過去ログ - 俺ニート、悪魔の手下になる。
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:13:42.95 ID:Csg2FCKN0
※オリジナル、キャラ名あり、地の文主体

パッと思いつきで単発もの書いてみました。

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2:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:17:27.23 ID:Csg2FCKN0

 我輩はニートである、定職はまだない。
 昼は好き放題に寝て、夜になって活動を始める夜行性の生物である。
 ある時は電子の海を渡る航海者、またある時は一人だけの快楽を極める探求者。
 そして六畳ほどのアパートで孤独を謳歌する孤高の人間である。
以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:21:25.57 ID:Csg2FCKN0

 どうしてこうなった。
 最近、いや…… こんな身分になってから、ふと我に返るといつもこの言葉が俺に重くのしかかる。
 傍らには缶ビールとツマミ。
 どうやら酔ってもこの言葉から逃げることはできないらしい。
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:25:53.30 ID:Csg2FCKN0

 そう、俺は決して「できない」人間ではないはずなのだ。
 それなりに恋愛もして、それなりに期待もされて…… 俺はできる人間だと思っていた。
 しかし俺は気付いてしまった―― 自分は特別ではないことを。
 きっかけは大学生、就職活動でのことだ。
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:29:01.33 ID:Csg2FCKN0


 俺は決して、できる人間でも特別な人間でもなかったのだ。

 そう、上には上がいる。
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:32:24.19 ID:Csg2FCKN0


 やがて完全に心が折れてしまった俺は就職活動を停止し、就職を諦め、大学を卒業しニートになったわけである。
 そうこうして早数年…… 新卒という唯一の強みもあっという間に消え去った。
 このままではいけないと思い、アルバイトをした時期もあったが―― どれも上手くいかなかった。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:36:11.90 ID:Csg2FCKN0


 職業に貴賎なし―― そんな言葉がある。
 確かにその通りかもしれない。
 どんな職業であっても誰かしらそれを必要としていて、それを担ってくれる人がいるからこそ社会は成り立つ。世界は回る。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:40:15.93 ID:Csg2FCKN0


 現在の俺がこんな有様になっているなんて、まさかあの頃の俺は考えもしなかっただろう…… 例えば学生時代、駅前で酔いつぶれ倒れるおっさんを尻目に「あんな大人にはなりたくない」と思っていたし、同じクラスのやんちゃな集団を見て「何が楽しいのか、こんな馬鹿みたいな人間にならないようにしないと」と己に言い聞かせ、ワイドショーでひきこもり特集なんてものを取り上げていた暁には「クズ人間じゃん」などと嘲笑していた。

 しかし現在―― 俺はその「なりたくない人間」、「なりたくない大人」になってしまったわけだ。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:43:01.70 ID:Csg2FCKN0


 どうしてこうなった。

 もう何百何千回目の一人反省会(決して反省が生かされることもない)をいつものように開いて、気付くと缶ビールはすっからかん。ツマミもなくなっていた。
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:45:33.27 ID:Csg2FCKN0


 他人を嘲笑えば嘲笑うほど、他人と自分を比べれば比べるほど…… 惨めになって泣けてくる。

 そんなことしたって何も生まれない。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:49:30.22 ID:Csg2FCKN0

 夜を越えても、世界は変わらない。
 時間は俺を置き去りにして流れる。
 八月は後半―― 今日も朝から酷い暑さだ。
 いわゆるお盆休みのシーズンを過ぎて、またいつものような日常が戻ってくる。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:52:54.22 ID:Csg2FCKN0


 今日も今日とて、やることがない。
 働け――? それはもう何回も聞いたさ。
 やりたいことがないのだからしょうがないであろう。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:55:37.69 ID:Csg2FCKN0

 電車に揺られ、乗り換えて。
 そしてまた電車に揺られること数分。
 欲望が溢れる街、東京…… なんとなく言ってみたかっただけである。
 山手線に乗り換えて新宿で下車、東口を出て某書店へ。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:59:29.10 ID:Csg2FCKN0


 ダークサイドがやって来るがなんとか払拭する。
 今日の俺は一段とどうにかしている…… 今日に限って。
 理由は分かっていた―― 焦りからくる不安、絶望だ。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:02:22.40 ID:Csg2FCKN0


 もうどうしようもない不安が蔓延して。
 それをなんとか振り切ろうと、気分を変えようと店を出た。
 人、人、人。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:08:02.09 ID:Csg2FCKN0


 ひっそりとした店であったので、店内もそのような様子だと想像していたが…… 予想に反してなかなかの広さだった。
 木目調のテーブルやカウンター、壁に飾られた絵画、隅に置かれた観葉植物。
 落ち着いていて、どこか気品も感じられるような…… そんなシックでおしゃれな店内。
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:11:42.09 ID:Csg2FCKN0


 間を埋めるためポケットからタバコを取り出し、オイルライターで火をつける。
 灰皿が置いてあるので喫煙可能ということだろう。
 一服している内に店員がやって来て先にアイスコーヒーを置いていった。
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:13:47.68 ID:Csg2FCKN0


 その時ふと、誰かの声が耳に留まった。
 目を開いて確認してみると―― 探す必要もなく、その声の主はすぐ目の前にいた。

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:18:18.30 ID:Csg2FCKN0


 マルチ商法―― そう呼ばれる商法がある。
 俺も詳しくはないので解説できるほどの知識は持ち合わせていないが…… 要するに「ピラミッドを作って儲けようぜ」というようなビジネスであったと思う。
 会員を増やしてピラミッド(階層)を作り、上層にいる人間ほど利益が得られる…… といったイメージだ。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:22:49.98 ID:Csg2FCKN0


「あの…… あの」

 可哀想に。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 04:26:31.23 ID:Csg2FCKN0


 何故こんな無駄知識を持っているのかというと―― 俺も過去に勧誘された経験があるからだ。
 あれは大学時代…… 同じクラスにAくんという人がいた。
 特に親しかったわけでもなく、会話も数えるほどしか交わしたことのない、そんな「同じクラスに所属している人間」という程度の間柄だった俺たち。
以下略



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