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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】

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134 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 15:04:50.82 ID:hplBwCVT0
>>131
>>132

【揺れる、揺れるーー少女らを乗せて】
【少女が乗っていたのは一般の個室ではあったがそれでもその部屋は大変に美しかったーー足を踏み入れた瞬間、VIPルームと間違えたのではと疑うほどに】
【少女は確かに用事があってその列車に乗っていた。済んだのか、済んでいないのかーーさして問題ではないのだけれど。ただの"買い付け"だから。月明かりに浮かぶ雪景色を薄金の髪を梳きつつ楽しんでいたわけでーー】

ーーん?

【丁度髪を梳きおわる頃だろうか。ドアを閉めていたとはいえ薄ら聞こえていた人々の声が無くなったのに気付いたのは】
【揺れる音、聞こえぬ声ーー】
【ざわ、と心臓が騒ぐ。違和感のような気持ち悪さのようなそんな擽ったさを覚えて少女は櫛を仕舞う】
【怪訝そうに深青の瞳が細められ、揺れる床に抵抗しながら立ち上がってか細い指をドアノブへとやり、そっとーー外へと出て】
【自分以外の気配を彼女は感じることができない。ぶる、と身体が震えている】
【誰かーー自分以外には誰かいないか、と物陰に隠れながらもあたりを見回してーー】

//>>130ですがこちらに投下します
//よろしくお願いします!
135 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 15:14:18.72 ID:/q2u4W020
>>132

【やはり列車の内部に音はない、ただ規則的に列車が走行する音が聞こえるのみ】
【―――そもそもこの列車はどこへ向かっている?予定通り氷の国へと向かっているのだろうか?】
【それとも、向かう先は………】



                  【ガチャリ】



【何か、音がした。静まり返った車内では車両ごとの扉の開け閉めも良く響く。】
【ズルリと、前の車両から何かが入り込んでくる。】

【全身をぼろ切れで覆い、わずかに見える四肢や顔はまるでマグマのように赤くひび割れ光っている人型】
【頭上には赤い光の輪があり、右手には鉄パイプのようなものを持っているのが見える。】

【それはユラリと揺れ動きながらギアに近づいていくと、徐に右手の鉄の棒を振り上げてギアの頭へと振り下ろす】
【単純な動きだ、見切るのはそう難しい事ではないだろうが―――】


                【Question?】【―――乗客はどこへ消えた?】


>>134

【少女が見渡せば見えるのは上記のそんな光景―――。】
【人ではないが人に近い姿をした人形と、人の姿をしているが明らかな異形。それが並んでいる。】
【しかもそれらはどうやら敵対しているようにも見えるが】


【しかして何か起きているのかを把握するのは難しいだろう、しばらくは様子を見るべきか】
【もしくは気づかれぬように別の車両に移動すべきか、選択が迫られる。】


136 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 15:32:51.91 ID:pUZIhJHb0
>>135
何だ、これは……この列車は、どこに向かってるんだ……


【思わず口をついてそんな言葉が出た。どうやらまだまだあの探偵には遠い】
【背後で初めてこれまでと違う音が聞こえた。弾かれるように振り向く】

【前の車両から現れたそれを見て、ギアは一歩後退りした。赤いひび割れた四肢と顔。ボロ切れで覆われた身体。頭の上には赤い光の輪っか】

天使にしては、禍々しすぎるよ……

【思わず苦笑すら漏れる。そうしているうちに、そいつはすでにこちらへと向かってきていた】
【右手の鉄パイプが振り上げられ、何の躊躇いもなくこちらへと振り下ろされる】

【サーベルを素早く構え、鉄パイプを受けて逸らす。そのまま、床を蹴って人影から距離を取ろうとするだろう】

(乗客たちは消えた……こいつにやられたにしても、死体すらない……)
(吸収された? それともこいつが乗客の一人?)

【思考が錯綜する。何しろ、この世界では何が起きてもおかしくはないのだ】
>>134の少女には、ギアは気付いていない】
137 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 15:50:56.12 ID:hplBwCVT0
>>135
>>136

ーーおばけ!?

【声にならない叫びが飛び出しそうになる。慌てて口を抑えて物陰の奥の奥へと細い身体をねじ込んだーーたぶん、バレてはいないはず】
【目に映った赤い……おばけ……彼女の脳内ではそう変換ーー表現するのが精一杯だ。口を覆う指先から血の気が引き、凍えるかのように震えだす】
【しかしおばけのほかにもう一人ーーちゃんとみれなかったけど、恐らく"人"がいたのを彼女は見逃さなかった】
【彼の漏らした声もぼんやりと聞こえてきた。ちゃんと喋るということはきっと、あのおばけの仲間ではない。と、そう思いたいと心の中で手を組んで祈るーー刹那】
【頭上に振るは耳に不快感を与えるような聞き慣れない音がーー】

(闘っている……?)

【押し込んだ身体を自ら押し出すようにすず、と半分だけ顔をだすーー予想通り、彼らの戦闘が始まったのだ】
【逃げ出す、という選択肢は彼女にはなかった。確かにどうみたって普通の少女で、力もなくて、怖くて震えていて、どうしようもなかったけどーー】
【そっとワンピース越しに自分の太ももに触れるーー】
【そしておばけの隙を見て、戦う者の力になろうとにじり寄ってゆくのだったーー】
138 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 16:04:47.49 ID:/q2u4W020
>>136

【受け流された鉄の棒は床へと突き刺さり、絨毯のような素材の床は難なく砕けた。】
【徐に放たれた一撃であったが見かけ以上に強力な威力を持っているようであった。】
【異形はゆらりと身体をのけ反らせると、赤く血走った瞳でギアを見てから一気に身体を前のめりにする。】

                     【ドンッ】


【先程までとは比にならない、途轍もないスピードだった。】
【踏み抜かれた床は割れそのスピードを受けた窓ガラスにはヒビが走る】
【そんな異常なまでのスピードで異形はギアへと再び肉薄すると、鉄の棒で今度は胴を叩こうとするだろう。】



             『躊躇はやめたまえ、それは人ではない―――』



【異形の行動の成否に関わらず、突如としてその腕が宙に舞い落ちる。】
【カラン、と鉄の棒は床へと落下して異形は痛みに叫び声をあげるでもなくただ傷口に顔を向ける。】
【腕の切断面からは赤黒い血とは異なる液体が滴り落ちて、床へと到達すれば酸のように煙を上げる。】

>>137


『良い意志だ、ここに招かれただけはあるね。』
『―――いや、もしかすればそう言う事≠ゥ?』


【ふと戦う二体の人外へとにじり寄る少女の背後から声がする。】
【その声は人形を助けに向かう少女の意思を称賛した後、何か考えにふけるような間を置いてから】
【『まぁいい』と言葉を切った。どうやら上記で異形の腕を切断したのはこの声の主のようだった。】


『さて、隙は作った。キミの力を持って彼を支援するといい。』
『それが戦うと決めたものの使命であり辿るべき第一歩だからね―――。』


【男性の声はまるで教授するかのようにそう告げる。】
【確かに異形は武器を持った腕を切断されて、一時的に動きが止まった】
【少女が何かをするなら今だろうか?尤も人形の彼も何かしらのアクションをするだろうが】
139 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 16:25:45.02 ID:pUZIhJHb0
>>138
っ……!!
人間の力か、これが……!?

【いくら脆いとはいえ、鉄パイプの一撃は明らかに常人のものではない】
【その赤い目が向けられ、ギアの魂が戦慄する】

【その時にはもう、赤い怪物は恐るべき速度でギアの前に迫っていた。窓ガラスが割れ、床を踏み抜くほどの。鉄パイプが胴を強かに打ち据え、人形の破片が飛び散った】

ぐあっ……!!

【魂が伝える苦痛に悲鳴をあげるギアは、しかし確かな石を宿した人形の瞳で人影を睨み据えた】
【その眼前で、人影の腕が落ちた。赤黒い液体が垂れ落ち、床が焼ける。その時、ようやく耳にその言葉が届いた】

なんだ!? 誰だ……クソっ! わかったよ!

【ギアはようやくためらいを捨てた。サーベルを構えなおし、全速の刺突を人影の首に見舞おうとする。無論、赤黒い液体を警戒して、ギリギリの距離を保ったまま】

【必死の生き人形は、迂闊にもまだ少女に気付かない。少女が何かアクションを起こすなら、今は生き人形が少女の盾となる形になるだろう】
140 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 16:48:09.70 ID:hplBwCVT0
>>138
>>139

ーーーーーーっ!!

【異型の脅威的なスピードはガラスを割ると同時に少女の柔らかな金髪と薄いスカートを巻き上げた。近くにあった手すりに咄嗟に捕まりその軽い身体が浮き上がってしまうのを防ぐ】
【と、同時にーーやられる!ーーとも思った。しかし助けたい気持ちよりも、それを実行しようとする手よりも明らかに異型のほうが速かったーー】
【絶望。目の前の誰かが攻撃されてしまうーー間に合わない……それでも!一撃を食らったとしても彼が耐えてくれたならーー】
【と、少女が腰を浮かせた刹那ーー】

【舞い上がる異型の腕ーー】

【降り注ぐ知らない声ーー】

【"作られた"隙ーー】

【声の主は誰かわからないし振り返る余裕もないーーしかしそこに隙はできた】
【この瞬間から少女の目に映る全てがスローモーションに見えた】
【きっとそれは気のせいーー誰にだって起こる可能性のあるただの錯覚】
【それでも彼女にとっての必死の攻撃がやりやすかったのは事実で】

【海色の瞳は男の刺突と異型を捉えたーー】

【少女は太ももに括り付けていた銀色の……ただの水筒を思い切りその異型へ向かって放り投げた】
【投げられた銀色は真っ直ぐ飛び、異型の足に当たって叩きつけられて中身が吹き出る】
【中から出てきたのは水。そう、本当にただの水でーーそれが異型の流した液体の上から足元へと満遍なく広がってーー】

捉えてッーー!!

【まき散らかった水が柔く光、瞬間に散らばった液体に被さるように硬く、そして異型を逃さないようにその足へと向かってーー異型が彼女の攻撃を避けなければーー地面から無数に生えた槍のように刺さって動きを止めるだろう】
【動きを止められればきっと彼の攻撃はーー】
141 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 17:06:36.06 ID:/q2u4W020
>>139>>140


【少女が放った硬質化した水は異形の胴へと突き刺さり、動きを止める。】
【無数の水の槍が突き刺さった場所からは赤く煮えたぎるような液体が止めどなく溢れる】
【―――だが、確かに異形の動きは止った。】


【ガキンッと、まるで岩石にでも剣を突き立てたかのような感触がギアの手に伝わるだろう】
【だが確かにサーベルの切っ先は異形の首へと突き刺さりその動きを止めていた】
【―――異形はガクンと身体の力を失うと、その場に崩れ落ちてピクリとも動かなくなった。】


『見立て通りだな、二人とも良い動きだ』


【そして先程声をかけた人物が姿を現す。】
【鉛色の腰まである長髪に銀色の瞳をした20代後半、身長180cm程の男だ】
【全身は飾緒や勲章が幾つも装飾されたネイビーのコート型軍服で包まれており、右手には一振りの騎士剣が握られている。】
【奇妙な事にその左半身は手も顔も肌が水銀のような銀色に染まっており、光沢を放っている。】

【男はつかつかと二人の間へと進むと、満足げに口元を緩ませる。】


『―――だが、どうやらこの異変≠フ源はまだ消え去ってはいないようだ』
『この列車が異変に包まれたのか、それとも』

                  『我々≠ェ異変へと呼ばれたのか』


【男はそう言いながら床へ転がる異形の亡骸から襤褸切れをはぎ取る。】
【異形の顔面はまるで卵の殻のように剥がれ落ち、その下は暗黒が広がっていた。】
【無貌の異形―――それはギアの予想通り乗客が変貌したのもなのか?それとも】

【『キミは心当たりはあるかい?』】
【男は少女へと視線を向けて、感情の籠っていない瞳で見つめる。】

【そうして少女の返答を聞き終える前に進行方向の車両へと進んでいこうとするだろう。】
【ついていくか、ここに留まるか―――新たな選択が生まれた。】
142 : ◆L1hyTPHS6I :2019/05/04(土) 17:26:28.49 ID:WKtE7QYw0
>>133
【酒場】

【空腹に見舞われたため、来れば大抵の時間開いているこの酒場にやってきた】
【その少女は紫の髪と眼をし、黒いキャミソールとグローブとショートブーツに身を包んでいた】
【そこで肉やら野菜やら乗ったプレート頼み食んでいると、近くに座っていた壮年の男が酒をやりながら】

"20年後から来た"

【というようなことをいい出した】
【店内は静かで他に目を引くようなものはなく、なんとなく程度のもので】
【紫煙をくゆらせている男の方に視線を向けていた】

//まだいらしゃったら絡みお願いします…!
143 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 17:37:58.36 ID:pUZIhJHb0
>>140
>>141
!? 誰……いやありがとう!!

【その声を聞いてようやく、ギアは少女の存在に気づいた。当然驚きをもってその事実を迎えるが、すぐ意識を切り替える】
【誰かが目の前で傷付くのが嫌だという彼女の思いは知らずとも、彼女が自分を助けようとしていることはわかる】
【ならば、それに応えなくてはならない。ギアは眼前の怪物のみを見据えて、サーベルを突き出した】

【怪物の動きが止まる。恐らくは少女の力。的確な支援を受けて、ギアの攻撃は通った】

!!? 何だこの手応えは……!?

【その肉体もまた人のそれではないということか。岩石に剣を突き立てたような痺れが魂に伝わる。しかし、少なくとも急所は人と同じだったらしい】
【怪物が倒れるのを見てギアは息をつく。人形の身体なのでその真似だけだが。そして少女に向き直る】

ふうっ……ありがとう、助かりました
僕はUTのギア・ボックスと言います。ええと、貴女は……? もしや貴女もこの列車に乗っていて、これに巻き込まれたんですか?

【サーベルを収納し、努めて穏やかに声をかけるギアだが、そこへ新たな声が振りかかった。ギアはそちらにまたも向き直る】

その声、さっきの……!
軍人さん、ですか? 貴方も巻き込まれた口で……?

僕はUTのギア・ボックスです。貴方は……え、ちょっと!?
うわっ、なんだこれ……顔がない? 虚無を殻で覆ったみたいな……なんだこいつは……

僕たちが呼ばれた? 乗客が消えたんじゃなく、僕らが消えてこっちに引き込まれた、と?
ってもう歩き出してる……いや、こうしていても仕方ないな

【行動の早い軍人の後に乾いた人形の足音を響かせながら続く。その先に何が待っていたとしても、このまま一人取り残されるのはごめんだった】
144 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 17:58:22.29 ID:/q2u4W020
>>143

【後方についてくる二人を横目で見ながら軍服の男は満足げに口元を緩める。】
【次の車両への扉を開ける、どうやらそこは食堂車のようであった。】
【カウンターの奥にある厨房には煙を吹くポッドが見える、まるで先程まで誰かがいたかののように。】
【だが人の気配はない、変わらずの静寂が包み込んでいる。】


『ギア・ボックス………ほう、UTか久しく名を聞いていなかったが』
『だが会えて光栄だ、私は―――そうだな、オッツダルヴァ≠ニでも名乗っておこうか。』


【明らかに偽名じみた自己紹介をしながら軍服の男は歩みを進める。】


『さあて、この列車自体が異界と化したのか私達が異界に飲まれたのかは分からない。』
『ただどちらにせよ先程のような躊躇は命取りだ。善良な心を持っているのは良い事だがね。』


『―――さて、面倒事はさっさと切り抜けるとしようか』


【落ち着いた様子でギアへと返答していたオッツダルヴァは、騎士剣を再び構えながら振り返る。】
【その視線の先、さらに前方の車両から先程と同じ襤褸切れを纏った異形が1体、2体、3体と現れている。】
【オッツダルヴァは退屈そうに息を吐き出すと、虚空へ向けて剣を三回振る】

【その瞬間、新たに現れた3体の異形の肩や胴や首が切り裂かれる。明らかに間合いではないにも関わらず。】
【『さて一気にいくぞ』とオッツダルヴァは呟くと体勢を崩した異形へと素早く駆けていきそのまま幾度も剣を振りながら突破を図る】
【オッツダルヴァが剣を振るうたびに異形の身体は切り裂かれ赤黒い液体が飛び散るがそれも器用に躱していく。】

【二人もそれに便乗してついていけば、異形の多少の攻撃はあるが掻い潜れるだろう。】

//少女さんも同行している流れになります!
145 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 18:26:19.49 ID:RfvXQyZaO
>>144
【彼の笑みの意味を人形は測りかねていた。見立て通りという言葉からしても、まるで自分たちを便利な手駒を見つけたかのように見ているようで】
【しかし同時に、何か今の自分にはわからない大局を見ているかのようでもあった】

【ともあれ、歩みは進める。つい今しがた人だけが消えたような食堂車の様子を訝しむ。しかし、答えが用意されているでもない】

……ええ、もうUTを名乗って動いているのは僕ぐらいかもしれませんね
オッツダルヴァさん、ですか……ええ、こちらこそお会いできて嬉しいです
氷の国の軍人さん、ですかね?

【明らかに偽名としか思えないが、それ以上の詮索はしなかった。今はこの事態の打開が先決だ】

……はい。僕も命は惜しいですからね。もう躊躇いはしません
!! また出てき……な!?

【その軍人の腕がどれほどのものか、その片鱗をギアは見た。自分が少女の支援を受けてやっと一人倒した怪物を、こうも容易く三人も】
【彼も何らかの能力者か。だがそんな疑問など抱く間も無く、彼は走り出す】

【ギアはどうにかオッツダルヴァに続き、サーベルを振り抜いて異形の攻撃を防ぎ、赤黒い液体をかわし、時に少女をかばいながら】
【生き人形は乾いた足音を軍靴の音の後に続かせる】
146 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 18:47:35.00 ID:/q2u4W020
>>145


『たった一人になっても組織の意思を継いで戦い続ける、素晴らしいじゃないか。』
『私は―――さぁ、今はどうだろうね。』


【ギアの問いかけには自分自身でも決めかねているような曖昧な回答をする。】
【何とか三体の異形を掻い潜れば、再び客室が並ぶ車両へと到着する事になる。】
【足早に駆けながらオッツダルヴァは視線を一度窓の外へと向けて、そして立ち止まる。】
【まるで狼のように鋭いその眼は黒くそびえる山脈の奥を見つめている。】


          『見て見ろ、どうやら我々は悪夢の中へと迷い込んでしまったようだね。』



【オッツダルヴァの視線の奥、黒い山脈の奥に見えるのは巨大な山?いや、違う】
【それは巨大な生物の影だった、巨大と言っても山脈より巨大なのだ、もはや常識の範疇ではない。】
【鞘形類のようなその大きな影は身体から伸びる幾つもの触手をうねらせて深い霧の中へと消えていく。】
【その異常をあまり長く眺めてしまえば精神、魂に汚染が生じるかもしれない。】


『さて、どうやらこの先が先頭車両のようだ。いいかい?』


【そうこうしているうちに一行は先頭車両へと繋がる扉の前にいた。】
【オッツダルヴァはドアノブに手をかけながら視線を後方に流して問いかけた。覚悟はできているかと】
147 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 19:05:39.17 ID:RfvXQyZaO
>>146
……そうですね。たとえ一人でも、僕はUTのメンバーです
……ミステリアスな人ですね、貴方も

【ギアもそれ以上の追求はしなかった。彼のうちの迷いが何かは知らないが、そこにはおそらく余人が立ち入れない苦悩があるのだろう】
【そのまま客室へ、さらにその先へ。走り続けていたギアは、オッツダルヴァが突如立ち止まったことで危うくぶつかりかける】

ど、どうしたんですか!? 外……!!!
なん……だよ、あれ……!!

【思わずギアは呻いた。山脈であると、当然のように思っていたものが、あのような】
【巨大な怪物を見たことはあるが、あれほどのものは初めてだった。うねる触手の一本一本が、島ほどもあるように見えた】

【ギアは本能的な恐怖を覚えて目をそらした。こんな世界に長くいたら正気を保てなくなる】
【どうにか己の精神を留めるためにもギアは駆け、今度は閉ざされた扉の前で止まることとなる】

……ええ、いけます

【オッツダルヴァに短く返答し、ギアはサーベルを構えた。己の覚悟など、この冒涜的な世界の中では嵐の中の木っ端に過ぎないだろうと自覚しながら】
148 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 19:40:33.65 ID:hplBwCVT0
>>146
>>147

【自分はただただ普通に買い出しへと向かう途中だった。お店に出す商品の買い付け。どちらかといえば女性が好きそうな香り高いハーブティーだったり、柔らかにかおる香水の材料とか……そんなところ】
【だからオッツダルヴァと名乗った者の『心当たり』の問いには首を横に振った】
【自分のようななんでもない者が、なんの理由で……いや、理由なんてないのかもしれない。本当にただの、偶然で……?】

【少女は名を「フィオです」と名乗った。邪魔にならなくてよかったとギアに微笑み、手助けをありがとうとオッツダルヴァに会釈する】

【水筒をひろって彼らの後ろに付いていく。二人が強いから特にフィオは何もせずに守られてばかりだったのだけれど】
【それでもできるだけの補助はした。役に立ったかはわからないけど、きっと邪魔にはなっていないはずって信じて】
【ーーーーそして先頭車両前。フィオは二人の視線を追うーー目の前にーー】

嘘……山が……動いている……?

【フィオはそれをすぐに『生物』だとは認識できなかった】
【見れば見るほど不気味なそれは見てはいけないーーと自分の中の何かが警告してくるような……そんな禍々しさを放っていて】
【ぐ、と爪が手のひらに食い込むくらいに握りしめる。そうでもしないと泣き出しそうでーー】
【しかし二人の後ろ姿をみてふるふると弱くだが決意をしたように首を振る】
【もう片方の足に装備した水筒に触れ。こんなもので役に立てるかとか足手まといなんじゃないかなんて思いも巡るけどーー】

ギアさん、オッツさんーー
私、絶対に負けませんっ!

【キリと目の前の扉を睨みつけて】
【二人に向かって力強く、頷いたーー】
149 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 19:53:31.61 ID:/q2u4W020
>>147>>148

【二人の答えにオッツダルヴァは満足げに頷いてドアノブを回す。】


【扉が開く―――】
【その先は、列車の中であって列車の中ではなかった。】
【そこは古びた時計塔の内部であろうか、埃立ち蜘蛛の巣がある開けた空間。四方には巨大なステンドグラスと】
【奥にある一辺には時計盤の裏が見える、そしてそのすぐ前にある玉座に腰掛けている人物が一人。】
【深く座り、虚ろな雰囲気を纏うストライプの入った赤いスーツに同じ柄のソフト帽、銀色の長髪に赤い瞳といった風貌の隻腕の女性だ。】

【女性は三人へと顔を上げて、ゆったりと微笑む。】


―――やぁ、ようこそいらっしゃい来訪者の皆。
中々に面白い夢の中だろう?君達異能者、特に依り代になりやすい媒介≠以て行った結界術式は。

私はマリアベル、深淵渡り≠ネんて呼び名もある。


『ふむ、君の自己紹介に興味はないのだがこの現象の中枢である事に間違いはなさそうだね。』


【『であれば』とオッツダルヴァは騎士剣を構えてマリアベルに相対する。】
【―――聞こえるだろうか】


【ずるずる】   【ずる】ずる


                          【何かが這ってきている】
150 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 20:02:26.22 ID:qCZlHq0U0
>>142
/すみません、離席してました…
/今からでもよろしければ是非お願いしたいです!
151 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 20:05:11.83 ID:RfvXQyZaO
>>148
>>149
【彼女の挨拶には、「よろしくお願いします、フィオさん」と笑顔で返した。それは、魂だけの人形になってしまった上にこの狂った世界に迷い込んだ身として】
【己の正気を保つための防衛行動でもあったのだろう。本来なら彼女の謙遜になおも恐縮しているところだが、この状況ではそんな余裕すらなかった】

【フィオの援護にまたも助けられて、オッツダルヴァの力に舌を巻いて。だが、そうしてばかりではいられない相手が扉の向こうには待っていた】


今度はなんだ!? この構造、時計塔か……?
空間の繋がりがめちゃくちゃだ……

……凝った玉座だ。お前が黒幕か
全く面白いよ、風邪を引いた時に見る夢の部類だけど

その言い草だと、僕らを狙い撃ちにしてやったわけか
何のつもりか知らないけど、こっちは深淵に沈む気は……

【どうにか虚勢を張ってサーベルの切っ先をマリアべルに向けたギアの言葉は途切れた。その不気味な音を聞きつけたからだ】
【オッツダルヴァやフィオの死角をカバー出来る位置に陣取ると、四方を素早く確認する。音の出どころはどこだ。何が迫ってきている】

【人形の身体では冷や汗も流せないが、この時ばかりはその方がありがたかった。魂は恐怖と戦い続けていたから】
152 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 20:27:10.94 ID:hplBwCVT0
>>149
>>151

【隻腕の……黒幕のオーラを纏う女性にも対して態度の変わらないオッツダルヴァ】

【人形ーーフィオはまだ気づいていないがーーの恐怖を反映しない身体のギア】

【ーーそれとは対照的に。フィオの冷や汗はポタポタと涙みたいに顔に伝い、垂れ落ちて】
【涙じゃないからたくさん目に入ってしみるはずなのに瞬きもできない。フィオはもう目の前の虚ろな女性から逸らすことができない】


(ーーなんて言った?)


【媒介。彼女はそう言った】
【偶然……だと思っていた。自分がなぜかここにいるのも、巻き込まれてしまったのも】
【本来ならもう今頃目的地についてゆったりしていたはずなのに】

【『フィオ、お前は……いろんな……僕が思いつかないくらいの大きなものの媒介になりやすい体質だから』】

【亡き父親の声が頭に響くーー】

【『気をつけなさい、捕まらないようにね』】

ーーーーわ、私のせい?

【小さいながらも引きつった声、それはオッツダルヴァに聴いているのかギアへの質問なのかそれともマリアベルと名乗った女性に答えて欲しかったのかーー】
【なにかの這う音すら耳に届かないくらい、フィオの思想はぐちゃぐちゃに掻き回されてーー】
153 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 20:35:19.08 ID:WKtE7QYw0
>>150
//お願いいたします!
154 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 20:35:53.36 ID:/q2u4W020
>>151


【ずる】


     【ずる】

                      【ずるり】



【気が付けば、時計盤以外の三方にあるステンドグラスに外側から何かが張り付いている。】
【それは触手だった、数十メートルにも及ぶかという巨大な触手がこの空間を取り囲もうとしている。】
【オッツタルヴァはその光景を横目で見ながら口元を緩める】

【そして、二人へと視線を流す。】


『二人とも、飲まれるな。』
『彼女が言うようにこれは人の精神に感応している悪夢のようなものなのだろう。』
『故にこちらが反応すればするほどに相手の思うつぼだ、付き合う必要はない一撃で決めるぞ。』


【『マリアベルとやらに一点集中しろ、周囲は私がやる』】
【そう言うと今にもステンドグラスを破らんとする触手に視線を向けてオッツタルヴァは剣を構える。】


【ずる】


      【ピシリ】


                                【ガコン】


                
                            【ガシャァァァァァッッッン】



【一呼吸のあと、触手はガラスを突き破り濁流のように内部へと流れ込む。】
【触手には無数の眼がついておりその一つ一つがギョロギョロと動き回る。】
【オッツタルヴァはそれに向けて高速で剣を幾重にも振る。】
【流れ込む触手は一瞬で細切れになり、それを踏み越えるように次の触手が流れ込む。】

【すかさず刃を振るうが、オッツダルヴァの体力がどこまで持つのか―――】
【ただ一点、触手が流れ込まない時計盤の前に座るマリアベルへの道は開けたままだ。】
【マリアベルはただ微笑んでいる、まるで児戯を見る母親のように。】


【オッツダルヴァの言葉を信じ、ただ一撃に全てを込めるべきか否か。】


【彼は二人に背を向けて斬撃を放ち続けながら視線だけを後ろへ向ける。】


『フィオくんと言ったか、それはきっと違う。キミの体質がどうあれこの結果はなるべくしてなったものだ』
『だがそこに自責の思いがあるのなら―――ただ前へと進め。』


『ギア・ボックス、彼女の道をサポートしてやれ。』

【『任せたぞ』とそれきりオッツダルヴァは口を開かなかった。】
155 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 20:40:33.34 ID:f+x56qfE0

【深夜――】

【不気味な靄が微かに烟っていて見通しは利かない。気まぐれな風が木々を揺らす喧騒だけが、唯一確かなものだ】
【その"怪異"は森の奥深く、獣道を掻き分けて進んだ先でようやく見つかった。月よ陰れとばかりに天へと伸びる古塔の廃墟である】
【そこら中に崩れた煉瓦が散乱し、雨でも降ればすぐに倒れてしまいそうなほど頼りなく――それでいて、それは小動もせずそこに在った】

【春の陽気も消え去って、冷たく張り付くような空気が漂うその場所に、ひとりの人間がいる】


 ………。さて。
 どうするかな、ここから。
 

【それはすらりと背の高い、二十代半ばぐらいの女である】
【白いジャケットに深紫色のインナー、黒いレギンスに赤褐色のブーツ。腰には大小多くのポーチが付いたベルトと、活動的な服装】
【桜花の柄の腰布とハーフアップに編み込んだ髪を留める二本の簪、左腰に佩いた緑鞘の刀が、桜の国特有の風情を醸し出している】
【淡く月の光と同じ色を差す長髪は、毛先へと流れるにつれ鮮やかな新緑の色へと彩りを変えており――】
【深紫の瞳は優しく抱く宵闇のようでもあって、しかし丑三つ時の澱んだ闇よりまだ深く、見通しきれない何かを秘めていた】

【女は塔の入り口らしき部分の脇にしゃがみ込んで、ごそごそと何かをやっているようである】
【――その足元にあるのはヒトの死骸だ。恐怖にまみれた表情のまま命を失くした肉塊。飛び散った血は、未だ新鮮なままだった】


156 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 20:52:41.60 ID:pUZIhJHb0
>>152
>>153
……フィオさん。貴女のことは会ったばかりで何も知らないし、狙われる心当たりがあるのかもわかりませんが
単純に考えましょう。貴女にどんな事情があったとしても関係ありません。悪いことしてるやつのせいに決まってるでしょ

【そう言いつつも、流石にギアの身体はカタカタと乾いた音を立てて小刻みに震えていた】
【仮初めの器に魂だけの存在であるギアは、こうした精神に関わる力の影響をモロに受けてしまう】
【必死に視線を、意識を、眼前の敵一人へと固定する】

長引くほど、こっちの不利ってわけですか……わかりました
やってやりますよ。フィオさん、酷ですが今は全員でやらなきゃ勝てません。僕が先行します。続いてください

【精巧な人形の歯をギリリと噛み締め、ギアは身構える。ガラスが破られる音も、背後のオッツダルヴァの剣撃の音も、全て頭から締め出して】
【鋭く細く。狙うはマリアベルの心臓一点。サーベルの切っ先を向ける】

―――!!!

【無言の気合いと共に、ギアの靴底が破裂し、巨大なスプリングが飛び出した】
【その勢いでギアの身体はマリアベルへと飛ぶ一発の弾丸となる。サーベルを刺突の形に構えたまま、一直線に。回転しながら飛ぶ様はライフル弾の如し】

【マリアベルの視線から、フィオを庇う軌道だ。何の妨害もなければ、そのままマリアベルの胸の真ん中を刺し貫けるはず】
【当然、何の妨害もないはずはない。己の目立つ動きが、フィオのための囮となれば充分だと、そう考えて】

【捨て身の一矢の成否は果たして】
157 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 21:00:38.08 ID:qCZlHq0U0
>>142

【ただそんなことを急に言ったところで誰もが冗談としか捉えず】

『じゃあ、明日のサッカーの結果を教えてくれ』

【だとか、そんなようなことを聞くわけだが】

20年も前のことを覚えてるか?マニアならまだしも、そんな細かいこと覚えちゃないよ

【煙草を吸いながら、彼は笑う。「それに」と付け足して】

もうすでに俺の知っている歴史とは違うかも知れないんだ。SFは好きか?
連鎖的に時間ってものは変化するんだよ。

【なんて預言者だとかそういうたぐいのペテン師がみな言う似たような理論を口にして】

だが、歴史が変わってなけりゃ…ここの店の名物のガーリックシュリンプは
先代のおやっさんの好物で、代替わりしてからは売ってないはずだ。あんたが甲殻類のアレルギーだから。

【ありきたりな会話は、酒場でのマナーみたいなものだ。100回同じ話をして、同じオチで笑う】
【15分後に刺客が来るという未来はイレギュラーだが、まだ誰も気づかない】
【少女の視線は目ざとく気がついているが、彼は何も触れなかった。見られたぐらいで難癖つけるほど若くない】

/よろしくおねがいします!!
158 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 21:13:59.28 ID:hplBwCVT0
>>154

きゃぁあぁッ!!

【純粋な驚きだった。思考に必死だったフィオはガラスの割れる音にこれでもかというくらいに驚いて】
【悪夢みたいな触手に、絶望してーー】
【飲まれるなとオッツダルヴァに言われたばかりなのにもう、あと人差し指でツンと押して仕舞えば飲まれてしまいそうなほどーーでも】

なるべくして……

【ぼやりと言葉を繰り返す】
【「お前は悪くない」っていわれたふうに聞こえたのならちょっと大袈裟なのかもしれないけれど、元々前向きなフィオだーーこの二人を巻き込んだのは自分のせいじゃなく、目の前にいるマリアベルなのであればーー話は別だ】
【ぱち、と両頬を叩けば戦ってくれているオッツダルヴァの背に向かって明るく、言い放つのだろうーー】

オッツさん、私、彼女に話つけてきます!!


>>156

【出会ったばかりの、まだ名前しか知らないギアの後ろについたーー】
【ーーあ、この人も怖いんだーーなんて妙に落ち着いたもんだから彼の震えが、恐怖が、伝わってきちゃって】
【それでも前へ進む彼の後ろを、先程開けた水筒の残りの水でーー水晶で応戦し】

【禍々しい空間に星みたいにきらきら散る水晶ーーやがてそれはマリアベルへ続く道になる】

ギアさんのいう通りです
悪い人が悪いんです!だからこの悪夢だってすぐに覚ましてーー

【もう片方の水筒を開けて投げればクルクルと綺麗に回転しながら針みたいに細いクリスタルが無数に出来上がって】

私たちみんなでお家に帰ります!

【弾丸のギアを援護するようにそのクリスタルはマリアベルへと向かって燕みたいに飛んでいくーーある程度の妨害なら弾くことができる……かもしれないがーー】
159 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 21:26:56.49 ID:/q2u4W020
>>156>>158


【弾丸のように、流星のようにマリアベルへと駆けるギアボックス。】
【それを援護するかのように無数のクリスタルを放つフィオ】
【マリアベルはその二人の攻撃に対して身じろぎすらしない、ただ口元を緩めて呟く。】


                 ―――正解♪


【そしてなんと二人の攻撃はマリアベルの身体と彼女の座る玉座を通り抜けてしまう。】
【そのまま時計盤へと突き刺さるだろう―――そして、その一撃がトリガーとなったのか】
【ガコンッと、時計盤が動き始める。】


【マリアベルはその様子を満足げに見てからオッツダルヴァへと視線を向ける。】


さて、かくして止まっていた時は動き出した。これでもういいんじゃないかい?


『―――やはりそう言う事か、全ての中心はキミではなく私か。』


ああ、そうだよあの日に死んだ君の怨念とも言うべき意志が働いた結果さ。


【まるで答え合わせをするように二人は会話を始める。】
【いつしか触手の侵攻は止っていた。オッツダルヴァは項垂れた様子で視線も定まっていない。】

【周囲へと視線を向ければ、この時計台の空間が徐々に崩れ始めている。】
160 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 21:33:23.91 ID:WKtE7QYw0
>>157
【香辛料の効いた骨付きの肉を綺麗に食べ終わると、近くに備えられたテーブルナプキンで口を乱暴に拭きカウンターの上に転がす】
【席から降りると視線を向けていた男の方に近づいていき、席を引き改めて男の隣に座る】

【別に立ったままでも良かったのだが、身長が152cmしかないため見上げて話していてはあまり格好がつかないと思ったのだ】

お話してるところ申し訳ないですね。
重ねて不躾ですが、なぜ未来から来たというお話をしようと思ったのですか?

【と言葉通り不躾でしかない質問をする】
【その目には茶化そうなどという感情は宿っておらず、純粋に疑問に思っている目をしている】
【だが純粋であればいいなんてことは一切なく、それ故に寧ろより悪いこともある】

【それを聞き少女は男と同じ方向を向いた】
161 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 21:34:20.81 ID:WKtE7QYw0
>>157
//よろしくお願いします!
162 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 21:40:36.88 ID:RfvXQyZaO
>>158
>>159
【眩いばかりに輝く水晶たちは、こんな時でなければ見とれていたくらいに美しかった】
【そんなクリスタルの群れと共にギアは飛ぶ。悪夢を払うため。だか】

な……!!?

【伝わった手応えにギアは絶句した。本人はおろか玉座すらにも触れ得ず。決死の攻撃は、むしろ何かの引き金を引いていた】
【即座にサーベルを時計の文字盤から引き抜いたが、すでに「時」は動き出していた】

なんなんだ……何を言ってる!?
オッツダルヴァさんがもう死んでる……?

!! 空間が……クソっ!! とにかくここにいちゃまずい!!
フィオさん、早く引き返すんだ!! オッツダルヴァさんは……

【ギアは叫びながら振り向き、入ってきた扉へと駆け寄ろうとする】
【フィオにはそう言うが、オッツダルヴァに対しては二の句が告げなかった。マリアベルの言うことが真実ならば、彼は恐らく戻れない】
【躊躇えば終わりだ。しかし、先ほど会っただけとはいえ、共に戦った彼を見捨てるのか】

【その逡巡も、恐らくは無意味なのだろう。いつも残酷極まるこの世界においては】
163 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 22:03:06.59 ID:hplBwCVT0
>>159
>>162

なっーーーー?!

【すり抜けたクリスタルはパンッと音をたてて無残にも散る……】
【いや、散るだけならまだよかった】
【これを表現するに一番近い言葉はーーやらかしたーーだろうか?】
【先程までとは違う明らかな変動ーー止まる触手に、訳のわからない二人の会話】

な、なに?どういうこと?

【さっきまでの威勢は何処へやら、狼狽える瞳が揺らぐーーここで泣き出して周りの大人がなんとかしてくれるような本当に何もわからない赤ん坊だったらどんなに楽だったのだろう】
【もちろんフィオは何をわかっているわけでもない。それこそ赤子のようにーーでも《まずい》というのだけはハッキリわかっている。嫌というほど、感じたことがないくらいには】

【崩れ出す時計塔に後退り、駆け出すギアにわたわたと付いて走る】

【ーー何がどうなっているの!?と自分の声が頭に響く】
【抗うように、もがくように逃げるーーが、その歩みを止めてしまう者がそこにはいた】

オッツさん……っ

【項垂れた姿に思わず足を止める。なんならよろよろと駆け寄ってーー駆け寄ったつもりだけど駆けてるように見えない足取りでーー】

逃げましょう、危ないです、やられちゃいます!!

【服を掴んで、引っ張ってみる。先にいるギアのもとへ二人で行こうと、項垂れる彼の裾を、今出せる力いっぱいにーー】
164 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 22:03:35.01 ID:qCZlHq0U0
>>160

【男は急に少女が隣りに座っても驚かなかった】
【まるでこちらに来るのが見えていたかのようだった】

…天気の話をするよりかはずっとマシじゃないか。
それより、何だ?今の話、信じるのか?

【ふっと笑って。店主に声を掛ける】

店主、嬢ちゃんにジュースでも出してやってくれ

【店主は待っててくれとバックヤードに消えた。すると男はサングラスを外す】
【その目は赤かった。白であるべきのところが真っ赤で、血のようで】
【瞳は真っ黒だった。不気味でそれでもどこか美しい】

………良くないことが起こりそうだ。離れていてくれ

【しゃがれた低い声を更にワントーン落とし、彼はそうつぶやいた】
【右手でタバコの火を灰皿に押し付け、もみ消して】
【彼は懐からゆっくりと、カウンターのしたで隠すように腰の拳銃を抜いた】

【44口径のような大型のそれ、シルバーは薄い赤みを帯びていて】
【美術品のような美しいエングレービングが全体に施されていた】
【それの撃鉄を、音を立てないように、ゆっくりと起こした】


【3分後、入り口から入ってくる2人組は入ってくるなり、男を見つけると】
【手にした拳銃を彼に向けるだろう】
165 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 22:16:23.94 ID:/q2u4W020
>>162


『―――それでいい、ギア・ボックス。』
『私に構うな、私は既に櫻州≠ナの戦いで敗れ死んでいる。ようやく思い出したよ。』
『だが道半ばで斃れた事や氷の大地へ戻ると言う怨念が水と氷を結ぶこの列車に取り憑いたのだろう。』


【オッツダルヴァは全てを悟ったように崩れ行く天井を見上げながらそう呟く。】
【もしギアが数か月前に櫻州≠ナ起きた出来事を知っていれば彼の顔にも見覚えがあるかもしれない。】
【彼は一歩も動こうとはしない。】

『そして生き人形≠ナある君と媒介体質≠ナあるフィオ君の二人が偶然乗り合わせた時』
『二人を依り代としてこの異界を作り上げたという訳か。』

―――そ、まぁ私がより意識を定着させやすいように少し術式を加えてるけどね。
中々いい悪夢が見れたよ、おかげで物語≠烽ワた少し揃った。

そして―――君たちの力によって彼の止まった時は動き出した。であれば
この空間も時期に終わる筈さ、私の術式も時計盤に連動させてあるしね。


【マリアベルはまるで舞台監督のように身振り手振りで説明しながら脱出しようとするギアとフィオを見る。】

>>163

【フィオに強く引っ張られるがそれでもオッツダルヴァはびくともしない。】
【だが視線を上げた彼はどこか満足げでフィオを見ると、彼女の頭を撫でようと右手を向ける。】

『いや、もういいんだ。私は既に終わった者だ今更どうにもならない。』
『ただ最期に君たち二人の前へ進む意思を見れただけで充分だったのさ。』


『付き合わせてしまってすまない、願わくば君のような子供が戦場に出ないような世界になるように』
『―――全ての子供に幸があるように、願う。』


【それだけ言うとドンッとフィオの背中を強引に押してギアの方へと突飛ばそうとする。】
【『彼女の事は任せたぞ、ギア・ボックス。勇敢な戦士』そうギアへ視線を向けると時計盤の方へと歩きだす。】



【時計塔の崩壊は止らない、オッツダルヴァの姿も瓦礫の中へと消えていく。】

【マリアベルは最後まで微笑みを浮かべたまま左手を掲げて指を鳴らそうと構え、そして―――。】


                    夢は終わりだ



                      【ガコン】




【―――】
【―――――】
【――――――――】


【気が付けば二人は列車の中、自室にいつの間にかいるだろう。異変が起きる前と変わらず。】
【耳を澄ませば部屋の前を行き交う足音や隣の部屋の話し声が聞こえてくる、そして】
【窓の外にも白く澄んだ雪山が広がっている。】

【もし廊下へと出て見れば二人は出会うかもしれない、何故なら二人の部屋は隣りあわせだったのだから】
166 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 22:37:28.60 ID:WKtE7QYw0
>>164

ええ…そうですね、うまく言語化できないですけど、信じて話を聞いてみたいと思いましたね…。

【自分の言葉を自分で確かめるようにやや伏し目がちになりながら言葉を答えた】

ありがとうございます。

【バックヤードに消えていくマスターを目で追いながら言う。もちろんご馳走になったことへのお礼である】

あ、マスター料理美味しかったです。

【背中に向けそう言葉を発した】

【サングラスを外した男の目を見る。眼というのはそれだけで印象的なものだ】
【それは多分生物の本能に根ざしたものなのだろう】
【この少女は人工的に造られた人間だが、構造は同じなので同じようにそういう感情を持っている】

【その眼は殊更に印象的なものだった】
【本来であれば人の眼というのはそんなにじっと見るものではないが】
【それも忘れて思わずじっと見てしまうような…】

【何かに気付いたように再び見ていた方向に向き直る】
【その後男の言葉を聞き】

わかりました。

【と短く答え、席を立ち壁際に寄る】
【その後僅かに静かな時間が流れて、入り口から男の二人組が入ってきた】
【その二人組は入ってくるなり拳銃を構える】

【少女は驚かなかった。良くないことが起こると今席を共にしていた男が言っていたのだから】
167 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 22:41:43.61 ID:pUZIhJHb0
>>163
>>165
櫻州の……そうだその声、その顔……貴方まさか、あの件の氷の国軍の……!!

【ギアもあの件の情報は、ニュースやカニバディールとの情報共有によって知っていた】
【そして全てを悟る。やはり彼は死者であり、彼とはここで別れねばならないのだと】

たまたま、僕とフィオさんがそういう存在だったから……そういうことですか

マリアベルとかいう女は、何が目的かは知らないけどそれを助長した……
お前は気に入らないけど、ここから戻れるなら今回はもういい。出来れば二度と会いたくないね

……オッツダルヴァさん。いや、「テルミドール」さん。ほんのひと時でしたけど、共に戦えて光栄でした

【出口を確保しながら、ギアは芝居掛かったマリアベルを無視し、オッツダルヴァに、いやテルミドールに氷の国式の軍礼をすると】
【テルミドールに送り出されただろうフィオを促して先に出そうとする。任せたと告げられた言葉にはただ頷いて】
【ギアは崩れ去る夢の世界を後にするだろう】


…………。ひどい悪夢だ

【ギアは戻ってきた自室内でそう呟いた。降って湧いた一瞬の、されど濃密な悪夢。夢から醒めても、この先つきまとうだろう記憶であった】
【白い雪山を確認して、周りの人たちの音を聞いて、まずは戻ってきたことを実感し。ギアは部屋の外に出た】

【もしフィオと鉢合わせたのなら。何とも複雑な表情で、彼女に改めて現実での挨拶をするだろう。奇怪な戦いを共にした戦友として】
【そして、窓の外の雪山を再び見やると、静かに目を閉じてテルミドールへの黙祷を捧げた】
168 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 23:00:06.89 ID:qCZlHq0U0
>>166

それが、良くない未来だったとしても?

俺は信じたくなかった。あんなクソッタレな世界が俺たちの結末だとな
だから、戻ってきたんだ。…世界をやり直すために

【彼の目は複雑だ。憂い、悲しみ、後悔のような悲哀と希望が入り交じる】


……いい子だ。

【入り口はカウンターの左側で、彼は跳び上がるように、カウンターから席を立った】
【2人組が拳銃を向けるより早く、彼はリボルバーを撃ち鳴らした】


<Bang!!>


【弾は2発で十分だ。無駄な銃声は起きず、彼の放った銃弾は2人の刺客の脳天を撃ち抜く】

【だが、それだけじゃない!】

【テーブル席で新聞を読んでいた男が立ち上がる。手には同じような拳銃を持っていた】


―――クソッ!!


【男は咄嗟に、腰に左手をやる。男はもう一丁のリボルバーを引き抜いた】
【黒色の対になるようなそれの撃鉄を起こしながらもうひとりの刺客に向ける】

【だが、その時バックヤードから店主が戻ってくる。】

【手に水平二連式、ロングバレルのショットガンを構えながら】

【キチリ。店主が構えた銃口の先に男を捉えた】

169 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 23:03:46.80 ID:hplBwCVT0
>>165
>>167

【頭を撫でた手は、優しかった】
【今日会ったばかりで、なんなら名前だって偽名で、フィオは何一つ彼のことを知らないと言っても過言ではない】
【でもそれでも滲む泪は抑えられなくてーーポロ、と一雫。落ちた泪はキラリと水晶に変わって床に落ちたーーそれは彼女が使える魔力の限界を意味していて】
【押された背中、抵抗もなくギアのもとへと向かわせられーー促されるまま、現実へと向かう】
【最後にちらりと振り返って、ギア越しに二人の姿を見れたのか、見れなかったのかーー】

……私のバッグ……

【本当に唐突な戻り方だった。ドラマチックな演出があったわけでも、体を劈く痛みがあったわけでもなく、ただ当然に、ずっとそこに居たかのように立っていて。人々の声も聞こえてきて】
【安堵ともう一つ、よくわからない感情が込み上げてほろほろと目から水晶が零れ落ちる】

制御できなくなってる……

【そう言って列車の、豪奢な椅子に座って心が落ち着くまで一人で座っているのだろう】
【そうやって落ち着いて、列車も無事に目的地に着いて降りる時にでもギアと鉢合わせてーー「怖い夢でした」なんて強がってーーやがて目的地へそれぞれ向かうのかもしれないーー】
170 : ◆rZ1XhuyZ7I [saga]:2019/05/04(土) 23:07:37.46 ID:/q2u4W020
>>167>>169

【時間にして経過したのは数秒程度のようであった。】
【本当に夢だったのか、いやそんな事はきっと二人は分かっている筈だ。】

【―――そうして列車は進んでいく、その先に何があるのかも知らぬままただ真っすぐに。】



【異界列車=\――終幕】


//お二人ともありがとうございました!
171 : ◆moXuJYo6C0cW [sage]:2019/05/04(土) 23:14:01.82 ID:pUZIhJHb0
>>169
>>170
【もともとのギアは小市民だ。だから人の心に踏み込む術など持ってはいない。フィオの抱える闇をどうにかすることは出来ない】
【だからせめて、フィオが了承するなら彼女に名刺を渡すだろう。「探偵の真似事をしてるんです。何か困ったことがあれば、協力しますよ」。そう言うのが精一杯だった】

【異界で体験した出来事、あれが何だったのか。闇の中に隠れた事実を知る時は来るのか】
【わからない。だから、また進み始めるしかない。フィオと別れれば、ギアは歩き出す。闇に包まれた未来へ向けて】
【あの戦いに恥じないよう、立ち止まらず進むのだと自分に必死に言い聞かせながら】

/お二方、長時間ありがとうございました!
172 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/04(土) 23:26:12.00 ID:hplBwCVT0
>>170
>>171

探偵って普通そんなにお強いですぅ?!

【なんて声が響いたのは言うまでもない】
【ペコペコしながら名刺を受け取り、私からもと渡されたのは彼女の経営するハーブ専門店《LIORO》のパンフレット】
【もし興味があれば……プレゼントとかにも……なんて言いながら恥ずかしそうに手渡ししーー】
【また機会があれば会えるといいですねーーそう言ってフィオレンティナは微笑んだ】


【やがて目的の物を手に入れたのならば、彼女はまたその列車にのって帰るのだ。今度はきっと何もなくーー】

//初ロールでしたが大変楽しかった&勉強になりました!
//お二方ありがとうございました!
173 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/04(土) 23:27:05.36 ID:WKtE7QYw0
>>168

【男の言葉を、表情を見】

そうですか…どんな未来も信じることから始まると思いますから…。

【伏し目がちになって僅かに俯きながら答えた】

【店内の新聞を読んでいた者が銃を構えた時点で咄嗟に反応していた】
【少女は壁際に寄ったときから備えていつでも戦闘態勢に入れるよう準備していた】
【だからそれは殆ど反射のようなものだった】

【少女の身体が筋力だけを由来にしている速度とは明らかに逸脱した速度で銃を構えた刺客へと一直線に突っ込んでいく】
【それは比喩ではあるが弾丸のような勢いで】
【そしてその勢いを足裏に乗せて刺客の胴体ど真ん中にめり込ませる】
【椅子とテーブルを激しくひっくり返しながら吹き飛んでいき】
【壁にヒビを作るほどの衝撃で激突する】

フゥゥ…

【呼吸を乱さないために整える呼吸を発しながら、すぐさま周囲に警戒を張り巡らせる】
174 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/05/04(土) 23:46:35.69 ID:gbipCJ3F0

>>129

だからこそ……ですか……

私は……お祖父様を見返してやりたい……
失敗だって取り戻せるんだって、私こそがお祖父様の後継者として相応しいんだって認めて貰いたい……
私は父様達とは違うんだって証明したい……
【その為だったら、と呟かれた声。固い意思の現れで】

【渡された指輪。ついととられた左手のその薬指、小さな指輪が嵌められれば少女は「ほんと、ですか?」と小さく尋ねる】
【本当に祖父に誉れとして貰えるのだろうか?そうなら良いのに】
【この世の果てまで愛してくれるだなんて、夢みたい、だけれども】
【そんな想いをその一言に乗せて】

……ええ、何処までも、御伴致します、道賢様

わたしの、いとしいひと──

【とられたままに絡められた指。重なりあった手と手】
【抱き寄せられた身体は白く、柔らかで】
【漂った甘い香り】
【桜色の両頬に挟まれた桜の色よりは濃くとも淡い色合いの花弁二枚】
【その口づけを、受け入れて──】


175 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/04(土) 23:52:30.18 ID:qCZlHq0U0
>>173

……いい言葉だ――――


【俺は咄嗟にテーブルの男に向けた銃の引き金にかけた指を離した】
【そして、見えていた。背後で店主が俺にそのタブルバレルを向けていることが】

【俺は人知れず、能力を使った。視界が真っ赤に染まっていき、赤と黒で構成させる】
【赤と黒のブルースは、時間を止める。実際に止めるわけじゃない。考える猶予を能力が与えてくれる】
【映画に良くある手法で『バレットタイム』というものがあるが(銃撃戦とかのシーンでゆっくりになったり止まったりするあれだ)】
【俺の視界はそうなって、ショットガンの散弾を避ける、算段をつける事ができる―――】


―――ッッ!!


【とはいえ、歳だ。考えたとおりに体が動くとも行かず、まるで転がるように背後からの一撃を避ける】

【激しいショットガンの爆音と、床板を撃ち抜く音が真横に聞こえ、俺は店主に向けて銃を向けた】


<Bang!!Bang!!Bang!!>


【床に倒れた俺はなんとか左腕を伸ばし、連射した。カウンターごと。木製のそれは軽々貫通し】
【店主の体に叩き込んだ。44口径に近いそれの威力は十分だ。店主は後ろに倒れ、リキュールが並べられた棚に激突し】
【ガチャガチャと瓶を降らせて、それが割れて。銃声の耳鳴りが消えて、静寂が戻ってくる】


……そいつ、死んだか?

【息が荒い。年だ。俺はせめて冷静に取り繕いながら少女に声をかけた】


――訊かれそうな事を先に答えておく。まず、襲ってくることが予知できていたわけじゃねえ。
未来を知っていたわけじゃない。まずは勘。何かが違った。俺の知っているこの店のはずだがな。
だから、店主にカマをかけた。甲殻類アレルギーだったのはオヤジの方だったはずだ。
…年をとるとな、くだらねえ昔のことばかり覚えているんだ。だが、店主は―――それで気がついたんだ。

―――能力者か、あんた。
176 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/05(日) 00:22:26.45 ID:yTUBpRST0
>>175

【三連撃の銃声を聞き、男の言葉とともに振り返る】

手加減はしましたけど――――わからないです。

【その言葉に偽りはなかった】
【やろうと思えば首に蹴りを叩き込み、折ることで確実に絶命させることは出来た】
【なので一応は手加減はしたのだが、相手が銃を構えている以上こちらもある程度のスピードは確保しなければいけなかったので】
【その速度での蹴りが致命傷にならないほどに抑えられていたかはわからない】

【壁にもたり掛かりぐったりしている刺客の側に近寄る】
【臨戦態勢に入り鋭敏になった感覚がその刺客の僅かに繰り返される呼吸音を感じ取る】

生きてますね。一応。

【男の方に向き直って答える】

能力者ですね。あなたも…

【歯切れ悪く聞き返す。倒れた店主の方に僅かに意識を向ける】
【蹴りを叩き込んだ後にすぐに店主の方を見た】
【ショットガンを発砲してるしてるとこで、それを躱しているとこだった】

【それは未来がわかっているような動きだった】
【未来がわかっていたから躱せたのか、能力があるから未来がわかったのか】
【確定だと思えるものは当たり前だがいつもなにもない】
177 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/05(日) 00:51:26.65 ID:TuM9NK7J0
>>176


―――暫くは起きないだろうな。まあいい、放っておこう
どうせ、こいつらは何も知りはしないさ。

【俺は拳銃をしまって、カウンターの上に置きっぱなしのタバコを手にとって火をつけた】
【店内にはもうすでに気配はない。俺はくわえたまま死んだ店主のショットガンを拾い上げた】

巻き込んじまっただけじゃなくて、助けてもらってすまない。
わかってるだろうが、狙いは俺だ。未来を変えてほしくない奴らの差金だ


【ショットガンに弾を詰めながら俺は話す。――見えた少女の表情を探る】
【表情という表情の少ないやつだ。だが、その動き】

――ただの能力者じゃあないだろう。何者だ。単なるガキじゃないだろう
戦い方がわかってる。そういう動きだ。

【俺は煙を吐き出して、そう聞いてみた。最初、隣りに座ったときは】
【もしかすると敵の一味かと思った。だが、違う。運命の偶然だ】

【能力者はそういう運命の偶然に巻き込まれ、付き合わされがちだ】


――俺の目は死角がない。視えるんだ。弾丸がどこを狙ってるかもな
…奢りのオレンジジュース。飲むなら今のうちだ

逃げるにしろ、裏口も表口も待ち伏せていることだろう。
警察に電話してっていう手もあるが、あいにく俺はそういうわけにも行かない

通りに出たら、逃げろ。それまでは悪いが、付き合ってもらうよ
178 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/05(日) 01:15:52.28 ID:yTUBpRST0
>>177

いいえ、私も反射的に動いたみたいなところありますから。

事情はわかりました…。

【少女の胸中には今は物言わぬ肉の塊となってしまった店主だった男が最後に作ったであろう料理のことが思い返されていた】
【それはこの少女が食べた料理】
【"簡単に人に手を掛ける人間にも美味しい料理は作れるのだな"とそんなことが思い返されていた】

【だがそれはとても声に出して言えるものでもなかった】
【簡単に人に手を掛ける人間とは自分となにも違いはないのだから…】

私の能力は一言で言ってしまえば身体能力を強化する能力です。
それ故に徒手空拳で戦う技術はそのまま有効に使うことが出来ます。

実戦の経験も…少なくないと思います。

【説明を聞いて先程の動きを納得する】

私まだお支払いまだだったんですよね。
貰い手がいないというのは少し寂しいものですね。

【すぐに前を向いて。軽く拳を握る】

私なら大丈夫です。きっと切り抜けられると思います。
179 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/05(日) 01:50:05.59 ID:TuM9NK7J0
>>178

【煙草をもみ消して、俺はジャケットのポケットから名刺を取り出した】


金もねえ、若くもねえ…大した礼はできないが。これでもしがない探偵だ。
なにかあれば連絡してくれ。未来から世界を変えに来るぐらいだ
多少は、使える人間なはずさ。

【手渡す名刺には大したことは書かれていない。ROSSOの名と電話番号だけだ】

だったら後日、本物の店主にでも払えばいい。―――こいつらに殺されてなけりゃな
明日は今日よりマシな一日だと祈ってるよ。それは俺にも誰にもわからない。

あんたが信じるなら、俺は祈る。

【俺はショットガンを構え、ドアの蝶番とドアノブを撃ち抜いた】
【ショットガンを投げ捨てて、両手に拳銃を構える。トゥーハンド。安っぽいガンマンの真似事】

じゃあな、ハヴアナイスデイ。

【祈りは無意味だ。何もできない人間が唯一できることだ。信じるということはいくらかの理性があるが】
【祈りは神性だ。神は信じていない。ただ、祈りという行為がやすらぎを与えてくれると信じている】
【自分たった一人で世界を救うだとか、変えるだとかできるだろうか。だけれどそれをするならば信じている】
【それよりももっと祈るしか無い。明日はマシだと】

【そう言って、俺はドアを蹴破った】



/てな感じの俺たちの戦いはこれからだ!!的なところで〆させていただいてもよろしいでしょうか!
180 : ◆L1hyTPHS6I [sage]:2019/05/05(日) 02:29:30.07 ID:yTUBpRST0
>>179

【差し出された名刺を受け取る】

わかりました。
何かあったときは連絡させていただきます。

【そして名刺に目を落とすと電話番号と"ROSSO"という名を確認する】

そうですね。
明日はどう転がるかわかりませんけど、
信じること祈ることがもしかしたらふと止まりそうになる足を再び進ませることもあるかもしれませんから。

【ショットガンを構えドアを吹き飛ばすロッソに向かって言葉を投げる】

私の名はフロイトといいます。
次はガキじゃなくてそう呼んでくださいね。

【その声はショットガンの銃声と着弾の派手な騒音にかき消されてロッソの耳には届いていなかったかもしれない】

実は私能力者を[ピーーー]ために造られた存在なんです。
もしまた出会うことがあればそれが良きものだと"祈って"。

【ロッソは既に床を蹴り走り出していたのでその言葉がまたしても届いていたかはわからない】

【今の音を聞き刺客はみな表口の方に向かっていったであろう】

【フロイトはロッソとは正反対の裏口へと向かって歩き出した】


//〆させていただきました! 絡んでいただきありがとうございます。
 楽しかったです!
181 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 14:55:11.28 ID:AkDEdh7Z0
/>>155で21時ごろまで再募集します
182 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2019/05/05(日) 17:32:55.66 ID:dzeJx68X0
>>155
>>181
//まだおられますでしょうかー?

【この森の鬱蒼たる雰囲気に似合いの、病んだような青白い月明かりが、地上を照らす】
【澄んだ夜気はしんと静まり返って、静寂が耳に痛いほど】
【女の行いの一部始終を見届けるのは、ただ、夜空に浮かぶ月ばかりだと思われた──その時だった】


 どうするかな、ってのは──その死体の、後始末の話か?


【後方。夜の帳の向こうから、ふと何者かが、女に問いを投げかける】
【凛と冷たく透き通った響きの声音。追求するような有無を言わさぬ厳しい語調は、言外に「お前が下手人か?」とも問うていた】

【さながら猫のように足音もなく歩み寄ってくる声の主は、ひどく中性的な容貌の女だった】
【切れ長の目に、鋭い鼻梁。固く引き結ばれた、薄い唇。櫻の面影を残しながらも、櫻国人離れした、亡霊のような白皙の肌】
【肩に掛かるほどの高さで無造作に切り揃えられた烏色の髪は、ほの青く月光を透かして夜風に揺れる】
【長身に比例して長い手足を包む、闇に溶けるような群青色の長外套には、裾と袖がゆったりと広がった、櫻で言うところの羽織のような意匠が見られた】

【おもむろに外套の前を合わせるベルトを解けば、こちらの腰にもまた、刀。帯びたる数は大小二振り】

 或いは──

【「何か、申し開きがあるのか?」】
【口数は少ないながらも、その挙措は何よりも雄弁に、己の意思を物語る】

【腰の白刃は未だ鞘の内にある。正義を語る長口上も、素人目に見て取れるような、大仰な構えもない】
【しかし、女はゆるく刀の柄に手を添え、左足を半歩引いて、ほんの微かに、重心を前方に傾けている】
【彼我の距離はやや離れているが、熟達した剣士にとっては十分に一足一刀の間合いの内】
【返答如何によっては即座に踏み込み、抜き打ちの一太刀で斬り捨てる腹積もりのようだ】
183 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 18:21:14.09 ID:AkDEdh7Z0
>>182

【――後方に気配。そして剣呑な言葉を浴びせられると、女はゆっくりと立ち上がった】
【それによって、足元に転がる遺体の姿が詳らかになるだろうか。鮮血は頭部に集中しており、頭蓋骨に変形が見られる】
【鈍器のようなもので頭部に一撃――といったところか。振り向いた女の手にそれらしい凶器はないが、掌は血に染まっている】


 ああ、まいったな……。
 まさかこんなところに踏み込んでくる物好きが、わたし以外いるとは……。

 キミ、どうしてここに? "知ってて"来たのか?
 ……いやまあ、このヒトをどうするかってのもあるんだけど、それ以上に――、


【女は血を布で拭うと、芝居がかった挙措で頭を抱えてみせた。そちらの戦意に応ずるよう、右手を刀に添えたままに】
【なんともおどけた調子で、しかし瞳だけは真剣そのものでそちらを射抜いている。だが表情にはほんの少しばかり、焦りがあった】
【なにかひとつ切欠さえあれば。どちらかが少しでも得物を抜けば、この緊迫はお互いの刃となって弾けるのだろう。しかし――】
【それは斬撃としてではなく。真上から、がらりという音とともに降り落ちた】


 ――、避けろ!!


【女が吠えて左に跳んだ。次の瞬間には、お互いを巻き込むようにして塔の一部が崩落し、瓦礫が降り注ぐ】
【このままの立ち位置なら、ちょうどそちらの頭部に瓦礫が直撃する形になるだろうか】
【――先程の遺体の致命傷と、"偶然にも"全く同じ位置に重なるように】


/気づくの遅れてすみません、まだおります!よろしくです!
184 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2019/05/05(日) 19:14:42.37 ID:dzeJx68X0
>>183
//すみません、少し外してました!よろしくお願いいたします!

【脳天を一撃され、石榴の実よろしく頭を割られた死骸の惨状を一瞥すると、白皙の女は、ふむ、と何事か思案するように鼻を鳴らした】
【誰が、どのようにして殺害したかは、極論を言ってしまえば問題ではない。この異能者溢れる巷において、推理小説のお約束なぞ当てになるものではない】

 ──となれば、動機か。しかし、これも考えるだけ不毛な話だ。

 なぜと問われても答えに困る。偶然や気紛れの類いだと思ってもらって差し支えないよ。
 たまさか、今日は路地裏を見回る気分じゃなかったってだけの話だ。ここに辿り着いたのも、まあ、気分だな。
 嫌な気配のする方角へ、適当に足を伸ばして──

【張り詰めた鋼線のように剣呑な空気が、二者の間を静かに満たす】
【おどけた仕種に、焦った様子。そして此方の戦意に応じる備えにも、女は特に動じた様子を見せない】
【これが不慣れな街の自警か何かなら、当に焦って切り掛かっていても不思議ではないが──「抜かば、斬る」。言い換えれば、「抜かずば、斬らぬ」】
【女は淡々と、己にそれを課しているようだった。その視線は鋭くも一所に定まらず、どこか遠くを見るようにして、周囲全てに油断なく気を巡らしている】


 ああ、そういう事か。


【したがって、目の前の相手の警告に対して、反応が遅れるような事もない】

【真上を睨んで空いた左手を打ち振るえば、ひゅう、と小さく風切り音。闇に紛れてぼんやりと、黒い『何か』が瓦礫に向かって飛んでゆく】
【それは着弾と同時に、甲高い破裂音を立てて瓦礫のうち幾つかを打ち砕いた。一瞬のことだが、目を凝らせば艶消しの黒に塗られた小型の投げナイフが視認できただろう】
【コートの袖に仕込んであったらしい。鋭い投擲ではあるが、人の頭を容易に打ち砕く瓦礫の崩落を相殺しうる威力を持っているようには見えなかった──となれば、恐らくは異能力の類いか?】

 李下に冠何とやら、という言葉もあるが。自作自演で恩を売って油断させる、なんてやり口は如何にも迂遠だな。
 仮に私がお前で、お前が下手人なら──手八丁口八丁で私の注意を引きつけて、一撃で仕留める方を選ぶはずだ。

 ここは人通りが無い。死骸が一つから二つに増えようが、さしたる問題もないだろう。

【閑話休題。白皙の女はその場から一歩たりと動かずに、上方──瓦礫の落ちてくる先を見据えたまま、淡々と述べる】
【降り来たる瓦礫のうち、砂利と言ってよいほどに小粒の幾つかが、霰のように女の手足を打ち据えるが。彼女はこれといった負傷もなく、雨のような瓦礫をやり過ごした】

【「推定無罪、という訳だ。これが全くの偶然でないなら、恐らく──」】
【半ば独り言のように呟きながら、女は塔を睨んでいる】
185 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 19:37:45.16 ID:AkDEdh7Z0
>>184

【肌を焼くような緊張感の中で、女は静かに彼女の動機を聞き届ける。しばし目を伏せ、思索に耽った】
【――つまりは、今宵二つの刃が出会ったのは"偶然"であると。合理的な理由ではあったけれど、いま一番聞きたくない言葉。実に――嫌な感じだ】


 おお……! すごいな。今のはナイフかな?
 あの大きさの瓦礫を簡単に打ち砕くとは、いかなる異能か……興味があるね。

 まあ、何はともあれ。十分に戦えるヒトのようでよかったよ。
 ……うん。本当に。


【降り注ぐ瓦礫に対し――こちらはというと、横っ飛びに転がって避けきることに成功していたのだが】
【真剣に考えていたのも束の間。目の前の相手が瓦礫を粉砕してやり過ごしてみせたのを見ると、女は急に顔を輝かせ始めるだろうか】
【ひとつ間違えば切り捨てられかねないこの状況でなお、興味津々といった様子でそちらを見やる。変人であることだけはたぶん、間違いない】
【それ以外で引っかかるとするなら、「腕が立つようで良かった」というよくわからない言い草だったが――】

【その答えを知りたいのであれば女の足元を見る必要があった。転がる瓦礫の中に、奇妙な箱の残骸のようなものが転がっている】
【先ほどのことだ。瓦礫を避けた拍子に、"偶然"女の懐からなにか箱のようなものが零れ落ち――これまた"偶然"瓦礫がそれを下敷きにしていて】
【かしゃん、と呆けた音を立ててそれは破壊されたのだった。よく見ると女の顔色は若干青くて、引きつった笑いが浮かんでいる】


 さて。突然すまない、通りすがりのヒト。実はいま、もの凄くまずい状態なんだよね。
 今宵居合わせたのがキミであったという"偶然"と、キミのその力に賭けることにして、ひとつ頼みがあるんだけど。


【女の額から脂汗が垂れるのがよく見えるはずだ。――そして急激に、周囲の空気が重くなっていくのを感じるだろうか】
【塔から銀色の靄のようなものが滲み出てきて、女の体にまとわりついた。身体が小刻みに揺れ、右手が強く刀の柄を掴んで、】
【――抜刀。銀閃が空を裂いたのと同時に、女はにこりとそちらに微笑を向けるだろう。若干、投げやり気味の笑いだった】


 ……わたしを、止めてくれない? 


【ウィンクと一緒に、「あ、できれば痛くしないでね」などと白々しい冗談が付け加えられれば――】

【次の瞬間、女が地を蹴った。瞬時にそちらへ踏み込むと、上段からの斬撃が降り注ぐだろう!】
【速さと鋭さは中々のものだが、特段異能じみたものはない単純な行動と攻撃である。女が見込んだ通りの実力ならば対処は容易か】
【この行動を「無罪」と受け取るか「有罪」と受け取るか、そして新たに死骸を増やすか増やさないかは、もちろんそちらの自由であった】
186 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/05/05(日) 20:16:01.07 ID:dzeJx68X0
>>185
【偶然で、ないとしたら。その先を語る言葉は無く、女はただただ射[ピーーー]ような視線で、天を衝く古塔を睨むばかり】
【それは明らかに、目撃者二人をまとめて闇に葬らんとする「第三者の存在」を警戒する振る舞いだったが──】


 その辺りは企業秘密というやつだ。まあ、縁があれば詳しく知る機会もあるだろうさ。


【ともあれ、相手に向き直ると、女は刃さながらの硬質な態度を少しばかり軟化させて】
【目を輝かせる彼女に対し、にやりと口の片端を歪め、唇に人差し指を当てて微笑してみせるのだった】


 ところで。質問ばかりというのも気が引けるが、お前の目当ては『あれ』なのか?
 だとしたら乗り掛かった船だ。差し支えなければ、私も──何を言っている?


【さて。ここで女は、眼前の彼女に対して一つの提案をする】
【それは端的に言うなれば、彼女の目的を「真相の追求」と仮定した助太刀の申し出だ。彼女が見立て通り無辜であろうと、下手人であろうと、ここでこの事態を見逃す選択だけは無い】
【そう考えての提案であったが──ふと、女は相手の言動に、何やら妙な違和感を覚える。それも、相当に抜き差しならない類の違和感をだ】


 箱、か?それも、組み木細工のような──ッ!?


【何やら顔を青くした彼女の視線の向く先を辿るようにして、女は『それ』を見やる。ぱっと見は単なる、何の変哲もない小箱だ】
【しかし、それが破壊された途端に周囲に重苦しい雰囲気が漂い始めたと見るや、女もまた盛大に顔を顰めた】
【塔より滲み出し、漂う靄のごときもの。それが何であるか──小箱が如何なるものであるか、粗方類推することができたが故の、苦渋の表情だった】


 ……殺しはしないが、私は見ての通りの人斬り包丁だ。怪我一つさせずに事を収めるなどと、安請け合いはできないぞ。

 まあ、一つだけ救いがあるとするならば──こういう類の『人でなし』を斬った経験も、無くはないという事ぐらいか……!!

【推定、人ならざるものに取り憑かれたと思しき相手に対し、女は脇差を抜刀して──ほんの一瞬、太刀に手を掛けようとして逡巡しつつも──同じく上段に構える】
【敢えてそちらへ一歩踏み込むと刀を掲げ、上段より振り下ろす一太刀を物打ちを外して刃の根元で受け止め、鍔迫り合いの態勢へ移行】
【左手を自剣の峰に添えて押し込み、じりじりと相手の耐性を崩そうと試みる】
187 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2019/05/05(日) 20:17:52.34 ID:dzeJx68X0
>>186
//sage忘れ申し訳ない……
//あと、誤:耐性 正:態勢 です
188 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 20:40:58.55 ID:AkDEdh7Z0

>>186


 お察しの通り。ふふ、キミ結構いい人だな。
 ――こんなときに何だけど、わたしは"蒐集家"のイストだ。よろしくね。


【踏み込み、斬撃。それが容易に受け止められたことに少しばかりほっとした様子を見せると、死線の交差するその至近で、女は名乗るだろう】
【その瞳に恐怖や動揺はなかった。――事情はどうあれ斬りかかったのだ。瞬時に斬り返されこの場で果てる覚悟もしていたようであったが、】
【太刀との中空で彷徨う彼女の手を見やると、やや暢気に、そして嬉しそうに顔を綻ばせたのだった】


 まあ、いまはギルドの依頼でここに来てるから、ただの冒険者と思ってくれていい。
 近くの村で噂になっていてね。曰く、近寄った者は決して帰ってこない呪い塔――だそうで。

 だからわざわざ護符まで用意して、調査と対処に来たってわけなんだけど……。
 いくつかの"偶然"に邪魔されて、ご覧の有様だよ。いやあ、参った参った! ははは!


【鍔迫り合いに力を込める両腕とはまったく無関係な苦笑を浮かべて、女――イストは一息に事情を説明するだろう】
【「大昔に貴族様の世継ぎ争いで相当血が流れたらしいよ」なんて、"怪異譚"としてはなんとも有りがちすぎる情報も付け加えられて】
【護符、というのはさっきの箱のことだ。それも"偶然"壊れてしまって、まんまと身体を乗っ取られているのだから間抜けな話である】
【ともあれ――"怪異"に身体を持っていかれて悠長に笑っている超のつく変人ではあっても、とりあえず、この女は悪人ではないようだ】


 こういう事態が初めてでないなら話は早い。頼もしいね。
 わたしのことは気にせず……いやまあ、ほどほどには気遣ってくれたら嬉しいけど。

 おほん。ともあれ、この怪異の基点はあの塔だ。
 あの中のどこかに、大元になっている何かが……うわっ!?


【イストはそう云って、目線だけで真後ろの塔の入り口を指し示す。古びてはいるが中に入ることはできそうだ】
【中は大広間になっていて、障害物は石で出来た女神像が奥に立っている程度。壁に沿うように螺旋階段が据え付けられ、上階まで続いている】

【ただ、この後どう動くかの判断の前に――イストを操る何者かが、動くだろう】
【このままでは体勢を崩されると判断したか、その身体は鍔迫り合いを避けて真後ろに飛んだ。そして転身、】

【――心臓。いや、本人の意志が介入したか、僅かに軌道は上振れして狙いは左肩へ。鋭い刺突が飛翔する!】
【威力のある一撃だが、その分大振りだ。危険ではあるものの、なんとか凌げさえしたならば隙は大きい】
【反撃に転じるでも、はたまたイストが述べたとおり塔の中に駆け込むでも、妨害を受けず好きなように行動できるだろう】
189 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/05(日) 21:30:59.13 ID:dzeJx68X0
>>188

 人が好い、ね。あまりそういう世辞は言われたことがないから、擽ったいな。
 朔夜。人斬りが生業だ──最近はそうでもないが。以後よろしく。

【鍔迫り合いのその最中、相手の名乗りに応じて、女もまた名乗り返す。彼女同様にこちらもまた、生死の境に立ちながら、まるで散歩でもするような気軽な口調だったが】
【口調とは裏腹に、その表情は微かに苦い。──というのも、先の打ち込みで脇差しに生じた『ある変調』が原因だ】
【よくよく注意してみれば、刃の根元の一点に、小さな刃毀れが見て取れる。本来であれば避けえた傷だが、先の一瞬の逡巡が祟って僅かに振り下ろしを受け止め損なった結果だった】


(……こっちは数打ちだが、決して質の悪い品じゃない。利刀の差こそあるだろうが──精進が足らんな、私も)

 なるほど、ギルドに縁の者だったか。私も水の国のギルドとは懇意にして貰っているから、事によってはまた会う事もあるかも知らんな。
 まあ、何はともあれだ。概ね状況は理解できた。やれるだけの事はやってみるから、大船に乗ったつもりでいると良い。


【事情説明を諒解すると、女は鷹揚に、余裕たっぷりの挙措で大言壮語を吐いてみせた】
【先の失策は、おくびにも出さない──とまでは行かぬまでも、努めて気にしない風を装う】
【彼女ならば万が一にもそんな事はないとは思うものの、この手の案件において、被憑依者の精神状態の悪化が事態の悪化に直結する例はそう少なくもない】


 く、ッ──ふふ。どうした、それだけか?

 随分と手ぬるい太刀筋だ。手こずっているようじゃないか……このままじゃあ早晩、自力で体の支配権を取り戻すかもしれないな?

 さあ、どうする?なんなら私に乗り換えたって構わない。何にせよ決断は早い方がいいぜ──


【イストの助言に対し、彼女の選択は現状維持だった。人間には火事場の馬鹿力というものがある】
【古来、幽霊だの悪魔だのに憑かれたとされる人間が恐ろしいほどの膂力を発揮した事例は、枚挙に暇がない】
【足の速さであれ力の強さであれ、単純な出力勝負は極力避けるべきだと言えた。この状況で背を向けるのは、殊に危ない】

【朔夜はイストの体を乗っ取る何者かを挑発しつつ僅かに左肩を下げて踏み込む、掠めさせるような軌道で刺突をやり過ごした】
【相手の手に伝わるのは、がりがりと何かが擦れる硬質の手応え。コートの内部にプロテクターでも仕込んでいたのか】
【これにより後の先を突いて、前に前にと間合いを詰める。左手を自由にし、刀の間合いから拳の間合いへと到達するや否や】
【女が繰り出すのは、鳩尾を狙った左掌底の突き。見れば掌は、微かに陽炎のような空間の歪みを纏っている】
【直撃すればその瞬間勢いよく炸裂する指向性を持った不可視の斥力が、相手を後方に吹き飛ばし、大きく距離を開けるだろう】

【先のナイフが纏っていたものの正体も、おそらくこの力場か】
190 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 22:01:20.77 ID:AkDEdh7Z0
>>189

【人斬り――そう名乗った朔夜に対しても、イストはなんら不安も動揺も見せないだろう】
【むしろそこに浮かぶのは、信頼の類であった。人斬りなどと名乗るのであれば、自分なぞに安々と斬られるような小物ではなかろうと】


 うん、すまないね。
 ――いきなりこんな状態で悪いけど、この縁がここで終わらないよう、わたしも努力するよ。 
 わたしの命、キミに預けよう。朔夜。


【道化じみた表情を一瞬引っ込ませて、心底申し訳なさそうにイストは苦笑する。そこだけは、ちゃんと本心のようだった】
【初対面の、それも人斬りに自分の命を預けようという女なのだ。胆力だけは一人前のようである】
【いまのところ敵意を向けてくるのは身体だけで、言動に不自然な点はない。これならば当面、精神まで汚染されることは無さそうだ】


 はは、いいぞ。いまのでちょっと怒ったみたいだ! まるで子供だな。いや、あるいは――。

 ――ぐっ!!


【一閃は肩をすり抜ける。――普通なら、というか普段のイストなら、その時点で回避動作に移っていたはずだったが、】
【彼女の身体のいまの持ち主はそうではないらしい。朔夜の挑発が利いたのか、銀色の靄が少しばかり濃くなって、】
【避けることなど考えず。まるで意固地になったかのように、更に一撃入れようと一歩踏み込んだ。――結果、掌底が直撃する】
【異能の斥力がイストの身体を後ろへ吹き飛ばし、そのまま塔の外壁を破壊して、中に叩き込んでしまうだろう】

【直後、塔全体が鳴動する。ほんの少しだが――塔が"傾いた"】
【立ち上った埃と煙で、イストも含め塔の中の様子も見えなくなっている。だが土煙が立ち込めるからこそ、引き立つだろうか】
【ちょうど、入り口から見えた"女神像"のあった位置。――そこで赤い光が弾ける】

【――"偶然"が発揮された。塔の側面部分の外壁"だけ"が一斉に崩落し、先ほどの比ではない量の瓦礫が朔夜に襲いかかる!】
【これだけの大崩壊にも関わらず、塔の側面だけが丸ごと剥がれるなんて偶然が起こるはずがない。そこにあるのは、必然の"殺意"だ】

191 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/05(日) 22:46:02.84 ID:dzeJx68X0
>>190
【気丈に──というか、もともと肝が据わっているのだろうが──振る舞うイストの姿に、これならば今暫くは問題なかろうと踏んで】
【朔夜は無言のまま、彼女に小さく頷き返してみせた。ひとかどの剣士に命を預けるとまで言われたのであれば、同じ剣士として、その信には報いねばなるまい】


 どうした、埃まみれのお貴族様。お前の家が武門だか内政屋だかは知らないが、青い血筋のお家柄としては、この程度の武芸は嗜みのうちじゃないか?
 ──ああ。それともお前、召使いか何かなのかな。それだったら得心が行く。へえへえ、申し訳ありませんお嬢様。あっしは単なる一介の従僕でやして、荒事にはとんと縁がなく……って感じか?

 …………おっと、これは危ない。


【挑発が功を奏したとみるや、まあ言うわ言うわ。戦いの最中によくぞここまで舌が回るものかと思うほどの罵詈雑言をもってして、亡霊の晒した無様をあげつらう】
【悪意たっぷりの罵倒の最中にも、崩壊する瓦礫の奔流を刀と異能と暗器を交え、切り裂き、射落とし、打ち砕き、その立ち回りには一切の隙が見当たらない──が、しかし】


 ぐ、う……ッ!


【朔夜当人よりも先に、右手の得物が根を上げた。根本から刃がへし折れ、弾け飛んだ刀身がプロテクターの隙間を抜けて『偶然にも』左肩を裂いてゆく】
【痛みに歯を食いしばるその数瞬の隙を突き、雪崩を打って飛来する瓦礫の雨霰。咄嗟に頭部をはじめとした急所を庇いながらも殺意満点の乱打を浴び、朔夜は踵で土を削って後ずさる】
【駄目押しとばかりに繰り出された一際大きい瓦礫が、彼女の姿を覆い隠し──直後、盛大な土煙が巻き上がる。万事休す、か】

【そう思われた、その時だった】


 ……中々、に……面白い。血に狂い己の責務を忘れた俄か貴族の残り滓風情が、この私に、こいつを────


【「抜かせたな」】

【土煙を貫いて、青く、蒼く、光が舞う。ほんの刹那の間隙を縫って、狂ったように乱舞する】
【土煙の中から現れたのは、体の至る所に打ち傷を負いながらも、その手に携えた大太刀をもって、大岩をもはや原型を留めぬほどに刻み尽くした人斬りの姿】

【青く、蒼く。異能力、生体魔素、生命力──鞘の内より解き放たれるが早いか、柄を通じて朔夜の精神と肉体の精髄を吸い上げながら】
【月明かりを弾き返すばかりでなく、自ずから鈍い輝きを放ち始めた乱れ刃の大太刀は、常人でさえそれと判る『異常』を帯びていた】
【見るものが見れば、相当に格の高い妖刀、魔剣の類であると容易に知れるだろう。この世ならざる存在であれば──イストの内に巣食うものならば──尚の事】


 この『邂逅』を抜いたからには、有形無形の区別なく──もはや私に断てぬものは、この世に一つとないと知れ。亡霊。


【相手が元人間である以上、そこには必ず意志が生ずる。怨念に狂い、生前よりも劣化した知性であろうとも、付け入り、揺さぶり、心を挫く隙がある】
【まして、今や相手は人ならざる、魂と意志のみで彼岸に生きるものなれば。──この場の誰より強く、その唸り声を聞くだろう】

【己を十全以上に振るう使い手と一つとなり、妖気を纏って荒れ狂う、その刀の声。そして己の向かう先にあるもの全てを斬断せんとする意志を秘めた、必滅の刃の声を】
192 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/05(日) 23:17:03.14 ID:AkDEdh7Z0
>>191

【土煙が晴れると、瓦礫の山の中からイストがゆっくりと立ち上がるのが見えるだろうか】
【瓦礫の雨に見舞われた朔夜の方を少し心配そうに見やる、その気遣いは表情だけ。身体は刀をだらりと垂らし、構えなど一つも取っていない】
【――見て取れるのは、明らかな油断と侮りだ。銀の靄の先にいる何かが、ざまあみろ、と――そんな子供じみた感想を、イストの身体で表していて】

【だからこそ、か。――岩ごと土煙を引き裂いて顕れた、正真正銘の"人斬り"を前に、怯えるように情けなく後ずさったのは】


 ああ、朔夜――。それが、キミの本気か。凄まじいな。
 これは実に、狂気的にして、怪異的だ。刀使いの端くれとして楽しみだよ。キミの剣を魅るのが。

 ……って、あああああ! こら! 視線を逸らすな視線を!


【明らかとなった朔夜の"異常"を前にして、しかしイストの双眸だけは相変わらずだった。怯懦はなく、逆に楽しげに、抜かれた刀とその遣い手を見やる】
【しかし、それも一瞬だった。お前を殺すと唸りを上げる剣気を前に、まともに見るのも恐ろしい、とばかり。イストの意思に反して顔を逸してしまって】

【……そうしたならば、イストには見ることができた。朔夜にも見えるだろう。側面が剥がれたことで、塔の中身が見渡せる状態になっている】
【比較的きれいなのは一階だけだ。二階から上は、ひどいもので――】
【机やベッドなどの古びた家具が設置されているそこに、古いものから新しいものまで、無数の人間の死体が在った】
【絵本と一緒にベッドで寝ているもの、椅子に座っているもの。体勢はさまざまだが、いずれも"生活している"風に配置されている】


 この塔に近づいたヒトたちを、ああして役者として取り込んでいるのか?
 ……いや、役者というより、あれは……、っが!!?


【イストはどこか得心がいったように呟く。だが事態は、彼女にそれ以上の考えを中断させた】
【突如として、表情が苦痛に歪む。油の切れた機械のように不自然な動きで一歩踏み出し、跳躍。――地盤が、砕けた】

【ろくな助走もない跳躍のはずが、彼女の身体は数メートル空中へと躍り出て】
【そして空を切り、朔夜の頭部を叩き割らんと放たれるのは、必殺の勢いを帯びた兜割り――!】

【イストの表情が歪んでいるのは、先ほどの朔夜の推察通り、怪異によって限界を超えた筋力を強引に引き出されているがゆえだ】
【さらに、イストの使う刀が"偶然"にも妖刀、あるいは怪刀と呼ばれるものであり、非常に頑強であることも合わさって、その破壊力は凄まじい】
【岩をたやすく両断するほどの重撃だ。まともに受けてしまえば、どうなるかわからない――】



 ――朔夜。一瞬だったけど、見えたぞ。
 二階だ。部屋の奥にある大きな姿見。間違いない、あれが基点だ……!


【だが、そこさえ凌げば光明が見えるだろう。――朔夜の対処に関わらず、イストが先ほど見えた光景を伝えるからだ】
【二階の最奥に巨大な姿見が置いてある。イストと朔夜以外は誰も存在しないにも関わらず、そこには――子供の姿が映っている】

【――あの亡霊が、一体なにを思ってこれだけの屍を積み上げたのかは知れないが、】
【どうにかしてあの姿見を破壊すれば、この不毛な戦いも終わるだろう】
193 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2019/05/06(月) 00:02:50.52 ID:70AwD7qX0
前々>>726-727(ロッソ)
>>46(カニバディール)

【長い、長い話だった。これまで起きてきた出来事をさらに濃く煮詰めたような、小難しく仄昏いストーリー】
【だが完全な暗闇ではない。灯火は確かにあった。少なくともロッソがいた未来では】
【ロッソは生き、自分も逃げ延び──或いは生き延び。ジルベールの事は気がかりではあったが】
【今は彼のことを気にしている場合じゃあなかった。──未来は、観測出来ないのだから】


…………あぁ、当たり前さカール
円卓の連中なんて、あたしの方が“切って”やったに決まってやがる

それに、よぉ────くくっ!
辛気臭ぇ時代に辛気臭ぇ音楽聞いてやがるんなら、どの時代のあたしだって文句言うだろうぜぇ?
そん時のゾーイにちょいと耳打ちしてやりてぇくらいだぜ
「あんま無理して合わせなくったっていいんだぜ?」って、よぉ


【長い、長い話だった。だが肝心なことはたった一言だった。ノー・パラドクス】
【そうだ。言われてみてはっとする。今までだってそうだった】
【どんな荒唐無稽なことが起きたって、この世界では“それが現実”なのだ】
【いくら理屈を捏ねくりまわし、足りない頭をフル回転させたところで──現実は目の前にある】

【ぎゃは、とミラは笑った。そうだ、今までなんだって苦手分野に足を突っ込んでいたんだろうか】
【頭を働かせることは自分の本分じゃあない。いつだってそうだ。感情のままに怒鳴って、喚いて】
【ムカつくから殴る、腹がたつから引っ叩く──笑いたい時に笑えないのなら、生きている意味なんてない】


あんたはいっつも、大事なことを言ってくれるぜ──“ロッソ”
危うく連中の…………円卓だとか黒幕だとかの得意分野にノせられちまうところだった
ここんとこ頭でっかちな連中とばっかりツラ付き合わせていたせいかな……ぎゃっは!ほんっと、あたしらしくねぇよなぁ!!

…………悪かったな。ベータだなんて言っちまって、よぉ
あんたは最初っからロッソで、それ以外の何でもなかったっつぅ話なワケだ


【「それにしたって」──笑いながらカニバディールを見る】


異能屍たぁ、あんたも出世したもんだなぁ!

…………戦争が始まってすぐにあんたは姿を消したらしいが──あんたは簡単には死なねぇさ
円卓のくだらねぇ<ガーデン>だとか<ファーマー>だとかをぶっ潰そうと企んでいたに違えねぇぜ
利用されるだけされて、名前を好き勝手使われて黙ってやがるようなお人好しじゃあねぇもんな、あんたはよぉ


【慰めでもなんでもなく、本心からそう思っていることは伝わるだろうか】
【触腕が8本も9本もあるクセに、ミラはその手のことには不器用だ。だからこそ】
【真っ直ぐストレートに彼を見る彼女の視線が、この言葉が彼の未来での無事を信じているが故だと語っていた】

/分けます
194 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(中部地方) [sage saga]:2019/05/06(月) 00:03:54.69 ID:70AwD7qX0
>>(ロッソ)
>>(カニバディール)

【そしてもう一度、ロッソに視線を向ける。そうだ、彼はロッソだ】
【自分が知らない未来を知っていようが、妙に老けてようが──それでもロッソだ】
【いつか敵になることを承知で自分に力添えしてくれた彼への信頼】
【それは、彼女の中では今も揺るいじゃいなかった】


…………。……………………ロッソ
カールにはもう話したが、あたしは今<円卓>のど真ん中に居る
正確には座らされているってぇとこだが…………<円卓>をどうこうしてぇんなら、多少の手は回せる
…………まぁ、“多分”……、なんだけど、よ

<円卓>のブレーンの1人は、水の国最高議員のイスラフィールだ
どうにも<円卓>の舵取りは実質イスラフィール御一行様が握っているみてぇで、よぉ
連中、最終的には自分たちの言うことだけ聞くヤツだけ集めて<完璧な庭>っつぅヤツを作ろうとしているみてぇだ
そのためには<方舟>────タイムマシンが必要だって言ってた
んでもって、黒幕をぶっ潰して<庭>に行くためには<聖杯>ってぇやつもいるって言ってたぜ
あのクソアマ曰く、願いをなんでも叶えちまうステキなモノらしいけど、よぉ

あたしとカール的には、これからは円卓が起こした戦争で黒幕をぶっ潰しつつ…………
…………クソアマ御一行サマが<方舟/タイムマシン>に乗って<庭>に行こうとドヤ顔晒した瞬間に連中をぶっ殺そうぜって感じなんだ
まぁ────足りねぇ頭絞って考えた案だ。穴ボコだらけなのは分かっちゃいるが……


もしも可能なら、マキノに何か仕掛けを用意させてほしい
いや……どんな仕掛けかって言われりゃ全然ノープランなわけだが──
<円卓>のクソ野郎どもをぎゃふんと言わせられるような……それか、何か時間を稼げるような仕掛けっつぅ、か……?

いやもう、ほんと!あんたがまさか、こんな形で帰ってくるとは思ってもみなかったから…………
正直今、相当考えなしに喋ってるぜあたし。…………まぁ、普段からそんなに考えるタイプじゃねぇんだけど、よぉ
195 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/06(月) 00:09:20.57 ID:2duC5ev70
>>192
【絵本を読み聞かせる屍。椅子で寛ぐ屍。在りし日の亡霊の暮らし向きをありありと連想させる、死骸の配置】
【人々を無惨に殺し回りながらも、人並みに怒り、侮り、怯える──無垢ゆえの残虐性。まるで子供と言うよりは、これはもう、明らかに】
【『人でなし』を標榜する人斬りとて、なにも木の股から生まれ落ちたというわけではない。やり切れない、とばかり、朔夜は一つため息を吐いて】


 ──断てないものは一つとないってのは、流石に盛りすぎたか。情けない限りだな、全く。


【しかし、もはやその太刀筋に一切の容赦はなく。龍が地より天に昇るがごとき勢いでもって放たれた切り上げの一閃が、真正面から兜割りを迎え撃った】
【巨岩を紙のごとく断ち切るであろう剛剣は、本来であれば防御ごと、朔夜の頭蓋を叩き割ったことだろう──】
【しかし、蒼く輝く刀身に触れたその瞬間に、その勢いは大幅に削がれてゆき、やがて『静止する』】


 ──これは、技という程大層なものじゃない。しかし、私とこいつの編み出した、一つの理であるとは言える。

 刀と己の心身──ひいてはその異能力を合一させ、ものの有形無形を問わずあらゆるものを解き、弾き、分かつ。やがて到達するべき万象切断の極致、その先触れとも呼ぶべきもの。


【ほんの束の間の静止状態から、重力に従って徐々に落下へと移行するイストを見遣りつつ、彼女は淡々と語る】
【さながらそれは、イストの一撃が内包する、形を持たない『運動エネルギー』でも断ち切ったとでも言わんばかりの口振りで】



 仮に銘打つとするならば、『邂逅・絶蒼の太刀』──とでも呼ぶべきか。
 この状態は殊の外消耗が激しい。あまり長くは保たん。


【事実、そうとでも考えなければ、この不可解な事象には説明が付かなかった】
【斬れないものはないと大口を叩いておきながら、イストの佩刀が傷一つなく健在なのは、まあ、ご愛嬌というものだ】


 助言、痛み入る。
 終わらせてくるから、今暫く待っていてくれ。


【刀が纏う蒼い輝きが解けて消えるのと同時、朔夜の足元に陽炎めいた空間の歪みが生まれ、収束する】
【落ちてゆくイストと入れ違いに、足裏に収束した力場を爆ぜさせ、人斬りは虚空を駆けるようにして塔の二階部分にまで到達せんと試みる】
【そうして鏡の前にまで辿り着いたならば、おもむろに彼女は、鏡の中でうずくまる幼子に対し、「おい、そこの」と、ぶっきらぼうに呼び掛けるだろう】
196 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/06(月) 00:36:11.53 ID:JqGEkMs70
>>195

【限界を超えた駆動に悲鳴を上げる身体――しかしながらその刹那、それを凌駕するほどの高揚によって、イストは痛みを忘れていた】
【自分でも制御できず放たれる一閃、その重みが消えてゆく。その貌に浮かぶのはやはり、この女らしい場違いな笑みなのだ――】


 ――力の表層でなく、深層までもを絶ち斬る太刀か。
 見事だ。こんなものを魅られるなら、こんな無様を晒した甲斐もあったよ。


【刀に宿った暴力がその絶技によってすべて抜き取られたのと同時に、イストの全身からすべての力が抜けていくだろう】
【限界駆動の代償か、着地もできず地面に倒れ込む。――銀色の靄が消える。この女ではもう、この人斬りをどうにもできない、と悟ったか】
【二階へと疾駆した彼女へ、イストは辛うじてウィンクをひとつ。「任せるよ」とだけ告げて見送るのだった】


【――特に妨害もなく、朔夜は二階の鏡の前に辿り着くはずだ。映り込むのは金髪の少年】
【周囲には見るも無惨な死骸が転がる。だが不思議と、彼の瞳には悪意らしきものはなかった。遊び疲れた、という風に苦笑して】


 【"おかあさん。おやつ、たべよ"】


【声は無い。だが口の動きだけで、そう云ったのがわかるだろう】
【それこそ、怒った母親の機嫌を取るような、わざとらしい上目遣いのまま――すっと、朔夜の背後を指さして】
【その先には小さな机の上があって、作りたてのスコーンと淹れたての紅茶が二つづつ、置いてあった】
【どれだけ経っているかわからないのに、その一角だけは埃ひとつ無く保存されている。どちらも腐っておらず、新鮮なままだ】

【椅子が二つ。ひとつには子供らしき白骨死体が座っている】
【もうひとつは空席――誰かに座られるのを数百年間、待っていたかのように】
197 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/06(月) 01:28:41.53 ID:2duC5ev70
>>196
【酸鼻極まる光景と、それに相反する、無邪気な仕草】
【幾百、幾千の夜の孤独が、如何様にこの幼子の正気を蝕み、この凶行に至らしめたかは、部外者である彼女には知る由もないことだ】

【だが、類推することはできる。寒さに凍える夜。ほんの一時の、体温を持つ人間の暖かさ。死ねばやがて喪われる熱。ぶり返す孤独】
【親より先に逝ったか、親に取り残されて死に損なったかという違いこそあれど、その終わらない業苦は、賽の河原の石積みにも似ている】


 はあ。……私は未婚だ、阿呆め。まあ、いい。菓子だな?いいよ、食ってやる。
 よく黄泉竈食だなんだって言うが──黄泉路に引きずり込まれたんなら、あの世とこの世の境を斬って、無理矢理戻ってくりゃあ良いだけの話だ。
 それが終わったらこの鏡を斬る。魂ごと滅してやろうとも思ったが、そればっかりは勘弁してやる。


【黄泉竈食──死者の国の食物を口にしたものは、二度と生者の国には戻れないという謂れがある。それを警戒し、口にせぬまま基点を破壊する手もあったが】
【どうにも、そういう気分にはなれなかった。仮に罠だったとしても、罠を踏み抜いた上で、力づくで叩き斬ればいいだけの話、と】
【わざとらしい上目遣いに毒気を抜かれて、頭を掻きながら大きく嘆息し。ややあって、朔夜は空いた椅子に腰かけて】


 お前が本当に絵本を読み聞かせてほしい相手も、本当に一緒におやつを食べたい相手も、この世界にはもういない。
 また会いたいと望むのなら、さっさと往生するのがいい。

 ──で、砂糖とミルクは要るか? クロテッドクリームとジャムは……ああ、これか。


【不似合いな説教を口にしつつ、湯気立つカップを手に取ると、匂いを嗅いで「ダージリンか」と独りごち】
【ふと思い出したかのように、幼子にそう問いかけた。要るにせよ要らないにせよ、彼だか彼女だかの望むようにしてやってから、カップを配膳し、スコーンを取り分ける】
【自分の分のスコーンを二つに割って、クロテッドクリームとジャムをたっぷり塗って、一口頬張る】
【クリームの甘みと果実の酸味、生地に練り込まれたバターの香りが鼻に抜けるのを感じながら、紅茶を一口】

 ……夜は、寒かったろう。石造りの塔は底冷えする。暖炉も一人で点けられないんじゃあ、毛布にくるまったってロクに眠れるもんじゃない。
 だから誰かを殺しても構わないってんじゃあないが、まあ、お前が苦しかった、寂しかったっていう気持ちは汲んでやる。

【仮に母親を演じてやる事はできても、そんな物は一時の気休めに過ぎない。故に感じたことを、思ったままに口にする】
【この幼子はどうしようもなく加害者だが、同時に被害者でもある。情もなく斬り捨てるには偲びなく、さりとて甘やかしてやるには、その手は血に汚れ過ぎている】
【「美味いか?」──ぶっきらぼうに、また一つ問いを投げて】


 ……食い終わったら、お前はおかあさんの所に行くんだ。良い子にしてれば、きっと直ぐに会えるだろうよ。
 もし、お前をこの鏡に閉じ込めた奴がいて、そいつがまだのうのうと生きているなら。その馬鹿は私が斬ってやる。余計なことは考えなくていい。


【朔夜は静かに、淡々とした語調で、お前はもう誰かを恨んだり、苦しんだりする必要は無いのだと、溜息交じりに口にしてから】
【にやりと悪どい笑みを浮かべて、「私の怖さは十分よく知ってるだろう?下手人はさっきの三倍は怖い目に遭わせてやるから安心しろ」と嘯いた】
198 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/06(月) 01:57:47.93 ID:JqGEkMs70
>>197

【朔夜が席に付いても、なんら異変は起こらないだろう。ただ朔夜がもし、姿見の方を向いたならば】
【その鏡の中でだけ、白骨死体のある席にあの少年が居て、嬉しそうに朔夜へ笑いかけるのが見えたはずである】
【飲み食いを行っても体に異常はない。――黄泉路に囚われるなんてこともなく。ただ、甘さとほろ苦さが口腔を満たすだろうか】


 【"さむかった"】   【"さみしかった"】  【"ごめんなさい"】


【――と。朔夜の優しい言葉を受け止めて、少年は音もなくそう云うのだ】
【目の前の女性が自分が本当に望んだ相手ではないのだと、果たしてわかっていたのかいないのか、】
【どちらにしても、鏡の中にしか存在し得ない悲しき亡霊はほんの少し俯いて、やがてこくりと頷くだろう】

【たっぷりと、ジャムと優しさが塗り込まれたスコーンの最後の一口を、少年は頬張って】


 【"おいしかった"】


【と。小さく笑う。世にも恐ろしい人斬りの笑顔を楽しげに受け入れて、儚い涙と一緒に、鏡の中から消え失せる】
【少年を繋ぎ止めていた最期の幻想が、いままさに、朔夜によって"斬られた"瞬間だった】

【ゆらりと、部屋全体が銀色の靄に包まれる。――少し経って靄が消えると、そこにあるのは廃墟だけだ】
【綺麗なままだった机は、重ねてきた年月を追想するがごとく粉々に砕け散り、少年の白骨死体もバラバラになって崩れた】
【地面に転がるのはボロボロのお皿とティーカップ。お菓子も紅茶も消えていて、朔夜の口の中からも味が消失しているだろうか】

【――そう。その味だけが、明確に幻だった。孤独の中に死した子供が、終わりのまどろみに描いた光だった】



 状況を鑑みるに――塔に幽閉されて、そのまま餓死したってところかな。
 独りで寒くて寂しくて、近寄ったヒトを"家族"として取り込んでいたんだろう。……笑えない話だ。

 なにはともあれ、迷惑をかけてごめんね、朔夜。
 そしてありがとう。キミのおかげで、この悲しい"古塔の怪異"を終わらせることができた。

 ……塔の古さの割に、怪異性を帯びたのが"つい最近"っていうのは、少し気になるけどね。


【やがて、よろよろとイストが登ってきて、そんな推察を述べるだろう。彼女の身体を覆っていた銀色の靄も綺麗さっぱり消え去っている】
【周囲に漂っていた冷たい空気も無くなって、残るのは春の夜の少しだけ肌寒い風だけだった。どうやら、決着は付いたようだ】
【イストは朔夜に礼を述べると、――少しだけ。斬ってやると朔夜が少年に云ったその"下手人"の影を、イストも感じたようだったが】


 まあ、ここでこれ以上考えても仕方がない。とにかく帰って休もう。
 村に宿を借りているんだ。良ければわたしが口利きしてキミの部屋も用意してもらうけど、どうかな?


【ともあれ、イストはそう述べると塔の外へ出ていくだろう。思い出したかのように雲間から現れた月が、帰り道を照らしていた】
【もしイストの提案に乗ったのなら、今宵は村で共に過ごすことになるだろうか。遺体の処理などやることは沢山あるが、この夜だけは祝宴だ】
【村人からも揃って歓迎されるだろう。飲んで騒ぐにしても、旅立った彼に思いを馳せるにしても、イストは朔夜に最後まで付き合うはずである】

【そうでなくとも――別れの時が来たならば。イストは丁重に恩人を送り出すだろう】
【そして次に会えるその時を願って、冊子に記すのである。恐ろしくも暖かな"人斬りの怪異"のことを、物悲しき"古塔の怪異"のその隣に――】


【――最後に、付記するならば。イストが掌底で塔に叩き込まれたとき既に、この塔は少し傾いていたのであって】
【翌朝には、巨大な轟音が森中に響き渡るのだ。操っていたものが消えたなら、最早形を保つことはできなかったのだろう】

【その、跡形もなく崩れ去った古塔の跡で】
【あの女神像の残骸から何かを拾って去っていく人影を、誰も見ることはなかった】



/この辺でしょうかっ お付き合いありがとうございました!!
199 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) :2019/05/06(月) 02:01:22.92 ID:2duC5ev70
>>198
//お疲れ様でした。お付き合いいただきありがとうございましたー!
200 : ◆KP.vGoiAyM [sage]:2019/05/07(火) 02:16:05.19 ID:SUNGDIGM0
>>193

あんなぁ…お前は本当に…

【頭を抱え、自分の髪を掻きながらなんとも残念そうに彼は言う】

俺たちはクソッタレな世界で戦わなきゃならなかった。なにより、自分と向き合わなきゃならなかったんだよ
ロックンロールってのはそういうものでもある。…まあ、オマエには難しかったようだけどな


【ミラはほとんど未来でも今と変わらない調子で、集ったアホどものケツを蹴り上げる役だった】
【ドアを閉める音も歩く音もうるせぇからどこに居るのかすぐにわかった】
【言う通り、俺が仲間とレコードをかけているとやれ「辛気くせえ」だとか「ノレねえ」とか文句を言って】
【ラモーンズだとかガンズだとかに替えられたものだ】
【こいつが居たことが俺の少ない幸運の一つだろう】

オマエのそういう所に、俺も助けられてた。それには感謝している。
20年後はミラの能天気なところにすらすがりたくなるほど地獄ってことさ

【いや、こっからはカニバディール向けの話なんだが、あれだ。別に“アイツ”に似てるからちょっととか】
【そういうのは無いからな。確かに雰囲気ちょっと似てるって思うときもあるが、アイツはアホじゃねえし】
【それに俺も20年もうだうだとしているような人間でもねえ。20年は世界が変わるには早すぎるが】
【一人の人間が変わるには十分な時間だろう】
【つーわけで、カニバディール。よろしく頼む】

そっから先のことはお嬢にバトンタッチだ。

【「俺は疲れた」とタバコを咥え、すでに何本目かのそれに火をつけた】


えっ?……あ、はい。失礼、食事がまだなもので


【すっかり、聞き役に回っていた霧崎はこの隙に鯛茶漬けを食べていたのだ】
【「なんで今振るんだよ」という恨めしそうな目線をロッソに送ったあと、箸をおいて】

あー……それで、まあ私も手を考えました。
私はイスラフィールの手の者と接触しました。接触されたというべきでしょうか。
…事が順当に行けば、新楼市の次の市長は私になるでしょう。

ミラさんが私を円卓の中心まで重用していただけるよう手を回してくれれば――
円卓内部でも、水の国の政治ゲームにおいてもそれなりに上手く立ち回ることができるでしょう。
……私が狙うはイスラフィールと同等、水の国最高議員の席です。

現在、水の国の政治において優位なのは黒幕派でしょう。寝首をかかれた円卓は慌てて
それを取り返そうとしている。それを利用します。円卓の影響力を増大させ黒幕を抑える。
しかしその円卓派は実際には我々の手の者―『王妃派』とでもしましょうか。

イスラフィールを失脚させる。私が今考えているのは此処までです。

黒幕が次に何をするか…は今の所掴めていません。先にタイムマシンを完成させれば
確実に何らかのアクションを起こすはず。


/テンポアップのため先にレスをしておきます!
201 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/09(木) 21:47:55.96 ID:H4FTfFYv0
>>174

「安堵するがいい、本当さ」
「君は、いや、我々はそう成れる」
「……そして、世界が、我々の実力の前に平伏するだろう」

【彼の一瞬の笑みに浮かべた感情は、果たして何であったのだろうか……】
【返答は、その細く白い指に指輪を嵌めながらであった】
【そして、指と同じく細りとした身体を抱き寄せ】
【顔を近づけ、拒まれる事が無い意思を確認したのなら】
【ゆっくりと、口づけをする】
【それは、時が周辺が鼓動を止めたのかの様に、長く感じたのかも知れない】

「永久に愛そう、死が二人を分つまで」

【次第に、指を絡め、舌を絡め】
【互いの上気を、決して咎める者は無く】

「船に上等な部屋を用意してある、許されるならば、今夜はそこに泊まると良い」

【そう、少女の耳元で囁くのであった】
202 : ◆Kh0dBGYsiPBw [sage saga]:2019/05/10(金) 00:15:57.81 ID:EaKy239Z0

>>201

【ふ、と笑みを浮かべた道賢。善弥は安心したような表情を浮かべて微笑んで】

【時が止まるかの様に永く感じられた口付け】

【死が二人を分かつまで──】
【紡がれた甘い言葉】
【薄らと浮かべられた涙】
【その才を見出だされた"あの日"と同じくらいに、黴臭い蔵から祖父を解放し尚且つ分からず屋だった"あの人達"を殺してやった"あの日"と同じくらいに、もしかしたらそれ以上に、きっと嬉しくて】

【ならば、先を逝くのが『貴方』であるならばその黄泉路まで伴をするのだろう】
【そうして、先を逝くのが『自分』であるのならばきっと、地獄の業火がその身を焦がす刹那までその愛を信じ続けるに違いなくて】

【(だって、新しい"家族のかたち"をくれた男(ひと)、なんですもの──)】

【誰にも見咎められぬ逢瀬】
【囁かれた耳元までもが薄紅に染まっていたのはきっと逆上せからだけではなくて】

是非、そうさせていただきます
元々少し休暇をいただく予定でしたもの
一晩姿が見えなくとも気にされないでしょう
【薄紅に染まる目元。緑青がゆらりと揺れたのならば】
【愛慾の几帳は下ろされて──】



【名残の後朝、その先に待つは栄華か失墜か】
【其は未だ何人も識らず──】


/こんな感じでしょうか!
/絡みありがとうございました!
203 : ◆zlCN2ONzFo :2019/05/10(金) 01:14:54.30 ID:yOZJg/io0
>>202

「では、部屋に……我が妻よ、愛しい人よ」
「始めようか、我らが国盗りを」


【かくして、婚礼の夜は、混迷の世は始まりを告げたと言えるだろう】
【口元の笑みは、決して消える事はなく】
【笑みはより深く、より怪しくなり】
【それが何を示すか等は、本人のみしか解らない】
【夜の帳が降り、誠に甘美な時間が過ぎ行くが】
【果たして、誰が其れを遮ろうか】
【翌日には、かの祖父に、かの奥方公に、婚姻の報はなされるのだろう】
【世界はそれを何と呼ぼうか】
【なれば、こう呼ぼう、君は薔薇より美しい、と】



//お疲れ様です、これにて閉めです。
//ありがとうございました
204 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/14(火) 20:50:11.91 ID:lHlXGZ4e0
【――青空の向こう側の向こう側までも晴れ渡ったある日のことだった、あるいは何もかもが皮肉のように世界が煌めくのは、初夏に浮かれる日差しの作用にほかならず】
【なれば澄み渡る青空も真っ白に浮かぶ雲も、――――ほんの少し人間のための道を外れる、たったそれだけのことで見えなくなるのだから、ずいぶんと世界は簡単なものだった】
【だからきっと世界だってこんなにも簡単に滅ぼせてしまうのに違いなかった。だって見上げる空はもう色濃く茂る葉っぱの影の色、からりと爽やかな気候すら、気づけばじっとりと纏わる湿度にすり替えられて】

【――――そこは櫻のごくありふれた田舎町の一つだった。観光地めいた場所など一つもなく、外から人の来ることすらほとんどないような場所は、それでも、ごく立派な川の、その傍らにあり】
【その水で仕込んだ酒は知る人ぞ知る銘酒の一ツであるらしい。ただし酒と町の名はほとんど同じ知名度だった。――結局のところ、“ものを知ってる”ようなコアな客が愉しむ酒は、それでもきっと今年も仕込まれるのなら】
【どちらにせよ他所から来る人間なんてものはほとんど居ないのだろう。まして仕事などという風でもない年若い人間などというものは悪目立ちするらしい。――どこぞで自殺なんかでもするんじゃないか、なんて、失礼な話だけれども】
【けれどそうなのだとして、やはり人の口に戸は立てられぬものらしい。或いはおんなじ、“外”から来た人間だからなのかもしれなかった。――ましてや、同じような年ごろ、まだ若い女の、よく目的も知れぬ訪れとなれば、】

【(曰く、数年前にも"誰か"来たのだという。一人はあどけない少女。もう一人は、それよりいくらも大人びた男性。よりによってわざわざこの町を目指してやってきたのだというしその二人組は、)】
【(人が立ち入ればたちまち呪われ二度と戻ってこられない、なんていう伝説のある山を目当てに来たのだと言って。行かない方がいいという話にも耳を貸さず、そのまま山へ行ったのだという)】
【(都会から何か聞きつけて遊び半分にやってきたものなのだと思っていた。他所の文化や風潮を好奇心にて踏みにじってしまうことも十分にありえる年齢の人物たちであった。――――――その夜のこと、)】
【(二人は何事もなかったかのように山から下りてきた。それどころか、その少女の腕の中には、一抱えほどもある蛇の頭蓋骨が抱き留められていた。――そしてその二人組は一晩だけ町に泊まり、そうしてすぐにどこぞへ発った)】

【そんな奇妙なエピソードを誰かより聞くのは難しくないのだろう。刺激の少ない田舎町、話し好きのおばさんたちはとかく話題に飢えていたから。――とかく、その話を聞くことができたなら、】
【“彼女ら”は、その不可思議なよそ者の容姿にも触れるのだろうか、――長いアシッドグレーの髪に群青色の瞳が特徴的な男性と、それから、長い黒髪に色違いの瞳の少女。なれば、彼女らが言っている人物とは、一人は確実に"そうであると】
【思わすのに十分であった。長い黒髪はともかくとして、黒色と赤色の瞳の人物はあまり出歩いていないものだった。ましてや、同じ色合いをした少女が、蛇に由来のある伝承の残る山に登って、その骨を持ち帰ってきたのだと、言うのなら?】

【――――――――だから、山の中はごく静かだった。町外れと言っても、それは結局、人類が自然に負けた境界線でしかなかった。そこを一歩踏み出したなら、そこはもう、人間のための場所ではなく】
【がさがさと草と枝とを掻き分けて、足元でぼこり膨らむ根を避けて、そうかと思えばぼこりへこむ地面を避けて、そうやって歩いているだけで、何か取り返しのつかないこと、しているような気持ちにさせるから】
【やっぱり戻ろうか。"彼女"に何か関係があるのだとして、今更何もかも遅いのに違いない。そんな風に思っても/思わなくても、確認する携帯の電波など、あるはずもなくって、なら、戻るための道すら不明瞭にぼやける、刹那に】


【――事実として視界はぼやけていた。知らぬ間に薄らと霧が出ていた。瞬きの瞬間に、世界が白くくすんでいた。そうして、さっきまで充ち満ちていた不快さに等しい湿度は、途端に清浄たる涼しさに代わり】
【薄暗さは変わらぬまま、そうだとして葉の影より微かに差し込む日差しのかけらがそれでも何か神聖さを帯びているような気がした、――――――がさり、小さな音がする。その足元から。(けれど敵意はないから?)】
205 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/14(火) 21:21:07.26 ID:cDuJcACk0
>>204

【――登っているうちに辺りは暗くなり始めていた。だのに足音が聞こえていた、がさ、がさり】

【今更会えるなどとは思っていなかったけど。いなかったけれど、どうしたって、願ってしまうから】
【元気にやってくれているならそれでいい。道を違えたあたしのことなんか忘れて、幸せに】
【なってくれればそれでいいって、わかって、いたのに――その話を聞いてしまったのなら】
【赤い靴は勝手に踊り出す。それこそ呪われてしまったように。それしかできなくなるように、】

……………………はあっ、はっ、この靴で来るの、さすがにっ……無理があったかなっ、
でもこれ履いてないと、……きっと駄目、だから………………

【――山道にこんな靴履くのはきっと自殺志願者くらいしかいないはずだった。なのにこいつは呼吸していた】
【荒い息を吸いては吐いてを繰り返す。ならば服装だってそういう、とうてい山に適したものではなく】
【シャツの上からパーカー。ホットパンツに――暑いのに、何かを隠すようにサイハイソックス】
【何度も述べてる赤い靴は、バカみたいな厚底だった。本当にこの山の何もかもをバカにしているみたいなのに、】

……………………バカらし。帰……るにした、って……はあっ、……えっと。
こーいう夜の山では、動き回るほうが逆に危ないんだっけ……だから、
朝が来るまで待ったほうが、安全、で…………。……あれ、もう、朝、来ちゃった?

【表情だけがどこまでも何かしら、取り憑かれたように真剣みを帯びていたから――しかしそれも長くは続かず】
【途中で疲れ切って、よさげな樹でも見つけて背を預け、座り込んでしまうんだろう。そうしたら】
【なにかしら輝くのを見てしまうから。ふと目を丸くして前を見てしまう、そうして――ぞわりと肌を粟立たせ】
【その神聖さに怯えてしまう。彼女は冒涜的な化物であった、だからきっと「神様」には嫌われているはずだった、けど】
206 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/14(火) 21:41:15.50 ID:lHlXGZ4e0
>>205

【けれどその"神聖"は、決して彼女を拒みやしないのだろう。それが如何様な理由であるのかは知れなかった。――誰も真実を述べる者がいないのだから、仕方がないとはいえ】
【だってもはやこの山に神様などというものは居やしないのだ。そんな神様は滅んでしまって久しいのだ。だから、今ここに満ちる神聖はただの残り香、誰も踏み入らぬからこそ、残るだけのもの】
【なればいつか薄れてしまうのかもしれなかった。けれど、それはだいぶ未来の出来事のようにも思えた、だって、町の人はあんなにも今でもこの山に入ると呪われてしまうと信じている】

【(それとも或いは、この山の神様は貴女を決して拒めやしないのかもしれなかった)(だって)(だって)(――だって、)】
【(好きな人にもう一度会いたい)(その気持ちから何もかもを踏み外してしまった神様の場所だから)(きっとよく似た禁忌から出でた者を拒むなら)(それは自分の奇跡すら疑ってしまうことになって、)】

【(――――――だから、かは、分からないのだけれど)】


"――――""――――――――""――"

【――がさり、がさり、小さな音が連なっていた。かさり。山に棲む獣の足音とするには小さすぎたし、大型の獣が潜むような茂みは決してありやしなかった。なら、彼女の眼前、ごく背の低い茂みを、あるいは木の幹を、何かが這う刹那】
【ごく貴女の傍らから一つ何かがみょこんと顔を出した、――――――蛇。黒色と赤色とそれから黄色を纏う蛇。ごくありふれた色柄をした山棟蛇であったから、知ってさえいれば、その同定をするのはそう難しくもなく、ないのだけれど】
【知っているなら、それがうんと飛び切りの毒蛇だとも知っているだろうか。――そうだとして/それは間違いなく事実なのだけど、案外つぶらなまなざし、瞬くこともない鏡面に似た視線が見上げたなら、】

【あちらこちらからがさりがさり顔を出すのも"それら"であるのだろう。――そうして一匹一匹が顔を見合わせるようにきょとりきょとりと首を揺らすのなら、おそらくありふれた蛇ではないのだろう、と、思わす光景】
【みょこり顔を出した最寄りの一匹が、するり地面を這ってから、それから、その真っ赤な靴のつま先。まるでキスするみたいにすり寄って――くるん、と、その片足をまるで戯れるように一周だけ、ぐるりと回ってみせて】
【そうしたらするりと離れて行ってしまうから、――まるで人懐っこい野良猫のような仕草。見れば、ほかの蛇もまるで道案内するみたいに先導する一匹を/まるでおいでと誘うように振り返る一匹を追いかけて、するりするり、どこぞへ向かいだしていて】

【――全く何の知識もないのなら、間違いなく、黄泉か地獄かそれに準ずるどこかへの案内であるように思われた。けれどここは間違いなく蛇の山なのだと眼前の光景こそが証明していた。なれば、ここはきっとあの少女の知る場所であるから】
【歩みだすのなら、蛇たちはやはり先導するような仕草を繰り返す。――歩まぬのなら、蛇は行っては戻り行っては戻りを数度繰り返してから、まるで困り果てたようにどこぞへ姿を消してしまうのだろう。――どちらにせよ、静寂】

【人の言葉など聞こえてくるはずもない山の中の出来事は或いは怪談話にもよく似ていた。――そうだとして、何か頼れそうなものがほかにあるかといえば、著名の賢者すら首をひねるような光景】
【幸いにも蛇たちはより深く/より高く向かうようだったから、着いていくのなら、あるいはどこぞで携帯電話の電波だって拾えるようになるかもしれなかった。――――だなんて希望的観測が、過ぎるのかしら】

【――――――――どこかで何か動物の鳴き声がしていた。けれど恐ろしいものには感じられなかった。たとえ恐ろしいものなのだとして、この薄霧が護ってくれるような、そんな気がして】
【少なくとも確かであるのは、――迷ってしまった貴女を迎えに来る愛しい声は聞こえてこなくて。音楽ファイルの読み込めなかったゲームみたい、聞こえてくるのは足音と、蛇の這う音と、何かの鳴き声と、呼吸の音と、それから、(それから?)】
207 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/14(火) 22:00:23.50 ID:cDuJcACk0
>>206

【しばらくはじいっと音を聞いていた。それが地面からする音だとわかったなら、まつげを斜め下に落とし】
【見やる、蛇――であれば「彼女」の一部であるか、あるいは使い魔であるのかと認識した】
【そういえば一番最初の邂逅のときだって、「彼女」は大量の蛇を連れていた。こういった色の子ではなかったけど】

……………………鈴音、

【だとしたって、そう認識したのだから何も恐れることなどなかった。毒の有無など知るはずもなかったが、それでも】
【本能が、きっと大丈夫だと信じるように言いつけていた。だから足に這われても、何も怯えはしない】
【強いて言うならつややかな鱗の感触にちょっとだけぞわっとしたけど――本当にそれだけだ。だから立ち上がる】

あたしを、……迎えに来てくれた? ……なんて。
それはちょっと高望みがすぎるかな、あはは……ありがと。案内してくれるんだネ?
うん、ありがとう、歩けるよ――あんたたちよく見るとかわいい顔してる。初見はやっぱりビビるけど……

【したら、迷うことなく歩いていくのだろう。疲労の混じる顔に幽かな微笑を混ぜながら、話しかけてみたりするけど】
【当然なにかを返してくれるというわけではないから――それでもよかった。独り言を続けながら、歩き続ける】
【お迎えに来てだなんて、そこまで高望みはできなかった。だって自分が、勝手に会いたいと思って来ただけだから】

【だから――――なにか音がするのなら。しなくても。彼女は鈴ノ音を幻聴するのだろう】
【あり得ないことだったとしても、確かに彼女は聞いていた。それ以外何も聞こえなくなっていた】
【やがてどこかへ足を踏み入れる。童話の中で、教会にも赤い靴を履いていった愚かな娘は呪われたけど】
【もはやそんなことはどうでもよかった、だってとっくの昔から呪われている――穏やかな足取り。靴底を、鳴らして】
208 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/14(火) 22:19:53.61 ID:lHlXGZ4e0
>>207

【漏れる言ノ葉の音律に、蛇の一匹がぴくりと顔を上げた。――そうしたらすぐ傍らで同じくすりすりと這っているやつに何か話しかけるみたいに、ずりずりって近づいて行って、疎ましがられている】
【ずいぶんと仲のいい蛇たちの様子、だけれども、蛇ってそんなに仲良くやっていくたぐいの生き物だったかしら。――きっと違うのなら、これは、何か夢まほろばにも似て奇妙な現象、生物学者が喚いても観測したい光景】
【それだけで何か神様の思し召しなのかもしれないなんて言いすぎるのかもしれないけれど、――やがてあなたは薄霧の向こう側に、林立する木々とも、地面を這う蛇とも、まったく異なったシルエットを見つけるのだろう。――人の形をして見えたから】

………………――――、あ? 何? お客さん……? 迷子じゃないの? こんな奥じゃなくって、町のほうに降ろしてやりなさいよ。……私は忙しいから。
あんたたちの神様をこさえてやってんじゃない。…………あー、もう、――――――。

【だからきっと声だってした。誰よりも早く彼女を先導していた蛇が、ぐんとスピードを上げたなら、誰よりも誰よりも真っ先に、薄霧の向こう側まで行ってしまって、その向こう側から、微かな声音が】
【誰かがいるとは思っていないのだろう。だからきっと"彼女"は蛇にのみ話しかけていた。誘われた誰かは、単なる哀れな迷子だと思っているらしかった。何か少しうんざりしたような声は、それでも、涼やかに鈴の音を宿していて】
【薄霧の世界の中で聞くのなら、それこそ何か神聖なように聞こえることもあり得るのだろうか。――だとしても、彼女はずいぶんとくだらない理由で以って"いなく"なってしまったはずだった。だからきっと間違いなく気のせいに違いない】
【――それでも蛇たちは貴女をそちらへと誘導しようとした。それは人語を介する何かに処遇を任せようとしているようにも見えたし、二人を引き合わせたいようにも見えたし、それとも或いは、何か壮大な計画があるようにも見えたし、】

【つまるところ蛇の表情は大多数の人間にはよくわからないということなのだけれど、】

【――――――"それ"は少女の形をしていた、腰の長さまで何の乱れもなくすとんっと落ちた毛先は、お空の上で一番上等な雲を紡いで、それから宇宙の染料で染めたみたいに、何一つ穢れない黒の色合い】
【そうして負けじと白い肌は頬にうっすらと血の気を透かして、そのかんばせの造形のあどけなさを際立たせるのだろう。どこか優しく呆れるように蛇を見つめる瞳は光の角度によって赤く透き通る黒色であるなら、何か少しだけ違うけれど】
【深い赤色のワンピースに魅せるためだけのコルセットを締めていた、袖から裾から溢れんばかりのフリルはその華奢さをこれ以上なく協調して、その傍らから覗く指先の白色が、地面より救い上げた蛇を腕まで躊躇いなく絡ませて、口吸いの距離感で語らい】
【足元を隠しこむソックスの色合いに、それから足元はやはり到底山に似合わぬ靴を履いていた。――かかとの分厚く高いストラップシューズ。そこだけ見れば二人、限りなく同類であるのかもしれない、なんて、思えちゃいそうな】

……ああ。もう。ごめんなさいね、うちの蛇が……。大変だったでしょ。獣道だから。――――まあ、ここ、獣なんて来ないけど。蛇道だわ。蛇の道は蛇――ということで、ほら、さっさと道案内。元居た場所に返してきなさい。

【薄霧の向こう側であるなら、互いに視界は悪いのだろう。そうだとして、その人影の姿を見るにあまり不足はなかった。――なればそいつはそちらに背中を向け続けていた、腕に絡めた蛇にケチをつけてから、足元に解き放ち】
【指先でわりにぞんざいに急かす、――それでも何か蛇がたじろぐのを見てから、ようやく振り返るのなら、それまでに相手のほうが動いたって良かった。それだけの時間は十分にあったし、――言葉を発するだけなら、瞬き一つの間に事足りる】
【どちらにせよ彼女は全部の始まりをあなたに譲るのだろう、――そうあれかしと神様すら望むみたいに。だって、こんな山奥で起こる出来事は、神様か何かそれに準ずるものが手引きをしたに、違いないんだから】
209 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/14(火) 22:32:38.45 ID:cDuJcACk0
>>208

――――――――――――鈴、

【まっさきに出かかった声を飲み込んだ。シルエットだけでわかってしまった。だけど、だからこそ】
【次の瞬間には「違う」とわかってしまうから。だってこいつがずっと祈っていたのは、「彼女」に対してだけだった】
【目の色が違うから。だから違うとわかった――だなんてそんな簡単な話ではなかった。だから、こいつは、】
【とびきり残念そうな顔を隠せもしないで、それでもなんとか隠しているような仕草を残して。苦笑いするのだろう】

………………ううん。いいコたちばっかりだった、蛇ちゃんたち――獣道だって平気だった。
見える? こんな靴で歩いてきたの。それでも平気だって言うんだから、……あたし結構すごいでしょ?
まあ――今はそんな話は、どうでもいっか。ごめんね、ちょっとだけ……ちょっとだけお話ししたいな。
それが終わったらすぐ帰るからさ、だからちょっとだけ、付き合ってほしいんだけど――――

【そうして赤い靴のバカ高い底を示す。きっと目の前の彼女ならば知らないだろうと思ったから】
【それから漏れる溜息はやはり苦笑に交じった音をしていた、けれどうんざりした、という意味合いではなく】
【何かかなしいことを悟ってしまった、みたいな、色合い。それでもなんとか笑っていた。振り返って、見てくれるなら】

ねえ、………………あんたの名前、なんてーの?
……白神、鈴音。ではないよね。あたしバカだけど、それくらいは、わかるよ、……わかるから、

鈴音はどこ行っちゃったのかな。……もう、あたしたちに愛想つかして、何処かへ消えちゃった?

【「あたしは夕月って言うんだけど」。きっと目の前の彼女には聞き覚えのない名なのだろう。名乗って、】
【相手の名を問い返す、何気ない会話に添えられる表情――だなんて到底していなかった。なにかもっと】
【競り上がってくる感情を、それでもここで零すことは許されない。理解して堪えているような顔をして】
【そしたらやっぱり、その上から無理矢理作ったぶさいくな笑顔をべたべた塗り付けるから――何もかも下手糞だった】
210 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/14(火) 23:07:20.57 ID:lHlXGZ4e0
>>209

【ついと霧の向こう側から黒くて赤いまなざしが間違いなく貴女を捉えて、――はたりと瞬くところまでを余すところなく観測させた。であれば、間違いなく出かけた声は聞いたのだろう】
【ほら見たことかとでもいうみたいに頭を揺らす蛇の仕草だけが何かふざけたような滑稽さを帯びていて、――けれどきっとそれ以外の誰にもそんなつもりはないから、やはり浮いているだけのその仕草が目立ち】
【振り返る足取りが草を踏むのなら、しゃくんと割合に当たり前の音がした。――――――――とすり、ごくごく小さな足取りの音一つで、詰める距離は、歩幅一つ分しかなくとも、“それ”はやっぱり何か、違うから】

そう? まあ、そうよね――。お行儀の悪いようには育ててないもん。ただ、人が来るのに慣れてなくって。近頃まで、ここ、封じてあったから。……それで。
見えたわ。お靴はもちろん、お顔も。――まず一つだけ。ごめんなさいね、――あたしにとって、あなたは、読んだ本の登場人物みたいな、もので……。
――まだ、そこまでなじんでないの。あなたに関する記憶も含めて、私のお話と呼ぶには、少しだけ、ね。――、でも、知ってる。――――――――――元気?

【向き直り近づいた影の向こう側に小さな社があるのだとして、何か特別な意味があるようには思えなかった。そうだとしてよく見れば、足元には気づけば草むらに等しい茂みと、それからうっすらと水が満ち満ちていて】
【不可思議な光景なのだとして、それがここのルールらしい。――ルールと呼ぶほど大層なものでもないのかもしれない、高い山を登るなら酸素が薄くなって当たり前なみたいに、ここには水たまりができやすい、なんて?】
【ころと笑う声の鈴を転がすようなのが変わらないのが非道かった。――空っぽになった指先を口元に添えるのなら、いくらか無邪気な笑みも見せつけるのだろうか、それでも葉の隙間から覗き見る月より朧気に、隠すのならば】
【さくりさくりと足音は繰り返されていた。止めぬのならばずいぶんと近くまで近寄られるのだろう。――とはいえ、会話に問題のない距離でしかなかった。殴るこぶしも蹴るつま先も、そのままでは届かぬ距離感にて】

桜花鈴音。
そうやって名乗ることにしたの、――だけど、変わらない鈴音だわ。って言ったら、可哀相よね。――あなたにも、わたしにも。
だから……そうね……、なんて言えば、いいのかなあ。――――――短編集のお話が、あるでしょう? いろんなお話がいくつも入っているやつ。
あれって、――例えば真ん中から引きちぎっても、千切られたどっちか片方だけでそれなりに成立しちゃう。……あたしはその片っぽで、わたしはその片っぽで、

――それをノリでくっつけたら、元通りの一冊! ……そういう感じなんだけど……。まあ、もう片っぽは、さらにそっからシュレッダー掛けられちゃって、現在、誠意修復中――、ね?

【ごく大人びて笑った表情が、――なにかどうしようもない悲しみに似て翳るのを隠せるほどの距離/霧ではなかった。その名を名乗ることを悲しむのではなく、それ以外の何かを悲しんでいた、けど、】
【そうだとしてあまりひどく悲しんでいないようにも見えた。ならばあんまりに心の冷たいやつなのかもしれなかった。そうやって呼ばわったところで、彼女はやはりきっと何か悲し気に笑うだけなのだろう】
【だからせてめ何か冗談めかすように笑んで伝えた、ぺちんと気の抜けた音で合わされる両手は、間違いなく片手ずつが本のかけらを表していて、それで解決したらよかったのにね?】

――、どこかへ消えちゃったって言うよりは……。

【――だから彼女はその片っぽうの手を指先を口元に添えた、そうして一瞬なにか悩むような声はあいまいな音階を刻むのだろう。うーんとうなり声、それから、ついと振り返り見せつける背中の無防備さ、】

消えらんなかったのよ。

【「だから、…………………………」「……、」「、」「あれ?」】

………………もしかして、わたし、なんかした? こんなところで何してるの? 

【“だから”何かを説明しようとした背中がふーんと気の抜けた吐息の思考に浸される。そうしたら何かに行きあたるのだろうか、だって"彼女"には前例が何度もあって、あったし、きっと貴女だって聞いている】
【彼女によって異世界に引き込まれた人間の話。――なれば同じものを名乗る彼女だって知っているのだろう。けれど心当たりはないのだろう。何か慌てたように振り返る表情が、――あるいは馬鹿みたいに少し慌てていて、】
【初対面と呼ぶには少し親し気でもあった、――だとしても】
211 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/14(火) 23:27:19.11 ID:cDuJcACk0
>>210

…………桜花鈴音。そっか。そう、じゃあ、、初めまして――。
そっか、……そう。そっか、……そっか。じゃああたしの知ってる鈴音は、

【何かひとつひとつ納得してゆくような、或いは自分に言い聞かせて諦めるような声色にて、返答】
【それはどこか部屋の片づけをしているのに似ていた。使うものはきちんと棚に仕舞って、抽斗に入れて】
【飾るべきものは飾って――そうじゃないものは、箱に仕舞ってしまうか、それか、――――、】

【――いずれにせよ何かをためらうような沈黙の間を置いた。顔はぶさいくなままだった。それでも】
【真っ赤な相貌は相手の表情を見守ることを躊躇しない。ここで目を逸らしてはいけないと悟っていた】
【せめて見届けなければ、自分のやってきたことも、「彼女」のやってきたことも、なにもかも馬鹿らしい話で終わるから】

消えてない、なら、…………よかったかな。よかったかも。
んーん……「鈴音」はなんにもしてないよ。あたしが勝手に会いたいなって思っただけ。
そしたら蛇ちゃんたちが迎えに来てくれたからさ、だから――なんて勝手に期待しちゃった。

でもその期待も、ね、……少しだけ叶ったのかもしれない。
消えなくって良かった、鈴音が――これもまたあたしの自己満でしかないんだけどさ、
……もしかしたら、聞かせたら怒らせちゃうかもしれないけどさ、どうしても言いたいことがあって、

【「……だから」「伝えといてくれる?」「怒っちゃったら」「ごめんねって言ってたって、それも伝えて」】

助けてあげられなくって、ごめんね、って。
――――あたし散々言ってたんだ、鈴音のこと助けてあげるって、バカみたいに言って回って、

でもあたしそんなことできなかった。……できたかもしれなかったのにできなかった。

【きっとそれをどこまでも悔いていた。それを言うまできっと「死ねない」、そう思っていたのかもしれなくて】
【だからこそここに来たのかもしれなかった。そうして、ここに立ち入ることを許してもらえた――のかもしれなくて】
【何もかも「そうかもしれない」に過ぎなかった。けれど。けれど。「白神鈴音」が、まだ消えてない】
【そのことだけがこいつにとっての救いだった。それだけはどうしたって間違えようがなかった。――まだぶさいくに、笑っていた】
212 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/14(火) 23:59:52.85 ID:lHlXGZ4e0
>>211

【はじめましてのご挨拶に、――そいつは割かし友好的に答えるのだろう。そもそも人間と敵対してやろうという意思すらないように思われた。――"誰かとは違って"】
【冗談めかすようにスカートのすそを摘まみ上げる仕草は、あんまり似合ってないのかもしれない。それよりもうちょっとだけ好き勝手に生きている人間の素振りが似合うように思えたから】

……そうなの。じゃあ、やっぱりわたしが呼んだのかもしれない。……今からねえ、神社ごっこをするの。まあ、こんな場所まで人間は来やしないし、“ごっこ”でしかないけど。
山奥だしね。こんなとこまで参拝に来いって、人間のほうが可哀相だし。……夕月ちゃんは、消えなくて良かったーって、思うのね。あたしと逆。――あたしはね、
消えた方がよほどマシだったって思ってるもの。――けど、消えらんないし、消せもしない。放っておいたら、それこそ間違いなく、“なにか”しでかすから、――。

見張り番みたいなもの。地獄の底の穴の上におうちを建てて、そこに暮らしちゃう感じ。

【なればそいつは気軽に言ってしまうんだろう、何か思い詰めてやってきたわけでは少なくともなかった。山登りに適するはずもない靴のかかとにもつま先にも泥のほんの少しもこびり付いてや、いないから】
【だからよっぽどあなたのほうが彼女のことを想ってくれているのに違いなかった。気づけば二人の足元には何匹もの蛇たちが好き勝手にくつろいでいた、――お話しながら指先が示すのは、傍らにある石造りの社】
【何かが崩れてその上に苔が生して草が生えたようななだらかな凸凹の中で、それだけがいやに奇麗だったから。"それ"が“神社ごっこ”の要であるのはきっと間違いなく、】
【――ならば神様がそこにいるべきだった。けれど眼前に存在する気楽な誰かは神様だなんて厳かなものをやるつもりはないようにしか見えないのなら、】

大丈夫よ、――今も、一緒に居るんだから。聞いてる。ぜんぶね。――――――ただ、そうね、

【背中を向けた肩越しに振り返って手招いた、そうして誘うなら、――社の前。二人佇むことになるのだろうか。そうして近づくのなら、社と胸を張って呼ばわるには少し物足りないものであるとも知れるのだけれど、】
【いつか"なにか"あったのだろう場所に、いまも"なにか"あった。掌に握り込めるほどのわりに大きい、銀色の鈴。それでも無造作に転がされていた。――神様のための場所と呼ぶには、やっぱり、ちょっと、物足りないけれど、】

他の人には、内緒よ? ここまで来て荒らされたら、たまったもんじゃないから。――――結局、わたしは、人間の身体をもらったところで、人間には戻れなかったの。
だぁーって、なんにも、解決していなかったから。――だからね、やっともらった人間の身体だって、取られちゃった。それで、今はね、身体だってないの。――それでも、消えらんなかった。

――――――――――――――から、ここを神社にしちゃおうと思って。へびさまのご神体、私ん家(よるのくに)にあるから、ここ、空っぽで。へびさまの結界も壊れちゃってるし……。

【なれば間違いなく彼女のための場所にしてやろうという積もりのようだった。まかり間違えてもウヌクアルハイなんて名前の神様のためではないに違いなかった。――そうだったとして、もはや誰もあれを信じやしないのだろうが】
【ろくなご利益もあるはずのない、ちーぽけな神様のための神社をここにこさえるつもりらしい。そのくせ、大仰な儀式も形式も礼儀も作法も気にした風でないのは、結局はどこまでも、何か納得させるための儀式でしかなく】
【だからきっといつか誰かがしてくれようとしたお葬式と意味合いは全く同じなのだろう。――それを貴女が知っているかは、分からないけれど、】

【(一緒に居るというのなら。今も見ているというのなら。或いは話すことだって叶うのかもしれなかった。けれど何も言わないのなら、こいつはそれを推奨しないのに違いなかった)(だとしても)(だとしても?)】

213 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/15(水) 00:22:42.91 ID:h4jMUaMU0
>>212

……消えなくてよかったってのは、あたしの自己満。これを言いたかったってだけだから、本当に――
きっとあんたの言ってることが正しいよ。白神鈴音はもう、消えてしまったほうが、……しあわせなのかもね。
そっか、…………そっか。神社やるなら、今度こそあたしここには来られないかも――

【「ゾンビなの。だから神聖さに中てられたら、浄化されて死んじゃう」 冗談っぽく笑う頬は薔薇色で】
【血の通った色をしているから、やっぱり冗談なのかもしれなかった。そもそもこんなこと、「鈴音」には】
【言ったこともなかったし――やっぱり?八百なのかも。はは、と笑う声に力はなくとも、瞬きは生きていて】

……………………。……人間にも、……戻れなかった、……なんて、
うそでしょ、ウソ……、……なんて、吐くメリットなんか、ないから……ほんとうの、こと、なんだね。
……、……鈴音は泣いてたよ。イルちゃんからもらった身体なんだって笑いながら、……、

あたしそれを、…………嬉し泣きなんだと思ってた、だけどそれも、そうじゃ、なかったんだね。

………………そっか、そっかあ、……じゃあ、あのね、ここが白神鈴音の神社になるんなら。
お祈り、していいかな……あたしほんとはお祈りなんかしちゃいけないバケモノなんだけど、それでも、

【しかしまつげの降りる瞬間に、静かに跪くのだろう。こいつが願った鈴音じゃない、桜花鈴音の御前に】
【両膝をついて、両手を組んで――その左の薬指に環が植わったことすら報告できていなかった】
【何もかもを悔やんでいるのだろう。だからそれはきっと祈りなどではなく、贖罪を冀う、告解でしかなく】

鈴音、ごめんね、…………ごめんなさい。あたしあんたを救ってみせるって、大口叩いて、
目的地もわかってないのにバカみたいに走り回って、それだけで満足しちゃって、……ごめん、ごめん、ごめんなさい!

ごめん、ごめんね、鈴音、りん、ね…………、……っ、あたしあんたの幸せを祈ってた、願ってた!
でもそれが足りなかった、あんたの力になれなかった、寄り添ってあげられなかった! 救ってあげられなかった!
なんにもできなかった! もしかしたら神様になれたかもしれないのに――そのときだってなんにもできなか、った、……、

……………………ごめんなさい、許して、許して、なんて、言っちゃいけないの、わかってるのに、
許してほしくて仕方ないよ、ごめんなさい、ごめんね、……ごめん、けっきょく、たんぽぽ、も、守れなくって、

あたし、………………どうしようもないほどバカで、無力で、それなのに――あんたの友達気取って、
ごめんね、こんなヤツ、傍にいたって鬱陶しかったでしょ? うざったかったでしょ? なのに、
あんたいつも笑ってくれたから――――勘違いしちゃってた、……ほんとに、ごめんね、……ごめんなさい…………。

【泣き崩れる、地面に落とす涙はすべて白神鈴音にのみ捧げられるのだろう。ゆえに勝手に口からまろびでる謝罪も】
【全部全部、白神鈴音のみに捧げている。馬鹿げた話だった。だって鈴音は、水が怖かったの、知ってるのに】
【こんなにたくさんの、涙というそれっぽい呼称をつけただけの水なんか供物として相応しいはずなどなかった】
【なかったけれどそれしかない。捧げる花の一輪すら、こいつは摘んでこなかった――ならば何もかもが、自己満足のため】
214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/15(水) 01:05:23.70 ID:DSINPimJ0
>>213

――――――――――ゾンビ?

【ぱちりと瞬いた。そのまなざしが何らかを示すのだとして、少なくとも、軽蔑や畏怖では決してないのだろう。それよりかもっと好意的/友好的な色、瞬きに添えたなら】
【きっと初めて自分以外の猫に出会った子猫みたいな顔をするのかもしれなかった、――二人猫だと騙るには、彼女は少し蛇のような尾っぽを持っているようだった、けれど】

あたしもねえ、死んで生き返ってるから――だから、大丈夫じゃない? 分からないけど――。ここの神様ねえ、――ああ、本当のほう。へびさまのほう。
あの人は、――もう一度、死んじゃった大好きな人に会いたいっていうだけで、全部頑張ったの。けど、――その結果を観測してしまったから。
さあ、今はどこへ居るのやら……あたしにもよくわからなくって。

【そもそも祀られるもの自身が、黄泉返ったようなものだから。むしろ何度も死んでは生き返るだけ穢れているのかもしれなかった。だから、気にしないかも、なんて】
【とはいえ、相手の仕組みを彼女は知らないから。――大丈夫じゃない?なんて軽く言っておきながらも、そのせいで何らかの出来事が起こるのは、嫌なみたいに】
【――そうして語らうのはそもそもすべての始まりのことなのだろう。大好きな人が死んでしまった。もう一度会いたかった。たったそのためだけに、なにもかも、なにもかも、】

……あの身体は、人間だった。けど、――――人間の身体に入っていてふさわしい魂では、もはやなかったの。
どこまで知ってるのかな、――自分が人間じゃなくなってしまったことを悔やみ続けてきたやつが。数年越しに、はいどうぞ、って人間の身体をもらったとして――。
「わあい! やったー!」って受け入れられるものかしら。――受け入れられる人もいるんでしょうね。けど、わたしには無理だった。たったのそれだけの話。

人間の身体に戻れたからといって、――――――――――――――。

【例えばうんと幼い子供だったなら、「ごめんね」「いいよ」で済んだ、のかもしれないけれど】
【もう少しだけ大人になってしまうと、途端に、「ごめんね」のたった四文字で、理不尽を許さねばならぬという理不尽に気づいてしまうし】
【もっと大人になったなら、その心の内側に詰まっているのが嘲笑と面倒くささと馬鹿馬鹿しさだと気づきながら、謝罪を受け入れないなんて心の狭さを世界が許さぬことまで理解する】
【そうして「いいよ」と笑って見せる表情は笑んでいるように見えたからって決して笑んでやいないのだと、だれもかれも気づかない。だって気づかれぬように笑むんだから】

【(まして形式上の「ごめんね」すら、なかったのかも、しれないのだから)】
【(だからきっと確かなのは、彼女はそのくだらない損するためだけの儀式に笑ってあげて「いいよ」って言ってあげて全部赦した"ふり"を、しなかったって)】
【/いままでたくさんゆるしてあげたよ】

【――――だから、(だから?)(だから。)彼女は、その懺悔を聞き遂げるのだろう。それが彼女なのかそうではないのかやはり彼女なのか結局彼女なのだろう。だから彼女は聞いていた】
【そうだとしてまなざしはごくあいまいな色をしていた。俯いて見下ろすのなら、瞳は限りなく黒く、けれど瞬きのたびに、かすかな光を抱き留めて、ほんの少しだけ赤みぼ帯びる】
【やがて思いついたかのように膝を折るのなら、足元はやはり水浸しであった。そうだとして、決してぬかるんではいなかった。そこに落ち行く涙の雫、その一つ、指先に捕まえて】

なら、わたしの代わりに世界を滅ぼしてくれる?

【濡れた指先がやさしくやさしく花をめでるようにその顎を持ち上げようとした、――――――桜の綻ぶような柔らかな笑み、吐息の気配、眦の角度は嘘と誠の境目を限りなくぼやかして、】
【ならば誰がしゃべっているのかすら分からなかった。彼女はずうっと一人称すら曖昧に振れていた。なれば彼女の前に居るのはだれかなのかもしれない。願われ続けてきた彼女なのかも、なんて?】
【――ふ、と、吐息の抜けるように笑った声が途端にいのちを取り戻すから、造花の花弁はその刹那にその涙だって飲み干して、咲き誇るうるおいと変えてしまうから】

なーんて。……、…………。

【それでも何かばつの悪い間があった、――、なにか混線してしまったような一瞬のノイズに似て。うふ、と、冗談めかす笑い声の温度、立ち上がる仕草に付随する、フリルの戯れと】

………………私は、残るから。どこかへ誰かと行くのでしょ? だったら、全部、置いて行っていいのよ。ここに。

【私は誰かの何かを赦せるようなものではないけれど。それでも、】
215 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/15(水) 01:35:26.72 ID:h4jMUaMU0
>>214

そう、ゾンビ。死んでから生き返ったの、……神様に喧嘩売るようなやり方で。
だから本当だったら神社もお寺も教会も全部ダメなんだけど――鈴音がいっとき許してくれてるのかも。

【ならばそれ以上のことは語らないのだろう。無駄でしかないのだから。閉じる唇、きっと何かを考え込んで】
【「死んじゃった」「大好きな人に」「会いたいって」「いうだけで」――誰かのことを思い出していた、けれど】
【そいつこそ正に神様に喧嘩を売る人だから、口にはしない。ゆるり首を振って、――跪いたまま】

【そうして何にも解決していないことを思い知る。鈴音はきっと罅割れたコップなのだとずっと思っていた】
【だからその罅を接着剤でくっつければ、中に注がれる水だっていつか零れることがなくなる、って】
【そう思ってたけどそうじゃなかった。罅なんかじゃなくて、底が丸ごと抜けていたのだと知る。そうしてそこに】
【いつか満たされる、満たされるのだと信じてやまない無慈悲な水だけが注がれ続けていたことを知って、】
【やはりこいつは泣くんだろう。気付けなくってごめんなさい。謝る資格もないのに、それしかやはり、できないから】

【持ち上げられる顎の角度は決して美しくない。美少女の丸みも、美女の真っ直ぐな鋭角もそこにはなく】
【こいつはそもそも美しい子ではなかった。だから泣けば、不細工な顔がさらにひどくなっていた。けれど】
【それを見られるのが恥ずかしいからって逸らすことは許されないと知っていた。だから、縁まで真っ赤に染めた目にて】

――――――――ううん。それは、できない。あたしは鈴音ではないから、……、
まだ世界が好きなの、でもね、……あのね、鈴音にだけは聞いてほしいんだ。

あたしのことね、世界で最初に助けてくれた人がいる。でもそいつは悪いヤツなの。
世界中のみんなから死を願われる、地獄で呪われ続けることを願われる、それくらいに悪いヤツ――
だけどあたしのことを助けてくれたことは絶対に、変わりのない事実だから、

あたしは、――――その人を守るために世界にケンカ売るの。滅ぼすまで行くかな、どうかな……
わかんないけど。……そのためにね、悪いことするよ、だからね、

【「鈴音だけはあたしに (不明瞭な声のくぐもり)(応援して/赦さないで/祈って) いてほしいの」】

【――――なんて言ったのかきっとわからないしわからせない。だけど鈴音なら、白神鈴音ならば】
【この気持ち、きっと「理解」してくれるって、これもまた勝手な願いを込めて/ヒトはそれを信仰と呼ぶのだろうか】
【それだけ言ったら立ち上がるのだろう。懺悔は終えたし、これからすることも伝えたし。きっと置いていくもの、たぶん、ない】
216 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/15(水) 03:31:20.11 ID:DSINPimJ0
>>215

………………少しだけ、おんなじね。

【何かを誤魔化すためだけにある沈黙が横たわる、ならば沈黙など慰めによく似た無意味でしかないんだろうか/ないのだろう】
【だって何かが似ていたところで私達(わたしとあなたと)が同じになるはずもないのだから。二人同じ悲しみに耽るにも、その境遇すら異なりすぎて】
【ましてや同じような傷口を擦り合わせるには、――こんなよくわからない少女の形をしているだけの誰かより余程優れた人があなたには居るのなら、】

…………下の川、見たかしら? 大きいでしょ。あれが、あたしたちのご先祖様。……といっても、さすがに川から生まれたわけじゃなくって。
うちの神様はあの川なのよ。そういうことになっているの。……源流がね、この奥にあるのよ。見ていく? 

【――だからきっと彼女は意図的に答えなかった。長い黒髪は光を受けると烏の羽のように艶めいた。そうして黒色のまなざしは光を受けたなら血のように色鮮やかに艶めいて】
【まったく何一つ関係ない物事を、ふっと、本当にふっと、思い出したような声が尋ねた、――「それとも」なんて声音はやはり努めて無機質を装う、鈴の音の理屈が述べるに、】

わたしと、あなたと、二人きりで話した方が、いいかしら。

【「だってなんだか狡いじゃない?】

あなたがそんな風に言ってくれてるのに、わたしはだんまりだし。――あははは、あたしが、抑えてるんだけど。……。
その間のこと、聞かないでおいてあげる。見ないでおいてあげる。その代わりに――、何かあったら、すぐに間に入ってあげるわ、それとも、
満足、したのなら――そうね、やっぱり源流でも見ましょうよ。だって、死んだ人間の言葉なんて聞いたり真に受けたり、しない方が健全だから。

【ならば提案なんてことをすること自体が不健全だと思っている節があった、――木の葉に咀嚼されてしまった月明かりはどこまでも朧気にぼやけて、感情すら不明瞭に照らすなら】
【視界の向こう側に微かに桜色が見えた。桜の木がそこにあるようだった。どうあれ桜の時期などこの国であってなお終わっているべきだった。――だからやはりここは何か異界に近しい】
【昔ッから、山の中なんて場所は人間の場所ではないから、怪異談も少なくなかった。――なれば死者と会話する奇跡の一ツ二ツあって何がおかしいというのだろう】

それとも帰る? お嫁さんをいつまでも神隠ししてたら旦那さんに殺されちゃう。

【やはり何かそこだけ浮いてしまったような社の傍らに佇むのなら人の姿をしているだけで彼女も忌まれるべき化け物なのだと誰にだって理解させた、】
【そうだとして異界の食べ物など勧めてくるわけではないし、望むのなら選択肢のどれだって彼女は許すのだろう。――あるいは、違った言葉すら、きっと】
【――こんな場所まで来てくれるのだから。来てくれたのだから。厚底靴で登山を敢行してくれたお礼と詫びくらいしたいと思うのは、きっと多分人間だってそうなんだろう】

【それとも或いは空っぽの神様に何かの意味を与えてもいいのかもしれなかった。この神様はこのお願い事を叶えるって思ってくれたなら、きっと神様ってそういうのが大好きだから】
【それとも或いは蛇を連れて帰ってもいいのかもしれなかった。*****の例もある。人間一人の魂を護ってみせるのに幾許か心許ないとして、無防備よりきっとマシだと思われた】
【それとも或いは邪神の聖地だと言って今のうちに焼き滅ぼしてしまってもいいのかもしれなかった。いつか世界を滅ぼそうとした神の神格を癒すためにこの場所はあるのだろうから】
【それとも或いは、――、だからきっとなんだってできた。なんだってしてしまう選択肢があった。それが叶うかは別として。どんなお願いごとも、誰にだって願う権利はあるはずで】

【――――願ったら叶うわけではないと、努力したから報われるわけではないと、愛したから愛されるわけではないと、知りたくなかった/知るしかなかった神様の墓標と、その成れの果て】
【どちらもそろって月の光の色をしていた。山中であるはずなのにここばかりが明るかった。帰ると言って背を向けるなら、その帰り道すら、こんなふうに明るく煌めくのだろう】
【ならばこれから行く先すらこんなふうに照らされるのかもしれなかった。だって、】

【(自分が食べたかった食事も欲しかった愛も向けてほしかった笑顔も掛けてもらいたかった言葉もなにもかもなにもかも、人に与えて、それで、底抜けの器を満たした気でいたのだから、)】
217 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/15(水) 13:35:47.48 ID:h4jMUaMU0
>>216

【川を見たかどうかの問いには、あまりに唐突な話題転換が過ぎたせいかどうか。違うかもしれないけど】
【ぽかんとした顔をして――はいともいいえとも言えず。ただ、涙の痕でひかる頬ばかりが間抜け面】
【まごつくように唇がさざめく、しかし音は立てなくて、けれど続く提案には何かしら、やはり何かしら】

――――――――鈴音に会いたい。会えるなら、勿論。

【どうしようもなく反応してしまうから。そうしたほうがいい? という問いかけに対する返答としては】
【いささか噛み合っていない言葉を、ほとんど反射的に返す。未だ涙の止まぬ瞳がまん丸くなっていた、】
【ほんとうに、そんなこと、できるの? そう言いたげに――でも「あなた」がそう言うのなら、そうなんだろうけど】

………………、なに、さっきの、わたしの代わりに――って言ったの、
あんたの「それっぽい」演技だった? ならもう、……本気で返したあたしがバカみたいになったじゃん。
あはは、もう、そうならそうと早く言ってよ――はは、ははは。……違うかな。違うよね。
代弁してくれたんだよね? 鈴音はきっと、本当に、そう言ってるんだよね? ……そう、なんだよね。

だったらそれでもいいよ、それでいいから、……ずるいなんて思わないよ。
鈴音の、……白神鈴音の口からあたしに何か言ってほしいの。そしたらね、

【「そしたらようやく(ふたたびの声のくぐもり)(納得できる/あきらめられる/もう大丈夫になる)ような気がするから」】

【――――結局のところこいつは、化物に成り果てようと、モトが人間なんだからどうしようもないのだ、】
【どうしようもないときの神様頼りはいつの時代だって誰もがやる。元から信仰心があろうと、なかろうと】
【然るにこいつが白神鈴音を探していた理由なんて、ただのひとつ、我儘でしかなかった。どうしても謝りたくって】
【それに何か返してくれるなら、もう「思い起こすことなど何もない」――今わの際で想うようなこと、考えてるの】
【果てしなくバカバカしいとしか言いようがなかった。だってもう、こいつは生きてないのに。とっくに死んでいるのに、】

【……だからこそ、だろうか。一度くらいは友達と桜が見たいって願ってしまうの、それもまた、人間にありがちな神頼み】
218 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/05/15(水) 20:37:59.06 ID:u+kf3lboo
【ある国、ある自然公園の広場にて】

【ようやくサンドイッチが食べられる事に若者は綻んでいた―――胃に物理的な穴が開いたせいで先月の半ばまで点滴で栄養を取り続けていたためだ】
【"いぶき"での死闘にて"ランスロット"の名を背負う男に敗北し、8時間に及ぶ緊急手術の末に一命をとりとめ、入院を続けており】
【今月の頭に退院、波紋呼吸の影響で内臓はすでに傷がふさがっており、再始動トレーニングに彼は勤しんでいた】


こう!いやまだ跳ねてる!もっと地に足を付けて動く!
うーん、これだとまた攻撃を阻まれちゃいそうだなあ、なるほど確かに体に悪い癖がついてるかもしれないなぁ
いっそリハビリがてら一から戦闘スタイル組み直そうかなあ?


【黒い短髪に真っ白な鉢巻き、『 I'll be back』とプリントされた白いシャツ、その上から赤色のベスト】
【手元に銀の腕時計、青いダメージジーンズにウエスタンブーツの、どこか幼い顔立ちの若者だった】

【だが、その服装には―――もしこの場にカノッサ機関員がいたならすぐに何であるかを理解し、『それが付いている状況に目を疑う』物がくっついている事がわかる】
【ベストの左腰には≪No.78≫と書かれたプレートが付いており、シャツの腕には≪No,91≫と刻印された金具と左肩には≪No,34≫と書かれたバッジ】
【そして、ジーンズには引きちぎられたような布が縫い付けられ、そこには≪No.59≫と書かれていた……そして、その全てに血痕が付着している】

【入院中のリハビリを得て、今日が実戦的なトレーニングの再開日だった】
【若者は珍しく真剣な顔持ちで鍛錬に挑みつつ、自分の足元に重点的に動きを見直しているようだ】

【一時間ほどぶっつづけで行ってた所で、彼はやがて伸びをして傍のランチョンマットまで歩き】
【作って来たスポーツドリンクとローストビーフサンドイッチ入りのバスケットを取り出して食べ始めていた】


まあまあ、うまくいってたかなぁ〜、ぼくは元々のみ込み早い方だし
足さばきの見直しが終わったらいくらでもぼくなりのスタイルを構築できるかもな、堅実なタイプを真っ向からぶち破るような戦い方をするなら
どうやるかな?……まあいいや、15分休憩タイム!!


【腰をマットの上に下ろして呑気な顔でガツガツ食べ始めるだろう】
【広場のど真ん中で堂々と休憩しているのだ、自ずと目立つ。会話をするのは容易そうだ】
219 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/15(水) 21:14:33.18 ID:RZRkKN870
>>218
【ふと、麗らかな春の陽気に影が差す。ほんの束の間、太陽に雲がかかったように、周囲の明度が一段落ちる】
【遅れてきた冬の名残を思わせる、一陣の冷たい風が吹き抜けたかと思えば──】


 これ見よがしに戦利品をぶら下げて、どうぞ殺してくださいと言わんばかりだな。
 

【かつん、と硬質な靴音一つ】

【彼の背後に忽然と、何者かの気配が現れ出でる。凛と冷たく透き通った響きを伴う、中性的な声音──振り向けばそこには、女が一人佇んでいる】
【切れ長の目に、鋭い鼻梁。固く引き結ばれた、薄い唇。櫻の面影を残しながらも、櫻国人離れした、亡霊のような白皙の肌】
【肩に掛かるほどの高さで無造作に切り揃えられた烏色の髪は、ほの青く日光を透かして春風に揺れる】
【長身に比例して長い手足を包む、闇に溶けるような群青色の長外套には、裾と袖がゆったりと広がった、櫻で言うところの羽織のような意匠が見られた】

 動きを見たところ、本調子でもないらしいな。
 ……見知らぬ考えなしの馬鹿なら捨て置くところだが、見知った顔では、お節介の一つも焼きたくなるというものだ。

【気配を殺して背後まで忍び寄ったかと思えば、初対面の相手に対し、随分と失礼な口を利く女だが──「初対面」?本当に、そうだろうか?】
【或いは青年は、彼女の顔に見覚えがあるかもしれない。だいぶ長い事目にしていない顔なので、思い出せない、ということもあるかも知れないが】
【彼は、かの水の国の森の奥、湖の只中に座す風霊統主の城内にて。もしくは、その付近にて】
【夜も昼もなくストイックに鍛錬に励む、その剣士の姿を幾度となく目の当たりにしているはずだ。あの頃から随分と年月を経たとはいえ、彼女は未だ、当時の面影を残している】
220 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/05/15(水) 21:42:26.25 ID:u+kf3lboo
>>219

―――?

【サンドイッチを頬張りながらゆっくり水筒のスポーツドリンクをコップに注いだところで背後からかけられる声に気が付いた】
【呑気そうな顔のまま―――最も袖に忍ばせた己の鉄扇を意識しながら、振り向けば若者は呆けた顔を見せる】
【見覚えのある顔だった。会話の回数こそ多くはなかったが―――織守共々「彼女」を巡って共に共闘した者に関しては印象は極めて強く残っていた】


―――……おやまあ!こんな突然の再会ってあるかしら!
こりゃあ驚いた!えらく久しぶりだねえ『朔夜』さん!元気にやっているとは耳にしていたけど……
シャバに出て以来"明確な意味"で、『かつての同僚』との再会に相なったわけだね!

確かに戦利品のナンバーは機関の連中を馬鹿にするために付け始めたモノだし、連中から見たらそうとしか見えないねえ


【うふふ、とかつてのようにおどけた様子を見せながら人懐っこい笑顔を向けつつ若者―――ドラは手をふって朔夜と呼んだ女性を迎える】
【ドラの方も面影を通り越して外見にほぼ変化が見られないくらいだ、当時を知る者が見ればすぐにでもわかるだろう、彼が使う波紋の影響だろうか】
【同時に、本調子でないことを見抜かれ服の上から古傷を抱えつつ、バツが悪そうにもう片手で頭をかきながら話を続ける】


……あはは、お見通しかぁ……相変わらず目ざといじゃないの
実はぼく今も戦ってるんだけどね。つい先日の事件で手痛い深手を負わされ負けちゃったんだよね
リターンマッチを挑む前に鍛錬してたわけさ……ああもぼくのスタイルが通じない敵は初めてだったよ、トホホ……

―――久々の再会だ、積もる話もあるし……まずはゆっくり話していかない?ローストビーフサンドイッチとか持ってきてるよ?


【「あとお茶とスポドリね」などと言いながら大き目のランチョンマットの上に置かれたバスケットを指さしながら】
【彼はかつての同僚との再会を喜び、暖かく迎え入れるだろう】
221 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/15(水) 22:19:13.14 ID:Stpt5Ft/0
>>217

【なればそいつはごく曖昧な表情をしていた、――それを言葉に表すためには、三日三晩辞書とにらめっこをする必要があるような、ごく微細なる表情は】
【――けれどやがて苦笑によく似た形に落ち着くのだろうか。頑ななつぼみがほころぶ瞬間のような清廉さをなくした色合いは、咲き進んだばらの綻びにきっとよく似て】
【――――だから指先はせめて感情を整理するかのように社を撫ぜた、――――――――――――――小さな息継ぎの音が聞こえたなら、】

…………………………そうよね。こんな場所まで、来てくれるんだし。
アンケートしていいかしら? ほら、よくあるでしょ、このサービスをどこで知りましたか、みたいな。
どうしてこんなところ、来たの? 下だって、田舎でしょ? ここだって、こんな山奥だし。――それに、そんな靴だし。

あたし? あたしはねー、ズルして来た。

【眉の下がった表情は笑みと呼ぶにはいくらも弱く、けれども、釣られたようにかすかに下向く眦の角度と、眼をいくらも隠すように伏した長い睫毛の落とす影が表情を証明して】
【こんなところへと呼ぶにふさわしいだけの辺境であった。下と呼ぶ町すら、無名だが美味いとコアなマニアに褒められる酒を造るだけの場所。――長閑と呼ぶには十分だけど】
【いいところは人との濃密な関わりが生きているところだった。わるいところは、人との濃密な関わりが生き残っているところだった。――そんな感じの、ありがちな、場所】

【――故に、外から来た不審な二人組を覚えてもいたのだけれど。そしてきっと今となっては間違いなく彼女は“彼女”で違いないのだけど】

【冗談めかすような仕草と視線にて彼女は貴女の爪先を示すから、そんなじゃ山登りは大変でしょうって言っていた。――山と呼ぶには大人しい標高ではあったけど、】
【人の手の入ったハイキングコースでもきっと疲れてしまうお靴は、人の手なんて知りもしないような山道には間違いなく間違っていたから。――自分の履く靴も示すけど】
【ズルしたからいいらしい。――そういえば、例の少女も、わりに、どこだって出てくる神出鬼没なところ、あったけれど、なんて】

――ホントはそんなに制御できてないーって言ったら、カッコ悪い? 優先度がね、違うのよ……、"あたし"はオリジナルじゃないから……。

【――――――――あ、目そらした、】

【――なんて言ってやったら意地悪なのだとして、言ってやってしまって良いのに違いなかった。そうして十分に格好悪いのにも違いなかった、だけれども、】
【そもそも彼女らなんてものは格好良さを求められる性質でもないのかもしれない。――とりあえず指先をつんつん合わして言い訳を述べる仕草は、人外と呼ぶにも常人が過ぎる】
【だからきっと始まりなんて何か単純なボタンの掛け違え、――――なんて言われたら許せないから、"こんな"ところまで、来てしまった。だとしても】

いいよ

【やはりそれが礼儀だろう。だってやっぱり、こんなところまで、来てくれたんだから、】
222 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/15(水) 22:23:20.73 ID:RZRkKN870
>>220

 元気──まあ、変わりなくやっているという意味では確かにそうだが、最近は目立った活動もしていないな。
 私は『城』の管理者代行として、冒険者ギルドとの折衝やらに掛かり切りだったから──。

 耳にしていたって言うと、織守辺りにでも訊いたのか?
 あれも何年か前だった筈だが、最近出くわした「Justice」の構成員となるとそれくらいしか思い浮かばない。

【病み上がりの不用心を見咎めて苦言を呈するつもりで出てきてみれば、人懐こい笑みに毒気を抜かれて、溜め息一つ。朔夜は肩を竦めてドラに応じ】
【猫のように足音一つ立てず、ひょいと軽い足取りで敷物に腰かけた。先程の甲高い靴音は、どうやらわざとだったらしい】
【「暗殺を得手とする人間であれば、気配を悟らせずに相手に忍び寄るのは容易だ。私でなければ不意を打たれていたぞ」──という、言外の忠告だ】

【尤も、歴戦の古兵には釈迦に説法かもしれないが──】


 私の得手は白兵戦だ。曲がりなりにも腰に二刀を提げた侍が、他人の体運びの不自然さ一つ見抜けんのでは話にならんだろう。

 ……なるほど、そういう道理か。にしても、その格好はいただけないな。そういう見栄は戦場で思う存分張れば良い。
 誰が見ているとも──誰に狙われているとも知れない往来で、まして病み上がりにする格好じゃあないよ。重ねて言うが、命を縮めるぞ?


【余計なお世話と突っ撥ねられようとも、やはり、旧い知人を失うえも言われぬ後味の悪さとは、比べるべくもないということか】
【柄にもない老婆心に駆られて、再会早々お説教を垂れまくる朔夜だったが】
【もう昼下がりだ。そうこうしている内に小腹も空いてきたのか、「それじゃあ」と小言を切り上げてバスケットに手を伸ばす】
【昔は常に剣呑な雰囲気を漂わせていた印象のある彼女らしくもなく、積もる話など消化しつつ、のんびりとご相伴に与るつもりのようだ】
223 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/15(水) 22:32:26.91 ID:h4jMUaMU0
>>221

…………うわさを聞いた。黒と赤の、めずらしい目の色した女の子が、こんな危険な山に入ってって。
何事もなく帰ってったって聞いた。だから、鈴音だって、わかったの――それで。
そのあとはもう、言ったから、わかってるでしょ? 会いたかったからここに来た、……蛇ちゃんたちが案内してくれて。

【だから今ここにいるの。回答はごく単純なものだった。祈りなんて、いつの時代でも単純なものだ】
【死にたくない/生きていたい/幸せになりたい/ただそれだけ祈ることさえ罪だというのなら】
【罰だって受けたかった。祈りの届かなかったあの子のために。だから、苦行めいた靴、履いてたのかもしれず】

…………カッコ悪いってか、なんだろ、ちょっと……親近感湧いたかな、あはは。
あたしも結構不器用なトコあるから――え? そんなんと一緒にしないでほしい? ……うるさいな。
あはははっ、……あたし、あんたのことも嫌いじゃないな。桜花鈴音。……じゃなくて、

【「あんたの名前は?」 ばかみたいに律儀に訊くのだろう。くっつけられる前の名前。じゃないと、】
【フェアじゃない気がするから――まだ赤みの引かないツリ目、それでも目尻がちょっとだけ下がって、笑った】
【冒涜的ゾンビが神様にこんな態度取るの、きっと赦されるはずもないことだった。でもきっと、何故だか】
【許してくれそうな気がしたから。……許してくれなかったら謝るから。そんな、ごく少女らしい雰囲気、漂わせ】

【――どこかで花開く淡い色合いの咲く香りを、泣きっぱなしで真っ赤な鼻で吸い込む。幻覚だとは思わなかった】
【さくらの香り。春の香り、……彼女の香り、とは、ちょっと違うのかもしれないけど。赤い瞳を細めて、笑う】

……………………、…………久しぶり、鈴音。みっともなく泣き喚くところ見せちゃってごめんね。

【口にするのはごく簡単な御挨拶から――そしてきっと、さっきまでの醜態を見せつけていたことへの、やっぱり、謝罪】
224 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/05/15(水) 23:15:17.96 ID:u+kf3lboo
>>222

うふふ、ワケあっての事とはいえ長年アルカトラズ刑務所に服役していた
ぼくに比べたらずいぶん健全じゃないの!『城』に行っても誰もいなかったのは忙しかったからだったのか……
ああ、ぼくが聞いたのはジャンクちゃんからだよ。きみ用のW-Phoneが届いてただろ?彼女に頼んだ奴が

そっか……織守さんが"起きた"後、すでにきみに会ってたのか
ぼくも彼女が起きた後、別の組織に所属しているとジンジャー博士に聞かされたよ。今も世界のどこかで戦ってるんだってさ……
うふふ、こうして昔の仲間に会うと、どうしてもかつての仲間がどうしてるのか気になっちゃうよねぇ


【justice解散、UT設立の頃だったか、かつてジャンクちゃんと顔を合わせた事があった】
【その時点ですでに朔夜の健在は伝わっており、それをドラも聞いていたのだ、次いでお互い織守の健在を知っている事も理解する】

【<R.I.P>壊滅後、カノッサ機関も度重なる大打撃を受けボロボロになり一時解散していた時期があり、平和が戻っていた時期があった】
【長きにわたりjusticeの長として戦い続け、心身ともにボロボロだった織守を案じて、平和になった今のタイミングでjusticeも解散しようという声が上がり実行されていた】
【その後織守は幾年も眠り続けていたと聞かされていた。過去の戦いでジンジャーが彼女の復活に立ち会ったのだとも聞かされている】


皆今頃どうしてんのかな?まあ……多分元気にやってるんだろうけど
きみに会ったらなんか急に昔の事思い出しちゃったよ……他は誰の行方が分かってたっけ?
ほらほら、多めに作って来たから食べてよ


【座り込みながら服の、ナンバーズ達から奪ったいくつものナンバーを見比べながら朔夜の忠告を素直に聞く】
【本来の彼女ならなるほど……自分の聴覚であろうと音も聞き取れなかっただろう、暗殺者相手には見せびらかすのはやはりデメリットなのかもしれない】


あー、確かに普段着にする必要はなかったかもなあ、今度別の普段着買ってくるかぁ
どの道、最近カノッサ機関の連中また弱体化してきちゃってさ。ナンバーズをあまり見かけなくなったんだよ、だからあまり意味もなかったし
今はむしろ……正体がいまいちわかり辛い別の陣営がハバを利かせてきてるくらいさ


きみと敵対してる身だったらそれこそスッパリ首が泣き別れしかねないかもね!
忠告には頷くことにする!ただここ最近で一番悔しかったのはそれすらせず堂々とぼくの前に現れて
真っ向からぼくを斬り捨てて行きやがった奴が現れた事なんだよね

油断も隙もありゃしないよ……また世間が騒がしくなりそうだ


【まいったなぁ、とぼやきながらぐびぐびとスポーツドリンクを呑み始める。勢いよく飲んですぐに次の一杯を次ぐ】
【そしてまた口に近づけながら、近頃の治安の悪さを悩む様子を見せていた】
225 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/15(水) 23:50:43.75 ID:Stpt5Ft/0
>>223

【「ふうん、そうなの……」】【返事はごく簡素に紡がれた、口元に添える指先は、何かを思い返して/それから何かを納得していた】
【"知って"いる出来事だったし、知っている出来事だった。限りなく"自分"がやったことであり、そうして自分には覚えのないことでもあった。――だとしても、】
【部屋に置かれた蛇の頭骨は見知っていた。――先祖の墓を発くような行いを誰も咎めてはいなかった。そもそもこの場合は墓ですらないから? なんて余談】

親近感ねえ……、はいはい、どーせそうですよ。できるかしら、私。"わたし"を。……料理もねえ、何年ぶりだか……。
レシピ。読んだことあるでしょ? ――――あの馬ッ鹿みたいなやつ。あたし、あれを解読しなきゃなんなくて。
まあ、書いたやつが含めて"私"だから、いいですけど? ――――だなんてレベルじゃないわ。何あれ? 

【指先越しに漏れる吐息はきっと湿っぽくて暖かいのだろう。何か捨てきれない情を含んで見せたなら、きっと光に照らせばきらきら光って見えるんだ】
【けれど今は限りなく夜だったから。――そうして、月明かりだけでは言い表せられぬ感情を照らし出すには少しだけ力不足であるのだから】
【投げやりに言ってみせるのは何か自分が誰かより劣っていることをようく理解したことのある人間の口ぶりに似ていて、――なら、やっぱり、何か別人の振る舞いもする】
【――暇があればいつもいつだって何か作って食べていた/食べさせていたような子とはやはり違うものなのだろう。だってあのなんとか手稿より難解なレシピ集】
【こいつだって読めていないと白状するのなら、――それでいて、それらはやはり余談に過ぎぬ。二人語らうのも、ありえたみたいなのだとしても、だけど、】

【それはどこかで現実逃避と全く同じ意味を宿すに違いないなら、】

【「白毒川」「鈴音」「――――、白い毒の川」「あの川、よく濁るのよ」「真っ白に濁って」「そうして氾濫するの」「――まぁ、白蛇を崇めるには十分ってこと」】
【けれど喪われた名であった。この世界に於いてその名はどこにも存在しないものであった。――故に、だから、何か語らうべきは彼女ではなく、】

226 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/15(水) 23:50:58.00 ID:Stpt5Ft/0
>>223>>225

……………………いいの、

【――――ぽつりとした声は少しだけ掠れているように聞こえた。それでも確かに鈴の音を宿していた。ならきっと錆びた鈴の音、貴女の涙で錆びついてしまった?なんて】
【きっと自分の涙が銀色を赤錆色にしてしまったのだろう。だからきっと泣きじゃくって落ちた雫を磨り潰すように拭った指先の指紋すらそこにはきっと残っている】
【焼く前の陶器なら何度だって粘土に戻せるといったって限度があるんだろう。だからきっと彼女はとっくに限界を超えてしまったんだろう。なんにもなれない土くれでしかない】
【神様が人間を作ろうって思っても見向きもしないようなぼろぼろで痩せたなんにもない石だらけの泥。畑だって出来やしない。なんにも生えない、なにもない、なんにもない、】

【だからもういっかい、「いいよ」を繰り返して、】

――――――――――――――――――――――――――わたし、ね、世界を救ったんだよ。

【ぽつと漏れる声の意味を辿る必要は、ないのかもしれなかった。だって明確に何かおかしかった。だって彼女は世界なんて終わってしまえと願ったんだった、】
【それすら消極的な言葉でしかなかった。滅ぼしてやるでも終わらせてやるでもなく、滅んじゃえだなんて言葉を使った。「滅んじゃえよ、もう」なんて、失望したように】
【世界を滅ぼさなかったことで救ったなんて言うのかもしれなかった。だとしたら殺してやるしかないほどにばかげていた(死ねないけど)(死ねないのに)死ねないからこそ、】

――――ウェインさんと、エヌと。……きっと、たぶん、危なかったの、……あぶなかったんだよ。
三人で、わるいもの、追い返したの。この世界の思い出がいっぱいあって。……わたしは、嫌なことばっかりだって思ってた。だけど、"思ってたより""少しだけ"、

……………………………………………………だけど、"そう"じゃ、なかったんだね、

【ざあと再び舞い戻る薄霧の白はきっと彼女の表情をぼやかした。だからやはりここは彼女の聖域なのかもしれない、なんて、】
【だけどきっと表情なんて分かるんだ。――ばかげた自嘲の色で笑っている。"なにか"期待したんだ。何か。何を。ひどいこと言っても自分を選んでくれる誰か?】
【――ひどいことを言ってしまうような子でも愛してもらえる世界があるっていつか知ったから。だって自分が与えたんだから。(だからわたしだってもらっていいはず)】

【――――――――――――――――????】
227 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/16(木) 00:07:47.68 ID:phMFLjPA0
>>225-226

できるよ、きっと――だってあたしもできたんだから。
あれってさ、レシピっていうか……日記だよね、そっか落書き帳。あたしもぜんぜんわかんなくて――
でもなんとか、……なってたよ。たぶん。だからあんたにもきっとできるから、頑張ってね、

………………そう。白毒川ちゃん。あとはよろしく、ネ。

【であれば――彼女にすべて預けてしまうものの言い方をするのだろう。だからやっぱり】
【こいつはもうそのうち死んじゃうのかもしれなかった。無責任が過ぎた。それでもこいつはそう宣って】
【白毒川鈴音にはそれだけ、言って、――――聖域に身を浸す。不思議と身体は不調を訴えなかった】

【そうして。黙って、白神鈴音の声を聞いている。ことばを聞いている。そっか、の相槌も挟まない】
【笑いも泣きもしなかった、ただ、何かを悔やむような表情だけ堪えることができないのだから】
【やはりこいつは愚かだった。死体のようにたっぷり横たわる沈黙の後に、ようやく唇を、開いたなら】

――――――――――――救ったんだ、それは、初耳だったかも。
そ、だね、…………思ってたより、少しだけ、マシだと、思えた? うん、…………うん、

それでも「そう」じゃ、なかった、ね。そうね、………………そうかも。

【そんな感じでようやっと、相槌を、返した。鈴音の言葉をそのままオウム返しするみたいな】
【しかるにそれは会話じゃなかった。だから、語り始めるのだとしたら――タイミングを伺っているのかもしれない】
【話したいこといっぱいあった、――桜花鈴音越しにだいたいは聞かせてしまったけれど。それでも】
【なにか返事をしてほしかった、気持ちでいた、から――鈴音が語り終えるのを、きっと、待ってる】
228 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/16(木) 00:38:36.63 ID:vZOf31By0
>>227

【「ヒメちゃんでいいのよ?」――――それがふっと残された一言。自称・ヒメはいろんな意味で痛々しいのだとして、人生の全部をずたずたに切り裂かれた蛇の子よりもきっとマシ?】

――――――――――――――――――――わたしが"こう"なったの、ぜんぶ、間違いだったんだって、
わたしね、ずっと、ずっと、ずっと、頑張って、生きてる、――つもり、だった、いろんなこと、考えて、いろいろ、――、頑張って、
大人になれないの、諦めて、お母さんになれないの、諦めて、死んじゃっても"へいき"なの我慢して、いっぱい、諦めて、我慢して、なのに、

なのに、

わたし、ずっと、ひとがまちがえたの、ひとがまちがえたこと、わたしじゃない、ひとが、まちがえた、こと、――、

自分だけ大人になって、自分だけ何もなかったような顔して、そうやって、生きてる、人の、――、大人になれないままのわたしを見ても、何も、何も、ない人の、ために、

わたし頑張って生きてたの、なのに、どうして、――――――――――――――――――――――――その間違いを、どうして、わたしが、

【なら怨み言はどこまで行っても何もかも遅すぎた、溜め込んで腐った感情はやがて底まで腐らせて意味をなくさせて、畢竟追いやられたのは彼女であるのなら】
【山の中に祀られる神様に結局だれもお参りなんてしないんだと誰でもわかった。ただ一ツだけ、カルトの玩具にされるよりはマシだと「だれか」が判断しただけなのだと、】
【今となってはそのカルトすらどこにもなく、生き残った人間は誰しも信仰を棄ててしまっていると、きっと知りながら。――ボタンが押したかったとひっくりかえって喚く子供のため、】
【溜息をわざとらしく聞かせてから抱き上げてやるのときっと全く同じ意味の行動なんだろう。――たぶん。だって彼女は恨みがましすぎる、今になってじゃないとなんにも言えなくて】

【――――――だからやはり会話ではなかった。分厚い霧を挟んであっちとこっち、人間の世界とそれ以外の世界。彼女はきっと未だにあちら側に立っているのだとして】
【なら救えないのかしら。さっきまで霧だって晴れていたはずなのに。ほんの少し前にしゃべっていた彼女の顔は、あんなにもきれいに見えたはずなのに。――――――――だのに】

夕月ちゃんは、

【(ぐちゃぐちゃの感情が喉に口に歯に引っかかって出てこない。出てこなくて良かった。だって貴女に言っていいことじゃなかった。そうだよ、だって、指輪の銀色、見えたから、)】



             なんでもない

【(生まれる前に、今の人生を知っていたなら、生まれてきたかった?)(なんて)】
【(まして)(わたしは生まれてきたくなかったよ)(なんて)】
【(いえるはずない)(いうべきじゃない)(だから)】

【――――そうだった。こんな場所まで来てくれるようなお友達に問いかけるべきではないから。そう、だから、だから、尋ねるべきは、正しい問いかけは、えっと、えっと、なんだっけ、】
【ああそう。きっとこれがいい。これが正しいと思えた。もうなんにもわかんないのに。――前にそう聞いた時には(貴女じゃない人に)とてもひどい言葉を浴びせかけられたけど、】
【ねえわたしはどうしたらいいの。迷子になってしまったの。いつから迷ってたのかももう分からないの。どこへ行けばいいの。どこにも行けない。この人生をやるしかない】

……………………………………、げんき?

【表情なんて見えなくて良かった。見えたとしても、どうせくだらない笑みしか浮かべてないんだから】
229 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします(不明なsoftbank) [sage saga]:2019/05/16(木) 00:39:03.84 ID:wf1Gl+df0
>>224
【「服役ってお前、一体何を──いや、うん。大体分かるから言わなくていい」などと、冗談ともつかない軽口を叩きながらも】

 まあ、な。家賃代わりってんじゃあないが、『城』の本来の管理者はギルド連盟だ。
 あれの管理者でい続ける為には、それなりの有用性を示し続ける必要がある。だから、最近はあちこち飛び回って調査してたんだ。

 未知の環境や状況を調べるにあたって、学者様だの在野の能力者だのを広く招き入れる前に、まず先行して下地を整えてやる必要がある。先行調査ってヤツだな。

 ゼロからの調査だ。当然、それだけ危険も多い。未開の秘境に、古代の遺跡。ある日突然に口を開けた、異界への入り口。魔獣の大量発生に、怪現象──厄介な案件が引きも切らずだ。

【然して興味深い話でもないだろうが、と言わんばかりの気怠げな語調で、朔夜は自分の近況を報告する】
【「あすこを寝ぐらにしていた奴も多い──帰ってきたらギルドの職員に追い出されました、だなんて、笑えない話だろう?」と付け加えて】

【かつての戦友の留守を預かりつつ、俗に言う「悪の組織」との対決とはまた違った形で、民草の平和な暮らしを守る──というのが】
【どうやら、今の彼女の生業らしい。朔夜は淡々とした語り口とは裏腹に、どことなく楽しそうな表情をしている。案外、適職なのかもしれなかった】

 W-Phone……ああ、アレか。思い出した。そう言えばそうだったな。

 他の奴らがどうしていようが、私の知ったことじゃあないよ。私がどうしていようが、他の奴らの知ったことじゃあないように、な。

──ただ、壮健でいてくれれば良い。生きてさえいれば、いずれ再会する事もあるだろう。詮索だの積もる話だのは、その時まで取っておくさ。

【朔夜は目を細め、眩しげに空を見上げた。在りし日に想いを馳せるように、ぼんやりと遠くを見つめる】
【元より、正義の味方など柄でもない身。Justiceという組織が解散しようが再結成しようが、彼女にとってはどうでもよい話ではあったが】
【あの短くも色濃い時間を戦い抜いた戦友たちが、今、どこで何をしているのかについては、確かに気掛かりではあった。戦いの末に多くの戦友が傷付き、今となっては行方の知れぬものも数多い──】

【『壮健でいてくれれば』──かつて手の掛かる妹のように思っていた少女が、正義の旗頭としての重圧を一身に背負って傷付いてゆくさまを、最も間近で見据えてきた朔夜の言葉は、それ故かひどく苦い響きを帯びていた】

 まあ、不意を打たれて死ぬような事があったらつまらんからな──しかし、『ただ』、か。奥歯に何か詰まったようなものの言い方だ。
 言っておくが暗殺への心構えは一つの端緒に過ぎない。真に重要なのは、どれだけ常日頃から妥協なく、あらゆる戦いに備えて動いてきたかだよ。

 「常在戦場」──などと、俗に言うだろう。あれだよ、あれ。日常における些細な気構えや、身の運び方。
 その差はいざ戦場に立った時にこそ如実に顕れる。お前が斬られたのは、つまりはそういう事だろう。
 
 さあ、やろう……と思って行う、肉体や異能の操法の鍛錬だけが鍛錬じゃあない。
 ネル・ナハトの頭領の台詞を借りて言うが、重要なのは『理解』だ。私に言わせるなら、極意なんてのは案外その辺に転がってるもんさ。

【「……しかし、旨いなこのサンドイッチ。粒マスタードが効いてる。グレービーソースも良い」】

【こちらもサンドイッチを一口。味の感想もそこそこに、お茶で唇を湿らせてから、忌憚なき意見を述べる──こと戦闘が絡む物事に関しては、彼女はどうも生真面目な性質らしい】
【武家──戦士階級の娘として教育を受けたのもあってか、やはり暴力においては一家言あるようだ】
【「敵の正体が見えようが見えまいが、寄らば斬るまでの事」などと宣う──まあ、始終このような脳筋思考だったからこそ、あの過酷な戦いの中でも常に平然としていられたのだろう】

 そうだな、最近は妙にキナ臭い。魔能法──だったか?だいぶ前の話だが、立案から制定、そこから試験運用まで。幾ら何でも動きが早過ぎる。
 世論の妙な加熱ぶりといい。間違いなく裏に何かあるだろうとは踏んでいるよ。関係者を皆殺しにして解決する話なら楽だが、そんなやり方じゃあ機関と大差ない。

 全く、困りものだ。

【もっとも、脳筋とはいえ全く頭を働かせていないわけでもない。逐一騒動に駆けつけるとまでは行かずとも、世の動きに目を光らせているのは、彼女もまた同じようだ】

//申し訳ない、ちと寝落ちてました。
//続けるにせよ締めるにせよ、今日は一先ず、このレスで切り上げさせていただければ……
230 : ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/05/16(木) 00:50:33.60 ID:OzFa97Two
>>229
/了解いたしました
/この後ひとまずお返事を返して今日は失礼いたします!
231 : ◆S6ROLCWdjI [sage saga]:2019/05/16(木) 12:04:39.21 ID:ctas3934O
>>228

【やるせなく斜め下を向くまつげの向こう、赤い瞳はどこまでもまっすぐ前を向いていて】
【けれど何も言葉を発さなかった。震える鈴の音が訴える苦しみ、恨み、つらみ、全部】
【救って/掬ってやるにはもはや時が進みすぎていた。そも、たとえその瞬間に立ち会えたとて】
【そうしてやれたかどうかすらはっきりと確約できないのだから――どこまでも、後悔の色をしていた】
【だからってそうだったんだ、辛かったね、などという気休めにもならぬ労りの言葉だって】
【もはや掛けるには遅すぎると、痛いほどに理解しているから。「うん」。一言だけ、返すのは】

【だから何か、明確に遮断されているのにも気づいていた。あるいはそんな生易しいものじゃなくて】
【拒絶されているとさえとれるはずだった。だってこんな、何もかも遅すぎる時になってから】
【許しを請いに来るヤツだなんて嫌われて当然だ。――だけどこいつは、不思議と、そう思わなかった】

………………、……、鈴音は、やっぱり、やさしいね。

【だってそれを、傷つき果てた鈴音のくれる最後の恩情だと受け取ったから。何か言いたかったことを】
【噛み潰して、殺して、苦い汁を飲み下してまで我慢してくれるのを、やさしさ以外の何というのか】
【形容するすべをこいつは知らなかった。だから恐らく、鈴音が自分に何を問いたかったのかは】
【本当になんとなく、朧げに――理解した気にはなっているのだろう。だからといって答えはしないが】
【そうやって必死に必死に絞り出してくれたやさしさを無下になんてできなかったから。――だから、】

【ふたりを隔てるもやもやの中、恐る恐る――一歩だけ。ただの一歩だけ歩み寄るのだろう】
【それ以上はしなかった。だってそれ以上を許してくれるかどうかは、鈴音にだけ、ゆだねられるから】

【だから、】

…………んーん、全然元気じゃない! だってさ、あのね、桜花ちゃん越しに聞かせたでしょ?
あたし世界にケンカ売りに行くんだけどさーっ、まーじで全ッ然勝ち筋見えないもん!
どーやったって勝てる気しないね、始まる前から負け戦ってわかってんの! マジ萎える!
だから全然元気じゃないの、マジ病むーってヤツ――あはは、負けたらどうなっちゃうんだろ。
世界の平和を脅かしたバケモノーとか言われて、晒し首とかされちゃうのかなあ。やだなー、あはは……

――――それでもね、あたし、黙り込んで我慢してなんにもせずに「終わらせる」よりはね。
そうなったほうがずっとマシだなって思ったから。やるよ、戦う、どんなに酷い負け方するとしても――

戦うことに意義があるんじゃないかなあって。そう思えたの、たぶん、鈴音のおかげだから、

【「……だからね、ごめんなさい、だけじゃなくって。ありがとうも言いたかったの」】

【――しかるにこいつの言い分は、何もかもが自己満足でしかありえなく。そんなんで、どこまでも】
【言いたかったこと言えて満足できました、みたいな、晴れやかな笑顔をしてるんだから――やっぱり】
【本当に勝手が過ぎるんだからいくらでも怒ってやればいい。絶交しちゃえばいい――友達、なんだから】
232 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/05/16(木) 20:46:36.32 ID:OzFa97Two
>>229
【むしゃむしゃサンドイッチを頬張りながら、しばらく朔夜の話を聞き続ける】
【当然ながら彼女も自分のいない間の時間を彼女なりに生きてきたのだ、その道のりが垣間見えむしろホッとしているようだった】


斥候ってヤツだね。なるほど……
鉄火場慣れした朔夜さんの様な人材にしか任せられないタイプの仕事じゃないの

危険が口を開けて眠ってるかもしれない場所なんていくらでもある……頼もしい戦力が
危機を取り除いてくれるならそりゃあ心強いでしょ、justice出身って肩書きも今なお大きいしね。ぼくも今なおその恩恵を感じてる


【実のところ、彼は今でも戦場で「justice」を名乗っているくらいだ、思い入れは彼も大きい】
【コップのスポーツドリンクを空にすると二つ目のサンドイッチに手を伸ばしながら彼も空を見上げつつ呟き始める】
【続いて、他のjusticeメンバーが今どうしているかに関しては……やはり彼は思うところあるらしく見上げながら口を尖らせる】


"壮健"でいてくれれば……か、織守さんも今はそうあってくれているようだし
そうあってくれれば……どうしていようと気にする必要はないのかもしれないな……

("彼女"も……もし本人だとしたら、名乗り出ないのは気にしないでくれって意味なのかもしれな……
いややっぱ気になるからイスラフィールさんに対する探りを入れるのは続行しよう)


【などと、かつて同組織で特に親しかった少女によく似た政治家の女性の事を思い浮かべながら思いを整理していた】
/続きます
233 :ドラ ◆UYdM4POjBM [sage]:2019/05/16(木) 20:47:10.90 ID:OzFa97Two
>>232続き
【加えて、往来での姿や暗殺に関しては……朔夜に指摘されたところで彼はまず言われた言葉をかみ砕くように目を見開きしばらく考え込むと】
【……こくり、と頷きなにか言葉にできなかったものがかちり、とはまるようなすっきりした顔で】


ああ、確かに……うん!そうだね!実際に彼……ああ、ぼくを破った男は
ミズキ・"ランスロット"・ヴァレンタインって名乗る色男の剣士だったんだけどね、彼は……とびきり"やりにくい"奴だった
相手を崩すスタイルを得意としているぼくに対し彼は一切自分の動きが崩れなかった、派手な技はなかったけど常に正道を行き……ぼくを圧倒した

その骨子が何なのか、どこから来ているのか……今朔夜さんの話を聞いてピンと来たかも
ミズキ君の動きを思い返せばまさに今言われた通りの"それ"。確信を持って言えるけど彼はまさにきみの言う通りの事を常に実践してるから崩れないんだ
―――……わかった、ありがとう。んじゃあまずはこの後で新しい普段着買ってこよう……

しっかし耳が痛いなぁ……よりにもよってキルベルクお気にのフレーズがぼくの助けになるなんて……ノビタ君が見てたら笑ってるな


【とても素直に受け止めた。つい最近に敗北を期したこともあって至らない所は真摯に受け止めているらしい】
【流石は武家出身。幼少から戦いを叩き込まれた”戦人の教養”ともなれば説得力も段違い、そうドラは受け止めていた】
【これがミズキと自分の一番の差だったのかもしれない。そこを乗り越えれば自分もまだ強くなれるはずだ、生きて戻って来たのだからその機会はいくらでもある】


うまいでしょ?その肉自体はぼくが狩ってロースト加工したんだけど調理したのはジャンクちゃんだよ
彼女、博士に任せてた自分の喫茶店でこういうサンドイッチも出してたんだ。最近は教えてた従業員に店を任せてるみたいだけど
忙しいみたいだねぇ。―――……いそがしくなった理由は明白。魔能法絡みの……今の案件のせいさ


【カノッサ機関のナンバーズたちを以前よりみかけなくなったとドラは言った】
【それと入れ替わりに暗躍するようになった勢力が確かに存在する―――"櫻国事変"と呼ばれたあの一見も元をたどればあの魔能制限法が原因となっているのではないか?】
【ジャンクちゃんもジンジャーも近頃姿を見なくなった。消えたセリーナを探すだけでも手いっぱいだろうに、その上今の案件で振り回されているのだから】


あの法律本当にクソじゃないかしら!法を成立したって犯罪犯す連中にとっては
ついでに破るモノが一つ増えたねーくらいの認識でしかないのはわかりきってるじゃないの……割を食うのは真っ当な異能者だけ
制定したって水の国に害を及ぼす以外の効果はないって頭のいい人は皆わかってたみたいだ

設立させた連中もぶっちゃけ"悪意"があってやったと見るのが自然……つまり内部にはそれを目的とした"背信者"がいる
というのはほぼ間違いないってさ


……この案件イスラフィールさんも頭にきてんのかなぁやっぱ……親能力者派の人だし


【胡坐をかいて膝に頬杖を突きながらぼやき始めるドラ】
【今世界の裏側で確実に悪意がにじり寄っているのはわかる……だが自分はそれを暴くとかは向いてる方ではないのでは?とも自覚しているため悩ましい顔をしている】
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