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【枯れても走ることを】能力者スレ【命と呼べ】

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214 :以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage saga]:2019/05/15(水) 01:05:23.70 ID:DSINPimJ0
>>213

――――――――――ゾンビ?

【ぱちりと瞬いた。そのまなざしが何らかを示すのだとして、少なくとも、軽蔑や畏怖では決してないのだろう。それよりかもっと好意的/友好的な色、瞬きに添えたなら】
【きっと初めて自分以外の猫に出会った子猫みたいな顔をするのかもしれなかった、――二人猫だと騙るには、彼女は少し蛇のような尾っぽを持っているようだった、けれど】

あたしもねえ、死んで生き返ってるから――だから、大丈夫じゃない? 分からないけど――。ここの神様ねえ、――ああ、本当のほう。へびさまのほう。
あの人は、――もう一度、死んじゃった大好きな人に会いたいっていうだけで、全部頑張ったの。けど、――その結果を観測してしまったから。
さあ、今はどこへ居るのやら……あたしにもよくわからなくって。

【そもそも祀られるもの自身が、黄泉返ったようなものだから。むしろ何度も死んでは生き返るだけ穢れているのかもしれなかった。だから、気にしないかも、なんて】
【とはいえ、相手の仕組みを彼女は知らないから。――大丈夫じゃない?なんて軽く言っておきながらも、そのせいで何らかの出来事が起こるのは、嫌なみたいに】
【――そうして語らうのはそもそもすべての始まりのことなのだろう。大好きな人が死んでしまった。もう一度会いたかった。たったそのためだけに、なにもかも、なにもかも、】

……あの身体は、人間だった。けど、――――人間の身体に入っていてふさわしい魂では、もはやなかったの。
どこまで知ってるのかな、――自分が人間じゃなくなってしまったことを悔やみ続けてきたやつが。数年越しに、はいどうぞ、って人間の身体をもらったとして――。
「わあい! やったー!」って受け入れられるものかしら。――受け入れられる人もいるんでしょうね。けど、わたしには無理だった。たったのそれだけの話。

人間の身体に戻れたからといって、――――――――――――――。

【例えばうんと幼い子供だったなら、「ごめんね」「いいよ」で済んだ、のかもしれないけれど】
【もう少しだけ大人になってしまうと、途端に、「ごめんね」のたった四文字で、理不尽を許さねばならぬという理不尽に気づいてしまうし】
【もっと大人になったなら、その心の内側に詰まっているのが嘲笑と面倒くささと馬鹿馬鹿しさだと気づきながら、謝罪を受け入れないなんて心の狭さを世界が許さぬことまで理解する】
【そうして「いいよ」と笑って見せる表情は笑んでいるように見えたからって決して笑んでやいないのだと、だれもかれも気づかない。だって気づかれぬように笑むんだから】

【(まして形式上の「ごめんね」すら、なかったのかも、しれないのだから)】
【(だからきっと確かなのは、彼女はそのくだらない損するためだけの儀式に笑ってあげて「いいよ」って言ってあげて全部赦した"ふり"を、しなかったって)】
【/いままでたくさんゆるしてあげたよ】

【――――だから、(だから?)(だから。)彼女は、その懺悔を聞き遂げるのだろう。それが彼女なのかそうではないのかやはり彼女なのか結局彼女なのだろう。だから彼女は聞いていた】
【そうだとしてまなざしはごくあいまいな色をしていた。俯いて見下ろすのなら、瞳は限りなく黒く、けれど瞬きのたびに、かすかな光を抱き留めて、ほんの少しだけ赤みぼ帯びる】
【やがて思いついたかのように膝を折るのなら、足元はやはり水浸しであった。そうだとして、決してぬかるんではいなかった。そこに落ち行く涙の雫、その一つ、指先に捕まえて】

なら、わたしの代わりに世界を滅ぼしてくれる?

【濡れた指先がやさしくやさしく花をめでるようにその顎を持ち上げようとした、――――――桜の綻ぶような柔らかな笑み、吐息の気配、眦の角度は嘘と誠の境目を限りなくぼやかして、】
【ならば誰がしゃべっているのかすら分からなかった。彼女はずうっと一人称すら曖昧に振れていた。なれば彼女の前に居るのはだれかなのかもしれない。願われ続けてきた彼女なのかも、なんて?】
【――ふ、と、吐息の抜けるように笑った声が途端にいのちを取り戻すから、造花の花弁はその刹那にその涙だって飲み干して、咲き誇るうるおいと変えてしまうから】

なーんて。……、…………。

【それでも何かばつの悪い間があった、――、なにか混線してしまったような一瞬のノイズに似て。うふ、と、冗談めかす笑い声の温度、立ち上がる仕草に付随する、フリルの戯れと】

………………私は、残るから。どこかへ誰かと行くのでしょ? だったら、全部、置いて行っていいのよ。ここに。

【私は誰かの何かを赦せるようなものではないけれど。それでも、】
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