キョン「パルクール?」
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1:名無しNIPPER[saga]
2018/10/23(火) 22:24:49.38 ID:kJHF/NYq0
〜夏、文芸部室〜

ハルヒ「『ヤマカシという名前は、コンゴの言語であるリンガラ語で"強靭な精神"、"強靭な肉体"、"強靭な人物"、"忍耐力"などを意味する語に由来する』」

最高気温36℃の猛暑日に、わざわざあの照り返しの焦熱地獄の坂を完登してまで屯する程の価値が、この空調設備もないうらぶれた部室に果たしてあるだろうか。
いや、ない。
汗ばんで上気した朝比奈さんのご尊顔を至近距離で拝める事を考慮に入れてもだ。

古泉「それ、知ってますよ。確かリュック・ベッソンが手掛けた仏映画ですよね」

あと、ハルヒは一体何を言っているんだ?こいつも暑さで変になったのか?
ぼんやりとそんな事を思ってから、自分の思考が誤った方向へ進んでいた事に気付いた。
そういえば、こいつは元から変だった。

ハルヒ「正確には、ヤマカシっていうのはそのキャストの人らの組んでるチームの名前なんだって。実在の集団ってWikipediaに書いてある」

ヤマカシ、ハルヒの口から出てくるのはそういう音の組み合わせだった。
心なしか響きが日本語っぽいが、ハルヒはコンゴの言葉だと言っていた。
何を思ってコンゴのナンチャラ語の説明が映し出されているPCの画面を唐突に読み上げ始めたのか、全くわからないし、そういうハルヒの行動について「わかった」と思った事は一度もない。
それでも古泉はハルヒの与太話に付き合っていく。それがあいつの仕事だからな。

古泉「らしいですね。役者がすべてガチンコでアクションをやっているという触れ込みで、記憶に残っている人も多いようですから」

マジで暑い。

みくる「長門さん、アイスクリームなら何の味が好きですか?」

長門「……チョコミント」


2:名無しNIPPER[saga]
2018/10/23(火) 22:29:41.41 ID:kJHF/NYq0
立て直すの3回目なんですが、またしてもVIPではなくRにスレが立ってしまった!
マジで原因がわからん。
そう何度も削除依頼を出すのも忍びないので、R要素はないですが、開き直ってこのまま続行します。


3:名無しNIPPER[saga]
2018/10/23(火) 22:31:38.80 ID:kJHF/NYq0
ハルヒ「ねぇキョン、これ見てよ」

パイプ椅子の上で力無くふやけていた俺に、ハルヒが声をかける。
しかし、見よ、このホセ・メンドーサに敗れた矢吹丈と寸分違わぬポーズを。
俺はもう動きたくないんだ。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2018/10/23(火) 22:32:51.62 ID:kJHF/NYq0
キョン「パルクール?」

ハルヒ「そ、みんなでこれやるわよ」

すみません、長門大先生。一先ず不思議な力で俺たち全員のライフを99機にして頂いてもよろしいでしょうか?
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2018/10/23(火) 22:38:36.76 ID:kJHF/NYq0
スポーツ?
この、どう見ても尋常ならざる身体能力を要するであろう超人技が?
……まぁ、アイロン掛けやウイイレがスポーツとして認められる時代だからな。
俺にはもうスポーツの定義がよくわからんが、エラい人がそう決めたんなら、まぁそうなんだろう。
そういう事にしておく。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2018/10/23(火) 22:40:00.23 ID:kJHF/NYq0
古泉「僕も小学生の頃は散々やりましたよ、こういうこと」

いつの間にか俺とハルヒの背後に回っていた古泉が、肩越しに画面を覗きながら言う。
こいつは素性が素性なだけに、こんな事もある程度出来そうな気がする。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2018/10/23(火) 22:42:27.55 ID:kJHF/NYq0
キョン「百歩譲って、これをやってみるとしてだな。素人の俺たちが何の手解きを受けることも無しに、こんな芸当をこなせるとは思えんのだが」

ハルヒ「キョン、あんたYouTubeって知ってる?世界中の色んな動画が観れる画期的なサイトなんだけど」

ハルヒはまたタブを切り替え、YouTube上での「パルクール 始め方」の検索結果をスクロールしていく。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2018/10/24(水) 23:46:07.57 ID:sTNRC3X20
古泉「まずは初心者向けハウツー動画を一通り漁って、簡単に出来そうなものから試していくという寸法ですね。しかし、一体何から始めれば良いんでしょう」

ハルヒ「最初はやっぱり着地とか受け身とかから始めるんじゃない?大体こういうのって、安全面を確保するとこから始まる気がするわ」

スキーで実際に滑り始める前に、まず雪の上で安全に転ける練習をするのと同じ要領だろう。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2018/10/24(水) 23:48:15.55 ID:sTNRC3X20
ハルヒ「とりあえず一通り目を通してから、近くの公園に行って実際に試してみるわよ。現地ではキョンの携帯で動画見ながらになると思うから、充電は温存しときなさいよ」

言い出しっぺのお前の携帯で見るのが筋というものではないか。
というか、今からやるのか!?

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2018/10/24(水) 23:50:08.88 ID:sTNRC3X20
ハルヒ「それじゃあ、今から近くの公園に行って実際にパルクールをやってみることにします。反対意見のある人は、練習が終わってから聞くわね」

暴君という言葉がこれほど似合う女子高生も、そういないだろうな。
PCの画面に釘付けのハルヒを尻目に、部屋の隅で古泉と額を寄せ合って小声で話す。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2018/10/24(水) 23:53:58.52 ID:sTNRC3X20
暑ッッ!!!

別段冷房も効いていない校舎だったが、いざ真夏の直射日光の下に体を晒すと、途端に文芸部室が恋しく感じられ、ハルヒの決定に対してもっと強情に異議を唱えなかった自分の選択を呪いたくなる。

ハルヒ「ほら、さっさと行くわよ」
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[saga]
2018/10/27(土) 09:54:07.46 ID:wK7UI14D0
一行が到着したのは、学校からほど近く、何の変哲もない児童公園。
さすがにこの暑さの為か、ハルヒの目算通り子どもの影は見当たらなかった。
これなら、高校生が公園ではしゃぎ回っていてもそこまで問題にはならないだろう。
遊具らしい遊具は滑り台、砂場、ブランコ、鉄棒といったごく普通のものしかないが、果たしてこんな所で練習が出来るのか?

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2018/10/27(土) 09:55:41.60 ID:wK7UI14D0
〜30分後〜

ハルヒ「はい」スッ

キョン「はい、涼宮君」
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2018/10/27(土) 09:57:28.60 ID:wK7UI14D0
ハルヒ「しっかし、簡単なことしかやってないのに結構疲れたわね」

古泉「普段使わない筋肉を使ったせいでしょうね。それにこの暑さですし、装備も十全ではなかったですから。また日を改めて出直しましょう」

おい古泉、余計なことを言うんじゃない。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 09:56:29.00 ID:c2+GUrB70
〜日曜〜

この間の猛烈な暑さは一旦影を潜め、今日の気温は抑え目だ。空気も湿度が低くカラッと乾いていて、運動には比較的適した気候だろう。
ハルヒは運動できる格好と言っていたが、ジャージのズボンにTシャツ、運動靴で十分だろう。
時間通りに指定の公園の最寄り駅へ赴くと、既に俺を除く4名が揃っていた。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 09:57:35.16 ID:c2+GUrB70
キョン「ごろん、と」

ハルヒ「あんたのそれは、ただ前転してるだけじゃないの。斜めに回るって書いてあるじゃない」

古泉「パルクールの受け身は柔道等の受け身と違って、足を折りたたんでおいて、回り終わったらすぐ立ち上がれるようにしているんですね。手も、地面を叩くのではなく、押し返して立ち上がる力に利用する、と」
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 09:58:47.86 ID:c2+GUrB70
ハルヒ「まぁ、ロールはこんなもんでしょ。コンクリの地面でやれって言われたら厳しいものがあるけど、導入としてはこれくらいでいいかしらね」

キョン「体を守るための受け身で、逆に体が痛いんだが」

古泉「慣れるまでは、骨の出っ張っている部分を地面にぶつけて、却ってどこか傷めてしまうこともあるかも知れませんね。コツがわかれば、コンクリートの地面に向かって飛び降りてから受け身をしても、全く痛くないらしいですが」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 10:02:12.17 ID:c2+GUrB70
少し休憩を挟んだ後、俺たちは公園内の遊具が密集しているエリアに移動し、鉄棒や低いブロック塀を使って「ヴォルト」の練習を始めた。
ヴォルトというのは障害物を飛び越える動きの総称らしく、初心者がすぐに出来るものから高度な宙返りに派生するものまで、数多の種類があるらしい。
一先ず初心者向けのハウツー動画を見てわかったのは、一番簡単なものが「ステップヴォルト」という、障害物に脚をかけて乗り越えるものであるらしいということだ。

ハルヒ「これ結構簡単そうじゃない?片足かけて、よいしょって乗り越えるだけでしょ?」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 10:04:29.35 ID:c2+GUrB70
鉄棒の次は、20cmほどの幅のある低いブロック塀を使って同じステップヴォルトをやってみる。
同じ動きでも、手は握るのか置くだけなのか、足をかける幅がどれくらいあるのか、という細かい所が変わるだけで、体感も少しずつだが変わってくる。

古泉「ステップはまだ比較的楽に出来ますね。細かい部分を直し始めると、かなり奥の深い動きみたいですが」ヒョイ

以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 10:06:09.55 ID:c2+GUrB70
ハルヒ「今更だけど、やっぱり靴がちゃんとしてると全然違うわね」

確かに、この間の学生服にローファーという出で立ちに比べ、動きやすさが各段に向上しているというのは、素人の俺でもわかる。

ハルヒ「えーっと次は……『ツーハンドヴォルト』?」
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2018/10/28(日) 10:08:16.38 ID:c2+GUrB70
ステップ、ツーハンドと来て次は……モンキーヴォルトという技だ。
これは体育の授業で誰しも挑戦したことがあるだろう、両足を両手の中に通して跳び箱を越える閉脚跳びというやつだ。
ここから一気にハードルが上がってきたな。

古泉「急にパルクールっぽくなってきましたね。これ、跳び越えた勢いを利用してそのまま離れた場所に飛び乗ったりするようですよ」
以下略 AAS



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