1: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 19:49:38.64 ID:u1+Fwgaf0
咲-saki- 宮守女子SS
他校のキャラは出てきません
古参の三人が新顔の二人を構う話
シロ、塞、胡桃の一人称視点で一話ずつ、計三話投稿
前作↓
灼「あっちが変」豊音「こっちが変」
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今作に近い内容の過去作↓
白望「五人の距離の概算」
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2: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 19:51:36.23 ID:u1+Fwgaf0
白望「おおきな新顔と背の高い本棚」
3: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 19:53:03.98 ID:u1+Fwgaf0
隣に座る塞と胡桃は、それぞれ時折手を止め、眉をしかめながらも、基本的には順調に勉強を進めている。
向かいに座るエイスリンと豊音も同様。
しかし二人からは、どことなく楽しげな様子も窺える。
4: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 19:54:49.16 ID:u1+Fwgaf0
夏の大会前の中間試験……というイベントを楽しむかの如く、豊音は一人エネルギッシュだった。
問題は、私だった。
5: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 19:55:45.94 ID:u1+Fwgaf0
胡桃「ん」
白望「あう……」
そして胡桃は、シャーペンを握った小さな手で私のノートを指し示し、顎をしゃくって見せた。
6: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 19:56:50.37 ID:u1+Fwgaf0
豊音「…………ふんふふ――あ」
白望「……」
7: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 19:58:05.72 ID:u1+Fwgaf0
ただでさえ集中できないのに、正面にこの二人が座っているとさらに力が抜けていくようだった。
目を惹く二人が目に見えて楽しそうにしているものだから、ついついこちらも釣られてしまう。
8: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 19:59:33.52 ID:u1+Fwgaf0
胡桃「二人とも」
豊エイ「……!」
9: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:01:13.04 ID:u1+Fwgaf0
胡桃「わからないとこでもある?」
白望「ううん。ない」
10: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:02:15.40 ID:u1+Fwgaf0
いや、暇もなにも大人しく勉強すればいいのだが、やはりやる気が起きない。
それどころか、またも対面で私の集中を阻害する事態が。
11: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:03:41.90 ID:u1+Fwgaf0
白望「……」
豊音の様子が気になって視線を外せずにいると、後方からゴロゴロと、キャスターを引きずる音が聞こえた。
12: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:04:58.83 ID:u1+Fwgaf0
ついさっき叱られたばかりなのに、お喋りなんか始めたら、また胡桃に睨まれる。
そう何度も叱られていては、それこそ勉強なんてテンションではなくなってしまう。
13: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:06:06.33 ID:u1+Fwgaf0
豊音があの子を見て抱いた感想なら、髪型や制服の着こなしが気になったとか、「お嬢さん良い後ろ姿してるねー」だとか、それらしいものをいくらでも想像できてしまう。
だから、あの下級生そのものではなく、あの子がとった行動に絞って考える。
14: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:07:08.83 ID:u1+Fwgaf0
豊音があの子に興味をひかれた理由と、あの子が去ったあと、若干テンションが下がっていた理由だ。
これがわからない。
15: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:08:07.31 ID:u1+Fwgaf0
周りを見渡す。
少し離れた席に、先ほどのあの子の姿があった。
16: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:09:06.64 ID:u1+Fwgaf0
豊音「貸してー」
「え?」
17: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:11:01.27 ID:u1+Fwgaf0
困っている誰かに横から声をかけ、本を取ってあげて、「これでいい?」と声をかける。
そして相手は予期せぬ手助けに困惑しつつ礼を言う。
そんなシチュエーションに、憧れがあったのではないだろうか。
18: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:12:58.78 ID:u1+Fwgaf0
そこで私は、再来した豊音の念願成就の機会を逃すまいと、あの子から踏み台を奪った。
踏み台を奪ってしまえば、豊音が行動を起こすまでの猶予が生まれる。
19: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:14:16.00 ID:u1+Fwgaf0
とにかく、これで気がかりはなくなった。
いい加減勉強に手をつけようと、シャーペンを握る。
20: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:15:24.61 ID:u1+Fwgaf0
白望「えっと……いや……」
確かに今のは豊音に……新しい子に甘々だったと気づいて、ほんの少し頬が熱くなった。
21: ◆Xk..svTef9j1[saga]
2017/09/23(土) 20:16:25.86 ID:u1+Fwgaf0
一話目終了
今日はここまでにします
次は塞の話
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