1:名無しNIPPER
2016/10/04(火) 19:54:01.68 ID:6BNWGd8K0
*君の名は。のSSです。映画全編に渡ってのネタバレがあります。ご注意ください  
    
  *オリキャラとして、瀧と三葉の娘が出てきます。嫌な人はスルーしてください。  
    
  
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 19:55:34.80 ID:6BNWGd8K0
 お父さんとお母さんは、いつどこで出会ったの? 
  
 と私が両親に聞くと、二人揃っていつも困った顔をする。 
  
 一応、たまたま並ぶように走っていた電車の窓越しにお互いの顔を見て、それで……とは言う。 
3:名無しNIPPER
2016/10/04(火) 19:56:20.76 ID:6BNWGd8K0
 お母さんは岐阜の飛騨出身。お父さんは東京生まれの新宿育ち。 
  
 糸守という小さな町に住んでいたお母さんが上京して、そこで出会ったお父さんと結婚。 
  
 そして生まれた一人娘が私というわけだ。 
4:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 19:57:13.14 ID:6BNWGd8K0
 お父さんとお母さんはすごく仲がいい。 
  
 お母さんはお父さんといる時、いつもニコニコしているし、お父さんもおんなじだ。 
  
 たまに喧嘩や言い争いもしていたりするけど、気付けばすぐに元通りの仲良しこよし。 
5:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 19:58:18.73 ID:6BNWGd8K0
 それをお母さんに相談した事がある。 
  
 お母さんの初恋っていつ?と。 
  
 すると母は、少し顔を赤くして、あなたもそういう年頃になったのね、もう中学一年生だものね、と笑った。 
6:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 19:59:13.69 ID:6BNWGd8K0
 ――やっと出会えた。 
  
 三葉に『初めて』出会った時、何故か心の底からそう思ったんだ。 
  
 目と目が合った瞬間に、ドキリと跳ねた心臓。 
7:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:00:02.53 ID:6BNWGd8K0
 緊張は最高潮に達した。 
  
 しかし…… 
  
 俺たちは、お互いに何でもないような顔をして、すれ違った。 
8:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:00:51.23 ID:6BNWGd8K0
 お母さんの出身地、飛騨には、十数年前、隕石が落下している。 
  
 正確には1200年ぶりに地球に接近した、ティアマト彗星が分裂。その欠片が隕石となって、お母さんの住む糸守町に降り注いだそうだ。 
  
 何で私がこんな事を知っているかと言うと、何となく気になって調べたからだ。 
9:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:02:38.75 ID:6BNWGd8K0
 悶々とした気分で寝たままだったせいか、私はその日、変な夢を見た。 
  
 夢の中の私はどこかの田舎町で、何故か男の子になっていた。 
  
 しかも鏡を見ると、結構な美男子だった。背も高いし。 
10:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:03:42.39 ID:6BNWGd8K0
 俺と三葉の仲は、トントン拍子で進んでいった。 
  
 会話のノリやテンションもドンピシャ。 
  
 二人で一緒に行きたい場所や、食べたい物、やりたい事も見事に合致。 
11:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:05:00.57 ID:6BNWGd8K0
 呼び捨てにした時は一瞬、怒られるかもと思ったが。 
  
 彼女はなぜかとても嬉しそうに笑ったあと、もう一回三葉って呼んでと言った。 
  
 「……三葉」 
12:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:05:58.99 ID:6BNWGd8K0
 そうして、三葉と出会って一ヶ月も経たない内に。 
  
 俺は三葉に告白する決意を固めた。 
  
 今までの人生で一度も告白した事もない俺だが、自然とその決意は固まっていた。 
13:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:06:56.04 ID:6BNWGd8K0
 そうして、次の週末。 
  
 いつも通り、二人でデートをした帰り道。 
  
 「……」 
14:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:07:41.09 ID:6BNWGd8K0
 出来る限り、真剣な顔をして、三葉の目を見る。 
  
 吸い込まれそうなほど、綺麗な目だ。 
  
 「伝えたい事があるんだ」 
15:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:08:28.32 ID:6BNWGd8K0
 ……告白するにはシンプルすぎるセリフだし、ましてやこれくらい声に出して言えよって思われるかもだし、何でか勢いで俺の名前まで書いてしまったけどさ。 
  
 思いついた時、何故か、これだ! これしかない! って、そう思ったんだ。これなら絶対に、三葉もOKしてくれるって。 
  
 ……そう思ったんだけど。 
16:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:09:31.34 ID:6BNWGd8K0
 「はい。顔上げていいよ」 
  
 ネガティブな妄想にテンションが急降下していたところで、三葉の口からそんな言葉が。 
  
 恐る恐る。ゆっくりと顔を上げる。 
17:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:10:11.06 ID:6BNWGd8K0
 「ほ、本当か?」 
  
 「うん。私でよければ付き合ってください」 
  
 「ほ、本当に……いいんだな!? 
18:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:11:34.22 ID:6BNWGd8K0
 私は、とある田舎の男の子と入れ替わっている。 
  
 非現実的だが、その現実を受け入れるには十分すぎるほどの体験をしてしまった。 
  
 ここ最近、不定期ではあるものの、週に2〜3回入れ替われば、誰でもそれを現実として受け止めることだろう。 
19:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:12:34.95 ID:6BNWGd8K0
 そして、翌日。 
  
 今日の私は、男の子の私。 
  
 さて、今日はどうしよっかな、と思いつつとりあえず顔を洗おうと、洗面台に行って、鏡を見たら。 
20:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:13:39.02 ID:6BNWGd8K0
  
 その次の日。 
  
 今度の私の机の上に、ノートにでかでかと下着が地味!と書かれていた。 
  
21:名無しNIPPER[saga]
2016/10/04(火) 20:14:37.51 ID:6BNWGd8K0
 そして今日は休日。 
  
 今日は私。いつもの、女の子の、普通の私だ。 
  
 この入れ替わり生活にも少々疲れ、友達からの誘いも無く、特に用事もなかったので、夕方くらいまで家でまったりしていると。 
64Res/62.61 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
板[3] 1-[1] l20 
	このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
	もう書き込みできません。