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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その33 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/18(火) 17:53:09.30 ID:U0w9Vl8go
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代……
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である……。


                           ――かもしれない……。

〜前回までのあらすじ〜

世界でも有数の使い手となった召喚士、王の落胤でもあり
心優しき気丈な魔道士。本国最強の槍使いの父を持つ、
抜群なセンスと強さを兼ねた戦士。東方の忍でもあり
寡黙ながら心技体と美貌に優れた盗賊。
次なる敵は西の魔王イブリース。そして神官とサモナーは……?

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆雑談スレ(オマケみたいなSSがあったりするとかしないとか)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/

◆前スレ(その32)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1315821180/
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(安価&コンマ)コードギアス 薄明の者 @ 2025/07/23(水) 22:31:03.79 ID:7O97aVFy0
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ご褒美にはチョコレート @ 2025/07/23(水) 21:57:52.36 ID:DdkKPHpQ0
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ビーノどっさりパック @ 2025/07/23(水) 20:04:42.82 ID:dVhNYsSZ0
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コナン「博士からメールが来たぞ」 @ 2025/07/23(水) 00:53:42.50 ID:QmEFnDwEO
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4日も埋まらないということは @ 2025/07/22(火) 00:48:35.91 ID:b9MtQNrio
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クリスタ「かわいいだけじゃだめですか?」 @ 2025/07/19(土) 08:45:13.17 ID:AK1WfFLxO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752882313/

八幡「新はまち劇場」【俺ガイル】Part1 @ 2025/07/19(土) 06:35:32.67 ID:BGCulupRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752874532/

【安価・コンマ】力と魔法が支配した世界で【二次創作】 @ 2025/07/18(金) 23:44:57.84 ID:Xc8IdKRvO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1752849897/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/18(火) 17:54:10.45 ID:U0w9Vl8go
◆過去ログ(その1〜31)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308493316/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312161458/
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/18(火) 19:25:26.81 ID:CzbUi+xBo
いちおつ!!
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/19(水) 00:23:20.59 ID:3V4TO1Oq0
いちおつ
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/19(水) 00:43:51.91 ID:wwAVc2MAO
駒が足りんな
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/19(水) 02:53:45.45 ID:haYyN3Xd0
>>1おつ
いつもあり!
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 08:02:08.60 ID:Hodt/VlDO
>>1乙!
新スレおめでとうございまーす
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 13:13:59.88 ID:E2TrWQv5o
>>1
影忍さんのブログのURLはよ!
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 14:43:24.32 ID:kHwbauTIO
>>1

七人の番長wwww
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 16:17:59.01 ID:j+Quy5UDO
1乙
流石の量とクオリティ
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/19(水) 17:40:19.26 ID:EMMVlvjwo
>>1乙!
影忍のブログ発言と雷忍の静電気で吹いた
騎都尉の性格にもワロタ
12 : ◆1otsuV0WFc :2011/10/19(水) 17:51:19.06 ID:ok3OkM4Fo
〜西国拠点〜

盗賊「おぉっ」

魔道士「すっごーい! 中は更に大賑わいじゃないですかっ!」

召喚士「店舗だけでなくキャラバンも……っ。西国の経済が凝縮された感じだね」

戦士「それだけじゃねぇ。本国の文化も取り入れて、全く新しいモンになってんな……」

――「そうでしょう? ここまで来るのに時間は掛かりましたが、区切りはついたと思います」

盗賊「!?」

召喚士「……し、神官さん……っ」

神官「そろそろ来る頃かと思って待っておりましたよ」

魔道士「えっ!?」

神官「ふふっ、冗談です。本国より電話にて連絡を頂きました」

召喚士「そ、そうだったんですか……っ」

神官「折角ですのでご案内致しますよ。何か気になる場所があれば遠慮なく申して下さい」

魔道士「ありがとうございます! うわぁ、楽しみ〜」

盗賊「……だな」
13 :ageちゃった… ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:52:11.30 ID:ok3OkM4Fo
テクテクテクテク

神官「ここは香辛料の専門店です」

魔道士「う……わぁ!!」

神官「今までは西方の香辛料のみを取り揃えておりましたが、今は世界中の香辛料を扱ってます」

召喚士「凄い量ですね……っ」

神官「同盟後の交易によって、様々なものが入ってくるようになりましたからね」

盗賊「……山葵がある」

戦士「ワサビって……東方の香辛料だよな?」

盗賊「香辛料と言うか……まぁ、そうだな」

神官「隣は香水、その隣は装飾品。その店も世界中の物を取り扱っております」

戦士「本国でもそんな店は見た事ないよな?」

魔道士「一部、そんなお店もありますけど……ここまで徹底しているのは初めてですね」

神官「三日月島は以前こそ本国の領土でしたが、今は西国と本国2つの国の領土です」

召喚士「ええ」

神官「他のどの場所よりも異国同士の貿易や意見、活動が盛んに行われています」
14 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:52:54.53 ID:ok3OkM4Fo
召喚士「確かにそう言えますね」

神官「ここを発祥とし、今後はありとあらゆる場所で同様の事が行われましょう」

戦士「確かになぁ。ターミナルなんかも東方と繋がりつつあるもんな」

盗賊「うん」

神官「その礎となれば、我らにとっても甲斐があったと言うものです」

召喚士「……ええ」

神官「全ては王子の思いつきによるものでしたがね。はははっ」

魔道士「先見の明があったのかもしれませんねっ」

戦士「いや、それはない」

盗賊「……同意」

召喚士「ちょっと2人とも……っ」

神官「ふふっ。さて、次はこちらの武器屋です」

戦士「おぉ!」

神官「どうです戦士殿。貴方ならばお詳しいでしょう?」

戦士「……どれどれ」
15 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:53:28.93 ID:ok3OkM4Fo
スタスタスタ

戦士「……西国のシャムシールに双剣。いやっ、しかしこれは……」

召喚士「どうかした?」

戦士「見た目こそ西国の物だが、素材は……」

神官「その通りです。西国の物と本国の物、良い部分のみ取り入れております」

戦士「すっげ……」

神官「これは店に留まらず、西国から本国への輸出も行っています」

戦士「そうかっ! だから軍の新しい武具は強度が増したってわけだな!」

魔道士「なるほどですね……っ!」

神官「技術こそ本国には及びませんが、本国にはない良い物も西国にはございます」

盗賊「……互いに補いあっているわけだ」

召喚士「ねぇ戦士。これなら雷切も更にパワーアップするんじゃない?」

戦士「ああ。鉱石丸ごとも耐えられるような、刀身が出来るかもしれん」

魔道士「良かったじゃないですかぁ!」

戦士「ああ。これなら期待以上のモンが仕上がるに違いない……っ」
16 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:54:05.13 ID:ok3OkM4Fo


神官「如何でしたか?」

召喚士「いや、まさかこの短期間でここまで築き上げる事が出来るとは……流石です」

戦士「お前の親父さんも大儲けなんかないのか?」

魔道士「かもしれませんね」

神官「それでは拠点内へ移りましょうか」

召喚士「あ、はいっ」

神官「召喚士殿も何かお話したい事があるのでしょうし」

召喚士「……」

神官「さ、行きましょう」

召喚士「はい……」

テクテクテクテク

魔道士「ところで王子……陛下はこちらにいらっしゃるんですか?」

神官「いえ、今は西国の城へ戻っておりますよ。次の戦いに備える為にね」

召喚士「……」
17 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:54:37.26 ID:ok3OkM4Fo
〜西国拠点、客間〜

神官「支度を整えてまいります。しばしお待ちを」

パタン

召喚士「……はぁ」

戦士「なぁ」

召喚士「ん?」

戦士「神官さん、ちょっと明るくなったか?」

召喚士「あ、確かに印象が変わったかも……」

魔道士「そうですか?」

戦士「昔はなんか、冗談とか言わない生真面目な感じだと思ったけどなぁ」

盗賊「……何か、胸のつかえでも取れたのかもしれんな」

召喚士「……」

カチャッ

神官「お待たせ致しました。それと、もう1名同席を」

サモナー「……召喚士くんっ!?」
18 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:55:05.96 ID:ok3OkM4Fo
召喚士「サモナーさん!!」

パタン…スッ

神官「……それでは、本題に入りましょうか」

召喚士「……あ、あの」

サモナー「召喚士くん」

召喚士「神官さ……えっ、は……はいっ!」

サモナー「……君との約束……僕は」

召喚士「!?」

神官「サモナー殿は、召喚士殿から話を伺い、私を訪ねられたのですよね?」

召喚士「え、ええ」

神官「召喚士殿が危惧しておられたものは……」

スッ

サモナー「……受け取ってくれ」

召喚士「!?」

サモナー「そう。君の言っていた……書物さ」
19 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:55:35.76 ID:ok3OkM4Fo
魔道士「これって!?」

召喚士「……父さんの……本だ……っ」

スッ…パラパラパラ

サモナー「そこに記されている禁呪は、人間から召喚獣への転生方法」

盗賊「――っ!?」

神官「これは5年以上前より、私が噂を聞きつけ探していたものでした」

召喚士「……」

神官「正規のルートでは決して入手不可であるこの代物……」

召喚士「女侍さんに依頼し、入手したんですよね」

神官「はい。そういう事です」

召喚士の脳裏に苦い想い出が蘇る。

……――

赤サル『俺達ゃな、クライアントから探し物を頼まれてる』

魔道士『探し物ですか…?』

赤サル『あぁ…。とある本なんだがな…』
20 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:56:08.90 ID:ok3OkM4Fo
召喚士『本…ですか』

赤サル『そいつがちょっと厄介で、召喚関連の本なんだわ』

戦士『……なるほどな

召喚士『だから俺が召喚士だと知って…っ!』

赤サル『そーいう事。数打ちゃ当たる…ってね!』

召喚士『………はぁーっ』

――……

召喚士「あの頃は依頼主が神官さんだなんて全く知らなかったけど……」

戦士「俺らも召喚獣集めやらで、気にはなってたんだよな」

召喚士「うん……」

神官「不思議なめぐり合わせですね」

召喚士「それ神官さん、この本はあなたにとって……」

神官「私の兼ねてからの望みを兼ねえる為に、不可欠でありました」

その過去形での会話と、先程述べたサモナーの謝罪において、召喚士は全てを悟った。

召喚士「神官さん……あなたは……」
21 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:57:02.27 ID:ok3OkM4Fo
スッ

召喚士「……?」

神官「私もまさか、己の命を犠牲にしてまでアヌビスを得るつもりはありませんでしたよ」

召喚士「これは……?」

神官「読んで下さい。皆様にも予め知って頂く必要があるでしょう」

召喚士「……」

差し出された手紙の送り主には天才の名が記されていた。

召喚士「失礼……します」

カサッ

召喚士「……えっ」

戦士「何だってんだ……っ?」

魔道士「――っ」

盗賊「……そ、そんな……馬鹿なっ!」

神官「記述の通りです。予言の結果、私は次の戦いで死にます」

召喚士「――――っ!!」
22 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:57:31.16 ID:ok3OkM4Fo
パラッ

魔道士「神官さんが……そんなっ、そんなのって……!!」

召喚士「駄目だっ! 神官さんはまだこの世界に必要な人間なんだ!」

盗賊「……っ」

召喚士「平和な世界の後に……必要な人なんだよ……っ」

神官「私の命と引き換えに魔王を1体倒せるのならば、容易いものです」

戦士「本気で言ってんのかよ」

神官「勿論です。その為にも、アヌビスを歓声させる必要があったのですから」

召喚士「……そんなの」

神官「皆様も知っているでしょう? アヌビスを得る事もそうですが、私の本当の望みは……」

サモナー「……」

神官「西国、そして西方を地獄と化した、憎き魔物達を倒す事なのです」

召喚士「だからってそんなの……っ!」

神官「召喚士殿、私が居なくともこの世界は正しい道に進み始めております」

召喚士「……っ!」
23 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:58:01.10 ID:ok3OkM4Fo
神官「そして、陛下もようやく数多の戦いを経験し、王として自覚を持ち初めています」

魔道士「神官……さん……っ」

神官「私は感謝しています。ここまで来る事が出来たのも、本当に皆のお陰なのですから」

召喚士「俺は……」

神官「転生の禁呪は既に我が身へ施しております。後は……刻を待つのみなのです」

サモナー「あと1ヶ月……早ければ……」

神官「そうですね。でもまぁ、仮に間に合ったとしても私の意志は変わらなかったでしょう」

サモナー「……」

神官「使っておいてなんですが、この禁呪は闇に葬った方が良いと思います」

召喚士「……」

神官「これをもし、悪意のある者が得たならば、脅威になる恐れも在り得るものです」

戦士「人間が召喚獣に……なれちまうんだもんな」

サモナー「さぁ召喚士くん。これは君の父が記した物。つまりは君の物だ。受け取ってくれ」

召喚士「……」

サモナーより書物を受け取る召喚士は、ふとある事に気付き、手を止めた。
24 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 17:59:31.80 ID:ok3OkM4Fo
召喚士「……サモナーさん、まさか……っ」

サモナー「……」

ガタッ

召喚士「あなたは……これを見たんですか!?」

サモナー「……ああ、読ませて貰ったよ」

召喚士「――っ!!」

サモナー「それ以上は言わないでくれ。頼むから」

召喚士「……っ」

ガシッ!!

召喚士「こんな物があるから……こんな物がっ!!」

ブンッ!!…バサアァ

魔道士「召喚士さんっ!?」

サモナー「落ち着くんだ召喚士くんっ」

召喚士「こんな物……くそ……っ!」

神官「召喚士殿」
25 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:00:19.91 ID:ok3OkM4Fo
バシッ!!

召喚士「……?」

神官「やめたまえ。これは君の父上が命がけで築き上げたものだ」

召喚士「そうかもしれませんっ、でもこんな事は許される事はないでしょう!?」

神官「それは違う!」

召喚士「……」

神官「事実、君も父上に何度も救われたはずだ。この禁呪を得た父上に」

召喚士「……っ」

神官「正しき者が正しき道に使えば、禁呪と言えどそれはすべき事なのだ」

サモナー「ただ、昔の人達は己の欲の為にそれを使った。だから禁呪となってしまったんだ」

召喚士「…………」

神官「召喚術だって魔術だって、武器もそうだ。正しき者が使うからこそ正当性が認められる」

戦士「確かにな……」

神官「だから私は、正しき者としてこの術を利用させて貰うのだ。だから父上を責めてはいけない」

召喚士「……くそっ、俺は……俺は……っ」
26 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:00:55.96 ID:ok3OkM4Fo


神官「今日は是非、お泊り下さいませ。皆様のお話を色々と伺いたいものです」

戦士「……どうする?」

神官「サモナー殿もおられる事ですし」

サモナー「うん。是非僕も聞きたいな」

盗賊「……私は……構わんが」

神官「宜しいですか? 召喚士殿」

召喚士「……はい」

神官「良かった。それでは支度を致して参ります。外出でも拠点内でもご自由に御寛ぎ下さい」

魔道士「あのっ、ありがとうございます」

神官「どうぞごゆっくり」

パタン

サモナー「召喚士くん、あの……」

召喚士「……ふーっ」

魔道士「……?」
27 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:01:32.41 ID:ok3OkM4Fo
召喚士「戦士、雷切の件、急がなくて大丈夫?」

戦士「えっ、あ……そうだな」

召喚士「今のうちに西方司令部に行っちゃおうか」

戦士「お、おう」

召喚士「それじゃ、ちょっと西方司令部へ行ってきます」

魔道士「私達も一緒に行きますよ?」

召喚士「いえいえ。時間もないのでコカトリスで飛ばしますから」

魔道士「そ、そうですか」

召喚士「それじゃサモナーさん、2人をお願いしますね」

サモナー「う、うん」

召喚士「行こうか、戦士」

戦士「あ、あぁ」

テクテクテクテク…パタン

魔道士「召喚士さん、どうしちゃったんだろ……」

盗賊「多分大丈夫さ。こういう時は戦士に任せておけば大丈夫」
28 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:02:18.02 ID:ok3OkM4Fo


召喚士「よーし。行けっ、コカトリス!」

シュイイィィィィン

戦士「なぁ、召喚士……大丈夫なのか?」

召喚士「うんっ。1日経ってるし飛ぶくらいの魔力は全然あるよ」

戦士「いやっ、そうじゃなくてさ……」

召喚士「……戦士、乗って」

戦士「あ、お……おう」

スクッ

コカトリス「良いか?」

召喚士「いつもごめんね」

コカトリス「ふっ、今日はやけに素直ではないか。気持ちが悪いぞ?」

召喚士「失礼だな〜」

コカトリス「では行くぞ」

召喚士「うんっ、西方司令部まで宜しくっ!」
29 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:02:46.36 ID:ok3OkM4Fo
バシュウウゥゥゥゥ

戦士「……あのよ」

召喚士「神官さんの事?」

戦士「ん、まぁ……な」

召喚士「もう、何だか吹っ切れたよ」

戦士「……そっか」

召喚士「ついこの前、天才さんに叱られたばっかだしね」

戦士「……」

召喚士「俺は俺、神官さんは神官さん。サモナーさんはサモナーさん。戦士は戦士」

戦士「……?」

召喚士「みんな人それぞれの生き方がある。自分のワガママで迷惑はかけられない」

戦士「……おう」

召喚士「神官さんだってわざわざ死にたくてやってるわけじゃないんだ。理解して受け入れないとね」

戦士「……そうだな」

召喚士「でなきゃ……笑顔でお別れなんて出来ないよ」
30 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:03:42.79 ID:ok3OkM4Fo
〜西方司令部〜

バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

西方兵「て、敵襲!?」

門兵「いやっ、違う……召喚獣だ!」

テクテクテク

召喚士「こんばんはー」

西方兵「朱雀先生だ! これはこれは、先日はお疲れ様でした!」

召喚士「こちらこそお疲れ様でした。中、いいですか?」

西方兵「どうぞどうぞ! 門兵、奥へ案内して!」

召喚士「失礼しまーす」

戦士「手馴れ具合がハンパねぇ……」

テクテクテクテク

門兵「西方参謀様っ、朱雀先生がお見えでございます!」

西方参謀「あん? おぉーっ、どうしたよ……ヒック」

召喚士「こんばんは。今日はお願いがあって来ました」
31 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:04:33.22 ID:ok3OkM4Fo
西方参謀「何だぁ、女でも紹介しろってか? コッチが頼みてぇくらいだよ! がはは!」

戦士「話を聞け」

西方参謀「冗談だよ冗談……ヒック。んで何だ、イブリース戦の事か?」

召喚士「それもありますけど……」

戦士「実は、武器の製造をお願いしたくてな」

西方参謀「武器? あぁ、開発機関か。そりゃ俺に言われてもなぁ……ヒック」

戦士「そりゃそうだけどよ、んじゃ勝手に行っていいか?」

西方参謀「流石に地下はお前らだけじゃ無理だ。仕方ねぇな、案内してやるよ。来い」

召喚士「ありがとうございます!」

西方参謀「しかしまた武器とは急だな……ヒック。次の戦に向けてかぁ?」

戦士「ああ。アンラ・マンユの時に、粉砕されちまったからな」

西方参謀「ほぉ、そりゃ半分は俺らにも責任ある話だわな」

戦士「そーそー。弁償のつもりで頼むよっ、な?」

西方参謀「だから俺に言うなって。ほれ、本人に聞いてきな……ヒック」

戦士「……?」
32 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:05:01.04 ID:ok3OkM4Fo
〜開発機関〜

ギイイィィィ…

戦士「熱……っ」

西方参謀「鍛冶真っ只中って感じだな……ヒック」

召喚士「それで、誰に頼めば……」

西方参謀「おーい局長〜。きゃくだぞ客〜」

局長「……?」

カラン…ザッザッザッザ

召喚士「で、でか……っ」

局長「何の用だ小僧?」

戦士「いや、あの……だなっ、ちょっと頼みがあって……」

局長「局長」

戦士「……へっ?」

局長「貴っ様〜! こっちが名乗ったと言うのに挨拶もなしかぁ〜!」

戦士「せ、戦士だ! よろしく!」
33 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/19(水) 18:07:33.62 ID:ok3OkM4Fo
――「!?」

局長「全く、礼儀のれの字も知らぬ奴だな」

戦士「めんどくせぇー」

局長「それで、何のようだと聞いているんだ」

戦士「だからその……」

タッタッタッタ

鍛冶娘「……やっぱり!」

戦士「鍛冶娘!」

鍛冶娘「声ですぐ分かった。でかいから」

戦士「うっせ」

局長「知り合いか?」

鍛冶娘「以前、うちでお世話してた事があるんです」

局長「何だとぉ〜!?」

戦士「……何で怒ってんだ?」

召喚士「さ、さぁ……っ」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/19(水) 18:27:32.92 ID:ok3OkM4Fo
早速のご支援ありがとうございます!
ひとまずここまでにて!それでは!ノシ

〜オマケのオマケ〜

ボス「くさっ! なんだこのぬか漬けみてぇな臭い……」

南方「ん? ポリポリ」

ハヌマーン「何ぬか漬けなんか食っとるんだおのれは!」

南方司令「借り物競争で余ったんでな」

剣士「よくありましたね……」

南方司令「園芸部が栽培して漬けてた」

賢者「いい野菜が出来た……ふぅ」

マーマン「俺っちのきゅうりがああぁぁ!?」

騎士団長「君、生徒の親族かね?」

影忍「えっ?」

騎士団長「怪しいな。最近、盗撮なんかも増えているからねぇ」

影忍「!? ほ、ほらっ! 騎馬戦のあれ……僕の妹です!」

騎士団長「……ちょっとこっちまで来てもらおうか」

影忍「なぜええぇぇぇぇ!!」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/19(水) 19:08:22.60 ID:wwAVc2MAO
>>1
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/19(水) 19:55:29.13 ID:ajl2NFYDO
・・・にいさま
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 19:56:10.53 ID:ajl2NFYDO
・・・にいさま
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/19(水) 20:10:26.54 ID:QDrWApZw0
遅れながらの1乙

前スレ>>1001が物凄く当てはまっててワロタ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/19(水) 22:27:11.93 ID:RC2JMXJDO

西国の戦い凄く好きなんだ!
神官さんに、いい花道を用意してやってくれ!
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/19(水) 23:51:56.54 ID:vyXJoG8AO
>>1

誰が死ぬんやぁ―――――
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/19(水) 23:52:26.17 ID:vyXJoG8AO
>>1

誰が死ぬんやぁ―――――
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/20(木) 03:01:46.30 ID:v4eidIbZ0
いちおつ
サモナーも召喚獣になったのか…
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 08:12:32.04 ID:JgS1YNwDO
パズズがあれだった事を考えると、魔王との戦いもいよいよ中盤戦に突入か…
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/20(木) 08:28:13.94 ID:R87fWO4AO
鍜治娘にハンマーでガッツンガッツンされたい
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 09:06:57.96 ID:G2EryMFIO
初代スレだけみてたけど、こんなに長続きするもんなんだな
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 12:57:17.86 ID:ub288OBDO
>>43
まだプロローグ
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/20(木) 14:04:51.32 ID:pvCfzmBoo
サモナー「ただ、昔の人達は己の欲の為にそれを使った。だから禁呪となってしまったんだ」
ん…?
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 15:09:31.42 ID:3tLsOQRIO
>>1の壮大な伏線は各地への移動時間にある
どう考えても大陸が狭すぎる
つまり、世界には他にもいくつかの大陸があり
それぞれに魔王が同じようにいるのだよ
全ての魔王を倒してやっとプロローグが終わり

魔王s「ふっふっふっあの大陸の魔王が全て倒されたか。魔王衆の面汚しよ。しかしあの大陸は最弱の大陸。我々7大大陸の魔王衆の敵ではないわ」

となってプロローグから本編に進むのだ!
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 17:09:05.90 ID:owS67/ZDO
>>1乙!

そうなると今度は100スレで終わるか不安になってくる
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 17:31:49.91 ID:DjFFvxJIO
その次は宇宙魔王が登場するんだろ?
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 17:37:00.99 ID:Bpez/b7DO
移動が短いんじゃなくて移動している間に書くことが無いんじゃないの
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/10/20(木) 17:47:21.62 ID:DtthoI3AO
朝出発して夕方に着くって文章なかったっけ
ある程度の大きさのある国なら四頭馬車をノンストップで走らせても1日じゃ隣の国とか着かないだろ
53 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:00:37.83 ID:IdArD2dNo


局長「ふぅん。まぁ事情は分かった」

戦士「頼まれてくれるかっ!?」

局長「それとこれとは話が別だ」

戦士「!?」

局長「こっちも昼夜フル稼働で動いてるんだ。時間がねぇ」

戦士「……っ」

局長「別にてめぇがおかみと1つ屋根の下で暮らしてたからって意地を悪くしてるわけじゃねぇぞ」

鍛冶娘「人の母親を巻き込まないで貰えます?」

局長「とにかくだ。数日内に仕上げろなんてのはもってのほかだ。諦めろ」

戦士「……そうか」

召喚士「やっぱりどこも忙しいもんね。こればっかりは仕方ないか」

戦士「だな。すまねぇな、手間をかけた」

テクテクテク

鍛冶娘「……あ、あのさっ」
54 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:01:05.68 ID:IdArD2dNo
戦士「……?」

鍛冶娘「局長、私にやらせて貰えませんか?」

局長「何?」

鍛冶娘「他のみんなよりは時間あるし……その……」

局長「あのな、だからって仕事量は減らせねーぞ?」

鍛冶娘「分かってます」

局長「……」

鍛冶娘「勿論、仕事が最優先です。支障をきたすつもりはありません」

局長「そこまで言うんならやってみろ。但し、条件がある」

鍛冶娘「何でしょうか?」

局長「ここの設備は使っても構わんが、あくまで空いている時だけだ」

鍛冶娘「はい」

局長「それに人や材料は国軍の所有。使う事は許されない」

鍛冶娘「はい」

局長「その条件で出来るなら、やってみろ」
55 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:02:17.76 ID:IdArD2dNo
鍛冶娘「分かりました。ありがとうございます」

局長「……おらオメーら、作業に戻るぞ! 何ボサっとしてやがんだ!」

スタスタスタ…

鍛冶娘「てなワケだから。いいわよね?」

戦士「あ、あぁ。だがよ、本当にいいのか?」

鍛冶娘「何で? 私がやるって言ってるんだからいいじゃん」

戦士「仕事だって……あんだろ?」

鍛冶娘「こないだので一段落着いたから。今は割と空いてるし平気よ」

戦士「……」

鍛冶娘「それじゃ早速、始めましょう」

戦士「仕事は?」

鍛冶娘「勤務時間はもう終わってるわ。明日は休みだし」

戦士「そっか」

鍛冶娘「悪いんだけど、2つほど頼まれてくれない?」

戦士「何だ?」
56 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:02:46.16 ID:IdArD2dNo
鍛冶娘「1つは明日、付き合って」

戦士「はい!?」

鍛冶娘「……材料もないのにどうやって作るのよ」

戦士「あ、あぁ……材料の買出しね。了解」

鍛冶娘「な、何勘違いしてるのよっ、馬鹿じゃないの! 何で私がアンタなんかと……っ」

戦士「……んで、2つ目は?」

鍛冶娘「こほん。えっと、うちの親をここへ呼んで欲しいの」

戦士「はぁ!? 俺がか?」

鍛冶娘「うん」

戦士「自分の親なんだから自分で頼めば……」

鍛冶娘「頼めるわけないでしょっ! 親の手を借りるなんてこっちから言えるわけないじゃない!」

戦士「そうかなぁ」

召喚士「喜ぶと思いますけどね、鍛冶屋さんもおかみさんも」

鍛冶娘「部外者は黙ってて!」

召喚士「ぶ、部外者……っ」
57 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:03:16.58 ID:IdArD2dNo


鍛冶娘「それじゃ明日、10時にそっち行くから」

戦士「おう。ありがとうな、鍛冶娘」

鍛冶娘「べっ、別にあんたの為にやってあげるわけじゃないんだからねっ!」

戦士「は、はぁ」

鍛冶娘「分かったらさっさと行きなさいよ!」

戦士「お、おう。そんじゃまた明日な」

テクテクテクテク…

戦士「おー怖。何だあの言い方はよ」

召喚士「鍛冶娘さんて優しいよね」

戦士「そうかぁ?」

召喚士「ちょっと……可哀想だけどね」

戦士「性格がか?」

召喚士「あははっ、違うって。戦士は気にしない方がいいよ」

戦士「……はぁ」
58 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:03:48.99 ID:IdArD2dNo
テクテクテク

西方参謀「ん? 終わったのか?」

戦士「ああ、とりあえずはな。あんがとよ」

西方参謀「本部の見解じゃ1週間程度で進軍するつもりらしいぜ……ヒック」

戦士「1週間で仕上げてみせるさ」

西方参謀「お前らにとっちゃ連戦なんだし、あんま無茶はすんなよ?」

召喚士「ありがとうございます。西方参謀さんも!」

西方参謀「がははっ、んじゃな」

戦士「早速、おやっさん達に手紙書いて来て貰わねぇとな」

召喚士「直に行く?」

戦士「大丈夫なのか?」

召喚士「西国の港から行けば、直線距離でそんなに遠くはないし……大丈夫だと思うよ」

戦士「今から行けば朝には帰ってくれるな。よし、いっちょ行くとすっか!」

召喚士「うん。それじゃまずは拠点経由で西国の港まで向かおう」

戦士「おうっ!」
59 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:04:35.18 ID:IdArD2dNo
〜西国拠点〜

カポーン

盗賊「……あぁ〜」

魔道士「盗賊さん、今いくつでしたっけ?」

盗賊「……25……ですけど」

魔道士「まだ25歳じゃないですか! 『ああぁぁ〜っ』なんて言っちゃ駄目ですよっ!」

盗賊「そ、そこまで酷くなかったと思うけど……」

魔道士「とにかくっ、まだ若いんですから駄目です!」

盗賊「……はぁい」

魔道士「とは言え、私達も20代半ばを迎えましたっ」

盗賊「はい」

魔道士「これからはより一層、アンチエイジングに努めたいと思いますっ!」

盗賊「はい」

魔道士「それじゃ今日は顔マスク! はいどうぞっ!」

盗賊「は、はいっ」
60 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:05:26.56 ID:IdArD2dNo
カポーン

魔道士「しかし、遅いですねあの2人……」

盗賊「……ああ。でも、もう帰ってきているかもしれんな」

魔道士「むぅ〜。せっかく自由な時間が出来たのに……つまんなーい」

盗賊「仕方ないよ。やらなきゃいけない事がまだまだあるんだし」

魔道士「それは分かってますけどぉー」

盗賊「……じゃあ、あとで少し散歩にでも出かけようか」

魔道士「そうしましょうよ! あ、でも大丈夫かなぁ」

盗賊「ん?」

魔道士「だって、召喚士さんと戦士さんは遊んでるわけじゃないのに」

盗賊「大丈夫。こっちも視察だ」

魔道士「視察……」

盗賊「そう、視察」

魔道士「視察。そうですね、視察ですね!」

盗賊「そう。視察だ!」
61 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:06:40.15 ID:IdArD2dNo
ザバァ

盗賊「……よし、行こう」

魔道士「盗賊さん」

盗賊「ん?」

魔道士「今……いくつでしたっけ?」

盗賊「えっ!? だから25だけど……何かまずかった?」

魔道士「違います。それですよそれ」

盗賊「それ?」

魔道士「その胸に付いてるそれ」

盗賊「あ、あぁ。測ってないから分からん」

魔道士「……ふぅん」

盗賊「うん……っ」

魔道士「ふぅん」

盗賊「……ま、魔道士は?」

魔道士「私は8……ちょっと! 何で私が言わなきゃいけないんですかっ!」
62 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:07:30.41 ID:IdArD2dNo


バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

戦士「あいつら部屋かな?」

召喚士「行ってみますか」

スタスタスタ

召喚士「あっ」

魔道士「だから盗賊さんてば……あっ!」

盗賊「違うぞ! し、視察のつもりだからっ!」

戦士「はぁ? 何の話だ?」

魔道士「い、いえっ! おかえりなさい〜!」

召喚士「戻りました」

魔道士「それで、どうでしたか?」

戦士「いや、実はな……ちょいと面倒な事になっちまって」

盗賊「……?」

魔道士「面倒……ですか?」
63 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:08:13.70 ID:IdArD2dNo


盗賊「……なるほど」

魔道士「つまり、鍛冶屋さん達を連れて来なければないと言うわけですね」

召喚士「ええ。それと材料の買い出しもしなくてはいけません」

盗賊「大変だな」

戦士「まーな。でも忙しい中やってもらうわけだし文句は言えねぇよ」

盗賊「……うん」

召喚士「と言うわけで、これから早速、鍛冶屋さんの所まで行ってきます」

魔道士「今からですか!?」

召喚士「手紙でもいいんですが、遠い距離ではありませんので」

戦士「1日でも早いに越した事はないからな」

魔道士「あmぁ、そうですけど……」

召喚士「明朝にはもどるつもりです。お2人は先に休んでいて下さい」

盗賊「……分かった。気を付けてな」

戦士「おうっ! すまんが馬車借りるぜ!」
64 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:08:59.30 ID:IdArD2dNo


魔道士「それじゃ、行ってらっしゃーい!」

召喚士「行ってきます!」

パッカパッカ…ドドッドドッドドッ…

魔道士「……行っちゃった」

盗賊「さ、こっちも楽しもう」

魔道士「……盗賊さん、何だか大人になりましたねぇ」

盗賊「へっ?」

魔道士「あっ、そっか。戦士さんとはもう恋人同士ですもんねぇ〜」

盗賊「ち、ちがっ! そういう事じゃなくって!」

魔道士「じゃあどういう事なんですかぁ〜?」

盗賊「や、やっぱり相手を信じるというか……だから信頼してっ、その……っ」

魔道士「耳まで真っ赤っかですよぉ〜?」

盗賊「……馬鹿っ」

魔道士「冗談ですよ、ごめんなさい盗賊さんっ。えへへ!」
65 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:09:37.31 ID:IdArD2dNo
テクテクテク

神官「おや、召喚士殿らが戻ったと伺ったのですが」

魔道士「神官さん。それが、また用があるそうですぐに行ってしまいました」

神官「そうでしたか」

魔道士「すみません、何だか慌しくて……」

神官「いえいえ。仕方ありませんよ。こちらこそお手伝い出来ず申し訳ない」

盗賊「……お構いなく」

神官「お2人はもう休まれますか? お部屋の用意は出来ておりますよ」

魔道士「ありがとうございます。ちょっと散歩してこようかなって思います」

神官「そうですか。夜はまた違った顔もあるので楽しんできて下さい」

魔道士「はいっ! 行ってきま〜す!」

神官「お気を付けて」

魔道士「それじゃ行きましょっ、盗賊さん!」

盗賊「うん」

召喚士と戦士を見送った2人は、夜の町へと消えて行った。
66 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:10:13.70 ID:IdArD2dNo
〜西国の港〜

バシュウウゥゥゥゥ

戦士「あぁ〜風が気持ちいいわ〜」

召喚士「本当だね。ちょっと肌寒くなってきたけど」

戦士「だな。冬は身体が固まるからあんま好きじゃねぇんだけどな」

召喚士「北方出身なのに?」

戦士「北だろうが南だろうが、嫌いなもんは嫌いだろ」

召喚士「ははっ、それもそうか」

バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「魔力は大丈夫なのか?」

召喚士「うん。何だか回復が早くて、レベルアップしてきたみたい」

コカトリス「……」

召喚士「今はどちらかというと、毎日少しでも消費した方がすっきりする感じなんだ」

コカトリス「……あまり、無茶はするなよ?」

召喚士「分かってる。ありがとう」
67 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:10:55.63 ID:IdArD2dNo
〜西国拠点、商店街〜

ワル「へいへいネーチャン! 2人? 一緒に遊ばない?」

不良「ウヒャヒャッ! 男探しかい? ならいいのがここにいるよ〜なんつって!」

テクテクテク

魔道士「やっぱり夜になると、こんな感じなんですねぇ」

盗賊「賑わっているところだからな。多いだろう」

魔道士「ていうか……」

ワル「ちょいちょい、無視しちゃイヤーン! ギャハハハ!」

不良「ボク達と遊んでよぉ〜? ねぇねぇ〜」

魔道士「こういう状況に慣れてしまった自分も嫌ですね……」

盗賊「分かる」

ワル「おいおいお高く止まりやがってコラ!」

盗賊「しつこい!」

バキィッ!!

ワル「あふんっ!」
68 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:11:37.50 ID:IdArD2dNo


魔道士「見て見て盗賊さん! 美味しそう〜!」

盗賊「スイーツ……ごくっ」

魔道士「か、買いましょう! 視察しないと!」

盗賊「そ、そうだな……視察しないとなっ!」

フラフラフラ…

店員「いらっしゃいませぇ」

魔道士「こ、これを2つ!」

店員「はい毎度!」

魔道士「えっと、西方で採れたカカオをふんだんに使って、焼き上げた小麦菓子を……」

店員「はいお待ちどうさま!」

魔道士「うわぁ、いい匂い〜っ!」

盗賊「早速食べよう。視察!」

魔道士「それじゃあそこのベンチで!」

盗賊「うん」
69 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:12:08.39 ID:IdArD2dNo
テクテクテク…カサッ

魔道士「いただきまーす!」

盗賊「……んっ、美味い!」

魔道士「本当だぁ〜! すっごく美味しい!」

盗賊「……もぐもぐ」

――「どれ、1個貰うよ!」

ガサッ…パクパク

盗賊「あぁ!!」

――「ん〜美味いっ♪」

盗賊「わ、私の……スイーツ……」

魔道士「ていうか、どなたですか……っ!?」

――「アンタら本国の人かい? アタイはねぇ、踊り子ってんだ! ヨロシクな!」

魔道士「踊り子……さん?」

踊り子「そうそうっ♪ これでも西方じゃそこそこ名のある踊り子なんだよっ?」

盗賊「私の……スイーツ……うぅっ」
70 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:12:48.50 ID:IdArD2dNo


魔道士「同い年!?」

踊り子「みたいだねっ、アハハ!」

魔道士「い、色っぽい……」

盗賊「年上かと思った……」

踊り子「アンタらだっていい身体してるジャン♪ その気があるなら紹介するよっ?」

魔道士「へっ!?」

踊り子「踊り子になるなら、アタイが勤め先紹介してあげるって言ってんのっ!」

盗賊「!?」

魔道士「な、なる気なんてないよーっ!」

踊り子「アハハハッ! だろうねっ、ところで2人は何してるんだいっ? 観光?」

魔道士「……えぇと」

チラッ

盗賊「正直に言っても、問題はないだろう」

魔道士「で、ですよね。私達、ワーカーなんです」
71 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:13:32.39 ID:IdArD2dNo
踊り子「ワーカー……? って、何だっけ?」

盗賊「……」

魔道士「ワーカーって言うのは、冒険者っていうか……」

盗賊「魔物と戦ったり、依頼を受けて代理の仕事したり……」

踊り子「何でも屋?」

魔道士「ま、まぁそんな感じ……」

踊り子「へぇ〜っ! 見かけによらずやるじゃーん!」

盗賊「ど、どうも」

踊り子「それでっ、今回も仕事? 何で来たのっ?」

盗賊「今回は……魔王を倒しに……」

踊り子「……ふぅん…………へっ!?」

魔道士「魔王イブリースを倒すので、そのお手伝いに来たの」

踊り子「……はいぃ!?」

魔道士「って言っても、信じて貰えないよね……あはは……っ」

盗賊「……まぁ、そうだよね」
72 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:14:08.63 ID:IdArD2dNo
〜鉱山の町〜

戦士「思ったより早く着いたな!」

召喚士「そう? もうすっかり夜だよ……」

戦士「さーてと、まぁ起きてるとは思うが」

コンコン…カチャッ

おかみ「はぁ〜い。あらっ!? 戦士じゃないか!!」

戦士「おかみさん、元気そうで何より!」

鍛冶屋「いやいやいやいや、今日はどうしたんだい? さぁ入って入って!」

召喚士「すみません、お邪魔します」

おかみ「ありゃ? 今日は2人だけかい?」

戦士「そうなんだ。ちょいと急ぎでな」

おかみ「何だい全く、華がないねぇ〜」

戦士「……」

鍛冶屋「急ぎって言うと、もしかして武器関係?」

召喚士「はい。実は戦士の雷切を全く新しい物とし……あっ」
73 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/20(木) 18:16:07.41 ID:IdArD2dNo


鍛冶屋「つまりだ、東方の刀をベースにはもう難しい。ここは剣をベースにだな……」

戦士「バカ。堂々と武器の話しやがって……」

召喚士「ごめん……。久々すぎて油断してた……」

おかみ「ほらほら、もうそこらで話は終えて、本題に入りなよ」

鍛冶屋「むぅ、仕方ないな。まだ序盤だったんだけど」

召喚士「……っ」

戦士「実は……だな。図々しいお願いなのは分かってるんだが」

ガバッ

戦士「どうか、おやっさんの手を借りたいんだ!}

鍛冶屋「!?」

おかみ「ちょっと戦士っ! 頭を上げなよ!」

戦士「頼むおやっさん! 俺のワガママの為に……力を貸してくれっ!」

鍛冶屋「ととととっ、とにかくとにかく! まずは頭を上げて話そうよ! ねっねっ!?」

戦士「……」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/20(木) 18:18:13.62 ID:IdArD2dNo
20レスも使って話全然進んでない…ひどすぎる…
すみません、今日はちょっと早めに失礼します!
多数のご支援、本当にありがとうございます!それでは!ノシ
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/20(木) 18:25:45.68 ID:4ASrNzWX0
1乙!
魔王戦の後だからこれくらいのテンポがちょうどいいんだぜ。

ていうか久々の新キャラキター!
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/10/20(木) 19:18:41.91 ID:IO9xsI4Ko
順調に視察が進んでいるじゃないか
全然問題ないな
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/20(木) 20:19:05.86 ID:R87fWO4AO
鍜治娘かわいい
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/20(木) 20:34:00.16 ID:FVzu2rXAO
乙、1が書きたいモノ書いてくれれば問題ナシ。
ここに来ての新キャラワクワクするなぁ。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) :2011/10/20(木) 22:39:38.53 ID:BfAy9Wh+o
うおなんか一年ぶりくらいに見た気がする ずっと続いてるんだなすげぇ
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2011/10/20(木) 22:40:38.02 ID:BfAy9Wh+o
うおなんか一年ぶりくらいに見た気がする ずっと続いてるんだなすげぇ
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/21(金) 01:57:31.80 ID:WY1jhrNAO
>>1おつ
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/21(金) 03:27:58.72 ID:KK8Z49a00
いちおつ
踊り子がこれからどう絡んでくるか楽しみ
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 07:55:51.38 ID:XmIDmL+IO
踊り子はモブじゃねえの?と思ったけど、この物語モブが兵士かヤンキーしか居ない気がする…
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/21(金) 11:20:57.15 ID:+ldF4FcHo
兵士ですら数度登場してる顔馴染み多いしなww
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/21(金) 16:57:32.70 ID:C1Ezwrwvo
序盤の雑魚ワーカーもモブやろ
ミノ戦とか北とお父が出てきたらへんもかなり死んだな
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/21(金) 17:24:02.99 ID:1/3x3ahAO
三連星さんはモブに入りますか?
87 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:33:56.03 ID:/RsGvWwwo
〜大陸港の町、バーテンの店〜

バーテン「よいしょっと」

ガチャッ…チリチリン

バーテン「さーて」

ガチャッ

マジシャン「何だ、お前も今戻ってきたとこか?」

バーテン「しばらく店空けてたからな。食材の買い出しだよ」

マジシャン「ああ、そういう事ね」

バーテン「そっちはどうだった?」

マジシャン「どうったって、まぁ掘り返すわけにもいかんからなぁ……ハッハ」

バーテン「そりゃそうだ」

マジシャン「変化なし。ま、問題ないでしょ」

バーテン「そうか」

マジシャン「それより腹減ってないか? さっきそこでリブサンド買ってきたんだ。食おうぜ!」

バーテン「おう、サンキュ」
88 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:34:31.52 ID:/RsGvWwwo
ガチャッ…チリチリン

バーテン「悪いな、今日は店やってね――」

マジシャン「お、お前っ!!」

戦士父「……」

バーテン「フラフラじゃねぇかっ、とにかくそこ座れ」

戦士父「何か……食い物を……」

マジシャン「……ったく、しゃあねぇなー。ほれ、食え」

戦士父「……すまん」

バーテン「っておい! それ俺のリブサンドじゃねぇのか!?」

マジシャン「しょうがねぇだろ」

戦士父「……」

ガバッ…モグモグ

マジシャン「あぁ!! てんめぇ……誰が2つ食っていいって言ったぁ!?」

バーテン「ぶははっ! おいおい、しょうがねぇだろ〜?」

マジシャン「くっそ……」
89 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:35:00.06 ID:/RsGvWwwo


バーテン「ふー。あれから1人でブラブラ戻ってきたわけだ」

マジシャン「お前さんもよ、元国軍なんだから頼れよな」

戦士父「……それもそうだな」

バーテン「ったく、マイペースは相変わらずだな」

ズキッ

戦士父「……っ」

バーテン「腕、痛むのか?」

戦士父「痛むのもあるが、もう肩が上がらん」

バーテン「無理するからだ。馬鹿野郎」

マジシャン「どうせ使えねーんなら切っちまえば? 俺とお揃だぜハッハ!」

戦士父「それは勘弁だな」

バーテン「ったく、お前らにしろ師匠にしろ、揃いも揃って腕上がらねぇとか……」

マジシャン「お前も仲間入りしろ」

バーテン「仕事に支障きたすだろがっ!」
90 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:35:48.65 ID:/RsGvWwwo


マジシャン「んで、行くアテもねぇんだろ?」

戦士父「ああ」

マジシャン「んじゃしばらく、ここでリハビリがてら厄介になってたら?」

バーテン「はぁ?」

戦士父「それは助かるな」

バーテン「はあぁ!?」

マジシャン「ハッハ! いいじゃねぇか。薪割りやら樽運びなんざいいリハビリになんぜ?」

戦士父「おぉ、そうだな」

バーテン「……ここは便利屋じゃねぇんだぞ?」

戦士父「すまんな」

バーテン「まぁいい。2階の部屋空いてるから好きに使え」

マジシャン「流石隊長っ!」

戦士父「流石隊長」

バーテン「うるせぇ!!」
91 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:36:30.17 ID:/RsGvWwwo
〜鉱山の町、鍛冶屋の家〜

おかみ「なるほどねぇ。事情は分かったよ」

鍛冶屋「確かにここじゃ設備が乏しいし、時間がかかってしまうからね」

戦士「ああ、そうなんだよ。どうしても短期間で仕上げてぇんだ」

おかみ「でも、何でこの人なんだい?」

戦士「えっ?」

おかみ「だってさ、国軍には顔の利くフリーの鍛冶職人が大勢いるじゃあないか」

鍛冶屋「それもそうだよね。ボクなんて軍を抜けた身だし……」

戦士「それは……だな……」

召喚士「……鍛冶娘さんのお願いだからです」

おかみ「えっ!?」

戦士「お、おいバカ……っ」

召喚士「正直に言っても、何も問題はないと思うよ」

戦士「……っ」

召喚士「鍛冶屋さん、おかみさん。俺達は鍛冶娘さんに頼まれたんです」
92 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:37:03.63 ID:/RsGvWwwo
おかみ「ほ、本当なのかい……っ?」

戦士「ああ、本当だよ」

鍛冶屋「鍛冶娘が……」

戦士「国軍は、設備は貸すが、人や材料は割けないそうなんだ」

召喚士「そこで、鍛冶娘さんが仕事の合間に協力してくれる事になったんです」

鍛冶屋「そうなんだ……」

戦士「それで、どうしてもあいつの助けになる、腕の立つ職人が必要なんだ」

おかみ「それで……私達を……っ?」

召喚士「そういう事です」

戦士「なんか知らんが、俺達に連れてきてくれってな」

召喚士「本人からは頼みにくいんですよ」

鍛冶屋「……」

召喚士「鍛冶娘さんは今、1人で国軍の技術者として入隊し、頑張っています」

おかみ「……」

召喚士「親に世話をかけたくない。その思いがきっとあるんですよ」
93 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:37:57.28 ID:/RsGvWwwo
戦士「なるほど……」

召喚士「それに仕事上、色々な職人を見てきたはずです」

おかみ「……だろうね」

召喚士「その上で両親であるお2人を頼った。それがどういう意味か……」

戦士「そうか、そうだよな。あいつ自身もおやっさん達の腕が一流だって言ってるようなもんだ」

召喚士「だから尚更、自分からは言いにくい事なんじゃないかな」

おかみ「……全く、どこまでひねくれてる娘なんだか。誰に似たのやらだね」

鍛冶屋「でも、嬉しいじゃないか。そう思ってくれるって事はさ!」

召喚士「でも、本人にはくれぐれもこの事、言わないで下さいよ……?」

おかみ「分かってるよ! あの子の性格は私達が1番良く分かってるんだから!」

鍛冶屋「やははははっ! そうそう!」

戦士「すまねぇ、おやっさん……おかみさん。この借りは必ず……」

おかみ「何言ってるんだい。私達とあんた達の仲じゃないか。気にしないでおくれよ」

鍛冶屋「そうだよ! それに僕だって世界一の剣を作成出来るんだ。願ったりだよ!」

戦士「……ありがとう、おやっさん」
94 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:40:28.50 ID:/RsGvWwwo


鍛冶屋「それじゃ、身支度して明日には到着出来るようにするから!」

召喚士「宜しくお願いします」

おかみ「はい。これメモね。とりあえずこの材料だけは最低限用意しといておくれ」

戦士「おう! 昼のうちに買い出ししておくよ」

召喚士「それではまた明日!」

戦士「ありがとう!」

鍛冶屋「2人も気を付けてね!」

召喚士「行けっ、コカトリス!」

シュイイィィィィン…バシュウウゥゥゥゥ

おかみ「おぉっ!? いやぁ凄い! 私も乗ってみたいモンだねぇ〜」

鍛冶屋「ちょちょっ、怖いよ! 落ちたらどうするの!?」

おかみ「でも空を飛べるなんて夢みたいじゃないかっ!」

鍛冶屋「……うーん。空かぁ、でもやっぱ怖いものは怖い……っ」

おかみ「ほれっ、さっさと明日の用意するよ!」
95 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:41:31.65 ID:/RsGvWwwo
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「良かったね、2人共承諾してくれてさ!」

戦士「ああ! これで何とかなりそうだな!」

召喚士「うんっ!」

戦士「魔王イブリースか。どんな奴なんだろうな」

召喚士「相当強いって話だけど、あんまり詳細は聞かないよね」

戦士「なんか軍団長みてぇのは居ないんだろ?」

召喚士「らしいね。だから有利って事もないんだろうけど……」

戦士「だよな。アンラ・マンユは自分の一部を眷属にしてた」

召喚士「ラーヴァナは軍団長を己の駒として使って、戦ってた」

戦士「それがないイブリースってのは、個の力がハンパねぇって事だよな?」

召喚士「多分……だけどね。今までのタイプとは違う意味で厄介だね」

戦士「ガチンコか。手強そうだな」

召喚士「……うん」

寒さのせいか身震いする2人を乗せ、コカトリスは西国の港へと夜空を羽ばたいた。
96 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:42:49.48 ID:/RsGvWwwo
〜西国拠点、商店街〜

踊り子「へえぇ〜っ! それじゃホントに魔王を倒しに来たんだ!」

盗賊「そういう事」

踊り子「すっごぉい! 憧れちゃうなぁ〜」

魔道士「そう? そんな事ないけどなぁ……」

踊り子「えぇ〜? だってアタイと同い年ですっごいじゃん!」

魔道士「私達より年下なのにワーカーで頑張ってる子だっているんだよ〜?」

踊り子「うっわ! そうなん!? うわ……うわぁ、アタイ……もっと頑張らないと!」

盗賊「……何か……夢があるのか?」

踊り子「うんっ! アタイはね、西方で……ううんっ、世界で1番の踊り子になってやるのさっ!」

魔道士「へぇ〜っ! いいじゃんいいじゃんっ!」

踊り子「でっしょ〜? だからもっと頑張って……みんなに負けてられないねっ♪」

魔道士「そうだよっ! お互い頑張ろうねっ!」
97 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:44:37.48 ID:/RsGvWwwo
踊り子「うんっ! あ、そろそろ時間だ。それじゃまったね〜!」

盗賊「またな」

魔道士「踊り子ちゃん、また会えるよね?」

踊り子「普段は西国に居るからさっ、劇場に遊びきなよっ!」

魔道士「うんっ! 絶対行くね! えへへっ」

踊り子「へっへ〜! 待ってるよ〜♪」

タッタッタッタッタ…

魔道士「素敵ですねぇ」

盗賊「うん。華があるし何より……」

魔道士「スタイルが抜群……」

盗賊「あんな露出の高い衣装……」

魔道士「とてもじゃないけれど、無理ですよ……」

盗賊「無理ですね……」

魔道士「無理です……」
98 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:45:30.36 ID:/RsGvWwwo
〜西方、砂漠〜

ドドッドドッドドッドドッ…

隊長「……」

男隊員「あぁ!? 何だってぇ? 」

ドドッドッ…パッカパッカ…ザザァ

男隊員「砂嵐とその頭に巻いた布のせいで何にも聞こえないんだよ!」

隊長「西国西の砦から真っ直ぐ西に進んだよな?」

格闘家「方位磁針に狂いがなければ」

女隊員「こんな西は初めてッスから、星の動きも読みづらいッスね……」

隊長「ま、感覚からして問題ないだろう」

男隊員「じゃあ聞くなよ」

隊長「念の為だ。何があるか分からんだろうが」

男隊員「まぁ、そりゃそうだけどよ」

隊長「この先、正面に山がそびえてるのが見えるか?」

女隊員「……かすかにだけど見えるッス」
99 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:46:36.79 ID:/RsGvWwwo
隊長「あれが最西端への山道だ」

格闘家「そこを超えれば……」

隊長「魔王イブリースの棲み処だと言われている」

男隊員「んでぇ、どこまで偵察すんだ? まさか魔王様のツラまで拝もうなんつう気じゃねぇよな?」

隊長「俺はそれでも構わんぞ?」

男隊員「……じ、上等じゃねぇか。俺だって構わんぜ……ヒャハハ」

女隊員「乾いた笑い声ッスねぇ」

隊長「どうせあっちから仕掛けてくる可能性は皆無だ。安心しろ」

男隊員「言い切れるのかよ」

隊長「過去何千年が証明してる。その超低確率にでもブチ当たってみるか?」

格闘家「確かに……確立はほぼ0ですね」

女隊員「本当に行くんスかぁ?」

隊長「偵察が任務だ。当たり前だろう。何だ、お前まで臆病風に吹かれたか?」

女隊員「臆病風って言うか、砂嵐に吹かれてだるいッス!」

隊長「……」
100 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:47:26.01 ID:/RsGvWwwo
ゴオオォォォォ

格闘家「景色が変わらないと言うのは辛いですね」

男隊員「ああ。どんんだけ進んだのか、サッパリだぜ……」

隊長「……ん?」

ゴオオォォォォ

隊長「魔物だ! 散れっ!」

女隊員「了解ッス!」

ズッゴオオォォォォ!!

サンドワーム「ブゴオオォォォォーッ」

男隊員「何だこりゃ!? で、でけぇ……っ!!」

格闘家「まるで……小高い丘が動いているようだ……っ」

隊長「……」

女隊員「隊長!?」

隊長は馬を駆り、巨大なサンドワームへ並走すると、一気にその背中へと飛び移った。

ガシッ…ザザザザッ
101 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:48:56.79 ID:/RsGvWwwo
隊長「はあぁ!!」

ガシュッ!!…ガキイィィィィン!!

隊長「外皮が硬いなっ、やはり簡単にゃいかねぇか」

サンドワーム「ブゴオオォォォォ!!」

隊長「!?」

背中の隊長を振り落とすかのように暴れるサンドワーム。

その衝撃で、隊長はたまらず馬上へと落ちるように飛び移り、事なきを得る。

隊長「物理攻撃は困難。すると有用な手は……」

男隊員「魔法付加だなっ!」

隊長「水行頼む!」

男隊員「了解っ」

キュイイィィィィン…ドドオオォォォォン!!

隊長「でっりゃああぁぁ!!」

ズガシュウウゥゥゥゥ!!

サンドワーム「グガアアァァーッ!!」
102 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:50:44.05 ID:/RsGvWwwo
女隊員「あんまり効いてないッスよ?」

男隊員「うるせぇな、水行はあんま得意じゃねぇんだよ!」

隊長「ちっ」

ドドオオォォォォン!!…ズガガガガッ!!

隊長「こんだけ砂があるなら……土行もやりやすいってモンだ」

格闘家「しかし、砂の魔物相手にでは……」

隊長「これでいい。あとは……」

男隊員「……?」

隊長「逃げるんだよ!!」

格闘家「!?」

グイッ…ドドッドドッドドッ

女隊員「先に言って下さいッス!」

男隊員「結局逃げるんじゃねぇか!」

隊長「ある程度の情報は得た。それに気配感じただろ。あの先、魔物がうじゃうじゃいやがる」

格闘家「確かに、もうすぐ夜も明けますし、頃合いかもしれませんね」
103 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:53:01.78 ID:/RsGvWwwo
〜西国の港〜

バシュウウゥゥゥゥ

戦士「……んっ?」

召喚士「船だね。西国の……」

戦士「昨日は暗くて見えなかったが、かなりの数だな」

召喚士「演習中かな。上から見ると統制が取れた、綺麗な動きだね」

戦士「ほんとだな。てか、こうやって上空から見ると、動きも一目だわな」

召喚士「国軍の演習だって、最近は竜騎士隊が上空から確認とかしてるらしいからね」

戦士「だよなぁ。地上じゃ見えねぇもんな」

召喚士「うん。さて、それじゃ着陸しようか」

バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

戦士「すっかり朝だ」

召喚士「これから買い出しだっけ? 大丈夫?」

戦士「ヘーキヘーキ。それにぶっ倒れてバックレたなんて言ったらアイツに殺されちまう」

召喚士「そ、それもそうだね……ははっ」
104 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:54:18.48 ID:/RsGvWwwo
〜本国、国軍本部〜

カツカツカツ

青年兵「それでは、西国へ出発致します」

天才「はい、行ってらっしゃい」

青年兵「しかし、既存の精力で大丈夫でしょうか……?」

天才「知らねーよ。竜騎士隊と白虎隊は前回の戦いでズッタンボロンだしー」

青年兵「……」

天才「南は戦後処理。国内のワーカーはほとんどが北へ出稼ぎ」

青年兵「……」

天才「華国は戦力激減。東方は遠すぎ。残るはここの兵と西国のみ」

青年兵「少し、不安な気もしますが」

天才「そうですね。だが予言にゃ何も出てない。イコール、大丈夫って事だ」

青年兵「確かに、そうかもしれません」

天才「心配すんなって。テメーは指揮官なんだから、どーんと座ってりゃいいんだよ。ハーッハッハ!」

青年兵「……それでは、行って参ります」
105 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:55:50.11 ID:/RsGvWwwo
カツカツカツ…

天才「とは言ったものの、まぁアイツが危惧する気持ち、分からんでもないか」

スッ…テクテクテク

天才「おーい」

占い師「……?」

天才「もう1度だけ確認させてくれ。今回の戦い……」

占い師「西国は何と死者0。本国も0。あとはよく分からないわよ」

天才「……イブリースちゃん相手に死者0ってのも、不思議なモンだよなぁ」

占い師「……疑ってるわけ?」

天才「そうじゃねぇよ。ま、いいやサンキュ」

占い師「……」

天才「何だよ?」

占い師「別に」

天才「……心配すんな。お前に間違いはない。自分を信じろ」

占い師「……うん」
106 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:56:48.07 ID:/RsGvWwwo
カツカツカツ

天才(ここで1つ気掛かりなのは神官だ。どういう事だぁ……?)

カツカツカツカツ…

天才(俺様の予言じゃ死ぬ。だがアイツの予言じゃ死なない。初めてのケースだな)

ピタッ

天才(それと、よく分からねぇってのが気になる。何だ……今回の戦いは?)

ザッ

天才「誰かいるかぁ?」

国軍兵「はっ」

天才「小型船を出せ。行き先は三日月島だ」

国軍兵「せ、青年兵殿らは西国へ直接向かわれましたが……」

天才「だから三日月島に行くっつってんだよ! いいからさっさと手配しろ!」

国軍兵「り、了解でありますっ!」

タッタッタッタッタ…

天才「こりゃあ、先に確認しておく必要があるな」
107 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:58:21.33 ID:/RsGvWwwo
〜西国拠点〜

召喚士「さて、と……」

サモナー「召喚士くん、おはよう」

召喚士「あっ、おはようございますサモナーさん」

サモナー「昨日は遅くまでご苦労様。もしかして今、帰りかい……?」

召喚士「ええ。色々とありまして……」

サモナー「大変だね。これから朝食なんだけど、一緒に行くかい?」

戦士「そうだなぁ。少し小腹が空いてきた」

召喚士「じゃあご一緒させて貰います」

サモナー「うん、そうしよう」

テクテクテクテク

召喚士「あれ? 食堂ってこっちなんですか?」

サモナー「ごめん、遠回りになってしまうんだけど……ちょっと寄りたいところがあってね」

戦士「……?」

サモナー「ごめんごめん、すぐに終わるよ」
108 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 17:59:00.28 ID:/RsGvWwwo


テクテクテクテク

戦士「……噴水?」

召喚士「あっ、もしかして……」

サモナー「マーメイド、おはよう」

マーメイド「おはようサモナー。あら、召喚士くんに戦士くんも。おはよう」

召喚士「おはようございます」

戦士「やっぱり一緒なんだな」

サモナー「そりゃあ勿論。僕らはどこへ行くにも一緒さ」

マーメイド「ねぇ〜」

戦士「はぁ、もう冬だってのにあちーあちー」

召喚士「本当に……仲が良いですね」

サモナー「さぁ、それじゃ行こうか」

戦士「……おう」

召喚士「……っ」
109 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/21(金) 18:00:14.69 ID:/RsGvWwwo
テクテクテク

マーメイド「召喚士くん」

召喚士「……?」

去りゆく召喚士を手招きで呼び止めるマーメイド。

マーメイド「あのさ、サモナーの事なんだけど……」

召喚士「……はい」

マーメイド「魔力がだいぶ衰えているわ」

召喚士「!? そう……ですか……っ」

マーメイド「ここ最近、戦場にも赴いているからね」

召喚士「……っ」

マーメイド「最後まで、彼を……彼を信じてあげてね」

召喚士「……」

マーメイド「貴方の支えが、彼の助けになるわ。お願い……っ」

召喚士「……はい」

マーメイド「引き止めてごめんなさいね。それじゃ……お願いね」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/21(金) 18:16:35.12 ID:/RsGvWwwo
それではここまでにて!本日もありがたいご支援に胸熱です!
久し振りにスレを覗いて下さった方もちらほらいて嬉しいです!
それではまた後ほど!失礼致しますー!ノシ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/21(金) 18:27:03.74 ID:QPlBS26DO
おつんぽ!
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 18:50:36.72 ID:w18R2vZDO
>>1
サラっと出てたけれど天才自身が単独で予言が出来るについて話したの初めてだっけ?
……と思ったけれど前回の戦いの時の先読みがあったか


占い師も天才も予言の民
天才は戦闘で使える様な直近の詳細な未来を観る事に長けている
占い師は詳細ではないけれど、大規模で長期的な未来を観る事が出来る。

更に天才は占い師を媒体に占い師が観た未来の詳細なビジョンを任意では無く
ランダムに断片的に観る事が出来るみたいな感じになるのかな?
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 18:58:19.97 ID:Ft5a/vlIO
>青年兵「しかし、既存の精力で大丈夫でしょうか……?」

青年兵……
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/21(金) 19:04:55.71 ID:C1Ezwrwvo
精力が足りんな
東方の民に力添えをしてもらおう
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/21(金) 19:05:57.60 ID:K9C4wMSXo
青年兵wwwwww
仕方ないよな…若いんだし
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/21(金) 19:16:38.37 ID:k7eKJciQo
イブリースは攻めてこないってことだけど
西高原国を滅ぼしたのは何処の軍勢だっけか?
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/21(金) 19:19:13.77 ID:C1Ezwrwvo
ヴァンパイアさん
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 19:19:56.04 ID:rY2bsfilo
刀贔屓の俺は普通の鍛冶屋が刀を扱えるのが気に食わなかったけど
今度の雷切は剣ベースか
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 23:14:17.04 ID:1Wdigf1h0
普通に楽しめよゆとり
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 23:17:25.99 ID:jv4WjCsRo
予言の民って
占い師・天才・ネクロマンサー
だけだよな、いまのとこ

>>1おつ!
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/21(金) 23:19:25.84 ID:C1Ezwrwvo
気に食わなかった(笑)
きめぇ・・・・
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 23:24:43.63 ID:6Axm82yDO
煽るのは良いけどひとまずsageなさい。
一人でずっとageてるじゃない…
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/10/21(金) 23:27:55.49 ID:QZPhNv22o
>>120
ネクロマンサーもそうなんだっけ?
いつ頃そんな話出てた?
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/21(金) 23:35:10.70 ID:BCb42EKTo
ゲーテの間違いじゃないかな
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/21(金) 23:43:49.63 ID:C1Ezwrwvo
そう言われたらあげたくなるわー^−^
SS速報は製作速報と同じようにイカレてるからな
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2011/10/22(土) 00:33:07.37 ID:JqMFG/e3o
             ッ‐'"       ー、
           ,r'゛           ヾ ,
           r'                   ヾ
         ./                 ヽ
         !   ‐-              i
        ,!´       、      '     l
        〈illliiiii;,  .,,,,,,._       ;'    ;!
        lゞフ`ッ:'  .:"r-;、llii;, 、  、,_,.、 -.、
        .l  ,:::::'    `ミニ`‐      .i' :::;!
         .l'´ :r'   、  、`       !::;: :/
       ,ィ  ヽ _,. -ノ:::..  ヽ    ;r -ノヽ_ヽ、
     / l  、     ::.       /、r'/     ヽ. ヽ、
    / ..::::ヽ '´`ー‐-ヽ、        / !     lト-、 ヽ!
  ./  ,.- '.::::::i:.  ‐-   ヽ    /   /       .i!
  く r' .:::::/::::〉、     _   .:r '´   i   .:'   l
 r:'   ::::r::::::/ _ :::T:i ̄  .::l´  ヽ  /       .!

           サゲロ=アゲンナ [Sagero=Agenna]
           (1913〜1957 イタリア)
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/22(土) 01:37:19.60 ID:EGtEF0nAO
バーテンはマイペースな戦士父に女に目がないマジシャンをまとめるとか昔は召喚士より苦労してそうだな
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/22(土) 01:47:41.85 ID:WPL1KsMAO
続きが気になります(>_<)
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 02:32:57.46 ID:KjZiR4nDO
いちおつ!
ようやく魔王も半分倒したのか…全くそんな気がしないがww
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/22(土) 03:20:13.93 ID:kOetkOUa0
魔王相手に死者0…
いちおつ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/22(土) 03:27:47.61 ID:PebVSQGEo
死にはしないけどピンピンしてるってわけじゃない
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/22(土) 20:29:28.24 ID:MV99X2eg0
精力を奪われるんですね
わかります
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/22(土) 22:15:39.18 ID:WPL1KsMAO
ネクロるのか?邪推ごめん
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/22(土) 22:17:14.63 ID:PebVSQGEo
ネクロは当初魔法剣士すら操るゲマ的な位置づけにあったのに今じゃカンダタレベル
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 23:06:35.48 ID:uIzn8904o
>>134
魔剣士の間違いかな?
まぁ魔剣士さんも当初は軍団長クラスとか言われてたのに
同じ天才の弟子達は2人がかりでも軍団長に勝てない位だし
ネクロさんも相対的に株は下がるよね
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/22(土) 23:08:37.11 ID:uIzn8904o
>>134
魔剣士の間違いかな?
まぁ魔剣士さんも当初は軍団長クラスとか言われてたのに
同じ天才の弟子達は2人がかりでも軍団長に勝てない位だし
ネクロさんも相対的に株は下がるよね
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 01:03:12.31 ID:v3zDewB+0
とりあえず予想はよそうぜ
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/23(日) 01:22:54.77 ID:+ucM7YI2o
【審議中】
    ノノノ   ノノノノ
 ノノノ( ゚∋゚) ( ゚∈゚ )  ノノノノ
(  ゚∋) ノノノ (つノノノ (∈゚ )
| U (   ゚) (゚   ) と ノ
 u-u (l    ) (   ノu-u
     `u-u'. `u-u'
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/23(日) 23:18:49.31 ID:gdQw2oAGo
〜食堂〜

魔道士「あっ、おはようございます〜」

召喚士「おはようございます。昨晩はすみませんでした、ばたばたしてて……」

魔道士「いえいえ、こちらも勝手に遊びまわってしまいましたし……」

盗賊「ち、違うぞ! 視察だ視察っ!」

魔道士「それで、どうでしたかっ?」

戦士「ああ。おやっさんとおかみさんも何とか了承してくれたよ」

魔道士「良かったじゃないですか!」

盗賊「……これで、何とかなりそうだな」

戦士「だと、いいけどな」

テクテクテク

サモナー「大丈夫だよ。きっとうまくいくさ」

神官「そうですよ」

魔道士「サモナーさん、神官さん。おはようございますっ」

神官「お早うございます」
140 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/23(日) 23:22:25.47 ID:gdQw2oAGo
召喚士「昨日はすみません、ゆっくりとお話も出来ずに」

神官「いいんですよ。皆様もお忙しいでしょうから」

召喚士「戦士はこれから買い出しなんだよね? だったらその間に……」

戦士「そうだな。俺の分まで武勇伝を神官さんに伝えといてくれよ」

魔道士「え〜っ? 戦士さんの武勇伝なんてありましたっけぇ?」

戦士「おいっ!」

召喚士「あははっ、それじゃ俺らは神官さんと一緒に過ごしましょうか」

盗賊「わ、私も戦士と……行くよっ」

戦士「あん? いいっていいって。そんなに面白いモンでもねーし」

盗賊「……でも」

戦士「でも、何だよ……っ」

盗賊「い、いやっ、別に……」

戦士「分かったよ。んじゃ一緒に行くか」

盗賊「う、うんっ!!」

この時、戦士はあのような事態になろうという事に、気付く由もなかった。
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage ]:2011/10/23(日) 23:23:33.67 ID:wsFPdCuto
おー、1乙
142 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/23(日) 23:24:20.68 ID:gdQw2oAGo
〜9時30分、西国拠点前〜

盗賊「……う、うぅ」

魔道士「似合ってますよ盗賊さんっ」

盗賊「へ、変じゃないかな……っ」

魔道士「とってもよく似合ってますよ!」

テクテクテク

魔道士「あっ、戦士さん来ましたよ! 頑張って下さいねっ♪」

盗賊「!?」

ドンッ…トトトッ

召喚士「盗賊……さんっ?」

盗賊「おお、おっす!」

戦士「珍しい格好してんな。どういう風の吹き回しだ?」

盗賊「たっ、たまにはな!」

戦士「それじゃ行くとすっか」

盗賊「う、うんっ!」
143 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/23(日) 23:26:00.23 ID:gdQw2oAGo
テクテクテクテク…

召喚士「……うーん」

魔道士「うまく、いきますかね?」

召喚士「魔道士さん!?」

魔道士「デートですよ、デート♪」

召喚士「……いやぁ、何と言うか……不安が募るばかりです」

魔道士「えっ?」

召喚士「あれ? 言ってませんでしたっけ? 今回の買い出しは……」

事情を説明する召喚士の話が進むにつれ、魔道士の表情が凍りつき始めた。

魔道士「……っ!!」

召喚士「ですので家事娘さんも一緒に……」

魔道士「どどどどうしようーっ!!」

召喚士「!?」

魔道士「わ、私……凄く余計な事をしてしまったのでは……っ」

召喚士「な、何事もなえればいいけれど……」
144 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/23(日) 23:26:43.13 ID:gdQw2oAGo
〜9時55分。商店街入り口〜

鍛冶娘「……」

ソワソワ

鍛冶娘(……へっ、変じゃ……ないかなっ)

テクテクテク

戦士「おーす、お待たせ」

鍛冶娘「あっ、ううんこっちも――」

盗賊「……」

鍛冶娘「!?」

戦士「あ、あぁ。コイツも来たいって言うんでな」

鍛冶娘「そ、そうなのっ。別に……いいんじゃない?」

盗賊「……」

戦士「そんじゃ早速、行くとすっかね」

鍛冶娘「……」

盗賊「……」
145 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/23(日) 23:28:17.61 ID:gdQw2oAGo
テクテクテク

戦士「んで、まずはどこに行けばいいんだ?」

鍛冶娘「分からないなら先頭歩かないでくれる?」

戦士「えっ、ああ……すまん」

鍛冶娘「……ふんっ」

戦士「……」

テクテクテク…ピタッ

戦士「おっ、着いたか?」

鍛冶娘「お腹空いた」

戦士「はぁ?」

鍛冶娘「お腹空いたって言ってんの!」

戦士「あ、あぁ。そんじゃ何か食うか」

鍛冶娘「じゃあここにしましょ」

戦士「盗賊はここでいいか?」

盗賊「あ、うん」
146 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/23(日) 23:29:34.02 ID:gdQw2oAGo


鍛冶娘「何にしよっかなぁ〜」

戦士「俺はコーヒー。ブラックで」

盗賊「わ、私は……これ」

店員「マロンサンデーですね。かしこまりました」

鍛冶娘「へぇ、カワイイの頼むじゃん」

盗賊「へっ?」

鍛冶娘「てかさ、あんた達もっと食べないの?」

戦士「いや、さっき飯食っちまったから」

鍛冶娘「はぁ!? 何それ意味分かんない」

戦士「えっ? だってよ……飯あったし」

鍛冶娘「……全然、分かってない」

戦士「な、何怒ってんだよ」

鍛冶娘「怒ってないわよっ!」

店員「……あ、あの。コーヒーお待たせ致しました」
147 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/23(日) 23:30:50.09 ID:gdQw2oAGo


鍛冶娘「はい。それじゃ行くわよ」

戦士「ところで材料ってのは、武器屋に行くのか?」

鍛冶娘「そんなわけないじゃない」

戦士「だよな」

盗賊「……どこに……行くのだ?」

鍛冶娘「いいから黙ってついてきなさいよ」

盗賊「……」

ソーッ

魔道士「どどっ、どうですか?」

召喚士「……とりあえず……大丈夫そうですね。今のところは」

魔道士「何だか……まずい事しちゃったかなぁ」

神官「とにかく、今は何事もなく終わるように祈りましょう!」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「神官さんっ!?」
148 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/23(日) 23:31:51.62 ID:gdQw2oAGo
〜西国の港〜

パッカパッカパッカ

戦士「港?」

鍛冶娘「この先に倉庫があるのよ」

戦士「倉庫? 何の為の倉庫だ?」

鍛冶娘「西国で採れた鉱石や素材の置き場所」

戦士「西国から買うって事か?」

鍛冶娘「今は西国との交易のお陰で、そっちの方が安く仕入れられるのよ」

盗賊「……へぇ」

鍛冶娘「しかも量も沢山あるし。お陰で西国は大儲けなんじゃない?」

戦士「しかし、西国もいつの間に、そんな事してたんだ?」

鍛冶娘「西高原国の辺りで相当量が採掘出来るみたいよ」

戦士「ほぉー」

鍛冶娘「ほら着いたわよ。早く」

戦士「お、おう」
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 00:16:16.34 ID:1G7hHVUDO
おつんぽ?
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2011/10/24(月) 01:10:43.82 ID:4Mcahww2o
おつんつん

久しぶりにこういう空気いいね
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/24(月) 03:27:10.97 ID:eIM9KEt/0
いちおつ
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 06:32:58.85 ID:9nq47WnDO
>>1
戦士もげろ
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 07:38:47.44 ID:1dvTm88DO
>>1乙!
修羅場キター−−−
なんかニヤニヤしながら見てしまうww
>>1の書く日常パート好きだぜ−
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/24(月) 08:26:12.66 ID:pnaRLYoAO
>>1

戦士はイブリースの前に死にそうだな
だがそれもまた良いね
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県) [sage]:2011/10/24(月) 09:49:06.35 ID:I0yj07ago
盗賊を選んで最終回っぽい展開の後にも修羅場とか
さすが主人公の戦士さんだ
>>1
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 16:44:19.59 ID:5KW/uYGIO
戦士の主人公っぷりが光るなwwwwwwww
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 16:51:15.34 ID:9slhLDdE0
あれ?メインヒロインって誰だっけ?
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage ]:2011/10/24(月) 17:39:05.15 ID:yYHSudtio
なんだ、この流れは……
主人公はペニスだよ
えっ?召喚士?誰だっけ?
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/24(月) 17:41:33.42 ID:XcIOtMpko
クリトリスじゃなかったっけ?
160 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:50:14.52 ID:SMRZ5hcDo
〜西方司令部〜

西国兵「入港するぞーっ! 準備出来てるかーっ?」

ザザーン…ドドオォ

西方参謀「随分とまぁお早いお着きですなぁ」

天才「ヤボ用で前入りだよ。早速で悪いが馬を1頭出してくれや」

西方参謀「馬? 西国拠点ですかい?」

天才「ああ。それよりこっちの軍備は出来てんだろーなぁ?」

西方参謀「まぁ、ぼちぼちは……ヒック」

天才「ラーヴァナ戦で使い果たしましたじゃ済まされねーぞコラ」

西方参謀「分かってますって。どの道、砂漠じゃ兵器も使えんし、メインは西国頼みでしょうや」

天才「……まぁな。あのアホの武器は?」

西方参謀「もうじき作成にかかりますわ。どエライのが出来ますぜ? ヒック」

天才「何でもいいさ。とにかくあの人間兵器に道を切り拓いて貰わにゃ困る」

西方参謀「ですわな。ヒック」

天才「おっし、そんじゃ行ってくるわ。あとは頼んだぜ」
161 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:51:05.40 ID:SMRZ5hcDo


バサァ…バシュウウゥゥゥゥ

神官「いやぁ、気持ちいい。朱雀召喚獣は飛行出来て羨ましい」

召喚士「そうですね。その辺は俺も朱雀で良かったと思ってます」

コカトリス「どういう意味だ?」

召喚士「いやっ、違うって、変な意味じゃなくって!」

魔道士「うふふっ。あっ! 見てくださいあれっ。戦士さん達じゃないですか?」

召喚士「ホントだ。近づきすぎると気配で盗賊さんにきづかれてしまう。少し離れて降りましょう」

〜倉庫〜

船乗り「オーライオーライ。よーし、そこでいいぞー」

商人「もっと安くなりませんかね?」

元締め「だめだめ。これ以上は安く出来ないよ」

テクテクテク

戦士「結構、賑わってんなぁ」

盗賊「うん」
162 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:53:29.40 ID:SMRZ5hcDo
テクテクテク

鍛冶娘「着いた。ここ、ここ」

戦士「ほぉ」

鍛冶娘「こんにちはー」

元締め「おっ、開発局んとこの……」

鍛冶娘「鍛冶娘です。ご無沙汰してますー」

元締め「最近来てくれなくて寂しかったよ。わははっ!」

鍛冶娘「すみません、何だか色々と忙しくって」

元締め「まぁそうだろうねぇ。もうすぐこっちでも戦があるんだろう?」

鍛冶娘「そうなんです。それで今日はちょっと仕入れに来ました」

元締め「おうおう、好きに見てってくれよっ!」

鍛冶娘「はーい。失礼しますー」

元締め「そっちの2人は客人かい? 見ない顔だが……」

鍛冶娘「はい、ちょっとした知り合いで。こいつの武器を作らなくっちゃいけなくって」

戦士「世話になります」
163 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:54:17.61 ID:SMRZ5hcDo
元締め「なるほど。あんたらワーカーだな?」

盗賊「……ええ」

元締め「あんたらが戦ってくれてるからこうして俺達が生きていられるわけだ。よし、安くしとくぜ!」

鍛冶娘「ありがとうございます。さ、行こ」

戦士「おう」

スタスタスタ…

盗賊「……おぉ」

鍛冶娘「ここが資材置き場。ここなら仕入れ値でゲット出来るわよ」

戦士「そんじゃ早速、見て回るか」

鍛冶娘「ねぇ。盗賊さんも目利き出来るわけ?」

戦士「いや無理だろ。俺だって素材からはそんな自信ねぇぞ」

鍛冶娘「あっそ。それじゃ大人しく見てて」

盗賊「あ、うん……っ」

鍛冶娘「それじゃー行くわよ〜!」

戦士「おーうっ!」
164 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:55:13.65 ID:SMRZ5hcDo
テクテクテクテク

鍛冶娘「まず素材だけど、鋼でいいんだよね?」

戦士「まぁそれ以外にないだろ。あわよくば金剛石とか……」

鍛冶娘「バカじゃないの? どうやって加工するのよっ」

戦士「だよな。だったら鋼玉を金剛石で加工するとか……」

鍛冶娘「だからコランダムだって幾らかかると思ってるのよ。流石に時間なさすぎよ」

戦士「じゃあ……鋼を核に、鉱石でコーティングしたらどうだ?」

鍛冶娘「だったら鉱石を丸ごと刃にして、他を鋼で補った方がいいんじゃない?」

戦士「まぁそれが無難っつーか、ベストだわな」

鍛冶娘「問題は加工出来るかどうか……」

戦士「それなら秘策がある。任しとけ」

鍛冶娘「へっ?」

戦士「加工する道具の事だろ? 鉱石の加工なんて易々と出来ねーだろ」

鍛冶娘「だからそれを言ってんの!」

戦士「わーってるよ。だから秘策があるんだって!」
165 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:56:08.56 ID:SMRZ5hcDo
ワイワイワイ

盗賊「……ん?」

クルッ…ササッ

盗賊「……?」

クルッ…テクテクテク

魔道士「あっ、あぶなかったぁ〜」

召喚士「この距離で勘付かれるとは……盗賊さん、腕を上げましたね……」

神官「今のところ優勢は鍛冶娘さんのようですね」

召喚士「神官さん!?」

魔道士「でも盗賊さんと戦士さんは、もう既にお互いの気持ちを伝え合っているんですよ?」

神官「何と! そうだったのですか! それはまずい展開ですね。ええ」

魔道士「そうなんですよ……」

神官「しかし、我々には見守る事しか出来ない。辛いところですねぇ」

魔道士「ええ……っ」

召喚士「あの……神官さん?」
166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:57:11.97 ID:SMRZ5hcDo


鍛冶娘「どう?」

戦士「悪くねぇ。だがあっちのやつがやっぱり1番だな」

鍛冶娘「あ、やっぱり。私もそう思った!」

戦士「軽いわりに密度が高い。ありゃかなり上質なモンだよ」

鍛冶娘「ねっ。私も自分用に買っちゃおうかな」

戦士「おやっさん達にも買ってやったら喜ぶかもな!」

鍛冶娘「あ、それいいかも……ふふっ!」

盗賊「……」

戦士「「よし、そんじゃ買ってくっか」

鍛冶娘「うんっ」

テクテクテクテク

鍛冶娘「すみませーん。あの、奥のが欲しいんですけど」

元締め「あいよ。おい、こっち持ってきてくれや。どんんくらいいる?」

戦士「流石に持って帰れんぞこりゃ」
167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:57:54.72 ID:SMRZ5hcDo
鍛冶娘「馬車だって無理よ。帰路は船だから安心して」

戦士「なーるほど」

鍛冶娘「国軍の船っています?」

元締め「ああ、丁度15時頃に出航する便があるぞ」

鍛冶娘「良かった。それじゃついでに乗せて行って貰いましょ」

元締め「積載量ギリギリだからいけても500kgくらいだぞ?」

戦士「そんなに要らねーよ!」

元締め「何だよ、だったら余裕だ」

鍛冶娘「積載ぎりぎりって、そんなに……あっ! もしかして……」

元締め「そこ出たらすぐ見えるさ。帰りに覗いてみたらどうだ?」

鍛冶娘「そうする。えっと……お代は……」

元締め「うーん。まぁ、こんなもんだな」

戦士「……もちっと安くならねぇか?」

元締め「おいおい、これでも結構値引いてんだぞ?」

鍛冶娘「お願いします。もうちょっとだけ! ねっ!」
168 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:58:27.20 ID:SMRZ5hcDo


元締め「全く、鍛冶娘ちゃんだから値引いたようなモンだぞ?」

鍛冶娘「ありがとうございますっ! その分、しっかり働くから!」

元締め「おう、期待してんぜ! 兄ちゃんらも頑張ってな!」

戦士「あんがとよ!」

盗賊「……では」

スタスタスタ

鍛冶娘「思ったより良質なのが手に入って良かったじゃん」

戦士「だな。あとは司令部戻って、早速取り掛かるとするか」

鍛冶娘「あ、そういえば……お父さん達、いいって?」

戦士「ああ。喜んで協力してくれるとさ」

鍛冶娘「そ、そう……っ。それは良かったわねっ!」

戦士「本当に嬉しいのは、お前の方なんじゃないのか〜?」

鍛冶娘「なっ、何で私が嬉しいのよっ! バッカじゃないのっ!」

戦士「照れんなって、ハハハッ!」
169 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:59:24.08 ID:SMRZ5hcDo
テクテクテクテク

鍛冶娘「あったあった。あの船に積んでもらうから」

戦士「あー。さっき言ってた国軍の船か」

盗賊「……?」

戦士「な、何だあれ……っ。すげぇ量だな……」

鍛冶娘「でしょ〜。あれのせいで開発局も大忙しなのよ」

戦士「何作るんだ? あの大きさからすると船か何かか?」

鍛冶娘「へっへ〜ん、秘密ー」

戦士「何だよ、教えろよな」

鍛冶娘「嫌ですぅ〜。ふふふっ」

盗賊「……」

戦士「おっと、そろそろ戻るか。あんまり長居してると日が暮れちまうぞ」

鍛冶娘「えぇ〜? つまんなーい」

戦士「遊びに来てるんじゃねぇんだからよ」

鍛冶娘「……ちぇっ」
170 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 17:59:54.35 ID:SMRZ5hcDo


召喚士「――!?」

魔道士「っ!!」

グイッ!!

盗賊「……ん?」

ピタッ…キョロキョロ

戦士「どした?」

盗賊「……いや、何でもない」

テクテクテクテク…

魔道士「あ、危なかったぁ」

召喚士「神官さん、すみません」

神官「いえいえ」

召喚士「……ていうか、物凄い跳躍力ですね……っ」

神官「はははっ。これもアヌビスの力でしょうか」

召喚士「……っ」
171 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:00:27.73 ID:SMRZ5hcDo


パッカパッカパッカ

戦士「お疲れさん」

鍛冶娘「もう着いたんだ」

戦士「ゆっくりだったから、結構かかったぜ?」

鍛冶娘「それじゃ、ここでお別れだね」

戦士「ああ。俺らは西国拠点に止まるからよ」

鍛冶娘「……っ」

戦士「そんじゃ、また明日な」

盗賊「……また」

鍛冶娘「あっ。明日は戦士1人だからっ!」

戦士「……?」

鍛冶娘「本当は部外者入れないからっ、だから戦士1人で来てよねっ!」

戦士「俺やおやっさん達は許可貰ってるって事か?」

鍛冶娘「局長に話したでしょっ! もう忘れたの!?」
172 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:01:10.43 ID:SMRZ5hcDo
戦士「あ、ああ。そういやそうだった」

鍛冶娘「それじゃ明日、10時に待ってるから」

グッ…パッカパッカパッカ…

戦士「……はぁ。なんだかめんどくせぇなー」

盗賊「でも、雷切の為なんだし……」

戦士「だな。そんじゃ早速」

テクテクテク

戦士「あれ? 召喚士達どこに言ったんだ?」

タッタッタッタッタ

召喚士「お、おかえりー! はぁ、はぁ、はぁ……っ」

戦士「何、息切らせてんだ?」

召喚士「い、いやっ。ちょっと身体が鈍ってたから運動しててさ。はははっ」

戦士「ふーん。あ、そうそう。悪いがこれからひとッ飛び頼めるか?」

召喚士「えぇ!? い、今から……?」

戦士「ああ。昨日言ってたろ? 今は魔力使ったほうがスッキリするって」
173 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:02:18.23 ID:SMRZ5hcDo
召喚士「そ、そうだね……ははは……っ」

盗賊「どこか行くのか?」

戦士「ちょいと道具を取りにな。確証はねぇが」

盗賊「道具?」

戦士「昨日より距離あっから、早速頼んでもいいか?」

召喚士「う、うん……もっちろん! はははー」

戦士「悪いな盗賊、魔道士と待っててくれ。そんじゃお疲れさん」

盗賊「あっ、うん……」

召喚士「行けっ、はぁはぁ……コカトリス」

シュイイィィィィン

戦士「昨日より小さくねぇか?」

召喚士「きっ、気のせいだよ!」

戦士「……だよな。そんじゃこのまま北へ真っ直ぐ頼む!」

バシュウウゥゥゥゥ…

盗賊「……」
174 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:02:55.82 ID:SMRZ5hcDo
タッタッタ

魔道士「あ、盗賊さん。あの2人……またどこか行ったんですか?」

盗賊「……」

クルッ…スタスタスタ

魔道士「と、盗賊さん……?」

盗賊「なんか、ちょっと疲れちゃった」

魔道士「だ、大丈夫ですか!?」

盗賊「……うん。部屋で、少し休む」

魔道士「何か飲み物とか――」

盗賊「大丈夫」

魔道士「あ……っ」

テクテクテクテク…

魔道士「盗賊さん……っ」

神官「今はそっとしておいてあげましょう」

魔道士「ええ……。っていうか、居たんですね神官さん……」
175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:08:14.63 ID:SMRZ5hcDo
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「それでっ、どこへ向かえばいいのー!?」

戦士「西高原国の城跡まで頼む!」

召喚士「!?」

戦士「あそこにならあるはずだ! 鉱石をも容易に加工出来る道具がな!」

召喚士「……ドワーフさんの……っ」

戦士「そういう事だ。ジーサンの遺品……まだ残ってりゃいいけどな」

召喚士「前に訪ねた時は、武器とか結構運び出してたよね?」

戦士「そうなんだよな。でもあの部屋は比較的そのままの状態だったはずだからな」

召喚士「そうだね。大丈夫だよ、きっとあるよ!」

戦士「ああ、そうあってくれる事を願うぜ!」

召喚士「よし、そうと決まれば飛ばすよ!」

コカトリス「全く、昼夜無茶をする――」

召喚士「わーわーわーっ!!」

戦士「……?」
176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:09:09.10 ID:SMRZ5hcDo
〜西国拠点、客室〜

盗賊「……」

ベッドの上でタンクトップに下着姿のまま膝を抱え、顔を埋めて座り込んでいる盗賊。

盗賊「…………」

カチャッ

魔道士「……盗賊さん?」

盗賊「……」

魔道士「あれ、盗賊さん?」

テクテクテク

魔道士「……」

盗賊「……」

魔道士「……お風呂、入りました?」

盗賊「……うん」

魔道士「お腹は……?」

盗賊「……大丈夫」
177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:11:26.32 ID:SMRZ5hcDo
魔道士「……じゃあ、少し横になって寝た方がいいですよっ」

盗賊「……うん」

魔道士「あとあとっ、暖かい格好して下さいね。夜は冷えますから」

盗賊「……うん」

魔道士「……っ」

テクテクテク…パタン

盗賊「……」

ぎゅうぅっ

盗賊(私……駄目だ……っ。みんなに迷惑かけて……役立たずだ)

コンコン

盗賊「……?」

バルコニーの窓を叩く音。盗賊はハッとし、思わず顔を見上げた。

そこには、見慣れた袖の先に付けられた手人形が、笑顔で顔を左右に振っていた。

盗賊「!?」

――「こんばんはー。ボクは猫さん剣士だよー!」
178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:12:02.24 ID:SMRZ5hcDo
盗賊「魔道士……?」

――「猫さん剣士です……だよっ!」

盗賊「……」

――「どうしたんだい? 悩み事ならボクにはなしてごらんっ?」

盗賊「……私、駄目なんだ」

――「へぇっ!? あ、いや……何が駄目なんだいっ?」

盗賊「せっかく戦士が、剣を直そうとしてるのに……全然、役に立てないし」

――「何を言っているんだいっ、盗賊くん!」

盗賊「……」

――「キミは出来る範囲で協力してあげればいいんだよっ!」

盗賊「出来る範囲……」

――「そう! キミに出来る最大の事は何だいっ?」

盗賊「……な、何だろ。励ます……応援、とか?」

――「そ、それも大事だろうけど、キミにしか出来ない事があるじゃないかっ!」

盗賊「私にしか出来ない事……」
179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:13:14.03 ID:SMRZ5hcDo
――「それは、戦士クンの傍に居てあげる事さ!」

盗賊「!?」

――「戦士くんだって不安なはずだっ。そんな時は盗賊くん。キミが傍に居てあげるんだ!」

盗賊「私が……傍に……」

――「そう! それがキミにしか出来ない事! 他の誰にも出来ない事さっ!」

盗賊「……私、もう1つ駄目なんだ……っ」ぽろぽろ

――「盗賊さん!? な、泣いて……あ、違う! な、泣くな盗賊クン!」

盗賊「私ね、大切な友達に心配掛けちゃって……っ」ぽろぽろぽろっ

――「っ!!」

盗賊「なのに……いっぱいっ、心配して……っくれてぇ……っ」

――「……ひうっ、ひぐぅ……!!」

盗賊「いっつも心配してくれて……気を遣ってくれて……」

――「盗賊さぁん……っ」

盗賊「だからさ、猫さん剣士。頼みがあるんだ」

――「は、はいぃ……っ。出来る事ならばぁ……」ぼろぼろぼろ
180 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:14:16.35 ID:SMRZ5hcDo
盗賊「私の大切な友達、魔道士に……ありがとうって、伝えて欲しいんだ」

――「……うっ、うぐぅ……ひっく! う……っ!」

盗賊「いつもありがとう。心配してくれてありがとう!」

――「うああぁぁ……っ! 盗賊ひゃあぁん……!」

盗賊「頼んだぞ、猫さん剣士!」

――「はっ、ひゃいぃ! ひぐっ、ひぐぅ……!」

コソコソ…タッタッタッ…

盗賊「……ありがと、魔道士」

ノソッ…スクッ

盗賊(駄目でもいい。私には仲間がいる。もう迷ったりはしない……何があっても!)

ゴソゴソッ…モゾモゾ

盗賊「……ふーっ!!」

バチイイィィン!!

盗賊「……よし! お腹空いたぞっ!」

右頬を赤く腫らしたまま、盗賊は勢いよく部屋を飛び出して行った。
181 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:15:12.07 ID:SMRZ5hcDo
〜西高原国、城跡〜

バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

召喚士「到着っ!」

戦士「……何だ? 兵が集まってるぞ?」

西国兵長「こっちには来ていないのだな!?」

西国兵「はいっ! それは間違いありません!」

西国兵長「うぅむ、となると……更に西へ向かったのか?」

テクテクテク

召喚士「あのー、何かあったんですか?」

西国兵長「!?」

戦士「あ、兵長さんだっけか?」

西国兵長「おぉーっ! これはこれは救世主様!」

召喚士「いやっ、ですからそれはもう……」

西国兵長「お2人も追跡の任務で?」

戦士「えっ?」
182 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:15:53.52 ID:SMRZ5hcDo
召喚士「追跡って……何かあったんですか?」

西国兵「ええ。本国の北側から魔物がこちらへ来たようなのですが……」

西国兵長「残念ながら見失ってしまって……。こちらには来ていないようなんですけどね」

召喚士「魔物……」

西国兵長「……どうやら別件のようですね」

戦士「本国ってのは軍の奴か?」

西国兵長「いえいえ。ワーカーの方です。あ、ご案内致します」

召喚士「すみません」

テクテクテクテク

西国兵長「ワーカーの方々は?」

西国兵「あっ、こちらにおられますよ!」

召喚士「あぁっ!!」

戦士「……あ、あんたらかよ!!」

西国兵長「……お知り合いですか?」

戦士「知り合いっつーか……まぁ……」
183 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:16:46.31 ID:SMRZ5hcDo
ザッ

眼鏡「やぁ、召喚士くんに戦士くん」

魔法剣士「今日は2人か? 一体どうしたのだ?」

ジュニア「南の後はこっちか? 大忙しだなぁ……ハッハ!」

賢者「何やら別の任務のようだね……ふぅ」

戦士「す、すげぇな。オールスター勢揃いじゃねぇか」

召喚士「う、うん。あの、何か……あったんですか?」

眼鏡「実はね、北での任務中に敵と遭遇してね」

ジュニア「そいつがえらい厄介でな、交戦しながらこっちに来ちまったわけだ」

賢者「そこで逃がしてしまってね……ふぅ」

戦士「魔物か?」

眼鏡「……ネクロマンサーさ」

召喚士「!?」

魔法剣士「奴は相も変わらず人形を使い、しかも不死身」

ジュニア「どうにもこうにもいかねぇんだよな……ハッハ」
184 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:17:23.86 ID:SMRZ5hcDo
召喚士「ネクロマンサー……」

戦士「上位ランカーがこんだけいても駄目なのかよ」

賢者「不死身相手にはどうしようもないさ……ふぅ」

眼鏡「戦って分かったけど、奴は北で人間と戦おうというつもりではないらしい」

召喚士「……」

魔法剣士「もしかしたらだが、このまま西へ抜ける気なのかもしれないな」

戦士「西!?」

召喚士「……面倒な事にならなければいいけど」

ジュニア「確か、西で魔王討伐があるんだよな?」

召喚士「ええ、そうなんです」

魔法剣士「まさか、加勢するつもりなのでは……?」

眼鏡「いや、それはないだろう。イブリースは群れたりしない」

戦士「そうなのか?」

眼鏡「……話ではね。加勢などすれば逆に怒りを買うに等しいよ」

召喚士「とにかく奴を野放しにしておくのは厄介ですね」
185 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:17:59.89 ID:SMRZ5hcDo
ジュニア「かと言って、俺らも北での任務が優先だ。西方までは足を伸ばせない」

戦士「分かった。こっちで牽制するよ」

魔法剣士「すまんな。手間をかける」

召喚士「それより皆さんは、順調ですか?」

眼鏡「こっちの事は心配しないでくれ。大丈夫だよ」

ジュニア「そうそう。決戦の刻に向けて、バッチリ準備してっからよ。ハッハ!」

賢者「忙しいよ……ふぅ」

召喚士「分かりました。お互い頑張りましょう!」

魔法剣士「ああ。お前達の力はこちらにとっても心強い。楽しみに待っているぞ」

ジュニア「そうそう。男臭いからよ、魔道士ちゃんと盗賊ちゃんだけでも頼むぜ。ハッハ!」

召喚士「そういえば、ネクロマンサーの他には……」

魔法剣士「例の司令だった男とモンクタイプの大男」

戦士「お父さんか……っ」

眼鏡「あとは大剣の男。かなりの使い手だね」

召喚士「……なるほど」
186 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:18:42.16 ID:SMRZ5hcDo
眼鏡「もし遭遇しても交戦する必要はないから、とにかくこちらへ追い払ってくれ」

ジュニア「あのヤローの感じだと、あっちも本腰入れて戦う気は更々ないみたいだからよ」

戦士「了解。西国の連中にも伝えておくよ」

魔法剣士「すまんな」

眼鏡「それじゃ、僕らはまた戻るとするよ」

ジュニア「またな!」

召喚士「皆さんもお気を付けて!」

魔法剣士「ああ、そっちもな」

賢者「……ふぅ」

ザザッ…ザッザッザッザ…

戦士「……すげぇ面子」

召喚士「あれで天才さんがいたら、5本の指に入る使い手が勢揃いだよ」

戦士「ははっ、全くだな。おっとそうだ、ぼちぼち本題に入らないとな」

召喚士「あ、そうだね。西国兵長さんにたのんでみよう」

戦士「おう!」
187 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:19:25.37 ID:SMRZ5hcDo
〜西国拠点〜

ガチャッ

神官「申し訳ありません。お待たせ致しました」

天才「おーう。何やら忙しそうじゃねぇか。下準備か?」

神官「そうですね。将来に向けての支援と言ったところでしょうか」

天才「あ?」

神官「いえいえ、お気になさらず。それよりも今日はどう致しました? 随分と早いご到着で」

天才「ああ。ちょいと予め確認しておきたい事があってな」

神官「ほぉ」

天才「手紙は……読んだよな?」

神官「はい、読ませて頂きましたよ。私が死ぬとは驚愕致しましたが」

天才「それにしちゃ、サッパリした表情じゃねぇか」

神官「人間、死を受け入れると晴れやかになるものです」

天才「ハーッハッハッハ! 全くもってその通りだ!」

神官「その事についてですか?」
188 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:20:04.00 ID:SMRZ5hcDo
天才「お前さんよ、何かやったよな?」

神官「……」

天才「答えたくなきゃ答えなくてもいい。別に咎めようとかそういうわけじゃねぇんだ」

神官「計画に支障でも?」

天才「いや、それもねぇ。お陰で予言は良い方向に転がった」

神官「そうでしたか。それは何より」

天才「……ま、言いたい事はそんだけだ。そんじゃな」

ガタッ…スタスタ

神官「ちなみにですが、予言はどういったもので?」

天才「……西国軍、本国軍共に死者は0」

神官「おぉ……っ!」

天才「だが俺様の予言では、お前さんは死ぬ」

神官「……」

天才「結論。お前が人間じゃねぇか、もしくは俺様の超絶素敵すぎる絶対の予言が外れてるかだ」

神官「……成程」
189 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:20:36.97 ID:SMRZ5hcDo
天才「悪いが、予言が外れるなんざ有り得ねぇ。俺様のは未来予知だ。ハズレはない」

神官「つまり、私が人でないと申されたい?」

天才「正確には……人ではなくなった、だ」

神官「……ふふっ、あはははっ!」

天才「悪いな。隠してたつもりなのかもしれんがよ」

神官「……いやはや、凄いを通り越して恐ろしい限りです」

天才「だろ?」

神官「仰る通り。私は最早、人ではありません」

天才「……転生か」

神官「はい。長年に渡り研究を重ねてきた召喚獣アヌビス。人生を費やした甲斐がありましたよ」

天才「使い手は?」

神官「次の満月には。私が私を託せる者など、1人しか居りませんよ」

天才「大丈夫なのか?」

神官「素質は十分にあります。精神力も強くなってきましたし」

天才「そうか」
190 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/24(月) 18:21:13.74 ID:SMRZ5hcDo
神官「ご安心を。最初は私の意志で動けますので」

天才「まぁいい。気になるのは0という数字だ」

神官「確かに、いかに優れていると言えど0などという事が有り得るのでしょうか」

天才「アイツの予言じゃ、よく分からんとかぬかしてたからな」

神官「……どういう事です?」

天才「西国、本国の連中は死なねーけど、他は死ぬかもしれねぇって事だ」

神官「ま、まさか……っ!!」

天才「そうだ。民間人だよ」

神官「――っ!!」

天才「それだけは非常にマズイ。何が何でも民間人は関与させるな」

神官「……畏まりました」

天才「あとは、居るとすれば……オメーと同じ召喚獣か、魔物かってとこだな」

神官「どんな者であれ、志同じく歩む者の死は悲しいものです」

天才「だわな。だが俺様はまだ死ぬわけにゃいかねーんでな。あんたにゃ犠牲になって貰うぜ」

神官「適材適所。先に逝って待っておりますよ」
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/24(月) 18:23:19.69 ID:SMRZ5hcDo
それではここまでにて
本日も沢山のご支援ありがとうございました!
それでは失礼をば!ノシ
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 18:24:23.34 ID:rXGXP7DIO
一乙。
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 18:28:06.06 ID:B3XZ5rAX0
1乙
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/10/24(月) 18:50:26.17 ID:2Y19eHgHo
1乙

今回は気になる箇所がいっぱいだなあ
アヌビスは白虎だし神官が自身を託せるって言えばまずボスさんだろうな
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 20:11:23.63 ID:Cf/8Z6DDO
>>1

なんでボスなんだよw
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/24(月) 20:21:18.98 ID:bRFdBCAwo
>>1乙!
魔翌力の量で召喚獣の大きさにも影響が出るのか
ちっちゃいコカちゃんお持ち帰りしたいです
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/24(月) 20:34:36.41 ID:E31gfIsAO
神官と天才の会話、切なすぎ
ワロタ…
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/10/24(月) 20:42:36.40 ID:s1Y64i+N0
>>1 乙!
尾行中の神官にワロタww 良いキャラじゃんかよ。
……良いキャラじゃんかよおおぉぉ
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2011/10/24(月) 21:18:45.31 ID:bRFdBCAwo
魔翌力って打つと魔翌翌翌力に変換されるのかワロス
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 21:20:11.43 ID:1dvTm88DO
尾行中の神官ノリノリだったなww

神官が自分を託せるって言えば玉子じゃね?専属契約する感じになるのかな
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 21:28:29.35 ID:YkVGkdGio
>>200
ネタなのかガチなのかわかりにくい
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/24(月) 22:01:31.29 ID:0D0tb3KSO
古代西国王はアヌビスの使い手という伝説がうんたらかんたらで>>1
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/24(月) 22:10:51.98 ID:YkVGkdGio
なるほどなあ
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/24(月) 22:12:09.27 ID:dqrgWzUz0
>>1乙!
何の罪もない盗賊泣かせた戦士、七行食らって消滅しろ!
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/25(火) 01:41:41.24 ID:/Sh3qigAO
シリアスとコミカルがいい感じに混ざりあって面白いな。神官さんを今回コミカルに描写することでなんちゃらというか書き方が上手いわ
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/25(火) 01:42:22.74 ID:/Sh3qigAO
シリアスとコミカルがいい感じに混ざりあって面白いな。神官さんを今回コミカルに描写することでなんちゃらというか書き方が上手いわ
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/25(火) 01:44:22.71 ID:/Sh3qigAO
あぁ…スマン
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/25(火) 03:06:28.29 ID:bEhYnlG6o
メガネ君に死亡フラグが立った。
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/25(火) 03:30:59.05 ID:UnXF1t1V0
フラグがサモナーじゃない事を祈る。

マーメイドとイチャウフだけしてくれ。
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/10/25(火) 04:33:30.63 ID:Y2tKbRQEo
ここでまさかのマーマンさん
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 05:03:45.03 ID:FMr3GPGjo
神官「我に力を貸したまえっ!アヌス!!」
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/10/25(火) 08:54:05.00 ID:mkI/iDP/0
コーヒーふいた
213 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:02:02.59 ID:fWQvEzuxo
〜西高原国、城跡〜

西国兵長「ああ、例の部屋ですか?」

召喚士「もう、片付けちゃいましたか?」

西国兵長「いえ。あのままの状態で残っておりますよ」

戦士「おぉっ!」

西国兵長「何だか、いじってはいけないような気がして……」

召喚士「ドワーフさんの思いが、そうさせているのかもしれませんね」

戦士「……ああ」

西国兵長「それでは、案内致します」

戦士「すまん」

ザッ…テクテクテク

召喚士「内部もだいぶ、改修されましたね」

西国兵長「はい。防衛拠点としての機能はもう、可能ですよ」

戦士「お、見えてきた。あそこだったよな」

召喚士「うん」
214 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:02:38.53 ID:fWQvEzuxo
〜ドワーフの工房〜

ガチャン

戦士「……ほんとだ、ちっとも変わってねぇや」

西国兵長「外で待機しておりますので、終わりましたら声を掛けて下さい」

召喚士「ありがとうございます」

テクテクテク

召喚士「どう? ありそう?」

戦士「うーん……」

ゴソゴソ

戦士「おっ!?」

召喚士「あった?」

ゴトッ

戦士「ブーメランだ。使えそうだな。貰って行くか」

召喚士「ちょっと戦士」

戦士「悪い悪い、分かってるって」
215 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:03:24.25 ID:fWQvEzuxo
ゴソゴソゴソ

戦士「あったあった! これだっ!」

ドサッ

召喚士「凄い量だね……」

戦士「そうか? これでも最低限のモンだぞ?」

召喚士「そうなの?」

戦士「おやっさんが異常だからな。あの人は道具を選ばん」

召喚士「鍛冶屋さんで見慣れてるけど、やっぱ特殊なのか……」

戦士「そこいらの町にある工房覗いてみ。違いが一目で分かるよ」

召喚士「へぇー」

戦士「つまり、おやっさんにとってはこの量でも十分ってこった」

召喚士「そうだね。これなら何とかなりそうだね」

戦士「おっし、回収完了! ジーサン、ちょっくら借りるぜ!」

召喚士「ドワーフさん、お借りします」

戦士「おっし、そんじゃ三日月島に戻るとすっか」
216 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:04:11.92 ID:fWQvEzuxo
テクテクテク

召喚士「すみません、ありがとうございました」

西国兵長「もう宜しいので?」

戦士「ああ。必要な物はこの通り、借りて行くよ」

西国兵長「我らには無用の物ですし、どうぞご自由にお持ち下さいませ」

召喚士「それじゃ、これで失礼します」

西国兵長「もうお戻りになられるので?」

召喚士「ええ、ちょっと急ぎなもので……」

西国兵長「そうでしたか、すみません……ろくなお持て成しも致さず」

召喚士「気にしないで下さい。こちらこそありがとうございました」

戦士「そんじゃ、また!」

西国兵長「はい。三日月島の皆にもどうぞ宜しく」

召喚士「行けっ、コカトリス!」

シュイイィィィィン

召喚士「それじゃ、出発!」
217 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:04:42.26 ID:fWQvEzuxo
〜西国の城〜

ババッ

西国兵「ご苦労様であります!」

青年兵「お世話になります」

ザッ…カツカツカツ

青年兵「本国国軍副司令、青年兵です。只今、到着致しました」

ガタッ…カツカツカツ

王子「よく来てくれました。さ、どうぞ」

青年兵「失礼致します」

王子「南では激しい戦いだったようですね」

青年兵「ええ。しかし、華国の武人を筆頭に、皆々よく頑張ってくれました」

王子「次は西国の番ですね。微力なれどお力添え致します」

青年兵「何を仰います。強者揃いと名高き西国軍、期待しております」

王子「ささ、まずはお疲れであろう。こちらで食事でも致しましょう」

青年兵「ありがとうございます」
218 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:05:34.78 ID:fWQvEzuxo
カツカツカツカツ…

王子「母上、姉上。本国の方々がお見えになられたぞ」

女王「これはこれは、よくぞおいで下さいました」

王女「何もない所では御座いますが、ごゆるりと御寛ぎ下さいませ」

青年兵「これはありがとうございます。あの、女王陛下はいずこに……?」

女王「はぁ、私ですが……っ」

青年兵「そうでしたかっ、これは失礼致しました。てっきり姉妹であられるのかと……」

女王「まぁっ! お上手ですわねもうっ」

王子「気を使わんで結構ですよ、青年兵殿」

女王「あら、失礼ねぇ〜」

王女「うふふっ」

青年兵「いえ、素で間違えてしまいました。申し訳ありません……」

女王「宜しいのですよ、嬉しい間違いですからね。ふふっ」

青年兵「しかし西方の女性は皆、着こなしから細部までとてもお綺麗であられますね」

王子「それは何より。どれ……ではせっかくの機、少し催し物でも。おい、準備は出来ているか?」
219 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:06:09.09 ID:fWQvEzuxo
スススッ…ズラッ

青年兵「……っ!!」

王子「西国が誇る踊り子達です」

踊り子「宜しくお願い致します。本国の皆々様方」

国軍士官「おぉ……っ、これは美しい……っ!!」

青年兵「……」

王子「では頼む」

踊り子「はいっ♪」

宮殿の中央で露出の高い衣装を身に纏い舞い踊る、踊り子達。

青年兵ら国軍の者らは、手拍子も忘れる程、その光景に魅入っていた。

〜♪

王子「よいぞよいぞっ! それ、もっと舞え!」

踊り子「はいなっ♪」

王子の掛け声ではっと気付き、一同は慌てて酒を口に運び、またある者は手拍子を始める。

やがてゆっくりとした曲調は、テンポの早いものへと移り変わり、踊りは激しさを増す。
220 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:07:28.14 ID:fWQvEzuxo
〜♪

国軍士官「……ごくっ」

踊り子「うふふっ♪」

王子「如何ですか? 西国伝統の踊りも良いものでしょう」

青年兵「いや、何と言うか……刺激的ですね……っ」

見る者を魅了し、感情を昂らせる西国の踊りはやがて、終わりを迎えた。

〜♪

踊り子「……ふーっ」

国軍兵「いや素晴らしい! ひゅーっ!」

踊り子「ありがとうございますっ♪ それではお酒、注がせて頂きますわっ」

テトテトテト…スッ

踊り子「失礼致します〜」

青年兵「ど、どうもっ」

踊り子「西国には始めてですか?」

青年兵「いえっ、任務などで数回訪れた事はありますが……」
221 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:12:27.66 ID:fWQvEzuxo
踊り子「ゆっくりなさるのは初めてですかっ?」

青年兵「はい」

踊り子「でもぉ、せっかく来られたのにこれから戦いがあるなんて大変ですよねぇ」

青年兵「そうなんですけれど、まぁその為に来たわけですからね」

踊り子「ふふっ、確かに!」

青年兵「素敵な踊り、ありがとうございました」

踊り子「とーんでもないっ! アタイなんてまだまだ未熟ですよぉ〜」

青年兵「そんな事ないですよ。思わず見惚れてしまいました」

踊り子「あらっ、お世辞でも嬉しいですわ♪」

青年兵「いやいや、本当の事ですよ。ドキドキしちゃいました」

国軍士官「まさにですな! あんな踊りを見せられたら士気も上がると言うもの。わははっ!」

ダンサー「あーらっ、だったらも〜っとステキなダンスもあるのよぉ?」

国軍士官「!?」

ダンサー「良かったらいかがです? 町のホ・テ・ル・で♪」

国軍士官「……ごっくん!!」
222 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:13:32.27 ID:fWQvEzuxo


国軍士官「それでは私っ! 明朝には帰還致しますっ!」

青年兵「い、いってらっしゃい……」

ソソクサー

踊り子「青年兵さんも……そういうのはお好き?」

青年兵「いいいえっ! 僕は結構ですのでっ!」

踊り子「うふふっ♪ お若いのにしっかりなさってるのね〜」

青年兵「……っ」

踊り子「でもぉ、その年でお偉いさんなんでしょ? すっごいわよねぇ」

青年兵「そんな事はないですよ。陛下だって、僕よりお若いわけですし……」

王子「そうそう、僕は若いぞー。なんならお前も僕と踊り……」

王女「王子っ! 飲みすぎですわよ」

王子「……ふへぇ」

踊り子「ふふっ、あはははははっ!」

青年兵「ははははっ!」
223 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:14:25.96 ID:fWQvEzuxo
〜西国拠点〜

バシュウウゥゥゥゥ

戦士「到着ー」

召喚士「……ふーっ」

戦士「大丈夫か?」

召喚士「え、うん。大丈夫」

戦士「色々とありがとな」

召喚士「今更どうしたの?」

戦士「いや、なんかよく分からんが急に言いたくなった。はははっ!」

召喚士「戦士……」

戦士「さーて明日も忙しいし、ちゃっちゃとメシ食って寝ようぜ!」

召喚士「うん、そうだね」

戦士「明日は西方司令部に行っておやっさん達と材料の到着を待つ」

召喚士「そしたらいよいよ作業開始だね」

戦士「ああ。道具もバッチリ入手したし、問題はなさそうだ!」
224 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/25(火) 18:15:59.19 ID:fWQvEzuxo
テクテクテクテク

召喚士「あ、魔道士さん。ただいま帰りました」

魔道士「おかえりなさい〜っ!」

ヒラヒラ

戦士「……何だその人形」

魔道士「猫さん剣士です!」

戦士「猫……? ブタかと思ったぜ」

魔道士「……ボクを侮辱すると斬り捨てるぞっ! ていていっ!」

召喚士「その人形、魔道士さんが作ったんですか……?」

魔道士「そうですよっ! それが何か?」

召喚士「い、いえ……っ。か、可愛い猫ですね」

魔道士「でしょっ!? えへへ〜っ」

戦士「そういうのはハッキリと言った方がいいぞ? 将来、尻に敷かれたくなかったらな」

召喚士「戦士っ!!」

戦士「はははっ! ほら、早く行こうぜ」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/25(火) 18:17:40.20 ID:fWQvEzuxo
あんまり更新出来なかった…沢山レス貰ったのにすみません
それでは!ここまでにて失礼致します!ノシ
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage ]:2011/10/25(火) 18:29:16.17 ID:UPab3Ad6o
1乙
まぁ、ほちぼち行きましょう!
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 18:37:48.98 ID:s5iUzoxho
1乙!
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/25(火) 19:17:33.42 ID:gih1zLoQo
一乙
朝帰りワロタ
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 19:27:02.32 ID:/o5ISBkDO
これが国軍士官を見た最後であった…
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 20:40:59.73 ID:EKBh789go
ダンサーはオレの嫁!
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/25(火) 20:44:09.47 ID:/uA+Ta7Io
あ、うん
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/25(火) 21:06:10.03 ID:WdrcHEdO0
今度は踊り子がフラg・・・?
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 00:00:52.27 ID:avnVUb1IO
青年兵は何気なく戦士のいいとこも学んでるんだな。
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/26(水) 00:18:09.65 ID:GeQpLkMAO
>>1

私事だけど、昨日25日に結婚しました!
やっぱりペニス物語には何かしらの魔翌力があるらしいな
235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/10/26(水) 00:39:46.51 ID:4pPvZDtAO
結婚報告何人目だ。めでたいな
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/26(水) 01:12:53.65 ID:4g5axR4AO
さすが主人公の青年兵さん
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/26(水) 02:38:31.83 ID:/aPq2x4W0
いちおつ
ブーメランなんて何に使うんだろ?

238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 06:43:06.71 ID:v81RodgSO
>>234
おめでとー!

>>1おつ〜
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 08:25:03.90 ID:1AW9JvmIO
>>234
おまいも仲間入りだな!おめ!!

>>1
240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/10/26(水) 09:16:24.42 ID:5tK7e4YFo
>>234
おめでとう!
俺も昨年、ココで結婚報告したが、なんだかんだでうまくやってます
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 10:41:39.34 ID:5ZBJwum60
バツイチのオレに用はない(ry
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/26(水) 10:57:34.80 ID:fwGI0w1g0
>>234
おめでとう!! 俺は剣士と弓使いの結婚式の時に結婚報告した奴だよ。
色々あるけど、まぁ幸せだね♪
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/10/26(水) 11:33:23.62 ID:Karj7fJMo
>>234
おめ

いま確認したら、俺も
帝ちゃんの東方司令部演説あたりで婚姻届、
アンラちゃん討伐準備あたりで結婚式だった
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/26(水) 15:20:00.12 ID:UvcoP+cho
SS関連スレの馴れ合いの気持ち悪さは相変わらずだな
245 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:05:36.32 ID:BL+O7aNgo
〜食堂〜

戦士「……」

召喚士「……」

天才「おーう。何、ボーッとつっ立ってんだ?」

召喚士「いや、天才さんこそ何してるんですか……?」

天才「見りゃ分かんだろ。メシ食ってんだよ」

戦士「分かってるよ! 何でここにいるんだって事だ!」

天才「んー? フラれて傷心の巨乳ちゃんをこうして慰めてやってるわけよ」

ニギニギ

盗賊「……っ」

戦士「フッてねぇ!! ……あ」

天才「ほぉー。やっぱ付き合ってんのか!」

盗賊「……と言うか、何でそんな事を知っているのだ……?」

神官「!?」

天才「この天才様に不可能はねぇ! ハーッハッハッハ!」
246 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:06:35.20 ID:BL+O7aNgo


魔道士「敵情視察……ですか?」

天才「ああ。特遊も既に西方入りして、調査を進めてる」

召喚士「そうだったんですか」

天才「俺様も明日には西国入りして、そのまま拠点へ向かう算段だ。お前らも来るか?」

魔道士「えぇと……」

戦士「先に入っててくれよ。俺も作業が終わり次第、すぐに行くからよ!」

盗賊「……うん」

天才「へぇ、離れ離れになっちゃうけどいいのかなぁ〜?」

盗賊「……ああ。近くに居て出来ぬ事もあれば、遠くから出来る事もある」

戦士「盗賊……」

魔道士「天才さん、あんまりからかうと怒りますよ?」

天才「おお怖。これはこれは失礼致しました王女様」

魔道士「天才さんっ!!」

天才「怒るなって、ハーッハッハ!」
247 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:07:31.30 ID:BL+O7aNgo


天才「んじゃ、明日には早速、西国へ行くぞ」

召喚士「はい」

魔道士「戦士さんも早く来て下さいね!」

戦士「分かってるよ。俺だってそのつもりだ」

盗賊「……」

魔道士「さぁーっ、明日からも皆さん頑張りましょうー!」

召喚士「おーっ!」

天才「おーおー頼もしい限りですわな。イブリースちゃんも頑張って倒してな」

戦士「やる気ねぇなー」

天才「やる気はあるけど全快じゃねぇんだよ。悪いな」

スタスタスタ…

戦士「……珍しいな。随分と弱気じゃねぇか」

召喚士「天才さんもかなり無理してるからね。それだけに……厳しいのかもしれない」

公私共に、一抹の不安を抱えたまま、一同は次の朝を迎えた。
248 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:08:14.51 ID:BL+O7aNgo


戦士「……くあぁ」

テクテクテク…ザッ

戦士「ふーっ。ふん! はっ!」

ビュオッ…ブンッ!!

戦士「……はあぁーっ」

ガサッ

戦士「!?」

ヒュオッ…ガキンッ…ガイィン!!

戦士「あ……っぶ」

盗賊「……鈍っているぞ、戦士」

戦士「お前だってたるんでるんじゃねぇのか?」

盗賊「たっ、たる……失礼なっ!」

戦士「よーし、そんなら久々にやるか?」

盗賊「望むところだ!」
249 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:09:02.70 ID:BL+O7aNgo


戦士「……うあぁ、疲れたー!」

盗賊「……少しむきになりすぎたな」

戦士「全く、こっちは手加減してやってるってのによー」

盗賊「私こそっ、五分の力も出しておらん!」

戦士「本気だったじゃねぇか!」

盗賊「お前こそ……っ!」

戦士「……ぷっ」

盗賊「ふふっ、あはははは!」

戦士「なぁ盗賊」

盗賊「んー?」

戦士「なんか悪いな。変に心配させちまってさ」

盗賊「……何故、私が戦士の事で心配などせねばならんのだ」

戦士「何ぃ!?」

盗賊「心配などしておらぬ。私は、戦士を心から信じる」
250 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:09:35.28 ID:BL+O7aNgo
戦士「盗賊……」

盗賊「……な、何だ。じろじろ見つめるな……っ」

戦士「……」

盗賊「えっ、戦士!?」

戦士「……」

盗賊「……う、うぅ」

スッ

天才「……朝から何やってんだお前ら」

戦士「!?」

盗賊「――っ!!」

天才「いや、まぁ若い事は良い事ですけれども」

戦士「何を勘違いしてるんだお前は……」

天才「勘違いもクソも、お前ら今キスしようと――」

盗賊「してないっ!!」

天才「……あっそ」
251 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:10:09.90 ID:BL+O7aNgo


戦士「そんじゃ、行ってくる!」

盗賊「う、うんっ」

天才「行ってらっしゃいませ。また会える事を……心よりお祈り申し上げておりますわっ♪」

戦士「……何それ?」

天才「こんくらい言ってやれよ。気が利かねーなぁ」

盗賊「言えるかたわけっ!」

天才「あ、そうそう。これを西方司令部の奴に渡しといてくれ。副司令か参謀な」

戦士「手紙?」

天才「失くすなよ? 次戦の重要な指令書だからな」

戦士「俺に渡すなよ……っ」

天才「ついでなんだからいーだろ。そんじゃ宜しくな」

盗賊「西国で……待っているぞ」

戦士「おう」

まとめた荷物を取りに行き、馬上に飛び乗ると、戦士は1人、西方司令部へと馬を飛ばした。
252 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:10:48.61 ID:BL+O7aNgo


サモナー「おはよう、召喚士くん」

召喚士「おはようございます。戦士見かけませんでしたか?」

サモナー「いや、僕は見てないけど……もう行ってしまったんじゃないかな?」

召喚士「ですよね。挨拶もなしに冷たいなぁ」

サモナー「ははっ。それだけ信頼しているって事さ」

召喚士「……うーん」

テクテクテク

召喚士「あ、盗賊さん。戦士みませんでしたか?」

盗賊「ん、もう行ったぞ?」

召喚士「……やっぱり」

盗賊「魔道士起こしてくる。食事にしよう」

召喚士「あっ、はい」

サモナー「彼女は見送る事が出来たみたいだね。早起きすると、良い事があるもんさ」

召喚士「……今度から心がけよう」
253 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:11:54.48 ID:BL+O7aNgo
〜西国の城〜

王子「……うぁ、頭痛ってぇ」

西国兵「陛下、大丈夫ですか?」

王子「ああ、おはよう。昨日はどうやら飲みすぎたみたいだな……っ」

西国兵「覚えてないんですか?」

王子「……うん」

テクテクテク…カチャッ

青年兵「これは陛下、おはよう御座います。お先に失礼致しておりますよ」

王子「青年兵殿、これはおはよう」

女王「ほら、貴方もお座りなさいな。何か飲み物は?」

王子「水を。食事は結構」

王女「あら、また飲みすぎて二日酔いですわね……全くもう」

青年兵「昨晩に引き続きこのような御持て成し、誠に感謝致します」

王子「いやいや、気になされるな。こちらが好きでやっている事」

青年兵「それで、本日は早速……西の砦へ伺う事は可能ですか?」
254 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:12:31.53 ID:BL+O7aNgo
王子「ええ、ご案内致しま……痛てて……っ」

王女「ちょっと、お客様の前でしっかりなさいましっ」

王子「……今日はちょっと、きついやもしれ――」

ザザッ

西国兵「お食事中、失礼致しますっ」

王子「何だ」

西国兵「神官様より手紙が到着致しました」

王子「手紙? 何だ、珍しいな。読み上げろ」

西国兵「はっ。えぇと……本日、本国からの客人を連れて帰国なさるとの事です」

王子「……それでっ!?」

西国兵「つきましては、城にて待機されたしとの事」

王子「ご苦労、下がって良いぞ」

青年兵「本国……。とにかく今日の外出は難しそうですね」

王子「いやぁ、いち早く西の砦へご案内したいところでしたが、こればっかりは残念!」

青年兵「……」
255 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:13:57.47 ID:BL+O7aNgo
〜三日月島、西国拠点〜

神官「準備は宜しいか?」

魔道士「はぁい!」

召喚士「サモナーさんもご一緒なんですね。良かった」

サモナー「うん。みんなと一緒に僕も西方に戻るよ」

天才「さーて、そんじゃまずは港。そっから西国だ」

盗賊「うん」

神官「それでは馬車を出しますよ」

ガラガラッ…パッカパッカパッカ…

天才「お前、魔力はどうだ?」

召喚士「あ、ええ。全快ではないですけど、まぁ何とか」

天才「そいつは何より。今回、俺様はあんまろ働きたくないのでお任せしようかと思います」

召喚士「えっ!? あ、そうだ……」

天才「……?」

召喚士「実は昨晩、旧西高原国の辺りに行ったんですが……」

神官「ほう」
256 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:14:33.21 ID:BL+O7aNgo


神官「ネクロ……マンサー」

召喚士「はい。何かと厄介な相手です」

天才「んで、北の連中は戻せってんだな?」

召喚士「はい。どうせ奴は不死です。倒すには……」

魔道士「……五行……っ」

召喚士「眼鏡さん達の話だと、好戦的というよりは、消極的なようだと」

天才「仕掛ける事ぁねーが、仕掛けられりゃ反撃はするってカンジか」

魔道士「どっ、どうします!?」

天才「ま、北の連中が言うように、相手にする必要もねーだろ。適当にあしらえばいい」

召喚士「……そうなんですが、1つ気がかりが」

サモナー「気がかり?」

召喚士「ネクロマンサーは俺らの事を目の仇にしてます。もし鉢合わせたら……」

神官「あちらから襲い掛かってくる可能性もあると言うことですか?」

召喚士「……はい」
257 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:15:17.34 ID:BL+O7aNgo
天才「ま、そんときゃそん時だ。お前らの事なんだし、お前らに任せるわ」

召喚士「えぇ……っ」

天才「んだよ、怨まれてんのは自分のせいだろ」

召喚士「……はぁ」

盗賊「……奴だけなのか?」

召喚士「いえ。……お父さんと北方司令さんと……ツヴァイハンダーの」

盗賊「……だ、そうだ」

天才「ちっ、はいはい。不肖の弟子は師匠が責任を持って、対応致しますよくそっ!」

ゴロン

サモナー「でも、イブリースと組まれたら厄介だね」

召喚士「ええ。でも、イブリースって群れをなさないんですよね?」

天才「なさねーらしいな」

神官「しかし妙なんですよね。周囲の砂漠にはサンドワームが潜んでおりますし」

天才「ああ。そんならこれでも読んでみ」

神官「……?」
258 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:21:00.88 ID:BL+O7aNgo
ポイッ…バサッ

魔道士「本……ですか?」

天才「むかーし昔、あるところに1人の女魔法使いがおりました」

サモナー「それって……」

天才「その魔法使いは好きな男と結婚し、子供も設け、幸せに暮らしていました」

神官「……」

天才「しかし、家族は魔物に殺されてしまいました。彼女は唯一の生き残りとなってしまいました」

召喚士「伝記、ですか?」

天才「復讐に駆られた彼女は、憎しみを力に変え、数々の魔物を打ち倒していきました」

魔道士「……あっ」

天才「そして付いたあだ名が、砂の魔女。通称、サンドウィッチだ」

魔道士「やっぱり!」

天才「ちなみに砂の魔女が討伐したって魔王がイブリースだ。まぁ、1対1ならって話だわな」

盗賊「……」

天才「そん時に、土行でぶっ倒されたらしくてな」
259 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/26(水) 18:21:45.27 ID:BL+O7aNgo
神官「……つ、つまり」

天才「復活後、土行を恐れたイブリースは、周囲にサンドワームを放って警戒したんだとよ」

盗賊「……本当なのか?」

天才「さぁね〜。大昔の話だしコイツの言った通り、伝記だよ伝記」

魔道士「あのっ、砂の魔女さんはそれからどうしたんですか?」

天才「あ? 何だそりゃ」

魔道士「だって、可哀想じゃないですかっ。1人で……そんなの……」

天才「その本だと後日、再婚して1人息子を設けて、親子3人で仲良く暮らしましたとさ」

魔道士「っ!!」

天才「そう書いてあったぞ。まぁおとぎ話のオチみてーなモンだ。信憑性はねぇ」

魔道士「それでも、幸せな結末で良かったです」

天才「本によっちゃ、残酷な結末なんてのもあるかもな〜? ハーハッハッハ!」

魔道士「やめて下さいよ、もうっ!」

神官「おっ、間もなく西国の港に到着致しますよ」

召喚士「あとは海路で、西国の城ですね」
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/26(水) 18:34:55.98 ID:BL+O7aNgo
ふへぇ、今週はちょっと忙しくてほんとすみません…
本日もご支援ありがとうございました!あとリア充多すぎる!
ちくしょー!それでは失礼致します〜!ノシ

>>234
おめでとうございます!末永くお幸せに〜!
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/26(水) 19:20:00.48 ID:GeQpLkMAO
>>1

みんなありがとう
馴れ合いな空気にしてしまって気分を害した人がいたならすみませんでした


サンドウィッチって最初に聞いたのってだいぶ前だっけ?
食べ物のサンドイッチ食べててその昔話の話題になったんだっけ?
なんにしても、フラグがかなり時間差で効いてきてホント凄いなぁって思う
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 21:59:51.38 ID:50/JmFfFo
西国は強力な武将がいなくて頼りないと思ったけど、国力があるのね
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 23:10:31.22 ID:w5Q5oNiDO
>>1

>>262
神官とサモナーだけで五虎将以上な気もするけどな
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/26(水) 23:21:49.14 ID:JDHiny5bo
神官さんってセクメトとスフィンクス以外に何か召喚獣持ってたっけ
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/26(水) 23:47:32.59 ID:ZZio/JCuo
三日月島四行合体のときにバステトとテフヌトっての召喚してた気がする。
どっちか忘れたけど、攻守に優れてるとか
266 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 00:07:24.48 ID:rQhxIDgTo
thx!
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/27(木) 01:26:20.35 ID:6/dwzBQAO
>>1おつ

戦士が盗賊とイチャイチャしたりとやけに死亡フラグ立ててるが新武器あるし心配はなさそうだな
268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 01:30:54.65 ID:Fhro/+cRo
天才は盗賊ちゃんのナニをニギニギしたんですかあ
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/27(木) 03:53:38.15 ID:p4Ocb0io0
神官って まだ召喚出来るの?
いちおつ

270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 07:04:35.57 ID:PUAn9BdSO
>>1

サンドウィッチって魔道士がマジシャンと修業してた時じゃなかったっけ
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/27(木) 08:54:02.13 ID:OBkrBZWKo
>>267
今回の戦いでは死なないだろうけど
五行装備揃えたら、フラグの出番だから安心しろ
272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/27(木) 10:45:11.49 ID:KU2SGlu+o
初夜を過ごしたらそれは逃れられない死亡妊娠フラグだから気を付けるんだ
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:48:40.34 ID:nbhBwjdpo
〜10時05分、西方司令部前〜

ソワソワソワ

鍛冶娘「……全く、遅っそいわねぇ〜」

――「おーい、鍛冶娘〜」

クルッ!!

鍛冶娘「もうっ、遅――」

鍛冶屋「やははは、ごめんごめんっ。ちょっと入港待ちで船が遅れててさ」

鍛冶娘「……何だ」

おかみ「何だとはなんだい。ははぁ、さては戦士くんを待ってたんだね」

鍛冶娘「違うわよっ! な、何であんなやつ待たないといけないのよっ!」

おかみ「……だってさ」

戦士「はあ」

鍛冶娘「!? ち、ちょっと何で一緒にいるのよっ!!」

戦士「いや、早く着きすぎたから、おやっさん達迎えにいったら船が遅れててな」

鍛冶娘「意味分かんない! だったら言ってよねっ!」
274 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:49:36.24 ID:nbhBwjdpo
戦士「わりぃわりぃ。んじゃ、早速行くか」

鍛冶屋「そうだね、そうしようそうしよう!」

おかみ「あんた、今日は休みなの?」

鍛冶娘「夜勤」

おかみ「あんまり無理するんじゃないよ?」

鍛冶娘「してないわよっ」

テクテクテク

鍛冶娘「それじゃ、ここで許可証と書類書いて」

局長「おかみさんっ! いらっしゃったんですね!?」

おかみ「この人の付き添いさ、悪いかい?」

局長「いえいえ!」

鍛冶屋「世話になるよ。やははっ」

局長「こないだといい今日といい……気軽に出入りしやがってこの……」

おかみ「何か言ったかい?」

局長「いーえいーえっ、さぁどうぞ!」
275 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:50:02.62 ID:nbhBwjdpo


鍛冶娘「鉱石持ってきた?」

戦士「もちろんだ。そこに立てかけてある。重かったぜ」

鍛冶娘「背負ってきたの? 馬車使えばいいのにバカね」

戦士「馬のが早いだろ」

鍛冶娘「はぁ、まあいいわ。さて、私達も行くわよ」

戦士「……?」

鍛冶娘「港よ港! 昨日、買って手配したでしょっ」

戦士「お、おぉ。そうだったな」

テクテクテクテク

戦士「あの船がそうだったのか」

鍛冶娘「商船? うん、あれに積んであるわ」

戦士「いやさっきよ、おやっさん達乗せた船が入港遅れたのも、あの船がつかえてたからなんだよ」

鍛冶娘「あぁ。大荷物積んでるからね。順番入れ替えたんでしょ」

戦士「そういう事か。納得」
276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:50:57.67 ID:nbhBwjdpo
タッタッタッタッタ

西方兵「いいぞーっ、ゆっくり降ろせー!」

局長「なるべく水平に……そうだ、ゆっくりと慎重にな」

戦士「昨日も見たけど、あれ……何に使うんだ?」

鍛冶娘「だから……」

ヒョコッ

鍛冶屋「あの大きさだと、小船か何か?」

鍛冶娘「違うわよ。西での戦いに何で船がいるのよっ」

鍛冶屋「あ、そうか。それじゃあ……兵器?」

鍛冶娘「……兵器用の兵器ってとこかしら」

鍛冶屋「……?」

戦士「何だそりゃ」

船乗り「この荷物はどこに置いたらいいー?」

鍛冶娘「あっ、それウチのです! ほらっ、早く行くわよ!」

戦士「お、おう」
277 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:51:29.83 ID:nbhBwjdpo


鍛冶娘「さぁ、これで材料は揃ったわよ」

鍛冶屋「しかし、これだけの鉱石ともなると、加工には骨が折れるね」

戦士「そう思ってコイツを拝借してきたんだ」

ゴソゴソ…ゴトゴトッ

鍛冶娘「何これ? 見た事ない道具もあるわね……っ」

鍛冶屋「随分とまた古い道具だね。今では使ってないものも結構あるよ」

鍛冶娘「どうしたのこれ?」

戦士「こいつは雷切を作った、ドワーフじーさんのモンだ」

鍛冶娘「!?」

鍛冶屋「確か……元人間で魔物だったっていう……」

戦士「ああ。ジーサンの工房から取ってきた。使えるかなと思ってね」

鍛冶娘「私は使った事もないわ。お父さんはどう?」

ガシッ…クイクイッ

鍛冶屋「まぁ、使えない事はないかな」
278 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:52:18.40 ID:nbhBwjdpo
戦士「良かった……っ!」

鍛冶屋「でもこのハンマーとか、何で出来てるんだろ。見た事ない感じ……」

ハンマーを手に取ると、鍛冶屋は鉱石を軽く叩いた。

カァンッ!!…キインィンィンィンィン…

鍛冶屋「――っ!!」

鍛冶娘「……綺麗な音……っ」

鍛冶屋「こ、これ……凄いかもしれないっ」

戦士「!?」

鍛冶屋「うわっ、どうしよ……。すっごい興奮してきた」

鍛冶娘「軽く叩いただけであんな透き通った音が響くなんて……やっぱり凄い道具なんだ」

戦士「使えそうっすか……?」

鍛冶屋「うん。やってみるよ! 何より、僕自身が本当にやってみたいんだ」

戦士「おやっさん、ありがとう」

鍛冶屋「やはははっ。さぁ、早速とりかかろう!」

鍛冶娘「うんっ」
279 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:52:48.11 ID:nbhBwjdpo
〜三日月島、西国の港〜

西国兵「それでは、出航致します」

神官「このまま西国の城へ直接、入港します」

魔道士「そうなんですか?」

天才「昔と違って、同盟国だからな。その辺は緩和されたわけだ」

召喚士「なるほど」

神官「では今しばらくごゆるりと。大した物はありませんが軽食や飲み物などあちらに……」

盗賊「ほほう!」

魔道士「あっ、私も行きますー!」

タッタッタッタ…

召喚士「……はぁ〜」

サモナー「風が気持ちいいね」

召喚士「ええ」

サモナー「こういう何気ない一時が、幸せなのかもしれないね」

召喚士「……」
280 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:53:19.42 ID:nbhBwjdpo
サモナー「おっ、マーメイドも楽しそうに泳いでるよ」

召喚士「あのっ、サモナーさん」

サモナー「……?」

召喚士「単刀直入にお伺いします。あなたは……あの本を読んで禁呪を……」

サモナー「……」

召喚士「召喚獣への転生をするつもりなんですか!?」

サモナー「……」

召喚士「召喚獣になれば召喚は出来ません。マーメイドさんを召喚出来ている今は……」

サモナー「人間のまま。そういう事だね?」

召喚士「……ええ。俺も一応、読んで学びましたから」

サモナー「勤勉だね。流石は召喚士くん」

召喚士「サモナーさんっ、サモナーさんは……」

サモナー「召喚士くんはどう思う?」

召喚士「俺は……サモナーさんを信じています」

サモナー「以前から言っていると思うけど、僕の余命は残り僅かだ」
281 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:53:49.67 ID:nbhBwjdpo
召喚士「……ええ」

サモナー「これもある種、禁呪のようなものでね。生命を魔力に変えて放出し続けている」

召喚士「……っ」

サモナー「近々、僕は死ぬだろう。その時、答えは分かるさ」

召喚士「サモナーさん……っ」

サモナー「さぁ、暗い話はこの辺にして、僕らも何か飲み物を頂こうか」

召喚士「……はい」

魔道士「あーっ! 私のベーグルー!」

盗賊「お、置いてあったから食べていいのかと思って……っ」

魔道士「サモナーさんっ、見てくださいよ! 盗賊さんてば私のベーグル食べちゃったんですよー!」

盗賊「す、すまんっ!」

魔道士「も〜っ! 盗賊さんの食いしん坊っ! 太っちゃえ!」

盗賊「!?」

サモナー「あはははっ!」

召喚士「……」
282 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:54:25.23 ID:nbhBwjdpo
〜西方司令部、開発局〜

鍛冶屋「せーのっ!」

ガキイィィィン!!

戦士「ふーっ」

鍛冶娘「うわ、もうお昼過ぎてるじゃん。そろそろ休憩しない?」

おかみ「そうだねぇ。ぼちぼち休憩にしようかね」

鍛冶屋「僕はまだまだ大丈夫ってか、続けてたい!」

おかみ「勝手にやってなよ」

戦士「おやっさんが残るなら俺も残って手伝うよ」

鍛冶娘「えぇーっ、いいからご飯食べに行こうよ」

戦士「いや、でも……」

おかみ「いいのいいの。この人は食事よりもこうしてる方が幸せ何だからさっ」

鍛冶屋「やははっ、そうそう。気にせず行ってきなよ! ねっねっ!」

戦士「……そんじゃま、遠慮なく」

おかみ「私は後でいいから、あんたら2人で行ってきな!」
283 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:55:00.44 ID:nbhBwjdpo


鍛冶娘「んふふー」

戦士「随分とご機嫌じゃんか」

鍛冶娘「そっ、そんな事ないわよ!」

戦士「……?」

鍛冶娘「ねっ、西方司令部の食堂って使った事ある!?」

戦士「……ああ、そういや食堂はねぇな。メシは美味かった気がする」

鍛冶娘「食べた事あるのっ!?」

戦士「なんか晩餐会みたいなのがあった。本国と西国の同盟ん時に」

鍛冶娘「そんなのに出席出来るの!? ちょっと凄くない!?」

戦士「いや、たまたま居合わせただけだって。別に招待されたわけじゃねぇし……」

鍛冶娘「えーでも凄いじゃん!」

戦士「そうかぁ?」

カツカツカツ…

戦士「おっ」
284 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:55:29.86 ID:nbhBwjdpo
博士「……おー何だっけ、えぇと……朱雀んとこの何とかくん」

戦士「戦士だ!」

博士「あれ? 今日は他の奴らはいないのか?」

戦士「ああ。こいつに世話になって、武器を作ってる」

鍛冶娘「ごごっ、ご苦労様です!」

博士「うむ。ご苦労様なのら」

戦士「そっちはどうなんだ? 順調なのか?」

博士「うむ。もうひとしきり終わったのら。あとは海峡から北関、北関から北方司令部で終了なのら」

戦士「へぇ、すげぇな! これで世界中が繋がったってわけだな!」

博士「まぁそういう事なのら。少し遅延は生じるけれど、北と南で会話も出来るのら」

鍛冶娘「もしかして……電話の話、ですか?」

博士「そうなのら」

戦士「西が終わったら今度は北でも戦いがありそうだしな!」

博士「それまでにはしっかりと完成させておくのら」

戦士「頼むぜ!」
285 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:56:20.55 ID:nbhBwjdpo
カツカツカツ

助手「いたーっ!」

博士「!?」

助手「ちょっと博士〜っ、帰ってきてるなら声を掛けて下さいよ〜♪」

博士「お前と話すとストレス溜まるのら」

助手「失礼ねぇ〜。癒してあげますわよんっ」

ムギュウゥ

博士「……見てないで、助けるのら」

戦士「行こうぜ」

鍛冶娘「う、うんっ」

博士「こらぁ〜っ!」

助手「いいじゃないっ、お互い邪魔しちゃダメよぉん♪」

博士「ええい離せっ!」

助手「離しませんっ。それむぎゅーっ!」

博士「ぎゃーっ!!」
286 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:57:14.34 ID:nbhBwjdpo


戦士「おぉ」

ワイワイワイ

鍛冶娘「すごいでしょ。食堂だけなら本部以上じゃない?」

戦士「本部の食堂、見た事ねぇよ」

鍛冶娘「あ、そっか」

戦士「でも賑わってるなぁ。いいよな、こういうの」

鍛冶娘「ここって色々な機関が入ってるじゃない? だから賑やかなのよ」

戦士「確かに色んな格好した奴がいるなぁ。軍人の数より多いんじゃねぇか?」

鍛冶娘「西方軍に魔道機関に研究機関に開発機関。確かにそうかもね」

戦士「これ、食い放題なのか?」

鍛冶娘「そうなの。ぜーんぶ無料のビュッフェよ!」

戦士「へぇ」

鍛冶娘「異業種のみんなと食事も出来るから、色んな話が聞けて面白いのよね」

戦士「ああ、確かにそうだな」
287 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:57:54.76 ID:nbhBwjdpo


テクテクテク…コトッ

戦士「……」

工兵「だからさ、バリスタの射出をドリル回転すれば飛距離も伸びると思うんだ」

開発員「成程。しかしそれをどう作るかが問題だなぁ」

西方兵「あれじゃねぇか? そこに風の魔法を交えれば、更に威力も増すんjなねぇの?」

魔道兵「面白い発想ですね。擬似的な螺旋状……つまり竜巻のようなものになりますね」

テクテクテク…コトッ

鍛冶娘「ねっ、ああやって話の中から色々なアイディアが出てくるのよ」

戦士「よく出来てるなぁ」

鍛冶娘「まぁそこまで狙って作られたものか分からないけどね」

戦士「さーて、いただくとするか!」

鍛冶娘「いっただっきまーす!」

戦士「んっ!? なかなかいい味出してんじゃねぇか!」

鍛冶娘「でっしょー? ほら、これなんて結構イケんのよ! 食べてみて!」
288 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:58:50.28 ID:nbhBwjdpo


戦士「あー食った。こういうのって、つい食いすぎちまいうんだよなぁ」

鍛冶娘「分かるー。油断するとすぐ太っちゃうもん」

戦士「どこが太ってんだよ」

鍛冶娘「女の子はねぇ、見えないところで意外と太るものなのよ」

戦士「ふぅん」

鍛冶娘「それ以上は追従しないっ!」

戦士「してねーよ!」

鍛冶娘「……もしかして戦士って、少しムッチリした方が好み、とか?」

戦士「どっちでもいいよ別に。外見はそんなにこだわらねぇし」

鍛冶娘「へぇ〜っ。そんなにかぁ」

戦士「うるせーなぁ!」

鍛冶娘「照れてんの? あはははっ!」

戦士「ったく、もう行くぞ」

鍛冶娘「あっ、ちょっと待ってよ〜」
289 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:59:25.31 ID:nbhBwjdpo
ガタッ…テクテクテク

西方参謀「いよぉ、何だぁ? 乗り換えやがったかぁ?」

戦士「あのなぁ、そんなんじゃねぇって」

鍛冶娘「……」

西方参謀「何!? 2人目かぁ!? 羨ましいモンだねぇ……ヒック」

戦士「オッサン、しまいにゃ怒るぜ?」

西方参謀「冗談だよ冗談、ガハハッ!」

西方副司令「武器作ってるんですって? 順調?」

戦士「ああ。何とか次の戦いには間に合わせるつもりだ」

西方副司令「頼むわよ〜? 次はうちの司令ももっと働いて貰いますから」

西方参謀「そうそう。戦場で果てるくらい頑張って貰うわ。ガハハハ!」

戦士「は、はは……っ」

西方参謀「そんじゃま、何か困った事があったら言ってくれや。出来る限りはするぜ……ヒック」

戦士「ああ、あんがとさん」

西方副司令「それじゃあねっ」
290 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 17:59:52.66 ID:nbhBwjdpo
カツカツカツカツ

戦士「……全く、うるせぇ連中だわな」

鍛冶娘「……っ」

テクテクテク

戦士「おい、鍛冶娘?」

鍛冶娘「先行ってて! 部屋寄るだけだからっ!」

ツカツカツカツカ…

戦士「……?」

ツカツカツカツカ

鍛冶娘「何なのよ、そんなんじゃないって……!」

ツカツカツカツカ

鍛冶娘「……ああ、もうっ!!」

ビクゥッ!!

西方司令「ひいぃ!? ご、ごめんなさいいぃぃぃぃ!!」

鍛冶娘「へっ!? い、いやっ!! 違いますっ、こっちこそごめんなさい!!」
291 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 18:00:49.63 ID:nbhBwjdpo
〜西国の城〜

魔道士「到着〜っ!」

召喚士「思ったほど暑くないですね」

神官「ええ。今年は特に風がよく吹いてくれてます」

天才「……」

神官「さて、城へ向かいましょう」

召喚士「はい」

神官を先頭に、一同は西国の城へと入城した。

カツカツカツ…テクテク

神官「ただいま戻りました」

女王「これはこれは、ご苦労様です」

王女「オネエ様方っ! ご無沙汰しております〜」

魔道士「王女様っ、お元気そうでなによりですっ。ますますお綺麗になりましたねぇ〜」

王女「お2人方には敵いませんわっ」

盗賊「そ、そんな事……ないです」
292 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 18:01:26.41 ID:nbhBwjdpo
神官「あの、陛下は?」

女王「自室で仮眠をとっておりますよ。今、使いの者が呼びに行っております」

神官「こちらは本国の総司令、天才殿です」

女王「まぁ、これはこれは。はるばるようこそお越し下さいました」

天才「ん、ああ。どーも」

女王「ところで、本国の青年兵様もお見えになられてますよ」

天才「城にいるのかい?」

女王「ええ。応接室にて打ち合わせをされると申しておりましたが……」

天才「ほぉ、そんじゃちょっくら失礼するぜ」

女王「ええ。これ、案内を致せ」

西国兵「はい。ご案内致します」

神官「皆様は如何なさいますか?」

召喚士「それじゃあ俺も天才さんに付いて行きます」

魔道士「私達もそうしましょうか!」

盗賊「……だな」
293 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 18:01:58.90 ID:nbhBwjdpo
〜応接室〜

国軍士官「……」

天才「んで、夜通し遊び呆けて、有り金全部スられたってか。ハーッハッハッハ!」

青年兵「笑い事ではありませんよ……全く」

国軍士官「すみませんでしたぁ!」

天才「まーいいじゃねぇか。いい思いは出来たんだろ?」

国軍士官「そ、そりゃあもうっ!」

天才「どうせいつ死ぬか分からん身だ。出来るうちに楽しんでおいて損はねぇ」

青年兵「……まぁ、司令がそう仰るのなら」

国軍士官「以後、このような事がなきよう……気を付けます」

魔道士「何やら大変な場面に遭遇してしまったようですね……」

召喚士「え、ええ」

青年兵「ふーっ。召喚士さん、お疲れ様です」

召喚士「もう、いいの?」

青年兵「ええ。いつまでも咎めていても仕方ありませんからね。ははっ」
294 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 18:03:19.96 ID:nbhBwjdpo
〜玉座の間〜

テクテクテク

王子「あ〜お疲れー」

神官「陛下!」

王子「分かってるって。ちょっと体調不良で仮眠とってただけだよ……」

神官「どうせ昨晩、飲みすぎたのでしょう?」

王子「うっ!」

サモナーは、はは……っ」

神官「本国からの客人がいらっしゃいましたよ」

王子「もしかして召喚士さん達っ!?」

神官「そうですよ」

王子「今、どこっ!?」

神官「応接室に行かれました。直に戻ってくるでしょう」

王子「……着替えてくる!」

神官「……はぁ」
295 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 18:04:13.18 ID:nbhBwjdpo


天才「それで、こっちの首尾は?」

青年兵「具体的な戦略は神官様の下だそうで、詳細は聞けておりません」

天才「特遊は?」

青年兵「西の砦へ向かおうかと思ったのですが、丁度、皆様が来られるというので……」

天才「……今晩か明朝にでも行くとするか」

青年兵「特にこれといった報告もないので、無事かとは思います」

天才「だな。特遊と合流したら、まずは現地の地形を把握」

青年兵「次に西国と戦略、及び進軍ルートの決定」

天才「討伐対の人選、編制」

青年兵「そして、敵情視察……と言ったところですね」

天才「大軍師ばりに使えるようになってきたじゃねぇか」

青年兵「足元にも及びませんよ。ですが、ありがとうございます」

天才「ハーッハッハ! そろそろ大元帥にでもなるか?」

青年兵「嬉しいお言葉ですが、まだそこまでの実力は持ち合わせてはおりません」

天才「謙遜まで似てきたぞ? ハーッハッハッハ!」
296 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/27(木) 18:10:51.53 ID:nbhBwjdpo
コンコンコン

魔道士「はぁい」

西国兵「陛下がお見えになられました。玉座の間までお越し頂けますでしょうか」

天才「おーう。今行くー」

青年兵「君は他の者らと待機していて下さい」

国軍士官「し、失礼致します……ぅ」

召喚士「俺らも行きましょうか」

盗賊「……うん」

テクテクテクテク

魔道士「あっ!!」

王子「!? お姉……これはこれは、皆様方」

召喚士「お元気そうですね、陛下」

王子「だから王子でいいですって。あれ、戦士さんは?」

盗賊「ちょっと別件で、そのうち来るよ」

王子「そっか! とにかく今日は、再会と戦いへの健闘を称えて宴だぁ!」
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/27(木) 18:23:26.14 ID:nbhBwjdpo
本日はここまでにて。ご支援ありがとうございました!
それではまた!失礼致します!ノシ
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 18:31:10.54 ID:0qvef0TDO
>>1

299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 18:36:20.35 ID:sMFBBgyIO
いちもつ!
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/10/27(木) 18:41:39.31 ID:hB8R/72Co
王子の死因は肝硬変だろうなきっと
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 18:41:48.47 ID:ABV+SfxYo
なんというじらし・・・乙!

やっと王子と召喚士一行の対面か・・・長かったな
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 18:53:09.61 ID:5PDCKYtSO
王子はどれだけ成長したか楽しみだな。主に品行。
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/10/27(木) 19:02:49.28 ID:7y3+52gZo
場合によっちゃぁ、王子にファンが付くかもな
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 19:40:05.77 ID:gdri0aVDO
王子氏ねのレスがないだと…?!
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/27(木) 19:58:32.02 ID:FP1w2C3AO
鍛治娘に俺の刀を握って欲しい
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 20:13:21.37 ID:yEJREImIO
一乙

王子って今何歳だ?
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 21:53:54.55 ID:cYjKcWs0o
ハーッハッハッハ!
 ↑
天才のテンションに合わせてハの大きさが違って見える不思議なコピペ
308 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/27(木) 22:07:50.46 ID:Fhro/+cRo
戦士は手紙を渡してないよね
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/28(金) 00:07:28.74 ID:hnajcerWo
鍛冶娘は博士に対して失礼だな
310 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/28(金) 03:25:14.82 ID:GX73CKDt0
兵器用の兵器…何かすごそうだな
いちおつ
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 07:02:40.93 ID:XGNgl5WSO
>>1

王子ちょいちょい出てきてたから久しぶりって感じがしないなwwwwww
312 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/28(金) 08:02:32.63 ID:PZXAergAO
まぁ、王子[ピーーー]とは言いたいが、
どうせほっといても次で死ぬだろ

神官の代わりに王子が転生すりゃいい
そこらへんのサンドマンにでも
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 09:27:07.73 ID:PMSQvYKIO
>>310
ガンダムのためのコアファイター的なあれだな
314 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/28(金) 10:22:00.89 ID:EiqMe5TAO
>>312
まて…王子に眠り砂持たせたら何しでかすか分からんぞ。
315 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 17:52:46.56 ID:e1mSr3JTo
〜西方司令部、開発局〜

鍛冶屋「どう?」

戦士「おっ、いいカンジ! すんげー握りやすい!」

鍛冶屋「でしょ!? 戦士くんの手形に合わせて、グリップをフィットさせたからね!」

戦士「おぉ、俺専用って事すか?」

鍛冶屋「そっ! 握りやすければその分、力も伝わりやすい。結果、威力は最大限発揮出来る!」

戦士「すげぇ……っ!」

鍛冶屋「刃の部分は明日以降だね。今、溶かして形を作ってるから」

戦士「ほんとだ。しっかし、でけー窯だなぁ」

鍛冶屋「バリスタとか、でっかいものも作るからね」

戦士「そっか。剣だけじゃないもんな」

鍛冶屋「あれなんかもそうなんじゃない?」

局長「いいぞーっ! せーの……おっし! ストーップ!」

戦士「うへぇ、見てるだけで暑くなってくるわ……」

鍛冶屋「さ、柄の部分を完成させちゃお!」
316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 17:53:53.02 ID:e1mSr3JTo


戦士「これ、東方風に出来ないっすか?」

鍛冶屋「ん?」

戦士「いや、刀の柄ってさ、なんていうか……持ちやすいんだよね」

鍛冶屋「ああ。確かに本国の剣より滑りにくい細工が施されてるからね」

戦士「出来る?」

鍛冶屋「うん。それは大丈夫だよ。グリップの部分は以前の雷切も原型のまま残ってるしね」

戦士「良かった」

テクテクテクテク

おかみ「そろそろ日が暮れるよ。今日はここまでにしたらどいうだい?」

戦士「ああ、もうそんな時間かぁ。鍛冶娘の奴……結局、戻って来なかったなぁ」

おかみ「全く、人任せだねぇ。まぁ忙しいのかもしれないけれどね」

戦士「俺、ちょっと探してきます」

おかみ「いいよ、放っておきなって」

戦士「いやいや。ちょっと司令部の人にも用があるし。んじゃ行ってきます」
317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 17:54:49.65 ID:e1mSr3JTo


テクテクテクテク

戦士「……とは言え、あんまり部外者が司令部内をうろつくのもなぁ」

西国兵「どうも! ご苦労様です!」

戦士「あ、あぁ」

テクテクテク

魔道士「これはこれは。お疲れ様です」

戦士「どうも」

テクテクテク

戦士「普通に挨拶されて素通りってのもそれはそれでどうなんだ?」

テクテクテク

戦士「お、ここだ」

コンコン

西方参謀「あいよー」

戦士「失礼しまっす」
318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 17:55:53.40 ID:e1mSr3JTo
ガチャッ

西方参謀「おう、どうした? あ、そうだ。寝るとこないだろ。客室キープしといたぞ……ヒック」

戦士「えっ? あぁ、なんかすんません。天才さんから手紙預かってきててさ」

西方参謀「司令から? どれ……」

カサッ

西方参謀「……ふーん。あんがとさん」

戦士「なぁ、鍛冶娘の部屋分かるかい?」

西方参謀「鍛冶娘? あー開発局のお嬢さんかい。だったら西の兵舎だな」

戦士「そっか。サンキュ」

西方参謀「だがあれだぞ? 西のは女子寮だから入れないぜ? ヒック」

戦士「あ、そうなの? うーん……参ったなぁ」

西方参謀「さっきまで一緒だったじゃねぇか。ははぁ、さては喧嘩したか?」

戦士「してねーよ」

西方参謀「どうかねぇ〜。お前さん、女心ってのに心得がなさそうだしなぁ……ヒック」

戦士「……」
319 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 17:56:56.16 ID:e1mSr3JTo


戦士「入れねぇんなら仕方ない。戻るとするか」

テクテクテク

戦士「……あ」

鍛冶娘「……」

戦士「探したぜ、何してたんだよ?」

鍛冶娘「具合悪くなったから仮眠」

戦士「大丈夫か?」

鍛冶娘「……」

戦士「熱でもあんのか? どっか痛いとか……」

鍛冶娘「……あのさ」

戦士「……?」

鍛冶娘「私って、あんたにとって……どんな存在なの?」

戦士「へっ!?」

鍛冶娘「……だからっ、どう思ってんのかって聞いてんのよ……っ!」
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 17:57:27.59 ID:e1mSr3JTo
戦士「ど、どうって……どういう事だよ?」

鍛冶娘「ただ一時、世話になった家に居た、娘程度にしか思ってないの?」

戦士「言いたい事がよく分からないんだが……」

鍛冶娘「だからっ! あんたは……その、私の事……好きなのか嫌いなのかってこと!」

戦士「!?」

鍛冶娘「は、はっきり言いなさいよね……っ」

戦士「いや、極端だなぁ。んーまぁ、そりゃ嫌いなわけないだろ」

鍛冶娘「……っ」

戦士「お前は悪い奴じゃねぇし、前はあんま話す事なかったからあれだけど、今はそうでもねぇし」

鍛冶娘「……じゃあさ」

戦士「俺、1人っ子だからさ。なんつーか……勝手に妹みたいなカンジで接しちゃってるのかもな」

鍛冶娘「――!?」

戦士「だからまぁ、他の奴よりも色々と心配っていうか……まぁ、そんな感じか?」

鍛冶娘「妹……」

戦士「悪りぃな。俺もなんかよく分からんわ。はははっ」
321 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 17:58:06.76 ID:e1mSr3JTo
テクテクテク…ズイッ

戦士「……な、何だよ……っ」

鍛冶娘「キ、キスしなさいっ!」

戦士「はあぁ!?」

鍛冶娘「もし出来なかったら、剣作るのやめるから」

戦士「おいっ! 何言ってんだよ!」

鍛冶娘「どーせ妹にしか見れないんだったら、そのくらい余裕でしょ!」

戦士「あ、あのなぁ……」

鍛冶娘「勘違いしないでよねっ! さっさとしなさい!」

スッ

戦士「……っ」

鍛冶娘「――っ」

戦士「…………すまん」

グイッ

戦士「俺には出来ねーわ。剣はなんとかするよ。悪かったな」
322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 17:58:50.52 ID:e1mSr3JTo
鍛冶娘「……っ!?」

戦士「なんの意図があってか知らんが、やっぱり気軽にしちゃいけないもんだろ」

鍛冶娘「……」

戦士「初めてなんだろ?」

鍛冶娘「バ、バッカじゃないの!? キスくらいした事あるんもん……っ」

戦士「本当か? すっげー震えてたぞ?」

鍛冶娘「うっ、うるさいわねぇ! バカッ!」

戦士「本当に大事な相手が見つかるまで、勿体無いからとっとけよ」

鍛冶娘「……あんたは……いるの?」

戦士「ん?」

鍛冶娘「その、大切な……人」

戦士「ああ、いるよ」

鍛冶娘「……盗賊……さん?」

戦士「そうだよ」

鍛冶娘「……そう」
323 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:00:24.03 ID:e1mSr3JTo
ハッ

戦士(あれ……? このカンジってもしかして……っ)

鍛冶娘「そう、だよね……っ」

戦士(俺、思いっきり鍛冶娘フッた……てか、鍛冶娘が……俺の事を!?)

鍛冶娘「……」

戦士(……て事は、すっげぇ傷付くような事を言っちまったんじゃねぇか!?)

鍛冶娘「……ま、まぁ……分かってはいたんだけどね」

戦士(俺のバカ! 思い返してみれば……あぁ、ほんと俺って奴は……)

鍛冶娘「少し時間置いて良かった。覚悟してたし、思ったよりダメージないや」

戦士「鍛冶娘、俺……すまん!」

鍛冶娘「はぁ? な、何よ今更……」

戦士「いやっ、なんていうかその……全然気が付かなくて、傷付けちまったかな……って」

鍛冶娘「……ほんと、鈍感なんだから」

戦士「……すまん」

鍛冶娘「謝らないでよっ、私が駄目みたいじゃんか」
324 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:01:34.52 ID:e1mSr3JTo
戦士「わ、わりぃ」

鍛冶娘「だからっ、謝るなって!」

戦士「……お、おう」

鍛冶娘「あんたなんかよりいい男をとっ捕まえてやるんだから!」

戦士「ああ。世界にゃいっぱいいるぜ」

鍛冶娘「戦士も、盗賊さん泣かせちゃ駄目だからね」

戦士「お、おう。雷切の剣は悪かったな。色々と無茶言っちまって」

鍛冶娘「……本気にしないでよ。たかがキスくらいで、やめるわけないでしょっ!」

戦士「じ、じゃあ……」

鍛冶娘「それはそれ。これはこれっ! ちょっとからかってみただけなんだからねっ!」

戦士「……サンキュ」

鍛冶娘「……ってか、ななっ、何で私があんたの事好きな設定になってるのよ!!」

戦士「へっ!? あ、違ったか……?」

鍛冶娘「か、勘違いも甚だしいわよっ、このバカーッ!」

戦士「い、いてぇな。ははは……っ」
325 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:02:16.43 ID:e1mSr3JTo
鍛冶娘「……あっ。そろそろ夜勤行かなくちゃ!」

戦士「お、引き止めて悪かったな」

鍛冶娘「ううん。こっちこそ今日は手伝えなくてゴメン……っ」

戦士「いいさ。仕事もあんだし、そっち優先にしてくれよ」

鍛冶娘「明日は空いてるから顔出すわね」

戦士「おう。あ、具合はもういいのか?」

鍛冶娘「……うん。すっかり良くなった」

戦士「そっか」

鍛冶娘「ちょっとキッツイ薬だったけどね」

戦士「……」

鍛冶娘「それじゃ、行ってくる」

戦士「おう、行ってこい!」

タッタッタッタッタ

鍛冶娘「ふふっ。あいつなんかより顔が好みで将来性あって、趣味が合う人探してやるんだからっ!」

走って開発機関へと向かう鍛冶娘の顔は、言葉とは裏腹に晴れやかなものであった。
326 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:02:50.07 ID:e1mSr3JTo


男隊員「ぶわ〜っくしゅ!!」

女隊員「汚いッスねぇ」

男隊員「しょーがねぇだろ。この砂嵐なんだ、鼻もズタボロだよ」

女隊員「本当ッスかぁ? 誰かが悪い噂でもしてるんじゃないッスかねぇ」

男隊員「あのな、俺のどこに悪い噂があるんだよ。なぁ?」

格闘家「……はぁ」

男隊員「生返事やめろ」

〜西方、西の砦。会議室〜

ガチャ

女隊員「お帰りなさいッス」

男隊員「変化なし?」

隊長「ああ。特にない。日に日に風が強まってる感じはあるな」

格闘家「確かに」

隊長「そんじゃサクッとミーティングするか」
327 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:03:30.10 ID:e1mSr3JTo


隊長「今日までの情報をまとめると、とにかく最も困難だと思われるのは進軍だ」

男隊員「だな。視界は悪いわ、音は聞こえないわで苦戦は必死」

女隊員「かと言って迂回しようにも、風上が西じゃあ手打ちようがないッスよ」

隊長「おまけに砂の中にゃサンドワームがウジャウジャいやがる」

格闘家「山へ辿り着くまでに、被害を出しかねませんね」

隊長「すると、出来得る作戦は……」

男隊員「強行突破か、囮作戦だな。ヒャハハ!」

格闘家「以外にはなさそうですね」

隊長「今のところ考えられるのは強行突破だが、司令がどう考えているかだな」

女隊員「どうって、突破の方法ッスか?」

男隊員「隊長みてーな土行とか、大軍師ばりの木行がありゃ何とかなるかもしんえーけどさぁ」

格闘家「上空……という手も」

隊長「何にせよ次の満月までは約3週間。それまでに可能な限りの情報を収集するぞ」

女隊員「了解ッス!!」
328 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:04:25.02 ID:e1mSr3JTo
〜西国の城〜

神官「召し上がらないのですか?」

王子「これ、ブドウジュースじゃないの?」

神官「そうですよ?」

王子「そうですか?」

神官「陛下、ふざけないで下さい。これからしばし禁酒して頂きます」

王子「はあぁ!?」

神官「陛下は武力に優れておりますが、魔力に安定性を欠いております」

王子「はぁ」

神官「今から3週間、みっちりと精神を整え、魔力を安定させましょう」

王子「3週間!? 3週間も禁酒するの!?」

神官「はい。それではいただきます」

王子「おいこらぁ!」

盗賊「……賑やかだな……もぐもぐ」

魔道士「そ、そうですね……えへへ」
329 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:05:54.14 ID:e1mSr3JTo


天才「なぁ神官ちゃんよ」

神官「はい」

天才「今日中に砦まで案内出来っか?」

神官「ええ、まぁ行こうと思えば行けますが、もう少しゆっくりなさっては?」

女王「そうですよ、旅の疲れもあるでしょうし」

天才「早いに越した事はねぇ。善は急げって言うだろ」

王子「でも、踊り子連中も呼んじゃったしなぁ」

神官「!?」

テクテクテク

西国兵「陛下、踊り子らが到着致しましたので、こちらへ通します」

王子「おう」

ズラズラズラッ

踊り子「連日のお招き、まことにありがとうございますっ♪ えぇと、この度は……」

魔道士「あーっ!!」
330 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:06:39.50 ID:e1mSr3JTo
踊り子「……?」

盗賊「……あの時のっ」

踊り子「あぁーっ!!」

召喚士「し、知り合いですか……?」

盗賊「ちょっと、色々あってな」

魔道士「踊り子ちゃ〜んっ! 良かった、また会えたー!」

踊り子「魔道士ちゃんに盗賊ちゃん!」

テクテクテク…バシッ!!

踊り子「痛っ!」

元締め「何を騒いでおるか! これは陛下、ご機嫌麗しゅう……」

王子「昨日に続き世話になるぞ」

元締め「ええそれはもうっ。ところで昨晩、うちのダンサーが本国の大切なお客人を誑かしたと……」

青年兵「――っ!!」

元締め「私めの教育がなっておらず、大変なご迷惑をお掛け致しました! おら、来い!」

ダンサー「あぐぅ……っ」
331 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:07:13.90 ID:e1mSr3JTo
ドサッ…ジャラジャラジャラ

元締め「盗んだお金は慰謝料も含め、倍にしてお返しさせて頂きます」

青年兵「い、いえっ。何もそこまで……落ち度はこちらにもあったわけですし……」

元締め「いえ。それでは示しがつきませぬ。こやつもこの通り痛めつけておきましたので」

サモナー「!?」

魔道士「ひ、ひどい……っ」

元締め「さぁ、今宵もどうぞ、心ゆくまでお楽しみ下さいませ」

天才「……なぁ」

スッ

天才「……?」

王子「……あなたは出なくていい」

天才「ほぉ」

スクッ

王子「君、ちょっといいかな」

元締め「はい?」
332 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:08:01.63 ID:e1mSr3JTo
王子「その踊り子、随分と酷い暴行を受けたような形跡がるけど」

元締め「ええ、そりゃもう本国の軍人、しかも士官であられる方からお金を巻き上げるなど……」

王子「あのさ、変な事聞くけど、今いくら貰ってるの?」

踊り子「へっ!?」

王子「いや給料。月々いくら貰ってるのって言ってんの」

踊り子「給料……? いや、貰ってないですけど……」

王子「貰ってないのに何で働いてるの?」

踊り子「一応、住む所と食事は用意して貰ってますし……」

王子「君たちもそう?」

踊り子の後ろに控える一同が、揃って首を縦に振った。

王子「食事は満足してる?」

踊り子「えっと……あの……」

元締め「陛下、野暮なお話はこれくらいにして、そろそろ余興に――」

王子「黙れ!!」

元締め「!?」
333 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:08:36.77 ID:e1mSr3JTo
王子「悪いが、貴様にはこうして宮殿で催して貰う為に、不自由ない金を渡したはずだ」

元締め「え、えぇ。そりゃもう……っ」

王子「それが何故、彼女らに還元されていない? その金は一体どこにいったのだ!」

元締め「あの陛下、お言葉ですが……それがビジネスというものですので」

王子「何?」

元締め「彼女らの主はこの私。私は頂いたお金で彼女らを養っているのです」

王子「……」

元締め「他にも衣装代やら移動費やら、これがまたお金のかかる事ばかりでして……ヘヘッ」

ザッ…スタスタスタ

神官「陛下」

王子「分かってる。一国の主たるもの、一般人に手は出さん」

元締め「あ、あのそのこのぉ……っ」

王子「……金を」

元締め「は、はい?」

王子「金を持って来い。そうだな、催事料の30年分でいい」
334 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:09:33.30 ID:e1mSr3JTo
元締め「――!?」

西国兵「は、はいっ!」

王子「この踊り子達は私が引き取る。異論はないな?」

元締め「あ、あの……30年分というのは……」

王子「彼女らの実働年数を考えれば十二分であろう? 不服か?」

元締め「い、いえっ!! 滅相もございません!!」

王子「ならば金を受け取り次第、すぐに消えろ。もう用はない」

元締め「は、ははぁ」

ザザッ…テクテクテク

元締め「いやぁ、これでようやく貴様らの面倒も見ずに済むわい。ウヘヘッ」

踊り子「……っ」

元締め「まぁお前らの身体を楽しめなくなるのは心残りだが、今度は金で買ってやるぞ」

テクテクテクテク…

王子「……はぁ危なかった。もう少しで斬り殺していたかもしれない」

召喚士「王子……っ」
335 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:09:59.18 ID:e1mSr3JTo
神官「陛下、ご立派でしたよ。見直しました」

天才「ああ。危うく俺様が先に手を出すところだったぜ」

王子「いやぁ、だって可哀想じゃん。幾らなんでも酷すぎるよ」

ダンサー「うぅ……っ」

青年兵「大丈夫ですか? 立てますか?」

ダンサー「す、ずびません……っ」

青年兵「いいんです。貴女にも事情があったわけですし。罪を憎んで人を憎まずですよ」

ダンサー「ううぅぅ……っ」

踊り子「あ、あのっ!」

王子「ん?」

踊り子「アタイ達……どうしたら……っ」

王子「決まっているだろ。君達の仕事は躍る事。さぁ、私や客人を存分に楽しませてくれ!」

踊り子「――っ!! は、はいっ!! みんな、準備はいいっ!?」

みんな「おーっ!!」

踊り子「それでは、今日はいつも以上に歌って躍らせて頂きます〜っ!」
336 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:10:33.78 ID:e1mSr3JTo
〜♪

盗賊「……王子、凛々しくなったな」

召喚士「ええ。もうすっかり西国の王として立派にやってますよ」

魔道士「私、感動しちゃいました……っ」

サモナー「西国にはああやって、まだまだ差別のような風潮があるんだ」

天才「経済は急成長しても、そう簡単に風習は変わらんからな」

神官「しかし、本国の風が入り込んできた事により、徐々にそれも薄まってはおりますよ」

青年兵「本国だけの力ではありませんよ。陛下のお力が本当に大きいと実感しました」

王子「いやぁ〜そんな事はないですよ。あはははっ!」

神官「ふっ、そうですね。陛下には今以上にもっと頑張って頂かねばなりません」

王子「……上げておいて一気に落とすよなお前」

神官「アメとムチと言って下さい。陛下はすぐに調子に乗りますからね」

王子「う……っ」

召喚士「あははははっ!!」

王子「へ、へへへっ!!」
337 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:11:00.55 ID:e1mSr3JTo
〜♪

踊り子「……ふーっ! 以上、ありがとうございましたっ♪」

魔道士「踊り子ちゃん素敵〜! やっぱりスタイルいいし、かっこいいよーえへへっ!」

踊り子「良かったら魔道士ちゃん達もどう!?」

盗賊「遠慮します」

召喚士「いや、しかし素晴らしい踊りでした。ありがとうございます」

青年兵「僕も昨日見ましたが、今日は更に素晴らしかったですよ!」

踊り子「こちらこそっ! 好きでやってる事ですからアタイがお礼を言いたいくらいですっ!」

魔道士「なんかこう、力が湧いてくる感じですよね!」

召喚士「ええ、ほんとその通りです」

踊り子「でへへ〜っ! あ、ところであの……っ」

王子「……?」

踊り子「アタイ達、住む場所とかそういうのはどうしたら……」

王子「君たちは私の下で働いて貰う」

踊り子「そ、それはモチロンっ、喜んで……」
338 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/28(金) 18:11:29.56 ID:e1mSr3JTo
王子「つまり、君達は国王の部下。国王の部下はここに住んで貰う事になるな」

踊り子「――っ!!」

ザワザワザワ

王子「これは命令だから。今日からこの城で暮らす事。良いな?」

踊り子「ほ、本当にいいんですかそんな……」

王子「何度も言わせるな。神官、部屋や衣類は大丈夫だよな?」

神官「ええ。必要とあらば何でもご用意致しますよ」

王子「母上や姉上もさぞ喜ぶ事だろうな。よし、今日はもう休むが良い」

踊り子「ほっ、本当に何から何まで……ありがとうございます!! アタイ……何て言ったらいいか」

天才「ほっほーう。流石は一国の主、さては身体目当てだなぁ?」

王子「違う!! 断じて違う!!」

踊り子「……お、お望みとあらばっ」

王子「えっ!? いやっ、違ーう!! 断じて違うんだぁー!!」

召喚士「分かってますよ王子。あはははっ!」

神官「ふふっ、ははははっ」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/28(金) 18:12:11.24 ID:e1mSr3JTo
今日も沢山のご支援、ありがとうございました!
それではひとまずここまでにて失礼致します!ではでは!ノシ
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 18:19:48.10 ID:bA3dy/Cb0
>>1乙!


王子がっ!

王子が、イケメンだとっ…?
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 19:35:32.53 ID:Pd5BifQDO
>>1

踊り子たちの本当の地獄はこれからってことか…
342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/10/28(金) 19:38:49.27 ID:OLjNtDzso
>>1乙!

王子は思春期らしい子供っぽいところと大人びたいところが入り混じってて良いキャラに成長したなぁ
昔は歳に似合わずマセてて嫌いだったけど、微笑ましくなった
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 19:48:59.26 ID:OsfhE2Aso
>>1

王子よくやった・・・!許した
344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/10/28(金) 19:57:23.26 ID:EHyKLUjco
>>1乙ん

最初から王子派だった俺に死角はない
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/10/28(金) 20:44:05.54 ID:2Bm81394o
王子[ピーーー]はネタかと思ってたがガチで嫌いな奴いたのかww
346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/28(金) 23:04:25.01 ID:uotLyH0AO
玉子のくせに生意気な……
なんか主人公っぽいし
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/28(金) 23:59:33.76 ID:5Rplp21IO
おまえらまだ陛下を認めてないの?
なんなの?
348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/29(土) 01:21:40.56 ID:GVID6kVAO
>>1おつ

おかしい…あれだけ[ピーーー][ピーーー]言われ続けてきた王子がイケメンに見えてきた
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/29(土) 02:54:03.12 ID:fXJPEBGX0
いちおつ
王子かっこよかった
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 06:09:38.16 ID:RRHhulSIO
基本的に>>1の書く話は好きなんだけど
今回の話はなんか微妙だ…
351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/29(土) 07:31:07.01 ID:Ps7NXDjIO
普通に王子しねって書き込めばいいのに
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 09:31:43.24 ID:Sko2klFIO
この話は町のチンピラ以外けっこうみな良い子ちゃん。こう言うゲスが出て来て胸熱
つまり、元締め毎晩羨ましいw

元締め「まぁお前らの身体を楽しめなくなるのは心残りだが、今度は金で買ってやるぞ」
353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/29(土) 09:34:11.28 ID:/MBoJBuAO
王子も経験を重ねて西国に必要な人物となったと言うことだろうね。

だからしねとは言わない…もげちまえっ!
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/10/29(土) 12:51:03.82 ID:j5eHYv7Q0
昔、エジプトに住む王族が
領民を襲う卑しいだけの盗賊ジプシーに「富を与える」と称し
金塊を練った拳大の鉛玉を、投石機で無数に投げ込んで
一族まるごと殴殺したのを思い出した。
355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/29(土) 16:39:19.98 ID:DTsxc8kao
ここまで男隊員のフラグにたいする突っ込み無しとか


俺が鍛冶娘貰ってわ
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/10/29(土) 23:21:38.32 ID:TbHS0ZuAO
男隊員と鍛治娘って接点あったっけ?
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) [sage]:2011/10/30(日) 08:43:32.72 ID:KkxmNpeAO
>>1さんお疲れ様です
連載2周年おめでとうございます!
またロダに何枚かキャラ画像進呈させていただきます。
これからも完結に向けて頑張って下さい。
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 10:33:17.63 ID:h9Jr1RlSO
>>1

やだ…王子主人公…

戦士はもうダメだな最近女泣かせ過ぎ
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/30(日) 12:30:09.96 ID:I9NBCP3fo
今日でとうとう2周年か。ほぼ毎日更新なんて、
なかなか出来ることじゃないよな…。頑張れ!
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 22:09:13.91 ID:jbETgVyIO
2周年おめでとう!
361 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 22:09:47.85 ID:zArAhO3SO
二周年おめでとうございます!
毎日更新を楽しみにしてます

体に気をつけて頑張って下さい
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/30(日) 23:29:35.96 ID:I2tZc0iEo
祝☆連載二周年!!
人生の激動期をこのスレを読む楽しみを支えに乗り越えて来ました。
いつもありがとう>>1乙!
363 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 01:26:29.00 ID:tsTU1QtDO
遅れたけれど二周年おめでとう!
これからも>>1の物語を読めるのを楽しみにしてるぜー
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/10/31(月) 02:11:46.51 ID:ZDeql4cn0
>>1
二周年おめ!
365 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/31(月) 08:01:59.20 ID:SfoTqhfAO
>>1

もうそんな時期なのか
この前一周年おめでとうって言ったばかりな気がするわ…
時間って経つの早いな

二周年おめでとうございまする
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 08:28:15.56 ID:t9uFKNoDO
俺が受験生の頃から読み始めてもう二周年か
そろそろ大学行きたいな
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 09:23:31.73 ID:cymZYOjIO
>>366
高校2年生が大学行きたいとか気が早いな
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 11:10:25.87 ID:P0nFooCy0
察してやれ・・
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/10/31(月) 11:16:06.45 ID:7RhRat8Mo
おお!2周年おめ!!
俺も2歳年くったんだなぁ・・・
はえーよ
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) :2011/10/31(月) 16:27:35.45 ID:bXAfIEwE0
お、鯖復活した。
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/31(月) 17:58:22.85 ID:40LsjFIlo
もう2年を費やし3年目突入とか申し訳ない限りですね…
一応おめでたいという事でありがとうございます!!
これからも何とか完結目指し頑張ります!お付き合い下さい!↓続き
372 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 17:58:49.48 ID:40LsjFIlo


神官「それでは参りましょう。どうぞお乗り下さいませ」

青年兵「ラクダ……ですか?」

神官「ええ。砂漠の移動はこれが一番楽……効率が良いので」

魔道士「私、初めて乗ります」

召喚士「ええ、俺もです」

天才「しかしこれで西の砦へ行くたぁ、砂漠を縦断でもする気か?」

神官「その通りですよ」

サモナー「魔物は、大丈夫なんですか?」

神官「今日まで陛下が大変頑張って下さいましたから」

王子「そうそう。お陰で町や砦なんかの周囲には、もう魔物はいないよ」

盗賊「おぉ」

神官「政務を無視してまで頑張った甲斐がありましたね」

王子「お前は本当に、一言多いんだよ」

召喚士「あははははっ」
373 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 17:59:16.27 ID:40LsjFIlo
〜西方司令部、開発局〜

戦士「おやっさん、こっち閉めるってさ。そろそろ終わりにしようぜ」

鍛冶屋「あ、うん。そうしようそうしよう!」

テクテクテクテク

戦士「……おっ?」

鍛冶娘「そっち持っててくださーい!」

開発員「了解〜。せーのっ!」

戦士「……頑張ってるよなぁ」

鍛冶屋「うんうんっ。頑張ってるし、それに楽しそうだ」

戦士「ああ……」

テクテクテク…ザッ

局長「ほれ、部外者はさっさと退出せんか」

戦士「お……っと。すんません」

局長「何度も言うがここは極秘施設なんだ。あんまりうろちょろすんなよ」

鍛冶屋「やはははっ、ごめんね。それじゃ失礼するよ」
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 17:59:42.99 ID:40LsjFIlo
スタスタスタスタ

鍛冶屋「……あの子、腕はどう?」

局長「あぁ? お前さんなんざより、よっぽどいい腕してるよ」

鍛冶屋「やははっ。そりゃそうかもね。何たってあの人の孫娘なんだからね」

局長「皮肉に皮肉で返すたぁ、テメーも言うようになったじゃねぇか」

鍛冶屋「ご、ごめんごめん。そんなつもりじゃなかったんだ……っ」

局長「謝るなよ。俺が惨めになんだろうが」

鍛冶屋「……っ」

局長「未だにお嬢さんが、テメーを選んだ事には納得いかねぇ」

鍛冶屋「局長……」

局長「んだが、お前が外から、俺は内からそれ以上に、あの人の意思を継いできた自信はある」

鍛冶屋「そうだね。君のお陰で開発機関も働きやすくなったと思うよ。本当に」

局長「ふんっ。ほれ、弟子が呼んでるぞ。さっさと行け」

戦士「おーい、おやっさん! 早く行こうぜー」

鍛冶屋「うん。それじゃ失礼するよ。弟子じゃないけどね……やははっ」
375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:00:09.01 ID:40LsjFIlo
〜西方、砂漠〜

ゴオオォォォォ

魔道士「風……一向に収まりませんね……っ」

召喚士「ええ。以前来た時はこんなに強くなかったけれど、季節的なものですか?」

神官「いえ。ここ最近、やたらと西からの風が強くて、こちらもなかなか困っております」

天才「魔王様が威嚇してんだよ」

盗賊「!?」

天才「これから来る狩猟者に対し、自分の力を誇示してんのさ」

青年兵「サンドワームが居なくなった分、直々に牽制をかけているわけですね」

サモナー「まさか、こんな所まで……っ」

天才「しっかしあと何時間かかるんだ? 夜が明けちまうぞ」

王子「もうじき着くよ。あとは南へ真っ直ぐ進むだけさ」

盗賊「わ、分かるのか?」

王子「そりゃ何年も砂漠を走り回ったからね。星の位置さえ掴めればこの程度なら平気だよ」

天才「ハーッハッハ! 流石だな。土地勘信じて付いてくしかねーわな」
376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:00:35.35 ID:40LsjFIlo


ザザザザアァ

王子「ほらあった! 見える? あの砂丘の間っ!」

魔道士「ほ、本当だ……凄い!」

王子「へっへー! さ、急ごう!」

〜西国、西の砦〜

ドドオォ

西国兵「王子っ!!」

王子「よぉっ、みんな……久し振りだなぁ! 腕は鈍ってないだろうな?」

傭兵「王子こそいっちょまえに国王なんぞ勤めて、腕が落ちたんじゃないのかぁ?」

王子「何!? 試してみるか?」

傭兵「望むところよ! ぐわはははっ!」

神官「陛下、客人も居られるのです。あまり馬鹿騒ぎなさらぬよう」

王子「おっとそうだった……」

神官「それでは皆様、部屋へご案内致します」
377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:01:02.03 ID:40LsjFIlo
テクテクテクテク

盗賊「……ん、ここは確か」

魔道士「前に来た事ありますよね……?」

召喚士「ええ、あの時も3人で……町の人に助けを求められて西の山に……」

王子「西の山!?」

召喚士「えっ、う……うん」

魔道士「大変でしたよね。木は動くし、巨大な魔物は現れるしで」

天才「……」

サモナー「思い出した。そんな事もあったね」

神官「本当に西の山へ行かれたのですか……?」

召喚士「な、何か……まずかったですか?」

神官「い、いえ……。まずい事はありませんが……」

盗賊「……?」

天才「お前らの行った山てのが、魔王イブリースの棲み処だぞ」

召喚士「――っ!!」
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:01:43.08 ID:40LsjFIlo
天才「良かったな、下手に山を越えないでよ。ヘタしたら死んでたかもな。ハーッハッハ」

魔道士「た、確かに凄い魔物がいましたけど……まさか魔王がいたなんて……っ」

天才「まぁいいや。詳しい話はあとでじっくり聞くとしよう」

神官「この上が部屋になります。個室ですので、それぞれお好きな部屋をお使い下さい」

西国兵「鍵などはこちらでお渡し致します」

王子「30分後に大広間で平気?」

天才「ああ。頼むわ」

神官「そういう事ですので、宜しくお願い致します」

サモナー「分かりました。それじゃ早速、荷物を置いてくるよ」

青年兵「召喚士さんもどうぞ」

召喚士「ありがとう」

テクテクテク…

天才「特遊は?」

神官「既に大広間へいらっしゃると思いますよ」

天才「りょーかい」
379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:02:42.60 ID:40LsjFIlo
〜30分後、大広間〜

テクテクテク

魔道士「あっ、お疲れ様です〜」

隊長「おう。南の次は西、あっちこっち大変だな」

盗賊「……まぁ、な」

テクテクテク

女隊員「朱雀先生も来たッスね!」

男隊員「いよぉ。あれ、戦士はどした?」

召喚士「こんばんは。戦士は別行動で、今は西方司令部にいますよ」

隊長「西方司令部?」

召喚士「壊れた武器の修復……というか、新しく作ってます」

格闘家「なるほど」

カツカツカツカツ…ザッ

天才「うちの連中は全員いるな?」

格闘家「師匠」
380 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:03:10.68 ID:40LsjFIlo
天才「おーう。任務は順調か?」

隊長「順調といえば順調ですが、ここ数日は動きなしです」

天才「まーいい。順に詳しい話を聞いて行こうじゃねぇか」

神官「それでは西国、本国合同作戦会議を行います」

ザワザワザワ

魔道士「何だかこういうの、久々ですねっ」

召喚士「ええ。何度やっても緊張しちゃいますね……ははっ」

神官「まずはこちらの地図をご覧下さいませ」

青年兵「思ったより近いですね」

神官「ええ。しかし先程も述べた通り、今は風が強く、容易には近づけません」

天才「風ってのは近づけば近づくほど強いか?」

隊長「体感では。まぁ山までは行ってないので何ともですがね」

青年兵「上空からの突入も困難ですか?」

神官「私はそう踏んでおります」

格闘家「同意見です。砂嵐のように空をも覆ってました」
381 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:03:57.22 ID:40LsjFIlo
召喚士「なるほど……」

天才「行軍時間は? 砂嵐抜きで構わん」

王子「うーん……だいたい3時間くらい?」

盗賊「……近そうに見えて、結構かかるな」

王子「足場が悪いからね。それに不慣れな面子だとこんなもんだと思う」

天才「山からが大変だってのに、時間かかりすぎだわな」

神官「それでしたらご心配なく」

天才「あん……?」

神官「戦いに備え、船を用意しておきました」

男隊員「船? 砂漠にか? 海路なんかねぇぞ?」

神官「ええ。しかし確かに船です。西国にしか出来ない、とっておきの船ですよ」

天才「……んじゃ、そこは任せていいんだな?」

神官「はい。心配ご無用です」

青年兵「それでは、進軍に関しては何ら問題なさそうですね」

隊長「いや、そうでもねぇぞ」
382 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:04:25.15 ID:40LsjFIlo
青年兵「……?」

女隊員「サンドワームの数が思った以上に多いッス」

男隊員「いちいち相手するのもキリがねぇし、強行突破した方がいいぜ。ヒャハハ」

隊長「司令としては、その辺はどうお考えで?」

天才「知るかよ。指揮官は俺様じゃなくコイツ。青年兵に聞け」

青年兵「!?」

天才「……あ、いや待て。指揮官はやっぱ俺様だ」

格闘家「どっちなんですか」

天才「よし決めた。西国の船ってやつを見てから判断する」

神官「援護があれば、強行突破も可能だと考えております」

天才「よっぽどの自信だな。そんじゃ早速、その船とやらを拝見させて貰おうかい」

神官「それならば、既に後方の壁に控えておりますが」

天才「あん? ……ハーッハッハッハッハ! そういう事かい! そりゃいい、気に入ったぜ!」

神官「お気に召して頂けたようですね」

天才「ああ、大いに気に入った。地中のミミズはこっちに任しときな」
383 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:05:41.41 ID:40LsjFIlo


天才「んで、次は特遊共の報告を伺おうかね」

隊長「ああ、はい。砂嵐は想像以上に激しいもので、視覚、聴覚共に支障をきたします」

青年兵「確かに……。ここへ来るだけでもなかなか厳しいものがありましたね」

隊長「相手の懐へ飛び込むまでの連携は、何か手を打たねばいかんかと」

天才「だわな。でなきゃ奇跡の天候回復でも祈るしかあるまい」

神官「神頼み、ですか……」

天才「天候回復の話だよ。もっと現実的な策を練った方が手っ取り早い」

召喚士「天候……っ。いや、待って下さい。それ、面白いですよ!」

天才「あん?」

召喚士「思い切ってやってみる価値はあるんじゃないですか?」

神官「何か、手があるのですか?」

召喚士「はい。ちょっと試してみないと自信ないですけど……」

天才「ふーん。ま、いいや。あとでテストしてみ」

召喚士「はいっ」
384 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:06:09.58 ID:40LsjFIlo
天才「他は?」

隊長「夜間行軍であれば、視界の面は西国の面子でカバー出来るかと」

王子「星の位置? それなら問題ないぞ」

女隊員「やっぱり厄介なのはあの魔物ッスね」

隊長「作戦まで2週間以上。あまり労力は費やしたくないな」

天才「おっとそうだった。おい朱雀。お前の見た魔物ってのはサンドワームの事か?」

召喚士「いえ、何ていうか……山のように巨大な、竜のような亀のような……」

魔道士「見た事もない魔物でした。あと、木が動いて……森全体が襲い掛かってくるみたいで」

盗賊「……ああ」

天才「めんどくせぇ。2週間でそこいらを一掃してぇな」

青年兵「西方司令部が来れば、なんとか戦力は整いますよ」

神官「西国も兵を投入は出来ますが、あまり人数ばかり増やしても仕方ありませんからね」

天才「ああ。今回は前と違い、大軍がいるわけじゃねーしな」

サモナー「とりあえず数日は牽制と調査、だね」

召喚士「……そのようですね」
385 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/10/31(月) 18:06:39.16 ID:40LsjFIlo


神官「それでは細かな作戦は、本国の西方司令部が到着次第と致します」

天才「あと5日程度でいけるはずだ。それまでこっちは徹底的に下調べを進める」

青年兵「魔物の討伐も行いますか?」

天才「モチロンだ。ギリギリまで出来る限り叩き続けるぞ」

王子「もぐら叩きみたいだなぁ」

天才「ハーッハッハ! まさにそうだな」

召喚士「あの、俺らには何が出来ますか?」

天才「特遊と一緒に、周囲の行軍ルートの調査をメインでやってくれや」

盗賊「……了解した」

神官「では早速、明日から行動に移りましょう。必要な物など御座いましたらお申し付け下さい」

天才「おーし、気合い入れて行くぞ! 魔王への道は自分達で切り拓け!」

王子「おーっ!」

魔道士「今回も頑張りましょうね、召喚士さんっ!」

召喚士「はい、頑張りましょう!」
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/10/31(月) 18:19:23.87 ID:40LsjFIlo
ひとまずこれまでにて失礼致します
改めまして、ご支援&おめでとうレスありがとうございました!ノシ
387 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 18:20:39.93 ID:pcQdUSzDO
>>1
いつもありがとー!
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/10/31(月) 18:24:06.48 ID:b+9j23nAO
>>1
389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 18:40:35.11 ID:QU5fmBAX0
1乙
いつそんなやつと交戦したっけ?
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/10/31(月) 19:47:44.48 ID:SfoTqhfAO
>>1

船ってなんだ
砂上を進むのかすげーな
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage ]:2011/10/31(月) 20:03:22.56 ID:SaIVCU6/o
これはホバー……ク……ゲフンゲフン
なんだっけな?

そんなことより1乙ー
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/10/31(月) 20:13:15.75 ID:Wiv6zPYDO
>>389
サモナーとの別れのとき
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/10/31(月) 22:34:07.37 ID:NPTOFKWvo
砂上船とかファンタジーだと結構ポピュラーでないかい?
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) [sage]:2011/10/31(月) 23:01:07.34 ID:TUFBXziGo
先端からビームが撃てるもんな
395 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:30:27.09 ID:S9JC9azto
〜1日後〜

サンドワーム「ブゴオオォォォォ!!」

王子「てりゃああぁぁ!!」

ズガシュウウゥゥ!!

天才「やるじゃねぇか」

王子「そっちこそ、流石じゃん!」

天才「当たり前だろ。俺様を誰様だとおもってやがる、ハーッハッハッハ!」

〜2日後〜

女隊員「おい……っしょおぉ!!」

サンドワーム「ブギイイィィーッ!」

ドッズウウゥゥゥゥン

盗賊「……凄いな」

女隊員「盗賊ちゃんこそ、大したものッスよ!」

隊長「今日はここいらで引き揚げんぞ。明日は行軍ルートの調査に合流する」

格闘家「了解」

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396 :なんだこれ… ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:31:39.18 ID:S9JC9azto
〜3日後〜

ビュオオォォォォ

召喚士「ここ数日、ほとんど風向きに変化はありませんね」

神官「ええ。強風と言え、風向きが同じならば打つ手はありますね」

サモナー「でも、全て任せてしまって大丈夫?」

召喚士「はい。やってみせます……必ず」

〜4日後〜

テクテクテク

青年兵「お疲れ様です」

魔道士「お疲れ様ですー。ふへぇ、砂が服の中まで……」

女隊員「先にお風呂にするッスかね」

盗賊「ああ、そうだな」

王子「お、おふっ……」

神官「陛下、会議があるので是非こちらにお越し下さいませ」

王子「お、おうふ……っ」





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397 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:33:21.81 ID:S9JC9azto
〜5日後〜

バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「あれは……ワイバーン!?」

スタッ…ザッザッザ

竜騎士兵「ご苦労様です。西方司令部からの伝令です」

王子「伝令も便利になったもんだな〜」

天才「おう、ご苦労。そっちはどうだ?」

竜騎士兵「竜騎士隊はこれより北へ向かいます!」

青年兵「北?」

竜騎士兵「はい。海峡方面にて魔王軍が集結しているとの情報が……」

天才「西への牽制か? 無駄な事しやがって」

竜騎士兵「では、これにて失礼致します!」

青年兵「ご苦労様。青龍士官に宜しく」

ザッ…バシュウウゥゥゥゥ

王子「それで、伝令の内容は?」




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398 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:34:20.88 ID:S9JC9azto
ガサッ…

天才「朗報だ。西方司令部からの援軍が今日出るらしい」

青年兵「本当ですか!?」

天才「ああ。ただ昨日の段階じゃ、あのアホが間に合わんらしい」

青年兵「西方司令ですか……? でも、一体何故……」

天才「あいつ自身は問題ないんだが、製造が間に合ってないんだとよ」

青年兵「なるほど」

魔道士「製造?」

青年兵「ええ。西方司令の――」

天才「つーわけで青年兵。テメーは最悪、迎えに行く事になるかもしれん」

青年兵「……了解です」

天才「西方司令部の連中が到着次第、山の魔物ってのを始末しに行こうじゃねぇか」

サモナー「相当に手強いと思う。とにかく前哨戦なんだし、気を付けていこう」

隊長「まさにその通りだな。本番は更にその先なわけだ」

召喚士「……はい」





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399 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:35:40.26 ID:S9JC9azto
〜西方司令部、開発機関〜

戦士「オッケー」

鍛冶屋「それじゃいくよ〜。せーのっ!」

グッ…ガコッ

鍛冶娘「出来たーっ!!」

おかみ「おもったより早かったんじゃないかいっ!?」

鍛冶屋「うんうんっ! 早かった早かった!」

戦士「……これが新生、雷切」

鍛冶屋「うん。早速持ってみてよ」

戦士「……ああ」

スッ…ガシャッ

鍛冶娘「どう?」

戦士「……すっげぇ。完全に、俺の手にフィットするぜ」

鍛冶屋「今回は戦士くん専用の剣そして作ってるからね」

おかみ「なかなかいいんじゃないかい?」





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400 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:36:21.93 ID:S9JC9azto
鍛冶屋「ちょっと大きく感じるけど、まぁロングソードとツヴァイハンダーの中間ってとこかな」

鍛冶娘「クレイモアくらい? ……でも随分と軽いよね」

戦士「ああ。前の雷切のが重く感じるくらいだよ」

鍛冶屋「良質な材料だったからね。密度もしっかりカバーしてるし、その分軽量化出来たわけ」

戦士「それになんつーか、重心が先端に感じるんだよな」

鍛冶屋「そうなんだよ! よく気付いてくれたね!」

おかみ「隠す必要ないだろ。先に言っておやりよ」

鍛冶屋「やははっ、忘れてたよ。戦士くんなら使いこなせるだろ?」

鍛冶娘「どういう意味?」

戦士「芯が前にあるから、振ったあとの遠心力で威力が増すわけだ」

鍛冶娘「なるほど、そういう事かぁ」

戦士「軽量化されてる分、振りのスピードも極端に落ちる事はないしな」

鍛冶屋「うん。しかも今回は両刃だから振るバリエーションも増えると思うよ」

戦士「そういや、カタナみたいに片刃じゃないんだな」

鍛冶屋「うん。戦士くんの場合、盾があるからね」





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401 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:37:17.61 ID:S9JC9azto
鍛冶娘「それが何か問題なの?」

鍛冶屋「そもそも刀というのは両手剣だからね。盾も持てないんだ」

鍛冶娘「へぇ」

鍛冶屋「だから片刃……背面にあたる峰の部分は防御にも利用されるんだ」

戦士「そうそう。剣同士なんかの場合、それで防御してたわ」

鍛冶屋「刃で防御すれば当然、刃こぼれを起こすし、何より盾があるんだから片手剣が理想だよ」

戦士「まぁそうだよな」

おかみ「こいつは何だい?」

戦士「ああ、それは鞘っす」

おかみ「鞘? 鞘なんてそれこそ刀じゃないんだから不要なんじゃないのかい?」

鍛冶屋「確かにこの大きさだし、必要ないかとは思ったんだけどね」

戦士「これは俺のワガママなんだ」

おかみ「何か使うのかい?」

戦士「ああ。居合いっつって、東方の剣技かな。抜刀からの一閃で勝負を決めるっつー感じ」

おかみ「ふぅん。鞘ってのも重要なもんなんだねぇ」





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402 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:38:21.25 ID:S9JC9azto
鍛冶屋「よし。あとはこの装飾部分に核なる鉱石をはめ込めば完成だよ」

戦士「おう」

鍛冶娘「鉱石の大半は刀身部分の材料になっちゃったから、残りこれだけだけどね」

鍛冶屋「あくまで戦士くんの魔力を最初に蓄積する媒体だからね、これで十分だよ」

戦士「魔力使いくない時は最悪、外しておけばいいって事か」

鍛冶屋「そういう事。ついでにほら……」

戦士「……?」

テクテクテク…コンコン

鍛冶屋「この斧の装飾部分。今は火の鉱石だけだけど、これもはめられるよ」

戦士「――!!」

おかみ「なーるほどね。サイズを合わせて作ったわけかい」

鍛冶屋「……僕は鍛冶屋として、決して勧めたりはしない」

戦士「……?」

鍛冶屋「でも戦士くん。君にももしかしたら、どうしてもって時があるかもしれない」

戦士「……ああ」





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403 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:39:49.57 ID:S9JC9azto
鍛冶屋「その時にはここに5つの鉱石をはめられるようになっている。それに使うといい」

戦士「ああ、そうするよ」

鍛冶娘「それじゃあと3つ、同じような武器を作らなきゃいけないじゃんね」

鍛冶屋「武器とは限らないさ。防具でもいいわけだしね」

戦士「防具か……」

チラッ

戦士「確かにこの防具も随分と使ってるよなぁ……」

鍛冶屋「なんなら新しいの作っておこうか?」

戦士「マジすか!?」

おかみ「戦士くんのだけじゃなくって、みんなのも作ってあげないといけないねぇ」

戦士「いやっ、マジで助かります! あいつらもきっと喜びますよ!」

鍛冶屋「やははっ。それじゃそうするよ」

おかみ「でも、流石にお代は頂戴するよ? あはははっ」

戦士「もっちろん! 破格の条件でお願いします!」

鍛冶娘「良かったじゃん! あははははっ」





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404 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:41:06.58 ID:S9JC9azto


戦士「おやっさん、おかみさん。鍛冶娘。本当にありがとう!」

おかみ「そんなよしとくれよ。ほらっ、頭をあげて!」

鍛冶娘「そうよ。こっちも勉強になったし。その代わり、しっかり働いてきなさいよねっ!」

戦士「……おう!」

鍛冶屋「それじゃ防具の件は引き受けるから。あ、でも……流石に数日は難しいよ?」

戦士「いいよ。最終決戦までに間に合ってくれれば十分っす」

鍛冶屋「それだったら大丈夫! デザインの好みとかあったら言ってね!」

戦士「……若干1名こだわりそうだが、お任せします」

鍛冶屋「ははっ。今日、出発なんだよね? それじゃ、頑張って来て!」

おかみ「無茶して怪我とかしないようにね」

鍛冶娘「みんなにも、盗賊さんにも宜しくね」

戦士「ああ。行ってくる。それじゃお世話になりました!」

鍛冶娘「行ってらっしゃい。負けたりしたら、承知しないわよっ?」

戦士「ああ、絶対に負けねぇよ!」





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405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:41:53.48 ID:S9JC9azto
〜西方司令部、正門〜

テクテクテク

戦士「おいっす」

西方参謀「ん、おお。もういいのか?」

戦士「ああ。こっちは?」

西方参謀「うーん。どうにも開発の連中が手間取ってるみたいでなぁ……ヒック」

戦士「……?」

局長「申し訳ない。あと数日内には必ずや!」

西方司令「いいいえいえいえっ! 滅相もない! 大丈夫ですと言いますか死にますうぅ!」

西方副司令「とにかく、司令は完成するまでここで待機していて下さい」

西方司令「待機!? も、もう終わりだああぁぁ!!」

西方副司令「あのね、こっちももう出発しないと間に合わなくなりますから」

博士「いいのら。研究で面倒見るからさっさと行くのら」

西方副司令「……すみません」

西方司令「研究!? ぎゃああぁぁ! 研究されるううぅぅ!」





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406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/01(火) 17:43:55.73 ID:S9JC9azto
テクテクテクテク

西方参謀「落ち着いたのか?」

西方副司令「そんなわけないでしょ。でももう時間よ。出発しましょ」

西方魔道長「魔道兵50人てのは少なすぎやしないかい?」

西方参謀「ラーヴァナん時みたいに魔物が居るわけでもねぇし、支援だから大丈夫だろ」

西方副司令「そうよ。今回はあくまで本国はサポートなんだから」

西方兵「船の準備、整いました」

西方副司令「さぁて、それじゃ出発するわよー」

西方参謀「ほれ、お前さんも荷物まとめて乗船準備しな……ヒック」

戦士「おうっ」

新生雷切を手に、戦士は召喚士、魔道士、盗賊の待つ西方を目指し西方司令部を出発した。

満月の夜まで残すところ2週間あまり。即ち、それは魔王イブリースとの決戦を意味するものである。

そして次の夜。空には丁度、半月が浮かび上がった時、戦士は皆の待つ西の砦へと到達した。

ついに、魔王イブリースとの戦いが幕を開けようとしていた……。



〜第五十三部、完〜





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407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/01(火) 18:02:51.90 ID:4CdjpRRDO
おつんぽ!

鯖移転?

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408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/01(火) 18:41:02.96 ID:ruYso+zAO
乙乙!


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409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/01(火) 19:13:06.00 ID:1xMK8CXAO
さすが主人公
NEW武器が楽しみだ

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410 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/01(火) 19:47:33.70 ID:HrEybsAAO
>>1

主人公の機体や武器は壊れて後甦るのがRPGの盛り上がるところだからな
このタイミングでOPも変わるんだろうな

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411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/01(火) 19:49:03.91 ID:NFqK8KfHo
OP作ってくれよ

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412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 20:00:54.42 ID:TZcRpVjIO
おっつおつ!

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413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/01(火) 20:49:08.95 ID:uWCm3d2AO
>>1

防具にこだわるってるのは盗賊ちゃん?

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414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 21:03:33.93 ID:gpkT9lkIo
>>1
魔道士ちゃんにきまってるだろjk

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415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(埼玉県) [sage saga]:2011/11/01(火) 21:16:08.11 ID:siQvnR170
魔王と戦うなら新月の方が良いんじゃないの?どっちも攻撃力は上がるけど、死者が出そうなのに…

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416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/01(火) 23:02:12.79 ID:h/PG8J1w0
天才様の予言に嘘はにい

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417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/02(水) 00:34:56.03 ID:1yiBRSEAO
>>415
召喚獣使うからな

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418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) :2011/11/02(水) 04:07:09.21 ID:Sc2WAwuD0
いちおつ
ネクロマンサー何もしてこないね
419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/02(水) 11:43:36.38 ID:sMYyB3geo
初めのころは伯爵がラスボスだと思ってたのにもはやネクロマンサー以下だしなぁ
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 17:38:46.81 ID:jKhMvIPq0
べつにネクロマンサーこなくてよくない?
あいつの描写だけつまんないし
421 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:41:35.48 ID:IHIwTwCqo
俺は、この日の事を絶対に忘れない。忘れる事なんて出来ないだろう。

あの日の出会い、この日の別れ。そしてこの人との出会いがあって、

共に戦ったからこそ今の俺がある。多少なりとも、いっぱしの召喚士としての自信が持てたんだ。

召喚士「ありがとう神官さん。そして……さようなら」

また会う日まで――。

ゴオオォォォォ…

王子「……わ、私は泣かぬぞ」

召喚士「泣いても……いいんですよ」

王子「いや、泣かぬ。それが神官との約束だからな」

召喚士「……強いですね陛下は。俺は……涙がっ、止まりません……っ!」

王子「王は人前で涙を流さぬ! 神官はそう言った! だから、私の分も泣いてくれ!」

召喚士「……は……いっ」



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第五十四部〜
422 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:42:24.67 ID:IHIwTwCqo
〜満月まであと13日。西の砦〜

西国兵「開門開門ーっ!」

青年兵「来ましたね!」

神官「すぐに大広間へお通しせよ。我々も急ぎ向かうとする」

ドドドドドド…ドドォ

西方参謀「到着したみてぇだな……ヒック」

西方副司令「西方司令部副司令を任されております、西方副司令と申します」

親衛隊「ご苦労様です。さぁ中へどうぞ。皆がお待ちです」

西方副司令「ありがとうございます」

スタッ…テクテクテク

戦士「ほぉ、ここが西の砦か。なかなか頑丈そうな砦じゃんか」

親衛隊「――っ!?」

タッタッタッタッタ

親衛隊「先生っ! 先生ではありませんかっ!」

戦士「……へっ?」
423 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:43:18.26 ID:IHIwTwCqo


戦士「あぁ! あん時の!」

親衛隊「覚えていて頂けましたかっ!?」

戦士「先生ったって、軽く稽古しただけであってだな……」

親衛隊「いやっ、あの稽古のお陰で剣術のコツが掴めました! 先生のお陰ですよ!」

戦士「はぁ、それはどうも。だがやっぱり先生はやめてくれ」

タッタッタッタ

召喚士「戦士ーっ!!」

戦士「おぉ、召喚士にお前らも。無事か?」

魔道士「はいっ! ちょっと毎日のお風呂が欠かせないくらいです!」

盗賊「雷切は……直ったのか?」

戦士「ああ、生まれ変わったぜ。完全にな!」

召喚士「それは良かった」

戦士「今度の雷切はかなりいいぜ。期待しててくれ」

召喚士「うん。楽しみにしてるよ!」
424 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:43:47.58 ID:LUjFxgU9o
〜大広間〜

テクテクテク…

天才「はいお疲れちゃん」

西方副司令「西方司令部、ただいま到着致しました」

天才「つっても、肝心のヤローはまだだろ?」

西方副司令「はい……」

天才「まぁいい。こいつらの言うデカブツぶっ叩くまでに間に合えば上等だ」

西方参謀「ま、それは大丈夫でしょうなぁ。1週間もかからんと思うぜ……ヒック」

青年兵「西方軍はすぐに動けますか?」

西方副司令「ええ。ラーヴァナ戦で温存していたメンバーだから疲労もないし、鍛錬も十分よ」

青年兵「どうします? 明日、動きますか?」

天才「……だな。早速そのデカブツのツラを拝んでみようじゃねぇか」

隊長「了解。それではただちに編制を組み、明日……進軍するぞ」

神官「こちらも手筈を整えるとしましょう」

召喚士「……」
425 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:44:14.45 ID:IHIwTwCqo
〜満月まであと12日。西の砦〜

神官「出撃」

ガゴンッ

王子「西国は南側から攻めるぞ! しっかり付いて来い!」

傭兵「おっしゃあ!」

親衛隊「陛下を退がらせろ! 前哨戦で怪我などされてはたまらんぞ」

神官「相変わらず、困ったものです」

天才「ハーッハッハ。元気でいいじゃねぇか。朱雀、念の為だ。お前らあっちに付いてやれ」

召喚士「了解です」

青年兵「西方軍は北側、国軍は正面から出るぞ!」

男隊員「おう!」

西方副司令「出陣っ!」

ドドオオォォ

天才「サンドワーム程度にてこずんなよ?」

青年兵「無論です。……恐れる必要はない、怯む事なく正攻法であたれっ!」
426 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:44:43.78 ID:IHIwTwCqo


ドドドドドド…

西国兵「左っ、砂塵を複数確認!」

傭兵「来たなぁ……!」

王子「皆は馬、ラクダを反転っ! 八方へ散れ!」

親衛隊「密集するなよ、狙われるぞ!」

ズザザザザ……ドドオオォォォォン

サンドワーム「グヴォオオォォォォ!!」

傭兵「出やがった!」

王子「砂に潜るタイミングに合わせて斬るのだ!」

西国兵「分かってますって! 何百回戦ってきたと思ってるんです!」

ザッシュウウゥゥ

王子「潜ったぞ! すぐに次が来る。一点だけでなく周囲をくまなく見渡せよ!」

砂の中をうねり、顔を出しては再び潜っていくサンドワーム。傍から見れば壮観に見えぬ事もないが、

目の前でそれを体験すると、とてもそうは思えないものである。
427 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:45:43.06 ID:IHIwTwCqo
魔道士「私、苦手なんですよああいうのって……」

召喚士「分かります。目の前で見ると流石に気持ち悪いですよね……」

ザザザザアァ

戦士「さーて、新生雷切……お披露目といこうかっ!」

ジャキッ

盗賊「……おぉ!」

戦士「いっくぜぇーっ!」

足を止め、腰を低く構え、戦士は雷切の柄を右手で握ると、左手で鞘をくいとやや上へ向けた。

戦士「……」

ドッバアアァァン

サンドワーム「ゴハアアアアァァァァ」

戦士が大きく息を吐き、目線を正面へと向けると、雷切が鞘ごとぼんやりと光り始める。

ゴゴゴゴゴゴ…

傭兵「な……んだありゃあ!?」

王子「すっげぇ……っ!」
428 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:46:26.63 ID:IHIwTwCqo
それは本当に一瞬の出来事であった。抜刀した剣先に触れず、サンドワームは真っ二つに果てた。

盗賊「……何だ、今のは……っ」

魔道士「一瞬光が見えたと思ったら、魔物が勝手に……」

召喚士「こ、これが……新しい雷切……っ」

3人は我に返り、居合いを終えた戦士の元へと駆け寄って行った。

魔道士「戦士さーん! 凄いじゃないですかっ!」

召喚士「い、一体……どんな技を使ったの?」

戦士「……いや、それが俺にもよく分からん」

召喚士「へっ?」

戦士「いつもの感じで普通に居合いをしただけなんだが……」

魔道士「そ、そうなんですか?」

戦士「初めてだし、どうせ初撃は外れると思って、居合いは牽制のつもりだったんだがな」

盗賊「見えた限りでは、雷切の剣先から光が伸びたぞ」

戦士「光が伸びた……?」

召喚士「それって、付加した雷が伸びたというか、放出されたって事だよね」
429 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:47:02.24 ID:IHIwTwCqo
戦士「そうだとしても、あんなのを真っ二つにするほどの威力があるとは思えねぇけどな……」

魔道士「居合い、だからじゃないですか?」

召喚士「そうかっ。今度の雷切って、刀身部分は雷の鉱石で出来てるんだよね?」

戦士「ああ。ってそういう事か!」

チャキッ

戦士「この装飾部分にある核の鉱石を媒介に、俺の魔力が刀身に行き渡る仕組みになってる」

盗賊「……ふむ」

戦士「んでだ。通常の振りとは違い、居合いになる事で魔力が鞘ん中で蓄積されて……」

召喚士「居抜きと同時に、それが剣先より前方に放たれるんだよっ」

魔道士「す、凄いじゃないですかっ! 必殺技みたいでカッコイイ〜!」

戦士「そ、そうか? はは……っ!」

盗賊「むっ、まだ来るぞ」

召喚士「よし、この勢いで王子達を援護しましょう!」

魔道士「はいっ! こっちも準備オッケーですよっ!」

戦士「おっしゃ、悪いがここで……慣らしさせてもらうぜぇ!」
430 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:47:53.39 ID:IHIwTwCqo


隊長「来るぞっ、飛べ!」

バシュッ!!…ドッガアアァァァァ

サンドワーム「ブゴオオォォォォーッ!」

四方へ飛んだその中心部よりサンドワームが顔を出す。

女隊員「おい……っしょおおぉぉ!!」

格闘家「はあぁ!」

バギャッ!!…ドッズウウゥゥゥゥン!!

男隊員「誘導して出てくるタイミング合わせりゃ、楽なモグラ叩きだわな」

隊長「どっちかっつーと、ネズミ取りに近いけどな」

男隊員「ヒャハハ! 言えてる」

天才「おらおら遊んでねーでとっとと突破しろや」

格闘家「……了解」

隊長「西方司令部の連中はもう抜けたか。流石に早いな」

女隊員「見事ッスね!」
431 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:48:56.29 ID:IHIwTwCqo
ザザザザ…ズザァ

西方副司令「全員無事っ?」

西方兵「モチロンです。かすり傷1つありませんよ!」

西方参謀「逃げ足だけは天下一品だからな、俺達はよぉ……ヒック」

西方副司令「もう少し言葉を選んでくれる?」

西方参謀「事実は事実だろいっ。ヒ〜ック」

ズザザァ

隊長「おう、待たせたな」

青年兵「南側も抜けたようですね」

ドドッドドッドドッ…ズザァ

王子「すまん。遅れをしまったか?」

青年兵「いえいえ。こちらも今、抜けたところですよ」

天才「さーて、山の入り口だ。お前らがデカブツ見たってのは、ここで間違いねーよな?」

召喚士「ここです。間違いありません」

天才「当時と変わってる事は?」
432 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:49:54.21 ID:IHIwTwCqo
盗賊「……この風だな」

魔道士「ええ。あの時は何ともありませんでした」

王子「どうする? 砦で待機してる神官やサモナー達に連絡するか?」

天才「いんや、今日はお顔あわせだけだ。このまま行く」

青年兵「召喚士さん、飛べますか?」

召喚士「あ、うん。でもこの強風で大丈夫かな……?」

青年兵「実はそれを事前に試しておこうかと思いまして」

召喚士「なるほど。そういう事か」

青年兵「ですので無理な飛行はしません。難しいと判断した場合は、速やかに中止します」

召喚士「うん。分かった」

青年兵「司令、僕らは上空より突入してみます」

天才「おう、頼むわ。こっちは前衛に俺様と特遊と朱雀チームの奴ら」

王子「おいおい、西国は?」

天才「お前らはあくまでメインディッシュが仕事だ。前菜如きで地カワ使う必要もねぇ」

王子「……ほっほーう。なるほど、確かに言えてる!」
433 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:51:31.21 ID:IHIwTwCqo
ザッ

天才「そんじゃ行くぞー」

青年兵「召喚士さん、僕らも」

召喚士「ああ。行けっ、コカトリス!」

青年兵「出でよ、ワイバーン!」

シュイイィィィィン…バシュウウゥゥゥゥ

隊長「道は分かるか?」

盗賊「……ああ。割と平坦な1本道さ」

戦士「こんな所があったんだなぁ」

魔道士「あ、そっか。戦士さんは初めてですもんね」

戦士「そうなんだよ。俺が別行動してた時だもんなぁ」

女隊員「まだ日中なのに、森が覆い被さってて不気味ッスねぇ……」

盗賊「……前も言ったが、気が襲ってくるから気をつけろ」

天才「後ろも気をつけとけよー。そっち狙ってくっかもしれんぜ」

王子「りょーかい!」
434 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:52:25.95 ID:IHIwTwCqo
バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「く……っ」

召喚士「凄い風だな……っ。青年兵くーん!」

青年兵「召喚士さん? いや、気のせいか」

召喚士「駄目だ……聞こえてないみたい。仕方ない」

シュイイィィィィン

シルフ「あのさ、いちいち伝令代わりに……」

召喚士「ごめんごめん、でもシルフしか頼れないんだ」

シルフ「……そ、それなら別に伝令してあげてもいいけどっ!」

召喚士「ありがとう。この先に青年兵くんがいるはずだから」

シルフ「うんっ、行ってくるよ!」

フワッ

コカトリス「この砂嵐、自然のものではないな」

召喚士「うん。魔王が起こしているみたい」

コカトリス「この高度ですらまだ上まで伸びている。果たしてどこまで伸びているのやら」
435 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:52:57.96 ID:IHIwTwCqo
召喚士「……行けるとこまで行ってみる?」

コカトリス「やめておけ。魔力の無駄だ」

召喚士「だよね。あとは迂回する……とか?」

コカトリス「迂回と言っても、どこまで迂回すれば良いのだ?」

召喚士「魔王の背後からなら仕掛けられるんじゃない?」

コカトリス「背後……更に西か?」

召喚士「……最西端の更に西って、何があるんだろう」

コカトリス「さぁ、私は存じぬ。それはお主が己の目で見てみたら良い」

召喚士「……そうだね」

ゴオオォォォォ…

青年兵「やはり無理があるな……っ。出来るとすれば……」

ワイバーン「おい、側面から何か来るぞ!」

青年兵「敵っ!? まさか――」

フワッ

シルフ「いよーっす!」
436 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:53:39.22 ID:IHIwTwCqo
ワイバーン「何だこの小者は。確か、朱雀のシルフだったか?」

シルフ「ちょっと失礼ねアンタっ!」

青年兵「召喚士さんから伝言ですか?」

シルフ「そうなのよ、参っちゃうわよね。ぷんっ!」

青年兵「は、はぁ。えっと……それで?」

シルフ「ああ、そうそう。アイツのとこまで案内するから付いてきて!」

青年兵「助かります。行こう、ワイバーン」

ワイバーン「やれやれ」

バシュウウゥゥゥゥ

シルフ「おーい! 連れてきたぞー」

召喚士「シルフ! ありがとう!」

シルフ「ぬふふんっ」

青年兵「すみません、視界が悪くはぐれてしまいました」

召喚士「こっちこそごめん。それで……どう?」

青年兵「どこも一緒ですね。易々とは突破出来ない、風の壁ですよ」
437 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:55:24.96 ID:IHIwTwCqo
召喚士「……」

青年兵「ひとまず調査はこれで終えましょう」

召喚士「そうだね。このまま突き進んでも魔力の消費が激しいし……」

青年兵「何より魔王が襲ってくるとも限りませんからね」

召喚士「うん。魔王に至っては上空ですら安全ではないって実証済だからね」

青年兵「そうなんですよね。では引き返しましょう」

召喚士「うん」

コカトリス「では行くぞ」

バシュウウゥゥゥゥ…

ワイバーン「山の付近は風が弱いな」

召喚士「なるほど、山にぶつかって余計に上空の風が強まってるんだ」

青年兵「そうか……っ」

召喚士「でも大丈夫。地上なら地上でのやり方がある」

青年兵「……先日、司令とテストしていたという作戦ですか?」

召喚士「うん。まぁ楽しみにしててよ。きっとうまくいくよ!」
438 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:56:26.36 ID:IHIwTwCqo


ザッザッザッザ

魔道士「……うぅ」

男隊員「本当に魔物なんているのか? 物音の1つもねぇぞ?」

隊長「油断するな。どこから来るか分からんぞ」

ピクッ

盗賊「……?」

天才「今、確かに気配を感じたぞ」

盗賊「……ああ。それも複数」

ギュルルッ!!

戦士「何っ!?」

女隊員「あうぅ……っ!!」

隊長「女隊員!」

天才「そっちもだ! 避けろぉ!!」

ギュルルッ…ガシィ!!
439 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:57:51.73 ID:IHIwTwCqo
魔道士「ひゃん……っ!!」

盗賊「くあ……ぁ……っ!!」

ギチギチギチ…ズリュウウゥゥゥゥ

女隊員「胸……苦し……ッス」

格闘家「師匠っ!」

天才「分かってる! 木々を焼き払え! 斬り落とせ!」

男隊員「この腐れド変態共があぁ!!」

戦士「はあぁーっ!!」

ジャキッ…ザシュウウゥゥゥゥ

西方参謀「離れてろっ、炎の巻き添え食うぞ!」

ドドオオォォォォン…ゴアオオォォォォォ!!

王子「すっげ……」

ボトボトボトッ…タッタッタ

西方副司令「大丈夫!?」

魔道士「けほけほっ、は……はい……っ」
440 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 17:58:44.27 ID:IHIwTwCqo
ザッ

女隊員「油断した……ッス」

盗賊「……くっ」

天才「ダメージはなさそうだな」

盗賊「……ああ」

ウゾウゾウゾ

戦士「おいおい、まさかこれ、全部魔物だってのか?」

西方参謀「いんや、そうでもねーみたいだが……こりゃ相当の数だわな……ヒック」

西方副司令「どうします?」

タッタッタッタッタ

召喚士「あっ、追いついた……良かったぁ」

青年兵「司令っ! 魔物が……?」

天才「ナーイスタイミング!」

召喚士「……?」

天才「ほれ、早く来い。お前らの出番だぞ!」
441 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 18:00:26.81 ID:IHIwTwCqo


サラマンダー「……」

シルフ「あのさー。伝言やら結界やら、召喚獣使い荒くない?」

召喚士「いやっ、この件に関しては俺じゃなくって……」

シルフ「断ればいいでしょ!」

召喚士「……」

天才「ハーッハッハ! 相変わらず召喚獣の尻に敷かれてやがるな!」

西方参謀「確かにこれなら、枝の魔物は寄ってこれんわな……ヒック」

青年兵「でも大丈夫ですか?」

天才「あ?」

青年兵「これでは居場所を教えてしまっているようなものですよ」

天才「いいんだよ。どうせデカブツ探しにきてんだからよ」

ゴゴゴゴゴゴ

天才「向こうから来てくれるんなら万々歳って話だ」

ゴゴゴゴゴゴ
442 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 18:01:03.26 ID:IHIwTwCqo
戦士「なぁ、さっきからこの地鳴りは何だ……?」

召喚士「地鳴り……? ま、まさか……っ」

ズゴゴゴゴゴ!!…ドッゴオオォォォォン!!

女隊員「出たッスー!!」

隊長「全員、戦闘態勢ぃ!!」

ズザァ…ジャキジャキッ!!

魔獣「ヴゴオオオオォォォォォォ!!」

ビリビリビリッ!!

盗賊「――っ!!」

巨大な咆哮は一同の耳をつんざき、その地鳴りと共に只事ならぬ者である事が確信出来た。

姿を見せた魔獣の顔は、召喚士らが遭遇した時同様、鰐のような口角から柱のような牙を剥き、

山を削り上がって来たかのように土や岩を巻き上げながら、目の前へと現れた。

天才「コイツか。お前らの言ってたデカブツってのはよ!」

魔道士「そっ、そうです!!」

王子「でかいとかいうレベルじゃないよこれっ! 顔しか出てないじゃん!」
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/02(水) 18:01:59.57 ID:IHIwTwCqo
ドッゴオオォォォォォ!!

男隊員「アッブねぇなコラぁ!!」

ドッドオオォォォォン!!

魔獣「ブッゴオオォォォォーッ!!」

男隊員「おいおい……魔法が微塵も効いてねぇぞ!?」

盗賊「外殻がとにかく硬いっ! 並大抵の武器では通用せぬぞ!」

傭兵「武器も駄目、魔法も駄目って……どうすりゃいいんだよ!」

戦士「だがなぁ、この雷切は……並大抵の武器じゃねぇぞ!」

天才「俺様のツヴァイハンダー・フュンフもなぁ!」

グアァッ……ズガュウウゥゥゥゥ!!

召喚士「やった! 魔物に傷を……」

天才「五行……水!」

ドッドオオォォォォン!!…ガキイイィィィィン!!

天才「斬って傷口作って、そこから魔法。骨が折れるなんてレベルじゃねぇぞクソが!」

一同は交代で攻撃を繰り返すが、魔獣の咆哮が止まる事は決してなかった。
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga]:2011/11/02(水) 18:04:15.56 ID:IHIwTwCqo
ひとまずこれにて失礼致します!
ご支援まことに感謝!あとで来たいですが猛烈にお腹が痛い…
せっかく明日は休みなので、何とか頑張りまうす…それでは!!ノシ
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 23:01:52.59 ID:xlqWjd3Zo
>>1おつ!!
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/02(水) 23:05:30.33 ID:TMDEDDODO
1乙、ゆっくり休んで下さい!
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/02(水) 23:10:50.15 ID:n2Sl/BjDO
つ正露丸
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) :2011/11/03(木) 03:52:09.06 ID:jOK6gNf80
いちおつ 無理しないで
峯山龍だったっけ
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/03(木) 05:20:59.64 ID:wEsSSpBAO
盗賊と魔道士にもレベルアップが必要だな
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 10:28:46.98 ID:vysopfrQo
>>442
クッパ…
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 12:11:26.01 ID:c9XVsP9DO
>>1
>>421
の最後「行け!セメクト」で想像したらワロタ
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/03(木) 12:33:26.97 ID:1OL0TgYEo
HAHAHAHAHAHA
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(不明なsoftbank) [sage]:2011/11/03(木) 12:54:09.60 ID:t+jXI/S5o
新雷切、両刃の刀って言ったら小烏丸しか思いつかないがそんな感じなのかな
クレイモア程の刃長は持ってないけど
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 14:36:12.32 ID:pIjkz34DO
そこは 「行け!アヌビス!」だろ
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/03(木) 15:55:29.19 ID:29PLctlIO
行け!アヌス!
456 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/03(木) 17:48:22.93 ID:Xo6Dz1N2o
(ドヤ
457 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/03(木) 20:08:23.52 ID:nXUByd1AO
そんなことよりシルフが可愛すぎる
458 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/03(木) 21:23:25.37 ID:q0gpL6pZo
召喚獣で結界を貼るって設定すっかり忘れてた
459 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/03(木) 22:20:56.38 ID:cPJdveGf0
そしてセメクトじゃなくてセクメトな。
460 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/03(木) 22:59:38.67 ID:uRJ85uLLo


魔獣「グッゴアアァァァァ!!」

男隊員「キリねぇぞこれ!」

戦士「ちっ」

青年兵「どうします? 一旦、距離をとりますか?」

隊長「距離をとれば背後には森の魔物がいる。振り切れねば挟撃にあうぞ」

王子「でも、こんなの倒せこないって!」

魔道士「ど、どうしたら……」

召喚士「……天才さん」

天才「あ?」

召喚士「やっぱり、まずは魔物を引きずり出す事が先決じゃないでしょうか」

天才「……同感だな」

青年兵「よし、前衛は頭部を集中攻撃。後衛は体を引っ張り出しましょう」

傭兵「出すって……どうやってやるんだよ!?」

天才「とにかく総当りで遮二無二やるしかねぇ」
461 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/03(木) 23:06:50.24 ID:uRJ85uLLo


ザッ

隊長「さーて。敵は未知数の相手だ。油断だけはするなよ」

戦士「油断なんざしてる余裕はねぇよ」

盗賊(引き付けてどうこう出来る相手でもない。さて、どうするか……)

傭兵「王子。アンタは少し退がって戦えよ。何かあったら俺が殺されちまう」

王子「アホ。そんな事言ってると、その前に魔物に殺されちゃうぞ?」

青年兵「さぁ、それでは行きますよ!」

戦士「おうっ!」

隊長「止めれば捕まる。とにかく真っ直ぐ走れ!」

青年兵「出でよっ、ワイバーン!!」

バハムートが飛翔すると、それを追うように盗賊と戦士が左右を駆け出す。

更に中央からは隊長を中心に、王子と傭兵が剣を構え一気に魔獣へと走りだした。

ザザザザザザッ

魔獣「グゴオオォォォォーッ!!」

青年兵「いっけえぇーっ!」
462 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/03(木) 23:12:36.16 ID:uRJ85uLLo
ドッゴオオォォォン!!

青年兵の声に呼応したワイバーンが上空より火球を打ち放ち、

それが魔獣の鼻先に着弾すると、強烈な爆発音と爆炎が巻き起こった。

魔獣「グヴオオォォォォ……ッ!!」

隊長「叩き込めえぇ!!」

戦士「おおぉぉーっ!」

盗賊「はぁっ!」

炎と煙を掻い潜るように、その奥から勢いよく飛び出す3人が凶悪な頭部に襲い掛かる。

ガギイイィィン!!…ギイイィィン!!

隊長「くっ!」

盗賊「やはり硬い……っ」

ズザッ…グググッ

戦士「でああぁぁーっ!!」

先程の居合いとは違い、戦士の手より放たれた雷切の一振りは、

刀身に十分な雷を纏い、魔獣の鼻筋に音もなく静かに突き刺さる。
463 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/03(木) 23:14:03.31 ID:uRJ85uLLo
サクッ…ガカアアァァァァ!!

魔獣「グヴオオォォォォ!!」

戦士「ま……だまだあぁ!!」

雷切を引き抜き更なる一撃を振りかざそうという戦士の挙動に応じてか、

魔獣はそれを嫌がるように、顔を大きく仰け反らせ、戦士を振り落とす。

戦士「ちぃ……っ!!」

青年兵「西国王っ!」

王子「分かってるよ! 召喚獣に続けぇ!」

顔を上げた魔獣めがけ、側面よりワイバーンの尾撃が襲い掛かる。

ギュオォ!!

青龍を代表する召喚士獣、ワイバーンの尻尾が、魔獣の頬に直撃した。

それを合図に、王子ら西国軍が剣を身体の横に構え、一気に間合いを詰める。

王子「突撃ぃーっ!!」

傭兵「だっしゃあぁ!!」

親衛隊「おおおおぉぉ!」
464 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/03(木) 23:20:11.75 ID:uRJ85uLLo
ガギギギギンッ!!

王子「横も……かってぇ!!」

傭兵「だがよっ、正面よりゃあマシだぜ!」

戦士「怯んでるぞっ、チャンスだ!」

タッタッタッタ…ヒュバッ!!

盗賊「火遁っ、焔!!」

ザシュウウゥゥ!!…ドッゴオオォォン!!

戦士「ナイス援護っ!」

盗賊「ふっ、任せておけっ」

隊長「いいぞ、このまま任務継続だ。後方の動きを悟らせるな!」

魔獣「……グウオオォォォォ」

戦士「王子っ、そっちは問題ないか!?」

王子「もっちろん! そっちこそしっかりね!」

戦士「はははっ、言うじゃねぇか!」

魔獣の頭部を狙う前衛チームの奮闘が、後方チームを大いに助けていた。
465 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/03(木) 23:47:38.26 ID:uRJ85uLLo


タッタッタッタ…ズザァ

天才「ま、この辺でいいだろ」

魔道士「どうするんですか?」

天才「どーすっかねぇ……」

男隊員「おいおい」

天才「とりあえず一攫千金、掘り当てるしかねーわな」

女隊員「掘り当てる? 本当に引っ張り出すって事ッスか?」

召喚士「でも、それ以外にないですね」

天才「とりあえず俺様と魔道士と男隊員で魔法付加に務める」

格闘家「了解です」

召喚士「俺は……どうします?」

天才「お前は単独で、とにかく召喚獣をぶつけまくれ」

召喚士「……わ、分かりました」

天才「そんじゃいくぞー。チンタラしてっと気付かれっからな。手際よくやれよ」
466 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/03(木) 23:50:01.95 ID:uRJ85uLLo


ザッ

女隊員「……オッケーッスよ」

男隊員「んじゃいくぞ」

キュイイィィィィ…

女隊員「よっこら……っしょおおぉぉ!!」

グワッ…ズッドオオォォォォン!!

女隊員によるハンマーの一撃に、男隊員の火行が加わり、地面には巨大な穴が開いた。

女隊員「次、イイッスよ!」

男隊員「おーう。そんじゃいくぜ――」

バッゴオオォォォォン!!

男隊員「っ!?」

女隊員「な、何の音ッスかぁ!?」

パラパラパラッ…ゴトッ

格闘家「……ふーっ」
467 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/03(木) 23:50:40.74 ID:uRJ85uLLo
天才「上等。お前、腕上げたよなぁ」

格闘家「ありがとうございます。、師匠のお陰ですよ」

天才「ハーッハッハッハ! まぁな。そんじゃこのまま、もいっちょいくぞ」

格闘家「はい」

キュイイィィィィィ…

天才の木行と水行の合体魔法が、格闘家の拳にそれぞれ覆い纏うように付加する。

格闘家は一呼吸整えると、その両拳を勢いよく、地面へと突き出した。

バッゴオオォォォォン!!

隕石でも落下したかのような、巨大な穴が、更にその一撃で大きさを増す。

格闘家「……ふーっ。次、お願いします」

天才「おう。風と水の方が威力あったな。しばらくこれで続けるぞ」

格闘家「了解」

シュウウゥゥゥゥ

男隊員「……こっちも負けてらんねーぞ!」

女隊員「分かってるッスよ! 付加も全力でくるッスよ!」
468 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 00:02:50.00 ID:9fEbw1Bwo


コカトリス「どうするのだ?」

召喚士「とりあえず手っ取り早いのは……」

ザッ

召喚士「行けっ、スフィンクス!」

シュイイィィィィン

スフィンクス「じゃじゃーん!!」

召喚士「スフィンクス、地面めがけてパンチだ」

スフィンクス「オッケー! いっくよー、両手地面ぱーんちっ!!」

グワァッ…ズッドオオォォォォン!!

スフィンクス「どうっ!?」

召喚士「ばっちり! そのまま続けてっ」

スフィンクス「おっけー!」

コカトリス「……確かに、手っ取り早いな」

召喚士「でしょっ」
469 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/04(金) 00:23:09.51 ID:K0eJ8/WAO
コカトリスさん出番ないから話し相手目的に召喚されちょる
470 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/04(金) 00:24:56.32 ID:f3neIRTzo
朱雀化するまで待て
471 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/04(金) 01:42:40.81 ID:00qW0+dAO
>>1乙〜
472 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/04(金) 01:43:12.52 ID:00qW0+dAO
>>1乙〜
473 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) :2011/11/04(金) 03:30:44.52 ID:ntU7Ci7t0
いちおつ
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 11:35:13.83 ID:ZTbZ1r3bo
>>1

>>461
青年兵「出でよっ、ワイバーン!!」
バハムートが飛翔すると、それを追うように盗賊と戦士が左右を駆け出す。

どういうことなの・・・
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 11:39:07.13 ID:nz9ZLUADO
それくらい脳内補完しろよ
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/04(金) 12:30:54.32 ID:puEMNf99o
こわ
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 13:34:29.28 ID:s/pdkYCIO
でも、呼び声とは違うのを召喚するテクもあるし
その練習でもしてたんだよ
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 17:00:25.42 ID:7cfVLwtDO
誤字脱字に関して今更とやかく言われても…ww
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/04(金) 17:10:04.75 ID:Sebf11gAO
いちおつ……ふぅ
2週間前に最初から読み初めて今追い付いた……ふぅ
量が多すぎだろ!……ふぅ
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(石川県) [sage]:2011/11/04(金) 17:25:09.37 ID:m/QlR5+fo
>>479
ケータイのくせにやるなww
ようこそ
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga]:2011/11/04(金) 17:28:06.59 ID:67wNM8hSo
>>479
やるなっ!?ようこそ!!あと量多くてごめんなさい…

>>474-478
何故かバハムートに…ワイバーンの間違いです。申し訳ありません…

↓続き
482 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:28:58.95 ID:67wNM8hSo
召喚士らが穴を掘る事しばらくの後、地面へ変化が現れ始めた。

バッゴオオォォォォン!!

スフィンクス「……んっ?」

シルフ「今さ、何か動かなかった?」

スフィンクス「うんっ。そう見えた! お兄ちゃん呼んできてよ!」

シルフ「はぁ!? アンタ自分で行きなさいよねっ」

スフィンクス「うん、分かった!」

ドズンッ

シルフ「わわっ、やっぱりアタシ行くから! アンタここにいなさい」

フワッ…バシュウゥ

召喚士「うーん……。ここと天才さんのところと、あとはあっちか」

コカトリス「なぁ、お主の推測が正しければこれは……」

シルフ「ちょっとちょっとー!」

召喚士「シルフ?」

シルフ「あっちで変化があったわよ。来て来てっ」
483 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:29:33.62 ID:67wNM8hSo
キュイイィィィィ…

魔道士「……オッケーです!」

天才「おーし。そんじゃいくぞー」

クルクルッ…ジャキッ!!

格闘家「……もう少し退がった方がいいかと」

女隊員「みたいッスね」

ザザッ

天才「ファイナル……ジーニアススラーッシュ!! ウィズ魔道士!!」

天才が大きく振りかぶり放つ、ツヴァイハンダーによる渾身の一撃は、

魔道士の強大な魔力を十分に受け取り、山の一部を消失させた。

ドゴゴゴゴゴ…

男隊員「や……りすぎだろ……っ!」

格闘家「……っ」

天才「…………」

地面へ突き刺さったツヴァイハンダーを抜くと、刀身には緑色の液体が付着していた。
484 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:30:14.07 ID:67wNM8hSo
ズルゥ…ボタボタッ

天才「こ……れは」

ズゴゴゴゴゴ…

魔道士「な、何ですかっ!?」

女隊員「地響き? 大きいッスよ!?」

男隊員「おいおい、まさか……」

天才「全員退けぇ!! 行ける限り山を降れぇ!!」

魔道士「召喚士さんがまだ――」

天才「あいつならコカトリスがいる! 大丈夫だ!」

ズザザザアァ…タタタタッ

地響きは徐々に徐々に大きさを増し、更には大地が揺れだす。

男隊員「おわっ、あっぶ……」

地割れが発生し、山全体が揺れ動くような、それ程までに大きな衝撃であった。

魔道士「召喚士さ……きゃっ!」

天才「足元に気を付けろ! そのまま飲み込まれてーのか!」
485 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:30:43.67 ID:67wNM8hSo
ズゴゴゴゴ…ベキベキベキィ!!

召喚士「な、何だ……!?」

スフィンクス「見てみてっ! 地面が動いてるよ!」

召喚士「!?」

タッタッタ…ズザッ

召喚士「……これは……地面じゃない! 皮膚だ!」

コカトリス「推測が当たったな。おそらくはこの山の中、一部が魔物の胴体部分だ」

シルフ「えぇ〜っ!? デカすぎないー!?」

コカトリス「乗れ。いい加減、離脱せねばまずいぞ」

召喚士「う、うんっ。スフィンクスの召喚だけ解除する!」

シュイイィィィン

召喚士「よし、いいよコカトリス。お願い!」

コカトリス「飛ばすぞ!」

バッシュウウゥゥゥゥ

シルフ「ちょっと待ってよ〜!」
486 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:31:15.50 ID:67wNM8hSo
ズゴゴゴゴゴゴ

隊長「……!?」

戦士「な、なんかまずくないか?」

盗賊「おいっ!」

戦士「!?」

魔獣「グヴォオオォォォォオオォォ!!」

青年兵「何か、苦しんでいるようですね」

隊長「つー事は、あっちが何かしらやってくれたって事か……」

親衛隊「王子っ。ちょっとまずいですよこれは……っ」

王子「だなぁ。おい、離脱した方がよくないか?」

戦士「賛成だ」

隊長「各自、散開しながら離脱! 敵から目を離すなよ!」

盗賊「戦士、行くぞ」

青年兵「僕は上空から魔物を牽制します。先に行って下さい!」

隊長「助かる」
487 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:31:45.39 ID:67wNM8hSo
タタタタッ…タッタッタッタッタ

男隊員「うわわわわわわわ!!」

女隊員「わわわわわわわっ!!」

バキバキバキバキイィ!!…ボゴオォ!!

天才「跳べぇ!!」

魔道士「ここからですかぁ〜!?」

天才「飲み込まれるよりマシだ!」

格闘家「……っ」

ババッ…ダンッ!!

魔道士「きゃああぁぁーっ!!」

女隊員「落ちるッスよおおぉぉ〜!」

バシュウゥゥゥゥ…ドサッ

リンドブルム「……無事か?」

男隊員「リンドブルム!? 青年兵か!!」

青年兵「皆さん無事ですか!?」
488 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:32:13.95 ID:67wNM8hSo
女隊員「こっちは大丈夫ッス! でも……」

男隊員「司令と魔道士の嬢ちゃんが見当たらねぇ!」

青年兵「それなら……」

スッ

格闘家「上……?」

バサアァ…バサッ

コカトリス「……まさに、間一髪だったな」

召喚士「目に飛び込んできた時はどうしようかと思いましたよ……」

天才「ハーッハッハ! ご苦労ご苦労!」

魔道士「召喚士さぁん!」

ダキッ…ギュウウゥゥ

天才「……イチャイチャは後にしろよ」

魔道士「そ、そんなんじゃあり――」

天才「見てみな。いよいよデカブツのお出ましだ」

召喚士「――っ!!」
489 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:33:17.50 ID:67wNM8hSo
コカトリスの背より地面を見下ろす召喚士と魔道士。

その瞳に映るものは、砕けた山の中より這い出るように顔を上げ、

その背中に乗った土を振り払うように、左右へ体を揺さぶっている魔獣の姿であった。

ドドオオオオォォォォ

男隊員「デカイとか……そんなレベルじゃねぇぞ!!」

格闘家「あんな魔物……見た事も聞いた事もない……っ」

一見すると亀のようなその魔物であるが、ドラゴンにも近しい姿を持っており、

近づけばその大きさはまるで城や小さな山そのものの様相であった。

青年兵「リンドブルム。皆を後方で降ろしてくれ」

リンドブルム「貴様は?」

青年兵「ワイバーンと共に近づいてみる」

男隊員「おい、危ねぇぞ!」

青年兵「大丈夫。ただの偵察です。無茶はしませんから」

女隊員「気を付けるッスよ!」

青年兵「行ってきます!」
490 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:34:12.17 ID:67wNM8hSo
タタタタタタッ…ズザアアァァ

王子「何とか……逃げ切ったぁ!」

傭兵「な、何じゃあありゃあ!!」

親衛隊「!?」

魔獣「ヴァオオオオォォォォォン!!」

盗賊「……こ、こんなにも……っ」

戦士「デカイのかよ……っ!」

隊長「風が……止んだ?」

厳密に言えば止んだ、のでなはく、とてつもなく大きな魔獣の体が壁となって、

その一帯のみ風を防いでいるような状態であった。

傭兵「そ、そんんでどーすんだよっ!?」

王子「あんなの相手にするのは、流石に無理だろ!」

盗賊「……どうするのだ?」

隊長「……退却だ。あっちも無事みたいだしな」

戦士「あれは……コカトリスに、青年兵の召喚獣もかっ!」
491 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:34:38.72 ID:67wNM8hSo
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「良かった! こっちのみんなも無事みたいです」

天才「おーし。撤退撤退! 西の砦まで引き返すぞ!」

バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

女隊員「隊長っ、みんなも無事ッスか!?」

隊長「ああ。そっちも無事なようだな」

格闘家「はい。全員無事です」

男隊員「しっかし、地上で見ると更におぞましい迫力だな……っ」

召喚士「戦士、盗賊さん!」

盗賊「大丈夫だ」

戦士「しかし……どんだけデカイんだ?」

魔道士「まるで山のようでしたよ……っ。ここからじゃ正面しか見えませんけど……」

天才「……」

召喚士「天才さん? 魔物見つめて……どうかしましたか?」

天才「……いんや、何でもねぇ。砦に戻んぞ」
492 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:35:25.39 ID:67wNM8hSo
バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「よし。みんな撤退したみたいだな」

ワイバーン「我らも退がるとするか」

魔獣「ヴァオオオオォォォォ!!」

ビリビリビリッ

青年兵「……凄い咆哮だな……っ」

ワイバーン「一筋縄でいく相手ではなかろうな」

青年兵「……うん」

バシュウウゥゥゥゥ

〜西の砦〜

神官「ご苦労様でした」

王子「まずい魔物がいるぞ」

神官「ここからでも見えますよ」

サモナー「まさかあんな化物だったなんてね……」

西方魔道長「それで、どうするんだい?」
493 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:36:11.59 ID:67wNM8hSo
天才「作戦会議だ、作戦会議!」

カツカツカツカツ

召喚士「戦士、雷切は通用した?」

戦士「ああ。だが、ちょっとやそっとの傷を与えたところであの巨体じゃあな」

召喚士「だよね」

西の砦では魔獣の全貌が明らかになった事により、今まで以上に慌しくなっていた。

直線上でそう遠くない距離。しかも魔獣はこちらの気配に気付いている状態であった。

魔道士「あっ、青年兵さんも戻ってきましたよ!」

バシュウウゥゥゥゥ…ザザッ

青年兵「お待たせしました」

隊長「よし。これより作戦会議を行う」

神官「大広間を開放せよ。衛兵は城壁より魔物の監視を強化」

西国兵「了解であります!」

盗賊「……忙しくなってきたな」

召喚士「ええ。かなりの大物ですからね」
494 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:37:24.40 ID:67wNM8hSo
〜大広間〜

青年兵「それでは始めます」

天才「まずは全員、確認したと思うが……あのデカブツについてだ」

男隊員「引っ張り出したはいいが、ありゃとんでもねぇバケモンだぞ」

格闘家「どうやって倒します?」

サモナー「小細工は無意味に近いでしょうね。やるならば強烈な一撃で沈めるしかない」

天才「……」

戦士「五行か?」

天才「他人事だと思って簡単に言ってくれるよなぁ」

戦士「いや、そういうつもりじゃねぇけどよ……」

隊長「とにかくだ、今はあれの足を止める事が先決だろう」

男隊員「だよな。サンドワームみてぇに放置しておきゃいいってもんでもねーし」

格闘家「しかし、具体策は今のところ見当たらず」

天才「とにかくあの手この手試してみるしかねぇな。あとは時間との勝負だ」

召喚士「……っ」
495 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:37:55.25 ID:67wNM8hSo


神官「魔物の動きはどうだ?」

西国兵「ほんとんどうごいていません」

天才「裏を返せば少しずつだが動いてるって事だ」

神官「リミットは如何お考えで?」

天才「青年兵、どうんくらいか試算できっか?」

城壁から正面の魔獣を見つめ、一同は青年兵の答えを待つ」

青年兵「……ざっと、3日といったところでしょうか」

神官「3日以内に駆逐……いや、倒さねばなりませんね」

魔道士「3日……ですか?」

神官「ええ。およそ3日でここ、西の砦へ魔物が到達するという事ですよね?」

天才「そういう事だ。まぁ避難すれば犠牲はないだろうが、拠点を失うのは痛い」

召喚士「魔王討伐に支障をきたしますね……っ」

天才「理解したか? 魔王を倒すにはデカブツを3日以内に始末するのがクリア条件だ」

盗賊「……了解」
496 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:39:12.61 ID:67wNM8hSo


バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……速度はだいたい把握できたね」

青年兵「ええ。しかし上空から見ると、本当にとてつもなく大きいですね……」

召喚士「うん……っ。こんなに大きな魔物の動きを止めるなんて、本当に出来るのかな……」

青年兵「コカトリスの石化ではどうでしょうか?」

コカトリス「前足1本でも、召喚士の魔力をどれだけ食う事だろうな」

召喚士「……だよね」

青年兵「そろそろ戻りましょうか」

召喚士「うん」



ゴオオォォォォ…スタッ

天才「ちょうどいい、青年兵」

青年兵「はい」

天才「疲れてるところ悪りーが、西方司令部まで飛んでくれや」
497 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:39:56.36 ID:67wNM8hSo
青年兵「!?」

天才「先に行って、あっちの準備が整い次第積んで来い」

青年兵「西方司令……ですか?」

天才「以外に何があるんだよ」

青年兵「り、了解です。今夜中に早速、西方司令部へ向かいます」

天才「頼んだぜ。デカブツ倒すには必要かもしんねーしな」

召喚士「……?」

テクテクテク

神官「天才殿、ちょっと宜しいか?」

天才「おう、今行く」

スタスタスタ

召喚士「忙しくなってきたね」

青年兵「ええ。あ、僕も出発の準備をしてきます」

召喚士「うん。気を付けてね!」

足早に立ち去る青年兵を見送った召喚士は、大広間へと向かった。
498 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:40:48.16 ID:67wNM8hSo
テクテクテク

戦士「おう、おかえり」

召喚士「準備はどう?」

魔道士「まだ打ち合わせ中で、何も通達されてないですよ〜」

召喚士「そうですか……」

テクテクテク

王子「魔道士お姉ちゃんと、あと隊長さんと西方魔道長さんっている?」

西方魔道長「ここにいるよ」

隊長「何かご用か?」

王子「天才さんが呼んでるよ。司令部まで来て貰える?」

魔道士「わ、私も……ですか?」

王子「うん」

魔道士「すぐに行きますっ。それじゃ……行ってきます!」

バタバタッ…タッタッタッタッタ…

召喚士「い、行ってらっしゃい!」
499 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:55:19.63 ID:67wNM8hSo
戦士「……何かの作戦か?」

召喚士「あのメンバーだと、何となく察しはつくけどね」

盗賊「……五行合体か」

召喚士「ええ。ただ、相手が相手だけにどうなんでしょうね」

戦士「効かないって事か?」

召喚士「それも魔力次第ってところはあるけど、間合いというかタイミングが難しいと思う」

盗賊「……大きさか」

召喚士「ええ」

戦士「でもあれ相手じゃあ、魔法に頼らざるを得ないよな」

召喚士「召喚獣でも出来る限りはやってみるけど、正直効くとは思えないしね……」

盗賊「……ゾディアックはどうだ?」

召喚士「うーん……厳しいかもしれませんね。今回は魔法使用者が少ないので」

戦士「それに、おれだってそんなにばかすか使いたくねぇよ。一応だが命にかかわるんだぞ?」

盗賊「それもそうだな……」

召喚士「とにかく、今は作戦の通達を待ちましょう」
500 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:55:52.00 ID:67wNM8hSo
〜司令部〜

ガチャッ

王子「連れてきた」

天才「おう、助かる」

神官「とりあえずこの地図を中心にお座り下さい」

天才「さっきざっと描いた地図だが、ここが西の砦。んでこっちがデカブツだ」

魔道士「……天才さん……絵、上手いんですね……っ」

天才「あ? んな事ぁどーでもいい。んでだ、お前さんらにお願いしたいのは……ここ」

隊長「何だこれは? 魔方陣……?」

天才「正解」

西方魔道長「この魔方陣は……五行じゃないかい!?」

天才「そ。、名付けて……天才プロデュース、ネズミ捕り大作戦!」

王子「ださっ」

魔道士「ど、どういう作戦何ですっ!?」

天才「それを今から説明する。至ってシンプルなもんだ。よーく聞けい」
501 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/04(金) 17:56:46.89 ID:67wNM8hSo
ザッ

天才「まずこのデカブツだが、綺麗に直進してここに向かってる」

神官「先程から探りを入れていますが、軌道を変える事はまずありませんでした」

西方魔道長「根拠は?」

天才「進路上のサンドワームが1匹も見当たらなくなった。恐らく逃げたんだろうな」

隊長「まぁ、このままではつぶされかねないからな」

天才「つまりデカブツはただただゆーっくりと、真っ直ぐここを目指してるって事になるわな」

神官「そこで、砦の前方にこの魔方陣を敷きます」

魔道士「……っ」

天才「するとどうなる?」

隊長「真っ直ぐ進んできた魔物は、勝手に魔方陣に入り込む事になるわな」

天才「そこで合体五行発動! ネズミ捕りがガブッ! って寸法よ」

王子「モグラ叩きやらネズミ捕りやら忙しい限りだね……はぁ」

天才「ハーッハッハ! いいじゃねぇか。たまにはこういうのも楽しいだろ?」

王子「楽しくないよっ!」
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga]:2011/11/04(金) 18:00:33.75 ID:67wNM8hSo
ひとまずこれにて!
本日もご支援ありがとうございます!それでは!ノシ
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/04(金) 18:37:11.79 ID:6fc857AAO
成長してもお姉ちゃんって呼んでる王子がかわいい

しね
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 19:15:21.29 ID:NQzQS56DO
>>1

>>503
ワロタw
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/04(金) 19:55:56.94 ID:nz9ZLUADO
おっつんぽ!
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) :2011/11/04(金) 20:55:46.56 ID:X5q3aBx40
>>1乙。

今回の亀さんはアレか?S.O.M級のデカさかな?
http://www.youtube.com/watch?v
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/04(金) 21:10:31.07 ID:F207HsMdo
スピリットオブマザーウィル級?
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/04(金) 22:25:36.81 ID:5oBV3Kq9o
牛魔王とどっちが大きいかな
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/04(金) 22:34:49.30 ID:SUESaaQAO
>>1

なんか脳内イメージするとめちゃくちゃデッカい敵だな
ワンダと巨像ってゲームの三体目を思い出すわ


そして王子はいつまで猫被ってるんだろうかホントはドスケベのくせによぉ!!!
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/05(土) 01:37:31.01 ID:BdI8hagAO
まだまだ先が長いな
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage ]:2011/11/05(土) 06:21:16.81 ID:wCM7mRiYo
いや、これは厨2ゲームテイルズに出てくる、ロックガガンっぽさがある
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/05(土) 16:43:21.56 ID:GKI/rtYpo
FFのアダマンタイマイだろ。13あたりの。かめだしでかいし
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/05(土) 19:47:59.50 ID:/jVPCzGNo
モンハン2の老山龍だろう
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/05(土) 23:53:59.28 ID:+QjyqiNW0
いやいやマクロス並みでしょ
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 01:24:30.47 ID:ZUvZFwAt0
つまんないし、さげろよ
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/06(日) 02:19:08.78 ID:YBf6VRxTo
             ッ‐'"       ー、
           ,r'゛           ヾ ,
           r'                   ヾ
         ./                 ヽ
         !   ‐-              i
        ,!´       、      '     l
        〈illliiiii;,  .,,,,,,._       ;'    ;!
        lゞフ`ッ:'  .:"r-;、llii;, 、  、,_,.、 -.、
        .l  ,:::::'    `ミニ`‐      .i' :::;!
         .l'´ :r'   、  、`       !::;: :/
       ,ィ  ヽ _,. -ノ:::..  ヽ    ;r -ノヽ_ヽ、
     / l  、     ::.       /、r'/     ヽ. ヽ、
    / ..::::ヽ '´`ー‐-ヽ、        / !     lト-、 ヽ!
  ./  ,.- '.::::::i:.  ‐-   ヽ    /   /       .i!
  く r' .:::::/::::〉、     _   .:r '´   i   .:'   l
 r:'   ::::r::::::/ _ :::T:i ̄  .::l´  ヽ  /       .!

           サゲロ=アゲンナ [Sagero=Agenna]
           (1913〜1957 イタリア)
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/06(日) 09:27:09.78 ID:7o+cPNRAO
ジローラモ
じゃなくて
ジエンモーランみたいな感じって壱が言ってなかったけ?
518 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 21:53:03.10 ID:UNyxYKIwo


天才「まずは俺様とお前で魔方陣を敷く」

西方魔道長「了解だよ」

王子「待て待て。サンドワームを忘れたわけじゃないでしょうね?」

天才「その為にあんたらがいるんだろ。陛下様よぉ」

王子「ほぉ、オイシイところは持っていって、雑魚は押し付けようって魂胆か!」

神官「これまでサンドワームと戦い続けてきた陛下には適任かと思ったのですが……」

王子「……おいおい、誰もやらないとは言ってないぞ」

神官「ほお。やって頂けますか。流石は陛下」

王子「まぁ、何も心配はせずに魔法陣へ取り組んでくれたまえ。はははははっ!」

天才「いやぁ、手馴れたもんだな。ハーッハッハッハ!」

神官「ずっと見てきましたから。今までずっと」

天才「そうだわな。今までご苦労さんだったな」

王子「何か言ったぁ?」

天才「……いんや。そんじゃ大広間に戻って本作戦の詳細を詰めるぞ」
519 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 21:53:41.58 ID:UNyxYKIwo
テクテクテク

天才「なぁ神官さんよ」

神官「何でしょう?」

天才「ご覧の通りなんだが、何とかならんか?」

神官「天才殿に隊長殿。西方魔道士長殿に魔道士殿。1人足りないと言うわけですか」

魔道士「……どうしたんです?」

天才「先に行っててくれや。皆を集めといてくれ」

魔道士「は、はいっ」

タッタッタッタッタ…

天才「合体五行の場合、それぞれの魔力を均等にする必要がある」

神官「魔法陣の場合は、それが不要と?」

天才「逆だよ。ピッタリ合わせなきゃならねーんだ」

神官「!?」

天才「手元を離れてるから自分に跳ね返る事はねぇが、僅かな狂いも許されない」

神官「合体魔法とはまた違った難しさがあるわけですね」
520 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 21:54:18.40 ID:UNyxYKIwo
天才「だからこそ、並の魔法使いじゃあ話にならねーんだ」

神官「……残念ですが、西国にはそれ程までの使い手はおりません」

天才「やっぱダメか」

神官「目星は付いているのですか? このままでは1人の欠員が……」

天才「付いてねーからお願いプリーズしてんだよ」

神官「如何なさるのです? 本国からお呼びに……?」

天才「最終手段はな。しかし前回の戦いが疲弊してるし、誰かいたかな」

神官「こちらも手を尽くしてみるとしましょう」

天才「いや、いいさ。最悪、俺様が二行担えばいい」

神官「出来るのですか……?」

天才「……1度溜めてから3日充電がいる」

神官「それまで、あの魔物を食い止められるかどうか……」

天才「他の連中次第だな。ま、俺様の心配もなくはないけどな」

神官「……」

天才「ほれ、続きは大広間でだ」
521 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 21:55:59.17 ID:UNyxYKIwo
〜大広間〜

召喚士「……魔法陣……ですか?」

隊長「そうだ。明日から司令と西方魔道長で準備を進める」

盗賊「……だが、砂漠には魔物が」

王子「それを僕達で退けるのさ!」

戦士「なるほどな。やってやろうじゃねぇか」

格闘家「期限は?」

テクテクテク

天才「3日だ。砦ギリギリのところでに敷く。3日ってのはデカブツの到達時間だよ」

女隊員「3日間、凌げばいいんスね?」

天才「シンプルな作戦だろ? ヨロシク頼むぜ」

王子「よーし、やってやろうじゃないかみんなっ!」

魔道士「おーっ! やってやりましょうっ、召喚士さん!」

召喚士「ええ、や……やってやりましょう……っ」

闇の中に浮かぶ月は、少しずつその形に丸みを帯びていた。
522 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 22:05:05.41 ID:UNyxYKIwo
〜???〜

遥か西に存在する古代遺跡。その混沌とした暗闇の奥で漏れる吐息。

フッ…スタッ

ネクロマンサー「……ククッ」

コツコツコツ…コツコツ

ネクロマンサー「貴方達はここで待っていなさい」

魔剣士「……」

コツコツコツコツ…

ネクロマンサー「……おぉ」

――「フシュウウゥゥゥゥゥ……」

ネクロマンサー「ようやくお会いする事が出来ましたね、イブリース様」

たった今、イブリースと呼ばれた大柄な魔物は、ゆっくりと口を開く。

イブリース「誰だ、貴様は」

ネクロマンサー「始めまして。ネクロマンサーと申します」

イブリース「……知らんな。失せろ」
523 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 22:06:47.07 ID:UNyxYKIwo
ネクロマンサー「ククッ、これは失礼を。本日は近くまで来たもので、立ち寄らせて頂きました」

イブリース「誰の差し金だ。差し詰め臆病者のアンラ・マンユかそれとも……」

ネクロマンサー「いえいえ。私の独断です。本当にたまたまなのですよ……ククッ」

イブリース「独断? 貴様は、どこの者だ?」

ネクロマンサー「ベルゼブブ様の下でお世話になっております」

イブリース「ベルゼブブ、ああ道理で胡散臭いわけだ。納得した」

ネクロマンサー「それは何よりです。クククッ」

イブリース「で、この俺様に何の用だ」

ネクロマンサー「この地を脅かそうと、人間が迫っております」

イブリース「……で?」

ネクロマンサー「貴方様が助力を嫌う事は百も承知。せめて情報だけはと思いまして」

イブリース「分かっておきながら訪ねるとは、死は覚悟の上か」

ビュオッ…グッシャアアァァ!!

イブリース「……ちっ、不死か。全くもって好かぬ」

ネクロマンサー「これは……失礼を……」
524 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 22:07:52.65 ID:UNyxYKIwo
ズルゥ…ドチャッ

イブリース「用件はそれだけか? ならばさっさとその臓物を拾い、失せろ」

ネクロマンサー「ククッ、床を汚してしまいましたね……申し訳ありません」

ススッ

イブリース「人間。無駄と分かっていても、何度も挑んでくるか細き生物」

闇に溶け込み、光すら当たらぬこの間で、魔王は1人、不敵に笑う。

イブリース「力ある者が支配し、弱者が喰われる。それが生物の理来るなら来い、人間」

ススッ…フワッ

ネクロマンサー「さて、やはり無駄足でしたね。去りましょうか」

北方司令「……御怪我が」

ネクロマンサー「ああ、イブリース様に怒られてしましましたよ。ククッ」

お父「……」

ネクロマンサー「あの様子では、共闘は無理ですね。しかしこれ以上好き勝手されるのも癪」

魔剣士「北へ……戻りますか?」

ネクロマンサー「……いえ、折角なので少し遊んでいきましょう。クククッ!」
525 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 22:08:59.30 ID:UNyxYKIwo
〜満月まであと11日。西の砦〜

ドドオオォォォォ…

魔獣「ヴァオオオオォォォォ!!」

天才「おーおー、元気に雄叫びあげっちゃって」

西方魔道士「こんなもんでいいかい?」

天才「いいんじゃねぇか? おい、そっちはちゃんと出来てっかぁ?」

男隊員「結局俺らも手伝うのかよ……」

天才「穴掘るだけなんだから文句言ってんじゃねぇ」

隊長「とりあえず司令の図面通りには進めちゃいるが……」

天才「おーい、上からはどうだぁ? ズレてないかぁ?」

バサァ

召喚士「ええ、大丈夫ですよ!」

天才「おーう。そろそろサンドワームの方、手伝ってきてくれや」

召喚士「はいっ。行こう、コカトリス」

コカトリス「召喚獣使いの荒い人間だな、あやつは」
526 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 22:11:34.55 ID:UNyxYKIwo
バシュウウゥゥゥゥ…

コカトリス「いたぞっ」

召喚士「順調そうだね」

ドドドドドド…

王子「そっちだ! そっちから回り込め!」

傭兵「そっちってどっちだよぉ!」

王子「だーかーらーそっちぃ!」

親衛隊「後ろから来てますよぉーっ!!」

ズザァ

戦士「どりゃああぁぁ!!」

ガシュウウゥゥゥゥ!!

サンドワーム「グゴアアァァァ!!」

ドッズウウゥゥン

盗賊「順調そうだな、雷切」

戦士「ああ。だいぶ馴染んできたぜ!」
527 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 23:50:26.55 ID:UNyxYKIwo
〜西方司令部〜

西方司令「ひええぇぇ!! す、すみませんんー!!」

青年兵「い、いえ……っ。別に西方司令のせいではありませんから……」

ゴゴオオォォォォン

鍛冶娘「……オッケーです!」

局長「おーし、出来たぞぉ!!」

青年兵「おぉっ!」

テクテクテク…バサッ

局長「すまんな、待たせてしまって」

青年兵「いえいえ。完成しましたか」

局長「ああ。予想以上に時間はかかっちまったが、その分、納得のいくものが出来た」

鍛冶娘「こんな代物、後にも先にもないですよね……」

局長「だろうなぁ。そんじゃ受け取りな、兵器の為の兵器だ」

青年兵「……!?」

巨大な台車に乗せられたその物体は、青年兵の度肝を抜いた。
528 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/06(日) 23:51:21.59 ID:UNyxYKIwo
ドウンッ…バッサアアァァァァ

西方司令「ギャーッハッハッハッハ!!!!」

青年兵「流石にこれは、バハムートじゃないと運べないもんなぁ」

西方司令「コイツがバハムートか!! 最っ高にハッピーじゃねぇか!!!!」

青年兵「このまま一気に西方まで向かいます」

西方司令「いいぜいいぜぇ! 魔王だろうが何だろうが……ブチ殺してくれらああぁぁ!!」

オオォォォォ…

鍛冶娘「大丈夫ですかね……」

局長「まぁ使いこなせるだろ。あの人ならってか、あの人の為のもんだ」

鍛冶娘「……っ」

局長「あー疲れた。やっとゆっくり寝られるわ」

鍛冶娘「そうですね。ご苦労様でした」

局長「お前もな。さっさと寝ろよ、肌荒れんぞ」

鍛冶娘「ご忠告どーも」

多忙を極めた開発機関はひと時の静寂が訪れた。
529 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(九州) [sage]:2011/11/07(月) 01:17:58.66 ID:giXAkPRAO
そういえば、まだボスは特遊に配属されてないのかな
530 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/07(月) 01:19:11.26 ID:YJeokgcAO
>>1乙。
どんだけデカい兵器だw
531 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/07(月) 08:30:03.55 ID:vEu9E8RAO
>>1

西司令はナイフぐらいが一番笑えて好きだな
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) :2011/11/07(月) 13:37:37.87 ID:PF4Cvloj0
いちおつ
533 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/07(月) 14:16:21.39 ID:2bp1jzDbo
いちおっつ
534 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 17:55:47.98 ID:BsLKDqgwo
〜満月まであと10日。西の砦〜

ホーッホーッ

盗賊「……」

王子「すぴーっ、すぴーっ」

魔方陣の前にて見張りを務める盗賊、王子、隊長、格闘家の4人。

ピクッ

隊長「……?」

ズザッ…キョロキョロ

格闘家「隊長、今何か……」

隊長「ああ。盗賊、悪いが西国陛下を起こしてくれ」

盗賊「……ああ。王子、起きろ」

王子「ん……んーっ」

隊長(今のは何だ? 魔物の気配には違いないのだが……)

王子「……なぁに? もう後退ー?」

盗賊「危ないっ!!」
535 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:03:27.08 ID:BsLKDqgwo
ヒュバッ!!…ズシャアアァァ

王子「――っ!?」

盗賊の脇に抱えられた王子は、寝惚け眼で己を狙った触手のようなものを見つめる。

格闘家「上かっ!」

隊長「それに右もだっ、いや……正面もか」

ザッザッザッザッザ

盗賊「貴……様……っ!!」

ネクロマンサー「迷ったが、まぁ倒しやすさで考えたら西しか選択しはないですよねぇ」

隊長「ネクロマンサー」

ネクロマンサー「どうも。あれ、面白いでしょう?」

格闘家「……」

ネクロマンサー「あの魔獣はね、人間の気配を察知して襲い掛かってくるんですよ」

隊長「貴様が1枚噛んでいたのか」

ネクロマンサー「あれは元より存在する者」

盗賊「……」
536 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:04:03.61 ID:BsLKDqgwo
ネクロマンサー「ククッ、私は魔獣を目覚めさせてやったにすぎません」

王子「道理で。急に魔物が増えたわけが分かったよ」

ネクロマンサー「……ふぅん、成程。その五行魔方陣で魔獣を討つつもりですか」

隊長「各員、目の前の敵を魔方陣に近づけさせるな」

ネクロマンサー「殺る気ですか? いいでしょう、少し遊んであげますよ」

ザザッ

格闘家「……」

お父「……」

王子「……っ」

北方司令「……」

盗賊(この男にとって私では役不足。何か手を打たねば……やられる)

魔剣士「……」

隊長「第1優先は己の命。第2優先は魔方陣。いいな!」

ネクロマンサー「そのどちらも、破壊して差し上げますよ! クククッ!」

夜空に響き渡る不気味な笑い声と同時に、全員が一斉に前へと飛び出した。
537 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:04:30.35 ID:BsLKDqgwo
盗賊「……しっ」

魔剣士「……」

まず最初に間合いを詰めたのは盗賊。彼女に速さで勝るものはそう簡単にはいない。

愛刀、薄緑を腰の辺りに括りつけた鞘から抜くと、それを右手で握り締め、

左手では指の間に3本程のクナイを、起用に挟みこんでいた。

盗賊「……」

普段の盗賊ならば、まずクナイを投げ、その隙に回りこみ、薄緑で仕掛けるのが定石。

だが相手の得物は巨大なツヴァイハンダー。強敵相手に思慮はいつも以上に冴え渡る。

盗賊「はあぁ!」

魔剣士「……」

更に間合いを詰め、正面切って疾走する盗賊。すでにその場所は、

魔剣士の間合い……ツヴァイハンダーの剣先に十分なものであった。

ゴウッ!!

右足を1歩踏み込み、両手でツヴァイハンダーを水平に振る魔剣士。

剣の速度は人智を超え、とても大剣を振ったとは思えぬ軌道と速さであった。
538 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:05:04.02 ID:BsLKDqgwo
が、盗賊はそれを苦もなくかわした。盗賊だからこそそう見えてのかもしれないが、

彼女にとって大剣の限られた軌道は、既にインプットされていたものなのである。

魔剣士がツヴァイハンダーを切り返し、今度は左へ水平に振る挙動を見せるが、

既に盗賊は懐へと入り込み、薄緑の刃が魔剣士の脇腹へと突き刺さった。

魔剣士「……?」

盗賊「まだまだ……っ!」

ズブブブッ

魔剣士は間合いを離す為、盗賊を右足で蹴り上げる。

ブンッ…バッシャアアァァァァ

魔剣士「……!?」

蹴り上げた盗賊の身体は、空中で水しぶきをあげると、魔剣士へと降り注ぐ。

ズザッ

盗賊「水遁……霧隠れ」

水で出来た身代わりの己が消失する刹那、魔剣士の背後に回りこんだ盗賊から、

3本のクナイがその背中へと投げつけられ、見事に突き刺さる。
539 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:05:33.84 ID:BsLKDqgwo
ドスドスドスッ…ガクンッ

盗賊「火遁……焔っ!」

ゴウッ!!…ゴガアアァァァァ

3点のクナイを起点に、盗賊の放つ火遁の術が激しく燃えさかる。

しかし盗賊の攻撃は止まらない。魔剣士が地へ落ちる前に、その追撃は繰り放たれた。

クナイを投げた際に右手の薄緑は、再び鞘の中で眠りにつき、

それと入れ替わる形で、腰に巻かれた鎖を解き、追撃の為の武器として握られていた。

盗賊「はぁっ!」

ビュォッ…ジャララララッ

盗賊の放った鎖は魔剣士の胴体をわずかに反れ、地面と体の間へと潜りこんだ。

一見外したかのようなこの一撃に、盗賊は思わず口元が緩む。

盗賊「よしっ!」

そのままの勢いで鎖を強く引き抜くと、魔剣士の右手を絡め取り、

魔剣士はその手にしていたツヴァイハンダーを宙へと放り出す格好となったのだ。

くるくると回りながら後方へ突き刺さる大剣。盗賊は鎖を力強く引き、魔剣士を遠ざけた。
540 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:06:13.42 ID:BsLKDqgwo
コオオォォォォ…

格闘家「……しいっ!」

お父「……」

バキッ…ガキンッ…ガシッ…ズガンッ!!

武器を持たぬ両者の間にあるものは、互いの拳や蹴りがぶつかり合う音、

そして時たま漏れる格闘家の息遣いのみである。

余計な金属音や、魔法のような仰々しく、派手な音や光景は一切見当たらない。

文字通りの肉弾戦。それはまるで、北の港にある地下格闘技場さながらである。

ましてや両者共に一流……いや、世界でも有数の格闘家である。

その攻防は互いの技術、肉体、精神、神経、全てが駆け引きとなり、

両者一歩も譲らぬ展開は、UFRならば大層な興行収入を得たであろう。

しかしここは戦場。2人のバトルを見守るものなど1人も居ない。それは己との戦い。

格闘家にしてみれば相手は不死。体力は一方的に減っていくのみである。

差し詰め、オッズがあるならば圧倒的に格闘家不利の様相であろう。

だからこそ彼は、己の持ち得る経験を全てをつぎ込み、眼前の敵に挑んでいた。
541 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:07:03.31 ID:BsLKDqgwo
ズザザァ

格闘家(勝利はない。しかし、敗北も許されない……)

勝利はない。あるのは敗北か引き分け。だが長期戦ともなれば敗北は必死である。

格闘家(時間はかけられないっ、勝負は一瞬)

ダッ!!

やや距離を取りながら打撃戦を繰り返していた格闘家だが、ここでついに動く。

一気にお父の元へ距離を詰めると、そこからすかさずニーキックを放つ。

お父「……っ」

格闘家のニーキックはお父の両手で遮られ不発。彼はすかさず別の攻撃へと移った。

まずは、そのまましゃがみ足払い。そしてよろけたお父目掛けて回し蹴りを1発。

バシッ…バギャアァッ!!

怯むお父が態勢を立て直そうと試みた瞬間、格闘家はお父の頭上へと大きく跳躍し、

そのまま両足でお父の頭部を挟み込むと、捻りながら地面へと打ち付けた。

ギュルッ…ドッゴオオォォ!!

お父「……ぬ……ぐっ」
542 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:07:35.96 ID:BsLKDqgwo
スタッ

格闘家「……衝撃では駄目か」

不死のお父相手に出来る手、格闘家が導き出したそれは、気を失わせる事であった。

頭部への衝撃による気絶か、もしくは絞め技での気絶。格闘家は前者を期待した。

それは単純に楽である事が1つだが、もう1つの理由として、格闘家は寝技が苦手であった。

彼は完全に独学で格闘技を鍛え、学び、そして地下格闘技場へと流れ着いた。

そこで天才に拾われ、魔法が一切使えないにも関わらず、その武力は更に増した。

ところが天才とて素手が本業ではない。関節技等、専門的なわけではないのだ。

ある程度は得ているにしろ、人様に教える程の類稀なる技術は持ち合わせていない。

つまり、格闘家は打撃こそ超一流だが、関節技等においては人より優れた程度なのだ。

格闘家「……ふーっ」

相手は己よりも卓越した格闘のプロ。その男に自分の寝技が通用するのか。

迷いよりも先に、身体が動いていた。格闘家は瞬時の内にお父の背後を取ると、

まずは四肢をフルに駆使した打撃のラッシュをけしかけ、お父のバランスを崩す。

お父の頭が下がった瞬間、先程と同様に格闘家の両足がお父の頭を捉えた。
543 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:08:27.15 ID:BsLKDqgwo
格闘家「……っ」

お父「……」

ギギッ…ギチギチッ

1回目は足首、くるぶしあたりで頭部を締め付け、そのまま捻りつつ地面へ叩きつけた。

今度の2回目は違う。太もも付近でお父の首をがっちりと締め付けている。

格闘家はお父の背面へ身体の重心を移動させると、両手両足でお父の顔を引き上げ、

後方へ倒しこむかのような具合で身体を仰け反らせ、全身の力を込める。

お父「か……はっ」

格闘家(このまま……っ、落ちてくれ……!!)

ガシッ!!

格闘家「――っ!?」

お父の両手が格闘家の肩を左右よりがっちりと掴み上げた。

ググッ…グググッ

格闘家「が……あぁ……っ」

お父「ヌアアァァァァ!!」
544 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:09:11.23 ID:BsLKDqgwo
引き離すまでもない。そう言わんばかりに、お父はそのままの状態で高く跳躍する。

格闘家「!?」

上空で反転する両者。このままでは格闘家は頭から地上へ落下する事となる。

咄嗟に両足を緩め、態勢を立て直そうと図った瞬間、お父の両腕が動く。

掴みあげた格闘家の両肩をそのまま自身の前方へと、格闘家の身体ごと持ってくる。

その時点で既に、お父の十八番であるパイルドライバーの態勢となっていた。

格闘家はもがくが、お父は更にそれを完璧なものとするべく、両腕を格闘家の腰へ移す。

完全にホールドされた格闘家に、最早、抜け出す術はなかった。

そのまま空中で独楽のように回転を加えたお父は、パイルドライバーの落着点を見据える。

勝負あり。もし観客が居ればそんな光景に絶叫をあげていたところであろう。

だが格闘家は最後まで諦めなかった。別に狙ったわけではない。身体が自然と反応した。

お父が回転を加える時計回りとは逆方向に、格闘家は身体を捻らせていた。

協力な遠心力と別方向へのベクトルでお父の両腕から力が僅かに緩む。

格闘家は空中で出来る限りの足を伸ばし、お父の胸部へ逆さのまま蹴りを見舞った。

地獄のメリーゴーランドから抜け出した格闘家は、3回目の挙動へと入った。
545 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:09:43.37 ID:BsLKDqgwo
ギュバッ…ガシィッ!!

お父の回転が残るまま、格闘家はその力を応用し、決め技へと入る。

まずは先程の同じく、両足でお父の首を絞めあげ、更に両手で顎を引き揚げる。

そしてまだ残る回転に更なる回転を加え、自身とお父の身体を反転させた。

空中を落下する2人の身体はきりもみで更にスピードを増し、

あっと言う間に暗闇の中に浮かび上がる、茶色い地面が近づいて来た。

格闘家はここしかない、というタイミングで両足を離し、お父を脳天から地面へと叩きつけた。

ゴワッシャアアァァァァ!!

格闘家「これで……決めるっ!!」

地面に突き刺さるお父の身体を弓のように反らせ、一気に絞め上げる。

ググググッ…グッ…グッ

数秒の間、その状態で静止すると、お父の体は全身から力が抜けた。

格闘家「ふーっ」

いつまた起き上がってくるか分からない。だが、格闘家は一先ずの勝利に大きく息を吐いた。

ここは戦場。分かってはいながらも、何となくゴングと歓声が聞こえたような気がした。
546 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:10:31.89 ID:BsLKDqgwo
ガキイイィィィィン

王子「はあぁーっ!」

北方司令「……」

キィン!!…ズザザアァ

王子「強いなぁ」

決して王子が弱いわけではない。しかし相手は北方司令。かの天才の弟子である。

とは言え、北方司令は他の弟子に比べると、それ程強いとは言えない。

それは彼の最後を思い返せば、分からなくもない。

しかし王子は押されていた。両者を知る者ならば至極、当然の事なのかもしれない。

1つは経験値。北方司令はなくなる直前まで、北の大地という最も過酷な戦線で

指揮を執り、魔王軍相手に戦いを繰り広げてきた。

対して王子は齢15、6の少年。幾ら経験を詰んできたと言えど未だその差は大きい。

ましてや彼は西国国王である。どうしても死地には飛び込めずにいた。

それは本人の希望とは裏腹に、周囲に静止されていたからである。

王子の性格を考えれば、彼は自ずから喜んで死地へ、先頭切って飛び込むであろう。
547 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:11:13.40 ID:BsLKDqgwo
だが、一国の主。しかも王家においてたった1人、唯一生き残った男児なのだ。

神官は目の届かぬ状況であっても、常に信頼出来る側近を彼の傍に付けていた。

その大半が西の砦で王子と共に戦ってきた者らなのである。

王子「だあぁーっ!」

北方司令「……」

ガキンッ…ギインッ…ガキイイィィィィン!!

あと5年あれば或いは、圧倒する事はなくとも、五分程度には持ち込めたかもしれない。

ヒュンッ…ブンッ…ゴアッ!!

王子「くおっ、あっぶ……な!」

必死で北方司令の斬撃をかわし、剣でいなす王子。ひとたび攻撃へ転じれば、

その倍以上の反撃を食らう。そんな攻防をかれこれ数分間、繰り返していた。

他の3人とて王子の援護に回りたいのは山々であるが、相手がそうは許してくれない。

せめて1対1の局面を作り上げたこの態勢こそ、最大の援護なのだ。

王子の出来る限りは、時間を稼ぐ事。この状況を均衡させ、交代が来るのを待つ事。

幸い、次の交代メンバーは、天才、戦士、召喚士、サモナーといった面々なのだ。
548 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:11:58.82 ID:BsLKDqgwo
王子「でっりゃああぁぁ!!」

ガイイィィンッ!!…ズダッ

王子「いってぇ、痺れたぁ――」

北方司令「……」

ブンッ!!

王子「おわっ、は……早いっ!」

不思議な事に、ここまで王子は、致命傷はおろか、かすり傷さえ受けていない。

少ないながらの経験を駆使した結果であるのもそうなのだが、一言で言えばこれは才能。

先代、西国国王がそうであったように、王子もその才能を受け継いでいた。

だがそれも改めて考えれば納得のいくものである。幼くして王位を継ぎながら、

西方という広い地を駆け巡り、魔物と戦ってきたこの約5年間。

大きな怪我や傷を負う事なくやってこれた背景には、先述の神官らによる援護の他、

王子自身の努力や才能を考慮しなくては納得のいかぬものである。

そして日課である傭兵や親衛隊との稽古ではなく、実戦という舞台に王子は胸躍っていた。

若さ故の好奇心。それは足を前へと進める。国軍の謳い文句で言えば、無謀ではなく勇敢である。
549 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:12:43.91 ID:BsLKDqgwo
ズシャッ…ザザザザッ

王子「んおりゃああぁぁ!!」

遮二無二振り回す王子の剣は、お世辞にも良いとは言えないが効果的であった。

手数を出す事で相手への牽制を兼ね、更には素人さながらの予測出来ない動きは、

弟子の中でも生真面目で、正直だった北方司令の予測を超えた動きであった。

王子「へへっ、ビビってんのかよぉ!」

北方司令「……」

シュバッ…ガッキイイィィン

王子「くっ、やるじゃんか!」

両者の戦いは力量で量れば一方的なものかと思われたが、王子にとっての地の利も働いた。

西方特有の砂漠。これは西方に住む者とそうでない者の動きを明らかに区別した。

砂漠に慣れ親しんだ王子は、沈む足をすぐさま上げ、撥ねるような走りで大地を掛ける。

ほぼ初めてに近しい北方司令は勝手が分からず、どうしてもその1歩が砂に足を囚われてしまう。

結果、北方司令は攻撃を仕掛ける事は少なく、後手に回る羽目となり、

時間を稼ぎたい王子はアリジゴクのように、砂で身動きを封じられた得物へ攻撃を繰り返す。
550 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:13:16.99 ID:BsLKDqgwo
ガキン…ガキン…ガキイイィィン!!

王子「はぁはぁ、はぁ……っ」

スタッ

王子(有利とは言っても、リーチも違えば腕も全然違う。やっぱり倒すのは無理だな)

北方司令「……」

王子「……ん?」

キュイイィィィィ

王子「魔法――っ!?」

ドドオオォォォォン!!…ズガガガガアアァァ!!

王子「ぐはぁ……っ!」

ザンッ…ズザザザザザアァ

王子「……油……断したぁ」

北方司令「……」

ザッザッザッザッザ

王子「くっそぉ……っ、どうする……」
551 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/07(月) 18:13:49.58 ID:BsLKDqgwo
キュイイィィィィ…ドッゴオオォォォォン!!

北方司令「――ッ!?」

王子「……?」

シュウウゥゥゥゥ…ザッザッザ

王子「……み……んな……っ」

天才「ハーッハッハッハ! 交代の時間がてめーら!」

召喚士「王子っ! 大丈夫!?」

戦士「サモナーさん、王子を砦まで」

サモナー「了解した。マーメイド、君は彼らの支援を」

ザッ

天才「ほぉ、誰かと思えば不肖の弟子か」

北方司令「……司令」

天才「弟子の責任は師匠の責任かぁ。全く、恥かかすんじゃねぇよ」

ポリポリ…ジャキッ

天才「来な。久し振りに稽古つけてやんぜ。ハーッハッハッハ!!」
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga]:2011/11/07(月) 18:28:29.28 ID:BsLKDqgwo
なんだか変な日本語とかありますが、適当に流してやってくだしあ…
本日もご支援ありがとうです!それでは失礼致しますです!ノシ
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) :2011/11/07(月) 18:31:35.44 ID:u/oawFNAO
>>1
師弟対決とはどんな状況でも胸が熱くなるな
格闘家とお父はキン肉マンみたいでちょっと面白かったww
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/07(月) 18:48:23.56 ID:Bk4EquMBo
>>552
役不足の事ですね
わかります

555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/07(月) 19:13:50.17 ID:q3LSNpKDO
悪魔将軍おつ!
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北) [sage]:2011/11/07(月) 19:27:08.52 ID:8GaK72bAO
役職の割に仕事量が少ないって意味だもんな
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/07(月) 21:38:03.43 ID:YJeokgcAO
>>1

力量を生かしきれない役って意味だよ本来は
最近は力不足って意味も含まれるらしいから問題無し。
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/07(月) 21:39:30.98 ID:KHBwTCmAO
>>1
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 22:29:33.92 ID:Pw9tFRyBo
交代の時間がてめーら!
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 22:42:47.60 ID:siJppwH1o
>>1
よく見たら天才の弟子は魔剣士と北方司令の2人もネクロってるのか
不肖の弟子ばっかじゃねーか
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/07(月) 23:34:22.68 ID:H593e8afo
いや盗賊が自分で言ってんだから役不足は合ってんじゃないか?
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/07(月) 23:47:21.10 ID:4brRZQ5Ho
もういいから
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/08(火) 00:30:17.57 ID:s9IvczTAo
役者不足、と表現すればとりあえず解決するって師が言ってた
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) :2011/11/08(火) 05:01:08.64 ID:J5QCM5ff0
いちおつ
天才と北方司令じゃ勝負にならなそうだな
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 05:04:07.57 ID:MhCDOYhDO
>>1

王子あと一歩だったのにな
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/08(火) 05:23:12.85 ID:dPn7niiAO
あと一歩で王子が……

ちっ
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(石川県) [sage]:2011/11/08(火) 08:17:52.10 ID:q6cOcho5o
いいかげん、王子を許してやれよw
ちょっと魔導士や盗賊のおっぱい触っただけじゃねーk・・・
ゆるせんな
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 17:48:20.55 ID:a+I8MG/IO
>>567
ウケたwwwwwwww
569 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:00:05.53 ID:P9WhCXERo
召喚士「北方司令……さん」

北方司令「……」

戦士「そうか、あんたの弟子だったんだっけか」

天才「……ああ。ったく、どいつもこいつもよぉ」

召喚士「……?」

ジャララッ…スタッ

戦士「盗賊」

盗賊「あの男、戦士ならやれるか?」

魔剣士「……」

ヒュッ…スタッ

格闘家「師匠」

天才「何を手こずってんだよ、はぁ」

お父「……」

召喚士「……ネクロマンサー、ネクロマンサーがいない……!?」

盗賊「……奴なら、先程まで隊長と戦っていたはずだが」
570 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:00:57.62 ID:P9WhCXERo
コオオォォォォ

ネクロマンサー「……頑張りますねぇ」

隊長「……はぁ、はぁ……はっ」

ズザッ

ネクロマンサー「ここまで、貴方の攻撃が184回。しかし決定打は無し」

隊長「……」

ネクロマンサー「分かっているのでしょう? 不死相手に、貴方が出来る事など……」

ザザザザザザッ

ネクロマンサー「有りはしないのですよッ!」

無数に伸びるネクロマンサーの触手。盗賊の鎖よりも更に柔らかくしなりを見せ、

それらは上下左右から逃げ惑う隊長めがけ追跡し続ける。

ネクロマンサー「ククククッ! あと183回、貴方にはお返しせねばなりませんからねッ」

隊長「くっ!」

ヒュバッ…シュンッ!!

ネクロマンサー「そうですよぉ、しっかりと耐えて下さいねぇ……クククッ!」
571 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:01:52.33 ID:P9WhCXERo
ズガガガガッ

隊長(……幾らなんでも、戦線を遠ざけすぎたか)

ノコギリ状の独特な剣を手に、ネクロマンサーの触手を払いのけ続ける隊長。

隊長(だが、時間を考慮すれば今頃は司令らが……)

ネクロマンサー「163、162、161…頑張りますねぇ」

ビュオッ…フォンッ…ヒュバッ!!

ネクロマンサー「ならば、更に倍といきましょうか」

ズアァッ!!

隊長「――っ!?」

ネクロマンサー「流石にこの数は避けられませんよねぇーッ!?」

隊長(……ちぃ……っ!!)

ズババババッ…ザシュシュッ!!

隊長「ぐうぅ……っ!!」

ネクロマンサー「残り139回で脇腹へ4発」

隊長「がは……っ!」
572 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:02:44.17 ID:P9WhCXERo
ズドドドドッ!!

隊長「――っ!!」

ネクロマンサー「残り131回で左肩へ1発」

隊長(これ以上は……マズイだろ……っ!!)

キュイイィィィィ

ネクロマンサー「ん?」

ドドオオォォォォン!!…ゴガガガガアアァァ!!

ネクロマンサー「土の壁ですか。なかなかやりますねぇ」

隊長「はっ、はっ、はっ、は……っ」

ネクロマンサー「しかし、この程度では防御になりませんよぉ」

壁越しに呼吸を整える隊長だが、そこへネクロマンサーの触手が襲いかかる。

隊長の作り上げた土壁のことごとくを貫通し、その向こうに居る人間めがけ、

意思を持っているかのように一斉に襲い掛かった触手は、壁越しに突き刺さると静止した。

ネクロマンサー「……あと127回を残して、終わりましたか」

ガラガラと崩れ落ちる土壁。無数の尖った触手が標的へと突き刺さっている。
573 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:03:22.32 ID:P9WhCXERo
ゴシャッ…ゴトゴトッ…

ネクロマンサー「身体は傷付けませんよ。勿論、利用価値がありますからねぇ」

隊長「……」

両手両足へ触手が突き刺さり、宙へと持ち上げられた隊長。さながら磔の様である。

ネクロマンサー「ククッ、最早……身動きも取れませんか?」

1本の触手が隊長の頬を撫でるように伸び、そのまま首をぐるりと絞め付ける。

ススッ

隊長「……ぅ」

ネクロマンサー「ん?」

隊長「……ペッ」

ビチャッ

ネクロマンサー「…………」

隊長「勝手に喚いてろ……痰壺ヤローがよ」

ネクロマンサー「大人しくラボで施されれば、苦しまずに済んだものを……」

隊長「――――っ!? がああああぁぁぁぁ!!」
574 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:03:58.43 ID:P9WhCXERo
激しい激痛に見舞われ、遠のいてゆく意識。目の前が真っ白になった。

隊長は朦朧とした意識の中、必死に手を伸ばし、何かを掴んだ。

隊長「…………?」

――こんなところで果てたら、末代までの恥さね。

隊長「だ……れだ……?」

――倒すべきは魔王。こんな小者にやられてる暇があるのかい?

隊長「……っ」

――大地の力はこんなものじゃあないさねぇ。

ゴワッ!!

ネクロマンサー「……何です?」

浮かぶ隊長の身体を支えるようにせり上がる砂と土。

その簡易的な柱を右手で掴むと、隊長は勢い良く身体を前方へと飛び出させた。

ネクロマンサーは咄嗟に触手を己の元へと縮めるが、それよりも早く、隊長は標的へと到達する。

隊長「……おおぉぉぉぉ!!」

ネクロマンサー「――ッ!!」
575 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:04:27.62 ID:P9WhCXERo
ギュアッ…ザッシュウウゥゥゥゥ

隊長の手にする異形の剣が、ネクロマンサーの右腕から腰にかけてを切断した。

スタッ

隊長「……っはぁ!!」

ネクロマンサー「……どういう事です?」

しゃがみ込み息を切らす隊長は、呆然と立ち尽くすネクロマンサーは問い掛けを続ける。

ネクロマンサー「捉え、意識も失ったと思いましたが……一体どういう事です」

隊長「どーもこーもねぇよ。これが……現実だ」

ネクロマンサー「……あと127回」

隊長「……」

ネクロマンサー「続けましょう。残り0まで生きている事が出来れば、貴方の勝ちとしましょう」

隊長「余裕かましてくれるじゃねぇか。その前に、てめぇを退かせてやるよ」

ネクロマンサー「ククッ、面白い! その傲慢な態度と頑丈さが、どこまで持つかッ!」

隊長「どこまででもやってやるぜ!」

ほぼ同時に両者が振り向き、再び激しい攻防が開始された。
576 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:05:01.79 ID:P9WhCXERo
ザッザッザッザッザ…

天才「さーて、どっちから稽古してやるかぁ?」

北方司令「……」

魔剣士「……」

天才「あ、やっぱいいや。どっちも雑魚だから2人まとめてかかってこいや」

戦士「お、おい……っ」

天才「いいからテメーらはそのレスラーもどきと主犯を何とかしろ」

召喚士「は、はいっ」

盗賊「……し、しかし」

ザッ

お父「……」

召喚士「……っ」

天才「情けなんぞかけるなよ? 相手は既に人間じゃねぇ。死人なんだ」

戦士「分かっちゃ……いるけどよ」

天才「さぁ、ラウンド2の始まりだ!」
577 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:05:36.42 ID:P9WhCXERo
ドウンッ!!

砂煙が上がると、天才の姿は既にそこにはなく、遥か前方へと移動していた。

北方司令「――ッ!?」

天才「ハーッハッハッハ!!」

咄嗟に迎撃する北方司令の長剣が振るうよりも早く、天才のツヴァイハンダーが猛襲する。

ドッグオオォォォォン!!

天才「……あ?」

魔剣士「……」

シュウウゥゥゥゥ

盗賊「受け止めた……!?」

天才と北方司令の間に割って入る魔剣士は無表情のまま、天才を見つめる。

魔剣士「……」

天才「忙しい奴だなぁ……」

ジャキッ…グルン!!

天才「だったらまずはテメーから、引導渡してやるぜぇ!!」
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:06:12.06 ID:P9WhCXERo
ツヴァイハンダーを回転させ、魔剣士を振り払うと、天才はすぐさま次なる一撃を見舞う。

刹那の内に自身の眼前を影で覆うツヴァイハンダーに、魔剣士は防御体勢を取るが、

そんなものは無駄と言わんばかりに、天才は防御の上から大剣を打ち下ろす。

ゴッシャアアアアァァァァ!!

響き渡る衝撃音と砂塵舞う中、地に伏せた魔剣士を蹴り飛ばし、天才はすぐに場を変える。

つい先程、口ではあのような事を述べておきながら、回り込んだ先は北方司令の背後。

すると、天才はそのままツヴァイハンダーを北方司令の背中より突き刺し、

そのまま地面を引き摺りながら空中へと放り投げると、右手を突き出し炎を放った。

ドッドオオォォォォン!!…ゴアオオォォォォッ!!

空中で燃え盛る火炎。直撃した北方司令は黒煙を上げながら地面へと垂直に落下した。

天才「……ほぉーっ、案外シブとい人形じゃねぇか……ハーッハッハッハ!」

ブスブスブスッ…スクッ

北方司令「……」

魔剣士「……」

天才「おら、さっさと来いよ。夜が明けちまうぜ?」
579 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:07:07.38 ID:P9WhCXERo
ザッ

お父「……」

召喚士「お父……さん……っ」

スッ

召喚士「……?」

格闘家「ここは任せて下さい」

召喚士「格闘家……さん」

格闘家「あなた達にとっては酷なのでしょう? ここは俺が……」

召喚士「……ごめんっ、ありがとう!」

ダッ!1

戦士「盗賊、行くぞ!」

盗賊「あ、あぁ」

ザザッ…タッタッタッタッタ

格闘家「1度の勝利は仮初めの勝利。2度目の防衛戦を勝利してこそ、真のチャンピオンだ」

お父「……」
580 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 18:07:41.75 ID:P9WhCXERo
タッタッタッタッタ

召喚士(ネクロマンサー……どこに行った……!?)

戦士「隊長までいないってのが気になる。何もなけりゃあいいが……」

盗賊「だが、予言では死者はいないと――」

召喚士「いたっ!!」

ズザザァ!!

召喚士「――っ!?」

戦士「隊長っ!!」

スガガガガッ!!

ネクロマンサー「……ん?」

隊長「ぐく……っ!」

ズシャッ

召喚士「ネクロマンサー……貴様ぁ!!」

ネクロマンサー「……やはり来たかッ! 召喚士!」

召喚士「貴様だけは絶対に……許すわけにはいかないっ!!」
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga]:2011/11/08(火) 18:10:43.09 ID:P9WhCXERo
忙しい時期になってきてしまいました…
日によって投下速度にかなりムラが出そうです。ごめんなさい

それではひとまずこれにて!何とかあとで来たい!
ご支援ありがとーでしたー!それでは!!ノシ
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 20:42:56.00 ID:TGIFciNDO
>>1乙!
更新してくれるのは嬉しいけれど
年末は忙しいし無理して体調崩さないように気をつけてなー
583 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/08(火) 20:50:53.82 ID:5hgYiPqAO
>>1

こっちも11月入った途端に忙しくなりおったよ
毎日三時間半のサービス残業…
三年間一度も上がらない給料、1ヶ月分の半分も出ないボーナス

何もない俺だけど、それでも俺にはコカトリスがある!!


〜fin〜
584 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/08(火) 21:42:09.36 ID:jfyhm4Qc0
お前の近況聞いてないですぅ^^
585 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/08(火) 21:45:28.22 ID:wj0e+fyAO
お疲れ様ー
586 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/08(火) 23:11:50.09 ID:5hgYiPqAO
>>584

最近のお前らってなんだか冷たいよな…


悪かったよ。ごめんよ…。
587 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/08(火) 23:16:52.74 ID:CqEK2Qqmo
>>586
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/
588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 23:22:39.06 ID:/x9oVvJ0o
オオォォォォ…

ネクロマンサー「許さない? 貴方に許しを請う覚えはないんだが」

召喚士「どの口が言うかっ!」

ネクロマンサー「付け上がるなぁ!」

召喚士「貴様は今までそうやって、罪もない人々を!!」

ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「忘れたとは言わせない……っ!!」

ネクロマンサー「貴様如き若造に……何が分かるものか!」

ズザァ

戦士「今のうちだ、隊長……手を!」

隊長「む……うぅ」

戦士「盗賊、一旦後退するぞ」

盗賊「……召喚士……?」

戦士「どうし……な、何だよありゃ……っ!」

盗賊「なんて……数っ、すべて……召喚士なのか?」
589 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 23:23:45.27 ID:/x9oVvJ0o
ズゴゴゴゴゴッ

ネクロマンサー「……ほおぉ」

スキュラ「随分とまぁ」

ザントマン「ヒヒヒッ」

ゴーレム「こんなに必要なのかは……些かの疑問」

ペガサス「そんで、この黒ゾウキンみたいなの倒せばいーの?」

ワイバーン「召喚士の奴、我を忘れて全放出したのか……?」

コカトリス「……らしいな。全く、困ったものだ」

グリフォン「その割には、随分と冷静だなコカトリス」

コカトリス「この数ではすぐに魔力枯渇に陥るさ」

サンダーバード「だからまずいのだろうが」

コカトリス「1を100回使うのとは違い、100を1回ならば枯渇はその時までの事」

シービショップ「すぐに回復する、という事かい」

コカトリス「ともかく、今はあのネクロマンサーとやらを退かせる事が先決」

スフィンクス「よーし、いっくぞぉー!!」
590 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 23:24:47.43 ID:/x9oVvJ0o
ドッドオオォォォォ

ネクロマンサー「ククッ! まさか……これ程までとはなぁ!!」

召喚士「今日ここで貴様を倒す!!」

バシュウウゥゥゥゥ

ブリュンヒルデ「……突撃!!」

オルトリンデ「はあぁーっ!!」

グリフォン「続くぞ!」

ワイバーン「おう!」

バシュウウゥゥゥゥ!!

スキュラ「食らうがいいっ!」

サンダーバード「我が雷……っ!!」

ドドオオォォォォン!!…ガガアアァァ!!

ゴーレム「グゴアアァァァァ!!」

スフィンクス「両手ぱーんちっ!!」

バッギャアアァァァァ!!
591 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 23:25:31.39 ID:/x9oVvJ0o
召喚士「ああああぁぁぁぁーっ!!」

ネクロマンサー「――ッ!!」

ゴギャッ!!…ズガガガガアアァァ!!

ネクロマンサー「こ……こまでとは……ッ」

ズッシャアアァァ

戦士「す……げぇ……っ」

盗賊「こ……れが……召喚士の力」

召喚士「はぁ……はぁ、はぁ、はぁ」

ググッ…フラァ

ネクロマンサー「……ク、ククッ」

召喚士「はぁ……はぁ……っ」

ネクロマンサー「本当に、面白いですね。貴方は」

召喚士「……っ」

ネクロマンサー「貴方のような人材が手に入れば、きっと私は……クククッ」

召喚士「……?」
592 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/08(火) 23:26:57.83 ID:/x9oVvJ0o
ネクロマンサー「まぁいい。これ以上貴方の相手を続けるには、ちと分が悪い」

召喚士「逃げる気か?」

ネクロマンサー「逃げませんよ。まだ、すべき事があるのでねぇ」

召喚士「何っ?」

フワッ

召喚士「!?」

ネクロマンサー「それ程の召喚獣を同時に召喚し続けるのは、かなりの魔力を使うでしょうね」

召喚士「……っ」

ネクロマンサー「どれ、そろそろ枯渇のお手伝いをして差し上げましょうか」

そう言うとネクロマンサーは、上空へと飛び、全身より触手を出現させる。

召喚士「しま――」

ネクロマンサー「さぁ、全ての召喚獣でどこまで避けきれるかな?」

ズァッ!!…ボボシュウウゥゥゥゥ!!

無数に伸びた触手の針が、次々と召喚獣へと襲い掛かる。数が多ければそれだけ、

1匹当たりに対する魔力の配分は小さい。結果、召喚獣は次々と姿を消す事となった。
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/09(水) 01:13:52.21 ID:ExkEsBlAO
噛ませっぽくなってる…
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/09(水) 01:51:19.37 ID:qHgBEP5AO
一度活躍しといてすぐ窮地に立たされるとはさすが主人公
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) :2011/11/09(水) 04:30:18.43 ID:uIarEwng0
いちおつ
枯渇か…ついに魔道士から魔翌力を…
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(千葉県) [sage]:2011/11/09(水) 06:53:42.20 ID:kz0tv6/9o
召喚士は成長しないなあ
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 07:09:34.63 ID:kwgeI+nIO
召喚士の名脇役っぷりに胸厚
598 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/09(水) 08:01:37.59 ID:8/s3OIJAO
>>1

こりゃ天才さんに殺されるな…
599 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) :2011/11/09(水) 11:55:27.89 ID:kpA8bXpDO
さすが名脇役の召喚士さんやでぇ
600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:07:04.88 ID:N23LSmkCo
ネクロマンサー「ククククッ! さぁ、どこまで持ち堪えられるかなぁ?」

ドドドドドドッ!!

召喚士「ぐう……っ!」

戦士「召喚士!」

盗賊「待て、様子がおかしい」

戦士「……?」

盗賊「よく見てみよ。直撃の寸前に召喚獣が……消えているぞ」

戦士「っ!?」

盗賊「召喚士は何かするつもりのようだ。私達は……」

戦士「ああ。ここは一旦、召喚士に任せて、隊長を砦まで連れてくぞ」

盗賊「……ああ」

戦士「俺が背負ってく。お前は護衛を務めてくれ」

盗賊「了解だ」

戦士「出血もさほどないし、傷はそんなに深くねぇはずだ。隊長、しっかりな!」

隊長「う……っく」
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:07:32.96 ID:N23LSmkCo
ザザザザッ

ネクロマンサー「さぁ、そろそろ限界ですか?」

召喚士「……2体」

ネクロマンサー「……はい?」

召喚士「2体間に合わず、失った。これは俺の未熟さが招いた結果」

ネクロマンサー「ハッ、何を……」

召喚士の言葉に嘲笑するネクロマンサーだが、その途中でようやく異変に気付く。

ネクロマンサー「……待て、貴方……まさか」

召喚士「行けっ、スフィンクス!」

シュイイィィィィン

ネクロマンサー「潰されたと見せて、実は己で――」

スフィンクス「両手……にぎりつぶしいいぃぃ!!」

ガシッ!!…ゴキャゴキャグシャアァ!!

ネクロマンサー「ヌグゥ……ッ!!」

スフィンクスの両手に挟まれ握りつぶされたネクロマンサーは、捨てられるように投げ飛ばされた。
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:08:01.43 ID:N23LSmkCo
ズッシャアアァァァァ

ネクロマンサー「……ちぃっ」

召喚士「次は……」

シュイイィィィィン

グリフォン「1を100回と50を2回では質が異なる。先程同様とは思うなよっ!」

コカトリス「はあぁーっ!」

ネクロマンサー「早い……ッ」

ガシィッ!!

グリフォン「コカトリスッ、オレごと石化しろ」

コカトリス「了解だ」

キュイイィィィィ

ネクロマンサー「させるかぁ!!」

グリフォン「ヌッ!?」

バシバシッ…ズガガガガッ!!

グリフォン「切り抜けたか。すばしっこい輩だ」
603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:08:40.26 ID:N23LSmkCo
ネクロマンサー「ハァ、ハァーハァー」

召喚士「どうしたネクロマンサー。息が上がっているぞ」

ネクロマンサー「ククッ、不死の私が人間に心配されるなど……」

ズアッ!!

ネクロマンサー「不愉快だ!」

伸びる触手は前方のグリフォンとコカトリスをすり抜け、召喚士へと真っ直ぐ迫る。

ネクロマンサー「本体さえ潰せば、召喚獣など何するものぞ!」

召喚士「行けっ! ペガサス!!」

シュイイィィィィン

ペガサス「手数の多さなら……負っけないぞぉ!!」

ドガガガガガガガガァ!!

ネクロマンサー「この数の触手を……防ぐだとぉーッ!?」

召喚士「いっけえぇーっ!!」

グリフォン「無数の流星が1つとなりまるで彗星のように……」

ネクロマンサー「お、押されている――!?」
604 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:09:09.32 ID:N23LSmkCo
バッゴオオォォォォン!!

スフィンクス「やったぁ!」

ドシャアアァァ

ネクロマンサー「……正直、予想外ですよ……。まさか回復が間に合わないとはね」

召喚士「……はぁ……はぁ」

ネクロマンサー「まぁ、お互い様ですか」

ズザァ

天才「あん?」

格闘家「……!?」

タッタッタッタ

戦士「あいつ、こんな所まで吹っ飛ばしたってのか……っ」

盗賊「戦士、そのまま砦へ。私は向こうの援護に回る!」

戦士「了解っ!」

天才「おや、誰かと思えば死人の親玉じゃねーか」

ネクロマンサー「やれやれ。まだ遊んでいたのですか」
605 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:09:46.63 ID:N23LSmkCo
天才「朱雀、分かってんだろうなぁ?」

召喚士「すみません。つい、熱くなってしまいました……」

天才「北の連中に言われたんだろ? その通りやれよ馬鹿」

召喚士「はい……っ」

ネクロマンサー「……」

キョロキョロ…ジッ

ネクロマンサー「くくっ、成程」

フワァ

ネクロマンサー「もうしばし時間を稼ぎなさい。遊ぶ必要はありません。全力でね」

召喚士「逃がすかっ!」

バッ

お父「……フン!!」

格闘家「っ!!」

浮遊するネクロマンサーを追跡しようとする召喚士とコカトリスの前にお父が割って入る。

振り払われた格闘家も慌てて追うが間に合わず、召喚士はやむなくその場で防御に回った。
606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:10:14.56 ID:N23LSmkCo
ゴガッ!!

スフィンクス「へっへーん! おすわり防御っ!」

格闘家「助かりました」

召喚士「格闘家さん、退がって!」

格闘家「……?」

召喚士「スフィンクス、グリフォンを解除。行けっ、ザントマン!」

シュイイィィィィン

ザントマン「ヒヒヒッ」

お父「……」

ボフウウゥゥゥゥ

格闘家「これは……?」

召喚士「いいから退がって! 粉を吸い込むと眠りに陥りますよ!」

格闘家「……っ」

ズザッ

お父「…………」
607 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:11:09.93 ID:N23LSmkCo
ゴキゴキッ…ザッザッザ

召喚士「……やっぱり駄目か」

コカトリス「不死相手に通じるものか」

召喚士「試したかったんだよっ、だめもとで!」

コカトリス「まぁ良い。それよりも奴を追うぞ」

召喚士「うん! 格闘家さん、すみません!」

格闘家「ここは任せて下さい。あなたはネクロマンサーを」

召喚士「ええ」

ガシッ…バシュウウゥゥゥゥ…

格闘家「さて、続きといこう。ブレイクタイムは終わりだ」

お父「……」

ゴッ!!…ドガガガガガッ!!

天才「ハデにやってるねぇ。どれ、こっちもそろそろおっ始めるとすっかね!」

北方司令「……」

魔剣士「……」
608 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:12:44.84 ID:N23LSmkCo
天才「ハーッハッハッハッハ!!」

高らかに笑うと同時に前方へ走り出す天才。それに反応して北方司令、魔剣士の両者も、

左右から間合いを詰めるように天才の前へと走りこむ。

まず、北方司令がツヴァイハンダーを振り下ろす。彼らしい模範のような一撃である。

裏を返せば捻りのないその一振りを、天才は造作もなく避け、大剣で切り払った。

2人の弟子であった者らは、その豪快な切り払いを跳躍でかわし、後方へ1度着地すると、

有無を言わさず再び、師匠であった者の元へと並走で近づく。

天才はにやりと笑いながら、切り払ったツヴァイハンダーをカウンターのように再度振る。

ここまでは読み通りであったが、2人は天才の予想を上回る作戦に出た。

天才「!?」

走りながらツヴァイハンダーを魔剣士へと投げ渡す北方司令。

魔剣士はそれを受け取ると、更に加速し、それを一気に振り下ろした。

ゴッガアアァァァァン!!

響き渡るツヴァイハンダーとツヴァイハンダーの金属音。がら空きとなった腹部に

北方司令の放つ風の魔法が直撃し、天才は苦悶の表情を浮かべ、後方の砂へ背中を付けた。
609 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:13:17.47 ID:N23LSmkCo
ズシャアアァァァァ

天才「……ぐっ」

なおも2人の攻撃は続く。仰向けに倒れた天才の目の前に、魔剣士が飛び込む。

ツヴァイハンダーを垂直に向け、天才の心臓めがけ一直線に突き降ろす。

天才は跳び上げるように身体を起こすと、それをかわし後方で体制を立て直す。

ズッガアアァァァァン!!

激しく舞い上がる砂塵が3人の視界を遮る。魔剣士は顔体の向きを一切変えず、

音のみで天才の居場所を判断しようと試みる。そして微かな足音をその耳に捉えた。

波のように舞い上がる砂を真っ二つに切り裂き、その奥の影をも切り付ける。

魔剣士「……?」

確かに気配は感じた。しかし切りつけた相手は兄弟子、北方司令。

表情は変わらないが、互いに驚きを見せ、すぐさま辺り一面をきょろきょろと見渡した。

ズザァ

突如盛り上がる足元の砂。鋭利な剣先と共に姿を現したのは天才であった。

天才「ペッ、まさか俺様までモグラになるとはなぁ」
610 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:14:47.95 ID:N23LSmkCo
魔剣士「ッ!!」

迎撃態勢をとる間もなく、2人の弟子は師匠より手厳しい指導を浴びる。

天才「ハーハッハッハ! どうしたぁ!? ここまでかぁ!?」

いかに不死と言えど、力量は格段に差があった。しかも2対1であってもだ。

感情の起伏もなく、ただ黙々と攻撃を受け止め、隙あらば反撃に打って出る2人。

それは人形と呼ぶに相応しく。淡々と決まった動きを繰り返すのみであった。

天才「……」

生前の師である天才は、それが哀れであり、無情であり、不愉快であった。

天才「死んでもなお、戯れに利用されて……馬鹿なだよテメーらは」

キュイイィィィィ

天才「今日ところはこれで勘弁してくれや。近いうちにゃ、きっちり成仏させてやっからよ」

2人の頭部を掴む天才の両手が白く激しい輝きを見せる。

ゴゴゴゴゴゴ…

天才「五行……聖」

闇の砂漠を照らし出すかのように、魔剣士、北方司令の体を包み込み、激しい光の柱となった。
611 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:15:33.02 ID:N23LSmkCo
ゴッゴオオォォォォ…

ネクロマンサー「……?」

光柱を見つめ、ネクロマンサーは少しの間考え、大きく溜息をついた。

ネクロマンサー「オリジナルでないと分かっていながら、五行まで使いますか……ククッ」

ズバァ!!…バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「ネクロマンサー!!」

ネクロマンサー「しつこいですねぇ、貴方は」

コカトリス「召喚士っ、まずいぞ!」

召喚士「!?」

ネクロマンサー「あまり不用意に近づくと、この者に始末されてしまいますよぉ?」

魔獣「ヴオオオオォォォォーッ!!」

召喚士「貴様ぁーっ!!」

ネクロマンサー「ククッ、ハハハハ。この魔獣は太古の昔より、この地を守りし者なのです」

召喚士「……」

ネクロマンサー「そう。言うなれば東方のヤマタノオロチと同様にね」
612 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:16:23.00 ID:N23LSmkCo
召喚士「ヤマタノオロチ……?」

ネクロマンサー「東西対極に位置する、龍脈の守り主とでも言いますか」

召喚士「だが、ヤマタノオロチは倒した」

ネクロマンサー「ですね。大したものだぁ」

召喚士「悪いが、貴様と話をしている暇はない!」

ネクロマンサー「ククッ、まぁいいでしょう。魔王ですらその制御を諦めたというその力……」

召喚士「何っ!?」

ネクロマンサー「さぁ、みせてみよ! 焼き払え!」

魔獣「オオオオォォォォ……ッ」

キュイイィィィィ…

コカトリス「召喚士!! 回避しろぉーっ!!」

召喚士「――っ!?」

魔獣「コオオオオォォォォ」

ネクロマンサー「どうしました、かつて西方を焼き尽くしたと言うのは偽りか?」

魔獣の咆哮と共に、赤く燃える光が徐々に徐々に、大きくなり始めた。
613 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:17:20.87 ID:N23LSmkCo
ズザッ

戦士「それじゃ、頼んだぞ!」

神官「畏まりました」

ガシッ

王子「僕も……行く……っ!」

サモナー「陛下、無理です。ここで休んでいて下さい」

王子「みんな……戦ってる」

神官「陛下。陛下は既に十分戦いました。今は休んで下さいませ」

王子「……っ」

神官「貴方にはまだ、すべき事があります。それは魔王イブリースを倒すと言う事」

王子「……くっ」

神官「戦士殿、サモナー殿。こちらは引き受けます。どうかお気を付けて」

戦士「ああ。行こうぜサモナーさん!」

サモナー「うん」

隊長「……くっ」
614 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:18:35.82 ID:N23LSmkCo
タッタッタッタッタ

男隊員「隊長!?」

女隊員「だ、大丈夫ッスかぁ……!?」

魔道士「隊長さん、それに……王子も……っ」

隊長「お前ら……手を……貸してやってくれ」

傭兵「俺らも行くぞ! まだ外で交戦中みてぇだ」

親衛隊「おうっ!」

ズザッ

男隊員「そういう事なら、こっちもチンタラしてる場合じゃねぇな」

女隊員「そうみたいッスね!」

タッタッタッタ

魔道士「あっ、戦士さん! 私達も行きます!」

戦士「お前ら……そうだな。相手が相手だ、数は大いに越した事はない」

サモナー「でも相手は不死。くれぐれも気を付けて」

魔道士「はいっ。分かってます!」
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 18:23:50.21 ID:kpA8bXpDO
なんとゆう巨神兵
616 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:29:10.48 ID:N23LSmkCo
激しい筋肉と筋肉のぶつかり合い。武器はおろか、言葉も無用。

拳で語り合うとはよく言ったもので、しかし相手は死人。心在らざる者に言葉はない。

格闘家はまるで目の前に相手など存在せず、自身が作り上げた強者のイメージ、

それが余りにも現実的過ぎて、実体して見えている。そんな錯覚にも思えて仕方がなかった。

だがお父の鍛え上げられた腕に殴られれば痛みが生じ、丸太のような脚で蹴られれば、

その身に激痛を伴う。辛く苦しいものであるが、そこに生を感じるにもまた確かであった。

格闘家「ああぁぁーっ!!」

お父「……」

バキッ…ドカッ!!…ズギャッ!!…バッゴオオォォン!!

格闘家「……?」

そんな血湧き肉躍るような戦いは、西に輝く赤い光で終わりを迎えた。

格闘家「……な、何だ!?」

タッタッタッタッタ

戦士「盗賊っ! あれは何だ!?」

盗賊「分からないっ、私も今……確認したところだ!」
617 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:39:18.41 ID:N23LSmkCo
キュイイイイィィィィ…

魔獣「ヴオオオオォォオオォォォォ!!」

コカトリス「至近距離すぎるっ!!」

召喚士「――っ!?」

コカトリスに無理矢理引っ張られるように、召喚士とコカトリスは急上昇する。

理由は無論、魔獣がこれより放つであろう赤く輝く光に備えてである。

カッ!!

夜空に浮かぶ星かの如く、赤い光は強く輝いた。

天才「!?」

格闘家「う……っ」

瞬き1つ程度の呼吸を置いて、光源である魔獣の口内より、閃光が真っ直ぐに伸びた。

盗賊「なっ――」

戦士「!?」

音を立てる事もなく静かに、しかし確実にその光は西の砦目掛け伸びている。

光が通過する大地を削り、抉り、燃やし、地獄への道を形成するかのように。
618 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:43:57.44 ID:N23LSmkCo
イイィィィィ…

魔道士「――っ!!」

全員が咄嗟に動けば、その閃光を防ぐ事が出来たかもしれない。

しかしあまりに唐突すぎる事であり、誰もが反応出来なかった。ただ1匹を除いて。

ドッゴオオオオォォォォ!!

凄まじい威力の閃光を、巨大な水の壁が立ちはだかり、かろうじて食い止めていた。

サモナー「マーメイド……!?」

マーメイド「くううぅぅーっ!!」

ジュウウゥゥゥゥ!!

天才「……よ、よくやった! 手の空いてる奴ぁ援護しろぉ!!」

その言葉に反応し、魔道士を始め、各々が一斉に水行を放ち、マーメイドを援護する。

ゴゴゴゴゴゴ

魔道士「ううぅぅ……っ!」

盗賊「くっ!」

天才「まだだぁ!! もっとだ、もっとおぉ!! こんなんじゃ破られんぞおぉーっ!!」
619 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/09(水) 18:48:36.67 ID:N23LSmkCo
ゴゴゴゴゴゴ

男隊員「んな事言ったってよぉ……っ」

女隊員「結構……精一杯ッスよ……ぉ!」

この壁を破られれば、砦は跡形もなく消え去るだろう。それは全員が理解していた。

しかしその威力はとてつもなく、最終防衛ラインとも言える水の壁は徐々に薄れてゆく。

マーメイド(駄目……っ、これ以上は…・・・サモナーが死んじゃうっ!)

サモナー「……構うなマーメイド。僕に構わず、集中するんだ……っ!」

魔道士「お……願いっ! 持ち堪えてえぇ!」

ズッガオオォォォォン!!

魔道士「……へっ!?」

祈りが通じたわけではない。だが、水の壁は急激に厚みを戻していった。

いや、それ以上に厚みを増し、閃光は徐々に軌道を変え始めていた。

マーメイド「だ、誰……何なの!?」

背後から現れたその影は、この状況において、最も適任とも言える者であった。

マーマン「……苦戦してるみてぇだな。だが、俺っちが来た以上……水は任せておきなっ!」
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga]:2011/11/09(水) 18:49:34.81 ID:N23LSmkCo
それではひとまずこれにて失礼をば!
本日もご支援ありがとうございます!ぺこり!ノシ
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 18:51:41.00 ID:kpA8bXpDO
マーマンさんになら抱かれてもいいわ

乙!
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 19:02:37.45 ID:fVuh6SODO
>>1
マーメイドが止めた所で「ぐひっ」ってなったww
そして相変わらずのお預け展開で続きが気になりすぎるぅぅう
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 19:27:38.87 ID:QeMDr6ADo
ザなんとかさんのアイデンティティーが…
乙乙!
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/09(水) 19:39:35.97 ID:ExkEsBlAO
1乙
流石召喚士、俺は信じてたぞ
625 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/09(水) 20:02:52.76 ID:5x1zlttAO
制止を聞かずに一人で飛び出して王子がそのまま焼かれればよかったのに

ちっ
626 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東海) [sage]:2011/11/09(水) 20:17:38.94 ID:8/s3OIJAO
>>1

もはやサンドパンさんはキヒヒッって笑ってもカマせ臭しかしない
砂よりも存在のせいで眠くなるわ
627 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 21:31:01.49 ID:/uKqIdNSO
おすわり防御っ!
628 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 21:32:22.15 ID:/uKqIdNSO
おすわり防御っ!
629 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 21:40:22.51 ID:8b/cEsXEo
ペガサス彗星拳!!!!
630 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 21:40:58.92 ID:hdRumnZ3o
マーマンさん干からびたりしないんだろうか!>>1乙!!
631 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 21:46:06.55 ID:Ihwrd5qao
いちおつ
やっとマーマンさんの正体がわかるのか
632 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/09(水) 22:58:45.58 ID:1YSYP+HSO
どれだけ召喚士の活躍を待っていた事か
633 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/10(木) 02:05:28.86 ID:TPlZXS6AO
>>1おつ
634 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) :2011/11/10(木) 04:16:48.61 ID:ygtjjxRK0
召喚士がムキになってせいで…
いちおつ
635 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 09:14:51.88 ID:QSQkfCvWo
さすがは名脇役の召喚士さんやなー
636 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 11:29:50.85 ID:l+uGWpFDO
>>1乙!

マーマン△
637 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:17:44.53 ID:Qt6nhP2Go
戦士「な……っ」

魔道士「マ、マーマンさん……!?」

ズダッ

マーメイド「……あ」

マーマン「余所見してんなよ。集中しろ」

マーメイド「マーマン……」

マーマン「集中しろって!」

マーメイド「……っ」

ゴシュッ!!…ジュウウゥゥゥゥ

赤い閃光の眩さに、目の前は憎たらしい程輝かしい赤色以外には何もない。

ただ一同の目に映る確かな事は、それを懸命に水の壁が堪えているという事。

その直下に立つマーメイドとマーマン。召喚獣と魔物でありながら、どことなく似た面影もある。

そんな水のスペシャリストとも呼べるであろう2匹に、人間らが必死で援護の水行を放ち続ける。

魔物の攻撃を魔物と召喚獣と、そして人間が食い止めるという不思議な光景。

所属を越えた懸命の防御。その甲斐あってか、やがて閃光は砦より南へと軌道を逸らせ始めた。
638 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:18:47.30 ID:Qt6nhP2Go
ジュジュウウゥゥゥゥ

天才「あと……一息だっ、踏ん張れよぉ!」

魔道士「う……ううぅぅ!!」

マーマン「ぎぎいぃ!!」

ズッゴオオォォォォ!!

男隊員「押し……返したぞおらああぁぁ!!」

天才「勝った――」

ガクンッ

マーメイド「!?」

サモナー「……っはぁ、はぁ、はぁ」

魔道士「サモナーさんっ!?」

マーメイド「魔力の……限界……ぃ」

天才「あとちょっとなんだ! 何とか持ち堪えろおぉ!」

女隊員「まっ、まずいッスよおぉ!!」

形勢逆転かと思われたその瞬間、マーマンとマーメイドの前に新たな召喚獣が現れた。
639 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:19:14.60 ID:Qt6nhP2Go
ズッゴオオォォォォ!!

スキュラ「召喚士っ、もっと魔力を出さぬか!」

バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「今……やってますよぉ!」

ゴアッ!!

盗賊「再び押し返したっ!」

タッタッタ…ズザッ

神官「……あ、あれは……っ」

西方魔道長「あんたらはいいから、怪我人達を避難させなっ!」

西方副司令「は、はいっ!」

隊長「……ぐっ」

西方参謀「おらババア。さっさと助っ人行くぞ!」

西方魔道長「分かってるよ。そんじゃ、早速おっ始めるかい!」

神官「陛下、立てますか? 直線上の砦は何かあっては危険です。避難を」

王子「ほ、他の連中も……避難は忘れるなよ」
640 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:21:15.64 ID:Qt6nhP2Go
タタッ

西方参謀「水かよ……苦手なんだよなぁ……ヒック」

西方魔道長「つべこべ言ってないで、さっさと撃ちなっ!」

魔道兵「我らも続けぇ!!」

ドッドオオォォォォン!!

天才「……ったく、やーっときやがったか」

魔道士「す、凄い魔力がっ!!」

天才「これで……決める!!」

壁の角度が完全に南側へと形成され、赤い閃光は壁を滑るように軌道を変えた。

どれ程か分からぬくらいに伸びた光は、遥か南の地点に着弾した。

ゴッ…ドッドドッドドドド…

僅か一瞬、まるで昼間のような輝きを見せた後、赤黒い衝撃が山のように膨らんだ。

そして、その衝撃は大爆発を起こし、天にも衝き昇る様な煙を吐き出した。

声も出せず唖然とする一同。安堵の間もなく今度は、爆風が襲いかかる。

まるで魔法のような強烈な突風は、離れた西の砦にまで砂嵐として激しく吹きつけた。
641 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:22:32.66 ID:Qt6nhP2Go
ゴアアアアァァァァ!!

召喚士「う……あっ!」

コカトリス「ちぃっ、一旦……着地するぞ」

バサバサバサッ…バシュウウゥゥゥゥ

魔道士「く……っうぅ!!」

女隊員「飛……ばされるッスうぅ!!」

ゴアッ!!…ドドオオォォォォ…

格闘家「……っ」

天才「ぺっ、ぺっ。口ん中……砂だらけだぜ」

男隊員「何とか……生きてるみてぇだ……っ」

西方参謀「油断すんなよ? 2発目があるかもしんねーだろ……ヒック」

魔道士「……っ!!」

天才「酔っ払いの言う通りだ。砦内の奴らは全員、避難したな? こっちも一旦、距離を取るぞ」

格闘家「……あの男がいない。逃げたか……?」

天才(予言での結果は死者0。おそらく2発目はないと思うけどな……)
642 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:23:20.52 ID:Qt6nhP2Go
コオオォォォォ

ネクロマンサー「……素晴らしい」

魔獣「オオオオォォォォ……ッ」

ネクロマンサー「さて、もう1発いけますかねぇ?」

魔獣「ヴオオォォォォ……ッ」

ブシュウウゥゥゥゥ…

ネクロマンサー「駄目、ですか。残念……どうしゃら早すぎたみたいですね」

魔獣「ヴヴウウゥゥゥゥ」

ネクロマンサー「ま、いいでしょう。目的は果たせました」

スゥッ

ネクロマンサー「魔方陣は消えた。また、1から頑張って下さい。ククッ」

閃光を放ち、全身より煙を吐き出している魔獣は、再びその足を進め始める。

ネクロマンサー「もうじき夜が明けますね。満月の夜まであと9日ですか」

魔獣の傍に佇む黒い影は音も立てず姿を消してゆく。

ネクロマンサー「ククッ、サタンを含めあと4体。せいぜい頑張って下さいね」
643 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:24:44.92 ID:Qt6nhP2Go
ヒュオオォォォォ

戦士「大丈夫……みてぇだな」

盗賊「……ああ。もうじき夜も明けるな」

ザッ

マーメイド「サモナーっ!!」

マーマン「早く行ってやれ」

マーメイド「……ごめんっ」

ヒュッ

マーマン「謝るなよ。俺っちが……哀れみてぇじゃんか」

テクテクテク

召喚士「マーマンさん……」

マーマン「おう、助っ人に来たぜ……へへへっ!」

召喚士「もう、南は大丈夫なんですか……?」

マーマン「ああ。敵もいねーし、みんな復興作業に熱を入れてるよ」

召喚士「マーマンさんはいいんですか?」
644 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:25:37.89 ID:Qt6nhP2Go
マーマン「ハヌマーンや法師様たっての頼みでな。各地を回ってんだわ」

召喚士「そう……でしたか」

マーマン「しっかし、なんて威力の攻撃だよ。肝心の敵はどこにいやがるんだぁ?」

召喚士「……あの、マーマンさん」

マーマン「あん?」

召喚士「率直にお伺いしますが、あなたは一体……何者なんです?」

マーマン「……」

召喚士「今さっき、マーメイドさんと話してましたよね? いや、以前にも……」

マーマン「いいじゃねぇか、何者だろうがさ。別に種族なんて関係ないだろ?」

召喚士「……」

マーマン「少なくとも俺は、人間のお前らをマブダチだと思ってる。それじゃ不服かい?」

召喚士「……いえっ」

マーマン「誰にでも色々な人生はあるのさ。ほれ、戻って一休みしようや。肌がガッサガサだよ……」

召喚士「……っ」

一時の窮地を脱し、疲弊した彼らの頬に、昇った太陽の光が暖かさを与えた。
645 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:26:35.61 ID:Qt6nhP2Go
〜満月まであと9日。西の砦、北側〜

女隊員「ふいーっ。仮設テントはこんなもんでいいッスかぁ?」

男隊員「おーう。こっちも終わったぞー」

ザッザッザ…バサッ

天才「よう。無事か?」

隊長「思ったより軽傷ですよ。痛みもないですから」

天才「……治りが早いってレベルじゃねーぞおい。無茶すんなよ」

隊長「魔方陣五行、明日でしょう? それまでには間に合わせますよ」

天才「夜の余計な攻防で他の連中も魔力消費しちまったからなぁ」

隊長「……」

天才「ま、そうは言っても相手が止まってくれるわけじゃねぇし」

格闘家「止めろ、という事ですか?」

天才「出来るならそうして貰いてぇもんだわ」

西方副司令「総動員でやるだけやってみましょうか?」

天才「んーまぁ、あの馬鹿ももうじき到着するだろうし、やってみっか」
646 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:27:14.06 ID:Qt6nhP2Go


ザッザッザ

戦士「しっかし、でこぼこで歩きずらいったらねぇわな」

魔道士「ほんとですね……。何でこんな急に……」

盗賊「あの一撃のせいかもしれないな」

魔道士「そうなんですか?」

召喚士「おそらく、起点から円状に爆発を起こしたと思います」

盗賊「だから、周辺に衝撃が起こり、吹き飛んだ砂で隆起した」

戦士「こんな所までかぁ!?」

召喚士「可能性は高いと思うよ。何たって、砦まで爆風が来たくらいだもん」

魔道士「そ、そうですよね……っ」

戦士「仕方ねぇ。とにかくあるくしかないって……か」

盗賊「もうじき着くさ」

魔道士「調査隊を任されたからには、しっかり務めないとですねっ!」

召喚士「ええ」
647 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:28:16.89 ID:Qt6nhP2Go


ザッザッザ

戦士「まだかよ……」

盗賊「そろそろだろ」

召喚士「ん……? あれか?」

ザッザッザ…ピタッ

魔道士「え……っ!?」

戦士「お、おいおい……っ!!」

盗賊「――っ!!」

4人が目にしたもの。それは西方では在り得ないようなものであった。

召喚士「……湖!? いやっ、まさか……違う! あの一撃で……っ」

盗賊「海水が流れ込んだんだ……地形を変えて……っ」

戦士「マジかよ……っ!」

召喚士「盗賊さん、どのくらい歩いたか分かりますか?」

盗賊「3時間程度かな。具体的には分からんが」
648 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:31:20.80 ID:Qt6nhP2Go
召喚士「湖の形から考えると、爆発の起点は更に倍はあるかもしれませんね」

魔道士「!?」

戦士「そ、そこまでの威力かよ……」

召喚士「危なかった……。あと少し角度がずれていれば……」

魔道士「いれば……な、何ですっ?」

盗賊「考えてみよ。この先に何がある?」

戦士「……三日月島……っ」

魔道士「だだっ、大丈夫ですよね!?」

召喚士「まぁ、流石にそこまでは届いていないようですが、多少は影響あるかもしれませんね」

盗賊「青年兵や西方司令も心配だな」

戦士「ああ、そういや迎えに行ってるんだよな」

召喚士「……とにかく、砦に戻ってこの事を報告しましょう」

魔道士「は、はいっ!」

戦士「砂漠に湖か……。今は惨劇だが、後々にはいいのかもしれないなぁ」

盗賊「不謹慎な事を言ってないで行くぞ」
649 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:33:51.33 ID:Qt6nhP2Go


ヒュウウゥゥゥゥ

砂漠に出来上がった湖の、召喚士ら4人ちと対岸に位置する場所。西方の海岸沿い。

西方司令「……う、うぅ」

青年兵「だ、大丈夫ですか!? 水は……」

西方司令「し、死ぬううぅぅぅぅ……もう……駄目だぁ」

青年兵「本当に申し訳ありません……。唐突な事で、完全によけきれず」

……――

数時間前、三日月島の西方司令部を出発したバハムートは、

青年兵と西方司令を背中に乗せ、ゆっくりと西の砦を目指していた。

西方司令「この腐れ雑魚!! もっと早く!! 迅速に飛べんのか!!」

青年兵「さ、流石にこの重さでは……危ないですので……」

西方司令「危ないだぁ〜? んな事ヌカしてるともっと危ない目に合わせてやろうかぁ? あぁ?」

青年兵「な、何でですかっ!」

西方司令「せっかくだ、こいつの切れ味試しちゃうぞおぉ! 首ちょんぱしてやろうかこるあぁ!!」
650 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/10(木) 18:37:25.48 ID:Qt6nhP2Go
チカッ

青年兵「え……っ?」

ォォォォオオオオ

青年兵「んなっ――」

西方司令「な、なん――」

カッ!!…ドッズオオオオォォォォン!!

――……

青年兵「……しかし一体、あれは何だったんだろうか。まさか魔王の……!?」

西方司令「うああぁぁぁぁーっ! もう嫌だああぁぁーっ!!」

青年兵「はぁ。西方司令もこれだし、とにかく早く司令の武器を探さないと……」

西方司令「うわああああぁぁぁぁん!!」

青年兵「……はぁ。西方司令、気休めですけど僕の剣でも握ってて下さい」

パシッ…ギュッ

西方司令「死ぬううぅぅ……と思ったら大間違い。なんとか生きる喜びを噛み締めている俺」

青年兵「良かった。さて、それじゃ武器を探しに行きましょう」
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga]:2011/11/10(木) 18:51:10.75 ID:Qt6nhP2Go
ひとまずこれにて失礼をば。全然進まなくてごめんなさいねほんと…
沢山のご支援ありがとーです!それではまた!ノシ
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 18:57:16.77 ID:z9lgPG9+o
青年兵「……はぁ。西方司令、気休めですけど僕の剣でも握ってて下さい」

パシッ…ギュッ

////
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 19:04:16.04 ID:ceVwJJpg0
>>1乙!

>>652
ワロタ
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 20:19:20.88 ID:vIWZP2G+o
いちおつ
やっとマーマンさんの正体がわかると思ったのに
召喚士め、途中でヘタレやがって
もっとしっかりツッコめや
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/10(木) 20:21:04.97 ID:3vf3Uk8Fo
>>1乙!

持ち直した西方司令ワロタ
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 20:25:43.25 ID:iRWun0IDO
さすが主人公の西方司令さんやでぇ
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/10(木) 20:27:31.74 ID:S5OnsN8fo
>>652
つづきはよ
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/11(金) 01:24:31.43 ID:X7pzUKIAO
最後の西方指令の台詞ワロタww

最初はこんな愛すべきキャラになるとは思わんかったわ
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都) :2011/11/11(金) 03:24:50.12 ID:loUZwbrl0
いちおつ
すごいな 魔王なみの威力だな
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 11:10:35.63 ID:um2OXJQIO
八岐大蛇も巫女たん8人喰ってたらこんな強くなってたのかな
661 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:44:21.79 ID:oyduOigLo


ドドッドドッドドッ

西方兵「ただいま戻りました」

神官「状況はどうです?」

王子「進路は変わらず。真っ直ぐ砦に向かってるよ」

神官「順調と言えば順調。あまり宜しくない話ですけれどね」

天才「まぁいいさ。魔法陣のチャンスは1回。描くのもギリギリを狙うぞ」

西方魔道長「だねぇ。また邪魔が入ったら厄介だしね」

タッタッタ…テクテク

召喚士「ただいま戻りました」

天才「おうご苦労。どうだった?」

戦士「予想以上の威力だった……。地形が変わってたよ」

隊長「!?」

召喚士「海岸線で爆発したようで……海水が流れ込み、湖が出来上がってました」

西方参謀「はぁ!? そ、そんなにかよ……っ」
662 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:45:08.13 ID:oyduOigLo
盗賊「……2発目があるとするならば……まずいぞ」

神官「確かに。避難させたとは言え、これ以上西方の地を荒らされるのは些か許し難いですね」

天才「しゃーねぇ。馬鹿到着まで待とうかと思ったが、先に動くぞ」

王子「仕掛けるかっ!」

天才「ああ。朱雀の連中も帰ってきたし、あとは特遊が戻ってきたら始めよう」

西方副司令「でも、司令は出陣なさらないんですよね……?」

天才「だな。魔方陣五行の連中と神官、サモナー、隊長は待機だ」

隊長「俺もか?」

天才「怪我人だろうが。大人しくしてろ」

魔道士「サモナーさんも……疲労が激しいですもんね……っ」

西方参謀「神官殿は戦力になるのに、控えなのか?」

神官「申し訳ありません。私はもう、召喚出来ないのですよ」

西方参謀「……ヒック?」

神官「禁呪を施した私は既に人間と召喚獣に狭間にいます。魔法も召喚術も使えません」

召喚士「……っ」
663 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:45:41.00 ID:oyduOigLo
戦士「なぁ、ところで魔方陣五行ってのは5人必要なんじゃねぇのか?」

天才「ああ」

戦士「あんたに西方魔道長、隊長、魔道士。あとは西方参謀か?」

西方参謀「おいおい、お前さんもラーヴァナ戦居ただろ。俺の活躍を見てなかったのかよ」

戦士「活躍してたっけ? ぼそぼそ」

盗賊「馬鹿者っ、聞こえるぞ」

西方参謀「……。とにかくな、魔力不足だ。俺じゃあ役に立たん……ヒック」

西方魔道長「さっきの水もスカスカだったしねぇ。もっとガブ飲みして魔力蓄積しなよ」

西方参謀「これ以上飲めるかっ! いくら酒好きでも許容範囲ってもんがあるわ!」

戦士「んで、結局誰なんだよ」

天才「どうしようか考えたが、ちょうどいいのが来たじゃねぇか。助っ人によ」

魔道士「丁度……? あっ!! マーマンさん!!」

天才「水行限定だが、あれ程頼もしい魔力の持ち主はいねーぜ」

戦士「マーマンか、確かにそうだよな!」

召喚士「あれ? ところで肝心のマーマンさんは……?」
664 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:46:29.78 ID:oyduOigLo


マーマン「……」

タッタッタッタッタ

男隊員「やっと着いた。もう冬だってのに何でこんなあちーんだよ……」

女隊員「おやっ、確か……マーマンさんでしたっけ? 何してるんスか?」

マーマン「おう、ご苦労さん。何って見ての通り、日陰で水浴びだよ」

格闘家「……」

マーマン「こうでもしねーと、流石にここの気候は俺っちにゃあ地獄だよとほほ……」

女隊員「とほほって始めて聞いたッス……」

マーマン「んで、ネクロマンサーはどうだったよ?」

男隊員「この周辺にゃ、もういねーみたいだな」

格闘家「かなり北まで行ってみましたが、いたのはサンドワームくらいなもんです」

マーマン「ふーん。そんじゃ逃亡したのかねぇ」

男隊員「部下がことごとくやられたみたいだしな。多分そうだろ」

女隊員「それじゃ、私達はこれで失礼するッス! ご苦労様ッス!」
665 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:47:27.61 ID:oyduOigLo


魔道士「あっ、戻ってきたみたいですよ」

男隊員「ただいま戻りましたーっと。隊長、もういいのかよ?」

隊長「軽傷だって言ったろ。1人で寝てるわけにゃいかねぇよ」

王子「そうそう。この程度の傷で寝てられないってね!」

神官「陛下。陛下も怪我人なんですからね」

王子「分かってるって。今回は無茶しないよ。メインディッシュの前に満腹なんて馬鹿だしね」

天才「おし。そんじゃこれから、あのデカブツの動き止める作戦を開始するぞ」

盗賊「……」

天才「出陣は召喚士、戦士、盗賊。男隊員、女隊員、格闘家。西方副司令、西方参謀」

召喚士「はい」

天才「お前らはデカブツの動きを止めつつ、閃光を使えなくするように務めてくれ」

西方参謀「絶対の任務じゃない。出来れば程度でいい。やばいと思ったら速やかに退却」

戦士「了解だ。やるだけやってやるさ」

魔道士「頑張って下さいね……っ、皆さん」
666 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:49:09.35 ID:oyduOigLo
天才「んで次は、中間地点でサンドワームの退治役」

神官「進路上には居ないと思いますが両脇の南北から出来るだけ引き離して下さい」

天才「メンバーは西国の連中が中心だ」

神官「陛下を筆頭に、傭兵殿、親衛隊殿。それに西方軍30名程」

王子「おう。いつもやってる事だ、任せといてよ」

天才「頼むぞ。んで最後に進路上で援護を行う部隊」

西方副司令「西方司令部の魔道兵はここと魔物の中間地点で、それを担って頂戴」

魔道兵「ははっ!」

天才「以上。あとは青年兵と馬鹿が戻り次第、最前線へ投入する」

男隊員「なぁ、司令も隊長もいないとなると、前線は誰が指揮するんだよ?」

格闘家「西方副司令では?」

西方副司令「私は無理よ。補佐ですら精一杯なのに……」

天才「あー忘れてたわ。んじゃ……お前ね」

召喚士「……えっ!? お……俺!?」

天才「指揮能力から考えれば適任っつーか、消去法でお前しか残らねーや。ハーッハッハ!」
667 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:50:11.86 ID:oyduOigLo


男隊員「そいじゃあ行くとしましょうかね、リーダー!」

女隊員「何でも指示して下さいッス!」

格闘家「……ふーっ」ゴキゴキッ

盗賊「前衛は私達で行こう」

戦士「モチロンだ。他に誰がやるんだっての」

ザッ

西方参謀「準備出来たぞ……っと。ヒック」

西方副司令「さぁ行きましょ。不甲斐ないばかりにごめんね。その代わり、補佐は任せて」

召喚士「……とにかく、やるだけやってみます。頑張りましょう!」

魔道士「召喚士さんならきっとうまく出来ますよっ! えへへ!」

天才「いいか、正面だけは絶対に避けろよ? そんじゃ行ってこい!」

戦士「おう。出発!」

王子「僕らが先にでるから、切り拓いた道をそのまま進んで!」

召喚士「うん。ありがとう。それでは……出撃します!」
668 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:52:57.67 ID:oyduOigLo


サモナー「……ごほごほっ、がはっ」

ポタポタッ…ツツー

サモナー「……ふーっ」

テクテクテク

マーマン「!? お、おいあんたっ! 大丈夫……」

サモナー「気にしないでくれ。大丈夫だから」

マーマン「……っ」

サモナー「マーマンさんだったね。君とは1度、話してみたいと思っていたんだ」

マーマン「俺っちと……?」

サモナー「うん。先程、マーメイドと話をしていたよね? 先日も……」

マーマン「……」

サモナー「マーマンさん。僕の予想が正しければ君は……がはっ、ごほごほっ!」

ポタポタポタッ…ガクッ

マーマン「お、おい!? 誰かっ! 誰かいないかっ!?」
669 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:53:40.86 ID:oyduOigLo
タッタッタッタッタ

西国兵「どうし――こ、これは!? 大丈夫ですか!?」

サモナー「う……ぐっ、ごほごほっ」

マーマン「吐血が止まらねぇ! すぐに手当てしてやってくれ!」

西国兵「は、はいっ! おい、担架を!」

タッタッタ…ガタガタガタッ

マーマン「……っ」

クルッ…テクテクテク…ピタッ

マーマン「……!?」

マーメイド「マーマン……」

マーマン「……お前のご主人が大変だ。すぐに――」

マーメイド「彼は召喚解除しないわよ。それに、もう長くないのよ」

マーマン「……ッ!!」

マーメイド「それが私達の選んだ道なの。だから……私には止められないの」

マーマン「お前……っ」
670 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:54:20.05 ID:oyduOigLo
マーメイド「ねぇ、マーマン。貴方は何故……」

マーマン「俺っちの事はいい。もういいんだよ」

マーメイド「……っ」

マーマン「これが俺の選んだ道なんだ。誰にも迷惑はかけられねぇ」

マーメイド「だったらせめて、せめて皆に伝えてあげてよっ!」

マーマン「……出来ない相談だな」

マーメイド「マーマンの事を本気で心配してくれているのよ!? マブダチなんでしょ!?」

マーマン「……」

マーメイド「種族なんて関係ない……マブダチなんでしょ!!」

マーマン「……だがな、話したところで何かが変わるわけじゃねぇぜ?」

マーメイド「それは分かってる。皆もそう思うわよ。それでも……貴方は話すべきなのよ」

マーマン「……」

マーメイド「それが、貴方がこの世界に生きた証になると思うの」

マーマン「……まぁ、考えておくよ。あんがとな」

マーメイド「……」
671 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:56:34.42 ID:oyduOigLo
マーメイド「ねぇ、マーマン。貴方は何故……」

マーマン「俺っちの事はいい。もういいんだよ」

マーメイド「……っ」

マーマン「これが俺の選んだ道なんだ。誰にも迷惑はかけられねぇ」

マーメイド「だったらせめて、せめて皆に伝えてあげてよっ!」

マーマン「……出来ない相談だな」

マーメイド「マーマンの事を本気で心配してくれているのよ!? マブダチなんでしょ!?」

マーマン「……」

マーメイド「種族なんて関係ない……マブダチなんでしょ!!」

マーマン「……だがな、話したところで何かが変わるわけじゃねぇぜ?」

マーメイド「それは分かってる。皆もそう思うわよ。それでも……貴方は話すべきなのよ」

マーマン「……」

マーメイド「それが、貴方がこの世界に生きた証になると思うの」

マーマン「……まぁ、考えておくよ。あんがとな」

マーメイド「……」
672 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:57:47.49 ID:oyduOigLo


ドドッドドッドドッ

戦士「相変わらず近くで見ると、とんでもないデカさだな……っ」

盗賊「さぁ、どうするリーダー?」

召喚士「闇雲に戦っても恐らく意味はありません」

西方参謀「だな」

召喚士「全員で、一点集中攻撃を仕掛けます」

西方副司令「了解。ターゲットはどこ?」

召喚士「まずは左前足からいきましょう。戦士、盗賊さん。前衛お願いします!」

戦士「おうよ!」

盗賊「……承知っ!」

ドカカッ…ドドッドドッ

召喚士「特遊の皆さんは回りこんで、左足を後ろから攻撃して下さい」

男隊員「いい作戦だっ、了解!」

格闘家「いきます」
673 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:58:24.92 ID:oyduOigLo
ガカッ…ドドドッ…ドドドッ

召喚士「最後に西方副司令さんと西方参謀さんは、北側から魔法援護を」

西方参謀「あいよ」

西方副司令「承知しました」

召喚士「西方副司令さん」

西方副司令「……何?」

召喚士「俺はこれから上空へ向かいます。現場の補佐、お願いしますね」

西方副司令「っ!!」

召喚士「行けっ、コカトリス!」

シュイイィィン…バシュウウゥゥゥゥ

西方副司令「現場の補佐……」

ゾクゾクッ

西方副司令「た、頼られるのも悪くないじゃない……ふふんっ」

西方参謀「おーい、早くしろい……ヒック」

西方副司令「補佐に対して口の利き方がなってないわね。さぁ、行くわよー」
674 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 17:59:04.02 ID:oyduOigLo
バシュウウゥゥゥゥ

魔獣「ヴオオオオォォォォーッ!!」

ビリビリッ

召喚士「凄い声だ……っ」

コカトリス「まるで霹靂だな。それで、どうする?」

召喚士「まずは閃光の発射源を確認しないといけない」

コカトリス「……それは、口じゃないのか?」

召喚士「まぁ、そうだよね」

コカトリス「しかしあれだけ巨大な口では、塞ごうにも骨が折れるな」

召喚士「だね。コカトリスの石化でもどれだけ時間がかかる事か……」

コカトリス「ふむ。あれでいくか?」

召喚士「あれ?」

コカトリス「うむ。私の全身石化で――」

召喚士「いやいやいやっ、それは駄目だよ! 師匠に固く言われたじゃん」

コカトリス「そうだな。だが戦友は言ったではないか。あの時……」
675 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 18:01:14.79 ID:oyduOigLo
……――

召喚士『コカトリス……ですか?』

師匠『ああ。流石にシルフだけで放り出すわけにゃいかんだろ』

召喚士『あ、ありがとうござ――』

師匠『まぁお前の魔力じゃ使えねーけど、ハッタリくらいにゃなんだろ。がはははっ!』

召喚士『やっぱり最低だこの人……』

師匠「あぁ!? 何か言ったか?』

召喚士『い、いえっ! 何も……っ』

師匠『というわけで、コカちゃんの専属を解除する』

シュイイィィィィン

コカトリス『……何だこいつは?』

師匠『いつの間にか住み着いちまった貧乏神』

コカトリス『ほぉ』

召喚士『ほぉ、じゃないですよ! 違いますっ!』

師匠『いや、実はな……』
676 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 18:02:03.69 ID:oyduOigLo


コカトリス『つまり、きょうからこの者の専属になれと……?』

師匠『がははっ! そういう事!』

コカトリス『……全くと言っていい程、魔力を感じ取れぬのだが……っ』

召喚士『……』

コカトリス『本当に大丈夫なのか?』

師匠『さぁ? まぁ死んだら死んだで仕方ない事だよな。ガハハハ!』

召喚士『そういう話はコソコソ言うべきだと思いますっ!』

師匠『さて冗談はこれくらいにして。お前、専属の意味……分かってるよな?』

召喚士『え、ええ。一応……理解はしているつもりですが』

師匠『コカトリスは代々、一部の人間に受け継がれてきた、貴重な召喚獣だ』

召喚士『そ、そうなんですか……!?』

師匠『ああ。俺もコカちゃんは師匠から譲って貰った』

召喚士『師匠の師匠……っ。どんな人なんです?』

師匠『凄い人だったよ、そりゃあもうな。ま、俺には敵わないけど。がははっ!』
677 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 18:03:31.64 ID:oyduOigLo
召喚士『あの、本題に……』

ゴンッ!!

召喚士『――っ!!』

師匠『ったく。話は最後まで聞けっつーの。まぁいいや。んで注意事項』

召喚士『……はい』

師匠『そういう貴重な召喚獣って事は?』

召喚士『……狙っている悪者もいる』

師匠『正解。じゃあどうする?』

召喚士『何があっても、死ぬ気で守り抜きます』

師匠『不正解。盗まれるくらいなら死ね』

召喚士『……』

師匠『コカトリスにはそれくらいの価値と責任がある。それを忘れるな』

召喚士『……っ』

コカトリス『戦友、脅しはそれくらいにしておけ。すっかり縮こまってしまったではないか』

師匠『ガハハ! それもそうだな。んじゃ、1つだけアドバイスをしておく』
678 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 18:04:21.12 ID:oyduOigLo
召喚士『アドバイス……ですか?』

師匠『召喚ってのは元来、まずは目で見て耳で聞いて、それを具現化するもんだ』

召喚士『ええ、そう教わりました』

師匠『つまりコカちゃんの能力が見破られない限り、仮にお前が死んでも盗まれる事はない』

召喚士『生きているうちは専属。しかし俺が死ねばその時点で……』

師匠『そう。フリーとなる。だが、今言ったように能力が分からければ……』

召喚士『契約は出来ない……!』

師匠『……今からコカトリスの能力を教える。全部で3つだ』

召喚士『……はいっ』

師匠『2つは使っていい。だが3つ目は何があっても決して見せてはならん。いいな>』

召喚士『分かりました』

師匠『但し、一定の条件をクリアした場合は、3つ目の使用を許可する』

召喚士『条件……ですか?』

師匠『ああそうだ。まぁこの条件……お前には絶対に無理だろうなぁ〜ガハハッ!』

召喚士『な、何ですか……もうっ』
679 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/11(金) 18:07:23.85 ID:oyduOigLo
――……

コカトリス「戦友の言った条件、お前は見事クリアしたではないか」

召喚士「……っ」

コカトリス「少なくとも私はそう思うぞ」

召喚士「……そんな事はないって。残念だけど、コカトリスの買い被り過ぎだよ」

コカトリス「お前は本当に捻くれ者だな。そういうのは謙虚とは言わぬぞ?」

召喚士「いやっ、本当にそう――」

魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

召喚士「!?」

コカトリス「見ろ、あの口内……炎が燻っておるわ」

召喚士「やっぱり発射口はあそこか……っ!」

コカトリス「再発射する可能性は、今のところなさそうだな」

召喚士「うん。もう1回蓄積するまで、あの様子だと最低でも1日はかかるだろうね」

コカトリス「ならばやるべき事は1つだな」

召喚士「うん。まずはこの魔物の足を封じよう。みんなの所に戻ろう、コカトリス」
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage saga]:2011/11/11(金) 18:11:51.80 ID:oyduOigLo
また後ほど現れます!多分!
ご支援感謝感謝ですー!それでは失礼致します!ノシ
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 19:06:19.98 ID:Vmlyjh9DO
マーマンたんが気になるんだよぉぉぉぉぉ
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/11(金) 19:15:45.62 ID:xGVQVy/0o
これでこの状態のコカさん最終形態か
しばらく盛り上がりに欠けるんかな
1ならきっと最終戦まで熱保ってくれると信じてる
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/11(金) 19:30:53.89 ID:VnHC0T0u0
1乙
むしろコカさんの最終形態だなんてもりあがりすぎだろ
ゆとりは死んどけよ

684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福岡県) [sage]:2011/11/11(金) 19:40:43.47 ID:AJQHDxAN0
>>1 乙!
久しぶりだ師匠! 懐かしいなwwwwww
あれwwwwww 酒飲み過ぎたかなwwwwww 画面が滲むよ
685 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/12(土) 01:20:19.13 ID:3Lw424QAO
>>1おつ
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/12(土) 01:53:45.89 ID:yXqxZ8gAO
>>1

師匠ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/12(土) 04:48:14.95 ID:+laKL+PH0
いちおつ
西方副司令 召喚士に惚れたか…?

688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(石川県) [sage]:2011/11/12(土) 08:36:26.79 ID:WTcJqXGvo
コカトリス 「あと2回変身を残してます」
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/12(土) 18:17:19.37 ID:z5yed7/oo
コカ朱雀はよ
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/12(土) 18:40:06.78 ID:nQFUC9zoo
なんか興奮してきた
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/12(土) 19:18:31.90 ID:caMVVQgNo
たまに朱雀先生が麻雀先生に見えて困る
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/12(土) 23:53:33.63 ID:IqcpGB7AO
テスト
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県) [sage]:2011/11/13(日) 01:51:10.50 ID:OIrC++9do
>>691
たぶんそれであの番外編ができたんだろうな
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 09:47:32.94 ID:C9n5G1BDO
マブダチ
695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/13(日) 22:51:58.60 ID:jDtM1AZ0o


魔獣「ヴオオォォォォン!!」

ズッシイイィィィィン!!

戦士「うおりゃあぁ!!」

ザシュウウゥゥ!!

戦士「ちっ、デカすぎて親指1本突き刺すのが精一杯……」

魔獣「ヴオオォォォォ!!」」

戦士「あぶ……っ!」

盗賊「何をしているっ! 回り込め!」

戦士「わーってるよ!」

ザザザザッ

男隊員「いいかぁ? 敵はゆっくりとはいえ動いてるんだ」

格闘家「動き出しではなく、着地を狙えばいいわけですね」

女隊員「そうと決まれば早速――」

男隊員「着地から次の1歩まで10分。まぁ、ノンビリいこうや」
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/13(日) 22:52:20.73 ID:jDtM1AZ0o
バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「やっているな」

召喚士「うん。俺らも合流しよう」

ドッズウウゥゥゥゥン

西方副司令「今よっ、攻撃開始ーっ!!」

西方参謀「おーらよっと……ヒック」

盗賊「はあぁーっ!」

戦士「でっりゃああぁぁ!!」

男隊員「おらっ、ブン殴れ!」

格闘家「……ふーっ。はぁ!!」

女隊員「どっこい……っしょおおぉぉ!!」

魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

ズッガアアァァァァン!!

コカトリス「これはキリがないな」

召喚士「うん……っ」
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/13(日) 22:53:17.21 ID:jDtM1AZ0o


魔獣「ヴゴオオオオォォォォ!!」

戦士「くっそぉ!」

男隊員「キリねぇぞこれっ」

西方参謀「10分に1回のチャンスで効果薄な攻撃繰り返してちゃあなぁ……ヒック」

西方副司令ど、どうしましょう……っ」

バシュウウゥゥ…バサァ

召喚士「くらえぇーっ!!」

コカトリス「はあぁっ!!」

ゴゴオオォォォォ…ピシピシッ…ベキッ

男隊員「コカトリスの石化かっ!」

女隊員「やった……止まったッスよ!」

魔獣「……オオォォ」

召喚士「!?」

魔獣「ヴオオオオォォォォーッ!!」
698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/13(日) 22:54:35.86 ID:jDtM1AZ0o
バガァ!!…ドッズウウゥゥゥゥン!!

戦士「駄目だっ、効いてない!」

召喚士「……っ」

コカトリス「もう1発いくか?」

召喚士「……いや、無理だろうね。こうも簡単に石化を破られるなんて……」

コカトリス「だろうな。召喚士の魔力では、どれ程かかる事やら」

召喚士「……」

コカトリス「ん、どうかしたか?」

召喚士「いいえ別に。何でもないですよ何でも。それなら2つ目の力で……」

コカトリス「効く、か?」

召喚士「男は度胸。何でも試してみるのさ」

コカトリス「……まぁ良かろう。では行くぞ」

バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「くらええぇぇーっ!!」

魔獣「ヴゴオオォォォォ!!」
699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/13(日) 22:55:16.57 ID:jDtM1AZ0o
召喚士とコカトリスは、魔獣の正面でぐるりと右へ旋回し、低空飛行へと移る。

そして魔獣の腹部と地面の隙間を飛行すると、皆が攻撃を続けている

左足の裏へと回り込み、身体を持ち上げるように急停止した。

ギュバッ!!

コカトリス「食らうが良いっ!」

召喚士の専属召喚獣、コカトリス。最も得意とする攻撃は言わずもがな石化の息。

だがコカトリスには、それ以外の技も持ち合わせている。それが尾の毒による攻撃。

召喚士も何度かその攻撃を使用しているが、意外とその存在を知る者は少ない。

ドズゥッ!!…グググッ

魔獣「……ヴオオオオォォォォ!!」

尾が膝の裏へと突き刺さると、魔獣は少し間を空けて雄叫びを上げた。

召喚士「やっぱり駄目か……っ」

コカトリス「いや待て、少し様子がおかしいぞ?」

召喚士「……!?」

しばらくの間、雄叫びを上げていた魔獣だが、突如、左前足がガクンと崩れ落ちた。
700 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/13(日) 22:56:09.44 ID:jDtM1AZ0o
ズッドオオオオォォォォン!!

戦士「ななっ、何だぁ!?」

盗賊「魔物がバランスを崩している……?」

西方参謀「退がれぇ! 下敷きになるぞっ!」

西方副司令「たたたっ、退却ぅーっ!」

女隊員「逃げるッスよぉ! 何してるんスかぁ!」

男隊員「……いや、倒れるまではいかねぇだろ」

格闘家「そうですが、少し退がりましょうよ」

ズズッ…ズズズズッ

コカトリス「試してよかったな」

召喚士「うんっ!」

バシュウウゥゥ…バサァ

戦士「召喚士、お前の攻撃か!?」

召喚士「うん。うまくいったかどうかは分からないけど」

彼らの不安に相反して、コカトリスの尾撃による毒は、魔獣をその場に静止させるに至った。
701 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:22:38.53 ID:BUm8rkhVo
> 召喚士「男は度胸。何でも試してみるのさ」
召喚士・・・
702 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です) [sage]:2011/11/13(日) 23:26:57.10 ID:kC6h5Jlao
コカちゃんと二人きりの時はそういうノリなんだろう
703 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/13(日) 23:52:46.13 ID:qaOJCHkGo
さすがはペニス
704 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 02:17:35.33 ID:D8h7dHSSO
未来のペニス「ガハハハハ!おらおら!かかってこいや雑魚ども!朱雀先生のお通りだぁぁぁぁぁあ!!」
705 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/14(月) 04:51:01.77 ID:f9L4hiYf0
いちおつ
706 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/14(月) 15:19:20.57 ID:MarhghlJo
>>1
コカちゃんが一番召喚士の事分かってるだろうしな
幼馴染と言うかなんというか
707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 17:57:03.71 ID:NgA1RRjgo


西方副司令「15分経過。魔物の動きは止まったままですね」

召喚士「ええ。このまま止まり続けているとは思えませんが、ひとまずは……」

西方参謀「とりあえず動きを止めるのは成功だわな……ヒック」

盗賊「……どうする?」

男隊員「とりあえず、一旦戻るのが賢明だと思うぜ」

召喚士「ですね。戻って、閃光を止める策を練りましょう」

西方参謀「閃光、やっぱしまだありそうかい?」

召喚士「魔物の口内にはまだ、炎が燻っていましたから……」

格闘家「……」

戦士「前回は何とか軌道を返られたが、直撃すればその地形ごと消し飛ぶぜ」

召喚士「うん……。軌道を変えるにも、方角を決めないと二次被害もありえるしね」

女隊員「防げるに越した事はないって事ッスね」

戦士「そういう事だな」

召喚士「……皆さんご苦労様でした。それでは一度、戻りましょう」
708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 17:57:31.98 ID:NgA1RRjgo


ドドッッドドッドドッ

傭兵「おっ、王子! アイツら戻ってきたぜ!」

王子「ご苦労様! 魔物の動きが止まったように見えるけど……」

戦士「ああ。召喚士の攻撃で何とか止まってくれた」

親衛隊「おぉ……っ!」

召喚士「でも、いつまた動き出すか分かりません」

王子「そっか。みんなは一旦、戻るの?」

西方副司令「ええ。肝心の閃光を止める作戦を決めないといけませんので」

王子「じゃあここは僕達に任せておいてよ」

盗賊「……いいのか?」

王子「うん。あのでっかいの相手にするわけじゃないし、見張ってるよ」

親衛隊「奴の動きが戻り次第、すぐにお知らせ致します」

召喚士「……分かりました。それでは王子、お願いします」

王子「うん。みんなもしっかり、作戦の立案頼んだよっ!」
709 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 17:58:04.99 ID:NgA1RRjgo
〜西の砦、北側〜

ドドォ…ザッザッザッザ

魔道士「おかえりなさい〜っ」

戦士「おう、ただいま」

神官「如何でしたか?」

召喚士「コカトリスの毒で左前足の動きを封じました」

天才「毒? ほぉ、まさかそんなモンが効くとはなぁ。お前、よく気付いたな」

召喚士「いえっ、試してみたら出来たまでです」

天才「ハーッハッハ! 行き当たりばったりかよっ、まぁいいけどな!」

サモナー「しかし、あの巨体で毒がそれ程効くとは思えませんね」

召喚士「ええ。それは俺も思いました。今のうちに策を練るのが最善かと」

西方参謀「朱雀先生の話じゃ、また閃光が来る可能性は高いそうだ……ヒック」

隊長「……」

召喚士「未然に防ぐには、魔物の口を封じるしかありません」

天才「そんなら早速、策とやらを練ろうじゃねぇか」
710 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 17:58:32.33 ID:NgA1RRjgo


サモナー「やはり、冷却が一番妥当な策かと思いますね」

西方参謀「しかしだなぁ、それ相応の魔力を要するわけだ。ましてやあの威力だぞ?」

隊長「魔方陣五行のメンバーを除くとすると、戦力になりそうな魔力を持ち合わせているのは……」

天才「お前と……」

男隊員「……」

天才「お前。以上」

西方参謀「しかも俺らは揃って水行苦手ときたもんだ……ヒック」

女隊員「本国から援軍を呼んだらどうッスか?」

天才「使えそうな奴はもういねーよ。みんな出払っちまった」

西方魔道長「ここにいるメンバーでやらないといけないわけだねぇ」

戦士「じゃあどうすんだよ? 物理攻撃かましたって無意味だし、魔法剣だってたかがしれてる」

召喚士「……」

タッタッタッタ…ザザッ

西国兵「ご報告申し上げます!」
711 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 17:59:30.24 ID:NgA1RRjgo


神官「魔物が動き出した!?」

西国兵「はいっ! 再びゆっくりと前進を始めました」

天才「いつの話だ?」

西国兵「えぇと……ここまでの距離を考えると、今から1時間程度前になるかと……」

天才「逆算」

召喚士「……約、2時間です」

天才「ご大層な毒だなおい」

召喚士「すみません……まさか、これ程短いとは……」

魔道士「ど、どうしますっ!?」

召喚士「もう1度行ってきます!」

天才「頼むわ。まぁ正直、2時間でも貴重っちゃ貴重だしな」

召喚士「行ってきます!」

ダッ…タッタッタッタッタ

召喚士「行けっ、コカトリス!」
712 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:00:20.47 ID:NgA1RRjgo
砂漠に足を取られぬよう、つま先でトンと軽く蹴るように疾走し、そのままコカトリスを召喚する。

バシュウウゥゥゥゥ

足を止めずそのままコカトリスの背中へと飛び乗った召喚士は、一気に標的を目指した。

コカトリス「どれ程効いた?」

召喚士「2時間ぐらい」

コカトリス「まぁそんなものだろうな。効いた事自体、奇跡みたいなものだ」

召喚士「……」

コカトリス「それで、もう1度やると言うのか?」

召喚士「……1番簡単で安全な手がこれなんだ。やるしかないよ」

コカトリス「……ま、それもそうだな」

バシュウウゥゥゥゥ…

親衛隊「あっ! コカトリス!」

王子「召喚士兄ちゃん……もう1度やるつもりか」

傭兵「今は頼るしかねぇわな。適材適所ってもんよ」

上空を通過するコカトリスを、王子等は祈るような気持ちで、見つめていた。
713 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:01:46.42 ID:NgA1RRjgo
ドッシュウウゥゥゥゥ!!

召喚士「さぁ、射程圏内だ!」

コカトリス「直進は流石に厳しい。少し旋回して敵を翻弄するぞ」

召喚士「うんっ!」

魔獣の前後左右、いやそれだけではない。頭の上や足の隙間などを高速で飛行し、

コカトリスは魔獣を弄ぶかのようにその動きをものの見事に翻弄する。

召喚士「今だっ!」

先程と同様、コカトリスの尾が今度は右前足にグサリと突き刺さった。

魔獣はまたも雄叫びをあげ、表情からこそ汲み取れないが、いかのも苦しそうなものであった。

コカトリス「効いているな。やはり効果はあるという事か」

召喚士「よし、このまま離脱しよう。これでまた2時間は稼げるはずだ」

魔獣「ヴオオォォォォ−ッ!!」

バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「しかしこんな地道な作業を繰り返しても、無意味なのでは?」

召喚士「そんな事はないよ。時間は稼げるに越した事はないからね」
714 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:02:42.27 ID:NgA1RRjgo


隊長「んっ、おぉ……早かったな」

召喚士「攻撃成功です。それで作戦は……」

サモナー「今、天才さんと神官さんが話をしているよ」

召喚士「話? 何の話ですか?」

魔道士「よく分からないです。何だか、魔王討伐の作戦だって言ってましたけど……」

召喚士「……」

戦士「とりあえずこっちは今のところ、発射口を潰すか、角度を変えるかで議論してる」

西方参謀「潰すにゃ相当の魔力が必要となる……ヒック」

男隊員「角度変えるのも、前回みてーに防いで変えるか、本体をずらすしかねぇ」

女隊員「本体をずらすと言ったって、ビクともしないッスよ?」

西方副司令「落とし穴はどう?」

西方参謀「アホ。あの巨体を落とすのに、どれだけの穴を掘れってんだよ……ヒ〜ック」

隊長「とりあえず幾つかの案は出たわけだし、司令と神官殿が戻るのを待とう」

格闘家「それがいいと思います」
715 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:03:26.77 ID:NgA1RRjgo
〜別室〜

天才「んで、どうなんだ? イブリースは叩けるのか?」

神官「下準備は全て出来ております。あとは……」

天才「満月待ちか」

神官「ええ。召喚界へ行くには、満月の夜しか狙えませんからね」

天才「そこでお前さんは……」

神官「はい。それさえ済めば、アヌビスは完成と言えるでしょう」

天才「……アヌビス単身でイブリースとガチンコ出来るのか?」

神官「どうでしょうね。多少の援護は必要になるかとは思いますけれど」

天才「魔方陣五行をぶっ放せば、おそらく2、3人は戦力から外れる」

神官「貴方達の予言では、イブリースは倒せたのでしょう?」

天才「まぁな」

神官「でしたらご゙安心下さい。きっとうまくいきますよ」

天才「……お前さん、そんな強気な性格だったか?」

神官「いえ。何故だかここ最近、自分でも不思議なくらい変わってしまいましてね。ははっ」
716 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:04:17.38 ID:NgA1RRjgo


テクテクテク

盗賊「戻ってきた」

天才「おーう。うまくいったか?」

召喚士「ええ。何とか抑える事は出来ました」

天才「おし、そんじゃあのデカブツについてだが――」

タッタッタ…ザザッ

西国兵「魔物っ、再び前進を始めました!」

召喚士「!?」

サモナー「いや、待ってくれ。まだ1時間程度しか経っていないよ……?」

男隊員「ど、どういう事だぁ?」

召喚士「まさか、効果が薄れているのか……っ?」

魔道士「でもっ、早すぎませんか!?」

召喚士「……確かめてきます!」

魔道士「あ……っ」
717 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:04:58.55 ID:NgA1RRjgo
ズザッ…タッタッタッタッタ…

魔道士「召喚士さん……」

天才「構わねぇよ。朱雀に任せておけばいい」

魔道士「……っ」

天才「ところであのバカ共はまだ来ねーのか?」

隊長「馬鹿? あぁ、青年兵と西方司令か」

西方参謀「そういや遅せぇな。もういい加減着いてもいい頃だと思うがなぁ……ヒック」

西方副司令「確かに遅すぎますね。伝令出しますか?」

ピラピラ

天才「伝令は来てる。とっくに司令部は出てるんだよ。ったく、どこで油売ってやがんだ」

女隊員「まさか……」

格闘家「それはないでしょう。あの2人を倒せるなど軍団長クラスでもそう簡単にはいかない」

女隊員「そうッスよね……」

天才「ともかく、朱雀の帰りを待って、それ次第じゃもう1度出撃もあるからな。準備しとけ」

戦士「了解っ!」
718 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:05:31.75 ID:NgA1RRjgo


バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……王子っ!」

シュウウゥゥゥゥ…スタッ

王子「あっ、兄ちゃ……朱雀先生か」

召喚士「魔物は?」

王子「さっきよりも1時間くらい早く復活したよ!」

傭兵「明らかにおかしい。免疫でも付いてるか、攻撃が浅かったんじゃないのか?」

召喚士「分かりません。これから探ってみます」

親衛隊「お気を付けて!」

召喚士「みんなもそろそろ後退して下さい!」

王子「うん、もうじきしたら戻るよ! ありがと!」

召喚士「コカトリス、行くよ」

コカトリス「おう」

傭兵「しっかり頼むぜぇ」
719 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:06:16.27 ID:NgA1RRjgo
スタッ…バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……攻撃は完全に直撃してたよね?」

コカトリス「ああ、間違いないだろう」

召喚士「と、なると考えられるのは……」

コカトリス「毒が効かなくなっている」

召喚士「……」

コカトリス「どうするのだ?」

召喚士「もう1度試して、時間を計ってみよう」

コカトリス「承知した」

ゴウッ!!…バシュウウゥゥゥゥ

魔獣「……ヴゴオオオオォォォォ」

コカトリス「ほぉ、見事に警戒しているな」

召喚士「潜りこめる?」

コカトリス「私を舐めるな。それに、お前の魔力次第だ」

召喚士「……よし、やってやるさ!」
720 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:06:49.89 ID:NgA1RRjgo
3度目となる召喚士とコカトリスによる攻撃。魔獣は2度の毒撃によって、

かなりの警戒心をもっていた。しかし召喚士らにとって、それはさほど大したものではなかった。

先程と同様、コカトリスは低空飛行しながら旋回し、魔獣を翻弄する。

巨大な体の周りで、虫のように飛び交う召喚獣は、魔獣にとって鬱陶しくも、

その小さな標的を捉える事は出来ず、かろうじて目で追うが精一杯であった。

コカトリス「よし、もういいだろう」

召喚士「いっけぇーっ!」

シュバッ!!…ドズウウゥゥゥゥ!!

魔獣「ヴオオオオォォォォン!!」

3発目の尾による攻撃は、魔獣の左後ろ足へ深々と突き刺さった。

そこから送り込まれた毒は一気に足全体へと行き渡り、魔獣の膝が崩れ落ちた。

ドッズウウゥゥゥゥン

魔獣「ヴウウゥゥゥゥ……ッ」

コカトリス「さぁ、どうか」

召喚士「……」
721 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:08:13.48 ID:NgA1RRjgo
30分余り経過した頃、上空を旋回していたコカトリスが叫んだ。

コカトリス「召喚士、見ろ」

召喚士「!?」

そこへ飛び込んできたのは、沈んでいた体をゆっくりと持ち上げ起こす魔獣の姿。

召喚士「やっぱり……時間が短くなっている……っ!」

コカトリス「次は20分……いや、15分程度しか効かぬだろうな」

召喚士「くそ……っ!」

コカトリス「どうする? もう1度いくか?」

召喚士「……ここは戻ろう。これじゃあキリがない」

コカトリス「だろうな。よし、掴まれ」

召喚士「……っ」

魔獣「ヴオオオオォォォォォ!!」

バシュウウゥゥゥゥ…

けたたましい音を響かせながら、魔獣の行進は再会された。

その音を下唇を噛みながら、召喚士は背で受け止め、皆の元へと帰還した。
722 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:08:59.98 ID:NgA1RRjgo
〜西の砦、北側〜

松明に炎が灯される。西方の砂漠にまた、暗い夜が訪れた。

メラメラッ…パチッ

西方魔道長「おや、帰ってきたみたいだねぇ」

バシュウウゥゥゥゥ…スタッ

魔道士「どうでしたっ!?」

召喚士「駄目です。やはり効き目が薄れていました」

天才「ちっ。動きを止めるのはこれまでか」

召喚士「すみません」

天才「いいさ。トータルで3時間くらいは稼げた。お陰でまぁ……」

シュルッ…グルグルグル

隊長「うむ。もう大丈夫だ」

天才魔方陣五行は間に合う。それだけでも意義はあったさ」

召喚士「すみません……」

神官「本陣をもう少し移しましょう」
723 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:09:43.67 ID:NgA1RRjgo
王子「でもさぁ、それじゃ砦と離れすぎちゃうよ?」

神官「昨晩の閃光の威力から考えれば、もし真っ直ぐ砦へ放たれても、ここでは被害が出ます」

戦士「賛成だな。目の当たりにした観想から言わせると、10キロ離れても惜しくないくらいだ」

傭兵「そんなにかよ……っ」

魔道士「でも本当に凄い跡でしたよ」

天才「よーし。夜通しになっちまうが、本陣を更に北へ移す。30分後に開始するぞ」

ザザッ…ザワザワザワ

天才「傷はもう本当にいいのか?」

隊長「もう問題ないです。心配無用」

天才「……ふぅん。ま、それならいいけどな」

ザッザッザ

天才「……」

30分後、西国及び本国討伐軍は、徹夜で本陣の移動を行った。

事実上、西の砦を放棄し、北へ新たに拠点を構えた作戦である。

そして夜が明け、新たな日を迎える事となった。
724 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:10:18.52 ID:NgA1RRjgo
〜満月まであと8日。本陣〜

ザッ

神官「……」

天才「デカブツの動きはどうだ?」

神官「依然、砦へ向かって真っ直ぐ進んでおりますね」

天才「人間が狙いじゃないのか? 何なんだ一体……」

神官「ともあれ、このまま進まれては海を越えて、本国に到達しかねませんよ」

天才「……」

隊長「どっちにしろ撃たれりゃタダじゃ済まねぇさ」

神官「隊長殿の仰る通りですね。とにかく敵の攻撃を何が何でも食い止めるしかありません」

天才「ったくよぉ、何なんだあのデカブツは。これほど情報のねぇ魔物も初めてだぞ」

西方参謀「確かにそうだわな……ヒック。しかし、うちの司令はいつになったら来るんだか」

天才「今日の夜にはデカブツも砦に到達する。そこで討てなきゃどうなるか分からんぞ」

西方副司令「司令……無事だといいんですけど」

西方魔道長「青年兵もいるんだ。なぁに、余計な心配はいらないよ」
725 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:11:03.42 ID:NgA1RRjgo
〜砂漠〜

青年兵「……っ」

西方司令「大丈夫……ですか?」

青年兵「あれ……ここは……?」

ガバッ!!

西方司令「良かった。死ぬかと思ったら生きてた。これは喜ばしい事この上ない」

青年兵「西方司令さん……えっと……」

西方司令「いやぁ、青年兵さん気を失って倒れてしまって……どうしようかと私は考慮しましたよ」

青年兵「倒れて? そうでしたか……」

西方司令「いや何、もうかれこれ丸1日以上寝ていらして、それはもう至福の時……」

青年兵「1日!? な、何で起こしてくれなかったですかっ!!」

ユサユサッ

西方司令「いいややいいやや!! 眠りは安堵。その喜びは妨げてはなりません」

青年兵「――っ」

ガクッ
726 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:11:59.74 ID:NgA1RRjgo
青年兵「……いや、看病ありがとうございました」

西方司令「何を申されますか。こんな素晴らしい長剣を頂いたのです。この程度の事……」

青年兵「貸しているだけですからねっ!」

西方司令「……ふふっ、ギブアンドテイク……ぼそぼそっ」

青年兵「何か?」

西方司令「何でもありません!」

青年兵「もういいや。先に砦へ行こうかと思ったけど、ここまで来たら探し出してやる!」

西方司令「おぉ、やる気に満ち溢れている青年兵さんを私は見守りたい」

青年兵「あなたも探すんです!」

西方司令「ひいぃ!」

青年兵「とは言え、もう探すべき場所はここしかない……」

西方司令「ここって……覗き込むは水の中ですけど?」

青年兵「ええ。この突如出来上がった湖。残るはこの中しかありません」

西方司令「なははっ。またまたご冗談を〜」

青年兵「冗談で言えますか! 僕が召喚獣で探ししますから手伝って下さい!」
727 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:12:47.94 ID:NgA1RRjgo


時刻は夕方。魔王討伐隊に、この戦い1番の慌しさが舞い込んで来た。

隊長「何だとぉ!?」

男隊員「間違いねぇのか!?」

西国兵「ええ、間違いありませんっ!」

格闘家「――っ」

ザッザッザ

天才「どうした?」

隊長「まずい事になったぞ。閃光が発射されるかもしれんそうだ」

天才「あぁ?」

西国兵「前線の陛下からのご報告ですっ。魔物の口内が輝いていると……」

天才「クソがっ!! ここで撃たれてみろ、閃光は間違いなく本国に――」

ハッとした顔を見せる天才。その場に居合わせた特殊遊撃隊の面々は呆然とそれを見つめる。

占い師の予言。天才は何故かそれがずっと引っ掛かっていた。

自身の予言と照合すると、確かに討伐軍の死者は0であった。
728 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:14:19.15 ID:NgA1RRjgo
しかし、戦いに携わっていない者に関しては全くの未知。言わば予言上にはカウントされない。

魔王相手に死者が0。天才は確信した。死者0の対象者はあくまで討伐軍の人間。

天才「ザケやがってぇ。この俺様として事が……っ!」

格闘家「師匠……?」

天才「魔方陣五行だ云々言ってる場合じゃねぇ。ぶっ殺す」

ザッ

神官「お待ち下さい。貴方が行かれては、誰が五行を担うのです?」

天才「あのな、悠長な事言ってたら五行の前に全滅だぞ」

神官「しかしここで力を使っては、天才殿とて危ういのでは?」

天才「……予言で出てんだよ。誰も死なねぇってな」

神官「いつの予言です? 貴方が最後に見た予言ですか? 違うでしょう?」

天才「……テメー。何が見えてやがる」

神官「私は何も見る事は出来ません。しかし、貴方が無理をしようとしている事は分かります」

隊長「司令のあんな姿を見るのは初めてだな……っ」

格闘家「ええ……」
729 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/14(月) 18:17:03.22 ID:NgA1RRjgo
天才「……ちっ」

ザッ

召喚士「天才さん」

天才「んだよ」

召喚士「俺達に任せて下さい。必ず、何とかしてみせますから」

天才「……」

戦士「そうだ。その為に俺は、新しい武器まで用意したんだ」

盗賊「……ここは任せておけ」

神官「西国の皆も居ます。今も戦っているのです。信じましょう、皆を」

男隊員「俺らだっているんだ。そう易々と国軍の名に傷は付けねぇよ!」

女隊員「そうッスよ! やれる限りとことんやってやるッスよぉ!」

格闘家「師匠」

天才「……あーはいはい分かったよ。雑魚も積もれば何とやらだ」

戦士「なんつー言い草だよ……」

日が暮れようと赤く染まった砂漠に、魔獣との再戦が始まった。
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/14(月) 18:24:04.35 ID:NgA1RRjgo
ひとまずここまでにて!今週も頑張っていきましょう!
それでは失礼致します!ご支援ありがとうございましたー!ノシ
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/14(月) 18:26:27.48 ID:SUaJHFpAO
┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(富山県) [sage]:2011/11/14(月) 18:58:50.10 ID:+B/D045w0
>>1おつ!
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/14(月) 19:44:57.67 ID:lbeoMgZAO
>>1
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/14(月) 21:36:21.95 ID:HY1EqdBNo
いちおつ

マジで西方司令×青年兵ルート来た!?
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 00:36:08.56 ID:IxQfuiSDO
>>1

頑張れゴジラ!
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/15(火) 02:09:31.16 ID:sSIMpERAO
閃光を反らすなら上が最適だがしかしどうするものか
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/15(火) 04:54:02.72 ID:Lww3e33h0
魔方陣五行の人抜きで閃光を防ぐの?
かなりきついな
いちおつ
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/15(火) 07:00:47.17 ID:3/QwgLmSO
鏡で反射だ!!
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 14:28:04.33 ID:Yua/2CdIO
┌─────┐
│い つ お ち..│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
740 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:03:39.01 ID:DYfJD5wIo
ドドドドドドオオォォ

魔獣「ヴオオォォォォォン!!」

戦士「いくら雄叫びあげようが……もう慣れちまったぜ」

盗賊「……ふーっ」

女隊員「さぁ、やるッスよぉ。どこまで通じるか分からないッスけど……」

格闘家「とにかく、やるしかないですね」

ザッ

西方参謀「これまた、前衛をずらりと並べて……なかなかユニークな作戦だな。ヒック」

男隊員「指揮官が言うんだから仕方ないだろ」

西方副司令「その方が、うちら後衛も支援しやすいもの」

魔道兵「魔道隊、全員配置につきました」

西方副司令「ご苦労様。いい? 狙いは前衛への付加のみ。援護は無用よ」

魔道兵「了解でありますっ!」

男隊員「んで、肝心の指揮官はどこ行ったんだ?」

西方参謀「ああ、それなら総司令と砦に向かったよ……ヒック」
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:04:13.96 ID:DYfJD5wIo
〜西の砦、城壁〜

ヒュウウゥゥゥゥゥ

天才「……」

召喚士「……」

天才「……何でテメーがいるんだよ」

召喚士「天才さん1人では無理ですよ」

天才「あぁ?」

召喚士「万が一、閃光の軌道を変えられなかった場合、ここを最終防衛線にするつもりでしょう?」

天才「……」

召喚士「しかも魔方陣の為の魔力を温存してだなんて……」

天才「バーカ。ただの物見遊山だっつーの」

召喚士「……」

天才「……ちっ。まぁいい、お前が指揮官だ。好きにしろや」

召喚士「そうさせて貰います。さて、間もなく開戦ですよ」

天才「お前はどうすんだ? コカトリスは……」
742 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:04:45.14 ID:DYfJD5wIo
バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「……」

魔獣の遥か頭上を飛行するコカトリスは、西より吹き付ける暴風にバランスを取りつつ、

鳥の1匹も居ぬ赤い空で静かに、開戦の刻を待っていた。

後方で無数の発光弾が打ち上げられる。色も単色ではなく複数色である。

これは特遊を始め、要人、本国軍、魔道兵など多数の対象舞台が入り混じっている為であった。

通常ならば敵に気付かれるであろうこの行為は行われない。

しかし相手は魔獣ただ1体。危惧はなく、むしろ皆の鼓舞も兼ねての打ち上げであった。

隊長「これで景気づけになりゃあいいがな」

神官「なりますよ。きっと」

サモナー「……」

傭兵「王子、後詰めの俺らもそろそろ出る準備するぞ」

王子「おうよっ。前菜だけどチョロっと味見はしとかないとなっ!」

神官「陛下。戦は始まっているのです。真面目にやって下さい」

王子「分かってるよ。自分だけじゃなく、他人の命もかかってるんだ。ふざけてられないさ」
743 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:05:38.28 ID:DYfJD5wIo
ドッズウウゥゥゥゥン

盗賊「行くぞっ!」

戦士「おうっ!」

ザザッ…ダダダダッ

女隊員「ひゃあぁっ、でっかいッスなぁ」

格闘家「顔を下げぬ限り、攻撃出来ませんよ」

戦士「分かってるよ。その為の召喚士だろうが!」

盗賊「来たぞっ!」

バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「乗れ」

戦士「おうっ、助かる!」

ペガサス「お姉ちゃん、オッケー?」

盗賊「ああ、いいぞ」

グリフォン「さぁ、早く乗れ」

女隊員「失礼するッス!」
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:06:21.51 ID:DYfJD5wIo
ワイバーン「では行くぞ」

格闘家「……頼みます」

バシュッ!!…ドシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「着地が拾えるとは限らぬ。注意せよ」

戦士「分かってる。下は砂だ、さほど高くなけりゃ何とかなる!」

召喚獣の背に乗った4人が、その召喚獣に誘導されるがまま、魔獣の頭部へと接近する。

万が一の事も考慮し、低空から上昇するように口部へと潜りこんだ。

盗賊「はあぁっ!!」

格闘家「……しっ!!」

西方参謀「今だ撃てぇ!!」

数十にも及ぶ付加の魔法が上空に輝きを帯びて4人の元へと放たれた。

それとほぼ同時に、戦士らは召喚獣の背中から飛び降り、一気に魔獣の頭部へと攻撃する。

着弾した魔法が刀身や格闘家の拳を光らせ、それは一斉に振り降ろされた。

ドゴッシャアアァァァァ!!

魔獣「――――ッ!!」
745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:07:14.98 ID:DYfJD5wIo
鼻先、及び口部を直撃した一斉攻撃に、魔獣は雄叫びもあげず苦しんだ。

しかしそれも束の間、態勢を速やかに立て直し、頭部を持ち上げ、口を大きく開く。

魔獣「ヴッゴオオオオォォォォーッ!!」

ビリビリビリッ!!

戦士「――っ!!」

耳をつんざく咆哮に、戦士は空中にも関わらず両耳をてで塞ぐ。

コカトリス「くっ!」

落下に合わせ、地面と戦士の隙間にコカトリスが入り込み、その身を背中に拾い上げた。

戦士「……助かった……っ」

コカトリス「効いたか?」

戦士「分からねぇ。手ごたえはあったが……ピンピンしてやがる」

コカトリス「大したダメージは与えられぬ、か」

バシュウウゥゥゥゥ

女隊員「うっひゃー、刃が欠けたッス……」

盗賊「ちぃっ」
746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:07:55.52 ID:DYfJD5wIo
格闘家「もう1度行きましょう」

ワイバーン「良かろう、次は更に接近してみせるさ」

バシュッ…ドウンッ!!

同様の攻撃を数度食らわせるも、魔獣の様子に変化はない。

ダメージは確実に与えている。与えてはいるが、桁違いの巨体に秘めた体力は凄まじい。

あと数十回、いや数百回繰り返したところで、倒せるかどうかは甚だ疑問であった。

女隊員「おい……っしょおおぉぉ!!」

格闘家「はあぁ!!」

バッゴオオォォォォン!!

魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

格闘家「くぅ……っ」

ワイバーン「しまった! 間に合わ――」

ヒュウウゥゥゥ…ズザザアァ

格闘家「――っ」

ゴロゴロゴロッ…スタッ
747 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:08:27.22 ID:DYfJD5wIo
戦士「大丈夫かぁ!?」

格闘家「……ええ。何とか」

パンパン…コキコキッ

盗賊「……しかし、どうしようもないなこれは」

戦士「……」

コカトリス「1度後退するぞ。呼吸を整えた方が良い」

戦士「……ああ」

グリフォン「離脱する」

バシュッ…ゴオオォォォォ

数回の攻撃を終え、4人と体の召喚獣は魔獣の元より離脱する。

魔獣は相も変わらずゆっくりと、その足を進め、着実に砦へと近づいていた。

もうすぐ日没を迎えようかという西方の空に、召喚獣らの黒い影が浮かんでいる。

召喚士は砦という遠方よりそれを操作し、無言でじっとその帰還を見つめていた。

その時、召喚士とその横で腕を組んで立つ天才の目に、新たな影が飛び込んだ。

南側の上空から飛行する影は遠目からみても大きく、それは近づくにつれ大きさを増していた。
748 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:08:57.06 ID:DYfJD5wIo
ズザッ

召喚士「!?」

天才「……やっと来やがったか馬鹿共が」

召喚士「まさかあれ……っ」

天才「朱雀、やっとあのデカブツを封じる手が到着したぞ。テメーも準備しとけ」

召喚士「は、はいっ!!」

天才「しっかし、遠隔であれだけの召喚獣使いこなすたぁ、テメーも成長したもんだわな」

召喚士「ありがとうざいます」

天才「そろそろ師匠越えたんじゃねーか?」

召喚士「まさか。それはないですよ」

天才「ハーッハッハ! 謙遜すんなって。俺様が珍しく褒め――」

召喚士「天才さん。黙ってて貰えますか!?」

天才「……あぁ?」

召喚士「今、召喚獣回収して……忙しいんですから。すみませんけど」

天才「……」
749 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:09:54.85 ID:DYfJD5wIo
ドドオオォォォォ…バッサァ…バッサァ

西方司令「くぉら小僧!! もっとスピード出せねぇのかオラ!!」

青年兵「そんな事言われても、こっちだって結構、魔力消費してるんですから」

西方司令「んな事ぁ聞いてねぇんだよダボが!! じゃあさっさと死ね!!」

青年兵(武器が変わった途端にこれだよ……はぁ)

召喚獣バハムート。その上に乗る青年兵と西方司令はまもなく魔獣の元へと到達する。

遅れる事数日。諸事情があったとは言え、ようやくという言葉では片付かぬ程に待ちわびた瞬間。

ドドオオオオォォォォ

戦士「お、おいっ! あれ見ろ!」

格闘家「……召喚獣!?」

女隊員「やっと来たッスよぉ!!」

盗賊「あとは彼らに任せよう。今は一先ず、退こう」

砂を蹴り、後退する4人もそれは心待ちにしていた事。

青年兵「それじゃあ行きますよ!!」

西方司令「さっさと逝けやおらああぁぁ!!」
750 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/15(火) 18:11:01.45 ID:DYfJD5wIo
バッシュウウゥゥゥゥ!!

西方副司令「バハムート!? って事は……」

西方参謀「ガハハッ! やーっときやがったぜ……ヒック」

親衛隊「これで……何とかなるかもしれないっ」

男隊員「そんな甘いモンじゃねぇとは思うが、今は頼るしかねーわな」

魔道士「そうですよっ! きっとやってくれますって!」

ズッゴオオォォォォ!!

魔獣「ヴオオォォォォォ!!」

青年兵「バハムート!!」

バハムート「グワオオォォォォーッ!!」

バハムートの口から巨大な火球が魔獣へと放たれ、炎は激しく燃え、黒煙をあげる。

西方司令「さぁさぁさぁ! エクスタシーを感じさせろ! 身悶えて昇天しろやボケカスがぁ!!」

青年兵「あぁーっ!!」

全長10メートル以上あろうかという、最早それは剣などとは呼べぬ代物。

開発機関での名称を拝借すれば、兵器の為の兵器を手に、人間兵器はバハムートから飛び降り

た。
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/15(火) 18:16:22.43 ID:DYfJD5wIo
今日は全然進まなかった…申し訳ありませぬ
それではひとまずこれにて!ご支援いつも感謝です!ノシ
752 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 18:16:36.78 ID:EQe4dprIO
753 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/15(火) 18:20:55.39 ID:vluVbeIvo
>>1
無理しなくてもいいんだよ
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) :2011/11/15(火) 18:58:01.14 ID:bsdUl34x0
西方司令「さぁさぁさぁ! エクスタシーを感じさせろ! 身悶えて昇天しろやボケカスがぁ!!」

青年兵「あぁーっ!!」


青年兵ぇ
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/15(火) 19:13:47.66 ID:td+zUyDAO
>>1
天才叱られたwwwwww
756 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 20:57:15.10 ID:I8v65sBNo
召喚士に叱られておとなしくなっちゃう天才かわいい
757 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/15(火) 21:59:42.76 ID:hF8tccu9o
青年子△
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/15(火) 22:04:45.80 ID:CpLvdYKOo
西方司令に逆にナイフみたいな短剣を持たせたら
どんな性格になるのか気になる
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) [sage]:2011/11/15(火) 22:14:46.01 ID:4wCkZlYdo
慎重イケメン
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/15(火) 23:09:00.43 ID:sSIMpERAO
>>1おつ
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 01:16:45.08 ID:9nU1/O3DO
>>1乙!

>>758
前スレで持ってたよ

【ダガー】
西方司令「は、はぁ……大丈夫かな? 死なないかな? 大丈夫だよね? いやでもなぁ……」
西方司令「勝てるかなぁ……大丈夫だよなぁ、いや駄目かなぁ……いや、いけるかな?」

【長剣】
西方司令「……うぅん、総攻撃かぁ。なんか勝てるような気がしてきたなぁ」
西方司令「いけそうだなぁ……勝てそうだなぁ」

【スピア】
西方司令「……うーむ、みなぎって来たぞ!」
西方司令「勝てるんじゃねーかこれ? いけるいける!」
西方司令「……ほっほー。そいつはなかなか名案」
西方司令「まぁいけるでしょうよ!」
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/16(水) 05:00:17.51 ID:b4Ka8l9n0
いちおつ
兵器の為の兵器 どんなのか楽しみ
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/16(水) 07:54:09.51 ID:7KG5DSwGo
>>761サンクス!
成程 武器の大きさ=気持ちの大きさか
764 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:54:04.41 ID:LzFcgRPzo
それはつい少し前の話。西方に突如現れた湖での出来事だ。

青年兵『……そろそろ、戻ってくるかな』

ザッバアアァァン

ワイバーン『海底に何か光る物が突き刺さっている』

青年兵『!?』

西方司令『お、おぉ。それはまさか我が愛剣では……ちなみに先日からの話』

青年兵『届きそう?』

ワイバーン『届くには届くが、私では引き抜く術を持たぬぞ』

青年兵『……行くしかないか』

西方司令『お、お気を付けて! ちなみに社交辞令でもなくこれは本心』

青年兵『西方司令さんもですよっ!』

西方司令『えぇ!? し、死ぬぅ……いや、死なない……かな。うん、死なない気配濃厚』

ヌギッ

青年兵『脱がなくてもいいです。剣とか錆びそうな物だけ外して下さい』

西方司令『そうですね。勘違いされたら困りますもんねフフフ……』
765 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:54:32.77 ID:LzFcgRPzo
ザッバアアァァン!!…ゴボゴボゴボッ

青年兵『……っ』

西方司令『ガボボボ、ゴボガボボッ』

青年兵(……何言ってるか分からないですよ……っ)

西方司令『ゴガボボボ……ガボボゴボ?』

青年兵(……)

ワイバーン『見えたぞ青年兵。あれだ』

青年兵(さほど深くはないな。まぁ自然に出来たものではないからかもしれない)

西方司令『ガボボボーッ!!』

青年兵(……息も続くわけじゃないし、早く回収して陸へ戻りましょう)

言葉で発せない代わりに、青年兵は西方司令へ身振り手振りでジェスチャーを送る。

それを受けて西方司令は、いかにも無理と言わんばかりに首と右手を振って返した。

青年兵『っ!!』

西方司令『ゴガボッ! ゴボボッガボッ』

青年兵(……仕方ない、僕が回収するか。しかし息がもたないな、一旦陸上に戻ろう)
766 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:55:11.98 ID:LzFcgRPzo
ゴボォッ

青年兵の意図を汲み取り、ワイバーンは一度、陸上へ上がる為に上昇を始める。

足に捉まる青年兵と西方司令はいかにも苦しそうに目を瞑り、懸命に堪えていた。

ギュオオォォォォ…ザッバアアァァァァ!!

青年兵『ぶはぁーっ! 西方司令さん、僕が取りに行くのでここに――』

ワイバーン『……居らぬぞ?』

青年兵『えぇーっ!?』

おそらくは海中で手を離してしまったのであろう。そこに西方司令の姿はなかった。

青年兵『早く戻ろう!』

ワイバーン『全く、忙しい事この上ないな』

ガシッ…ドッボオオォォン!!

青年兵(どこだ……っ、くそぉ!)

ゴボゴボゴボッ

ワイバーン『あれではないか?』

青年兵『!?』
767 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:55:42.91 ID:LzFcgRPzo
ゴボゴボゴボゴボ…

西方司令(苦しいいぃぃ!! 死ぬぅ!! これはもう駄目かも分からんねええぇぇ!!)

ゴボゴボゴボ…

西方司令(はぁやっぱり来るんじゃなかったぁ。遺書……まだ100通くらいしか書いてないぃ……)

ゴボゴボッ…

西方司令(はぁでも死ぬのかなぁ……死なない気もしてきたけど意識が遠のくこの私……)

ゴボッ…

西方司令(死ぬ? 死ぬのは怖い、嫌だ、拒絶! 生きたい! 生きる! 生への渇望ぉ!)

このままいけば溺死。死が現実となった西方司令の中で、初めて覚えた感情。

死へと否定。それは逆に生きたいと願う力であった。それが彼を大きく変える。

ゴボッ…ゴボボッ!!

西方司令『……がああぁぁぁぁーっ!!』

青年兵『!?』

西方司令『うおおぉぉぉぉ!!』

青年兵(水中で喋っている!? い、一体何が……っ)
768 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:56:13.74 ID:LzFcgRPzo
西方司令は両手両足で大きく水を掻くと、凄まじい勢いで海底へと潜っていった。

ギュオオォォォォ!!

西方司令『ああああぁぁぁぁーっ!!』

ガシィ!!…ズググッ…ズボオオォォォォ!!

西方司令『取ったど……』

ワイバーン『いいから掴まれ!』

ガシッ…ギュオオォォォォ!!

青年兵(お……もいっ!)

ザッバアアアアァァァァン!!…ドシャアァ

青年兵『がはっ、はぁ……はぁはぁ……っ』

チラッ

青年兵『だ、大丈夫……ですか?』

西方司令『……しろ』

青年兵『……?』

西方司令『早くしろって言ってんだよ小僧! チンタラしてるとぶっ殺すぞ!』
769 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:56:39.80 ID:LzFcgRPzo
青年兵『えっ!?』

西方司令『見ろよこの猛々しい剣! くそ天才のツヴァイハンダーなんぞ目じゃねぇデカさ!』

青年兵『……』

西方司令『デカくて黒くてぶっとくて、濡れちまっちゃあいるがこの猛々しいのをブチかましてやりてぇ』

青年兵『…………』

西方司令『何ボサっと突っ立ってんだコラ。さっさとバハムート召喚しろやボケェ!』

青年兵『は、はい。出でよ、バハムート!』

シュイイィィィィン

西方司令『さぁさぁさぁっ、行くぜぇ! 魔王だか何だかしらねぇが……瞬殺だ!!』

青年兵『……それじゃ、行きますよ』

西方司令『さっさと行けよおぉ!! 何をチンタラ飛んでんだこのカス野郎が!!』

青年兵『……どっちが良かったんだろう。難しい人だな』

西方司令『なーんか言ったかぁ? おあぁ!?』

青年兵『何でもありませんっ! さぁ、行きましょう!』

西方司令『待ってろよ腐れ外道の畜生共がぁ!! この俺様が塵芥にしてやんぜおるぁ!!』
770 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:57:48.21 ID:LzFcgRPzo
――……

ゴアッ!!

山のような魔獣の更にその遥か上空からバハムートの背を離れた西方司令。

西より吹き付ける魔王の息吹きに流され、空中を泳ぐように態勢を立て直すも、

まず試みた超巨剣を盾に、風を防ぐ方法は、逆に抵抗を受け、おされてしまう。

西方司令「んだよこの風ぇ!! 聞いてねぇぞ!!」

ガチッ

西方司令「しゃーねぇ。とっておきだが……使わせて貰おうかねえぇ!!」

武器の根元をごそごそといじくる西方司令。まずは蓋を開け、何か紐のようなものを強く引いた。

ギュバッ!!…ヴヴヴヴヴヴ!!

長さ10メートル以上。幅とて2メートル以上はあろうかという超巨剣が震えだす。

刃は2枚構成となっており、それが前後、交互に振動しているのだ。

ヴヴヴヴヴヴヴヴ

西方司令「俺様のコイツはなぁ、天を突き抜ける最っ強の兵器なんだよおおぉぉ!!」

その超巨剣は、ドリルのように風を切り裂き、魔獣めがけて一気に降下を開始した。
771 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:58:20.65 ID:LzFcgRPzo
ズッゴオオオオォォォォ!!

天才「朱雀ぅ!!」

召喚士「はいっ!!」

天才の声に反応し、召喚士は回収した中からコカトリスだけを残し、召喚を解除。

更にコカトリスへ、あその全ての魔力を集中させ送り込んだ。

天才「やれるぞ。お前次第だ」

召喚士「……自信はあります」

天才「言うようになったじゃねぇか。テメーを信じる。行ってこい!」

召喚士「……はい!」

天才に背中を押され、召喚士はコカトリスへと飛び乗り、西の砦を後に、飛び立った。

信じる。それは天才が召喚士の力量を信じ、彼に全てを託した事。

そして召喚士は天才を信じ、彼1人を残してこの砦を去った事。

2人の会話は僅かであったものの、その想いは十分に伝わったのだ。

召喚士「コカトリス! 西方司令さんの攻撃に間に合わせるんだ」

コカトリス「承知した」
772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:58:47.72 ID:LzFcgRPzo
バッシュウウゥゥゥゥ!!

戦士「な、んだよありゃあ……すげぇ……っ!」

西方副司令「西方司令……なのっ!?」

西方参謀「魔道隊っ!! 付加は全て西方司令に集中!!」

魔道兵「はいっ!!」

格闘家「こっちも、もう少し離れたほうがようさそうですね」

盗賊「そうだな。ぎりぎりの所で牽制に務めよう」

女隊員「朱雀先生も来たッス!」

バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「狙うは?」

召喚士「当然、石化だ!」

コカトリス「奴の口部を石化しつつ、あの一撃が直撃すれば……」

召喚士「発射口は潰せるっ!」

コカトリス「お前次第だぞ」

召喚士「分かってる。その為に、ここに来たんだからっ!」
773 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:59:15.57 ID:LzFcgRPzo
バシュウウゥゥゥゥ

コカトリスは魔獣の正面より真っ直ぐに突っ込んで行く。当然、背後からの突風避けの為である。

既に3度ほど攻撃を仕掛けた彼らにとっては、そこまではさほど難しい事ではない。

問題は石化。その3度とは違い、今度は口内めがけ息を吹き付けねばならない。

当然ながら間合いは足の比にもならぬ程近くなり、敵の正面という事も相まって危険度は増す。

慎重に慎重に、敵を動きを予測しながら、召喚士は巧みにコカトリスへ指示を与える。

召喚士(あまりモタモタはしていられない……っ)

ちらりと上空を見上げると、西方司令の加速はかなり早く、残り30秒もないと思われた。

コカトリス「どうする?」

召喚士「待って。もう少し…………今だぁ!」

コカトリスは魔獣の正面で静止し、嘴を大きく開くと、一気に息を吸い込み始めた。

だが、魔獣も再三の石化に嫌悪を抱いてか、嫌がるように首をあげた。

召喚士「ちぃ……っ!!」

コカトリス「どうする、このまま撃つのか?」

今撃てば、口内には直撃しない。しかし撃たねばならない。時間はもうほとんどなかった。
774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 17:59:42.93 ID:LzFcgRPzo
召喚士「……!?」

その時、召喚士の目に上空から接近する召喚獣の影が飛び込んできた。

召喚士「コカトリスっ、撃てぇーっ!!」

コカトリス「いいのだな? はあぁーっ!!」

発射されたコカトリスの石化。魔獣の顎付近に狙いを定めたそれはヤケクソのようにも思えた。

しかし違った。召喚士の目に飛び込んで来た召喚獣は、いつもそうだった。

召喚士の前に現れた時、彼らは常にその窮地を救ってくれた。信頼した仲間であり親友であった。

青年兵「ワイバーン!!」

ワイバーン「首の向きを帰る程度の事ならば、私の力でも可能だっ!」

バハムートでは突風に対し抵抗がありすぎる。その為、青年兵は

いち早くワイバーンへ乗り換えていたのだった。

青年兵「いっけぇーっ!!」

ワイバーンの口より大量に放たれた熱風が、魔獣を襲う。

ゴッゴオオォォォォ!!

魔獣「――――ッ!!」
775 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:00:08.93 ID:LzFcgRPzo
虚を突かれた魔獣は、熱風をもろに受け、思わず首をすくめ、下げてしまった。

それを召喚士とコカトリスは見逃さない。吐き出された石化の息は、

魔獣の口内へとピンポイントにその軌道を修正し、最良の攻撃を与えるに至った。

ゴッゴオオォォォォ…ベキベキッ…ミシッ!!

魔獣の大きく開いた獰猛な口部の中へ、吐き出される灰色の冷たい風。

内部は一気に石と化し、それは徐々に徐々に外側へと広がりをみせていた。

召喚士「よしっ!」

そしていよいよ、最後の一撃とも言える上空からの使者が目標地点へと到達する。

西方司令「引き立てご苦労さんなこったなああぁぁ!!」

突き刺すように落下する人間兵器とその手に携えた、兵器とも呼べる超巨大な剣。

ドン、という音と共に、意思を削るドリルのように、それは魔獣の口を削り始めた。

ゴガガガガガガガッ!!

魔獣「――――ッ!!」

雄叫びをあげたくともあげる事の出来ない魔獣は、苦痛に巨体をゆさゆさと揺す振る。

そして数秒後、魔獣の口部は爆発したかのように粉砕され、一気に破裂した。
776 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:02:33.33 ID:LzFcgRPzo
ゴワッシャアアアアァァァァ!!

魔獣「ヴアアアアァァァァーッ!!」

戦士「いよっしゃああぁぁ!!」

女隊員「やったッス、やったッスよぉ!」

頭部を地面へ垂れ下げ、苦悶の唸りをあげる魔獣。攻撃は成功に見えた。

魔道士「やったぁーっ!!」

神官「……しかし、まだ動けるようですね」

ゴゴゴゴゴゴ…

西方司令「どーだぁ!! この俺様の凄まじく素晴らしい最高の一撃! 略してS! S! S!」

男隊員「待て待て待て、これで終わりってこたねーだろ」

ドッゴオオォォォォ!!

盗賊「!?」

青年兵「まだ動くかっ!」

西方副司令「発射口は潰したのよっ、今はこれで十分――」

西方参謀「……待てよぉ、様子がどうもおかしいぜ?」
777 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:03:06.10 ID:LzFcgRPzo
頭部を持ち上げた魔獣は、ボロボロの口部から大量の血を流し、悶える。

しかしその目は赤く輝き、いかにも怒りに満ちているといった様子であった。

魔獣「……ヴウウウウゥゥゥゥ」

コカトリス「まずいな」

召喚士「……?」

コカトリス「見よ。潰したのはあくまで外殻のみだ。中にまでは到達しておらん」

召喚士「――っ!!」

石化した皮膚がポロポロと剥がれ落ち、その奥からは赤い輝きが燃え滾っていた。

召喚士「しまったぁ!!」

魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

西方参謀「マズった! 閃光が来るぞぉ!」

それは紛れもなく、一同を恐怖へと陥れた絶望の光そのものであった。

格闘家「何故……っ、直撃のはずだ……」

男隊員「攻撃はな。石化が弱かったんだ。だから核なる部分までは攻撃が及ばなかった」

西方副司令「そ、そんな……っ」
778 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:03:34.81 ID:LzFcgRPzo
ゴゴゴゴゴゴ…

魔獣「ヴオオォォォォーッ!!」

キュイイィィィィ…

盗賊「まずいぞっ!!」

戦士「くっそ……ぉ!」

傭兵「どっ、どうすんだよぉ!!」

王子「……っ」

バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「召喚士」

召喚士「俺の力不足が招いた結果だ。何とかする」

コカトリス「これはもう、やるしかあるまい」

召喚士「……」

コカトリス「幸い、お前の魔力もまだ余力はある。最悪でも3日寝込む程度で済むさ」

召喚士「気軽に……っ。でも仕方ないね。師匠、使わせて頂きます!」

コカトリスによる3つ目の能力が今、発動した。
779 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:04:03.06 ID:LzFcgRPzo
バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「時間がない。飛び降りろ」

召喚士「……この高さで……っ」

コカトリス「早くしろ。お前も石像と化すぞ」

召喚士「……っ」

バッ!!…バシュウウゥゥゥゥ

盗賊「!?」

戦士「おいおいっ! 何やってんだよぉ!」

ザザザザッ…ガシィ!!

召喚士「……あ、ありがと……っ」

戦士「間に合ったからいいものの、何してんだよっ!」

召喚士「ごめん。時間なくて……」

盗賊「どういう事だ?」

召喚士「今から見せるコカトリスの技は、触れるものを石と化します」

戦士「!?」
780 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:04:32.26 ID:LzFcgRPzo
バシュウウゥゥゥゥ

コカトリス「さぁ、我が力の真髄……とくと味わうが良い!」

速度を緩める事なく魔獣へと真っ直ぐ突っ込んで行くコカトリス。

西方司令「んだぁー!? 特攻かぁ?」

召喚士「西方司令さん、攻撃の準備を! 次で決めましょう!」

西方司令「てめぇ、今度は絶対なんだろーなぁ?」

召喚士「……絶対です」

西方司令「良かろう。俺様がもう1度だけ、力を見せてやろうじゃねえかああぁぁ!!」

ジャキッ…ズンッ!!

魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

コカトリス「はああぁぁーっ!!」

いつもと変わらず冷たい石化の吐息を放つコカトリス。しかしその息はいつもとは打って変わり、

コカトリスを包み込むように、その周囲へと漂い、更にはその身へ吸収されてゆく。

吐いた息を再び吸い込むように大きく呼吸をすると、コカトリスの嘴は閉ざされる。

そしてそのまま、魔獣の口部へと突撃を敢行、文字通りの特攻であった。
781 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:05:48.43 ID:LzFcgRPzo
サモナー「特攻!?」

神官「召喚獣のみか!? 召喚士殿は一体何を……っ」

ゴッシュウウゥゥゥゥ!!

戦士「バカっ、避けねーとヤバイぞ!!」

召喚士「……いや、これでいいんだ」

コカトリスが魔獣の口内に突き刺さるように衝突する。通常はこれで消滅しそうなものだが、

魔獣の口内は何と、コカトリスを起点に石化を始めたのだ。

魔獣「――――ッ!?」

コカトリス「まだまだっ、このまま突き破ってくれるわ」

外側からの石化ではなく、完全に内部からの石化。到底、防げるものではない。

体内を寝食する病原体のように、石化は網羅し、魔獣の口内を完全に塞ぎ始める。

魔獣「ヴ……フウウゥゥゥ……ッ」

石の隙間から炎と煙、そして光が若干漏れていた。その刹那、魔獣がビクリと衝撃を受ける。

コカトリスは口内を石化した後、魔獣の喉元を貫通すながら外部へと脱出した。

召喚士「西方司令さんっ、今です!!」
782 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:06:16.51 ID:LzFcgRPzo
西方司令「待ちくたびれたぜコルアアァァーっ!!」

包含投げのように超巨剣を両手で構えながら振り回す西方司令。

今度は上空ではなく地上。力も十分、武器自体へと行き渡る。

遠心力を利用したスイングは巨大な剣から轟音を発生させ、竜巻のように足元の砂を巻き上げる。

西方司令「くううぅぅぅぅらああぁぁええええぇぇぇーっ!!」

先だっての打ち降ろしと正反対の打ち上げ。遠心力と西方司令の力が全て凝縮され、

石化に苦しむ魔獣の顎部から口部にかけてを凄まじい威力で打ち抜いた。

如何とも表現し難い衝撃音。強いて言うなれば地割れに近い轟音であった。

その一撃を浴びた魔獣は、完全に顔を上へ仰け反らせ、粉々に砕け散った岩石の奥から、

空を打ち抜くようなとてつもない閃光を暴発させた。

ズッガオオオオォォォォ!!

召喚士「――っ!!」

戦士「……くっ!」

大地を揺るがし耳から頭の奥にまで響くような衝撃と音。そして閃光の眩い光ががしばし続いた。

その全てが終わった刻、魔獣はぐったりと地面へ倒れこみ、一先ずの危機は取り除かれた。
783 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:06:46.54 ID:LzFcgRPzo
ズッズウウウウゥゥゥゥン

魔道士「こ、今度こそ……やった……っ!?」

神官「死んではいないようですが、閃光は何とか免れましたね……」

サモナー「……雲が消し飛んで、穴が空いている。凄い威力だな……っ」

ズザァ

西方司令「……どうだ見たかコラァ!! これが俺様の力だぁ!!」

タッタッタ…

西方副司令「さっすが司令っ。信じてましたよ!」

西方参謀「喜ぶのはいいが、まだ完全に倒したわけじゃねぇんだ。退こうぜ……ヒック」

男隊員「西方参謀の言う通りだ。危機は回避したが、終わったわけじゃねぇんだ」

格闘家「メインはあくまで、明日、結構される魔方陣五行での討伐ですからね」

戦士「立てっか?」

召喚士「あ、うん。ありがとう」

盗賊「……本陣へ引き換えすとしようか」

召喚士「そうですね」
784 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:07:18.00 ID:LzFcgRPzo
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「コカトリス、うまくいったね」

コカトリス「だから申したであろう? 今のお前なら大丈夫だと」

召喚士「ははっ、ありがとう」

ザッザッザ

青年兵「召喚士さん、あれは新技ですか?」

召喚士「うーん、新技というかまぁ……そうだね」

青年兵「お見事でした。流石です」

召喚士「青年兵くんのお陰さ。こっちこそありがとう」

青年兵「何となく狙いは予想出来ましたから」

召喚士「いつぞやの特訓が活きたかもねっ。あははっ」

西方副司令「それでは全軍、一旦後退します!」

西方司令「おらおら、俺様の凱旋だぞ!! どけ!! 祝え!! そして死ね!!」

西方参謀「流石にこれクラスの得物だと、強気超えてぶっ壊れてやがんな……ヒック」

魔獣の閃光、及び足止めに成功した一同は安堵を見せ、本陣へと帰還した。
785 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:07:50.53 ID:LzFcgRPzo


王子「お疲れ様! しっかし、さっきは凄かったね!」

西方司令「だろぉ!? ぬはははっ!! さすが俺様!!」

王子「あんたじゃねーよ。まぁ、凄かったけどさ」

神官「コカトリス、更に強くなりましたね」

召喚士「ありがとうございます。もういっぱいいっぱいですけどね」

サモナー「名実共に朱雀先生だよ。見事としか言いようがない」

召喚士「これで終わったわけじゃありませんから。それに、魔王だってまだいるわけですし」

西方参謀「そうそう。朱雀先生の言う通りだぜぇ〜? ヒック」

西方副司令「……総司令は?」

神官「まだ砦から戻られてないようですが……」

西方魔道長「もうじき夕食だってのに、何をやってんだろうねぇ」

西方副司令「どうでもいいけど司令、そのでっかいのどこかに置いといて下さいよ。邪魔です」

西方司令「あぁ? これはな、俺様の相棒とも言うべき……いやっ、命そのもの――」

西方副司令「えいっ」
786 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:08:37.97 ID:LzFcgRPzo
バシッ…ドズンッ!!

西方司令「うひゃああぁぁ!! こんな無防備な本陣ではいつ襲われるか分からないいぃぃ!!」

隊長「持っていても持っていなくても騒がしいな全く……」

西方参謀「仕方ねぇ。誰か、包丁持ってるか?」

西国兵「あ、はいっ!」

スッ…パシッ

西方参謀「ほれ、これでも持ってろい……ヒック」

西方司令「……」

女隊員「ど、どうなるんスか?」

西方司令「ふぅむ、もうじき夕食か。どれ、西方の厳選された材料で皆の舌を楽しませてみせよう」

魔道士「お料理ですかっ!? 私もお手伝いします! えへへっ」

西方司令「ほぅ、今回の助手は君か。成程……素質はありそうだな。では参ろうかフフン」

スタスタスタ

戦士「……便利な奴」

盗賊「あ、あぁ……っ」
787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:09:17.46 ID:LzFcgRPzo
〜西の砦〜

天才「…………」

城壁の上で緊急事態に備え、魔獣を待ち構えていた天才は、数時間前と変わらず、

腕を組んだまま、静かに魔獣の動向を見つめていた。

魔獣は口部を破壊され静止していたが、一同の離脱から30分程度の後、

ゆっくりと起き上がり、また変わらず前進を進めていた。

それは、本陣の皆も当然ながら把握しており、逐一、偵察の為の部隊を交代で派遣していた。

それでも天才がここにいる理由はただ1つ。本当に閃光は防いだのかどうかだ。

魔王討伐にも関わらず、余りにも被害の少ない予言に、天才はひたすら危惧していた。

今までの戦いと大きく違うところ。それは敵の少なさである。

敵が少なければ少ない程、それは当然、こちらにとって有利には違いない。

しかし魔物にとって守るべきは自分達だけで良いのだ。他は一切、関係ない。

特にこの魔王イブリースにおいては、それが顕著な程である。故に、他所への被害など無関係。

イブリースが守るべきものは、自分のみ。だからこそ天才は気に掛かっていた。

そして魔王の戦いよりも前に現れたこの未知なる敵。彼にとって過剰になり過ぎる程警戒していた。
788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:09:47.13 ID:LzFcgRPzo
魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

天才「……」

魔獣の咆哮が響き渡る中、天才は魔獣の動きにふと、違和感を覚えた。

天才「……?」

ヒュッ…スタッ

天才「おいおい……嘘だろ!?」

タッタッタ…ザッ

天才(若干だが間違いねぇ! 方角をかえてやがる!)

魔獣は真っ直ぐ砦ではなく、その歩みをやや北側へと変えていた。

天才「俺様とした事が……畜生がっ!」

巨体のあまり、ほんの些細な変化であった進行方向の修正に、気付かなかった。

誰のせいでもないしにろ、気付けなかった自身への怒りを噛み締めながら、天才は砂を蹴った。

ザザザザッ…ズザッ

天才「こっち来いやおらぁ!!」

キュイイィィィィ…ドッドオオォォォォン!!
789 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:10:15.49 ID:LzFcgRPzo
天才の放つ炎の魔法が遠方の魔獣へと着弾するも、その動きに変化はない。

魔獣「ヴオオオオォォォォ」

天才「ちぃっ、残り半日もねぇんだぞ!」

大慌てでツヴァイハンダーを肩に担ぎ、天才は本陣めがけて砂漠を疾走した。

ほぼ同時刻、本陣内でもその報告が行き渡り、事態は急変していた。

隊長「何ぃ!? 魔物が進路を変えたぁ!?」

格闘家「間違いありません。こちらに向かってくるように思えます」

戦士「ど、どうすんだよ……っ」

盗賊「しかしまた……何故……っ」

神官「魔物の怒りをかってしまったのですかね」

男隊員「どうすんだよ。魔方陣は砦の前なんだぞ?」

テクテクテク…ザッ

召喚士「あ……っ」

西方司令「……? どうかしたかな? ほら、夕食が出来上がったぞ。まずは西方の――」

バキィッ!!…ドサッ…カラカラン
790 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:10:45.57 ID:LzFcgRPzo
西方司令「痛いいぃぃ!! し、死ぬううぅぅぅぅ!!」

天才「はぁ、はぁ……どけっこのアホ」

魔道士「て、天才さん!?」

天才「デカブツが進路を変えた。全員、出撃だ」

隊長「たった今、こちらも偵察隊から情報が入ったところさ」

神官「それで、如何なさるのです?」

天才「第1優先にデカブツの進路を戻す。第2優先は2時間の足止め」

青年兵「2時間ですか?」

天才「こっちに魔方陣敷くには、最低でもあとすんくらいは必要だ」

男隊員「了解。んじゃ早速、出撃すっかね……ヒャハハ!」

女隊員「でもぉ、どうすればいいんスかぁ?」

天才「何でもいい。とにかく何とかしろ。あと死ぬな。以上!」

ザッ

天才「ババア! テメーは俺様とデートだ。冥土の土産が出来て良かったな!」

西方魔道長「全く、こっちにだって相手を選ぶ権利ってもんがあるよ」
791 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:11:24.29 ID:LzFcgRPzo
スタスタスタ

戦士「2時間……もしくは、進路を変えろ、か」

盗賊「……出来そうか?」

召喚士「足止めなら何とかなるかもしれませんね」

青年兵「では、行きましょうか。まずは全軍、南へ向かいます」

傭兵「南?」

西方参謀「砦側だろ。俺達を追い掛け回してんなら、奴は進路をかえるはずだ」

女隊員「そうッスよ! 万事解決じゃないッスか!」

西方参謀「そう言ってて、うまくいかねぇのが人生ってもんなんだよ……ヒック」

女隊員「縁起でもない事、言うもんじゃないッスよ……」

西方副司令「そうよ……もうっ」

召喚士「ここからはの指揮権は青年兵くん、君に任せるよ」

青年兵「ええ、召喚士さんも独自に動いて貰って構いませんからね」

召喚士「ありがとう。何としてもあの魔物を……倒そう!」

青年兵「ええ。魔王戦以前にこれ以上、無駄な力を浪費していられませんからね!」
792 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:11:57.20 ID:LzFcgRPzo


ザザザッ…ドドッドドッドドッ…

西国兵「全体ーっ、止まれぇ!!」

親衛隊「王子、我ら西国軍は砦にて魔物を待ち構えます」

王子「前線へ参加出来ないのは不満だが、ここは我らが家も同じ」

傭兵「そうそう。ここを失うのは悲しいモンがあんぜ」

ザッ

魔道兵「魔道隊、砦前にて配置完了です」

西方副司令「ご苦労様。これで後方支援は整ったわね」

西方参謀「こっち向いてくれるとは限らねぇって言ってるだろ……ヒック」

タッタッタッタッタ…ザザァ

戦士「閃光はなくなったっつっても、流石にこのデカさは慣れねーよな」

盗賊「……うん」

女隊員「でも今回は、頼もしい主軸がいるじゃないッスかぁ!」

男隊員「頼もしい……ねぇ」
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/16(水) 18:12:30.53 ID:LzFcgRPzo
ドズン…ドズン…ドズンッ

西方司令「さっさときやがれ! こちとら不機嫌なんだ! 八つ当たりさせろやコルァ!!」

格闘家「何故、不機嫌なのですか?」

西方司令「あぁ!? くそまじい夕飯食わされたからだろうがこのカスがぁ!!」

召喚士「……自分で作ったのに」

戦士「しかも美味かった。めっちゃ」

盗賊「……うん」

西方司令「ああぁぁウッゼぇ!! テメーの尻尾食ってやっからなぁ!!」

ザッザッザ

青年兵「召喚士さん、余力はまだありますか?」

召喚士「うん。と言いたいところだけど、正直そんなでもないかな……」

青年兵「そうですよね。実は僕もです……」

召喚士「今回は攻撃はみんなに任せて、進路を変える事に集中してみるよ」

青年兵「お願いします。僕も指揮と援護に重点をおきますので」

魔獣との戦いもいよいよ最終決戦となる。彼らに出来る残された方法は総力戦のみである。
794 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/16(水) 18:13:41.18 ID:LzFcgRPzo
本日ここまで!今日はちょっと進んだかな…
ご支援ありがとうございました!それではでは!ノシ
795 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 19:12:34.09 ID:OdtIw6NDO
バハムートの声が聞けるのはいつだろう…

おつ!
796 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 20:23:39.82 ID:wY1/f/OSO
ばはむぅと「いっくよーお兄ちゃん!(野太い声)」

1おつ!
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/16(水) 20:32:08.98 ID:9nU1/O3DO
>>1乙!
包丁のくだりで噴いたwwww
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/16(水) 22:11:14.56 ID:yRBU9F7AO
┌─────┐
│い ち お つ│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ

799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) :2011/11/17(木) 01:48:56.74 ID:S/xc4ATAO
>>1おつ
800 : ◆okj.ggXz5c :2011/11/17(木) 01:54:54.89 ID:G+9hCJQA0
純「おはよー」

憂「おはよー純ちゃん」

梓「・・・」ポチポチ

純「梓おはー」

梓「・・・にゃ?ああ、純おはよ」

純「朝っぱらから誰にメールしてんのよ」

梓「ん?んー」ポチポチ

梓(今日はお弁当作ってきたよ、と)

……

唯「ムギちゃんおはよー」

紬「おはよう、唯ちゃん」

唯「澪ちゃんおはよー」

澪「おはよ、唯」

唯「おいっすりっちゃん!!」

律「・・・」ポチポチ

唯「ほえ?りっちゃーん」

律「・・・んあ?おお、唯おはよ!」

唯「朝から誰とメールしてるのー?」

律「ん?んー」ポチポチ

律(まじで?やったー!、と)
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) :2011/11/17(木) 01:55:16.43 ID:G+9hCJQA0
誤爆
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/17(木) 01:56:38.13 ID:GxoQTxs3o
死んで詫びろwwww
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 01:58:20.86 ID:W2lnjeDJP
度胸あるな
荒らしが湧いても知らんぞ
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/17(木) 04:27:42.25 ID:aQogq1jp0
いちおつ
包丁面白かったww
805 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/17(木) 08:34:04.69 ID:U0oxJhQAO
相変わらず>>1乙んつん
包丁ときたらハサミ、カッター、ナイフ、ドス、キリも握っていただきたいですな。
806 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長崎県) [sage]:2011/11/17(木) 09:52:18.42 ID:ystw8eRGo
ライザーソードを持たせてやりたい
807 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府) [sage]:2011/11/17(木) 13:04:29.99 ID:/ARhIE0Qo
ハイパービームサーベルかシャイニングフィンガーソードじゃないとヤダヤダー
808 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 14:52:38.16 ID:heffFI9DO
>>805
今度おまけを書いてくれる機会があれば西方司令は活躍出来そうだなww
包丁 金づち ハサミ バット ゴルフクラブ バールのような物
色んなパターンがかんがえられそうwwww
809 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 15:40:44.41 ID:sx0CVv1no
石化くちばしは邪神ですら一撃で葬り去る恐ろしい技
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/17(木) 15:53:49.78 ID:LJQ3qvUDO
西方司令がコカトリスを持って特攻する最終奥義はまだですか?
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) :2011/11/17(木) 18:49:48.71 ID:cyHGbjEA0
>>1
今日は俺の追いついた記念日
812 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/17(木) 23:57:52.51 ID:D/2b8aWMo


青年兵「準備は宜しいですか?」

戦士「おう」

ずらりと並ぶ猛者猛者猛者。国内、いやこの世界においても屈指の強者揃い。

戦士「さぁ、いくぜ」

盗賊「……あぁ」

戦士と盗賊。今まで何度、共に前衛として戦ってきた事だろうか。

もう今は、互いに信頼などという言葉すら無用。居る事が当たり前。そんな様相である。

戦士は左手に炎の斧盾、腰には新生雷切を携え、両手にゾディアックと騎都尉の戟を持ち、

まさにフル装備、何が何でも、どんな手を用いてもと言わんばかりの気迫である。

対して盗賊は、愛刀である薄緑を逆手に持ち、腰の鎖と太腿の止め具に仕舞い込んだ

クナイの塩梅を確かめると、ゆっくりと口元に布を当てて、身軽に歩き出す。

その2人の後に続き、格闘家と女隊員、そしえ男隊員の3人がゆっくりと進む。

女隊員「さぁ、行くッスよぉ!!」

男隊員「行く以外にねーだろっての……ヒャハハ!」
813 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/17(木) 23:58:32.25 ID:D/2b8aWMo
格闘家「……」

特殊遊撃隊。その過酷な任務を数々とこなしてきた彼らとて、早々、慣れるものではない。

恐怖、不安、後悔。幾多の失敗を重ねて、ここまでやってこれたのだ。

格闘家は大きく息を吸い込み、ピタリと止めると、両拳を鳴らせる。

お父との戦いでウォームアップは既に完璧。闘志も十分に溢れ出していた。

その横で外見からは想像もつかぬ程の怪力で、巨大なハンマーを肩に担ぎ、

まるでピクニックにでも行くかのように、女隊員が足取り軽く、前進する。

その反対側、表情は明るく見えるものの、その心中は不安も大きかった。

普段は頼るべき隊長がこの場には居ない。前線には自分ら3人しか居ない。

品行から楽観的な性格に見られがちだが、実は非常に注意深く、慎重な思考の持ち主だ。

同じく剣を振るって戦うファイタータイプに見られがちだが、実際は魔法が得手。

そのギャップに知恵のある魔物ならば騙せる事もあるが、今度の敵は違う。

隊長の代わりなど務まらぬかもしれない。しかし守るべき仲間が、部下がいる。

そして背後には頼れる先輩が、上司がいる。

その頼るべき男が今、ゆっくりと武器を引き摺りながら魔獣へと向かい進んでゆく。
814 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/17(木) 23:59:40.53 ID:D/2b8aWMo
西方司令「小僧共!! 余計な事はすんじゃねぇぞ!! 早く死ぬか退け!!」

偉そうな口調は絶対的な自信と、仲間への配慮の裏返しか。

複雑な性格の為、その心境は本人にしか分からないが、そう感じ取れるものもある。

人間平気とあだなされた彼の実力は、その名に恥じない。

更には前代未聞の超級な武器。文字通り兵器とも呼べる巨大な剣。

西方司令にとってもこれ程の昂りは始めてのもの。

ましてや敵は未曾有の未知なる相手。これ以上の興奮は得難い。

魔王ラーヴァナ戦の際は不甲斐ない結果を残してしまった。

別段、誰かに咎められたわけでもないが、彼にとっては汚点。悔いの残る結果。

2度目の失敗はない。あり得ない。あってはならない。

その思いを胸に、最後方から人間兵器が今、出陣する。

そしてそれらを率いるのは若き指揮官、青年兵。昨今は自信と実力を兼ね備え、

今や本国においてそれは欠かせないものとなっている。

青年兵自身も、これだけの実力者を指揮する事に最近は喜びすら感じていた。

逆に指揮される皆も、青年兵に全幅の信頼を寄せ、安心して戦いに専念している。
815 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 00:15:03.27 ID:zrhRCxsKo


魔獣「ヴオオォォォォーッ!!」

そんな集った猛者達と対峙する魔獣は、ただ咆哮と前進を繰り返すのみ。

一同はひたすら懸命に、その侵攻を食い止めるべく戦った。

進むべき方向を西の砦に。獲物を捕獲するべく用意した罠へ。

前衛の必死な攻撃も、魔獣が向きを変える事はなく、しかしながら

魔獣の足は滞り、第2の目的である時間稼ぎにおいては、まずまずの成功と言える。

ここでついに中衛のメンバーが動き出す。その核とも言うべき召喚士。

彼がとてつもない大きさの魔獣を食い止めるべく、進路を変えるべく、

放った一撃は、この召喚獣を召喚する事であった。

召喚士「行けっ! スフィンクス!」

シュイイィィィィン

西方の地にピッタリとマッチした西方発祥の召喚獣スフィンクス。

スフィンクス「じゃじゃーんからの〜っ、だっぶるぱーんちっ!!」

その一撃は前衛の集中攻撃を浴びた左前足を打ち抜き、魔獣は逆さに地へと倒れた。
816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/18(金) 00:47:37.01 ID:PKVx+rcAO
>>1
無理すんなよー
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 01:40:50.91 ID:/T2HerEDO
>>1
スフィンクス空気嫁
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) [sage]:2011/11/18(金) 02:25:47.58 ID:YSPhoWeMo
>>1
包丁で吹いたwwww
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/18(金) 04:53:24.25 ID:DzSehDNr0
いちおつ
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 08:41:30.21 ID:5YjYNLdDO
>>1乙!
今回はスフィンクス大活躍だな
特遊の女隊員と男隊員も良いキャラだよなー
二人の外見と内面のギャップが厨二心をくすぐるぜww

そういえば隊長×ネクロマンサー戦の伏線っぽいのも気になるな
土行が得意っていうのは隊長も壮絶な過去を送ってきてそうだな……
821 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:21:55.14 ID:kiVfyAABo
ガクンッ…グッラアアァァァァ…

男隊員「うおぉ!?」

女隊員「ブッ倒れるッスよおおぉぉ!!」

青年兵「回避ーっ!」

ズッドオオオオォォォォン!!

魔獣の転倒。それは辺り一面に砂埃を巻き上げ、一時的に霧のような状況と相成った。

召喚士「青年兵くんっ!」

青年兵「ええっ。全軍後退! 南に進路を取れぇーっ!!」

ズザッ

戦士「南って……どっちだっつうの!」

盗賊「付いて来い、こっちだ!」

砂塵舞う中、一同はそれをかきわけ、一斉に南側の砦へと走り出す。

西方参謀「さぁこれでどうなるかだ……ヒック」

魔獣が気配と怒りに釣られ、砦へと進路を変えれば成功。変えなければ……。

少しずつ砂煙が晴れ始め、重たい体を持ち上げて起き上がる魔獣の姿が浮かび始めた。
822 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:22:42.75 ID:kiVfyAABo


ズズウウウウゥゥゥゥ…

衝撃音と再び舞い上がる砂埃。その中心部で魔獣が起き上がり、態勢を立て直した。

西方副司令「……・ごくっ」

格闘家「……」

魔獣「ヴッオオオオォォォォーッ!!」

ビリビリビリッ!!

怒りに打ち震え、雄叫びを発する魔獣。その足がようやく前へと進みだした。

青年兵「――っ!?」

召喚士「……だ……めかっ」

しかし進路に変更はない。魔獣は砦ではなく、ただ真っ直ぐ本陣へ第1歩を踏みしめた。

召喚士「スフィンクス!」

スフィンクス「あいあ〜い! どっしーんっ!」

ドッシイイィィィィン!!…ズズズズッ

スフィンクス「ぐおおーっ! なんて力……うぎぎぃ〜っ!」
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:23:21.28 ID:kiVfyAABo
魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

西方司令「加勢だクズ共ぉ! 俺様に続けやおらああぁぁ!」

召喚士「行けっ! コカトリス!!」

先頭を駆ける西方司令の頭上にコカトリスが召喚され、何者よりも早く、魔獣の元へと飛ぶ。

召喚士のとった行動の意味合いは容易であった。コカトリスと西方司令、

魔獣の口部を破壊した張本人を前面で見せ付ける事により、その怒りを買う。

言わば進攻を変える最後の手段とも言えた。だが、結果は失敗。魔獣は無反応であった。

召喚士「……っ」

青年兵「こいつ、何が狙いなんだ……っ?」

困惑する討伐隊とは裏腹に、魔獣はゆっくりと4本の足を前へ前へと進め続ける。

この時点で作戦は進攻方向の転換ではなく、全力にて足止めへと決定した。

いち早く飛び掛る西方司令を合図に、前衛が一斉に襲いかかる。

それとほぼ同時に、青年兵はすぐさまワイバーンを反転させ、本陣を目指した。

青年兵「召喚士さんっ、ここはお任せします!」

召喚士「うんっ!」
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:23:53.53 ID:kiVfyAABo
バシュウウゥゥゥゥ…

西方司令「さぁ断末魔の叫びをこの俺様に聞かせてみろやああぁぁ!!」

ヴヴヴヴヴヴッ…ズッギャアアァァ!!

魔獣「ヴオオォォォォーッ!!」

西方司令「まだだっ!! もっと聞かせろおおぉぉ!!」

戦士「絶好調みてぇだな。俺らも後ろに回りこんで攻撃すんぞっ」

盗賊「……ああ!」

男隊員「いけぇ、特遊が遅れを取るなんざ恥だぞ恥ぃ!」

格闘家「援護お願いします」

女隊員「おいっしょおぉ!!」

振り上げる格闘家の拳と女隊員のハンマーに、男隊員の魔法が付加し、光り輝く。

一撃、また一撃と重たい衝撃が魔獣に放たれる。それでも魔獣は動きを止めない。

痺れを切らした男隊員も、細身の長剣片手に、他の2人に合流し、攻撃を仕掛けた。

10分経過。魔獣は数十メートルであろうか、その1歩を完了させ、次の1歩へとまた歩き出す。

結局、決定打に欠ける中、魔獣は10分が経過する度、着実に本陣へと進攻していた。
825 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:24:23.85 ID:kiVfyAABo
バシュウウゥゥゥゥ…ズザァ

青年兵「司令」

天才「駄目か」

青年兵「……申し訳ありません」

天才「謝っても仕方ねぇ。んで、到達時間は?」

青年兵「推定、2時間40分後」

天才「結局、稼いだ時間は40分か」

青年兵「現在も奮闘中です。もう10……いえ、15分程度は何とか致します」

西方魔道長「トータルで残り3時間。今からで間に合うかねぇ」

天才「間に合わせるんだよ。下書きは無しだ。発動場所は本陣100メートル手前」

西方魔道長「あいよ。結界石運ぶの手伝っとくれ」

西国兵「かしこまりましたっ!」

ザザッ…タッタッタッタッ…

天才「いいか、次……進路を変えられたらゲームオーバーだ。分かってんな?」

青年兵「はっ。必ずや誘導してみせます」
826 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:24:58.64 ID:kiVfyAABo
ジャキッ

戦士「うおっりゃああぁぁ!!」

ビュオッ!!…ズガガガガッ!!

格闘家「双槍!? す、凄いな……」

西方司令「てんめぇ!! 俺様より目だってんじゃねぇぞこらあぁ!!」

グアッ…ズッドオオオオォォォォン!!

戦士「目だってねぇってか、あぶねぇな!!」

盗賊「時間は?」

召喚士「目標まであと1時間弱です!」

西方副司令「本陣まであと1キロ付近まで到達! ギリギリよっ!?」

西方参謀「うーむ……酒が切れたわ。一時、撤退する」

男隊員「フザけんな! 踏ん張れっつーの!」

西方参謀「無茶言うなよ。こちとらラーヴァナ戦から魔力使いっぱなんだぞ?」

ドドドドドド…

戦士「あれは……っ!」
827 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:25:47.58 ID:kiVfyAABo
王子「西国軍、推参! 側面よりあたれぇーっ!」

青年兵「陛下!?」

傭兵「砦で指咥えて見てるわけにゃいかんだろがよっ。ここは西国だぜ?」

親衛隊「我らがやらないでどうするかぁ!」

女隊員「おぉ、頼もしいッス!」

青年兵「動ける者は陛下らの護衛に回れ!」

召喚士「了解!」

西方参謀「いいタイミングだ。そんじゃ一度、戻る」

男隊員「しゃーねぇ。特遊は西国軍の支援に回るぞ……ヒャハハ!」

女隊員「正面は任せたッスよ!」

盗賊「了解っ」

王子「押せ押せ押せぇーっ!!」

親衛隊「陛下が先頭に出るという事は、我らが遅れている証拠。恥と思え!」

青年兵「本陣までの距離はそう遠くないぞっ。何が何でも死守するのだ!」

召喚士「いっけぇーっ!!」
828 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:26:29.23 ID:kiVfyAABo


ズザァッ

天才「……時間は?」

西方魔道長「残り30分」

天才「ちっ、もうあんな近くまで来てんじゃねぇか」

魔獣「ヴオオオオォォォォン!!」

ビリビリッ

魔道士「と、とうとう本陣まで……っ」

サモナー「まだ大丈夫。大丈夫だけど、ここまで来られるとはね……っ」

神官「物資の輸送は?」

西国兵「滞りなく。既に大半は砦へと搬出致しました」

神官「よし。それでは最低限の者のみ残し、砦へ避難せよ」

西国兵「し、しかし……っ」

神官「万が一に備えてだ。心配無用」

隊長「ああ。ここで必ず、あの魔物を仕留めてみせるさ」
829 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:27:09.71 ID:kiVfyAABo
西国兵「了解です……っ」

隊長「司令っ、そっちはどうなんです!?」

天才「あぁ? もう半分終わったよ! あとちょっとだ!」

魔道士「……皆さん、頑張って下さい」

サモナー「僕らにはもう、祈るしか……ごほごほっ、ごほっ!」

魔道士「サモナーさんっ!?」

マーメイド「……っ」

サモナー「こんな僕でも……祈る事くらいは出来るさ。ごほごほ……っ」

祈りで何とかなる。現実はそう甘くはない。刻一刻と時間が進む中、

魔獣の足音は着実に本陣へと迫っていた。その巨体は最早。目と鼻の先である。

西方司令「何を手間取ってんだコルアアァァ!!」

天才「うるせぇな! ぶっ殺すぞ!」

西方魔道長「よし……っ。こっちは終わったよ!」

天才「五行メンバーは今すぐ来い! 準備に入んぞ!」

魔道士「は、はいっ!」
830 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:27:48.53 ID:kiVfyAABo
ザザッ…ドドオオォォォォ

魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

青年兵「……くはぁ、はぁ……はぁっ」

召喚士「流石に、魔力もそろそろ厳しいね……っ」

青年兵「ええ……っ。魔王相手ですらないって言うのに、情けない話ですね」

召喚士「全くだよ……ははっ」

ジャリッ

召喚士「行けっ! コカトリス!!」

青年兵「出でよ、ワイバーン!!」

シュイイィィィィン…ゴッゴオオォォォォ!!

召喚士「これが……最後の攻撃だぁーっ!!」

青年兵「1秒でも多く……時間を稼いでやるさっ!!」

ドッゴオオォォォォン

召喚士「ぐはっ!!」

青年兵「ち……くしょう……っ」
831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:28:21.81 ID:kiVfyAABo
魔獣「ブッオオォォォォーッ!!」

戦士「召喚士っ、青年兵!!」

男隊員「攻撃を食らったわけじゃねぇ! 安心しろっ!」

格闘家「こちらで回収致します」

西方副司令「時間はぁ!?」

王子「あと……20分!!」

ザザッ

西方参謀「命の水……補給完了っ、ヒ〜ック」

西方司令「ナイスタイミングだこのクズ! さっさと付加しろやああぁぁ!!」

ダンッ!!…グワァッ

西方司令「ジャンピングスーパーウルトラなんとかかんとかああぁぁぁぁ!!」

西方参謀「早いっつーの!!」

ドオオォォォォン…ガッカアアァァァァ!!

魔獣「ヴオオオオォォォォーッ!!」

西方司令「ざまーみろやこのでくのぼうがっ!! ワーッハッハッハ――」
832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:28:54.22 ID:kiVfyAABo
グオォッ!!

西方司令「んなっ――」

ドッシイイィィィィン!!

西方司令「がっはああぁぁ!!」

西方副司令「調子に乗るからですよっ、もう!」

クルクルクル…グサァ

西方司令「ぎゃああぁぁ!! し、死ぬっていうか……もう死んだあぁ!!」

男隊員「誰かそこの武器拾ってやれ!」

傭兵「こんな武器、誰が持ち上げられるかってんだよぉ!」

女隊員「残り10分ッスよぉ!!」

戦士「仕方ねぇ。誰か、このゾディアックに五行を……」

盗賊「無茶を言うなっ、死ぬ気か!」

男隊員「全くだ。それに、この状況でどこに五行撃てる奴がいるってんだよ」

戦士「……あとちょっとなんだぞ! ここでやらないでどうすんだよ!」

女隊員「足が来るッスよぉ!! 回避ぃーっ!!」
833 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/18(金) 18:29:28.93 ID:kiVfyAABo
ドッズウウゥゥゥゥン!!

格闘家「……あと、1歩」

西方参謀「魔方陣は……っ」

クルッ

西方副司令「もう100メートルもないですよ……」

魔獣「――――!?」

その時、魔獣の左前足がみるみるうちに砂漠の中へと飲み込まれていく。

青年兵「な、何だ……?」

ズズズッ…ゴポォ

召喚士「水……っ!?」

ドッシャアアァァァァ

液状化する砂の地面。まるでそこにオアシスが出来上がったかのようである。

魔獣の足は底なし沼にはまったかのように、水の中に埋まり、もがいている。

その水場から、罠をしかけた張本人が姿を見せ、胸を撫で下ろしたような顔で笑った。

マーマン「何とか間に合ったな! さぁ、いよいよい本番だ!」
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/18(金) 18:30:23.80 ID:kiVfyAABo
いつもいつもご支援ありがとうございます!
とりあえずここまでー!それでは失礼しまっす!ノシ
835 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(石川県) [sage]:2011/11/18(金) 18:32:04.76 ID:siD587F+o
あああああああああ!
いいところで・・・
>>1乙!
836 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/18(金) 19:16:03.14 ID:YvfPypJAO
>>1

西のMVPはマーマン!マーマン!
837 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/18(金) 19:26:01.40 ID:QaU7n4Ego
いちおつ!テンポよし!
838 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 20:55:03.73 ID:4UhLkTHDO
さすが主人公のマーマンたんやで!
839 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 21:28:27.95 ID:C+oZg7f90
>>1
男隊員と仲良くなりたい
840 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/18(金) 21:40:17.60 ID:PKVx+rcAO
なんだ主人公はマーマンだったのか
841 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方) :2011/11/18(金) 23:05:35.57 ID:IR7A/L/l0
>>1
男隊員とキャバクラ行ってみたいw
842 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/18(金) 23:14:42.35 ID:gGH5+QQno
いちおつ
マーマン五行メンバーじゃないのか?
こんなトコに居てて大丈夫?
843 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/19(土) 01:23:00.52 ID:uWQB2J1Wo
ズッズウウゥゥゥゥ

魔獣「ヴオオォォォォーッ!!」

傭兵「おーおー。怒り狂ってやがんぜ」

男隊員「これで……間に合うだろ」

ザシャッ

女隊員「ミッションコンプリート……ッスね」

格闘家「後は真っ直ぐ進んでくれるだけ」

ザバァッ

マーマン「おっと、こうしちゃいらんねぇわな」

スッ…タッタッタッタッタ

魔道士「あっ、マーマンさん! 探しましたよっ、どこ行って――」

マーマン「悪りぃ悪りぃ。んじゃ、始めようぜ!」

天才「おーし、そんじゃいいか? まずは全員、所定の位置につけ」

隊長「……ここか?」

天才「ちげーよ。テメーはそっちだ。間違えるなよ? 各位置に決まった行があるからな」
844 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/19(土) 01:23:56.25 ID:uWQB2J1Wo
ザッザッザ…スッ

魔道士「私は、ここ」

西方魔道長「揃ったね」

天才「あとは俺様が合図するまで、集中力高めて魔力を捻出しろ」

マーマン「うー緊張していたぁ」

天才「ひたすら魔力放出しねーとバンバン吸われっからな」

マーマン「吸われるとどうなんだい?」

天才「不足分はそいつの生命力から補う。気を付けろよ? リアルに寿命が縮むぜ?」

魔道士「……っ」

西方魔道長「老い先短い寿命を、これ以上短くされてたまるかいっての」

ズオオォォォォ

魔獣「ヴオオオオォォォォ!!」

天才「さぁ、客人も元気に叫んでるぞ。こっちも盛大に出迎えようじゃねぇか!」

隊長「ああ。全力でいく!」

魔道士「私だって……役に立ってみせるっ!」
845 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/19(土) 01:24:55.13 ID:uWQB2J1Wo
キュイイィィィィ

召喚士「!?」

盗賊「魔法陣が……光り始めた……っ」

戦士「いよいよ……だな」

王子「……っ」

一同が固唾を飲む中、魔獣がゆっくりとマーマンの罠から這い出し、再び大地に立つ。

広大に描かれた魔法陣までその足はあと1歩踏み込むのみである。

男隊員「……勝ったな」

青年兵「ええ。僕らの粘り勝ちです」

そしてついに、魔獣の足が地面を離れ、その力強い1歩を、

白く光り輝く魔法陣の中へと踏み入れた。

ズッシイィィィィン

天才「今だぁ!! 発動!!」

魔道士「やあぁーっ!」

ドッズオオォォォォン!!
846 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/19(土) 01:26:04.05 ID:uWQB2J1Wo
天才の合図と同時に、5人が持ちうる全ての魔力を放出する。

隊長「ぐ……っおおぉぉ!!」

マーマン「な……んだよこれっ! 魔力……吸い取られ……っ」

西方魔道長「なんて……力だい……っ!」

天才「気張って制御しろよぉ! 逃すと暴走すんぞおおぉぉ!!」

魔道士「くううぅぅ……っ!!」

ギュイイイイィィィィ!!

魔獣「ヴッゴオオオオォォォーッ!!」

魔法陣の中心に足を踏み入れ拘束される魔獣は、断末魔の叫びをあげる。

もがき苦しむが為す術もなく、ただ体を痙攣させているだけに留まる。

やがて、魔法陣の光が縦に伸び、五行魔法のように、天高くへと放たれた。

魔獣はその中で徐々に溶け込まれ、半透明へと姿を変える。

魔獣の咆哮は魔法陣五行の音にかき消され、やがてその音も空高くへと消えてゆく。

まるで昼間のように輝いたその一瞬。再び夜を取り戻した時、そこには魔物の姿はなく、

魔法陣五行を放ち、疲弊した5人が座り込む姿だけが残っていた。
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/19(土) 03:56:13.51 ID:woicxlfAO
┌─────┐
│い ち お ち│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/19(土) 05:01:12.28 ID:73WUGGKu0
いちおつ
魔法陣五行すごいな
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 11:41:50.15 ID:2TvgxoCDO
>>1乙!
深夜更新まで乙なんだぜ

マーマンは飄々としているけれどかっこいいよな−
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/19(土) 19:41:05.05 ID:yFY82M2AO
マーマン!マーマン!
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/19(土) 20:26:58.53 ID:0A1Q9tTVo
ママン!ママン!
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/20(日) 02:07:03.74 ID:6aLlLRRAO
>>1おつ
853 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:01:27.39 ID:DLX/6ELCo
ギュバアアァァァァッ!!

魔道士「うあぁ……っ!」

西方魔道長「なっ、なんだいこれは……」

マーマン「魔力が吸い上げられてんぞおぉ!!」

キュイイィィィィ…ドシュウウゥゥゥゥ

魔獣「ヴオオォォォォ――――」

パアアァァァァ……

天才「……はぁーっ」

隊長「く……っ、はぁ……はぁ……っ」

ザシャッ

隊長「心臓を鷲掴みにされたような感覚だな」

天才「何とか持ったな。しかし、意外だったな」

魔道士「……?」

天才「てっきりお前が枯渇するかと思ったが、よく粘ったじゃねぇか」

隊長「……いや、俺だってそうだと思ってましたよ」
854 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:01:57.92 ID:DLX/6ELCo
ヘタッ

西方魔道長「まさか、アタシが枯渇するとはねぇ」

魔道士「西方魔道長さんっ、大丈夫ですか!?」

西方魔道長「大丈夫大丈夫。ちょっと腰にきちまっただけさ」

天才「オメーもよくギリギリで魔力合わせられたな」

隊長「思ったより魔力が放出できてな。ここだと土行の相性がいいのかもしれないな」

マーマン「倒したんだよな……?」

天才「ああ。テメーもあんだけ魔力使った中で、よく頑張ったな」

マーマン「へへっ。俺っちの魔力をナメるんじゃねぇっての!」

タッタッタッタッタ

戦士「ど、どうなった!?」

盗賊「やったんんだ……よな?」

天才「おう。デカブツはブッ倒した。前哨戦はこっちの勝利だ」

王子「やった……っ、やったよ!!」

召喚士「うんっ! やったんだ……っ」
855 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:02:24.49 ID:DLX/6ELCo


ザッザッザッザッザ

神官「お疲れ様でした。やりましたね」

天才「おーう。何とかだけどな」

男隊員「文字通り、総力戦だったけどな」

女隊員「本当ッスね。もうクタクタで早く休みたいッスよ……」

神官「脅威は取り除かれました。我らも本陣に帰還致しましょう」

親衛隊「砦も無事で、良かったですね王子」

王子「おうよ! ヒヤヒヤしたけどなっ、あははっ!」

神官「それでは、参りましょうか」

召喚士「魔道士さん、大丈夫でしたか?」

魔道士「ええっ。私はなんともありませんよ、えへへっ!」

天才「……お前、魔法陣五行ぶっ放して、まだ余力あんのか?」

魔道士「えっと……そんな余裕ってわけではないですけれど……」

天才「……ふぅん」
856 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:02:51.78 ID:DLX/6ELCo


西国兵「資材はいい。必要な荷物だけ馬とラクダに積めっ!」

ザッザッザ

戦士「さぁいよいよ、魔王様への道が開かれたぜ」

格闘家「ええ」

サモナー「あの奥に、魔王イブリースが待っているんだ」

巨大な山、いや……魔獣を葬った事により、西の果てにはぽっかりと道が出来上がっていた。

魔道士「やっと……ですね」

盗賊「ああ。満身創痍だが……やるしかあるまい」

召喚士「……」

ザッザッザ

天才「討伐予定日まであお8日、いやもうじき7日になるか」

隊長「1週間あれば、ある程度は回復すんだろ」

戦士「まぁな。てか、してもしなくてもやんなきゃいけない事に変わりはねーだろ?」

隊長「そりゃそうだな」
857 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:03:20.64 ID:DLX/6ELCo
〜満月まであと7日。西の砦〜

ドドッドドッドドォ…

王子「着いたぁーっ!!」

神官「皆様、お疲れ様でした。食事、入浴の手配をすぐに致しますので」

魔道士「久々の休憩って感じですねっ」

召喚士「本当ですね。ここのところ、ずっと緊迫した雰囲気でしたからね」

サモナー「召喚士君の力は本当に大きかったと思うよ。お疲れ様」

召喚士「いえいえ、みんなで得た勝ちですよ。誰がなんていう事はありませんって」

男隊員「謙遜すんなって……ヒャハハ!」

西方参謀「そうそう。考えてみろって、お前さん達が居なかったデカい戦いがあったかい?」

召喚士「……」

隊長「こっちとしても休ませてやりたいのは山々なんだが、頼らざるを得ないんだよ」

召喚士「構いませんよ。俺らも望んでいる事ですし、出来る限りの力にはなりたいですから」

戦士「そうそう。あとちょっとなんだ。それまでは突っ走ろうぜ、みんなでな!」

魔道士「おーっ!」
858 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:03:49.62 ID:DLX/6ELCo


カポーン

魔道士「ひっさびっさの〜っ、おっふっろー!!」

女隊員「はぁ〜っ。暖かいッスねぇ〜」

盗賊「き……傷に沁みるっ」

西方副司令「こうしてゆっくり入浴出来るなんて、ついさっきまでの事を考えたら奇跡みたい」

魔道士「本当ですよね……」

女隊員「休める時にしっかり休んで、次の戦いに備えるッスよ!」

盗賊「……だな」

西方魔道長「あー極楽極楽。生の実感を味わえるねぇ」

魔道士「本当ですねぇ〜」

女隊員「……いい筋肉してるっスねぇ」

盗賊「へっ?!」

女隊員「さ、触ってもいいッスか!?」

盗賊「……駄目っす」
859 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:05:21.71 ID:DLX/6ELCo
〜満月まであと6日。西の砦〜

召喚士「おはよう」

戦士「おう、おはようさん」

召喚士「調子はどう?」

戦士「いやぁ、身体が重い重い。さすがに昨日の今日だからなぁ」

召喚士「そうだよね。俺も筋肉痛だし魔力は戻らないしで、身体が重いよ……」

テクテクテク

青年兵「おはようございます……」

召喚士「青年兵くん、おはよう」

戦士「顔色悪いけど大丈夫か?」

青年兵「疲労のあまり逆になかなか眠れなくて……」

召喚士「やっぱりみんなそうだよね……」

戦士「みたいだな」

チラッ

西方司令「ぎゃああぁぁ!! 筋肉痛で死ぬううぅぅぅぅ!!」
860 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:06:14.54 ID:DLX/6ELCo
〜満月まであと5日。西の砦〜

男隊員「隊長、身体の調子は?」

隊長「悪くないな。むしろ、かなり調子いいぞ」

男隊員「……そか。ならいいけどよ、ヒャハハッ」

隊長「あまり疲労も感じないし、何より魔力が増幅してるからな」

男隊員「……」

隊長「さて、巡回交代の時間だな。行ってくる」

テクテクテク…

女隊員「あ、いたいた。司令が呼んでたッスよ」

男隊員「ん、ああ。なぁ……隊長、ちょっと変わったか?」

女隊員「えっ? そうッスか?」

男隊員「何となくな。まぁあれか、昂る気持ちも分かるけどな。ヒャハハ!」

女隊員「うーん……全然分からないッス」

男隊員「あのなぁ、まぁいいや。司令が呼んでんだっけか?」

女隊員「あ、そうッスよ! 早く行かないと怒られちゃうッスよ!」
861 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:06:41.33 ID:DLX/6ELCo
〜満月まであと4日。西の砦〜

天才「道は出来た。出来たが、突破するには……」

サモナー「サンドワームで無駄な労力は使いたくないところですね」

天才「そこはあれだっけか? 西国が船を用意してくれんだっけか?」

神官「ええ。砂上の船を用意致します」

天才「デカブツん時も温存したしな。準備はバッチリだろ」

西方副司令「何のお話ですか?」

天才「とっておきだよ。楽しみにしてな。ハーッハッハッハ!」

西方参謀「あの物凄い突風はどうするんだい? ヒック」

天才「んーまぁ、朱雀がやるって言ってっし、やって貰う以外にねーわな」

西方副司令「あとは……」

西方司令「ひ、ひいいぃぃ……っ! もう嫌だっ、死ぬううぅぅ!」

天才「構わねーよ。本番までほっとけ。力の温存にもなるからな」

西方参謀「あんまり五月蝿いようだったら、包丁かマチ針でも持たせとけ」

西方副司令「は、はぁ」
862 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:07:22.14 ID:DLX/6ELCo
〜満月まであと3日。西の砦〜」

盗賊「それじゃ、先に戻るぞ。おやすみ」

召喚士「おやすみなさい」

スタスタスタ

召喚士「あ……っ」

マーマン「おーう、召喚士ちゃん」

召喚士「マーマンさん。砦の中、入らないんですか?」

マーマン「ああ、俺っちはこっちの方が性に合ってるってか……」

バシャッ

マーマン「水ねぇとキツイしな。ハハッ!」

召喚士「そ、そうです……よねっ。はは……っ」

マーマン「……なぁ、召喚士ちゃん」

召喚士「はい?」

マーマン「……いーや、何でもねぇ。そんじゃおっやすみ〜」

召喚士「お、おやすみなさい」
863 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:08:16.04 ID:DLX/6ELCo
〜満月まであと2日。西の砦〜

王子「よーし。いいぞ、その調子!」

傭兵「踏み込みが弱い、それじゃ狙われるぞ!」

親衛隊「はぁっ!」

戦士「うりゃあ!!」

ガキィン!!…キィン!!

神官「鍛錬ですか。精が出ますね」

隊長「もう日も迫ってる。士気を上げるにも丁度いいさ」

神官「……そうかもしれませんね」

ズシャアアァァ

親衛隊「……流石、先生っ」

戦士「いやいや、あんたも相当のモンだって。それと先生はよしてくれって……」

王子「んじゃ次いくよ!」

戦士「次は王子か。よし、来な!」

隊長「ほんと、頼もしい限りじゃねぇか」
864 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/20(日) 03:09:12.75 ID:DLX/6ELCo
〜満月まであと1日。西の砦〜

天才「さぁ、いよいよ残すところあと1日になったわけだ」

神官「そうですね。いよいよです」

男隊員「準備は出来てるぜ。覚悟もな……ヒャハハ」

女隊員「今すぐだって、大丈夫なくらいッスよ!」

隊長「お前らもか?」

召喚士「もちろんです!」

戦士「ここまでくると、待ち遠しいくらいだよ」

盗賊「……だな」

魔道士「それくらい、気持ちも出来てますっ!」

天才「いい覚悟だ。安心しろ、お前らがいる限り、負けねぇよ」

格闘家「はい」

青年兵「それでは夕食後に作戦会議。その後、22時より本作戦を決行致します」

サモナー「これが最後の作戦会議だね」

天才「そうなるな。聞き逃しなく、全てを頭に叩き込んでおけよ」
865 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/20(日) 03:30:30.23 ID:Z0Pxxhoc0
今日はこれで終わりかな?
深夜更新超>>1乙!!
866 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(石川県) [sage]:2011/11/20(日) 03:46:44.60 ID:J467kGcjo
隊長にへんなフラグが立ってそうで怖いぜwwww
867 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/20(日) 04:21:10.55 ID:ZbVHvPfv0
やっと追いついた。。。。。。。
ドイツから見させてもらってます
>>1乙 
868 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 04:34:09.02 ID:lvPpMVcso
ボクは日本から!
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/20(日) 05:12:56.66 ID:eaRGn0xH0
いちおつ
隊長何かあったのかな?何も気付かなかったわ
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/20(日) 06:32:58.53 ID:c5Ksm/EDO
>>1
女隊員かわいいよ女隊員
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/20(日) 09:43:00.48 ID:f/upBdNAO
盗賊の駄目っすがかわいいょぉ
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/20(日) 11:05:52.71 ID:v+HqA9Za0
なんかマーマンが伊達さんに見えてきた……乙!
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/20(日) 17:32:38.07 ID:W/zZMwTAO
>>1お疲れ〜
いよいよですな
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/21(月) 00:57:25.73 ID:Z/zU7QCAO
隊長の変化はサンドウィッチたんが手助けしてくれた描写があったじゃないか
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 01:27:58.56 ID:RbPzWl0IO
マチ針持たせる描写はないのですか。
鋤とか持たせたら農業にでも目覚めるのかな。
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 07:06:44.88 ID:IDO9LYLDO
鋸とか金槌をもたらせたらいいお父さんになりそう
バットをもたせたらホームラン量産しそう
西方司令マジ万能
877 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 13:57:59.44 ID:Lj/WkK0no
刃物じゃないとだめなんじゃね?
878 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/21(月) 14:56:17.21 ID:W1l8+6Xvo
この世界には無いだろうけど十徳ナイフを持たせたらどうなるか気になる
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:03:06.31 ID:5YunFlEho


青年兵「それでは始めます。まずは作戦概要から」

天才「標的はもちろんの事、魔王イブリースただ1匹のみ」

隊長「しかしそこまでの道のりには、2つの弊害がある」

王子「1つは裁くのサンドワームだね」

西方参謀「もう1つはあの風かい……ヒック」

天才「まず、サンドワームについては、西国の連中が牽制してくれる」

戦士「どうやって突破するんだ?」

親衛隊「私達が囮となって、サンドワームを引きつけます」

格闘家「危険ではないですか?」

傭兵「今まで数百回と戦ってきたんだ。言わばスペシャリストだぜ?」

神官「そういう事です。お任せ下さい。必ずや無傷で魔王の元へとお届け致します」

天才「んで、風については朱雀、お前に任せていいんだよな?」

召喚士「……はい。俺にしか出来ないと思ってます」

天才「いい自信だ。迷いなくお前に任せられんぜ。ハーッハッハ!」
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:03:38.06 ID:5YunFlEho
隊長「だが慢心はするなよ。イブリースは全くの未知なる敵」

天才「そうそう。あくまで門をぶち壊しただけに過ぎん。内部なんざ何も分からねぇんだからな」

西方参謀「分かる範囲の情報をもう1度、改めて確認したいとこだわな……ヒック」

サモナー「以前、耳にした話では、あの奥に古代遺跡があると……」

魔道士「あっ、言ってました!」

男隊員「遺跡? 遺跡って事は魔王の城じゃねぇのか? かつては人間の領土だったってか?」

サモナー「そこまでは分かりません。でも、言われてみると確かに不自然ですね……」

戦士「お前らがあったっていう依頼者ってのは、何者なんだ?」

召喚士「さぁ。普通の人だと思うけど……」

隊長「ワーカーや学者などの類じゃないって事だよな?」

魔道士「え、ええ」

傭兵「何か臭うな」

天才「気にはなるが、今回の目的はそこじゃねぇ。魔王討伐に専念しろよ」

王子「もちろん」

西方副司令「それで、肝心の魔王については?」
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:04:01.07 ID:5YunFlEho
青年兵「知り得る情報では、イブリースは単独行動を好むという事」

戦士「つまり、厄介な眷属やら軍団長みてーのはいないって事でいいんだよな?」

青年兵「ええ。絶対、とは言い切れませんが、十中八九は」

盗賊「……」

青年兵「更に魔物辞典や古書を見る限り、数度の討伐履歴があります」

魔道士「例のサンドウィッチさん、とかですか?」

男隊員「あれは絵本の話だろ」

隊長「絵本だって古の文献がモチーフになってるなんて事もある。軽視出来んぞ」

魔道士「そうですよっ」

天才「ともかく、何度か倒した実績があるんだ。倒せないってわけじゃねぇ」

西方参謀「まぁそうだわな……ヒック」

天才「だが、よ−く考えろよ。倒しちゃいるが消滅には至ってねぇ」

隊長「単体相手にトドメは刺せていない。しかも数度に亘ってだ」

神官「それだけ手強い、と言う事ですね」

天才「単体での絶対なる強さに自信があるのさ。やりようによっちゃあ、最も厄介だな」
882 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:04:33.31 ID:5YunFlEho
青年兵「それだけに、突入後の作戦は注意を払う必要があります」

隊長「それで、肝心の策とやらは?」

青年兵「一点集中で突入後、離散します」

女隊員「それで、どうするッスか?」

青年兵「あとは各自にお任せいたします」

男隊員「はぁ!?」

天才「悪いがそっから先は細かな指示を出してる暇もほとんどねーと思う」

格闘家「……」

天才「テメーらは世界でも屈指の使い手だだ。自分で判断して、最善の方法で戦ってくれ」

戦士「……そいつはいい作戦だぜ全く」

王子「それじゃ我ら西国軍は中央からあたらせて貰おうかな」

神官「陛下は残念ながら、初戦には不参加とさせて頂きます」

王子「えっ!?」

神官「陛下はこれより、私と共に西国の城へと戻ります」

王子「ちょ……っ、何でだよ!? こんな大事な時に――」
883 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:05:13.87 ID:5YunFlEho
神官「大事な時だからです。陛下には最後の準備が必要です」

王子「準備……っ?」

神官「天才殿、宜しいですね?」

天才「ああ。事前に聞いてるし、それはきちんと理解してる」

王子「ふざけんなよっ! なんで前線から……っ。準備だったらここでいいじゃないか!」

神官「駄目なのです」

王子「……だったら何故、もっと早く言ってくれないんだよ……っ」

神官「……」

王子「これじゃ……役立たずみたいじゃんかよ……っ」

神官「陛下。断じてそのような事はありません」

王子「……くっ」

ガタッ…カツカツカツカツ…

傭兵「お、おい……っ」

神官「構いませんよ。私が行ってきます」

スクッ…カツカツカツ…
884 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:05:41.22 ID:5YunFlEho
魔道士「……王子」

召喚士「大丈夫です。王子はそんなに弱くありませんよ。神官さんもいますしね」

魔道士「……っ」

天才「さて、作戦開始は18時、満月の夜。大将は俺様が務める」

西方参謀「青年兵じゃないのか?」

天才「ああ。今回は俺様だ。何だよ、文句あんのか?」

西方参謀「別にありはしねぇが、最前線で戦うつもりなのに大将ってのはなぁ……ヒック」

天才「だから策は任せるって言っただろ」

戦士「そのためかよ……」

青年兵「補佐には私と西方副司令殿、参謀役に西方参謀殿にお願い致します」

西方副司令「了解っ」

西方参謀「へいへい……ヒック」

天才「まずは突入だが、砦からの出発は西国軍が主動」

親衛隊「了解であります!」

天才「んで、サンドワームを抑えている間に、お前が道を切り拓く」
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:06:08.59 ID:5YunFlEho
召喚士「はい」

天才「あとは1箇所からなだれ込んで、各自、戦闘開始だ」

青年兵「口頭では比較的簡単に聞こえますが、連携が非常に重要です」

隊長「だな。特遊は俺と固まれ。なるべく前線に張るぞ」

男隊員「ヒャハハ、了解!」

戦士「俺らも4人固まった方がいいかもな」

盗賊「……そうだな。言い方は悪いが、他に気を遣う暇は……なさそうだ」

西方参謀「確かにそれぞれ、慣れた面子と固まって戦うのが分かりやすくていいわな……ヒック」

天才「あと1日。だいぶ回復はしてると思うが、今日が最後の休養だ。しっかり休めよ!」

青年兵「以上、細部など気になるところは私か司令まで確認して下さい」

天才「んじゃ解散!」

西方副司令「ほら司令、戻ってゆっくりやりましょうよ」

西方司令「ちょっと待って。この部分縫い終わったら行く……よしっ、裾上げ完了〜」

戦士「王子と神官さん、結局戻って来なかったな」

召喚士「……うん」
886 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:07:06.26 ID:5YunFlEho
〜王子の部屋〜

コンコン…カチャッ

神官「失礼致します」

王子「……」

神官「陛下。陛下のお気持ちは分かりますが、どうかここは私の――」

王子「なぁ神官」

神官「……はい」

王子「お前とは、本当に長いよな。小さな頃から教育係として、ずっと僕の傍にいてくれた」

神官「そうですね。西国の筆頭召喚士となってからも、世話を焼かされました」

王子「……悪かったよ」

神官「ははっ。でも、私はそれが好きでしたよ。王子のお傍に居る事が大好きでした」

王子「僕もだよ神官。だから何となく分かるんだ。神官、西国に戻ったら何をするつもりだ?」

神官「……陛下が魔王イブリースを討てるよう、最後の教育を致します」

王子「僕は、何か嫌な予感がするんだ。お前の中にある気持ちが沈んでいるように思えるんだ」

神官「それは誤解ですよ陛下。私はずーっと、これからもずっと陛下のお傍から離れません」
887 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:08:03.40 ID:5YunFlEho
王子「……」

神官「ですからどうか、私と共に西国へ戻って頂けませんか?」

王子「……出来てるよ。ほら」

神官「……?」

王子「おいおい、まさか僕がヘソを曲げて部屋に戻ってきたなんて思ってないだろうな?」

神官「……陛下」

王子「さぁ荷物はまとめた。早く行って、早く戻ってこよう!」

神官「承知致しました。それでは早速、西国へ参りましょうか」

王子「おうっ!モタモタしてると、メインディッシュまでもってかれちまうからな! あははっ!」

神官「そうですね。彼らは本当に強い。そして素晴らしい。人間的にも」

王子「うん。国は違えど、大切な友人ばっかりだよ。あ、そうだ!」

神官「……?」

王子「イブリース倒したらさ、王宮で酒宴しようよ! パーッとさ!」

神官「そうですね。陛下もずっと、禁酒してますからね」

王子「終わったら飲んでいいんだよな!? よーし、また踊り子呼んで……盛り上がるぞ〜っ!」
888 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:09:04.68 ID:5YunFlEho
〜満月まであと0日。西の砦〜

この日は朝から晴天に恵まれ、気温は季節に似つかわしくない程に暖かく、

急な気象の変化は、これより起きる戦いのよちょうであるかのようである。

テクテクテク

召喚士「おはようございます」

マーマン「おはようさん。しっかし何だよこの暑さは……。戦う前に死んじまうぜ……っ」

召喚士「何か冷たい物、持ってきましょうか?」

マーマン「大丈夫。自給自足だよ。はははっ」

バシャッ…ザアアァァ

召喚士「便利ですねっ、あははは!」

マーマン「まーな。これが俺っちの、唯一の力だしなっ!」

召喚士「マーマンさんって、凄い魔力の持ち主ですよね」

マーマン「そうかい?」

召喚士「初めて共に戦った時から思ってました。凄い魔力だなって」

マーマン「初めて? あぁ、火山の時だっけか?」
889 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:09:33.75 ID:5YunFlEho
召喚士「そういえばあの時、タルウィが言ってましたね」

マーマン「……?」

召喚士「マーマンさんは姿がどうの、とか。上位の魔族が……って」

マーマン「……ったく、下らない事覚えてんなぁお前さんもよー」

召喚士「いえ、別に答えたくなければいいんです。でも、気になってしまって」

マーマン「……」

召喚士「……あ、えっと……それでは、また後で」

テクテクテクテク…

マーマン「ふーっ。おーい、召喚士ちゃん」

召喚士「……?」

マーマン「ちょっと場所変えようや」

召喚士「マーマン……さん?」

マーマン「この先、何があるか分からねぇし。いいよ、ちょっとした昔話だけどな」

召喚士「……っ!!」

マーマン「お前は大丈夫だろうけど、召喚士や召喚獣として間違った道は歩んで欲しくないしな」
890 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:10:15.76 ID:5YunFlEho
〜西国の城〜

王子「着いた〜っ。夜通し駆けた甲斐があったなぁ!」

西国兵「陛下と神官様、ご到着〜っ!」

女王「よくぞ無事、戻りました。さぁまずは入浴など済ませて、疲れを癒すと良いでしょう」

王子「そうさせて貰う!」

スタッ…テクテクテク…

神官「陛下、それでは後ほど……私の部屋へ」

王子「オッケー!」

タッタッタッタッタ…

女王「全く。落ち着きのない……」

神官「女王陛下。少し宜しいでしょうか?」

女王「私ですか?」

神官「姫様もご一緒に、来て頂けますか?」

王女「……?」

神官「大切なお話があります。では、参りましょう」
891 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:11:16.24 ID:5YunFlEho


王子「……んおっ!?」

踊り子「あっ、陛下! ご機嫌麗しく……っ!」

王子「おう、お前らも元気かぁ〜?」

踊り子「はいっ! どうです? 皆さん頑張ってますかっ!?」

王子「ああ。お前の友人である魔道士さんや盗賊さんも、頑張ってるよ!」

踊り子「本当〜っ!? あ……っ、本当ですか」

王子「あははっ、いいよ敬語じゃなくてもさ」

踊り子「……あ、あのっ陛下!」

王子「ん?」

踊り子「アタイ達もお役に立てる事……ありませんでしょうかっ!?」

王子「あるよ。戦いが終わったら、みんなで宴だ! そん時はもう……」

踊り子「それも頑張りますけど、戦いにお役立ち出来る事ってありませんか!?」

王子「戦いに? うぅん、それは無理だろ。剣とか魔法とか使えるの?」

踊り子「……いえ。踊りだけ……です」
892 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:11:53.06 ID:5YunFlEho
王子「それじゃ無理だよ。まぁ踊りで元気は貰えるけどさ〜」

踊り子「そう……ですかぁ」

王子「ま、大人しく待っててよ。ちゃちゃっと倒して、宴会するからさっ! ははははっ!」

テクテクテクテク

踊り子「……踊りかぁ」

ピコーン!!

踊り子「そうだっ、そうだよ!!」

タッタッタッタッタ

踊り子「踊るだけだって、元気貰えるって……それだけでもいいじゃんっ!」

タッタッタッタ…バンッ

踊り子「みんなっ、行くよ!」

ダンサー「へっ? 行くって……どこに?」

踊り子「戦場にだよっ!」

ダンサー「何を言ってるのよ……そんなの危ないじゃん。大体、何しに行くのよ?」

踊り子「アタイ達は戦えない。でも、踊りでみんなを元気に出来るじゃん! ねっ、そうしよ!」
893 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:13:09.92 ID:5YunFlEho
〜大広間〜

カサカサカサッ…ポトッ

女王「こ……れはっ、どういう事なのです……っ」

神官「文章の通りでございます」

王女「こんなもの、冗談に決まってますわよね? 大体、予言だなんて……」

神官「残念ですが、真実とみて宜しいでしょう」

女王「もしそうだとすれば神官、貴方は……っ」

神官「はい。本日を以ってこの神官、命を落とします」

王女「――――っ!!」

女王「王子……には?」

神官「これからお話致します。お2方には予め、お伝えしようと思いまして」

王女「そんな……そんな……っ」

女王「貴方抜きで、西国はこれからどうすれば……っ」

神官「西国は既に、大国と為し得ました。それにこれからは陛下がおります。心配は無用です」

女王「……うっ、うぅっ!!」
894 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:14:06.20 ID:5YunFlEho
〜西の砦、北側〜

ザッザッザッザ

マーマン「ふぃ〜っ。暑っちいなぁくそー!」

召喚士「……」

マーマン「つい1週間くらい前は、ここで魔物倒したんだよなぁ」

召喚士「ええ。魔方陣五行、凄かったですよ」

マーマン「なー。あんなんもう、2度とゴメンだよ……ハハハッ!」

召喚士「あははっ」

マーマン「なぁ、召喚士ちゃん」

召喚士「はい」

マーマン「俺っちな……召喚獣だったんだ」

召喚士「へぇ…………えっ!? えぇーっ!?」

バッ!!

召喚士「い、今……何て言いました!?」

マーマン「だから、俺っちは昔な、召喚獣だったんだよ」
895 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:15:35.72 ID:5YunFlEho
召喚士「――――っ!!」

マーマン「本当にむかーしむかしの話だよ。もう何百年とかそんな昔の話さ」

召喚士「召喚獣……って。で、でも……っ」

マーマン「ま、サラっと聞き流してくれ。他愛無い昔話だ」

召喚士「……っ」

マーマン「俺っちはかつて、玄武召喚獣だった。記憶は曖昧だが、それはハッキリ覚えてる」

召喚士「玄武……召喚獣……っ」

マーマン「召喚主は玄武使いの、まぁ一言でいや薄汚ねぇ悪人だった」

召喚士「……」

マーマン「大昔はさ、今みてーにきちんとした世界でもなくってさ、なんかこう……混沌としてた」

無言のまま食い入るように耳を傾ける召喚士。それを見てマーマンは言葉を続けた。

マーマン「その頃の召喚士ってのはさ、召喚出来るってだけでやたら偉くてさ」

召喚士「……」

マーマン「なんかもう、自分が王様だ! ってな振る舞いだったのよ。どいつもこいつもさ」

召喚士「なるほど……」
896 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:16:58.94 ID:5YunFlEho
マーマン「俺っちの主人だった奴もそうでさ、まぁヒデー男だったよ」

召喚士「……っ」

マーマン「口にもしたくねぇような、悪行三昧だった。とても人間とは思えねぇ仕打ちの数々さ」

召喚士「そうだったんですか……っ」

マーマン「ある時、俺っちは人間の少女を殺せと命じられた」

召喚士「――っ!!」

マーマン「確かあれは、どこかの領主が城を作るってんで、村を滅ぼせって依頼だったなぁ」

召喚士「そ、そんな事……」

マーマン「そうなんだよ。今じゃ考えられないだろ? ひどい話さ」

召喚士「あ、あの……それでマーマンさんは?」

マーマン「当然断ったさ。断った。だが、主は他の召喚獣や自らの手で人々を殺し始めた」

召喚士「……っ」

マーマン「耐えかねた俺っちは……殺しちまった。主をな」

召喚士「!?」

マーマン「その時……俺っちは召喚獣でなくなった。堕ちたのさ、魔族によ」
897 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:17:33.73 ID:5YunFlEho
召喚士「殺……した……っ」

マーマン「ああ。召喚主である人間を殺した。絶対にあっちゃならねぇし、ありえない行為さ」

召喚士「そ、んな事が……っ」

マーマン「んな事をしちまった俺っちは、召喚界にも帰る事は出来ねぇし、しかも専属」

召喚士「……」

マーマン「他の召喚士だって召喚出来ねぇ。どうする事も出来なくなった」

召喚士「マーマンさんが……召喚獣で……っ」

マーマン「そうなれば存在は魔族と一緒さ。あとは何百年と流浪の日々さ」

召喚士「でも、マーマンさんは魔物なんかじゃないですよ!」

マーマン「魔族だよ。どんな理由があれ、正しい道を踏み外したんだ」

召喚士「正しい事をしたじゃないですか! なのにどうして……」

マーマン「法師様にさ、教えて貰った事がある」

召喚士「……?」

マーマン「六道っつってさ、この世には6つの世界があるんだってよ」

召喚士「六道……」
898 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/21(月) 18:25:59.58 ID:5YunFlEho
マーマン「その中でさ、1番てっぺんにあるのが天道って言うんだって」

召喚士「……」

マーマン「そこはもう、極楽な世界らしくてさ、誰もが羨むような、そんな場所らしいぜ」

召喚士「天道……ですか」

マーマン「んでな、とんでもなくいい所なんだけど、ちょっとでも悪い事すると地獄に落ちるんだってさ」

召喚士「……っ」

マーマン「天道ってのは召喚界なのかもしれないな。だから俺っちは地獄に落ちたのさ」

召喚士「そんな事は……」

マーマン「考えてみ。人間だって魔族化するし、召喚獣にもなる」

召喚士「……」

マーマン「魔族だって、人間みてーな存在になれる。そうだろ?」

召喚士「……確かに……そうです」

マーマン「だから召喚獣だって、魔族になってもおかしくねぇんだ。きっとそういう事なんだよ」

召喚士「皆、同じ生き物って事……ですか」

マーマン「そういうの、輪廻っていうらしいぜ。生物は六道を輪廻するんだってさ」
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/21(月) 18:31:12.67 ID:5YunFlEho
中途半端ですがちょっと仕事がまずいので…
今日もご支援ありがとうでした!それでは!ノシ

>>867
ドイツ!?ダンケシェーン!!
日本の皆様も、いつもいつもありがとう!!

西方司令はオマケで使えそうなので採用させて頂きまっす!
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(石川県) [sage]:2011/11/21(月) 18:38:45.29 ID:HlY6pmbyo
>>乙
>>887あたりで、泣いてしまった・・・
トシをとると涙腺がゆるくなって困るな
901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 18:42:30.80 ID:dJqniBADO
マーマンたん…
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(石川県) [sage]:2011/11/21(月) 18:50:53.45 ID:HlY6pmbyo
>>901
マーマンじゃねーよwwwww
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) :2011/11/21(月) 18:53:53.66 ID:95uztEYHo
マーマンは召喚獣で、専属だったけど、召喚主はもう死んでるってことは…
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/21(月) 18:54:40.17 ID:qzpZ85xAO
ママヌーン?
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/21(月) 21:11:40.98 ID:u+GCRvzAO
>>1

今日は寒いな
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 21:11:56.18 ID:9MTRL8gmo
マーマンの存在するための魔翌力はどうなってるんだろう?
自分の魔翌力を少しずつすり減らしてるのか、龍脈うまーしてるのか・・・
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/21(月) 21:44:46.59 ID:CNtJLRTv0
ママーンさんにそんな過去が。。。。。
>>1
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 00:32:24.35 ID:7i3/k7WHo
いちおつ
マーマンさん、眷属とタメ張れるくらいの召喚獣って実はバハムートクラス?
カッパは仮の姿なの?変身するの?
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/22(火) 02:30:16.60 ID:rFtU8pBAO
マーマンってカッパより魚に近い風貌だな
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/22(火) 04:46:05.00 ID:mFSH1x060
だめだ 西方司令笑っちゃうwww
いちおつ
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 06:29:20.77 ID:JICYErCDO
もうマーマンと言うよりグラコスだな
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 09:57:48.98 ID:jlcUwl7zo
もうマーマンと言うよりカッパだな
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/22(火) 10:14:39.21 ID:/Pyh7JuO0
androidで読んでるんだけどどうも読みづらい。なんかいいアプリないかな。
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長崎県) [sage]:2011/11/22(火) 10:16:22.93 ID:iMZCyboNo
2chMateじゃダメなの?
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 10:21:01.50 ID:O7CNHW1Po
2chmateで読んでるけど読みやすいぜ
個人差あるだろうけどさ
916 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/22(火) 10:39:02.49 ID:/Pyh7JuOo
外部板読めるアプリ知らなかったんだ。最高に読みやすくなったwありがとう!
917 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 12:26:40.20 ID:FtkDo7nIO
>>1乙です
西方司令、面白すぎwww
と言うことで俺も
バトン、指揮棒、トライアングル
如意棒持つとどうなるんだろう?
918 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:13:46.30 ID:Hp4LxFrKo
〜西国の城、神官の部屋〜

王子「お待たせー。神官も先に風呂入ってくればいいのに?」

神官「最後の入浴ですから、後でゆっくりと入らせて下さい」

王子「最後?」

神官「では陛下、お座り下さいませ」

王子「な、何だよ急に改まってさ……」

ガタッ…スッ

王子「それで、教育って何をするんだ?」

神官「その前にまず、お話せねばならぬ事がございます」

王子「話……?」

神官「陛下……いえ、王子と呼ばせて下さい。これを読んで頂けますか?」

王子「……何これ? ずいぶんと汚らしい紙だなぁ」

神官「2ヶ月ほど前、本国の総司令殿より頂いた手紙です」

王子「2ヶ月前? 何で今更……ってか、これが何?」

神官「……私は今日、死にます」
919 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:14:13.15 ID:Hp4LxFrKo
王子「……」

神官「その手紙を読めば、どういう意味かは分かるはずです」

王子「……ぶっ、あーっはっはっはっは!!」

神官「……」

王子「今日死ぬって、あと何時間の話だよ! からかうのはよせっ」

神官「本国の予言については、ご存知ですよね?」

王子「ああ。それに基づいて作戦やら立ててるって話だろ?」

神官「中には、個人の生死まで判明する場合があるそうです」

王子「…………」

ガバッ!!…ガサガサッ

王子「お……前っ、まさか……」

神官「予言にて出たそうです。私の死が」

王子「――――っ!!」

神官「此度の戦いで、私の命が終わる、という事です」

王子「嘘だっ!!」
920 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:14:49.49 ID:Hp4LxFrKo
神官「王子……」

ワナワナワナッ

王子「神官が死ぬだと!? ふざけるなっ! 冗談でも言ってはならぬ事だぞっ!!」

神官「冗談でそんな予言が言えると思いますか?」

王子「じゃあ何なんだよこれはっ!! そんなわけあってたまるかっ!!」

グシャッ!!…バンッ!!

王子「神官が……しっ、死ぬ……だなんて!!」

神官「王子、しかし私とて、ただ犬死するつもりは毛頭ありません」

王子「……助かる方法があるのかっ!?」

神官「あります」

王子「な、何だよ……心配させるな――」

神官「人間を捨てる事です」

王子「……!?」

神官「人でなくなれば、死は免れると言う事です」

ガシッ!!…グググッ
921 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:15:26.06 ID:Hp4LxFrKo
王子「……魔物にでも……なるつもりかぁ!?」

神官「……」

王子「お前っ、自分で何言ってるか分かってんのかよ!!」

神官「無論、分かっております」

王子「だったら――」

神官「しかし勘違いはなさらないで下さい」

王子「どういう意味だよ」

神官「私がなるのは、召喚獣です」

王子「何……?」

神官「ついに完成したのです。伝説の召喚獣、アヌビスが」

王子「……なっ!?」

神官「私は命を賭して、召喚獣アヌビスとして、西国筆頭召喚士の役を終えます」

王子「……誰がアヌビスをっ、遣うっていうんだよ!? お前がこの国の――」

神官「それは王子、貴方です。貴方がアヌビスと契約するのです」

王子「――っ!!」
922 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:15:54.04 ID:Hp4LxFrKo
神官「貴方が、召喚獣アヌビスとなったこの私と契約し、召喚するのです」

王子「出来るかよそんな事!!」

神官「出来ます」

王子「出来ないっ! 召喚術なんて使った事もない! 魔法だって得意じゃない!」

神官「それでも王子、貴方なら出来ます」

王子「何でだよ!! 僕が出来るわけなんてないっ!!」

神官「王子が、西国王家の人間だからです」

王子「……何?」

神官「召喚獣アヌビスの話は、私が散々申したと思います。覚えておいでですか?」

王子「……お前の……夢だろ」

神官「そうです。私の夢、私の人生そのもの。何年も何年も研究し続けて参りました」

王子「……知ってる」

神官「アヌビスは元来、かつての西国王が用いた召喚獣ですよね?」

王子「だからって、僕が出来るとは限らない」

神官「そうかもしれません。ですが、私はきっと出来ると信じています」
923 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:16:34.57 ID:Hp4LxFrKo
王子「神官が1番よく分かってるだろ! 僕の才能をさ!」

神官「ええ、よーく存じ上げていますよ。だからこそ言えるのです。王子、貴方なら出来ます」

王子「……っ」

神官「アヌビスは古より王の為の召喚獣でした。何故だと思いますか?」

王子「……」

神官「それは、アヌビスの召喚には生贄が必要だからです」

王子「……!!」

神官「アヌビスをこの世界に呼び出す為には、人間の命が代償となるのです」

王子「そんなの……っ」

神官「代償となる者の魔力が高ければ高い程、アヌビスもまた強くなる」

王子「お前……ま、まさか……っ!!」

神官「そして私は既に1ヶ月前、アヌビスへ代償を捧げました」

王子「――――っ!!」

神官「私はこうして存在しておりますが、既に人間として、器のみの存在なのです」

王子「そ、そんな……」
924 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:17:16.07 ID:Hp4LxFrKo
神官「私1人の魔力など、たかがしれているかもしれませんが……」

王子「どうしてっ!!」

神官「……」

王子「どうして……言ってくれなかったんだよぉ!!」

ググググッ

王子「どう……して……っ」

神官「……言えませんでした」

王子「……っ」

神官「どうしても王子には、言えませんでした。申し訳ありません」

王子「バカヤロウ……」

ポタッ…ポタポタポタッ

神官「王は決して泣いてはなりません。人前では決して」

王子「お前はもう、人じゃないんだろ……。じゃあいいじゃんかよ……」

神官「……ご尤もですね」

王子「……バカ……ヤロウ」
925 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:17:59.71 ID:Hp4LxFrKo
〜西の砦、北側〜

マーマン「とりあえず分かってくれたか? 俺っちのちっぽけな存在ってやつ」

召喚士「……」

マーマン「ま、別に面白いオチもない、そんな昔話さ」

召喚士「俺は、マーマンさんのやった事……間違ってなかったと思います」

マーマン「……ハハッ、ありがとよ。そう言って貰えると救われるよ」

召喚士「本当に心から……」

マーマン「分かってるって。でもな、それは召喚士ちゃんの観点から見たアンサーなのさ」

召喚士「……」

マーマン「召喚獣の連中からすれば、俺っちは間違いを犯した召喚獣の恥さらし」

召喚士「……」

マーマン「何が正義で何が悪なのかなんて、簡単にひっくり返っちまうモンなのさ」

召喚士「でも、そんな事を言ってしまったら……」

マーマン「そう。今やってる事すら、何が正しくて何が間違ってるのかなんて分からなくなっちまう」

召喚士「……っ」
926 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:18:31.79 ID:Hp4LxFrKo
マーマン「だからな、自分の信じた道を、ただ真っ直ぐ進んでくれ」

召喚士「自分の信じた……道……」

マーマン「誰かを救う為に、誰かを傷つける事だってある。人間を救う為に、魔物を傷つけてる」

召喚士「……」

マーマン「でもな、それで大勢の人間が、大勢の魔物が救われる。そう信じてるんだろ?」

召喚士「もちろんです」

マーマン「だったら自分を信じてやんな。仲間をしんじてやんな……ってな」

召喚士「……マーマンさん」

マーマン「ガラにもなく、説教臭くなっちまったなぁ。すまんすまん」

召喚士「……い、いえっ」

マーマン「召喚士ちゃんは大丈夫だよ。お前さんは誰に対しても優しすぎる程だ」

召喚士「……」

マーマン「召喚士ちゃんみたいなのが主人だったら、俺っちも幸せだったんだろうなぁ。ハハハッ!」

召喚士「マーマンさん……っ」

マーマン「んじゃ戻ろうぜ、砦にさ。最後の準備ってやつだろ?」
927 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:19:08.28 ID:Hp4LxFrKo


ザッザッザッザ

召喚士「あ……っ」

マーマン「……わりっ、先に行っててくんねーか?」

召喚士「……はい」

ザッザッザッザ

召喚士「失礼……します」

マーメイド「ごめんね」

ザッザッザ…

マーマン「まだ何か用かい?」

マーメイド「話したのね、召喚士くんに全てを」

マーマン「全てったって、そんなに大した話じゃねぇって」

マーメイド「大した話じゃないのに、ずっと抱え込んでさ……」

マーマン「……うっせぇ」

マーメイド「でも、これですっきりしたんじゃない?」
928 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:19:46.23 ID:Hp4LxFrKo
マーマン「ああ、そうかもしんねーなぁ」

マーメイド「貴方はこれからもずっと、生き続けなくてはいけないの」

マーマン「……」

マーメイド「召喚獣、人間、魔物。生き物全ての善悪を見てきた貴方はこれからもずっと……」

マーマン「指標や講釈垂れるつもりはないさ。ただ、流れに身を任せて生きてくだけだよ」

マーメイド「それでもいいと思うの。貴方の想いはきっと、自然と伝わっていくから」

マーマン「……そう願いたいもんだね。ハハッ」

ザッザッザ

マーマン「お前もいい主人に出会えたみたいだな」

マーメイド「……うん。とても素敵な人。貴方に負けない位にね」

マーマン「彼の選択は間違ってなかったと思うよ。俺っちはな」

マーメイド「ええ、私もそう思うわ」

マーマン「私利私欲の為に、輪廻の歯車を狂わしちゃいけねぇんだ」

マーメイド「……」

マーマン「そんじゃ、またな」
929 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:21:04.13 ID:Hp4LxFrKo
〜西国の城、神官の部屋〜

ゴシゴシ

王子「……落ち着いた」

神官「それではまた夜、満月がこの天窓に輝く時になったら……」

王子「……嫌だと言ったら?」

神官「先程も申しましたが、私は既にアヌビスに命を委ねました。後戻りは出来ません」

王子「……」

神官「もし王子が拒否するならば、召喚士殿にお願いするしかありません」

王子「……やるよ」

神官「ありがとうございます」

王子「夜になったらまた……来るから」

神官「お待ち致しております」

王子「ああ」

クルッ…スタスタスタスタ…

王子「…………っ」
930 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:21:40.39 ID:Hp4LxFrKo


夜になると、日中までの気温とは打って変わり、冷たい風が北と西より吹き付ける事となった。

西方副司令「準備は全て、整いました」

青年兵「それではこれより全軍、出陣致します」

西方司令「おうっ!! さっさとしやがれやこのタコ!!」

青年兵「我らの最終目標は、魔王イブリースの討伐。それに揺るぎはありません」

隊長「そりゃあそうだ」

青年兵「ですが、イブリースを倒すには西国陛下の力が絶対に必要。そうですよね司令?」

天才「ああ。だからだ、俺様達のすべき事は、王子到着までにイブリースを弱体化させる事」

格闘家「……」

天才「どんな手段でもいい。とにかく攻撃を加えてイブちゃんの力を削げ」

戦士「シンプルでいい作戦じゃねぇか」

男隊員「シンプルすぎて逆に難しいけどなぁ……ヒャハハ」

天才「さぁ行くぜ。無謀と勇敢を履き違えるなよ、死んだらそれまで。生きて帰るぞ!」

一同「おぉーっ!!」
931 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:22:14.65 ID:Hp4LxFrKo


進軍開始は22時を過ぎた頃、西の砦より一斉に出発した。

天才「さぁ、見せて貰うぜ……西国の船ってのをよ!」

親衛隊「はっ。西国召喚隊、前へ!」

ザザッ

女隊員「召喚隊……ッスか?」

召喚隊「一同っ、召喚開始!!」

1人の士官らしき男の号令により、西国召喚隊が一斉に召喚を開始する。

召喚隊「我に力を貸したまえっ! スフィンクス!」

シュイイィィィン…ドドドドドド…

サモナー「こ、これは……っ!」

魔道士「凄いっ! スフィンクスが沢山……っ」

召喚隊「さぁ皆様、スフィンクスの背にお乗り下さいませっ!」

盗賊「そうか、スフィンクスが船代わりで……砂漠を駆け抜けるわけだな」

戦士「これが船って事か! だったら召喚士、俺達の船も……」
932 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:23:01.95 ID:Hp4LxFrKo
召喚士「うん、。そうだね! 行けっ、スフィンクス!」

シュイイィィィン

スフィンクス「じゃじゃ――あれ!? わぁ、仲間がいっぱいいる〜っ!」

召喚士「スフィンクス、俺達も一緒に行くんだ」

スフィンクス「やったー!! 遠足だ、遠足ーっ!!」

魔道士「失礼しますね、スフィンクスさん! えへへ!」

ザザッ

西方参謀「全員乗ったな? そんじゃ、出発してくれ」

召喚隊「……西国召喚隊っ、前進!!」

グアッ!!…ドッズウウゥゥン

天才「ハーッハッハッハ! こいつぁ絶景! 粋な船じゃねぇか!」

サモナー「皆々がスフィンクスを……西国の召喚隊は凄いな……っ」

召喚隊「この日の為に、こんな時の為に、神官様の教えを守り日々、努力を重ねてきましたから」

隊長「一朝一夕で身に付くもんじゃないわな。大したもんだよ」

砂上の船スフィンクスが進路を西へ取り、西の砦を出発した。
933 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:23:56.60 ID:Hp4LxFrKo
〜西国の城、神官の部屋〜

神官「……」

カチャッ

王子「……」

神官「お待ちしておりましたよ王子。それでは、始めましょうか」

王子「……ああ」

神官「それではそちらにある魔方陣の上へ寝て頂けますか?」

王子「……っ」

テクテクテク

神官「……どうされました?」

王子「ここで、いいんだな?」

神官「はい」

スッ

神官「リラックスして、目を瞑って下さい。ゆっくりと深呼吸をして……そうです」

王子「…………」
934 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:25:00.25 ID:Hp4LxFrKo
〜王宮〜

タッタッタッタッタ

西国兵「見当たりません!」

女王「……一体、どこへ行かれたのかしら……っ」

カツカツカツ…

王女「どうなさったのですか?」

女王「王女……っ」

西国兵「じ、実は……踊り子達が行方知れずでして」

王女「えっ?」

西国兵「城内や街の中も捜索しているのですが、一向に見当たらず……」

王子「何か、あったのでしょうか……?」

女王「困りましたわね……」

西国兵「陛下と神官様は取りこんでいらっしゃるし、くそ……どうしたら……」

王女「全員ですから、きっと大事ではないと思いますけれど……心配ですわね」

女王「とにかく、このまま捜査を続けて下さいませ」
935 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:25:58.04 ID:Hp4LxFrKo


ドドッドドッドドッ…

踊り子「もっともっと! 飛ばして頂戴っ!」

男「馬車にも定員ってのがあるんだ! 勘弁してくれっ、壊れちまうよ!」

踊り子「もうすぐ戦いが始まっちゃうの! それじゃ間に合わないんだからっ!」

男「た、戦い!? おいおい聞いてねぇぞ! 勘弁してくれよ……っ」

踊り子「いける所まででいいわよっ。とにかく急いでっ!」

ダンサー「陛下や皆さんに言わなくて良かったのかしら?」

踊り子「言ったら危ないって止められちゃうもの。仕方ないわよ」

ダンサー「心配してないかしら……」

踊り子「すぐに戻るんだし大丈夫! とにかくっ、アタイ達の踊りでみんなを元気にするのよ!」

ダンサー「そ、そうね。恩返ししなくっちゃね!」

踊り子「みんなだって言ってくれた。アタイ達の踊りには力があるのよっ!」

ダンサー「うんっ、頑張ろう!」

踊り子「さぁーっ、そうと決まれば早くしてよね〜っ!」
936 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:26:31.58 ID:Hp4LxFrKo
〜西国の城、神官の部屋〜

神官「……さて」

カツカツカツ

神官はゆっくりと部屋を見渡すと、感慨深い表情で大きく息を吐いた。

天窓から差し込む月明かりは煌々と輝き、神官と王子の頬を照らしている。

自身が長らく世話になった部屋に別れを告げるようじっと目を閉じ、しばし無言で立ち止まる。

既に不必要な物は片付けられ、机上には必要な書類と、今後に向けた各自に対する

遺書が綺麗に整頓されて並んでいた。如何にも神官らしい最後である。

やがて目を開けると、神官は魔方陣の中央にて眠る王子の脇にしゃがみ込み、

その顔を覗き込むと、すやすやと眠る王子の頬をそっと撫でた。

神官「王子、ありがとうございました」

先代より教育係として託され、その全てを見てきた神官。王子との付き合いは兄弟も同然である。

喜怒哀楽を共にし、主従として揺るぎない絆で結ばれた2人の関係は今日終わりを告げる。

神官は笑った、最後まで決して、涙を見せる事はなかった。

そして覆いかぶさるように、神官はそのまま目を閉じると、魔方陣の中へと倒れこんだ。
937 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:27:11.12 ID:Hp4LxFrKo
……――

王子「……ん」

モゾッ…キョロキョロ

王子「こ……こは……?」

辺り一面に広がる草原。心地良い風。王子はその景色に慌てて飛び起きる。

王子「……!?」

先程まで居た神官の部屋とは全くの別世界。驚くのも当然の事である。

王子「な、何――」

神官「此処は白虎界。白虎召喚獣の住む世界ですよ」

王子「神官っ!!」

神官「おめでとうございます王子」

王子「どういう事?」

神官「此処へ来られたと言う事は、王子にはやはり白虎召喚士としての資質があると言う事です」

王子「そう……か」

神官「だから言ったでしょう? 私は信じておりましたよ」
938 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:27:47.28 ID:Hp4LxFrKo
王子「……あんまり、実感ないや」

神官「今まで会得しなかっただけで、内に秘めたる潜在能力はあったのです」

王子「そっか……」

神官「きんしゅまでして精神を研ぎ澄ませましたしね」

王子「禁酒はその為に……っ!」

神官「そういう事です。よく頑張りましたね」

王子「……それで、どうすればいい?」

神官「この先に、召喚獣アヌビスが居るはずです。アヌビスの元へ参りましょう」

王子「アヌビス……」

神官「さて、あまり時間は掛けていられません。急ぎましょう」

王子「うん。でも、場所は分かるの?」

神官「既に我が命は託しております。自ずと導かれる事でしょう」

王子「分かった、行こう。……神官、手を繋いでもいいか?」

神官「勿論です」

王子「……ありがとう」
939 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:28:17.14 ID:Hp4LxFrKo
〜西方、最西端〜

ドドドドドド…

女隊員「サンドワームが見えてきたッスよぉ!」

召喚隊「進めぇ!!」

隊長「足止めくう前に、強行突破しちまえ!」

サンドワーム「グオアアァァァ!!」

スフィンクス「邪魔邪魔〜っ!!」

バッゴオオォォォォン!!

魔道士「流石スフィンクスさんっ!」

スフィンクス「えっへん!」

西方参謀「5番艦が捕まったぞ!」

召喚隊「自力で突破します! 先に進んで下さいっ!」

傭兵「俺らがサポートに回る。行くぞっ!」

親衛隊「おうっ。それでは皆さんもご無事で!」

包囲されたスフィンクスを助ける為、西国軍が一斉に飛び降り、サンドワームへと向かった。
940 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:28:50.05 ID:Hp4LxFrKo
ドドドドドド…

西方司令「うらうらうらうらああぁぁ!! 進め進めぇ!! 突っ切れええぇぇ!!」

戦士「スフィンクスならばちょっとやそっとの風でも、ビクともしねーな!」

召喚士「うん! スフィンクスほどの巨体ならギリギリまで粘れると思うよ!」

スフィンクス「みんなーっ! 行っくよ〜!」

ザザッザザッザザッ

スフィンクス「何だあのガキは。落ち着きのない奴だな」

格闘家「……」

スフィンクス「同種族としての恥だな。あんな奴いたか?」

青年兵「やっぱり性格もそれぞれなんですね……」

天才「朱雀のはどいつもこいつも、ひねくれてやがるからな。ハーッハッハ!」

ゴウッ!!…ビュオオオオォォォォ!!

盗賊「……風が……強くなってきたな……っ」

西方参謀「ここいらが限界かぁ!?」

天才「おーし、それじゃあ出番だぞ、朱雀!!」
941 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:29:26.78 ID:Hp4LxFrKo
召喚士「はいっ」

ヒュッ…スタッ

召喚士「うっ」

ゴッゴオオオオォォォォ!!

スフィンクス「お兄ちゃんっ、僕の後ろに隠れてっ!」

召喚士「地上なのに凄いな……っ、油断すると飛ばされてしまいそうだ」

男隊員「んで、どうするつもりなんだ?」

天才「まー見てろって!」

召喚士「それじゃいきますっ!」

ザッ

召喚士「行けっ、クジャタ!!」

シュイイィィィィン

戦士「おぉっ!! そうかっ、クジャタなら気候を変えられる!!」

召喚士「そういう事! さぁクジャタ、この突風を切り拓くんだ!」

クジャタ「……オオォォォォ!!」
942 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:30:05.23 ID:Hp4LxFrKo
ゴワッ!!…ドッゴオオオオォォォォ!!

魔道士「か、風が……っ!!」

傭兵「真っ二つに割れた……!?」

召喚士によるクジャタの召喚。そしてその能力によって、とてつもない突風は2つに割れ、

その中央に無風の通り道が出来上がった。

男隊員「すっげ……ぇ」

青年兵「さぁ、このまま突入しますよ!」

西方副司令「全員、飛び降りてっ!!」

ザザッ…ドササッ

召喚士「奥まで行けば風の切れ目があるようです」

青年兵「そこまで一気に駆け抜けましょう」

西国兵「それでは我ら、ここでサンドワームを食い止めます!」

召喚隊「この先へは1匹たりとも入れません!」

天才「頼んだぜ。こっちも頑張るからよ」

西国兵「どうぞご無事で!」
943 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/22(火) 15:30:38.16 ID:Hp4LxFrKo
戦士「さーて、そんじゃ一気に行くぞ!」

盗賊「ああ」

魔道士「とにかく真っ直ぐ、駆け抜けましょう!」

召喚士「ええ。それでは……行きますよ!」

青年兵「全軍、突撃ーっ!!」

ザザッ…ザザザザッ

西方司令「西方軍はこっちだああぁぁ! 付いて来いやっぱ来るなこの足手纏い共がああぁぁ!」

隊長「特遊は正面きって行くぞ。しっかり付いて来いよ」

シュバッ!!

青年兵「さぁ司令、いよいよです。行きましょう」

天才「おうよ」

サモナー「ようやく、イブリースとの対峙ですね」

天才「王子が来るまで最長半日くらいはみとかねぇとな。長丁場だぞ、踏ん張れよ!」

青年兵「了解っ!」

魔獣が不在となった山間の谷。一同が魔王イブリースめがけ、一斉に突入した。
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/22(火) 15:36:27.16 ID:Hp4LxFrKo
今日はちょっと早いですがひとまずここまでにて
沢山のご支援、本当にありがとうです!

>>900
そんなお世辞言ったって、何も出ませんからねっ///

2chMate…あとで調べてみます!便乗!

気付いたら残りあと50…今回はどうしよう

それでは!ノシ
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) [sage]:2011/11/22(火) 15:55:25.20 ID:rCsUoNWAo
いちおつ
天国勢の様子とかもみたいな…
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/22(火) 18:22:34.65 ID:frsmkPrBo
>>1
>王子「お前はもう、人じゃないんだろ……。じゃあいいじゃんかよ……」
こういうのに弱いわ・・・

冷めてる西国のスフィンクスとの対比はワロタ
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 18:28:44.93 ID:mG/qtdJSO
1おつ!

魔王戦に参加していないランカーでもないワーカーは今何してるんだろう。
948 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 18:49:00.78 ID:cZFGTWiDO
>>1

まさかのスフィンクス乗り物にわろたw
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 18:53:06.07 ID:Gs2cpxeDO
ノーム「お前らは召喚獣を物扱いしとる」
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/22(火) 19:33:01.55 ID:W8oVfg7AO
>>1

神官のありがとうは効くな。電車のなかで目頭がジワジワきた


召還士の召還獣は色物揃いだな
インパクトはあるのに同族からあんなやついたか?とか言われてるし可哀想でもある
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 19:45:57.54 ID:nFSpNK5qo
>>1
神官さん・・・泣いた・・・俺もおっさんになって涙腺がガバガバでかなわんな!
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 22:21:11.27 ID:bq/7gl2IO
一乙

てっきりアヌビスは召喚士が獲得するものだと
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/22(火) 22:23:49.00 ID:8o5FRbtN0
神官・・・・・いままでありがとう!
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 01:37:44.64 ID:eWBgbEUKo
それぞれ性格が異なるってことは強さも変わってくるのかな?
完全に魔翌力依存?
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/23(水) 02:29:54.10 ID:tz1w+yJ4o
性格が違う=流派が違う=召喚主が知ってる能力が違う
ってぐらいでは?
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/23(水) 02:41:25.82 ID:D1bXKS2AO
朱雀自体が特殊能力系だし、これに出てくる朱雀召喚士は朱雀嬢以外みんなイカれてるから天才があんな台詞言ったんだろう
957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区) [sage]:2011/11/23(水) 17:43:28.44 ID:LlonNirzo
天才「朱雀(先生)の(召喚獣)はどいつもこいつも、ひねくれてやがるからな。ハーッハッハ!」
って事じゃないの?
958 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 17:54:28.78 ID:145FfFIyo
それ以外の意味があるのかよ
959 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 17:58:58.71 ID:ZBvUVtwSO
子供が死に、召喚界(天界?)へと転生。生前の性格や年齢が関係して「いっくよー!」みたいなショタ召喚獣へ

まで妄想して俺じゃ召喚獣になれない事を嘆き悲しんだとさ
960 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 22:02:43.03 ID:TCzZcpp6o
でも今回の件で、幻獣界に居たスフィンクスと、召還士についたスフィンクスのキャラが違ったことも説明出来るな
961 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:16:32.46 ID:FF/c0WE3o
〜白虎界〜

王子「もう何時間歩いたんだろ……」

神官「召喚獣の世界は不思議なもので、時間の概念が失われています」

王子「どういう事?」

神官「何日も経っているようで、実際は数分であったり、数秒程度が実は何日も経っていたり」

王子「時間が曖昧って事か」

神官「ですが、急ぐ意識を持つ事は大切です」

王子「そうなの?」

神官「何事に於いても、まずは心に誓う事です。思いはきっと力になるものです」

王子「そっか、そうだよな」

神官「おや、そうおこう申しているうちに、何か見えてきましたよ」

王子「何だあれ……? 宮殿みたいなのがある……」

2人の目の前に現れた真っ白な宮殿のような建物。一面には色とりどりの花が咲いている。

神官「どうやら目的の場所に到着したようですね」

王子「ここに……アヌビスがいるのか」
962 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:17:39.75 ID:FF/c0WE3o
ザッザッザ…コツコツコツ

神官「……」

王子「誰か、いる」

神官「あちらに居るのが、召喚獣アヌビスです」

王子「――っ!?」

犬か狼か、そのような頭部を持った色黒の肉体をした完全なる人型の召喚獣アヌビス。

そのアヌビスは宮殿の中央深部に座して、じっと外を見つめていた。

コツコツコツコツ…

神官「失礼致します。召喚獣、アヌビス殿と御見受け致しますが」

アヌビス「如何にも」

王子「やっぱり……っ」

アヌビス「其の方、先日この私と契約を結んだ者よな?」

神官「はい。その通りでございます」

アヌビス「ふむ。此度はあれか、契約条件を差し出しに来たか?」

神官「それもありますが、召喚主と是非、顔を合わせて頂きたく」
963 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:18:35.81 ID:FF/c0WE3o
アヌビス「召喚主。ほぅ、その少年がつまりはそうか」

神官「はい。人間界での我が主でございます」

アヌビス「どれ、近こう寄れ」

王子「……」

コツコツコツ…コツ

アヌビス「……ふぅむ」

王子「な、何……?」

神官「どうです? 大したものでしょう?」

アヌビス「……不思議な眼をしているな」

王子「……?」

アヌビス「寛大であり、勇敢でもあり……しかし臆病でもあり、不安でもある」

王子「あ、あの……っ」

アヌビス「幾多の感情を持ちながらも表に出す事はなく、その信念は真っ直ぐ1つ」

神官「歴代の西国王に勝るとも劣らぬ方でございましょう?」

アヌビス「そうか、この者も王家の人間であるか」
964 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:19:24.60 ID:FF/c0WE3o
ザッ

アヌビス「良かろう。契約を結ぶとしよう。其の方が今より、我が主である」

王子「――っ!!」

神官「おめでとうございます、王子」

王子「主……僕が……っ」

アヌビス「予め1つ注意しておこう」

王子「……?」

アヌビス「我が召喚に必要なるは、膨大な魔力と、代償となる命である」

王子「……」

アヌビス「これは1度限りのものではない。都度のものである」

王子「……えっ?」

アヌビス「聞こえなかったか? 今回、私が力を貸す代償は……この者である」

神官「……」

アヌビス「しかし我が力を再び使う事があるならば、新たな代償を用意せよ、と申したのだ」

王子「――!!」
965 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:22:13.36 ID:FF/c0WE3o
ダッ

王子「ふざけんなよっ! あんたの力を使う為には……誰かを犠牲にしろってのかよ!?」

アヌビス「そういう事になるな」

王子「……っ!」

アヌビス「悪いがこの私は、そこらの白虎召喚獣とは勝手が違うのだ」

神官「……」

アヌビス「私は冥界への案内人。どのような者をもってしても裁き、冥界へと葬る」

王子「だからって――」

アヌビス「それが例え、魔王であったとしてもだ」

王子「!?」

アヌビス「ああ、そう言えばかつての西国王には、肉親の全てを我に捧げた者もおったな」

神官「何と……っ」

アヌビス「だが勘違いするな。これは強制ではない。使いたくなくば使わずとも良いのだ」

王子「……っ」

アヌビス「まぁ尤も、この神官なる男は、既に私へその身を捧げておるがな」
966 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:23:02.14 ID:FF/c0WE3o
神官「王子、王子は揺るぎない意志を持っていらっしゃいます」

王子「……」

神官「召喚は今回のみで良いのです。そうでしょう?」

王子「……っ」

神官「その後は使わなければ良いのですよ。誰かを犠牲にしてまで使う必要はありません」

王子「そう……かもしれない。だけどさっ」

神官「王子ならば強い意志を持っております。揺らぐ事は決してないでしょう」

王子「……神官」

アヌビス「さて、そろそろ良いか? 神官、君の代償を貰い受けるとしよう」

神官「ええ、そうですね」

王子「神官っ、僕は……」

神官「王子、これで正真正銘……最後のお別れです」

王子「……くっ」

神官「お顔を、もっと近くでお顔を見せては頂けませんか?」

王子「……っ!!」
967 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:23:36.94 ID:FF/c0WE3o
ギュッ

王子「神官……っ、僕は……」

神官「王子、本当に強くなりましたね。私も心から喜ばしい限りです」

王子「……ひっ、ひっぐ……!」

神官「召喚の方法はご存知ですよね?」

王子「うっ、うぐ……っ。うっ」

神官「さぁ、皆が待っています。王子の帰りを待っております」

王子「神……官っ、僕は……情けない僕でごめんね……っ!」

神官「王子は立派に成し遂げました。亡き先代の……いえ、西国の意志を継いでね」

王子「うぐっ、うぅ……うああぁぁ!!」

ギュウウゥゥ

神官「これでさようならですが、私は常に王子のお傍に居りますからね」

王子「神官……あっ、ありがとう。本当に今まで……ありが……とっ」

神官「……さようなら……王子」

王子「さっ、よなら……っ! 神官……神官っ!」
968 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:24:10.52 ID:FF/c0WE3o
シュウウゥゥゥゥ

王子「神―――――」

アヌビス「戻る手間もあろう。下界へ強制的に戻しておいてやったぞ」

神官「痛み入ります」

アヌビス「さて、それでは其の方の命、貰い受けると致そうか」

神官「ご自由に」

アヌビス「其の方の持ちうる技術はあの者に全て受け継がれる。安心致せ」

神官「そうですか。それは有り難い」

アヌビス「其の方が得た召喚獣は無駄にはならぬ。きっと助けになるであろう」

神官「心残りではありました。しかし今回の方法以外、王子の覚醒は

アヌビス「ではこちらへ。我と1つとなり、主を護ってやるが良い」

神官「ええ。是非にでもそうさせて頂きます」

アヌビス「……では、頂くぞ」

神官「はい」

目を瞑りにっこりと微笑んだ神官の顔が、徐々に徐々に透き通り、やがて消えた。
969 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:24:42.63 ID:FF/c0WE3o
――……

王子「…………」

パチツ…ムクッ

そして王子が眼を開けると、そこは神官の部屋。魔法陣の中であった。

王子「……っ」

静寂な部屋の中に神官の姿はなく、ただ月明かりがきらきらと輝いていた。

王子「神官……僕は、いや……私はもう泣かぬ。それが王の務めであったな」

スクッ…カツカツカツ…

王子「……ふーっ」

カチャ…パタンッ

王子「誰かっ、誰か居らぬか!」

西国兵「は、ははっ!」

王子「急ぎ、身支度を整える。手伝え」

カツカツカツカツ

西国兵「へ、陛下……だよな……?」
970 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:25:34.46 ID:FF/c0WE3o
カツカツカツカツ

王子「武具を持てい。それに馬の用意もだ!」

衛兵「えっ? へ……陛下……!?」

王子「何をモタモタしておるかっ、一刻を争う事態だという事を忘れるな!」

衛兵「ししっ、失礼致しましたっ!」

カツカツカツ…コツ

女王「……王子っ、戻ったのですか!?」

王子「母上か。如何なさいました、慌てた顔をなさって」

女王「実は、踊り子らが見当たらぬのです」

王子「何ですと……?」

女王「揃いも揃って……街にも居らぬようですし、大事なければ良いのですがねぇ」

王子「――っ」

ダッ!!…タッタッタッタッ…

女王「おっ、王子!?」

王子「くそっ、嫌な予感がする……っ!」
971 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:26:07.69 ID:FF/c0WE3o
〜最西端、古代遺跡〜

戦士「もうじき風の切れ目だぞぉ!」

盗賊「一気に抜けるぞっ!」

ダダッ…ズザザザッ

魔道士「はぁ、はぁ、はぁっ」

召喚士「建物が見える……。あれが……」

ズザザァ

青年兵「風が……止んだ!?」

天才「竜巻の中心と同じだろ。要は、この先が中心部って事だ」

タタタッ…ザザッ

格闘家「あれが……遺跡」

女隊員「何だか、宮殿みたいな作りッスね……」

男隊員「あれ、魔物のモンなのか……?」

隊長「……行くぞ。先頭を切るのが特遊の務めだ」

クジャタの開いた道を抜け、討伐隊は古代遺跡へと足を踏み入れた。
972 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:26:57.47 ID:FF/c0WE3o
カツカツカツ…

そこは白い石柱に白い壁で作られた過去の建造物が広がる場所。

古い為か年数による劣化にて、ところどころ、建物は損壊し、崩れている。

しかしその風景はまさに人間の住まうような地であり、一同に不思議な光景をもたらしていた。

男隊員「なぁ、やっぱりこれって……魔物の住処には見えねぇんだが……」

女隊員「確かに、まるで街みたいッスねぇ」

格闘家「……」

隊長「ここに魔王イブリースが……」

特殊遊撃の4人が中央を進む中、南側からは西方軍がゆっくりと前進する。

西方司令「おらぁ、魔王出てこいやああぁぁ!!」

西方副司令「ち、ちょっとぉ……!」

西方魔道長「どうすんだい? 他の連中と合流するかい?」

西方参謀「どうせ戦闘が始まれば、嫌でも合流するさ……ヒック」

西方副司令「それもそうね……っ」

西方司令「おらおらおらあぁ!! ビビってやがんのかぁ!? あぁ!?」
973 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:27:50.03 ID:FF/c0WE3o
ザッザッザッザッザ

青年兵「……どうみます?」

サモナー「やはり、人間が作った物としか思えないですね」

天才「……」

青年兵「司令、これは……」

天才「魔王がこの地に来る、遥か前に存在した街ってか?」

サモナー「いつのものなのかなんて、見当も付かないですけれどね」

ピタッ

天才「……」

サモナー「どうしました?」

天才「ゆっくりだ。ゆっくりと戦闘態勢に入れ……っ」

青年兵「!?」

ズザッ

天才「お前らはここを動くな。動きが援護あったらしろ」

青年兵「司令……?」
974 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/11/23(水) 23:28:17.89 ID:FF/c0WE3o
シュバッ!!

サモナー「!?」

タタタッ…ズザァ

天才「……」

遺跡の中央に位置する小高い丘の上に立つ城跡のようなもの。

屋根も壁もほとんどが破損した中、石柱がまばらに立つ大きな部屋の跡地。

建物の階段跡のような部分に、首を垂れ下げ、腰掛けた影があった。

天才「……始めまして、で良かったか?」

――「……やっと来たか。待っていたぞ人間」

天才「待ってた? ハッ! 風まで起こしてビビってたくせに言うじゃねぇか」

――「それがお前の本心なら、この俺様には勝てねぇよ」

天才「ハーッハッハ! 強気じゃねぇか、魔王イブリースちゃんよ!」

イブリース「そういう貴様も威勢だけはいいみたいだな。どれ、仕合うとしようか」

天才「いいねぇ。テメーみてぇなシンプルな奴、俺様は好きだぜ!」

イブリース「俺様もだ。強い者だけが生きる。力こそが正義だ。さぁ、かかってくるがいい」
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/23(水) 23:43:37.49 ID:8KsqBwCAO
イブちん来たとこでおしまいなの?
それでおーわりぃ?
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/23(水) 23:51:50.56 ID:bgiZHQkB0
終わりだとしたら。。。。
>>1は焦らしプレイがお上手なようで
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/24(木) 00:51:09.39 ID:TzlaiZvAO
>>1
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 01:08:27.94 ID:Ht/az0U20
くそっ、面白いぞ
979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越) [sage]:2011/11/24(木) 01:37:19.21 ID:P+Lwr+2AO
>>1おつ

アヌビスに生け贄捧げまくれば速攻で魔王討伐が終わるな
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県) [sage]:2011/11/24(木) 02:09:40.61 ID:e4uzozXy0
アヌビスで倒してもそのうち生き返るんじゃねえの?
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都) :2011/11/24(木) 04:23:50.74 ID:NgBdvj/y0
いちおつ
いよいよ魔王か
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海) [sage]:2011/11/24(木) 08:19:12.20 ID:C0bDjT4AO
>>1

イヌビスもアブリースも図体デカいのかな?人並み?
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 09:32:33.23 ID:MgdvsvpDo
西国の魔王はイブリースで過去の王はアヌビスたんに沢山生贄ささげたけど
結局ファブリースいきてるし、召喚獣だけじゃ完全にはやれないってことだな
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸) [sage]:2011/11/24(木) 15:25:49.12 ID:O0LLuHmAO
それは邪推だろ
歴代の王がアヌビス使って魔王倒した描写はないぞ
それにホントに使ってたら、魔王についてもっと詳しい記述を残すだろ

まぁ>>1次第だけど
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋) [sage]:2011/11/24(木) 15:30:19.82 ID:GFmfkJKYo
なんか前に魔王は全部いっぺんに倒さなきゃいずれ復活するって描写なかった?
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 15:50:05.35 ID:1zrPc3EDO
イヌビス
アブリース
ファブリース
987 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長崎県) [sage]:2011/11/24(木) 15:55:18.15 ID:pR/B2FLLo
>>986
おもしろーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww吉本入りなよwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
988 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/24(木) 17:29:40.38 ID:XdfF1DMSo
残り少ないので本編は次スレからにて!
34スレ目もサービスサービス!よろしくです!ノシ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322122521/
989 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 17:40:51.72 ID:1zrPc3EDO
>>987
いや面白いとかじゃなくてその前に書いてあったから羅列しただけ

>>1
990 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/24(木) 17:58:44.74 ID:XdfF1DMSo
プリースト「お久し振りです」

クラーケン「ご無沙汰しております」

短髪「何でてめぇなんだよっ! どけ!」

クラーケン「何故っ!?」

弓使い♂「しかし、ここも人が減っちまったなぁ」

魔道士♂「減るっておかしくないですか!?」

短髪「酔っ払い共は居なくなってせいせいしてるけどな」

プリースト「またまたぁ〜。寂しいくせに〜」

短髪「あぁ!?」

雷忍「なに、そろそろドバーっと雪崩れ込んでくるさ……カカカッ!」

魔道士♂「不吉な事を言わないで下さい!」

ザッザッザッザ…

弟者「おぉっ!? 誰か居るぞ?」

錦将軍「人だ!」

兄者「失礼、ここは一体どこなのかな?」
991 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/24(木) 18:01:19.68 ID:XdfF1DMSo
短髪「なんだアンタら? 新入りか?」

プリースト「そうみたいね」

弓使い♂「ここは死んじゃった奴らが集まるところだよ」

錦将軍「何ぃ!?」

ザッザッザ…ドサッ

――「おっ、お前等……!?」

弟者「あぁーっ!!」

兄者「……騎都尉っ、騎都尉ではないか!」

騎都尉「ふ、ふん! 別に貴様等が来ようとも……お、俺は嬉しくないんだからねっ!」

錦将軍「……コイツ、こんなキャラだったっけ?」

女記者「うおおぉぉ、かつての盟友と運命の再会!! これは鬼スクープっすよおおぉぉ!!」

弓使い♂「誰に対するスクープだよっ!」

南西砦長「さぁさぁ、新たな客人も来た事だし、ぱーっとやりましょう!」

短髪「お前も新人だろうが!」

――「待てーい!」
992 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/24(木) 18:02:32.64 ID:XdfF1DMSo
弟者「だ、だれだ!?」

青龍先生「ワシじゃ」

錦将軍「……知らん」

青龍先生「ズコーッ!! 何ぃ〜? ワシを知らぬだとぉ!?」

兄者「こちらのご老人はどなたかな?」

短髪「知らん」

青龍先生「もいっちょズコーッ!! 何じゃとぉ!? えぇい、聞き捨てならん!」

クラーケン「ちょっと、喧嘩はやめて下さいな……あわあわっ」

弓使い♂「お前、いいキャラに成長したよなぁ」

魔道士♂「おいしいポジションですよね」

弟者「もういいから飲もうぜ」

短髪「お前が仕切るな!! つーかツッコミが足りねぇ! 誰かまともな奴、早く死んでくれ!」

青龍先生「それじゃ、再会などを祝して乾杯〜」

錦将軍「乾杯〜!」

プリースト「あらら、結局はこうなっちゃうのね……」
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/24(木) 18:03:04.78 ID:XdfF1DMSo
テクテクテク…

――「せ、青龍先生!?」

青龍先生「おぉ、ワシを知っているとは何者……」

白虎次男「私です! 白虎先生の息子で……」

ガシャン

青龍先生「……お、おぉ! お主は召喚士の……っ」

白虎次男「ええ、息子が世話になりました。ありがとうございます」

青龍先生「なぁに、お主こそようやったわい」

白虎次男「……我が父は……居らぬようですね」

青龍先生「そうじゃのぅ。朱雀や玄武とも再会したかったのじゃが……」

弓使い♂「キリがない」

魔道士♂「うんうん」

青龍先生「えっ?」

白虎次男「えっ?」

雷忍「カカカッ、まぁ今日はこれで我慢しようじゃないの」
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/24(木) 18:03:41.91 ID:XdfF1DMSo
騎都尉「おい、ツマミがないぞ!」

弟者「そうだそうだ!」

南西砦長「仕方ないですね。イカ焼きで宜しいですかな?」

クラーケン「ノオオォォォォ!!」

プリースト「もうやめてっ! プリーストのライフ……足は0よ!」

クラーケン「しくしくしくっ」

短髪「ったく、せっかく静かになったと思ったのによ」

プリースト「まぁまぁ。賑やかな方がいいじゃない。楽しくてさ」

弓使い♂「まぁな〜。俺達みてーな一発屋はもう出番もねーだろうしなぁ」

魔道士♂「つまり、今回で最後になるかもしれないわけですね」

短髪「――っ!?」

プリースト「ちょっとっ! もっと私に喋らせてぇ!」

短髪「てんめぇ! さっきまでのおしとやか系キャラはどこいったんだよおぉ!」

青龍先生「そんなわけで今回のオマケは終わりじゃ。本編はもうちっとだけ続くぞい」

白虎次男「優秀かつ聡明な我が息子、召喚士の活躍をこれからもとくとご覧下さい」

青龍先生「えっ?」

白虎次男「えっ?」



おしまい
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 18:04:35.09 ID:0K++Pgkzo
えっ
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/24(木) 18:05:04.38 ID:XdfF1DMSo
オマケなのに間違えた……もうやだ
× プリースト「もうやめてっ! プリーストのライフ……足は0よ!」
○ プリースト「もうやめてっ! クラーケンのライフ……足は0よ!」

余ったので…

恥知らずな戦士使いがいた!

俺は召喚士を使い手なんだが相手が残念な事に戦士を使ってきたので「お前それで良いのか?」

と言うと「何いきなり話かけて来てるわけ?」と言われた。
俺の弟が戦士の熟練者なのだがおれはいつも勝つから相手が気の毒になったので聞いただけなん

だがむかついたので「お前コカトリスでボコるわ・・」と
言って開始直後に力を溜めて前コカトリスしたら多分リアルでビビったんだろうな、、ガード固めてたから

キャンセルしてコカッっとダッシュしながらコカトリスしたらかなり青ざめてた
おれは一気に空中にとんだんだけど戦士が硬直してておれの動きを見失ったのか動いてなかったか

らコマンド投げでガードを崩した上についげきのスフィンクスでさらにダメージは加速した。
わざと距離をとり「俺はこのままタイムアップでもいいんだが?」というとようやく必死な顔してなんか剣の

はしっこから雷出してきた。
おれはしゃがみシルフで回避、これは一歩間違えるとカウンターで大ダメージを受ける隠し技なので後ろ

のギャラリーが拍手し出した。
俺は「うるさい、気が散る。一瞬の油断が命取り」というとギャラリーは黙った
戦士は必死にやってくるが、時既に時間切れ、下段ガードを固めた俺にスキはなかった
たまに来る下段ガードでは防げない攻撃もキックで撃退、終わる頃にはズタズタにされた金髪の雑

魚がいた
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/11/24(木) 18:05:11.35 ID:DnO2x0oqo
いちおつ
ユニコーン父ちゃんは親バカか…
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage saga]:2011/11/24(木) 18:06:03.03 ID:XdfF1DMSo
「いつでもコカトリスでトドメは刺せた、あの時雷だそうとしたときにも実はズタズタに出来た、」とかいった
そしたら「いや今のハメでしょ?俺のシマじゃ今のノーカンだから」とかいったので俺がヒト睨みすると
また俺から視線を外した、2戦目は俺のコカトリスを先読みしてたみたいでいきなりバックステッポで回避された
「ほう、経験が生きたな」と少し誉めるとジュースをおごってくれると言う約束をしたので空中でシルフを
当てて一気にかけよりシルフとサラマンダーの二択を迫り
5回くらいサラマンダーしたら死を感じたのかガードしようとしたので近づいてスフィンクス投げをお見舞い
してやった、絶望でダウンしているところにスフィンクスのパンチがダブルで入れた。
「今のがリアルでなくて良かったな、リアルだったらお前はもう死んでるぞ」というと想像して圧倒された

のか動きが鈍くなったのでクジャタで動きをコントロールしさらに天候までコントロールしていることにも

気付かせずにタイムアップさせた。
そしたら「まただよ(笑)」とか負けたくせに言いワケ言ってたから「限られたルールの中で勝利条件を

満たしただけ」といったら顔真っ赤にして3戦目はけっこう攻撃的だったけど挑発に軽々と乗ってくる

馬鹿には確実な死が待っていた。
999 :おしまい! [sage saga]:2011/11/24(木) 18:07:16.07 ID:XdfF1DMSo
コカトリスの恐怖が完全に摺り込まれている為思うように近づけないでいるようで空中来たらユニコー

ンでけん制し飛び込んできたら前コカトリスでいつの間にかガードゲージは光っていたから「四属性召

喚でトドメさすよ」と言うと戦士は必死にガードしたから
狙い通り3段目くらいをコカキャンすると予想通り青ざめてガードしてたから投げで強打したのちコカト

リスでトドメ。
あとはタイムアップまで粘った。俺の下段ガードは固く、隙を見せなかった。戦士も下段ガードできない

攻撃してきたけど反撃もここまで。残念ながら前半の遅れを取り戻す事が出来なかった。
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です) [sage]:2011/11/24(木) 18:09:35.35 ID:cNAvoBVxo
ぶろんとおつ
1001 :1001 :Over 1000 Thread
              わ〜い、>>1001ゲット〜
               __
                    ‖ _~",ー 、,,_
      |           ‖ /  |ノ  ,>
   \ |  /      ‖ /ヽ_,:-−'´
                ‖/~         ヽ | /
                    ‖     ,   ))
       ,、      ,、   /'ll__/ ヽ
      / ヽ__/ ヽ/ _‖   _  ヽ.    ∧___∧
    /       /  ´ ‖ー/  `   l ロ. / _    _
    / ´ 、__,  ` |.    ‖∨      ,! || | l--l `
   _l    ∨    ヽ/ ̄)( ̄ ̄`"::::ノ (⌒ヽ, ..ヽノ   ,
  ( ヽ_        /   /ll `'ー、....::ノ ∀\/ー- /`l  ヽ
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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その34 @ 2011/11/24(木) 17:15:21.23 ID:XdfF1DMSo
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(´・ω・`)おっぱいみせい @ 2011/11/24(木) 14:55:00.93 ID:YhBzkS+X0
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宇宙とか @ 2011/11/24(木) 14:19:52.59 ID:owndq2qIO
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ジョゼ「僕らはフラテッロと呼ばれている」レヴィ「あぁ?」 @ 2011/11/24(木) 13:27:11.38 ID:EXj3/vjw0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322108831/

北乃きいは超可愛い。異論は多少認める。 @ 2011/11/24(木) 11:51:42.01 ID:WXhsIEeDO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1322103100/

関東・甲信越さんにあだ名をつけよう @ 2011/11/24(木) 09:07:19.94
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剣崎「オリハシェーバー…アンダナノカ、オリノマシターッテ……」 士郎「……すまん、もう一度言ってくれ」 @ 2011/11/24(木) 06:52:28.81 ID:/LI5RKzDO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322085148/

妹「さ、寒い……」 @ 2011/11/24(木) 02:49:17.99 ID:yiB7ej3j0
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