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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その30 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 23:21:58.85 ID:mzvkQweLo
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

〜前回までのあらすじ〜

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
ついに魔王アンラ・マンユを倒した一同。次なる敵とは一体……。

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その29)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/
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【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
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VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/

今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part12 @ 2024/04/29(月) 20:01:59.10 ID:OQox+0Ag0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714388519/

私が書いた文だ 一度読んでみて @ 2024/04/29(月) 13:03:50.96 ID:zomKow9K0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714363430/

私が書いた文はどう? @ 2024/04/29(月) 12:48:33.59 ID:6mJNXBCE0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714362513/

感情から生まれたものたちとの物語【安価】 @ 2024/04/29(月) 10:45:54.36 ID:0XsgiyN10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714355153/

【安価】タイトルからあらすじを想像して架空の1クールアニメを作る 2024春 @ 2024/04/28(日) 16:37:54.07 ID:PHuiugtM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714289873/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 23:24:27.97 ID:mzvkQweLo
◆過去ログ(その1〜28)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/19(日) 23:32:41.92 ID:ElJrJq7no
いちょつ
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/19(日) 23:48:07.33 ID:sLCZ810DO
>>1乙!
新スレおめでとうございまーす!
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/06/20(月) 00:06:27.93 ID:occgdOhRo
>>1
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/20(月) 00:12:19.26 ID:MU6YZVhAO
>>6なら戦士死亡
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/20(月) 00:13:49.49 ID:1S+Krsweo
>>7なら>>6で死亡するのは王子に変更
8 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 00:31:17.17 ID:ymowtv8Yo
ドスッ…シュウウゥゥゥゥ

バーテン「……問題ない。命中」

シュウウゥゥゥゥ

アンラ・マンユ「……?」

五行を含んだ矢が、アンラ・マンユの胸に突き刺さる。

戦士「や……った?」

戦士父「……」

アンラ・マンユ「何が起きた……?」

ググッ…ボゴォッ

アンラ・マンユ「何が……起きたというのだ!?」

シュウウゥゥゥゥ…

胸に刺さった矢から、煙のようなものを吐き出す少年の姿をした魔王。

更に、皮膚が脱皮のようにぱらぱらと剥がれ落ち始め、

まるで体全体が崩壊するような現象が現れた。

アンラ・マンユ「オ……オオォォ……ッ」
9 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 00:41:12.24 ID:ymowtv8Yo
ザッ…ザッ…ザッ…ガクンッ

アンラ・マンユ「オ…アアァァァァ!!」

タッタッタ…ザザッ

剣士「!?」

ジュニア「ど、どうなってる?」

天才「!? 退けっ! まだ終わってねぇ!」

大軍師「あれは一体……っ?」

シュウウゥゥゥゥ…

アンラ・マンユ「コ……ノボクガアアァァァァ!!」

ボゴォッ!!…シュウウゥゥゥゥ…

バーテン「終わったのか?」

天才「まさか……」

アンラ・マンユの肉体が崩壊し、中より現れた黒い陰が宙を彷徨う。

そして、巨大な一つの顔のような、おぞましい形状を模し、漂っていた。

天才「あれが外殻だったってのかよ、くそぉ……っ」
10 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 00:46:05.85 ID:ymowtv8Yo
オオォォォォ…

魔道士「あ、あぁ……っ」

戦士父「誰か、とどめを!」

天才「無理だな」

戦士「……っ」

天才「動ける奴なんぞ、もうここにはいねぇ……」

アンラ・マンユ「コノボクガ……コンナコトニ……ィ」

剣士「確かサモナーさんが動けるはずだ! 今すぐ呼びに――」

大軍師「間に合いませんよ」

剣士「!?」

大軍師の指差す先、コカトリスの石化が徐々に解け始めた、

地面へ横たわるアジ・ダハーカが鋭い瞳をゆっくりと開き、翼を広げた。

召喚士「まずいっ! 阻止を!!」

盗賊「くそ……っ!」

最早その場に動ける人間など、1人も居はしなかった。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/20(月) 00:49:37.36 ID:occgdOhRo
俺「だれか・・・・」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/20(月) 00:50:28.37 ID:ymowtv8Yo
ついに30スレも消費する事となってしまいました…
本当に申し訳ない&ありがとうございます!

皆様の支援あって、ここまでこれました!
やっと終わりも見え始めてきました
もうしばらくお付き合い頂ければと思います!

それではまた夕方頃、お休みなさい!ノシ

前スレ>>981
弓を拾いに行った剣士さんは、途中で帰還するみんなと合流しました
描写が薄くて申し訳ありません…
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/20(月) 00:57:26.71 ID:s1bRF5eCo
>>1おつおつ
相変わらずのドS切りです
終わり・・だと・・?やっと3割に届いたところじゃないか
毎日楽しみにしてるぜ、無理せずがんばってくれ〜
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/06/20(月) 00:57:28.22 ID:occgdOhRo
おおおおおおおおぃ・・・ここで寸止めとはっ。

>>1乙!
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/06/20(月) 01:00:05.02 ID:kyCexTkAO
いつにも増してドS止めだなwwwwww
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/20(月) 01:01:24.57 ID:u+cI+Z8AO
>>1おつ

もう30スレか。早いもんだな
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 01:02:54.28 ID:Pu0D2Y/lP
>>1
やっと全体の3%か
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/20(月) 01:05:18.28 ID:1S+Krsweo
>>1おつ
え?0.3%の間違いだろ?
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/06/20(月) 01:06:18.81 ID:9skJZHDRo
あらすじで倒したっていうから安心してたら倒せてないだと・・・・・・!?


>>1
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/20(月) 02:00:23.46 ID:3b34sWqDO
魔王6体「アンラ・マンユは我らの中でも最弱」
まだだ、まだ終わらんよ
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/20(月) 04:25:26.62 ID:1YGQ829w0
>>1
いつも楽しみにしてるよあり!
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 05:28:13.00 ID:PkpE2xIDO
>>1
こちらこそありがd
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 06:18:17.03 ID:93Hz8vWDO
>>1乙っす
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 07:38:52.44 ID:I9d1iPkSO
>>1乙でーす
30スレ目おめでとー
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 08:15:30.54 ID:3XhYfQfIO
>>1乙、やっと戻れた
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 08:18:36.40 ID:MeIv5KeDO
>>1
30スレはマジで凄いな!
通勤の電車でコカトリス読むのが楽しみになっているので>>1にはマジで感謝する。
ありがとう!
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/20(月) 08:30:45.29 ID:wFpVPfCAO
>>1

俺も毎日通勤と帰宅中に読むのが日課になってる
物語もいよいよクライマックスなのか…
VIP1スレ目から読んでたから、感慨深いものがあるな…
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/06/20(月) 09:16:55.00 ID:EmLEzWXoo
ん?魔王一体倒すまでが序章じゃなかった?
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 10:57:12.02 ID:MWTwt9fDO
30スレおめでとうございます
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 12:26:08.66 ID:xLVuERHIO
>>1
そろそろ序章が終わりそうだな!

30スレの30レス!!
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 15:37:40.44 ID:r6TeliCIO
>>28
そして、召喚士の出生の秘密解明に向けて、新たな旅立ちだな!
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 16:39:17.73 ID:LjajjgZDO
>>1
あと70スレもあるが頑張れよ!
33 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:10:49.27 ID:qtIhhYfTo
ボオオォォォォ…

天才「どうする……」

声にこそ発したが、それは自問自答であった。

五行は即ち五感、そして形成する聖行は第六感。精神力。

肉体が崩壊し、精神……思念体とも言うべきか、魔王アンラ・マンユのそれは、

おそらく微弱な五行でも打ち込めば消滅する。天才はそう判断していた。

しかし魔力がない。だが、五行を撃とうと思えば撃てる。

それはつまり、己の命を燃やすという事。結果は見えている。

魔王アンラ・マンユとの心中。天才はその自問自答に思わず声を発してしまったのだ。

天才(予言に俺自身の死はなかった。信じるか……それとも……)

グッ

天才「俺様が信じてやらねーでどうすんだって話だ」

隊長「……?」

結論を出したその上で、天才が出来る事はただ1つであった。

天才「総員、退却――」
34 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:11:37.88 ID:qtIhhYfTo
ドンッ!!

天才「……?」

バチバチバチッ…バリッ

戦士「な……んだ!?」

バチバチッ…ジジッ

アンラ・マンユ「……オ……アア……ァ」

上空から垂直に降り注いだ雷の矢のような一撃。

アンラ・マンユ「ア……ガ……アアァァァァ」

それは黒い影の巨大な顔を脳天より貫き、地中の中へと消える。

ジジッ…ジジジッ

召喚士「魔法攻撃……?」

天才「はっ!」

バッ!!

上空を見上げる天才は目を細め、闇の中に何かを探すが、

夜空にはただ雲が漂うだけに留まり、天才の探す何かは存在しなかった。
35 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:12:17.75 ID:qtIhhYfTo
アンラ・マンユ「……ナ……ン……トイ……ウ」

フオオォォォォォン

大軍師「!?」

ジュニア「なんだぁ!? 魔王の様子がおかしいぞ!?」

剣士「姿が膨張している……っ」

天才「退避だ、退避ーっ!!」

大軍師「!? 全員、避難して下さいっ!」

ゴゴゴゴゴゴ

戦士父「大地が揺れているぞっ!」

天才「膨張と地響きは爆発の予兆だ! 早く退避しろぉ!!」

ジュニア「マ……ジかよぉ!」

ダダッ

召喚士「盗賊さんっ!」

盗賊「……すぐ行く!」

召喚士「!?」
36 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:12:56.94 ID:qtIhhYfTo
ババッ…ジャララッ

戦士「何やってんだアイツはよっ!」

盗賊「……届けぇ!!」

ビュッ!!……ガシィ!!

アンラ・マンユ「……ンド……ア、アアァァァァアアアアァァ」

天才「伏せろおおぉぉーっ!!」

魔道士「――っ!!」

カッ!!

状況も把握出来ずに、ただひたすら火口を離れ身を伏せる一同。

そして凄まじい閃光が起こった直後、とてつもない轟音が鳴り響いた。

ズッドオオオオォォォォォォン!!

朱雀嬢「きゃああぁぁーっ!!」

青年兵「くっ!!」

ズドドドドドド…

爆風と激しい岩石のつぶてが魔王を中心に巻き起こった。
37 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:13:25.26 ID:qtIhhYfTo
ゴオオォォォォ…

盗賊「……ぅ」

ゴトッ

戦士「……大……丈夫か……っ?」

盗賊「!?」

自分の上へ覆いかぶさる戦士を、盗賊は仰天した顔で見上げた。

盗賊「なっ、なん……」

戦士「お前1人庇うので精一杯。他の連中は大丈夫かな?」

ガシャッ…ゴトゴトッ

朱雀嬢「青年兵さんっ!?」

青年兵「うぅっ、痛……っつぅ!」

朱雀嬢「だ、大丈夫……ですか?」

青年兵「朱雀嬢さんこそ、大丈夫でしたか?」

朱雀嬢「わっ、私は大丈夫ですわっ! 青年兵さんのお陰で……」

青年兵「は、はは……っ。それなら良かったです……痛っ!」
38 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:14:06.94 ID:qtIhhYfTo
背後を振り向いた時、召喚士は立ち上るきのこ雲を無言で見上げていた。

召喚士「…………」

火口付近、即ち山頂に近い高所での爆発は、大規模な爆風などを発生させたが、

山の斜面の関係上、土砂や落石は一同を飛び越え、低所へと大きく抜けていった。

ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「……」

魔道士「……ん」

召喚士「魔道士さんっ、大丈夫ですか!?」

魔道士「……召喚士……さん」

召喚士「良かった。大きな怪我はないようですね」

魔道士「召喚士さんっ!? 頭から血が……っ!!」

召喚士「あぁ、大丈夫です。石がかすっただけなので」

魔道士「駄目ですよっ、すぐに応急処置を――」

スクッ…フラァ…

魔道士「きゃっ!」
39 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:14:47.85 ID:qtIhhYfTo
ダキッ

魔道士「…………っ」

召喚士「大丈夫……ですか?」

魔道士「……すみません」

召喚士「いえいえ」

魔道士「……っ」

召喚士がゆっくりと魔道士の顔へ自分の顔を近づける。

魔道士「へっ、え……っ!?」

召喚士「……」

魔道士「――っ!!」

そのまま目をゆっくりと閉じ、召喚士は……出血の眩暈でその場に倒れた。

魔道士「召喚士さぁん!!」

召喚士「は、はは……っ。大丈夫です……」

魔道士「今、止血しますからっ!」

召喚士「す、すみません……はは……っ」
40 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:15:28.55 ID:qtIhhYfTo
ゴゴオオォォォォ…

バーテン「今度こそ……終わったか?」

天才「あれを見な」

ジュニア「!?」

きのこ雲の横を飛行するアジ・ダハーカの姿。

大軍師「あ、あれは……?」

天才「魔王の魔力の塊、まぁ言ってみりゃ眷属みてぇなモンか」

剣士「えっ!?」

天才「魔王アンラ・マンユは確かに倒した。消滅した」

戦士父「……」

天才「だが、完全に決着したわけじゃねぇ」

隊長「仕掛けてきますかね?」

天才「いんや、あれも生まれたばっかだろうし、魔王はもういない」

大軍師「はい。仕掛けてくる事はなさそうですね」

何度か上空を8の字に飛行したアジ・ダハーカはきのこ雲の向こうへと消えて行った。
41 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:18:45.88 ID:qtIhhYfTo


戦士「何で早々と引き退がらなかったんだよ!」

盗賊「……ごめん」

戦士「……ったく」

盗賊「……っ」

スッ

戦士「ん……?」

盗賊「……これ」

俯く盗賊の細い指先から手渡された雷切。

戦士「お前……」

盗賊「折れた刀身は無理だった……ごめん」

戦士「……馬鹿」

テクテクテクテク

魔道士「盗賊さーんっ!! 戦士さん!!」

戦士「魔道士、召喚士!!」
42 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:19:48.80 ID:qtIhhYfTo
召喚士「良かった。怪我はない?」

戦士「お前こそ大丈夫かよ!?」

召喚士「え、あ……うん」

盗賊「……召喚士」

召喚士「はい?」

盗賊「……レイピア」

召喚士「!?」

戦士「全くよ、危険な真似してまで拾ってくれたんだと」

召喚士「あ……っ」

戦士「雷切の事か?」

召喚士「ご、ごめんっ!!」

戦士「あーいいよいいよ。別に召喚士のせいじゃねぇ」

召喚士「……本当、ごめん」

戦士「気にしないでくれ。それに、これは俺が未熟ゆえに招いた結果さ」

召喚士「……っ」
43 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:21:29.43 ID:qtIhhYfTo
戦士「お前のレイピアこそ……」

召喚士「あ、あぁ。これは……いいんだ」

戦士「そうなのか?」

召喚士「うん。気にしないで」

魔道士「あっ! みんな無事みたいですよっ!」

召喚士「本当だ……おーいっ!!」

戦士「さて、俺達も合流しようぜ」

盗賊「……うん!」

戦士「……お?」

ザッザッザ…パシッ

――『見事だったわよ。流石、私の息子ね』

戦士「――!?」

盗賊「戦士、行くぞ?」

戦士「……おう」

拾い上げた弓を担ぎ、戦士は一同の元へと笑顔で歩いていった。
44 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:23:41.07 ID:qtIhhYfTo
〜南西砦〜

ドカッ

天才「あー疲れた。もうこんなんは勘弁だぞ」

大軍師「お疲れ様でした」

天才「んで?」

隊長「各地に布陣した魔道兵も帰還致しました」

天才「さっき見たよ。そうじゃねぇ、被害状況だ」

大軍師「アンラ・マンユ軍は壊滅的打撃を受け、再起不能とみられます」

隊長「殲滅は魔王含め6体。逃亡が2体です」

天才「上出来だ。魔王を潰した事に意義がある。んで、こっちの状況は?」

大軍師「死者……1158名。負傷者2094名。行方不明者403名です」

青年兵「……っ」

天才「内訳は?」

大軍師「大半が国軍。ワーカーに死者はおらず、学生には負傷者も出ておりません」

天才「……そーかい」
45 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:25:31.67 ID:qtIhhYfTo
〜南西砦、正門前〜

召喚士「アジ・ダハーカですか……?」

ハヌマーン「うむ、間違いないであろう」

マーマン「アンラ・マンユの眷属っつーか、ペットみてーなモンかな」

戦士「あれも眷属なのかよ……」

魔道士「それじゃあ、魔王はまだ……」

ハヌマーン「いや、それはないと思うぞ。魔王は間違いなく死んだ」

剣士「……」

ハヌマーン「核がなくなった今、アンラ・マンユが復活する事はないであろう」

魔道士「私達……本当に魔王を……」

ハヌマーン「ああ。お主等が魔王アンラ・マンユを打ち倒したのだ」

盗賊「……」

召喚士「そっか……魔王を……」

魔道士「倒したんですよね……私達」

戦士「ああ」
46 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:28:08.92 ID:qtIhhYfTo
〜南西砦、広場〜

魔道兵「ちくしょぉ……痛てぇ、痛てぇよぉ!!」

衛生兵「包帯が足りない! もっとないのか!?」

パアアァァァァ

学園長「……はい、いいわ。次の方」

パアアァァァァ

法師「……ふーっ」

南方魔道長「あまり無茶はせんで下さい」

法師「救える命があるのです。みすみす放ってはおけませんよ」

南方魔道長「しかし、あなた自身が潰れては元も子もない」

法師「分かっております。そこまで愚かではありませんよ」

南方魔道長「……」

法師「己の命があってこそ、他人を救えるのです」

南方魔道長「まさに」

法師「それに、祈りや念仏で救えるものなど有りはしませんよ」
47 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:31:53.65 ID:qtIhhYfTo
パアアァァァァ

シービショップ「……」

魔道兵「う、あぁ……」

サモナー「次は……こっちか。さ、身体を起こせるかい?」

玄武娘「サモナー様……っ」

朱雀嬢「……」

玄武娘「やっぱりこれ以上は……」

朱雀嬢「貴女に、止める権利があるのかしら?」

玄武娘「で、でもぉ……」

朱雀嬢「サモナー様はご自分の意思で、怪我人を助けているのですわ」

玄武娘「……っ」

朱雀嬢「私達が止めたところで、聞いて貰えるとは……」

玄武娘「でも、サモナー様が魔力を使えばそれは……」

朱雀嬢「ええ。サモナー様は今、自分の命を他人に分け与えているんですわ……っ」

玄武娘「サモナー様ぁ……」
48 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:41:47.28 ID:qtIhhYfTo


女学生「ひっ、ひぐ……えぐっ!」

ヘタッ

女学生「お父さん……どうし……てぇ!!」

横たわる魔道兵の亡骸。その前で泣き崩れる1人の学生。

女学生「何でよぉ!! どうしてお父さん……がぁ!!」

カツカツカツ

皇太子「……君の父上か?」

女学生「ひぐっ、うっ、うぅ……っ!!」

皇太子「……」

女学生「何で……こんな……うぅ……っ」

皇太子「月並みな事しか言えぬが、君の父上は立派に戦った」

女学生「う……ああぁぁ!!」

皇太子「そして、父上の命を奪ったのは私の責任だ。他の誰でもない」

女学生「そ……んなの……っ、そんなの分からないよぉ!!」
49 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:45:49.96 ID:qtIhhYfTo
皇太子「……」

ザッザッザ

青年兵「陛下、司令がお呼びです」

皇太子「……うむ」

カツカツカツ…チラッ

女学生「お……父さんっ。ごめんね……私……私っ、ひぐっ」

皇太子「遺族への補償は最大限に行うように」

青年兵「心得ております」

皇太子「本国の財源を削っても構わん。いいな」

青年兵「……はっ」

カツカツカツカツ

女学生「うああぁぁーっ!!」

青年兵「……っ」

クルッ…ザッザッザ…

女学生の悲鳴は、沈痛な面持ちで歩く青年兵の背中でへと響いた。
50 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:48:44.68 ID:qtIhhYfTo


格闘家「……?」

カツカツカツ

男隊員「おう。生きてっか?」

格闘家「……無事、終わったようですね」

男隊員「無事かどうかは分からんけどな」

女隊員「格闘家くんは大丈夫ッスか?」

格闘家「はい。1ヶ月程度は戦闘への参加は出来そうもありませんが」

男隊員「そういうのは無事とは言わねーんだよ」

女隊員「とにかくまだ戦いは続くんスよ。しっかり療養するッス!」

格闘家「はい」

テクテクテクテク

博士「おや、特遊お揃いでどうしたのら?」

男隊員「別にただの見舞いだよ。そっちこそ何してんだ?」

博士「ふっふっふ」
51 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:52:04.58 ID:qtIhhYfTo
ゴソッ

博士「ついに南西砦まで電話が開通したのら!」

男隊員「遅……」

博士「これでも相当急かしたのら!」

女隊員「でも、戦いはもう終わっちゃったッスよ……」

博士「あのな、戦後処理が一番、連絡のやり取りが必要なのらぞ?」

男隊員「……あぁ、言われてみればそうかもな」

博士「今だって急遽、各方面に衛生兵と物資の連絡をいれたところなのら」

女隊員「おぉーっ!」

博士「馬での伝令なら数日のロスが生じるのら。でも電話なら……」

男隊員「一瞬だもんな」

博士「うむ。これで救える命も増えるはずなのら」

女隊員「確かにそうッスよ! 凄いッス!」

博士「みんなが戦ってる間、こっちだって頑張ってたのら!」

男隊員「やるじゃん! ヒャハハッ!」
52 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/20(月) 18:57:38.53 ID:qtIhhYfTo
やがて、南西砦に朝日が昇る。

剣士「もう朝か……」

幼女「くあ……っ」

弓使い「幼女、眠かったら寝ていなさいね?」

幼女「……大丈夫」

各地では未だに煙が立ち上り、戦いの激しさを物語っている。

南西砦兵「南西砦長様……見ていますか? 我ら、勝ちましたよ……っ!」

ついに、魔王アンラ・マンユを倒した一同。しかしその代償は計り知れない。

奪われた命は、過去数十年の戦いにおいても甚大なものとなった。

アマゾネス「皆、無事だな?」

色黒「はい!」

おさげ「ちょっと髪の毛が焦げちゃったけど……」

ポニテ「そんなの全然マシじゃない!」

ツインテ「とにかく無事で、何はともあれだにゃあ〜」

魔王を倒した彼らに、笑顔はほとんど見られる事はなかった。
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/20(月) 19:08:29.57 ID:qtIhhYfTo
>>26-27
日課とか超恐れ多いです。貴重なお時間を申し訳ない

あと本当に嬉しいレスばかりなのですが、
とりあえず目標は40スレ以内で頑張ります!

本日も数多くの一乙ありがとうございます!
それではここまでにて失礼をば!ノシ

54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/20(月) 19:18:01.32 ID:wFpVPfCAO
>>1

40スレってのが亀仙人ばりの延長フラグだったらと願わずにはいられないが、
>>1乙の一番良い終わり方で締めくくれるようこれからも応援してるね!
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 19:38:25.11 ID:4C2hxG7G0
胸が熱くて・・・うううう

1乙
たまには休んでくれ!!!
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/20(月) 20:01:12.06 ID:ztaCrGtho
>>1
逃亡ってアジダカーハと誰?

サルワは...?
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 20:38:19.91 ID:MeIv5KeDO
>>1乙!
やっと魔王を倒せたんだな……
魔道学校の生徒たちが援軍に来たときと今回の父親の亡きがらの前で泣いている生徒の場面はウルッときた…


そういえば魔王の魔翌力は残ったっていうことは北の名士様も無事なのかな?
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 23:27:05.66 ID:fWy6qdcSO
乙!とうとう魔王を…か

魔王の眷属については、魔王がいなくなれば いずれ死ぬ って元眷属の名士?が言っていた気がする

逃げたのはアカ・マナフだかサルワだかどっちだっけ?
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/20(月) 23:36:51.67 ID:nmaEsnDSo
アカ・マハフは養分になった
サルワが西国に飛ばされて、そこから逃げた
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/20(月) 23:59:05.76 ID:MU6YZVhAO
魔王よりマナフちゃんの方が強くね?
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/21(火) 00:00:58.45 ID:4dDhXClfo
ほ、ほら、魔王は溶岩の球体でがんばったじゃん!
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 00:03:33.07 ID:eTd4DM4DO
ぼくのかんがえた さいきょうの けんぞく
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/21(火) 01:01:36.89 ID:dzu3kWqAO
40スレとか数字出されるともうそろそろこのSSともお別れかと思ってなんか悲しくなっちゃう
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/21(火) 01:03:38.82 ID:ruptksryo
あれ?たしかこのスレって3000スレぐらい続くよな?
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/06/21(火) 01:24:53.63 ID:31DAaBSAO
マジレスすると100部まで
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 02:04:06.32 ID:CsfFMtCIO
>>65
今が一部の序章だからまだまだだな!
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/06/21(火) 03:13:12.17 ID:snhGiaLwo
召喚士の100代先の子孫まで話が続くんだよな
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/21(火) 04:00:26.70 ID:3REo1clDO
魔王にとどめをさしたのは誰だ!?
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/21(火) 05:10:18.36 ID:ZbeXquH30
1乙
ついに魔王……
アジ・ダハーカは宿主を探しにいったのかな?

70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 06:21:24.96 ID:g3CvBrADO
>>1
アシ・ダハーカがいるからまだサルワも消滅してないのかな
71 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:53:53.91 ID:zMK6t42Zo
〜会議室〜

カツカツカツ

皇太子「待たせた。して、何用かな?」

大軍師「南西砦まで電話が開通致しました」

皇太子「ほぉ」

大軍師「早速、本国へご連絡をされては?」

皇太子「……ああ、そうだな」

カチャッ……ジリリリリッ

エリート『こちら王宮。私は右大臣、エリートですが』

皇太子「エリートか、私だ」

エリート『陛下っ! ご無事なようで何よりです』

皇太子「うむ。南西砦まで電話が開通したのでな。報告をさせて頂こう」

エリート『はい』

皇太子「今回の魔王討伐戦……我らの勝利だ」

エリート『っ!!』
72 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:54:35.22 ID:zMK6t42Zo
皇太子「魔王アンラ・マンユは死んだ。間違いなくな」

エリート『そうですか……つ、ついに……』

皇太子「……だが」

エリート『……?』

皇太子「被害が尋常ではない。負傷者が大多数だ」

エリート『……っ』

皇太子「王宮としても、遺族への補償や弔問など、怠らぬように」

エリート『承知致しました』

皇太子「それと、凱旋パレード及び祝賀会は中止とする事」

エリート『……は?』

皇太子「パレードや祝賀会は中止、と言ったのだ」

エリート『それは同意致しかねます』

皇太子「エリート、言ったであろう。今回の戦いは被害が大きい」

エリート『だからこそではないですか』

皇太子「……?」
73 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:55:20.75 ID:zMK6t42Zo
エリート『多大な被害が出たからこそ盛大に執り行うべきかと思いますが』

皇太子「不謹慎だと言っているのだ」

エリート『不謹慎? それこそが不謹慎ではありませんか』

皇太子「あのなエリート、中には現地で家族を失ったものとておるのだぞ?」

エリート『陛下。本国では今なお、家族の無事を願うものらが多数いるのです』

皇太子「分かっている」

エリート『その者らに、暗い顔を見せて凱旋すると申すのですか?』

皇太子「そうではない」

エリート『命がけで得た勝利を証明するからこそ、待つ者も救われるのです』

皇太子「聞け、エリート。私はそんな気分になれぬと申しているのだ」

エリート『陛下、それはあまりにも偽善ですぞ』

皇太子「エリート!」

エリート『陛下!!』

皇太子「……っ」

エリート『いかに陛下の申し出と言えど、これには同意出来ませぬ』
74 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:55:58.01 ID:zMK6t42Zo
皇太子「……」

エリート『死にゆく男達は守るべき女達に、死にゆく女達は愛する男達に……』

皇太子「……」

エリート『己の生きた証と、生きる者達の未来と希望を残す為に戦ったのです!』

皇太子「……」

エリート『これを称えずは冒涜に値します。予定通り決行すべきです』

皇太子「……分かった。お前に任せる」

エリート『陛下、ご無礼をお詫び申し上げます』

皇太子「いや、お前が傍に居てくれて本当に助かる」

エリート『……勿体なきお言葉です』

皇太子「それでは、宜しく頼むぞ」

エリート「はっ。陛下には決してご迷惑の掛からぬよう取り計らいます」

カチャッ

エリート「……ふー」

大軍師「大丈夫ですか?」
75 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:56:55.99 ID:zMK6t42Zo
皇太子「何、いつもの事さ」

天才「ワガママ言うからだろ」

皇太子「我侭か。確かにそうだな」

天才「パレード廃止なんて十中八九反対されんだろ」

皇太子「出来れば、こういうものを政治的に利用したくはないのだ」

天才「ハッ! 政治的に利用しねーでどうすんだよ」

大軍師「国民の士気も大いに上がりますからね」

皇太子「それが政治的利用だと言うのだ」

天才「おいおい、どうしちまった小覇王サンよ?」

皇太子「……」

天才「戦場で現実見て、胸でも痛んじまったか?」

皇太子「小覇王は死んだよ」

大軍師「……」

皇太子「一国を背負って初めて気付いたさ。覇道ではなく王道というものにな」

カツカツカツカツ…
76 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:57:39.33 ID:zMK6t42Zo
大軍師「危ういかもしれませんね」

天才「そこまで弱い奴じゃねぇだろ」

大軍師「まぁ確かに、此度も前線まで来たわけですしね」

天才「さーて、ちょっくら一眠りしてくるか」

大軍師「こちらでの宴は如何致しますか?」

天才「決まってんだろ!」

大軍師「はっ。それでは最低限の飲食物に留めます」

天才「衛生兵と戦後処理担当は?」

大軍師「夜分までには皆、揃うと思われます」

天才「そんじゃ本国への帰還は明朝。それで手筈を進めてくれ」

大軍師「畏まりました」

天才「お前も少しは休めよ」

大軍師「司令に比べれば休んでおりますよ、ふっふ」

天才「そうかい。ハーッハッハ!」

カツカツカツカツ
77 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:58:19.24 ID:zMK6t42Zo
大軍師「……」

カツカツカツ

隊長「司令、大丈夫かね」

大軍師「今回の戦いではかなり消費されたようですね」

隊長「……」

大軍師「まぁ、今のところは大丈夫だと思いますよ」

隊長「そうか」

大軍師「それで、何かご用なのでは?」

隊長「ん、あぁ。工兵らが到着したんでな。行方不明者の捜索に行ってくる」

大軍師「そうでしたか、お気を付けて」

隊長「……念の為、すぐに救護出来る体制を整えておいてくれ」

大軍師「はい。信じておりますよ」

隊長「……10人でも1人でもいいさ、生きててくれりゃあな」

大軍師「はい……」

カツカツカツカツ…
78 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:58:51.62 ID:zMK6t42Zo
間もなく日は空高く昇り、昼を迎えた。

俺達は奇しくも集まった、多くの知人、友人と語り合った。

サモナー「へぇ、召喚獣をそんなに手に入れたのかぁ!」

召喚士「はいっ! 頑張りましたよ!」

これから起きる戦いで、また共に戦う事になるであろう者達。

オーク「幼女ちゃん!!」

幼女「オーク〜!」

戦士「ははははっ!」

今日を最後に、もう会えないかもしれない人だってきっといるだろう。

学園長「それでは、決して無理はしないようにね」

魔道士「もう帰っちゃうんですか?」

火の先生「生徒らをこれ以上、危険な場所へは置いておけぬからな」

魔道士「あっ、そうですよねぇ……」

賢者「さぁ行こうか……ふぅ」

水の先生「ちゃっかりお前も帰るのかよっ!?」
79 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 18:59:19.88 ID:zMK6t42Zo
カツカツカツ

皇太子「……」

タッタッタ

女学生「……あっ」

皇太子「君は……」

女学生「……先程は、失礼致しましたっ!」

皇太子「いや、私こそ君にはお詫びを――」

女学生「私……決めました」

皇太子「……?」

女学生「父は、誰かに言われて戦ったのではなく、自分の意思で戦ったのです」

皇太子「……」

女学生「作戦前に、逃亡や退却の自由が認められたと聞きました」

皇太子「そうか」

女学生「それでも父は逃げなかった……っ、最後まで戦った」

皇太子「その通りだ」
80 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:00:03.71 ID:zMK6t42Zo
女学生「誰の為でもなく、世界の為に……平和の為に……」

皇太子「……」

女学生「だから、決めたんです」

皇太子「……うむ」

女学生「私は今年で、魔道学校を卒業致します」

皇太子「そうだったか」

女学生「だから、卒業したら……したら……っ」

皇太子「……」

女学生「私はっ、国軍に入って……魔道兵になりますっ!!」

皇太子「……っ」

女学生「お……父さんがぁ、間違ってなかった……ってぇ……証明しますっ!!」

皇太子「……ああ」

女学生「ひっ、ひぐ……っ! ありがとうございました!! 失礼しますっ!! 」

タッタッタッタッタ

皇太子「……」
81 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:00:33.25 ID:zMK6t42Zo
テクテクテク

双子姉「昼食の準備が」
双子妹「出来ましたよっ!」

皇太子「あ、あぁ。すぐに行く」

双子姉「陛下……?」
双子妹「どうかしましたか?」

皇太子「何でもない、先に行っててくれ」

双子姉妹「……はい」

テクテクテクテク

皇太子「……」

ゴシゴシ

皇太子「礼を言いたいのは……こちらさ」

幾ら拭っても拭いきれない。皇太子はしばしの間、晴れ空を見上げる。

皇太子「悩む事など何もない。王道や覇道などと……私は愚か者だ」

ザッ…カツカツカツ

前を向いて歩き出す皇太子の顔は、はいつも通りの整然とした表情に戻っていた。
82 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:01:00.00 ID:zMK6t42Zo
〜北方司令部〜

騎士長「きたぞおぉ!!」

左翼長「!?

騎士長「アンラ・マンユ、討伐成功との報!」

参謀「まことですかっ!?」

左翼長「やりやがったか……っ!」

北方司令部の中庭に、兵らと集まっていた北方軍の指揮官と幕僚達。

朗報を受けた一同が、一斉に歓喜の声をあげる。

ワアアァァァァ!!

北方兵「ついに……ついに魔王を!!」

青龍士官「しかし、まだ最初の1体に過ぎない」

騎士長「それでも倒したんだよ……っ! あの憎きアンラ・マンユをよぉ!」

左翼長「……」

騎士長「これで、浮かばれるな。戦士父も俺も、そしてお前も……妹も」

左翼長「ああ、そうだな」
83 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:01:46.73 ID:zMK6t42Zo
〜赤壁〜

ワアアァァァァッ!!

南方参謀「もう一度言うわよっ! 魔王アンラ・マンユを倒したわっ!!」

南方副司令「やったぞおい!!」

南方司令「ああ。正義は必ず勝つのだ」

南方弓長「次は、私達の番ですかね?」

南方副司令「どうだろうな。直に召集があるさ」

南方司令「そうだ。今は課せられた任務をこなす事こそ重要」

南方弓長「そうですね」

南方参謀「そーれ、エイエイオーッ!」

南方兵「エイエイオー!!」

昼過ぎまでには南北の各拠点を含めた本国全土に、朗報が行き渡った。

人々は魔王アンラ・マンユの討伐に歓声と驚嘆の声を上げ、賑わったと言う。

それは夜遅くまで続き、場所や人を問わず、初戦の勝利を称えあった。

しかし現地においては、その様相は全く真逆のものであった。
84 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:02:23.82 ID:zMK6t42Zo
〜南西砦、夜〜

男隊員「今日はもう暗くて捜せねぇ」

隊長「明朝からはまず、明かりの確保を進めよう」

工兵「はっ。各地に松明などのの設置を致します」

隊長「今日はここまで。明日は5時に正門前にて集合。解散!」

ザザッ…ザッザッザ

男隊員「疲れた……」

女隊員「でも、良かったじゃないッスか」

男隊員「あ?」

女隊員「生存者が何人か見つかって、良かったじゃないッスか」

男隊員「助かる見込みがありゃいいけどな……」

女隊員「……っ」

男隊員「ほれ、行くぞ」

女隊員「は、はい……ッス」

タッタッタッタッタ
85 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:03:22.67 ID:zMK6t42Zo
〜広場〜

パアアァァァァ

女賢者「はい、いいわよ。んふっ♪」

歩兵「あ、ありがとうございました……っ」

女賢者「あー。今日はもう魔力もたないわぁ」

カツカツカツ

白虎長「お疲れ様、今日はもう休んだら?」

女賢者「ありがと♪」

白虎長に手渡された酒を、女賢者は半分程を一気に喉へと流し込む。

女賢者「っはあぁ〜生き返る〜♪」

白虎長「あっちに軽食も用意してるから。行きましょ」

女賢者「んふっ♪」

白虎長「さーて私も……」

白虎嬢「従姉さんはダメ。コップ1杯だけです〜」

白虎長「えぇーっ!?」
86 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:03:59.42 ID:zMK6t42Zo
〜南西砦、外〜

戦士「お疲れ」

召喚士「お疲れ様」

チィン

戦士「しっかし、あれだなぁー」

召喚士「んー?」

戦士「なんかこう……素直に喜べないんだよなぁ」

召喚士「魔王を倒した事?」

戦士「ああ」

召喚士「……分かるよ」

戦士「勝った瞬間もそうだけど、実感がねぇっつーか……」

召喚士「そうなんだよね」

戦士「それによ……」

召喚士「……うん。被害の事を考えると、心から喜べないよ」

戦士「最前線の俺らが生き残って、後方の奴らがやられちまって……」
87 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:04:29.11 ID:zMK6t42Zo
召喚士「……不甲斐ない限りだよ」

戦士「これからも、ずっと続くんかなぁ」

召喚士「……分からない」

戦士「だよな」

召喚士「それに、次は俺らの番かもしれないし……」

戦士「……だよ……な」

召喚士「なんか、急に怖くなってきた……ははっ」

戦士「なぁ召喚士」

召喚士「ん?」

戦士「お前、思い残す事とか……ないか?」

召喚士「思い残す事? まぁ、そりゃあるけど……」

戦士「今のうちに済ませた方がいいんじゃないか?」

召喚士「え……っ?」

戦士「死んじまったら想いも何も伝えられないんだぞ?」

召喚士「えっ? 想いって……あの……」
88 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:05:04.17 ID:zMK6t42Zo
戦士「俺さ、盗賊に告白しちまった」

召喚士「へふぇ!?」

戦士「いや、まぁ……なんつーか……勢いっつか」

召喚士「こ、告白って……好き……って事……だよね?」

戦士「それ以外に何の告白をするんだよ」

召喚士「そ、そうだよね! は、ははは……っ」

戦士「そんでさ」

召喚士「う、うん」

戦士「盗賊も……返事……してくれたんだわ」

召喚士「!?」

戦士「受けてくれた。俺の告白」

召喚士「――っ!!」

戦士「いやっ、だからどうって事はないんだ! 別に何か変わるわけでもないし!」

召喚士「わ、分かってるようん! うんっ!」

戦士「あの時は妙に冷静でさ、今言っておかないと後悔する……って思ったんだ」
89 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:05:38.07 ID:zMK6t42Zo
召喚士「な、なるほど」

戦士「だからってワケじゃねーけど、お前も言っておいた方がいいんじゃねーかな……って」

召喚士「……」

戦士「別に召喚士が死ぬだなんて思っちゃいないけどさ、言える機会があるうちに……」

召喚士「ありがとう」

戦士「……」

召喚士「でも、大丈夫。俺の場合は」

戦士「召喚士?」

召喚士「多分、俺の場合は……抜けちゃうと思うんだ」

戦士「……」

召喚士「今はこの想いをぐっと溜めてるから、力になってるんだと思う」

戦士「なるほどな」

召喚士「だから、俺はまだ……大丈夫」

戦士「……はははっ!」

召喚士「……?」
90 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:06:16.95 ID:zMK6t42Zo
戦士「召喚士らしいわな!」

召喚士「そ、そうかな?」

戦士「まーあとはあれだな」

召喚士「え?」

戦士「誰かに先を越されないように気を付けねーとな! はっはっは!」

召喚士「!?」

戦士「さーて、酒取りに行ってくるわ」

テクテクテク

召喚士「戦士ってば! ……もうっ」

戦士が去った外壁の一画。召喚士は夜空の朧月をぼんやりと眺める。

召喚士「……告白、か」

壁に背を預け、地面へと座る召喚士。月は相変わらずぼんやりと浮かんでいる。

召喚士「死ぬわけには……いかないよね」

手にした酒を一気に飲み干し、立ち上がるや否や人だかりの方へと足を進める。

月は少し輪郭を形取り、柔らかな光を降り注いでいた。
91 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:06:51.64 ID:zMK6t42Zo


天才「……」

グビッ

天才は1人、岩場の上へと座り、酒を飲んでいた。

月は雲に隠れ、南西砦からの小さな松明の光が、グラスを光らせていた。

天才「……」

ピクッ

戦士父「……珍しいな」

天才「……あぁ?」

戦士父「あんたが気配に気付かないとはな」

天才「うるせーな、疲れてんだよ。あっち行け」

戦士父「ああ、そのつもりだ」

天才「……?」

戦士父「その前に1つ聞かせてくれ」

天才「何だよ」
92 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:07:26.66 ID:zMK6t42Zo
戦士父「ゾディアックは……まだ必要になるのか?」

天才「……使い手はてめぇだろ。自分で考えろ」

戦士父「……」

天才「お前、まさか回収に行くのか?」

戦士父「見つかるかは分かりませんけどね」

天才「馬鹿じゃねーの」

戦士父「……」

天才「その腕で、どうやって使いこなすんだっつーの」

戦士父「あんたはそこまで考えていたのか?」

天才「あぁ?」

戦士父「ゾディアック。あれには1本レプリカが含まれている」

天才「あぁー。ドッペルゲンガーのなんちゃらってヤツか」

戦士父「あれのお陰で魔力抜きの投擲では肉体、精神に影響はないようだ」

天才「……」

戦士父「あんたはそこまで狙って……」

天才「質問は1つなんだろ!? さっさと失せろ」
93 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:08:09.92 ID:zMK6t42Zo
戦士父「……」

クルッ…ザッ

天才「……あーおい」

戦士父「……?」

天才「片手だろうが投擲は出来んだろーなぁ?」

戦士父「無論」

天才「んじゃ、戦力としてカウントしておくぞ」

戦士父「……頼みます」

天才「必ず見つけ出せよ、ゾディアック」

戦士父「了解」

天才「レプリカじゃねぇ本物が合わされば、おそらく五行も要らねぇ」

戦士父「……?」

天才「何も急ぐ必要はねーぞ。最後の最後に間に合わせてくれ」

戦士父「……何を言っている?」

天才「お前には言っておく。俺はおそらく……サタンまでは持たねぇ」
94 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:08:52.31 ID:zMK6t42Zo
戦士父「……!?」

天才「何千とプランニングしてきたが、どうあってもサタンはラストになる」

戦士父「……」

天才「んで、俺様がサタンまで生き残る可能性は……0だ」

戦士父「……っ」

天才「だから、頼んだぜ」

戦士父「……断る」

天才「何?」

戦士父「今は可能性が0でも、運命ならば変わるはずだ」

天才「運命ねぇ……」

戦士父「それに、俺ももう60に近い。託すなら適任がいるでしょう?」

天才「誰だよ?」

戦士父「それはあんたが一番よく分かってるはずだ」

天才「……」

戦士父「あんたが育ててきた奴らだ。そうでしょう?」
95 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:10:52.48 ID:zMK6t42Zo
天才「……ハーッハッハ!」

スクッ…スタッ

天才「テメーと顔を合わせるのもこれが最後かもな!」

戦士父「……」

天才「そうならない事を祈って、乾杯といくか」

戦士父「……遠慮しますよ、下戸なんで」

天才「ちっ、相変わらずかよ。まぁいい、早く行きな!」

戦士父「では、お元気で」

ザザッ…ビシッ

天才「敬礼もサマになってるじゃねーか。老いてなお盛んってか? ハーッハッハ!」

戦士父「また、会いましょう」

天才「おーう。またな」

ザザッ…ザッザッザ

天才(……これでいいんだよな、お師匠)

雲に隠れていた月は、少しだけその顔を覗かせていた。
96 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:11:31.46 ID:zMK6t42Zo


魔道士「召喚士さんっ」

召喚士「魔道士さん……」

魔道士「……どうかしましたか?」

召喚士「い、いえっ! 別に何でもないですよ」

魔道士「……?」

召喚士(戦士のせいで妙に意識しちゃうじゃないか……っ)

魔道士「あの、召喚士さん?」

召喚士「は、はい!」

魔道士「明日、本国行きの船が出るみたいなんですけど、どうします?」

召喚士「えっ? あ、あぁ……そうですね」

魔道士「まだ戦後処理もあるみたいなんですけど、正直……私達じゃお役に……」

召喚士「確かにそうですね……」

魔道士「明日、戻ります?」

召喚士「そうですね、そうしましょうか」
97 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:11:57.67 ID:zMK6t42Zo
魔道士「はいっ! えへへ!」

召喚士「魔道士さんは休まなくて大丈夫ですか?」

魔道士「お昼に少し休んだので。それに今は夜食作ったりもしてるから」

召喚士「そうでしたか。流石は魔道士さん」

魔道士「あ、ありがとうございます……えへへっ!」

召喚士「アンラ・マンユ、倒しましたね」

魔道士「はいっ。倒しました」

召喚士「次も……頑張りましょうね」

魔道士「はいっ、頑張りましょう!」

召喚士「……ははっ」

魔道士「えへへ!」

召喚士「さてと、砦内へ戻りましょうか」

魔道士「そうしましょう〜」

召喚士「お疲れ様でした、魔道士さん」

魔道士「お疲れ様でしたっ、召喚士さん♪」
98 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:12:27.84 ID:zMK6t42Zo


パッカパッカパッカ

インドラ「……まだ居たのか」

名士「見物と言っただろう?」

インドラ「……」

名士「インドラの矢とはよく言ったものだね。凄まじい威力だった」

インドラ「あの程度、然したるものでもない」

名士「だろうね。君の全力なら、大陸ごと消えている」

インドラ「人間共も大したものではないか」

名士「そうだね。まさかアンラ・マンユを倒すとはね」

インドラ「アンラ・マンユの全エネルギーを食い止めたのは賞賛に値する」

名士「ああ。あれが落ちていれば、この世界は変わっていただろうね」

インドラ「人間共は気付いていたのだろうか……?」

名士「さぁ。私は気付いていなかったと思うけれどね」

インドラ「アンラ・マンユの焦りを引き出した事こそが、勝利を得た最大の要因だな」
99 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:12:56.89 ID:zMK6t42Zo
名士「何故、手助けをしたのかな?」

インドラ「貴様と違い、傍観するなどと申した覚えはない」

名士「それもそうか。でも、あんまり魔力は使わない方がいいのではないかな?」

インドラ「これも貴様と違ってな、長生きしようなどとは思っておらぬ」

名士「人間から見たら、十分に長生きもしているしね」

インドラ「……下らぬ」

フワッ

名士「次は?」

インドラ「さぁな。刻が合えば参加するも一興よ」

フッ!!

名士「相変わらず変な奴だな」

ガチャッ

名士「さて、我が屋敷に帰るとしようか。ははっ」

従者「はい」

名士を乗せた馬車は夜空を北へと駆け抜けていった。
100 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:13:40.94 ID:zMK6t42Zo


その夜は新月に程近い欠けた月がぼんやりと浮かぶ静かな夜だった。

一同も酒などを囲んではいるが、心から笑っている者はいなかった。

その酒を口に含み思いを馳せる。それは故郷の事、家族の事。

そして先立った仲間達の事。含んだ酒は弔い酒。

好戦者などごく僅か。誰もがこの先に訪れる平和な未来の為に血を流す。

そして共に戦う仲間がいるからこそ、逃げずに立ち向かっている。

そして命を落とす者に胸を痛めつつも、明日は我が身と心が締め付けられる。

南西砦に居る者らにとっては忘れられない数日となったであろう。

この夜は特別なものとなったであろう。この戦いは特別なものとなったであろう。

そして、正しかったのかが分かるのは、まだ先の事だろう。

日はまた昇る。南西の火山にも再び新しい朝を迎える。

前日とは違った、一時の平穏な朝。彼らはようやく笑顔を見せた。

そして、ピリオドを打った。次の戦いの為に……。

魔王討伐軍は、南西砦を後にする。
101 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:14:08.30 ID:zMK6t42Zo


西国兵「騎馬っ、転回!」

大軍師「援軍、まことに感謝いたします」

神官「何を仰いますか」

王子「そうそう。西国と本国は一心同体ですからね!」

皇太子「ありがたい」

神官「それでは西国軍は帰還致します」

王子「それじゃ、またね!」

戦士「おう!」

魔道士「元気でっ!」

王子「……出発!」

ザザッ…パッカパッカパッカ…

隊長「それでは、お気を付けて」

天才「お前らこそな。戦後処理、頼んだぞ」

女隊員「お任せ下さいッス!」
102 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:14:36.12 ID:zMK6t42Zo
大軍師「救援物資と衛生兵は随時、送りますので」

男隊員「頼むぜ。こっちも目処がついた患者から本国へ返すからよ」

隊長「格闘家、お前は本国へ戻り次第、病院への手配を」

格闘家「はい」

ザッザッザ

南方魔道長「南方魔道隊、機関します」

天才「おう、ご苦労だったな」

召喚士「剣士さん達も戻るんですか?」

剣士「うん。一旦、準備を整えなおさないとね」

弓使い「そうね。出来れば家にも一度、帰りたいところだわね」

幼女「オーク達も一緒に行くの?」

オーク「ほ、法師さまぁ」

法師「構いませんよ。向かう道中は同じ。同行致しましょう」

オーク「だって!」

幼女「やったぁ!」
103 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 19:15:07.19 ID:zMK6t42Zo
ハヌマーン「我らは一足先にスグリーヴァ様の下へと向かうか」

マーマン「あぁ、そうしようぜ」

スッ

マーマン「あ……」

マーメイド「……っ」

マーマン(マーメイド……)

ハヌマーン「どうした?」

マーマン「……いや、何でもねぇ」

召喚士「……?」

マーマン「そんじゃ行くか」

ハヌマーン「では、またな」

盗賊「……ああ」

ザッザッザ…

召喚士「……っ」

タッタッタッタッタ
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/21(火) 19:16:01.49 ID:zMK6t42Zo
まだ無駄な話を…全然終わらない…ごめんなさい
ひとまずここまでにて!ご支援ありがとうです!では!ノシ
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/06/21(火) 19:17:10.75 ID:LDNvlTRqo
>>1

全然終わらせなくていいんじゃよ?
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/21(火) 19:17:46.62 ID:HTbIzEFJo

エリートの台詞で哀戦士思い出したわ
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/21(火) 19:51:55.84 ID:9X7FJJ4lo
インドラが介入したのっていつだっけ?
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/21(火) 19:54:22.64 ID:GK16ta7O0
あの雷の矢はインドラの魔法だったのか……誰が撃ったのかすげえ考えちまったwww
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/21(火) 20:17:18.54 ID:6aqYQMJAO
>>1

I pray, pray to bring near the にゅーでぇぇぇぇぇぇぇえええいっ!!!!!!!!!
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/21(火) 20:23:06.40 ID:n+CuehEAO
うるさい
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/21(火) 20:36:47.56 ID:6aqYQMJAO
ごめん…
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 20:37:00.42 ID:1tk8VGMVo
>>107

>>34で介入してる
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/21(火) 20:46:32.35 ID:pQMFsQZ6o
>>111
おまえかわいいな
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 21:13:50.08 ID:DWrEG7mso
一番魔物の力が弱まる新月に仕掛けたから
”新月に程近い欠けた月”なんだな
さりげない描写がにくいぜ
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/21(火) 21:46:38.02 ID:9X7FJJ4lo
>>112
サンクス
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/21(火) 23:45:12.72 ID:4tTFmyLDO
>>1乙!
やっと一段落って感じだな
俺は>>1の書く日常パートやサイドストーリー大好きだぜー
登場人物が多いのにそれぞれキャラが立って魅力的なのは、そのあたりの話をうまいこと差し込んでるからだろうしね。
117 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 23:55:01.44 ID:RNPLUco2o
マーマン「なぁなぁ、途中で泉に寄ってってもいいかぁ?」

ハヌマーン「構わんぞ。好きにするが良い」

マーマン「助かるぜ! もうさ、皮膚も脳もカラッカラ……」

タッタッタ

召喚士「あのっ、マーマンさん!」

マーマン「あん? おう、どした?」

召喚士「あの、1つお聞きしたい事があるんですが……」

マーマン「聞きたい事?」

召喚士「サモナーさんの召喚獣、マーメイド……」

マーマン「!?」

召喚士「マーメイドさんの事、ご存知なんですか?」

マーマン「……」

召喚士「……」

マーマン「いやぁ、どうかな? あんな召喚獣腐るほどいるしなぁ」

召喚士「……そうですか」
118 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 23:55:57.33 ID:RNPLUco2o
マーマン「ああ。何かあったんなら悪いな。力になれなくてよ」

召喚士「い、いえ……っ」

マーマン「そんじゃな。お互い頑張ろうぜ」

召喚士「……はい」

ザッ…テクテクテク

ハヌマーン「……良いのか?」

マーマン「ああ、行こうぜ」

召喚士「……」

テクテクテク…ピタッ

マーマン「……」

召喚士「……?」

マーマン「なぁ召喚士」

召喚士「はい」

マーマン「もしだぞ、もし俺がマーメイドってやらと知り合いだったら……」

召喚士「……はい」
119 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 23:56:51.59 ID:RNPLUco2o
マーマン「それにはどんな意味があるんだ?」

召喚士「……」

マーマン「お前自身は、何か分かってんのか?」

召喚士「マーマンさんとマーメイドさんって……似てますよね」

マーマン「……ふぅん」

召喚士「見た目や能力までもそっくりなのに……」

マーマン「何だよ」

召喚士「片や魔物であり、片や召喚獣」

マーマン「あぁ、そうだな」

召喚士「もしお2人が知り合いであるならば、これは大変な事です」

マーマン「大変、ねぇ」

召喚士「俺は、とんでもない勘違いをしていたのかもしれない……っ」

マーマン「なぁ召喚士さんよ」

召喚士「……はい」

マーマン「生命ってのはさ、何なんだと思う?」
120 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 23:57:18.80 ID:RNPLUco2o
召喚士「生命……ですか?」

マーマン「魔物にも召喚獣にも人間にも、動物にも植物にも平等に存在する」

召喚士「ええ」

マーマン「種族は違えど、それは共通する『生きる』って事だ」

ハヌマーン「……」

マーマン「生命の始まりと終わり。生きる事と死ぬ事。これって平等だよなぁ」

召喚士「……」

マーマン「もしその、生命の真理ってやつに行き着いた時……お前は……」

召喚士「……?」

マーマン「あーいやいや、何でもねぇ。まぁ頑張って生きてこうって話さ!」

召喚士「……」

マーマン「そんじゃあまたなっ! クハハッ!」

ザッザッザッザッザ…

召喚士「生命の真理……生きる、か」

立ち去るマーマンとハヌマーンを召喚士はただ静かに見送った。
121 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 23:57:54.36 ID:RNPLUco2o


青年兵「1番艦は真っ直ぐ本国、2番艦はターミナルへ直行後に本国へ」

大軍師「3番艦は三日月島経由で北の港へ向かい、その後に本国へ」

北方魔道兵「俺らは3番艦か。じゃあ元気でな!」

南方魔道兵「おうよ! 北も頑張ってな!」

ザッザッザ

青年兵「アマゾネスさん……」

アマゾネス「……」

青年兵「行かれますか? 残りますか……?」

アマゾネス「我らは……」

タッタッタ…ガバッ

おさげ「当然行きますよね〜っ、長!」

ポニテ「そうそうっ! 最初からそのつもりだったんだしぃ〜」

女兵「こら、じゃれるな」

色黒「長を取られて嫉妬してる〜」
122 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 23:58:30.89 ID:RNPLUco2o
女兵「いい加減にしろ!」

青年兵「宜しいですね?」

アマゾネス「……ああ」

皇太子「面倒は受け持つぞ。遠慮するな」

青年兵「陛下……っ!」

ポニテ「陛下って……あれが本国の王様ぁ!?」

ツインテ「ふにゃああぁぁ……凛々しい人だにゃ〜」

青年兵「それでは、陛下とともに番艦へお乗り下さい」

アマゾネス「ありがとう。世話になるぞ」

テクテクテクテク

戦士「さーて、俺たちも1番艦に……」

魔道士「あれ? バーテンさん?」

バーテン「ああ、2番艦はターミナル行きだろ? 途中で大陸港の町を通るからな」

盗賊「……そうか」

バーテン「ここでお別れだ。またな」
123 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 23:59:12.88 ID:RNPLUco2o
戦士「おう、バーテンさんも元気でな」

魔道士「またすぐに、遊びに行きますからっ!」

バーテン「楽しみに待ってるよ」

盗賊「……」

バーテン「そん時は、俺だけじゃなく……」

戦士「……?」

ザッザッザ

東方参謀「2番艦、間もなく出るぞ。乗るが良い」

バーテン「おっと、そんじゃまたな」

テクテクテクテク

魔道士「何でしょう……」

戦士「さぁ?」

盗賊「……おっ、戻ってきた」

タッタッタ

召喚士「すみません、お待たせしました!」
124 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/21(火) 23:59:49.19 ID:RNPLUco2o
ボーッ…ボーッ

名代「ようやく終わりましたな」

召喚士「ええ」

サモナー「でも、まだ始まったばかりだね」

戦士「ああ」

魔道士「……頑張りましょう! きっと、大丈夫ですよね!」

盗賊「……ああ」

ボーッ

青年兵「各員、敬礼ーっ!!」

南西砦を離れる数隻の船。甲板には立てる限りの人々が並び、

声を合図に、全員が陸地へ向けて黙祷を始めた。

空は憎たらしい程、青々とした晴れ空であった。

火山や至る箇所から立ち上る噴煙が、何かの合図のように空へ吸い込まれていった。

そして、魔王アンラ・マンユを彼らは倒した。それは紛れもなく事実であり、

後の世まで歴史の快挙として記録される事になる。
125 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/22(水) 00:01:07.29 ID:e8az9c/wo


遠く南の海底で、彼はその慟哭を胸中でぐっと堪えていた。

サルワ「主が……主が討たれた……だとぉ!?」

ゴボォ

サルワ「そんな事があって……たまるものかぁ!!」

ゴボゴボゴボォ!!

サルワ「ガアアァァァァ−ッ!!」

ザッバアアァァァァ!!

サルワ「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ」

グワッ

サルワ「こうなったら……フハハッ! 覚悟していろよ……人間共オオォォ!」

ただ1人取り残された眷属サルワ。彼は不敵な笑みを残し、

南方へと姿を消していった。アンラ・マンユの志と共に……。

サルワが再び強敵として立ちはだかるのは、近い将来の話である。



 〜第四十八部、完〜
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 00:12:16.89 ID:4rs16eGIO
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/22(水) 00:12:56.28 ID:e8az9c/wo
よーしひとまず終わりました!長かった…ごめんなさい!
今日も沢山のご支援本当に感謝!ありがとーっ!

明日はちょっと投下少ないかもです。それではお休みなさい!ノシ

>>105
逆算したら40スレじゃ収まらないかもしれません…

>>106>>109
ちょっと狙ってみました。BGMにどうぞ!

>>107-108>>112
その通りです!

>>114>>116
あーもうこういう感想頂けるなんて嬉しい限りです!
細かいところまで気付いて頂けてこちらこそ感謝です!
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/22(水) 00:49:16.17 ID:vu7hsQbAO
>>1おつ

サラッっ書いてる地の文が好きだ
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 01:01:56.61 ID:XfOzTcfDO
>>1

やっと魔王一体か。
何部までいくかはわからんが終わりが近いと思うとせつない。

次は魔王そっちのけで戦士と盗賊のイチャイチャの話ですね
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/22(水) 01:05:32.52 ID:BUFb9Y6AO
そういえばマジシャンは?
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 01:17:29.69 ID:pjIGEJYOo
>>1

サルワェ...
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/22(水) 05:27:15.17 ID:DATY3PNk0
1乙
インドラが味方につくか敵になるかで随分違うな
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 06:39:14.25 ID:3pYvtZiIO
エリート『己の生きた証と、生きる者達の未来と希望を残す為に戦ったのです!』

かっけえ
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/22(水) 08:12:30.40 ID:crI5j2HAO
>>1

哀戦士の答え、エリートが見つけっちゃったね
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/22(水) 20:01:10.41 ID:7X2I1r2DO
>>1乙!
そういや人と魔物と召喚獣の違いとか
俺達のイケメンユニコーンさんの話とかあったね。
このあたりの話も楽しみだぜ−
136 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:31:10.12 ID:Gv1er5xqo
青年兵「……」

テクテクテク

召喚士「……青年兵くん」

青年兵「召喚士さん」

2人は飾られた遺影を、しばし無言でぼんやりと見つめていた。

召喚士「いい……笑顔だね」

青年兵「ええ……。本当に」

瞑る目には涙が滲む。だが、零れる事はない。

召喚士と青年兵はぐっと堪え、すぐにまた、そして懸命に笑顔を作る。

青年兵「……行きましょうか」

召喚士「うん」

さようなら。その言葉を胸中で呟き、2人は講堂を後にする。

写真の中の青龍先生は屈託のない笑顔で2人を見つめていた。



そして……『伝説』はその名の通り、まさしく『伝説』となった。
137 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:32:24.90 ID:Gv1er5xqo
召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第四十九部〜
138 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:33:17.66 ID:Gv1er5xqo
アンラ・マンユとの戦いを終えた討伐隊は、各方面へと帰還した。

召喚士らを乗せた1番艦も、本国へと入港していたのであった。

〜本国〜

戦士「生きて帰ってきたな」

盗賊「うん」

玄武娘「くあぁ……疲れたですのぉー」

朱雀嬢「我慢なさいな。もうすぐ休めますわよ」

白虎嬢「そうそう〜」

召喚士「あれ? そういや戦士の親父さんは……?」

戦士「なんか機能の夜に出発したらしいぞ」

魔道士「どこにですか?」

戦士「さぁ、誰も聞いてないってよ」

召喚士「そっか……」

戦士「全く、冷てぇもんだよな」

召喚士「心配かけたくなかったんじゃない?」
139 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:33:52.93 ID:Gv1er5xqo
戦士「そんな年かっつーの……お互いよ」

盗賊「……さて、どうする?」

魔道士「このあとすぐに、凱旋パレードがあるみたいですよ」

戦士「あー。だからみんな待機してんのか」

召喚士「参加する?」

戦士「めんどくせーなぁ」

盗賊「……ああ」

召喚士「だよね……」

戦士「国軍付ったってどうせワーカーだし、参加しなくてもいいだろ」

召喚士「そうだね」

テクテクテクテク

天才「ほっほーう」

召喚士「天才さん!?」

天才「魔王を討伐した凱旋パレードをバックレるとは……いい度胸じゃねぇか」

召喚士「い、いや……その……っ」
140 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:35:38.92 ID:Gv1er5xqo
天才「ま、いいんじゃねぇの」

魔道士「い、いいんですか?」

天才「バックレる気マンマンだったじゃねぇか」

魔道士「そ、それはそうですけどぉ……」

天才「冗談だよ。いいぜ、好きにしな」

盗賊「……」

天才「その代わり、パレード終了後には本部で会議がある」

戦士「参加しろって事だな」

天才「……ついでにそこの奴らも連れてってやれ」

召喚士「へ……っ?」

ビクゥッ!!

白虎嬢「にゃ〜ん」

朱雀嬢「誤魔化せるわけないでしょっ!」

玄武娘「おぉ、本物の猫みたいでしたのー!」

召喚士「は、ははは……っ」
141 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:36:44.14 ID:Gv1er5xqo


天才「そんんじゃ、また後でなー」

召喚士「天才さんはどちらへ?」

天才「1人で酒でも飲みながら仮眠でもしてるわ」

テクテクテクテク

戦士「そんなら一緒にくればいいのに」

ジュニア「1人になりたんだろ」

魔道士「ジュニアさんっ!」

ジュニア「あの戦いの後だからな。そういう気分の時だってあるさ」

戦士「ふぅん、ああ見えて意外な一面もあるんだな」

魔道士「そりゃそうですよぉ」

戦士「さーて、そんじゃ俺らも行くか」

召喚士「うん」

ジュニア「……」

召喚士「……えっと……ジュニアさんも……行きます?」
142 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:37:32.15 ID:Gv1er5xqo
〜酒場〜

ジュニア「ぷっはーっ!! 生き返るわぁ〜。命の水とはよく言ったものだな!」

戦士「きっと寂しかったんだろうな」

召喚士「戦士、聞こえてるって!」

ジュニア「……」

戦士「だってよ、普通付いてこなくねーか?」

召喚士「ちょっと戦士っ!!」

ジュニア「…………」

戦士「友達とかいねーんじゃないか?」

召喚士「……」

ジュニア「……それより女子共はどこに行ったんだ?」

召喚士「えっと……買い物に」

ジュニア「あっそ……」

戦士「……ヤロー3人で昼っから酒だよ」

召喚士「……」
143 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:38:00.18 ID:Gv1er5xqo
〜大通り〜

魔道士「ちょっとこれっ、カワイイ〜!」

玄武娘「ほんとですのーっ!」

朱雀嬢「何でもいいですわよ」

盗賊「……全くだ」

白虎嬢「でもぉ、やっぱり女の子なら可愛い物も身に付けないと〜」

朱雀嬢「お金の無駄ですわ」

盗賊「……動き辛い」

朱雀嬢「あれ? あの方は確か……」

白虎嬢「確か、天才さん……でしたっけ?」

盗賊「何をしているのだろう」

朱雀嬢「どこかへ行くみたいですわね」

盗賊「……」

玄武娘「あっ、これ見て下さいですのーっ!」

魔道士「うわぁ、素敵〜っ」
144 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:38:45.28 ID:Gv1er5xqo
ザッザッザ

天才「……ここか」

コンコン

天才「……」

――「はい」

天才の訪れた一軒の家。ドアの置くより1人の女性が顔を出す。

天才「南西砦長の配偶者……かな?」

妻「ええ、そうです……」

天才「国軍総司令官、天才と言う」

妻「!? こ、これは……わざわざありがとうございます」

天才「今日は……いや、何で来たかは分かっているか」

妻「……どうぞ。お入り下さいまし」

天才「ああ、失礼す――」

息子「どうぞ」

天才「……ああ」
145 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:39:25.04 ID:Gv1er5xqo


妻「どうぞ」

カチャッ

天才「すまんな」

息子「それで、父は?」

妻「……っ」

天才「……」

ゴソッ…コトッ

天才「南西砦長の遺骨だ。それと……」

ゴソッ

天才「遺品。他にも持ち帰られる限りは全て回収した」

妻「ありがとう……ございます」

天才「……」

息子「……」

妻「……っ」
146 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:39:59.20 ID:Gv1er5xqo
天才「……それじゃ、失礼する」

妻「今日は、ありがとう御座いました……」

息子「遺骨、しまってきます」

スクッ…ゴトッ

息子「……」

小さな箱は、見かけによらず、ずっしりとした重さだった。

その重さが箱を通して、息子の手に重くのしかかる。

それは紛れもなくつい先日まで生きていた人間だったもの。

息子はその重みを感じて、我慢し続けていた涙が一気に溢れ出した。

息子「……ぐ……うぅ……っ」

妻「……っ」

それでも気丈に上を向いて、背中越しに一礼すると、リビングを立ち去った。

天才「……強いな。まだ若かろう」

妻「今年で16になります」

天才「……そうか」
147 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:41:05.57 ID:Gv1er5xqo
妻「主人は、本国からのお話を伺ってから、既に覚悟を決めておりました」

天才「……」

妻「私達2人に対しても、生前に自分の口から……遺言を……」

天才「……そうか」

妻「ですから、私達も既に覚悟を決め、生きていく決心は出来ております

天才「生涯の補償は国軍が担う。安心してくれ」

妻「……」

天才「安心ってのも不謹慎な言い方だな。すまん」

妻「……いえ」

天才「何か困った事があったら、すぐに連絡してくれ」

スクツ

天才「……それじゃ失礼する」

妻「……あの」

天才「……?」

妻「主人は……主人は、立派に務めましたか?」
148 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:41:54.54 ID:Gv1er5xqo
天才「……ああ。見事だった」

妻「――っ!!」

天才「奴がいなければ負けていた。お世辞でも何でもねぇ」

妻「そう……ですか……っ」

天才「……では」

ザッザッザ

天才「!?」

息子「……本日は……ありがとうございました」

天才「……これから、頑張ってな」

息子「ありがとうございます」

天才「おう。えーと、今16だっけか?」

息子「はい」

天才「親父の代わりに、お袋さんの面倒をしっかりな」

息子「……」

天才「……ん、どした?」
149 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 00:42:50.56 ID:Gv1er5xqo
息子「僕は、決めている事があるんです」

天才「……?」

息子「16になったら、魔道学校へ入学しようと思っています」

天才「!?」

息子「そして卒業したら、そのまま国軍へ入隊します」

天才「……っ」

息子「そして、ゆくゆくは拠点を守る兵長になりたいと思っています」

天才「……そうか」

息子「その時は、共に戦わせて下さい」

天才「……ああ、待ってるぜ」

ザッザッザ

天才「見てるか南西砦長。お前の魂は……しっかりと引き継がれたぜ」

晴れる事のなかった心の雲は、青空のように澄みきった。

天才「やっぱり、これで良かったんだよな……お師匠」

青空を見上げる天才の耳に、凱旋パレードの賑やかな声が優しく届いた。
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 01:54:50.24 ID:LQmXIWFDO
イチオツ!

インドラと聞いてインドラ〜橋〜と浮かんできた俺は末期
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 04:14:22.56 ID:ZQSNBDTDO
>>1
青龍先生ェ…
次の魔王は誰なんだかwktk
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/23(木) 08:27:51.85 ID:0Gvr8fqAO
>>1

もうあれだな、朱雀のコカちゃん使いを代々国軍付きにして、世代毎の実力ある人材を石化保存して
何万人も集めてから一斉に石化解除で魔王討伐開始したらもっと被害抑えられそう

石化中歳取らんのかはわからないけど

そして青龍先生…また男前が亡くなるのか
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/23(木) 09:27:47.53 ID:nC+zb4XDO
とうとう青年兵がバハムートを受け継ぐのか

胸熱
154 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 15:08:05.76 ID:yMPemDCto


近衛兵「前進ーっ!!」

ザザッ…パッカパッカパッカ

本国の港から大通りへ抜けると、そこには既に大勢の人々が、

紙吹雪や楽器、手拍子に歓声と様々な手段で一同を出迎える準備をしていた。

男「きたぞーっ!!」

老人「本国万歳ーっ!! 陛下ぁ!!」

女性「……あっ!! ほらっ、お父さんよ!!」

娘「お父さぁん! おかえりなさーい!」

魔道兵「……っ!!」

家族の無事を確認するや否や、中央の通りを離れ脇道で抱き合い涙する。

そんな兵らの姿を見て、規律こそ正しくないが人間味溢れてて良い、

などと皇太子は思いつつ、大衆に笑顔で手を振る。

涙を浮かべる者、笑みを浮かべる者、痛みに顔を歪める者。

表情は様々であったが、全員が胸を張って、大勢の出迎えに喜びを分かち合った。
155 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 15:09:10.98 ID:yMPemDCto
ワーッワーッワーッ

記者「……くそっ、凄い人だかりだな」

書家「……」

記者「おっ、陛下だ! 陛下〜っ、一言、一言お願いしますー!」

書家「こんな位置からじゃ無理だっつの」

記者「次は総大将を務めた青年兵か! あのー今回の総評を――」

書家「だーから無理だって」

記者「くそーっ。あれ、そういえば朱雀先生方は……?」

書家「そういやそうだな。参加しててもおかしくないんだがなぁ」

記者「よーし……こうなったら他紙とは違った切り口を狙うか」

書家「……」

記者「さぁ〜。ワーカーのみんなはもうじきかぁ〜?」

書家「俺は飽きたからもう帰るわ」

記者「先輩は相変わらず飽きっぽいですねぇ……」

書家「そんじゃ頑張ってなぁ〜。新編集長サン」
156 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 15:09:50.10 ID:yMPemDCto
テクテクテクテク

書家「……バーカ。だからおめーはいつまで経っても甘チャンなんだよ」

沿道の大衆に紛れスクープを狙う記者を嘲笑うかのように、

書家は1人その場を後にし、小さな通りの奥へと姿を消す。

テクテクテク

書家「ここ最近はでかい戦いもなかったし、左翼絡みでパレードもなかったが……」

テクテクテク

書家「通例ならば、本国軍のあとにワーカー。最後に国軍のはずだ」

テクテクテク

書家「ワーカーがいねーってのは自主的にバックレたって事」

テクテクテク…ザッ

書家「……だったら、今頃は大衆酒場で一杯やってる頃かねぇ」

カチャッ…キイィ

書家「……ビンゴ」

酒場に入る書家は、奥の席で団欒している召喚士らを即座に見つけ出した。
157 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 15:10:30.35 ID:yMPemDCto
テクテクテク…ザッ

書家「いよぉ、これはこれは朱雀先生!」

召喚士「あっ、書家さん!?」

戦士「何してんだ?」

書家「こっちの台詞だよ。アンラ・マンユ討伐にゃ参加しなかったのか?」

召喚士「いや、しましたけど……」

戦士「パレードって気分でもなかったし、国軍じゃねーからな」

書家「なーるほどな! んで、どうだったよ?」

戦士「……取材か?」

書家「おいおい、フリーでツテもねぇよーな奴のスクープなんざ、誰も相手してくれねーよ」

ジュニア「……」

書家「んで、どうたったんだよ!?」

召喚士「……ひどいものですよ」

書家「ひどい?」

召喚士「ええ……死傷者も多数で……」
158 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 15:15:09.98 ID:yMPemDCto
書家「……」

召喚士「この次は必ず……」

書家「……あのさ」

召喚士「はい?」

書家「お前、何か勘違いしてる?」

召喚士「え……っ?」

書家「右翼だの左翼だのが終わって、本国は今、一丸となってる」

戦士「……」

書家「誰がそんなネガティブな感想を喜ぶと思ってんだよ」

召喚士「……っ」

書家「これは取材云々の話じゃねぇぞ。一般論としてだ」

ジュニア「ぁ、そりゃそうだわな」

書家「パレードだってそうだろ。ああやって余計な不安を与えないようにやってんだ」

召喚士「そうかもしれませんが……」

書家「あーあ。なんか幻滅だなぁ」
159 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 15:17:57.69 ID:yMPemDCto
戦士「おい、失礼じゃねーか?」

書家「失礼なのはそっちだろ。泣き言で死者を冒涜してんじゃねぇか」

戦士「何だとっ!?」

召喚士「戦士」

戦士「……っ」

書家「大体よ、お前らは選ばれた人間なんだよ」

召喚士「……」

書家「人間の中から魔王と戦うに値する選ばれた人間」

ジュニア「……」

書家「更にはその中から主力として戦える力を持った、選ばれた人間」

戦士「……」

書家「言い方を換えれば、お前らを生かす為に、雑魚は死んだんだ」

召喚士「……そんなのって」

書家「それが事実だ。受け入れろよ」

召喚士「……っ」
160 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/23(木) 15:21:48.50 ID:yMPemDCto
書家「なのにお前ときたら、何が『ひどいものでした』、だ。馬鹿じゃねーの?」

召喚士「……俺は」

書家「もっと胸を張ってよ、こうこうこうして魔王を倒しましたって言えよ」

戦士「現場にも居なかった奴が何を言うんだよ」

書家「現場にいなかったから俺らがいるんだろうが」

戦士「……?」

書家「それを大衆に伝えるってのが俺らの仕事だろうがよ」

戦士「ちっ」

書家「じゃあ何か? 魔王討伐は大変でした。次はダメかもしれません。そう書けってか?」

戦士「そうじゃねぇけどよ」

書家「ったく、無駄足だったわ。じゃあな」

スクッ…テクテクテク

戦士「……何なんだよアイツはよ」

召喚士「でも、書家さんの言う通りなのかもしれない」

ジュニア「ああ。俺らが胸張って、誇りを持ってねーと……死んだ連中が浮かばれんよ」
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/23(木) 17:10:49.17 ID:LNQPIUCAO
パイ乙
まあ召喚士は基本甘い考えだからな
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/23(木) 19:09:49.34 ID:NvRGrMyDO
>>1
実際目の前で人がゴロゴロ死んでしまったらキツイわな
しかもその作戦に中心人物として参加したら間違いなく責任は感じるよね。
天才や皇太子ですら自分の判断は本当に正しかったのか迷ったくらいだもんな。
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/23(木) 19:22:49.98 ID:Kuxa2tYAO
書家さん、圧倒的正論っ!
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/23(木) 20:42:00.13 ID:0Gvr8fqAO
>>1

リア充完全論破!!さすが俺たちの書家さんだぜ!!
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/23(木) 23:45:02.22 ID:TZ/GQK+AO
>>1おつ
166 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 00:06:11.35 ID:cih2/+3qo
.パッカパッカパッカ…

少年「かっこいい〜!」

女性「陛下〜っ!」

大通りを進むパレードは、間もなく王宮前へと辿り着く。

ワアアァァァァ!!

エリート「お帰りなさいませ」

皇太子「ああ、ただいま」

右秘書官「さぁ、壇上から離れよ。これより陛下のお話があるぞ」

右文官「ほれっ、そこの記者共! もっと下がらぬか!」

高官「陛下の馬をこちらに」

パッカパッカパッカ…ドドォ

皇太子「……」

青年兵「全員っ、整列ー!!」

ザザザッ!!

エリート「陛下、お願いします」
167 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 00:06:40.93 ID:cih2/+3qo
カツカツカツカツ

皇太子「……」

壇上に皇太子が立ち、周囲をぐるりと見渡すと、人々は一斉に無言となった。

皇太子「今日ここに立つ、その意味を皆も知っていると思う」

青年兵「……」

皇太子「我らは、ある1つの大きな始まりを迎えた」

白虎長「……」

皇太子「魔王との戦い。つまりそれは……最終決戦である」

大軍師「……」

皇太子「そして試練の刻は、7回訪れる」

アマゾネス「……」

皇太子「そのうちの1回、我らは無事、その門をくぐり抜けた」

記者「……」

皇太子「しかしくぶり抜ける事のなかった、多大な命がある事も事実である」

ドクター「……」
168 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 00:07:29.93 ID:cih2/+3qo
皇太子「それをどう受け止めるか。それは各々の思うところであろう」

格闘家「……」

皇太子「私は悩んだ。しかし、それと同時に教えられた」

右大臣「……」

皇太子「今は辛い。絶えるべき刻であろう」

エリート「……」

皇太子「残り6つの門を開いたその先に、我らの未来が待っていると信じている」

ザッ

皇太子「我らはその為に、命を賭けている。だから皆も信じて……付いて来て欲しい」

パチ…パチパチパチ…

皇太子「次代を担う、子や孫達の為に! 人類の未来の為に!」

パチパチパチッ…ワアアァァァァ!!

皇太子にとって何も変わった事を言ったつもりはない。

ありのままの心中を言葉にしただけである。しかし、それは確かに伝わった。

人々は歓声と拍手で、皇太子の演説を通し、戦う者達の魂は解き放たれた。
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/24(金) 01:29:18.92 ID:SwLKIXEZo
おつ?
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/06/24(金) 03:42:13.10 ID:hUe0542o0
皇太子も王らしさが出てきたな。こうやって登場人物の成長が見られるとなんか嬉しい。

いちょつ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/24(金) 06:18:22.75 ID:GzXNPRqDO
しかし大勢の前で噛んじゃう
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/24(金) 08:02:16.06 ID:vuxSOYFAO
>>1

市民A「くぶり抜ける?」

市民B「え、今なんて…?」

ザワザワ…
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/24(金) 11:18:40.51 ID:qGYsXM7AO
>>1乙んつん
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/24(金) 14:39:00.47 ID:C6tfvtDp0
1otu
175 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:00:10.37 ID:+/1+ofXxo


エリート「お疲れ様でした」

皇太子「夜は祝賀会だったかな」

エリート「はい。しばし休息後、本国ホテルの一画を借りて開催致します」

皇太子「分かった」

カツカツカツ…パタン

右文官「司令はどうしたのだ?」

青年兵「パレードは不参加で祝賀会から合流すると」

未日文官「全く。軍の大将が何をしておるのだ」

青年兵「本人はワーカーだから参加しないと……」

大軍師「それ以前にお疲れなのでしょう。ここのところ出ずっぱりでしたから」

エリート「構わないさ。国民がパレードでみたいのは陛下なのだから」

右文官「それもそうか」

大軍師「さて、我々も移動し、準備に取り掛かりましょう」

青年兵「はい」
176 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:01:16.67 ID:+/1+ofXxo
夕方になると本国の各所では、大勢の人々で賑わいをみせた。

街中はまるで祭りの如く出店やパフォーマーに溢れ、

軍服に身を包んだままの兵らが酒や食事を囲み、大いに盛り上がっている。

国軍本部内もまた、賑わいは同様のものであった。

〜国軍本部、会議室〜

召喚士「失礼しまーす」

青年兵「召喚士さん、お待ちしておりました」

召喚士「遅くなりました」

戦士「盗賊達は来てねーのか?」

大軍師「まだのようですね」

カツカツカツ

天才「おーう、揃ってっかぁ?」

青年兵「お疲れ様です。まだ全員は揃っていないようです」

天才「あーこんだけ居れば問題ねぇ。始めるぞ」

大軍師「それでは、ご着席下さい」
177 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:01:56.29 ID:+/1+ofXxo


天才「えーと……まずはお疲れさんでしたっと」

ジュニア「……」

天才「アンラ・マンユ戦は予想以上の戦果だった」

召喚士「そうなんですか?」

大軍師「シミュレーションではもっと甚大な被害が出ると予想されておりました」

召喚士「……」

天才「しかもだ、眷属もほとんど殲滅出来た。こりゃ期待値以上と言わざるをえんだろ」

戦士「でもよ、サルワだけじゃなくて、アジ・ダハーカとかいうのが残ってんだろ?」

天才「ありゃ魔王の残りカスみてーなモンだ」

ジュニア「はぁ?」

天才「魔力の塊って事だよ。そんなら倒すのは簡単だ」

大軍師「単純な魔力による力押しですね」

天才「五行とかそんなんは必要ねぇ。ひたすら攻撃する、それだけだ……なぁ?」

青年兵「えっ? は、はい」
178 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:02:45.62 ID:+/1+ofXxo
大軍師「それでは本題を」

天才「あーそうそう。そろそろ内通者を始末しようかと思ってな」

青年兵「――!?」

天才「こっからは順序ってモンが大切なんでな。隙を見ながら裏で遂行していく」

大軍師「今回はその為にお集まり頂きました」

天才「本来なら特遊を動かしたいとこだが、1人は役立たず」

格闘家「……」

天才「あとは戦後処理でそれどころじゃねぇ」

大軍師「よって、国軍内部とワーカーの内外部2点からあたりたいと思います」

召喚士「なるほど……」

青年兵「司令」

天才「あん?」

青年兵「その任務、私に仕切らせては頂けませんでしょうか?」

天才「ほぉー。出世欲が出てきたか?」

青年兵「いえっ、そういうわけでは……」
179 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:03:24.60 ID:+/1+ofXxo
天才「冗談だよ。構わん、元からそのつもりだ。存分にやれ」

青年兵「……ありがとうございます」

天才「ただし、1つだけ忠告」

青年兵「……?」

天才「私怨は挟むな。以上だ」

青年兵「……はい」

大軍師「次に魔王討伐の、今後の展望ですが……」

天才「詳細は明日の本会議でいいだろ」

大軍師「はい。それまでに大まかな形だけは作っておこうかと」

ジュニア「確かに気にはなるな」

天才「だから、本会議で決めるっつーの」

大軍師「では、そう致しますか」

天才「内通者の件は他言無用だぞ、分かってんな?」

召喚士「はい」

天才「そんじゃ解散! さーて、祝賀会に向かおうぜ!」
180 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:04:05.32 ID:+/1+ofXxo
〜本国、郊外〜

魔道士「買い物してたらすっかり遅くなっちゃったね」

朱雀嬢「全くですわ、もう……っ」

魔道士「ごめんなさい」

朱雀嬢「い、いえっ! べ、別に構いませんけれど……」

盗賊「……あれ?」

玄武娘「サモナー様!!」

サモナー「やぁ、これから祝賀会なんじゃないの?」

玄武娘「そうですのー! 見て見てっ、このドレス!」

サモナー「可愛いね、よく似合うと思うよ」

玄武娘「ほ、本当ですの!?」

魔道士「サモナーさんは行かないんですか?」

マーメイド「私が居るからって、気を遣って行かないのよ。行けばいいのに……」

サモナー「いやいや、元から出るつもりはないし、ここにいた方が気が楽でいいよ」

朱雀嬢「……っ」
181 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:05:23.07 ID:+/1+ofXxo
盗賊「……なら、いいけど」

魔道士「じ、じゃあ……」

サモナー「うん。遠慮しないで行っておいで」

玄武娘「……サモナー様」

サモナー「ん?」

玄武娘「まだ……いるですの?」

サモナー「ああ。しばらくはみんなと一緒に戦うよ」

玄武娘「……分かったですの」

朱雀嬢「それじゃ、失礼するですわ」

テクテクテク

盗賊「……いいのかな?」

魔道士「……?」

盗賊「サモナーさん。魔力を使えばそれだけ……」

玄武娘「サモナー様の意思ですの。止める事は……出来ないですの……」

朱雀嬢「……そう、ね」
182 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:06:03.26 ID:+/1+ofXxo
〜本国ホテル、大ホール〜

玄武娘「おぉーっ!!」

朱雀嬢「凄いですわね……」

玄武娘「おぉーっ!!」

盗賊「……美味しそう」

玄武娘「おぉーっ!!」

魔道士「綺麗〜っ」

テクテクテク

エリート「ようこそお越し下さいました」

魔道士「エリート様、お招き頂き、光栄でございます」

スッ

玄武娘「あれは何をやってるですの?」

朱雀嬢「ドレスの裾を持ってご挨拶ですわ! 前に教えたでしょっ」

玄武娘「お、おぉ……っ」

盗賊「……こう?」

クイックイッ
183 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:07:18.25 ID:+/1+ofXxo


戦士「何で俺らはこんな格好しなきゃいけねーんだよ」

天才「祝賀会なんだからしょーがねぇだろ。ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇ」

戦士「だってよ、そっちは軍服のままなのに……」

天才「あのな、俺様達はこれが正装なの」

大軍師「そういう事です」

戦士「……せめて蝶ネクタイくらい外させてくんない?」

召喚士「あっ、魔道士さん達ですよ!」

テクテクテク

魔道士「こんばんはーっ!」

召喚士「こんばんは」

青年兵「よく似合ってらっしゃいますよ。お綺麗です」

朱雀嬢「!? そそ、そんな事……ありませんわっ!」

青年兵「あっ、何か飲み物をお持ち致しましょう」

朱雀嬢「は、はいですわ! あっ、いや……自分で取りに行きますですわっ!」
184 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:08:13.48 ID:+/1+ofXxo
ジュニア「おやおやぁ〜?」

盗賊「……?」

ジュニア「全く、いつの間に……」

戦士「何がだよ」

ジュニア「ハッハ! 全く、羨ましいモンだよ」

戦士「だから何が……」

ジュニア「じゃあ玄武娘ちゃん、一緒に――」

支配人「これより当ホテルのシェフによる、フィレステーキの実演ー―」

玄武娘「行くですのー!!」

タタッ

盗賊「わ、私も……」

コソコソ

戦士「ったく、仕方ねーなぁ」

テクテクテク

ジュニア「…………」
185 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:08:48.44 ID:+/1+ofXxo
召喚士「みんないっちゃいましたね」

魔道士「ですね……」

ジュニア「仕方ない。こうなったら開拓だ!」

魔道士「ジュニアさん……どうしたんです?」

召喚士「さ、さぁ……」

テクテクテク

ジュニア「うおっ!?」

白虎長「ふふーん」

ジュニア「これはステキなおっ……ご婦人。ご一緒にどうです?」

白虎長「ほぁ? おーっ、飲め飲めー!」

ジュニア「!?」

白虎長「なぁに〜? 飲めないってのぉ〜?」

カツカツカツ

白虎長「あっ! 陛下〜!」

ジュニア「…………」
186 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:10:12.49 ID:+/1+ofXxo


ドクター「皆様、此度はご苦労様でした」

大軍師「これはこれは院長先生。怪我人の受け入れ許可、誠にありがとうございます」

ドクター「いえ、当たり前の事です」

天才「すまんな、世話をかけて」

ドクター「出来れば私も反対したいのが本音です」

大軍師「お気持ちは重々承知。しかし、無意味な戦いではありませんので」

ドクター「ええ……」

天才「格闘家、どうだ?」

ドクター「彼は凄いです。驚異的な回復力ですよ」

天才「……ん、そんならいい」

ドクター「困った事があれば、遠慮なく仰って下さい」

大軍師「助かります」

ドクター「では、失礼致します。改めて、討伐おめでとうございます」

テクテクテク
187 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:11:42.53 ID:+/1+ofXxo
大軍師「お医者様の本音と言ったところですか」

天才「どーだかねぇ。医者なんて怪我人病人がいなきゃ商売にならんだろ」

大軍師「それはそうですが……」

天才「アイツだって院長の座を受け継いだばっかだ。稼ぎたいところだろうさ」

大軍師「まぁ、養う医者の数も相当ですしね」

天才「それでもああ思ってんだから、頼もしい話じゃねーか。ハーッハッハ!」

大軍師「……おや?」

テクテクテク

編集長「アンラ・マンユ討伐おめでとう。まずは無事で何より」

大軍師「社長も精が出ますね」

編集長「お陰でネタに困らず助かるよ! はっはっは!」

天才「まーな。こっから先は毎日ネタのオンパレードよ」

編集長「平和な世になれば、新聞社は商売上がったりだからな」

天才「今のうちにしっかりと、稼いでおく事だな! ハーッハッハッハ!」

編集長「その為にも、ドンドン魔王を倒してくれ! はっはっは!」
188 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:12:39.00 ID:+/1+ofXxo
テクテクテク

大軍師「平和な世……ですか」

天才「確かに新聞も面白味はなくなんだろうな」

大軍師「そうですね」

天才「せいぜいお偉いサンのスキャンダルくらいか? ハーッハッハ!」

大軍師「ふっふ、毎日そんな記事ではげんなりしてしまいますよ」

天才「ところで、明日の本会議」

大軍師「既に手配は完了しております」

天才「ならいい」

大軍師「明日の昼頃には、幕僚は全て集まる事でしょう」

天才「これが最後の顔合わせかな」

大軍師「おそらく」

天才「今生の挨拶も済ませておくかねぇ……ハーッハッハ」

大軍師「……」

天才の笑い声に乗せて、中央のホールでは優雅な演奏が始まった。
189 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:13:44.78 ID:+/1+ofXxo
〜♪

青年兵「朱雀嬢さん」

朱雀嬢「は、はいっ!?」

青年兵「宜しければ一曲、お願い出来ますか?」

朱雀嬢「よ、喜んで……ですわっ」

スッ…

魔道士「召喚士さん、私達も行きましょうか」

召喚士「へっ!?」

魔道士「ダンスですよっ、えへへ!」

召喚士「……は、はい」

魔道士「盗賊さんっ、戦士さんもほら!」

戦士「俺らはいいっつーの」

魔道士「駄目ですよっ、ほらほら!」

盗賊「ち、ちょっと……っ」

音楽に合わせ、一同がペアになり華麗なステップを踏み始める。
190 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:14:33.86 ID:+/1+ofXxo
〜♪

スッ

エリート「宜しくお願い致します」

魔道士「こちらこそっ♪」

エリート「……魔道士様」

魔道士「様はやめて下さいよぉ……」

エリート「す、すみません……」

魔道士「何です?」

エリート「貴女とは、婚約者の間柄でした」

魔道士「……そう……ですね」

エリート「私の想いは代わる事はありませんでした」

魔道士「……あの……私は」

エリート「分かっております。ずっとお礼を言いたかった」

魔道士「……!?」

エリート「貴女を好きになって本当に良かった。ありがとう」
191 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:15:22.93 ID:+/1+ofXxo
スッ

魔道士「……あ」

皇太子「良いかな?」

魔道士「は、はい……っ」

皇太子「こうして踊るのは初めてだな」

魔道士「ええ」

皇太子「魔道士、君が妹だと聞いた時……私は残念でならなかった」

魔道士「……っ」

皇太子「嫌だという意味ではないぞ。それは勘違いしないで欲しい」

魔道士「は、はい」

皇太子「君を始めて見かけたのは……そう、王宮内であったかな」

魔道士「……はい」

皇太子「まだ幼さの残る表情であったが、妙に魅力的でもあった」

魔道士「……!?」

皇太子「やはり、君の母上に良く似ている。美しくなったな」
192 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:16:10.08 ID:+/1+ofXxo
スッ

魔道士「っ!!」

天才「よっ」

魔道士「こ、こんばんは……っ!」

天才「だりーけどちょっと我慢しろ」

魔道士「天才さん、上手ですね」

天才「ハーッハッハ! 何やっても天才すぎて怖いくらいだな」

魔道士「えへへ!」

天才「……」

魔道士「……あ、あの?」

天才「何でもねぇよ。あーあれだ」

魔道士「へっ?」

天才「この先の戦いも、頑張れよ」

魔道士「はいっ、頑張りますよっ!」

天才「……へっ」
193 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:17:01.65 ID:+/1+ofXxo
スッ

召喚士「お、おかえりなさい」

魔道士「た、ただいま……えへへっ」

召喚士「なんだか、慣れないもので緊張してしまいますね」

魔道士「本当ですよ〜。ドッキドキです」

召喚士「俺も……あっ、ごめんなさい! 掌……汗が」

魔道士「大丈夫です。このまま……」

召喚士「あ……っ」

魔道士「……」

召喚士「…………」

魔道士「召喚士さん」

召喚士「は、はいっ!」

魔道士「明日からも、頑張りましょうね! えへへ!」

召喚士「はいっ、頑張りましょう!!」

〜♪
194 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:18:29.53 ID:+/1+ofXxo


右秘書官「それでは、本日はご足労頂き、ありがとうございました」

右文官「裏手に馬車をご用意致しております。さぁ、どうぞ」

戦士「なんか俺らはこのままホテルに泊まっていいんだってさ」

召喚士「なんだか申し訳ないね。こんな高級な……」

天才「気にすんな。労いだよ」

盗賊「……ありがとう」

大軍師「久々に、ゆっくり休んで下さい」

天才「明日は余裕もって午後からの会議になる。昼に本部へ来てくれりゃいい」

魔道士「分かりました」

天才「んじゃな」

大軍師「それでは、また明日」

召喚士「お、お疲れ様でした!」

戦士「さーて、俺らも部屋に向かうとすっかね」

魔道士「そうしましょう!」
195 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:19:46.12 ID:+/1+ofXxo
テクテクテク

戦士「あん?」

白虎長「うぃ〜。もう……飲めない〜」

ジュニア「くそぉ……何でなんだ……俺は、俺は!」

魔道士「……」

戦士「おーい酔っ払いども、お開きだってよー」

ジュニア「うっせー! ほっといてくれ!」

盗賊「……行こうか」

召喚士「じ、じゃあ……お先に失礼します」

テクテクテク

支配人「あのーお客様……」

白虎長「なぁに〜? あぁもう暑いわねぇ〜!」

ジュニア「何で俺は……女運がないんだよおおぉぉ!」

支配人「……おい、つまみ出せ」

ボーイ「はい」
196 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:20:21.71 ID:+/1+ofXxo
〜マジシャンの別荘〜

占い師「大丈夫?」

マジシャン「ハッハ、ありがとさん」

占い師「……」

マジシャン「お前ももう、寝て構わんぞ」

占い師「まだ大丈夫よ、マジシャンが寝るまでは――」

マジシャン「おっと」

ガシッ

占い師「……」

マジシャン「す、すま……ん……」

占い師「……」

マジシャン「……」

占い師「……あっ、ご……ごめんなさい」

マジシャン「いや、こっちこそすまん」

占い師の右肩から手を離すと、マジシャンはリビングを後にした。
197 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:22:31.84 ID:+/1+ofXxo
テクテクテク…カチャッ

マジシャン「……」

シュボッ

マジシャン「ふーっ」

バルコニーで吸うタバコの煙が暗闇へと消えていく。

マジシャン(傷は回復しつつある。しかし、今の魔力じゃ俺は……)

正面に見える草木の隙間からは、虫の鳴き声が響き渡る。

マジシャン(やっぱり……返して貰うしかねぇ……か)

1度だけ口をつけたタバコはジリジリと音を立てて、灰を落とす。

マジシャン「……アイツを一緒に、最後の忘れ物を」

テクテク

占い師「……っ」

マジシャン「……おう、どうし――」

振り返るマジシャンの唇に、占い師の唇が触れた。

マジシャン「――っ!!」
198 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:26:46.13 ID:+/1+ofXxo
パアアァァァァ!!

マジシャン「……っ」

バッ!!

マジシャン「バカヤロ……っ」

占い師「……ごめんなさい」

マジシャン「直に触れたりしたらお前の精神が……」

ギュッ

占い師「でも私……もう、もう……想いを止められないのよぉ……っ!」

マジシャン「占い師……」

占い師「……お願い、マジシャン」

マジシャン「これ以上触れたら、全部見えちまうんだぞ?」

占い師「……」

マジシャン「俺の……過去も未来も……全て」

占い師「……っ」

マジシャン「……それでも……いいのか? 後悔しないのか?」
199 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:27:53.45 ID:+/1+ofXxo


マジシャン「……」

占い師「……」

マジシャンの咥えた煙草の煙が、照明の周辺をもやもやと漂う。

寄り添う2人は無言のまま、しばし天井を見つめていた。

マジシャン「……何が見えた?」

占い師「……」

マジシャン「俺の事はいいさ。それよりもこの先……」

占い師「……先生」

マジシャン「……?」

占い師「青龍……先生が……」

マジシャン「……そうか」

占い師「おそらく止められない……っ。先生はきっと……」

マジシャン「……」

占い師の言葉に、マジシャンはそれ以上返さなかった。
200 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:29:48.55 ID:+/1+ofXxo
〜本国ホテル、部屋〜

玄武娘「お腹いっぱいですのー!」

朱雀嬢「……」

魔道士「さぁさぁ、それではお風呂に入りましょうか〜」

盗賊「……あれ? 白虎嬢は?」

玄武娘「白虎嬢ちゃんは国軍本部にいるですのー」

朱雀嬢「お偉いさんの娘ですわ。私達とは管理が違うみたい」

盗賊「……大変だな」

魔道士「せっかく一緒だと想ったのに……残念」

朱雀嬢「それじゃ、お先にどうぞ」

魔道士「何言ってるの! みんな一緒ですよっ!」

朱雀嬢「!?」

玄武娘「おーっ、みんなで入るですのー!」

朱雀嬢「やっぱりそうなるんですわね……」

盗賊「なるんです……」
201 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/24(金) 18:30:27.29 ID:+/1+ofXxo
カポーン

魔道士「はぁ〜。最高……」

玄武娘「生き返るですの〜」

朱雀嬢「ゆっくり浸かるのなんて、何日振りかしらね」

盗賊「ああ」

魔道士「みんな、傷だらけだねぇ……えへへ」

朱雀嬢「本当ですわ。でも、仕方ないかしらね」

盗賊「……うん」

魔道士「それにしても……」

バイーン

玄武娘「ほへ?」

朱雀嬢「また大きくなってる……」

玄武娘「食べる子は育つですの!」

盗賊「ちょっと違くないか?」

夜は更けた。
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/24(金) 18:35:12.88 ID:+/1+ofXxo
それではここまでにて!
本日もご支援ありがとうございました!
週末は投下減るかもなので、まとめ読みでもして頂ければ…ひぃ

それでは失礼致します!ノシ

〜オマケ〜

エリート「演説お疲れ様でした」

皇太子「うむ」

エリート「緊張しましたか?」

皇太子「いや。何故だ?」

エリート「いえ、途中――」

皇太子「噛んでないぞ」

エリート「えっ!?」

皇太子「噛んでなどおらん。くぐり抜けた、と申したのだ」

エリート(まだ……何も言ってないのに……)
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/06/24(金) 18:49:14.07 ID:8KwpMXqko
>>1
おまけ、久々に見たような気がするww
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/24(金) 19:13:05.38 ID:qGYsXM7AO
>>1乙んつん 楽しい週末を
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/06/24(金) 19:55:58.41 ID:pB5yE5z90
乙トリス

ふえぇ朱雀嬢ちゃんへの怒りが収まらないよぉ……
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/24(金) 20:18:11.03 ID:vuxSOYFAO
>>1

やはり日常パートとかのほほんとした流れは良いね!
ただまたこれが嵐の前の静けさだから怖いんだけど
魔王討伐開始前の流れも今読み返すと切なすぎてウケる

そして皇太子さま…そのうち良いことあるさ!
207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/24(金) 20:52:12.54 ID:LIY7Mc15o
皇太子たん可愛いお
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/25(土) 02:59:31.93 ID:UBEvWWADO
>>1乙!
ジュニアが良いキャラしてるよなww
戦士達のつかの間の休息って感じだなー
休息が終わったらまた死闘が待っているんだよな

白虎嬢はずっと別行動してるのかな?
そういや白虎嬢の父親って東方副司令だったっけ……
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/06/25(土) 03:41:10.25 ID:XvomgOwHo
>>1
日常パート面白いな
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/25(土) 06:27:37.26 ID:ox8Nz3nr0
1乙
玄武娘は最初つるぺただったのに
どんどん成長してるな
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/25(土) 10:48:06.49 ID:MS6YX6CAO
マジシャン…
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/26(日) 04:11:48.00 ID:f4Je2yeDO
最初から見たけど面白いですよ
無理せず頑張ってください!
213 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/26(日) 23:54:19.74 ID:rgtuBnMpo
チュンツンチュンチュンチュン

盗賊「……」

まだ日の出間もなくの頃、盗賊は1人、宿を抜けて郊外を訪れる。

ザッザッザ

盗賊「……?」

ジュニア「おっ、盗賊ちゃんじゃないか、おはよう!」

盗賊「……おはよう……ございます」

ジュニア「どうしたんだ? こんな朝早く……」

盗賊「……日課の朝稽古だ」

ジュニア「ハッハ、そいつは偉い!」

盗賊「……どうも」

ジュニア「せっかくなら一緒にどうだい?」

盗賊「……?」

ジュニア「朝稽古。いい場所があるんだよ」

盗賊「……は、はぁ」
214 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/26(日) 23:56:00.87 ID:rgtuBnMpo
チュンツンチュンチュンチュン

盗賊「……」

まだ日の出間もなくの頃、盗賊は1人、宿を抜けて郊外を訪れる。

ザッザッザ

盗賊「……?」

ジュニア「おっ、盗賊ちゃんじゃないか、おはよう!」

盗賊「……おはよう……ございます」

ジュニア「どうしたんだ? こんな朝早く……」

盗賊「……日課の朝稽古だ」

ジュニア「ハッハ、そいつは偉い!」

盗賊「……どうも」

ジュニア「せっかくなら一緒にどうだい?」

盗賊「……?」

ジュニア「朝稽古。いい場所があるんだよ」

盗賊「……は、はぁ」
215 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/26(日) 23:58:59.19 ID:rgtuBnMpo
ザッザッザ

盗賊「……おぉ」

ドドオオォォォォ

郊外を東側へと進むと、丘を降った先から水の落ちる音が聞こえる。

ジュニア「そんなに大きな滝じゃないけど、なかなかいいとこだろ?」

盗賊「……うん」

ザッザッザ

盗賊「……よく……来るのか?」

ジュニア「たまーに。本国に長期滞在した時とか、考え事がある時とか」

盗賊「……考え事?」

ジュニア「滝行さ。滝に打たれてるとね、なーんも考えなくていい。ハッハ!」

盗賊「……ああ」

ジュニア「おっ、盗賊ちゃんも滝行経験者か!」

盗賊「……まぁ、一応」

ジュニア「おしおし、それじゃ話は早い」
216 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:01:47.66 ID:u2yoEshio
テクテクテク…ッ

ジュニア「どうだい? 間近で見るとそれなりの……んっ?」

盗賊「……先客か」

ジュニア「ちっ、せっかく2人きりかとおもったのによ」

盗賊「……?」

ドドオオォォォォ

ジュニア「……ジーサン、精が出るね」

ザアアァァァァ

青龍先生「……ひょっひょ」

ジュニア「よく来るのかい?」

青龍先生「まぁの」

盗賊「……!?」

青龍先生「おや? 確かお主は……」

盗賊「……どうも」

ジュニア「盗賊ちゃん、知り合いかい?」
217 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:07:07.24 ID:u2yoEshio
盗賊「……うん。青龍先生だ」

ジュニア「何ぃ!?」

青龍先生「ひょっひょ、もはや名ばかりの耄碌ジジイじゃがのぅ」

ジュニア「アンタが青龍先生……っ」

青龍先生「滝行かの?」

ジュニア「あ、あぁ。ご一緒させて頂くとすっかね」

盗賊「……」

テクテクテク…ザッ

ジュニア「よーし……」

バサッ

青龍先生「ほぉ、褌とはなかなか粋よの」

ジュニア「ハッハ! まずは身だしなみからよ」

ノソッ…テクテクテク

ジュニア「よっと!」

ドザアアァァァァ
218 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:08:46.51 ID:u2yoEshio
ジュニア「……く……むむぅ!」

盗賊「……」

ジュニア「盗賊ちゃんもどうだい?」

盗賊「い、いや……っ、私は……」

ジュニア「せっかくだから一緒にやろうじゃないの!」

盗賊「……うーん」

スクッ…ザッザッザ

盗賊「……」

パサッ…シュルシュルシュル

ジュニア「おぉ……っ!」

盗賊「……お邪魔……します」

ジュニア「あの……何それ?」

盗賊「……水着」

ジュニア「……あ、そう」

青龍先生「煩悩も打ち消した方がいいようじゃのう……ひょっひょ」
219 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:09:26.56 ID:u2yoEshio
ドザアアァァァァ

盗賊「……」

ジュニア「……」

青龍先生「お主らも、アンラ・マンユへ行ってきたのか?」

盗賊「……うん」

青龍先生「そうか。それはご苦労様じゃの」

ジュニア「青龍先生は、もう戦わないのかい?」

青龍先生「儂なんぞ第一線じゃもうや役立たずじゃわい」

盗賊「……そんな事は」

青龍先生「いやいや、己の事は己がよーく分かっておる」

ジュニア「伝説も年には勝てねぇか……」

青龍先生「じゃが、まだやる事はある」

盗賊「……?」

青龍先生「……さて、と」

ジュニア「……」
220 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:10:21.75 ID:u2yoEshio
ザバッ

青龍先生「昼の本会議、お主らも出るんじゃろ?」

ジュニア「え、あ……あぁ」

青龍先生「それじゃ、また後での」

ザッ…テクテクテク

盗賊「……」

ジュニア「あれが青龍先生か」

盗賊「……うん」

ジュニア「伝説と呼ばれ、魔王パズズを封印したっていう……」

盗賊「……共に戦った事もあるが……凄い人だ」

ジュニア「まだやる事……何の事だ?」

盗賊「……さぁ」

ジュニア「……おっと、いかんいかん。滝行に専念だ」

盗賊「……うん」

2人はしばしの間、流れ落ちる滝に身を預け、精神を集中させた。
221 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:22:51.07 ID:u2yoEshio


時は間もなく正午。ジュニアと盗賊はホテルのロビーへと顔を出す。

テクテクテク

魔道士「あっ、盗賊さん!」

盗賊「ごめん、遅くなった」

魔道士「いえいえ。お風呂行ってたんですか?」

盗賊「……うん。滝にあたってたから」

朱雀嬢「!?」

テクテクテク

戦士「全員揃ってっかぁ?」

魔道士「こちらは揃ってますよ〜」

召喚士「ジュニアさんは?」

盗賊「……直接行くってさ」

戦士「そっか。そんじゃこのまま行くとすっか」

召喚士「うん」
222 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:23:26.84 ID:u2yoEshio
〜国軍本部〜

ザワザワザワ

天才「どうだ?」

大軍師「北が遅れているようですが、比較的順調です」

天才「そうかい」

カツカツカツ

南方司令「南方幕僚、全員……招集致しました」

天才「おーう。ご苦労ご苦労」

大軍師「あおれでは先にご着席下さいませ」

南方副司令「ほれ、行くぞ」

西方参謀「へいへい。すぐに行きますよ〜っと……ヒック」

カツカツカツ

南方弓長「……青龍先生?」

青龍先生「ひょっひょ、南方と西方の連中か。元気そうじゃの」

南方参謀「そういうジーサンもまだまだ健在ねぇ」
223 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:24:29.96 ID:u2yoEshio
カツカツカツ…コツ

東方司令「……」

天才「おう、早かったじゃねぇか」

東方司令「ご命令でしたので」

東方副司令「ご無沙汰しております」

大軍師「先日、賊が入ったという話でしたが、その後は大丈夫ですか?」

東方副司令「ええ、ご迷惑をお掛け致しました」

大軍師「東方先生は?」

東方副司令「王宮へ立ち寄ってから参られるそうです」

天才「んじゃ、お前らは席に座っててくれ」

テクテクテク

召喚士「おぉ」

戦士「すっげー人数」

青年兵「ご苦労様です」

魔道士「こんにちは」
224 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 00:25:31.96 ID:u2yoEshio
天才「来たか。んじゃ、お前らはあっち」

盗賊「……お」

ジュニア「さっきはどーも。ハッハ!」

玄武娘「何かあったんですの?」

盗賊「……いや、滝にあたった仲……かな」

朱雀嬢「……?」

召喚士「他のワーカーはいらっしゃってないんですね」

天才「約1名が迷子で来れそうもない。あとは戦場だ」

召喚士「戦場……」

魔道士「魔法剣士さんや眼鏡さん、頑張ってるんですね」

戦士「みてーだな」

カツカツカツ

皇太子「遅くなった」

エリート「私達で最後ですか?」

大軍師「いえ、まだ北方軍が来ておりません。どうぞご着席を」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 01:11:50.54 ID:oeh7qOWDO
>>1

まさかクリなんちゃらから始まってここまで続くとは思ってなかった。

毎日楽しく読ませてもらってる。
本当にありがとう。
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/27(月) 04:50:24.54 ID:BUZ0rWQ50
いちおつ
227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/27(月) 08:19:35.94 ID:8i95MuJAO
>>1

ジュニアの目的は何だったんだ?
結局単純に裸体が見たいから誘ったのか
ガチ修行だったのか
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) :2011/06/27(月) 08:24:25.15 ID:4UXuwI2X0
女子との交際のきっかけにするために声をかけた女の子が、両思いに気付いたばかりの女の子だとは


つくづく女運がないな
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 08:26:40.63 ID:QnG2XinDO
>>1
ペニスも一皮剥けて大きく成長したよな。
初めの頃なんて召喚獣2体での同時攻撃なんてしようものなら
すぐに全魔翌力を放出してしまって、ぐったりしてたもんなww
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 09:55:52.41 ID:DZD8u2pDO
女賢者ww
またかwwww
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 11:24:06.47 ID:dLxDA2tDO
>>1
他のキャラが天才の正体知った時の反応が知りたい
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/27(月) 17:57:57.75 ID:8i95MuJAO
司令が天才と言うことは、マスクドジーニアスの正体は再び迷宮入りか…

いや、むしろ逆に天才がマスクドジーニアスであり、司令であるなら、更にもう一つや二つくらいの姿があってもいいよね
233 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 18:05:26.92 ID:k2rwaawxo
テクテクテク

召喚士「あっ、青龍先生」

青龍先生「おぉ、朱雀の。元気そうで何よりじゃわい」

玄武娘「おぉーっ、青龍先生ですの!」

朱雀嬢「……」

青龍先生「こりゃあ何とまぁ……」

召喚士「え……っ?」

青龍先生「これ、白虎先生」

白虎長「……?」

カツカツカツ

青龍先生「まさか、今再び先生が揃うとはのぅ……」

召喚士「!?」

白虎長「本当だっ、言われてみれば……」

玄武娘「おぉーっ!」

青龍先生「とは言っても、他は次世代の先生方じゃがのぅ……ひょっひょ!」
234 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 18:05:55.85 ID:k2rwaawxo
ザワザワザワ

皇太子「おぉ」

エリート「先生方が……揃った」

大軍師「これは素晴らしい」

天才「いい宣伝材料になんじゃねぇか。ハーッハッハ!」

カツカツカツ…ザッザ

騎士団長「おっ、来たようだぞ」

左翼長「遅くなった」

天才「構わん。座ってくれ」

青年兵「青龍士官、君はこちらに」

青龍士官「はっ」

騎士団長「北はどうです?」

騎士長「特に大きな戦闘もなく、順調っちゃ順調かな」

天才「そんじゃあ始めっぞ」

大軍師「全員、ご着席下さい」
235 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 18:07:02.37 ID:k2rwaawxo


大軍師「資料の行き渡ってない方はいらっしゃいますか?」

戦士「五ヵ年計画、最終本会議……か」

召喚士「……」

大軍師「大丈夫のようですね。それでは始めます」

天才「知っての通り、魔王アンラ・マンユを倒した」

ザワザワザワ…

天才「現地で戦った奴ら」

召喚士「……」

天才「援軍に駆けつけてくれた奴ら」

皇太子「……」

天才「遠方で牽制し続けてくれた奴ら」

左翼長「……」

天才「今回の勝利は、誰が勇者でもない。全員の功績だ」

ザワザワザワザワザワ
236 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 18:08:01.62 ID:k2rwaawxo
天才「お陰で、ある種もっとも厄介な魔王を早々に始末できたわけだ」

魔道士「厄介……ですか?」

大軍師「非常に好戦的ですからね」

魔道士「あ、すみません……っ」

大軍師「いえいえ。他の方も逐一、ご質問など発言して下さい」

天才「アンラ・マンユは他の魔王を疎んじていた感がある」

西方参謀「それは間違いないと思うぞ、ヒック」

大軍師「サタンとパズズが動けない今、アンラ・マンユは油断していたでしょうね」

天才「おそらく、俺らがその2体のどちらかを狙うと踏んでいたはずだ」

左翼長「だろうな。北もそう思ってた節が若干ある」

盗賊「……」

天才「そして奴は、目の上のタンコブであるサタンを消させようとしていた」

ジュニア「していた?」

大軍師「我ら人間に、サタンを倒させる」

将軍「そして、自らが成り代わろうと?」
237 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 18:08:33.34 ID:k2rwaawxo
天才「ここでおさらいだ」

戦士「……?」

天才「魔王は7人。サタンを中央に据えた六芒星を模ってる」

青龍士官「……」

天才「サタンを中心に、6人の魔王が周囲に配置されてるって事だな」

大軍師「この六芒星こそが魔族の力そのもの。根源なのです」

天才「つまり、1人でもそのばから欠けるような事があれば……」

東方司令「六芒星は意味がない」

天才「そうだ。必ずそこに配置しなきゃあならん」

戦士「待てよ、そんじゃあアンラ・マンユだって……」

大軍師「そこで、魔王の代わりを務める者が必要なのです」

朱雀嬢「代わり……」

召喚士「!? ま、まさか……っ」

天才「それが眷属だ。数えてみ、ピッタリ当てはまんだろ」

名代「そういう事であったのか……っ」
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 18:08:34.26 ID:F4P4Pq5IO
先生方が喋ったに見えた……
239 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 18:09:14.72 ID:k2rwaawxo
天才「アンラ・マンユはサタンを討たせたあと、自らの場に眷属を置き……」

大軍師「自らはサタンの代わりとなり、世界の中心に統べるつもりだったのです」

騎士長「なんて事だよ……っ」

天才「そっからは人間を蹂躙するも良し、他の魔王を倒させるも良し」

南方弓長「ひどい話ね」

天才「しかもだ、これは俺様も予想外だったが……」

召喚士「……?」

大軍師「どうも、龍脈対策も考えていたようですね」

南方副司令「何ぃ!?」

青年兵「っ!! まさかあの……ドラゴンのような……」

天才「魔王の魔力そのもの。あれがヤマタノオロチの代わりだろうよ」

東方副司令「な、何という……っ」

西方副司令「間一髪なんてものじゃないわね」

天才「とにかく、奴はそこまで考えていた。だから最初に葬る必要があった」

大軍師「お分かり、頂けましたか?」
240 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 18:09:55.35 ID:k2rwaawxo
召喚士「……」

魔道士「……っ」

天才「悲観すんなよ。倒したじゃねぇか」

大軍師「そうです。大切な事は、この未曾有の危機を防いだという事です」

左翼長「まぁな。アンラ・マンユはそこに隙があったってワケだ」

青龍先生「慢心じゃの……ひょっひょ」

天才「まーついでに言うと、魔王ん中でも割かし強い部類だろうしな」

玄武娘「そうなんですの?」

天才「おうよ。間違いねぇ」

白虎長「それなら、この次もうまくいくわよねっ」

南方魔道長「ああ。被害は防げるんじゃないか?」

天才「ハーッハッハ」

笑い声の裏に、乾いた眼差しが隠れていた。

何人かそれが天才による確証のない鼓舞だと気付きはしたが、

特に彼を咎めたり、訂正する事はなかった。
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/27(月) 19:58:29.83 ID:A2JMkb1AO
>>1おつ

駄軍師「未曾有(みぞうゆう)の危機を…」
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 20:57:06.96 ID:DIz48A5jo
え、なにか間違ってる・・・?
ネタだったらすまん
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 21:28:59.08 ID:oeh7qOWDO
>>1

俺バカだから違いがわからん
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/27(月) 21:32:46.52 ID:HBE0DRYbo
麻生の読み間違いでしょ?懐かしいな
245 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 23:41:29.83 ID:u2yoEshio


大軍師「さて、ではいよいよ本題へ入りましょうか」

天才「今さっき言ったように、厄介な魔王はぶっ倒した」

左翼長「厄介ったって、魔王は魔王だ」

大軍師「その通りです。後が楽……というわけではありません」

天才「こっからは先は順序が大切だ。少しのミスも出来ねぇ」

大軍師「皆様のご意見を是非、伺わせて頂きたく」

天才「その前に1つ。分かってると思うが……サタンは駄目だ」

玄武娘「何で駄目なんですの?」

大軍師「大黒柱をいきなり抜くと、他所への影響が懸念されます」

玄武娘「どういう意味ですの?」

朱雀嬢「ケーキは端っこから食べなさいって事ですわ」

玄武娘「おぉ! そうしないと倒れちゃうですの!」

戦士「なんつう説明だよ」

召喚士「は、はは……っ」
246 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 23:42:07.12 ID:u2yoEshio
スッ

エリート「良いかな?」

大軍師「右大臣殿」

エリート「私が思うに、まずはパズズの片を付けるのが良策かと」

南方司令「いや、南方はいつでもいける。ラーヴァナが良かろう」

南方参謀「そうね。士気も非常に高くって、やる気に満ち溢れているわ」

大軍師「成程」

天才「北はどうだ?」

左翼長「ベルゼブブは残すつもりなんだろ?」

天才「お前らがいけるってんなら、別に構わん」

将軍「正直、あまり強気では言えませんな」

騎士長「だな。まだまだ北への道は長い。無理をするにも早すぎるな」

東方参謀「同感だな。海峡側も動きはないとは言え、不気味だしな」

天才「……」

騎士団長「南が片付いてから、兵を押し上げて北上するがベストかな」
247 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/27(月) 23:56:29.70 ID:u2yoEshio
大軍師「名代殿、東は如何です?」

名代「一度、確認する必要はありますね」

戦士「東方の戦力は大丈夫なのか」

盗賊「……どうなんだろうな」

東方司令「足りるとは思えんがな」

名代「……」

東方司令「失礼。悪気はないのだ」

名代「いえいえ、事実は事実。不足しているのは確かです」

天才「そこが最大のポイントだな。南北から兵を割く必要がある」

東方副司令「北方軍を割くのは難しいのでは……?」

西方司令「ななっ、南方も無理ですよ……っ! これはもう終わりだぁ……!」

南方弓長「でも、南はうまく回せば、余力あるんじゃないかしら」

騎士団長「成程、南東国か」

大軍師「南東国の兵を南へ充てる事が出来れば、増援は可能ですね」

天才「……」
248 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 00:13:15.95 ID:NNrSQOhko
大軍師「どう思われますか?」

天才「悪かねぇ。悪かねぇんだがなぁ……」

東方参謀「動きがない以上、こちらから責めるには兵站が長すぎやしないか?」

天才「そこなんだよな。東方のみで凌げるなら押さえ込むだけで十分なんだよな」

ジュニア「何だよ、結局あっちもダメ、こっちもダメってよぉ」

戦士「残るはイブリースか?」

天才「イブリースは一匹狼だ。まだ放っておいてもいい」

戦士「じゃあ結局どの魔王なんだよ……」

天才「……」

召喚士「……?」

天才「ジジイ」

青龍先生「分かっておるよ。いつでも構わん」

天才「……そうかい。一旦休憩だ。15分後に再開する」

召喚士「・・・…」

それだけを言い残し、天才は大会議室を後にした。
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/28(火) 00:25:39.71 ID:NNrSQOhko
ありがとうございます。こちらこそ本当に感謝!
毎日読んで下さったり、追いついて下さったり…
いつも同じ言葉ですが、嬉しい限りで言葉に表せません!

それでは、今宵はこれにて失礼します!ノシ

〜オマケ〜

アマゾネス「……おぉ」

色黒「あれ、何でしょうかね?」

おさげ「海を照らしてるように見えるけど……」

ツインテ「ふにゃあぁ〜。いい匂い〜っ!」

ポニテ「ほんとだぁ! なにあれっ! ねっ、ねっ!」

アマゾネス本国……って、凄いな」

色黒「凄い……」

ポニテ「ねーねー長ぁ、アレ欲しい〜」

ツインテ「ずーるーいーっ! 私もーっ!」

色黒「あっ、じゃあ私も――」

アマゾネス「あのさ、ところで誰がお金持ってるんだ?」
250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 00:36:43.72 ID:jhDy0P/Go
アマゾネス本国のいったい何が凄いのか
ぼくもそこに行ってぜひ確かめてみたいです
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/28(火) 08:32:28.72 ID:cEEToH6AO
>>1

それにしても青年兵も出世したよな
昔はポンと出のサラマンダー使い程度だったのに

青年兵「召喚獣と話せるなんて授業で教えてもらってないから知りません」
的なダメ子だった記憶が…
252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 11:52:26.58 ID:SAWIhCzSO
青龍の教えがそうなだけで
青年兵は優秀だぞ
召喚士があんなにわかいのに〜みたいに言ってたとおも
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 13:59:40.20 ID:uY+sBjRDO
>>1
そういえば青年兵にも魔道兵だった時期とかあるのかな?
魔翌力が強くていきなり召喚兵に抜擢されてたりするんだろうか?
254 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:05:41.07 ID:u57uE4U6o
ガヤガヤガヤ

召喚士「……」

青龍先生「……ふー。年を取ると、会議如きでも疲れるわい」

召喚士「……あの、青龍先生」」

青龍先生「……?」

召喚士「魔王パズズ、何かあるんですか?」

青龍先生「ん? どういう意味じゃ?」

召喚士「いえっ、何となく何かあるのかと……」

青龍先生「別に何かあろうとなかろうと、倒す事に変わりはないじゃろ。ひょっひょ」

召喚士「まぁ、そうかもしれませんけど……」

青年兵「……」

青龍先生「パズズは任せておけ。ありゃあ儂の未練じゃからの」

青龍士官「先生……」

青龍先生「さて休憩も終わりじゃ。席に着くとしようかの……ひょっひょ」

召喚士「……っ」
255 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:07:02.65 ID:u57uE4U6o
カツカツカツ

天才「そんじゃ再開すんぞ」

大軍師「幾つかのご意見を頂きましたが、結果は見えておりましたね」

天才「まぁ一応の確認だしな。当初の予定通りでいく」

ザワッ

天才「魔王討伐、次は……パズズだ」

青龍先生「……」

大軍師「パズズ討伐につきましては大軍は擁しません」

天才「今から名を呼ばれた奴は、ちょいと残ってくれ」

大軍師「青龍先生、白虎先生。青年兵殿、青龍士官殿」

青年兵「はい」

青龍士官「……」

大軍師「朱雀先生、玄武先生、名代殿」

名代「某もか」

召喚士「……はい」
256 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:09:03.58 ID:u57uE4U6o
ザッ…カツカツカツ

大軍師「以外の方々はご苦労様でした。広間に食事をご用意致しております」

玄武娘「えぇーっ!?」

朱雀嬢「残しておいてあげるから、早く行ってらっしゃいな」

玄武娘「はぁいですの……」

魔道士「それじゃ、お先に失礼しますねっ」

召喚士「はい」

ゾロゾロゾロ…

天才「さて、ここに残って貰ったお前らが、今回の主役だ」

大軍師「パズズ討伐は皆様のみで行います」

召喚士「!?」

青年兵「あの、失礼ですが……流石に少なくはありませんか?」

天才「別に寝てる奴相手なんだし、多いくらいだろ」

青龍士官「……っ」

天才「自信ねーなら降りてもいいぞ」
257 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:10:51.46 ID:u57uE4U6o
青年兵「……いえ、そういうわけではありません」

召喚士「作戦の概要を伺いたいのですが」

天才「概要なんてねぇよ」

玄武娘「……へっ?」

天才「ジジイがカタを付ける。お前らはバックアップ。以上」

白虎長「……っ」

天才「いいんだよな?」

青龍先生「無論じゃ。儂も長く生きた……もう十分じゃわい」

青年兵「……どういう……意味でしょうか?」

天才「悪いが、青龍先生には死んで貰う」

玄武娘「――っ!!」

青龍士官「……死んで……って」

天才「魔王を消滅させるには、青龍先生の命が引き換えとなる」

大軍師「これは、どうしても避けられないのです……」

召喚士「そ……んな……」
258 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:11:30.74 ID:u57uE4U6o
青龍先生「仕方のない事なのじゃ。そういう封印じゃからのぉ」

召喚士「……っ」

かつての召喚士であれば、真っ先に反対の声をあげていたであろう。

しかし、先だっての書家の言葉が脳裏から離れなかった。

青年兵「1つ、宜しいでしょうか?」

天才「何だ」

青年兵「他に手立ては?」

天才「ない」

青龍士官「どうしても倒す必要があるのですか?」

大軍師「あろ、。といえば嘘になります」

青龍士官「だったら――」

大軍師「パズズを倒せば、他の魔王は更に力を弱めます」

白虎長「……」

大軍師「それにいつかはやらなければいけないのです」

召喚士「何故、青龍先生の命が必要なのですか?」
259 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:12:28.23 ID:u57uE4U6o
青龍先生「簡単に言えば、五行を完成させる必要がある」

名代「それで、私も呼ばれたわけですな」

天才「そーいう事だ」

大軍師「具体的な作戦は後ほど申しますが、青龍先生は……」

青年兵「……」

大軍師「五行を放つ必要があります」

白虎長「青龍先生が!?」

天才「これがどういう意味か分かるか?」

青年兵「召喚士になられた先生が……五行を撃つ……」

白虎長「無茶よっ! 魔力が暴走するわ!」

天才「だからだよ。だから……死ぬんだ」

召喚士「……っ」

玄武娘「そ、そんなぁ……」

青龍先生「誰かがやらねばならん。だからこそ自分の手でけじめをつけたいのじゃ」

召喚士「青龍先生……」
260 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:13:34.84 ID:u57uE4U6o
天才「いいか、アンラ・マンユ同様、1度の失敗も許されん」

大軍師「他の方々も負担はありますが、命に別状はありませんのでご安心を」

白虎長「具体的には何をすればいいわけ?」

青龍先生「パズズは4属性の召喚術を用いて封印しておる」

青龍士官「……」

青龍先生「それを吸い上げて、1度相殺する事で封印をを解く」

玄武娘「!?」

大軍師「解くと言っても、魔王が蘇るわけではありません」

青龍先生「そして魔王の核にその魔力と五行を撃ち込むのじゃ」

青年兵「そんな事が出来るんですか……っ?」

青龍先生「……玄武娘、お前の爺さんが長年研究したんじゃ」

玄武娘「……?」

青龍先生「そしてようやっと、この方法を築き上げた。大した男じゃったよ」

玄武娘「お爺ちゃん……が?」

青龍先生「さーて、伝説の幕開けといこうかのぉ……ひょっひょ!」
261 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:14:43.16 ID:u57uE4U6o


ゾロゾロゾロ

魔道士「あっ、お帰りなさい」

朱雀嬢「玄武娘、食事……」

玄武娘「いらないですの……」

朱雀嬢「えっ?」

玄武娘「お腹……空いてないですの……」

トボトボ…

朱雀嬢「め、珍しいわね。どうしたのかしら?」

盗賊「……さぁ。もぐもぐ」

戦士「どうだった?」

召喚士「……うん。あとで話すよ」

戦士「お、おう」

魔道士「なんだか……皆さん暗いですね……」

盗賊「……うん」
262 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:15:51.30 ID:u57uE4U6o
カツカツカツ

天才「さーて、メシメシ!」

青年兵「……」

カツカツ…ザッ

青龍士官「司令」

天才「あん?」

青龍士官「やはり、自分は反対です」

天才「……」

青龍士官「どうしても、他の手はないんですか!?」

ザワッ

東方司令「……?」

将軍「な、何事だ?」

天才「あのなぁ、お前の言いたい事はよーく分かる」

青龍士官「……」

天才「じゃあ他に手はあるのか? 他に誰かが犠牲になるんだぞ?」
263 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:19:40.56 ID:u57uE4U6o
青龍士官「……」

天才「かと言って、放置するわけにもいかんだろ」

大軍師「魔王は1体たりとも残すわけには参りません」

青龍士官「……っ」

カツカツカツ

青年兵「青龍士官、会議は終わったんだ。下がりたまえ」

青龍士官「……」

青年兵「これ以上は反逆罪に問われるぞ。下がれと言っている」

グッ

青龍士官「――っ!」

バッ!!

青龍士官「……変わったよな、お前」

青年兵「……」

ザッザッザッザッザ

青年兵「……っ」
264 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:21:07.65 ID:u57uE4U6o
ザワザワ

皇太子「揉め事か?」

エリート「いえ、大丈夫のようです」

南方参謀「青年兵くんが声を荒げるなんて珍しいわね」

南方魔道長「ああ。まぁ、何もないみたいだな」

青年兵「失礼を致しました。私も下がらせて頂きます」

大軍師「ご苦労様でした。次は20時の予定ですので」

青年兵「存じております。では」

カツカツカツカツ…

白虎長「青年兵も……ほんと変わっちゃったわね」

青龍先生「そうかのぅ?」

白虎長「……?」

天才「アイツの胸中はなーんも変わってねぇよ。ハーッハッハ!」

白虎長「はぁ……」

青龍先生「青年兵に青龍士官。楽しみが出来たわい。ひょっひょ」
265 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:21:59.83 ID:u57uE4U6o
カツカツカツ

青龍士官「……くそっ」

ガンッ

青龍士官「分かってんだよ、そんな事はよ……っ」

どこにもぶつける事の出来ない苛立ち。青龍仕官は自身でも分かっている。

それでも、誰かに、何かにぶつけなくては気が収まらなかった。

カツカツカツ

青龍士官「……?」

通路を横切る青年兵。青龍士官はそれを見るやすぐさま後を追う。

別に殴りかかろうというわけではない。先程の謝罪を述べたいと思ったのだ。

カツカツカツ

青龍士官「……おい、青年へ――」

青年兵「……っ」

突き当たりの壁に額を付け、拳を握り嗚咽する国軍副司令官の姿。

同期として共に歩んできた青龍士官は、それ以上の言葉を掛けられなかった。
266 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:24:01.04 ID:u57uE4U6o


大軍師「それでは、引き続きご参加の皆様は20時に会議室までお越し下さい」

皇太子「我らは一旦、王宮へ戻らせて貰うぞ」

エリート「では、また後ほど」

左翼長「北方軍は東方司令部の連中を残し、帰還させて貰う」

騎士長「北には参謀とワーカーしか残してないからな」

天才「おう、わざわざご苦労だったな」

将軍「弟には何か、伝えるかな?」

大軍師「……いえ、頑張れとだけ伝えて下さい」

将軍「……分かった」

ゾロゾロ…カツカツカツ…

大軍師「海峡はどうです?」

東方参謀「ワーカーと魔道学校の連中を呼んで、あたって貰っている」

大軍師「そうですか」

東方司令「何もないとは思うが、念には念をいれておかねばな」
267 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:24:40.62 ID:u57uE4U6o
〜海峡〜

門兵「……どうだぁ?」

海峡兵「問題なーし! 今日も平和なもんだ」

ザッザッザ

海峡兵長「シャキっとせんか! 魔道学校の先生方がお見えなのだぞ!」

海峡兵「は、はいぃ!」

水の先生「あれが噂の森か……」

火の先生「黒の三騎士ですらやられたそうじゃ」

水の先生「三騎士ほどの魔力をもってしても……」

火の先生「下手な事は考えるなよ?」

フワッ

ネクロマンサー「……まさか、アンラ・マンユが落ちるとはね」

海峡から北の上空。ネクロマンサーがその建物を凝視している。

ネクロマンサー「新たな人形の性能も試してみましょうか……ねぇ、ククッ!」

ウィッチ「……はい」
268 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:25:26.08 ID:u57uE4U6o
〜国軍本部、正門〜

大軍師「それでは、20時にまた」

召喚士「はい、失礼します」

ザッザッザ

戦士「どうする? どっか入るか?」

召喚士「そうだね。喫茶店かどこかに……」

魔道士「あっ、じゃああっちの――」

東方副司令「白虎嬢、何故お前がここにいる!?」

白虎嬢「……ごめん……なさい」

盗賊「……?」

召喚士「白虎嬢さんと、東方副司令?」

東方副司令「うろうろするなとあれ程言ったではないか」

白虎嬢「……っ」

タッタッタッタ

白虎長「叔父様、私の責任です! 私が勝手に……」
269 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:26:13.28 ID:u57uE4U6o
東方副司令「白虎長……」

白虎嬢「いえ、従姉さんは悪くありません……っ」

白虎長「1人で南方へ返すよりは安全かと、本国へ……」

テクテクテク

召喚士「こ、こんにちは」

東方副司令「朱雀先生……っ! これはお恥ずかしいところを」

召喚士「あっ、いえ……」

東方副司令「全く、今更仕方ない。あまり邪魔をするでないぞ?」

白虎嬢「……はい」

カラカラカラ…

魔道士「そっか。白虎嬢さんと東方副司令さんって父娘でしたね」

戦士「そういやそうだな」

白虎嬢「……それじゃ……失礼します」

タッタッタ

召喚士「……」
270 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:27:18.22 ID:u57uE4U6o
白虎長「ごめんなさいね」

召喚士「い、いえ……っ」

白虎長「叔父様も白虎嬢に対して、思い入れが強いから」

魔道士「自分の娘ですもんねっ」

白虎長「それもあるけど、白虎一族は色々と面倒だから」

盗賊「……?」

白虎長「叔父様の兄弟……私の父や次男叔父様の事もあるし……」

戦士「もう、亡くなったんだっけか?」

白虎長「それに私や叔父様も軍人だしね」

召喚士「何かあったら、大変ですもんね」

白虎長「うん。まぁ気にしないで。ははっ」

テクテクテク

戦士「なーんか、戦い以外にも色々と大変なんだな」

盗賊「……みたいだな」

召喚士「それj、行こうか」
271 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:28:23.45 ID:u57uE4U6o
〜喫茶店〜

魔道士「ロイヤルミルクティー1つ!」

召喚士「アイスコーヒーを」

戦士「あ、俺も」

盗賊「……えっと、キャラメルストロベリーチョコ」

戦士「この暑い時にホットかよ」

魔道士「冷たいものばかりだと、お腹冷えちゃいますもん」

戦士「ふぅん」

盗賊「……それで、次の戦いは?」

召喚士「ええ、パズズ討伐だそうで」

戦士「それは聞いたよ。何か問題でもあったのか?」

召喚士「……」

魔道士「……」

召喚士「青龍先生が……死ぬ……って」

盗賊「!?」
272 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:29:30.11 ID:u57uE4U6o
戦士「はぁ!? どういう事だよ!!」

召喚士は先程の概要を3人へと伝える。

魔道士「そんな……」

戦士「……」

召喚士「俺には、止める事が出来なかった……」

盗賊「……っ」

戦士「仕方……ねぇのか?」

召喚士「誰かがやらなくちゃいけない……って」

魔道士「でもっ、他に方法は……」

召喚士「ないそうです……」

盗賊「……」

戦士「どうすんだ?」

召喚士「青龍先生も自主的にやるって言ってる」

戦士「止める事は出来ねぇか……」

店員「……あのー。お待たせ致しました」
273 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:30:28.23 ID:u57uE4U6o
カラン

戦士「あ、俺ブラックで大丈夫」

召喚士「あ、うん」

盗賊「……甘」

戦士「自分で頼んだんだろ」

盗賊「いや、そうだけどさ」

魔道士「……っ」

召喚士「魔道士さん?」

魔道士「……こんなのって……おかしいですよ」

戦士「あん?」

魔道士「だって……青龍先生が……」

召喚士「……俺も気持ちはよく分かるし、同じです」

戦士「でもよ、止める権利もねぇし、止めたところで……」

盗賊「うん……」

魔道士「……っ」
274 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:31:27.75 ID:u57uE4U6o
カラン

戦士「いつからだろうな」

召喚士「……?」

戦士「人が死ぬとか言われても、冷静になっちまったのはよ」

盗賊「……」

戦士「いつの間にか、常に戦いが付きまとう生き方になっちまったな」

召喚士「うん……」

戦士「思えば15年前。村を飛び出してワーカーになった……」

魔道士「……」

戦士「強くなって、名のあるワーカーを目指した」

盗賊「……」

戦士「その結果がこれなんだよな」

召喚士「うん」

戦士「命を軽んじてるつもりはねぇが、付きまとうんだよな。絶対に」

召喚士「……うん」
275 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:32:16.42 ID:u57uE4U6o
盗賊「……なぁ、魔道士」

魔道士「……」

盗賊「青龍先生は……己の命を懸けて……世界を正そうとしている」

魔道士「……」

盗賊「……だから、私達も力になろう」

魔道士「……」

盗賊「出来る限りの、力になろ?」

戦士「青龍先生は十分生きたしな」

魔道士「戦士さん」

戦士「……冗談だよ」

召喚士「俺らだって、いつどうなるか分かりませんからね」

魔道士「……はい」

盗賊「……大丈夫。運命を変えよう」

魔道士「盗賊さん……っ」

盗賊「うん。だから大丈夫だ」
276 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:33:12.49 ID:u57uE4U6o
20時。国軍本部へは再び、幕僚とワーカー達が集っていた。

〜国軍本部、大会議室〜

大軍師「それでは、本会議を再開致します」

南方副司令「パズズ討伐は、本当に任せて良いのですな?」

大軍師「ええ。あまり人数が居ても無用ですし」

南方司令「……」

大軍師「今回の作戦、総大将は……」

天才「青年兵だな」

青年兵「はっ」

大軍師「補佐に、白虎長殿と青龍士官殿が加わります」

青龍士官「!?」

南方参謀「司令と貴方は?」

大軍師「この機会に、各要所を視察へ回ります」

天才「特に電話の設置が遅れてるからな」

大軍師「宜しいですね?」
277 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:35:07.71 ID:u57uE4U6o
白虎長「はい。やるだけの事はやってみせます」

天才「そして、主軸は当然、青龍先生だ」

青龍先生「うむ」

大軍師「補佐に名代殿、朱雀先生、玄武先生」

玄武娘「……」

召喚士「あの」

大軍師「はい」

召喚士「パーティーの皆も、同行したいのですが」

戦士「遺跡については何度も潜った経験がある」

盗賊「……道案内くらいは……出来る」

天才「……構わん。許可する」

召喚士「ありがとうございます」

大軍師「玄武先生も、宜しいですね?」

玄武娘「……」

朱雀嬢「玄武娘、返事なさいな」
278 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:36:30.61 ID:u57uE4U6o
玄武娘「私……」

朱雀嬢「……はぁ」

スッ

朱雀嬢「あの、私も一緒に参りますわ」

青年兵「!?」

朱雀嬢「玄武娘の事は私が1番よく分かりますわ」

大軍師「……宜しいのですね?」

朱雀嬢「ええ」

天才「んじゃ、以上の編制だ。時期はそっちで決めろ。早い方がいい」

青年兵「……はい」

大軍師「南方軍の方々は引き続き残って下さい」

天才「パズズ以降の概要について、協議する」

南方司令「了解した」

東方副司令「あの、我々は?」

天才「……そうだな」
279 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:37:06.65 ID:u57uE4U6o
ザッ

天才「名代さんよ、東方の戦力はいつでも準備オッケーなのか?」

名代「東の城次第ですが、拠点は仕上がっております」

天才「駒は?」

名代「兵の数はやはり、防衛で手一杯かと」

天才「マーラは後回しだ。東方の奴らは大軍師と細かい調整をしてくれ」

大軍師「基本方針に変わりはありませんが、すり合わせをしておきましょう」

東方司令「了解した」

天才「あとの時間は細かな報告と必要物資の確認」

大軍師「それと、アンラ・マンユ戦における魔王の対策をご報告します」

天才「先に……簡単に述べとくが、パズズの次はラーヴァナになる」

南方弓長「……っ」

天才「そんでマーラとイブリース。ベルゼブブで最後にサタンだ」

ザワッ

大軍師「それでは細かな説明を。資料を基にお話致します」
280 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:38:19.29 ID:u57uE4U6o


大軍師「……と、いう事です。宜しいでしょうか?」

本会議はほぼ沈黙の中、大軍師の説明を中心に進んだ。

各方面の報告と南西砦や火山での報告。ほとんどがそれになる。

そして五ヵ年計画のおおまかな概要を確認すると、会議は静かに終わった。

大軍師「以上、質問がなければ本会議そ終了と致します」

天才「……よし、それじゃ解散」

ガタガタッ…ザワザワザワ

青年兵「……?」

キラッ

青年兵「……」

青龍士官「青年兵」

青年兵「ん、あ……あぁ。どうした?」

青龍士官「……いつにするつもりだ?」

青年兵「……」
281 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:39:36.85 ID:u57uE4U6o
青龍士官「司令は早急と言っていたが」

青年兵「分かってる。急ぎすぎは混乱を招く」

青龍士官「然るべき部署や人間に一報を入れてからの方がいい」

青年兵「同感だよ。青龍先生の名は……大きすぎる」

青龍士官「……」

青年兵「青龍士官」

青龍士官「ん……?」

青年兵「頼りにしてるよ、宜しく」

スッ…カツカツカツ

青龍士官「……」

白虎長「お疲れ。それじゃ決まったら連絡して」

青龍士官「あ、はい……」

カツカツカツ…

青龍士官「……どうした……ものかな」

青年兵と白虎長が去ったドアを抜け、青龍士官もまた会議室を後にした。
282 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/28(火) 18:41:57.59 ID:u57uE4U6o
〜海峡〜

ザザッ

門兵「……?」

ドオオォォォォンッ!!

海峡兵「何の音だ!?」

海峡兵長「各員、配置につけぇ!!」

タッタッタッタッタ…ザザッ

海峡兵「何事だ!?」

門兵「……ダメだ、死んでる」

海峡兵「敵襲ーっ!!」

門兵「お、おい……あれ……っ」

ザッザッザ

ウィッチ「……」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「……こんばんは。クククッ!」
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/28(火) 18:44:30.97 ID:u57uE4U6o
青年兵はかなり出世しました!そして優秀ですよ!
そのうちエピソードとかあるかもですね!!

ひとまずここまでにて。ご支援ありがとうでした!
それでは失礼致しますぬ〜!ノシ
284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/06/28(火) 18:45:38.06 ID:24lULwZAO
>>1
魔剣士…
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 18:45:50.30 ID:57DEnKyDo
おつ

ウィッチっていつ死んだっけ?
286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 18:56:25.55 ID:Ho/sfc+h0
1乙

まぁ、同門が生きてたんだし誰かがこうなってるとは思ってたけどなぁ。
魔剣士復活しとるし・・・。
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 19:09:30.82 ID:3YgZuKVdo
>>285
まとめサイトの〜第四十部〜西策謀12
ネクロマンサーvs同門'sが戦ってる、明確に死んだ描写はなかったけど絶望的な状況だったからやられたんだろう。
くの一が同門を逃がしてはいるし。

眷属戦で
同門「もう……俺の目の前ではぁ、誰も死なせるわけにはいかんのだーっ!!」
って台詞はたぶんウィッチのことかと。
288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/06/28(火) 19:10:51.73 ID:W21yzUI30

風呂敷何個あんだよってぐらい畳まれないな
回収したと思ったらまた伏線ドバーッって
よく頑張れるなあ
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 19:18:27.32 ID:57DEnKyDo
>>287
サンクス
見てくる
290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/28(火) 19:27:49.47 ID:SSZtC3qAO
俺の携帯しょぼすぎてまとめサイト開く途中まででメモリ不足になったwwww
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/28(火) 19:32:50.72 ID:FCwjXnIAO
>>1乙!
ネクロマンサーはどこまで俺を怒らせれば気が済むんだ……
寿命がストレスでマッハ
292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 19:51:25.34 ID:aNyNj+Bfo
うわああああああ
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 20:02:44.17 ID:QS/cB4+DO
>>1
ウィッチたん…
青年兵がいくら頑張ろうと、
がむしゃらに頑張っている新入社員にしか思えない
294 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 20:13:29.86 ID:hiQChzHDO
ウィッチ死んでたしもう読む気力が出ない……
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/28(火) 20:20:40.49 ID:F6NMybDzo
>>1
同門に仲間が出来て心を開いていくハートフルストーリーはのはずがどうしてこうなった?
296 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 21:09:04.89 ID:JFjsUZLDO
>>1乙!

ウィッチちゃんがぁぁぁぁぁぁ!!!

返り討ちなのはわかってる。
けどネクロマンサーは潰す!
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/06/28(火) 22:20:41.65 ID:+Rbjp3+Yo
はいはい
298 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/28(火) 23:35:54.30 ID:jC9B2pTto
ウィッチちゃん……

ええ……うそぉ
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 00:37:18.39 ID:pCvpiatyo
>>290
AOってauだっけ?
21の頃はもっと大きなページも読み込めたのに、どんどんメモリ不足になっていく
300 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 00:38:46.44 ID:MxguS4LDO
「新しい」人形と言う事だから、
アカマナフみたいな方法の可能性も…
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/29(水) 01:12:32.84 ID:sli5hxOAO
ガラケーの話題はスレに関係ないぞ〜
乙パイ
302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 01:57:22.15 ID:bc5oR5vSO
>>1乙!

ついに新たなる最強究極青龍召喚獣の俺様の出番が来たか…(ドヤ
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/06/29(水) 08:00:10.14 ID:2g+x7/9AO
>>1

ウィッチちゃん…と言うことはドッペルも絶望的ってこと?
304 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/29(水) 11:26:00.35 ID:kcevEZHe0
召喚士よ、早く皆にマジシャンの事を教えてやってくれ

ムズムズしちゃう
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 11:29:14.58 ID:kcevEZHe0
sage忘れスマソ

m(__)m
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/06/29(水) 13:59:22.39 ID:cgVpBV6L0
いちおつ

海峡あついな
ネクロマンサーと魔剣士とウィッチにバフォメットか…
全滅させられるんじゃね?
307 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/06/29(水) 17:59:01.64 ID:JuhuoaD/0
     __
     /。 \
    |ノ ゚|ノシ
    ノ ゴ ノ
308 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:20:49.55 ID:HxIllMImo
ザッザッザ

海峡兵「女の子……?」

海峡兵長「見た目で判断するな! 仕掛けられてるんだぞ!」

ウィッチ「……ふふっ」

キュイイィィ…ドドオオォォォォン!!

門兵「閉門ーっ! 篭城するぞぉ!」

ガゴン…ギギギギイイィィ

門兵「!?」

ガゴンッ!!

魔剣士「……」

海峡兵「大剣で門を無理矢理――」

海峡兵長「結界石を突破するだとぉ!? バカなっ、魔物ではないのか!?」

タッタッタッタ

水の先生「どうした!?」

火の先生「まさか、魔物の襲撃か……?」
309 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:21:34.67 ID:HxIllMImo
オオォォォォ

ネクロマンサー「ククッ、さぁて……どうします?」

ウィッチ「……」

魔剣士「……」

海峡兵長「何をしている!! 迎え撃たぬかぁ!!」

海峡兵「し、しかし……! 結界石をすり抜けるとは……っ」

海峡兵長「……えぇい!」

ザザッ…ダダダッ

海峡兵長「うおおぉぉーっ!」

ウィッチ「……」

ドドオオォォォォン!!…ガカアアァァァァッ!!

海峡兵長「ぐわああぁぁーっ!!」

門兵「兵長が落雷にやられた……っ! 衛生兵ーっ!」

ネクロマンサー「おやおや、この程度で混乱するとは。期待外れですかね」

海峡内部へと侵入する魔剣士とウィッチを見つめ、ネクロマンサーは微笑する。
310 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:22:22.25 ID:HxIllMImo
ザッザッザ

門兵「どどっ、どうする!?」

海峡兵「えぇい仕方ない、撃てぇ!」

ジャキジャキジャキッ…

弓兵「一斉射撃……開始ぃ!」

バシュシュシュシュシュッ!!

魔道兵「撃て撃て撃てぇーっ!」

上空を入り乱れるかの如く、矢と魔法が飛び交い、覆いつくす。

魔剣士はツヴァイハンダーを回転させると、矢を払い落とし前進を続ける。

海峡兵「何だよあれっ、バケモノかよぉ!?」

ズザザッ

水の先生「はあぁーっ!!」

火の先生「ファイヤー!!」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

火の先生「やったか!?」
311 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:23:17.97 ID:HxIllMImo
シュウウゥゥゥゥ

魔剣士「……」

水の先生「全然……ビクともしてないぞ!」

弓兵「援護射撃をかけますっ、後退して下さい!」

バシュシュシュシュッ!!

ネクロマンサー「ふむ、このまま此処を制圧するのも一興か――」

ヒュバッ!!

ネクロマンサー「……?」

地上より狙い済まされた手裏剣がネクロマンサーの体を通過する。

ネクロマンサー「……ほぉ」

くの一「……」

ネクロマンサー「しつこい人だ」

ザッザッザ

影忍「貴様を葬るまでは滅したりはせぬ。絶対にな」
312 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:23:56.21 ID:HxIllMImo
ネクロマンサー「……ククッ、嬉しい限りですねぇ」

ゴオオォォォォ…メラメラッ

魔剣士「……」

魔道兵「矢の一斉射撃が終わったら、次はこっちだ!」

火の先生「待て、奴に魔法は効かんようだ。自重せい」

魔道兵「!?」

水の先生「何とか打開策を……」

ザッザッザ

火の先生「むっ、もう1人居おったか」

ザッザッザッザ

水の先生「……あ……れは!?」

火の先生「バカなっ!!」

ザッザッザッザッ…ザッ

ウィッチ「……」

火の先生「ウィッチ……なのか!?」

水の先生「そ、そんな……」
313 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:24:36.34 ID:HxIllMImo
ウィッチ「はあぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!

火の先生「くお……っ」

水の先生「ウィッチ! 何をしている!?」

ウィッチ「……」

火の先生「操られているのか……?」

水の先生「そうは見えないが……しかし、これはどういう事なのだ!?」

海峡兵「もう1人が来ますよぉ!」

水の先生「退がれっ、アレは何かがおかしい。戦う必要はない!」

火の先生「かと言って、ワシらでどうにか出来るとも思えんがの」

ザッザッザ…ピタッ

魔剣士は突如、歩くのをやめ、後方の空を見上げる。

火の先生「何……だ?」

魔剣士「……」

視線を地上へ戻すと、ウィッチと目を合わせ、2人は砦の外へと歩き出した。
314 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:26:24.81 ID:HxIllMImo
ヒュバッ…ガガガガガッ

影忍「おおぉぉ!」

ネクロマンサー「ククッ、不死同士……延々と戦い続けますか?」

影忍「貴様が望むのであればな!」

ネクロマンサー「ボキャブラリーのない方だ。ククッ」

くの一「頭領……っ」

影忍「おおぉぉぉぉ!!」

ネクロマンサーあから伸びる鋭利な触手をことごとくかわし、

影忍は刀を手に、触手の伸びる中心部分へと一気に迫る。

バッ…ババババッ!!

影忍「風遁……疾風!」

ゴアアァァァァ!!

ネクロマンサー「ちぃ」

影忍「さぁ、地上戦だ」

突風に煽られ、一旦地面へ着地するネクロマンサー。
315 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:28:12.15 ID:HxIllMImo
スタッ…スタッ

ネクロマンサー「……」

影忍「2対1だ」

くの一「……っ」

ジャリ…チャキッ

くの一(頭領が私を戦力と認めてくれた……)

ジリジリ…

くの一(……期待に……応える!)

ネクロマンサー「……ククッ」

影忍「何がおかしい」

ザッザッザッザ

魔剣士「……」

ウィッチ「……」

ネクロマンサー「2対3……ですねぇ」

影忍「……っ」
316 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:29:20.98 ID:HxIllMImo
ガクガクガク

影忍「……どうした?」

くの一「あ……あ……ぁ」

ウィッチ「……くの一……ちゃん」

くの一「ど……して、何で……ウィッチ……?」

ウィッチ「くの一ちゃん……くの一ちゃん……」

くの一「はっ……はっ、はっ」

影忍(あの娘……どこかで……)

ウィッチ「くの一ちゃん……」

くの一「……うげぇ、がは……っ! う……ぇ」

影忍「そうか……っ!」

ウィッチ「久し振りでございますの!」

ドドオオォォォォン!!…ゴゴオオォォォォ

影忍「しっかしせぬか!」

放心状態のくの一を抱きかかえ、影忍は叱咤する。
317 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:30:19.09 ID:HxIllMImo
くの一「は……はっ、は……っ」

影忍「立てっ!」

ネクロマンサー「ククッ、どうしましたぁ?」

ドドオオォォォォン!!

ウィッチ「くの一ちゃん……待ってよぉ……」

ザッザッザ

ウィッチ「今度は置いてっちゃ……やだよぉ」

ドドオオォォォォン!!

くの一はウィッチの顔を見た瞬間、気付いてしまった。

顔色悪く目に光も感じぬその表情。そして敵として退治している事。

ここのところずっと行動を共にしてきた影忍と同じ、そう悟ってしまった。

くの一「うっ、う……ぅ……」

精神面は影として散々鍛えられたつもりでいた。

それでも抑えきれぬ涙と嘔吐がくの一を襲った。

くの一「い……いやああああぁぁぁぁ!!」
318 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:31:07.80 ID:HxIllMImo
ガクン

ネクロマンサー「どうしました? もう終わりですか?」

くの一「……さない」

ググッ

ネクロマンサー「……?」

くの一「許……さない……っ」

チャキッ…ザッザッザ

影忍「……」

くの一「ウィッチを……こんな姿に……」

ネクロマンサー「ククッ、貴女にも責任があるのですよぉ?」

くの一「……ああ、そうさ。そうだな。そうの通りだぁ!」

ヒュバッ!!…ザシュウウゥゥゥ!!

くの一「償いなら幾らでもしてやるさ! 貴様を……ウィッチを殺してからなぁ!!」

ウィッチ「く……の一ちゃん……っ」

くの一の持つ刀が、ウィッチの胸部を縦に斬り裂いた。
319 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:31:48.88 ID:HxIllMImo
ネクロマンサー「ほぉ、大した人だ」

くの一「……ああぁぁぁぁーっ!!」

魔剣士「……」

ブンッ!!…ブオンッ…ブンッ!!

影忍(立ち直ってくれたはいいが……危ういな)

くの一「うああああぁぁぁぁーっ!!」

魔剣士「……」

ビュオッ…ガキイイィィィィン!!

くの一「はーっ、はーっ、はーっ」

ネクロマンサー「殺しては駄目ですよ」

魔剣士「……はい」

影忍「ちっ」

バババッ…ババッ

影忍「風遁、水遁……奥義、疾風怒濤!!」

ネクロマンサー「何……?」
320 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:32:54.80 ID:HxIllMImo
ギュルルルルルッ!!

影忍が回転を交えながら疾走すると、周囲に巨大な竜巻が起こる。

竜巻は水を交え、渦巻く海のように大きな音を立て、勢いを増す。

魔剣士「……」

ウィッチ「……」

サッ…ドドオオォォォォ

魔剣士とウィッチは水竜巻をかわすと間合いを取り直し、

再び身構え、戦闘態勢へと入った。

影忍「くの一、冷静になれ。深追いすれば手痛い目に遭うぞ」

くの一「……」

影忍(とは言え只でさえ不利な挙句、数でも劣っている。どうするか……)

ネクロマンサー「ククッ、動かないのであれば、こちらからいきましょうか」

ゴウッ!!

影忍「お前は魔法使いを抑えろ!」

くの一「……は……いっ!」
321 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:35:03.45 ID:HxIllMImo
影忍「うおぉーっ!!」

ネクロマンサー「2人を相手に……もつと思っているのか!」

影忍「疾風怒濤!!」

魔剣士「……っ」

ゴウッ!!…ズガガガガガガッ!!

ネクロマンサー「不死とは我ながら厄介なものですねぇ」

影忍「おおぉぉ!!」

ネクロマンサー「四肢をもいで、動きを止めなさい」

魔剣士「はい」

ウィッチ「くの一ちゃん……!」

くの一「うああぁぁぁぁ!!」

タンッ…ヒュバッ!!

ウィッチ「いくでございますよぉ」

くの一「っ!!」

ガキイイィィィィン!!
322 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:35:51.65 ID:HxIllMImo
くの一「――っ」

ウィッチ「……?」

チャキッ…ザッザッザ

女剣士「遅れた、すまん」

影忍「助太刀……か?」

ネクロマンサー「まだいますか」

影忍「これで3体3、押さえ込めるか……っ」

ネクロマンサー「いきがるなよっ!」

影忍「大剣の男を頼む!」

女剣士「……奴か」

ザッ

女剣士「……大丈夫か?」

くの一「早く行け」

ウィッチの姿を見据えたまま、振り向きもせずくの一は冷静に一言だけ呟いた。

女剣士「……」
323 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:37:28.56 ID:HxIllMImo
ザッ

魔剣士「……」

女剣士「……」

影忍「不死だ。無理に倒そうとする必要はない」

ネクロマンサー「ククッ、打開策は見当たらずですねぇ」

影忍「ほざけっ!!」

ヒュオッ!!

ネクロマンサー「おぉ、怖い怖い」

ザッザッザ…チャキッ

女剣士「……」

魔剣士「……」

女剣士(お姉様と修行しておいて良かった)

バッ!!

女剣士「大剣なら慣れている!」

魔剣士「……」
324 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:38:33.94 ID:HxIllMImo
ブンッ!!…ズッドオオォォォォン!!

ネクロマンサー「ほぉ、魔剣士の一撃をかわしますか」

女剣士「はあぁっ!!」

ブンッ!!…ザシュウウゥゥゥゥ

魔剣士「……」

肩をかすめた女剣士の刀身。魔剣士はその傷をじっと見つめる。

ズズッ…ズズズ

女剣士「不死……。厄介なものだな」

ネクロマンサー「手加減はいりませんよ。殺さず仕上げなさい」

魔剣士「はい」

女剣士「キリがないな」

くの一「うああぁぁーっ!!」

ザシュッ!!…ズバッ!!

ウィッチ「痛いよ……やめて、くの一ちゃん……」

くの一「ああああぁぁぁぁ!!」
325 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:39:13.58 ID:HxIllMImo
ザシュウウゥゥゥゥ…カランッ

くの一「……う、うぅ……ううぅ……っ」

ガクッ

くの一「何で……死んでくれないんだよ……」

ウィッチ「くの一ちゃんも……なろ?」

ザッザッザ

ウィッチ「ねっ? 私と一緒……」

ザッザッザッ…ザッ

ウィッチ「死ぬでございますわ……!」

影忍「ちぃっ!」

ネクロマンサー「邪魔はさせませんよぉ!」

影忍「どけえぇ!!」

ネクロマンサー「クハハハハッ! もがき苦しむがいい!」

ズドオオォォォォン!!

ネクロマンサー「……?」
326 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:40:10.74 ID:HxIllMImo
タッタッタッタッタ

火の先生「大丈夫か!?」

水の先生「……ウィッチ」

ウィッチ「先生……邪魔……しないでしょぉ……」

水の先生「やはり……アンデッドに……」

ネクロマンサー「また増えましたか。やれやれ、面倒な事ですねぇ」

影忍「これで5対3。まだ続けるつもりか?」

ネクロマンサー「何を勘違いしているのです?」

影忍「……」

ネクロマンサー「我らは不死身。対してそちらは……貴方だけではないですか」

影忍「……」

ネクロマンサー「数で勝ったとて無意味。気付かないとでも?」

影忍(やはり詭弁で退くような相手ではないか)

ネクロマンサー「ククッ、今宵は手土産が多そうだ。楽しみですよ――」

ザンッ!!
327 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:40:47.58 ID:HxIllMImo
突如ネクロマンサーの左腕が斬り落とされた。

ネクロマンサー「……」

影忍「まだ増えてくれたか。これで……7対3だ」

ネクロマンサー「……貴様等」

ザッザッザッザッザ

眼鏡「依頼を受けて来てみれば、とんだ大物がいたものだね」

魔法剣士「あの男……っ、またか」

魔剣士「……」

眼鏡「ネクロマンサーがいるって事は、相手は元人間のアンデッドか」

魔法剣士「元……人間……」

眼鏡「先日交戦した2人とは違うみたいだけどね」

魔法剣士(あの娘もそうなのか……)

ウィッチ「……ふふっ」

影忍「……どうする、ネクロマンサー」

ネクロマンサー「これはなかなか、厄介になりましたね。クククッ」
328 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:49:00.27 ID:HxIllMImo
〜本国、国軍本部〜

青龍士官「……」

カツカツカツ

青龍士官「おう」

青年兵「……」

青龍士官と青年兵。2人はテラスで肩を並べ、夜空をぼんやりと見つめる。

青龍士官「決めたのか?」

青年兵「うん」

青龍士官「……いつだ?」

青年兵「3日後」

青龍士官「!? バカなっ、幾らなんでも早すぎる……」

青年兵「青龍先生がさ、早い方がいいって」

青龍士官「……」

青年兵「会いたい連中にはもう会ったから、早く片を付けたい……って」

青龍士官「……っ」
329 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 18:51:53.32 ID:HxIllMImo
カツカツカツ

青龍先生「そういう事じゃ」

青龍士官「先生っ!?」

青年兵「……」

青龍先生「長引けばそれだけ、こちらの作戦が不利になる」

青龍士官「……っ」

青龍先生「なぁに、何の心配もいらんよ……ひょっひょ」

青年兵「……先生」

青龍先生「何故、お主らがこの作戦に参加したか分かるか?」

青龍士官「……いえ」

青龍先生「儂が無理を言って、頼んだんじゃよ」

青年兵「……?」

青龍先生「天才や大軍師は辛すぎる故、参加させるつもりはなかったようじゃ」

青龍士官「……っ」

青龍先生「じゃがな、儂がどうしてもと頼み込んだのじゃ」
330 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/29(水) 19:03:01.54 ID:HxIllMImo
青年兵「何故……です?」

青龍先生「何でじゃと思う?」

青龍士官「……分かりません」

青龍先生「お主らに全てを伝授しようと思うてな」

青年兵「全て……ですか?」

青龍先生「まだ教えておらん召喚獣がおるじゃろ」

青龍士官「ま……さか……!?」

青龍先生「青龍最大の召喚獣……バハムート」

青年兵「!?」

青龍先生「最後に見て、しっかりと学ぶが良い」

青龍士官「……っ」

青龍先生「それに……」

青年兵「……?」

青龍先生「いや、何でもないわい。夜はまだ冷えるのぅ。先に失礼するわい」

青年兵「お、お休みなさい……っ」
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/29(水) 19:04:11.62 ID:HxIllMImo
ひとまずここまでにて!本日もご支援ありがとうでした!
それでは失礼致しますー!ノシ
332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/06/29(水) 19:29:55.39 ID:MlKQHi9AO
>>1乙!
根暗ェ…
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/06/29(水) 19:50:59.20 ID:MNMwX7GYo
今更だけど不死って炎が利くんじゃなかったっけ?
最初のほうでやってなかったっけか?
334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/06/29(水) 19:53:32.47 ID:yljmUS4DO

始まった早々、火花飛び散る戦闘
スーゲ、の一言だな!
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/29(水) 20:48:46.30 ID:sli5hxOAO
ウィッチちゃん……
ペロペロ!
336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 21:50:18.85 ID:/RKNywEwo
何語だよ
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/06/29(水) 22:15:19.40 ID:dGNSGmpAO
マジシャン来るかと思ったんだけど占い師とイチャラブ中かよ
338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 22:28:09.57 ID:EDfJu2HDO
>>1
マジシャンってさジュニア以外に子供いてもおかしくないよね。
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/29(水) 23:04:47.89 ID:S7RWyjr5o
ウィッチちゃん……
340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/06/30(木) 01:31:30.11 ID:YqA4BOPSO
いい感じだったのに…
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice/1297002187_17.html

悲劇に(;_;)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice/1298556181_18.html
341 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 16:56:17.05 ID:tGmviwnqo
〜海峡〜

眼鏡「行くよ」

魔法剣士「ああ」

ダッ!!

ツヴァイハンダーを構える魔剣士めがけ、2人の男が攻撃を仕掛ける。

魔法剣士の持つ2本の剣が、舞いのように目まぐるしく踊る。

剣士「……」

魔法剣士「はあぁーっ!」

ヒュババババ!!…チュインッ…キィン!!

眼鏡「あんな剣でよくもまぁ往なせるものだよ」

魔剣士の技量を感心しながらも、眼鏡は魔法剣士の助太刀に加わる。

合計で3本の剣が魔剣士を襲う。しかしながら直撃はない。

女剣士「……っ」

タンッ

女剣士「はあぁ!」
342 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 16:56:50.28 ID:tGmviwnqo
ネクロマンサー「これ以上はさせませんよ」

ヒュバッ!!…サクッ

ネクロマンサー「……?」

影忍「邪魔立てはさせぬ。貴様の相手は俺だ」

ネクロマンサー「小賢しい」

ババババババッ!!

魔剣士を囲む4つの刃。それらは空を切り裂き乾いた声を残す。

時に金属音が弾け、ツヴァイハンダーが盾のように3人の攻撃を防いでいた。

魔法剣士(これだけの攻撃を……)

女剣士(全て、防ぎきっているだと……!?)

魔剣士を取り囲む魔法剣士と女剣士は、対峙する男の力量を改めて認識した。

魔法剣士(だが、手を止めるわけにはいかん)

キュイイィィィィ

魔法剣士「魔法剣……4行!!」

ズガガガガッ!!…ガオンッ!!
343 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 16:57:36.86 ID:tGmviwnqo
魔法剣士「……」

魔剣士「……」

シュウウゥゥゥゥ

挟み込む2本の長剣を大検本で器用に防いだ魔剣士。

魔剣士「魔法剣……触れねば無意味」

女剣士「はあぁーっ!!」

眼鏡「……」

ザザッ…ビュオッ!!

魔剣士は態勢そのままに、まずは背後から斬りかかる女剣士を、

回し蹴りで弾き飛ばすと、右方より迫る眼鏡めがけツバイハンダーを捻り、

魔法剣士の身体を眼鏡の眼の前へと差し向ける。

眼鏡「ち……っ」

更には魔法剣士を大きく蹴り飛ばし、自身は後転しつつ間合いを離す。

バキィ…スタッ

魔剣士「……」
344 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 16:59:17.67 ID:tGmviwnqo
魔法剣士が受け身をとり再び駆け出す時、その先にいる眼鏡は

左手に赤黒い炎を携え既に魔剣士へと迫っていた。

眼鏡「……」

チリッ…ボボボボボボッ!!

眼鏡の放つ炎が魔剣士の周囲を取り囲む。

ゴウッ!!

魔法剣士「く……っ!」

女剣士「げほげほ……っ」

魔法剣士「何だこの炎は!? しかもこの勢い……これでは中に入れん」

壁のように立ち塞がる炎。魔法剣士と女剣士はその熱量にやや退き、

中に残る眼鏡を心配そうに見つめている。

ゴアァッ!!…ドウッ!!

魔法剣士「炎が更に……っ」

女剣士「す、少し離れた方がよさそうだ……ごほっ」

魔法剣士「あ、あぁ……っ」
345 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:00:15.87 ID:tGmviwnqo
ゴオオォォォォ

水の先生「何だ、あの炎は……!?」

火の先生「……人間のものではないな」

水の先生「するとあの大剣使いか……っ」

ウィッチ「先生、一緒に行こ?」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

水の先生「水壁!!」

ドドオオォォォォン!!…ザザアアァァァァ…

火の先生「しかしアンデッドなのに魔法も効かぬとはの」

水の先生「どうすれば……」

スタッ

影忍「あれは人形だ、どうにも出来ん」

水の先生「それでは、勝ち目がないではないか!」

影忍「ない。一先ず退かせる以外に方法はな」

火の先生「……」
346 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:01:05.87 ID:tGmviwnqo
ゴアッ…ボボボボオオォォ…

眼鏡「……」

魔剣士「……」

眼鏡「君も、可哀想な男だね」

魔剣士「……」

眼鏡「己の意思でもなく、魔族の手先にされてしまうなんてね」

魔剣士「……」

眼鏡「君の呪いは、魔剣と共に開放されるのかな? それとも……」

ザッザッザ…チャキッ

眼鏡「本体を滅ぼさぬ限り、永遠に彷徨い続けるのかな」

魔剣士「……」

眼鏡「……行くよ」

ザッ…ビュオッ!!

眼鏡は勢いよく地面を蹴り上げ、右手の長剣を炎の壁へと接触させる。

刀身は一瞬で赤黒い炎に包まれ、そのまま魔剣士へと振りかざされた。
347 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:01:50.86 ID:tGmviwnqo
ブオッ…ゴアアァァァァ

眼鏡「次っ」

剣を振りぬくと身体を反転させ、眼鏡は再び炎の中へと刀身を突き刺す。

再度、禍々しい炎を得た長剣は、魔剣士を下から一気に斬り上げる。

チリッ

眼鏡「……」

魔剣士「……」

眼鏡「どうした? 仕掛けてこないのか?」

魔剣士「……」

眼鏡「片鱗だけど、ようやく見えてきたよ。君達の正体」

魔剣士「貴様、魔族か」

眼鏡「だとしたら?」

魔剣士「……」

眼鏡「さぁ、どんどんいくよ」

三度、炎の中へと刃を突き刺す眼鏡。魔剣士はただじっと見つめていた。
348 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:03:07.01 ID:tGmviwnqo
ドザアアァァァァ

ウィッチ「……先生、邪魔しないでよぉ」

水の先生「……っ」

くの一「……お……うえっ」

目が回る。吐き気がする。血の気が引く。脂汗が止まらない。

だがそんな事よりも、胸を思いっきり締め付けるような痛みが、くの一を襲う。

影忍「その者を連れて退け」

火の先生「お前さんは!?」

影忍「こやつを野放しには出来ぬ」

ネクロマンサー「何を言うかと思えば」

フワッ

ネクロマンサー「勘違いしないように。殺そうと思えばいつでも殺せるのですよ?」

影忍「貴様こそ勘違いするなよ」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

ネクロマンサー「……?」
349 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:03:48.69 ID:tGmviwnqo
魔法剣士「魔法剣……四行!」

ネクロマンサーの胴体を分断する魔法剣士の一撃。

影忍「手数は再び上回ったのだぞ」

ネクロマンサー「……」

ズバッ!!…ザシュッ!!

魔法剣士「……ふーっ」

クルクルッ…スタッ…ガクン

魔法剣士「!?」

影忍「無理をするな、膝にきているぞ」

浮遊するネクロマンサーを数度斬りつけ、着地する魔法剣士。

バランスを崩した彼に、居並ぶ影忍が声を掛け手を貸す。

魔法剣士「……すまん」

影忍「……」

魔法剣士(やはり四行数発は肉体的に堪えるな……っ)

影忍「そろそろ幕引きとしようではないか」
350 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:05:07.12 ID:tGmviwnqo
ネクロマンサー「ほぉ、どういう意味です?」

影忍「退け、と申しているのだ」

ネクロマンサー「おやおや、先程まで意気込んでいた方とは思えませんね」

影忍「貴様はこの手で必ず殺す。だが、今宵はそうもいかんようだ」

ネクロマンサー「一方的ですねぇ」

影忍「貴様とて決定打はないのだろう?」

ネクロマンサー「……」

影忍「目的があるわけでもない。貴様の場合はな」

ネクロマンサー「ククッ、どうも見透かされてしまっているようですねぇ」

ズドオオォォォォン!!

ウィッチ「みんな、一緒に行くでございますのぉ」

水の先生「ウィッチ……やめるんだ!」

くの一「……っ」

ウィッチ「早く……行こうよぉ!」

女剣士「させるかっ!」
351 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:06:49.52 ID:tGmviwnqo
ザシュッ!!…スタッ

ウィッチ「……うぅ」

女剣士「……化物め」

ウィッチ「ひどい……ひどいよぉ!」

袈裟斬りに振り下ろされた女剣士の刀は、ウィッチの胴をバッサリと斬りつけた。

しかしぶら下がる左腕は再び元通りとなり、傷1つ付く事はない。

火の先生「キリがないな……」

影忍「そやつはいい。攻撃を集中する」

女剣士「……?」

影忍「狙いはネクロマンサー。ただ1人だ」

火の先生「しかし、あれとて不死身なのじゃろう?」

影忍「ああ、不死身だ」

水の先生「だったら……」

影忍「不死身だが、奴は魔力の消費を恐れている」

ネクロマンサー「……」
352 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:08:37.68 ID:tGmviwnqo
影忍「故に……」

ザッ…シュバッ!!

影忍「はあぁーっ!!」

ガインガイン!!…キィン!!

魔法剣士「続くぞ!」

女剣士「ああっ!」

火の先生「こっちは援護じゃ!」

水の先生「ええ……っ」

ズザッ…ブオォッ!!

女剣士「くらえっ!」

魔法剣士「……っ」

ガクガク…グッ

魔法剣士「いけるっ、やってみせる!」

ネクロマンサー「……ぬぅ」

影忍「貴様は自身を守るにあたり、過剰防衛なのさ」
353 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:10:15.66 ID:tGmviwnqo
ピクッ

魔剣士「……」

眼鏡「……隙ありっ」

ブオンッ!!…ズザザァ

眼鏡「!?」

魔剣士「……」

燃えさかる炎の中を悠然と歩いてゆく魔剣士。その姿に眼鏡は戸惑う。

眼鏡「馬鹿な……。触れるだけでば魔力を失う……」

ザッザッザ

眼鏡「それを大量に、ものともせずに……?」

音を立てて燃えながら炎の壁を突破する魔剣士。

その姿はあっけなく炎の中へと消えて行った。

眼鏡「……そうか!」

何故、そのような奇妙な行動を取ったのか、眼鏡はようやく理解する。

眼鏡「ネクロマンサーの加勢か……っ。させないよ!」
354 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:11:32.19 ID:tGmviwnqo
ザッザッザ…ヒュッ

魔法剣士「何っ!?」

魔剣士「……」

ブンッ!!

水の先生「ウィッチ!?」

タタッ…ドドオオォォォォン!!

着地するネクロマンサーの前へ、魔剣士とウィッチが立ち塞がる。

魔法剣士「なるほど、過剰防衛と言うのはこれか」

影忍「そうだ。遠隔でない限り、奴を守るよう作られている」

くの一「作られている……って……」

影忍「だからこそ、ネクロマンサー1人を狙えば良い」

くの一「作られるって……何だよぉ……!!」

ネクロマンサー「ククッ、そこまで気付くとは……やはり貴方は素晴らしい」

影忍「この地より消えろ。最早、用はないはずだ」

ネクロマンサー「……全く、困ったものですね」
355 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:13:27.89 ID:tGmviwnqo
ブワッ

ネクロマンサー「兵隊連中が消えて、少し探りを入れるつもりだったのですが」

女剣士「逃がすか!」

影忍「構うな!」

女剣士「……っ」

ネクロマンサー「でも、思った以上に楽しめました。良いゲームでしたよ」

水の先生「何を……言うかっ!」

ネクロマンサー「忠告しておきましょう」

影忍「……」

ネクロマンサー「先日からチョロチョロと北へ遊びに来ているようですが……」

スタッ…ザザッ

眼鏡「……」

ネクロマンサー「あまり、深入りしない方が身の為ですよ……ククッ」

眼鏡「どうするんだい? 追う?」

魔法剣士「……いや、放っておいて構わないそうだ」
356 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:15:22.25 ID:tGmviwnqo
眼鏡「分かった」

ネクロマンサー「ベルゼブブ様は大層、嘆いておられる」

女剣士「……」

ネクロマンサー「人間には餌場で静かに暮らしていて欲しい、と」

火の先生「ふざけるでないわいっ!!」

ネクロマンサー「アンラ・マンユを倒したそうですね」

魔法剣士「それがどうした」

ネクロマンサー「……いえ、まぁせいぜい……頑張って下さい。クククッ!」

フッ

水の先生「消え……た!?」

魔剣士「……」

ウィッチ「……」

フッ…フッ

影忍「……」

くの一「ウィ……ッチ……」
357 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:16:28.48 ID:tGmviwnqo
〜国軍本部〜

戦士「はあぁーっ!? 3日だぁ!?」

青年兵「はい。大丈夫ですか?」

召喚士「こっちは大丈夫だけど……短すぎない?」

青年兵「青龍先生たっての希望です」

盗賊「……」

召喚士「そういう事なら……」

魔道士「……」

青年兵「明日と明後日はご自由に過ごして下さい」

召喚士「……?」

青年兵「準備などは全て軍で済ませます」

戦士「3日後に合流すりゃいいって事か」

青年兵「はい。皆さんは遺跡にお詳しいようなので、前衛をお願いしたいと……」

盗賊「……喜んで務めよう」

青年兵「ありがとうございます。それでは、失礼致します」
358 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 17:19:30.40 ID:tGmviwnqo
カツカツカツ…

召喚士「……」

戦士「随分と冷静だったな」

召喚士「うん。でも、心中はかなり複雑だろうね……」

魔道士「それはそうですよ……っ」

召喚士「ところで、玄武娘さんと朱雀嬢さんは?」

戦士「先にホテルへ戻ったぜ。玄武娘が滅入っちまっててな」

召喚士「そっか……」

魔道士「……っ」

戦士「お前も滅入るなよ? これで終わりじゃねぇんだからよ」

魔道士「分かってます……分かってますけど……」

召喚士「無理はしないで下さいね。辛ければ今回は――」

魔道士「いえ、参加はします。それが課せられたものだと思ってますから……」

盗賊「魔道士の言う通りだ。頑張ろう、青龍先生の為にも」

魔道士「……はい」
359 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 18:30:27.69 ID:tGmviwnqo
〜海峡、砦内〜

テクテクテク

影忍「どうだ?」

女剣士「先程、寝たとろこだ」

水野先生「ウィッチと顔見知りであたそうですね」

影忍「ああ。以前は共に戦っていたようだ」

火の先生「それで錯乱しておったのか……。辛かったろうに」

水の先生「私とて動揺しました」

火の先生「うむ。まさか元教え子があのような事になぁ」

水の先生「彼女は本国高官の娘でもあります。これはなかなかに……」

火の先生「それは追々になるじゃろ。まぁ……学園長経由で報告はするが」

影忍「もう1人の男は……?」

魔法剣士「念の為、周囲を警戒している……と」

影忍「……そうか」

魔法剣士「……」
360 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 18:30:57.56 ID:tGmviwnqo
〜海峡、外部〜

眼鏡「……」

ザッザッザ

眼鏡「流石にあの中には入れないよね、ふふっ」

タッタッタ

犬「ワンワン!」

眼鏡「異常なしか。ご苦労さん」

犬「ワン!」

眼鏡「あの森かい? あれはいいよ。僕には無理だ」

犬「クゥーン」

眼鏡「バフォメットを倒すには限られた人材が必要」

ザッ

眼鏡「人さえ見つかれば、あとは容易いさ」

犬「ワン!」
361 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 18:32:02.63 ID:tGmviwnqo
眼鏡「そうだね。少し休んでおこうか」

〜海峡、砦内〜

火の先生「それで、あれは一体なんなのだ?」

影忍「結論から言えばアンデッド。ネクロマンサーの作り上げた物だ」

女剣士「……」

影忍「しかし通常のアンデッドとは違い、魔法耐性を持ち、日光にも物怖じしない」

魔法剣士「……」

影忍「そして、本人の記憶はあれど、自我はない」

水の先生「まるで……人形のようだな」

影忍「その表現が一番正しいのだろうな」

魔法剣士「どうやって倒せばいい?」

影忍「本体を倒す以外に方法はない」

女剣士「本体……?」

影忍「……ネクロマンサーの人形には2種類ある」

火の先生「どういう事じゃ?」

影忍「1つは人間の死体自身を利用するもの」
362 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 18:33:12.22 ID:tGmviwnqo
水の先生「……」

影忍「それ自体を利用する事で、結界石や五行を封じる役目がある」

火の先生「成程な。確かに人間相手には通じんわな」

影忍「しかし、利点ばかりではない」

女剣士「どんな不都合が?」

影忍「死んだ人間が意識を持つ事など、当然ない」

火の先生「当たり前じゃ。死んでおるのだからな」

影忍「そこで奴は別の魂を生成し、それを死体に入れるのだ」

魔法剣士「何……!?」

影忍「つまり中身は完全な別物。器だけの存在というわけだ」

水の先生「酷い事を……」

影忍「但し、肉体がそのままという事は、技量も変わらぬ」

魔法剣士「魔法は効かなくとも、力さえ上回れば……」

影忍「倒せない事もない。まぁ相手は不死、完全に死ぬ事はないけれどな」

女剣士「……」
363 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 18:33:42.79 ID:tGmviwnqo
影忍「奴の持つ人形では別の2体を確認している」

魔法剣士「……あの2人か!?」

火の先生「知っておるのか?」

魔法剣士「先日、北で剣を交えたばかりだ」

影忍「手っ取り早い方法は特殊攻撃で封じてしまう事だな」

水の先生「特殊……なるほど、石化といった類か」

影忍「そしてもう1つの種類。これが厄介なのだ」

女剣士「先程の連中か」

影忍「あれは死体そのものを使用せず、本体を元に複製を作り上げる」

火の先生「何ぃ!? コピーという事か……っ」

影忍「当然見た目は同様でも肉体は別物。力など幾らでも調整出来る」

水の先生「……っ」

影忍「そして極めつけは、何度でも作る事が出来るという事だ」

女剣士「馬鹿なっ!! そんな話があってたまるか!!」

影忍「現実にあるのだ」
364 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 18:35:21.52 ID:tGmviwnqo
火の先生「もしや、同じものを何体も……?」

影忍「それは出来ない。消滅するまでは生成出来ない」

水の先生「そんな事が出来るなんて……」

影忍「奴は『賢者の石』などと呼んでいた」

火の先生「賢者の……石!?」

水の先生「……古に伝わるエリクサーというものか……っ」

影忍「方法までは存ぜぬが、奴は各所にあるラボでそれを行っている」

魔法剣士「しかし、五行が効かないというのはどういう……」

影忍「……ここまでの話は以前のネクロマンサーの話」

女剣士「……?」

影忍「今回のタイプは信じられん事に、その2種類を融合させたものだ」

魔法剣士「――っ!?」

火の先生「馬鹿なっ!? 不死身で五行も効かぬ挙句……複製まで……」

影忍「本体を倒さぬ限り、完全なる不死身という事だ」

水の先生「それで、肝心の本体というのは……」
365 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/06/30(木) 18:40:03.41 ID:tGmviwnqo
影忍「……魔王城」

女剣士「……え?」

影忍「最北に位置する、ベルゼブブの魔王城内にある」

ダンッ!!

火の先生「手も足も出ぬではないかっ!!」

水の先生「魔王城? かつて数千年と人間が踏み込んだ事のないと言われる?」

ググッ

水の先生「不可能だ……そんな事っ。救いもないとは」

影忍「救いはある」

女剣士「!?」

影忍「幸い、ネクロマンサーの狙いは人間の抹殺ではない」

魔法剣士「確かに、奴は何か……戦いを楽しんでいる節がある」

影忍「真の目的は分からんが、無益な戦闘は行わない。それが唯一の救いだ」

火の先生「結局は、傍観しろという事じゃろ……くそっ」

水の先生「ウィッチ……。出来る事なら何とかしてやりたいが……」
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/06/30(木) 18:42:59.96 ID:tGmviwnqo
それではここまでにて帰ります!
ご支援ありがとうございました!ノシ
367 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/06/30(木) 19:34:05.59 ID:2lKGYKFzo
乙!
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 00:31:04.92 ID:0ktwlIXOo
>>1乙!
水野先生と一緒に拳を叩きつけたくなる状況だな
369 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 00:44:52.26 ID:ySYwEJpzo
1乙
海峡の砦って結界石の橋とかあって、眼鏡さんには鬼門なんだっけ
せっかく活躍したのにみんなと一緒に砦に入れないとか、なんかかわいそう
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/01(金) 04:25:25.65 ID:wuoLLY0c0
いちおつ
ドッペルはどうなっちゃったんだろ?
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 08:27:16.00 ID:atZ1rDRIO
いちおつ!
眼鏡がかっこいいなあwwwwww

>>370
不死身って言ってたからまだ生きてるんじゃね?
372 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:08:39.36 ID:QgPRf5l6o


影忍「では、くの一を頼む」

魔法剣士「あんたはどうするんだ?」

影忍「ネクロマンサーを追う。これ以上好きにはさせん」

魔法剣士「……」

水の先生「打開策でもあるのか?」

影忍「先程言った通りだ」

火の先生「では……魔王城へ?」

影忍「……いや、それは無理に近しいだろうな」

女剣士「……」

影忍「とにかく奴の動きを追い、動きを制限するつもりだ」

魔法剣士「分かった。それで……彼女が起きたらどうすればいい?」

影忍「故郷で待つ、と伝えてくれ」

女剣士「故郷……東方か?」

影忍「ああ、頼んだぞ」
373 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 18:09:29.55 ID:n+Kzft5DO
>>1
眼鏡は結界石があるから皆と一緒にいれないだけでぼっちな訳ではないからな!!!!
374 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:10:41.60 ID:QgPRf5l6o
シュバッ

火の先生「消え……た!?」

女剣士「奴は忍だ。それぐらい容易い」

魔法剣士「知っているのか?」

女剣士「同じ東方の出、素性はともかく技量程度は分かるさ」

水の先生「とりあえず、何とか凌いだ……か」

火の先生「凌いだと言えるかどうか分からんがな」

魔法剣士「いいさ。被害は最小限に食い止めた。それでいいさ」

女剣士「……彼女を見てくる」

魔法剣士「頼む」

火の先生「ワシらは砦内の巡回をしてくるか」

水の先生「そうしましょう」

テクテクテク

魔法剣士「眼鏡……遅いな。見てくるか」

スクッ…テクテクテク
375 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:13:22.92 ID:QgPRf5l6o
〜海峡、外部〜

スタッ

影忍「……?」

眼鏡「やぁ」

影忍「……」

眼鏡「君、不思議な生き物だね」

影忍「どういう意味だ?」

眼鏡「アンデッドのように見受けるけど」

影忍「……俺は人形さ。但し……操る糸を断ち切ったがな」

眼鏡「ネクロマンサーのマリオネットか」

影忍「色々あったお陰で、自我や肉体も取り戻せたがな」

眼鏡「そういえば、結界石も通過出来るようだね」

影忍「ああ。五行も結界石も効かぬ完全体だ」

眼鏡「へぇ、便利な体だね」

影忍「……1つ聞きたい」
376 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:13:58.24 ID:QgPRf5l6o
眼鏡「……?」

影忍「お前は、魔族なのか?」

眼鏡「……僕は鍵さ」

影忍「鍵?」

眼鏡「来るべき日に門を開ける為の鍵。それだけさ」

影忍「……そうか」

眼鏡「君の本体、魔王城にあるんだろう?」

影忍「ああ」

眼鏡「また、会えるといいね」

影忍「……そうだな」

シュバッ

眼鏡「人間も魔物も……大変だ。ははっ」

テクテクテク

魔法剣士「ここにいたのか。異常は?」

眼鏡「もう大丈夫みたいだ。さぁ、北へ戻ろうか」
377 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:14:57.13 ID:QgPRf5l6o
〜???〜

ネクロマンサー「……」

ヒュッ

ネクロマンサー「アンラ・マンユの次は北か東あたりと思いましたが……」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「どうやら違うようですねぇ。これは困りました」

ウィッチ「……」

ネクロマンサー「まさかとは思いますが、いや……有り得ない」

ヒュオッ…フワッ

ネクロマンサー「まぁいい。彼からの連絡をまつとしましょうか」

魔剣士「……はい」

ネクロマンサー「行き先変更。魔王城へ戻りますよ」

ウィッチ「はい」

ネクロマンサー「パズズ様がやられるような事があれば、その時は……」

不気味な笑うネクロマンサーらは、静かに闇の中へと消えて行った。
378 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:21:45.89 ID:QgPRf5l6o
〜次の日、本国〜

戦士「……」

ジーサンには悪いが、正直ホッとしちまったのは確かだ。

戦士「……」

こんな折れた刀じゃ話にならんし、ましてや……。

ガシッ…グイッ

左腕は順調に回復してる。寝る前にやった500回の腕立ても翌朝には影響なし。

戦士「……」

でも、盾は扱えず、戟も今しばらくは右手1本で振り回す事になろうだろうな。

テクテクテク

盗賊「……おはよ」

戦士「……おう」

盗賊「横、座ってもいい?」

戦士「ああ」

そう言うと戦士は、腰に巻いたおいたマントを自らの横へ広げて置く。
379 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:23:01.98 ID:QgPRf5l6o
盗賊「……ありがと」

戦士「おう」

盗賊「……」

戦士「……」

盗賊「雷切、折れちゃったね」

戦士「ああ。流石は魔王ってとこか」

盗賊「うん……」

戦士「まぁ完璧な武具なんてないさ。仕方ない」

盗賊「直りそう?」

戦士「一応おやっさんに聞いてみたけど、難しそうだなぁ」

盗賊「……そっか」

戦士「直せるなら、専門家に打ち直して貰う必要があるわな」

盗賊「専門家……鍛冶屋じゃなくて?」

戦士「東方によ、刀匠っていただろ? 刀専門の作り手だよ」

盗賊「それなら……」
380 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:24:15.75 ID:QgPRf5l6o
戦士「ああ。東方に行って、腕のいい刀匠を探すしかない」

盗賊「……」

戦士「前に一度、刀匠にあったよな?」

盗賊「……うん」

戦士「でもあの人は死んじまった。他にいればいいんだが……」

盗賊「それしか方法はないの?」

戦士「あとはおやっさんでも出来る方法があるらしいんだが……」

盗賊「……?」

戦士「条件がハンパない。雷切と同等かそれ以上の刀が必要になる」

盗賊「つまり?」

戦士「それを母体に、残りを移植して1本にするんだとさ」

盗賊「……」

戦士「ドワーフの爺さんがとてつもない腕前の鍛冶屋だからなぁ」

盗賊「並大抵の刀では駄目……か」

戦士「そういう事」
381 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:25:07.08 ID:QgPRf5l6o
盗賊「……とにかく、頑張ってみよう。出来る限りの手伝いはするからっ」

戦士「ああ、サンキュ」

盗賊「……うん」

戦士「さて、と。もう稽古は終わったのか?」

盗賊「うん」

戦士「それじゃホテルに戻るとすっか。そろそろ朝メシだろ」

盗賊「そうだね……」

スクッ

盗賊「……私、頑張るから」

戦士「バーカ。俺だって片手で戟くらい扱えるっつーの」

盗賊「……うん」

戦士「騎都尉から譲り受けた戟……。そういや偽者も頑張ってっかなぁ」

盗賊「……うん、きっと頑張ってる」

戦士「俺達も負けてらんねーな! さて、行くぞ!」

盗賊「あ、うんっ!」
382 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:27:07.69 ID:QgPRf5l6o
〜ホテル〜

玄武娘「お腹空いたですのー!」

朱雀嬢「……」

召喚士「げ、元気になったみたいで良かったですね……」

魔道士「え、ええ」

朱雀嬢「全く。昨日のあれは何だったのかしら?」

玄武娘「だってぇ〜昨日の昼から何も食べてないですのー!」

朱雀嬢「自分のせいですわっ!」

玄武娘「もう大丈夫ですの! 悲しんでたら青龍先生も報われませんの!」

朱雀嬢「まだ生きてますわよっ! 失礼ね!」

召喚士「は、はは……あ、戦士と盗賊さんが戻ってきましたよ!」

戦士「お待たせ。んじゃメシにしようか」

玄武娘「はいですの〜くふふーっ!」

盗賊「……?」

魔道士「と、とりあえず万事オッケーですね……えへへ」
383 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:28:26.71 ID:QgPRf5l6o
〜国軍本部、司令室〜

コンコン…カチャッ

秘書官「大軍師様、お見えです」

天才「おーう」

カツカツカツ

大軍師「なんだか久々のような気がします」

天才「そうか? まぁ確かに……元副司令葬ったとき以来か」

大軍師「視察の件ですが、まずは南方という事で宜しいでしょうか?」

天才「はいはい、宜しいですよ」

大軍師「畏まりました。それでは本日夜間より出発し、明朝、南方入りとします」

天才「おーう」

大軍師「……それでは、失礼致します」

カツカツカツ…パタン

秘書官「ご苦労様です」

大軍師「司令、お疲れのようですね」
384 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:30:05.69 ID:QgPRf5l6o
秘書官「……ええ。連日の軍務で、少々お疲れのようです」

大軍師「支えてあげて下さい。ここに居るうちは……ね」

秘書官「そのつもりです」

カツカツカツ

青年兵「あっ、おはようございます」

大軍師「おはようございます。作戦は明後日だそうで」

青年兵「ええ。明日の午前中までに支度を整えます」

大軍師「後ほど、緊急時の資料をお渡しします。目を通しておいて下さい」

青年兵「ありがとうございます。それでは」

カツカツカツ

秘書官「青年兵様、副司令になられたそうですね」

大軍師「ええ。彼は正直で真っ直ぐで、いい指揮官ですよ」

秘書官「……ええ」

大軍師「では、失礼」

秘書官「あ、はいっ」
385 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:31:02.14 ID:QgPRf5l6o
〜司令室〜

コンコン…カチャッ

青年兵「失礼致します」

天才「おう。日程は決まったみたいだな」

青年兵「はい。承認を……」

天才「承認? お前、副司令なんだから承認の権限あんだろ」

青年兵「あ……っ」

天才「全くよ、頼むぜ……ハーッハッハ!」

青年兵「失礼致しました……っ」

天才「分かってると思うが、青龍のジジイはこれで死ぬ」

青年兵「……はい」

天才「次世代を担うのはお前らだ。しっかりと技術と意思を継げ」

青年兵「今回の件に推薦して頂き、本当にありがたく思います」

天才「残り2日。存分にジジイ孝行してやれよ」

青年兵「……はっ。心得ております」
386 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:33:41.49 ID:QgPRf5l6o
〜本国、大通り〜

戦士「食った食った〜」

玄武娘「食った食った〜ですのー!」

魔道士「このあとはどうします?」

召喚士「本当は青龍先生と過ごしたかったんですが……」

魔道士「都合がつきませんでしたか……?」

召喚士「今日は打ち合わせと、夜は召喚隊のみんなと過ごすそうで」

朱雀嬢「残念ですわね」

玄武娘「どこ行くですのー?」

盗賊「……どうしよう」

魔道士「それじゃあ久々に、本国を離れてみましょっか!」

召喚士「どこへ行くんです?」

魔道士「バーテンさんの所に行きましょうーっ!」

戦士「おぉ、そうだな。火山の時の件もあるしな」

召喚士「それじゃ、そうしましょうか」
387 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:35:00.74 ID:QgPRf5l6o
〜港〜

玄武娘「おぉーっ、船で行くんですの?」

盗賊「……陸路でもいいけど、早いからな」

朱雀嬢「そういえば、本国より北へ行くのは初めてですわね」

魔道士「そうなの?」

朱雀嬢「あ、ワーカーになってからは……って事ですわ」

戦士「そういや朱雀嬢って家族とか大丈夫なのか?」

朱雀嬢「へっ!?」

戦士「いや、玄武娘は一人身だからあれだろうけどうよ」

朱雀嬢「……別に……大丈夫ですわ」

召喚士「……」

朱雀嬢「そんな事より早く船の手配をしないと、出てしまいますわよっ」

魔道士「あっ、大変!」

召喚士「それじゃ手配してきます!」

魔道士「私も行きますっ!」
388 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:36:16.39 ID:QgPRf5l6o
ボーッ…ボーッ

船員「出航致します。甲板にお出でのお客様は十分にお気をつけ下さいませ」

玄武娘「うーみーはひろいーな〜ですのー!」

魔道士「玄武娘ちゃん……歌上手いんだね」

玄武娘「そうですの!? うへへぇ〜嬉しいですの!」

朱雀嬢「あんまりそうは見えないのに……不思議なものですわ」

玄武娘「失礼しちゃうですの!」

盗賊「ふふっ」

玄武娘「それじゃ、みんなで合掌するですの!」

朱雀嬢「嫌ですわよ」

玄武娘「朱雀嬢ちゃんだって上手いですの!」

朱雀嬢「そうじゃありませんわよっ! いい年して恥ずかしいって言ってるのよ!」

玄武娘「恥ずかしい!? は、恥ずかしい事なんですの……?」

魔道士「そ、そうですよ〜。歌なんて人それぞれ! ねっ、ねっ?」

盗賊「……あーあー。んんっ、あ〜あ〜」
389 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:37:04.83 ID:QgPRf5l6o


召喚士「戦士、左腕の調子はどう?」

戦士「あー割かしいいぜ。数日中には治るだろ」

召喚士「そっか、良かった」

戦士「しばらくは戟で戦わんといかんし、意地でも治すさ」

召喚士「……ごめん」

戦士「召喚士のせいじゃないって言ったろ? お前のレイピアこそ……」

召喚士「いや、レイピアはいいんだ」

戦士「……?」

召喚士「せっかく鍛冶屋さんに頂いた武器だけど、使う頻度も減るだろうから」

戦士「そうなのか?」

召喚士「召喚術の使い方が大きく変わってるからね。指揮する頻度が……ね」

戦士「確かに言われてみればそうだなぁ」

召喚士「やっぱり一番大きいのは、直接乗るって事かな」

戦士「確かに。前はそんな事なかったよな」
390 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:38:05.77 ID:QgPRf5l6o
召喚士「うん」

戦士「それに、無言での瞬時召喚とか」

召喚士「そうそう。レイピアで指揮するロスタイムがないからね」

戦士「だよな。一瞬の油断がなんちゃらって話だ」

召喚士「やっぱり、召喚獣と心を通わせるのって大切だよ」

戦士「……だな」

召喚士「青年兵くんのお陰で、国軍も変わりつつあるしね」

戦士「だな。新しい時代の到来って感じか!」

召喚士「ははっ、それは魔王討伐がおわってからじゃない?」

戦士「それもそっか……はははっ!」

召喚士「あははっ!」

船員「間もなく、大陸港の町に入港致します。お降りの方は〜」

戦士「おっと、もうすぐ到着か。降りる準備しておくか」

召喚士「うんっ。俺はみんなを呼んでくれるよ」

戦士「おう!」
391 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:38:35.23 ID:QgPRf5l6o
〜国軍本部、会議室〜

青年兵「青龍先生?」

青龍先生「ん〜? 聞いとるよ」

青年兵「それでは、青龍士官のプラン通りで宜しいですね?」

青龍先生「うむ。任せるよ」

青龍士官「……」

青龍先生「最早、召喚隊はお主らの管轄じゃ。好きにするが良い」

青龍士官「そうは言っても、未だに青龍先生の名は……」

青龍先生「欲しけりゃくれてやるわい。ひょっひょ」

白虎長「先生、あんまり戯れないで下さい」

青龍先生「すまぬすまぬ。ひょっひょっひょ!」

青年兵「では青龍士官、君のプランで進めてくれ」

青龍士官「了解した。……それでは早速、失礼します」

カツカツカツ

青年兵「私も、午後の準備を進めてきます」
392 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/01(金) 18:39:19.53 ID:QgPRf5l6o
カツカツカツ…パタン

青龍先生「……」

白虎長「先生も、ご満悦なんじゃないですか?」

青龍先生「んー?」

白虎長「あんな頼もしい後継者が……しかも2人も」

青龍先生「そうじゃのぉ。嬉しい誤算じゃよ」

白虎長「本当に、託して……」

青龍先生「これでも長く生き過ぎた。お主もこのぐらい頑張れよ?」

白虎長「……出来る限りは」

青龍先生「少なくとも後継者が……いや、結婚するまではの。ひょっひょ」

白虎長「……余計なお世話です……っ」

青龍先生「儂がもっと若ければ、娶ってやったんじゃがのぅ」

白虎長「最近はデートのお誘いもセクハラもなくて寂しい限りですよ」

青龍先生「言ってくれるわ! ひょっひょっひょ!」

白虎長「……っ」
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/01(金) 18:40:16.85 ID:QgPRf5l6o
そいではここまでにて!
本日もご支援ありがとうございます!
では失礼致します!ノシ
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/01(金) 18:42:18.76 ID:QQ/AMPwDO
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/01(金) 18:59:18.08 ID:6oVgHtuDO
クリトリ乙
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 19:11:03.56 ID:atZ1rDRIO
眼鏡さん……
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/01(金) 20:00:24.47 ID:OVZj4Lq5o
1おつ
眼鏡さんの好感度の高さは異常ww
魔法剣士って眼鏡が魔物ってもう知ってるのかな?
前に三途の川でうまいことごまかされてたけど

めがね「アクマでも あいして くれる?」
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/01(金) 20:11:18.25 ID:UliQE2X4o
眼鏡えええええええええええええええええええええええええええええ
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/07/02(土) 03:41:40.93 ID:v6JpvihAO
おつつ
400 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/02(土) 11:57:14.47 ID:scIcmymZo
>>397
ククリなつかしいなwwww

1おつ!
皆で合掌だと・・・青龍先生(´;ω;`)ブワッ
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/07/02(土) 12:43:54.82 ID:Hp29sJono
>>397
魔法剣士「ヒーホー」
402 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/02(土) 13:37:16.83 ID:6y7u3vdRo
>>401
魔法剣士はジャックフロストか!
かわいすぎるじゃないかwwww
でも、もともとクール君だし妥当なのかな
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/07/03(日) 20:25:24.50 ID:Iks4NX7AO
(´・ω・`)
404 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/03(日) 21:20:27.14 ID:b5FEIZn4o
〜大陸港の町〜

魔道士「着きました〜!」

玄武娘「着きましたですのー!」

朱雀嬢「へぇ、なかなかのどかで、素敵なところですわね」

盗賊「おーい、行くぞ」

魔道士「あっ、は〜い!」

テクテクテクテク

戦士「そんじゃ早速、バーテンさんのとこに行くか」

召喚士「先に行ってて。ワークショップで金の手配してくる」

戦士「おーう。あ、俺も包帯買っておくか」

盗賊「巻き直す?」

戦士「んーそうだなぁ」

盗賊「それじゃ一緒に……行くよ」

召喚士「魔道士さんは2人と一緒に、バーテンさんの所へ行ってて下さい」

魔道士「分かりました」
405 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/03(日) 21:30:27.33 ID:b5FEIZn4o
テクテクテク

魔道士「それじゃ行こっか!」

玄武娘「はいですの!」

朱雀嬢「どんな所なのかしら?」

魔道士「んーとね、お酒飲むところなんだけど、ご飯も食べられて〜」

玄武娘「ご飯!? 素敵ですのっ!!」

朱雀嬢「はいはい、そうですわね」

テクテクテクテク

魔道士「あっ、ほら……見えてきたよ〜」

玄武娘「おぉ!」

朱雀嬢「ほんと、なかなかオシャレな構えですわね」

魔道士「上はね、ホテルなんだよ。その一画にあるんだ〜」

玄武娘「早速行くですの! ご飯ご飯!」

朱雀嬢「ご飯はまだですのっ!」

魔道士「あはははっ!」
406 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/03(日) 21:30:53.83 ID:b5FEIZn4o
カチャッ…チリチリンン

魔道士「こんにちは〜」

バーテン「!?」

朱雀嬢「お邪魔しますわ」

魔道士「……あれ? ジュニアさんいいらして――」

バーテンと向かい合いカウンターで酒を嗜む見覚えのある後姿。

スッ…カタン

魔道士「……」

クルッ…カツカツカツ

魔道士「あ……あ……っ」

――「魔道士ちゃん、元気そうだね。ハッハ!」

バーテン「……ったく、こんな早く来るとはなぁ」

魔道士「――っ!!」

タッタッタ…ギュウゥ!!

魔道士「マジシャンさぁん!!」
407 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/03(日) 21:31:32.57 ID:b5FEIZn4o
マジシャン「ハッハ! どうしたどうした?」

魔道士「どうしたじゃないですよぉ! ひっくひっく……!」

マジシャン「いやぁ、悪い悪い……ハッハ」

魔道士「うぐ……っ、本当に……良か……」

マジシャン「まぁ、俺自身も生きようと思っての事じゃなかったからな」

玄武娘「……何ですの?」

朱雀嬢「さ、さぁ……」

カチャッ…チリチリン

戦士「ういーっす」

マジシャン「……おう」

盗賊「――!?」

戦士「オ……オッサン!?」

マジシャン「元気そうだな。何よりだ」

盗賊「なな……なんで……っ」

魔道士「マジシャンさん……生きてたんですよぉ!!」
408 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/03(日) 21:32:16.65 ID:b5FEIZn4o
戦士「でも……何で」

マジシャン「いや、それが全くの偶然なんだよなぁ」

盗賊「……偶然?」

戦士「いやいやいや! 詳しい話は召喚士が来てからにしようぜ!」

魔道士「あっ、そうですよ! きっと驚きますよ〜!」

マジシャン「あー召喚士はな……」

戦士「どんな反応するか楽しみだな!」

魔道士「私なんて号泣しちゃいましたもん……」

マジシャン「だ、だからアイツはだな……」

カチャッ…チリチリン

魔道士「帰ってきた!!」

マジシャン「おう」

召喚士「あれ? マジシャンさんいたんですか?」

魔道士「え……っ?」

戦士「……は?」
409 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/03(日) 21:32:44.08 ID:b5FEIZn4o


召喚士「……ごめんなさい」

魔道士「いや、まぁ……そういう事情であれば仕方ないですけど……」

戦士「何も俺らにまで秘密にする事ねーじゃんかよ」

召喚士「だって……」

マジシャン「すまんな。俺としてもまだ隠しておいて貰いたかったんでな」

盗賊「……」

召喚士「俺だっていち早く伝えたかったんだよ、本当に!」

戦士「分かってるって。悔しいからちょっと冷やかしただけだ」

召喚士「も〜っ!」

朱雀嬢「あのー」

魔道士「あぁっ! 放置しちゃってごめん……っ!」

朱雀嬢「いや、別に構いませんけど……」

バーテン「とりあえずよ、全員に分かるよう説明してやれよ」

魔道士自社b「ああ、そうだな」
410 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/03(日) 21:33:44.09 ID:b5FEIZn4o


盗賊「……っ」

戦士「なるほど、そういう事だったのか」

召喚士「うん。俺も無我夢中だったからうろ覚えだったんだけど……」

バーテン「いやいや、まさに執念が生んだったやつだな。見事だ」

魔道士「ほんと良かったですよぉ……ぐすっ」

戦士「それで、戦線には復帰すんのか……?」

マジシャン「そのつもりではいる。だが……」

盗賊「……まだ、万全ではないと?」

マジシャン「ああ。肉体もだが魔力が全く戻ってねぇからな」

魔道士「……っ」

戦士「まぁ、俺が言うのも何だが、焦る事はないっすよ」

召喚士「うん……」

マジシャン「だな。せっかく生き返って即、お陀仏じゃお前らにも申し訳ねぇや」

魔道士「……」
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/07/03(日) 22:39:30.82 ID:Iks4NX7AO
魔道士自社a
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/07/03(日) 22:44:12.65 ID:Yn08vArCo
召喚士「も〜っ!」
可愛い
413 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/03(日) 22:49:11.08 ID:P4vobJeho
戦士相手のときに出る子供モードだな
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/03(日) 23:55:51.52 ID:Lr9Zi3CAO
>>1おつ
415 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県) [sage]:2011/07/04(月) 02:36:18.24 ID:YaxbP+9Eo
盗賊がなんか甲斐甲斐しくなってきてるな
キュンキュンする
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 04:49:49.66 ID:QD3rbPPDO
>>1
いろいろ身震いしたけど自社でふいた
どうやって変換間違えたんだあれw
417 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/04(月) 05:47:12.03 ID:v2NpoE6v0
いちおつ
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) :2011/07/04(月) 06:59:19.86 ID:X/FTQXvAO
マジシャンって打とうとして

ま→魔道士
じしゃ→自社
ん→aに打ち間違い
を一瞬で妄想した

誤字るのは1乙のチャームポイント(キリッ

419 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 07:54:57.40 ID:UOMtw9HDO
>>418

1乙「も〜っ!」
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/04(月) 09:38:06.94 ID:5u4bnPxIO
ウィッチちゃーん
帰っておいで?
421 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 09:50:38.97 ID:oXLMiskjo
ウンダッタ
ウンダッタ
422 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:28:04.76 ID:sUZs4Bl6o
カチャッ…チリンチリーン

占い師「マジシャンー、そろそろ……あらっ!?」

戦士「おっ、久し振り!」

占い師「……はぁ。だからあんまりうろうろするなって言ったのに」

マジシャン「コイツらはいいだろ、別によ。なっ?」

召喚士「ま、まぁ……」

魔道士「占い師さん、どうしたんですか?」

占い師「えっ? あぁ、えーっと……今、マジシャンの面倒見てるのよ」

魔道士「そうなんですか!?」

マジシャン「そうそう。世話になっちゃってるのよ、ハッハ!」

召喚士「占い師さんはどうですか?」

占い師「ん、調子? そうね……かなりいいかな」

盗賊「……へぇ」

占い師「ま、お互いにリハビリ中ってカンジかしらね。ふふっ」

マジシャン「全くだな、ハッハ!」
423 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:28:36.10 ID:sUZs4Bl6o


マジシャン「いっただっきまーす!」

占い師「んーっ、美味しい!」

魔道士「本当ですか!? 良かった〜えへへ!」

玄武娘「おかわりですの!」

朱雀嬢「早っ!!」

盗賊「……負けられぬ」

戦士「いいから負けておけ」

召喚士「……明後日、パズズ討伐作戦があります」

バーテン「ほぉ、パズズか」

召喚士「占い師さん」

占い師「……青龍先生の事?」

召喚士「……ええ」

占い師「1つだけあるわ」

召喚士「!?」
424 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:30:03.84 ID:sUZs4Bl6o
占い師「その代わり、誰かが死ぬ事に変わりはないけれどね」

召喚士「……っ」

占い師「もう1つ言っておくと、青龍先生はどのみち近いうちに……亡くなるわ」

魔道士「えぇ……っ!?」

占い師「知ってると思うけど、先生は高齢の挙句、患ってる」

盗賊「……ああ」

占い師「そして魔力で延命を続けているような現状。もう長くはないの」

玄武娘「……」

占い師「だから先生はね、自ら花道を作って、幕を引こうという考えなのよ」

マジシャン「そんな境遇を邪魔や口出し出来るか?」

戦士「……出来ねぇし、そんな立場じゃねぇわな」

占い師「まさにその通りよ。結局、始まりは青龍先生なんだから」

召喚士「始まり……」

マジシャン「50年以上前にパズズ封印を成し遂げた……まさに伝説さ」

バーテン「五ヵ年計画の土台に費やした50年間……だな」
425 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:30:58.62 ID:sUZs4Bl6o


召喚士「すみません。すっかり長話になってしまって」

マジシャン「いやいや、お前らに会えて元気を貰ったよ」

戦士「さーて、そろそろ本国へ戻るとするか」

玄武娘「もう帰っちゃうんですの?」

戦士「明後日には任務があるから下準備もしないとな」

盗賊「……うん」

戦士「それに、明日は青龍先生と過ごすんだろ?」

朱雀嬢「……ですわね」

魔道士「そうですよ! バーテンさん!」

バーテン「ん?」

魔道士「青龍先生に絶品のお酒を贈ろうと思ってまして……」

バーテン「絶品か……」

テクテクテク…ゴソゴソ

バーテン「……おっ、コイツなんかいいんじゃないか?」
426 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:32:15.89 ID:sUZs4Bl6o
ゴトッ

召喚士「これ……は?」

バーテン「55年もののワインだ」

占い師「55年って……まさか!?」

バーテン「そう。その名も『伝説』。記念に発売された1本だよ」

召喚士「そうか……パズズを倒した伝説の記念に……」

バーテン「飲んだ事は勿論あるだろうが、55年モノは流石にないだろ」

戦士「いいかもしれないな」

魔道士「でもこれ、高いんじゃないですか?」

バーテン「いや、流石に時が経ちすぎて味もそこまで良くはないだろう」

盗賊「……」

バーテン「コレクション的な1品だが、先生へ餞別に持ってけ」

召喚士「いいんですか!?」

バーテン「ああ。俺からも手向けとして贈らせて貰うよ」

魔道士「ありがとうございます〜っ!」
427 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:38:28.67 ID:sUZs4Bl6o


召喚士「それじゃ、失礼します」

バーテン「おう。またな」

テクテクテク

マジシャン「……」

ガタッ

マジシャン「なぁ、俺もついてくわ」

占い師「マジシャン……?」

マジシャン「青龍のジジイの最後だろ? 見届けてぇんだ」

召喚士「……いいんですか?」

マジシャン「目立つ格好してなきゃ大丈夫だろ。ハッハ!」

戦士「どうする?」

召喚士「どうするって言っても、俺らにそんな権利はないし……」

魔道士「せっかくだからみんなで行きましょうよ!」

召喚士「……ええ。そうしましょう」
428 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:42:10.24 ID:sUZs4Bl6o


玄武娘「それじゃ、さようならですの!」

朱雀嬢「お邪魔致しましたわ。素敵なお料理ありがとうですわ」

バーテン「ああ、頑張れよ若いの」

マジシャン「んじゃな」

テクテクテク…パタン

占い師「船までまだ時間ある?」

召喚士「えぇと、はい。あると思いますけど」

占い師「マジシャンの薬とか取って来てもいいかしら?」

マジシャン「2、3日だろ? んなの大丈夫だっての」

魔道士「それは駄目ですよ! ちゃんと療養しないと……」

召喚士「あ、それじゃついでに師匠の家に行ってきます」

占い師「私は医者の所だから……2時間もあれば戻るわ」

召喚士「はい。それじゃ2時間後に港で」

テクテクテクテク
429 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:43:12.44 ID:sUZs4Bl6o
魔道士「私も行きましょうか?」

召喚士「あ、大丈夫です。すぐ戻りますので」

戦士「んじゃ、その辺で待ってるわ」

召喚士「うん。……行けっ、コカトリス!」

シュイイィィン…バサァ

召喚士「それじゃ、行ってきます」

ドシュウウゥゥゥゥ!!

盗賊「……何しに行ったのだ?」

戦士「師匠酒だろ」

盗賊「……あぁ、なるほどな」

朱雀嬢「私は折角だから、町中を散策して来ますわ」

玄武娘「私も行くですのー!」

魔道士「じゃあ私も。マジシャンさんは?」

マジシャン「……そうだね、俺も邪魔しちゃ悪いし一緒に行くとすっか。ハッハ」

魔道士「……?」
430 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:44:01.13 ID:sUZs4Bl6o
スタスタスタスタ…

戦士「……変な気、遣いやがって」

盗賊「……」

戦士「あれ、そういやオッサンとジュニアって面識ないんだっけか?」

盗賊「……確か」

戦士「親子の初対面もあるかもしれないな」

盗賊「でも、どうなんだろ」

戦士「ん?」

盗賊「会いたくない……って、思ったりしてないかな?」

戦士「会いたくない親子なんていんのかよ」

盗賊「戦士も?」

戦士「……前言撤回」

盗賊「ふふっ、照れるな照れるな」

戦士「お前なぁ……」

盗賊「悪かったって。ふふっ」
431 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:44:41.94 ID:sUZs4Bl6o
〜本国、国軍本部〜

カツカツカツ…コツ

青年兵「司令」

天才「おーう」

青年兵「珍しいですね、資料室へいらっしゃるなんて」

天才「ん〜そうかぁ?」

資料室を訪れた青年兵は棚の前に立ち資料を読み耽る天才に声を掛ける。

そして天才は振り向きもせず返答すると、そのまま言葉を続けた。

天才「別にお前らが知らんだけで、結構色々やってんだぞ?」

青年兵「あっ、それは失礼致しました……っ」

天才「ハーッハッハ、構わん。んで、どうした?」

青年兵「パズズ討伐作戦の草案が出来ました」

天才「おう。あとで目を通しておく」

青年兵「それと……もう1つ」

天才「……内通者か?」
432 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:45:44.73 ID:sUZs4Bl6o
青年兵「……流石ですね。その通りです」

天才「パズズが終わったら動く。総指揮はお前の予定だ」

青年兵「ありがとうございま――」

天才「但し、実働部隊は俺が執り仕切る。いいな」

青年兵「司令が……ですか!?」

天才「なんか文句あっかよ?」

青年兵「い、いえっ! 文句はないですけど……わざわざ前線に……」

天才「敵はある意味厄介だぞ」

青年兵「ええ、かなりの実力……」

天才「ちげぇよ。相手は完全な生身の人間だ。魔物じゃねぇ」

青年兵「……っ」

天才「お前らじゃ斬るにはまだ早すぎる。俺様が引き受ける」

青年兵「し、しかし……っ」

天才「じゃあお前は人を斬れんのか?」

青年兵「……やります」
433 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:47:10.90 ID:sUZs4Bl6o
天才「……ふー。やっぱ駄目だな」

青年兵「!?」

天才「お前は、自分がいながら東方司令部を襲われ……」

パタン…カツカツツカツ

天才「目の前で守るべき者を失った。その仇を討ちたい……そうだろ?」

青年兵「……」

天才「私怨で人を斬るようじゃ、荷が重いって言ってんだよ」

青年兵「……っ」

天才「そりゃ内心ムカついてるだろうが、その為に斬るんじゃねぇ」

青年兵「では、一体どうすれば……」

天才「どーもしねぇよ。ただ人を斬るだけだ」

青年兵「……?」

天才「理由なんざねぇんだよ。人間が人間を斬るって事に代わりはねぇ」

青年兵「……」

天才「どんな理由であれ、人を斬っちまったら魔物と一緒だ」
434 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:48:40.60 ID:sUZs4Bl6o
青年兵「司令……っ」

天才「その責をお前は生涯、背負って生きていく覚悟があるのかって事だ」

青年兵「……」

天才「俺様は今まで、何百何千と殺してきた」

青年兵「――!?」

天才「勿論、直接手を下した奴らもいるが、司令としての話だ」

青年兵「……なるほど」

天才「軍の、国の作戦として、それだけの命を預かって葬ってきた」

青年兵「……」

天才「確かに、人を斬る事で強くなる奴もいる。だがお前は違う」

青年兵「……」

天才「お前はこの先、国軍と本国を見据えていかにゃならん使命がある」

青年兵「……」

天才「1人の命よりも、大局を以ってその重さを量るがいい。以上!」

青年兵「はっ!」
435 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:50:52.63 ID:sUZs4Bl6o
天才「ま、あんまり固くならずお前の好きなようにやれ。ハーッハッハ!」

カツカツカツ…

青年兵「あっ、司令!」

天才「んー?」

青年兵「その、内通者の事で1つご相談が……」

天才「相談? 何だ?」

青年兵「……失礼します」

ゴニョゴニョゴニョ

天才「……あーまぁ、そうだろうな」

青年兵「やはり……そうですか」

天才「消去法でいくとそれしか浮かばねぇんだよ」

青年兵「……どうします?」

天才「それだけじゃ証拠としては薄い。何か決めてがあれば面白くなるんだがなぁ」

青年兵「……あたってみます」

天才「頼んだぜ。無理する必要はねぇぞ」
436 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:52:17.96 ID:sUZs4Bl6o
青年兵「了解です」

カツカツカツ…

青年兵「……やっぱりそうか」

資料室長「……あのぉ」

青年兵「うわぁ! あ……すみません」

資料室長「片付けても、宜しいですか?」

青年兵「あ、えぇ! すみません」

資料室長「司令も閲覧は構わないんですが、せめて片付けてくれるとね……はは」

青年兵「そ、そうですね……」

ゴソッ

青年兵「ん……?」

資料室長「あぁ。これは、かつて起きた召喚士戦争の時の資料です」

青年兵「召喚士……あぁ、クーデターがあったとかいう……」

資料室長「ええ。国軍もワーカーも、かなりの召喚士を失ったようです」

青年兵「……すみません、ちょっと読ませて下さい」
437 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:53:56.31 ID:sUZs4Bl6o
〜師匠の家〜

バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「よ……っと」

テクテクテク

召喚士「まずは師匠の墓を少し手入れしておくか」

ゴソッ…ザッザッ

召喚士「この時期は雑草が凄いな……」

バシャッ…ザッザッ

召喚士「……よし、これでオッケー」

コカトリス「……」

召喚士「なんかさ、師匠の墓だけひんやりしてるよね」

コカトリス「風通しが良いのだろうな」

召喚士「うん。ちょうど木の間を抜けて、風の通り道になってるからね」

コカトリス「それに、埋葬の際に冷凍したのだろう?」

召喚士「えっ? そうなの!?」
438 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:54:45.76 ID:sUZs4Bl6o
コカトリス「……いや、私は知らんぞ。だがそういった類の冷気を感じるが」

召喚士「埋葬はマジシャンさんに任せてたからなぁ……」

コカトリス「あ奴が気を遣ってくれたのであろう」

召喚士「そっかぁ。火葬じゃないから、後々が大変だもんね……」

コカトリス「それよりもいいのか? 早く戻るのだろう?」

召喚士「そうだった! ちょっと行ってくる!」

タッタッタ

コカトリス「やれやれ……」

しばらくすると召喚士が荷物を抱え、コカトリスの元へ戻ってきた。

召喚士「お待たせ、それじゃ帰ろっか」

コカトリス「うむ」

バシュッ…バサアァ

召喚士「青龍先生、喜んでくれるかな?」

コカトリス「きっと喜んでくれるさ。皆の気持ちがこもっているのだからな」

召喚士「……そうだよね!」
439 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:55:51.25 ID:sUZs4Bl6o
〜本国、国軍本部〜

大軍師「……」

国軍兵「失礼致します! 郵便物をお持ち致しました」

大軍師「ご苦労様」

バサバサッ

大軍師「凄い量ですね……」

国軍兵「はっ! ご不在の際にも溜まっておりましたので!」

大軍師「それは失礼。では、確かに受け取りましたよ」

国軍兵「はっ、失礼致しました!」

クルッ…カツカツカツ

大軍師「幕僚だけでこの数ですと、全体では途方もない事になりそうですねぇ」

カツカツカツ

衛兵「お手伝い致します」

大軍師「これは助かります。各方面に仕分けて貰えますか?」

衛兵「はっ!」
440 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:58:05.71 ID:sUZs4Bl6o


大軍師「これで……最後と」

衛兵「北と南の分はどうしますか?」

大軍師「兵卒のものとまとめて、送って下さい」

衛兵「はっ」

カツカツカツ

大軍師「これが司令宛て。こっちは青年兵……ん?」

パサッ

大軍師「青年兵殿の故郷からか。珍しい」

ゴソッ

大軍師「えぇと、私の分は……結構ありますね……」

カサッ

大軍師「……まぁ、なんともユニークな方からお手紙が来ていますねぇ」

ピリッ…カサカサッ

大軍師「……成程、これは興味深いですねぇ。ふっふっふ」
441 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 17:59:07.51 ID:sUZs4Bl6o
〜大陸港の町〜

占い師「お待たせ〜」

テクテクテク

魔道士「それじゃ行きましょうか!」

召喚士「船の手配は出来てますので、まっすぐ本国へ行きましょう」

占い師「……何、その格好は?」

マジシャン「顔がバレたらマズイだろ」

占い師「だからって口元隠してサングラスなんて……ただのヘンタイじゃない」

マジシャン「……あのな、俺だってしたくてしてるわけじゃ――」

戦士「ほれ、とにかく行くぞー」

マジシャン「……っ」

朱雀嬢「玄武娘、行きますわよー」

玄武娘「はいですのー!」

マジシャン「それじゃ出〜発!!」

魔道士「おーっ!!」
442 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 18:00:29.40 ID:sUZs4Bl6o
ザザーン

召喚士「……」

テクテクテク

マジシャン「んー。やっぱり海はいいわなぁ」

召喚士「……ええ」

マジシャン「どうしたよ、そんな神妙な顔してよ」

召喚士「いや、何だか思い出しちゃって……」

マジシャン「……?」

召喚士「初めてマジシャンさんと会ったのって、この船ですよね」

マジシャン「あぁーそういやそうだな! あの時は大陸港行きだったけどな」

召喚士「ええ。まだ俺らも駆け出しの頃で……」

マジシャン「そうそう! クラーケンに手こずってたっけか! ハッハ!」

召喚士「……っ」

マジシャン「おいおいっ! 何泣いてんだよ!?」

召喚士「す、すみませ……そんなつもりじゃ……」
443 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/04(月) 18:01:41.50 ID:sUZs4Bl6o
フキフキッ

召喚士「何だか色々考えてたら涙が……は、ははっ」

マジシャン「ったく。俺が泣かしてるみてぇじゃねーか……」

召喚士「……すみません」

マジシャン「あれから5年。お前らは本当によく頑張ってるよ」

召喚士「そんな事ないですよ」

マジシャン「いやいや。まさかここまで成長するとは、正直思ってなかったよ」

召喚士「マジシャンさんのお陰ですよ」

マジシャン「ハッハ。よせよ、そんな大層な事もしてねーって」

召喚士「マジシャンさんと出会って、戦って、本当に勉強させて貰いました」

マジシャン「……次世代を育てるのも仕事。今度はお前らの番になるぞ?」

召喚士「まぁ、生きていればですけどね」

マジシャン「ハッハ! 死なせやしねーよ」

召喚士「ははっ」

船は間もなく、本国へと入港した。
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/04(月) 18:31:46.11 ID:sUZs4Bl6o
ひとまずここまでにて失礼致します!
ご支援ありがとうございました!

魔道士自社bは>>418さんご想像の通りです…
まで魔道士変換、ジシャンのNを踏み外してb…ごめんなさい

予断ですけどやっと機種変したので更新頻度増やせるかも…
それではでは!!ノシノシ
445 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/04(月) 18:33:51.47 ID:QD3rbPPDO
>>1
もうすぐで裏切り者登場か
機種何にしたか教えてくれ
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/04(月) 20:38:41.08 ID:+F0S1Ydo0
>>1乙!ノシ
今の戦士と盗賊を見ると、俺とあの鬼嫁の馴れ初めを見てるようで、辛い…(´;ω;`)
447 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/04(月) 20:38:40.80 ID:+F0S1Ydo0
>>1乙!ノシ
今の戦士と盗賊を見ると、俺とあの鬼嫁の馴れ初めを見てるようで、辛い…(´;ω;`)
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/04(月) 23:25:12.68 ID:X/FTQXvAO
大事な(ry

盗賊→鬼嫁とか
なにそれこわい
449 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/04(月) 23:29:13.52 ID:0PaX7fzAO
>>1

今頃クラーケンはあの世で師匠達にゲソカレーをご馳走しているのだろうか…
戦士達と自社bも再開果たせて良かった良かった
450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/05(火) 00:51:46.08 ID:Z0THxMRAO
>>1おつ

片腕で初老の大魔道士とか中二心くすぐるキャラすぎるぞマジシャン
451 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 01:48:00.38 ID:Q7rSIpZqo
1おつ
そういえば魔法って手から出るんだっけ
まだ義肢つけてないなら、口からビーム出すのかな
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 03:00:14.26 ID:HcovjZp7o
1乙
ただし魔法はケツからでる
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 04:33:29.08 ID:3lpSPRjDO
>>1

>>452
グルグル乙
454 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 08:35:57.25 ID:2YB2v2h4o
このスレには濃厚なグルグルファンが潜んでいる

>>1乙!
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 10:00:24.49 ID:IjdaicyIO
召喚士は長い声の猫を召喚した
456 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:49:48.35 ID:oNJx2m+zo
〜本国、港〜

ボーッ…ボーッ

マジシャン「本国も久々だな」

召喚士「見た目は変わってないですけど、本国もだいぶ変わりましたよ」

マジシャン「ほぉ、そうなのか」

召喚士「ええ。電話が開通して遠方との連絡が瞬時に取れるようになりました」

占い師「ついに出来たのね」

召喚士「まだ全部ではないみたいですけど……」

戦士「あとは左翼が潰れた事で、色んなものが変わったな」

召喚士「うん。病院や新聞社なんかもね」

マジシャン「いい事だ。中が固まらないと敵にも遅れを取るからな」

魔道士「あっ!!」

盗賊「……?」

魔道士「電話と言えば……ジュニアさんは!?」

マジシャン「……!?」
457 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:51:06.45 ID:oNJx2m+zo
戦士「そうそう。オッサンの息子だろ? ジュニアってよ」

マジシャン「……」

戦士「せっかくなんだし、顔を合わせてけよ」

マジシャン「本国に……いんのか?」

盗賊「……多分」

召喚士「そういえば、会議以降見てないですね」

朱雀嬢「ですわね……」

魔道士「それじゃジュニアさんを探しに行きましょうか」

マジシャン「……あーいいよ」

魔道士「え……?」

マジシャン「無理に会う必要はねぇさ。そのうち嫌でも会うだろ」

召喚士「いいんですか?」

マジシャン「目的はジジイとの面会だ。終わってからでいい」

戦士「……」

召喚士「じゃあ……そうしましょうか」
458 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:51:55.41 ID:oNJx2m+zo


戦士「とりあえず今日は夜も遅いし、明朝訪ねるとすっかね」

召喚士「うん。そうしよう」

戦士「それじゃホテルの部屋を取って、晩メシだな!」

玄武娘「待ってましたですの!」

ガラガラガラッ…パッカパッカパッカ

盗賊「……ん?」

魔道士「国軍の馬車ですね。夜なのに忙しそう……」

ガラガラガラッ…ガガアアァァ

朱雀嬢「止まりましたわよ?」

ガチャッ…カツカツカツ

天才「……何してんだこんな所で?」

魔道士「天才さん!?」

大軍師「こんばんは。おや……?」

占い師「……どうも」
459 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:52:58.74 ID:oNJx2m+zo
天才「何でお前がいるんだ? それに……」

ザッザッザ

マジシャン「……よぅ」

天才「治ったのか?」

マジシャン「まぁ、動ける程度にはな」

天才「……」

マジシャン「青龍のジジイが死ぬんだろ? 最後の挨拶にな」

天才「律儀な奴だな。どうせすぐに会うハメになんだろ」

マジシャン「……あのなぁ」

天才「ハーッハッハ! ま、いい心がけだ」

占い師「司令はどちらへ?」

天才「パズズ戦には参加しねぇからな。南の視察だ」

占い師「それはご苦労様です」

大軍師「パズズはお任せ致しますよ?」

召喚士「……はい」
460 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:54:50.49 ID:oNJx2m+zo
天才「そんじゃ、またな。素性だけはバレんなよ!」

カツカツカツ

天才「……あーそうだ、ところで」

マジシャン「……?」

天才「魔力はどの程度だ?」

マジシャン「1割がいいところだな。五行放出でほとんど失った」

占い師「……っ」

マジシャン「それに肉体がもたん。返して貰わん限りは厳しいだろうな」

天才「嫌でも返る。だが時期は4体目以降だな」

マジシャン「あぁ。半分叩けば開放しても影響力は低いだろ」

天才「ま、気長にリハビビって待っててくれや」

マジシャン「おい待て、その前には連絡しろよ!?」

天才「あん?」

マジシャン「俺はいいが、あっちは……」

天才「てめぇ……まさか……っ!!」
461 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:55:47.44 ID:oNJx2m+zo
戦士「何の話だ?」

盗賊「……さぁ」

天才「ハーッハッハ! 抜け目ない野郎だな!」

マジシャン「もしかしたらって事もあるだろうってな。ハッハ!」

大軍師「司令、そろそろお時間が……」

天才「おー悪い悪い。連絡はする。お前こそしくじるなよ?」

マジシャン「分かってるよ」

カツカツカツ…

召喚士「マジシャンさん、今の話……」

マジシャン「気にすんな。個人的な問題だよ……俺らのな」

召喚士「……っ」

マジシャン「ほれほれっ、早くメシにしようぜ! 腹減っちまったよ!」

玄武娘「そうですの! もうペッコペコですのー」

マジシャン「悪かった悪かった! そんじゃ俺のオゴリで食いに行くぞ!」

玄武娘「やったですのー!!」
462 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:56:52.14 ID:oNJx2m+zo
〜レストラン〜

玄武娘「すいません、これとあれとそれと……これも3つ追加ですの!」

店員「はい、畏まりました」

マジシャン「……」

戦士「後悔してるだろ」

マジシャン「……べ、別に〜」

召喚士「いいですよマジシャンさん。ここは俺らに払わせて下さい」

マジシャン「ハッハ! こう見えても任務で稼いだ貯蓄がだな……」

占い師「ないわよ」

マジシャン「えっ?」

占い師「あなたが亡くなったと思って、バーテンさんが全部ツケ代に……」

マジシャン「はぁーっ!?」

戦士「ツケ代で消えるとか……どんだけだよ」

召喚士「ていうか、バーテンさんもよく生活出来てましたね……」

魔道士「あ、あはは……っ」
463 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:57:53.00 ID:oNJx2m+zo


玄武娘「食ったですのー!」

朱雀嬢「あの、お代は私達が……」

召喚士「いですよ、気にしないで」

朱雀嬢「でも……」

戦士「心配すんなって。俺らだって意外と稼いでんだから」

マジシャン「ところでどんくらい稼いでんだ?」

戦士「何だよ、金の話はやめようぜ」

マジシャン「気になるじゃねーか」

占い師「ちょっと、もう……っ」

召喚士「えっと……ごにょごにょ」

マジシャン「い……っ!?」

玄武娘「ほえ?」

マジシャン「4人で……か?」

召喚士「はい。ですから1人当たりは割る事の4ですね」
464 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:58:51.19 ID:oNJx2m+zo
マジシャン「……」

占い師「マジシャン?」

マジシャン「再来の全盛期並に稼いでるぞコイツら」

盗賊「……そうなのか?」

占い師「再来の全盛期ってそんなに稼ぎ良かったの?」

マジシャン「デカイ仕事なら1発で家が建つレベルだ」

朱雀嬢「――!?」

召喚士「い、いや……幾ら何でもそんなには貰ってないですよ!」

マジシャン「ワーカーは仲介料やら税金やらもあるってのに……」

戦士「別にいいじゃんかよ」

マジシャン「そうういやランキングは?」

召喚士「国軍付だからよく分からないですね」

戦士「でも上にいるのって、天才と眼鏡とジュニアと魔法剣士くらいじゃねぇか?」

魔道士「女賢者さんもいますよ」

マジシャン「……立派になったモンだよ全く。ハッハ!」
465 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 17:59:34.15 ID:oNJx2m+zo


占い師「それじゃご馳走様。ほんとごめんね」

召喚士「気にしないで下さい。快気祝いという事で」

マジシャン「快気してねーけどな。ハッハ!」

占い師「えばる所じゃないでしょ!」

朱雀嬢「ホテルへは行かれませんの?」

占い師「私は本国に自分の家があるから」

マジシャン「俺はコイツんちに泊まらせて貰うよ」

朱雀嬢「……おぉ」

占い師「広ければみんなも招きたいんだけど、ごめんなさいね」

戦士「気にしないでくれ。2人の邪魔すんのも悪いしな」

占い師「もうっ!」

戦士「はははっ!」

召喚士「それじゃまた明日!」

魔道士「おやすみなさーい!」
466 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:00:23.37 ID:oNJx2m+zo
テクテクテクテク

朱雀嬢「さ、私達も戻って寝ると致しますわ」

玄武娘「はいですの」

魔道士「今日も一緒にお風呂だよー!」

玄武娘「はいですの!」

朱雀嬢「流石にもう慣れましたわ」

盗賊「順応力高いな……」

テクテクテクテク

召喚士「それじゃ明日は7時にロビーで」

魔道士「はぁい!」

朱雀嬢「お休みなさいですわ」

玄武娘「ですの!」

盗賊「です」

戦士「おう、おやすみ」

召喚士「お休みなさい!」
467 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:01:17.32 ID:oNJx2m+zo
〜男部屋〜

戦士「お疲れさん」

召喚士「お疲れ様」

ゴクゴクッ

戦士「……っはぁ! うめぇ!」

召喚士「気温も高くなってきたし、美味しいね」

戦士「……」

召喚士「どしたの?」

戦士「ちょっとだけ飲んでいいかな師匠酒」

召喚士「駄目だよっ! 明日青龍先生と会う時までお楽しみ……」

戦士ちぇっ」

召喚士「もう……」

戦士「じゃあ深酒しないように、これを最後でして寝るかー」

召喚士「そうだね。そうしよっか」

戦士「おうっ!」
468 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:01:56.63 ID:oNJx2m+zo
〜次の日〜

魔道士「おはようございます〜」

戦士「おはよーさん」

盗賊「あれ?」

戦士「包帯か?もう大丈夫だろ」

盗賊「……」

戦士「心配すんなって。ほれ」

グルグルグル

戦士「なっ?」

盗賊「……うん」

召喚士「朱雀嬢さんと玄武娘さんは?」

魔道士「もうじき来ると思いますけど……」

テクテクテク

朱雀嬢「お待たせ致しましたわ」

玄武娘「おはよう……ございますですの……」
469 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:03:05.78 ID:oNJx2m+zo


占い師「おっはよー」

魔道士「おはようございますー!」

召喚士「このまま真っ直ぐ国軍本部へ向かいますけどいいですか?」

マジシャン「ああ、構わんぜ」

戦士「もうすぐ8時か、時間的にもちょうど良さそうだな」

盗賊「……ああ」

占い師「私も久し振りだわ」

魔道士「そういえばそうですよねっ。お休み中ですか?」

占い師「うん。休職させて貰ってるの。そろそろ復職しようかしら」

戦士「まぁ無理せずにな」

占い師「ふふっ、ありがと」

テクテクテクテク…

玄武娘「見えてきたですの!」

魔道士「到着〜!」
470 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:04:00.67 ID:oNJx2m+zo
〜国軍本部〜

テクテクテク

受付「――っ!?」

占い師「久し振りね。元気?」

受付「占い師様っ!!」

占い師「青龍先生は?」

受付「あっ、はい! えぇと……講堂にいらっしゃいますよ!」

占い師「ありがとっ。それじゃ行きましょうか」

カツカツ…テクテクテク…

マジシャン「本部も、随分と静かになったなぁ」

召喚士「今は前線へ出兵してますからね」

マジシャン「あぁ、そういう事か」

召喚士「天才さんは人手不足だって嘆いてましたよ」

マジシャン「何十年も計画してきて今更人手不足なんてあるかってっつーの」

召喚士「それもそうですよね……ははっ」
471 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:04:57.03 ID:oNJx2m+zo
〜講堂〜

テクテク…カチャッ…ギイイィィィィ

召喚士「おはようございます」

青龍先生「……? おぉ、朱雀先生か」

占い師「青龍先生……っ」

青龍先生「占い師ちゃんも来てくれたのか。ひょっひょ!」

マジシャン「おうジーサン、調子はどうだい?」

青龍先生「誰じゃ?」

マジシャンおっと、すまん」

シュルルッ…パサッ

青龍先生「お……お主は……っ!!」

マジシャン「久し振りだな……ハッハ!」

青龍先生「……誰じゃっけか?」

マジシャン「そういう古典的なヤツはもういいよ」

青龍先生「冗談じゃよ、ひょっひょ!」
472 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:06:08.36 ID:oNJx2m+zo


マジシャン「んで、死ぬんだって?」

青龍先生「お主、もう帰っても良いぞ」

占い師「ちょっとマジシャン!」

マジシャン「事実だろ。んで、いいんだな?」

青龍先生「……」

魔道士「……っ」

召喚士「……」

青龍先生「うむ。もう決めた事じゃ。どのみち長くはないしのぉ」

マジシャン「ハッハ、そうかい。それならいい」

青龍先生「あおの世はどんな所じゃった?」

マジシャン「先立ったみんなが待ってるぜ、ハッハ!」

青龍先生「そうかそうか、それは何よりじゃ……ひょっひょ!」

マジシャン「おーし、そんじゃまだ昼前だが……飲むぞぉ〜!」

青龍先生「おぉ、良いのぅ! ここは飲食禁止じゃ。外へ行こうかの」
473 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:06:35.77 ID:oNJx2m+zo
〜国軍本部、裏庭〜

テクテクテク

青龍先生「ここいらで良いじゃろ」

戦士「先生にはまずコイツだ」

青龍先生「ひょっ?」

魔道士「55年もののワイン、その名も『伝説』 です!」

青龍先生「……っ!!」

召喚士「パズズを倒した記念に作られたワイン……ですよね?」

青龍先生「よくもまぁ、こんな年代モノを……」

戦士「バーテンさんからの贈り物だ。さ、開けてくれ」

青龍先生「バーテン……あ奴か。どれ……」

キュッキュッ…ポンッ

青龍先生「……匂いもいまいち落ちとるのぅ」

マジシャン「誰かさんと一緒だな、ハッハ!」

青龍先生「全くじゃのぉ……ひょっひょ」
474 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:07:29.78 ID:oNJx2m+zo


召喚士「それでは、乾杯〜」

チィン

戦士「……んおっ!?」

マジシャン「……っ!?」

青龍先生「ほぉ……!」

召喚士「これ、普通に美味しいですよ!?」

占い師「本当。長時間寝かせておいてコクが出たと言うか……」

魔道士「美味しさが中にぎゅっと詰まったような感じですね!」

マジシャン「熟成された濃厚な味わいか。一癖あって唸らせるような感じもあるな」

戦士「ああ。これはこれで味がある、いいワインだな」

マジシャン「ハッハ! やっぱり誰かさんみてぇじゃねぇか」

青龍先生「……」

召喚士「ええ。本当にいいワインですよ」

魔道士「……はいっ、えへへ!」
475 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:08:07.88 ID:oNJx2m+zo


盗賊「……」

玄武娘「んーワインはよく分からないですの」

朱雀嬢「味わってないからですわ」

盗賊「……」

玄武娘「……んーやっぱり分からないですの」

朱雀嬢「もっと少しずつ飲んで、口の中で香りを楽しむ――」

玄武娘「モゴモゴ……ぶふぅ!」

朱雀嬢「ちょっと! 汚いですわねぇ……」

玄武娘「げほっ、ごっ、ごめんなさい……ですの」

盗賊「……」

朱雀嬢「そういえば、盗賊さんは飲まれないのかしら?」

盗賊「飲まれません」

朱雀嬢「美味しいですわよ、折角なら飲まれたら――」

盗賊「飲まれません! 飲めません!」
476 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:08:56.84 ID:oNJx2m+zo


戦士「じゃーん! お次はコイツだ!」

マジシャン「うおぉ!! 待ってました師匠酒!!」

青龍先生「ほぉ」

召喚士「これは師匠が造った酒です」

青龍先生「先代の朱雀がか……」

召喚士「まぁ実際は鉱山北にある山奥の名産みたいなんですが」

マジシャン「オリジナルじゃねぇのかよ!?」

魔道士「そうらしいです」

マジシャン「つーか、よく調べたな」

召喚士「まぁ、偶然ですけどね」

マジシャン「しっかしアイツも……至る所に旅してたんだなぁ」

戦士「一緒に行ったんじゃないのか?」

マジシャン「いんや。俺らの場合任務以外は割と単独行動だったからなぁ」

魔道士「へぇ〜っ! 聞きたい聞きたーい!」
477 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:10:12.70 ID:oNJx2m+zo
マジシャン「俺の話はいいよ。せっかくだからジジイの思い出話でも聞こうぜ」

召喚士「そうですよね……」

青龍先生「儂か? 特に話すような事はないぞ」

戦士「そんな事はないだろ。昔話とかさ」

青龍先生「昔話のぉ……」

魔道士「あっ、じゃあ……青龍先生はどうして召喚士になろうと思ったんですか?」

召喚士「いい質問ですね」

青龍先生「そうじゃの。最初はなる気なんぞ、これっぽっちもなかったがの」

魔道士「そうなんですか!?」

青龍先生「うむ。儂はな、幼い頃から大工になりたくてのぉ」

召喚士「大工……ですか?」

青龍先生「うむ。子供の頃に家を建てている大工を見ての。それが印象深くてな」

盗賊「……」

青龍先生「手際よく毎日毎日少しずつ、そしてあっと言う間に家を作り上げる」

戦士「あーでも分かるかも。大工って凄いよなぁ」
478 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/05(火) 18:11:20.35 ID:oNJx2m+zo
青龍先生「憧れたもんじゃよ。ひょっひょ」

魔道士「でも、どうして召喚士に……?」

青龍先生「小さい頃から玄武とは幼馴染でのぉ」

魔道士「玄武……って、玄武先生ですか!?」

青龍先生「そうじゃ。あやつは昔っから召喚士になるのが夢でなぁ」

召喚士「それで、青龍先生も一緒に?」

青龍先生「あれ1人じゃ心配じゃったし、どうしてもとせがまれてな。ひょっひょ」

魔道士「そうだったんですね〜」

青龍先生「それで2人で、魔道学校の門を叩いての」

戦士「なるほどな」

青龍先生「まぁまさか、召喚士になんぞなれるとは思っておらんかったがの」

召喚士「そうなんですか!?」

青龍先生「うむ。成績とて平々凡々、そんなレベルでもなかったわい」

朱雀嬢「初耳ですわね……っ」

青龍先生「じゃが、儂と違って玄武はとにかく努力家でなぁ。助けられたわい」
479 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/05(火) 18:16:09.98 ID:oNJx2m+zo
ビックリするぐらい話が進みませんでした…すいません
それでは失礼致します!ご支援ありがとう!ノシ

あ、グルグル好きですよ!内容うろ覚えですけど…
キャラに個性があっていいですよねぇ〜
480 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/05(火) 18:21:27.67 ID:4ZHkveW8o
>>1
こういった戦闘の合間の出来事をしっかり書いてくれるからこそより感情移入できるんだと思うんだ
ということで焦らずじっくり書いていったら良いと思うんだ
481 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/05(火) 19:12:07.52 ID:dw/2W4b20
1乙
やべぇ泣けてきた
482 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/07/05(火) 19:25:30.37 ID:/CnpG8es0
リハビビの>>1

最終話以外すばらしいねグルグルは
483 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/05(火) 21:03:40.35 ID:cbvPK7kDO
再来のほうの思い出話も
のちのち宜しくでござる
484 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/05(火) 21:12:27.95 ID:9AXqxarAO
冷凍食品って便利だよね
485 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/05(火) 21:46:20.98 ID:mCQmd91AO
なんつーフラグを…
486 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/05(火) 23:07:02.34 ID:Ysrjd1Pr0
初代朱雀の話も聞きたいな。
いちょつ
487 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/06(水) 01:00:53.01 ID:OoR0LoIAO
>>1おつ
488 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 01:25:47.21 ID:/RKqNP3DO
乙でした。日常パートはやはり良いですなぁ
489 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 12:56:52.97 ID:kyH7oKVIo
召喚士が池上さんに見えた

いちおつ!
490 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/06(水) 13:43:43.75 ID:4o9fCx+x0
いちおつ
伝説の話も再来の話も聞きたい
491 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:31:09.21 ID:PPYd2D+Qo
……――

青龍先生「明日の試験どうすんだ?」

玄武先生「俺はちゃんと纏めておいたよ。青龍はやってないの?」

青龍先生「……ま、まぁ予習くらいは済ませてあるけどな! ハハッ……」

玄武先生「仕方ないなぁ。ほら、ノート見る?」

青龍先生「うおぉ! その言葉待ってました!」

玄武先生「もうっ、すーぐそうやって人に頼るんだから……」

青龍先生「悪い悪い。しっかし、お前のノートは本当に見やすいなぁ」

玄武先生「そう? なんだか書いたりするの好きだからさー」

青龍先生「将来は本でも書いたらいいんじゃないか?」

玄武先生「そこまでは無理だよ。でも、文献とか自分なりに解釈とかしたいかも」

青龍先生「いいじゃんいじゃん! 召喚士になったらやりなよ! なっ?」

玄武先生「ははっ、そうだね」

青龍先生「よーし、まずは明日の試験を乗り切るぞー!」

玄武先生「うんうんっ、頑張ろうね!」
492 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:32:23.53 ID:PPYd2D+Qo
――……

玄武娘「お爺ちゃんが……」

青龍先生「昔っから書き物が好きな奴じゃったわい。ひょっひょ」

召喚士「だから玄武先生は、あんなに膨大な資料を残されたんですね」

青龍先生「そうじゃな。到底、真似出来んよ」

魔道士「お2人が幼馴染だったわけですよね?」

青龍先生「うむ。そうじゃが?」

魔道士「朱雀先生や白虎先生とは顔見知りじゃなかったんですか?」

青龍先生「朱雀とはその時に出会ったのじゃ」

召喚士「そうなんですか!?」

青龍先生「最初はなんだか偉そうな輩でのぉ。あまり好かんかったがな」

盗賊「……へぇ」

青龍先生「ひねくれた性格で本当に腹の立つ男じゃったわい……」

召喚士「そうだったのか……」

青龍先生「じゃが、ライバルと言うか……妙に憎めん奴でなぁ」
493 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:33:56.12 ID:PPYd2D+Qo
……――

朱雀先生「てめぇらか、召喚士目指してるとか言ってんのは」

青龍先生「は? 誰だお前?」

朱雀先生「クラスメイトぐらい覚えておけよっ!」

玄武先生「朱雀くんだよね。ちゃんと覚えてるよ」

朱雀先生「ガハハッ! お前は利口そうだな。こっちと違って」

青龍先生「んだとぉ!?」

朱雀先生「馬鹿そうな顔してるもんな。赤点とかあんだろ? ガハハ!」

青龍先生「ぐむ……っ」

朱雀先生「あんのかよ!!」

青龍先生「たまたまだ!」

玄武先生「たまたま赤点だったの!?」

先生「朱雀、何をほっつき歩いてる! これから赤点の補習だろうが!」

朱雀先生「ちょ……っ、こら! 先公!」

青龍先生「てめぇも赤点はねぇか! ぶはははっ!」
494 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:35:30.36 ID:PPYd2D+Qo
――……

青龍先生「そして儂ら3人は力をつけ、無事卒業したわけじゃ」

朱雀嬢「それぞれバラバラの召喚士になられたわけですわね」

青龍先生「折角ならという事でな。いずれは皆でパーティーを組もうとな」

戦士「確かにそれならバラバラの方がいいもんな」

青龍先生「それに、それぞれの思いもあったしのぉ」

占い師「思い?」

青龍先生「玄武はとにかく人の為に生きていきたいと申しておってな。口癖じゃった」

玄武娘「……」

青龍先生「朱雀は人と被る事が大嫌いでなぁ。常に個性的じゃったわい」

マジシャン「ああ、確かになぁ」

召喚士「知ってるんですか?」

マジシャン「生前に何度かな。あれの師匠なワケだし」

召喚士「あ、そうか」

青龍先生「2人共、腕は確かじゃった。朱雀は流派を切り拓く程じゃったからなぁ」
495 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:36:49.25 ID:PPYd2D+Qo
……――

玄武先生「それじゃ、しばらくお別れだね」

青龍先生「おう。必ず青龍マスターして再開すんぜ!」

朱雀先生「俺は朱雀だな。アテはねーが、だからこそやり甲斐がある」

玄武先生「俺はもちろん玄武。人を助けるには一番の属性だし」

朱雀先生「何でプリーストにならなかったんだ?」

玄武先生「回復魔法じゃ限度があるからね。その点、召喚獣は……」

青龍先生「未知なる回復召喚獣もいるかもしれない……だろ?」

玄武先生「そういう事っ」

朱雀先生「ふぅん、勉強熱心ですねぇ〜」

青龍先生「でもよ、ここまできたら白虎召喚士も欲しいよな!」

玄武先生「そしたら勢ぞろいだねっ」

朱雀先生「そうだ、じゃあ白虎召喚士探してよ、4人でパーティー組もうぜ!」

?玄武先生「面白そうだね。でもまずは自分達が習得しなきゃ……」

青龍先生「違いねぇや! あははっ!」
496 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:38:12.29 ID:PPYd2D+Qo
――……

召喚士「そんな経緯が……」

青龍先生「最初はそんな軽い気持ちじゃったよ」

盗賊「……」

青龍先生「それから数年後、儂らは召喚士となりて再開した」

マジシャン「んで、パーティーを組んだってわけだな」

青龍先生「そうじゃ」

魔道士「白虎先生はどうしたんです?」

青龍先生「しばらく3人だったんじゃが、朱雀の後輩に優秀な白虎使いがおってな」

召喚士「それが……」

青龍先生「うむ、白虎先生じゃ。唯一年下で……確か7、8は離れておったかの」

戦士「じゃあかなり若かったんですね」

青龍先生「パーティーへ加わったのは20歳の頃じゃったか」

召喚士「20ですか!? 凄いなぁ……」

青龍先生「まぁ実力は発展途上じゃったが、気持ちの良い男じゃったよ」
497 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:39:20.76 ID:PPYd2D+Qo
……――

白虎先生「始めまして! 白虎、と申します!」

青龍先生「お、おぅ。元気だなぁ……ヨロシク!」

玄武先生「宜しくね、白虎くん」

白虎先生「はいっ! 宜しくお願いします!」

朱雀先生「こっちが青龍。んでこっちが玄武な」

白虎先生「若輩者ですが勉強させて頂きます!」

青龍先生「面と向かって言われると……照れるな」

朱雀先生「安心しろ、お前から学ぶ事はねーってよ」

青龍先生「何だとこらぁ!!」

白虎先生「あははははっ!」

玄武先生「とにかくこれでパーティー完成だねっ」

青龍先生「おうよ。こっから伝説を作ってやろうじゃんか」

朱雀先生「伝説か……悪くねーな! ガハハ!」

白虎先生「はいっ! 俺も頑張ります!!」
498 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:41:07.71 ID:PPYd2D+Qo
――……

戦士「伝説の幕開けってカンジだな」

青龍先生「まぁ当時は、明確な目的もなく名を挙げる事ばかりに夢中じゃったがの」

朱雀嬢「それも大事な事ですわよ」

青龍先生「その通りじゃ。お陰ですぐに軍の連中に声をかけられたわい」

魔道士「おぉーっ」

青龍先生「当時の軍は、まぁ酷いもんじゃったよ」

召喚士「酷い……ですか?」

青龍先生「権力を笠に着てワーカーなど捨て駒にしか見てないような連中じゃ」

占い師「研修で聞きましたね。今からは想像もつかないわ……っ」

青龍先生「儂らも随分とまぁ、良い様に利用されたわ」

盗賊「……なるほど」

青龍先生「しかし働けばちゃーんと金は貰えた。4人で必死に耐えたわい」

召喚士「そんな時代もあったんですね……」

青龍先生「不自由ない便利な暮らしなぞ、近年の事じゃよ」
499 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:43:03.41 ID:PPYd2D+Qo
……――

朱雀先生「次は南だとよ。ラクシャーサの集落だ」

青龍先生「数は?」

朱雀先生「200は下らない……だとさ」

白虎先生「これまたハードな任務ですね!」

玄武先生「……」

朱雀先生「玄武、嫌ならいいんだぜ?」

玄武先生「ううん。戦う事だって人々の助けになるなら……」

青龍先生「……」

朱雀先生「……おっしゃ!」

青龍先生「……?」

朱雀先生「次の仕事が終わったらよ、4人でパーッと遊びにでも行こうぜ!」

白虎先生「いいですねぇ! 最近、全然でしたもんね!」

青龍先生「野郎4人でかよ……寂しい事この上ねぇな」

朱雀先生「バカヤロー! 現地調達だよ、ガハハッ!」
500 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:44:09.87 ID:PPYd2D+Qo
――……

魔道士「結構、ハードだったんですね」

青龍先生「今と違って、ワーカーなんぞ現れては死んでの繰り返しじゃったからな」

マジシャン「そこで生き残った者が強い。信頼も得られたわけだな」

青龍先生「お陰で仕事には困らなかったがのぉ……ひょっひょ」

盗賊「……」

青龍先生「じゃが、玄武には申し訳ないと思っておったよ」

戦士「……?」

青龍先生「人を救う事を夢見た男が、戦いに借り出されてはの……」

玄武娘「……っ」

青龍先生「そんな矢先、魔王の存在を目の当たりにしてのぅ」

召喚士「魔王ですか!?」

青龍先生「そうじゃ。初めて魔王と相見えて……戦った」

盗賊「……っ!」

青龍先生「そして、儂らの目指す道が見えたのじゃ」
501 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:45:15.51 ID:PPYd2D+Qo
……――

朱雀先生「あれが……魔王……っ!!」

玄武先生「くっ、この位置で……凄い威圧だ……!」

白虎先生「あっ! あそこ見て下さい! 人がいますよ!?」

青龍先生「おいアンタ!!」

??「……何か用かな?」

青龍先生「出すぎだぞっ、退がれぇ!」

玄武先生「後ろっ、魔物が来ているっ!」

朱雀先生「ちぃ……! 行けっ! コカト――」

ズバシュウウゥゥゥゥ!!

白虎先生「……い、一撃で!?」

青龍先生「アンタ……何ものだよ……!?」

??「謙虚なナイトは自ら名乗ったりはしない」

白虎先生「か、かっこいい……!!」

??「ただ、魔王を倒す者……とだけ言っておこうか」
502 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:46:13.90 ID:PPYd2D+Qo
――……

戦士「ふぅん、それがきっかけで魔王討伐をねぇ」

青龍先生「当然、実力など乏しい。10年は費やしたがの」

盗賊「……凄いな」

召喚士「それで、何故パズズを……?」

青龍先生「パズズが当時、一番厄介な実害のある魔王だったからじゃ」

朱雀嬢「あ……っ、先程仰られていた魔王がパズズだったわけですわね?」

青龍先生「そうじゃ。あの戦いでも大勢が死んだ」

玄武娘「どうして……戦ってたんですの?」

青龍先生「魔物と手を組んで、余計な入れ知恵をし始めた連中がおってな」

マジシャン「中と外から敵か。厄介な話だよ」

青龍先生「最も好戦的であったパズズが仕掛けてきたのじゃよ」

魔道士「――っ!?」

召喚士「……っ」

青龍先生「幾度も幾度も仕掛け、かろうじて追いやり……そしてその刻が訪れた」
503 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 17:51:39.66 ID:PPYd2D+Qo
……――

少年「おい見ろよっ、あれがパズズを倒したって召喚士達だぜ!」

女「魔王パズズを倒すなんて……素敵……っ」

おじさん「アンタらすげぇな! 歴史に名を刻んだぜ!」

老人「伝説として語り継がれるであろうなぁ」

男「伝説か……そうだなっ、まさに生ける伝説だよ!」

朱雀先生「す、すっげぇ……!」

青龍先生「俺らが……伝説……っ」

玄武先生「……うん」

白虎先生「やってやった! やってやったぞおおぉぉ!」

朱雀先生「これで金も名誉も地位も、欲しいものは何でも手に入るぜ、がはは!」

青龍先生「ああ! だが俺達は……まだまだ伝説になんかなんねぇぞ!」

玄武先生「後の世の為にも、ありとあらゆる文献を残さないとね」

白虎先生「それに慕ってくれてる弟子達の育成だって……」

青龍先生「そうさ! これからは召喚士の時代だ!」
504 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 18:15:20.42 ID:PPYd2D+Qo
――……

召喚士「……」

戦士「青龍先生達が、召喚士の一時代を築き上げたってわけだな」

青龍先生「結果的にはの。それまでは試行錯誤の長い道のりじゃったよ」

マジシャン「だよな。クーデターなんかもあったもんな」

青龍先生「ありゃあ儂の口から語るには重いわい。他の輩に聞いてくれ」

玄武娘「クーデターって何ですの?」

召喚士「確か……一部の召喚士達が結託して上位召喚獣を独占しようと……」

青龍先生「人間同士がいがみ合う、酷い戦いじゃったわい……」

朱雀嬢「その話は……もういいですわ」

盗賊「……?」

青龍先生「……そうじゃったな」

戦士「ところで先生は何で、国軍に入ろうと思ったんだ?」

魔道士「あっ、そういえば気になりますね」

青龍先生「……きっかけはクーデターの後じゃよ」
505 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 18:20:22.69 ID:PPYd2D+Qo
……――

朱雀先生「正式に国軍へ入隊するだとぉ!?」

青龍先生「ああ。年も年だ、ワーカーはもういいだろ」

玄武先生「……」

青龍先生「お主らもどうだ? 国軍で若い連中を――」

朱雀先生「俺はまっぴらゴメンだね!」

白虎先生「俺は……入る! クーデターの責任もあるからな!」

青龍先生「……玄武はどうする?」

玄武先生「パーティーの解散には賛成だ。だが、国軍には入らないよ」

朱雀先生「……どうするつもりだよ」

玄武先生「まだまだ書ききれていない文献も多数あるからね」

白虎先生「隠遁……か!」

玄武先生「ああ。気候の良い南あたりでのんびりと余生を過ごさせて貰うよ」

青龍先生「……じゃあ、伝説も解散で……いいな?」

朱雀先生「勝手にしろ。俺は俺で好きにやらせて貰うさ」
506 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/06(水) 18:24:50.14 ID:PPYd2D+Qo
――……

戦士「それでいよいよ伝説も解散、か」

青龍先生「その頃は既に、個別での活動も増えておったからの」

マジシャン「上がいつまでののさばってると、下も育たんしな」

魔道士「それで青龍先生は国軍に入ったわけですね」

青龍先生「まぁ正式に、という意味合いではな。既に軍属として働かされておったわ」

召喚士「そう考えると、今の国軍って凄いですよね……っ。きちんと統制されてて……」

青龍先生「全ては亡き大元帥の賜物じゃ。あとはあいつ」

玄武娘「あいつ?」

盗賊「……ああ、天才か」

青龍先生「あの2人が基礎を固め、儂や大軍師などといった連中がそれを育てた」

召喚士「なるほど……」

青龍先生「だからこそ、優秀な人材が容易に集まり、容易に死ぬ事もなくなったのじゃ」

召喚士「……当時からすれば、本当にいい世の中になったんですね」

青龍先生「そうじゃな。しかし目指すべき本当の世の中はまだ訪れてはおらぬよ」
507 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/06(水) 18:27:07.24 ID:PPYd2D+Qo
とりあえずここまで。今日も進みませんでした
でもレスを頂いた中で、こういう些細な部分の大切さ、
日常パートを面白いと言って下さってる皆様がいて、
少し考えが変わりました。本当にありがとうございます!

伝説だけでなく再来も人気ですね…脇役連中なのに…

それではご支援ありがとうございました!ノシ
508 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/06(水) 18:44:20.10 ID:LeFZeNaXo
     ____
   /__.))ノヽ
   .|ミ.l _  ._ i.)
  (^'ミ/.´・ .〈・ リ
  .しi   r、_) |  ひょっひょ、国軍はワシが育てたのじゃよ
    |  `ニニ' /
   ノ `ー―i´
509 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/06(水) 19:13:59.00 ID:5LHI0ctDO
師匠が脇役だと?

>>1ちょっとケツだせケツ
510 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 20:03:34.16 ID:V7YzIzYpo
いちおつ!

or2<バッチコーイ
511 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/06(水) 20:14:40.34 ID:GG7Mi/2AO
>>1

orz=3ブッ
512 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/07/06(水) 21:52:43.36 ID:3eorDpOW0
or4……?
いちょつ
まさかナイトがこっちにまで派遣してくるとは
513 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/06(水) 21:55:33.13 ID:LeFZeNaXo
>>512
クラウチングスタート直後に見えるなそれ
514 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/07/06(水) 22:12:26.47 ID:zjM2givAO
>>1
ナイトからブロント臭がする。ってかあんなキャラいたっけ?
515 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/06(水) 22:35:09.94 ID:XByo5CNMo
>>1おつおつ
謙虚なナイトさんはあっちのスレ出身だぁね
516 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/07/06(水) 23:02:36.25 ID:zjM2givAO
>>515d
ストーリーが終盤になるにつれてあっちのスレからリンク多いみたいだな。アマゾネスもあっちからなんだろ?
正直あとでまとめから来た人間にとっちゃあ訳が分からないんだけどな。
一応この板にあるのは知ってるけど、もう過去スレ読めないし>>1もテンプレにリンク貼ってないからこっちとは直接的にはリンクしないんだと思って読んでなかったんだけど、こうも多いとな

なんで>>1はリンク貼らないんだ? まとめに載ってないのもリンク貼ってないからだろ? 俺みたいにまとめから来た奴は一度は「?」ってなるぞ。
んでここの住人に「あっちのスレって?」って聞くと「過去スレ読んでこい」言われる。前に何回かあったろ
いい加減テンプレにリンク貼ろうぜ。長文すまん
517 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 23:13:47.32 ID:C959jiLno
アマゾネスなんてあったっけと思って見直してみたらえちぃやつだった
見なくても問題ないっしょ
518 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/06(水) 23:27:33.37 ID:OoR0LoIAO
>>1おつ

日常パートやらを混ぜることで物語に厚みが出るもんだ
519 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 23:32:26.15 ID:ZLT1Zb/DO
>>1
別にナイトの事知らなくても話がわからないようになることはないだろうし、
本編で今からナイトがどんなキャラなのか説明されて行くんじゃないかな。

向こうのスレを見たことがなくて、みんなが知ってるっぽいことを自分だけ知らないっていう状況を嫌がる人はいるだろうけどね。
520 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/06(水) 23:39:50.09 ID:v0sRq+X6o
専ブラ使えばパー速の過去ログなんて全部見られるのにね
これだから、もしもしはとか言われるんだよ
521 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/07/06(水) 23:47:10.22 ID:zjM2givAO
>>519
説明があればいいんだけどね。あの書き方じゃあなさそうだなと思ってさ

>>520
仕事の都合上、転勤多くて回線引けない上に今いる所が地方の更に田舎だから無線もあまり入らないんだからしょうがない。携帯の何が悪いんだ?
522 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/07(木) 00:07:19.46 ID:d4LUaAnAO
はいはい
青龍先生ペロペロ

金輪際余計なレスはするな
523 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/07(木) 00:09:16.47 ID:CAWTknZH0
1乙
まだまだ謎な部分多いからこういう回想の話は大好きだ
524 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 01:17:12.90 ID:W+jqyadDO
>>1

>>521
ちょっと一言多いんだと思うよ
ほれ
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/1301828985/
525 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 06:24:50.49 ID:hdZHdc2DO
つーか今のところあっちのスレのキャラが出てきても知ってる人がニヤリとできる程度で知らなくても全然困んないよね
526 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/07(木) 07:57:09.34 ID:ihp7v0OAO
やり過ぎはいくないけどもたまには議論もいいんじゃない?
>>1の回答も得られるだろーし。しつこすぎる流れは迷惑だけども
527 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/07/07(木) 08:07:05.46 ID:PmAsCOCmo
議論は向こうで
528 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:37:02.65 ID:KCaamGp6o
……――

青龍先生「どういう事じゃ?」

大元帥「だから、魔王を全て討伐するのさ」

青龍先生「そのような事、出来ると思うてか?」

大元帥「あなた方が封印したパズズを移動させた事で魔王軍の力は衰えた」

青龍先生「数が減ったわけではないいわい」

大元帥「しかし個々の力は間違いなく弱まった」

青龍先生「……確かに。それも何れは回復するじゃろうしな」

大元帥「そう。奴らの力が戻る前にこれを叩く」

青龍先生「……」

大元帥「その為に軍を、国を変えてきたのだ」

青龍先生「どの程度の見込みだ?」

大元帥「そうだな……およそ、30……いや、40年かな?」

青龍先生「気の長い話じゃ。儂は死んどるよ。ひょっひょ」

大元帥「俺も死んでるかもしれないな。ハーッハッハ!」
529 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:37:31.98 ID:KCaamGp6o
――……

青龍先生「そうして、魔王討伐の計画は極秘裏に進められた」

盗賊「……なるほど」

青龍先生「北と南の司令部を起点に、拠点や防衛線を整備し……」

戦士「北関やら地獄の壁やらか」

青龍先生「うむ。古の遺物も流用し、軍備を整えたのじゃ」

召喚士「結界石や道の整備もそうですよね」

魔道士「でも、よくそんな莫大な事業が出来ましたね……」

青龍先生「陛下が同調してくれてのぅ。本国の資金も基に金を集めた」

マジシャン「そこで増徴し出したのが左翼だな」

青龍先生「そうじゃ。奴らは経済発展の功を傘に着て、派閥を興し始めての」

朱雀嬢「酷い話ですわね」

青龍先生「それでもあの頃は功績もあったし、国や人を思うての事だったんじゃがの」

召喚士「左翼……」

青龍先生「まぁ裏を返せば、魔王軍に変化があったともとれたがの……」
530 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:39:02.58 ID:KCaamGp6o
……――

大元帥「内通者ねぇ」

司令官「……」

青龍先生「放っておいて良いものかのぉ」

白虎先生「このリストは……確かなのですか!?」

大元帥「残念だけど、あなたの弟子が暗躍しているのは事実だ」

司令官「なんだかあれだね。他国でも魔物と結託している連中がいるみたいだよ」

青龍先生「それで、どうするのじゃ?」

大元帥「決定的な証拠が挙がるまでは処罰は出来ない。それに……」

司令官「泳がせて、情報を得るのもいいんじゃない?」

大元帥「まぁな。そういう事だ」

青龍先生「じゃが何れは、人が人を斬る事になるのじゃろう。悲しい事じゃ」

司令官「そういう時の為のワーカーでしょ。汚名は全て被るよ」

大元帥「天才、お前……」

青龍先生「……」
531 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:40:22.75 ID:KCaamGp6o
――……

魔道士「……っ」

青龍先生「そうして少しずつ、魔王討伐の準備は進められた」

マジシャン「その頃だよな、俺らも参加するようになったのは」

青龍先生「そうじゃな。再来に、新設された特遊もか」

戦士「……特遊」

青龍先生「あれは30年前じゃったか」

マジシャン「……アンラ・マンユか」

玄武娘「アンラ・マンユって……こないだの魔王ですの?」

青龍先生「知っての通り、奴らも5年を周期に動きよる」

召喚士「……っ」

青龍先生「あの戦いも防衛だけで精一杯な、無残なもんじゃったわい」

マジシャン「ああ。ワーカーも軍人も……白虎先生も死んだ」

朱雀嬢「!?」

青龍先生「そうじゃったなぁ」
532 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:41:44.37 ID:KCaamGp6o
……――

朱雀先生「ふぅん、アンラ・マンユねぇ」

青龍先生「お主も力を貸してくれんかの?」

朱雀先生「やなこった。何のための国軍だよ」

青龍先生「返す言葉もないわい。しかしな、今回はちと苦しいかもしれん」

朱雀先生「あ?」

青龍先生「防衛線を張ったのが裏目に出てな」

朱雀先生「一点集中ってわけか。完璧にはいかねぇもんだよ。何事も」

青龍先生「儂は南の防衛にあたる。どうか白虎を助けてやってくれんか?」

朱雀先生「……場所は火山だったか?」

青龍先生「そうじゃ」

朱雀先生「なら更駄目だ。俺にはやる事がある」

青龍先生「そうか……」

朱雀先生「まぁ仕方ないわな。使えるか分からんが弟子を派遣してやるわ」

青龍先生「……すまんな」
533 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:42:19.05 ID:KCaamGp6o
――……

マジシャン「んで、俺らは討伐戦に参加した。特遊と合流してな」

戦士「特遊っつーと、もちろん親父達だよな?」

マジシャン「ああ。だが、魔王は強大すぎた。姿すら見せる前に戦は終わったよ」

盗賊「……」

青龍先生「眷属の力はとてもじゃないが、当時の戦力では抑えきれんかった」

召喚士「……なるほど」

青龍先生「かろうじて戦いは収束した。じゃが……白虎は死んだ」

マジシャン「仲間を失った特遊も失意のうちに解散。完全な敗北だよ」

召喚士「でも、よく魔王を退けましたね」

青龍先生「直接ではないが、封印を施したからの」

魔道士「封印……?」

青龍先生「うむ。火山から眷属が動けぬようにな」

戦士「ほぉ。青龍先生達が封印したのか?」

青龍先生「それはな……」
534 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:45:00.05 ID:KCaamGp6o
……――

青龍先生「これは……っ」

天才「6000人が死んで、何十万の人々の命が救われた」

青龍先生「命は天秤で量れるものではないじゃろ」

天才「だが数字は事実だ。奴らを本国にすら上陸させなかったんだからな」

青龍先生「それでこのちっぽけな領地を掠め取ったわけじゃろ」」

天才「ここに砦を作りニラミを利かせりゃ、奴らは動けねぇよ」

青龍先生「……?」

天才「ナイトさんが封印してくれた。手法も軍が伝授して引き継ぐ」

青龍先生「……それで、その本人は?」

天才「もうどっか行っちまった。相変わらず掴みどころのない人だ。ハーッハッハ!」

青龍先生「白虎……」

天才「白虎先生は最後まで眷属相手に奮戦したよ。心から敬意を表するよ」

青龍先生「……っ」

天才「視察はもうこれでいいだろ? まだ……戦後処理も終わってねぇんだ」
535 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:45:57.94 ID:KCaamGp6o
――……

召喚士「もしかして……南西砦……って」

青龍先生「そうじゃ。それを境に南西砦は対アンラ・マンユの拠点となった」

盗賊「……そうだったのか」

青龍先生「それ以降、魔王軍も大きな侵攻はなくなったかのぉ」

マジシャン「ああ。慎重になったよな。お互いにだが」

青龍先生「そうじゃな。こちらが国力を高めていれば、当然あちらも同じ事」

朱雀嬢「……」

青龍先生「それでも時間を費やせば、数では魔王軍が優位」

戦士「確かにな。繁殖力や即戦力として考えるとな……」

青龍先生「人間側は決して焦ってはいけない、しかし急がねばいかん事態じゃった」

召喚士「そういえば、白虎先生が亡くなってもパズズの封印は……」

青龍先生「ああ、それは明日分かると思うが、既に置いてきたものじゃからの」

召喚士「……?」

青龍先生「玄武にも聞いたが、そういう封印だという事じゃったわ」
536 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:46:56.27 ID:KCaamGp6o
……――

玄武先生「……そう、玄武が……亡くなったのか」

青龍先生「……うむ」

玄武先生「惜しい人材を失ったね」

青龍先生「パズズの変化はなかった。影響はないんじゃよな?」

玄武先生「それは問題ない。半永久的とはいかんだろうけど」

青龍先生「早めに葬るか?」

玄武先生「葬れば新たな柱が生まれるだけの事よ」

青龍先生「先に他の魔王を討つべし……か」

玄武先生「儂らの誰かが存命のうちにな。それと……」

青龍先生「……?」

玄武先生「うちの弟子が面白い事に気が付いてね。完全消滅も可能やもしれん」

青龍先生「何じゃとぉ……!?」

玄武先生「5つ目の召喚術、この秘密を解き明かす事が出来れば……」

青龍先生「……5つ目の……召喚術……!?」
537 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:48:19.92 ID:KCaamGp6o
――……

召喚士「玄武先生は気付いていたのか……っ!」

青龍先生「東方の式神には行き着いておらんかったがの」

盗賊「……」

青龍先生「ここまで辿り着いたのはお主らのお陰じゃよ」

召喚士「いえ、俺らは……」

青龍先生「玄武は志半ばに、病にて倒れた」

玄武娘「……っ」

青龍先生「それを最後の弟子であるサモナーやお主らが引き継いだのじゃ」

魔道士「そうだったんですね……」

青龍先生「奴が死んで10年。儂も待った甲斐があったもんじゃ」

マジシャン「ほんと、かろうじてだよな」

青龍先生「ひょっひょ、全くじゃよ。魔力で延命して、本当にかろうじてじゃ」

朱雀嬢「……っ」

青龍先生「その布石となったのは、玄武の死より遡る事10年前かのぉ」
538 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:49:34.04 ID:KCaamGp6o
……――

大元帥「先生方のご意見としては、パズズを封印しているうちに他の魔王をと?」

玄武先生「そういう事だ。その方が敵の力が制限出来るというもの」

大元帥「討つに有効的な魔王は……」

朱雀先生「サタン、であろうなぁ」

司令官「……」

大元帥「難敵だねぇ。これは船が折れるよ」

青龍先生「儂らとて先は長くない。何れはパズズの封印も解けるぞ」

大元帥「……いいよ、俺が出よう」

司令官「……ん、それなら共に」

大元帥「駄目だ。お前は出せない。共倒れしては国軍が潰れる」

司令官「……じゃあせめて、弟子を付けます」

朱雀先生「おぉ、うちのバカ弟子と共にパーティーを組んでる奴か」

大元帥「加えてナイトにも協力を仰ごうとしようか」

青龍先生「……」
539 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:51:16.52 ID:KCaamGp6o
――……

青龍先生「そしてサタン討伐作戦が始まった」

戦士「……」

青龍先生「大元帥にナイト、そしてお主の師匠らも交えてな」

召喚士「……っ」

青龍先生「その件については儂よりこやつの方が詳しいじゃろうがな」

マジシャン「……」

青龍先生「まずは中心であるサタンの封印が有効と決断した軍は……」

召喚士「サタン討伐に……動いた」

青龍先生「うむ。しかしあまりにも危険すぎる作戦じゃ。儂らは万全を期した」

戦士「万全?」

青龍先生「確実に討てるかどうか、時期を見極めるという事じゃ」

召喚士「それって……もしかして……」

占い師「……」

青龍先生「お主と会ったのも、あの時が最初じゃったか……」
540 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:52:23.19 ID:KCaamGp6o
……――

大元帥「しかし、先生方の施した封印術ってのは凄いもんだな」

青龍先生「全ては玄武の研究による賜物じゃ」

大元帥「流石だね。ちなみにもう1回やれって言ったら出来るかい?」

青龍先生「出来るわけなかろう」

大元帥「だよねー。これ以上置いてくるわけにもいかないしね」

青龍先生「……いよいよやるのか?」

大元帥「ああ、あいつも丁度、帰ってきたようだし……」

天才「……あん? ジジイとお師匠じゃねーか」

大元帥「連れて来たのか?」

天才「おう。まだ15のガキだけどな」

青龍先生「予言の民か。あまり頼りすぎるのもどうかと思うがの」

大元帥「早期決着にはそれしかないよ。それにババ様のお墨付きだ。優秀だよ」

天才「……おーい、入っていいぞー」

占い師「……失礼します」
541 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:53:31.16 ID:KCaamGp6o
――……

占い師「……そんな事もありましたね」

青龍先生「懐かしいもんじゃのぅ」

占い師「先生、そのお話は……」

青龍先生「ああ、そうじゃった。すまぬすまぬ」

マジシャン「……」

青龍先生「結果は皆も知っておろう。サタンは封印された」

玄武娘「凄いですの……」

青龍先生「人々は歓喜に湧いた。伝説の再来じゃとな」

マジシャン「情けねぇ話だよ。再来なんて通り名はよ」

占い師「あれは……私が……」

マジシャン「いんや、予言は間違っちゃいねぇ。落ち度は俺らにあった」

占い師「……」

青龍先生「今更悔やんでもしかたあるまい。兎に角、作戦は成功したのじゃ」

マジシャン「失ったものも……大きかったけどな」
542 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/07(木) 17:54:39.29 ID:KCaamGp6o
……――

青龍先生「大元帥が……逝ったか……っ」

天才「ああ。お師匠は覚悟してたんだろうな」

青龍先生「……見えなかったのか?」

天才「見えてたよ。封印は成功するって事までは」

青龍先生「誰が死ぬかは分からんかったか」

天才「あの若い占い師も、立ち直ってくれりゃいいがな」

青龍先生「……お主や朱雀の弟子どもは無事なのか?」

天才「……死んだ。2人ほどな」

青龍先生「……っ」

天才「朱雀の弟子は臓器の悉く、魔道士のガキは魔力の半分を持っていかれた」

青龍先生「お主の弟子は……駄目じゃったか」

天才「仕方ねぇさ。婚約者と逝けた事が唯一の救いだろ」

青龍先生「死して救いなぞあるものかね……」

天才「人はいつか死ぬ。俺らはそれを糧に、決心して生きていかにゃなんねぇんだ」
543 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/07(木) 17:58:26.05 ID:KCaamGp6o
すみません。雑談とかもあるので特に貼りませんでした
あとあっちはあくまで蛇足というかキャラ設定も変わってたりするので…

でもある限りは貼るべきですね!次回テンプレには忘れずに盛り込みます!
…というか、実はいつも忘れるってのも半分ありまして…はは
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/

ただもちろんの事、本編だけでちゃんと伝わるようにはしますよ!
でないと話として破綻してますからね!ご安心を!

それでは此度もも多数のご支援ありがとうでした!
それでは、これにて失礼致します!ノシ
544 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/07(木) 18:32:23.00 ID:ixSblb7DO
>>1

大量投下してくれたのでケツは勘弁してあげよう
545 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/07(木) 20:11:06.93 ID:PbD23KEAO
>>1おつ
546 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/07(木) 20:28:47.38 ID:hHhAfHdIO
何かいろんな因縁がいろいろ見えてきたなぁ
547 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 20:31:57.01 ID:homedLtDO
>>1
何を置いてきたんだろう……
恐いけれどwwktkするぜー
548 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/07(木) 21:17:08.76 ID:bumW20tOo
一乙!

マジシャンあれで魔力半分かよ・・・全盛期どんだけだったんだ
549 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/07(木) 21:37:38.56 ID:9wZHHq+AO
>>1

婚約者とイけたやつって誰だっけ…
描写あったっけ?私の頭の中の消しゴムがフル稼働しちゃって何も思い出せない
550 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/07(木) 22:53:15.79 ID:ixSblb7DO
魔剣士
551 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 23:06:38.36 ID:dlQmb7f6o
馬鹿なのは分ったから、せめて黙ってヒントを待つくらいの賢さを持ってくれよ
せっかく明確な描写を避けて匂わせる程度にしてるのに、ドヤ顔で答えちゃう馬鹿が出てウンザリするんだよ
552 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/07(木) 23:07:46.45 ID:RCQiDQF3o
じゃぁヒントな
魔法使う剣士
553 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/07(木) 23:15:42.69 ID:9wZHHq+AO
>>550>>552
ありがとー 既視感があった気がしたんだけどやっぱり描写あったのね
それっぽいとこ読み返してみるわ
554 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/07(木) 23:44:08.37 ID:49uxDqBDO
>>1おつ!
昨日今日とめちゃくちゃ面白いぞ!

再来のもう一人はプリーストだったっけか?
魔剣士と婚約してたんだな。
555 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/07(木) 23:56:26.95 ID:CAWTknZH0
これ相関図作ったらとんでもなくデカくて複雑になりそうだな……
556 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 00:16:02.91 ID:SN847nnDO
>>1

>>555
作ってくれるなんてありがたい
楽しみにしているよ
557 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/08(金) 13:49:24.04 ID:HmAyDRfU0
いちおつ
魔剣士も天才の弟子か…
558 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:25:40.39 ID:ZAd/d18jo
――……

マジシャン「ジーサンよ、もういいだろ」

青龍先生「ん、あぁ。そうじゃな」

盗賊「……」

青龍先生「儂も元来、昔の事を語ったりするのは好きではないでのぉ」

朱雀嬢「……」

青龍先生「人間の記憶など、良い事より悪い事の方が覚えているもんじゃ」

玄武娘「……っ」

青龍先生「過去には何も残らぬ。出来事の事象だけが事実として残るだけじゃ」

戦士「……」

青龍先生「生きるという事は空白の未来に事実を描くという事じゃ」

魔道士「……」

青龍先生「それは決して、過去を振り返る事ではない」

召喚士「……」

青龍先生「儂は明日、最後の事実を描き、過去となるのじゃよ……」
559 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:27:41.48 ID:ZAd/d18jo


召喚士「色々と、貴重なお話をありがとうございました」

青龍先生「ひょっひょ、構わぬよ」

戦士「すっかり……暗くなっちまったな」

盗賊「……うん」

青龍先生「この後は食事後、最後の打ち合わせじゃな」

召喚士「はい……」

青龍先生「青年兵らが待っておる。行くとするかの」

占い師「マジシャン、私達は……」

マジシャン「これ以上、長居するわけにはいかねぇわな」

青龍先生「わざわざ済まんかったな。ありがとうよ」

マジシャン「……こっちこそ」

ザッ

マジシャン「お世話になりました……青龍先生」

ニッコリと笑う老人の前に立ち、マジシャンは深々と頭を下げた。
560 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:28:44.06 ID:ZAd/d18jo
〜会議室〜

青年兵「……お待ちしておりました」

青龍先生「すまんな、待たせてしまったかの」

青龍士官「いえ、丁度呼びに行こうかと思っていたところでした」

玄武娘「おぉ、豪華な食事ですの……!」

青龍先生「最後の晩餐じゃからの。儂の好きな物にして貰ったわい。ひょっひょ」

戦士「魚……か?」

青龍先生「そうじゃよ。白身魚がやはり一番美味いわい」

青龍士官「それでは、冷める前に頂きましょうか」

魔道士「お、お酒もいっぱいありますからっ!」

朱雀嬢「お酌致しますわ」

青龍先生「これはありがたいのぅ……ひょっひょ!」

青年兵「さぁ、名代殿もどうぞ」

名代「これはこれは、かたじけない」

青龍先生とって最後の晩餐は、終始和やかに、そして笑顔で終わった。
561 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:29:52.48 ID:ZAd/d18jo


戦士「この酒も残り僅かだし、全部飲みきっちゃおうぜ」

召喚士「そうだよね。残しておいても仕方ないし……」

青龍先生「儂ばっかりじゃなくて、お主らも飲め飲め!」

青龍士官「い、頂きます!」

名代「藤蔵の姫君は……」

盗賊「お茶下さい」

青龍先生「さぁ、最後の晩酌じゃ! 盛大にいくとするかのぉ!」

戦士「……おう、付き合うぜ!」

召喚士「うんっ!」

青龍先生「ここから先、涙した奴は罰ゲームじゃ!」

魔道士「えぇっ!?」

青龍士官「い、いいでしょう!」

青年兵「先生こそ、泣かないで下さいよ」

青龍先生「ひょっひょ、涙などとうの昔に枯れたわい」
562 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:30:55.51 ID:ZAd/d18jo


青年兵「あの、青龍先生」

青龍先生「んー?」

青年兵「先程、資料室でこんなものを見つけました」

召喚士「これ……っ!!」

青年兵「かつて起きた召喚獣騒動の、クーデターの資料です」

青龍先生「……」

戦士「さっきチラっと聞いたよな」

青年兵「具体的にお教え頂けませんでしょうか?」

青龍先生「……ふぅむ」

青年兵「ここに、ヒントが眠っているかもしれないのです」

魔道士「ヒント……ですか?」

青年兵「ええ。最後の内通者に関するヒントです」

盗賊「!?」

戦士「確か、白虎長の親父さんだかがそうだったっけか?」
563 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:32:35.50 ID:ZAd/d18jo
召喚士「うん……」

魔道士「あの、ところで白虎長さんは?」

青年兵「え、えぇと……」

青龍先生「酒癖悪いから呼んどらんわい」

魔道士「……」

青龍士官「私も常々、知りたいとは思っていました」

青龍先生「……仕方ないのう。置き土産にはしたくないが」

青年兵「まずは事の発端を知りたいのですが」

青龍先生「あれはもう、40年も前の事になるか……」

盗賊「……」

青龍先生「事の発端は、1人の召喚士が提言した内容から始まった」

青年兵「1人の……召喚士」

青龍先生「その者は大召喚士。当時、国軍召喚隊を率いていた男じゃ」

召喚士「国軍の召喚隊を……!?」

青龍先生「……うむ」
564 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:33:07.68 ID:ZAd/d18jo
……――

大召喚士「聞こえなかったか? 召喚獣を独占する、と言ったのだ」

青龍先生「何を言うか。それでは我らワーカーはどうなる!」

玄武先生「そうです。召喚獣を国軍で牛耳ろうと言うのですかっ!?」

大召喚士「聞こえの悪い事を申すでないわ」

朱雀先生「結果は同じだろうがっ、ふざけんじゃねぇ」

大召喚士「だがな、統一性を持った方が統制も取りやすいというもの」

朱雀先生「アホか。リヴァイアサンもバハムートも専属で独占するってか?」

青龍先生「手離す阿呆がおるわけないわ」

玄武先生「まさか、力ずく……ですか?」

大召喚士「場合によっては、それも検討せざるをえんな」

朱雀先生「誰が応じるかよ! そんなもの暴動が起きるぞ」

大召喚士「だから言ってるだろう? 場合によっては力ずく、だとな」

朱雀先生「……っ!!」

青龍先生「酷い……話じゃ」
565 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:34:12.59 ID:ZAd/d18jo
テクテクテク

白虎先生「失礼! お待たせしました!」

青龍先生「おぉ、お主らも一緒か」

白虎長男「ご無沙汰しております。先生方」

白虎次男「すみません、父を引き止めてしまいまして……」

大召喚士「全く、貴様等が話をしたいというのでわざわざ来たというのに」

朱雀先生「あのなぁ、白虎の長男が出産間近なんだ。仕方ねーだろ」

大召喚士「客を待たすとは無礼だろ。普通は先に待つものだ、国軍ならやるぞ」

朱雀嬢「ゴチャゴチャうるせぇなぁ。大体テメーは……」

白虎先生「朱雀、構わないよ! 私が遅れた事に非があるのです!」

白虎三男「お父さん? どうしたの?」

玄武先生「三男……っ」

大召喚士「おいおい、しまいにはこんな小さなガキまでいるのか」

白虎先生「失礼を! お前らは外で待ってなさい!」

白虎次男「はい。三男おいで、外で待ってよう」
566 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:35:45.72 ID:ZAd/d18jo


大召喚士「何だとぉ!?」

白虎先生「ですから! ベヒーモスは白虎一族秘伝の奥義なのです!」

大召喚士「駄目だ駄目だ、例外は認められん」

白虎先生「歴史を否定するおつもりですか!」

大召喚士「ならば貴様が国軍に入隊する、それで良い」

朱雀先生「ふざけるなよ! パーティーを解散しろってのかよ!?」

大召喚士「4人まとめて軍人になれ。そうすれば現状は変わらん」

玄武先生「他のワーカーは?」

大召喚士「同様だ。国軍に入るか……制裁を受けるかだ」

青龍先生「納得するわけないだろう」

大召喚士「させる。そうでなくば召喚術に未来はない」

朱雀先生「……大袈裟だな。極論すぎる」

大召喚士「このままでは裏切り者が出て、魔王軍に取り込まれるぞ」

青龍先生「そんな事を言ったら、召喚術だけの問題ではなかろうが」
567 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 17:55:54.03 ID:ZAd/d18jo
大召喚士「……お前らは何も分かってない。言うだけ無駄か」

玄武先生「納得出来るような議論なくば、同調は出来ませんよ」

大召喚士「時間が……いや、もう良い。今日はこれで帰らせて貰うぞ」

カツカツカツ…

朱雀先生「何だっつーんだよ」

白虎先生「……」

青龍先生「誰が納得などするものか」

玄武先生「でも、ここままでは良からぬ事態を招きそうだね」

朱雀先生「ああ。あいつは強行する気だ。何が目的なのか知らんがな」

青龍先生「魔王軍以前に、大召喚士の一派に独占されちまうわ」

白虎先生「それよりも! 召喚士同士の戦争になってしまいますよ!」

玄武先生「止めなくちゃならない」

朱雀先生「どうやってだよ?」

玄武先生「分からない。でも、何か手はあるはずだ」

青龍先生「……」
568 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 18:02:07.54 ID:ZAd/d18jo


カツカツカツ

大召喚士「……?」

白虎長男「どうも、ご苦労様です」

大召喚士「子が生まれるんだって?」

白虎長男「はい」

大召喚士「お前ら、兄弟なのか?」

白虎次男「はい。彼が長兄で私が次男。そしてこれが三男です」

白虎三男「こんにちはー」

大召喚士「将来は召喚士になるのか?」

白虎長男「私と次男は既に召喚術を会得しております」

大召喚士「ほぉ」

白虎次男「三男はまだ幼いですからね。これからです」

白虎三男「基礎は出来るもん!」

白虎次男「ははっ、そうだな」
569 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/08(金) 18:23:03.09 ID:ZAd/d18jo
大召喚士「召喚獣は?」

白虎長男「白虎を数体、それと……ベヒーモスを」

大召喚士「何……っ!? 貴様もか?」

白虎次男「……はい」

白虎長男「次男はまだ15ですが、才能は一族随一です」

大召喚士「……ほぉ」

白虎長男「それでは、失礼します」

大召喚士「……おい、君達」

白虎長男「……?」

大召喚士「召喚術についてどう考えている?」

白虎長男「どうって、難しい質問ですね」

白虎三男「僕は召喚獣で悪い奴をやっつけるんだ!」

白虎次男「召喚術にはもっとこう、他の道もあると思うんですよね」

白虎長男「突き詰めていけば、色々なものが見えると思うんです」

大召喚士「……ほぉ」
570 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/08(金) 19:40:28.38 ID:Qmfp5vODO
>>1乙!
大召喚士のドラゴンコメントくそわろたwwww
571 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/08(金) 20:10:14.73 ID:TopP/gpio
大召喚士のコメント、タイムリーすぎるだろ
それに逆上する時をかける朱雀嬢

乙一!
572 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/08(金) 20:32:24.46 ID:UCA7kMuRo
一乙!
大召喚士すぐに辞任することになるぞ・・・
573 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/08(金) 21:08:26.23 ID:z2bOTiNAO
>朱雀嬢「ゴチャゴチャうるせぇなぁ。大体テメーは……」

ブラック朱雀嬢の誕生である
574 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/09(土) 00:06:41.20 ID:XfRfNExAO
>>1おつ
575 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/07/09(土) 00:23:16.66 ID:Y8B8UmRAO
さりげない時事ネタにワロタww
576 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/09(土) 05:38:04.31 ID:npl3y8aF0
いちおつ
白虎長男がコート男で白虎三男が東方副司令だっけ?
577 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/09(土) 06:11:01.98 ID:cbLAF2jAO
長男次男は北で死んだだろ?
詳しい血縁関係はわからんが
578 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/09(土) 11:37:20.57 ID:rvkA6F0ro
時事ネタ?
579 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/09(土) 12:22:19.94 ID:XMHhlk3SO
考察はいいから応援だけしよう

1乙
580 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/10(日) 22:08:15.28 ID:j1MTeqxmo
そろそろ>>1登場
581 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/07/10(日) 22:29:57.68 ID:dAKo6UZbo
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ
582 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/10(日) 22:38:12.87 ID:Y3jlpv6AO
||三  / ̄\
||   |  |
||ガラッ \_/
||   __⊥__
||三 / \::/ \
|| / <●>::<●> \
|||  (_人_)  |
||ニ\  `⌒′  /
||ニ/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
583 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:10:40.33 ID:v7qUxfg1o
――……

召喚士「それで3兄弟は大召喚士の下へ……?」

青龍先生「大召喚士と言う男、底は見えぬが腕と知識は確かじゃ」

青龍士官「つまりは、門下生に……」

青龍先生「大召喚士の狙いは当然、3兄弟を餌に――」

召喚士「先生方を取り込もうと……っ」

青龍先生「まぁそうじゃな。結果的にはの」

盗賊「……」

青龍先生「その年の秋頃じゃったかの。最初の内乱が起こった」

青年兵「……資料にも、そのように記載されておりますね」

青龍先生「僅か数ヶ月の間、大召喚士に何があったかは知らぬ」

魔道士「……っ」

青龍先生「じゃが、奴は徒党を組み、突如牙を剥いたのじゃ」

召喚士「それが……クーデターの始まり……」

青龍先生「……うむ」
584 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:13:27.94 ID:v7qUxfg1o
……――

大元帥「……どういう事だ?」

司令官「大召喚士が無断で出た、という事です」

大元帥「敵は?」

司令官「……さぁ。どうも魔物ではないみたいですけど」

大元帥「誰か、先生方を――」

カポッ…コトッ

天才「いいよ、俺がいく」

大元帥「何もお前がわざわざ行かずとも……」

天才「ついでに探りいれてくらぁ」

大元帥「探り? 何処へだ?」

天才「どこって全部だよ。奴と縁のある召喚士全てに手を回す」

大元帥「手遅れた感もあるけれどな」

天才「だからって指くわえて見てろってか? らしくねぇ事言ってんじゃねぇよ」

大元帥「ハーッハッハ! それもそうだな。俺もヤキが回ったもんだ」
585 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:15:06.87 ID:v7qUxfg1o


朱雀先生「なんつった……?」

天才「大召喚士が反乱を起こした……って言ったんだよ」

青龍先生「大……召喚士が……!?」

玄武先生「ついに、起きてしまいましたか……」

天才「やっぱりそう踏んでたかい」

朱雀先生「何だその言い草はよぉ」

天才「あん?」

朱雀先生「てめぇらの指示だろうがっ!!」

天才「……おいおい、なんか勘違いしてねーか?」

朱雀先生「あぁ!?」

天才「悪いが今回の騒動は、軍は一切絡んじゃいねぇ」

朱雀先生「ふざけるな! 今更知りませんで済むと思ってんのかよ!」

玄武先生「朱雀、落ち着きたまえ」

天才「なーんか勘違いしてるみてぇだが、国軍は関与してねーぞ」
586 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:16:59.67 ID:v7qUxfg1o
青龍先生「どういう事じゃ?」

天才「大召喚士の提言なんぞ、軍はとっくに突っぱねてんだよ」

朱雀先生「はぁ!? 意味が分かんねーんだよ!」

天才「こっちだって分かるかよ。昨日の今日だぞ」

玄武先生「では、大召喚士さんはご自分の意思で……?」

天才「もしくは、誰かがそそのかしたか……だな」

青龍先生「そそのかした? 一体誰がそんな事を……」

天才「とにかく、今は憶測の域を過ぎねぇ。ひとまず本部まで来てくれや」

玄武先生「白虎はまだ戻ってないのですか?」

青龍先生「うむ。仕方ない、先に行くとするか」

朱雀先生「……ったく、何でわざわざ本部くんだりまで行かにゃならねーんだよ」

天才「あーじゃあアンタは来なくてもいいぞぉ」

朱雀先生「行きゃあいいんだろうがクソガキ!!」

青龍先生「これ以上厄介な事にならなきゃいいがの」

玄武先生「……うん」
587 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:18:35.06 ID:v7qUxfg1o


大元帥「事情は分かって貰えたかな?」

青龍先生「……」

朱雀先生「貰えたかな? じゃねーよ。どうするつもりなんだ」

大元帥「その前に、彼が来たようだね」

白虎先生「……」

玄武先生「白虎、待っていたよ。……どうした?」

白虎先生「……あ、あいつらが……っ!!」

青龍先生「……?」

玄武先生「まさか、3兄弟が!?」

白虎先生「……大召喚士に……くそっ!!」

朱雀先生「殺されたのか!?」

白虎先生「違う! 加担……したそうだ!」

青龍先生「……っ!!」

玄武先生「そう……か……」
588 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:20:09.83 ID:v7qUxfg1o


天才「奴らの狙いは高等召喚獣の独占だ。三下とっ捕まえて吐かせた。間違いねぇ」

カチャッ…カポッ

司令官「……先生方、抑えられるかい?」

青龍先生「無茶言え。何人の召喚士と戦えというんじゃい」

玄武先生「人間同士の争いなど、絶対に止めるべきです」

朱雀先生「どうやって止めんだよ、召喚獣何十体を相手にさせる気だ」

大元帥「とにかく、優先すべきは高等召喚獣の死守だね」

玄武先生「どのように?」

大元帥「本国総出で護衛を出す。希少種メインで守って貰いたい」

朱雀先生「戦いながら護衛もしろってか? 買いかぶり過ぎだろ」

司令官「先に安全な場所は避難させてはどうかな」

青龍先生「安全? 本部か?」

大元帥「本部は万が一の事もある。もっと安全な所があればいいんだが……」

玄武先生「……北は、どうだろうか?」
589 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:21:31.51 ID:v7qUxfg1o
青龍先生「北……!? 逆に危なかろう」

白虎先生「いや、面白いな!」

司令官「何かツテでもあるのかい?」

白虎先生「……私の弟子が住んでいる。そこなら安全です!」

朱雀先生「絶対にか?」

白虎先生「はい! 人里離れた場所ですし、あの2人がいれば……」

青龍先生「2人……? もしや、白虎兄弟か?」

白虎兄弟「そうです! 彼らもかなりの実力者。うってつけかと!」

大元帥「3兄弟は知っているのか?」

白虎先生「……いえっ、知らせてはいません」

青龍先生「……?」

大元帥「ふむ、それならばうってつけかもしれん。身近な者は北へ預けるといい」

白虎先生「玄武、君の子供達を……」

玄武娘「……うん。そうさせて貰うよ」

青龍先生「朱雀、お主の弟子や朱雀本家の連中は?」
590 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:23:53.64 ID:v7qUxfg1o
朱雀先生「弟子? あぁ、朱雀門弟か。1人でどっかプラプラしてて連絡つかん」

玄武先生ならば本家の方々を」

朱雀先生「ああ、連絡しとくよ」

玄武先生「青龍は?」

青龍先生「身寄りはともかく、軍に残した生徒らが心配じゃな」

大元帥「軍内の連中は大丈夫だろう。高等召喚獣は持っていない」

白虎先生「じゃあ朱雀と玄武はすぐに手配を!」

朱雀先生「おう、朱雀本家にはすぐ連絡とる」

玄武先生「うちの娘らもすぐに呼び寄せるよ」

司令官「じゃああとは……大召喚士だねぇ」

大元帥「4人で抑えられるかい?」

朱雀先生「やり方によんだろ」

玄武先生「……」

朱雀先生「ぶっ殺してもいいなら可能だ。生け捕りは不可能だろうな」

大元帥「……成程」
591 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:25:38.47 ID:v7qUxfg1o
――……

戦士「にわかには信じられねぇな……っ」

召喚士「本当にそんな事が40年前に……」

青龍先生「無理もないわい。歴史書からもほとんどが抹消された出来事じゃ」

青年兵「しかしこの資料にはおよそ1ヶ月程度で収束したとありますが……」

青龍先生「……うむ。その通りじゃ」

魔道士「何か……あったんですか?」

青龍先生「大召喚士が死んだのじゃ」

盗賊「……まさか」

青龍先生「いや、結局儂らは何も手を下せなかった」

名代「……」

青龍先生「召喚士の便利なところは召喚獣を討てば済む、という事じゃ」

召喚士「あっ、そうか! 召喚獣を倒せば魔力枯渇で……」

青龍先生「命を取らずとも戦闘不能には追い込める」

青龍士官「それでは一体何が……」
592 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:26:44.82 ID:v7qUxfg1o
……――

玄武先生「どういう……事です……?」

天才「だから、大召喚士が死んだって言ったんだよ」

青龍先生「誰がやったんだ!? まさか……お主か!?」

天才「ちげーよ。魔物にやられたみてぇだ」

白虎先生「――!?」

天才「……まぁ、こっちとしちゃこれでようやく一段落……」

朱雀先生「よかねぇだろうが!!」

玄武先生「……」

朱雀先生「大勢の召喚士が死んだ! 本家のジジイも死んだ!」

青龍先生「……」

朱雀先生「全部てめぇらの責任だろうが!!」

天才「……そうかもな」

朱雀先生「なんだその態度はよぉ!!」

天才「とにかくだ、これで事態は収束する。反乱はもう完全鎮圧するだろ」
593 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/10(日) 23:31:52.50 ID:v7qUxfg1o
――……

青年兵「つまり、大召喚士という方は魔物にやられたという事ですか?」

青龍先生「らしいのぉ。発見時には既に死亡していたそうじゃ」

召喚士「……」

青龍先生「双方、誰が敵味方とも分からず戦い、しまいには朱雀本家の長まで……」

朱雀嬢「先生、お話の最中申し訳ありませんが、少し具合が悪いのでこれで失礼致しますわ」

魔道士「朱雀嬢ちゃん……? だ、大丈夫!?」

朱雀嬢「ええ、先にホテルへ戻らせて頂きますわ」

玄武娘「あっ、それじゃ私も一緒に行くですの! おやすみなさいですのっ!」

戦士「……何だ?」

盗賊「疲れたんじゃないかな。時間も時間だし……」

召喚士「……」

青龍先生「話が長くなってしまったの。そろそろお終いとするかの」

青年兵「最後に、この……3兄弟の事だけ宜しいですか?」

青龍先生「……うむ、構わんよ」
594 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/11(月) 00:10:14.91 ID:qSIDz+vAO
>>1おつ
595 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/11(月) 05:22:47.33 ID:1J2OnmS10
いちおつ
朱雀嬢は朱雀本家と何か関わりがあるのかな?
596 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 17:47:54.07 ID:zldobvTYo
……――

白虎先生「やはり……信じられん!!」

ダンッ!!

白虎先生「何が反逆者かっ! 大召喚士に誑かされたに決まっている!」

玄武先生「もちろんです……。あの子達はそんなに愚かじゃない」

タッタッタ…バンッ!!

青龍先生「白虎三男が見つかったそうだ! 息もあるっ!」

朱雀先生「何ぃ!?」

青龍先生「北の森で見つかったそうじゃ」

玄武先生「北の森って……大召喚士が遺体で見つかった場所!?」

青龍先生「そのすぐ近くだそうだ。とにかく命に別状はない」

白虎先生「今は……どこに!?」

青龍先生「病院へ搬送された」

白虎先生「すぐに向かいましょう!」

青龍先生「うむ」
597 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 17:49:53.41 ID:zldobvTYo


白虎三男「……ぅ」

白虎先生「おいっ! 大丈夫か!? おい!!」

白虎三男「……お父……さん」

天才「何があったか話せるか?」

青龍先生「何も今でなくとも良かろう」

天才「収束してるとはいえ終わったわけじゃねぇ。事態は急を要するんだ」

白虎先生「……っ」

天才「お前ら大召喚士と行動してたのは分かってる。何があった?」

白虎三男「……わかんない……でも、大召喚士さんとお兄ちゃんが……」

玄武先生「!?」

白虎三男「白虎長男兄ちゃんが大召喚士さんに攻撃して……」

朱雀先生「何て事だよ……くそっ!」

白虎三男「そしたら、大召喚士が怒ってた。でも、お兄ちゃんも怒ってた」

玄武先生「……」
598 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 17:50:36.31 ID:zldobvTYo
白虎三男「そしたら、お兄ちゃんが逃げて、大召喚士が追っかけてった」

天才「……それで?」

白虎三男「僕と次男にいちゃんも追っかけた」

白虎先生「長男は!? 長男は無事なのか……っ!?」

白虎三男「わかんないよぉ。でも大召喚士さんんは死んじゃった……」

青龍先生「……見たのか?」

白虎三男「よく分からないけど、魔物が現れて……大召喚士さん死んじゃった」

朱雀先生「どういう事だっ!!」

天才「長男はどこへ行った?」

白虎三男「魔物と一緒に……どっか行っちゃった……」

青龍先生「――っ!!」

天才「これで決まったな」

玄武先生「待って下さい! 結論を出すにはまだ――」

天才「魔物と去った奴によぉ、他にどんな結論があるんだよ」

玄武先生「……っ」
599 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 17:52:59.27 ID:zldobvTYo
――……

召喚士「つまり、白虎長男が魔物と組んでいた……!?」

青龍先生「真実は分からぬ。じゃが現状をみればそうなのやもしれんな」

魔道士「現状……?」

召喚士「白虎長男は……あの、コートの男ですよね?」

青龍先生「そうじゃ。2代目白虎先生……まぁ、名ばかりのものじゃがの」

青年兵「そして白虎三男、いや……東方副司令は国軍へ……」

青龍先生「白虎の跡継ぎとしてな」

戦士「待ってくれ、白虎次男て人はどうなったんだ?」

召喚士「東方副司令は亡くなったと言っていましたが……」

青龍先生「みたいじゃの。儂も連絡は取っておらんかったからの」

盗賊「……じゃあ、行方不明に?」

青龍先生「いや、あの反乱後は北に逃げた連中と暮らしておったようじゃ」

召喚士「白虎先生の弟子や玄武先生の娘さんですね?」

青龍先生「そうじゃ。確か……最北の村じゃったかの」
600 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 17:56:23.02 ID:zldobvTYo
召喚士「……最……北?」

青年兵「最北って……召喚士さん……っ」

召喚士「最北の村に……いたんですか?」

青龍先生「もう古い話になるがの」

召喚士「最北……最北の……村……」

キィンキィンキィン

――『……を……頼……む』

――『おいっ! しっかりしろぉ!』

――『……ごめんね……ごめ……』

名代「……召喚士殿?」

召喚士「!? あ、あぁ……すみません……」

青年兵「……今日は、ここまでと致しましょうか」

青龍先生「そうじゃな、そうしよう」

魔道士「ありがとうございました……っ!」

青龍先生「こっちこそありがとうよ、老人の長話に付き合って貰ってのぉ」
601 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 17:57:14.69 ID:zldobvTYo
カツカツカツ

青年兵「……先生!!」

青龍先生「んー?」

青年兵「明日は……頑張りましょう……」

青龍先生「……そうじゃな。頑張ろうぞ。ひょっひょ!」

カツカツカツカツ…

青龍士官「明日で……最後、か」

青年兵「とてもそんな背中には見えないな」

青龍士官「……ああ。むしろ生気に満ちた力強……い……」

クルッ…ゴシゴシ

青龍士官「……先に、失礼する」

青年兵「うん。おやすみ」

カツカツカツ…

名代「それでは私も。また明朝……失礼」

召喚士「はい。お疲れ様でした」
602 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 17:58:57.11 ID:zldobvTYo
カツカツカツ…

召喚士「……」

青年兵「召喚士さん」

召喚士「青年兵くん、お疲れ様」

青年兵「あ、いえ……っ。それよりも……思わぬ手掛かりですね」

召喚士「……」

魔道士「手掛かりって……」

青年兵「青龍先生の話です。何か、見えてきました」

召喚士「……俺には何も……分からないよ」

戦士「最北っつったら召喚士の故郷だよな? まさかそこに……」

青年兵「白虎先生の弟子に玄武先生の娘。そして……白虎次男」

盗賊「……何か……あるな」

召喚士「でも、今はするべき事があるからね」

青年兵「ですね。手助けが必要な時は遠慮なく言って下さい」

召喚士「うん、ありがとう」
603 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 18:00:40.65 ID:zldobvTYo
それからホテルへ戻って、俺はすぐにベッドへ入った。

召喚士「……」

普段なら酒を片手に話し掛けてくる戦士も、この時ばかりは無言でベッドへ潜った。

召喚士「……」

もちろん青龍先生の事もあったけど、それ以上に頭がこんがらがってた。

召喚士「……」

寝たいのに眠れない。少し熱っぽいのも自分で分かった。

召喚士「……」

色んな事が頭をよぎった。知っていい事なのか……悪い事なのか。

召喚士「……」

師匠は知っていたんだろうか。そして俺は……何を知るべきなんだろうか

召喚士「……」

不安と好奇心が半々。今思えば、知ってよかった気持ちが強い……かな。

召喚士「……」

そして俺らは、運命の朝を迎えた。
604 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 18:01:31.31 ID:zldobvTYo


青年兵「おはようございます。それでは出発致しましょうか」

召喚士「……うん」

青年兵「朱雀先生、玄武先生、名代様、白虎長殿は前の馬車へ」

青龍士官「以外の皆様は、私と後方の馬車へお願い致します」

魔道士「はい」

テクテクテク…

召喚士「……青龍先生」

青龍先生「おはようさん、よう眠れたか?」

召喚士「……いえ」

青龍先生「ひょっひょ、儂もじゃよ」

玄武娘「失礼しますですの」

青年兵「それでは出発致します」

青龍先生「うむ、行こうか」

召喚士「……はい」
605 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 18:02:59.94 ID:zldobvTYo
パッカパッカパッカ…

青年兵「先日お話した通り、我らは青龍先生の補佐を行います」

名代「うむ」

青年兵「青龍先生、ご説明を」

青龍先生「お主らには一旦、魔力を受け止める器となって貰う」

召喚士「器……?」

青龍先生「封印には4人の魔力を膨大に要しておる」

玄武娘「……」

青龍先生「それを一時的に開放する際、逃がさず受け止めて貰うのじゃ」

名代「成程」

青龍先生「そこへ名代殿の式神をぶつけ、無理矢理五行を作り出す」

青年兵「不安定で危険ではないですか?」

青龍先生「それを儂が一手に受け止める。暴走しようが関係あるまい」

召喚士「……」

青龍先生「どうせ死ぬんじゃからの」
606 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 18:03:45.09 ID:zldobvTYo
パッカパッカパッカ…

戦士「なぁ、昨日の話どう思う?」

魔道士「……?」

戦士「青龍先生が言ってたいよな。最北の村に避難した……って」

盗賊「ああ」

戦士「召喚士と無関係に思えるか?」

魔道士「……いえ」

戦士「だよな」

盗賊「召喚士の出生と秘密が……?」

戦士「いや、それは分かんねーよ。だが、因果関係はあると思うがなぁ」

魔道士「私も……そう思います」

盗賊「……同意だな」

戦士「本人次第だが、色々と調べてみる価値はあると思う」

魔道士「そう……ですよね」

盗賊「あとは召喚士の……気持ち次第か」
607 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 18:04:28.20 ID:zldobvTYo
パッカパッカパッカ…

青龍先生「その五行を再びパズズへぶつけた後、儂が最後の五行を放つ」

青年兵「五行の重ねがけ……ですか」

召喚士「その五行を、俺らが撃てばいいんじゃないですか!?」

青龍先生「それはならん。先も言った通り、最初の五行が不安定なのじゃ」

玄武娘「……っ」

青龍先生「ただですら器となるお主らには、負担が大きすぎるわい」

青年兵「……だから、先生にしか出来ないと」

青龍先生「わざわざ寝ている獅子を起こす必要もなかろう」

召喚士「俺らに……出来ますでしょうか?」

青龍先生「やって貰わにゃあ困るわい。まぁ安心せい……お主らなら出来る」

玄武娘「……」

青龍先生「でなくば、こんな事を頼んだりせんわい。ひょっひょ」

青年兵「間もなく……港です」

青龍先生「船で南へ入れば、遺跡まですぐじゃわい」
608 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 18:05:12.15 ID:zldobvTYo


魔道士「あっ、船が来ましたよ!」

戦士「……なぁ」

朱雀嬢「はい?」

戦士「お前さん、昨日の話と何か関係あんのか?」

朱雀嬢「……どういう意味かしら?」

戦士「いや、別に気にしないでくれ。ちょっと個人的に気になっただけなんだ」

朱雀嬢「……そう」

盗賊「……」

青龍士官「このまま船へ進みます。降りる場合は乗船後で構いませんね?」

戦士「ん、ああ」

朱雀嬢「……」

戦士「……」

青龍士官「では、乗船します」

魔道士「はいっ」
609 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/11(月) 18:07:12.39 ID:zldobvTYo
ザザーン…

召喚士「……あれ? 青龍先生は?」

青年兵「馬車内でいいそうです」

召喚士「そっか」

青年兵「……ふと、思い出します」

召喚士「ん?」

青年兵「3人で南へ行き、修行なんかも「しましたよね」

召喚士「あぁ、あの時は船じゃなかったけどね……ははっ」

青年兵「それから召喚フェスで戦って、青龍先生に見て貰ったり……」

召喚士「あの時は完敗だったよ」

青年兵「でも召喚士さんは、召喚子さんとしても戦ってたわけで……」

召喚士「……その話はよそうよ、は……ははっ」

青年兵「始めて3人で戦ったのは、北関でしたね」

召喚士「……うん。始めて見たバハムート。圧倒されたなぁ」

青年兵「……ええ」
610 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/11(月) 18:14:49.48 ID:zldobvTYo
立て続けに短い投下ですみません…!
もうちょっとで終わると思いますので…

それでは失礼致します。ご支援感謝感謝!ノシ
611 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/11(月) 20:36:54.35 ID:0KSoT6WT0
一乙
北の森ってバフォメットさんがいるところだったか?
612 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/11(月) 20:56:36.50 ID:qklLdw7AO
>>1

連載初期の頃から気になっていた召喚士出生の謎がいよいよ解明されるのか…胸熱
613 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/11(月) 21:52:38.08 ID:HLMQmVTAO
寸止めンギモヂイイイイイイイイ!!
614 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/11(月) 22:02:00.39 ID:renMducFo
一乙!

召喚士の一人称視点の書き方って何気に初めてじゃね!?
いいねいいね!
615 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/11(月) 22:55:36.52 ID:Lp6SaBs/o

なにげに名代さんて負担大きいよね
616 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/11(月) 23:18:23.85 ID:fNrFJRnAO
大軍師→孔明
名代さん→横山漫画の魯粛
なイメージ
617 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/12(火) 00:32:58.65 ID:syfpqe0So
名代さんはヒカルの碁のサイのイメージだわ
618 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/12(火) 00:46:40.73 ID:ESKqJk4AO
イメージとか再生厨はスレが荒れる原因なんでやめた方がいい
そういうのは頭の中だけに留めておこうぜ
619 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/12(火) 00:59:10.18 ID:rWcYBKWOo
召喚と違って式神は事前準備だからそこまで負担はないんじゃね
咄嗟の柔軟性がない代わりに魔翌力の管理ができるのが特色なんだから
620 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/12(火) 04:04:10.75 ID:2zDUNnvLo
召還士→ロビン
戦士→ジェラルド
盗賊→シバ
魔道士→ジャスミン
621 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 04:09:02.32 ID:oiwtGDdDO
黄金の太陽面白いよな
天才はジャック・スパロウって感じ
622 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 05:45:11.17 ID:8unGnSUDO
黄金の太陽はおもしろいけど全然違うだろ
ここで話す話題じゃないが
623 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/12(火) 05:51:15.50 ID:DuYpHUqA0
1おつ
ついに召喚士の出生の秘密が…
624 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/07/12(火) 18:10:52.45 ID:vcNWwgaa0
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ
625 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:22:55.60 ID:ohZll7lho
思い出話に華を咲かせているうちに、船はもう山あいの町へと到着した。

召喚士「海路が開通して、遺跡まであっと言う間だね」

青年兵「ええ。南は特産物も魅力的なので商業価値も高まりましたよ」

俺も青年兵くんも、それから先は当たり障りのない話をしていた。

召喚士「いやぁ、南は本国以上に暑いねぇ」

青年兵「そうですね、体調管理には気を付けないといけませんね」

お互いこれから起きる事を少しでも和らげようと、そして、

周囲の皆にも余計な不安を与えまいと、そんな感じだったのかな。

召喚士「この山、結構なだらかなんだけど、やっぱり馬車があると楽だね〜」

青年兵「ですよね。でも運動不足にならないか心配ですね……ははっ」

時たま会話が途切れるけれど、どちらかが無理矢理話題を作ってた。

召喚士「それにしても、今日はいい天気だなぁ。雲1つないよ」

青年兵「たまには雨も降ってくれないと、水不足が心配ですね」

無言と同時に押し寄せる不安とか、そういう気持ち……。

悲しい結末から目を背けて逃げ出した……そういう気持ち。
626 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:23:29.98 ID:ohZll7lho
〜遺跡〜

パッカパッカパッカ…ドドォ

青年兵「以前に召喚士さん達が調査してくれましたよね」

召喚士「あ、うん……」

青年兵「その際に道を切り拓いてくれたお陰で、遺跡内には容易に入れます」

ザッザッザ

戦士「さて、行くか」

盗賊「前衛は任せてくれ」

青龍士官「お願い致します。朱雀嬢さんは私と後列へ」

朱雀嬢「……分かりましたわ」

召喚士「俺も、前衛で進むよ」

白虎長「召喚士くん!?」

青龍先生「良い良い。行かせてやろうぞ」

召喚士「……ありがとうございます」

青年兵「それでは……作戦開始!」
627 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:24:06.54 ID:ohZll7lho


盗賊「……」

ザッザッザ…

魔道士「特に……何もないですね」

戦士「そりゃなぁ。もう魔物も出ないだろうし」

盗賊「魔道士、階段の脇……灯りを」

魔道士「あ、はいっ」

ボウッ…メラメラッ

戦士「ここに来る事も、もうないかと思ってたけどな」

召喚士「……うん」

戦士「でもこれが正真正銘の最後か」

盗賊「……そうだな」

召喚士「色々なものが……解放されるんだ」

戦士「ああ、本当にそうだな」

魔道士「……っ」
628 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:25:33.77 ID:ohZll7lho
魔物が居なければさほど潜るには困難を伴わない遺跡。

道を把握している前衛が備わっている事もあり、一同は予定よりも早く、

遺跡の地下7階へと到達したのであった。

ザッザッザッ…ザッ

玄武娘「ここ……ですの?」

召喚士「いや、もう1つ下です」

戦士「ネクロマンサーのいた所だよな」

盗賊「……ああ」

青龍士官「青年兵」

青年兵「うん。各自、臨戦態勢を」

ザザッ

戦士「……行くぞ」

盗賊「……うん」

戦士と盗賊を筆頭に、召喚士と魔道士が跡に続く。更にはその背後に、

青年兵らが青龍先生の脇を固め、一同は地下8階へと到達した。
629 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:27:02.14 ID:ohZll7lho
〜遺跡、地下8階〜

ジャリッ

玄武娘「ここは……何ですの!?」

戦士「あんまり足元見るなよ」

白虎長「……?」

戦士「焼死体やら……転がってからよ」

朱雀嬢「嫌ああぁぁ!!」

戦士「だから見るなって言ったろ」

青年兵「先生」

青龍先生「うむ。その奥に階段があるじゃろ」

盗賊「……」

かつて遺跡を訪れた召喚士達4人。しかし彼らはその全てを知るわけではない。

目の前に見える階段を降ったその最下層。そこに封印されしパズズがいる。

青龍先生「では、行こうかの」

その声を合図に、一同は最下層へと足を進めた。
630 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:28:13.61 ID:ohZll7lho
〜遺跡、最下層〜

コオオォォォォ

盗賊「……っ」

戦士「なんか……背筋がゾクゾクするってか、嫌な感じだな」

盗賊「……ああ」

前衛を務める2人は暗闇に目を凝らせながら、ぽつりとつぶやいた。

青年兵「松明を」

青龍士官「ああ」

ボウッ

松明の灯りに照らされた遺跡の最深部。それはただぼんやりと薄暗く、

飾り気のない巨大な部屋が広がっているだけである。

魔道士「ここが……」

青龍先生「封印の地じゃ。さぁ、こっちじゃ」

召喚士「……はい」

中央へ進む青龍先生の後を追い、一同が続く。
631 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:29:23.92 ID:ohZll7lho
ザッザッザ

名代「こ……これは……っ!?」

戦士「結界石かぁ!? で、でけぇ……!!」

青龍先生「厳密には結界石の集合体じゃな」

魔道士「集合体……?」

青龍先生「よう見てみい」

召喚士「……?」

魔道士「きゃああぁぁ!!」

朱雀嬢「ひ……っ!!」

戦士「ど、どした!?」

玄武娘「ななな、中に魔物があぁ!!」

召喚士「――!?」

青龍先生「そのインプのような奴が、魔王パズズじゃよ」

青年兵「こっ、これがですか!?」

青龍先生「そうじゃ。魔力を失ったパズズの姿じゃ」
632 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:30:35.17 ID:ohZll7lho
召喚士「……そういえば、アンラ・マンユの時も似てたな」

青年兵「……?」

召喚士「ほら、魔力を失ったアンラ・マンユは少年のような姿に……」

戦士「あ、あぁ! そういえばそうだったな」

盗賊「これが封印された……魔王」

青龍先生「さて、まずは下準備じゃな」

玄武娘「は、はい! それでは早速――」

青龍先生「待て待て。そうではない」

玄武娘「ほえ?」

青龍先生「下準備とは……青年兵、青龍士官」

青年兵「は、はいっ!」

青龍先生「お主らにはまだ、全てを授けたわけではなかったからのぉ」

青龍士官「……まさか」

青龍先生「最後じゃ、受け取ってくれ。青龍召喚獣……バハムート」

召喚士「!?」
633 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:33:00.04 ID:ohZll7lho
青年兵「バハムート……」

青龍先生「そう、バハムートじゃ」

ザッ

青龍先生「さーて、それでは早速……」

戦士「こ、ここでやんのか?」

青龍先生「どうせあとで天井まで全てが吹き飛ぶ。手っ取り早いわい。ひょっひょ」

召喚士「少し、下がりましょうか」

魔道士「え、ええ……っ」

ジャリッ

青龍先生「こおおぉぉぉぉ……っ」

青年兵「……」

召喚士「凄い……威圧だ……っ」

名代「一体……どこにこれ程の力を……」

ゴゴゴゴゴゴ…

青龍先生「……出でよ、バハムート!!」
634 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:34:31.33 ID:ohZll7lho
シュイイィィィィン…ズゴゴゴゴゴッ

青龍先生「……正真正銘、最後の召喚じゃ」

ドドオオォォォォ…

青龍士官「……っ」

青龍先生「とくと見ておけい! バハムートの全てを!」

青年兵「はいっ!」

青龍先生「ぬ……りゃああぁぁぁぁ!!」

バハムート「ガオオォォォォン!!」

ドウンッ!!…キュイイィィィィン

盗賊「天井めがけて撃つ気か!?」

青龍先生「ひょっひょ、気ぃ付けろよぉ!」

ガカアアァァァァ!!…ドッゴオオォォォォン!!

朱雀嬢「きゃああぁぁーっ!!」

戦士「盗賊! 瓦礫を――」

召喚士「行けっ! ゴーレム!」
635 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:35:09.94 ID:ohZll7lho
シュイイィィィン

盗賊「魔道士、下がって!」

魔道士「は、はい! きゃっ!」

戦士「朱雀嬢、玄武娘! 俺の後ろに回れ!」

玄武娘「ははは、はいですの!」

ドガッ…ゴシャッ!!

バハムート「ゴアアァァァァ!!」

召喚士「くっ!!」

戦士「くそっ、容赦ねぇな……っ」

青龍先生「隅におればどうという事もないわい。安心せい」

戦士「んな事言ってもよぉ……おわっ!」

タッタッタッタ…

朱雀嬢「青年兵様っ!?」

白虎長「ちょっと2人とも! 早くこっちに……」

青年兵「……いえ、それは出来ません」
636 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:36:47.94 ID:ohZll7lho
名代「!?」

青龍士官「先生の……バハムートの全てを見届けなくては」

青龍先生「お……おおぉぉぉぉ――!!」

ズッガアアァァァァン!!…ズドドドドオォ…

青龍先生「ぜっ、ぜ……っぜっ……ぐくっ」

青年兵「先生っ!?」

青龍先生「心配すんない。だいじょうじゃよ」

青龍士官「青年兵、そっちの肩を」

青年兵「うん」

ググッ

青龍先生「バハムートの息吹……感じたか?」

青龍士官「……はい。しかと心に」

青龍先生「……専属は解除した。これでお主らもつかえるじゃろ」

青年兵「先生……」

青龍先生「さて、ありがとうよ。もう大丈夫じゃ」
637 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:38:13.78 ID:ohZll7lho
ストッ

青龍先生「もう1つ、授けるものがあったな」

青年兵「……」

青龍先生「2代目、青龍先生の名じゃ。まぁ必要もなくなるやもしれんがの」

魔道士「青龍先生……2代目」

青龍先生「この紋章を……受け取ってくれ」

青龍士官「……」

青龍先生「……青龍士官」

青龍士官「――!?」

青龍先生「どうした? ほれ」

青龍士官「……お言葉ですが先生、私より適任者が」

青龍先生「誰じゃ?」

青龍士官「誰って……青年兵……」

青龍先生「……だ、そうじゃが」

青年兵「それはお断りさせて頂きます」
638 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:39:14.09 ID:ohZll7lho
青龍士官「!? 何を言う――」

青年兵「私も適任者は青龍士官が良いと思います」

青龍士官「しかしだな……」

青龍先生「こやつはな、先生の名なんぞに留まっていられる男ではないのじゃ」

青龍士官「……っ」

青龍先生「将として国軍を纏めあげ、将来は国政を担う男じゃ」

青年兵「……」

青龍先生「青龍先生として留まってはいられんのじゃよ」

青龍士官「……それは分かりますが」

青年兵「頼む青龍士官」

青龍士官「……」

青年兵「君には青龍先生として、青龍召喚隊……いや、竜騎士隊を率いて欲しい」

青龍士官「――っ!!」

青龍先生「何もお主が劣っているわけではない。召喚士としての実力なら伯仲じゃ」

青年兵「……だから頼む、青龍士官」
639 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:41:00.75 ID:ohZll7lho
青龍士官「…………っ」

ザッ…チャリッ

青龍士官「若輩者ではありますが! 預かりさせて頂きます!」

青龍先生「ひょっひょ、泣くな泣くな。喜ばしい事じゃぞ?」

青龍士官「は……い……っ!!」

青龍先生「……さて、これで授けるべきは全て終えたわい」

ザッザッザ

青龍先生「朱雀先生」

召喚士「は、はいっ!」

青龍先生「お主も、バハムートは見ておったよな?」

召喚士「……はい」

青龍先生「こやつらにもしもの事あらば、頼んだぞ」

召喚士「……俺は……使う気はありません」

青龍先生「……」

召喚士「青龍先生の魂は、この2人がきっと担っていくと信じてますからっ!」
640 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:42:20.51 ID:ohZll7lho
青龍先生「……ひょっひょ、そうじゃな。ああ……そうじゃ」

ザッザッザッザッザ

青龍先生「さて、それでは始めるかの」

召喚士「どうすれば……いいですか?」

青龍先生「まず、各人は結界石の周りに配置しておくれ」

召喚士「行こう、青年兵くん」

青年兵「……はい」

ザッザッザ

白虎長「玄武娘も行くわよ」

玄武娘「はい……ですの」

テクテクテク…ザッ

戦士「いよいよか……」

朱雀嬢「……ですわね」

魔道士「……う、うぐぅ」

盗賊「……」
641 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:44:15.76 ID:ohZll7lho
青龍先生「さーて、それでは召喚士を始めてくれい」

ザッ

白虎長「来……て……ベヒーモス!」

玄武娘「おいで、リヴァイアサン……!」

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

青年兵「出でよ……バハムート!!」

シュイイィィィィン…ドゴゴゴゴゴゴ…

青龍先生「名代殿、頼むぞ」

名代「はっ。我が全てをかけて使役致します」

4体の巨大な召喚獣が四方を囲む中心に、結界石と青龍先生が佇む。

傍らで使役の言葉を唱える名代。その光景は何とも不思議なもので、

浮世離れした世界観が一同は沈黙のまま自然と涙した。

しばらくその状態が続くと、名代は唱えるのをやめた。それは即ち、

式神の使役が完了したという事。いよいよ封印が解かれるという事。

魔王パズズが完全に消滅するその時が、刻一刻と近づいていた。
642 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:45:16.98 ID:ohZll7lho
ババッ!!…ドオオォォォォン!!

名代「……完了です」

青龍先生「準備は整った。ではいくぞい!」

パアアァァァァ

戦士「!?」

魔道士「結界石が光って――」

白虎長「先生っ!!」

青龍先生「案ずるな。返してもらうだけじゃわい」

ズズッ…ズズズッ

青年兵「あ……れは……!!」

召喚士「……サラマンダー!?」

ボシュッ!!

サラマンダー「……おう、すっかりジジイになっちまったなぁ」

青龍先生「ひょっひょ、まぁな」

青龍士官「召喚獣……喋って……」
643 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:46:26.79 ID:ohZll7lho
青龍先生「封印を一時的に解くぞい」

サラマンダー「魔力が跳ねっ返るぞ?」

青龍先生「かわいい弟子達が受け止めてくれるわい」

ギュイイィィィィン!!…ズガアアァァァァ!!

朱雀嬢「っ!?」

青龍士官「何だ……あれは……!!」

召喚士「サラマンダーの姿が……っ!!」

青龍先生「青龍最大の召喚獣はバハムートじゃが……」

グググッ

青龍先生「青龍最強の召喚獣は……青龍」

魔道士「青……龍!?」

サラマンダーの炎が青白く変化し、その姿が1匹の大きな龍へと変貌する。

召喚士「青龍? 青龍って何……!?」

青龍先生「良いかっ、儂はこの召喚獣について教えるつもりはない!」

青年兵「!?」
644 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:47:23.43 ID:ohZll7lho
青龍先生「これは禁呪。こんなものに頼らずともお主らは強い!」

白虎長「先生……っ!」

青龍先生「さぁ、受け止めてくれい!!」

ドガアアァァァァ!!

玄武娘「きゃああぁぁーっ!!」

青年兵「くあぁ!!」

召喚士「す……ごい魔力だ……っ!!」

青年兵「……っ!!」

青龍先生「これが伝説4人の残した遺産! その力じゃ!」

召喚士「これが……初代朱雀先生の力……っ!」

白虎長「……っ」

玄武娘「おじいちゃん……っ」

青年兵「青龍先生の……」

青龍先生「そのまま召喚獣へ吸収するのだ!」

召喚士「は、はいっ!!」
645 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/12(火) 18:50:30.97 ID:ohZll7lho
青龍先生「いいぞぉ! そしたら己の魔力を高めて……維持しろぉ!!」

玄武娘「は、はいですのおおぉぉ!」

青龍先生「いいぞ! 皆、素晴らしい使い手だな!」

戦士「すっげぇ……っ。力が空中で燻ってるってのが……伝わってくるぜ」

盗賊「ああ、凄い力だ……!」

青龍先生「名代殿ぉ!!」

名代「はっ!!」

ズシイイィィン

青龍先生「さぁ、皆よ! 合図と同時にその全てを撃ち込めぇ!!」

白虎長「はいぃ!!」

玄武娘「……い……つでも……いいですのぉ!!」

青年兵「こっちも……ですよぉ!!」

召喚士「ぐ……くくっ!!」

青龍先生「今じゃああぁぁ!!」

一同「おおぉぉぉぉーっ!!」
646 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/12(火) 18:53:26.05 ID:ohZll7lho
また変なところで終わっちゃった…すみません
それでは帰れ命令なので失礼致します!
本日もご支援ありがとうございました〜!ノシ
647 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/07/12(火) 19:20:21.46 ID:cQHH+S/ro
>>1乙ううううううううう!!
仕事中なのに泣いちゃったじゃないか・・・
明日もまた泣く事になるのか・・・
648 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 20:50:03.21 ID:sZ+EWBuDO
知ってたし!!!
ここで切れるのは知ってたから全然寸止めされた感とか無いし!!!!!!

>>1乙!
別に悔しくなんかないからなああぁぁ
649 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/12(火) 20:59:54.03 ID:tsvBHM+DO
この寸止め魔王め

650 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/07/12(火) 23:20:55.63 ID:RQ+94GPAO
>>1登場
651 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/07/12(火) 23:24:31.98 ID:j6yD7a3Ho
>>650
    /\___/ヽ
   //~    ~\:::::\
  . |  (・)   (・)   .:|
  |   ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|   は?
.   |   `-=ニ=- ' .:::::::|
   \  `ニニ´  .:::::/
   /`ー‐--‐‐―´\
652 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 23:27:06.60 ID:obm7ZknIO
>>651

     / ̄\
    |  ^o^ | <命に かかわる パンチを しますよ
     \_/
     /   ヽ
    | ヽ  |   _ _,.’;./ ̄\
    ヽ _ ̄=−_− _._))|    | 
      |        ̄ ;’,.∴;\_/
     |  i |        /   ヽ
      .|  ||       / /|   |
     | ノ ノ      / / |    |
     .| .| (      / /  |    :|
     /|\.\    し   |    |
     し'   ̄  
653 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/12(火) 23:44:09.96 ID:ESKqJk4AO
〜完〜
654 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/12(火) 23:54:29.47 ID:qDipKJNPo
いまさらだけど山の中に城がまるまる埋まってるってなかなかいいロケーションだよね
655 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/13(水) 00:33:07.02 ID:WCrfg0zio
確かに
欧州に半分埋まってるとか位ならありそうだな
656 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/13(水) 00:59:23.99 ID:H6kOrlwAO
>>1おつ
657 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/13(水) 01:52:05.40 ID:+AQuRbUDO
余計な事なくな粕共氏ね粕
658 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/13(水) 08:03:08.45 ID:bSYoFR3AO
>>1

あぁ〜いよいよお爺ちゃん逝っちゃうのか
サラマンダーとのさり気ないやりとりもなんかこう、グッとくるな
659 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/07/14(木) 13:39:21.27 ID:3xmLIv6/o
ふっかーつ!!
いい所でなぜ不定期メンテに・・・
660 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/14(木) 14:21:36.16 ID:Hz/8prCa0
やっと読めた
いちおつ
661 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/14(木) 14:22:42.74 ID:Hz/8prCa0
やっと読めた
いちおつ
662 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/14(木) 15:11:49.63 ID:uxe+ytj90
製作速報だった頃を思い出させるメンテだったな。
この分だと朱雀とか白虎もいそう
663 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/14(木) 17:44:28.45 ID:NkXNFUsIO
基本召喚獣が禁呪によって最強の召喚獣になる・・・
素敵やん
664 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:25:36.01 ID:zDJdAtFWo
青龍先生と5人の使い手による最後の攻撃。今まさにそれは、

燻る魔力が再び集結し、魔王パズズをこの世から消し去る……はずだった。

戦士「…………」

まず最初に気付いたのは戦士だった。

穴の開いた天井へ目をやり、入り込む日差しをぼんやりと眺めていた。

戦士「……?」

突如、ふと光を遮る何かが目に映った。そして次の瞬間、

その影は物凄い勢いでこちらへ迫っているのが分かった。

戦士「く……そがぁ!!」

ダッ!!

魔道士「!?」

朱雀嬢「あれっ!!」

盗賊「……最悪だ……っ」

ヒュオッ

ネクロマンサー「貴様等、何をしている……!」
665 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:26:34.70 ID:zDJdAtFWo
ダダッ…ザッ

戦士「そいつを青龍先生達にに近づけるな!」

朱雀嬢「は、はいですわっ!」

ネクロマンサー「使い魔の良からぬ報告に足を運んでみれば……」

召喚士「――っ!?」

ネクロマンサー「何をやっていると言っている!!」

召喚士「ネクロマンサー!」

ババッ

朱雀嬢「出て来い! ワルキューレ!」

シュイイィィィィン

盗賊「魔道士っ、援護頼む!」

魔道士「えっ!? あ、はいっ!」

青龍士官「青年兵、上空から敵襲だぞ!」

青年兵「分か……ってる! でも……力……がっ」

ネクロマンサー「そこから……離れろぉ!」
666 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:27:58.99 ID:zDJdAtFWo
ズババババッ!!

白虎長「なっ、何!?」

召喚士「触手です! 気を付けて!」

ネクロマンサー「離れろと言っているのだ!」

青龍先生「避けろぉ!!」

玄武娘「ひぃっ!?」

ババッ!!…ドッ!!…ドスドスドスッ!!

ネクロマンサー「……」

召喚士「貴様……っ」

フワッ…

ネクロマンサー「確か、召喚士と言ったか」

召喚士「……」

スタッ…グワァッ!!

ネクロマンサー「今回ばかりは……許されんぞ」

召喚士「こっちの台詞だっ!」
667 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:28:58.62 ID:zDJdAtFWo
ネクロマンサー「ほざくなっ!!」

ギュオッ…バキャアアァァ!!

青年兵「召喚士さんっ!」

ズザザザッ…ズザァ

召喚士「……くっ」

スタッ

ネクロマンサー「粋がるなよ、小僧――」

戦士「てめぇだ!」

ザシュッ!!

ネクロマンサー「……」

戦士「おおぉぉ!!」

ブンッ!!…ヒュオッ

戦士「召喚士、立てるか!?」

召喚士「……助かったよ!」

ネクロマンンサー「……無駄な足掻きを」
668 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:30:30.59 ID:zDJdAtFWo
ゴゴゴゴゴゴ

ネクロマンサー「……」

召喚士「……っ」

ザッザッザ

盗賊「……」

戦士「召喚士には近づけさせねぇぜ」

ネクロマンサー「……」

ジロッ

朱雀嬢「……っ」

ネクロマンサー「……成程」

チラッ

玄武娘「っ!!」

ネクロマンサー「正直予想外でしたよ。まさか次の一手がこことはね」

青龍先生「慢心故に侮った貴様の負けだ」

ネクロマンサー「負け? まだ終わりではない。何も始まってはいない」
669 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:31:23.13 ID:zDJdAtFWo
スゥッ

ネクロマンサー「封印を解除するのだろう? なら好都合な事よ!」

青龍先生「!?」

ブワッ!!

青龍先生「朱雀っ! コカトリスに集中しろぉ!」

召喚士「!?」

ネクロマンサー「一角を潰せばこの魔力の行方、どうなる事やらっ!」

名代「まずい! 狙いはそこかっ」

ネクロマンサー「ククッ、ハハハハハッ!!」

バババッ…ズシャアアァ!!

ブリュンヒルデ「はああぁぁーっ!!」

ネクロマンサー「召喚獣……っ」

朱雀嬢「させませんわよおぉ!」

ネクロマンサー「こんなもの無駄無駄っ! 無駄だぁ!」

朱雀嬢「――!?」
670 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:32:07.30 ID:zDJdAtFWo
グアッ!!

ネクロマンサー「このまま殺してくれようかぁ!」

戦士「朱雀嬢ぉ!!」

盗賊「くっ!」

ネクロマンサー「クハハハハ! 死ねぇ!」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

ネクロマンサー「……ククッ」

スタッ…ポタポタポタッ

朱雀嬢「あ……あぁ……っ」

青年兵「大……丈夫です……かっ?」

朱雀嬢「^青年兵様っ!?」

青龍士官「くそぉ! ワイバーン!」

シュイイィィン…ドゴオオォォォォ!!

朱雀嬢「青年兵様ーっ!」

青年兵「大丈夫です……て」
671 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:32:36.81 ID:zDJdAtFWo
ヨロッ…ポタポタッ

ネクロマンサー「……しぶといですねぇ」

青年兵「かすり傷程度で……いい気になるなよ……っ」

ネクロマンサー「……やはり、この場に居る人間は全員殺しますか」

戦士「させっかよ!」

青龍士官「青年兵っ、青年兵!」

青年兵「傷は大丈夫っ。ただ、魔力が……」

ズゴゴオオォォォォ

召喚士「ぐく……ぅ!!」

魔道士「召喚士さんっ!?」

召喚士(横槍を入れられたせいで……魔力が分散している……っ!)

青龍先生「まずいな……っ、魔力がやや散っている」

青年兵「すみませ……」

青龍士官「俺に掴まれ! 早く!」

青年兵「す……まないっ」
672 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:33:30.74 ID:zDJdAtFWo
ゴゴゴゴゴゴ…

玄武娘「く……ぅ!」

白虎長「んんーっ!!」

名代「召喚士殿と青年兵殿の2人がやや乱れた事で……」

青龍先生「バランスが大きく崩れたか……っ」

ネクロマンサー「……おぉ!!」

パキッ…ピシィ

名代「け、結界が……っ!?」

青龍先生「マズイぞぉ……っ、封印が解けかけてる!」

ネクロマンサー「ククッ、これは好都合……ッ!」

青年兵「う……ぐあ……っ!」

青龍士官「耐えろ……! 頑張るんだ青年兵っ!」

青年兵(まさかこれほどとは……っ)

ヨロヨロッ…グググッ

青年兵「バハムート……恐るべし……!」
673 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:34:21.45 ID:zDJdAtFWo
ネクロマンサー「さぁて」

召喚士「……っ」

ネクロマンサー「本体を殺るか、それとも……」

チラリ

コカトリス「……」

ネクロマンサー「召喚獣を先に消しますか」

戦士「召喚士ぃ! コカトリスを戻――」

ネクロマンサー「させませんよぉ!!」

ギュルルッ…ズゾゾゾゾゾッ!!

召喚士「――っ!!」

ネクロマンサーが無数に伸ばした触手は結界石の前に立ちはだかる

コカトリスへと四方八方より突き刺さる。

ドスドスドスッ!!…ズガガガガガッ!!

コカトリス「……ぬぐっ」

召喚士「ぐああぁぁ!!」
674 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:34:55.02 ID:zDJdAtFWo
ネクロマンサー「さぁ、くたばれ! 死ね死ね死ねぇ!」

ビュオッ!!…ガガガガアアァァ!!

召喚士「……ああぁぁぁぁ!!」

シュウウゥゥゥゥ

白虎長「まずいっ! コカトリスが……っ!」

玄武娘「消える……ですの……っ!」

ネクロマンサー「さぁ、とどめです」

ヒュバッ!!…バッキャアアァァァァ!!

ネクロマンサー「――ッ!?」

ドグシャアァ!!…ドサッ…ゴロゴロゴロッ

戦士「な……ん……」

朱雀嬢「きゃああぁぁ!! 首が……ぁ!!」

スタッ

盗賊「……兄……様!!」

影忍「……」
675 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:35:28.32 ID:zDJdAtFWo
ムクリ

ネクロマンサー「いきなり顔を蹴り飛ばすとは失礼ですねぇ」

スタスタスタ

ネクロマンサー「首が吹き飛んでしまいましたよ」

戦士「……今だっ!!」

盗賊「ああぁぁぁぁ!!」

ネクロマンサー「ちっ」

影忍の奇襲による蹴りで首を飛ばされたネクロマンサーは慌てて起き上がり、

その首を拾いつつ、戦士と盗賊の追撃へと備える。

戦士「お前は召喚士を!」

朱雀嬢「は、はいですわっ!」

タタッ

朱雀嬢「朱雀先生!!」

召喚士「……ぐ……うぅ」

薄れゆく意識の中、召喚士は暖かな光に包まれるような感覚に陥った。
676 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:36:26.84 ID:zDJdAtFWo
パアァァァァ

召喚士「……?」

――「よぉ」

召喚士「……こ……ここは?」

――「お前、召喚士ってのか」

召喚士「あ、あなたは……?」

――「俺か? あぁ、俺は朱雀先生っていや分かるか」

召喚士「朱雀先生!?」

朱雀先生「そうかそうか。お前、あの馬鹿の弟子か」

召喚士「……っ」

朱雀先生「俺にとっちゃあ弟子の弟子……か。がはは!」

召喚士「あ、あの……っ」

朱雀先生「ありがとな、俺の魔力……しっかり受け止めてくれや」

召喚士「!?」

朱雀先生「おっと……もう1人来たか」
677 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:37:04.86 ID:zDJdAtFWo
フワァ

朱雀嬢「朱雀先生っ! しっかり!」

召喚士「朱雀嬢……さん?」

朱雀嬢「大丈夫ですか!?」

召喚士「あ、あぁ……すみません」

朱雀嬢「……あれ? 何か……光が……っ」

召喚士「……」

朱雀先生「んー? おいおい、こっちは本家の人間か?」

朱雀嬢「!?」

朱雀先生「そうかそうか! 本家も無事、跡継ぎが出来たかぁ!」

朱雀嬢「あ、あの……っ、何かしらこれ……幻覚!?」

召喚士「よく分からないけど、朱雀先生の残留思念というか……」

朱雀先生「がははっ! 朱雀も安泰じゃねぇか!」

召喚士「……っ!?」

朱雀先生「他の召喚士に負けんなよ! 特に青龍にゃあな! がははっ――」
678 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 18:37:51.83 ID:zDJdAtFWo
パアアァァァァ

召喚士「!?」

朱雀嬢「戻ったっ!?」

ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「……ぐくっ」

朱雀嬢「朱雀先生!?」

召喚士「……大丈夫、これからです!」

朱雀嬢「あっ!!」

召喚士の傍らに佇む、小さな小さな召喚獣……シルフ。

シルフ「もぉ〜なんなのよー!!」

コカトリス消滅直前に僅かながらの魔力で咄嗟に召喚した基本精霊獣。

朱雀嬢「これは……っ」

そのシルフがコカトリスに代わり、懸命に朱雀先生の魔力を受け止めていた。

シルフ「早く何とかしてよぉー!」

召喚士「……ええ。全魔力を搾り出してでも……支えてみせます!」
679 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/14(木) 18:38:39.10 ID:zDJdAtFWo
とりあえずここまで昨日分という事で…
後ほど今日分投下致します!それでは失礼します!ノシ
680 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/07/14(木) 18:54:48.96 ID:W/WNc0Yqo
ちょっとこのwwktkどうしてくれんの>>1
681 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/14(木) 19:01:16.92 ID:0BVTXNfAO
>>1

熱い熱すぎる
気温もそうだが、展開も熱い
うまい!
682 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/07/14(木) 19:16:18.79 ID:mv+Qn2vUo
うまくないから
683 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/14(木) 19:51:24.96 ID:jZ3O5j3DO
>>1乙!

今日分がある・・・だと・・・!?
684 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/14(木) 21:33:37.45 ID:OCYW9RQ+0
涙で文字が見えましぇん・・・


1乙
685 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/14(木) 23:47:01.41 ID:bq0qnQQvo
〜お詫び〜

後ほど更新するなどと申しつつ……

書き溜めをまんまと会社に置いてきてしましたorz
ああぁぁぁぁ本当にすみません!ごめんなさい!

明日こそ四十九部終わらせますのでお許しを!
朝一で投下します!ほんとにごめんなさい!

それでは……おやすみなさい……



盗賊「えぇい! 死ねいこのたわけがっ!」

魔道士「はぁ、ほんと最低です……」

戦士「ま、分かっちゃいたけどここまでとはなぁ」

召喚士「う、うん……困ったもんだよね」

天才「カス。これだから凡人はカス。もう掛ける言葉もない」

王子「うん。いっぺん死んだほうがいいと思う」

ゴルリン「役立たずもいいとこだぎゃー!」

幼女「ばーかばーかっ!」
686 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/14(木) 23:56:31.26 ID:iXz6vGXSO
いちおつ
そんなに自分をせめないでwwww
王子てめーに責める資格はねぇ
687 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/15(金) 01:01:44.44 ID:Whwa6LIAO
仕事を大切にしろと言おうと思ったが、
>>1の仕事はもはやこれのような気がする
688 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 02:50:16.68 ID:AAJlNnWq0
1乙

気にすんなおwwww
689 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 04:35:22.95 ID:XmYmXuxDO
>>1
気にしすぎだけど幼女GJ
690 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/15(金) 05:52:25.18 ID:/b4WF+6a0
1おつー
明日は朝と夜の大量投下wktk
691 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/15(金) 07:50:59.57 ID:MG1nTIhAO
>>1

ドンマイ 幼女可愛い王子カビろ
692 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 07:56:53.13 ID:MXI+Qs5IO
やっぱりゴルリン可愛いな。
でもお茶目な一乙が一番可愛いお
693 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:48:57.30 ID:ea+F8nHRo
パアアァァァァ

白虎長「!?」

――「……また……会えるとはな!」

白虎長「……お爺様の声!? お爺様なのっ!?」

白虎先生「やぁ! 白虎長!」

白虎長「その姿は……っ!?」

白虎先生「今の君より若くなってしまったな!」

白虎長「……っ」

白虎先生「パズズを倒してからもう……年も経ってしまったのかぁ」

白虎長「……ひっ、う……ぐっ!」

白虎先生「ははっ! 泣くでない! それにしても立派になったなぁ!」

白虎長「お爺様ぁ……っ!」

白虎先生「白虎の魂を……託したぞ!」

白虎長「ひぐっ! う……うぅ!」

白虎先生「そして……父を、白虎長男を信じてやってくれ!」
694 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:49:55.57 ID:ea+F8nHRo
白虎長「!?」

白虎先生「幸せにな! 我が孫娘よ――」

パアアァァァァ

玄武娘「……へっ?」

スウッ

――「……玄武娘」

玄武娘「――!?」

――「大きく……なったなぁ」

玄武娘「お……じいちゃん……っ!!」

玄武先生「お前を1人きりにしてしまった事が……本当に心残りだった」

玄武娘「ふぐぅ……う、うああぁぁ!」

玄武先生「それにしても本当に立派になった。両親も喜んでおるだろうぁ」

玄武娘「ふええぇぇーっ!! ひぐうぅ……っ」

玄武先生「中身はまだ、子供みたいだけどね……ははっ」

玄武娘「お爺ちゃあぁん! お爺……びええぇぇ!!」
695 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:50:49.38 ID:ea+F8nHRo
玄武先生「私が死んで10年、色々大変だっただろう。本当にすまなかった」

玄武娘「……ひぐっ、ひぐうぅ! ぐすっ!」

玄武先生「だが周りを見てみなさい。今は素晴らしい仲間がいるじゃないか」

玄武娘「……っ!?」

スウウゥゥ

玄武娘「お爺ちゃんっ!? お爺ちゃん!!」

玄武先生「仲間を信じて……助けられ、そして時には助け……」

玄武娘「お爺ちゃああぁぁん!!」

玄武先生「皆を信じて……幸せに生きるんだぞ――」

パアアァァァァ

玄武娘「う……うぁ……ああぁぁぁぁーっ!!」

ゴゴゴゴゴゴ…

玄武娘「あ……りがとっ、お爺ちゃん……ありがとおぉ!」

リヴァイアサン「グゴアアァァァァ――!!」

玄武娘「私……絶対にj頑張るからあぁ! だからぁ! 見ててねえぇーっ!!」

名代「おぉ……っ、凄い魔力だ……!」

青龍先生「吹っ切れたかな。魔力に迷いがないわ……はははっ!」
696 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:51:46.58 ID:ea+F8nHRo
パアアァァァァ

青年兵「!?」

青龍士官「何……だ!? 光が広がって――」

スゥッ

青龍先生「頑張れ、もうひと踏ん張りだぞ!」

青年兵「青龍……先生!?」

青龍先生「おぉ、姿が若返っているわ。こりゃあいい!」

青龍士官「い、一体……何が……」

青龍先生「2人共、今日までよぅ頑張ったわ」

青年兵「先生……っ」

青龍先生「儂も今日で仕事納め。お主らにも全てを託した……」

青龍士官「…………くぅ」

青龍士官「儂は身寄りのない孤独モンだったがなぁ……」

青年兵「……」

青龍先生「お主ら2人は本当に息子のように思ってしまったわ」
697 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:52:35.15 ID:ea+F8nHRo
青龍士官「!!」

青龍先生「老いとは儚くも悲しいもんだなぁ。だが、それがいい」

青年兵「……先……生ぇ」

青龍先生「年を取れば取るほど、情が芽生えて困ったものよ……はっははは!」

青龍士官「泣……くな俺っ! これは……幻覚だ! 幻覚なんだよぉ!」

青龍先生「……なぁ、近くで顔を見せてくれないか?」

青年兵「――っ!!」

青龍士官「うああぁぁぁぁ!!」

スッ

青龍先生「……暖かい。人の温もりだなぁ」

青年兵「うぐ……っ、うぅ……っ!!」

青龍先生「最早なーんの未練もない。お主らがいれば安心だ」

スゥッ

青龍士官「先生っ!? 先生ええぇぇーっ!!」

青龍先生「あの世とやらがあったら……待っとるぞ。また会おう――」
698 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:53:14.09 ID:ea+F8nHRo
パアアァァァァァ

青年兵「!? 先生っ!? 青龍先生!!」

青龍士官「――っ!!」

名代「……あそこです」

青年兵「!?」

名代の指差す光の先、結界石の中心に青龍先生の肉体は溶けていく。

白虎長「青龍先生ええぇぇぇぇ!!」

ネクロマンサー「くっそおおぉぉ!! やめろおおぉぉぉぉ!!」

影忍「寝ていろ」

バゴォッ!!

ネクロマンサー「グブ……ッ!」

盗賊「……っ」

ジャラッ…ギュルギュルッ

戦士「もう最後なんだ……大人しくしててくれよ」

ネクロマンサー「くそぉ……くっそおおぉぉ!!」
699 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:53:50.07 ID:ea+F8nHRo
パアアァァァァ!!

青龍先生「魔力はうまく押さえ込まれているな。完璧だ……」

ズズッ

青龍先生「よぉ、パズズ。久々だなぁ」

オオォォォォ…ガシィ!!

青龍先生「このまま握りつぶせりゃあ楽なんだがなぁ」

キュイイィィィィ

青龍先生「残り僅かの魔力で放つ五行。情けねぇもんだよ全く……」

パアアァァァァ

青龍先生「さぁーて……受け取りな! 全身全霊、最後のプレゼントだ!!」

ドドオオォォォォン!!

青龍先生「……これで……終わる」

ガカアアァァァァ…

青龍先生「……?」

辺り一面を包む光の中から3つの小さな影が徐々に大きく形成されていく。
700 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:54:21.26 ID:ea+F8nHRo
青龍先生「お……お前ら……っ!!」

朱雀先生「待ってたぜ、青龍」

白虎先生「1人で美味しいところ持っていこうだなんて……させないよ!」

玄武先生「最後まで良く頑張ってくれた。ありがとう」

青龍先生「何がありがとうだよ、お前らの為に頑張ったわけじゃねぇ!」

玄武先生「それもそうだね……ははっ!」

青龍先生「さっさとくたばりやがって……本当に役立たずな連中だよ」

朱雀先生「んだとぉ!?」

白虎先生「おいおい! 久々の再開で喧嘩はやめてくれよ!」

玄武先生「そうそう。どうせこの先、ずっと一緒にいなきゃいけないんだよ?」

青龍先生「最悪だよ……っ」

朱雀先生「こっちの台詞だ!!」

玄武先生「さぁ、そろそろいこうか」

白虎先生「ああ! いこうじゃないか!」

青龍先生「……ちょーっと待ってくれ。ほんのちょっと、すぐ終わる」
701 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:55:06.79 ID:ea+F8nHRo
スゥッ

青龍先生「……おう」

サラマンダー「……なんじゃい」

青龍先生「会話するのも50年以上振りか」

サラマンダー「お前さんが置いてったせいでな」

青龍先生「本当に済まないと思ってるよ」

サラマンダー「まーいいけどよ」

青龍先生「長い事世話になったな。他の召喚獣にも宜しく伝えてくれ」

サラマンダー「てめーの不味い魔力も……まー悪くはなかったぜ」

青龍先生「はっはっは! 言ってくれるわ!」

サラマンダー「ほれ、仲間が待ってんぞ」

青龍先生「……ありがとうな」

サラマンダー「……じゃあな。伝説の青龍先生」

青龍先生「ひょっひょ――――」

そして光は静かに、天へと昇る。
702 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:56:25.14 ID:ea+F8nHRo
ガカアアァァァァ!!…ドドオオォォォォ…

魔道士「っ!!」

名代「……これは……五行の光!!」

青年兵「あ……うぁ……ああぁぁぁぁ!!」

青龍士官「ありが……とぉ、ございましたああぁぁーっ!!」

オオォォォォ…

召喚士「……青龍……先生」

ググッ

召喚士「……?」

シルフ「……きゃ……ああぁぁぁぁ!!」

朱雀嬢「どっ、どうなさったのです!?」

召喚士「収縮する魔力に引きずり込まれ……シルフ!?」

パアアァァァァ

玄武娘「な、何ですの……っ」

白虎長「召喚士……くん……!?」
703 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:58:13.83 ID:ea+F8nHRo
キィン…キィン…キィン

召喚士「この光……金色の……っ」

シルフの小さな姿が光に取り込まれ、少しずつ拡大を始める。

戦士「何なんだ!?」

盗賊「分からない……っ、でも召喚士がっ!」

召喚士「う……うぅ!!」

朱雀嬢「朱雀先生っ!」

召喚士「大丈夫……っ、ただシルフが……」

ズズッ…ゴゴゴゴゴゴ

名代「周囲の魔力を吸収している……?」

白虎長「召喚士くんっ、危険よ! 魔力のコントロールを!」

召喚士「……何とか……やってますっ!」

ググググッ…ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「……な……何だこれは……!?」

シルフはまるで羽化するように、光の中より別の姿となって現れた。
704 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:58:52.11 ID:ea+F8nHRo
バサァ…

朱雀嬢「鳥……?」

青年兵「何……だ? 召喚獣……なのか!?」

召喚士「……っ」

――「……朱雀」

召喚士「!?」

パキイイィィィィン!!…ドドオオォォォォン!!

召喚士「ぐわぁ!!」

朱雀嬢「きゃああぁぁぁぁ!!」

戦士「吹っ飛ばされた!? 盗賊!」

盗賊「うんっ!」

タタタッ…

戦士「召喚士!!」

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「……ぐ……くっ」
705 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 08:59:27.41 ID:ea+F8nHRo
盗賊「大丈夫か!?」

朱雀嬢「……え、えぇ。大丈夫……ですわ」

召喚士「光が……消えていく……」

魔道士「……はい」

戦士「終わったんだな」

盗賊「……ああ」

バゴォ!!

ネクロマンサー「……フーッ」

影忍「……下がっていろ、俺が相手をする」

召喚士「影忍……さん!?」

ネクロマンサー「……まさか……まさかこんな事になるとはなぁ!」

影忍「貴様も完全に予想外だったようだな」

ネクロマンサー「……」

影忍「マリオネットを1体も用意していない。単身とはな」

ネクロマンサー「全くですよ。ああ、そうさ! 私の誤算だ!」
706 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 09:00:52.27 ID:ea+F8nHRo
影忍「……」

ネクロマンサー「私の責でパズズ様は消えてしまわれたのだ……おおぉぉ」

召喚士「ネクロマンサー。貴様もいい加減に観念するんだな」

ネクロマンサー「観念? ククッ、決めました。決めましたよ」

盗賊「……」

ネクロマンサー「新たな目標が立った今、生まれました」

青年兵「……」

ネクロマンサー「貴様等を必ずや殺す。どんな手段を使ってでもね」

魔道士「……っ」

ネクロマンサー「魔王を倒すのでしょう? あぁ好きにするがいい!」

戦士「……てめぇ」

ネクロマンサー「ならばこちらは迎え撃ってあげましょう! 徹底的にね!」

影忍「深追いは良い。こやつは退くつもりだ」

ネクロマンサー「ククッ、貴様もいずれは始末します。覚えておきなさい!」

影忍「……好きにするが良い。但し、貴様も必ずや道連れだ」
707 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 09:01:54.49 ID:ea+F8nHRo
ネクロマンサー「……」

ヒュッ

玄武娘「消えたですのっ!?」

白虎長「……退いた……みたいね」

青龍士官「……っ」

青年兵「……皆、無事ですか?」

名代「ええ、私は大丈夫です」

白虎長「こっちも平気。玄武娘は?」

玄武娘「……大丈夫ですの」

戦士「こっちも全員……大丈夫だよな?」

盗賊「……ああ」

魔道士「召喚士さん、掴まって下さい」

召喚士「ありがとうございます」

青年兵「……では、死者1名をも……って、パズズ討伐作戦成功と……致します」

張り上げる声のところどころ、詰まりそうになる言葉を、青年兵は搾り出した。
708 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/15(金) 09:05:21.08 ID:ea+F8nHRo
午前の部(昨日分)終了。それではまた後ほど!ノシ
709 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/07/15(金) 09:25:52.57 ID:YPkaATiho
>>1おつうううう!
朝からありがとう
710 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/15(金) 10:43:02.39 ID:Whwa6LIAO
これはいいな
乙パイ先生
711 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 12:15:43.15 ID:+loWlpcDO
>>1
青龍士官は真面目で良い奴そうだな−
バハムートに騎乗する竜騎士とか超かっこよさそう
712 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/07/15(金) 13:18:36.24 ID:Eb6eqWXvo
女記者殺した犯人って判明してるんだっけ?
713 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県) [sage]:2011/07/15(金) 16:21:23.10 ID:ouQfPB0do
今日の晩酌は伝説って名前の焼酎にするか…
714 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:09:02.62 ID:ea+F8nHRo
〜赤壁〜

ピーッ!!…ピピピ-ッ!!

南方参謀「警笛!? 何があったの!?」

赤壁兵「北東……おそらくは遺跡と思われます!」

タッタッタ…ババッ

南方参謀「あれは……っ!」

南方弓長「あの光……もしかして」

ザッザッザ

天才「……五行だな。うまくいったみてーだ」

南方副司令「……?」

天才「青龍のジジイだよ。パズズの消滅完了だ」

南方司令「……見事なり!」

天才「さーて、これで残るは5体。次は……ここだぞ」

大軍師「魔王ラーヴァナですか」

天才「今回はアンラ・ちゃん程、甘くはねーぞ」
715 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:11:03.96 ID:ea+F8nHRo
〜南西砦〜

チカチカッ

男隊員「お、おい……今の光、見えたか?」

女隊員「……はいッス」

男隊員「あれってもしや……」

隊長「青龍先生だろうな」

男隊員やっぱりそうか……」

女隊員「うまく……いったって事っすよね……?」

隊長「だな。そして裏を返せば青龍先生が逝った、という事だ」

女隊員「……っ」

隊長「全員集まれぇ!!」

南西砦兵「!?」

ザザッ…タッタッタ

隊長「一同北東へ整列! 青龍先生に……敬礼ーっ!!」

微かに昇り消えていった光へ向けて、一同は規律正しく敬礼を捧げた。
716 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:12:19.39 ID:ea+F8nHRo


戦士「ほれ、掴まれ」

召喚士「……ありがとう」

盗賊「……終わったな」

戦士「ああ、終わった」

魔道士「青龍……先生……ぇ」

召喚士「……っ」

テクテクテク

魔道士「……?」

玄武娘「魔道士さん、泣いちゃ駄目ですの」

魔道士「玄武娘……ちゃん?」

玄武娘「私達がくよくよしていたら、青龍先生やお爺ちゃんが浮かばれませんの」

朱雀嬢「玄武娘、あなた……っ」

玄武娘「お爺ちゃん達の意思を継ぐ。それが私達のするべき事ですの」

魔道士「……そうよね、そうだよね……!!」
717 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:13:49.86 ID:ea+F8nHRo
ザッ

盗賊「……兄様!?」

影忍「これで封印の地は役目を終えた」

盗賊「はい」

影忍「では、また会おう」

盗賊「どこへ……?」

影忍「ネクロマンサーを追う。奴だけは野放しに出来ぬからな」

盗賊「……っ」

影忍「奴は此処と魔王城の他に活動拠点を持っていた」

盗賊「ま、まさか!?」

影忍「次なる仕込みをするとあれば、おそらくは……東方」

盗賊「……っ!!」

影忍「安心しろ、我らの東方を好きにはさせんよ」

盗賊「……兄様」

影忍「また何れ会うだろう。……元気でな」
718 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:14:54.62 ID:ea+F8nHRo
ザッ

青年兵「……」

青龍士官「……」

ジャリッ…ザッザッザ

青龍士官「青年兵……」

青年兵「……」

結界石の前で下を向き、方を振るわせる青年兵。

青龍士官「……」

それを背後から青龍士官が無言でじっと見つめている。

青龍士官「……?」

フワッ…ヒラヒラッ…ヒラッ

名代「あ……れは?」

青龍士官「先生の……マント……」

空から入り込む光に照らされひらひらと舞い落ちる青龍先生のマント。

それは偶然にも青年兵の背中の上へと、そっと着地した。
719 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:15:50.45 ID:ea+F8nHRo
ファサッ…

青年兵「……?」

ギュッ

青年兵「……ふ……っう、うぐぅ……っ!」

青龍士官「青年兵―ー」

ガシッ

名代「……駄目です」

青龍士官「……っ」

名代「彼は今、自身で乗り越えようとしているのです」

白虎長「……」

名代「手を差し伸べてじゃいけません。それが……信じるという事です」

青龍士官「青年兵……」

名代「それにあの羽織物、何か運命的なものを感じます」

白虎長「ええ、偶然なんかじゃないですよ」

名代「きっと青龍先生からの思いなのでしょうね」
720 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:16:43.94 ID:ea+F8nHRo
バサァッ

青年兵「ああああぁぁぁぁーっ!!」

魔道士「!?」

召喚士「青年兵……くん……?」

青年兵「……あースッキリしたぁ!」

クルッ

青年兵「この結果石、持ち帰りましょうか!」

戦士「こんな……バカでかいのをか!?」

青年兵「でかいと言ってもだいぶ砕けましたし、大丈夫だと思いますよ」

白虎長「持ち帰って……どうするのよ」

青年兵「この大きさは何かに使えそうですよ。それに……」

青龍士官「……」

青年兵「伝説の思いが篭ってるんです。役立たないわけないですよ!」

玄武娘「そうですのっ! それがいいですの!」

朱雀嬢「そうですわね、私も賛成致しますわ!」
721 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:17:57.25 ID:ea+F8nHRo
テクテクテク…ザッ

青年兵「はい、青龍先生」

バサッ

青龍士官「……?」

青年兵「マント、君が受け取ってくれ」

青龍士官「……いや、断る」

青年兵「!?」

青龍士官「これは青龍先生から君への贈り物だ」

青年兵「……」

青龍士官「それを俺はこう解釈する。お前らは2人で一人前だ……ってね」

青年兵「青龍士官……」

青龍士官「だから互いに切磋琢磨し、いずれはどちらかが継ごうじゃないか」

青年兵「……なるほど。分かった、そういう事なら……負けないよ!」

青龍士官「俺も負けるつもりはない。暫定だが、青龍先生の名にかけてな!」

青年兵「ははっ!」
722 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:19:20.66 ID:ea+F8nHRo


名代「宜しいですか?」

戦士「おう、一気に押してくれ」

召喚士「せーのっ!!」

ズズッ…ズズズ……ゴトォン!!

魔道士「これ、運べます?」

戦士「さすがに1人じゃ無理だが、何人かならいけんだろ」

タッタッタ

朱雀嬢「木の枝、集めて来ましたわよっ」

玄武娘「どうするんですの……?」

青年兵「これでソリを作ります」

召喚士「担げるようにもしておくと便利だね」

青年兵「そうですね。それでは早速、取り掛かりましょう」

召喚士「俺も、手伝うよ」

青年兵「ありがとうございます」
723 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:20:14.11 ID:ea+F8nHRo


魔道士「出来たーっ!」

盗賊「……うん、大丈夫だろう」

戦士「おっしゃ、それじゃ地上まで担いでいくかぁ!」

青年兵「それじゃいきますよ、せーっの!!」

盗賊「……神輿みたいだな」

名代「ふむ、これならばいけそうですね」

召喚士「帰りは正門から出ればいいんじゃないかな?」

青龍士官「正門……ですか?」

召喚士「ここの内部は城の形状をしてて、2つ上がればそこが城の1階なんだ」

戦士「そういやそうだったな」

白虎長「もう封印する必要もなくなったしね」

魔道士「ええ……そうですよ」

青年兵「それじゃ、行きましょうか」

朱雀嬢「はいですわ」
724 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:25:36.17 ID:ea+F8nHRo
遺跡より立ち去る道中、召喚士はふとかつての記憶がよぎった。

召喚士「俺らの冒険って、ここから始まったようなものだよね」

戦士「ん? あぁーそういやそうだよなぁ」

パーティーとして始めて、大きな依頼を受けた想い出の地。

盗賊「彼も……ようやく解放されたな」

魔道士「ええ……っ」

剣士らと出会った思い出の地。

戦士「ネクロマンサーにやられた奴らの思いもな」

召喚士「うん」

ネクロマンサーを始めて対面した地。

魔道士「本当に、色々な事がありすぎて……」

召喚士「ええ。でもこれでようやく、ここへ来る事もなくなりそうです。いや……」

そして今、魔王パズズを倒した地。青龍先生が眠る地となった。

召喚士「青龍先生達へ華を添えにこなくてはいけませんね」

魔道士「……はいっ」
725 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:26:54.75 ID:ea+F8nHRo
〜本国、国軍本部〜

パッカパッカパッカ…ドドォ

青年兵「ご苦労様でした」

ガチャッ

青龍士官「……?」

タッタッタッタッタ

青龍兵「……っ」

青龍士官「青龍先生は無事、任務を遂行された」」

青龍兵「――っ!!」

白虎兵「つまり先生はもう……っ」

青龍士官「先に逝って待っていると皆への伝言だ」

青年兵「青龍先生の名は青龍士官が継ぐ。今後は青龍士官の指示を仰ぐよう」

青龍兵「……はっ! 宜しくお願い致します……っ!」

青龍士官「……ああ、頼むぞ」

号泣する青龍召喚隊の面々を、青龍士官は肩を叩いて慰め歩いた。
726 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:33:08.92 ID:ea+F8nHRo


国軍兵「これも講堂で宜しかったですか?」

青年兵「ええ。ここにある物は全て講堂で構いません」

衛兵「よし、急いで運べ」

テクテクテク

白虎長「何……してるの?」

青年兵「あ、ええ。事前に下準備はしておいたんです……本人には悪いけど」

白虎長「……ああ」

青年兵「やっぱり、一番好きな場所にいるべきですから」

白虎長「そうよね。肉体はなくとも魂はきっと……」

青年兵「帰って来てくれると思います」

タッタッタ

国軍兵「青年兵様っ、この……絵はどうします?」

青年兵「ははっ、それは写真ですよ。写真も一緒に講堂へ運んで下さい」

国軍兵「はっ!」
727 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:34:15.34 ID:ea+F8nHRo
……――

博士「それでは撮るのらー」

青龍兵「押すなっての!」

青年兵「こら、揉めてないで早く並んで下さい」

青龍士官「何で青龍隊でもないのにお前が……」

青年兵「いいじゃないか、僕だって写真に入りたいもん」

青龍士官「……全く」

青龍先生「ひょっひょ! 賑やかで何よりじゃわ」

博士「それじゃいくのら〜」

ジーッ…

青龍士官「……?」

青年兵「もう……終わりました?」

博士「終わったのら。現像はまた後日、完成したら見せるのら」

青龍先生「楽しみに待っとるぞ、ひょっひょ」

――……
728 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:36:44.47 ID:ea+F8nHRo
テクテクテクテク

青龍士官「あの時の写真が、こんな形になるとはなぁ」

青年兵「……ああ」

青龍士官「やっぱりここを選んだんだな」

青年兵「講堂は青龍先生ゆかりの場所だからね」

青龍士官「だな。講義も世間話も、叱られたのも全てここだった」

青年兵「ここに来れば先生に会えた。だから今後も変わらないよ」

青龍士官「……だな」

クルッ…スタスタスタ

青年兵「もう行くのか?」

青龍士官「青龍先生ってのは色々と忙しいみたいでな」

青年兵「そっか、そうだよね……」

青龍士官「お前も明日からはまた忙しくなるんだろう? それじゃ、お先に」

青年兵「……うん」

講堂に残り写真を見つめる青年兵。その背後を青龍士官は去っていった。
729 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/15(金) 17:39:09.60 ID:ea+F8nHRo
青年兵「……」

テクテクテク

召喚士「……青年兵くん」

青年兵「召喚士さん」

2人は飾られた遺影を、しばし無言でぼんやりと見つめていた。

召喚士「いい……笑顔だね」

青年兵「ええ……。本当に」

瞑る目には涙が滲む。だが、零れる事はない。

召喚士と青年兵はぐっと堪え、すぐにまた、そして懸命に笑顔を作る。

青年兵「……行きましょうか」

召喚士「うん」

さようなら。その言葉を胸中で呟き、2人は講堂を後にする。

写真の中の青龍先生は屈託のない笑顔で2人を見つめていた。



そして……『伝説』はその名の通り、まさしく『伝説』となった。



〜第四十九部、完〜
730 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/15(金) 17:50:14.58 ID:ea+F8nHRo
ドタバタしてて何か抜けてるような気がしますが、
ひとまず四十九部完でございます

次回は記念すべき(?)五十部!
ついに最後の内通者と知られざる秘密が明らかに!?

それではひとまずここまでにて!昨日は本当にすみませんでした!
そしてご支援感謝でございます!それでは!ノシ
731 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 18:37:10.01 ID:jlEePsWIO
一乙!ついに50部か…
あと950部がんばれ
732 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/15(金) 18:40:36.54 ID:BdMJBBnSO
>>1乙!
733 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/15(金) 19:58:10.05 ID:YcP96XGPo
>>1乙!
PC前で泣いてて家族に不審な目で見られたジャマイカ!w
734 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/15(金) 21:56:08.40 ID:MG1nTIhAO
>>1

青龍先生ありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおうぉぉぉおおおぉぉん!!!!
735 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/16(土) 00:23:52.73 ID:20tMiH6SO
>>1乙!

文章で泣いたのは久しぶりだ
736 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/16(土) 01:28:22.28 ID:FZI8LeBeo
>>1
青龍先生・・
737 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/16(土) 01:58:35.14 ID:UOPAbnfAO
>>1おつ

最初は謎が多かった青龍先生が内通者かと疑ったけど、伝説の名に相応しい良い死にっぷりでよかったわ
738 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/16(土) 08:17:05.45 ID:1pJP+BkAO
>>1乙んつん
病院の待合室で泣きそうになった。いや、ちょっと泣いた。
739 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/17(日) 03:18:13.31 ID:0piDFMjIO
青龍先生に敬礼(○・`д・)vキリ
740 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:19:27.38 ID:VLlRfcR2o
【召喚士】

召喚士への道のりは2つの方法がある。1つは先人による伝授。即ち弟子となる事。

魔法の基礎とも言える五行を会得し、各人の力量に沿った実戦経験を経て、

特定の属性を選定し、その属性の使い手に師事する事で、基本精霊と呼ばれる

召喚獣を得た後に、その属性との契約を交わし、晴れて召喚士となる。

もう1つの方法とは親から子へと継承される方法である。

父や母からその子へ。基本精霊と召喚獣を直に伝授する。

その場合は五行を会得する必要はなく、幼いうちより召喚士のスペシャリストとして

鍛えられるものも少なくないという。また、本国の統計調査によると、

召喚士の25%にあたるものがこのエケースであり、ワーカーが大半を占めるという。

親や師匠は己の属性を伝授するが故に。通常は他属性に移り変わる事はない。

親の属性は子へ。子の属性は孫へと受け継がれていく。

もし父と母が他属性の召喚士であったら? おそらくはどちらかの属性を継ぐだろう。

では両親ではなく違う属性のものが師となり伝授したら? その属性になるだろう。

……では、基本精霊を得る前に、召喚獣を得る事が出来ていれば?
741 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:20:00.80 ID:VLlRfcR2o
召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第五十部〜
742 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:20:40.00 ID:VLlRfcR2o
〜海峡途中の街〜

テクテクテク…カチャッ

店主「……いらっしゃい」

大軍師「えぇと、ウィスキーをロックで」

店主「あいよ」

大軍師「……」

テクテクテク…ストッ

大軍師「……どうも」

女侍「悪いねぇ、こんな所に呼び出しちまってさ」

大軍師「成程。地方都市で堂々とされていては、見つける事も困難なわけだ」

女侍「よく言うよ。大して探してもいないくせにさ」

大軍師「……驚きましたよ、まさかお手紙を頂くとは」

女侍「内容は読んでくれたよな?」

大軍師「ええ」

女侍「……おい」
743 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:21:20.96 ID:VLlRfcR2o
スタスタスタ

キジ「外に見張りはいないみたいさぁ」

大軍師「1人で来い、という事でしたから」

イヌ「へぇ、忠実に守るなんてなかなかね」

大軍師「それで、本題に入って頂いても宜しいでしょうか?」

女侍「サルッ」

サル「ああ、まずは俺っちの話を聞いてくれ」

大軍師「はい」

サル「あれはこないだ、東方司令部に行った時なんだけどよ……」

大軍師「東方司令部へ忍びこんだのですか?」

サル「いやっ、違う! えっとほらあれだよ……えぇっと……」

大軍師「まぁ構いませんよ。被害はなかった事ですし」

サル「……いいのかよ」

大軍師「これから話して頂く内容次第ですかねぇ……ふっふ」

サル「……」
744 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:22:01.71 ID:VLlRfcR2o
女侍「サル、いいからさっさと話しな」

サル「あぁ、そうそう。んでだな、ちょいと気になる出来事があったのよ」

大軍師「……」

サル「まぁ要はだな――」

大軍師「……ほぅ、それは興味深いお話ですねぇ」

サル「だろっ!? 俺っちにゃ全然意味分からないワケよ」

キジ「つまり、どういう事さ?」

女侍「それを調べんのがコイツらの仕事だろう?」

イヌ「それもそうね」

女侍「どうだい? 少しは役立ったかい?」

大軍師「それで、見返りは?」

女侍「……」

大軍師「タダ、というわけではないでしょう?」

女侍「流石だねぇ。話が早いじゃないかい」

大軍師「司法取引ですか。条件は自由……ですかな?」
745 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:22:48.56 ID:VLlRfcR2o
女侍「はーっはっはっは! 頭のいい男は好きだよぉ」

大軍師「それはどうも」

ガタッ

女侍「そんじゃ、用件はそんだけ。それじゃあな」

大軍師「我らは現在、魔王討伐に乗り出しております」

女侍「……知ってるよ」

大軍師「なかなか、稼ぎ時ですよ?」

女侍「アタイらはね、盗むのが仕事なのだ」

大軍師「……」

女侍「……まっ、考えといてやるよ。ほれ、行くぞ」

サル「んじゃな、アンチャン!」

キジ「これでオイラ達は自由の身さー!」

イヌ「隠れて生活しなくて済むね。とっても快適ね!」

スタスタスタ

大軍師「……ふっふ。面白くなってきましたねぇ」
746 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:23:29.61 ID:VLlRfcR2o
〜国軍本部〜

召喚士「……」

パズズ討伐から数日、ここへ来る事が俺の日課になっていた。

テクテクテク

戦士「……今日もご苦労さん」

召喚士「戦士」

戦士「青龍先生も喜んでんだろうなぁ」

召喚士「……そうだといいな」

戦士「青年兵は?」

召喚士「今日は朝から会議なんだってさ」

戦士「そっか。……どれ、俺も手ぇ合わせていくか」

タッタッタッタッタ

国軍兵「朱雀先生っ、失礼致します!」

召喚士「……?」

国軍兵「会議室へお越し頂けますか!? 司令らがお呼びです!」
747 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:24:12.76 ID:VLlRfcR2o
〜会議室〜

コンコン…ガチャッ

国軍兵「お連れ致しました!」

召喚士「失礼します」

天才「おーわざわざ悪りぃな」

召喚士「いえ、それで何かご用でしょうか?」

天才「次の仕事だ」

戦士「仕事って……」

天才「悪いがテメーらにゃ休んでいる暇はねぇぞ」

戦士「……」

召喚士「それで仕事というのは……?」

天才「……青年兵」

青年兵「今しがた、大軍師殿より届いた密書です」

召喚士「いいん……ですか?」

天才「お前の力も必要になる。読んでくれ」
748 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:25:01.07 ID:VLlRfcR2o
召喚士「……」

カサ…

召喚「――――っ!!」

天才「いつだったかな、結構前からコイツと大軍師は気にかけててな」

召喚士「……っ」

天才「今回、こういう情報が手に入って結論に達したわけだ」

召喚士「これ、でも……っ」

青年兵「この結論が、最もしっくりくるものとなりました」

天才「そういう事だ。お前も何かそれらしい事は経験ないか?」

召喚士「いえ、特に……あっ、いや!」

戦士「!?」

召喚士「待って下さい! そういえば……気になった事はあります」

青年兵「本当ですか?」

召喚士「うん。そういえば先日、青龍先生の話を伺った時……」

青年兵「……」
749 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:25:46.84 ID:VLlRfcR2o
天才「そういや、青龍のジジイはお前らに何か伝言として残したのか?」

青年兵「あ、ええ。色々とお話は伺いましたが……」

天才「クーデターの件もか?」

召喚士「全てではないですが」

天才「そうか。ならいい」

青年兵「……」

天才「今もなおあの傷跡は残ってる。お前らの身近なところにだってな」

召喚士「……」

天才「それを踏まえて、行動してくれや」

青年兵「……えっ?」

天才「出発は明朝。悪いが今回は各自――」

青年兵「待ってください。流石に明日は早すぎませんか?」

天才「いーや。今回はスピード勝負だ」

戦士「……」

天才「内通者を討つには、決めたからには早いに越した事はない」
750 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:26:25.55 ID:VLlRfcR2o
召喚士「情報浪費を防ぐ為ですか……?」

天才「んーまぁ、それもあるな」

青年兵「……?」

天才「覚悟が鈍らないように、だよ」

召喚士「!?」

天才「つーわけで、今回は別行動で現地入りする」

戦士「別行動? 俺らもか……?」

天才「当たり前だろ。お前らは特にだろうが」

召喚士「ワーカーですもんね」

天才「他の連中は俺様に任しとけ」

戦士「他の連中?」

天才「何でもねぇ。いいから心配すんな」

青年兵「それで、集合はどちらに……」

天才明朝、10時までに……ターミナルへ来い」

召喚士「……ターミナル!?」
751 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/17(日) 22:56:16.38 ID:ud4LE7/wo
>>1
1番乗りの>>1乙は2ゲットと同じくらい魅力的なのだ
752 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 22:57:52.53 ID:VLlRfcR2o


召喚士「じゃあ、失礼します」

青年兵「それでは、また明日」

テクテクテク

戦士「一体何が何なんだか……」

召喚士「う、うん。でもまぁ明日になれば分かるよね」

戦士「今回は内通者の件だし、俺らもそんなに出番はないだろ」

召喚士「だろうね……」

タッタッタ

魔道士「あ、いたっ! 探しましたよ〜!」

盗賊「何をしていたのだ?」

戦士「ああ、急に天才達に呼ばれちまってよ」

召喚士「明日から新しい任務だそうで」

魔道士「えぇっ!?」

盗賊「随分急な話だな」
753 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/17(日) 23:06:42.06 ID:VLlRfcR2o
戦士「そうなんだよ……全く」

魔道士「それで、何をすれば……」

召喚士「明朝、ターミナル集合だそうです」

戦士「現地集合なんだと。口外すんなよ?」

盗賊「するわけなかろう。大体誰にすると言うのだ」

魔道士「私達以外は誰が参加するんです?」

召喚士「それも全く……。かなり情報を絞ってるみたいですね」

盗賊「……」

戦士「そんだけ重要で難しい作戦なのかもしれないな」

召喚士「……」

戦士「んで、どうするよ? 先にターミナルへ行くか……」

盗賊「……明日の早朝……出るか」

召喚士「ひとまず本部を出て、詳細も交えて話し合いましょうか」

魔道士「そうですね、そうしましょうか!」

盗賊「……だな」
754 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/18(月) 00:29:35.26 ID:T0kLBvHAO
>>1おつ
755 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 01:18:43.13 ID:cMK/UIsDO
>>1
なんかこっちまで緊張してきた。
そして青年兵は女運悪いというか、巡り合わせが悪そうな感じだな……
756 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 02:41:12.93 ID:ONOqff7vo
〜司令室〜

コンコン…カチャッ

秘書官「白虎長様、お通し致します」

白虎長「失礼致します。何かご用でしょうか……?」

天才「こないだはパズズ討伐ご苦労さん」

白虎長「いえ……っ」

天才「次の任務についての話だ」

白虎長「はっ。いつからでしょうか?」

天才「明日」

白虎長「はっ。……は? 明日……ですか!?」

天才「うん明日。何か問題ある?」

白虎長「いえ、ありません……」

天才「お前にゃ連れて来て欲しい奴がいる」

白虎長「……誰……です?」

天才「……白虎嬢……つったっけ?」
757 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 02:42:10.34 ID:ONOqff7vo
白虎嬢「くしゅんっ!」

朱雀嬢「……汚いですわね」

白虎嬢「ごめんなさい……っ、いきなり出ちゃった〜」

朱雀嬢「せめてハンカチとかで――」

玄武娘「すいませーん! これとこれとこれお追加ですのー!」

朱雀嬢「……」

白虎嬢「あっ、私……飲み物おかわり〜」

朱雀嬢「…………」

ガヤガヤ…テクテクテク

魔道士「あれっ!?」

朱雀嬢「あっ、朱雀先生方……」

召喚士「これは皆さんお揃いで」

戦士「相変わらず、見事な食べっぷりだな……」

玄武娘「ありがとうございますですのっ!」

戦士「褒めてねぇよ」
758 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 02:42:48.58 ID:ONOqff7vo


朱雀嬢「それでは、乾杯ですわ」

魔道士「いただきます〜」

戦士「しかし、意外と元気そうで安心したぜ」

玄武娘「ほえ?」

戦士「いや……ヘコんでんのかなと思ってよ」

朱雀嬢「……もう、そんな暇はありませんわ」

盗賊「……ほぉ」

玄武娘「青龍のお爺ちゃん達は、私達に未来を託したですの」

魔道士「……」

玄武娘「だから、立ち止まってクヨクヨしてられないですの」

召喚士「うん。その通りだね」

白虎嬢「あらあら、うふふ〜」

朱雀嬢「……何よ」

白虎嬢「いえいえ。何だか急に大人になたかなぁ〜って。うふふ」
759 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 02:44:15.03 ID:ONOqff7vo
テクテクテクテク

青年兵「こちらにいらし……あれ? 召喚士さん!?」

召喚士「青年兵くん!?」

魔道士「どうしたんですか……?」

青年兵「え、えっと……朱雀嬢さんと玄武娘さんを探しに」

朱雀嬢「へっ!?」

青年兵「司令がお会いしたいとの事でして……」

朱雀嬢「そ……そうっ」

青年兵「ホテルへ訪ねたところ、こちらだと伺いましたので……すみません」

朱雀嬢「い、いえっ! 別に……構いませんわ」

玄武娘「もうそこそこ食べたから、大丈夫ですの」

戦士「そこそこ……ねぇ」

青年兵「バタバタと申し訳ありません。せめてここは僕が……」

朱雀嬢「けけっ、結構ですわ――」

玄武娘「やったぁ!! ご馳走様ですのーっ!!」
760 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 02:47:00.52 ID:ONOqff7vo


青年兵「それでは、失礼致します」

戦士「おうっ」

青年兵「あ……白虎嬢さん」

白虎嬢「……?」

青年兵「白虎長さんがお探しでしたよ。宜しければご一緒に……」

白虎嬢「いえいえ、探しているのならいずれ会う事でしょう〜」

青年兵「は、はぁ……」

白虎嬢「お構いなく、うふふ。じゃあね2人ともっ」

玄武娘「まったねーですの!」

朱雀嬢「それでは、失礼致しますわ」

スタスタスタ

魔道士「じゃあ白虎嬢ちゃんは私達と一緒に食べましょっ!」

白虎嬢「はい〜っ、ご一緒させて貰いますねぇ〜」

魔道士「えへへっ!」
761 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 03:07:49.91 ID:rXxS1Lvco
深夜更新お疲れ様!
762 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) :2011/07/18(月) 03:26:48.69 ID:WzOL25OAO
深夜更新お疲れ様
仕事終わったら丁度いい時間でよかったぜ!
763 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/18(月) 03:45:05.11 ID:y3Qrn3LAO
>>1乙!
>>762も乙!!
764 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/18(月) 04:24:32.46 ID:b03mEFsQ0
いちおつ
なんかやな予感がするなあ
765 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/18(月) 11:43:12.52 ID:0kwtzsCAO
朱雀嬢が青年兵にデレデレになりそうで悲しい
766 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 18:06:07.43 ID:LuTgI4VDO
朱雀嬢は召喚士とくっついちゃいけないと思う。色々な意味で
767 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) [sage]:2011/07/18(月) 18:35:41.22 ID:z9CXdCyRo
だからといって余り者同士でくっつくのも
768 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) [sage]:2011/07/18(月) 18:44:27.16 ID:kQeT5w8Ao
余りもの同士って言うと、エリートと朱雀嬢ってニュアンスになりそう
769 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/18(月) 21:44:31.92 ID:5pU3caLAO
何でもくっつくと思うなよ
爆発ENDしかねえよ
770 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/18(月) 22:53:39.08 ID:0kwtzsCAO
火忍「……」
771 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 23:08:16.12 ID:ONOqff7vo
〜本国、港〜

エリート「色々とありがとうございました、名代殿」

名代「こちらこそ。お役に立てて嬉しい限りです」

皇太子「次はこちらが出向く番だな」

名代「ええ、何れは東方の地で……」

皇太子「帝殿にも宜しくな」

名代「はい。ありがとう御座りまする」

海兵「それでは間もなく、出航致します」

エリート「うむ。宜しく頼むぞ」

海兵「はっ! それではどうぞ」

名代「かたじけない。では、失礼致します」

テクテクテクテク

皇太子「東か。前回以上に被害が少なければ良いがな」

エリート「東だけでなく今後は東西南北、各地で微塵の油断も許されません」

皇太子「……ああ、まさにそうだな」
772 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 23:09:45.03 ID:ONOqff7vo


白虎嬢「ご馳走様でしたっ。ごめんなさいね、奢って頂いちゃって〜」

召喚士「いえいえ、気にしないで下さい」

魔道士「白虎嬢ちゃんはこれからどうするの?」

白虎嬢「そうですねぇ、従姉さんが探しているようなので……」

戦士「そんじゃここでお別れか」

白虎嬢「はい〜。それでは失礼致します〜」

テクテクテク

盗賊「……何か……話があったのではないのか?」

魔道士「あっ、そうですよ! 全然そんなお話なかったじゃないですか」

召喚士「……え、ええ。すいません」

戦士「場所変えて話すか」

魔道士「へっ?」

召喚士「そうだね……」

盗賊「……」
773 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 23:11:16.85 ID:ONOqff7vo


魔道士「あの……それで……」

戦士「俺、アイスコーヒーな」

盗賊「……じゃあ……トロピカルスムージー」

魔道士「何してるんですかっ!」

戦士「魔道士は要らないんだな?」

魔道士「……アイスミルクティーを」

店員「かしこまりました。少々お待ち下さいませ」

召喚士「さっきお話しようと思ったんですが……話せませんでした」

魔道士「……?」

盗賊「……つまり……理由があったわけだ」

召喚士「まぁ……」

戦士「そんじゃ、次の任務の話だが……」

召喚士「先ほども話しましたが……内通者の討伐です」

盗賊「……内通者」
774 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 23:14:20.90 ID:ONOqff7vo
召喚士「天才さんと青年兵くんと話をして……」

魔道士「内通者が……分かったんですか!?」

召喚士「内通者は、あの白コートの白虎召喚士ですよ」

盗賊「……」

召喚士「それは揺るぎない事実です。事実……ですが……」

魔道士「……?」

召喚士「ただ、結末は思っているものとやや違う形になりそうです」

盗賊「……どういう意味だ?」

戦士「それは明日になれば分かる」

盗賊「……今……聞いておきたいんだ」

戦士「……召喚士」

召喚士「いい……ですか?」

魔道士「も、勿論です……っ」

召喚士「内通者について……ですが……」

魔道士「……っ」
775 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 23:15:09.29 ID:ONOqff7vo


召喚士「まずは今日のうちにターミナルまで向かいましょうか」

盗賊「……ああ」

戦士「行くぞー」

魔道士「……」

盗賊「魔道士……行くぞ?」

魔道士「……は、はい……っ」

テクテクテク

戦士「なぁ」

召喚士「ん?」

戦士「魔道士、追いてった方がいいんじゃねぇか?」

召喚士「……」

戦士「あいつにゃ少し……」

召喚士「いや、大丈夫だと思うよ。魔道士さんは支える立場だもん」

4人はターミナル行きの船へと乗り込み、東を目指す。
776 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/18(月) 23:16:59.89 ID:ONOqff7vo
〜国軍本部、小部屋〜

白虎嬢「……」

カチャッ…カツカツカツ

白虎長「お待たせ」

白虎嬢「従姉さん……」

白虎長「そのまま座って。話があるの」

白虎嬢「珍しいですね、従姉さんから話なんて」

白虎長「明朝、とっても重大な任務があってね」

白虎嬢「……」

白虎長「内通者の話。聞いた事あったっけ?」

白虎嬢「その内通者が何か?」

白虎長「明日ね、内通者を討伐する作戦があるのよ」

白虎嬢「……」

白虎長「一緒に来て欲しいの。私の為にも……貴女の為にも」

白虎嬢「……」
777 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/18(月) 23:27:32.96 ID:ONOqff7vo
お休み中は更新少なくてすみません…
此度もご支援ありがとうございました!感謝感謝!

それではまた明日、おやすみなさいです!ノシ
778 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/18(月) 23:29:39.23 ID:JlgX2ivDO
>>1
明日には内通者か
779 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/07/19(火) 00:36:03.46 ID:oeI6gqgAO
>>1おつ
とうとう来るのか……
780 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/19(火) 00:41:12.58 ID:QHfmZHpAO
>>1おつ
781 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 01:03:51.00 ID:Q3pT2K5I0
遂にオレの内通っぷりが暴かれるッッッッ!!!!!!!!!


1乙
782 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/19(火) 03:36:02.84 ID:pB7JtD8I0
いちおつ
召喚士の両親も気になる
783 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 08:33:26.46 ID:eegirw/DO
>>1
緊張感があっていいな
次の更新も楽しみだ
784 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/19(火) 17:40:22.55 ID:kjZXzjFAO
>>1

道端にクソデカい糞がボロボロまき散らされててワロタ
内通者も言い換えれば道端に転がる糞と同じだよな。
そして俺たちも…
785 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:05:10.83 ID:UZ7M11zko
〜ターミナル〜

魔道士「おぉーっ!?」

戦士「うおっ、すげぇな……!」

ボーッボーッ

船員「間もなくターミナルへ入港致しますお降りの方は――」

召喚士今や本国と東方を繋ぐ大切な拠点ですからね」

戦士「栄えるのもあっと言う間……ってか」

魔道士「早く行ってみましょう!」

盗賊「……ああ」

タッタッタ

戦士「とりあえず元気だな」

召喚士「うん。楽しんでもらえそうで良かったよ」

戦士「知ってたのか? ターミナルの事」

召喚士「噂で耳にはしてたけど、ここまでとは思ってなかったよ」

戦士「ふぅん、そっか。しかしさっすが……気が利くねぇ」
786 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:05:43.26 ID:UZ7M11zko
テクテクテク

店員「いらっしゃいいらっしゃい! 東方名物の団子だよ〜」

盗賊「おぉー」

店員「さぁさぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 東方のカタナはいかがかね〜」

戦士「おぉ!」

魔道士「凄いですね、召喚士さんっ! えへへ!」

召喚士「本当ですね、東方の名産も沢山並んでますよ」

魔道士「盗賊さん、あれ何でしたっけ!? えぇと……綿菓子!」

盗賊「おぉー」

魔道士「食べましょう!」

盗賊「うん」

タッタッタ

戦士「現金なもんだよ全く」

召喚士「ははっ」

戦士「俺らもブラブラしてみっか」
787 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:06:43.15 ID:UZ7M11zko
スタスタスタ

店員「いらっしゃい! どうだいこのカタナ! 東方の輸入モノだぜ?」

戦士「東方製なのか」

店員「おうよっ、本国のレプリカなんかと大違いだよ!」

戦士「……どこの刀匠が鍛えたもんだい?」

店員「刀匠? あぁ鍛冶屋か。確か東方でも西の山に住むって話だが」

戦士「ふぅん」

召喚士「有名な方なんですか?」

店員「さ、さぁ……そこまでは……」

戦士「さて、行こうぜ召喚士」

召喚士「えっ、う……うん」

テクテクテク

召喚士「聞かなくて良かったの?」

戦士「んー?」

召喚士「いや、東方の刀匠の話。もしかしたら雷切の……」
788 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:08:33.01 ID:UZ7M11zko
戦士「あぁ、ありゃ本国の人間だし全く詳しくもないみたいだからな」

召喚士「そうなの?」

戦士「刀匠も知らねぇんじゃ話にならんだろ」

召喚士「あ……そっか」

戦士「それに見た限りじゃ、そこまでの刀じゃねぇ」

召喚士「そうなの?」

戦士「ああ。偽者ってわけじゃないけどな」

召喚士「へぇ、流石は戦士だね!」

戦士「まぁなー。色々と見てきたし勉強もしたからな」

スタスタスタ

戦士「おう、俺らにも団子1本ずつくれ」

魔道士「あっ、召喚士さんに戦士さん」

戦士「ったく、はしゃぐのはいいけど抜け駆けすんなよな〜」

盗賊「……すまぬ」

召喚士「あははっ」
789 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:10:00.22 ID:UZ7M11zko
ガサッ

店員「はい、お団子お待ち!」

戦士「サンキュ。あ、そうそうちょいと聞きたいんだが」

店員「……?」

戦士「東方でさ、有名な刀匠っているかい?」

店員「あぁー。有名なのは都にいる帝お抱えの刀匠かなぁ」

戦士「ほぉ」

店員「昔は何人かいたんだが、今はみんな死んじまったって噂だよ」

盗賊「……」

戦士「なるほどな。あんがとさん」

テクテクテク…ピタッ

戦士「そうそう、刀匠じゃなくて現存する一流の刀ならどうだい?」

店員「刀……? いやぁ、詳しいわけじゃないからなぁ」

召喚士「……」

店員「まぁ知ってるといえば天下五剣くらいかなぁ」
790 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:10:51.16 ID:UZ7M11zko
魔道士「天下五剣……?」

店員「東方に古くから伝わる剣だよ」

戦士「そっか。助かったぜ」

テクテクテク…

魔道士「何の話だったんですか?」

戦士「別に〜。まぁあわよくば雷切をってそんな感じだよ」

魔道士「なるほどですね〜」

召喚士「それでは宿泊の予約をしましょうか」

盗賊「……うん。もぐもぐ」

魔道士「そういえばホテルらしきものは見当たらないですね」

召喚士「ターミナルですから簡易的な宿泊施設しかないみたいですね」

戦士「あぁ、そういやそうだよな」

召喚士「基本は船内で済んじゃうし、今後は発展と共に期待出来そうですけど」

魔道士「ですねぇ〜」

召喚士「あっちの方にありそうですね。行ってみましょうか」
791 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:11:33.08 ID:UZ7M11zko
〜ターミナル、東側〜

戦士「おぉーっ、もう目の前は海って感じだな」

魔道士「綺麗ですねぇ〜!」

召喚士「あったあった、あれですね」

魔道士「……あれって酒場じゃないんですか?」

戦士「上は客室になってんだろ」

魔道士「あ、本当だ……」

テクテクテク

召喚士「すみませ〜ん」

店員「いらっしゃい」

召喚士「部屋空いてますか?」

店員「はいは。ちょいと待ってくんな」

ピクッ…ゾワァ

盗賊「!?」

戦士「どした?」
792 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:12:50.59 ID:UZ7M11zko
盗賊「……今……誰かに見られてた」

戦士「……?」

店員「はい、はい……どうも〜」

召喚士「部屋の手配終わりましたよ。この後はどうし――」

ヒュン

――「動くな」

召喚士「!?」

盗賊「召喚士っ!」

召喚士「大丈夫です……何者……ですか?」

――「くくっ、かーんたんに後ろ取られやがってぇ」

召喚士「その声……っ」

――「付いて来な、こっちだ」

チャキッ…ザッザッザ

召喚士「……」

戦士「おい、いい加減に……」
793 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:13:25.98 ID:UZ7M11zko
――「いーから付いて来なっての!」

戦士「……ちっ」

ザッザッザ

召喚士「もう、いいでしょう」

――「……ん、だな」

バサァ

戦士「……あっ! てめぇ……!」

魔道士「サルさんっ!?」

サル「いよぉ、久々じゃねぇか!」

召喚士「全く、やめて下さいよ……」

サル「悪い悪いっ! 自由の身になったと言えど、敵は多いからなぁ」

ヘラヘラと笑いながら指差す先に、和服姿の女と地面に転がる大男の姿。

大男「いでぇ……いでででっ! し、知らなかったんだって! 許してくれぇ!」

女侍「全く、ウチらはもうお訊ね者じゃあないんだよっ」

大男「わわっ、悪かったよおぉ!」
794 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:19:13.82 ID:UZ7M11zko
ダダッ…タッタッタッタッタ

女侍「……ふぅ。おや、アンタら」

召喚士「ご無沙汰してます」

女侍「おやおやぁ、随分とイイ顔になってきたじゃあないかい」

テクテクテク…ムギュッ

召喚士「――っ!?」

女侍「男にもなったのかねぇ……あっははは!」

魔道士「ちょっと……! ななっ、何をしてるんですかっ!?」

女侍「ナニって……。ふぅん、仕方ないねぇ」

魔道士「……っ」

女侍「男はねぇ、立ててやらないと光らないんだよぉ?」

テクテクテク

女侍「しっかり相手、努めてあげなっ! あっははは!」

魔道士「な、何なんですか……もうっ!」

召喚士「……っ」
795 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:20:12.78 ID:UZ7M11zko
戦士「そんで、何か用かよ」

女侍「別に用ってほどのモンはないさ」

盗賊「……ここで……何をしているのだ?」

女侍「ウチらも晴れて自由になったんでね、しばらくこっちを離れようかってとこさ」

召喚士「!?」

女侍「ま、色々会ったけど……1回くらい東方にでも帰ろうかと思ってね」

イヌ「東方は初めてね。行ってみたいと思ってたね!」

戦士「そうか。あんた東方の出身だったよな」

女侍「まぁね」

召喚士「あの、自由の身ってどういう事です?」

サル「本国から恩赦が出てなぁ。ついに俺らも密航せずに済むって事よ!」

盗賊「……ふぅん」

サル「反応薄っ!」

召喚士「何故急に、自由になったんですか?」

女侍「まぁ、色々とね。アタイ達だって色んな事してるのさっ」
796 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/19(火) 18:21:03.87 ID:UZ7M11zko
魔道士「……」

キジ「お前らはこんな所で何をしてるさぁ」

召喚士「これからこっちで任務なんです」

サル「へぇ〜。もしや東方司令部へ行くのかい?」

召喚士「へっ?」

サル「あーいやいや、何でもねぇ!」

女侍「さーて、そろそろ行くよ」

イヌ「よっと」

ザザッ…スタスタスタ

キジ「それじゃ、またさー!」

サル「まーた会おうぜぇ〜! ん〜ふふふふ!」

戦士「何だっつーんだ……」

魔道士「さ、さぁ……」

召喚士「東方……司令部……」

4人は闇の中へ消えていく女侍達、をただ黙って見送った。
797 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/19(火) 18:29:44.91 ID:UZ7M11zko
連休明けでちょっとしか進まなかった…
なんとか帰宅後に頑張りたいと思います!

それでは失礼します!ご支援ありがとー!ノシ
798 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 19:20:55.00 ID:4qUNjvl30
1乙
おつかれさま〜
799 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 19:21:42.66 ID:Ry2lYSiDO
>>1乙っす
800 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/19(火) 19:45:29.22 ID:zSI49o3IO
一乙!
台風大丈夫か?
帰宅時に気をつけろ!
801 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 23:31:41.87 ID:eegirw/DO
>>1
休み中も更新してくれてたし無理しなくていいんだぜ〜
802 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/19(火) 23:33:02.80 ID:VepN4AWIO
乙!
天下五剣か…
数珠丸とかでんのかな?
803 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/20(水) 01:02:27.08 ID:ylsOzvrAO
>>1おつ
804 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/20(水) 03:28:43.13 ID:n50RQ/oG0
いちおつ
女侍は剣聖の娘だし、刀匠についても詳しそう
女剣士もだけど
805 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 17:57:53.39 ID:57O2yHGNo
〜次の日〜

朝8時過ぎ、ターミナル全体は普段以上に慌しい顔を見せていた。

戦士「何だ……?」

宿泊先の1階にあるバーのオープンテラスで朝食をとる召喚士ら4人。

召喚士「行ってみましょうか」

彼らもその喧騒に気付き、足早に港へと向かった。

盗賊「……あの……船は」

入港する巨大な軍船は紛れもなく国軍の所有するもの。

魔道士「軍の船って事は……」

今まさにターミナルへと足を入れた者らは、馴染みの顔触れであった。

召喚士「青年兵くんっ!」

青年兵「おはようございます召喚士さん。早かったですね」

召喚士「実は、昨日からターミナルで待機してたんだ」

青年兵「そうでしたか、それはわざわざすみません……」

召喚士「いやいや。俺らも見て回りたかったからさ」
806 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 17:58:48.02 ID:57O2yHGNo
カツカツカツカツ

天才「おう、やる気マンマンだな」

魔道士「天才さんっ、おはようございます」

テクテクテク…ザッ

玄武娘「ほえぇ、ここがターミナルですの〜」

戦士「おう、お前らも一緒か!」

朱雀嬢「……あら、おはようございますですわ」

盗賊「……おはよう」

召喚士「ところで、他の方々は?」

天才「え? こんだけだぞ?」

召喚士「へっ!?」

天才「内通者1人殺るのに人数いらんだろ」

召喚士「……」

天才「あとは大軍師が合流して白虎が合流して……えぇっと」

青年兵「……特遊が合流予定です」
807 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 17:59:58.13 ID:57O2yHGNo
天才「だってさ! ハーッハッハ!」

戦士「大丈夫かねぇ」

召喚士「さ、さぁ……」

魔道士「それで、これからどちらへ?」

天才「まずは東方司令部の視察。ぶっちゃけ今回のメインはこれだよな」

青年兵「このまま東方司令部へ直接向かいます」

召喚士「俺らも……かな?」

天才「当たり前だろ」

盗賊「……当たり前……なの?」

玄武娘「東方司令部、どんな所か楽しみですのー!」

朱雀嬢「そうですわね」

青年兵「それでは……御2人はこちらの馬車にどうぞ」

朱雀嬢「ありがとうですわ」

スッ…テクテクテクテク

天才「お前らはこっちの馬車に乗ってくれ。悪りぃが食事やらは馬車ん中で……」
808 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:01:27.06 ID:57O2yHGNo
召喚士「あっ、既に済ませてあるので大丈夫です」



パッカパッカパッカ…

戦士「作戦とか何も聞いてないけど、いいんかな?」

魔道士「どうなんでしょうかね、問題はないと思いますけど……」

召喚士「ええ。とりあえず青年兵くんや天才さんに付いていくだけですよ」

盗賊「……だな」

召喚士「……」

不安はないけど、何かこう……ドキドキしたような感覚がずっと続いてた。

盗賊「……海が……綺麗だな」

戦士「ああ。遠くにうっすらと、東方司令部の壁が見えんぜ」

内通者という人間相手の戦い。そして自分が戦う立場から支える立場での戦い。

魔道士「いよいよ……ですね」

召喚士「……ええ」

色々な想いが重なってのものだろうけど、今にして思えばあのドキドキは、

知るべき真実へ向けた、こころの準備だったのかもしれない。
809 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:02:59.99 ID:57O2yHGNo
〜東方司令部〜

パッカパッカパッカ…ドドォ

東方司令「……お疲れ様です」

ガチャッ…スタスタスタ

天才「よっ、大軍師は?」

東方参謀「そこにおるぞ」

大軍師「どうも、ご苦労様です」

天才「視察の準備は?」

大軍師「出来ておりますよ」

東方副司令「総司令と副司令をご案内せよ」

衛兵「ははっ」

スタスタスタ…

大軍師「朱雀先生方は控え室へどうぞ」

召喚士「あ、はい」

朱雀嬢「ご案内、痛み入りますわ」
810 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:04:48.84 ID:57O2yHGNo
〜控え室〜

大軍師「飲料などはそちらの使いの者に申し付けて下さい」

魔道士「はいっ、。ありがとうございます!」

召喚士「あの、大軍師さん」

大軍師「はい?」

召喚士「俺らはこれから何をすればいいですか……?」

大軍師「そうですね……」

盗賊「……」

大軍師「皆さんに、人間を殺せますか?」

戦士「……やれと……言われれば」

大軍師「……ふっふ、冗談です」

召喚士「……っ」

大軍師「皆様には戦って貰いますよ。いざとなったら、ですがね」

盗賊「……了解」

大軍師「それでは、失礼」
811 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:06:17.41 ID:57O2yHGNo
〜司令室〜

天才「……ん〜まぁ、問題はなさそうだな」

青年兵「東方からの援軍や魔道学園の支援が円滑に出来ているようですね」

天才「このまま維持出来りゃ、魔王軍に押し込まれる事もねーだろ」

東方参謀「うむ。出来れば防衛線はもっと押し上げたいところだからな」

天才「その為にゃ北方司令部、北関、海峡が踏ん張ってくれんとなぁ」

東方司令「我らもやれる限り、頑張ります」

天才「期待してるよ。はーっはっはっは!」

青年兵「そういえば、先日司令部内に賊が入ったと聞きましたが……」

東方副司令「ええ。しかしすぐに撃退出来ましたので、被害はありませんでした」

東方司令「全く、頼むぞ副司令」

東方副司令「申し訳ありません。今後も警戒を怠らず注意致します」

天才「まぁいいさ。どーせもぬけの空、盗むようなモンはありゃしねぇ」

東方参謀「まぁそれもそうだな」

天才「おーしおし、そんじゃここはオッケーだ。次に移るとしようかねぇ」
812 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:07:26.35 ID:57O2yHGNo


コンコン

召喚士「はい」

青年兵「出発致します」

魔道士「出発……ですか?」

大軍師「視察は円滑に終わったようですね」

青年兵「ええ」

玄武娘「次は、どこへ行くんですの?」

青年兵「海峡です」

戦士「何!?」

青年兵「内通者を討伐致します」

盗賊「……」

青年兵「では、参りましょう」

朱雀嬢「は、はい……っ」

召喚士「……」
813 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:08:50.94 ID:57O2yHGNo
〜東方司令部、正門〜

東方司令「それでは司令部の事は任せたぞ」

兵長「ははっ! お任せ下さいませ!」

青年兵「それでは出発、出して下さい」

ドドッ…パッカパッカパッカ…

東方司令「私と参謀は海峡到着後、川伝いに北関へ向かいます」

天才「ああ、頼むぜ。北方司令部に行ったらこいつを左翼長に渡してくれ」

東方参謀「指示書だな。確かに預かった」

大軍師「副司令殿は内通者討伐へお付き合い下さいませ」

東方副司令「無論です」

東方司令「良いのか? 相手はお前の……」

東方副司令「だからこそです。私は全てを終わらせたいのです」

東方司令「……」

大軍師「終わらせようじゃ有りませんか」

天才「だぁな。はーっはっは!」
814 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:10:01.23 ID:57O2yHGNo
〜本国、港〜

白虎長「行くわよ」

白虎嬢「……はい」

白虎長「……」

テクテクテクテク

海兵「それでは、出航致します」

ザザーン…

白虎嬢「……」

白虎長「何か……飲む?」

白虎嬢「いえ」

白虎長「……そう」

ザザーン

白虎嬢「従姉さん、私は……」

白虎長「今は何も言わないで。終わってからにしましょう」

白虎嬢「……はい」
815 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:11:49.53 ID:57O2yHGNo
〜海峡〜

門兵「開門ーっ!!」

ゴウンゴウンゴウン…

戦士「もう夕方か、早いもんだな」

魔道士「でもこの時期は、日が落ちないからまだ明るいですね」

召喚士「ええ、そうですね」

ガチャッ…テクテクテク

青年兵「どうぞ」

朱雀嬢「あ、ありがとう……ですわ」

3台の馬車が海峡の正門へと入り、最後尾の馬車より青年兵が降りる。

その後を朱雀嬢、玄武娘が続き、その前の馬車へと足を運んだ。

テクテクテク

青年兵「召喚士さん」

召喚士「……うん。あの日以来だよね、揃って訪れるのは」

2人を交えた一同が、馬車を降りると一列に並び、黙祷を捧げた。
816 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:13:01.15 ID:57O2yHGNo
ザッザッザ

天才「……」

東方参謀「持ち上げるぞ」

東方副司令「すみません、お願い致します」

グイッ…カラカラカラ

東方司令「それでは、私達は北関経由で北方司令部へ戻ります」

天才「ご苦労さん。しっかり頼むぜ」

ザザッ…スタスタスタ

天才「青年兵」

青年兵「はい」

天才「全員を海峡内に案内しろ。討伐は深夜だ」

青年兵「はっ。それでは皆様、こちらへどうぞ」

玄武娘「はいですの!」

魔道士「盗賊さん、行きましょうっ」

盗賊「……ああ」
817 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:14:19.56 ID:57O2yHGNo
テクテクテク

門兵「あっ!?」

海峡兵「この前の女の子……っ!」

盗賊「……ど、どうも」

門兵「あれから大丈夫でしたか!?」

盗賊「……うん、お陰様で」

海峡兵「良かったぁ〜」

門兵「心配してたんスよ!」

盗賊「……ありがとう。お礼は今度する……から」

門兵「マジっすか!? じゃあ一緒に食事でも――」

海峡兵「それなら俺とクルージングでも――」

戦士「盗賊ー置いてくぞー」

盗賊「い、今行く! す、すまんな……それでは」

タッタッタッタッタ

門兵「……食事……でも」
818 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:15:28.39 ID:57O2yHGNo
夕食を済ませた一同は、男女に分かれ、深夜の任務向けて待機していた。

朱雀嬢「はぁ、サッパリしましたわ〜」

魔道士「いいお風呂だったね!」

玄武娘「ですのっ!」

盗賊「……」

魔道士「召喚士さん達は今頃、作戦会議中ですねぇ〜」

朱雀嬢「私達は参加しなくても宜しいのかしら……」

魔道士「大丈夫! 召喚士さんがきっと指示してくれるから」

朱雀嬢「まぁ、出ても分からないですものね」

魔道士「そうそう。えへへ!}

朱雀嬢「それにしても……」

魔道士「……?」

朱雀嬢「魔道士さんて、朱雀先生のお話……やたらと多いですわよね」

魔道士「へえっ!? い、いや……だってほらっ! リーダーだし!」

朱雀嬢「……ふぅん」
819 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:17:01.84 ID:57O2yHGNo
魔道士「な、何よっ!?」

朱雀嬢「別に何でもないですわ」

玄武娘「あーっ!!」

盗賊「……?」

玄武娘「そっか! 魔道士さんは召喚士さんが好きなんですの!」

魔道士「ち、ちょっとぉ!? 何を言ってるのよっ!!」

玄武娘「なるほどですのー! 私、ちょっと賢くなりましたの!」

魔道士「だ、だから〜」

朱雀嬢「やっぱりそのようですわねぇ〜」

ジロジロ

魔道士「勝手に盛り上がらないでよぉ!」

朱雀嬢「……じゃあ、別に何でもないんですわね?」

魔道士「……何でも……ないもん……っ」

朱雀嬢「私、朱雀先生に求愛してきますわ」

魔道士「何故っ!?」
820 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:19:03.05 ID:57O2yHGNo
朱雀嬢「あら、何でもないなら構いませんわよね?」

魔道士「…………うぅーっ!」

玄武娘「涙目で歯ぎしりしてますの……」

盗賊「ちょっと可愛いな」

朱雀嬢「ふふっ、少しからかい過ぎてしまいましたわね」

盗賊「全く、魔道士は素直なんだからあんまりからかうと……」

魔道士「ううぅぅーっ! うぅーっ!」

盗賊「……ほら」

朱雀嬢「ごめんなさい……ですわ」

盗賊「まぁ、それだけ召喚士の事が好――」

魔道士「盗賊さんっ! 戦士さんに告白したそうですねっ!」

盗賊「――!?」

玄武娘「聞きたい木期待ですの!!」

朱雀嬢「……っ///」

盗賊「……う、ううぅぅーっ!」
821 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:19:45.53 ID:57O2yHGNo


盗賊「……つまり……した、というか」

魔道士「されたんでしたっけ」

盗賊「……た、多分」

朱雀嬢「おおぉぉ……」

玄武娘「どっ、どんな感じでしたの!?」

盗賊「……えっと……どんなだっけ」

魔道士「もぉ〜っ、照れちゃってぇ〜」

盗賊「……あれ? 本当にどんなだったっけ」

朱雀嬢「えっ?」

盗賊「……いや、されたのは確か……なんだけど」

魔道士「覚えてないんですか……?」

盗賊「凄い……緊迫した時だったから……」

玄武娘「そうなんですの?」

朱雀嬢「心理的にあるみたいですわね、そういうの」
822 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:20:33.96 ID:57O2yHGNo
玄武娘「おぉ、釣り橋効果ですの!」

朱雀嬢「ちょっと違う」

魔道士「じゃあもう1回告白したらどうですか? 今度は盗賊さんから」

盗賊「出来るかたわけっ! ……というか、何で知ってる!?」

魔道士「へっ?」

盗賊「告白の話……なんで……」

魔道士「戦士さんい聞きましたよ」

盗賊「……そ、そうなの?」

魔道士「えぇ、まぁ……」

盗賊「全く、何で簡単に話す……」

魔道士「……どうしました?」

盗賊「……そういう事か」

玄武娘「ほえ?」

盗賊「魔道士!」

魔道士「は、はいっ!?」
823 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:21:35.37 ID:57O2yHGNo
盗賊「お前も……告白しろっ!」

魔道士「へぇ!?」

盗賊「なっ! そうしよう、うんっ!」

魔道士「ななな、何でですかっ!!」

盗賊「だって……好きなんだろ?」

魔道士「……」

朱雀嬢「お似合いだと思いますわよ」

魔道士「朱雀嬢ちゃん……?」

朱雀嬢「魔道士さんと朱雀先生、とってもお似合いだと思いますわ」

玄武娘「私もそう思うですの!」

魔道士「……う、うぅー」

玄武娘「でも、朱雀嬢ちゃんはいいんですの?」

朱雀嬢「何がかしら?」

玄武娘「召喚士さんの事ですの」

朱雀嬢「……確かに朱雀先生は素敵ですけれど、それは何と言うか」
824 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:23:04.00 ID:57O2yHGNo
盗賊「……憧れ?」

朱雀嬢「そうなんですわよね。同じ朱雀として雲の上の人と言いますか……」

魔道士「……」

朱雀嬢「多分、尊敬としての好意なんですわ」

盗賊「……そうか」

朱雀嬢「朱雀先生の傍にいては、おそらく自分自身もそこまでだと思いますわ」

魔道士「……」

朱雀嬢「あ、えっと……召喚士として、という事ですわ」

魔道士「うん、分かってる」

朱雀嬢「だから、私がお付き合いするなら、共に切磋琢磨出来る方が……」

玄武娘「じゃあ別の召喚士ですの?」

朱雀嬢「はへぇ!?」

盗賊「……ほぉ」

魔道士「へぇーっ、そうなんだ〜!」

朱雀嬢「ななっ、何の話かしら……っ!!」
825 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/20(水) 18:23:56.89 ID:57O2yHGNo


魔道士「青年兵……さん……?」

朱雀嬢「……べ、別に好きとかそういう事ではなくてっ!」

盗賊「……」

朱雀嬢「人間として尊敬出来るというか、素敵だなという話ですわっ!」

玄武娘「それって、好きと違うんですの?」

朱雀嬢「五月蝿いわね貴女はっ!!」

盗賊「玄武娘は……いないのか……?」

玄武娘「私は……いいんですの」

魔道士「あ、そっか。玄武娘ちゃんはサモナーさん……」

玄武娘「わーわーわー!」

盗賊「……」

玄武娘「もういいんですの! あまり考えたくないですのーっ!」

魔道士「ご、ごめんね……っ」

玄武娘「……うぅー!」
826 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 18:30:09.61 ID:57O2yHGNo
昨晩は書く書く詐欺すみませんでした
夜はしばらく投下出来そうにもないです…

雨が酷くならないうちに帰りますー

本日もご支援ありがとうございました!
それでは失礼致しますー!ノシ
827 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 18:35:17.25 ID:g67hMocDO
>>1乙っす

女子たちは自爆しすぎだろwwwwww
828 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 18:37:35.85 ID:xDD6RIUDO
>>1乙!
大量更新乙なんだぜー
ガールズトーク和んだww
829 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/20(水) 20:39:10.46 ID:XJEyq2w7o
朱雀譲と青年兵か青年兵爆散しろ
朱雀といえば同門ががが
830 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/20(水) 21:43:45.55 ID:zl6H1/Weo
東方司令部行くときに例の御者さん来ると思ったけど違ったかー
>>1乙!
831 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/20(水) 21:45:48.66 ID:jW4Sw8SAO
>>1
皆がううーううー連発で池沼大量発生に見える(´・ω・`)
832 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州) [sage]:2011/07/21(木) 02:50:20.10 ID:8eYHa7tAO
>>1
10スレぶりぐらいに見に来たら
相変わらずの誤字で安心したww
833 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/21(木) 08:19:25.94 ID:tOROl9eAO
>>1

姦しいなカシマシシスターズだな
834 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/21(木) 17:42:37.20 ID:GnH7KENDO
同門にはアマゾネスフラグがたってるからあかん
835 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:11:00.69 ID:9dX7fqgbo
〜会議室〜

大軍師「それでは、この後0時より海峡を出発し、北へ向かいます」

東方副司令「北ですか?」

大軍師「東方司令部を除けば、目撃情報は最北の村と……」

青年兵「北の森……です」

召喚士「なるほど」

天才「まずは森を経由しつつ、そのまま西進する」

戦士「大丈夫なのか?」

天才「知らん」

戦士「知らんって……」

天才「そもそも魔王討伐じゃねーんだ。命張る必要はねぇ」

大軍師「その通りです。たかが内通者如きで命を落とす必要はありませんよ」

東方副司令「成程……」

天才「そうそう。どーせ雑魚なんだ、気楽にいこうや! んじゃ身支度してこい」

青年兵「はい」
836 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:11:40.13 ID:9dX7fqgbo
ガタガタッ…ゾロゾロゾロ

天才「おい、朱雀」

召喚士「……?」

天才は手招きして召喚士を自分の元へと呼び寄せる。

召喚士「あの、何か……」

天才「作戦開始後、青年兵が囮になる」

召喚士「!?」

天才「お前ら4人は護衛に付いてくれ」

召喚士「……は、はい」

天才「まぁどっちかっつーと、お前には抑えに入って貰いたいんだがな」

召喚士「……?」

天才「アイツが我を忘れて逆上しねぇよーに、手を貸してやってくれ」

召喚士「……」

天才「それが出来るのはお前だけ。お前の役目だ、頼むぜ」

召喚士「……分かりました」
837 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:12:41.04 ID:9dX7fqgbo
深夜0時。海峡前に一同が揃って姿を見せる。

天才「揃ってンな。準備はいいか〜?」

青年兵「はい」

戦士「どした?」

盗賊「……べ、別に」

魔道士「頑張りましょうね!」

戦士「……あ、あぁ」

スタスタスタ…ボソッ

戦士「なぁ、女どもが妙によそよそしくねぇか?」

召喚士「そう? 緊張してるんじゃないかな……?」

戦士「あぁ、そういう事か」

大軍師「ここからは徒歩で進みます。前衛は……お願い出来ますね?」

盗賊「……ああ、任された」

戦士「それが俺らの仕事だよ」

大軍師「フッフ、頼もしい限りです」
838 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:14:07.71 ID:9dX7fqgbo
天才「さて、お次はと……」

大軍師「続いて青年兵殿と東方副司令殿、更に司令と私が続き――」

戦士「あれだな、任されるってのはいいもんだな」

召喚士「ん?」

戦士「前衛を任されるなんて、信頼して貰ってるって事だろ?」

召喚士「ああ、そうだよね。確かに嬉しいかも」

戦士「俺らも何だかんだ、ここまできたか〜って思っちゃったりして。ははっ!」

召喚士「あははっ、そうだね。でも油断は出来ないよ、大事な任務だもん」

戦士「モチロンだよ」

大軍師「――最後尾は朱雀嬢さんと玄武娘さん、宜しいですね?」

朱雀嬢「畏まりましたわ」

玄武娘「やってやるですのー!」

大軍師「以上の編制です。では、出発致しましょうか」

天才「いいか? 無謀と勇敢を履き違えんな、深追い禁物だ」

青年兵「了解です、それでは……出発!」
839 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:15:34.51 ID:9dX7fqgbo


玄武娘「うぅ、なんだか気味悪いですの……っ」

朱雀嬢「そ、そんな事ありませんわっ」

玄武娘「そんな事ありますわですの!」

大軍師「まぁしかし、まだここは大丈夫ですよ」

玄武娘「そうなんですの?」

大軍師「あの橋が見えますか?」

朱雀嬢「……立派な橋ですわね」

大軍師「あの大橋は、今や重要な拠点となりました」

召喚士「……」

大軍師「全体に施した結界のお陰で、魔物はここまで近づけないのですよ」

玄武娘「おぉ……」

魔道士「皆さんの、努力の結晶ですねっ」

天才「……ああ、本当にその通りだわな」

召喚士「……」
840 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:17:03.70 ID:9dX7fqgbo
ザッザッザッザ

戦士「……」

盗賊「……うん、大丈夫」

戦士「いいぞ」

カラカラカラッ

青年兵「橋を渡った先、つまりここからはいつ魔物が現れてもおかしくありません」

戦士「だな」

召喚士「偵察用に召喚獣を出しましょうか?」

天才「いや、いい。こっからは手分けしてあたるぞ」

大軍師「我らはこのまま西に向かいます」

朱雀嬢「私達もdえすわね」

天才「おう。一緒についてこい」

玄武娘「了解ですの!」

大軍師「朱雀先生らは森の手前、西側で待機を」

召喚士「……はい」
841 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:19:03.09 ID:9dX7fqgbo
天才「んで青年兵」

青年兵「はい」

大軍師「東方副司令と2人で……森へ」

青年兵「……了解です」

東方副司令「……」

魔道士「森って……大丈夫なんですか!?」

天才「魔物が出たらすぐに退け。深入りはすんなよ」

青年兵「分かっております」

大軍師「万が一の場合は、お願いしますよ」

召喚士「ええ、心得てます」

盗賊「……気をつけろよ」

青年兵「はい」

天才「そんじゃ行動開始! 健闘を祈る!」

青年兵「それでは行きましょうか、東方副司令」

東方副司令「は、はい」
842 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:20:01.53 ID:9dX7fqgbo


魔道士「……大丈夫でしょうか」

戦士「あん?」

魔道士「ただでさえこの森は……」

盗賊「……ああ。とんでもない化け物が棲みついている」

召喚士「それは重々わかっているはずですから、無理はしないでしょう」

戦士「ああ。今のところ勝ち目はないんだろ?」

盗賊「……だな」

戦士「しっかし、お前はよく無事に抜けられたよな」

盗賊「……あの時は……まぁ」

ゾワッ

盗賊「――!?」

召喚士「どうしました!?」

盗賊「……いる、奴がいるぞ!」

魔道士「っ!!」
843 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:21:48.66 ID:9dX7fqgbo
カラカラカラ…

青年兵「……」

東方副司令「こ、こんな森の中……大丈夫かね」

青年兵「さぁ、どうでしょうね」

東方副司令「……っ」

カラカラ…ピタッ

青年兵「東方副司令」

東方副司令「……?」

青年兵「素敵なネックレスですね」

東方副司令「え、あ……あぁ。これですか」

チャラッ…チカチカッ

東方副司令「ここを開けるとね……よっと」

カパッ

青年兵「娘さんですか。確か……白虎嬢さん」

東方副司令「ええ。確か面識はありましたっけ」
844 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:22:45.91 ID:9dX7fqgbo
青年兵「……」

東方副司令「……副司令殿?」

青年兵「このネックレスをお見かけしたのは、前回の本国での会議の際でした」

東方副司令「そうでしたか」

青年兵「何か、見覚えのある光だったな……と」

東方副司令「見覚え……?」

青年兵「それが2回目」

東方副司令「……副司令……殿?」

青年兵「始めて見たのは、東方司令部でした」

東方副司令「そ、そうで――」

青年兵「西の塔の……燃えさかる炎の中で」

東方副司令「…………」

青年兵「コートに身を包んだ男が、輝かせていましたよ」

東方副司令「……それはつまり、兄である白虎長兄が……!?」

青年兵「お兄さんもお持ちなのですか、それ?」
845 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:24:27.05 ID:9dX7fqgbo
東方副司令「さ、さぁ。持っているかもしれませんね、家にあった古物ですから」

青年兵「そうですか」

ザッ

青年兵「!?」

東方副司令「ど、どうしました……っ!?」

青年兵「出でよ、ワイバーン!」

シュイイィィィン

青年兵「魔物の気配です! 退きましょう!」

バッ…ガシャン!!

東方副司令「ぐっ!」

青年兵「車椅子が!」

東方副司令「しまった……っ、車輪が……くそっ!」

青年兵「駄目だ、間に合わない! くそぉー!」

バシュウウゥゥゥゥ!!

東方副司令「――っ!?」
846 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:25:37.60 ID:9dX7fqgbo


戦士「奴って……まさか……!」

召喚士「コカトリスですら一撃で消し飛ばされたんだ、あの魔物には絶対に……」

魔道士「あっ!!」

戦士「どうした!?」

魔道士「あ、あれ……っ」

召喚士「空……ですか? あっ!」

バサッバサッ…バサァ

青年兵「召喚士さんっ!」

召喚士「青年兵くん! 無事……」

青年兵「戦闘態勢に入って下さい! 来ますよ!」

戦士「!?」

魔道士「来るってまさか……っ!!」

青年兵「魔物ではありません。……内通者です」

召喚士「!?」
847 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:26:48.00 ID:9dX7fqgbo
ザザッ…ガサガサ…ゴロゴロゴロッ

東方副司令「はぁはぁ……はぁ……っ」

ググッ

東方副司令「……ちっ、全く」

ザッ

東方副司令「……?」

青年兵「ご無事でしたか」

東方副司令「副司令殿……」

青年兵「よく、ここまで逃げてこられましたね」

東方副司令「全く……必死でしたよ……」

青年兵「車椅子もなしに、よくこんな所まで逃げてこられましたね」

東方副司令「あ、あぁ……。なんとか必死に――」

青年兵「衣服の汚れもなく、ましてや」

グイッ

青年兵「靴底に土をつけて、まるで走ってきたようではないですか」
848 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/21(木) 18:29:59.60 ID:9dX7fqgbo
東方副司令「…………」

青年兵「歩けない貴方が、どういう事でしょうか?」

東方副司令「それは……だなっ」

青年兵「本当はあるけるのでしょう? もう隠す必要はありませんよ」

東方副司令「……は、はははっ」

青年兵「……」

東方副司令「実は、最近リハビリが順調でね」

スクッ

東方副司令「この通り、ようやく立てるようになってきたのさ」

天才「小賢しい事ほざいてんじゃねぇよ」

東方副司令「!?」

大軍師「先日、東方司令部へ潜り込んだ賊が、面白いものを見たそうです」

東方副司令「……っ」

天才「テメーの部屋に置き去りの車椅子と、そこに佇む白コートの男をなぁ!」

東方副司令「っ!!」
849 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/21(木) 18:44:36.88 ID:9dX7fqgbo
今日も短くてすみません…そしてご支援感謝
それでは失礼致します!

>>832
ほんとごめんなさい&お帰りなさい!
850 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/21(木) 18:51:01.98 ID:w63fR2wSo
1乙!
いよいよって感じがしてきましたな
851 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/21(木) 18:51:36.82 ID:w63fR2wSo
1乙!
いよいよって感じがしてきましたな
852 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/21(木) 18:52:15.54 ID:w63fR2wSo
1乙!
いよいよって感じがしてきましたな
853 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank) [sage]:2011/07/21(木) 18:53:15.33 ID:w63fR2wSo
俺、バカヤロウ;;
連投エラーのクソがー
854 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/21(木) 19:51:45.64 ID:oeeqAv6DO
>>1
わかっていたけれど実際に内通者だってわかるとショックだな……
そして青年兵が副司令って呼ばれるのにまだ違和感があるなww
855 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/21(木) 23:21:26.96 ID:gezwADJAO
>>1おつ

856 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/22(金) 01:35:03.49 ID:GT756DrAO
やはり…
乙でした
857 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/22(金) 08:22:30.26 ID:/yiYrs1AO
>>1大量投下乙んつん
次の投下が待ち遠しいなぁ…
858 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:00:00.56 ID:IMk8fOkXo
サアアァァァァ

東方副司令「……あ、あの……一体何を」

天才「もういいっつてんだろ。すっ呆けてんじゃねぇ」

大軍師「3人目の内通者、姿を見せないわけですよ」

東方副司令「……っ」

天才「お前は内通者を悟られぬよう、影を作り出した」

魔道士「影……っ」

天才「それが、白虎長兄だ」

東方副司令「……」

大軍師「表の顔は車椅子の白虎三男。しかし裏の顔は……」

青年兵「フードで顔を隠し、白いコートを羽織った白虎召喚士」

東方副司令「…………」

天才「疑いが0だったかというと、そういうわけじゃねぇ」

盗賊「……」

天才「だが、尻尾を全く出さなかった。大したヤローだよ、そこは褒めてやんぜ」
859 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:00:37.31 ID:IMk8fOkXo
青年兵「貴方は内通者……主犯格として全てを担っていたわけだ」

東方副司令「……」

大軍師「左大臣や前副司令を手玉に取り暗躍。全く、見事の一言です」

天才「奴らが健在だった時は、表に出る事も少なかったが……」

大軍師「2人を失ってからは、少し焦りが出たようですね」

天才「いや、正確には左翼に亀裂が入りだしたあたりか」

東方副司令「……」

大軍師「東方司令部での騒ぎは、少し野暮でしたねぇ」

青年兵「……」

天才「そして自らが実働も兼ねるハメにあってからはボロが出始めたな」

大軍師「女侍殿らの証言は非常に有り難いタイミングでしたよ」

召喚士「あなたが……コートの男だ……!」

天才「テメーはここまでだ。俺がぶっ殺す」

東方副司令「……は……ははっ、ははははっ!!」

召喚士「!?」
860 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:01:30.14 ID:IMk8fOkXo
シュイイィィィィン

ベヒーモス「グルアアァァァァーッ!!」

天才「避けろおぉーっ!!」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

戦士「うお……ぉ!!」

召喚士「……っ!!}

シュウウゥゥゥゥ

天才「奴は!?」

大軍師「森の方へ!」

バサァ…フワッ

突如現れたベヒーモスは森の入り口に立つ主の元で消滅し、

その主である東方副司令は、軍服を裏へ返すと再び袖を通し、羽織り直す。

朱雀嬢「白い……コート!?」

天才「ほぉ、リバーシブルとはなかなかシャレてんじゃねぇか」

コート男「……お気に召したかね?」
861 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:03:01.77 ID:IMk8fOkXo
天才「やっと本性を現してくれたなぁ、内通者ちゃんよ」

コート男「本性? あぁ、そうかもしれんなぁ」

召喚士「……」

コート男「使えん雑魚共に余計な首を突っ込む愚者共……」

玄武娘「……っ」

コート男「どいつもこいつもカスカスカス! 所詮カスはカス。一生カスのままだ!」

戦士「てめぇ……」

コート男「お陰で五ヵ年計画などという馬鹿げたものを実現させてしまうとはなぁ」

天才「……」

コート男「魔王を倒す? 世界平和? ハッ、馬鹿げているよ」

戦士「何が馬鹿げてんだよ、馬鹿はテメーだろ」

コート男「まぁここまで来てしまった事にはどうしようあるまい」

ザッ

コート男「かくなる上は、サタンとベルゼブブだけは討たせん!」

召喚士「……っ」
862 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:04:28.74 ID:IMk8fOkXo
ゴゴゴゴゴゴ

青年兵「貴様は……」

コート男「ん?」

青年兵「何の為に……」

コート男「何の為だと? 愚問だな、己の為に決まっているだろう」

青年兵「……」

コート男「自分自身の為以外に何がある。他人の為に益を生むか?」

青年兵「それが出来る事こそ人間だろう!!」

コート男「だから馬鹿だと言っている。何も分かってないカスだな」

戦士「んだと……こら」

コート男「人間同士で望めないからこそ、わざわざ魔族と手を組んでいるのだ」

召喚士「……」

コート男「こんな醜い世界になど興味はないさ。だが、今はまだ魔王の力が必要」

青年兵「……お前は……私利私欲の為に」

コート男「……」
863 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:06:02.53 ID:IMk8fOkXo
ゴゴゴゴゴゴ…

青年兵「罪もない人々を殺してきたのかあぁ!!」

ドウッ!!

天才「ちっ」

ガシィ!!

青年兵「!?」

召喚士「……駄目だ、落ち着いて」

青年兵「離せぇ!」

召喚士「森の中は危険だ! 入ってはいけない!」

コート男「そうそう。この中には怖〜い魔物がいるからねぇ! ハッハハハ!」

天才「テメーだってそうだろうが」

コート男「ああ、そこの小僧に車椅子を壊された時は些か焦ったよ」

青年兵「……っ」

コート男「こいつの発動条件は、1度魔力を起こさなくてはならなくてなぁ」

チャリッ
864 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:07:24.65 ID:IMk8fOkXo
天才「……てめぇ、まさかそれ……タリスマンか」

コート男「ほぉ、知っているとは流石だな」

魔道士「タリスマン……?」

天才「ようやく謎が解けたぜ。そーいう事かよ」

コート男「唯一の手段は使えまい。ざまぁみろ、フハハハハッ!」

天才「……だとよ」

ガサッ

コート男「何!?」

格闘家「はああぁぁーっ!!」

バギャアッ!!…ズザザザザッ

青年兵「!?」

スタッ

格闘家「……ふーっ」

コート男「……ぐくっ」

天才「魔力ねーのがバカ王子……王だけだと思うなよ?」
865 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:11:41.89 ID:IMk8fOkXo
コート男「まさかそいつも……? ちっ、面倒な奴だ」

スタッ

隊長「間に合ったか!?」

男隊員「東方副司令……っ!」

女隊員「本当に……内通者なんスか……?」

コート男「カスが増えたか」

男隊員「んだとぉ!?」

ススッ…ザッ

コート男「大人数を相手にするほど愚かではない。じゃあな」

戦士「逃げる気か!」

コート男「そうだな。逃げるが勝ちよ。ハッハハハハ!!」

隊長「逃がすわけにはいかん!」

天才「動くなぁ!!」

隊長「!?」

天才「やめとけ。地獄の門番が手招きしてんぞ?」
866 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:13:05.71 ID:IMk8fOkXo
ズズズッ…ゴゴゴゴゴゴゴ

バフォメット「……ファファファ」

コート男「それじゃあ元気でな。また会う機会があれば、だが。ハッハハハ!」

召喚士「くそっ!」

格闘家「……追います」

大軍師「……」

格闘家「私ならいけるのでしょう?」

天才「……あのバケモンは無視しろ。攻撃はするな」

格闘家「……了解です」

戦士「い、いいのかよ……っ」

天才「アイツにしか出来ん仕事だ」

格闘家「行ってきます」

天才「死ぬなよ、オメーにゃまだ仕事が残ってんだ」

格闘家「了解」

タンッ…ザザザザザザッ
867 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:15:46.66 ID:IMk8fOkXo
青年兵「…………」

魔道士「どういう……事なんです?」

盗賊「……魔力か」

天才「そういう事だ」

朱雀嬢「魔力……って?」

天才「あのバフォメットってバケモンは、魔力に応じて力が増減するって事だろうな」

戦士「!?」

大軍師「つまり、魔力の高い者ほど、その姿も大きく……力も強い」

天才「黒の三騎士があっさり始末されるわけだ」

召喚士「……そうか! 盗賊さんはあの時……っ」

盗賊「ああ。あの時の私は……魔力を枯渇していた」

魔道士「だから……平気だったんだ……っ」

大軍師「つまり今、東方副司令を終えるのは格闘家殿のみという事です」

天才「将来的にもバフォメットとまともに戦えるのはあいつと陛下だけだ」

召喚士「そうだったのか……っ」
868 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/22(金) 18:25:13.59 ID:IMk8fOkXo
天才「だからこそ、黒の三騎士は実力者ながら瞬殺された」

召喚士「魔法剣士さんや眼鏡さんも……そうか」

朱雀嬢「似てますわね……」

盗賊「……?」

朱雀嬢「まるで絵本の……魔物と老人のよう」

魔道士「あっ! 確かに……!」

大軍師「古い絵本ですからね。もしかしたら題材になったのかもしれませんね」

男隊員「んで、この後はどうするんだよ」

大軍師「こちら側で待機する者と、森の先に回りこむ者が必要ですね」

戦士「森の先……?」

大軍師「魔王城です」

魔道士「!?」

天才「まぁ、そこまで行くのは無茶って話だ。まずは予定通り西に進む」

大軍師「東方副司令とて魔王城まで行くとは考えにくいですからね」

召喚士「なるほど、わざわざ道案内するも同然ですからね」
869 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/07/22(金) 19:08:01.38 ID:adqIrcub0
終わりかな?

愛され黒の三騎士だったねよかったね
870 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/23(土) 01:02:07.72 ID:8oB7+OOAO
>>1おつ
871 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/23(土) 03:27:58.09 ID:6dQvUXWn0
いちおつ
そういうことだったのか
872 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 03:33:11.99 ID:zFhK7Ih9o
1おつ
天才、バカ王子て…
四国同盟の時に年齢バラされたの根に持ってるのか?
弟子の格闘家くんはどこまでも真人間でいい人なのに
873 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 12:39:23.73 ID:Z0437+7fo
おつ
絵本はこのあたりだーね
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/496
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/442
874 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/23(土) 13:02:36.54 ID:BmorLeRSO
攻略不可能に見えたバフォメットさんに死のフラグが…
875 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 20:35:02.25 ID:Dv4Jp0SDO
1ー早く戻ってきてくれー(AA略
876 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/24(日) 22:42:15.69 ID:KvAmDljDO
なに、まだ慌てる時間じゃない(キリッ
せっかくの休日だし休まないとな
877 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:22:07.86 ID:h3//Fkj1o


大軍師「それでは二手に分かれて、東方副司令を追いましょう」

隊長「俺ら特遊と彼女らは、海峡と連携しつつここで待機だな」

朱雀嬢「かしこまりましたわ」

玄武娘「かしこまりましたですの!」

天才「残りの奴らは俺様と西へ向かう」

戦士「おうよ」

召喚士「絶対に捕まえよう、青年兵くん」

青年兵「……ええ」

男隊員「こっちに引き返してくる可能性は?」

大軍師「1割未満でしょうね。戻る道理がありませんので」

女隊員「そうッスか……」

天才「もし万が一、対峙する事あがっても、森にだけは絶対に入るなよ」

隊長「分かってます」

大運氏「それでは参りましょう」
878 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:22:36.29 ID:h3//Fkj1o
ザッ

青年兵「お2人も、くれぐれもお気をつけて」

朱雀嬢「は、はい! 青年兵様も……」

青年兵「ありがとうございます」

魔道士「玄武娘ちゃん、頑張ってね」

玄武娘「ありがとうですの」

天才「おーし、そんじゃ行くぞ」

盗賊「……絶対に……捕らえてやる」

戦士「そっちも油断すんなよ?」

男隊員「だーれに言ってやがる。ヒャハハ!」

天才「走んぞ! 遅れんなよ!」

魔道士「は、はいっ!」

戦士「召喚士、行くぞ」

召喚士「うん」

一同は二手に分かれ、内通者である東方副司令を迎え撃つ。
879 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:23:04.97 ID:h3//Fkj1o
ザザザザッ…タタッ

格闘家「……」

コート男「ちっ、しつこい野郎だ」

格闘家「……」

ザザッ…チラッ

コート男「かと言って、ここで召喚獣を出すわけにはいかんからなぁ」

タタタッ…ザザァ

格闘家「……?」

コート男「仕方ない。多少……相手をするか」

格闘家(急に立ち止まって……まさか迎え撃つ気か?)

スタッ…ザッ

コート男「見逃してはくれないようだなぁ」

格闘家「諦めたか?」

コート男「諦める? ふっふ、笑わせるな」

格闘家「捕捉する」
880 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:23:54.98 ID:h3//Fkj1o
タンッ!!…グオォッ

格闘家「はああぁぁ!!」

コート男「……くっく」

立ち止まり迎え撃つコートの男は、一切の武器を構えず飛び掛る相手を見据える。

格闘家(……何が……狙いだ!?)

コート男「……」

格闘家(……ちっ、構うものか!)

飛び上がった身体を反転させ、右足で回し蹴りを繰り出す格闘家。

必殺の一撃。並大抵の者ならばこの一振りで地へ沈む。だが……。

コート男「はあぁーっ!」

格闘家「!?」

コート男は格闘家同様、身体を反転させると右足を蹴り上げる。

ガキイイィィ

格闘家「な……にぃ!?」

地対空。両者の足が鍔迫り合いのようにぶつかり合う。
881 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:24:58.37 ID:h3//Fkj1o
コート男「徒手空拳が自分だけだと思うなよぉ!」

バギャッ!!

格闘家「ぐぅ……っ!!」

ドザザザザッ…ズシャァ

コート男「お気に召したかね? 我が拳」

格闘家「……げほっ、ごほ」

コート男「また相見える事あらば、相手してやろう」

格闘家「逃がすか!」

ガバッ…ヒュバッ

コート男「しつこい奴だ。この場で殺すか」

格闘家「おおぉぉぉぉ!!」

普段は決して無理な戦いはしない。感情的ではあるが格闘家はそういう男だ。

しかしそれは以前からのものではない。軍人という立場において習得したものである。

コート男「ぬ……おぉ!!」

格闘家「はああぁぁーっ!!」
882 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:25:25.68 ID:h3//Fkj1o
2人の拳が交互に繰り出され、拳と拳同士が激しくぶつかり合う。

ドガガガガガッ!!…ズガガッ!!

コ−ト男「……ほぉ、自負するだけの事はあるようだ」

格闘家「ああぁぁぁぁ!!」

コート男「1秒間にこれほど拳を繰り出すとは……なかなか恐れ入る」

格闘家「ああぁぁぁぁーっ!!」

コート男「だが、こんな事もあろうかと鍛え続けたこの身体!」

ズガガガガガガッ

コート男「脚力ならばいざ知らず、腕力で勝てると思うなよぉ!」

格闘家「おああぁぁぁぁ!!」

物心ついた頃には天涯孤独であった。預けられた教会からはすぐに飛び出した。

格闘家「ああぁぁぁぁ――」

どんなに飢えていても、盗みだけは絶対に働かなかった。

自己防衛と稼ぎの為に、どうしても強くなる必要があった。

そして、その強さはやがて防衛に留まらず、頂点を目指す道を進む事となる。
883 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:26:10.72 ID:h3//Fkj1o
……――

格闘家「地下格闘場……?」

ストリートファイトで金と食料を手に入れ、腕を磨いていた時、それを耳にした。

格闘家「ここが……そうか」

ワーワーワーッ!!

最初の相手は図体のデカイ、プロレスラーだったか……。

プロレスラー「流派はどかだぁ? ガハハ、俺のパイルドライバーで瞬殺してやるぜ!」

掴みにきたところを鳩尾に一撃。そして背後から回し蹴りを一撃。

格闘家「……流派などない。強い奴を求めて彷徨っただけだ」

返答したものの、巨体は気を失い、リングに顔をうずめていた。

天才「ほぉ、お前……修行もしねーでここまで鍛えたのか」

その男は突然現れて、自信に満ち溢れてた口調で言った。

天才「俺様と一戦交えてみねーか? お前が勝てば人類最強だ」

格闘家「……あなたが勝てば?」

天才「俺様の言う事を1つ聞いて貰おうか。ハーッハッハッハ!」
884 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:26:43.40 ID:h3//Fkj1o
――……

ザザッ…タッタッタッタッタ

盗賊「……そんな事が」

天才「アイツより強い奴なんてのは腐る程いる」

召喚士「……」

天才「だがな、素手で戦ってアイツに勝てる奴は、今やいねーだろうな」

戦士「なるほどな……」

大軍師「魔法の使えない森の中は好都合と言うわけですね」

天才「だが、今のアイツは牙を抜かれた獣だからな」

魔道士「どういう……意味です?」

大軍師「彼は国軍に入隊し、強くなりました」

天才「だがそれは、衛る為の強さ。敵を倒す為の強さじゃねぇ」

青年兵「……」

天才「その壁を破れるかどうか、それはアイツ自身の問題だ」

召喚士「格闘家……さん」
885 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/24(日) 23:27:49.18 ID:h3//Fkj1o


ガガガガガガッ…ズガガガガッ!!

格闘家「ああああぁぁぁぁ!!」

コート男「……?」

格闘家「ああぁぁぁぁーっ!!」

コート男「何だ……? 奴の拳が……速度が上がって――」

格闘家「ああぁぁぁぁ――!!」

コート男「そんなバカな……っ! これ程の男が存在するというのか……!!」

バゴオオォォォォン!!

コート男「ぐおああぁぁーっ!!」

ドシャッ…ズザザザザアァ

コート男「この俺を……凌駕するとは……」

格闘家「俺は……負けない」

コート男「……ちぃ」

格闘家「魔力は無かろうと、皆を守る為に……俺は負けん!」
886 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/07/25(月) 00:07:16.87 ID:nES4xmfto
乙!
887 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府) [sage]:2011/07/25(月) 00:20:27.19 ID:4j+aAEIzo
今度はウルベか
本当にGガン好きだな
888 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/25(月) 00:54:13.92 ID:BmOL/PaAO
>>1おつ
889 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/07/25(月) 02:44:10.96 ID:sJvWHFCAO

ウルベ吹いたwwww
890 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/25(月) 04:06:35.66 ID:GXYdQjIV0
いちおつ
891 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 07:39:13.04 ID:h3RyKDPDO
いちおつ
格闘家ってそんなに強かったのね
892 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方) :2011/07/25(月) 08:17:53.60 ID:bY9UmNbJ0
石破ラブラブ天驚拳キボンヌ
893 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/25(月) 08:20:14.08 ID:H4YBh2qAO
>>1

これはチャオズの分!
894 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県) [sage]:2011/07/25(月) 17:55:11.19 ID:Oa5ArB6g0
  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ
895 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:10:09.60 ID:XlQgDdYco
……――

リングアナ「勝者、マスク・ド・ジーニアス!!」

ワアアァァァァ!!

天才「……おい」

格闘家「……っ」

天才「ほれ、掴まれ」

格闘家「参り……ました」

力をつけて、真っ向勝負で人生初めての敗北。

天才「テメー、魔力枯渇してんのか?」

格闘家「よく言われますが違う。もとより持ち合わせていない」

天才「……ほぉ、ソイツはレアキャラだなおい」

その傲慢な態度からは想像もつかぬほど、冷静で繊細な戦いぶり。

格闘家「約束は約束。俺は……何をすればいい?」

天才「そうだな、お前……俺様の弟子になれ! ハーッハッハ!」

その言葉に対しての返事はイエス。即答だった。むしろ願ってもいない事。
896 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:11:03.77 ID:XlQgDdYco
――……

格闘家「立て。次でケリをつける」

コート男「立て? 小僧、なめるなよ」

格闘家「……ふぅーっ」

ザッ

コート男「……なかなか隙の無い、良い構えだ」

ススッ

格闘家「……っ」

コート男「だが、左脇腹を庇っているな。ククッ、手負いか」

格闘家(……気付かれたか……くそっ)

先の戦いにおいてサルワとの交戦で負傷した肋骨。

当然、完治などするはずもなく、今なおテーピングで固定している状態であった。

コート男「そうと分かれば……狙いは1つ」

格闘家(……来るかっ)

既に痛みはないものの、コート男の初動に対し、無意識に庇う動きが入る。
897 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:12:14.54 ID:XlQgDdYco
ザザッ…ブワッ

格闘家(庇うな! 考えるな! 意識するな!)

コート男「ふははははっ!!」

その瞬間、コート男は格闘家の左側へ踏み込んだ足を素早く引き戻す。

格闘家「!?}

コート男「……誰が相手するかよ、バーカ」

ザンッ…ヒュバッ!!

格闘家「しま……っ! 逃がすか!」

ザザザザッ…タタタッ

コート男「ははは! 諦めろ、もはや森の出口は目前よ!」

格闘家「……っ」

直情的だからこそ、得る事の出来る強さもある。

格闘家「く……っそぉ!!」

だが逆に、得る事の出来ぬ対極の強さもある。

結果、格闘家は北の森にてコート男を捕捉する事は出来なかった。
898 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:13:49.80 ID:XlQgDdYco
ズザザザザッ…スタッ

コート男「……」

森を出ると即座に身を反転させ、コート男は森の中の格闘家に備える。

コート男「ふむ。森から出ては来ぬか」

スクッ

コート男「てっきり深追いするものかと思ったが、よく調教されているじゃあないか」

森の外ならば魔法の使えぬ格闘家など、召喚獣で瞬時に始末出来る。

しかし格闘家は出ては来なかった。コート男として然したる問題はなかったが、

あの直後に冷静である彼の思考には、ただただ驚きと感心を覚えた。

コート男「む……っ?」

森から西へ進むコート男は、見覚えのある一団を発見する。

コート男「ちっ、思ったより早いな。ここで魔王城へ向かうは愚策か」

ザッ…ジャリッ

コート男「……ふっ、ならば奴らの首を手土産に帰参するとしようか」

密かに召喚獣を忍ばせながら、コート男は方向転換し、南西へと走った。
899 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:16:45.77 ID:XlQgDdYco
タッタッタッタッタ

盗賊「……森が終わっている」

天才「よーし、この辺りで迎え撃つぞ」

戦士「あとは、敵さんがこっちに来てくれるかだな」

青年兵「来ますよ……必ず」

大軍師「同感ですね。素性を知られて人間社会に戻る道理がありませんから」

魔道士「な、なるほど……っ」

天才「魔族化してると思うか?」

大軍師「それはないでしょうね。結界石の要所をいとも容易く抜けておりますから」

召喚士「……」

大軍師「それに、あくまでこれは憶測の域を過ぎませんが……」

盗賊「……?」

大軍師「魔族化の後は召喚魔法を使えないのでは、と」

戦士「何……っ!?」

天才「……まぁ、そうなんだよなぁ」
900 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:19:17.79 ID:XlQgDdYco
召喚士「言われてみれば、見た事ありませんね」

青年兵「た、確かに……」

魔道士「つまり、どういう事でしょう……?」

大軍師「分かりません、召喚術には謎が多いですからねぇ」

天才「そういうのを解明するのはお前らの仕事だ」

召喚士「が、頑張ります……」

青年兵「人間のエゴなのかもしれませんね」

召喚士「……え?」

青年兵「どういったものなのか完全に分かっていないにも関わらず……」

召喚士「……」

ピクッ

盗賊「!?」

天才「構えろ! どこだ、どこから来る……?」

戦士「奴か!?」

魔道士「……っ」
901 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:20:11.46 ID:XlQgDdYco
ゴゴゴゴゴゴ

戦士「俺にも感じ取れる距離まで来てる。近いぞ!」

大軍師「上ですっ! 全員回避ーっ!」

ズドオオォォォォン!!

ベヒーモス「ゴアアァァァァーッ!!」

召喚士「行けっ! コカトリス!!」

青年兵「出でよっ、ワイバーン!」

シュイイィィィィン…ゴゴオオォォォォ!!

盗賊「いたぞっ!」

コート男「ちぃ、しつこい奴らだ!」

戦士「召喚獣は任せたぞ! 盗賊、俺らは奴を――」

天才「バカヤロー! 召喚獣が1匹だと思うんじゃねぇ!」

戦士「……っと、そうだった」

天才「大軍師、朱雀とスイッチしろ!」

大軍師「了解です。朱雀先生、本体を頼みます」
902 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:21:04.06 ID:XlQgDdYco
召喚士「はいっ! コカトリス……奴を追うんだ!」

コカトリス「おう」

バシュウウゥゥ!!

天才「青年兵!」

青年兵「分かってます。ベヒーモスをやれば、奴の足止めになる!」

ワイバーン「ハアアァァーッ!」

コート男「倒して魔力を削ごうってか、はっ! やれるものならやってみるがいい!」

ベヒーモス「グゴアアァァァァ!!」

対峙する2匹の召喚獣は互いに威圧し合うような咆哮をあげる。

キュイイィィィィ…

大軍師「回避ーっ!!」

ベヒーモス「アアァァァァ!!」

ドドオオォォォォン!!…ズガアアァァァァ!!

魔道士「きゃあぁーっ!」

青年兵「ワイバーン!!」
903 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:21:44.21 ID:XlQgDdYco
ベヒーモスの閃光を回避し旋回するワイバーンは、

一気に間合いをベヒーモスへとその距離を近づける。

コート男「はーはっはっはっはっは!!」

ズシャアアァァ!!

ゴーレム「グゴオオォォォォ!!」

ワイバーン「何っ!?」

青年兵「リンドヴルム!!」

バシュッ!!…ズガガアアァァァァ!!

ベヒーモスの前に突如現れた、壁のように立ちはだかる召喚獣ゴーレム。

ワイバーンをその両手で大きく挟み込もうとする矢先、

背後から援護に召喚されたリンドヴルムがゴーレムの頭上めがけ雷を落とす。

コート男「小僧、やるじゃないか」

ベヒーモス「ゴガアアァァァァー!!」

キュイイィィィィ…ズバシュウウゥゥゥゥ!!

青年兵「しまっ――」
904 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:23:15.01 ID:XlQgDdYco
リンドヴルム「グギャアアァァァ!!」

魔道士「青年兵さんっ!!」

青年兵「まだだっ、まだ1体やられただけだ!」

コート男(あいつ……リンドヴルムは最低限の魔力か)

チラッ

コート男(ゴーレムが本気ではないと咄嗟に判断して……やはり油断は出来んな)

青年兵「ワイバーン! いっけえぇ!!」

コート男「させんよっ!」

シュイィ…

戦士「おらぁ!!」

コート男「――っ!?」

盗賊「喰らえっ!」

ヒュオッ!!

コート男「くそっ、召喚途中で邪魔を……」

戦士「まだまだぁ!!」
905 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:25:07.00 ID:XlQgDdYco
ズザザザザッ

コート男「……」

草原を駆けるコート男めがけ仕掛ける戦士と盗賊。

戦士は戟を両手で握ると、一気にコート男めがけ突きを放つ。

ブオォッ!!…ギュルッ

戦士「かわした……っ!?」

コート男「心外だねぇ。そんな弱そうに見えるかな?」

盗賊「……」

コート男「貴様もどこか痛めているな? ましてや、槍術に不安があるか……」

戦士「っ!!」

コート男「下半身が隙だらけだぞ!」

バシッ!!…バキャアアァァ!!

盗賊「戦士っ!!」

コート男による足払いから続く回し蹴りの連続攻撃。

戦士はバランスを崩しながら腹部を蹴り飛ばされ、後方へと倒れる。
906 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:26:08.90 ID:XlQgDdYco
戦士「こ……いつ……」

コート男「次は君かね? お嬢さん」

盗賊を挑発するように手招きするコート男。

コート男「……ほぉ、冷静だな」

盗賊「……」

コート男「っと、君の相手をしている場合ではなくなったな」

盗賊「……?」

コカトリス「逃がさんっ!」

バシュウウゥゥゥゥ

コート男「コカトリス! 来たかっ!」

召喚士「逃がしてなるものかぁーっ!」

コート男「ふははははっ!! そうら!!」

バシュシュシュウウゥゥン

フェンリル「グガアアァァ!!」

ガルム「グルルルル……ッ」
907 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/25(月) 18:31:26.20 ID:XlQgDdYco
盗賊「……召喚獣か」

召喚士「退がって下さい。ここは俺が……!」

シュイイィィィィン

ザントマン「……ヒヒッ」

コート男「ほぉ、ザントマンか。徹底して本体狙いだな」

召喚士「!?」

コート男「おいおい、分からんとでも思ってるのか? 白虎召喚士だぞ?」

戦士「召喚士、援護してくれ。俺が行く!」

召喚士「いやっ、もうじき天才さんが――」

ババッ!!

天才「じゃんじゃじゃーん! ハーッハッハ! 死ね!」

コート男「来たか。流石に貴様の相手は骨が折れる」

天才「んにゃろう! 逃げる気かっ!」

コート男「これ以上は相手にしてられんよ。せいぜいそいつ等を相手に楽しむ事だな」

フェンリルとガルムの群れを盾に、コート男は北へと足早に草原を駆け抜けた。
908 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/25(月) 18:32:38.70 ID:XlQgDdYco
ひとまずここまでにて
今日もご支援ありがとうございました!

それでは失礼致しました〜!ノシ
909 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本) [sage]:2011/07/25(月) 18:45:08.30 ID:nES4xmfto


ウルベが意外なまでに強キャラだな
どこと無くかませ臭もするけど
910 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/25(月) 19:55:07.38 ID:H4YBh2qAO
>>1

主人公ナンバーワンなはずだった戦士は実はヤムチャだったのか…
911 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/25(月) 20:27:49.96 ID:EygLf5PAO
>>1
コートさんの台詞がいちいちガンダム風味で素敵
912 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/25(月) 20:30:02.48 ID:EygLf5PAO
>>1
コートさんの台詞がいちいちガンダム風味で素敵
913 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/25(月) 20:38:21.60 ID:4V3rTuRyo
青年兵「たかがメインカメラがやられただけだ!」
914 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県) [sage]:2011/07/26(火) 00:24:28.23 ID:rB03rE4Uo
たのしそう
915 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/26(火) 00:52:44.95 ID:uaB7AkQAO
>>1おつ

コート男がノリノリで後ろ腰に手を当てて片方の手をクイクイさせてるのが目に浮かぶ
916 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 18:22:04.23 ID:qIOFSEkSo
ドズウウゥゥン!!

北の森と草原の間、岩場に響き渡るベヒーモスの足音。

大軍師「副司令、正面をお願い出来ますか?」

青年兵「任せて下さい!」

タタタッ…ズザァ

ベヒーモス「グ……ゴアアァァァァ!」

青年兵「来いっ!!」

猛突進を仕掛けるベヒーモスの正面に回りこむ青年兵。

ワイバーン「どうする? このままでは吹き飛ぶぞ?」

青年兵「まだだ、大軍師さんが何かしてくれるはずだ」

ドウッ!!

ベヒーモス「グガアアァァァァ!!」

大軍師「今ですっ!!」

手にする羽扇を振り上げる大軍師。同時に、竜巻のような風が巻き起こり、

跳躍するベヒーモスを掬い上げるように、宙へと放り出す。
917 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 18:22:47.11 ID:qIOFSEkSo
ゴウッ!!…ゴゴオオォォォォ!!

ベヒーモス「グ……ウウゥゥゥ」

砂塵が風邪の中心部へと集まり、砂嵐がベヒーモスを襲う。

青年兵「いっけえぇ!!」

視覚を遮られたベヒーモスの背後より、ワイバーンが襲いかかる。

ワイバーン「ハアアァァァァー!!」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

ワイバーン「浅いか? いや、それよりもコイツ……」

前足でベヒーモスの背中を抉るワイバーンの一撃。

しかしベヒーモスはそれに臆する事なく体を捻り、体制を立て直す。

ベヒーモス「オ……オオォォォォ!!」

大軍師「閃光……来ますよ!」

青年兵「っ!!」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

打ち放たれた閃光が砂嵐を切り裂き、森の上空へと光線を描く。
918 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 18:23:32.54 ID:qIOFSEkSo
大軍師「……っ」

オオォォォォ…

ベヒーモス「……?」

ズズッ…ゴゴゴゴゴゴ…

大軍師「ワイバーンは……」

収まる砂嵐から現れる青龍召喚獣。しかしそれはワイバーンではない。

青年兵「……これで……終わりだ!!」

バハムート「グゴオオォォォ…アアァァァァ!!」

大軍師「バハムート! そうか、砂塵をカモフラージュにスイッチを……」

閃光が放たれる直前、青年兵はワイバーンの召喚を解除し、

背後を見せたベヒーモスへバハムートを召喚し、仕掛けた。

ベヒーモス「オオォォォォーッ!!」

バハムート「グガアアァァァァ!!」

宙へ投げ出されたベヒーモスの着地と同時に、バハムートの口内より光が迸る。

とてつもない衝撃と爆音の中、ベヒーモスは消滅した。
919 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 18:24:21.20 ID:qIOFSEkSo


コート男「……ふーむ」

後方で立ち上る粉塵と煙を見上げ、コート男は一度足を止めた。

コート男「やはりあの若さで青龍が信頼するだけの事はあるか」

シュイイィィィィン

ベヒーモス「グゴオオォォォォ」

コート男「ま、勉強になっただろ。召喚術は魔力の絶対量ではないという事を」

再召喚されたベヒーモスは咆哮を挙げた。それはまるで、砂塵の元にいる

青年兵とバハムートを嘲笑うかのような笑い声にも聞こえる。



大軍師「どういう……事です!?」

青年兵「……僕が倒す前に……召喚解除したんですよ」

大軍師「馬鹿な……っ、東方副司令ははるか遠方にいるんですよ!?」

青年兵「状況も見えぬ遠隔操作だと言うのに……」

大軍師「化け物ですね。一体どれ程の力を隠しているのか……」
920 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 18:25:40.56 ID:qIOFSEkSo
ザザッザザッ…ザンッ

フェンリル「ガウゥッ!!」

草原を駆ける召喚獣の群れ。無造作に高く伸びる草を隠れ蓑に、

盗賊は身を屈めて、腰より愛刀である薄緑を鞘より抜く。

気配を嗅ぎつけて襲いかかるフェンリルとガルムは、盗賊の前で飛び掛かる。

ガルム「グアウウゥゥ!!」

盗賊は重心低く、矢のように前方へと飛び出し、回転を交えながら

すれ違いざまに上を通過するガルムの腹部を切り裂く。

ザシュウウゥゥゥゥ!!

盗賊「……次」

着地と同時に今度は大きく飛び上がり、上空より召喚獣の動きを捉える盗賊。

ジャララッ…クルクル

盗賊「……隙あり!」

ビュオッ…シュウウゥゥゥゥ…ガシィ!!

フェンリル「――!?」
921 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 18:27:47.10 ID:qIOFSEkSo
草原を疾走する1体のフェンリルに狙いを定め、盗賊は鎖を投げ放つ。

標的を一撃で鎖の檻に閉じ込めた盗賊は、声高らかに地上の男性へ叫ぶ。

盗賊「戦士!」

戦士「おうよ!」

呼応した戦士は、鎖に身動きを封じられ身体を空中へ浮かせるフェンリルに対し、


手にした戟を出すと、フェンリルは一突きの下に姿を消した。

ズブッ!!…ザシュウウゥゥゥゥ!!

フェンリル「――ッ!!」

次々と打ち倒される召喚獣の合間を、天才と召喚士が駆け抜ける。

ザザザッ…タンッ!!

召喚士「見えたっ!」

天才「おーし……コカトリスを上空からけしかけろいっ!」

召喚士「了解です……って、ベヒーモス!?」

天才「構うな! 今のお前なら……勝てんだろ!」

召喚士「……やってみます!!」
922 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 18:28:44.56 ID:qIOFSEkSo
バシュウウゥゥゥゥ

コート男「……むっ」

コカトリス「……」

コート男「数体やられたか……突破してきたようだな」

上空より迫るコカトリスを見つめ、コート男は即座にベヒーモスをけしかける。

ベヒーモス「ゴアオオォォォォーッ!!}

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

召喚士「回避だっ、コカトリス!!」

コカトリス「おう!」

空中のコカトリスめがけ放たれた閃光は、空を旋回する召喚獣を追うように、

剣を薙ぎるように、空中で得物を追尾する。

コカトリス「この程度……甘いわ!」

その閃光を華麗に、コカトリスはスルリとかわし、ベヒーモスへと更に近づく。

召喚士「いっけえぇーっ!!」

コート男「ちぃっ!!」
923 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/26(火) 23:22:43.31 ID:gx/RLJODO
>>1乙っす
924 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 23:44:43.84 ID:EfOZVdAXo
ベヒーモスの閃光を避け、更にはその巨体の横を抜け、

コカトリスは真っ直ぐにコート男の下へと急降下する。

召喚士「!?」

コカトリス「……何?」

それまで逃走を試みていたコート男が、突如反転し、走り出す。

天才「おい、朱雀!!」

召喚士「な、何をするつもりだ……!?」

コート男「コカトリス? 舐めるなよ、封じ手くらい分かっているわ!」

走るコートの男は2匹の召喚獣を余所目に、一気に召喚士へと近づく。

コート男「召喚主に接近して戦えば、手出しは出来まい!」

召喚士「……ちっ」

コート男「そしてお前は今……思っているはずだ」

召喚士「!?」

コート男「近づいたところで、コカトリスの尾を使い、毒で動きを封じようと」

召喚士「――っ!」
925 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 23:45:33.28 ID:EfOZVdAXo
コート男「ふははははっ! 馬鹿がっ、気付かぬとでも思ったか!」

召喚士「ならば……行けっ――」

コート男「召喚などさせん!」

召喚士「こ……んのぉ……!」

コート男は間合いを詰めた勢いそのまま、召喚士へと蹴りを放つ。

ブオォッ

コート男「避けた……?」

召喚士「見たところ素手のようだな。だったら……」

コート男「だったら何だ? 勝てるってかぁ!?」

召喚士「……」

最近こそずっとレイピアを使用していたしだが、元来は師匠譲りの体術が十八番。

それ故に武器を持たぬ姿をチャンスと考えたが、それは一瞬で吹き飛んだ。

召喚士(何だ……? 格闘技に自信があるのか……!?)

彼の脳裏が一瞬でどこまでの憶測に辿り着いたのかは分からない。

だが、自信とも取れる口調、仕草、何よりここまで辿り着いた経緯。
926 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 23:49:20.34 ID:EfOZVdAXo
北の森を突破するには魔力を使わずして追手を倒すか振り切らねばならない。

そして追手はおそらく体術としては最強の使い手である、格闘家なのだ。

召喚士(危険な感じがする……っ)

コート男「ん? かかってこんのか?」

ザザッ

召喚士「……っ」

ベヒーモス「グゴアアァァァァ!!」

コカトリス「ぬうぅ!!」

コート男「来ぬなら……失礼しようか」

天才「誰が逃がすかコラァ!!」

コート男「馬鹿がっ!!」

シュイイィィィィン

召喚士「召喚獣が来ます!!」

天才「……ちっ」

逃走を図るコート男が見せる召喚の素振り。召喚士と天才は警戒し立ち止まる。
927 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/26(火) 23:56:03.58 ID:EfOZVdAXo
ズザザァ

召喚士「……っ!?」

ノーム「……んお?」

天才「――っ」

召喚士「ノ、ノーム……?」

天才「ナメやがってこのクソボケがああぁぁ!!」

コート男「はーっはっはっは! 召喚術にはこういう使い方もあるのだよ!」

天才「ハッタリかまして調子乗ってんじゃねぇぞ!!」

シュバッ!!

召喚士「天才さんっ!」

戦士「あんのバカ! 深追いすんなって自分で言っておいて……」

盗賊「……まぁ、あれは1人でも大丈夫だろう」

コート男「しつこい、しつこいが……」

タタタタッ…ズシャアァ

コート男「チェックメイトだ……ふはは!」
928 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/07/27(水) 01:03:48.84 ID:TUeKZWZAO
んお?
929 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/27(水) 01:08:29.31 ID:fELbqdFAO
コート無双すぎる
ネクロマンサーより強いんじゃない
930 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/27(水) 01:32:54.73 ID:4Zec9wDgo
体術、召喚術があって、知略もあるからなぁ。
召喚術と魔法が両立しないとなると、密教まで持ってるコートは一応、
人間の中ではかなり強い部類になるんじゃないの?
931 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/07/27(水) 03:10:11.96 ID:7i7W5aMAO
召還士とか魔術師みたいなローブとかコート着た人間が体術ってかっこいいよな。牙狼の主人公みたいな感じ
932 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/07/27(水) 12:33:32.31 ID:hrcR/6b20
牙狼で思い出したわ
この世界のフェンリルって結構格が低そうだな
933 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/27(水) 23:52:58.22 ID:QDzh0V8AO
>>1おつ
934 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東) [sage]:2011/07/27(水) 23:57:27.76 ID:TUeKZWZAO
>>1降臨
935 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/28(木) 00:27:08.56 ID:VhypUviAO
  __
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 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ
936 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 17:56:38.06 ID:x7jSQNm2o
召喚士「チェック……メイト?」

コート男「相手してやってもいいが、なかなか手間がかかるようだしなぁ」

召喚士「何を言っている!」

天才「待て」

召喚士「!?」

天才「……」

コート男「ほぉ、流石だな。気付いたか?」

天才「なんだここは? どーもイヤな気配しか感じねぇ」

正面に広がる景色。青々と生い茂る草原の先はどす黒い沼地が広がっている。

タッタッタッタ…ザザッ

戦士「どうした!?」

天才「動くな! 止まれっ!!」

盗賊「……?」

コート男「ふは……っ、ふはははははは!!」

暗い沼の底から巨大な影が地上に姿を見せ始める。
937 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 17:57:11.75 ID:x7jSQNm2o
ズズッ…ズズズズズズ…

戦士「な……んだぁ!?」

天才「構えろぉーっ! 魔物だぞ!」

沼地から現れる特大の口を持つ馬のような顔。更には刺々しい翼を広げ、

奈落の底より出でし悪魔がその全貌を地上に現した。

コート男「ふはははあぁ! 5番目のラッパは吹かれたのだ!」

盗賊「……何!?」

コート男「これで貴様等は終わりだな! ざまあみろ、ふははははっ!!」

天才「5番目の……ラッパだとぉ!?」

ヴヴヴヴヴヴ…

召喚士「な、なんだ……!?」

タッタッタ

青年兵「空が真っ黒に染まっていますよ!」

魔道士「何ですか……あれは!?」

大軍師「あれは……虫? 生き物のように見えますね……」
938 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 17:57:59.09 ID:x7jSQNm2o
ザザッ

戦士「あれは……イナゴだ!」

召喚士「――っ!?」

ブウウゥゥゥゥン!!…ヴヴヴヴヴヴ

天才「うっぜぇ……っ!!」

大軍師「焼き払いますよ」

魔道士「は、はいっ!」

ドドオオォォォォン!!…ゴアオオォォォォ

盗賊「火遁……焔!」

天才「腐れコートが……っ、どけぇ! 逃がしてたまるか!」

空をびっしりと埋め尽くすイナゴの群れは、一同の視界を遮り、その身動きを分断し

そして封じている。当然の如く東方副司令はその隙に姿を眩ました。

召喚士「……な……っ!?」

それと入れ違うように現れたのは、沼地の主。奈落の王。

天才「……アバドン!!」
939 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 17:59:31.31 ID:x7jSQNm2o
ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「ア……バドン?」

戦士「なんだよそれ!」

天才「かつて人間に害為す魔物と恐れられていた悪魔だ」

魔道士「……っ」

大軍師「まさか、あのイナゴもアバドンの仕業ですか」

天才「だろうな。イナゴは農業被害の代表格だったモンだ」

戦士「にしても……なんつうデカさだよ」

青年兵「どうします!?」

大軍師「やるしかありませんね。しかし……」

アバドン「ヴオオオオォォォォ!!」

ビリビリビリッ!!

盗賊「……くっ」

天才「前衛は俺様の左右、残りは二手に分かれてアバドンを挟め!」

召喚士「……はい!」
940 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:00:15.66 ID:x7jSQNm2o
魔物辞典。それは古より三日月島にそびえる西方司令部にて保管されていた、

人類が把握しうる限りの魔族のおける情報を記した書物である。

太古よりの情報を蓄積し、膨大に記されたその本は当然ながら極秘裏。

それが五ヵ年計画の実行に伴い、永らく陽の目を浴びなかった存在が、

再び姿を現す事となった。そしてほぼ全てに等しい記録を頭に詰め込んだ。

大軍師(……アバドン。勝てる相手なのか?)

手にした羽扇を口元にあて、大軍師は心の中で思わず呟いた。

その名は確かに、魔物辞典の中に存在した。

存在したと言っても記されていたのはその名と、サタンに近しい者だと言う事。

そしてアバドンを現すキーワードは「破壊」、「滅亡」、「奈落」、「冥界」、「死」など。

到底、他の魔物と一線を画した扱いであるのは間違いなかった。

大軍師は記述を思い返す。アバドンはサタンを束縛する獄。

地の底に在る獄はを、人々は地獄と呼ぶ。

大軍師(奈落……地獄……沼の主か。しかし何故、司令はそれを……)

先頭を駆けるツヴァイハンダーの男を見つめ、大軍師は疑問を抱く。
941 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:02:18.84 ID:x7jSQNm2o
ズザザッ

天才「……沼には入るなよ!」

アバドンの股下を門のようにくぐり抜け、天才は疾走する。

5番目のラッパが吹かれた。コートの男は確かに、そう口にした。

それが意味する事を知っているのは、この中では天才のみであった。

天才がかねてより国軍の資料室に出入りし、調べていてもの。

古の人々はこう言った。「黙示録」……と。

天才が黙示録を目にした時、しきりに引っ掛かるキーワードがあった。

それは即ち、7という数字。7体の魔王。7つの大罪。

最初はただ、偶然であろうと考えていたが、黙示録に基づく資料を解き明かすうち、

それは段々と意味のある数字だという事を確信した。

そしてその考えは、彼の師達も同様に考えていた。

黙示録に記される預言者や古の賢者らが残した言葉。

7つの封印、7人の天使が吹くラッパ。7つの災い。

ほとんどの者が見向きもしないおとぎ話のような文献を、彼らは漁り続けた。
942 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:03:15.31 ID:x7jSQNm2o
……――

天才「んで、これらが意味するものは?」

大元帥「分からんよ。それが分かれば苦労はしない」

天才「……ま、そりゃそうだわな」

ナイト「……五行」

天才「……あん?」

ナイト「5つの大いなる力に……2つが加わればこれもまた7つ」

天才「どういうこっちゃ……?」

大元帥「成程、五行成立で聖行。これが即ち6つ目の魔法」

ナイト「更に魔物の力、魔行とでも言うべきか。これが7つ」

天才「どういう事だよっ!?」

大元帥「五情や五感の更に高みを得るという事か?」

ナイト「第六感……いや、更にその上をいく……末那識」

天才「何だそれ?」

ナイト「意識して身に付くものではない。得るべきものだけが得る感覚」
943 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:06:04.72 ID:x7jSQNm2o
大元帥「結局よく分かってないって事だよなぁ」

天才「ダメじゃん」

大元帥「でも、7というキーワードが重要だっていうのは分かる。それは確かだ」

天才「7……ねぇ。んじゃ召喚術も同様ってか?」

ナイト「……」

天才「じ、冗談だってば」

大元帥「召喚術……? そうか、考えてもみなかったな」

ナイト「7種類? いや、それは在り得ないのは確定的に明らかだ」

大元帥「調べてみる価値はあるな。それは玄武先生に任せるとしようか」

天才「んで、このラッパだか災厄だかってのはどう読み取ればいいんすか?」

大元帥「魔王に歯向かえば災厄が降り注ぐって事だろう」

ナイト「全ては魔王サタンを根源とする魔の世界からの災害」

大元帥「魔王を相手にすれば、地上に災いが降りかかる……」

天才「じゃあ結局、魔王には勝てねーって事ですわな」

ナイト「……そうかな」
944 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:15:52.47 ID:x7jSQNm2o
天才「え?」

ナイト「サタンの動きさえ抑える事が出来れば、災いは免れるのではないか?」

大元帥「過去何百年か何千年かは分からんが、サタンを倒した事例はない」

天才「じゃあやっぱ無理じゃん」

ナイト「何も消滅させる必要はない」

大元帥「封印か?」

天才「どうやって?」

ナイト「7つの力を使えばいい。容易ではないだろうけれどな」

天才「7つの力って……。一体誰が……」

ナイト「俺にはあの剣があるんだが?」

大元帥「魔剣か……。確かにそうだが……出来るのか?」

ナイト「1人では無理だな」

天才「そんなら俺が――」

ナイト「駄目だ。お前らは千年王国の礎となれ」

大元帥「千年王国……っ。サタンとの最終決戦の後に訪れるという
945 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:18:28.83 ID:x7jSQNm2o
――……

天才(当時はワケの分からねー事ばっかだったな)

黙示録自体は公でもなく、ましてや信憑性も事欠く存在である。

故に天才は公的に調査を進めなかった。そしてこの事実が重要であった場合、

知られては人類の大事に関わると踏んだからである。そう、内通者にだ。

天才自身も内通者の存在は把握していた。しかし素性は掴めなかった。

それ程までに首謀者は存在を消し、影として暗躍し続けていた。

そして彼の師達は、彼に最終決戦のタクトを預け、先立って逝った。

だから天才は戦い続ける。背負ったものの大きさを知っているから。

天才(第5のラッパが鳴った時、アバドンが災厄を率いてやってくる)

アバドン「ヴオオオオォォォォ!!」

天才(だがラッパは鳴っていない! アバドンは出るべくして出たわけじゃない)

黙示録による記載との相違。天才はそこに着目する。

天才(そうだ。コイツは地上に出るべく魔物じゃねぇんだ。ならばやれる)

回り込んだ背後から放った炎は、沼地を迸り、アバドンへと直撃する。
946 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:23:57.18 ID:x7jSQNm2o
天才の放つ炎が着弾すると同時に、大軍師は突風を巻き起こし、

その風にあおられ、炎は更なる勢いを増す。

大軍師(…………)

魔物図鑑に記されたアバドン。巨大な口を持ち、馬のような顔に蠍の尾。

更には鎌を持ち、その姿を見たものは耐え切れず瞬く間にショック死するという。

大軍師(だがどうでしょう、死はおろか……立ち向かえるではないか)

確信はないが直感で何かズレがある。大軍師はそう感じ取った。

大軍師(なれば、司令を信じるのみ)

天才であれば何かを知り、そして何か手段を持っている。

そう信じて、大軍師は物怖じする事なく加勢へと買って出た。

大軍師「援護を頼みます!」

青年兵「了解です! ワイバーン!!」

召喚士「行けっ! コカトリスー!!」

大軍師の呼びかけに呼応し、一同が瞬時に援護する。

そして天才は倒すべく手段に繋がる1つの故事を頭に浮かべていた。
947 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:30:45.29 ID:x7jSQNm2o
天才(……矛盾)

最強の矛と最強の盾がぶつかり合ったとき、結果はどうなるのか。

天才「やってみるか……っつーか、それが一番効率いいわなぁ!」

炎を盾にアバドンの右方へ回り込む天才。

天才(最強同士ならともかく、最強の盾にそれなりの矛をぶつけたら……)

結果は当然、盾が勝るであろう。天才は無論の事、そう考える。

天才(アバドンっつー矛をぶつけたら……)

最初にそれを思いついたのは、黒の三騎士がそれに討ち取られたと知った時。

天才(魔力が高ければ高い程効果は絶大。となれば、コイツなら……)

ザザッ

天才「いいか聞け! アバドンを沼から引き摺り出せ!!」

魔道士「!?」

戦士「何ぃ……!?」

天才「そしたらそのまま……森ん中にブチ込むぞおぉ!!」

大軍師「な、何と……っ」
948 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/28(木) 18:36:32.62 ID:x7jSQNm2o
バフォメット。その魔物は魔力が高ければ高い程、己の力を増す。

それは人間、魔物、召喚獣に問わず、万物の全てに於いてである。

何故バフォメットがそこに佇むのか、それは一同の知る由もない。

矛盾。魔王がバフォメットと遭遇したら?

最強の矛である魔王が、最強の盾とぶつかったら?

天才の考える真理はそこにあった。そしてこの作戦に辿り着いた。

だが、魔王は己の魔力を瞬時に0とする事が可能であった。

容姿が変化したり、眷属などを生み出すのもそういった部分から為せるものである。

天才は当然そんな事は微塵たりとも知り得ない。

それでも、そんな突拍子もない発想が今作戦を生み出した。

天才「どんな手段でも構わねぇ! とにかく沼から出すんだ!」

盗賊「……魔道士、援護を頼む!」

天才「いいか、沼には近づくなよ!」

戦士「近づかねーで引っ張りだせってのかよ! 無理言いやがるぜ……っ」

召喚士「……やるしかない!」
949 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2011/07/28(木) 18:38:21.62 ID:x7jSQNm2o
とりあえずここまでですーうへぇ
今日もご支援、本当にありがとうございました!ノシ
950 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/28(木) 18:43:39.01 ID:viMUDtBAO
>>1

天才かっこよすぎだろ…ゴルリンがいた頃はカマセ臭がハンパなかったが
951 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/28(木) 18:59:26.91 ID:r7UW3g4C0
こういうのもなんかいいね、好き
952 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/07/28(木) 19:28:15.16 ID:avlzLp3DO
なるほど

だから朝鮮玉いれも7が確変なのか
953 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) [sage]:2011/07/28(木) 21:00:42.72 ID:lnUmE9SAO
なんか盛り上がってきた〜!
954 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州・沖縄) [sage]:2011/07/28(木) 21:42:03.61 ID:yJHovZVAO

アバドンがアバンに見えて、笑顔で沼から出てくるアバン先生を想像したww
955 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/28(木) 23:55:06.16 ID:tcjpylVAO
>>1
バフォさんVSアバさんとか
956 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/29(金) 03:26:43.21 ID:U1SBFhdI0
1おつ
7行か、楽しみだな


957 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/29(金) 09:56:56.54 ID:fwSL6spAO
>>1おつ
958 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/29(金) 22:56:51.53 ID:WNs0q2Yao
天才「……」

魔道士「撃ちますっ!!」

大軍師「アバドンに当てる必要はありません、沼を狙って下さい!」

魔道士「は、はいっ!」

ドドオオォォォォン!!

召喚士「……」

コカトリス「……どうする?」

召喚士「沼の大きさからして、石化するには相当な魔力がいるね」

コカトリス「だな」

自らの全魔力を放てば、かろうじて固める事が出来る。自信はある。

得体の知れぬ相手に、自分以外の皆が牽制してくれる。

その上で練りに練った魔力を全て開放し、コカトリスの石化を放つ。

そのリスクは大きいのか、もっとべつの安全な手段があるのではないか。

召喚士の脳裏に浮かぶそんな疑問の中にふと、新たな疑問がよぎる。

それは同時に天才と大軍師も思い浮かべていた。
959 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/29(金) 22:59:32.70 ID:WNs0q2Yao
ズザザッ…ドドオオォォォォン!!

天才(……東方副司令はどこに行きやがった?)

大軍師(まさか逃亡するとは思えない……潜んでいるはずだ)

召喚士(必ずいる。そして隙を窺っているはずだ)

天才(コイツの威圧がバカでかすぎて、小さい気配を感じ取れねぇな……くそ)

チラッ

盗賊「はあぁーっ!!」

天才(不意打ちに現れた瞬間、最初に気付くとしたら……盗賊か)

大軍師(可能性があるとすれば、ベヒーモスの一撃による奇襲)

召喚士(アバドンの援護……それはないな。狙うとすれば……)

3人の思惑は合致する。アバドンを葬ると同時に、コート男の奇襲を看破。

もはや捕らえる必要はない。ただただ命を奪えばいい。

召喚士(……出来るのか? いや、やっぱり無理だ……っ)

正義は正義、悪は悪。人間も魔物も命は平等。気付いてはいるが

気付かぬ振りを続けてきた召喚士は苦悩する。
960 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/29(金) 23:01:59.15 ID:WNs0q2Yao
天才「……」

魔物であるアバドンは殺せても、人間である東方副司令は殺せない。

もっと正確な言葉を選ぶとすれば、殺させたくない。

万が一に備え特殊遊撃を海峡へ配置したのはそういった考えからだ。

天才と隊長、この2人以外は直接己の手で人を殺めた事はないはずだ。

天才(俺様がやるっきゃねぇ……が、他の奴らも意識して……)

召喚士「……っ」

大軍師「引き摺りだすどころか、一向に底がみえませんよこれは……」

天才(動きは硬てぇし……魔力は押さえてるしでサッパリだな……)

多くの戦いを経験してきた彼らにとって、アバドンは強敵ではあるが、

これだけの熟練者が集まっていれば、勝てない相手ではないはずだ。

しかしながら、経験を重ねたからこそ生じる経験もある。それが危険予測である。

「この敵を倒した後、更に強い敵が出るかもしれない」、そういった余計な

予測、概念が魔力や体力を無意識ながらに押さえ込んでしまう。

決して悪い事ではないが時として足枷になる事も確かである。
961 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/29(金) 23:03:25.30 ID:WNs0q2Yao
ザッ…

青年兵「……」

若き副司令は、周囲の声を遮断する程、神経を集中し研ぎ澄ませていた。

アバドンの一挙手一投足を、余すところなく目で追い、観察している。

青年兵(皆も気付いているはずだ。東方副司令は逃げたわけじゃない)

彼の思いは2つ。アバドンを倒す為に召喚獣で援護。そしてもう1つは……。

青年兵(……僕がこの手で……女記者の……っ!)

ワイバーンの背に飛び乗る青年兵は、沼の上空を一気に駆け抜け、

アバドンの周囲をぐるりと旋回するように飛行する。

青年兵「……」

アバドン「ヴヴヴウウゥゥゥゥ」

青年兵(やはり周囲に息を潜めているわけではなさそうだな)

ワイバーン「どうするのだ?」

青年兵「……とりあえず魔物を討とう。それが優先だ」

昂る気持ちを押し込め、青年兵はワイバーンの高度を下げた。
962 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/29(金) 23:06:08.60 ID:WNs0q2Yao
魔道士「やああぁぁーっ!」

ドドオオォォォォン!!

戦士「ダメだ! 沼にゃ何も変化が起きねぇぞ」

大軍師「やはり、只の沼ではなさそうですね」

盗賊「どうするのだ?」

天才「朱雀!!」

召喚士「……やるしか……ないか」

天才「あとの面倒はいい。フルパワーであたれ!!」

召喚士「……よぉし」

コカトリス「いくか」

召喚士「行こう!」

戦士「っしゃあ、撃てぇ! ぶっ飛ばしちまえっ!」

召喚士「コカトリス!!」

コカトリス「おう」

召喚士はいつもより一際大きく羽を広げたコカトリスの背中に飛び乗った。
963 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/29(金) 23:06:15.33 ID:ASIr0Wivo
おー、暑い展開
そして一乙です
964 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 01:32:49.46 ID:OKwMvpuDO
>>1乙!
東方副司令は小物かと思いきや思いの外強大な敵だな。
召喚士は戦闘能力だけじゃなくて戦略、戦術能力も成長してるよな−
召喚士好きとしては嬉しいぜ
965 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2011/07/30(土) 08:02:20.88 ID:DTZnM4mAO
>>1

なんだ内通者は東方参謀じゃなかったのか
良かった良かった
966 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/30(土) 15:17:53.46 ID:KznxxJSS0
実は俺も東方参謀だと思ってた

1乙!
967 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:17:50.19 ID:MGZLEqlTo
バシュウウゥゥゥゥ!!

青年兵「召喚士さん!」

召喚士「青年兵くん、大丈夫!?」

青年兵「ええ、こちらは問題ありません」

召喚士「今から石化を仕掛けるから、援護をお願い!」

青年兵「了解です! 正面は僕らが……っ!」

戦士「召喚士、心配は要らねぇ! 任せておけ!」

魔道士「そうですよっ、決めちゃってください!」

召喚士「ありがとう、みんなに……任せるよ!」

バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「召喚士さん、僕の後ろに」

召喚士「うん!」

前にワイバーン。後ろにコカトリス。縦列した2匹の召喚獣がアバドンに突っ込む。

召喚士「……今だっ! 背後に回りこむ!」

コカトリス「おう!」
968 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:18:53.01 ID:MGZLEqlTo
バシュウウゥゥゥゥ!!

青年兵「召喚士さん!」

召喚士「青年兵くん、大丈夫!?」

青年兵「ええ、こちらは問題ありません」

召喚士「今から石化を仕掛けるから、援護をお願い!」

青年兵「了解です! 正面は僕らが……っ!」

戦士「召喚士、心配は要らねぇ! 任せておけ!」

魔道士「そうですよっ、決めちゃってください!」

召喚士「ありがとう、みんなに……任せるよ!」

バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「召喚士さん、僕の後ろに」

召喚士「うん!」

前にワイバーン。後ろにコカトリス。縦列した2匹の召喚獣がアバドンに突っ込む。

召喚士「……今だっ! 背後に回りこむ!」

コカトリス「おう!」
969 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:19:56.54 ID:MGZLEqlTo
ゴゴゴゴゴゴ

魔道士「え……っ!?」

戦士「どういう事だよぉ!!」

アバドン「ヴオオオオォォォォ!!」

盗賊「……確かに……正面を向いていたはずだっ!」

僅か一瞬の内に、背後を突いた召喚士の正面にアバドンの顔が睨みを利かせる。

召喚士「――っ!?」

天才(特に動きはなかった。だが、一瞬で形状を変えやがった……っ)

振り向いたわけではない。背と腹、そして後頭部と顔が即座に形状を変化させた。

更にアバドンの動きは続く。今度は全員が目視出来る、ゆっくりとした動きである。

ズズズッ…ズズゥ

魔道士「ぬ、沼から……手が……っ!!」

戦士「武器持ってやがんぞ! 退がれぇ!」

天才「なんだありゃ……? 鎌、か?」

大軍師「まるで死神の鎌ですね……っ」
970 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:21:46.38 ID:MGZLEqlTo
ズズッ…ヌルゥゥ

戦士「で……けぇ! あんなん一溜まりもねぇぞ!」

天才「近づくなよ、間合いを取って攻撃しろっ!」

青年兵「召喚士さん」

召喚士「!?」

青年兵「僕を盾に、このまま潜り抜いて下さい!」

召喚士「……いいんだね?」

青年兵「はい。だから……頼みますよ!」

ゴウッ!!…バシュウウゥゥゥゥ

青年兵「一気に決めちゃって下さい!」

ワイバーンの護衛の中、コカトリスは召喚士を乗せて一気に加速する。

アバドンの振り上げる両手と鎌の更に上、2匹の召喚獣が急降下を始める。

青年兵「いっけええぇぇーっ!!」

ワイバーン「オオオオォォォォーッ!!」

降下と同時に、ワイバーンの口内より巨大な炎がアバドンへ放たれた。
971 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:26:01.43 ID:MGZLEqlTo
ドドオオォォォォン

召喚士「コカトリス! この煙幕を盾に――」

コカトリス「分かっているさ……!」

バシュウウゥゥゥゥ

天才「死角に入ったな。よぉし、ブチかましてやれ!」

戦士「いっけぇー!!」

召喚士「……はああぁぁ!!」

コカトリス「おおぉぉーっ!!」

ゴゴオオォォォォ!!

いつもの通り石化の息を吐くコカトリス。その黒く色付いた吐息は徐々に、

召喚士の魔力と呼応するように威力と量を増してゆく。

コカトリス「……」

息を吐く本人は、しばらくの後、異変に気付き始める。

コカトリス「……何だ、何なのだこれは……っ!?」

息はアバドンの体へと到達する前に、勢いを弱め、地面へと落下していた。
972 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:29:33.81 ID:MGZLEqlTo
召喚士「……え……っ!?」

天才「どした……? 何が起きてるっ!?」

ゴオオォォォォ

青年兵「コカトリスの息が……た、滝のように……落ちて……」

盗賊「……っ」

戦士「どういう事だぁ!?」

大軍師「あの鎌……。あれに触れて落下しているように見えますね」

盗賊「……落ち方が異常だな」

魔道士え、ええ……っ。まるで突然動きが止まってしまっているかのよう……」

天才「おそらく、そうなんだろうな」

魔道士「えっ!?」

大軍師「具体的な力は分かりませんが、あれは死神の鎌なのでしょう」

盗賊「……死神の鎌?」

大軍師「ええ。人間の魂のみを吸い取ると言われている鎌です」

天才「あの鎌、アレじゃねえか?」
973 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:32:57.68 ID:MGZLEqlTo
魔道士「!?」

天才「あの鎌に触れると、全ての動きが静止しちまうんじゃねーか?」

戦士「何ぃ!?」

ゴオオォォォォ…ボトボトボトォ

コカトリス「……ちっ、駄目だな……キリがない」

召喚士「一旦、後退しよう」

バシッ…バシュウウゥゥゥゥ!!

大軍師「あの鎌を何とかしない事にはどうにもなりませんね」

戦士「んな事言ってもよ、普通の鎌ならともかく……」

盗賊「……あの大きさ、それに……まるで盾のようだぞ」

天才「ぶっ壊すにも石化が効かねぇんじゃ、魔法も無理だろうし……」

大軍師「五行……使いますか?」

天才「……」

それしかないと分かっていながらも、天才は別の算段を模索する。

天才(せっかくバフォメットが使えるんだ、魔力消費してどーすんだよ……クソッ)
974 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:33:59.36 ID:MGZLEqlTo
魔道士「!?」

天才「あの鎌に触れると、全ての動きが静止しちまうんじゃねーか?」

戦士「何ぃ!?」

ゴオオォォォォ…ボトボトボトォ

コカトリス「……ちっ、駄目だな……キリがない」

召喚士「一旦、後退しよう」

バシッ…バシュウウゥゥゥゥ!!

大軍師「あの鎌を何とかしない事にはどうにもなりませんね」

戦士「んな事言ってもよ、普通の鎌ならともかく……」

盗賊「……あの大きさ、それに……まるで盾のようだぞ」

天才「ぶっ壊すにも石化が効かねぇんじゃ、魔法も無理だろうし……」

大軍師「五行……使いますか?」

天才「……」

それしかないと分かっていながらも、天才は別の算段を模索する。

天才(せっかくバフォメットが使えるんだ、魔力消費してどーすんだよ……クソッ)
975 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:35:51.30 ID:MGZLEqlTo
ザッ

青年兵私がやります」

天才「あん?」

大軍師「やると言っても、出来るのですか?」

青年兵「……やるしかないでしょう」

盗賊「……どうすればいい?」

青年兵「鎌の内側に潜り込んで、攻撃します」

魔道士「で、出来るんですか!?」

青年兵「……やるしかないでしょう」

戦士「何をすればいい?」

青年兵「僕が突破を図ります。どうか支援を」

戦士「そりゃ構わんが……」

バシュウウゥゥ…スタッ

召喚士「青年兵くんに任せよう。きっと、大丈夫」

青年兵「……はい。やってみせます」
976 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/30(土) 23:39:21.81 ID:MGZLEqlTo


天才「……いいか?」

青年兵「それでは、いきます」

大軍師「戦士殿、盗賊殿」

戦士「任しとけ」

魔道士「召喚士さん……頑張って!」

召喚士「魔道士さんも無茶はしないで下さいね」

大軍師「地上部隊はとにかく攻撃の手を休めないように」

天才「ダメージはいらねぇ。煙幕で奴らの身を隠せ」

魔道士「やってみます!」

青年兵「行きます!!」

召喚士「コカトリス!」

バシュシュッ…ドシュウウゥゥゥゥ

戦士「おっしゃあ、こっちもいくぞーっ!」

盗賊「ああ!」
977 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 01:48:52.90 ID:/6dH2zmd0
1乙!!
978 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) :2011/07/31(日) 04:40:16.25 ID:OSntssdf0
いちおつ
コート男が不気味

979 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 04:52:06.95 ID:s+Z71xrDO
>>1
980 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 13:12:46.04 ID:hS8RqZSDO
追い付いた
これマジで書籍化あるで
981 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/07/31(日) 14:22:10.62 ID:LL+4qJuIO
書籍化したらノータイムで買うな
982 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/31(日) 21:04:52.16 ID:kTcmVr6AO
書籍化しても劣化するだけだ
983 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋) [sage]:2011/07/31(日) 21:22:34.05 ID:+d9PdzAO0
とりあえず完結するの待とうぜ
拡散するのはそれからだ!
984 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/07/31(日) 21:25:42.79 ID:SwQ4DkfQo
完結して全てのスレがdat落ちしてから拡散に決まってんだろ
もちろんあのコピペ付きで
985 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/31(日) 23:11:57.95 ID:kTcmVr6AO
ぼくは魔導士ちゃん!
986 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越) [sage]:2011/07/31(日) 23:12:39.44 ID:kTcmVr6AO
ぼくは魔導士ちゃん!
987 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/31(日) 23:26:02.70 ID:pXVjWo/Co
バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……」

コカトリス「あやつ、どうするつもりだ?」

召喚士「分からない。でも……」

コカトリス「心配はない……か?」

召喚士「……うん。ないと思うよ」

ゴオオォォォォ

召喚士「ないと……思う」

オオォォォォ

召喚士「ないと……」

ドッシュウウゥゥゥゥ

召喚士「……」

コカトリス「おいおい、あのまま突っ込むする気か?」

召喚士「せ、青年兵くん……!?」

青年兵「……」
988 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/31(日) 23:30:36.02 ID:pXVjWo/Co
アバドン「……ヴヴウウウウゥゥゥゥ」

死神の鎌を携えた沼地の悪魔は、向かい来る召喚獣をじっと見つめている。

ワイバーン「本当に良いのだな?」

青年兵「ごめん、ワイバーン」

ワイバーン「いや……俺は構わんが……」

青年兵「大丈夫。僕だって死にはしないよ、こんな所で死んでられないさ」

ワイバーン「……ならば遠慮なく……行くぞ!」

ゴウッ!!

大軍師「まさかあのままアバドンへ……!?」

天才「特攻か!?」

オオォォォォ

青年兵「いっけええぇぇーっ!!」

ワイバーン「オオォォォォ!!」

鎌を体の前へと押し出し身構えるアバドンに対し、ワイバーンはただ真っ直ぐ、

背中の主と共に、スピードを弱める事なく正面より突撃する。
989 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/31(日) 23:32:32.97 ID:pXVjWo/Co
アバドン「……ヴヴウウウウゥゥゥゥ」

死神の鎌を携えた沼地の悪魔は、向かい来る召喚獣をじっと見つめている。

ワイバーン「本当に良いのだな?」

青年兵「ごめん、ワイバーン」

ワイバーン「いや……俺は構わんが……」

青年兵「大丈夫。僕だって死にはしないよ、こんな所で死んでられないさ」

ワイバーン「……ならば遠慮なく……行くぞ!」

ゴウッ!!

大軍師「まさかあのままアバドンへ……!?」

天才「特攻か!?」

オオォォォォ

青年兵「いっけええぇぇーっ!!」

ワイバーン「オオォォォォ!!」

鎌を体の前へと押し出し身構えるアバドンに対し、ワイバーンはただ真っ直ぐ、

背中の主と共に、スピードを弱める事なく正面より突撃する。
990 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/31(日) 23:36:08.63 ID:pXVjWo/Co
コカトリス「まずい、ぶつかるぞ!」

召喚士「青年兵くん!!」

ワイバーン「ぶつかるのではない……っ!」

青年兵「ぶつけるんだぁ!!」

バシュウウゥゥ…ズッガアアァァァァン!!

魔道士「――っ!!」

盗賊「魔道士、手を止めるな」

魔道士「!?」

盗賊「……彼を信じて……援護を続けるんだ」

魔道士「……っ、はい!」

アバドンへ特攻を仕掛けたワイバーンと青年兵は鎌の前で姿を消す。

しかし、地上にて支援をする一同の手が休まる事はない。

大軍師「信じていますよ……副司令っ!」

天才「こんな所で終わるタマじゃねぇよなぁ!」

戦士「……当ったり前だろ!」
991 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/31(日) 23:41:14.72 ID:pXVjWo/Co
ドッドオオォォォォ…

触れるもの全ての生命を奪うアバドンの鎌。その鎌へと突っ込んだワイバーンは、

触れた瞬間にその姿をこの地上より消す事となった。

青年兵「……」

支援攻撃による白煙の中から青年兵の姿が見える。

戦士「っ!!」

ダッ!!

魔道士「戦士さん!?」

戦士「援護を続けろ! アイツは俺が必ず連れて帰る!」

青年兵(……ここまでは……よし)

煙と共に落下する青年兵は、瞳に飛び込むアバドンの姿を確認すると、

安堵と共に空中で素早く体勢を立て直す。

青年兵「鎌の内側に入り込んでやったぞ……っ」

シュイイィィィィン

青年兵「出でよ……バハムート……!!」
992 : ◆1otsuV0WFc [sage saga]:2011/07/31(日) 23:49:43.51 ID:pXVjWo/Co
ドドドドドド…

召喚士「バ……ハムート!?」

天才「あんのヤロウ……やってくれんじゃねぇか!」

青年兵「食らえ……バハムートの0距離攻撃をっ!!」

キュイイイィィィィ…

アバドン「ヴオオオオォォォォ!!」

カッ!!…ズッドオオォォォォン!!

魔道士「きゃっ!」

盗賊「……ど、どうなった……!?」

大軍師「風で煙幕を吹き飛ばします」

天才「許可する」

ドドオオォォォォン…ゴウッ!!

盗賊「――っ!!」

大軍師「……ア……アバドンが……っ!」

超至近距離からのバハムートによる一撃は、アバドンの上半身を丸々吹き飛ばした。
993 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 00:51:36.00 ID:PBRAYLkDO
1乙
青年兵さんにフラグが…
994 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2011/08/01(月) 07:51:14.76 ID:n+t4ylXIO
おついち!
995 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2011/08/01(月) 10:19:46.12 ID:7AKpV1hso
めっちゃ油断してました!すみません!
先に次スレです!引き続き宜しくお願いしまっす!ノシ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312161458/
996 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北) :2011/08/01(月) 10:22:34.92 ID:XzrXU7uAO
ウソだろ…、まだ続いてたのかよ…。
初期の方は見ていたが…
997 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) [sage]:2011/08/01(月) 10:29:34.45 ID:KXyHgD6T0
>>1000だったらバハムートを弱体化
998 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県) [sage]:2011/08/01(月) 10:34:17.86 ID:x7ZZbEtC0
さっさと埋めるか



>>1000なら書籍化文庫化の話は以降禁止
999 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県) [sage]:2011/08/01(月) 10:36:15.20 ID:L1ukFBLJo
>>1000ならお前らが不幸に
取れなかったら、俺が不幸に
そのかわり、みんな幸せになる
1000 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2011/08/01(月) 10:36:51.64 ID:unw0iUYfo
>>1000ならみんな幸せ
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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