1: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 18:51:52.78 ID:pU98D89e0
なにかを間違えている気がする。
この状況も、速水奏の貼り付けた笑顔も、なにもかも。
目の前に座る速水さんに視線を奪われながら、俺はそんなことを考えていた。
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2: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 18:56:07.99 ID:pU98D89e0
◇
事態が急転したのは先週のことだった。
昼下がりの事務室で書類整理をしていた俺は、突如現れた先輩に拉致された。一瞬の出来事だった。
3: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:00:05.77 ID:pU98D89e0
振り返った先輩はにこっりと不穏な笑みをたたえて、対面の椅子に腰を下ろした。
不吉な予感がした。
「お前、プロデューサーやってみない?」
4: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:03:05.18 ID:pU98D89e0
俺は大仰にため息をついて見せる。
「それで、話はこれだけですか? そろそろ戻りたいんですけど」
「まあまあ、ちゃんと許可とってるんだからゆっくりしていこうぜ。とりあえず話だけでも聞いてくれって」
5:名無しNIPPER[sage]
2016/07/28(木) 19:04:31.71 ID:10oBco2yO
荒らしその1「ターキーは鶏肉の丸焼きじゃなくて七面鳥の肉なんだが・・・・」
↓
信者(荒らしその2)「じゃあターキーは鳥じゃ無いのか?
ターキーは鳥なんだから鶏肉でいいんだよ
いちいちターキー肉って言うのか?
6: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:05:16.69 ID:pU98D89e0
「……でも、忙しくもなるんでしょう」
「まあな、それはそうだろうよ。ただ相応の評価はされるし、場合によっちゃ臨時ボーナスも出るんだぜ」
「…………」
7: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:14:21.34 ID:pU98D89e0
とはいえ、プロデューサーへの道は甘くないらしい。
先輩曰く本決定には、三ヶ月後に控えるプロダクション主催の定例ライブにおいて、一定の評価を得る必要があるのだとか。
つまり、現状は仮免プロデューサー。
8: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:18:46.32 ID:pU98D89e0
そして研修を終えてから一日経った今日、俺は速水奏と対面することになった。
談話室の柔らかすぎる椅子に深く座って担当となるアイドルを待つ。資料には目を通した。スリーサイズを空で言えるぐらいには熟読した。
扉が開いたのはそれから三十分ほど経った頃だった。
9: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:21:39.54 ID:pU98D89e0
「あなたが私の……。ふぅん、私をアイドルに……うーん、どうしようかなぁ」
「えっ、なに、ここで拒絶される展開なんて存在するの」
「そうねぇ……じゃあ……今、キスしてくれたらなってもいいよ。どう?」
10: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 19:23:20.88 ID:pU98D89e0
わざとらしくこめかみに手を当てる速水さん。動作ひとつひとつが様になっていて惹きつけられる。
ぼうっとしていると視線を奪われそうだったので、ははっと笑い誤魔化す。
「まあ、キスはやめとくよ。たぶん、その先もしたくなっちゃうし」
11:名無しNIPPER[sage]
2016/07/28(木) 19:39:22.18 ID:N73uRAIj0
いいね
12:名無しNIPPER[sage]
2016/07/28(木) 19:59:49.30 ID:fNQBxJilO
すばら
13:名無しNIPPER[sage]
2016/07/28(木) 20:07:29.45 ID:HVCBvvEcO
奏といい姉ヶ崎といいLiPPSにはピュアな子が多いな(アインフェリアと違って)
14: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 20:32:03.53 ID:pU98D89e0
「それでどうだった?」
速水さんを見送ったあとに訪れた喫煙室。先輩は煙を吐きながらなんでもなさそうに訊ねてきた。
俺はわざとらしくがっくりとうなだれて、煙とため息を吐いて見せる。ちょっとした嫌がらせだ。
15: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 21:24:29.10 ID:pU98D89e0
先輩はバツが悪そうに煙草を吸っていた。
「ああ、一応はな……、私には持て余し気味だった。色々試してみても上手くいかないんだこれが。素質はある。ただ、いまいち方向性が見えなくてね。不徳の致すところだよ」
先輩の担当はニュージェネレーションズやトライアドプリムスなど、比較的素直で明るい娘が多い。速水さんのようなミステリアスな娘は苦手なのかもしれない。
16: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 21:26:49.63 ID:pU98D89e0
今日は速水さんのレッスンに同行することにした。
狭いレッスン室の端にパイプ椅子を配置し、準備完了。ウェアに身を包んだ速水さんの側に寄る。
「とりあえずいつも通りにやってほしい。もしなにかあれば都度指摘するから」
17: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 21:28:32.39 ID:pU98D89e0
同い年ぐらいであろうトレーナーさんはにっこり微笑む。
このプロダクションのトレーナーはみなアイドル並みに可愛い。油断すると惚れそうだった。気をつけねば。
「いえ、トレーナーさんから見て速水はどうなのかと思いまして」
18: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/28(木) 21:30:50.50 ID:pU98D89e0
明るめに俺は言う。
「怖い顔してるよ? どうかした」
「……私には労いの言葉もないのね」
19:名無しNIPPER[sage]
2016/07/28(木) 22:10:04.83 ID:V0EiFjaTo
ええやん!!!!(奏P並の感想)
20:名無しNIPPER
2016/07/29(金) 01:32:26.36 ID:rnR4Yx2s0
期待期待
21: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/07/29(金) 02:14:24.45 ID:uqaGoxoH0
「なるほどねぇ」
本番さながらに歌って踊る速水さんを眺める。
幸いと言うべきか、残念ながらと言うべきか、俺はすぐにトレーナーさんの言葉の意味を理解した。
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