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都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達…… Part13
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546 :
お昼ごはん前にレスを返す花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/01/31(月) 11:58:59.84 ID:hcB114oa0
改めて次世代ーズの人乙でした
東ちゃん、咲李の直前に引き込まれて死んでるので他の誰かを引きずり込んでないのでキレイナからだよ大丈夫(??)
そして
> いや、今はいい。信じよう、広瀬(晃)ちゃんの良識と良心を
(幼馴染達の方を見る)(沈痛な面持ちで首を左右に振られた)
…………ふぁいと!
ひとまず天地の仕事は確実に増えたな……
……「狐」本戦でこれ天地ストレス解消とばかりに派手にやるんじゃ
そしてさらに気づいた
あ、これ、「先生」退席させててよかった(若干「先生」の地雷と言うかトラウマ案件が聞こえた為)
>>531
>>545
> 九十九屋さんのヤバいフラグ臭が怖い
このところ頭痛で寝不足気味なのに頭痛悪化してるので、決戦当日寝不足&頭痛でバトルになりますね
コンディション最悪では???(なおそれくらいのハンデがあってちょうどいい可能性からは視線を逸らす)
>負担が増えそうですが、是非ともお願いします……!
持ってないって伝えるだけならたいして負担にならないんでだいじょーぶ
547 :
カレー煮込む前に投下する花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/01/31(月) 17:44:13.05 ID:hcB114oa0
■いままでのあらすじ
「みんなで遊ぼう」「みんなで遊ぼう人狼遊戯」
↓
>>510-513
「人狼遊戯のその後に」
↓
>>533-542
「次世代ーズ 「いよっち先輩からの質問」」
↓
今から投下するの
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ いくよ!
ヽ 〈
ヽヽ_)
548 :
簡単なご返答
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/01/31(月) 17:46:04.89 ID:hcB114oa0
(あれ?)
手洗いから戻る際中、早渡はわりと大きめのサイズの蜘蛛の姿を見たような気がした。
そう、結構大きい。サイズ的に、軍曹ことアシダカグモだろうか。
あれは物体Gすら捕らえるという最強クラスの狩人。益虫として放置されていたのだろうか。
どちらにせよ、物陰に戻っていったから関係ないか。
「――――――り神の御仁は、今は警戒を強めていて、そうやすやすとは――――」
「だからって――――そもそも、お前、どこでアレと接触――」
部屋に戻る途中、診察室の方から「先生」と、鬼灯……周りが言っている様子から想像するに、「地唄師匠の鬼灯先生」その人の会話の断片が聞こえてきて。
微妙に、不穏な単語が混じっていたような気がしつつ、早渡は皆のいる部屋へと戻った。
まだ、きちんと答えを聞いていない部分が、あるのだから。
549 :
簡単なご返答
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/01/31(月) 17:48:23.15 ID:hcB114oa0
「…………「先生」が退室しといて正解だったか」
ぽそり、と灰人が口に出したのを、慶次は聞き逃さなかった。
その意味を、ふと考える。
(……そういや、あの白衣がそもそも発狂するに至った原因は確か……)
「………………邪魔だな、「ピエロ」」
(ん?)
……今、聞こえた呟きは、誰のものだった?
酷く冷え込んだ、同時に心底苛立っているような、そんな声だったような……
軽く皆を見回したが、俯いたままの憐以外は大体皆、何やら思案していた。呟いたのなら、他にも誰か聞きとめていたはずだが気にしている様子のものはいない。
憐が呟いたとしたら違和感を感じるし、気のせいだっただろうか。
…………そう考えていたら、早渡が戻ってくる。
す、と、皆の意識と視線がそちらを向いたが、憐はうつむいたままだった。
「さて、っと。俺達が、「狐」の配下も全員殺そうとしているか、だけど」
相変わらず、直斗はにこにこと笑っているままだ。
いくら物騒な話題になろうとも、変わらない。心の内を見せないための笑顔を続けている。
「……「狐」についてる人達、基本的には誘惑にかかった被害者、だから……殺さずにすむのが、一番なんだけど……」
先ほどとあまり変わらぬ、弱々しいような。気弱さや心細さを感じさせる声で、憐がそう答えた。
憐の、普段の行動やら言動やら見ていれば、「できる限り殺したくはない」と、そういう事なのだろう。
もっとも、同時に、そうやりたくともできない事もわかっている。そんな様子の声だ。
「全て、生かしたままは難しいでしょう……特に、契約者の方ではなく、都市伝説そのものとなりますと……」
「「狐」に誘惑されてる状態じゃなくとも、人を害する意思があるなら、って事ね」
龍哉と優が続けてそう答えてきた。
そう、問題はそこだ。
ただ「狐」に誘惑されて操られての行動であれば、それはただの被害者でしかない。
だが、元から、人に害をなすような者の場合。誘惑が溶けたらそれはそれで普通に人へと害を与え続けるだけ、になりかねない。
そういう存在となると、どうしても処分する必要性があるという事だ。
一応、契約者ではなく都市伝説そのものの方だけをさして答えていたが。契約者であろうとも、元から悪人である場合はただ取り押さえるだけは難しい可能性がある。
……それこそ、土川 羽鶴のような例もある。一応あれは生かされたが。あれより酷い相手だと難しくなるだろう。
「……「狐」の配下と会話、だけど…………できるかどうか、は、わからない」
「会話したいなら、「組織」に身柄確保される前にさっさと接触しないと。多分、聞く暇すらないわよ。どうしても会話したいなら、融通利かせてもらえるようにはしてみるけど」
晃の言葉に続けていた神子が、お父さんの胃が死なない程度に、とぼそっと続けていた。
……確か、神子の父親は…………あぁ、うん。胃の無事を願っておこう。
「…………なるたけ、九割殺しで抑える」
「それ本当に抑えてる?大丈夫?うっかりもう一割いかない?」
「そこまで貧弱なら、元から話ほとんど聞き出せねぇだろ」
「……遥には後でよく言い聞かせとく」
遥の返答には流石に早渡からのツッコミと灰人からのフォロー……フォロー……?が入った。
確かに、遥の戦闘力を考えると、相手次第では本気で九割殺しが十割になりかねない。
…………それくらいの存在なのだ。「ベオウルフのドラゴン」、と言うより竜種の類の契約者と言うやつは。
遥の場合、祖父が「黄金伝説のドラゴン」との契約を維持している者であるため、そっちを見本にしている可能性があるからあまり自分の実力を気にしていなさそうだが。
550 :
簡単なご返答
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/01/31(月) 17:49:50.13 ID:hcB114oa0
「九宮空七、だったな。「組織」の方……と言うか、CNoとANoでは、少なくとも彼女が「狐」に加担してるって情報はないんだよな?」
遥と灰人が睨み合いかけたところで、直斗が話題を逸らすようにこちらとかなえに問うてきた。
問われると思っていなかったのか、かなえはやや慌てた様子だったが。
「あぁ。こっちが見た範囲ではなかった……なかったよな?」
「う、うん。なかった、と思う……」
『主の傍で見ていたが。そのような名前や、先ほどの画像の面影がある女子はいなかったはずだ』
ぬぅ、とかなえの傍に「岩融」が姿を現した。
今までずっと姿を消していたそれが姿を現したのを見て、東が「わ」と驚いたような声をあげたのが聞こえた。
「俺達が閲覧できない範囲の資料にあった場合は別だけどな。それこそ、SNoとか」
「あそこの資料は閲覧制限厳しいものね…………あ、「組織」のDNoの資料でも覚えないわよ、その子については」
神子も、そうきっぱり言い切った。
彼女の父親はDNoではそこそこ、上の位についている。担当契約者がアレ(憐の父親だが)なのと当人が仕事人間なところがあるせいで未だに割を食っている面はあるが情報は確かだ。
……そして。
「「獄門寺組」にて集まっている情報にて、その方の情報はありません」
「「首塚」も同じく。おふくろが見せてくれた資料にもなかった」
「……「教会」の情報でも、なかった、と思う」
「「レジスタンス」に集まってきている情報の中に、その名前はないな」
「「マッドガッサー一味」として。その名前、「狐」の手駒の中に確認していないわ」
「……ん…………データ見直したけど、ない」
龍哉が、遥が、憐が、灰人が、優と晃が続ける。
いくつもでる集団の名前に、東が目をぱちぱちとさせていた。
「みんな、違うところからの、情報……?」
「そりゃ、ある意味みんな所属違うからな」
「俺は、厳密には俺が所属してるんじゃなくてお袋がだけどな」
口に出された疑問に、直斗と灰人が答えている。
そう、この連中はみな、所属している集団が違うのだ。
まぁ、「獄門寺組」や「マッドガッサー一味」は「首塚」との結びつきが強いし、遥や憐のように片親が「組織」絡みと言うパターンもあるが……
「気になるようだったら、「先生」と鬼灯さんにも聞いとくといいよ。「先生」なら、「薔薇十字団」からの情報知ってるはずだから」
結構上の方の情報も、と付け足す直斗。
……あぁ、本当。
ここにいるだけで、だいぶ、多方面の情報が集まる。
(愛百合からの情報がだいぶ偏ってたってのがわかったのも。まぁ、勉強の一つか)
多方面からの情報が集まるなら、それを吸収るするまで。
……そして。それを、仕事に活かしていくだけの事だ。
to be … ?
551 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/01(火) 03:01:03.77 ID:lWijq6OWo
>>547-550
投下お疲れ様でした
こうして情報が出たことは非常にありがたい
あと花房君がスムーズに司会進行してくれたのにも感謝です
かなえ嬢、思わぬタイミングで話振られてビックリしてるのいいですね
全員の所属グループでは、今のところ九宮が特に「狐」に加わった情報は得られてない
そういう整理した早渡は(じゃあもう「狐」の配下に直接確認するしかねえか……)と考えるか
念のため「先生」と鬼灯さんに尋ねるとしたら戻って来たタイミングかな?
了解です、これを受けて今度は短い話になる、と思いますが出します
しかしこちら都合で恐らく明日、明後日は来ることができない可能性が大 orz
メモをいつもの場所に残します
552 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/01(火) 11:01:45.11 ID:lWijq6OWo
>>549
一晩経ったら気になりだした
「先生」の地雷って娘さん関連だろうか
しかし「先生」の発狂は20年前、いや娘さんの年齢にもよるか
553 :
カレーの残りを食パンに塗ってチーズのっけてトーストした花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/01(火) 16:28:41.17 ID:CYmlSjjO0
>>551-552
>あと花房君がスムーズに司会進行してくれたのにも感謝です
契約者じゃないしどこの集団にも所属してない分、手に入る情報はどうしても後れを取りやすいんで
その分、司会進行みたいなの請け負いやすくて慣れてるんでしょうね
>念のため「先生」と鬼灯さんに尋ねるとしたら戻って来たタイミングかな?
かなー?
二人共、適当なタイミングで部屋に戻して大丈夫です
>「先生」の地雷って娘さん関連だろうか
いんや、洗脳で恋心植え付け云々の方
554 :
花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/01(火) 20:50:06.17 ID:CYmlSjjO0
■いまからとうかするもののおおざっぱな時間軸
「死毒より未来生きる者へ」(wiki参照)の後から「動き出した歯車は止められない」(wiki参照)の間辺り
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ そこまでほんぺんにかんけいないから
ヽ 〈 どれくらいかそうとうおおざっぱだよ!
ヽヽ_)
555 :
「日常」の過ごし方と守り方
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/01(火) 20:51:25.69 ID:CYmlSjjO0
非日常を知っているが故、日常を過ごすにしても多少の警戒はどうしてもある。
それでも、全く警戒しないよりはましであろうと日常を過ごす。
それでなんとかなっているのならば、まずはそれでいいのだろう。
(中央高校よりは、都市伝説の出没頻度低いしな……)
それでも昔よりは出没頻度は減っている、とは聞くのだが。
周囲から聞いた話では、まだそこそこ出没するというのだからあちらは忙しそうだ。
父親の勤務先だからと言う理由であちらへの進学は止めた訳だが、そういう意味でも正解だったのかもしれない。
「――――み。荒神ー?聞いてるか?」
「ん?……あぁ、悪い。聞いてなかった」
「お前なぁ。「ヴァンパイアCATS」ではどの子が一番可愛いかって話してたろ」
「前から言っているが、俺はアイドル関連は興味がない」
「「FOXGIRLS」のリーダーは知ってるじゃん」
「あれはアイドルとしてじゃなくてアクション女優として認識してるだけだ」
クラスメイトとの日常の会話は悪いものではないしなるべく行った方がいいというのはわかっているのだが。
それでも、興味のない話題はどうしても流れやすい。アイドルにも人の美醜にもそこまで興味がない自分に、今回の話題は難易度が高い。
こんな自分と、それでも会話してくれるクラスメイトにはいい加減感謝すべきか。
「あ、いたいた、荒神くーん、はい、預かりもの」
と、クラスの女子が一人駆けてきて、何やら封筒の形に折りたたまれた紙を渡してきた。
ハートのシールで封がされている。おそらく、便箋か何かをレターセットの封筒のように可愛らしく折りたたんだものか。
「何それ、ラブレター?」
「そうじゃない?どこの学年でどこのクラスの子かわからないけど、荒神君に渡してほしいって預かってきたの」
「…………深川。せめて、そういうもん預かるなら名前くらいは確認しとけ」
中学の頃からの知り合いのその女子は、「ごめーん」等と軽い調子で謝罪してくるが。
せめて、預かりものは預けてきた相手の名前くらい把握していてほしい。
覗き込んでくる周囲を軽く払いながら、折りたたまれたそれを広げて確認する。
大事な話があるから、放課後に校舎裏に来てほしいという短い一文が丸っこい文字で書かれていた。
「やはりラブレターか……」
「くそ、いつも灰人ばかり……!おこぼれは来ないのか!」
「今年入ってから何回目だ?」
「八回目だな……そして、こいつはそれを全て断っている」
「その気もないのに告白承諾したら、それこそ相手に失礼だろうが」
もっともな事を告げたつもりなのだが、なぜか嫉妬の類が混じっていると思わしき視線が突き刺さる。
付き合う気もないのに承諾する方が、相手に失礼だろう。
手紙を、元の折り目を無視して適当に折りたたんでポケットに放り込む。
「ほら、次の数学、小テストあんだろ。そろそろ準備しとけ」
「あっ」
「っく、その事実から目をそらしていたというのに……おに!きちく!!」
「現実から目をそらす暇あったら勉強しろ。岸立を見習え」
こちらの会話に耳は傾けていたようだが、会話には加わらず予習していたクラスメイトをちらりと見る。
視線に気づいたあちらは、軽く笑ってきた。
学年一位を去年からずっとキープしている彼は、がり勉と言う訳ではないが日々の努力は怠っていない。
半分唸りながら席に戻っていく連中を見送りながら、適当にポケットに突っ込んだ手紙を思う。
今日は、診療所に行くのは遅れそうだ。
556 :
「日常」の過ごし方と守り方
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/01(火) 20:52:42.80 ID:CYmlSjjO0
放課後、人気のない校舎裏に向かう。
誰かにつけられている、という事はない。
手紙に書かれていた通りと言うべきか、一人の女子生徒の姿がそこにあった。
あまり、血色のいい顔ではない。
「あ……来てくれたんですね」
「呼び出されたからな。で、何の用だ」
さっさとすませたい。
用件を切り出すように言えば、その女子生徒は物憂げに俯いた。
「その……私、あなたに、一目惚れを」
「俺は興味ない」
即答する。
色恋の沙汰には、今のところ興味はない。
一目惚れというものが、よほどの事でもない限りただの思い違いだという事も知っている。
「用件がそれだけなら、帰るぞ」
「あ、ま、待って……」
背を向けて歩き出そうとすれば、腕を掴まれた。
女子生徒とは思えぬ強い力で、束縛される。
「酷い人」
薄く笑う声。
首元に、牙が、伸びて。
「あら?」
間の抜けた声がした。
557 :
「日常」の過ごし方と守り方
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/01(火) 20:54:08.00 ID:CYmlSjjO0
こちらが束縛を抜け、振り返りざまに首を斬りつけたのがよほど不思議だったらしい。
ほんの一瞬だったし、相手はどうにもこちらの首筋しか見ていなかった。どうやって束縛を抜けたのか気づいてすらいまい。
「切り裂きジャック」の、犯人は医者であったという説。それによって手元に生み出されるメスは、いつでも鋭さを保っている。
「ギ……!?きさ、ま、気づいて」
「お前の顔の生徒はこの学校にはいない。転入生が来るという話もない」
学校の生徒と教員の顔は全て記憶している。
目の前の相手が、学校の生徒ではない事くらいはわかる……たとえ、この学校の制服を着ていようとも、だ。
「三年の特進科で、行方不明になった生徒が出ていたな。成績が伸び悩んでの失踪、と噂されてはいたが。お前が殺したか」
「ギ、ギギギ……」
ずる……と、体から首が、抜けた。
その生首から食道が繋がっていて、内臓がぶらりとぶら下がる。
「ペナンガラン」。マレー半島とかあちらの伝承の存在だったはず。
女の生首から内臓垂らして飛び回る吸血鬼。
「殺して、体を奪ったか。首はどこへやった」
「ギ………っ、キキキキッ。さてね。そこらの犬コロに、くれてやったさ」
牙が伸びる。
こちらを、獲物と見定めている。
「アタシは、お前みたいな、契約者の血が好きなんだよねぇ……!吸わせろぉ!!」
正体を見破られた時点で、こちらを生かすつもりもないのだろう。
内臓が、うねる。
こちらを束縛せんとうねり伸びてきたそれへとメスを突き立て、そのまま切り裂きながら一気に本体たる生首へと近づく。
「ギギャ……ッ」
「「狐」の勢力でもなさそうだ。もう聞き出す事もない」
ぐるりと、唇を、鼻を、眉間を。
一閃し、さらに、見開かれた目に突き立てる。
「この時期に、余計な手間を焼かせるな。鬱陶しい」
悲鳴をあげる事もなく、ぼとり、「ペナンガラン」は地に落ちて、そのままさらさらとその生首が、内臓が、塵のように崩れていく。
あとに残されたのは、使われていた犠牲者の体。
ため息をついて、携帯端末を取りだす。
「……あぁ、お袋?……「ペナンガラン」を討伐した。それが使ってた体が残ってる…………わかった。悪いけど、任せた」
「レジスタンス」経由で、始末は任せる異にして。
いつも通り、メスを消すと、さっさと診療所へと向かう事にした。
非日常はいつでもすぐそばにある。
それに対処できるように日常を過ごす。
……それが、自分の変わらぬ日常なのだろう。
to be … ?
558 :
おねむの精に憑かれし花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/01(火) 20:55:50.51 ID:CYmlSjjO0
そういえば一人だけ通う高校違うせいで学校での様子が出てなかった灰人の学校での様子でした
彼は彼なりに、日常を楽しんで守っているようです
559 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/03(木) 23:16:31.66 ID:sJvHdS0To
>>555-557
投下お疲れ様です
東区の高校も割と実害あるやつが徘徊してるな!?
そして遂に出ましたか、FOXGIRLS……これはお狐仮面が学校町にも登場するフラグかな? (明らかな話題の飛躍)
> 学校の生徒と教員の顔は全て記憶している。
凄い、これは凄いぞ、自己紹介の手間が省けるな!
高校の生徒を名乗る侵入者がいても一発で分かるというね
>>553
> いんや、洗脳で恋心植え付け云々の方
闇が深すぎる……
560 :
次世代ーズ 節分
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/03(木) 23:18:36.34 ID:sJvHdS0To
節分
@節分の日の業務終了後
コトリー「せっつぶーん! ですのー!」
JD先輩「節分といったら豆撒きだよなー」
おばちゃん店員「ちなみにもう『ラルム』の豆撒きは済ませたわ」
おばあちゃん店員「後片付けもバッチリ❤」
せと 「ちなみに今年も店長は私たちに節分専用の衣装を着せようとしましたが全力で阻止しました!!」
店長 「 😂 」
コトリー「さすがにあんな丈が短いトラ柄の衣装は肌が見えすぎですの!」 プンスカ!!
店長 「それがいいんじゃないかー 😂 」
せと 「店長さんがちょっとかわいそうだったので、角のヘッドバンドだけ付けました……」
A恵方巻
JD先輩「そして節分といったら恵方巻だろー!?」
コトリー「今年もてんちょーとヒロ先輩が頑張ってくれましたの!」
店長 「ふふふ……! まかないにしては気合入れすぎちゃったかな?」
ヒロ (頑張ったって言っても、店長さんが用意したのを巻いただけなんだけど……)
JD先輩「そんで、今年の恵方は北北西なんだけど」
ヒロ 「えっと、コンパスアプリを……」
おばあちゃん店員「今年の恵方はぁぁぁ! ずばりぃぃぃぃ!」 キュイイイイイイイッッ
おばあちゃん店員「あっちじゃああああ!!」 ペカァァァァァァ
おばあちゃん店員「業務用第一冷蔵庫と作業棚の間!!」 ビシィッ
JD先輩「あっ事前に調べててくれたんすね、アザーッス!」
おばあちゃん店員(うふふ❤ これくらいは「五時ババア感覚」でお茶の子よぉ❤)
説明しよう! 五時ババア感覚とは!
「ラルム」の店員であるおばあちゃん店員は何を隠そう、都市伝説「五時ババア」なのだが!
彼女は生来の能力として、時計の力を借りずとも現在な時刻、及び「5:55まであと何時間なのか」を割り出すことができる!
これは地球の自転や各恒星、惑星との角度等を五時ババア的磁気コンパスやババア的霊感によって取得し、無意識下の演算で割り出しているためだ!
そしてこのスキルを利用することにより現在位置から見た正確な方位をも把握することができるのだ! これらの技能は「五時ババア」としての長年の研鑽によって獲得されたものだ! 怖い! 恐ろしいぞ! 五時ババア!!
せと 「それじゃ、頂きます」
JD先輩「ちゃんと願い事を考えながらだぜー」
コトリー「……」 モッチモッチ
せと 「んっ……んん……」 ンモンモ
JD先輩「う……ふうっ……んっ……」 モッモッ
ヒロ 「……」
ヒロ (なんで三人とも目からハイライト消えてるの? なにそのエッチな吐息……エッチなんですけど……)
コトリー「んんーふ、んふふー……(みなさんも良い節分をー)」 モッチモッチ
561 :
次世代ーズ 節分
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/03(木) 23:19:48.83 ID:sJvHdS0To
■登場人物
コトリー: コトリーちゃん。『ラルム』の店員さん。登場はめっちゃ久しぶり
せと: 遠倉千十。『ラルム』の店員さんでコトリーちゃんと同い年。「次世代ーズ」ではようやく本格的に前に出てきた
JD先輩: 『ラルム』の店員さん。コトリー、せととバイト同期
おばちゃん店員: 『ラルム』の支柱。パート暦ウン十年のベテラン。一般人
おばあちゃん店員: 『ラルム』の心臓部。男一人の店長を色々サポートする。正体が「五時ババア」だが、それを知ってるのは(店員さんでは)千十くらい?
店長: 『ラルム』の店長。悪い人ではないけど高校生バイト組のコトリー&せとにコスプレさせようとするが常に断られる。味方はJD先輩くらい
ヒロ: 今回初登場の『ラルム』の店員さん。美大生で、「ラルム」の広告デザインは彼女の手によるもの
■ラルム
芽香市(通称:学校町)東区に隣接する市(といっても限りなく東区に近い)に位置したカフェ
店長さん的には学生や若年層にも入りやすいお店にしたかったようだが、メニューがお高めなので今のところ客層は高翌齢者やおでかけ中のご婦人が多い
都市伝説や契約者による抗争と無縁な平和空間……なのだが、お忍びで神様と呼ばれる存在がひそかにお客さんとしてやって来ることがある
9月時点から開始した「次世代ーズ」より少し前に、店舗と店員が呪詛汚染被害に遭う事件が発生しており、このときは土地の守り神が激昂した
前回の続き、今夜中には出せそうですが
日付またぐ前に間に合うか……!?
562 :
次世代ーズ 節分
◆John//PW6.
[sage saga]:2022/02/03(木) 23:32:45.47 ID:sJvHdS0To
>>561
× 高翌齢者
○ 高齢者
漢字置き換えトラップを回避したと思ったら、ツール上の目視確認を怠っていました、おのれ
563 :
煎り豆美味しいした花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/03(木) 23:38:55.60 ID:i4Th7lYU0
余談ながら、「ペナンガラン」は「イブラリン」と言う名前で日本では紹介されたこともあるそうです
胃ぶらりんと覚えると早いかもしれません(???)
次世代ーズの人乙でしたの
恵方巻と言えばエッチな食べ方だよね(??)
>>559
>東区の高校も割と実害あるやつが徘徊してるな!?
中央高校ほど都市伝説の出没頻度高くないにしても、たまにこういうの出たりはしそう
>高校の生徒を名乗る侵入者がいても一発で分かるというね
当人曰く「事務員や用務員とかは覚えきれてないからまだ穴がある」との事
そこまで覚えるのは流石に大変じゃねぇかな……
564 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 00:51:12.16 ID:i7S41P6Po
>>548-550
「簡単なご返答」 へのクロス
●内容
・「狐」本戦参加組からの返答を受けて、早渡の会話
・「先生」、鬼灯と早渡の会話
・そういや早渡が持ち込んだ大き目のフルーツロールケーキはどうなった!?
565 :
次世代ーズ 「早渡、返答を受けて」 1/5
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 00:52:08.12 ID:i7S41P6Po
診療所のトイレを借りて、顔を洗った
少しだけすっきりした、気がする
思えば色々話してしまった
いやでももう後には引けない
いずれやるべきことだったから
鏡越しに自分の顔を睨む
思った以上に顔に出てるな、俺
トイレから出た後、大きめの蜘蛛の姿が見えた、気がする
それも割と大きめのやつだ
診療所にも出るんだな
いや見間違いかも、なんかそれっぽい影だっただけかもしれない
(脩寿、知ってる? 蜘蛛はね――)
何故このタイミングで思い出すのか
昔々、空七に言われた台詞だ
(――知恵の神様なんだよ。だから、虐めちゃダメだよ)
思わず溜息が漏れる
空七。お前、一体どこで何やってんだよ
事と次第によっては――いや、今は考えるな
俺はほぼ無意識に
蜘蛛の幻影が見えた場所に、軽く頭を下げていた
部屋へ戻る途中、「先生」とあと一人の方――「通り悪魔」の御仁と「先生」に呼ばれていたので、ほぼ間違いないかもしれない――の声を聞いた
まだ話し中のようだ、部屋へ戻ろう
566 :
次世代ーズ 「早渡、返答を受けて」 2/5
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 00:52:45.42 ID:i7S41P6Po
「さて、と。俺達が「狐」の配下も全員殺そうとしているか、だけど」
部屋に戻り、花房君が再び音頭を取った
前々からうっすら感じていたが、花房君はこの手の進行が得意なようだ
全員が色々と教えてくれ、助言をくれた
現時点で「狐」の手勢に加わった者は魅了の被害者、基本的に殺さずの方針を取るが
それでも全員を生かしたままにするのは難しいであろうこと
それ故に、恐らく「狐」の手勢との交戦は熾烈を極める
手勢との会話は困難、会話できるとすれば「組織」に身柄を押さえられる前だということ
「なるたけ、九割殺しで抑える」
「それ本当に抑えてる?大丈夫?うっかりもう一割いかない?」
「そこまで貧弱なら、元から話ほとんど聞き出せねえだろ」
「……遥には後でよく言い聞かせとく」
「あ?」
日景からそんな物騒な返答が飛び出し、思わず突っ込んでしまった
黙って話を聞くつもりだったが、なんというか日景はちょっとみんなともどこか少しズレてるっぽいな
いや、これはあくまで俺の感想だ。わざわざ口に出すつもりはない
しかしなんか今度は日景と灰人先輩がバチバチし始めたんだけど?
何? 日景は一体何処にどんだけ地雷もってんの? ちょっと怖いんだけど
続いて花房君は(日景と灰人先輩の睨み合いを流すように)みんなの所属組織が空七の情報を握っているか、全員に確認した
おおむねどの勢力も、空七が「狐」に加わってるかどうかの情報を持ち合わせていなかった
……ちょっと先行きが不安になるな。そもそも空七のAN-Pがアレだとしたら、絶対に他勢力の注意を引くはずだ
「気になるようだったら、「先生」と鬼灯さんにも聞いとくといいよ。「先生」なら「薔薇十字団」からの情報知ってる筈だから」
「オーケー、お二人が戻ったら確認してみるよ」
花房君からありがたい提案だ
だが、花房君の厚意を無下にするつもりじゃないけど、他の勢力も情報を握ってないなら
恐らく「先生」や鬼灯さんも知らない可能性がある
てか、あの人は鬼灯さんで間違いないらしい。後で本人に直接尋ねてみよう
そうしてると、憐ちゃんの視線を感じた
見れば少しだけ顔を上げてこちらを見ている、気がする
いや、憐ちゃんの前髪の所為で実際にこっちを見ているのか分からないけど、口元が何か言いたそうな感じするぞ?
「さっきの話だけどよ」
憐ちゃんに声を掛けようとした寸前で、日景に話し掛けられた
「そもそも、魅了が解けたからっつって。手駒がお前に協力するかは何とも言えねえ
欲しい答えが返ってくるなんて期待はしない方がいいんじゃねえか」
「そこは理解してる。めぼしい情報が得られたら御の字くらいで考えてるよ」
「よし、決まりだな。こちらとしても可能な限り協力はする
でもみんなからも話が何度も出てるように、九宮空七が加わってるかを聞き出すこと自体が難しいと見ている
それでもいいなら手を貸すよ。あまり期待はするなよ?」
「分かった、協力に感謝するよ。ありがとう」
日景と俺のやり取りを聞いて、花房君がいい感じでまとめてくれた
俺からお礼の後で、具体的なプランについて話した
@「狐」の配下を確保したタイミングで俺を呼び出してもらい、俺が間に合えば配下の奴に直接空七の参加如何を聞き出す
俺の本心としてはこっちで行きたいが、何度も話が出たように難しいのは承知だ
A俺が間に合わない場合、俺に代わってみんなのうち誰かが「狐」の配下に空七の参加について尋問する
そして現場が落ち着いたタイミングで、改めて俺に情報を共有する
こちらは次点だが、現実的にはこちらで落ち着きそうだ。だがこちらにしても困難な頼みであるのには変わりない
「ま。答えがあったら儲けもん、程度で考えとけ」
567 :
次世代ーズ 「早渡、返答を受けて」 3/5
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 00:55:17.02 ID:i7S41P6Po
●
「うん? “塩の柱にする光を放つ”契約者? 迷い子の少年の幼馴染か。すまんな、そんな話は聞いていないね」
「そう、ですか」
「少なくとも『薔薇十字団』では掴んでおらんね。あの後も調べてもらってはいたんだが、今に至るまでクリスからもそういう話は入っておらん」
しばらくして「先生」と鬼灯さんが戻って来たので、早速俺はお二人に尋ねてみた
「先生」は以前俺と会ったときから、改めて状況の確認を取ってくれていたらしい
クリス、とは「先生」のお知り合いだろうか? 「薔薇十字団」――恐らくヨーロッパの勢力かもしれないが詳細は不明だ――でも空七の加担は不明だという
「俺も長いこと『狐』を追ってるが。そんな奴が加わってるって話は耳にしてないな」
「ん、んー。そも、それほどの契約者が『狐』に加わってるなら、どの勢力も真っ先に警戒するであろ?」
「だが。そいつが仮に『狐』に抱きこまれたとしたら、時期は三年前。だったな? 坊主」
「はい、可能性としてはその時期です」
鬼灯さん、そう呼ばれた方は
煙管を燻らせながら思案気の表情で空を見ていた
「そんな殺人光線ぶっ放せる奴を抱き込んでんなら、『狐』にとってもとっときの隠し玉だ。今でも隠匿してる可能性はあるんじゃ無えか?」
「んー、切り札としてはあり得るだろうが、あまりそういう可能性は考えたくないね」
「それも『狐』を潰しちまえば、自ずから明らかになるだろ」
鬼灯さんの仰る通りだ
結局は「狐」さえ仕留めれば、空七が「狐」に加わってるかどうかははっきりする
それで
もし、空七が
「狐」に加わっていなかった場合は?
魅了ではなく、自らの意志でアレをやったのだとしたら?
俺は
俺は、「先生」と鬼灯さんに頭を下げた
568 :
次世代ーズ 「早渡、返答を受けて」 4/5
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 00:56:58.63 ID:i7S41P6Po
●
「じゃ、早渡君が買ってきたロールケーキ、全員食べてね」
「俺は甘いの苦手だ」
「とにかく食べて。この量だと全員で食べないと減らないし、残りが『先生』の冷蔵庫行きになるにしても、減らさないと」
「私は構わんよ」
悪い! 広瀬(優)ちゃん!
彼女が全員に声を掛けて、俺が持ち込んだロールケーキを銘々に押し付けていた
俺が買ったのは、南区のケーキ屋で売っていた、やたら大きいと有名なフルーツロールケーキだ
大きいと評判のフルーツロールで、味は良いがお値段も中々良い感じに張っちゃう一品
そこそこの人数が集まるって聞いてたから良かれと思って買ってきたんだが
あんなヘビーな話の後だ、持ち込んだ俺の想像力不足がとっても痛い
日景は憐ちゃんの様子を気にしてたようで傍にいた
俺も憐ちゃんが気になるが、今は日景に任せよう
ちら、と横目で角田の人をうかがうと
相変わらず俺が渡したバインダーをめくりながら深刻そうな面持ちで携帯を弄っていた
その横にいる紅ちゃんは角田の人の顔色をうかがうように、一緒にバインダーを眺めているようだ
ちなみに紅ちゃんの手元にはロールケーキの三分の一、いや半分近い量が皿に盛られている
大丈夫、紅ちゃん? 胸焼けしない? いざとなったら角田の人の口に詰め込んでくれよ?
「で、坊主。話ってのは」
俺は今、鬼灯さんを前にしている
一応場の空気もいささか緩んだ頃合いだ
そう判断して、先ほどから気になっていたことを確認しようとした
「あはい、あの――不躾ですいません。鬼灯さんは、あの“鬼灯先生”でしょうか?」
「あの“鬼灯”てのは、どの鬼灯だい? この世に鬼灯を名乗る奴ァ腐るほど居るが」
鬼灯さんは優雅な手つきで煙管を弄びながら、そんなことを言う
むむむ、この雰囲気といい応じ方といい、恐らくドンピシャかもしれない
そうだな、ここはひとつ――
「俺の言う“鬼灯先生”は一人だけです
佐渡相川の『闇市』では鬼灯さんが来たと知れただけで、市中がお祭り騒ぎになって
鬼や人の子が集まって来ては鬼灯さんに遊んでもらうんだと構って貰えるまで決して離さず
沼垂の花街に足を運べば、その三味線の音色を聞きたいと誰も彼も自分の店へと引き込もうとする
それに極め付けは鍾恩屋の太夫さん、絶ッ対にお客には表情を見せないって有名な巻田さんから逆指名され
お会いしたらお会いしたで傍目からも分かるほど巻田さんの色白の顔は燃え上がるように一瞬で真っ赤になったそうじゃないですか
こんな武勇伝があるのはこの世広しと言えど貴方だけですよ、“地唄師匠”の鬼灯先生」
「な――ンで坊主が色街の話を知ってンだ」
「なんなら、まだ挙げましょうか? 鬼灯先生の武勇伝」
「分かった分かった、俺ァお前さんの謂う鬼灯だろうさ。だが此処では“先生”は止めな」
「承知しました、鬼灯さん」
569 :
次世代ーズ 「早渡、返答を受けて」 5/5
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 00:58:30.14 ID:i7S41P6Po
参ったと言わんばかりで俺を片手で制してきたのは、やはりあの鬼灯さんだったらしい
まさか学校町でお会いすることになるなんて、思ってもなかったぜ
「坊主、まだ名前聞いちゃいなかったな」
「あ、自己紹介がまだでしたね
今年の三月までは『北辰勾玉 庵屋』で厄介になってました、早渡脩寿と申します
今年の四月から学校町に越してきて、南区商業に通ってるんですけど」
「成程、合点がいった。お前が“七つ星のコトブキ”で、“かんのぬえ”だな?」
「――っッッ!?!? な、なんでそれを!?」
思わず周囲を見回す
が、幸いなのか誰も聞いてなかった様子だ、多分
見れば広瀬(晃)ちゃんのところに若干名集まってる様子だ
俺の携帯か? 角田の人から再び広瀬(晃)ちゃんに返された俺の携帯か?
だが今はそれどころじゃない!!
「飛騨高山で『悪魔』とやり合ったんだろ? 界隈じゃあ有名な話だ
それに穂張の若柘榴役とも仲良くなったって言うじゃねえか。で、いつ嫁に獲るんだ?」
「違うッ! 違いますッ!! 高山のアレはともかく、穂張の件は完ッッ全に誤解です!! どうか、内密にっっ!!」
全部バレてるっ!! 全部バレてやがるっ!!
この様子だと息巻いて「天使」とガチったところを瞬殺された話とかも知ってるに違いないっ!!
鬼灯さんは煙管を弄びながらくつくつと笑っている
あっ! も、も、も、もしかして揶揄われた!? もしやさっきの仕返しか!?
「そんで、コトブキ。脇本の旦那は元気かい?」
「へ? あっ! え、お、親父殿っすか? 元気ですよ、ピンピンしてますけど」
「旦那には昔少しばかり世話になってな、旨い酒をよく知ってる。昔話を聞いたりするか?」
「あの、いえ。親父殿はあんまり昔の話をしたがらないし、訊いてもとぼけちゃうんで」
「そうかい、その様子じゃ先代団三郎の前で上覧試合やった話も知らねえだろうな」
「えっ? えっ?? ちょっ、い、何時!? いつの話ですか!?」
「明治だか大正だか。まあアレだ、お前さんが成人した暁にでも聞けるだろ。楽しみにとっとけ」
「えっ!? えっ!!??」
鬼灯さん、親父殿の過去を知ってるのか!?
うわっ聞きたい! 本心を言えば今直ぐ聞きたい!!
てか俺の「七つ星」時代の恥ずかしい話も知ってる可能性高い!!
どうしよ俺!! 落ち着け俺!!
そう、そうだ。空七だ
落ち着け、今は混乱している場合じゃない。落ち着け、俺
「坊主が気負うことは無えだろ」
鬼灯さんは、まるでこれまでもそうしていたかのように煙管を燻らせていた
少しばかり――空気が張り詰めた、気がした
「柳は緑、花は紅。のさばる者は何れ滅ぶ。これが浮世の理って奴だ」
鬼灯さんの言葉はどこか楽しげで
しかし、確かに刃の切っ先じみた冷たさが滲んでいた
□■□
570 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 01:01:13.48 ID:i7S41P6Po
【補足】
・フルーツロールケーキ
早渡が学校町南区のケーキ屋で買ったという中々結構なサイズのフルーツ入りロールケーキ
評判になるほど美味らしいが、その分値段も張る
そうです、前スレ 935 の回収です
・佐渡相川の『闇市』
団三郎の本拠。恐らく此処の闇市は常人には知覚できない半異界に存在する
「闇市」を束ねる「広商連」は特に三つの勢力に大別することができ、日本三名狸伝説にあやかった名を持つ。団三郎はその一つ
・沼垂の花街
御存じ色街、実在の地域にオーバーラップするようにして異界内に位置する
人妖の別なくいろんなおねえさんがいます
・鍾恩屋の巻田さん
高級遊郭、鍾恩屋
そこに籍を置く、太夫と呼ばれる花魁のおねえさん
「雪女」の血筋らしく、その美貌を一目見た男性は一瞬で心奪われるという
彼女は「地唄師匠の鬼灯先生」の噂を聞き、さらにはその三味線の音に心を奪われ
是非ともお会いしたいと方々に無理を言って、遂には鬼灯さんを逆指名することに成功する
ところがいざ鬼灯さんと対面するとお顔が真っ赤になってしまったらしく、その後どうなったかは話が伝わっていない
ある筋によると、巻田さんと鬼灯さんのやり取りを垣間見た鍾恩屋の女将さんも顔面が真っ赤になってしまったらしい
・北辰勾玉 庵屋
早渡が世話になった場所、「団三郎」勢力圏内にある
実在化した伝承存在や結界に関する保守サービスの実施や、護衛の業務等を請け負っている
「脇本の旦那」こと「親父殿」はここの長、詳細な年齢はとぼけ通しているが、戦国‐江戸時代の生まれなことは確からしい
・七つ星のコトブキ
早渡は「闇市」内で大体こう呼ばれる
“かんのぬえ”は用心棒(バウンサー)稼業時の名乗りで、「コトブキ=かんのぬえ」という事実は「七つ星」以外の周囲には伏せられていた
鬼灯さんには当代団三郎が酒の席でうっかりバラしちゃったのかもしれない
・飛騨高山のアレ
早渡の恥ずかしい過去。詳細は多分語られないかもしれないし、ちょっとは語られれるかもしれない
・穂張の件
穂張神社という特殊なお勤めをおこなっている神社には多数の娘さんがいるが
そこの美人姉妹と仲良くなったのが(主に姉の吹聴により)、なんか話が大きくなった
穂張神社や柘榴役についてはそのうち単発で出るかもしれない……「次世代ーズ」の気力があれば……
・上覧試合
先代団三郎の御前で行われた上覧試合
団三郎圏内の強豪が自慢の力と技を先代の前で披露したそうです
今より(若干)若い和装の親父殿(刀)は、洋装の紳士(糸と毒針)とかなり派手な立ち回りを演じたらしいが、この話は本編では出ないかもしれない
この上覧試合、もしかすると当時の獄門寺家や将門様ゆかりの方々も関わってるかもしれない
花子さんの人に土下座 orz
これで許可頂いた部分については大体言及できたか!? と思います
憐氏の突っ込みについては此処ではあまり触れずにでいきました
571 :
他所事と同時進行してた花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 01:39:27.10 ID:ApD3L2JW0
乙でしたー
蜘蛛は知恵の神様。そう、そんな一面もあるね(某トリックスターからは視線を逸らす)
かなえなら……それだけの量いける、な……!(なおカロリー)
そして鬼灯何やってんの?お前結婚前も人間社会で似たような事やったよな??っつかかつての結婚相手との出会いそういう感じの場所だったよな??
早渡君の携帯の中身……丸裸、だろうな……
>憐氏の突っ込みについては此処ではあまり触れずにでいきました
はぁいですよ
後日、お返事ネタっぽいの書けたらいいねの心意気で行きます
572 :
さて、と投下しようとする花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 01:42:17.12 ID:ApD3L2JW0
■いまからとうかするもののおおざっぱな時間軸
「死毒より未来生きる者へ」(wiki参照)の後から「動き出した歯車は止められない」(wiki参照)の間辺り
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ なんかきゅうにおもいついたんだってさ!
ヽ 〈 そこまでだいじなしーんじゃないいきぬきだよ!
ヽヽ_)
573 :
狂犬忠犬番犬猛犬
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 01:43:40.06 ID:ApD3L2JW0
荒神 憐。
中央高校の現狂犬たる日景 遥のお気に入り。
憐の事を、そのように認識している不良はちらほらといる。
実際、遥が大切な友人達の中でも殊更憐を気にかけているのは事実である。
それこそ、ナチュラルホモ疑惑をかけられるレベルで気にかけているし大切にしている。
動かしようのないその事実は、遥自身が一切合切隠そうとしない為に他人にまで認識されているのである。
憐にとってはいい迷惑であろうが、憐の方も昔からそうだったために変に慣れてしまっていてほとんど怒らない。
いつもへらへらとした軽い笑みを浮かべていて、体格に恵まれた遥とは正反対に小柄で細い体。
彼らがどのような縁で、絆で、結び付けられているのか。それを知らない部外者からは、遥が憐を宝物のように扱う理由もわからない。
だからか、勘違いする輩も存在する。
憐が遥の太鼓持ちだ、とか。虎の威を借る狐だ、とか。日景 遥の「コレ」だとか。
彼らの普段の様子を見ていればそうではないと(よほど頓珍漢でもないかぎり)わかる事であろうが、中途半端な噂で勘違いする者もいる、と言う事だ。
「なぁ、憐。一緒に帰r「はーい、はるっちは今日はバイトあるし俺っちは教会のお手伝いあるから帰り道反対っすからねー。まっすぐバイト行かなきゃダメっすよー」ちっくしょう!!」
いつも通りのやりとりをして、学校の前で遥と分かれる憐。
項垂れる遥に神子の一撃が入ったのは憐が背を向けてからだったのは、神子が憐に気を使ったのか、単なるタイミングの問題か。
他の、いつもつるんでいる幼馴染達も今日は各々用事があるようで憐と帰る方向が同じ者がいない。
一人で教会に向かって歩くその姿はあまりにも無防備で無警戒に見える。
――あれを痛めつけでもすれば、日景 遥も慌てるだろう。
――男にして小柄で顔立ちも可愛らしいあれが本当に男かどうか、脱がせて確認でもしてやろうか。
――きっと、とっくに「可愛がられて」でもいるだろう。
身勝手な、邪な、邪悪な思考でもってそれらは憐の後を付け始めた。
憐は気づいているのかいないのか。どちらにせよ、ついてくるそれらを気にする様子なく歩いていっている。
流石に、それらとて人目のある場所で絡みに向かう度胸はない。そんなことをして速攻遥にバレる危険を犯すほどの愚者でもない。愚者に変わりはないが、愚者にもレベルがあるのだ。
住宅街を進んでいき、あまり、人目のない道へ。
あと少し、あと少し…………
「……あ、カイザー司祭様。お買い物帰りっすー?」
「おや、憐。いえ、そうではないのですが……」
…………!
憐が、知り合いらしい司祭に話しかけにいった事でそれらは動きを止め、警戒態勢に入った。
東区にある教会の司祭……の、穏やかで人当たりがいい方だ。
大きな段ボール箱を抱えるように持っている。どこぞからおすそ分けでも貰ったのかもしれない。
「俺っちが持ちましょうかー?」
「……あなたが持つには、少しばかり重たいかと。野菜がたくさん詰まってますので」
「むぅ……俺っち、そこまで非力じゃないっすよー?」
二人並んで、教会への道を歩いていく。
……穏やかな司祭は両手がふさがっている。そもそも、背丈こそあるが荒事に慣れているような見目はしていない。
一緒に、襲ってしまえばいいだろう。
巻き込むようにしてしまえば、憐に対しても大層嫌がらせになるだろう。
今度こそ、それらは二人相手に距離を詰めようとして。
ひゅう、と。
あまりにも季節外れの、冷たい、冷たい風が、吹いた。
574 :
狂犬忠犬番犬猛犬
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 01:48:54.79 ID:ApD3L2JW0
「ただいま戻りました」
「こんにちはー、いつものお手伝い来ましたー」
カイザーと憐の声が聞こえて、教会の講堂で一人考え事をしていたジェルトヴァは顔を上げた。
確か、カイザーは北区の方に用事があると出かけていたはずだったが、帰り道で憐と合流したか。
そちらへと、視線を向けて。憐が、重たげに箱を抱えているのに気づいて、素早く駆け寄っていく。
「重たかっただろう。大丈夫か」
「いえ、大丈夫っすー」
「……すみません。こちらから手を放すわけにはいかなかったもので」
申し訳なさそうなカイザーの声に、仕方ない、とジェルトヴァは判断した。
何故なら、カイザーがメルセデスの司祭服の襟首をがっちりと掴んで、決して離さぬ体勢だったからだ。
猫の子のように掴まれて、メルセデスは不満げな表情を浮かべている。
……それでもその手を振り払っていないのは、結局はメルセデスがカイザーに頭が上がらぬのが原因だろう。
悪魔であるが故に、殊更、「契約」と言うものには強く縛られるのだ。
「…………では、メルセデス。少々、お部屋で話が」
「別に、お前らを護っただけだろうが。第一、お前らが絡まれた方が後々めんどくせぇだろ」
「一般の方を氷漬けにしようとしてはなりません」
……やらかしかけたのは、あの悪魔は。
半ば引きずられていくように奥へと連れていかれるメルセデスを見送り、ジェルトヴァはため息をついた。
「…………お前は、大丈夫か?」
「?俺っちは問題ないっすよー?怖い人達は、メルセデス司祭が何とかしてくれたっすしー」
「…………あの悪魔は気まぐれな面もあるから、気を付けるようにな」
「はーい。でもまぁ、カイザー司祭に関する事はあの人……人?悪魔、正直っすから。そこは信用してるっす」
へらり、と憐はいつも通りの笑みを浮かべる。
その笑みに、憐の母親に似た物を感じながらジェルトヴァは憐が抱えていた段ボールを受け取った。
キッチンまで運ぶべきだろう。
「量が量みたいっすし、収納お手伝いしますねー?」
「あぁ、すまないが、頼んだ」
ぱたぱたと、自分と並んでキッチンへと向かう母親似の小柄な姿を見て。
あまり荒事に巻き込みたくないし巻き込むべきではない、と……あまり、憐の母親たるフェリシテと重ねすぎてもいけないと己を戒めながらも、ジェルトヴァはそう、考えていた。
「――――あれは、そんな可愛らしいもんじゃねぇだろうに」
「メルセデス。話を聞いていませんでしたね?」
「お前が堕天したら聞いてやる」
「お断りします」
575 :
狂犬忠犬番犬猛犬
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 01:50:01.39 ID:ApD3L2JW0
狂犬、忠犬、番犬、猛犬。
見た目じゃ誰も、わからない。
Red Cape
to be … ?
576 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 02:44:41.46 ID:i7S41P6Po
>>571
乙ありです
> かなえなら……それだけの量いける、な……!(なおカロリー)
紅さん……ごめんね……
> 早渡君の携帯の中身……丸裸、だろうな……
これはちょっとした小ネタを行きたいですねー
>>572-575
投下お疲れ様でした
今回の襲撃者、非契約者だったか……命知らずな
さて
憐君とメルセデス氏の意味深長なやり取りは
戦技披露会(「足音、足音?」)にもありましたが、これは最後の最後まで目が離せんな
> 「メルセデス。話を聞いていませんでしたね?」
> 「お前が堕天したら聞いてやる」
> 「お断りします」
もうこのやり取りが実になんというか
577 :
雪かきやってもやってもまた次が来る花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 10:06:06.83 ID:ApD3L2JW0
>>576
>紅さん……ごめんね……紅さん……ごめんね……
普段からそれくらい食べてるし大丈夫じゃない?(酷)
>これはちょっとした小ネタを行きたいですねー
かわいそう(暖かい眼差し)
>憐君とメルセデス氏の意味深長なやり取りは
あ、ごめん、最後の会話はカイザーとメルセデスの会話ですね
メルセデスが「――――あれは、そんな可愛らしいもんじゃねぇだろうに」と言った「あれ」は誰の事なんだろうね
578 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 17:43:02.76 ID:i7S41P6Po
>>577
> 普段からそれくらい食べてるし大丈夫じゃない?(酷)
すまんな紅ちゃん
> あ、ごめん、最後の会話はカイザーとメルセデスの会話ですね
あー! 失礼しました……
> メルセデスが「――――あれは、そんな可愛らしいもんじゃねぇだろうに」と言った「あれ」は誰の事なんだろうね
クライマックスで来る! 絶対に「次世代の子供達」クライマックスで来る! と予想
では小ネタいきます
次スレに来れるのは……早めにしたい
579 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 17:44:49.48 ID:i7S41P6Po
●はじめに
これは「次世代ーズ」 「早渡、返答を受けて」のおまけです
本編にがっつり関連するかもしれませんが、関連しないかもしれません
一部登場人物の言動におかしいところがあるかもしれません、頭もおかしくなってるかもしれない
花子さんの人の連載「次世代の子供達」に登場する人物も引き続き登場します、この場を借りて花子さんの人に土下座申し上げます orz
●本題
>>569
> 見れば広瀬(晃)ちゃんのところに若干名集まってる様子だ
> 俺の携帯か? 角田の人から再び広瀬(晃)ちゃんに返された俺の携帯か?
> だが今はそれどころじゃない!!
このとき、何が起こっていたのか!?
@初コンタクト
晃 「……では、データを全部……ぶっこ抜く」
優 「あとで早渡君に怒られない?」
晃 「大丈夫、早渡だし」
システムメッセージ? 【あっあっあっ! ちょっとまって!!】
晃 「?」
晃 「早渡の携帯……なんか、いる」
優 「なんか?」
システムメッセージ? 【あっ、もういいよー! 準備OK!】
システムメッセージ? 【事前に話は聞いてたけど、脩寿のスマホからデータ吸い出すんでしょ?】
システムメッセージ? 【ボクが事前にデータをごっそり別の場所に移動しといたから、面白いものあんまり残ってないと思うよ?】
システムメッセージ? 【あっ、あとなんかトロイとか仕込むのは止めてねー! 結局ボクが苦労することになるからさー! 破壊は簡単だけどさー! 後処理がさー!!】
晃 「失敬。そんな真似は……しない」
優 (今の間は何?)
晃 「で。君は、だれ?」
システムメッセージ? 【あー、そこ気になるー? 気になっちゃうー?? うふふー❤】
A祷 毬亜、登場
晃 「勝手に。ビデオ通話、立ち上がった……」
優 「ヤバいやつじゃない?」
? 『あっ! 待って! ヤバくないから! 攻撃とかしないでよ!!』 ☜ 画面に青い空間が立ち上がった
? 『えっと、久しぶりなんだよなー、これ』 ゴソゴソ
? 『あっ! 映った? ハローハロー!? 見えるー? 聞こえるー?』 ☜ 画面に映った銀髪碧眼のおんなのこ
優 「わっ。何、この子」
女子『はじめましてー、花房君の幼馴染でしょー? 話は脩寿から聞いてるよー。ボクは祷 毬亜(いのり まりあ)! 脩寿と同じく「七尾」出身でアレの幼馴染なのー! よろしくねー!』 ☜ 両手を腰に当ててどや顔で胸を張ってる
晃 「こっちも、契約者?」
まり『そうだよー、んふふー❤ 能力で脩寿の携帯をリアルタイムでモニターしてまーす❤』 ☜ 水色のエプロンドレスをあざとくフリフリしながら
まり『ちなみにー❤ ボクは脩寿にあれやこれやされちゃって、今は脩寿の 愛人 兼 奴隷 なんだー❤❤』 テーン!
優 「 」
晃 「直斗直斗。とんでもないヤツが、出てきた」
直斗「なんだ? とうとうヤバい画像でも掘り当てたのか?」
580 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 17:46:07.85 ID:i7S41P6Po
Bフレンド申請
まり『というわけで、今の脩寿のスマホにはさっき話してた事件関連のデータしか置いてないから、君たちのお目当ては無いかもよー』 フフーン!
まり『でさー、ここから先はお願いなんだけどー。ボクとフレンドになってくれない? 相互しようよー』 ☜ 美少女が手を合わせて拝むようにお願い
まり『その代わり、脩寿の恥ずかしい写真とか、隠し持ってる画像とかそういうのをあげるからさー、どうかなー??』 ☜ 上目遣い
直斗「アレの情報と交換ってわけか」
晃 「コンテンツの、内容による」
まり『大人のお姉さんに抱きしめられて真っ赤になってる脩寿の写真とか、空七ちゃんにシバかれて悶える脩寿の動画とか』
晃 「乗った」
優 (乗っちゃ駄目でしょ)
まり『じゃあじゃあ! コード送るから、カメラで読み取ってー! 後は自動でフレンド登録されちゃうからさー!』 フフーン!!
晃 「こっちのスマホに、勝手に、……コード表示されてる」
優 「こっちにも来てるんだけど?」
直斗「俺のにも来たな」
まり『あっ! コード読み取る前に、いいねボタンとチャンネル登録してくれると嬉しいなー❤』 ☜ コード情報の下にある「いいね」ボタンと「SUBSCRIBE」アイコンを強調表示
晃 「……」 ☜ いいねと登録を無視ししてコードだけ読み取る
優 「 」 ☜ 表示されたポップアップごと削除
Cまりあ? 何やってんの、ねえ? おい? まりあ??
まり『気を取り直して! 脩寿の写真をいくつかシェアする前に、他の写真から共有しとくねー』
まり『脩寿がさっきみんなに見せた空七ちゃんの画像、確かに写りはいいんだけど他にもあるんだよなー』
まり『例えばこれ! 縛られて天井から吊るされた脩寿と、しばき棒で脩寿をぶっ叩いてる空七ちゃんの動画! ほしいー?』
晃 「ほしい」
まり『空七ちゃんとクル子ちゃんが水着を見せに来てめっちゃ照れてる脩寿の動画! ほしいー?』
晃 「ほしい」
まり『岐阜の小学生巫女ちゃん姉妹に両側から抱き着かれて顔面が大暴れしてる脩寿の写真! ほしいー?』
晃 「ほしい」
まり『同じく巫女ちゃん姉妹とプールでくっつかれてなんか葛藤してる脩寿の写真! ほしいー?』
晃 「ほしい」
まり『じゃあじゃあ、女子大生の巫女さんにおっぱい押し付けられて真っ赤になってる脩寿の写真! ほしいー?』
晃 「ほしい」
まり『これどうだろー? 半裸の「サキュバス」をキレながらしばいてる脩寿の動画! このあと逮捕された「サキュバス」が送って来たエッチな挑発自撮りもセットで! ほしいー?』
晃 「ほしい」
優 「……」 ☜ 動画を見ている
早渡『おいっ! やめろ空七っ!! マジでそれはお前オイまじでお前っ!!』
空七『うるさいっ!! 脩寿が悪いんだからねっ! バカーッ!! バカーッッ!!!』 ☜ しばき棒で早渡のケツをしばく空七
早渡『がああああああっ!! がああああああっ!! あ゛あ゛っ!! 当゛た゛った゛っ!! 当゛た゛った゛って゛っ!!』 ☜ 絶叫する早渡
優 「仲良かったのねー」
直斗「ちょっと早渡情報の共有用ルーム立てとくわ」
晃 「うん、頼んだ」
D深まる誤解?
いよ「まりあちゃんの声聞こえるんだけど、何してるの?」
晃 「あ。東先輩」
優 「あっ、ちょっ、一葉先輩は見ない方がいいと思います!」
まり「あっ、いよっちー! おひさー!」
いよ「お。みんなと仲良くなってるみたいだね、良かったねまりあちゃん」
優 「知り合い……なんですか?」
いよ「うん、早渡後輩と再会した頃に幼馴染ですって紹介されてね」
いよ「でも女装よく似合ってるよねー、かわいいし。ちょっとライバル心に火が着いちゃうかも」
晃 「?」
いよ「あっ、余計なこと言っちゃった?」
まり『ううん、最後にバラそうかなーって思ってたし! ボク、実は男なんです。うふふー❤』 テーン!!!
まり『ちなみにさっきの 愛人 兼 奴隷 ってのは冗談だからね❤ 脩寿とはほんとに仲いい幼馴染ってだけだから❤ んふふー❤❤』 ☜ 悪戯っぽく笑ってる
優 「 」
晃 「……」 ☜ 無言で花房君のアイコンタクト
直斗(早渡がコイツに女装を?)
晃 (ありえない、と。否定できないところが、……怖い)
581 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/04(金) 17:47:51.85 ID:i7S41P6Po
Eちなみに、前日譚
まり『ねー、脩寿ー! このアバターってどーおぅ? かわいくなってるよね?』 フリフリ
早渡「あー、かわいいかわいい」 ☜ 筋トレしながら
まり『このドレスもどうかなー? かわいいよねー??』 フリフリ
早渡「うん、いいんじゃねえかなー」 ☜ 夕飯を調理しながら
まり『そ・れ・で!! いつになったら千十ちゃんと日向ちゃんって子を紹介してくれるのさー!!』 プンプーン!!
早渡「……」 ☜ ベッドに寝転がって思案中
まり『こういうときだけ直ぐ黙るー!! そういうとこだぞ!!』 プンスコ!!
早渡「今後機会を改めてからな……」 ☜ 歯切れ悪い回答
早渡「まりあお前、俺の恥ずかしい過去の話とかするなよ? アレな写真を見せたりとか」 ☜ 疑わしそうな目つき
まり『やだなー、そんなことしないよー。 疑うのはやめてよー、もう脩寿ったらー』 ☜ 白々しいほどの棒読み
早渡(不安だ……) ☜ なんとも言えない不安げな顔つき
まり『…… ……んふふー❤』
●おわりに
今回まりあがシェアしたのは、大体早渡脩寿が恥ずかしがる過去画像や動画がほとんど
「七尾」や「広商連」の機密に関わる情報、見たら死ぬ系の画像、「名札付き」の写真 といった本当の意味でヤバい情報までは出してません
これが if でないとしたら、多分早渡もまりあが画像や動画を流したこと知っても頭抱えつつまりあにお仕置きするでしょうが、最終的に笑って許してくれるんじゃないかな?
最後に花子さんの人に改めて土下座申し上げます orz
582 :
雪の塊が屋根から落ちて振動感じた花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 17:53:49.84 ID:ApD3L2JW0
次世代ーズの人乙でしたの
おぉっと、そちらの方が早かったか
微妙に矛盾でるかもだけどまぁいいや
では、お夕飯支度前にいっきまーす
583 :
備えは大事
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 17:55:16.38 ID:ApD3L2JW0
■いままでのあらすじ
「みんなで遊ぼう」「みんなで遊ぼう人狼遊戯」
↓
>>510-513
「人狼遊戯のその後に」
↓
>>533-542
「次世代ーズ 「いよっち先輩からの質問」」
↓
>>548-550
「簡単なご返答」
↓
>>565-569
「次世代ーズ 「早渡、返答を受けて」
↓
今から投下するの
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ いくよ!
ヽ 〈
ヽヽ_)
584 :
備えは大事
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 17:56:25.85 ID:ApD3L2JW0
「「先生」、リアちゃん、どれくらい食べられそう?」
「ふむ?……あ、もうちょっと多くても大丈夫だ。あの子も、食べ盛りになりつつあるからな」
優がケーキを切り分けていた間、「先生」とそんな会話をしていたのが聞こえた。
リア、と。誰かの名前だろうそれを聞いて、かなえが首をかしげている。聞き覚えがなかったか。
「……「娘」の名前だろ。「先生」の」
「あ、そ、そっか…………あれ?」
ぽそりと伝えてやれば、納得した後にまた首をかしげている。
そうしてから、小さく「あ」と声を上げた。
「「先生」、娘さんいたんだっけ…………噂でしか聞いたことなくて、本当かどうか、知らなかった」
「俺はちらりとしか見たことないが。いるな。今は、どこかに出かけてんのか気配はないが」
少なくとも、自分が知っている範囲ではあれが「娘」のはずだ。愛百合が「あの先生に育てられるの、色々大丈夫かしらね?」と笑っていたのを覚えている。
その点に関しては、天地も「あの男一人で子育てするのは情操教育が終わるだろ」と言い切っていたし。他にも、誰かしら手助けはしているのだと思うが。
……それこそ、灰人がここに手伝いに来ているのは、半分、その「娘」の様子を見るのも兼ねてか。
(正確には、「先生」と、それが「娘」として扱ってるものの監視、も兼ねているんだろうが……)
「はい、これかなえと、慶次の分」
「あっ、ありがとう」
と、優がかなえとこちらの分も皿を差し出してきた。
こちらにはごく普通の量。かなえの分は…………
「……かなえ。その量いけるのか?」
「え?う、うん、これくらいなら……」
「…………そうか」
また太るのでは。その言葉は喉元近くまで出てとどまった。
当人もそれくらいはわかっているだろう。今、多く食べ過ぎたなら後で節制するはずだ。
…………多分。多分。
585 :
備えは大事
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 17:57:36.57 ID:ApD3L2JW0
……ここで、「闇市」でのこちらの呼び名を知っている奴と顔合わせるとは思わなかった。
「神隠し」と、あの白猫又が聞いていなくて良かった。「神隠し」からは後でさんざからかれるだろうし、猫又はぎゃいぎゃい変に騒ぐに違いない。「アヴァロン」に寄った折に、「狐」絡みは危ないからと双方そこに叩き込んで置いてきて正解だったという事だ。
…………もっとも、「神隠し」の方は遠く離れたあの異界からでもこちらを見ていてもおかしくないが。
「……さっきの話、憐にはするなよ」
「え?」
「色街の話やらそういう話題は、苦手だからな。あいつ」
ちらり、憐の様子を見る。
憐は、今しがた話していた坊主の携帯を手にしている晃の方を見ていた。
…………あ、灰人と龍哉が窘めはじめた。どの程度丸裸にされただろうか、あの中身は。
憐は少しばかり困っているような、呆れているような。そういう表情をしていて。
そうしてから、顔を上げた。こちらに近づいてくる。
「よぉ。この坊主の携帯の中身、護られたか?」
「待っっっっっっっっっって。みんなで何見てたの?むしろ広瀬ちゃん何してたの???」
「かい兄とりゅうっちが止めてくれたんで、あきっちのお母さんの契約都市伝説呼ばれずにすんだんで多分セーフっす」
それは止めなかったらアウトだったという事か。
晃のあぁいうところは父親似と言うべきなのか、それとも一緒に暮らしている他の連中の影響か。
憐の、坊主を見る眼差しが若干生暖かいというか、優しいというか。その点については気のせいにしてやった方が坊主の精神面にはよさそうだろう。
「憐、坊主に話でもあんのか?」
「ぁ、はい……」
「……なんか言いたそうな事ありそうな顔してるな、とは思ったけど。やっぱりか」
まだ幾分か考え込んでいるようではあったが。
ひとまず、坊主に話しかけに来る程度には心も落ち着いたらしい。
…………三年前の話は、今でも憐にとっては心を乱しすぎる。
「しゅうっちが探してる、「九宮空七」さんについて……ちょっと」
「空七について?」
「うん……その人の契約都市伝説。本当に、「ソドムを滅ぼす神の怒り」なの?」
俯きはせず、しっかりと、坊主を見て憐は問う。
え?と声を上げた坊主に、憐は言葉を続けた。
「正直なとこ。それだけの存在、「教会」が見落とすはずはないっす」
「…………創世記に書かれるようなもん、となると「教会」の警戒対象だからな」
「はい。そんなのが学校町や周辺に現れたなら。流石に、「教会」の本部からも連絡が来ます。「バビロンの大淫婦」の絡みで派遣されてきたのがジェルトヴァさん一人、ってのも。「ソドムを滅ぼす神の怒り」がいないって判断材料になりえます」
こちらの言葉に対して、憐はさらにそう続けた。
確かに、そこは引っかかる点だ。
二十年程前の「十三使徒」の大事件のゴタゴタが尾を引いているとはいえ、「教会」は世界でも歴史深く、世界中に根を張る大組織であり。その根源は簡単に揺らぐものでなく、そこに所属する者は世界に目を光らせる。
警戒対象を、封印対象を、そうやすやす見落とすとは思えない。
憐の問いに、坊主も考えているようで。
「そりゃそうだ、俺も気になってた。『旧約』起源のあんな規模なANと契約とか、『教会』が見過ごすはずは無いだろうし、そもそも『教会』なら契約される前にANを確保するんじゃないか?」
「確保と言うか…………まぁ、確保ですむならいい、のかなぁ?契約しちゃってて、それを身勝手に使ったとしたら。だいぶ上の方の人が「めっ」ってやりに来ると思うんすけど」
かなり柔らかな表現にとどめているが、最悪「消されかねない」と言う事だろう。
憐の母親の「教会」での上司は、確かだいぶ上の立場だったはず。
だからか余計に、憐は「教会」の裏側の知識を持っている……あの氷の悪魔が面白がって教えた可能性も否定はできないが。
「最悪、「ソドムを滅ぼす神の怒り」を装った別のもの、の可能性もあるっす…………ものがものなんで。それ装うとなるともっと危ないものの可能性もあるんで。そこは、気を付けて」
「……あぁ。とにかく本人かアイツの近場にいた佳川有佳を押さえて尋問するしかしない限り、ハッキリした答えは出ないと思うし……備えはしておくよ」
「ん、なんだい。迷い子の少年にも保険必要かい?一回分の保険くらいならすぐにでも迷い子の少年に仕込めるけど」
「「先生」、ステイ。「先生」がご自分以外に仕込む保険とか、嫌な予感しかしないんで」
するりと話に入り込んできた「先生」の言葉を、憐は笑顔であっさり切り捨てた。
正解だろう。本当に何をやらかすかわからない。
残念、と「先生」は軽く笑ってはいるが。下手に動かれて組織間問題を起こされても困るだろう。
「一応、万が一の「保険」が欲しくなったら言うといいよ。「エクスカリバー」の契約者と戦う為に彼の者が仕込んだものには劣れども。それ以前にこっそりと我が親友が彼の者に仕込んでいた物程度であればいくらでも用意できる。痛みも快楽も何もなく仕込んであげる程度はできるからね」
薄く笑いながら、そぅと坊主に囁きかけた、その様子は。
ある種、「悪魔の囁き」にも似たものにも見えて。
…………この、ある種の艶やかさは、この男もまた、正気の頃と発狂していた頃問わず、人を惑わせた者であり。
今もってなお、ある種、他人を惑わせ狂わせるものであるのだと、思いださせた。
to be … ?
586 :
お夕食ハンバーグ支度してくるのでレス返しその他は夜な花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/04(金) 17:59:42.13 ID:ApD3L2JW0
ちょいわかりにくいけど前半慶次視点、後半鬼灯視点です
早渡君、保険は欲しかったら「先生」、笑顔で仕込んでくれるよ
587 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/05(土) 13:48:06.06 ID:RCfG/gabo
どうもこんにちは、昼休みーズです
>>584-585
投下お疲れ様でーす
ほう……ほうほう、続けて?(ニコォォ)
ちょっとこのあたりで娘さんのお話が出ましたね
言われて気づいたけど荒神灰人君は「レジスタンス」からの監視要員かー
恵ママの「スーパーハカー」さん呼ばれてたら、さすがのまりあもストップかけたと思う(多分)
>>582
>微妙に矛盾でるかもだけどまぁいいや
>>579-581
のまりあ登場を、最初は
>>569
のタイミングで想定していましたが
これを
>>585
で憐君と早渡が話してるタイミングに移動すれば、辻褄は合うかな?
つまり修正した後のタイムライン的には
>>569
晃君が早渡携帯を弄っている
↓
>>585
灰人&龍哉&憐君が晃君を止める
このタイミングで憐君が早渡に若干生暖かい視線を向ける原因となるものを見る?
↓
同じく
>>585
憐君と早渡と鬼灯さんと「先生」が話をしている間に、晃君が 再度 早渡携帯を弄る
↓
>>579-581
晃君にまりあがコンタクト
そして早渡の過去写真公開大会が😇
……こんな感じだろうか
……
>>579
で本編に関連するかしないかは分からないと明示しましたが
次世代ーズの中では
>>579-581
を本編に組み込む気になってきたよ
> 憐の、坊主を見る眼差しが若干生暖かいというか、優しいというか
すると一体彼が何を見たのかが問題になるか
まりあ登場までの早渡携帯には事件関連のデータしか入ってない状態なので
(
>>537
で「問題ないよ。ヤバい情報とか恥ずかしい画像なんかは事前に別ストレージへ避難済みだから」と早渡も発言済)
そう考えると、恐らく「ピエロ」関連の卑猥な画像を見てしまった可能性があるかな?
>>586
それでは以下、早渡のお返事回をいきます
588 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/05(土) 13:48:52.01 ID:RCfG/gabo
>>584-585
「備えは大事」 へのクロス
●内容
・「先生」への早渡のお返事
・診察行為
♥
589 :
次世代ーズ 「厚意、返答、触診、そして」 1/3
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/05(土) 13:50:59.76 ID:RCfG/gabo
「しゅうっちが探してる、『九宮空七』さんについて……ちょっと」
「空七について?」
「うん……その人の契約都市伝説。本当に、『ソドムを滅ぼす神の怒り』なの?」
「え?」
憐ちゃんに話し掛けられた
何とか持ち直したらしいが、一瞬話し掛けられて呆けてしまった
ややあって理解が追いつく。憐ちゃんも憐ちゃんで空七のANが気がかりらしい
憐ちゃんの所属は教会系、そりゃあ気になるよな
「正直なとこ。それだけの存在、「教会」が見落とす筈はないっす」
「創世記に書かれるようなもん、となると「教会」の警戒対象だからな」
「はい。そんなのが学校町や周辺に現れたなら。流石に、『教会』の本部からも連絡が来ます
『バビロンの大淫婦』の絡みで派遣されてきたのがジェルトヴァさん一人、ってのも。『ソドムを滅ぼす神の怒り』がいないって判断材料になりえます」
んん、これは教会筋の情報か
教会、少なくとも憐ちゃんレベルでは『ソドムを滅ぼす神の怒り』が、此処、学校町には存在するとは見ていないと
「そりゃそうだ、俺も気になってた
『旧約』起源のあんな規模なANと契約とか『教会』が見過ごす筈無いだろうし
そもそも『教会』なら契約される前にANを確保するんじゃないか?」
「確保と言うか……、まぁ、確保で済むならいい、のかなぁ?
契約しちゃってて、それを身勝手に使ったとしたら。だいぶ上の方の人が『めっ』ってやりに来ると思うんすけど」
憐ちゃんなりに気を遣っての物言いだろう、言わんとするところは理解できる
空七は教会に抹殺される。人間なんて不安定なモノを器に、信仰基盤に関わるANを委ねるなんざ狂気の沙汰だ
仮に空七が「神の怒り」ないしそれに類するANと契約してるなら、かなり穏当なところでは空七は教会の管理下に置かれるだろう
普通なら空七を殺してANを剥奪し契約書状態にまで還元する。というか俺が教会の立場ならそうする。なにせ想定されるものが「神の怒り」だ
あるいは憐ちゃんがそれとなく指摘してるように
空七のAN-Pが「神の怒り」ではなく単なる俺の見込み違いだったとしたら?
他にもあるかもしれないだろ、「旧約」以外にも赤黒の光を放って範囲内のモノを塩の柱に変える奇蹟が
嘘を吐くな、自分に嘘を吐くな
空七の“波”を知っているのは? 他ならぬ俺自身だろうが
あの光景を、あそこで見たモノを、あのとき感受した“ニオイ”を、見なかったことにするつもりか?
『いくらWasが強力だろうと、発動しさえしなければ。“世界”から隠蔽するなんて造作無いことだよ』
『たとえ発動するにしても。それも結界内で完結させればいいだけのこと。騙したり隠したりはこの業界の当たり前でしょ』
奥歯が、軋んだ
落ち着け、いいから今は落ち着け
空七は今、「狐」と共に学校町に居るかもしれないし、居ないかもしれない
少なくとも教会は、現時点ではまだ目立った動きは見せていないということ、今はそれだけの話だ
懸念ANは現時点で二種類、ひとつは既に言った「神の怒り」、こちら自体も確証の取れない情報だった
もう一つの方は「神の怒り」以上に確証が取れないあやふやなもの、しかし拡大解釈の方向性如何では神聖四文字の立場をも脅かしうる強力な
隠せ、今は隠せ。考えるな
「最悪、『ソドムを滅ぼす神の怒り』を装った別のもの、の可能性もあるっす――ものがものなんで
それ装うとなるともっと危ないものの可能性もあるんで。そこは、気を付けて」
「……ああ
とにかく本人か、アイツの近場にいた佳川有佳を押さえて尋問するかしない限り、ハッキリした答えは出ないと思うし……備えはしておくよ」
何をどう備えると言うんだ
俺では手も足も出ないだろうが、どう戦えと? 何を言っているんだ、俺は
「ん、なんだい。迷い子の少年にも保険必要かい? 一回分の保険くらいならすぐにでも迷い子の少年に仕込めるけど」
憐ちゃんと「先生」の会話で、我に返った
しまった、なんの話だ? 今の俺、思考が妙に捩じれてたな
「先生」と、目が合った――軽い笑みを浮かべている
なんか今、憐ちゃんと俺の話にすっと入ってきた?
590 :
次世代ーズ 「厚意、返答、触診、そして」 2/3
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/05(土) 13:53:06.60 ID:RCfG/gabo
「『先生』、ステイ。『先生』がご自分以外に仕込む保険とか、嫌な予感しかしないんで」
憐ちゃんも憐ちゃんで「先生」の提案を思いのほかばっさり笑顔で切り捨てた
てか憐ちゃん、「先生」をワンちゃんみたく言ってるけど、いいの? 大丈夫?
うっすら微笑を浮かべながら、「先生」はそんなことを言ってくる
なんというか、今まで見たことのない、笑いかけ方だった。心の奥底を指先で撫で付けられるような、そんな錯覚
「一応、万が一の“保険”が欲しくなったら言うといいよ
『エクスカリバー』の契約者と戦う為に彼の者が仕込んだものには劣れども
それ以前にこっそりと我が親友が彼の者に仕込んでいた物程度であればいくらでも用意できる
痛みも快楽も何もなく仕込んであげる程度はできるからね」
「あ、結構です」
自分でも意外なほどに即答していた
「本当に? 必要ないのかね?」
「ご厚意はありがたいのですが、結構です。俺も俺で“保険”を拵えちゃったんで。欲張りすぎて俺の中で競合しちゃうと大変だから」
ご厚意はありがたいのですが、結構です。俺も俺で“保険”を拵えちゃったんで。欲張りすぎて俺の中で競合しちゃうと大変だから
それに小さい子は目にしたもの、直ぐに口に突っ込んじゃうじゃないですか。あれやられると大変なんで
「それに小さい子は目にしたもの、直ぐに口に突っ込んじゃうじゃないですか。あれやられると大変なんで」
「ふむ? 結構。では“保険”が必要になったらまた声を掛けたまえ」
たしか「薔薇十字団」で、契約者に仕込む“保険”――となったらやっぱりアレだろうか。量産型「賢者の石」なんだろうか
というか「先生」、さっきから何かちょっと笑顔が怖いんですけど、大丈夫でしょうか?
何かしらの凄味を感じるんですけど。不穏さも感じちゃうんですけど。「先生」?
「あーっ! 『先生』っ!! 聞いてくださいっ!! 早渡後輩なんですけど、『ピエロ』に拳銃で撃たれたみたいなんですよっ!!」
いきなり背後から大声を出されてビックリしそうになった
振り向けば、いよっち先輩
「撃たれたのに病院にも行かずに自分で治したって!! そういうの良くないですよねっ『先生』っ!? 診察する必要ありますよねっ!?」
「ふむ? それは初耳だ、撃たれたのかね? 銃創の自己治療は命に関わるよ? 診 て あ げ よ う 」
「ほらっ! お姉さんも付き添ってあげるから! 『先生』に診てもらお? ねっ?」
「えっいや、あの、撃たれたって言っても! 数日前、あっいやっ、もう一週間前だし! もう傷も完治してますし! ピンピンだし!」
「つべこべ言わない! ほらぁ、早く診察室に行くーっ!!」
「あのっ、あのっ――!!」
ちょっと怒ったような様子のいよっち先輩と、先ほどとは違った意味で凄味の増した「先生」の笑顔に圧され、思わず周囲を見回した
鬼灯さん! は別のところを見ている! 憐ちゃん! と目が合った――そのっ、……助けて!
「駄目っす、ちゃんと診てもらうっすよ」
「憐ちゃんらしい真面目な回答っ!!」
笑顔、ではなく
毅然とした顔つきで、憐ちゃんにそう言われてしまった
思わず足から力が抜けそうになり、なおも周囲を見回すと
「……なんで広瀬(晃)ちゃんのとこに人が集まってるの? ねえ、みんな俺の携帯見て何してんの?」
「あっ。さっきまりあちゃん出てきてたよ? みんなに挨拶してたし、早渡後輩の、あ……なんでもない」
「なんでもなくないよね!? いま何言い掛けたんだ!? おいコラ毬亜ァっ!? お前何してんだぁぁ!!??」
「はいっ大声出さないのっ!! ほらっ、診察室に行くよーっ!!」
いよっち先輩にぐいぐい押されて部屋から強制退出されてしまった
途中で広瀬(優)ちゃんと目が合った。非常に複雑そうな眼差しを俺に向けた後、露骨に視線を逸らしおった
なに? なんなの? 怖いんですけど!? 毬亜あの野郎、何してくれたんだ!?
どうしよう、不安しかない
591 :
次世代ーズ 「厚意、返答、触診、そして」 3/3
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/05(土) 13:54:50.58 ID:RCfG/gabo
「それではゆっくりと深呼吸をして。そう、繰り返して」
とびっきり、胸いっぱいの不安と
もしや取り返しのつかない状況になってるのではという悲壮感に満たされたまま
俺は隣室の診察スペースで、「先生」に体を診てもらっていた
俺は上半身を脱いで、「先生」に診察されていた
首のリンパ節を軽く指で押さえられている
温かいようでひんやりとした「先生」の指が、どこか心地よかった
いよっち先輩は俺と一緒に診察スペースのなかに居た
背後から先輩の視線を感じる、ちょっと意識してしまう
やがて座っている丸イスを回転するようにして、今度は背中側を診られた
いよっち先輩と目が合う――上半身とはいえ、俺は素肌を見られているわけで
どうしような、恥ずかしくなってきたぞ
俺の気持ちを察したのか、先輩は「先生」側へ移動したので俺の視界から外れた
「先生」の診察途中だし、下手に動くわけにはいかない
「……どこが、撃たれたところなんですか?」
「うむ、傷は確かに塞がってはいるが。――此処と、此処と、此処だ」
「あっ、ほんとだ。ちょっと痕っぽくなってる……」
「しかしそれも数日経てば殆ど目立たなくなるであろう」
「先生」が指先でそっと傷痕を触れるのを感じる、少しくすぐったい
直後、別の感触を感じて思わず声を出しそうになった
ひょっとして、先輩も触ってる!?
「そして銃弾は少年の体を貫通した、前にも痕跡が残っているね」
出し抜けに椅子が回転する
――割と直ぐ近くにいよっち先輩の顔があった
「痛く、ない?」
先輩と、目が合う
心配そうな、そんな声色で
先輩の指先が、再度、傷痕を撫でた――腹の、少し上の辺りだ
細められた先輩の眼が、俺の傷痕に向けられている
かすかに開いた先輩の口から、白い歯が辛うじて見えた
ヤバい、何がどうヤバいのか、分からないけどなんかヤバい
先輩の吐息が、俺の肌に当たってるんですけど。これはちょっと、なんかムズムズしてきた!
声も出せず、そのまま硬直する
先輩は先ほどから俺の腹の傷を指先で撫で付けていた
くすぐったいどころではない、なんかゾクゾクしてきた
目が、泳ぐ――先輩が前屈みの姿勢で傷に触れてくるもんだから、開いた襟元から、先輩の胸が
やめろ! 早渡脩寿!! いよっち先輩は、年上とはいえ中学生だぞ!!!
「戻ってきたお嬢さん? その辺にしておきたまえ? 少年の繊細ハートがそろそろ悲鳴を上げそうだからね」
「ふぇ? ……あ゛っ!! ごめんっ!! ごめんね! 勝手に触っちゃった!!」
弾かれた様に身を離す先輩と、朗らかに微笑む「先生」
顔が熱い。やだ、今直ぐ服を着たい!
さっきのアレコレ、なんかもう全部「先生」に見透かされてた気がする!!
□■□
592 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/05(土) 13:55:32.82 ID:RCfG/gabo
今回はすぐ返事ネタ行けるだろと見ていましたが……
今後の流れを考えたうえで、一旦お断りとなりました
今回も事実誤認や「その描写ちょっとおかしい」等あれば、是非
593 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/05(土) 14:24:16.17 ID:RCfG/gabo
……待てよ、このタイミングで早渡に仕込もうと思えば仕込めるか
一葉先輩もちょっと怒りながら「また危ない目に遭いそうなら『先生』にやってもらいなよ!(何やってもらうのか知らないけど)」と言いそうだし
早渡も押されたら押されたで「じゃ、じゃあ一回分だけ」とか言いそうだし……最終的な判断は「先生」に委ねよう
お昼休みを終えます
594 :
今夜は卓あるんで投下無理っぽい花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/05(土) 17:14:05.91 ID:SuupVGOq0
投下乙でしたの
都市伝説をその気になれば誤魔化せるのは、まぁ憐の場合身近にそれをやってた奴がいるから余計にその辺考えるんですよね
えぇ……幾百年もの間、雹と霰の天使バルディエルに成りすましてた氷の悪魔クローセルと言う実例がいますから……
ちなみに都市伝説の誤魔化しや誤認に関しては、「先生」も「先生」なりに解説はする、かも?(予定は未定)(必要そうならやる)
うん……憐なら……ちゃんと診てもらうように言うね。仕方ないね
青少年のナニかが危ない所だったね。セーフ
>てか憐ちゃん、「先生」をワンちゃんみたく言ってるけど、いいの? 大丈夫?
母親の「先生」に対する態度模範にしてるだけなんで多分大丈夫です(???)
>>587
>言われて気づいたけど荒神灰人君は「レジスタンス」からの監視要員かー
真面目に助手としてお手伝いもしてるんですが、そういう一面もあります
「レジスタンス」に正式所属している訳では(現状)ないので、「先生」がなんかやらかしたら母親に告げる程度ですけど
>恵ママの「スーパーハカー」さん呼ばれてたら、さすがのまりあもストップかけたと思う(多分)
ストップかけないとギャグ方向で見られたくないもの全部発掘されかねない
>……こんな感じだろうか
それで大丈夫かな
>そう考えると、恐らく「ピエロ」関連の卑猥な画像を見てしまった可能性があるかな?
もしくは、「スーパーハカー」呼ばなくとも晃が自分でできるレベルでなんか発掘しちまったかどっちかですね
>>593
>早渡も押されたら押されたで「じゃ、じゃあ一回分だけ」とか言いそうだし……最終的な判断は「先生」に委ねよう
おっ、じゃあ行くか
大丈夫よ、一回きりのなら東ちゃんに「ちょっと目と耳塞いで背中向けててねー」って言わずにすむ
早渡君が口開けて飲み込んでくれりゃ一発よ
595 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/06(日) 00:31:13.90 ID:xaiXbPYRo
>>594
乙ありでございます
> 都市伝説をその気になれば誤魔化せるのは、まぁ憐の場合身近にそれをやってた奴がいるから余計にその辺考えるんですよね
だよなあ、絶対くるよなあ、憐君も心配してるとしたらそこだよなあ
早渡は一人でグツグツしますが、「先生」や憐君が都市伝説の欺瞞、隠蔽、誤認、等々に言及するかは全面的に委ねます
後々にも言及できる機会は大量に出てきそう
いいのか「先生」、それでも「先生」穏やかに笑ってるんだろうなあ
> おっ、じゃあ行くか
> 早渡君が口開けて飲み込んでくれりゃ一発よ
行きます、飲みます! やりますよ、彼は
596 :
昨晩夜更かしだったのでねむねむ花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/06(日) 10:30:31.21 ID:oKMNb8Wc0
>>595
> だよなあ、絶対くるよなあ、憐君も心配してるとしたらそこだよなあ
憐だけじゃなく、幼馴染ず全員が心配っつか、その可能性は考えてますね
みんなメルセデスの事は知ってるし、他にも都市伝説を誤魔化したり、正体誤認される可能性については色々実例知ってるから
「先生」辺りに、その点さらっと説明させられるのが理想なのでがんばりゅ
> いいのか「先生」、それでも「先生」穏やかに笑ってるんだろうなあ
慣れちゃってるってか、「先生」、憐と憐の母親にはかなり甘いですよ
> 行きます、飲みます! やりますよ、彼は
了解!
597 :
気づいたら日付越えてた花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/07(月) 00:41:28.52 ID:7IqL4E0R0
■いままでのあらすじ
「みんなで遊ぼう」「みんなで遊ぼう人狼遊戯」
↓
>>510-513
「人狼遊戯のその後に」
↓
>>533-542
「次世代ーズ 「いよっち先輩からの質問」」
↓
>>548-550
「簡単なご返答」
↓
>>565-569
「次世代ーズ 「早渡、返答を受けて」
↓
>>584-585
「備えは大事」
↓
>>589-591
次世代ーズ 「厚意、返答、触診、そして」
↓
今から投下するもの
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ いくよ!
ヽ 〈
ヽヽ_)
598 :
保険仕込みと時間つぶしの雑談
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/07(月) 00:43:05.18 ID:7IqL4E0R0
にこにこと、穏やかに。「先生」は脩寿を見つめる。若いなぁ、と。
青少年の何かが危なかった気配がしたが、まぁ仕方ない。若いのだし。おっぱいにはそういう魔翌力が存在するものだ。
まぁ、そんな微笑ましい様子は一旦さておき、だ。
「弾丸の特殊効果は、本日の茶がエリクサー仕様だった故に解毒は完了しとると思うが」
「聞けば聞くほど、世の錬金術師が卒倒しそうというか一杯辺りの値段想像すると怖い」
「何かあったら、都市伝説関連わかる医者にきちんと診てもらうようにするんだよ」
エリクサーに関しては、「先生」は己の契約しているものの力でそこそこ気楽に生み出せるため、気にしていない。
それくらいの材料は、もしもの場合に備えて用意しているしある程度取り込んでいる。
いつでも、必要なものを錬金できるようにしておくぐらいはしてあるのだ。
そうじゃなければ、いざと言うときの緊急治療時に困る。
「……に、しても、早渡後輩。また危ない目に遭いそうなら、「先生」の言う保険、やってもらいなよ!」
「えっ。あ、いや、でも……」
「もしもの時の備えは多い方が大事だよ。こう……切り札のさらに切り札、じゃないけど。保険のさらに保険!」
ぷんすこした様子で、一葉が脩寿にそう告げている。
備えが多い事に関しては、「先生」も同意するところだ。
むしろ「先生」の場合、己が誰かが成し遂げようとする事柄の「保険」となる事が今の役目、と思っている節すら多少はある。
それを口に出してしまうと、九割方苦言を呈されてしまい首をかしげる事にもなるが。
脩寿は一葉に言われて、ぐぬぬぬ、と考え込んでいるようだった。
一度断りはしたものの、彼女に強めに押されると弱いのだろうか。
将来、女性の尻に敷かれていそうな気配を感じたが、そこは指摘せずとも良いだろう。
「……じゃ、じゃあ、一回分だけ」
「ふむ、わかった。では迷い子の少年、口開けて」
「?はい」
言われた通りに口を開く脩寿。
「先生」はぱちり、手元を赤く輝かせてそれを生み出すと、ぽい、と。
生み出したそれを、脩寿の口の中に放り込んだ。
あ、と脩寿は声を上げるよりも早く、小指の爪ほどの大きさのそれを飲み込んでしまう。
「良し、保険仕込み完了」
「早い!?」
「なんか、宝石みたいに赤いちっちゃなキャンディを口に放り込んだみたに見えた」
「一回きりだが、命にかかわる怪我、毒、病に対抗できる。一度きりの命のストック、と思うと良い。今風に言うと「残機が増える」?」
かつて、「組織」のとある黒服にこっそり仕込まれていた物。
「賢者の石」の劣化版。一度きりしか発動しない未完成の代物。
それよりもう少し上等な……その「組織」の黒服が、「エクスカリバー」の契約者たる狂人との戦いに備え仕込んだほどのレベルの劣化版「賢者の石」となると、流石にここまで気楽には仕込めない。
が、逆に言えば、一回きりの使い捨て性能のものであればこの程度気楽に仕込めるのだ。
あの「黒服」が気付かれぬうちに仕込まれていたのもそのせいだろう…………それを行ったのは、「先生」の古い友人なのはさておく。
「さて、一応、馴染むまで拒絶反応出ないか少し待とうか。あ、服は着ていいよ」
「あ、はい」
ごそごそと、脱いでいた上半身を着こんでいく脩寿。
その様子を見つつ、さて、と「先生」は思案する。
ただ待っているだけも暇だろう。何かしら、話題になりそうな事柄はあるか。
考え、あぁそうだ、と、話題を向けることにした。
「迷い子の少年。君は、君が探している少女の契約都市伝説が真に「ソドムを滅ぼす神の怒り」であるかどうか。その辺りの会話をしていたね?」
「…………はい」
脩寿としては、そこは考え込んでしまう案件なのだろう。
ぐつぐつ、ぐつぐつと、考え込みすぎて内で煮えたぎり、その思考そのものが毒と化してしまいかねない程に。
思考は止めるべきではなく、立ち止まるべきではなく、とどまってしまえば最悪濁り腐り何もわからなくなる。
そうではないだろう、と断言して否定するつもりはないが。
少しばかり、濃度を薄める程度ならいいだろう。
599 :
保険仕込みと時間つぶしの雑談
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/07(月) 00:46:46.10 ID:7IqL4E0R0
「我が助手の従弟が疑問を呈したのは、あの子の情報網的には当然といえば当然であろ。あの子が通う「教会」の支部には、凍れる悪魔の御仁もおるしな」
「凍れる悪魔……あれ?教会なのに、悪魔?」
「先生」の言葉に、疑問符を浮かべたのは一葉だ。
まぁ、そうだろう。通常、「教会」と言う名称を聞けば、そこに悪魔がいるというのはあまりイメージにはあわない。
「そうだよ。かつて、幾百年もの間、雹と霰の天使「バルディエル」に成りすましていた凍れる悪魔。ソロモンの悪魔の一体にして四十八の軍団を指揮する侯爵。天使の姿をもって現れる、かつては竜でもあった者。「クローセル」。二十年程前のごたごたで正体がばれても、幾重もの策略と保険と誰かさんの情けにて。今なお「教会」に所属したままだ」
「成りすます、ですか……」
「うむ。当人が策を巡らせたせいもあるが。そもそも、成りすましていた天使が司るは雹と霰。凍れる悪魔であれば、装うのは難しくなかろうて」
「似たような感じだから、バレにくかったって事、かな……?」
そうだ、と一葉に対して「先生」は頷いて見せた。
似たような存在。故に誤認しやすく、正体はバレにくい。
「「通り悪魔」の御仁が、「悪魔の囁き」と間違われやすいというある種似たような例もあるな。当人は成りすましているつもり等ないが、能力が似ているが故、間違われやすい」
「あぁ、聞いたことあります。そのせいで面倒な事に巻き込まれた事もあるとか」
「あの御仁の場合、人型とっとる「悪魔の囁き」系統の知り合いもいるしねぇ。当人にしてみれば、自分の能力の方が扱いにくいとの事だが。他者から見れば似たようなものだろう」
「先生」は、脩寿を見つめる。
診察前に、保険を仕込むかと問いかけた時の誘いかけるような艶やかさは今はなく。穏やかに人を教え導かんとする教師の笑顔。
……もっとも、あの問いかけをしていた際、己がある種の艶やかさを帯びていた自覚は「先生」にはない。
かつて、己の心に入り込み染め上げ「愛」を植え込み操ってきた女を、逆に本気で惚れさせ結果的に死に至らしめた人の心を誘う天性の毒を。毒を知り尽くしたはずの男は自覚すらしていないのだ。
「……その都市伝説にもよるが。誤魔化し、偽る事はできる。誤認してしまう事はある…………思い込みは、時として猛毒にもなりえる」
「それは…………」
「人は、時として己の記憶にすら、己の感情にすら嘘をつく。正直、私も過去に思い切り経験がある。他者によって感じた印象すら操作される事もある…………我が助手の従弟が言うていたように。最悪、別のものである可能性も視野に入れた方が良いかもしれん」
「……でも。人を塩に変えちゃう、とか。そんないかにも特徴的な事、他の都市伝説で装えるのかな……?」
もっともな疑問を一葉が口に出し。
「先生」は、即座に答える。
「できるよ。ものすごく頑張れば私でもできる」
「「えっ」」
「やらんけどね。「姫君」から踏みつけられるどころかいっそ半殺し……いや、私は簡単には[
ピーーー
]ない故いっそ生殺し?にされる勢いで怒られる事確実であるし」
むしろ、やる必要もないのだが。
その結果を引き起こすことは、幾重にも能力を積み重ね使えばできるが。
そこまでの労力をかけてやる事ではない。
シンプルに毒をばらまいた方がずっと早い。それはそれで怒られるのでやらないが。
「他にも、かの「魔法」の契約者。「天災」たる魔法使いカラミティ・ルーンもできるだろうな。あの御仁はもっと派手に愉快で残虐なやり方を好むから、好き好んではやらんだろうけど」
「「魔法」……」
「あぁ言う万能一歩手前の力は、その気になれば誤認させやすいしされやすい。多種多様な事を行える者が、その一部だけをもって偽ると実に厄介だよ」
あの魔法使いの活動圏内は主にヨーロッパ……この学校町に甥っ子がいたり友人と認識した者がいたりでそこそこの頻度でやってくるが一旦それはさておく……、例で出されてもピンと来ないか。
ついでに、と。おそらく脩寿なら知っているであろう人物を、「先生」は例にあげる事にした。
600 :
保険仕込みと時間つぶしの雑談
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/07(月) 00:48:22.10 ID:7IqL4E0R0
「迷い子の少年。「刀狩り」の青年は知っているかい?「獄門寺組」に所属しとる契約者なんだが」
「刀狩り?…………「刀狩り」の鉄(くろがね)さんですか?「獄門寺組」幹部の?「獄門寺組」に手を出そうとしたよからぬ集団を、たった一人でたいして時間もかけずに壊滅させたって言う?」
やはり知っていたか。
当人は「自分はフリー契約者!どこにも所属してないから!!」と言い張っていたが、やはり他からは「獄門寺組」所属認識だった。
「君は、「刀狩り」の青年が、どんな都市伝説と契約しているのか知っているかい?」
「「数珠丸恒次」や「蜥蜴丸」を使って戦ってた、って話を聞いたので刀剣類の都市伝説複数の契約、でしょうか」
「ふむ。やはり、よそからはそう認識されとるか」
「その言い方だと、早渡後輩の予想、外れてる……?」
「うん、違うね。実際は何であるのかは、「獄門寺組」所属ではない私が言うと角が立つ故、あとで「通り悪魔」の御仁辺りに聞くと良いとして、だ」
あれは、その能力によって「奪い取った」刀剣だけ扱って戦っているところしか見られていないと見破られにくい。
鬼灯は、獄門寺家に出入りしていて幼い頃の彼に剣の稽古つけてやった事もあるとかで「弱点狙い打ちされると一撃だったからな」と明確な弱点に気付いたが故に契約都市伝説を見破っていた。今は流石にその弱点をやすやすと狙わせてはくれないから稽古相手するのは無理と言っていたが。
「あれも、能力の一部だけ活用している現場しか見せていないと、見破るのは難しかろう。迷い子の少年のように、誤認してしまっても仕方ない」
「能力の一部…………」
「ただたまたま、能力の一部だけを見られたが故の誤認ならば良いが。意図して誤認させてくる場合は殊更、見破るのは難しくなろうて」
…………ましてや。
「……そこに、悪意と言う毒が混じれば。余計に、ね」
果たして、意図して誤認させたのか。
それとも、たまたまだったのか。
そこに、悪意と言う毒はあったのか。
(もしも、「言霊」だったりしたら実に厄介な猛毒。せめて、それではないと祈ろうか。祈る神などないが)
口に出してしまえば、それこそ疑念と言う強すぎる毒になりかねないそこは、今は口に出す事なく。
警告の一種として、伝えるべき事を伝えるに、とどめた。
to be … ?
601 :
切腹土下座準備する花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/07(月) 00:52:12.46 ID:7IqL4E0R0
次世代ーズの人様に土下座しつつ投下完了
ひとまず、早渡君に一回限り発動の「賢者の石」を仕込みました
軽いものなので拒絶反応も出ないでしょう
ついでに、都市伝説を誤認しえる可能性とかについての軽い雑談
東ちゃんに、そこそこ疑問を飛ばすポジになっていただきました
602 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/08(火) 03:08:00.73 ID:quppXvrko
投下お疲れ様でしたー
保険、大事に使わせて頂きます😇
にしても早渡と先輩の距離感いいですね
「先生」の古い友人、ゲデさんかな?
「刀狩り」の鉄さん、一応フリーの立場と自称しているということは
闇市でも護衛もしくは戦闘要員としてフリーランスで活躍してるんですかね
早渡の口振りからしたら鉄さんと直接お会いしたことがない、もしくは
仮に闇市でお会いしてたとしても会話だけで戦い方とかは直接見たことがない感じだろうか
> あとで「通り悪魔」の御仁辺りに聞くと良い
ここなんですけど、早渡的には (本当に聞くとしたら、直接鉄さん本人に聞こう) となります
本人の許諾もないまま、本人以外の人から契約能力について聞くのは、非常に失礼な行為と認識してますので
(飲み会で、親密ではない同僚の年収やら配偶者やらマイナンバーやらの情報を、友人から聞き出すようなイメージ)
早渡が鉄さんとどれほど面識があるか、親密かによって話は変わってきますが
早渡の反応としては、鉄さんの能力は俺が見てたほど甘くはないんだなー、となりながら
話す機会があって鉄さんが許してくれるならそのとき聞いてみよう、ってふうに受け止めると思います
あとは「先生」の言葉を受けてかなり黙考する、という感じになるかな
早渡の反応回は少しお時間もらいますー
> 東ちゃんに、そこそこ疑問を飛ばすポジになっていただきました
先輩も自分の立場を踏まえてこの時期は色々勉強を始めてるはず
「先生」が先生してて非常に良かったです……
603 :
温泉好きだけど入ると体力消耗激しい花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/08(火) 10:51:27.79 ID:MDc/933Y0
>>602
乙ありでーす
>「先生」の古い友人、ゲデさんかな?
ゲデではないですね
珍しく「先生」が愛称で名前を言う相手。「クリス」、とチラ裏で出してそちらで使っていただいたセリフで愛称出てます
当人は…………確か、過去に書いた話でも登場はしてなかったはず。フルネームじゃないが名前は出てるし存在は示唆されてるけど
>闇市でも護衛もしくは戦闘要員としてフリーランスで活躍してるんですかね
ってより、フットワークが軽いんですね
何かしら遠出する必要がでたと判断すれば、ふらっとそちらに赴いて行動します
そしてそれを、頭首たる龍一から許されてますね
当人、「獄門寺組には子供の頃から世話になってるけど所属してない。フリー!」って言い放ってますが、当人以外は彼を「獄門寺組」所属と思っています
「獄門寺組」に敵対するよからぬ輩を察知次第潰してたらそらぁそう
>仮に闇市でお会いしてたとしても会話だけで戦い方とかは直接見たことがない感じだろうか
そんな感じかな
上で言った通りフットワーク軽いし当人はフリーのつもりなので、闇市で厄介事あった時とか首突っ込んで助力した可能性あるなって思ってました
>ここなんですけど、早渡的には (本当に聞くとしたら、直接鉄さん本人に聞こう) となります
了解でーす
ちなみにこの時点での鉄、獄門寺家本家にいますね(学校町が久々に色々やべー気配してるので守りについてる)
>「先生」が先生してて非常に良かったです……
あいつ、ちゃんと先生できたんだな……って書いてて思いましたね
604 :
罪深い赤薔薇の花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage]:2022/02/08(火) 23:48:22.08 ID:MDc/933Y0
■おおざっぱなじかんじく
>>527-529
「企み企まれ」の後辺り
「狐」決戦当日の前夜深夜辺り
↓
今から投下するやつ
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ ソォイッ!
ヽ 〈
ヽヽ_)
605 :
彼らに送る抹殺指令
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/08(火) 23:50:04.67 ID:MDc/933Y0
甘い香りが充満している。
どろどろに思考を溶かしてしまうような甘ったるい香りが。
己は、この手の能力に対して強い方である、と郁は自負していた。
他者には隠している己の事情の影響で、だ。
……その事情は、この甘ったるい香りを放つ主たる「白面金毛九尾の狐」にすら明かしていない。
おそらくは気づかれているだろうけれど、気づかれていても傍に置いてくださるという事はそれだけ信頼されているという事。
その事実に優越感を感じながら、郁は静かにそのやり取りを眺めていた。
「白面金毛九尾の狐」は妖艶な笑みを浮かべながら、「朱の匪賊」が四番隊隊長包 六郎を見つめていた。
その傍らでは、鬼が呪い人形を抱えたまますやすやと丸くなって眠っている。人形の首が思い切り絞まっているように見えるが、人形なので大丈夫なのだろう、多分。
「あなたには、頼み事があるの」
「頼み事、でございますか」
えぇ、と、「白面金毛九尾の狐」が笑みを深めると、甘い香りがさらに強まったような錯覚を覚える。
彼女が微笑めば、それだけ魅了の、誘惑の力は強まるのだ。
いや、微笑んだ場合だけとは限らない。
ほんの些細な仕草をしただけでも、魅了が、誘惑が強まる。
この「白面金毛九尾の狐」はそういう存在なのだ。誘惑特化。それ以外の力が強くない代わりに、魅了に関してだけはこんなにも強い。
「「死毒」、アハルディア・アーキナイト。この男を、始末してほしい」
「「死毒」……」
つ、と、「白面金毛九尾の狐」が郁に手を伸ばした。
郁は彼女が求めているものが何であるのか理解していて、用意してあったその写真を彼女に手渡す。
「死毒」。今は「先生」等と呼ばれている男。「薔薇十字団」所属の「賢者の石」の契約者。あの男の写真だ。
「白面金毛九尾の狐」は受け取ったそれを、そのまま六郎へと手渡す。
写真を手渡すその瞬間、指先がほんの少し触れ合う……あれでまた、六郎への魅了は強まり深まったのだろう。六郎の反応を見た限り、それは明らかだ。
「この男。かつて、私を毒殺しようとした男よ」
「何ですと!?こ、この男が、「十六夜の君」を……!?」
「えぇ。愛していると囁きながら。毒を生み出し、殺そうとしてきたの」
彼女にとっても、それは苦々しい記憶なのだろう。
まさか、誘惑した瞬間に殺されかけるなどと誰も思うまい。それが都市伝説ならばともかく、一応は人間として生まれ人間として育ち、契約しても飲まれず人間のままであった存在に、となればなおさらだ。
発狂して正常な思考を保てなくなった人間の思考パターンは、たとえ都市伝説であろうとも理解が及ばないとも言う。
「そう簡単に死ぬ男ではないわ。だからこそ。痛めつけて痛めつけて痛めつけて痛めつけて痛めつけて痛めつけて痛めつけて、たっぷりと、もう一度その心が壊れるほどに苦しめて、嬲って、殺してやりたいの」
艶やかに微笑みながら、残酷な事を囁きかける。
そうするべき。そうしなければならない。そうするのが当たり前。
囁きかけられている六郎は、そのように感じている事だろう。
芯まで魅了され、とろけた思考は「白面金毛九尾の狐」の言葉を全て肯定してしまう。
「あの男はね、恐ろしい毒を使うの。どんな毒でも瞬時に作り上げることができるそうよ…………でも、安心して?対策手段はあるわ」
つ、とまた「白面金毛九尾の狐」は郁に視線を向けた。
眼差しが向けられる。甘い香りが、自分を向いたようにすら感じる。
何を求められているのか、ちゃんとわかっている。
救急箱よりも小さな小箱を、郁は六郎に差し出した。
606 :
彼らに送る抹殺指令
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/08(火) 23:51:09.11 ID:MDc/933Y0
「どうぞ。中には「征露丸」が入っている。「組織」で少しばかり改良された強化版でね。まだ開発中の物だが、「死毒」の作り出すレベルの毒であっても抗うことができる」
もっとも、改良中であるが故に問題もある。
毒を防ぎはするのだが、効果が切れるとこの改良版「征露丸」自体が毒となってしまう。
死ぬほどの毒ではない。毒を防ぐのと同じ程度、すなわち二十四時間程度死ぬほど腹を下し続ける程度の毒なので伝えずともいいだろう。
「せいぜい四十六個程度しか、僕の立場では確保できなかった。そちらでうまく配分して使ってくれ」
「かたじけない。しかし、こちらに全てお渡しになられるので?」
「あなたの隊が、「死毒」を殺してくれるのなら。私達が使う必要はないもの」
それは暗に、「確実に殺すように」と命令しているようなもの。
失敗は許さない、と暗に告げているのだ。
「……あぁ、それにしても、忌々しい」
ふと、「白面金毛九尾の狐」は不機嫌を露わに顔を歪めた。
通常であれば尾を損なうような表情の変化なのだが、彼女の場合このような表情ですら、一種の美を感じさせ人の心へと食い込む。
「「死毒」、あの男のせいで。この街に来てからずっと、私の意思は封じられ、閉じ込められていた…………本当。酷い事をする男だわ」
「何と!?「十六夜の君」を封じたのが…………この!「死毒」の仕業であると!?」
「……僕は、それは初耳なのですが。確かなのですか?」
驚きと怒りの声を上げる六郎と、初めて聞いた情報に眉を顰める郁。
「白面金毛九尾の狐」は、忌々し気に顔を歪めたまま頷いて見せた。
「あの男しか、原因は考えられない。どのような手段を使ったのか、それすら悟らせなかった。えぇ。えぇ。忌々しいし憎々しい」
……春に学校町に入り込んだ時の出来事を、「白面金毛九尾の狐」は鮮明に覚えている。
街に入り込んですぐに見つけたのだ。以前に自分が誘惑した時より若返った姿になっていたが、間違えようがない。「死毒」の姿を。
以前に誘惑して毒殺されかけた時と違い、正気を取り戻しているのだという事は「組織」で情報収集を任せていた郁から聞いていた。
だから、今度こそ、誘惑してやるつもりだった。己の支配下にして、今度こそ便利な道具にしてやろうと、近づいて、声をかけて。
……気づいた「死毒」が振り返ってきたのと。
己の意識が、突然、ぶつんっ、と途切れて。この肉体だけではなく、世界の何もかもに干渉できなくなってしまったのは、ほぼ同時だったのだ。
「状況から見て。私を封じてきたのはあの「死毒」しか、考えられない」
「お労しや……!「死毒」め、なんたる外道……!」
「えぇ、酷い、酷い男なの。だから…………たっぷり、痛めつけて、嬲って、苦しめて、殺してちょうだいね?」
くすり、と「白面金毛九尾の狐」の顔に、妖艶な笑みが戻る。
そして、つ……と、細い指が、六郎へと伸びて。
美しい、笑みを浮かべたその顔が、六郎へと近づいて。
六郎の頬に、柔らかで心地いい感触。
「お願いね?「死毒」に関することは、この郁に聞きなさいな」
「白面金毛九尾の狐」の顔が、六郎から離れる。
邪悪に、楽しそうに、笑う。嗤う。
心を弄ぶ邪悪は、なんとも気軽に、気楽に。
「朱の匪賊」へと、「死毒」の抹殺命令を、下した。
to be … ?
607 :
鉄板焼き土下座してる花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/08(火) 23:52:32.04 ID:MDc/933Y0
次世代ーズの人に焼き土下座しつつ投下完了
包 六郎さんの喋り方自信なくってセリフ少ないのがバレバレだね
とまれ、ほっぺちゅープレゼントしつつお・ね・が・いしたようです
608 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/09(水) 06:16:17.65 ID:vLr72pR9o
投下お疲れ様です
隊長はここからどんどんおかしくなっていくんだ……!
話し方もギャグの暗黒面に向かってがんがん崩れていくぞ!!
美味しいね隊長さん! ここからもっと美味しくなるよ隊長さん!
思った以上に「先生」に対する殺意高めの「狐」から殺害依頼を受けたわけですが
これは隊長に極太のフラグが数本立ちましたね
しかも「征露丸」の副作用がえげつない、「組織」はこんなの使おうとしてたのか
というか今回の登場人物全員にあらゆる種類のフラグが刺さりまくってるぞ?
>>603
クリス氏といい薔薇十字団といいまだ謎が多いな……
鉄さんの件も承知です! 龍一氏から許可されてるってことは実質「獄門寺組」所属
609 :
鉄板焼き土下座してる花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/09(水) 10:56:01.97 ID:cPkz8dlM0
>>608
>隊長はここからどんどんおかしくなっていくんだ……!
おいたわしや隊長さん(対岸から眺める)
>しかも「征露丸」の副作用がえげつない、「組織」はこんなの使おうとしてたのか
まだ実用化はされてない開発段階の改良品ですからねぇ
きちんと副作用なくなってから(せいぜい軽めの腹痛くらいまで抑えられたら)実用化、って感じかと
今回は郁が勝手にそれを持ちだしていただけです
ちなみに個数が中途半端なのは、5D20振って個数決めたからです。すまねぇな。半分に届かなかったよ達成値
>鉄さんの件も承知です! 龍一氏から許可されてるってことは実質「獄門寺組」所属
「獄門寺組」所属って思われてるのはその点もあるでしょう
っつか、もう当人フリー名乗るの止めて「獄門寺組」所属って認めた方がいい(名簿にも名前載せられてるし)
610 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 02:38:09.73 ID:St4aCTY8o
>>598-600
「保険仕込みと時間つぶしの雑談」へのクロス
●時系列
前スレ 811-814 「みんなで遊ぼう」 花子さんとかの人
↓
前スレ 849-853 「みんなで遊ぼう「人狼遊戯」」 花子さんとかの人
↓
前スレ 933-936 「いよっち先輩、来る」 次世代ーズ
↓
本スレ
>>510-513
「人狼遊戯のその後に」 花子さんとかの人
本スレ
>>519-520
「一方大人の情報交換とか」 花子さんとかの人
↓
本スレ
>>533-542
「いよっち先輩からの質問」 次世代ーズ
↓
本スレ
>>548-550
「簡単なご返答」 花子さんとかの人
↓
本スレ
>>565-569
「早渡、返答を受けて」 次世代ーズ
本スレ
>>579-581
「早渡、返答を受けて」のおまけ 次世代ーズ
↓
本スレ
>>584-585
「備えは大事」 花子さんとかの人
↓
本スレ
>>589-591
「厚意、返答、触診、そして」 次世代ーズ
↓
本スレ
>>598-600
「保険仕込みと時間つぶしの雑談」 花子さんとかの人
●ここまでのあらすじ
【11月】のとある日の放課後、早渡は花房に呼び出され、「人狼」に挑む
その後、診療所で合流した一葉とともに三年前の事件の真相を中央高校組から教えてもらう
その席で早渡は自分の持っている情報や疑惑を共有した
早渡の目的は「九宮空七を見つけ出すこと」、そして彼は「彼女が『狐』の下にいる」と疑っていた
いくつかの嫌疑が呈され、早渡のなかで深まるのは疑いか、あるいは躊躇いか
「先生」から“保険”をもらった後も、彼は答えの出ない問いを前に迷い続ける
ところで隣室では早渡の幼馴染が早渡の恥ずかしい画像やら動画やらを中央高校組に提供し続けているぞ!? 早く止めろよ!!
611 :
次世代ーズ 「様子見の間に」 1/3
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 02:39:07.33 ID:St4aCTY8o
顔赤くなってんの、バレてんじゃないかな?
とりあえず顔を見せないようにYシャツを着直す
いよっち先輩に圧されて、結局「先生」から一回分の“保険”を頂くことになった
実のところ體内で妙なことにならないか不安だったが、特に何も起こらなかった
今は一応「先生」の提案で、馴染むまでは様子見ということになった
……俺、いよっち先輩に泣かれて以後、先輩に圧されると弱くなってない?
別の意味で不安が鎌首をもたげてくる
あと「先生」的には撃ち込まれた弾の影響も心配してくれていたらしい
あれは本当に何の変哲もない通常弾だったんだが、念のためということだ
「迷い子の少年
君は、君が探している少女の契約都市伝説が、真に『ソドムを滅ぼす神の怒り』であるかどうか、その辺りの会話をしていたね?」
「あ……、はい」
迷い、迷う
残留する“波”は確かに、空七のそれだった
かつてのものとは大分変質している。が、看過するほど俺の感覚も馬鹿じゃない
「我が助手の従弟が疑問を呈したのは、あの子の情報網的には当然といえば当然であろ
あの子が通う『教会』の支部には、凍れる悪魔の御仁もおるしな」
「凍れる悪魔……あれ? 教会なのに、悪魔?」
「そうだよ。かつて、幾百年もの間、雹と霰の天使『バルディエル』に成りすましていた凍れる悪魔
ソロモンの悪魔の一体にして四十八の軍団を指揮する侯爵。天使の姿をもって現れる、かつては竜でもあった者。『クローセル』
二十年程前のごたごたで正体がばれても、幾重もの策略と保険と誰かさんの情けにて。今なお『教会』に所属したままだ」
俺の知らない「教会」の事情を、ただ聞く
成り済ます、装う、謀る。どの界隈でもそうなんだろうが、熟達した実力があれば
他者を欺くことはそう難しいことではない、それが「先生」の話すところの趣旨だった
「その都市伝説にもよるが。誤魔化し、偽る事はできる
誤認してしまう事はある……。思い込みは、時として猛毒にもなりえる」
「それは……」
「人は、時として己の記憶にすら、己の感情にすら嘘をつく
正直、私も過去に思い切り経験がある。他者によって感じた印象すら操作される事もある
――我が助手の従弟が言うていたように。最悪、別のものである可能性も視野に入れた方が良いかもしれん」
「先生」は真っ直ぐ俺を見て、諭すように語り掛ける
俺が迷い、迷っているところを、見抜いているのか
「でも。人を塩に変えちゃう、とか。そんないかにも特徴的なこと、他の都市伝説で装えるのかな?」
俺がどう返答すべきか迷っていると、いよっち先輩が疑問を口にした
「できるよ。ものすごく頑張れば私でもできる」
「「えっ」」
それに対する「先生」の答えに思わず驚いてしまった
少し遅れて、脳裏に彦さんの言葉が甦った
『お前もゆくゆくは同じことができるようになる、脩寿
それは私にもできる、八にもできる。あるいは、定でも「呪宝」の力を借りれば同じことができる
目の前の形に縛られるな。迷いに縛られるな。今お前の眼前にある物すら、如何様にも姿を変える。忘れるな――』
612 :
次世代ーズ 「様子見の間に」 2/3
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 02:40:43.28 ID:St4aCTY8o
いかんな、どうしても空七のことになると思考が狭窄する
頭じゃ分かっていてもこれじゃ駄目だ、学校町まで乗り込んだのに、この期で「先生」に諭されるなんて
「迷い子の少年。『刀狩り』の青年は知っているかい? 『獄門寺組』に所属しとる契約者なんだが」
「ほ!?」
急に話を振られた
刀狩り? まさか、刀狩りの鉄(くろがね)さんの話か?
「『刀狩り』の鉄さんですか? 『獄門寺組』幹部の?
『獄門寺組』に手を出そうとしたよからぬ集団を、たった一人でたいして時間もかけずに壊滅させたっていう?」
急に話を振られ、舌がもつれそうになりながら問い返す
「先生」はうむ、と肯いた
「君は『刀狩り』の青年が、どんな都市伝説と契約しているのか知っているかい?」
「『数珠丸恒次』や『蜥蜴丸』を使って戦ってた、って話を聞いたので
刀剣類の都市伝説複数の契約、でしょうか」
「ふむ。やはり、よそからはそう認識されとるか」
俺は鉄さんの契約伝承を知らない
なんとなく“古い”曰くと契約している、そんなイメージを抱いていたが
「その言い方だと、早渡後輩の予想、外れてる?」
「うん、違うね。実際は何であるのかは『獄門寺組』所属ではない私が言うと角が立つ故、あとで『通り悪魔』の御仁辺りに聞くと良いとして、だ」
違ったらしい
しかも今の話では少なくとも「先生」と鬼灯さんはご存じのようだ
「あれも能力の一部だけ活用している現場しか見せていないと、見破るのは難しかろう。迷い子の少年のように、誤認してしまっても仕方ない」
「能力の一部」
「ただたまたま、能力の一部だけを見られたが故の誤認ならば良いが。意図して誤認させてくる場合は殊更、見破るのは難しくなろうて」
見た側の誤認
そして、見せる側の欺瞞
「そこに、悪意と言う毒が混じれば――。余計に、ね」
「先生」は、そう言葉を引き継いだ
言葉が、無数の言葉が、頭を、腹のなかを、廻る
先に答えを想像しないと正解に辿り着けない逆説的な問い掛け
相手の能力がどんなものか分からないのが普通
「早渡後輩、だいじょぶ?」
「いま『先生』の言葉をこう、なんというか、反芻? そう、反芻してる」
相手のANfxが不明だからって、俺はそこで立ち止まってきたか?
戦う前から負けること考えるバカがいるか?
違うだろ、違うよな
それに「先生」には前にも言葉を貰った
そう、俺は確かに貰った
613 :
次世代ーズ 「様子見の間に」 3/3
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 02:41:56.84 ID:St4aCTY8o
思い込みとは猛毒である。無知とは猛毒である。しかして、全てを知ったとして毒に殺されぬ訳ではない
逆に、全てを知ったが故に『絶望』と言う名の致死量の猛毒によって殺される事もまたある
知りなさい。たくさん、たくさん。君にとって必要な事を。『自分にとって都合のいい真実』ではなく『真なる真実』を見つけてごらん
その真実が君にとって絶望だったとして、その絶望という猛毒に負けないくらいの『希望』と言う猛毒を見つけてごらん
――そうすれば、大概のことは、きっと大丈夫さ
参ったな、やっぱり「先生」には全部見透かされてたんじゃないだろうか
やっぱり空七のことになると思考が狭窄しやがる
仮にアイツが道を踏み外すような真似をしてるとして
俺はそれを全力で止める、それだけだ
仮に俺がアイツにかつて抱いていた“好き”が幻だったとしても
俺の幼馴染であることは、ANの同期であることは、――ダチ公なことには変わりない
何処に居やがる、空七。待ってやがれ、空七
「『先生』、さっきの話なんですけど、『姫君』ってやっぱりお姫様なんですかね?」
「うん? お嬢さん、気になるのかね?」
「気になります! お姫様って『薔薇十字団』の偉い人なんですか? や、やっぱりお姫様って言うからには、お付きの騎士とかが居たりするんですか!?」
とりあえずアイツに出会うまで、真相は分からずじまいだ
今はやれることをやるしかない
そう考え、ふと重圧から解放された気がした――あくまでそんな気がしただけだが
そうだな、鉄さんについては、本人に訊いてみるのが一番だ
鉄さんとは「七つ星」にいるとき何度も話をした仲だが、お互いに深いところまで話せたわけじゃない
それに相手のAN-Pについて訊くってのはかなりデリケートな内容になるからな
「先生」と鬼灯さんと鉄さんとが親密として、又聞きは無礼すぎる行為だ
相手の武器や弱点に関わることだから、鉄さん自身が俺に許したときに、直接訊いてみよう
それにしても鉄さん、元気にしてるだろうか
最後に会ったのは今年のバレンタインの頃だったか
「ちょっと、それは駄目でしょ!!」
不意に、隣室から大声が響いた
何だ今のは、広瀬(優)ちゃんの声か?
あれか? 俺か? 俺の携帯か!? 毬亜の野郎か!?
耳を澄ませば何やら押し殺した声で何人かの囁き合いやらが聞こえる
えこれ何? ヤバい? ひょっとして俺のセンシティブなあれやこれやがヤバい状況?
「『先生』!」
「うん? どうしたね、少年」
「俺の過去がスキャンダルに餓えた花野郎とその愉快な仲間たちの所為で危険に晒されてます! そろそろ止めないと!
俺が女の子から貰った超プライベートな画像とか、そういうのが第三者に共有されたら、こりゃもう死活問題ですよ!?」
「え、何? 早渡後輩、そういう画像もらったりしてるの? 何? 気になるんだけど!?」
「そういう話は後だ先輩!
『先生』後生です、あのほら大人の威厳的な何かであの中央高校グループを止めてくださいッッ!!
俺はどうにかして毬亜を〆めますんで!! オイこら毬゛亜゛ぁ゛ぁ゛、お前まじマッハだかんなあぁぁっ!!」
隣室で現在進行形の事態が最悪の状況に至ってんじゃないかとパニックになりかけた
とりあえず牽制のために怒鳴ったものの、何やら当の隣室からは若干名のクスクス笑いが聞こえる
「先生」!? もう俺の様子見はいいですよね!? 「先生」!? なに笑ってるんですか!? 先生!?
□■□
614 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 05:50:20.75 ID:St4aCTY8o
花子さんの人に御礼申し上げます orz
「先生」の言葉を受け、ひとまず迷いを吹っ切った、そんな感じの早渡ですが
次世代ーズの想定してた以上に早渡の覚悟と思い切りが早くなってるので、これは荒事のハードさが上がる兆候だろうか
以下は少し早い(?)バレンタインのお話
現在の時間軸から過去に飛んで、遠倉千十が中学三年時の【2月】の出来事になります
つまり現時点の【11月】からおよそ9ヶ月前のバレンタイン当日ですね
615 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 05:51:49.17 ID:St4aCTY8o
●はじめに
今回の話は前スレ 576 で花子さんとかの人が投下した、バレンタイン当日の出来事
前スレの少し後の時間かもしれません
●弁明
まず初めに花子さんの人、そしてはないちもんめの人に土下座を捧げます orz
次にチロルチョコは美味しい、本当に美味しい、これは間違いない事実である
@放課後
千十「あっ、花房君」
茅部「お、おはな見ーつけたー」
茅部「おっはなー♪ おはなー♪ 今日はチョコレートいっぱい貰えたー?」
直斗「なんだかやべえ、ケンカ売りに来たのか? ん?」
茅部「その様子だと今年“も”あんまり貰えなかったみたいだねー ンフフ」
茅部「でも今年も優ちゃんとか神子ちゃんからは貰えたんでしょー?」
直斗「そういう問題じゃない」 ☜ 憮然とした表情
茅部「ふふ、そーゆーとこだぞっ、花房クン♪」
Aおはな
♥
あーんして
♥
茅部「そんなおはなのために! ってわけじゃないけど、友チョコ渡して回ってるんだ」 ☜ 大量のチョコが入った袋を掲げながら
千十「チョコって言っても、チロルチョコなんだけど……」
茅部「せっちゃんとワリカンして大人買いしたんだよねー、おはなも良かったらどうぞ!」
直斗「俺にもくれんの? 本当にいいのか?」
茅部「と言ってもー! そのまま渡すのはつまんないから……」 ☜ チョコの包装むきむき
直斗「かやべえ? 何してんだ?」
茅部「えへへ、おはな
♥
はいっ、あーんして
♥
」 ☜ 素手でチョコを触らないように包装越しで
直斗「おい」
茅部「おはなー? なんで照れてんのー? いいじょーん! 茅部とおはなの仲でしょー??」 ムフフ
♥
直斗「誰かに見られてあらぬ噂が立ったらどうする!」
茅部「誰も見ーてないってー、おはな気にし過ぎだよー」
千十「……うん、多分大丈夫」 ☜ 周囲を見回して自分ら以外に誰もいないことを確認
直斗「仕方ないな……、ん」
茅部「あーん
♥
うんっ
♥
どう? おいし?」
直斗「……美味しいも何も、チロルチョコはチロルチョコだろ」 モグモグ
茅部「はー!? 食べといてそんなこと言っちゃうのー!? 確かにチロルチョコはチロルチョコですけどー!!」
茅部「かやべえが食べさせてあげてるところに何かしらの価値をほんの少しでも感じないってのー!? これがお店ならお金取ってるとこだよ!!」 プンスコ!
直斗「これで金取るとか、なんの店だよ」
千十「は……、は、はなっ、はなふさくん……」 ☜ 顔を真っ赤にしながら包装むきむき
直斗「うん? 遠倉? どうした?」
千十「あ、あ、あ、あーん、して……!」 ☜ ふるふる震えながらチョコを差し出す
直斗「ちょっ! 別にかやべえに合わせて無理する必要なくない!?」
茅部「あんたっ! おはなっ! せっちゃんに あーん
♥
してもらえるなんてっ! あんたっ、この幸せ者っ!!」 ドスドスドスドス ☜ 花房君の脇腹を突き回してる
616 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 05:52:23.61 ID:St4aCTY8o
B来たぞ来たぞ、遥が来たぞ
直斗「まさかこんな経験するとは思ってなかった」 ☜ 若干困惑
千十「……」 ☜ 傍目に見ても分かるほど顔が真っ赤
茅部「ん? 向こうからやって来るの、日景かな……?」
千十「えっ!? ほっ、ほんとだ……!」
直斗「来たな、今日の主役が……」 ☜ 複雑そうな表情
茅部「うっわ何あの量、引いちゃうぐらい貰ってるじゃん」 ☜ ドン引きの表情
遥 「珍しい組み合わせだな、何やってんだ」
直斗「……」
千十「……」
茅部「友チョコ配って回ってたんだけど、アンタそんな大量に貰ってるわけだし、茅部たちからは要らんでしょ?」 ☜ あからさまに嫌そうな顔つき
遥 「確かにこれ以上かさばるのはめんどくせえ」
千十「でも、あのっ、チロルチョコくらいなら……」
遥 「あ? 小っこいのか? ならわけねえよ」
茅部「これ以上欲しいっての? よくばりんぼか! なんか財宝集めるだけ集めて、何に使うわけでもなく守ってるドラゴンみたいじゃん」 ムーッ!
直斗「……」
千十「じゃ、じゃあ、私が入れておくね……」 ☜ 傍目に見えるほど真っ赤になってふるふる震えてる
遥 「ん、適当空いてるとこにブチ込んどけ」
直斗(かやべえ、遠倉って遥のこと好きなのか?)
茅部(……あんた、そういう風に見えるの? 思春期男子に乙女心を理解するのは辛いかー)
直斗(違うのか)
茅部(せっちゃんさ、日景のことがずっと怖くて。でも怖いままだと本人に失礼だからって、頑張って慣れようとしてたんだよ)
直斗(……なるほど?)
千十「日景君、いっぱい貰ったんだね」
遥 「めんどくせえことこの上ねえよ、途中からどうでもよくなったが」
Cじゃあねーおはなー
♥
茅部「じゃ! 茅部たちは他の子にも渡してくるから!」 ンジャッ!!
千十「日景君、花房君、気をつけて帰ってね」 ☜ 顔がまだ赤い
茅部「あっ、おはな!」
直斗「?」
茅部「チュッ
♥
ふふっ」 ☜ 投げキッス
直斗「そうやって人をからかうのやめろ」
遥 「なんだ直斗、あいつらとよろしくやってたのか」
直斗「……」
遥 「お前、いくつかチョコ貰うか?」
直斗「……」
遥 「……直斗?」
617 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 05:52:58.92 ID:St4aCTY8o
Dおまけ
於 「闇市」 (広商連 「団三郎狸」 管轄内) 某所
早渡「鉄(くろがね)さん……」
三郎「くろがねの兄やん……」
鉄 「コトブキ、サブ……」
鉄 「コトブキ、お前、頭の怪我は大丈夫か? 具合どうだ?」
早渡「へへ、大分よくなったよ。ありがと」
早渡「今月入ってようやく右腕が思うように動くようになったからさ、リハビリがてらチョコ菓子作ってみたんだ。食べてくれねえかな……?」
鉄 「いいのか……!? すまねえ、ありがとうな」
三郎「……」 グーーッ ☜ 腹の虫が鳴った
早渡「サブ、悪いけど、サブのは寺に戻ってからな?」
三郎「うん……」 ジュルリ
鉄 「気にすんな! サブ、一緒に食おう」
三郎「いいの!?」
早渡「あっ、鉄さん、でも」
鉄 「構やしねえよ、それに皆で食った方が美味いだろ?」
早渡「……どうも」
鉄 「仕事終わりの甘いモンは心にも体にも染み渡んだよなあ……」 ボリボリ ☜ 夕日を眺めながら
三郎「鉄の兄やん、今日もおしごと、むずかしかった?」 ボリボリ
鉄 「まあな。『西呪連』の連中、マジで“東”にも出張ってきやがってる。尋定の縁切り刀を『広商連』より先に確保したいらしいんだわ」
鉄 「コトブキ、お前……どうした!? 泣いてんのか!?」
早渡「違うんだ鉄さん、俺の意志と無関係に涙が出るんだ」 ☜ 大量の涙を流しながら
三郎「兄やんずっとこんな感じなんだ」
鉄 「そうか……、早く良くなるといいな」
早渡「もうリハビリ始めてんだけどさ、……大変だよ」
鉄 「俺の知り合いによ、頭を野太刀でぶっ刺されて、危篤に陥ったヤツがいるんだけど」
鉄 「そいつも不死鳥みてーに復帰して……リハビリ中は右と左の概念が逆転して大変だったそうだが」
鉄 「まあアレだ、お前も大丈夫だ。じき良くなるさ」
早渡「……ありがとう」 ☜ 涙を流しながら夕焼けを眺めている
早渡「あと今日のチョコなんだけど、本当はお嬢様が作りそうなシックな感じにしたかったんだ」
早渡「けど途中でクランキーチョコみたいな感じになっちまって……菓子作りって奥が深くて、難しいんだな……」 ヘヘッ
鉄 「でも美味いぜこれ」 ボリボリ
三郎「うまいぜー」 ボリボリ
早渡「へへっ、ありがとな……」 グスッ
618 :
次世代ーズ
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/11(金) 05:59:29.83 ID:St4aCTY8o
●おわりに
花子さんの人、はないちもんめの人に土下座申し上げます orz
鉄さんの話し方はこんな感じでいいのか不安ですが
最後になりますが、チロルチョコは美味しい、本当に美味しい、これは間違いない事実である
茅部 綾子
東区の中学校出身その1
あだ名は「かやべえ or かやべぇ」、ボカロ好きの女の子で(次世代編では)衰退した感のある「歌い手」として同級生には内緒で活動している
花房をはじめとする幼馴染グループとは幼稚園(?)か小学校からの付き合い、壁を作りがちな幼馴染グループのことは割り切って見ている
花房に対する態度は恋慕というよりは、むしろ幼馴染に対する友愛のそれ
咲李さんの死をはじめとする一連の事件の後、立ち直ったような見えるが、心に負った傷はまだ残ったまま
遠倉 千十
東区の中学校出身その2
山梨から転入してきた女の子、日景遥のことを最も怖がっていたがほぼ毎日彼へ挨拶していた
周囲からは男性恐怖症と思われていたが、中学三年時点では気持ち改善しているように見える
早渡 脩寿
「広商連」「団三郎狸」圏内の「北辰勾玉 庵屋」、通称「七つ星団地」に身を置いている
バレンタインから数か月前に頭部を含め全身に重傷を負い、そのリハビリに励んでいる
お医者曰く「斬撃が頭部深くに及んでおり、死ななかっただけマシ」とのこと
三郎
サブと呼ばれる。四、五歳ほどの男児
産毛じみた薄い頭髪が生えているが、それ以上に目立つのは頭部に大きく残る決して癒えない傷痕である
619 :
昨晩は卓があった花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/11(金) 17:11:59.42 ID:C4k9hCEW0
次世代ーズの人様乙でした
あ、「姫君」について聞かれたか
明確には答えないだろうけど、部分的には後で答えさせよう
大人の威厳……大人の……(「先生」を見つめる)(あるかな……どうだろう……)
> 次世代ーズの想定してた以上に早渡の覚悟と思い切りが早くなってるので、これは荒事のハードさが上がる兆候だろうか
早渡君頑張れ
直斗も遥も、反応大体こんな感じですな、バレンタイン
そうか、遥が怖いか(ナチュラルホモ現場を眺める)(むしろ見せない方がいい気がしている)
鉄も、大体そんな感じで大丈夫です
「獄門寺組」の方にいる時は、また雰囲気違うかもですけど
>花房をはじめとする幼馴染グループとは幼稚園(?)か小学校からの付き合い
(幼稚園一緒だった場合、最悪、憐のトラウマとなった「化け物」呼ばわりのあの時居合わせてんなぁ……)(記憶消去案件だから、居合わせたとしても忘れてるだろうけど)
620 :
昨晩は卓があった花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/11(金) 17:17:10.87 ID:C4k9hCEW0
■おおまかな時間軸
次世代編より一年前
「次世代バレンタイン・中学生の頃」(wiki掲載)の頃と
>>615-617
の次世代ーズの人様のお話と同じくらい
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ 一個年上のあいつはどうしてたかなって感じだよ
ヽ 〈 バレンタインそこまでかんけーなくなった気もするけどまぁいいや!
ヽヽ_)
621 :
一年前のバレンタイン
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/11(金) 17:19:36.61 ID:C4k9hCEW0
バレンタイン。
それは、乙女の愛とかチョコとかなんか色々と飛び交う季節である。
愛が飛び交うという事は、つまり。
人の想いが飛び交うという事。
――すなわち、都市伝説もまた、蔓延りやすい時期と言う事。
だから、普段よりも警戒をしておくべきなのだ。
「あの、荒神君。今日バレンタインだから、こr「受け取るつもりはない」ぁ……」
ばっさりと言い放って、灰人はそのまま校舎に入っていく。
通学路を歩いている最中も、同じ学校の生徒から声をかけられ渡されそうになったが。灰人はそれらを全て断って受け取っていなかった。
しつこく渡そうとしてきた者もいたにはいたのだが。
「受け取ったとしても、俺の口には入らないからな」
と告げられてまで押し付けてくる猛者は流石にいなかったという事だ。
校舎に入ってからもそこそこ声をかけられチョコを渡されそうになるが、ばさばさと断って受け取ろうとしない。
「一つくらいは受け取ってやったらどうだ」
「いらん。手作りらしい物は殊更いらん」
友人からからかうように言われても、その姿勢は崩れない。
教室に入ったところで、やっと鬱陶しいものから解放されたというように肩の力を抜く。
クラスメイト達は、灰人がチョコを受け取らない事をわかりきっているからか。女子もチョコを持っては来ない。
「勿体ないよなー。受け取ればいいじゃん」
「いらん。好きでもない相手の好意を受け取るつもりもない」
「まぁ、普段から告白も全て断っているお前らしいと言えばらしいか」
こちとらもらえてすらいないのにと悔し涙を流すクラスメイトが多い中、全科目満点での学年トップの友人は笑って灰人の様子を見ていた。
おおよそ色恋沙汰に関して、灰人が関心が薄い事をわかりきっているのだ。
いや、他のクラスメイトもわかっているのだろうが。もらえるチャンスが多いのに受け取ろうとすらしないその様子はある種僻みの対象なのだろう。
「手作りがいらない、ってのはわからなくもないけどな……変な物入ってることもあるだろうし」
「そういう事だ」
理解してもらえて何よりだ、と灰人は小さく笑った。
悪意のあるなし関わらず、そういうことはある。
……だから、余計に受け取るつもりはない。
「ただ、灰人。受け取ったとして自分の口には入らないって言ってたようだけど。じゃあ、誰の口に入るんだ」
「入るかどうかはさておき、診療所の「先生」に引き渡すだけだ」
「処分押し付けてるのか」
「……押し付けている訳でもないんだが」
押し付けている訳ではなく、請け負ってもらっているだけだ。
妙な物が入っているかどうかも、あの「先生」なら食べる前から鑑定できる。
当人もそのうえで「怪しい物渡されたなら持ってきなさい」と言ってくれているのだから、何も問題はない。
「……と、言うか。お前らも、他人から妙な物は受け取るなよ。自分の身は自分で守れ」
「くそっ!これだから日頃からモテ慣れている奴は!」
「謝れ!生まれてこの方母親以外から受け取った事ない奴に謝れ!!!」
知るか、と冷たく言い捨てさっさと一時限目の用意を始める。
友人も、怨嗟の声を吐き出すクラスメイト達を眺めつつ、自分にはさほど関係ないというように授業の用意を始めていた。
色恋に興味のない友人と言うものは、こういう時実に助かる。
「今日の授業全部終わるまで、断り続けるの頑張れよ。無断で机に入れようとする奴見かけたら阻止くらいはしてやるから」
「……頼んだ」
物分かりが良くて協力的なのでさらに助かる。
自分は幼馴染達以外にも良い友人を持てたものだと、改めて実感してこの日は始まった。
622 :
一年前のバレンタイン
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/11(金) 17:22:02.82 ID:C4k9hCEW0
何故、人は靴箱にまでチョコを入れておくのか。
包装紙に包まれているとはいえ、どうなのか。
しかも十六個もぎっちぎちに詰まっていた。何故だ。
なんとか取り出して、全て不審物として職員室に投げて学校を後にした。
元から受け取るつもりもなかったのだ。それを、直接私にすら来ない者からの物等受け取るはずがない。
それくらいは、理解できると思うのだが。できないものなのだろうか。
ため息つきつつ、診療所まで到着した。
流石に、放課後の診療所に向かうまでの間に渡そうとしてくる者はいなかった。
もう、今日中にチョコの襲撃はない、はずだろう。多分。多分。
「手伝いに来ました」
診療所に入る。かすかに甘い香り。
……近所の住人辺りからでもチョコをもらったのだろうか。
「先生」当人宛てと、娘がいるからとそちらが食べる事前提で渡された物と双方だろう。
あの男は見てくれがある程度良いのと、外面の装いが辛うじて出来て……いや、あんまり出来ていないというのに、多分外人だからと言う事で許されているので近所の住人からはある程度人気がある。
こちらが入ってきたのに気づいて、ぱたぱた、小さな足音。
「こんにち、は」
「あぁ、こんにちは、リア。……「先生」は?」
姿を見せた、六歳程度の幼子相手に、屈んで目線を合わせながら問う。
「先生」によく似た、しかしそれよりは艶のある白銀の長い髪と、赤い瞳。眠たげな眼差しが、じぃと見上げてくる。
「おとーさん、奥。鑑定中」
「わかった。ありがとうな」
奥にいるなら、一声かけてから手伝いに移ればいいだろう。
「先生」の娘であるリアに礼を言うと、診療所の奥、住居スペースへと向かう。
そこで、「先生」はチョコレートを軽く調べているようだった。貰い物の鑑定中だろうか。
「こんにちは、「先生」。鑑定、手伝う必要はあるか?」
「うん?…………おや、我が助手。てっきり今日は、まぜこぜの子のところに直行かと思うておった」
声をかけると、調べている最中だったらしい、手作りと思わしきチョコレートから視線を外して顔を上げてきた。
そのついでに口にしてきたその内容に眉を顰める。
「……なんで、先輩のとこに直行なんだよ」
「君は、あの子の事をなんだかんだ言いつつこまめに面倒見に行ってるからだよ」
向けられてくる表情は、からかっているような、見守っているような。どちらともとれる表情だ。
確かに、あの先輩は色んな意味で放っておくべきではないので様子を見るようにはしているが。
「別に、今日、先輩のところに直行する理由はない」
「おや?…………ん、もしかして。今日はあの子、学校に行っておらんのか?」
「あの人、大学は推薦で受かったしな。出席日数足りなくならない程度にしか来てない」
進路が決まった高校三年生なんて、そんなものだろう。
実際、今日、学校に来ていなかったのは確認済だ。
こちらの言葉に、はて、と「先生」は考え込み始める。
「と、なると。あの子、どこでこれを受け取ってきたやら。学校で受け取ったなら、我が助手の知識もあって絞り込みやすいというのに」
「…………は?」
「先生」が調べていたチョコを見る。
どう見ても市製品ではなく、誰かの手作り。
「…………おい。そのチョコレート」
「まぜこぜの子が誰かかしらから受け取った物だよ。診察終わった後につまんでいたのだが。チョコに「手作りチョコを作る際に自分の血を混ぜて作ると両想いになれる」と思わしき都市伝説の効果が働いていてね。そこまで強い効果でなし、拒絶反応もそこまで強くでなかったが確実に具合は悪くなって。でもまぁ君がまっすぐあの子の家に行くだろうと思ってそのまま帰らせ」
「今日の手伝いはなしだ!!」
おろしかけていた鞄をひっつかんで、診療所を後にする。
ひらひらと、「先生」が楽しげに手を振って見送ってきた気配がしたので、後日殴っておこう、と誓った。
623 :
一年前のバレンタイン
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/11(金) 17:24:21.20 ID:C4k9hCEW0
こういう時、合鍵を所持しているのは実に便利だ。
一応呼び鈴鳴らしたのと携帯端末に連絡は入れたが反応なかったので、遠慮なく合鍵で中に入った。
「先輩…………つくね先輩」
「…………ぅ」
先輩がいつもつけている乳香の香水の香りが、普段より強く感じる。
その理由を察して、ため息をつきながら寝台の上で丸くなっている先輩に近づいた。
こちらの気配が近づけば、具合悪そうな顔が毛布から出てくる。
う〜、と、獣の唸り声のような声が漏れ出していた。
「タチの悪い都市伝説の効果が発動しているチョコを食べたそうですね?」
「う…………「先生」に、すぐ解毒されたし、平気……」
「どこで、誰から受け取った物だ」
見下ろす。
バツが悪そうに視線をそらしてくるが、その程度でこちらが引かない事などわかっているのだろう。
うぅうう、と、唸り声をあげてから答えてくる。
「……バイト先の女……」
「…………そうか」
都市伝説効果に関して意図的だったかどうかはともかく。
他人に食わせる物に自分の血を入れるような女に関しては、調べておく必要がある。
意図的だったなら、ある程度処す必要もある。意図的でなくともある程度処すが。
「人から渡されたもん、うかつに食うなといつも言ってたよな?」
「……ごめんなさい」
もぞもぞと、先輩が起き上がる。
書類上では二つ年上の。五年前の……「先生」が本格的に正気に戻るに至った件の頃に知り合った人。あの連中が行っていたろくでもない事の被害者の一人。その結果の混ざりもの。「薔薇十字団」の保護対象にして、「組織」の監視対象。
先輩に関するいくつかの情報を、頭に思い浮かべて目の前のその人を見つめる。
具合悪そうにしょんぼりしているその姿は、ただの未成年の少年にしか見えないが。
己はその正体を知っていて。それを承知で先輩後輩の間柄でいるつもりだ。
……なぜか、世話番みたいに思われている節があって、解せない。
「本当に、体の状態は大丈夫なんです?」
「……うん、解毒されたし。その方面は平気だ…………その。昨日からちょうど、はじまって。それと重なったから過剰に具合悪くなっただけ」
「いっちばん、体調悪くなりやすい時期じゃねぇか馬鹿野郎。なおさら、人から渡されたもんうかつに食うな」
小腹がすいていたからとかそういう理由でつまんだのだろうけれど。そもそも、受け取らないでおいてほしい。
「…………食欲はあるか?」
「軽いもんなら、入ると思う」
「わかった。夕食は何か軽く食える物作っておくし、明日の朝食分、温めれば食えるもん作って冷蔵庫入れとく」
他にやる事は、と考えていたら服の裾を引かれた。
ひとまず、起き上がれるくらいの状態ではあるのだなと判断した。
乳香の香りがする。するりと腕が絡みついてくる。
「先輩?」
「今日、泊まってけばいいのに」
「駄目です。そこまで面倒見る気はないんで」
「……今日バレンタインだから。帰ったらお前の両親と従弟の両親、ダブルでイチャついてるとこなんじゃ」
「…………………………涼さんのフェリシテさん相手のはともかく、親父達の方はまだ鬱陶しくない」
「今、すげぇ悩んだよな?」
確かに、二組同時にいちゃつかれると鬱陶しさは倍どころか二乗レベルだが。
だからと言って、あれの対処を従弟兄弟に任せるわけにもいかない。凜の方は色々わかっていないかむしろ面白がっていそうだがそれでもだ。
軽く視線を動かせば、じ、と見つめてくる視線とぶつかる。
見た目は年上の男だが、実際はまだ十年も生きていない、獣の目。
ため息、一つ。
あまり甘やかすものではない、とわかってはいるのだが。
「…………どうせ、体中の血流も悪くなってんだろ。後で肩も揉んでやるから。夕食までですよ」
「ん……ありがとう、灰人」
手間のかかる大きな子供に懐かれている気分になる。
それでもまぁ、今日くらいはいいのだろう。
当人に自覚はないのだろうが、こちらはこちらでこの人に救われている事は自覚している。
日頃の感謝を伝える日でもあるのだから。
素直に伝えてやるつもりはないが、恩を返すくらいは、許されるだろう。
おわっとこう
624 :
以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします
[sage]:2022/02/12(土) 00:36:42.40 ID:0WbRbl0Q0
乙
とりあえずこれだけ言わせてもらおう
リア充もげろ!!
625 :
さむさむ花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/12(土) 02:01:15.46 ID:I4DNZI160
リア充……?
一体どこにリア充が……?
■おおまかな時間軸
次世代編より一年前
「次世代バレンタイン・中学生の頃」(wiki掲載)の頃
>>615-617
の次世代ーズの人様のお話
>>621-623
の話
以上三つと同じ時期
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ 思いついちゃったのでぶんなげるよ!
ヽ 〈
ヽヽ_)
626 :
多分この後遥と遭遇して遥と星夜で喧嘩開始だな……
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/12(土) 02:03:01.21 ID:I4DNZI160
「うーん、一杯貰ったっすねー。せいっち」
後輩が持っている、この日受け取ったチョコが入った紙袋を見て憐はくすくすと微笑んだ。
紙袋を持っている星夜の方は、ややうんざりしているような表情だ。
「遥に渡しに行けない根性なしやら、灰人がいないから渡す先がなくなった奴やら。そういう連中からのもんだと思うんだが」
「もー。そういう事言っちゃ駄目。ちゃーんと、せいっちの事が好きで渡した子もいるだろうから」
「……一面だけ見られて好きになられてもな」
嬉しくもなんともない、と言った様子だ。
それでも、手作りじゃなければ受け取っているだけ温情だろう。
一足先に高校生になった従弟は、手作りだろうがそうじゃなかろうが、よほど親しい者からではないとバレンタインの贈り物を受け取ろうとしない。
……まぁ、誰から渡されようと一応全部受け取る遥のような例もいるが。遥は遥で「受け取るが自分で全部食べるとは一言も言ってない」なので、あれはあれで酷いのか。
そして共通して、遥も星夜もどれが誰から渡された物であるのか、どれだけ把握しているやら。
勇気を出して渡したであろう女子生徒達に、憐は少しだけ同情する。
きっと二人共、向けられた好意に答えるどころか、それを意識してすらいない。
…………そういう自分も、人から向けられる好意にきちんと誠意をもって対応できるほど、人間ができてはいないのだが。
「せいっちは。こういう時贈り物もらって嬉しいと思える相手、いないんすか?」
「憐さん以外は特にいませんが?」
「なーんで、そこではるっちみたいな事言うっすかねー」
どうして、自分の周りにそういう返答してくるのが二人もいるのか。実にわからないと憐としては悩まざるを得ない。
星夜は基本的に冗談は言わない。いつでもマジレス直球ストレートだ。
つまり、今の返答は決してふざけたものではなく、星夜の本心と言う事になる。
正直、頭が痛い。
「そこでゆかっちの名前出てこないの、どうかと思うんすけど」
「紫の?…………まぁ、あいつはおかしな物は渡してこないから、そこは安心できるが」
幼馴染、と言うか「被害者仲間」の名前を出されて、星夜は少しばかり考えて。
あぁ、と、憐が言わんとしている事を理解したようだった。
「紫は、そういう相手じゃない。向こうだって、俺をそういう対象としちゃ見てないだろうし」
「そう?」
「そうです。あれは単に仲間みたいなもん。あいつはどっちかってと、マシューみたいな男の方がタイプだろうし」
星夜が名前をあげたその人の姿を憐は思い浮かべ。
……星夜とは、だいぶタイプが違う男性だ。少なくとも、社交性はあちらの方が圧倒的に上だ。
それに大人だし、色んな意味で星夜ずっと余裕がある……戦闘力もあちらの方が上、だろう。都市伝説の使い方にもよるが。
「あいつも、本気でマシューの事好きだって訳じゃなく憧れの類だとは思うけど。そもそもマシューも、紫みたいなちんちくりん、恋愛対象じゃないだろうしな」
「せいっち。ゆかっちに対して直でそういう事言っちゃ駄目っすよ。手遅れかもしれないけど」
「こないだ直接言ったら蹴り飛ばされかけてそのまま取っ組み合いにはなった」
「やっぱ手遅れだった」
女子に対して何を言っているのだろう、この後輩は。
と言うか、女子と取っ組み合いはしないでほしい。敵でもない相手ならなおさらだ。
「はるっちといいせいっちといい。女子の扱いが雑過ぎるっす」
「遥と一緒にされんのは流石にちょっと」
「なら、ちーっとは反省してほしいんすけd「俺は憐さん以外、大体等しく対応してるだけだし」うーんある意味はるっちより駄目!」
駄目だ、将来とか考えて色々何とかしないと!!
頭を抱えそうになる憐に、星夜はそんな憐の悩みに気付いた様子もなく。
「俺は」
真剣に、憐を見つめる。
それは、躾けられた猛犬が飼い主にだけ向けるような。獰猛さを押さえつけた忠犬の眼差し。
「誰であるかも意識してない奴からの贈り物より。憐さんからお褒め頂けることの方が、ずっと大事だ」
「……なら。無茶しない範囲で、俺が褒めてあげられるようにしてね?」
「はい!」
あぁ、尻尾の幻影が見える気がする。
何故、よりによって自分にだけこんなに懐いてきてしまっているのか。
……原因は一つ思い当たるけれど、それをあまり考えたくない現実に。
星夜に気付かれぬように、憐はこっそりとため息をついた。
おわっとけ
627 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/12(土) 14:35:54.63 ID:9LZLlKqpo
どうもこんにちは、昼休みーズです
>>621-623
、
>>626
投下お疲れ様でした
拒絶されると分かってる相手の靴箱にチョコをねじ込む
頭では理解していても、理性で浮ついた乙女心を自制できるんなら苦労しないよね
栗井戸君は遥と仲悪かったのか、今回の話見ればそうか
お昼休みを終わります
628 :
だいぶ遅れてミスに気付いた花子さんの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/12(土) 20:52:24.17 ID:I4DNZI160
>>621-623
の方のネタ、「 書類上では二つ年上の。五年前の……「先生」が本格的に正気に戻るに至った件の頃に知り合った人〜」のとこ
一年前だからこれ四年前のミスだ
一年前の話だから一年ズレてんの忘れてた
> 栗井戸君は遥と仲悪かったのか、今回の話見ればそうか
顔合わせると威嚇しあう程度の仲です
629 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/14(月) 03:09:37.76 ID:YR4SGUBYo
こんばんわ、深夜帯ーズです
改めて投下お疲れ様でした
つくね氏、今回初登場か
どっかで言及されてるだろうけど直接登場は今回初だと思う
現時点から五年前といえば角田氏も当時何かごたついてたようなこと言ってた覚えが
本格的に時系列表がほしくなってきたな……
そして憐君と栗井戸君
憐君周囲が憐君に向けてる愛が誰も彼も重すぎない?
何やら真の都市伝説は「残留思念」ではないかのような仄めかされ方してましたが
真の正体が「マモン」で、混同されやすい「アモン」の特徴も混じって過去どころか未来も見れるし
漆黒の翼を広げたりなどする……といった真相がやってきたとしても、もう驚いたりはしない(※あくまで予想です)
630 :
しばしよそ事集中してた花子さんの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/19(土) 17:36:12.29 ID:4GUC7aIA0
そろそろこっちも続きを書きた(やっておきたい事を見る)(時間が……時間が足りない……!)
>どっかで言及されてるだろうけど直接登場は今回初だと思う
言及した事あったかどうかうろ覚えでな……直接登場初なのはその通りです
どっちかってと五年前の「先生」絡みのどったんばったんの時に関わった奴なんで、「狐」絡みではほぼ顔出さんだろうけど
>漆黒の翼を広げたりなどする……といった真相がやってきたとしても、もう驚いたりはしない(※あくまで予想です)
……それも良かったかもしれない
631 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/20(日) 23:28:11.08 ID:j94OO39Fo
お疲れ様です、次世代ーズでございます
この一週間は休みの日も労働に勤しんでた気がする
このままではいけない気がする
時系列表は自分が昔作ったやつを大幅に書き換えながら作るとして
「先生」が正気に戻ったの、割と最近らしいですがこれもう「先生」の話だけで連載いける程エピソードがあるのでは……?
と思わずにはいられません
もうこのスレも600番台ですか、年明けからめっちゃ進んだ!
火曜までに2本、できたら3本出せる勢いで書いてます(間に合って自分)
632 :
他所事で砂糖吐き案件してたりしてた花子さんの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/22(火) 18:01:58.05 ID:9aanNNLJ0
> 「先生」が正気に戻ったの、割と最近らしいですがこれもう「先生」の話だけで連載いける程エピソードがあるのでは……?
数年前、みたいな感じで書いたことあるような覚えあるんですよね
なんで、十年よりは前かなって
そういう感じで、、五年前くらいかなぁ、多分
連載行けるエピソード量かどうかは知らない
633 :
さて夕食支度前に
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/22(火) 18:02:39.06 ID:9aanNNLJ0
■いままでのあらすじ
「みんなで遊ぼう」「みんなで遊ぼう人狼遊戯」
↓
>>510-513
「人狼遊戯のその後に」
↓
>>533-542
「次世代ーズ 「いよっち先輩からの質問」」
↓
>>548-550
「簡単なご返答」
↓
>>565-569
「次世代ーズ 「早渡、返答を受けて」
↓
>>584-585
「備えは大事」
↓
>>589-591
次世代ーズ 「厚意、返答、触診、そして」
↓
>>598-600
「保険仕込みと時間つぶしの雑談」
↓
>>611-613
「次世代ーズ 「様子見の間に」」
↓
今から投下するもの
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ 多分、これでひと段落かな?
ヽ 〈
ヽヽ_)
634 :
平和噛み締め
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/22(火) 18:04:02.33 ID:9aanNNLJ0
(まぁ、私もその気がある自覚はあるが。迷い子の少年も、考え事をすると周囲の会話が耳に入りにくくなるタイプかね)
合間合間、観察して感じたのはそこだった。
考え事に集中できるのは悪い事ではあるまい。うっかり、それで情報を聞き逃したりしなければ問題はないのだろう。
そう、うっかり聞き逃しで、知っておくべき事を聞き逃していなければ、だ。
(他に、共に会話に加わっている者がいればうまくフォローできるのであろうけど。ここは当人がどれだけ自覚できているかにもよるか)
ひとまず、一回使い切りの「賢者の石」を体内に放り込んでの拒絶反応の気配なし。
大きな物ならともかく、一回使い切りくらいならそうそう拒絶反応やアレルギー反応は出ないだろうから念の為のチェックではあったが、無事何事もなく幸いだ。
……と、声を掛けられそうな気配を感じ、そちらに意識を向ける。
「「先生」、さっきの話なんですけど、「姫君」ってやっぱりお姫様なんですかね?」
「うん?お嬢さん、気になるのかね?」
「気になります!」
戻ってきた少女からの、どこかキラキラとした眼差し。
自分はごく自然に使っていた「姫君」と言う表現だが、この単語は乙女心を刺激する何かがあるのだろうか。
乙女心どころか「人の心がわかっていない」と言われたことがある自分にはきちんと理解が及ばない。
「お姫様って「薔薇十字団」の偉い人なんですか?や、やっぱりお姫様って言うからには、お付きの騎士とかが居たりするんですか!?」
「ふむ。夢を壊してしまうやかもしれないが。「姫君」は、「薔薇十字団」所属の私の古い友人の娘の事だよ。騎士のようなものは、まぁいるにはいるが」
ある種、あれはもう「騎士」と呼んでも差支えがない……いや、「騎士」と呼ぶには少々えげつないか、あれは。
あれを「騎士」と呼ぶと本物の「騎士」に怒られるような気もする。
「「薔薇十字団」所属の古い友人…………もしかして、クリス、って人の、ですか?」
「あぁ。友人であり、私にとっては恩人でもあるね。私は元々、彼と契約しておったし……」
と、そうして話していた時だった。
「ちょっと、それは駄目でしょ!!」
聞こえてきた、赤いちゃんちゃんこの少女の声。
その声に反応した迷い子の少年。
あっ、となんとなく察したが。察したが、たいして問題はあるまい。
「「先生」!」
違った、問題あったらしい。
「うん?どうしたね、少年」
「俺の過去がスキャンダルに餓えた花野郎とその愉快な仲間たちの所為で危険に晒されてます!そろそろ止めないと!俺が女の子から貰った超プライベートな画像とか、そういうのが第三者に共有されたら、こりゃもう死活問題ですよ!?」
多分、もう手遅れじゃないかなぁ、と言う予感がする。
いっそすっぱり諦めた方が世の中楽になる事も多いが、その域に達するにはまだ早いのだろう。
会話の様子を見てきていると、なんとも微笑ましい。
己はこのような青春と称していいものは経験できなかった身であるが、若い者がそれを謳歌するのは実によい事だ。
この平和が、長く続けば実にいい。
635 :
平和噛み締め
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/22(火) 18:04:45.88 ID:9aanNNLJ0
「最悪の状況はギリギリ回避できたでいいんだろうか?」
「回避できてないと思う」
「アウトだと思う」
「恵おばさんとこの「スーパーハカー」が一瞬見えた時点でアウトだな」
「何もかも間に合ってなかった!!??」
早渡が顔を覆っているが、まぁどう考えても何もかも間に合っていないだろう。
確かに遥が言う通り、ちらっとスマホの画面に「スーパーハカー」が見えた。「マッドガッサー一味」のとこの「スーパーハカー」だったならば、あのほんの一瞬で何もかもバックアップとっていっただろう。
「っく……まさか、最終的に誰一人止めてくれていなかったとは」
「鬼灯さんが面白がってた時点で龍哉は気にしないし、灰人がツッコミ放棄した時点で憐も諦め入ったしなぁ」
「この場で一番の大人ーーーーーーっ!!??」
鬼灯は煙管片手に、けらけらと笑っている。
確かに年齢的にはこの場で一番の大人だが、ブレーキ役としては期待するだけ無駄だろう。
……かなえは止めようとしていなかった訳じゃないが、かなえでは止めるのは無理だ。「岩融」も、ある意味鬼灯より大人かもしれないがそこまで止めてはくれない。
「うーん無情無情。ちなみに私にブレーキ役を期待したとしても、この面子止めるのは諦め入るからね」
「諦めないで!?諦めたらそこで試合終了なんですよ「先生」!」
「早渡、お前は知らないかもしれないが。この白衣、憐にくそ甘いし最近は直斗にもそこそこ甘いぞ」
確か、去年まではそこまでじゃなかった記憶があるのだが。
何故だか、「先生」が直斗に甘くなった気がする。甘くなったというか、多少距離が近いというか。二人で何か企み事でもして仲良くなったのだろうか。仲良くなりそうな材料がそれくらいしか浮かばない。
「うぅ……もはや味方が、広瀬ちゃんしかいない……」
「多分それ晃じゃなくて私の事言ってるんでしょうけど。人の弱み握るなら当人にその気配すら察知させずに掴んだ方がいいから止めようとしただけよ」
「待って??別方面の最悪が聞こえた気がするよ?」
「だって、こっちがその情報掴んでる事を当人に知られる可能性は低い方がいいでしょ。いざと言うとき使うなら」
優の発言に早渡が頭を抱え始めた。
当たり前のように言われたせいか、だいぶ深刻に頭を抱えているように見えるのは気のせいか。
「大人組、一言どうぞ」
「優の言う通り、人の弱みは当人に知られず握っていざって時交渉材料にするやり方もあるな」
「優の周りの大人見てりゃ、その答えに辿り着くだろうなとは思う」
「いっそ英才教育みたいなものだからねぇ」
優も晃も、「マッドガッサー一味」なのだ。
そうじゃなくとも、父親がせんみつの弟子こと広瀬 辰也。母親が朝日奈 秀雄の子供で「スーパーハカー」の契約者である恵。
情報戦のやり方はきちんとわかっているはずだ。
晃が多少、わざとらしくあからさまに動くことでカモフラージュも平気でやってくるし、カモフラー?ジュと見せかけて本気で情報集めることもある。
あの双子のどちらかに携帯端末触らせた時点で勝負がつく可能性も高い。
「……大丈夫。今回は、お前の知り合いからの提供。よって、悪さには使いにくい」
「それ本当に安心していい案件????」
「とりあえず、お前は情報漏洩してきたあの女きっちり〆といたほうがいいんじゃないのか」
「ウッス」
すでに、晃が東に手に入った情報を送っている気がするぁらそれが安心に入っていいかどうかによるだろう。
安心じゃない気がする。
こちらは生暖かく見守る事しかできない。
さっきまで寝ていたポチがいつの間にか目を覚まして、早渡に前足でぱっふんぱっふん触れているのは、慰めているのかそれとも小ばかにしているのか。
ちゃり、と。ポチの首輪についている「Ⅺ」の形のチャームが揺れている。
(……どっかで見おぼえある気がするんだがな、あれ)
「組織」絡みの資料で見おぼえある気がするのだが、どうしても思い出せず。
ちぎれんばかりに尻尾を振り続けているその姿は、ただの仔犬にしか見えなかった。
to be … ?
636 :
これからおでん煮込んでくる花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/02/22(火) 18:06:03.26 ID:9aanNNLJ0
多分、出すべき情報大体出した、と思う。多分
なんか足りなかったらここなり避難所なりで言ってくだせぇ
637 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/02/23(水) 07:30:56.79 ID:0klIfyz+o
投下お疲れ様でした
親交を温めることができて良かったね、早渡!
ところで晃君がいよっち先輩に情報を横流ししてるらしいので
早渡の恥ずかしい情報はまるっとありすや千十にも流れますね
良かったね早渡、結構な規模で情報流出が発生するよ! やったね!!
2017年3月から実に長きに渡るエピソードであった
本当にお疲れ様でした……
早渡側も渡すべき情報は渡したので、これでお開きですかねー
あとはこちらがが診療所から帰途に着く話を書けば、「次世代ーズ」として一旦締めになるかと
早渡は絶望を通り越して慈悲あふれる微笑みを浮かべて帰っていくことでしょう
しかし最大の問題は「次世代ーズ」が向こう一週間ロクに物を書けないところですかね
つまり、間に合わなかった
本来なら2022年2月22日の2時22分、最悪22時22分までに投下したかったがこれはもう仕方ないね
次は200年後のチャンスを待ちます
638 :
気圧を許さない花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/03/01(火) 17:13:06.23 ID:1DgMKsLW0
>>637
リレーっぽくやってたのに途中で全く投下できないどころかこっちに顔出せなくなってて申し訳ねぇ
大体情報だしたような気がしつつ、何かしら情報だし忘れてはいねぇかと不安な方です
こういう時はなんかかしら、出したつもりで出し忘れてるんだ知ってる
本当は早渡君とかに「先生」の娘目撃くらいはさせたかったんだけどうまくできませんでした
灰人のバレンタインネタでちらっと出すことで作者レベルでは出したのでそれでお茶を濁す
> 早渡は絶望を通り越して慈悲あふれる微笑みを浮かべて帰っていくことでしょう
早渡君、めちゃくちゃ情報流出させてごめんな
639 :
お夕食の献立に悩む花子さんとかの人
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/03/01(火) 17:15:18.82 ID:1DgMKsLW0
■おおまかな時間軸
????????
ハ_ハ
('(゚∀゚∩ いつくらいの会話だったんだろうね?
ヽ 〈
ヽヽ_)
640 :
土川 咲李と×× ××
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/03/01(火) 17:16:38.82 ID:1DgMKsLW0
優しさは毒にも刃にもなりえることを、きっと彼女は気づいてすらいなかった。
彼女の優しさは、そんな悪いものではなかったのだろう。
ただ、同情や慰めと言うものが傲慢と紙一重である事に彼女は気づいていなかった。
気づいていなかった癖に、こちらを傷つけたという判断はしたらしい。
ただ、何が原因だったのかがわからない。
いや、もしかしたらわかっていたのかもしれないけど、それと向き合うことができなかったんだろう。
だから、こちらは傷ついていないようにしてみせた。
なんでもないように、普段通りにして見せた。
そもそも、自分でも自分が傷ついたかどうか、きちんとわかってはいなかったが。
……まぁ、多分、傷ついていたんだろう、俺は。
彼女が悪気鳴く、こちらを心配して言った、その言葉は。
俺が悩んでいた事を、気を付けていた事を、何もかも全て否定してきたに等しかったのだから。
641 :
土川 咲李と×× ××
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/03/01(火) 17:18:10.63 ID:1DgMKsLW0
私が、彼が普通のようでいて誰よりも普通でなかった事に気付いたのはただの偶然。
彼が、それを知られたがっていたのか、知られたくないと思っていたのか。それがどちらなのかわからなかった。
ただ、知ってしまったからには理解しようと思った。
私は、彼らの「日常」として、それを支えてあげたくて……彼もまた、支えるべき存在なのだと、そう感じたから。
だから、辛くないかと聞いたのだ。
辛くないのか、怖くないのか。
心配で、心配で、たまらなかったから。
彼は、その力を使う事を普通の事で、当たり前のことだと言っていて。
……それでも。
本当にそうなのか、と。
不安で、心配で…………。
「咲李さんは、怖い?」
「……え?」
じっと、彼は私を見つめて問いかけてきた。
いつもと、変わらない。にこにこと笑ったまま。
「……周りと違う俺が、怖い?」
そう、いつもと変わらない。いつもと同じ笑顔のまま、問いかけてきていた。
怖い?
怖いはずがない。
だって、彼は、いつもと変わらないんだから……。
「周りと違う事が当たり前で、辛くない俺の事が、怖い?」
一瞬、ぞくりとした。
眼をそらしていたものを、真正面に突き付けられたような感覚だった。
「俺にとっては、これが当たり前で普通の事なんだ。それが普通じゃないのもわかってるよ。わかっていて、当たり前で普通だっていう俺の事が、咲李さんは怖いかな?」
違うよ、と。
怖くないはずなんてないよ、と。
即答してあげられなかった。答えるまでに、間が開いてしまった。
そう、と彼はいつも通りの笑顔を見せてきた。
本当に、いつもと変わらない、いつも通りの…………装っている、笑顔の仮面。
その下にどんな表情が隠れているのか、決して見せてくれない。
「周りと違うのが怖いなら、無理しなくていいんだよ」
無理なんてしていない。
そんな、無理なんて、一度も……。
「自分を押し殺して、無理して周りに優しくしたとしても……咲李さんの為にも、周りの為にもならないよ」
違う、私は無理なんてしていない。
無理なんて、一度も……一度も………………。
642 :
土川 咲李と×× ××
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/03/01(火) 17:19:29.81 ID:1DgMKsLW0
「自分の事、大事にしないとダメだよ。咲李さんは無理するし無茶もするから」
「そんな事、ないよ」
「今だって、無理してるだろ?自分の辛い事を見ないふりしていても、覆る事はないよ」
違う、辛い事なんて、私は、何も。
「……少なくとも。俺達は気づいてるよ。だから、無理しないで。俺達に優しくする前に、俺達に相談してよ」
――心臓にナイフを突き立てられたような気分だった。
みんなには、私の事情を知られないようにしているつもりだった。
だって、知られたら、心配されてしまう。
私はみんなを心配させたくない。
だって、私は、みんなの「日常」なんだから。
だから、だから、だから、だから、だから、お母さんがいない事も、お父さんが私を見ない事も、知られては、いけないのに……
「俺達は、逃げ場になるくらいはできるよ。だから、変に隠さないでよ。一方的に優しくされるだけだなんて、性に合わない」
「ありがとう。でも……私は、なんともないよ。大丈夫なの。だから、みんなは、私の事なんて気にしないで」
彼みたいに、いつも通り笑ったつもりだったけど。
ちゃんと、私は笑えていただろうか?
「あなたこそ。辛くなったら無理しないでね」
「何度でもいうけど。俺にとっては当たり前なんだから辛くはないよ」
「でも…………」
傷つけるつもりはなかった。
彼のプライドを踏みにじるつもりもなかった。
「その力のおかげで、あなたは安全かもしれないけど。それでも、怖い事に変わりはないだろうから……」
私は、この時。
傷つけるつもりはなくて。
彼の努力を否定するつもりも、なくて。
ただ、彼を、心配して。
「――そうか。咲李さんはそう思っているんだね」
いつも通りの笑顔が、酷く恐ろしく感じた。
私の心の醜さが、むき出しにされているような気がした。
失言だったと、気づくのに時間はかからなかった。
あの言い方じゃあ、まるで、彼が彼自身が持つ普通ではない力に胡坐をかいているかのようだ。
その力がなければ、みんなの一員でいられないかのような、そんな言い方になってしまった。
違う、そうじゃ、ない。
彼が、その力に頼り切らずに、考えて、努力している事はわかっていた。
わかっていたはずだったのに、どうして、あんな。
「みんなに同じこと言わなければ、それでいいよ。ただ、本当に無理はしないようにね」
みんなを支えているつもりだった。
みんなの「日常」として、みんなを支えているつもりだった。
けれど、本当は。
支えられているのは、私の方だった。
目を背けていた現実を、私は気づかされたのだ。
気づかされて、そして。
……それでも、私は、ただ優しくある事しかできない。
私にはそれしかできない。
私が見えている範囲のみんなに優しくする事しかできない。
だって、私は、私には…………優しくする事でしか、そこにいる価値が、ないから。
643 :
土川 咲李と×× ××
◆7JHcQOyXBMim
[sage saga]:2022/03/01(火) 17:22:46.07 ID:1DgMKsLW0
彼女の優しさは麻薬と紙一重で。
彼女と言う麻薬が消えた事から未だに脱出できていない連中がいる事に。
死ぬ前に彼女は結局、気づくことができず。
そういう意味では、無責任だった。
彼女は優しい。それは間違いない。
ただ、その優しさは当人が自分自身を守るためのものでもあって……彼女はそれに気づいていなかった。
辛い現実から目をそらすためのものになってしまっている事に気づけていなかった。
気づいていないから、余計に周りに優しくし続けていたんだろう。
それがどれだけ残酷な事なのか、きっとあの会話の後も気づけていなかった。
気づけていなかったからこそ。
「あなたが飛び降りて取り込まれて、内側からあなたの父親の都市伝説を制御すれば父親を止めることができる」
だなんて、絶対的な強い意思がなければ成功しない事を提案されて、むざむざ乗ってしまったんだろう。
誰にも相談せず、自分だけで背負い込んで、無理だということにすら気づけず実行した。
できるはずがないだろう。
自分の弱さから目をそらし続けていた彼女には。
彼女の弱さに、俺達以外がどれだけ気づけていたんだろうか。
ただ、きっと、俺達以外気づいていないままでもいいのかもしれない。
自分自身の不幸せから逃れるために優しくされていた、だなんて。
きっと、誰も思いたくないだろうから。
その幸せで、綺麗な綺麗な幻想は。
きっと、そのままの方がいいに違いない。
to be … ?
644 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/03/03(木) 04:19:37.90 ID:Jt/IFR4oo
投下お疲れ様でした
名前が伏せられてますがこれは彼ですよね
というかこれまでの話でも徹底して伏せられてましたが全部彼ですよね
ある意味この時点で咲李さんは詰んでたかもしれんな……かなわんねこれは
あと
> 「あなたが飛び降りて取り込まれて、内側からあなたの父親の都市伝説を制御すれば父親を止めることができる」
これ言った「組織」強硬派(?)の人、あまりにも無茶振りじゃないの
状況をまるっと理解してたうえで告げたとしたら、これはもう故意と見なされても文句言えないね
645 :
◆John//PW6.
[sage]:2022/03/23(水) 17:35:52.63 ID:nc7nwv6ko
一個上で
> これ言った「組織」強硬派(?)の人、あまりにも無茶振りじゃないの
などと申しましたが、これって角田や門条氏の発言から見るに愛百合さんだよなあ……
彼女がどういう思惑で三年前から【11月】まで活動してたのか、今となっては知る由もないが
過去編や回想で明らかになるときは来るんだろうか
(あるいは本人が話してた以上の考えはない、という可能性も勿論ある)
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