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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その35 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/20(火) 23:32:15.50 ID:P+a7l/T/o
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代……
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である……。


                           ――かもしれない……。

〜前回までのあらすじ〜

召喚士、戦士、魔道士、盗賊からなる4人の冒険者達。
彼らは5年もの間、世界中で地上をを暗黒へと変える
魔王軍と戦い、幾多の勝利を掴み、人々を救ってきた。
今回の敵は東の魔王マーラ。はたして勝算は……?

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆絵とかのあぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆雑談スレ(オマケみたいなSSがあったりするとかしないとか)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/

◆前スレ(その34)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322122521/
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諸君、狂いたまえ。 @ 2024/04/26(金) 22:00:04.52 ID:pApquyFx0
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
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渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
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二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

2 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/20(火) 23:32:59.55 ID:P+a7l/T/o
◆過去ログ(その1〜33)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308493316/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312161458/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1315821180/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318927989/
3 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/20(火) 23:33:37.27 ID:P+a7l/T/o
 ――忍。決して表に出る事はなく、影に徹する存在。

 それを始めて白日の下へと導き出したのが『藤蔵』の存在である。

 藤蔵がいつより存在し、どれ程派生したかは不明瞭であるが、

 八代当主の際に帝の御庭番。そして十三代当主の際に大名への資格を取りつけ、

 十四代目にしてついに、大名と相成った。その反面、影と呼ばれる藤蔵一族の裏の顔は、

 藤蔵がだいみょうとして世に輝いた時と同じくして、滅びた。いや、自ら破滅への道を歩んだ。

 後の十五代当主はその事態を危惧していたが、己の命を賭しても、止める事は出来なかった。

 妹は兄を見殺しにしたも同然の藤蔵を出奔し、流浪の身と相成った。

 あれから5年。藤蔵は変わった。忍も変わった。しかし、変わらぬものが1つある。

 それは、忍の魂とも言うべきもの。『守るべき者の為には、死をも厭わない』。

 帝に忠誠を尽くした、雷遁の忍は、帝を守るべくして死んだ。

 忍に死はつきもの。忍もまた武士であり、東方に生きる侍なのである。

 彼らは言う。死を以って勝利を得られるのであれば、喜んで命を尽くすと。



 ――武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり。
4 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/20(火) 23:34:25.07 ID:P+a7l/T/o


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第五十六部〜
5 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/20(火) 23:35:13.37 ID:P+a7l/T/o
〜東方、橋の下〜

戦士「……っりゃあ!!」

フオンッ…ンンンン

と「おぉ……っ、お見事」

戦士「いや、これじゃあまだ全ての力が伝わってねぇ。もっと早く正確に抜かねぇと」カシャッ

鬼丸「朝っぱらから元気だな」ザッ

戦士「鬼丸」

鬼丸「今日だっけか? 出発」

戦士「ああ。お前も行けるよな?」

鬼丸「グハハッ、いつでも絶好調よ!」

戦士「そういや、召喚士から話は聞いたよな?」

鬼丸「ああ。昨日の晩に来た。とは言っても、俺も詳しいわけじゃねぇからなぁ」

戦士「そっか」

鬼丸「とにかく役に立ちそうな事は伝えたぜ!」

戦士「助かるよ、相棒!」
6 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/20(火) 23:35:53.34 ID:P+a7l/T/o
〜帝の城〜

名代「上様、まもなくご出兵の支度が整いまする」

帝「うむ。手筈は任せる」

名代「はい。家老殿、問題御座いませんね?」

家老「正面の大通りは万全じゃ。そのまま大橋を抜けて、都を離れるぞ」

青年兵「大橋? 進路は西ではないのですか?」

名代「民の手前もありますから」

家老「左様。皆々は上様の凛々しいお姿を拝みたくて、集っておるわけじゃからな」

名代「それに西へ兵を進めなどすれば、民が警戒するでしょうからね」

青年兵「なるほど……っ。今回の戦いはあくまで、北ですからね」

名代「はい。余計な波風は立てぬ方が良い、と言う事ですよ」

青年兵「お見それ致しました。それでは私達も準備を整え、大橋にて待っております」

帝「宜しく頼むぞ」

青年兵「こちらこそ。それでは」スッ

帝「いよいよ……だな」
7 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/20(火) 23:36:37.16 ID:P+a7l/T/o
〜東の城〜

西方参謀「おっ、あれか!」

ザッザッザッザッザッ

槍侶「総本山より救援に参りました! 宜しくお願い致します!」

南方参謀「あらぁ! スキンへッドでなかなかカワイイじゃない〜」

槍侶「!?」

僧兵長「失礼ですが、此方の指揮官はおられるかな?」

西方参謀「東方先生ー呼んでるぞぉ……ヒック」

東方参謀「儂はここだぁー! ここにおるっ!」ヒュバッ

クルクルクルッ…スタッ

僧兵「お、おぉ……っ」

東方参謀「本国の東方参謀と申す。共に戦おうではないか、同士諸君よ」

僧兵長「ど、どうも」

南方参謀「今日中に物資の搬入終えてよっ。出航は夜なんだから」

東方参謀「総本山の皆も、船の中で休まれるが良い」

槍侶「はっ。ありがとうございます」
8 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/20(火) 23:37:16.28 ID:P+a7l/T/o
〜旅籠〜

男隊員「おっしゃあ、そんじゃ行くかぁ……ヒャハハ!」

魔道士「女将さん、長々とお世話になりました!」

女将「全員、無事に帰ってくるんよ? 美味しい物作って、待ってますから」

隊長「必ずや無事に帰ってきます!」

男隊員「空回りすんなよ?」

隊長「誰にモノを言ってんだてめぇは!」ギリギリッ

男隊員「いてぇーっ!!」

女将「うふふふふっ」

格闘家「副司令が戻って来ましたよ」

青年兵「もう間もなく出発です。大橋にて東方軍と合流致しましょう」

戦士「おっしゃ! いくぜ」

盗賊「ああ」

召喚士「それでは行ってきます」

女将「ほんと、気ぃ付けてな……っ!」

魔道士「はぁい! えへへっ!」
9 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/20(火) 23:38:13.41 ID:P+a7l/T/o
テクテクテクテク

戦士「召喚士と魔道士は、大橋でお別れだな」

召喚士「魔王マーラ、強敵だと思うけど……頑張って!」

盗賊「そちらもな。また、都で会おう」

魔道士「はいっ! 藤蔵の皆さんにも宜しくお伝え下さいっ!」

青年兵「特遊はここから北の城でしたよね?」

隊長「ああ。旗本殿らと合流の後、直に北の城へ向かう」

戦士「んで残る俺らが藤蔵行きだな」

盗賊「ああ」

青年兵「東も今頃、動き出している頃でしょうね」

戦士「結局、女侍達の手掛かりはなかったな」

召喚士「うん。船で国外に出た形跡はないから、まだ東方に居るとは思うんだけど……」

魔道士「うーん。どうなんでしょうねぇ」

盗賊「奴らも賊だ。都や東方情勢を把握していないとは思えんがな」

青年兵「国軍が都を離れれば姿を見せるかもしれませんね」

召喚士「そうだね。でもまぁ、協力してくれるって決まったわけじゃないし、現有戦力で考えないとね」
10 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/20(火) 23:38:58.10 ID:P+a7l/T/o
〜大橋〜

鬼丸「おーう。出発かぁ?」

戦士「ああ。もうじき上様達も来るみたいだぜ」

鬼丸「それでか。見ろよ、この人の数……」

男「いよいよ、おお戦だそうじゃ!」ワイワイ

女「この戦で平和になるかもしれないんだろっ? 頑張って欲しいねぇ」ワイワイ

召喚士「みんな、上様の出陣する姿を見送りにきたんだね」

魔道士「こういうところは、本国と一緒なんですね」

隊長「味方の士気も上がるし、民への鼓舞にもなるしな。一石二鳥だ」

魔道士「なるほどですね〜」

男「おぉっ! おいでなすったぞ!」ワイワイワイ

女「上様ぁ!!」ワイワイワイ

 絢爛なる甲冑ち馬の装飾を施し、大通りの中央を悠然と進む帝。

 脇に備える旗本衆や名代の姿も凛々しく映り民はただただ感嘆の息を漏らす。

 表情明るく闊歩する一同ではあるが、よく見ると指先は震え、緊張を押し込めていた。

 大橋で待ち受ける本国の一同を目にすると、帝はようやく、心の底より笑顔を見せた。
11 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 00:58:45.58 ID:+UPnMGjAO
>>1乙!
そして新スレおめ

このスレでもよろしく
12 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 01:01:47.06 ID:0IRL8jKAo
>>1
いま追いついた!クライマックスをリアルタイムで読めるなんて最高!
13 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 01:19:03.29 ID:uqAL2LaDO
まだ序盤だぜ?
14 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 01:44:55.88 ID:jiYqNMjL0
>>1 おつ
いっつもあり!
15 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 01:52:00.31 ID:0IRL8jKAo
>>13
100スレで終わりだっけか
16 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 02:23:41.88 ID:2GOoTL1DO
100スレで取り敢えずプロローグが終わる予定
17 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 06:00:44.01 ID:Xnqbh0pb0
新スレおめ!

1000スレは続くに決まってんだろjk
18 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 12:14:46.38 ID:fs3YRqkDO
1〜100スレ プロローグ
101〜250スレ 前半
251〜650スレ 中盤
651〜900スレ 後半
901〜1000スレ エピローグ後日談等
こんな感じか
あと20年は読んでいられそうだな
19 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 13:30:24.88 ID:vbnB7PKPo
>>12
最初からクライマックスな件
20 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 15:23:52.91 ID:a21wLNYq0
>>18
栗本薫になってもいいのよ?
21 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 17:28:36.46 ID:L1W/mr8DO
>>1おつん

>>15-18
鬼畜ww

続いて欲しいと思うがいったい>>1は何年生きなきゃいけないんだ。
22 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:45:12.99 ID:0qGF7Iupo
帝「待たせたか?」

盗賊「いえ、我らも今しがた、来たところに御座いまする」

帝「さて、参ろうか。皆の馬を此れへ」

旗本「御意に」

 本国の面々が合流すると、飾られた華に異彩が加えられ、なお一層の趣を見せる。

男「ほんに、上様が先頭に立たれてからというもの、東方も変わっただなぁ」

女「いんや。あの異人さん達のお陰さね。異国の力は凄いもんだねぇ」

 晴れ姿を一目見ようと集った民の期待を一身に背負い、帝は都を後にした。

パッカパッカパッカ…

名代「このまま北側の関所を抜け、御用邸まで馬を飛ばしまする」

魔道士「ゴヨーテー?」

盗賊「上様の別荘といったところだ」

男隊員「どうしていちいち、そんな回りくどい事を?」

旗本「先に名代様も述べたように、西へ出兵した事を悟らせぬ為に御座いまする」

名代「それともう一つ……」
23 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:45:56.15 ID:0qGF7Iupo
〜御用邸〜

戦士「なるほど。着替えか」

名代「上様を白昼堂々、外で着替えさせるなど出来ませぬからな」

魔道士「どうして着替えちゃうんですか? 立派な鎧なのに……」

旗本「あれは民へ向けた馬揃えも兼ねた行事用のものですから」

青年兵「なるほど。軍事パレードですね。確かにあの威風堂々たるや、民も安心するでしょう」

東方司令「見た目のみに重点を置いた甲冑であったというわけだな」

ザッザッザ

帝「待たせたな。それでは参ると致そうか」

青年兵「ではこれより、作戦を開始したいと思います」

隊長「旗本殿、俺らは先日のルートで北の城でいいな?」

旗本「御意に。隊長殿ら私より経験豊富な事は明白。従うまでです」

隊長「それじゃ、特遊と旗本衆は北の城へ向かう。行くぞ」

男隊員「最北で会おうぜ……ヒャハハ」

女隊員「朱雀チームはまた、都で再会ッスよ!」
24 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:46:39.65 ID:0qGF7Iupo
魔道士「頑張って下さいねっ!」

格闘家「そちらも、お気を付けて」

ザザッ…ドドッドドッドドッ…

青年兵「ではこちらも行きましょうか」

戦士「おう。藤蔵までは盗賊に任せておけば問題ないな」

盗賊「ああ」

鬼丸「相棒の相棒っ!」

召喚士「!?」

鬼丸「昨日も言ったけどよ、神野悪五郎は人の心を巣食って生きてる妖だ」

召喚士「……はい」

鬼丸「今ある体も死んだ人間の怨念からなってる。まずはそれを何とかすりゃあ勝てる」

召喚士「ありがとう。やってみるよ」

鬼丸「本体はクソ弱えぇから安心しなっ! グハハハッ!」

青年兵「召喚士さんなら何も心配は要りません。また、都で会いましょう!」

召喚士「うん! お互い、頑張ろう!」
25 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:47:25.99 ID:0qGF7Iupo
ザッ…ドドッドドッドドッ…

帝「さて、残るは我らか」

名代「まずはこのまま、戦士殿の申していた西の寺へと向かいます」

召喚士「そこで情報収集ですね」

名代「新たな手掛かりはないと思いますが、直に聞くのは人伝よりも確かですから」

東方司令「確かに」

帝「ついでに休息地にもなるしな。では参ろうか」

魔道士「はいっ」

召喚士「傍から見れば、たったの5人かもしれません。でも決して弱くはありません」

東方司令「当たり前だ。ボクがいるんだからな」

魔道士「そうですよっ。みんなの力を合わせれば……きっと勝てます!」

帝「うむ。その通りだ」

名代「召喚士殿、断じて無理はなさらぬように」

召喚士「……はい」

 名代の見透かしたかのような声に、召喚士は頼もしさを感じつつも、申し訳なく思った。
26 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:47:52.99 ID:0qGF7Iupo
〜夕刻、藤蔵〜

カァーッ…カァーッ

 この時期ともなると日の入りは早く、辺りは既に黒く染まり始めていた。

 鴉や梟などの声が活気付き始めた中、疾走する馬蹄の音が藤蔵の屋敷へと近づく。

ドドッドドッドドッ…ドドォ

青年兵「こ、ここが……藤蔵っ」

戦士「でかい屋敷だろ。俺も初めて来た時はビックリしたぜ」

青年兵「名代様の屋敷にも驚きましたが……これは最早、城ですね」

盗賊「そんな事はないぞ」

戦士「うん、城だな」

鬼丸「こりゃ立派な城だ」

盗賊「……」ピクッ

 呆れ顔の盗賊であったが一転、険しい表情へと移り変わり、背後を振り向いた。

盗賊「よけろっ!」

戦士「!?」
27 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:48:44.14 ID:0qGF7Iupo
 盗賊以外の3人が飛ぶと、すかさずクナイが木陰より鬼丸めがけて放たれた。

鬼丸「むっ!」

シュバッ…キキイィン

 盗賊の放つクナイが、鬼丸へと迫るクナイを空中で相殺し、叩き落した。

 見慣れた一同にはいとも容易い所業にこそ見えるが、到底、並の者には出来ぬ行いである。

盗賊「こやつは敵ではない。お主らも知っておるだろう」

スタッ

風忍「……姫?」

水忍「それにお仲間の方々と……お、鬼丸か?」

鬼丸「おいおい、勘弁してくれっつーの」

戦士「お久し振りっす」

水忍「話は伺っている。さ、一先ずは屋敷へ」

風忍「鬼丸、お主……随分と雰囲気が変わったな」

鬼丸「そうかぁ?」

水忍「ん? そちらの御仁は初めてお見かけするようだが」
28 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:49:23.65 ID:0qGF7Iupo
青年兵「本国国軍、青年兵と申します」

風忍「これはどうも。若いようだが、姫の部下かな?」

戦士「おいおい、これでも今回の戦いにおける司令官だぜ?」

風忍「……は?」

タッタッタッタッタッ

火忍「ひいいぃぃめええぇぇぇぇ――」

ゲシッ!!

侍女「姫ーっ!! おかえりなさ〜いっ!!」ギュウウゥゥ

盗賊「……ただいま」

火忍「人を足蹴にしてんじゃねぇ! 姫ならいざ知らずよぉ!」

侍女「変な趣味発揮してないで、早くお客様を案内しなさいよ」

火忍「……ちっ」スタッ

戦士「世話になるぜ」

火忍「うるせぇ。調子に乗んなよコラ!」

戦士「……?」
29 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:50:13.26 ID:0qGF7Iupo
〜藤蔵、屋敷内〜

青年兵「……」ソワソワ

戦士「鬼丸は?」ソワソワ

青年兵「外で待つそうです」ソワソワ

戦士「……そか」ソワソワ

カラッ

戦士「っ!!」

盗賊「……何をびっくりしている」

戦士「うっせぇ」

盗賊「間もなく父様もお見えになるそうだ。しばし待たれよ」

青年兵「はい」

盗賊「侍女、茶菓子を振舞え。堅苦しい場にはしたくない」

侍女「はいなっ」

青年兵「な、なんだか盗賊さん……雰囲気が違いますね……」ソワソワ

戦士「ああ。やっぱり自分の家だと素が出るんだろうな」ソワソワ
30 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:51:01.35 ID:0qGF7Iupo


風忍「御館様、お成りになられまする」

ザッ…スタスタスタ

御館様「面を上げい」

盗賊「ご無沙汰をしておりまする。御健勝にて、何よりで御座いまする」

御館様「お主等もな。して、此度の戦においての指揮官が居ると聞いたが」

青年兵「はっ。本国国軍を預かっております、青年兵と申しまする」

御館様「随分と若いな。年は幾つだ?」

青年兵「はい。25になります」

御館様「盗賊と同年か」

盗賊「彼の者、才器において指揮官に相応しく、文武優れたるや右に並ぶ者なしに」

御館様「であろうな。一国の、ましてやこの国の大事を担うのであるからな」

青年兵「ありがとうございます!」

御館様「先ずは此度の戦について、概略を聞かせて貰おうか」

青年兵「はっ、早速」
31 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:51:56.14 ID:0qGF7Iupo


御館様「成程、大方理解した。ご苦労である」

青年兵「はっ」

盗賊「御館様、西の神野悪五郎なる妖、伺った事は御座いまするか?」

御館様「西の妖は存ぜぬ」

盗賊「左様ですか……」

青年兵「シンノアクゴロウさえ居なければ、全軍を北へ向けられたのですが……」

御館様「聞く限り、同時に倒すようだが、同時でなくばならぬのか?」

青年兵「はい。それには事情が御座いまして……」

 魔王マーラと神野悪五郎の関連性。そして結界の件。

 青年兵の重い口調で語られるそれらを、御館様はただ無言で耳へ入れている。

御館様「成程。結界と龍脈に関連性があったとはな」

青年兵「恐らく、魔王マーラを討てば、結界は脆弱となるは明白です」

御館様「さすれば、神野悪五郎が都へと攻め入る可能性もあるわけか」

青年兵「はい」
32 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:52:42.24 ID:0qGF7Iupo
御館様「事情は把握した。確かに、結界が薄れておるのは感じられる」

戦士「そうなんですか?」

御館様「藤蔵にも結界は張られておる。しかし、あの鬼丸とやらが踏み入れたであろう」

盗賊「……確かに」

御館様「それに……」

盗賊「……?」

 言うべきか迷った御館様であったが、いずれ接触する公算は高く、あえて素直に話を続けた。

御館様「先日な、兄様が訪ねてきおったわ」

盗賊「――――っ!?」

御館様「奴もまた、妖となろうとも、この東方の為に命を尽くすつもりのようだ」

盗賊「兄様が……っ、やはり東方へ……」

御館様「単独で北へ向かうと申しておった。何れは共に戦う事もあろう」

盗賊「……はい」

御館様「その時は……いや、東方の為に力を尽くせよ」

盗賊「……有難う御座りまする」
33 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:53:49.77 ID:0qGF7Iupo
〜西の寺〜

名代「建物が見えますな。あれでしょうか」ドドッドドッ

帝「そのようだな」ドドッドドッドドッ

ドドォ…パッカパッカパッカ

魔道士「凄い……っ。崖に面して建物が……」

名代「まさかこのような所に寺があるなど、思いもよりませんでした」

帝「全くだな。さて行ってみるとしよう。その石段より上れそうだ」

魔道士「召喚士さん、行きましょっ」

召喚士「はい」

 僅かな紅葉を残し、既に枝のみとなった木々に囲まれ、ひっそりとした石段が遥か上へと続く。

東方司令「しかし長い階段だな……。上るだけで疲れてしまう」

帝「こんな時に言うのも何だが、私は風情があって好きだぞ?」

魔道士「ひえぇ……っ、しんどい〜」

召喚士「頑張って下さいっ、見えてきましたからっ」

名代「着きましたぞ、ここが西の寺か……」
34 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:54:57.59 ID:0qGF7Iupo
〜西の寺、本堂〜

坊主「いやはや、まさか上様直々にお越し頂けるとは……恐悦至極で御座います」

帝「いや住職、此方こそ急な訪問ですまんな」

坊主「いえいえ、このような奇特な場所へ来て頂けるだけでも光栄で御座います」

東方司令「……」

坊主「それで、お越しになられましたのは、神野悪五郎の件ですかな?」

名代「如何にも。先日、友人二人が住職の世話になり、話を伺ったと」

坊主「二人? 六人ではなかったですかな?」

召喚士「あ、女侍さん達を交えると6人ですね」

坊主「折角お越し頂いたものですが、先日お話した以外には特に何も……」

帝「構わぬ。己の耳で聞いておきたいのだ」

坊主「……?」

名代「我らはこれより、神野悪五郎を討伐しにゆくのです」

坊主「な、何と……っ」

名代「この事、どうかご内密に願いますぞ」
35 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:56:01.64 ID:0qGF7Iupo


帝「ふむ。直に聞けて良かった。感謝する」

坊主「多少でもお力になれたのならば、それに越した事は御座いませぬよ」

名代「召喚士殿、今の話を伺って、どうお考えで?」

召喚士「そうですね。鬼丸の話と照らし合わせても先ず優先すべきは思念体の開放」

東方司令「……」

召喚士「シンノが剣聖という方を媒介にしているのならば、まずはそれを開放しないと」

名代「まさか剣聖そのものとは……。これは厄介な話だな」

東方司令「剣聖とはそんなにも強いのか?」

名代「ええ。恐らく近年においては東方一と言える使い手でしょう」

帝「……っ」

東方司令「なら安心だな。ボクは世界で2番目の使い手だ」

魔道士「本当ですか……?」

東方司令「お師匠の次に強い! お師匠が世界一なんだからボクが2番目だよ」

召喚士「……」
36 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/21(水) 17:56:53.07 ID:0qGF7Iupo
名代「と、ともかく……神野悪五郎を解放する手段を考えねばなりませぬな」

召喚士「ええ。最悪、コカトリスで身動きを封じる事が出来れば……時間は稼げます」

魔道士「効きますかね?」

召喚士「おそらくシンノは奴と同じようなものでしょう」

魔道士「……?」

召喚士「ネクロマンサー。実体を持たないけれど、実体があるかのように動ける」

魔道士「……っ」

召喚士「だとすれば、不死ですが攻撃を続ければ魔力を消耗するはずですし……」

名代「石化させしてしまえば、身を封じる事が可能、と」

召喚士「はい」

東方司令「あとは最悪、五行か?」

魔道士「……その時は」

召喚士「五行は使いませんよ。ただ最終手段の時には名代さん」

名代「申したはずです。断じて無理はなさらぬようにと」

召喚士「……分かってます」
37 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/21(水) 18:01:39.39 ID:0qGF7Iupo
師走最後の追い込みでござる。来週からは少しペース上げられるかな…
それではまた!多数のご支援まことに感謝っ!ノシ

>>11>>14
こちらこそありがとーございます!

>>12
ありがとーございます!尻すぼみにならぬよう頑張ります!

>>13>>15-21
ありがたいけどありがたくねーっす!
38 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 18:19:28.75 ID:a21wLNYq0
>>1乙!
39 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 19:15:32.64 ID:Rgf9YWgAO
>>1

ゴルリンからしばらく…とうとうと金が喋りだしたな…
なんて、今更誤字をいちいち指摘しないのが俺の良いところ
40 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 19:17:07.94 ID:iVqmtzDvo
前スレ1000も>1も乙!!
41 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 19:40:51.90 ID:8Im8gDhK0
>>1おつ!
42 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 20:52:14.89 ID:EHNncVvl0
いちおつ
アスタロスが東方では全力出せないってことは
召喚獣も全力を出せないってことなのか…?
43 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:21:15.63 ID:5IXOG7tco
>>1乙!
もはやこのコカトリス読む日課
終わらなくていい
でも完結はしてほしい
44 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 21:56:01.12 ID:+UPnMGjAO
>>43
禿げ同
>>1が毎日更新してくれるおかげだな
45 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/21(水) 22:05:20.90 ID:rTK3yNN0o
召喚獣は場所関係ないだろ
まして初めて東方で召喚されるわけでもないんだし
46 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 22:08:32.59 ID:9U1An8m6o
誤字から生まれた藤蔵も大きくなったもんだ
47 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 23:14:39.21 ID:Xnqbh0pb0
>>1おつんつんつんつん
48 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 23:27:51.01 ID:ycirRm5wo
>>39
誤字も物語の重要な要素
だから前スレでいないはずの南方司令がオカマ口調で喋っていたとしても誰も指摘しなかっただろ
49 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/21(水) 23:58:06.66 ID:1woXzOzWo
>>48
そもそも藤蔵自体が…
50 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 07:49:31.83 ID:Py2ZeX8IO
藤蔵って誤字なの?
本来なら何になるはずだったんだ
51 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 07:59:42.63 ID:OFd0sOUYo
盗賊
とうぞく
とうぞう
藤蔵
52 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 09:33:25.61 ID:aE/yZ29oo
┏(・ω・┓)┓ガササッ
53 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:15:17.03 ID:NBhbkqyro
 名代にとって、召喚士との付き合いは、さしょど長くはない。だが、薄くはない。

 共に死地を乗り越えれば、時にそれは数年以上の信頼を築く事すらある。

 だからこそ名代は、召喚士の意図を大いに汲み取っていた。

名代「切り札は、召喚士殿の4属性召喚士に、私の式神を合体させる気ですね?」

召喚士「……五行ではないですから、命にかかわるものじゃないですよ」

名代「だが4行。召喚士殿の負担を考慮すれば、確実に安全とは言い難き事です」

召喚士「でもっ、シンノアクゴロウは不死です。万が一、思念体の開放が出来ない場合は……」

名代「五行詠唱。魔道士さん……ですか」

召喚士「彼女に五行を使わせるわけにはいかないんです。そうなれば切り札は……」

名代「……」

召喚士「大丈夫です。俺は死にませんよ」

名代「……?」

召喚士「予言で出てましたから。俺は死なないって」

名代「予言、ですか」

召喚士「ええ、だから安心して下さい。必ずうまくいきます」

 そんなやりとりがあったのは寺の住職との会談直後。女性人が入浴へと向かった最中であった。
54 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:15:54.91 ID:NBhbkqyro
カポーン

東方司令「…………っ」

魔道士「東方司令さんも一緒に入りましょうよ〜っ」

帝「そうだぞ。何時もの様に、背中を流してくれ」

東方司令「いえっ、今日は……すみません……」

帝「ああ。あの日か」

魔道士「ごめんなさい、気を遣わなくて」

東方司令「違うっ! あ、いえ……お構いなく」

魔道士「……?」

東方司令(そうだよ、思い出した。あの魔道士とかいう子……前国王の落胤じゃないかっ!)

魔道士「上様〜っ。お背中流しまする〜!」

帝「ち、ちとくすぐったいぞ……馬鹿者っ」

東方司令「東方の王に……本国の王女。そんな状況で私が一緒に入るなど……)

魔道士「上様……とっても綺麗……っ」

帝「……や、やめぬか……もうっ」

東方司令「……それよりもボクが死ぬ。多分」
55 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:16:31.01 ID:NBhbkqyro


召喚士「あーいい湯だったぁ」

名代「それでは召喚士殿、私は先に失礼致しまする」

召喚士「あ、はい。おやすみなさい!」

テクテクテク

召喚士「召喚士さんっ」

召喚士「魔道士さん、まだ……寝ないんですか?」

魔道士「何だか、なかなか眠れなくて」

召喚士「分かります。寺ってなんだか雰囲気が……それに独特の臭いが苦手で……ははっ」

魔道士「それもありますけど……」

召喚士「……?」

魔道士「盗賊さん……大丈夫ですよね……?」

召喚士「予言……ですか?」

魔道士「はい……」

召喚士「俺は信じてますよ、戦士を。信じる思いはきっと力になります。だから信じましょう」

魔道士「そうですよね。盗賊さんは強いですし、戦士さんだって強いですもん。大丈夫ですよね!」
56 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:16:58.29 ID:NBhbkqyro
〜藤蔵〜

盗賊「……」

戦士「よっ。心配か? 暗い顔して」

盗賊「戦士……」

戦士「心配だろうけどさ、大丈夫だって」

盗賊「うん。分かっているよ」

戦士「前にゲーデが言ってた。生への渇望、運命は変えられるってな」

盗賊「生への渇望……」

戦士「生きたいって思いが運命を変えるんだ。最後まで諦めちゃならねーんだよ」

盗賊「生きたいという思い……そうだな。それに戦士が居れば大丈夫だよね」

戦士「お、おう……っ」

盗賊「あ……」

戦士「……と、とにかくだ! 俺が……守るかんよ!」

盗賊「うん。宜しく」

戦士「じゃあ寝るわっ! 明日からは頑張ろうぜ!」

盗賊「……おやすみ」
57 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:17:25.85 ID:NBhbkqyro
カコーン

御館様「何か不届きな声が聞こえたな」

侍女「そうですか? ししおどし以外には何も聞こえませんけど」

御館様「……幻聴か」

侍女「御館様も御年を召されましたからねぇ〜」

御館様「たわけが。冗談も程々にせい」

侍女「うふふっ。でも御館様、今回は大人しくしていて下さいね」

御館様「……」

侍女「上様や名代様からも、御館様は待機、と強く言われておりますからね」

御館様「分かっておる。それが藤蔵当主としての務めだ」

侍女「此処の事は私達にお任せ下さいませ。それよりもやはり、心配なのは……」

御館様「北の連中か?」

侍女「姫も居るし、皆……無事ならいいんですけど……」

御館様「奴らも付いておる。心配は無用。それよりも己の身を案じるが良い」

侍女「そうですよね」

御館様「……」
58 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:18:00.63 ID:NBhbkqyro
〜北の城〜

ドドッドドッドドッ

男隊員「随分と賑やかだな」

旗本「篝火の数が尋常ではないな。何かあったのやも……」

ドドッドドッドドッ

旗本「都よりの救援である。城主殿に面会を所望致す!」

足軽「旗印は……旗本様かっ! これは良い所に来て下すった!」

格闘家「まるで戦闘中かのような慌しさですね」

隊長「……あながち、そうなのかもしんねーな」

ガチャガチャガチャッ

城主「よくぞ来てくれた旗本殿! おぉっ! それに貴殿は……隊長殿かっ!」

隊長「ヤマタノオロチ以来だな。それで、この騒ぎはどうした?」

女隊員「ま、まさか……魔王軍が!?」

城主「いや、もっとタチが悪い話でござる。蜂起に略奪に一揆……何と言い表せば良いか……」

旗本「まさか、東の残党が蜂起をしたと?」

城主「東だけではござらぬ。かつての北の残党や賊徒。妖と手を組んでおる連中も……」
59 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:19:29.46 ID:NBhbkqyro


パチッ…バチバチッ

旗本「賊に残党に……僧侶もか」

城主「此度の戦で上様の下へ総本山が回った事で、敵対する宗派が一斉に蜂起したのだ」

旗本「くそっ! 敵は妖だと言うのに、忍玄武娘同士が足を引っ張ってどうするかっ!ダンッ

城主「この事態、予想はしていた。その為に、東側の藤蔵へも要請はしておいたのじゃ」

男隊員「藤蔵? どういうこった?」

城主「北へ兵を回せば、都や東の城は手隙となり、しかも距離も離れておる」

隊長「なるほど。反逆者やクーデターを起こしやすいって事か」

城主「その為に此処と藤蔵で中央を担うつもりであったが、なにぶん数が多すぎる……っ」

旗本「平和なようにみえて、実際はこの有様か……」

城主「ともかくじゃ、これでは北の兵は動かせぬ。それどころか足りないくらいで御座る」

隊長「いいよ。あんたらは東方の人間だ。東方の為に戦ってくれ」

旗本「隊長殿っ!?」

隊長「魔王は俺らが引き受ける。東方を1つにまとめあげる事が、お前さん達の仕事だよ」

城主「……っ」
60 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:20:22.88 ID:NBhbkqyro


隊長「それじゃ俺らはこのまま北へ向かう」

旗本「大丈夫ですか?」

隊長「一度行ってるからな。まぁ何とかなるさ」

城主「すまぬ隊長殿……っ」

隊長「構わないさ。吉報を待っていてくれ。そして、あんた達の吉報も待ってるぞ」

旗本「早々に鎮圧し、駆けつける所存にて!」

格闘家「それでは」

グイッ

男隊員「さぁいよいよだ。他の連中に遅れちゃあ特遊の示しガつかねぇぜ……ヒャハハ!」

女隊員「行くッスよぉー!」

城主「法螺貝に陣太鼓を打ち鳴らせ!隊長殿らを盛大に見送るのだ!」

ドドッドドッドドッ

男隊員「本当に道は分かってんだろうなぁ!?」

隊長「星の位置は前回覚えた。それに一度進んだ道は二度と忘れん。お前と一緒にするな」

 たった4人の特遊は、騎馬を飛ばし、徐々に白みを増してゆく北へとひたすら駆けて行った。
61 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:21:11.17 ID:NBhbkqyro
〜次の日、東の海上〜

西方参謀「うっほおぉ、寒みぃ〜っ!!」

東方参謀「常日頃から酒が入っておるくせに情けない」

西方参謀「それとこれとは話が別だ……ヒック」

南方参謀「このまま北上すれば魔王のアジトなのよね……?」

槍侶「そう伺っております」

東方参謀「その前に最北の砦なる場所で他の者らと合流だ」

西方参謀「そっからは険しい道のりなんだよな? んで、船頭は見つかったのかい?」

南方参謀「そうよ。船が最新鋭だとしても舵取りがいないんじゃあどうしようもないわよ?」

東方参謀「それは任せてある。手掛かりがあると本人たっての希望だ」

西方参謀「ならいいけどよ……ヒック」

南方参謀「今のところ魔物の気配もないし、順風満帆てとこかしらね」

東方参謀「いつ敵が来るとも限らぬ。警戒は怠ってはならぬぞ」

槍侶「承知しております」

西方参謀「合流は明朝。順風満帆とは言ったが向かい風だし、慎重に遂行しようぜ……ヒック」

南方参謀「ええ、そうしましょう」
62 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:21:49.65 ID:NBhbkqyro
〜藤蔵〜

土忍「準備は出来ましたか?」

盗賊「ああ、こちらはいいぞ」

戦士「鬼丸、お前は?」

鬼丸「いつでもいいぜ」

風忍「ではこのまま真っ直ぐ、北上致します」

侍女「みんな気を付けてね……っ」

水忍「侍女、お前も俺達の帰るこの藤蔵を、しっかり守るのだぞ」

侍女「分かってます」

ザッザッザッ

火忍「御館様……!?」

御館様「お前等はこの藤蔵が誇る、最高の忍だ」

盗賊「……っ」

御館様「存分に力を発揮し、そして生きて再び藤蔵へと帰って来い。命令である」

盗賊「はっ。必ずや」

風忍「よし、それでは行くぞっ!」
63 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:22:57.22 ID:NBhbkqyro
〜西の寺〜

帝「住職、大変世話になったな」

坊主「此方こそ。まさか上様にご来訪頂けるなどと思いもよらぬ事で御座います」

召喚士「いよいよ、剣聖の屋敷へ出発ですね」

魔道士「はい……っ」

坊主「拙僧から心ばかりでは御座いまするが、これを……」コトッ

東方司令「これは?」

魔道士「えぇと、コンブにクリに……アワビですか?」

名代「打ち鮑にかち栗、昆布……出陣式における三献の儀ですな」

坊主「左様。敵に打ち勝ち、喜ぶ。語呂合わせですが縁起物です」

帝「有り難く頂戴しよう。確か、南を向くのであったか?」

名代「簡略ですが一応、形だけでも行うと致しましょうか」

 本堂の隅に立てかけられた床机へ腰掛け、南を向いた帝。

 その左右に名代、東方司令、召喚士、魔道士、座り、坊主が膳を帝の前へと運ぶ。

 帝はまず鮑を口に含むと、一同は酒代わりに茶を一度飲み干し、栗、昆布と同様に続ける。

 三献を終えたところで一同が立ち上がり、帝の声に合わせ、威勢良く掛け声を放った。
64 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:23:46.40 ID:NBhbkqyro


ザシャッ…パッカパッカ

坊主「皆様のご無事を、微力ながらこの地より祈らせて頂きましょう」

名代「世話になりました。それでは、失礼」

帝「行くぞっ」

東方司令「はい」

グイッ…ドドッドドッドドッ

帝「まずは剣聖の屋敷手前、3里の所まで一気に進むとしよう」

名代「はっ。神野悪五郎が動くやもしれませぬ。警戒はお忘れなきよう」

魔道士「はいっ!」

ピクッ

東方司令「……?」

名代「どうか致しましたか?」

東方司令「……いや、何でもない」

帝「妖だとしても捨て置けい。どうせこの時間では人前に姿を現さぬ」

東方司令「はい」
65 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:24:32.55 ID:NBhbkqyro
ドドッドドッドドッ…

サル「……馬?」

イヌ「西へ向かってたね。何かあるね?」

キジ「西は無法地帯って言ってたさー。どうせ悪党か何かさ」

女侍「……」ザッザッ

サル「おいおい待てっつーの」

女侍「ついて来いなんて言った覚えはないよ」

キジ「別に俺らが好きで付いて行ってるだけさー」

イヌ「そうね。お頭の事は関係なく、好き勝手にやってるだけね」

女侍「ああそうかい」

サル「んで、寺に戻ってどうしようってんだ?」

女侍「屋敷に行くのさ」

サル「そんなお宝が大切なのか? 今回ばかりは命に関わるぜ?」

女侍「あたいにとっちゃあ命を賭ける価値のあるお宝なのさ」

サル「……ふーん。気〜になっちゃうねこれまた」

女侍「……」
66 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:25:14.48 ID:NBhbkqyro
ザッザッザッ

坊主「……おや、お主等まだこの近くにおったのか?」

女侍「今、出て行った馬はなんだい?」

坊主「さてのぅ」

女侍「とぼけるんじゃあないよっ。まさか、剣聖の屋敷へ行ったんじゃあないだろうね?」

坊主「もしそうだとしても、お主には関係のない事であろうよ」

女侍「関係あるね。あたいはこれから剣聖の屋敷に行くんだよ」

坊主「何っ!? 先日、妖におそわれたばかりではないのか!?」

女侍「だからこそ行くのさ。借りは必ず返すのがあたいの主義なのさ」

坊主「……むぅ」

女侍「だから一般人や冷やかしみたいな連中がいたら邪魔になるのさ」

坊主「……それであれば、力を貸してやるが良い」

女侍「何だって?」

坊主「先程、西へ向かった面々はな、神野悪五郎を討伐する為の者らじゃよ」

女侍「!?」

坊主「内密にと言われていたが、向かう先が同じではどうせ鉢合わせるだろうしな」
67 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:25:49.96 ID:NBhbkqyro
女侍「誰だい、誰が向かったのさ」

坊主「……上様じゃ」

女侍「――――っ!?」

坊主「それと名代殿。あとは異国の武者であったな。男が一人と女子が二人」

女侍「国軍か? どんな奴だった?」

坊主「まだ若い連中じゃったな。男は召喚士、女子の一人は魔道士と申しておったが」

女侍「……あいつらかい」

坊主「顔馴染みか?」

女侍「軍の連中でないなら、いや……妖退治でしかも上様とはねぇ……」

坊主「いかに強いと言えどたかが五人、どうか力になってやってくれ」

女侍「言われないでもなってやるさ。あたいだってやらなきゃならないんだからねぇ」

坊主「無理はするなよ。お主、賊徒と申しておったが……とても悪党には」

女侍「余計なお世話さ。ま、死んだら経の一つでも唱えておくれ」

坊主「……」

女侍「それと、妖を退治したら頼みたい事があるんだ。ま、それは帰ってきてからでいいかねぇ」

坊主「……?」
68 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:26:32.17 ID:NBhbkqyro


ザッザッザッ

サル「おっ、戻ってきたぞ」

イヌ「どうだったね?」

女侍「さっきの連中はコカトリスの召喚連中と、東方の王様だとさ」

キジ「!?」

サル「な、何だってんだよおい……っ」

イヌ「お頭、やっぱり何か隠してるね?」

女侍「隠してようがなんだろうが、あんたらには関係のない事だろう?」

イヌ「ま、それもそうね」

キジ「何だろうが、お頭についてくだけさー」

サル「てか屋敷な」

女侍「勝手にしな。どうなっても知らないからね」

イヌ「死ぬ時は死ぬ時ね。今日であれ明日であれ、10年後であれ死ぬね」

女侍「……分かったような事、言うんじゃないよ」

サル「よ〜やく笑ったな。それでいい、そうでなきゃらしくね〜ぜ! ん〜ふふふふっ!」
69 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:26:58.76 ID:NBhbkqyro


ドドドッドドドッ…

名代「上様、そろそろかと」

帝「うむ、そうだな」

ドドォ

名代「ここより三里程の所に、剣聖の屋敷跡があると思われます」

 地図を広げ召喚士らに見せる名代は下馬し、周囲をぐるりと見渡した。

名代「妖の気配は特になさそうですね。しかし何があるか分かりませぬ」

 そう言うと、懐より取り出した2枚の札を右手で構えると、前方へと投げ飛ばした。

シュバッ……ボンッ!!

天狗「……」

雪女「……ふふっ」

名代「天狗と雪女に上空から偵察させましょう。頼むぞ」

ババッ…ヒュウウゥゥゥゥ

帝「さて、ここからは徒歩で前進だな」

東方司令「ボクが先頭を行きます。上様はボクの傍から離れぬよう」
70 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/22(木) 18:34:17.18 ID:NBhbkqyro
ザッザッザッ…

東方司令「……」

帝「……」

魔道士「……っ」

召喚士「……んっ」

名代「どうし――」

バシュンッ!!

天狗「――――っ!!」ボンッ!!

名代「天狗っ!!」

東方司令「きたかっ。どこだ……?」チャキッ

召喚士「行けっ、コカト――」

神野「そう身構えんなや。わいと戦いにきたんやろ?」

ゴゴゴゴゴゴ…

召喚士「――っ!?」ゾクゥッ!!

 背後の岩に腰掛ける神野悪五郎は、にたりと笑い、ゆっくりとした口調で語った。
71 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/22(木) 18:39:51.69 ID:NBhbkqyro
今日はここまでにて失礼致します!
ご支援いつもありがとうございます!それでは!ノシ

こちらこそもはや誤字と投下は日課になってしまいましたね…ごめんなさい
72 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 18:42:05.91 ID:ZUz7zSTDO
乙!

今日は誤字おおかったな
クリスマスで浮かれてんのかリア充めww
73 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 18:48:48.72 ID:yXXwGjLDO
いちおつ!
忍玄武娘って人間の打ち間違いだよな…?wwww
74 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 19:36:30.06 ID:ubbCtF5AO
>>1

誤字かわいい
ドジっこかわいい
75 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 19:43:57.17 ID:QbRSu8N1o
略して誤字っこ
76 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 19:45:32.44 ID:gntsJZxVo
忍玄武娘wwww
乙乙!
77 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/22(木) 20:12:24.91 ID:QbRSu8N1o
忍者ごっこしてる玄武娘想像してテンション上がってきた
オマケ期待だな
78 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage ]:2011/12/22(木) 21:49:42.72 ID:BAiyB4sro
1乙
召喚士「召喚士さんっ」
は笑ったw
モテなくて一人で話てる男を想像したわ
79 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/22(木) 21:53:07.13 ID:5a9YYR0J0
いちおつ
忍玄武娘…か、かわいい
80 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 00:18:19.48 ID:2P2p4Z4AO
>>1おつ
81 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 00:34:11.22 ID:vYDGzOU70
>>1かわいすぐる///

おつんつんつん
82 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 11:55:19.55 ID:xpAek98Io
忍玄武娘レギュラー化きぼんwwwwww
83 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 12:07:01.62 ID:U9LlWrmvo
あっちに更新されてるぞ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/683
84 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 12:53:39.74 ID:bj7yO4pIO
空気読めない>>83は氏ねよ……
85 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 13:40:30.77 ID:X+3lteCIO
>>84同意
おまおれ
86 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 19:12:23.88 ID:A7x97GpB0
>>84>>85
お前が読め
気持ち悪いんだよくずwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
87 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 19:48:11.24 ID:0z+2LfhAO
>>83-86
ちっさいドングリが背比べかい?
88 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 19:53:37.87 ID:UyJqCo2eo
空気読めないってなんだよ・・・独占欲強すぎじゃないか
89 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 20:07:28.74 ID:g2/EsoCAO
こっちが荒れるぐらいならあっちが荒れた方がいいです、はい
90 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/23(金) 22:37:46.23 ID:4+RnKH3co
本スレの独特の臭い
91 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 02:29:48.11 ID:stZIN6aAO
久しぶりに来たら
まだやってて、驚いた
>>1すげーな


そして相変わらずの誤字wwwwww
なんだか安心したww
92 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 09:10:47.73 ID:b2MqQ36Do
妹「お兄ちゃんって落ち込んだ時どうする?」
俺「んー、別に何も。寝るかな」
妹「ふーん・・」
俺「どうした?何かあったか?」


俺「ううん、ちょっとね」
俺「何だよ水くさいな、言ってみろよ」
俺「う、うんとさ・・・」
俺「おう」
俺「お兄ちゃん、この間一緒に歩いてた人、彼女?」
俺「・・・は?」
俺「前学校の近くで話してたじゃん」
俺「ああ・・・あいつか。なわけないだろ、ただのクラスメートだよ」
俺「ほんと?」
俺「嘘言ってどうすんだよ」
俺「そっか」
俺「てかそんな話はいいんだよ。落ち込んでたんじゃなかったのか?」
俺「ううん、それならいいんだ!えへへ」
俺「おかしな奴だな」
俺「ふふ♪お兄ちゃんに彼女なんてできるわけないよね、よく考えたら。」
俺「こらこら、失礼だぞ」


これ思い出した
93 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 11:22:31.24 ID:2LrWwFrDO
誤爆かと
94 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 19:04:25.29 ID:2r3ZVcpT0
ここで>>1が一言
95 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 20:06:50.25 ID://hsr6qqo
メリークリトリス!!
96 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/24(土) 21:52:04.19 ID:Ct6gU2fTo
        / ̄ \
    __0⌒>   ヽ
   /   ∩⊂ニニニ⊃∩
 /     | ノ      ヽ
|     /  ●   ● |  >>1乙&メリークリクマース!
|     |    ( _●_)  ミ
|    彡、   |∪|  、`\
|   / __  ヽノ /´>  )
 \  (___)   / (_/
   \   |      /
     ̄ ̄|  /\ \
       | /    )  )
       ∪    (  \
             \_)
97 : ◆1otsuV0WFc :2011/12/24(土) 23:30:03.17 ID:JJdx3jqIo
帝「な……っ」

東方司令(馬鹿な……っ! コイツ、いつから……っ)

神野「まぁそう固い顔すんなや。いきなり襲い掛かったりせぇへんて」

魔道士「し……召喚士さん……っ」

召喚士「ええ……」

ザッ

召喚士(……こいつがシンノアクゴロウ)

神野「ま、正々堂々と勝負しようや」

召喚士(……強い。色々な魔物と戦ってきたから分かる)

神野「ん〜? 五人か。こないだの連中は居ないみたいやなぁ」

名代「お主、神野悪五郎とお見受けする」

神野「ああそうや。如何にもわいが神野悪五郎や」

名代「一つお伺いしたい。貴方の目的は何です?」

神野「んなもんあらへん。わいは自由に生きてるだけや」

名代「そうですか。ならば倒すしかありませんね」
98 :>>96ありがとうございまーす! ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/24(土) 23:30:45.70 ID:JJdx3jqIo
ピクッ

神野「ほぉ、わいを倒す? 言うてくれるやないか」

名代「その為に来たのです」

神野「自由に生きてるだけや言うてるのに、酷い話やなぁ」

名代「自由に生きられたのでは困るのですよ」

神野「何やとぉ……?」

召喚士「この地上は人の住む場所だ。お前は帰るべき場所へ帰ってくれ」

神野「……」ポリポリ

召喚士「そうでなくば、俺達は……」

神野「あのな」

召喚士「……」

神野「地上とか地上じゃないとかそんなん関係あらへん」

召喚士「何?」

神野「あんさんも色んな奴と戦ってきたんやろ?」

召喚士「何が言いたい」
99 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/24(土) 23:31:29.65 ID:JJdx3jqIo
神野「人が住むとか地上とか関係あらへん。強いモンが生き残る。そやろ?」

東方司令「じゃあ力でねじ伏せればいいんだな?」

神野「あんたらさー、さっきからそんなん言うてるけど……勝てんの?」

ヒュバッ!!…キイイィィィィン

神野「……」

東方司令「なかなか早いじゃないか」

神野「……ナメとんのかわれぇ」ピキッ

東方司令「それにいい刀だ。お前にはもったいないな」

神野「――っ」ピキピキピキッ

召喚士「東方司令さんっ!」

東方司令「来ないなら、こちらから行くぞ」

神野「殺すッ!!」

ブオンッ!!…ガキイイィィン

東方司令「……そんなものか」

神野「アァ!?」
100 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/24(土) 23:33:01.15 ID:JJdx3jqIo
東方司令「剣を使うからどんなものかと思ったが……」

ググッ

神野「……ッ!?」

東方司令「ああそうか。媒体がどーのこーの言ってたなぁ」

グググッ

東方司令「所詮は借り物の剣術と……刀とって事か」

神野「何やァ……お前ッ!?」

東方司令「覚えとけ。ボクは世界で2番目に強い剣の使い手だ」

神野「――ッ!!」

ザシュウウゥゥゥゥ

魔道士「斬った……っ!?」

帝「……い、いやっ」

東方司令「……っ」

神野「もう終わりか?」

召喚士「傷口が元通りに!? やはり駄目か……っ」
101 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/24(土) 23:35:09.85 ID:JJdx3jqIo
ズグググッ

神野「世界で二番目ねぇ」

グググッ

東方司令「な……っ!?」

神野「それ、所詮……人間での話しやろ?」

サクッ

東方司令「ぐっ!」

神野「井の中の蛙、大海を知らずっちゅー話や」

魔道士「東方司令さん!」

東方司令「かすり傷だ。大丈夫」

名代「召喚士殿、やはり全力でいくしかありませんね」

召喚士「ええ。そうしましょう!」

神野「ん? なんや、まだやんのか?」

召喚士「ああ。これからが本番だ!」

神野「なんやまだ準備運動やったんかい。勿体ぶってくれるやないかい……」
102 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 02:18:28.39 ID:DA/MZ6CAO
>>1おつ

更新は嬉しいがクリスマスくらい休めばいいのに
103 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/25(日) 02:53:33.17 ID:j/iupzsB0
いちおつ
めりくり!
104 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 02:54:12.78 ID:aX3JOZMDO
>>1
メリークリトリス
召喚士が強気だと別人みたい
105 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 07:59:19.04 ID:nRsQcviH0
>>1乙!&メリークルシミマス!
106 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 14:41:26.85 ID:V4NqrIuJ0
>>1
メリーコカトリス!いつもご苦労様
107 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 14:41:50.66 ID:V4NqrIuJ0
>>1
メリーコカトリス!いつもご苦労様
108 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 14:50:57.84 ID:thA136kEo
クリスマスに時間あるひとみたいで安心した





といっていいのかどうか
109 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/25(日) 17:30:55.10 ID:Z54cQSjz0
メリークリトリス!
クリスマスイブくらい休んでいいのよ?




更新は凄くうれしいけれども
110 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 17:34:06.07 ID:UCbqcrobo
察せ、というやつでは
111 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:14:28.12 ID:6J84pd6zo
察せ。今日はクリスマスだから特別編ですよ!↓
112 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:15:01.83 ID:6J84pd6zo
 しとしとしと

名無し「うーっ、こんな寒い中仕事なんぞ……したかねぇんだよなくそっ」

 文句を言いながら一軒の屋敷へと入っていくのは、一人のワーカー。

名無し「ういーす。さっむ……とりあえず、何か暖かいモン飲ませてくれぇ」

雇い主「てめぇで勝手に飲みなっ。飲ませてやるだけ在り難く思うんだね」

 ぶっきらぼうに答えた長い金髪の女は、彼の雇い主であった。

名無し「へいへい。んで、仕事だったらお断りだぜ」

雇い主「仕事以外に、あんたを招いたりすると思うかい?」

名無し「へっへ。もうじきクリスマスだからな。てっきりお誘いかと思ったよ」

 眼鏡を外しながら本を閉じ、椅子から立ち上がった雇い主は、

 暖炉で暖めていたポットに手を伸ばし、コーヒーを入れる名無しの元へ近づく。

雇い主「ほれ、依頼だよ。一仕事してきなっ」

名無し「はぁ〜あ。んで、いつだい?」

雇い主「クリスマスの晩だ。どうせ暇なんだ、スケジュールが埋まって良かったなぁ」

名無し「……けっ、余計なお世話だっつーの!」
113 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:15:48.20 ID:6J84pd6zo
 こぽこぽこぽっ……ことっ

名無し「んで、依頼主は?」

雇い主「北のさ、川沿いの村……知ってるかい?」

名無し「あぁ。でもあそこは魔王軍に襲われて、壊滅したんじゃなかったっけか?」

雇い主「いんや。今でも数人が暮らしてるよ」

名無し「無事なのか?」

雇い主「みたいだね。ま、生き残りも数人だろうけど」

名無し「んで、魔物退治か? 村の再興か?」

雇い主「ん」

名無し「手紙? ワークショップ経由じゃねぇのか……」

 かさっ

雇い主「依頼主は村の少女。両親は魔物に殺され、今は一人住まいみたいだね」

名無し「おいおい……っ、何だよこれっ!」

雇い主「ま、詳しい話は直に行って聞いてくれ」

名無し「……ったく、馬車代あとで請求すっからな!」
114 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:28:19.07 ID:6J84pd6zo
 ぱっかぱっかぱっか……

御者「着きましたぜ旦那」

名無し「おう。ちょいとまけてくれ」

御者「そうはいきませんよ、こっちも商売ですから」

名無し「……高けぇなぁ。請求できっかなこれ」

 すたっ

名無し「んで、少女ってのはどこに住んでんだ?」

 てくてくてく

名無し「……つーかこれ、人……住んでんのか?」

 馬車を降りると広がる川沿いの村。とても人が住んでいるような気配はない。

名無し「えーと、とにかく一軒一軒あたってくしかねぇか」

 煙突の煙や明かりを目印に、訪ねること数軒目……。

 がちゃっ

少女「……はい」

名無し「依頼主の少女ってのはあんたかい?」
115 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:28:44.20 ID:6J84pd6zo
少女「ワーカーの人?」

名無し「ああそうだ。ほれ、これ……あんたがよこした手紙だろ?」

少女「……入って」

名無し「おう」

 すたすたすた

名無し「……これまた、立派なおうちだこと」

少女「魔物が来るまではちゃんとした家だったんだよ。これでもね」

名無し「気の毒なこったな。引っ越さねぇのか?」

少女「おんなお金ないし、頼る人もいない」

名無し「……そか」

少女「何か飲む?」

名無し「何かあんのか?」

少女「裏の草むらで取れた、ハーブを煮たやつなら」

名無し「ご馳走だな。そんじゃ遠慮なく貰おうか」

少女「そこ、座って待ってて」
116 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:29:39.33 ID:6J84pd6zo
 こぽこぽこぽ……

名無し「んで、依頼ってのはなんだ?」

少女「お父さんとお母さん」

名無し「あん?」

少女「お父さんとお母さん……連れてきて」

名無し「死んだんじゃねーのか?」

少女「……うん」

名無し「じゃあ無理な相談だな。俺には不可能だ」

少女「いいよ、代わりでも」

名無し「あん?」

少女「もうすぐクリスマスでしょ? お父さんとお母さんと……家族で過ごしたいの」

名無し「死んだ人間は生き返ったりしねぇ。諦めな」

少女「だからっ、代わりでも……いいの」

名無し「あのなぁ、代わりったってそんなんどこにいるんだよ?」

少女「おじさんでもいいよ。お父さんになってよ」
117 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:30:26.09 ID:6J84pd6zo
名無し「ぶっ!」

少女「……汚いなぁ」

名無し「お前が変な事ぬかすからだろっ!」

少女「誰でもいいのっ! お父さんとお母さんと……過ごしたいのよ」

名無し「はぁ」

少女「無理?」

名無し「無理」

少女「ワーカーは、どんな仕事でもしてくれるんじゃなかったの?」

名無し「それとこれとは話が別。んじゃ、ハーブ湯うまかったぜ。じゃあな」

 すくっ……すたすたすた

少女「……う……っ、うくっ」

名無し「……」

少女「……ふ……うぅっ」

名無し「だあぁっ、もう! 泣くなっつーの!」

少女「じゃあ連れてきてくれる!?」
118 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:31:55.23 ID:6J84pd6zo
 てくてくてく

名無し「ったく、ガキのくせに嘘泣きとかマセた真似しやがってくそ」

 てくてくてく

名無し「しかし、代理の両親なんぞどうすっかな……」

 てくてくてく

名無し「適当にボランティア募って、数合わせすっか?」

 てくてくてく

名無し「でもそれじゃアイツが納得しねーだろうし、何より人攫いなんかマズイしなぁ」

 てくてくてく

名無し「……っておいおい」

 ぴたっ

名無し「馬車帰らせちまって……歩いて帰れってのか!?」

 がくっ

名無し「はぁ、こりゃ依頼でがっぽり貰わんと割りにあわんぜ……てかアイツ金ねぇとかぬかしてなかったか?」
119 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:32:43.41 ID:6J84pd6zo
〜雇い主の屋敷〜

 がちゃっ

雇い主「おや、随分と遅かったね」

名無し「おい、服脱げ」

雇い主「……は?」

名無し「ベッドインだ。早くしろ」

 ばきぃっ!

名無し「いってぇな!」

雇い主「気でも狂ったかおのれは」

名無し「仕方ねぇだろ。依頼主の為だ」

雇い主「意味が分からん。細部に渡り説明しろ」

名無し「だからあのな……」

……

雇い主「ふぅん。それじゃさっさと両親を探してくれば良かろうに」

名無し「簡単にいたら苦労しねーんだよ。だから俺とお前がベッドイ――」
120 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:33:14.78 ID:6J84pd6zo
 ばきっ! どかっ!

名無し「――――っ」

雇い主「発想が大胆すぎる。もう少し頭を回転させろ」

名無し「……ちっ、覚えてがれくそっ」

 ばたんっ……てくてくてく

名無し「仕方ねぇ。ひとまず本国にでも行ってみっか」

 がちゃっ

名無し「……何だよ」

雇い主「忘れもんだ」

 ぽいっ……ばさっ

名無し「……!?」

雇い主「馬車代。請求すんだろ?」

名無し「へぇ〜っ。意外と優しいじゃねぇか」

雇い主「貴様とベッドインするくらいなら安いものだ」ばたんっ

名無し「……あっそ」
121 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:33:40.43 ID:6J84pd6zo
〜本国〜

名無し「来たはいいけど、別にツテがあるわけでもなし」

 すたすたすた

名無し「ひとまずはここ、ワークショップにて情報を。これワーカーの基本っちゅー話」

 がちゃっ

店員「いらっしゃいませ」

名無し「お、なかなかカワイ子ちゃんね。俺と子作りしない?」

店員「……ありがとうございましたー」

名無し「ジャスタモーメントオオォォ!!」

店員「冷やかしなら怖い人呼びますよ?」

名無し「あのさ、ちょっと厄介な依頼受けちまってよ、手助けが必要なんだ」

店員「依頼補助ですか? 場合によっては手数料が発生しますよ?」

名無し「嫌だねぇ。人助けだと思ってさ、なんとかタダで受けてくんねーか?」

店員「内容によります」

名無し「実はよ……」
122 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:34:41.29 ID:6J84pd6zo
……

店員「……うっ、うぅ〜。いいお話ですねぇ……っ!」

名無し「だろっ? なっ、ここは少女の夢を叶える為にもさ、なにとぞタダで――」

店員「手数料はEランクですね。お支払い願います」

名無し「……世知辛い世の中だねこれ」

店員「でも、そんな奇特な人……居ないと思いますよ?」

名無し「だろうねぇ。飛びついてくるのなんて、せいぜい人攫いくらいでしょーよ」

店員「そこはワークショップの名にかけて、身分の証明出来るちゃんと人を厳選します!」

名無し「来ればね」

店員「ていうかぁ、名無しさんが務めたらいいじゃないですか」

名無し「だからさー。俺がモテる風貌に見える?」

店員「見えません」

名無し「キッパリ言うなっつの。でも嫌いじゃないぜそういうの。だから俺と子作り――」

店員「ありがとうございましたー!」

名無し「……じゃ……頼んだよ……はぁ」
123 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:35:28.57 ID:6J84pd6zo
……

名無し「なぁ、養子の話があんだけどさ……」

男「うちは子供が28人もいるんだ。無理無理」

名無し「あ……そ」

……

名無し「ねぇ、俺と結婚しないっ!?」

女「鏡見てもの言えこのアホーッ!」どかっ

名無し「うひぃーっ!」

……

名無し「じつはさーこんな少女が居てねぇー」

おばさん「そんなん無理だよぉ。孤児院にでも行ったらどうだい?」

名無し「……はぁ、話聞いてくれてあんがとさん」

……

名無し「もうすっかり日も落ちちまった……。こりゃ今日は出直しだな」

――「ねぇねぇオジサンっ!」
124 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:36:11.29 ID:6J84pd6zo
名無し「あん?」

カワイコ「私、カワイコって言うんだけどさー」

名無し「金ならねーぜ、他あたりな。まっ、タダなら相手してやってもいいけどな!」

カワイコ「私がそんな女に見えるわけぇ〜? ひっどーい!」

名無し「じゃあ何だってんだよ」

カワイコ「オジサンさ、なんか養子を貰ってくれる人、探してるんだって?」

名無し「おぉっ!? そうなんだよ! 心当たりあるのか!?」

カワイコ「まぁね〜」

名無し「ぜひ紹介してくれっ!」ぎゅっ

カワイコ「手は握らなくていいから……っ。紹介してあげるよ」

名無し「助かるぜっ! あ……身分はちゃんとした奴だよな……?」

カワイコ「もっちろん! ちゃんとしてるっていうか〜」

名無し「あん?」

カワイコ「まぁいいからっ、とにかく付いてきてっ!」

名無し「おうよ!」
125 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:36:39.12 ID:6J84pd6zo
〜富豪の家〜

名無し「……」ぽかーん

カワイコ「何してるの〜? こっちよ、早くー」

名無し「お、おう。ってか……すっげぇ金持ちなんじゃないのこれ?」

カワイコ「そうだよ〜。すっごいお金持ちなんだよこの家」

名無し「お前んちじゃ……ないよな?」

カワイコ「残念だけどね〜」

名無し「……っ」

 てくてくてく……こんこんっ

召使い「はい」かちゃっ

カワイコ「今晩はっ。富豪次男君、居ますか?」

召使い「……少々お待ちを」

名無し「なんか嫌そうな顔してたぞ今の奴」

カワイコ「大丈夫大丈夫っ。気にしないで〜」

名無し「……ふぅん」
126 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:37:08.75 ID:6J84pd6zo
……

富豪三男「やぁやぁ、待たせたね〜」

カワイコ「もう〜っ。おっそーい」

名無し「こいつが……?」

富豪三男「こいつとか、失礼なオッサンだなおい」

名無し「……」

富豪三男「オッサンさぁ、ガキを貰ってくれる奴、探してるんだって?」

名無し「ガキってお前な……」

 がちゃんっ!

富豪三男「ゴチャゴチャうっせぇなー。どうせテメーがどっかで作ってきたガキかなんかだろ?」

名無し「……あ?」

富豪三男「テメーの面倒引き受けてやるって言ってんだからよ、大人しくご好意に甘えろっての」

カワイコ「ぎゃはははっ」

名無し「あのさ、聞きてーんだけどよ。何で養子探してんだ?」

富豪三男「もうすぐよ〜クリスマスじゃん?」
127 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:37:44.72 ID:6J84pd6zo
名無し「……?」

富豪三男「俺のダチにさぁ、モテない男がいるんだよね〜」

カワイコ「そうそうっ。あいつマジでウケるよねぇ〜♪」

富豪三男「しかもだぜ? モテねーくせにロリコンなの。ぎゃっはははは!」

カワイコ「超ありえないよね〜! まじ変態すぎるんだけど〜!」

名無し「…………」

富豪三男「だからさー、サンタさんになってやろうかと思って」

名無し「……話が……読めねぇ」

富豪三男「オッサンさー、アホ? その辺から攫ってきたら犯罪になっちまうだろーがよ!」

名無し「……」

富豪三男「だからよー。そいつと養子縁組させりゃあ家族。何ヤッてもオッケー!」

カワイコ「あんたってさぁ、超頭イイよねぇ〜♪」

富豪三男「いくら欲しい? 俺もソイツも金ならあるからよ」

名無し「……はぁ、俺もとことんツイてねーよなぁ」

富豪三男「あん?」
128 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:38:30.43 ID:6J84pd6zo
名無し「邪魔したな」

 すたすたすた

富豪三男「おいおい。養子の話は――」

名無し「俺が探してんのはなぁ、奴隷売買の相手じゃないんでな」

富豪三男「はぁ!? おいテメー! ちょっと待てよ」

名無し「無駄足だった……。この時間返してくれっつーのもう……」

富豪三男「待てっつってんんだろーが!」

カワイコ「ちょっと……っ!?」

 ばたんっ! すたすたすた……

名無し「ま、やっぱこうなるわな。本国も腐ったモンだよ全く」

 かちっかちっ しゅぼっ!

名無し「……ぷあぁ〜。先代の時は、もう幾分かマシだったんだがねぇ」

 口元に咥えた煙草の煙を、空から降って来た白い粉がふわりと掻き消した。

名無し「……あーあ、雪かよ。どこまでもツイてねーったらありゃしないわ」

 寒さに肩をすくめ、名無しは街角の古びた素泊まりの宿へと消えて行った。
129 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:39:10.17 ID:6J84pd6zo
名無し「邪魔したな」

 すたすたすた

富豪三男「おいおい。養子の話は――」

名無し「俺が探してんのはなぁ、奴隷売買の相手じゃないんでな」

富豪三男「はぁ!? おいテメー! ちょっと待てよ」

名無し「無駄足だった……。この時間返してくれっつーのもう……」

富豪三男「待てっつってんんだろーが!」

カワイコ「ちょっと……っ!?」

 ばたんっ! すたすたすた……

名無し「ま、やっぱこうなるわな。本国も腐ったモンだよ全く」

 かちっかちっ しゅぼっ!

名無し「……ぷあぁ〜。先代の時は、もう幾分かマシだったんだがねぇ」

 口元に咥えた煙草の煙を、空から降って来た白い粉がふわりと掻き消した。

名無し「……あーあ、雪かよ。どこまでもツイてねーったらありゃしないわ」

 寒さに肩をすくめ、名無しは街角の古びた素泊まりの宿へと消えて行った。
130 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:39:45.33 ID:6J84pd6zo
〜北方、川沿いの村〜

 がちゃっ

名無し「ういーす」

少女「見つかった!?」

名無し「そーカンタンに見つかってたまるかって〜の」どかっ

少女「じゃあ頑張ってね」つんっ

名無し「あのなぁ〜。これでも結構、頑張ってんだよ俺?」

少女「飲み物ならもうないわよ」

名無し「はぁ!?」

少女「昨日で全部飲み終えちゃったもの」

名無し「マジかよ……」

少女「また春に会いましょう」

名無し「ノー! 俺は今すぐに会いたい!」

少女「じゃあ買ってきて。勿論、おじさんのお金で」

名無し「あのなー、俺だって貧乏なんですよ?」
131 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:40:33.23 ID:6J84pd6zo
少女「だってうち、お金ないもん」

名無し「……へいへい、行ってきますよ。んで、何が飲みてぇんだ?」

少女「本当っ!? えっとねぇ……じゃあ紅茶っ♪」

名無し「はーいはい。んじゃ大人しく待ってろよ」

少女「おじさん大好きっ! ありがとーっ!」

名無し「ったく、調子のいい奴だなおい」

 ばたんっ てくてくてく

名無し「んで、どこに行くか。本国はヤダし……北の港言ってみっか」

〜北の港〜

男「よってらっしゃい見てらっしゃい! クリスマス特価の大バーゲンセールだよ!」

名無し「どこもかしこもクリスマス……。ま、賑やかでいいけどねぇ」

 すたすたすた

名無し「お、ここだな」

 がちゃっ

店員「いらっしゃいませ」
132 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:41:38.33 ID:6J84pd6zo
名無し「紅茶をくれ。えーっと……ウマいけど安いやつ」

店員「これなんてどうです?」

名無し「高いな。もっと安いやつ」

店員「じゃあこれは?」

名無し「高い高い。もっと安くてウマいのあんだろ」

店員「……じゃあ……これ」

名無し「ああ、それでいいや。100gぶんくれ」

店員「100g……ですか?」

名無し「文句あるの? あ、あと領収書ね」

店員「こ、これで領収書ぉ〜?」

名無し「んだよ、文句あんのかよ。こっちだってなぁ、生活がかかってんだよ」

店員「……はいどうぞ」

どんっ

名無し「ま、おりるか分かんねー領収書だけどな。あんがとさんっ!」

店員「はいどうも」
133 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:42:25.25 ID:6J84pd6zo
 がちゃっ てくてくてく

名無し「はぁ、とりあえずこれで帰るか」

 〜♪

名無し「吟遊詩人か。いいね、クリスマスソングってのもさ」

 〜♪

名無し「おっ、姉ちゃん! 俺と結婚しない!?」

女「はぁ!? ワーカー呼びますよ!」

名無し「ひゃあっ、怖い怖い……うははは!」

女「何なのよもうっ!」

〜北方、川沿いの村〜

名無し「ふふんふ〜ん。ふふ〜」

 ざざっ

名無し「――――!?」

 タッタッタッタッタッ バンッ!

名無し「チクショウ!! おぉーい!!」
134 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:43:49.81 ID:6J84pd6zo
 バタンッ! タッタッタッタッタッ……

名無し「魔王軍の連中か……っ。無事でいてくれ!」

 タッタッタッ ズザァ

名無し「……はぁ……はぁ……はぁっ」

オーガ「……あ? 何だぁテメェ――」

 ザシュウウゥゥゥゥ!!

オーガ「オ……オ……オガガ」

 ドサッ

名無し「人が居ただろ。そいつら……どうした」

ワーウルフ「オーガ……一撃で……っ」

名無しどうしたかって聞いてんだよぉ!!」

 ズバシュウウゥゥ!! ドシャッ

ゴブリン「ななっ、何人かは食ったけど……あとは知ら――」

ザシュッ!!

名無し「…………っ」
135 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:44:52.90 ID:6J84pd6zo
 カランッ

名無し「冗談……だよな……」

 ふらっ よろよろよろ……

名無し「……紅茶、買って来たんだぜ」

 かちゃっ そ〜っ

名無し「……?」

少女「……おじさんっ!?」

名無し「お……おぉ……っ!!」

少女「おじさーん!!」

 たったったっ だきっ!

名無し「無事だったかぁ!! ったく、心配したぜおい……!!」

少女「少年くんがこの家に隠れてろって。助けてくれたのっ」

名無し「……?」

少女「このおうちの人っ! いっつも助けてくれるんだよ!」

 そろーっ てくてくてく
136 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:45:26.98 ID:6J84pd6zo
名無し「……おう。もう出てきていいぜ」

少年「ひっ!」

名無し「お前さんが助けてくれたんだってな。この子」

少年「……っ」

少女「少年くんも一人ぼっちでね、それで……」

少年「いきなりっ、魔物が来て……っ! 僕、慌てて少女ちゃんと隠れてえぇ!」

名無し「おーおー。怖かったな、もう安心していいぞ。魔物はみ〜んな逃げてったぜ」

少女「良かったぁ〜。おじさんも無事?」

名無し「おう。剣の腕前を披露するまでもなかったわ。うはははっ!」

少年「おじさんの剣……なんか、かっこいいね!」

名無し「そうか?」

少年「十字架みたい。おじさん……強いの?」

名無し「いんや。おじさんは貧乏ワーカー。ビックリするくらい弱い」

少女「そうなの? なんだ、てっきり強いのかと思った」

名無し「弱い弱い。だから少年っつたか? お前がこの子を守ってやってくれよ!」
137 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:46:17.12 ID:6J84pd6zo
……

少女「ん〜いい匂いっ♪」

少年「本当に……いいの?」

少女「うんっ! おじさんのオゴリだもん! ねー?」

名無し「……はい」

少年「そ、それじゃあいただきます……っ」

ごくっ

少女「はぁ〜。美味し〜い♪」

名無し「だろー? 高かったんだぜぇ?」

少女「嘘くさーい」

名無し「おいっ!」

少年「あはははっ」

名無し「……良かった。やっと笑顔になったな」

少年「うん。ありがとう、おじさん」

名無し「うははっ、俺ぁなーんもしてねぇって……お?」
138 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:47:17.46 ID:6J84pd6zo
 がたっ てくてくてく

名無し「こりゃあ……ハープか?」

少年「あ、うん。お父さんの形見」

名無し「へぇ。そういや今日、吟遊詩人がクリスマスソング奏でてたなぁ」

少女「え〜っ、いいなぁ。私も聞きたかった〜」

少年「あっ、そ……それじゃ僕が弾いてあげる!」

名無し「おぉっ! 弾けるのか!?」

少年「でも久々だから……ちょっと練習させて」

少女「あっ! それじゃあさ、クリスマスの夜……パーティーしようよ!」

少年「パーティー?」

少女「そっ♪ おじさんがね、新しいお父さんとお母さんを連れてきてくれるのっ♪」

名無し「…………」ずずー

少女「ねっ、おじさん!」

名無し「え、えーと……はい」

少女「楽しみだなぁ〜♪ えへへへ〜っ」
139 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:48:08.41 ID:6J84pd6zo
……

名無し「まずいまずいまずい。あっという間にクリスマスイーヴ!」

 ばんっ!!

名無し「おいっ、俺と性交――」

 ばしゃっ!

名無し「あっぢいいいいぃぃぃぃ!!」

 がたんっ! ごろごろごろごろっ

雇い主「何だお前は? 盛りのついた犬か」

名無し「ぎゃああぁぁ!! 領収書が水浸しいいぃぃぃぃ!!」

雇い主「うーん……金額が見えん。これは却下だな」ぽいっ

名無し「ノオオオオォォォォ!!」

雇い主「それでどうした? ギブアップか?」

名無し「ギブ出来るもんならしてーよ全くよぉ」すたすた

雇い主「ん? 鎧なんぞ持ち出してどうした?」

名無し「たまには気合い入れねーとさ。明日はクリスマスなんだし」
140 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:48:51.45 ID:6J84pd6zo
雇い主「仮装か?」

名無し「ま、そんなとこね。うははっ」

 がちゃがちゃっ

雇い主「とにかく、頑張れよ」

名無し「へいへい。言われんでも頑張りますよー」

 すたすたすた がちゃっ

雇い主「……北で魔王軍が暴れてる。気を付けろよ」

名無し「ああ。聖なる夜だ、魔王軍にとっちゃ面白くねー日だろうしな」

雇い主「……」

名無し「それじゃあな。良いクリスマスを」ばたんっ

雇い主「…………っ」

 てくてくてくてく

名無し「さーて。結局父母は見つからず。困ったねぇ」

 てくてくてくてく

名無し「とりあえず、お父さんだけでガマンして貰えっかねぇ」
141 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:49:58.14 ID:6J84pd6zo
〜北方、川沿いの村〜

名無し「メリークリスマース!!」がちゃっ

少女「お父さんとお母さんは!?」

名無し「じゃーん!!」ひょこん

猫「にゃーん」ぴょこんっ

少女「……何これ」

名無し「猫です」

少女「見れば分かります」

名無し「お母さん……猫」

少女「猫ですね」

名無し「猫です」

少女「…………」

名無し「…………」

少年「お待たせー! あ……あれ……っ?」がちゃっ

猫「にゃーん」
142 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:50:37.67 ID:6J84pd6zo
……

名無し「悪かったって! なっ? せめてお父さんは俺が務めてやっからさ!」

少女「むぅ〜」

名無し「ほれっ、今日は紅茶の他に……なんとチキンもある!」

少女「……」ちらっ

名無し「それにそれにっ、じゃーん! イチゴの乗っかったケーキだ!」

少女「……」ぱあぁっ

名無し「なっ、だからスネてないで楽しくパーティー……」

少女「……しょーがないなぁ。じゃあ許してあげ――」

名無し「伏せろっ!!」

 がくんっ どさっ!

少女「い、痛いよっ! 許すって言った……」

名無し「静かにしてろ。少年、明かりを消して……お前もこっちに来い!」

少年「えっ!? あ、うん……っ!」ふっ

名無し「いいか? 何があっても絶対に……外へ出るんじゃあないぞ」
143 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:51:13.38 ID:6J84pd6zo
少女「へっ!?」

名無し「俺が帰ってくるまで……絶対に出るな! 分かったな!」

少年「おっ、おじさん!!」

 バタンッ! タッタッタッタッ……

少女「な、何……っ!? 何なの……っ?」

少年「多分、魔物だ。おじさん……魔物に気付いて……」

少女「だ、大丈夫かな……?」

少年「大丈夫だよきっと。だから、おじさんの帰りを待とう!」

少女「……う、うんっ! そうだよね!」

 タッタッタッ ザザッ

名無し「……悪いけどよ、こっから先は立ち入り禁止だ」

コボルト「あん?」

名無し「今日はクリスマス。聖なる夜に汚らわしい奴らがウロついちゃいかんだろ」

コボルト「ナメてんのかてめぇ!!」

名無し「うははははっ! ナメるのは女の――」
144 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:51:49.51 ID:6J84pd6zo
 ザッザッザッ……

ガーゴイル「間違いナイ。コイツです!!」

名無し「ちっ、やっぱり取り逃がした奴がいたか」

ガーゴイル「コイツがオーガやゴブリン達ヲ――」

デュラハン「黙っていろ。貴様か、魔王軍に楯突く人間は」

名無し「アホー。人間はみんな魔王軍に楯突いて生きてんだっつーの」

デュラハン「ほざけ。力量も分からぬカスが……ッ」

ジャキッ

名無し「……デュラハン如きが笑わせるぜ」スゥッ

ガーゴイル「貴様ァ!! デュラハン様に如きとは――」

 スッ

ガーゴイル「……?」

デュラハン「……待て。貴様、その剣……見覚えがあるぞ」

名無し「ほぉー。そいつは光栄だ」

デュラハン「そ、そうだ……思い出したっ! あの剣は確か――」
145 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:52:45.24 ID:6J84pd6zo
 ビュオッ!! ザシュウウゥゥゥゥ!!

ガーゴイル「……エッ?」バタッ

デュラハン「そ、そうだ! 聖王とか言う人間の王の護衛……っ」

名無し「先代の事まで知ってんのかよ。あんた、長生きだね」

 ざっざっざっ

デュラハン「そうだっ! 聖王を守る……聖なる騎士団<ホーリーナイト>」

名無し「聖王に仕えしホーリーナイトが騎士団長、名無し。かつてはそう呼ばれてた事もある」

デュラハン「――――ッ!!」

名無し「ま、聖王亡き今や、聖騎士団も解体され……しがないワーカーだけどな」

デュラハン「クゥ……ッ!!」

名無し「生憎この、十字架剣は錆び付いちゃあいないぜぇ?」

コボルト「デ……デュラハン様ッ、どうなさい――」ドンッ

デュラハン「おっ、お前らがいけぇ! 俺を……俺を守れぇ!!」

コボルト「――!?」

ザシュッ!!
146 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:53:33.49 ID:6J84pd6zo
名無し「次ぃ!!」

ワーウルフ「ヒ……ヒイィ――」

 ズバシュッ!!

名無し「次いいぃぃ!!」

デュラハン「ダ、ダメだ!! 退――」

 ヒュオッ

デュラハン「――――!!」

名無し「逃がすかよ、この……ボケ!!」

 ヒュバッ!! ザッシュウウゥゥゥゥ!!

名無し「……ふーっ」すたっ

 ザッザッザッ

名無し「村にまでは立ち入らせずに済んだ、か」

 ブンッ ばさばさっ

名無し「ったく、汚れちま――」

 ゾクゥッ!! ズゴゴゴゴゴゴ……
147 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:54:05.47 ID:6J84pd6zo
名無し(……な、何だ……この気配……っ)

 ズゴゴゴゴゴゴゴ……

名無し(振り向けねぇ……っ! 声も……出せないだとぉ!?)

ベルゼブブ「我が部下を悉く一撃か。大したものだな」

名無し「――――!?」

ベルゼブブ「そうだな、褒美をくれてやるとしようか」

 キュイイイイィィィィ……

ベルゼブブ「この村に、大切な人間が居るのだろう?」

名無し「……め……ろっ」

ベルゼブブ「安心せよ。余は慈悲深いのだ」

 イイイイィィィィ……

ベルゼブブ「村の人間は生かしてやる。代わりに、貴様の命を頂こう」

名無し「……んだよ」

 グググッ

ベルゼブブ「ん?」
148 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:55:06.81 ID:6J84pd6zo
名無し「な、んだよ……っ。そんな……安いモンで……いいんかよ」

ベルゼブブ「余と目を合わせて正常で居られるとは、大した精神力だな」

名無し「俺の命と引き換えに……アイツら助けて……くれるんだな……っ」

ベルゼブブ「二度も言わせるな。余は慈悲深いと申したであろう」

名無し「……そうか……良か――」

 ブツッ

ベルゼブブ「……見えるか? これが貴様の心臓だ」

名無し「…………」

ベルゼブブ「美味とは思えぬが、確かに頂いたぞ」ゴクン

名無し「…………」

ベルゼブブ「では、メリークリスマス」フッ

名無し「……――」ザシャッ

 しとっ しとしとしとっ

名無し「――――」

 しとしとしとしと……
149 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:56:01.82 ID:6J84pd6zo
……

少女「……遅いね……っ」

少年「……うん」

猫「にゃーん」

 がたっ

少女「あっ! 猫ちゃん!?」

猫「にゃーん」かりかりかりっ

 がちゃっ! ざっざっざっざっ……

少女「どうしよう!? 猫ちゃんが外に……っ」

少年「出ちゃダメだよっ!」

少女「だって……猫ちゃん……っ」

少年「……ちょっとだけ、ちょっとだけだよ!」

少女「うんっ!」

 がばっ! たったったったったっ

少年「……猫ちゃーん」ひそひそ
150 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:57:01.21 ID:6J84pd6zo
 ざっざっざっざっ…… ぴたっ

少年「……猫……ちゃん?」

猫「にゃーん」

少年「何か……倒れてる……」

少女「ねぇっ、猫ちゃんいた?」

少年「……お、おじ……さん?」

 ざっ ざっ ざっ ざっ

少女「――――!!」

少年「ひっ、ひいいぃぃぃぃ!!」

 どさっ ガタガタガタガタッ

猫「にゃああぁぁん」ぺろっ

少年「おじ……おじさ……血ぃ!!」

少女「おじさんっ!! おじさんっ!?」

名無し「――――」

 しとしとしとしと……
151 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:58:03.24 ID:6J84pd6zo
……

少女「ひっ、ひぐっ! ひぐぅ!」

少年「…………っ」

 ざっざっざっ

ワーカー「搬入、終わりやしたぜ」

雇い主「ご苦労さん」

ワーカー「いいぞっ、先に運び出せぇ!」

 がらっ ごとごとごとっ……

少女「ひうっ、うっ……うぅっ!」

雇い主「大変だったね」

少年「……おじさん……がっ」

雇い主「残念だけどね。あのおじさんは、二人を守って死んだよ」

少女「うああああぁぁぁぁ!!」ぼろぼろぼろっ

少年「おじさんにっ、聞いて……欲しくてぇ……っ!」

雇い主「……さ、行こう」
152 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:58:53.98 ID:6J84pd6zo
少年「……っ?」

雇い主「今日からあんたら二人の面倒は、私が見るからさ」

少女「うああぁぁっ!! ひぐっ!! ひ……っく!!」

雇い主「お父さんは死んじまったけどさ、今日から私が二人の母親になる」

少女「うああああぁぁぁぁ!!」

少年「ひっぐううぅぅぅぅ……っ!」

雇い主「さ、だから行こう。なくのはもう終わり」

 ざっざっざっ

ワーカー「魔王ベルゼブブの仕業かもしれん」

雇い主「!?」

ワーカー「心臓を抉り取られている。聖戦の際と一緒だ」ぼそぼそ

雇い主「……流石のホーリーナイトも、魔王には勝てない……か」

ワーカー「この村はもう放棄した方がいい。全員避難させるぞ」

少女「……うっく、うぅ……っ」

雇い主「……さ、馬車に乗っておくれ。この村を離れるよ」
153 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 20:59:57.37 ID:6J84pd6zo
……

ワーカー「他の村人も全員避難させた。あとはあんたらだけだ」

雇い主「ああ。すぐに行くよ」

少女「…………っ」

猫「にゃーん」ぺろぺろ

 ざっざっざっ グサッ

雇い主「この十字架剣が、あいつの墓標代わりだ……」

少年「おじさんっ! 俺っ、絶対に……聞かせるからぁ!」

少女「……うっ、うぅーっ!」

少年「立派な吟遊詩人になって……聞かせるからあぁ!!」

少女「さ……よなら……っ、おじ……お父さああぁぁん!!」

雇い主「……また、降ってきちまったね」

 空から舞う天使の羽の様な白い雪が、誰も居なくなった村の中央に刺さる、

 十字架を模した剣の上へと、次々と、ゆっくりと、時間をかけて降り積もる。

 そこはもう、今となっては、ただ一人を除いて知らぬ場所……。
154 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 21:00:51.81 ID:6J84pd6zo
……

 しとしとしとしと……

詩人「……」

眼鏡「どうしたんだい? ぼーっとして」

詩人「この時期になるとね、ちょっと昔の事を思い出してね」

眼鏡「昔……数百年前かい?」

詩人「さぁ。どのくらい前だったかな」

眼鏡「今日はクリスマスか。みんな楽しそうじゃないか」

詩人「そうだね」

眼鏡「折角だ。何か聞かせておくれよ。、君の歌を」

詩人「……ああ。そうしよう」

 〜♪

眼鏡「……良い曲だね。何て曲だい?」

詩人「……ホーリーナイト、さ」

 しとしとしとしと……
155 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 21:01:51.54 ID:6J84pd6zo
……

 ぱちっ

――「……ん? まーたあの変な夢か」

 もぞもぞっ

――「何だってんだかなぁ。全く、胸lクソ悪い夢だぜホント……」

 ぴくっ

――「……んっ、何だ?」

 ザッ

――「人間か? 何でこんな所に人間が……まぁいい」

 ブワッ

――「人間なら、俺と専属契約を結ばせよう。そうすりゃあ……」

 バシュッ!!

――「人間界へ降りられる。あの変な夢も……分かるかもなっ!」

 ドシュウウゥゥゥゥ!!

――「どーれ、どんなツラか……見てやるとすっかぁ!!」 
156 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/25(日) 21:05:08.22 ID:6J84pd6zo
シュイイィィン

――「人間か?」

召喚士「!?」

ユニコーン「……失せろ。お前に用ではない」

――「……ケッ。この俺に偉そうな口を利くじゃあないか」

召喚士「あ、あの……」

ユニコーン「放っておけ。お前は早くクジャタの下へ……」

――「クジャタ?あぁ、契約でもしにいくのか?」

召喚士「……」

――「あんなヤツぁ放っておいて、俺と契約しねぇかい?」

ユニコーン「……」

――「魔力、腹いっぱい食わせてくれよ!」

ユニコーン「戯れが過ぎるぞ、ケツァルコアトル」

召喚士「……!?」

ケツァルコアトル「ウハハハハッ!!」



召喚士「行けっ!コカトリス!!」 〜番外編、完〜
157 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:09:08.67 ID:G+c1UOrAO
なんつーフラグを…
>>1乙!!
158 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:11:11.09 ID:aX3JOZMDO
>>1
また>>1が殺したと思ったら
クリスマスに向けてこんな伏線張っていたなんて…
159 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:14:14.02 ID:Quhi09Aho
>>1おつ
まさかここにつながるとは思わなかったな……
160 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:21:44.70 ID:8tjAoRsFo
ケツアナルなんとかさんにそんな過去が…
161 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:36:05.72 ID:pPIoDdNno
いちおつ
少年がのちの詩人?
つか、眼鏡さん久しぶりだ
162 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 21:59:43.35 ID:f0BgWmgro
いい話かと思ったら想像以上に良い話だった
163 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 22:16:43.44 ID:aRhT0rEco
少女ちゃんはどうなったよおおおおお
164 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 22:41:51.67 ID:aHTkSMcs0
ケツアナルッココホルさん…
165 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/25(日) 23:43:51.06 ID:0sCNCkBDO
ケツアナルさん…(;_;)
166 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 00:12:08.06 ID:r80lJx9SO
聖王、ベルゼ、村、詩人、けつぁる
どでかい伏線になったなもう最高
167 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 00:34:29.43 ID:e+hMazYpo
詩人って何歳。
168 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 01:01:55.40 ID:HWykzRbIo
お前ら2年連続出演のデュラハンさんディスってんの?
去年は絶望的な恐ろしさで何とか相討ちで済んだのに
一年経ったらサイバイマン程度の扱いとかもうね…
169 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 01:21:41.20 ID:Am6T3J/ho
だれもディスってねえじゃねえか
170 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 01:22:21.61 ID:Am6T3J/ho
だれもディスってねえじゃねえか
171 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 01:23:25.30 ID:Am6T3J/ho
なんか連投してたすまん
172 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 01:34:58.19 ID:zNq8vpyZ0
いちおつ
泣いた…少女は神話のままでしょ
173 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 01:56:42.71 ID:RNRAI/bAO
>>1おつ

ケツァルコアトル調べたら平和の神で、人身犠牲に反対して都を追い出されたみたいな話があったが、話の中で人身売買に反対してる話入れたのはそういうことか
174 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 05:54:28.44 ID:72N7/2bAO
ああ、聖なる夜(Holy Night)と聖騎士(Holy Knight)を掛けたのか。
175 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 07:17:35.73 ID:WNO1wZ2DO
>>1乙っす
もうケツ穴さんバカにできないな……
176 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 08:01:43.59 ID:u380vmkgo
BUMPのKだな
177 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 09:33:40.04 ID:n3QyI6hso
たしか前回の番外編もKが元ネタになってた話になってたよな
178 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 11:01:13.05 ID:Xj5ao3mzo
前回は郵便屋さんの話だったよな、あれも今回のも良かった!

最初、幼女とお父の過去編かとおもったら全然違ったwwwwww
>>1おつ
179 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 11:34:40.11 ID:H3ONsoq7o
誰か、ケツァルコアトルが白虎でコカトリスが朱雀であることに、都合の良い解釈つけてくれ。
どっちも蛇+鳥、で身体的特徴に差を感じないから違和感が…
180 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 12:35:05.79 ID:xVanIDmt0
ケツ穴とクリトリスは全然違うだろ?
そういうことだ
181 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 12:36:55.95 ID:1mTPm72AO
>>1


奇 才 現 る
182 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 13:03:26.97 ID:HWykzRbIo
>>179
ケツ穴は羽が生えた蛇

コカは鳥の尻尾が蛇

ベースの違いなんじゃね?
まあ蛇ベースは青龍っぽい気もするけど
183 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 13:52:17.69 ID:74S7MD1Go
↓ここで>>1が颯爽登場
184 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 14:20:06.42 ID:B6oKVN1Ro
│                  _、_
│                ヽ( ,_ノ`)ノ ヒャッホウ!!
│               へノ   /
└──────────→ ω ノ
おらっしゃあぁぁ!!!      >
185 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 16:45:17.77 ID:4n5CpkSDO
>>1

ケツ穴祭に乗り遅れた
186 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:54:19.69 ID:PmV7ryl3o
名代「召喚士殿」

召喚士「……はい」

神野「何の合図か知らんけどなぁ、束になろうが無駄な事やでぇ!!」

 バシュッ!!

神野「使役する前に、死ねやコラ――」

召喚士「……スフィンクス」

 ズアァッ!!

神野「……っにぃ〜!?」

スフィンクス「ふいうち……地面からぱーんちっ!!」

 バッゴオオォォォォン!!

神野「ゴハアアァァーッ!」

名代「「オン・バザラダトバン・オン・アミリタ・テイゼイカラウン・ノウボウ・
     アカーシャキャリバヤ・オン・アリキャマリボリ・ソワカ・オン・
     アラハシャノウ・オン・サンマヤ・サトバンオン・バザラ・タラマ・
     キリク・オン・サンザンサク・ソワカ・ノウマクサマンダ・バザラダン・
     センダマカロシャダ・ソワタヤ・ウンタラタ・カンマン!」

 バシュウウゥゥゥゥ

名代「毘沙門天よっ、妖を滅するのだ!」
187 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 17:54:40.81 ID:xZuLlhU30
詩人…

おいペニス、早くケツ穴さん結ばれろアッー
188 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:54:49.56 ID:PmV7ryl3o
 ドズウウゥゥゥゥン

スフィンクス「おぉーっ! かっこいい!」

 毘沙門天は使役されるや否や、すぐさまスフィンクスの一撃により中に浮いた

 神野悪五郎を勢いそのままに地面へと叩き落した。

神野「げ……っふうぅ!!」

 ズドオオォォォォン!!

名代「……さて、無傷かそれとも」

召喚士「多少でもダメージを負ってくれていれば……いいんですけどね」

帝「……っ」

東方司令「上様」

帝「……?」

東方司令「上様はボクが斬りかかった直後の隙を」

帝「承知した」

 ゴトッ パラパラパラッ

神野「……やるやんけ。人間共ォ」

名代「どうやら……無傷のようですね……っ」
189 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:55:28.51 ID:PmV7ryl3o
神野「……かぁ〜っ、ぺっ!」

 ゴシゴシ

神野「人間の記憶っちゅーのは、面倒なもんやなぁ」

魔道士「……っ」

神野「強ければ強い程、痛みっちゅーモンを知っとる」

召喚士「強いから痛みを知っているんだ」

神野「そらおかしいやろ。強けりゃあ痛みを味わう必要ないっちゅー話や」

召喚士「人間だからさ」

神野「あん?」

召喚士「人間だから、己に対する痛み、他人を痛み、それを知っているんだ!」

神野「ますますよー分からんなぁ」ポリポリポリ

 ドウッ!!

神野「もうええわっ! 殺す!」

召喚士「行けっ! コカトリ――」

神野「誰がまた、正面から突っ込むかっちゅーねん!」

召喚士「!?」
190 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:56:12.68 ID:PmV7ryl3o
名代「側面には回りこませぬ!」

神野「そやろなぁ」

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「背後っ!? 早い――」

神野「なかなかいい媒介や。かつてない速さやで……」

東方司令「だが、その腕前は東方じゃあ2番目だ」

神野「――ッ!?」

 ザシュッ!! ビュオッ!! ブンッ!!

神野「こ……んのっ」

東方司令「悪いけど、こっちは常日頃から巨大な剣を振り回してるんだ」

神野「……くっ……ぬぅ!」

東方司令「接近戦なら……慣れてる」

 ザシュウウゥゥゥゥ

神野「わいが二番やとぉ!? なら、東方一は誰や!!」

東方司令「後ろ」

神野「……あん?」
191 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:56:42.97 ID:PmV7ryl3o
 ビュオッ

帝「やあぁっ!!」

神野「な……っ!?」

 ザッシュウウゥゥゥゥ!!

帝「かわされた……!?」

東方司令「いや、当たりました。お見事」

 ズザザザアアァァ

神野「……ククッ、右手掠めただけやないかい」

 スグッ

神野「……?」

召喚士「様子がおかしい……っ」

神野「……貴様ッ、何やその刀はぁ!!」

帝「……」

神野「答えんかいダボッ! その刀……何をしたぁ!」

魔道士「ど、どうしたんでしょうか……?」

名代「分かりません。上様の……天叢雲剣を嫌っているようにみえますね」
192 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:57:09.91 ID:PmV7ryl3o
 ズググッ

神野「やってくれるやないかい……人間ッ!」

召喚士「ダメージが、ダメージを与えているのか!?」

魔道士「上様の剣が……っ」

名代「天叢雲剣に、何か秘密が……?」

神野「再生出来んだけの話や。力が衰えたわけやない」

東方司令「それはア安心した。思いの外、大した事ないから終わりかと思った」

神野「……」ピキッ

 ドウッ!!

神野「調子ぃ乗んなやボケェーッ!!」

東方司令「むっ」

 ガキイイィィィィ

神野「ハハッ、力はわいのが上やなぁ……!!」

東方司令「手加減してやっいれば、調子に乗るな」

神野「アァ!?」

東方司令「そんな一撃を振り下ろしたら、側面がガラ空きだぞ?」
193 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:58:01.46 ID:PmV7ryl3o
 ズザァ

帝「はぁっ!!」

神野「――!?」

 ザシュウウゥゥゥゥ

帝「また避けたか……っ」

東方司令「逃げ足は速いね。ボクよりは」

 ジャッ

神野「……はぁ」

帝「……」

神野「二人も同時に相手するのは敵わんわぁ。止めや、止め」クルッ

東方司令「それがいいだろうな。どうせ勝てないんだし」

神野「はいはい。ほな、さいなら」ザッザッザッ

東方司令「……さ、上様。ボクらも引き揚げましょう」

神野「んなワケあるかボケエエェェ!!」グアッ

スフィンクス「じゃんじゃじゃーん!!」

神野「何ィーッ!?」
194 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:58:27.45 ID:PmV7ryl3o
 バッゴオオォォォォン!!

神野「ぐく……っ」

 ドンッ

神野「は……っ!!」

コカトリス「この数相手に……」

ワイバーン「勝てるとでも……」

スキュラ「思っているのか?」

グリフォン「もし思っているのなら……」

ペガサス「バーカバーカ!!」

ブリュンヒルデ「ですわよ」

毘沙門天「…………」

召喚士「全員……突撃ぃーっ!!」

名代「一気に攻め立てよっ!」」

神野「ぬ……う……がああぁぁーっ!!」

 ズガガガガッ!! ドドドドッ!! ズッガオオォォォォン!!

召喚士「……これで、どうだっ」
195 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:59:01.98 ID:PmV7ryl3o
 シュウウゥゥゥゥ

魔道士「……っ」

 ゴトッ ザシャッ

名代「無傷……っ」

召喚士「いや、見た目だけであって、魔力は消費しているはずです」

神野「あーしんど。なんやねんこの数。それに……」コキコキッ

帝「……」

神野「その刀、厄介やなぁ。何を施してんねん」

帝「何もしてはおらぬ」

神野「んなわけあるかいっ。ほな何でわいが元通りにならへんねん」

名代「知った事ではない。それに答える義務も無い」

神野「はいはい。もうええわ」

召喚士「くっ」ジャリッ

神野「もうええ言うとるやろが!!」ビリビリビリッ!!

帝「……っ」

召喚士「ど、どういう……」
196 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 17:59:43.33 ID:PmV7ryl3o
神野「まとめて相手したる。本気でな」

東方司令「本気? じゃあ何か? 今まで手を抜いていたとでも?」

神野「それ以前の問題や。わいですらない」

東方司令「……は?」

神野「わいの……神野悪五郎の本体……見せたるわ!!」

 ズゴゴゴゴゴゴゴッ

東方司令「な……っ!!」

名代「ま、まさか……こんな……っ」

 ゴゴゴゴゴゴ!! シュウウゥゥゥゥ

魔道士「……?」

帝「……あまり……変わったようには見えぬな」

魔道士「ええ……っ」

 後方に控える帝と魔道士がそう発した時には、前方の3人が動き始めていた。

 それは神野悪五郎に対する戦闘行為ではなく、逃亡の為の動作であった。

神野「……」

 正面で5人を見つめる、冠装束姿の高貴な風貌をした青白い人間が、にたりと笑った。
197 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:00:23.07 ID:PmV7ryl3o
名代「召喚士殿ぉ!!」

召喚士「はいっ!!」

 このやりとりは神野悪五郎と初めて召喚獣、式神を会わせた際にも発した合図。

 この合図は何も互いのタイミングを合わせるといった類のものではない。

 言わば意思の疎通。両者の思惑は合致し、即ち、退却路を作る為の確認である。

召喚士「スフィンクス!!」

名代「毘沙門天っ、雪女!」

 ゴウッ!! バッシュウウゥゥゥゥ

神野「……はっ」

 ボンッ!!

名代「!?」

神野「ははっ……ははははっ、ハーッハッハッハッハ!!」

 ボンッ!! バッシュウウゥゥゥゥ

魔道士「し、召喚獣が……次々と……っ」

神野「ハーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」

 大声で笑う妖、神野悪五郎は、周囲に近づく召喚獣を刹那の内に次々と葬ってみせた。
198 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:01:02.37 ID:PmV7ryl3o
召喚士「がは……っ」ガクンッ

魔道士「召喚士さんっ!?」

名代「は、早すぎて……何をしているのかさえ見えぬ……っ」

神野「ハーッハッハッハッハッハ……」ピタッ

帝「く……っ」

神野「分かったか? わいの本当の力」

東方司令「……ハッタリなんかじゃなかったわけだね……っ」

神野「分かって貰えたんなら、ええよ」スーッ

魔道士「くうっ!」

神野「動くな」ピタッ

魔道士「……っ」

神野「それとも、先に殺して欲しいんか?」

東方司令「でりゃあぁーっ!!」ビュオッ

神野「おっそ……」ヒュンッ

東方司令「――っ!?」

神野「寝とれ」
199 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:01:48.87 ID:PmV7ryl3o
 バギャッ!! ズシャアアァァァァ

東方司令「か……かは……っ」ドサッ

帝「東方司令――っ!」

神野「殺してない。殺したら……おもろないもんなぁ」

帝「貴様ぁーっ!!」

名代「毘沙門天!」ゴウッ

帝「!?」

名代「上様っ、退却します」

帝「何!?」

魔道士「召喚士さんっ、立てますか!?」

召喚士「な、何とか……っ」

名代「東方司令殿は私が」グイッ

神野「毘沙門天か……大層なモン使役しよって」

毘沙門天「……」

 グググッ ググッ

名代「うまく押さえ込んでいるな。今のうちに退きましょう」
200 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:02:26.84 ID:PmV7ryl3o
 タタッ

神野「逃がさへんでぇ!!」

毘沙門天「……」ズンッ

神野「邪魔すんなやああぁぁ!!」

 バギャッ!! ドゴオオォォォォ!!

魔道士「突破されましたっ!」

召喚士「とにかく、馬の所まで……急ぎましょう!」

神野「ハーッハッハッハッハッハッハッハ!! 待てやコラァ!!」

名代「このままでは間に合わないか……っ」

召喚士「……っ」

 ザッ

魔道士「召喚士さん!?」

神野「諦めたかぁーっ!?」

召喚士「行けっ、クジャタ!!」

 シュイイィィィィン ドッズウウゥゥゥゥン

神野「!?」
201 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:02:58.12 ID:PmV7ryl3o
クジャタ「……ゴオオォォォォ!!」

 バヒュウウゥゥゥゥ!! ドッドオオォォォォ!!

神野「な、なん……竜巻ィ!?」

召喚士「今のうちにっ」

  タタッ ザザザザッ

帝「見えたぞっ」

名代「このまま結界まで、一気に駆け抜けましょう!」

東方司令「ぐ……くっ」

帝「大丈夫か!?」

東方司令「このボクが……まさか一撃で倒れるとは……っ」

 グイッ ドドッドドッドドッ……

神野「ガアアアアァァァァ!!」

 バシュウウゥゥゥゥ!!

クジャタ「……」

神野「何やお前ェ! 見ない顔やな――」

 フッ
202 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:03:33.01 ID:PmV7ryl3o
神野「……」ピキキッ

 ドドッドドッドドッ……

召喚士「召喚解除しました。これで足止めはなくなった……」

名代「では次なる手を打ちましょうか」

帝「どうするつもりだ?」

名代「……」ポイッ

 バシュウウゥゥ

座敷「……?」

名代「召喚士殿、合図と同時に座敷を消して下さい」

召喚士「……?」

名代「私が奴の足を止めます」

 グイッ ドドッドドッドドッ

魔道士「名代さんっ!?」

召喚士「そうかっ、座敷の能力は使役した者との場所を入れ替える事……っ」

帝「しかし、危うすぎやしないか?」

召喚士「ええ。タイミングを間違えば名代さんが……」
203 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:04:08.22 ID:PmV7ryl3o
東方司令「ボ、ボクが斬る……」

召喚士「……大丈夫ですか?」

東方司令「迷惑をかけたからな。それに、命ある限り……剣はまだ振るえる!」

 ドドッドドッドドッ……

名代「……むっ」

神野「見つけたでぇ! あんさん一人かいっ、ツイとらんなぁー!!」

名代「それは貴様の方かもしれぬぞっ」

神野「大層な自信やないかいっ!」

名代「さぁ、追いつけるかな?」

神野「……さっきまでの速さと……思うなよぉ!!」

 ドウッ!!

名代「――っ!?」

神野「死ねええぇぇ!!」

 ザッシュウウゥゥゥゥッ!!

神野「……?」

 ボンッ
204 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:05:13.80 ID:PmV7ryl3o
座敷「……むぅー」

 バシュッ ヒラヒラヒラッ

神野「……ブッ殺す!!」

 ドドッドドッドドッ……

名代「……ふーっ。うまくいきましたね。お見事です」

召喚士「結界の推定位置まで……えっと、あと少しですね」

魔道士「このまま逃げ切れればいいんですけど……」

 ピクッ

召喚士「……っ!?」

東方司令「バ、バカな……っ!!」

 ヒュオオォォォォ

神野「ええ加減にせぇよコラァ!!」

帝「追いつかれるぞ!」

召喚士「……仕方ない」

魔道士「待って!」

召喚士「!?」
205 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:06:20.72 ID:PmV7ryl3o
魔道士「私が……やりますっ!」

召喚士「魔道士さんっ!?」

魔道士「……はあぁ」

 ゴゴゴゴゴゴ……

神野「あん……? 何やこの感――」

 ドッドオオォォォォン!! バゴゴゴゴオオォォォォ!!

神野「んな――ッ!!」

帝「じ、地面が捲り上がって……」

魔道士「まだまだぁーっ!!」

神野「じゃかあしぃ!! こんなん飛べば――」

 ドッドオオォォォォン!! ゴアオオオオォォォォ!!

神野「ぐぶおおぉぉ!!」

東方司令「今度は突風……というか、風の壁だなもはや」

神野「んな……子供騙しでええぇぇ!!」

 ジャキッ バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「な、何だっ!?」
206 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:06:53.05 ID:PmV7ryl3o
名代「風が……吸収されていますよっ!?」

東方司令「あの刀だ! 刀が魔法を吸い取っている……っ!」

神野「妖刀……ナメんなやぁ!!」

魔道士「くぅーっ!」

神野「ハーッハッハッハッハッハッハ!! さぁさぁっ、万事休すや!!」

帝「こうなっては最早、戦うしかないな」

名代「……いえっ」

帝「……?」

召喚士「俺達の勝ちです。ひとまずは……ですけど」

帝「何……?」

神野「ヌッ……ガアアアアァァァァ!!」

 ドドドッドドドッドドドッ……

神野「――――ッ」

 ビタァッ!!

神野「……結界の事、知ってたんやなぁ」

召喚士「……残念だけどね」
207 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:08:21.64 ID:PmV7ryl3o
 バチバチバチィッ!!

神野「本体で触れる事が出来る位まで弱まっとる」

名代「……」

神野「お前ら人間が龍脈消してくれたお陰や。感謝するで」

魔道士「……っ」

神野「ほな、今日はここまでや。次は逃がさへんでぇ……覚悟しときやッ!!」

 バシュッ……ドウッ!!

東方司令「……消えた、か」

帝「何とか、生き長らえたな」

召喚士「敵の力量も分かりましたしね」

名代「ええ。一先ずは、かろうじてですが、予定通りかと」

東方司令「なるほど」

魔道士「……?」

東方司令「上様をこんな危険な前線に引っ張り出して、どうするつもりかと思っていたが……」

帝「予めこの結果を利用する上での作戦だったわけだな」

召喚士「そうでなくば、一国の主を危険な目になんて遭わせられませんよ……」
208 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:08:56.59 ID:PmV7ryl3o


魔道士「野宿ですかぁ!?」

東方司令「仕方ないだろう。仕掛けてしまった今、奴を野放しには出来ん」

名代「左様。我ら以外が西へ立ち入る可能性もありますから」

召喚士「見張りも兼ねて、と言う事ですね」

魔道士「……そうですよね……はぁ」

名代「申し訳御座いません。我らはともかく、女子にこのような仕打ちを……」

帝「構わぬ。一度戦場へ赴けば、泥に塗れ、血と汗を流しながら生きるものだ」

魔道士「……そ、その通りです!」

東方司令「おい」

召喚士「ではひとまず、西に拓けた辺りでテントを……」

 ピクッ

召喚士「!?」

東方司令「どうした……?」

召喚士「いやっ、気配が……でも魔物じゃない――」

 ガサガサッ
209 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 18:10:00.13 ID:PmV7ryl3o
魔道士「きゃああぁぁ!!」

 ザッ

女侍「……ん?」

召喚士「あ……っ」

魔道士「えっ?」

サル「おぉっ! いたいたっ!」

召喚士「女侍さんっ!!」

女侍「……あんたら、神野悪五郎と戦うんだって?」

召喚士「てかもう戦ってきました」

女侍「まさか倒したのかいっ!?」

帝「いや、倒すには至っておらぬ」

女侍「……あ、あんたぁ……まさか」

名代「……この御方はな」

帝「名代、隠さずとも良い」

女侍「やっぱり……っ」ザザッ

サル「お、おいおい……っ、急にかしこまってどうしたんだよっ?」
210 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/26(月) 18:12:29.30 ID:PmV7ryl3o
とりあえずここまでにて!また後で来ますです!
番外編の感想&ご支援ありがとうございます!
ここからは伏線を消化しきれるかの勝負っ!それではまた後ほど!ノシ
211 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/26(月) 19:31:51.35 ID:NyDB6qeDO
乙アナルコアトル
212 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/26(月) 20:42:54.23 ID:1hqHhoZf0
いちおつ
天叢雲剣は三種の神器か
213 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 23:41:15.22 ID:H6KRvBdvo


サル「上様ああぁぁぁぁ!?」

イヌ「上様って、東方で一番偉い人ね?」

キジ「まさか女で……こんなに美人だとは驚いたさー!」

魔道士「図が高いですよっ、なーんて」

帝「こらこら、やめぬか」

女侍「しかし、上様まで参戦とは……よっぽど人手不足みたいだねぇ」

召喚士「……否定は出来ません」

女侍「おや? ところで残りの2人と国軍の連中はどうしたのさ?」

召喚士「魔王マーラ討伐へ向かいました」

女侍「別行動かい」

サル「てか、同時撃破なのかよっ!?」

名代「事情はややこしいが、そういう事になります」

召喚士「女侍さん。話は戦士から聞きました」

女侍「んー?」

召喚士「そうか、力を貸して貰えませんでしょうか……っ」
214 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 23:41:45.38 ID:H6KRvBdvo
女侍「……」

魔道士「皆さんの力があれば、頼もしい限りですっ!」

サル「……だってさ」

女侍「全く、仕方ないねぇ〜。嫌だけど、とても断れる状況じゃあないねこりゃ」

イヌ「最初から手伝うつもりだったのに、何言ってるね?」

女侍「五月蝿いねお前はっ!!」

 テクテクテク

東方司令「……ん?」

キジ「!?」

サル「国軍……っ!」

東方司令「ん? 何だお前ら?」

サル「い、いやっ! 何でもねぇっ!」

キジ「コイツ、知らないみたいさー」

イヌ「じゃあ気にする事ないね」

東方司令「……?」

召喚士「はっ、ははは……」
215 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 23:42:51.77 ID:H6KRvBdvo


女侍「なるほどねぇ。そんなにまで強いのかい」

召喚士「……強いです」

サル「でもよぉ、そんな無敵のバケモン……倒す方法はあんのか?」

名代「まずは剣聖の思念体を排除する事です」

女侍「……」

キジ「何でさ? 剣聖モードの時のが弱いんじゃないのさ?」

名代「形状で言えばそうですが、剣聖の記憶を基に、剣技があると思われます」

サル「なるほどねぇ〜。そいつは難儀な話です事」

召喚士「まずは奴の攻撃を弱体化させましょう」

東方司令「ああ。奴の本体と剣聖とやらの剣術は最悪の組み合わせだ」

帝「……ふむ」

召喚士「せめて刀だけでも破壊出来ればいいんですけど……」

女侍「いや、どうだろうねぇ」

魔道士「……?」

女侍「剣聖の剣術が身に付いてるんだろ? だったらちょいと厄介かもしれないよ」
216 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 23:43:57.70 ID:H6KRvBdvo
召喚士「どういう事ですか?」

女侍「無刀取り」

帝「無刀取り……?」

女侍「剣聖が作り上げた、最高の剣術さ」

東方司令「待て。無刀取りとはまさか……っ」

サル「知ってんのか?」

東方司令「刀を持たずして相手を制するという幻の奥義……っ」

女侍「へぇ、本国にまで伝わってたのかい」

召喚士「それを、剣聖が使うと……?」

女侍「使うって言うか、剣聖が編み出したものだしねぇ」

魔道士「ど、どんな技なんです?」

女侍「技……っていうか、相手の刀をぶんどるだけさ」

帝「ぶん取る……」

女侍「相手が斬るモーションを起こしたと同時に、超神速で懐に飛び込み……」

 クイッ

女侍「相手の刀をもぎ取るのさ」
217 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 23:44:50.93 ID:H6KRvBdvo
名代「な、なんという……っ」

女侍「並大抵の奴にとっては、命を捨てるにも等しい荒業さね」

東方司令「しかしその剣聖にとっては、起死回生の奥義……というわけか」

女侍「そういうこった」

召喚士「それにシンノの身体能力が加われば……」

東方司令「モーションどころか手首の反応だけで懐に飛び込まれるな」

帝「おれでは打つ手なしではないか……」

名代「刀を奪えば攻撃方法は魔法か召喚獣や式神の類のみ」

召喚士「かと言って、刀を奪わなければ……」

魔道士「……斬られてしまいますっ」

名代「そもそもあの刀、妖刀などと申していた……」

魔道士「何か……ご存知ですか?」

名代「いえ。ただ……古来より妖の持つ刀は呪われていると……」

東方司令「……」

名代「妖の刀を人が持てば、たちまちその呪いにより副作用をもたらすと」
218 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 23:46:40.53 ID:H6KRvBdvo
魔道士「それじゃあ刀も奪えないんですかっ!?」

名代「いえっ、それが奴の持つ刀とは限りませんが……」

帝「しかし、神野悪五郎の手を封じるには、刀を奪う以外に方法はないな」

召喚士「……こうなったら」

東方司令「ボクがいく」

召喚士「!?」

東方司令「刀を奪う役目は、ボクに任せろ」

召喚士「し、しかし……っ」

東方司令「1度も2度も変わらん。どうせ呪われた身体だ」

召喚士「……えっ?」

東方司令「お前はボクを見て、不思議に思わないのか?」

召喚士「ま、まさか……っ」

東方司令「お師匠に聞いているんだろう? 魔剣の事……」

魔道士「それじゃあ……東方司令さんも……っ!」

東方司令「そうさ。ボクの身体は魔剣の呪いによって、成長が止まったままなのさ」
219 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 23:51:18.48 ID:H6KRvBdvo


名代「それでは神野悪五郎退治は先頭に召喚士殿と私」

召喚士「はい」

名代「上様、女侍殿は中軸にて待機。神野の動きを見て行動を」

帝「うむ」

女侍「はいはい」

名代「後方には残りの皆様。援護をお願い致します」

サル「頑張ろうぜ、魔道士ちゃんっ」

魔道士「はいっ!」

イヌ「腕が鳴るね」ゴキゴキッ

キジ「久々の強敵さー」

名代「そして最後に東方司令殿」

東方司令「奴の刀だろ。任せろ」

名代「明日はとにかく、奴wの弱体化を目指して戦いましょう」

召喚士「……はい!」
220 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/26(月) 23:54:27.72 ID:H6KRvBdvo


 ザッザッザッ

女侍「……何か用かい?」

東方司令「お前、随分と剣聖について詳しいな」

女侍「……」

召喚士「そういえばそうですね……」

東方司令「何か、あるのか?」

女侍「……私……は」

サル「そういや、この前からずっとそうだよな」

女侍「あたいはねっ、剣聖の屋敷へ忍び込む為に、ずっと研究してたのさっ」

帝「……」

女侍「ま、無駄になっちまったけどねぇ。さ、明日は早いんだろう? もう寝るよ」

 スタスタスタスタ……

魔道士「女侍さん、何か変……ですね」

召喚士「……俺達も今日はもう寝ましょう」
221 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 00:37:02.06 ID:Zzo7xwNDO
奴wwwwww
222 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 00:53:56.65 ID:xGLxc31to
奴がバカにされてる
223 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 02:39:46.46 ID:RnvyhMmAO
これは…ww
224 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 02:40:04.71 ID:qVwr8pOAO
>>1おつ
225 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 03:43:03.86 ID:T0MwE9RDO
>>1


奴w
ピキピキピキッ
226 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 08:32:16.29 ID:UC6BeOSDO
>>1
年末に熱い展開きてるなー
名代に草生やされたらすげーイラッとしそうwwww

急に気温下がったし身体には気をつけてなー
227 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage ]:2011/12/27(火) 08:59:20.30 ID:ayXCj4uZo
名代だけは余裕を感じさせるな
1乙です
228 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 09:41:11.89 ID:oPMcgJsDO
まさか名代がvipperだったとはな…
229 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 12:42:50.34 ID:1G6DjMYKo
上様の俺発言もなかなかww
230 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:21:55.52 ID:96ZSS+TYo
 ヒュウウウウゥゥゥゥ……

男隊員「ぐおぉ……っ、さっぶい゛い゛ぃぃ!!」

 ドザザッ ドザザッ ドザザッ

格闘家「馬の足取りも重くなってきましたね」

隊長「うーむ」

女隊員「どうしたッスかぁ!?」

隊長「真っ白で何も見えん」

男隊員「おいっ! まさか迷ったんじゃねぇだろうな!?」

隊長「んなわけあるか、アホ。お前と一緒にするな」

男隊員「んなこと言ってもよぉ、もうかなり駆けてんぞぉ!」

隊長「おーおー。そうだったそうだった」

格闘家「……」

隊長「この平野で戦ったんだっけか。じゃあもうちょいだな、もう着くぞ」

男隊員「マジかっ!」

女隊員「やったッス! 寒くて死にそうッスよ」

隊長「……そんなに寒いか?」
231 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:22:31.33 ID:96ZSS+TYo
 ドザザッ ドザザッ ドドォ

隊長「見ろ。ここが最北の塔だ」

男隊員「ひいぃ寒い寒いっ! ちゃっちゃと暖を取ろうぜ……ヒャハハ」

隊長「おい、魔物が中にいるかもしれんだろ」

 ゾクッ

格闘家「……何か……いるっ!?」

男隊員「えっ――」

 シュバッ……ピタッ!!

男隊員「……あ、怪しいモンじゃねぇ……っ」

影忍「……人間か」

男隊員「は、早くその物騒なモンを引っ込めてくれ」

影忍「すまんな」スッ

女隊員「な……何者ッスか……?」

格闘家「人間ではない……っ!?」

影忍「待て。確かに人ではないが、味方だ」

隊長「……本当か?」
232 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:22:57.20 ID:96ZSS+TYo


隊長「なるほど。ネクロマンサーか」

影忍「ああ。アンデッドと化したが、精神までは乗っ取れなかったようだな」

男隊員「現実離れした話だ事」

影忍「だが現実の事よ」

女隊員「じゃあ、魔物だけど人間って事ッスか?」

男隊員「何を言ってんだお前は」

影忍「この体は借り物にすぎん。本体はまた、別の所にある」

隊長「魔王城か」

影忍「察しが良いな。その通りだ」

隊長「確かネクロマンサーの人形にゃ2タイプあったよな?」

影忍「俺の様な、あくまで借り物の体を元にした人形と……」

隊長「本体を直接改造した、人形……」

影忍「どちらも不死だが、前者は何度でも作り、蘇らせる事が出来る」

格闘家「後者は?」

影忍「一度きりではあるが、性能をフルパワーで利用する事が可能」
233 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:23:28.23 ID:96ZSS+TYo
男隊員「どちらにせよ厄介だって事にゃ変わりねぇよな……ヒャハハ」

隊長「ネクロマンサー……」

影忍「東方で何か動くかと思っていたが、特に動きはないようだ」

隊長「アイツなら西に来たよ」

影忍「何……?」

隊長「交戦したが……圧倒された。今は恐らくだが、北に逃げたと思う」

影忍「下手に関わらぬ方が身の為よ。奴は戦闘を快楽か何かと勘違いしている」

 ザッ

格闘家「どこへ?」

影忍「一階より上には藤蔵の結界が張ってある。其方で休むが良い」

男隊員「おぉ、そいつは助かる」

隊長「どうりで見張りがいないわけだ」

女隊員「影忍さんは行かないッスか?」

影忍「この体では結界より先へは入れぬ。気にするな」

女隊員「……っ」

隊長「それじゃお言葉に甘えて、上で外の連中を待つとしようか」
234 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:24:25.01 ID:96ZSS+TYo
 ザッ スタスタスタ

男隊員「しっかし、ここまで魔物との遭遇はなかったな」

女隊員「その代わり、人間の反乱とかはあったッスけどね」

男隊員「魔王軍の連中も警戒してんのかもな……ヒャハハ」

 バチィッ!!

男隊員「何の音だ?」

格闘家「……隊長、どうしました?」

隊長「ん、ああ……。何でもない」

女隊員「……?」

隊長「お前らは上で休んでいろ」

格闘家「隊長は?」

隊長「影忍と共に、下で見張りを務める」

格闘家「それなら俺が……」

隊長「構わん。今のうちに休んでおけ」

男隊員「そんじゃお言葉に甘えて。隊長職も大変っすね……ヒャハハ!」

格闘家「……」
235 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:25:13.69 ID:96ZSS+TYo


 ザッザッザッ

影忍「どうした? 休まんのか?」

隊長「あまり休んでいると、実戦の際に身体が鈍るからな」

影忍「そうか」

隊長「なぁ」

影忍「ん?」

隊長「その、ネクロマンサーにアンデッド化されちまうと、結界を突破出来ねーのか?」

影忍「ああ。本国の結界石も然り、魔物と同様だ」

隊長「ふぅん。そいつは不便なもんだな」

影忍「まぁな。仕方あるまい。それが何か?」

隊長「……いや、別に」

影忍「そうか」スクッ

隊長「どこか行くのか?」

影忍「最後の下準備があるのでな。先に失礼する」

隊長「そうか。ま、気を付けてな」
236 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:25:49.21 ID:96ZSS+TYo


女隊員「……おっ、日の出っすよ」

男隊員「もうそいろそろ外の連中も到着すんじゃねーかな」

格闘家「あれ、船じゃないですか?」

男隊員「……間違いねぇ。国軍の船だ!」

女隊員「迎えに行くッスよ!」

 タタッ タッタッタッタッタッ

隊長「……ん、どうした?」

女隊員「船が着いたッスよ!」

隊長「来たか」

 ザッ テクテクテクテク

隊長「ご苦労さん。優雅な船旅はどうだった?」

西方参謀「寒くて酒が進んだよ。がははっ」

隊長「そいつは何よりだな」

青年兵「ここが最北の塔ですか」

隊長「ああ。上には結界、地下は最北の地への通路だそうだ」
237 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:26:52.96 ID:96ZSS+TYo
南方参謀「盗賊ちゃん達はまだ来てないの?」

男隊員「みてーだな。藤蔵に立ち寄ったから、もうちょいかかるんじゃねーか?」

西方参謀「ひとまずこの地で、待つとしようかねぇ……ヒック」

東方参謀「物資の最終確認と、編制や陣形の再確認を忘れぬように」

国軍兵「はっ!」

槍侶「不死の山中に勝るとも劣らない雪ですね」

僧兵長「うむ。しかしこの程度の雪ならば慣れておる。心配であったが問題なさそうだな」

西方参謀「頼もしい限りだ事……ヒック」

 テクテクテク

女隊員「皆さんが総本山の方ッスね! ヨロシクッス!」

槍侶「――っ!?」

女隊員「……ど、どうしたッスか? 東方は挨拶で握手しないッスか……?」

槍侶「い、いえいえいえっ! すすっ、すみまします……っ!」

ゴシゴシゴシッ ギュッ

女隊員「女隊員ッス。ヨロシ――」

槍侶「よよよっ、よろよろ……よろろー」ヨロヨロッ
238 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:27:36.12 ID:96ZSS+TYo


 ドドッドドッドドッ

戦士「おい盗賊、寄り道ってどこに行くんだよ」

火忍「最北の塔までそう遠くないな。妖は居ないみてぇだ」

風忍「ああ。しかし姫はどこへ向かっておるのだ?」

盗賊「……見えたっ、あの村だ!」

戦士「……村?」

〜最北の村〜

盗賊「……確か、ここだ」バサッ

海女「……?」

盗賊「ご無沙汰してます。その節はどうも」

海女「……あ……れ!? えっと確か……盗賊ちゃんだったっけか!?」

盗賊「お元気そうで何より」

海女「あんたこそあれから元気だったかい!? 良かったよぉ本当に!」

 スクッ

海女「おーい! あんたぁ、おとっつあーん! ちょいと来ておくれー!」
239 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:28:38.77 ID:96ZSS+TYo


老人「おぉ、あの時の娘さんじゃったかい」

漁師「元気そうで何よりだ!」

盗賊「皆さんもお元気そうで、一安心しました」

海女「それで、今日はどうしたんだい?」

漁師「村は見ての通り、以前よりずーっと良くなったよ!」

老人「妖怪もほとんど来なくなったし、何より賊の類も上様の兵がやっつけてくれるからのぅ」

盗賊「それは良かった」

漁師「あんたらのお陰だよ! 恩はいつでも返すから、困った事があったら言ってくれ!」

盗賊「……あの」

漁師「ん?」

 ズザッ

盗賊「どうか、私達にお力を貸して頂きたい!」

海女「そ、そんな頭なんて下げないでおくれよ……っ!」

老人「私達ってのは……どういう……」

盗賊「皆、顔を見せよ」
240 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:29:43.20 ID:96ZSS+TYo


老人「……っ」

漁師「あ……あぁ……っ」

海女「ま、まさか……盗賊ちゃんが……藤蔵……藤蔵の……っ」

風忍「姫が話された通り、我らはこれより魔王討伐へと向かう最中なのだ」

盗賊「この先、最北へは船で行かねばならぬ」

漁師「へ、へへーっ!!」

盗賊「船はあるのだが、優秀な舵取りが居ない。そこでなのだが……」

青年兵「なるほどっ。この方達の力をお借りするわけですね……!」

盗賊「あなた達の実績は以前に体感している。どうか、お力を貸して頂きたいのです」

海女「こんなんで良ければっ、喜んで差し出しますぅ!!」

漁師「勿論ですっ!! 死ぬ気でやらせて頂きますっ!!」

老人「いつ死んでも良い身じゃっ、上様や姫様の為に喜んで!!」

盗賊「あの……そんなに畏まられても……」

漁師「ど、どうかこれまでのご無礼は水にお流し下さいませぇ!!」

盗賊「……はぁ」
241 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:30:25.19 ID:96ZSS+TYo


土忍「これで船頭も確保した。後は……行くのみ」

戦士「ったく、先に言っておけよな」

盗賊「だって、確証はなかったし……」

鬼丸「まぁよ、上手くいったわけだし、最北の塔へ急ごうぜ」

漁師「それじゃあ、行ってくる」

海女「頑張ってね! 姫様、どうか宜しくお願い致します……っ!」

盗賊「……うん。任せて」

火忍「……ん? なんだガキ、何か用か?」

少女「お姉ちゃん……?」

盗賊「……!!」

 テクテクテク

盗賊「久し振り。元気?」

少女「うんっ! お姉ちゃんも元気?」

盗賊「ああ元気だ。そうだ、またお菓子をあげよう。ほら……みんあで分けて食べるんだぞ」

少女「わぁっ! こんなにいっぱい!? ありがとーっ!!」
242 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:31:13.58 ID:96ZSS+TYo
 タッタッタッタッ

戦士「あんな量、どこに隠してたんだお前は」

盗賊「……秘密だ」

風忍「それでは参りましょう」

盗賊「うん」

 ザッ パッカパッカパッカ…

土忍「しっかり捉まっておれ」

老人「へ、へいぃっ!」

戦士「なんつーかさ」

盗賊「……ん?」

戦士「何の変哲もない小さな村なんだけど、のどかでみんなが笑って暮らしてた」

盗賊「……ああ」

戦士「いい村だな。ぜってぇ、守ってやらねーとなっ!」

盗賊「無論だ。その為にも……魔王マーラを討つ」

鬼丸「おうよ! やってやろうぜ……相棒!」

戦士「ああ、やってやるさ!」
243 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:31:59.20 ID:96ZSS+TYo
〜最北の塔〜

格闘家「……!? 来ましたっ、来ましたよ!」

 ドドッドドッドドッ ドドォ

戦士「すまねぇ、遅くなった!」

隊長「いや、問題ない」

 テクテクテクテク

盗賊「途中で船頭を連れてきた。この者らなら、渡航も問題ない」

漁師「ひっ、ひえぇ……」

南方参謀「それは助かるわぁ。それでは早速、軍船へ」

老人「へ、へいっ!」

男隊員「これで討伐対は全員、揃ったわけか」

隊長「途中で魔物はいたか?」

戦士「いや、いなかった。そっちは?」

女隊員「こっちも遭遇しなかったッスよ」

東方参謀「海上もだ。不気味な程、静かなものよ」

青年兵「すると考えられる事は1つ。魔王軍は……最北に集結している」
244 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:32:30.11 ID:96ZSS+TYo
鬼丸「簡単でいいぜ。まとめてブチのめしゃいいんだからよ」

火忍「鬼丸の言う通りだ。手間がかからなくていいわ」

戦士「それで、あとは船で向かうだけか?」

隊長「塔から繋がる通路経由でもいけると聞いたが」

風忍「それはやめておいた方が良いかもしれませぬ」

隊長「……?」

戦士「その奥は龍脈だ。ヤマタノオロチがいた所だよ」

格闘家「!?」

水忍「見ておきたいのであれば構いませぬが、物見遊山には危険すぎますぞ」

男隊員「ここは素直に、船で渡るのが定石のようだなこりゃ……ヒャハハ!」

青年兵「では、出航準備を進めましょう」

戦士「いざ、最北……マーラのもとへってか」

盗賊「……東方の……魔王」

 最北の塔へと集った魔王討伐軍。これより本国の軍船にて渡航を開始する・

 目指すは地理すらも分からぬ最北の地、魔王マーラの居城である。
245 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:33:04.15 ID:96ZSS+TYo
〜西の平野〜

召喚士「さて、行きましょうか」

魔道士「はいっ!」

サル「朝になって弱体化してくれてりゃいいけどなぁ」

名代「過剰な期待はせぬ方が宜しいですよ」

帝「頼むぞ、皆の者」

女侍「上様の為ならば」

キジ「なんかお頭、おかしいさー」

イヌ「自分の故郷の偉い人だからね」

召喚士「東方司令さん、準備はいいですか?」

東方司令「いつでも」

名代「それでは一気に、屋敷まで向かいましょう」

魔道士「今回は屋敷まで一気にですか?」

名代「前回、馬を使った事が分かっているでしょうから、馬を潰されては危険です」

召喚士「馬はここへ置いて行くわけですね」

名代「左様。今日は数も多いですし、徒歩にて進みたいと思います」ザッ
246 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:33:37.69 ID:96ZSS+TYo
 スタスタスタ

名代「――っ!?」

神野「おはようさん」

帝「な……っ!!」

神野「どうせ結界に逃げるんや。直ぐ外で待ってた方が利口やろ?」チャキッ

名代「しまっ――――」

神野「まずは一人〜」ビュオッ

コカトリス「させるか馬鹿めがっ!!」

神野「何ぃーッ!?」

 バシュウウゥゥゥゥ!! ゴゴオオォォォォ!!

召喚士「悪いけど、ずっと監視はしてたから」

神野「石化……ッ、くそっ! 左手が動かん……」

名代「助かりましたっ!」

召喚士「今日こそお前を……倒す」

神野「楽しませてくれるやんかぁ……!」

 ブチブチブチィ!! ドサッ
247 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:34:36.07 ID:96ZSS+TYo
サル「み、自ら左手をもぎ取りやがったぜ……っ」

神野「思念体なんや。直ぐに再生くらい出来るわボケ」

召喚士(石化は……するのかっ。それならば……)

 ザッ ジャリッ

神野「今日は数も増えてるみたいやな。感心感心」

女侍「この前は世話になったね」

神野「この前? よう分からんが世話してやったんなら、感謝せぇや」

女侍「なめるんじゃあないよっ! その身体……見るのも苦痛だ、姿を現しな!」ダンッ

神野「威勢がええやんか。いいねぇ〜もっとや、もっとかかってこんかいっ!」

東方司令「望み通り……相手してやる!」タンッ

イヌ「キジっ、こっちも援護ね!」

キジ「了解さー!」

 キュイイィィィィ……ドドオオォォォォン!!

名代「上様、お気を付け下されよ」

帝「ああ、分かっておる」

神野「ハハッ、その程度かいな! 遠慮は要らんでぇ!」
248 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:35:26.93 ID:96ZSS+TYo
 ザザーン

漁師「な、なんちゅう船だよ……っ!」

老人「長生きはするもんじゃのぅ。こんなとんでもない船に乗る事が出来るとは……」

東方参謀「それでどうなのだ? このまま進めば良いのか?」

老人「しばらくは問題ないですじゃ」

漁師「ただこの先に、海流があるから、注意するのはそこですわ」

青年兵「海流ですか」

老人「西側と東側から潮が流れとるでな。それが丁度、ぶつかり合うんっじゃよ」

漁師「そいつが厄介で、漁師はそこから先へ進めないんでさぁ」

隊長「何かあるのか?」

老人「東西からぶつかった海流はそのまま北へと流れ込みまずでなぁ」

漁師「きっと最北には、無数の魚がいるんじゃねぇかって、昔から言われとるんです」

戦士「じゃあ、魔王を倒して平和になったら、漁も楽になるな!」

南方参謀「船の技術だって、本国から東方へドンドン行き渡ってるしねっ」

老人「もしそうならば、楽しみで仕方ないわい」

漁師「だわなぁ。そうすりゃたーんと魚獲って、いい暮らしが出来るかもなぁ!」
249 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:36:28.28 ID:96ZSS+TYo
〜海流〜

 ドドドドドドオオォォ

女隊員「うわ……っ!!」

 ガシッ

槍侶「大丈夫……だだっ、だいだい……だだだ」

女隊員「ありがとーッス!」

西方参謀「甲板にいる連中は船内へ入れ! 波に攫われんぞぉ!」

 ザッパアアァァァァン

戦士「すっげぇなこりゃ……っ」

土忍「これが噂の海流か」

火忍「おい、テメーら何とかしてこいよ」

水忍「お前に言われんでも、そのつもりだ」

風忍「水、私はあくまで補佐のみだからな」

 スタスタスタ

漁師「あ、あんたら……危ないぞぉ!」

盗賊「大丈夫。任せておいてくれ」
250 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:37:00.27 ID:96ZSS+TYo
漁師「……?」

 ザッ

風忍「風遁……奥義っ!」
水忍「水遁……奥義!」

風忍「疾風――――」
水忍「――――怒濤っ!!」

 ゴアッ!! ドッドオオオオォォォォン!!

南方参謀「きゃあっ!!」

老人「お、おぉ……っ、これは大竜巻……っ」

風忍「海流が渦巻き荒れるならば……」
水忍「その逆を渦巻く竜巻を作り上げ、力を弱めるのみよっ!」

 ゴオオオオォォォォ

僧兵長「おぉっ! 荒れた海流が大人しくなり始めたぞっ!」

風忍「……ふーっ。どうやらうまくいったようだな」
水忍「さぁ、今のうちに突き進んでくれ」

東方参謀「よぅし、海路の案内は任せるぞ! このまま前進だ!」

漁師「お任せ下さい! 俺らにとっちゃあ庭みてぇなもんでさぁ!」

老人「海に生まれ海に育ち、海と共に歩んだ人生……理解はしてるつもりじゃっ!」
251 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:37:57.45 ID:96ZSS+TYo
〜剣聖の屋敷〜

 ザッ

くの一「……ここが、そうなの?」

女剣士「ああ。私の家……だった場所だ」

くの一「……」

女剣士「君の故郷と同じさ。もう滅んだ場所さ」

くの一「そう……」

女剣士「中に入ろう」

 スタスタスタスタ

女剣士「中は比較的、荒れてはいないみたいだな」

くの一「ここに何か、あるの?」

女剣士「……あればいいけど」

 スタスタスタ……ザッ

女剣士「ここが道場だったとこ。懐かしいな」

くの一「……」
252 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:38:43.15 ID:96ZSS+TYo
……――

女剣士『やぁーっ!!』バシッバシッ

女侍『そんなんじゃ私には勝てないよっ!』

女剣士『……くぅっ』

女侍『ほらほらっ、もう終わりかい?』バシィッ!!

女剣士『……参りました……っ』

女侍『ふふっ。でも、強くなったね』

女剣士『姉上もますますお強くなられた……。こんな事では父上になど到底勝てぬ』

女侍『私ですら父上には勝てないんだ。まだまだだって事』スッ

女剣士『……精進します』

女侍『さ、休憩にしようか』

 テクテクテク

剣聖『頑張っているな、二人共』

女剣士『父上……』

剣聖『お前等はまだ若い。焦る事はないよ……はっはっは!』
253 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:39:19.22 ID:96ZSS+TYo


女剣士『父上が……罪人……!?』

女侍『そんな馬鹿な話があるものかっ!』ダンッ!!

老人『しかし都では、既に剣聖様の罪が決定し……打ち首と……っ』

門弟『何てこった……っ。これでは剣聖家はお終いだ』

女侍『ど、どこへ行くのだお前ら……っ!』

門弟『巻き添えは御免です。世話になりました』

女剣士『待っ――』

 スタスタスタスタ

老人『お二人も……此処を立ち去り下され』

女侍『何を馬鹿な事を……』

老人『強盗殺人は剣聖様のみならず、一族死罪の恐れ有り……』

女剣士『――っ!!』

老人『どこか……そうじゃ、手の届かぬ本国などに身を潜めて下さいませ!』

女侍『馬鹿な……そんな……馬鹿なっ!!』
254 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:40:07.05 ID:96ZSS+TYo


女剣士『……姉上』

女侍「私は信じぬ。父上が……そんな真似をするなんて』

女剣士『私だって……』

女侍『必ずこの手で……父上の無罪を、父上の無念を晴らしてみせる』

女剣士『姉上……っ。私もです、共に父上の無念を――』

女侍『いや、私一人でいい。お前は剣の道を捨てて、女として生きるんだ』

女剣士『何を……』

女侍『それがお前にとっての幸せ。さぁ、ここでお別れだ』

女剣士『姉上っ!? 嫌ですっ!! 私は姉上と……』

女侍『……すまぬっ』

 バシィ!!

女剣士『あ……ねう……え……?』

 ヨロッ……ドサッ

女侍『……さらばだ、女剣士』
255 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:40:59.49 ID:96ZSS+TYo
――……

くの一「どうしました?」

女剣士「……いや、ちょっと昔の事を思い出してな」

くの一「そうですか……」

女剣士「この掛け軸だ。この裏に……」ペラッ

くの一「隠し部屋……ですか?」

女剣士「いや、からくりがある」

 カチッ……ゴゴゴゴゴゴ……

女剣士「この取っ手を引くと、次なる仕掛けが姿を見せる」

くの一「……?」

女剣士「こっちだ」

 スタスタスタスタ

くの一「……庭、ですか?」

女剣士「このししおどしの水が、先程のからくりで引く様になっている」

くの一「何か……あります」
256 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:49:02.14 ID:96ZSS+TYo
女剣士「ししおどしの中にある仕掛けを引くと」

 グイッ……ガゴンッ!!

くの一「音がしました」

女剣士「裏手にある蔵が開錠したのだ。行こう」

 スタスタスタ……

くの一「あっ、蔵ってあれですか?」

女剣士「そうだ」

くの一「あれ? でも……開錠していないですよ?」ガチャガチャッ

女剣士「お前、鍵は開けられるか?」

くの一「……いえ」

女剣士「……忍や賊まがいの事をやっていたのではないのか?」

くの一「……すみません」

女剣士「まぁいい。離れていろ」スッ

くの一「……?」

女剣士「はああぁぁーっ!!」
257 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:51:57.99 ID:96ZSS+TYo
 ガシュッ!! キイイィィィィン!!

くの一「刀が……っ!!」

女剣士「ちっ、ナマクラめ。まぁいい……どうせすぐに手に入る」

くの一「へっ?」

 パキンッ……ゴトッ

女剣士「錠は壊せたようだ。中に入ろう」

 ギイイィィッ

女剣士「黴臭いな……っ」

くの一「でもいい事じゃないですか? 誰も入っていない証拠」

女剣士「だな」

 スタスタスタ

くの一「あっ! 床が開いている……!?」

女剣士「先程の開錠とはこれの事だ。真の蔵はこの下にある」

くの一「随分と手が込んでますね」

女剣士「それだけ貴重なものだからな」
258 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/27(火) 17:52:47.60 ID:96ZSS+TYo
くの一「……?」

 スタッ テクテクテクテク……

くの一「……えほっ。埃っぽいですね……っ」

女剣士「父上が閉ざして以来、誰も立ち入る事がなかったのであろうな」

 テクテクテク……ザッ

女剣士「……あった」

くの一「これは……刀?」

女剣士「ああそうだ。ただの刀ではない」

くの一「……」

女剣士「剣聖家に伝わる、天下五剣の一つ……三日月宗近」

くの一「――っ!!」

女剣士「父上、不肖ながら女剣士……拝借致します」

 カチャッ

くの一「これを……手に入れる為に来たんですね」

女剣士「今となっては父上の形見だしな。それにこの先、戦う敵は強い奴らばかりだろう」
259 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/27(火) 18:00:57.06 ID:96ZSS+TYo
ひとまずこれにて。また後でちょっとだけ投下出来るかも…
今日もご支援ありがとでしたー!それでは!ノシ

〜オマケ〜

 カタカタカタッ

名代「フヒッ、今日もvipで糞スレ立てるで御座るよ……フヒヒ」

 カタカタカタ

名代「えぇと……『神野悪五郎って雑魚だろwwww』、っと」

 カタカタカタ

名代「フヒヒッ、しかしどいつもこいつも詰まらぬスレばかりで御座……むっ!?」

 『上様の破廉恥画像撮ったったwwww』

名代「……殺す!!」

 カタカタカタ

名代「えぇと……『通報しますた。貴様は殺す』、っと」

 『何、顔真っ赤にしてんだよwwww お前、名代じゃね?wwww』

名代「…………」カチンッ

 カタカタカタッ

名代「スレストしてやる……ブツブツ」
260 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/27(火) 18:03:41.49 ID:R9f5+BML0
1乙!!
261 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 18:08:16.62 ID:gFMqoQmYo
>>259
やめろwwwwwwww
262 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 18:12:47.99 ID:1G6DjMYKo
名代さんなにしてんすか
263 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 19:39:59.48 ID:kDQlGN7DO
>>1乙っす
お菓子は胸の谷間に仕込んでたんですねわかります
264 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 20:17:16.82 ID:eco7FRkk0
名代さん…
265 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 20:29:11.57 ID:oPMcgJsDO
名代wwwwwwwwww
266 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/27(火) 20:47:46.89 ID:/Faw5+JQ0
いちおつ
隊長…まさかと思ってたけどそうだったのか……
おまけワロタwwww
267 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 21:30:00.35 ID:zWsFxzlNo
名代のイメージが意図も簡単に崩れたわwwwwww
268 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/27(火) 23:27:48.89 ID:T0MwE9RDO
>>1
名代はんなにしてはるんすか
269 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 01:25:53.49 ID:qC40b57AO
>>1おつ
270 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 10:56:30.24 ID:BnjZLnMC0
いちおつ!

名代ェ…
271 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 16:27:15.31 ID:geEM6SSoo
>>1
たった1レスで名代さんのキャラブレイクが華麗に決まったな
272 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:40:23.20 ID:uWmaIYFeo
〜龍脈跡地〜

影忍「……」

 ザッザッザッ

影忍「……雷」

 空洞内に響き渡る水の滴る音と風の通る音。勿論、影忍以外の気配は全くない。

 激しい戦闘を容易に想像させる、辺り一面へと付着している血痕。

 その中で影忍は、一箇所の黒ずんだ地面を見付け、そこで足を止めた。

影忍「……っ」

 撫でるように地面の炭を 右手の指で擦り、それはすぐさま、握り拳へと変わる。

 人間であった頃の記憶、弟のように後を追ってきた雷忍の姿が思い浮かぶ。

影忍「幸せなのかもしれないな。戦場で心身共に逝けたのだから」

 自身の魔族化と重ね合わせ、影忍は自嘲地味にそう呟いた。

影忍「……さて、もう間もなくだろうか」

 スクッ ザッザッザッ……

影忍「もうしばしの辛抱だ。だから待っておれ……雷」
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:43:22.97 ID:uWmaIYFeo
〜最北端〜

国軍兵「陸地が見えてまいりましたぁーっ!」

青年兵「よし、船を岩壁に寄せて、上陸の準備を!」

漁師「荒れてはいるが波は一定の流れっ、このまま焦らず寄せて下せぇ!」

行軍兵「了解っ!」

隊長「……何か見えるか?」

格闘家「いえ、特に何も」

男隊員「本当に、こんな所に魔王がいんのかぁ?」

南方参謀「それは間違いないみたいだけど、どこかに身を潜めてるのかしら?」

西方参謀「魔王様がかぁ? 冗談キツイぜ……ヒック」

老人「よぉしっ、もうちょい……そう、そこじゃ! よーし、うまくいったわい!」

 ドドオオォォォォン

国軍兵「上陸可能です!」

青年兵「よし。それでは上陸開始っ!」

槍侶「さぁ、行きましょう!」
274 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:44:40.48 ID:uWmaIYFeo
 ザッ ザッザッザッザッ

戦士「だだっ広い陸地に、1本の川だけ」

盗賊「その先にも水辺が見えるな」

戦士「対岸か?」

風忍「いや、あれは湖のようだな」

火忍「湖?」

水忍「……おかしい」

火忍「あん?」

水忍「なぜこの寒さと雪で、この川と湖は凍っておらぬのだ?」

土忍「……確かにそうだな。これは、何かあると見て良かろう」

戦士「青年兵っ!」

青年兵「……?」

戦士「ちょっと来てくれ!」

 ザッザッザッ

青年兵「何でしょう?」
275 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:46:40.27 ID:uWmaIYFeo


青年兵「言われてみれば不自然ですね」

東方参謀「すると、湖に何かあるという事か?」

南方参謀「その可能性は高いって事よね……」

隊長「よし、特遊で探りを入れるとしよう」

西方参謀「いいのか?」

隊長「それが仕事だ。行くぞ」

男隊員「へいへい。おたくらは設営でもしててくんろ。ヒャハハ!」

 シュバッ ザザザザザザッ……

風忍「本国の方々ばかりに申し訳ない。我らも……」

青年兵「いえ、ここは特遊に任せましょう。手を空いている者は設営を」

東方参謀「軍船を拠点に、陣を敷けい」

青年兵「残りの者は周囲の警戒を怠らぬように!」

鬼丸「おう。任しとけ!」

僧兵長「総本山の者らは、炊き出しの準備を進めるぞ」
276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:47:15.78 ID:uWmaIYFeo
 ザザザザッ  ズザッ

男隊員「大体よ、藤蔵がいんだから俺らが出張る必要もねーわけだ」

女隊員「それもそうッスねぇ」

隊長「藤蔵はこの先、大事な人達だ」

男隊員「何だそりゃ? 俺達なら大事じゃねぇってのか?」

隊長「魔王討伐に対しての力量を考えたらそうだろ」

男隊員「……」

隊長「西での事を忘れたのか? 俺を含めて特遊は……」

 ピクッ

格闘家「……かなりの数ですね」

隊長「湖畔か? 降りになっててよく見えねぇな」

女隊員「……うわ」

格闘家「……?」

男隊員「な、なんだぁー!?」

隊長「っ!!」
277 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:48:39.70 ID:uWmaIYFeo
 ドドドドドドッ……

火車「人間じゃ人間じゃあー!」

朧車「ウッヒヒヒヒヒィ〜」

女隊員「ぎゃあぁ!! 化物ッスよおおぉぉ!!」

男隊員「なっ、何だあいつら……怖えぇ!!」

 ダダッ

泥田坊「田を返せぇ〜」

男隊員「知らねぇよ! こっちくんなっ!」

女隊員「わーわーわーっ!!」

 バッゴオオォォォォン!!

格闘家「隊長っ!」

隊長「迎撃には数で分が悪い。シロハチあげろ。んでそのまま後退する」

格闘家「了解です!

 バシュシュシュシュシュシュシュシュッ!!

隊長「奴は……まだ居ないか」
278 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:50:27.21 ID:uWmaIYFeo
国軍兵「発光弾です!」

東方参謀「合図は?」

国軍兵「白の。特遊が魔物と遭遇の様相!」

青年兵「全軍出陣! 陣形は鶴翼のまま、中央に別働隊を配置せよ!」

戦士「中央は俺らが担うぜ」

盗賊「ああ」ジャキッ

南方参謀「東方軍、総本山、国軍を分ける事なく、平等に配置してっ!」

西方参謀「いいかぁ? こっからは互いの連携が重要だ。国や軍の関係なく……協力しろよっ」

僧兵長「宜しく頼むぞ」

国軍兵「こちらこそ! 私は魔道兵ですので援護はお任せ下さい!」

足軽「ならば総本山と俺が、前面で仕掛けると致そう!」

青年兵「進めぇ!!」

 若き指揮官の号令を合図に、左右を突出した様な形で陣を組んだ魔王討伐軍が出陣。

 数こそこれまでの戦いに比べると少ないものの、高揚する士気や結束力は類を見ない。

 それはひとえに、海上の船と言う隔離された空間で寝食共にしたからこそのものであった。
279 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:51:21.88 ID:uWmaIYFeo
 ダダダダッ

男隊員「しっつけぇなこの!」

 キュイイィィィィ ドドオオォォォォン

泥田坊「あっぢいいぃぃ!!」

女隊員「あっ! 他のみんながこっちに向かってるッスよぉ!」

隊長「合流後に即、反転! 中央を割って、一気に突き進むぞ!」

格闘家「了解っ」ボキボキッ

 ザザザザザザッ

火忍「正面っ! 妖がわんさか居やがるぜぇ」

土忍「さぁ、我らの出番よ」

 ズザァッ

土忍「土遁……砂塵!」

 ブワッ バシュシュシュシュウウゥゥゥゥ

戦士「な、何だぁ!?」

盗賊「砂塵は砂煙で、視界を遮断する技だ」
280 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:53:39.07 ID:uWmaIYFeo
戦士「なるほど……魔物の気配を感じ取って、斬りかかりゃいいわけだなっ!」

 ズザッ ガキイイィィィィン!!

戦士「……!?」

鬼丸「相棒っ、俺だ! 俺!」

戦士「す、すまねぇ! 魔物の気配が……」

鬼丸「グハハッ! まぁ仕方ねぇか!」

戦士「鬼丸はちょっと退がっとけ! 砂塵が晴れるまで後方で待機しろい!」

鬼丸「ったく、しゃーねぇな」

盗賊「はあぁーっ!」ザシュッ

槍侶「ふんっ!!」ドズッ!!

火忍「……っりゃ!!」

 キイイィィィィン

火忍「……おわっ!? す、すまねぇ!!」

隊長「この砂埃だからな。気にするな」

火忍「……お、おうっ」
281 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:54:16.45 ID:uWmaIYFeo
 スタッ

水忍「何をしているのだお前は」

火忍「いやっ、だってよ……」

火車「ウシャシャシャシャー!!」ゴウッ

水忍「水遁……水竜巻!」

 ドゴオオオオォォォォ!!

水忍「火を使う奴はどいつもこいつも、手間がかかるものよ」

火忍「何だとこらぁ!!」

盗賊「遊んでいないで早く行くぞ」

 タンッ

火忍「は、はいっ!」

土忍「何をにやけておる。気持ち悪い」

火忍「だってよぉ、姫の……ますます凛々しくなられたお姿っ!」

水忍「そうだな。これがお前の見納めになるかもしれぬしな」

火忍「縁起でもねぇ事いうな!」
282 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:55:03.11 ID:uWmaIYFeo
 ズザアァ

青年兵「位でよっ、ワイバーン!」

 シュイイィィィィン バシュウウゥゥゥゥ!!

格闘家「はっ!!」バゴォッ!!

女隊員「おい……っしょおおぉぉぉぉ!!」

 ドッゴオオオオォォォォン!!

隊長「正面は突破したぞ! 魔物どもを左右に追いやれ!」

男隊員「中央がガラ空きになんぞ!」

隊長「その為の別働隊だろ。いいからそのまま進め!」

格闘家「別働隊……」

 ドドドドオオォォォォ

戦士「前衛が中央突破したみてーだな」

盗賊「我らも続くぞ」

鬼丸「おうよっ!」

青年兵「怯むなっ! 敵はさほど強くはないぞ、力で押し切るのだ!」
283 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:55:32.75 ID:uWmaIYFeo
 ドドドドドド……

西方参謀「いやはや、立派な指揮官になられちまいましたなぁ……ヒック」

南方参謀「何だか、初めて会った頃のウブな青年兵くんが懐かしいわぁ」

西方参謀「んで、準備はいいかい? 東方先生」

東方参謀「早く撃てぃ! とっくに準備出来ておるわぁ!」

西方参謀「ほんじゃま、いきますか」

南方参謀「風行でいい?」

 キュイイィィィィ

東方参謀「超級――」

西方参謀「発射ぁーっ!!」

 バッゴオオオオォォォォン!!

僧兵長「な、何事っ!?」

国軍兵「東方先生の必殺技です!」

東方参謀「ぬううぅぅりゃああああぁぁぁぁーっ!!」ボボボボボボッ

僧兵長「す、凄いな……っ。己の身に法力を纏い、突撃しているのか……っ」
284 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:56:03.47 ID:uWmaIYFeo
 ドッドッドドドドドドッ!!

東方参謀「爆発っ!!」

 カッ!! ズッドオオオオオォォォォン!!

火忍「……すっげ」

風忍「湖までの道が開けたな」

青年兵「このまま行きましょう」

戦士「周りの魔物は?」

青年兵「軍団長クラスはいないようです。後続にお任せしましょう」

盗賊「……そうだな」

青年兵「あくまで討伐軍は、魔王が標的です。極力、消耗は避けたいところです」

戦士「それもそうだな」

鬼丸「ガハハッ! この程度の妖なら、何ら心配はねぇよ」

槍侶「私も行きますっ!」

僧兵長「槍侶!」

槍侶「僧兵長様っ、ここは頼みましたよ!」
285 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:56:42.32 ID:uWmaIYFeo
 ザザッ タッタッタッタッタッ……

僧兵長「全く、困った奴だ」

僧兵「まぁ、槍侶ならば心配無用でしょう」

僧兵長「技量はな。しかし、精神がまだ未熟ゆえ……他の迷惑とならねば良いが……」

 ドザアアァァァァ!!

足軽「海からもきやがったでぇ!!」

海坊主「……ぬううぅぅぅぅん」

僧兵長「まずいっ! 船をやられては一大事だぞ!」

国軍兵「船を守れぇ! 船なくしては、勝っても帰れんぞ!」

 バシュシュシュシュッ!!

弓兵「船外へは決して出ぬように!」

老人「ひっ、ひいいぃぃ!!」

漁師「……ほ、本当に大丈夫なんだなっ!?」

弓兵「俺達を信じてくれ! あんたらの為にも勝って、絶対に連れて帰るからよっ!」

漁師「わ、分かった! 頑張ってくれ!」
286 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:57:10.51 ID:uWmaIYFeo
 ズザッ ザシュウウゥゥ!!

隊長「湖畔か。確かに湖も凍っている様子はないな」

格闘家「この気候で、おかしな話ですね」

男隊員「何かあるとしか思えね――」

 ザザッ……スタッ

戦士「到着っ!」

盗賊「……ん、どうした?」

女隊員「な……なんスかこれ……っ」

隊長「……バカなっ」

 シュタタッ

土忍「どうかしたのか?」

 スタスタスタ……

戦士「何を覗き込んでるんだ? 湖の中に何か……」

盗賊「……何だ……あれは!!」

戦士「城だ……城が……湖の中にあるぞ!!」
287 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:57:47.90 ID:uWmaIYFeo
〜西の平原〜

神野「ひゃーっはっはっはっは!! なんやぁ、こんなモンかいな!!」

東方司令「ちっ、しぶとい奴だな」

神野「嬢ちゃんこそ、世界ニやなかったんか?」

東方司令「……殺す!」シュバッ

 キィンッ キィンッ キィンッ ガキイイィィン!!

神野「でもま、言うだけの事はあるわぁ」

東方司令「ほざいてろっ!!」

サル「ダメだなあのチビッコ、頭に血が昇ってやがる」

召喚士「いや、東方司令さんはそこまで愚かな人じゃありませんよ」

サル「そうかぁ?」

召喚士「きっと引きつけて、刀を奪うつもりなんでしょう」

名代「ならば加勢を」

召喚士「……しかし、召喚獣や式神では間合いを取られてしまう可能性が……」

魔道士「魔法援護もそうですね……っ」
288 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:58:15.56 ID:uWmaIYFeo
 ザッザッ

女侍「あたいが行くよ」

召喚士「女侍さん?」

女侍「あの娘の援護すりゃいいんだろ? だったら適任さね」

イヌ「援護するね」

女侍「あんたらもギリギリまで待ってな。ヘタに手出しして逃げられたらどうすんのさ」

キジ「でも、危険さ〜」

女侍「そんなもんは百も承知の上だろ。あたいよりも上様の護衛をしてなっ」タンッ

 キィンッ キィンッ キィンッ ヒュオンッ

神野「ようかわすやないけっ。ちっこい体が幸いしたなぁ」

東方司令「ごちゃごちゃと……五月蝿い! 本当に殺してやろうかっ!」

 ババッ!!

女侍「お楽しみの最中悪いけどさ、あたいも混ぜてくれよ♪」

神野「なんや、一人増えただけやないか」

女侍「女二人に囲まれて、両手に華でいいじゃないか。ふふっ」
289 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 17:59:06.28 ID:uWmaIYFeo
 ビュオッ!!

神野「なかなか早いやないか。でも、ガキンチョに負けとるでぇオバハン」

女侍「誰がババアだ!!」
東方司令「誰がガキだこらぁ!!」

 ビュンッ!! ブオッ!! シュバッ!!

魔道士「な、何だかだんだんと……ヒートアップしてませんか?」

召喚士「……き、気のせいですよきっと」

 ババババババッ!! ビュオンッ!!

神野「なんやつまらんなぁ。本体出すまでもないわな」

東方司令「なっ!?」

神野「おねんねしときぃ!!」

 バギャッ!! ドザザザザアアァァ

東方司令「ぐく……っ」

帝「東方司令っ!」

東方司令「……」ブンブン

帝「!?」
290 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 18:00:02.64 ID:uWmaIYFeo
名代「やはり東方司令殿、本気ではないようですね」

帝「ああ。今、間違いなく……目で合図を送っていた……っ」

 ヒュバッ!!

神野「次はこっちや!」

女侍「くぅっ!!」

 ビュオッ……キイイィィィィン!!

女侍「な――っ!!」

 クルクルクルッ……ザスッ

神野「刀を失ってもーたなぁ」ザッザッザッ

イヌ「お頭――」

 バッ!!

サル「まだだ。この程度でやられるタマかよ」

キジ「……っ」

神野「さーてさて、とどめ……刺させて貰うでぇ!!」

 ブオンッ!!
291 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 18:00:43.10 ID:uWmaIYFeo
神野「……?」

女侍「……」

神野(……コイツ、何でこんな目の前に居るんや……ッ?)

女侍「真剣白刃取りなんて一か八かの技、実戦じゃあ不向きさねぇ」

神野(そうや。わいが振り下ろした瞬間、懐に飛び込んできて……)

 ツツーッ

魔道士「血がっ!」

女侍「額をかすめただけさ。平気平気っ」グググッ

神野(そして……両腕を捕まれた……!?)

女侍「手首握られるとさ、固定させて動かせないだろ?」

神野「くっ!」

女侍「逃がしゃしないよっ! このまま刀……ぶん取って――」

 ザシュッ!! ボトボトッ

女侍「……!?」

名代「……う、腕……がっ」
292 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 18:01:13.51 ID:uWmaIYFeo
 ポタポタポタッ

神野「……う……ぐああぁぁ!!」

女侍「あんたぁ……」

 チャキッ

東方司令「刀に触れてはいないだろうな?」」ギロッ

女侍「残念。せっかくこの美貌が、死ぬまで保てると思ったのにねぇ」

東方司令「ふざけるな!! 不老など不幸以外の何でもない!!」

女侍「冗談さね。そう怒りなさんなって……ふふっ」

神野「わいの……腕ぇ……ッ!」

女侍「あんたのじゃあないだろ! 剣聖の腕さ!」

東方司令「魔剣は確かに頂いた。これで貴様が振るう武器はない」

神野「あんまり調子こくなよ……人間風情がァ……!!」

召喚士「今だっ!」

名代「一旦木綿!」ボンッ

魔道士「やあぁっ!!」
293 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/28(水) 18:01:43.88 ID:uWmaIYFeo
 ドッドオオォォォォン!! ゴアアァァァァ!!

神野「小賢しいっ! たかが突風……」

 ピシッ ピキピキッ

神野「な、何や……? おいコラァ! 風に何を細工――」

コカトリス「こんな手に引っ掛かるとは、久々に清々しいな」

神野「ッ!!」

一旦木綿「そうらっ」

 ギュルギュルギュルッ!!

神野「何やこらっ、離せ! 離さんかワレェ!!」

一旦木綿「構わんよ。このまま石化しておくれ」

コカトリス「遠慮はせんぞ」

神野「離せ言うとるやろがああぁぁ!!」

コカトリス「やかましいな。まずはその口から封じてやろう」

神野「何をほざ――――」ゴオオォォォォ……

コカトリス「……ふっ、おもわず全身、石化してしまったわ」
294 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/28(水) 18:02:20.31 ID:uWmaIYFeo
ひとまずこれまで!失礼致します!
本日もご支援ありがとうでしたっ!ではまた!ノシ
295 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 18:08:22.88 ID:9by6ryBAO

コカトリスさん久々のまともな活躍ですね!
296 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 18:20:30.70 ID:1Jo6EhQSO
コカwwさんノリノリでござる^^
297 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/28(水) 18:55:20.38 ID:hucy+rcAO
コカさんがゴエモンに見える
298 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 19:26:08.93 ID:mrHLEZ9AO
隊長…
299 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 20:17:45.39 ID:dXWKbwrZo
コカさんわろた
300 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 21:09:07.37 ID:+BRs01VDO
コカさんが小物じみた台詞を……
301 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/28(水) 21:56:15.28 ID:aLRNdjVI0
いちおつ
水中の城か…洞窟からしか入れないのかな
302 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 22:27:32.56 ID:Xo+cBfx3o
山に埋もれた城に続いて湖に沈んだ城か
303 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/28(水) 22:43:31.53 ID:cM9ZkMtV0
火山の頂上にも城みたいなのがなかったっけか?
304 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 22:45:50.86 ID:c2Slq+xbo
じゃぁ次は天空の城だな
305 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 23:04:12.22 ID:0RvYDx+ao
めがああああああああああああ
306 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 23:19:13.99 ID:Fkw5azqyo
>>304
バルス

アンラマンユ様だけ城を持ってないね、皆城に住むなんて律儀ですな
307 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/28(水) 23:47:36.77 ID:1Jo6EhQSO
>>303南方の牛魔王かな
アンラマンユは火山の天然要塞か
308 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 00:05:35.40 ID:J0G/io9oo
城は力の象徴だからな
最強だと自負しているアンマにそんなものは必要ないんだろう
309 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 01:40:44.08 ID:j7u8FVoAO
>>1おつ
310 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 16:51:52.14 ID:krtCj8Yoo
〜最北端、湖〜

青年兵「確かに、城に見えますね」

東方参謀「一体どういう事だ?」

西方参謀「不自然だなぁ。水没するような地形でもねぇし、何より……」

隊長「水の存在だな。何故、凍りつかずに流れ続けているのか」

盗賊「結論は?」

青年兵「どう考えても、魔王マーラの仕業としか思えませんね」

戦士「だとしてもだ、水の中に城って……まさかあの城の中にいるんじゃないだろうな?」

男隊員「どうやって入れってんだよ……。息が持たずに水死体になる事、間違いないぜ」

火忍「おら水、てめぇの出番だろうがよ」

水忍「あのな、これだけの水量を簡単に出来るわけなかろう」

風忍「先程使った、疾風怒濤の倍か、いやそれ以上の労力を費やすな……」

火忍「何でもいいからさっさと――」

 サアアァァァァ

盗賊「……何だ?」
311 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 16:53:48.87 ID:krtCj8Yoo
 ドッバアアアアァァァァン!!

格闘家「!?」

 ドザザザザザザアアァァァァ……

女隊員「み、水が……割れて……」

南方参謀「見てあれっ!! 橋が架かってるわよっ!!」

西方参謀「さぁてどうする? 司令官さんよぉ……ヒック」

青年兵「行くしかないでしょう。この機を逃すのは凡夫の所業です」

男隊員「言ってくれるじゃねぇか。ヒャハハ!」

隊長「こりゃ、進むしかなさそうだな」

東方参謀「それでは各自、突入開始!!」

 ダダッ タッタッタッタッ

水忍「……」

火忍「どしたぁ?」

水忍「この水の割れ方……」

風忍「ああ。まるで疾風怒濤の如くだな。いやしかし、これほどの威力……使いこなせる者など……」
312 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 16:54:41.65 ID:krtCj8Yoo


 ドドオオオオォォォォ

影忍「……上手くいったか」

 ピクッ

影忍「!?」

 スウゥッ

影忍「妖……ではないようだな」チャキッ

アスタロス「……排除する」

影忍「貴様、ベルゼブブの……」

 ドウッ!!

影忍「――っ!!」

 ギイイィィィィン!! ズザザッ

影忍「問答無用か」

アスタロス「排除。それが……我が主の命令」

影忍「連中が無事、侵入するまで……少し相手をしてやるか」
313 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 16:55:42.10 ID:krtCj8Yoo


タッタッタッタッタッ

戦士「このまま城に突入出来そうだな!」

土忍「門は目の前だな。このまま何事もなく進めば良いが……」

 ゴゴゴゴゴゴ……

火忍「へっ、そうもいかねぇみたいだなっ」

青年兵「水が戻ります! 急いで城の中へ!」

戦士「急ぐ……って、どうすりゃいいんだよ!」

鬼丸「とにかく突っ込むっきゃねぇだろうよ!」

東方参謀「ぬうぅ!」

青年兵「……強行突破します! 門へ総攻撃ぃ!」

男隊員「う……っおおぉぉぉぉ!!」

火忍「ぶち破れええぇぇ!!」

 バッゴオオオオォォォォン!!

鬼丸「うお……っと!」
314 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 16:57:18.13 ID:krtCj8Yoo
 ドザザッ

戦士「いってぇ……」

盗賊「ここは……城内か?」

隊長「にしちゃあ……だだっ広いだけで、何もねぇな」

女隊員「ど、どういう事なんスかねぇ」

西方参謀「とにかく、進むしかねぇわな……ヒック」

青年兵「ここからは細心の注意を」

南方参謀「分かっているわ。それよりも……」

 チラッ

南方参謀「帰路……どうするのよ……っ」

隊長「帰りの事より今の事だろ」

東方参謀「そうだな。そもそも無事に帰れる保証もない」

南方参謀「嫌な事……言わないでよっ」

青年兵「さぁ、進みますよ。宜しいですか?」

戦士「おう! 行くっきゃねぇよな、道は……前にしかねぇんだからよ」
315 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 16:58:27.22 ID:krtCj8Yoo
〜西の平原〜

コカトリス「それで、どうするのだ?」

サル「今のところ……ただの石像と化しちまったわけだなぁ」

召喚士「下手に触らない方がいいですよ」

名代「これで終わったとは思えませぬが……」

帝「だな。あれ程の強さを誇っておったくせに、これで終いとは……」

召喚士「コカトリス、手ごたえは?」

コカトリス「貴様は感じなかったのか?」

召喚士「いや、感触があったからこそ不思議だなと思って……」

魔道士「思念体って、アンデッドと同じような感じなんですか?」

召喚士「ええ。でもアンデッドの時とは若干、違うような感触が……」

キジ「どうするさー?」

女侍「いっその事、このままブチ壊しちまうのがいいんじゃないかい?」

名代「……そうですね。やってみましょうか」

召喚士「では、お願いします」
316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 16:59:04.96 ID:krtCj8Yoo
 ザッ

東方司令「……はあっ!」

女侍「ふんっ!」

 ズガシュッ!! ドッゴオオォォォォ!!

魔道士「やった……っ!!」

 パラパラッ コトッ……

帝「……何も……起きないな」

名代「どういう事なのでしょうか?」

 テクテクテク ガシッ

サル「……なーなー、コカトリスっちの石化ってのはさ、普通の石にするもんなのかい?」

召喚士「え……っ?」

サル「ほれっ」ポイッ

召喚士「……!?」

イヌ「どう見ても普通の石ころね」

召喚士「ま……さか……っ!!」
317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 16:59:36.15 ID:krtCj8Yoo
 ババッ!!

魔道士「ど、どうしました!?」

召喚士「やはり思念体を倒しても意味はないんだ……っ」

名代「あくまで、本体を捉えねば意味がないと?」

召喚士「石化の中身は空っぽです」

東方司令「ならば奴は、どこへ行ったのだ?」

サル「どっかに潜んでやがるのかっ!?」

帝「いや、奴は思念体になる事を嫌がっていた節がある」

キジ「そうなのさ?」

帝「でなくば勿体ぶって、思念体などという媒介を使う意味がない」

召喚士「なるほど……っ。つまりシンノアクゴロウは今……」

名代「剣聖の屋敷、ですね」

召喚士「結界を利用して戦う方法は無理みたいですね」

東方司令「いいよ。次は確実に仕留める」チャキッ

女侍「いつまでも剣聖を語らせやしないよ……っ!」
318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 17:40:52.03 ID:krtCj8Yoo
〜最北端、湖の城〜

 ザッザッザッザッ

火忍「進めど進めど、何も無し」

男隊員こりゃ空振ったかねぇ……ヒャハハ」

隊長「いや待て、何だあれは……!?」

 ザッ

槍侶「階段のようですね」

格闘家「上りと下り、二つの階段がありますね」

盗賊「どうする?」

東方参謀「ここは3手に分かれるとしようか」

戦士「3手?」

青年兵「上と下、そしてこのフロアの3つです」

戦士「あぁそうか、このフロアにもまだ何かあるかもしれねーよな」

南方参謀「それで、どう分かれるの?」

青年兵「そうですね……」
319 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 17:41:27.41 ID:krtCj8Yoo


火忍「はっはっは! 良い編制だ!」

水忍「騒ぐでない。遊びではないんだぞ」

風忍「我らはこのまま、上へむかいます」

土忍「……宜しいですな?」

盗賊「ああ、勿論だ」カチャッ

青年兵「藤蔵の5名はこのまま上の階へ。次は……僕らですね」

男隊員「俺らは下だな。どうか魔王がいませんように……ヒャハハ」

女隊員「どうせ戦うんス。そんなの関係ないッスよ」

格闘家「女隊員さんの言う通りです。誰であろうと、敵は倒す」ボキボキッ

鬼丸「賛成だ! グハハッ!」

戦士「盗賊、予言の事……」

盗賊「分かっている。藤蔵の面々だ、心配は一切ないさ」

戦士「……ああ。それじゃ、また後で会おうぜ」

盗賊「……うん」
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 17:42:02.37 ID:krtCj8Yoo
東方参謀「残るは我らか」

西方参謀「このまま真っ直ぐ進むぞ。ま、何もないかもしれんがなぁ……がははっ!」

南方参謀「宜しく頼むわねっ!」

槍侶「は、はいっ!」

隊長「……それじゃ行くか」

青年兵「くれぐれも無茶はなさらないで下さい」

戦士「分かってるよ。魔王マーラが居ても、全員が揃うまでは極力、待機してるさ」

男隊員「出来りゃいいけどなぁ。軍団長クラスがいたらどーすんだ?」

鬼丸「そん時ゃそん時だ。押してでも通る!」

槍侶「ですね」

戦士「お、そうだ。槍侶っつったっけ?」

槍侶「はい」

戦士「あんた相当の使い手だ。これ、持っててくれよ」スッ

槍侶「……これは?」

戦士「ゾディアック。いいか? 決して魔力を込めて使ったりするなよ?」
321 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/29(木) 17:43:18.60 ID:krtCj8Yoo
槍侶「魔力……とは?」

南方参謀「えっ!? もしかして……魔力ないの!?」

西方参謀「ないというより、文化が違うからなぁ。遣い方を知らんのかもしれんな」

南方参謀「でもっ、東方にだって本国のワーカーやら魔法使える人、来てるでしょ」

槍侶「総本山は隔離された空間なので、下界の事はあまり詳しく……」

東方参謀「成程な。ならば知らぬのも同意出来る」

女隊員「つまり、格闘家くんと同じって事ッスか?」

男隊員「今はな。だが、槍侶クンはこいつと違って、素質があるかもしれん」

格闘家「……」

隊長「ゾディアックある以上、今は無理に会得しない方が身のためだな」

青年兵「ええ。威力は桁外れですが、死に直結しますよ」

槍侶「……っ!?」

戦士「安心しろ! 魔力がない限りは五行もゾディアック内だけに留まるからよ」

槍侶「は、はぁ……」

青年兵「さぁ準備は良いですね? それでは……行きましょう!」
322 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage saga]:2011/12/29(木) 17:44:14.51 ID:krtCj8Yoo
今日は短めですみません…
夜はちょっとこれないので、また明日!
それでは失礼致しました!ご支援感謝です!ノシ
323 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/29(木) 17:59:24.08 ID:/eED4VnAO
>>1
324 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 20:05:56.83 ID:uw6+XiFMo
槍侶が覚醒しませんように・・・
325 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 20:18:54.97 ID:nJDsBu61o
>>1

326 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) :2011/12/29(木) 20:33:19.68 ID:MDAtv8v70
いちおつ
327 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:11:54.61 ID:ZQ83G/ZVo
>>1
青年兵は戦士と盗賊の仲を知ってるんだっけ?

だとしたら予言の内容わかってて別編成とか嫌がらせに思えるわ
328 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/29(木) 23:59:41.81 ID:5mBt9EzS0
んな感情論で司令官やってられんよ
329 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 00:24:45.92 ID:NlPqc5jZo
なんだかんだいってもまだ青いしありうる
330 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/30(金) 01:46:09.05 ID:agJJ7QxAO
>>1おつ

単純に気心しれて連携とりやすいメンバーで編成したんだろう
331 :SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 02:57:25.58 ID:6HMNitvSO
チームワークと実力なら藤蔵衆といた方が盗賊安全な気がする

332 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 17:17:54.45 ID:smJVDXVeo
もしもの時は火がいうわなにをする
333 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 22:54:44.17 ID:K/ad3YEPo
〜剣聖の屋敷〜

女剣士「……さて、都に戻るとしようか」

くの一「でも、酷いものですね……」

女剣士「ん?」

くの一「いやその……屋敷もこんな惨状ですし何より……」

女剣士「賊が入ったおであろうな。まぁ仕方のない事さ。そうだろう?」

くの一「……」

女剣士「下手な同情は要らんぞ。それが必然な事だろう」

くの一「そう……ですか」

女剣士「……さ、早く都へ戻って私達も出来る事をしよう」

くの一「……?」

女剣士「影忍が言っていただろう? 間もなく魔王討伐が始まると」

くの一「あ……っ」

女剣士「お互い東方を離れた身ではあるが故郷。東方の為にも戦おうじゃないか」

くの一「……はい。そう、そうですよね」
334 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 22:55:35.40 ID:K/ad3YEPo


 テクテクテク……

女剣士「……」

くの一「……」

女剣士「なぁ」

くの一「……」

女剣士「お前は何故、影にいたのだ?」

くの一「……好きで居たわけじゃ……ありません」

女剣士「……」

くの一「両親も知らぬ、捨て子。生まれた時より影に拾われ、影ですから」

女剣士「……そうか」

くの一「別にいいんです。拾われねば……死んでいたかもしれませんから」

女剣士「もし……さ、もし前はこの戦いの後、生き延びたら……」

 ピクッ

くの一「……!?」
335 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 22:56:59.66 ID:K/ad3YEPo
女剣士「私が行く」チャキッ

くの一「いえ、私も行きます」スッ

女剣士「誰だっ! 姿を見せろ」

くの一「……っ」

 テクテクテクテク

女剣士「――――っ!!」

くの一「……人?」

女剣士「ち……父上……!?」

くの一「えっ!?」

女剣士「いやっ、父上は……でも何故っ」

くの一(……この感じ、人じゃない……?)ザッ

女剣士「父上なのですかっ!? それとも……」

 ヒュンッ!!

女剣士「!?」

くの一「危ないっ!!」
336 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 22:57:38.56 ID:K/ad3YEPo
 ザシュウウゥゥゥゥッ!!

女剣士「くの一いいぃぃ!!」

 ドサッ……ツツーッ

女剣士「お前っ、どうして……っ」

くの一「無事……良か……った……」

女剣士「くの一……っ」

くの一「良か……」

女剣士「貴様……ぁ!! 父上ではない……何者だ!!」

 ザッザッザッザッ

神野「ほぉ、さっきの奴らとはまた別かいな」

女剣士「!?」

神野「ったく、次から次へとキリないなぁ」

女剣士「……貴様は一体、何者だと聞いている!」

神野「答えなあかんの?」

女剣士「なっ!?」
337 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 22:58:20.79 ID:K/ad3YEPo
神野「あんさんにゃ関係ないやろ。わいの名前なんて」

女剣士「ある。何故、父上の姿をしている!」

神野「父上? ああ、そういう事」スウゥッ

女剣士「……?」

神野「ふぅん、なるほどなるほど。女剣士っちゅーんか」

女剣士「!?」

神野「あー奇術でも何でもあらへんよ。媒介の記憶を深く手繰っただけや」

女剣士「媒介……だと?」

神野「しっかしまぁ、大切な娘なのに随分と深くに仕舞い込んだもんやなぁ」

女剣士「貴様……父上に何をしたぁ!!」

神野「勘違いすんなや。わいはこの、剣聖って奴の思念を勝手に使うてるだけや」

女剣士「思念? 使っている……?」

神野「ま、説明しても分からへんよなぁ」スゥッ

女剣士「……どういう事だ! 父上は……っ」

神野「もうええやろ。とりあえず……」
338 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 22:59:01.27 ID:K/ad3YEPo
 ジャキッ

神野「邪魔や。死んどきぃ」

女剣士「父上……にぃ……」

 ザッザッザッ

女剣士「父上に何をしたぁ!!」

神野「しつこいやっちゃなぁ!」ダンッ!!

 ビュオッ!! キイイィィィィン!!

神野「……やるやないか」

女剣士「父上の……太刀筋……」

神野「言うたやろっ! わいはこの媒介を使うてるってなァ!!」

女剣士「私でも……かわせた……」

神野「突っ立てるだけなら、このまま殺らせて貰うでぇ!」

女剣士「かわせるわけ……ないだろうがっ!!」

神野「あぁ!?」

女剣士「父上の剣はこんなに……生ぬるいものではない!!」
339 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 22:59:46.12 ID:K/ad3YEPo
神野「だったらどうだって言うんやァ!!」

女剣士「父上を……返せええぇぇ!!」

神野「――ッ!?」

 ザシュッ!! ヒュンッ!!

女剣士「父上ぇ!! 私です……女剣士……」

神野「じゃかあしい!!」

女剣士「父上ぇ!!」

神野「もう終わりかぁ!? こんなんかすり傷にもならへんでぇ!!」

女剣士「父上ええぇぇぇぇ!!」

神野「ひゃーっはっはっはっはっは!!」

 フオンッ!! ドズッ……スググッ

女剣士「…………かは……っ」

神野「くっくっく、生温い言うとった割に、このザマや」

女剣士「父上……ぇ……」

神野「この姿相手じゃあ本気で斬りかかれないみたいやなぁ」
340 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:00:53.52 ID:K/ad3YEPo
女剣士「父……」

神野「じゃ、終いにさせて貰うわ。客、待たせてるんでなぁ」スッ

女剣士「……っ」ポタポタポタッ

神野「ほんじゃ、お疲れさんっ♪」チャキッ

女剣士「……ぇ。父上ええええぇぇぇぇ!!」

神野「ひゃーっはっはっはっはっは――――」

 ビュオッ!!

女剣士「…………っ」

神野「…………」

女剣士「……?」

神野「……な、何や!? 体……動かへん……!?」

女剣士「父……上?」

神野「阿呆かっ!! 思念体やぞ!? 意識なんかあるはずないやんか!!」

女剣士「父上……っ!! 父上なのでしょう!?」

神野「くっ! こんの……何が起きとるんやクソがぁ!!」
341 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:01:44.08 ID:K/ad3YEPo
女剣士「父上っ! どうか、どうか剣を収め下さいませ……!」

神野「んな事あるはずない……。思念体が意志を持つなどそんな阿呆な……」グググッ

女剣士「父上……ぐくっ」ポタタッ

神野「……どいつもこいつも……頭に来るわ」

女剣士「……っ」

神野「もうええ。動かへんなら、わいが直々に殺したる」

女剣士「!?」

神野「たかが手負いの二匹、一瞬で終わらせたるわ」

女剣士「二……?」クルッ

くの一「……はぁ、はぁ……っ!」

女剣士「くの一!!」

くの一「私……だって……」

神野「ヒャーハッハッハッハッハ!! 死ね!!」

 グワッ!!

女剣士「っ!!」
342 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:02:28.61 ID:K/ad3YEPo
くの一「……!!」

 ググッ……ググググッ……ピタッ

神野「……ええ加減にせぇよ」

女剣士「……?」

神野「何で本体になれへんねや!! 邪魔すんなぼけぇ!!」

くの一「な……何が……」

女剣士「……っ」

神野「思念体の分際で……わいを抑えつけるつもりかぁ!!」

――『逃げろ、女剣士』

女剣士「――っ!?」

神野「邪魔……すんなああぁぁぁぁ!!」

 バチィッ!! ズゴゴゴゴゴ

くの一「くう……っ」

女剣士「逃げるぞ」

くの一「へっ!?」
343 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:03:22.94 ID:K/ad3YEPo
女剣士「動けるよな? 早くっ!!」

くの一「逃げ……? えっ、は……はい!」

女剣士「……ありがとう……父上」

 ババッ タタタタッ

神野「……逃がすかよ、このボケがぁ!!」

女剣士「先に行けっ!!」

くの一「えっ!?」

女剣士「この屋敷の事は分かっている! 何とか時間を稼ぐ!」

くの一「……う、うん!」タタッ

神野「自分が犠牲になろうってかぁ? 素敵やん」

女剣士「そこに居ると、危険だぞ?」

神野「あ?」

女剣士「カラクリが多くてな」クイッ

神野「ああぁぁ!?」

 ズガッ!! ドッズウウゥゥゥゥン!!
344 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:04:11.01 ID:K/ad3YEPo
女剣士「言い忘れてた。このスイッチを押すと、そこに天井から巨大な岩が落ちてくるんだ」

 スッ

女剣士「もう聞こえてないか」

 ザッ タッタッタッタッタッ

神野「…………」

 バッゴオオォォォォン!! パラパラパラッ

神野「……殺す」

 タッタッタッタッタッ

女剣士「くの一!」

くの一「早くこちらへ!」ズイッ

女剣士「ここまで来れば……」

くの一「あぁ!?」

女剣士「もう来たのか、早い!」

神野「ひゃーっはっはっはっは!! 見つけたでぇ!!」

女剣士「くそっ、やはり戦うしか……」
345 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:04:55.75 ID:K/ad3YEPo
神野「そのまま……死ねええぇぇ!!」

 ズドオオォォォォ!!

神野「ハアアァァァァ!?」

スフィンクス「じゃじゃーん! 下からふいうち……だぶるぱーんちっ!!」

神野「――っ!?」

 ズギャアッ!! ドッゴオオオオォォォォン!!

くの一「こ、これは……っ」

 ドドッドドッドドッ……

召喚士「人がいる……!?」

魔道士「あっ!! あれって……女剣士さんに……くの一さん!?」

女剣士「まさか……う、上様っ!?」

帝「女剣士か。血が出ているようだが、大事ないか!?」

 ドドォッ スタッ

名代「二人とも怪我を……。しかし傷は深くはないようですね」

召喚士「シービショップとユニコーンで治療します!」
346 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:05:51.06 ID:K/ad3YEPo
 ガラガラッ ゴトッ

神野「……あー。なんやこう、沸々とこみ上げてくるわなぁ」

東方司令「女剣士、奴と戦っていたのか?」

女剣士「あいつは……何なんです!? 父上……なのですか?」

サル「父上?」

女剣士「剣聖。あの姿……私の父、剣聖の姿です」

魔道士「えぇっ!?」

召喚士「女剣士の父が……剣聖……!?」

女剣士「……ああ。しかし父上のようで父上でない。なんと言えばいいか」

召喚士「あれは思念体。あの魔物が作り上げた幻に過ぎません」

名代「貴方のお父上が屋敷に残した記憶から作り上げているのです」

女剣士「!?」

イヌ「だからこそ奴はまた、ここに戻ってきたわけね?」

キジ「でないと刀が使えないさー」

神野「……ひゃーっはっはっはっはっは!!」
347 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:06:52.48 ID:K/ad3YEPo
召喚士「……」

神野「ああその通りや。この剣聖ってのはそりゃあ強い。お気に入りや」

女剣士「貴様ぁ……っ」

神野「今まで使こうた体の中でも最っ高に強い。ええ感じや」

帝「貴様に利用される筋合いはない」

神野「はぁ?」

帝「剣聖の魂を、貴様如きが汚してはならぬのだ」

神野「言うやないか、小生意気なガキ」

帝「貴様に言われても、何とも思わんな」

神野「……あ?」

帝「所詮、自分では何も出来ぬ雑魚だからな」

神野「……」

帝「本体ですらない貴様に言われても、何も感じぬ」

神野「……」ピキピキピキィ

 ゴアッ!!
348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:07:54.67 ID:K/ad3YEPo
神野「じゃかあしい!! ごちゃごちゃ言うなやボケがぁ!!」

帝「口では勝ち目がないようだな。では、得意の力でねじ伏せてみせたらどうだ?」

神野「ああ、構わへん。望み通り…力でねじ伏せたるわ」

 ゴゴゴゴゴゴ……

召喚士「きますよっ! 戦闘準備!」

魔道士「はいっ!」

東方司令「次は……倒す」

神野「……後悔しても……遅いぞ」

 ゴゴオオォォォォ

サル「や、やっぱり言うだけあって……すげぇ気配だな……っ」

神野「……ハッ!」

 フッ

魔道士「消え――――」

 バスッ

召喚士「……えっ?」
349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:08:29.88 ID:K/ad3YEPo
 ポタポタポタッ……ドサッ

イヌ「キジ!?」

サル「……おい、何でキジが倒れてんだよ……っ」

東方司令「……嘘だろ!?」

魔道士「な、何がどうし――」

 フッ

名代「がは……ぁ!!」ドグッ!!

帝「名代!!」

東方司令「奴だっ! 超スピードで移動している!!」

召喚士「スフィンクス、ゴーレム、ガードを!」

東方司令「左ぃ!!」

女剣士「えっ――――」

神野「死ね」ブンッ

 ガッキイイィィィィン!!

神野「……?」
350 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/12/31(土) 23:09:10.41 ID:K/ad3YEPo
女剣士「……えっ?」

 ザシャッ

神野「邪魔すんなや……ボケ」

女剣士「……っ」

 ググッ

女侍「やらせないよ」

女剣士「!?」

神野「ほんなら、まとめて殺したるわ」

女侍「いい加減に……その姿をやめろぉ!!」

女剣士「ま……さか……」

女侍「二度と、剣聖を語るなああぁぁ!!」

 グルンッ ザッシュウウゥゥゥゥ!!

神野「……何やとぉ……ッ!?」ズザァ

女剣士「ま……さか……っ、姉上……!?」

女侍「……」
351 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2011/12/31(土) 23:57:49.68 ID:+bmyWerQo
今年はお世話になりましたおまえら

>>1来年もよろしく
352 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:00:28.50 ID:i89Klcyao
あけおめ1おつ
353 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:05:53.24 ID:WGp0QpASO
あけまして1おつ!
354 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:07:21.21 ID:uiaGpGCHo
新年キター
>>1乙デス
355 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/01(日) 00:13:32.35 ID:nVwqIJlto
昨年も大変お世話になりました!
色々あった2011年。本当に大変でした…

今年はとにかく、明るく楽しい年である事をお祈り致します!
皆様も1年間、楽しく頑張りましょう!

今年も宜しくですっ!!ノシ
356 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:26:16.25 ID:7kvfV1mAO
おめでとう、>>1
今年も宜しく!!
357 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:40:00.05 ID:gFIaLXpDO
>>1乙!
あけましておめでとう
今年もよろしく
358 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 00:46:25.15 ID:c1+QcQkto
おめことよろ!
今年も引き続き楽しいSSをよろしくお願いします!
359 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 01:29:14.69 ID:XSRctTIoo
トシコシダー!
360 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 02:05:17.40 ID:CEIeSgH70
いちおつ あけおめ!
今年もよろしく
361 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 05:51:28.99 ID:ZvFyFp6DO
>>1あけおめことよろ
362 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 06:18:42.13 ID:Ga5aRS5oo
あけおめこ!
>>1おつんぽ!
363 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 08:14:04.05 ID:or0D/v5Co
あけましておめでとー
364 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 08:24:54.72 ID:/9DsOfvRo
そういえばこのスレ初めての年越しで、あけおめが100レスくらいあって凄いビックリしましたわ
365 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 08:50:45.28 ID:Eo0/MW2to
>>1
あけおめことよろ
366 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 09:41:39.45 ID:Qg7nSvYIO
いちおつ、あけおむ
367 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 11:51:22.23 ID:7UUIhV3AO
>>いちおつあけおめ
368 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 14:00:09.06 ID:JlqS/Fy6o
いちおめ
369 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 14:15:30.82 ID:Cyjt2rJDO
あけまして>>1乙ございます
今年も>>1乙お願いします
370 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 15:34:03.74 ID:cHmZInzYo
あけおめ〜
今年もここにお世話になります。
371 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) :2012/01/01(日) 17:14:50.53 ID:fOhhjpLAO
あけおめことよろ
今年も楽しみにしてる
372 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 17:33:56.65 ID:wSiL9ZgDO
1乙〜あけおめ!
373 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage saga]:2012/01/01(日) 17:56:36.29 ID:nVwqIJlto
沢山のあけおめ有難うございます!
急遽、実家へ帰る事になってしまい次の更新は3日になりそうで…
ほんと申し訳ありません…改めて今年も宜しくです!

〜オマケ〜

盗賊「新年……」

魔道士「あけましておめでとうございます!」

戦士「今年はあれか、辰年だっけな」

召喚士「そうだね。去年はほんと色々とあったから、今年はきっと幸せな1年に……」

戦士「辰年ってのは龍だよな? じゃあ召喚士は関係ねぇか」

魔道士「そうですねぇ。朱雀ですからね」

召喚士「こ、今年はきっと……みんなが幸せで元気な1年に……」

盗賊「あれだな、どうせなら……青年兵や青龍士官の方が良かったな」

召喚士「みんなが……幸せ……」

戦士「だなぁ。青龍先生が生きていれば、バシっと締めてくれるんだろうけどなぁ」

魔道士「確かにっ! あ、召喚士さんじゃ頼りないとかそういう事ではなくって……」

召喚士「幸……せ……」
374 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 18:46:44.67 ID:Nh9mXf0DO
召喚士 怒りのバハムートか

帰省乙
375 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 19:49:03.00 ID:Tp190vKQ0
召喚士のサラマンダー、怒りの青龍進化
376 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/01(日) 22:56:13.47 ID:JgZth/J4o
サラマンダーよりはやーい
377 :SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) [sage]:2012/01/02(月) 09:55:05.70 ID:xuqTX4nwo
…魔導士追い討ちしちゃったwwwwww
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/02(月) 22:44:10.90 ID:OIj4Oeouo
〜最北端、城の地下〜

ザッザッザッ

戦士「……」

青年兵「戦士さん」

戦士「ん?」

青年兵「その、すみません」

戦士「……?」

青年兵「盗賊さんの事……」

戦士「ああ、別に構やしねぇよ」

青年兵「……」

戦士「お前がベストだと思った編成を組んだんだ。私事で文句言える立場じゃねぇし」

青年兵「……戦士さん」

戦士「それに、藤蔵の連中といた方が、正直生存率は高いと思う」

青年兵「そう……ですか?」

戦士「少なからずあの連中と行動を共にしてきたが、藤蔵は異常だ」
379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/02(月) 22:44:47.46 ID:OIj4Oeouo
青年兵「……」

戦士「盗賊の為ならば、命を平気で捨てる。そんな連中だ」

鬼丸「武士道ってやつだな」

青年兵「ブシドー……」

戦士「主を守る為ならば、己の命さえ投げ出す、そんな覚悟だ」

男隊員「奴らにとって、盗賊は守るべき主ってわけだ」

戦士「そういう事。俺の戦い方じゃあ、どうしてもあいつを戦力として考えちまう」

女隊員「文化の違いッスかねぇ……」

戦士「ともかく、連中が魔王とぶつかっても、そのまま交戦に入る可能性は低い」

格闘家「ベストは、こっちで魔王と鉢合わせれば――」

 ドオオオオォォォォン!!

男隊員「何の音だ!?」

女隊員「この先ッスね!」

青年兵「行きましょう。戦闘準備を」

戦士「おう」ジャキッ
380 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/02(月) 22:45:17.69 ID:OIj4Oeouo
 ザッ スタスタスタ

鬼丸「さーて、魔王さんのおでましか? グハハッ!」

格闘家「この先、何かいますね」

戦士「……ああ、でけぇ威圧だ。だがこいつは」

 ザッ

戦士「魔王じゃねぇ。1度、この威圧は感じた事がある!」

男隊員「……何だアイツは?」

女隊員「人……じゃないッスね」

鬼丸「妖怪でもねぇな、何モンだ?」

戦士「……ベルゼブブの手下だ。気をつけろ!」

青年兵「!?」

 クルッ ザッザッザッ

アスタロス「……別人。逃がしたか」

青年兵「何……?」

アスタロス「……だが、邪魔者は……排除する」スゥッ
381 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/02(月) 22:45:48.86 ID:OIj4Oeouo
〜城、一階〜

西方参謀「……こりゃあ空振りかねぇ……ヒック」

南方参謀「油断出来ないわよ? でも、本当に何もないわねぇ」

隊長「……そうでもねぇぜ。正面見てみ」

東方参謀「!?」

 バサッバサッ……バサァ

ヤタガラス「何や、わんさか来おったでぇ」

隊長「……お前か。会えてよかったぜ」

槍侶「妖……っ!」チャキッ

夜行「……ヒヒッ。俺を知ってるのかぃ?」

隊長「忘れたとは言わせねぇぞ」チャキッ

夜行「ヒヒッ、知らないねぇ」

隊長「……ま、いいさ。覚える必要はねぇ」

夜行「……あん?」

隊長「今度こそ貴様を倒す。悪いが……覚悟しろ」
382 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/02(月) 22:46:38.15 ID:OIj4Oeouo
〜城、二階〜

火忍「なぁ」

土忍「何だ」

火忍「俺、すっげーやな予感がするんだよな」

風忍「まぁ……そうだな」

水忍「下とは打って変わって、豪華絢爛な装飾の数々」

盗賊「これは……」

火忍「どうみても、魔王様の間ってやつだよな」

土忍「どうする?」

風忍「この扉の向こうに、魔王がいるかもしれない」

水忍「一度、引き返した方が良いのではないか?」

火忍「まだ魔王かどうか分からんだろうが。開けてからにすんぞ」

盗賊「魔王相手に、逃げ切れるかどうかだな」

風忍「……とにかく、開けてみましょうか」

盗賊「ああ。魔王か否か、まずは確認だ」
383 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/02(月) 22:47:58.00 ID:OIj4Oeouo
 ガチャッ ギイイイイィィィィ

火忍「割と普通に開いたな」

土忍「……居るな」

水忍「ああ。居る」

 ザッザッザッ

風忍「……人間のようだが、ま……間違いなく妖だっ」

火忍「な、なんだよこの殺気はよぉ……っ!」ズザッ

土忍「……どうやら……大当たりのようだなっ」

水忍「大当たり? 大外れの間違いであろう……っ!」

盗賊「貴様が、魔王マーラか?」

 ドンッ!!

マーラ「……んふふ。ここまでよぉーく、来れたねぇ」

盗賊「……っ」

マーラ「まさかこのアタシを、倒しにきたなんて言うんじゃないだろうねぇ?」

盗賊「やはり貴様が……魔王マーラ!!」
384 :以下、あけまして、おめでとうございます [sage]:2012/01/02(月) 23:45:09.11 ID:MFL5e8GIO
このグループが魔王とかちあうのかよ…
385 :以下、あけまして、おめでとうございます :2012/01/03(火) 00:25:53.39 ID:zlt2Fr/U0
いちおつ
更新ありがたいけど ゆっくり休んでくれ
386 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 11:08:42.80 ID:UubYS7NIO
盗賊が風前の灯
387 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 21:42:00.31 ID:IJQyTOfAO
>>1おつ
388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:18:38.09 ID:boPts1dto
〜剣聖の屋敷〜

 バシィッ!! ザザァ

神野「邪魔すんなや。順番に相手してやる」

女侍「……」

女剣士「……嘘……っ」

女侍「……ちっ」ツツーッ

女剣士「姉上……なの……?」

女侍「退がれっ!!」

女剣士「っ!!」

神野「邪魔すんなら、お前から先に殺したるでぇ!!」

女剣士「姉上――」

神野「ひゃーっはっはっは――」

 ザッシュウウゥゥゥゥ!!

召喚士「そうはさせないよ」

神野「……小僧」
389 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:19:48.27 ID:boPts1dto
 ググッ

ブリュンヒルデ「動くだけ無駄よ」

神野「何やとぉ?」

 ヒュバッ!! グサグサドグッ!!

神野「……ッ」

グリムゲルデ「お姉様1人だと思ったら、大間違いよっ!」

ジークルーネ「さぁ、これで身動きは封じたわよ!」

 ワルキューレのスピアによって串刺しとされた神野悪五郎は、やや顔を曇らせた。

 その横で左肩より血を流し直立する女侍の下へ、女剣士が素早く駆け寄った。

女剣士「姉上ぇ!!」

 バシッ!!

女剣士「……!?」

女侍「何だいアンタは? 気安く触るんじゃあないよ」

女剣士「姉……上?」

女侍「アンタ、姉と勘違いしてるみたいだけどさ……悪いが、人違いだね」
390 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:21:05.50 ID:boPts1dto
 ズザッ

イヌ「お頭っ! 無事ね!?」

女侍「こんなもん、かすり傷さ。それよりもキジは無事なんだろうね?」

イヌ「今、サルが止血してるね。急所は外してるね」

女侍「そりゃ何よりだ。さぁて、やられっぱなしは性に合わないからねぇ」

 スクッ

女侍「それじゃ行くよ。ハナっから全力さね!」

イヌ「了解ね」バキバキッボキッ

女侍「サル! キジ!」

 シュバッ スタッ

サル「一撃で決めんぞぉ〜! しくんなよっ!」

キジ「さっきの分は……百倍返しさー!」

女侍「……ふーっ」チャキッ

女剣士「姉上……っ」

女侍「……」
391 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:21:57.45 ID:boPts1dto
 ゴゴゴゴゴゴ……

神野「……じゃかあしい」

シュヴェルトラウテ「マスター!!」

ブリュンヒルデ「召喚士様っ、このままでは……っ」

召喚士「分かってる。女侍さん、召喚解除しますよ!」

女侍「ああ。いつでもいいよ」

サル「バカッ! さっきのスピードでこられたら付加が間に合わ――」

神野「大人しく……寝てろやボケェ!!」

召喚士「くぅっ!! 召喚解除します!!」

 フッ

神野「ヒャーッハッハッハッハッハッハッハッハッハァ!!」

 ドウンッ!! バシュンッ

東方司令「上えぇーっ!!」

サル「んのやろおおぉぉ!!」

 ビュオッ!! ガッキイイィィィィン!!
392 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:24:12.77 ID:boPts1dto
女剣士「姉上の邪魔は……させないっ!!」ギリギリッ

神野「……どけええぇぇ!!」

 バゴォッ!! ダンッ!!

女剣士「あぐ……っ!!」

魔道士「女剣士さんっ!!」

神野「ヌアアァァァァーッ!!」

女侍「はあぁーっ!!」

 バキイイィィィィン!! クルクルクルッ

イヌ「刀がやられたねっ!!」

神野「とどめええぇぇ!!」

女剣士「姉上……ぇ」

 ググッ

女剣士「姉上ぇ!!」

 ブンッ!!

女侍「……!?」
393 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:24:58.90 ID:boPts1dto
 パシッ

女侍「こ……れはっ、三日月!?」

女剣士「どうか……父上を……父上……を」

帝「女剣士!!」

名代「し、召喚士殿……っ。彼女の回復を……」ズズッ

召喚士「すみません!」ダダッ

神野「刀が変わったところでええぇぇ!!」

女侍「お前に……この刀は壊せないよぉ!!」

 ガキイイイイィィィィン!!

神野「ッ!!」

サル「イヌ!!」

イヌ「分かってるね!!」

 ビュオッ バキィッ!!

神野「ぐぬっ、だがこんな蹴り……効かへんでぇ」

サル「そんなん百も承知だっつの。全ては……この為よ」
394 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:27:11.14 ID:boPts1dto
 そう言うとサルは、臭いの付いた煙幕を地面へと叩きつける。

神野「――!?」

 ほんの僅か一瞬ではあるが、これにより神野悪五郎は女侍の気配を見失う。

 その隙が好機を生む。神野悪五郎が次に気付いた時には、左右に壁が出来ていた。

 イヌが地面を両拳で殴りつけた威力で、土が隆起し、妖の左右に壁を作ったのだ。

 更に土壁は上空をも覆い、それはまるでトンネルのような空間が出来上がる。

 トンネルの入り口で構えるは、名刀、三日月宗近を携えた女侍。

 その背後から脇腹を左手で押さえながら、キジが凄まじい量の雷を右手に帯びている。

サル「んじゃ、いくぞ!」

 再び声と共に玉をトンネルへと投げ込むサル。しかし今度は煙幕玉ではない。

 玉はトンネル内ですぐさま激しい閃光と轟音を放ち、神野悪五郎の視界と耳を遮った。

神野「小賢しいわああぁぁ!!」

 しかしそこは神野悪五郎、僅かの内に視覚、聴覚、嗅覚を捨て、触角のみで女侍を捉える。

 だが、お構いなしとばかりに女侍はトンネルの中で待ち構える敵めがけ、地面を蹴った。

 それを追うように、キジの手元からおびただしい雷の魔法が解き放たれた。
395 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:28:23.17 ID:boPts1dto
 バッシュウウゥゥッ!!

女侍「はああぁぁぁぁ!!」

神野「返り討ちやああぁぁ!!」

女剣士「姉上ええぇぇ!!」

女侍(父上、どうか……どうか……っ!)

神野「ヒャーッハッハッハッハッハッハハハハハハハ!!」

女侍「この刻だけもいい……私を……)

神野「ハハハハハハ――」

女侍「私を……思い出してぇ!! 父上っ!!」

神野「……な、んでやねん……なんでやねん!?」

 ビタァッ!!

神野「だから何でっ、思念体が言う事効かんねん!!」

女侍「ありがとう……父上……っ!」

神野「思念体が意志を持つなど……あ、ありえへん」

女侍「剣聖流……最終奥義……土竜!!」
396 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:31:47.63 ID:boPts1dto
……――

女侍「モグラ……ですか?」

剣聖「ああ、そうだ」

女侍「何だか、あまり強そうではありません」

剣聖「そうか? しかし剣術として学ぶ部分も、人間として学ぶ部分もあるのだぞ」

女侍「モグラからですか?」

剣聖「土竜はな、目が見えぬ。これは剣の道において、心眼に通ずるものがある」

女侍「はぁ」

剣聖「そして地に暮らす土竜のように、ひっそりと剣の道を極めてゆくのが儂の夢だ」

女侍「父上……」

剣聖「女子であるお主らまで巻き込んでしまって、本当に済まないな」

女侍「良いのです父上。私は、剣聖家の子ですから」

剣聖「女侍……」

女侍「父上と共に、剣聖家の……剣の道を極めたいと思いまする」

剣聖「いつの日かお前には、きちんと礼が言いたいものよ」

女侍「その時までには、父上を越えてみせまする!」
397 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/03(火) 23:33:16.69 ID:boPts1dto
――……

 三日月宗近が女侍の手より放たれる。眩い輝きの中、彼女は確かに見た。

女侍「――っ!?」

剣聖『……有難う、女侍――』

女侍「父上……父上ええぇぇ!!」

神野「バ……バカ……なああぁぁ!!」

 ズザザアァ!!

女侍「……っ」

 放たれた刃が止まる事はなかった。剣聖の姿をした神野悪五郎は、

 三日月宗近の抜刀により真っ二つと化し、光の中へと溶け込んでゆく。

神野「こん……な……はずは……」

 居合いを終えた女侍は神野悪五郎を斬ると、その反対側へと抜ける。

 土の壁を抜け、再び三日月宗近を鞘へと仕舞い込んだ女侍はそっと呟いた。

女侍「……ありがとう……父上」

 頬を伝った雫は、汗か涙か、それは女侍以外の誰にも分からなかった。 
398 :以下、あけまして [sage saga]:2012/01/03(火) 23:40:39.51 ID:boPts1dto
明日からは通常モードで頑張ります!!
それではおやすみなさい!年末年始もご支援ありがとーです!ノシ
399 :以下、あけまして [sage]:2012/01/03(火) 23:42:19.43 ID:NHeVqzeDO
乙ましておめでとうございます。
400 :以下、あけまして :2012/01/04(水) 01:45:10.88 ID:wIMxvXyH0
いちおつ
剣聖の思念体は解放出来たかな…?
401 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 07:23:26.82 ID:46BnlyRzo
おついち
402 :以下、あけまして :2012/01/04(水) 15:21:20.14 ID:4uaWjQDSO
おつです。

疑問なんですが、なんで皇太子には魔法の付加が出来ないのに、格闘家には付加出来るんですか?
403 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 15:22:30.60 ID:0x7IgxHoo
そんな描写あったっけ?
404 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 15:23:58.23 ID:dTz1mnAIO
ない

そしてあっちでやれ
405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 17:57:20.22 ID:T0d6Eq/vo
 カシャンッ

女侍「……っ」

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴゴゴゴゴゴ……

帝「何と言う……威力かっ」

東方司令「まさか……これ程の奴がいるとは……っ」

サル「どうでぇ!」

イヌ「完璧に捉えたね」

 タッタッタッ

召喚士「女剣士さんっ!」

ユニコーン「このまま治療するよっ!」

女剣士「あ、姉上は……?」

召喚士「姉……?」

女剣士「無事……みたいだな」

女侍「キジッ、生きてるかい?」

キジ「当たり前さー。お頭より先には死ねないさー」
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 17:58:11.72 ID:T0d6Eq/vo
 ドドオオオオォォォォ……

魔道士「……い、一撃で凄い威力……っ」

東方司令「やや強引とは言え、魔法付加があるからな」

魔道士「……?」

東方司令「土行と金行。しかも土による壁で相手の進路を防ぎ、
        その内部に雷を発する事で、威力を高めている。理に適った攻撃方法だ」

魔道士「なるほど……っ」

東方司令「炎は自身が発したという事か。合体三行プラス、回避不能の物理攻撃」

魔道士「これなら……」

東方司令「さて、問題は効いたかどうか」

 次第に晴れる煙。土のトンネルはそのほとんどが吹き飛ばされ、砂埃を巻き上げている。

 それらとサルの煙幕が晴れ、景色は平常を取り戻したが……。

召喚士「な……っ!?」

帝「……居ない!!」

名代「思念体は開放されたと見て良さそうですね」

召喚士「ええ。ここからが本番ですよ……!」
407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 17:58:40.99 ID:T0d6Eq/vo
〜最北端の城、二階〜

 ズザッ

盗賊「!?」

風忍「お下がり下さい、姫」

 鼻筋辺りまで黒い布を引き上げて覆う風忍は、そう言いながら盗賊の前へと立つ。

 火忍、水忍、土忍の三名も、風忍とほぼ同時に、同様の行動を取っていた。

マーラ「ふぅーん。その小娘が大将かいっ」

風忍「ここは、貴様の城か?」

マーラ「よくもまぁ人間如きが、土足で踏み入ってくれたものさ」

火忍「水中に城とは風情ってもんを感じねぇな」

マーラ「アタシの竜宮城にケチつけようってのかい!」

土忍「これでは妖すら入れぬ有様であろう。墓穴を掘ったな」

マーラ「人間ってのは何でも数を揃えれば良いと思っている。馬鹿な話だよ」

火忍「んだとぉ!」

水忍「火、冷静になれ。単体とは限らぬぞ」
408 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 17:59:08.36 ID:T0d6Eq/vo
マーラ「安心なさいな、此処にはアタシしか居ないよっ」

土忍「などと言いつつ、挟撃するつもりなのであろう?」ススッ

マーラ「疑り深い連中だねぇ、ヤダヤダ。この部屋はアタシだけの部屋」

盗賊「……っ」

マーラ「こうやってお前らみたいな餌を、他の妖に譲るだなんて……勿体ないじゃあないか!」

風忍「くっ!」

マーラ「どうせ城外には逃げられない。さぁ、覚悟を決めるんだねぇ」ズイッ

盗賊「こうなったら……」

火忍「土、姫を頼むぞ」

土忍「承知」ズザッ

風忍「用意はいいな? いくぞっ!」

水忍「水遁……水飛沫!!」

 ドドオオォォォォン!! ドッバアアァァン!!

マーラ「この程度の水で、このアタシが倒――」

 水忍の放った水飛沫を振り払うマーラの眼前に、一切の人影は無かった。
409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 17:59:36.32 ID:T0d6Eq/vo
 タタタタッ

風忍「なかなか良い芝居だったぞ、火」

火忍「だろ〜?」

水忍「何だ、てっきりいつもの如く、頭に血が昇っておったのかと思ったぞ」

火忍「何だとぉ!!」

土忍「姫、降ろしますぞ」スクッ

盗賊「何故、退いたのだ?」

土忍「何故とは如何に? 我らの役目は魔王を倒す事」

盗賊「だからっ」

土忍「この人数で魔王を倒せるとお思いか?」

盗賊「……っ!!」

土忍「もしそうならば、それは姫の思い上がりも甚だしい」

風忍「そもそも忍の本筋とは、敵情視察が第一」

水忍「その点で申せば、状況はかなり把握出来た」

火忍「ああ。魔羅の野郎、魔王にしちゃ浅はかだな」
410 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:00:06.75 ID:T0d6Eq/vo
土忍「逆に自信の現れやもしれぬぞ」

盗賊「どういう事だ?」

風忍「魔羅はまず、二階に己しか居らぬと申しました」

盗賊「!?」

風忍「更に配下の数は少なく、他の階に居る可能性が高い」

水忍「城外に出られるとは、やはり湖の水は元通り、この城を覆っているという事か」

土忍「帰路の事は後でいい。とにかく一度、城外への脱出も無理という事だな」

火忍「ついでに言うと、この城は竜宮城って名前らしいな」

水忍「待てよ、そうするとやはりあの時、二つに分かれた水は人為的なものなのか……」

風忍「疾風怒濤に近い、と言うか等しいあれは……」

土忍「だが、あれ程の疾風怒濤はお主等とて困難」

火忍「……いや、一人いる」

水忍「そうかっ! 若……!!」

盗賊「兄様……?」

水忍「あ……っ」
411 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:00:33.12 ID:T0d6Eq/vo


火忍「別に、隠していたわけではないのですっ!」

風忍「申し訳御座いませぬ。もっと早くに報告すべきでした」

盗賊「別にいいよ。兄様とは何度も会っているし、事情は分かっているから」

水忍「そう……でしたか」

盗賊「つまり、兄様もこの城へ来ている可能性があるという事だな?」

土忍「それ以外には考えられませぬな」

盗賊「合流出来れば、大きな戦力になる事、間違いないのだがな」

水忍「若は単独で動くと申されておりました。無理に接触する事もないでしょう」

盗賊「うん……」

火忍「……なぁ」

水忍「どうした?」

火忍「階段、こんな長かったっけか?」

盗賊「言われてみれば……」

風忍「……まさか」
412 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:01:00.35 ID:T0d6Eq/vo
〜竜宮城、一階〜

夜行「ヒヒッ、この俺を倒すたぁ……大きく出たねぇ」スゥーッ

槍侶「……刀身が長いな」

隊長「案ずるな。お前の手にしてるものは何だ? 槍と思えば慣れたもんだろ」

槍侶「……ご尤も。感謝致します」スッ

隊長「参謀ズ! 援護頼むぞ!」

東方参謀「勝手に変な名を付けるでないわ!」

西方参謀「奴ぁ不死タイプだが、頭部に核があるらしい……ヒック」

南方参謀「つまり頭部のみ、一転集中で狙えばいいって事ね」

東方参謀「そう簡単に、うまくいくとは思えないがな」

ヤタガラス「夜行、ほなやったりぃ!!」

夜行「ヒヒッ、言われんでも……やりますよぉ」

 ドウンッ!! ガギギギギイイィィ!!

夜行「いやはや、相変わらずいい反応だねぇ」

隊長「覚えてんじゃねぇか、てめぇ……っ!」
413 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:01:31.87 ID:T0d6Eq/vo
 夜行の長刀を、隊長が鋸状の刃をした剣で綺麗に捌き、遮る。

 直後、数合打ち合う両者の下に、槍侶がゾディアックを手に乱入した。

槍侶「多対一、済まぬが卑怯と思いたくば思うが良い。参る!」

夜行「いいねぇ。サシじゃあ面白味も無い程、手応えないからねぇ」

隊長「勝手にほざいてろ!」

槍侶「はあぁーっ!!」シュババババッ!!

 隊長の斬撃、そして槍侶の激しい乱れ突きをいとも容易くかわす夜行。

槍侶(何と……っ! 言うだけの事はある)

隊長「槍使いっ、背後から狙え!」

槍侶「御意っ!」

 ババッ!1

槍侶「ぬりゃああぁぁーっ!!」

 ドババババババッ!!

夜行「やるねぇ。でも、人間と違ってぇ……見なくとも分かるんだよこちとら」

 槍侶の突きを悉くかわす夜業は、正面の隊長を見つめたまま言い放つ。
414 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:02:04.42 ID:T0d6Eq/vo
槍侶「こ……んのぉ!!」

夜行「うーむ。しかしこれじゃあ、こっちから仕掛けられないねぇ……ヒヒッ」

 槍侶の突きが上段から徐々に下段へと移行する。

 夜行は体を揺らす挙動から、今度は足元でステップを踏むようにかわす挙動へと変えた。

隊長「……」

夜行「……むっ、これはなかなかやるねぇ」

 速度が増したところで夜行はたまらず跳躍し、上空へと回避した。

隊長「今だぁ!!」

 すかさず、隊長の剣が夜行の頭部をめがけて真っ直ぐに突き放たれた。

 ビュオッ!! フッ!!

隊長「――っ!?」

夜行「甘いよねぇ。移動なんざ……一瞬で出来ちまうのさぁ」スタッ

槍侶「後ろ――」

夜行「遅い遅い……ヒヒッ」

隊長「ちいぃっ!!」
415 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:02:30.58 ID:T0d6Eq/vo
 ドズッ!!

隊長「――っ!!」

夜行「まずは、一人目かな」

南方参謀「隊長ぉーっ!!」

西方参謀「仕方ねぇ! 援護だ援護ぉ!」

 キュイイイィィィィ……ドッドオオォォォォン!!

東方参謀「ぬおおりゃああぁぁ!!」

 バッゴオオォォォォン!!

南方参謀「逃げたわよっ、上っ!!」

西方参謀「わーってらぁ! お前さんは隊長を頼む!」

南方参謀「了解っ!」

東方参謀「飛ぶぞ!」

槍侶「はいっ!」

 ババッ!!

夜行「今度は空中戦かい?」
416 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:02:59.20 ID:T0d6Eq/vo
東方参謀「ぬあぁぁぁぁ!!」

槍侶「でっりゃああぁぁぁぁ!!」

 無数に繰り出される当方参謀の拳と槍侶の突き。

左右よりその猛攻を受けた夜行だが、先程同様、攻撃は一向に当たる気配はない。

 ズババババババッ!! ビュオンッ!!

夜行「ヒヒッ、無駄無駄ぁ」

 タタッ……ザッ

南方参謀「隊長っ、大丈夫!?」

隊長「ん、ああ。ちょいと油断しただけだ」ググッ

南方参謀「油断……って、腹部直撃したじゃない! いいから――」

隊長「寝てる場合かよ……っ。あれじゃダメだ」ザッ

南方参謀「ちょっ……」

隊長「空中戦は不利だ! 地上で迎え撃つぞ!」

南方参謀「!?」

夜行「ほぉ、まだ生きていたかい。ヒヒッ、こりゃあちょっとは楽しめそうだねぇ」
417 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:03:29.84 ID:T0d6Eq/vo
 ズガガガガッ

東方参謀「ちぃっ」

槍侶「くっ」

 スタッ

夜行「人間は不便だねぇ、飛ばなくてよ」

西方参謀「なぁーに、次に飛んだ時にゃあ五行の矢でイチコロよ……ヒック」

夜行「何ィ?」

西方参謀「ま、いつでも隙あらば額に命中させっけどなぁ」

夜行「ヒヒッ、そいつは怖いねぇ……」

西方参謀(んなもん持っちゃいねぇけどな。あればどれ程、楽な事かよ……ヒック)

隊長「降りてくるぞ。今度は3人で包囲する」

東方参謀「はああぁぁ……」ゴゴゴゴゴゴ……

槍侶「……っ」チャキッ

南方参謀「何でよ……っ」

隊長「行くぞっ!」ダンッ!!
418 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:04:00.19 ID:T0d6Eq/vo
南方参謀「あれだけの攻撃で……何で……っ」

隊長「うりゃああああぁぁぁぁ!!」

南方参謀「何でっ、一滴の血も流してないのよおぉ!!」

夜行「流石に……癪だねぇ」

槍侶(もっとだ、俺には出来るはずだ……っ!)

 ババババッ

槍侶「もっと早く……もっと早く、もっと早くもっと早くもっと早く! 早く早く早く早く!)

 ババババババババババッ

槍侶「早くううぅぅーっ!!」

 チッ!!

夜行「――ッ!?」

隊長「隙ありぃ!!」

 槍侶の乱れ突きが更に速度を増し、たった一度ではあるが、突きが腰の辺りをかすめた。

 夜行は驚きのあまり、一瞬だけ上半身を硬直してしまった。隊長はそれを見逃さなかった。

 ただ一点、頭部のみを狙う隊長の斬撃が夜行に迫る。 だが、夜行は笑っていた。
419 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:04:31.25 ID:T0d6Eq/vo
西方参謀「罠だぁ!!」

夜行「ヒヒッ、遅いよ」

 ザシュウウゥゥゥゥ

隊長「……っ!!」

 夜行の長刀は、切先で隊長の首を完璧に捉え、水平に斬った。

南方参謀「隊長おぉーっ!!」

 ガクンッ ググググッ

夜行「……あ?」

隊長「……ぉぉぉぉおお」

夜行「何だとぉ!?」

隊長「だっりゃああああぁぁぁぁ!!」

 ギュバッ!! バッキイイィィィン!!

隊長「まだだっ! まだ……終わりじゃねぇぞ!」

槍侶「隊長……殿……!?」

隊長「武器は破壊したぁ! このまま叩き込めぇ!」
420 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:05:01.55 ID:T0d6Eq/vo
 ダッ!!

夜行「……お前さん、どうもおかしいねぇ」

 刃を半分に叩き割られた長刀を再び身構えながら、夜行は呟く。

 更には空中をくるくると舞う切先を左手で掴むと、丁度二刀流の様な形と相成った。

 クルクルクルクルッ……パシィ!!

夜行「お前さんもしや、お仲間かな?」

隊長「何をゴチャゴチャとぉ!!」

 ブオッ!! ヒュンヒュンッ

東方参謀「ぬりゃああぁぁぁぁ!!」

 ゴアァッ!! ドドドドドドッ!!

槍侶「せいああぁぁぁぁーっ!」

 ビュババババババッ!!

夜行「甘ぇ甘ぇ、そんなものかよ――」

西方参謀「1人忘れてんぜ、何とかさんよ」

夜行「!?」
421 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:05:30.62 ID:T0d6Eq/vo
西方参謀「直接、炎が効かなくともさぁ……足元が焼けて自由を奪われると……」

 ドドオオオオォォォォン!! ゴッゴオオォォォォ!!

西方参謀「そう簡単に、回避出来ねぇよなぁ!」

夜行「ヒヒッ」

隊長「だっらああぁぁ!!」

東方参謀「どどんっ!!」

槍侶「いえああぁぁぁぁ!!」

 ズガガガガガガッ!! メキメキメキメキイィ!!

夜行「ぐ……ぬぅ!!」

 バッゴオオォォォォン!! ドガシャアアァァ……

西方参謀「いよぉーし! ふっ飛ばしたぞ!」

南方参謀「……っ」

西方参謀「おいおい少しは喜べよ」

南方参謀「何で……なのよ……っ」

西方参謀「あん?」
422 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:06:01.55 ID:T0d6Eq/vo
 ズダンッ

隊長「……ふーっ」

槍侶「……」

東方参謀「お主、傷は?」

隊長「傷? ああ、問題ないようだ」スリスリ

東方参謀「上手く避けたようだな。一瞬、首を刎ねられたかと思ったぞ」

隊長「ああ。無意識ながらかろうじて助かったみたいだ」

槍侶(……違うっ。隊長殿は間違いなく、妖の一撃を食らっていたはずだ……っ!)

東方参謀「手応えはあったが、多少はダメージを与えておるか……」

隊長「いや、今の攻撃は全て胴体部分にいった。おそらく無傷だろうな」

槍侶(しかし合点がいかぬ。どうやって無傷で……法力か何かか?)

隊長「おい、槍侶殿」

槍侶「は、はいっ!」

隊長「お前さんはどっちが効果的だと思う?」

槍侶「えっ!? あ、すみません……もう一度、宜しいですか?」
423 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:06:31.00 ID:T0d6Eq/vo
東方参謀「つまり、頭部を徹底的に総攻撃するか……」

隊長「頭部と胴部をバランスよく攻撃して、相手の集中を拡散するかだ」

槍侶「お任せ致します。実戦経験は初めてなもので」

東方参謀「そうか。ではこちらで決めるとしよう。隊長が決めればよい。ワシらはそれに合わせよう」

西方参謀「どうすっかねぇ……ヒック」

隊長「先程までの確立で言えば、後者だな」

東方参謀「だろうとは思ったが、そうなると最低でも1人は危険が付きまとうぞ?」

西方参謀「頭部への仕留め役か……ヒック」

隊長「俺が行く。奴には借りもあるし」

南方参謀「ちょっと!」

隊長「ま、とどめ貰っちまって悪いけどな。俺もこの功績でいよいよ司令部入りかもな」

槍侶「隊長殿……」

隊長「おいおい、やるまえからそんな顔すんなよ。縁起でもねぇ」

槍侶「……っ」

南方参謀「……隊長、あなたは」
424 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:07:00.83 ID:T0d6Eq/vo
 バッゴオオォォォォン!! ガラガラガラッ

夜行「あぁー」コキッコキッ

隊長「第2ラウンドだ。準備はいいな?」

東方参謀「今回で決めるぞ!」

槍侶「……はい」

ヤタガラス「はぁー。見てられんわ全く」バサッバサッ

夜行「文句言うなら手伝ったらどうだい?」

ヤタガラス「何度も言わせんなや。こっちゃ非戦闘要員なんや」

夜行「ヒヒッ、ご大層なこって」

隊長「いくぞ!」

西方参謀「どーれどれ、火力最大で援護――」グイッ

南方参謀「待って!」

西方参謀「んだよ!」

南方参謀「隊長、おかしいと思わないの!? さっきから一滴の血も流していないのよ!?」

西方参謀「そりゃ良い事じゃねぇか……待て、今……なんつった……?」
425 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:07:30.24 ID:T0d6Eq/vo
 ダンッ!!

夜行「ヒヒッ!!」

隊長「でっりゃああぁぁ!!」

 ズガガガガッ!! ドガガガガガガッ!!

西方参謀「待て待て、あれだけやりあって……無傷だってのか!?」

南方参謀「傷はあったわ。でも、血を流してないのよ!」

隊長「回り込めぇ!」

東方参謀「はああぁぁぁぁ!!」

槍侶「……っ!!」バシュシュッ!!

南方参謀「おかしいと思わない!? 隊長、何かあったんじゃないのっ!?」

西方参謀「……っ」

 言われて思い返せば、見に覚えがないわけではなかった。

西方参謀「あのヤロー……そういやイブリースん時も確か……」

 ズガッシャアアァァァァ!!

西方参謀「!?」
426 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/04(水) 18:08:05.35 ID:T0d6Eq/vo
 ゴトッ……ヨロヨロ

隊長「……ぺっ。流石に……強いじゃねぇかよ」

西方参謀「お、おいっ!」

隊長「何をボサっとしてやがんだテメーらは! さっさと援護しろ!」

西方参謀「……お、おう」

隊長「でっりゃああぁぁ!!」バシュッ

南方参謀「ちょっと……っ!」

西方参謀「もういい。今は戦闘中だぞ! 援護に集中しろ!」

南方参謀「……っ」

西方参謀「何かあったとしてもだ、アイツはああやって動き回ってる。問題はねぇはずだろ!」

南方参謀「……分かってる……わよっ!」

西方参謀「そんじゃあ行くぞ! お前は風で俺の火を援護しろ!」

南方参謀「……了解っ!!」

隊長「はああぁぁーっ!!」

夜行「ヒヒッ、さぁさぁ……もっとかかってきなよぉ!」ガキイイィィィィン!!
427 :以下、あけまして [sage saga]:2012/01/04(水) 18:09:23.28 ID:T0d6Eq/vo
それではひとまずここまでにて!
ご支援ありがとうでしたっ!それでは!ノシ
428 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 18:17:30.98 ID:5K0S1fxDO
新たな恋の予感

429 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 18:19:17.51 ID:46BnlyRzo
たあいちょお……
430 :以下、あけまして [sage]:2012/01/04(水) 19:08:00.10 ID:BAHoMXfAO
>>1

遅なりましたがあけましておめでとう

今から休日分を一気に読ませてもらっちゃったりしちゃったりしちゃいます
431 :以下、あけまして :2012/01/04(水) 22:12:09.99 ID:HxKD+V+10
いちおつ
ヤタガラスは非戦闘要員か
何か隠してそうで不気味
432 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 01:31:01.66 ID:3+Ze/LTDO
>>1乙!頑張れ!
結界通れない描写とかあったし隊長は自身の事に気づいてるんだよな…
盗賊の予言の事もあるし色々と不安だ…
433 :以下、あけまして [sage]:2012/01/05(木) 02:15:55.26 ID:fmkNqGuAO
>>1おつ

サンドウィッチたんは隊長の何が気に入って助力したのか
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/05(木) 07:01:40.56 ID:9KBg80Bdo
隊長が影忍と同じ状態になっただけなのか
それともネクロマンサーがいつでも操れる状態なのか
435 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) [sage]:2012/01/05(木) 20:46:25.53 ID:UYoQPMsco
ヒント:ブチャラティ
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 04:41:56.07 ID:uI0wgP+DO
復活してたのか
437 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:31:16.64 ID:Aftj95dAo
〜剣聖の屋敷〜

コオオォォォォ……

サル「どこ行きやがったぁ!?」

名代「全員、中央に!」

召喚士「背を合わせて、四方からの攻撃に備えましょう」

 ザザッ

東方司令「上様は中央へ」

帝「うむ」

キジ「さぁ、どっから来るさー」

 ゾクゥッ!!

女侍「上ぇーっ!!」
女剣士「上だっ!!」

魔道士「――!?」

召喚士「スフィンクス!!」

スフィンクス「はいよ−っ! ちたいくう、げいげきぱーんちっ!」
438 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:31:54.06 ID:Aftj95dAo
ギュバッ!! ドッゴオオォォォォン!!

スフィンクス「へっへーん。どうだ…………」

召喚士「スフィンクス……?」

 ズズズズッ グニュウウゥゥゥゥ

スフィンクス「――っ!?」

魔道士「ス、スフィンクスの姿が……変わ……」

スフィンクス「ど、どうしたというのだ……これはっ、我が姿がどんどん老いて……」

 ズギャッ!!

神野「……クックク」

スフィンクス「召喚士ぃ! 解除せよっ、このままで我が身諸共っ、貴様の魔力をも――」

召喚士「くっ!」

 バシュッ シュウウゥゥゥゥ

サル「な、何がなんだってんだ……っ?」

神野「生あるもの必ず死が訪れる。死への道程、即ちそれこそ……老いたるもの」

召喚士「神野悪五郎……本体だなっ!!」
439 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:32:29.16 ID:Aftj95dAo
 目の前に現れた長上下の高貴な出で立ち。しかしながら下半身は透き通り、

 足の先に至っては、長袴の途中より、背景と溶け込んだかの如く消えていた。

 名を呼んだ召喚士以外の者にとっても、それが人間でない事は一目であった。

 いや、このような場に突如現れたのだから、その時点で分かっていたのかもしれない。

 だからこそ咄嗟に臨戦態勢へと移行する一同であったが、その表情は困惑に溢れていた。

召喚士(何を……したんだ……?)

神野「恐れ、戸惑い、驚愕、そんな表情を見るのは実に心地良い」

魔道士「くっ……!」

 ザッザッザッ

神野「思念体を解かれてしまって、折角の剣術も使えなくなってしまったなぁ」

名代「……っ」

 ザッザッザッ

神野「今度こそ完全なる本体で、相手をしてあげましょう」

召喚士「来ますよっ!!」

イヌ「分かってるね!」
440 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:33:16.87 ID:Aftj95dAo
 ヒュッ!!

神野「んー、堪りませんねぇ」

魔道士「――っ!!」

神野「頂きます」

 ズザァ!! ビュオッ!!

東方司令「させるかっ」

神野「……それは妖刀、村正ではありませんか」

東方司令「貴様などには勿体ないからな。ボクがありがたく頂くよ」

神野「おやおや、勝手ですねぇ。しかし妖刀、人が持てば災いが降りかかりますよぉ?」

東方司令「残念だったな」

神野「……?」

東方司令「ボクはとっくに、魔剣の呪いにかかっているのさ」

神野「呪い? ほぉ、災厄ありてなおも健在。逞しい限りであるなぁ」

東方司令「ごちゃごちゃ五月蝿い奴だな。めんどくさい」

神野「対話は好みませぬか。それは残念」
441 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:34:40.60 ID:Aftj95dAo
召喚士「東方司令さんっ、気を付けて下さい!」

東方司令「分かっている。……女剣士!」

女剣士「!?」

東方司令「この刀を使え!」ブンッ

女剣士「これは、お姉様の……」ガシャッ

東方司令「ボクはこれでいい。今度は本体だ、思い切っていくぞ」

女剣士「……はいっ」

女侍「やれやれ。アタイもいくとするかね」ポリポリ

帝「これで前衛は四名。何とかなりそうだな」ザッ

名代「上様っ!」

帝「無茶はせぬ。しかし黙って指を咥えておるわけにはいかぬであろう」

名代「……っ」

帝「それに、どうも奴はこの刀を嫌っておるようだしな」チャキッ

名代「召喚士殿、申し訳ないが私は上様の護衛に全力を注ぎまする」

召喚士「了解です。こちらの援護は魔道士さんと俺、そして……」
442 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:36:00.69 ID:Aftj95dAo
 ジャリッ

サル「んふふふふっ。こ〜いう緊迫した場面って……苦手なんだよなぁ」

イヌ「何をゴチャゴチャいってるね」

キジ「お頭、こっちはいつでもいいさー」

くの一「……くっ」カチャッ

召喚士「魔道士さん、ちょっと大変だとは思いますけど……」

魔道士「はいっ、付加と後方支援ですね! 大丈夫、どっちもいけますっ!」

神野「いやいや、自信に満ち溢れた表情だ。これは困りました」

召喚士(女侍さん達や女剣士さん達が加わった事で、手数は整った……)

神野「いやはや、各々方の困り顔を拝見したいのですがねぇ」

召喚士(問題はさっきの能力だ。あれは一体……何だったんだ?)

神野「仕方ない。力ずくにて拝むと致しましょうか。クックク」

召喚士(スフィンクスは言った……『老い』。確かにスフィンクスの姿が変化して……」

神野「なぁに、死にはしませんよ。ですが、死に近づくと言うものです」

召喚士(……老い? 死への道程……? ま、まさか……っ)
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:37:05.13 ID:Aftj95dAo
 バッ!!

召喚士「接近戦はダメだっ!!」

神野「もう遅いですよぉ、クックク!」

東方司令「むっ!?」

 妖刀村正の間合いへと完全に入り込んだ神野悪五郎。それを改めて確認する必要もなく、

 東方司令はいつものように得物を振り下ろす。が、村正は空振り、空を斬った。

東方司令「――っ!?」

神野「申し上げませんでしたか? 移動など体躯の挙動は不要、精神のみで行える」スッ

東方司令(後ろ――っ!)

 分かってはいても神野悪五郎の速度は早く、とても追いつけない。

 振り向きざまに右手で首を掴まれた東方司令の瞳に、うっすら笑みを浮かべる妖が映った。

神野「良い表情だぁ。それですよそれっ」

 ズズズズッ……ズギュウウゥゥゥゥ!!

東方司令「――――!!」

神野「クックク……」
444 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:37:39.53 ID:Aftj95dAo
東方司令「……くくっ」

神野「……?」

東方司令「お前の技、ボクには通用しないみたいだな」

神野「一体……っ、何をしてくれました?」

東方司令「言っただろ、僕は魔剣で呪われてるってなぁ!」

 ヒュオッ!!

神野「……ッ」ツツーッ

東方司令「朱雀、お前の見立ては?」

召喚士「……恐らく、寿命を早めるか何かかと思いましたが……っ」

東方司令「ボクは無事だ。つまり……」

神野「ぬっ!?」

東方司令「命までは奪えないっ!!」ビュオッ!!

神野「……洞察力が宜しいですねぇ。あまり心地良い気は致しませんが」

くの一「つまり……どういう事……?」

召喚士「奴の能力は触れる事で、肉体に何らかの影響を及ぼすと考えられます」
445 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:38:08.88 ID:Aftj95dAo
神野「……」

召喚士「それは恐らく、スフィンクスの言っていた……老い」

神野「……クックク」

召喚士「触れた対象者の肉体を強制的に老いさせる能力ではないかと」

神野「凄いものだ。驚き、称え、感嘆を覚えます」

女侍「つまり、アタイが突っ込んでたら……ババアになっちまってたわけかい。おぉ怖い怖い」

帝「……っ」

神野「各々方、慎重でよかったですね。奇遇か意図か、前衛は全て女性でいらっしゃる」

女剣士「……だから、何だ」

神野「お年を召したら、大変でしょう? クックク」

東方司令「君、ツイてなかったな」

神野「……と、申されますと?」

東方司令「生憎、ボクは不老だ。その技は効かないよ」

神野「なんとっ!? 不老っ、老いないと申されるのか!」

東方司令「バケモノじみた呪いがこんな所で役立つとはね。人生、何があるか分からんな」
446 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:39:33.65 ID:Aftj95dAo
神野「たかが人間が……そのような境地に辿り着くとは些か不愉快」

召喚士「東方司令さん!」

東方司令「ああ。ボクを起点に戦うとしよう」

神野「痛みを伴わず引導を渡してやろうかと考慮致しましたが……」

 ゴゴゴゴゴゴ……

神野「命への冒涜、苦痛を伴って……地獄へ落ちるが宜しい」

サル「くんぞぉ!!」

召喚士「行けっ! ゴーレム!!」

 シュイイィィィィン

神野「味わったでしょう、人間でなくともそれは対象!」

 ギュイイィィィィ!!

ゴーレム「――グ……ゴオオォォォォ!!」

召喚士「駄目だっ、やはり力がどんどん落ちてゆく……っ」

名代「召喚獣や式神の方が、顕著に出るのやもしれませんっ」

召喚士「確かに……っ。魔力を利用している分、力の衰えはそれに比例するのか……」
447 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:40:08.09 ID:Aftj95dAo
東方司令「理屈は分からんが、とにかくボクに援護を集中しろっ!」

召喚士「了解です!」

魔道士「やあぁっ!!」

 ドッドオオォォォォン!!

神野「ぬっ!? 刀に炎を付随して攻撃とは……っ」

東方司令「魔法剣は初めてか? だったら……存分に味わうがいいっ!」

魔道士「もうひとつ!!」

 ドッドオオォォォォン!! ゴオオォォォォ!!

神野「今度は炎と風ですかっ、これは堪りませんねぇ」

東方司令(しかしあの魔道士とか言う小娘、凄いものだな……っ)

魔道士「やあぁーっ!!」

東方司令(ボクと共闘するのは初めてに近いはず。にも関わらず……)

神野「仕方ありません、他の手段も考慮せねばならぬとは……」ズザァ

東方司令(完璧に魔法付加をこなしている。才能かそれとも……王家の血と言うやつか)

神野「致し方なし。これは姿を変えてでも、攻撃に転ずるしかありませんねぇ」
448 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:41:19.46 ID:Aftj95dAo
〜竜宮城、地下〜

戦士「ぐはっ!」

 ギャギャッ!! ズザザアアァァ

戦士「……ぺっ」

男隊員「だいじょぶか?」

戦士「ああ。しかしあいつ……全く攻撃を受け付けねぇ!」

女隊員「表面に防御壁があるような、そんな感じッスよ」

格闘家「ええ。直接、奴にまで攻撃が届いてません」

青年兵「……っ」

アスタロス「……人間は……排除する」

男隊員「排除排除ウルセェな! さっさとやってみろや!」

格闘家「しかし妙と言えば妙ではありますね」

戦士「何がだ?」

青年兵「先程より、一向に攻撃してくる気配はない……」

戦士「……構うかよ、だったら今のうちにぶっ倒しちまおうぜ」
449 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:42:00.54 ID:Aftj95dAo
男隊員「んな簡単に行く話かよ」

女隊員「だから何とかする方法を考えてるんじゃないッスか!」

青年兵「戦士さんの言う通りです。攻撃に転じる前に始末した方がいいでしょう」

男隊員「……」

青年兵「あまり体力を消耗したくはない。僕らの目的は別にあるはずです」

男隊員「そうだったな。俺達ゃ魔王マーラを討伐しにきたんだったわな……ヒャハハ!」

格闘家「どうします?」

青年兵「最も楽なのは逃走ですが、出来ればここで倒しておきたいのが本音です」

女隊員「魔王と合流されたら厄介ッスもんね」

鬼丸「だがよ、他の連中も心配だぜ……」

青年兵「ええ、そうですよね。なので作戦はこうです」

格闘家「……」

青年兵「これより短時間、全力で戦います」

男隊員「もしそれで倒せなかった時にゃあ……」

青年兵「一度ここを離れ、他の方々と合流致します」
450 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:42:44.68 ID:Aftj95dAo
格闘家「了解です」

鬼丸「分かりやすくていいぜっ、なぁ相棒!」ガシッ!!

戦士「……ああ。さっさと片付けて……他の奴らと合流すんぞ」

鬼丸「とか言って、本当はあの盗賊とかって娘が心配なんだろ〜?」

男隊員「妬けるねぇ……ヒャハハ!」

戦士「だったら何だよ」

格闘家「……」

戦士「好きな女と戦地で離れて、心配じゃねぇ奴がいんのかよ」

女隊員「せ、戦士くん……っ!?」

鬼丸「グハハッ! 悪かったよ相棒!」

戦士「冷やかしてねぇで、目の前の敵をさっさと叩くぞ!」

鬼丸「おうよ! お前の真っ直ぐな本気は俺も受け取ったぜ!」

格闘家「頼もしい限りですね」

青年兵「ええ。だが、故に危うい……」

格闘家「……?」
451 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:43:23.13 ID:Aftj95dAo
 ジャリッ ギュオオォォォォ!!

戦士「でっりゃああぁぁーっ!!」

 ガゴオオォォォォン!! ジジジジッ

戦士「ぐ……くっ」

アスタロス「吹き飛べ」

 ガカァ!! ドシャアアァァ

鬼丸「相棒っ!」

戦士「……大丈夫っ、攻撃は大した事ねぇ」

女隊員「あの見えないシールドを何とかしないといけないッスね」

戦士「青年兵っ、どうすりゃいい!」

青年兵「何となく掴めてはいますが、まだ確証はありません」

格闘家「攻撃を続けますか?」

青年兵「お願いします。出来れば一斉攻撃で」

男隊員「それで掴めるんだなぁ!?」

青年兵「はいっ。やってみせます」
452 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:43:57.40 ID:Aftj95dAo
男隊員「その言葉を信じて、全員でかかるぞ!」

女隊員「てか、元から指揮官は青年兵くんなんだから逆らえないッス」

戦士「鬼丸、お前は右側からあたれ!」

鬼丸「おう!」

格闘家「はああぁぁ……っ!!」

 ズギャッ!! バッゴオオォォォォン!!

アスタロス「……無駄だ」

 ジジジジッ バキィッ!!

格闘家「ぐっ」ズザァ

青年兵(……やはりそうだ)

戦士「おるああぁぁ!!」ビュオッ!!

鬼丸「でやああぁぁーっ!」シュバッ!!

 ジジジジッ……ドドォッ!!

青年兵(あのシールドは、奴が意図したものではない)

男隊員「付加すんぞぉ!」
453 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:44:37.39 ID:Aftj95dAo
女隊員「よろしく……ッスううぅぅ!!」

 グアッ!!……ドッズウウウウゥゥゥゥン!!

アスタロス「……諦めて……死ね」

 ジジジジッ バギャアアァァッ!!

男隊員「分かったかぁ!?」

青年兵「……ええ。確信しました」

格闘家「……」グイッ

青年兵「あれは自動的に発動するタイプのようです」

戦士「んじゃ、攻撃しようがないってのか?」

青年兵「いえ。但し、通じるかどうか……」

戦士「四の五の言ってる場合かよっ! やるしかねぇだろ!」

鬼丸「相棒の言う通りだ。やらなきゃ何も始まらねぇ。失敗を恐れてどうすんだよ」

男隊員「魔物のくせに良い事言うじゃねぇか! その通りだ……ヒャハハ!」

格闘家「青年兵様は師匠に代わる指揮官です。あなたの命令に誤りはありません」

女隊員「そうッス。どーんと構えて、私達が何とかするッスよ!」
454 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:45:10.10 ID:Aftj95dAo
青年兵「皆さん……っ」

戦士「てわけだからよ。早速、作戦を言ってくれ」

青年兵「……はい」

男隊員「待て! 奴が仕掛けてくるぞ!」

アスタロス「排除する」

 シュバッ!! ズドドドドドッ!!

鬼丸「何だこりゃあ!?」

男隊員「魔力を弾にして飛ばしてるんだっ! 触れると手痛いぞ!」

戦士「んなもん、よけるまでもねぇ!」

 バシイイィィィィ!!

格闘家「盾で……吹き飛ばした!?」

女隊員「す、凄いッス……!」

戦士「俺が引きつける、早く策を!」ドドドドッ

青年兵「奴のシールドは自動的に発動します。それも、それぞれの属性に合わせてです」

鬼丸「どういう意味だぁ?」
455 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:45:51.67 ID:Aftj95dAo
青年兵「例えば炎で攻撃すれば、シールドも炎を付加し、中和するのです」

男隊員「おいおい……嘘だろっ」

青年兵「そうする事で威力を無と化し、攻撃を防いでいると思われます」

戦士「洞察眼とかそんなレベルじゃねぇぞおい……」

男隊員「確実なんだろうな?」

青年兵「ボクはそう思います。通常の魔力による障壁などとはどうみても違いますから」

格闘家「はああぁぁーっ!!」

鬼丸「おるぁ!!」ズガシュッ!!

 ジジジジッ バゴオオォォ!!

戦士「確かに……何か無理矢理止められてるとか、そんな感覚だな」

男隊員「付加でも物理攻撃でも無理。んで、何が通じるんだ? 召喚獣か?」

青年兵「効くとは思えませんが、試す価値はあると思います」

女隊員「それじゃ他に――」

 ドシャアアァァ!!

格闘家「く……っ」ググッ
456 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:46:36.73 ID:Aftj95dAo
男隊員「俺が代わる。格闘家はここにいろ」ダッ!!

格闘家「すみません……っ」

女隊員「……それじゃ他に、何が通用するんスか?」

青年兵「他属性による同時攻撃です」

戦士「そうかっ! シールドが自動なら2つの属性は同時に防げないはずだよな!」

格闘家「同時……攻撃ですか?」

女隊員「そんなの、可能なんスか……?」

戦士「……?」

青年兵「理論的にはそういう事です」

戦士「おいおい、何を悲観的になって――」

 ズザザザザアアァァ

鬼丸「終わったか!?」

戦士「もうちょいだ。んじゃ次は俺が……」

女隊員「私が行くッス! 戦士さんはここに!」ダダッ

戦士「お、おう」
457 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:47:27.31 ID:Aftj95dAo
青年兵「戦士さん」

戦士「ん?」

青年兵「同時攻撃と言いましたが、同時に攻撃するわけではありません」

戦士「あ、ああ。分かって……」

青年兵「同時に攻撃をあてるのです」

戦士「……おい、つまり」

青年兵「刹那の狂いもなく、ほぼではありません。完全に同時となる攻撃を叩き込む」

戦士「……無理だ! んなもん不可能に等しいだろっ!」

青年兵「ええ、そうです。でも戦士さん、不可能ではありません。不可能に等しいんです」

戦士「あのな、天才とかならいざ知らず、誰がそんなトンデモな離れ業――」

 ドシャッ!! ゴロゴロゴロッ

男隊員「いってぇ……っつーかよぉ、まだか?」

女隊員「あっちの攻撃、威力はないけど地味〜に効くんスよね……っ」スリスリ

青年兵「僕も召喚士さんとなら同時攻撃出来る気はしますが……ここはやはり……」スッ

鬼丸「……あん?」
458 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:48:11.71 ID:Aftj95dAo
青年兵「戦士さんと鬼丸さんにやって頂くしかないでしょう」

戦士「俺と……鬼丸!?」

鬼丸「ほぉ」

青年兵「お2人は何度か戦ってらっしゃるようですし、何より心から通じ合っている」

戦士「だったら男隊員と女隊員でも……」

男隊員「そりゃ無理だな。俺とコイツじゃ身体能力が違いすぎる」

女隊員「そうッス。ヤワな男隊員じゃあタイミング合わないッスよ」

男隊員「……それに、どうやら心も通じ合ってねぇみたいだわ」

格闘家「何年も一緒なのに……」

戦士「とりあえず理解はしたけどよ、何をどうすりゃいいんだ!?」

青年兵「何も策はありません。ただ無心で、同時攻撃を仕掛けて下さい」

戦士「……っ」

男隊員「どうせなら他属性の付加をブチ込んだ方が効果ありそうだ。出来るか?」

鬼丸「他属性? どういうこっちゃ……?」

戦士「……ああ。分かったよ」
459 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:49:29.04 ID:Aftj95dAo
 ゴゴゴゴゴゴ

男隊員「んじゃ俺らが奴の気を引く。その間に頼むぞ!」

女隊員「頼りにしてるッスよ! 戦士くんならやれるッス!」

格闘家「はあぁーっ!」シュバッ!!

アスタロス「……無駄だ」

 ジジジジッ ドゴオオォォォォ!!

格闘家「……ぐくっ」

戦士「格闘家……っ」

格闘家「成功するまで……何度だって、援護しますから」グググッ

戦士「……っ」

青年兵「攻撃完了と同時に、すぐさま回避して下さい」グッ

鬼丸「回避だぁ?」

青年兵「シールドが解けた瞬間、僕のバハムートで奴を直接攻撃します」ゴゴゴゴ……

戦士「了解っ。鬼丸、お前は……雷でいいか?」

鬼丸「おうよっ。お前こそ雷切じゃなくていいのかよ?」
460 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:50:08.47 ID:Aftj95dAo
 ズイッ

戦士「俺にはこれがある」

鬼丸「炎の斧か!!」

戦士「しくじるなよ?」

鬼丸「なぁに、コイツがある限り……しくじったりしねぇよ」

戦士「……籠手?」

鬼丸「雷忍が言ったんだ。頼む……てなぁ」ギュゥ

戦士「……そうだったな」

鬼丸「約束通り、藤蔵の連中に指南は受けた!」

 ドンッ!! バチバチバチバチイイィィ

鬼丸「鬼の雷は……ちょいとやばいぜぇ?」

戦士「……青年兵っ! 後は任せたぜ!」

青年兵「必ず……倒します!」

戦士「行くぞぉ!!」

鬼丸「おうよっ!!」
461 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:52:16.97 ID:Aftj95dAo
〜竜宮城、二階〜

火忍「くそっ、どうなってやがんだよっ!」ドンッ

土忍「これは、魔王にまんまとやられたかもしれんな」

盗賊「……っ」

風忍「出口は見当たらず、ましてや術までも使えぬ。これではどうしようもない」

水忍「だからとて、何時までも此処にいるというわけにはいかぬ」

火忍「それもそ――」

 ドズッ

火忍「……な……ん!?」

土忍「火、お前は目障りだ。ここで死ね」

火忍「――!?」ガクッ

風忍「姫……」

盗賊「!?」

火忍「な……にしてやが……」

水忍「まだ生きているのか。まぁ良い、そこで見ていろ」ザッザッ
462 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:52:55.59 ID:Aftj95dAo
火忍「何なん……」

風忍「お前がいとおしくて堪らない、姫が陵辱される様をな」シュルッ

火忍「――――っ!?」

土忍「大人しくしろ。もう逃げる事すら出来ぬのだ」

盗賊「はっ、離せ!! お前ら……一体どうしたというのだっ!!」

風忍「そこで転がっているガキにも見えるように嬲ってやれ」

盗賊「やめろおおぉぉ!!」

 ダンッ!!

盗賊「がふ……っ!!」

土忍「もがけば苦しむだけだ。大人しく諦めよ」グググッ

火忍「これは……幻だ……」

盗賊「いやああぁぁぁぁ!!」

火忍「現実じゃねぇ……そうだ、幻なんだ……っ!」

盗賊「――――」

火忍「こんな事あるわけねぇだろっ! ふざけんなくそぉ! やめろやああぁぁ!!」
463 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:53:34.45 ID:Aftj95dAo


土忍「……何だ?」

マーラ「おや、お前一人かえ?」

土忍「――!?」ザッ

マーラ「そう身構えずとも、近こう寄れ」

土忍「……他の者らをどうした!」チャキッ

マーラ「ほれ、よう見てみい」

土忍「――っ!!」

マーラ「顔や胴体がなくとも、衣服で分かるであろう?」

土忍「貴……様ぁ……!!」

マーラ「慌てるでない。ほれ、これも見てみい」スッ

土忍「……な……んだ」

マーラ「小さな足よの。他は一口で喰ろうてしまったわ。そう、お前の娘じゃ」

土忍「あ……あぁ……ああああぁぁぁぁ!!」

マーラ「もがけ、苦しめ、喘げ、嘆け、深い絶望と悲しみの狭間で死ぬが良い。ほっほっほっほっ!」
464 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:54:07.76 ID:Aftj95dAo


盗賊「……く…うぅっ!!」

ギチッ…

忍「くっくくく!そう縛られておっては…身動きとれまい!」

盗賊「ひ、卑怯な真似を…っ!」

忍「卑怯…?くっくく…。忍に卑怯などあるものか!」

盗賊「……っ」

忍「ほら、お仲間もあのザマよ…」

戦士「………ぅ」

盗賊「戦士っ!!」

忍「くっくくく…安心せい。気を失っておるだけよ…」

盗賊「戦士を…戦士を離せっ!」

忍「それはまだ出来ぬ相談よ…」

盗賊「何だと!?」

忍「これから始まる余興に…付き合って貰わんとならんからな…!見物客としてっ!」
465 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:55:06.79 ID:Aftj95dAo


水忍「……?」

風忍「他の三人はどうした?」

水忍「いや、分からぬ。一瞬の内に居なくなった……っ」

風忍「……嫌な予感がするな」

水忍「予感ではなく、もう始まっているのかもしれないぞ」

風忍「!?」

 スゥッ

女「うふふっ」

少女「ここは竜宮城。心ゆくまで御寛ぎ下さいませ」

風忍「……そうきたか」

女「うふふっ。色男なんですね、もうお分かりとは」シュルシュル

水忍「二人同時に幻術へ引き込むとは、大したものだな」

風忍「ああ。流石は魔王と言ったところか」

少女「小難しい話は止しにして、さぁ……どうぞ」
466 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:55:44.75 ID:Aftj95dAo
風忍「生憎、我らは忍でな」

水忍「この手の惑わしは通用せん」

女「惑わし? うふふっ、これは現実」

少女「ほら、触れれば柔いし、求めればもっと――」

 ザシュッ!!

水忍「悪いな。もし現実であったならば……魔王と共に居た事を悔やんでくれ」

風忍「幾らでも償いはするさ。死した後にな」

 バシュッ!!

女「……ふふっ、冷たいお人です事」

少女「躊躇無く……人を斬るなんて、ね」

水忍「それが忍。それが……藤蔵だ」

風忍「小賢しい真似はよせ、魔羅。我らには幾ら施しようとも通じはせぬ」

 ブゥン……バチュンッ!!

水忍「視界が開けたか」

風忍「やはり幻術。さて、他の三人は無事であろうか」
467 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:57:01.03 ID:Aftj95dAo


盗賊「……くあ……う……っく」

忍「…………」

 ドサッ コロコロコロ……

盗賊「……?」

 ブゥン……バチュンッ!!

盗賊「……はっ!」

影忍「……気をしっかり保たぬか、たわけ」

盗賊「兄……様……!?」

影忍「まんまと幻術になど嵌りおって。他の奴らはどうした?」

盗賊「……分かりませぬ」

影忍「魔王はこの上か?」

盗賊「はい。しかしっ、ここは一度……退いて」

影忍「無論だ。手数が揃ったところで……お前を屠る!!」

盗賊「!?」
468 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:58:25.25 ID:Aftj95dAo
 ザシュウウゥゥゥゥ!!

盗賊「あ……あぁ……っ」

 チャキッ

土忍「姫、お気を確かに!」

盗賊「……土?」

土忍「火! お前も無事だろうな?」

火忍「魔王の野郎……ナメた幻見せてくれるじゃねぇかよ……っ!」ザッ

盗賊「何が……どうなって……」

 タタタタッ ザザッ

風忍「皆、無事だな?」

土忍「ああ。しかし姫の精神が不安定だ。いち早く、他の者と合流を――」

 ズッガアアアアァァァァ!!

水忍「何事だっ!?」

火忍「上の階が崩壊してやがるぞ!」

風忍「ちぃ……っ!!」
469 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:59:11.24 ID:Aftj95dAo
 ゴゴゴゴゴゴ……

マーラ「このあたしから、逃げられると思うかい?」

土忍「!?」

火忍「てんめぇ……っ!!」

風忍「落ち着けっ! 逃げるが勝ちよ!」

水忍「姫っ! 立てますか!?」

盗賊「あ、うん……っ」

マーラ「逃がしゃしないよおぉーっ!」

土忍「魔羅よ、感謝するぞ」

マーラ「何ぃ?」

土忍「貴様の幻術で、我が術の力が大いに昂っておるわ!」

 ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「ヌゥッ!? 砕いた地面を押し上げ……」

土忍「しばしそこで、地団駄踏んでいるが良い」シュバッ!!

マーラ「……きいいぃぃ!」ピキピキッ
470 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 17:59:58.91 ID:Aftj95dAo
〜竜宮城、一階〜

 ドドオオォォォォ……

南方参謀「な、何の音……!?」

西方参謀「いいからこっちに集中しろいっ!」

隊長「ぬああぁぁ!!」

 バキィッ!! ズザザザザアアァァ

槍侶「隊長殿っ!!」

隊長「いいから俺を囮に使え! 攻撃を続けるんだ!」

槍侶「……は……はいっ」チャキッ

隊長(長引けば長引くほど不利。攻撃を仕掛け続ければ……)

夜行「ヒヒッ、もう息切れかぃ?」

隊長(どこかで必ず……隙を見せるはずだっ!)

夜行「そろそろ仕上げるとするかねぇ」

東方参謀「やかましいっ!!」

 バゴオオォォォォッ!! ドザザッ
471 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 18:00:35.93 ID:Aftj95dAo
夜行「……全く、あっちからこっちから大変なこった……ヒヒッ」

東方参謀「これはキリがないな」

隊長「ああ。もっと接近する必要がある」

東方参謀「肉を切らせて骨を絶つ……か」

隊長「俺が行く。あとは何とかしてくれや」

東方参謀「貴様……っ」

隊長「あんたら3人の魔法なら、槍使いの坊主を援護出来るはずだ」

東方参謀「死ぬ気か?」

隊長「まっぴらゴメンだ。俺にはまだまだ、やる事があるんでな」

東方参謀「……承知した。ならば行くぞ!」

隊長「槍侶!!」

槍侶「は、はいっ!」

隊長「……頼んだぞ!」

 ダンッ!!

夜行「ただ突っ込むばかりでは芸がない。それじゃあ猪と同じだねぇ……ヒヒッ!」
472 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 18:01:30.09 ID:Aftj95dAo
〜剣聖の屋敷〜

帝「な……っ」

くの一「い、猪……!?」

神野「まずはこの姿、止められますかなぁ?」

 ドウッ!!

東方司令「ぐ……ぬううぅぅ!!」

 ギャリギャリギャリッ……バギャッ!!

女剣士「お姉様っ!」

東方司令「朱雀、止めろ! 人の手では手間だ!」

召喚士「了解いいぃぃ!!」

 シュイイィィィィン!!

オルトリンデ「1枚……ぐへぇっ!」ドンッ!!

ジークルーネ「ちょっとぉ! もっとふんばりなさいよおおぉぉ!」ドカァッ!!

サル「ダメだぁ……次々と破られてんぞ」

ロスヴァイセ「8枚目の……壁ええぇぇ!!」ドギャッ!!
473 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/06(金) 18:31:22.58 ID:Aftj95dAo
神野「さぁ、お前で最後ですよっ!」

ブリュンヒルデ「止めるううぅぅぅぅ!!」

 ズギャッ!! ギギギギイイィィィィッ!!

魔道士「止ま……」

召喚士「……らないっ!!」

ブリュンヒルデ「ふえぇ……っ!!」バシュンッ!!

神野「あと一人くらいでしたけぇ。クックク……」

女剣士「これでラストだ」チャキッ

神野「なっ――」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!1

サル「おぉっ、あの巨体を一撃で……っ」

イヌ「何か、似てるね」

キジ「……?」

イヌ「あのコの剣、お頭に似てるね」

女侍「……ふん、バカだねぇ。東方の剣術なんでどれも似たようなものさ」
474 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/06(金) 18:32:54.19 ID:Aftj95dAo
沢山に見えて昨日の分もあるので少しですね…すみません
ちょっと忙しくなっていまったのでこれにて失礼致します!
ご支援ありがとうございます!そいではっ!ノシ
475 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 18:34:10.86 ID:LyTZuALDO
おつんぽ!
476 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 20:46:40.21 ID:1rXTrpSA0
おつんつん〜
477 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/06(金) 21:41:58.70 ID:9HgAJQ5IO
おつんこ
478 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2012/01/06(金) 21:54:19.08 ID:FEVZkXR2o
あっちのスレの分まで回収するとは…
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/07(土) 00:27:58.21 ID:IxoSE3c40
いちおつ
隊長危ういな
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/07(土) 02:22:22.54 ID:zDWhIf3AO
>>1おつ
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/07(土) 08:44:48.48 ID:5Q2fT14AO
>>1毎度乙んつん
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/07(土) 11:15:04.64 ID:+14sdrjzo
ふぇえ・・・ワルキューレかわいいよぅ
>>1乙!
483 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/07(土) 23:51:42.82 ID:Z2mAl7mqo
神野「お……のれぇ……ッ」

 バガアアァァァァ!!

サル「んだぁ!? イノシシが割れたぞぉ」

神野「姿を変えるのが一度と、言いましたかぁ!」

 ガオンッ!! ズザァ

魔道士「い、犬……!?」

神野「この獰猛な牙から……逃れられますかねぇ!」ババッ!!

サル「イヌッ! 犬にはイヌだ!」

イヌ「意味分からないね」ザッ

神野「ヒャーッハッハッハッハッハ!!」

イヌ「でも、犬の特性は分かり易くていいね」

神野「!?」

 バゴオオォォォォン!! ドッゴオオォォォォ!!

女剣士「じ、地面が……針の様に……っ」

魔道士「物凄い威力です……っ」
484 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/07(土) 23:52:30.15 ID:Z2mAl7mqo
〜北方、三途の川〜

犬「クゥーン! クゥーン」タタッ

眼鏡「……?」

魔法剣士「どうした? 何かあったのか?」

眼鏡「西側からまた、魔王軍が進軍し始めたらしい。それに……」

魔法剣士「……それに?」

眼鏡「……いや、何でもないよ。西側の対処にあたろうか」

ジュニア「しっかし、犬の言葉を理解してんだから、すげぇよな〜」

眼鏡「理解というか、犬は利口だからね。心を通わせれば必然と分かるものさ」

ジュニア「ふぅん。人間相手でも難しいってのに、やっぱすげぇよ……ハッハ!」

賢者「理解するのは自分自身だけで十分さ……ふぅ」

ジュニア「……あそ」

魔法剣士「さて、急いだ方がいいだろう。行くぞ」

ジュニア「おうよ!」

眼鏡(……ネクロマンサー。まだ、何かするつもりなのか……っ)
485 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/07(土) 23:53:30.93 ID:Z2mAl7mqo
〜東方、剣聖の屋敷〜

 ドゴゴゴゴッ!!

神野「こんなものでええぇぇ!!」

イヌ「遅いね」バッ!!

神野「正面からっ、馬鹿ですか!!」ガパァッ

イヌ「……ん」スッ

 ガギイイィィィィ!!

帝「腕を食われたっ!?」

名代「……いやっ! あれは……わざと食わせた……っ!?」

神野「……ッ」ギリギリッ

イヌ「あ、言ってなかったね。土行の魔法使えるなら、拳に付加する事も可能ね」ニヤリ

神野「あ……がが……ッ」ボロッ

イヌ「そんじゃ、このまま吹き飛ぶね」

 ギュバッ!! ドッゴオオオオォォォォン!!

イヌ「……おぉっ、ちょっとふっ飛ばし過ぎたね」
486 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/07(土) 23:54:22.93 ID:Z2mAl7mqo
 ドシャアアァァ!! ズザアアァァァァ

神野「……クッ」

魔道士「やったぁ!」

召喚士「……」

名代「これで終いとは考えにくいですね」

召喚士「ええ。奴は一度ではないと言いましたが、はたして何度……」

 ゴゴゴゴゴゴ……

神野「犬では相性……悪いみたいですねぇ」コキッ

くの一「ま、まだ……変身するのか……っ!?」

神野「ヒャーッハッハッハ!!」

 ババッ!! バシュウウゥゥゥゥ!!

女侍「消え……いやっ、上だ!!」

東方司令「次は鳥か。忙しないな」チャキッ

キジ「待つさー。鳥ならこのキジが相手するさー」

東方司令「……ならば任せる。奴に触れるなよ?」
487 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/07(土) 23:55:43.09 ID:Z2mAl7mqo
キジ「分かってるさー。まあジジイにはなりたくないさー」ザッ

神野「地面が駄目ならば、今度は上空からですよおおぉぉ!」

 ギュオッ!! ドシュウウゥゥゥゥ!!

召喚士「早いっ! ここは召喚獣で援護を……」

キジ「いいさー。まだ先はありそうだし、力を温存しておくさー」

召喚士「……キジさん」

神野「さぁっ、どうします!」

キジ「うーん……困ったさー」

 ザッザッザッ

女侍「ああ見えてもね、キジは強いよ」

召喚士「女侍さん」

女侍「アイツの凄いところは、金行と木行、相反する2つを同時に使いこなすってとこさ」

魔道士「魔法剣士さんと反対の属性ですね」

女侍「普段は役割として、アタイやイヌのバックアップに務めてるけどね」

 ドッゴオオオオォォォォォン!!
488 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/07(土) 23:56:43.64 ID:Z2mAl7mqo
女剣士「上空からの突撃……っ、凄い威力だ」

くの一「あっ!!」

神野「……ッ!?」

キジ「惜しかったさー。ちょっとだけ、かすったさ」

神野「う、上……だとぉ!?」

帝「と、飛んでおるぞ……っ」

名代「ど、どういう技なのでしょうか……」

東方司令「風の魔法をうまく使って、自分の身体を浮かせたりしているのさ」

名代「な、何と……っ! そのような事が……」

東方司令「うちの参謀なんかもやってるし、不可能な事ではない」

帝「……っ」

東方司令(とは言っても、相当の魔力コントロールが必要だけどな。あいつ……何者だ?)

 バシュウウゥゥゥゥ!!

神野「空中戦ですかっ! いいでしょう!」

キジ「生憎、空中戦は嫌いさー」
489 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/07(土) 23:57:49.59 ID:Z2mAl7mqo
神野「逃がしませんよおぉ!」

キジ「もう疲れたさー。終わりにするさ」

神野「!?」

キジ「気付かなかったさ? さっき、罠を仕掛けたさー」

神野「罠……何ぃ!?」

 チカッ!! バグオオオオォォォォン!!

召喚士「な……っ!?」

魔道士「雷が……敵の四方を囲んで……っ」

東方司令「まるで、雷の鳥カゴだな」

名代「成程っ! 鳥ならば籠の中へ捕らえてしまおうというわけですね」

帝「雉も鳴かずば打たれまい……か」

 ズガガガガガアアァァァァ!!

神野「グ……ッガガアアァァ!!」

 バリバリバリッ!! ドッシャアアァァ!!

キジ「キジは鳴いても打たれないさー。打たれるのは、バカな鳥だけさ」
490 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/07(土) 23:58:57.32 ID:Z2mAl7mqo
〜竜宮城、一階〜

ヤタガラス「おわぁーっ!!」ヒョイッ

 ドドオオォォォォン!! ガカアアァァァァッ!!

ヤタガラス「アホー! こっち来んなっ!」

夜行「ヒヒッ、仕方ないだろ。だったら手伝えってんだい」

槍侶「はああぁぁーっ!!」ビュババッ!!

夜行「いいねぇ。でもあれだ、さっきから動きが単調だ。それじゃあ駄目だねぇ」

槍侶「――っ!!」

夜行「槍相手はね、一点を抑えちまえばまぁ楽なもんよ……ヒヒッ」トンッ

槍侶「くっ! 槍が……動か……」

隊長「おらああぁぁっ!!」バギャアアァァッ!!

夜行「……おっとぉ」ズザザッ

槍侶「す、すみませんっ!」ザッ

隊長「さっきから動きが単調で、読み易いったらありゃしねぇわ」

夜行「……ヒヒッ、言ってくれるねぇ猿真似野郎」
491 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/08(日) 00:00:08.41 ID:Vohiq1/Qo
〜剣聖の屋敷〜

サル「俺は絶対イヤだってぇ〜!!」

イヌ「ウルサイね。お前も役に立つね」

キジ「そうさー」

サル「こんなん……相手できっかよぉ!」

神野「……コフウウゥゥ」

帝「次は猿か……」

名代「これは……」

女侍「いいからいっといで! 死にゃしないよっ」ドンッ

サル「おわっ! 死ななくてもジジーになんのはイヤだってぇ〜の!」

東方司令「仕方ないな、ボクが手伝ってやる」スッ

サル「うっひょ〜! 助かるぜぇ、んふふふ〜っ」

神野「何を企んでいるか知りませんが、させる以前に殺すまでぇ!」

サル「いいねぇ〜。俺ってば、そーいう台詞だ〜い好き!」

神野「!?」
492 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/08(日) 00:02:02.68 ID:Vohiq1/Qo
 タンッ!! ジャリッ

サル「出来もしねぇ事は、口走るモンじゃあないぜ?」チャキッ

魔道士「あ、あれ……何です!?」

東方司令「スリングに棒をくっつけたような……何か特殊な投擲具か?」ググググッ

イヌ「スリングショットね」

召喚士「スリングショット……?」

キジ「あいつ本人はなんか勝手に名前付けてるさー。えぇと……」

サル「……ワルサーさ!」

魔道士「ワルサーですか……?」

サル「そ。悪さする時に使うからワルサー。んふふふふっ」

 バチュンッ!! ギュオオォォォォ!!

神野「――!?」

 ドパアアァァァン!! ガシュウウゥゥゥゥ……

神野「クッ、煙幕に……何という臭い……ッ」

サル「犬やらじゃなくって良かったなぁ。獣じゃ鼻が潰れて、ぶっ倒れてんぜぇ〜?」
493 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/08(日) 00:02:58.70 ID:Vohiq1/Qo
神野「おのれ……っ、何処だ!!」

 ズオッ!!

神野「そこかああぁぁ!!」

 ガシィ!! ギュオオォォォォ

神野「ヒャーッハッハッハ! さぁ、これで老化が――」

東方司令「老化がどうしたって?」ジャキッ

神野「何時の間に入れ替わって――」

東方司令「貴様こそいつまでボクの胸を触っている……この猿がああぁぁ!!」

 ザシュウウゥゥゥゥ!! ドシャアアァァ

サル「ん〜ふふふふっ! お見事っ!」

東方司令「ふんっ。無礼な奴だ」カチャッ

サル「さぁて、そろそろお猿さんタイムは終わりってか、いい加減もう終わりにしてくんね〜かなぁ」

召喚士「……いや、まだ来るようですよ」

くの一「猪……犬……鳥、猿っ、まさか……っ!!」

名代「ええ……っ。次はおそらく、羊でしょう」
494 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 00:11:58.60 ID:XE1GHgDDO
ルパ〜ン三世〜♪
495 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 00:16:05.39 ID:KA8AeuTCo
東方司令ぺろぺろ
496 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/08(日) 01:33:59.83 ID:RmRqFAxAO
>>1おつ
497 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/08(日) 01:37:40.61 ID:V/t1Y9WAO
東方司令に胸なんかあったっけ……
498 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/08(日) 01:45:55.69 ID:ve+SnfA50
いちおつ
499 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage]:2012/01/08(日) 01:55:01.37 ID:YMOLMB/w0
一番最初からしばらく読んでたけど、まだ続いてたんだ……
いちおつなんかじゃ言葉にしきれないな。その強靭な精神力に敬服します
500 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 04:37:04.13 ID:ha5ugpBDO
>>1乙!
十二支か
>>1のそういう設定好きだぜー
今年も頑張ってな
501 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 09:32:36.12 ID:t9KZbQ+B0
サルが久々にかっこ良く見えた

>>1おつんつん
502 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 21:59:04.22 ID:kKgOZGpM0
東方司令ってたゆんたゆんじゃなかったか?
503 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/01/08(日) 22:30:50.79 ID:xkl4vs8wo
背のちっちゃいペタっ子だと勝手にイメージしてた
いちおつ
504 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 23:08:52.43 ID:drHVENEXo
いちおつ
ネクロうざいなー

>>502
公式設定があるよ
ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice/1288152937_15.html#512
505 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/08(日) 23:32:46.25 ID:0lg6cssmo
公式て・・・・
きめえ・・・・
506 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/01/08(日) 23:43:17.59 ID:JHTJdiRv0
もっと臭えのいっぱい居るんだから今更噛み付いて荒らしの原因を作るな
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 23:44:03.45 ID:KA8AeuTCo
作者自身の設定が公式に決まってんだろ何言ってんだ
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/08(日) 23:48:32.42 ID:0lg6cssmo
ただのSSにどんだけ感情移入してんだ
パー速からくっせえの大量輸入するからこうなんだよな
埼玉ダサイタマだまっとけ
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 23:48:40.37 ID:vRMoFEZ80
十二神将かぁ
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/08(日) 23:56:46.23 ID:bF8Hfldyo
パー速の慣れ合いの気持ち悪さは今に始まったことじゃないからなあ
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/08(日) 23:58:06.77 ID:HVVtDUqCo
                     /j
                   /__/ ‘,
                  //  ヽ  ', 、
                    //    ‘  ! ヽ             …わかった この話はやめよう
                /イ       ', l  ’
               iヘヘ,       l |  ’
               | nヘヘ _      | |   l            ハイ!! やめやめ
               | l_| | | ゝ ̄`ヽ | |〈 ̄ノ
               ゝソノノ   `ー‐' l ! ¨/
            n/7./7 ∧        j/ /     iヽiヽn
              |! |///7/:::ゝ   r===オ        | ! | |/~7
             i~| | | ,' '/:::::::::::ゝ、 l_こ./ヾ..     nl l .||/
             | | | | l {':j`i::::::::::::::::`ーr '         ||ー---{
              | '" ̄ ̄iノ .l::::::::::::::::::::::∧       | ゝ    ',
      , 一 r‐‐l   γ /、::::::::::::::::::::::::〉ー= ___  ヘ  ヽ   }
    / o  |!:::::}     / o` ー 、::::::::::::i o ,':::::::{`ヽ ヘ     ノ
   / o    ノ:::::∧   /ヽ  o  ヽ::::::::| o i::::::::ヽ、 /   /
   /    ノ::::::/    /::::::::ヽ  o  ヽ:::| o {::::::::::::::Υ   /
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 00:06:00.68 ID:crwqMZKSO
古参、新参、雑談厨にアンチ雑談厨。
このまま行けば召喚界のように世界が分裂するかもしれない胸熱
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県) [sage]:2012/01/09(月) 00:09:13.62 ID:TRvIzvmzo
じゃあ僕は召喚獣!
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 00:14:46.51 ID:LiJqqasco
僕は宇宙飛行士!
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/09(月) 00:21:38.38 ID:4BsZMkJAO
じゃあ僕は魔導師(78)ちゃん!
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/09(月) 00:25:27.88 ID:kxTpM3OBo
わたしはこうむ↓いん↑
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県) [sage]:2012/01/09(月) 00:25:42.12 ID:yZUTSYFIo
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/09(月) 00:26:38.70 ID:5G5PQLq9o
     ____
    /__.))ノヽ
    .|ミ.l _  ._ i.)
  (^'ミ/.´・ .〈・ リ オーハラはワシが育てた
   .しi   r、_) |
     |  `ニニ' /
    ノ `ー―i
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) :2012/01/09(月) 00:27:36.52 ID:kxTpM3OBo
>>517
きみが一番空気読めてないよ
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/09(月) 02:06:37.59 ID:qNGnzmBdo
まあこれだけの超大作だからな
荒れるのも頷けるがかこは自重しようず
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/09(月) 11:31:49.87 ID:frYdMgbCo
ファックしようぜ
522 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:47:05.12 ID:DbpxrRZ7o
 ググググッ

神野「ご名答ぉ!!」

魔道士「ヒツジなのに……可愛くない……っ」

女侍「そんじゃ、次は誰がいくんだい?」

女剣士「私達が行こう」

くの一「はい」スッ

神野「……ククッ」

 ドウッ!!

神野「勝手に順序を決めているようだが、そう思い通りにいくと思うかねぇ!」

魔道士「――!?」

神野「此方で勝手に選別させて頂くっ!」

召喚士「魔道士さんっ!」

魔道士「く……っ!」

 ドドオオオオォォォォン!! ゴアオオォォォォ

神野「残念っ! 羊毛には炎と思うたかぁ!? 効かぬっ、効かぬぞぉ!」
523 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:47:53.74 ID:DbpxrRZ7o
魔道士「くうぅーっ!」

 バギャッ!!

神野「……早いッ」

女剣士「今度の相手は私達と言っただろう」ジャッ

魔道士「あ、ありがとうございます……っ」

女剣士「炎が効かない、か。ならば他行の魔法も効果は期待出来ないな」

神野「だからとてぇ、刀で攻略出来ると思わぬ方が良いッ!」

 ギュオッ!! ガキイイィィィィン!!

くの一「硬い……っ」

神野「見かけえ判断なさらぬようにぃ! この羊毛は防御特化! 硬き守りよッ!」

女剣士「くの一」

くの一「はいっ!」

女剣士「どこでもいい。一点を攻撃し続けるのだ」

くの一「……はい」

女剣士「お前なら必ず出来る。自分を信じて」
524 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:48:24.30 ID:DbpxrRZ7o
くの一「……御意っ!」シュバッ!!

神野「無駄ですよぉ! 近づけば死に近づき、離れていても……」

 ゴウッ!!

神野「死が待っているだけですからねぇ!!」

女剣士「そんなものは、戦いの道理であろうがっ!」

 ビュオッ!! ザザザザッ

神野「二手に分かれて牽制、ですか。やる事が陳腐ですね」

女剣士「勝手に言ってろ」

くの一「はああぁぁ……っ」ジャキジャキッ

神野「この期に及んでクナイとはねぇ、痴れ者がっ!!」

くの一「だったらああぁぁ!!」グググッ

 バシュシュシュシュシュッ!!

くの一「食らってみるがいいっ!!」

神野「食らう? ふん、当たれば……ですがねぇ」

 ヒュンッ……ドズッ
525 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:49:29.14 ID:DbpxrRZ7o
神野「……?」

 ヒョイッ ドズッドズッ!!

神野「な……っ」

くの一「避けないのか?」

神野「馬鹿な……っ、避けたはずなのに……何故」

くの一「光在る所に影在り。そういう事だ」

神野「何を意味の分からぬ事を!」

 ドスドスドスッ!!

神野「……そうか、ようやく分かりました……っ」

くの一「……影、奥義。百花繚乱!!」

 ブワッ!! ズドドドドドドドッ!!

魔道士「物凄い数のクナイが……っ!!」

召喚士「す、凄い! 全て……1ヶ所に突き刺さっている!!」

くの一「はああぁぁ!!」ズドドドドッ

神野「目に映るクナイは幻影。実際のクナイは……影に隠れていたわけですか」
526 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:50:49.76 ID:DbpxrRZ7o
女剣士「気付くのが遅すぎた。それが今回の敗因だな」

神野「防御特化の羊毛を一点集中攻撃で突き破るとは……なかなか大したものです」

女剣士「くの一の力、そしてお姉様のこの刀が功を奏した」

東方司令「ツヴァイハンダー程ではないが、長得物にしたからな」

 ザクゥッ!! ドズズッ

神野「……まぁ、此処は見事としか言えませんねぇ」

女剣士「幾ら変身したところで、所詮お前は単体だ」

 ザッ

女剣士「私達の、互いを助け合う力の前に勝ち目はない」

くの一「……ふーっ」スタッ

名代「お見事です」

サル「さーてさて、お次は何になる気かなぁ?」

神野「……まだまだ……いきますよぉ!!」ゴウッ!!

召喚士「こ、これは……っ」

魔道士「……馬!?」
527 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:51:33.64 ID:DbpxrRZ7o
〜竜宮城、一階〜

夜行「ヒヒッ、思い出したねぇ」

隊長「はあぁーっ!」ドガガガッ

夜行「お前さんには、馬を潰された借りがあったぁ」

隊長「だからどうした!」

夜行「あの時とちょいとばかし、何か違う感じがするねぇ」

隊長「言ってろ!」

 ガキィッ!! ググググッ

東方参謀「こやつの力は無尽蔵か……っ」

西方参謀「いい加減、キリがねぇわな……ヒック」

南方参謀「何とか押さえ込む方法を考えないと」

槍侶「ふんっ!!」ビュバッ!!

夜行「そろそろ策も尽きてきたみたいだ。ここは終いとするかね」

 ズザァッ

夜行「ヒヒッ、まずは一人目だ」
528 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:52:17.48 ID:DbpxrRZ7o
 ダァン!! グアッ!!

夜行「……?」

隊長「ようやく攻撃に転じてくれたかよ」

夜行(……こいつ、避ける気配がないねぇ)

隊長「うおおおおぉぉぉぉ!!」

 ザクウウゥゥゥゥゥ!!

隊長「痛っ……くねぇ!!」

夜行「うおっ!?」

 クルッ ガシィ!!

隊長「へ、へへ……っ。ようやく……捉えたぜ」

夜行「お前……どういう事だい?」

隊長「……どうもこうもあるかっ! こういう事だよ」グググッ

南方参謀「隊長おおぉぉーっ!!」

西方参謀「ど、どうなってやがる……っ! んな……バカなっ」

夜行「……一突きしたはずだぞ。こりゃ……おかしいねぇ」
529 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:53:09.78 ID:DbpxrRZ7o
 ズググッ

夜行「心臓を一突きにして、まだ生きてる。お前さん……何なんだい?」

隊長「今だ槍侶っ! やれええぇぇ!」

槍侶「……し、しかし……っ」

隊長「コイツの頭部を突き刺せば終わる! チャンスはこれっきゃねぇぞ!」

槍侶「……っ」ググッ

東方参謀「あ、あやつ……死ぬつもりかっ」

西方参謀「死ぬ死なない以前の問題だっ! あの状態でどうして……う、動ける」

夜行「……そうかいそうかい。ようやく理解したよ、ヒヒッ」

隊長「……」

夜行「お前さん、とうに死んでたわけだ。道理でねぇ……ヒヒッ」

隊長「……そうか。死んでたか」

夜行「いや参った。これじゃあ逃げ切れねぇや」

隊長「じゃあ諦めるんだな」グググッ

夜行「体を捨てるしか……なさそうだねぇ」
530 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:56:24.88 ID:DbpxrRZ7o
隊長「!?」

 ゴゴゴゴゴゴ……

隊長「槍侶! 何してる! 早く……」

 バキバキッ!! ググググッ

東方参謀「何事だぁ!」

西方参謀「黒い影が……いや、液体か!?」

南方参謀「まさか、あっちが本体だって言うの!?」

夜行「ヒヒッ。この体ぁ……大きすぎて不便なんだがねぇ」

ヤタガラス「おぉいっ、ここでダイダラボッチと化すんかいっ!」

夜行「ヒヒッ、案ずるなって。ちょっと理性失うだけじゃあねぇか」

隊長「何だかしらねーけど、させるかよ!」

 ドドオオオオォォォォン!! ゴガガガガッ!!

夜行「……地面が……割れて」

 バゴオオオオォォォォ!!

東方参謀「捉えた!! これで奴は動けまいっ」
531 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 17:57:25.08 ID:DbpxrRZ7o
夜行「……下半身を。こいつは参った」

隊長「これでテメーはもう逃げられねぇ」

夜行「お前さんもだろ?」

隊長「……だからどうした」

夜行「このまま死ぬつもりかい?」

隊長「ようやく理解したぜ」

夜行「……?」

隊長「さっきテメーが言ってただろうが。俺は、とっくに死んでたんだよ」

夜行「ヒヒッ、余計な事……言っちまったか」

隊長「だったらぁ! 軍団長の1匹を道連れに出来んだ! 最っ高の手柄じゃねぇか」

槍侶「……っ」

隊長「やれ槍侶! このチャンスを逃したら、コイツは倒せねぇぞ!」

槍侶「く……っ」グッ

隊長「お前の国を……世界中の人々を救いたくはねぇのか! やれぇ!」

槍侶「…………御意ぃ!!」ガシィ!!
532 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/09(月) 19:20:05.74 ID:kbNG2GjAO
くっ、ここまでかっ…

>>1
ありがとう
533 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 19:41:27.15 ID:DbpxrRZ7o
 ドッゴオオオオォォォォン!!

隊長「……!?」

槍侶「て、天井が……」

隊長「ちっ、やりすぎたか」

西方参謀「いやっ、違げぇ!!」

南方参謀「――!?」

 ガゴォ!! パラパラパラッ

風忍「……ぐくっ」

土忍「姫っ、大事ないですか?」

盗賊「す、すまぬ……っ」

隊長「お前ら……っ」

火忍「離れろおぉぉ!!」

槍侶「!?」

 ドッズウウウウゥゥゥゥン

南方参謀「な、なん――」
534 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 19:42:05.30 ID:DbpxrRZ7o
マーラ「……やってくれるじゃない」

ヤタガラス「……魔羅……様!?」

マーラ「あらぁ、何してるのよこんな所で」

東方参謀「な、何だとぉ……!?」

南方参謀「マーラ……ですってぇ!?」

水忍「ああ、魔王魔羅だ! くるぞっ、気を付けられい!」

西方参謀「気を付けろ……って、こっちだって手一杯だっつーの!」

マーラ「夜行か? 梃子摺っておるのかえ?」

夜行「……ヒヒッ、まぁそんなとこですわ」

マーラ「情けないねぇ。さっさと片付けてお終いっ」

夜行「そうさせて貰いまさぁ」

隊長「させっかよぉ!!」

盗賊「!?」

隊長「こっちはいいから、魔王を遠ざけてくれぇ!!」

盗賊「た、隊長……っ?」
535 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 19:42:56.03 ID:DbpxrRZ7o
〜竜宮城、地下〜

 ズズウウゥゥゥゥン

戦士「……?」

鬼丸「何の音だ?」

男隊員「気にするな。こっちはこっちに集中しろ。他の連中を信じるんだ」

女隊員「さぁ、次で決めるッスよぉ!」

格闘家「いきましょう」グイッ

青年兵「……」

アスタロス「……」

格闘家「でああぁぁぁぁ!!」

女隊員「援護……頼むッスよぉ!!」

男隊員「おらよーっとおおぉぉ!! ヒャハハ!!」

 ギュバッ!! ゴッゴオオォォォォン!!

アスタロス「無駄!」

男隊員「無駄でいいんだよ。俺達の攻撃なんてなぁ……ヒャハハ」
536 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 19:44:30.99 ID:DbpxrRZ7o
 タァンッ!!

 男隊員の火行が黒煙をあげ、その中を女隊員が真っ直ぐに突き進む。

 黒煙を真っ二つに割りながら、振りかぶった大斧がアスタロスへと垂直に落ちる。

 魔法付加した斧は凄まじい威力ながら見えざるシールドに弾かれ、

 女隊員が思わずその勢いに仰け反ると同時に、格闘家が身体を前へ割り込ませた。

 男隊員による水行の付加が格闘家に施され、その両拳は乱撃を繰り出した。

 アスタロスの見えないシールドは乾いた金属音のような響きをたてながらそれを弾く。

 格闘家はシールドの反動を利用し、宙返りのまま間合いを離脱する。

 宙へ跳ぶ格闘家を見上げたアスタロスであったが、近づく殺気にすぐさま首を下げた。

 が、それは間に合わなかった。黒煙を左右から切り裂く2つの影が近づいていた。

 戦士と鬼丸。左方より炎を纏った斧。右方より稲妻迸る籠手より繰り出される国綱。

 刹那のずれも許されないその刻は、まるで時が止まったかの如く、ゆっくりと進んでいた。

 戦士は鬼丸、鬼丸は戦士の得物をじっと見つめながら、アスタロスなどには目もくれぬまま、

 鏡のように全く同じ動作のまま、両者の切っ先はアスタロスのシールドへとぶつかった。

 一瞬、大きく光が弾けた後、シールドは空間にひびの様な模様を描き、崩れ落ちたのだ。
537 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 19:45:25.61 ID:DbpxrRZ7o
 ピキイイイイィィィィン!!

男隊員「うおっ!?」

女隊員「っ!!」

 ピシィ!! パキキキキッ……ビシィ!!

鬼丸「や……ったか!?」

戦士「バカ! ボサっとしてんな! 避けんぞぉ!」

アスタロス「理解……不能……ッ」

青年兵「出でよっ! バハムートオオォォ!!」

 シュイイィィィィン ドッバアアァァァァン!!

アスタロス「――ッ!?」

青年兵「聞きたい事は色々あるけど、一撃で決めさせて貰うよ!」

バハム−ト「ガオオオオォォォォン!!」

 キュイイイイィィィィ……ゴゴゴゴゴゴ……

男隊員「バッ……もっと離れろおおぉぉ!!」

格闘家「くっ!!」
538 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 19:46:30.48 ID:DbpxrRZ7o
青年兵「っけええぇぇぇーっ!!」

バハムート「オオオオォォォォーッ!!」

 ガカアアァァァァ!!

アスタロス「馬……鹿な……ッ」

 ズッドドドドオオオオォォォォン!!

女隊員「きゃあーっ!!」

戦士「ぐあ……っ!!」

 ゴゴゴゴゴゴ……ゴトゴトッ パラッ

鬼丸「……すっげぇなおい」ゴトッ

戦士「ごほっ、げほげほっ!」

女隊員「み、みんな……生きてるッスかぁ?」

格闘家「はい……っ」

男隊員「まさか、これ程までの威力とは……ヒャハハ、いや笑えねぇっつの」

青年兵「……馬鹿な……っ」

戦士「……あん?」
539 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 19:47:03.04 ID:DbpxrRZ7o
 シュウウウウゥゥゥゥ

戦士「じ、冗談だろ……っ!!」

格闘家「あ、あの一撃で……」

女隊員「無傷ッスかぁ!?」

アスタロス「…………」

青年兵「くっ! バハムート! 再度 、攻撃準備――」

 ボロボロボロッ ボロォ

アスタロス「……我、全力を出し切れず」

 ボゴッ ブシュウウゥゥゥゥ

アスタロス「北の城で待つ。我、次は全力を以って……排除する」

 ズッドオオオオォォォォン!!

鬼丸「……き、消えた……か?」

男隊員「ビックリさせやがって、クソ」

格闘家「青年兵さん、大丈夫ですか?」

青年兵「ええ、と言いたいところですが、ほぼ全力で魔力を使ってしまいました」
540 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 19:47:56.40 ID:DbpxrRZ7o
戦士「これでまだ魔王がいんだよな……はぁ」

女隊員「他のみんな、大丈夫ッスかねぇ」

戦士「そういや、さっきの音が気になるな」

鬼丸「上からだったな。行ってみっか」

男隊員「行けるか?」

青年兵「休んでいる暇はなさそうですからね。行きましょう」

格闘家「おぶりますか?」

青年兵「い、いえっ。大丈夫です。ありがとう」

女隊員「それじゃ行くッスよぉ!」

男隊員「ま、軍団長クラスをこの人数で始末出来たんだ。十分だわな」

青年兵「ええ。あとは少なくとも1匹……」

戦士「夜行とか言う奴か。他にも居たら厄介だな……」

鬼丸「そんな強えぇのは居ないと思うぜ」

戦士「そうか? ま、鬼丸が言うんなら何となく信用出来るけどよ……」

鬼丸「グハハッ! さっきは完璧だったな相棒! また次も決めてやろうぜっ!」
541 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 20:58:31.59 ID:NoQ9SKTIO
>>1おつ。
542 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 22:34:43.79 ID:px/JK3qO0
>>1おつんつん
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 22:54:10.40 ID:crwqMZKSO
>>1おつ!

隊長はいつ死んでいてもおかしくないと思ってしまう。
東方ヤマタノオロチ戦までは生きていたらしいけど
最初から死んでいたとか言われても納得しちゃう
544 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:12:10.99 ID:DbpxrRZ7o
〜剣聖の屋敷〜

神野「……ククッ、さぁ次はどうします?」

名代「馬……。やはり十二支ですね」

魔道士「十二支……?」

帝「東方の数詞だな。古より包囲や日付に使われておったものよ」

名代「十干と組み合わせて、古くは干支などと申し、陰陽道などにも使っていたようです」

神野「さぁ、行きますよぉ。次は誰がお相手頂けるのかな?」

召喚士「……馬か」

 シュイイィィィィン

召喚士「ならば、俺がいきますっ!」

ユニコーン「……馬ぁ?」

ペガサス「僕達に似てるけど、所詮は下等な生き物だね」

神野「戯言は結構。ただの馬と思われるなぁ!!」ゴアッ!!

ユニコーン「うおっ! 火ぃ吹いた!」

ペガサス「かっけぇ!!」
545 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:12:49.20 ID:DbpxrRZ7o
ユニコーン「お前、空から攻撃しろよ! 横に居ると邪魔っ!」

ペガサス「言われなくたって、そうするもんねー!」

神野「そのような戦い方で、勝てると思うなぁ!!」

ユニコーン「お前のせいでなんか怒ってるぞー!」

ペガサス「お前のせいだろー!」

召喚士「いいから早く攻撃してっ!!」

ユニコーン「はいはーい」

ペガサス「燃えろ……俺の――」

神野「食らいなさいっ!!」

ペガサス「おわっ、あっぶねぇ!!」

ユニコーン「隙ありぃー!!」ドガァ!!

神野「甘いですよぉ!」

ユニコーン「う……あっ、何だ……!?」

 ギュイイィィィィ

召喚士「直接触れたら老化されるっ! 離れて戦うんだ!」
546 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:13:28.22 ID:DbpxrRZ7o
ペガサス「早く言ってあげなよ。カワイソ……」

ユニコーン「アガアアァァァァ!!」シュウウゥゥゥゥ

神野「ひゃーっはっはっは。ご安心なさい。ほんの一瞬ですよ。ですから……」

 ジャリッ パッカパッカパッカ

ユニコーン「丁度良い姿に成長出来たな。感謝するぞ、魔族の下等生物よ」

神野「……何ぃ?」

召喚士「ユ、ユニコーン……?」

ユニコーン「召喚士ぃ! もっとだ、もっと魔力をよこさぬかっ!」

召喚士「えっ!? あ、すみません!」

 ゴゴゴゴゴゴ……

ユニコーン「……ふーっ、それで良い。では、参るぞ!」

 ヒュッ!!

くの一「消えたっ!?」

東方司令「違うっ、早すぎて見え――」

 ズガガガガガガガガッ!!
547 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:14:14.21 ID:DbpxrRZ7o
神野「なぁにぃーっ!?」

ユニコーン「どうした? 貴様の力は……その程度かぁ!!」

魔道士「ふ、触れてないのに……魔物がダメージを……」

召喚士「ユニコーンの攻撃が衝撃波になってるんですよ……っ」

ユニコーン「ハアアァァァァー!!」

神野「こ、こんな……ぐぬぅ!!」

召喚士「直接触れずとも、繰り出す攻撃が早すぎて……それが衝撃波に!」

魔道士「す、凄いっ!」

ユニコーン「ペガサス、とどめは譲ってやる」

ペガサス「よっしゃー! いくぜぇ、流星……拳!!」

 バッゴオオオオォォォォォン!!

神野「がはぁーっ!!」ドシャアァ

女剣士「やった……っ」

ユニコーン「他愛なかったな。所詮は、下等生物か」

召喚士「さぁ、次はどうする……シンノアクゴロウ!」
548 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:14:55.52 ID:DbpxrRZ7o
〜竜宮城。一階〜

夜行「しつこい野郎だねぇ」

隊長「いけええぇぇ!!」

槍侶「おおおおぉぉぉぉ……」

夜行「魔羅様っ、夜行がまずいでっせぇ」

マーラ「仕方ないねぇ」スゥッ

火忍「させっかぁ!」

マーラ「邪魔よぉ!!」

 バチィ!!

火忍「ぐあ……っ!」

風忍「一人では無理だっ、全員であたれぇ!」

盗賊「はあぁっ!」

マーラ「ほっほっほ。アタシ相手に、ちょいと人数が少ないんじゃあないかい?」

 グオッ!!

盗賊「――っ!?」
549 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:15:58.26 ID:DbpxrRZ7o
マーラ「そのまま、吹き飛んじまいなっ!」

 ゴゴオオォォォォ!! ドカアアァァァァ!!

マーラ「……何?」

――「疾風……怒涛っ!!」

 ゴガアアァァァァ!!

マーラ「くっ」

盗賊「……!!」

 ズザァ

影忍「立てるか」

盗賊「兄様っ!」

風忍「若……っ!」

影忍「すまん、遅くなった」

マーラ「……アタシの顔に……傷を……ッ」

 ゴゴゴゴゴゴ……

マーラ「許さない、許さないよオオォォ!!」
550 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:17:01.41 ID:DbpxrRZ7o
マーラ「そのまま、吹き飛んじまいなっ!」

 ゴゴオオォォォォ!! ドカアアァァァァ!!

マーラ「……何?」

――「疾風……怒涛っ!!」

 ゴガアアァァァァ!!

マーラ「くっ」

盗賊「……!!」

 ズザァ

影忍「立てるか」

盗賊「兄様っ!」

風忍「若……っ!」

影忍「すまん、遅くなった」

マーラ「……アタシの顔に……傷を……ッ」

 ゴゴゴゴゴゴ……

マーラ「許さない、許さないよオオォォ!!」
551 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:17:40.65 ID:DbpxrRZ7o
 ゴアッ!! キュイイイイィィィィ……

ヤタガラス「ア、アカンッ! 堪忍――」

マーラ「消し飛びなァ!!」

 カッ!! ズッドオオオオォォォォン!!

盗賊「くあぁーっ!!」

火忍「姫ぇ、ぐあ……っ!!」

西方参謀「しま――」

 バゴオオォォォォン!! ドガガアアァァァァ!!

南方参謀「隊長っ! あぁ……っ!」

 ゴシャア!! ドドドドオオォォォォ

ヤタガラス「……あーあ、城が崩れちまったぁ」

影忍「無事か!?」

土忍「こっちは……何とか」

南方参謀「隊長と槍侶クン、それに夜行ってのも一緒に、更に下に……」

東方参謀「まずいな。前門の虎、後門の狼……か」

マーラ「ほっほっほ。ちと、やりすぎたかしらねぇ」
552 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:18:29.67 ID:DbpxrRZ7o
 ドドドドドド……ズドオオォォォォン!!

戦士「な、何だぁ!?」

女隊員「天井がっ!」

 ゴシャアアァァァァ!! ゴトゴトゴトッ!!

男隊員「お、おいっ! いま落ちてったのって……隊長じゃねぇか!?」

格闘家「天井……それに床にも穴が開いています!」

青年兵「まだ落ちてきますよ!」

 ドザザァ!!

水忍「……ぐくっ」

鬼丸「水忍じゃねぇか!」

水忍「鬼丸……っ、それに……」

マーラ「ほーっほっほっほ!! そらそらそらぁ!!」

戦士「な、なん……」

 ビュオッ!! ズザザァ

盗賊「……くっ」
553 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:19:03.72 ID:DbpxrRZ7o
戦士「盗賊!!」

盗賊「……戦士……っ」

 スタッ

影忍「魔王だ! くるぞっ!」

戦士「――!?」

マーラ「地下にも忍び込んでたのかいっ、鼠がっ!!」

女隊員「隊長はっ!? 隊長は……」

西方参謀「夜行に捕まってる! 助けに行ってくれ!」

男隊員「やっぱそうかよっ、くそ!」

格闘家「特遊は隊長の救援に向かわせて頂きます!」

青年兵「お願いします! 出でよ、ワイバーン!」

 バシュウウゥゥゥゥ

戦士「鬼丸ぅ! 魔王退治だ、行くぞ!」

鬼丸「おうよっ!!」

マーラ「おやおや、妖までいるのかい……っ!」
554 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:20:30.10 ID:DbpxrRZ7o
 ガラガラガラッ ドシャァ

隊長「……が……ふっ」

槍侶「……く、くくっ」ヨロッ

夜行「しつこいねぇ、いい加減」

隊長「何があっても……離さねぇぞ」

夜行「たったの二人だ。この機を逃すと思うかい?」

 グゴゴゴゴッ ズズウウゥゥゥゥ

隊長「何する気かしらねぇが……俺の土行から逃げられると思うなよおぉ!!」

 ガシィッ!! ゴガガガガッ!!

夜行「ぬ……っ」

隊長「槍侶ぉ、動けるよなぁ! だったら……早く!」

槍侶「……御意」スクッ

夜行「ハアアァァァァ!!」

隊長「ぐおぉ……ああぁぁぁぁ!!」ガシィ!!

槍侶「いきますっ!」

夜行「蛇みたいに……しつこい野郎だねぇ!!」
555 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:21:38.33 ID:DbpxrRZ7o
〜剣聖の屋敷〜

神野「……ヒャーッハッハッハッハ!!」

 ゴゴゴゴゴゴ……

帝「次は……」

名代「蛇ですね」

神野「……ヒャーッハッハッハ!」ヌロォ

魔道士「――っ!!」

神野「この姿により、我が毒と骨ごとへし折る締め付けで――」

魔道士「きゃああぁぁ!!」

 キュイイィィィィィ

神野「なっ!?」

魔道士「気持ち……悪いですっ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴアアアアァァァァ!!

神野「ぐああ……ぁ!!」

魔道士「あっちに……いけええぇぇーっ!!」
556 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/09(月) 23:22:58.94 ID:DbpxrRZ7o
 ドッドオオオオォォォォン!! ガカアアアアァァァァ!!

サル「な、なんつぅ魔法の威力だよ……っ」

イヌ「とてつもないね……っ!」

女侍「こりゃ、そのまま終わりだねぇ。はははっ!」

神野「この私が……攻撃に転じる暇もないとは……っ!」

 ドッグオオオオォォォォン!! ゴシャアアァァァ!!

魔道士「はぁ、はぁ、はぁ……っ」

サル「嬢ちゃん、お見事だっ!!」ビシッ

魔道士「えっ? あ……っ」

帝「瞬殺であったな……」

名代「素晴らしい限りです」

神野「……まさか、我が力も此処まで及ばないとはねぇ。ククッ」

名代「次は……龍ですか」

帝「厄介そうだな」

神野「ご名答。さぁ、お見せ致そうかぁ!!」
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/09(月) 23:36:45.04 ID:DbpxrRZ7o
今度こそ今日はおしまいなのじゃ!
連休中もご支援ありがとうございました!それではまた明日!ノシ

〜オマケ〜

しばしの間、バーテンの店で世話になる事となった戦士父とマジシャン。

マジシャン「しっかしまぁ、オッサン3人で店を切り盛りなんて誰得な話だよ……」

戦士父「そうか? 俺はリハビリになって丁度いいぞ」ドサッ

マジシャン「お前は右手ほとんど使えないけどあるでしょ? 俺はないの」

戦士父「だから力仕事は俺がやっているだろう」

マジシャン「いーや、ここは売り上げを伸ばす為の抜本的改革が必要だ」

戦士父「……?」

〜後日〜

青龍士官「……親父……カフェ?」

ボス「なんスかここは?」

青龍士官「いや、確か初代特遊の隊長が居ると聞いたんだが……」ガチャッ

バーテン・マジシャン・戦士父「いらっしゃいませ〜」ムア〜

青龍士官「野太い……」

白虎長「……いや……アリね」

白虎嬢「!?」
558 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/09(月) 23:42:37.09 ID:LiJqqasco
これはファンにはたまらない組み合わせだろ
559 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/01/09(月) 23:58:46.50 ID:QSGRHg42o
だな
560 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2012/01/10(火) 00:08:14.50 ID:tMYRXcl+0
夜行さん自分で魔翌羅様に助け求めてて間違いだと分かってても笑っちまったwwww
561 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 00:26:16.99 ID:s7givOSDO
>>1おつんぽ

羊なのに可愛くないイメージしかないな
562 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/10(火) 00:47:36.84 ID:DjTset1F0
いちおつ
夜行の本体はダイダラボッチか…
563 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/10(火) 00:49:33.48 ID:sK1pUhk8o
バフォメットのせいだな
ファファファ・・・とかほざく羊がかわいいイメージなわけない
564 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 01:31:57.70 ID:7vzf34FSO
>>1

親父カフェは、一部の国軍やワーカーやマニアでごったがえすよな。
それにしても魔道士さんテラチートwwwwww
565 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/10(火) 02:06:13.04 ID:Tb5DUeUAO
>>1おつ

ユニコーンは成長したし処女じゃなくても回復してくれるようになってくれるといいが
566 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/10(火) 03:12:11.59 ID:oVV3AqcWo
逆に処女以外を回復するように…
567 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 06:52:25.74 ID:B7F/UbcDO
成長したつっても引っ込めたらリセットかかるんじゃね?
でなけりゃ今後、力が売りのスフィンクスはヨボヨボでどうやって活躍するんだ……
568 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/10(火) 07:00:08.45 ID:sK1pUhk8o
はふる〜ぱぁーんひ(入れ歯が取れた)
569 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/10(火) 08:24:22.11 ID:oN/YjkqMo
それはそれで萌える
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/10(火) 08:27:18.38 ID:0N+YE+7no
やめろwwwwww
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 10:48:58.28 ID:zx3eQaE0o
召喚界に戻ってもリセットされなかったらスフィンクスやばいな
砂漠で馬鹿にしてた仲間もびっくりの成長具合だわ
572 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:23:29.27 ID:De8Td8COo
〜竜宮城、地下〜

隊長「……ぐ……っぬ!!」

夜行「ぬうぅ……ッ」

槍侶「……ふーっ」

 チャキッ

隊長「そうだ、行け! そのまま……突き放てぇ!」

 槍侶は大きく吸った息をぴたりと止め、草履を脱ぎ捨てて両膝を軽く曲げると、

 重心を置いた右足のつま先部分をとんと、軽く前へ蹴りだした。

 一歩、二歩、隊長に拘束されている夜行の身へと近づく。

 止めた息をふっと、一度吐き出すと、右手を大きく身体の背面へと回した。

 声は発さない。ただ残る息を全て吐き出すと同時に、右手を前へ。

 その手に握られたゾディアックが、螺旋状を描き、空を切り裂いた。音は何も無かった。

 ただ真っ直ぐに、ゾディアックは夜行の頭部へと導かれる。まるで磁石に引かれるかの如く。

 槍侶は全ての息を吐ききった。隊長は笑っていた。ゾディアックは、夜行の頭部を貫いた。

 音が再び始まった。妖を貫いた鈍い音が響いた。槍侶は笑う事は出来なかった。
573 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:24:27.31 ID:De8Td8COo
 ザシュウウウウゥゥゥゥ!!

夜行「ゴ……ウオオォォ……ッ!!」

槍侶「……っ」ザザッ

隊長「見事……っ!」

夜行「オ……オオ……オオォォォォ!!」

 ブチブチブチィ!! ドッヴォオオォォォォ!!

隊長「――!?」

 タッタッタッ ズザァ

男隊員「な……んだこりゃあ!?」

格闘家「泥? いや、少し違う……っ」

女隊員「あれを見るッスよ!」

男隊員「!?」

夜行「アオオオオォォォォ!!」ググググッ

格闘家「変化しているのかっ、泥が……形を造り出しているっ」

女隊員「隊長ーっ!?」
574 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:26:48.69 ID:De8Td8COo
隊長「こ……の野郎っ!!」

 ゴガガガガアアァァ!!

夜行「オオオオォォォォン!!」

隊長「コイ……ツ! ナメんなぁ!」

 ガヴォンッ!!

槍侶「隊長殿っ!!」

男隊員「取り込まれた! くそっ、。救助――」

隊長『構うな。このまま……討て』

男隊員「……!?」

隊長『奴の核が……見えてるはずだ』

格闘家「核……? あ、あれか……っ!?」

 黒い泥のような影の中に取り込まれた隊長は、必死で土行を続け、夜行を拘束する。

 その隊長が囚われた前面に、馬の顔がぼんやりと浮かび上がっていた。

隊長『これこそ夜行の核だ……っ。俺が動きを封じているうちに……討てぇ』

女隊員「でもそれじゃあ……隊長がっ!!」
575 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:27:49.43 ID:De8Td8COo
隊長『……いいんだ』

格闘家「……?」

隊長『分かったんだ。俺はもう……死んでいる』

男隊員「何……言って……」

隊長『いや、分かっていて……認めなかっただけなのかもな』

女隊員「隊……長……?」

隊長『そうだ……俺は西方での戦いで……既に……』

男隊員「何を言ってるんだアンタは!! 実際っ、今だってっ、生きているだろうにっ!!」

夜行「オオオオォォォォォォ!!」グゴゴッ!!

隊長『く……っ、まだ動けるのかよ……!』

 ゴガガガガガガッ!!

槍侶「土が……妖を覆って……」

女隊員「隊長ぉ! やめるッスよぉ! そんな事したら隊長まで……」

隊長『槍侶っ、討て! 今度こそ……トドメを刺してくれ!』

女隊員「隊長おおぉぉーっ!!」
576 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:28:40.00 ID:De8Td8COo
 そういやネクロマンサーの奴……あんな事をヌカしてやがったなぁ……。

ネクロマンサー『大人しくラボで施されれば、苦しまずに済んだものを……』

 あの時、俺の命はきっと、終わったんだろうなぁ……。

――こんなところで果てたら、末代までの恥さね。

 そうそう。そしたら、変な女の声が耳元で囁いたっけか……。

西方参謀『あれだけの攻撃を食らいながら出血もねぇとは……奇跡だな』

 そりゃそうだよなぁ……。魔王イブリースの攻撃食らって……出血もねぇなんてある訳ねぇよ。

イブリース『腹を貫かれて、血も出さぬとは』

 魔王様ですら驚いてたくらいだ。結局は、信じたくなかっただけなのかもな……俺自身がよ。

隊長『あれだけの攻撃を食らって起きながら、生き長らえてんだからな』

 あー。思い出した、あのクソ司令……さては気付いてやがったな……くそっ。 

隊長『今にも死にそうじゃねぇか……。どれ、肩につかまって下さい』

天才『ハーッハッハ、てめぇこそ死にかけたくせに言いやがるぜ』

ガシッ…ピキイイィィン!!

天才『……っ』
577 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:29:16.23 ID:De8Td8COo
隊長『どうしました?』

天才『……いや、何でもねぇ。いいぞ』

隊長『……?』

 ほんと正確悪いぜ。言ってくれりゃあ……いいものをよ……。

 バチィッ!!

男隊員『何の音だ?』

格闘家『……隊長、どうしました?』

隊長『ん、ああ……。何でもない』

 塔に張られた結界に入れなかった。本当はあの時、分かっちゃあいたんだ……。



 だからこそ隊長は、特遊には断じて許されない、自己犠牲に基づいた行動を執っていた。

 己の身を犠牲にしてでも夜行を拘束する。そして1番の不可思議な点は、編制。

 特遊のメンバーと離れ単身を選んだ。青年兵の立案した編制ではない。

 隊長は悟っていた。そして心に決めていた。この戦いで終わりを迎えようと。

 ネクロマンサーの操り人形と化すくらいならば、消滅して、死を受け入れようと……。
578 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:30:06.83 ID:De8Td8COo
……――

〜竜宮城入り口、少し前の事〜

隊長「なぁ」キョロキョロ

青年兵「……?」

隊長「編制の件だけどよ、どう考えてる?」

青年兵「……戦士さんと盗賊さんを離したくはないのですが」

隊長「組ませられねぇのか?」

青年兵「……事情が……ありまして」

隊長「藤蔵か。さてはお前、司令から……」

 ザッザッザッ

男隊員「隊長、ちょっと来てくれ。この城壁なんだけどよ」

隊長「すぐ行く」

青年兵「特遊は戦士さん、鬼丸さんと地下へ」

隊長「お前は?」

青年兵「槍侶さん、各参謀さんらと正面を行きます」
579 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:30:38.72 ID:De8Td8COo
隊長「悪いがその役目、代わってくんねーか?」

青年兵「え……っ?」

隊長「今回は特遊の連中と組みたくねぇんだ」

青年兵「……どういう事ですか?」

隊長「ん、ああ。術士が少ない編制だからよ、連中を助けてやって欲しいんだ」

青年兵「まぁ確かに、その方がバランスは取れますが……いいんですか?」

隊長「連携も重要だが、今はどの連中と組んでも遜色ないだろ。勝てる編制が理想だ」

青年兵「……分かりました。それではお言葉に甘えさせて頂きますよ」

隊長「おう。絶対勝って、本国に戻ろうぜ」

青年兵「ええ。女将さんも待ってますよ」

隊長「……そうか、そうだよなぁ」

男隊員「おら、クソ隊長! 早く来いってんだよ!」

隊長「あの野郎……。ま、そういうわけで頼んだぜ」

青年兵「はい」

――……
580 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:31:59.97 ID:De8Td8COo
 ゴガガガガガガッ

格闘家「隊長……っ」

女隊員「隊長おおぉぉ!!」

隊長「……隊……長っ」

隊長『なのにあのバカ共と来たら……これだよ』

夜行「ゴ……ガカ……ッ!!」

槍侶「岩で……閉ざされた……っ」

隊長『槍侶ぉー!!』

槍侶「!?」

隊長『場所は見えたはずだぁ!! このまま……貫けええぇぇ!!』

男隊員「待て! 他に……他に手があるはずなんだよっ!!」ダッ!!

格闘家「……っ」

男隊員「てめえらっ、何をボサっとしてやがんだ! 早く岩をブチ抜けぇ!」

女隊員「隊……長ぉ……」

男隊員「泣いてる場合じゃねぇだろうがぁ!! 早くしろって……言ってんだよおぉ!!」ドガァ!!
581 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:32:55.71 ID:De8Td8COo
格闘家「……くっ」

 バゴォ!! パラパラッ

女隊員「破れるわけ……ないじゃあないッスかぁ……っ」

格闘家「……隊長の土行は……中途半端な攻撃では無理です」

男隊員「諦めんなよぉ! 隊長が……終わっちまうんだぞ!」

 ドロォ……ズググッ

槍侶「くっ! 妖の本体が漏れ出している……っ」

隊長『もう時間がない、決めてくれ』

槍侶「……皆様方っ、誠に申し訳御座りませぬ!!」スッ

男隊員「待て待て待て……おい、待てよ……何やってんだよ……なぁ」

槍侶「……ふーっ」チャキッ

男隊員「んな事したらよぉ……隊長がっ、隊長まで……」

槍侶「……滅!!」ヒュバッ!!

男隊員「隊長まで死んじまうだろうがよおおぉぉーっ!!」

 カッ!!
582 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:33:31.33 ID:De8Td8COo
……――

隊長『……』

 思えば、副隊長の内通を見抜けず、ましてや死に追いやったあの日から、俺は死んでいたんだ。

 隊長職を辞任し、軍をぬけるつもりでいたのに……何でだろうなぁ。

 そうそう、戦士の奴が稽古付けてくれとかヌカして、一番槍の息子だって分かって引き受けて。

 気が付いたらすぐ傍の火焔山で牛魔王が暴れて、いつの間にか元の鞘ってやつだよ。

 多分、そこから今までがずーっと……オマケの命だったのさ……。

 だから泣くなよお前ら……。俺は感謝してるんだぜ?

 ゆっくりと死んで行くだけだった俺の心は、生き返ったんだ……お前らのお陰でな。

――『そうさ。あんたには仲間が居た。だからここまでこれたんだ』

隊長『……ああ、あんたか』

――『あたしにはなーんにも残らなかった。だからずーっと一人だってさね』

隊長『悲しいねぇ。そいつは……悲しいよ』

――『でも、あんたみたいな子孫が居てくれた。感謝するよ』

隊長『こっちこそ感謝するよ。お陰でちょっとだけ生き長らえた。ありがとよ……砂漠の魔女――』
583 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:34:27.91 ID:De8Td8COo
――……

 ゾディアックの軌道は、少しのブレもなく、ただ真っ直ぐに螺旋を描いて投擲された。

 音はやはりない。響き渡るのは男隊員の叫び声と、夜行の咆哮のみであった。

 槍が土の壁に突き刺さる瞬間だけ、全てを拒む岩が道を譲るかのように軟らかくなった。

男隊員「隊長おおおおぉぉぉぉ!!」

 バスッ!! ズズズズッ

女隊員「…………」

格闘家「…………」

槍侶「…………」

 ボロッ ゴトゴトゴトッ……ドドオオォォォォ

槍侶「……御免あれ……っ」

 全身全霊の一撃を放った槍侶は、その場に力なく膝を付いた。

格闘家「……」スッ

ゾディアックを拾い上げて渡す格闘家。その時、岩壁より突如、轟音が響き渡った。

男隊員「……あ……っ」
584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:38:13.80 ID:De8Td8COo
 ゴガアアアアァァァァ!! ドッヴォオオォォォォ!!

槍侶「な――っ!?」

格闘家「……逃げ」

 あふれ出す黒い泥のような夜行の本体とも言うべきもの。

 槍侶と格闘家は崩れ落ちる岩場を縫うように脱出を図る。

 男隊員は、ほぼ放心状態のまま、岩壁のすぐ傍に座り込んでいた。

 女隊員は男隊員の右腕を、引き摺るかの様に抱えて叫んでいた。

 その時、突如として冷たい土の壁より黒い影のような、夜行の本体とも言うべきものが溢れた。

 二人を襲う瓦礫と崩れ落ちる地面。あっと言う間に両者は姿を消した。

 脱出口を目指す格闘家と槍侶もまた僅かのうちに、為す術なく、暗い闇へと姿を消した。

 ズガガアアアアァァァァ!! ゴトゴトゴトッ……ドドオオォォォォ

槍侶「……ぐ……くっ」

格闘家「が……ぁ……」

女隊員「……っ」

男隊員「た……い……ちょ……」
585 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:39:20.53 ID:De8Td8COo


 ズガアアァァァァ!!

マーラ「ん……っ? 夜行がまさか……」 

鬼丸「余所見してんじゃねぇぞ!」ゴアッ!!

マーラ「ほほっ、知らぬが仏かねぇ」

戦士「何をぬかしてやがる!」シュバッ

影忍「単体で動くなっ、四方より同時にかかるのだっ!」

盗賊「はあぁーっ!」

火忍「火遁……焔ぁ!!」ゴガァ!!

マーラ「アタシの前に、火なんてぇ無駄だよっ!!」バシュッ!!

火忍「ぬあ……っく!!」ズザァ

マーラ「お次はこっちかいっ!」

青年兵「ワイバーン!!」

ワイバーン「オオオオォォォォ!!」ガオンッ!!

マーラ「その程度が龍とでも申すかえ! 甘いっ、甘いわぁ!」
586 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:41:33.86 ID:De8Td8COo
〜剣聖の屋敷〜

 ドドオオオオォォォォ……

神野「……さぁて、ここからが本番ですよ」

魔道士「こ、これが……龍!!」

召喚士「ワイバーンやバハムートともすこし違う……っ」

神野「ヒャーッハッハッハッハ! そうらっ!」

 ゴウッ!! ドッドオオオオォォォォン!!

サル「ぐああぁぁっ!!」

イヌ「た、ただの風じゃないねっ!」

女侍「カマイタチだ! 触れると怪我するよぉ!」

帝「くぅ……っ!」

名代「式神……塗壁!」

 ドッズウウウウゥゥゥゥン!!

名代「上様っ、お隠れなさいませ!」

召喚士「行けっ! ゴーレム!!」
587 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 17:43:26.99 ID:De8Td8COo
 シュイイィィィィン

魔道士「ありがとうございますっ!」

召喚士「名代さんの式神とゴーレムで風を凌いで、反撃に転じましょう」

東方司令「便利なものだな」

くの一「凄い……っ」

 ゴッゴオオオオォォォォ!!

神野「お次はああぁぁ!!」バリバリバリィ!!

女剣士「落雷かっ!!」

召喚士「ならばっ! 行け、サンダーバード!!」

 ピシャアアァァァァッ!! ドッドオオォォォォォン!!

神野「何……ぃ!?」

東方司令「召喚獣を避雷針代わりに使うとは……」

召喚士「サンダーバードのエネルギー源は雷。つまり、雷の攻撃は通用しない!」

サンダーバード「むしろ蓄電できて、大助かりだぞ」

神野「おのれぇ……!!」
588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 18:18:15.03 ID:De8Td8COo
東方司令「見掛け倒しか。倒した事もないな」

神野「言わせておけばああぁぁ!!」ゴアッ!!

キジ「地面が割れてるさー!」

サル「あぶっ! おわああぁぁ!」

東方司令「逆鱗に触れてしまったか?」ヒョイッ

神野「そうらっ、今度の風は易々とかわせまいっ!」

 ドゴウッ!! ゴッゴオオオオォォォォ!!

くの一「きゃあっ!!」

女剣士「掴まれっ、くぅーっ!」ズガガガガッ!!

召喚士「行けっ! コカトリス!! ワイバーン!!」

 バシュウウゥゥゥゥ

神野「ヒャーッハッハッハ! さぁどうします!? このままでは足場がなくなりますよぉ?」

魔道士「――っ!!」ガクンッ

召喚士「魔道士さんっ!」

コカトリス「任せろっ。ワイバーンは向こうを頼む!」
589 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 18:19:14.95 ID:De8Td8COo
 バシュッ!!

コカトリス「掴まれれっ!」

魔道士「は、はいっ!」ガシッ!!

名代「上様っ、こちらへ」

帝「ああ。大丈夫、力は劣ろうとも身軽さは負けぬ」ヒョイッ

魔道士「こうなったら……」

 キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!

召喚士「魔道士さん……!?」

魔道士「土行でっ、地面を戻してみせますっ!」

 ゴガガガガガガッ!!

神野「むっ!」

召喚士「足場さえあれば……クジャタ!」

 シュイイィィィィン……ドズウウゥゥゥゥン!!

召喚士「これで突風も抑える事が出来るっ! そしてぇーっ!」

コカトリス「本体だな。魔道士、降ろすぞ」
590 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/10(火) 18:21:08.26 ID:De8Td8COo
魔道士「ありがとうございましたっ!」

召喚士「コカトリス、上空から回り込んで攻撃を!」

コカトリス「ああ、分かっているさ!」

女侍「援護したいところだけど……」

東方司令「上空では手出し無用だな」

召喚士「コカトリス! 接近戦には気を付けてっ!」

コカトリス「承知の上よっ」

神野「承知の上で近づくとは……愚の骨頂よ!」

 グオォッ!! ブオオオォォォォン!!

コカトリス「なまじ図体がでかいだけあって、間合いが広いな」

神野「ヒャーッハッハッハッハ! 更にはこの速さっ! 避けられますかねぇ!」

コカトリス「むっ、言うだけの事はある」ヒュオッ

神野「まずは目障りな……なんてね」バシュッ!!

コカトリス「何っ!?」

神野「召喚獣など、本体を潰せばどうと言う事もありませんよ! ヒャーッハッハッハ!」
591 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/10(火) 18:21:45.52 ID:De8Td8COo
中途半端ですがひとまずここまでにて!
ご支援ありがとうございます!それでは!ノシ
592 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/10(火) 18:30:49.27 ID:F4EU7lzDO
まさかサンド隊長だったとわな
593 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/01/10(火) 18:36:27.14 ID:Df4JNBHso
いちおつ
隊長いないのは寂しいな
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/11(水) 00:06:20.64 ID:PeKKyxU/o
次は隊長も敵として出てくるのか・・
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/11(水) 02:34:12.31 ID:hlj6yzBAO
>>1おつ

サンドたんが隊長に肩入れする理由が子孫とはやってれるな>>1
596 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/11(水) 02:43:32.84 ID:OIsdBJ5L0
いちおつ
だから隊長は土行が得意だったのか
597 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/11(水) 08:41:05.23 ID:FhG2gZ4AO
>>1更新乙んつん
隊長の体調がよくなりますように
598 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 17:46:54.36 ID:cvUYKVaoo
 ゴウッ!!

コカトリス「召喚士!」

神野「ヒャーッハッハッハ!」バシュウッ

召喚士「……そうだね」

神野「……?」

召喚士「お前の言うとおりさ。だから……」

 シュイイィィィィン

ベヒーモス「ゴアオオオオォォォォーッ!!」

魔道士「あれは……ベヒーモス!」

女侍「竜虎相搏つ……ってかい? ははっ、やるじゃないか」

神野「読まれていた……だとぉ!?」

召喚士「今まで何百回と戦ってきたんだ!」

サル「ま、召喚獣を虫して本体狙うなんざぁ、本国じゃ当たり前の事だわなぁ」

名代「本国の召喚獣ならば、妖は戦いなれていない……っ」

東方司令「やっぱり、起点は朱雀を軸にだな」
599 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 17:47:39.48 ID:cvUYKVaoo
帝「しかしまだ早い。神野悪五郎が本体に戻った時……」

名代「ええ。召喚士殿を主軸に、奴を叩きましょう」

ベヒーモス「ゴッガアアァァァァ!!」

 キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!

神野「くっ!!」バッ!!

 ズドオオオオォォォォン

神野「凄まじい程の閃光っ、だが当たらなければ意味はないっ!」

召喚士「誰かっ、物理攻撃の支援をお願いします!」

帝「……よし!」ダッ

名代「上様っ!」

ベヒーモス「コオオォォォォ……」キュイイィィィ

神野「もう一発かっ! だが……見切っていますよぉ!」

 ゴウッ!!

神野「この私に……一度見た技は二度、通用しないっ!」

コカトリス「そうか」バシュッ
600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 17:48:12.12 ID:cvUYKVaoo
神野「――ッ!?」

召喚士「最初から、撃つ気なんてないっ!」

サル「ベヒーモスの閃光を囮に使いやがった!」

神野「なんのおおぉぉ!!」

コカトリス「食らうが良いっ、冷徹なる裁きの鉄槌を!」

 ドッドオオオオォォォォ!! ドゴゴゴゴゴッ!!

神野「ぬお……っ!!」

くの一「コカトリスの……石化……っ」

コカトリス「はああぁぁ!!」

神野「おおおおぉぉぉぉ!!」

 バチイイィィィィ!!

神野「フッ……ククッ、ヒャーハッハッハッハ!」

コカトリス「……何が可笑しい」

神野「威勢良く謳った割に、たかだか胴の一部を石化したのみ……」

コカトリス「……」
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 17:48:50.23 ID:cvUYKVaoo
神野「その程度でっ、よくもまぁ吠えたものよ!」

召喚士「これでいいんだ」

神野「……何?」

 ズザッ タンッ!!

帝「はあぁーっ!!」

神野「――ッ!?」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

神野「ぐ……おぉ……ッ!!」

 スタッ カシャン

コカトリス「その長い体では、全てを石化するなど労力を費やしすぎる」フワッ

召喚士「それに、本体でもないしね」

コカトリス「であれば、一点を徹底的に、その全てを石化し……」

召喚士「攻撃すれば、切断は可能だ」

帝「しかも、お前は私の刀を嫌っていたようであるしな」ザッザッ

神野「そうだ……っ、その刀……実に不愉快な力が流れ込んでくる……ッ」
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 17:49:52.27 ID:cvUYKVaoo
 ガクンッ

神野「……そうか、そういう事か……ッ。毒を以って毒を制すと言う事か……ッ!」シュウウゥゥ

召喚士「何っ!?」

神野「少し力を消費しすぎた。しかし、丁度良いですね」

サル「まだやる気かよ……っ、しっつけぇな〜」

神野「……ククッ、まだまだいきますよぉ!」

 ゴアッ!! ブシュウウウウゥゥゥゥ

くの一「消えた……っ?」

女剣士「いや、必ずどこかに居るはずだ!」

名代「兎……次は兎の姿を模しているはずですっ!」

東方司令「間違いないのだな!?」

名代「はい!」

イヌ「東方に来てまで狩りとは手間かけるね」

キジ「とにかく探すさー」

召喚士(逃げる気か? いや、奴の事だ……おそらくどこかで隙を窺っているはず)
603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 17:50:36.38 ID:cvUYKVaoo
〜竜宮城、地下〜

マーラ「ほっほっほ。次はこっちかぁ?」

火忍「いつまでも……調子コイてんじゃねぇぞ!」

土忍「土遁……砂塵!」

水忍「水遁……水飛沫!」

 ババッ!! ドゴオオォォォォ!!

マーラ「ちっ、次から次へと。まとめて片付けてやろうかっ!!」

風忍「二兎を追う者、一兎も得ずだ!」バシュッ!!

マーラ「ちょこまかとぉ……ッ、目障りな!」

影忍「単体では有限だ。合体奥義を使えっ!」

風忍「なればっ、風遁奥義……疾風……」
水忍「水遁……奥義、怒濤!」

 ゴガァ!! ズドドドドオオオオォォォォ!!

火忍「土ぃ! こっちもだ!」

土忍「待て。お前との合体奥義など知らぬぞ」

火忍「何ぃ!?」
604 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 17:58:39.69 ID:cvUYKVaoo
土忍「実用性のある奥義はないだろうが」

火忍「……ぐぬっ。ちっ、ここにきて役立たずとは」

鬼丸「俺がいんだろ。手ぇ貸すぜ!」

火忍「お前……っ」

鬼丸「相棒、悪いがここまでだ!」

戦士「あん?」

鬼丸「ここまで相棒と背を合わせてきたが、今は別の相手がいんだろ?」

盗賊「!?」

鬼丸「約束どおり、こっからは一歩も離れる事なく守ってやれよ! グハハッ!」

戦士「……ああ、分かってる! お前こそ雷忍の代わりをしっかり務めろよっ!」

火忍「おーっしゃ行くぜぇ! やり方は前に教えた通りだ!」

鬼丸「おうよ、こないだからずっとよぉ……雷の力が燻ってんだ。早く暴れてぇってよぉ!」バチチッ!!

火忍「死んでも尚、しつけぇ野郎だ。耳障りな笑い声……思い出しちまったよ」

土忍「……俺が援護に回る。壁は幾らでも用意するから、気にせずにいけ」

鬼丸「おうっ!! 雷遁奥義……電光おおぉぉ」
605 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 18:00:08.23 ID:cvUYKVaoo
火忍「火遁奥義ぃ! 石化ああぁぁぁ!!」

 バチチチッ!! ドッガオオオオォォォォン!!

マーラ「急に威勢良くなり始めたねぇ……」

影忍「そうだ、藤蔵の務めを忘れるな! お前らが戦場で為すべきは役目は撹乱が第一」

風忍「流石は若だな」

水忍「ああ。やはり若が率いて下さると、戦場が締まる」

盗賊「兄様……」

戦士「盗賊、俺らも行くぞ!」

盗賊「うん」

 ババッ ザザザザザザッ

南方参謀「こっちも行くわよぉ!」

東方参謀「ぬっりゃああぁぁぁぁ!!」

西方参謀「……しかし妙だ」

南方参謀「……?」

西方参謀「魔王のヤロー、攻撃する素振りをちっともみせやがらねぇ」
606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 18:01:12.53 ID:cvUYKVaoo
東方参謀「どうせ此方の様子を伺い、疲弊したところを突くつもりなのだろう」

南方参謀「そういうつもりなら、反撃がくる前にさっさと倒すに限るわっ!」

西方参謀「だと……いいんだがな」

南方参謀「あなたにしちゃ、珍しく心配性ね」

西方参謀「なーんか、イヤな予感がするんだよ」

東方参謀「参謀としての予感か?」

西方参謀「酒飲みの予感だよ」

東方参謀「確かに外部との連絡が絶たれた現状、被害は抑えねばならんな」

西方参謀「どういうこった。回復薬の連中はみんな船で待機してんだからよ……ヒック」

東方参謀「最善策は無傷のまま、魔王と討伐し、この城より脱出」

西方参謀「最悪でも脱出路を切り開いて、船の連中と合流する事だな」

東方参謀「……出来るか?」

西方参謀「知るかよっ。つーか、その為に頭を使うのが、俺ら参謀の仕事じゃないのかい?」

東方参謀「もっともだな」

西方参謀「そんなわけで、頼むよっ、東方先生!」
607 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 18:01:48.53 ID:cvUYKVaoo
 ドッゴオオォォォォン!!

マーラ「……ほっほっほ。なかなか攻撃も、サマになってきたじゃあないのさっ」

火忍「上から物を言ってんじゃねぇぞ!」ゴガァ!!

土忍「熱くなるな。聞く耳持たず受け流せ」

火忍「分かってらい!」

東方参謀「青年兵っ!」ズザァ

青年兵「はいっ!」ジャリッ

東方参謀「マーラが反撃の素振りを見せぬ。十分に注意せよ」

青年兵「僕も気になっていたところでした」

戦士「でりゃああぁぁ!!」

盗賊「はぁーっ!」ジャララッ

 ビュオッ!! ザシュウウゥゥゥゥ!!

マーラ「その程度かいっ? ま大した事ないねぇ!」

戦士「言わせておけば……」

盗賊「勝手に言わせておけ。奴の思う壺だ」
608 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 18:02:38.97 ID:cvUYKVaoo
 ズッドオオォォォォン!!

風忍「奥義連発も……なかなかしんどいものだ」

水忍「果たしてどれ程、効果を与えておるものか……」

風忍「見かけからは判断出来ぬな」

水忍「うむ。痛がる素振りも無ければ、傷を負った形跡も無い」

風忍「……まるで、好んで攻撃を受け入れておるかの如く」

水忍「……確かに、そういう節も感じ取れる……っ」

影忍「……」

 バッ!!

影忍(攻撃をわざと受けている……? そんな馬鹿なっ、一体……そんな事をして何が……)

マーラ「さぁ、もう終わりかえ?」

鬼丸「まだまだいくぜええぇぇ!!」ドガァ!!

戦士「雷……切りいいぃぃ!!」ズバッ!!

マーラ「ほっほっほ、効かぬ効かぬ。もっと協力な攻撃はないのかしらぁ?」

影忍「……まさかっ!!」
609 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 18:03:17.63 ID:cvUYKVaoo
 ババッ

影忍「攻撃を止めろっ!! 奴は何か企んでいるぞ!!」

戦士「!?」

盗賊「兄様……?」

マーラ「おや、もう気付かれたかい」

西方参謀「やっぱりそうかよ……っ、くそ!」

東方参謀「嫌な予感がするな。各自、防御行動を――」

マーラ「まだ不十分だけど、ある程度は蓄積出来たし……いいかしらねぇ」

 ブウウゥゥゥン ゴゴゴゴゴゴ……

青年兵「な……っ」

マーラ「見えるかい? この……力の塊が」

 ゴゴゴゴゴゴ……

マーラ「これはね、アンタらがアタシに攻撃した力さ!」

青年兵「回避いいぃぃーっ!!」

マーラ「自分達の攻撃を、自らその身で受けるがいいさっ!!」
610 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/11(水) 18:04:01.31 ID:cvUYKVaoo
 カアアァァッ!!

盗賊「――っ!!」

戦士「くそおおぉぉ!!」

 ドッゴオオオオォォォォン!!

西方参謀「ぐわ……っ!!」

風忍「……っ!!」

鬼丸「っざけろおおぉぉ!!」

 西方参謀の予感は的中した。いや、的中してしまった。

 マーラの放った莫大なエネルギーは全て、彼らがこれまでマーラを攻撃し続け、

 それを蓄積したエネルギーそのものであった。魔王の指先から放たれたその光は、

 一瞬の内に大きく弾け、周囲の一同はおろか、城内の柱、壁、それらの悉くを吹き飛ばした。

 爆発の起きた中央には大きなクレーターが出来上がり、

 マーラが一人、恍惚の表情でそのど真ん中に立っていた。

マーラ「……ほーっほっほっほ。堪らないっ、堪らない快感よ!!」

 悪趣味とも言える笑い声が、瓦礫と白煙の中に、ただ響き渡っていた。
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/11(水) 18:10:57.42 ID:cvUYKVaoo
ひーとりあえずここまでにて失礼致します!
多数のご支援ありがとうございます!それではー!ノシ

〜オマケ〜

火忍「使えようが使えまいが、奥義放たずしてどうする!」

土忍「後悔するなよ?」

火忍「誰がするかっ! いくぞー!」

土忍「土遁奥義……」
火忍「火遁奥義いいぃぃ!!」

土忍「隔岸……」
火忍「……観火!!」

戦士「隔岸観火?」

影忍「他人の災難に対して手を貸して救おうとせず、ただ傍観している事だ」

戦士「……へぇ」

火忍「うわぁ、風のやつめっちゃ攻撃食らって……うわっ、痛そう〜!」ボケーッ

土忍「おいおい、水忍など最早、死にそうではないか……これは厳しいなー」ポエー

盗賊「……た、たわけにも程があるぞ貴様ら……っ」
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 18:15:19.01 ID:BdLJVGoDO
いちおつ

ダメだこのコンビww
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/11(水) 18:17:21.81 ID:ZxsJFv8Lo
これ重要な伏線だろ
蓄積系のタイプが出るって事は・・・・・
感情的になりやすい火を止めるための究極奥義
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/11(水) 21:51:26.02 ID:cAX/VpLK0
>>1おつんつん
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/11(水) 23:24:37.82 ID:0rXtDScN0
いちおつ
攻撃が効かないどころか蓄積されちゃうのか…
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/11(水) 23:33:25.80 ID:H5P9D3hqo
要は[田島「チ○コ破裂するっ!」]と一緒だな
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/12(木) 01:36:51.07 ID:8qDh8mOAO
>>1おつ

マーラ今までで一番やっかいだな。戦力分散されてるし
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2012/01/12(木) 02:39:33.51 ID:dYZA/aA/o
御館様と影忍の「娘・妹は絶対にやらん!!!!」はまだかえ
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 03:18:08.54 ID:rjdfc5i70
まだかえって…どんな顔して文字打ってんの?wwwwww
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/12(木) 12:36:57.02 ID:cR+UA7zIO
>>1乙。
誰かリフレク唱えれる奴は居ないのか?
621 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:18:41.45 ID:ideya/3lo
 ゴトゴトゴトッ パラパラ……

盗賊「…………う……っ」ゴトッ

戦士「……」

盗賊「せ……戦士!?」

戦士「……言ったろ。何が何でもお前を……守る……っ」ドシャッ

盗賊「戦士っ!!」

土忍「……姫は……無事か」ガラッ

西方参謀「すまん、助かった」

土忍「なに。彼が姫を庇ってくれたのが見えたからな。此方の防御に回れた」

南方参謀「お、お仲間は大丈夫……?」

土忍「藤蔵の皆伝者が、そう簡単にやられたりはせぬよ」スクッ

東方参謀「おぉ」

火忍「……やってくれんじゃねぇか、この野郎」

風忍「皆、生きているな」ザッ

水忍「しかし攻撃が通じず、しかも跳ね返ってくるとは……如何致すか」
622 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:19:04.57 ID:ideya/3lo
マーラ「……ほおぉ、何て事っ。皆……生きてるじゃない」

火忍「簡単に死んでたまるかっ!」ボキボキッ

風忍「さて若、ここは如何なさいますか?」

影忍「今の藤蔵をまとめているのはお前だ。俺はそれに従うまで」

風忍「……若、貴方は一人ではありません」

影忍「何?」

風忍「今こうして、東方の地で我らと共に戦っておられる」

影忍「……」

風忍「せめて今だけは、藤蔵の若頭として存在して頂きたい」

影忍「……」

風忍「若の判断は的確です。それに、その方が皆の士気も上がります」

影忍「……分かった。よいのだな?」シュルッ

風忍「文句を言う者など、一人もおりませんよ」

兄様「……良かろう。ならば藤蔵を率いる者として、そなたらの命……俺にくれ」パサッ

風忍「喜んで」
623 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:19:34.08 ID:ideya/3lo
兄様「藤蔵に告ぐ。極めし武は最強也!」

火忍「――!?」

水忍「若……っ!」

南方参謀「い、一体……何事なの?」

土忍「合図さ。究極奥義のな」

東方参謀「究極……奥義だと!?」

 ヒュッ スタッ

兄様「本国で言うところの、五行さ」

南方参謀「五行!?」

兄様「まぁ生憎、東方では四行でしかないのだがな」

東方参謀「待て。そんなものを撃ってしまえば……跳ね返ってきた時のダメージは絶大ぞ!」

西方参謀「……いいや、これは有効かもしんねぇぞ」

南方参謀「どういう事よっ」

西方参謀「五行ってのはよ、対象を完全に消滅させる技だ。自己犠牲に等しい行為でな」

東方参謀「四行であれば、完全とはいかぬが消滅は可能」
624 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:20:06.34 ID:ideya/3lo
西方参謀「そうだ。つまり、うまくハマればダメージが跳ね返ってくる前に……」

南方参謀「四行で魔王を消滅出来る……っ」

西方参謀「だがそれじゃあ魔王は死なねぇ。パズズやサタンと同じ状態になるだけだ」

南方参謀「それじゃ意味はないわよっ!」

東方参謀「だが、窮地を脱するには、その方法以外に無さそうだな」

兄様「そういう事だ。万が一もある。しばし退がっておれ」

西方参謀「ちょうどいい。おまえら2人は特遊らの救出に向かってくれ」

東方参謀「確かに帰りが遅い。心配ではあるな」

南方参謀「あんたはどうするのよ!?」

西方参謀「ここに残る。参謀役が必要だ」

南方参謀「でも……っ」

西方参謀「いいから行けっての! なぁに、死んだりしねーっつーの……ヒック」グビッ

南方参謀「……っ」

東方参謀「では行くぞ。特遊を連れて、すぐに戻る」バッ

南方参謀「ちゃんと……生きてなさいよっ!」バッ
625 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:20:38.43 ID:ideya/3lo
西方参謀「だーれが死ぬかっての……ヒック」

兄様「魔王は此方で対処する。盗賊と戦士、それからあそこで転がっている妖の手当てを頼む」

西方参謀「鬼丸……だっけか?」

鬼丸「……ぐく……っ、ぬおぉ」ヨロヨロ

兄様「さぁ、魔王よ。此方が攻撃しない場合は、どうするつもりだっ!」ヒュバッ!!

マーラ「何か企んでいるように見えたけど、まぁいいさね」ザッ

兄様(奥義発動まで、何とか時間を稼がねばな……)

マーラ「悪いけど、攻撃出来ないんじゃなくて、しないのよぉ!」グアッ

兄様「!?」

マーラ「お望みならばぁ、この通りいいぃぃ!」

 ガシィ!! ギュルルルッ!!

兄様「があ……ぁ……っ!!」ミシィ

ヤタガラス「魔羅様の体内にゃ、八百万の生き物が飼われてるのさぁ」

兄様「この……大蛇もその一つか……っ」

 ミシミシミシッ……ベキィ!!
626 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:21:08.47 ID:ideya/3lo
マーラ「このまま、絞め殺してア・ゲ・ル!」

兄様「ぐああぁぁぁぁ!!」ミシミシミシィ!!

マーラ「ほーっほっほっほ! もっとよ、もっと悲鳴をあげ――」

兄様「……きゃああぁぁぁぁ!! いやああぁぁぁぁん!!」

盗賊「!?」

火忍「姫ぇ!? って……何だ、若かよ」

盗賊「兄様っ、おやめ下さいませ……っ!」

兄様「ああ、すまん。こやつが悲鳴を聞かせろと言うのでな」

盗賊「だからって……何故、私の声でやりますか……っ」

マーラ「……どういう……事よぉ!」

兄様「忍びたる者、声色程度、自由に変えられる」

マーラ「おちょくるにも大概にせいっ! そうではないっ、何故貴様は……死なぬっ!」

兄様「ああ、そちらか。残念ながら、俺は不死だ」チャキッ

 ズバシュウウゥゥゥゥ!! ボトッ

兄様「……ま、この程度ならば蓄積されても、大した事はあるまい」
627 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:22:35.23 ID:ideya/3lo
マーラ「……おのれ、おのれぇ……っ!」ピキピキピキッ

兄様「時間は稼いだ。俺とのお遊びはここまでだな」バッ!!

 ボウウゥゥゥゥン!!

マーラ「な、何をしたぁ……ッ!?」

兄様「ただの煙玉さ、案ずるな」ギュルッ

マーラ「ごほっ、逃がすかぁーっ!!」

兄様「疾風怒濤!!」

 ズギャッ!! ドッドオオォォォォ!!

ヤタガラス「魔羅様ぁ!!」

マーラ「……ちぃっ、まぁ良い。逃げたところでどうにもならぬわ」

 シュウウウウゥゥゥゥ……

マーラ「……ん?」

ヤタガラス「なんやコイツら……ご丁寧に並んで……」

兄様「さぁ、藤蔵の誇りを……見せてやれっ!」

盗賊「……っ」
628 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:23:34.81 ID:ideya/3lo
 ジャリッ

風忍「其の疾きこと風の如く」

水忍「其の徐かなること林の如く」

火忍「侵掠する事ぉ……火の如く!」

土忍「動かざること山の如く」

風忍「風遁、究極奥義!」
水忍「水遁、究極奥義……!」
火忍「火遁、究極奥義いいぃぃ!」
土忍「土遁、究極奥義」

 ババッ!!

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイイイィィィィ……

戦士「……な……んだ……っ」

盗賊「戦士っ!! 大丈夫っ!?」

兄様「これぞ藤蔵の究極奥義、風林火山よ」
629 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:24:00.42 ID:ideya/3lo
 ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「――――ッ!!」

ヤタガラス「魔羅様ああぁぁ!!」

 その巨体を押し上げる程の大竜巻。その内部で暴れまわる氷柱。

 鋭い切れ味を持つナイフの如く、風と水による刃は敵を容赦なく痛めつける。

 多大なる攻撃のさなか、残撃部分より次第に発火が巻き起こる。

 炎と氷が共存する不可思議な現象ではあるが、それこそが四行による恩恵か。

 切り傷を作ってはそこから高熱を発し、また更に深い傷を抉り、また発火を繰り返す。

 攻撃の音は無い。ただ、竜巻による風の轟音が辺りには響き渡るのみである。

 やがて風が弱まり始め、内部における氷と炎も落ち着きを見せ始めた頃、

 止めと言わんばかりに、最後の攻撃である山が動く。地面が隆起し、竜巻をも飲み込んだ。

 ズッドオオオオォォォォン!!

 けたたましい低い音を立てて、地面は全てを飲み込んだ。そして山を成した。

 風が止み、音が止み、静けさを取り戻すと、そこには墓石を模したかのような、

 小さな丘のように、地面がせり上がり、固まり、魔王マーラを閉じ込めるに至った。
630 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:24:27.21 ID:ideya/3lo
 オオオオォォォォ……

ヤタガラス「魔羅……様……」

西方参謀「これが究極奥義、風林火山……っ」

鬼丸「す……っげぇモンだな」

兄様「全員、無事だな?」

 シュバッ スタッ

火忍「……し、しんど……っ」

水忍「流石に……堪えるな」

土忍「だがこれで、魔王の動きは封じたであろう」

風忍「だと、いいがな……っ」

兄様「……俺が調べる。皆は退がって、少し休むが良い」タンッ

戦士「やった……のか?」

盗賊「分からない、分からないけど……」

戦士「あの威力だ。流石に無傷ってわけにはいかんだろうな」

盗賊「ああ」
631 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:25:09.45 ID:ideya/3lo
ヤタガラス「魔羅様が……いやいやいやっ、そんな阿呆なっ」バサッ

兄様「次はお前か?」ヒュバッ

ヤタガラス「わああぁぁ!!」

兄様「どうやら、うまく封印出来――」

 コトンッ……パラパラパラッ

兄様「……?」

 ゴゴゴゴゴゴ……

兄様「まさか……くっ!!」バッ!!

 ゴゴゴゴゴゴ……ドドドドドド……

鬼丸「な、なんだぁ!?」

西方参謀「おいおい……冗談だろぉ!!」

 バッゴオオオオォォォォン!! ドシャアアァァ

盗賊「マーラがっ!!」

戦士「……そう簡単に、終わりにはしてくれねーみたいだな……くそっ!」

マーラ「……ここまで追い込まれたのは、あの妙な亀に乗った人間以来か……ククッ」
632 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:25:39.82 ID:ideya/3lo
〜剣聖の屋敷〜

サル「……ちっとも見当たらんぜぇ」

帝「いっその事、亀でも居れば良いのだがな」

魔道士「カメ……ですか?」

名代「おとぎ話ですよ。兎と亀が競争をして、どちらが勝つかと言う……」

キジ「そんなの、ウサギが勝つに決まっているさー」

女侍「ははっ、残念ながら亀が勝つんだよ」

イヌ「何でね? 亀なんて遅いのに勝てるわけないね」

女侍「兎はね、走っているうちに大差付いたからって、サボって寝ちまうんだよ」

魔道士「へぇ〜っ」

名代「その間、地道に進んでいた亀は兎を追い抜き、勝利すると言う話です」

帝「何事も地道に努力すれば、報われるという事を謳ったおとぎ話だ」

召喚士「なるほど……」

サル「そんじゃあウサギちゃ〜んは、居眠りでもしてるのかねぇ〜」ガサガサッ

イヌ「そんなんだったら笑わせるね」
633 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:26:09.88 ID:ideya/3lo
 ガサッ

サル「……ハアアアアァァァァ!?」

女侍「何だい? 奇声あげて」

サル「ウサギイイイイィィィィ!!」

召喚士「えっ!?」

 バッ!!

神野「……ククッ」

 ピョンッ!! ダッ!!

女剣士「逃げた!?」

くの一「くっ!」

召喚士「追うのは危険ですっ! 触れない方がいい!」

サル「でも逃げちまうぞっ!?」

名代「被害を被るよりは遥かに良いです。どうせ、遠方へ逃げる気もないでしょう」

帝「脱兎の如くとは、まさしくこの事だな」

魔道士「まさか、これで終わりなんて事は……」
634 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:26:35.75 ID:ideya/3lo
名代「考えにくいですね。神野悪五郎は少なくとも、あと三回、変身を残していると思います」

召喚士「十二支、というやつですか?」

名代「ええ。残るは虎、牛、そして……」

サル「な、なぁ。その虎ってぇのはよ……アレの事かい……?」

召喚士「なっ!?」バッ

神野「お待たせ致しましたね」

東方司令「くるぞぉ! 後ろへ退がれぇ!」ズザァ!!

神野「ヒャーッハッハッハ。ここからは、今まで以上の力を発揮致しますよぉ!」

召喚士「行けっ! ワイバーン!」

シュイイィィィィン

神野「ほぉ、今度は此方が虎で、其方が龍ですかっ! 面白いっ!」

召喚士「な……んだ……?」クラッ

魔道士「ど、どうしました!?」

召喚士(魔力を消費しすぎた? いや、計算して消費していたはずなのに……っ)

神野「ククッ、ヒャーッハッハッハッハッハ!!」
635 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:27:54.99 ID:ideya/3lo
召喚士「……貴様っ、何をした!!」

神野「ん? いやはや、何もしてはおりませんよぉ?」

召喚士「そんなはずはないっ! 何かしていたはずだ!」

くの一「ど、どういう事!?」

東方司令「……朱雀、どういう事だ?」

召喚士「どうやったかは知らないが、気付かぬうちに魔力を吸い取っていたんです」

帝「何だとっ!?」

神野「察しがいいじゃないですか。随分と切れ者ですねぇ」

女侍「どういう事だい? そんな素振り、全くなかったじゃあないか」

召喚士「だから不思議なんです。さっきのウサギがそういう能力だったとでも言うのか……」

神野「……ヒャーッハッハッハッハ! 本当に切れ者ですねぇ。そう、その通りですよ!」

魔道士「つ、つまり……召喚士さんの魔力は……」

神野「残念ながら、我が力として吸収させて頂きましたよぉ!!」

召喚士「……っ」

神野「付け加えると、残念ながら……全員の魔力を、ですがねぇ!」
636 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/12(木) 18:28:26.00 ID:ideya/3lo
東方司令「何だとぉ!?」

神野「気付く事はなかったでしょう!? 君達の言う龍脈とやらを使ってねぇ!」

名代「何と言う事か……っ」

神野「龍脈自体から新たな魔力が生まれる事はない。しかし、通り道にはなります」

キジ「なかなか、やってくれるさー」

サル「じ、じゃあ何か? ここまで頑張った苦労が、水の泡ってか……?」

神野「だから言ったでしょう? ここからは、今まで以上の力を発揮するとねぇ!」

女剣士「小賢しい真似を……っ!」チャキッ

召喚士「大丈夫。全ての魔力を奪われたわけではありません!」

魔道士「召喚士さんの言う通りです! まだ、魔力はありますっ!」ゴウッ!!

東方司令「元より魔法に頼った戦い方などしてはいないっ」ジャキッ

名代「此方とて、既に札として用意しておりますからね」バサッ

神野「ククッ、いいでしょう。ならば全てを失うまで、お相手致しましょうかっ!!」

召喚士「きますよっ! 正面、気を付けてっ!」

魔道士「はいっ!」
637 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/12(木) 18:34:46.42 ID:ideya/3lo
それではここまでにて失礼致します!
ご支援どうもありがとうございます!では!ノシ
638 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/12(木) 18:36:58.05 ID:MFmneaLAO
乙!
雷忍は究極奥義に参加できないのか
639 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/12(木) 18:39:32.92 ID:5UCkDI5xo
鬼丸の事言ってんならいいけど
まさか本物の事言ってんじゃねえだろうな
640 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 18:48:04.36 ID:aq4y0WlDO
乗り移るに決まっておろう
カカカカッ!
641 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/12(木) 18:48:15.52 ID:dr7ZN4fho
そういう意味じゃないだろ
642 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 18:58:09.11 ID:pGMTSuZs0
ほんとに最近こういう>>640痛いの増えたよな
643 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage ]:2012/01/12(木) 19:14:37.60 ID:g0QefAFSo
まぁ、1のSSが広まってきてるなら、痛いのが現れても仕方ないだろ
644 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 19:25:19.96 ID:a0xSoVqDO
いちおつ!
俺の知ってる浦島太朗と違う…ww
645 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 19:27:18.77 ID:620i8Ro+o
>>638
兄様も雷役で参加しないということは、雷は混ざらんのだろう…
東方でも5属性合体は危ないから自然と禁止されてたんじゃなかろうか
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/12(木) 19:57:21.15 ID:KUBDKSZAO
兄様……
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 21:20:40.45 ID:IDjDkQAIO
二行で大蛇倒す威力あんのに四行でも消滅しないとか…
東方の術で五行出来ないなら兄様の五行クナイはどういう事だったんだ?
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 21:57:25.89 ID:ZJ2IYtSuo
>>647
武器に五行付加なら負荷を受けるのは武器だけだし
奥義五行はリスクが高くてやらなかっただけじゃない?
鬼丸の力量も知らないのに高難易度の合体技に使えないでしょ
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/12(木) 22:12:57.34 ID:xElTsCLp0
>>1おつんつん

やっぱり魔王はつよいねえ

650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/13(金) 00:48:56.91 ID:FNjfCXrf0
いちおつ
孫子の兵法では風林火山の後に
知り難きこと陰の如く 動くこと雷霆の如し
って続くからな まだこれから何かあるんじゃないの
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/13(金) 02:19:17.53 ID:xopvaMTAO
>>1おつ

兄様妹と再会した嬉しさからノリノリッスね。つか地味に指揮まかされてから影忍から兄様になってるね
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/13(金) 08:17:57.68 ID:2JFLql+AO
>>1

妹の声真似とか、兄様遊びすぎだろ…
653 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:45:57.57 ID:2hVQkQkLo
〜竜宮城、地下〜

兄様「まさか、四行が効かぬだと……!? そんなはずはない……っ」

マーラ「あーら、予想外れで御免なさいねぇ〜」

火忍「じ、冗談じゃねぇぞ! まさかまた、蓄積したってのか!?」

西方参謀「それはねぇ。何かトリックがあるはずだ」

マーラ「……ククッ、ほーっほっほっほっほっほ!」

兄様「……そうか、そういう事か」ギリッ

盗賊「兄様、何か分かったので?」

兄様「貴様、先程の大蛇といい……最初から盾を仕込んでしたわけか!」

マーラ「盾、盾ねぇ……。まぁそういう事に近しいかしら」

戦士「何だってんだよ」

マーラ「見たい? 仕方ないわねぇ、なら……見せてあげるわよ」グイッ

 ズズッ……ズググググググッ

戦士「――っ!?」

盗賊「……な……っ」
654 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:46:26.80 ID:2hVQkQkLo
女「……オオ……ヲヲヲヲ……おおォぉォぉ」グチャッ

犬「アオおオおオおおオオぉぉォォン」ドロォ

少女「ご……ろじてェ……」ズグッ

ヤタガラス「見てみぃ! これが魔羅様の体内に飼われてる八百万の生き物達や」

男「いだいいイイぃィぃィ!!」

老人「やめで……くレエぇェ!!」

土忍「……酷いものだ」ギリッ

風忍「つ、つまりこれは……攻撃を全てこの者らが……っ」

兄様「そういう事だ。最初から魔王に攻撃など与えてはいなかったと言う事だ」

火忍「て……めぇ!!」ギリッ

マーラ「怒りに満ち溢れたその表情、堪らないのぅ! どうする? 掛かってくるか?」

老人「イタイのハ……いやじゃ……ああアアぁぁァァ」

女「もウ……ころじてよおおォお……!!」

鬼丸「てめぇ、とことんクズだな」

マーラ「はぁ?」
655 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:46:58.54 ID:2hVQkQkLo
鬼丸「外道にも程があんぜ。妖にだってなぁ、やっていい事と悪い事くらいあんだよ」

マーラ「お前みたいな下等な妖に説法されるとは甚だ遺憾」

鬼丸「テメーは何が何でもぶっ殺す!!」

マーラ「やってみぃ! こやつ等が盾となり、苦しみを味わうだけの事よ」

戦士「なぁ、何か手はないのかよ!」

西方参謀「四行が通じてないんじゃなく、取り込まれてるだけってのが分かったが……」

盗賊「……あれでは手の出しようがないな」

西方参謀「まぁ厳密に言えば、なくもない」

兄様「如何なる手段だ?」

西方参謀「1つは、魔王が再び、蓄積……っつーか、取り込んだ四行を放出する瞬間」

戦士「……?」

青年兵「放出の瞬間は蓄積出来ないはずです。そこを叩けば直接、ダメージを与えられる」

盗賊「無理だな……っ。時でも止まらぬ限り、そんな事は不可能だ」

兄様「しかも、よりによって風林火山。誤れば確実に死ぬ」

戦士「……もう1つは?」
656 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:48:28.62 ID:2hVQkQkLo
西方参謀「……五行だよ」

戦士「何……だとぉ!?」

西方参謀「四行が通じなかったわけじゃねぇって事は、まだ残ってるっちゅー話だ」

盗賊「……確かに」

西方参謀「だったら、同威力の残る金行をブチ込めば、魔王の内部で五行完成だ」

戦士「……同威力か。いっそ俺がと思ったが、そいつは無理な話だ」

兄様「同威力でなくとも、雷の秘伝書があれば究極奥義は使えるのだがな」

盗賊「……あるよ」

兄様「何……?」

 スッ

盗賊「雷が……残してくれた。これならいける」

兄様「駄目だ」

盗賊「!?」

西方参謀「知ってるだろ。五行の威力は使用者の命をも奪う程だ」

兄様「もし四行が滞っている中、お前が最後の雷を放てば……」
657 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:49:00.61 ID:2hVQkQkLo
西方参謀「最後を務めた者に、すべての負荷がかかる」

盗賊「でもっ! 奴を倒すのにはそれしかないのです!」

兄様「盗賊、お前が死ぬ事になる。それは無理なのだ」

戦士「盗賊が……死ぬ……?」

 兄様の言葉によって、戦士の脳裏には天才の予言がよぎった。

盗賊「だったらどうすれば――」

兄様「お前だけは絶対に、死なせるわけにはいかんのだ」

盗賊「どうしてっ!」

兄様「それが、藤蔵だからだ」

青年兵「……っ」

兄様「藤蔵を捨てた俺や、皆伝者の四人が死したとしてもだ。お前は生きねばならん」

盗賊「そんなの……っ」

兄様「それが藤蔵であり、東方の……武士道なのだ」

戦士「ふざけんな! 誰が生きて、誰が死んでもいいなんて事はねぇんだよ!」

盗賊「戦士の言う通りです! 絶対に、誰も死んだりしてはいけないんだ……っ!」
658 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:49:30.13 ID:2hVQkQkLo
 ザッザッザッ

火忍「誰が死ぬって? ははっ! 姫の為に死すならば本望!」

水忍「そうだ。我らは主を守るため、そして東方を守るために生きている」

土忍「その為に命を失う事など、むしろ本望よ」

風忍「若、如何なさいます? やりますか……?」

戦士「ちょっと待てよ! 何を考えて……」

兄様「生憎俺は不死。しかも本体は此処にない」

西方参謀「……まさか、五行撃つ気か!?」

兄様「五行か。そんな生易しいものではないかもしれんな」

盗賊「……兄様っ!!」

兄様「なに、あくまで最後の切り札だ。使う前に魔王を殲滅する手立てを考えよう」

戦士「でもよ、放出と同時に攻撃ってのは不可能だぜ?」

兄様「西方参謀殿と言ったか。お主の見立てでは?」

西方参謀「無条件で盾を取り込んで、攻撃を蓄積出来るなんて事ぁないはずだ」

青年兵「ですね」
659 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:51:13.11 ID:2hVQkQkLo
西方参謀「龍脈なき今、無尽蔵に魔力があるとも思えんしなぁ」

青年兵「魔力を使い、取り込んでいると判断して良いと思います」

西方参謀「そこでだ、奴の魔力を上回るダメージを与えて、放出前に暴発させる」

戦士「……出来るのか?」

西方参謀「やるしかねぇ。しくじれば何倍もの四行が降りかかってくるだけだ」

戦士「……気軽に言いやがる」

青年兵「リスクが高すぎますが、手はそれしかない……か」

兄様「どれ程放てば、そこへ辿り着くかも分からんがな」

戦士「でも、みんなが生きるにはそれしか手はねぇんだろ?」

西方参謀「今のところはな」

戦士「じゃあやるしかねぇよ。やってやる!」スクッ

盗賊「ああ。誰も……死なせはしないっ!」ギュッ

兄様「……聞いたか? 風林火山を撃てるだけ撃つのだ」

火忍「最高じゃないですか。全く、最高すぎて……武者震いが止まらねぇよ」

風忍「よし。倒れるまで風林火山を撃ち続けるぞ」
660 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:51:46.44 ID:2hVQkQkLo
召喚士「奴の動き、何とか封じられますか?」

魔道士「やってみます!」

召喚士「すみませんっ!」ダダッ

魔道士「ううん、違うっ。召喚士さんが頼んでくれたんだもん……っ」

 キュイイイイィィィィ

魔道士「絶対に、やらなきゃいけないのっ!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ズガガガガガッ!!

神野「――クッ!?」ババッ

キジ「なんつー魔力さー」

イヌ「どれ程の力を隠し持ってるね……」

召喚士「行けっ! ワルキューレ!」

シュイイィィィィン

オルトリンデ「……嫌よっ」

召喚士「!?」

ジークルーネ「おばーさんになるなんて、嫌っ!」
661 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/13(金) 18:52:23.73 ID:2hVQkQkLo
ブリュンヒルデ「私がオバサンになっても、召喚してくれる……?」モジモジ

召喚士「そんな事言ってる場合――」

神野「ヒャーッハッハッハ! また召喚獣というやつですかぁ!?」

召喚士「くっ!」バッ!!

東方司令「何をチンタラやっているのだっ!」ガキイイィィン

召喚士「す、すみませんっ!」

東方司令「貴様の召喚獣はムラがありすぎて、使い物にならんな」

シュヴェルトラウテ「まあっ、言ってくれるわね!:」

東方司令「事実だろっ! 再召喚すれば済む話だっ!」ザシュッ!!

神野「効かぬ効かぬ効かぬ効かぬううぅぅ!!」ザシャッ

東方司令「早くっ、何とかしろ!」

召喚士「分かっています!」

名代「仕方ありませんね。虎穴に入らずんば、虎子を得ず……ですかね」

帝「……どうするつもりだ?」

名代「神野悪五郎へ触れずに、懐へ潜り込んでみせましょう」バッ!!
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage ]:2012/01/13(金) 21:39:40.98 ID:HDEmCK3ko
どちらも熱い展開ですね
一乙です
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/13(金) 21:53:27.92 ID:IWPjIRlAO
不覚にもブリュンヒルデに萌えた

>>1乙乙
664 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/13(金) 21:59:04.17 ID:U+8hUkA90
萌えキャラ登場!

>>1おつんつん
665 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/14(土) 01:24:49.31 ID:wXszK/EAO
>>1おつ

これだから主人公はまったく
666 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/14(土) 01:29:46.38 ID:HLmYoE300
いちおつ
667 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/01/14(土) 03:18:32.38 ID:QYeN7CvMo
ブリュンヒルデってポニョの本名なんだよな。
668 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 03:28:35.14 ID:/A0bXTZDO
>>1乙!
うおーどっちも熱い展開だなー
続きが早く読みたいぜ!
669 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/14(土) 08:27:49.58 ID:a+aO2z4AO
>>1更新乙んつん 熱いですな
670 :sage :2012/01/14(土) 21:54:07.74 ID:UnDo7exo0
>>1

スマホに変わったが、見にくいな…
671 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/14(土) 22:04:15.49 ID:RSeUk3sKo
>>670
2chMateオススメ
672 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/14(土) 22:07:24.79 ID:yNHqjSF1o
このお兄様は町内鎖鎌大会で6位だったりするの?
673 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:18:45.22 ID:4KS5IRsjo
〜竜宮城、地下〜

 ゴッガアアアアァァァァ!!

マーラ「虎の威を借る狐とは、まさにお前達の事よのぉ!」

戦士「言ってろ!」

マーラ「貴様等なぞ、己自身は大した事もに存在に過ぎぬくせに……」

鬼丸「引きつけるぞ!」

マーラ「徒党を組んで、大義を掲げる事で、強者になったつもりでいる」

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「……ぬうぅ!」

兄様「御託はいい。貴様の言う大義、絆の力がどれ程のものか……」

盗賊「皆っ、魔王は私が近づけさせぬ! 安心して撃つのだっ!」

兄様「その身を以って、推し量るが良い」
674 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:20:03.68 ID:4KS5IRsjo
 ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「しつ……っこい連中ね!」

戦士「それがウリでなぁ!」シュバッ!!

マーラ「ほっほっほ。仕掛けてくるかいっ!?」

 スタッ

戦士「……今すぐにてめぇをブッ叩きてーけどな」スチャッ

マーラ「……」

戦士「他の奴らの努力は、無駄にしたくねぇんだよ」

マーラ「ぬうぅ! 敵の背後を取りつつ逃げると言うのかっ!」

戦士「ありがたく思いな。逃げてやるよ」タンッ

マーラ「貴様――」

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!
675 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:21:05.27 ID:4KS5IRsjo
マーラ「……ぐ……クゥ!!」

風忍「……化物め」

火忍「あと、何発撃ちゃいいんだよっ!」

土忍「折れれば此方の負けだぞ」

火忍「わぁってるよ!」

 スタッ

兄様「いいか、風林火山もあと数発といったところであろう」

盗賊「……ええっ」

兄様「もしその間に、奴が暴発するようであれば、一気に懐へ一撃を放り込む」

戦士「どうやって?」

兄様「……俺が盾になる」

西方参謀「1人じゃあ無理だな。幾らアンタが不死だろうと防げるとは思えねぇ」

兄様「しかし、それ以外にはない」

戦士「だったらよ、俺も盾になんぜ」

兄様「何?」
676 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:22:16.51 ID:4KS5IRsjo
戦士「この盾がありゃ、死にはしねぇはずだ」

青年兵「ですが、下手をすれば致命傷にもなりかねない……っ」

戦士「何度も言ってるはずだ。死ななければ勝ちなんだよ」

青年兵「……っ」

鬼丸「いいじゃねぇか。だったら俺だっていくぜ」

戦士「鬼丸、お前は無理だろ」

鬼丸「おいおい、人間と鬼丸様を比較して物を語るなよ?」

兄様「……良かろう。ならば三人で盾となり、暴発を潜り抜ける」

盗賊「……っ」

兄様「盗賊、雷の奥義書があると言っていたな?」

盗賊「……はい」

兄様「ならば迅雷で奴の懐に飛び込めるはずだ」

風忍「風!!」
水忍「林」
火忍「火あぁ!」
土忍「山」
677 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:23:32.75 ID:4KS5IRsjo
 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「しつ……こいわねえぇ!!」ググッ

兄様「時間がない。いいな?」

盗賊「……分かりました」

戦士「落ち着いてやればいい。失敗は出来ねぇからな」

盗賊「……うん」グッ

西方参謀「青年兵殿よ、お前さんもいけるな?」

青年兵「懐に飛び込むのは五分ですが、召喚獣を使えばいけるでしょう」

西方参謀「問題は威力か」

青年兵「バハムート……いや、もっと……」

西方参謀「……出来んのか?」

青年兵「やるしかありません。いや、必ずやってみせます!」

西方参謀「……お前」

青年兵「全てを託されましたから。青龍先生に」ザッ

西方参謀「分かった。出来る限りの援護はしてみせるつもりだ」
678 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:24:47.68 ID:4KS5IRsjo
兄様「……では、行くぞ」

鬼丸「ちなみによ、アイツらが暴発まで持たなかったらどうすんだ?」

兄様「その時は、神仏にでも祈るしかないな」スクッ

戦士「……生憎、頼るのは自分の力と仲間だけなんでな」ジャキッ

兄様「それで良い。運命とは自身で切り拓く事だ」

戦士「ああ。今までだって何度もそうしてきたさ!」

盗賊「……ふーっ」グイッ

兄様「いいか、あと二発の風林火山、それが合図だ」

鬼丸「おうっ!」

青年兵「……魔力を……限界まで」ググッ

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「……ッ!!」
679 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:26:17.90 ID:4KS5IRsjo
 この時、マーラに蓄積する風林火山の魔力は膨大なものとなっていた。

マーラ「……忌々しい連中……ッ」

 奇しくもマーラが蓄積出来る限界は残り1発がやっとの状態であった。

女「ご……ろじでエエぇぇ……」グジュッ

老人「死に……タクないいイイぃぃィィ!!」

盗賊「……っ」

兄様「気にするな、と言っても……そうはいかぬだろうか」

盗賊「兄様っ、あの者らは……」

兄様「あれも既に死人。気休めかもしれぬが、楽にしてやった方が彼らの為だ」

盗賊「…………」

 マーラは一度、ここで蓄積した力を解放するか、判断に躊躇していた。

 今、蓄積している力を放てば、一網打尽に出来る可能性はある。

マーラ(蓄積出来る魔力は限界を迎えようとしている。もしそうなれば……)

 ハッ!!

マーラ(こやつ等、そうかそうか! それを狙っておったのか……ッ!)
680 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:27:42.03 ID:4KS5IRsjo
水忍「……次……ゆくぞ」

火忍「お、おうよ!」ガクガクッ

マーラ「ほっほっほ。満身創痍とはこの事……」

風忍「どうかな?」

マーラ「馬鹿がっ! 最早、立つのもようやくじゃないの!」

 4人の疲弊を見て、マーラは判断した。次の一撃を蓄積し、限界で放つ。

マーラ「さぁ! それならば見せてみぃ……ッ!!」

風忍「言われなくとも……っ、風」
水忍「林!」
火忍「火ああぁぁ!」
土忍「山っ!!」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「ご……おうっ、ククッ! ほっほっほ!」

 グゴゴゴゴゴッ

マーラ「来たわ来たわっ! さぁ……この力、そっくりそのままお返し――」

風忍「……ふーっ」スクッ

マーラ「…………?」
681 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:29:05.41 ID:4KS5IRsjo
土忍「火、お前の演技はわざとらしすぎる」コキッ

火忍「はぁ!?」

水忍「そのように膝が震えたりするものか、馬鹿者」

マーラ「……ハアアアァァァァ!?」

風忍「魔王よ、あまり……我等を見くびるでないぞ!」

マーラ「計りおったわねええぇぇぇぇーッ!!」

 ズラッ キュイイイイィィィィ……

風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
土忍「山」

 キュイイィィ……ドッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「マ、マズイわっ! これじゃあ……蓄積出来な――」

兄様「あいつ等……っ」

西方参謀「構わねぇ!! 近づいて、魔王へ一撃を叩き込めぇ!」

青年兵「そうすれば、暴発する四行の力を全て魔王にぶつける事が可能っ!」
682 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:30:57.50 ID:4KS5IRsjo
鬼丸「そんなら急ぐぜっ!」

戦士「でっりゃああああぁぁぁぁーっ!!」ダンッ!!

マーラ「マズイマズイマズイマズイッ!!」

老人「オあアあアあアぁぁァァーッ!!」

少女「痛いひぎいいいいィィィィ!!」

盗賊「すまぬっ、許せ!」

マーラ「ヌアアアアアアァァァァァァーッ!!」

西方参謀「暴発すんぞおおぉぉ!! 伏せろーっ!!」

土忍「くっ!!」

風忍「若っ! 姫……っ!!」

 カアアアァァァァッ!!

 迸る閃光が最前列の兄様を容赦なく襲う。

兄様「……が……ぐうぅ!!」

 そのやや背後を掛ける戦士は、その瞬間を見届け、すぐさま盾を身体の前へと差し出す。

戦士「……ぐ……ぬああぁぁぁぁぁ!!」
683 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:34:38.93 ID:4KS5IRsjo
 ドッジュウウウウゥゥゥゥ!!

 更にすぐ傍へ控えていた鬼丸も、懸命に鬼の籠手を着用した両手を広げ、

 マーラの体より暴発された風林火山の威力を食い止めようと試みる。

鬼丸「……なんつぅ……重さああぁぁ!!」ズジュウウゥゥ

 最後方、西方参謀の作る炎の壁の両脇より、盗賊と青年兵が一気に走り出す。

青年兵「盗賊さんっ! ワイバーンを出します! それを盾に……走って下さい!」

盗賊「承知っ!!」ザッ

青年兵「出でよっ! ワイバーン!! サラマンダー!!」

 シュイイィィィィン

西方参謀「……い、っけええぇぇ!!」

青年兵「ワイバーン、頼むぞ!」

ワイバーン「おうっ!」

盗賊「……はあぁっ!」タァンッ!!

ワイバーン「グ……ヌヌウウゥゥ!!」

青年兵「すまない……っ、ワイバーン」
684 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:36:20.27 ID:4KS5IRsjo
 威力は落ちたとはいえ、怒涛の勢いで襲い掛かる風林火山。

 その攻撃にワイバーンの羽ばたきも止まり始める。

ワイバーン「ここまでが……限界かアァ!!」

盗賊「……雷遁奥義っ、迅雷いいぃぃ!!」

 チュインッ!! バッシュウウウウゥゥゥゥ!!

盗賊「おおおおぉぉぉぉーっ!!」

マーラ「――――ッ!?」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

盗賊「……が、ああぁぁ!!」ゴロゴロゴロッ

マーラ「ま、さか……こんなっ、制御……まさか……」

 ヨロヨロッ……ドッ

マーラ「お……オオおおああぁぁァァ!!」

戦士「ど……なった……?」

西方参謀「内部に蓄積した四行が放出されず、あばれてるのさ……」

盗賊「倒せ……たのか……?」
685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:37:19.64 ID:4KS5IRsjo
西方参謀「あと一撃……一撃ありゃ……」

青年兵「出来るはず、出来るはずだ……青年兵っ!」

戦士「……青年兵?」

青年兵「青龍先生の教えは……この刻の為にいいぃぃ!!」

 キュイイイイィィィィィン

風忍「な……んだ……っ?」

サラマンダー「……ヌッ!?」

青年兵「僕の全魔力よっ、もっとだ、もっと昂れええぇぇ!!」

サラマンダー「グ……ゴゴオオォォォォ!!」

鬼丸「ゴホゴホッ! な、何だってんだ……ッ?」

戦士「まさかアイツ、召喚――」

青年兵「出でよおおぉぉぉぉ!! 青龍ううううぅぅぅぅーっ!!」

 ゴシャアアァァァァ!! ドドオオオオォォォォン!!

マーラ「――ッ!!」

青龍「…………」
686 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/14(土) 23:39:43.98 ID:4KS5IRsjo
 シュウウゥゥゥゥ ゴゴゴゴゴゴ……

西方参謀「な、なんだこの召喚獣は……っ!!」

青龍「……」

 バスンッ!! 

マーラ「早――」

 ズッガオオオオォォォォン!!

マーラ「ごああぁぁぁぁーッ!!」

戦士「やった……っ!!」

 青年兵が召喚した青龍の一撃。それは今までの青龍召喚獣の中で最も早く、

 最も強く、最も美しくあり、魔王マーラの巨体を一瞬の内に叩き上げた。

 バッゴオオオオォォォォン!!

マーラ「はっ、反撃……間に合わ――」

 追い討ちの如く上空で何度も暴れまわる青龍。やがてマーラの体内が光り輝き、

 天井の岩に打ちつけられたと同時に、風林火山は内部より大きな爆発をみせた。

 マーラは声を発する間もなく爆発に巻き込まれ、激しい瓦礫と煙の中へと包まれた。
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 00:10:49.03 ID:Zhhd+crIO
うおおぉぉぉぉあぉぉ!!!!
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/15(日) 00:13:25.54 ID:80J442u3o
いかん、青年兵が一瞬カズマに見えた
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 00:22:55.48 ID:TIkfCC9SO
先生ぇぇぇ!青年兵君が禁忌犯してまぁぁぁあす!!
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/15(日) 00:41:34.67 ID:DBL7UE1W0
いちおつ
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/15(日) 02:12:32.81 ID:Y/z5NsrAO
>>1おつ
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/15(日) 03:21:11.99 ID:81aqi0zto
いちょつ
693 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 03:57:58.77 ID:sBmEUCaDO
いち
694 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 04:05:52.20 ID:QxshK33DO
熱い展開乙
695 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/15(日) 15:29:26.84 ID:hzc/YNLDo
>>671
見やすくなったありがとう
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:41:53.79 ID:A9SCtQD3o
〜北関〜

パリンッ!! ポタポタポタッ

青龍士官「……」

コンコン カチャッ

青龍兵「失礼し……青龍先生っ、拭く物をすぐにお持ち致します!」

青龍士官「いや大丈夫。衣類にはこぼれていない。それよりも謝っておいてくれ」

青龍兵「へ……っ?」

青龍士官「折角のアンティークが、真っ二つさ」プランプラン

青龍兵「か、かしこまりました……っ」

青龍士官「それで、何か動きがあったのか?」

青龍兵「え、ええっ! 北東の山岳地帯に魔王軍が出現致しました!」

青龍士官「よし、竜騎士隊出撃する。すぐに各員を正門前へ!」ガタッ

青龍兵「はっ!」

 タッタッタッタッタッ

青龍士官「……青年兵。何もなければ良いが」
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:42:24.66 ID:A9SCtQD3o
〜竜宮城、最深部〜

 ドドドドドドオオォォ……

東方参謀「随分と激しくなってきたな」

南方参謀「居たわよぉ!! こっちこっちぃ!!」

 タッタッタッ……ガチャガチャ

南方参謀「ここ見てっ! 大きな岩で塞がれてるけど隙間にほらっ!」

東方参謀「むっ! 確かに……」

 グラグラグラッ

東方参謀「しかし危ういな。上で行われている戦闘の衝撃で、岩場がいつ崩れてもおかしくない」

南方参謀「でも、早く助けないと手遅れに……」

東方参謀「分かっておる。お前は反対側から岩を押し上げえるのだ」

南方参謀「了解よっ!」タタッ

 ゴゴゴゴゴゴ……

南方参謀「な、何……? 何の音!?」

東方参謀「まずいっ!」
698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:42:58.18 ID:A9SCtQD3o
 ゴッシャアアァァァァ!! ズズウウウウゥゥゥゥン!!

南方参謀「きゃあぁーっ!」

東方参謀「ぬおおぉぉぉぉ!」

 ドドオオオオォォォォ……ゴトゴトッ

南方参謀「……うっ」

 パラッ

南方参謀「東方先生……っ?」

東方参謀「大事……ないか……っ?」

南方参謀「――!?」

東方参謀「なに、倒した傷ではない。それよりも見よ……っ」ゴトッ

南方参謀「あぁっ!!」

東方参謀「今の衝撃で、うまく隙間が出来てくれたわ……」ヨロッ

南方参謀「みんなぁーっ! 無事!? 無事なら返事してっ!」

格闘家「……南方……参謀さん」

南方参謀「格闘家くんっ!!」
699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:44:00.17 ID:A9SCtQD3o
 ゴトンッ!! ザザアアァァ……

南方参謀「ちょっと待ってね! 今、手を……」ググッ

格闘家「……んっ」

 グイイィッ……ドサッ

南方参謀「良かった! 怪我は? 他の人達は?」

格闘家「この、瓦礫の下に」

東方参謀「動けるならば、ワシの言う通りに岩をどけよ」

格闘家「東方先生……っ!? そ、その怪我は……」

南方参謀「急に降ってきた瓦礫の直撃を受けて……っ、先生が身を挺して……」

東方参謀「たまたま居合わせたまでの事よ。それよりも早くした方が良い」

格闘家「わ、分かりました……っ」

東方参謀「まずは、その手前の……うぅっ、岩を……どけよ」

格闘家「……はい」ガゴッ

東方参謀「良いぞ。次にこっちの岩……ごほっ、を……どけるのだ」

格闘家「は、はい……っ」ゴトンッ
700 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:44:39.44 ID:A9SCtQD3o


南方参謀「出られるーっ!?」

女隊員「なん……とか……っ!」ググッ

槍侶「格闘家殿、手を貸して頂けますか? 男隊員殿が……っ」

格闘家「はい。今、ロープを……」シュルッ

南方参謀「男隊員、酷いの?」

女隊員「一番前に居たから、直撃を受けたッスよ……」

槍侶「……くはぁ! はぁ……っ」ズザッ

東方参謀「……意識は?」

格闘家「男隊員さん、大丈夫ですか!?」

男隊員「……」

女隊員「意識はあるけど……」

南方参謀「ちょっと! しっかりなさいっ!」ユサユサッ

男隊員「……あ……あぁ」

東方参謀「……おい、隊長はどうした?」
701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:45:30.80 ID:A9SCtQD3o
男隊員「……」

女隊員「隊長は……隊長はその……っ」

格闘家「この岩の向こう側です。ですが……」

南方参謀「ですが……何よ? ねぇ、何なのよ!!」

格闘家「……恐らくはもう」

南方参謀「何言ってるのよ! あなた達の隊長でしょう!?」

女隊員「……っ」

南方参謀「隊長がねぇっ、そんな……あるわけないでしょうっ!」

男隊員「……っだよ」

南方参謀「何よ?」

男隊員「俺達の隊長だから……っ、分かって言ってんだろうが!!」

東方参謀「……」

男隊員「隊長はなぁ……隊長はなぁ! 死んだんだよ!」

南方参謀「……そんな……嘘よ……っ」ガクッ

格闘家「東方先生」
702 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:46:09.24 ID:A9SCtQD3o
東方参謀「ん?」

格闘家「この岩、破壊出来ないでしょうか」

東方参謀「……ふっ、隊長を助けるか?」

格闘家「諦めたらそこまでです。一縷の望みに掛けてみましょう」

女隊員「そうッスよ! それがいいッス!」

槍侶「しかし、この岩を砕くにはかなりの労力が……」

東方参謀「……仕方なし」スクッ

南方参謀「……?」

東方参謀「見ての通り、このザマよ。撃てるとしても1発げ限度」

格闘家「先生……」

東方参謀「構わぬ。お前らでは困難であろう」ズズッ

槍侶「ど、どうなさるのですか!?」

東方参謀「見ておれ、我が最終奥義……」

槍侶「!?」

南方参謀「東方参謀は戦う軍師と呼ばれているの。こう見えても武闘派よ」
703 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:46:47.62 ID:A9SCtQD3o
槍侶「な、何と……っ」

東方参謀「はああああぁぁぁぁ……っ」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

格闘家「す、凄いっ。先生の精神が一点の曇りもなく……」

東方参謀「明鏡止水の心構えよ。精神を統一し……集中力を限りなく限界まで高める」

 キイイィィィィン

東方参謀「ぬああああぁぁぁぁーっ!!」

 バッゴオオオオォォォォン!! ズガアアアアァァァァン!!

槍侶「お、おぉ……っ!!」

格闘家「凄まじい威力の掌底……っ」

東方参謀「……ごほっ! がはぁ!」ガクン

女隊員「東方先生っ!!」

東方参謀「ど、どうだ……っ」

 ガガアアァァァァ!! ドシャアアァァァァ……

南方参謀「お見事っ! 崩れたわ!」
704 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:47:39.29 ID:A9SCtQD3o
槍侶「……っ」ザッザッ

格闘家「……何も……ない」ザッザッ

東方参謀「やはり……駄目か……ごほっ」

 ドロォ

南方参謀「ん? 何これ……何か、流れ出してきているわよ?」

女隊員「!?」

男隊員「触れるな! 夜行の本体だ!」

東方参謀「何ぃ!?」

格闘家「まずいですね。この奥から、徐々に溢れ出してきていますよ」

東方参謀「早く退いた方が良さそうだな……ごほっ」

男隊員「こっちからも漏れてやがる。こりゃチンタラしてる場合じゃねぇぞ」

南方参謀「早く上へ戻りましょっ! 動ける人は、怪我人に手を貸してっ!」

格闘家「槍侶さん、俺らは東方先生を」

槍侶「御意に!」

南方参謀「アンタはこっち! 早くつかまって!」
705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:48:36.81 ID:A9SCtQD3o
 ガシッ タッタッタッタッタッ

槍侶「……脱出口は……どこです!?」

東方参謀「おかしい。確か、この辺りから上に……」

南方参謀「ちょっと見てっ!!」

格闘家「……塞がれてしまっている……っ!」

東方参謀「先程の衝撃で……何と言う事か……っ」

女隊員「他に道はないんスか!?」

格闘家「……見当たりません! くそっ、ここまで来て……」

槍侶「先程の、えぇと掌底では無理なのでしょうか?」

東方参謀「そうしたいのは山々だが、最早……撃つ気力は残されておらぬ……」

男隊員「ゲームオーバーってか……ふざけんなチクショウ!!」ガッ!!

格闘家「先生、俺に掌底を教えて貰えませんか?」

東方参謀「何……?」

格闘家「あの威力ならば、俺が未熟であったとしても、この岩を破壊するのも可能でしょう」

槍侶「それならば私とて、力になれるのであれば」
706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:49:22.78 ID:A9SCtQD3o
東方参謀「……ふふっ、ふはははっ! 実に頼もしい!」

格闘家「なれば……」

東方参謀「だが、残念でならぬ」

槍侶「……?」

東方参謀「あの奥義はな、ただの打撃に在らず。自身の魔力を込めて放っておるのだ」

格闘家「!?」

槍侶「そ、それでは……っ。我等には使う事は出来ぬと……?」

東方参謀「そういう事だ。これ程の者らが居ながら、実に残念な話よ」

格闘家「……っ」

槍侶「……その、魔力と申すもの、確か誰にでも持ち合わせていると」

南方参謀「ええ。一部の特殊な人間を除けばね」

槍侶「であれば、私にも……?」

男隊員「一朝一夕で身に付くモンじゃねぇ」

槍侶「そう……ですか」

格闘家「やるだけやってみましょう」
707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:50:00.24 ID:A9SCtQD3o
女隊員「格闘家くん……?」

格闘家「俺らはないのではなく、使えないだけです」

東方参謀「……」

格闘家「ならば、それを火や雷に変える事は出来ずとも、放出する事は出来るかもしれません」

南方参謀「確かにそうね。五行に絡めるのは難しいとしても……」

東方参謀「魔力のみを放出するには、不可能ではない……か」

格闘家「試す価値はあると思います」

槍侶「格闘家殿の申す通りかと」

東方参謀「……良かろう。ならば、やってみせい!」

格闘家「はい」

東方参謀「まずは明鏡止水の境地。心を落ち着かせ限りなく無に――」

 ピシイイイイィィィィン

格闘家「…………」

槍侶「…………」

東方参謀(こ、こやつら……っ!)
708 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:50:57.63 ID:A9SCtQD3o
女隊員「嘘……っ」

男隊員「気配すら感じねぇ……っ、なんつう奴らだ……!」

東方参謀「良いぞ。そのまま自身の、中心部を意識し、感じ取るのだ」

 イイイイィィィィ……

東方参謀「己の中に秘めたる魔力を水のように、溢れ出させるイメージを作り……」

格闘家「…………」

東方参謀「更にはそれを留め、全てを右手に集中させるのだ!」

槍侶「…………」カランッ

女隊員「ゾディアックが!」

東方参謀「良い。下手に魔力を加えて使用すれば、逆に命が危うい」

 ゴゴゴゴゴゴ……

男隊員「うお……っ、急に威圧が……こみ上げ……」

東方参謀「良いかっ! それを全て掌に……ごほごほっ」

格闘家「…………っ」

東方参謀「乱れるな! 自分自身にのみ集中せいっ!」
709 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 18:52:01.79 ID:A9SCtQD3o
 ゴゴゴゴゴゴゴゴ

東方参謀「目を開くと同時に、目の前へ一気に掌底を突き出すのだ!」

格闘家「……はああああぁぁぁぁ」

槍侶「流派……東方参謀が最終奥義……」

 ピッキイイイイィィィィン!!

格闘家「眼前の石を破り……その道を切り開けええぇぇ!!」

槍侶「驚天動地のその威力っ!! この……拳にいいぃぃ!!」

 ガッカアアアアァァァァ!!

女隊員「きゃあぁーっ!!」

男隊員「くあぁ……っ! 光……っが――」

 ドッグオオオオォォォォン!!

東方参謀「ま、まさか……これ程の威力とは……っ!!」

南方参謀「伏せてええぇぇ!!」ガバッ!!

 格闘家と槍侶の放つ掌底は、眩い光となりて、行く手を塞ぐ岩石を吹き飛ばす。

 その威力、まさに天をも驚かす程の凄まじいものであった。
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 19:07:40.28 ID:39Hb5M4DO
ダークネスフィンガァァァァアッ!
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/15(日) 19:16:23.04 ID:80J442u3o
格闘家と槍侶で放つラブラブ天きょ…
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 19:45:47.81 ID:0onsqz9t0
>>1おつんつん

強力プレイって、、、、、素敵やん?
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 19:56:12.18 ID:PIYGjSuJo
格闘家は使えないのではなく、ないんじゃなかったっけ?
眠ってただけなのかな?
でも魔翌力使えるようになっちゃうと特別な駒としての価値が下がっちゃうね
714 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/15(日) 20:48:36.91 ID:Y/z5NsrAO
>>1おつ
715 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県) [sage]:2012/01/15(日) 21:11:04.83 ID:JNW8YkrYo
石!
716 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 21:43:00.11 ID:X5RaHXCIO
物語終盤になると攻撃翌力上げて無属性打撃を連打するのが一番効率良くなるってのは、RPGの鉄板ではあるな。
717 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/15(日) 21:45:25.43 ID:80J442u3o
レベル上げて物理?
718 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/15(日) 22:16:48.10 ID:jl7GXLaTo
>>1

ドラクエ3でも格闘家は贔屓して使ってたな
719 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/15(日) 22:28:57.07 ID:QxshK33DO
>>1乙っす
>>711
俺も同じこと考えた
720 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 23:36:10.32 ID:A9SCtQD3o
〜剣聖の屋敷〜

 ドッガアアァァァァン!!

サル「おわっち!!」ゴロゴロッ

イヌ「何してるね! 早くこっち来るね!」

女侍「しっかしこの魔物は、とんでもあい絶倫だねぇ」

帝「何だそれは?」

名代「上様は存じ上げずとも結構っ!」ズザッ

神野「さぁ、諦めなさい!!」

東方司令「させるかっ!」ズザァ!!

神野「しつこいですよ貴方は!!」

 バッギャアアァァ!!

魔道士「東方司令さんっ!」

東方司令「力負けするとは……っ。まずいな」

召喚士「東方司令さんが押された……?」

東方司令「いかに奴の能力が効かぬとて、体力にも限りがある」
721 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 23:37:04.05 ID:A9SCtQD3o
神野「よく分かっているじゃあないですかぁ!」

 ガキイイィィィィン!!

神野「生憎、此方は皆々様のお陰で、回復出来ましたからねぇ!!」

東方司令「やかましいっ!!」

召喚士「行けっ! ノーム!!」

 シュイイィィィィン

神野「ヒャーッハッハッハ!! 無駄無駄アァ!!」

 ズガアアァァァァン!!

ノーム「最初から老人だからと、こういう使い方はどうかと思うぞお主」

召喚士「すみません……」

神野「くっ! なめた真似をしてくれる! 遊んでいる暇はないのだっ!」

東方司令「それはこちらとて同じ事だ!」

 ザシュウウゥゥゥゥ!! ズザザアアァァ

神野「……ちっ」グイッ

召喚士「……ん?」
722 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/15(日) 23:38:20.45 ID:A9SCtQD3o
 トテトテトテ……

座敷童子「ようっ!」

召喚士「座敷……?」クルッ!!

名代「……っ」

召喚士「……なるほどっ」

座敷童子「やれやれ。大きな大きな虎じゃのぅ」

神野「何だ君は? 見慣れぬ妖だな」

座敷童子「おっ? 私の事を知らないとは無礼な奴じゃなっ! ぷんすか!」

神野「ククッ。よく分かりませんが、消えなさい!」

 ガシィッ!!

座敷童子「むうぅーっ!!」ジタバタッ

神野「クククッ……ん?」

 バシュッ!!ボウウウウゥゥゥゥン!!

神野「消え……何いぃ!?」

名代「ようやく虎穴に入る事が……叶いましたね」
723 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/15(日) 23:43:58.79 ID:A9SCtQD3o
眠くて頭が働かなくなってるよ!ごめんなさいだよ!
今日はこれにて失礼致しますね。おやすみなさいです!
週末もアツイご支援ありがとうございました!それでは!ノシ

〜オマケ。本日の没シーン〜

神野「ククッ。よく分かりませんが、消えなさい!」

 ガシィッ!!

座敷童子「むうぅーっ!!」ジタバタッ

神野「クククッ……ん?」

 バシュッ!!ボウウウウゥゥゥゥン!!

座敷童子「あら〜ん。大人になっちゃったぁ」ムチーン

サル「うおおぉぉ! 色っぺぇ!」

東方司令「ブーッ!!」バターン!!

座敷童子「いやぁ〜ん! 服が小さくって……はみ出ちゃってるぅ〜ん」クネクネ

神野「む、無念……だが、ワイは幸せやぁ……」ドカーン!!

魔道士「やった! 魔物を倒し……召喚士さんっ!?」

召喚士「……あ、ああ……ああぁぁ」ガクガク

神野悪五郎は倒した! しかし一同にも甚大な被害が及んだのであった。

〜第五十六部、完了〜
724 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/15(日) 23:48:37.95 ID:08m8iNUGo
おい................... おい!ww

1乙

725 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/16(月) 00:08:04.55 ID:29bZK9N7o
あ…
鼻血が…
      ポテリン
726 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/16(月) 02:37:21.37 ID:Hi/qw7NZ0
格闘家と槍侶あついなww
727 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 05:04:54.52 ID:4+qMSmkK0
終わった。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。?

>>1おつんつん
728 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/16(月) 07:49:16.09 ID:X1ITEiKzo
こりゃひどい
729 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/16(月) 08:46:22.21 ID:Y7bk54PAO
相変わらずの大量投下>>1乙んつん ほとんど全裸の座敷童子を想像しパンツを下ろす私をお許し下さい
730 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:34:18.65 ID:E+BxmQ7ko
 ゴゴゴゴゴゴ……

神野「なぁにいいぃぃ!?」

名代「ようやく、一撃を叩き込めますね」

神野(居なかったッ、確かに居なかったはずだ……ッ!!」

名代「毘沙門天!!」

神野「そうかっ、さっきの妖が――」

 バッゴオオオオォォォォォン!!

神野「グブ……ッ!」

 毘沙門天の斬り上げにより上空へ吹き飛ばされる神野悪五郎。

 座敷童子の能力は使役した者との場所を入れ替える。ただそれだけのもの。

 だが、初見で味わえば理解する事は安易ではない挙句、懐に潜り込ませれば、

 今回のように奇襲を仕掛ける事も可能であった。そして、その攻撃を起点に攻撃は続く。

イヌ「ようやく……こっちのターンね!」

サル「いんや、こっからはずーっと俺達のターンだ!」

 打ち上げられた神野悪五郎めがけ、サルとイヌが襲い掛かった。
731 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:35:05.83 ID:E+BxmQ7ko
 バッゴオオォォォォン!!

女剣士「次いぃ!!」

くの一「てやああぁぁーっ!」シュババッ!!

神野「こ……のっ!!」

キジ「受け身は、とらせないさー!」

女剣士「ふんっ!」

 ザシュウウゥゥ!! ガゴオオォォン!!

東方司令「まだまだっ!」

帝「はあぁーっ!」

 ズバシュウウゥゥゥゥ!!

神野「グゴッ……ガフッ!」

 空中での連続攻撃にかろうじて耐え、神野悪五郎は着地で受け身を試みる。

神野「――ッ!?」

魔道士「やああぁぁーっ!!」

 ドッゴオオオオォォォォン!!
732 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:35:32.59 ID:E+BxmQ7ko
 魔道士の放つ土柱が神野悪五郎の腹部を直撃し、体は再び空中へと押し上げられた。

神野「ゴハアアァァーッ!!」

召喚士「……とどめだっ!!」

神野「チイイィィィィ!!」

 避けなければ少なくとも虎の状態での戦闘は敗北。頭ではそう分かっていても、

 強制的に吹き飛ばされた体では、目の前の召喚獣に対応する事は不可能であった。

コカトリス「触れなければ、貴様なぞただの的にすぎぬな」

 ゴッガアアアアァァァァ!! ビキビキピシイイィィ!!

神野「……ククッ、次……行きましょうか」

 ガゴッ……ビキビキビキイイィィ

 巨大な1つの岩石となった神野悪五郎は、そのまま地上へと落下する。

 ドッズウウゥゥゥゥン!!

サル「た、倒したのか……っ?」

名代「いえ、そうは思えません。あと二つ……変身を残していると思われます」

召喚士「……大丈夫ですよ。あと、たったの2つです」
733 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:36:01.06 ID:E+BxmQ7ko
〜竜宮城、地下〜

戦士「……う……ぅっ」

青年兵「…………」

西方参謀「青……年兵……!?」ヨロッ

風忍「大事ないか?」

西方参謀「……気を失っているだけみたいだな」

火忍「魔王はどうなった?」

土忍「分からぬ。姿は……ない」

盗賊「……っ」ゴトッ

兄様「無事か?」

盗賊「――っ!!」

水忍「若……っ、左腕を……!」

兄様「気にするな。この身も所詮は複製。消滅すれば次があるだけの事よ」

盗賊「……っ」ギリッ

兄様「それよりも、全員……健在だな?」
734 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:36:31.42 ID:E+BxmQ7ko
風忍「かろうじて、ですが」

火忍「鬼丸がいねぇぞ?」

鬼丸「おおーい、ここだここ!」

水忍「あんな所まで吹き飛ばされていたか」ザッザッザッ

西方参謀「青年兵と戦士は意識を失っているだけだ。じきに回復するだろう」

盗賊「戦士……っ」

兄様「意識が戻るまで、傍に居てやるといい」

盗賊「……はいっ」ダッ

火忍「はぁ〜あ。これで終わりなら、いいんだけどなぁ――」

 ドッゴオオオオォォォォン!!

火忍「…………へっ?」クルッ

――「ブフウウゥゥゥゥ……フゴオオォォォォ!!」

火忍「――!?」

水忍「な、何だこの……大蝦蟇はっ!!」

兄様「まさか……マーラか?」
735 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:36:58.52 ID:E+BxmQ7ko
 ドッシイイイイィィィィン

マーラ「……よぐも……よぐもやっでぐれたなああァァ!!」

 ビリビリビリッ!!

西方参謀「へっ、オカマの正体は大蝦蟇だったってか? ヒック」

マーラ「……ごの……醜い姿にいいぃぃ……醜い姿を見ぜられるとばアアァァ!!」ドシィン!!

風忍「倒せる、倒せるぞ!」

鬼丸「ん? 大蝦蟇だったのか。魔王とは出世したもんだわなぁ」

マーラ「絶対にイイィィ……許さないわよオオォォ!!」

兄様「満身創痍で何を言うか。優劣ひっくり返ったな」

水忍「若、一気に畳み掛けましょう」

火忍「ああ。今なら間違いなく倒せる!」グイッ

兄様「良し。風林火山……まだいけるな?」

土忍「あと一発ならば、全開で放てます」

兄様「風林火山の直後、残りの者で全力を叩き込め!」

盗賊「……り、了解っ!」
736 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:37:28.84 ID:E+BxmQ7ko
 ジャリッ

風忍「……いくぞっ! 風遁最終奥義……」

マーラ「ヤタガラスウウウウゥゥゥゥ!!」

ヤタガラス「はいぃ!!」ビクッ!!

鬼丸「……?」

マーラ「よぐも……よくもオオォォォォ!!」

ヤタガラス「へ、へいっ! 魔羅様――」

 バクンッ!!

盗賊「!?」

 モシャモシャモシャッ ゴクンッ!!

マーラ「ゲハアアアアァァァァ! 皆殺しだアアァァァァ!!」

 グググッ……ブッシュウウウウゥゥゥゥ!!

水忍「魔王の体が……っ!!」

兄様「まさか……っ!? ちいぃーっ!!」ダンッ!!

 バッゴオオオオォォォォン!!
737 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:38:03.37 ID:E+BxmQ7ko
盗賊「兄様あぁ―っ!!」

兄様「……間に……合わなかったか……っ」ゴシャッ

マーラ「……ククッ、ほっほっほっほっほ!!」スタッ

風忍「――――っ!?」

マーラ「そう、アタシはこの姿でなくば。美しい……この世で最も美しいのだ」

盗賊「あ……あぁ……っ」

西方参謀「元通り……っかよ。くそっ、あのカラスは予備の餌ってわけか」

火忍「どうすんだよっ!!」

風忍「若……っ」グイッ

兄様「俺に構うな……っ、魔王を……」グググッ

マーラ「雌雄の境なく、誰もが羨むその美、力、命」

盗賊「……っ」

マーラ「女一人。なかなか整った顔立ちよのぉ」フワァ

盗賊「く……っ!」ズザッ

火忍「姫えぇ! 逃げろぉーっ!」
738 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:39:02.70 ID:E+BxmQ7ko
盗賊「戦士を置いては……行けぬっ!」

マーラ「男衆は此れより、我が力を以って……色欲の煩悩へと堕としてやるわ」

兄様「盗賊……っ」

マーラ「女は……死んで頂戴」

兄様「盗賊を守れええぇぇ!!」

火忍「何が何でもだ! 姫を……死なせるかよぉ!」

風忍「火! 俺と奥義だ!」

火忍「何!?」

土忍「土遁……磐石!」

 ドドオオォォォォン!! ゴガガアアァァァァ!!

マーラ「最早、この程度しか出来ぬのか? ほーっほっほっほ!!」バシィ!!

水忍「姫えぇーっ!」

火忍「――――」

風忍「風月!!」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ……
739 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:39:28.93 ID:E+BxmQ7ko
戦士「……ん……っ」

 ポタッ……ポタポタポタッ

戦士「……?」ガバッ!!

盗賊「あ……っ」

 ドサッ

戦士「盗……賊……?」

マーラ「ほっほっほ。呆気無かったわねぇ」

戦士「盗賊……おい、盗賊……返事しろよ……っ」ユサユサッ

盗賊「…………」ピクンッ

 瞳孔を見開いたまま、首筋より大量の血を地面へと垂らす盗賊の姿。

 戦士は肩を起こし、懸命に声を掛けるが、盗賊が返事をする事はない。

戦士「盗賊っ、盗賊!!」

盗賊「…………」

 ただただ流れる赤い血とは裏腹に、盗賊の頬は次第に冷たさを増してゆく。

 そして微かに震えていたその身体も動きを止め、戦士の腕に抱かれたまま動かなくなった。
740 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:39:59.53 ID:E+BxmQ7ko
〜本国、酒場〜

 ガヤガヤガヤッ キィッ

ワーカー「……おい、見ろよ」

モヒカン「ヒューッ! 姉ちゃん、色っぽいねぇ。男漁りかい?」

ワーカー「ギャッハハハハハ!!」

 コツコツコツ…カツ

天才「……こんな所に何の様だよ」グビッ

占い師「……大して飲めもしないくせに」

天才「ハーッハッハッハ! いいじゃねぇか。どうせもうじき飲めなくなるんだ」

占い師「……」

天才「今のうちに飲めるだけ飲んで、冥土の土産にしときゃいいってもんだ」

占い師「あ……のさ……っ」

天才「盗賊か? まぁ座れよ」スッ

占い師「……」ストン

天才「お前も予言、見たんだろ?」
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:40:27.82 ID:E+BxmQ7ko
占い師「……」

天才「盗賊は死なねぇよ」

占い師「……は、ってどういう事よ」

天才「盗賊は死なねーけど、他の奴は死ぬってこった」グビッ

占い師「分かってて……送り出したの!?」

天才「どうにもならねー事もある。それに――」

 バシッ!!

占い師「……っ」

天才「……」

 占い師の平手打ちで酒場が一瞬で静まり、倒れた酒瓶から零れる酒の落ちる音だけが響き渡る。

モヒカン「……ごくっ」

天才「いってーな。落ち着けよ」

占い師「落ち着いていられるわけないでしょうっ!」

天才「落ち着けって言ってんだろうが!」ドンッ!!

占い師「……っ」
742 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:40:58.33 ID:E+BxmQ7ko
 天才がテーブルへ拳を打ちつけると、酒場はまたしても静寂と化した。

マスター「……っ」

天才「何見てんだよ」

ワーカー「!?」

モヒカン「マ、マスター! バーボンがねぇぞおら!」

マスター「こっ、このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい」

天才「確かにお前の言いたい事も分かる。だが、手遅れだった」

占い師「……手遅れ?」

天才「ああ。既に死んでたんだよ」

占い師「どういう意味よ!? 既に……死ん……」

天才「隊長だよ」

占い師「……えっ?」

天才「あのヤローは、イブリース戦で既に、死んでたんだよ」

占い師「嘘……っ」

天才「俺様が自分で確認した。いや、触れたら知っちまったってとこか」
743 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:41:31.97 ID:E+BxmQ7ko
占い師「じゃあ……隊長は……」

天才「ネクロマンサーの人形と化してた。だがどういう事か、自分の意思を保ってた」

占い師「そんな事、あるわけ?」

天才「知るか。実際そうだったんだからそうなんだろうよ」グビッ

占い師「じゃあ隊長は……今度の戦いで……」

天才「死ぬつもりだろうな。自分が気付いちまったらな」

占い師「言わなかったの?」

天才「言えばあいつの性格上、その場で命を絶つだろうな」

占い師「敵に操られるくらいなら……死を……」

天才「そういうこった。アイツはそういう男だ」グビグビッ

占い師「盗賊ちゃんの予言は、運命なのよね?」

天才「宿命じゃねぇのは確かだが、運命とも限らん」

占い師「……?」

天才「そういうビジョンが見えただけだろ? 本人かも分からんだろ」

占い師「そ、そっか……! 盗賊ちゃんの姿をした何かや、幻術って事もあるわね……っ」
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:42:07.60 ID:E+BxmQ7ko
〜竜宮城、地下〜

戦士「許……さねぇ」

 ゴゴゴゴゴゴ……

マーラ「――ッ!?」

戦士「てめぇだけは絶対に……許さねぇ」ザッザッ

マーラ「な、何なのこれ……ッ、このアタシが……気圧されているとでも言うの……ッ!?」

戦士「……」

 バチッ!! バチチチチッ!! ズゴアアアアァァァァ!!

鬼丸「相棒!!」

西方参謀「何つう雷の量だ……っ! アイツ、まだあんなに余力があったのか……?」

兄様「生命力だ。己の命を燃やしている。あれは……危険だぞ!」

青年兵「…………ん」パチッ

 ガバッ!!

青年兵「い、一体……何が……っ」

マーラ「……クッ! 人間の分際で魔王であるこのアタシを……アタシを……ッ」
745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:42:34.24 ID:E+BxmQ7ko
戦士「俺の命がどうなろうと関係ねぇ。てめぇだけは……ぶっ殺す!!」

マーラ「なめるな人間風情イイィィィィ!!」

戦士「がああぁぁぁぁーっ!!」

 チュインッ!!

マーラ「――!?」

火忍「消え……違うっ! 早い!」クルッ

風忍「まさか我らの動体視力を上回るとでも言うのか……っ」

 ズガッシュウウウウゥゥゥゥ!!

マーラ「ヌグウウゥゥゥゥーッ!!」

戦士「っりゃああああぁぁぁぁ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!!

土忍「ま、魔王を……ふっ飛ばした……っ」

 スタッ

戦士「はぁ、はぁ……はぁ……はぁ……っ」

兄様「たわけがっ!!」バシッ!!
746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:43:38.03 ID:E+BxmQ7ko
戦士「……はぁ、はぁっ」

兄様「死ぬつもりかっ!」

戦士「……もう……いんだよ」

兄様「よく見てみろ」

戦士「……?」

 ブンッ!! サアアァァァァ…

兄様「盗賊は死んでなどおらぬ。安心しろ」

戦士「盗……賊……?」

盗賊「い、一体……何が起きて……」

風忍「間一髪だったな」スタッ

火忍「おう。ほんと、てめぇとの合体奥義は役立たずだとばかり思ってたんだけどなぁ」

兄様「奥義、花鳥風月。幻術の一種だ」

盗賊「あ……っ、雷の時使った……」

風忍「そういう事です。奴にもうまく嵌ってくれたようですしね」

 チラッ
747 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:44:06.58 ID:E+BxmQ7ko
水忍「何ぃ!? い、居ない!!」

土忍「上だあぁ!!」

 ズッガアアアアァァァァン!!

盗賊「くうぅっ!」ゴロゴロッ

戦士「ぐはぁ!」ドシャッ

マーラ「ビックリさせやがって……クッ」

火忍「姫……は?」

鬼丸「相棒が身を挺して守ったぜ、ほれ」

兄様「流石は魔王か。無尽蔵ではないにせよ、どれ程までか底が見えぬわ」

マーラ「アンタ達こそ頑張ったじゃない」

風忍「まだ、これからよ」チャキッ

マーラ「いーえ。もういいわ。何だか色々と面倒になっちゃったもの」

西方参謀「何か……企んでいるぞ!」

マーラ「どうせ龍脈もないんだし、こんな地……不要よねぇ」ニタァ

兄様「……貴様っ!!」
748 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:44:33.60 ID:E+BxmQ7ko
マーラ「悉くを消し飛ばしてやるわ。大地も山も緑も、そして……人間もねぇ」

鬼丸「させるかよこの大蝦蟇ヤロー」

マーラ「ほっほっほ。下等な妖に口出しされる覚えはないわ」

鬼丸「下等はてめぇだろうが、蛙程度が図に乗るんじゃねぇぞ」

マーラ「……癇に障るわね。まずはアンタから始末してあげるわ」

鬼丸「出来るもんならやってみろや!」ズゴゴゴゴゴ

マーラ「!?」

鬼丸「どうしたよ魔羅サン。始末すんじゃなかったのかい?」

火忍「鬼丸の様子……おかしくねぇか?」

西方参謀「そういやさっき壁に打ち付けられた時から、蝦蟇がどうのとか、出世どうのって言ってたな」

鬼丸「来ねーのか? 来ねーならコッチから行くぞ?」タンッ!!

マーラ「生意気なああぁぁぁぁ――」

 メシャッ!! ドッゴオオォォォォン!!

マーラ「……?」

鬼丸「おおおおぉぉぉぉ!!」
749 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:45:14.25 ID:E+BxmQ7ko
 ズガガガガガッ!! ドドドドドドッ!!

マーラ「バ……馬鹿な……ぐぶぅ! こ、こんな……ごふぉ!!」

鬼丸「ハッ! さっきまで梃子摺ってたのが嘘みたいだな」ズガガガッ!!

マーラ「図に……乗るなアアァァ!!」

鬼丸「おっと」ヒョイッ

戦士「鬼丸……なのか……?」ヨロッ

盗賊「強い……っ」

鬼丸「このまま攻撃し続けてりゃあ、そのうち死にそうだわな。グワハハハハッ!!」

マーラ「……何なのだっ、何なのだ貴様等はああぁぁ!!」

 ゴアッ!! ドドオオオオォォォォン!!

土忍「巨大化したっ!」

火忍「デカけりゃいいってもんじゃねぇぞ!」

風忍「若、ここは今のうちに、一気に片を」

兄様「いや待て。何か……おかしい」

西方参謀「……?」
750 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:45:47.05 ID:E+BxmQ7ko
 ブオオオオォォォォ……

鬼丸「グワーッハッハ! 蝦蟇みてぇに大きく膨れてやがる」

マーラ「ほっほっほ……グフフッ、グフッ!」

盗賊「妙だ」

戦士「な、何をするつもりだ……?」

マーラ「アタシがこの美しい姿を捨てるのだ。光栄に思うが良いわっ!」

火忍「またバケモノガエルになるつもりか?」

 ヒュンッ!! ザシュウウゥゥ

火忍「な……にぃ……っ!?」ドサッ

マーラ「あらゴメンナサイ。舌が伸びすぎて、刺さっちゃったわ」

水忍「火っ! 馬鹿者めが……っ」グイッ

マーラ「さぁ、今度こそ正真正銘……本気よおおぉぉぉぉ!!」

 ドガガアアァァァァ!! ズッズウウゥゥゥゥン!!

盗賊「こ……れがっ、真なる魔王ーラの姿……っ」

マーラ「グッフウウゥゥゥゥ……ハアアァァァァ!!」
751 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:46:13.62 ID:E+BxmQ7ko
〜剣聖の屋敷〜

 ピシッ……ピキッ……ビシイイィィ!!

東方司令「来るぞっ!」

 バゴオオオオォォォォン!!

神野「……フウウゥゥ」

サル「お次は牛かいっ」

神野「猪や虎のようにいくと思ったら大間違いですよぉ!!」

 ゴガァ!!

東方司令「力が増している……くうぅっ!」ズザザザッ

神野「そらそらそらあぁ!! 吹き飛べえぇ!!」

東方司令「ぐはあっ!!」ドシャア

召喚士「東方司令さん……っ」

女剣士「お姉様ばかりに、戦わせるわけには参りませぬ!」ザッ

東方司令「……どけっ」ググッ

女剣士「お姉様……!?」
752 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:46:39.78 ID:E+BxmQ7ko
東方司令「これはボクにしか出来ない事なんだ。いいから、退がっていろ」ヨロッ

女剣士「……っ」

東方司令「この後、奴のトドメを刺す時まで……力を温存しておくんだ」

神野「この後? 笑わせますねぇ。この後など……ないっ!!」

東方司令「どけっ!」ドンッ!!

女剣士「お姉様っ!!」

神野「ヒャーッハッハッハ! 仲間を庇って盾となるっ! 実に愉快っ、滑稽っ!」

 ドッガアアァァァァ!!

東方司令「……が……ごほごほっ!!」ポタタッ

魔道士「召喚士さんっ! ここままでは……っ」

召喚士「……分かっていますっ!」ズザッ

東方司令「……? 何の真似だ……っ」

召喚士「ダメージが大きすぎます。いかに老化しないと言えど死んでしまっては意味がありません」

東方司令「……ふっ。ボクがこの程度で死ぬ? それこそ笑い話さ」フラッ

 ガシッ
753 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:47:09.37 ID:E+BxmQ7ko
東方司令「……?」

くの一「大丈夫……ですか?」グイッ

女剣士「お姉様、あなたは1一人ではありません」

魔道士「そうですっ! 私達だっているんですから……っ!」ズイッ

帝「ここまでの戦いぶり、誠に感謝すると共に、天晴れ也」

名代「全員で当たれば、多少のものは押しきれるやもしれませんね」

女侍「へぇ、理詰めかと思ったけどさ、博打的なとこもあるじゃない」

キジ「やれやれ。いっその事、お前が赤いジャケットで囮になるさー」

イヌ「おっ、それ名案ね!」パチパチパチッ

サル「闘牛じゃねぇんだぞ! アホな事言ってんじゃねぇ!」

神野「……宜しい。ならば総力戦といきましょうか」

召喚士「……行けっ! クジャタ!!」

 ズッシイイイイィィィィン!!

神野「其方も牛の化物ですか。わざわざご苦労な事です」

召喚士「さぁ、かかって来い!! シンノアクゴロウ!!」
754 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:47:41.65 ID:E+BxmQ7ko
……――

 タッタッタッタッタッ

妹『兄さんっ! 今日もボクと剣の稽古しよっ!』

兄『ははっ。そうしたいのは山々だけど、お前は俺よりも遥かに強くなってしまったからなぁ』

妹『え〜っ? でもボク……稽古したいよぉ!』

兄『そんなに強くなって、どうするんだ?』

妹『決まってる! ボク達のお父さんとお母さんを奪った魔物を……倒すんだ!』

兄『剣を振るうだけが戦いじゃないぞ?』

妹『兄さんはいっつもそうやって勉強ばっかり。つまんない』

兄『仕方ないなぁ……。それじゃ、この前の人の所で世話になるかい?』

妹『さんせいっ! だってあの人、すっごく強いから、ボクでも勝てないくらい強いからねっ!』

兄『そうなると必然的に僕も弟子になる事に……はぁ』

妹『何か言ったぁ?』

兄『いーや。何でもないよ、東方司令っ』

妹『ぬへへぇ〜っ! いつもありがとっ、北方司令兄さんっ!』
755 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:48:08.66 ID:E+BxmQ7ko
――……

 いつの頃か不老となり、容姿は変わる事無く、少女のままとなっていた。

 それでも国軍へ入隊し、剣を振るい、自身を奮い、お師匠の下、司令にまで上りつめた。

 私生活では人間からバケモノ扱い。戦場では魔物からバケモノ扱い。

 別にそれは慣れてしまえば、苦でも何でもなくなった。

 強くなって戦って、生き延びて。その度にバケモノの数は増えていった。

 反面、周りから人間は次第に減っていった。残ったのは気心知れた一部の者と兄さん。

 そして兄さんも北で死んだ。最後まで戦場で、不得手な武器を振るいながら戦って死んだ。

 僕は一人になった。眠れない。母の暖かな温もりが欲しい。誰かを……愛したい。

 でも失う事が怖かった。人を愛する、慕うなど無用だった。そう言い聞かせ続けた。

 でも、違ったんだな。気が付けば……ほら、こんなに。

東方司令「…………」

女剣士「お姉様を……守るっ!!」

召喚士「魔道士さんっ! 風を……お願いします!」

魔道士「はいいっ!!」
756 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:48:36.98 ID:E+BxmQ7ko
帝「どうした? 痛みが増すか……?」ズイッ

東方司令「――っ!!」ビクッ

帝「……?」

東方司令「い、いえっ! 大丈夫……っ」

名代「一先ず後方へ。我らが何とか、触れずに食い止めてみせまする!」

キジ「風ならこっちも手伝うさー!」

召喚士「クジャタ! もっと……もっとだぁ!!」

クジャタ「オオオオォォォォ!!」

名代「天狗っ!!」ボウンッ!!

天狗「ハアァーッ!」ゴアッ!!

神野「さぁさぁさぁさぁさぁーっ!! まだまだいきますよおおぉぉ!!」ドゴォ!!

サル「この風量で止まらねぇのかよ……っ!」

イヌ「何か手はないね!?」

召喚士「……よし、あの手でいきましょうか!」

女侍「アンタに任せるよ。何なりと言っとくれ!」
757 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/16(月) 17:49:18.54 ID:E+BxmQ7ko
 ゴッガアアアアァァァァ!!

魔道士「はああぁぁーっ!!」

 ドッゴオオオオォォォォン!! ゴガガガガアアァァ!!

神野「ヒャーッハッハッハッハ! どこへ撃っておるかぁ!」

魔道士「う、うるさいっ!」

帝「ほぉ、魔道士も怒るのだな。初めて見たぞ」マジマジ

魔道士「……っ」カァーッ

女剣士「スタンバイ完了だ。あとは……」

くの一「導く……のみ」ジャキッ

召喚士「ただ、最後の決め手が……」

 ザッザッザッ グイッ

召喚士「……東方司令さん?」

東方司令「ボクが行く」

召喚士「し、しかし……っ!」

東方司令「ボクはもう1人じゃない。それが分かっただけでも十分。悔いはないよ」ザッザッ
758 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/16(月) 17:53:46.08 ID:E+BxmQ7ko
それではここまでにて残業してきます!
ご支援ありがとうございます!そいでは!ノシ
759 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 18:09:17.34 ID:gCgajd8Ao
>>1乙!
北方司令にそんな過去が・・・
760 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/16(月) 19:40:05.77 ID:vq8auz9To
>>1おつぬへへぇ〜っ!
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 19:40:17.60 ID:wBABAIKDO
おつんぽ司令!
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 19:43:48.07 ID:/ICufOxDO
>>1乙!
戦士が主人公すぎてわろたww
東方司令の台詞…もう何も怖くない状態だけど大丈夫だよ…ね?
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 20:11:59.03 ID:vpVtIxADO
>>1

続きが気になって寝れん
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/16(月) 20:22:45.85 ID:fE5r3a9X0
いちおつ
北方司令と東方司令は兄妹だったのか
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/16(月) 20:51:22.80 ID:n/RJemkDO
このタイミングで回想はやばい
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/16(月) 21:18:28.90 ID:kjo6KdTAO
やべぇ…
>>1
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 00:11:11.93 ID:ULcEs6vIO
大丈夫!俺たちにはネクロマンサーさんがいるじゃないか!死んでも大丈夫!
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/17(火) 01:09:29.59 ID:de3rRaLAO
それだけは勘弁を!

…にしても、東方司令のフラグが怖い。
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/17(火) 02:21:29.09 ID:C1hw8aFAO
>>1おつ

盗賊をマジで死ぬルートにしたのかと思ってハラハラだわ、東方司令の回想やら、鬼丸にもなんかありそうだしかなり激動な展開
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 03:06:30.60 ID:08a5wSkg0
>>1おつんつん

この小説の主人公はせんs、、、、おっと誰か来たようだ
771 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/17(火) 07:56:22.88 ID:THZUm4g6o
小説はねーよ
772 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 12:52:37.90 ID:JGtntggIO
小説ではないな
773 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 12:54:58.76 ID:bPgjYAuIO
>>770
おいお前
この板の名前を言ってみろ
774 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県) [sage]:2012/01/17(火) 12:55:54.91 ID:H+goc8lWo
>>1おつ

もはやここまでくるとショートストーリーでもない気がするな
775 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/01/17(火) 14:57:19.02 ID:OGDkcxXoo
すくなくともショートではないな
776 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 15:04:11.69 ID:aKlQmAqIO
ロングストーリーもしくはただのストーリーか
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage saga]:2012/01/17(火) 17:08:05.95 ID:dvEHv4bho
素直に長編って言えよwww
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/17(火) 17:27:14.94 ID:ts5fT7Syo
あぁ、ネズミのシッポtailのように長い話taleさ。
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2012/01/17(火) 17:43:45.32 ID:AdQVfyvAO
ω・)
780 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 17:58:13.57 ID:iLT0s0ijo
召喚士「東方……司令さん……?」

東方司令「大丈夫。ボクは死なない。いや、こんな所では死ねないよ」

 ザッザッザッ

神野「こんな所、か。なめるなよ……神野悪五郎様をっ!!」

 ドッギャアアァァァァ!!

女侍「来たよっ!」

召喚士「クジャタ!!」

 ゴッゴオオオオォォォォ!!

神野「この程度の風で……押し返せると思うてかああぁぁ!!」

召喚士「援護……っ、お願いします!」

魔道士「撃ちますっ!!」

キジ「いくさー!」

 ドッドオオオオォォォォン!!

 クジャタ、天狗、魔道士、キジの風が1つとなり、神野悪五郎の突進を食い止める。

 攻防は均衡状態となり、共に決め手を欠く、真っ向からの消耗戦へと相成った。
781 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 17:58:50.42 ID:iLT0s0ijo
 ズゴゴゴゴゴゴ……

神野「……さぁ、耐え切れるかアアァァ!?」

召喚士「耐えてみせるさ!」

魔道士「くっ、うぅーっ!!」ゴウッ!!

東方司令「女剣士、頼みがある」

女剣士「!?」

東方司令「一瞬でいい、風を斬り裂き、道を拓いてくれ」

女剣士「お姉様……?」

東方司令「大丈夫。死なぬ、と言っただろ」スッ

女剣士「……分かりました」

 スチャッ ググググッ

女剣士「いきますっ!」

東方司令「頼む!」

 バッシュウウゥゥゥゥ!!

東方司令「でやああぁぁぁぁーっ!!」
782 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 17:59:28.11 ID:iLT0s0ijo
 タァンッ!! ズザザザザアアァァ

神野「何ッ!?」

帝「東方司令!!」

東方司令「構うな! 風を……防御を続けろぉ!!」

召喚士「く……っ」ババッ!!

 ドッゴウウゥゥゥゥン!!

神野「特攻か? 無謀也ッ!」

東方司令「無謀ではないっ! 勇敢だ!」

 ガギギギギイイィィィィ!!

神野「自身を起点に、押し返す気か……?」

東方司令「おおぉぉぉぉ!!」

 ズズッ……ズズズズッ

サル「やっぱり無茶だろっ、押されてる挙句、風の魔法をモロだぞ!?」

東方司令「ぐ……ううぅぅぅ!!」

神野「耐え切れるものか……愚か者めがぁ!!」
783 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 17:59:55.73 ID:iLT0s0ijo
 ズッガアアァァァァ!!

東方司令「くあぁ……っ!」ズザザッ

くの一「だ、駄目だ……っ。耐えられるわけ……」

女剣士「信じるのだ、お姉様を……っ」

魔道士「……っ」

東方司令「手を緩めるなぁ! 放ち続けよっ!」

魔道士「は、はいっ!」ドウンッ!!

神野「……」

東方司令「ふ、ふふ……っ。どうした……魔王よ……っ」ググッ

神野「その目。命落とそうとも諦めぬといったその目……不愉快ですねぇ」

東方司令「ボクの後ろには大切な仲間がいるんだ」

神野「……」

東方司令「決して諦めない。そして……負けない!」

神野「……?」

東方司令「はあああぁぁぁぁ!!」
784 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:00:28.69 ID:iLT0s0ijo
 ボウッ

神野(思念体……? 何だっ、幻術の類か……!?)

東方司令「ああああぁぁぁあ――」

北方司令『東方司令、分かっだろう?』

東方司令「……っ!!」ハッ!!

北方司令『強くなると言う事は、敵を倒す事にあらず』

東方司令「兄さん……っ!?」

北方司令『お前は1人じゃない。お前の後ろには、頼れる仲間が大勢いるではないか』

召喚士「東方司令さん!!」

魔道士「東方司令さぁん!」

女剣士「お姉様……っ」

帝「東方司令、耐えるのだ……っ!」

北方司令『得た強さは、お前の背後を護る為にあるのだ。忘れてはならんぞ』

東方司令「兄さん……? 兄さんっ!!」

北方司令『お前は強い。強くなった。さぁ、見せてやれ……お前の強さを!』
785 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:01:07.81 ID:iLT0s0ijo
 パアアアァァァァ

神野「何いいぃぃーッ!?」

東方司令「うああああぁぁぁぁーっ!!」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

神野「……が……っ」ガクンッ

召喚士「止まった!!」

女侍「サル!!」

サル「あいよーっ!」

 取り出した球を側面から神野悪五郎の足元へと転がすサル。

 その直後、球は爆発を巻き起こし、神野悪五郎の足元が一気に崩壊した。

 ズッドオオォォォォン!! ゴガアアアアァァァァ!!

神野「なああぁぁにいいぃぃーッ!?」

 崩れ落ちる地面へと牛の姿をした神野悪五郎が落下してゆく。

神野「そ、そうかっ。先程放った魔法……外したわけではなく最初から地面を……っ!」

魔道士「うるさいっ、って言いました!」
786 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2012/01/17(火) 18:01:28.07 ID:XHWr+ohpo
別に小説と呼んでも差し支えない
787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:01:29.90 ID:iLT0s0ijo
 ズガガガガガガッ!!

名代「追撃をっ!!」

くの一「百花……繚乱っ!!」ズララッ

 バシュシュシュシュシュッ!! ドドドドドドッ!!

神野「この私が……一杯食わされるとはな……っ」

召喚士「行けっ! スフィンクス! サンダーバード! スキュラ!」

 シュイイィィィィン

スキュラ「凍りつっ!」

サンダーバード「ハアアァァーッ!」ガカアアァァァァ!!

スフィンクス「だぶるどろっぷ……きーっく!!」

 バッゴオオオオォォォォン!!

神野「ガフウウゥゥ……ッ!!」ゴシャッ!!

スフィンクス「おぉ、また大人になったぞ! フフン、これで私も――」

 シュイイィィィィン

召喚士「さぁ、とどめをっ!」
788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:02:00.74 ID:iLT0s0ijo
 タアンッ!!

東方司令「付加を頼むっ!」

魔道士「雷……撃ちますっ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ガカアアアアァァァァ!!

東方司令「はああああぁぁぁぁーっ!!」

 大空高く跳び上がった小さな身体は、大きな刀を振り上げ、地面で小さく息を吐く

 大牛の化物めがけ刃を突き降ろす。そして彼女は、小さな笑みを浮かべた。

東方司令「……ふーっ」スタッ

 バチチチイイィィィィ!! ズッガアアァァァァ!!

神野「ゴ……ガアアァァァァ!!」

サル「今度こそ……やったよな……?」

名代「あと一回。最後は鼠はずです」

イヌ「ネズミ? ははっ、最後に小者ね」

帝「分からぬぞ、窮鼠猫を噛むという諺もあるくらいだからな」

召喚士「……ええ」
789 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:02:29.30 ID:iLT0s0ijo
〜竜宮城、地下〜

マーラ「グガガガッ、ケケエエェェ!!」

 ボッフウウウウゥゥゥゥン

戦士「な、何だ……?」

火忍「毒だっ! 耐性のねぇ連中は後ろに――」

マーラ「無駄無駄無駄ッ、即効性抜群よオオォォ!!」

青年兵「か……はぁ……っ」ドシャッ

西方参謀「い……きが……っ」ドサッ

盗賊「戦士っ! 青年兵! 西方参謀っ!」

マーラ「たった三人……? な、何なのよ……ッ!?」

風忍「悪いが、毒の類は一切通用せぬ」

水忍「藤蔵を甘く見るなよ」

兄様「誰か、解毒薬を」

盗賊「はいっ!」タタッ

兄様「これで命に別状はないが、しばらくは動けぬであろう」
790 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:02:57.46 ID:iLT0s0ijo
戦士「く……そぉ……っ、俺とした……事が……」

鬼丸「気にすんな。ちょっと休んでなって」

兄様「此方も魔王も手は出しつくした。あとは……全力を出し切るのみ」

火忍「若の言うとおりだ。やってやろうじゃねぇか!」

マーラ「……」

 ボウッ

ヤタガラス『魔羅様、魔羅様!』

マーラ「ん? 何だい、まだ自我があったのかい」

ヤタガラス『お言葉ですなぁ。それより、集めた情報、魔羅様に移しまっせ』

マーラ「……」ブンッ

ヤタガラス『まず厄介なのは、あの片腕の黒装束ですわ』

マーラ「ああアイツねぇ。確かに起点となってるわねぇ」

兄様「……取り囲んで攻撃を分散するぞ」

ヤタガラス『次にあの男。うまくまとめ役になってますわ』

風忍「若に続けっ! 土忍は三名を護りつつ、後方から援護せよ!」
791 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:03:31.23 ID:iLT0s0ijo
ヤタガラス『それにあの男も面倒ですわ。警戒心が半端ない』

水忍「……」

ヤタガラス『アイツはその分、狙い易いですわなぁ』

マーラ「そういう輩が一番、難しいのよぉ。攻撃は最大の防御なんてね」

火忍「さーてさて、まずは顔面に一撃、ブチかましてやっかぁ!」ボキボキッ

ヤタガラス『アイツは、常に間合いが離れていて、攻撃しにくいですわぁ』

土忍「……案ずるな。護衛は任せろ」

ヤタガラス『と、なると……やっぱり狙うは……』

マーラ「あの女」

盗賊「……」ザッザッ

ヤタガラス『ず−っと上から見てたんで、動きやら技やら、死角やら全部分かりまっせ』

マーラ「ほっほっほ。ご苦労様」

ヤタガラス『ほな、さいなら――――』シュイン

マーラ「成程ねぇ。確かによーく見えるわぁ」

鬼丸「……何か企んでやがるなぁ」ニヤリ
792 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:04:02.69 ID:iLT0s0ijo
マーラ「ほっほっほ。あの女の死角、それは……」

 ビュオッ!!

盗賊「何っ!?」

マーラ「下からの攻撃ッ!!」

兄様「盗賊っ! 退がれ!」

盗賊「くっ」

マーラ「逃がしゃしないわよぉ!!」ビュババッ!!

火忍「姫を舌で汚すんじゃねぇバケモンがっ!!」

マーラ「あんたの死角は左斜め上ッ!」

 ザシュウウゥゥゥゥ!!

火忍「ぐっ!」

風忍「風遁――」

マーラ「させないわよおぉ! ほーっほっほっほっほ!」

火忍「な、何だ!? 急に動きが良くなったぞ……っ」

土忍「動きが良いと言うよりは、我らの死角を確実についてくる……っ」
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:04:29.19 ID:iLT0s0ijo
マーラ「ほーっほっほっほ。動きが手に取るように分かる分かる」

 ズガガガガガッ!! ドドオオォォォォ!!

マーラ「見えさえすれば、どうという事もない。これで詰み、じゃ」

 バギャッ!! ドシャアァッ

風忍「ぐく……っ」

水忍「一撃だ。落ちついて一撃いこう。まだあわてるような時間じゃない」

兄様「風林火山は?」

風忍「あと……一撃」

火忍「落ち着いてる場合じゃねぇよな……くそっ」

兄様「風林火山では魔王を消滅に至らず。決め手に欠く……」

 ドガアアァァァァ!!

土忍「ぐぶ……ぉ!」ドシャア

盗賊「……貴様ぁ!!」

マーラ「ほっほっほ。ようやく仕掛けてきたかえ!」

兄様「っ!?」
794 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:04:59.03 ID:iLT0s0ijo
 スウウウウゥゥゥゥッ

マーラ「蝦蟇の油をたーんと味わうが良いっ!」

 ゴッヴアアアアァァァァ!! ドッゴオオオオォォォォ!!

戦士「と、盗賊……っ!」

マーラ「……んー?」

火忍「あっぶねぇなコラ!」

盗賊「火……っ」ギュッ

火忍「生憎、テメーの炎なんぞ効かねぇんだよ!」

マーラ「己の危険も顧みず飛び込んでくるとは、ちょっと予想外ねぇ」

 コオオオオォォォォ……

火忍「!?」

マーラ「ならば、凍傷で死になさい!」

 ゴッガアアアアァァァァ!! ビキビキビキビキイイィィ!!

マーラ「……!?」

水忍「……姫だけは絶対に、守る」
795 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:05:29.30 ID:iLT0s0ijo
火忍「その……通りだ……」ガラッ

盗賊「火っ!!」

 ドシャアアァァ

マーラ「ええい、次から次へとぉ!!」

 ギュオオオオォォォォ!! ゴッゴオオオオォォォォ!!

鬼丸「お次は風かい……っ、だが……」

風忍「……」シュバッ

水忍「頼……んだぞ」ドサッ

マーラ「フン。いいわよ、それなら全員尽きるまで、続けてやるわッ!」

 グゴゴゴゴゴゴッ ガカアアアアァァァァ!!

風忍「ぐああぁぁぁぁーっ!!」バチチッ!!

鬼丸「うぉらよーっと!!」ガシッ

盗賊「!?」

 シュウウウウゥゥ

風忍「すま……ん……なっ」ドシャッ
796 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:05:59.16 ID:iLT0s0ijo
鬼丸「……ふーっ。ったく、しつけぇんだよお前」

マーラ「鬼……ッ! まだ邪魔をする気!!」

 ズッドオオオオォォォォン!! ゴガアアアアァァァァ!!

土忍「鬼丸っ、代わ――」

鬼丸「……」

マーラ「き、効いてない……!? そんな馬鹿な……っ!!」

鬼丸「戦士いいぃぃ!!」ビリビリビリィッ!!

戦士「……っ」

鬼丸「立てよ戦士っ! 立てよ相棒ぉ!」

戦士「……くっ」ググッ

鬼丸「お前らにゃ本っ当に世話になってんだ。あとは俺に任せとけ」

戦士「お、鬼丸……」フラッ……ザッ

鬼丸「ほれっ、コイツを守るのがお前の役目だろ」トンッ

盗賊「あ……っ」

戦士「盗賊!」ガシィ
797 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:06:29.99 ID:iLT0s0ijo
鬼丸「グハハッ! 多分アイツ、こっちの隙が分かってやがる。注意しとけよっ」

マーラ「貴様……ぁ」ギリッ

鬼丸「ほら、かかってこいよ。魔王様よぉ」

兄様「お前一人では無理だ。手を貸す」スッ

マーラ「妖の分際で……人間に加担しおってええぇぇ!!」

兄様「残念だが、俺は元々、人間だ」

鬼丸「俺はどっちの肩ももった覚えはねぇ。自由に生きてるだけだ!」

 タァンッ!! シュバッ……ザシュッ!! ドガガガガガッ!!

マーラ「クヌウウゥゥゥゥ!!」

兄様「如何に動きが分かるからとて、攻撃し続けていれば無意味よ!」

鬼丸「そういうこった! 反撃の隙は与えねぇ!」

 ドドドドドドッ!!

マーラ「グ……ムウゥッ!!」

 カッ!! ズッドオオオオォォォォン!!

兄様「……ちっ」スタッ
798 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:07:00.19 ID:iLT0s0ijo
鬼丸「あぶねぇ。さすが魔王様、一瞬で爆発起こせるとは感心しちゃったぜ」

マーラ「なめやがってええぇぇ……っ」

鬼丸「おいおい、本性出始めてるぞ? 品格持てよ、魔王様!」

マーラ「――ッ!!」ピキッ

 ゴゴゴゴゴゴ……

マーラ「もう我慢もならぬわっ! まとめて吹き飛ばしてくれるウウゥゥ!!」

鬼丸「来たかっ。さーて、コイツをどうやって回避すんだい? 親分さんよぉ」

兄様「分かっていれば防いでいるさ」

鬼丸「やれやれ、不死だからってお気楽だねぇ〜。グハハッ!」

兄様「戯れておる場合か、たわけ」

マーラ「念仏は唱え終わった? だったら死になさいなっ!!」

鬼丸「耐えられるかぁ!?」

兄様「やってみるしかない。土、手を貸せい!」

土忍「御意にっ!!」ザザッ

マーラ「ほっほっほっほ! 生きてたら、褒めてあげるわよおぉぉ!!」
799 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:07:27.88 ID:iLT0s0ijo
 カアアアアァァァァ!! ズッドオオオオォォォォン!!

マーラ「……ブハハアアァァ、ざまぁみなさい……ッ」

 シュウウウウゥゥゥゥ……バチチッ……チチッ

マーラ「……?」

鬼丸「……おら、褒めろよ」

兄様「ぐ……くくっ」ドザッ

土忍「……わ、若……腕が……っ」ドシャッ

鬼丸「両腕吹き飛ばされて、戦えんのか?」

兄様「頭が動けば術くらい唱えられる」

鬼丸「おいおい……ま、仕方ねぇか」

マーラ「ふふっ、ほっほっほ。結局まともに戦えるのは、下等な鬼一匹ねぇ」ズシンッ

鬼丸「下等下等って、てめーの方がよっぽど下等だろうが」

マーラ「はあぁ!? 鬼なんて吐いて捨てる程いるじゃあないのさっ!」

鬼丸「……」

マーラ「それとも何っ? アンタ、酒呑童子や茨木童子だとでも言うわけっ!?」
800 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:07:59.84 ID:iLT0s0ijo
鬼丸「あのなぁ、鬼ったっていっぱいいるんだよ……」ポリポリ

マーラ「もしそうだったのなら謝るわっ! ほっほっほっほっほ!」

鬼丸「ま、いいや。んな事テメーと問答しても、なーんにもならん」

マーラ「そりゃそうねぇ。だってアンタ、もう死ぬんだものね」

鬼丸「グハハッ! 今の爆発で無駄だって、分かんねーのかよ」

マーラ「あら、今度はアンタ一匹よ? それにまもれるのかしらねぇ」チラッ

戦士「ぐ……っ」

西方参謀「ご、ごほ……っ」

マーラ「アンタの後ろに沢山の人間がいるじゃなぁい? たった一匹でどうにかなるの?」

鬼丸「……ちっ、糞野郎が……ッ!」

マーラ「ほーっほっほっほ! 絶望に打ちひしがれて孤独に死を迎えるが良いわっ!!」

 キュイイイイィィィィ……

マーラ「死になさいなッ!!」

鬼丸「……っ」

 バゴオオォォォォ!!
801 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:08:32.35 ID:iLT0s0ijo
マーラ「――ッ!?」

格闘家「石破ぁーっ!!」

女隊員「どっこい……しょおおぉぉぉぉ!!」

 ズッドオオオオォォォォン!!

マーラ「な……どこから――」

槍侶「はああぁぁぁぁ!!」

東方参謀「やめぬかっ!! 腕が消し飛ぶぞ!!」

槍侶「ああああぁぁぁぁーっ!!」

 バシュッ!!

南方参謀「っ!!」

 ブチブチブチッ ブシュウウゥゥゥゥ!!

槍侶「あ……あぐ……ぁ!!」カランッ

東方参謀「魔力を得てしまったのだ……っ。ゾディアックは負荷が大き過ぎる……」

槍侶「……か、構いませんよ……この程度……っ!」ボタボタボタッ

戦士「あ、あい……つ」
802 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:09:07.18 ID:iLT0s0ijo
 ボゴォッ!! ドッジュウウゥゥゥゥ!!

マーラ「ガ……グガアアァァァァーッ!!」

 ボトボトッ ジュウウゥゥゥゥ

マーラ「な……何をしたァ!! 何なのだこれは……ッ!!」

西方参謀「流石……ゾディアック……っつーか遅せぇよ……っ」

南方参謀「仕方ないでしょ! こっちも色々あったんだからっ!」グイッ

マーラ「……待て、そうだ……夜行、夜行はどうした……ッ」

男隊員「てめぇの部下ならぶっ倒したぜ……俺らの隊長がなぁ!!」

マーラ「倒した……? 今、倒したと申したのか……ッ?」

女隊員「倒したッスよぉ! 隊長はっ、自分の命をかけてまでええぇぇ!」

戦士「……何……だと?」

格闘家「隊長は死期を悟っていた。だから単身、犠牲になったんだ……っ」グッ

戦士「隊長が……死ん……」

兄様「見事也」

マーラ「有り得ぬ……ッ! 夜行が敗北を喫するなど……有り得ぬウウゥゥゥゥ!」
803 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:09:44.62 ID:iLT0s0ijo
東方参謀「だが事実っ! 残るは貴様だけだぞマーラ!」

マーラ「ブガアアアアァァァァーッ!!」

 ズゴゴゴゴゴッ

マーラ「何なのだッ、何なのだこれは!!」

青年兵「……う……っく」ググッ

マーラ「魔王であるこのアタシが……ッ、こんな醜い姿を晒してまで……」

盗賊「……」

マーラ「しかも夜行が敗れた? ハッ、こんな事……有り得てたまるもんですか」

西方参謀「じ、冗談だろ……? まだ余力を残しているってのかよ……っ」

マーラ「絶対に……許さない……ッ!! 絶対にイイィィィィ!!」

 ドゴゴゴゴゴゴゴッ!!

鬼丸「ちぃーっ! こいつはデカイぞ! とっとと退がれぇ!!」

戦士「間に……合うかよおおぉぉ!!」

 魔王マーラによるこの戦い最大の爆発が巻き起こり、周囲は一瞬の内に瓦礫と化した。

 互いの安否など分からぬまま、意識のある者は、瓦礫を避ける事が精一杯であった。
804 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:10:24.20 ID:iLT0s0ijo
〜剣聖の屋敷〜

 ドドオオォォォォ……

東方司令「はぁ……はっ、はっ、く……っ」

女剣士「お姉様っ! 大丈夫……」

東方司令「気にするな……っ。それよりも奴だ」

名代「未だ姿を見せませぬが、必ず居るはずです」

サル「おいおい……まさかウサギん時みてーに回復してるってオチじゃねぇだろうなぁ?」

召喚士「可能性はゼロではありませんが、考えにくいですね」

サル「そうかぁ〜?」

女侍「あとこれで変身終わりなのに、回復してどーすんのさ。頭使いなよ」

サル「あ、そっか」

帝「しかし、こうも静かだと不安ではあるな」

魔道士「もしかして……逃げたとか……」

名代「鼠……可能性はありますね」

キジ「でも、逃げてどうするさー?」
805 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:11:29.92 ID:iLT0s0ijo
召喚士「一時の間、力を溜めているかもしくは……様子を伺っているか」

 ズザッ

召喚士「どこから来てもおかしくはありません。警戒を強めましょう」

名代「仰る通りだ。式神ももう少し出しておくとしましょう」ホヴンッ!!

女剣士「さて、どこから仕掛けてくるか……」

くの一「……」

召喚士「コカトリス、何か気配……感じる?」

コカトリス「いや。不思議な事に全く感じぬ」

サル「やっぱさ、魔道士ちゃんが言ったように逃げたんじゃねぇのか〜?」

召喚士「しかし、逃げるメリットがないんですよね」

東方司令「朱雀の言う通りだ。奴の存在も素性も、攻撃手段すらこちらは把握したのだ」

名代「左様。むしろ引き分けに持ち込んで再戦となれば、此方が絶対的に有利」

召喚士「ええ。人数だってこちらは増えるわけですからね」

女侍「なるほどねぇ。となれば、奴が逃げる可能性はないって事かい」

神野「その通り」
806 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:12:00.52 ID:iLT0s0ijo
 ドザァッ!!

召喚士「――――っ!!」

キジ「地面から――」

神野「ヒャーッハッハッハッハッハッハァ!!」

 ガブッ!! ギュオオォォォォッ!!

キジ「うあぁーっ!!」

サル「キジイイィィーっ!!」

女侍「ちぃっ!!」

 ザシュウウゥゥ!! ボトトッ!!

キジ「かは……っ、は……はっ」ブシュッ

神野「……ほぅ、老化させぬように、仲間の腕を斬り落とすとは。凄い判断ですねぇ」ペロッ

女侍「ジジイになるよりゃマシだろ。なぁ、キジ?」

キジ「……そ、そうさ。助かったさ……お頭……っ」

女侍「サル、止血しなっ! そんんでキジを後方へ」

サル「お、おう……っ!」ザザッ
807 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:12:33.61 ID:iLT0s0ijo
神野「お怒りのようですねぇ」

女侍「あんた、いい加減にしなよぉ?」

 ザッザッザッ……ジャリッ

女侍「人を弄んでさ。そのナメた態度が気に食わないんだよ」

神野「ならば、斬ってみたらどうです?」

女侍「言われなくてもやってやるよ!!」

 ビュオッ!! ザシュウウゥゥゥゥ!!

女侍「――っ!?」

魔道士「また土の中へっ!」

召喚士「くそっ!」

神野「さぁ、ならば今度は……こんなのはどうです?」

 ボゴオオォォォォ!!

帝「な……っ!?」

くの一「くうぅーっ!!」

召喚士「バカな……っ!!」
808 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:13:01.59 ID:iLT0s0ijo
 小さな鼠となった神野悪五郎はキジの腕を噛み付き、再び地に潜った。

 そして再度、姿を現した時、その様相に一同は驚愕した。

サル「な、何匹いるんだよおおぉぉ!!」

 1人1人の顔の前へと姿を現した神野悪五郎である鼠。

神野「ヒャーッハッハッハッハッハ!!」

召喚士「くそおおぉぉーっ!! 防ぎきれない!!」

神野「まとめて、死になさい!!」

 ズッガドオオオオォォォォン!!

魔道士「――――っ!!」

東方司令「爆は……ぐあぁっ!!」

イヌ「……がはっ!!」ドシャッ

召喚士「あ……あぁ……っ」

 周囲で1匹を残し、全ての鼠が爆発する。その中心に佇むのは召喚士ただ1人。

 ただどうする事も出来ず、倒れた仲間を見る事も出来ず、眼前の鼠と視線を合わせていた。

 そして鼠は大きく口を開き、召喚士の喉下へとその鋭い牙をかみ合わせていった。
809 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/17(火) 18:13:38.74 ID:iLT0s0ijo
神野「ククッ、ヒャーッハッハッハッハ!!」

 ガブッ グジュウウゥゥゥゥ

魔道士「…………う」

 ギュオオオオォォォォ

魔道士「!?」

召喚士「あ……あ……っぐ」

魔道士「召喚士さああぁぁぁぁん!!」

神野「…………?」スッ

召喚士「……はっ、はっ、は……っ」

 鼠の姿をした神野悪五郎は怪訝な表情で噛んだ口をゆっくりと開き、顔を上げる。

神野「――――ッ!!」

 噛んだ首筋 は男性の物とは違い、いや人間ですらない妖艶で白く美しい首筋であった。

神野「……貴……様アアァァ!! な、何故――」

――「何故? ふふっ、わらわの大事な召喚士が、下衆に食われて仕舞いそうであったからの」

 召喚士の前に立ちはだかる9本の尾を持つ怪しげな妖怪。名を夫人と言った。
810 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/17(火) 18:14:53.42 ID:iLT0s0ijo
やばい…絶対に何か言われそうなところで切ってしまった…
わざとじゃないんです本当です!というわけでここまでにてごめんなさい!
ご支援ありがとうございましたー!それではまた!ノシ
811 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 18:23:36.61 ID:sS/2Wp6DO
>>1

なんというタイミングで止めるんだ・・・
相変わらずのドSっぷり

我らが夫人の降臨じゃぁぁぁぁ
812 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 18:29:02.88 ID:odRM4Os1o
>>1

盗賊ちゃん足元が死角になってるのって胸が邪魔で見えないってこと?
813 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2012/01/17(火) 18:33:56.73 ID:d+G59wHY0
何も言わずにいられるかー!

ドS乙!
814 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 18:45:15.20 ID:IDtUOvgDO
久々の>>1
815 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/17(火) 20:20:28.36 ID:fcvxp9b20
>>1 ドS乙
夫人は使役されてきたわけじゃないのかな…?

816 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/17(火) 20:24:27.27 ID:Cpz9wQ/lo
鬼丸「あのなぁ、鬼ったっていっぱいいるんだよ……」ポリポリ

まさかコレが>>1が鬼畜という鬼である事の伏線だったなんて…
>>1
817 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 20:35:29.43 ID:/pM2edhDO
エロ夫人とうとうきたあああああああ
818 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/17(火) 22:03:44.80 ID:de3rRaLAO
>>1
何というSっぷりww

夫人が召喚士の味方に付いたって事は最後の敵は魔道士ちゃんか…
819 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/17(火) 22:05:17.21 ID:dvEHv4bho
魔道士「召喚士さんどいてそいつ殺せない!」
820 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 22:14:42.75 ID:q4PyS2bDO
>>793
ちょwwww仙道wwww

あ、ドSの>>1さん乙です
821 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/17(火) 22:43:37.20 ID:08a5wSkg0
夫人たあああああああああああああああああああん!

>>1おつんつん
822 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/18(水) 02:01:46.70 ID:Cnn4P8rAO
>>1おつ
823 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/18(水) 08:23:11.88 ID:xqIVqfGJo
>>1

やっと夫人がきたな、忘れてた
824 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 13:05:47.06 ID:qwenLuAso
>>1
825 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 13:08:33.45 ID:qwenLuAso
>>812
すなわちあれはレドームであり、中に各種レーダーを備えている。
パルスレーダー、パルスドップラーレーダー、加速度センサー、ジャイロスコープ、アクティブソナー等々。
という訳で死角にはなり得ない
826 :sage :2012/01/18(水) 14:12:03.30 ID:scqO3Zej0
リアクティブアーマー
触ると爆発
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/18(水) 14:15:57.99 ID:scqO3Zej0
ありゃ、ごめん
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/18(水) 20:07:37.64 ID:KG0ACl0AO
>>825
あそこに詰まってるものは愛と夢だ。

そして1登場
↓↓↓
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 20:11:56.46 ID:pblskFNIO
よ(。・ω・)ノ
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/18(水) 21:35:23.75 ID:rKQUgnNLo
よ(。・ω・)ノ <今日は忙しくて…遅くなってごめんね!

↓続き
831 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:36:09.79 ID:rKQUgnNLo
 シュウウゥゥゥゥ……

帝「……っ」

名代「う、上様……ご無事……で」

帝「名代っ! 何故、自分に式神を守らせなかった!」

名代「上様を守るのが……私の役目……っ」

女侍「ぐ……くっ」ヨロッ

イヌ「お頭……無事……ね?」ツツーッ

くの一「あ……ぐぅ……」ザッ

女剣士「お……お姉様……っ」

東方司令「案ずるな。この程度の傷で……倒れるものか」ヨロッ

召喚士「はっ! 魔道士さんっ!」

魔道士「…………ぅ」

召喚士「良かった……っ。ユニコーン! シービショップ! 皆の回復を!」

 シュイイィィィィン

召喚士「そ、それから……っ」チラッ
832 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:36:48.11 ID:rKQUgnNLo
 バサァッ フワッ……

夫人「んふっ♪」

召喚士「……夫人」

神野「何故……ッ、此処に現れたアァ! 九尾!」ズザッ

夫人「だってぇ、召喚士がお爺さんになっちゃうなんて……嫌だものっ♪」

神野「そこの人間が何故っ、貴様と関わりあるのです!」

夫人「ん〜? だって召喚士はわらわと交わるのじゃからな」

帝「……何を言っておるのだ?」

名代「よ、よく分かりませぬが……あまり理解されぬ方が身の為かと」

召喚士「ち、ちょっと……っ!!」

夫人「老人になぞされたら、勃こる物も勃こらなくなってしまうからの……ふふっ」

神野「……クッ」

夫人「神野悪五郎、お主のお陰でほれ、見事に老化が進んでくれたわ」

 神野悪五郎に噛まれた事で、夫人の外見は成人女性の姿を取り戻していた。

夫人「ふふっ。どこぞの者らにやられて、少女の姿にされておったからのぅ。丁度良いか」チラッ
833 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:37:23.39 ID:rKQUgnNLo
召喚士「しようと思ってしたわけじゃないっ」

夫人「それはそうだの」

召喚士それよりもみんなは……」バッ

 ゴゴゴゴゴゴ……

魔道士「召喚士さん……どういう事ですか……?」

召喚士「!?」

夫人「なんじゃ小娘。わららと召喚士は夫婦の契りを結んだのじゃ♪」

召喚士「結んでないっ!」

魔道士「……っ」

夫人「往生際が悪いぞ、召喚士」

召喚士「ち、違うんです魔道士さんっ! これには色々とわけがありまして――」

神野「この私を無視して……何をゴチャゴチャとおおぉぉ!!」バッ!!

 ドッドオオオオォォォンン!! ゴッガアアアアァァァァ!!

神野「――――っ!!」

魔道士「……撃ちました」
834 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:37:54.36 ID:rKQUgnNLo
サル「すっげぇ火力……っ」

イヌ「怒りの力が最大限に生かされてるね」

東方司令「言い争っている場合か。奴を始末してからにしろ……っ!」

召喚士「そ、そうでしたっ!」バッ

神野「九尾! 人間に手を貸すならば貴様もまとめて始末するッ!」

夫人「わらわが手を貸すのは召喚士だけ♪ それに……」

 ズゴゴゴゴゴゴ……

夫人「わらわを倒す? 本気で申しておるのかえ?」

召喚士「す、凄い威圧だ……っ」

夫人「おーっほっほっほ。身体が大人になったからの。魔力も十二分に出し切れるわっ」

神野「……ッ」

 誤算であった。つい先程、召喚士達が推測したように、神野悪五郎は逃げる算段は全くなく、

 もしろここで一同を確実に仕留めるべく戦っていた。全ての手の内を見せようとも。

 序盤、時間を掛けて戦った理由は、人間共の援軍が他にはないのかを計るため。

 最初に遭遇した戦士や鬼丸らの姿がここにない。それが一番の理由である。
835 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:38:27.50 ID:rKQUgnNLo
 しかしそれ以上の援軍はなかった。それはつまり、この人数のみが、自身に対する

 討伐対であり、殺すべき相手。そして神野悪五郎は本領を発揮する。

 更に遡る事出兵の日。鬼丸はあるキーワードを発していた。

鬼丸『本体はクソ弱えぇから安心しなっ! グハハハッ!』

 これは決して、神野悪五郎の本体が単純に弱いというわけではない。

 それは戦闘結果からも分かるように、十分、対等に叩ける力を持っていた。

 しかし、それは長時間のものではなかった。圧倒的な力を持つ代わりに爆発的に怒る魔力は、

 神野悪五郎が本体で居れば居る程、瞬時に減っていくものであった。

 だからこそ神野悪五郎はわざわざ時間をかけて、12度もの変身を費やして、

 ありとあらゆる情報を引き出し、一同の弱点を探った。そして核なる部分を始末し、

 本体へと戻った瞬間、殲滅する手筈であった。そして誤算により、その計画は頓挫した。

神野(この女狐めがぁ……ッ! 私の策を邪魔する気かあぁ……!!)

 夫人の出現により、核なる部分は健在し、蓄えた思念体もこれで底を尽きた。

 残るは本体での殲滅しかない。しかも膨大な魔力を有した夫人が援軍として加わった。

 神野悪五郎は思慮する。決死で戦うか、弱点を晒そうとも逃亡するか……。
836 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:39:08.15 ID:rKQUgnNLo
 ドドオオォォォォ

神野「……ッ」

夫人「しかしみすぼらしい姿だのぅ。窮鼠猫を噛むにしても、猫などおらぬか」キョロキョロ

神野「愚弄するかアアァァ!」

夫人「ほぉ、わらわに挑むかえ?」

 バシュンッ!!

夫人「……へっ?」

サル「バカヤロー! 何ボサっとしてんだっ! 逃げたぞ!」

召喚士「――っ!!」

神野「ひゃーはっはっは! 多勢に無勢、逃げるが勝ち。鼠の姿はその為も兼ねているッ」

夫人「あーんっ! 奴が逃げるぞっ、追うのじゃ!」

召喚士「でもっ、こっちは仕切り直しでもいいんだ。深追いは危険すぎる」

夫人「駄目じゃっ! わらわと契約したくはないのか?」

召喚士「それはそうだけど、みんなを危険な目には遭わせられない!」

東方司令「事情はよく分からんが、必要なのだろう? この後の戦いの為に」
837 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:39:52.26 ID:rKQUgnNLo
召喚士「……」

帝「であれば、やろうではないか。ここまで追い詰めたのだ」

名代「そうですね。次は何時、交戦出来るとも限りませんから」

召喚士「み、皆さん……っ」

女侍「そうと決まれば、鼠狩りだよっ!」ジャキッ

サル「おいおいっ、キジは今、魔法撃てんぜぇ?」

女侍「雷くらい余裕だろ?」ジッ

魔道士「へっ!?」

女侍「キジが怪我を負ってる。アンタ、代わりに撃ってくれよ」

魔道士「……はい」

イヌ「それじゃ……土竜、いくね!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴッガアアァァァァ!!

女侍「おーし、そんじゃ雷……頼んだよっ!」

魔道士「女侍さんとは始めての付加なので、誤差があったらすみません……」

女侍「気にするなって。若干の誤差くらい、甘んじて受け入れる」チャキッ
838 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:40:35.14 ID:rKQUgnNLo
魔道士「それに私、今は加減が出来そうもないので……」

 ズゴゴゴゴゴゴ……

女侍「……っ。頼もしいかぎりだねぇ……っ」

魔道士「それでは……撃ちますっ!」

女侍「さぁ、逃げ切れるかねぇ……そちらのモグラさんよぉ!!」

 バシュッ!! ズッダアアァァァァン!!

魔道士「やああぁぁーっ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ガッカアアアアァァァァ!!

神野「――――ッ!?」

女侍「「剣聖流最終奥義ぃ! 土竜!」

 ズバッシュウウウウゥゥゥゥ!!

女侍「……」

 クルクルッ カシャン

神野「グが……ッ、カ……ッ!」

女侍「二度と、剣聖の名を騙るんじゃあないよ」チンッ
839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:41:41.78 ID:rKQUgnNLo
 ブシュウウゥゥゥゥ

サル「おーっしゃあ!!」

帝「見事っ」

 ボウウゥゥゥゥン!!

くの一「な、何……っ?」

夫人「本体のお出ましかの」

 球状に包まれた白煙が、徐々に外側へと広がり、透明度を増してゆく。

 中より姿を現したのは、長袴の高貴な出で立ちをした男。神野悪五郎の本体である。

神野「……ちぃ」

 フワァ……スタッ

名代「やはりもう、変身は残しておらぬようですね」

帝「いよいよ……最後か」

夫人「ふふっ。しかもあやつ、老化の力も使い切っておるからのぅ」

召喚士「!?」

夫人「わらわに使ったりするから、空っぽになってしまうのじゃっ」
840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:42:18.64 ID:rKQUgnNLo
東方司令「ど、どれだけ老化したというのだ……っ」

夫人「あらんっ。女性に年を聞くなんて、無粋な話よん」

 ザッザッ

神野「ありえへん……こんな事、ありえへんわ」ザッ

女剣士「口調まで戻ってる……」

サル「よっぽど、疲労してるみたいじゃね〜の」

イヌ「ま、お互い様ね」

サル「……ま〜な。さっきのネズミ爆弾で、みんな瀕死だっちゅ〜話。んーふふふふっ」

女侍(まともに戦えるのは……召喚士、魔道士。それにあの狐……か)チラッ

夫人「……?」キョトン

女侍「召喚士っ」

召喚士「皆さんは下がっていて下さい」

女侍「……?」

召喚士「ここは、俺1人で十分ですから」

女侍「……ふんっ、強気だねぇ」
841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:42:54.82 ID:rKQUgnNLo
神野「なんやとコラァ……」ユラー

召喚士「なぁ神野悪五郎、もう大した力も残っていないんだろう?」

神野「アァ!?」

召喚士「勝ち目はもうないよ。諦めてくれないか?」

神野「…………」

召喚士「今のお前なら俺1人でも本当に倒せてしまう。これはハッタリなんかじゃない」

神野「ええ加減にせぇよ……コラ」

召喚士「自分の弱さに気付かない事は、逃げている事と変わらない」

神野「ええ加減に……せぇ言うとるねん!!」ゴアッ!!

 ガギイイィィィィ!! ググッ

ゴーレム「……コオオォォ」

神野「クッ!」グググッ

召喚士「お前は強い。でも弱い。その弱さに気付けない事が敗北の原因だ!」

神野「ワケ分からん事を……ごちゃごちゃとおおぉぉぉぉ!!」バッ!!

召喚士「それでも戦うというのならっ、俺はお前を……全力で倒す!!」
842 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:43:55.70 ID:rKQUgnNLo
〜竜宮城、地下〜

 静けさだけが広がる。僅かな岩の軋みと呻き声。

マーラ「……ハアアァァ……ハアアァァァァ」

青年兵「う……ぐぁ……っ」

南方参謀「……っ」

マーラ「……ふっふふ……ふふっ、ほっほっほ」

格闘家「……ぐ……っかは」

風忍「……う、うぐ」ガシャッ

マーラ「終わった。終わったのだ……ククッ」

 ガシャアアァァ!!

マーラ「!?」

鬼丸「……強烈……すぎんんだろっ」グググッ

マーラ「貴様……まだ――」

 ゴトン!! ドシャアアァァ

戦士「…………」
843 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:44:45.88 ID:rKQUgnNLo
マーラ「何……!?」

戦士「……盗賊」

 背後で背後で気を失っている盗賊の生存を確認すると、戦士は額を流れる血を拭い、

 足を引き摺りながら、ゆっくりと、魔王マーラの近くへと歩み寄る。

戦士「……何があっても守る。そう……約束したんだよ」ズリッズリッ

マーラ「……何を申しておる……ッ?」

戦士「命ある限り……俺は、盗賊を守り続ける義務がある」ズズッ

マーラ「ほっほ。それは何より」

鬼丸「相棒、無茶すんな」

戦士「たってるのは俺達だけだ。んな事言ってる場合かよ」

マーラ「たったの二匹で何するものぞ!!」

鬼丸「グハハッ! やってみなくちゃ分からんぜぇ?」ドンッ

マーラ「死ぬ気か?」

戦士「盗賊が死んでのうのうと生きてるくらいなら、その方がマシだな」ドンッ

マーラ「……ッ」
844 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:45:46.26 ID:rKQUgnNLo
 ヒュオッ スタッ

兄様「良くぞ言ってくれた」

戦士「!?」

 スタッ スタッ ジャリッ

水忍「……っ」

土忍「血が止まらぬが、不思議な事に痛みはないな」

風忍「ああ。何と言うかこう、気持ちが晴れたと感覚だな」

戦士「お、おい……っ」

火忍「……」スッ

戦士「……?」

火忍「……おい」

戦士「……何だよ」

火忍「ったくよぉ。姫を守るのは俺の仕事だと思ってたんだけどな」ポリポリ

戦士「……は?」

火忍「戦士、だったよな? いいよ、お前に譲ってやる」
845 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:47:04.71 ID:rKQUgnNLo
戦士「お、おい……っ!!」

風忍「戦士殿、お主の武士道は確かに、伝わったぞ」

水忍「ああ。異国である東方の為に……本当に感謝する」

土忍「後は任せておけ。お主にはまだ、やるべき事が残されておるはずだ」

戦士「何を……言ってんだよ!!」

火忍「これが東方の……武士道だ」

戦士「んな事……」

鬼丸「相棒! ほれ、コイツらを、盗賊を守ってやれ」

戦士「お、鬼丸……!?」

鬼丸「さっきも言っただろ? それがお前の役目だ」

戦士「分かってるよんな事ぁ……」

鬼丸「これが俺の……役目だろ」

戦士「お前……」

 差し出した腕に身につけた鬼の籠手は、不思議と淡く光り輝いていた。

鬼丸「藤蔵さんよぉ、何かするつもりなんだろ? 雷忍の奴も混ぜてやってくれよ!」
846 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/18(水) 21:47:40.67 ID:rKQUgnNLo
兄様「藤蔵に告ぐ。極めし武は最強也! そして、武を極めしは終焉也!!」

風忍「いきますか」スタスタスタ

水忍「しかし、これは何ともまぁ偶然というか必然というか……」

火忍「だから影は分かれて、代々の雷は上様直属の護衛になったんだわな」

土忍「そういう事だ。さぁ、見せてやろう……我等、藤蔵の武士道!」

戦士「お、おい……待てよ……っ」

兄様「戦士、皆を……盗賊を頼むぞ。また会おう」

鬼丸「そうだ相棒。これ、受け取ってくれよ」シュルッ

戦士「!?」

鬼丸「鬼の籠手。怪力になるし、何より俺様と雷の魂が宿ってる」

戦士「鬼……丸!!」

鬼丸「俺様はそう思ってる。だから、お前が持っててくれや」

戦士「何言ってんだよおい――」

火忍「死にたくなかったら、誰も死なせたくなかったらここから先へは来るな。いいな?」ガリガリッ

兄様「藤蔵最終……究極奥義、風林火陰山雷。ゆくぞ!!」
847 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/18(水) 21:53:20.93 ID:rKQUgnNLo
あとで来れるかちょっと謎ですがひとまずここまで!
明日も時間微妙なので、なんなら週末辺りにまとめて呼んで頂ければってなもんで…
ご支援本当に感謝!それではまた!ノシ

〜オマケ。今日の没シーン〜

戦士「お、おい……っ!」

兄様「おっとどっこい。盗賊を任せると言っても今だけの は な し !」

戦士「!?」

兄様「お前が盗賊をどう思っているかは知らんが、将来的に任せるとは一言も言ってないからな!」

戦士「そ、そんな……お義兄さん!!」

兄様「たわけええぇぇ!! 貴様に兄呼ばわりされる筋合いはないわ!!」

戦士「す、すんません……っ。つい……」

火忍「若、こいつやっちゃってもいいっすかねぇ〜?」ペロリ

兄様「よーし、みんな手伝え。藤蔵に告ぐ! 極めし――」

戦士「わーっ!! すんませんでしたああぁぁ!!」

兄様「ふんっ、この大たわけが!!」

盗賊「兄様……こんな人じゃなかったのに……っ」ヨヨヨ
848 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 21:59:42.37 ID:LMj4CWrso
>>1乙デス
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 22:04:30.48 ID:Xy67CcfDO
>>1

九尾の幼女が九尾のお姉さんになっちまっただ
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/18(水) 22:12:42.87 ID:+SoTQ6jHo
>>1
あれ?鬼丸の台詞、なんか見覚えがあるんだけどなんだっけ?
ゲーテの宿命で出てきた?
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県) [sage]:2012/01/18(水) 22:38:06.35 ID:gJG1J8m5o
>>1
1乙
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 22:47:14.92 ID:OluPt4YWo
これか
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/432
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 22:53:48.59 ID:uVZpUYVx0
>>1おつんつん

なんか死亡フラグが建っているようなkgs
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/18(水) 23:11:24.57 ID:R+i8IrEXo
召喚士…主人公アピールのために必死だな…
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/18(水) 23:20:46.94 ID:2FUHLQeD0
1乙熱いな東方
856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/19(木) 00:04:16.72 ID:swJdK/IHo
>>852
それだ!ありがとう。
こうしてみると戦死は紅孩児以外の宿命は一通りこなした事になるのか…?
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 01:10:29.91 ID:PGCnnOtSO
あれ、第8の魔王って召喚士さんだっけ…?
858 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/19(木) 01:21:31.00 ID:wP5SwXLAO
>>1おつ

天才も酷なことしたもんやで
859 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/19(木) 01:29:29.79 ID:ua8jtrT00
いちおつ
860 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/01/19(木) 01:46:11.34 ID:pIyACGwpo
怒らせるの本当すきだな
861 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/19(木) 06:39:36.70 ID:gNQRUNPAO
>>1
みんな格好いいッ

そして加減の出来ない魔道士ちゃんが萌えるww
862 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/19(木) 08:29:25.91 ID:p2bDSszAO
毎度>>1乙んつん 続きが楽しみでズボンとパンツおろして待つ!
863 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 11:03:50.32 ID:JUJ25AhCo
>>1乙!
東方は燃えているか・・・
864 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/19(木) 11:32:05.38 ID:HxnYcC6Xo
いちょつ
魔導師ちゃんが史上無類の大炎上…((((;゚Д゚)))
865 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:51:23.12 ID:6NZrik+Do
戦士「い、今……なんて……」

火忍「おい鬼ヤロー。てめぇ雷、使えんだろうなぁ?」

鬼丸「まぁ待て。えぇと……」ガサガサッ

戦士「て、てめぇ!! 何で持って……」

鬼丸「何でって、つい今しがた、盗賊から拝借したぞ?」ヒラヒラ

風忍「あまりもたもたしていると、魔王がお怒りだぞ?」

マーラ「何をするつもりなのかしら? もしかして、さっきの攻撃?」

兄様「そんな生易しいものではないぞ」

マーラ「ふぅん。だったら尚更……」

 ゴウッ!!

マーラ「させるわけにはいかないねぇ!!」

水忍「この期に及んでまだこれ程の力を見せるのか……っ」

土忍「若、これでは囲む隙が……」

 ドッゴオオオオォォォォン!!

兄様「……?」
866 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:51:52.86 ID:6NZrik+Do
マーラ「ゴハアアァァ!!」

 ドズウウゥゥゥゥン!!

戦士「……青年兵っ」

青年兵「はぁーっ、はぁーっ、はぁ……っ」

バハムート「ゴガアアアアァァァァーッ!!」

 キュイイィィィィ……ドッドオオォォォォン!!

マーラ「コ、コイツまだ……魔力が残っているの……グハァ!!」

風忍「今だぁ!!」シュバッ!!

青年兵「す……みません……僕は、あ……あなた達を……」ドサァ

土忍「言わずとも結構。受け入れてこその覚悟」

戦士「……」

盗賊「……戦……士」

戦士「盗賊っ!!」

盗賊「……っ」ググッ

戦士「盗賊っ、あいつらは……何をするつもりなんだよっ!!」
867 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:52:29.22 ID:6NZrik+Do
盗賊「駄……目だ、止めて……くれ」

戦士「やっぱり何かあるんだなっ!?」

盗賊「わ、分からない……分からないけど……」

戦士「……」

盗賊「皆の瞳……死ぬ覚悟だ……っ」

戦士「くそっ!!」

 ダッ!! ガシィ!!

戦士「!?」

東方参謀「ならぬ……」

戦士「何がだ!!」

東方参謀「言われたであろう? その線を越えれば……死ぬ」

戦士「ふざけんなよっ!」

東方参謀「馬鹿者めがぁ! 彼らの命を無駄にする気かぁ!」

戦士「……っ」

東方参謀「己の命を犠牲にしてでも、お前達を生かそうとしておるのだぞ!」
868 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:53:10.45 ID:6NZrik+Do
戦士「んなもん分かるかよ!!」

東方参謀「良いか? 犠牲に出ぬ戦いなど皆無」

盗賊「……ぅ」ヨロッ

東方参謀「誰かが死ねば、誰かが生きる。それが戦いであろう!」

戦士「理屈じゃねぇんだよ!!」

東方参謀「未熟者めがぁ!!」バシィッ!!

戦士「ぐっ!」ドシャッ

東方参謀「あやつ等は、自分の生まれ育った国を救う為に戦っておる」

戦士「……んな事は分かってんだよ」

東方参謀「そして、国を、民を、お主らを救う為に命をかけておる」

戦士「だから……っ」

東方参謀「だから黙って逝かせてやれ。お前にはそれを見届け、後世に伝える義務がある」

戦士「……なんなんだよ……なんなんだよくそおおぉぉ!」ガッ!!

盗賊「嫌……だっ、兄様……火……皆っ、私は……私は嫌だぁ!!」

東方参謀「辛いであろうが、これが宿命なのだ……」
869 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:53:40.93 ID:6NZrik+Do
 ゴゴゴゴゴゴ……

マーラ「忌々しい……召喚獣……ッ」

バハムート「ゴガアアァァァァ!!」

マーラ「調子にのるんじゃあ……ないわよオオォォ!!」

 ドグシャアアァァ!! ドッドオオォォォォン!!

バハムート「――――ッ!!」

 シュウウゥゥゥゥ

マーラ「ハ……ハハッ、ざまあなさい……ッ」

 ズザッ

火忍「よう。あと一歩……間に合わなかったなぁ」

マーラ「……?」

土忍「配置完了」

水忍「……ふーっ」

風忍「準備は良いな?」

鬼丸「グハハッ、いつでもいいぜ!」
870 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:54:34.80 ID:6NZrik+Do
兄様「魔王よ。我らの執念が得た勝利だ」

マーラ「何をぬかすかアアァァ――」

 ピキイイイイィィィィン

兄様「もう動けまい。最早、攻める事も守る事も不可能」

マーラ「……!?」

兄様「貴様の五感、いや……生命の鼓動以外は全て封じた」

マーラ「――――ッ!?」

兄様「あとはゆっくりと死を待つのみだ。今度は貴様が念仏でも唱えるのだな」

マーラ「なん……」

兄様「もっとも、貴様等は神仏の類などは信じぬだろうがな」

マーラ「ほざけ――」ガクンッ

風忍「無駄な抵抗は止せ。お前は最早、そこから動く事も罷り成らぬ」

マーラ「グ……グウオオォォォォ……ッ」

火忍「……さ、仕上げようぜ」

兄様「うむ。そう致そう」
871 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:55:16.75 ID:6NZrik+Do
盗賊「やめて……やめてよおおぉぉ!!」

風忍「姫、今日まで誠に有難う御座った」

盗賊「風ぇ!!」

風忍「幼き頃より藤蔵の世話となり、我……思い残す事なし」

盗賊「……っ」

水忍「どうか侍女に、宜しくお伝え下さいませ」

盗賊「たわけぇ! 侍女が……侍女が待っておるだろうに!!」

水忍「願わくば、侍女が安寧の暮らしを得られますよう……お取り計らいを」

盗賊「水!!」

火忍「……っ」

盗賊「火……火っ!!」

火忍「姫、俺は……幸せもんです。貴女と会えて本当に良かった」

盗賊「やめよ……っ、そんな言い方……やめよ!!」

土忍「姫、一つだけ頼みが」

盗賊「土っ!! お主の家族は……妻や娘は……っ!!」
872 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:56:05.22 ID:6NZrik+Do
土忍「常日頃から言い聞かせております故。それが忍の伴侶であり、子の宿命」

盗賊「そんなものっ、託されても……困るよぉ……っ!」ギュッ

兄様「泣くな盗賊。お前が泣けば、皆に一抹の名残が出来る」

盗賊「兄様っ! どうか……どうか皆を……っ!」

兄様「先程申した。既に支度は終えている。攻める事も守る事も不可能。互いにな」

マーラ「クソッ、クソッ、クソッ!!」

兄様「火の引いたその戦から入れば、お前も同様だ。死、あるのみ」

盗賊「兄様ぁ……っ」ガクッ

兄様「彼らには済まないが、俺はまた存在を新たにするであろう」

盗賊「……う……うあぁ……っ」ポロポロ

兄様「北で待っている。お前の手で、俺を解放してくれ」ザッ

盗賊「兄様ああぁぁーっ!!」

女隊員「盗賊ちゃん、気持ちは分かるけど……行っちゃ駄目ッス……」

盗賊「うっ、うぐ……! うあ……うっ、うぅ……っ」ボロボロボロボロ

南方参謀「辛いよね。辛いけれど……みんなの勇姿を見届け上げて。それが手向けよ……っ」
873 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:56:38.11 ID:6NZrik+Do
戦士「鬼丸ーっ!!」

鬼丸「なぁ、相棒」

戦士「……」

鬼丸「俺ぁよ、お前と会った時、死んでたんだ」

戦士「鬼丸……」

鬼丸「それを相棒、お前や仲間達が生き返らせてくれた。鬼丸としてな」

戦士「そんなんじゃねぇ……っ。違げぇんだよぉ!!」

鬼丸「すっげぇ感謝してんだぜ? これでもよ」

戦士「……っ」

鬼丸「妖である俺を、鬼である俺を仲間として受け入れてくれた」

戦士「……お前は……仲間だよっ!! 仲間なんだよぉ!!」

鬼丸「グハハッ! 嬉しいぜ、相棒のそういう言葉の一つ一つがよ」

戦士「鬼……丸……っ」グッ

鬼丸「少しの間でも、人間みてぇな生活が出来た。本当に感謝してる」

戦士「お前は……仲間でっ、それで……っ、人間なんだよぉ!!」ポロポロッ
874 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:57:31.58 ID:6NZrik+Do
鬼丸「……ハハッ、泣くなよ相棒」

戦士「鬼丸……っ、お前……」

鬼丸「鬼の目にも涙……ってか。なんてな! 上、見てみ」

戦士「……?」

 ポタポタポタポタッ……チョロロッ

戦士「……水?」

鬼丸「戦いの衝撃で城が崩壊する。湖の水が流れ込んでやがるのさ」

戦士「……!?」

鬼丸「時間がない。早く、地上へ逃げろ」

戦士「鬼丸!!」

鬼丸「相棒、何度も言わせんなって。俺ぁ今、最っ高に幸せなんだよ!」

戦士「……っ」ギリッ

鬼丸「死ぬ前に、人間みてぇな生き方して、人間みてぇな感じ方して」

戦士「鬼丸ううぅぅ……!!」

鬼丸「やっと分かった。人間ってのは愛を持ってるんだよなぁ」
875 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 11:59:31.10 ID:6NZrik+Do
戦士「鬼丸ううううぅぅぅぅ!!」

鬼丸「あの時、俺も愛を持ってりゃあ……振り向いてくれたのかねぇ」ジャリッ

戦士「こっち向けよ鬼丸ぅ!! 鬼丸ーっ!!」

鬼丸「じゃあな相棒。また……会えるといいな!」

兄様「行くぞっ! 藤蔵が最終究極奥義……!!」

風忍「其の疾き事、風の如く」

水忍「其の徐かなる事、林の如く……!」

火忍「侵掠する事おぉ……火の如くうぅ!」

兄様「知り難き事、陰の如く」

土忍「動かざる事……山の如く」

鬼丸「動く事ぉ、雷霆の如し!!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

マーラ「――――ッ!?」

盗賊「う……ぐああああぁぁぁぁーっ!!」

戦士「……馬っ鹿野郎おおぉぉぉぉ!!」
876 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 12:01:02.05 ID:6NZrik+Do
風忍「風」
水忍「林」
火忍「火」
兄様「陰」
土忍「山」
鬼丸「雷」

 ピカアアアアァァァァァァ!!

マーラ「ヒッ、ヒイイィィィィ!!」

 魔王を囲む六人の姿が目を覆う程に光り輝き、消失してゆく。

 光はマーラの体へと巻き付くように絡み、発光を強めて、大きくなった。

 マーラの悶絶する雄叫びだけが岩場と化した地下に響き渡る。

 白く美しく輝く光は、そのマーラをゆっくりと包み込み、そして一気に弾けた。

 誰も声は発せなかった。眩しさに目を細めながら、涙で視界を曇らせながら、

 己の義務、宿命であるかのように、その最後をずっとずっと見届けていた。

 白い光は五行と同様に、天高く柱となって昇っていった。そして、居なくなった。

 線の内側に足を踏み入れた者達は、居なくなっていた。

 そして景色は何事も無かったかのように元通りとなった。
877 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 12:02:16.98 ID:6NZrik+Do
〜東方、北の城南部〜

ザシュウウゥゥゥゥ!!

御館様「……」

侍女「ご報告致します。東の洞窟に潜む賊の一党、壊滅致しました」スタッ

御館様「ご苦労。お前も少し休むと良い」

侍女「いえ、私は……」パサッ

 顔に巻いた布を取る侍女は、夜空に輝く流れ星を目にした。

御館様「……あのように強くはっきりとしたものは珍しいな」

侍女「何か……不吉な予兆でなくば良いのですが……っ」

御館様「無事を祈っておれ。さすれば想いは届く」

侍女「……はい」

御館様「一度、北の城へと引き揚げる」

下忍「ははぁ!!」シュバッ!!

侍女「水、姫……っ。みんな……無事でいてね……っ」ギュッ

 流れ星は暗い夜空を、白く大きな尾を引いて、北の空へと消えて行った。
878 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 12:03:23.77 ID:6NZrik+Do
〜竜宮城、地下〜

 オオオオォォォォ……

戦士「…………」

盗賊「……っぐ……うぅ……っ」

槍侶「……や……った」

男隊員「魔王を一瞬で……消した……っ」

西方参謀「あまり、悠長に構えてる時間はねぇぞ」

東方司令「そうだ。あの鬼が言っていた、天井からの水が増しておる」

青年兵「退避致しましょう」

戦士「……っ」

 ズカズカズカッ ガシッ!!

戦士「……知ってやがったのか」

青年兵「……」

戦士「天才の予言で、知ってたのかって聞いてんだよ!!」

青年兵「仮に知っていたとしても……止める事は……」
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 12:06:10.18 ID:6NZrik+Do
 バキィッ!! ズザッ

青年兵「……っ」ツツーッ

戦士「止めらんねぇとかっ、そういう問題じゃねぇだろ!!」

青年兵「戦士さん……っ」

東方司令「貴様、司令官を殴る事がどういう事かっ、分かっておるのだろうな!」

戦士「んなモン知った事かよ。階級が上がろうか、ワーカーの俺らにとっちゃ関係ねぇ」

青年兵「……」

南方参謀「親しき仲にも礼儀ありよ。この戦いの責任者なのよ青年兵は!」

戦士「指揮官は予言を知ってりゃあ、好き放題やっていいってのかよ!!」

西方参謀「罪を押し付けんのはよせよ。お前さんだって分かってんだろ」

戦士「……っ」

西方参謀「誰のせいでもねぇ。だが、誰のせいでもある。そういうこった」

青年兵「いえ、構いません。指揮官であるこの僕の責任です」

盗賊「……く……ぅ」ザシャッ

青年兵「詫び、償いは必ず致します。とにかく今は、一刻も早く退避を」
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 12:07:14.75 ID:6NZrik+Do
男隊員「おら、行くぞ」グイッ

戦士「……」

男隊員「てめーなぁ! いつまでもグズってんじゃねぇぞ!」

戦士「……あ……あぁ」

男隊員「あぁ!?」

格闘家「はっ!!」ババッ!!

槍侶「馬……鹿なっ、これは夢か……幻かっ!!」ジャリッ

南方参謀「な、何なのよ一体……っ」クルッ

 巨大な岩の高台に姿を見せた1つの影はゆっくりと笑う。

――「……ククッ、ククク……ほっほっほっほっほ!!」

戦士「マーラアアアアァァァァ!!」

マーラ「見てみぃ、この体を!!」ドロォ

女隊員「う……っ」

マーラ「再生が間に合わぬ。魔力も微弱! 何もかもを失った。だが……生きておる」ニヤリ

盗賊「そ、そん……な……っ」ヘナッ
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 12:08:58.81 ID:6NZrik+Do
マーラ「犬死にっ! 無駄死に! 徒死!!」

東方参謀「冗談ではないっ! あやつ等が……命を賭して挑んだのだぞ!」

マーラ「どうやら、失敗だったみたいねぇ〜! ほーっほっほっほ!」

盗賊「そんな……そんな……っ、みんな死んだ……死んだのに……はっ、はは……っ」ユラッ

西方参謀「嬢ちゃんを退がらせろ! 様子がおかしい!」

盗賊「私は……もう、何もない……何も……っ」ザッザッザッ

マーラ「単身歩み寄り、如何したぁ? 降伏か? それとも……殺してやろうかぁ?」ニタリ

盗賊「私にはもう……何も……ない」

 ザッ……ガシッ

戦士「……俺が居る。お前の傍には俺が、ずっと居る。一生だ」

盗賊「……ふ、ふぇ……っ……ええぇぇっ」ボロボロッ

戦士「精神的にキてる。盗賊を頼む」グッ

青年兵「戦士さん?」

戦士「青年兵、さっきは殴って悪かったな。ほんとすまん」

青年兵「戦士さんっ!!」
882 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/19(木) 12:11:00.99 ID:6NZrik+Do
戦士「心配すんな。ケジメ……つけてくるだけだ」

男隊員「てめぇ! 死ぬ気じゃ――」

戦士「悪いけどなぁ、俺は死んでまで勝つなんて事はまっぴらゴメンなんだよ」ザッザッ

マーラ「小僧。何を勝手に語っているううぅぅッ!」

戦士「だがよ、大切な仲間や愛する女を守る為ならば、命を捨てても惜しくねぇ」

 ザッザッザッ

戦士「それが……ブシドーってやつだよな。鬼丸、みんな」ジッ

 鬼の籠手がぼんやりと光ったように見えた。

 グイッ ザシッ

南方参謀「ゾディアック!? ちょっと!!」

戦士「どうせ大した魔力なんて持ち合わせてねぇんだ。死にゃしねぇって」

槍侶「し、しかし……っ!」

西方参謀「構うな。元来あの得物はアイツのモンだ。特徴は一番、理解してる」

槍侶「……っ」

戦士「マーラ、てめぇは俺を怒らせた……!」
883 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/19(木) 12:36:54.06 ID:6NZrik+Do
また夜来れそうであれば来ます!ひとまずそれでは!ノシ
884 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 12:41:28.34 ID:r8IrXEHho
>>1キテター
885 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 13:17:21.80 ID:1J4PZgSDO
>>1
主人公かっけー!
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/01/19(木) 13:38:43.90 ID:AplVFuRFo
この時間に・・・盛大に泣いた・・・
仕事中なのに
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/19(木) 14:47:21.66 ID:g3I5eIO60
いちおつ
涙が…涙がとまらない……
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 16:52:50.20 ID:u8C1Z+2DO
仕事中になんてものを読ませやがる…
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 18:16:04.07 ID:75bXKe/Ko
戦士主人公杉ィ!
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 18:20:07.70 ID:8cbJIenW0
ぐおぉぉぉぉぉぉ
1乙
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 19:00:46.24 ID:92PyVWQZo
ずっと主人公属性の戦士の台詞に痺れた
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/19(木) 19:25:00.93 ID:lJ1ZWbD2o
>>1

仕事しろよお前ら・・・
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/19(木) 21:14:55.58 ID:wP5SwXLAO
>>1おつ
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 21:18:36.97 ID:ryuk3KQGo
>>1の何がすごいって、いろいろあるけど
クライマックスの中にクライマックスがあって、さらにその中にクライマックスを仕込んできやがる。
いつも楽しく読ませてもらってます。
895 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 21:22:01.32 ID:AOL5rHaDO
最初からクライマックスだぜぇ!
896 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 21:39:37.53 ID:92PyVWQZo
いきなり最終回だぜえ!
897 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/19(木) 21:41:47.73 ID:+lw2Ou9Co
召喚士が生まれた時からクライマックスだったと…
898 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 21:41:53.29 ID:H+ipj9qDO
>>1乙!
電車の中なのに泣いてしまった……
899 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 22:05:42.13 ID:F8bEeAeUo

>>1乙!

主人公戦士さんが、主人公過ぎて読むたびに泣けてくるね!
900 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 22:40:25.29 ID:MNPZhViC0
>>1おつんつん

戦士ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!

901 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/19(木) 22:57:16.93 ID:3B6IeAgMo
セリフが承太郎に引けをとらないぐらい合ってるな
完全に主人公だわ・・・
902 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/19(木) 23:18:30.64 ID:gNQRUNPAO
>>1
やっと仕事が終わって
家で泣きながら読んだ俺は勝ち組ww
903 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/01/19(木) 23:40:03.25 ID:pIyACGwpo
主人公過ぎる
904 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 01:47:57.66 ID:gao8eVuSO
>>1おつ!

戦士はジャンプやマガジンなら主人公
召喚士はビッグコミックやらラノベで主人公
な感じで実にいいな。
905 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/20(金) 02:49:06.08 ID:DS3H7fNzo
>>1

三部と五部があったな。。。
鬼丸お前の事は忘れないよ
906 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 07:15:16.68 ID:CwnUZ+QIO
鬼丸は実は生きている
きっと男塾のように…ってだめか?
907 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 11:33:14.10 ID:PdOvXOWDO
ブチャラティ、プロシュートの兄貴、承り太郎と来たら
次はそろそろありのままに起こった事を話されそうだな。
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) [sage]:2012/01/20(金) 12:49:58.12 ID:4Phzcdr8o
>>906
ネクロマンサーの秘術で蘇った鬼丸は百鬼丸と名を変え、妖に奪われた48個の身体のパーツを取り戻す旅に…
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 13:11:57.55 ID:CwnUZ+QIO
でも作品タイトルは「とろろ」
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/20(金) 15:48:21.99 ID:BSa/crqAO
いかにも隣に居そうだな。
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 15:49:15.90 ID:rp4pO8pDO
>>1

>>909
何その原作手塚治虫、製作ジブリみたいなやつ
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/01/20(金) 15:58:39.99 ID:oZHryuj0o
あなた!とろろっていうのねぇええええええええええ!?
913 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:28:51.11 ID:aRlGICNpo
 ザッザッザッ ジャリッ

西方参謀「おいっ! 雷切……」

戦士「……」ザッザッ

南方参謀「雷切どころか、盾まで持ってないじゃない……っ」

東方参謀「あやつ、ゾディアック1本でケリをつけるつもりか……!」

 コオオオオォォォォ……

マーラ「……気に食わない顔」

戦士「……」ザッザッ

マーラ「たった一人で、勝てるとでも勘違いしている愚か者の顔」

戦士「……」ザッザッ

マーラ「このアタシは……魔王よ!!」

戦士「だから何だよ。魔王魔王って、くだらねぇんだよ」

マーラ「何だコイツ……ッ、魔王を恐れていないというの……!?」

戦士「複数いる中の、たった1匹だろうがああぁぁ!!」ゴアッ!!

マーラ「――ッ!!」
914 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:29:36.71 ID:aRlGICNpo
戦士「てめぇなんざもう怖かぁねーんだよおぉ!!」タンッ!!

マーラ「この……マーラ様を、なめるなアアァァーッ!!」ブアァッ!!

 ドッゴオオォォォォン!!

戦士「遅いんだよおぉ!!」ビュオッ!!

 ドズウウゥゥゥゥン!!

女隊員「全て……かわしてる……ッス」

男隊員「魔王自体にもうそれ程の威圧を感じねぇ」

格闘家「ええ。恐らくは軍団長、いや……それ以下の攻撃力でしょう」

マーラ「ウガアアアアァァァァ!!」ブオンッ!!

戦士「食らえええぇぇ――」

 ドズウウゥゥゥゥン!! ジュウウゥゥゥゥ!!

戦士「!?」

マーラ「グフウウゥゥゥゥ……ッ」

南方参謀「い、岩が溶けたわよ……!?」

東方参謀「溶解液だな。魔王の体から血の様に漏れておる」
915 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:30:23.89 ID:aRlGICNpo
 フラァッ

盗賊「……戦……士」

青年兵「盗賊さんっ!?」

盗賊「……戦士の……戦士、助けなくっちゃ」フラフラ

青年兵「盗賊さんっ! どちらへ――」ハッ

盗賊「そうだ……戦士を、戦士を助けなくては……!!」ダッ!!

南方参謀「盗賊ちゃんっ!? 青年兵くん、盗賊ちゃん……意識取り戻したの!?」

青年兵「え、ええ。みたいです! それよりもあれを!」

南方参謀「!?」

青年兵「盗賊さんは恐らく、あの書物を取りに……」

東方参謀「書物? あぁ、藤蔵の奥義書というやつか」

西方参謀「待て! 1個だけじゃねぇ……あっちも、ほれ! そこにも!」

南方参謀「そ、そうよ! 藤蔵の皆が持っていた奥義書が……!!」

 タタタッ ズザァ

盗賊「……火」ガシッ
916 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:31:17.08 ID:aRlGICNpo
女隊員「盗賊ちゃん! こっちにもあるッスよ!」ブンッ

盗賊「……風」パシィ!!

西方参謀「こっちは、土って書いてあんぜ」ポイッ

盗賊「……土」パシッ

東方参謀「盗賊、お主の為に残されたものであろう」ブンッ

盗賊「……水」パシッ!!

青年兵「5個の巻物、これで全てですね」スタスタスタ

 スッ

盗賊「……ああ。五輪の書の……藤蔵の全てだ」グッ

男隊員「さてどうする? 戦士がアレだが、ぼちぼち退却しねぇと脱出が厳しくなるぞ」

東方参謀「確かにな。外に待たせている連中や船も危うい」

南方参謀「でも、戦士くん1人を置いてはいけないわよっ」

盗賊「先に行っててくれ」

青年兵「盗賊さん……?」

盗賊「私は戦士と共に行く。そして、必ず帰るから」スッ
917 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:31:55.55 ID:aRlGICNpo
女隊員「盗賊ちゃんっ!?」

盗賊「必ず、2人一緒に帰るから……っ!!」タンッ!!

男隊員「おいっ!? ちぃーっ、どうすんだよマジで!」ボリボリボリッ

西方参謀「どうする? 指揮官殿よぉ」

青年兵「……退却して下さい」

東方参謀「お前は残る気か?」

青年兵「はい。もう魔力もありませんが、何とかあの2人は生かして地上へ帰すつもりです」

男隊員「……はぁ」ポリポリ

格闘家「そういう事ならば、俺も残ります」

槍侶「同意。手を貸す事は出来ずとも、行く末を見届けるくらいは出来まする」

西方参謀「だとさ」

青年兵「……分かりました。退却ルートは分かりますか?」

格闘家「把握しております」

青年兵「道は有効ですか?」

南方参謀「大丈夫よ。さっき確認した時はだけど」
918 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:34:03.52 ID:aRlGICNpo
青年兵「……では、道の付近まで移動して下さい。何かあったらすぐ動けるように」

格闘家「ここで構いません。駄目な時はどこにいても変わりませんから」

男隊員「そりゃそうだわな……ヒャハハ!」

東方参謀「さぁ、マーラの最後を見届けようではないか」

青年兵「戦士さん、盗賊さん。すみません……っ」ギリッ

 ドジュウウウウゥゥゥゥ!!

戦士「そんなもん、当たるかよおぉ!!」

マーラ「見てみい。この醜い体……爛れた体。出したくて出しているわけではないのよ」

戦士「知るかよ」

マーラ「貴様等のような、下等生物がアタシを傷付けてッ、こんな体にイイィィ!!」

 ブンッ!! ブンッ!! ジュウウゥゥゥゥ!!

マーラ「こんな馬鹿げた話……ッ、魔王が……魔王マーラがこんな……ッ」

戦士「もう無駄な事はやめとけよ。かする気もしねぇ」シュバッ

マーラ「――――ッ!?」

戦士「こいつで終わりだ。とくと食らいな」チャキッ
919 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:36:58.17 ID:aRlGICNpo
マーラ「こんな事があって……たまるかアアアアァァァァ!!」

戦士「ウッりゃああああぁぁぁぁーっ!!」ググッ!!

 ゴゴゴゴゴゴ……ドッゴオオオオォォォォン!!

戦士「――っ!?」

男隊員「何だぁ!?」

西方参謀「水だっ!! 天井が崩壊しやがった!!」

 ドドオオオオォォォォ!!

盗賊「戦士いぃーっ!!」ダッ!!

戦士(くっそお……っ、水が視界……遮りやがって見えねぇ!)

 ユラッ

戦士(攻撃してくるっ! ちくしょう……やるしか……ねぇ!!)

 目の前には滝のように流れ落ちる大量の水。その向こうは見えないが、

 戦士は確かに威圧と気配を感じ取り、それがマーラの攻撃である事に気付いていた。

 一度構えたゾディアックは投擲の体制で体の横につけたまま静止している。

 近づく気配に神経を集中させ、一撃必殺の機会を静かに伺う。
920 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:38:23.11 ID:aRlGICNpo
戦士「……」

 ピクンッ

戦士「ここだああああぁぁぁぁーっ!!」バシュッ!!

 ドッガアアアアァァァァ!!

戦士「――――っ!!」

 それは2度目の崩壊であった。投擲されたゾディアックは、更に勢いを増した水の前に、

 方向転換を余儀なくされ、若干ではあるが、軌道は右方へとズレをみせた。

 その僅かな、ほんの僅かなズレが致命的な仇となってしまった。

戦士「ち……っくしょおぉ!!」

マーラ「ゴハアアアァァァァ!!」

 マーラの左腕をかすめ、引き裂き、ゾディアックは背後の壁へと突き刺さった。

 衝撃で岩壁は崩壊し、更にそこから水の侵入が始まる。

ゾディアックは壁を不器用に転がると、切先を上に向けたまま岩と岩の間に挟まった。

戦士(……しくじった……っ)

マーラ「グ……ググ……オオォォォォッ、オオオオォォォォ!!」
921 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:38:49.34 ID:aRlGICNpo
〜剣聖の屋敷〜

神野「うおああぁぁぁぁーッ!!」

召喚士「コカトリスーっ!!」

 シュイイィィィィン!!

神野「また石化かいっ! 芸がないんだよおおぉぉ!!」

コカトリス「はあぁーっ!!」ババッ!!

神野「さぁ、撃ってこい!!」ゴウッ!!

コカトリス「はああぁぁぁぁ!!」

神野「……撃ってこい! どうしたぁ!? 撃たんかいッ!!」

召喚士「石化の吐息だけだと思っているのなら、それは観察力がなさすぎるぞ!」

神野「なんやコイツ……ッ、まさか特攻する気かぁ!?」

コカトリス「このまま貴様を……貫くっ!!」

神野「――ッ!?」

 ボンッ!! ズゴガガガガガッ!!

神野「なん……やとぉ……ッ」ボゴォ!!
922 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:40:05.40 ID:aRlGICNpo
名代「何とっ! 突撃後、そのまま石化が……っ」

魔道士「コカトリスの第3の能力ですっ!」

東方司令「あんな攻撃もあったのか……」

帝「成程。触れても問題なくなったからこその攻撃であるな」

 ピシッ……ビキビキベキィッ!! バッガアアアアァァァ!!

神野「……ハァーッ、ハァーハァーッ」

夫人「自力で脱したが、随分と苦しそうじゃのぅ」

神野「余計な体力……使わせやがってぇ……ッ」

召喚士「悪いけど、もう勝ち目はないよ」

神野「何やとぉ!!」

召喚士「今ので俺とお前の魔力は完全に上下入れ替わった」

神野「……ッ」

召喚士「残りの力からしても、もう上回る事はない」

神野「人間風情が……神野悪五郎様に対して……上から物を騙るんじゃねええぇぇ!!」

召喚士「……はああぁぁぁぁ」
923 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:40:53.16 ID:aRlGICNpo
 ゴゴゴゴゴゴ……

イヌ「な……っ!?」

女侍「まだ……魔力を……!?」

サル「ハッタリなんかじゃねぇ……っ、アイツ、本当に魔力で上回ってやがんだ……っ!」

神野「ワイが……この神野悪五郎様がアアァァ、人間風情にイイィィ!!」ゴアッ!!

召喚士「行っけええぇぇぇぇ!!」ゴアァッ!!

 前方を指差す召喚士の周りに、おびただしい数の召喚獣が現れ、突撃する。

神野「クッソがああああぁぁぁぁーッ!!」

 バギャアアァァァァ!!

神野「ゴブアアァァ!!」

 初撃、神野悪五郎の攻撃を防いだゴーレムの背後から、ユニコーンが突進する。

 吹き飛ばされた敵をペガサスが追走し、流星のような攻撃を撃ち放つと、更には

 スキュラの氷撃とサンダーバードの雷撃が神野悪五郎を直撃する。

神野「グ……ッガアアアァァァァ!!」

召喚士「まだまだああぁぁぁぁ!!」
924 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:41:40.67 ID:aRlGICNpo
 追撃の手は緩まない。電撃を伴いながら凍りついた神野悪五郎の元へ、

 1体、2体、3体……と、続けざまにスピアを構えたワルキューレが襲いかかる。

 戦乙女による華麗なる連撃は踊りのように舞い、反撃の隙を与えない。

 打ち上げられた神野悪五郎は声をあげる事もならぬまま、次なる攻撃を向かえた。

 空中にてワイバーンが待ち構える。鋭い牙を見せながら大きく口を開く。

 その直後、赤く光る口内から灼熱の炎が放たれ、敵を火だるまへと変える。

神野「――――ッ」

 攻撃の手は止まない。炎に包まれながらワイバーンの尾で叩き落とされると、

 地上にて備えていたベヒーモスの閃光が、落下してきた標的を捉えた。

 ドッドオオオオォォォォン!!

 轟音を響かせながら閃光は神野悪五郎を撃ち上げ、大打撃を与える。

 まだ閃光に弾き飛ばされている最中、次なる召喚獣が上空で待ち構えていた。

 グリフォンとハーピーは、閃光から神野悪五郎を引き摺りだすかのように攻撃を開始し、

 2匹の召喚獣は獲物を競い合うかのように、交互に攻撃を加え、地上へと吹き飛ばした。

 そして地上では最後の召喚獣がニコニコと笑いながらスタンバイをしていた。
925 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:42:50.66 ID:aRlGICNpo
 ドゴオオオオォォォォ!!

神野「…………ァ……ッ」

スフィンクス「だぶる……」

神野「ク……ソォ……!!」

スフィンクス「とどめ……」

神野「クッソオオォォォォ!!」

スフィンクス「ぱーんちいいぃぃぃぃっ!!」

 ゴシャッ!! メキィ……バッゴオオオオォォォォン!!

夫人「うわ……強烈ぅ」

魔道士「……っ」

 ドシャッ ドガッ ゴロゴロッ……ズザザアアァァァァ

召喚士「……ふーっ」

サル「…………」ポカーン

名代「……こ、これは……凄まじいなどと一言では済まされぬな……っ」

帝「何と言う……破壊力かっ」
926 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:44:18.24 ID:aRlGICNpo
〜竜宮城、地下〜

 ドドオオォォォォ……

盗賊「戦士ぃ!!」

マーラ「ガアアァァァァ!!」

 ドグゥ!!

戦士「かは……っ」

マーラ「ゴアアアアァァァァ!!」

 バゴォン!!

戦士「――っ!!」ズザァ

マーラ「ほ、ほっほっほ……ッ、まだ運は……アタシにあるようだねぇ……っ」

戦士「瀕死のくせに……何をほざいてやがるっ」ペッ

マーラ「武器も持たず、何を粋がっておるかっ」

戦士「……っ」

西方参謀「あんのバカ……! 雷切を……」

格闘家「今からでは間に合いませんよ! こうなったら……」
927 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:46:15.65 ID:aRlGICNpo
 ガシッ

格闘家「……?」

男隊員「言ってもどうせ、戦える力は残ってねぇだろうが」

格闘家「し、しかし……っ」

男隊員「アイツの目を見てみろ。まだ諦めちゃいねぇ」

東方参謀「それに、まだ戦えぬわけでもなさそうだぞ」

女隊員「えっ!?」

南方参謀「あそこ……見てっ! 刀があるわっ!」

西方参謀「あれは……鬼丸の刀かっ!」

槍侶「何と言う偶然か……っ」

青年兵「いえ、偶然なんかじゃありませんよ。そういう宿命だったのでしょう」

 ドズンッ

マーラ「……この距離からならば、幾ら弱っていようとも、武器のない貴様を葬る事は可能ッ!」

戦士「負けて……たまるかああぁぁぁぁ!!」

 ドッゴオオオオォォォォ!!
928 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:48:08.81 ID:aRlGICNpo
 腕が勝手に動いた。戦士がそう思うほどに無意識な中での行動であった。

 マーラの振り下ろした右腕は、頭上に掲げた戦士の両手をすり抜け、

 丁度、手首の辺りで挟むように防がれていた。

槍侶「真剣……白刃取り……!?」

格闘家「い、いや……っ! もっと高度というか、両手首で挟んでいる……っ!!」

東方参謀「触れれば溶解液で溶かされる。まさか、見切った上での行為っ」

西方参謀「しかし何で手首なら……っ。いや、手首に……籠手を!?」

 ググググッ

マーラ「こんな真似……ッ、有り得ぬ! 有り得ぬウウゥゥ!」

戦士「……く、ぐく……っ!」ジジジッ

盗賊「!?」

戦士「鬼丸が……っ、雷忍が助けてくれた……っ」

マーラ「――ッ!?」グググッ

戦士「俺は……1人じゃねええぇぇ!!」

盗賊「その通りだっ、戦士!!」
929 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:49:57.87 ID:aRlGICNpo
 シュバッ!!

戦士「盗賊!?」

盗賊「我ら……藤蔵の力を、食らええぇぇ!!」

マーラ「なっ――」

盗賊「風遁……疾風!!」

 ゴガアアァァァァ!!

盗賊「水遁……っ、水飛沫!!」

 ズッシャアアァァァァ!!

盗賊「雷遁っ、迅雷ぃ!!」

 ガッガアアァァァァ!!

盗賊「火遁……火遁っ、業火ぁ!!」

 ゴッゴオオォォォォ!!

マーラ「グブアアァァ……ッ、こ……これ以上はさせぬウウゥゥ!!」

 バギャッ!! ゴガアアァァァァ!!

盗賊「土遁……障壁っ」
930 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:51:04.09 ID:aRlGICNpo
女隊員「防いだッス!!」

男隊員「今だっ、とどめを刺せぇ!!」

青年兵「戦士さん、背後を!!」

戦士「……?」クルッ

盗賊「拾えっ、戦士!」

戦士「あれは……国綱っ!!」バッ!!

盗賊「いけええぇぇ!!」

 チャキッ グッ

戦士「最後の最後まで、お前と一緒かよ」

マーラ「グギアアアアァァァァ!!」

戦士「ありがとな……相棒っ!!」ススッ

 シャキイイイイィィィィン

マーラ「…………」

戦士「……そのまま……吹き飛びな」カシャンッ

 ドッゴオオオオォォォォン!!
931 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:52:06.23 ID:aRlGICNpo
〜剣聖の屋敷〜

 コオオォォォォ……

神野「…………」

召喚士「立て、神野悪五郎。次で最後だ」

神野「……ククッ」フラァ

召喚士「……」

神野「クククッ、ヒャーッハッハッハッハ!」ヨロッ

召喚士「……」

神野「このワイが……ここまで追い詰められるとはなァ……」ズズッ

召喚士「……」

神野「ワイは……魔王すら越えたはずだったんや……ッ! 何故だアアァァァァ!」

 ドウッ!! ゴオオォォォォ!!

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「コカトリス、決めてくれ」

コカトリス「ああ、そうしよう」
932 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/20(金) 17:54:04.32 ID:aRlGICNpo


マーラ「クッ、クク……ゴハアアァァ……ッ」
神野「……グ……クク……ククッ」

戦士「マーラ、てめぇは弱ぇよ。シンノアクゴローなんかより遥かにな」
召喚士「神野悪五郎。お前は魔王マーラよりも弱いさ」

マーラ「な……何だとおぉ……ッ」
神野「なん……やと……コラァ……」

戦士「所詮、たった1人で強いと思い込んでる勘違いヤローだ」
召喚士「強いと自負し、結局は孤独だった。それは強さじゃない思い上がりだ」

マーラ「言わ……せておけばぁ……ッ」
神野「何を言う……かああぁぁ……ッ」

戦士「何でてめぇを吹っ飛ばしたか分かるか? 背中に刺さったゾディアックの為だ!」
召喚士「無駄な事はよすんだ。今は下半身だけだけど、徐々に石化は完了する」

マーラ「こ、このアタシがァ……敗北……するっていうの……ッ」
神野「このワイが……敗北するなどとォ……ッ」ミシミシッ

戦士「お前は勝ち目なんてなかったんだよ」
召喚士「お前は、勝ち目なんて最初からなかったんだ」

マーラ「――!?」
神野「――!?」

戦士「お前の敗因は孤独。誰かを信じて、力を合わせて戦わなかった。そんだけだ」
召喚士「お前の敗因は1つ。誰も信じず孤独だった事だ。誰も助けてくれなかった事だ!」
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/20(金) 18:07:35.12 ID:aRlGICNpo
やっとマーラ編の終わりが見えてきた…
土日のうちになんとか頑張りたいと思います!
多数のご支援ありがとうございました!!

それでは!週末なんで夜中更新出来たら頑張ります!ノシ
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 18:08:18.06 ID:d1ElqLDIO

シンクロ熱い
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 18:16:14.43 ID:SmpW9YHp0
1乙

召喚士…モブのくせに主人公の戦士さんの真似しやがって
936 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 18:41:11.24 ID:Hd3+Od8DO


そーいえば一応の主人公は召喚士だったんだな
忘れてたわ
937 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/20(金) 19:11:38.91 ID:BSa/crqAO
>>1
あれだけ喰らってまだ生きてた神野さんパネェっすww
938 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 19:36:35.79 ID:r+O5ypY/o
もう主人公戦士だよ
間違いない
939 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/20(金) 20:11:41.99 ID:4wrQXjNL0
>>1
せめて
召喚士「弱い」
戦士「弱い」
の順番なら召喚士が主人公っぽかったのに
完全に戦士が主人公だな。
940 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/20(金) 20:21:57.96 ID:wR8iQuj+o
>>1

ニコニコして待ってるスフィンクス可愛いな
941 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/20(金) 20:46:59.15 ID:x3Xk7L5k0
いちおつ
召喚士にとっての修羅場は
神野戦が終わってからだろうなww
942 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 21:32:25.86 ID:Hd3+Od8DO
エロ夫人vs魔導士か
943 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/20(金) 22:21:23.06 ID:X/77qmQ3o
戦士は雷のコテももらってたのか
944 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/01/21(土) 00:12:42.60 ID:ZCV8DxZio
書いてあるヤーン
945 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 00:16:54.89 ID:BbGn2Ng80
>>1おつんつん

戦士かっこよすぎワロタwwwwwwww
946 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 00:17:38.07 ID:IWqpnWTIO
鬼の篭手だけどな。
947 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/21(土) 01:07:49.38 ID:VtMLh2bAO
>>1おつ

W主人公とか熱いな
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:13:07.11 ID:yRL5+EEIo


マーラ「一人の力では何も出来ないッ、ただ非力なだけの人間ガアアァァ!!」

戦士「それを強さだと気付かねぇうちは、何度やったって同じさ」

盗賊「その通りだ」ザッ

マーラ「群れる事でしか力を示せぬ……こんな、こんな下等な奴らに……ッ」

盗賊「……戦士」

戦士「……」

盗賊「力を、貸してくれ」

戦士「……?」

盗賊「私1人では、五行はとても無理だ」

戦士「五行……? お前……何を言って……」

盗賊「皆が残してくれた……。藤蔵の……皆が。力を……」

戦士「盗賊……っ」

盗賊「戦士、手を……貸してくれ」

戦士「……お、おう」
949 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:14:33.76 ID:yRL5+EEIo
 スッ

盗賊「大きな掌だな」

戦士「……っ」

盗賊「この掌で、私を守ってくれた……」

戦士「……盗賊」

盗賊「ずっと、ずっと。そして……これからも……」

戦士「……ああ。お前を一生、守る。あいつらの代わり……いや」

 ギュッ

戦士「俺の意志でだ」

盗賊「……うん。ありがとう」

 キュイイイイィィィィ

西方参謀「何だぁ!?」

青年兵「あれはまさか……五行!?」

東方参謀「そうかっ! 藤蔵の奥義書を手に入れた事で全ての行を……っ」

南方参謀「危険よっ!! 五行だなんてそんな……っ!!」
950 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:15:00.50 ID:yRL5+EEIo
男隊員「いんや。あの2人なら大丈夫だろ」

格闘家「そうなんですか?」

女隊員「愛のちからッスよ!」

槍侶「……愛」

青年兵「戦士さん、盗賊さん……決めて下さい!」

 ズゴゴゴゴゴゴ……

盗賊「戦士の魔力に合わせるから」

戦士「出来るか?」

盗賊「多分。ずっと……見てきたし」

戦士「……頼むぞ」

 ドゴオオオオォォォォ!!

マーラ「――――ッ!!」

盗賊「食らうがいいっマーラ!! 私の……風林火山!!」

戦士「そして俺の……雷ぃ!!」

戦士・盗賊「2人の……五行を!!」
951 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:15:37.28 ID:yRL5+EEIo
マーラ「クソオオオオォォォォ!! 抜けないッ!! 抜け――」

 ドッドオオオオォォォォン!!

戦士「ゾディアックが媒介だ! 威力は弱くとも……効果は絶大なはず!」

盗賊「滅せよ……魔王!!」

 ガカアアアアァァァァ!!

マーラ「クソオオオオオオォォォォォォ――――」

 ゴゴオオオオォォォォン!! ドッシュウウウウゥゥゥゥ……

男隊員「く……っ!」

槍侶「す、凄まじい光が……っ!」

南方参謀「やった……! 成功よっ!」

青年兵「……っ」

 盗賊の風林火山に戦士の雷が加わり、合体五行が炸裂する。

 その五行はゾディアックという媒介を通し、威力の全てを魔王マーラの体内へと蓄積し、

 内部よりマーラの存在そのものを、この世界から消滅させるに至った。

 今ここに、魔王マーラは東方、本国連合軍の手によって討ち滅ぼされた。
952 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:16:14.79 ID:yRL5+EEIo
〜剣聖の屋敷〜

神野「ワイが孤独……やとォ!?」

召喚士「そうだ。その証拠に、お前の下には助けがいたか?」

神野「……!?」

召喚士「自身では部下や仲間だと思っていたかもしれないけれど、誰もいないじゃないか」

神野「……クッ」

召喚士「窮地だというのに、誰も助けに来ない。これが孤独でないなら何なんだ!」

神野「言わせておけばァ……!」

召喚士「俺達1人1人は確かに、お前より弱いかもしれないさ」

神野「……」

召喚士「それでも、皆で力を合わせれば、お前だって魔王だって、倒す事が出来るんだ!」

神野「……貴様、名は何と言う」

召喚士「……召喚士」

神野「ククッ。召喚士、覚えておくでぇ。いつの日か必ず、貴様を殺したる!」

召喚士「……」
953 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:17:06.20 ID:yRL5+EEIo
夫人「ふふっ。出来ると良いがのぅ」

神野「……何?」

夫人「何でもないわ。おーっほっほっほ」

召喚士「さぁ、これで終わりだ……神野悪五郎」

 シュイイイイィィィィン

ウンディーネ「……?」

ノーム「やれやれ。まだ何か用があるのか?」

サラマンダー「何じゃ、お前らも一緒かい」

シルフ「うぇ、朱雀以外も呼ぶ必要あるのー?」

召喚士「もはや瀕死のお前に、全力で4属性を放つまでもない」

名代「四属性!? まさか……」

召喚士「最後の魔力……受け取ってくれええぇぇ!!」

 ズゴゴゴゴゴゴッ

ノーム「むっ!?」

サラマンダー「おーおー。力が漲ってくる!」
954 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:17:51.82 ID:yRL5+EEIo
 ピッキイイイイィィィィン!!

キジ「ひ、光が……っ」

帝「金色の……光……っ」

 ドッシュウウウウゥゥゥゥ!!

召喚士「食らええぇぇぇぇ!!」

神野「召喚士イイィィィィ!! 必ずや貴様オオォォォォ――――」

 ドッゴオオオオォォォォ!! ズゴオオオオォォォォ……

魔道士「――っ!!」

サル「く、くうぅーっ!!」

女剣士「す、凄まじい……輝きだ……っ」

 金色の光は石化した神野悪五郎を包み込み、それを天へと誘うように伸びてゆく。

 光は夜空を突き抜け、天地を結ぶ光のように輝き、そして消える。

 耳鳴りの残音。突如戻る暗闇。一同は何が起こったのか把握するのに時間が掛かるくらい、

 そのくらい一瞬で、呆気なく、そして瞬く間に、神野悪五郎は消滅した。

 今ここに、神野悪五郎は東方、本国連合軍の手によって討ち滅ぼされた。
955 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:18:43.10 ID:yRL5+EEIo
〜竜宮城、地下〜

 ドドオオオオォォォォォ……

戦士「魔王は……消えた、か」

盗賊「やった……んだよね?」フラッ

戦士「!?」

 ガシッ

戦士「盗賊っ!? 盗賊!!」

盗賊「……やった……よ……みんな……っ」ガクッ

戦士「……盗賊」

女隊員「やったッス……ついに、ついにマーラを倒したッスよ……っ」

西方参謀「多大な犠牲を払ったが、これで任務終了……」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

格闘家「大きいですね……っ、これは――」

 ドッガアアアアァァァァ!! ドドオオオオォォォォ!!

東方参謀「壁が決壊したぞっ! 退避っ、退避だ!」
956 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:19:38.02 ID:yRL5+EEIo
青年兵「皆っ、早く脱出を!」

戦士「盗賊! くそっ、気を失ってやがる……っ」

男隊員「戦士ぃ! 早くしろぉ!」

戦士「仕方ねぇ、おぶってく!」グイッ

 タッタッタッタッタッ

戦士「っといけねぇ! ゾディアックを!」クルッ

女隊員「何してるんスか! 早くっ!」

戦士「すぐに行く! 先に行っててくれ!」

格闘家「しかし……っ」

男隊員「いいから早くしろぉ! 間に合わなくなるぞ!」

格闘家「……くっ」

 タタッ

戦士「……よし。こっちもさっさと脱出を…・・・」ガシッ

 ドッガアアアアァァァァ!!

戦士「ぐぶあ……っ! く……っそ」
957 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:20:28.03 ID:yRL5+EEIo
 ドドオオオオォォォォ!!

戦士「がぼ……っ、ご……っ!!」

 ザザアアアアァァァァ

戦士「盗……賊っ――」

盗賊「…………」

 ザアアアアァァァァ……

西方参謀「道は開けてんのかぁ!?」

東方参謀「概ね問題なさそうだ」

 ドガアアアアァァァァ!!

南方参謀「!?」

青年兵「水が勢いを増している。こんな所まで……っ」

男隊員「急げ急げ急げえぇ!!」

槍侶「左の壁っ! 今にも崩れそうですよ!」

女隊員「右もッスよぉ!!」

 ドッガアアアアァァァァ!!
958 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:21:19.14 ID:yRL5+EEIo
南方参謀「きゃっ!!」

格闘家「……はぁ……はぁっ」ガクンッ

男隊員「ち……っ、疲労で体力もピークだ……クソッタレ」

女隊員「……」ピタッ

男隊員「おい、何してんだ! 早く――」

女隊員「戦士くんと盗賊ちゃん、他の場所から逃げられるッスかねぇ」

西方参謀「あぁ? まぁこれだけ崩壊してりゃあ隙間から脱出出来る公算は高いだろうな」

女隊員「……ん。じゃあ問題ないッスね」

格闘家「女隊員さん……?」

女隊員「私がここで時間を稼ぐッス。先に逃げるッスよ」

青年兵「ちょっと待って下さい! 時間を稼ぐってどうやって……」

女隊員「こうやって……ッスよおぉ!!」

 バッゴオオォォォン!! ドガガガガアアァァァァ!!

男隊員「ちいぃ!! バッカヤロー!!」ダッ!!

 ゴガガアアァァァァ!!
959 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:22:01.69 ID:yRL5+EEIo
男隊員「……くそぉ! 塞がれた……っ!!」

西方参謀「水の勢いが……止まった……」

 チョロチョロチョロチョロ……

東方参謀「今の落盤で、蓋となったようだな……」

南方参謀「ちょっと待ってよ!! 女隊員ちゃんは……」

格闘家「この岩の……向こうです……っ」

南方参謀「どうすんのよぉ!! これじゃあ女隊員ちゃんは……」

男隊員「……行くぞ」

南方参謀「!?」

男隊員「早く……脱出すんぞ」

南方参謀「女隊員ちゃんを見捨てるって言うの!?」

男隊員「アイツが命を賭けて拓いてくれた道だっ!! 無駄に出来ねぇだろうが!!」

槍侶「……っ」

男隊員「それにアイツは言った。時間を稼ぐってな」

青年兵「……」
960 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:23:02.13 ID:yRL5+EEIo
男隊員「時間稼ぐんなら、そのうち戻ってくるって事だ。そうに違いねぇんだよ!」

東方参謀「……どうする?」

青年兵「……このまま脱出します」

南方参謀「ちょっと!!」

青年兵「女隊員さんは死んだりはしません。あれだけ強い方ですから」

男隊員「……っ」ギリギリッ

 ガゴンッ!! ポタタッ

男隊員「……行くぞ。時間がねぇ」

格闘家「了解です……っ」

 タッタッタッタッタッ

西方参謀「あと少しだ。ここを曲がって真っ直ぐ進みゃあ一階部分に到達する」

南方参謀「何て非力なの……私は……っ!」

東方参謀「責めるな。皆……同様だ」

男隊員「……」

青年兵「さぁ、行きましょう」ザッ
961 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:23:59.04 ID:yRL5+EEIo
 ドドドドオオォォォォ

女隊員「……ふーっ。参ったっすねぇ」

 ザザアアァァァァ バシャッ!!

女隊員「ぷっ! もう、胸の辺りまで水が迫ってるッス……」

 ザアアアアァァァァ

女隊員「こりゃ……隊長と一緒にここで暮らすしかないッスかねぇ」

――『ゴメンだね』

女隊員「!?」

 ドザザアアァァァァ!!

女隊員「水が……退いて……いやっ、壁にぶつかって……戻っていく!?」

――『ほれ、早く行けよ』

女隊員「た……隊長!?」

 ボウッ

――『あと8秒後に……壁を殴れ』

女隊員「隊長……生きて……隊長ぉ!!」
962 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:24:50.69 ID:yRL5+EEIo
――『5、4、3…………今だ』

女隊員「くっ!!」ババッ!!

 ドッゴオオオオォォォォン!!

女隊員「……やった、道が……っ」ハッ

 ババッ!!

女隊員「……隊長」

 ザアアァァァァ

女隊員「幻……だったんスかね」

 ザアアァァァァ……

女隊員「おっと、こうしてる場合じゃないッス! この隙に……脱出するッスよぉ!」

 タッタッタッタッタッ……

戦士(…………盗賊)ゴボッ

盗賊「…………」

戦士(……くそっ、どこか脱出口を。いやそれよりもまずは、空気のある所を……)

 ゴボボッ ゴボゴボゴボッ
963 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 03:26:11.21 ID:yRL5+EEIo
戦士(こりゃあんまり、息ももたんぞ……っ)ゴボッ

 ゴオオオオォォォォ!!

戦士(!? 転流か!!)

 ゴゴオオォォォォ!!

戦士(くそっ!! せめて……盗賊だけでも……)

 フワッ

戦士(……?)

――『グハハッ! 世話が焼けるぜ』

――『全くだな……カカカッ!!』

戦士「――――っ!?」

――『ほれ、このまま上がっていきな!』

――『姫、重くなりましたな。などと申しては怒られてしまうか。カカッ!』

戦士(鬼丸……!! 雷忍!!)ゴボォ!!

盗賊「…………」ゴボボッ

戦士「ごぼぁ……が……っ!!」ゴボッ
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/21(土) 03:34:55.98 ID:yRL5+EEIo
ありゃ…もう1000近くか
お次の更新は残りを見てというか、次の夜には次スレ立てまする
とりあえず寝ます。おやすみなさいです!ご支援感謝!ノシ

〜オマケ〜

戦士「というわけで、今日から俺が主人公になった!」

召喚士「どういうわけぇ!?」

魔道士「可哀想ですよ戦士さんっ。召喚士さん、あんまり特徴ないんですから」

盗賊「そうだぞ。お前みたいに前衛で見せ場もないし、召喚獣がなかったらそれこそ――」

召喚士「へいへーい!! 言いすぎ言いすぎー!!」

戦士「あー分かった。最初に主人公選べるシステムにすればいいんじゃんか!」

召喚士「何それ!? 選べる……システム!?」

魔道士「7人くらいの中から主人公を選んでプレーするんですよ! それならフリーシナリオにしてサガフ――」

戦士「えぇと! まずは俺。んで盗賊と魔道士」

盗賊「青年兵と天才は外せないな」

魔道士「ああいう感じだと、同門さんみたいな一匹狼主人公も必要ですね!」

戦士「あー! 朱雀嬢と玄武娘忘れてた! アイツらはセットで1つでいいよな」

盗賊「おぉ。丁度7枠埋まったではないか。完璧だ」

召喚士A「ちょっとぉ!? 主人公選べるシステムの意味は!? ってかAって何よAって!!」
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 03:38:53.37 ID:4oZ/Mpdx0
>>1おつ

女隊員がかっこいいな
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) :2012/01/21(土) 03:50:47.66 ID:fXVIIhm3o
>>1乙ん
967 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 03:53:11.42 ID:CfrRZghDO
いちおつ
深夜更新ありがとう。

しかし、召喚士魔翌力あがりすぎだよな…
昔コカトリスだけでひぃひぃだったのに。
968 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 03:55:45.03 ID:6DddU43DO
>>1乙!
深夜なのに見ている人多すぎわろすww
女隊員が実はパワーキャラっていう設定すごく好きだ
というか女隊員が凄く好きだ!!
969 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 04:12:45.33 ID:FvYmHOiDO
>>1

お前ら寝ろよw
鬼丸の鬼の種類はわかる日がくるんだろか
970 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/21(土) 04:21:18.74 ID:jqvmCbyO0
召喚士の奴 帝の見せ場もってきやがって……
いちおつ
971 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 08:53:16.76 ID:BbGn2Ng80
>>1おつんつん

召喚士Aワロタwwwww
972 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2012/01/21(土) 10:19:16.71 ID:rbV5Y7F7o
題名も違ってくるな
俺は主人公は魔導士がいいな

  魔導士「撃ちますっっっ!!」
973 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/21(土) 14:35:24.03 ID:SGRjlzwAO
>>972
夫人『なぜ妾の方を向いておるのじゃ?』
974 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 15:53:42.36 ID:XyPMkWb70
オレ、今日から召喚獣って設定で出社したんだけど部長に「頭、大丈夫?」って言われた

何がいけなかったんだろう
975 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 16:05:47.30 ID:9w4/AVEyo
出社したのがまずかったんじゃないか?家に引きこもらないから・・・
976 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2012/01/21(土) 16:21:13.86 ID:sAPgkUaDo
召喚獣なのに呼ばれる前に勝手に出てきたからだろ
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(秋田県) [sage]:2012/01/21(土) 17:53:37.79 ID:3hQMUkTU0
戦士・盗賊「「バルス!!」」
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 18:03:26.27 ID:XyPMkWb70
勝手に出てきてっていうけど、
オレ青龍の高等召喚獣だし逆に喜ばれるとおもったのにな。

名前は坂本なんだけど
父はイルルヤンカシュっていう竜神なんだよね。まぁ実際は親父も坂本なんだけど。
で、かーちゃんも坂本なんだけど、プルリヤシュっていう嵐の神様なんだ。
能力は水っていうか津波だとかそういうのなんだけど震災のアレもあるからちょっと不謹慎かなみたいな感じだから
まだ秘密なんだよね。
あ、あとめっちゃ魔翌力喰うから召喚するの一苦労なんてもんじゃないよ。
でも一応設定ってことだし裁判所の出頭命令とかには応じるし誰か助けて

979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) :2012/01/21(土) 18:05:44.47 ID:fXVIIhm3o
て お く れ
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 18:09:14.73 ID:wcM90ZH+o
>>978
もっとkwsk
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2012/01/21(土) 18:09:15.28 ID:3cf//KQKo
こりゃ上司じゃなくてもブチギレるわ
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 18:56:21.20 ID:fOnEVG4Po
>>978

こんなコピペあるんだな。
983 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:10:49.37 ID:yRL5+EEIo
〜剣聖の屋敷〜

東方司令「……終わったな」ザッザッ

召喚士「……」

 ザッザッザッ

名代「神野悪五郎。結局は誰からも愛されず、孤独な存在だったのかもしれませんね」

召喚士「ええ。もし奴がマーラと結託していたら……」

帝「今回以上に苦しい戦いだったであろうな」

召喚士「……はい」

サル「ともかく、これでぜ〜んぶ終わったんだよな」

召喚士「こっちは、ですけどね」

魔道士「そうですよね……っ。盗賊さんや戦士達は大丈夫でしょうか……」

召喚士「藤蔵の皆や鬼丸もいるし、きっと今頃は終わっているかもしれませんよ」

イヌ「キジ、大丈夫ね?」

キジ「ああ。でもこれじゃあ……盗賊稼業を続けるのは無理さー」

サル「だろうなぁ〜。こりゃ本格的に足を洗うしかね〜か?」
984 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:11:27.81 ID:yRL5+EEIo
女侍「……さーて、帰るとするかねぇ」

イヌ「帰るって、本国へ?」

女侍「ああ、そうさ」

サル「おいおい、こんな状態で帰ったら、真っ先に御用に……」

東方司令「なりはしないさ」

女侍「そういう事。今回の一件で、本国にゃあ大きい貸しが出来たからねぇ」

魔道士「あ、そっか……っ!」

女侍「そこの司令さんが報告をあげてくれりゃあの話だけどね」

東方司令「馬鹿にするな。ボクはそんな姑息な真似はしない」

女侍「ははっ。分かってるよ。分かってるから言ったのさ」

東方司令「……ふん。しかしどうせなら、同行してくれた方が早いんだがな」

女侍「アンタらといつまでも一緒にツルむ気はないよ。なぁ?」

イヌ「そりゃそうね。軍の連中は天敵ね。手を貸すのは今だけの話ね」

キジ「そうさー。あくまで同じ人間として、敵と戦う時だけさー!」

サル「ってなわけでよ、俺っち達ぁ〜さっさとおさらばさせて貰うぜぇ〜」
985 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:12:04.83 ID:yRL5+EEIo
召喚士「あ……っ」

 ザッザッザッ……ピタッ

女侍「……」クルッ

女剣士「……?」

女侍「そういや、刀……借りっぱなしだったねぇ」チャキッ

女剣士「それは姉……あなたのものです」

女侍「……」

女剣士「剣聖の刀を継げるのは、あなただけです」

女侍「……」

女剣士「左様なら。女侍殿」

女侍「……ははっ!」クルッ

名代「宜しいのですか?」

帝「そうだぞ。此度の働きで我らからも褒美を……」

サル「おっと、そいつは聞き捨てならねぇな!」

女侍「いいよ、褒美なんてもんはさ」
986 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:12:49.94 ID:yRL5+EEIo
サル「お、おい……っ!」

女侍「アタイらはねぇ、盗賊なんだ。人から奪ってナンボの商売なのさ」

帝「……」

女侍「でも、それでも頂けるのであらば、一つ聞いて頂きたく」

帝「聞こう」

女侍「そうか、剣聖の屋敷の修復と、名誉の回復を」

帝「……承知した。だが、残念ながら、褒美を充てる事は出来ぬ」

女侍「……」

帝「元よりそいのつもりであるからな。褒美など充てる必要もない」

女侍「上様……っ」

帝「己の中で全てを終えたら、何時でも戻ってくると良い」

女侍「……っ」

帝「父の墓と、妹がきっとお前を待っておるはずだ」

女侍「……御免っ!」バッ

 ザッザッザッザッザッ
987 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:13:18.47 ID:yRL5+EEIo
くの一「……女剣士……さん」

女剣士「良いのだ。あれは姉上ではなかった。剣聖を慕う……見知らぬ盗っ人さ」

 テクテクテク

女剣士「お姉様。刀を有難うございました」

東方司令「お前の刀はあげてしまったんだろ? じゃあそれはくれてやる」

女剣士「しかし……っ」

東方司令「別にそれ、元々ボクのじゃないし」

女剣士「確かにそうですけれど、相当の得物ではないですか?」

東方司令「そうなのか? まぁどうでもいいさ。ボクにはこれがある」カチャッ

召喚士「それって確か……」

東方司令「魔剣。あいつはムラサマ? とかそんな事言ってたな」

召喚士「まぁ確かに、東方司令さんにしか仕えない代物ですしね」

東方司令「まぁお師匠も使えるけど、ツヴァイハンダーは手放さないだろうし」

名代「さて、一先ずはこれで全て終えましたな」

魔道士「はいっ!」
988 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:13:47.90 ID:yRL5+EEIo
夫人「これこれ、まだ終わりではないぞ」

魔道士「……そういえば、どうして夫人がここに」

召喚士「……っ」

夫人「それは至極簡単な事。わらわと召喚士は契りを結んだからじゃ」

魔道士「っ!!」

召喚士「だからっ、結んでないってば!!」

夫人「でも結ぶ事には違いないのじゃ。満月まであと3日……うふふっ」

召喚士「だからぁ……! あのっ、魔道士さん! 違うんですよっ、これは――」

魔道士「……」ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「!?」

魔道士「……契りとは……どういう事でしょうか……?」

夫人「決まっておろう。床を共にするという事じゃっ♪」

魔道士「……へ〜っ」ドゴゴゴゴゴゴッ

帝「……おぉ、これは神野悪五郎以上の殺気!」

名代「……」
989 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:14:21.15 ID:yRL5+EEIo
召喚士「魔道士さんっ、勘違いしないで下さいね! おい夫人! 誤解を生むような事は――」

夫人「誤解? そんな事はなかろう。事実は事実じゃ」

召喚士「だからっ!!」

夫人「召喚士と三日三晩……肌と肌を重ね合わせて……うふふっ♪」

魔道士「肌と肌あぁ!?」ゴウッ!!

召喚士「それは必要ないって山本さんも言っただろ!」

夫人「それはわらわが決める事じゃっ。あんなクソジジイの言い分を聞いていられるか」

召喚士「く……っ、俺は絶対……言いなりになんてならないぞ!」

夫人「なぁに。わらわの房中術にかかれば、召喚士なぞイチコロよんっ♪」

召喚士「いやっ、絶対にそうは――」

夫人「どうせ経験もないのだろう? 無理をするな」

召喚士「――!?」ガンッ

夫人「初めての相手がわらわとは気の毒にのぅ。もう他の女では満足いかぬ身体に――」

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「は、はいぃ!!」
990 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:14:48.22 ID:yRL5+EEIo
魔道士「いまいち……っ、話が読めませんけれど!!」

召喚士「で、ですから夫人と契約を……」

魔道士「契約ぅ!?」

召喚士「し、召喚獣としてのです……っ!」

魔道士「!?」

召喚士「満月の夜になれば、全て終わりますから……ははっ」

魔道士「……っ」

夫人「……ほーっほーう。成程、小娘お主、さては妬いておるのか」

魔道士「――っ!!」

夫人「そうかそうか。さてはお主ら、好きあっておるのかえ?」

召喚士「!?」

夫人「じゃとしたら、気の毒な事をしたかのぅ……うふふっ♪」

召喚士「そ、そういう事じゃなっくてぇ……っ」

夫人「おや? 違うと申すのか?」

魔道士「……好きですよ」
991 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:15:23.41 ID:yRL5+EEIo
召喚士「そうそうっ! …………へっ?」

帝「おぉ……っ」

魔道士「私、召喚士さんの事……大好きです」

召喚士「ま、ままま……魔道士さ……」

魔道士「好きで好きでたまりません。大好きです」

夫人「……」

魔道士「でも私、今はそれ以上は望めません」

召喚士「……魔道士さん……っ」

魔道士「戦士さんや盗賊さんみたいに、それを強さに変える事が出来る人が羨ましい……」

東方司令「……」

魔道士「私は絶対、溺れてしまいそうで……。頼ってしまいそうで……」

女剣士「……」

魔道士「だから、全てが終わるまでは、今のままでいいんです」

夫人「その間に、奪い取ってしまうとしたら?」

魔道士「私……召喚士さんの事……信じて待ってます」
992 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2012/01/21(土) 23:18:29.25 ID:yRL5+EEIo
夫人「……ふぅん」

魔道士「私の思いは変わる事はないと思います。いやっ、ありません! お婆ちゃんになっても!」

召喚士「魔道士さん……っ」

魔道士「ずっと、ずーっと……待ってますからっ!」

召喚士「……」

夫人「ともかく、満月の夜……待っておるぞ」シュウウゥゥ

フッ

くの一「消え……た……」

女剣士「……」ポカーン

名代「いやはや、愛の力……ですね」

帝「うむ。見事也」

魔道士「……」カァーッ

召喚士「……えっと……あ、あの……その……」

魔道士「は、早く行きましょう! 北の皆さんだってどんな状況か分からないわけですしっ!」

召喚士「そそっ、そうですよ! そうしましょう! うんっ!」
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/01/21(土) 23:35:47.48 ID:yRL5+EEIo
36スレ目です…
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1327155768/

次スレでもご支援、宜しくお願い致します!ノシ

〜オマケ〜

謎の順位表 Ver3.0

【神クラス】
盗賊、夫人、白虎長、女侍
    ↑キョNEW!

【トップクラス】
助手、女王、おかみ、女将、北方女兵、女隊員、記者
↑キョNEW!

【それなりクラス】
弓使い、占い師、西方副司令、南方弓長、玄武娘、王女、女剣士、踊り子、白虎嬢、くの一、帝、鍛冶娘、ウィッチ

【あーうん…クラス】
朱雀嬢、幼女、魔道士、東方司令



魔道士「は……はああぁぁ!?」

東方司令「冗談ではないぞっ!! こ、このボクが……最下位……だとぉ!?」
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/21(土) 23:36:10.39 ID:mQfKtGPDO
召喚士爆発しろ!

995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山梨県) [sage]:2012/01/21(土) 23:54:46.53 ID:ZCV8DxZio
なんだこのニヤニヤ
自分が気持ち悪い
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2012/01/22(日) 00:02:15.01 ID:6WphL3wV0
いちおつ
あとは都の御大将っていう伏線が気になる
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/22(日) 00:49:53.31 ID:qkLPYrCSO
戦場では魔王の如く。女の前ではヘタレの如く。そしてベッドの上ではペニーの如く!

流石は召喚士先生やでぇ!!
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2012/01/22(日) 01:25:28.38 ID:TP5KnpFAO
>>1おつ
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2012/01/22(日) 02:01:33.25 ID:eFTzBuXoo
産めよ
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2012/01/22(日) 02:02:05.34 ID:bD8cudcGo
999なら、コカトリスに嫁ができる!
1001 :1001 :Over 1000 Thread
   /.   ノ、i.|i     、、         ヽ
  i    | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ        |
  |   i 、ヽ_ヽ、_i  , / `__,;―'彡-i     |
  i  ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' /    .|
   iイ | |' ;'((   ,;/ '~ ゛   ̄`;)" c ミ     i.
   .i i.| ' ,||  i| ._ _-i    ||:i   | r-、  ヽ、   /    /   /  | _|_ ― // ̄7l l _|_
   丿 `| ((  _゛_i__`'    (( ;   ノ// i |ヽi. _/|  _/|    /   |  |  ― / \/    |  ―――
  /    i ||  i` - -、` i    ノノ  'i /ヽ | ヽ     |    |  /    |   丿 _/  /     丿
  'ノ  .. i ))  '--、_`7   ((   , 'i ノノ  ヽ
 ノ     Y  `--  "    ))  ノ ""i    ヽ                             
      ノヽ、       ノノ  _/   i     \
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新生ブリタニア帝国 @ 2012/01/22(日) 01:57:11.31 ID:mgH8yM2Co
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ぴったん雑談11 @ 2012/01/22(日) 01:17:00.80 ID:+7UZP6mG0
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【Fate】やる夫で聖杯戦争21 @ 2012/01/22(日) 01:06:55.92 ID:ht9DeQnVo
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誰かこの画像を面白くして下さい! @ 2012/01/22(日) 01:04:01.22 ID:HrMYc3uf0
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Deepな話題を追い求めるdynamic雑 其の八 @ 2012/01/22(日) 00:55:40.58 ID:8YqoALFjo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1327161335/

友「お前の歴史の話をしy 男「ヤメテ!」 @ 2012/01/22(日) 00:51:28.52 ID:yM1Iab110
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ネットで知り合った女がスカトロ趣味でマ○コ貼ってきた件 @ 2012/01/22(日) 00:48:22.73 ID:L8ebY8qB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1327160902/

やめられないとまらない♪ @ 2012/01/22(日) 00:36:08.42 ID:aJ55NHTQo
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