89: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:02:18.77 ID:iX/HvtXE0
十
見上げれば吸い込まれそうな青い空だった。
90: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:03:02.45 ID:iX/HvtXE0
それから私たちは、手ごろなお店でランチを摂ったあと、買い物をしたり、スイーツのお店を巡ったり、商店街を端から端まで練り歩いて、気付けば三時間近くもショッピングを満喫したのだった。
実際に買ったものはそんなに多くなかったけれど、私たちは学校も勉強も、アイドルのお仕事の事も綺麗さっぱり忘れて、二人きりのデートを思う存分楽しんだ。
91: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:03:47.42 ID:iX/HvtXE0
それから彼女はひと息ついて、
「けどなぁ、それ言い出したらうちの方こそ、ゆかりはんのプロデューサーはんに菓子折りのひとつやふたつ持っていかなあきまへんわ。一応、お咎めなしで認めてくれはったとはいえ、迷惑かけたことには違いないやろし」
92: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:04:19.77 ID:iX/HvtXE0
「ま、ほんならプロデューサーはんへのお土産も買うときまひょか。お互いの分と合わせて……ゆかりはん?」
「はい?」
93: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:05:33.08 ID:iX/HvtXE0
旅館に戻り、私たちは夕食の前にまず温泉に入ることにした。
シーズンオフに加えて平日ということもあり、浴場はほとんど貸切状態だった。
普段から寮の共用風呂を使っているので、それ自体はいつもと変わりなかったけれど、まるで私たちのために用意されたような温泉の雰囲気はなんだか新鮮で心が浮き立った。
94: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:06:54.79 ID:iX/HvtXE0
お風呂から上がって夕食をとったあと、しばらく部屋でだらだらとテレビを見ていた。
そうして私が座布団の上に横座りしていると、ふいに紗枝ちゃんがごろんと転がって私の膝を枕にした。
95: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:07:43.68 ID:iX/HvtXE0
結局、私たちが温泉に入れたのはほとんど深夜に近い時間だった。
夜の露天風呂は寒かった。
96: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:08:26.62 ID:iX/HvtXE0
十八歳。
その言葉はまるで自由と革命の鐘のように私の胸に響いた。
97: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:09:28.41 ID:iX/HvtXE0
翌朝、目を覚ますと、紗枝ちゃんが私のすぐ横ですやすやと眠っていた。
鳥たちの明るい鳴き声が柔らかな朝日の向こうから聞こえてくる。
彼女のあどけない寝顔が、薄暗い部屋の中でもはっきり見分けられるくらいの距離で私の方に向けられていた。
98: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:10:06.48 ID:iX/HvtXE0
ふいに辺りがしんと静かになった。
剥がれた布団の上で、私たちはお互いに軽く息を弾ませながら座って抱き合っていた。
彼女が肩越しに私の髪の毛を弄りながら言った。
99: ◆wsnmryEd4g[saga]
2020/10/18(日) 13:11:47.19 ID:iX/HvtXE0
十一
旅行の、特に二日目の計画はほとんど私に任されていた。
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