1: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 05:58:45.18 ID:9fy5FiS10
君の記憶から 消えないように
白い闇の中から 見つめているよ
ずっと ずっと いつまでも
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 05:59:58.32 ID:9fy5FiS10
青い空の下、緑の草の上で、ウサギが駆けていた。
前足を精一杯伸ばして駆ける姿は、何かから逃げているようにも見えた。
私はその姿を、惹きつけられたかのように見ていた。
3: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:00:39.75 ID:9fy5FiS10
「咲……宮永、咲です」
「そっか。おれは須賀京太郎」
4: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:01:09.15 ID:9fy5FiS10
京太郎 Kyotarow 異世界篇
1. Godspeed My Light
5: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:02:14.47 ID:9fy5FiS10
6: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:03:12.37 ID:9fy5FiS10
「お待たせ」
「おはよ、咲」
7: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:04:25.94 ID:9fy5FiS10
「『以上で、私の言葉とします』」
長いセリフを続けた後、京ちゃんはふっとため息を吐いた。
8: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:05:13.15 ID:9fy5FiS10
京ちゃんの怒声。
しまった。
話の内容を頭に入れず、京ちゃんの目を見てぼーっとしてたのを見抜かれたかもしれない。
恥ずかしいというか、悔しい。京ちゃんの練習に真面目に付き合ってないみたいに思われそうで……
9: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:06:52.21 ID:9fy5FiS10
「はぐっ。もぐ、もぐ……」
殺した蛇を串刺しにして火を通して、噛り付く。
10: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:07:53.71 ID:9fy5FiS10
「こんなところにいたか! 京太郎! 咲ちゃんも!!」
11: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:10:01.94 ID:9fy5FiS10
京ちゃんのお父さんは事のあらましを京ちゃんに伝えると、足早に村へ戻った。
村人みんなに伝えて、優希ちゃんを探さねばならない、と。
私と京ちゃんはこの場に取り残された。
12: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:10:57.63 ID:9fy5FiS10
「見ろ。鍋が濡れている。草を煮込んでいたんだ。ほら、脇に草が少し残ってるだろ。何の草かは知ってるか?」
「わからない。何なの?」
13: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:12:06.36 ID:9fy5FiS10
「こうする事を、誰かに話したりしなかったのかな?」
また私は、思いつきで適当な事を言ってしまった。
苛立たせただろうか。じーっと、京ちゃんの顔を見つめる。
14: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:12:59.36 ID:9fy5FiS10
「一つ、優希がしそうな行動がある」
――…わけでもないらしい。
15: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:14:06.97 ID:9fy5FiS10
「……そうだとして、優希の行先に手掛かりは……」
「気付いとらんのか?」
16: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:14:48.08 ID:9fy5FiS10
「咲。待て」
呼び止められてしまった。
振り返ると、染谷さんは厳しい目つきで私を見ていた。
17: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:17:41.86 ID:9fy5FiS10
京ちゃんの家に、それはあった。
馬の足跡。
優希ちゃんがここを訪れたのは、決定的だった。
18: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:19:00.82 ID:9fy5FiS10
森の奥に、その洞窟はある。
この深い森の中じゃ足跡なんて、専門家でもなければ辿れないだろう。
道中に村人を何人か見たけど、京ちゃんが全員引き返させていた。
19: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:19:34.84 ID:9fy5FiS10
京ちゃんは目を細めた。
短刀を握る私の手が、震えているのをその目で捉えていた。
毒牙蝙蝠が、私の頬をかすめて横切った。
20: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:20:23.40 ID:9fy5FiS10
案じた通り、洞窟内部は危険だった。
足場が悪くて、何度も転びそうになっては、京ちゃんに受け止めてもらってたし。いや、それだけではなく。
毒牙蝙蝠は全体に生息していたし、小さな石に悪霊が宿って怪物化したとされるフユウツブテも厄介だった。
京ちゃんは、浮遊礫の攻略法は、鋼鐡の刃だと知っていた。石に刃物なんて、と普通の人は考えるだろうけど、浮遊礫は単なる石ではない。石に見える怪物だ。
21: ◆JgoilToZJY[saga]
2016/06/20(月) 06:21:52.39 ID:9fy5FiS10
洞窟の奥。
通路のような空間の先、広場のような大きな空間に、私たちは辿り着いた。
雰囲気でわかる。きっとここが、獣の洞窟の最奥なんだ。
49Res/52.85 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。