過去ログ - 双葉杏「色の無い水槽」
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 23:47:07.82 ID:VIewv/f70

どうしても合わない人間ってのはいるもんだ。
価値観、人間性、思考の違い……なんて言えば最もらしく聞こえるが、何てことはない。
どんな理由をつけたって、合わないものは合わないのだ。

社会ではそうした人と嫌でも付き合わなければならず、ストレスは産まれるし悩みもする。こんな言葉は誰もが聞き飽きたことだろう。
それでも、辟易するくらいに繰り返されてきたこのフレーズを実感するのは、嘘でも自分なりに人生を歩んできたからなのかもしれない。

僕にとって初めての『合わない人間』は、仕事上でのパートナーだった。
彼女は人当たりが良く、相手の感情を読み、合理的で、気持ちのいいくらい自分本位の性格をしていた。
これ以上なくワガママに生きている彼女のことを僕は羨ましく、同時にこの上なく厄介にも感じた。
そんな空気を感じ取ってこちらに深く踏み込んで来なかった聡さも気に食わないくらいに、僕は彼女とは合わなかった。

彼女はアイドル。そして僕はプロデューサーだった。

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2:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 23:55:04.17 ID:VIewv/f70

彼女の褒め言葉はたくさん出てくる。そして、悪口も負けないくらいに出てくる。
その中には僕の穿った観点から生まれるものもあるが、一つだけ確かなのは、仕事に関して彼女はあまりにも不誠実だったということだ。

「怠けたい」から始まる矛盾した彼女の仕事への動機は、彼女を頑張らせれば頑張らす程に楔を打ち込んでくる。
以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:03:07.41 ID:Px08eZlJ0





以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:07:59.58 ID:Px08eZlJ0

しかし、それも今はどうだろう。
甘えてるのはどっちだろうか。

ベッドに転がり、携帯のメールアプリを閉じた。ついでに瞼も閉じて体を休ませることにする。
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:15:10.60 ID:Px08eZlJ0





以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:25:50.29 ID:Px08eZlJ0

「学校はどうだ?」

「仕事はどう?」

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:33:20.22 ID:Px08eZlJ0

声に反応して、彼女はめんどくさそうに顔を背け、また溜息をつく。

彼女は溜息の似合う子だった。
それは僕と一緒にいるときの記号のようなものでもあったから、ただの僕の勘違いなのかもしれないが、呆れや諦めといった感情は彼女らしさの一つだと思っている。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:37:40.68 ID:Px08eZlJ0





以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:43:50.64 ID:Px08eZlJ0


「そういえば結婚式の招待状とか来た?」

「何の話だ、まさかお前のか」
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:51:03.80 ID:Px08eZlJ0





以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 00:55:43.89 ID:Px08eZlJ0

プロダクションの倒産から数年、先輩とも連絡を取ることはなくなっていたが、幸せそうな知らせが届いて安心したものだ。
同時に、先輩の担当していたその少女が今どうなっているのかは気になっている。

それにしても、彼女のいう招待状というのはそのことであっているのだろうか。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 01:04:50.41 ID:Px08eZlJ0

「出席するのか」

「するよ、おめでたいしね」

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 01:11:04.69 ID:Px08eZlJ0





以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 01:19:51.38 ID:Px08eZlJ0

彼は居心地悪そうに、黙ったまま目の前のカップに触れる。
困ったり手持ち無沙汰になったりすると意味もなく目の前のものを手にとろうとするのは変わらない彼の癖だ。

これから一年経っても十年経っても、杏はそんな彼の仕草を見ているような気がした。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 01:24:27.48 ID:Px08eZlJ0

気付いた途端、瞳が熱で潤んだ。
彼はこのことを分かっているのだろうか。杏と彼がとてつもないことになっているのを。

彼がコーヒーに浮かんでいた薄い膜をスプーンでかき混ぜる。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 01:26:54.62 ID:Px08eZlJ0





以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/07/09(土) 01:29:22.18 ID:Px08eZlJ0
前に暗めの書いた気がするから甘いだけの書きたくてでもよくわからんくなったしでもとにかく杏可愛い

輝子「プロローグ」
ex14.vip2ch.com
乃々「幸福のしっぽ」
以下略



18:名無しNIPPER[sage]
2016/07/09(土) 01:33:41.17 ID:iciezzcHo
終わってた かなしい話だと思いながら読んでたわ



19:名無しNIPPER[sage]
2016/07/09(土) 01:41:32.12 ID:WrZnKWHgo
輝子さんの系列ってことでいいんだよね?

相変わらず素晴らしきぷあーらいてぃんぐでした!


20:名無しNIPPER[sage]
2016/07/09(土) 04:43:11.69 ID:JCasZnYAO
結構特徴ある文だよね

おっつおっつ


21:名無しNIPPER[sage]
2016/07/09(土) 10:54:33.56 ID:Orfdf9AGO

よかったわ
こういうの好きだわ


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