過去ログ - 一ノ瀬志希「フレちゃんは10着しか服を持たない」
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1
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:24:50.83 ID:DurOva8B0
これはあたしとフレちゃんがフラフラしてたころのおはなし。
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2
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:25:26.80 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
あたしはフレちゃんとの出会いを鮮明に覚えている。
それが他人からも劇的に見えるかは自信ないけど、順序もわかりやすいし、まずはここから。
以下略
3
:
◆FreegeF7ndth
[sage]
2017/02/13(月) 02:26:11.43 ID:bfxHdujzo
出会った日にあたしが見たフレちゃんの姿は、既に今の面影があった。
細く柔らかそうな金髪を少しだけ遊ばせたボブカットで、うなじを毛先がなでている。
横顔でもわかるぱっちりとした碧色の瞳。薄くて体温が透けそうな白い肌。
以下略
4
:
◆Freege5emM
[sage]
2017/02/13(月) 02:26:47.87 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
知り合って一週間も経たないあたり、あたしはフレちゃん家へお茶にお呼ばれした。
最寄り駅まで行ったら、フレちゃんがそこから案内してくれるとのこと。
以下略
5
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:27:19.32 ID:bfxHdujzo
あたしが宮本家の肖像を眺めていると、やがてコーヒーの香りがキッチンからこっちまで届くようになった。
濃い。これは濃い。あたしは前にコーヒー党を気取って買って、
2〜3度しか使わないまま放置している自宅のフレンチプレスを思い出した。
以下略
6
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:28:18.34 ID:bfxHdujzo
それからあたしはフレちゃんのパパとママとに顔を合わせることになった。
パパとママの帰りを待つ間、夕食のデザートを一緒に作ろうということになった。
冬の終わり、イチゴの美味しい季節。甘く丸々としたイチゴが八百屋さんを賑わせていたので、
フレちゃんがイチゴタルトを作ろうとアイディアを出して決まった。
以下略
7
:
◆FreegeF7ndth
[saga]
2017/02/13(月) 02:30:12.86 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
それからあたしは、フレちゃんにどんどん傾倒していった。
以下略
8
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:30:56.79 ID:bfxHdujzo
その日のフレちゃんは、黒レースをあしらったキャミソールの上に、
さらに薄紫の透け感のある長めのキャミソールをもう一枚重ねて、
ボトムスはベージュの活動的なショートパンツだった。
以下略
9
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:31:34.05 ID:bfxHdujzo
「やっぱり、フレちゃんはすごいなぁ」
あたしは扉を閉められたクローゼットを見やり、改めてフレちゃん流への感銘を述べた。
フレちゃんはたくさんのお店を見て回って、自分が着るにふさわしい服をこだわって選び抜いているのに、
以下略
10
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:32:26.62 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
その年の春頃から、あたしは急激に忙しくなった。
プロデューサーいわく『最近の志希はいつも楽しそうに仕事するから』とアイドルの仕事をバンバン入れてきて、
以下略
11
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:33:26.15 ID:bfxHdujzo
あたしの耳はフレちゃんが謙遜を言ったと思った。
でもあたしの目がフレちゃんの顔を改めて眺めて、やっぱりおかしいと思い直した。
フレちゃんの目はテーブルの上の、セーヴル先生とコーヒーとイチゴタルトを見下ろしていた。
以下略
12
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:34:41.96 ID:bfxHdujzo
あたしは口を開けたままポカンとした。
フレちゃんはあたしに向けていた視線を、またテーブルのイチゴタルトに下ろした。
「アタシが褒めてもらえるときは、いつだってそう。ママからもらったものだけ」
以下略
13
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:35:16.31 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
目を開けると、耳障りな振動音がどこからか聞こえてきた。
あたしの携帯が鳴っていた。ディスプレイを見ると、いつの間にか日付が変わって次の朝だった。
振動音は着信で――相手はプロデューサーだった。あたしは携帯の電源をオフにしてまた目を閉じた。
以下略
14
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:36:21.46 ID:bfxHdujzo
「……で、志希ちゃんはナニかあったのかな? はぁとお姉さんにどーんと打ち明けてみろ☆」
はぁとさんったら、何の筋合いであたしのコトに首を突っ込むのか……と思ったけど、
あたしはふと、フレちゃんとの一件でせっかくはぁとさんがくれたサマープリンセスを打ち捨ててしまったことを思い出した。
思い出してしまうと、なんだか後ろめたい。
以下略
15
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:37:56.68 ID:bfxHdujzo
「宮本フレデリカちゃん――フレちゃんは、日本男児とパリジェンヌの娘で、
パリで生まれて東京で育った、あたしより一つ年上の女子大生だよ」
あたしは、自分の見えかけた思考の道筋を、はぁとさんに喋りかけながら確かめていく。
以下略
16
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:40:22.48 ID:bfxHdujzo
「志希ちゃんは……『赤と黒』って小説、知ってる?」
「……相川さんが話してるのを聞いたことぐらいなら」
「それは知らないって言うんだよ。その『赤と黒』の主人公は、こんなコト言うの」
以下略
17
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:41:07.70 ID:bfxHdujzo
――フレちゃん、昨日はごめんね。あたし、いきなり乱暴なことしちゃって。本当にごめん。
――で、さ。厚かましいお願いなのは承知なんだけど……もしフレちゃんが、あと一日、
以下略
18
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:43:44.04 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
あたしがセンターを務める事務所のクリスマスイベントの控え室に、
関係者枠としてあたしは宮本家御一行を招待した。
以下略
19
:
◆Freege5emM
[saga]
2017/02/13(月) 02:45:26.25 ID:bfxHdujzo
◇◇◇◇◇
――ある日のオーディション会場
以下略
20
:
名無しNIPPER
[sage]
2017/02/13(月) 03:02:25.04 ID:qpFUF94qo
おつ
21
:
名無しNIPPER
2017/02/13(月) 03:18:23.35 ID:dmY4chYJO
最初から最後まで面白かったし最後でコミュに繋げてくるのが心憎いな
乙、次回作も読みたいです
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