永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」

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535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/17(日) 21:47:39.41 ID:gi94QXUf0


兎「そこにあるのに認識できず、理解足りえぬ矛盾を、”稀”の一言で終わらすならば――――」

兎「だったら”自分が誰であるのか”など、誰も証明できない事となる」



【量子脳理論】



兎「夢の中の自分は、果たして現実世界の自分と同一と言えるのか」

兎「認識とはとどのつまり、押し寄せる矛盾から、自己確立の為に選ばれた一つの事象にしか過ぎないではないのか」

兎「ならば、稀と矛盾に溢れているからこそ……自己の存在を確立できるのではないのか」



【ポカン式】



 みんな……そこんとこが今一つわかってないんだよ。
 意識なんて物は所詮、無神経な蛋白質の固形体に過ぎないのに。
 自我なんて物は所詮、数多に重なる矛盾の中継地点に過ぎないのに。

 なのにそれを、進化だなんだって持て囃すから……。
 だから、何時まで経っても、同じ事を繰り返す。
 


【結論】






兎「”世界はいつだって稀で溢れている”――――なのに、誰もそれが、見えちゃいないから」





 だから――――モノノ怪なんて物が生まれるんだ。

536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/17(日) 21:58:33.63 ID:gi94QXUf0


薬売り「生命の歩みを……真向から否定なさるおつもりか?」

兎「ハッ、あんたがそれを言うかよ――――因果と縁を斬り払うお前がよ」

薬売り「…………」


 ま、そういうわけで……改めてもう一度言おう。
 ”全ての可能性は、観測されることで初めて結果として現れる”。

 いくら突き詰めようと、どこまで行っても、実際に在った事以上の事はわからない。
 でもその事実を認めたくないから、各々が、持てる限りの色々で、勝手に解釈を染め上げようとする。
 

【着色】


 そして、安心する……
 結果に理由をつけて、全てを知った気になって……そこまでしてやっと、満足そうな顔で床に付ける。 
 明日になれば幸せが訪れると信じて……
 何が起こるかなんて、誰にもわからないはずなのに。


兎「そうして結果は、より都合のいいように、どんどんと鮮やかな色々で塗り固められていく」

兎「安心を大義名分に、鮮やかさ以外の一切は取り払われ……いつしか、完全な別物に成り替わる」



 そして、夢の中で踊り続ける――――わかってしまうのが、恐ろしいから。



兎「そこまでいけば……もはやただの”嘘”だね」

薬売り「嘘が……お嫌いか?」



【虚構】



兎「真を理を追う者とは思えない台詞だね……でもまぁ、一応答えておこう」




――――別に、いいんじゃん?


537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/17(日) 22:09:17.84 ID:gi94QXUf0



薬売り「おや、稀を起こす張本人とは思えない台詞ですね……」



 いや、んな事言われても、だってさぁ……



(わかってる……みんなわかってる……)

(みんなのおかげで今の自分がある事も……ここで育ったから、こうしてまた、夜を迎える事ができるのも……)



 うちんとこの”りーだぁー”様がさぁ……



(なのにあたしは……また……同じ事を繰り返そうとしている事も……)

(それでも送り出してくれるなら……懲りないあたしを、どうか許してくれるなら……)




 なんか、こうしてさぁ……




【求】




(まだ――――”あたしを愛してくれるなら”)




【返礼】







てゐ「あたしは二度と――――”何も忘れたりなんかしない”」





――――幸せそうに、納得してんだもん。



https://i.imgur.com/LBZXRz1.jpg

538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/17(日) 22:09:49.13 ID:gi94QXUf0
メシくってくる
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 00:11:36.72 ID:5atcrKdS0


薬売り「……」


兎「……ふわぁ」


【波】


【葉擦】


【凪】



薬売り「おや……眠くなってしまいましたか?」

兎「いや……ちょっと喋り疲れただけ」


【夜】


兎「でもまぁ……そろそろお開きにしたいなとは思っている」

薬売り「ようやく……意見が合いましたな」


https://i.imgur.com/yGWJDuY.jpg


兎「さて……と、言うわけで」

薬売り「と、言うわけで……」



【闇】



兎「ここから先はもう言う必要もない……全部、あんたも知っての通りさね」

薬売り「無事、辿り着いたのですな……消えたはずの”家”へ」



【月下】



兎「まぁ実は、そこに至るまでにも色々やらかしエピソードがてんこ盛りなんだけど……そこはいーっしょ」

薬売り「またの機会があれば……是非」


 ま、そんなこんなで、今度こそ「本来の住処」に帰ってきたてゐなわけだけど……
 そこに待ち受けていたのは、次なる出会いで……それがご存じ「八意永琳」。
 月の民を自称し、かつててゐが目指した【賢者】の名を、欲しいままにする人物だったってわけさ。


薬売り「そういえば……かねがね、誰かに弟子入りするような気質ではないと思っておりましたが」

兎「そこはまぁ、マジモンの賢者様だからねぇ。敵対するよか、下っといた方が得だとか思ったんじゃない?」


 それにさ……たぶん、嬉しかったんじゃないかな。
 だってほら、てゐにとっては初めての事だったし。
 ずっと一人だったてゐにとって……自分ちに「同居人」ができる事なんてさ。



【共存】


540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 00:29:01.46 ID:5atcrKdS0


薬売り「だからこそ、守ろうと思った?」

兎「八意永琳は医術と言う手段を用いて、他者に”回復”を与える人物だった」


薬売り「既視感めいた物を感じた?」

兎「八意永琳は知を振りまく事で、他者の”成長”を促す人物だった」


薬売り「内心……嫉妬していた?」

兎「そんな八意永琳が目指した物は――――”誰かを幸せにする事”だった」


 互いにない物を持っていた――――お互いが”最も欲する物を持っていた”。
 パズルみたいなもんだよ。こう、ちょうどいい具合に凸凹がハマったもんだから……
 だから、上手い具合に混ざり合った……のかもしれないね。


薬売り「しかし……」


兎「そう――――永遠なんて、やっぱりどこにもなかった」


https://i.imgur.com/FI5gMUR.jpg


兎「嗚呼、まるで砂上の城のよう……長年かけて積み重ね続けた永遠は、須臾も待たずに崩れ去った」


https://i.imgur.com/n9GZFTV.jpg


兎「永琳もてゐも同じ気持ちだっただろう。共に手を取り合い、永遠を目指し続けた二人の心情は、察するに余りある」

兎「でも、両者の間には――――たった一つだけの決定的な違いがあった」


https://i.imgur.com/SiwQR01.jpg


兎「それこそが……てゐにとっては、すでに”観測し終えた結果”だった事」


https://i.imgur.com/yDW6e3j.jpg

541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 00:40:06.37 ID:5atcrKdS0


薬売り「此処もまた、すでに幻……でしたな」

兎「そう、そしてその幻すらも、また失おうとしているこの事実」

薬売り「どうしてこうも……奇怪な稀ばかりが起こるのでしょうか」

兎「そんなのこっちが聞きたいよ……でも仮に、稀に意味を見出すならば」


 永遠に失い続ける性を持った悲しき兎。
 いつしかそれを受け入れる事で、自我を保ち続けた哀れな兎。
 そんな惨めで矮小なる兎が、何の因果か、たった一度だけ――――”永遠に反旗を翻す機会”を得た。
 


兎「どうせ崩れる永遠ならば、自らに罹った永遠をも、共に崩してしまえ」

兎「それが誰かの幸せに繋がるならば……降りかかる痛みが、福音となりて振りまかれるのなら」



【求】



薬売り「結果……兎が兎でなくなろうとも」


兎「卯が全てを失っても」


薬売り「傷など、最初からなかった事になっても」


兎「卯が――――月の手を離れようとも」



【及】



兎「月に愛されし卯が、一介の畜生に成り果てたとて――――」



【給】



兎「そうなって初めて……卯はやっと、ただの兎になれるのかもね」



【泣】

542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 00:50:36.74 ID:5atcrKdS0


薬売り「なるほど……貴方様のおっしゃる通りだ」

薬売り「確かに、”誰とも同じではない”」



【――兎神之理――】



兎「つってもほら、誰しも一度くらい思った事あるだろ?――――”もしも過去をやり直せたなら”」

兎「もしも仮に、そんな機会が訪れたなら……あんたは一体、何を変える?」



(あのちょ〜うさんくさいちんどん屋……未だかつてないくらい信用ならないけど……)


(でも、あいつの言ってた話が……仮に本当なら……)


(それができるのが……あたしだけならば……!)



兎「てゐの理を紐解く鍵は、きっとそこにある……んだと思う」

兎「本人すら知らない……箱を開ける鍵が」



【――白兎之理――】



薬売り「全ての…………可能性は…………」

薬売り「観測する事で…………初めて…………」




(みんな……もうちょっとだけ、我慢しててね……)



(全部済んだら……”すぐに出してあげるから”)



https://i.imgur.com/c3fXd59.jpg


543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 01:07:38.99 ID:5atcrKdS0



兎「してその観測者は、この場合誰になるのか……それはもう、言わなくてもわかるよね?」

薬売り「ええ、誰が見るのかなど……”すでにわかりきっていますとも”」




【――兎之理――】




兎「話が速くて助かるねぇ――――おぉい、聞いたかい? みんな」




((嗚呼、楽しみだ楽しみだ……))


https://i.imgur.com/JJbjDi4.jpg




兎「ほんと、楽しみだねぇ……訪れるのは既視か未視か……」




((楽しみだ…………楽しみだ…………))


https://i.imgur.com/0mxvpuK.jpg


544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 01:19:46.35 ID:5atcrKdS0



【因幡てゐ――――之・理】



兎「あー楽しみだ。今度の箱は、どちらの可能性に集約されるのやら……」


https://i.imgur.com/X1cQgOW.jpg




兎「さぁ、果たして――――」


兎「”今度はどちらの結果に転ぶのやら”」




【――ひさかたの

     天照る月は 神代にか

      出で反るらむ 年は経につつ――】



https://i.imgur.com/UH9pMHl.jpg








545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/18(月) 01:20:12.61 ID:5atcrKdS0
本日は此処迄
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 00:31:46.59 ID:quhZaAAU0


てゐ「――――ハッ!」


薬売り「…………」



【起床】



薬売り「おはようございます……」


てゐ「あ、え……あれ?」


 両者をまたぐ沈黙は、ようやっと終焉を迎えた。
 理を話すと言いながら、突如黙し始めた妖兎の様相は記憶に新しい。
 その所以は、まぁ、わからんでもないよの。
 話す内になにやら「込み上げる物」でもあったのかと、十二分に察する事ができようぞ。


てゐ「あ、ごめ……なんかちょっと……うとうとしてたかも」

薬売り「いえいえ……どうか、お気になさらずに」


 そんな妖兎を諫めるわけでもなく、薬売りはただ、静かに見守るのみであった。
 実に薬売りらしからぬ所作である。
 それは、ひょっとするとひょっとして、薬売りなりの「気遣い」のつもりだったのかもしれんが……
 しかしながら、それもどうも、やはりズレていると言うかなんと言うか。


てゐ「えと……どこまで話したっけ?」


薬売り「ああ、その事については、もうご心配に及びませぬ」


 やはり慣れぬ事はするものではないな。
 勝手掴めぬ振る舞いは、往々にして物事を悪化させると言うものぞ。
 それは、今この時についてもそう。
 手前勝手な沈黙の補助は、貴重な刻を、無駄に費やさせる結果しか生まなかったのだ。



薬売り「もう――――”貴方様の理は知れました”ので」



 そう、ついに終わってしまったのだ――――人々が【夜】と呼ぶ、暗黒の刻限が。



【暁光】
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 00:41:20.83 ID:quhZaAAU0


てゐ「え、もういいの?」

薬売り「ええ、もう、十分ですとも」


 薬売りの唐突な言葉に、案の定妖兎は困惑の表情を見せた。
 妖兎本人からも感じる程に、足らぬ言葉の皮算用。
 加えてふと目線をやれば、明らかに「退魔の剣が変化していない」この事実。
 

てゐ「そ、そうなの……? まだなんも、言ってない気もするんだけど」


 それらが故に、妖兎は暫しの間混迷に苛まれた。
 が――――しかしそれも、直に収まり申した。
 その旨趣を知る術こそないが、次に出る妖兎の言葉から察するに、おそらくはこういう風に考えていたのかもしれぬ。


てゐ「えと、じゃあ……あんたはどうする?」

てゐ「もし帰りたいってんなら……”今の内に”出しといてあげるけど」

薬売り「…………フフ」


 「目を向けるべきは、今ではなく先にある――――」。
 つまりはこの、胡散臭い部外者を追い出した後に起こる事態。
 すなわち、この永遠亭の存在そのものを賭けた【大一番】への布石に過ぎぬのだ、と。
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 00:50:49.41 ID:quhZaAAU0


てゐ「これからこの竹林は戦場になる……いつぞやの痴話喧嘩とはわけが違うわよ」

薬売り「戦場……ねぇ」

てゐ「そいやあんた――――【博麗の巫女】って知ってる? こいつがその戦場の火種なんだけど」

薬売り「その名は……」


 して妖兎は、この幻想郷における現状を赤裸々に語り始めた。
 これから降りかかるであろう「月が振りまく火の粉」は、ごっこを冠した弾幕遊びとは異なる、正真正銘の戦(いくさ)であると。


【火蓋】


 妖兎はさらに続け様に語る。
 曰く、降りかかる火の粉が「月」による物ならば、まず間違いなくスキマが動く。
 そしてスキマが動けば、同じくして、必ずや件の【巫女】とやらが動くであろうとも。
 

てゐ「こいつがこの幻想郷で最も厄介な人間でね……異変の解決屋なんて言えば、聞こえはいいけど」

てゐ「実際にやる事つったら、殴り込みからのごり押しからの超絶フルボッコ」

てゐ「こいつの手に罹れば、和平交渉も途端に全面戦争に早変わりするわ……幻想郷全体を巻き込んだ一大戦争よ」

薬売り「それはそれは、なんとも……」


 件の巫女……巫女にあるまじき評判の悪さである。
 しかしその悪評は「此れ即ち誇りの証ぞ」と、是非その巫女に申してやりたい。

 と言うのも、身共には巫女の気持ちがよぉ〜くわかるのだ。
 この柳幻殃斉の成し遂げし、数多の悪鬼悪霊共を払い清めたる奇譚は、皆も知る所であると思うが……。
 天性の資質と弛まぬ努力の賜物でもって、世の為人の為に奮闘し続ける日々。
 ううむ、我ながらなんと徳高き存在。


薬売り「そんな粗暴な巫女の中には、もちろん」

てゐ「うちらの事情なんて、含まてるはずがない」


 かのように、身共のような人々の寵愛と感謝を一手に受ける存在はだな。
 しかし逆に言えば、妖共から相応の”恨み”を買っておると言う表れでもあるのだよ。


https://i.imgur.com/SoA7WJx.jpg


 そう、巫女もまた、すべからく解決してしまうのだ。
 真も理も、幻想郷を取り巻く異変とやらも。
 全ての一切合切を――――”力”と言う剣を、突き刺す事によって。 

549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 00:59:49.74 ID:quhZaAAU0


薬売り「その巫女と……”共闘する”と言う道は、なかったのですかな?」

てゐ「……無理ね。確かに、そうなれたら理想的だったけど」

てゐ「けどやっぱり無理。何度考えても……やっぱり、”敵対する未来しか見えない”」


 それが何故かと問われれば、やはり話は元に戻る――――”スキマの存在である”。
 スキマの月に対する異様な執着心が、必ずや和平の境を隔てるであらんと言う確信。
 そんなスキマと巫女が、懇意な関係であると言う現実。
 さらに言わば、巫女は巫女で、この幻想郷のあらゆる所に顔が利くと言う有様――――この永遠亭を除く全てである。


【囲】


 そんな様を、妖兎はこう言い現した。
 「――――スキマある限り、永遠亭に同志なし」。
 如何に幻想郷広しと言えど、永遠亭は徹頭徹尾”孤立無援”であると、妖兎はすでに結論を出し終えていたのだ。


薬売り「お得意の……「確率論」ですか?」

てゐ「と言うより、「暗黙の了解」。幻想郷の存在そのものが一番の異変だなんて、口が裂けても言えないんだから」


 スキマからすれば、此度の騒動は”月への意趣返し”のまたとない機会とならん事は明白である。
 ならば「現存する全てを用いて此れに当たる」は至極道理。
 であるならば、スキマが巫女に協力を仰ぎ、むろん巫女に断る理由もなく、巫女がまた誰かに協力を仰ぎ……
 結果、永遠亭が増々孤立していく様は想像に難くない。


薬売り「つまり……”月人が来ない限りは誰も干渉してこない”?」

てゐ「願わくは……ずっとそうであって欲しかったけどね」


 そして、月と言う「共通の異変」を与えられた二人の隙間に――――果たして”そこへ住まう者への趣など存在するのか”。
 こちらもまた、語るまでもない事よの。


550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 01:14:28.47 ID:quhZaAAU0


てゐ「ま、そゆわけで……こっちはこっちでカツカツな事情なわけよ」

薬売り「心中……お察し申し上げ候」

てゐ「だからまぁ、ぶっちゃけ今、あんたに構ってる暇はないって言うか……」

てゐ「正直――――出てってくれた方が助かる? みたいな?」


 この永遠亭に絡まる、複雑極まれり因果を解きほぐす事は至極困難である。
 それをこの妖兎は、ただの一羽で引き受けようと言うのだ。

 その全ては――――永遠亭を守る為。
 強いては、”永遠に続く幸福”を、守る為に。


てゐ「心配しないで……全部終わったら、この剣は返してあげるから」

薬売り「おや……折角勝ち取ったのに?」

てゐ「そりゃ、手元に残しておきたいのは山々だけどさ」

てゐ「”直に持ち主がいなくなる”ってんなら……この子も可哀想だしね」


 まさに決死隊ならぬ決死兎。
 泰平の世になりて久しい昨今にて。如何様な心構えを持つ者が、一体どれほどに存在すると言うのか。
 この妖兎の確固たる信念は、我らの生き様も深く考えさせてくれようものぞ。

 すなわち――――『生命とは何か』。
 生に何を見出し、命を何と見極めるのか。
 これはもはや、泰平の世が産んだ、新たなる学問と言えよう。



【哲学】


551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 01:25:49.97 ID:quhZaAAU0


てゐ「あ……」

薬売り「おや……」


https://i.imgur.com/nLIBNt4.jpg


てゐ「もう、朝、か……」

薬売り「もう、朝です」


 妖兎は、窓から漏れる光を、何やら神妙な面持ちで見つめ始めた。
 妖兎本人が口走るように、夜行性の兎にとっては、朝の木漏れ日は夢現への入り口と同義なのだ。
 しかしながらまぁ……だからと言って、必ずや朝に眠るとは限らん。
 そこはほれ、我ら人でもそうであろう?


てゐ「なんか……不思議な感じ……うちらにとっては眠りの合図なのに」


 我らとて、享楽にかまけ気が付けばついつい明け方まで……なんて、往々にして起こる事。
 特にこの場合は、空に輝く月明かりが――――自身の”最後の光景”になるやもしれぬとあらば。
 眠る間も惜しんで、いつまでも見つめていたいものよ。


薬売り「まぁ、如何に夜行性とて……時には例外くらい、ありましょう」

てゐ「そう、ね……つかよく考えたら、夜行性とかあんまり気にしたことないかも」
 

 そう言うと、妖兎は不意に語り始めた。
 その内容は、他愛もない世間話であった。
 「思えば、随分と奔放に生きた物だ――――」
 そう切り出した妖兎の真意は、過去への夢心地と共に、ほんの少しの”後悔”も含まれていた……のかもしれぬ。
 

てゐ「夜更かしならぬ朝更かし……つか、徹朝もしょっちゅうだったっけ」

薬売り「人の生活に、合わせていたのですか?」

てゐ「はは、違う違う……あたしったら、一日の予定とかなんも決めてなくってさ」

てゐ「腹が減ったらメシ食って、出掛けたくなったらどっかに消えて、飽きるまで遊び続けて、眠くなるまでずっと起きてて……」

てゐ「時間なんて関係なかった。したい時にしたい事だけをしてた」

てゐ「――――逆に言えば、”それしかしてこなかった”」


 そんな妖兎だからこそ、律義に予定を守り続ける玉兎が、不思議でならなかったそうな。
 自分程とは言わずまでも、一日くらい・一刻くらい・一瞬くらい……玉兎は、それすらも破らなかったそうな。

 言うなれば、【時間に縛られた飼い兎】と【時間から解き放たれた野良兎】。
 この全く異なる二つの生き方は、「果たしてどちらが正しいのか」。
 そう、問われた時、誰にも答える事などできやしまい。


552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 01:41:13.00 ID:quhZaAAU0


薬売り「よくそんな生活が……続きましたね」

てゐ「だってあたし、別にうどんげみたく薬師とか目指してないし」

薬売り「いえ、そうではなくてですね」


――――ただし、その問に「薬師の見地」が加われば、話は変わる。
 生きとし生ける物には全て、絡繰りの如き「仕組み」が存在するのだ。
 絡繰りとて、定期的に「手入れ」をせねばやがて動かなくなる道理。
 それがさらに複雑な「生物」とあらば、望む望まぬ関わりなく、時には「したくない」事もせねばならぬのだ。



薬売り「すぐさまに体を壊しそうな、生活っぷりですが」


てゐ「そーいえば……ここへ来てからは、病気とかなった事ないかも」



 如何に腹が満ちていようとも。

 眠気など寸でも沸かずとも。

 体を動かし野山を駆けまわりたくとも。




てゐ「でもまぁなった所で、ここ薬屋だし、そこは――――」




 良薬が、如何に苦かろうと。







てゐ「…………あ”?」







 生命の仕組みを、維持する為には。





https://i.imgur.com/ZJBKMhF.jpg





――――妖兎の眉が、少しヒクつくのが見えた。

553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 01:41:53.79 ID:quhZaAAU0
本日は此処迄
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 04:57:16.47 ID:jIo5U3N0o
不審な気配が漂ってきた…
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 22:05:21.60 ID:ILnw9GSu0


てゐ「……今、なんか言った?」

薬売り「いえ? 何も……」


 それは、瞬きする間もないほんの一瞬の所作であった。
 しかし薬売りは確かに見た。
 明らかに気分を害した妖兎の心情。
 その心情を表すかのような「しかめ面」。
 その中に――――兎を含む獣の本能が見えたのである。


https://i.imgur.com/AqgAzqR.jpg



薬売り「どうか……いたしましたかな?」

てゐ「…………」


 さらにはこの一瞬の変化は、何も妖兎のみに限らずであった。
 薬売りが妖兎の表情を目撃したのと同じく、妖兎もまた、刹那に薬売りの本能が見えたのだ。

 その顔は――――確かに”笑って”おった。
 それも歓喜の笑みではない。
 かつて自身幾度も向けられた、なじみ深くもいと憎し表情。
 矮小なる者を笑うかの如き――――”嘲り”の笑みである。


てゐ「何よ……言いたいことがあるなら、ハッキリいいなさいよ」

薬売り「そうですか……なら、遠慮なく」


 妖兎は、この薬売りの変化を明らかに察知していた。
 そして「やはり見間違いではなかった」と確信するに至る。
 ならば、この唐突に訪れた態度の変わり目は、一体何を意味するのであろう――――
 その答えは、やはりただの一つしかなかった。



薬売り「フフ…………フフフ」



【失笑】



薬売り「フフフフ………………ハッハッハ」



【冷笑】




(フフフフフ――――ハハハハハ――――)




【嘲笑】



てゐ「――――何笑ってんだよ!」



 真の敵は、月でも巫女でもスキマでもない――――
 この目の前のうさんくさい男こそが、最大の”敵”であったのだ、と。



【不倶戴天】

556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 22:14:00.84 ID:ILnw9GSu0


てゐ「何……ついに頭おかしくなった?」

薬売り「いえいえめっそうもありません……あっしは至って正常ですよ」

薬売り「と言うより、可笑しいのは……むしろ」



【御前】



薬売り「の、方かと」


てゐ「――――はぁ!?」


 ついには体裁を繕う事すらしなくなった薬売り。
「言いたい事を言えと言われたから言っただけだ」。
 そう言わんばかりに吐き連ねる言葉の節々は、見事なまでに他者への敬意を感じさせない。


てゐ「なんだお前……何いきなりグレ出してんのよ……」


 思えば……身共と対面した時もこんな感じだったの。
 第一印象としてはこう、敬意とは反対の……そうだ。
 あれは言うなれば、”軽蔑”の眼差しと言った所か。


薬売り「だって……そうじゃないですか……」

薬売り「笑わない方がどうかしてる……こんな……」


 皆の衆努々忘れることなかれ。
 そう、このすごぶる意地の悪〜い様相こそが、薬売りの持つ本来の姿なのだ。
 いや、絶対そーに決まっておる。嗚呼〜間違いない!
 この根拠なく他人を苛立たせる性は、まさに天性・天資・天賦の資質。
 もはやそれ以外に、考えられぬのだよ。
 


【笑】



薬売り「壮大で……雄大で……永遠に近き時を跨るまでの……」


 さすれば退魔の剣の持ち主は、やはりこの薬売りこそが望ましきかな……
 えぇい! この際だからキッパリ断言してしまおう!
 よいか? 他者に纏わる情念・因果・思いの丈、その他諸々諸行無常の数々――――。
 この薬売りにとっては、それらの一切などな。
 あくまで、”退魔の剣を抜く為の道具”に過ぎぬのだよ。



薬売り「……………………”茶番”など」




【(笑)】




てゐ「 ん だ と コ ラ ッ !」

557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 22:21:37.04 ID:ILnw9GSu0


てゐ「言うに事欠いて……茶番だぁ……!?」


薬売り「違う……とでも、言いたいのですかな」


 この薬売りのとてつもなく無礼な一言が、案の定妖兎に、一つの情念を露わにさせた。
 その情念とは、とどのつまり「怒り」。
 秘めたる理を、よりにもよって”茶番”などとバッサリ言い捨てられては、無論妖兎の気分を余す事無く「害する」事請け合いである。


てゐ「さすがのあたしも読めなかったわ……まさか、このタイミングで”喧嘩”売られるたぁね」


薬売り「売ってるのはむしろ油じゃないですかね……それも、貴方の方が」


 あれほど表情豊かだった妖兎の顔が、怒気一辺倒へと偏っていく。
 この怒気が深める皺の一本一本が、まるで兎の持つ毛皮のようにも見えなくもない。
 結果、妖兎が時を追うごとに、ますます眉を顰める最中にて。
 しかしそれでも、まだまだ薬売りはへらず口を辞めなかったのだ。


薬売り「一分一秒も……惜しいのではなかったのですかな」


薬売り「――――”無駄な”足掻きをする為に」



てゐ「このッ――――」



 そしてついには――――妖兎は、言い返す事すらもしなくなった。
 怒りの行き着く果ては舌戦にあらず。
 それは妖兎に限らず、生きとし生けるもの全ての理と言えよう。
 しかしいみじくも妖兎にとって、薬売りのこの唐突な挑発は、脳裏に描かれし「戦」への、丁度よい前哨となったのだ。
  

https://i.imgur.com/r0kldUy.jpg


てゐ「それ以上舐めた口を効いたら――――”今度こそ撃つ”!」


薬売り「おや……おや……」


 にしても、薬売りも薬売りだ。
 一体全体、何を思ってこんな真似を――――と、皆は思うであろう?
 
 よいのだそれで。今はそのままでいい。
 この時は、”まだ”誰にもわからなかった。それこそが、唯一の正解なのだから。



【決闘・再び】


558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 22:27:06.28 ID:ILnw9GSu0


てゐ「そろそろ笑って済ませらんないわよ……ちんどん屋ァ……!」

薬売り「ご無体な。よもや、丸腰の相手に弾幕を放つおつもりですかな?」

薬売り「弾幕とは……優雅さと可憐さを優先した、”誇り高き決闘”と聞き及んでおりましたが?」

てゐ「――――黙れッ! 煽って来たのはお前だろ!」


 妖兎が放つ怒りの訴え、まさに一言一句がその通りである。
 此度の薬売りが放ったは暴言は、もはや失言などと言う段階ではない。
 露骨に、誰が見ても、あからさまかつ明らかに、「わざと」である事は明白であった。


てゐ「自分の立場……わかってんのかお前……」

薬売り「立場? はて……”たかが兎”に立場などあるのでしょうか」

てゐ「そのたかが兎の手を借りないと――――”帰る事すらできない”のは、どこのどいつだ!」


 さらに言わば、この突如反逆し始めた時機もすこぶる不自然である。
 妖兎も感じていたはずだ――――ここは【迷いの竹林】。
 この妖兎に代表する永遠亭の者が、”たまたま”その場所におったからこそ、迷い人が帰路につけると言うのに……
 案内人なくしては、”永遠にさ迷い続ける”場所なのに。


てゐ「今すぐボッコボコにしてやりたいけど、今はそんな暇はない……」

てゐ「だから……”今の内に”謝れば、ギリ水に流してあげる」


 なればこそ、薬売りの真意が見えぬままであった。
 この身を焦がす怒りに値する理由が、薬売りには存在しなかった。
 妖兎は憤怒に身を任せつつも、虎視眈々と思案に明け暮れた。
 慎重と大胆さを混在させつつ、なんとか薬売りの【真】を得んと、人知れず奮闘していたのだ。


薬売り「ならば……”後になっても”謝らなかったら、一体どうなってしまうんですかね」


てゐ「そうなった暁には――――”今後の一切は保証されない”」



 そして妖兎は、ついに最後の手段に出た――――弾幕の出現である。



【――光――】

559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 22:35:38.43 ID:ILnw9GSu0


てゐ「もう一度言うわ……”今度こそ撃つ”」

てゐ「この無数に湧いて出る弾幕を……避けきれるもんなら避けてみればいい……」



【熱】



てゐ「たかが兎とほざくなら――――やってみるがいい!」



【冷】



 妖兎の中の怒りと冷静の割合が、徐々に傾きつつあった。
 その方向は――――「冷静」に向く。 
 唐突さが故に少々面食らった物の、よくよく考えれば、俄然有利なこの状況。
 加えて薬売り最大の武器である『退魔の剣』すらも、自身の手元にあるとあらば。
 「狂うに値しない――――」妖兎はすぐさま、その結論に辿り着いたのだ。



【明白】



薬売り「そう、その光だ――――」


てゐ「…………あ”?」



【白明】



薬売り「その弾幕が放つ光……貴方にとっては、あの空を照らす日月よりも身近な光」


薬売り「否。この幻想郷に住まう者全てが持つ光……四肢を動かすようにして放つ、色彩々の光」



【薄命】



薬売り「かの如く、光があまりに身近過ぎたが故に――――」


薬売り「貴方の視野は、”朧に霞む運びとなった”」



 しかし此処へ来て、また新たな感情が沸いて出た――――”意味不明”。
 まるで説法の如き薬売りの語りが、文字通り「意味不明」としか言い現わせられなかったのだ。



てゐ(は――――?)



 なれども薬売りの供述は、紛れもなき【真】であった。 
 何に言い換えるでもない。
 言葉の通り、”光が妖兎の眼を覆った”のである。


560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 22:48:12.43 ID:ILnw9GSu0


薬売り「一説によると……兎は”光を感じる器官”が、強く発達しているそうです」

薬売り「それは、兎が夜行性な為……元来、”光の薄い環境下”で生息する生き物が為」


てゐ「だからなんだってんだ……」


薬売り「ただし……それ故に【色彩感覚】に、やや難があるそうです」

薬売り「理屈は簡単だ――――”光が色を薄くしてしまうから”」


てゐ「それが……なんなんだよ……」



『――過剰なる光への追及が彩を欠き、彩欠けし眼は霞を生む。
   霞は目視を鈍らせ、滲ませ、ついには現すらをも遠ざける――』



薬売り「ただしその分、幻とはよく馴染む……闇夜と言う名の、幻には」



てゐ「だ〜〜〜〜もう! 一体何が言いたいんだよッ!」



 時に――――話を遮って申し訳ないが、ふと思い出した事がある。
 いやな、身共の知り合いに、とある絵描きの男がいるのだが……
 その者がいつだったか、熱心に語っておった話を、ふと思い出したのだよ。



薬売り「貴方が真に見るべきは、一寸先の闇ではなかった――――”今ここにある光”だったのだ」



 その者は、若い頃に”色の使い方”に悩んでおったらしくてな。
 と言うのも、絵の「線」ばかりを描き連ね、「色」を学ぶ事をおざなりにしていたそうな。
 おかげで線形こそ卓越なれど、無色無彩が故に、心無き者から「洛書」と評される事がしばしばあったとか。

 そこでその絵描きは編み出した――――”色彩を無彩で表す方法”である。
 曰く、『明暗の差異を強調する事で、あたかもそこに色があるかのように見せる』画法とかなんとか。
 よくわからんが、南蛮にも似たような画法が存在するらしい。
 そこにちなんで、絵描きはその画法を、こう言う風に呼んでおった。



【コントラスト】


561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 23:02:20.59 ID:ILnw9GSu0


薬売り「もう見えるはずだ……陽の光満ちつつある、この白々明の刻ならば」

薬売り「その赤き瞳ならば――――その”光感ずる眼があるならば”」


 まぁ、何故にそんな話を思い出したのかと言うとだな。
 あの時あの絵描きが語った画法が、まんま「今のこの二人」を指す言葉にピッタリだと思うたわけよ。



てゐ(な…………にを…………?)



 光と言う”白”を感じる眼を持った兎に、因果と言う”黒”を見透かす薬売り。
 まさに明暗と言い現わすにふさわしきこの両者が、「ぶつかり」「争い」「煽り合い」激しく「自己主張」し続けた結果――――
 そこには、確かに”色が現れた”のだ。


https://i.imgur.com/vkOud01.jpg




562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 23:14:02.60 ID:ILnw9GSu0



てゐ(……………………)



https://i.imgur.com/Ln3HLjQ.jpg



てゐ(……………………)



https://i.imgur.com/NXwsyX4.jpg



てゐ(……………………)



https://i.imgur.com/a1qBtQk.jpg



てゐ(……………………)



https://i.imgur.com/RL4Cb72.jpg


https://i.imgur.com/rMoJLQ4.jpg





 あるのにないと認識されていた――――【内在する二つの可能性】として。





てゐ(……………………月?)



https://i.imgur.com/M4OZBjD.jpg















薬売り「そう……”こちらだったんですよ”。貴方が捜し求めていた物は」




てゐ(な――――――――ッ!?)



https://i.imgur.com/MxsHD07.jpg

563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/22(金) 23:16:57.79 ID:ILnw9GSu0
ナイスク見てくる
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 00:41:06.59 ID:HSad9Dqq0



てゐ「え――――え? え?? え???」



 この瞬間、またしても別の色が現れた。
 まさに「青冷める」とはよく言った物で、物の例えであるが、その言い回しは実に言い得て妙である。
 その証拠に、まるで顔料を塗りたくられたが如く……
 本当に妖兎の顔が、みるみる内に蒼く染まっていくではないか。



てゐ(なんで――――似てたから? 流したせい? こんな単純な字を?)



 漆黒の如き闇夜の中を、人々が認知する事は叶わず。
 しかしそこには、確かに何かがいる。
 人々はいつしか、その闇夜に蠢く何かを、妖と名付けた――――
 夜に生きる生き物とを、分ける意味合いで。



てゐ「な…………んでぇ…………? どぉしてぇ…………?」



【答】


薬売り「だから、最初に申し上げたんですよ――――”何故明かりをつけないのか”と」

薬売り「如何に夜分深き最中とて、ほんの少しの明かりさえあれば…………」

薬売り「貴方なら…………”見えたはずだったのに”」



 草木も眠る丑三つ時
 家々から明かりが消え、人々は寝静まり、安らかな吐息に包まれる時間。
 それらを生むが、すなわち、闇――――
 夜と名付けられた闇は、一時の休息を齎すと同時に、とある目覚めを呼び覚ますのだ。



てゐ「暗…………かった…………から…………?」



 しかし仮に闇夜に目覚めたとて、真なる闇の前には何も見えぬ道理。
 「見」は光無くしては叶わぬ。
 それは、如何に光感ずる眼を持とうとも――――輝きなくしては、そこはただの暗黒にすぎぬのだ。



薬売り「だって…………ねえ? ほら、言うじゃないですか…………」


薬売り「兎は――――”耳がいい代わりに目が悪い”んだから」



 すなわち――――”光届かぬ場所こそ真なる闇”。
 そんな場所など……いつだって、人々の心の内にしか、なかったのだから。



【無明】

565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 00:55:30.90 ID:HSad9Dqq0



てゐ「そんな…………じゃあ…………これって…………」



【不穏】



てゐ「あたしが……口に入れた物は…………」



【不吉】



てゐ「あたしが…………”そうだと思って”食べた物は…………!」



 妖兎は、恐る恐るその手を壺へと伸ばした。
 その手は細切れのように震え、滲み、肌色は顔面動揺、実に青く染まり切っておった。

 妖兎は、抗っておったのだ――――恐怖と。
 恐怖とはすなわち、この場における最悪の結末。
 して妖兎にとっての最悪とは、”思い描いていた最善の真逆”。



【呉牛喘月】

566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 01:12:13.83 ID:HSad9Dqq0



薬売り「さにあらず。あるはずもない、絵空事同然の産物……だが」


薬売り「なればこそ、仮に……無を有と認識し直せば」



https://i.imgur.com/Kzi0Bmm.jpg



薬売り「内在する二つの矛盾が…………観測することで初めて現れると言うならば」



https://i.imgur.com/kzMR7jS.jpg




薬売り「”永遠は終わらず”と――――その言葉を信するならば」
 


https://i.imgur.com/DcCWGmH.jpg



 途切れる息を耐えながら。
 溢れる汗を拭いながら。
 気が狂いそうな程の恐怖に抗いながら……妖兎の手はついに、真を掴んだ。


https://i.imgur.com/Rkhdaq9.jpg



 そして、映した。
 今昔の刻を跨ぎし、確かに存在する真を――――その光感ずる眼にて。



薬売り「傷を治す、どころか…………」










薬売り「――――”永遠にそのまま”と、言う事に」



https://i.imgur.com/ya7I1Qc.jpg



567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 01:22:36.11 ID:HSad9Dqq0



(…………あっ)



【折】



(あ…………あっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっ)



【諦】



(あっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっあっ――――!)



【悟】



https://i.imgur.com/3YrZtRh.jpg




【覚醒】






【――原始の痛み――】





 「あ”あ”あ”あ”あ”――――」
 今度は、実に鮮やかな【赤】が降り注いだ。


https://i.imgur.com/HzfKklX.jpg

568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/23(土) 01:23:19.18 ID:HSad9Dqq0

本日は此処迄
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/24(日) 18:28:03.04 ID:B/cCW2fBo
キナくさくなってきたな
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:29:47.47 ID:nrMdkQ4a0



【あ】



https://i.imgur.com/vgcGFCu.jpg



【 あ あ あ あ あ あ あ あ あ
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ 
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ 
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ 
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ 
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ 
  あ あ あ あ あ あ あ あ あ 】




てゐ「あ”あ”あ”あ”あ”あ”――――痛”い”い”い”い”い”い”!!」



てゐ「傷口が開ぐう”う”う”う”う”痛”い”い”い”い”い”い”!!」




薬売り「これは、これは…………」



 恐らく、永遠亭創設史上類を見ない喧噪が今、巻き起こっておるであろう。
 その思たる要因。まるで太鼓の用に鳴り響くその音は、おおよそ生物の範疇を超えた”鳴き声”による物である。
 朝の雄鶏を遥かに凌ぐこの凄まじき鳴き声。
 その全てが「たった一羽の兎」によるものだとは、努々誰も思うまい。



【激痛】


【狂騒】


【阿鼻叫喚】





てゐ「あ” あ” あ” あ” ぁ” ぁ” ア” ア” ぁ” ぁ” あ” ア” ! ! ! ! 」




 その様はまるで――――「理性を無くした獣」。
 かのように形容したのは、他でもないこの声の主である。

 そう、全ては本当に、妖兎の語る通りであったのだ。
 絶叫の起因たる「生きたまま生皮を剥がされる」痛み。
 その痛みが形作るは、南蛮人すら裸足で逃げ出す「血染めの化け物」。
 そして、血染めの化け物は荒れ狂う――――自分を見失う程の痛みに、為されるがままに。 



【外道祭文】

571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:42:14.82 ID:nrMdkQ4a0



てゐ「(形容不能)――――!!!!!」



 荒れ狂う猛獣と化した妖兎が、部屋の隅々をありとあらゆる手段で破壊していく。
 ひっかき、殴り、蹴り、頭を叩きつけ、代わりに全てを【赤】く印づけていく。
 部屋が部屋たる所以の物を、片っ端から破壊していく”さっきまで兎だった”生き物。
 こうなれば、もはや一種の「災害」と呼ぶのが相応しかろう。



薬売り「…………」



 かのように、悪夢の如き光景を目の当たりにしている薬売りであるが――――ほとほと呆れる。
 そんな実に繽紛たる光景を、あろうことかこやつは……”見てすらいなかった”のだ。




(あ”あ”あ”あ”あ”――――……)




薬売り「……いやはや、実に興味深い物です」

薬売り「記憶を巻き戻すはずの幻肢痛が、永遠に続くと言うこの矛盾……」

薬売り「となれば……少なくとも、今度は戻る事すらできなくなる」

薬売り「前にも後ろにも進めなくなる……”今しか生きられなくなる”」




(ア”ア”ア”ア”ア”――――……)




薬売り「いいじゃないですか……別に……例え、本人にとってはどれほど不幸な出来事であろうとも」

薬売り「”心折れる事で”新たな道が、拓ける事も……あるのですから」




(A”A”A”A”A”――――……)



https://i.imgur.com/8vJxXPm.jpg

572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 20:53:14.98 ID:nrMdkQ4a0



薬売り「…………おや?」


 まぁそんな、見るも悍ましき修羅の最中であるがな。
 とにもかくにも、一言だけ申したい――――「阿呆」。

 ったく、本当にこやつだけは……
 大体な、猛り狂う獣が、目の前で荒ぶっておると言うのにだな。
 何を呑気に、ぶつくさと「独り言」を呟いておると言うのか。




(貴――――様ァ――――!)


 

 速い話が、とっとと逃げればよかったのだ。
 少なくとも、この暴れ狂う獣の「視界から外れる」猶予くらいはあったはずだ。

 まぁ……今更こんな事を言うても、もう手遅れである。
 それに見方を変えれば、せっかく訪れたまたとない機会とも言えよう。
 これを機に、この薬売りも一篇、己が身で味わってみればよいのだ。
 


薬売り「どうか……しましたかな?」



【捕】



【掴】





(許サナイ…………絶対ニ…………許サナイ…………!)





――――モノノ怪を成す程に深き、情念の痛みを。



https://i.imgur.com/hgTVeA0.jpg



573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 21:03:25.97 ID:nrMdkQ4a0



「お前だけハ…………許サナイ…………!」



薬売り「……これは、これは」


 かくして、化け物と形容されるほどに変貌せしめた妖兎の姿は、激しき痛みの果てに、もう一段階の変貌を遂げた。
 その姿は――――薬売りにとっては、よく見知った姿であった。
 その証拠にまるで、「古い顔なじみに再会したかのように」表情を緩ませる薬売りの姿が、そこにはあったのだ。
 目前の相手が、”怨みに塗れた”朱き兎にも関わらず、である。



https://i.imgur.com/PJavFJb.jpg



 未だ得体の知れぬ薬売りが、知人と称して懐かしむ存在。
 その相手もまた、同じく得体の知れぬ存在である。
 そんな、懐かしくも忌むべき面影が、何故か兎から現れた……
 とどのつまり、兎はついに成したのだ。




【”怪”眼】




 因果と縁に憑りつきし魔羅の鬼――――すなわち、”モノノ怪”である。


574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 21:14:19.77 ID:nrMdkQ4a0



「騙ジダな”…………お前ハ”また”あたしヲ、騙ジダんだ”!!」


薬売り「はて……また?」

薬売り「貴方様とお会いするのは……昨日が御初だったと記憶しておるのですが」



【沸】



「 黙 レ え ェ ェ え え ぇ ッ ! お前も”アイツラ”と同じダッ!!」


「あたしガもがき苦しむ様ヲ、見世物のように見ていた”アイツラ”…………」


「あたしガ壊れるのヲ、嬉々とした目デ見てイた”アイツラ”…………ッ!!」



【溢】



「何もカもガ、同じジャないカッ!! まタ同じ事ヲ! コノあたしニ……!」



【連呼】



「オ前が壊しタ…………何もかもヲ…………お前が……まタしてモ、お前ガ……ッ!」



 妖兎――――もとい「元兎」は、誰が見ても錯乱に陥っておった。
 薬売りが上手く言い返せぬのも無理はない。
 悲痛ながらいまいち要領を得ぬこの訴えからして、おそらくは過去。
 それも後々までに語り継がれる「痛ましい一幕」が、今昔の区別なく混同しておるのだと思われる。



【積年の恨み】


575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 21:29:29.76 ID:nrMdkQ4a0



「許サナイ”――――あたし達ヲ壊したお前ハ――――絶対ニ許サナイ”ィ”ィ”ィ”――――!」



薬売り「と、言われましてもねえ……」


 支離滅裂を訴える兎の化け物は、ついにはその口を、大きく開き始めた。
 ベリベリと裂けそうな程に開いたその口腔からは、兎特有の、実に先鋭なる牙が現れた。
 そんな実に禍々しき牙が、ゆっくりと薬売りの頭上へ昇っていく……
 ここまでくればもう、何をしようか一目瞭然である――――”齧る”つもりだ。
 


https://i.imgur.com/JpLzMmh.jpg



薬売り「堪忍してくださいな……如何に藪と評されたとて、やってもいない事を責められては、あっしも面目が立ちませぬ」

薬売り「それに今回は……”貴方が勝手に”間違えただけじゃないですか」

薬売り「貴方が自ら……己が無知を”棚に上げて”」


 そしてそんな危機的状況にも拘らず、俄然態度を崩さぬ薬売り。
 怯え慄き、命乞いでもすればまだ人間味もあると言う物だが……
 どころかさらに「開き直り」始めたとあらば、やはりこやつも人知から遠いよの。



「許サナイ”――――許サナイ”――――許サナイ”ィ”ィ”ィ”――――!」



 はて……そういえばいたな。
 ほれ、いただろう。かの書の冒頭にて、主役の血縁者と思えぬくらい、どうしようもなく畜生な連中が。
 やたらと利己的で、無駄に性悪で、異様に執念深く、かつ意味もなく悪趣味で――――とりわけ”嬉々として誰かを陥れる”。
 そんな、まるで今の薬売りに瓜二つな人物が。



【八十】



 かのように、かつて自分を陥れた人物と、薬売りとが重なって見えた……のか?
 うむ、ならば仕方がないな。
 此度の妖兎に訪れたこの不幸な出来事は、明々白々”薬売りの仕業”なのだから。
 


薬売り「致し方……ありませんな……」






【――――待った】



576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 21:39:25.48 ID:nrMdkQ4a0



薬売り「よいのですかな――――このままあっしの頭を齧れば、永遠に”永遠から回帰する術”は無くなりますが」



「何…………だとォォォォオ”…………?」



【提言】



薬売り「侮るなかれ。如何に藪とて薬師の端くれ」

薬売り「罹りし病如何なる大病とて――――少なくとも、”診る”事はできる」


 これはこれはまた酔狂な事を。
 この期に及んで何を宣うかと思いきや、言うに事欠いて「診てやる」だと?
 風邪や頭痛とはわけが違うのだぞ……
 仮に全ての薬師をこの場に集めたとて、誰が「永遠」なんぞを治せると言うのか。 
 


「言”え”ッ! あだじは一体ドゥ”すレ”バ…………言” え” ッ !」



 そりゃあ、当人は藁にも縋りたい面持ちであろうがな。
 しかし努々忘れてはならぬ――――”相手はあの薬売り”。
 薬師として見た場合の薬売りは、もはや藪どころの話ではない。
 関わる者皆すべからく不幸に見舞わす、まさに厄災が服を着て歩いているような存在なのに。


薬売り「服用者に永遠を齎すなどと言う、実に摩訶不思議極まる薬……」


薬売り「なれども――――永遠が薬の形を成す限り、永遠もまた”薬の理”から逃れられぬが道理」


 そして薬売りは解く。
 薬の成り立ちから服用の仕方、種類、成分、その他薬に纏わる諸々、等々、色々……。

 ……ぇえいこの藪め! やはり教える気などないではないか!
 学術語だらけで全くわけがわからぬ……と、素面の身共ですらこの様だ。
 とあらば無論――――”壊れ行く兎”に、伝わる事などあるはずがない道理なわけで。


577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 21:49:10.07 ID:nrMdkQ4a0


薬売り「つまりですね――――」



【焦】




「は”や”ぐ”言”え”ぇ”ぇ”ぇ”え”え”ぇ”ぇ”え”え”え”ぇ”ぇ”え”!!」



 しかしそんな、難解極まる薬売りの教授も、かろうじて理解できる事が一つだけあった。
 否、わかると言うより「知ってた」と言うべきか。
 ほれ、よく言うではないか。
 薬と言えど、用法用量を守らねば”転じて毒となる”と。




薬売り「――――”下す”んですよ。貴方の身を侵す、永遠と言う名の”毒”を」





(毒――――?)




【応急】

578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 21:58:39.65 ID:nrMdkQ4a0


薬売り「永遠とは……求める者にとっては薬となり、そうでない者にとっては毒となる」

薬売り「まさに、今の貴方そのもの……貴方にとっての永遠とは、何物にも受け入れがたき毒でしかなかった」


【毒】


薬売り「毒の解毒は時間との勝負です。一度体に入り込んだ毒は、時を増すごとに体の隅々を駆け巡る」

薬売り「毒が強くあればあるほど、さらにその時は短くなる……そして、直に手遅れとなる」


【切迫】


薬売り「しかしご心配なく。薬毒の誤飲など、往々にして起こる事態」

薬売り「さらには此度の場合ですと、まだ含んでからの時が浅い……よって、”正しき処方”を施せば、回復は十分見込まれます故」


【希望】




「言エ”……その正しキ処方とハ……一体なンダ……!」




【的確】


【処置】


【解】




薬売り「――――”吐く”んですよ。文字通り」


薬売り「毒を含んだその口から、全てを吐き出すように……いままで食らった全てを、ね」



【自己誘発性嘔吐】


579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 22:06:23.54 ID:nrMdkQ4a0



「う”――――か”ぁ”ぁ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”あ”!!」


 「吐く」――――その言葉を聞いた妖兎は、すぐさまその指を喉奥へと突っ込んだ。
 ただでさえ血塗れの指が口に入る事で、唾液と交ざったか、ぐちゅぐちゅと不快な音が掻き立てられていく。
 しかしそれでもかまうことなく、指は一心不乱に動き続けた。
 まさに泣きじゃくる赤子の如く……溢るる嗚咽を、大量に漏らしながら。



(――――え?)



 しかしそんな決死の行為も、”ある時”を境にピタリと止まってしまう。
 それはやはり、兎の持つ性が故なのであろう。

 そう、兎は――――聞こえてしまったのだ。
 空耳と思しき小言。なれども聞き捨てならない、希望の言葉を。




薬売り「そう言えば…………確か…………」




【呟き】


【疎覚え】


【聞き齧り】






薬売り「”四つ葉のシロツメクサ”に…………そのような効能が…………」





【想起】





(四つ葉のシロツメクサ――――!)



https://i.imgur.com/s0VIFPB.jpg


580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 22:14:17.80 ID:nrMdkQ4a0


 「――――四つ葉のシロツメクサ」。
 その単語を聞くや否や、兎は一目散に飛び出して行った。
 勢いついでに「ドンッ」と薬売りの身を突き飛ばしたのだが、しかし当人は気づいてすらいなかったであろう。
 言わば他の一切が知覚できぬ、矢庭の走。
 だがその決断と行動の速さたるや、これもまた、兎の性が故であった。



【跳】



 すなわち――――【脱兎の如く】。
 そうして兎はたった今、確かに、”自らの意思”で、外へと飛び出していったのだ。




薬売り「あったような……」




【飛】



 あれほど守ると宣った永遠亭から――――
 あれほど憎んだ、薬売りの元から。




薬売り「なかった……ような…………」




【兎卯・亡】



581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 22:24:57.84 ID:nrMdkQ4a0



【孤立】


【無縁】



薬売り「やれ、やれ…………」


 そして、亭は――――ようやっと、本来の静けさを取り戻した。
 さながら狼藉者に押し入られたかのような、乱雑に散らかされた一室ではある。
 だがしかし、これらの乱れを片そうとする者など、どこにも存在しない。
 この乱れに文句を垂れる者など……もはや誰一人として、いないのだ。



【森閑】



薬売り「全く…………最後まで懐かない、うさぎさんでしたよ」

薬売り「如何に臆病な気質とて……もう少しくらい、愛想を振りまいてくれても良さそうな物ですが」



【無常】



薬売り「まぁ、確かに……少々強引な手段を使ったのは、認めますがね」

薬売り「よいのですよ。こうして無事、果たす事ができたのですから……」



 竹林に佇む一軒の御屋敷の最中にて――――
 本来そこに居るべき住人が、誰もいないとはこれ如何に。
 いるのはただ、空に語り掛ける、どうにもうさんくさい男が一人。




薬売り「――――”貴方との約束”を、ね」




 と、最後まで誰にも認知される事のなかった――――【六人目の住人】の、二人と。



【盟約】

582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 22:36:08.32 ID:nrMdkQ4a0



薬売り「さて……では……」


【凜】


薬売り「後の方は…………”よろしく御頼み申し上げ候”」


【臨】


 そう言うと薬売りはそっと着物を整え、静かに座した。
 そして、待つ。
 「もはや為すべき事はなし」「もはや自分には、座して待つ以外に為せる事はなし」
 そんな事でも考えてそうな、何とも言えぬ呆けた表情を浮かべながら。



薬売り「…………」



 そしてそんな「静」を貫く薬売りとは対照的に、「もはや待ちきれんと」ばかりに蠢く、一つの物があった。
 そう、皆もご存じ――――『退魔の剣』である。



薬売り「…………そう急くな」


退魔の剣「〜〜〜〜ッ!」



 「奪われたはずの剣が何故薬売りの元へ戻っているのか」。
 その答えは至極簡素な理屈である。
 速い話が、”忘れ去られた”のだ。
 折角奪い取ったにも関わらず、焦る余りに置き去りにしてしまった、あの荒ぶる兎によって。



薬売り「直に…………戻って来る」


退魔の剣「〜〜〜〜ッ!」


薬売り「直に自ら…………”全てを返しにやって来る”」


退魔の剣「〜〜〜〜ッ!」



 「だからただ、待っていればいい」。
 これまたそんな事でも考えてそうな、澄ました顔で――――
 薬売りはただひたすらに、待ち続けているのであった。



【――――いってらっしゃい】


https://i.imgur.com/zV0A8yA.jpg





583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 23:03:51.86 ID:nrMdkQ4a0


【動】


https://i.imgur.com/n44XbP9.jpg


【道】


https://i.imgur.com/ikxTlU3.jpg


【豪】


https://i.imgur.com/vBIfbn8.jpg


【仰】


https://i.imgur.com/60CQKsB.jpg




【――止――】



https://i.imgur.com/zZTdtsU.jpg







584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 23:17:57.89 ID:nrMdkQ4a0



(……………………)



【再】



https://i.imgur.com/2VHoXFj.jpg



【進】



https://i.imgur.com/g8yWRFR.jpg



【進】
【進】
【進】
【進】



(――――だ)



【進】
【進】
【進】



(ど――――こだ――――)



【進】
【進】
【進】



(どこに――――いゃる――――)



【進】
【進】



https://i.imgur.com/9poGSSu.jpg


585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 23:20:25.50 ID:nrMdkQ4a0


【進】


【至】




(――――!)




【発見】


https://i.imgur.com/BdbtvlT.jpg












(四つ葉のシロツメクサはどこにある――――!)




【――最後ノ獲物――】

586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/26(火) 23:20:59.96 ID:nrMdkQ4a0
本日は此処迄
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 01:45:45.57 ID:9QvYt9c00



「どこだどこだどこだ――――四つ葉のシロツメクサは、一体どこにある!!」



――――兎は、一心不乱に探し続けた。
 傷だらけの御身を引っ提げ、ただでさえ薄暗き竹林の中を、あるかどうかもわからぬ「四つ葉のシロツメクサ」だけを求めて。
 


(どこだどこだどこだ――――どこだどこだどこだ――――!)



 兎にとっては、まさに死活問題であった。
 文字通りまんまと盛られた一服。
 してその効能は”望まぬ永遠”。

 「――――永遠は望む者には薬となり、望まぬ者には毒でしかない」
 薬売りの言葉を借りるなら、妖兎にとっての永遠は、まさに毒でしかなかったのだ。



「速く――――見つけないと――――」



 何故ならば、永遠とはすなわち不滅と同義。
 そして不滅が齎すは、兎の存在そのもの。
 なればこそ、言葉の通りに兎を「永遠の存在」にしてしまうのだ――――”全身を痛めつける古傷と共に”。



「速く見つけないと――――あたしは――――あたし”達”が――――!」



 しかしながら、兎が真に危惧する事は、傷の不治ではなかった。
 兎が真に願いし事――――すなわち永遠亭の守護である。
 傷の治療を目指し、暗躍し続けたるは未だ記憶に新しい。
 しかしそれらは、あくまで目的遂行に至る、過程の一部でしかなかったのだ。

 だが――――それもこうして、夢半ばに潰えようとしている。
 兎の計り事が、”どこぞの薬売りのせいで”大幅に狂った事は、もはや言うまでもない事であろう。

588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 01:50:03.81 ID:9QvYt9c00



(速く――――速く――――…………)



 よって兎は、持てる全てを”今”に使った。
 未来も過去も全てを忘れ、ただひたすらに「目前の希望」だけにしか目を向けなかった。
 そうする事でしか、先が見えなかった――――未来を駆ける自分が、浮かび上がらなかった。



(は…………やく…………)



 そう言えば……身共も久しく見ておらんな。
 四つ葉のシロツメクサ、か。はて、最後に見たのはいつの頃だったか。
 確か……ええと、修行時代に見た事があったような、なかったような……
 ええいどうでもよいわ。
 要は、かのように徳高き身共ですら、おいそれと御目通り叶わぬ草なのだ。
 



(……………………)




 そんな稀有極まるシロモノがだな。
 こんな昼間も薄ッ暗い竹林で、しかも全身手負いの状態で、早々都合よく見つかるはずが――――





「――――――――”あった”!」





【奇跡】

589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 02:24:08.45 ID:9QvYt9c00


「あった――――あった! これだ! 間違いない!」


「やっぱりそうだ…………ちゃんと”全部”四つ葉になってる!」


 ま、真かこやつ……
 身共ですら数える程しか見た事がない四つ葉のシロツメクサを、いとも容易く見つけ出しよった。

 しかも……んん? これは……



【会同】



――――なにィ!?
 四つ葉のシロツメクサの”群生”だとォ!?


https://i.imgur.com/oUyIxev.jpg
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 02:33:08.99 ID:9QvYt9c00



「これで……やっと…………」



(――――あれ?)



 俄かに信じられん……四つ葉のシロツメクサは孤立無援の亜種草と聞き及んでおったのだが……
 お、落ち着け皆の衆! これは断じて偶然などではない!
 この現象は……あと……そう……”因”だ! 
 天網恢恢疎にして漏らさず。これは所謂、「因中有果」の範疇なのだ!



【因果論】



 よいか? 修験に代表される世の教えには、得てして等価の原則が付きまとう。
 してその等価こそが、すなわち因果。
 善因善果悪因悪果。善い行いが幸福を齎し、悪しき行いが不幸を齎す教えの意だ。

 ほれ、おぬしらとて聞いた事くらいあるであろう。
 平たく言えば――――「因果応報」と呼ばれるモノよ。



【四印】



「え――――ちょっと待って……」


 よって此度の現象は、この兎の善因が、このように「シロツメクサ」と言う印で現れたに過ぎん……。
 ふん、種が分かれば粗末な物よ。
 よくよく考えれば、頭脳明晰にして修験の道極めしこの身共が、この程度の事で狼狽えるものか……と言う話よの。



【幡】



――――で、だな、話の続きなのだが。
 善因あらば無論悪因もあり、両者は互いに引き合う定めなのだ。
 善ある所に悪あり、その逆もまた叱り……
 よって悪因の印また、同じく何らかの形で現れるわけで――――ほれみよ、やっぱり現れよった。




(服用(たべ)方がわからない――――!)




 このようにして、兎の悪因が”急場の忘失”を招いたのだ。



【因幡】

591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 02:45:12.25 ID:9QvYt9c00


「く………………そ…………」


 この土壇場でまたしても新たな課題にぶつかるとは、つくづくなんと言おうか……
 まぁ確かに、四つ葉のシロツメクサを「取る」者はいても、「食す」者など早々いまい。
 そうだ、この際だからついでに教えといてやろう。
 四つ葉云々関わらずな、シロツメクサを食すには、それ相応の手間を必要とするのだ。



【困惑】



 皆の衆も覚えておけ。
 シロツメクサにはな、実は――――”毒”が混じっているのだ。
 そこらに生えているからと言って無闇に食えば、たちまち体調を崩し、最悪の場合は命を落とす事すらある。
 これを”青毒”と言ってな……
 よってシロツメクサを食すには、事前の「毒抜き」の手間が必要不可欠なのである。



【思案】



 惣菜として食すか、薬草として飲むか。
 いずれの場合にせよ、この「毒抜き」の過程なくば口に含む事は叶わん。
 ……え? 薬師でもないのに何故そんな事を知っているかだと?
 それは……ええと……阿呆! 学書から学んだに決まっておろう!



【経験】



 ったく、身共を誰と心得るのかと……ま、まぁ、そういうわけでだな。
 皆の衆がどこぞの山にでも遭難した暁には、きっと今の知識が役に立つと思われようぞ。



「う”…………う”ぅ…………」



 の、だが――――そんな、折角の修験者の知恵が全く役に立たぬと言う、哀れなる存在がこの兎。
 この様子からして、十中八九毒抜きの方法など知らぬであろう。
 そして仮に知ってたとしても、やはり出来なかったはずだ。

 知ろうが知るまいが関係ない。
 単純な話だ……今の兎に”そんな暇などありはしなかった”のだ。




【勝負】



【博奕】





「う…………オ ォ ォ ォ オ ォ オ オ ォ オ ! !」




 
 よって兎は、運否天賦に賭けるしかなかった―――
 四つ葉のシロツメクサを”そのまま食らう”と言う賭けに。






592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 02:54:54.92 ID:9QvYt9c00



「オ”オ”オ”オ”オ”オ”――――!!」



 貴重な四つ葉のシロツメクサを乱雑に鷲掴みにしたあげく、力任せに引っこ抜き、齧り、引き裂き、その赤き喉奥へと無理矢理押し込んでいく――――
 その勢いたるやまさに猪突猛進が如し。
 草に付着した土毎食らうその様は、誰が言ったか「毒を食わらば皿まで」の体現と言えよう。



「…………う”ッ!」



「う”っ…………ん”っ…………ぐぅ…………ッ!」



 しかし兎はその覚悟が故に、三度壁へとぶち当たる事となる。
 その反応、その顔色……はは、かつての身共とまんま同じである。
 どうだ、生で食すシロツメクサの感想は……
 その味はもはや、たった一文字で十分表す事が出来ようて。




(――――”苦”…………っガ…………!)




 わかるぞ兎……そうなのだ。シロツメクサは、とてつもなく”苦い”のだ。
 あの苦味が口いっぱいを侵すとあらば、毒なぞ無くとも誰も食おうと思わん。

 言っておくが、決して大袈裟な揶揄ではないぞ? 
 本当に、この世の物とは思えぬあの不快な味と来たらもぉそれは……
 嗚呼〜恐ろしい! 思い出すだけでサブイボが立ち寄るわ!



【我慢】



593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 03:06:27.98 ID:9QvYt9c00



(やば…………吐きそう…………)



 おおよそ食うに値せぬ不味の草を、あろうことか束で、しかも生で貪った兎。
 必然、想像を絶する「苦」が今、兎の口内を駆け巡っている事であろう。

……オエップ。すまぬ皆の衆。
 此処だけの話、食についてはあまり語りたくなくてな……。
 ま、まぁちょっとした、とある理由でな。



(う”……………………)




【限界】




(ウ”……………………)




 と言うわけで、少しはこちらの都合も考えて欲しい今日この頃……
 もう十分であろう。不要な忍耐はそこまでにして、とっとと「吐いて」しまえ。 




(……………………)







【――――気合】







「ウ”…………ォ”ラ”ァァァァ――――ッ!」





【再燃】

594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 03:17:22.69 ID:9QvYt9c00



「ア”ア”ア”ア”ア”ア”――――!」


 な、なんと凄まじき執念……
 あの猛烈な苦味を口にしてなお、さらに「お変り」までしようと言うのか。
 それに、それだけの量を一片に食わらば、そろそろ本当に毒が……
 わからん、わからんぞ兎。一体全体、何故にそこまでするのだ。



【暴飲】




「ま”だ”だァ”ァ”ァ”ァ――――!!」



 この勢い……ひょっとするとひょっとして、本当に全てを平らげてしまうのか?
 かつての身共ですら匙を投げた、あの超・極不味草を?



「あ” あ” あ” あ” ぁ” ぁ” ア” ア” ぁ” ぁ” あ” ア” ! ! ! ! 」



【暴食】



……なんであろうか、この内から湧き出る多情なる思い。
 なんだか……なんだかよくわからんが、段々と高揚してきたぞ!



【不屈】


――――ほれ! ゆけ! 兎! 
 そこまで言うならもう止めん!
 その溢れんばかりの情念で持って、見事――――全てを食らいつくしてみよ!






【本音】






(……………………いやだ)





【哀哭】


595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 03:49:46.51 ID:9QvYt9c00
ロダが落ちてるっぽいので一時中断します
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 11:08:16.79 ID:9QvYt9c00



(苦い…………苦いよ…………まずいよ…………なにこれ…………)


(いやだよ…………もう…………こんなのもう、食べたくなんかないよ…………)



【苦痛】



(辛いよ…………苦しいよ…………体中が痛いよ…………血が止まらないよ…………)


(こんなに辛いのに…………こんなに苦しいのに…………)


(あたしはどうして…………”まだ生きている”の?)



【苦行】



(どうしてあたしだけが…………こんな…………)


(どうして…………こんな目に…………)



【荒行】



(教えてよ…………誰か…………)


(わからない…………何も、わからないよ…………)


(あたしは最初から…………何も…………)



【難行】





(”自分が誰なのか”さえ…………)





【至】


【境地】



https://i.imgur.com/rFr2yyE.jpg




(え――――?)

597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 11:27:51.88 ID:9QvYt9c00


https://i.imgur.com/EjXZR4f.jpg



「は…………?」



https://i.imgur.com/POnrBev.jpg

https://i.imgur.com/qpLrlWn.jpg

https://i.imgur.com/3a2wzFk.jpg



「でも…………だって…………」



https://i.imgur.com/sfatAZz.jpg

https://i.imgur.com/0T8gxuw.jpg

598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 11:48:15.40 ID:9QvYt9c00



「兎が…………兎が…………”ただの兎が”こんな目に合うものかッ!」


https://i.imgur.com/061UDKK.jpg

https://i.imgur.com/9mrdfoR.jpg




「今…………?」



https://i.imgur.com/XXlT5Mi.jpg

https://i.imgur.com/aFCoAGq.jpg




「今…………は…………」




https://i.imgur.com/JRsCf8z.jpg


599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 12:14:21.11 ID:9QvYt9c00





 かごめ かごめ





「今は…………」





 籠の 中の 鳥は





「今の…………あたしは…………」





 いついつ出やる





「今は…………ただ…………」





 夜明けの 晩に


 鶴と亀が 滑った





https://i.imgur.com/TKUctwi.jpg






 後ろの正面 だあれ?


600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 14:01:20.21 ID:9QvYt9c00



――――身共は一体、何を見せられているのだろうか。
 薬売りにまんまと一杯食わされ、その食わされた毒を下すべく、四つ葉のシロツメクサを求めたと……そう認識していたのだが。
 兎の思いがけぬ豪快な食いっぷりに、少しばかり我を忘れていたのは認めよう。
 だがな……いや、確かに気が高揚していたとは言えだな……



【効用】



 それでも……仮に草が、毒であろうとなかろうと……
 やはり、かのような形で御身満たさんとは、どうもこう……夢見心地な気分と言うか、何と言うか。



【落】


【陽】



 ひょっとして、知らずの間に眠りにでも落ちてしまったのだろうか。
 いかんいかん。だとすれば、身共ともあろう者がなんたる失態か。
 今一度気を引き締めねば……おおい誰か、身共の頬を軽くつねってはくれぬか。



【赤】



【橙】



【黄】



【水】



【青】



【藍】





 そして、でき得るならば説いてくれ。
 何故にこうして――――兎の身から”傷だけが剥がれ落ちて行く”のだ?





【――色・彩々――】




https://i.imgur.com/IdvSN2W.jpg



601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/30(土) 14:02:14.08 ID:9QvYt9c00
夜また来る
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/31(日) 00:02:18.31 ID:YYQSdYq10



【項垂】



(……………………)



【膝行】



(……………………)



【吐】



(……………………)



【白】







てゐ「……………………ゲップ」




 ただ――――一つわかるのはだな。
 妖兎はこうして、幾多に連なる苦難を、見事乗り越えてみせたと言う事である。
 その様はまさに役優婆塞が如しであった。
 妖兎が仮に人であったなら、きっと今や、鬼すら使役できる霊力が備わっておる事であろうて。



【無事】



 いやぁ〜にしても、実に良き物を見た。皆もそう思わんか? 
 薬売りと言う巨悪の術策を、御身一つで跳ね返したこの事実は、拍手喝采に値する事請け合いである。



【完食】



 天晴だ。まことに天晴であった。
 屋号があれば叫んでやりたい気分よの。
 そうだな、合いの手はさしずめ……
 よッ――――【永遠亭】!


https://i.imgur.com/ScQmaH4.jpg

603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/31(日) 00:17:07.01 ID:YYQSdYq10



てゐ「…………」



 はは、まるで千両役者みたいだな……と、時に私見であるのだが。
 此度の一部始終、身共からすれば、薬売りの動きが少し意外であったのだ。



てゐ「…………」



 考えてもみよ……あの不遜・悪鬼・腹黒極まるあの薬売りがだぞ?
 事シロツメクサに関しては”真を述べておった”と言う、この気味の悪さよ。



てゐ「…………」



 先ほど申した通り、シロツメクサは本来”毒”である。
 薬師からすれば薬草になるやもしれぬが、凡に考えれば、やはり本来は含んではならぬ草よ。
 故にシロツメクサと言う言葉が出た際、身共はてっきり「口から出まかせを吹かし、兎をさらなる窮地へ追いやらん」と言う風に思うておったのだが……
 意外や意外。妖兎がこうして無事「永遠から脱する」事ができたのは、紛れもなく「薬売りの教授」があったが故でもあるのだ。



てゐ「…………」



 まぁ、最後の方は少しわけがわからなかったがな……
 とにもかくにも、終わりよければなんとやらだ。
 あれほど血に塗れていた体はすっかり元の白を取り戻し、その血の出所たる”古傷”も、すでに塞り終えておる。



てゐ「…………」



 そう、全ては元に戻ったのだ。
 血も・傷も・痛みも・苦味も――――御身に纏わる、何もかもが。




てゐ「……………………す」





――――砕かれた心でさえも。












てゐ「―――― ” 殺  ス ” !  」




https://i.imgur.com/RYJOqao.jpg
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/31(日) 00:34:57.10 ID:YYQSdYq10



てゐ「殺ス――――殺ス! 絶対殺ス! 意地でも殺ス! 是が非でも殺ス!」



てゐ「殺ス…………殺ス殺ス殺ス殺ォァ”――――ッッスッ!!」



 こうして妖兎は、折角体が癒えたにも関わらず、四つん這いのままピタリと動かなくなってしまった。
 傍から見れば、背以外が食い散らかした草の痕へと向く格好となる。
 その姿勢は意図せず、せっかく癒えた顔を覆い隠す形となった……のだが。
 しかし案ずるなかれ。妖兎が「今どのような表情をしておるか」など、顔が見えずとも、いとも容易く思い浮かべる事ができるのだ。



【激憤】



てゐ「肉と言う肉を齧り殺してやる! 四肢の全てを削ぎ殺してやる! 臓物の全てを貪り殺してやる! 生きたまま食い殺してやる!」
 


【激怒】



てゐ「ありとあらゆる手段で殺してやる…………ありとあらゆる手段で苦しめてやる…………」



【激昂】



てゐ「殺した後でもさらに傷つけてやる…………死骸を延々、玩具のように弄んでやる…………!」



 その怒りの全ては、薬売りただ一人に向けられる物であった。
 所以はもはや、語るまでもないであろう。
 如何に薬売りの助言が一役買ったとて――――そもそもな話、兎を傷つけたのは薬売りの方なのだ。
 


てゐ「あいつは…………絶対にここから出さない…………」



てゐ「誰が帰してやるものか…………もう、降参したって…………許してやるものか…………!」



 そう言えばあの折り……あの男は恐れ多くも、蓬莱の薬を「貴方にとっての毒」などとほざいておったの。
 身共からすれば、「お前が言うな」である。
 そりゃそうだ。この場で最も有毒なのは、他でもない”あやつ自身”であろうに……皆もそう思わぬか?



【怨毒】

605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/31(日) 01:01:08.78 ID:YYQSdYq10




てゐ「殺ス…………あいつだけは…………」




てゐ「絶対に…………絶ェェェェッッッ――――対に”ィィィ――――ッ!!!」




 ま、と言うわけで……今一度薬売りへの恨みを募らせた所でだな。
 妖兎はようやっと、重い腰を上げ、その怒れる顔を面へと出したのだ。





てゐ「殺”ォォォォ――――――――」





 そうなって、初めて……
 妖兎は、ようやく「目を合わせる」事が出来たのだ。





(ォォォォ――――…………)






 ずっと、傍で――――”自分を見守ってくれていた者”と。






てゐ「……………………すぇ?」





【末】















https://i.imgur.com/3CyxAQM.jpg





 得てして、この夜通しかけた、永き攻防の末に――――
 これにて、名実共に”誰もいなくなった”のであった。




【因幡てゐ】×

606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/31(日) 01:18:29.30 ID:YYQSdYq10



【経過】




【蓬莱山輝夜】×

https://i.imgur.com/xwOeGqB.jpg

 神隠し最初の犠牲者。
 永遠亭の真の主であり、その正体はかの有名な「竹取物語」のかぐや姫その人。
 竹取物語の結末とは違い、実は月へと帰らず幻想郷に移り住んでいた。
 薬売りが現れた当初は、永遠亭の新弟子となった薬売りと謁見の予定であったが、しかし直前にモノノ怪の襲撃に合い、謁見は中止。
 そのまま薬売りと会うことなく姿を消してしまった。

 しかし姿を消す直前、『自身のスペルカード』にモノノ怪の正体の示唆を残していた事が判明。
 これは後に永琳経由で薬売りの手に渡る事となる。

・姿 不明
・真 不明
・理 不明




【藤原妹紅】×

https://i.imgur.com/JZQxkkt.jpg

 神隠し二番目の犠牲者
 過去にとある経緯で蓬莱の薬を服用し、輝夜同様不死の身となった炎の術師。
 玉兎曰く、元々はどこにでもいそうな普通の娘だったとの事。
 蓬莱山輝夜とは何らかの因縁(?)があり、その事実から、玉兎に「モノノ怪の正体」として名を挙げられていた。
 しかし妹紅の元へ向かう際、すでにモノノ怪に攫われた後であった為、自動的に容疑者から除外される。

 襲われた際多少の抵抗でもしたか、現場には焦げた竹と、辺りを覆う焦げ臭さが蔓延していた。
 だが薬売りはその匂いの中に、焦げ臭さとは別の『何やら香ばしい香り』を嗅ぎ取った。


・姿 不明
・真 蓬莱の薬を服用し不老不死となった炎術師
・理 不明




【八意永琳】×

https://i.imgur.com/mgfUCVl.jpg

 神隠し三番目の犠牲者
 何かに怯え部屋に閉じこもった玉兎を見かね、強引に錠をこじ開けた所、直後モノノ怪に憑りつかれた。
 実は過去、月の迎えから輝夜を奪い取った張本人である。
 さらにこの時、周りの月人を「皆殺し」にした為、その経緯から人知れず「モノノ怪の正体は自分」と思っていたらしい。
 薬売りも同様、当初は八意永琳こそがモノノ怪の真と睨んでいたが、当の永琳本人がモノノ怪に憑りつかれた為、両者の目論見はあえなく外れる事となる。
 これにより一時は一切の手がかりがなくなったと思われたが、しかしこの時薬売りに「輝夜のスペルカード」を託した事が、薬売りが「モノノ怪の真」を得るキッカケとなった。

 そして薬売りに後を託した直後、皆の目の前で消滅。
 永遠亭の存続を揺るがす一大事にも拘らず、何故だか最後の最後まで『安心しきった』ような表情を浮かべていた。


・姿 赤と青に分かれた服を着た白髪の女
・真 元・月の賢者 現・月の大罪人
・理 不明

607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/31(日) 01:27:21.36 ID:YYQSdYq10



【鈴仙・優曇華院・イナバ】×

https://i.imgur.com/T3Sa8fr.jpg

 神隠し四番目の犠牲者。
 モノノ怪による神隠しの最中、一人だけ逃亡を図った所を薬売りに妨害され、追及の果てに観念して全てを白状するに至った。
 実は過去に輝夜を地上へ突き落とした張本人であり、八意永琳が「姫強奪事件」を起こすキッカケを作った人物でもある。
 この際、とある理由で「心狂わせる程の恐怖」を植え付けられた為、その恐怖がいつしか、本人すらあずかり知らぬ所で「別人格」として独立していた。

 当初はこの別人格こそがモノノ怪の正体と思われたが、薬売りは輝夜姫のスペルカードから「玉兎はモノノ怪でない」と知っていた為、退魔の剣を抜かれる事のないまま再度封じられた。 
 そして自らの別人格の存在を認知した後、薬売りによって「モノノ怪ではないから」と見逃され、そのまま竹林を出ようとする。
 しかし、脱する直前で不意に足を止めてしまったが為に「本物のモノノ怪」に追いつかれしてしまい、寸前の所で惜しくも消えた。

 薬売りが現れる直前、『何らかの一報』が届いたらしいが、詳細は不明。


・姿 兎耳を生やした長身の女
・真 永遠亭から脱走しようとしていた
・理 月の追手の目を永遠亭から逸らす為




【因幡てゐ】×

https://i.imgur.com/dWuqAgV.jpg

 神隠し最後の犠牲者。
 当初から不審な行動が多くみられた人物。
 此度の神隠し騒動を徹底的に「見知らぬ素振り」し続けた揚げ句、どころか所々モノノ怪を擁護するかのような言動すらあった。
 薬売りは勿論、身内すら咎める程の我関せず振りであったが、実はその全てが「退魔の剣を奪う為」であったと最後に判明する。

 見知らぬ素振りは策略を張り巡らせていた為であり、その甲斐あって、一時は見事退魔の剣を奪い獲る事に成功。
 しかし直後に「一服盛られた」事を知り、発狂。折角手に入れた退魔の剣を自ら投げ捨て、外に飛び出してしまう。
 そして、意図せぬままに自分からモノノ怪の元へ飛び込んでしまった結果、心半ばにして消えてしまった。

 実は輝夜よりも先にモノノ怪の襲撃を受けた当人。モノノ怪に襲われるのは計二回目となる
 しかし最初の強襲に限り、何故か『掠り傷を負わされただけ』と言う、なんとも半端な被害に終わった。
 

・姿 兎耳を生やした小さい女
・真 退魔の剣を強奪すべく、裏で策略を練っていた
・理 単身で月の追手を退けた後、自らの手でモノノ怪を斬り払い、攫われた仲間を解放する為


608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/31(日) 01:48:33.37 ID:YYQSdYq10


【八雲紫】×(例外)

https://i.imgur.com/X7032Qe.jpg

 無数の目・神隠し・月との因縁と言う経緯から、真っ先にモノノ怪の候補へ名を挙げられていた人物。
 しかし後に「自ら弁明に現れた」事により、晴れて潔白を証明した。
 この時の口ぶりから、薬売りよりも先にモノノ怪の真に辿り着いていたと思われる。
 しかし「自分ならモノノ怪を難なく排除できる」と断言しつつ、「後学」を理由に今後一切手を出さない事を宣言。
 今もどこかの隙間から、一部始終を覗いていると思われる。

 余談ながら、別れ際に土産と称して『朱色のシロツメクサ』を薬売りに送る。
 永遠亭の近くの穴で拾ったと説明したが、実は、永遠亭の誰もが見た事のない品種だったりする。


・姿 紫色の服に身を包んだ女
・真 幻想郷の創設者
・理 薬売りの解決力を今後の異変解決に役立てたい


609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/31(日) 01:54:13.51 ID:YYQSdYq10

【御知らせ】
またまたまたまた(ry
とりあえず本年度はここまで。再開は年明けからにします。
例によって詳細は未定。目途が立ったら言いに来ます。
なんか予想外に時間かかってますが(99割画像のせい)今度こそほんとうに完結までこぎ着けたいと思います(マジで
では、よいお年を。
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 01:57:48.62 ID:Uubqhm3Io
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/27(土) 17:03:01.47 ID:WphVAt9H0
まだかな
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/02(金) 23:08:02.69 ID:KocClk6p0

【定時報告】


■■■■■■■■■■■■□□□□
                 ↑
               今この辺
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 01:11:17.82 ID:h39vv37+0
保守
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/10(土) 18:48:48.83 ID:KxqT+heF0

【定時報告】


■■■■■■■■■■■■■□□□
                  ↑
                今この辺
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 19:06:03.49 ID:z1dsKJ2WO
待ってるゾ
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 01:27:58.08 ID:ZaPO5a320

【定時報告】

https://i.imgur.com/1xbzMSh.jpg
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/17(火) 01:28:24.18 ID:ZaPO5a320


■■■■■■■■■■■■■■□□
                  ↑
                今この辺
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 01:29:44.22 ID:QmE1wwAso
乙です。絶対絵に時間かかってるw
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/20(日) 11:29:59.22 ID:F8aTFj1xo
まだか
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/16(土) 23:29:05.30 ID:/LAOqaWg0
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/18(月) 13:57:52.67 ID:pv6AAgwY0
最初は目目連とか話してたけど、結局どんなモノノ怪なんだ…
これからも続き期待してやす っ饅頭
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/27(水) 23:42:51.91 ID:ES789BLm0

【定時報告】

遅れてる理由=3Dツールに手を出したから

https://i.imgur.com/GmNCLjA.jpg
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/27(水) 23:43:34.34 ID:ES789BLm0

■■■■■■■■■■■■■■■□
                  ↑
                今この辺(たぶん
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 00:29:16.26 ID:75vweqlQ0
どんだけ気合入れとんねんwwww
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/28(木) 18:58:00.87 ID:bsK1FHB0O
何もんだよお前
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/06(金) 08:25:07.73 ID:s2MIcqCZO
待ってるから安心して制作に励んでくれ
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/30(月) 14:28:58.17 ID:28uCSUe60
  (  ) ツルギヲ
  (  )
  | |

 ヽ('A`)ノ トキハナツ!
  (  )
  ノω|

 __[警]
  (  ) ('A`)
  (  )Vノ )
   | |  | |
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/27(月) 01:15:13.88 ID:iRneVenA0
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/16(火) 21:32:28.85 ID:uansV9yI0
てす
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/16(火) 21:38:50.59 ID:uansV9yI0

【定時報告】

遅れてる理由=なんか板事落ちてたから

https://i.imgur.com/5OVcdmA.jpg
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/16(火) 21:40:37.23 ID:rR2/jikso
待ってる
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/10/16(火) 21:41:30.37 ID:uansV9yI0


■■■■■■■■■■■■(〜遊びに行きたい気持ち〜)□□
                                 ↑
                                 今この辺(だったらいいなって
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/17(水) 07:03:51.97 ID:aLk45WUrO
いいなってwww
とりあえず待ってるぞ!
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/19(金) 18:09:02.70 ID:4ozNtZTE0
続きが来なくて何度読み返していたことか
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/18(日) 23:54:47.14 ID:eTf47pneo
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/27(火) 01:32:42.01 ID:9khhDRJa0

てす


https://i.imgur.com/U4HKdRE.gif


https://i.imgur.com/r8agHYO.gif


https://i.imgur.com/2g4lyY6.gif
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 02:12:03.67 ID:M9dMti5Uo
とうとう動画まで来たか…

全部見れたけど、うちはWiFiあるから通常の通信だとどうだろう
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/27(火) 23:31:21.76 ID:9khhDRJa0
【お知らせ】


https://i.imgur.com/pZqe964.jpg
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/11/27(火) 23:33:44.78 ID:9khhDRJa0

あと



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                   l:::::::::::::::::::::|                x===≦ミ !\:::::::::::ノ
               l:::::::::::::::::::::::i  xxxx               `/:::::::ヽ/::!
                 l:::::::::::::::::::::::::',       /" ̄ ̄ i    xxxx  !::::::::::::::::::::i     https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%B2%E7%A2%81%E7%94%A8%E8%AA%9E%E4%B8%80%E8%A6%A7
              l::::::::::::::::::::::::::∧     !    ノ         /::::::::::::::::::::::',
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                l::::::::::::/     {     { ̄}     i   くヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
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                l::::::/  /          |              \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
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               l/                 |              |::::::::::::::::::::::::::::::/
              {                |              |:::::::::::::::::::::::::::/
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/10(月) 22:43:03.80 ID:hxXr8xbF0
【御知らせ】
今週か来週に再開します
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/20(木) 22:48:24.81 ID:s4ApJ3r50
せっかくなんでクリスマスにやります
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 00:40:48.90 ID:A1WvWOlK0




『…………………………………………おかえり。』



https://i.imgur.com/fsWDlZb.jpg


643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 00:52:16.13 ID:A1WvWOlK0



(…………)


【先手・黒】


https://i.imgur.com/rl1G2BC.jpg



(…………)


【後手・白】


https://i.imgur.com/feZpN6c.jpg



(…………)



【込・六目半】



(…………)



【押・対局時計】


https://i.imgur.com/8jcg9YK.jpg



【対局】




(・・・・・・・・・・・・)




【大三冠】


https://i.imgur.com/dnmQCed.jpg
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 01:06:58.56 ID:A1WvWOlK0



薬売り「人は…………変わるもの」 


https://i.imgur.com/uiOih8I.jpg



薬売り「時は…………移ろうもの」


https://i.imgur.com/nBmT2QM.jpg



薬売り「海は…………揺うもの」


https://i.imgur.com/AzLHoaj.jpg

https://i.imgur.com/14RQ2Sn.jpg




薬売り「空は…………彩るもの」



https://i.imgur.com/B1SZWsN.jpg

https://i.imgur.com/ZrzSP54.jpg




薬売り「…………おや」



https://i.imgur.com/jeE1crM.jpg




【閃】




https://i.imgur.com/Ge9rup9.jpg





薬売り「…………ご苦労様でした」




【月光の活】

645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 01:13:54.86 ID:A1WvWOlK0


薬売り「さて……いかがでしたかな。此度の神隠しの、程度の程は」

薬売り「きっと、さぞ難儀された事でしょう……なにせ、どいつもこいつも腹に一物抱えた者ばかり」

薬売り「いくら問い詰めようと、誰も、何も……真など、寸でも見せやしない」

薬売り「いやはや、本当に骨が折れたと言う物です…………互いにね」



【互先】



薬売り「そうそう、互いにと言えば……お互い、”四季”に助けられましたな」

薬売り「いえね、あっしも……当初は貴方と同様に、”卯の刻”を刻限と定めていたのですが……」

薬売り「いやはや、肝心のあの兎共ときたら……抵抗・反発に次ぐ足掻きっぷりで」

薬売り「まさに、二兎を追う者なんとやらとは、よく言った物で」



【一間】



薬売り「空が白み始めた時は、本当にどうしようかと思いました……が、時期がよかった」

薬売り「季節の変わり目と言う僅かな隙間が、我らに僥倖を差し込んだ……刻限をほんの少しだけ、遅らせてくれた」



【五ノ五】



薬売り「仮に、月の追手とやらの来襲が、もう少しだけ早ければ……我らは互いに”詰んでいた”」



【死活】



薬売り「よいじゃありませんか……結果的に、全ては貴方の思うがままになったのだから」


薬売り「貴方は無事、あの朝日昇るまでに、この地に住まう五人全員を奪い攫う事ができた…………否」


薬売り「むしろあの五人の方が――――”晴れて合格となった”と、言うべきでしょう」



【欠け眼生き】

646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 01:24:57.79 ID:A1WvWOlK0


薬売り「結局……ここには誰も、誰一人として、”いらぬ者などいなかった”と言う事ですな」

薬売り「まぁ、結果こそ一言で言い切れるものの……されどその過程、まさに筆舌に尽くしがたし」



【ナラビ】



薬売り「しかし貴方はそれでも、限り無き尽力と確固たる意志で持って、見事大功を成してみせた――――まさに撼天動地の極致」

薬売り「いやぁ実に、めでたしや、めでたしや……」


https://i.imgur.com/HnPURIm.jpg



薬売り「よって僭越ながら……細やかな”御祝い”の準備をさせていただきました」

薬売り「ささどうぞ、遠慮なさらずに、どうぞ…………お手元の”御皿”を、お取りください」



 『パキ――――』。
 薬売りが指し示したと同時に、皿は一人でにヒビ割れた。
 元々欠けていたわけでも、実は「適当にその辺で拾った物だったから」なわけでもない。


https://i.imgur.com/ggjVuYx.jpg


 『パリン――――』
 そうこう言う間もなく、皿は破片となりてその場に崩れ落ちた。
 つまりは、皿は当てられたのだ――――”怒り”と言う力に。



薬売り「おや……まぁ……」



 「祝事に皿」。これは祝いの席における禁忌の一つである。
 その所以は、この皿のような割れ物が、めでたき縁を「割る」「壊す」「砕く」と悪い縁起を担ぐ為だ。
 近年では、この作法を知らぬ若輩者が実に多く見受けられる……とは言え、今時そんな古き慣習に拘る老輩もままいまい。
 所詮はただのゲン担ぎ。何時廃れてもおかしくない、どこかの誰かの思い付き――――



薬売り「お気に召さなかった……ですかな?」



――――だが薬売りは違う。
 無駄に博識なこの男が、この程度の作法を知らぬわけがない。
 それにこの見るからに一物抱えた顔……完全に、わざとである。
 よって、このような「誤った作法」を向ける意もまた、ただの一つしかなかった。



薬売り「折角、共通の理を目指した……”一時の友”だと、思うておりましたのに」




【見合い】




 「――――これからお前を討つ」。
 実に薬売りらしい、皮肉に満ちた”宣戦布告”であったのだ。


https://i.imgur.com/tslJSYX.jpg
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 01:35:39.27 ID:A1WvWOlK0


薬売り「そう急かなくとも……よろしいでしょうに」

薬売り「如何に夜空が白もうと……陽の光見えるまでは、まだ空は、日の出と呼ばれない」



【星下】



薬売り「それに……今の内に、堪能しておくべきだと思いますがね」

薬売り「せめて悔いなき様……貴方にとっての――――”最後の朝となるのですから”」



 『ミシリ――――』周囲の空気が、軋むように張りつめていく。
 森羅万象の全てが怯えるように退き、唯一残りしは無音の静。
 身共とてそうだ。目に見えぬながらも、この菱々と感じ取れる凶兆は、まさに暗雲渦巻く颶風の如しである。


 すなわち……一度吹きすさべば最後。
 何人たりとも荒れ狂う風雨を食い止める事は叶わぬ。
 為されるがままに、全てが過ぎ去りしその刻まで……ただひたすらに、耐え忍ぶ以外に術はなし。



薬売り「まぁ、それでもいらぬと言うならば……無理に勧めは、しませんがね」



 そして仮に、そんな颶風の凶行を食い止める物が、どこぞに存在せんとするならば――――
 やはりそれは、颶風に等しき”万有の凶”のみなのであろう。 



【絶局】

648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 01:42:52.63 ID:A1WvWOlK0


薬売り「いやぁ、実は……ずっとこの時を、今か今かと待ち侘びておりまして」

薬売り「いえね……貴方の事じゃあございません。それもあると言えばあるのですが……しかし」

薬売り「どうにもこうにも、抑え難きものです…………この”腹の虫”と言う奴は」



【サシキリ】



薬売り「夜通しずっと、食事を摂る暇など、ありはしませんでしたからね……」

薬売り「それに…………目の前であれ程”旨い旨い”と連呼されては、さらにその欲求は高まるばかりで」


 そう言うと薬売りはそっと立ち上がり、一歩・一歩と足を進め始めた。
 この張り詰めた空気と反するような緩やかな歩は、まるでただ一人颶風の外にいるかのようである。
 しかしその比喩はあながち間違いでもない。
 颶風には、本当に存在するのだ――――荒れ狂いし風雨にぽっかり空いた、”空白の目”が。


薬売り「折角、ご用意致しましたのに……いらぬと言うなら仕方がない」

薬売り「ならばお先に……失礼してしまいましょうかね」


 吹きすさぶ嵐・乱れ降る豪雨・崩れ行く大地・溢るる河川。
 人々にとっては大きなる厄災であり、しかし一方では、迎えるべき恩恵の側面もある。
 この相反する二つの心情が同時に起こるが故に、人々は得てして心を擦り減らす。
 しかしながら、そんな疲弊しきった心に、そっと「一時の休息」が訪れたなら……人々は一体何をするであろうか。



【ツケ】



 そう――――癒すのだ。
 今この空腹を満たさんとしている、薬売りのように。




薬売り「では…………”いただきます”」



https://i.imgur.com/aoDuC0K.jpg




 そうして薬売りは、堂々と手を伸ばし、食ろうた――――【蓬莱の薬】と印された、壺の中身を。



https://i.imgur.com/TrFrViS.jpg

649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 01:55:11.97 ID:A1WvWOlK0



薬売り「勿論――――”蓬莱の薬なんかじゃありませんよ”、これは」

薬売り「これはあっしが、自分の手で拵えた物……限られし時の中で、なんとか暇を見つけ完成させた物」

薬売り「言い換えれば……”目上の者に命令された”が故に、やむを得ず用意せざるを得なかった物」



(――――つか、ほんとはあんたがやんきゃいけない事なのよ? 新入りの癖に、てんで仕事しないじゃない)



薬売り「急ごしらえでしたので、いささか不安ではありました……が」

薬売り「ああも旨そうに食していただけたなら……いやはや、”末弟子冥利に尽きる”と言う物です」



(――――ちょ、ほんとうまい! ヤバイヤバイ、マジ止まんないって!)



『山菜・菜の花・木の実・茸・その他諸々、色々と。
 あの僅かの間で、次々と穫れていく野の幸を目の当たりにすれば……「嗚呼、さすがは姉弟子様だ」と感嘆の念を禁じ得ぬと言う物。 
 だからこそ”鮮明に残った”のですよ。
 あの次々と並んで行く食材の中で……一つだけやけに偏って集っている、あの無数の【芽】を目の当たりにすれば』


https://i.imgur.com/pIwMLAl.jpg


650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 01:57:17.59 ID:A1WvWOlK0


薬売り「おかげさまで助かりました……ただ灰汁を抜くだけで、それなりの物には仕上がってくれますからね」


【テヌキ】


薬売り「ああ、ちなみに……棚の方の壺も、中身は同じですよ」

薬売り「自分の分だけと言うのもいかがなものと思いまして、こうして”貴方の分”も御用意させて頂いたのですが……」


【オキ】


薬売り「いらぬと言うなら仕方がない……ま、そのまま捨て置けば、『どこぞの御節介焼き』がつまみ食いでもするでしょう」


https://i.imgur.com/pw2Hirn.jpg




薬売り「そうです。この蓬莱の薬と印されし、壺の中身は――――」




『貴方様も、よぉくご存じの…………』





(!)





薬売り「――――”筍”に、御座いますよ」



https://i.imgur.com/LLnPIz5.jpg
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 02:07:49.58 ID:A1WvWOlK0


薬売り「湯に浸し、程よい硬さになるまで茹で続け、頃合いを見て取り出した後、皮を剥ぐ」

薬売り「この間おおよそ、四半刻程度でしょうか……本当はもっと、時間をかけた方がよいのですがね」



【ツケコシ】



薬売り「それでも……十二分に、香り漂っておりました」

 

『筍の持つ、あの風味豊かな香りが……

 実に食欲そそる、あの旨味を含んだ香りが……

 急ごしらえとは思えぬ、あの完成された香りが……』
 



薬売り「――――”藤原妹紅が居た場所”に漂っていた、あの香ばしい香りが」


https://i.imgur.com/gLeAwrC.jpg



薬売り「夜中にふと小腹が空く事など、ままある事……あの時の藤原妹紅も、やはり同じ物を食らおうとしていたのでしょう」

薬売り「しかしそこは炎術師と呼ばれる存在。姿焼きか、蒸し焼きか、あるいは包み焼きにでも挑みなさるつもりだったか……そこまでは存じませぬ」



【トビ】



薬売り「ただし…………”何がしたかったのか”はわかる」



【ハネ】



薬売り「一つだけ、あるのですよ……老若男女問わず、”食の旨味を限界以上に引き出す方法”が」

薬売り「誰であろうと関係なく……どんな食材にも左右されない……如何に腕の良い飯炊でも再現できぬ、そんな、画期的な方法がね」



(だってアイツ死なないじゃん。姫様と同じ不死身だし)



薬売り「あの一面に漂う程に満ちた香りが、何よりの証拠だ――――”あれは一人前ではなかった”」



https://i.imgur.com/99Frpkn.jpg





薬売り「――――それ故に”貴方に目を付けられる”事となった」



【トビコミ】


652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 02:19:22.73 ID:A1WvWOlK0



【ヨセ】



薬売り「そう――――全ては”蓬莱山輝夜の為”であった」



【ヨセ】



薬売り「貴方が欲したのはただ一人――――”蓬莱山輝夜姫が御人・唯一人”」



【ヨセ】



薬売り「だからこそ求めた――――蓬莱山輝夜に連なる”全ての因果と縁を”」


https://i.imgur.com/lxxTglc.jpg

653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 02:23:42.80 ID:A1WvWOlK0



薬売り「八意永琳の”忠誠心”は言わずもがな……同じく藤原妹紅もまた、”共に永遠を宿した者”として欠かせぬ縁であった」


https://i.imgur.com/tBps0dl.jpg


薬売り「しかし貴方は、どうしても見抜けなかった…………あの、姫君と同じ屋根の下に住まう、【二羽の兎の理】が」


https://i.imgur.com/LwFQkGr.jpg


薬売り「玉兎は己が因果を偽り続け、妖兎は己の縁そのものを失っていた……」

薬売り「故に、一向に見えなかった……いくら瞳を増やし、眺めようと」



(――――ホント、どの口が言ってんだか……出まかせにしたって、よくぞそこまで言えたもんよね)

(――――ま、確かに。残念ながらてゐが「知」を得る事は、永遠にないんだけどさ)



薬売り「二羽の兎が、本当に――――”蓬莱山輝夜の御傍に相応しきかどうか”がわからなかった」



【ヨセ】



薬売り「だからこそ、共闘を申し出た……いや、応じざるを得なかった」

薬売り「託すしかなかった……誰とも知れぬ、何処からやってきたかもわからぬ、実に胡散臭い馬の骨に……」



【ヨセ】



薬売り「そして仮に……暴かれた兎の理が……万が一にも、”姫に仇成すモノ”であったなら」



【セキ】



薬売り「件の『月人の来襲』とやらに乗じて――――”本当に亡き者にするつもりだった”」



https://i.imgur.com/Grxbv1C.jpg

654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 02:52:40.66 ID:A1WvWOlK0


薬売り「でもまぁ、そうはならなかったのは……それもまた、姫君の持つ因果と縁」

薬売り「誰が何と言うと、あの兎達もまた……巡り巡って、すでに”永遠の一部”となっていた、と言う事です」


【サシコミ】


薬売り「それに……あっしとて、最後まで推し量る事は叶いませんでした」

薬売り「よもや貴方が……あの二羽の兎の片割れと、明確な”上下関係”にあっただなんて、ね」


【メハズシ】


薬売り「そこが”最後の懸念”だったのですよ――――姫君を求めて動き出したはずの貴方が、”何故に肝心の姫君を後回しにしたのか”」

薬売り「貴方と同じです。こればっかりは、いくら探し回ろうと、どうにも……」

薬売り「”本人に教えてもらう”以外には……ねぇ?」



【ハザマ】



薬売り「知ってたんでしょ……? 最初から……あの兎こそが、此度の神隠しにおける最大の”壁”となる事を」

薬売り「だから真っ先に兎へ目を向けた――――”どこぞの馬の骨と揉めているあの機会”が、最初で最後の好機だと思った」



https://i.imgur.com/rRsY1i1.jpg



薬売り「でもまぁ、結果は案の定……嗚呼、どうかお気になさらずに」

薬売り「誰もわかりませんよ、あんなの……」



【ハメ手】



『――偶然千切れたシロツメクサが

     偶然吹いた鋭い突風を浴び

      偶然兎の体を貫く程の速度を得た結果

       偶然貴方の目から逃れる事になった――』




薬売り「なんて……」


https://i.imgur.com/DhNjQEG.jpg

655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 03:03:00.00 ID:A1WvWOlK0


薬売り「さらに言わば、あの時”怪我人”と言う大義名分を得た事で、あの兎だけが自由に動き回る事ができた……まさに、誰かの手引きを受けたかのように」

薬売り「そうです。通常ならほとほと起こり得ぬ、超常染みた稀の連鎖……しかしあの兎に限り、それは日常茶飯事だった」

薬売り「かのように、兎の起こす事象が、理から外れた稀ならば……理だけを求める貴方には、どう足掻いても叶わなかった」


【フセキ】


薬売り「だから今度は、同じ場所にいた馬の骨の方に目を向けた……自分一人では無理だと、悟ったから」

薬売り「兎と違い、自分と同じ理によってのみ動く馬の骨なら……言い様に扱えると、そう思った」



【キカシ】



薬売り「そして、要が済んだ後の馬の骨など……”後からどうにでもできる”と、そう踏んだ」



【カラミ】



薬売り「ただの一介の薬売り風情――――”恐るるに足らず”」


薬売り「貴方はそう……確信していた……!」


https://i.imgur.com/v8S8AtC.jpg

656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 03:14:56.36 ID:A1WvWOlK0


薬売り「ならばもう……隠れる必要などないじゃないですか……」

薬売り「否、もはや隠れると呼ぶにすら値しない……そうでしょう?」

薬売り「貴方の全ては、すでに……”白日の下に晒されている”のですから」



https://i.imgur.com/fQmJqBJ.jpg



薬売り「そうです、貴方の真も、理も、全て……”貴方が追い求めた姫が教えてくれた”のです」

薬売り「この――――【スペルカード】と呼ばれる符によって」



【難題】龍の頸の玉-五色の弾丸-
【神宝】ブディストダイアモンド
【難題】火鼠の皮衣-焦れぬ心-
【神宝】ライフスプリングインフィニティ
【難題】蓬莱の弾の枝-虹色の弾幕-

657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 03:20:10.53 ID:A1WvWOlK0


薬売り「結論から言うと…………姫君は最初から、貴方の事など”とっくにお見通し”だったんですよ」

薬売り「不思議ですか? いやぁ、何も不思議な事などございやせん……姫が姫たる由縁を紐解くだけで……」


【シボリ】


薬売り「その由縁は、姫君がまだ『かぐや姫』と呼ばれた時代にまで紐解けば…………」

薬売り「かぐや姫が、まだ――――”五人の貴公子と出会う前”にまで遡れば」



(世界の男 あてなるも卑しきも

  いかで このかぐや姫を得てしかな 見てしかなと 

   音に聞きめでて惑ふ)
 


薬売り「かぐや姫は……幼少より、常に”人目に晒されながら”育ったそうです」

薬売り「それは姫の美貌を聞きつけた男共が……昼夜も問わず、こぞって【覗き見】していたからだとか……」



(そのあたりの垣にも 家の門にも 居る人だにたはやすく見るまじきものを 

  夜は安き寝も寝ず 闇の夜に出でても 穴をくじり 垣間見 惑ひ合へり)


 
薬売り「してその男共は、貴も賤も、老も若も関係なく、全てが等しく混ざり合っていた……と、これは誰もが一度は耳にする話でしょう」

薬売り「しかしここで一つの疑問が生じる――――”何故それがわかったのか”」




(さる時よりなむ 『よばひ』とは言ひける)




薬売り「答えは実に簡単だ……かぐや姫もまた、見ていたのですよ」

薬売り「自分に向けられた、連なる目線の一つ一つを、全て――――”今の貴方と同じように”」



【アテツケ】

658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 03:30:13.91 ID:A1WvWOlK0


薬売り「故に貴方が来るのを見越した上で、あっさりとその身を委ねる事が出来た……」

薬売り「そして不意の出現だったにも関わらず……こうして、貴方にとっては”致命的な一手”を、こうも容易く指す事が出来た」


【コウ】


薬売り「覗き覗かれ烏兎怱怱。一方的に向けたと思われたその視線は、その実すでに対面の矢面に立たされていたと言う現実」

薬売り「交差する目線。順序する互瞻。しかし器は決して互角などではなく、そこには何人も覆せぬ”五位の壁”があった」

薬売り「そうなればもう……そこはもう、かぐやの独壇場でしかなくなる」



『――――お分かり、いただけますか?』




【天元】




薬売り「貴方は初めから…………”かぐやの掌で踊らされていた”に過ぎない」


https://i.imgur.com/EHmWLuI.jpg

659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 03:44:16.05 ID:A1WvWOlK0


薬売り「相手が悪かった…………いや、”貴方が弱すぎた”のですよ」

薬売り「だって……そうでございやしょう? 時の帝ですら手に入れられなかった姫君を……どうして”貴方如き”が手に入れられましょう」


https://i.imgur.com/0DRmiQK.jpg


薬売り「此度の一件は、言うなれば、身の程を弁えぬ者が高貴なる者を求めたが故に起こった悲劇…………いや、これはもはや”必然”と言っても過言ではない」


薬売り「節々の合間合間から…………【ノゾキ】見する事しかできない貴方に…………」


薬売り「できる事など――――”何もありはしない”」


https://i.imgur.com/IyKKcTd.jpg






薬売り「そうでしょうが――――堪えきれない渇望を持ちながら、それでもただ見守る事しかできなかった、無力な貴方が!」



【目】



薬売り「白と黒の二色しか持ち合わせる事のできなかった、色無き無彩の妖が!」



【白黒】



薬売り「誰よりも傍にいたにも関わらず、誰にも認知される事のなかった、薄っぺらな影が!」



【陰陽】



薬売り「違うと言うならどうぞ…………好きなだけ、異を唱えればいい」


薬売り「直接、貴方自身の口から――――その思いを、”言葉に乗せて伝えればいい”」



【日月】

660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 03:56:33.59 ID:A1WvWOlK0



薬売り「少なくとも…………かぐや姫は、そうしましたがね」

薬売り「残されし者に、自らの思いの丈を伝えるように、努めましたが…………」



『――いまはとて 

    
     天の羽衣 着る折ぞ 


       君をあはれと 思ひ出でける――』



https://i.imgur.com/7orOksT.jpg





薬売り「できませんか…………同じ事が…………」



https://i.imgur.com/fQmJqBJ.jpg




薬売り「誰よりも姫君を見守り続けた貴方が――――”愛した人と同じ事”ができませんか――――!」



https://i.imgur.com/gkg1XEB.jpg

661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 04:21:36.17 ID:A1WvWOlK0



薬売り「蓬莱山輝夜が残した難題の真意――――それは貴方の【生みの親】!」



https://i.imgur.com/4AV7Hs8.jpg



薬売り「かぐや姫における讃岐造に当たる者――――今は昔となった【無血の縁故】!」



https://i.imgur.com/dQqIhv2.jpg



薬売り「互いの生涯に遥かなる時を結んだ因果――――貴方を浮世へと解き放せし【夢想の重鎮】!」



https://i.imgur.com/q2j12FO.jpg



薬売り「そして貴方が…………その親から承った形こそが…………」



https://i.imgur.com/gvfSnZL.jpg



薬売り「今は昔に描かれし【目玉の怪】…………」



https://i.imgur.com/tYXszTY.jpg



薬売り「捨てられた廃屋に憑りつきしモノノ怪――――」



https://i.imgur.com/nxzuD7H.jpg




薬売り「人呼んで――――【目目連】!」



https://i.imgur.com/tQJbImX.jpg

662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 04:55:59.24 ID:A1WvWOlK0





薬売り「いや、今は…………」





【輝夜】







【永遠】







【ナレ】







薬売り「――――【迷いの竹林】とお呼びすれば…………よいのですかな?」



https://i.imgur.com/Cn0c688.mp4
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 04:56:57.72 ID:A1WvWOlK0
>>662
※軽量版
https://i.imgur.com/y59Sn3H.mp4
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 05:07:07.94 ID:A1WvWOlK0


 『重』――――薬売りがその名を口にした瞬間、天変地異と見間違う程の大震動が巻き起こった。
 揺れ動く大地が竹の一本一本をなぎ倒し、葉の一枚一枚を宙に漂わせ、ただでさえ乱れ切った永遠亭はさらに乱雑へと掻き乱されていく。
 自然の業としか思えぬこの地動は、しかし森羅万象とはほとほと無縁。
 大地の蠢きが如何なる音を奏でようと――――全ては自然と相反する、純粋な【怪異】の所業なのである。



薬売り「――――退魔の剣を抜くには条件がある」


薬売り「形・真・理の三つが揃わなければ剣は抜けん」



 『豪』――――足を大きく掬われそうな激しき揺れの中、それでも薬売りは速やかに立ち上がる事が出来た。
 一介の薬売り風情に天変地異を正す力などない。
 ただしそれが――――モノノ怪の仕業であるならば。
 本来あるはずのない事象だと、初めからわかっているならば。



薬売り「モノノ怪を成すのは――――人の因果と縁」


 
薬売り「真とは――――事の有り様」



薬売り「理とは――――心の有り様」




 薬売りにとっては、無も同然であったのだ――――それが如何に、大きなる慟哭であろうとも。



https://i.imgur.com/fNitEuG.jpg
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 05:22:20.47 ID:A1WvWOlK0



薬売り「この地に舞い降りた永遠の姫君に、心奪われし竹林――――それが貴方の・【形】!」


https://i.imgur.com/ix2oiMk.jpg



薬売り「姫君に思い焦がれた末に、姫君の全てを渇望した――――それが貴方の・【真】!」


https://i.imgur.com/tFzfLrQ.jpg



薬売り「してその全ては――――手中に収めた姫君を――――永遠に我が物とせんが為!」




(月になど 二度と返してなるものかと――――そう誓いしが為)




薬売り「それが貴方の――――【理】!」



https://i.imgur.com/jci6Sn3.jpg






https://i.imgur.com/7gEnCJH.jpg

666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 05:35:43.45 ID:A1WvWOlK0


 大地の震動は留まる事を知らず、より激しく、より強く揺れを増していく。
 その余りに激しき揺れが為に、ついには竹林は、竹林と呼べる場所ですらなくなった。


https://i.imgur.com/dRHA5jj.jpg


 さながら、まるで大蛇の群れの如きである。
 生い茂る全てに命が宿るように、”さっきまで竹だった植物”は、一斉に歪んだ孤を描き始めた。
 真上に向けて伸び、しかし途中で踵を返すように曲がり・くねり・うねり尽くしたその果てに――――
 ついにはその全てが、天に背く一点を目指すに至る。



薬売り「【形】【真】【理】の、三つによって――――」



 歪んだ竹が目指す、天以外の終着点。
 すなわち――――薬売りの元へ。



https://i.imgur.com/3XJQb5p.jpg




「剣を――――」





(――――――――……)





https://i.imgur.com/pmyYzCM.jpg





667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 05:41:55.16 ID:A1WvWOlK0



 そして、時を同じくして――――
 
 退魔の剣が【トキハナツ】と、そう吠えた時




https://i.imgur.com/YdGV2zU.jpg




https://i.imgur.com/9gzJV1f.jpg






 明暗分かつ【暁の大一番】が、たった今、幕を開いたのだ。



https://i.imgur.com/Lm1fMyS.jpg




                         【つづく】

668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 05:44:20.11 ID:A1WvWOlK0

【お願い】


    ___
    /   \
   / /    ヽ_
  //⌒ヽ    ノ|)
  // ̄\|  _///フ <おねがいします休みをください
  /   ヽ/ |廴/
 |    |) |/
  レ ||||ノ ノ
  ヽN/ノ L/
    ̄  ̄


またまたまたまたしても(ry
ほんとは今年中に終わらしたかったんですが、楽するために手を出した3Dツールでえらい目にあってしまいました
覚える事大杉で軽く引いてます。素人が手を出すもんじゃないと改めて思い知りました(感想
というわけで今年はここまで
次こそは今度こそ本当に終わらせるので堪忍してください(よいお年を)
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/12/24(月) 05:44:46.34 ID:A1WvWOlK0

【追記】
動画見れなかったら報告ください


670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/24(月) 11:56:05.37 ID:GWmEe7HPo
乙です
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/25(火) 11:43:24.34 ID:ealnfeLRO
来てたーーーーーーーーー
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 20:24:14.71 ID:p8iOFuc/o
なんか画風変わったな
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 21:56:51.84 ID:OC00ucPPO
ハイパーさんの活躍期待
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/31(木) 17:22:46.89 ID:gQgfHOkQo
このモノノ怪めちゃくちゃいい奴じゃねえか
要は永夜組を守る為に出てきたんだろ?
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/17(日) 20:59:58.02 ID:tPrIlKXn0
てす

https://i.imgur.com/XJSYuWL.mp4
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/19(火) 21:16:26.71 ID:pdktMbTi0

【リンク切れ分挙げ直し+新規追加分】

>>1
https://i.imgur.com/gK8D4nP.mp4

>>10
https://i.imgur.com/emrm0q0.jpg

>>11
https://i.imgur.com/SzttCx9.jpg

>>12
https://i.imgur.com/VmONZ7L.jpg

>>13
https://i.imgur.com/GqvIjb3.jpg

>>22
https://i.imgur.com/9fCbvdo.jpg

>>26
https://i.imgur.com/EDaXhV6.jpg

>>27
https://i.imgur.com/KdI7zqW.jpg

>>28
https://i.imgur.com/lqBkrQL.jpg

>>30
https://i.imgur.com/zGyiQTh.jpg
https://i.imgur.com/zqvCSkZ.jpg

>>35
https://i.imgur.com/SgQrVFg.jpg

>>36
https://i.imgur.com/qKyci8i.jpg

>>37
https://i.imgur.com/x3zHF9e.jpg
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/19(火) 21:18:44.69 ID:pdktMbTi0
【訂正】
>>20
×オレアドレナリン
〇オレアンドリン
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/21(木) 01:57:08.56 ID:aGYO/Ty10
>>42
https://i.imgur.com/lSJVcTf.mp4

>>45
https://i.imgur.com/B5Ugj9z.jpg

>>51
https://i.imgur.com/Rl1tEHB.jpg

>>53
https://i.imgur.com/YATnbb8.jpg

>>62
https://i.imgur.com/vUgq4mY.jpg

>>63
https://i.imgur.com/AKx28VP.jpg

>>65
https://i.imgur.com/wEe4Lzg.jpg
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/22(金) 03:19:31.87 ID:CnOcM+Hw0
>>75
https://i.imgur.com/zPkv9F4.jpg

>>78
https://i.imgur.com/GskTiEX.jpg

>>79
https://i.imgur.com/6h9GSZz.mp4

>>81
https://i.imgur.com/eG8S8Lt.jpg

>>82
https://i.imgur.com/ddFUXuZ.jpg

>>83
https://i.imgur.com/x0qPZ11.jpg

>>87
https://i.imgur.com/SpDNuYr.jpg

>>88
https://i.imgur.com/RpyaQiF.jpg

>>92
https://i.imgur.com/nRgSp1e.jpg
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/22(金) 16:32:00.25 ID:SbMQvOQ7O
改めてすげーな
この絵図
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/23(土) 01:13:06.05 ID:LLhL7bx70
>>93
https://i.imgur.com/R0zYv8p.jpg

>>96
https://i.imgur.com/irdFKEm.jpg

>>98
https://i.imgur.com/LsbauQa.mp4

>>99
https://i.imgur.com/DOYucjn.jpg
https://i.imgur.com/Iqc5QWI.jpg
https://i.imgur.com/sYbDs2A.jpg
https://i.imgur.com/TpoLKfl.jpg

>>102
https://i.imgur.com/oEuOXTg.jpg

>>103
https://i.imgur.com/qushCS3.jpg
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/25(月) 01:41:03.65 ID:PI/wWM+k0
>>109
https://i.imgur.com/dolt2NL.mp4

>>111
https://i.imgur.com/aVdua1f.jpg

>>113
https://i.imgur.com/JBXnJfA.jpg

>>118
https://i.imgur.com/JMdBTIM.jpg

>>122
https://i.imgur.com/rr5uGeW.jpg
https://i.imgur.com/qoo5T26.jpg

>>123
https://i.imgur.com/5YR7aHR.jpg
https://i.imgur.com/fHBecsO.jpg

>>124
https://i.imgur.com/F74T5up.jpg
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/25(月) 23:42:11.99 ID:PI/wWM+k0
>>126
https://i.imgur.com/52QnY9L.mp4

>>129
https://i.imgur.com/bT7vFC3.jpg

>>130
https://i.imgur.com/BIHNfVN.jpg
https://i.imgur.com/4piSHlA.jpg
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/25(月) 23:42:39.16 ID:PI/wWM+k0
弾切れ
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/02/25(月) 23:43:25.40 ID:PI/wWM+k0
しばらく過去絵の修正やります(リンク切れてる分まで)
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/02/27(水) 21:45:44.74 ID:scrrIXABo
一気に読みふけってしまった
なんだこれオモシロ
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/02(土) 13:09:49.00 ID:SnzxqOmIO
百鬼夜行のやつなんて書いてるの?
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/31(日) 02:36:00.23 ID:90X2TW7W0
>>136
https://i.imgur.com/cRvy80n.mp4

>>138
https://i.imgur.com/QRdGx7q.jpg
https://i.imgur.com/XvNNluB.mp4

>>139
https://i.imgur.com/2mx7JTJ.jpg
https://i.imgur.com/3gDU4xt.jpg

>>140
https://i.imgur.com/KyOcj6b.jpg

>>141
https://i.imgur.com/F6JjdbG.jpg
https://i.imgur.com/cRDSbZv.jpg

>>142
https://i.imgur.com/81of28I.jpg
https://i.imgur.com/1FSy8Da.jpg
https://i.imgur.com/Borus6y.jpg

>>144
https://i.imgur.com/llKZViJ.jpg
https://i.imgur.com/00DEMQV.jpg

>>145
https://i.imgur.com/d38WpoR.jpg
https://i.imgur.com/VEMdNB6.mp4
https://i.imgur.com/vmPJFOy.mp4


689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/03/31(日) 22:15:52.79 ID:90X2TW7W0
>>147
https://i.imgur.com/D2FuEqJ.jpg
https://i.imgur.com/Rip1m06.jpg

>>148
https://i.imgur.com/N38o7XO.jpg

>>149
https://i.imgur.com/qWR2di6.jpg

>>151
https://i.imgur.com/X7ciADL.jpg

>>158
https://i.imgur.com/sw4iFHc.jpg

>>160
https://i.imgur.com/6KSbT2c.mp4

>>163
https://i.imgur.com/35SDoIK.jpg
https://i.imgur.com/AoxEz9a.jpg
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 22:37:22.95 ID:7cx7+Bti0
>>166
https://i.imgur.com/vbaIYg0.jpg

>>169
https://i.imgur.com/ynVPH19.jpg

>>171
https://i.imgur.com/IUge75E.mp4

>>172
https://i.imgur.com/xVHTs3H.jpg
https://i.imgur.com/XELKKQ2.jpg
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 22:37:49.88 ID:7cx7+Bti0
弾切れ
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/01(月) 22:38:57.15 ID:7cx7+Bti0
残り
>>187-329
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/13(月) 02:25:41.23 ID:JbLAxZzJ0
>>187
https://i.imgur.com/7oBgsFk.jpg

>>188
https://i.imgur.com/xMnrRoc.mp4
https://i.imgur.com/x1rrzLD.mp4
https://i.imgur.com/1b8yT7H.mp4
https://i.imgur.com/hPCnG9F.mp4
https://i.imgur.com/gAu6OOR.mp4

>>193
https://i.imgur.com/SmrcBfI.jpg

>>195
https://i.imgur.com/kvh03il.jpg
https://i.imgur.com/M1x0EKT.jpg

>>196
https://i.imgur.com/9RQgCYM.jpg

>>197
https://i.imgur.com/Gqqsx67.mp4
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/13(月) 03:07:09.19 ID:JbLAxZzJ0
>>197
※軽量版
https://i.imgur.com/4Oqg3Vz.mp4
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/14(火) 01:53:16.77 ID:9pySMXdX0
>>199
https://i.imgur.com/iiPk8qJ.jpg

>>205
https://i.imgur.com/ZErBaEo.jpg

>>206
https://i.imgur.com/FC1gKkg.jpg

>>215
https://i.imgur.com/2qJvsok.jpg

>>217
https://i.imgur.com/f9DEGW3.jpg
https://i.imgur.com/TaaaiZz.jpg
https://i.imgur.com/7uJPVUm.jpg

https://i.imgur.com/cJqiOAg.mp4
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/05/14(火) 01:54:25.39 ID:9pySMXdX0
残り
>>218-329
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 02:18:59.77 ID:yUrHZUHp0
てす
https://i.imgur.com/9TUmwdV.jpg
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 02:19:35.41 ID:yUrHZUHp0
すんませんまた時間がかかる事しでかしてます
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/25(火) 22:46:24.72 ID:+LvtBmMq0
焦らすねー
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/23(金) 21:39:07.25 ID:/hTlg/Bh0
てす
https://i.pximg.net/img-original/img/2019/08/23/21/24/18/76419264_p0.jpg

701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/23(金) 21:49:57.63 ID:/hTlg/Bh0
てすてす
https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=76419264
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/10/22(火) 01:14:29.35 ID:g2p0aWiI0
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/10/26(土) 08:09:44.39 ID:LeKGNOCB0
>>218
https://i.imgur.com/B6AoLUo.mp4

>>219
https://i.imgur.com/huwie4D.mp4

>>220
https://i.imgur.com/Q2iZJSv.mp4

>>223
https://i.imgur.com/xj2pJfb.jpg

>>228
https://i.imgur.com/mK40BNg.jpg

>>229
https://i.imgur.com/KH47gMK.jpg

>>233
https://i.imgur.com/nm0Hzsx.jpg

>>235
https://i.imgur.com/bvK4n1z.jpg
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/11/12(火) 23:38:07.17 ID:EP/ra0Ru0
>>243
https://i.imgur.com/p8bBSJI.jpg

>>245
https://i.imgur.com/El6A8j9.jpg

>>246
https://i.imgur.com/qa6ogWB.jpg

>>248
https://i.imgur.com/xxSSPCj.mp4

>>249
https://i.imgur.com/znQsZan.mp4

>>250
https://i.imgur.com/g90MWet.mp4
https://i.imgur.com/UUF1iSc.mp4

>>251
https://i.imgur.com/4M5Srzx.mp4
https://i.imgur.com/E4KU6sM.jpg

>>257
https://i.imgur.com/bxKCwd7.jpg

>>259
https://i.imgur.com/uSN04G1.jpg
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/11/12(火) 23:38:38.78 ID:EP/ra0Ru0
※点滅注意
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/24(火) 23:39:11.94 ID:PhAQxSd/0

>>260
https://i.imgur.com/RFI1NCN.jpg

>>271
https://i.imgur.com/nQnMUFx.mp4
https://i.imgur.com/6o59Qcp.jpg

>>272
https://i.imgur.com/WgcdnFT.mp4
https://i.imgur.com/WCEiBsM.mp4

>>273
https://i.imgur.com/2T5f90a.jpg

>>275
https://i.imgur.com/fhm3ffs.jpg

>>276
https://i.imgur.com/l81Navt.jpg

>>278
https://i.imgur.com/Cr86bMr.jpg

>>279
https://i.imgur.com/vGXiTbS.mp4

>>280
https://i.imgur.com/MZa9PPT.jpg
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/25(水) 00:13:05.88 ID:fGVaWzVG0
今日もっかい来ます
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/26(木) 04:18:03.04 ID:O48/0AN30

>>218の中身
https://www.pixiv.net/artworks/78496097

の、日本語訳
https://www.pixiv.net/artworks/78496127
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/12/26(木) 04:20:52.41 ID:O48/0AN30

【御知らせ】

    /⌒)
   / //⌒)
   |/_//⌒´
  /ノレノレノ)  ,,カンケーナインジャーイ!!
  l∩゚ワ゚)フ ゙☆゙
  .ノ )_Y_|´  ゙ ゙
 /く/_!」」ゝ
 レ(_ノノ
彡  ピョーン


すんません年内間に合わなかったっす
なので今年も年越し確定っす

ただただひたすら遅いだけで作業自体はやってます
来年こそは今度こそ本当にガチのマジで終わらすので
どうか、どうか平に、お許しくださいませ(よいお年を
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/31(火) 15:37:45.61 ID:kzYYp+iRo
もう2010年代が終わるのか
続き見たいからエタらないで欲しい
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/01/23(木) 20:28:23.26 ID:k7qi6aWz0
>>290
https://i.imgur.com/IAoQCo6.jpg

>>292
https://i.imgur.com/szS5Utc.jpg
https://i.imgur.com/tgY15tq.jpg

>>294
https://i.imgur.com/U3gntAx.jpg

>>303
https://i.imgur.com/jjjtjoq.jpg

>>307
https://i.imgur.com/o7kXWIW.jpg

>>311
https://i.imgur.com/ptgq0ct.jpg

>>313
https://i.imgur.com/KcbGWmA.mp4

>>317
https://i.imgur.com/U4nvjqj.jpg

>>320
https://i.imgur.com/XjFR4DR.mp4
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/01/23(木) 21:25:00.90 ID:k7qi6aWz0
貼りミス
>>294
https://i.imgur.com/7JsgrQv.jpg
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/12(水) 22:58:31.04 ID:E+wYt95p0
>>321
https://i.imgur.com/lUsjMLN.jpg

>>326
https://i.imgur.com/HrWuMZA.mp4

>>327
https://i.imgur.com/ZdfubbM.mp4
https://i.imgur.com/xLyXo7S.jpg

>>329
https://i.imgur.com/nNpYIVt.mp4
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/12(水) 22:59:23.37 ID:E+wYt95p0
リンク切れ差分終わり
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/02/12(水) 22:59:53.90 ID:E+wYt95p0
もう数枚だけやります
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/18(水) 00:34:09.34 ID:9Jd2JzPD0
>>378
https://i.imgur.com/WxG4pGO.jpg

>>388
https://i.imgur.com/2wCydKh.jpg

>>393
https://i.imgur.com/QgjuB6P.jpg

>>398
https://i.imgur.com/6d9hgMj.jpg

>>408
https://i.imgur.com/IeyvWxh.mp4
https://i.imgur.com/w8E0vAb.mp4

>>410
https://i.imgur.com/9pej1NY.jpg

>>449
https://i.imgur.com/paid3pG.jpg

>>499
https://i.imgur.com/1BP73Tq.jpg

>>505
https://i.imgur.com/PCCbOPV.jpg

>>571
https://i.imgur.com/fyXlSPB.mp4

>>582
https://i.imgur.com/QVMJ7DG.jpg

>>585
https://i.imgur.com/mhZruG6.jpg

>>597
>>598
https://i.imgur.com/TMBuf0i.mp4
(点滅注意)

>>599
https://i.imgur.com/amoaLVl.mp4
(点滅注意)
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/18(水) 00:34:37.63 ID:9Jd2JzPD0
修正終わり
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/03/18(水) 00:35:12.67 ID:9Jd2JzPD0
【御報せ】
次更新します
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/03/20(金) 11:02:38.25 ID:tclg+BGQo
『次』があると知れただけで朗報。
お待ちしております。
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/05/06(水) 22:52:51.48 ID:Z2tEAlwk0
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/07/03(金) 21:42:38.57 ID:tkMtI23r0
ほす
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/09/02(水) 19:55:23.49 ID:k67/ctij0
ほし
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/10/31(土) 22:10:09.91 ID:cfUF8WQj0
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/12/23(水) 03:54:06.95 ID:i855Tmw60
てす
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14312933
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/12/31(木) 19:08:32.52 ID:0vGf3NWU0
掃除終わったらくる
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/12/31(木) 23:42:42.15 ID:0vGf3NWU0

番外編的な奴書きました

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14375580
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2020/12/31(木) 23:48:29.85 ID:0vGf3NWU0
     __ __
      /三/)/三/)
     (三( (三(丿
     | ̄~| ̄ ̄|
     |: ::|:: ::| 
     |:: :|:: ::| 
     |: ::|:: ::| 
     |: ::|:: ::|
     |:: :|:: ::|
     |{==}{==}|
     |::::: :::|、
    _ノ ̄ ̄ ̄\_||
  _∠==、\    | <許してつかぁさい
  /   ヽ|\ \ノ
 |   ミ|/  \ |
`/レ   R|イ \  Y
(_]ヽハハハ/ ̄[___ノ
   ̄ ̄ ̄ ̄

完全に脱線しました
よって来年に持ち越し確定です
いい加減長すぎなので来年はちゃんと終わらせたいです
ほんとうにガチすいません許してください(良いお年を
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/01/02(土) 01:53:44.21 ID:61Gd0vk1o
番外編読んだ。1はプロなのかな?
よくここまで書けるなと思った。でも流石に長いw
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/02/24(水) 03:48:39.96 ID:+gWO++gY0
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/04/01(木) 23:16:27.22 ID:H2c3BeQ/0
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/04/22(木) 23:34:00.72 ID:8O9lRHl20
もうちょい
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/13(木) 01:37:39.52 ID:mAkIrcac0
今月中にやります
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 19:41:27.80 ID:oCo/IpdS0
>>378
貼り忘れてた
https://i.imgur.com/mRe11GX.mp4
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 19:42:15.50 ID:oCo/IpdS0
夜中またくる
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:31:11.11 ID:oCo/IpdS0



強いて言うならば………………恋でも、したんじゃないですか………………に。

 
  だからこそ、守ろうと思った。

   
    それが例え、永遠を覆す事になろうとも。



【永遠亭】――――終幕
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:33:26.36 ID:oCo/IpdS0

https://i.imgur.com/f6udphq.mp4


 天明八年、某日――――早朝。
 本日も実に快晴である。
 晩夏も終焉を迎え、暦が長月に変わりて久しい今日この頃。
 しかしこの調子では、まだまだ初秋は遠いよの。
 あの光々とした陽が物語っておる……今日も今日とて、またあのうだるような暑さが待ち受けていると言う事だ。
 
 御用のある者は、今の間に片付けておく事を強く勧める。
 まさに「早起きは三文の徳」とはよく言った物で、晩夏の熱気残りし昨今。
 しかし朝の間だけなら、秋の澄んだ空気を先取りできる。
 滝汗に塗れ息も絶え絶えに従事する事も、今ならまだ回避できるのだ。

 そうそう早起きは三文の徳と言えば、三文の由来はご存知かな?
 あれはだな。かつて奈良の時代、鹿が神の使いと定められておった頃――――


【おい】


 ん? 何? 
 そんな事はどうでもいいから、薬売りのその後を速く聞かせろだと?



【うん】



 ……………………は? 知らんわ、そんなもの。



【えっ】

737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:35:18.62 ID:oCo/IpdS0


 薬売りのその後……か。彼奴は今、何処で何をしておるのだろうなぁ。
 全くあやつと来たら。この修験の道極めたる身共が、折角誉めて遣わそうとしてやったにも拘らずだな。
 いつの間にやら、まるで朧の如くどこ吹く風……そう言えばあのおなごも言っておったの。
 坂井の一件の時もああだったらしい。薬売りの癖に、礼すら言わせずに消えていった、と。


【いゃいゃ】


 え――――「薬売りに直接話を聞いたのではないのか」だと?
 おいおい頼むぞ皆の衆。朧の如く消えていったと、たった今申した所ではないか。
 身共の口上はわかりにくかったか? ならばハッキリ言ってやろう。
 あのそらりす丸での一件以来、薬売りとは”一度たりとも会ってはおらぬ”。


【じゃあ】


 この話はなんなんだ?
 あ……そこはだな……その……一言では伝えきれぬ、少しばかり深〜い事情が……


【あ”ぁ?】


 だからだな、その……頼まれたのだよ。
 こう、見るからに南蛮人臭い奴がだな……南蛮発の『うまいまんじゅう』をやると言ってくるからだな。
 だからこの……”自作の草子を読んでくれぬか”、と。


【 は ぁ ! ? 】


738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:38:49.69 ID:oCo/IpdS0


 無論、いつもならその手の手合いは無視している所なのだが……。
 まぁ、褒美を出すと言ってるし? それになにやら”顔見知りによく似た人物”が出てくるしだな。
 そんなこんなで仕方なしに引き受けてやったわけなのだが……こうして、肝心の草子に”続きが書かれておらぬ”わけでだな。


【…………】


 ま、南蛮人にしては頑張った方……とは言え、所詮は他所者の仕事だったな。
 嗚呼〜いと浅はかなり。しかし身共へ依頼したのは大正解である。
 かの如く、如何に稚拙な書物とて、身共の脳裏に詰まった潤沢なる博学があればだな。


https://i.imgur.com/pKrvBWe.jpg



 この先、こう……………………いくらでもお茶を濁す事が(ry




 ―――― ぬ お っ ! ?




【大・顰・蹙】
 

739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:41:04.13 ID:oCo/IpdS0


【おぅおぅおぅ】


 ちょ……だって……仕方がないであろうが!
 これ、ほら! つ、続きが書いてないし! 
 俺のせいじゃないだろ! あ、あの女が未完品を寄越すのが悪いんだろうがッ!


【ぶぅぶぅぶぅ】


 ……ぬえええいやかましい! こっちだって丸々一晩吟じ続けたのだ!
 一体誰が為にここまでやってやったと思っている!
 労えッ! この暇人共が…………文句があるなら帰れェッ!



【わぁ】


【わぁ】


【ぎゃぁ】


【ぎゃぁ】










https://i.imgur.com/YitGQjf.jpg
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:42:04.00 ID:oCo/IpdS0


 んぐぐ、何故身共がこんな目に…………それもこれもアイツのせいだ。
 ええい腹正しい! 大体、あのアマがこんな未完成品を寄越したが故のこの有様、まこと恐ろしき、何と言ふとばっちりか。
 やはり南蛮人は信用できん。あー信用できん!
 伴天連反対貿易不服! 鎖国など生温い…………求むぞ異文化徹底排斥。
 南蛮人は南蛮人らしく、南蛮の地で南蛮漬けでも食ってろと言うのだ!



(…………………………………………)



 反対……反対……はんた…………反対?

 ん…………んん……………………んんんんん!?



【?】




 こっ――――こ れ は ッ ! ?




【!?】

741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:44:33.03 ID:oCo/IpdS0


 ハッ! ハッ! ハッ! これはこれは…………身共ともあろう者が何たる失態か。
 いやはや引っ掛ったな皆の衆。今のはほら、あれだ、「退屈な日常に気付けの刺激を一摘まみ」。
 所謂、身共なりのちょ〜っとした”余興”と言う奴よ。
 

【はぁ】


 安心せい。今見返した所、”確かに話の続きは存在しておった”わ。
 おそらくは、南蛮の書物は江戸のそれとは様式が異なるのであろう。
 ううむ、まんまと一杯食わされたわ…………いやはや、これだから異国の文化は面白い。

 ご覧あれ皆の衆。よいか、この書はな…………


 こう…………ほれ…………綴じ糸をスルリと引き抜けば――――
 


【おぉ】



 このように――――”表と裏”が繋がっておったのだよ。


https://i.imgur.com/h8WJlnv.jpg

742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:45:32.44 ID:oCo/IpdS0


あいや、しばし待たれよ……ふむふむ、ほうほう。
 おお、おお、これはこれは…………。


【はよしろ】


 ……よしわかった。いやはや、さすが南蛮渡来の書物である。
 これぞまさに異文化交流の恩恵と言うべきか。この様な機知に富んだ書に触れる機会が増えるならば、鎖国など今すぐ廃し是非とも交流を深めるべきと言った所よの。
 あー、ちなみに、ついでの話であるのだが…………先の暴言、どうか水に流していただきたく存じる。
 くれぐれも内密にな。しーだぞしーっ。そこの所頼むぞ、皆の衆。


【それはどうかな】



 コホン…………嗚・呼・阿…………

 では、改めて――――



――――晩夏も終焉を迎え、暦が長月に変わりて久しい今日この頃。
 しかしこの調子では、まだまだ初秋は遠い。
 あの光々とした陽が物語っておる……今日も今日とて、またあのうだるような暑さが待ち受けていると言う事だ。
 
 御用のある者は、今の間に片付けておく事を強く勧める。
 晩夏の熱気残りし昨今だが、朝の間だけなら、秋の澄んだ空気を先取りできる。
 滝汗に塗れ息も絶え絶えに従事する事も、今ならまだ回避できるのだ。

 そうそう早起きは三文の徳と言えば、何故三文なのかの由来はご存知かな?
 あれはだな。かつて奈良の時代、鹿が神の使いと定められておった頃。


【頃】


 三文の罰金を徴収されたそうだ。
 自宅の前に、神の御使いたる『鹿の死骸』があった場合にな。


743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:47:23.92 ID:oCo/IpdS0


 故に当時の町人共はこぞって朝早くに目覚め、万が一自宅の前に鹿の死骸があれば、見つからぬ内に隠してしまう。
 そうして三文の罰金から逃れた……そこからの「三文の徳」と言うわけだ。

 しかしここで疑問がある。これは皆も、薄々感づいている謎じゃないか?
 『神の使いを死なせた割には、三文は安すぎる』


【あぁ】


 御答えしよう――――
 そもそもこの諺には諸説があり、大元の起源は仏教の教義が齎した言葉ではないか? という説である。


【ほぉ】


 「三文の徳」の三文とは、金銭の事ではなく”三門”の事を指しているのではないか? と言う事だ。
 三門とは仏教における「三解脱門」の略字。
 貪・瞋・痴。この三煩を打ち破り、煩悩世界からの解脱に至るまでの、三つの門である。

 そして、その三門を潜る為に必要な徳こそが――――”光”。
 釈迦や菩薩の持つ後光に準え、朝一番の光……つまり「早起き」へと変化していったのではないか。
 と、そう唱える者もいる。


【へぇ】


 まぁ、修験者の身共からすれば、こちらの説の方がしっくりくる部分もあるが……大衆向けとは言い難いのもまた事実。
 よって、諸君らのような一般庶民にこの教えを理解させるには、”たった二つ”しか方法はないと断言できようて。


【えぇ】


 そう身構える事はない……実に簡単な話だ。
 先の諺のように、誰しもにわかりやすいよう改変を加えるか――――




 もしくは、実際に見せるか。


https://i.imgur.com/tArW2ey.jpg

744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:50:51.07 ID:oCo/IpdS0


 薬売りを知る者は、皆揃って同じ事を言う。
 奴は煙のように現れ、これまた煙のように消えていく。
 その所作に各々思う所はあれど、さりとてたかだが一期一会。
 少しばかりの不満以外、奴に求める物はなし……所詮は、その程度の間柄である。


https://i.imgur.com/kA6g0sT.jpg


 だが――――今回ばかりはそうはいかなかった。
 一時の縁と呼ぶには、あまりに強すぎる因果ができた。
 因果は縛る。縁は残す。
 それらを生み出したるが当の薬売り本人であるならば――――そうは問屋が卸さなかったのだ。


https://i.imgur.com/mcaBbts.jpg


 まぁ、これも小難しい風に考える事はない……要は、今回ばっかりは相手が悪かったと言う事よ。
 全ての賢智を兼ね揃えた者が相手とあらば。
 全ての煩を抱えた者が相手とあらば。
 煩悩渦巻く迷いの世界に、永住を決めた者が相手とあらば。





(…………薬…………売り…………さん…………)





 何より――――”隠す事”を得意とする者が、相手とあらば。



【あっ】


https://i.imgur.com/PKWZe0k.mp4

745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:52:23.86 ID:oCo/IpdS0


「……………………」

「……………………」


【黙】


「……………………」

「……………………」


【黙】


「……………………」

「……………………」



【黙】



薬売り「…………嗚呼」


チーン



薬売り「これはこれは……どこのどちら様かと思いきや、お師匠様ではございませんか」

薬売り「こんな朝早くに……どうか、なさいましたかな?」

746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:53:12.91 ID:oCo/IpdS0


永琳「……………………」


永琳「……………………」


【吸】


永琳「……………………ハァ〜〜〜〜」


【溜息】


永琳「どうなさいました? じゃ、ないでしょうに…………それは私の台詞です」

永琳「貴方の方こそ、こんな朝早くに、一体どこへ行くつもりなのでしょう」

永琳「しかも、私の許可も取らず勝手に……こんな時間に薬を飲む者など、いると思って?」


【説教】


薬売り「……さぁねえ。あっしは流浪の薬売り。定住を持たず、この足で渡り歩くしか知りませんで」

薬売り「風の向くまま、気の向くまま。浮世の風向き幾然う然う……」

薬売り「あ、ほら、ご覧ください……空も陽気に歌ってますぜ」


【屁理屈】


薬売り「つる・つる・つっぺぇつた」

薬売り「なべの・なべの・そこぬけ・そこ・ぬいて・たもれ」

薬売り「そこがぬけたら・かえ・りま・しょ」


【唄】


薬売り「一体何を、歌っているのでしょうね」


永琳「……………………貴方がね」



【のらり・くらり】

747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:55:07.74 ID:oCo/IpdS0


 はん、だろうなとは思っていたが、案の定この調子である。
 煙に巻く事に失敗した薬売りが、一体どんな狼狽を見せるか見物ではあったのだが。
 狼狽えるどころかこの呆けきった態度、口調、さらには、目上の者に「背を向けたまま」語る不作法っぷりとくれば、言葉にせずともよく推し量れよう。


永琳「何と言うか……初めて対面した折から、薄々は感じておりましたが……」

永琳「貴方はずっ〜と、そんな調子なのですね……」

永琳「これまでも……そして、これからも」


薬売り「ええ、まぁ……ここにはもう、”何もありませんので”」


 本当に、なにもないのだ……此奴には、少しばかりの気がかかりすらも……モノノ怪去りし地の、その後になど。
 よって如何なる説法も此奴には無意味。
 仮に此奴を修験の霊峰に無理からぶち込んだとて、それでも考え改めさせる事は叶わぬであろう。
 まさに釈迦に説法……いや、この場合は豚に真珠と言うべきだな。


永琳「……わかりました。そこまで言うのであれば、私ももう、何も言いません」

永琳「もう、何も――――”私からは”」


 如何に賢なる人とて、愚者を救う術はあらぬと言う事よ――――ただしそれは、個人の話。


薬売り「………………おや?」


 一人では解決できぬ事も、皆で智慧を出しあえば、ひょっとすると何かが生まれ出るやもしれぬ。
 「三人寄れば文殊の知恵」とはよく言うが、もしもそれが四人なら、五人なら――――


 ちょうど、倍掛けとなる数だったなら。


748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/25(火) 23:57:30.85 ID:oCo/IpdS0


永琳「――――蓬莱山輝夜様は、此度の神隠し騒動の解決、大変感謝しておいででした」

永琳「我ら”六人”が成す事叶わなかった大義。それを見事解いてみせた貴方の功績たるや、論功行賞に値する、と、そうおっしゃられておりました」

永琳「よって私は、我が主君蓬莱山輝夜様の意を伝える”だけ”の為に、この場にはせ参じたにすぎません」


薬売り「それは………………」


【提示】


永琳「貴方は確かに言いました。モノノ怪とは、人の情念に憑り付き生まれ出るモノと……」

永琳「そして人の情念とは……”永遠に消える事無きモノ”でもあると……!」



――――時に皆の衆、モノノ怪の”怪”とは何か知っておるか?
 病の事よ……そしてモノとは荒ぶる神の事。
 その名の所以の通り、モノノ怪とは、人を病のように祟る存在。
 怨み・悲しみ・憎しみ。様々な激しい人の情念が妖と結びつくことによって生まれる魔羅の鬼。
 これらの事を顧みれば、八意永琳が薬売りに託した”命”の真意も、自然と推し量れよう物よの。



薬売り「その…………薬は…………!」



 そして薬売りは……………………”その命を破った”。
 故に、致し方無き事であったのだ。
 用無き土地を煙に巻くその土壇場にて。
 最後の最後に――――新たな難題を押し付けられようとは。



永琳「永遠と対峙するならば、永遠を相手取る者もまた、永遠となるべきかな」




【最後ノ難題】




永琳「姫君から貴方に贈る――――”本物の蓬莱の薬”です」


https://i.imgur.com/DbbERVs.jpg

749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/26(水) 00:01:43.05 ID:HzsXPyRk0


薬売り「……………………」


【黙】


永琳「……………………」


【黙】


薬売り「……………………」


【黙】


永琳「……………………」

















 あー、なんだ、その、まぁこれは、門外の立場だからこそ言える事なのだが…………
 ふん、やっぱりな。見てみよ皆の衆。
 


https://i.imgur.com/7Wajouj.jpg



 何人寄ろうが…………所詮、”下種は下種だった”と言う事よ。

750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/26(水) 00:02:38.45 ID:HzsXPyRk0
めしくってくる
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/26(水) 01:36:37.64 ID:HzsXPyRk0



薬売り「本物の…………蓬莱の薬…………?」



 その薬は、光を持っておった。
 元来薬に不要なはずの光は、しかし薬が薬足る根幹を確信させる、実に多彩なる”色”を宿しておった。



永琳「左様。これこそが、かつて死からの解放を求めた人々の、大いなる希望……」


永琳「同時に――――とある月人を”奈落へ突き落した”深淵の絶望」



 同時に、掌一杯に満ちる色取り取りの光は、微かなる既視感をも感じさせた。
 「この光、どこかで……」そう思うや否や、すぐさま蘇る脳裏の記憶。
 そう、薬売りは確かに見ていたのだ。
 永遠の原材料――――”蓬莱の玉の枝”である。



薬売り「薬は…………”本当にあった”…………!」



 蓬莱の玉の枝から生み出されし蓬莱の薬。
 その効能の凄まじさたるや、もはや語るまでもないで事であろう。
 うむ、ならば改めて……”希望を表す絶望”とはまさに言い得て妙である。
 生に執着する者にはこれ以上なき悲願。
 しかし死に活路を見出した者にとっては、これ以下はない悲観なのだから。


752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/26(水) 01:41:08.23 ID:HzsXPyRk0


薬売り「時に…………これは、一体どのようにして飲むのでしょう?」


永琳「ご心配には及びません。水は不要。時間は不問。用量は極少量」

永琳「たったの一掬いでいい…………ただ一抄い、その身に含むだけで」


永琳「それだけで貴方は、その瞬間――――晴れて永遠の一員となりましょう」


 永遠の薬を渡す月の使者……まるでかの一幕の再現だな。
 竹取物語。無論、身共も幾度か目を通した事はある。
 確かに、『物語の出で来はじめの祖』と称されるだけあって、興をそそる部分はあった。
 未だ解明されぬ点が多い事も一役買っておる……が、なんだ、その。



薬売り「何が…………したいのですか…………?」



 だからと言って、話自体は別に、そんなに…………
 と言うか、ハッキリ言って――――”嫌い”だな。



【吐露】


【真意】



永琳「何も恐れることはありません……これは、純粋なる姫の御好意」



(私の罪は――――結果として、姫に悲しみを与えてしまった事――――)



永琳「永遠となれば……貴方は未来永劫、人を抄い続ける事ができる」



(私の過ちは――――姫に悲しみを与えた者共を、一人残らず屠ってしまった事――――)



永琳「永遠とならば……貴方は未来永劫、ケを斬り続ける事ができる」



(私の後悔は――――姫に悲しみを与えた者共を――――極楽浄土へ”逃がしてしまった”事)


https://i.imgur.com/qpa6odL.jpg

753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/26(水) 01:43:36.08 ID:HzsXPyRk0


 色々と突っ込みたい所はある。
 育ての親への仕打ち、五人の貴公子への所業、帝への立ち振る舞い方、その他諸々、あれやこれや。
 だが、身共が何より許せんのが――――永遠を”褒美”とのたまった点に尽きる。


永琳「いと素晴らしきかな永遠の世界……御身は寂滅から解放され、魂は清らかなるままに不動とならん」



【なよ竹の貴婦人】



永琳「ほら……私を御覧なさい。何も食べずとも、身体はずぅっと瑞々しいままよ」


(何も与えずとも)


 修験者が何故山峰で修行に明け暮れるか。それは験力を得る為だ。
 難苦を持って生あるままに死に近づき、生と死の境を行き来する事で初めて得られる、即身是仏の力。
 そんな『擬死再生』を掲げ信奉を続けて来た先人の教義は、ありがたきかな今日まで残り続けておる。


https://i.imgur.com/hW1O6dR.mp4


 しかし永遠は――――その境を閉ざしてしまう。
 永遠とはすなわち、輪廻往来の断絶。
 不死とはすなわち、悟りの道を閉ざしてしまう事に同義なのである。
 

【自称・オモイカネ】

754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/26(水) 01:50:55.21 ID:HzsXPyRk0


永琳「ほら、見て…………少々傷ついても、あっという間に塞がるわ」


(何も施さずとも)


https://i.imgur.com/JH7lB59.mp4


永琳「ほら、見て…………何がぁろうと ずぅ〜っとこのままで ぃられるのよ?」


(私の気の済むまで)


https://i.imgur.com/T0Qbgy6.mp4




 そして、悟り無き世界とは……煩悩渦巻く迷いの世界。
 そんな世界が、仮に、どこぞ目の届く場所にあったとすれば。



【本性】


https://i.imgur.com/XyO5jRS.mp4





 人はそこを――――”地獄”と呼ぶのだ。





【暗黒物質/ダークマター】



https://i.imgur.com/158cbT6.jpg

755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/26(水) 01:52:47.36 ID:HzsXPyRk0

https://i.imgur.com/SLnSekY.mp4
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/05/26(水) 01:59:20.37 ID:HzsXPyRk0
ここまで
次の更新で確実に終わらせたいのでまたしばらく消えます
だいぶ先になると思うので気長にお待ちくださいませ

(保守だけしにきます)
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/07/19(月) 23:03:00.95 ID:Fadznowt0
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/09/07(火) 23:28:28.09 ID:st15ISVC0
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/11/01(月) 21:18:18.25 ID:Lmfeq7fK0
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2021/12/18(土) 06:56:25.31 ID:iBuXpehm0
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/05(土) 20:05:48.83 ID:H9VuLhK/0
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/04/02(土) 04:02:13.46 ID:jUzL31eU0
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/06(金) 18:03:10.87 ID:rYV+b3N9O
SS避難所
https://jbbs.shitaraba.net/internet/20196/
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/05/26(木) 22:07:07.38 ID:AQNFFvZr0
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/05/26(木) 22:08:24.01 ID:AQNFFvZr0
進歩状況です
https://www.pixiv.net/artworks/98620736
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/05/26(木) 23:54:11.17 ID:s1p4Cc9u0
マルチポスト売名ダメ絶対
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/07/22(金) 23:37:28.67 ID:Zec3A0JK0

https://www.pixiv.net/artworks/99918658
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/07/23(土) 00:18:38.60 ID:bQPIOGpv0
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18003500
もヨロシク
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/17(土) 01:50:23.38 ID:JBWCONS10

https://www.pixiv.net/artworks/101274853
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/09/17(土) 02:07:33.36 ID:JBWCONS10
今後の予定
https://www.pixiv.net/artworks/101275138
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/01(土) 18:59:32.62 ID:cMDVfzwoO
ほんとぉ?
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/11/07(月) 22:34:53.27 ID:teQJwAtS0
更新予定(仮)
年末〜年明けらへん
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/11/24(木) 20:20:36.87 ID:xr0kcF5a0
完結したら今まで描いた絵渋垢の方にも上げてもいいですか?
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/12/06(火) 21:44:34.91 ID:GJ3iwI9x0

【最終更新の御知らせ】

日  2023年1月7日
時  PM08:08
場所 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490438670/

大変長らくお待たせしました。
長期に渡り遅くなりました事、心よりお詫び申し上げます。
これ以上の延期はありませんので、どうか見捨てる事無く、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。
宜しくお願いします。

https://imgur.com/jr3o5ll
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/12/07(水) 08:26:21.14 ID:L5Lx/Z+PO
ほんとぉ?
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/12/07(水) 15:19:59.05 ID:f8V9PRO90
>>774ってコピペした内容をあちこちに拡散してんのかね?
スレッドのURLを該当スレに書き込む奇行もそれなら説明がつく
念のためhttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410188691/読んどいた方がいいよ
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 20:09:29.13 ID:G+zmOxss0

 時に、少し話は逸れるが…………おそらく、竹取物語の著者は”破戒僧”の類だったのでは? と身共は考える。
 主観ながら、修験の教義に悉く反するこの内容たるや、まずその道に精通せねばできぬ芸当と見る。
 加えて当時の情勢を顧みるに、紙の調達や字の読み書きを可能とし、そしてある程度権力への口利きができる程度に位高き僧侶であった。
 だからこそ、後世に”名が残らなかった”のだ。
 存在そのものが当時の体制に不都合であったと考えれば、今日に至る秘匿っぷりに合点がいかないか?
 あ〜間違いない、きっとそうだ。我ながらなんと聡明な見解であろう。


【1970年カラノ旅立】


 ううむ、どうやらこの、ただでさえ明快な身共の頭脳が、本日はいつも以上に冴えておるようで。
 幸運だったな皆の衆。聡明ついでに本日は、もう一つだけ、元修験者のありがた〜い言葉を残して進ぜよう。
 ま、これもまた、身共の主観であるのだがな…………ズバリ、”薬師とは何なりや”についてである。



(だって――――あいつらが悪いんじゃない)


(あいつらが、よってたかって――――私に姫の涙を見せるから)



 事実「薬師じゃない奴が薬師を語るな」と突っ込まれるのが目に見えておるで、あまり大っぴらには言えぬ事である。
 が、身共からすれば、世に蔓延る”自称薬師”共のなんとまぁ不徳な事よと訴えたいのだ。
 薬師とは、薬を作り病を治す者の総称…………そう答えるのが一般的であろうが、しかしこれはあくまで俗世の建前にすぎぬ。
 皆、騙される事なかれ。薬師が薬師足る、真なる意味は――――



「さあ来たれ 時無き世界の挾間まで さすらば成さん 不滅の療治」



【二大到達点】



 『薬師瑠璃光如来』。すなわち仏の意である。



https://imgur.com/cVV1acp
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 20:18:48.66 ID:G+zmOxss0


「私は薬師。そこに患者がいる限り、世に病が蔓延る限り」


(私は正しい)


「努めてこの身、捧げましょう――――人々が、苦しみから解き放たれますように」


(私が間違っていた事など、ただの一度もない)


 正直、薬売りが妙にいけ好かぬ理由もそこにある……単純な話「こいつのどこが仏なのだ」と言う話よ。
 と言うかそもそも、あやつが薬を売る所を見たことがない。
 唯一目撃したるは、あれは確か、光爆ぜる”火薬”……うむ、論外である。


https://imgur.com/la65Wh7



(これまでも そして これからも)



https://imgur.com/41murzV


 かのように、世の薬師共は総じて自覚が足らん。
 等価に偏り、自らが仏の化身たる認識すらないとは如何なるものか。
 「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ」
 身共ですらこうしてすらすら唱えられると言うに…………奴らと来たら、真言の真の字も知らぬと来た。



(何も変わる事はない、それは不変の理)


(姫の涙を得た者は――――その”対価”納めるべきかな)



【新天地】



 よって、私欲に塗れ、真を無くした此奴もまた――――薬師とは、言い難きかな。



(…………遊んであげる)



https://imgur.com/ZYVVa2g
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 20:31:12.44 ID:G+zmOxss0

https://imgur.com/JAm2p9Z


(……きっかけは、ただの御戯れだったのだと思う)


 姫様は、自他共に認める御戯れ好きなのは周知の事実です。
 なんでもかんでも遊びに変えてしまう姫の心構えは、見る者次第で批難と称賛とを延々と繰り返します。
 ですが、誰に何を言われようと、その声が届くことは無かった…………どちらに転ぼうと、姫は姫であり続けるからです。


(姫にとって、全ては巨大な玩具箱…………だから、何の躊躇もなく触れる事ができるのだろう)


 しかしそんな、大変に戯れ好きな姫でも、唯一人だけ例外がいました――――それが”私”。
 姫は、私に限り御戯れを仕掛ける事はありませんでした。
 実に単純な理由です。姫にとって、私の反応は至極「つまらない」物だったから。それ以外にありません。


(同時に、捨てる事も)


 そうです。私の対応はいつだって”完璧”だったからです。
 姫が望むのは、与えられた課題に対し、時に苦しみ、時に希望を見出しながら、相手が如何様に答えを導き出すかを眺める事。つまりは「過程の観察」にあると思われます。
 しかし私にそんなものはありません。何の苦悶もなくただただ正解だけを叩き出す私の姿勢は、その実姫の望みを叶えられていないのと同義。
 逆説的ではありますが、常に満点を叩きだす私の解答は、姫の目線に限り、見込み無き零点であり続けたのです。


(その対象は、自分自身にまで及ぶ)


 そんな姫が、私にだけ仕掛けてくる御戯れ――――否、それはもはや戯れと呼べない。
 言うなれば『対私用計略遊戯』とでも言いましょうか。
 姫が私に戯れを仕掛ける時。その時に限り、戯れは大きく意味を変えます。
 それは――――”絶対的な意思を押し通したい時”。つまりは”我儘の力”となるのです。


(あの時と一緒だ)


 そして…………御恥ずかしい限りですが、私は、姫の我儘を一度も抑えきれた事はありません。
 だって、そうでございましょう? 
 私が完璧な解答を示す事。それこそが姫の謀の要点であったなら、その時点で、抗う術など露に消える事になるのですから。


(いまはとて 天の羽衣着る折ぞ 君をあはれと 思ひ出でける)



(いまはとて…………………………………………)


https://imgur.com/zljC4g1

780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 20:46:25.20 ID:G+zmOxss0


 この様に、私は姫の目前でまんまと手の内を晒してしまい、結果、未来永劫姫と離れる事が出来なくなってしまったが故に、今の有様に落ち着いたと言う次第で御座います。
 結局、私は何一つ分かっていなかったのです。
 姫が地上へ行きたがっていた事も、その為に周到な準備を重ねていた事も、地上での暮らしを満喫していた事も、月に還るつもりなどさらさら無かった事も…………
 その全てに、”私を巻き込もうとしている”事も。
 そして何より、これらの謀が前もって用意された計略ではなく、全てが”引き寄せられた結果”の産物と在らば、最初から私にどうにかできる範疇ではなかった。と言う事になります。
 

 此度の一件は、まさに、この忌々しき記憶の再現であります…………きっかけは、ただの御戯れだったのだと思います。
 姫は、自分に向けられた情念をこれ幸いと、私達全員を巻き込んだ御遊戯を御考え遊ばされたのです。 
 しかしその遊戯の相手に私も含まれていたことから、姫の我儘。すなわち情念の塊”ケ”の意志を、最大限汲んでやる目的もあったのだと推察できます。



(今一度問う……………………)



 そして私は、そんな徒然なる思いが重なったあの幻想遊戯を、あろう事か全て貴方へ押し付けた…………
 ここまで言えばもう、お判りでしょう。
 


【作麼生】


 不滅なる存在が如何にしてこの世に生れ出たのか
 恒久の砂粒は如何にして螺旋を形作る事を選んだのか
 常盤の相反は何処で出会い如何なる意志で友に手を取り合うに至ったのか
 幾世の煌々は何よりも輝きしかし何故に晦冥と定義付けられてしまったのか
 


【説破】


――――万物の大部分は闇から構成された物質であるにも関わらずしかし闇が産み出すは自らを滅する光でありそれは闇が闇ではなく暗が光度の指標となり得る為安易に同一の定義を付けがちであるが現実はやはり相反作用となった為同一視は不可能であると論理の上で
 片づける事は可能だったのだがしかし所詮それらは机上の空論でありその結論が未知の証明となると気づかぬままに生涯を終えた者が大多数の中それでも新たなる定義の提唱を時の運びが誘った為に詭弁は限りなき真実に近づく事を許されたにも拘らず無辺の船出に逆らうように極小への
 探求へ飛び出したのは一体何故なのかの答えを知る者が記した著書を読了した結果結局は同じ事だったのだと言う意見に賛同したが故に今一度問い質したくなったのだろうと私はそう解釈したにすぎない。


https://imgur.com/4ZME0Kv



(あなた…………だれ?)

781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 20:59:35.17 ID:G+zmOxss0


薬売り「…………」



 薬売りは、何も語らなかった。
 八意永琳の問いかけに答えるそぶりすらせず、ただひたすらにじぃーっと、相手の顔を見つめるだけであった。
 そうなってしまう気持ちはわかる。まぁ、薬売りにとっても初めての事だったのだろう。
 無縁の地にふらりと現れる事はあれど、逆に”その地に縛り付けられる事”など、一度たりとも。



薬売り「…………」



 しかし…………まっこと、幻想郷とはよく言ったものである。
 「幻想となった存在の最後の御座所」との事だが、その幻想とやらの中にアヤカシの類も含まれておる故、こうして魑魅魍魎の跋扈する世に成り果てた……まではわかるがな。
 しかしそれでも、人とアヤカシが共存するなどと…………人と妖が、互いに”依存しあう関係”になるなどと。



「口に出さなくてもいい……答えは、形となって現れるから」



(私は正しい)



「形は真から作られ……真は理から生まれたモノだから」



(お前も正しい)



 そんな、おおよそ理解届かぬ地にまんまと足を踏み入れてしまったが為に、こうして出奔に困窮するハメになった――――と、皆はそう考えるであろう?
 ふっふっふ、甘いな皆の衆。この男がいかなる存在か…………やはりこの場では、身共が唯一の理解者であろう。



「そしてその理はきっと……”私と同じモノ”だから」



(だからお前は、私と同じ報いを受けるべきなのだ)



【幻】
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 21:09:12.15 ID:G+zmOxss0


 尖った耳。青白い肌。奇抜な召し物に奇妙な道具。それらを携えモノノ怪現る所にふらりと現るこの男。
 そんな男が、一体何を考え、一体何の為にモノノ怪を斬り続けると言うのか。
 その答えは…………身共だけが知っている。



薬売り「…………」



 おうともさ、教えて進ぜよう。
 この珍妙不可思議にて胡散臭い男の持つ、【薬売りの理】とは、とどのつまり――――



薬売り「…………」


https://imgur.com/FWuS1bB




――――”何も考えてない”のだ。





https://imgur.com/nTXdQLm
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 21:13:26.23 ID:G+zmOxss0

https://imgur.com/bvBZ4Vt

https://imgur.com/zSBR548

https://imgur.com/83rD6A5

https://imgur.com/p1P80xb

https://imgur.com/yHdNBpZ
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 21:37:19.87 ID:G+zmOxss0

https://imgur.com/hhlnXOo

https://imgur.com/4cZSaSm

https://imgur.com/wnz34NA

https://imgur.com/lIOOVNP
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:10:18.22 ID:G+zmOxss0

https://imgur.com/9SyQJ6e

https://imgur.com/nJf9XRm
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:20:19.04 ID:G+zmOxss0


https://imgur.com/vm0i1AL


https://imgur.com/PddImRE
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:25:59.36 ID:G+zmOxss0

 思い返せば、あのそらりす丸での一件――――あの時、身共は確かにこの耳で聞いた。
 「お前が本当に恐ろしい事はなんだ」と尋ねて回る海座頭の質疑。
 その答えは、数多ある因果と縁を暴き続けたにしては意外…………いや、だからこそ辿り着いた答えなのだと言えるのかもしれない。


『知るのが怖い』


 海座頭の問い掛けに凛として答えた薬売りの姿は、紛れもなく本音を表していたと見る。
 怒り、恨み、悲しみ、渇望…………モノノ怪を成す情念の一つ一つが、結局は行きつく先が”無”でしかない事を、薬売りはすでに存じておったのだと身共は思う。
  

「さあ、終わりにしましょう……」


「そして、始めましょう」


 なればこそ、あんなにあっさりと答えることができたのだ……海座頭が、一体どんな幻を見せてくるかもわからぬあの場面でだ。
 「全ては幻である」。あの言葉は決して海座頭に対してだけではない事を、身共はしかと見抜いていた。
 故に我思う。ふぅむ、実に哀れなる奴よ…………。
 きっと薬売りにとっては、浮世の何もかもが”幻”にしか映っておらぬのであろうて。



「さぁ」



(さぁ)



【さぁ】




 そしてその対象は――――己が自身さえも含む。




薬売り「……………………」




 だからこそ、答える事が出来たのだ…………こうして、”本物の蓬莱の薬”をその手に抄う事で。




薬売り「………………では」




 光を抄いしその手を、口元にまで運ぶ事で。




『蓬莱山輝夜姫の懇意への返答…………この場で申し上げ奉る』




 永遠に限りなく近づいた上で、確かに応えたのだ――――”言葉無き言葉”で持って。











【ふぅ】


788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:30:04.07 ID:G+zmOxss0

https://imgur.com/6eTCqrX


永琳「……どういう、つもりですか?」


薬売り「…………」


永琳「折角の姫の御好意を……無下に還すつもりなのですか……?」



 薬師の言葉は、濃厚な怒気を孕んでおった。
 ばら撒かれた光が空を彩るように、発音の節々の一つ一つには、沸々とした”怨”が滲み出ておった。
 しかしながら――――顔貌は、そうは申してはおらなんだ。
 姫の好意に砂をかけた不届き者。そんな極刑に値する存在が目の前におるにも関わらず、その者を映す瞳には……これまた、沸々と滲み出ておったのだ。



薬売り「……薬売りと言う稼業を生業にして、一つ、気が付いた事があるのです」

薬売り「それは……如何なる良薬を作ろうと、結局は”飲まれなければ無に等しい”と言う事です」



(は…………)

789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:37:47.63 ID:G+zmOxss0


『粉薬は飲まなければ熱は収まらぬ』

『塗薬は塗らねば痛みが和らがぬ』

『貼薬は貼らねば傷を補えぬ』


薬売り「それらと同じく……目薬は、”瞳に垂らさねば霞は消えぬ”のですよ」


 薬売りは、流石薬売りを名乗るだけあって、実に薬学に富んでいた……が、相手を考えぬ所がやはり薬売りであった。
 この阿呆がたった今したり顔で講釈を垂れた相手は、薬売りなんぞより遥か先を行く”薬師の道を極めし者”ぞと言う事を、一体どこまでわかっているのやら。
 そんな、まさに釈迦に説法を地で行くこの男に不快感を覚えぬはずもなく、身共なら「誰に抜かしているのだ」と、拳骨の一発でもお見舞いしている所であるが……
 


 ああ、やっぱり。



「だったら――――その薬はどうやって作ればイイ!?」

「何をしたって、何も効きやしないのに――――何年生きても、何も見えやしないのに!」



 ……この時、この女が何を思い、何の意図でこんな台詞を放ったのか。それは身共にもわからん。
 ただ一つ言えるのは、薬売りの言葉が”迷いを刺激した”と言う事は確かなようで。



「言ってみろ――――できるモノなら答えてみろ!!」



 にしてもあの男は、本当に他人の神経を逆撫でするのが上手い……知ってか知らずか、極自然に失言を放っては、周囲の空気をヒリつかせよる。
 傍にいればはた迷惑極まりない男であるが、しかしそれ故に傍から見てる分には愉快でもある。
 このように、厄介者は厄介者なりに、何か与える物があると考えれば、まぁ、辛うじて大目に見てやらんでもない。と、思わなくもない。



「 は や く し ろ ! 」



 ま、つくづく哀れな男と言う事よの…………きっと今までも、そうやって【真】と【理】を得続けてきたのであろうて。
 自らの存在と、引き換えにな。

790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:44:33.00 ID:G+zmOxss0


 っと、少し話が逸れてしまったな…………コホン。では、本筋を再開するとしよう。

――――さあさあ皆々様ご注目!
 此度の薬売りが現れしは、人里離れし竹林に住まう薬師が一派!
 この地に渦巻く因果の波に飲み込まれんと、なんとか足掻き続けた薬売りであったが、それでも絡みついて離れぬは薬師の縁!


タタン


 縁は諭す。死生の理を放棄せよと。
 因果は吠える。御前も永遠の輪に入れと。



タタタン


 縛られ・掴まれ・絡みに絡まれた挙句の果てに、無理矢理押し付けられた永遠の誘いから――――薬売りは、”如何様にして逃れることができたのか”。
 そして、この長きに渡り続いた噺の結末は――――一体どこに落ちるのか。



タタタタン




(嘘……………………)




 特と、御覧あれ――――これが、その”答え”である。



https://imgur.com/vJoUk9n
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:49:04.98 ID:G+zmOxss0


「消え…………た…………??」



 おそらく、この女が久方ぶりに放ったであろう躊躇いの吐露は、結局は誰にも見られる事はなかった。
 単純な話である――――そこには”誰もいなかった”。ただ、それだけの話だったのだ。



「………………?」



「????????」



 では、先ほどまで話していた男は、一体なんだったのか。
 奇抜な服装に奇抜な化粧。耳は天へと先細り、瞳はうっすらと青みがかかったあの奇怪な男は。
 忘れようにも忘れられない、大いなる混乱をこの地に齎した、あの憎むべき男は。



【ああ――――くすりうりだ】



 女は、しばし思案に明け暮れた。
 ほんの一瞬目を離した隙に逃げられたのか。
 はたまた、奴の持つ奇怪な道具でもって、さっと姿を隠されたのか。
 どころかひょっとするとひょっとして、実は皆して夢でも見ていたのか。
 次から次へと湧いて出る仮説は無限の可能性を秘めており、しかし真実に到達する事は、決してなかった。



【ちげえねぇ――――ありゃたしかにくすりうりだ】



 が――――直に、どうでもよくなった。
 真実の追求を諦めたわけではない。
 ”今目の前に何があるのか”。その答えを、丸々一晩かけた末に、ようやっと気づく事ができたからだ。

792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:52:01.91 ID:G+zmOxss0


「…………ハァ〜〜〜〜」


「ったく…………」


 ま、というわけで、だ。
 結局、薬売りのその後など「誰にもわからなかった」と言う事よ。
 師も、身共も、どころか本の著者ですらわからぬとなれば、もはや知る術等どこにもあるまいて。


 タンッ
 

 そういう訳で、だ。もしもこの「見るからに怪しい男」が皆の前に現れた時は、是非とも身共まで御一報願いたい。
 もはや、身共とて黙っておれぬのだ。
 もし、万が一にもあの男と再会する時が、この先どこぞであったなら……あの永遠亭の連中に代わりて、延々懇々と説教してくれる。
 

「これだから…………最近の若い者は…………」


 と、零す女の愚痴は今の世に対する深い嘆きである。
 それはズバリ「先人を敬う事」。この話を教訓に、失われつつある畏敬の念を胸に刻めと、女は皆に説き伏せておるのであ〜る。
 身共とて、若かりし頃はそりゃもう辛い日々の連続であった。
 だがその頃の苦労を重ねたおかげで、こうして文武両道、高名かつ高貴なる身分に収まったと言う訳だが……。


 タタンッ


 しかし最近の若者はどうだ。大した苦労もせず口を開けば文句ばかり。
 かつての身共の様に、強靭な精神と博識への探求を持った若者をトンと見かけなくなったこの現状、嗚呼〜なんと嘆かわしい。
 身共の様な位高き存在が肩身の狭い思いをする傍ら、諸君らの様な不埒者が蔓延るお江戸の未来はまっこと暗ぅ(ry


【はいはい】


 といった所で、最後に少し毒を入れつつ、しかし長きに渡る講談にお付き合い頂き真に感謝の極み。
 お江戸に流離う修験の匠・柳幻殃斉の語る一席



 タタタンッ
 


 これぇにぃてぇ
 ア、ヨイぃオワリでございぁ――――













 ――――あ。



【?】



 そうだ、思い出した…………最後に、著者から承った”言伝”を伝えねば。

793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 22:56:24.58 ID:G+zmOxss0


 いやはや面目ない。「噺のどこかで挟んでくれ」と頼まれたのを、すっかり忘れておったわ。
 言っておくが意味は聞くな? 身共もよくわからん。
 わからんし、知ろうとも思わん。それでも知りたくば、まぁ……頑張って、探し当ててみればいいんじゃないか。


(そんなだから…………何時まで経っても…………地上人は下賎なのよ)



 曰く――――



https://imgur.com/7vGHbm6



 だ、そうだ。







https://imgur.com/v3cTAQ3
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 23:04:32.55 ID:G+zmOxss0

 1788年 妖怪絵師・鳥山石燕 死去
 1792年 寛政の改革による漢学筆頭試験の開始
 1825年 異国船打払令による鎖国の強化
 1833年 天保の大飢饉発生
 1837年 大塩平八郎の乱勃発
 1853年 黒船来航
 1854年 開国・自由貿易の開始
 1855年 日本初の蒸気船「雲行丸」完成
 1858年 安政五カ国条約締結による江戸経済の疲弊
 1863年 薩英戦争勃発
 1866年 薩長同盟成立
 1867年 坂本龍馬暗殺
 1868年 明治維新・江戸時代の終焉
 1872年 文明開化による急速な西洋化
 1873年 明治政府太陽暦導入
 1879年 市中引きずり回し、磔獄門刑の廃止
 1890年 大日本帝国憲法の制定
 1894年 日清戦争勃発
 1903年 世界初の動力飛行機の完成
 1904年 日露戦争勃発
 1905年 アルベルト・アインシュタイン「相対性理論」発論
 1908年 ツングースカ大爆発発生
 1911年 吉原遊郭炎上
 1912年 明治天皇崩御。元号が大正へ/清王朝滅亡。中華民国建国
 1918年 第一次世界大戦勃発
 1919年 女性解放運動の拡大・職業婦人の台頭
 1920年 国際連盟発足
 1923年 関東大震災発生
 1925年 国内ラジオ放送開始
 1926年 大正天皇崩御。元号が昭和へ
 1927年 日本初の地下鉄開通
 1929年 世界恐慌発生
 1931年 満州事変勃発
 1933年 ナチス・ドイツの誕生
 1935年 夢野久作「ドグラ・マグラ」刊行/エルヴィン・シュレーディンガー「シュレーディンガーの猫」理論を提唱
 1937年 日中戦争勃発
 1939年 第二次世界大戦勃発
 1945年 核兵器の実戦使用/第二次世界大戦終結
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 23:05:09.40 ID:G+zmOxss0

 1947年 東西冷戦の開始/ロズウェル事件
 1952年 日本国主権回復/未確認飛行物体の目撃が各地で相次ぐ
 1953年 地上波テレビ放送開始
 1957年 世界初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功
 1859年 人口探査機「ルナ2号」月面着陸に成功
 1961年 ボストーク1号、初の有人宇宙飛行の成功
 1964年 東京オリンピック開催
 1968年 大学生全共闘運動の過激化
 1969年 人類、月面着陸に成功
 1970年 日本万国博覧会開催/ヴェラ・ルービン「暗黒物質仮説」の提唱
 1972年 沖縄返還/あさま山荘事件
 1975年 第一回コミックマーケット開催
 1980年 校内暴力が社会問題化
 1983年 家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」発売
 1988年 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件
 1986年 バブル景気到来/チェルノブイリ原発事故発生
 1989年 昭和天皇崩御。元号が平成へ/冷戦終結
 1991年 ソヴィエト連邦崩壊/バブル景気崩壊
 1992年 国薫物線香組合協議会、4月18日を「お香の日」と制定
 1994年 インターネットサービス開始
 1995年 阪神淡路大震災/地下鉄サリン事件
 1997年 神戸連続児童殺傷事件/香港主権移譲
 1998年 和歌山カレー事件
 1999年 インターネット回線の普及及び携帯電話のインフラ化拡大
 2000年 西鉄バスジャック事件
 2001年 アメリカ同時多発テロ事件発生/池田小学生無差別殺傷事件
 2005年 国内パーソナルコンピュータ出荷台数記録更新
 2006年 ユーゴスラビア完全消滅
 2008年 世界金融危機到来/秋葉原無差別殺傷事件
 2010年 尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件
 2011年 東日本大震災/福島第一原発事故発生
 2012年 スマートフォン普及率40%突破
 2013年 「ブラック企業」が流行語大賞候補にノミネート
 2014年 WHO「世界自殺レポート」発表。先進国トップは日本
 2015年 中国製スーパーコンピュータ「天河二号」世界ランキング6連覇達成
 2016年 国内SNS利用者数70%突破/月と地球の距離が68年ぶりに最接近
 2017年 メキシコ麻薬戦争の激化/ドナルド・トランプ第45代アメリカ大統領就任
 2018年 埼玉県越谷市・日中最高気温歴代記録更新
 2019年 平成終了。新元号「令和」へ移行。
 2020年 新型コロナウイルス感染拡大。世界各国が対応に追われる。
 2021年 東京オリンピック開催。近代五輪初の開催年変更となる。
 2022年 ロシア、ウクライナへ侵攻開始。虚実入り混じった情報が全世界に拡散する。


 2023年 良い事と悪い事が起こる。

796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 23:13:03.24 ID:G+zmOxss0


「…………」



「…………」



「…………ハァ〜〜〜〜」


【呆】


「なぁ〜んで…………あんな事しちゃったんだろ…………」


【抱】


「なぁ〜んで…………なのかなぁ〜…………っと…………」



「…………」




「…………」



https://imgur.com/8kRuPuZ




「…………ハァ〜〜〜〜」


【彷】
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 23:17:31.39 ID:G+zmOxss0


「…………」


【すぅ】


「…………」


【はぁ】


「……………………あら?」


【まぁ】




 広き母屋の真中にて


 一人佇む賢人が


 何の気なしに
 

 天見上げけり



https://imgur.com/zKNKCRc




永琳「……………………眩しい」




 瞳に映るは
 
 
     曇り無き大空かな。



https://imgur.com/8rEn05l



          【永遠亭】――――終幕



798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 23:19:00.50 ID:G+zmOxss0
まとめ
https://imgur.com/Gsbnv2l
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 23:19:58.72 ID:G+zmOxss0
ついで貼り
https://www.youtube.com/watch?v=Asu1ypw3Vvs
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 23:20:25.05 ID:G+zmOxss0
もうちょいだけ書く
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/07(土) 23:22:19.27 ID:G+zmOxss0
とりまメシ 

0時再開で
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/08(日) 00:01:52.52 ID:zAtdRIxH0

https://imgur.com/Pcy8VUK
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/08(日) 00:16:05.60 ID:zAtdRIxH0

「月が降りないわ」

「月が降りませんね」


「陽が昇らないわ」

「陽が昇らないですね」


「星々が煌めきっぱなしだわ」

「星々が煌めきっぱなしですね」


「いつまで……このままなのかしら」

「いつまでも……このままなのでしょう」


「…………ハァ〜〜〜〜」


【倣】
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/08(日) 00:17:26.74 ID:zAtdRIxH0

「ったく…………どいつもこいつも馬鹿ばっかり」

「”夜が明けるから朝が来る”。こんな単純な事…………”夜を生きる私達の方が”よく知ってるって言うのに」

「ならば、教えてあげればよいのです…………”そんな単純な事もわからないくらい”馬鹿なのですから」

 

 202X年 マイノリティとマジョリティが逆転する



「馬鹿は死ななきゃ治らない?」

「じゃあ、死んでもらうしかないですね」



 20XX年 既存の価値観が消滅する
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/08(日) 00:24:04.73 ID:zAtdRIxH0

「暑い夜になりそうね」

「涼しい夜になりそうですね」

「楽しい夜になりそうね」

「永い夜になりそうですね」


「どこまでも、行けてしまいそうだわ」

「どこまでも、お供しますわ――――”お嬢様”」


https://imgur.com/0MGwIGy



「こんなに月も紅いから……………………」


https://imgur.com/EsXdUVP



「――――本気で殺すわよ!」




 2XXX年 人類の進化が完了する

806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/08(日) 00:37:19.56 ID:zAtdRIxH0

https://imgur.com/SsZbHoy


 これは、風の噂で聞いた話なのだが…………
 嘘か真か。その日、その土地一体で、”夜が明けなくなる”異変が起こった――――と、言う。

https://imgur.com/sjwONFW



       永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」【完】
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2023/01/08(日) 00:41:03.90 ID:zAtdRIxH0
モノノ怪映画化決定おめでとうございます。
約6年間本当にありがとうございました。

https://imgur.com/wFpoEQi
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/02/05(日) 06:32:50.63 ID:XQ+NYcfsO
いつの間に来てたんだ
いやー長かったな あとでまた読み返そう
お疲れ様です
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