過去ログ - オッサン勇者と少女魔族が世界を旅する話
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:08:02.32 ID:ZyCwTMFeo
習作
小説形式

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2:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:09:53.40 ID:ZyCwTMFeo
人々が魔界と呼ぶ地の中央に聳える禍々しくも豪奢な城の最上最奥。その玉座の間の扉が重々しく開く。

『着たか』

『はい。ニンゲンの魔力波導です』
以下略



3:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 01:10:15.58 ID:iNy1VU+x0
kitai


4:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:10:38.40 ID:ZyCwTMFeo
突然、聴きなれた言語が耳に飛び込み、男は反射的に歩を止めた。
同時に目の前の魔族たちから漏れ出る魔力波導の異質さに気付く。
ここまで斃してきた魔族とは明らかに違う。どの魔族にも共通していたぬるりと身体にまとわりつく薄気味悪い魔族特有の魔力波導をまるで感じない。
代わりにすべて飲み込まれてしまいそうな深い奈落を覗き込んだような感覚に陥った。
少しでも気を抜けば、この魔力波導にあてられただけで意識を手放すことになるだろう。
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:11:49.51 ID:ZyCwTMFeo
「わざわざヒトの言葉を操る、か。魔族にしちゃァ知能が高いみてェだな」

「ここまで辿り着いたニンゲンへの褒美だ。ニンゲンが魔族の言語を理解できるとは思うておらぬのでな」

魔王は玉座に肩肘をつき不敵な笑みを浮かべる。
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:12:50.15 ID:ZyCwTMFeo
魔王と側近からは追撃もない。それどころか攻撃を仕掛けられてなお、殺意も敵意さえもない。

(ここまで、差があるかよ……)

羽虫を追い払う程度にしか考えていないのだろうと勇者は捉えた。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:14:14.44 ID:ZyCwTMFeo
「これだけの差を見せられてまだ戦う気力があるとはな。この差が分からぬほど弱き者でもあるまい」

「てめェを殺すことだけを目的に生きてきたからなァ……簡単にくたばるわけにはいかねェのよ」

「ほう、それが先の問いへの答えか。余を抹殺することが目的だと。して余を抹殺の後に、なにを望む。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:15:05.67 ID:ZyCwTMFeo
(ここで終われねェ……終わるわけにはいかねェ……)

側近は思わず目を瞠る。
まるで全力ではないとはいえ大半の生命体が絶命する威力の魔力波を二度も受け、尚立ち上がる姿に素直に驚嘆していた。

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:15:37.12 ID:ZyCwTMFeo
「もう一度だけ問う。余の抹殺の先に何がある」

「なにがあるかだと? くくく、ははははは! 本当にてめェは何度も笑わせてくれる!」

徐々に言葉は怒気を帯びていく。
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:16:44.26 ID:ZyCwTMFeo
****

「もう一度言いますけど、私は私の意志でここにいるのではないのですからね」

「うるせェ! 黙って歩け!」
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:17:40.64 ID:ZyCwTMFeo
勇者と呼ばれた男が王都から魔王討伐に出立して十三年の時が流れていた。
いまだ人間と魔族の敵対は熾烈を極めていたが、ほんの二年程前から魔族の侵攻が弱まっていた。
二年前。勇者が魔界に繋がると言われる島に最も近しい村で目撃された。
「これから魔界に行く」と王都への言伝を村の長に頼んだ後姿が、人々の知る最後の勇者の姿である。

以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:18:48.31 ID:ZyCwTMFeo
故に王都からの正式な声明はなかったものの、民心の大半は「勇者は魔王を斃したが、魔王との戦いで命を落とした」という結論に傾いていた。

そしてさらに一年後。つまり現在、世界最大の大陸の中央を真っ二つに割る形で人間と魔族は睨み合っている。
平和からは程遠いものであるものの、一歩一歩確実に完全勝利へと向かっているという実感に人々は酔いしれ、王都の中心は束の間の安息を享受していた。
おかげで戦場の最前線から程遠くなった王都は、かつて忘れられていた活気というものに溢れていた。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:20:27.05 ID:ZyCwTMFeo
「前々から思っていたが、アイツのことちっとばかし過剰に評価しすぎじゃねェか?」

「私は事実のみを評します」

「全知全能はどうかと思うが。まァ、優秀だってことは認めてやる」
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:23:34.02 ID:ZyCwTMFeo
「どうして、こんな変哲もないものが? 確かに細工はそれなりに麗しいですが」

「いやいや。なんでもない、なんてとんでもない! これはちょっとしたまじないがかかってましてね」

「まじない、ですか」
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:24:46.06 ID:ZyCwTMFeo
今までに感じたことのない、奇妙な感覚。それでいてはっきりとわかる不吉の予兆。

「へ、へへ……なにを仰っているのか」

「なにを笑っているのですか?」
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:25:51.96 ID:ZyCwTMFeo
大通りを離れた裏路地を先ほどの男女が早足に進んでいく。

「お前、なんにも考えてねェだろ」

「そんなことありません」
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:26:42.76 ID:ZyCwTMFeo
「一つだけ言っておくぞ。お前の使命なんざ、俺はどうでもいいがな。騒ぎを起こせばお前たちの目的達成は困難になることだけは覚えておけ。
 人間界ってのは、良くも悪くも他人との繋がりを重視する。すぐに噂は広まって、穏便に済まなくなるからな」

「わかりました。肝に銘じておきます」

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 01:27:18.57 ID:ZyCwTMFeo
こんな感じで続けていきます。
よろしければお付き合い下さい。


19:名無しNIPPER[sage]
2016/04/18(月) 01:34:04.69 ID:yej8nFmJO
期待〜、乙


20:名無しNIPPER[saga]
2016/04/18(月) 06:43:23.24 ID:ZyCwTMFeo
>>11
>二年前。勇者が魔界に繋がると言われる島に最も近しい村で目撃された。

三年前の、間違い


21:名無しNIPPER
2016/04/18(月) 13:00:08.91 ID:Fyn0t7syO
割と好き


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