送りました。ありったけの魔道兵を此方へ送り込め……と」

天才「ご苦労ご苦労」

召喚士「……魔道兵?」
191 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:27:39.23 ID:21IVfiAWo
〜西方、南の砂漠〜

王子「……くそぉ!!」

ダンッ!!…ズシャッ

戦士「……」

王子「また……目の前で……っ」

戦士父「あの者も戦場で逝けて、本望であろう」

王子「だからって……死んじゃったらそれまでじゃんかよ……」

隊長「それが王の務めです」

王子「……」

隊長「王や国、家族を守るために、みな戦い……死んでいくのです」

戦士父「それをなくす為に、今こうして戦っている」

王子「……っ」

戦士父「早く終わらせよう。そしてその先に待つ未来を見ようじゃないか」

戦士「……だな」

王子「……ありがとう。パイク長」
192 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:28:36.94 ID:21IVfiAWo


王子「遺体は収容したか?」

西国兵「……はい」

王子「あのジーサンは、生涯の半分以上を砂漠で過ごしてきた」

戦士「……」

王子「あとはゆっくり、西国で休ませてあげよう」

西国兵「……くっ」

ザッザッザ

隊長「傷は?」

男隊員「こっちは軽傷だ。だが……」

隊長は後方にて運ばれていく担架へ、目線を移す。

女隊員「格闘家くん……っ」

格闘家「…………」

男隊員「肋骨をかなりやられてる。ちょっと間違えば危なかったぜ」

隊長「急所を外したのか。よくもまぁ咄嗟に……。よし、急いで船へ運んでくれ」
193 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:29:04.86 ID:21IVfiAWo


戦士「船の方角、行きと違ってないか?」

隊長「一旦、三日月島へ立ち寄るからな。幾つかの亡骸もある事だし」

戦士「……ああ」

隊長「それに、こいつの手当ても――」

格闘家「……う……っ」

戦士「!?」

隊長「気付いたかっ、おい!?」

格闘家「……隊……長」

隊長「喋るな。あばらをやられてる」

格闘家「……ここは?」

戦士「船の上。安心しな、サルワは蹴散らしたぜ!」

格闘家「……そうか」

隊長「もうじき三日月島だ。今はゆっくり休んでおけ」

格闘家「……すみません」
194 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:29:45.05 ID:21IVfiAWo
〜アマゾネスの村〜

白虎長「さーて、残るはあなただけよ?」

アマゾネス「……はぁ、情けない」

ザッザッザ

アマゾネス「あとでキツーイ、おしおきが必要だな」

ツインテ「ひいいぃぃーっ!」

おさげ「そんなぁ〜っ」

アマゾネス「すまんが、代わりに合図を」

魔道士「えっ、あ……はい! えーと、白虎長さん対アマゾネスさん……始めっ!」

白虎長「さーて。見せて貰いましょうか、噂のワルキューレ」

アマゾネス「……ふっ、望むところ!」

ザザッ

アマゾネス「行けっ、ワルキューレ!!」

シュイイィィィィン!!

白虎長「!?」
195 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:30:21.65 ID:21IVfiAWo
アマゾネスの声に応じ、周囲に光り輝く人影が現れる。

影は1つから2つ、2つから4つとその数を増やし、最終的にはその数は9つになり、

光の中から徐々に甲冑を纏いし女性の姿が浮かび上がった。

魔道士「!?」

青年子「出たっ! あれがワルキューレです!」

9匹の女性を模した召喚獣は、美しい羽を広げ、にっこりと微笑んだ。

アマゾネス「さぁ、かかってくるがいい」

白虎長「一度に9体も……っ。ならば……」

ザッ

玄武娘「おぉ!?」

白虎長は先程の戦い同様、複数の召喚獣を一度に召喚し、これを迎え撃つ。

アマゾネス「……」

白虎長「飛行出来るからって、有利だとは思わないでねっ!」

キュイイィィィィ…ゴガアアァァァァッ!!

ベヒーモスの閃光が空中へ放たれ、右から左へ薙ぎるように放たれた。
196 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:30:59.00 ID:21IVfiAWo
ゲルヒルデ「ふふっ」

グリムゲルデ「凄い威力ねぇ」

ワルキューレは四散し、その閃光を起用に飛びながら回避する。

ヒュオッ…ヒュンッ…ヒュンッ

白虎長「すばしっこいわねぇ」

ロスヴァイセ「この程度なら全然余裕ね」」

オルトリンデ「うん。もっと近づきましょ」

ブワッ…バシュウウゥゥゥゥ

白虎長「カトブレパス!!」

カトブレパス「ブオオォォォォンッ!!」

ゴシュウウゥゥゥゥ!!

ヴァルトラウテ「こっちは石化ね、気をつけないと」

ジークルーネ「直線的な攻撃なんて……単調」

旋回しながら2本の軌道をものともせずかわすワルキューレ。

9体の戦乙女は徐々にその距離を標的へと近づけつつあった。
197 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:31:53.74 ID:21IVfiAWo
ドシュウウゥゥゥゥ!!

ヘルムヴィーゲ「さぁーっ、行くわよ」

シュヴェルトラウテ「私は右から回りこむわ」

白虎長「ガルムッ! フェンリルッ!」

ダダッ!!

盗賊「……どうも後手に回っているな」

朱雀嬢「ええ……っ」

青年子「おそらく、召喚獣の差でしょう」

魔道士「えっ?」

青年子「互いに複数の召喚獣を操っていますが、あちらは指揮系統が一つ」

白虎嬢「言われてみれば、そのようですねぇ〜」

青年子「一つの召喚で複数体が同時に機能するのであれば、司令は楽になります」

盗賊「……確かにそうだな」

青年子「それに比べ白虎長さんは複数の召喚で複数体の司令をしなくてはいけない」

朱雀嬢「特性も違えば、攻撃方法や魔力の使い方も違いますものね」
198 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:32:39.05 ID:21IVfiAWo
青年子「いかに白虎長さんが優れているとはいえ、これは厳しいかもしれませんよ」

白虎長「……くっ」

青年子の発言は的を射ていた。最初の魔力こそ消費の大きいと思われるワルキューレだが、

召喚以降に関しては召喚主が指示する動きは至極、シンプルなものとなる。

アマゾネス「……ふっ」

対して、複数の同時召喚を行っている白虎長は、召喚後も多大な魔力を消費し、

尚且つ、瞬時のうちに幾つもの指示を的確に出し続けねばならない。

白虎長「これはちょっと……マズイかもしれないわね……っ」

アマゾネス「さぁて、そろそろとどめだ」

いつからかは分からないが、いつの間にかアマゾネスの横には、

一体の召喚獣がスピアを手に立ちはだかっていた。

ブリュンヒルデ「全員、突撃」

その召喚獣の号令を合図に、羽を持つ女性はスピアを突き出しながら、

一斉に対峙する白虎召喚獣の元へと空を翔る。

白虎長「だから……っ、早いってばぁ!!」
199 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:33:21.31 ID:21IVfiAWo
懸命にフェンリルとガルムで牽制をかける白虎長。飛びかかる2匹の召喚獣を横目に、

9体のワルキューレは飛行を続け、ただ一点目指してスピードを上げる。

白虎長「な……っ!?」

ジークルーネ「そーれっ!」

ドスドスドスドスッ!!

ベヒーモス「グガアアァァァァ!!」

9本のスピアが同時にベヒーモスへと突き刺さる。

ベヒーモス「グウウゥゥ……ッ」

グリムゲルデ「まだまだぁーっ!」

一度離れたワルキューレ達は、今度は突きではなくスピアの先端でベヒーモスを

引っ掻くように斬りつけ、そして空中へ離れ、再び接近し斬る、これを繰り返した。

白虎長「蝿みたいに五月蝿いわねぇ〜!」

ロスヴァイセ「まぁ、失礼ね」

白虎長「ベヒーモスはもう駄目ね……」

シュイイィィィン
200 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:34:47.61 ID:21IVfiAWo
ブリュンヒルデ「次っ」

バシュウウゥゥゥゥ

白虎長「だからぁ、ちょっとは休ませてよおぉ!!」

ドスドスドスッ!!

カトブレパス「グゴガアアァァーッ!!」

青年子「徹底しているな……っ」

盗賊「……ああ」

玄武娘「徹底……ですの?」

青年子「対象の中で最も手強そうな相手から集中攻撃で撃破……っ」

盗賊「……そして、次はカトプレパスというわけだ」

魔道士「なるほど……っ」

青年子「更に無理な攻撃はせず、集団での一斉攻撃、及び離脱戦法」

朱雀嬢「戦術が出来上がってますわね……」

青年子「それに、白虎長さんの魔力も……」

白虎嬢「従姉さん……っ」
201 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:38:05.95 ID:21IVfiAWo
ザシュウウゥゥゥゥ

スレイプニル「――ッ!!」

シュイイィィィィン

ブリュンヒルデ「……どうする?」

白虎長「はぁはぁ……はぁはぁ……っ」

ブリュンヒルデ「残るはそこの2匹のみ」

ガルム「グウウゥゥゥゥ」

フェンリル「グルル……ッ」

アマゾネス「まだ、続けるか?」

白虎長「……ふーっ」

シュイイィィィン

アマゾネス「召喚解除という事は……」

白虎長「流石にもう魔力も持たないわ。私の負け、降参するわ」

アマゾネス「……賢明だな。おい、勝ち名乗りを」

魔道士「……し、勝者! アマゾネスさんっ!」
202 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:57:47.17 ID:21IVfiAWo


アマゾネス「さぁ、お次は誰?」

テクテクテク

玄武娘「私ですのっ!」

白虎嬢「玄武娘ちゃん、頑張って〜」

玄武娘「……ぬんっ!」

朱雀嬢「大丈夫かしら……」

魔道士「玄武娘ちゃん対アマゾネスさん……始めっ!」

盗賊「……勝てるかな」

青年子「どうでしょう」

白虎長「ふーっ」

テクテクテク

青年子「お疲れ様でした。……どうみます?」

白虎長「あの子じゃキツイかもね。準備しておいた方がいいかもよ」

青年子「……?」
203 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 17:58:31.44 ID:21IVfiAWo
玄武娘「おいで、リヴァイアサン」

シュイイィィィィン…ゴゴゴゴゴゴゴ

朱雀嬢「あの……おばかっ!」

白虎嬢「あちゃ〜」

玄武娘「ほえっ?」

朱雀嬢「先程の戦いの、何を見ていたのかしらっ!」

白虎長「……ほらね」

青年子「……はぁ」

ブリュンヒルデ「と、突撃」

玄武娘「来たですのー!」

迫りくるワルキューレ頭よりの更に高く、大津波が押し寄せる。

リヴァイアサン「ゴアアァァァァーッ!!」

ブリュンヒルデ「上昇っ!」

ゴウッ!!…シュバアアァァァァ!!

玄武娘「逃げられたですのっ」
204 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 18:00:02.37 ID:21IVfiAWo
朱雀嬢「玄武娘、もっと小さな召喚獣を――」

ブリュンヒルデ「突撃」

ザシュザシュザシュザシュッ!!

玄武娘「くぅ……っ。やるですの!」

アマゾネス「そぉら、休む暇はないぞ!」

ドスドスドスッ!!…ザシュウウゥゥゥゥ!!

玄武娘「よーし、こうなったら……こっちもたくさん召喚するですの」

シュイイィィィィン

朱雀嬢「だからぁ、数を増やせばいいってものではないのよぉ!」

白虎嬢「聞こえてないわねぇ〜」

玄武娘「行けーですの!」

ゴウッ!!

ブリュンヒルデ「回避」

ケルピー「!?」

ブリュンヒルデ「突撃」
205 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 18:01:33.83 ID:21IVfiAWo
ドスドスドスドスッ!!

リバイアサン「グガアアァァァァ!!」

青年子「やはり徹底的にリヴァイアサン狙いですね」

白虎長「あれが落ちたら、魔力もかなり失うわね……っ」

魔道士「玄武娘ちゃん……っ」

玄武娘「もうっ、全然当たらないですのー!」

朱雀嬢「もっと集中してっ!」

玄武娘「そんなコト言われても……あっちもこっちもおぉ〜」

白虎嬢「頑張って〜。右よ右っ、あ後ろ! 左っ、左!」

玄武娘「あうっ、あううぅぅ〜!」

白虎長「駄目だ……パニクっちゃってるわ」

青年子「……っ」

玄武娘「もう……どこに攻撃したらいいですのーっ!!」

朱雀嬢「ちょっとおぉ!?」

リヴァイアサンによる大津波が、玄武娘を中心に降り注いだ。
206 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 18:02:27.54 ID:21IVfiAWo
ゴアァッ!!…ザッパアアァァァァンッ!!

玄武娘「ひゃああぁぁ!!」

リヴァイアサン「お、おいっ!?」

ブリュンヒルデ「とどめよ」

オルトリンデ「そーれっ」

ザシュズバド゙スッドシュウゥッザクゥッドムゥッゾックゥギャンッ…

リヴァイアサン「グ……グガアアァァァァ……」

シュイイィィィィン

魔道士「つ、津波が……っ」

白虎長「リヴァイアサンが消失したから、津波も消えたのよ」

朱雀嬢「玄武娘っ!!」

玄武娘「……は、はふぅ〜」

朱雀嬢「玄武使いが津波で溺れるなんて、信じられませんわ……っ!」

玄武娘「ま、参りましたぁ……」

魔道士「……勝者、アマゾネスさん!」
207 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 18:10:57.84 ID:21IVfiAWo
アマゾネス「さーて、いよいよ大将同士の勝負ね」

魔道士「これで、決着が決まるわけですね……っ」

盗賊「……頑張れよ」

ザッザッザ

青年子「はい」

魔道士「それでは、青年子さん対アマゾネスさん……始め!!」

青年子「出でよ、ワイバーン」

シュイイィィィィン

白虎嬢「ワイバーン……。どうするのかしらね?」

白虎長「まずは様子見だろう。なんとか打開策を見つけないと厳しいわ」

ブリュンヒルデ「突撃」

バシュウウゥゥゥゥ!!

青年子(やっぱり傍からみた速さとは、全然違うなぁ)

ワイバーンは空高く舞い上がり、垂直に飛行を続ける。

青年子(あれを相手に面で戦うのは不利だな……っ)
208 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 18:19:48.30 ID:21IVfiAWo
ドシュウウゥゥゥゥ!!

青年子(かと言って、決め手があるわけじゃないんだよなぁ……)

アマゾネス「なかなかの早さだな。アマゾネス相手によく逃げる」

青年子「確かに逃げてばかりいられないか……」

ワイバーンは急停止し、炎を吐きながら今度は垂直に急降下を始めた。

ブリュンヒルデ「炎で……壁のつもりか?」

ワルキューレは左手に装着した盾を身体の前へと掲げ、したから一気に上昇する。

青年子「……っ」

ワイバーン「グガアアァァァァ!!」

ブリュンヒルデ「突げ――」

リンドブルム「ガオオォォォォンッ!!」

アマゾネス「何ぃ!?」

ワイバーンの影より現れたリンドブルムが雷鳴を轟かせ、複数の稲妻を放つ。

ドガカアアァァァァッ!!

ブリュンヒルデ「くうぅ……っ」
209 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/24(火) 18:23:51.90 ID:21IVfiAWo
シュウウゥゥゥゥ

青年子「やっと、ダメージを与えましたね」

アマゾネス「上空でもう1匹、召喚獣を忍ばせていたとはな」

盗賊「……なるほど、あの炎は囮だったのか」

白虎長「でも、相手の魔力はほとんど変化なしよ」

ブリュンヒルデ「回避」

バシュウウゥゥゥゥ

青年子(散られた状態の方が、もっと厳しいかな……っ)

アマゾネス「あまり一直線に攻めるのも危なそうだしな。ここは……」

ブリュンヒルデ「突撃」

ドシュウウゥゥゥゥ!!

青年子「出でよ、アンフィスバエナ!」

アマゾネス「!?」

前後両方に頭を持つ龍は、他方から仕掛けるワルキューレの攻撃を読み取り、

炎で牽制しながらその包囲を見事に振り切り、猛攻を退けた。
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/24(火) 18:25:05.52 ID:21IVfiAWo
すごい中途半端ですがここまでにて…
ご支援ありがとうございました!失礼致します!ノシ
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 18:26:46.22 ID:c3g8jGcCo
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 19:04:35.03 ID:RYUjSAeDO
熱い闘いだな…!
213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/05/24(火) 19:13:02.46 ID:jbCgjYbxo
召喚子はドコで出てくるんだろう?
(*´Д`)/ヽァ/ヽァ
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 19:28:46.38 ID:QiknNlsEo
アマゾネスが戦ってるな
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 19:29:16.85 ID:QiknNlsEo
アマゾネスが戦ってるな
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 19:33:38.19 ID:QiknNlsEo
アマゾネスが戦ってるな
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/24(火) 19:40:36.59 ID:ATglJrdio
>>216
何回言えば気が済むんだw
自分の事をアマゾネスっていっちゃうアマゾネスたんが可愛いのは伝わった
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 19:45:42.91 ID:QiknNlsEo
>>217
ポルナレフ状態なんだ
エラーが出ていたと思ったら投稿できていた・・・何を言ってるかわからないと思うが俺もわからない
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/24(火) 20:07:13.32 ID:LIrkIW5DO
だからエラー=書き込み完了の代わりだと思えとあれほど
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/24(火) 20:12:57.95 ID:QSpBNqTAO
>>1
さりげなくガンダムネタ混ぜないでくれwwwwww
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/05/25(水) 06:21:06.80 ID:PdY7QrWf0
1乙
ワルキューレすごいな
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/25(水) 08:02:58.44 ID:gzDuOYoAO
>>1

だが如何せん個々もそこそこイケてワルキューレの用な数で攻めるタイプは味方になると弱体化しちゃうお約束が…
例えるならトーラスのような
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/05/25(水) 08:21:46.98 ID:y8lCUISAO
ワルキューレと聞くと某バイオリンで戦う勇者を思い出すなぁ
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/25(水) 08:22:03.67 ID:DwGUb+ZN0
やっぱ召喚獣戦闘は楽しいわ
前々から思ってたけど、玄人的な戦術の演出が上手い
ただ強い召喚獣っていうんじゃなくて、召喚者の技量をちゃんと表現してて好き
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/05/25(水) 08:30:11.98 ID:0gxl09x+o
>>223
オカリナは良かったな
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/25(水) 09:24:04.08 ID:hvQFZ9AAO
ライエルが召喚子さんで…ごくり
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 12:06:39.09 ID:6bad9VNIO
ワルキューレって言ったら冨士宏だろ
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 15:35:11.68 ID:N73ZFKbDO
>>1
ヴァルキリープロファイルしか浮かばない俺はにわか
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 17:36:59.56 ID:pKkpJgLDO
その身に刻め!
230 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:01:50.91 ID:RKU6WSSXo
シュウウゥゥゥゥ

アマゾネス「へぇ、やるじゃないか」

青年子「……」

ブリュンヒルデ「突撃」

ゴアッ!!

青年子(しかしこれでは、キリがないぞ……っ)

ワイバーン「ガアアァァーッ!!」

ドドオオォォォォン!!

青年子「仕方ない……。一か八かだっ!」

アマゾネス「!?」

青年子はワイバーンを急速反転させると、居並ぶワルキューレの中へと突撃する。

アマゾネス「特攻か?」

青年子「おおぉぉぉぉ!!」

ブリュンヒルデ「回避」

青年子「今だっ!!」
231 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:02:41.78 ID:RKU6WSSXo
ギュインッ…ドシュウウゥゥゥゥ!!

ワイバーンの突撃に備え散開するワルキューレ。しかしその中の1体、

グリムゲルデは、その光景に我が目を疑った。

ワイバーン「オオォォォォ!!」

グリムゲルデ「――!?」

ブリュンヒルデ「まずいな、突撃」

バシュッ!!…シュゴオオォォォォ!!

白虎長「まさかそのまま突っ込む気!? 無茶よっ!!」

速度を緩めずグリムゲルデめがけ特攻をかけるワイバーン。

その周囲に他のワルキューレが集い特攻を阻止しようと試みるが……。

ズガアアァァァァ!!…ゴゴオオォォォォ

ブリュンヒルデ「……」

盗賊「……本当に……突っ込んだ」

アマゾネス「……くっ」

爆炎の上がる中、ワイバーンとグリムゲルデの姿が消えた。
232 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:03:41.23 ID:RKU6WSSXo
青年子「はぁ……はぁ……っ」

アマゾネス「やってくれる」

青年子(やっぱり、他の8体に異常はなし……か)

アマゾネス「やられたのはグリムゲルデか。だが、残りはまだ8人……どうする?」

ブリュンヒルデ「突撃」

ゴアッ!!

青年子「出でよ、ワーム! ワイバーン!」

シュイイィィィィン

アマゾネス「また数を増やしたか。しかし、決め手がなくば結果は変わらんぞ」

青年子「……さぁ、行けぇ!」

バサッ…ドシュウウゥゥゥゥ

魔道士「まさかまた……っ」

盗賊「……いやっ、これは……!」

4匹の青龍召喚獣が横並びに左右へ広がり、一斉に両翼を羽ばたかせる。

そして、正面に構えるワルキューレの集団の間を縦横無尽に翔け抜けた。
233 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:04:56.71 ID:RKU6WSSXo
白虎長「うまいわね」

玄武娘「……?」

朱雀嬢「一点集中攻撃をされないように、留まらず動き回っていますわね」

白虎長「それだけじゃないわよ……っ」

白虎嬢「何か……狙っているようにもみえますけれどぉ〜」

白虎長「ええ。ワルキューレを分散しているのよ」

魔道士「分散……ですか?」

白虎長「見てみなさい」

魔道士「……?」

白虎長「うまく2対1の形に持ち込んだわ」

魔道士「本当だ……っ」

白虎長「まぁそれでも2対1。不利な状況には変わりないけどね」

盗賊「……だな」

玄武娘「ファイトですのーっ!」

白虎嬢「頑張って〜!」
234 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:05:24.49 ID:RKU6WSSXo
ドガガガガガッ…ザシュウウゥゥゥゥ

青年子「はああぁぁーっ!!」

ジークルーネ「ちょっとぉ」

ロスヴァイセ「2対1で……よくやるわねっ」

アンフィスバエナ「ゴッガアアァァァァ!!」

ロスヴァイセ「!?」

アンフィスバエナは執拗に、ロスヴァイセただ1体のみを集中的に狙い続ける。

ロスヴァイセ「こ……のっ」

ジークルーネ「私の存在は無視って事ぉ」

ザシュッ

ジークルーネ「フンッ、幾ら顔が前後にあるからって、横からの攻撃は隙――」

アンフィスバエナ「ガオオォォォォンッ!!」

ロスヴァイセ「しつっこいわねぇ……っ!!」

アンフィスバエナは傷付きながらも、ロスヴァイセめがけ最後の特攻を仕掛けた。

ロスヴァイセ「――っ!!」
235 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:06:23.18 ID:RKU6WSSXo
ズッガアアァァァァ!!…ゴゴオオォォ…

ジークルーネ「……っ」

ズゴオオォォォォンッ!!

ジークルーネ「!?」

ブリュンヒルデ「……」

ジークルーネ「ヴァルトラウテも……やられたの?」

アマゾネス「これで残るはブリュンヒルデ、ゲルヒルデ、オルトリンデ、ジークルーネ」

青年子「はぁはぁ……っ、はぁ……うぅ」

アマゾネス「しかしそちらは今の特攻で再び0」

朱雀嬢「無茶ですわ……っ、こんな戦い方……」

白虎長「それでも、こうやって減らし続けるしか道はないのかもしれないわ」

アマゾネス「さぁ、どうする?」

青年子「……出でよ」

シュイイィィィィン

アマゾネス「ほぉ、まだそれだけの魔力があるのか。凄いものだ」
236 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:06:59.27 ID:RKU6WSSXo
再度召喚された4匹の龍達。ようやく漕ぎ着けた4対4の場面に、

青年子は再び、召喚獣達を並列させ、突撃の号令を上げる。

ワーム「ゴアアァァァァ!!」

アマゾネス「今度は1体1同士に持ち込むつもりか?」

その時、4匹の散らばった召喚獣が、一箇所に集まり始めた。

アマゾネス「何っ!?」

青年子「まずはそこからだっ!!」

ジークルーネ「――っ!?」

リンドブルム「グガアアァァァァーッ!!」

ガカアアァァァ!!…スガアアァァン!!

アマゾネス「しまった……っ、他の奴らを……」

青年子「もう遅いですよ」

ジークルーネ「……く……うぅ」

シュウウゥゥゥゥ

4匹の一斉攻撃をモロに受けたジークルーネは、反撃の間もなく消失した。
237 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:07:36.37 ID:RKU6WSSXo
朱雀嬢「これで……4体3ですわっ」

魔道士「初めて有利に……っ」

アマゾネス「ふん、それならばこちらとて」

ザザッ

ブリュンヒルデ「突撃」

バシュウウゥゥゥゥ

リンドブルム「!?」

ズガアアァァァァ

アマゾネス「これでまた、3体3ね」

青年子「……ぐっ」

ヨロッ

青年子(やはりこの程度の魔力ではあっさりか……。しかし、諦めるわけにはいかない!)

ワイバーン「ガオオォォォォンッ!!」

オルトリンデ「くぅーっ!!」

盗賊「……これで3対2」
238 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:08:08.54 ID:RKU6WSSXo
ブリュンヒルデ「突撃」

ワーム「ギャオオォォォォ!!」

アマゾネス「2対2」

ゲルヒルデ「きゃあぁーっ!」

魔道士「2対1……っ!!」

アンフィスバエナ「グオアアァァァァー!!」

青年子「……1対1っ!!」

アマゾネス「さぁ、これで最後かしら」

青年子「はぁはぁはぁ……はぁ……っ」

白虎長「ようやく、1対1の形にはなったけど……」

白虎嬢「青年子さん、つらそうですねぇ……」

玄武娘「あと一息ですのーっ!!」

対峙するワイバーンとワルキューレ最後の1体、ブリュンヒルデ。

アマゾネス「随分きつそうだけれども、まだ続ける気か?」

青年子「……」
239 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:08:42.50 ID:RKU6WSSXo
〜南西砦〜

召喚士「……」

ソワソワ

ジュニア「もうかれこれ丸一日経つか」

賢者「……そうだね……ふぅ」

召喚士「……っ」

ソワソワソワ

天才「こりゃあ全滅したかねぇ」

大軍師「あれだけの者らが居て、にわかには信じられませんが……」

召喚士「…………っ」

ソワソワソワソワ

天才「何だよさっきからソワソワと」

召喚士「……別に」

天才「あーお前さ、ちょっと様子見に――」

召喚士「行ってきます!!」
240 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:10:20.85 ID:RKU6WSSXo
タッタッタッタッタ

召喚士「行けっ! コカトリス!!」

バシュウウゥゥゥゥ…バサッバサッ…

ジュニア「……早」

天才「ったく、行きてーんなら言やいいのによ」

大軍師「しかし、本当に心配ですね」

天才「そうかぁ?」

名代「……」

天才「あんだけ駒が揃ってて、心配なんざねーだろ」

大軍師「……はぁ」

天才「それによ、人間死ぬときゃあ北を頭にして死ぬもんだ」

ジュニア「……?」

天才「まっ、今回は召喚獣ちゃんの出番はねーし、いなきゃいないで続行だ」

大軍師「了解致しました」

天才「とにかく必要なのは魔道士! 出来る限りをかき集めろいっ」
241 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:11:39.19 ID:RKU6WSSXo
〜アマゾネスの村〜

魔道士「……っ」

アマゾネス「ブリュンヒルデ」

ブリュンヒルデ「突撃します」

青年子「……っ」

ゴウッ

青年子「はああぁぁーっ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

アマゾネス「!?」

青年子「申し訳ないが、魔力ならまだあるんだ」

アマゾネス「何……っ!?」

青年子「この先だって戦いは続く。枯渇するような馬鹿ではないよ」

朱雀嬢「……だ、そうですわよ」

玄武娘「……うぅ」

青年子「ワイバーン」
242 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:12:50.99 ID:RKU6WSSXo
ワイバーン「おうっ!!」

たじろぐアマゾネスとブリュンヒルデ。ワイバーンはそれをお構いなしとばかりに、

再び得た魔力の糧で、その速度を一気に速めた。

ドシュウウゥゥゥゥ

ブリュンヒルデ「……っ!」

ワイバーンの炎が、ブリュンヒルデの全身を包み込む。

ゴアオオォォォォ!!

白虎長「そのまま一気に……」

盗賊「……叩き込めっ!!」

青年子「おおぉぉーっ!!」

ズガガガガガガアアァァ!!

ブリュンヒルデ「…………」

ドサッ…シュイイィィィィン

白虎嬢「……消え……た?」

玄武娘「という事は、勝った……勝ったですのーっ!!」
243 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:13:29.73 ID:RKU6WSSXo
青年子「はぁ、はぁ……はぁ、はぁっ」

アマゾネス「……」

青年子「流石に、少ししんどいな……っ」

フォン

青年子「……?」

アマゾネス「ふふっ、あははははっ!!」

青年子「!?」

アマゾネス「やるじゃないか、感心したよ」

ブワッ…ゴゴゴゴゴゴ

盗賊「馬鹿なっ!?」

魔道士「……ま、また……ワルキューレが……っ」

白虎長「しかも……9体っ!!」

アマゾネス「一度全てを消さないと再召喚出来なくてね」

青年子「……くっ!」

アマゾネス「全力を出さなかった事、後悔するがいいっ」
244 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:14:38.99 ID:RKU6WSSXo
9体のワルキューレはワイバーンを瞬時に取り囲み、一斉にスピアを構える。

青年子「しま――っ」

ブリュンヒルデ「突撃」

ドスドスドスドスッ!!…ザザシュウウゥゥゥゥ

青年子「ぐああぁぁーっ!!」

ドサッ

アマゾネス「なかなか良い表情だったぞ、少しは楽しんで貰えたかな?」

青年子「く……そ……」

スタスタスタ

アマゾネス「さて……最早、戦う力は残っていないだろう。降参を――」

スルッ…パサッ

魔道士「わああぁぁーっ!!」

青年子「……?」

アマゾネス「……」

青年子「わっ、わああぁぁ!! カ……カツラが!!」
245 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:15:26.87 ID:RKU6WSSXo
ニヤリ

アマゾネス「……これはどういう事かっ!!」

魔道士「……っ!」

アマゾネス「貴様……っ、まさか男だったのか!?」

青年兵「……っ」

ゴゴゴゴゴゴ…

おさげ「ちょっと……」

ポニテ「これは……」

ツインテ「どういう事ぉ!?」

色黒「説明してっ!!」

玄武娘「ひ、ひいぃーっ!!」

朱雀嬢「魔道士さんっ!」

魔道士「えっと、これはそのあの……っ」

アマゾネス「こいつらを縛り上げて、ひっ捕らえろ!!」

魔道士「ええぇぇーっ!?」
246 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:16:07.05 ID:RKU6WSSXo


白虎長「……はぁ。なーんでこんな事に」

玄武娘「お腹空いたですのー」

朱雀嬢「静かにしてなさいですわっ!」

白虎嬢「それにしても……困りましたねぇ」

魔道士「どうします?」

盗賊「……」

チラッ

女兵「……」

盗賊「……まぁ、逃げようと思えば容易いだろうな」

魔道士「それじゃあ……」

盗賊「……いや、もう少しだけ様子を見させてくれ」

青年兵「……?」

盗賊「……何も捕らえて殺そうという……物騒な話でもないだろうしな」

魔道士「……」
247 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:17:16.99 ID:RKU6WSSXo
ザッザッザ

柱に縛り付けられた7人をじろじろと眺め、アマゾネスは酒瓶を唇に当てる。

アマゾネス「まさか、我ら謀っておったとはな」

魔道士「……本当にごめんなさい……っ」

アマゾネス「……まとめて打ち首にでもしてやろうか」

玄武娘「ひえぇ−っ! お許しをおおぉぉ」

アマゾネス「それとも、一生奴隷としてこの村でで働かせるか……」

朱雀嬢「……っ」

アマゾネス「今日は一晩、このまま森で頭を冷やす事だな」

白虎嬢「えぇー? このままですかぁ〜?」

アマゾネス「夜は大蛇も出るし、触手を持ったキノコの化物もいる」

白虎長「そんなの嫌よっ! ちょっと、アンタのせいよっ!」

青年兵「そんなぁ〜」

白虎長「何をかっこつけて魔力に余力残してんのよっ! バカッ!」

青年兵「そんな事言ったら白虎長さんだって、元の流派で……」
248 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:18:50.85 ID:RKU6WSSXo
ザッザッザ

ポニテ「何騒いでんのらぁ〜?」

ツインテ「おーうっ、飲めのめぇ〜」

おさげ「あぁもう、すみません」

アマゾネス「もう出来上がってるのか、情けない奴らだ」

色黒「すみません。まだ樽で3杯目だと言うのに……」

ポニテ「おぉー! こいつが男だな?」

ツインテ「よーし、脱がせてやろうぜ!」

青年兵「!?」

ポニテ「おらっ、観念しろー!」

ツインテ「にゃふふーっ!」

青年兵「わーっ、わーっ!!」

アマゾネス「おい、いい加減にしろ」

ゴソゴソ…グイグイッ

アマゾネス「いい加減にしろと言っている!」
249 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:20:16.53 ID:RKU6WSSXo
ゴンッ!!…ガシャン

青年兵「何で……僕……」

ドサッ

ポニテ「あ、死んだ」

ツインテ「おーい、つんつんつんっ!」

色黒「長、いくら何でもそんな瓶で殴ったら……」

アマゾネス「ふんっ」

魔道士「青年兵さんっ、大丈夫ですか!? 青年兵さんっ!!」

盗賊「……気を失っているだけだろう。大丈夫さ」

アマゾネス「しかし情けない話だ。本国の召喚士はこんなにも弱いものなのか?」

白虎長「……こうなてしまっては、返す言葉もないわね」

白虎嬢「そうですねぇ〜」

アマゾネス「これでは朱雀先生もたかが知れていような」

魔道士「!?」

朱雀嬢「朱雀先生が、どうかしましたかしら?」
250 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:21:08.60 ID:RKU6WSSXo
アマゾネス「代々、朱雀先生からは我ら一族の種子を貰っている」

魔道士「えぇーっ!?」

玄武娘「種子……? ほえ?」

アマゾネス「亡き母や祖母もそうであったようにな」

盗賊「……は、初めて知った」

アマゾネス「しかし、自分より弱い男など許せぬ」

朱雀嬢「……強いですわよ」

アマゾネス「……ほぅ」

朱雀嬢「朱雀先生は、本国で一番強いんですわっ!」

魔道士「い、いや……そんな事ないですよ〜。きっと弱いですよ〜」

アマゾネス「……」

魔道士「だ、だから……あなたのお眼鏡には適わないはずですねぇ」

アマゾネス「お前ら、朱雀先生と親密なのか?」

朱雀嬢「勿論ですわっ、今だってきっとすぐ傍まで……」

魔道士「わーわーわー!」

アマゾネス「……何なんだ、先程から」

魔道士「あ……あのっ、朱雀先生と会ったらどうするつもりですか?」

アマゾネス「勝負する」
251 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:23:39.45 ID:RKU6WSSXo
魔道士「もし……朱雀先生が勝ったら……?」

アマゾネス「種子を頂く為に、一夜を共にする」

魔道士「でも、相手の意思だって……」

アマゾネス「……」

ゴソゴソッ…カサッ

盗賊「……?」

魔道士「な、何です……それ?」

アマゾネス「先代、朱雀先生からの許可証……というか、手紙だ」

魔道士「――っ!!」

アマゾネス「まぁ、こんなモのが無くとも、私を倒した男なら押し倒してでも交わるさ」

魔道士「……師匠さんたら……余計な事をっ」

盗賊「……ま、魔道士さん……?」

アマゾネス「別に容姿など気にはしない。強ければそれでいい」

魔道士「……もし、アマゾネスさんが勝ったら?」

アマゾネス「弱者の種子など要らん」
252 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:25:09.12 ID:RKU6WSSXo
魔道士「……そうですか」

アマゾネス「まぁ当然ながら、ワルキューレは伝授しないがな」

魔道士「え……っ!?」

アマゾネス「近くにいるのだろう? 朱雀先生」

魔道士「……っ」

アマゾネス「最後のチャンスさ。朱雀先生が負ければ、ワルキューレの伝授は一生ない」

魔道士「……そんな」

アマゾネス「もし勝てば約束通り、伝授はする。そして朱雀先生と一夜を共にする」

白虎長「別に勝てばいい話じゃない」

魔道士「駄目ですよっ!」
朱雀嬢「駄目ですわっ!」

白虎長「!?」

アマゾネス「朱雀先生が来るまで、お前らは人質だ」

魔道士「どうしようどしようどうしよう……」

玄武娘「あのー?」
253 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:26:09.40 ID:RKU6WSSXo
魔道士「色んなものがやばいっ、やばいですよこれは……っ」

盗賊「……おーい……魔道士ー」

魔道士「あーっ!!」

白虎嬢「わぁ、ビックリした〜」

魔道士「そーでした! 朱雀先生には良い方がいたんでした!」

アマゾネス「……?」

朱雀嬢「そ、そんなの聞いておりませんわ……っ」

アマゾネス「まさかお前らみたいなチンチクリンではないだろうな?」

魔道士「!?」

朱雀嬢「……言ってくれますわね」

アマゾネス「別に恋人が居たって、どうせ……」

魔道士「いいえ、既に両思いで添い遂げるつもりのようです!」

朱雀嬢「!?」

魔道士「あ、あの……っ、きっと既に一夜も共にす……過ごして……」

朱雀嬢「!!」
254 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:27:02.19 ID:RKU6WSSXo
盗賊「……何を言っているのだお前は」

魔道士「そんな方がいらっしゃるのに、それは横暴すぎますよっ!」

アマゾネス「……ふむ、既にそういう相手がいるなら仕方ないか」

魔道士「残念でしたね」

アマゾネス「それで、何者なのだ?」

魔道士「え……っ?」

アマゾネス「会って話をしてみよう。場合によっては力ずくで……」

盗賊「……手詰まりだな。ほら、何とかしろよ」

魔道士「ナイスアイディアだと思ったのに……」

白虎嬢「その方、朱雀の召喚士なんですよ〜」

アマゾネス「……?」

白虎嬢「ものすごーく強くて、朱雀先生もそこに惚れたのかも〜」

アマゾネス「……朱雀の召喚士だとぉ?」

白虎嬢「貴女もきっと、やっつけちゃうかもっ♪」

アマゾネス「……っ!!」
255 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/25(水) 18:34:52.67 ID:RKU6WSSXo
ザッザッザ

アマゾネス「……名は?」

白虎嬢「へっ?」

アマゾネス「その者の名は!?」

白虎嬢「えぇーっと……そうそう、召喚子さんっ」

魔道士「!?」

アマゾネス「召喚子……そいつが朱雀先生の想い人であり、朱雀召喚士なのだな」

魔道士「白虎嬢ちゃん……っ」

白虎嬢は舌を出しながら、にっこりと笑顔を見せた。

バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「ふぇーっくしゅ!!」

コカトリス「風邪か?」

召喚士「……なんだか悪寒が。おっ、明かりが見える! あれかな?」

コカトリス「よし、降りてみようか」

召喚士「うんっ」
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/25(水) 18:39:16.00 ID:RKU6WSSXo
いやぁ無駄なところで時間費やしてすみません…
なるべくサクサク進めてるつもりではいるんですが…orz

それではここまでにて失礼致します!
本日もご支援まことにありがとうございました!ノシ
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 18:52:13.37 ID:YYHJ4yMDO
>>1乙!
そういう展開で召喚子の出番かww
上手いなwwww
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/05/25(水) 19:03:56.15 ID:F6oT2Lcko
>>1乙ー
召喚子が来る!
(*´Д`)/ヽァ/ヽァ
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 19:07:25.07 ID:N73ZFKbDO
>>1
負けると思わなかったらびっくりしたけど、
こういうことね
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/25(水) 19:33:22.92 ID:AQgpU3qBo
これで勝つといろいろと青年兵くんに偏っちゃうからな
召喚士の活躍の場ができてすっきりしてるぜ
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 19:37:31.45 ID:OXJDORuno
そういや青年兵って召喚子の中身しらなかったよな…
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/05/25(水) 19:48:29.29 ID:LbD9J+9t0
そのために青年兵は気絶っていうね
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/25(水) 19:57:29.85 ID:gzDuOYoAO
>>1

しかしいつぞやの大会では青年兵>召還士じゃなかったっけ?
青年子さんを負かした相手をたかだか召還士如きが倒せるとも思えない
ハーピー取得も甘いアツい夜も不発に終われ
召還士に不幸あれ!
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/05/25(水) 20:01:57.65 ID:IZucQQ7So
1乙
大会のときはフェニックスとの持久戦やら召喚子での試合やらで魔翌力かなり消耗してただろ
しかしコカトリスしか朱雀いないのに朱雀先生として認められるのだろうか…
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 20:13:52.75 ID:KP5B4+OLo
召喚士は自分で女装するのかな・・・wwktk

あっちに押し倒された熱い一夜を書いてもいいんだぜ・・・?
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 21:17:50.02 ID:OXJDORuno
>>264
朱雀嬢からハーピーもらわなかったっけ?
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/25(水) 21:36:56.35 ID:lVTkOAODO
必死な魔道士ちゃんかわいい
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/26(木) 01:26:16.08 ID:ktL8MOWDO
コカちゃん専属契約だからコカちゃん使えないね

ばれちゃう
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/26(木) 01:26:51.47 ID:ktL8MOWDO
コカちゃん専属契約だからコカちゃん使えないね

ばれちゃう
270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/05/26(木) 14:08:21.97 ID:iRXImSPs0
1乙
これは魔道士が一晩我慢するしかないな
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/26(木) 16:19:40.06 ID:ysLVFYQAO
大乱交パーティーに期待
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/26(木) 22:57:30.02 ID:kiNTVjLTo
大変遅くなりました!
ここのところちょっとバタバタしてて、
投下出来ない日があるかもしれません…

少しでも投下出来るよう心がけますが、
ペース落ちる可能性はあるのでご容赦を…↓続き
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/26(木) 22:58:04.72 ID:kiNTVjLTo
召喚士「あのっ、何故みんなは拘束されているんですか!?」

女兵「ええい、この男をつまみ出せっ!」

召喚士「待って下さい! 一体どういう事なんですか!?」

女兵「ほらっ、早く下がらんか!」

召喚士「ちょっと……っ!!」

テクテクテク

女「何の騒ぎですかぁ〜?」

女兵「不審者、それも男だ」

女「まぁ」

召喚士「お願いです! みんなに会わせて下さいっ!」

女「みんな?」

女兵「例の奴らの仲間だそうだ」

召喚士「お願いですっ、誰か……話の出来る方を!」

女兵「お前も男なら聞き分けろ」

女「でもぉ、お仲間なら一応、長に報告すべきじゃない?」
274 :間違えた…>>273なしで… ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/26(木) 22:58:55.35 ID:kiNTVjLTo
バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

召喚士「村……かな? あっ、もしかして……」

ザッザッザ

女兵「何者だ」

召喚士「あの、すみません。こちらに本国の人達が来ませんでしたか?」

女兵「来た」

召喚士「やっぱりですか!! それで、今どちらに……」

女兵「身柄を拘束している」

召喚士「!?」

女兵「何だ貴様は? 奴らの仲間か?」

召喚士「すみません、皆に会わせて下さい!」

グイッ

女兵「無礼者っ! ここはアマゾネスの村だ。男子禁制と知っての事か!」

召喚士「やっぱり……そうなのか……っ」

女兵「分かったのなら、即刻立ち去れい」
275 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/26(木) 23:00:01.65 ID:kiNTVjLTo
召喚士「あのっ、何故みんなは拘束されているんですか!?」

女兵「ええい、この男をつまみ出せっ!」

召喚士「待って下さい! 一体どういう事なんですか!?」

女兵「ほらっ、早く下がらんか!」

召喚士「ちょっと……っ!!」

テクテクテク

女「何の騒ぎですかぁ〜?」

女兵「不審者、それも男だ」

女「まぁ」

召喚士「お願いです! みんなに会わせて下さいっ!」

女「みんな?」

女兵「例の奴らの仲間だそうだ」

召喚士「お願いですっ、誰か……話の出来る方を!」

女兵「お前も男なら聞き分けろ」

女「でもぉ、お仲間なら一応、長に報告すべきじゃない?」
276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/26(木) 23:00:41.56 ID:kiNTVjLTo
女兵「そうか?」

召喚士「そうですよっ!」

女兵「貴様は黙ってろ」

ジャキッ

召喚士「……っ」

女「ちょっと私、長に話してくる〜」

女兵「あっ、おい!」

タッタッタッタ

女兵「……」

ジロッ

召喚士「……っ」

女兵「妙な真似はするなよ? 大人しくしていろ」

召喚士「は、はい」

女兵「……ふん」

女兵は召喚士に突きつけた槍を手元に戻し、じろりと睨み付ける。
277 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/26(木) 23:01:35.44 ID:kiNTVjLTo
タッタッタッタ

女「長〜」

アマゾネス「……?」

女「お客様ですよー」

アマゾネス「客……? そんなものは知らんぞ?」

女「何でも、そちらの方のお仲間だとか」

アマゾネス「何者だ?」

女「さぁ。でも何だか優男というか、冴えない感じというか〜」

魔道士「召喚士さんだっ!!」

アマゾネス「……?」

魔道士「召喚士さんに違いありませんよっ!」

盗賊「……意外と失礼だな」

アマゾネス「召喚士?」

朱雀嬢「朱雀先生ですわ……っ」

アマゾネス「ほぅ」
278 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/26(木) 23:05:17.05 ID:kiNTVjLTo
魔道士「それ以外に考えられませんよ!」

白虎長「まぁ、確かにそうかもしれないけれど……」

アマゾネス「一人だったんだな?」

女「はいっ」

アマゾネス「ふっ、朱雀先生直々、単身で救助に来たとでもいうのか」

玄武娘「やったですのー!」

アマゾネス「面白い。よーし、村に入れてやれ」

おさげ「いいんですかぁ!?」

アマゾネス「朱雀先生ならばな。違うのならば身ぐるみ剥いで追い出せばいい」

女「それじゃ、呼んできます〜」

タッタッタッタッタ

魔道士「魔道士さんが……来てくれた」

盗賊「……これで、何とかなるかもしれないな」

魔道士「はいっ、えへへっ!」

アマゾネス「……ふっ」
279 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/26(木) 23:18:49.08 ID:kiNTVjLTo
タッタッタッタッタ

召喚士「戻ってきた!」

女兵「長は何と?」

女「会うって」

女兵「何っ!?」

召喚士「やった……っ」

女「中に入っていいそうよ〜」

女兵「そんな馬鹿な話が……」

女「その人、朱雀先生みたいよぉ〜?」

女兵「――っ!?」

召喚士「な、何でそれを……」

女「やっぱりそうなんだっ、さぁどうぞ。案内しますわっ」

召喚士「あ、ありがとうございます」

テクテクテク

女兵「コ、コイツが……朱雀先生だと……!?」
280 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/26(木) 23:29:08.41 ID:kiNTVjLTo


ザッザッザ

玄武娘「あーっ!!」

朱雀嬢「朱雀先生……っ! やっぱり朱雀先生ですわっ!」

召喚士「みなさん!!」

白虎長「久しぶりね、朱雀先生っ」

召喚士「白虎長さん!? それに……白虎嬢さんも」

白虎嬢「うふふっ、ご無沙汰です〜」

召喚士「魔道士さんと盗賊さんもご無事で……っ」

魔道士「召喚士さぁん……」

盗賊「……それよりだ」

召喚士「……?」

アマゾネス「ほぉ、貴様が朱雀先生か」

召喚士「……あなたは?」

アマゾネス「この村の長、アマゾネスと言う」
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/26(木) 23:50:35.34 ID:V1KJDsADO
>>1
>魔道士「魔道士さんが……来てくれた」
これ間違えてるよ
282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/26(木) 23:53:05.36 ID:jCTNCCKAO
言わなくても分かるよ…
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 01:34:45.42 ID:sqeaIbsrP
誤字脱字があってこその>>1だからな
まあ文脈で判るし
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/27(金) 02:17:09.19 ID:LdktPauho
お前らもそんぐらいでそこまで突っ込むなよww
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 03:33:07.43 ID:HfZzK5vDO
>>1
無理はしないでねー
バタバタが伝わってくるから少しと言わず普通に休んでいいのに
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 03:42:31.77 ID:4dGyivrz0
1乙!
おーおーたまには休んでくれー
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/27(金) 07:40:45.79 ID:RGM16K+DO
>>281が何も悪くない件
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/05/27(金) 07:45:20.10 ID:bS0LkmTpo
>>287は最悪だけどな
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/27(金) 08:21:03.07 ID:wsqjIQzAO
>>1

ハーレム先生だな
爆発したらいいのに
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/05/27(金) 10:11:27.66 ID:u0C+oP8i0
朱雀先生のハーレム村か

引退後は余生をゆっくりとはできないな
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 12:02:53.98 ID:TeccmbyIO
>>290
魔導士との喧嘩の日々だな
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2011/05/27(金) 12:06:33.95 ID:ZIkwCYNmo
朱雀先生枯れ果てろ
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 12:30:20.81 ID:pmUX7QN4o
召喚子でないのか・・・地区しょおおおおおおおおおおおおお

>>1おつ
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/27(金) 13:42:25.17 ID:RGM16K+DO
子供かよ
295 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:29:31.99 ID:gSwgGnaDo
召喚士「アマゾネス……さん」

アマゾネス「貴様、本当に朱雀先生なんだな?」

召喚士「え、えぇ」

ゴソゴソッ…チャラッ

召喚士「これ、朱雀先生の証明になると思います」

それは先代である師匠より受け継いだ朱雀先生の紋章。

アマゾネス「……」

召喚士「あの、皆は何故このような事に……?」

色黒「私達を騙したからよ」

召喚士「……?」

色黒の指差す先に、気を失った青年兵の姿がある。

召喚士「青年兵くん!? ていうか……青年子さん……?」

白虎長「どっちでもいいわよ、そんな事」

アマゾネス「聞いたと思うが、この村は男子禁制」

召喚士「……だったら、俺も入れないはずですよね」
296 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:30:00.33 ID:gSwgGnaDo
アマゾネス「お前は特別だ」

召喚士「え……?」

アマゾネス「朱雀先生なのだろう? だからお前は特別なのだ」

召喚士「……どういう意味でしょうか?」

魔道士「いいんですっ! それは後回し!」

召喚士「……?」

白虎長「実は私達、召喚バトルに負けて捕まったのよ」

召喚士「!?」

盗賊「……まぁそれだけの理由ではないが」

召喚士「つまり、勝てばいいんですか?」

アマゾネス「……?」

召喚士「俺が召喚バトルで勝てば。みんなを解放してくれると?」

アマゾネス「それは駄目だな」

召喚士「え!?」

アマゾネス「朱雀先生では駄目だ」
297 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:31:02.10 ID:gSwgGnaDo
召喚士「どういう……」

アマゾネス「貴様の恋人を連れて来い」

召喚士「…………」

アマゾネス「召喚士なのだろう? そいつと戦わせろ」

召喚士「……あの、全くもって仰っている意味が分からないのですが」

アマゾネス「白々しい奴だな。召喚子とやらを連れて来いと言っている!」

召喚士「えぇっ!?」

アマゾネス「早くしろ。それまではこやつ等の解放もないと思え」

召喚士「そ、そんな……っ」

アマゾネス「早く行け」

召喚士「い、いやっ! あの……急に言われましても距離もありますし……」

アマゾネス「何日でも何ヶ月でも待ってやるぞ」

召喚士「いやあのその……えぇと……」

チラッ

魔道士「……あーっ!!」
298 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:32:45.62 ID:gSwgGnaDo
アマゾネス「何だ」

魔道士「そういえば私、召喚子さんの事見かけたかもー!」

召喚士「えっ!?」

アマゾネス「……」

魔道士「召喚士っ、行きましょう! 私、案内出来ますよ!」

アマゾネス「本当なんだろうな?」

魔道士「はいっ! 逃げたりしませんよ!」

アマゾネス「……どれくらいで戻る?」

魔道士「えぇっと……1時間もあれば」

アマゾネス「そんなに早いのか?」

魔道士「えっと! 南方にいますからっ!」

アマゾネス「……ふぅん」

魔道士「へ、へへ……っ」

アマゾネス「分かった。それならばお前が朱雀先生の案内をして、連れて来い」

魔道士「はいっ!」
299 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:33:56.31 ID:gSwgGnaDo


召喚士「あの、全く事情が見えてこないのですが……」

魔道士「すみません……全て、私のせいなんです」

テクテクテク

魔道士「ここなら……誰も来ないですよね」

召喚士「えっと、多分……」

魔道士「ではすぐにお化粧しますからっ」

ゴソッ

召喚士「あの、ですから事情……」

魔道士「コッチ向いて!」

召喚士「は、はいぃ」

魔道士「お化粧しながら説明しますっ。すみません!」

召喚士「わ、分かりました……っ」

魔道士「服は前使った物が……えっと、あったあった!」

召喚士「……準備……いいですね」
300 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:36:43.43 ID:gSwgGnaDo


召喚士「……なるほど、そういう事でしたか」

魔道士「はい……」

パタパタ…キュッ

魔道士「よし……っと。あとはこれ」

プシュッ

召喚士「あっ、魔道士さんの匂い……」

魔道士「私が愛用しているパフュームです。念の為……」

召喚士「はぁ……」

魔道士「よーし完成っ! 召喚子さん誕生ですっ」

召喚士「……えっと、これでアマゾネスさんと戦えばいいんですよね?」

魔道士「……頑張って下さい!」

召喚士「は、はぁ……」

魔道士「絶対に、勝って下さいねっ!!」

召喚士(何で魔道士さんはこんなに必死なのだろうか……)
301 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:42:11.66 ID:gSwgGnaDo


アマゾネス「おい」

おさげ「はいな?」

アマゾネス「こいつ等の縄を解いてやれ」

おさげ「いいんですか?」

アマゾネス「ああ」

おさげ「はーい」

シュルシュル…パサッ

玄武娘「開放されたですのー!」

白虎長「……ふー。青年兵……子は、駄目みたいね」

アマゾネス「そのまま寝かせておけ。見ておいてやる」

盗賊「……」

アマゾネス「腹は減ったか?」

玄武娘「すっごく減ったですのー!」

アマゾネス「……あっちに用意してある。案内してやれ」
302 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:43:32.93 ID:gSwgGnaDo
ポニテ「こっちよ〜付いて来て〜」

玄武娘「行くですの!!」

朱雀嬢「あ、ちょっと!? もう……っ」

タッタッタッタッタ

盗賊「……どういう風の吹き回しだ?」

アマゾネス「……」

盗賊「……さっきから思っていたんだが」

アマゾネス「何だ」

盗賊「……あんたは」

ザッザッザ

白虎嬢「帰ってきましたねぇ〜」

ザッ

召喚子「……っ」

アマゾネス「お前が召喚子……か?」

召喚士「は、はいっ」
303 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:44:02.83 ID:gSwgGnaDo
魔道士「もう少し裏声でっ……ボソッ」

召喚士「は、はいぃ……ボソボソ」

アマゾネス「それで、朱雀先生はどこへ行った?」

召喚子「!?」

魔道士「召喚士さんならえーと……ト、トイレに!」

アマゾネス「そんなものはないぞ?」

魔道士「そ、そうなんですか!? 参ったなー探しに行ってしまいましたーははっ」

召喚子「……」

アマゾネス「……」

テクテクテク…ジーッ

召喚士「あ、あのー」

アマゾネス「香水か。匂いもよく分からんな」

召喚士「レ、レディの身嗜みですわ……っ。ほほほっ」

盗賊「……なるほどな」

召喚子「……ほ、ほほっ」
304 :たまに召喚士がいますがスルーして頂けると幸いです… ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:45:09.50 ID:gSwgGnaDo


アマゾネス「話は聞いているな?」

召喚子「あなたと、戦えば良いのですね?」

アマゾネス「そういう事だ。貴様も朱雀召喚士なのだろう?」

召喚子「えっ!?」

アマゾネス「先程、そこの者がそのように言っていたが……」

召喚子(白虎嬢さん……)

白虎嬢「あっ、失言だったかしら〜」

アマゾネス「待て、どういう事だ? 違うのか?」

召喚子「い、いえっ! 違くないですわ……ほほほ〜っ」

アマゾネス「……?」

白虎嬢「ごめんなさい〜」

召喚子「い、いえ……っ」

アマゾネス「……」

召喚子(参ったな、これじゃ朱雀以外で戦えないじゃないか……っ)
305 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:46:21.84 ID:gSwgGnaDo
アマゾネス「内容は聞いただろう? お前が負けたら朱雀先生を一晩借りるぞ」

召喚子「えっ!?」

魔道士「えぇーっ!? そんなの聞いてないですよぉ!!」

アマゾネス「当たり前だろう。強き者に弱き者が従う。これは世の常だ」

魔道士「そういう事じゃなくって!」

アマゾネス「召喚子、お前が勝てばいいだけの話だ」

召喚子「……」

アマゾネス「お前が勝てば、朱雀先生はひとまず諦める。そして……」

ザッ

アマゾネス「ワルキューレ。これも伝授しよう」

召喚子「!?」

アマゾネス「お前も朱雀召喚士何だろう? それに朱雀先生にも伝授する」

召喚子「ほ、本当ですか!?」

アマゾネス「ああ、そういう条件だからな」

召喚子「……っ」
306 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:47:47.93 ID:gSwgGnaDo
アマゾネス「どうだ? 悪い条件ではなかろう?」

召喚子(これは思わぬチャンスだ……っ! 断る手はないな……)

アマゾネス「さぁ、どうする?」

召喚子「……いいですわ。私が負けたら、朱雀先生を一晩お貸しします」

魔道士「っ!!」

アマゾネス「よくぞ言った。ならば早速、勝負しようか」

魔道士「ちょっとぉ!!」

召喚子「は、はい?」

魔道士「……本当に……いいんですか?」

召喚子「いや、負けるつもりはありませんから」

魔道士「……」

召喚子「仮に負けても、皆さんは何とか救いだします」

魔道士「そうじゃなくって……」

召喚子「……?」

魔道士「一晩、過ごすつもりですか……?」
307 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:50:21.38 ID:gSwgGnaDo
召喚子「まぁ、拘束されるだけですよね? 一晩くらいは絶えられますよ」

魔道士「……もういいです」

プイッ…スタスタスタ

召喚子「……?」

アマゾネス「では早速、戦える場所に移動しよう」

白虎長「ちょっと、私も行くわよ!」

アマゾネス「……付いて来い」

おさげ「いいんですか?」

アマゾネス「構わん」

魔道士「玄武娘ちゃんと朱雀嬢ちゃんは……」

盗賊「……食事に行ったきり、帰ってきてないぞ」

魔道士「大丈夫かなぁ?」

盗賊「……心配はいらんだろう。私達も行こう」

魔道士「……はい」

盗賊「……食事は……口惜しいが……くっ」
308 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:51:21.61 ID:gSwgGnaDo


玄武娘「美味しいですのー!」

朱雀嬢「相変わらず遠慮なしですわね……っ」

ツインテ「にゃああぁぁ、もう空っぽになっちゃったよぉ」

ポニテ「何なのこの子……酔いが一挙に醒めたわ……っ」

玄武娘「おかわりですのー!」

ツインテ「えぇーっ!?」

朱雀嬢「ちょっと! もういい加減戻らないと……」

玄武娘「でも、まだ腹2分目ですの……」

朱雀嬢「……はぁー」

ポニテ「とんでもない連中を捕まえてしまった……」

ツインテ「そっちのはどう?」

色黒「まだ目は覚めないみたいね。もうしばらく寝かせておきましょ」

ツインテ「そうね。……はぁ」

青年兵「…………」
309 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:52:11.73 ID:gSwgGnaDo


テクテクテクテク

アマゾネス「こっちだ」

召喚子「……はい」

ゾロゾロゾロ

白虎長「……ねぇ」

盗賊「……?」

白虎長「妙だと思わない?」

盗賊「……」

白虎長「私達を取って食おうって感じでもないし、何が目的なのかしら」

盗賊「……それはおそらく……いや、もう少しすれば分かるさ」

白虎長「何か知っているの?」

盗賊「……いや、何となくそんな気がするだけ」

白虎長「ふぅん。まぁいいわ、それじゃ様子を見ておきましょうか」

盗賊「……うん」
310 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:52:56.79 ID:gSwgGnaDo
ザッザッザ

アマゾネス「ここで良かろう」

召喚子「……」

アマゾネス「さて、それじゃ早速始めようか」

おさげ「準備はいい?」

召喚子「いきなりですか……。仕方ないですね」

ザザッ

おさげ「それでは勝負……始めっ!」

アマゾネス「一気に決めさせて貰うぞ! 行けっ、ワルキューレ!」

シュイイィィィィン

召喚子「これが……ワルキューレ!!」

アマゾネス「さぁ、かかってくるがいい!」

召喚子「そうは言っても、こっちは……」

ザッ

召喚子「行けっ、ハーピー! ……ボソボソ」
311 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:54:11.92 ID:gSwgGnaDo
シュイイィィィィン

アマゾネス「ふっ、一体どんな召喚獣かと思えば……」

召喚子(コカトリス抜いたら、これしかないしなぁ)

ハーピー「ねーアンタ、何でそんな格好――」

召喚子「わーわーわーっ!!」

ハーピー「何よ、ウルサイわね〜」

召喚子「……はぁ、あまりやりたくないけど、仕方ないよね」

ゴウッ

アマゾネス「超スピードで振り切るつもりか!? 甘いぞっ!!」

召喚士「色々とバレなきゃいいけど……っ」

シュイイィィィィン

アマゾネス「!?」

ハーピーが逃げる先、森の中が一瞬、光り輝いた。

アマゾネス(何だ? どうする……ワルキューレを引き返させるか?」

僅かに躊躇したアマゾネスだが、戸惑いを打ち消すように自身を鼓舞し、指示を出す。
312 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:56:38.10 ID:gSwgGnaDo
アマゾネス「何を恐れる必要がある。行けっ、そのまま突撃だ」

ブリュンヒルデ「突撃」

バシュウウゥゥゥゥ!!

ハーピー「追いつかれるうぅーっ!!」

フッ

ブリュンヒルデ「――!?」

ゲルヒルデ「消えた……!?」

ハーピーが一瞬、消えたように見えた。しかし9体の召喚獣はすかさず解答を導き出す。

ブリュンヒルデ「召喚解除かっ!」

ゴウッ!!

オルトランデ「突風!? くうぅーっ!!」

巨大な竜巻のような風が、突如ワルキューレ達を襲う。

ゴオオォォォォ!!

アマゾネス「何だ!? まさかハーピーでこれほどの風を……っ!?」

召喚子「……っ」
313 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 18:58:08.80 ID:gSwgGnaDo
ゴオオォォォォ!!

オルトランデ「……」

ドサッ

ブリュンヒルデ「……?」

ドサドサッ

ブリュンヒルデ「な、何っ!? 何が起きているの!?」

フワッ…ゴオオォォォォ…

ブリュンヒルデ「な……にこれ……眠――」

ドサッ

アマゾネス「な、何だ!? 森の中で何が起きている……っ!?」

召喚子「死角があって助かりました」

アマゾネス「何だ……と……」

グラァ

アマゾネス(何だ……急に眠気が襲……って……)

ドサッ…シュウウゥゥゥゥ
314 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:00:21.17 ID:gSwgGnaDo
召喚子「……」

白虎長「ど、どういう事……っ!?」

召喚子「勝ち、ですよね?」

白虎嬢「一体、どういう事でしょう〜?」

召喚子「召喚獣同士の戦いなら、多分負ける事はないと思います」

白虎長「え……っ?」

召喚子「ふふっ、企業秘密ですけれどね」

白虎長「な、何なの……この子……」

召喚子「とにかく、これで俺……私の勝ちですっ」

魔道士「やった……やりましたー!!」

召喚子「あ、ありがとうございます。でも、そんなに喜ばなくても……」

タッタッタッタ

ツインテ「長〜っ、もう食事が……って!? にゃああぁぁー!!」

召喚子「あ、大丈夫です。眠っているだけですから」

ツインテ「そ、そんなぁ!! 長が……負けたの……!?」
315 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:02:18.20 ID:gSwgGnaDo
色黒(瘤がバレたら色々と聞かれて面倒だしな)

青年子「……?」

色黒「な、何でもないっ! 水でも飲むか!?」

青年子「え、は……はい。それじゃあ頂き――」

ザッザッザッザ

色黒「おっ、戻って……長!?」

ツインテ「長……負けちゃったぁ」

召喚子の背中に担がれたアマゾネス。その姿を見て、村の者らはただただ唖然とする。

ポニテ「ちょっと……嘘でしょ……っ!?」

おさげ「長が負けるなんて……っ」

色黒「怪我は!? 無事なのっ!?」

召喚子「あぁ、気を失っているだけですので。というか、寝ているだけ……」

色黒「早く降ろせ! くそぉ……っ、長……長っ!!」

青年子「……召喚子……さん!?」

召喚子「!?」
316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:03:44.69 ID:gSwgGnaDo
タッタッタ

玄武娘「何の騒ぎですの?」

朱雀嬢「えっ!? あの倒れているのって……」

盗賊「……勝ったぞ」

玄武娘「本当ですの!? 流石朱雀……朱雀……?」

朱雀嬢「貴女、何者かしら?」

召喚士「……え、えぇと」

白虎嬢「この人は朱雀――」

魔道士「えーっと、とにかく勝ったからいいじゃないですかっ! ねっ?」

召喚士「え、えぇ……」

朱雀嬢「朱雀先生は?」

魔道士「……っ!!」

朱雀嬢「確か、いらして……何か話をしてらっしゃいましたわね」

魔道士「ですからえぇと、それは……」

アマゾネス「…………ん」
317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:06:26.94 ID:gSwgGnaDo
ムクッ

色黒「長っ!?」

アマゾネス「ここ……は……」

おさげ「無事で良かったぁ〜」

アマゾネス「そうだ、確か召喚子と戦って……意識が……」

召喚子「……」

アマゾネス「まさか、負けた……のか?」

白虎長「ええ、あなたの負けよ」

アマゾネス「……っ」

召喚子「約束どおり、皆さんを解放して頂けますね?」

アマゾネス「召喚子」

召喚子「……はい」

アマゾネス「一体、何をした?」

召喚子「へっ?」

アマゾネス「ハーピーの能力ではない。一体どんな力を使ったのだ!?」
318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:07:50.21 ID:gSwgGnaDo
召喚子「それは……言えませんわね」

アマゾネス「く……っ」

召喚子「とにかく、約束どおり皆さんを解放して下さい」

アマゾネス「……分かっている。約束は約束だ」

玄武娘「やったですのー!!」

アマゾネス「それにワルキューレの伝授もだったな」

召喚子「……」

アマゾネス「頭がクラクラする。少し待ってろ」

テクテクテク…フラッ

ポニテ「あっ、長ーっ!!」

魔道士「やりましたねっ、これでワルキューレもゲットですよ!」

召喚士「はい、ありがとうございます」

朱雀嬢「あなたも、朱雀召喚士なのかしら……?」

召喚士「えっと……それは……」

青年子「……っ」
319 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:09:08.98 ID:gSwgGnaDo
ドンッ!!

青年子「貴女が召喚子さん。噂は伺っておりますわよ」

ドンッ!!

召喚士「そ、そうなのっ。光栄ですわ……」

ドドンッ!!

青年子「貴女、朱雀のようですけれど……召喚士さんとはどういう関係なのかしら?」

召喚子「か、関係っ!? 関係なんて何もありませんわ! 無関係です!」

朱雀嬢「朱雀先生とも面識が……?」

玄武娘「ところで肝心の召喚士さんはまだ戻らないんですの?」

召喚子「えっと、いやあのその……っ」

青年子(召喚子さん……謎多き方だけど、何というか相変わらず……)

召喚子(ひえぇ、面倒な事になってきたなぁ……)

白虎長「全然、状況が理解出来ないんだけど……」

盗賊「……何か……泥沼化してないか?」

魔道士「そ、そうでしょうか……は、ははっ」
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:09:55.23 ID:gSwgGnaDo
朱雀嬢「朱雀先生とはどういう関係なのかしら……?」

召喚子「いや、別に関係ないといえばないですし一心同体とも言えますか……ははっ」

朱雀嬢「あっ、まさか先程魔道士さんが仰ってた……朱雀先生の想い人って……」

玄武娘「そうなんですのっ!?」

青年子「まさか……召喚士さんと……!?」

召喚子「いぃ――っ!?」

盗賊「……魔道士」

魔道士「えっとえっと……召喚子さんっ!!」

召喚子「は、はいっ」

魔道士「確かこのあとご用があるんですよねっ!? 早く行かないと……っ!!」

召喚子「そ、そうでしたわっ! ほほほっ!」

魔道士「そ、それじゃさようなら〜! ありがとうございましたー!」

召喚子「は、はぁい!」

朱雀嬢「あっ、ちょっと!!」

青年子「召喚子さんっ!」
321 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:10:58.52 ID:gSwgGnaDo
タッタッタッタッタ

玄武娘「行っちゃったですの……」

朱雀嬢「何なのかしら……。ワルキューレも伝授してないというのに……」

白虎嬢「そう言えばそうね〜」

魔道士「た、多分……召喚士さんに譲るって事じゃないでしょうかね?」

白虎長「ふぅん」

青年子「……」

盗賊「……青年兵……子?」

青年子「朱雀……? 何か……おかしい」

盗賊「……?」

青年子「だって召喚フェスでは――!!」

バッ!!

青年子「ま……まさか……っ」

盗賊「……まずい」

青年子「まさか召喚子さんの正体は……」
322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:13:51.07 ID:gSwgGnaDo
魔道士「!?」

盗賊「……ちっ!!」

タタッ

盗賊「通すわけには――」

青年子「出でよっ! ワイバーン!!」

盗賊「しま……っ」

バシュウウゥゥゥゥ

盗賊「……あーあ」

魔道士「……」

白虎嬢「仕方ないですねぇ」

玄武娘「ほえー?」

朱雀嬢「な、何? 何なのかしら……もうっ!」

白虎長「駄目だわ。全然事情は把握出来ないんですけど……」

盗賊「……もう……諦めよう」

魔道士「……はい」
323 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:14:59.32 ID:gSwgGnaDo
タッタッタッタ

召喚子「とりあえず良かったっ! あとはさっさと……」

ザザッ…ヌギヌギッ…バシャッ!!

召喚士「化粧ってなかなか落ちない――」

バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

召喚士「げぇっ!?」

青年子「召喚子さん、顔を見せて下さい」

召喚士「……」

青年子「いや、あなたは召喚子さんではない!」

ビシィッ!!

青年子「召喚士さんっ、あなたですねっ!?」

召喚士「……っ」

ガクッ

召喚士「……仕方……なかったんです」

青年子「何故、このような真似を……?」
324 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/27(金) 19:15:47.23 ID:gSwgGnaDo
召喚士「うぅ……っ。思えば……思え……あれ?」

青年子「……」

召喚士「思えば俺、何でこんな事になったんだろう……」

バサッ…ポイッ

青年兵「……召喚士さん」

召喚士「青年兵くん、君は何でこんな事を……?」

青年兵「僕だって……あれ、何でだっけ?」

召喚士「青年兵くん……」

青年兵「召喚士さん……」

召喚士「……」

青年兵「……」

召喚士「俺達って……」

青年兵「一体……」

キラーン

男二人、零れそうになる涙を堪えようと顔を上げると、夜空に流れ星が走ったのであった。
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/27(金) 19:19:57.86 ID:gSwgGnaDo
それではここまでにて!ご支援本当にありがとうございます!
もうちょいでこの部も終了となります
久々にドタバタしたくてこうなちゃいましたが、ご了承という事で…

では失礼致しますー!!ノシ
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/27(金) 19:41:37.93 ID:wsqjIQzAO
>>1

召喚子さんGODJOB!(ママ)
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 19:48:54.75 ID:b80N5Cpc0
1乙!
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/05/27(金) 20:35:15.23 ID:8uf57SWT0
>>1

玄武娘と朱雀嬢は召喚子と面識なかったっけ?
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 20:43:06.68 ID:EvX3FcfDO
ワロタ
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 21:25:49.03 ID:95rAL2SIO
>>328
むしろ召喚子初登場の時そばにいたな
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 21:48:12.03 ID:cv+7fUpto
男ふたりカワイソス
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/05/27(金) 22:23:45.97 ID:LdktPauho
途中間違っただけだろうけど魔道士が召喚士を呼び捨てにしててキュンキュンしたwwwwwwww

>>1
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/27(金) 22:50:40.69 ID:HfZzK5vDO
>>1
まさかのギャグ落ちw
334 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:26:49.19 ID:MEXOaLKBo


ザッザッザ

アマゾネス「……ん? あの女はどうした?」

玄武娘「帰ったですの」

アマゾネス「何ぃ!?」

魔道士「い、色々と忙しいみたいですよ〜」

アマゾネス「ワルキューレは無用とでもいうのか……」

魔道士「それは、朱雀先生に伝授して欲しいと……」

アマゾネス「朱雀先生に?」

朱雀嬢「全く、どんな関係なのかしら……」

盗賊「……噂をすれば」

テクテクテク

召喚士「た、ただいまー」

魔道士「召喚士さんっ!」

召喚士「も、戻りましたー」
335 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:27:26.88 ID:MEXOaLKBo
アマゾネス「……おい」

召喚士「は、はいっ?」

アマゾネス「あの女はどうしたのだ?

召喚士「か、帰りましたね……はははっ」

青年兵「ええ、そうそう。はははっ」

アマゾネス「ふぅん」

朱雀嬢「朱雀先生」

召喚士「は、はい!?」

朱雀嬢「召喚子さんとは、どういう関係なのかしら?」

召喚士「い、いやぁ……一心同体というか……」

朱雀嬢「一心同体ぃ!?」

召喚士「あ、いや……っ! 他人とは思えないというかその……」

朱雀嬢「他人とは思えないぃ!?」

アマゾネス「……」

召喚士「は、ははっ。いやはや困った困った……ははは……っ」
336 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:28:30.82 ID:MEXOaLKBo
アマゾネス「……分かった。ならば最後に一つ聞かせてくれ」

召喚士「な、何でしょうか?」

アマゾネス「あの睡眠の効果、あれはどのようにやったのだ?」

召喚士「で、ですからあれは秘密でして……」

アマゾネス「……ほぉ〜」

召喚士「あ……」

魔道士「あ……っ」

青年兵「――っ!!」

アマゾネス「秘密、か。では何故それを朱雀先生が知っているのかな」

盗賊「……馬鹿……っ」

朱雀嬢「えっ、え……っ?」

玄武娘「ど、どういう事ですの……?」

白虎長「……えっ、ちょっとまさか!! えっ!? 嘘……っ」

魔道士「召喚士さああぁぁん……っ」

召喚士「……は、はははっ」
337 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:29:33.54 ID:MEXOaLKBo


アマゾネス「……いつまで土下座しているつもりだ?」

召喚士「……」

盗賊「……なんで……青年兵まで」

青年兵「同罪ですので……」

召喚士「すみませんでした。全く許される事ではないと思います……」

アマゾネス「……

召喚士「でも、他の方に罪はありません。どうか罪は俺一人で……」

朱雀嬢「まさか召喚子さんと朱雀先生が同一人物だったなんて……」

玄武娘「び、びっくりですの……」

朱雀嬢「ん、ちょっと待って……あなた、知っていたの!?」

白虎嬢「うん」

朱雀嬢「呆れた。それで朱雀召喚士だって言ったのね」

白虎嬢「だって、召喚フェスの時に白虎だったからぁ〜」

玄武娘「そうだったんですの〜」
338 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:30:49.85 ID:MEXOaLKBo
白虎嬢「お陰で、戦い辛くなってしまいましたけどねぇ」

朱雀嬢「だから言ってくれれば、協力したですわっ」

玄武娘「そうですのー!」

白虎嬢(うーん……それが不安だったんだけど……まぁいいか〜)

玄武娘「でもほんと、全然気付かなかったですの……」

朱雀嬢「そりゃあ一緒にフェスでやって以来、5年ですものね」

白虎長「本当にビックリよ……」

召喚士「とにかく、どうかお許しを。償いなら俺が……」

アマゾネス「……」

ザッザッザ

アマゾネス「……」

召喚士「……っ」

アマゾネス「……ふーっ」

盗賊「……もう、いいんじゃないのか?」

召喚士「……?」
339 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:31:59.29 ID:MEXOaLKBo
盗賊「……もう、偽る必要もあるまい」

アマゾネス「やっぱり、気付いていた?」

盗賊「……まぁな。途中からそんな気はしていた」

魔道士「あ、あのぉ……?」

盗賊「……元より、何もするつもりはないのであろう?」

召喚士「えっ!?」

盗賊「……差し詰め、腕を試したかった……というところか?」

アマゾネス「それもあるけど、外の世界を味わってみたかった……かな」

召喚士「……」

アマゾネス「ごめんなさいね、朱雀先生……っ」

召喚士「い、いえっ! 俺らの方こそ……」

アマゾネス「謝る必要はありません。お互い様、という事」

召喚士「アマゾネスさん……っ」

アマゾネス「青年兵さんも、ごめんなさいね」

青年兵「いえいえっ、えぇと……結果オーライという事ですかね……は、ははっ」
340 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:32:59.95 ID:MEXOaLKBo


アマゾネス「さぁ、食事は無くなってしまったけれど、好きなだけ楽しんで下さいな」

召喚士「いただきます」

魔道士「いやぁ、めでたしめでたしですねっ、えへへ!」

盗賊「……お前という奴は」

朱雀嬢「それにしても、あれからもう5年も経つんですわね……」

玄武娘「そうですの!」

朱雀嬢「朱雀先生も随分お綺麗になられましたわねぇ……ぐびっ」

召喚士「やめて下さいよ……もうっ」

アマゾネス「うふふっ」

白虎長「しっかし……あなた達がねぇ……へぇ〜」

青年兵「にやにやしないで下さいよ……」

白虎長「だってぇ、朱雀先生と次期大元帥候補が……ねぇ?」

青年兵「あの……怒りますよ?」

召喚士「悔しいけれど、何も言い返せない……」
341 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:34:31.15 ID:MEXOaLKBo
魔道士「でも、どうして外の世界を?」

アマゾネス「ええ、この手紙……」

魔道士「あっ、確か師匠さんの……」

召喚士「師匠の!?」

アマゾネス「父は、古いしきたりになど囚われず、自分の好きなように生きろ……って」

盗賊「……」

アマゾネス「自分で外の世界を見て、歩いて、そして感じろ……って」

召喚士「そうですか……師匠が……」

アマゾネス「母も言ってた。あなたがこの村に、新しい風を入れなさいって」

召喚士「そうでしたか……」

アマゾネス「ずっと、今日のような日を待っていたのかもしれませんね」

召喚士「……どうでした?」

アマゾネス「皆さんと話して、そして戦って……もっと外の世界を見たいと思いました」

ニコッ

召喚士「ええ、もっと見ましょう! そして変えましょうよ!」
342 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:36:46.81 ID:MEXOaLKBo
アマゾネス「女性だけで生きていくなんて、古風な事はもうお終い」

魔道士「アマゾネスさん……っ」

アマゾネス「朱雀先生?」

召喚士「はい」

アマゾネス「宜しければ、私達も皆様の末席に加えて頂けませんか?」

召喚士「え……っ?」

アマゾネス「そしてそのっ、宜しければ……どうか、朱雀先生の種子を……」

魔道士「そっ、それは駄目ですよっ!」

召喚士「種子!? えぇ……っとぉ……」

盗賊「……代々、朱雀先生の子を生んでいるんだとさ」

召喚士「――っ!?」

アマゾネス「ひ、一晩だけでも……」

召喚士「いやっ、あの……それはちょっと……」

アマゾネス「駄目……ですか?」

魔道士「駄目ですーっ!!」
343 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:38:23.14 ID:MEXOaLKBo
アマゾネス「……残念」

召喚士「は、はは……っ」

アマゾネス「どこかに、素敵な朱雀召喚士がいらっしゃれば良いのだけれど……」

白虎長「朱雀召喚士なんて少ないからね〜。とっ捕まるかしら……きゃははっ!」

青年兵「……酔ってます?」

青年兵「でも僕らは今、魔王を倒す為の大事な任務中でして……」

アマゾネス「邪魔は致しません。協力出来る事はもちろん致しますわ」

青年兵「……そうですか」

アマゾネス「そして、外界で朱雀召喚士の殿方を……」

召喚士「みつかるといいですね」

アマゾネス「……ええ」



同門「ぶぇーっくしょん!」

ムズムズ

同門「風邪か? いや、まだ完治していないしな……くそっ」
344 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:40:26.00 ID:MEXOaLKBo


白虎長「まだ飲むぞぉー!!」

白虎嬢「従姉さん、もう寝ましょう……?」

アマゾネス「それでは皆様、ごゆっくりお休み下さいな」

魔道士「ありがとうございますっ。お休みなさいー!」

玄武娘「むにゃむにゃ……」

朱雀嬢「ほらっ、行きますわよ」

テクテクテクテク

盗賊「……寝ないのか?」

召喚士「もうじきしたら寝ます」

盗賊「……そうか。お休み、お疲れさん」

青年兵「お休みなさい」

スタスタスタ…

召喚士「……疲れた」

青年兵「疲れましたね」
345 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 01:42:52.04 ID:MEXOaLKBo
召喚士「青年兵くんもお疲れ様」

青年兵「召喚士さんこそ、お疲れ様でした」

召喚士「……何だったんだろう」

青年兵「ええ」

召喚士「結果的に、丸く収まった気はするけど……」

青年兵「何だか、濃厚すぎる数日でした……」

召喚士「……お互い、大変だね」

青年兵「本当ですね」

召喚士「そして、女装する意味はあったんだろうか……?」

青年兵「最大の疑問点ですね」

召喚士「…………」

青年兵「…………」

召喚士「……寝ようか」

青年兵「……そうしましょうか」

男二人、零れそうになる涙を堪えようと顔を上げると、夜空に星は流れなかった。
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 02:11:48.57 ID:yxbWplMDO
>>1
やっぱり同門かwww
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/05/28(土) 03:02:22.21 ID:Vk2sJe25o
>>1
バレちゃったか・・
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 05:00:31.76 ID:tKB7QlVSO
>>1
星wwww流れてあげてwwww
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 08:09:49.37 ID:Wds8XdQDO
>>1乙っす
白虎嬢って何げにしっかりしているというか頭の回転が速いんだな
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 12:52:13.24 ID:bfZeYxLgo
同門逃げてええええええええええええ
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/28(土) 12:58:13.61 ID:Ahbw4nXAO
いやいや、大歓迎だろ
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 14:34:38.82 ID:LhSax/2Ko
白虎嬢は俺の中でメガネ黒髪ロングのイメージ
まったくそんな描写ないのに3人娘の位置付けからいつの間にか固定してしまった
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/28(土) 14:53:55.17 ID:3jauptBio
それは報告しなくてもいいです
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/28(土) 16:16:37.02 ID:HLjidMHAO
>>1


同門「どうも〜〜んwwwwww」
ドッ
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/28(土) 17:22:34.85 ID:fOLiOzAAO
>>354
くそっ、こんなので……
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/28(土) 17:28:52.66 ID:fk51MGWDO
>>1乙!

同門のくだりを読むときすげぇニヤニヤしてしまったww
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/28(土) 23:39:57.01 ID:TgvSykMAO
アマゾネスって聞くと荒川のやつを想像しちまう
358 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 23:41:06.65 ID:MEXOaLKBo
〜三日月島〜

ゴウンゴウンゴウン…

西国兵「いいぞーっ!」

ゴゴオオォォン…ザッ

隊長「まずは負傷者だ、搬送しろ」

ザザッ…タッタッタ…

衛生兵「こちらへっ」

男隊員「俺はいい。先に……他の連中を……っ」

女隊員「格闘家くんっ、着いたッスからね!」

格闘家「俺より……西国の人を……っ」

戦士「無理に起きるなって」

衛生兵「担架でそのまま運びますので!」

格闘家「……情けないな」

戦士「……ああ。もっと……強くなろうぜ」

格闘家「……無論だ」
359 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 23:41:55.20 ID:MEXOaLKBo
ザッザッザッザ

神官「陛下!!」

王子「神官!? 戻ってたのか……?」

神官「ご無事ですか? 負傷者が出たと伺いましたが……」

王子「僕は問題ないよ。ただ……」

神官「……」

王子と神官、二人が言葉を交わす横を、担架が複数通り過ぎてゆく。

パイク長「…………」

王子「パイク長だけじゃない。助けに入った何人もが死んだ……」

神官「……ええ」

王子「何も……出来なかった……っ」

神官「……」

ザッザッザ

戦士父「誰のせいでもない。勿論、貴方のせいでもない」

王子「……っ」
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/28(土) 23:42:03.86 ID:qwQtsNZDO
ナイスタイミング
361 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 23:42:33.26 ID:MEXOaLKBo
戦士父「しかし、その死は全ての人のものだ」

王子「全て……の?」

神官「私達とていつ死ぬか分かりません。彼らの分も……」

王子「うん。戦って……そして勝つさ」

戦士父「それでいい。前を向いて進むしか、道はありません」

ザッザッザ

王子「いつまでも挫けていられないよなぁ……」

神官「ええ。らしくないですよ」

王子「……だよな」

神官「さぁ、我らも施設内へ……」

王子「王の……務め、か」

神官「……?」

王子「いや、死んでいったみんなのお陰で、気付かされたんだ」

神官「陛下……」

王子「さぁ、戻ろうか」
362 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 23:43:10.21 ID:MEXOaLKBo
〜西方司令部、会議室〜

西方副司令「お疲れ様です」

隊長「おう。首尾は?」

西方副司令「こちらは特に、動きはありません」

隊長「こちらは……ねぇ」

西方副司令「南西砦から召集がかかりました」

隊長「招集?」

西方副司令「ええ、何でもありったけの魔道兵をと……」

隊長「……?」

戦士父「魔道兵……」

西方副司令「アンラ・マンユ討伐に突入するようですよ」

戦士「何だとぉ!?」

女隊員「もうッスか……?」

西方副司令「なんでも、早い段階で動かなくちゃいけなくなった……って」

隊長「……」
363 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 23:44:10.04 ID:MEXOaLKBo
戦士「どういう事だ?」

隊長「思ったより、眷属の効果が現れなかったのか?」

西方副司令「どうなんでしょう、まだ詳細は……」

テクテクテクテク

博士「戦士父殿と隊長はいるのら?」

戦士父「何だ?」

博士「電話なのら」

隊長「すぐに行く」

ガタッ…カツカツカツ

女隊員「私、2人の様子を見てくるッス」

戦士「……おう」

カツカツカツ

戦士「……」

静けさの戻る会議室で戦士は一人、包帯で吊られた左腕を見つめる。

戦士「……間に合うか? いや、間に合わせるしかねーよなぁ」
364 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 23:44:45.93 ID:MEXOaLKBo
〜参謀室〜

ガチャッ…カツカツカツ

通信兵「電話、繋がっております」

隊長「おう」

大軍師『伝令の話から察するに、そろそろかと思いましたよ』

隊長「動きがあったみてぇだな」

大軍師『ええ。まずはそちらの状況をお教え頂けますか?』

隊長「サルワは追いやった。被害は西国側に少数名」

大軍師『……そうですか』

隊長「奴は南へ逃亡した。おそらくしばらくは動けないはずだ」

大軍師『それは幸いです。』

隊長「そんで、こっちはどうすればいい?」

大軍師『戦士父殿はいらっしゃいますか?』

隊長「……大軍師です」

スッ
365 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 23:45:34.76 ID:MEXOaLKBo
戦士父「何だ」

大軍師『ご無事で何よりです。ゾディアックは如何ですか?』

戦士父「順調だ。西方の1本も入手できた」

大軍師『ほぅ、それは何より』

戦士父「どうせ想定内なんだろう?」

大軍師『……ふっふっふ。こちらからも贈り物を届けておきましたよ』

戦士父「……」

大軍師『詳細は博士殿にお聞き下さい』

戦士父「分かった」

大軍師『其方の研究機関で全て整うよう、手配はしておきましたので』

戦士父「……ほう、分かった」

大運氏『準備が整い次第、作戦を開始致します』

戦士父「了解した。明日には戻る」

大軍師『期待しております』

戦士父「……ああ」
366 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/28(土) 23:47:29.16 ID:MEXOaLKBo


大軍師『それでは、宜しくお願い致します』

隊長「ああ」

ツーッ…

隊長「……ふーっ」

戦士父「思ったより早かったな」

隊長「ええ」

戦士父「……」

隊長「どうしました?」

戦士父「いや、いざとなるとやはり……緊張するな」

隊長「……っ」

戦士父「自信がないわけではない。だが……やはりなんというか、な」

隊長「あなた程の方でも、緊張しますか」

戦士父「それはするさ。俺も……人間だからな」

隊長「……なるほど」
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/29(日) 01:17:33.78 ID:axRTeLcAO
>>1おつ
368 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 01:50:50.64 ID:V4+YCb+ao
〜研究機関〜

戦士「……おぉ、これ……写真だっけか?」

白衣「ええ、撮っていかれますか?」

戦士「うーん、今日はいいや」

カツカツカツ

博士「多少は暇つぶしになったのら?」

戦士「ああ、お陰さんで」

博士「思い詰めた時は、何か別の事をするのも手らよ?」

戦士「……あんがとさん」

ザッザッザ

戦士父「……」

戦士「あれ、親父?」

博士「もしかして、ゾディアックか?」

戦士父「ああ」

戦士「……!?」
369 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 01:51:57.59 ID:V4+YCb+ao
研究機関のある大部屋を脇に、反対側に当たる鉄の扉。

西方司令部の地下に存在する研究機関、魔道機関に続く3つ目の機関。

それが、彼らの訪ねた扉の先に存在する『開発機関』である。

戦士「ここ……か?」

ゴウンゴウン…ガゴオオォォォォ

博士「おーい」

――「はーいっ」

タッタッタッタッタ

戦士「んおっ!?」

――「せ、戦士……っ!?」

戦士「鍛冶娘……」

鍛冶娘「こんな所で、何してるの?」

戦士「こっちの台詞だよ。お前、本国勤めじゃあ……」

家事娘「急な仕事があるって言うんで、召集よ」

戦士「……?」
370 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 01:53:16.06 ID:V4+YCb+ao
家事娘「局長ーっ、見えられましたよ」

カツカツカツ

局長「おーう、よく来たな」

戦士父「久しぶりだな」

局長「一番槍か……っ!! 現役復帰したらしいじゃねぇか!?」

戦士父「いや、残念だが現役復帰はしていない」

局長「でも戦うんだろ? だったら結果は同じだっつーの」

戦士「この人は?」

家事娘「開発局の局長よ」

戦士「へぇ」

局長「紹介が遅れたな。俺は……局長だ」

戦士「……はぁ」

局長「何だよそのガッカリ感」

戦士「いや、たった今聞いたんで」

局長「……あ、そう」
371 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 01:53:50.68 ID:V4+YCb+ao
隊長「そんで、本題はどうなってる?」

局長「あーはいはい。おい」

ガラガラガラッ

戦士「なんだこの箱?」

局長「おい、開けろ」

ガチャガチャッ…ゴトッ

戦士「!?」

局長「こっちが騎士団長の。んで、こっちが南西砦からの贈り物だ」

戦士「……ゾディアック……!!」

隊長「……ん? ちょっと待てよ?」

戦士「西方で1本手に入れて……ここに2本……」

戦士父「……全て、揃ったな」

局長「その為にここでスタンバってんだろうがよ」

戦士「じゃあついに……」

局長「ゾディアック、完成させんぞ」
372 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 01:54:36.61 ID:V4+YCb+ao
隊長「……ついにゾディアックが……っ」

戦士父「完成の時か」

局長「……と、いきてぇところなんだが」

戦士「……?」

局長「まだ作り手が揃っちゃいねーんだなここれが」

戦士「作り手?」

局長「そうなんだよ、全くあのタコスケ……」

タッタッタ

助手「博士ーっ!」

博士「……?」

助手「お客様、ご到着〜!」

博士「噂をすれば、到着したようなのら」

テクテクテクテク

戦士「……お、おやっさんに……おかみさん!?」

鍛冶娘「……っ」
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 01:55:53.17 ID:V4+YCb+ao
鍛冶屋「やぁやぁ、長旅だったよ〜」

おかみ「鍛冶娘!?」

鍛冶娘「お母さん……お父さん……っ」

戦士「そうか、作り手ってのは……」

ザッザッザ

局長「くぉーら! おっせーぞ!」

鍛冶屋「やははっ、久し振り!」

局長「相変わらず飄々と、マイペースな奴だ……」

鍛冶屋「いやあ、何年振りだろうね〜」

局長「うるせーっ! さっさと取り掛かるぞ!」

戦士「おやじさんと仲悪いの?」

鍛冶娘「さぁ……?」

おかみ「ったく、相変わらずだねアンタ達はさ」

局長「お、おかみっ!?」

おかみ「元気そうで何よりだよ、局長っ」
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 01:57:48.93 ID:V4+YCb+ao
局長「い、いやぁ……うへへへへっ」

戦士「……俺、なんか理由分かったかも」

鍛冶娘「……?」

局長「家事娘っ!」

家事娘「は、はいっ!」

局長「ゾディアックを受け取って、すぐにラボに運んで行けっ!」

家事娘「り、了解です……っ。それではお預かり致します」

戦士父「宜しく頼む」

スッ…ゴトッ

局長「今晩は徹夜だ。明日の昼までには何が何でも仕上げるぞ!」

鍛冶屋「やれやれ、やるしかないっか」

博士「人員は惜しみなく出すのら。意地でも仕上げるのら」

局長「うーるせっ! 言われんでもやるわいっ!!」

隊長「それじゃ、頼んますわ。さーて、果報は寝て待つとしようかね」

戦士「……おう」
375 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/05/29(日) 05:38:12.12 ID:Yx504kRu0
いちおつ

ワルキューレ達に罵られる召喚士を想像してハアハア
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 08:21:25.04 ID:kMwqHapVo
>>1
盗賊は細かい心の動きとかよく気が付くようになって1スレ目から見ると
成長したなーと思う
今だったら絶対召喚士に恋愛相談なんて持ちかけないだろうな
377 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 10:22:07.09 ID:Yb4QVLhAo
急に家庭的なのが出てきたな
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 14:25:14.06 ID:vcTY2mQDO
最近のハウスキーパーはゾディアックも弄れるらしい
379 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 15:29:30.88 ID:A1StaiYIO


ゾディアックの統合は家事の一つだろ?
世の主婦は大変なのさ
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/29(日) 16:36:08.21 ID:hNS2jLtDO
しらないの?おまえらのカーチャンの中にもゾディアック作った人がいるかもしれないんだよ?
381 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:10:33.17 ID:V4+YCb+ao
〜次の日、アマゾネスの村〜

盗賊「……」

アマゾネス「今日も早いですね」

盗賊「……敬語でなくとも良いぞ」

アマゾネス「ふふっ、ありがとう」

盗賊「……日課でな。なかなか抜けぬ」

アマゾネス「あの……」

盗賊「……なんだ?」

アマゾネス「貴女も、そとの世界へ出たかった……の?」

盗賊「……」

アマゾネス「何だか、全てを見透かされているようで……」

盗賊「……そうかもな」

アマゾネス「……」

盗賊「……私は、東方の出でな」

アマゾネス「東方……」
382 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:11:57.05 ID:V4+YCb+ao
盗賊「遥か東にある、小さな島国さ」

アマゾネス「……」

盗賊「……私は、兄が一人居てな」

アマゾネス「兄、家族……か」

盗賊「……兄様を追うように……私も東方を出た」

アマゾネス「怖くは?」

盗賊「……怖かったさ。でも、そんな事は言ってられなかったし」

アマゾネス「そっか」

盗賊「……最初は……苦労ばかりだったよ」

アマゾネス「……」

盗賊「……でも……今は出て良かったと思ってる」

アマゾネス「そう……」

盗賊「……世界は本当に広い。それは自分で見ないと……分からないからな」

アマゾネス「うん」

盗賊「……でも、楽しいぞ」
383 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:14:17.49 ID:V4+YCb+ao
アマゾネス「でしょうね」

盗賊「……」

アマゾネス「皆、楽しそうですもの」

盗賊「……うん」

アマゾネス「でも、これからなんですよね」

盗賊「……ああ。敵は……強い」

アマゾネス「私達も、是非お手伝いを」

盗賊「……ありがと」

ザッザッザ

アマゾネス「……」

盗賊「……戻ろう。みんなも起きた頃だろう」

アマゾネス「はい」

盗賊「……それに、準備もしないといけないだろう?」

アマゾネス「あ……っ、そうですね」

盗賊「……ふふっ」
384 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:15:53.34 ID:V4+YCb+ao


魔道士「あっ、おはようございますっ!」

アマゾネス「おはよう」

魔道士「盗賊さんとおでかけしてたんですか?」

盗賊「……ん、まぁな」

魔道士「朝ご飯、出来てますよー」

アマゾネス「!?」

魔道士「あっ、すみません……。お世話になっているので勝手に……」

アマゾネス「気にしなくてもいいのに……」

ザッザ…ストッ

アマゾネス「しかも、美味しそう……」

タッタッタ

おさげ「あっ、長!! 探したんですよーっ」

色黒「見てよコレ……。お祭りのご馳走より凄いかも……」

アマゾネス「わざわざ手間をかけて申し訳ない……」
385 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:16:49.50 ID:V4+YCb+ao
魔道士「いえいえっ、余り物で簡単に作っただけですから」

アマゾネス「余り物、凄……っ」

召喚士「おはようございます」

青年兵「昨日はお疲れ様でした」

玄武娘「おぉーっ!? いい匂いですのー!!」

朱雀嬢「ほんと、あなたは揺るがないですわね……」

召喚士「それで、村はいつ頃出られるんです?」

盗賊「……すぐに出るよな」

アマゾネス「ああ」

召喚士「えっ!? そうなんですか……?」

盗賊「……善は急げ」

召喚士「は、はぁ……」

盗賊「……何が『はぁ』だ。我らも手伝うぞ」

召喚士「えっ、は……はいっ」

アマゾネス「ふふふっ」
386 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:17:50.68 ID:V4+YCb+ao
〜西方司令部〜

戦士「……ん」

戦士父「起きたか」

戦士「悪りぃ、2時間くらい寝ちまったか」

戦士父「別に構わんさ」

戦士「……ゾディアックは?」

戦士父「いや、まだ何も……」

ガチャン…ゴゴオオォォォォン

局長「……あー眠みぃ!!」

シュボッ…スパッ

戦士父「出来たか?」

局長「あーん……?」

スパスパスパゥt

局長「……ふーっ、まだだいぶかかりそうだな」

戦士「……そうか」
387 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:18:50.73 ID:V4+YCb+ao
戦士父「昼頃までには何とかならんか?」

局長「あのな、こっちだって急いでやってるつーの」

戦士父「分かっている」

局長「作ってるモンは、それだけじゃねーんだしよ」

カツカツカツ

戦士「おっ、大丈夫なのか?」

男隊員「ああ。んで、そっちは?」

戦士父「まだのようだ」

隊長「出来れば、昼前には発ちたいところだな」

局長「わーってるっつーの! あから必死で取り組んでるんだろうがよ!」

隊長「いや、まぁ……そうなんだが」

局長「昨日の今日でやらされるこっちの身にもなってみろ!」

戦士父「……すまんな」

局長「いや、いいっすけどね!」

戦士「いいんかい」
388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:20:12.07 ID:V4+YCb+ao
隊長「12時まで待つ。それがリミットだ」

局長「はいはいはい。クソ司令に伝えとけ」

男隊員「……?」

局長「臨時ボーナス用意しとけってな!」

隊長「はいはい。了解」

戦士「中、入ってもいいかい?」

局長「おーおー好きにしろ」

テクテクテク

戦士「おやっさん、調子は――!?」

鍛冶屋「やぁやぁやぁ戦士くんっ! おはようおはよう!」

戦士「な、何だこの甲冑の数……っ」

鍛冶娘「対魔王討伐用の防具よ。もちろん国軍のね」

戦士「すげぇな……っ。白銀に輝いて……プレートアーマーか?」

隊長「それにしちゃあ装甲が薄くないか? 軽量化しすぎな気もするが……」

局長「あのよー今更、装甲厚くしてどーすんだよ?」
389 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:22:42.72 ID:V4+YCb+ao
男隊員「……?」

局長「魔王相手なんて、どうせ一撃喰らったらはい即死、だろ」

男隊員「いや、そりゃそうだけどよ」

局長「だったら、ハナっからそっちは捨てて、こっち備えたほうが100倍マシ」

ポイッ…パシッ

男隊員「これ、結界石か!?」

隊長「そういう事か。この鎧、結界石を……」

博士「比率の計算になかなか時間がかかったのら」

助手「でも、今は完成して大量生産中よっ♪」

局長「お前の戻る船で、コイツも運んで行って貰うからな!」

隊長「はいはい。分かったからゾディアックも頑張ってくれよ」

局長「分かったって言ってんだろっ!!」

戦士「頼んだ」

局長「……おらテメェら!! サボってねーでちゃっちゃと動けやっ!!」

戦士「……」
390 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:24:44.33 ID:V4+YCb+ao
〜南西砦〜

天才「……」

大軍師「司令、どうなされました?」

天才「風が……変わったな」

大軍師「風……ですか?」

天才「ああ。だが、悪い風じゃねーと思わんか?」

大軍師「……確かに、暖かい南風ですね」

天才「ハーッハッハッハ!!」

コトッ

大軍師「あっ」

天才「まずは方々から魔道兵を集めて」

コトッ

天才「んで、万が一の眷属にゃ、召喚士の連中を当てる……と」

コトッ

天才「んで、最後に……ほい、チェックメイト……っと」

大軍師「……これは……っ」
391 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/29(日) 23:26:25.85 ID:V4+YCb+ao
天才「いやー我ながらなんつぅ作戦でしょうかねぇ」

大軍師「東西南北、いや……8方向から……」

天才「たった一度の大作戦だ。だがな、俺様には見える……」

大軍師「……」

天才「いや、ずっと見えてたのかもな」

大軍師「アンラ・マンユ、討てますか?」

天才「討てるさ。でなきゃここまで何十年と費やしてきた意味がねぇ」

大軍師「ですね」

天才「まぁ心配すんなって。今回は誰も死にゃしねーよ」

大軍師「主力は……ですか?」

天才「……まぁな」

大軍師「私自身は、あまり好きな作戦ではありませんね」

天才「そうそう、いいね。時には諌めるのも参謀役の務めだぜ」

大軍師「……はい」

この日の夜、アンラ・マンユ討伐作戦が発令された。


    〜第四十七部、完〜
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/30(月) 00:17:11.88 ID:1JCFLAdAO
主力じゃない王子がついにか……
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 00:23:53.18 ID:9fTXZUuDO
いち乙!

いつも活力にさせて貰ってますよ〜

最近最初から読み直しているけど、一日二日では終わらん…
漫画とかにしたら、何話分になるんだこれ…
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 00:57:46.04 ID:6DColoSHo
1おつ
主力以外でもタヒぬのは嫌だなあと思ったけど
王子ならいいや
あそこお姉ちゃんいるし、跡継ぎも大丈夫だろうし
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/30(月) 08:35:08.08 ID:Azhkmu+AO
>>1

今更だけど
今回は死なないとか、砦長は死ぬとか
予言出来ちゃうとそんなんまでわかるんだよな
占い師ちゃんどんだけメンタル強いんだ

俺なら鼻水撒き散らしながらアヘ顔をさらけ出すレベル
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 08:46:26.05 ID:ZD+PhaHDO
>>1乙!
週末の大量更新ありがとう
こないだ占い師から天才がイメージ引き出してるっぽい描写あったから
誰が死ぬとかの詳細ビジョンまで見えてるのは天才の方かなと思った。

どっちにしろ人が死ぬのわかった上で作戦立てるのはキツイよな。
397 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:41:19.50 ID:MeL5PmzFo


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第四十八部〜
398 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:41:47.70 ID:MeL5PmzFo
〜19時41分。南西砦〜

戦士「見えてきたぜ、南西砦だ!」

格闘家「……」

男隊員「具合はどうだ?」

格闘家「傷みが引かないですね。でも、そんな事は言っていられません」

男隊員「お前は?」

戦士「折れたわけじゃねぇ。もう大丈夫だろ」

グルグルグルッ…ズキッ

戦士「――っ!!」

男隊員「揃いも揃ってボロボロだわな。ヒャハハ」

戦士「おめぇもだろ」

隊長「ほら、早く歩け」

戦士「へいへい。しっかし……間一髪間に合って良かったな!」

戦士父「……ああ」

戦士「帰ってきたぜ、南西砦」
399 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:42:54.64 ID:MeL5PmzFo
〜11時54分、西方司令部〜

隊長「そろそろ発つぞ」

戦士「おい、ゾディアックがまだだぞ?」

隊長「これ以上は待ってられん。ゾディアックだけ後から送らせる」

戦士父「ならば、俺がここに残るとしよう」

隊長「……いいんですか?」

戦士父「あれは俺の得物だ。止むを得まい」

隊長「……」

ザッ

隊長「各員、乗船準備」

女隊員「了解ッス!」

博士「積荷は?」

西方兵「あのコンテナが最後です。問題ありませんよ」

男隊員「あの防具でどれほどの歩兵が助かるか……だな」

隊長「まぁな。減るのは確かだが激減するとは……ん?」
400 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:44:00.33 ID:MeL5PmzFo
ザッザッザ

格闘家「……」

戦士「お前、大丈夫なのかよっ!?」

格闘家「こんな所で留まっていても仕方ありません」

男隊員「いや、そりゃそうだけどよ……」

隊長「動けるのか?」

格闘家「はい」

隊長「……」

戦士「確か、肋骨折れて……」

隊長「お前ら、格闘家のバックアップをしっかり頼むぞ」

男隊員「はいよ」

女隊員「了解ッス」

戦士「……っ」

隊長「悪いが、こっから先は特遊が休んでいる暇はない。いいな?」

格闘家「毛頭、そのつもりです」
401 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:45:06.85 ID:MeL5PmzFo
ゴゴオオォォォォン

西方兵「積荷完了です!」

博士「ご苦労。いつでも出られるのら」

隊長「よし、予定通り12時ジャストに出航する」

海兵「あと2分で出航します! 各員、配置について最終確認!」

タッタッタッタッタ

戦士「いよいよ魔王討伐か。どうするつもりなんだ?」

戦士父「さぁな。だが、奴はゾディアックを使うつもりのようだ」

戦士「ゾディアックを……?」

戦士父「その証拠に、かなりの魔道兵を召集している」

戦士「それが、何か関係あんのかよ?」

戦士父「前にも言っただろう? ゾディアックは媒介」

戦士「……」

戦士父「つまりはあの槍を中心に――」

局長「おぉーい!! 待ってくれっつーか……待てぇ!!」
402 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:46:24.91 ID:MeL5PmzFo
タッタッタッタッタ

局長「ぜぇ……はぁ……ぜぇぜぇっ」

隊長「どうした?」

局長「どうしたじゃねーっ! テメーらが間に合わせろって言ったんだろうがよっ!」

戦士父「まさか……出来たのか!?」

テクテクテク

鍛冶屋「やははっ、何とか間に合ったよー」

戦士「マジかよっ!? すっげぇ!!」

鍛冶娘「……が、頑張ったんだから礼くらい言いなさいよねっ!」

戦士「サンキューな! 鍛冶娘っ!」

鍛冶娘「べっ、別にアンタの為にやったわけじゃないんだからねっ!」

局長「おらっ、受け取れ!!」

ブンッ

戦士「どわぁ!! どこに投げてんだよ!!」

局長「うげっ! わ、わりっ!!」
403 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:47:21.78 ID:MeL5PmzFo


海兵「出航!!」

ガゴッ…ザザーン

戦士「……ったく、折角の槍が海の藻屑になるところだったぜ……」

戦士父「よく取ったな」

戦士「あんくらいなら片手でも取れるっつーの」

戦士父「……」

戦士「んで、何でお前さんまでいるんだ?」

博士「電話工事の進みが芳しくないのら。仕方ないから手を煩わせるのら」

戦士「……あっそ」

女隊員「戦士くん、楽しそうッスね」

戦士「そうかぁ?」

男隊員「久々、他の仲間に会えるからだろ……ヒャハハ」

戦士「んな、たかだか何日でよぉ……」

女隊員「それじゃあ嬉しくないッスか?」
404 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:48:12.18 ID:MeL5PmzFo
戦士「……いや、そりゃ嬉しい……ってか、何の話してんだよ!」

男隊員「……ったくよぉ」

スタスタスタ…ガシィ

男隊員「素直になれっつーの! ヒャハハッ!」

格闘家「おぉ、見事なヘッドロック。完全に決まってる」

戦士「いででっ!! ちょ……っ、うがあぁ!!」

カツカツカツ

女隊員「あっ、隊長!」

隊長「おら、はしゃいでんじゃねぇ。甲板壊れたらどうすんだよ」

男隊員「そんなヤワな船じゃないっしょ」

隊長「まぁそうだが。それより今のうちに仮眠とっておけよ」

女隊員「了解ッス!」

戦士「あーいててて……。」

ゴロン…ドサッ

戦士「アイツらも南西砦で、頑張ってんのかねぇ……」
405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:48:43.77 ID:MeL5PmzFo
〜19時56分。南西砦〜

戦士「はっ!?」

大軍師「ですので、まだ戻られておりませんよ」

ジュニア「お前らとほぼ同時に出発意したはずなんだがなぁ……」

賢者「困ったものだね……ふぅ」

戦士「……っ」

カツカツカツ

隊長「どけ、何ボサっとしてやがる」

戦士「あ……」

隊長「ただいま戻りました」

天才「……ん、ご苦労」

隊長「……」

天才「なんか反応しろよ」

隊長「いや、本気なのか冗談なのかよく分からないので」

天才「……。んで?」
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:49:14.79 ID:MeL5PmzFo
隊長「眷属サルワは我らと交戦の後に後退。以降は姿を見せていないようです」

大軍師「先だっての報告と照らし合わせても、サルワはしばらく動けないでしょう」

天才「間違いねぇな?」

大軍師「断言は出来ませんが、行動パターンから推測するに自信はあります」

天才「ならいい。30分後に会議室集合。作戦概要を説明する」

隊長「了解です」

天才「ゾディアック……大丈夫なんだろうな?」

戦士父「外に置いてある。見てみるがいいさ」

天才「外?」

戦士父「デカ過ぎて持ち運べん」

天才「ハーッハッハ! そいつは楽しみだ!」

カツカツカツカツ

戦士「ん? あれは……?」

大軍師「おぉ、南からの魔道兵が到着したようですね」

戦士「……なるほど」
407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:49:58.67 ID:MeL5PmzFo
〜9時44分、赤壁〜

南方兵「まもなく、魔道隊が出発致します」

南方司令「うむ。頼んだぞ」

南方魔道長「しかし、こんなに派遣して大丈夫かね」

南方参謀「ラーヴァナは動かないわ。いや、動けないもの」

南方副司令「それ程までに、スグリーヴァ様の楔は大きいって事だな」

南方参謀「ええ。戦闘があっても、せいぜいラクシャーサの小部隊程度」

南方魔道長「他の人員で十分防げる……か」

南方司令「南東国からの援軍も睨みを利かせているしな」

南方魔道長「……それじゃあ心配は要らんか。安心して行ってくるとしよう」

南方参謀「朗報を待ってるわ」

南方副司令「頑張れよ!」

南方魔道長「それじゃあ、行ってくる」

南方司令「うむ」

南方魔道長「全軍、南西砦へ向けて……出発!」
408 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:50:56.70 ID:MeL5PmzFo
〜19時59分。南西砦〜

ザッザッザ

南方魔道長「南方軍魔道兵、総勢2500名。到着致しました」

大軍師「ご苦労様です」

南方魔道長「戦況は?」

大軍師「司令は速攻を望んでおられます。すぐに動けますか?」

南方魔道長「内容にもよるが、まぁ大丈夫でしょう」

大軍師「頼もしい限りです」

南方魔道長「それで、やるべき事は?」

大軍師「とにかく魔力を練っておいて下さい。全てを撃ち込むくらいにね」

南方魔道長「……了解した」

ザッザッザッザ

大軍師「お二人も、お願い致しますね」

ジュニア「へいへい」

賢者「……ふぅ」
409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:51:25.74 ID:MeL5PmzFo
ザッザッザッザ

天才「こいつがゾディアックか……っ!!」

博士「そうなのら」

天才「デカイっつーか、長いのか。これで完成なんだな?」

博士「僕に聞くな。でも、文献通りには仕上がっているのら」

戦士父「……」

博士「局長や鍛冶屋の話では、原型は形状記憶されているのそうなのら」

天才「あん?」

博士「12本を元に戻せば、自然とこの形に戻るそうなのら」

天才「へぇ、便利なモンですねぇ」

博士「その形状と文献を照らし合わせてみたが、全く同様の物なのら」

天才「そんじゃこっちは問題なし……と。おっ、魔道兵か」

ザワザワザワ

戦士父「かなりの数だな」

天才「本国からの援軍に加え、南方からの兵も到着したみてぇだな」
410 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:52:12.89 ID:MeL5PmzFo
〜14時02分。南西砦〜

ザッザッザッザ

天才「おーご苦労ご苦労」

本国兵「魔道兵2000名、只今到着致しました!」

大軍師「これで南西砦の約500を加えて2500程度……」

天才「南から2500。トータルでおおよそ5000。まぁこんだけいりゃ何とかなんだろ」

大軍師「北方軍からは流石にだせませんからね」

天才「あとはワーカーやらそこらだな」

チラッ

幼女「うわっ、何この虫……」

弓使い「何だろう……? この辺り特有の虫かしら……」

大軍師「あまり、頼りたくはありませんが……」

天才「だよなぁ。まぁ今回は出来るだけ国軍のみでカタをつけたい」

大軍師「被害はどれ程とお考えで?」

天才「想像もつかんな。だがさっきも言ったように、主要な奴に被害はねぇよ」
411 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:52:56.68 ID:MeL5PmzFo
〜20時30分。南西砦〜

天才「全員揃ったか?」

大軍師「はい。青年兵殿らがまだですが」

天才「あーいい。どうせ今回はメインじゃねぇし」

大軍師「それでは、作戦会議を始めます」

ガタガタガタッ

大軍師「今回の目標は……魔王アンラ・マンユの討伐です」

男隊員「……っ」

天才「作戦開始は翌日0時。ワンチャンスを狙う」

南方魔道長「0時って……あと3時間弱しかねぇぞ?」

大軍師「0時即座に攻撃するわけではありません。ご安心を」

隊長「それにしたって、随分と急じゃないか?」

天才「つい先日、北へ行ってきた」

戦士「北?」

天才「スグリーヴァんとこの魔族と北の有力者を訪ねてきた」
412 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:53:41.36 ID:MeL5PmzFo
戦士父「有力者とは?」

天才「んー言っていいのかなぁ。まぁいいか、元眷属様だよ」

戦士「何ぃ!?」

隊長「元眷属って……まさか、アンラ・マンユの!?」

天才「そーいう事。んじゃ北の名士様が仰られた事をお伝え致しましょー」

戦士父「……」

天才「拍手くらいしろよ」

パチパチ……パチ……

天才「……あのな」

大軍師「時間がありません。本題に入りましょう」

天才「……っ。まず、眷属とアンラ・マンユの関係についてだ」

大軍師「司令のお話を別紙にも纏めております。そちらもご参考にどうぞ」

天才「はいどうも。そこに書いてる通り、奴らは魔王から生まれた手足みてーなモンだ」

女隊員「うへぇ……」

戦士「魔王ってのは、みんな眷属がいるんだっけか?」
413 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:54:39.13 ID:MeL5PmzFo
大軍師「いえ。まちまちですね。数も有無も」

天才「特性もだ。アンラ・マンユは己の一部ともいえるものが眷属と化している」

戦士父「面倒な言い回しだな」

天才「……奴らは元々『ダエーワ』とかいう一つの括りだったそうだ」

戦士「ダ……エ……何だそれ?」

天才「知らん。者であったり物であったり、世界とか空間とかそういう類だ」

戦士「……?」

天才「とにかく中心にいるのがアンラ・マンユ。それを支えるのが眷属の関係だ」

大軍師「我々は長年の苦労を重ね、眷属を葬りました」

隊長「ああ」

大軍師「しかし、眷属はアンラ・マンユの一部です」

戦士「えーと……つまり?」

天才「葬れば奴の駒は削げる。しかし、時が経てばそれは奴の元へと戻る」

隊長「そうか……っ」

大軍師「時間を掛ければ、結局その力は魔王の元へと帰る可能性があるのです」
414 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:55:49.17 ID:MeL5PmzFo
ジュニア「だが、五行で葬ったんじゃねーのか?」

天才「その存在はな。しかし力自体は消える事はねぇ。魔王の元へ戻ると踏んでる」

大軍師「そこで、あまり時間を掛けてはいられないというわけです」

名代「なるほど……っ」

天才「さて、ここでおさらいがてら五行と布陣について」

南方魔道長「……」

天才「五行ってのは火、水、木、金、土の五行。それを均等にした魔力を合成してブチ込む」

賢者「そうだね……ふぅ」

天才「通称、聖行なんて呼ばれてるが、まぁこれで魔物を根底から消滅出来るわけだ」

戦士「何なんだ……?」

天才「いいから黙って聞いてろ!」

戦士「……っ」

天才「ここで一つ、不思議な話。魔法には5行……即ち5種類の魔法があるよな?」

ジュニア「あ、あぁ」

天才「ところが、これを足すとなぜかもう一つ増えるわけだ」
415 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:56:58.49 ID:MeL5PmzFo
男隊員「言われてみれば……そうだな」

天才「これが聖行。要は数える事六行目にあたる」

隊長「――!?」

天才「テメーらもペーペーの頃に習ったと思うが、五行の力の源は何だ?」

女隊員「……感情ッスね……っ」

天才「正解。喜怒哀楽怨の感情が、魔力の増幅をさらに大きくする」

大軍師「それと、もう一つありますね」

天才「……」

大軍師「五感、ですね」

天才「さっすが、その通りだ。五感……視聴嗅味触の五感」

名代「……っ」

天才「この、2つの感によって魔力はコントロールされてるってのが、今のところの論だ」

大軍師「無論、生まれ持っての絶対的な質量もありますけどね」

天才「それをうまくコントロールして引き出すのも、感情の役目だ」

大軍師「ええ」
416 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:58:12.79 ID:MeL5PmzFo
天才「さて、こっからが本題。六行目ってのはどんな感情でしょーか?」

戦士「はぁ?」

天才「えぇと、はい! 戦士父くん!」

戦士父「第六感……検討もつかんな。そんなものあるのか?」

天才「んー、まぁいい感じですけど駄目ですね。お話になりません。ブッブー!」

戦士父「……」

天才「第六感てのは五感の上に位置する、まぁ言わば心みてぇなモンだわな」

女隊員「心……」

天才「実はお前らだって、使ってるんだぜ? 第六感」

男隊員「そうなのか!?」

天才「実際見せてやるよ!」

ゴゴゴゴゴゴッ

隊長「……っ」

戦士「こ、これって……っ」

天才「そう。通称……威圧って呼んでるやつさ」
417 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 18:59:25.44 ID:MeL5PmzFo
戦士「威圧が……第六感?」

天才「人智の上じゃなかなかに理解し難い力だ。だがそれは間違いなく心で感じてる」

女隊員「おぉ、言われてみれば……そんな感じがするッス」

天才「他にも、洞察やら月読やら。心で何かを感じ取って力が働いてる」

戦士「……確かにそうかもなぁ」

天才「そういう意味じゃ、お前らは自然と第六感を働かせてるって事だ」

隊長「それに加え、五感の上の六感というやつは?」

天才「まぁこれは喜怒哀楽怨のない……つまりは『無』だな」

戦士「無?」

天才「何も考えず、心を無にする。無心ってやつだな」

戦士父「真理だな」

天才「ああ。無なんてモンはどう足掻いたって生み出せるもんじゃねぇ」

賢者「……」

天才「……ま、聖行ってモンがどういう領域のモンなのか分かってくれりゃそれでいい」

戦士「うーん……なんとなーくだけどなぁ」
418 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 19:00:49.37 ID:MeL5PmzFo
天才「五行……実際は六行目だが、それによって魔物は完全に消滅する」

大軍師「ええ」

天才「これの原理は分かってないがな」

大軍師「五行による万物の元素って話という説もありますね」

天才「第六感の超能力って可能性もある。全てをひっくるめてって事かもしれん」

戦士父「それで?」

天才「六行目と六行目。これをぶつけるとどうなると思う?」

女隊員「へっ!?」

ジュニア「ハッハ! まさか七行とでも言うのかよ」

天才「……」

ジュニア「お、おい……冗談だろ……っ!?」

天才「四行撃てば、魔物は姿を消す。五行撃てば、魔物は消滅する」

大軍師「……」

天才「「七行目ってのは……いや、まぁいいか。この話はまた今度」

戦士「おいおい、気になるじゃねーかよ……」
419 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 19:01:18.61 ID:MeL5PmzFo
天才「聖なる力と聖なる力。聖なる力と悪の力。まぁどっちかって話だ」

戦士「だから……分かんねえっつーの……」

天才「……ハーッハッハ! そんじゃ次だ」

バサッ

天才「はい、地図にご注目〜!」

ジュニア「世界地図……か?」

天才「その通りです。我が国軍の超優秀な測量士が頑張ってくれました!」

大軍師「何十年ですもんね……」

天才「さて、ここに魔王の座する配置を記していきましょう「」

キュキュッ

天才「まずはど真中。ここに魔王サタン!」

大軍師「その真北の位置に……ベルゼブブ」

隊長「更に真南がパズズ……か」

天才「北東、右上に位置するは……魔王マーラ!」

名代「……」
420 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 19:02:38.41 ID:MeL5PmzFo
天才「そこから南に降って……ラーヴァナ」

キュッ

天才「んで対角左上の北西に……イブリース」

戦士父「その南にアンラ・マンユか」

賢者「……おや?」

天才「これを線で結ぶと……」

キューッ…キュッ

ジュニア「な……何だよっ、この……六芒星はっ!!」

天才「これが魔王の真髄だ。そしてその中心部部に……コイツがいる」

戦士「魔王……サタン!」

天才「魔王ってのは動かないんじゃなくて動けないんだよ」

男隊員「……っ」

天才「更にこの六芒星を辿るように、龍脈が流れ込んでる」

大軍師「即ちこれが魔族の根源、生命の源とも言えるものにあたるのです」

戦士「……そうかっ!!」
421 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/30(月) 19:03:19.14 ID:MeL5PmzFo
ジュニア「……?」

戦士「前に言ってたよなっ、パズズをずらした……移動した……って」

天才「顔に似合わず察しがいいじゃねーか」

戦士「顔は関係ねーだろ!!」

大軍師「55年前、伝説の倒した魔王パズズ」

天才「当時の国軍は総力を挙げて、六芒星を崩すためにわざわざずらしたんだよ」

賢者「成程ね……ふぅ」

天才「そして中心的存在であるサタン。こいつも20年前に再来が封じた」

ジュニア「……」

天才「そして今、龍脈を閉じ……ようやく反撃出来る体制に入れたのさ」

大軍師「五ヵ年計画最後の年。魔族の力も最も弱まっています」

名代「そうなのですか……?」

天才「5年周期、魔物どもの強弱が波になってる」

戦士「……っ」

天才「だから、でけぇ作戦は5年周期で行われてんのさ」
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/30(月) 19:05:37.32 ID:MeL5PmzFo
それではここまでにて失礼致します!
本日も多大なるご支援、まことにありがとうございます!
では、失礼致します!!ノシ

>>392>>394
王子…最後の最後まで…

>>393
単行本にして5冊くらいです!

>>395-396
占い師は漠然とした全体のもの、天才は個別に小さいものを明確
そんな感じで今後に続きまする!!
423 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/05/30(月) 19:13:44.71 ID:lw7BL1Y9o
>>1乙ー
ワクワクが止まらんな
424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/30(月) 19:14:41.70 ID:Uu6h6TgDO
大量乙トリス
425 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/05/30(月) 19:20:44.56 ID:3Lzk86Afo
>>1

ゾディアックに嫌な予感を感じてるのは俺だけでいいよね
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 19:27:45.85 ID:DmtiVe4Go
ゾディアックって使うと死ぬとか話にあったと思うんだが…
でも今回のゾディアックってドッペル戦士の使ってるから本当の力を発揮し切れるのか謎だな。
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/05/30(月) 19:42:25.89 ID:7A3UpZMuo
29000レスの内何レスが>>1のレスなのだろうか
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 19:47:31.60 ID:PautoX3DO
>>1
7行とかwktk
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/30(月) 21:08:10.68 ID:lmCP3MbAO
風呂敷が畳まれていくー
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/05/30(月) 21:46:01.45 ID:qT10za/K0
それと同時に拡散していくー
431 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/30(月) 22:54:39.44 ID:eKVwf4EDO
>>1乙!

7行とか、召喚獣ペガサスの技とか、セイント星矢ネタだよね?
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 23:32:55.56 ID:0BkFDcxIO


なんでも既存ネタと紐付けるのいくない
433 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/30(月) 23:51:11.16 ID:3L3d0k2qo
戟は戦士が怪我したときに戦士父に預けてたような
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 00:37:20.24 ID:EPx+q51wo
>>433
つまり7行に対抗して13本合体のゾディアックの可能性もありうるのか!?
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 01:50:31.73 ID:PXxzLfngo
7行の答えは>>1がすでに…

おっとこれ以上は言えないな
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 06:21:31.62 ID:qcPCEOsDO
(キリッ
437 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/05/31(火) 08:21:04.11 ID:MjTR9cgAO
>>1

なるほどな
うちの爺ちゃんのヅラがズレてるのも今日この魔王討伐の為だったって事かな
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 09:14:53.98 ID:pcVbEi3Ko
五行500ダメージで倒せる相手に弱点属性9999ダメージ当てたら倒せるのかな? それでも死なない?
・死は与えられないけど、肉体を損壊出来るから戦闘不能もしくは消滅させる事は出来る
・HP(魔翌力?)を削って休止状態に追い込む事は出来る
・単属性無効
いろいろ居るだろうから一口で説明出来ないだろうけど
五行でしか倒せない敵が多くてやや理不尽感があるから早めに語られて欲しいな
眷属は魔王の分け御霊みたいなものだと明らかになったから納得出来た
439 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/05/31(火) 12:37:19.61 ID:CN/2NoxAO
考察はよそうぜ
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/05/31(火) 13:28:28.87 ID:EXweGSF10
1乙
今回はゾディアック使わないってことかな…?
441 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 16:27:23.59 ID:dr5fpQ1DO
最初から読んでやっと追い付いた
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 17:15:13.40 ID:5zxk7oaDO
雑談は別スレでやることにしたんじゃなかったんですか
それとも自分達はいいけど嫌いなレスがついたときだけ適用されるルールなんですか
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:09:30.59 ID:33+2EfhZo
戦士「前にそんな話を聞いた事があるなぁ」

隊長「簡単に言えば、今が最も好機。これを逃せば魔族は力を盛り返す可能性がある」

天才「そーいう事。ここが正念場だ」

戦士父「……」

名代「私達にできる事は……?」

天才「……大軍師」

大軍師「それでは本作戦の概要を説明致します」

天才「開始時間は0時ジャスト。これに合わせ全軍、火山まで前進する」

大軍師「標的は言わずもがな、魔王アンラ・マンユです」

天才「まずは座する魔王様を立たせてやらにゃならん」

隊長「手段は?」

天才「刺激するしかないだろ」

ジュニア「刺激しすぎると、出ちゃうんじゃないの? ハッハ」

天才「おぉ、可能性はあるかもなぁ」

賢者「……ふぅ」
444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:11:19.76 ID:33+2EfhZo
大軍師「あの、宜しいでしょうか?」

天才「あー悪りぃ」

大軍師「まず、召喚獣の攻撃で魔王を火山の外部へ誘き出します」

戦士「大丈夫なのか?」

戦士父「さっきも言ったように、魔王はその場から動けん」

天才「出られてもせいぜい火山上空。あとは動く事はねぇ」

名代「つまり、その周囲のみに気を付ければ良い……と?」

大軍師「そういう事です」

天才「但しだ、あまり時間を掛けると、火山自体がヤバイ」

女隊員「……?」

大軍師「魔王の力によって増幅した火山が噴火する恐れがあります」

男隊員「おいおい、マジかよ……っ」

大軍師「最悪の事態も想定はしておきますが、まずはそれを引き起こさない事が大切」

天才「そーいう事。要はちゃっちゃと殺ってちゃったと帰ろう作戦だ」

戦士「……はぁ」
445 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:13:17.72 ID:33+2EfhZo
大軍師「召喚獣の攻撃により姿を見せた魔王を、一点集中で狙います」

女隊員「どうするんスか……?」

隊長「……ゾディアックか……!!」

天才「ビンゴ!」

大軍師「媒介であるゾディアックの投擲により、アンラ・マンユを攻撃します」

ジュニア「そのゾディアックっての、そんなに強いのかい?」

戦士「幾らなんでも一撃で葬れるとは思えねぇけどなぁ」

天才「媒介って言ったろ」

戦士「……?」

大軍師「長距離からの投擲に合わせ、魔道兵が総員を以って五行を放ちます」

ジュニア「何ぃ!?」

天才「いいか? ゾディアックはおとぎ話でもあるように使えば死ぬ」

戦士父「……」

ジュニア「但しこれは媒介であるゾディアックに使用者が五行を込めて放つ事にある」

男隊員「つまり……」
446 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:14:14.68 ID:33+2EfhZo
天才「一度その手を離れたゾディアックは無人。そこへ五行をありったけぶつける」

大軍師「通常、対象者が直接関わる場合は魔力を均等にせねばなりません」

天才「何でか分かるか?」

賢者「失敗すれば……全て自分に跳ね返ってくるからねぇ……ふぅ」

大軍師「そういう事です。しかし、投擲中のゾディアックは無人」

天才「しかもだ、ゾディアック自体は媒介。要はさっき言った六行目を兼ねてる」

ジュニア「結界石みてぇなモンか?」

天才「おーっ、お前も見かけによらず切れ者じゃねーか」

ジュニア「……あのな」

大軍師「これを東西南北、更には北東北西、南東南西の8方向から一気に付加します」

隊長「一点が崩されぬよう、分散するわけだな」

天才「そっ。8つも島がありゃ魔王様も一気には殲滅出来ねぇって話」

大軍師「戦士父殿、宜しいですか?」

戦士父「ああ。だが、付加するにはかなりの距離が必要になる」

天才「……」
447 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:15:28.10 ID:33+2EfhZo
戦士父「ましてや放ったあとのゾディアックにも、懸念が……」

隊長「五行なしで西方まで飛んだわけですから。五行付加ともなると……」

天才「まぁそうだな。方角は最も被害が少ないと思われる北東から南西に抜けるコース」

大軍師「その角度しかありませんね」

天才「んで、地図を見るとだ……」

バサッ

天才「北東に山が2つある。この、手前の山から届くか?」

戦士父「……何とも言えんな。魔王の出現場所にもよる」

天才「おいおい……ここにきて勘弁してくれよ」

戦士父「そう言われても仕方ないでしょう。正直な意見だ」

天才「ち……っ」

大軍師「どう致しますか? かなり一か八かの賭けになってしまいますが……」

戦士父「加速力を付けるしかあるまい」

天才「あん?」

戦士父「射出を2回。それで加速力が付く」
448 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:16:49.54 ID:33+2EfhZo
男隊員「どういう事だ……?」

トントン

戦士父「山が2つ、連なっているだろう?」

大軍師「……ま、まさか……っ」

戦士父「……戦士」

戦士「あん?」

戦士父「お前がこの、奥の山からゾディアックを投げろ」

戦士「はぁ!?」

戦士父「それを俺が受け取り、加速させながら投擲する」

ジュニア「んな事出来んのかよっ!?」

戦士父「一発で届くかの賭けよりは十分見込みがある」

大軍師「何という……っ」

戦士父「戦士」

戦士「……っ」

戦士父「お前次第だ。自分の腕を信じられるか?」
449 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:18:27.89 ID:33+2EfhZo
戦士「……」

目線を下に移す戦士。左腕を覆う包帯が松明にあてられ、少し橙に色付いていた。

戦士「……右腕一本ありゃ武器は握れるって、何度も言ってんだろ」

それは戦士父に語りかけた言葉か、それとも自身への鼓舞なのか。戦士は言った。

戦士「……俺は……やる!」

戦士父「……だ、そうだ」

大軍師「司令、如何なさいますか?」

天才「構わねぇ。それでいく」

戦士「……」

天才「気負うなよ、だがな……失敗は許されねーぞ?」

戦士「……」

天才「全人類の未来が、お前の右手にかかってんだからよ。ハーッハッハ!」

戦士「……プレッシャーかけやがって……っ」

天才「その方が燃えんだろうよ?」

戦士「……まぁな!」
450 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:19:42.55 ID:33+2EfhZo
大軍師「では、方向性はこれで全て決まりましたね」

天才「最後に、一つ気に掛けて貰いたい事がある」

隊長「何でしょう?」

天才「眷属を葬った、と言ってもまだ残ってる奴がいる」

男隊員「サルワっすか? それならおそらく……」

天才「もう一匹いんだろ。完全に仕留めてねぇのがよ」

戦士「――っ!?」

天才「以前、西方司令部を眷属に強襲された事がある」

隊長「……っ」

天才「そん時ぁ、召喚獣の四行で消し去ったが、四行だ。この意味は分かるよな?」

男隊員「……ちっ、イヤな事思い出しちまったぜ」

女隊員「ま……さか……っ」

天才「アカ・マナフ。二択だが、護衛のない今、アンラちゃんが使う可能性はあるぞ」

戦士「でもよっ、アイツは……」

天才「何度も言わすな。四行だ、完全消滅したわけじゃない」
451 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:20:57.96 ID:33+2EfhZo
ジュニア「つまり、力は魔王に戻ったが、死んではいないって事か?」

大軍師「先日倒したタルウィを始めとする眷属、奴らは完全に消滅しました」

天才「よって、名士の話じゃその力は魔王に戻る。もちろん残り分だけだけどな」

大軍師「しかしアカ・マナフはその存在ごと消滅したわけではありません」

戦士「えぇっと……」

天才「タルウィらは蘇らす事は出来ねーが、アカ・マナフは出来るって事だ」

大軍師「ですが、その力を魔王自身がキープする可能性もあります」

戦士父「フルパワーの単独でくるか、魔力を削いでも護衛を作るかって事か」

隊長「奴の能力はまずいぞ。人間を操る事が出来るからな」

天才「そうだ。だからこそ気を付けろと事前に言っておく」

ジュニア「気を付けろって……対処法はあんのかよ……」

天才「……ねぇな」

戦士「操られたら……どうすんだよ?」

天才「……斬るしかねーだろうなぁ」

戦士「……っ」
452 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:22:03.82 ID:33+2EfhZo
天才「さーて、ボチボチ準備に取り掛かるとすんぞ」

大軍師「以上で宜しいですね?」

天才「南方魔道長は8方向の部隊長を選出して、均等に戦力を振り分けろ」

南方魔道長「了解」

天才「名代っちはバカどもが戻り次第合流して、火山へ向かってくれ」

名代「……承知仕った」

天才「お前ら親子はギリギリまでここで待機。戦況が動いたら準備に入れ」

戦士父「分かった」

戦士「……おう」

天才「お前ら二人は正面から魔道兵200名を率いて待機。万が一に備えろ」

ジュニア「万が一?」

天才「火山の噴火やら眷属の復活だ」

賢者「……分かったよ、ふぅ」

天才「おっしゃあ!! そんじゃ行くぞ!!」

一同「おぉ!!」
453 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:23:15.31 ID:33+2EfhZo
〜21時02分、北方司令部〜

左翼長「……」

カツカツカツ

騎士長「良かったのか?」

左翼長「……」

騎士長「別に、北へは何も出てなかったんだぞ?」

左翼長「……どんな事だろうが、絶対なんて事はねぇ」

騎士長「……」

左翼長「それが予言であれ、運命であれだ」

騎士長「まぁな」

左翼長「こっちは召喚隊が頑張ってる。多少の魔道兵抜いても踏ん張れんだろ」

騎士長「しかし、こうもすんなり兵を動かせるってのは気持ちいいもんだな」

左翼長「まぁな。今まではどこぞのバカが魔道機関を握ってやがったからなぁ……」

騎士長「左翼を解散させた真の狙いってのは……まさかこれか……?」

左翼長「俺に聞くな。連中の考えてる事は分からん。俺らは信じて従うだけだよ」
454 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:23:54.04 ID:33+2EfhZo
〜21時04分、南西砦〜

天才「……んーっ」

大軍師「眠そうですね」

天才「あーそういやぁ何ヶ月寝てねーんだっけか……」

大軍師「仮眠、取られたほうが良いのでは?」

天才「ハーッハッハ!」

大軍師「……」

天才「どうせあと数ヶ月内に死ぬ奴が、そんな無駄な時間使ってられるかっての」

大軍師「司令……」

天才「ゾディアックが間に合ったのはかなり大きい。これで一番厄介な奴が殺れるからな」

大軍師「ええ。前代未聞の作戦ですけれどね」

天才「……ハーッハッハ! それでこそ歴史に名を残せるってモンよ」

大軍師「……」

天才「安心しろ。汚名も全部、俺様が被ってやっからよ。ハーッハッハ」

大軍師「……あの、司令……っ」
455 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:24:44.32 ID:33+2EfhZo
天才「あーん?」

大軍師「やはり、死なずに勝てる策は……ないのですか?」

天才「……ないな」

大軍師「……っ」

天才「おそらく今回の戦いでゾディアックは失う。この意味は分かるよな?」

大軍師「残るは……自己犠牲の五行のみ……」

天才「……じゃあ答えは出てんだろ」

ザッザッザ

大軍師「……」

天才「いいんだよ。死ぬ奴が死ぬ。それは運命じゃねぇ……宿命だ」

大軍師「……っ」

天才「その死は必ず次の糧となる。無駄死にじゃねーんだ」

ザッザッザッザ

天才「死が終わりじゃねぇ。その先を見てこその軍師様だぞ? ハーッハッハッハ」

大軍師「……はい」
456 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:26:03.38 ID:33+2EfhZo
〜21時20分、南西砦北岸〜

博士「ここまでやって、何で止まってるのら!!」

工兵「し、しかし……っ、南西砦は交戦中でして……」

博士「アホー! 戦いが怖くて発明が出来るかなのら!」

グイッ…テクテクテク

工兵「あっ!」

博士「この配線を南西砦まで引けば、西方司令部……いや、本国とも繋がるのら!」

工兵「博士様……っ」

博士「……はぁー情けないのら」

工兵「……っ」

博士「もういいのら。怖いと思う奴は今すぐ司令部へ帰るのら!」

工兵「――っ!!」

博士「このくらい……一人でっ、出来るのら――!!」

グイィッ…ドテッ

博士「……い、痛い……くないのら……っ!」
457 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:27:36.21 ID:33+2EfhZo
工兵「……っ」

博士「戦って斬られる方が……よっぽど痛いのらぁ……っ」

グイッ…ズズズッ

博士「くぅ……っ」

工兵「…………っ!!」

博士「重いいぃぃ……っ!」

ガシッ

博士「!?」

工兵「……全員、残ります!」

博士「お前ら……」

工兵「そうですよ、何をこんな所で……ビビってんだよ俺は……っ!」

博士「いいのか?」

工兵「前線で戦ってる奴らの方が、よっぽど辛いんすよね! 馬鹿でしたよ……っ」

博士「……よし、それじゃあ一気に――」

ジリリッジリリッジリリッ
458 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:28:33.80 ID:33+2EfhZo
博士「!?」

ガチャッ

博士「こちら南西――」

助手『もっしもーし♪』

博士「……」

助手『ちょっとぉ!? 今切ろうとしてるでしょ!』

博士「……何なのら」

助手『工事は順調ですかぁ?』

博士「お前のせいで滞ったのら」

助手『まぁひどい』

博士「事実なのら。それで、何の用ら?」

助手『えっと、本国からの交換でーすっ♪』

博士「それならばさっさとそのように――」

プツッ…ジジーッ

博士「……こいつ」
459 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:29:13.99 ID:33+2EfhZo
ガチャッ

エリート『聞こえますか?』

博士「こちら南西砦中継所。僕は開発機関所属、博士なのら」

エリート『博士殿か。こちらは国軍本部より、右大臣エリートです』

博士「おぉ、エリート殿。どうかしたのら?」

エリート『魔王討伐の伝令があったので。大軍師殿は?』

博士「今はいないのら。随分前に戻ったようで、今は南西砦にいるのら」

エリート『そうでしたか。ならば伝言をお願い出来ますでしょうか?』

博士「伝言? うむ、構わないのら」

エリート『本国より王宮魔道兵を派遣致しました』

博士「王宮の?」

エリート『数は少ないですがお力添えになれば……と』

博士「了解したのら」

エリート『それとですね――』

博士「……!?」
460 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:30:03.82 ID:33+2EfhZo


エリート『それでは、宜しくお願い致します』

博士「了解したのら。では――」

エリート『あ、そうそう。総司令にもご伝言を』

博士「……?」

エリート『些細な事ではありますが、この機に乗じて東方司令部へ賊が侵入しました』

博士「何? 盗賊団なのら?」

エリート『こちらも現地調査に立ち会っていないので詳細までは……』

博士「了解したのら。伝えておくのら」

エリート『お願い致します。それでは』

プツッ…ツーッ…ガチャッ

助手『もっしもーし!』

博士「終わったから切るのら」

助手「ちょっと待ってぇ!!」

博士「何なのら……」
461 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:31:09.44 ID:33+2EfhZo
助手『西方司令部から、そちらに船が出航しましたー!』

博士「船……?」

助手『はいなっ♪ あ、そうそう! あと北方からも船が出たって電話がありました!』

博士「各地から船が……まぁ伝えれば分かるか」

助手『博士はいつお戻りになるの?』

博士「知らんのら。工事の進み次第なのら」

助手「はぁ……寂しい。早くこの手で抱き締め――」

ガチャン!!

博士「……ふーっ」

工兵「い、今……お話の途中だったのでは……?」

博士「伝令は何時間おきに来るのら?」

工兵「え、えぇと……偶数の2時間おきですかね……っ」

博士「次は22時か……。ちょうどいいのら」

工兵「……?」

博士「さて、一気に工事を進めるのら!」

工兵「は、はいっ!!」
462 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:32:02.39 ID:33+2EfhZo
〜21時11分、南西砦〜

戦士「……」

ザッザッザ

戦士父「飲むか?」

戦士「……酒か?」

戦士父「茶だ」

戦士「じゃあ貰うわ」

スッ

戦士父「……緊張してるか?」

戦士「そりゃ……すんだろ」

戦士父「そうか」

戦士「親父はしてねぇみたいだな。流石――」

スッ

戦士父「見てみろ」

戦士「……っ」
463 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:32:34.58 ID:33+2EfhZo
戦士父が戦士の前に開いて出した右手は、小刻みに震えていた。

戦士「……親父でも……緊張すんのか」

戦士父「……なぁ戦士」

戦士「ん?」

戦士父「お前、母さんの事……聞きたいか?」

戦士「!?」

戦士父「この先、俺もお前もいつ死んでもおかしくない」

戦士「……」

戦士父「死ぬ前に、知りたいか? もし知りたいなら――」

戦士「やめようや」

戦士父「……」

戦士「死ぬとか死なないとか、そんなん考えてもしょうがない」

戦士父「……」

戦士「生きるんだよ。死んじまったら終わりだ。生きなきゃ駄目なんだよ」

戦士父「お前……っ」
464 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:34:05.11 ID:33+2EfhZo
戦士「そしたらよ、ゆっくり聞かせてくれよ」

戦士父「……ああ」

戦士「二人でよ、母さんの墓参りに行ってよ……報告しようぜ」

戦士父「二人でいいのか?」

戦士「……?」

スクッ

戦士父「俺は、母さんの分まで孫の顔を見なきゃならん」

戦士「――!!」

戦士父「みんなで行こう。それでいい」

ザッザッザ

戦士「……っ」

ゆらゆら揺れる茶の入ったグラス。その中にぼんやりと浮かぶ月の氷。

戦士「なーんか……こういう時って素直になれるよな」

顔を上げると戦士は茶を一気に飲み干し、左腕をゆっくりと上げて、そして回す。

昼よりも痛みの引いてきた身体を労うように頷き、戦士は南西砦内へと戻って行った。
465 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:34:53.27 ID:33+2EfhZo
〜21時53分、赤壁〜

南方兵「ラクシャーサ、およそ50程度、南東国より西に出現!」

南方副司令「迎撃は?」

伝令「南東国の軍勢があたっております」

南方参謀「頻度が上がってきたわね……」

南方副司令「まさか気付かれたのか?」

南方参謀「それはないわ。でも、あまり悠長に構えてはいられないわね」

南方副司令「だな。早いとこカタを付けてくれよ」

カツカツカツ

南方弓長「戻りました」

南方副司令「おう、東の町はどうだ?」

南方弓長「今のところは問題ないけど、近いうちに住民の避難も考えないとね」

南方参謀「やっぱり、戦禍は避けられないかもね……」

南方副司令「早めに動けるよう、準備は整えておこう」

南方参謀「そうね……」
466 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:35:56.87 ID:33+2EfhZo
〜22時04分、南西砦北岸〜

博士「もっと右! そう、そこなのら」

ドドッドドッドドドッ

工兵「伝令だっ!」

パッカパッカパッカ…

伝令「おっ、中継所から伸びましたね」

博士「たかがしれてるのら」

伝令「いえいえ、まぁこれが出来れば伝令も楽になりますよ。私はどうなるか分かりませんが」

博士「まぁ、そうなるのら」

伝令「それで、本国などからは何か連絡がありましたか?」

博士「うむ。書に纏めたのでこれを頼むのら」

伝令「畏まりましたっ、お預かり致します!」

博士「頼むのら」

伝令「はいっ! それでは互いにご武運を!」

博士「うむ」
467 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:37:12.26 ID:33+2EfhZo
〜22時30分、南西砦〜

天才「おいおい……あと1時間30分じゃねーか」

大軍師「ですね」

天才「どこで油売ってやがんだあのアホ共……」

大軍師「おっ!? あれはもしや……」

ザッザッザッザッザ

青年兵「司令っ!!」

天才「何が『司令っ!!』だ!! テメーら何をチンタラしてんだよバカ!!」

青年兵「す、すみません……」

玄武娘「おへぇ、すっごい人の数ですのー」

朱雀嬢「本当ね……」

天才「んで、何をイチャコラセッセしてやがったんだ? あぁ?」

青年兵「い、いちゃこら……って……」

召喚士「実は、色々とありまして……」

天才「……」
468 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:38:13.30 ID:33+2EfhZo
〜13時19分、アマゾネスの村〜

魔道士「この荷物は、こちいでいいですか?」

アマゾネス「ああ、すまない。ありがとう」

召喚士「でも、本当にいいんですか?」

アマゾネス「ん……?」

召喚士「村が空っぽになっちゃいますよ?」

おさげ「大丈夫。女兵達が居ればアヤシイ奴なんかボッコボコなんだからっ」

ポニテ「そうそう」

女兵「……」

アマゾネス「我らが不在の間、村を頼むぞ」

女兵「はっ」

女「長、気を付けていってらっしゃいませ」

盗賊「……こっちは出来たぞ」

色黒「早いわねッ!? やるじゃない!!」

玄武娘「こ……れ……重いですのぉ」
469 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:39:06.03 ID:33+2EfhZo
ドシャッ

朱雀嬢「何やってるのよ!」

ツインテ「にゃああぁぁ」

ドシャッ

白虎長「はいはい。私がやるからいいわよ。どいてどいて」

玄武娘「ごめんなさいですの〜」

ツインテ「ふにゃあぁ……」

アマゾネス「そうだ、今のうちに伝授しよう」

召喚士「!?」

アマゾネス「約束は約束。ワルキューレを覚えたいのであろう?」

召喚士「い、いいんですか……!?」

アマゾネス「勿論だ」

魔道士「良かったですね!! 召喚士さんっ!!」

召喚士「……ありがとうございます!」

白虎嬢「朱雀嬢ちゃんも教えて貰ったらどう?」
470 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:40:08.78 ID:33+2EfhZo
朱雀嬢「い、いいのかしら……?」

おさげ「勿論よねっ」

アマゾネス「ああ。ワルキューレだけではない。他の朱雀召喚獣も……」

朱雀嬢「太っ腹ね……。でも、助かりますわ」

アマゾネス「じゃあ2人に伝授するとしよう」

玄武娘「やったですのー!」

召喚士「それではお願いします」

アマゾネス「うむ」

テクテクテクテク

白虎長「さぁ、こっちは旅立ちの準備をちゃっちゃと終わらせちゃいましょ」

魔道士「はいっ」

テクテクテクテク

アマゾネス「ここでいいか」

朱雀嬢「宜しくですわ」

アマゾネス「では早速、ワルキューレから」
471 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:40:52.06 ID:33+2EfhZo
召喚士「はい」

アマゾネス「行けっ、ワルキューレ!」

シュイイィィィィン

朱雀嬢「出ましたわ……っ」

アマゾネス「ワルキューレは全部で9体。攻撃方法は物理と風の2種類」

召喚士「なるほど」

アマゾネス「比較的イメージし易いはすだから。全て同時に見せれば問題ないわよね?」

召喚士「多分……」

朱雀嬢「やってみるですわ」

ザッ

朱雀嬢「……出て来い、ワルキューレ!!」

シュイイィィィンン

召喚士「おぉ!! お見事……っ!!」

朱雀嬢「出来ましたわ……っ!!」

ブリュンヒルデ「……アンタが主?」
472 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:41:30.67 ID:33+2EfhZo
朱雀嬢「そ、そうですわよ……っ」

ゲルヒルデ「ふぅん……私達ち違って、随分とまぁ……」

ジロジロ

朱雀嬢「どこを見て言っているのかしらぁ?」

オルトリンデ「どこって……そのお貧相なバスト――」

シュウウゥゥゥゥ

朱雀嬢「……」

ポニテ「プッ……クク……ッ」

朱雀嬢「何か、おかしいかしら?」

おさげ「い、いえ……っ。ククッ」

朱雀嬢「……全く、品のない召喚獣ですわ。使う事はなさそうですわねっ!」

召喚士「じ、じゃあ俺も……」

アマゾネス「ああ」

召喚士「行けっ! ワルキューレ!!」

シュイイィィィン
473 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:42:16.31 ID:33+2EfhZo
ツインテ「おぉーっ!!」

召喚士「出来た……っ」

ヴァルトラウテ「きゃーっ! 男よぉ!!」

グリムゲルデ「本当だっ!! きゃーきゃーっ!!」

召喚士「!?」

ブリュンヒルデ「お、お前が……ご主人様かっ!?」

召喚士「ご主……そ、そうですが……」

フワッ…ヒソヒソヒソッ

ロスヴァイセ「ちょっとちょっとぉ……いい感じじゃないっ」

ヘルムヴィーゲ「抜け駆けはなしだぞっ!」

シュヴェルトラウテ「あらぁ、みんなで相手すればいいじゃなーい」

ブリュンヒルデ「……う、うん」

ゲルヒルデ「きゃーっ、隊長ったら顔真っ赤よぉ!?」

オルトリンデ「本当だぁ! 照れちゃってカワイイんだからもうっ!」

ブリュンヒルデ「かっ、からかうなよ……っ! もう……っ」
474 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:42:55.93 ID:33+2EfhZo
モジモジ

ブリュンヒルデ「と、言うわけで……よろっ、宜しく……お願い……ゴニョゴニョ」

朱雀嬢「……」

アマゾネス「……」

召喚士「…………」

ブリュンヒルデ「あ、あのっ……ご主人様……?」

召喚士「へっ!? あ、は……はい! こちらこそ宜しく……」

モジモジ

ブリュンヒルデ「え、えへへへ……っ」

朱雀嬢「とっても弱そうですわ……」

アマゾネス「うん……」

召喚士「は、ははは……っ」

ブリュンヒルデ「えへっ、へへへへ……っ」

モジモジ…クネクネ

アマゾネス「……あの、次……いいかな?」
475 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:43:55.35 ID:33+2EfhZo


アマゾネス「次はペガサスにしよう」

召喚士「お願いします」

アマゾネス「ポニテ」

ポニテ「はいはいなっ♪」

テクテクテク

ポニテ「それじゃペガサスを伝授するわね。まずは召喚……っと」

シュイイィィィィン

朱雀嬢「何度見ても綺麗ですわねぇ……」

ポニテ「能力は風による風圧、それを流星のように飛ばすの」

朱雀嬢「あの時、音が遅れていたわ。もしかして……」

ポニテ「そうよん。魔力が高まれば、音速をも超える一撃を放つ事が出来るわ♪」

召喚士「すご……っ」

ポニテ「さぁ、やってみてっ」

朱雀嬢「で、では……。出て来い、ペガサス!!」
476 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:44:21.92 ID:33+2EfhZo
シュイイィィィンン

ペガサス「……ほぉ、これは美しいお嬢さんだな」

朱雀嬢「――っ!?」

ペガサス「是非、我が背にのって頂きたいものだ。ハハッ」

朱雀嬢「そ、そんな事……滅相もないですわ……っ」

ペガサス「いやいや、遠慮なさらずにさぁ」

朱雀嬢「……で、では……少しだけ」

チョコン

アマゾネス「……」

朱雀嬢「素敵……っ」

ペガサス「何を言う、主である貴女の方が素敵だ……」

召喚士「……」

ポニテ「……朱雀先生、続き」

召喚士「へっ!? あ、はいっ」

朱雀嬢「うふふふっ、あははははっ!」
477 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:45:28.44 ID:33+2EfhZo


召喚士「……」

ペガサス「何見てんのお兄ちゃん」

召喚士「……やっぱり……これ系か」

ペガサス「全く、弱そうなお兄ちゃんでボクも困っちゃうぜぇ〜」



朱雀嬢「おぉーっ」

セイレーン「……あら、貴女……あの人に似てるわね」

朱雀嬢「へっ!?」

セイレーン「遠い昔の話よ、気にしないで」



朱雀嬢「これが……サンダーバード」

色黒「そう! んで、能力はね――」

朱雀嬢「雷……ですわよね」

色黒「……」
478 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:46:43.92 ID:33+2EfhZo


召喚士「終わったぁ〜!」

アマゾネス「ご苦労様、これで一通りはおしまい」

朱雀嬢「何だか、一気に増えて……申し訳ないですわ」

アマゾネス「申し訳ない? どうして……?」

召喚士「いや、貰ってばかりでお礼も出来ず……」

アマゾネス「私達とて代々、朱雀先生に教えて頂いてたものよ?」

召喚士「まぁ、そうですけど……」

アマゾネス「それを朱雀先生にお返しするのだから、別に気にする事はない」

朱雀嬢「でも、不利じゃない?」

おさげ「不利?」

朱雀嬢「だって、自分だけの召喚獣って持っておいた方が……」

アマゾネス「そう? 皆が使えた方が良くない?」

召喚士「やっぱり、本国とこちらでは環境も違うんですね……」

ポニテ「ふぅん。そんなものなのかしら」
479 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:47:30.56 ID:33+2EfhZo
召喚士「じゃあ皆さんもワルキューレは……」

ツインテ「私達は使えないわ」

召喚士「そうなんですか!?」

色黒「莫大な魔力を使うからねぇ。私達にはまだ無理〜」

召喚士「なるほど……」

おさげ「それを一発で出来ちゃうなんて、やっぱり2人とも凄いわ……」

朱雀嬢「そんな事ないですわよ」

召喚士「そうそう……っ」

朱雀嬢「でも、お礼は必ず致しますわ。本当にありがとう」

召喚士「ええ、ありがとうございました」

アマゾネス「朱雀先生のお礼は……やっぱり一晩だけ――」

魔道士「駄目ですってばぁ!!」

ズンズンズン

召喚士「ま、魔道士さん……っ」

魔道士「もうっ。終わりましたかっ!?」
480 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:48:04.25 ID:33+2EfhZo
召喚士「は、はい」

青年兵「そろそろ出なくては、もう夕方になってしまいますよ?」

召喚士「えっ!? あ……っ、もうこんな時間か……」

〜16時23分、アマゾネスの村〜

盗賊「……待ちくたびれたぞ」

召喚士「す、すみません……」

盗賊「……それで、伝授は?」

朱雀嬢「バッチリですわ」

盗賊「……ん、それなら良し」

召喚士「それじゃあ南西砦へ帰りましょうか」

青年兵「皆も心配しているでしょうし、この辺りも問題はありませんでしたね」

魔道士「はいっ」

玄武娘「お腹空いたですのー」

白虎長「キャンディーならあるけど……食べる?」

白虎嬢「ふふっ」
481 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:48:39.71 ID:33+2EfhZo
〜22時46分、南西砦〜

召喚士「……と言うわけでして」

天才「アホか」

青年兵「申し訳ありません……」

天才「まぁいい。新戦力を連れてきた事はファインプレーだ」

アマゾネス「ここが……南西砦」

ポニテ「あっ、チビッコもいるのねー」

ツインテ「本当だぁ! にゃあぁん、カワイイ〜」

幼女「……?」

剣士「幼女、どうし……あっ、召喚士さん!」

召喚士「ただいま戻りました」

大軍師「それで、肝心の任務は……」

青年兵「はい。ここより南東に村がありますが、特に被害はありませんでした」

天才「村……。まだ人が残っているのか?」

青年兵「え、ええ……。若干数ですが……それが何か?」
482 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:49:10.39 ID:33+2EfhZo


青年兵「……っ」

大軍師「どうします? 避難させますか?」

天才「作戦と同時進行で特遊にあたらせよう」

青年兵「あのっ、一つ問題が……」

天才「あんだよ?」

魔道士「実はその村……男子禁制の村で……」

天才「はぁ!?」

大軍師「ど、どうしましょうか……」

天才「んじゃ、特遊と……おい、この中でボスはどいつだ?」

アマゾネス「私だ」

天才「んじゃ、お前がウチの奴ら案内してここまで連れて来い」

色黒「まぁ、長に向かって偉そう……っ。ベーッ!」

アマゾネス「これ、やめろ。……分かった、従おう」

天才「物分りのいいオンナはモテるぜ。ハーッハッハ!」
483 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:49:37.57 ID:33+2EfhZo


戦士「盗賊っ!?」

盗賊「……ただいま」

戦士「無事だったか! 心配したぜ!」

盗賊「……戦士こそ大丈夫か?」

戦士「ああ、サルワも追い払ってやったさ!」

盗賊「……ふふっ、そうか」

テクテクテク

魔道士「戦士さーんっ!」

戦士「魔道士っ、召喚士!」

召喚士「大丈夫!?」

戦士「おうっ! 頑丈さだけが取り柄だからなっ。はははっ!」

召喚士「さぁ、久々に4人揃って……これから魔王――」

戦士「いや、実はそうもいかねぇんだ」

盗賊「……?」
484 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:50:25.66 ID:33+2EfhZo


魔道士「特殊任務……ですか!?」

戦士「ああ。ゾディアックをぶっ放すっつー大事なお役目だ」

盗賊「!?」

召喚士「ゾディアック……って、大丈夫なの!?」

戦士「ああ。ブン投げるだけだから命には差し支えないってよ」

召喚士「でも……心配だよ」

戦士「大丈夫だって!」

魔道士「……っ」

ザッザッザ

天才「おーう、朱雀先生」

召喚士「あっ、はい!」

天才「ちょっくら来てくれや。あとは魔道士もだ」

魔道士「は、はいっ」

盗賊「……私は?」
485 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:51:06.09 ID:33+2EfhZo
天才「そいつの傍にでもいてやれ。何なら護衛にでも付け」

戦士「お、おい……っ」

天才「必要なのは召喚士と魔道士。前衛は間に合ってるって話」

ザッザッザ…

召喚士「それじゃ、行ってくる」

魔道士「それではっ、また後で!」

タッタッタ…

戦士「あっ、おい……!」

盗賊「……」

戦士「行っちまった……」

盗賊「……うん」

戦士「……」

盗賊「……」

戦士「……あ、あのさ……っ」

盗賊「戦士っ!!」
486 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:51:58.00 ID:33+2EfhZo
戦士「は、はいっ!」

盗賊「……護衛っ」

戦士「へっ?」

盗賊「ご、護衛に……付いて行く……っ」

戦士「護衛って、盗賊がか?」

盗賊「……怪我もしてるし、その」

戦士「……」

盗賊「……駄目……かな?」

戦士「……苦手なんだよっ」

盗賊「え……っ?」

戦士「その……上目遣いで見つめられるの」

盗賊「ご、ごめん……っ!」

戦士「でも、それが好きなんだよなぁ」

盗賊「……?」

戦士「何でもねぇよ。盗賊、本当にいいんだな?」
487 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/05/31(火) 18:52:31.97 ID:33+2EfhZo
盗賊「……うん」

戦士「……サンキュ」

盗賊「……いや」

戦士「頼もしい限りだよ、お前がいてくれてな」

盗賊「……そう?」

戦士「そりゃそうだろ。何年一緒に戦ってきたと思ってんだ」

盗賊「そうだよね……」

戦士「全員一緒じゃねーけど、ほんと頼もしいわ」

盗賊「なら、良かった」

戦士「絶対……勝とうぜ」

盗賊「ああ、もちろん」

戦士「ははっ」

盗賊「……ふふふっ」

戦士「さーて、今のうちにメシでも食っておくかっ!」

盗賊「うんっ」
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/05/31(火) 18:54:14.47 ID:33+2EfhZo
ふへー。それではここまでにて失礼致します!
本日もご支援ありがとうございました!!ノシ

>>441
長ったらしいのに…本当にありがとうございます!
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/05/31(火) 19:04:20.15 ID:F4xucRqvo
>>1乙ー
いい2人に分かれたな
楽しみだ
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 19:05:21.29 ID:au+qCfTk0
うほー1乙!
wktkがとまらないぃぃぃぃ
491 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/05/31(火) 19:12:37.13 ID:Z96hIqGZo
しかし進展しないなww
492 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 19:21:28.67 ID:Ph8JI20DO
>>1
俺は逆に急ぎ足に感じちゃうな
魔王とかまだ実感わかない
493 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/05/31(火) 19:45:09.87 ID:m2nwqImDO
召喚士はワルキューレを主力にするんですねわかります。
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2011/05/31(火) 19:47:28.65 ID:1vQUybLUo
新しい召喚獣を覚える時が1番わくわくする
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 20:12:39.89 ID:qcPCEOsDO
>>1乙っす
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/05/31(火) 21:38:12.66 ID:EJZ2KsSG0
主人公は悪キューれとの会話で一生童貞だろうな、と思いましたまる
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/05/31(火) 22:03:46.91 ID:EEXtEI+ao
槍を投げてそれをさらに加速させるってどうやるんだ
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/05/31(火) 22:31:05.07 ID:DugaJw2AO
大量投下だなぁ、乙
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/05/31(火) 22:47:27.69 ID:z2+VW9XAO
>>1
ますますサイザーのワルキューレみたいになってきたなぁ
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 00:23:01.47 ID:INdhLYNDO
やっと朱雀先生らしくなって何よりだ
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/06/01(水) 00:59:08.18 ID:w+fiAnwdo
召喚士はみんな(召喚獣含む)に好かれてるな素晴らしい
俺もそうありたいものだwwwwww
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/01(水) 04:07:17.69 ID:zNeWJeCB0
1乙
確実にしとめたいのに投擲とは賭に出たな
アカ・マナフ不気味
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 06:37:28.89 ID:tTVmDfJSO
>>1

>>502
北で使ってた組立式バリスタ使うのかと思ってた
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/01(水) 07:23:27.04 ID:UAX1e1PIO
将来アニメ化した際は盛り上がる熱いとこだろ
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/01(水) 08:31:57.33 ID:7O6hnzfAO
>>1

ペガサス伝授ウケたわ
やっぱりこれ系か…ってww


なんだかんだで、魔道士と主人公は平和になったら良い夫婦になるんだろうなぁって思うわ
魔道士がしっかり者で、愛と怒号に満ち溢れた日時をおくりそう羨ましい
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 11:22:30.63 ID:IVxkYrZIO
>>1

ペガサスとユニコーンが対面したらどうなるんだろうか
507 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:00:41.48 ID:/xnTDmTUo
〜会議室〜

天才「召喚チーム、揃ってんな?」

青年兵「はい」

天才「ほれ、オメーも座れ」

召喚士「……」

スッ

天才「お前らの仕事は、魔王を誘き出す事が第1」

白虎長「……」

天才「第2に眷属の牽制……あわよくば討伐だ」

召喚士「眷属? まさかサルワですか?」

天才「アカ・マナフだ。オメーも知ってんだろ」

召喚士「!?」

天才「アレだきゃ五行で消滅させてねぇ。再登場の可能性も0じゃねーって事だ」

召喚士「なるほど……っ」

青年兵「それで、布陣は……?」
508 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:01:22.17 ID:/xnTDmTUo
天才「0時ジャストに作戦開始。お前らは真っ直ぐ火山へ突っ込め」

青年兵「……」

天才「ビビった?」

青年兵「い、いえ……っ」

天才「安心しろ。魔王はいきなり出てきたりしねぇって」

名代「……」

天才「あ、そうそう。はいコレ」

スッ

召喚士「何ですかこれ? 幼女ちゃんの落書き――」

バゴッ!!

召喚士「いってぇーっ!!」

天才「俺様が描いたアンラちゃんの似顔絵だよ! 何が落書きだっ!」

召喚士「そ、そうでしたか……っ、失礼しました……」

天才「とにかくだ、奴は火山内部に潜んでる。それを外部に引き摺り出せ! いいな!?」

青年兵「は、はいっ」
509 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:03:00.89 ID:/xnTDmTUo
天才「んで、お次は魔道士チーム」

ジュニア「……」

天才「お前らは8方向の魔道隊とは別に、正面で控えててくれ」

魔道士「はいっ」

天才「進軍は北の魔道隊と共に出てくれ。んで、火山の正面で別れろ」

賢者「……それで……ふぅ」

天才「やるべき事は、第1に攻撃被害軽減。第2に眷属の牽制だ」

ジュニア「軽減?」

天才「例えば、火山の噴火とか眷属の攻撃とかだよ」

魔道士「なるほど……っ」

天才「それを起こさないよう務めるが、これも0じゃねぇからな」

ジュニア「了解。んで、何もなかった時は他の連中と同様でいいんだな?」

天才「ああ、お前らの魔力は頼りになる。頼むぜ」

魔道士「頑張りますっ!」

賢者「……ふぅ」
510 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:04:32.46 ID:/xnTDmTUo
天才「23時30に正面集合。そんじゃ健闘を祈る!」

カツカツカツ…

ジュニア「さーて、最後の晩餐でも済ませてくっかね」

魔道士「縁起でもない事言わないで下さいよ……っ」

ジュニア「ハッハ、すまんすまん」

召喚士「あの、ジュニアさん」

ジュニア「ん?」

召喚士「……」

ジュニア「どったの?」

召喚士「絶対に……生きて帰ってきましょう! そうすればいい事もあると思います……」

ジュニア「……?」

召喚士「あ、いや……っ」

ジュニア「ハッハ! よく分からんが、死ぬつもりなんてないよ。互いに生きて戻ってこようや」

召喚士「はい!」

ジュニア「ハッハ!」
511 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:06:12.97 ID:/xnTDmTUo
ザッザッザ…

魔道士「何か、あったんですか?」

召喚士「えっ? あぁ、いえ……」

魔道士「……?」

マジシャンの事を今すぐにでも伝えたかった。

しかし召喚士はそれをグッと胸の奥に押し込め、沈黙を貫いた。

魔道士「召喚士さん、私達も何か食べておきましょうかっ」

召喚士「あっ、そうですね」

魔道士「あっちに色々と置いてありますから、行きましょっ!」

召喚士「はい。あ、青年兵くん達は……」

白虎長「最後の下準備が残ってるから。気にしないで済ませてきて」

召喚士「はい」

魔道士「あ、あれ?」

召喚士「……」

魔道士「玄武娘ちゃん達は……?」
512 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:06:43.86 ID:/xnTDmTUo


召喚士「……」

魔道士「……」

朱雀嬢「いい加減っ、離しなさいなっ!」

玄武娘「まだ食べるですのー!」

白虎嬢「すっごい食欲よねぇ〜」

南西砦兵「あ、あのー」

召喚士「はい」

南西砦兵「えぇと、大変申し訳ないのですが……残るは軽食のみでして……」

召喚士「俺らは構いませんよ」

魔道士「はいっ」

南西砦兵「お、恐れ入ります……っ」

玄武娘「まーだー腹3分目でーすーのー!」

朱雀嬢「この……っ、テーブルにしがみ付くなですわっ! 恥ずかしい!」

白虎嬢「うふふふ〜っ」
513 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:07:46.89 ID:/xnTDmTUo


伝令「失礼致します!」

大軍師「何か報告は?」

伝令「はっ。中継所の博士様より書を預かっております!」

天才「んで、電話はどうなんだ?」

伝令「現在、森に差し掛かった辺りまで工事が進んでおります」

天才「ふぅん。んで、何だって?」

大軍師「各方面からも増援が続いているようですね」

天才「……ったく。防ぎきれるんだろうな?」

大軍師「各司令の判断でしょうから、問題はないかと思いますが」

天才「こっちとしちゃ人手不足でありがてぇけど、それで潰れちゃ意味ねーからな」

大軍師「今の布陣は絶妙だと思いますよ。将兵共に」

天才「まぁな。この先を見越してだが……とにかく眼前の魔王を始末せにゃーなぁ」

大軍師「ですね。それで、各方面への伝令は?」

天才「俺様からは作戦開始の報告だけだな。あとは任せる!」
514 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:08:51.61 ID:/xnTDmTUo


テクテクテク

戦士「おっ」

召喚士「戦士、盗賊さん」

盗賊「……食事は済んだのか?」

魔道士「はいっ。今しがた終わりましたよー」

戦士「そっちはどうなんだ?」

召喚士「俺は召喚隊として、火山で魔王を誘き寄せる役目」

戦士「おぉ……っ」

魔道士「私は、ジュニアさんや賢者さんと正面で万が一に備えますっ!」

盗賊「……そうか」

戦士「みんなバラバラか」

盗賊「……でも……戦場は一緒」

魔道士「ですねっ。みんなが頑張ってるの、見えますよね……」

召喚士「ええ、大丈夫ですよ」
515 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:09:31.40 ID:/xnTDmTUo
戦士「さーて、もうすぐ時間だ」

召喚士「もう23時15分か……」

盗賊「……魔道士、気を付けてな」

魔道士「盗賊さんもですよ!」

盗賊「……ああ」

戦士「召喚士」

召喚士「ん?」

戦士「また……会おうぜ!」

召喚士「……うんっ!」

戦士が突き出した拳に、召喚士が拳を重ねる。

盗賊「……終わったら、みんなでご飯を食べよう」

魔道士「はいっ! えへへ……っ!!」

2人の拳に盗賊と魔道士の拳がコツンとぶつかる。

重なり合う拳は次第に開かれ、4人は重なった掌の温もりを感じながら笑った。

そして23時25分。南西砦正面には、援軍を含めた総勢6000名の兵が集結した。
516 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:10:03.06 ID:/xnTDmTUo
テクテクテク

召喚士「剣士さん!?」

剣士「僕らも行くよ」

魔道士「で、でも……っ」

弓使い「3人で決めた事ですもの。私達だけ待ってるなんて出来ないわ」

魔道士「幼女ちゃん……」

幼女「心配しないで、お姉ちゃん」

魔道士「うん……」

戦士「剣士さん達はどこで戦うんだ?」

剣士「僕らは魔道士さんやジュニアさんと一緒に別働隊を務めるよ」

召喚士「はい」

剣士「くれぐれも気を付けて」

召喚士「ありがとうございます。剣士さん達も」

魔道士「頑張ろうねっ、幼女ちゃん!」

幼女「……うんっ!」
517 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:10:37.16 ID:/xnTDmTUo
〜23時30分、南西砦前〜

歩兵「見ろよこの鎧……っ!!」

南西砦兵「あぁ! 何でも開発機関の最新作らしいじゃないか!」

魔道兵「本部の精鋭より先に俺らが着ちゃって……いいのかな?」

男隊員「構わねぇよ」

歩兵「男隊員様っ!」

男隊員「対魔王用の甲冑だ。絶対に死ぬなよ」

ザッザッザ…

南西砦兵「……っ」

大軍師「間もなく出陣となります。その前に司令より皆にお言葉あります」

ザッ

天才「あー、よくぞこんだけの数が集まってくれた。まずは礼を言う」

南方魔道長「……」

天才「分かってると思うが、これから戦う相手は魔王、アンラ・マンユ」

隊長「……」
518 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:14:44.77 ID:/xnTDmTUo
天才「今までの雑魚相手とはワケが違う。そこんところはしっかり覚えておくよーに」

女隊員「……」

天才「……まぁ、当然ながら被害は0とはいかんだろう」

格闘家「……」

天才「特に、歩であるお前らは、どれ程死ぬか見当もつかん」

歩兵「……っ」

天才「だから言っておく。いいか、死にたくなかったら必死で足掻け」

南西砦兵「……」

天才「もがいて逃げ惑って、戦って……歩から金に成り上がれ」

魔道兵「……」

天才「死にたくない奴は逃げてもいい。懲罰なんぞ設けねぇ」

大軍師「……」

天才「最後まで戦って生き抜いた奴には、たらふく褒賞をくれてやる!」

青年兵「……」

天才「最後にいつものこの言葉を贈る!」
519 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:17:19.73 ID:/xnTDmTUo
ザッ

天才「勇敢と無謀を履き違えてはならない!」

盗賊「……勇敢と無謀を履き違えてはならない」

天才「慎重と臆病を履き違えてはならない!」

魔道士「慎重と臆病を履き違えてはならない!」

天才「自信と慢心を履き違えてはならない!」

戦士「自信と慢心を……履き違えてはならない」

天才「勇者は一人であり、全員が勇者である!」

召喚士「勇者は一人であり、全員が勇者である!」

天才「お前らは勇者だ。誇りだ。国の為じゃねぇ、自分の為に戦え!」

一同「おぉーっ!!」

大軍師「0時です」

天才「……おーし行くぞ……出陣!!」

大軍師「全軍、出陣!!」

0時00分。アンラ・マンユ討伐軍が出陣を開始した。
520 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:18:36.87 ID:/xnTDmTUo
ザッザッザ

天才「召喚隊!!」

青年兵「飛行タイプの保持者は上空から偵察を!」

朱雀嬢「了解ですわ!」

召喚士「行けっ、コカトリス!!」

シュイイィィィィン…バサッ

青年兵「その他は地上の偵察を!」

白虎長「いくわよっ!」

玄武娘「はいですの!」

天才「もっとだ、もっと出せ!!」

召喚士「じゃあ……行けっ! ワルキューレ!!」

シュイイィィィィン

大軍師「おぉ……っ、あれが……ワルキューレ」

女隊員「素敵ッスねぇ……!!」

天才「……なかなかいいじゃねぇか、ハデに行けハデに! 軍楽隊!!」
521 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:20:02.77 ID:/xnTDmTUo
ザッザッザッザッザ

男隊員「随分とまぁ派手な出陣だな」

隊長「魔王討伐だしな。これぐらいでいいんじゃないか?」

大軍師「士気もあがりますしね。それに、相手に気付かせる必要もありますから」

天才「そーいう事だ。魔道兵の布陣とゾディアックを悟られたら終わりだからな」

男隊員「なるほど」

天才「んーいい曲じゃねぇか。ワルキューレの騎行ってところだな」

従軍した通信兵の記録と、その様子を撮影したカメラが後年、発表された。

その新聞によれば以下のような記述がある。

――それは優雅で絢爛なものであった。先陣を切るは白銀の甲冑に身を包んだ騎兵。

上空にはワルキューレやペガサスが護衛につき、脇にはベヒーモスといった、

強固な召喚獣がそれを支える。そこへ5000名以上の兵が連なるのだ。

軍楽隊の華やかな演奏に足並みを揃え、兵らは皆、自信に満ち溢れた顔をしていた。

士気は極めて高く、舞これから魔王と一戦交えようなどという様子はない。

言うなれば、パレードか、はたまた凱旋のような威風堂々としたものだ――。
522 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:21:12.48 ID:/xnTDmTUo
〜南西砦〜

戦士「……行ったな」

戦士父「……」

戦士「さて、こっちもそろそろ向かうか」

盗賊「……うん」

戦士父「そうするか」

スクッ…ザッザッザ

戦士父「お前が持って行け」

戦士「……あ、ああ」

ズシッ

戦士「……重いなぁ」

戦士父「重いぞ。色々なものが詰まっているからな」

戦士「全くだ」

戦士父「さて、まずは北東の山を目指すぞ」

戦士「おうっ!」
523 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:23:32.52 ID:/xnTDmTUo


隊長「さてと、ここらで俺らは本軍と別れるぞ」

女隊員「ういッス!」

隊長「任務内容は?」

男隊員「魔道兵の各布陣の補佐、及び……」

アマゾネス「……」

女隊員「アマゾネスの村人を非難させるッスね」

隊長「宜しく頼む」

アマゾネス「こちらこそ」

南方魔道長「いいか?」

隊長「ああ。戦闘の騎兵に続いてくれればいい」

南方魔道長「北の魔道兵らはここで待機。指示は大軍師殿から仰ぐように」

魔道兵「了解致しましたっ!」

隊長「それじゃ行くぞ」

南方魔道長「……全軍、騎兵に続け」
524 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:25:30.37 ID:/xnTDmTUo


大軍師「ここが火山の真北にあたりますね」

天才「魔道兵は?」

大軍師「布陣致しました。他の7部隊は特遊指揮の元、出発致しました」

天才「おーし、順調順調」

大軍師「火山を囲むように、逆時計回りに布陣……」

青年兵「何故、遠回りを?」

天才「いや、別にいいっちゃいいんだが……」

青年兵「……?」

天才「東側の森は面倒事があっただろ。念の為だよ念の為」

大軍師「……成程」

天才「ゾディアック親子も出ただろうし、召喚隊もそろそろ突入準備しといてくれや」

青年兵「はっ」

天才「おーい」

ジュニア「……?」
525 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/01(水) 18:28:59.57 ID:/xnTDmTUo
天才「お前らは魔道兵の前で待機」

魔道士「はいっ」

天才「あれ? そーいやアイツどこ行ったんだ?」

魔道士「あいつ……?」

天才「またどっか彷徨ってんのか、クソ方向音痴がよ……」

弓使い「幼女は常に、剣士の後ろにいなさいね?」

幼女「……分かった」

天才「なぁなぁ」

ジュニア「あん?」

天才「お前ってさ、親父と面識あんの?」

ジュニア「親父……? 会った事もねーよ」

天才「ふぅん、そっか。会いたいとか思うか?」

ジュニア「別に今更だな。それに……次会う時は死んだ時だ」

天才「そうかい。そんじゃ、ぜってぇ死ねねーわな」

ジュニア「そこまで会いたくねーわけじゃねーって、ハッハ!」
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/01(水) 18:29:59.82 ID:/xnTDmTUo
それではここまでにて!
ご支援ありがとうございました!失礼致します!ノシ
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/06/01(水) 18:33:14.41 ID:aMyKFtc6o
>>1乙ー
色々な思いが重なってて討伐後が楽しみだな
みんな無事でありますように!
528 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/06/01(水) 18:33:40.71 ID:cEG3eAlRo
BGM:未来への咆哮

アツイアツイぜアツくてシヌぜ
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/01(水) 18:58:37.43 ID:itFzbujAO
シネ
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 19:04:00.71 ID:RwNiKMCDO
女賢者が心配だ……
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 19:12:12.16 ID:R1Aa86cDO
>>1
いよいよ魔王討伐か……天才のいつもの言葉でぐっと来た。
コカトリスの毒で仕留めた魔物の毛皮を売って生計を立ててた頃はこんな展開になるなんて思いもしなかった。
キモいって言われるかもしれないけれど感慨深いものがあるなー
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/01(水) 19:22:09.11 ID:7O6hnzfAO
>>1

これぞ王道ファンタジー
もうなんかドキがムネムネしてきた!
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 19:27:26.33 ID:IVxkYrZIO
>>1
さあ盛り上がってまいりました!
534 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/01(水) 21:07:25.21 ID:tvz1Si2DO
いよいよマジシャン親子の面会か

胸熱
535 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/01(水) 22:17:42.80 ID:CT51aMZDO
>>1乙!

ついに魔王討伐か。
他に魔王が6体いるわけだから、まだ100スレぐらい続くんだよね?
536 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/01(水) 22:26:05.86 ID:+PT3NSFSO
奴は魔王の中でも最弱…7大魔王の面汚しに過ぎうんぬんかんぬん

平和になって召喚フェスで何十体も軽々召喚してる朱雀先生を見たい
537 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/01(水) 22:32:52.87 ID:flcfDZs/o
一人五行状態に突入し対戦相手が泣いて謝った
みたいな伝説が生まれるんですねわかります
538 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/02(木) 19:45:16.76 ID:b8P053O1o
今日は誰もいない?
>>1はたまのお休みだとしてそれ以外の書き込みがないのは
パー速落ちの恐怖が甦るな
539 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/02(木) 21:53:20.55 ID:4nncIPbS0
>>1を応援してる!
って反面レスで邪魔しちゃやだな
って言うジレンマがたまらんのだよ
540 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/02(木) 21:55:12.84 ID:M/awKYnvo
火山北側、魔道兵600名が布陣。及び魔道士やジュニアらのワーカーと、

200名の魔道兵が緊急時に備え、別働隊として待機、布陣した。

天才「ここは任せたぞ」

大軍師「はっ。作戦決行までは、およそ3時間といったところでしょうかね」

天才「夜明けまでにはカタをつけたいけどな」

大軍師「ですね」

天才「……青年兵!」

青年兵「はっ!」

天才「こっからは真っ直ぐ突っ込むぞ。お前が指揮を執れ」

青年兵「……はい」

ザッ

青年兵「空と陸、2方向から進みます。布陣は先程と同様で!」

召喚士「うん」

青年兵「飛行タイプを複数持っている者は、他の者も上空へ!」

朱雀嬢「分かりましたわ」
541 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/02(木) 21:55:41.72 ID:M/awKYnvo


玄武娘「おぉーっ、高いですのー!」

バシュウウゥゥゥゥ

朱雀嬢「グリフォンの乗り心地はいかが?」

玄武娘「すっごいですのー!」

ペガサスに跨る朱雀嬢は、横へ並ぶグリフォンの背にしがみつく玄武娘を見つめ、微笑む。

その後ろにはコカトリスに身を預ける召喚士と、そのすぐ横を飛ぶワイバーン。

名代「申し訳御座らぬ……某まで……」

ワイバーンの背に乗る名代が、恐る恐る下を覗き込みながら話しかける。

召喚士「いえいえ、上空からの方が見晴らしもいいですしね」

バサッバサッ

天狗「……?」

オルトリンデ「あらぁ、羽が生えてるって事はお仲間かしらぁ?」

天狗「異国の妖か」

ロスヴァイセ「お鼻おっきいーっ!」
542 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/02(木) 21:56:18.83 ID:M/awKYnvo
シュヴェルトラウテ「なかなか素敵じゃない」

天狗「し、しかしなんとまぁ……天女のようであるな……」

名代「天狗、顔が真っ赤だぞ?」

天狗「それは元からだ!!」

召喚士「はははっ!」

談笑する横をアンフィスバエナとリンドブルムが速度を上げる」

白虎長「もうすぐ火口付近ね」

青年兵「ええ」

アンフィスバエナの背中からジッと正面の火口を見つめる青年兵。

リンドブルムに乗る白虎長は不安そうに同じく火口を見つめている。

バサァ

色黒「村は……見えないっか」

サンダーバードを器用に操る色黒がその背中から目を細めて眺める。

その後ろをペガサスとグリフォンが続き、その召喚主であるポニテとツインテが、

背中の上で声を揃えて溜息混じりに呟いた。
543 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/02(木) 21:56:58.72 ID:M/awKYnvo
ポニテ「私も長と一緒に行きたかったなぁ〜」

ツインテ「ふにゃあぁ……」

色黒「おさげの奴、1人でズルイ……っ!」

優雅に、そして力強く空を飛ぶ召喚獣達。その真下にあたる地上では、轟音を立て、

大きな物影がゆっくりとその足を進めていた。

ズズウウゥゥゥゥン

ベヒーモス「グルウウゥゥゥゥ……ッ」

リバイアサン「…………」

天才「中央にリヴァイアサン。その両脇にゃベヒーモス。ハーッハッハ! 豪華だ事!」

ザッザッザ

天才「さて、アンラちゃんよ、こっちの動きにゃ気付いてんだろぉ?」

ザッザッザ

天才「面倒な手を煩わせないで……さっさと出てきやがれっての

背中のtヴァイハンダーを右手で抜き構え、天才はにやりと笑った。

やがてその足は火山の目の前に到達し、まもなく登山を開始しようとしていた。
544 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/02(木) 21:58:10.29 ID:M/awKYnvo


歩兵「魔道兵、布陣完了致しました!」

南方魔道長「地図で槍の方角だけは確認しておくように」

魔道兵「はっ」

隊長「発射1時間前、30分前、10分前に発光弾で知らせる」

男隊員「これで2ヶ所目か」

女隊員「そうッスよ」

男隊員「何だか、えらく長く感じるよ」

隊長「何言ってんだ、まだ始まってもいねぇよ」

男隊員「まぁ……そうなんだけどよ」

南方魔道長「それじゃ頼んだぞ」

魔道兵「了解致しました」

隊長「……少し霧が出てきたな」

女隊員「そうッスね。あんまり濃くならなきゃいいッスけど……」

隊長「……だな」
545 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/02(木) 21:58:50.40 ID:M/awKYnvo


戦士「ここが北東の山か」

戦士父「ああ。ここでお別れだ」

盗賊「……うん」

戦士「親父」

戦士父「……何だ」

戦士「……あのよ」

戦士父「……」

戦士「……いや、しくじったりすんなよ」

戦士父「誰にものを言っている。お前こそ失敗は許されんぞ」

戦士「ああ」

戦士父「いいか? 手加減など無用だ。俺を狙って、貫くつもりで投げろ」

戦士「……」

戦士父「絶対に……受け取ってやる」

戦士「……ああ」
546 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/02(木) 21:59:28.69 ID:M/awKYnvo
ザッ

戦士父「それじゃあな」

戦士「……おう」

戦士父「戦士を頼む」

盗賊「…あ、あぁ」

ザッザッザ…

戦士「……」

盗賊「……良かったのか?」

戦士「あん?」

盗賊「……何か……言おうと思ったのだろう?」

戦士「別に」

盗賊「……そっか」

戦士「ほれ、俺らも早く行くぞ!」

盗賊「あっ、うん」

入山する戦士父の姿を見送ることなく、戦士は更に先へと進んだ。
547 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/02(木) 22:01:22.31 ID:M/awKYnvo


バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「青年兵くん、そっちはどう?」

青年兵「特に問題はありませんね」

召喚士「こっちも変化なし」

青年兵「……」

召喚士「ちょっと不気味な感じだね」

青年兵「ええ。相手は動かないと言えど……不気味ですね」

召喚士「あっ、火口部分か……」

ゴウッ

召喚士「熱……っ!! 噴煙が出てるのか……」

青年兵「上空からはこれ以上近づくのは難しそうですね」

召喚士「うん。一度、地上の天才さんと連絡を取ろうか」

青年兵「はい。僕もちょうどそう考えてました」

召喚士「それじゃ、一旦降りようか」
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/02(木) 22:10:06.80 ID:+8Uo1OJF0
>>1乙
初遭遇です(^^)ノ
お体に留意しつつ頑張ってください
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/02(木) 22:35:51.05 ID:3Herje2AO
うぜえ
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/03(金) 01:44:38.48 ID:0Wlq15IN0
vipじゃなくてip混じってるよなwwwwwwwwwwww
くそうぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええぇぇぇぇぇぇ
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/03(金) 03:07:43.25 ID:XE6W3KyDO
シベリアからきますた!
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/03(金) 03:54:17.77 ID:6WlYyNRIO
黙れくそボケども

てめーらは乙だけ言えばいいんだよ

乙!
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/03(金) 03:55:07.46 ID:86nom/jo0
>>1 おつおつ
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/03(金) 07:47:21.11 ID:/2Oj9ahAO
>>1
死闘直前まできて更には魔王をおびき寄せる役目の奴らが明るく振る舞ってるのはヤバいな
俺ならコカチャンの背中に漏らしちゃいそう
555 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:07:12.85 ID:5NtcQYRGo
バシュウウゥゥ…バサァ

玄武娘「あっ、帰ってきたですの!」

白虎長「どうだった?」

青年兵「河口付近は熱が凄くて近づけませんね」

白虎長「そう……」

召喚士「あれ? 天才さんは……?」

白虎長「一人で穴の中へ入って行ったわよ」

召喚士「大丈夫ですかね?」

白虎長「本人が自分の意思で行ったんだから、大丈夫なんじゃないの?」

青年兵「……」

白虎長「さて、どうしましょうか」

青年兵「ひとまず司令が戻るのを待ちましょうか」

白虎長「そうね。勝手に動いてもしょうがないし」

青年兵「各自、周囲の警戒を続けて下さい」

召喚士「うん」
556 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:08:19.88 ID:5NtcQYRGo
〜火山、内部〜

天才「……」

ザザッ…スタッ

天才「……変化なし、と」

先日の戦いにおいて、タローマティの攻撃を受け、奇しくも魔王の元へと訪れた天才。

その際の記憶を手繰り寄せるように、火山内部の狭い穴を、ゆっくりと進んで行く。

天才(……幾ら動けねぇからといって、仕掛けてくる様子は微塵もねぇ)

ザッザッザ

天才(アンラ・マンユ……何が狙いだ)

ジリジリ

天才「……あっつ」

火口からと思われる熱が、内部にまで伝わり、天才の額に汗をかかせていた。

天才「こりゃ長時間の潜伏は体力勝負だわな……」

言葉を発した後、天才はある2つの事に気が付いた。

天才「狙いは持久戦……いや、それよりもこの熱量……この前はなかっただろうがよっ!」
557 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:09:03.54 ID:5NtcQYRGo
〜火山、西部〜

男隊員「急げよー。ちゃっちゃと布陣しろー」

隊長「……」

女隊員「隊長、険しい顔してどうしたッスか?」

男隊員「険しい顔が更に険しくなってんぞ? ヒャハハ」

隊長「何だこれは」

女隊員「へ……っ?」

隊長「森林浴をしたくなる程、透き通った空気じゃねぇか……」

男隊員「何言ってんだアンタ?」

南方魔道長「……おい」

隊長「ちっくしょう!!」

ダッ!!

女隊員「隊長!?」

隊長「お前らはこのまま布陣を進めろ! 指示書は置いて行く!」

南方魔道長「やってくれるぜ……っ」
558 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:10:05.37 ID:5NtcQYRGo
タッタッタッタッタ

男隊員「な、何だってんだ……?」

女隊員「さぁ、分からないッスよ……」

アマゾネス「……」

おさげ「長……?」

アマゾネス「何か、変な感じがするな」

おさげ「……?」

タッタッタッタッタ

隊長「……」

南方魔道長「……」

隊長(間違いねぇ……! あの霧、あれが出ていたのは……)

タッタッタ…ザザァ

隊長「!?」

南方魔道長「なんつぅ濃霧だ。先が全く見えねぇぞ……」

隊長と南方魔道長の行く手を、尋常ではない濃霧が襲う。
559 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:10:33.29 ID:5NtcQYRGo
オオォォォォ

隊長「……」

ザッザッ…ガシッ

隊長「!?」

南方魔道長「待て」

隊長「何だよ」

南方魔道長「どうもおかしい。様子を見た方がいいと思うが」

隊長「だがな、この先には北東に布陣した600の魔道兵が……」

ズドオオォォォォンッ!!

隊長「――!?」

南方魔道長「何だ!? 魔物の攻撃かっ!?」

隊長「……四の五の言ってる場合じゃねぇ。行くしかないようだな」

南方魔道長「仕方ない。俺が道を作るんで、そこを……」

隊長「助かるっ!」

南方魔道長はその場で両手を掲げ、溜めた魔力を一気に爆発させた。
560 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:11:33.67 ID:5NtcQYRGo
ドドオオォォォォン!!…ゴオウウゥゥゥゥッ!!

南方魔道長「一時的に吹き飛ばしているだけだっ、無茶はしないよう」

隊長「…………」

南方魔道長「よし、いいぞ」

隊長「お前はそこで待機してろ」

そう言うと隊長は大きく息を吸い込み、息を止める。

南方魔道長「……?」

ググッ…タタタッ…シュバッ

隊長(濃霧の奥で一瞬だが見えた……)

タッタッタッタッタ…

隊長(魔道兵が……同士討ちしていた)

タッタッタ…

隊長(あれは……。そしてこの霧……忘れもしねぇぜ)

進めば進むほどその霧は薄黒く変色し、濃度は更に濃いものとなっていく。

隊長(……アカ・マナフ……!!)
561 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:12:15.65 ID:5NtcQYRGo
〜北東、奥の山〜

戦士「大丈夫か?」

盗賊「……ああ」

戦士「ほれ、掴まれ」

盗賊「……うん」

ギュッ…グイッ

戦士「……」

盗賊「……」

戦士「何だかんだ、お前も女だよなぁ」

盗賊「へっ!?」

戦士「いや……手がさ。毎日、剣を握ってるのにやっぱ柔らかい」

盗賊「な、何を言っているのだお前はっ!!」

戦士「あ、わりぃわりぃ」

テクテクテクテク

盗賊「……っ」
562 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:13:06.06 ID:5NtcQYRGo
ザッ

戦士「よ……っと。ここが頂上か」

盗賊「……足場は?」

戦士「ああ、大丈夫。わりかし平坦だわ」

盗賊「そっか、良かった」

戦士「細かい石だけどけておくか……」

ザッザッザ

戦士「えぇと、方角は……こっちか」

盗賊「あの山が戦士の父上がいる山だろう」

戦士「じゃあここでオッケーだな」

ストッ

戦士「さーてと。しっかり準備運動しておかなくちゃな」

盗賊「うん」

戦士「盗賊、ちょっと背中押してくれ」

盗賊「えっ!? あ、うん……っ」
563 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:14:09.38 ID:5NtcQYRGo
〜北東手前の山〜

戦士父「……」

ザッ

戦士父「!?」

ババッ!!

戦士父「……お前……っ」

バーテン「分かったらそのナイフを下ろせ」

戦士父「敵かと思うだろう。それよりも、何故ここに居る?」

バーテン「いや、一大決戦だって聞いてな」

戦士父「それは分かっている。どうしてここが分かったかと聞いているんだ」

バーテン「南西砦で聞いたんだよ。お前が一人で寂しがってるってな」

戦士父「馬鹿らしい」

バーテン「まぁそう言うな。そうだ、コーヒー飲むか? 持って来たんだ、冷めてるだろうが」

戦士父「……」

バーテン「おっ、まだ微妙に暖かいな。ほれ、最後になるかもしれんからな」
564 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:14:43.12 ID:5NtcQYRGo


戦士父「……」

ズズッ

戦士父「……本当の目的は?」

バーテン「別に」

戦士父「魔王討伐作戦は秘密裏だ。一般人が簡単に、耳に出来るわけがない」

バーテン「……力が戻ったんだとさ」

戦士父「……?」

バーテン「んで、お前が山の上から槍をブン投げる姿が脳裏に浮かんだんだとさ」

戦士父「……まさか、占い師か?」

バーテン「……お前は口が堅いし、先に知らせといてやる」

戦士父「……」

バーテン「マジシャン、還って来たぞ」

戦士父「!?」

バーテン「地獄の底から還ってきたんだよ!」
565 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:15:34.96 ID:5NtcQYRGo
戦士父「……マジシャンが」

バーテン「全く……再来とはよく言ったもんだぜ」

戦士父「そうか……そうだったか……っ」

バーテン「30年前、アイツらと俺らで挑んだアンラ・マンユ戦……」

戦士父「魔王の顔すら拝めなかった……」

バーテン「みんな死んだ」

戦士父「……ああ、死んだ」

バーテン「お前の……いや、アイツの妹も死んだ」

戦士父「……」

バーテン「俺はな、初代隊長として、そして今は来れないアイツらの為に……」

戦士父「……」

バーテン「この目でアンラ・マンユの最後を見届けようと、そう決心したのさ」

戦士父「俺は、必ずこの手で魔王を討つ」

バーテン「ああ。お前にしか出来ない、お前がやらないと駄目なんだ」

戦士父「……」
566 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/03(金) 18:16:03.66 ID:5NtcQYRGo
左翼長「ぶぇっくし!!」

騎士長「きたねぇな……」

左翼長「初夏になろうかってのに……今日はよく冷えやがる」

〜北方司令部〜

参謀「司令」

左翼長「伝令か?」

参謀「アンラ・マンユ攻略ですが、予定通り0時に開始するようですね」

左翼長「何もなければ、もう作戦は始まってるか……」

参謀「こちらも間もなく、牽制の為の兵を北進させます」

左翼長「おう。あくまで牽制だ。結界石の打ち込みと要所の確保に努めればいい」

参謀「はっ。それでは失礼致します」

騎士長「始まったか」

左翼長「みてーだな」

騎士長「……信じようぜ。お前の……義弟をよ」

左翼長「……」
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/03(金) 18:33:49.30 ID:5NtcQYRGo
ひとまずここまでにて!
本日もご支援ありがとうございました!
それでは失礼致しますですー!ノシ

>>538
すみません…ちょっと忙しくてペースが落ちたりで…
なるべく毎日投下出来る様にはがんばりますので!
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/03(金) 19:21:52.66 ID:eKfsm08Ko
むしろ休め
>>1もそろそろ過去ログ読み返して来た方がいいんじゃね?
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/03(金) 23:20:11.37 ID:m+77aOjno
>>1

そうか、弓のおじさんはほんとにおじさんだったのか
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/03(金) 23:49:53.28 ID:dCKkE/rJo
>>1
んで剣士の結婚式で家にあった達人の弓、弓使いにプレゼントしてたよね
あれ、弓のおじさんのじゃなくてカーチャンの形見だったんじゃ……
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/04(土) 00:30:29.65 ID:i96zbeNAO
>>1おつ
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/04(土) 13:33:55.13 ID:oHY4vRiAO
>>570
oh...
573 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/04(土) 23:08:44.63 ID:f/BxDrl3o
〜火山、北のふもと〜

朱雀嬢「あら……?」

タッタッタ…ザザッ

天才「敵は!?」

召喚士「いえっ、まだ見えませんが……」

天才「ここは駄目だ、一旦後退すんぞ」

青年兵「!?」

白虎長「ちょっと……何が……」

天才「いいから退くぞ!!」

召喚士「あ、あの……一体何が……」

天才「アンラのヤロー、やってくれんぜ」

青年兵「内部で何か動きが……!?」

天才「火山の熱量が上がってやがる」

青年兵「……!!」

天才「待ってたワケじゃねぇ……っ! 既に動いてやがったんだ!」
574 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/04(土) 23:09:16.93 ID:f/BxDrl3o
玄武娘「どういう事ですの……?」

天才「上空の様子は?」

青年兵「火口付近はかなり暑くて近づけませんでした……」

天才「やっぱりな……」

白虎長「……?」

天才「アンラ・マンユは火山を噴火させるつもりだ」

色黒「えぇーっ!?」

召喚士「あ……っ」

朱雀嬢「どうなさいました?」

召喚士「言われてみれば……」

玄武娘「ほえ?」

召喚士「火口付近、見た目とは裏腹に熱量が高かったですね……」

青年兵「確かにそうですね。遠目からだとそうでもなかったんですが」

天才「やっぱりな。つまり、内部で凝縮してるって寸法だろうよ」

朱雀嬢「ど、どうなさらるの……!?」
575 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/04(土) 23:09:45.65 ID:f/BxDrl3o
天才「さーて、どうすっかねぇ……」

白虎長「ちょっと……」

天才「冗談だよ。やる事は至ってシンプルだ」

ツインテ「……」

天才「火山の噴火を押さえ込みながら、アンラちゃんを引きずり出す」

白虎長「た、確かにシンプルだけど……」

召喚士「やる事……増えてますね……」

天才「しょーがねぇだろ。噴火したら全滅だ。ゲームオーバーだ」

青年兵「しかし、どうやって……」

天才「どーもこーもねぇ。召喚獣使う以外ねーだろって」

召喚士「まぁ、それしかないですね……」

白虎長「水系の召喚獣なんて持ってないわよ……っ」

天才「水系持ってる奴は火山優先。それ以外の奴は内部への潜入ルートを探るぞ」

青年兵「了解です。それでは手分けして作業にあたりましょう」

召喚士「……うん!」
576 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/04(土) 23:10:39.02 ID:f/BxDrl3o
〜火山、南西部〜

男隊員「よーし、布陣は終わったな?」

魔道兵「はっ。ここはお任せ下さい!」

男隊員「頼むぜ。無茶はすんなよ」

魔道兵「お互い様ですっ!」

男隊員「へっ、言ってくれるぜ」

女隊員「それじゃ、次に行くッスよ!」

騎兵「出発!」

パッカパッカパッカ…

オオォォォォ

女隊員「今……何か聞こえたッスよね……?」

男隊員「……北側みてぇだな」

女隊員「まさか、隊長達に何か……」

男隊員「駄目だ、引き返すわけにはいかん。このまま進むぞ」

女隊員「……っ」
577 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/04(土) 23:11:46.96 ID:f/BxDrl3o
〜火山、北西部〜

隊長(……ちぃっ!)

魔道兵「死ね……死ねええぇぇ!!」

ドドオオォォォォン!!

隊長(何とかこの同士討ちをやめさせねぇと……)

魔道士「フハハハハアアァァーッ!!」

隊長「!?」

ドドオオォォォォンッ!!…ゴゴオオォォォォ!!

隊長「――っ!!」

ババッ…ゴロゴロゴロゴロッ

隊長「ぶはぁっ!! はぁ……はぁ……っ!!」

南方魔道長「無事かっ!?」

隊長「……ああ。濃霧の中でちょいと火だるまになっただけだ」

南方魔道長「そ、そうか……」

隊長「この霧はまずい。こいつに侵されると自我の制御が利かなくなる」
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/04(土) 23:13:53.50 ID:f/BxDrl3o
南方魔道長「洗脳って事か?」

隊長「簡単にいや、そういう事だな」

南方魔道長「対処法は?」

隊長「……倒すしかない」

南方魔道長「……?」

隊長「こいつを発生させてる張本人だよ」

南方魔道長「……」

隊長「眷属、アカ・マナフだ」

南方魔道長「……ほぉ、あれか」

隊長「!?」

南方魔道長が指差す上空。濃霧の上を歩くように怪しげな影が姿を見せる。

アマ・マナフ「……」

南方魔道長「そんで、どうやって倒すんだよ?」

隊長「……まさか、倒せるわけねーだろ。俺らだけでよ……っ!」

そう言うと同時に、白い発光弾が一つ、夜空へと打ち上げられた。
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/05(日) 00:46:50.01 ID:Px912ezDO
>>1
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/05(日) 03:11:23.54 ID:+L5AXOxW0
1乙
さすがに魔王相手にすんなりいかんわな
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/06/05(日) 06:07:33.31 ID:wKmnPpmAO
>魔道士「フハハハハアアァァーッ!!」

魔道士ちゃんご乱心><
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/06/05(日) 15:39:50.63 ID:H+6hKh4AO
自我の制御がきかなくなるって怖い(´・ω・`)
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/06/05(日) 16:28:04.25 ID:kAhExSHAO
あれか、街中で好みの女の子にルパンダイブするようになってしまうのか
584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/05(日) 19:14:49.74 ID:6NMDaJKVo
〜火山、北側〜

魔道兵「今のは……シロイチでしょうか?」

大軍師「そのようですね。しかし何故白の一番が……」

ザザザッ…タッタッタッタッタ

魔道士「あっ!! あれって……天才さんっ!?」

ジュニア「それだけじゃねぇ……っ!」

剣士「召喚士くんに……他のみんなも」

タッタッタ…ズザザッ

大軍師「どうかされましたか?」

天才「今のはシロイチか?」

大軍師「そのようで。特遊に何かあったかもしれませんね」

召喚士「……っ」

大軍師「それで、其方はどうなされたので?」

天才「アンラ・マンユが厄介な事になった。ちょいとお前らの力も借りる事になるぞ」

魔道士「へ……っ!?」
585 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/05(日) 19:16:19.96 ID:6NMDaJKVo


大軍師「成程……っ。確かにそれは厄介ですね」

天才「お前は別働隊とコイツら率いて、魔王と火山を頼むわ」

大軍師「畏まりました」

青年兵「司令はどうなさるので?」

天才「シロイチ上がったんだろ? あっちも何かあったと考えるべきだろうが」

大軍師「全くその通りだと思います」

天才「つーわけで、ちょっくらカタ付けてくるわ」

ガシッ

天才「なっ?」

召喚士「えっ!?」

天才「え、じゃねーよ。お前以外に誰がいんだよ」

召喚士「……っ」

天才「お前の召喚獣があれば押さえ込める。行くぞ!」

召喚士「は、はいっ!」
586 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/05(日) 19:17:25.79 ID:6NMDaJKVo


召喚士「行けっ! コカトリス!! ワイバーン!!」

シュイイィィィィン

天才「よーし、いっちょかっ飛ばして行くぞぉ!」

魔道士「召喚士さんっ、気を付けて……っ!」

召喚士「はい。行ってきます」

天才「いいか、むりする必要はねぇ。あくまで――」

大軍師「無謀ではなく勇敢に、ですね」

天才「……んじゃ、頼んだぜ」

バシュウウゥゥゥゥ!!

ジュニア「そんで、どーすんだ?」

大軍師「とにかく魔道隊の布陣まで耐えるしかありません」

剣士「噴火か……。それだけは何としても阻止しないといけないな」

弓使い「そうね……」

青年兵「召喚獣を再度、偵察に派遣致しましょう」
587 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/05(日) 19:18:27.98 ID:6NMDaJKVo
ドシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……」

天才「おーい!」

召喚士「あっ、はい!」

天才「何でお前を連れてきたか、分かるか?」

召喚士「……アカ・マナフですか?」

天才「シロイチは通常、特遊の一番乗りを意味する発光弾だ」

召喚士「……」

天才「だがシロイチには、もう一つの意味がある」

召喚士「何ですか?」

天才「白の一大事って事だ」

召喚士「それは……どういう……」

天才「白は特遊のパーソナルカラー。それの大事を意味している」

召喚士「っ!!」

天才「白の発光弾だけが上がる理由ってのを考えりゃ、結論は簡単」
588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/05(日) 19:20:52.07 ID:6NMDaJKVo
召喚士「特殊遊撃隊のみに危険が及んでいると……?」

天才「そういう事。そこから導き出されるアンサーは……」

召喚士「眷属、アカ・マナフの出現……っ!」

天才「それが濃厚って事だ」

召喚士「なるほど……っ」

天才「アカ・マナフと闘ったことのあるお前なら、何をすべきか分かっているな?」

召喚士「……はい。あの時よりカードは増えていますから」

天才「ハーッハッハ!! 頼もしいじゃねぇか朱雀先生よぉ!!」

召喚士「やれる事を頑張るだけです」

天才「それでいい。自信は力に繋がる。それに……」

召喚士「……」

天才「お前はもう、十分強い。これは慢心じゃねぇ。自信だ」

召喚士「……珍しいですね、天才さんが褒めてくれるなんて」

天才「ハーッハッハ!! 社交辞令の一つでもあった方が、やる気も出んだろ?」

召喚士「茶化さないで下さいよ……っ」
589 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/05(日) 23:50:01.96 ID:6NMDaJKVo
〜火山、上空〜

パッカパッカパッカ…

従者「……?」

ドドォ…

名士「……どうした?」

従者「……あ、あの……っ」

名士「……?」

空飛ぶ馬車の正面に、黒い巨大な影が現れる。

名士「……」

ズズッ…ズズズズッ

名士「……何百年。いや、千年以上振りか……?」

従者「……っ」

ズズッ…ドドドドオオォォォォ

名士「……インドラ」

インドラ「……」
590 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/05(日) 23:54:44.97 ID:6NMDaJKVo
コオオォォォォ

インドラ「何をしておる」

名士「いや、高みの見物さ」

インドラ「人間へ手を貸すわけではないのか」

名士「手を貸す? 私がか……?」

インドラ「長年、姿を見せなかった貴様が出てきたのだ」

名士「私はどちらの味方もせぬよ」

インドラ「……」

名士「敵を作れば敵は増える。その敵を叩けば次なる敵が現れる」

インドラ「だから敵は作らない……か」

名士「貴様とは違う」

インドラ「……それで、貴様はその先に何を見るのだ?」

名士「別に大したものでもないよ。好きな景色を残したい、ただそれだけの事」

インドラ「そうか」

名士「まずはお手並みをみようじゃないか。人間がどこまでやれるのかを、ね」
591 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/05(日) 23:56:23.70 ID:6NMDaJKVo
〜火山、北西部〜

魔道兵「ヒ……ヒヒヒアアァァァァ!!」

ドドオオォォォォン!!

南方魔道長「何とかしろよ!!」

隊長「いやぁ、無理だろ」

南方魔道長「このままじゃ仲良く火だるまになっちまうぞ!?」

隊長「いーや」

南方魔道長「……?」

隊長「氷のオブジェかもしれんぜ?」

南方魔道長「馬鹿な事言ってないで何とかしろ!」

隊長「そうは言ってもなぁ……」

スラッ…チャキッ

隊長「俺だって、そんな簡単に人を斬りたかねぇんだよ……」

南方魔道長「来るぞぉ!!」

隊長「ちぃ……っ!!」
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/06/06(月) 02:38:14.97 ID:+9TfzpEX0
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/06(月) 03:02:11.99 ID:/b/21HOQo
ザントマンの名前を思い出すのに時間がかかっちまったぜ
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/06(月) 08:03:28.18 ID:hLQwX+ZAO
>>1

一番面倒そうだな
595 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:07:18.22 ID:yHYfa9mAo
いつ頃からだったか、人を斬るようになったのは……。

最初は、北での内通者による反乱の鎮圧だったっけか。

国軍の中でも選ばれた、特遊だからこその仕事。そう言い聞かせて手を汚してきた。

それも気が付けば、当たり前の様に命のやり取りをするようになっていたっけかなぁ。

先代の隊長は、その過酷さと罪の意識に苛まれて、自らその命を絶った。

引き継いだ俺は、今も手を汚し続けている。流石に、副隊長斬った時は参ったけどな……。

気心知れた仲間が内通者で、ましてやそれを斬る。いや、それだけじゃない。

当時、皇太子であられた陛下にまで危険を及ぼしてしまったのは一生の不覚だろうな。

何事もなく終えたからこう思えるが、本当に自分が情けなかった。ただそれだけだ。

あの時、戦士が同行したいと訪ねてくれたのは幸いだったな。自分を見つめ直す、

いい機会になった。そして何とか吹っ切る事が出来たわけだが……。

隊長「目の前に、あの憎き魔物がいる」

込み上げる怒りは自分へのもの。だが、それをぶつけるには申し分のない相手。

その為には、眼の前に立ち塞がるコイツらを切り捨てなくちゃならねぇ……。

……出来るのか……俺に。
596 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:08:02.19 ID:yHYfa9mAo
ザザッ…スタッ

隊長「……すーっ」

肺の中へ大きく息を吸い込み、黒いモヤの中へと再び潜り込む隊長。

後方からは南方魔道長による追い風が援護となる。

ゴウッ!!

黒煙が晴れた一瞬の隙間で、互いを攻撃し合う魔道兵。隊長はその間へ割り込むように、

体を忍び込ませると、剣を鞘ごと担ぐ背中から降ろし、そのまま右手で握り締める。

鋸上の刀身を納める為に、通常の剣よりもかなり大きい鞘。その平坦な部分で、

隊長は力任せに魔道兵を側面より殴りつける。

バゴオオォォォォ!!…ゴシャアァッ!!

鈍い音と共に、一人の魔道兵が吹き飛ばされ、土の上で意識を失った。

隊長(骨の数本は、覚悟してくれやっ!)

反転して振り向きざま、後方で戸惑う魔道兵へも同様、鞘での殴打を一撃浴びせる。

ゴガアアァァ!!…ズシャアアァァ!!

地面へ転がる魔道士兵など見向きもせず、隊長は次なる標的の元へと走っていた。
597 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:09:02.19 ID:yHYfa9mAo
南方魔道長「もう一丁……っ!」

ドドオオォォン!!…ゴゴオオォォ!!

隊長(いい風だっ!!)

まさに追い風の如く、駆けるその背中を後押しするように吹き付ける風魔法。

その勢いのまま隊長は、数人の魔道兵が集まる場所へと大きく跳躍した。

隊長(地面を叩き割って身動きを――)

ブワッ

アカ・マナフ「……お前……見覚えがあるな」

隊長「――!?」

もやの一部が人型の魔物、即ちアカ・マナフへと変化し、隊長の眼の前へと立ちはだかる。

アカ・マナフ「この瘴気の中……正気とはね」

隊長(魔物のギャグは……笑えねぇな!!)

鞘から長剣を抜きかけたその時、隊長の腹部に激痛が走った。

隊長「がは……っ……!!」

魔道兵「ケケ……ケキャキャキャキャッ!!」
598 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:09:43.89 ID:yHYfa9mAo
メキッ…ボゴオオォォォォ

地面より突き出したハンマーのような土の柱。隊長の体は押し上げられ、

そのまま一気に後方へと激しく吹き飛ばされた。

ザンッ…ズザザザッ…ゴロゴロゴロッ

隊長「かはっ、は……ぁ……っ!!」

ヒューッ、ヒューッ、と苦しそうな呼吸を繰り返す隊長の元へ、

異変に気付いた南方魔道長が走り寄り肩を貸す。

南方魔道長「どうしたっ!?」

隊長「……流石国軍が誇る……魔道兵……っ」

南方魔道長「はぁ!?」

隊長「ちきしょう、これじゃあキリがないな。……霧だけに」

南方魔道長「馬鹿な事言ってる場合か」

隊長「おいおい、魔物よりは面白いだろ?」

南方魔道長「どうすんだよ!? このままじゃここは壊滅するぞ」

隊長「何とか止めるしかねぇが……止めるしかねぇんだが、参ったなこりゃ……」
599 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:10:56.20 ID:yHYfa9mAo
ザッ

隊長「まぁ、遮二無二やるしかねーわな」

南方魔道長「おい、また行くつもりか?」

隊長「それしか手はねぇ。時間は掛かるが一人ずつ気を失わせるしか方法はない」

南方魔道長「肝心のアカ・マナフはどうする?」

隊長「……俺は、そんなに魔法ってのは得意じゃないんだよなぁ」

南方魔道長「……」

隊長「土行には多少、自信はある。お前レベルには引き上げられる」

南方魔道長「……まさか」

隊長「ヤローと心中ってのは気が進まんよなぁ。お互いによ」

南方魔道長「そりゃそうだ。死ぬなら妻子に看取られて死にてーモンだよ」

隊長「何!? お前子供もいんのかよ!?」

南方魔道長「今年で3歳になる。かわいいぞ」

隊長「……聞くんじゃなかったよ全く……っ」

南方魔道長「どっちの意味かは聞かないでおくぜ」
600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:11:41.04 ID:yHYfa9mAo
ジャリッ

隊長「魔力練っておいてくれ。合図とともに合体五行だ」

南方魔道長「その前にくたばるなよ」

隊長「おうよ」

バッ!!…タタタタッ!!

南方魔道長「……結婚するならああいう男を選んで貰いたいもんだな」

タッタッタッタ…ズザザザ

隊長「すーっ」

ピタッ…シュバッ!!

隊長(このモヤを警戒して姿を見せれば、さっきの二の舞だ……)

ザザザッ…タンッ

隊長(視界が悪いが、ここはモヤの中を進むに限る!)

魔道兵「俺の魔法を喰らええぇぇ――」

ゴシャッ!!…ゴロゴロゴロ

隊長(寝てろ!)
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:13:50.48 ID:yHYfa9mAo
アカ・マナフ「いつまで続けるつもりだ?」

隊長(出やがったか……っ。もう少し準備させろよな)

アカ・マナフ「何かしようと企んでいるようだが、それは筋違いというもの」

ブワッ

アカ・マナフ「一瞬で……楽にしてやる」

隊長「……っ!!」

ザザッ

魔道兵「敵っ、敵っ、敵いいぃぃぃぃ!!」

隊長(囲まれた!? どうする……っ!!)

キュイイィィィィ

魔道兵「敵は……討ツウウゥゥゥゥ!!」

隊長(殺るしか……ねぇか)

チャキッ

隊長(後世の為だ、悪く思うなよ……っ!)

アカ・マナフ「!?」
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:14:32.37 ID:yHYfa9mAo
ドサドサドサッ

隊長「……」

アカ・マナフ「……何だ……これは」

隊長(俺はまだ……斬ってねぇぞ!?)

突如その場に倒れだす魔道兵達。その刹那、突風がアカ・マナフの黒煙を吹き飛ばした。

ゴゴオオォォォォ…

バサッバサッバサッ

隊長「――!?」

スタッ…ザッザッザ

アカ・マナフ「……貴様は」

召喚士「ご無事ですか? 隊長」

隊長「朱雀先生に……司令か」

天才「ハーッハッハ! ハデにやってくれんじゃないの? 眷属ちゃんよぉ!」

アカ・マナフ「……何をした?」

召喚士「やっぱり、アカ・マナフにはザントマンは利かないか」
603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:15:18.28 ID:yHYfa9mAo
天才「十分だ。無駄な死は防げたってもんよ」

チラッ

天才「もっとも、残ってるのは何十人だって話だけどな」

600名程いた魔道兵は、その全てが地面へとその身体を寝かせていた。

そのうち意識のあるものは限られており、同士討ちの被害を物語っている。

隊長「アカ・マナフです」

天才「わーってるよ。んじゃ、ちょっくらやりますか」

アカ・マナフ「あの、わけの分からぬ召喚獣で……」

召喚士「……」

アカ・マナフ「……我が肉体を……消し去った輩!!」

召喚士「何人もの命を弄んだ罪、ここで償ってもらうぞ!」

タッタッタ

南方魔道長「何が起き……!?」

アカ・マナフ「まとめて……葬り去ってくれるわ!」

召喚士「望むところだ!!」
604 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:15:54.03 ID:yHYfa9mAo
ババッ

召喚士はザントマンとクジャタを退け、コカトリスとワイバーンを空中からあたらせる。

それに呼応し、天才が素早くアカ・マナフの懐へと飛び込んだ。

コカトリス「はあぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!…ゴアオオォォォォ!!

アカ・マナフ「石化……」

コカトリスの息を素早くかわし、正面切って突撃するワイバーンへと振り向くアカ・マナフ。

ワイバーンは直前で上昇し、攻撃は仕掛けない。

アカ・マナフ「……下か」

天才「ご名答っ!!」

ザシュッ!!…ボフゥッ

天才「……ちっ、魔法剣でも手ごたえほとんどなし」

隊長「直接攻撃は厳しい。召喚獣との連携が必要です!」

天才「はいはい!」

態勢を整える天才は、隊長の隣に並び、大剣を構え直した。
605 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:16:23.51 ID:yHYfa9mAo
スゥッ…

アカ・マナフ「……」

召喚士「後ろっ!!」

その声に反応し振り向く隊長と天才。背後からは黒いもやがその身体を襲う。

南方魔道士長「させるかっ!」

ドドオオォォォンッ!!…ゴゴオオォォォォ!!

隊長「ナイス!」

天才「お前はそれだけに専念してくれ!」

南方魔道長「了解っ!」

アカ・マナフ「……そのような小細工が……いつまで続くか」

天才「テメーを倒すまでだよ!!」

キュイイィィィィ

南方魔道長「五行かっ!?」

天才「吹き飛べやオラァ!!」

ドドオオォォォォンッ!!
606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:17:26.55 ID:yHYfa9mAo
アカ・マナフ「――ッ!!」

ガカアアァァァァ!!…ズズウウゥゥゥゥン

隊長「無茶しやがる……っ」

天才「……魔王討伐からは全力だ。長年溜めてきた魔力……全て出す!」

召喚士「……っ」

それはイコール、死に繋がる。天才を除く誰もが分かりきった答えであったが、

その場でそれを止められる者は一人もいない。いや、止める事は不可能だった。

アカ・マナフ「グ……フゥ……」

天才「流石にあの程度じゃ、致命傷までにゃ程遠いか……」

アカ・マナフ「主より頂し肉体と魔力……これ以上の無駄は許されぬのだ……!」

天才「知るかよ」

アカ・マナフ「……ふざけるなよ……人間ッ!」

天才「大真面目だっつーの」

アカ・マナフ「オアアァァァァーッ!!」

召喚士「……ここだっ」
607 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:18:35.45 ID:yHYfa9mAo
バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「次は外さん!」

アカ・マナフ「!?」

ドドオオォォォォン!!…ゴゴオオォォォォ!!

アカ・マナフ「ヌ……グ!!」

ビキビキビキッ…ピシッ

隊長「おらぁ!!」

石化したアカ・マナフの一部を隊長の剣が一閃する。斬る、というよりは鋸上の刃で、

岩の塊を破壊するといったような表現が正しいだろうか。

ズッガアアァァァァン!!

アカ・マナフ「この……程度……っ!!」

ボフンッ!!…シュウウゥゥゥゥ…

南方魔道長「本体ごと霧状に……っ!」

天才「待てっ、吹き飛ばすな! 本体まで見失う事になる!」

南方魔道長「……了解っ」
608 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:19:15.50 ID:yHYfa9mAo


隊長「……」

召喚士「……」

シュウウゥゥゥゥ

南方魔道長「……」

天才「……おかしい」

召喚士「えっ?」

天才「何で仕掛けてこねぇ……。気配が薄れてねぇか?」

隊長「確かに」

天才「ヤロォ……そういう狙いかよっ!!」

召喚士「ま、まさか……っ!」

天才「場所を変えやがった!! どっちだ!?」

隊長「手分けするしかねぇ!」

天才「お前ら二人は北側へ向かえ! 俺らは南だ!」

召喚士「はいっ!」
609 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:20:49.49 ID:yHYfa9mAo
〜火山、南東側〜

男隊員「ここから行けるんだよな?」

アマゾネス「ああ。そんなに遠くはない」

女隊員「どうするッスか?」

男隊員「本来なら俺らも同行せにゃならんところだが……」

女隊員「南方魔道長に隊長まで抜けちゃったッスからね……」

アマゾネス「案ずるな。自分達の事は自分達出来る」

おさげ「そうそうっ♪」

男隊員「……」

アマゾネス「お前らは敵へ、全力で当たってくれ」

男隊員「大丈夫……なのか?」

アマゾネス「ああ。少し気になるしな」

女隊員「……?」

アマゾネス「森、というか空気全体が……何か変な感じがするのだ」

男隊員「……」
610 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:21:22.56 ID:yHYfa9mAo


女隊員「それじゃ、気を付けるッスよ」

おさげ「安心なさいなっ、ここは私達の庭みたいなものよ〜」

男隊員「だがなぁ、平時とは状況が違う」

アマゾネス「分かっている。そちらこそ気を付けろよ」

女隊員「もちろんッス!!」

魔道兵「それでは、ご武運を!」

男隊員「おーし、残り2ヶ所だ。気張って行くぞー!」

女隊員「おぉーっ!」

ザザッ…パッカパッカパッカ

おさげ「長っ、私達も……」

アマゾネス「ああ。召喚獣、いつでも出せるようにしておけよ」

おさげ「はいなっ♪」

アマゾネス「……」

国軍の部隊と別れ、アマゾネスとおさげは村を目指し走って行った。
611 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:22:17.40 ID:yHYfa9mAo
〜火山、北側〜

タッタッタッタッタ

ジュニア「おっ!?」

隊長「無事か!?」

大軍師「隊長……? どうなさったので?」

隊長「北西側でアカ・マナフが出現した。負傷者多数だ! 衛生兵とプリーストを!」

大軍師「!?」

南方魔道長「こっちが無事って事は、アカ・マナフは南か……」

隊長「あとはあの2人に任せるしかねぇ。とにかく南西砦からありったけの衛生兵を!」

大軍師「了解です。斥候、急ぎ……南西砦へ向かって下さい」

伝令「了解でありますっ!」

グイッ…ドドッドドッドドッ

大軍師「賢者殿、ひとまず応急処置へ向かって頂けますか?」

賢者「……仕方ないね、ふぅ」

大軍師「宜しくお願い致します」
612 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:23:12.78 ID:yHYfa9mAo
隊長「急を要する。急ぐぞ!」

賢者「……ふぅ」

タッタッタッタッタ

魔道士「だ、大丈夫ですかね……っ」

大軍師「事は、予想以上に動いているようですね」

剣士「……っ」

大軍師「予言も、残酷なものですね……」

魔道士「……?」

大軍師「これ以上の被害は避けたいところです。仕方ありませんね、駒を進めましょうか」

青年兵「どうするのですか?」

大軍師「火山の様子を伺いつつ、魔王を刺激しましょう」

白虎長「早すぎませんか……?」

大軍師「そう思います。しかし、これ以上の被害は甚だ見逃せません」

ジュニア「確かに、魔道兵が減れば減るほど、威力は落ちるだろうしな……」

大軍師「別働隊の皆様、進軍致しますよ」
613 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:24:05.83 ID:yHYfa9mAo
〜火山、西側〜

バシュウウゥゥゥゥ

天才「……しっかし、召喚獣ってのは便利だなぁ」

ワイバーン「貴様、乗り物か何かと勘違いしておらぬか?」

天才「ハーッハッハ!」

ワイバーン「……おい、コイツ振り落としていいか?」

召喚士「ち、ちょっと……っ!?」

コカトリス「むっ」

召喚士「どうしたの!?」

コカトリス「あれではないか?」

天才「いやがった!」

ザッ

ワイバーン「お、おい……!?」

天才「振り落とされるのは怖いから、先に飛び降りちゃう」

召喚士「!?」
614 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:24:52.21 ID:yHYfa9mAo
バッ…ヒュウウゥゥゥゥ…

ワイバーン「何という人間か……っ」

召喚士「お、俺らも急ごう!」

コカトリス「ああ」

バサッ…ドシュウウゥゥゥゥ

天才「おらおらおらああぁぁぁぁ!!」

アカ・マナフ「!?」

ザシュウウゥゥゥゥ!!…スタッ

アカ・マナフ「利かぬと何度言えば分かる」

天才「バーカ。挨拶代わりだよ。やっぱ登場はカッコよく――」

ズドオオォォォォン!!

天才「――っ!!」

シュウウゥゥゥゥ

魔道兵「敵は殺す!!」

ザッザッザ
615 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:25:26.00 ID:yHYfa9mAo
魔道兵「ケヘッ! クハハハハッ!!」

天才「てめえら……」

アカ・マナフ「さぁ、どうする?」

天才「俺様に手をかけるたぁ、どうなるか分かってんだろうなぁ!!」

召喚士「天才さんっ、殺しちゃ駄目だっ!!」

天才「まとめて減給だぞこらぁ!!」

キュイイィィィィン…ドドオオォォォォン!!

魔道兵「がはあぁーっ!!」

ドサドサッ

召喚士「……っ」

天才「頭冷やして、少し反省してろ」

凍りつく魔道兵らの甲冑。その奥で彼らは苦痛の表情を浮かべる。

召喚士「生きてる……?」

天才「何の為の新装備だよ。ちょっとくらいの魔法じゃ、致命傷にはならんっての」

召喚士「……そ、そうかっ!」
616 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/06(月) 18:26:23.50 ID:yHYfa9mAo
〜火山、北西側〜

シュウウゥゥゥゥ…

賢者「……これはひどいね……ふぅ」

隊長「重傷者から優先的に治癒していこう」

南方魔道長「そうだな。軽傷者は衛生兵がくるまで、応急処置で絶えて貰うしかあるまい」

魔道兵「……ぐ……うぅ」

隊長「……っ」

魔道兵「いてぇ、いてぇよぉ……っ!!」

隊長「ザントマンの眠りは幸いだな。麻酔代わりというか何というか……」

南方魔道長「そのまま静かに、息も引き取れるしな……」

賢者「儚いものだね……ふぅ」

パアアァァァァ

魔道兵「……ぐ……あぁ」

隊長「しっかりしろよっ! もうっちょっとの辛抱だ!」

下唇を噛み締め、隊長と南方魔道長は、負傷者の身体を寝かせ必死で励まし続けた。
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/06(月) 18:41:44.92 ID:yHYfa9mAo
ひとまずここまでにて。ご支援ありがとうございました!
それにしても暑いですね…。それでは失礼致します〜!ノシ
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/06/06(月) 19:15:44.27 ID:akr6gW9X0

>>1はあれだな
はいな妹が好きなのか
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/06(月) 20:29:41.14 ID:hLQwX+ZAO
>>1

やめてくださいよアカマナフさん
今日はそこまで暑くないのに身体冷えてお腹壊しちゃうよ
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/06(月) 23:41:17.69 ID:SwSpNHNAO
ザンなんたらさんマジ強いっすねwwwwwwww
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/07(火) 08:21:10.10 ID:XE0Qt5LAO
リストラ戦隊 ザンドパン

こいつ、ちょっと前までトレード候補筆頭だったよな…立派になりやがって……っ!!
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/07(火) 08:41:09.64 ID:riPTJ9nAO
>>1大量投下乙んつん
一昔前まで召還獣に乗るのに大量に魔翌力を必要にしてたのに今じゃタクシーwwwwww
底無し魔翌力の召還士に濡れた
623 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:13:38.94 ID:9fO65u6jo
〜火山、西部〜

天才「……」

魔道兵「ぐふふっ、ぐふぅ……」

召喚士「これ以上は逃がさないぞ」

アカ・マナフ「……小賢しい」

天才「……ふぅん」

数回の対峙。ここにきて天才の疑問は確信へと変わりつつあった。

天才(アイツ、直接攻撃は効かないが……)

召喚士「コカトリス!!」

コカトリス「おうっ」

天才(自分自身の攻撃も、皆無と言っていい程ないな)

事実、これだけの時間を野放しにしたにも関わらず、アカ・マナフによる

魔道兵らへの攻撃は、特殊なもやによる同士討ちへと陥らせるもののみに留まっていた。

そして天才の思考は、一つの結論へと達する。

天才「生かさず殺さず、利用出来そうだな」
624 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:14:15.91 ID:9fO65u6jo
ザッ

天才「召喚士!!」

召喚士「!?」

天才「アカマナちゃんを吹っ飛ばせ」

召喚士「えっ!?」

天才「どこでもいい。ここじゃ分が悪すぎる」

召喚士「どうすればいいんです?」

天才「何でもいいよ。風でも衝撃波でもいい。マナフちゃんを人気のない所に飛ばせ」

召喚士「……」

天才「何だよ?」

召喚士「分かりましたけど、呼び名くらい統一して下さいよ……」

天才「理解してんだからいーだろ! おら、さっさとやれ!」

召喚士「……」

ジャリッ

召喚士「行けっ! クジャタ!!」
625 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:17:06.31 ID:9fO65u6jo
シュイイィィィィン

召喚士「さぁ来い、アカ・マナフ! 吹き飛ばしてやる!」

アカ・マナフ「……吹き飛ばすだと?」

召喚士「ここじゃ被害が大きくなる。クジャタの竜巻で場所を変えさせて貰うぞ!」

アカ・マナフ「……」

天才「お前なぁ、カッコつけて大見栄張るのはいーけどよぉ……」

アカ・マナフ「クジャタ……それか」

天才「敵にまで作戦バラしてどーすんだよ!!」

召喚士「あ……っ」

天才「あ、じゃねえぇ!!」

アカ・マナフ「……ふん」

天才「しまった! 逃げるぞ!」

召喚士「クジャタ!! 急いで!!」

アカ・マナフ「その召喚獣にだけ気を付ければ……造作もない事よ。馬鹿めがっ」

召喚士「……」
626 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:18:08.07 ID:9fO65u6jo
ドンッ!!

アカ・マナフ「……!?」

コカトリス「どこへ行く?」

アカ・マナフ「いつの間に……っ」

間合いを取ろうと後方へ退くアカ・マナフの背後に、コカトリスが立ちはだかる。

コカトリス「馬鹿は貴様だ」

ドドオオォォォォン!!…ゴオオォォォォ!!

アカ・マナフ「――ッ!!」

ピシッ…ミシミシビキッ…パキンッ

召喚士「よしっ!」

天才「まだ終わりじゃねーぞ!」

召喚士「分かってます!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

アカ・マナフ「……!!」

スフィンクス「じゃんじゃじゃーん!」
627 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:19:05.61 ID:9fO65u6jo
召喚士「いっけえぇーっ!!」

スフィンクス「だーぶーるーろーりんぐー」

グルグルグルグルッ

スフィンクス「ぱーんちっ!!」

バッゴオオォォォォン!!…ズガガガガアアァァァァ!!

スフィンクス「やったぁー!! 粉々に砕け散ったー!!」

召喚士「今だっ!!」

クジャタの周囲に生じた竜巻が、散らばる粉塵を巻き上げ、一気に吹き飛ばす。

ゴオオォォォォ!!

召喚士「……どうだっ」

天才「ご苦労、グッジョブだ」

召喚士「ありがとうございます」

天才「クジャタを囮に使うたぁ、大した発想だよ」

召喚士「天才さんこそ、よく俺の考えが分かりましたね」

天才「俺様に分からん事などない! ハーッハッハ!」
628 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:20:37.47 ID:9fO65u6jo
ザッ

天才「よーし、こっからはじっくり時間をかけていくぞ」

召喚士「……?」

天才「いいか? アカマちゃんの攻撃はだ、あの変なモヤしかないとみえる」

召喚士「まぁ、確かに」

天才「俺様は当然ながら、お前もアレを回避するぐらいは出来るよな?」

召喚士「た、多分……っ」

天才「じゃあ話は簡単。無理に消滅させる必要はねぇ」

召喚士「!?」

天才「消滅させりゃこっちの勝ちだが、そのものは魔王へと還る」

召喚士「あ……っ」

天才「ここは魔王の動きが見えるまで、いや……出来れば討伐まで生かしておきたい」

召喚士「そういう事ですか……っ!」

天才「かと言って、逃がしたら終わりだ。ここはじっくりと攻めるぞ」

召喚士「……はい」
629 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:21:51.54 ID:9fO65u6jo


パアアァァァァ

魔道兵「う……っ」

召喚士「シービショップ、あとは任せたよ」

シービショップ「……ひょっひょ」

天才「遠隔なんて出来んのか?」

召喚士「やった事ないですよ。でも、ここに留まっているわけにはいかないでしょう」

天才「まーな。そんじゃお前さんに任せるわ」

召喚士「はい。シービショップはこのまま残し、進みましょう」

天才「……凄いよなお前」

召喚士「へ……っ?」

天才「いや、誰でもそうなんだろうな。最初は」

召喚士「あ、あの……」

天才「慣れってやつは怖いねぇ。お前も慣れたらお終いだぞ、気を付けな」

召喚士「……?」
630 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:37:45.10 ID:9fO65u6jo
ザッ…タッタッタ

天才「残り魔力は?」

召喚士「半分もありません」

天才「ったく、無駄遣いしすぎなんだよ」

召喚士「……すみません」

天才「まぁいいや。マナちゃんで使い果たすぐらいのきもちでいいぞ」

召喚士「はい」

天才「どうせ、ケリ付けんのはお前の役目じゃねぇ。今回は、な」

召喚士「……」

天才「んで、肝心の標的はどこに行った?」

召喚士「この辺りだと思いますけれど……」

チリッ

天才「――!?」

召喚士「上かっ!!」

ボフウウゥゥゥゥン
631 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:38:51.90 ID:9fO65u6jo
天才「吸うなよ!!」

召喚士「……っ」

上空から滝のように降り注ぐ黒煙。二人は息を止め左右に散ってそれをかわす。

召喚士(……行けっ! クジャタ!!)

シュイイィィィィン

アカ・マナフ「見飽きたわ」

ボフウウゥゥゥゥゥン

天才(何ぃーっ!?)

召喚士(ま、まさか……クジャタを!?)

アカ・マナフ「人間しか操れないなどと、言った覚えはない」

天才(そんなん反則だろうがっ!!)

クジャタ「ウオオォォォォーンッ!!」

キュイイィィィィ!!

召喚士「――!?」

ゴゴウウゥゥゥゥ!!
632 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:40:26.16 ID:9fO65u6jo
召喚士「ぐう……ぅ……っ!!」

アカ・マナフにより混乱したクジャタが、己の主人でもある召喚士へと竜巻を仕掛ける。

その突風に飲み込まれた召喚士は、呻き声をあげながら、大空へと身を投げ出した。

天才(……っ!!)

アカ・マナフ「……フッ」

召喚士「しまっ――」

ボシュウウゥゥゥゥ

召喚士「――っ!!」

ドサッ

天才(…………)

アカ・マナフ「さぁ、どうするかね?」

天才(……あんのタコ! あれほど気を付けろって言ったじゃねぇか!)

ムクリ…スタッ

召喚士「……ほら、かかってきなよ……天才さんよぉ!」

天才(……あぁ、最悪だ)
633 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:41:35.62 ID:9fO65u6jo
〜火山、北西部〜

魔道兵「……た……いちょ――」

隊長「……っ」

南方魔道長「おい、まだか!?」

賢者「そう言われてもねぇ……ふぅ」

パアアァァァァ

隊長「くっそぉ……っ、早く来てくれよ……っ!」

ドドッドドッドドッ

南方魔道長「来たかっ!」

伝令「お待たせ致しました!」

衛生兵「急ぎ、治癒魔法を施すぞ」

ババッ…タッタッタ

南方魔道長「これで何とか、落ち着くかな」

隊長「……」

南方魔道長「……何人ぐらいだ?」
634 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:45:09.97 ID:9fO65u6jo
隊長「100以下だろうな」

南方魔道長「どっちの話だ?」

隊長「見りゃ分かんだろ」

見つめる二人の目には、交戦跡の荒んだ大地と、その上でかろうじて生き延びた数十名が、

ある者は涙を浮かべ、またある者はつい先程まで同胞であったモノに顔を伏せていた。

衛生兵「まずは戦闘不能な者から南西砦へ運べっ」

魔道兵「……くそぉ」

隊長「お前らも動けるなら、南西砦へ退け」

魔道兵「ここまでやられて、退けと言うんですかっ!!」

南方魔道長「気持ちは分かるがな、この人数じゃどうしようもない」

魔道兵「いや、自分は残ります。俺だけ生き延びるなんて出来るかよ!」

隊長「……」

魔道兵「お、俺はもう嫌だっ! 帰る……帰るぞ!!」

自らの同胞を手にかけた記憶は、はっきりと残ったままである。

退く者。その場に残る者。北西の部隊はもはや壊滅的打撃そのものであった。
635 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:46:38.80 ID:9fO65u6jo
隊長「……お前、ここに残れるか?」

南方魔道長「ああ」

隊長「残る事を希望する奴らをまとめ上げて、任務についてくれ」

南方魔道長「……分かった」

隊長「但し、危険が及んだ場合は即座に――」

南方魔道長「当然だ。ここに居る全員が、身をもって分かってる」

魔道兵「……っ」

南方魔道長「それで、アンタはどうすんだ?」

隊長「司令達の後を追う」

南方魔道長「了解した。現状の報告も頼んだぜ」

隊長「……お互い、生きてまた会おう」

南方魔道長「グッドラック」

タッタッタッタッタ

南方魔道長「いいか、残る者はまず、自己防衛を最優先しろ。いいな!」

魔道兵「ははっ!!」
636 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:47:49.97 ID:9fO65u6jo
〜火山、南西平野部〜

召喚士「どうした? かかってこいよ!」

天才「…………」

アカ・マナフ「ふふっ、せいぜい楽しむ事だ」

フワッ

天才(逃がすかよぉ!!)

バッ!!

天才「!?」

召喚士「……ハハハハッ!!」

ズゴオオォォォォン

スフィンクス「ダラッシャアアァァァ!!」

バゴオオォォォォン!!

天才「――っ!!」

召喚士「そうらスフィンクス、もっと痛めつけてやれ」

スフィンクス「でりゃっしゃああぁぁーっ!!」
637 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:48:53.57 ID:9fO65u6jo
ズドオオォォォォン!!

天才「ぐ……っ!!」

召喚士「致命傷を避けるあたりは流石だね」

天才(バカヤロウ……十分効いてるっつーの)

左手で胸部を押さえながら地面に膝をつく天才。右手の大剣を地面へ突き刺すと、

ゆっくりと身を起こしながら左手を光らせる。

パアアァァァァ

天才(無駄な魔力使わせんなよなぁ……)

アカ・マナフ「さぁ、楽にしてやれ」

召喚士「うーるせぇ、テメーは黙ってな!」

アカ・マナフ「……」

召喚士「これはゲームなんだよっ! ハハハハッ!」

アカ・マナフ「……好きにすればいい」

スゥッ

天才(だから逃がすかって……)
638 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:49:28.30 ID:9fO65u6jo
召喚士「おいおい、どこへ行こうってんだい?」

天才(あーうぜぇ。こうなったらいっそ……ブッ飛ばしちまうか)

召喚士「イッツ……ショータイム!!」

シュイイィィィィン…ズゴゴゴゴゴ…

天才(さぁて、こっからが本番か)

召喚士「全っ! 召喚獣! 召喚ンンンンーッ!」

召喚士の背後にそびえるスフィンクス。前方にはユニコーンとスキュラ。

上空にはコカトリス、ワイバーン、ペガサス、サンダーバードが羽を広げ、

そして9体のワルキューレが布陣するように、天才の周囲をぐるりと囲み始める。

召喚士はゴーレムとザントマンの間に立ち、組んでいた腕をそっと解すと、声をあげた。

ビシッ

召喚士「総攻撃開始イイィィ!!」

グアッ!!…バシュウウゥゥゥゥ!!

天才(バ……ッカヤロー! 即死コースなんてもんじゃねぇぞ!)

一斉攻撃を始める召喚獣達に迎え撃つ態勢をとりながら、天才は苦笑した。
639 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:50:36.69 ID:9fO65u6jo
〜火山、東部〜

魔道兵「配置、つきました!」

男隊員「よーし。これで残すは北東の1ヵ所のみ」

女隊員「もうちょいッスよ。頑張るッス!」

騎兵「はっ」

ここまで火山をぐるりと、逆時計回りに行軍を続けてきた一同。流石に疲労が見え始める。

男隊員「そんじゃ出陣」

オオォォォォ…

男隊員「あん?」

女隊員「どうしたッスか?」

男隊員「今、何か……聞こえなかったか?」

女隊員「いや、特に――」

ズドドドドッ

魔道兵「うわっ!」

馬「ヒヒイイィィーン」
640 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:51:12.50 ID:9fO65u6jo
騎兵「お、落ち着けっ! 地震か……?」

男隊員「……」

ズドドドドッ

女隊員「またッスよ!」

男隊員「敵……じゃねぇな」

女隊員「……?」

男隊員「まさか……っ」

バッ!!

女隊員「火山……まさか火山が!?」

男隊員「いやいや、噴火の兆しなんぞこれっぽちも見当たらんだろ。ただの地震――」

ズドドドドッ!!

女隊員「ち、ちょっと……デカくなってないッスか!?」

男隊員「急ぐぞ! 北東まで真っ直ぐ飛ばせ!」

騎兵「し、出陣っ!」

ドドォ…パッカパッカパッカ…
641 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:51:41.84 ID:9fO65u6jo
〜火山、北部〜

魔道士「い、今のって……」

幼女「……っ」

弓使い「大丈夫よ。すぐに収まるわ」

ズドドドドドッ!!

大軍師「まずいですね」

剣士「まさか、魔王がこちらの動きに気付いて……!?」

大軍師「分かりません。しかし、この揺れは何かある……」

ジュニア「どーすんだ!?」

大軍師「火口まで近づきましょう。マグマを冷やします」

ジュニア「おいおい、この人数でか!?」

大軍師「貴方達ほどの実力者揃いなら、何の心配もありませんよ」

ジュニア「おだてて魔力が上がるなら苦労はしねぇぞ」

大軍師「ふふっ、さぁ……急ぎましょう」

召喚士「はいっ!」
642 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:52:23.88 ID:9fO65u6jo
〜北東手前の山〜

バーテン「今、少し揺れなかったか?」

戦士父「揺れたな」

バーテン「魔王かねぇ」

戦士父「そうだといいがな」

ザッ…テクテクテク

戦士父「そろそろ準備しておくか」

バーテン「お前は受け取って、投げる事だけに専念しとけ」

戦士父「……」

バーテン「風や気圧は俺が読んでやる」

戦士父「助かる」

バーテン「……素手でいくのか?」

戦士父「滑って取りこぼしたなどと、笑い話にもならんからな」

バーテン「……右手、捨てる気か」

戦士父「片腕1本あれば、武器は振るえるんだとさ」
643 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:53:23.67 ID:9fO65u6jo
〜北東奥の山〜

ピクッ

盗賊「……?」

戦士「どした?」

盗賊「……いや、何でもない」

戦士「……」

盗賊「わずかだが、揺れと異音がした」

戦士「地震か?」

盗賊「……どうだろ」

戦士「ふあぁ。さて……あと少しか?」

盗賊「仮眠でも取っておいたらどうだ?」

戦士「そ−だなぁ。15分くらい寝ておくか」

盗賊「その間の事は任せておけ」

戦士「ああ、頼むわ。まぁこんな所に魔物なんぞ来ねーだろうけど」

盗賊「……おやすみ」
644 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:54:14.55 ID:9fO65u6jo
〜火山、南西平野部〜

天才「くそったれええぇぇ!!」

最早、呼吸など気に留めている場合ではない。天才は久しく得る事のなかった感覚を得た。

それは死の感覚。直結する死への道のり。予言で結果が出ていると分かっていても、

所詮は運命。運命は変わる。死から生、生から死へ、いつでも表裏は変わる。

天才(研ぎ澄ませ。道はあるはずだ……!)

窮地へと陥った天才は、瞬時にその表情を引き締める。

それは、普段決して見せる事のない、彼の本気というものであった。

天才(左に2歩、次に後方右斜め上。んで……ペガサスを迎撃)

ヒュバッ!!…タタッ

召喚士「逃がすなぁ!!」

バッ!!

ユニコーン「飛んだぞ!!」

スキュラ「後ろ――」

ペガサス「な……っ!!」
645 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:55:15.54 ID:9fO65u6jo
天才「まずは……1匹!!」

ザシュウウゥゥゥゥ!!…ズガガアアァァァァ!!

召喚士「ぐふ……っ!」

ワイバーン「回り込め!!」

コカトリス「……」

バシュウウゥゥゥゥ

天才(隙間を潜れる……が、その先にワルキューレが3体。だったら右か)

シュバッ!!

ワイバーン「軌道を無理矢理変えただとぉ!?」

ゲルヒルデ「わっ!!」

天才「どいてろっ!」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

アカ・マナフ「何だあいつは……っ」

天才「おらああぁぁ!!」

アカ・マナフ「まるで、未来が見えているようではないか」
646 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:55:58.92 ID:9fO65u6jo
天才「邪魔だああぁぁぁぁ!!」

ズッガアアァァァァン!!

召喚士「がはぁ……っ!!」

ガクン

天才「もうちょいで……オーバーヒートだぜ」

アカ・マナフ「仕方ない。奴も操るとするか」

スゥッ…

天才「――!?」

アカ・マナフ「……」

天才「だっりゃああぁぁ!!」

ワイバーン「ば、化け物か……っ」

スキュラ「ウオオアアァァァァ――」

バシュウウゥゥゥゥ

アカ・マナフ「……クククッ、そうら」

天才「見えてるぜ?」
647 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:56:34.85 ID:9fO65u6jo
アカ・マナフ「!?」

天才「背後からモヤってんだろ? お見通し――」

キイイィィィィン

天才「あぐ……っ!!」

アカ・マナフ「……?」

サンダーバード「苦しんでいるぞ? 今がチャンスだ!」

天才「……何だってんだよ……畜生……っ!」

サンダーバード「喰らええぇぇ!!」

ガカアアァァァァ!!

天才「ぐはぁ!!」

ドシャァ

アカ・マナフ「……すぐ楽にしてやる」

ボフウウゥゥゥゥ

天才「……っ」

落雷を浴び倒れる天才の意識は、徐々に遠のいていく。
648 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/07(火) 18:58:16.70 ID:9fO65u6jo
アカ・マナフ「……フッ」

バチィ!!

アカ・マナフ「!?」

スタッ…ザッザッザ

天才「……あ……ん?」

ハヌマーン「ふむ、生きているな」

マーマン「何がどうなってんだ? 召喚士……?」

オーク「あの空に浮いてる奴が……敵!?」

スタスタスタ…スッ

天才「お前……」

法師「そのまま動かないで下さい」

パアアァァァァ

法師「これで、傷は癒えたはずです」

天才「……助かったぜ」

法師「いえいえ」
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/07(火) 19:03:09.61 ID:9fO65u6jo
なんだか書き込みエラーのメッセージが凄い…
それではここまでにて!ご支援感謝感謝!
少ない時はたまには全レス…それでは!!ノシ

>>618
はいな妹は分かりませんが、妹より姉の方が好きです!

>>619
うぅ…

>>620-621
対人無敵召喚獣、ザントマン!ヒーロー戦隊ものっぽい!

>>622
ありがとうございます!
あとでこっぴどく怒られてると思います
650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/07(火) 19:05:46.65 ID:qkSTKtFHo
乙!
しかし召喚士、一応主人公なのに操られて、>>641にまで…
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/07(火) 19:59:56.61 ID:sauQFZNAo
>>641の召喚士自重
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/06/07(火) 20:03:06.36 ID:pRpHJuI20
大軍師のとこにまで出張して
忙しいねまるで主人公みたいだ
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/07(火) 20:06:28.82 ID:+WSEsi/DO

剣士ファミリー頑張れ!
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/07(火) 20:50:57.65 ID:XE0Qt5LAO
>>1

召喚士…これって、最高にhighってやつなんじゃあ…
ビシッっとか決めちゃうあたり、楽しそうで何よりだが
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/08(水) 00:33:57.95 ID:oXmHzuKAO
全召喚獣を召喚するシーンは見開きで2ページ使うくらい壮大な絵になりそうだな
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/08(水) 00:43:18.56 ID:xut6WcyAO
なんか召喚士楽しそうだなww
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/08(水) 01:10:18.25 ID:I3r2vwUMo
普段ストレス溜まってるのか・・・・・・wwww
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 01:24:27.57 ID:T/Nwm7nKo
1おつ
でも未来の嫁さんの伯父さんだよ?
召喚士やっちゃったね
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/06/08(水) 05:17:40.98 ID:yY5+vOGt0
>>1
召喚士って抑えこむタイプっぽいよなww
なんか生き生きしててワロタ
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 08:14:53.69 ID:p068+jMDO
召喚士
眷属の牽制を任されるも操られる

戦士
魔王に決定打を与えるきっかけを作る役を任せられる

どっちが主人公ry
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/08(水) 09:11:39.48 ID:bw2bkHBpo
チリでアンラ・マンユがお怒りだぞ
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/08(水) 09:12:08.89 ID:bw2bkHBpo
チリでアンラ・マンユがお怒りだぞ
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/08(水) 09:12:34.74 ID:bw2bkHBpo
チリでアンラ・マンユがお怒りだぞ
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 12:26:23.63 ID:IeVekefDO
ついに追いついてしまった
とりあえず乙
これからも楽しみにしてますよ
665 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:34:10.61 ID:sraBQrQUo
召喚士「邪魔すんじゃねぇよ」

ハヌマーン「あやつは一体、どうしたのだ!?」

天才「アカ・マナフに攻撃食らって操られてんだ」

オーク「えぇ!?」

マーマン「何やってんだよ全く……」

法師「とにかく、正常に戻すしかありませんね」

天才「かと言って、手立てはない」

マーマン「じゃあ倒すってのか?」

天才「幸い、奴は召喚士だ。本体を狙う必要はねぇ」

法師「成程。召喚獣を狙い、魔力枯渇に追い込むと?」

天才「枯渇しないにせよ、数体潰せば戦闘不能にはなんだろ」

ハヌマーン「ふむ。それで、あの眷属はどうするのだ?」

天才「あれは俺様は押さえ込む。気にすんな」

ハヌマーン「いや、あの眷属は我らが引き受けよう」

天才「あん?」
666 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:36:23.59 ID:sraBQrQUo
ザッ

マーマン「俺っちらは魔族。つまり、操ろうったってそうはいかねーんだ」

天才「ほぉー。人間と召喚獣は操れても、お仲間さんは無理ってか」

アカ・マナフ「……ッ」

マーマン「図星なんだろ? なぁ!!」

バッ!!

ハヌマーン「オーク、我らも続くぞ」

オーク「はいです!」

ザザッ…タンッ

アカ・マナフ「裏切り者めがぁ……っ!」

召喚士「ハハッ、させないよ!」

スフィンクス「ラッシャアアァァァァ!!」

バッ

天才「いーから寝てろ」

立ちはだかるスフィンクスの頭上へ現れた天才は、ツヴァイハンダーを力任せに振り下ろす。
667 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:37:14.90 ID:sraBQrQUo
ゴッシャアアァァァァ!!

スフィンクス「――ッ!!」

スタッ

天才「今だっ、抜けろ!」

ハヌマーン「かたじけないっ」

シュバッ…タタタッ

天才「どーだい、ツヴァイハンダーフュンフの一撃……」

スキン

天才「……っ」

召喚士「ぐく……っ、怯むな! 総当りだ!」

ゴウッ!!

サンダーバード「ヒャアアァァァァ!!」

コカトリス「……」

天才(左へ回避。その後に飛んでコカトリスを迎――)

キイイィィィィン…ザーッ
668 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:39:38.57 ID:sraBQrQUo
天才「うぐっ!!」

ユニコーン「隙ありいぃ!!」

バゴォッ!!…ドシャアァ

天才「な……んなんだよ……っ」

ググッ…ズザッ

天才(さっきから脳裏に浮かぶのは何なんだよ!)

召喚士「いいぞぉ!! トドメトドメエエェェェェ!!」

天才(邪魔しやがる絵は何なんだよ!)

オルトリンデ「そーら、吹っ飛びな!」

バキャアァ!!

天才(あの……赤い球は何なんだ……っ)

ジークルーネ「とどめ……っ!」

天才「こ……んのクソがぁ!」

ギュルッ…ズバシュウウゥゥ!!

天才「……はぁ、しんど」
669 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:40:38.86 ID:sraBQrQUo
ヒュンッ…フォン

アカ・マナフ「……」

ハヌマーン「左右から挟むぞ!」

マーマン「おうよ」

オーク「こんのぉー!」

ブンッ!!

オーク「こいつ、攻撃が効かねぇです!」

ハヌマーン「実体がないのだろうな」

マーマン「魔法か……」

ズザッ

マーマン「おらよおぉーっ!」

ドドオオォォォォン…ザッパアアァァァァン

アカ・マナフ「凄まじい水量だな。しかし、無駄な事」

ボフウウゥゥゥゥ

マーマン「あいつ自身も形状変化すんのかよっ!」
670 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:42:03.58 ID:sraBQrQUo
ハヌマーン「これは相当、骨が折れそうだな」

タタッ…ズザザァ

天才「法師の護衛をしろっ! こいつは人間を操るぞ!」

マーマン「おぉーっと、そうだった!」

オーク「俺が行くです!」

ザザッ

ハヌマーン「どうやってこやつを葬る算段か?」

天才「まだ葬る必要はねぇ。とにかく逃げないよう、ここで押さえ込む」

マーマン「そういう事なら攻撃あるのみだな!」

ハヌマーン「召喚士は?」

天才「ハーッハッハ! ……手に負えん」

ハヌマーン「……全く」

天才「でけぇのは消滅させた。あとは細々したのを片付けるだけだ」

マーマン「一旦、スイッチすっか?」

天才「おー。助かんぜ」
671 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:43:36.74 ID:sraBQrQUo
ハヌマーン「マーマン。まずは地上の召喚獣を殲滅するぞ」

マーマン「あいよっ」

タッタッタッタッタ

天才「さーてアンちゃん。再び俺様とデートの時間だ」

アカ・マナフ「……」

天才(今のツヴァイハンダーなら、五行付加で相当のダメージを与えられる)

アカ・マナフ「……しつこい奴だ」

天才(先読みはさっきから不安定だし、正面からやるしかないかねぇ……)

ザッ…チャキッ

天才(……ははっ、こりゃあ……サタンまで持ちそうにねーわな)

ドンッ!!

アカ・マナフ「早いっ!!」

周囲に発生する黒いもやを滑らかな動きで回避し、天才はアカ・マナフの元へと間を詰める。

それはアカ・マナフが咄嗟に身を煙状へ変える前に、間合いへ届く程の速さであり、

その勢いのまま五行により白く輝くツヴァイハンダーを、標的へと振り下ろした。
672 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:44:47.48 ID:sraBQrQUo
ズッガアアァァァァ!!…ドドオオォォォォ!!

アカ・マナフ「グゥ……ッ!!」

天才(復元の時間は与えねぇ!)

ズバシュウウゥゥゥゥ!!

アカ・マナフ「……っ」

天才(どうだい、みるみる魔力が減っていく様を感じるだろ?)

アカ・マナフ「人間風情が……なめるなよ!!」

天才(ナメるかっての。こっちは……大真面目だっ!)

ザシュウウゥゥゥゥ!!…ズガアアァァァァン!!

アカ・マナフ「こいつ……っ!」

スタッ

天才(……ふー。ま、もっとも……魔力失うのはお互い様だけどな)

アカ・マナフ「……ふむ」

天才「……?」

アカ・マナフ「……貴様と戦っても、余り得る物はなさそうだな」
673 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:46:10.43 ID:sraBQrQUo
スゥッ

天才(逃がすかよっ、ボケ!)

アカ・マナフ「主も間もなく、整うであろう」

ヒュッ

天才「!?」

アカ・マナフ「別の人間を……狩るとしようか。ククッ」

天才(させっか!!)

ザザッ…タッタッタッタッタ

ヘルムヴィーゲ「おぉーっと、この先はイカせないよ!」

シュヴェルトラウテ「ほらほらぁ、かかってらっしゃ――」

天才(邪魔だっつってんだろうがよっ!!)

キュイイィィィィ…ドドオォォォォンッ!!

天才(えーと、ワルキューレ何体目だっけか? まぁいいか)

ザッ

天才(さてさて、面白い構図になってるが……後は任せたぜ!)
674 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:47:42.74 ID:sraBQrQUo
ザザッ

ハヌマーン「……」

マーマン「……」

召喚士「……」

天才の考えをそのまま述べれば、面白い構図とはまさにこの事。

この図を見れば人間が魔物を葬ろうとしている、そう思っても不思議ではない。

だが実際は、魔物に操られた人間が、良心を持った魔賊と対峙しているのだ。

ハヌマーン「……」

サンダーバード「ケキャキャキャキャーッ!!」

マーマン「上っ!!」

ハヌマーン「分かっている!」

シュバッ…クルクルクルッ…バッッキャアアァァ!!

サンダーバード「グゲェーッ!!」

ハヌマーン「間合いなら、幾らでも伸ばせるぞ」

手にした如意棒が長く伸び、突進するサンダーバードをい打ち落とす。
675 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:48:36.88 ID:sraBQrQUo
召喚士「はぁ……はぁ……はぁっ」

ハヌマーン「だいぶ、息が上がっておるようだな」

マーマン「魔力の使いすぎだよ」

ハヌマーン「にも関わらずこれだけの召喚獣を……」

ゴーレム「……」

ザントマン「……ヒヒッ」

ハヌマーン「いやはや、恐ろしいものだな」

マーマン「全くだよ。味方の時は恐ろしいほど頼もしいけどな」

召喚士「魔物どもがぁ……邪魔すんじゃねぇぞ……!!」

オーク「こ、怖いっ!!」

マーマン「安心しろ、お前さんのツラのがよっぽど怖い!」

オーク「えぇ!?」

ハヌマーン「来るぞ!」

ゴーレム「オオォォォォン!!」

召喚士「ハハハハッ!! 死ね死ね死ね死ね!!」
676 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:49:59.08 ID:sraBQrQUo
タッタッタッタッタ

天才「……」

アカ・マナフ「しつこい奴だな」

天才(いやがった!)

ズザザッ

アカ・マナフ「……面倒だが、仕方あるまい」

背後に迫る天才を察知し、アカ・マナフは空中で停止する。

そして振り向きざま、形状を変化させ、天才をドーム状にもやで覆い始めた。

天才「!?」

アカ・マナフ「濃度をあげれば、どうなるかな?」

天才(閉じ込めるつもりか……っ)

アカ・マナフ「脱出不可能。いつまで息が持つ事やら……」

天才(……こりゃ、待っても開放されそーにねーわな)

もやに覆われた中で、天才はツヴァイハンダーを地面に突き刺し、魔力を増幅させる。

天才(若干、自分へのダメージも覚悟だが、逃がすわけにゃいかねぇ)
677 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:51:04.79 ID:sraBQrQUo
キュイイィィィィ…

天才(五行でまとめて消し飛ばす!)

アカ・マナフ「むっ!?」

天才が五行を放とうと構えた瞬間、アカ・マナフはその拘束を解いた。

ボフウウゥゥゥゥ

天才(……!?)

アカ・マナフ「何者だ……?」

ガサッ…テクテクテク

女賢者「……あら、邪魔しちゃった? ごめんなさいね……んふっ♪」

天才「てめぇ! どこをほっつき歩いて……しまった!」

アカ・マナフ「……ククッ」

ボフウウゥゥ……バシュンッ!!

アカ・マナフ「!?」

女賢者「何か怪しげなもやもやだったから……吹き飛ばしちゃった♪」

天才「こいつが居れば、息を止めとく必要もねぇか」
678 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:51:48.53 ID:sraBQrQUo
女賢者「やっぱりマズイ系のもやもや?」

天才「超マズイ系。発生したらその都度吹き飛ばせ」

女賢者「了解〜んふっ♪」

アカ・マナフ「いつまで続くか……」

天才「おぉっと、コイツの魔力はハンパねーぞ?」

アカ・マナフ「……」

天才「3日3晩、マナちゃんとやりあっても持つかもしんねーぞ?」

女賢者「おっと」

ゴウッ!!

天才「いいねぇ〜。愛してるぜぇ!」

女賢者「……っ!!」

ゾクゾクゾクッ…ピクッ

女賢者「そんな事……言われたらぁ〜」

ゴゴゴゴゴゴ

女賢者「魔力、溢れちゃうわよおぉぉ〜! んふっ♪」
679 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:52:54.56 ID:sraBQrQUo
ドッドオオォォォォン!!…ゴアオオォォォォ!!

天才「吹き飛ばしすぎだっ!! この馬鹿女ぁ!!」

女賢者「そ、そんなぁ〜」

ゴオオォォォォ

アカ・マナフ「……ちぃっ」

ガガガガッ…バシュウウゥゥ

アカ・マナフ「……人間の分際で」

スタッ

天才「もう鬼ごっこは、終わりにしようぜ!」

アカ・マナフ「!?」

天才「五行……聖!!」

キュイイィィィィ…ガカアアァァァァ!!

天才「消滅はさせねぇ……。ギリギリんとこで寸止め――」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

天才「な……んだよ……ありゃあ……っ」
680 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:54:03.71 ID:sraBQrQUo
〜火山〜

タッタッタッタ…ピタッ

ジュニア「……?」

ゴゴゴゴゴゴッ!!

幼女「きゃっ!」

剣士「で、でかいぞ……っ!」

大軍師「身を伏せてっ! 落石などに注意を!」

魔道士「は、はいっ!」

ゴゴゴゴ…ドドドドドドッ!!

弓使い「何だか暑くなってきたわね……っ」

名代「まさか……噴火が!?」

ジュニア「このタイミングでかよぉ!」

大軍師「い、いや……っ!!」

魔道士「あれは……何っ!?」

一同が火山の斜面で目撃したもの。それは有り得ない光景であった。
681 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:55:54.81 ID:sraBQrQUo
〜火山、北東部〜

男隊員「何だよあれはよぉ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

女隊員「――っ!!」

火山の火口部分が赤く変色し、内部より大量のマグマが吹き上げられる。

その瞬間、マグマは一気に大爆発を起こした。

ズッドオオォォォォォン!!…ゴゴガアアァァァァ!!

立ち上る火柱はどんな魔法や召喚獣などとは桁外れの大きさであり、

その熱量と真っ赤に燃える変色で、周囲の光景は一瞬で別世界へと姿を変えた。

女隊員「ままっ、まずいッスよぉ!!」

男隊員「落ち着け!! 魔道兵どもっ、布陣は!?」

魔道兵「で、出来てますっ!!」

男隊員「よし、いいか? 何があっても焦らず、任務を遂行しろ。作戦通りだぞ!」

魔道兵「了解であります!」

布陣を確認した2人の特殊襲撃隊員と騎兵は、北部へと急ぎ戻っていった。
682 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:57:59.80 ID:sraBQrQUo
ドドドドオオォォォォ

幼女「うぅ……っ!!」

弓使い「しっかり掴まってて!」

ジュニア「駄目だ、ここは一旦退却しようぜ!」

大軍師「……おかしいですね」

名代「ええ、噴火したにも関わらず、溶岩や噴煙が一切ないとは……」

剣士「あれをっ!!」

魔道士「!?」

剣士「マグマが……空中で凝縮しているっ!?」

ジュニア「ど、どういう事だよ!!」

大軍師「……」

名代「まさか、塊にでもなると言うのか……っ?」

大軍師「そんな……まさかあれを、落とすつもりなのか……っ」

ジュニア「落とすだぁ!? そんな事されてみろ、ここはおろか本国が消し飛ぶぞ!!」

大軍師「……やってくれますね、アンラ・マンユ!」
683 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 17:59:06.92 ID:sraBQrQUo
〜火山、南西部〜

天才「……っ」

遠めからでもはっきりと、その存在は大きく、そして赤く確認出来る。

火山から噴出したマグマは順々に、上空へと停滞し、吸収され、一塊へとなってゆく。

女賢者「な、何なの……っ!?」

アカ・マナフ「主……主よぉ!」

天才「赤い球……」

アカ・マナフ「クハハッ! これでもう、貴様等は終わりだな」

天才「……どうだかな」

アカ・マナフ「……何だと?」

天才「予言にゃそんな絶望的な結末は出なかった」

アカ・マナフ「……」

天才「つまり、この程度の事は何ら問題ないって事だ。ハーッハッハ!」

アカ・マナフ「何が予言だ、精々ほざいているが良い」

天才「そりゃこっちの台詞だ。段々と小者臭が出てるぜ? アカマナフちゃんよぉ!」
684 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 18:06:05.87 ID:sraBQrQUo
〜火山、南西平野部〜

召喚士「そらそらっ、どうしたぁ!!」

ブリュンヒルデ「てやああぁぁ!!」

ザシュッ!!

オーク「うあぁ!!」

法師「オーク!!」

オーク「大丈夫です。法師様、下がってて!」

マーマン「こんのやろぉ!!」

ドドオオォォォォン

スキュラ「ハーッハッハッハ!! そんな水……全て凍らせてくれるわあぁ!!」

ガガキキイイィィィィン!!

ブリュンヒルデ「さぁ、豚の串焼きにしてやろうかしら」

オーク「……っ」

ブリュンヒルデ「死になさい!!」

オーク「ひぃ!!」
685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 18:09:52.83 ID:sraBQrQUo
ガクン

召喚士「!?」

ハヌマーン「……?」

マーマン「何だっ? 召喚獣の動きが止まったぞ……?」

オーク「あっ!! あれ見るです!!」

召喚士の周囲に漂っていた黒いもやが、徐々に上空へと飲み込まれていく。

マーマン「な、何だってんだ……?」

ハヌマーン「おそらく、アカ・マナフの魔力が低下したのであろう」

法師「成程。それで制御しきれずに……」

ハヌマーン「それと、己の回復へと回す為に、回収したのでしょうな」

召喚士「…………」

ドサッ

オーク「あっ! 召喚士さんっ!?」

マーマン「も、もう大丈夫だよな……っ」

周囲から召喚獣が消えたと同時に、マーマンは恐る恐る、倒れこむ召喚士へと近づいた。
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/08(水) 18:12:34.13 ID:5P56BOdDO
出掛けるので一旦ここまでです
687 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 18:12:59.43 ID:sraBQrQUo
ソローッ…ツンツン

召喚士「……ん……っ」

マーマン「お、おーい……生きてっかぁ?」

ハヌマーン「お主は何をしている」

マーマン「だってよ、またいきなり起き上がって、おそいかかってきたり――」

ガバッ!!

マーマン「うわああぁぁーっ!!」

召喚士「……!?」

キョロキョロ

召喚士「マーマン……さん!? それに、他の皆さんも……っ」

法師「どうやら無事、元に戻ったようですね」

召喚士「へ……っ?」

ハヌマーン「何も覚えておらんようだな」

召喚士「俺、何か……あっ、そういえば……っ!!」

徐々に操られていた際の記憶が蘇る召喚士は、そのおぞましい行為に下唇を噛みうな垂れた。
688 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/08(水) 18:28:03.08 ID:sraBQrQUo
マーマン「まぁまぁ、そう気を落と――」

召喚士「でも、操られていたとはいえ俺は……」

マーマン「…………」

召喚士「……マーマンさん?」

ハヌマーン「どうし……何だあれは!?」

マーマン「魔王だ……アンラ・マンユの野郎っ、なんて事を……っ!」

オーク「あ、あの火の玉みたいなの……なんです!?」

マーマン「火の玉だよ……火山のマグマで出来た火の玉さ!」

召喚士「そ、そんな……っ」

ハヌマーン「どうにかなるものではない。だが、阻止せねばならん」

マーマン「俺っちの水で、助けになるとは思えねぇが……」

オーク「法師様っ!」

法師「ええ、参りましょう。何かしらのお手伝いは出来るはずです」

召喚士「……先に、行ってます!」

制止しようとする一同に目もくれず、召喚士はコカトリスそ召喚し、その背中に飛び乗った。
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/08(水) 18:29:44.85 ID:sraBQrQUo
それではここまでにて!ご支援ありがとうございます本当にもう…

>>641は召喚士ではなく、魔道士の間違いでした…ごめんなさい!

>>664
ありがとうございます!どうぞ宜しくお願い致します!

690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/08(水) 19:55:14.97 ID:+U2X6FRAO
あれ?召喚士強杉じゃね?
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/06/08(水) 20:03:28.66 ID:fA8cqDzAO
>>686
誰だ?wwww
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/08(水) 20:10:36.16 ID:o/iApItAO
>>1

落ち込むなよ召喚士、あの時のお前はそりゃあもう輝いていたよ
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/08(水) 20:12:29.53 ID:o/iApItAO
>>1

落ち込むなよ召喚士、あの時のお前はそりゃあもう輝いていたよ
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/08(水) 20:14:26.03 ID:o/iApItAO
お、おい…混雑してて書き込めない。って、お前そう言ったじゃないか…
あれは嘘だったのかよ…っ!!



すみませんでした
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 21:22:48.67 ID:KjWqd8SDO
主人公補正くらい許してあげて
696 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/08(水) 23:06:28.67 ID:3iKyOLqDO
行け!!クリトリス
697 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/08(水) 23:55:59.08 ID:GFPM9EeDO
>>1
女賢者の年を知りたいです
698 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/09(木) 03:43:57.55 ID:TqpUe30u0
1乙
召喚士の魔翌力底なしか…
699 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/09(木) 08:01:13.20 ID:NcfT9WuAO
絶倫…ゴクリ
700 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/09(木) 12:23:49.26 ID:0frLY5Hto
絶倫♂召喚士
701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 16:58:15.32 ID:s4TWhXpTo
……――

戦士「ほぎゃあ! ほぎゃあ!」

戦士母「よしよし。ほらっ、もう泣かないの」

戦士「びええぇぇ!!」

テクテクテク

左翼長「何だ、また泣いてるのか?」

戦士母「あら……兄さん、来てたの?」

左翼長「今来たところさ。ほーれ戦士、泣いてたら強い男にはなれんぞ?」

戦士母「伯父さんが来てくれたわよ〜。良かったわねぇ、戦士」

戦士「……ひぐっ」

戦士父「お前があやすと、すぐに泣き止むよな」

左翼長「よーし。そんじゃ将来は、俺が立派な弓兵に育て上げてやろう」

戦士父「それは駄目だ。国軍一の槍兵になって貰う予定だからな」

戦士母「もう……二人とも、気が早すぎるわよ〜。うふふっ」

戦士「きゃっきゃっ!」
702 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 16:58:47.05 ID:s4TWhXpTo
――……

盗賊「戦士!!」

戦士「……お、おぉ」

ガバッ

盗賊「あれを見ろ!」

戦士「あん? な、何だありゃあよ……っ!!」

盗賊「……分からない。突然、火山が噴火して……あのように」

戦士「噴火!? まさか魔王が……。つーかあれが火山のマグマだってのか!?」

盗賊「……うん」

戦士「動きは!? 発光弾は上がったのか!?」

盗賊「……いや、まだだ」

戦士「……どうするつもりだ。あのまま放っておいて大丈夫なのかよ……っ」

盗賊「……」

戦士「動けねぇのは不甲斐ないが、本来の目的を放り出すはけにはいかんからな……」

盗賊「……うん」
703 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 16:59:13.90 ID:s4TWhXpTo
〜火山〜

大軍師「魔王の姿は……ないようですね」

ジュニア「それよりも、どーすんだよ!?」

青年兵「確かに。この状態が長く続けば混乱を招きかねませんよ」

大軍師「確かに。各、魔道兵にも不安が広がってしまいますね」

名代「どうなさるので?」

大軍師「青年兵、どう思います?」

青年兵「……やるしかないと思います」

大軍師「でしょうね。私も同意見です」

ザッ

大軍師「直ちに、作戦開始の発光弾を打ち上げて下さい!」

伝令「ははっ!」

ジュニア「これで、リミットは1時間……」

大軍師「もう後には退けませんよ。やるしかありません」

青年兵「……はい!」
704 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:00:06.52 ID:s4TWhXpTo
まだ夜明けを迎える前の空。しかしマグマの巨大な球により、

辺りが赤く照らせている中、複数色の発光弾がその下で光る。

バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「始まったか!」

コカトリス「あそこへ向かえば良いのか?」

召喚士「うんっ。みんながいるはずだ!」

コカトリス「よし」

〜火山、南西部〜

マーマン「あの光は何だ?」

タッタッタッタ

隊長「おっ」

ハヌマーン「お主は確か……」

隊長「アカ・マナフは?」

法師「既に場を移動致しました」

隊長「……そうか」
705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:01:18.57 ID:s4TWhXpTo
マーマン「今の光は何なんだ?」

隊長「作戦開始の合図だ。火山へ向かう」

法師「そういう事なら、我らも共に参りましょう」

隊長「しかし……」

法師「大した力にはならぬやもしれません。しかし、塵も積もれば……です」

隊長「……助かります」

ハヌマーン「マーマン。我らは先に参るぞ」

マーマン「お、おう。オーク、法師様を頼んだぜ」

オーク「分かってるです!」

ザザッ…タタタッ

隊長「さて、我らも行きましょう」

法師「はい。宜しくお願い致します」

隊長「こちらこそ。塵の意地、見せてやりましょうや」

法師「……ええ」

隊長と法師、そしてオークは、先行した2匹を追うように、火山へと真っ直ぐ進んだ。
706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:02:16.42 ID:s4TWhXpTo
〜火山、南東部〜

おさげ「……何なのよぉ!」

アマゾネス「全員、支度は出来たか?」

女兵「長……っ、あれは何なのです!」

アマゾネス「さぁな。しかし、良い事態だとは思えんな」

おさげ「だ、大丈夫ですよねっ!? みんな……助かりますよね」

アマゾネス「助かる為に戦っているだろう。我らも信じて、力を貸すしかない」

おさげ「……っ」

〜火山、北部〜

男隊員「いたっ!」

魔道兵「!? ご、ご苦労様であります!!」

男隊員「大軍師達は!?」

魔道兵「さきほど、火山へと……っ」

女隊員「さっきの発光弾は……」

男隊員「状況は分からんが、作戦は決行って事だな」
707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:03:37.95 ID:s4TWhXpTo
女隊員「どうするッスか?」

男隊員「俺らも火山へ向かうしかねーだろ」

女隊員「でも、隊長は……」

男隊員「そんなん指示を待ってる暇はねぇ!」

女隊員「……」

男隊員「それに、隊長だってきっと、向かってるはずだ」

女隊員「そう……ッスよね!」

男隊員「いいか? ここがゾディアックの起点にもなる場所だ」

魔道兵「はい!」

男隊員「自分達の力を信じて、一泡吹かせてやれ!」

魔道兵「了解でありますっ!!}

男隊員「……そんじゃ行くぞ」

タッタッタッタッタ

女隊員「なかなか、サマになってたッスよ」

男隊員「そんなつもりじゃねぇよ。バーカ」
708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:04:44.39 ID:s4TWhXpTo
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……ん!? あれは……っ!!」

上空から前に見えるは、2人の男女と1匹の眷属の姿。

召喚士「天才さん!」

コカトリス「その前に居るのは、アカ・マナフではないのか?」

召喚士「本当だ! よし、先回りして動きを封じよう」

コカトリス「うむ」

バシュウウゥゥ…バサァ

召喚士「よし、追いつける! だいぶ弱っているようにみえるな」

タタタッ…ザザッ

天才「コカトリス……?」

上空を通過し、天才の先を進むアカ・マナフの前で反転するコカトリス。

その姿を見て天才は、咄嗟に召喚士へ首を振るジェスチャーを見せた。

召喚士「!?」

天才(分かってんだろ、お前ならよ)
709 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:05:42.72 ID:s4TWhXpTo
コカトリス「どうする? 仕掛けるか?」

召喚士「……いやっ、再度上昇を!」

コカトリス「うむ」

バシュウウゥゥゥゥ

アカ・マナフ「しつこい奴等だ……っ」

コカトリス「このままではみすみす逃がす事になるぞ?」

召喚士「いや、これでいいんだ」

コカトリス「……?」

召喚士「天才さんはおそらく、アカ・マナフをこのまま泳がせるつもりだ」

コカトリス「そうか。魔王の元へ戻らせぬように……」

召喚士「いや、逆だよ」

コカトリス「逆?」

召喚士「アカ・マナフは今、魔王の元へ戻ろうとしている」

コカトリス「ああ、そのように思えるが」

召喚士「つまりは……そこに魔王がいる!」
710 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:06:22.46 ID:s4TWhXpTo
タッタッタッタッタ

天才(アイツが逃げる先は間違いなく、アンラ・マンユの所だ)

女賢者「ねぇ、逃げちゃうわよ……?」

天才「いーんだよ。逃げた先に、魔王がいる」

女賢者「えっ!?」

天才「手っ取り早く、魔王様の元へと案内して貰おうぜ」

女賢者「な〜るほどっ♪」

天才「出来れば、外に出てきて貰いてぇところなんだが……」

アカ・マナフ「……主よ」

天才の思惑通り、アカ・マナフは火山内部へ向かう事なく、上空を真っ直ぐ進む。

しかし、ここで天才は予期せぬ出来事に直面した。

天才「!?」

アカ・マナフ「……主の……邪魔はさせぬ」

天才「まさか……最悪だろ……っ」

アカ・マナフはマグマの球を守るように、上空で迎撃の態勢へと移った。
711 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:56:36.52 ID:s4TWhXpTo
ズザザッ

天才「……っ」

女賢者「ど、どうするの?」

バサァッ…バサッバサッ

召喚士「天才さん!」

天才「気付いたか?」

召喚士「……?」

天才「アカ・マナフを泳がせて、魔王の所まで案内させるつもりだった……っ」

召喚士「え、ええ……」

天才「ところがだ、あのザマさ」

召喚士「どういう……事です?」

天才「魔王だよ」

召喚士「え……っ!?」

天才「魔王はあの球ん中、もしくはあれ自体が魔王って事だ」

召喚士「――っ!?」
712 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:57:39.25 ID:s4TWhXpTo
女賢者「あれが魔王……なの?」

天才「まぁ結論付けるには、裏付けが必要だがな」

ザッ

天才「お前ら付いて来い。ちょっくら火山内部に潜るぞ」

召喚士「えぇっ!?」

天才「居場所は分かってる。そこにアンラ・マンユが居れば万々歳」

女賢者「……居なければ?」

天才「あの球ん中で確定」

召喚士「……っ」

天才「後者なら……どうすっかねぇ」

女賢者「またまたぁ〜。そんな事言っておいて、ちゃーんと作戦考えてあるんでしょぉ?」

天才「ねぇよ」

女賢者「え……っ?」

天才「おら、さっさと行くぞ」

召喚士「は、はいっ!」
713 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 17:58:23.41 ID:s4TWhXpTo
丁度その頃、火山の反対側に位置する場所では、大軍師ら別働隊が、

火山内部への潜入を試み初めていたところであった。

ザザッ

青年兵「……かなりの熱量ですね」

色黒「上空も駄目っ、火口にはとてもじゃないけど近づけないわよ……」

ジュニア「こりゃあ、地道に魔法で防御しながら進むしかねぇかな?」

朱雀嬢「ほら、貴女の出番ですわよ」

玄武娘「よーし、やってやるですの!」

魔道士「もしかして……っ」

玄武娘「おいで、リヴァイアサン!」

シュイイィィィィン…ドドドドドドド

玄武娘「この穴の中へ、水を入れるですの!」

大軍師「えっ!?」

リヴァイアサン「コオオォォォォーッ!!」

青年兵「まずい! みんな離れて――」
714 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/09(木) 18:02:48.41 ID:s4TWhXpTo
ズシャアアァァァァ!!…ブッシュウウゥゥゥゥ!!

玄武娘「ひゃああぁぁーっ!!」

弓使い「何これ……っ、水蒸気!?」

青年兵「熱した部分へいきなり冷水を入れたから、沸騰して水蒸気が沸いたんですよ」

魔道士「ビ、ビックリしたぁ〜」

玄武娘「ごめんなさいですの……」

大軍師「い、いえ。ここは水行でも、氷を活用して進みましょう」

玄武娘「それじゃ、ヒュドラとスキュラを召喚するですのっ!」

朱雀嬢「リヴァイアサンを解除してからになさいな」

ポニテ「ほんと、底なしの魔力……っ」

ツインテ「本当……」

ジュニア「よし、まずは俺が道を切り拓く」

キュイイィィィィ…

ジュニアは両手を広げ、穴の壁部分へと氷を放ち、内部は見る見るうちに常温と化した。

大軍師「お見事です。それでは、参りましょう」
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/09(木) 18:12:59.66 ID:9y3PmlRDO
AKB総選挙のため今日はここまでです
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/09(木) 19:24:00.60 ID:Hah6Jc8IO
せっかくの流れを切るんじゃねーよ。アホカスバカファンが。
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/09(木) 19:24:30.63 ID:Hah6Jc8IO
せっかくの流れを切るんじゃねーよ。アホカスバカファンが。
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/09(木) 19:25:01.72 ID:A0uksPIRo
というか面白くもなんともないからやめてほしいわ
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/09(木) 19:25:28.59 ID:Hah6Jc8IO
せっかくの流れを切るんじゃねーよ。アホで空気読めないバカファンが。
720 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/09(木) 19:53:35.29 ID:BByHO7FDO
>>1
721 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/09(木) 20:11:32.50 ID:NcfT9WuAO
>>1

アカマナフさん、昔は絶望的だったけど、さすが天才さんがいるだけあって安心できるね

てか黒い三年生達が殺されたのってアカマナフさんだったっけ?だとしたらアカマナフさんにも攻撃が…
あれ、あの時ってアカマナフさんじゃなく別の眷属だったっけ?
もうわかんないや
722 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県) [sage]:2011/06/09(木) 20:18:23.27 ID:LsZ2hNrro
三年生は北の森にいたバフォメットじゃね?
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/09(木) 20:21:37.51 ID:oNMjkpJNo
>>721
1から読み返して見ると新たな発見もあって楽しめるぞ
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/09(木) 20:28:51.79 ID:x3efpYpAO
アーリマン「レス、これを禁ず」
725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/09(木) 20:34:00.60 ID:mN12gdT3o
>>724
そっちのアーリマン来たら誰も勝てねえよ…
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/09(木) 20:41:23.40 ID:NcfT9WuAO
ああ、そうだった…なんか体が煙的なイメージだったんだ
すまんこ 読み返します
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/09(木) 21:01:05.90 ID:wYA3PCECo
>>1
しかし一時期はかませって言われてた天才は天才にふさわしいかつやくだなぁ
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/09(木) 21:45:24.41 ID:Tra0IzPSO
バフォメット最強だから
誰も勝てないから
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/09(木) 22:33:23.27 ID:uBC4yIBjo
1おつ
バフォメット、ケルベロスになった眼鏡でも勝てないんだっけ
あれも眷属様なの?
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/06/09(木) 23:12:18.89 ID:UvW1Y8boo
5スレぶりにこんにちは
一気に読むぜ!
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/06/10(金) 00:18:42.14 ID:Cz3OnGFAO
報告とか[ピーーー]カス
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/10(金) 00:38:07.03 ID:ooSmMXCAO
>>729

眼鏡さんでも勝てないって、そんなバフォ(アホ)な
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/10(金) 00:45:28.07 ID:URduyJmAO
>>1おつ
734 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 15:59:33.04 ID:cpXfGpT9o
〜火山内部〜

召喚士「うわ……っ」

ムワッ

天才「あっつー。おい、何とかしろ」

女賢者「もう、自分でしてよぉ〜」

天才「そう言いながらしてくれるお前が好き」

ゾクゾクッ…ブルッ

女賢者「……仕方ないわねぇ、んふっ♪」

ドドオオォォォォン!!…ガガキイイィィィィン

召喚士「凄い……っ、一気に凍りついた! ありがとうございます」

天才「どーいたしまして。ほい、先に進むぞ」

召喚士「!?」

女賢者「うふふ〜♪」

天才「ボケっとしてんじゃねぇ! お前も召喚獣で何とかしろ!」

召喚士「えっ!? あ、はいっ!!」
735 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:00:19.94 ID:cpXfGpT9o


天才「いやぁ、快適快適!」

召喚士「……」

先頭を進むスキュラが吹雪で熱をガードし、後方の女賢者が上下左右の壁を凍らせる。

熱を帯びた火山内部の空洞な道は、まるで氷山のような有様である。

とは言え、それは彼らの周囲のみであり、前後の道は赤く色付き始める程、熱していた。

おそらく生物は存在しないであろう、中心地へと続く道。

緊迫した面持ちの召喚士は、その前を行く天才の姿が頼もしく映った。

へらへらと笑みを浮かべながら平静なその姿は、いつもと何ら変わる事はない。

天才「……ふふーん」

しかし、天才の心中はそれとは全く逆のものであった。

天才(……残り1時間しかないんだぞ。くそっ、冗談じゃねぇ)

焦りと魔王討伐と言う重責。己がその先陣を切らねばならぬ使命感に押し潰される。

完璧な人間などこの世に存在はしない。天才と呼ばれたこの男ですらそうなのだ。

作戦決行まで残り時間はわずか。人々の焦りは隙を生む。
736 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:01:04.74 ID:cpXfGpT9o


タッタッタッタッタ

女賢者「ねぇ、まだなの〜?」

天才「うるせぇな。もうじきだ」

召喚士「……」

タッタッタ…ズザッ

天才「……うーむ」

召喚士「どうしました?」

天才「確かこのあ辺りだと思ったんだけどな」

召喚士「行き止まりみたいですね」

天才「ちょっと離れてろ」

女賢者「……?」

ザッ…チャキッ

天才「っりゃあぁ!!」

ガゴオオォォッ!!…スドドドドッ
737 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:01:31.10 ID:cpXfGpT9o
天才「落盤で塞がれてたのか?」

召喚士「――っ!!」

ゴシャアアァァァァ!!…ジュウウゥゥゥゥ

天才「マグマかよっ!!」

女賢者「ちょっとおぉ! もうっ!」

ドドオオォォォォン…ガキイイィィィィン

天才「あっぶねー」

召喚士「マグマがこんな所まで……っ」

天才「思ったより、状況は厳しそうだわな」

女賢者「……」

天才「行くぞ。ここを抜けりゃ、魔王の鎮座する空洞に繋がってる」

召喚士「……はい」

女賢者「本当に、大丈夫なんでしょうねぇ……?」

天才「大丈夫大丈夫。多分だけどな! ハーッハッハ!」

召喚士「……っ」
738 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:02:00.27 ID:cpXfGpT9o
程なく進むと、天才は足を止めて無言で洞窟内の天井を見上げた。

召喚士「ここ……ですか?」

かつて見た時に広がっていた空洞は、既に存在しておらず、

少し先へ足を進めれば、そこはマグマの川が流れている状態であった。

女賢者「暑……っうい……」

召喚士「何ていうか、おぞましいですね……っ」

熱風と火の粉が飛び交う中で、滝のようなマグマが逆流し、空へと昇っている。

天才「これで決まったな。魔王はここには居ない」

召喚士「……」

天才「奴は上だ。すぐに脱出して……引き摺り出すぞ!」

女賢者「脱出ってどうやって!? 来た道はもう厳しいわよぉ」

天才「どこでもいい。山のドテッ腹に風穴開けてやれ」

召喚士「!?」

天才「そうすりゃ外へ出られる。経験者は語る、だ」

召喚士「は、はい……っ」
739 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:02:41.93 ID:cpXfGpT9o
ザザッ

召喚士「行けっ! スフィンクス!!」

シュイイィィィィン

召喚士「スフィンクス、あの辺に穴を……」

スフィンクス「うんっ! いっくよー!!」

女賢者「……っ」

スフィンクス「だぶーる……ぱーんちっ!!」

ズガアアァァ!!…バッゴオオォォォォン!!

天才「ハーッハッハ! すっげぇ威力っ。崩れたりしねーよな……?」

スフィンクス「むーっ、もういっちょー!!」

バッゴオオォォォォン!!…ガラガラッ…ドドオオォォ…

天才「あとは……」

チャキッ…キュイイィィィィン

天才「五行……木!!」

風魔法を放ちながら、天才はツヴァイハンダーを螺旋状に突き出す。
740 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:03:15.14 ID:cpXfGpT9o
風が付加したその魔法剣は、スィンクスの開けた穴を抉るように突き進む。

ゴゴオオォォォォ!!

天才「ほーれみろ、貫通――」

その瞬間、気圧の変化により大量に入り込んできた酸素が3人を突きぬけ、

空洞内の熱により発火、更には再び外へ逃げようと穴の外へと吹き付ける。

女賢者「きゃああぁぁーっ!!」

召喚士「ぐ……あっ!!」

そして召喚士らを排除しようとするかの如く、マグマが上昇をやめ、

滝のように一気に空洞内へと流れ落ちてきたのであった。

天才「あっちぃ!! 何とかしろぉ!!」

女賢者「出来る量じゃないわよおおぉぉ!」

天才「走れっ! 穴から外に出るぞおぉ!」

召喚士「……っ!!」

タッタッタッタッタ

天才「跳べぇーっ!!」

そう天才が叫んだ瞬間、凄まじい爆発と共に熱風が彼らの背中を押した。
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:04:38.98 ID:cpXfGpT9o
ドッゴオオォォォォン!!

召喚士「…………」

女賢者「……死ぬかと思った……っ」

召喚士と女賢者は、コカトリスの背中から地上を見下ろす。

赤黒く熱している溶岩が溢れ、大量の噴煙が脇に開いた穴から噴出していた。

天才「……おい」

コカトリスの嘴で襟足を挟まれた天才が、ぼやきながら呟く。

天才「助けるにしても、方法ってモンがあんだろ……」

召喚士「急だったもので……」

天才「早く降ろせ!」

バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「む……っ?」

天才「おいこら喋るな! 落ちるだろうがっ!」

召喚士「あれは……グリフォン!?」

朱雀嬢「やっぱり朱雀先生!!」
742 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:05:34.56 ID:cpXfGpT9o
召喚士「朱雀嬢さん!」

朱雀嬢「ご無事で何よりですわっ」

召喚士「そちらはどうです!?」

朱雀嬢「先程、火山内へ進んだのですが……」

召喚士「!?」

朱雀嬢「あ、いえ……っ。結局、奥へは進めず引き返しましたわ」

天才「あのさ……」

召喚士「……?」

天才「とりあえず、降ろしてくんない? それからでいーだろ」

召喚士「あっ、す……すみません!」

バシュウウゥゥゥゥ…バサァ

天才「あー。死ぬかと思った」

女賢者「誰のせいですか」

朱雀嬢「あちらにおりますわ。案内致しますわ!」

召喚士「はいっ」
743 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:06:13.97 ID:cpXfGpT9o
タッタッタッタ

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「魔道士さんっ! 無事ですか!?」

魔道士「はいっ。こちらは大丈夫ですよ」

大軍師「司令っ!」

天才「おーおー。ご苦労さん」

青年兵「駄目です。火山内はもはや立ち入る事が出来ませんでした」

天才「だろうな。こっちも南側から潜ったが、魔王は既にいなかった」

ジュニア「何ぃ!? どういう事だ……?」

天才「あの巨大な火の玉……っつーか、マグマの塊」」

青年兵「ま……さか……っ」

天才「アンラ・マンユはあそこにいる」

名代「……っ!!」

ジュニア「あの中にいるってのかよ!? どうやって戦えってんだ!」

青年兵「……手立ては?」
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:06:52.96 ID:cpXfGpT9o
天才「為す術なし! とにかくあれを攻撃する以外に方法はねぇだろうな」

大軍師「……あれを……直にですか」

召喚士「……あれ?」

魔道士「どうしました?」

召喚士「天才さん、確かさっきまで……」

天才「あん?」

クルッ

天才「……んの野郎っ!!」

召喚士「アカ・マナフがいない!?」

天才「クソがっ、どこに行きやがった!」

伝令「あ、あのー」

大軍師「……?」

伝令「もしかして、上空の黒い雲みたいなやつの事……ですか?」

天才「見たのかっ!?」

伝令「え、えぇ。それなら……」
745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/10(金) 16:07:22.10 ID:cpXfGpT9o
〜火山、南部〜

アカ・マナフ「……」

フォン

男隊員「ちっきしょーっ、しつっけーなぁ!」

女隊員「でもっ、前に戦った時よりは弱くなってないッスか?」

男隊員「まーな。そうは言っても、アイツにとっ捕まったら終わりだ」

女隊員「変なもやもやに触れなきゃいいんスよね!」

男隊員「結果どうなるかは、見にしみてっからな……」

2人の脳裏に、嫌でも西方司令部での悪夢が蘇る。

男隊員「同じ過ちは繰り返さねぇ……っ!」

女隊員「もちろんッス!」

タタッ

アカ・マナフ「主の元へは近づけさせん……」

男隊員と女隊員を追跡するアカ・マナフの目に、多数の人影が飛び込んだ。

アカ・マナフ「……あれは」
746 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/10(金) 16:08:02.20 ID:cpXfGpT9o
外出の為、一旦ここまでにて!
夜にまた来ます!すみません!ノシ
747 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/06/10(金) 16:11:53.84 ID:UH/Qehy/o
おお
早い時間から>>1乙ー
748 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/10(金) 19:55:54.20 ID:ooSmMXCAO
>>1

今目の前で電車の人身事故が起きたよ俺はもう寝れないかもしれない
749 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/10(金) 20:03:03.41 ID:qd11d1u6o
>>1

>>748
ここに書き込める程度なら大丈夫だ!

750 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/11(土) 22:56:02.85 ID:nn1SyMLGo
(´・ω・`)>1はだいじょうぶかしら・・・
751 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:19:18.15 ID:X6fG3Mpco
ザザッ…ガチャガチャガチャッ

魔道兵「休憩はローテーションで、5分おきだぞ!」

アカ・マナフ「こんな所にも人間が……」

火山南部に配置された魔道兵600名程が、

その刻を今かと、意気揚々に、そして恐怖を押し込め布陣していた。

アカ・マナフ「……成程。そういう事か」

フワッ…クルッ

アカ・マナフ「火山を包囲して……主を」

ズザッ

女隊員「動きが……止まったッスね……」

男隊員「……」

アカ・マナフ「何を……狙っている」

ボフウウゥゥゥゥ

男隊員「しまった!!」

女隊員「!?」
752 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:20:39.08 ID:X6fG3Mpco
ザザッ…ガチャガチャガチャッ

魔道兵「休憩はローテーションで、5分おきだぞ!」

アカ・マナフ「こんな所にも人間が……」

火山南部に配置された魔道兵600名程が、

その刻を今かと、意気揚々に、そして恐怖を押し込め布陣していた。

アカ・マナフ「……成程。そういう事か」

フワッ…クルッ

アカ・マナフ「火山を包囲して……主を」

ズザッ

女隊員「動きが……止まったッスね……」

男隊員「……」

アカ・マナフ「何を……狙っている」

ボフウウゥゥゥゥ

男隊員「しまった!!」

女隊員「!?」
753 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:22:53.05 ID:X6fG3Mpco
男隊員「アイツ……魔道兵に気付きやがった!」

女隊員「え……っ!?」

男隊員「このままじゃまずい! 魔道兵と合流すんぞ!」

女隊員「まさか……狙いって……」

男隊員「あのモヤ浴びたら全滅だ。何としても食い止めるぞ」

ザザッ…タッタッタッタ

しかし、2人がアカ・マナフに遭遇する事はなかった。

魔道兵と合流した彼らは、拍子抜けしながらも、眷属の動きに恐怖を感じる。

男隊員「現れてない……だとぉ!?」

魔道兵「え、ええ……っ。魔物の気配は一切……」

女隊員「それじゃ、魔物はどこに?」

男隊員「警戒を怠るな。奇襲も考えられるぞ」

魔道兵「はっ」

男隊員「お前はそっち側を見張れ。不審な動きがあったらすぐに知らせろ」

女隊員「了解ッス!」
754 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:28:02.26 ID:X6fG3Mpco
〜火山、北部〜

大軍師「撃てぇ!!」

ジュニア「おぉっしゃあぁ!!」

ドドオオォォォォン!!…シュゴオオォォォォ!!

魔道士「やああぁぁーっ!」

玄武娘「もっと……いくですのーっ!」

スキュラ「オオォォォォ!!」

青年兵「準備、整いました」

天才「おーし、まずは時計回りに北東……」

タッタッタッタッタ

召喚士「あれは……っ!?」

アマゾネス「おぉ、皆もここにいたのか」

ポニテ「長ぁーっ!!」

ツインテ「ふにゃあぁーっ! 心配したよぉ〜っ」

女兵「お前らも無事だったか」
755 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:32:22.13 ID:X6fG3Mpco
天才「つー事は、向こうも無事って事か」

大軍師「男隊員殿と女隊員殿は?」

アマゾネス「村の辺りで別れて、それっきりだ」

青年兵「こちらには来ていませんね。大丈夫でしょうか……」

天才「大丈夫だろ。つーかアレだな」

召喚士「……?」

天才「北東では、何もなかったんだな?」

アマゾネス「ん? ああ」

天才「青年兵、時計周りは中止。向かうは……」

ドドッドドッドドッ

衛生兵「……司令っ!? それに皆様も!!」

天才「あん? 衛生兵じゃねぇか」

召喚士「賢者さん!?」

賢者「……ふぅ」

大軍師「西部の救出に出ていたものです」
756 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:36:12.98 ID:X6fG3Mpco
天才「状況は?」

賢者「ひどいものさ……ふぅ」

衛生兵「生存は数十名。部隊としての昨日は困難です……」

青年兵「……何て事だ」

衛生兵「それでも新装備のお陰で、全滅は免れたところです」

大軍師「搬送は?」

衛生兵「はっ。遺体と負傷者は南西砦へ向かわせました」

大軍師「生存者は?」

衛生兵「留まった者らがほとんどです……」

青年兵「留まった!?」

天才「悔しいんだろうよ。尻尾巻いて逃げらんねぇってか」

衛生兵「ええ……っ。皆、そのように申して……」

天才「仕方ねぇなー。おい、増援回しておけ」

だ軍師「はっ」

天才「来る時に、何か変化はあったか?」
757 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:39:06.35 ID:X6fG3Mpco
衛生兵「変化……ですか?」

賢者「特に何も……ふぅ」

天才「……青年兵」

青年兵「はい。東西は捨てて南……ですね?」

天才「ああ。アカ・マナフは東西には行ってねぇ」

青年兵「行けますか!?」

朱雀嬢「いつでも行けますわっ」

アマゾネス「お前らも行ってやれ」

色黒「もっちろん!」

ポニテ「そのつもりですわん」

天才「召喚隊、行ってこい!」

青年兵「はっ! 出発します!」

シュイイィィィィン…バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「よーし……」

グイッ
758 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:42:52.78 ID:X6fG3Mpco
天才「お前はここにいろ」

召喚士「で、でも……」

天才「飛行系の数は足りてる。それよりも今は……」

ジュニア「いつまで続けりゃ……いいんだよっ」

魔道士「くぅ……っ!!」

天才「あのマグマを冷やすにゃ、何人居ても人手不足だ」

召喚士「……なるほど」

天才「お前らも行け!」

女賢者「はいはい」

賢者「……ふぅ」

ジュニア「お、おい……っ!」

大軍師「火山からのマグマが……!?」

吹き上げられたマグマは、火口という器の中より全てが吐き出され、

上空の玉へ一滴も残らず、と吸い込まれていった。

そして、高熱を帯びた巨大な玉は、落下を始めた。
759 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/11(土) 23:44:48.61 ID:X6fG3Mpco
ゴゴッ…ゴゴゴゴゴゴゴ

魔道士「っ!?」

天才「いよいよか……っ」

大軍師「氷だけでは間に合いません! 風魔法も……っ!」

ジュニア「やってるっつぅの!!」

ドドオオォォォォン!!

大軍師「……司令」

天才「あん?」

大軍師「時間が……っ」

天才「……おいおい。もうかよ」

召喚士「行けっ! スキュラ!!」

玄武娘「リヴァイアサンも……出すですのーっ!」

魔道士「もっと……魔力を!!」

精鋭らによる必死の防衛がピークを迎えている頃、

30分前を知らせる複数色の発光弾が撃ちあがった。
760 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/12(日) 03:05:26.58 ID:NpNahCBGo
〜火山、南東部ふもと〜

マーマン「今のは何だ!?」

ハヌマーン「何かの合図であろう。とにかく、火口まで近づこう」

マーマン「ああ」

〜火山、南東部〜

隊長「残り30分か……」

オーク「大丈夫……なのかな」

法師「急いだほうが良さそうですね」

オーク「うん。法師様、オラの背中に乗って!」

隊長「よし、走るぞ」

オーク「はいです!」

〜北東手前の山〜

戦士父「あと30分」

バーテン「あっという間だな」

戦士父「ああ」
761 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/12(日) 03:10:50.86 ID:NpNahCBGo
〜火山、北部〜

天才「撃て撃て撃て!! もっとだ!!」

ジュニア「んな事言っても……よぉ!!」

ドドオオォォォォン!!

召喚士「くっ!」

大軍師「高度は刻一刻と下がっております。芳しくはありませんね」

天才「やっぱり食い止めるのは、魔王を討つ以外にねぇか?」

大軍師「現状の戦力ではそうでしょうね」

天才「数がいても、どうにかなるモンとは思えねぇけどな」

大軍師「如何致します? 魔道兵の一部を防衛にあたらせますか?」

天才「それは駄目だ。ただですら西の部隊が吹っ飛んだ」

大軍師「魔力不足に陥る可能性もありあますか」

天才「魔王を倒すのにどれだけの魔力が必要かは分からん」

大軍師「……」

天才「だが、多いに越した事はない。魔道兵の戦力は割けないってモンよ」
762 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/12(日) 03:11:17.12 ID:NpNahCBGo
シュゴオオォォォォ…

魔道士「やあぁーっ!!」

ジュニア「氷で冷やして……風で押し上げるったって……」

ズドオオォォォォン!!

ジュニア「限度ってモンがあんだろうがよ!!」

召喚士「もつのか……あと30分も……っ」

玄武娘「ヒュドラ……スキュラ……リヴァイアサンー!」

幼女「く……うぅ!」

弓使い「まだまだぁーっ!」

剣士「みんな、頑張るんだ! チャンスは必ずあるっ!」

マグマの玉の直下で激しく立ち上る水蒸気。その量が激しい攻防を表している。

魔法と召喚獣による冷たい水と氷が、地上へと迫る火の玉へ激しくぶつかる。

焼け石に水。その言葉をそのまま表すかのような防衛戦。

彼らの力を支えるのは、互いの信頼、そして希望。

額から流れる汗は、熱によるものか、徐々に迫る高度への焦りか。
763 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/12(日) 03:11:59.35 ID:NpNahCBGo
〜火山、南部〜

ピクッ…ザザッ

隊長「……?」

法師「どうか致しましたか?」

隊長「この気配……」

ガサガサッ…ザッ

女隊員「た、隊長っ!?」

隊長「お前……っ、何でこんな所に!!」

女隊員「隊長こそ……」

男隊員「アカ・マナフがこっちに来てやがんだよ!」

隊長「何だとぉ!?」

男隊員「てっきり魔道兵を狙ってんのかと思って警戒してたんだが……」

女隊員「どうも来る様子がなくて、この辺りまで見に来たんスよ」

隊長「間違いなく、こっちに来たのか?」

男隊員「ああ。火口から俺らを追って……だが、途中で姿を消したんだ」
764 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/12(日) 03:13:11.04 ID:NpNahCBGo
隊長「……」

法師「もしや、気付いたのではないでしょうか?」

女隊員「え……っ?」

法師「敵は、我らの狙いに気付いて……」

隊長「そうかっ!」

男隊員「……っ」

隊長「奴は相当弱っていた。わざわざお前らのいる部隊と一戦交える事は避け……」

男隊員「別の部隊が狙いかよぉ!!」

隊長「ここからだと……南東か」

女隊員「すぐに行くッス!」

隊長「お前らは先に火口へ行け!」

オーク「で、でも……っ」

隊長「アカ・マナフは俺が追う! 今はあの球を抑える方が大事jだ」

男隊員「……り、了解」

隊長「俺もすぐに合流する! 急げっ!」
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/12(日) 03:25:49.51 ID:y/U8fuZa0
いちおつ
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/12(日) 03:37:50.44 ID:NTI9bZdAO
>>1乙!
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/06/12(日) 06:56:05.33 ID:PLv8nykV0
一乙!
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 12:53:17.97 ID:GQeOwSyIO
一乙

だ軍師ワロタ
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/12(日) 17:24:08.12 ID:jNfYO2tAO
駄軍師
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/12(日) 21:45:13.02 ID:Qd4keUyDO
駄軍師「ふえぇ……作戦失敗しちゃったよぉ……」
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/13(月) 08:30:19.84 ID:fjStc8nAO
>>1

駄軍師 かわいい
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/06/13(月) 10:33:42.74 ID:18klEvBAO
†駄軍師†
773 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:35:42.35 ID:PRmLyzw2o
〜赤壁〜

南方参謀「な、なに……あれ……っ」

南方副司令「空が燃えてやがる……っ」

南方弓長「大丈夫……なの?」

南方副司令「やってやれる限りの事はした。あとは祈るのみだ」

南方参謀「……ええ」

〜南方司令部〜

西方司令「わわわわっ! ももっ、もう駄目だぁー!!」

西方参謀「駄目なんて、そんな軽々しく口にするもんじゃあないぜ……ヒック」

南方司令「正義は我らにあり。皆、頑張ってくれよ」

〜西方司令部〜

西国兵「何が……どうなって……」

西方兵「伝令は!? 報告は来てないのかっ!?」

西方副司令「……間に合えば良いけど」

局長「こっちの努力、無駄にすんじゃねぇぞぉ!」
774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:36:52.62 ID:PRmLyzw2o
その巨大な球が火山へと落ちる様は、南方の離れた地点でも確認できる程であった。

ある者は言った。夜空に浮かぶ星の1つが落ちてきたかのようであった、と。

またある者は言った。この世の終わりを見ているかのようであった、と。

傍から見てもそのような惨状。現地で戦う者らの心中は如何なるものか。

ところが、一同は笑っていた。それは気がおかしくなったわけでもなく、

心から喜びが込み上げているわけでもない。何故か、笑みがうかんでくるのだ。

天才「ハーッハッハ!! おらぁーっ、もっとだもっとだ!!」

ジュニア「これ以上……出せねぇっつーの! ハッハ!」

大軍師「さぁ、ここが正念場ですよ!」

名代「雪女、側面からも撃ち込むのだ」

雪女「ふふっ、はぁい」

剣士「召喚士くん、まだまだ……いけるよね?」

召喚士「もちろんです!」

魔道士「幼女ちゃんっ、頑張って!」

幼女「うんっ! 大丈夫だよぉ!」
775 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:37:44.46 ID:PRmLyzw2o
攻撃を開始してから10分ほど経過した頃であろうか、上空の球に変化が訪れる。

ズゴゴゴゴゴッ

ジュニア「!?」

女賢者「動きが……止まった?」

弓使い「いえっ、それだけじゃないわ! 押し返してる!」

召喚士「やった……!!」

ドドンッ!!

ジュニア「んな……っ!!」

一瞬上昇を始めたマグマの球は突如、これまでの大きさの2周りほどに膨れ上がった。

大軍師「何て事……っ」

天才「下降速度が早まったか」

賢者「今までは本気でなかったようだね……ふぅ」

ゴゴゴゴゴゴ

――「どこまでも愚かな輩よ」

弓使い「空から声が……っ!?」
776 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:38:17.13 ID:PRmLyzw2o
天才「出たな。いよぉ、アンラちゃん!」

アンラ・マンユ「愚かと言うには些か語弊があるか」

天才「いつまで続けるつもりだ?」

アンラ・マンユ「まぁ、全ては済んだ話か」

天才「おいおい、シカトかましてくれてんじゃねーぞ?」

アンラ・マンユ「……」

天才「こんなモン落としたら、テメーだって無事じゃねぇだろうがよ」

アンラ・マンユ「それを本気で言っているなら、低脳だな」

天才「あ?」

アンラ・マンユ「人間とはこう、もう少し知的で理解ある生物だという認識だったがな」

天才「それじゃ、その認識は改めた方がいい」

アンラ・マンユ「……」

天才「人間は確かに愚かかもしれねぇ。だがな、お前らには分からない強さがある」

アンラ・マンユ「……」

天才「それを今からみせてやるよ。虫ケラの意地、とくと味わいな!」
777 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:40:04.53 ID:PRmLyzw2o
〜火山、火口南部〜

バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「!?」

タッタッタ

女隊員「あっ、あれ見るッス!」

男隊員「あん?」

女隊員「上ッス! 上っ!」

男隊員「召喚獣……? 青年兵か!!」

バサァ

青年兵「アカ・マナフは!?」

男隊員「おそらく南東だ。隊長が追ってる」

青年兵「分かりました。援護に向かいます!」

女隊員「お願いするッス!」

色黒「南東って村の方じゃない!」

ポニテ「行くわよぉ〜!」
778 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:41:50.10 ID:PRmLyzw2o
ツインテ「はぁ〜い!」

青年兵「お二人はアンラ・マンユを!」

男隊員「もちろんそのつもりだ!」

バシュウウゥゥゥゥ

男隊員「アンラ・マンユって言ってたな。やっぱりあれがそうか……」

女隊員「さっきより大きさが増したッスね」

男隊員「少人数でよくもあれだけの攻撃を……すげぇわ」

女隊員「感心してる場合じゃないッスよ!」

男隊員「分かってるよ。ヒャハハ!」

ドシュウウゥゥゥゥ

青年兵「……」

ポニテ「……ん?」

青年兵「いましたか!?」

ポニテ「うぅん、今……あの下辺りに何か――」

ズッドオオォォォォン!!
779 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:43:58.70 ID:PRmLyzw2o
色黒「きゃああぁぁーっ!!」

ツインテ「後ろ!?」

爆発音の鳴り響く背後へ一斉に振り返る一同。闇に包まれた森からは、

魔法によるものと思われる黒煙と、爆発により舞い上がった木々の破片が広がる。

ポニテ「て、敵……っ!?」

青年兵「今のは……まさかっ!!」

バシュウウゥゥゥゥ

色黒「あっ、ちょっとぉ!」

シュウウゥゥゥゥ

青年兵「まさか……まさか……っ」

森の中へと急降下する青年兵。そこには、魔道兵達が懸命に戦う姿。

青年兵「やめろっ! やめるんだ!」

相手は無論、魔道兵。つい先程まで隣り合わせに並んでいた者らが戦闘を繰り広げている。

ツインテ「にゃあぁ、どういう事ぉ……!?」

青年兵「アカ・マナフ……っ!」
780 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:45:06.93 ID:PRmLyzw2o
バッゴオオォォォォン!!

ポニテ「あっちも!」

色黒「ど、どうなってるのよ!?」

青年兵「頼むっ! やめるんだ!」

魔道兵「ぐぎゃああぁぁーっ!」

ドサッ…ザッ

隊長「!?」

青年兵「隊長……殿!」

隊長「アカ・マナフはもうここにはいない。それよりも……」

魔道兵「ケケケケーッ!」

隊長「こいつらを……何とか出来るか!?」

バキッ…ドシャアァ

青年兵「……っ」

俯き考える一同。その時朱雀嬢に、ふと似たような状況が脳裏に写し出された。

朱雀嬢「あ……っ」
781 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:46:14.35 ID:PRmLyzw2o
青年兵「……?」

それは召喚士とアマゾネスの戦い。アマゾネスと9体ワルキューレを、

召喚士はザントマン1体で、その動きを全て封じた。

朱雀嬢「ツインテさん!」

ツインテ「!?」

朱雀嬢「セイレーン、セイレーンですわっ!」

ツインテ「そ、そうか……っ! 行けっ! セイレーン!」

シュイイィィィィン

朱雀嬢「みんなっ、耳を塞いで!」

色黒「っ!!」

青年兵「セイレーン!?」

ツインテ「いくわよぉ〜!」

セイレーン「〜♪」

魔道兵「――ッ!!」

隊長「ぐあ……っ、何だこりゃあよぉ……!?」
782 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:47:45.53 ID:PRmLyzw2o
青年兵「耳を塞いでもこれだけ……ぐくっ」

魔道兵「ぐああぁぁぁぁーっ!!」

ガクン…ドサドサドサッ

ポニテ「ツインテ! やりすぎは駄目よっ!」

ツインテ「にゅふっ、分かってる〜」

セイレーン「〜♪」

魔道兵「や、やめろおおぉぉぉぉ!! 力がああぁぁーっ!!」

ツインテ「……こんなもんかしらっ」

フッ…シュイイィィィィン

魔道兵「か……はっ」

ドサッ

青年兵「す、凄い……。あっと言う間にこれだけの魔道兵を……」

隊長「……」

ザッザッザ…スッ

青年兵「……どうです?」
783 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:48:53.28 ID:PRmLyzw2o
隊長「問題ない、息はあるようだ」

ツインテ「良かったぁ〜」

色黒「あんた、お見事じゃん!」

ツインテ「にゃはっ」

青年兵「しかし……」

隊長「最初の攻撃を止められなかったのは俺の責任だ」

青年兵「半数はやられましたか」

隊長「次に行くぞ。奴は別の部隊も狙っているはずだ!」

青年兵「了解です。急ぎましょう」

ポニテ「次って……まだ戦うの?」

青年兵「魔王を倒すまではいたちごっこかもしれません」

隊長「次はおそらく東だ。先回りして食い止める」

青年兵「はい! それでは行きましょう」

色黒「全く、嫌になっちゃうわね」

バシュウウゥゥゥゥ…
784 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:50:21.05 ID:PRmLyzw2o
〜火山、北部〜

ジュウウゥゥゥゥ!!…シュゴオオォォォォ

ジュニア「駄目だっ、勢いが止まらねぇ!」

大軍師「この距離からでは最早、限界ですね」:

天才「仕方ねぇ。おい、突っ込むぞ」

弓使い「!?」

女賢者「これ以上は危険はない?」

天才「かと言って、こっからじゃもう落下は防げねぇ」

召喚士「……」

天才「回復役と女はここに残れ。あとは……球の真下まで行くぞ!」

召喚士「了解です」

魔道士「私も行きますっ!」

天才「駄目だ。残ってろ」

魔道士「……行きます」

天才「……ふー」
785 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:52:00.94 ID:PRmLyzw2o
ポリポリ

天才「朱雀先生よぉ」

召喚士「はい」

天才「テメーが命がけで守れ。いいな?」

召喚士「……もちろんです」

天才「おーし、そんじゃ行くぞ!」

幼女「お父さん……っ」

剣士「心配するな。どこにいたって同じさ」

弓使い「……うん」

幼女「私も、頑張るからっ!」

剣士「ああ」

ニコッ

大軍師「それでは、出陣」

ジュニア「仕方ねぇな全く……ハッハ」

召喚士「何としても……止めなきゃ!」
786 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:53:03.06 ID:PRmLyzw2o
火山北部の山あいから、召喚士ら数名が火口へと駆け上がる。

徐々に落下するマグマの球は周囲におびただしい熱をもたらし、

山の木々はその熱に耐えられず、次々と発火を始めている。

ジュニア「こりゃあ……いよいよ笑ってもいられなくなってきたぜ……」

大軍師「走りながらも魔法を!」

ゴゴゴゴゴゴ

雪女「……うぅ」

バシュッ…ジュウウゥゥゥゥ

名代「雪女っ!」

玄武娘「くうぅーっ!!」

スキュラ「グガアアァァーッ!!」

ジュウウゥゥゥゥ…ボシュッ!!

剣士「召喚獣が……っ!」

召喚士「き、きついな……っ」

天才「気合い入れて踏ん張れ!! まだ魔王のツラすら出てねーんだぞぉ!!」
787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:55:29.14 ID:PRmLyzw2o
アンラ・マンユ「これは奇特なものだ」

天才「ありがとよ。でもよ、こっからだぜぇ!」

キュイイィィィィン…ゴゴゴゴゴゴ…

天才「でええぇぇりゃああぁぁぁぁーっ!!」

凄まじい程の魔力が、マグマの球をしたから包み込む。

天才は渾身の力で氷と風の二行合体を成し、アンラ・マンユ相手に奮戦する。

天才「さっさと出てこいよ……っ!」

アンラ・マンユ「異な事を」

天才「ビビってんのか? あん?」

アンラ・マンユ「必要がない」

天才「……あっそ」

クルッ

天才「……」

チカチカチカッ…チカチカッ

天才「……別にいいけどね」
788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/13(月) 17:56:44.28 ID:PRmLyzw2o
〜北東手前の山〜

バーテン「今の光……」

戦士父「随分とまた、古い暗号だな」

バーテン「これを知ってるってのは……あぁ、総司令か」

戦士父「敵はあの中にあり……か」

バーテン「どうやって狙ってんだよ」

戦士父「さぁな。道は切り拓いてくれるだろうさ」

バーテン「そうは言ってもなぁ。あと……15分程度だぞ」

戦士父「……」

バーテン「その前に潰れなきゃいいけどな」

戦士父「それはない」

バーテン「そうでなくば困るってもんだ。あんなん、ここも吹き飛ぶぞ」

戦士父「……」

バーテン「準備運動か、手伝うか?」

戦士父「いや、大丈夫だ」
789 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/13(月) 18:01:01.42 ID:PRmLyzw2o
週末からぐだぐだですみません…
だ軍師はごめんなさい。駄軍師はいただきます
でももう使う場所ないので…どうしようかな

それではまた!ご支援ありがとうございます〜!ノシ
790 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/13(月) 18:12:29.66 ID:89aFR3210
1乙
791 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/13(月) 19:31:12.03 ID:XT+GD3CAO
俺の軍師がこんなに可愛いわけがない
792 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/13(月) 19:57:31.23 ID:QPvvYakAO
>>1おつ
793 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/13(月) 20:05:19.09 ID:G+AkGl8DO
みんな、頑張れ!
と、叫びたい!感じ
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/13(月) 20:12:58.55 ID:p1fgINyAO
アンラ・マンコ様をぺろぺろしたい
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/13(月) 21:06:28.20 ID:EotLh4nB0
一乙
本編で出せないならオマケとかでもいいんだよ。
更新はゆっくりでいいから体調には気を付けてね!!
796 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 00:35:33.45 ID:cgl6wyWJo
ゴゴゴゴゴゴ…

天才「真下に着いたな」

ザザッ

大軍師「私達だけですがね」

天才「ああん?」

タッタッタッタッタ

ジュニア「お、追いつけるかっての……!」

賢者「……ふぅ」

天才「朱雀はどこ行った?」

大軍師「上空から攻撃に移りました」

天才「上空?」

バシュウウゥゥゥゥ

魔道士「くぅ……っ」

召喚士「しっかり捉まっていて下さいね!」

魔道士「はいっ!」
797 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 00:36:13.16 ID:cgl6wyWJo
ドシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「これ以上は近づけんぞ」

召喚士「……よし。コカトリス、攻撃を」

コカトリス「ああ」

バシュウウゥゥ…ゴゴオオォォォォ!!

魔道士「石化しましたよっ!」

召喚士「……いやっ、駄目ですね」

コカトリスの石化はマグマの一部分を石と変えるも、

一瞬のうちに新たなマグマがそれを飲み込み、石化部分は消えた。

コカトリス「幾ら繰り返したところで、これは無意味だな」

召喚士「うん……っ」

魔道士「それにしても……暑いですね……っ」

召喚士「ええ……っ。しかも明るくて状態もよく確認出来ない……」

コカトリス「どうする?」

召喚士「一旦下がって、次なる手を打とう」
798 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 00:36:42.56 ID:cgl6wyWJo
ドシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「それで、どうするのだ?」

召喚士「……行けっ、クジャタ!」

シュイイィィィィン…ドスウウゥゥゥゥン!!

召喚士「天候は……雨っ!!」

クジャタ「……オオォォォォ!!」

ザザアアァァァァ…ジュウウゥゥゥゥ

魔道士「おぉ……っ!」

天才「あんの馬鹿っ! 水蒸気で何も見えねぇ!」

大軍師「これでは投擲の邪魔になりますね……」

ブシュウウゥゥゥゥ

魔道士「これは結構……」

召喚士「いや、これも駄目ですね」

魔道士「……?」

召喚士「視界がかなり悪化します。戦士達の迷惑になってしまいますね……」
799 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 00:37:12.77 ID:cgl6wyWJo
魔道士「あ……っ、そっか……」

召喚士「結局、下から押し上げるしか方法はないか……」

コカトリス「戻るとするか」

召喚士「そうだね。ここからは地上戦だ」

魔道士「はいっ」

バシュウウゥゥゥゥ…

大軍師「どうでした?」

召喚士「上空からは無理です。やはり、下からの勝負になりますね」

玄武娘「はぁ……はぁ……んくっ!」

ジュニア「あと何分持たせりゃいいんだよ!!」

天才「魔力もそろそろ限界を迎えるかねぇ」

大軍師「残り10分は切ってます。その間に……」

天才「あの球のどてっ腹に穴開けて、魔王様のお姿を……ってか」

大軍師「いけますかね?」

天才「いって貰わにゃ困る。アカ・マナフも封じてるみてーだしな。今しかねぇんだ」
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/14(火) 01:28:23.47 ID:lIBNJheAO
おのれ……戦闘中にいちゃつきやがって……
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/14(火) 04:21:10.31 ID:HHwaVmdA0
1乙
アンラ・マンユ攻撃してこないね
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/14(火) 08:23:20.19 ID:Ffufy9LAO
>>1

やっぱ魔王ともなるとヤバいな
何もしなくてもみるみる人間の魔翌力が減っていく
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/14(火) 08:23:31.42 ID:KFapJA/AO
乙んつん
続きが楽しみで仕方がない
でも身体には気をつけてね
するめいか
804 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:00:25.96 ID:3waOB5W6o
〜火山東部〜

魔道兵「今にも落下しそうな勢いだぞ……っ」

現地ではないにしろ、当然ながら火口での攻防ははっきりと目に移る。

魔道兵「本当に大丈夫なんだよな……」

魔道兵長「現場の人間を信じろ。俺達なんかよりよっぽど、力を持った方々だ」

魔道兵「そ、そうですよね……」

魔道兵長(だが、不安は分かる。このままで良いのだろうか……)

バサッバサッ…バシュウウゥゥゥゥ

魔道兵長「……?」

魔道兵「あれは……ワイバーン!?」

ドシュウウゥゥゥゥ…スタッ

青年兵「良かった、間に合った!」

隊長「魔物が来るぞ。眷族、アカ・マナフだ。これより俺らが指揮を執る。指示に従え!」

魔道兵長「アカ・マナフ!? り、了解でありますっ」

隊長「武器は一切持つな。それから、各々離れて布陣しろ!」
805 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:01:14.76 ID:3waOB5W6o
青年兵「ツインテさん、セイレーンの準備を」

ツインテ「はーい!」

朱雀嬢「私は上空から様子を伺いますわっ」

バシュッ!!

隊長「さぁ、来るならきやがれ」

青年兵「……」

ピクッ…ババッ

隊長「……?」

青年兵「気のせいか……?」

同時に背後を振り向いた隊長と青年兵。しかしその先に気配はない。

その刹那、上空から激しい羽ばたきの音と悲鳴が響き渡った。

朱雀嬢「きゃああぁぁーっ!!」

ペガサス「グオオォォォォン!!」

隊長「何だ!?」

朱雀嬢「ど、どうしたの急に……っ!!」
806 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:02:39.39 ID:3waOB5W6o
ブンブンッ…ブオンッ!!

青年兵「ペガサスが暴れていますね。制御出来ていないような――」

隊長「まさかっ!?」

青年兵「間違いないっ! ワイバーン!」

バシュウウゥゥゥゥ

朱雀嬢「お、落ち着きなさいっ! ペガサス!」

ペガサス「グオオォォォォン!!」

朱雀嬢「解除が……出来ないっ!?」

青年兵「朱雀嬢さん、ペガサスを戻して!」

朱雀嬢「戻したいのだけれど、戻せませんわっ!」

青年兵「おそらくアカ・マナフの仕業です」

朱雀嬢「!?」

青年兵「別の召喚獣を! ペガサスを倒すしか方法はなさそうです」

朱雀嬢「わ、分かりましたわ!」

ペガサスの背中へ必死にしがみ付きながら、朱雀嬢は咄嗟にグリフォンを召喚し、

タイミングを見計らうと、空中でペガサスからグリフォンの背へと飛び移った。
807 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:03:36.74 ID:3waOB5W6o
ババッ…ガシィ!!

朱雀嬢「くっ!!」

青年兵「喰らえぇ!!」

ワイバーン「ガオオォォォォンッ!!」

ペガサス「グオオォォォォ!!」

ワイバーンの炎を吹き飛ばすかの如く、ペガサスの周囲より流星が飛び交う。

その流星は凄まじい速さをみせ、次第に無数の流星が一つに束ねられ始めた。

青年兵「な、何だ……っ!?」

朱雀嬢「!?」

ペガサス「グオオォォォォン!!」

青年兵「流星が一つに……いやっ、これは……彗星!?」

バゴオオォォォォン!!

青年兵「ぐわあぁーっ!!」

朱雀嬢「青年兵さんっ!?」

シュウウゥゥゥゥ
808 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:04:33.88 ID:3waOB5W6o
青年兵「ぐ……くっ」

隊長「無事か!?」

青年兵「なんて強さだ……っ」

隊長「操られて制御が外れてんだろうな」

青年兵「それよりも、アカ・マナフ本体が見当たりません」

隊長「さっきの嫌な気配……そうかもしれん。下は任せろ」

青年兵「はい。行ってきます」

色黒「私も援護っ!」

バシュッ!!

隊長「さぁ、どっからきやがる……」

ボフゥ…

魔道兵「グ……アアァァァァ!!」

隊長「きやがった!」

ポニテ「ツインテ! セイレーンよ!」

ツインテ「はいにゃ!」
809 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:06:53.44 ID:3waOB5W6o
シュイイィィィィン

ツインテ「それーっ!!」

セイレーン「〜♪」

魔道兵「ギイヤアアァァァァ!!」

ドサッ

隊長「お気の毒なこったが、ちいとばかし眠っててくれや」

セイレーン「……」

ツインテ「はにゃ? セイレーン?」

クルッ

セイレーン「〜♪」

ツインテ「にぎゃああぁぁぁぁーっ!!」

ポニテ「ツイ――きゃああぁぁぁぁ!!」

ドサドサッ

隊長「ぐっ! な……何だ!? まさか……っ」

突如セイレーンの歌声に倒れるツインテとポニテ。
810 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:08:36.16 ID:3waOB5W6o
アカ・マナフ「……いい加減しつこいにも程がある」

隊長「てめぇ……っ!」

アカ・マナフ「なかなかに便利な……召喚獣よ」

セイレーン「〜♪」

隊長「ぐぅ……っ!」

アカ・マナフ「耳を塞いでいれば……剣は振るえまい」

セイレーン「〜♪」

隊長「くそ……っ」

アカ・マナフ「力は衰えたが、お前も操って終わりとしようか」

隊長(こうなりゃ……鼓膜ブチ破ってでも戦うしかねぇか……っ!)

ググッ

アカ・マナフ「……さぁ、諦めて……死ね」

セイレーン「〜♪」

隊長「ぐあっ!!」

セイレーン「〜♪」
811 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:09:37.00 ID:3waOB5W6o
バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「おおぉぉぉぉ!!」

アカ・マナフ「無駄だ」

セイレーン「〜♪」

青年兵「ぐっ!」

ワイバーン「グギャアアァァァァーッ!!」

バタバタバタッ

青年兵「僕は大丈夫でも……ワイバーンが……っ!」

朱雀嬢「うぅ……っ」

ペガサス「グガオオォォォォーッ!!」

ヒュルルルル…ドシャアアァァァァ

色黒「あ……ぐぅ……」

アカ・マナフ「全滅だな……では、じっくりと操り、嬲り、殺してくれよう」

青年兵「させ……ない……」

隊長「くそったれええぇぇぇぇ!!」
812 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:11:45.87 ID:3waOB5W6o
フッ

アカ・マナフ「……?」

セイレーン「あ……っ」

ドサッ

アカ・マナフ「何が……起きた?」

色黒「う……ぅ」

朱雀嬢「何これ……力……抜け――」

ドサドサッ

隊長「!?」

青年兵(これは……ザントマン!? いや、しかし……っ)

異変に気付いた隊長と青年兵は咄嗟に息を止める。いや、セイレーンが操られていた頃から、

この2人だけはアカ・マナフのもやに警戒し、呼吸の頻度を減らしていた。

故に、この咄嗟の場面においても、ザントマンの粉を吸う事無く済んだと言える。

ザッザッザッザ…

青年兵(召喚士さん…? いや、違う!)
813 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:12:24.71 ID:3waOB5W6o
ザッ

山師「……」

ザントマン「ヒヒッ」

隊長(何者だ……?)

アカ・マナフ「貴様か……余計な邪魔を」

山師「それはすまなかったな」

アカ・マナフ「……クッ」

ボフウウゥゥゥゥ

隊長「その煙を吸うな! 操られるぞ!」

山師「2人共っ、下がっていろ!」

山師姉「はいっ!」

山師妹「……っ」

山師「共に立てっ! ゴーレム!!」

ゴーレム「オオォォォォン!!」

ガシィ!!
814 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:13:16.41 ID:3waOB5W6o
青年兵(うまいっ! 風向きを計算し、ゴーレムでもやを防いだ!)

山師「ザントマン!!」

ヒュッ

ザントマン「……ヒヒッ、逃がしたねぇ」

山師「そうか」

スクッ

青年兵「助かりました。ありがとうございます

山師「いえ……」

隊長「あんた、何者だ?」

山師「北からの増援に参加して、お手伝い出来ないかと」

隊長「北からの増援……?」

山師「はい。北方軍の――」

山師姉「山師っ、応急薬を!」

山師「あ、あぁ」

隊長「北の増援……? 聞いてねぇぞ、そんな話は……っ」
815 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:14:22.23 ID:3waOB5W6o
〜火山、火口付近〜

召喚士「ぬぐ……ぐぅ!!」

スキュラ「――っ!!」

ボシュッ!!…シュウウゥゥゥゥ

召喚士「くはっ!!」

魔道士「大丈夫ですか!?」

召喚士「え、ええ。間一髪で召喚解除出来ました……」

テクテクテク

ジュニア「ほれっ、水だ」

召喚士「ありがとうございます」

ジュニア「よーし、最後のひと踏ん張り……いくかぁ!」

召喚士「ジュニアさん、タフですね」

ジュニア「ハッハ! もう空っぽに近いよ。でもな……全て出し尽くすまでは倒れねーぞ!」

魔道士「……もちろんですっ!」

召喚士「それじゃ、行きましょうか!」
816 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:14:58.24 ID:3waOB5W6o
ザザッ…タッタッタ

魔道士「やあぁ!!」

召喚士「行けっ! スキュラー!!」

シュイイィィィィン…ドッドオオォォォォン!!

大軍師「……司令、もう少しお下がりになられた方が」

天才「いや駄目だ。誰か1人が真下で支えねぇと……潰れる」

大軍師「……」

天才「ぐ……おおぉぉ!」

グググッ…ゴゴゴゴゴゴ

賢者「参ったね……ふぅ」

名代「……」

召喚士「名代さん?」

名代「すまぬ……。この札が最後の1枚だ」

召喚士「……っ」

ババッ…ボンッ!!
817 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:15:45.79 ID:3waOB5W6o
天狗「……」

名代「せめて、後方から風で援護を致す!」

召喚士「はい!」

ジュニア「後ろの連中も踏ん張ってる! ここが折れるわけにゃいかねぇぞ!」

ゴオオォォォォ

弓使い「……っ」

幼女「う……うぅーっ!」

女賢者「無理しちゃ駄目よっ」

幼女「……うんっ!」

玄武娘「もっと……召喚獣……出さな――」

フラァ…ドサッ

弓使い「玄武娘ちゃん!?」

女賢者「魔力枯渇ね……。この位置から遠隔で召喚獣出すから……」

弓使い「……もう、何とかしてよおぉーっ!」

キュイイィィィィ…ドッドオオォォォォン!!
818 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:17:07.23 ID:3waOB5W6o
弓使い「……え?」

幼女「今の……なに?」

ザザザッ

魔道兵「第2波……撃てぇ!!」

ドドオオォォォォン…ガキイイィィィィン!!

ジュニア「何だぁ!? どっから援護が……」

大軍師「まさか、魔道兵!?」

天才「あんの馬鹿ども……! 魔力の無駄遣いすんじゃねぇ!」

剣士「あっ!!」

名代「背後からだけではない……。左右、正面からも……っ!」

北部の魔道隊による援護魔法。その氷がマグマの球へ着弾するのを合図とするかの如く、

各部に散った魔道兵らが、触発され、一斉に氷と風の魔法を火口上部の球へとぶつける。

シュゴオオォォォォ

天才「とりあえず落下はほぼ止まったが……」

そして、天才が言葉を発しかけた途中で、夜空が一瞬、明るみを見せた。
819 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:17:37.06 ID:3waOB5W6o
バシュッ…パアアァァァァ

大軍師「……10分前です」

天才「今ので魔道兵の逆算出来るか?」

大軍師「各部半数ほどを援護に回しているようですね。そこから……」

天才「北西が壊滅。あと、南東部が援護なしに見えたが」

大軍師「南と東もですね。これは何かあった可能性が高いでしょう」

天才「アカ・マナフか……」

大軍師「推測ですが、魔道兵の推定人数は……」

天才「……」

大軍師「おそらく、多く見積もっても3000程度が妥当かと」

実際、大軍師の推測はほぼ正解に近かった。北西の600名はほぼ壊滅し、

南部、南東部、東部の3ヶ所で、アカ・マナフの攻撃により半数以上の被害が発生していた。

更には今現在の支援攻撃を除くと、ゾディアック用の魔道兵はおよそ1500名となる。

天才「絶望的な数字だ。そんなんで討つに値すっかねぇ……」

大軍師「どうでしょうね。それは司令の方が把握されているのではありませんか?」
820 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:18:50.42 ID:3waOB5W6o
天才「……ハーッハッハッハ!!」

大軍師「……?」

天才「俺様がブレる? 何をやってんだっつー話だ」

大軍師「……」

天才「この何十年、この日の為に築き上げてきたんだ」

ザッ

天才「やるしかねぇだろうが。信じた道を突き進むのみ!」

大軍師「ふっふ、それでこそ司令です」

天才「チャンスはあるはずだ。このまま押すぞ!」

大軍師「はっ。皆も聞きましたね? あと10分を切っています。凌ぎますよ!」

ジュニア「あとでたっぷり……報奨金貰うからなああぁぁ!!」

賢者「……ふぅ」

魔道士「全部出し尽くしますよぉーっ!」

召喚士「いっけええぇぇ!!」

今までで最大となった攻撃がマグマの球を包み込み、そして巨大な球は再び落下を始めた。
821 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:21:27.56 ID:3waOB5W6o
ゴゴゴゴゴゴ

剣士「馬鹿なっ!!」

召喚士「なんで……っ! これだけやってもまだ……」

アンラ・マンユ「……」

マグマの球の真下部分、赤く煮えたぎる一部分が空洞化する。

天才「――!?」

アンラ・マンユ「ここまでよく頑張っている」

天才「出やがったな……っ」

アンラ・マンユ「だが、力の差は歴然だったな。儚いものよ」

黒い影のようなものだけが姿を現し、それが魔王なのかは把握出来ない。

だが、脳へ直接響くかのような低い声。それだけでアンラ・マンユが出現したと認識は出来た。

アンラ・マンユ「打つ手なし、だな」

天才「どーかな」

アンラ・マンユ「……」

天才「最後までやってみなくちゃ……分からんぜぇ?」
822 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:24:00.38 ID:3waOB5W6o
アンラ・マンユ「物事には限度というものがある」

大軍師「……っ」

アンラ・マンユ「為すだけではどうにもならない事とて、あるだろう?」

天才「うるせーな。説教垂れてんじゃねーぞ」

アンラ・マンユ「やはり……人間なぞ対話するに値せぬ、か」

フッ…ゴゴゴゴゴゴ

ジュニア「きやがった!」

召喚士「ぐ…ぐぐっ!」

残り5分といったところか。マグマの球ももはや火山へ衝突するぐらいの位置まで迫っていた。

天才「ちっきしょ……っ!」

魔道士「や……あぁーっ!!」

剣士「もう少し、もう少しなんだぁ!!」

ジュウウゥゥゥゥ!!

天才「……全員、退避!」

大軍師「!?」
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:24:47.97 ID:3waOB5W6o
天才「ここは俺様が預かる! 全員、後方支援に回れ!」

大軍師「しかし、それでは司令が……っ」

天才「いいから早くしろぉ! 全員潰れたらそれこそ打つ手なしだ!」

大軍師「……っ」

魔道士「天才さんっ!」

大軍師「全員、後退します!」

剣士「!?」

召喚士「……くそぉ!」

天才「ハーッハッハ! 安心しろ……俺様は死なん!」

魔道士「……っ」

天才「予言でだってそんな結果は出ちゃいねぇ。信じろっ!!」

召喚士「魔道士さん、行きましょう!」

魔道士「絶対ですよっ、絶対に……っ!」

タタッ…ザッ

天才「……さぁ、どんといこいやあぁ!!」
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:25:34.72 ID:3waOB5W6o
ズズウウゥゥゥゥン

天才「ぐぬぅ……っ!!」

一人球の下へと残った天才へ、全ての負荷が一身に降り注ぐ。

衣服は発火を始め、身体中からはその熱により湯気が立ち昇っていた。

天才「五行……水!!」

ドドオオォォォォン!!…ガッキイイィィィィン!!

懸命なる水行の氷魔法。それらで身を守り、球を支える柱を為す。

ゴゴゴゴゴゴ…ジュウウゥゥゥゥ!!

その周囲からは魔道兵や召喚士らによる風と氷の魔法が、東西南北より伸びている。

天才「いいぜ、てめーらの想い……バッチリ伝わってらぁ!」

タッタッタ…ザザッ

男隊員「おりゃああぁぁぁぁ!!」

女隊員「はああぁぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!…バシュウウゥゥゥゥ!!

青年兵「あそこかっ! いっけええぇぇ!!」
825 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:27:06.19 ID:3waOB5W6o
そこには人間も魔物も、国も性別も何もかも関係なく、ただ平和な世界を築きたい、

その想いを1つに集った者達が力を合わせ、手を取り合って戦う。そんな光景しかなかった。

ザザッ

天才「!? てめぇら……っ!!」

マーマン「うおりゃああぁぁぁぁ!!」

ハヌマーン「はあぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!

マーマン「1人で頑張っても……ロクな事はねーぜ?」

ハヌマーン「マーマンの水と私の風で、少しは足しになるだろう」

天才「……へっ、頼もしい限りじゃねぇか!」

ズゴゴゴゴゴッ

大軍師「残り……3分!」

ドドドドドド!!

天才「何の音だ……!?」

ゴッガアアァァァァ!!
826 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:28:18.46 ID:3waOB5W6o
ベヒーモス「グオオォォォォーッ!!」

天才「ベヒーモス!?」

突如、天才らの前に現れたベヒーモス2匹。その瞬間、足元の山が崩れ始めた。

ズッガアアァァァァ!!

天才「うおぉ!?」

ハヌマーン「な、何事かっ!?」

召喚士「これは……」

タッタッタ

白虎長「「どう? 間に合った!?」

大軍師「白虎長殿に、白虎嬢殿」

白虎長「時間かかっちゃったけど、山の一部を切り崩したわ」

白虎嬢「これで着弾地点も低くなりました〜。少し時間も稼げるますわね」

大軍師「お見事ですっ!」

召喚士「いけますよっ、これだけみんな……頑張ってるんですから!」

魔道士「……はいっ!」
827 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:29:35.85 ID:3waOB5W6o
ゴゴゴゴゴゴ

アカ・マナフ「……」

ジュニア「いいぞっ、動きがまた止まった!」

女賢者「もう……駄目かもぉ」

幼女「お姉ちゃん、頑張って!」

女賢者「……んふっ♪ 頑張っちゃおうかしら!」

アカ・マナフ「主の……主の邪魔は……」

弓使い「でも流石に、もうしんどいわよぉ……っ」

剣士「弓使い!? 掴まって!!」

アカ・マナフ「させんぞおおぉぉ!!」

ブワッ…バシュウウゥゥゥゥ

隊長「青年兵っ! 左だ!!」

青年兵「――っ!!」

マグマの球へと近づくアカ・マナフ。青年兵と朱雀嬢がその後を必死に追尾する。

朱雀嬢「させませんわっ!!」
828 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:31:25.27 ID:3waOB5W6o
青年兵「間に合ええぇぇーっ!!」

バシュッ…ズザザザザッ…ジャキッ

アカ・マナフ「……!?」

ブリュンヒルデ「全員、突撃」

青年兵「ワルキューレ!? アマゾネスさんかっ!」

アマゾネス「彼らの邪魔はさせぬ」

天才「おーおー。どいつもこいつも……可愛いじゃないの!」

ジークルーネ「でやああぁぁーっ!!」

アカ・マナフ「お……のれぇ!!」

バシュッ

グリムゲルデ「消えた……?」

隊長「上かっ!!」

アカ・マナフ「主……よ、せめて貴方様の元へ――」

スウウゥゥゥゥ

召喚士「消えた……っ」
829 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:33:11.16 ID:3waOB5W6o
ズズウウゥゥゥゥン

マーマン「ぐっ、あぁ!!」

天才「ハンパねぇなこりゃあよおぉ!!」

剣士「ど、どうしたんだ!?」

大軍師「アカ・マナフの力が魔王へと戻ったのです……っ」

魔道士「えぇっ!?」

ゴゴゴゴゴゴ

ジュニア「万事休す……か!」

ドドッドドッドドッ

賢者「……?」

大軍師「馬の蹄……騎兵? いや、そんなはずは……」

――「総員……構え」

ザザッ…キュイイィィィィンン

魔道士「あ……あぁ……っ!!」

召喚士「どうして……!?」
830 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:33:53.11 ID:3waOB5W6o
皇太子「撃て!!」

双子姉「氷と……」
双子妹「風の……」

双子姉妹「合体魔法っ!!」

ドドオオォォォォン!!

宮廷魔道兵「出し惜しみはないぞ! 撃て撃てぇ!」

大軍師「へ、陛下……?」

皇太子「悪いが、本国で大人しく待っていられるタチではないのでな」

天才「あんにゃろぉ……!」

皇太子「あの球を押し上げれば良いのであろう? 皆、一点を狙うのではなく分散せよ!」

双子姉妹「はい!!」

召喚士「陛下……双子姉さんに妹さん……っ」

青年兵「落下が完全に……」

朱雀嬢「止まりましたわ」

皇太子「いいぞ。そのまま攻撃を続けよ!」

天才「いいねぇ、キテるぜ……波がよ!!」
831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:44:01.73 ID:3waOB5W6o
ズドドドドドドッ!!

宮廷魔道兵「はああぁぁ!!」

魔道兵「撃て撃て撃て撃てぇ!!」

天才「よーし、凌げるぞ!」

マーマン「そんでぇ、どーすんだよ!!」

天才「なぁ、ここ……踏ん張れっか?」

マーマン「あぁ!?」

天才「アンラ・マンユへの道を切り拓かにゃならん」

ハヌマーン「お主がその先駆けを?」

天才「そういう事。抜ける間、支えられっか?」

マーマン「んな保証出来っかよ!」

天才「……だよな、まぁ仕方――」

マーマン「でも、やんなきゃいいけないんだろ! やってやるよ! だからさっさと行けぇ!」

ハヌマーン「信じてくれて、礼を言うぞ」

天才「ハーッハッハ! アンタら人間よりよっぽど人間らしいぜ」
832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:47:57.90 ID:3waOB5W6o
ザザッ…タタタタッ…シュバッ

天才「時間は!?」

大軍師「あと1分です!」

天才「よーし……」

ザッ

皇太子「待て」

天才「時間がない」

皇太子「援軍は他にもいる。もう着くはずだ」

天才「!?」

皇太子「頼むぞ、人類の平和の為に」

天才「人類じゃねぇ、世界の為だ」

皇太子「そうか、そうだったな」

ババッ…タタタッ

天才「……さぁ、本番だ!」
833 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:50:34.23 ID:3waOB5W6o
〜北東奥の山〜

戦士「……ふーっ」

盗賊「……あと1分」

戦士「おう」

盗賊「大丈夫。私が……支えるから」

戦士「……」

盗賊「あっ、その……変な意味じゃなくてだなっ!」

戦士「そっか。残念だ」

盗賊「へっ!?」

戦士「……なぁ盗賊」

盗賊「なっ、何?」

戦士「俺……お前の事が好きだ」

盗賊「――っ!?」

戦士「仲間としてってのもあるけど、そうじゃなくて……」

盗賊「なっ、な……っ!」
834 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/14(火) 18:53:45.54 ID:3waOB5W6o
戦士「こういう時って、なんか正直になれるんだろうな」

盗賊「……っ」

戦士「別に答えとかそういうのはいい――」

盗賊「わっ、私もおぉ!!」

戦士「……?」

盗賊「私……っ、私も……好き……だっ!」

戦士「盗賊……」

盗賊「戦士が……好きだっ!!」

戦士「……ありがとよ」

ザッ

戦士「こんな時に不謹慎かもしれねぇが、すっげぇ力……貰ったわ」

盗賊「……うんっ!」

戦士「行くぜ……アンラ・マンユ!!」

盗賊「3……2……1……時間だ!」

戦士「うおりゃああああぁぁぁぁ!!」
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/14(火) 18:55:27.32 ID:3waOB5W6o
本日もご支援ありがとうございますです!
ひとまずここまでにて。それでは失礼致します!ノシ
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/06/14(火) 19:00:32.43 ID:P/FGZ14Ko
>>1ぽつ

戦士は世界に平和が訪れたらもげろ
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/06/14(火) 19:08:31.61 ID:2X1Z65CIo
1乙!
最後のなんか泣けたぞ・・・リアルに泣いた・・・
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/14(火) 19:21:12.75 ID:MD3ZbLiFo
死亡フラグ...
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/06/14(火) 19:39:40.02 ID:B3tfaVzAO
戦士「フラグ…だろうな」
召喚士「ちくしょう」
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 19:46:55.02 ID:07tka4LDO
>>1乙ちゃんマジ寸止め!
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 20:07:42.87 ID:B275rjoIO
一乙!
熱い展開だが戦士、貴様はゆるさん


あと、ザントマンって目に砂を入れるんじゃなかったけ?
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 20:13:07.49 ID:KYfb49ODO
死亡フラグがビンビンなんですが…
でもきっと戦士なら!
843 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 20:40:29.41 ID:5iMff8u1o
おい戦士







おい
844 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 21:06:45.90 ID:fbMrn+3DO
>>1乙!

戦士何言ってんだよ。
845 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/14(火) 21:07:04.15 ID:Ffufy9LAO
>>1

戦士イケメンすぎるだろ…
でもなんなのこのフラグじみた台詞まわし
ちょっと先を読むの怖いじゃないかぁぁぁぁぁぁぁぁ
戦士が幸せになるのは、これからじゃなかったのか
戦士、戦死…
846 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/06/14(火) 21:22:10.48 ID:j+rSTWSvo
>>1乙!
戦士フラグ立ってるけど死ぬ要素無いよな
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 21:59:09.07 ID:0NJwBOCKo
http://hypernews.2chblog.jp/archives/51375716.html
巨大な火球を見ながら戦士と盗賊の結婚式
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/14(火) 22:37:22.83 ID:KnFbmmwAO
戦士と俺?
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/14(火) 23:24:19.78 ID:rWClLT5AO
嫌なフラグにならないことを祈るしかない
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/14(火) 23:48:43.61 ID:7C9qq6LDO
>>1
天才が元気玉作って戦士に投げたとこまで読んだ
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/15(水) 04:23:02.20 ID:FapBbS7DO
主人公の戦士が死ぬわけない
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/06/15(水) 07:34:17.25 ID:4RcTW2WO0
スレタイの戦士がまさか死ぬなんてはずないよな
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/15(水) 07:46:21.63 ID:Zl5c4A7Oo
ゾディアック使うからな
死ぬかも試練
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/15(水) 17:05:21.17 ID:GLzz7Nleo
>>1
山師のところでグッときた・・・!
855 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:25:50.23 ID:N7ZMvGJro
盗賊の声を合図に、戦士は低く構えた身体を一気に弾けさせ、加速する。

1歩、2歩と砂を蹴り走る足音が、戦士の雄叫びと共に夜空へ響く。

戦士「……っし!!」

頂上の岩壁手前、戦士の歩幅が大きくなり、跳ぶ様に駆ける。

タンッ…タンッ…タンッ…グアッ!!

最後の1歩を踏みしめた時、その右手を身体の後ろから大きく振り上げ、

その手に握られたゾディアックは勢いよく、夜空を駆け抜ける。

全身の筋肉が一瞬の内に伸縮し、激痛が伴う。

それはまるで、ゾディアックに己の力を吸い取られているようであった。

バッシュウウゥゥゥゥ!!

戦士「……くっ!!」

岩壁手前で大きくよろめき。今にも倒れそうな戦士を、横から飛び出した盗賊が支える。

ガシッ……ギュッ

戦士「ありがとよ、支えてくれて」

盗賊「……うん」
856 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:26:40.65 ID:N7ZMvGJro
〜火山〜

大軍師「時間です!」

天才「朱雀、コカトリスだ!」

召喚士「!? は、はいっ!!」

バシュウウゥゥゥゥ

天才「おーし、ちょっくら借りるぞ!」

召喚士「借りるって……えぇ!?」

ガシィッ!!…バサァ

天才「このまま真っ直ぐ、突撃しろぉ!」

コカトリス「……」

天才「そうそう。いいぞ、もうちょい上!」

バシュッ

天才「ここだっ! 石化ブチ込めぇ!!」

召喚士「コカトリス!!」

コカトリス「おうっ」
857 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:29:19.74 ID:N7ZMvGJro
ゴッガアアァァァァ!!

灼熱の球めがけて、コカトリスの黒い吐息が吹き付けられる。

太陽のように燃えさかるその表面に吐き出された石化の息は、

表面をみるみるうちに、硬く赤黒い石へと変化させていった。

天才「でっりゃああぁぁぁぁ!!」

一点集中で放たれ続ける石化の息を追従するように、天才はツヴァイハンダーを

身体の前で水平に構えると、螺旋状に突きを撃ち放つ。

ゴアッ!!…ズッガアアァァァァ

天才「貫けええぇぇぇぇ!!」

キュイイィィィィン

女賢者「五行!?」

大剣へと付加する五行が煌き、コカトリスの息にて石化した部分を掘削する。

ゴガガガガッ!!

天才「ぐ……お……りゃああぁぁーっ!!」

ミシミシと激しい音を立てるマグマの球と天才の肉体。
858 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:30:17.79 ID:N7ZMvGJro
引火しようとお構いなしとばかりに、天才は無心で突きを放つ手を止める事はなかった。

そして、激しい火柱と共に、大小様々な岩石が噴き出し、飛び交う。

まるで火山の噴火が横向きに起きているかのような、そんな光景である。

天才「おおぉぉぉぉーっ!!」

召喚士「押し切れえぇーっ!!」

ズゴゴゴゴッ!!

天才「く……んのやろおぉ!!」

突きを止めるわけにはいかない。一度刀身を離せば、穴はみるみるうちに塞がるであろう。

それだけではない。放った力が反発し、爆発を起こす可能性もあるだろう。

そして、その力は全て天才とコカトリスへと向けられる事になるのだ。

しかし、幾ら続けても、魔王へと到達する気配は微塵たりともない。

既にゾディアックは放たれているであろう。天才はそんな事、既に分かっているが、

どうにも序盤から飛ばしすぎた為か、魔力はともかく体力に限界を迎えつつあった。

グググッ…ビキビキビキッ

天才「……く…っそぉ、老いたモンだぜ……っ」
859 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:47:21.18 ID:N7ZMvGJro
外見は青年のままであっても、やはり衰えは多少なりともあった。

ましてや退治する相手は魔王とその眷属。今までのような戦闘中においても

体力を温存するような闘いは出来るはずもなく、する必要もなかったのだ。

天才とて鍛錬を怠っていたわけではない。しかしながら国軍総司令という立場になり、

以前のような戦場一辺倒の環境ではなくなっているのだ。

椅子に座る日々が増えるにつれ、比例するかの如くワーカーとしての任務が増えた。

そうして保ってきたものだが、やはりここにきて老いというものを感じる事と相成った。

天才「ぐくっ!!」

しかし、この時ばかりはそれが逆に幸いした。

天才「……!?」

パアアァァァァ…キュイイィィィィン

天才「五行……だとぉ!?」

魔道士「やあぁーっ!!」

天才の力が落ちた事により、魔道士の魔力が対等となり、魔法付加が可能となった。

魔道士の放った決死の五行が天才のツバイハンダーを更に煌かせた。
860 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:48:10.59 ID:N7ZMvGJro
〜北東手前の山〜

バーテン「南西の風、1メートル!」

戦士父「了解っ!!」

背後を振り向かずとも、2人にはそれが分かった。

ゾディアックは空を切り裂き、甲高い音をあげながら、明らかに迫っている。

音が近づくにつれ、北東の空から白く輝く、一筋の光が見え始めた。

バーテン「来たぞ!」

戦士父「ちっ、軌道が高い!」

ゾディアックの投擲角度を確認し、戦士父は近くの岩場を駆け上がり、大きく蹴り出す。

ババッ…タンッ!!

そして空中へと身を舞い上げると、光の軌道上へと手を広げた。

戦士父「ぬ……ああぁぁ!!」

ゥゥゥゥウウ…ゴゴウッ!!

風を切り裂く轟音の中、ゾディアックが戦士父の直前まで差し迫る。

そして、戦士父は右手を伸ばし、ゾディアックを空中で握り掴んだ。
861 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:48:54.47 ID:N7ZMvGJro
ギュルルルルルルッ!!…ブチブチブチッ!!

右腕の皮膚が破れ、一気に血が噴き出し始めた。

戦士父「……っ!!」

5本ある指の感覚は一瞬の内に吹き飛び、激痛が掌を伝わり、腕にまで上ってくる。

戦士父「う……おお……おおぉぉぉぉ!!」

グググッ…ザッシュウウゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

失敗は決して許されない。たった一度のチャンス。そして、遠目に映るマグマの球。

その一画、光り輝く部分が戦士父の目にははっきりと見えていた。

それは天才がツヴァウハンダーで懸命に切り拓いている勝利への道。

どんな状況なのか、本当に大丈夫なのか、そんな事は当然、知る由もない。

それでも戦士父はただ信じ、当初の時間通り、投擲を打ち放ったのだ。

違うのは南西の風、1メートルの軌道修正のみ。

フッ……ドサッ

バーテン「……ご苦労さん」

労いの言葉をかけるバーテンは、すぐさま戦士父の右手へと応急処置を施し始めた。
862 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:49:36.31 ID:N7ZMvGJro
ズッドオオォォォォン!!

ジュニア「うおっ!!」

剣士「す、凄い力……っ」

召喚士「魔道士さんっ!!」

魔道士「くうぅーっ!!」

天才「バカが……っ、無茶しやがって……っ!!」

ゴガアアァァァァ!!

天才「だが、同系統の魔力のお陰で……付加効果は数十倍だな……っ!」

先程までとは比べ物にならない程の爆発を起こし、穴は更に奥深くへと広がる。

そして、天才は背後から迫る巨大な何かを咄嗟に感じ取った。

天才「来たっ!!」

同時に召喚士もゾディアックの存在に気付く。

召喚士「コカトリスを下げます!!」

天才「最後だっ、受け取りな!!」

懐から結界石を取り出すと、天才は穴の中へと放り込みコカトリスはその場から退散した。
863 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:50:22.82 ID:N7ZMvGJro
ゥゥゥゥウウウウ…ゴゴウッ!!

天才「撃てえぇーっ!!」

大軍師「攻撃開始ーっ!!」

魔道兵「おおぉぉぉぉーっ!!」

ドドオオォォォォン!!…ズッガアアァァァァン!!

大軍師の号令を合図に、北部の魔道兵が一斉に魔法を放つ。

そして魔法が空へと撃ちあがると、火山の各方面に布陣した魔道兵らも、

その後を追うように、各々、自身が最も得意とする魔法を撃ち放った。

ガカアアァァァァ!!

それは花火のように夜空を明るく照らし、光は1ヶ所へと集中している。

無論、それはゾディアックの元であり、投擲された槍は魔法を吸収し、

こじ開けたマグマの球の中へと、吸い込まれるように入り込んだ。

バチバチバチッ!!…ズッガアアァァァッ!!

凄まじい衝撃により大地は震え、球の一部からは流血ンおように溶岩が飛び散る。

しかし、ゾディアックの動きは、球の内部で停止し、そこから先へと進む事はなかった。
864 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:50:55.89 ID:N7ZMvGJro
ゴゴゴゴゴゴ


青年兵「まだ……足りないというのか!?」


ジュニア「これだけぶっ放しても駄目なのかよおぉ!!」

弓使い「もう無理……っ、魔力も空っぽよぉ!」

大軍師「我らも援護したいが……」

賢者「球を支えるのに精一杯さ……ふぅ」

皇太子「どうした! それでも本国の誇る魔道兵かっ!」

宮廷魔道兵「はあぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!…バチバチバチッ

天才「しくじったな」

大軍師「……?」

天才「アカ・マナフを戻させちまったのが余計だった。俺のミスだ」

召喚士「何を言ってるんです。誰のミスでもありませんよっ!」

天才「……」

召喚士「行きましょう。まだ……これからですよ!」
865 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:51:41.79 ID:N7ZMvGJro
ゾクッ

天才(コイツ……)

そして、想いは奇跡を呼び込む。いや、既に起きていた事ならばそれは、

奇跡のように見えただけなのかもしれない。だが、彼らには奇跡のように感じた。

天才「――っ!?」

召喚士「え……っ!?」

ザザッ

北方魔道兵「援護……っ、撃てぇ!!」

東方参謀「ぬりゃああぁぁーっ!!」

ギュルルルルッ…ババッ!!

東方参謀「爆発っ!!」

ドッドオオォォォォン!!

大軍師「北方からの……援軍!?」

隊長「そうかっ、あれが山師って奴が言ってた……」

青年兵「左翼長さん……っ」
866 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:52:09.62 ID:N7ZMvGJro
〜北方司令部〜

左翼長「……」

ザッザッザ

東方司令「総大将がプラプラと何をしている」

左翼長「別にいいだろ。真夜中の散歩だよ」

東方司令「……」

左翼長「もう、カタは着いたかねぇ」

東方司令「さぁな」

左翼長「……んで、何の用だ?」

東方司令「伝令」

スッ

左翼長「どーも。何か動きは?」

東方司令「東方司令部に賊が入ったらしい」

左翼長「賊?」

東方司令「何でも証言によれば、北おw拠点にした盗賊団のようではないか」
867 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/15(水) 18:52:46.95 ID:N7ZMvGJro
左翼長「……ああ、例の女頭領の連中か。被害は?」

東方司令「特になし」

左翼長「ふぅん、特になし……ねぇ」

東方司令「それと、電話が北の港まで伸びた。次はここまで来るそうだ」

左翼長「思ったより早いな。ま、早いに越した事はねぇか」

東方司令「……早く寝ろよ。明日も牽制の部隊を出すのだろう?」

左翼長「ああ。お前さんが指揮してくれ」

東方司令「……」

スクッ…ザッザッザッザ

左翼長「アンラ・マンユ……か」

ゴロン

左翼長「時は戻らねぇ。悔やんだって仕方ねーんだ」

夜空を見上げる左翼長。月はほとんど出ておらず、闇が広がっている。

特に何を見つめるでもなく、左翼長はただ暗闇をぼーっと見上げていた。

左翼長「今度は……救ってやれよ」
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/15(水) 18:54:16.17 ID:N7ZMvGJro
とりあえずここまでにて。あとでちょこっと投下出来るかも…
ご支援ありがとうございました!反響あって良かった!
では、失礼致しますー!ノシ
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/15(水) 18:55:05.44 ID:7RsHOOyAO
何故戦士は死なない
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/15(水) 19:50:18.18 ID:ddvt8y/Oo
>>1乙!
召喚士と魔道士が進展するのはいつになるやら
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/15(水) 19:58:37.46 ID:titfpSgAO
>>1

山師ってそんなに凄そうな人ってイメージ無かったけど、どうなのよ
ちょっと揺らいじゃうじゃないの
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/15(水) 19:59:35.00 ID:AY3felnh0
うをををををををを
1乙
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/15(水) 21:04:36.31 ID:GLzz7Nleo
召喚士達と落ち合った後の戦士と盗賊はどんな様子になるのか今から楽しみだww
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/15(水) 22:02:22.16 ID:ZAgkJf3vo
今日は誤字がやたらに多かったなwwww

乙乙
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/06/15(水) 22:29:50.94 ID:AND5J/Ax0
俺は、誤字
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/15(水) 23:07:28.49 ID:pJf8NvVp0
ゾディアックに魔法ぶつけんのすごい難しそうだな。
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/16(木) 00:32:31.32 ID:kCdUZx3AO
そこは媒体だから勝手に近くの魔法すいとる的な解釈すりゃいい
878 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 00:40:17.78 ID:ueVt8kiZo
北方魔道兵「撃て撃て撃てぇ!!」

東方参謀「手を止めるな! 撃ち続けよ!」

天才「お前の言ってた援軍か。頼もしいじゃねぇか」

皇太子「……ふむ」

青年兵「……?」

皇太子私の言った援軍とは、やや違うようだがな」

天才「何……?」

大軍師「どういう事でしょうか……?」

名代「あれは……何です?」

スッ

召喚士「!?」

青年兵「あ、あれは……っ!!」

――「我に力を、セクメト!」

シュイイィィィィン

セクメト「ゴオオォォォォーッ!!」
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 00:42:40.86 ID:ueVt8kiZo
ドズウウゥゥゥゥン!!

召喚士「神官さんっ!」

大軍師「西国の国王……っ!」

王子「遅くなりました! 西方からの援軍……ただいま到着〜っ!」

西方魔道兵「魔道隊一斉攻撃……開始ぃ!!」

神官「魔道兵以外は負傷者の救護を優先しなさい!」

ドッドオオォォォォン!!…ズガアアァァァァ!!

天才「……あんのババア!」

西方魔道長「ほらっ、しっかり踏ん張りな!」

ジュニア「いいぞっ、押し始めてる!」

隊長「この数なら……いけるぞ!」

男隊員「このクソヤロー!!」

女隊員「まだまだいくッスよぉ!!」

魔道士「凄い……凄いですよっ、これならいけますよねっ!」

召喚士「ええっ、いけますよ!」
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 00:43:36.28 ID:ueVt8kiZo
ズガガガガッ…ジュウウゥゥゥゥ!!

天才「ゾディアックが途中で止まる事はねぇ。力尽きる時は魔力が切れた時だ」

隊長「つまり、こっちの魔力が切れるのが先か……」

ジュニア「魔王まで到達するか……だな」

天才「しかし、頼もしい援軍も来た事だ。これでどうにか……」

皇太子「いや、私の言った援軍はあれでもないんだがな」

天才「あ?」

ボゴォ!!…ボボボボボボッ

魔道兵「う、うわああぁぁぁぁ!!」

突如、球の一部に異変が起き始める。

噴出したマグマが生き物のように縦横無尽に、上空を飛び交い始めた。

男隊員「何だありゃあ……っ!?」

女隊員「まるで……生き物みたいッスよ!」

名代「まるで……鬼火だな」

召喚士「……?」
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 00:49:44.15 ID:ueVt8kiZo
名代「東方の妖で、火の玉が生き物のように飛び交うのです」

天才「そんだけならましなんだがなぁ」

名代「……?」

天才「見ろ。火の玉が化物に姿を変えてやがるぜ」

飛び交う炎は激しくぶつかりあい、獣の姿へと形を変える。

ズザァ

ヘルハウンド「グルルウゥ」

隊長「何だとぉ!?」

魔道兵「退避っ、退避――」

ヘルハウンド「ガウアァッ!!」

ガブッ…ブシュウウゥゥゥゥ

北方魔道兵「ひ、ひいぃ!!」

青年兵「ここに来て何て事だ……っ」

天才「動ける奴は食い止めろぉ!!」

神官「セクメト、前へ突出せよっ!」
882 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 02:09:19.65 ID:s+nIV3KSO
今日もお疲れ様でしたっ
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/16(木) 02:46:27.79 ID:TiaqccGAO
王子がついに、か……
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/16(木) 15:38:08.11 ID:iGyhlw1DO
どれが本命の援軍なんだよオオオオ
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/16(木) 17:25:48.08 ID:1uo4glPIO
みんな俺の力も使ってくれ
886 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:23:57.11 ID:9QlRjCN1o
飛び散るマグマが空中でヘルハウンドへと姿を変え、次々と地上へ降り注ぐ。

ジュニア「何なんだよこれはよぉ!!」

大軍師「おそらく、ゾディアックが衝突した事により、魔王の魔力が散っているのでしょう」

東方参謀「ふーむ。これも魔王の一部という事か」

隊長「だったら話は早い。殲滅するのみだ」

名代「しかし……百鬼夜行のような、おぞましい光景だな」

ダダッダダッダダッ

ヘルハウンド「ガアアァァーッ!!」

魔道兵「ぐわあぁーっ!!」

騎兵「左、いや右!! あぁっ、くそ……キリがねぇ……!!」

流星のように降り注ぐマグマや火の粉。更にそれらは姿をヘルハウンドと化し、

地上の至る所へ無数に着地する。そしてそれを地上で迎撃する者達。

着地前に空中で墜落させる者達。無数に飛び交う魔法の数々。

あまり良好とは言えないその光景に、何か幻想的なものを天才は感じていた。

天才「……おっと、んあ場合じゃねーわな」
887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:25:00.59 ID:9QlRjCN1o
ドドオオォォォォ

剣士「弓使いっ!?」

弓使い「ごめん……もう、魔力がもたないわ……っ」

ヨロッ…ドサッ

幼女「お母さん……っ」

名代「天狗、地上へ降り立つ前に迎撃を」

天狗「うむ」

バシュッ…バサァ

オルトリンデ「あら、異国のお仲間さん」

天狗「……」

アマゾネス「ブリュンヒルデ」

ブリュンヒルデ「全員、突撃」

バシュシュシュッ!!

青年兵「僕らも続きましょう!」

朱雀嬢「はいですわっ!」
888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:26:36.95 ID:9QlRjCN1o
天才「召喚獣のお陰で空中迎撃が増えた。だいぶ楽になったな」

ジュニア「楽になったってなぁ、10や20の数じゃねぇんだぞ!」

大軍師「司令、如何致しますか? ご判断を」

天才「……」

ぐるりと戦場を見渡す天才。ヘルハウンドは親である魔王、アンラ・マンユの球を

守るかの如く、魔道兵から集中的に攻撃を仕掛けている。

天才「魔道兵を自己防衛優先に当たらせろ」

大軍師「宜しいのですね?」

天才「命には変えらねぇよ。急げ」

大軍師「はっ」

皇太子「魔道兵の戦力を抜けば、付加は減るぞ?」

天才「んな事ぁ分かってんだよ! 他に手はねーだろ」

皇太子「ならば、魔道兵を守れば良いのだろう?」

天才「だから、その兵がいねーんだっつの」

皇太子「いるではないか」
889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:27:51.27 ID:9QlRjCN1o
天才「……?」

ザッザッザッザ

皇太子「出るぞ、用意しろ」

天才「おいおい……っ、まさか陛下直々出陣しようなんて考えじゃねーだろうな?」

皇太子「では他に誰がいる?」

大軍師「おやめ下さい。幾ら陛下のお考えと言えど、それだけは同意致しかねます」

皇太子「ならば、みすみす魔道兵を見殺しにしろと?

大軍師「いえ、そうではありませんが……」

皇太子「それに魔道兵の数が減れば、結果は同じ事ではないのかな?」

天才「……いけるのか?」

皇太子「自信なくば、大口は叩けまいよ」

天才「ハーッハッハ!」

皇太子「……双子姉妹、いけるな?」

双子姉妹「……はいっ!」

皇太子「宮廷魔道兵は……そこの君、此処の指揮を頼めるかな?」
890 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:29:00.21 ID:9QlRjCN1o
ウィッチ姉「!?」

皇太子「頼むぞ。球を攻撃し続けてくれれば良い」

ウィッチ姉「ははははいいぃ!!」

皇太子「各員、乗馬始め!」

ザザッ…ガシッ

皇太子「よし、私を中心に、鶴翼の陣であたるぞ。双子姉妹は最後尾から援護を」

双子姉「お任せ」
双子妹「下さい!」

近衛兵「全員、陛下を命がけで御護りするのだ。いいな?」

ザザッ…パッカパッカパッカ

天才「死ぬなよ?」

皇太子「……出るぞ。まずは正面の群れを狙う! 続けっ!」

ドドツドドッドドッ…

大軍師「……っ」

天才「……ったく、ここにきて小覇王再び……か」
891 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:29:57.04 ID:9QlRjCN1o
ドドッドドッドドッ

皇太子「突撃ーっ!!」

近衛兵「おおぉぉぉぉ!!」

双子姉「魔法でぇー」
双子妹「援護しますわ!!」

ドドオオォォォォン!!

魔道兵「へ……陛下だっ! 陛下が自ら……っ」

騎兵「国王陛下……万歳ーっ!!」

天才「おーおー。士気が上がっちゃってまぁ」

大軍師「まさか陛下は、そこまでお考えで……・」

天才「どーだかな。だが、ありゃあもう小覇王なんかじゃねぇわ」

大軍師「……」

天才「王の器そのものだ。生まれながらにしての将器ってモンだわな」

大軍師「ええ。陛下が剣を振るうお姿、それだけでこれだけの士気が……」

皇太子「右方っ、脇が甘いぞ! もっと当たっていけ!」

近衛兵「ははっ!!」
892 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:30:59.49 ID:9QlRjCN1o
ドドッドドッドドッ

隊長「各員、陛下が先陣を切っているのだ! 気合いを入れろぉ!!」

魔道兵「おおぉぉぉぉ!!」

ヘルハウンド「グガアアァァァァー!!」

魔道士「しまった――!!」

ザシュウウゥゥ!!

ヘルハウンド「ギャウンッ……」

ドサッ

王子「大丈夫か!?」

魔道兵「あ、ありがとう……ございます……っ」

王子「本国の陛下にばかり、手柄を取られては西国の恥であるぞ!」

西国兵「いけぇ!!」

セクメト「……ガアアァァァァー!!」

ドドオオォォォォン!!…ゴッガアアァァァァ!!

王子「セクメトを前面に押し出し、その左右からあたっていけ!」
893 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:34:08.88 ID:9QlRjCN1o
皇太子「おぉ、あれは西国の……」

近衛兵「西の連中もよくやります」

皇太子「ああ。負けておれんな」

グイッ

皇太子「西側は西国の者らに任せ、我らは東側の敵にあたる!」

近衛兵「おぉーっ!!」

ザッ…ドドッドドッドドッ…

魔道兵「う……あぁ、がはっ」

衛生兵「頑張れよっ、今……助けてやる!」

騎兵「馬がやられたぁ!? だったら歩兵と合流して剣で戦えば良いっ!!」

天才「状況は?」

大軍師「投擲からおよそ5分近く経過。魔道兵は50名程が死傷の模様です」

天才「まずいな」

大軍師「はい……。こちらはよく持っていますが……」

天才「……」
894 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:34:51.32 ID:9QlRjCN1o
ググググググッ

マーマン「ちぃ……っ!!」

ハヌマーン「かなりやられているようだな……っ」

マーマン「落とすわけにゃいかねーけどよぉ!」

ハヌマーン「……」

マーマン「まだかよちくしょおぉ!」

ズザッ

ヘルハウンド「グルルルウウゥゥ」

ハヌマーン「何っ!?」

マーマン「こんな時にぃ!!」

ハヌマーン「ちっ、どうするか……」

マーマン「そのイヌっころ共……何とかしてくれっ!」

ハヌマーン「しかしだな……」

マーマン「1人で支える! だから、ちゃっちゃとカタ付けてくれえぇ!」

ハヌマーン「……っ」
895 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:35:29.59 ID:9QlRjCN1o
シュバッ

ハヌマーン「すぐに戻る!」

マーマン「当たり前だぁ! でないと……」

ガクンッ…ググググッ

マーマン「灰になっちまうぞおおぉぉ!!」

ジュウウゥゥゥゥ!!

マーマン「ぐあぁ……っ!」

ハヌマーン「雑魚が何匹群れようとも……」

ヒュバッ…バキィ!!…ズガァッ!!

ハヌマーン「我らを伏せられると思うなよっ!」

ヘルハウンド「ガウアッ!!」

ジュニア「まずいぞっ、高度が下がった……っ!!」

女賢者「も……駄目ぇ……っ」

フッ

ジュニア「ちっくしょおおぉぉ!!」
896 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:36:16.59 ID:9QlRjCN1o
ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「スキュラ……持ち堪えてくれぇ!」

魔道士「くうぅーっ!!」

幼女「……う……ううぅ……っ」

剣士「幼女……くそっ、僕も……もう力が……っ」

ガクン

天才「!?」

アンラ・マンユ「……一時は……どうなる事かと思ったが」

皇太子「……っ!」

アンラ・マンユ「総動員でこれか。無駄な努力だったな」

天才「まだ……終わっちゃいねぇだろうがよっ!」

アンラ・マンユ「もう残り僅かなのだろう? 力不足――」

グッ……グググッ

アンラ・マンユ「……?」

大軍師「な、何です? また……盛り返して……」
897 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:37:42.01 ID:9QlRjCN1o
〜火山。南部〜

法師「……よし、次の方」

魔道兵「痛みが消えた……。これならばっ!」

ババッ…ドドオオォォォォン!!

魔道兵「治癒が終わった奴は早く撃てぇ! どうやら苦戦してるみたいなんだ!」

オーク「みんな……頑張るです!」

魔道兵「いけぇーっ! こっちも健在だってとこ……見せてやれぇ!」

法師「……ふー」

オーク「法師様、大丈夫?」

法師「この程度、怪我で苦しむ皆に比べれば容易いものです」

フラッ

オーク「!?」

法師「構う事はない。オーク、貴方も援護を続けるのです!」

オーク「は、はいですっ!」

法師「まだですよ、私達はまだ負けません!」
898 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:39:00.20 ID:9QlRjCN1o
ズガアアァァ!!

山師妹「……っ!!」

山師「大丈夫か!?」

山師妹「かすり傷です!」

山師姉「無理はしないでね」

山師妹「今まで迷惑掛けてきた分……今度は……助けるのぉ!」

山師「山師妹……」

ドドオオォォン!!

双子姉「大丈夫!?」
双子妹「怪我はない!?」

山師「すまん。我らはは大丈夫だ」

皇太子「無理だけはするな。よし、更に東へ進むぞ!」

近衛兵「おぉーっ!」

ドドッドドッドドッ

山師妹「さぁ行こうっ、お姉ちゃん!」

山師姉「ええ!」
899 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:40:23.11 ID:9QlRjCN1o
ゾディアックが放たれて5分余り。通常ならそんな事は有り得ないような現象。

しかし、誰もがそんな疑問へ頭を働かせているような事はない。

ただ、眼の前の敵を倒し、居並ぶ者の命、そして己の命を守る為に戦っている。

マグマの球を突いた光は今もなお消える事なく、尾を帯びながら光り輝く。

それが消える時はつまり、魔力の付加がなくなった時。

どちらかが生き残り、どちらかが死ぬ。その結果が待っているだけなのかもしれない。

皇太子「……?」

ドドッドドッドドッ

皇太子は馬を走らせながら、北の崖に何か光るものを目撃した。

その途端、凄まじい光が一斉に飛び交い、ゾディアックの元へと伸びてゆく。

バシュウウゥゥゥゥ!!

皇太子「……まさか!?」

ザッ

――「すまんっ、待たせたな……皇太子!!」

皇太子「ようやくお出ましか。遅いぞ!」
900 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:42:22.87 ID:9QlRjCN1o
ザザッ

水の先生「さーて諸君、ここから先は危険すぎる。だからお前らはここまでだ」

学生「はいっ!」

火の先生「全く……とんだ課外授業じゃわい」

水の先生「いいか? お前らが自ら望んだ事だ。覚悟は出来ているな?」

魔道学校の学生らは力強く頷き、ある者は大声で返事をする。

水の先生「だが、俺らがいる限り……誰1人として死なせたりはしない」

火の先生「当然じゃ。かすり傷の1つすら負わせられんわい!」

水の先生「では、あとはお願いします。学園長」

学園長「貴方達も無茶はなさらないようにね」

水の先生「はい。それでは、行きましょうか!」

火の先生「よっこらせっと!」

ババッ…タッタッタッタッタ

学園長「さぁ皆さん。得意な魔法を思う存分、撃ちなさいな」

学生「よーし……いけぇ!!」
901 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:43:08.56 ID:9QlRjCN1o
ズッドオオォォォォン!!…ゴゴゴゴゴゴ

東方参謀「あ、あれは……っ!!」

賢者「全く、困ったものだね……ふぅ」

学生「東方先生! 賢者先生!」

ズザザザッ

水の先生「生徒らの安全を確保するのに手間取ってな」

皇太子「構わん。命は何ものにも変えられぬ」

女学生「陛下ーっ! 頑張りますからぁ!」

皇太子「ああ! 期待しているぞっ!」

女学生「よぉし……そっれえぇー!!」

ドドオオォォォォン

大軍師「……成程。とびきりの援軍ですね」

天才「ったく、もうこれ以上の援軍なんてオチはねーよなぁ!」

ザッ

天才「ラストだ!! 枯渇までぶっ放せぇ!!」
902 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:44:03.66 ID:9QlRjCN1o
ジュニア「うおおぉぉぉぉ!!」

男隊員「枯渇間近だ……っつうの!!」

女隊員「これが……限界ッス!!」

ズッドオオォォォォン

アンラ・マンユ「……馬鹿な」

ゴゴゴゴゴゴ

アンラ・マンユ「数を揃えれば勝てるなどと言うわけではないのだぞ?」

ゴゴゴゴゴゴ

アンラ・マンユ「しかし、何だというのだ……この力は」

天才「これが……人間の信じる力……希望ってやつだ!!」

アンラ・マンユ「歯痒いな」

クンッ

マーマン「――!?」

危機を感じ取ったアンラ・マンユは球の底部分を棒状に尖らせ、

それを火口である地面へと一直線に伸ばし始めた。
903 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:45:39.09 ID:9QlRjCN1o
マーマン「んな――っ」

マグマの柱がマーマンへと降り注ぐ瞬間、1匹の召喚獣が間に割り込んだ。

ズガアァ!!…ジュウウゥゥゥゥ!!

玄武娘「……くぅっ!!」

青年兵「リヴァイアサン!?」

朱雀嬢「玄武娘っ、貴女はもう魔力も限界なのよっ!?」

玄武娘「だって……守らなきゃ……マーマンさん、死んじゃうですの……っ!」

マーマン「……っ!!」

玄武娘「だから……だからぁーっ!!」

マーマン「嬢ちゃん、ありがとうよ」

玄武娘「!?」

マーマン「俺っちなんかの為によ……」

玄武娘「あぐっ!! きゃあぁーっ!!」

ジュウウゥゥゥゥ

マーマン「だが、もう限界なんだろ? 無茶すんじゃねぇ!」
904 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:46:58.31 ID:9QlRjCN1o
玄武娘「だ……駄目っ、もたない……ですの――っ!!」

隊長「誰かいねぇのかっ!?」

召喚士「スキュラ!! 最後の魔力だっ!!」

アンラ・マンユ「小賢しいぞ」

ジュッ!!…ボシュウウゥゥゥゥ!!

アンラ・マンユの声と同時に、マグマの柱が大きくはじけ、

リバイアサンとスキュラは一瞬の内にその場で蒸発した。

召喚士「ぐあぁ!!」

玄武娘「――っ!!」

ドサッ…ゴロゴロゴロッ

召喚士「マーマン……さんっ」

マーマン「これでいい。俺っち達の勝ちだ……ざまぁみろ、魔王――」

ドジュウウゥゥゥゥ!!

魔道士「マーマンさああぁぁん!!」

ハヌマーン「く……っ!!」
905 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:47:45.25 ID:9QlRjCN1o
ゴオオォォォォ

隊長「……待て」

玄武娘「へ……っ?」

剣士「あ……れは……?」

ジュウウゥゥゥゥ

玄武娘「ヒュ……ドラ? 何で……」

――「おいで、ケルピー……マーメイド」

玄武娘「――っ!?」

ザッザッザ

――「大丈夫かい? 玄武娘」

玄武娘「……様ぁ……っ」

召喚士「あ……あぁ……っ!!」

玄武娘「サモナー様ぁ!!」

サモナー「よく頑張ったね、玄武娘」

玄武娘の煤けた頬を拭い、サモナーはその身体を抱き起こして微笑んだ。
906 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:48:44.26 ID:9QlRjCN1o
……――

マーマン「……」

サアアァァァァ

マーマン「……?」

ムクリ…ザッ

マーマン「川? 泉……か?」

サアアァァァァ…ピチャ

マーマン「誰か……いるのか?」

パシャッ

マーマン「……?」

テクテクテク…バシャッ

マーマン「誰かっ、誰かいるのなら返事を……顔を見せてくれ!」

――「マーマン……。貴方なのね……?」

マーマン「――!?」

――「マーマン……マーマン……」
907 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:49:58.43 ID:9QlRjCN1o
――……

マーマン「……ぐ……ぅ」

シュウウゥゥゥゥ

マグマの球を押し上げる複数の召喚獣による水と氷の攻撃。

それらが柱を成すかの如く、マーマンの命を支えている。

マーマン「……な……にが」

サアアァァァァ

マーマン「水……? 火傷が……消えて……」

チラッ

マーメイド「……」

マーマン「マ……メイド……?」

マーメイド「……マーマン」

サモナー「マーメイド。離脱しよう」

マーメイド「はい」

マーマン「……っ」
908 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:50:38.14 ID:9QlRjCN1o
ズゴゴゴゴゴゴ…

アンラ・マンユ「こんな……事が……」

天才「最後の一撃……押し込んでやるぜっ!!」

キュイイィィィィ…ガカアアァァァァ!!

アンラ・マンユ「こんな事があって――」

ハヌマーン「掴まれっ!!」

マーマンの元へと咄嗟に如意棒を伸ばしすハヌマーン。

それをマーマンは決死の思い出しがみ付き、一気に球の下から離れる。

マーマン「ぐ……おぉ……っ」

学園長「さぁ、本当に最後の最後よっ」

学生「はいっ! うおおぉぉぉぉ!」

ウィッチ姉「つ、続けぇ!!」

宮廷魔道兵「おおぉぉぉぉーっ!!」

大軍師「これで……終わりですっ!!」

まだ魔力のある者らが一斉に、文字通り最後の一撃を、振り絞るように放出した。
909 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:55:28.39 ID:9QlRjCN1o
ドガカアアアアァァァァァァァァ!!

ジュニア「いけええぇぇぇぇ!!」

剣士「……っ!!」

青年兵「頼む……っ!」

白虎長「どうなのっ!?」

隊長「……」

賢者「……ふぅ」

名代「……っ」

アマゾネス「……」

山師「……くっ」

学園長「……」

女賢者「……頼むわよぉ」

法師「……」

オーク「……ど、どうなったの?」
910 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 18:57:48.69 ID:9QlRjCN1o
ハヌマーン「ぐ……ぬぅ」

マーマン「がは……っ」

朱雀嬢「……っ」

玄武娘「う……ぅ……」

神官「どう……だ?」

王子「……」

皇太子「………」

大軍師「もう……これ以上は……」

魔道士「……お願いっ」

召喚士「魔王は……」

ビシィ!!…ビキビキビキイイィィィィ!!

球は内部より激しいひび割れを起こし、その隙間から先行が漏れて放たれる。

ガカアアアアァァァァァァァ!!

その瞬間、目撃した者達は、誰もがその勝利を確信したのであった。

天才「……俺達の……勝ちだ!」
911 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 19:00:51.55 ID:9QlRjCN1o
ズッドオオォォォォン!!…ゴゴゴゴゴゴ…

激しく立ち上る五行の柱。それは柱という域を超え、

空全体をまるで昼間のように明るく照らし出す。

戦士父「……やったのか?」

バーテン「みたいだな」

ザザッ

盗賊「戦士!!」

戦士「あれは……五行なのか?」

盗賊「やったんだ……やったんだ……っ」

戦士「……行くぞ。みんなが待ってる」

盗賊「……うんっ!」

ゴオオオオォォォォ

南方参謀「あの光は……!?」

南方副司令「五行なのか!? っつー事は……」

南方弓長「勝った……?」
912 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/16(木) 19:04:13.58 ID:9QlRjCN1o
オオオオォォォォォ…

博士「……!?」

工兵「あれは……っ」

南西砦兵「博士!? あれを……あれを!!」

博士「買ったのら。人間が勝ったのら」

南方魔道長「……やりやがった」

衛生兵「お前ら見えるか? お前らの力が……勝ったんだぞ……っ!」

魔道兵「……う……あぁ」

歩兵「やったぞ、やったんだ!! は……はははっ!!」

オオォォォォ…

召喚士「光が天に昇っていく……」

魔道士「ついに……魔王を倒したんですね……」

召喚士「ええ……っ」

魔道士「良……かった、良かったぁ!!」

召喚士「俺達……魔王を……魔王を倒したんだっ!!」
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/16(木) 19:05:42.10 ID:9QlRjCN1o
またもうちっとだけ続くんじゃよ
でもひとまずここまでにて!ご支援感謝です!
それではでは、失礼致します!!ノシ

>>886
× 天才「……おっと、んあ場合じゃねーわな」
○ 天才「……おっと、んな場合じゃねーわな」
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/16(木) 19:13:34.37 ID:iGyhlw1DO
なるほどマーマンとマーメイドは元夫婦ってことか

サモナーにNTRなわけですね
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 19:37:55.93 ID:4xUZC3aoo
途中魔道兵が魔道士になってたり誤字が活躍してるぜ!
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 19:54:02.83 ID:LzQW++9DO
>>1
まさかマーマンとマーメイドが繋がるとはおもわなんだ
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/16(木) 19:57:43.19 ID:TiaqccGAO
買った……勝った……勝利を買う……
魔王戦まさかの八百長疑惑
918 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 20:04:24.28 ID:C+VYo9Ouo
>>1
魔王が全体攻撃してこなかったり腑に落ちない点がありまくりだぜ!
…やったか!?フラグか
919 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/16(木) 20:22:31.50 ID:DYsbipeAO
>>1

オラ達のパワーが勝ったぁぁぁぁあああ!!!!
920 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/16(木) 20:50:39.34 ID:iGyhlw1DO
アンラ・マンユ「ファイナル・フラッシュ!!」
921 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 20:59:53.66 ID:/6dwy5Es0
>>918
魔王は全体攻撃しなきゃいけないわけ?
スーパーうぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
922 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 21:14:07.60 ID:6xD+rA9Go
>>1
どうしてちょっと感想で疑問言っただけで煽り馬鹿が湧くのか
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) [sage]:2011/06/16(木) 21:23:14.47 ID:/iaUB2dho
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
924 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/06/16(木) 21:56:59.01 ID:wBXgrh2W0
ところでマーメイドのマーって何なんだろうな
925 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/06/16(木) 22:24:48.62 ID:HOublTejo
ガッシュの呪文のマ・セシルドのマみたいなもん
メイドの強化版
926 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/16(木) 22:38:02.90 ID:C+VYo9Ouo
>>924
マジレスするとマーが海・湖・池を意味する語、メイドは娘・少女・乙女を意味する語

927 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/16(木) 23:26:59.16 ID:kCdUZx3AO
>>1おつ
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 00:22:55.54 ID:PDrJKjSgo
>>926
ん?
つまりマーラ様は…
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/06/17(金) 01:56:55.62 ID:MOyy5HoAO
フラグ立ちまくりで怖い
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/17(金) 04:27:36.62 ID:JhrIdMMi0
1乙
ついに魔王を…泣いた
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/17(金) 13:10:37.83 ID:pq5Rf1UIO
今頃戦士はキャッキャウフフ
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 15:05:43.57 ID:ExhIryQv0
師匠「実は俺でした〜」

一同「な〜んだ、師匠だったのか〜」

ドッ
933 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:41:21.81 ID:E3KXbq/ro
ドドドドドド…

男隊員「あー疲れた……。やっと終わったわ」

女隊員「もうボロボロッスよ……」

男隊員「……ったく、ほれ、掴まれ」

女隊員「助かるッス」

ギュッ…ザッザッザ

幼女「はぁ……はぁ……」

剣士「幼女、弓使い、大丈夫?」

弓使い「ええ……。でももう、戦えないわよぉ」

剣士「大丈夫、もう終わったんだ。さぁ戻ろう」

弓使い「ええ。あら、弓が……」

幼女「あそこに落ちてるよ」

剣士「本当だ。取ってくるから先に行っててくれ」

弓使い「ふふっ、ありがと。それじゃ幼女、行きましょうか」

幼女「うんっ!」
934 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:43:00.28 ID:E3KXbq/ro
ゴゴオオォォォォ

サモナー「……」

魔王を倒した歓喜の声、友を失った哀愁の声、戦いの終わりを表現する様々な声。

その中で、サモナーは1人、無言で立ち上る白い光を見つめていた。

サモナー(……おかしい)

最後まで魔王の防衛にあたっていたサモナーは、どこか腑に落ちず疑問を抱いていた。

しかしそれが自身にとっても久し振りの戦闘であったからなのか、確信はなかった。

サモナー「……」

マーメイド「サモナー?」

サモナー(気配は感じない。しかし、最後の最後で手ごたえが全くなかった)

マーメイド「……みんな、戻ったわよ?」

サモナー(何か、透かされたような……そんな感じが……)

マーメイド「サモナーってば……っ!」

サモナー「あぁ、ごめん。行こうか」

その場より引き揚げる召喚獣と主。しかしその目からjは警戒を怠る事はなかった。
935 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:43:57.47 ID:E3KXbq/ro
オオォォォォ…

天才「……」

皆が南西砦側へ歩く中、天才は1人、火口側へと足を進めていた。

騎兵「し、司令……?」

天才「ほれほれ、お前らも早く戻れ。みんな行っちまうぞ?」

魔道兵「は、はいっ!」

ザッザッザッザ

サモナー「……」

天才「……」

すれ違い様、サモナーは天才へ1つ頭を下げ、その場を通り過ぎようとする。

両者は面識もなく、特にどういう立場の人間かお互い把握はしていない。

サモナーも相手が国軍の総司令官だとは露知らず、軍人姿の青年に労うつもりで

会釈をしただけの事であった、だが、その軍人は唐突にサモナーを呼び止める。

天才「アンタさ、何か気付かなかったか?」

サモナー「!?」
936 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:45:21.55 ID:E3KXbq/ro
天才「多分だが、この中で俺様とお前しか気付いてないんじゃないかねぇ」

サモナー「……」

天才「確かに戦いは終わった。俺らの勝ちだ。だが、まだ倒してはいない」

サモナー「あの……」

天才「最後まで至近距離にいたのはお前とお前の召喚獣だ」

サモナー「……やはり、そうなのでしょうか」

天才「……」

サモナー「最後の瞬間、何か力を抜かれたような、そんな感じがありました」

天才「ほぉ」

サモナー「押していたものを急に、すっと引くような……肩透かしを食うような……」

天才「そんな感じだったんだな?」

サモナー「え、ええ……っ」

天才「お疲れさん。その辺に転がってる奴らまとめて、先に戻ってくれや」

サモナー「……?」

そのまま火口へと向かう天才の後姿を、サモナーは黙って見つめていた。
937 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:46:24.74 ID:E3KXbq/ro
ザッザッザッザ

隊長「司令?」

天才「おーう、全員撤収だ。退け退け」

隊長「司令はどちらへ?」

天才「最終確認だ」

隊長「ならば、動ける者らを……」

天才「そんな奴はほとんどおねーだろ。いいから無理すんじゃねぇって」

隊長「……っ」

天才「ちゃっちゃと宴の用意でもしておけや」

隊長「……帰還するぞ」

ザザッ

天才「朱雀」

召喚士「!?」

天才「お前、あと何回いける?」

召喚士「……えっと、召喚獣ですか? コカトリスだとして1回撃てるかどうか……」
938 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:47:22.71 ID:E3KXbq/ro
天才「……一応そこにいてくれ」

召喚士「……?」

ザザッ…ザッザッザ

天才「……」

天に昇る白い柱は今なお勢い弱まる事なく、輝きを見せている。

魔道士「天才さん、どうしたんでしょうか?」

召喚士「……まさか」

天才「あん?」

ゴッ…ドドドドドド

天才「何か……いるっ!!」

召喚士「コカトリス!!」

シュイイィィィィン…ゴゴウッ!!

まさに一瞬であった。天才はツヴァイハンダーを振り上げると、それを降ろす間もなく、

光柱の中より伸びた影に弾き飛ばされた。

バッキャアアァァァァ!!
939 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:48:13.71 ID:E3KXbq/ro
天才「――!?」

更に援護に入るコカトリスが嘴を大きく開けた瞬間、身体ごと地面へと叩きつけられる。

バッゴオオォォォォ!!…ゴシャアアァァァァ!!

召喚士「ぐっ!」

魔道士「召喚士さんっ!?」

召喚士「大丈夫……っ、消失はしていません!」

天才(明らかに1撃目と2撃目で攻撃が違う……っ)

ズザザザザッ…ドシャアァ

天才「……ってぇな畜生」

光の柱は徐々に細くなり、輝きは天へと昇っていった。

オオォォォォ…

魔道士「!?」

召喚士「……子……供!?」

天才「あれはドラゴンか……? くそっ、随分とまたバカでかいもんだ」

少年なのか少女なのか、中世的な子供が1人と翼竜が姿を現した。
940 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:48:45.87 ID:E3KXbq/ro
バシュウウゥゥゥゥ!!

――「ゴガアアァァァーッ!!」

大軍師「何事です!?」

皇太子「魔物……っ!? 何だあれは……っ」

マーマン「お、おい……あれ……っ」

ハヌマーン「……アジ・ダハーカ!!」

空を羽ばたく竜は大型のドラゴンよりも更に巨大な、そして獰猛な姿。

更に地上では小さな子供が不気味に微笑んでいる。

召喚士「……っ」

――「まさか、僕がここまで追い詰められる事になるとはね」

召喚士「……!?」

天才「離れろっ! そいつが魔王だ!」

召喚士「――っ!!」

アンラ・マンユ「僕がここまで……」

天才「ちっ!!」
941 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:49:56.04 ID:E3KXbq/ro
召喚士の前に立ちはだかる子供めがけ、天才は大剣を振り上げ飛び掛かる。

ガシィ!!

天才「――!?」

アンラ・マンユ「魔力は失った。だが、力が衰えたわけではない」

天才「な……にぃ……」

ググッ…

ただ無邪気な子供のような外見からは想像もつかぬような、

片手で天才の顔を掴み、持ち上げると、そのまま地面へと叩きつける。

ゴッシャアアァァァァ!!

アンラ・マンユ「……」

天才「……ぐっ」

更に無抵抗な天才をそのまま上空へと放り飛ばした。

ブンッ

魔道士「天才さんっ!」

天才「こっちに構わず魔王を討てぇ!!」
942 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:51:09.07 ID:E3KXbq/ro
バッギャアアァァ!!…ズドオオォォォォン

宙へと投げ出された天才は、そこで待ち構えるアジ・ダハーカの鋭い爪に弾かれ、

火口脇の岩壁へと打ち落とされた。

魔道士「あ……ぁ……」

アンラ・マンユ「分かるか?」

召喚士「……っ」

アンラ・マンユ「あのアジ・ダハーカは僕の全ての魔力」

アジ・ダハーカ「グウウゥゥゥゥ……ッ」

アンラ・マンユ「アジ・ダハーカが再び僕の元へと戻れば……」

ザッ

アンラ・マンユ「僕の魔力は元通りサ」

召喚士「――っ!!」

魔道士「な、何で……っ」

アンラ・マンユ「ハハッ、簡単な話だよ。五行が直撃する前に魔力を開放したのサ!」

召喚士「!?」
943 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:52:33.25 ID:E3KXbq/ro
アンラ・マンユ「全ての魔力を盾にあてたせいで、あれっぽっちしか残らなかったけどね」

召喚士「じゃあ……次に五行をあてれば……」

アンラ・マンユ「ハハハッ! あててみなよ! 無理だからサ! ほらっ!」

魔道士「……」

アンラ・マンユ「やってみなって! その前に殺すからサ!」

バッ!!

魔道士「あぁっ!!」

アジ・ダハーカは急降下を始め、一直線にアンラ・マンユの元へと向かう。

アンラ・マンユ「さぁーっ! これで僕の魔力は再び元通りサ! ハハハハハハッ!」

召喚士「……させないさ!!」

アンラ・マンユ「あ……?」

上空を見上げ両手を広げるアンラ・マンユは、瞳を大きく見開いた。

地中から現れた召喚獣がドス黒く染まった息を吐き出し、巨大な竜は

そのまま地面へ叩きつけられるように落下したのだ。

ヒュウウゥゥゥゥ…ズッガアアァァァァン
944 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:53:57.45 ID:E3KXbq/ro
アンラ・マンユ「……」

ゴトッ…パラパラパラッ

アンラ・マンユ「……貴様」

召喚士「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

ザッザッザ

アンラ・マンユ「貴様を殺せば、石化は解ける」

召喚士「く……っ」

アンラ・マンユ「順序が変わっただけサ。ハハハッ!」

ブワッ!!

魔道士「召喚士さああぁぁん!!」

ジャラララッ…グルグルグルッ…ガシィ!!

アンラ・マンユ「……?」

召喚士を掴みあげようと伸ばした右腕に、鎖が絡まりつく。

アンラ・マンユ「……」

クルッ…ギロッ
945 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:55:02.26 ID:E3KXbq/ro
盗賊「……させないっ」

アンラ・マンユ「馬鹿が」

グイッ!!

盗賊「!?」

鎖を引っ張るアンラ・マンユはそのまま盗賊を引き寄せ、召喚士へと叩きつける。

アンラ・マンユ「仲良く死ね」

シュバッ

戦士「こっちだ……っ!!」

アンラ・マンユ「!?」

戦士の雷切がアンラ・マンユの背中を一閃の元に振り下ろされる。

ザシュウウゥゥゥゥ!!…スタッ

戦士「召喚士っ、立てるか!?」

召喚士「戦士、盗賊さん……っ」

盗賊「魔道士、手を貸せ!」

魔道士「は、はいっ!!」
946 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:56:22.65 ID:E3KXbq/ro
ザザッ…スタッ

アンラ・マンユ「……」

戦士「魔王さん、始めましてだな!」

アンラ・マンユ「……」

戦士「お前は俺達、召喚士パーティーがカタを付けるぜ」

盗賊「……覚悟」

魔道士「みんな揃った……っ!! これなら……っ」

召喚士「……っ」

アンラ・マンユ「たった4人で僕を……僕を倒すって?」

ヒュンッ!!

盗賊「!?」

アンラ・マンユ「甘いっ、甘いんだよ!」

戦士「ちぃっ!!」

ガキイイィィィィン!!…ググググッ

戦士(……くそっ、片腕じゃあやっぱり限界が……っ)
947 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:57:21.33 ID:E3KXbq/ro
アンラ・マンユ「雑魚だな」

バギャアアァァァァ!!

戦士「がはっ!」

魔道士「戦士さんっ!」

盗賊「……しっ!」

ヒュバッ…キィン…ガキイイィィン!!…チュインッ!!

アンラ・マンユ「弱い弱い弱い! 死ね死ね死ね死ね!」

盗賊「くぅ……っ!!」

アンラ・マンユ「そうらっ、まだ逃げるか? どうした? ん?」

盗賊「……っ」

アンラ・マンユ「なんてね」

ジャリッ

天才「魔道士ぃ!! 戦士だ!!」

魔道士「!? くぅーっ!!」

天才の呼びかけに反応した魔道士は、戦士の前に土の壁を生成する。
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 18:58:39.31 ID:E3KXbq/ro
アンラ・マンユ「……!?」

盗賊を執拗に狙うと見せかけ、アンラ・マンユは戦士へとどめの一撃を放っていた。

天才はそれを察知し、魔道士へ防御の指示を与えたのだった。

戦士「す、すまねぇ……っ」

盗賊「掴まれ!」

アンラ・マンユ「ハハハハハハッ!!」

召喚士「駄目だっ、追いつかれる!」

戦士「盗賊!!」

ドンッ

盗賊「!?」

バゴオオォォォォン!!

盗賊「戦士ーっ!!」

アンラ・マンユの攻撃から庇うように盗賊を突き飛ばし、戦士はそのまま、

後方へと大きくその身を殴り飛ばされた。

盗賊「……っ」
949 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 19:01:51.58 ID:E3KXbq/ro
ズシャアアァァァァ

魔道士「戦士さん……っ」

召喚士「……戦士っ」

アンラ・マンユ「まだ息があるのか。何とも情けないな、我ながら」

戦士「……うぐ……っ」

グッ

戦士(ちくしょぉ……情けねーのは……こっちだよ)

グググッ

戦士(みんなが頑張ったってのに……俺はよぉ……っ)

ヨロッ

戦士「自分の手が届く……人間も守れねぇってのかよ……」

――「守ったじゃねぇか。たった今よ」

戦士「……?」

バーテン「みんな生きてる。守ったじゃねぇか……なぁ?」

戦士「バーテンの……おっさん?」
950 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/17(金) 19:04:39.15 ID:E3KXbq/ro
ザッ

戦士父「……ああ」

戦士「親父……」

バーテン「あーあ……全く。武器はねぇ、魔力はねぇ……」

戦士「……っ」

戦士父「どう打破するかな。この状況を」

戦士「……?」

ザッ

戦士「……弓と……矢?」

バーテン「あん?」

フラッ…テクテクテク…ガシッ

戦士「これ……弓使いさんにあげた……」

戦士父「!?」

バーテン「……その弓!? そうか、待っててくれたんだよ……お前ら2人をよ」

戦士父「……っ」
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/17(金) 19:22:14.13 ID:E3KXbq/ro
それではひとまずここまでにて!
本日も沢山のご支援ありがとうございました!

誤字は本当にもうすみませんとしか…申し訳ないです…

それでは失礼致します!では!ノシ
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/17(金) 19:23:26.84 ID:jGgdBoB80
1乙
今日も美味しいお話有難うございます
誤字も美味でしたww
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) :2011/06/17(金) 19:27:19.09 ID:pf2CaoBAO
戦士[ピーーー]
乙パイ
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/17(金) 19:36:41.67 ID:Fxp1/z0AO
>>1おつ
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/17(金) 20:46:16.31 ID:jnXGbLfio
主人公は遅れてやって来るものだよな
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 20:46:56.51 ID:55hIwh+SO
ぐわおぉぉぉぉぉおぉぉ
寸止めがたまらんっ!
気持ちイイです1乙です
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/17(金) 20:51:19.04 ID:YD7tHM5AO
>>932

なんだお前見覚えあるぞ
懐かしいじゃないか
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/17(金) 22:18:36.08 ID:YD7tHM5AO
>>1

魔王しつこすぎるな
しつこい男はモテないぞ
魔王に性別あるんかは知らんがな!
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/17(金) 22:43:36.88 ID:rRW6n+YYo
寸止めが気持ちよくなってきた
>>1
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/17(金) 23:27:52.66 ID:A4ZUoppAO
ヤバい、やな予感がする…
>>1乙!
961 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 00:28:46.32 ID:VY3fS5Dco
あれ?更新は…?
962 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 00:40:35.01 ID:Z/msritI0
うるせーな。クズ
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/19(日) 01:21:18.48 ID:/qZ3/cnAO
糞ゆとりは待つこともできんのかね
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 02:11:08.18 ID:KX7xvNHSO
13歳♀だけど何か質問ある?
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/06/19(日) 02:28:34.58 ID:Rj24URa2o
Q:オッサンがそんな事書いてて恥ずかしくないんですか?
966 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:19:53.70 ID:mzvkQweLo
その頃、南西砦へ向かった一部の者らが、異変に気付き火口へと戻っていた。

大軍師「どうにも遅すぎます。もしや、何かあったのでは……」

剣士「でも、魔王は倒したのでは!?」

青年兵「そう……信じたいところですが……」

隊長「とにかく、こっちにゃもう何も残されていない」

ジュニア「何かあったとしても、お手上げだぞ!?」

朱雀嬢「ええ。魔力は全て使い切ってしまいましたもの……」

大軍師「とにかく、大部分は南西砦へ引き下がりました。最悪の事態は免れます」

青年兵「そうですね。全滅する事はないでしょう」

ジュニア「物騒な事言ってないでよぉ、信じようぜ!」

剣士「そうですよ! やるべき事はやったんです!」

隊長「……」

大軍師「そうですね……。最早、我々に残された手は祈る事のみですね」

朱雀嬢「……っ」

一同は、何が起きているのかも知らぬまま、火口へと向かうのであった。
967 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:27:24.02 ID:mzvkQweLo
盗賊「戦士……っ」

アンラ・マンユ「魔力を失うと言う事は、何とも不便な事よ」

ザッザッザ…チャキッ

アンラ・マンユ「悪くない刀だ。人間の業物とはとても思えんな」

ヒュンヒュン

アンラ・マンユ「己の愛刀で命を落とすのも、乙なものであろう」

盗賊「させぬっ!!」

ジャララッ…ビュオッ

アンラ・マンユ「小賢しいぞ……人間っ!」

戦士の雷切を拾い上げ、更にはその刃で持ち主へ止めを刺しに進む。

盗賊はそれを鎖で制止するが、鎖は一瞬で弾かれ反撃を食らう。

バキャッ!!…ザンッ…ザンザンッ

盗賊「あう……っ!!」

アンラ・マンユ「急かすな。すぐ楽にしてやる」

盗賊「……っ」
968 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:29:46.25 ID:mzvkQweLo
ザザッ

召喚士「盗賊さんっ!」

盗賊「……大丈夫だ」

魔道士「せ、戦士さんは……!?」

盗賊「戦士も無事だ。だが……」

召喚士「……」

ザッザッザ

アンラ・マンユ「ん? まだ仲間がいたのか」

ゆっくりと歩み寄るアンラ・マンユ。3人は慌てる事なく、しかしながら

悠長に身構えている場合ではないとばかりに、咄嗟に顔を見合わせる。

戦士「……」

バーテン「手持ちの武器は弓矢のみ」

戦士父「その弓は……」

戦士「親父のだろ? 家にあったやつだ」

戦士父「やはりそうか。俺のものではないけれどな」
969 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:32:52.58 ID:mzvkQweLo
バーテン「喋ってる場合じゃねぇぞ。どうする?」

戦士「親父!」

戦士父「……」

弓矢を手渡そうとする戦士に、戦士父は右腕を身体の前に差し出した。

戦士「――っ!?」

戦士父「もう一生、使い物にならんかもしれん」

身体の前にだらりと垂れたまま腕を前後にだけ振る戦士父。

全体に巻きつけた包帯とそれに付着するおびただしい血から、

それがどれ程の重症なのか、一瞬の内に見てとれた。

戦士父「戦士、お前が放て」

戦士「……そうしたいところなんだけどよ」

今度は戦士が包帯を巻きつけた左腕を、胸の前へと差し出す。

戦士「ここまでは上がるんだ。でも、こっから先が上がらねぇ」

バーテン「おいおい……っ、親子揃ってなんつうざまだよ」

戦士父「かくなる上は……」
970 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:34:04.15 ID:mzvkQweLo
ジッ…ジーッ

バーテン「!? おいおい、俺は無理だぜ」

戦士父「出来るだろ」

バーテン「ボウガン専門だ。風向きや軌道は読めても弓の扱いはさっぱりだ」

戦士「……っ」

バーテン「それに――」

ヒュバッ!!

アンラ・マンユ「懺悔は済んだか?」

戦士父「!?」

ブオッ!!…ガカアアァァァァッ!!

地面が割れ、けたたましい轟音と共に落雷がほとばしる。

戦士「ぐあぁーっ!!」

ドサッ…ゴロゴロゴロッ

アンラ・マンユが雷切を振り下ろす瞬間、後方へ飛んだ3人は、

かろうじて直撃を避けるも、またもや大きく吹き飛ばされた。
971 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:34:59.76 ID:mzvkQweLo
アンラ・マンユ「ふむ、加減が難しいものだ」

ブワッ!!

アンラ・マンユ「ぬっ!?」

コカトリス「はあぁ!!」

アンラ・マンユ「石化か……いやっ」

クルッ

アンラ・マンユ「本命は……こっちか」

盗賊「!?」

魔道士「くぅ……っ!」

ドドオオォォォォン!!…バチイイィィ!!

アンラ・マンユ「……」

魔道士「効いて……ない!?」

シュウウゥゥ…

アンラ・マンユ「コカトリスを囮に背後から攻撃。更には魔法での援護」

盗賊「く……っ」
972 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:36:15.47 ID:mzvkQweLo
アンラ・マンユ「僕を欺こうなどと……温いな」

ヒュオッ!!

盗賊「くっ、はぁ……っ!」

タンッ…ヒュバッ…タタタタッ

アンラ・マンユ「逃げるだけの能はあるようだ」

盗賊「……いける」

アンラ・マンユ「何?」

盗賊は確信していた。先程から数度打ち合い、力では圧倒的に押されているが、

全神経を回避に専念さえすれば、魔王の攻撃は避けきれる、と。

盗賊「お前の攻撃は……通用しない!」

アンラ・マンユ「言うじゃないか」

ゴゴゴゴゴゴ

魔道士「盗賊さん……っ」

盗賊は召喚士と魔道士にアイコンタクトを送った。

『自分が囮になるから、戦士と合流し打開策を』……と。
973 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:40:30.95 ID:mzvkQweLo
ズシャッ

戦士「……ぐく……っ」

バーテン「立てるか?」

戦士父「すまん」

ザッ

天才「いやーハダにやられたモンだ」

戦士「天才……!?」

天才「いい弓矢持ってるな。撃てよ」

戦士父「撃ちたいところなんだが、使い手がこのざまではな」

天才「アホ。2人で2本の腕が残ってんだろ」

バーテン「!?」

天才「急げ。奴に気付かれる前に……撃つんだ」

戦士父「……」

天才「チャンスはたった一度。矢も俺様の五行も1回分しかねぇ。いいな!」

戦士「……やるしか……ねぇか」
974 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:41:59.50 ID:mzvkQweLo
ザッ

アンラ・マンユ「この僕の攻撃が当たらないだと? 笑わせてくれるよ」

ヒュッ!!

盗賊「くぅ!!」

ヒュバッ!!…チリッ

盗賊「……っ!?」

アンラ・マンユ「ほらね。少し軌道を変えるだけでこれさ」

盗賊「かすっただけで……偉そうに」

アンラ・マンユ「……」

魔道士「盗賊さん!」

召喚士「魔道士さん」

魔道士「!?」

召喚士「五行……ほんのわずかでいいんです。お願い出来ますか?」

魔道士「五行!? は……はいっ。やります!」

召喚士「……お願いします……っ!」
975 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 03:44:49.71 ID:mzvkQweLo
ザッザッザ

召喚士はこんな事を決してしたくはなかった。

それは自分が手にするレイピアへ五行を付加してアンラ・マンユを斬る事ではない。

魔道士に命の危機があるかもしれない五行の使用を頼む事だ。

召喚士「……っ」

自分が情けないと同時に、もうこれしか打つ手はなかった。

召喚士「……やるしかない。やるしかないんだ」

ザッ

召喚士「!?」

戦士「……ふーっ」

戦士父「……いけるな?」

戦士「ああ」

召喚士「戦士……戦士父さん!?」

魔王の元へ近づく召喚士の目に飛び込んできた光景。

戦士と戦士父が1つの弓矢を2人で持ち、構えていた。
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/06/19(日) 04:26:21.78 ID:dX9do6KAO
こんな時間に乙
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/19(日) 04:33:49.21 ID:2okPESdy0
1乙
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 05:33:43.92 ID:5lJmD2zDO
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 08:08:56.10 ID:K3WbiLKIO
一乙!
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 09:23:03.29 ID:F8sJVEiUo
誤字だと分かりつつもハダにやられたで笑った
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 11:10:25.21 ID:y69fPQ8Oo
剣士は弓を拾いに行ったのでは
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 14:40:47.46 ID:S4B7tyCDO
一日更新がないだけでこんなに荒れるとは…
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 16:41:59.33 ID:3/X6P8RSO
ハダつええぇぇぇww
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 18:46:33.57 ID:RopSBM3bo
ここでアジ・ダハーカとは恐れ入った
こちら側がよく使う、召喚→防御→召喚解除の様な戦法を敵方も使ってくるとわな

アジ・ダハーカ
アンラ・マンユの力の結晶とも言われる
3頭3口6目の不死身の蛇
985 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 22:43:27.99 ID:mzvkQweLo
1つの弓と1本の矢。それを父と子2人が互いを支えるように、

そして、弓矢を大切な家族のように、寄り添い支えあっている。

戦士父「……」

父はその弓を左手1本で、微動だにせず、懸命に支えている。

戦士「……」

息子は矢と弦を右手で強く引き、鏃の照準を少年の姿へと合わせた。

かつての持ち主を、戦士は当然の如く、それを知らない。

戦士は以前、弓使いへそのプレゼントに手渡した際、

旧持ち主は左翼長であると、自身の考えを述べていた。

当然、戦士は今も本当の持ち主が誰なのか知らない。

戦士「……?」

戦士父の持つ弓に矢を添え弦を引いた瞬間、不思議な温かみを感じた。

――『信じなさい……自分を』

戦士「!?」

不思議な声が、戦士の頭に響いた。
986 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 22:44:06.39 ID:mzvkQweLo
ザッ

戦士父「いくぞ!!」

戦士「お、おうっ!!」

バーテン「風が収まったら合図する! いいな!?」

ググググッ

アンラ・マンユ「……?」

戦士「気付かれた!!」

バーテン「まだだっ、もう少し」

アンラ・マンユ「何だ、何をするつもりだ?」

クルッ…ザッザッザ

戦士父「来るぞ、まだか!?」

バーテン「もうじきだ、もうじき……っ」

天才「……しゃーねぇな」

スタッ

天才「盾になる。うまくやれよ」
987 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 22:46:23.01 ID:mzvkQweLo
戦士「!?」

バーテン「あんったが盾になったら、誰が五行……」

天才「言ってる場合か。射出潰されたらそれまでだろ」

戦士「どっちが潰れても駄目だろうがっ!」

天才「そんじゃどうするってんだ? ギリギリまで待って決めるか?」

戦士「……」

天才「ちょっとでもしくじれば終わるぞ」

戦士「分かってる」

天才「……」

戦士「だがな、戦ってるのは……俺達だけじゃねーんだ!」

ザザザザザザッ

戦士父「来たぞ」

アンラ・マンユ「何をする気か分からんが……」

ブワッ!!

アンラ・マンユ「させなければ良い。それだけの事よ」
988 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 22:47:59.37 ID:mzvkQweLo
ゴアッ!!

コカトリス「はあぁ!!」

召喚士「させなければいいのはこっちだって同じ事ーっ!!」

アンラ・マンユ「コカトリスは……」

クルッ

アンラ・マンユ「囮なんだろ? 同じては食わんよ!」

召喚士「――!?」

魔道士「お願い……っ、決めてええぇぇ!!」

ドドオオォォォォン!!

魔道士の放つ五行の光が、召喚士の細いレイピアへと付加する。

召喚士「はああぁぁぁぁ――」

アンラ・マンユ「させぬよ」

数多の戦いをこなしてきた召喚士。しかし剣を振るう腕は決して強くはない。

それでも、その細い腕と細い剣で、渾身の一撃を打ち下ろす。

召喚士「――ああぁぁぁぁ!!」
989 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 22:50:37.85 ID:mzvkQweLo
五行を得たレイピアは振るう刀身から白く輝く光の尾を描きながら、

アンラ・マンユの頭上へと真っ直ぐ軌跡を描く。

しかしアンラ・マンユは、手にした雷切を頭上に掲げ、その一撃を防ぐ。

ガッキイイィィィィン!!

召喚士「ぐ……ううぅぅ!!」

アンラ・マンユ「……これが……そうなのか?」

ギギギギギギッ!!

アンラ・マンユ「大した力も、魔力もないと言うのに……」

ギギッ…ビシビシビシィ!!

アンラ・マンユ「これが……五行の力」

バキイイィィィィン!!

乾いた音と共に、砕けた刀身が空中へと飛び散る。

召喚士「ぐ……っ!!」

アンラマンユ「……」

2人の持つ剣は周囲の僅かな光と、五行の残りを宿しながら、

きらきらと、夜空に煌く星々のように舞っていた。
990 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 22:53:20.20 ID:mzvkQweLo
アンラ・マンユ「万事尽きたな」

召喚士「!?」

ドグオッ!!…バゴオオォォォォン!!

召喚士「がはあぁーっ!!」

ドシャッ…ズザザザザァ…

アンラ・マンユ「ふむ。最早、拳如きでは人間一人の命も奪えぬか」

召喚士「か……はぁ……っ!!

魔道士「召喚士さぁんっ!!」

ザッザッザ

アンラ・マンユ「ん?」

バーテン「用意しとけ、そろそろだぞ!」

戦士「おう!」

天才「奴も来るぞ!」

ザッザッザ…ザザザッ

アンラ・マンユ「やはり先に、貴様等を殺す」
991 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 22:55:07.37 ID:mzvkQweLo
アンラ・マンユ「万事尽きたな」

召喚士「!?」

ドグオッ!!…バゴオオォォォォン!!

召喚士「がはあぁーっ!!」

ドシャッ…ズザザザザァ…

アンラ・マンユ「ふむ。最早、拳如きでは人間一人の命も奪えぬか」

召喚士「か……はぁ……っ!!

魔道士「召喚士さぁんっ!!」

ザッザッザ

アンラ・マンユ「ん?」

バーテン「用意しとけ、そろそろだぞ!」

戦士「おう!」

天才「奴も来るぞ!」

ザッザッザ…ザザザッ

アンラ・マンユ「やはり先に、貴様等を殺す」
992 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 22:59:45.81 ID:mzvkQweLo
ザザッ!!

戦士「まだかよぉ!!」

バーテン「……よし!」

戦士父「……」

バーテン「いいぞ!!」

ザッ!!…ババッ!!

天才「上ぇ!!」

アンラ・マンユ「ハハハッ」

戦士「親父ぃ! 照準を上に――」

アンラ・マンユ「ハハハハハハーッ!!」

弓の使い手ならいざ知らず、ましてや2人がかりの弓矢。

咄嗟に上空へと照準を変えられるはずもなく、戦士父は動けない。

下手に動くよりも、直前まで微動だにせず、矢を射る事を判断したのだ。

戦士「親父っ、どうすんだよぉ!!」

戦士父「……」
993 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 23:03:05.61 ID:mzvkQweLo
ザザッ!!

戦士「まだかよぉ!!」

バーテン「……よし!」

戦士父「……」

バーテン「いいぞ!!」

ザッ!!…ババッ!!

天才「上ぇ!!」

アンラ・マンユ「ハハハッ」

戦士「親父ぃ! 照準を上に――」

アンラ・マンユ「ハハハハハハーッ!!」

弓の使い手ならいざ知らず、ましてや2人がかりの弓矢。

咄嗟に上空へと照準を変えられるはずもなく、戦士父は動けない。

下手に動くよりも、直前まで微動だにせず、矢を射る事を判断したのだ。

戦士「親父いいぃぃ!!」

戦士父「……」
994 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 23:05:53.10 ID:mzvkQweLo
空中を跳ぶアンラ・マンユは、たった1歩で一同のほぼ目の前にまで差し迫る。

アンラ・マンユ「届いたな」

バーテン「いいぞっ! 早く射ろぉ!」

戦士が矢を射るその僅か直前、アンラ・マンユの一撃が放たれる。

ブオッ!!

盗賊「させぬ!!」

アンラ・マンユ「邪魔を……するなっ」

アンラ・マンユの前に飛び込む盗賊の身体に、魔王の右拳が撃ち放たれる。

ガオンッ!!

盗賊「――っ」

戦士「盗賊ーっ!!」

アンラ・マンユの拳は、盗賊の腹部をいとも容易く、一撃の下に貫いた。

召喚士「っ!!」

魔道士「いやああぁぁぁぁ!!」

戦士「盗……賊……!?」
995 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 23:09:34.67 ID:mzvkQweLo
盗賊の身を挺した行動が、魔王の一歩を狭めた。

ザッ

アンラ・マンユ「……今のは……何だ?」

バシャッ!!…ザザアアァァ…

着地したアンラ・マンユの目の前に流れ落ちる水の塊。

スタッ

盗賊「……水遁……霧隠れ」

アンラ・マンユ「何故、生きている!?」

次の一手を放とうと1歩前に出るアンラ・マンユの足が止まった。

アンラ・マンユ「……?」

オオォォォォ

アンラ・マンユ「こ……れは……!!」

召喚士「忘れるなアンラ・マンユ!」

アンラ・マンユ「貴様……っ!」

召喚士「俺は……コカトリス使いの朱雀召喚士だぁ!!」
996 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/19(日) 23:12:44.49 ID:mzvkQweLo
地中から吹き付けた石化の息がアンラ・マンユの足を止めたのだ。

グッ

アンラ・マンユ「ハハハッ、この程度の魔力で何が出来るか」

召喚士「これで、十分だよ」

アンラ・マンユ「……?」

ザッ

戦士父「……行け!」

戦士「おおおぉぉぉーっ!!」

グググッ

その瞬間は、文字通り全員が一丸となって築き上げた瞬間であった。

アンラ・マンユ「あ……?」

己に気合いを入れるかのように雄叫びを上げる戦士は、

正面で動きの止まったアンラ・マンユに矢を射放った。

派手な光や爆発もなく、天才の五行を付加した矢は、ただ静かに、

真っ直ぐとアンラ・マンユの胸へと辿り着いた。
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/19(日) 23:30:24.83 ID:mzvkQweLo
もう1000ギリギリでした…すみません

というわけで次スレです!何と何と30スレ目!
なんかもう、どうしようもないですね…ごめんなさい
ここまでこれたのも皆様のお陰です!本当にありがとう〜!

とりあえず引き続き、宜しくお願い致しますです!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308493316/
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 23:34:05.36 ID:y69fPQ8Oo
30スレおつ!
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 23:34:50.10 ID:sLCZ810DO
>>1
盗賊の腹部貫通した時はマジでビックリし過ぎてリアルに声が出てしまったぜ!
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 23:40:02.00 ID:nslG/MVDO

ありがとう!
1001 :1001 :Over 1000 Thread
       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       | アパム!アパム!次スレ建てて来い!アパーーム!
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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30 @ 2011/06/19(日) 23:21:58.85 ID:mzvkQweLo
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上条「強くて乳ゲームだと!?」 @ 2011/06/19(日) 22:44:29.99 ID:y+99g+VAO
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とある寿司屋の超暖簾 -へィらっしゃィ!- 【第二営業期】 @ 2011/06/19(日) 22:08:10.86 ID:vArmvVYz0
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御坂「前略、いとしアナタへ」 @ 2011/06/19(日) 21:35:52.30 ID:wRbJl8PA0
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Blumen nach einem Unwetter @ 2011/06/19(日) 21:17:54.11 ID:UYUPL6Rzo
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まどか「おちんこぴーひょろろwwwww」 @ 2011/06/19(日) 21:11:49.89 ID:XCOxUyEu0
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豚が人語を解したら豚骨ラーメン屋は糾弾会に呼ばれることになる @ 2011/06/19(日) 20:45:37.17
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神「安価で人生やり直し」 @ 2011/06/19(日) 20:42:09.26 ID:1Yq4FWr20
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