何も無いロレンシア
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21: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:41:13.76 ID:zJUkddjZ0
 この男の技に興味はあったが、それ以上に関わると面倒になると思い背を向けようとした時だった。

 背を向けていたので推測だが、きっとシモンは会心の笑みを浮かべていたことだろう。

 それほど絶妙なタイミングで、シモンは俺の興味を十分に惹く言葉を吐いた。
以下略 AAS



22: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:41:58.56 ID:zJUkddjZ0
「金額は十億。これを一ヶ月以内に標的を殺せた者に差し上げます。方法は問いませんし、情報は提供しますが指示は何も出しません。失敗しても真剣に取り組んだ結果であれば、一億を差し上げましょう」

「……ああ、なるほど。しかし十億だと?」

 確かにこの方法ならば標的の付近で惨劇はおきるだろうが、依頼人の命は守られる。現場が混沌となり、混乱に乗じて標的が逃げおおせる可能性もあるが。
以下略 AAS



23: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:42:39.36 ID:zJUkddjZ0
 ため息を一つつく。

 ほんの数日前に引き続き、また重要な選択肢を迫られた。

 依頼自体には強く興味を惹かれたが、何をしたわけでもない――もっとも、シモンの口ぶりからするとこれからしでかすかもしれないが――少女を[ピーーー]つもりにはなれなかった。
以下略 AAS



24: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:43:50.50 ID:zJUkddjZ0
〜第一章 五つの贄〜




以下略 AAS



25: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:44:40.77 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※




以下略 AAS



26: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:45:23.88 ID:zJUkddjZ0
 シャルケが少女以外にやられた可能性――特に競争相手である依頼を受けた他の三人を疑ってみたが、その線は薄い。

 岩壁にめり込んでいる角度と外傷から推測するに、シャルケは強力な力、おそらくは打撃を胸部に与えられ十メートルほど吹き飛ばされた。八十キロを超すシャルケをそれだけ吹き飛ばすだけでとどまらず、岩壁にめり込ませる威力を出せる者が相手であった。そして他の三人はそれに該当しない。

 “かぐわしき残滓”イヴならば、遠距離からの射殺ないしは背後から喉を掻き切る、又は毒殺。“深緑”のアーソンならば、全身が膨れ上がって死んでいるはず。そして“血まみれの暴虐”フィアンマならば、体に大穴が空き、酷ければ跡形も残らない死に方をしているはずだ。
以下略 AAS



27: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:46:03.09 ID:zJUkddjZ0
「そういう貴方は“何も無い”ロレンシアですね。“深緑”のアーソンかとも思えましたが」

「その言葉は、俺と奴の両方に喧嘩を売っているぞ」

「その言葉は言いえて妙ですね。いくら“深緑”といえども、“何も無い”貴方と見間違えられたと聞けば不愉快でしょう。そして意外な発見です。“何も無い”貴方であっても、魔に心を呑まれたモノと同一視はされたくないのですね」
以下略 AAS



28: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:46:37.86 ID:zJUkddjZ0
「あの世に片足をかけ、目覚めれば天国に来たと思いきや……若い癖に辛気臭い顔をした奴もおる。天国を見せた後に地獄に引きずり込む腹積もりか」

「……苦労して蘇生させた奴を、再び[ピーーー]というのは一興だろうか?」

「用済みになる前にそれをするのですか? しかねない貴方が言うと笑えないので慎みなさい」
以下略 AAS



29: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:47:19.56 ID:zJUkddjZ0
 どうしたものかと考えていると、言いたいことだけ言ってシャルケは限界だった意識をわざと手放した。活を入れて意識を戻しても堂々巡りになるだけで、時間の無駄だ。

「……オマエ、標的がどこにいるかわかるか?」

「それは、私と手を組む腹積もりということか」
以下略 AAS



30: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:47:52.38 ID:zJUkddjZ0
 イヴが先ほど指差した林の方を見る。この先にいる標的の女。いったい彼女は何者なのだろう。がぜん興味がわきあがる。

「どうする? シャルケが言ったとおり降りるか? 俺は進むが」

「……同行する」
以下略 AAS



31: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2019/06/01(土) 02:48:36.40 ID:zJUkddjZ0
※ ※ ※



 林の中に入ると、肌を突き刺すような冷たい感覚が起きた。それはイヴにも生じたのだろう。俺たちは無言で視線を合わせる。
以下略 AAS



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