綾波レイ「碇司令。ふーふー、しますか?」碇ゲンドウ「ああ、頼む」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:09:54.53 ID:K9DhxrLpO
幕が上がり、舞台中央を照らす。

丸い食卓の周りにキャストが座っている。

観客席から見て正面に綾波レイ、右隣に碇シンジ、左隣に碇ゲンドウ、碇シンジの右隣に葛城ミサトと惣流・アスカ・ラングレーが並び、ゲンドウの左隣に赤城リツコが並ぶ。

一同は沈黙しており、重苦しい雰囲気。

口火を切るのは葛城ミサト。

「さあーって! 葬式じゃないんだから、パーッと盛り上がっていきましょう! とりあえず、レイ。今日はお食事会に呼んでくれてどうもありがとね!」

無理矢理テンションを上げるミサトに対して、綾波レイは小さな会釈で応じる。
リアクションの薄さに苦笑するミサトと、不機嫌そうに舌打ちするアスカ。状況は最悪。

ミサトの強力なアイコンタクトによって起死回生を託された碇シンジが意を決して、招待状を貰った時から抱いていた疑問を綾波レイにぶつけた。

「そ、それにしても、綾波。突然料理なんてどういう風の吹き回し?」
「美味しかったから」
「へ? 美味しかったって何が?」
「碇くんのお味噌汁」

以前振る舞った自分の料理を褒められて、碇シンジは照れ臭そうに微笑み、それにつられる形で場は幾分か和んだ。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:12:04.46 ID:K9DhxrLpO
まともな反応が得られたことに手応えを感じたシンジはさらにレイに質問を重ねた。

「ということは、今日のメニューは……?」
「お味噌汁」

以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:14:16.72 ID:K9DhxrLpO
「まあまあ! 料理なんて最悪男がすればいいわけですし、その辺で……」
「碇司令はどう思います?」

シンジの如何にも料理が出来る男的な発言が鼻についたリツコは、如何にも料理が出来なそうな男である碇ゲンドウに意見を求めた。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:17:44.61 ID:K9DhxrLpO
「レイの初めての手料理、楽しみだわ!」

蓋が閉じられた鍋がテーブル中央に置かれて、立ち上る味噌汁の良い香りに葛城ミサトが期待を膨らませるも、アスカがひとこと。

「どうせ、大したことないに決まってるわ」
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:21:48.47 ID:K9DhxrLpO
「どうぞ」
「ああ」

騒ぎの最中も普段通りのクールさで鍋から味噌汁を取り分けていた綾波レイから味噌汁が入った椀を受け取り、肯く碇ゲンドウ。
流石に先にひとりで味噌汁を啜る愚を犯す筈もなく、全員に食事が行き届くのを待つ。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:24:20.11 ID:K9DhxrLpO
「碇君も、ふーふー、して欲しい?」
「へ? あ……うん。それじゃあ、お願いしようかな。いや〜実は僕も猫舌でさぁ!」
「不潔」

この親にしてこの子あり。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:26:14.17 ID:K9DhxrLpO
「では、改めて。頂こう」

再び厳かな口調でそう促すゲンドウであったがその威厳は既に失われて久しく、一同は勝手に味噌汁に口をつけていた。

真っ先に感想を口にしたのは、シンジだ。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:27:42.41 ID:K9DhxrLpO
「弐号機の人は、口に、合わない?」

シンジとアスカのやり取りを聞いた綾波レイにそう尋ねられると、咄嗟に嘘はつけず。

「チッ……まあまあよ」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:30:10.09 ID:K9DhxrLpO
「ちょっ! 何泣いてんのさ!?」
「うぐっ……ぐじゅっ」
「とにかく、早く鼻をかんで!」

初めてみた父親の泣き顔にドン引きしたシンジがポケットからティッシュを取り出して父親に鼻をかませる。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:31:45.01 ID:K9DhxrLpO
「ユイは特別料理が得意なわけではなかったが、私は彼女の料理を残したことはない」

碇ユイとはゲンドウの亡き妻で、シンジの母親である。
科学者であったユイはEVA初号機の起動試験の事故によって、帰らぬ人となった。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga sage]
2020/07/17(金) 00:34:34.26 ID:K9DhxrLpO
「そうか……これが、母さんの味なのか」

父親から思いがけず昔話を聞けて、しみじみとそう呟きながら味噌汁を啜るシンジ。
心温まるエピソードに一同は和み、流石のアスカも静かに味噌汁を飲んで、この味をしっかり覚えることに努めていた。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:36:50.62 ID:K9DhxrLpO
舞台は反転して綾波宅の台所。

コンロで追加の味噌汁を温めながら、綾波レイは不穏な動きを見せる。

手に持った白い紙袋をじっと見つめるレイ。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:39:00.37 ID:K9DhxrLpO
再び舞台は反転し、食卓へと戻る。

食事会は宴もたけなわとなり、それぞれ帰り支度を始めていた。

そこでシンジは先程から父、ゲンドウの姿が見えないことに気づく。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:41:25.36 ID:K9DhxrLpO
「碇君、ポカポカしてきた?」
「あ、綾波……?」

突然、要領を得ない問いかけをされて、碇シンジは困惑する。ポカポカって何のことだ。

以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:43:13.71 ID:K9DhxrLpO
「ポカポカ、する?」
「ポカポカどころの騒ぎじゃないよ!?」

それはまるでこの世の地獄であった。
全力で糞を押し出そうとする大腸の活動はまさしく暴力的であり、脂汗が滲み出す。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga saga]
2020/07/17(金) 00:45:40.32 ID:K9DhxrLpO
「あ、開かない!? なんで!?」
「シンジか。遅かったな」
「父さん!?」

なんとトイレは使用中であり、中に入っていたのは姿の見えなかったゲンドウであった。
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:48:45.22 ID:K9DhxrLpO
「手筈通りってどういう意味だよ!?」
「言葉通りの意味だ。言われなくてもそのくらいは理解しろ。大人になれ、シンジ」

あまりの理不尽さにシンジは怒り狂う。

以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:51:40.59 ID:K9DhxrLpO
「アスカ、レイ。よく聞いて。作戦の概要はこうよ。使徒と成り果てたシンジくんの便をあなた達の手で受けとめて貰います」
「手で受けとめる〜!?」

アスカの仰天を視線で嗜めたミサトは挙手した綾波レイに発言を許可した。

以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 00:55:06.02 ID:K9DhxrLpO
「ミサトさん、正気なんですか!?」

瞬く間に自分に対する作戦を組み上げたミサトに、シンジが堪らず叫ぶも、完全に仕事モードとなった指揮官は揺らがない。

「アスカ、レイ。用意はいいわね。発進」
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2020/07/17(金) 01:00:13.68 ID:K9DhxrLpO
「ATフィールド、全開!!」

パキィイイインッ!!!!

シンジの尻に展開されたのは心の壁。
以下略 AAS



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