萩原雪歩「ココロをつたえる場所」
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1: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:50:21.48 ID:bbgcA4Fi0
ミリマスの地の文ssです。LTP12の四人がメインのお話になってます。

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2: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:51:26.48 ID:bbgcA4Fi0
「765プロライブ劇場ラジオ、今日は『ココロがかえる場所』CD発売記念特集をお送りしました。お楽しみいただけましたか?」

「ロコたちのセンスとパッションが余すことなく詰め込まれたスペシャルな一枚になってますから、マストでチェックしてくださいね!」

「また、わたくし達が主役の公演も予定されていますわ。もちろん、新曲も盛りだくさんでお送りしますのよ? 詳細は劇場のホームページをご覧になってくださいな!」
以下略 AAS



3: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:52:03.47 ID:bbgcA4Fi0
 プロデューサーの言葉に従い、荷物やら上着やらといった支度を整えた四人は揃ってラジオの放送局を後にした。駐車場に停められた事務所の車の前に集まって、何をするでもなく時間をつぶしていたのだが。
 プロデューサーの到着は雪歩や千鶴に語った言葉とは裏腹に、たっぷり10分以上も後のことだった。

「悪い、話が長引いて遅くなった! それじゃあ、劇場に戻ろう」

以下略 AAS



4: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:54:02.16 ID:bbgcA4Fi0
「ようやく一息つけますわね。雪歩ちゃん、わたくしも後でお茶を頂いてもよろしくて?」

「はい、もちろんっ。……桃子ちゃんもお茶、飲む?」

「うーん……桃子は大丈夫。劇場に飲みかけのペットボトルが残ってるから、先にそっちを飲まないと」
以下略 AAS



5: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:54:39.20 ID:bbgcA4Fi0
 控え室に置いてある自前のお茶道具を引っ張り出し、銀色の袋から茶葉を適量すくって移していく。とりあえずまだ確かな地位を残しているはずの作業に手を付けながら、雪歩は三人の様子をちらりと窺ってみた。

「むむ、この空き時間でロコアートをコンプリートするのはシビアになりそう……うーん……」

 ロコはスケジュール表とにらめっこしながら何事かぶつぶつと呟いている。普段から難しいカタカナ語を多用する彼女には、なんだか凄いな、という漠然とした印象を抱いていた。実物を見たことはないけれど、アートについて語っているときの真剣そのものな表情は記憶に残っている。それもまた、雪歩のロコに対する印象を決定づける要素の一つだった。
以下略 AAS



6: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:55:23.92 ID:bbgcA4Fi0



 姿見の前に四人並んで、緩やかな音楽に合わせてステップを踏む。激しいダンスでは決してないから、振り入れにそこまで時間はかからなかった。しかし、当然ながらただ踊れればいいというものではない。

以下略 AAS



7: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:56:47.07 ID:bbgcA4Fi0
「とりあえず、言い出しっぺのロコからアイディアをプレゼンしますね。ロコは、何といってもアーティスティックにステージを彩りたいと思ってます!」

 ロコは自分の理想を、今度こそ自信に満ちた笑顔で宣言した。

「アイドルは歌って踊るもの。でも、それだけじゃないってロコは思います。ステージを、公演を、その全部をクリエイトしてこそアイドルです! そして、ロコがクリエイトするステージに、ロコアートは欠かせません!」
以下略 AAS



8: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:57:14.63 ID:bbgcA4Fi0
「えっと、桃子ちゃん……?」

「次、桃子の番だよね」

「え、ええ。そうなりますわね」
以下略 AAS



9: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:58:01.33 ID:bbgcA4Fi0



 交わした言葉は十分じゃなくて、それでも時間は流れていく。それを仕方のないことだと考える者もいれば、どうにかしたいと思う者もいた。
 そして、全員が自分なりの最善を尽くしながら、最初のレッスンからさらに二度レッスンが重ねられた。
以下略 AAS



10: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 20:59:58.74 ID:bbgcA4Fi0
「……! わたくし、コロちゃんを追いかけてきますわ!」

「……ぇ、あ、はいっ。お願いします」

 言い争いの間はあたふたして止めに入ることができず、いざロコが飛び出してしまっても、呆然として千鶴に任せることになってしまう。また何もできなかったな、と雪歩は口惜しさに手のひらをぎゅっと握った。
以下略 AAS



11: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:01:36.88 ID:bbgcA4Fi0
 劇場の廊下は部屋の中ほど暖房が強くないから、厚着とも言えないレッスン着だと少し肌寒い。小走りで控え室に向かう途中、遠くから千鶴がロコを呼ぶ声が聞こえた。
 もしかして、まだ見つかっていないのだろうか。手伝いに行こうかとも考えたけど、今更自分一人が加わったところであまり役には立てないだろうと思い直す。

 目当ての部屋にたどり着いて、最近出番が多くなってきたお茶道具を引っ張り出した。みんなが各々好きに持ち寄った道具を所狭しと収納した部屋の中で、よく使われるものはそこまで入り組んだところに行ってしまわない傾向にある。冬のお茶道具やコーヒーメーカーは、その代表例と言ってもいいだろう。
 お茶をいれることにしたのは、温かい飲み物があればもっと落ち着けるはず、なんて月並みな考えから。湯のみの数に少し迷ったけど、ちゃんと必要になりますように、とほんの小さな願掛けを込めて四人分のお茶を用意することにした。
以下略 AAS



12: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:02:31.72 ID:bbgcA4Fi0



「コンセプトはやっぱり悪くないはず。でもモチーフをプラスするとなるとアイディアがまだ足りないし、それに何より時間が……」

以下略 AAS



13: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:03:07.93 ID:bbgcA4Fi0
「ねえ、コロちゃん。ひとつ聞いてもいいかしら?」

「いいですよ、チヅル」

 ロコの悩みを吹き飛ばすために必要な質問がすぐに思い浮かぶことはなかった。だから、まずはずっと気になっていたことを率直に聞いてみることにする。
以下略 AAS



14: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:03:37.89 ID:bbgcA4Fi0



 口に出して伝える言葉を信じてみることにしたの。
 だから、今は――
以下略 AAS



15: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:04:11.73 ID:bbgcA4Fi0



「あれ、ここにあったビデオカメラ、どこにいっちゃったのかな……?」

以下略 AAS



16: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:04:50.98 ID:bbgcA4Fi0



「結構な量になってしまいましたわね……雪歩ちゃん、重くないかしら?」

以下略 AAS



17: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:05:49.40 ID:bbgcA4Fi0



「お帰り、雪歩さん。話はできた?」

以下略 AAS



18: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:07:32.34 ID:bbgcA4Fi0



 何が重なったのか、ひどく頑なに口を閉ざされたものだと桃子は思う。胸を張って未来を語っていた時の活き活きとした姿は、もう振る舞いにしか残っていないように見えた。
 悩んで、もやもやして、でも打ち明けようとすることもできなくて……それなら何でもないように見せた方がずっと良いから、普段の自分を演じている。こと演じることについては一家言もっている桃子にとって、そういう様子はむしろ異変を浮き彫りにして見せているようで気持ち悪かった。
以下略 AAS



19: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:08:41.15 ID:bbgcA4Fi0
 千鶴はバッグから折りたたまれた数枚の紙と、ブレスレットのようなものを四つ取り出した。ブレスレットはどれも似たようなデザインで、煌びやかでありながら柔らかさを感じさせる。そして一様に、どこか簡素で物足りない印象を桃子に与えていた。

「……それは?」

「ロコアート。それとそのデザイン画みたいですわ」
以下略 AAS



20: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:09:14.78 ID:bbgcA4Fi0
「桃子、は……」

「桃子、あなたの気持ちは想像することしかできませんけど……これだけは胸に留めておいて。コロちゃんがこのアートを捨てようとした理由は、決して桃子にはないですわ」

「…………気休めは、よしてよ。そういうの……」
以下略 AAS



21: ◆kiHkJAZmtqg7[saga]
2017/12/31(日) 21:10:05.10 ID:bbgcA4Fi0



 本番と同じ環境で練習する機会を数多く用意することができることは、765プロが劇場を有することによる恩恵の一つとして挙げられる。特に、新人アイドルにとっては公演によって顔を知ってもらう機会を増やせることに並ぶ大きなメリットと言えるだろう。
 当然ながらスケジュールの調整は必要になるものの、外部の会場と比べればそのハードルも大幅に低くなる。公演やその準備、片付けが入っていない時間であれば、ステージの広さに合わせた動きをするための練習も比較的気軽に行えるわけだ。
以下略 AAS



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