過去ログ - ガリアの空の下【ストライクウィッチーズ】
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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/21(月) 00:33:33.52 ID:bFC+eytVo
ペリーネ掌編です。

ほとんど地の文(というかペリーヌさんの一人称)のうえ舞台もあちこち飛ぶので
ちょっと読みにくいとは思いますが、よろしく。

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/21(月) 00:36:17.07 ID:bFC+eytVo
高く晴れた空も清々しい、ガリアの陽の下。

いまわたくしたちは、パ・ド・カレーの港で扶桑の空母アマギから下船し、迎えの車の荷台で揺られている。
かつての同僚――友人と呼ぶのはやはり少々面映ゆい――と、その随行員を連れ、
わたくしたち4人は一路、我が家にしてこの一帯を収める領主の座たるシャトーに向かっているところです。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/21(月) 00:37:34.54 ID:bFC+eytVo
そうして揺られること数十分、わたくしたちは目的地についた。
そこは、憩いの我が家にして、この辺り一帯を収める領主の座でもある、わがシャトー。
かつて、このあたりでは一番高く、一番大きく、そして美しい建物だった。

しかし、その実物を目にした宮藤さんの顔が曇ったのを、わたくしは見逃さなかった。
以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/21(月) 00:40:21.12 ID:bFC+eytVo
…とはいえ、まったく、この人は少しは表情を抑えたりすることは考えないのかしら。
いや、宮藤芳佳という人間にそういう事を期待すること自体間違っているのでしょうけど。
普通の人なら、こうもあからさまな表情の変化に不快を示したっておかしくないと思う。

でも、わたくしは、彼女とは腐れ縁が続いていたから(本当に、本当に厄介な事ですけど!)わかる。
以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/21(月) 00:41:15.88 ID:bFC+eytVo
――1944年9月。

それは、人類、それも、こと我がガリア共和国の人間にとってはとても大きな意味を持つ。
すなわち、国内から人類の天敵たるネウロイの、その巣が完全に消滅し、その領土が人間の手に取り戻される
という偉業が為された、人類がネウロイに初めて勝利した日であるから。
以下略



6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:43:09.32 ID:bFC+eytVo

「わたしも、ペリーヌさんと一緒にガリアの復興をお手伝いしたいんです」

そう言ってくれた彼女の言葉からは、間違いなく心の底からの真摯な真心が感じられた。
それを嬉しく思いはしたものの、だけれども同時に、その真心は少なからずわたくしを当惑させた。
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:43:57.96 ID:bFC+eytVo
ともあれ、意気高くガリアに上陸したわたくしだったけれど、復興は一筋縄ではいかなかった。

まず、人が住むため、活動するために必要な建物が、全滅にちかい有り様で…。

そもそも、ガリアがネウロイによって占領されたのは1941年のこと。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:44:47.18 ID:bFC+eytVo
…そう、そもそもわたくしたちは復興にもっとも大切な存在を大きく欠いていて…。

それは人びと。
街を復興させる労働力も、復興させたのちにそこで暮らすのも、ひいては人。
逆に言えば、人がいなくては復興という行為そのものが成り立たない。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:46:31.93 ID:bFC+eytVo
――ペリーヌせんせい、ありがとう!

授業を終えた子供たちが、挨拶の言葉を残して一斉に部屋を出て行く。
まるで、物音に驚いた鳩が一斉に飛び立つよう。

以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:48:08.30 ID:bFC+eytVo
この方にお会いするのも、これで何度目になるでしょう。

今わたくしが対話しているこの老紳士は、ガリア陥落以前からの古参議院の一人で、
亡命ガリア政府(何故かブリタニアやヒスパニアにいくつかありましたが…)においても
その権勢を失わなかった有能な政治家です。
以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:48:56.37 ID:bFC+eytVo
――1945年1月。

新しい年を迎えたこの頃、わたくしとリーネさんはパリにいました。
いえ、より正確に言うならば、ガリアに戻ってきてからこのかた、
ほとんどの時間をパリの復興のために費やしています。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:49:31.65 ID:bFC+eytVo
そうこうしている間に、ヴェネツィアにおいてネウロイの巣に大きな変化が発生し、
ロマーニャ・ヴェネツィア防衛にあたっていた第504統合戦闘航空団が壊滅。

わたくしたちは、再び戦場に立つことを余儀なくされました。

以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:50:38.51 ID:bFC+eytVo
そんな折り、リーネさんが提案してくださったのが、ガリア復興財団の設立でした。
広く人びとから募金などを募り、その資金を元手に人や資材を再分配することで、
現在パリに集中している復興事業をガリア全体で広く展開するという、それは大きな事業の構想でした。
人材や資材の提供や金銭管理は、リーネさんの実家が運営しているビショップ財団が一元管理してくださいます。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:52:07.60 ID:bFC+eytVo
――いただきます!

いくつもの声が唱和して、今日も夕飯が始まりました。

宮藤さんとリーネさんが作る料理を食べるのは、こうして考えてみると
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:53:00.11 ID:bFC+eytVo
瞳の中で星が瞬いた。

衝撃的でした。

どこからか「ぐえ」という食事の場にあるまじき言葉が聞こえた。
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:54:33.05 ID:bFC+eytVo
――欲しい物?

そう、なにか欲しいものがあれば買ってきますよ、と言われた。
わたくしたちがロマーニャで501を再結成していくばくもないある日の事。

以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:55:40.09 ID:bFC+eytVo
――わからないわよね。

目の前には、困惑した表情の服部静夏軍曹がいます。
長い船旅の疲れも残っているでしょうに、よっぽどあのミソ汁の事が辛かったのか、
いえ、恐らくもっと別の理由で眠れずにいたのでしょう、バルコニーでもの思いにふけっているのを
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:56:13.10 ID:bFC+eytVo
――妹にプレゼントするために、だな…服を

そう言って、恥ずかしそうに微笑むバルクホルン大尉。
わたくしが、やはりどうにも気になってしまってバルクホルン大尉に、何を頼んだのか聞いた時のことです。

以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:57:14.18 ID:bFC+eytVo
――リーネさん?

服部さんと別れて部屋に戻ると、さっきまで確かに宮藤さんと一緒に寝ていたはずのリーネさんが、
小さなランタンの明かりを囲んでなにかをしている。

以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:58:06.12 ID:bFC+eytVo
「手、大丈夫?」

手元も不確かな中で作業をしていたせいでしょう、リーネさんの手にはすでに包帯が巻かれていて、
でもそれもすでにところどころ小さく、赤く、斑点のようになっていて痛々しい姿です。

以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/21(月) 00:58:48.59 ID:bFC+eytVo
――花の、種?

「ペリーヌさんにお花の育て方を教えてもらいたくって」

リーネさんは笑って言った。
以下略



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