過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/22(水) 00:00:58.59 ID:GshVNNRdo
このスレは、
魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
ex14.vip2ch.com

の後日談&前日譚少しです

※R-18描写は今回ありません

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/22(水) 00:02:17.05 ID:GshVNNRdo
魔王の城を望む丘の上で、恐らく最後となる野営を行っていた。
禍々しい沼地の中心に聳える魔の居城は、ただ見ているだけでも正気を蝕まれるようだ。

空を貫くように伸びた無数の尖塔。
夜だというのにその上をなおも飛び続ける、鳥型の低級な魔物の群れ。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:03:07.18 ID:GshVNNRdo
勇者「……長かったな」

木から削り出した不格好な器に口をつけてから、火を囲んで座る仲間へと語りかける。
なけなしの干し肉と野菜の残りで作り、ささやかな塩で調えたスープは、まるで舌を試しているかのように薄味だった。

以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:04:52.43 ID:GshVNNRdo
野営地から少し離れた森の中、泉のほとりに二頭立ての馬車が停まり、馬は索具を解かれて、水を飲んでいた。
魔王の居城のすぐそばにあるというのにその泉は冷たく透き通り、昼であれば水底の魚影までも見て取れた。
まるで自然界が魔王の力に抗おうとしているかのように。
もしくは、魔王自身が――――自らに挑む者への、最後の『休息地』として用意したかのようにも見えた。
二頭の馬は聞き慣れた足音がふたつ近づいてくると耳をそばだて、水面から口を離し、振り返る。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:06:23.15 ID:GshVNNRdo
杖に魔力を込め、一振りする。
たった、それだけの動作で――――二頭の『仲間』とその馬車は、目の前からいなくなっていた。
蹄跡と轍、そして草の上に落ちた数本のたてがみを除いて、もはや名残は無い。

魔法使い「さ、終わった終わった。……戻って、『最後の晩餐』にしましょ」
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:07:24.38 ID:GshVNNRdo
僧侶「……魔法使いさん?」

魔法使い「え?」

僧侶「大丈夫ですか? いえ。『城』が目の前にあるのに……『大丈夫』なはずが……」
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:08:09.14 ID:GshVNNRdo
魔法使い「あ、そうだったわ。……ってかあいつら、もう食べてない!?」

僧侶「えっ?」

煮炊きの香りと木々のざわめく音に紛れて、男二人の談笑が聴こえる。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:08:48.10 ID:GshVNNRdo
皆が寝静まった頃、勇者は火の番をしながら、魔王の城を見ていた。
二つある天幕の内、ひとつは僧侶と魔法使い。もう一つは、戦士と勇者のものだ。
もう少しもすれば、魔法使いと番は交代になる。

勇者「…………旅が、終わるな」
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:09:33.18 ID:GshVNNRdo
魔法使い「…………今、何時……?」

その時、天幕の一つから、魔法使いがのそのそと出てきた。
毛布を羽織ったまま、いつもの帽子を寝乱れた頭にかぶって。
声は、眠っていたようには聞こえない。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:10:02.32 ID:GshVNNRdo
木製のカップに、火にかけられていた鍋から飲み物を注いで魔法使いに手渡す。
次いで自分の分も入れると、ようやく、『魔法使い』と『勇者』は切り株の上に肩を寄せ合う。
二人で座る分のスペースは無いかとも思ったが、意外にも、座ってみれば気にならなかった。

魔法使い「……お湯じゃん、これ」
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:10:40.68 ID:GshVNNRdo
肩を寄せ合い火を見つめ、語らう中で勇者は気付いた。
彼女は、くっと視線を巧みに逸らして、決して魔王の城を見ない。
顔を上げず、隣に座る勇者の顔にさえも顔を向けない。

勇者「…………」
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/22(水) 00:11:18.26 ID:GshVNNRdo

勇者「……俺達だから、ここまで来れた。だろ?」

魔法使い「はいはい。どうせもう帰れないわよ。なら、やってやろうじゃないのさ」

以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:12:46.74 ID:GshVNNRdo
魔法使い「……ばーか。何マジになっちゃってんの。あたしの、いつもの言い方でしょ?」

彼女は声に僅かな潤みを伴い、茶化すようにくすくすと笑う。
その頬は僅かに赤くて、ゆるんでいる。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:13:16.25 ID:GshVNNRdo
勇者「何を?」

魔法使い「やっぱりさ、明日の戦い…………無傷なんていかないよね」

勇者「……相手は、魔王だからな」
以下略



15: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/22(水) 00:13:51.10 ID:GshVNNRdo
翌日の昼前、四人は魔王の城、いよいよその門前に立った。

沼地を超えるにあたり、邪魔は入らなかった。
それでも地獄の淵のような泥濘は、縋り付く亡者の手のような感触だった。
腐草が溶け込む悪臭の湿地には虫の声さえなく、
以下略



16: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/22(水) 00:16:03.54 ID:GshVNNRdo
またしてもお待たせしました、本日投下分終了です
やべぇ、最後の投下でようやく酉の付け忘れに気付いた

スレタイに「淫魔」がつけられなくて申し訳ない
淫魔の出てくるちょっとした短編も用意しているから許して欲しい
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/22(水) 00:44:15.79 ID:730e++j9o
適当に開いたらまさかのこのシリーズでワロタ



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/22(水) 00:46:46.50 ID:dzzVqubyo
乙。


19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/22(水) 01:17:23.79 ID:ntZ8X8ZV0
勇者&雷に着目でもしかしたらと思って開いてみたら…!


20:VIPにかわりましてPIGがお送りします[sage]
2013/05/22(水) 02:05:34.15 ID:WPKhbF6yo
待ってたよ〜

堕女神も短編で出るかな?


21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/22(水) 06:52:36.04 ID:o+g2jRQ0o
一応開いて良かった
期待


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