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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
	- 656 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 21:28:20.71 ID:i0brLQaa0
 -  さて、反董卓連合。その一連の軍事行動を経て袁家内で最も声望が高まったのは郭嘉である。当主たる袁紹を補佐し、最上の戦果を挙げたのだからして。 
 本来……と言うかその役割には沮授が充てられるというのが大方の予想であった。 
 袁家を牛耳る立場にある紀霊の義兄弟。そして「あの」不敗の田豊の秘蔵っ子なのだ。当然参軍するのは沮授であろうと思われていたのだ。 
 だが参軍したのは郭嘉。 
 いや、北方、匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にあって備えるというのは実に妥当ではあったのだが、それは後知恵というものである。 
  
 「まあ、ねーちゃんと師匠の相手を稟ちゃんさんにさせるのも酷だろうよ」 
  
 どこかの自称凡人の言である。 
  
 そんな事情もあったのかもしれない。 
 ともかく、郭嘉は見事にやり遂げて見せたのだ。もっとも、彼女は諸侯軍の誅滅が果たせなかったことが若干心残りだったようであるが。 
 そして、その郭嘉は現在。 
 親友たちと歓談していた。 
  
 「しかし、まさか稟がなあ。よくぞまあ、鼻血を吹かなかったものだ」 
  
 趙雲は感慨深げに頷く。いや、実際心配していたのだ。いざ、ことに及ぶ段において、だ。 
  
 「そですねー。少なくとも二郎さんは血の海の中で欲情するような性癖はないようですし〜」 
  
 程立もうんうん、とばかりに頷く。 
  
 「ふ、二人とも!私をなんだと思っているのですか!」 
  
 さしもの郭嘉も声を荒げる。が。 
  
 「などと説得力に欠けることを言っており」 
 「稟ちゃんは可愛いですね〜」 
  
 その無垢なる怒りはどこにも届かず、いいようにからかわれていた。 
 ひとしきりそのようなやりとりを終えた後。 
  
 「……で、実際、よくもまあ乗り切ったものだと思うのだが」 
  
 興味津々といった風に趙雲が尋ねる。 
 む、と口ごもる郭嘉。そして、ぽつり、と。 
  
 「その、二郎殿が、ですね。 
 あまりに痛々しくて。その、なんとかお慰めしたいと。その一心でしたので……」 
  
 見ていられなかった、と漏らす郭嘉を流石に茶化すことは出来ない。 
 なんとなれば、彼の傷心については彼女らにしても、心を揺らしていたのだからして。 
  
 「ですから、その。 
 あまり、常のようにその行為を……あ、あの。あのような行為。 
 はしたなくも甘美でそれでいて苦痛すら悦びに変換されるそのような行為。荒々しくも優しい二郎殿。そして……!」 
  
   
	- 657 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 21:28:47.43 ID:i0brLQaa0
 -  ぷぴ。 
 破裂音、一つ。 
  
 「はいはいー。稟ちゃん、とんとんしましょうねー。とんとーん」 
  
 吹き出す鮮血に驚くこともなく対応する二人。 
  
 「うう、すみません……」 
  
 「それは言わない約束でしょう〜」 
  
 その様子にけらけらと趙雲は笑う。 
 いや、いつもどおりだな、と。そして三人揃って袁家に仕えることができてよかったと心底思う。 
 知り合い同士で殺しあうというのはまあ、端的に言って好みではないからして。 
 ありえた未来ではあったのだ。幸運にもそうはならなかったが。 
  
 「しかしなんだな。これから先はどうするのだ。主を好きすぎて思考が焼きつく状況なぞ中々なかろう」 
  
 む、と郭嘉は唸る。確かにそうだ。勢い――と断じるのは甚だ不本意ではあるが――で身体を重ねたことはいい。望んでいたことだから。だが、そのような突発的な場合なぞこれから幾度あるのだろうか。 
 まったくもって厄介な体質である。 
  
 「そこはですね。風に腹案があるのですよ〜」 
  
 くふ、と含み笑いをする程立。 
  
 「ほほう。長年の懸案事項であった稟の特殊体質が解決されるというのか」 
  
 感嘆する趙雲。その声に邪気がないから郭嘉は文句も言えない。 
  
 「……星の言い様はあまりといえばあまりですが、風。どういうことでしょうか」 
  
 くふふ、と笑みを漏らし。びし、と指を郭嘉に突き付ける。 
  
 「謎は大体解けたのですよ。結局稟ちゃんはあれこれ考えすぎなのですね〜。 
  稟ちゃんはとってもお利口さんだからこその不思議体質と申しましょうか〜」 
  
 「つまり、どういうことなのだ?」 
  
 問う趙雲の言葉ににまり、と程立は笑う。 
  
 「あれやこれやを考えることのできる状態になければいいのですよ〜」 
  
 「そうは言いますが、具体的には?」 
  
 郭嘉の問いに、くふ、と笑う。 
  
 「思考能力を奪う魔法の薬があります〜」 
  
 程立がじゃじゃーんとばかりに取り出したのは……。 
  
 「酒瓶を取り出して、何を言うのですか!」 
  
 「おお、見事な突っ込みなのですよ」 
  
 程立が取り出したのは酒瓶。それも火酒、だ。袁家内で幾度も試作を重ね、そのまま飲むと、喉を焼くようなそれはまさに火酒。つまり蒸留酒、という奴である。 
 それを見て趙雲がなるほど、と頷く。 
  
 「ああ、なるほどな。酔っぱらってしまえばあれこれ妄想する余裕もなくなるということか」 
  
 「流石は星ちゃん。その通りなのですよ〜」 
  
 「ちょっと待ってください色々おかしいしひどくはありませんか?」 
  
 とは言うものの、他に妙案なぞなく。 
  
 「……釈然としません」 
  
 だが、普段クールで鉄壁でセクハラの欠片も許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定されたシチュエーション。 
 ――大好評であったようである。 
   
	- 658 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 21:30:01.75 ID:i0brLQaa0
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 タイトル案はいつも大変。 
 今回はなんだろうなあ 
  
 火酒 
  
 かな 
  
 火酒を活用してくれたら嬉しいですのでオナシャス 
   
	- 659 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/18(木) 22:17:02.07 ID:i0brLQaa0
 -  あと、色っぽい案件については基本的にカットということです。 
 必要なことは見せた。これ以上は弥山。 
  
 そういうことでひとつよろしくお願いします。 
 お察しください。 
 あっちにもアップはしないのでご安心ください。  
	- 660 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/19(金) 17:42:07.73 ID:DQ/uuxT70
 -  むしろあっちにアップするべきか。 
 
	- 661 :赤ペン [sage saga]:2021/02/20(土) 16:23:26.48 ID:Kz9nW6UD0
 -  乙でしたー 
 >>656 
 >>いや、北方、匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にあって備えるというのは    北方と匈奴ってほぼ=で繋げていいよね?もしくは北方の匈奴みたいな 
 ○いや、北方――匈奴への備えを考えれば沮授が南皮にて睨みを利かせるというのは 【、】を使うと北方(民族)と匈奴の2種類への備えに読めるので 
 >>どこかの自称凡人の言である。 間違いではないです 
 ○どこぞの自称凡人の言である。 分かっててぼやかす場合はこっちの方が自然かな? 
 >>郭嘉は見事にやり遂げて見せたのだ。 【〜して見せた】は実際に見せる場合なら使うのかな? 
 ○郭嘉は見事にやり遂げてみせたのだ。 鮮やかな手並みを強調するなら【やり遂げて魅せたのだ。】とかもいいかもですね 
 >>程立もうんうん、とばかりに頷く。 頷く時点で【ばかりに】じゃなくてそのものずばりよね 
 ○程立もその通り、とばかりに頷く。 もしくは【うんうん、と同意するように頷く。】とかどうでしょう 
 >>657 
 >>主を好きすぎて思考が焼きつく状況なぞ中々なかろう」 【焼き付く】って言うと壊れる方向なのにこの子の場合逆にその方が良い状態があるって言うのがw 
 ○主を好きすぎて思考が”飛ぶ”状況なぞ中々なかろう」 いわゆるヒューズが飛んだおかげで逆に鼻血吹き出しスイッチが動かない。的な? 
 >>だが、普段クールで鉄壁でセクハラの欠片も許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定されたシチュエーション。 ええっ!普段は上司を馬鹿にしてるエリート部下をお酒で前後不覚にしてお持ち帰り、快楽堕ちさせて「これをばらされたくなければ次呼ばれたらすぐ来いよ」プレイをするだって? 
 ○だが、普段は冷静沈着の鉄壁で殊色事なぞ話題すら許してくれそうにない郭嘉が前後不覚になり、それをお持ち帰りしつつ美味しくいただいてしまうという極めて限定された睦言の合図。 【シチュエーション】は場面とか状況とか言い換えられるけどここはあえてお互いに分かったうえで行う…つまりお酒の飲める場所に誘うだけでゴールが決まった寸劇なのだろうさ(実際本当にお酒でべろべろになったとしたら二郎が弱みに付け込むとは思えないし 
  
 >>望んでいたことだから。 聞きましたw?望んでやったこと、じゃなくて望んでいた、って恋でも愛でもなく同情と打算で云々言っといてこれですよ 
 火酒で(顔周りの)熱冷ましと(二郎との逢瀬の)火付けを同時に行う…なんという無駄のない完璧な理論そしてお酒によって記憶が飛ぶ(と言うことになってる)から思いっきり甘えたりわがまま言ったりしてそう…あと噛み跡とか付けてそう 
 ノクターンに悪い上司にお持ち帰りされてたっぷりと鳴かされた翌日勝手に有給申請が通っていて数日かけてじっくりと開発されるクールむっつりエリートの話が投下されるだって?  
	- 662 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/20(土) 20:49:35.52 ID:Xc2D2rVJ0
 -  >>661 
 赤ペン先生いつもありがとうございますー! 
 そしてご指摘で気付いたけど稟ちゃんさん、これべた惚れですね。 
 もちっとクールということだと思ってたのですが。 
 これはいけません。 
 ※いけなくはない 
  
 >火酒で(顔周りの)熱冷ましと(二郎との逢瀬の)火付けを同時に行う…なんという無駄のない完璧な理論そしてお酒によって記憶が飛ぶ(と言うことになってる)から思いっきり甘えたりわがまま言ったりしてそう…あと噛み跡とか付けてそう 
 ヨシ!ちょっと久々書こうかなと創作意欲に火酒です 
  
 >ノクターンに悪い上司にお持ち帰りされてたっぷりと鳴かされた翌日勝手に有給申請が通っていて数日かけてじっくりと開発されるクールむっつりエリートの話が投下されるだって? 
 悪じゃのう・・・w 
 ちょっとむっくりと来ました 
 きてますきてます。やりたいなあ。ちょっくら考えます。 
  
   
	- 663 :青ペン [sage]:2021/02/21(日) 02:42:26.50 ID:fpDxiudNo
 -  >>658 
 ほむ? 
 思考を止めるは炎の酒 
 でいってみるぅ?  
	- 664 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/21(日) 05:59:40.52 ID:QHd3saAi0
 -  >>663 
 ありがとうございますー! 
 ちょっといじるかもですがこれは有り難く頂きます!  
	- 665 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/21(日) 23:20:10.33 ID:QHd3saAi0
 -  「まずは一献、どぞ〜」 
  
 湯につかりながら程立が酒器に酒を注ぐ。 
 ふむ、とばかりに杯を干した郭嘉は思わずむせる。 
  
 「これは、風!これはなんですか!」 
  
 「おやおや〜稟ちゃんは飲んだことがなかったですっけ? 
  火酒、というやつですよ。 
  二郎さんが現代に再現した神話の御神酒。 
  酒精に火の気を与えて燃える酒となす。 
  実際に火が付くのですし〜。 
  当然、神ならぬ人もその火に侵されます〜」 
  
 くすくす、と笑う程立の言に納得する郭嘉である。 
 確かに喉を通ったのは炎。か、と燃え上がるがごとく血流は沸き立つ。 
  
 「まあ、ゆっくりと呑むがいいと思うぞ」 
  
 ニヤリ、と笑うのは趙雲。 
 これ見よがしにごくり、と火酒を飲み干して大きく息を吐く。 
 その吐息は酒精の主張が大きく、常の郭嘉ならば眉をひそめただろう。 
  
 だがしかし、頬を上気させた郭嘉は再び火酒に挑む。 
 ごくり、と飲み干すとそこから炎。滴る液体は熱をもたらす。内臓を焼き尽くしそうな熱量に目を白黒させる。 
 ほ、と漏らした息から火が付きそうだ。 
 ぬるめの湯がそれを助長する。かぁ、と血流に火が入ったようだ。 
 鼓動ひとつ。またひとつ。 
 どくり、と動く血流ごとに身体が火照っていく。熱くなっていく。 
  
 「湯とは火と水の相克。そして火酒も同様。水でありながら火を内包する大地の営み。 
  理性を溶かす炎の液体。 
 つまり稟ちゃんの理性はこれより以降仕事をしないということですね〜」 
  
 「うむ、予想以上に酔いが回ったようで何よりだな。 
  …これでどうなるか、分からないのだがね」 
  
 「ま、なんとかなるでしょ〜。 
  本番はこれからなのですし〜」 
  
 ◆◆◆  
	- 666 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/21(日) 23:20:40.10 ID:QHd3saAi0
 -  どさり、衝撃一つ。 
 そして揺れる世界は彩りに薄い。 
 いささかばかりに酒精を取り過ぎたか。 
  
 「水を、お願いできますか」 
  
 真横にある人影。声をかけたが。 
  
 「いいぜ。任せろ」 
  
 くい、と水差しから液体を含み、注ぎ込む。 
 常ならばそんなこと許しはしない。 
 だが、ここに例外が存在する。 
  
 「二郎殿。いけません。いけません。 
  駄目、駄目なのです」 
  
 注ぎ込まれたのは火酒。 
 世界は揺れ、今自分がどこにいるかも定かではない。 
 確かなのは唇を合わせた男の身体のみ。 
 ぎゅ、と抱きしめ、熱い炎を飲み干す。 
  
 喉を焼き、五臓六腑に火を付ける。目から炎、口からは煉獄。 
 そして至る思考は支離滅裂。 
  
 だから、嬉しい。 
 ここまでしてくれたのか、と思う。 
 ここまでさせてしまったのか、と思う。 
  
 合わせた唇からは悦楽の波が伝わり、自分の身体が女なのだと痛感する。 
 それが、嬉しい。好いた男が寄せる情欲が、嬉しい。 
  
 「ください」 
  
 溢れた思い。 
 前戯や口説きはもういらない。 
 今はただひたすらに蹂躙してほしい。 
  
 だから、達した。 
 一突きごとに達した。 
 尖りを突き込まれて、達した。 
 絶叫した。してない。わからない。 
 既にそれは夢うつつ。 
  
 愛しい男の身体を抱きしめたようでもあり、ただなすすべもなくされるがままだったようでもあり。 
  
 ただ、達していたのは確かなこと。 
  
 口を開ければ注ぎ込まれる炎。 
 その痛みに叫んだ、ような気がした。 
  
 現かまことか。 
 それすら混迷。いや。 
  
 確かなのは、男がいること。 
 惚れた男がいること。 
 愛しい男がいること。 
 男と肌を合わせているということ。 
  
 こちらの体温が高い。なのに熱さが押し寄せてくる。 
  
 絶頂ひとつ。 
  
 肺腑からの叫びを漏らした。叫んだ。 
 我を喪う。 
 それは、とてもとても気持ちがいいこと。 
  
 だから、日が昇り、覚醒したとき。 
 床にはひとり。 
  
 そして、郭嘉は初めて喪失と寂寥を知って、その涙で渇きを潤すのであった。  
	- 667 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/21(日) 23:21:08.71 ID:QHd3saAi0
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 あまりエロくなかったね 
 ただまあ、稟ちゃんさん、可愛いなって  
	- 668 :赤ペン [sage saga]:2021/02/24(水) 15:16:59.20 ID:C0LIDdq+0
 -  乙でしたー 
 >>666 
 >>目から炎、口からは煉獄。  前にも書きましたが【煉獄】ってキリスト教圏の言葉(意味としては天国へ至る途中の浄化の場所)なんですよね 
 ○目から火花、口からは灼熱。 【目から炎】って言うとなんか眼光(レーザー)っぽいのでチカチカと火花が散る感じで 
  
 受け入れたのか、貪られたのか、結ばれたのか、繋がれたのか、確かなことは自分が選んだことと自分が選ばれたってことかな? 
 でも最後に惰眠貪らずに早起きして女残してどっか行ったジゴロちゃんはちょっと違和感…お前情を交わした女に「昨日は可愛かったよ」っていう以上に大切な仕事あるの?  
	- 669 :青ペン [sage]:2021/02/24(水) 20:10:38.08 ID:/1vzV1S1o
 -  >>667 
 乙ーい。 
 冷静沈着な子が乱れるのっていいよね…。 
 というわけで 
 冷凜なる心を火酒で焚いて 
  
 とでもしとこかー。  
	- 670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/02/25(木) 22:55:36.99 ID:ck6kKx4Z0
 -  火酒で蕩かして とかもいいかもね(乗っかり感 
 
	- 671 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/02/27(土) 11:02:42.78 ID:TPEHQPiC0
 -  >>668 
 赤ペン先生いつもありがとうございますー! 
  
 さて 
  
 >受け入れたのか、貪られたのか、結ばれたのか、繋がれたのか、確かなことは自分が選んだことと自分が選ばれたってことかな? 
 >でも最後に惰眠貪らずに早起きして女残してどっか行ったジゴロちゃんはちょっと違和感…お前情を交わした女に「昨日は可愛かったよ」っていう以上に大切な仕事あるの? 
 AルートとBルートありまして。 
 今回のはBルートでした。 
 Aだと朝を一緒に迎えますが、当然感想戦となって鼻血エンドというコメディなんですよね。 
 んで、そうなるだろうからということで去ったBですが、ちょっとおセンチなのであっちに出す際はAルートでやります 
  
 >>669 
 どもです! 
  
 >冷静沈着な子が乱れるのっていいよね…。 
 控えめにいって大好物です!!! 
 俺しか知らないあの子の痴態とか最高やん 
  
 >冷凜なる心を火酒で焚いて 
 よきです 
 火酒で焚くっていいですね。大炎上不可避 
  
 >>670 
 どもです! 
 仮採用でオナシャス 
  
 4月からは忙しくなりそうなのでちょいちょいペースを上げて本年中に完結としたいなあという願望  
	- 672 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/08(月) 22:28:07.07 ID:SYKaUEsN0
 -  「断空!光牙拳!」 
  
 発した叫び、そして轟音。 
  
 「ふむ、凄いものだな……」 
  
 趙雲は感嘆の声を漏らしながら、見事にへし折れた丸太を確認する。 
 楽進の一撃。それは一撃で、一抱えもあるような太さの丸太をへし折ったのである。金色の光輝を背負うかのごとく吹き上がる気迫。いや。気の高まり。 
  
 「剛柔いずれも無手では、勝てんな」 
  
 負けないまでも、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。 
  
 「まったく、相対すれば厄介この上ないな。 
 無論、槍の一振りさえあれば負ける気はないが――。 
  槍の間合いの外から打ちこむ気弾。そしてその乾坤圏だったか。おまけに間合いにもぐりこまれると打撃(シュート)に関節技(サブミッション)ときたものだ。 
  全く初見殺しも甚だしい。」 
  
 肩をすくめて苦笑する。論評を受ける楽進は恐縮しきりである。 
  
 「い、いえ。まだまだ未熟な技ゆえ、そこまで評価されると心苦しいのですが……」 
  
 「なに、謙遜することはない。事実さ。 
 なればこそ主の身を預けられるというものだ」 
  
 典韋が孫尚香と共に、袁術の護衛という名目で後宮に張り付いている現状がある。 
 紀霊の護衛の要は自然と楽進になる。無論趙雲とて紀霊の身を守るという名目で近くにいたいのではあるが。 
  
 「あ! 
 遅れましたが、執金吾へのご就任、おめでとうございます」 
  
 そう、すったもんだの末に趙雲は洛陽の治安の要たる地位に。 
 かの呂布を単騎で退けた武勇を恐れてか、洛陽の治安は一気に回復されたという。 
 それもあり、高まる声望は留まることを知らない。無論、阿蘇阿蘇(アソアソ)など、情報発信にも余念がないからでもあるのだが。それを知っているからこそ趙雲は苦笑する。 
  
 実際は母流龍九商会が裏の社会をも掌握したからというのが大きいのだろうが。  
	- 673 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/08(月) 22:28:32.64 ID:SYKaUEsN0
 -  「なに、実務にはほとんど絡んでおらんよ。名誉職もいいところさ」 
  
 これは謙遜、或いは韜晦(とうかい)である。どこぞの凡人と違って彼女は生真面目な面があり、任された職責に全力で当たっていた。 
 無論、慣れぬ業務で不備などはあったにしても許容範囲。名ばかり司徒としてまともに席を温めない彼とは勤務態度に大きな違いがある。 
 そして楽進はそれを正しく認識しており、だからこそ一騎当千たる彼女の貴重な時間を無駄にすまいと知る限りを答え、出来る限りを示す。 
 なんとなれば、彼女たちは共通している。求めているのだ。最強を、至強を。 
  
 「と、すまんな。愚痴っぽい。 
  ――そう言えば、関節技にしても、投げ技にしても見事に洗練されているのだが、それはやはり?」 
  
 いささかあからさまで強引な話題転換ではあるが、楽進はそれに喜んで便乗する。 
 彼女には政治めいた話題はよくわからないことであるし、自らが極めようとしている技については一刻ならず、一晩語っても語りきれないのだからして。 
  
 「はい。いずれも二郎様からご伝授頂きました!」 
  
 きらきらと輝く笑顔。その純粋さに趙雲はなんとも言えない表情を浮かべる。 
  
 「あの珍妙な技それぞれ全てを、か……?」 
  
 「はい。いずれも使いどころは難しいですが非常に理にかなっております」 
  
 「四十八手、だったか。裏も同数あると言うが」 
  
 趙雲は未だその全てを目にしたことはない。目前の楽進も同様だろう。 
 技とは秘すべきものだからして。 
  
 「はい。ですが、ある日ふと漏らしてらっしゃいました。 
 俺の殺人技は百八まであるぞ、と。 
  恐らく、真に危険な技については封印されているのではないでしょうか」 
  
 むむ、と趙雲は唸る。やはり全貌を知る者は彼のみであるか。 
 その表情を見たのか楽進は慌てて取り繕う。 
  
 「その、二郎様は、仰ってました。俺は人は殺さない。その怨念を殺す。それこそが活人拳である、と。 
  だからこそ、だと思うのです」 
  
 なんとも甘いことだ、と趙雲は笑うことはできない。 
 のほほんとして、ぼんやりとして。だらしなくにやけて。それが彼の本当の姿、なのだろう。 
 思えば自分も、だ。憧れの英雄たる姿を、その虚像を望み。或いは押しつけてはいなかったか? 
 ふと浮かぶその思いを振り払う。いや、自分の胸で泣き崩れる彼を見た、知った。そして、愛し合った。その絆は本当のものだ。だから、自分は強くならねばならない。彼の前に立ちはだかる困難全てをうち滅ぼすくらいには。 
 軽く首を振り、決意を新たに。  
	- 674 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/08(月) 22:29:08.23 ID:SYKaUEsN0
 -  「なんとも主らしいと言えばらしいな。しかし、だ。あの技の数々は主が編み出したものか?」 
  
 「いえ、私が聞いたところによると」 
  
 ――五輪の書。かの黄帝が記したという武術の真髄を記したと言う書。始皇帝の焚書を奇跡的に逃れた稀書。 
  
 「ただ、残念なことに書庫の不審火で喪われてしまったとのことです。ですから二郎様も、あやふやなところがあるとおっしゃってました」 
  
 「ふむ。神農の書といい、紀家の書庫が焼けてしまったのは惜しいことだな。健在ならば気の扱いについても、なにか指南書があったやもしれんのにな」 
  
 嘆息する趙雲に楽進は問う。 
  
 「そう言えば華佗殿に師事なさっているのでしたか」 
  
 是、と趙雲は頷く。 
  
 「まあ、今のところは瞑想して気の巡りを強めること以上はできんが。 
  硬気功だったか?全身に気を巡らせればそれができるということだが」 
  
 今は虫刺されを気にせずにて済む程度だな、と苦笑する。 
 楽進からしたらそれでも驚くべき成果なのだが。 
  
 「そう言えば貴殿も華佗殿に師事していたろう? 
 治癒、だったな」 
  
 「はい。生憎と相性がよくないようで、どうにも習得に手間取ってはいますが……」 
  
 心底無念そうに楽進は呟く。 
  
 「だが、まるっきり効果がないということはないのだろう?」 
  
 はい、と言って楽進は静かに気を練り上げる。先ほどとは真逆の、静かな気。溢れんばかりであったそれを内包し、整える。 
 無言で趙雲に手をかざし、無言で眉間に皺を寄せる。 
  
 「ふむ。温かいな」 
  
 趙雲の正直な感想である。 
  
 「今の私ではこれが精いっぱいです」 
  
 額に汗を浮かべ、息を弾ませながら楽進が応える。 
  
 「ふむ。ちなみに効果としてはどれほどのものなのだ?」 
  
 これは純粋な好奇心。いや、相性が最悪という彼女がどの程度の成果を上げているか。それは趙雲にとっても指針となるのだからして。 
  
 「はい。肩こりには効くそうです」 
  
 「は?」 
  
 「肩こりにはよく効くと、真桜が」 
  
 ああ、と趙雲は納得してしまう。 
 李典。彼女の体躯はそれほど立派なものではない。だが、その胸部装甲は圧倒的である。趙雲とて自らのそれに自信を持っているのではあるが、李典のそれは次元が違う。 
  
 「まあ、その、なんだ。道は遠そうだな」 
  
 「ええ」 
  
 笑い合う二人。 
  
 そして彼女らは地道を厭わない。そしてその目線は高く上げたままに。 
 きっと人は自分のためだけではこんなにも頑張れない。そして、共犯者の笑みを交わす。 
  
 千里の道、なにするものぞとばかりに。  
	- 675 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/08(月) 22:30:33.29 ID:SYKaUEsN0
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 タイトル案は「千里の道も一歩から」 
 うむ、ふつうだ。 
 タイトル案募集しまくりんぐですよ本当に! 
 ぼすけてー 
  
 こっからどんどこいきたいとこですね 
  
 しかし神農書に五輪の書 
 紀家の書庫は宝箱やー!  
	- 676 :赤ペン [sage saga]:2021/03/10(水) 15:08:03.84 ID:Rn98zfGD0
 -  乙でしたー 
 >>672 
 >>負けないまでも、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。 これは実際は無手でやりあえば負けると思ってるけど、そうは言わないのがってことかな?(勝てんな、だけなら素直に負けを認めた感じだけどそこに負けないまでも、と言えば引き分けにはできる。という負け犬の遠吠えみたいなことは思ってるけど言わない?) 
 ○負ける、と言わないのは彼女なりの矜持というものであろう。     武人として、というかまあ単純に負けず嫌いもあるかもだけど端から負けを認めるのは矜持に反する(本気でやれば十中八九負けるかもだけどいざその時は何が何でも万が一でも拾ってやると思ってる?) 
 ○負けないまでも、と言う呟きは彼女なりの矜持というものであろう。  絶対に勝てないような相手(例えば呂布とか)と戦うことになってもお互いに勝つ気で戦うぞ、と(ただし気恥ずかしいので大声はちょっと…)みたいな? 
 >>674 
 >>今は虫刺されを気にせずにて済む程度だな、と苦笑する。 これは刺された跡が痒くならないということ?それとも虫に刺されない程度には硬くできるようになったってこと? 
 ○今は虫刺されを気にせずに済む程度だな、と苦笑する。  刺されないことなら【今は虫刺されに煩わされずに済む】とかどうでしょう 
  
 >>典韋が孫尚香と共に、袁術の護衛という名目で後宮に張り付いている現状がある。 さらっと孫家が朝廷での立ち位置得ててw実益はともかく権威としては悪くない(なお実益は袁家からもらえる)とか強かだわ 
 >>俺の殺人技は百八まであるぞ、と。 波動球かよ!?王子オリジナルと王家の三大とツープラトンを足せばそのぐらいになりそう 
 某努力家「武術の伝承とはすなわち、模倣から始めるのだ」暗闇の中を只進むのは無理でもか細い光でも光明があれば進める。(なお陽炎の可能性) 
 武人たちは学びあうことでより高みへ行くようで…その横で凡人はルート検索とか必要な物資調達してそう 
 紀家の書庫…人間の骨格とか内蔵の図が掛かれた解体親書とか地球は丸いと書かれた世界地図とかありそう(こなみかん  
	- 677 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:10:06.10 ID:ABnJikA30
 -  >>676 
 赤ペン先生いつもありがとうございますー! 
  
 >これは実際は無手でやりあえば負けると思ってるけど、そうは言わないのがってことかな?(勝てんな、だけなら素直に負けを認めた感じだけどそこに負けないまでも、と言えば引き分けにはできる。という負け犬の遠吠えみたいなことは思ってるけど言わない?) 
 負けないまでも、勝ち目が見えない(精一杯の強がり) 
 くらいのニュアンスなので、ご検討くださいませ。 
  
 >これは刺された跡が痒くならないということ?それとも虫に刺されない程度には硬くできるようになったってこと? 
 後者の方ですね。 
 それでもすごいです感じ。 
  
 >さらっと孫家が朝廷での立ち位置得ててw実益はともかく権威としては悪くない(なお実益は袁家からもらえる)とか強かだわ 
 ここらへんを読み取っていただけるとすごく嬉しいやつなのです。 
  
 >波動球かよ!? 
 今となっては昔のネタではありますがw 
  
 >紀家の書庫…人間の骨格とか内蔵の図が掛かれた解体親書とか地球は丸いと書かれた世界地図とかありそう(こなみかん 
 オーパーツ的な知識を出すなら紀家の書庫が起源となるのですよねw 
 まあ、古代で中華と印度と羅馬はおかしいくらいに文明だったので、そういうことなんでしょう(適当)  
	- 678 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:51:10.18 ID:ABnJikA30
 -  「おや珍しい。これは明日からの天は、慈雨間違いなしですね〜」 
  
 三公の筆頭たる司徒。その執務室は俺の戦場。そこに踏み入った俺にかけられたのは、腹心たるメイン軍師の無慈悲な言葉だった。やったぜ。 
  
 「ああ、最近埃っぽいし、そろそろ一雨ほしいとこだかんな」 
  
 軽口で答えて、どしりと司徒の席に座る。むむむ、しっくりこない。 
 何とも言えない、すわりの悪さを置いておいて報告書に目を通したりしなかったり。 
 生暖かい風の視線なんてまるで気にならない。暫しの沈黙。多分これ以上どちらも黙ってたら、どちらかが口を開くのであろうなあという微妙な間。その時。 
  
 「あー、疲れた。まったくやってらんないわね。って二郎じゃない珍しい」 
  
 やれやれ、といった風に登場したのは劉璋ちゃんである。 
  
 時は暫し遡る。 
  
 ――劉璋ちゃんが俺に面会を求めてきたときには柄にもなく緊張したものだ。なんとなれば彼女のご母堂を――皇族にもかかわらず――強制的に隠居させたからして。 
 てっきりそれに対する文句というか弾劾の言葉を頂くのだろうと思っていたのだが。 
 もたらされたのは意外な言葉であった。 
  
 「へ?仕事がしたい?」 
  
 「そう。だから適当な役職を見繕ってほしいの」 
  
 「そりゃ構わんが……」 
  
 丁度人事案をあれこれ考えてたところだからタイミングもジャストではあったのだけんども。 
  
 「まあね。お母様の処遇については思う所がないわけでもないわよ。 
 でもまあ、仕方ないわ。 
 私だって馬鹿じゃないのよ?お母様がどんな動きをしていたかくらいは理解しているわ」 
  
 もにょもにょと言葉を濁して、その沙汰については納得してくれていたみたいだった。 
 いや、実際あれで韓遂まで呼応されてたら、結構面倒くさいことになってた。 
 涼州はともかく益州まで出兵とかやってられんしなー。 
 まあ、それはともかく、だ。 
  
 「皇族でございとふんぞり返っとくのは?」 
  
 実際、宮中に健在な皇族って今上陛下を除けば劉璋ちゃんくらいなのだ。 
 いくらでもちやほやされる夢の生活も可能なのだからして。 
 お気楽な俺の言葉に軽く苦笑。  
	- 679 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:51:36.57 ID:ABnJikA30
 -  「流石にそれは、ね。そこまで図々しくないわよ。 
 弁君……今上陛下に半ば弓引いたような立場だもの。 
 だったらきっちりと汚名は返上しないとね」 
  
 なんとも真面目なことである。劉璋ちゃん自身は軟禁されとっただけというのに……。 
  
 「まあ、それはいいとして何で俺のとこに?」 
  
 「そ。それは!」 
  
 口ごもる劉璋ちゃん。どことなく頬が赤らんでいるようにも見える。 
 ああ、なるほどな。今上陛下への直訴は立場上いかにもまずい。だからと言って事実上の最高権力者たる麗羽様ともコネがないし……。 
 三公で言えば白蓮は地方の軍閥出身だし華琳はまあ、宦官の系譜さ。なるほど選択の余地はなかったりする。まあ、きな臭い動きも七乃からは聞いているんだがね。 
  
 「清流派を率いるみたいな話も聞いたんだけど」 
  
 旗印を喪った清流派。その首魁に据えようという動きは割と活発で。立場としてはありえるなーと。それらをぶっちゃけトークで聞いてみたんだが。 
  
 「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になって、よ?私は一体何ができると言うのよ。 
 結局お神輿になって利用されて、それだけでしょう? 
  だからね。私はね。実務に携わりたいの。 
 皇族でございとふんぞりかえりたくないのよ。 
  私がちやほやされるというのはつまり、漢朝が健在だからでしょう?その根幹を駄目にしたくない。いいえ、別に清流派にそれほど含むところがあるわけじゃないのよ。 
  でもね。きっと私は何も知らない。だから派閥の領袖に相応しい判断なんてできはしない。ただの傀儡になるしかないの。 
 私は、皇族よ。皇族なの。でも、董卓や宦官の暴走を止めることはできなかった。 
  皇族というのが尊重されるのは、それだけ重い責を担っているからでしょう?」 
  
 そう言ってくしゃり、と顔を歪めた。 
  
 「私はね。嫌なの。 
 もう、自分が足手まといだなんて、嫌なの。 
 だから、二郎にお願いするの。二郎なら、その、ね。信じられる、から――」 
  
 なんとも嬉しい評価である。 
 とはいえ、だ。劉璋ちゃんというのは実に劇物。扱いには苦慮するというか、だな。 
  
 「ん――。俺の部下的な地位でも文句は言わない? 
  正直、劉璋ちゃんが自覚しているよりも君の血筋、立場というのは厄介でね」 
  
 俺ごときの下風に立てるかと断られるとかもしれないと思っていたのだ。 
  
 「ええ、構わないわよ」 
  
 即答である。 
 苦渋の決断どころか、どこか嬉しそうな表情。解せぬ。 
 そんなこんなで劉璋ちゃんは中書令として、司徒府の内に入ったのである。ちなみに中書令は地位としては三公に次ぐくらい。 
 んでもって立場はまあ、政調会長?色々と、どこにでも首をつっこめるという汎用性の高い役職である。 
  
 んでもって現在に至るわけなんだが。 
 ぶっちゃけ司徒府において一番働いているのが劉璋ちゃんという嬉しい誤算。 
 その権限と血筋と俺のバックボーンを活かして、ずんずんとなんにでも首を突っ込み、納得いかんことには、無垢なる怒りをぶつける。 
 んで、官僚とかのその場しのぎの言い訳は過去の記録を確認したり、蔡邑さん――現在は太師として今上陛下と美羽様、あとたまにシャオと流琉を教育している――に裏を取ったり、八面六臂の大活躍である。 
 蔡邑さんも、あれで何進の下で実務をこなしていたからなあ。古典とか前例への理解では他の追随を許さないし。 
  
 ちなみに、思い立ったが吉日とばかりにとっこーする劉璋ちゃん。宮中において他に劉姓がいないということで破格の扱いを受けている。 
 非公式な場では、今上帝からは「叔母上」と呼ばれ、「弁君」と返すくらいである。多分、劉姓であるという以上に、だ。簡にして単な気性も今上陛下からしたら気安く、心強いからこその扱いなのだろう。 
 そして、それが故に宮中でも特異な立場を築きつつあるのだ劉璋ちゃんは。具体的に言うと、「劉皇叔」という尊称が定着しつつある。 
 うん、なんだそれ。マジかよと思ったものだが。いやまあ、今上帝に叔母上扱いされてたらむべなるかな。 
 ともあれ、それにより宮中のパワーバランスがよくわからんことになってたりするんだよね。俺→劉璋ちゃん→陛下→俺以下ループみたいな。 
 だがこれは俺にとっても好都合である。権力のよくわからんスパイラル。それはいい。そこに麗羽様や美羽様が巻き込まれないのだからして。 
 まあ、実際漢朝に巣食う守旧派が標的にするのは俺しかいなくなる。いや、よかったよー。いくら七乃が頑張っているとはいえ、だ。陰謀の直接的な標的から麗羽様と美羽様は除外したかったからなー。 
  
 とかなんとか過去に思いを馳せてメイン軍師たる風と劉璋ちゃんの冷たい視線をやり過ごそうとする俺である。うん、おしごとしてないのは自覚しているのだよ。 
 ちら、と視線をやると劉璋ちゃんが苦笑している。あ、目が合った。 
  
 「やあねえ。今更二郎があちこちふらついてることを、どうこう言わないわよ」 
  
 「へ?」 
  
 なんとも意外なお言葉である。  
	- 680 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:52:33.56 ID:ABnJikA30
 -  「だって、そうやって二郎がふらふらしてるからこそ、私はここにいられるんだから、ね?」 
  
 「お、おう……」 
  
 そういや、そうだっけか。 
  
 「それを言われると風も弱いですね〜。まさに二郎さんに拾われた身ですからね〜」 
  
 まあ、劉璋ちゃんほどに極限状態――まさかの皇族行き倒れ疑惑――よりはマシだったけどな。 
  
 「え、そうなの?」 
  
 そこに食いつくのですか劉皇叔さま。 
  
 「はい〜。賊に襲われてあわや!という時に颯爽と登場したのが二郎さんなのですよ〜。風の心はその時に奪われてしまったと言っても過言ではありませんね〜」 
  
 おい。おい。 
  
 「そうなの?そうよね。二郎って、そういうとこ、あるわよね。 
 ほんと、いつもはこんなに平然としてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」 
  
 なんか、とっても居づらいので、とっととこの場からはおさらばだぜ! 
  
 世はすべてこともなし。 
 そんなこんなで年も暮れていったのである。  
	- 681 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/10(水) 21:53:10.94 ID:ABnJikA30
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
 題名はもっと欲しいんやで 
  
 どんどこいくぜ  
	- 682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/03/14(日) 12:16:46.52 ID:sWcaUaZw0
 -  乙でしたー 
 >>負けないまでも、勝ち目が見えない(精一杯の強がり) それなら【負ける、とは言わないのは】で勝てない(負けるとは言っていない)みたいな強がり感が出るかな? 
 >>678 
 >>強制的に隠居させたからして。    ちょっと違和感が 
 〇強制的に隠居させたのだからして。 の方が良いと思います 
 >>679 
 >>「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になって、よ?私は一体何ができると言うのよ。    喋り言葉だからこれでも良いのかもしれませんが 
 〇「あのね。訳も分からずに派閥の領袖になったとして、よ?私は一体何ができると言うのよ。 もしくは【なっても、ね?】とかどうでしょう 
 >>俺ごときの下風に立てるかと断られるとかもしれないと思っていたのだ。 劉璋ちゃんが下で侍ってくっころプレイするだって? 
 〇俺ごときの下風に立てるかと断られるかもしれないと思っていたのだ。  もしくは【断られるとも思っていたのだ。】かな? 
 >>んでもって現在に至るわけなんだが。   上の文でも【んでもって】を使ってるのでちょっと言い替えて 
 〇そんなこんなで現在に至るわけなんだが。 とかどうでしょう 
 >>680 
 >>いつもはこんなに平然としてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」   【平然としてる】は悪い印象がないので 
 〇いつもはこんなにのんびりとしてるのに、いざっていう時は頼もしいっていうか……」 もしくは【ぼんやりと】とかどうでしょう 
  
 >>俺→劉璋ちゃん→陛下→俺以下ループみたいな。 でもそれ陛下が基本「よきにはからえ」だから実質のトップ(命令者)は…これは魔O(この文章は不適切と判断されました 
 女の子二人による出会い(なれそめ)トークとかかなり居心地悪そうww 
 血筋その他で考えればやんごとなきとすら言える劉璋ちゃんが成金の地方からの成り上がりにお仕事的には逆らえない立場…か出会いのあれと合わせてはかどってそう  
	- 683 :青ペン [sage]:2021/03/17(水) 23:48:30.93 ID:JkW6pKjAo
 -  >>681 
 んむー。 
 殿中無双〜劉の血を継ぐ者〜 
 でいかがっしょい。  
	- 684 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/22(月) 22:27:28.26 ID:hWhhQ3/u0
 -  色々あってどんどこいけませんでした 
 敗北宣言はやるとして、どんどこいきたい 
  
 >>682 
 赤ペン先生いつもありがとうございますー! 
  
 >女の子二人による出会い(なれそめ)トークとかかなり居心地悪そうw 
 羞恥心!羞恥心! 
 とりま、逃げますよねw 
  
 >血筋その他で考えればやんごとなきとすら言える劉璋ちゃんが成金の地方からの成り上がりにお仕事的には逆らえない立場…か出会いのあれと合わせてはかどってそう 
 この視点。大事にしないとですね。 
 ※認識外でした  
	- 685 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:16:42.16 ID:bzWH2Hg30
 -  「へえ、じゃあ翠は無事涼州の州牧様になれるのか」 
  
 「ああ、おかげさまでな。ようやく父上の跡を継げる。そう、ようやく、だ」 
  
 よかったなと北郷一刀は馬超を祝福する。いや、実に妥当な人事ではある。だが、なにせ涼州には韓遂という梟雄が居座っており、安定とは程遠い。 
  
 「大変そうだなあ」 
  
 北郷一刀としてはそう言わざるを得ない。 
 そしてその声にその場の全員が苦い笑いを漏らす。 
  
 「一刀だって大変だろう?幽州は涼州と同じく漢の北壁。 
 匈奴の相手は大変だぞ?」 
  
 しみじみと語る馬超。言動が危うくても、歴戦の猛将である。その武威、武勲はこの場の誰よりも大きい。 
  
 「ああ、そう言えば公孫賛殿の配下となるのだったわね。重責、大変ね。 
 でも義勇軍からしたら大出世じゃない。ここはおめでとうと言わせてもらうわね」 
  
 にこり、とほほ笑むのは黄忠。皇族筋の劉表に仕え、今回の反董卓連合においては兵数よりも兵站で貢献をしている。 
 彼女の主たる劉表は僻地とも言える益州――劉焉が聞けば柳眉を逆立てるであろうが――に赴任することになっている。 
  
 「紫苑も大変だなあ。娘さんもまだ幼いのに益州とは」 
  
 益州は半ば未開の地。匈奴とは異なるが南蛮勢力が跋扈し治安も落ち着かず、未だ知られない疫病も数多くあるというのが、この時代の認識である。 
  
 「そうなのよねえ。正直迷っているわ。ごめんなさいね、桔梗の前で」 
  
 「なに、子を思う親の心。気にすることはなかろうて。実際、過ごしやすいとは言い難いからな」 
  
 肩をすくめる厳顔である。 
 実際、過ごしやすいかと言われれば、だ。それに成都へ向かう道ですら未整備だ。 
 それはまあ、天然の要害たる益州の地の利を劉焉が十全に活かすために街道整備に慎重だからだったという面もある。だが、実際道を切り開くのも容易にはいかないくらいの地理条件なのではある。 
  
 「だったら、さ。うちにこないか? 
 いや、翠は流石に駄目だろうけどさ。紫苑と桔梗が来てくれたら、俺も心強いし」 
  
 実際、黄忠と厳顔という人材は得難い。軍務、政務に通じており、未だ若い自分たちにとって有益この上ない。 
 未熟ゆえの先達との軋轢を防いでくれるだろう。そんな諸葛亮の言葉を思い出しながら。 
 いつになく真剣な彼の目線に、柄にもなく頬が上気するのを自覚しながら黄忠は考える。悪くはない、と。 
  
 「そうねえ……。考えてもいいかしら、ね」 
  
 「本当か!紫苑が来てくれるなら千人力だ。桔梗はどうだ?」 
  
 「そうさのう……。実に魅力的な誘いではあるが、乗る訳にもいかん」 
  
 「なんでさ!」 
  
 その勢いに厳顔は苦笑する。全く、可愛いではないか。心が揺れるではないか……。 
  
 「わしは劉焉様の臣よ。じゃから行けんよ、行くわけにはいかん。 
 劉焉様を隠居に追いやった袁家のそのまた配下には行けん。それではあまりにも劉焉様がみじめというものじゃろう……」 
  
 だから自分も隠居する、と厳顔は笑う。 
  
 「親はなくとも子は育つ、とまでは言わんがな。 
 劉璋殿が益州の牧となる日を待つとするさ。いや、待つだけじゃがの」 
  
 呵呵大笑して厳顔は北郷一刀に向き合う。 
  
 「なに、そのような顔をするでない。お主の誘いは嬉しかったぞ? 
 じゃがまあ、通すべき筋があるというだけじゃ。お主の言っておったこと、忘れているわけではない。 
  皆が笑って過ごせる世を。実に素晴らしいとは思うぞ?」 
  
 「だったら、さ」 
  
 「まあ、一刀もそこまでにしようよ。 
 私だって一刀の、桃香の築く世は見てみたいさ。でも、それなりにしがらみってのもあるのさ」 
  
 苦笑がちに馬超が割って入る。半ば自分が加われぬ詫びをこそ滲ませて。 
  
 「まあ、気が向いてほしいもんだ。 
 いつだって歓迎するよ」 
  
 その言葉に三者三様の表情を浮かべる。 
 くすり、と艶然たる黄忠。 
 むむむ、と苦悩する厳顔。 
 たはは、と苦笑する馬超。 
  
 ――後日、黄忠は劉備一行に加わることとなる。 
  
 ◆◆◆  
	- 686 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:17:08.43 ID:bzWH2Hg30
 -   
  
 呆然。茫然。その表情を浮かべる呂布に北郷一刀はかける言葉を見出すことは出来ない。 
 できるのはただ寄り添うことだけ。 
  
 「みんな……」 
  
 平坦な口調。それでもそこに込められた悲哀。それに気づかぬほど鈍感ではない。 
  
 「恋……」 
  
 ここはかつて呂布が屋敷としていた敷地。そこには古今東西の百獣が肩を寄せ合っていたのだが。 
  
 「みんな、どこ……」 
  
 辛うじて残っていたのは、ぴすぴすと鼻を鳴らしてぺろぺろと呂布の手を舐めるセキトのみであったのだ。 
 もとより、どこかしこから拾ってきた禽獣猛獣鳥獣家禽を養ってきたのは一重に呂布ただ一人の愛情であり、それが途絶えたからには。 
  
 「どこ……、みんな……」 
  
 呂布の悲嘆はどこにも届かない。嘆き、悲哀。それらの慟哭はただ虚空に吸い込まれていく。 
  
 「恋、ごめんな」 
  
 だが、傍らにある北郷一刀は詫びる。心から、詫びる。 
  
 「恋の家族、助けられなかった」 
  
 ふるふる、と呂布は首を横に振る。 
  
 「ご主人様のせいじゃ、ない……」 
  
 「それでも、救えなかった。救えたかもしれなかったのに、なにもできなかった!」 
  
 激昂する北郷一刀。その思いは呂布の心にしっかりと届いていた。 
  
 「ありがとう。あの子たちがどうなったかは恋には分からない。でも、ありがとう。 
  きっとあの子たちのことなんて、誰も気にしなかったんだと思う。だから、ありがとう」 
  
 そして、その激情を呂布は好ましく思う。 
  
 「恋!そんな顔をするなよ。俺のとこに来いよ、セキトと一緒にさ!」 
  
 自分が、大好きな人に必要とされるということは、こんなにも嬉しいことなのかと呂布は思う。 
 いや、きっとそれは感傷。自分はあんなにも大好きな人たちと一緒に歩んでいたのではないか。 
  
 「だめ。ご主人様とは一緒にいけない……」 
  
 呂布は悲しげに、それでもきっぱりと。 
  
 「なんでだよ!」 
  
 「二郎に、言われた……。恋が誰かに頼ったら、それが迷惑になるって……。 
  二郎は詠と一緒で、いつも正しい……。だから、ご主人様に迷惑がかかる」 
  
 北郷一刀の怒り、それを嬉しく思うこと。それとは別に、呂布は悟るのだ。自分が彼の配下になれば、とても困ったことになるだろう、と。 
  
 「だから、行けない。恋はちんきゅーと、セキトと。それで、いい」 
  
 呂布に残された家族はそれだけ、なのだと北郷一刀も悟る。 
  
 「でも、それでもさ。恋は大事な人だもの。困ったら、いつでも頼ってくれ」 
  
 「うん……」 
  
 そうして、その約束が大きな影響を持つことを、この時点では誰も知らない。 
  
 ◆◆◆  
	- 687 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:19:17.89 ID:bzWH2Hg30
 -   
  
 さて、無事に年が明けた。 
 年越しには麺類だろうと凪にリクエスト出したり(あっさり希望が通った)、鐘を108回鳴らすとかいう意味不明なイベントにも皆快く付き合ってくれました。煩悩退散! 
 んで、年始の挨拶を今上陛下と美羽様にしたんだけどね。流石に三公の挨拶の時はしゃっきりされてたんだけど、さ。陛下。いい感じに舟をこいでらっしゃったなあ……。 
 うむ、その図太さたるや。……まあいいや。 
 俺が向かったのは新年会的などんちゃん騒ぎだからして。 
 いやあ、呑んだ呑んだ。お仕事もしたぜ? 
 一応三公の身で、こんな宴席に出てるのは俺だけだからして。表敬訪問というか、ご挨拶とかは何人相手したかとかはまるで覚えていない。多分横にいた風が把握してるだろう。それはともかく。 
  
 「あー、美味しい……」 
  
 凪の作ってくれた粥が実に美味しいのである。白粥なんだが、塩加減とかが絶妙なのです。 
 ずび、とその粥をすする。うーむ、この幸せ。とか思っていたら。 
  
 「何だ、二郎よ。随分疲れてるみたいじゃないか」 
  
 そう言って笑うのは華佗である。 
  
 「うっせえ。これでも気疲れとかすることもあるんだよ。この一杯のために生きてるって感じでこう、な」 
  
 頭脳とかまるで働いていない俺の台詞だから、説得力とか仕事していないというのは認識している。その場のノリで適当な言であるのだよ。まあ、そんなこと先刻ご承知だろうけどね。 
  
 「まあ、それについては何も言わんさ。実際世話になってるしな。ただまあ、これを飲んでみてくれ」 
  
 華佗が俺の盃に酒を注ぐ。 
  
 「そりゃ華佗の酒は飲まんわけにはいかんけどさあ、って苦っ!」 
  
 苦いだけではない。香りもなんかこう、漢方というか、不可思議な感じで。 
  
 「悪鬼を屠り、魂を蘇生させる。そういう酒なのだが……」 
  
 「不味い!もう一杯!」 
  
 屠蘇散というやつだな。新年だからって阿呆みたいに呑むのを防ぐにはいいだろうな。 
  
 「量を飲むものではないとしても、これは強烈だな」 
  
 正直口の中がこう、苦味とかでうにゃー、となる。 
  
 「へー、二郎がそんな顔するんだ。シャオも試してみようかなー」 
  
 うずくまる俺の背に抱きついて、そんなことを言う。というか、いたんかい。 
 いいぜ、これが美味しいと思うのならば、まずはそのふざけた幻想がぶち壊されるぞ。多分。 
 そして予想通りの反応である。 
  
 「なにこれ信じらんない。これって人が飲むものじゃないよー」 
  
 「えー?そうですか?私は結構いけると思うんですけれども」 
  
 ってマジかよ流琉。 
  
 「流琉ってこういうのもいけるんだ。でもこれが美味しいとか思わないでね。こんな味付けの料理とかシャオは食べたくないし」 
  
 「いえ、流石にこれが一般受けしないというのは分かりますけど、そこまでかなあ」 
  
 どうやら本当に人によるらしい。本業料理人の流琉であるから、聞き入るしかないんだよね。 
  
 「ま、二郎が口移ししてくれるなら甘露になると思うんだけどなー」 
  
 ちらり、とこちらに寄越す視線には年不相応な艶が含まれており。  
	- 688 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:19:46.70 ID:bzWH2Hg30
 -  「そういうの、人前で言うなって」 
  
 「ごめーん。最近ご無沙汰だったからね。うん。二人っきりの閨でお願いするねー」 
  
 ぽかり、と拳がシャオの脳天に振るわれる。 
  
 「そこまでです。美羽様との話題にするのはよくっても、二郎様がお困りです」 
  
 「やだー、流琉ってばひどーい」 
  
 きゃいのきゃいのと、なんだかんだ言って仲がよさそうでなによりである。  
	- 689 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:20:12.89 ID:bzWH2Hg30
 -  ◆◆◆ 
  
 「百薬の長。それでも飲み過ぎれば百害あって一利なし。そういうことだろ?」 
  
 ここまで香りがきつければ、新たに飲もうとは思えないからして。 
  
 「ふむ。実際、な。煎じた生薬は実際疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」 
  
 「それは分かる。五斗米道の秘中の秘。それが惜しげもなく注がれてる。それくらいは分かるさ」 
  
 しらんけど。 
  
 「なに、そこまでたいしたことじゃない。一度漢中に戻らねばならんしな。 
 ここまで世話になった礼と思ってくれ」 
  
 「まあ、凪や星にも気ってやつの指導もしてくれてたみたいだしな。 
 ほんとに、ありがとな」 
  
 「いや、拙いながらも伝えることは伝えた。後は彼女らの意思だろうさ」 
  
 「それなら安心できるな。俺と違って才能と向上心に溢れてるからな」 
  
 実際、努力し続けることも才能のうちだとおもうのだよなー、とか思うのである。 
  
 「おや、主よ。才能の一言で片づけてほしくないのだがな」 
  
 おっとここで星のエントリーだ!ここまで大人しくしていたのに。 
 いや別に星の努力を見てないわけではないけどね。 
  
 どこか拗ねたような星が可愛くて尻を一揉みしてやる。うむ。 
 こら、と睨まれてもなあ。可愛いだけだぞ。 
  
 「いちゃつくのもそれくらいにしてくれよな。それ以上やるならおいらは帰るぞ」 
  
 「やだなあ、張紘。そりゃもう、ごめんなさいだよ。なあ、星?」 
  
 「無論だとも。 
 最近構ってくれなかった主にじゃれついていただけで、他意はない。うむ」 
  
 「それはともかく。趙雲さんよ、あんたの叙事詩(サーガ)。どうしたいかって希望はあるのかい?」  
	- 690 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:20:38.80 ID:bzWH2Hg30
 -  張紘の問いかけにニヤリ、と星は極上の笑みを漏らす。うむ。安心できん。 
 意外と星ってば、はっちゃけるからなあ。 
  
 「ふむ。腹案はある」 
  
 すちゃり、と懐から取り出したのは、蝶の仮面? 
  
 「これこのように、だ。仮面を纏ったならば。 
  法で裁けぬ巨悪。それを糾すは正体不明の華蝶仮面。 
  華麗、その一言がその存在を象徴するのだ――」 
  
 「却下」 
  
 びしり、とポーズを決めた星に無慈悲な俺の声が響くのだよ。 
  
 「なんと――!」 
  
 なんと?!じゃないっつの。 
  
 「あのなあ、法で裁けぬとか言うなよ、お前さん、執金吾だろうが。自分の職責を貶めてどうするんだってばよ」 
  
 「むむむ」 
  
 「なにがむむむだ。 
 却下だ却下。法で裁けぬ悪とかはもちっと治安が上向いてからだな。今はまだ漢朝の法治を讃えねばならんさ」 
  
 それでも、星は不満げである。 
 理屈は分かってるはずなのに、と。 
  
 「こんなに、恰好いいのに……」 
  
 「怒るぞ!」 
  
 何か知らんけど蝶々的なマスクは没収である。はい、没収! 
 涙目で星はあれこれと訴えかけてきたけど知らん。 
  
 「無体な……」 
  
 はいはい、きっちり仕事してからそういうことは言いましょうねと。 
 しかし思うんだけどさ、この、蝶をかたどった仮面を装備してその素性が誤魔化せるとか本気で思ってたのかねえ。いや、まさかな。まさかに。 
  
 俺は手元でその、蝶をかたどった仮面を弄びながら大きくため息を吐いた。 
  
 あれ、俺って結構真面目にお仕事しているんだろうか。 
 くそ!なんて時代だ! 
  
 のんびりスローライフが最終目的だと心に誓う俺なのであった。  
	- 691 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/03/23(火) 21:21:04.90 ID:bzWH2Hg30
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
 いや、ちょっと最近忙しいし転勤ですよ 
 頑張るぞいっと。  
	- 692 :赤ペン [sage saga]:2021/03/29(月) 17:42:39.05 ID:ZgG4PTTr0
 -  乙でしたー 
 >>686 
 >>呂布に残された家族はそれだけ、なのだと北郷一刀も悟る。         【、】の位置に違和感が 
 ○呂布に残された家族はそれだけ、たったのそれだけなのだと北郷一刀も悟る。 さりげなく一刀君SAGEを含ませてみる。というか今回の反董卓連合の発端はお前が何進さん暗殺したからだからな?それさえなければどうにか軟着陸できたのに…悔い改めて 
 >>689 
 >>「ふむ。実際、な。煎じた生薬は実際疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」   【実際】を2回入れるのを回避して… 
 ○「ふむ。実際、な。煎じた生薬というのは疲れた身体にはいいものではあるのだぞ」 生のままが良かったり炒るのが良かったり、煎じ方を知ってないとだけどね 
 >>690 
 >>それでも、星は不満げである。 
 理屈は分かってるはずなのに、と。 これだと星が思ってる感じですが…理屈は二郎の方が通ってるよね 
 ○それでも、星は不満げである。 
 理屈は分かってるはずなのだ、が。 (二郎の言う)理屈は分かってる【が(でもロマンを優先したい)】からこの後の文「こんなに格好いいのに」に繋がる感じかな? 
  
 >>自分が、大好きな人に必要とされるということは、こんなにも嬉しいことなのかと呂布は思う。 この言い方だと今までそうなったことは無い、という風に読み取れるんですが…董卓たちは【大好きな人】じゃなかったのか【必要とされたことがない】のか…刹那で忘れたのか 
 >>「そこまでです。美羽様との話題にするのはよくっても、二郎様がお困りです」 待って?閨で誘うあれこれっぽいことを美羽様との話題にしてるの?いやまあ彼女も今や立派な人妻だから問題ない…のか? 
 それにしても劉表さんに辞表叩きつけるのは構わんが誰がそのことを説明しに未開の地益州まで行くんだ?まさか手紙一枚で済ませるような不義理かますんだろうか…上司(劉備)の上司(公孫瓚)の上司(袁紹)に丸投げすればいいか一つ借りだぜ(後々徳政令発布の予定を立てつつ)  
	- 693 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/02(金) 22:12:58.05 ID:J5b+k8cP0
 -  正直ウマ娘にはまってて、バクシンss書きたい欲 
 
	- 694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/02(金) 22:15:57.65 ID:WsbxWQJyo
 -  乙したー 
 ウマ娘ええよなぁ 
  
 安寧の日々を求めているのに、なぁ?  
	- 695 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/02(金) 22:25:22.09 ID:J5b+k8cP0
 -  お世話になっているバクシンバクシン雨バクシンやりたいですね 
 実際、FGOメインだったですがウマ娘8でFGO2ですわw 
  
 バクシンバクシンやりたい  
	- 696 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/02(金) 22:26:25.99 ID:J5b+k8cP0
 -  まあ、まずは本作やってからの話ですけどね!!! 
 やります  
	- 697 :赤ペン [sage saga]:2021/04/03(土) 09:17:06.57 ID:RaO/+HuR0
 -  3年かけて迷走せずにしっかりとブラッシュアップしたサイゲのすさまじさよ 
 
	- 698 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:30:06.25 ID:c70hgjM00
 -  てす 
 
	- 699 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:41:24.92 ID:c70hgjM00
 -  「忙しそうだねー」 
  
 ぎろり。むしろ殺意すら込められた視線が返答だった。 
 おお、こわやこわや……。 
  
 「なんだー、華琳はいないのかー。先触れは出してたのに、困ったものだなー」 
  
 仮にも俺は三公の筆頭だぞー。ぷんぷん。もっとあがめろー、うやまえー。 
 だが接待は勘弁な。華琳になにされるか分かったもんじゃない。 
 華琳がなにしてくるか分かったもんじゃない。 
 つまりここは逆境、華琳のとこですよ。体当たりレポが今始まるところですよ。 
  
 まあね、間違っても女子は派遣できんしね。 
 男子も魅了されて抱き込まれる未来が見えますのでね、俺が特攻するしかないってことですね。なお、攻防ともに効きそうなスキルは持ってない模様。仕方ないね。 
 なーに、書類仕事は風ちゃんにお願いしてきたしね、何もこわくないね。 
 などと思っていた俺にネコミミの言がやってくる! 
 相変わらずとげとげしい! 
 でも、ギザギザ心根(ハート)よりは、うっせーうっせー、と言われた方が実際安心ではないだろうか。 
 名馬を盗まれた訳でもないしね。校舎には硝子なんてないしね。 
  
 閑話休題。 
  
 「あんたね……。 
 あんたのせいでしょうが!」 
  
 えー。 
  
 「これはしたり。と言わざるをえないな。司徒たる俺が司空たる華琳に面会を申し出る。 
 うむ。なにもおかしなことはないな」 
  
 むしろこれに異論とかあったら責任問題ですよ。 
  
 「その華琳様の時間を著しく拘束するだけのことをしてるって自覚があると、今分かったわ」 
  
 「さて、なんのことやら。それともなにか? 
 華琳は司空の職責に耐えないと。貴様(ネコミミ)はそう言うのかい?」 
  
 にひひと笑う俺である。実際楽しい。 
 そしてネコミミさんは今にも飛びかからんばかりに殺意を込めてにじり寄ってくる。 
 フシャー!という擬音がふさわしい激昂ぶり。いやあ、時に落ち着けよ。  
	- 700 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:41:51.15 ID:c70hgjM00
 -   
 「あんた、ねえ……。 
 いい加減にしなさいよ。本当に……」 
  
 まあ、ネコミミの言うことも一理あるのである。彼女の言う通り、華琳の多忙さは俺の仕業、とうか仕込みも一因だからして。 
 ぶっちゃけ、麗羽様に歯向いそうな官僚たちを処分したのだよ。あくまで合法的にだけどね。 
 麗羽様が大将軍となり、俺を筆頭として三公が組閣された。それについて面白くない勢力は当然存在するわけで。 
 まあ、それでも職責を果たすならばそれでよかろうと思っていたが、意図的なサボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。 
 いや、当然予想してましたけどね?風ちゃんとか稟ちゃんさんがね。 
 そしてまあ、要職に在(あ)って、害なす存在を一気に処分したわけですよ。リストラってやつですね。 
 いやね?別に全員司徒たる俺の職権で罷免してやってもよかったんだけどね。驚くべきことに皆さま脛(すね)に傷持つ身だったようで。いや、びっくりですよ。 
 はい、七乃が一晩でやってくれました。いや、長いこと仕込んでたんだろうなあと思います。フフ、怖い。 
 怖い。 
  
 「いえいえ、これくらい美羽様のためならお安い御用ですよー」 
  
 ルンルンと鼻歌混じりに、ですよ。笑顔とは本来なんちゃら。 
 反袁家的な官僚やら士大夫どもの罪状のリストを手渡す七乃は控え目に言って上機嫌でありましたのですよ。 
  
 そんなこんなで、である。七乃のおかげで合法的に麗羽様の顕在的、潜在的な政敵は一掃されたのでありました。 
 いやあ、大仕事でした。俺以外のね。 
 特に清流派と名乗る士大夫たちからな!あいつら、何が清流派だか。それが恒常化されていたとはいえ、汚職やらなんやら十分濁ってるだろう……。 
 いや、何割かは冤罪でも驚かんけどね。それにしたって物証なりをきちんと捏造してるんだろうなあ、七乃って。 
 うん、ご機嫌取りにもうちょっとがんばらんといかんな。 
  
 閑話休題。 
  
 そんなわけで、だ。古今東西の政治犯が華琳とこに送られてるわけである。 
 更には執金吾として治安活動に――何だか知らんけど鬱憤を払うように――いそしむ星もどんどこ犯罪者、それも官憲と繋がってそうな奴を検挙しまくってるのだ。 
 いやあ、部下が頑張ってるって見てて楽しいですね。 
 任命責任、やったぜ。 
  
 うん、華琳たちが忙しいのは俺の、俺たちのせいだな。 
 ただでさえ、組織を掌握せんといかんのに送り込む案件。うむ。華琳とかネコミミをもってしてもオーバーワークになるのも致し方なし。けけけ。 
  
 さらに、だ。 
  
 「倉庫、足りないなら紹介するよ?」 
  
 俺のその言葉にネコミミが硬直する。 
  
 「あんた……」 
  
 影響力を持つ士大夫をどんどこしょっぴいたら、だ。何が起こるかというと、陳情工作である。まあ、袖の下とか賄賂とか時候の挨拶とか好きに言えばいいと思うけどね。 
 そこいらへんをさばくのも大変なんだろうなあと思う俺である。誰の賄賂を受け取って量刑を勘案してとか俺ならやってられないね。 
 まあ、三公。大人気の役職にはそれくらいの役得があるということである。それで私財を積み重ねまくったら司徒たる俺が普通に罷免するだけなんだけどね。いや、それが分からぬ華琳じゃあないと思うけんども。いや、華琳なら分からぬように隠蔽するか……?取り込むべき人材とそうでないカス。それの選別くらいはやってのけるだろう。 
 三公の一角とはいえ、俺と白蓮が麗羽様の派閥であるのは明らか。そして華琳は麗羽様の風下に立つことをよしとはせんだろう。そうなれば、だ。 
  
 「あの華琳が、だ。俺との約束をうっちゃって仕事に専念する。いや、職務に熱心なのはいいことさ。 
 しかし、内職をされては困るんだよね」 
  
 まあ、反袁家勢力を糾合してくれたらめっけもんなんだがね。 
  
 「それくらいにしてほしいものね、二郎」 
  
 軽やかな、鈴の音を思わせる声。 
 轟く雷鳴を思わせる声。つまり。 
  
 「やあ、華琳。 
 遅かったじゃないか……」 
  
 さて、ここからが本番だ……。  
	- 701 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:43:20.94 ID:c70hgjM00
 -  ◆◆◆ 
  
 「あら。二郎指定の時刻ぴったりのはずなのだけれども。まあ、二郎はそんなこと気にしないから問題ないわね」 
  
 いけしゃあしゃあとのたまう。ここいらへんの面の皮の厚さは、はは。 
 流石である。 
  
 「さて、大層忙しそうじゃあないか」 
  
 さてと、華琳がオーバーワークとか滅多にない。と言うか、意図的に華琳の業務を破綻させようとしてたんだが。 
 ちなみにこれは七乃と風の入れ知恵である。 
 こわやこわや……。 
  
 「ええ、忙しいわね。そして二郎を待たせてしまったのも確かなようね。ごめんなさいね。いつも約束の時間に遅れてきてたじゃない?春蘭や桂花がいつもおかんむりだったのよ?」 
  
 ええと、そんなこともあったかもしれない。割と時間にルーズだったかもしれない、なあ。 
  
 「曹家の文武の要を宥めるの、大変だったのよ? 
  でも、それは過ぎたこと。結果として二郎を待たせてしまったのは事実よ。だからね」 
  
 ちゅ。 
  
 「これで、いいわね」 
  
 え。え? 
  
 「華琳様!そのような下賤な!汚らしい男にその唇を許されるなぞ!」 
  
 ネコミミの奏でる騒音。いや、役得と言っていいのかなあ、これ。背筋が寒くなるんですけど。 
  
 「さて、二郎。遅れて悪かったわね」 
  
 欠片(かけら)も悪かったと思っていない口調で華琳がそう言う。 
  
 「お、おう」 
  
 「ああ、安心なさいな。二郎が心配することは何もないのよ?そりゃあね。 
 各方面からの陳情やらなんやらでちょっと手間はとられたのだけれども。 
 それくらい捌けなくて何が司空か、よね」 
  
 「あ、はい」 
  
 なんだろう。一言ごとに追い詰められていく感じ。 
  
 「まあ、二郎が危惧するように。 
  或(ある)いは期待するようにね。彼らを手駒にするというのも考えたのよ?」 
  
 「華琳様!?」 
  
 ネコミミの悲鳴じみた叫びを華琳は手を上げて制する。 
  
 「今、この時点で麗羽と敵対しようとは思わないわ。それどころでもないしね。 
 私と麗羽が争えば中華は焦土となるでしょう?」 
  
 「いや、俺としてはどこから突っ込めばいいか困るくらいなんだが」 
  
 つくづく自己評価の高いことだ。忌々しいのはその自己評価よりも俺は華琳を評価しているってことか。 
  
 「端的に言うわよ。私は、二郎が用意してくれた来客。その相手を春蘭に任せたわ」 
  
 なん……だと……。  
	- 702 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/13(火) 16:43:49.21 ID:c70hgjM00
 -  はい。 
 復活のとき(掲示板的な意味で) 
 本日ここまですー感想とかくだしあー  
	- 703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/13(火) 23:04:47.14 ID:RwIXM0Iyo
 -  乙したー 
 速報死んでてヒヤッとしたでござる・・・ 
  
 ネコミミがイキイキしててかわいいね()  
	- 704 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/14(水) 05:54:25.02 ID:01J4wgx30
 -  どもです! 
 ここが死ぬのは希によくあったんですよね 
 最近はなかったんですがw  
	- 705 :赤ペン [sage saga]:2021/04/15(木) 14:27:02.73 ID:4yQboo920
 -  乙でしたー。しばらくここが死んでたと思ったら今度はやる夫シェルターが?どうなってるのやら  
  >>700  
  >>華琳の多忙さは俺の仕業、とうか仕込みも一因だからして。  でも彼女ならこの逆境をばねにして一皮剥けそうな安心感がある  
  ○華琳の多忙さは俺の仕業、というか仕込みも一因だからして。 これ【も】ってことは表でも裏でも無茶振りしてるってことかな  
  >>意図的なサボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。 【コトバンクより】労働者の争議行為の一。労働者が団結して仕事の能率を落とし、使用者側に損害を与えて紛争の解決を迫ること。怠業。サボ。  
  ○サボタージュやら妨害工作やらなんやらが出てきたわけで。     意味合い的に意図しないサボタージュは無いようなので…それにしても禁裏を大虐殺したと噂の奴が近くにいるのによくやるわ  
  >>特に清流派と名乗る士大夫たちからな! まずは清流派からキレイキレイしたってことかな?【特にこいつらからな】  
  ○特に清流派と名乗る士大夫たちがな!  清流派の割合が多かった。とかの意味ならこうかな?【特にこいつらがな】  
  >>何だか知らんけど鬱憤を払うように  一応理由は分かるじゃろ…そこまでの事か?とは思うけど  
  ○何だか知らんけど鬱憤を晴らすように 【気晴らし】とかのように鬱憤は晴らすものですね  
    
  >>なお、攻防ともに効きそうなスキルは持ってない模様。仕方ないね。 ウン、ソウダネ。うっかり華琳を殺しそうになったことが何度かあった気がするけど殺してないしね  
  >>うん、ご機嫌取りにもうちょっとがんばらんといかんな。 精力的に力を合わせるんですね、分かります  
  >>まあ、反袁家勢力を糾合してくれたらめっけもんなんだがね。 【曹操】を知ってて本人と出会ってその凄さを感じたうえでそう思えるのが凄いわ…そんなんだから華琳に目を付けられるんだぞ  
  まあこんな「仕事に溺れて溺死しろ」と言わんばかりの無茶振りされたら二郎が何をしようとしてるのか、あるいは何をさせようとしてるのかは察するか  
  そのうえで「麗羽と敵対するのはまたあとで」と宣言するとか…この子二郎をゲットするために麗羽様もゲットしようとしてない?  
  そして最後の爆弾投下…まさに一刀両断の闊達か。これはキャパオーバーしそうになった時に清涼な暴風ですっきりしたな?d姉がいなけりゃそれでもやり切っただろうけど濁りに足を取られただろうに  
  曹操は何というか清濁併せ呑む度量はあるけどそれはそれとして飲み干すのと消化するのに時間がかかりそうなイメージ、そして今回はその濁部分をd姉が肥溜めにぶち込む感  
	- 706 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 20:22:39.18 ID:JOGJy0o10
 -  >>705 
 赤ペン先生いつもありがとうございますー! 
 結構長いこと繋がらなかったイメージですね 
 シェルターが落ちてるのか。なんでしょね。年度替わりかな? 
  
 > ウン、ソウダネ。うっかり華琳を殺しそうになったことが何度かあった気がするけど殺してないしね 
 殺そうとしても素直に死んでくれないんだよなあw 
 むしろサイヤ人的に超復活しそうで困りますw 
  
 > 【曹操】を知ってて本人と出会ってその凄さを感じたうえでそう思えるのが凄いわ…そんなんだから華琳に目を付けられるんだぞ 
 今なら、今なら勝ち確定…のはずw 
 だからこそ、はおーもやらんわけですがw 
  
 >まあこんな「仕事に溺れて溺死しろ」と言わんばかりの無茶振りされたら二郎が何をしようとしてるのか、あるいは何をさせようとしてるのかは察するか 
 「へえ、そういうこと・・・」 
 こわや、こわや・・・ 
  
 >そのうえで「麗羽と敵対するのはまたあとで」と宣言するとか…この子二郎をゲットするために麗羽様もゲットしようとしてない? 
 どっちか片方ゲットしたら、もう片方も付いてくるバリューセットですねw 
  
 >そして最後の爆弾投下…まさに一刀両断の闊達か。これはキャパオーバーしそうになった時に清涼な暴風ですっきりしたな?d姉がいなけりゃそれでもやり切っただろうけど濁りに足を取られただろうに 
 なんだかんだで、d姉は曹家の大黒柱なんだなって 
  
 >曹操は何というか清濁併せ呑む度量はあるけどそれはそれとして飲み干すのと消化するのに時間がかかりそうなイメージ、そして今回はその濁部分をd姉が肥溜めにぶち込む感 
 割と理想家なところありますものね 
 そしてd姉のやらかし(?)はご期待くださいませませ。  
	- 707 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 21:39:40.31 ID:JOGJy0o10
 -  怒髪衝天。 
 今の夏候惇を表現するならばその一言で全てが語られるであろう。そのように夏侯淵は思う。 
 怒気が一秒ごとに高まり、収斂されていく。そして爆発する。実に自然なことである。 
  
 「ふざけるな!」 
  
 怒りの鉄槌を振り下ろす。頑丈な樫の木で造られていた卓が、轟音と共に一撃で真っ二つになる。 
 そして、その怒気の発露に当然反応する者もいる。 
 驚きすくむ者、そして、その者達の随伴者――護衛――に至っては。 
  
 「そこっ!」 
  
 夏侯淵が放ったのは何の変哲もない銅銭だ。ごくごくありふれているものである。それが懐に、或いは髪留めに手を伸ばした輩を撃つ。 
  
 ――指弾。かつて曹家に長期逗留していた、どこぞの青年が酒の席で戯れに語ったそれを夏侯淵は見事に実戦レベルにまで会得していた。 
 例え質量の小さい銅銭のようなものでもまともに直撃を受ければ、骨にひびが入るくらいには、だ。 
 当然その直撃を受けたならば。 
  
 カラン、と複数の刀子が落ち、響く。 
  
 そしていよいよ荒ぶる魂。 
  
 「貴様ら!薄汚い取引を持ち掛けるばかりか、華琳様との会談に暗器を仕込むなぞ!言語道断! 
  貴様らには死ですら生ぬるい!季衣!七星餓狼を持て!」 
  
 はい、と駆け出す少女を見送り、夏侯淵は笑みを深める。 
  
 「ああ、そこで腰を抜かしている方々。失禁しないだけ貴君らは立派さ。 
 何せ貴君らは中華で五指に入る武人の怒気を受けたのだからして。 
  だがその報いは受けんといかん。なに、そんなに震えることはない。これで姉者は優しくてな。 
 つまりこうだ。猶予は与えたぞ?」 
  
 にこり、と夏侯淵は極上の笑みを浮かべる。――この状況においてはこの上なく迫力があるのであるが、さっさと立ち去れという言外の意味。蜘蛛の子を散らすようなそれ。 
 夏侯淵はその様子を見ながら。 
  
 「姉者、あれでよかったのか?」 
  
 眼前に誰もいなくなり、問う。 
 その問いには憤然と。だが、きちんと応える。 
  
 「ふざけるなよ、ということだな。あのような奴らににどうして気を遣うことがあろうものかよ」 
  
 夏侯淵は苦笑する。それでこそ我が愛する姉である、と。 
  
 「だがな、姉者。あれはあれで利用価値もあったろうに」 
  
 多くは清流派。その影響力は無視できるものではない。なんとなれば、これまで宦官や、何進率いる汚職官僚の邪知暴虐に抗ってきた(とされる)のは彼等なのだからして。 
  
 「知ったことか! 
  華琳様に面会するのに暗器を仕込むなぞ言語道断よ!」 
  
 「それは、そうだが……」 
  
 夏侯淵のその言葉に夏候惇は笑う。朗らかに、曇りなく。 
  
 「秋蘭。華琳様がこの場を任せられたのは私だ。 
 だから何も問題はない。ないとも。 
 変な腹芸が必要ならばあの陰険な軍師気取りが任じられただろうからな。 
  だから、これでいいのだとも」 
  
 晴れやかに笑う夏候惇。ふむ、と夏侯淵は納得する。した。 
 主君たる曹操が確かに夏候惇に腹芸をもってして士大夫どもを取り込むことを期待するとは思えない。  
	- 708 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 21:40:06.52 ID:JOGJy0o10
 -  「そう言えばその陰険なのは、二郎の相手をしているのだったか」 
  
 その声に夏候惇は柳眉を軽く逆立てる。 
  
 「うむ。いやさ、久方ぶりに二郎と語り合いたかったのだがな」 
  
 「おや、姉者はそこまで二郎に執心だったかな?」 
  
 「茶化すなよ、秋蘭。 
 二郎はそう、私と違ってどちらもいけるクチだ。 
 だからあの陰険(ネコミミ)が相手しているのだろうよ」 
  
 つまり、手練手管を以って取り込むべきはあちらだと判断しているということか。 
 夏侯淵は納得する。納得したのだが。 
  
 「しかしあれは果たして取り込めるようなものかな」 
  
 これは夏侯淵の本音である。過去幾度も、だ。冗談交じりにとは言え主君たる曹操の誘惑をにべもなく断った紀霊。彼がなびくというのは夏侯淵にとっては想像しがたい。 
  
 「無理に決まっているだろう」 
  
 あっさりと否定する夏候惇。 
  
 「私を含めて桂花や秋蘭もそうだがな。 
 誰に粉をかけられても論外だろう?それと同じことだ」 
  
 だったら余計に、と夏侯淵は首をかしげる。 
  
 「なに、二郎は本質では単純な男さ。あれを味方につけるのに一番いいのはな。 
 褥(しとね)を共にし、子の数人も孕むことさ」 
  
 からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵が絶句する。 
  
 「姉者。それは飛躍しすぎではないか?それに孕むと言っても、だ」 
  
 沈着冷静を以って知られる夏侯淵である。彼女の慌てように夏候惇は呵呵大笑する。 
  
 「なに、私は二郎を気に入っているからな。 
 苦ではない。それに、名門たる夏候家の跡継ぎ、考えぬではなかろう?」 
  
 「そうは言うがな、姉者。 
 二郎は、だ。 
 あいつは、ただ肌を重ねた女にそこまで甘くなるとは思わん。 
  賈駆だって、だ」 
  
 「無論そうさ。心底敵対するならばいくらでも命のやり取りをするだろうよな。 
 賈駆は、そこまでいってしまったからな。あれは、そう。哀れな女よ。 
  忠誠、友情、それに恋慕を天秤にかけるなぞ、正気の沙汰ではない。 
  まあ、それはそれ、これはこれだ。 
 仮に私が二郎の子を産んだとて、華琳様と遣り合うのに一片の迷いもないさ。 
 二郎もそうだろう。その後、きっと二郎は苦悶するだろうがな」 
  
 かんらかんらと笑う夏候惇に、夏侯淵は問う。 
  
 「これは純粋な好奇心なのだが、その場合、姉者はどうなのだ?」 
  
 その問いにふむ、と夏候惇は考え込み。 
  
 「そんなもの、その時になってみんと分からん!」 
  
 それでこそだ、と夏侯淵もつられて笑う。 
  
 「そうだな。姉者の言う通りだ。ああ、その通りだ」 
  
 くつくつ、と。 
 その笑いは久方ぶりに本心から、腹から生じた笑いである。 
  
 夏侯淵としても、対峙するにも共闘するにも楽しそうなのだ。 
 少なくとも、彼と対峙するならばあの趙子龍が出張ってくるだろう。自分たち夏侯姉妹を単独で相手をして、負けないまでも勝ち目が見えなかったのは呂布を除けば彼女のみ。 
  
 「いかんな、姉者の熱にあてられたようだ。二郎と遣り合うのが楽しそうだと思ってしまった」 
  
 「ふふ、いいことだ。或いは秋蘭と矛を交えることになるかもしれんしな」 
  
 「おお、こわいこわい。精々姉者の言う陰険軍師に懇願しておこう。そのようなことがないように、な」 
  
 笑い合う彼女ら。 
 その無垢さを見れば、話題の男も考えを改める一助としていたかもしれない。  
	- 709 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/15(木) 21:41:06.69 ID:JOGJy0o10
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 やっぱ姉者やねん! 
  
  
 ゴールデンウィークまでに形にしたいs  
	- 710 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/16(金) 18:05:18.07 ID:EMArqvQw0
 -  ゴルシ 
 
	- 711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/04/16(金) 18:27:57.07 ID:2UriX1CTo
 -  乙したー 
 姉者さん正しく忠臣ですなぁ 
  
 ても二郎ちゃんとの子供とか火種不可避じゃないかな・・・・・・?  
	- 712 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:28:00.88 ID:ovSjB6Co0
 -  >>711 
 どもです! 
  
 >姉者さん正しく忠臣ですなぁ 
 ぶれないですねw 
  
 >ても二郎ちゃんとの子供とか火種不可避じゃないかな・・・・・・? 
 色々と荒れそうではありますw 
 姉者がいけると思ったらいけるんじゃないかなあ・・・?  
	- 713 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:29:38.40 ID:ovSjB6Co0
 -  「やだなにこれ、すっごい美味しいんだけど!」 
  
 口にした料理。それは流琉と凪が腕を振るったという超豪華なものだ。 
 本当は超高級料亭とかでもよかったんだけど、そういう堅苦しいのは苦手ということでとある宿――と言っても結構高級なそれ――を借り切っての接待である。 
 無論そんな無茶を通せるということは母流龍九商会の息のかかった宿であり、従業員も全て信頼できる者である。と張紘が言ってたから大丈夫に違いない。 
 まあ、考えてみれば馬家は名門。そのご令嬢が高級料亭が苦手とかどうなんだろうと思うんだが。まあ、料理を次々とたいらげてく蒲公英――残念ながら翠は所用があるということで蒲公英のみの接待となっている――の所作にはごく自然な上品さがあり、馬騰さんの薫陶を思わせる。 
  
 「ふ……、流琉も凪も超一流の料理人だからな。つか、俺も二人の合作料理とかあんま食ったことないからそれ貰うな」 
  
 「あー!ひどいー!そこのお肉、楽しみにとってたのにー!じゃあ、そこのお魚の、目玉はいただき!」 
  
 「何と言う邪知暴虐。これは!宣戦布告!せずにはいられない!」 
  
 ちなみに、だ。料理を巡る戦い。 
 六勝五敗三引き分け。 
  
 ふ、大勝利である(迫真)。 
  
 「いやいやいや。 
  蒲公英の七勝六敗一引き分けだからね」 
  
 「なん、……だと……!」 
  
 「という訳で戦利品としてこの杏仁豆腐は頂いちゃう!」 
  
 にひひ、と笑ってデザートの杏仁豆腐をかっさらって。 
  
 「んー!おいしいー!」 
  
 いや、蒲公英のこの表情を見れるならば、だ。見れたならば色々どうでもいい気がする。これも天性の愛嬌というやつだろうね。 
  
 「でもね、二郎様、ありがとうね」 
  
 デザートを腹に納めてから蒲公英がそんなことを言う。 
  
 「ん?」 
  
 「お姉さまに、馬家を継がせてくださって、ありがとうございました」 
  
 深々と、頭を下げる蒲公英。 
  
 「ん」 
  
 まあ、確かに涼州の安堵は最初期にしたけれども、それは余人をもって代えがたいというか、馬騰さんにもお世話になったというか。 
  
 「本来、董卓一味は涼州を預かる馬家によって掣肘すべきだった。 
 その責を果たせなかったことは苦渋の極みなんだよ。まして、それを討つのも馬家の務めのはずだった。 
  うん、だからね。馬家は二郎様にとっても大きい借りが出来たんだよ。なかなか返せないような、ね。 
  それを返すのは蒲公英の役目なんだよ」 
  
 「気にするな、とは言わんけどな。 
  だがな、貸し借りとかそういうのはどうでもいいのさ」 
  
 ご指導ご鞭撻いただきたかった。素直にそう思わせる方だった。馬騰さんは。  
	- 714 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:30:39.17 ID:ovSjB6Co0
 -  「ちぇー、身体で返せとか言われると思ってたのになー。二郎様のけちー」 
  
 「いや、色々おかしいだろうそれ」 
  
 そんなこと言ったら馬騰さんが化けて出てきそうである。こわや、こわや……。 
  
 「あのな、涼州をきちんと治めるのが親孝行になるのだろうし、そのための援(たす)けは惜しまんよ」 
  
 「正論すぎるよ?もうちょっとこう、蒲公英が可愛いから攫ってやろう。その代りに涼州の面倒をみてやろう、がはははーとかの展開とかないの?」 
  
 「ないわー。ほんと、ないわー。そりゃ蒲公英は可愛いけどさ、それが理由で便宜を図ったらいかんだろ」 
  
 宦官どもとは違うのだよ、宦官どもとは! 
  
 「えへ、そっかー。そうなんだー。じゃあしょうがないよね。うん、それだったらしょうがないなー」 
  
 なんか急に上機嫌な蒲公英は置いておこう。 
  
 「えへへ、涼州に帰るだけでなく過分に糧食も貰っちゃったし、これは蒲公英は覚悟を決めるしかないよねー。ないよねー。うん、覚悟完了! 
  あ、大事なことだから二回言ったんだけど?」 
  
 諸侯軍に対する糧食の支給は先日打ち切った。とは言え、恣意的な運用というのはいくらでもできるものである。 
 んで、馬家には数か月分以上の、ちょっと過剰なほどの糧食を支給してある。それに対する謝辞であろう。 
  
 「馬家は西方の、匈奴に対する壁だからな」 
  
 ここが崩れるとえらいことになるのである。だから、本気で頼りにしているのだ。そして。 
  
 「んでもって韓遂の相手、任せた」 
  
 今回の始末でも韓遂は処断できずに不安要素なままであるのだ。劉焉は隠居に追い込んだんだがなあ。 
  
 「うわーん!泣いてやるー!韓遂さんの相手ってどうせ蒲公英がするんでしょ!やだー! 
  はあ、詠ねえさまがいた時は楽と言うかお任せっきりだったんだけど……ってやば!」 
  
 じくり、と苦いモノがこみ上げる。ちくり、と胸が痛む。 
  
 「ん、そだな……」 
  
 確かに詠ちゃんがいたならば、涼州は安泰だっただろう。あの、梟雄たる韓遂を向こうにして鼻歌混じりで領地運営をしてのける手腕は見事の一言。そして。 
  
 「洛陽は、さ。ほんとに見事に治まってたんだわ」 
  
 張紘、魯粛、そしてメイン軍師たる風からの報告。 
  
 「あんなにさ。あんなに追い詰められてて、さ。 
  それでも。それでもきちんとやるべきことはやってたんだよ」 
  
 だからこそ宦官どもを許すことはできなかった。 
  
 「二郎様、ごめんなさい……」 
  
 「いや、いいんだ。もし、それこそ詠ちゃんが存命ならば涼州は安泰。だったら蒲公英を州牧として翠を太尉にできた。 
  馬家の、だ。名門馬家の後継ならば実に妥当。現状の白蓮みたいに異論も湧かん。補佐に月をつければそれで済むしな。いや、月はむしろ司徒か司空だな。そしたら俺が楽できるし」 
  
 これは妄想。だが、ひょっとしたらありえたかもしらん未来だ。 
 くそ!なんて時代だ! 
 言っとくけどな!華琳に権力持たせるとか結構苦渋の決断だったんだからな!マジで!  
	- 715 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:31:05.74 ID:ovSjB6Co0
 -  「たはは、その台詞はお姉さまに聞かせないでね。お姉さまってば本当にお仕事しようとしないんだもの」 
  
 「む?俺も本気で仕事しないぞ?」 
  
 「それは袁家の官僚組織が整備されてるからでしょ?うちはそうじゃないんだよ……」 
  
 たはーと言った風にがっくしと。 
  
 「ん。じゃあ翠は今も書類に追われているのか?」 
  
 だったら俺とのアポを放り出しても仕方ない。いやさ。それならば天晴れ天下御免である。 
  
 「えーと」 
  
 対する蒲公英の表情は冴えない。 
  
 「なんだ男か」 
  
 「え?なんで分かるの?」 
  
 マジか。いやいやいや、あの翠が男とって、ありえんだろう。 
 しかしこれは大問題ですよ?あの翠が逢引とか、私、気になります! 
  
 「ええと、蒲公英の推測だから、ね?」 
  
 「よいではないか、よいではないか。あの翠が一体どんな男に引っ掛かったんだね?」 
  
 我ながらうさんくさい口上なんだが、蒲公英の答えに俺は凍りつく。 
  
 「多分、なんだけどね?一刀さん、と思うんだよ」 
  
 「なん……、だと……」 
  
 マジか、マジなのか。 
 そんな俺の表情を見たのか、蒲公英がフォローしてくる。 
  
 「いやでもね?ほら、一刀さんも桃香さまもいい人たちじゃない! 
  うん、たんぽぽ、二郎様がそんな顔することないと思うんだけどなー! 
  いや、そりゃあ二郎様とのお約束をすっぽかしたのはアレだけど、ほら、そこは若気の至りってことでひとつ!」 
  
 「蒲公英よ、一体何をそんなに慌ててるのかな?」 
  
 「いやいやいやいや。だって二郎様目が笑ってないもの。やだなー蒲公英もっとこう、にこやかな二郎様が好きだなーって思うんだよ。 
  ほんと二郎様のその、無表情な顔とか見てたら辛いって言うか!」 
  
 ん。少し頭を冷やそう。確かにここで蒲公英に当たっても意味はない。八つ当たりにしかならん。 
 なにより、メンタルのタフさ加減では定評のある蒲公英がマジ泣き寸前ってのがなんかこう、後ろめたい。 
  
 「怒ってないよ?別に怒ってないよ!俺を怒らせたら大したもんだよ! 
 ほら、蒲公英!怒ってないから!」 
  
 「ほんとに……?」 
  
 「あー、怒ってないとも。平常心!平常心そのものさ!」 
  
 「……。 
 そっかー、よかったー。よかったよ」 
  
 「少なくとも俺個人の感傷、感情で馬家の当主に対して何か思うことはない。ありえない。 
  馬騰さんにはお世話になったし、な」  
	- 716 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:32:18.73 ID:ovSjB6Co0
 -  「やっぱ怒ってるじゃない!」 
  
 「怒ってはいない。怒ってはいないぞ?苛立ちはあるが、な。聞く気はあるか?」 
  
 「ええと、分かっていると思うの。ほんと、お姉さまがごめんなさい。二郎様とのお約束をないがしろにするとか、本来ありえないのは蒲公英分かってる。 
  ほんと。ごめんなさい。馬家と袁家が、ううん。袁家主導のこの流れに異議を唱えるようなものだもの」 
  
 「まあ、だからかも知らんがな。翠は反骨の気風。袁家が差配するこの漢朝、反感あってもおかしくはないかもしれん」 
  
 「それはあるかもしれない。んー。そこまでお姉さまを分かってる二郎様にはお姉さまをモノにしてほしいなあ。あ、勿論たんぽぽでもいんだよ?」 
  
 「そこで茶化すな」 
  
 茶化してるわけじゃないもん、とか言うのは無視する。 
  
 「翠の反骨、それはいい。それは気骨というものさ。 
  だが、その判断を人に委ねるならば話は別さ」 
  
 「ん。……でも。 
 でもね?一刀さんも桃香様もいい人たちだよ?」 
  
 その言葉が俺を切り裂く。 
  
 「ああ、きっと俺よりいい人たちなんだろうさ」 
  
 「やだ、たんぽぽ別にそういうつもりでいったんじゃ……」 
  
 あたふたと慌てる蒲公英がなんかとても可愛らしく思える。 
  
 「勘違いするなよ、蒲公英。お前はそこを勘違いしてはいけない立場なんだぞ」 
  
 「へ?」 
  
 「言っておくがな、為政者に人格は必要ないと知れ。為政者は更に結果で人格を語られるもの。人格者だから世が治まるのではない。世が治まるのであればそれはその為政者は人格者となる。 
  分かるな?」 
  
 こくり、と蒲公英は頷く。 
  
 「でも、認めたくないなんだよ。それを言うならば、叔父様よりも韓遂さんの方が涼州の為政者として相応しかったってことになるかもしれないじゃない」 
  
 なるほど。と言うか。 
  
 「そこは論点がずれてるな。翠と蒲公英。二人の想い。それだけで馬騰さんは州牧として望めないほどの方だったさ」 
  
 「うう、その物言いはずるいー!そんなこと言われたら、頑張るしかないし!」 
  
 うう、と涙目の蒲公英である。 
 こいつ、俺と同じくサボりたがりだが、俺より純情かつ真面目だからなあ……。 
  
 「なに、蒲公英一人くらいどうとでもしてやるから、さ」 
  
 まあ、翠はいつか暴走しそうだし、馬家の武威を思えば抱き込んでおいて損はないと言い訳する。 
 いや、俺はこの可愛い子がかなーり気に入ってる。多分、きっと、だ。姐さんも気に入ったはずだしな。 
  
 「そんときゃ、黙って俺に付いてこい!」 
  
 俺は、俺が好きな人たちと幸せになりたいんだ。 
 それを、言語化した方がいいんだろうなあと思いながら。 
  
 そんなこんなで夜は更けていきました。ということで一つ。 
 はい。  
	- 717 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/17(土) 21:33:15.02 ID:ovSjB6Co0
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 題名、なんだろうな。 
 「馬家懇親会」?いまいちだ。 
 浮かばないので助けていただいたら嬉しいやつです。  
	- 718 :赤ペン [sage saga]:2021/04/19(月) 15:45:58.27 ID:Nsz0pjb10
 -  乙でしたー 
 >>708 
 >>からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵が絶句する。 まあ一度味方認定したらトロ甘になりそうよね、それでも最後の一線とか絶対に守るものとかは間違えたりしないけど 
 ○からからと笑う夏候惇に流石の夏侯淵も絶句する。 これは夏侯惇があけっぴろげな事を言うのはいつものことだけどそれでも想定以上だったという事かしら? 
 >>715 
 >>たはーと言った風にがっくしと。    これは溜息ついてるのか苦笑してるのか 
 ○たはーと遠くに目をやり、がっくしと。 もしくは【疲労困憊と言った風にがっくしと】とか【羨ましいとばかりにがっくしと】とかどうでしょう 
  
 この自分に求められてるものを分かってて脳筋してるのが最高にかっこいいね、これには曹操もにっこり。d姉との間に子供かあ…できたらいろいろな重しになりそうだからこそ二郎側から躱しそう 
 馬家の姉ちゃんはさあ…約束しないならまだしも約束すっぽかすとか脳みそたりてる?恋愛脳になって脳の大部分のリソース使い切ってない? 
 恩人に砂掛けるような奴は助けた亀に海に突き落とされても仕方ないんだよ、キビ団子をあげた犬に手をかまれて、鶴を助けたらその日の晩にやってきた美人さんに美人局されちゃうよ? 
 というか蒲公英の推測ってことは一刀と天秤にかけてあっちを取ったのでもなく恋煩いして体調不良()で欠席したのか?ヤバいですね! 
 馬家二の姫が覚悟を決めたかな?叔父様が治めてた涼州をそのままに守ってくれようとしてる凡人とせっかく受け継いだのに恋愛脳で現を抜かす姉さま…これには一刀もにっこり  
	- 719 :青ペン [sage]:2021/04/19(月) 16:05:34.52 ID:DL3LDQZGo
 -  >>717 
 まったムズいシチュだねぃ 
  
 『凡将と戯れるは西涼の華』 
 とでもしとこかー? 
   
	- 720 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/19(月) 21:07:11.03 ID:pLNR6mbv0
 -  >>718 
 赤ペン先生いつもありがとうございますー! 
 やったぜ! 
  
 >この自分に求められてるものを分かってて脳筋してるのが最高にかっこいいね、これには曹操もにっこり。d姉との間に子供かあ…できたらいろいろな重しになりそうだからこそ二郎側から躱しそう 
 姉者は地頭よさそうなんですよね・・・。変にはおーに粉かけないだけで冷静にあれこれ対応してくれる印象です。 
 そらはおーも重用するよねって感じです。逆に重用するのは、粘膜関係だからじゃないと思うのですよ。 
  
 >馬家の姉ちゃんはさあ…約束しないならまだしも約束すっぽかすとか脳みそたりてる?恋愛脳になって脳の大部分のリソース使い切ってない? 
 ほんと同じ脳筋でどうしてこうなった 
 原作の原作が影響しているのかなあ 
 キャラとしては大好きなのですけどねw 
  
 >というか蒲公英の推測ってことは一刀と天秤にかけてあっちを取ったのでもなく恋煩いして体調不良()で欠席したのか?ヤバいですね! 
 蒲公英は取り繕ってますがやばいです!いや、やばいやろ。。。 
  
 蒲公英の苦難はそれとなく始まったな感ありますね(適当) 
  
  
 >>719 
 どもです! 
 やったぜ!ありがとうございますー! 
  
 >『凡将と戯れるは西涼の華』 
 これはよきですね。流石です。仮採用あざます!  
	- 721 :赤ペン [sage saga]:2021/04/21(水) 10:11:05.37 ID:YqNSjTTD0
 -  個人的には【言った風に】よりも【言わんばかりに】が好み 
 最近やってるアニメでスローライフがしたいって言ってる主人公が色んな厄介ごとを持ち込まれるというか家に厄介な人がやってくるのがあったんだけど 
 何であいつ引越ししないのかしら  
	- 722 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/22(木) 21:34:10.89 ID:4UkduHyo0
 -  >>721 
 >最近やってるアニメでスローライフがしたいって言ってる主人公が色んな厄介ごとを持ち込まれるというか家に厄介な人がやってくるのがあったんだけど 
 気軽に引っ越し出来ない層に共感してもらうため、とか? 
 ご近所は選べないですからねえw  
	- 723 :赤ペン [sage saga]:2021/04/27(火) 18:19:53.80 ID:SrARA4X30
 -  なんか最近超不安定…不安定じゃない 
 ご近所じゃないんだよ、そこに住んでる有名人(主人公)に会うために遠方からわざわざ訪ねてくるんだよ…(なおどこそこの職業、という通り名なので住みかと恰好を変えれば大分ましになると思われる 
 しかも主人公は世界最強クラスだからその気になればどこだろうと生きていけるスペックはあるんだ(生活力は知らんが  
	- 724 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 18:24:00.28 ID:YZSQvDDu0
 -  >>723 
 興味出たので教えてくだしあ 
 チェックします  
	- 725 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:31:37.98 ID:YZSQvDDu0
 -  ふにょり、という擬音が一番ふさわしいだろうか。 
 だが、それは内包されたポテンシャルを表現しきってはいない。柔らかでいて、なおかつ圧倒的な質感。たわわに実った豊穣。その、人の世を明るく照らす希望を象徴するようなそれ。 
 人はパンのみに生きるに非ず。そう、物質的な豊かさのみならず、精神の豊かさすら満たしそうな、そんな神の存在を確信してしまうほどに完成され、未だ進化の可能性をも内包する存在がある。 
 人は生きるために五つの知覚を備えている。そのうちの一つ。触覚のみでここまでの幸福感を味わうことができるとは――。 
  
 「あなたが神か」 
  
 そう独白したのもやむをえないところである。人、それを現実逃避と言う。 
  
 「……貴方は一体何を言っているのですか」 
  
 その、状況としては、だ。俺が関羽を押し倒しておっぱいをわしづかみにしているという、なんだそれ。うん、神は死んだ。そしてこれは俺も死んだかもわからんね。 
  
 ◆◆◆  
	- 726 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:33:55.06 ID:YZSQvDDu0
 -  「いや、正直すまんかった」 
  
 「いえ、公道を走っていたのは私の方ですから。ならば激突の件については私に非があるかと」 
  
 神妙ながらも微妙に含むところのあるような表情でそんな口上を述べるのは関羽だ。 
 うん、そうなんだ。洛陽の十字路を曲がったとこで、全力疾走してきた関羽と正面衝突して、だ。なぜか俺の両手は関羽の双丘に。それなんてエロゲ?な展開に頭が沸騰しそうだった俺である。 
 ただ、その相手が関羽という武の巨人――別に巨乳の人という意味ではない――である以上、六文銭を意識するのは致し方ない。いや、それすらも現実逃避であったのだが。 
 幸いにも、不幸な事故ということで関羽も納得してくれた。いや、やばかった。あそこで揉みしだいていたら、いかなる言い訳も通用しなかったであろうからに。 
 頑張ったな、俺。誰か褒めて。 
  
 「しかし、なんであんなに走ってたの?」 
  
 なんでも、老婆から荷物をかっぱらったごろつきを追っていたらしい。なんとも義侠心のあることである。ご丁寧にと言うか流石と言うか、そのごろつきの特徴まで観察していたのは流石である。 
  
 「まあ、しかしだ。そこまでその犯人の人相風体を把握しているならば後は官憲の仕事だろうよ」 
  
 「む、ですが……」 
  
 「なに、餅は餅屋、さ。どうせ初犯じゃないだろうしな」 
  
 微妙に納得していない風であるが。 
  
 「何だ、そんなに信用ならんかね、官が」 
  
 「はい。はっきり言って、ここのところの世の乱れ。それは官の不徳故でしょう。例え犯人の特徴を伝えても、検挙に至らない。そう、思ったのは事実です」 
  
 政治不信。ここに極まれりだね。 
  
 「だったら、犯人を捕縛して官吏に突き出してもまともな処罰は望めないなあ。 
 それとも、私刑(リンチ)でもするかい?」 
  
 「む……。それは……。 
 いえ、正直そこまで考えてませんでした」 
  
 「まあまあ、義を見てせざるは勇無きなり、だそうですし〜」 
  
 それまで黙っていた風が口を挟んでくる。ほんとはメイン軍師たる風と二人での会食の予定だったのだ。 
  
 「そろそろお料理も来ると思いますし、あまりここで深刻になる必要もないかと〜」 
  
 そう、ここは超のつく高級料亭。 
 あれだ、翠と蒲公英の接待に押さえてた枠を消化しに来る途中で至福のおっぱいを堪能したというわけだ。ほいで、事故(セクハラ)のお礼――お詫びと人数合わせを兼ねてご招待したわけだ。 
  
 「いや、私はこれで失礼しようかと。 
 このような歓待を受けるいわれもないと思いますし」 
  
 戸惑う関羽である。キョドり具合が割と可愛い。 
 ちなみにここまで関羽を誘導というか、連行したのも風である。言葉巧みに誘い込むその手練手管に全俺が戦慄した。ほんま、風を敵にしたらあかんでぇ……。 
  
 「おやおや。本気ですか〜?このような機会、望んで得られるものではないですよ? 
  三公の筆頭たる方と、このような場で会える。 
  そのことの意味、軽く考えすぎではないですか〜?」 
  
 「紀霊殿の地位は、認識しています。だが、その地位におもねると思われるのは不本意ですね。 
  あくまで私の主君は桃香様でありますし」 
  
 それを聞いた風がくすくす、と風が笑う。 
  
 「本気でそうおっしゃいますか?いや、正気ですか、とお聞きするべきでしたかね〜」 
  
 ころころと鈴を転がすような声で……それ、挑発だよね。 
 ほら。ほらほらー。 
 怖い人が、視線だけで人が死ぬようなそんな目つきになりそうですよ。 
  
 「何が、言いたいのですか……?」  
	- 727 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:35:04.23 ID:YZSQvDDu0
 -  殺気すら纏う関羽の言葉を受けても、風は動じたりしない。当たり前だよね。そんな繊細さなんてないに決まってるもの。 
  
 「おやおやー。本気でお分かりでない。これはびっくりなのですね〜。 
  二郎さんに言わせると、あっと驚くだめごろう、なのです〜」 
  
 「ためごろうだよ!」 
  
 「おお、間違えました!」 
  
 ちがう、わざとだ! 
  
 「いや、わけがわからないのですが……」 
  
 気勢を削がれたのだろうか。それでも関羽が戸惑いながらも問いかけてくる。 
  
 「おやおや、これは嘆かわしいですねえ。三公の長たる二郎さん。その方とお話できる機会の価値をお分かりでないと。 
  いやしくも漢朝の一端を担うべき方の自覚、識見いかがなものかと。これはその上司の程度も知れますね〜」 
  
 くふ、と含み笑いの風に関羽は激昂する。 
  
 「私のことはいい。だが桃香様を愚弄するのは許さん!」 
  
 その、殺気と変わりないほどの怒気を受けても、風にはまさに柳に風。 
  
 「さてさて、許してもらえないとのことですが、どうするのですかね〜。手討ちですかねえ。こわや、こわや……」 
  
 ここで思い出したかのように俺を見てにこりと笑い――いや、可愛いんだけどね――、とてとてと俺に駆けより、陰に隠れる。っておい。 
  
 「風は二郎様の臣ですので、生殺与奪の一切は二郎様にお任せしてるのですよ。 
 風を討ち取りたいのであれば、二郎様を通してくださいね〜。 
 無論、二郎様の命であれば風はいつでも応じますので」 
  
 そう言いながら、きゅ、と抱きついてくる風。あざとい!実にあざとい!キュンとするじゃんか!マジ俺チョロい! 
 つか、風は俺のメイン軍師なんだからそんなことするわけないじゃん。と、口を開こうとすると。 
  
 「――いえ、失礼をしたのは私ですね。できればご寛恕願いたい」 
  
 そう言って頭を下げる関羽に流石の風もびっくりどっきりであるようだ。 
  
 「いえ、程立殿の言、いささか耳に痛かったのは事実ですが、感じ入りました。武と文、道は違えどもその心根は同源。そして頭が冷えたのも事実です。 
  そして私はもっと視野を広げなければならないと思いました」 
  
 だから、問わせてくださいと関羽は頭を下げる。 
  
 「紀霊殿は、どうも桃香様、そしてご主人様に辛く当たっている、と思うのですが」 
  
 ほお。  
	- 728 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:35:32.30 ID:YZSQvDDu0
 -  目線で口を開こうとした風を抑えて、俺が応えてやる。 
  
 「言ってる意味が分からんね。正直、妥当か、むしろ甘めだと思っているが」 
  
 「本気で、そうおっしゃるか」 
  
 「あ? 
 俺の言を聞かないなら、これ以上の問答は不要だな」 
  
 帰るぞ風、と言おうとしたのだが。 
  
 「まあまあ、二郎さん、時に落ち着いてくださいませ〜。関羽さんも力を抜いてくださいな」 
  
 「んなこと言ったって、さあ……」 
  
 「くふふ、ここは風にお任せ願いたいのですよ〜」 
  
 メイン軍師にそう言われてはいかんともしがたい。 
 フン、と拗ねてそっぽを向いてやる。 
  
 「さて、関羽さん。貴女(あなた)は一体どうしたら満足されるのでしょうかね?」 
  
 くふ、と柔らかい笑みを内包したまま風が問う。 
  
 「決まっている。桃香様、それにご主人様が正当に評価されることだ」 
  
 胸を張り。高らかに、誇らしげに関羽は宣言した。実に見事な胸部装甲である。李白か芭蕉がこの光景を詩歌にしたものを聞いてみたい。 
 問題は、この時代の詩才については華琳が図抜けていることか。などと思いながら風の切り返しを楽しみにしていたのだが。 
  
 「ぐう」  
	- 729 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:36:04.24 ID:YZSQvDDu0
 -  まさかのいびきである。 
 ダン!と卓を関羽が力任せに叩く。よく壊れなかったな、と思うほどの勢いである。 
  
 「おお!寝てました!」 
  
 これは確定的にわざとなんだろうなあ……。 
  
 「貴女は!真面目に人の言うことを聞く気があるのか! 
 自分から問うておいて!」 
  
 あー、これ関羽さん本気で怒ってますわー。 
 でも風ちゃんたら、毛ほどにも痛痒を感じていないみたいですわー。 
  
 「いえいえ、風は真面目ですよ?あまりにも眠たいことを関羽さんがおっしゃるので、睡魔に身を委ねただけです〜。 
  だって風や二郎さんは、そのような実体のない売込みにはうんざりしているのですよ。 
  目立った武勲、功績のない貴女たちに報いる必要はないのですね〜」 
  
 「話にならなん!桃香様のような方に相応に報わないなぞ、正気とは思えん!」 
  
 にまり、と僅かに風の口元が歪んだ。 
  
 「これはしたり、ですね〜。課せられた職責。それを放り出すような人材。 
 言っておきますが、白蓮さんの強い援護と推挙がなければ幽州のいち官吏となることもできなかったのですよ」 
  
 くすくす、と心底おかしげな風。さしもの関羽も言葉を失う。 
  
 「ええ、先ほど官吏が信用できないとおっしゃいましたが、さて。 
 与えられた職責を放り出す官吏。これほど貴女の言う、信用できない官吏に当てはまる条件もないかと〜」 
  
 その言葉に反論しようとする関羽を目線一つで制止して言を連ねる。 
  
 「そして、貴女が信用できないとおっしゃった官吏。その中で治安を担うのは星ちゃんなのですよ。 
  星ちゃんが信用できないとおっしゃる。 
 いやあ、泣く子も黙る執金吾、鬼の趙子龍。 
 洛陽の治安を一身に担う星ちゃんの声望を貶めたいのか、それとも妬ましいのか判断に困るところではありますね〜」 
  
 楽しんでそうだなと思ったのだが、眠たげな表情はむしろ苦みを含んでいて。  
	- 730 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:36:40.62 ID:YZSQvDDu0
 -  「論点をずらさないでいただきたい!」 
  
 「ずらしてなんかいませんよ? 
 結局は貴女が心酔している方を優遇しろと言っているだけです。 
 いやいや、まだしも宦官の方がマシじゃないですかね? 
 対価を用意するだけ」 
  
 対して貴女たちは恫喝だけでしょう? 
  
 「な!宦官以下だと言うか!」 
  
 激発したならば俺じゃあ関羽は止められないって知ってるくせに、風よ! 
 いや、それが狙いか?それは、それは許さんぞ? 
  
 「のっぴょっぴょーん!」 
  
 かいしんのいちげき!シリアスさんは死んでしまった! 
  
 「な、なにを……」 
  
 ここは勢いでたたみかける! 
  
 「関羽。貴様の忠誠はいい。だがな、それは何に対してだ。それを考えろ。 
  劉備に対してか、北郷一刀に対してか、その思想に対してか。 
  それとも、漢朝に対してか、な。 
  正直、ね。お前さんの忠義、ブレすぎだと思うよ。いやさ、絞れていない、か。  
  何が大事か、考えてみろ。それができないとは言わせん。そんな奴が白蓮の下に就くなぞ許せん。 
  いいか。白蓮は中華で十三席しかない州牧となるのだ。なったんだ。 
  それに対して貴様らの価値は何だ。旧友以上の価値を俺に示してみろ。それならばいくらでも報いてやろう」 
  
 せめて、だ。せめて雷薄がいたならば白蓮の補佐に付けた。韓浩にはない武威。問答無用のそれがあった。いや、それを言うならば、もっとふさわしい人材もいた。白蓮の生真面目さ、韓浩の狷介さも優しく笑って、包んでくれるような人が、いた。いたんだよ。いたのだ。 
  
 くそ、未練か、後悔か。どうにも後ろ向きな思考になってしまう。くそう。 
  
 「はいはいー。とんとんしましょうねー。とんとーん」 
  
 ぺち、と頬に走る冷たい感覚が俺を現実に引き戻す。引き戻してくれる。 
  
 「風、すまんな」 
  
 「風は二郎さんの軍師ですから〜」 
  
 くふふ、と笑ってしなだれかかる風の身体をきゅ、と抱きしめる。 
 肉付きの薄いこの身体で、頑張ってくれてるのだなあと痛感する。 
  
 「まあ、なんだ。俺は釣った魚には全力で餌をやるからな。欲しいものあったら言ってね。 
  そして、だ。 
  んー。いや、なんでもない。 
 主従ともに息災で、な」 
  
 たはは、と。ひらひらと手を振って詫びる。 
  
 「む、色々と反応に困るのですが」 
  
 「知るかい。困って困れよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」 
  
 そしてぐぬぬ、と唸る関羽である。 
  
 まあ、色々堪能したからこれでヨシ!としよう。 
  
 「くふ。忠義。それは思考回路を麻痺させるものかもしれないと風は思ったのですよ。 
  関羽さん、どう思います?」 
  
 容赦ない。流石風は容赦ない。 
  
 その問いには明確に応えずに去る関羽。その悄然とした様子を見て思う。 
  
 ――もうちょっと苛めたらよかったかなあ。わりとそそるやん! 
 いや俺にそんな趣味はなかったはずなんだけどね。 
 ないってば。  
	- 731 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/27(火) 19:37:06.72 ID:YZSQvDDu0
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 関羽との語らいとかなんとか 
 題名を募集しまくりんぐですよ本当に!  
	- 732 :青ペン [sage]:2021/04/28(水) 08:27:54.46 ID:EC+7tbDpo
 -  >>731 
 そうなぁ…。 
 武人と軍師の禅問答〜汝が忠義は何処を向くや  
	- 733 :赤ペン [sage saga]:2021/04/28(水) 17:43:54.43 ID:lB/rRXVx0
 -  乙でしたー >>724【スライム倒して300年知らないうちにレベルMAXになってました】ですね…私はそろそろ切ろうかと思ってますが 
 >>725 
 >>だが、それは内包されたポテンシャルを表現しきってはいない。 【ポテンシャル】だと【まだ眠ってる才能】とか成長性のようなニュアンスがあるので 
 ○だが、それは内包された真価を表現しきってはいない。     もしくは【価値】、【スペック】、【値打ち】、【あり方】とか? 
 >>726 
 >>「いえ、公道を走っていたのは私の方ですから。  公道とか私道の概念ってあるの?というか仮に私道だろうと十字路でぶつかるようなスピード出しちゃいかんでしょ 
 ○「いえ、道を走っていたのは私の方ですから。  ついでに(人生の)道を間違えてますよHAHAHA。それとも【いえ、ぶつかったのは】とかどうでしょう 
 >>検挙に至らない。そう、思ったのは事実です」 間違いと言うほどではないですがこの【そう、】に違和感が 
 ○検挙に至らない。そう思ったのは事実です」  もしくは【そう思ったのは、事実です」】だと不信感に重みが出るかな? 
 >>730 
 >>「のっぴょっぴょーん!」 
  
 かいしんのいちげき!シリアスさんは死んでしまった! ごめん…ちょっと意味が分からない。空気を変えて話題も変えるならありだけどこの後真面目に話が続くと温度差で風邪ひいてコロナと間違われて白い目で見られそう 
 ○「風。お前が俺だけじゃなく親友たる星まで愚弄されたと憤るのは分かるが言い過ぎだ。俺を止めたお前を今度は俺が止めるとか漫才じゃねえんだぞ」 
  
 心底疲れる。と深いため息とともに風の頭に手を置けばするりとその手を頬に誘導し、雰囲気を甘いものに一変させる……そのあまりの変わり様に流石の関羽も理解が追い付かないようだ。――ここだ。 風ちゃんなら二郎が明確に止める行動をとればそっち方向に180度逆走して慣性を置き去りにできると信じて 
 実際関羽もさっきまでの自分の言動が星を貶してた、だから程立が怒ってる、と言われたら剣は抜かんだろうし――その後の頭なでなでからのほっぺたすりすり?俺の趣味だよ言わせんな恥ずかしい 
 >>「知るかい。困って困れよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」 困ることが必要な事…まあそれでもいいか? 
 ○「知るかい。困って悩めよ。それがお前さんに必要なことと思うし、な」 悩め若人。とか言ったのは誰だっけ?悩んで自分で答えを出すのが必要かなあ 
  
  
 >>「あなたが神か」 関聖帝君「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ」こうですかわかりません 
 >>無論、二郎様の命であれば風はいつでも応じますので」 多分ここで関羽の腑に落ちたんだろうね、自分が二郎を愚弄すること言ってたことを(なお星を信頼できないと言ったことには気づいていなかった模様)。それに対して風が「私の主を馬鹿にするお前の主の程度が知れる」って言ったうえに「自分は主の生殺与奪の権は主の物だ」と言い切られたらそりゃあ、ねえ 
 さっきまでバチバチに、というか一触即発だった相手が急にピンクな空気まき散らしてメス顔しだしたら普通はついていけない、うぶなねんねじゃなおの事よ… 
 あともしも>>「のっぴょっぴょーん!」 で行くならこの後の話>>「関羽。貴様の忠誠はいい。 の部分をもっと立て板に水な勢いで言ってほしいです 
 >>「関羽。忠誠はいい、それはいいのよ。でもね、それは何に対してだっつー話よ。それを考えて? 
  劉備?北郷一刀?その考え方? 
  それとも、漢朝に対して? 
  正直、ね。お前さんの忠義、ブレッブレじゃん。いや、びしっと決まってない感じ?何が一番大事かがさぁ。 
  それが決められないとか言うなよ。そんな奴が白蓮の下に就くなんて許さんからな。 
  いいか。白蓮は中華で十三席しかない州牧になるんだ。なったんだよ。 
  それに対して貴様らの価値は何だよ。旧友だからって白蓮に頼りっぱなしにしか見えないのさ。ちゃんと見せてくれたらいくらでも報いてやれるんだぜ」 
 こんな感じで  
	- 734 :赤ペン [sage]:2021/04/28(水) 19:10:39.82 ID:lB/rRXVx0
 -  あ、いや【それを考えて?】より【その辺分かってる?】の方がらしいか  
  そういえば二郎ちゃんの忠誠は袁家と袁紹と袁術のどこに向いてるのか…袁紹を仰ぎ見て袁術を庇護してる感はあるけど  
	- 735 :赤ペン [sage saga]:2021/04/29(木) 12:47:21.91 ID:L85lqpaS0
 -  そういえばこの時代って漫才あるんだろうか?まあいいか、前に張遼と邪魔すんなら帰って―のコントやってたし 
 
	- 736 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/29(木) 21:23:59.06 ID:LUKBNKgH0
 -  >>732 
 どもです! 
  
 いい感じですね。ちょっといじるかもしれません。 
  
 >>733 
 赤ペン先生いつもありがとうございますー! 
 スライム、チェックしてないので見に行ってみます。ご紹介ありがとうございますー! 
  
 >「あなたが神か」 関聖帝君「とんでもねぇ!あたしゃ神様だよ」こうですかわかりません 
 やってみたいw 
 実装してみたいw 
  
 今回は色々と感想返しできない感じで検討案件ありがとうございました。 
  
 >そういえばこの時代って漫才あるんだろうか?まあいいか、前に張遼と邪魔すんなら帰って―のコントやってたし 
 アイドル活動もあるのでね。。。 
 あれ、帰ってんかって真桜案件じゃなかったっすけ(自信なし  
	- 737 :赤ペン [sage saga]:2021/04/30(金) 10:31:59.74 ID:JYGo89ON0
 -  本当だ。親友が惚れてる男のことを〜でやってたわ 
 おいは恥ずかしか!  
	- 738 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/30(金) 12:33:54.84 ID:/9uO/TSS0
 -  >>737 
 リカームばい! 
 (先行入力)  
	- 739 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/04/30(金) 14:18:40.51 ID:/9uO/TSS0
 -  山の神緊急搬送 
 緊急オペ 
 虫垂炎?  
	- 740 :赤ペン [sage saga]:2021/05/01(土) 09:00:37.75 ID:Wa8NLcjv0
 -  赤ペンの姿か?これが…生き恥 
 山神さん大丈夫ですかねえ、病床が埋まってて一般も受け入れできないみたいなところもあると聞きますが  
	- 741 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/01(土) 09:12:56.83 ID:i39+ocLz0
 -  >>740 
 まだパンデミックじゃないから潜り込めました 
 オペして予後です 
 申し訳ないが今のうちにやっとかんと受け入れもできんことになるかもしれない 
 正直変異株の強さはマジやばいみたいなので、 
 万全でも感染しそうという危機感はあります  
	- 742 :赤ペン [sage]:2021/05/05(水) 21:19:26.17 ID:Nh+YxJeK0
 -  あ、ありのまま起こったことを話すぜ 
 俺は恥ずかしさに悶えていたと思ったら気づいたらリカームを掛けられていた 
 生きてはおられんごっとか合掌ばいなんてちゃちなものじゃあ断じてねえ 
 もっと恐ろしい物の片鱗を味わったぜ  
	- 743 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:50:06.73 ID:zEkwrGa/0
 -  >>742 
 ザ・ワールドすらを越えてキング・クリムゾン! 
  
 そして時は加速する! 
  
 というわけで今日はやります  
	- 744 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:53:54.45 ID:zEkwrGa/0
 -  「いやあ、やっぱり凪の作る料理は美味いわ」 
  
 しみじみと李典が口にした台詞。それに全力で于禁が同意する。 
  
 「ほんとなのー。ますます腕に磨きがかかってる感じなのー」 
  
 赤くないし、辛くないもの。と于禁は内心で呟く。いや、それを除いても腕に磨きがかかっているというのは嘘ではない。 
  
 「そ、そんなことはない。まだまだだ、と自覚している」 
  
 楽進の言葉は謙遜ではない。まあ、比較対象が典韋であることを考えると比較基準がおかしいのだが。 
 とはいえ、年少とは言え料理の腕も、武も典韋に一歩どころではない差をつけられていると楽進は思っている。 
 前者はやはり専門の料理店である程度修行し、下地が違うと言える。後者については完全に肉体的な性能(スペック)の差ではある。だが、どちらにおいても現時点の話であり、日々研鑽を惜しまぬ楽進の未来は明るいであろう。それにどちらも常人レベルを逸脱しているのではある。 
 そして、料理については。 
  
 「どっちもすごく美味しいよ?あとはまあ、業務用と家庭用の違いかな?」 
  
 と某青年はコメントしている。そう評された二人はそれぞれに奮起したものだが。 
  
 「にしても真桜、最近ますます忙しそうだな」 
  
 「せやねん。最近な、いよいよ兵装が一新されそうでな?その内容で侃侃諤諤(けんけんがくがく)なんよー。鎖帷子(くさりかたびら)か板金鎧(プレートメイル)かで揉めとってなー」 
  
 李典の漏らした言葉に楽進が柳眉を逆立てる。 
  
 「おい、それは機密じゃないのか!?」 
  
 それに李典はひらひらと手を振る。 
  
 「かまへん、かまへん。二人ともそんなん漏らせへんやろし、漏れても困らんしな」 
  
 「そうなの?次期兵装の内容なんて結構な利権の塊だと思うのー」 
  
 その言に李典は苦笑する。 
  
 「どっちもなー。 
 母流龍九商会の工房以外に作れんのや」 
  
 無論、一点ものであれば話は別である。が、数万に及ぶ兵卒に供給しようとなれば。 
  
 「なんとも、まあ。流石は真桜、といったところか?」 
  
 楽進は嘆息する。そう言えば昔から楽進の技術――という言葉では表現できない――は自分たちを大きく助けてくれたものである。 
  
 「ちゃうねん、ちゃうねん。そらな、うちかて母流龍九商会技術部部長としての矜持はあるし、それに相応しい腕も持っとると自負しとる」 
  
 だが、と楽進は語る。 
  
 「技術開発っちゅうやつはな、確信的な閃きも必要やねんけどな、それだけやったらあかんねん。 
  ほんまに大事なんはな、地道にコツコツと続けて基礎を積み重ねることやねん。それが一番大事やねん。 
 うち一人やったらほんまたいしたことはでけへん」  
	- 745 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:54:20.37 ID:zEkwrGa/0
 -  その言葉に楽進も于禁も大きく頷く。 
  
 「確かにそうなのー。沙和がいくら色々と意匠をこらしてもお針子さんがいなければ、それを縫えなければ意味はないのー」 
  
 デザインの革新的なその発想で于禁は母流龍九商会の服飾部で優遇されている。阿蘇阿蘇への掲載も多い。 
 だが、実際に型紙から縫製するのは無論于禁ではないのだ。 
  
 「せやねん。金型一つ作るんでも、部品同士のすり合わせするんでもな。これがうち一人やったら……一生終わらんわ。全身覆う板金鎧とかどんだけの部品いるねん!頭おかしいんちゃうか!ってな。」 
  
 ここで某青年の布石が活きる。 
 似非産業革命を目指した彼がもたらしたものはフォード式流れ作業的なものであった。一つの製品の工程を分解し、それ専門の工員を育成するという未来の発想。 
 無論、当初は「安かろう、悪かろう」だった製品も、だ。数年も経てば工員の習熟度でそれなりの品質になる。そう、工程が10あって習熟に20年かかるならば10の専門工員に任せれば2年で熟練工員の出来上がりだ。極論ではあるが。 
 ……無論それほど単純なものではないが、規模は力である。そんな感じで母流龍九商会はこの時代ではありでないほどの生産効率を実現している。そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員のバランス、習熟度。そして荒っぽい工員をまとめ上げた人物の貢献が大きい。いや、その人物がいなければここまではならなかった。一言で言うならば。 
  
 「張紘、パねェ」 
  
 まあ、そういうことである。 
  
 無論、現場を叱咤激励し、二徹三徹当たり前で陣頭指揮に当たっていた李典の功績も大きい。身を削るそれは自分の探究心もあるだろう。だが。 
  
 「ほんなこと言ってもな、二郎はんのためやもん」 
  
 その言葉に于禁は驚愕する。 
  
 「そらな、好き勝手に研究できるのは嬉しいし、楽しいで?でもな。やっぱ嬉しいのんは、うちらの考えた製品を、な?皆が使ってくれてたら、な? 
 それってとっても素敵やん?」 
  
 使われてナンボ。かつては諦めていたその思い。 
 そして舞い戻るのは。 
  
 「まあ、それもこれも二郎はんのおかげやねんけどな」 
  
 楽進はこの上なく理解している。彼の援助がなければ、細々と一点ものの自己満足の品を作るしかなかったであろうことを。 
  
 「そうだな。真桜の言うことはすごく分かる。私も、自分が考えた食材の組み合わせ。それが軍の献立に採用された時は本当にうれしかった」 
  
 大人数……軍規模のレシピは典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝のレシピを会得しているというのも大きい。 
 だが、いや、だからこそ。そこに一つでも足跡を残すことが出来た時、楽進は感涙にむせび泣いたものだ。これで意外と楽進は負けず嫌いなのだ。いや、向上心があると言った方がいいかもしれない。ちなみに某青年にはないものである。 
  
 「何より、二郎様の為になると確信できたからな!」 
  
 ドヤ顔の楽進に于禁は内心苦笑する。だって彼女は今現在彼氏募集中なのだからして。 
  
 「凪はほんまがんばっとったもんなあ。料理屋借り切っての味覚調査とか普通自腹でやらへんで?いやあ、愛やね、愛!」 
  
 「そ、そこまでするの?!」 
  
 応えるのは顔を真っ赤に染め上げた楽進である。 
  
 「そ、その、だ。なんだ。そう。少しでも、二郎様の負担が減れば、と思って、だ。 
  いやほら、戦陣での食事は不味いというのが相場だろう?そしたら、二郎様の軍。そこのご飯が美味しかったら、少しでも士気が上がるかな、って思って、だ。無論、典韋殿がいるから最低限の味は保障されているけれども、それでも私も、だ」 
  
 「真桜ちゃん、沙和げっぷがでそうなのー」  
	- 746 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:55:11.15 ID:zEkwrGa/0
 -  苦笑する李典。尚も語る楽進。于禁は思う。ああ、これが恋の力かと。そういったこととは縁遠かった二人がこうまで、と。そしてその思いは自らに。 
  
 「まあな、ほんま二郎はんは罪な男やで。なあ、凪?」 
  
 「い、いや。私は、だ。私のような武骨者が果たして二郎様に相応しいか。 
  それでも、お傍にいたい。そう思うのは罪なのだろうか……」 
  
 深刻そうな楽進の様子に于禁はちょっと待て、と声を荒げる。 
  
 「凪ちゃん!待ってほしいの! 
 二郎さんなんて優良物件を掴んどいてその弱音は万死に値するの!家格よし!人格よし! 
 そこにきて凪ちゃんへの寵愛よし!これ以上何を望むのかと問いたいの!」 
  
 昂ぶる于禁の言の葉に楽進は圧倒されていた。 
  
 「凪ちゃんの言うことはいちいち贅沢なの。だっていつもの凪ちゃんならば自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ? 
 それがこんなに!そんなに!」 
  
 言い募るうちに于禁は思う。これでは。 
 ふと、黙り込んだ于禁を見て李典が茶化す。 
  
 「なんや、沙和。えらい熱心やなあ。 
 さては二郎はんに懸想しとるんとちゃうか?」 
  
 「違うもん! 
  ……でも、沙和にも縁談あるけど、比べちゃうもん。 
  二郎様と比べちゃうもん。だって、それは仕方ないでしょ! 
  仕方ないじゃない!凪ちゃんも、真桜ちゃんも幸せそうでさ! 
  置いてかれた沙和は羨ましいな、って思うしかないじゃないの! 
  持ち掛けられる縁談!相手を比べるのが二郎様で!だったら頷けないって当たり前でしょ!」 
  
 びすびす、と泣き出した于禁をよしよしと抱きかかえながら李典は楽進に目線を送る。 
  
 「真桜、そこからは私が。 
  沙和。二郎様はその、なんだ。素晴らしいお方だ。だったら、その身を、心を委ねないか?」 
  
 おずおず、といった楽進の言葉に李典がかぶせる。 
  
 「正直、沙和はしっかりしてるようでアレやからな。ええ加減な男に引っ掛かるくらいなら、と思うんよ。 
  あれでええ加減ちゃうよ?きちんと、その……可愛がってくれるんよ。 
  せやない!せやなくて!」 
  
 くすり、と于禁は笑う。艶やかに。 
  
 「もう、真桜ちゃんと凪ちゃんがいつもそんなに言ってるから、他の人なんて眼中になくなるのは当然なの」 
  
 于禁が頷く前に李典は笑う。 
  
 「いや、助かったわ。沙和、ほんま助かったかもしれん。うちと凪の二人やったら連戦連敗やったからな! 
  うちら三羽烏の連携あらば、一矢報いてお釣りがくるやろうて……」 
  
 なお、ツインシュートは完封されていたが、トリプラーについては効果抜群であった模様である。  
	- 747 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/06(木) 22:56:05.83 ID:zEkwrGa/0
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 題名案はなんだろな 
 「三羽烏の語らい」 
 うん、微妙ですね、いい案よろしくお願いします。 
  
 お盆くらいにはあっちでやれるかなあ。  
	- 748 :青ペン [sage]:2021/05/10(月) 11:56:03.48 ID:OphIVA6Ko
 -  >>747 
 何を悩む必要あろかいな 
 こんなん【女三人寄れば姦しい、況んや恋話をや】で解決やん  
	- 749 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/11(火) 05:49:51.50 ID:UNqK5XH40
 -  >>748 
 その手があったか!  
	- 750 :赤ペン [sage saga]:2021/05/12(水) 17:05:52.42 ID:ldIv6hvw0
 -  乙でしたー 
 >>744 
 >>それにどちらも常人レベルを逸脱しているのではある。 ちょっと言い回しも変えてみるか 
 ○それにどちらも既に常人の域を凌駕しているのだ。   【逸脱】はニュアンスとして好ましくない外れ方って感じなので【凌駕】とかどうでしょう 
 >>と某青年はコメントしている。 などと容疑者は供述しており、我ら独り身友の会によるシケイの執行が待たれる 
 ○と某青年は述べている。    もしくは【との言が某青年から発せられた。】とか……むしろ【とは爆発すべき某将軍ののたまいである】とするべきか(懊悩 
 >>745 
 >>デザインの革新的なその発想で于禁は 上で言ってるように【意匠】で良いと思うけど 
 ○趣向を凝らした革新的な発想で于禁は カタカナ警察としてはこんな感じでどうでしょう 
 >>似非産業革命を目指した彼がもたらしたものはフォード式流れ作業的なものであった。 固有名詞は卑怯だろうorz 
 ○似非産業革命を目指した彼がもたらしたものは標準化、規格化、細分化による、未来における大量生産を可能としたオーパーツ(場違いな工芸品)ならぬ【場違いな工芸】であった。 
 >>そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員のバランス、習熟度。 多分概要を聞いた方は「言いたいことは分かるが言ってることが分からない」な顔になっただろうな 
 ○そこいらへんについては帳簿と戦いながら人員の質、量の平均化。  多分突出した個性はいらんと言いつつ上手くできた人を褒めちぎって全体を高レベルにまとめたりしたんだろうな…パねえわ 
 >>軍規模のレシピは典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝のレシピを会得しているというのも大きい。 もう【料理法】とか【製法】でいいじゃん…良いじゃん 
 ○軍規模の料理は典韋の独壇場である。彼女はその腕前もさることながら、紀家軍秘伝の調理法を会得しているというのも大きい。  【レシピは典韋の独壇場】だと料理法を独占して隠してるような感じだけど彼らなら広めて研鑽しそうな気もする…そこんところどうなんでしょう? 
 >>746 
 >>だっていつもの凪ちゃんならば自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ? 別時空の鬼軍曹が憑依った? 
 ○だっていつもの凪ちゃんなら自分を研鑽する方に思考が向くはずでしょ?  もしくは【凪ちゃんだったら】とか?喋り言葉としてはちょっと変かと思うけどわざとかしら? 
 >>なお、ツインシュートは完封されていたが、トリプラーについては テニヌなら一人でも三人でコンビネーションできるからヘーキヘーキ 
 ○なお、二段構えは完封されていたが、三位一体については     双璧とか阿吽というほどじゃなさそうだから言い換えが難しい…とりあえず【隙を生じぬ(隙が無いとは言っていない)二段構え】は破られるもの 
  
 >>赤くないし、辛くないもの。 赤い、けど辛くないとか言う情念を隠し味にした愛情料理という電波を受信した 
 青ペンさんはやっぱりセンスあるなあ>>恋話…セやろか?むしろ猥だn(黒ずんでいて読めない 
 メタ視点で言えばエロゲ世界な事もあって必ずしも1対1であるべし、とはなっていない(もともと一夫一婦制が浸透する前は云々、戦争で男の死傷率がかんぬん)から男に受け入れられるだけの懐(いろいろな意味で)があれば産めよ増やせよ地に満ちよでいけいけGOGOなんだなあ 
 特に恋姫世界だと彼女たちのような選ばれし存在が種を残そうと思える男って多くないだろうし  
	- 751 :青ペン [sage]:2021/05/12(水) 23:33:51.22 ID:0w/0mtw/o
 -  >>750 
 【あなたが思うより健全です】とでも返しておけばいいかな? 
 一応ココR板じゃないし、ね。  
	- 752 :赤ペン [sage saga]:2021/05/13(木) 13:25:25.49 ID:r4aEHrNI0
 -  私は間違い探しのようなものだから知識があればやろうと思えばできることだけど 
 青ペンさんの軽妙でしゃれっ気のある題名のセンスは本当に脱帽ものだね 
 ところでフォード式流れ作業の大量制作で思ったんだけど阿蘇阿蘇の本ってもしかして活版印刷してたりする? 
 まあだとしても前にぶらり諸国漫遊してた時に袁紹様の絵姿を本に乗せるのってどうやったのかを考えると…版画でも使ったのかな  
	- 753 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/13(木) 19:01:02.10 ID:sJwL2LYb0
 -  >>752 
 原作恋姫でのアソアソが謎なので謎です 
 量産して流通されるなら版画させたいとこですけどねー 
 ひょっとしたらタブレットかもしれない  
	- 754 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/14(金) 22:05:50.73 ID:BERfwGvm0
 -  終わりの始まりを始めないといけないんだけど 
 覚悟が決まらないというか、どんだけのクオリティを出せるかにびびっている 
 その当時のベストと勝負して勝つしないんだけど、気合いの噴射が足りない 
 絶対今の方がこなれた文章は書けるがあの当時の疾走感を抱きしめて 
  
 明日はやります  
	- 755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/14(金) 23:50:25.01 ID:mvLpPVdNo
 -  頑張ってくだしあ〜 
 楽しみにしております  
	- 756 :赤ペン [sage saga]:2021/05/15(土) 14:34:21.06 ID:cH10FTcf0
 -  明日流行ります?(難聴 
 
	- 757 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/15(土) 15:14:39.22 ID:JSqAUlv+0
 -  何が流行るんだろうw 
 
	- 758 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/15(土) 22:16:46.98 ID:JSqAUlv+0
 -  「ふむ。 
 本日はここまでとする」 
  
 うず高く積みあがった書類の山。その中央で韓浩は、ぱん、と手を叩いて解散を告げる。 
  
 「しかし、今日持ち込まれた案件すら処理できておりません!」 
  
 文官たちの悲痛な声が上がるが、ぴくりとも表情筋に仕事をさせずに韓浩は応える。 
  
 「ここで夜通し作業しても貴方たちが疲弊するだけ。 
 どうせ明日もまた案件の山ができあがる。故に休むのも仕事の内」 
  
 さっさと帰れとばかりに手を振る韓浩に文官たちは不承不承に席を立つ。納得したとは思えない顔ばかりだ。それでいい。 
 明日以降はより一層の精勤が期待できると韓浩は軽く頷く。 
  
 「ふう」 
  
 すっかり冷めてしまった茶をぐびりとすする。来客用の高級な茶葉ではない。 
 かつて紀家軍にいたころに散々味わっていた安物である。その安っぽい味と香りにどこか安らぎを覚えつつ韓浩は脱力(リラックス)していく。 
 このように幽州の諸業務が滞っているのは別に韓浩が無能だからではない。無論配下の文官たちがサボタージュをしているわけでもないし未熟なわけでもない。なんとなれば袁家が州牧だったころからその面子はほぼ変わっていないのだからして。 
 ならば何故にこのように未決済の案件が増えたか。それは単に業務が増加したのだ。 
  
 「飽和攻撃。悪くない手」 
  
 ずび、と音を立てて再び茶を啜る。 
 そう、これはまぎれもない攻撃であると韓浩は理解している。あらゆる部門から上げられる報告書、稟議書、告発、意見書。かつてないほどに活発に幽州の行政組織は仕事を果たしていると言っていいだろう。 
  
 「しかし、厄介極まる」 
  
 ふう、と息を吐き、大きく伸びをする。文官の誰よりも書類の決裁をしていたのは間違いなく彼女である。韓浩の処理能力は沮授や張紘をすら凌いでいるかもしれないほどのものだ。 
 それでも積み重なった書類がなかなか減らないのには理由がある。いや、理由と言ってもたいしたものではない。印だけ捺(お)して済まない案件が多いこと、そして微妙に書類に不備があることが理由だ。 
 故に韓浩をはじめとする文官団の処理能力は飽和してしまっている。恐らく処理済みの書類にも不備がいくらもあるに違いない。 
 そしてそれにつけこんで地歩を増しているのが劉備一派である。少なからず予算、人事に侵食している形跡がある。 
  
 「流石は伏竜に鳳雛といったところか」 
  
 水鏡女学院きっての俊英。一人でも得れば天下に届くというのは伊達ではない。 
 その俊才二人が仕掛けてきた簡にして単なる攻撃。恐るべしと言っていいだろう。軍権こそ厳密に精査して侵食を許していないが、近頃は露骨に食指を動かしているようである。 
 まあ、この守勢もあとひと月もすれば収まるであろう。この窮状――と言っていいかはわからないが――について韓浩は隠し立てなく主たる公孫賛に報告している。併せて伝手を使って人材を某所より借り受けることについてまで認可を得ている。 
 そして某所の長たる青年からは魯粛、虞翻、于禁、秦松という人材の派遣があることが通達されている。 
 無論、旧主家たる袁家。その筋から人材を借りるというのはいかにも体面がよろしくない。まるで公孫賛は幽州を支えることができないということの証左のようで。 
 だが、公孫賛は極めて実務家であり、韓浩に対しての信頼も厚い。 
  
 「韓浩がそう言うならそうなんだろう。任せた」 
  
 絶大な信頼。その価値を韓浩は理解している。だからこそ最善手を選ぶ。自分の立場などはこの際どうでもいいのだ。 
 そして内心感謝する。紀霊の選んだ人材はいずれも珠玉。魯粛、虞翻がいれば公務は問題ない。于禁がいれば軍制も捗り、秦松は民政に長じている。韓浩の懸念がそれだけで晴れるというものだ。 
 実際、破格の援助と言っていいだろう。それだけ幽州の価値が大きいということ。そして公孫賛を大事に思っているということなのだろう。 
 だから、それまで潰れるわけにはいかない。そうして韓浩は決意も新たにする。紀家軍にて、今は亡き梁剛、雷薄に叩きこまれたその精神。諦めないこと、足掻くこと、泥臭くあること。 
  
 「無事是名馬とはよく言ったもの」 
  
 それを体現しているのが紀霊である。彼にかかる負荷は実際尋常ではない。それを上手く散らしているのは見事、と言ってもいい。 
 まあ、とは言え、である。通常業務を四方八方に丸投げする彼のやり方に対して思う所がないわけではないのだけれども、それを言うのは野暮というものであろう。 
  
 「ええやん、二郎に書類整理とか向いてへんしな。つうか、うちもアンタにまかせっきりやったし」 
  
 くつくつ、と笑いを含んだ声が聞こえた、気がする。懐かしい声。 
 脳内再生余裕という奴である。むしろ疲れからくる幻聴だろうか。それはそれで口元が緩みそうになる。まあ、実際かつての紀家軍の軍務は韓浩が一手に引き受けていたのだからして。 
 綻びそうになる頬を誤魔化すように茶を飲み干す。そう言えば雷薄は上品な喫茶では足りないとばかりに白湯(さゆ)をどんぶりに注いで飲み干していたものだ。まあ、その中身が度々酒精になっていたのはご愛敬というものである。 
 いけないな、とばかりに頭を軽く振り、韓浩は緩んでいた表情を引き締める。今の彼女は幽州の州牧代理。その信頼に応えねばならないのだ。 
  
 決意を新たにする韓浩に来客が告げられる。微かに眉をひそめながらも韓浩はそれに相対する。即ち、劉備一派に。  
	- 759 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/15(土) 22:17:13.82 ID:JSqAUlv+0
 -  ◆◆◆ 
  
 「では、韓浩殿が桃香様のご意見を握りつぶしていたという解釈でよろしいですか」 
  
 諸葛亮の、挑発めいたその言葉にあえて頷く。 
  
 「そう。重要案件については公孫賛殿に許可を得る必要がある。そして公孫賛殿に報告するまでもない些末な案件は私が判断している」 
  
 それがなにか?と問う韓浩。 
  
 「そっかー。じゃあ白蓮ちゃんは知らなかっただけなんだね。よかった!」 
  
 「よかったならば重畳。ではこれで失礼する」 
  
 軽く頷き席を立とうとする韓浩に制止の声がかけられる。 
  
 「ちょっと、ちょっと待ってよ。 
 そうじゃないの!白蓮ちゃんにきちんと伝えてほしいんだけども」 
  
 「その必要があると私が認識すればそうする」 
  
 ぴしゃり、と。 
 流石の劉備が口ごもる。それを見て諸葛亮は口を開く。 
  
 「これはしたり、です。韓浩さんにどれほど権限があるか知りませんが、最近の政務の滞りを見るにつけ、その。公孫賛さんの信頼に応えられているかは一考の余地があると思うのですが」 
  
 くす、と内心で韓浩は笑う。そのような嫌味、皮肉、あてこすりは懐かしさを越えていっそ新鮮ですらある。 
  
 「ふむ。 
 私は幽州の州牧代理として公孫賛殿から全権委任を受けている。これは警告である。それ以上幽州の政治について語るのであれば、当方にそれ相応の準備がある」 
  
 「そんな建前ばかり言って、もう!」 
  
 「韓浩さんが手元で色々と握りつぶしているというのは分かっています。独断、過ぎませんか?」 
  
 激昂する劉備を諸葛亮が宥めつつも切り込む。 
 そして韓浩は顔色一つ変えない。 
  
 「言った通り、私の判断は公孫賛殿の判断と知れ。そしてこれ以上は時間の無駄」 
  
 「おや、これは専横にもほどがありますね」 
  
 くすくす、と笑う諸葛亮。その自信はどこから来るのだろうかと韓浩は内心首をかしげる。 
  
 「お伝えしたいことは北方の守り。それを担うのは貴女には荷が重い。そして桃香様は既に成果を上げられました。 
 ああ、白蓮さんのお手柄にしてもいいのですよ? 
  つまりです。 
  北方の脅威たる匈奴。桃香様は七度その長を捕えて七度解き放ちました。 
  匈奴の恭順。対話による融和。貴女ごときが何を断じることができましょうか」  
	- 760 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/15(土) 22:17:41.36 ID:JSqAUlv+0
 -  ふむ、と韓浩は暫し考え込む。……このような見え透いた挑発に乗る韓浩ではない。気になるのはその目的は何か、だ。一体何から目を逸らさせたいのか。 
 全盛期から程遠いとは言え匈奴の戦力は侮りがたい。 
 いや、それ以前に、だ。匈奴を討つに足る兵を与えたことはなかった。だというのに。七度に渡り討ち破るなぞ、白馬義従を公孫賛が率いても至難の業であろう。 
 更に腹立たしいのは、だ。今はまだそのような余裕がないのだが、対匈奴の戦略もぶちこわしにされたということである。基本、いくつもある部族。そこで対立する部族に援助を与えて相争わせるという絵図が崩れてしまったことになる。援助が漢朝から行ったと分からないように、母流龍九商会から黒山賊を経由するという手間暇かけた計画がぶちこわしである。 
 とは言え、まずは目の前の雑務に集中せねばなるまい。 
  
 「匈奴の長。それを討つほどの戦力を預けた記憶はない」 
  
 韓浩の言に諸葛亮はくすり、と笑う。 
  
 その笑みに韓浩は特に感慨もなく思考を巡らす。 
 軍権を自分の知らぬところで行使した?それはない。派兵には糧食、資金、武具が必要。その物資の動きは確認していない。圧倒的な書類の奔流においてもそれだけは見逃さない。他の政務が滞ってもそこだけは逃さない。 
 民間の協力者?母流龍九商会や黒山賊が見逃すわけがない。 
  
 「匈奴。埒外の蛮族と言えど、桃香様の大徳に触れ、感じるところがあったようです」 
  
 「成程」 
  
 つるんだか。そう韓浩は結論づける。七擒七放、なんとも華々しく盛ったことだ。おそらくは匈奴の有力部族に乗り込み口説き落としたのであろう。わざわざ討ち破った後に下したというのは、民に納得感を与えるためであろうか。 
 そして、だ。匈奴を従えた声望も厄介だがそれよりも厄介なのは、匈奴の騎馬軍が劉備の影響下におかれたということである。 
  
 「最早看過できない」 
  
 韓浩は結論づける。ここでけじめをつけねばなるまい、と。そしてここまでの暴走を許したのは自分の失策でもある。とは言え。 
 ちら、と周りを窺い、内心ため息を。 
 恐らくここで劉備を捕縛、処断するにしろ配下が従わない可能性は大いにある。そうなれば主の権威までが貶められてしまうであろう。 
  
 「韓浩さんはちょっと頭が固いかな、って思う。白蓮ちゃんと一度お話させてよ。そしたらきっと分かってくれるから。 
  お話したら、きっと分かってくれるもん。だって私と白蓮ちゃんは親友なんだもん」 
  
 その言に韓浩は戦慄する。いや、恐怖を感じたと言ってもいいかもしれない。劉備は本気でそう言っているのだ。そしてそうなると思っているのだ。 
 いや、なるほど。あの青年が言い含めてきた懸念はこうか。このことか。 
 精神を落ち着かせるのに数秒、意識を切り替えるのに数瞬。そして刹那にて覚悟を決める。 
  
 「親友と言うが、非常に疑問を抱く。親友とは互恵関係にあるもの」 
  
 脳裏に描くのは共に笑い、泣き、互いに尊敬しあい、助け合っていた梨園の兄弟たち。彼等の在り様こそが正しく親友というものではないかと韓浩は思うのだ。 
  
 「貴女は一方的に主に頼り、奪うだけ。人、それを寄生虫と言う」 
  
 ちら、と後ろに付き従う関羽に視線をやる。気まずげに眼を逸らすその様子。なるほど、と。確か彼女は劉備に盲目的な忠誠を誓っていたはず。そこに楔を打ち込んだのはきっと彼だろう。 
 なれば、やることは決まった。 
  
 「違うよ!私だって白蓮ちゃんにいっぱい恩返ししてるもん!私はそんなに優秀じゃないけど、朱里ちゃんや雛里ちゃんはとってもすごいし、鈴々ちゃんや愛紗ちゃんだってすごいんだから!」 
  
 この人は本気でそう思っているのだろうな、と韓浩は思う。 
  
 「貴女は主の部下。忠誠を尽くすのは当然。勘違いも甚だしい」 
  
 きっと自分の言葉は彼女に届かない。そして、彼女の大徳とやらは凄まじく場を支配している。兵に捕縛を命じても動かない公算は高い。いや、この場に伏流鳳雛がいるということはもはや流れは決まっているのだろう。 
 だが、そうはさせない。させてなるものか。 
  
 「劉備、貴女は生まれてくるべきではなかった。貴女は争いと災厄を撒き散らす。 
  そのような貴方を親友と錯覚しているのが主の不幸。その幻想、この手で打ち砕かせてもらう」 
  
 ちゃきり、と音を立てて韓浩は腰にあった剣を抜き放つ。この場で佩刀しているのは韓浩のみで。 
  
 「貴様っ!やらせはしない!」 
  
 徒手空拳であろうとも関羽の武威に疑いの余地はない。韓浩が武装していても届くわけもない。それは確定的に明らかなこと。 
 劉備の前に立ちはだかる関羽に一瞥。そして韓浩の口元は僅かに緩んでいた。  
	- 761 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/15(土) 22:18:27.89 ID:JSqAUlv+0
 -  ◆◆◆ 
  
 悪くない人生だった、と韓浩は思う。 
  
 ――韓浩の一番古い記憶は激痛を伴うものである。 
 炎で照らされ、男にのしかられ、腰を振られる。そんなものが一番古い記憶である。 
 激痛に助けを求めようと横を見れば、母親がありえない角度の首で。そして同じく男がその身体の上で腰を振っている。それが匈奴なのか、只の野盗だったのか、今となっては昔のことである。 
  
 そして当時では実にありふれた光景である。 
  
 自分は幸運であったと韓浩は思う。 
 男は殺され、女子供は犯され、攫われ、売られるのが世の定め。そこを救われたのだ。 
 そして、重ねて自分は幸運であったと韓浩は思う。 
  
 身よりのない女子など、身体を売るくらいしか生計を建てる手段はなかったであろう。 
 計数処理が得意であったことが活きて、紀家軍にもぐりこむことができたのだ。多くの出会いがあり、別れがあった。 
 そしてまた、繰り返すのだ。さよならだけが人生さ、とはこのことか。なるほど、たった今。腑に落ちた。 
  
 「ここまでの専横を許したのはわが身の不徳、無能故。だが、毒婦を親友と誤認する主の認識については諌めるものである。我が身と血をもって――」 
  
 どすり、と鈍い音。吹き出る血潮。喉にその剣を貫いて、更に首を切り裂く。 
 ごぼ、と口から血を吐きながら更に言の葉を紡ごうとする。 
  
 「む……、い……!」 
  
 場を沈黙が支配し。 
 そして韓浩の死に顔は満足そうな笑みを浮かべていた。  
	- 762 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/15(土) 22:21:53.05 ID:JSqAUlv+0
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 題名は「諫死」なんだろうけど、題名でネタバレしたくないでござるよ 
 何かいいやつくだしあー 
  
 ちなみに紀家軍幹部はどうあがいてもほぼ死ぬイベントてんこ盛りだったの陳蘭ちゃんが生きてるのが奇跡。 
 当初案ではオリキャラは全員死ぬはずだったすね  
	- 763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/16(日) 09:33:00.83 ID:jc1X/t0ao
 -  乙したー 
 やっぱり退場だあああああああああ 
  
 でも、何より二郎と地味様動かすにはコレが効果テキメンなのよねぇ 
  
 話が通じないなら戦争しか無いのだ  
	- 764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/05/16(日) 16:20:40.42 ID:LMZMxIiXO
 -  このシーン来たかぁぁ…韓浩ぉ… 
 それが最善手なのは分かるけど死んでほしくなかったよ… 
  
  
 題案はやっぱりネタバレ気味だけど 
 「主よ、吾が血潮で紅蓮に染まり給え」 
 とか 
  
 主が白蓮なので、我が血を持って赤く染まりて二度と桃色には染まらぬように、みたいな感じで 
 血潮にすれば流血より熱血感がでるかなぁ、という希望的観測 
   
	- 765 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/16(日) 17:51:14.80 ID:Q8ay1APT0
 -  >>763 
 どもです! 
  
 >やっぱり退場だあああああああああ 
 >でも、何より二郎と地味様動かすにはコレが効果テキメンなのよねぇ 
 むしろ地味様はこれがないとカリスマピーチビームに丸め込まれるまであるのですよね 
 そこを理解しているからこその韓浩の選択です。 
 一応というか、幾度も面接したんですがこれ以外の選択肢はないそうです 
  
 >>764 
 どもです! 
  
 >このシーン来たかぁぁ…韓浩ぉ… 
 旧作からのおつきあいですねありがとうございます。 
 割とお話の組み替えとか試みたんですが韓浩は納得してくれませんでした 
  
 >それが最善手なのは分かるけど死んでほしくなかったよ… 
 地味様との絡みは無限に書けるやつなので、本当に惜しい子を亡くしたな、と。 
 でも本人は納得というか満足して逝ってしまいました。 
  
 >「主よ、吾が血潮で紅蓮に染まり給え」 
 >主が白蓮なので、我が血を持って赤く染まりて二度と桃色には染まらぬように、みたいな感じで 
 >血潮にすれば流血より熱血感がでるかなぁ、という希望的観測 
 これは熱い。 
 地味様が白くてカリスマピーチビームさんが桃色ならば赤いというのは意味合いが出てきそうです。 
 これをベースに考えるかな・・・ 
 この視点はありがたいやつですありがとうございますー!  
	- 766 :青ペン [sage]:2021/05/17(月) 08:40:11.09 ID:Dxy/V3eVo
 -  そうねぇ…。 
 大義亡き動きは幽州の水面に石を投げた 
 とでもしましょか。 
  
 血まみれの話はタイトルとしては隠したいけど 
 けど劉備陣営が動いたことは何らかの形で表現したいし 
 って感じで  
	- 767 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/17(月) 21:01:52.98 ID:oIp2Be710
 -  >>766 
 どもです! 
  
 >大義亡き動きは幽州の水面に石を投げた 
 ほむん 
 相変わらずのクオリティで妬ましいやで 
 青ペン先生の脳みそ食べたら語彙が増えるのだろうか 
  
 >血まみれの話はタイトルとしては隠したいけど 
 いっそ紅蓮の炎的な感じにしてやった方が逆にええかもしらんですね 
  
 白と桃色と紅で分かる人には分かるやつ 
 まあ、韓浩の真名なんてないんですけどね!!!  
	- 768 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/17(月) 22:33:11.75 ID:oIp2Be710
 -  その報せはある晴れた日の昼下がりに届いた。 
  
 「母流龍九商会の使い……?なんだろう」 
  
 「知らんがな」 
  
 どう思う?って言われても俺にも見当がつくはずもない。 
 それに本来母流龍九商会からの使いがこの場に来ることが出来るはずもないのだ。なんとなれば、だ。太尉たる白蓮と司徒たる俺。三公の二人が歓談している最中に注進あるなぞ。 
 つまり、非常の時ということなのだろう。 
  
 「いや、すいやせんね。雲の上のお人のご歓談の邪魔をするつもりはなかったんですがねぇ」 
  
 にひ、と笑いながら通されたのは小汚い、隻腕の男。 
 いや、こいつは見覚えがある。入隊間もない紀家軍で俺と陳蘭の世話を焼いてくれた……。 
  
 「この書状を、ね。昔馴染みに届けてほしいって言われたんでさ。そいじゃ、そういうことで」 
  
 淀みない動きでその場を去る。何か言おうと思ったんだけど、何も思いつかなかった。 
 まあ、それはともかくだ。 
  
 「んで、どったの?」 
  
 軽く白蓮に尋ねた。が、だ。その顔を青褪めさせて。 
  
 「おい!」 
  
 ただ事ではないと声を荒げると無言で書を寄越してくれる。 
 ん、これは――。 
  
 「この書面を見ているということは私の命はないものと思っていただきたい」 
  
 そんな物騒な言葉で始まるそれ。それは正に韓浩の遺言と言っていい物であった。 
 まとめると二点。この書面が目に入る時は自分は生きてはいないだろうと言うこと。そして、それは劉備の暴走を留められなかった時であろうということ。看過できぬそれを止められなかったことを淡々と詫びるその文面は。 
 いかにもあの鉄面皮で真面目で冗談が通じなくて俺より古参で軍務に精通していて姐さんのお気に入りで雷薄とも仲が良くて古馴染みの幹部の生き残りで魯粛と並んで洗濯板で。 
  
 「おい、おい。これはないだろう。冗談にしてもタチが悪いぜ……」 
  
 思わずそんなことを言ってしまう。 
  
 「そ、そうだよな?悪い冗談だよな?なあ、二郎、そうだよな。 
  韓浩にしてはがんばったんじゃあないか?これは盛大に笑ってやらんといかんと思う、よ?」 
  
 ぬるく、笑い合おうとしていた俺たちに急報が。 
  
 曰く。 
  
 韓浩、乱心、自害。穴を埋めるべく劉備が州牧代になる旨承認の書面。 
  
 「嘘、だろ……?」 
  
 茫然自失と言っていい。それも致し方ないと思う。俺だって詠ちゃんの死には平静でいられなかったもの。未だにたちなおってはいないもの。 
 だから、目を真っ赤に泣き腫らして俺の前で頭を下げる白蓮は凄いと思う。 
  
 「二郎、済まない!ほんとうに、すまない!二郎の信頼を無にしてしまった。 
  でも、だ。未だに桃香が、って思う。何かの間違いじゃないかって思う。 
  だから、だと思う。韓浩が自害したのはそんな私に喝を入れるためなんだろうって」 
  
 「だって、あいつが、韓浩が自害なんてするはずないだろう!それくらい私にだって分かる! 
  ――だから、けじめは私がつける。つけさせてくれ」 
  
 「だが断る」 
  
 そう。あの劉備陣営相手なんだ。白蓮には悪いが全力でいく。全俺でいく。 
  
 「俺が出る。彼奴らの描く理想。その幻想を……まずはぶち殺す」 
  
 俺なりの宣戦布告である。  
	- 769 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/17(月) 22:34:44.09 ID:oIp2Be710
 -  本日ここまですー感想とかくだしあー 
  
 前話については「紅蓮の炎」 
 こっちは「炎(ほむら)たつ」 
  
 それでいこうとなったのです。 
  
  
 ここまでまとめて、いよいよ最終章かなー  
	- 770 :青ペン [sage]:2021/05/18(火) 05:02:12.16 ID:ENdGaA2Ko
 -  >>769 
 一応前の案を承けて 
 【投げ込まれし石は逆鱗を貫く】 
 と絡めてみようなか  
	- 771 :青ペン [sage]:2021/05/18(火) 05:10:03.99 ID:ENdGaA2Ko
 -  >>770 
 韓浩ちゃんはいうなれば 
 【袁と公孫をつなぐ橋】。 
 だったのにそれを叩き落として 
 自分達で橋かけたから使ってね 
 ってそりゃじろーさんもキレるよ。 
 しかもあの子が生前唯一押し通した我が儘が 
 公孫の元にとどまる 
 だったはずだから… 
 じろーさんが怒髪衝天するのは宜なるかな。 
  
   
	- 772 :赤ペン [sage saga]:2021/05/18(火) 17:34:01.97 ID:koZvZ1aN0
 -  乙でしたー 
 >>758 
 >>無論配下の文官たちがサボタージュをしているわけでもないし未熟なわけでもない。 ある意味公孫瓚の配下がサボタージュ(と言うのも烏滸がましい行い)をした結果ではあるが 
 ○無論配下の文官たちが怠けているわけでもないし未熟なわけでもない。       それともあいついまだに「私たち友達(対等)だよね」とか言ってるのかな 
 >>759 
 >>流石の劉備が口ごもる。 いっそ縫い付ければ平和にならねえかなあ 
 ○流石の劉備も口ごもる。 というか糞みたいな案件とか微に入り細を穿つ小事を大量に持ち込んだんだろうけどよくもまあかき集めたもんだわ 
 >>760 
 >>あの青年が言い含めてきた懸念はこうか。このことか。 間違いと言うほどではないですが 
 ○あの青年が言い含めてきた懸念はこれか。このことか。 の方が良いと思います 
 >>韓浩が武装していても届くわけもない。それは確定的に明らかなこと。                     シリアスシーンにネタを持ってくるのはやめよう(迫真 
 ○韓浩が武装していても届くわけもない。それは論ずるまでも無く、見るまでも無く明らかなことで。だからこそ―― ちょっと盛ってみる、ネタで言うなら「コーラを飲んだらげっぷが出るような」とか「風の強い日に〜」とかも鉄板かね 
 >>761 
 >>炎で照らされ、男にのしかられ、腰を振られる。  のしをかられ? 
 ○炎で照らされ、男にのしかかられ、腰を振られる。 【圧し掛かる(のしかかる)】の変化形なのでこうですね 
 >>身体を売るくらいしか生計を建てる手段はなかったであろう。 建設はちょっと違うので 
 ○身体を売るくらいしか生計を立てる手段はなかったであろう。 多分《計画立案》で覚えると覚えやすいかも 
 >>紀家軍にもぐりこむことができたのだ。 間違いじゃないですけど、彼女の自己評価を考えるとむしろあってる気もしますけど 
 ○紀家軍に身を置くことができたのだ。  【もぐりこむ】だとスパイっぽい気がして 
  
 実はもっと前から読んではいたのよ…胸が詰まって指の動きが荒れだったのをようやくちょっと回復して 
 いつだったか「私は幸せというものはよく分からないが不幸というものは知ってる」と言った彼女だけど公孫瓚との間にあったものは間違いなく幸せだったのだろうなと思うよ 
 それはそれとして6回も侵略されてたのを握りつぶしてた劉備陣営ぱねえっすね笑えない。お前ら本当にそんなに撃退してたんなら報告上げろや  
	- 773 :赤ペン [sage]:2021/05/18(火) 19:05:19.67 ID:koZvZ1aN0
 -  さてと 
 >>769 
 >>それは正に韓浩の遺言と言っていい物であった。 間違いではないですが書状なので 
 〇それは正に韓浩の遺書と言っていい物であった。 でどうでしょう 
 >>「だが断る」 この後でイマジンブレイカーしてるし、こういう時は彼はいろんなものに肖って自分を奮い立たせようとしてるんだろうなって 
 〇「これは白蓮の部下の劉備の暴走で、それを止められなかった韓浩ももううちの部下じゃない…俺が手を出すのも口を出すのも専横というもので、そんなことはするべきじゃあない……だが断る」 元ネタでは相手の言うことに賛成しそうなふりをした後で【だが断る】なのでどれだけこの【だが断る】が自分勝手な我儘によるものなのかを逆説する感じが欲しいかなって 
  
 それにしても普通に考えれば鳴り物入り(笑)で引き抜きかけられた新人(笑)がNo2になれるわけないのに疑ってないあたりみんなCPBに脳が焼かれたんだなって 
 もし韓浩がガチの不慮の事故とか急病で逝去したとしても次の州牧代は公孫瓚の縁者かNo3やってた誰かがなるのが筋だろうがよ  
	- 774 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/18(火) 21:20:26.22 ID:voSExrfx0
 -  >>771 
 どもです! 
  
 >しかもあの子が生前唯一押し通した我が儘が 
 >公孫の元にとどまる 
 >だったはずだから… 
 やっべこれは泣けるやつ。 
 やってることと言ってることはオーベルシュタインと近いのだが、 
 愛されガールになったのはなんでなんだぜ 
 あ、最初の上司がよかったからかな 
  
 >>772 
 赤ペン先生いつもありがとうございますー! 
  
 >というか糞みたいな案件とか微に入り細を穿つ小事を大量に持ち込んだんだろうけどよくもまあかき集めたもんだわ 
 今の日本の野党がよくやってるやつ! 
  
 >実はもっと前から読んではいたのよ…胸が詰まって指の動きが荒れだったのをようやくちょっと回復して 
 罪な女よな、韓浩(違う) 
 実際、幽州ジミーズに移籍して完結でもよかったんですが、回収していない案件もありましてね 
 そうなるとこうなる、のです 
  
 >いつだったか「私は幸せというものはよく分からないが不幸というものは知ってる」と言った彼女だけど白蓮との間にあったものは間違いなく幸せだったのだろうなと思うよ 
 じゃりン子チエ理論ですが、間違いなく幸せでした 
 あの、無感動無表情な韓浩が、悪くないまで言っているんですから 
  
 >それにしても普通に考えれば鳴り物入り(笑)で引き抜きかけられた新人(笑)がNo2になれるわけないのに疑ってないあたりみんなCPBに脳が焼かれたんだなって 
 CPBはほんと怖い 
 ダイスロール無効化とかしてくるもん 
 そんなんできひんやんふつう・・・  
	- 775 :青ペン [sage]:2021/05/18(火) 23:16:22.99 ID:ENdGaA2Ko
 -  追記的なさむしんぐ 
  
 これ目の当たりにしてる(なおかつこれまでにじろーさんと顔を合わせて色々と話も聞いてる)関羽さんはどう反応するのだろうね…。 
  
 自分が持っている忠義と 
 彼女が持っていた忠義 
 どう比べるのだろう。 
  
 主の言う【みんなが笑顔の世界】をとるのか 
 はたまた…。 
  
 正直地味鉄コンビめっちゃ好きだっただけに辛い…。  
	- 776 :青ペン [sage]:2021/05/19(水) 13:01:06.46 ID:3rlj2NQGo
 -  >>773 
  
 個人的には 
 「これは白蓮の部下の劉備の暴走で、それを止められなかった韓浩ももううちの部下じゃない…俺が手を出すのも口を出すのも専横というもので、そんなことはするべきじゃあない……だが断る」 
 のあとに 
 『誰に喧嘩を売ったのか、誰を怒らせたのか、その身をもって知らせてやるさ、ああ、思い知らせてやるとも』 
 とか追加したいよね。 
 たぷんじろーさんならそのくらいいい放つ。 
 むしろ言わないと韓浩ちゃんが報われないまである。  
	- 777 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/19(水) 21:18:27.86 ID:RPEJ8Dgl0
 -  >>775 
 >>776 
  
 >正直地味鉄コンビめっちゃ好きだっただけに辛い…。 
 書いてて楽しいコンビでした。 
 旧作でも当時絶叫が多数寄せられていました 
 愉悦、とかはなくって、ほんとにこういうシーンは書いててしんどいんですよね 
  
 >たぷんじろーさんならそのくらいいい放つ。 
 >むしろ言わないと韓浩ちゃんが報われないまである。 
 加筆するかもです。 
 ちょっと薄味過ぎたかもしれません。 
 難しいんですよね、ここらへんのさじ加減。  
	- 778 :青ペン [sage]:2021/05/20(木) 00:42:00.45 ID:ivCiXlJ6o
 -  >>777 
 まあね、難しいよね。 
 でもさ。 
 雷薄の兄貴の時もそうだったと思うけど 
 やっぱりじろーさんには 
 【身内は全力で守る、身内に仇為したものは完膚なきまでに叩き潰す】 
 スタイルを堅持してほしいと思っちゃうんだなぁ。 
 怨将軍の名に懸けて、ね。  
	- 779 :赤ペン [sage saga]:2021/05/20(木) 09:13:21.90 ID:M7QwyJJI0
 -  二郎君は賢くあってほしいけどあまり賢しさは求めてないのよね、個人的に 
 そのあたりは義兄弟に頼って本当にダメな時はあの二人がブレーキしてほしい 
 まあ二郎君も飛燕との面接のときみたいに個人の感情にはなかなか流されないけど…お前もっと個人的好き嫌いで物事決めろよ、駄目なら駄目って止めてくれる奴がいるんだから(隙あらば月詠関連でディスるスタイル  
	- 780 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/22(土) 16:40:00.24 ID:gz4OSgBn0
 -  >>778 
 難しいとこです。 
 ほんと、。 
 まあ、やられっぱなしはよくないですよね 
  
 >>779 
 >二郎君は賢くあってほしいけどあまり賢しさは求めてないのよね、個人的に 
 >そのあたりは義兄弟に頼って本当にダメな時はあの二人がブレーキしてほしい 
 実際、ブレーキ踏むのは彼らくらいでしょうしね 
 ブレーキ握ってても他の子達はブレーキしないっぽいなあ・・・ 
 アクセル踏みそうな人の方が多い気がするw 
  
 >お前もっと個人的好き嫌いで物事決めろよ、駄目なら駄目って止めてくれる奴がいるんだから(隙あらば月詠関連でディスるスタイル 
 これには一ノ瀬も苦笑いw 
 いあ、実際その通りですよねw 
 世間体ばっかり気にするな!みたいな 
 難しいとこですよね。二郎ちゃんは自分を信用してないからなあ 
 自分ほど信用できんものがあるかー!って 
  
 あっちやりつつこっちぼちぼちでいこうかと思ってます  
	- 781 :赤ペン [sage]:2021/05/23(日) 12:54:59.50 ID:DzUDsf0o0
 -  誰が貴様を信用しろと言ったぁ―――!貴様の義兄弟を信用しろと言ったのだ!このっダボがあぁ―――!(JOJOの突然切れる悪党風に 
 
	- 782 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/05/23(日) 17:41:28.38 ID:8BxQ16Si0
 -  逆に、身近に義兄弟がいない今だからこそ、かもしれませんね 
 考えたら好き放題やってた頃はめっちゃ近くにいましたものね 
 やらかしそうになったらどっちか止めてくれるだろうというのが無意識にあったのかもしれませんね 
  
 他のキャラでブレーキ踏んでくれそうなの、、、、 
 詠ちゃんくらいしかいねえなあ(目を覆う)  
	- 783 :赤ペン [sage saga]:2021/06/17(木) 09:01:47.25 ID:DZNd2ZaU0
 -  【お茶子】の名前の意味を知ってしまった…これ原作者は知らなかったんだろうけど知ってる人たちからすればアレだったんだろうなあ 
 
	- 784 :赤ペン [sage saga]:2021/06/23(水) 10:49:36.75 ID:7q6TsH8J0
 -  なろうの超強い奴を表すランクでSSとかSSSとか出ることがあるけど 
 あれって一番下をIなりJなりに下げて一番上はA…せめてSランクにするわけにはいかないんだろうか 
 こいつはSランクの枠にも収まらない。的なあれなんだろうけどそんなあってないような枠(SSS)ならいっそ測定不可でXとかの方がむしろ特別感出そうだけど  
	- 785 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/23(水) 19:21:31.41 ID:N3FGFPyf0
 -  >>784 
 ちょっと違いますがオーバーロードでもランクについて、 
 アルファベット表記しかねーのかーと頭を抱えてらっしゃいましたね 
 書籍では変更ありましたが 
  
 SSSとか盛りたい気持ちは分からんこともないっすね 
  
 椅子はまだ届かないです 
 バキッと折れる寸前w 
 代替椅子は板なのでお尻がいたいです  
	- 786 :青ペン [sage]:2021/06/24(木) 01:06:24.46 ID:luhkOwReo
 -  そーいやチャロンではSSの上はEx-sだったなー 
 
	- 787 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/24(木) 21:12:16.97 ID:ASZTUPJ20
 -  あっちのサイトで、 
 「この作品最近更新ないしエタったかもね」 
 みたいなのがむかつくので幽州ジミーズのイチャイチャを書こうと思う。 
 思った。 
  
 ネタは出来たがくっそ忙しいのはどうしてなんだせ。 
 椅子!資金!暇! 
 全部くれ!  
	- 788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/25(金) 19:31:59.97 ID:UL3aGdo3o
 -  実際の制度的に考えると、最初からSSやSSSランクありきで制度を作るわけがないので、最初は例えばF〜Sで作るわけじゃない? 
 んで、その枠組みで収まらない奴が出てきちゃったからSSを新しく制定するわけで。 
 そのときに例えば、Gランクを新たに制定して規格外の奴以外全部1ランク繰り下げね、ってなると、やはり反感買うのではないかなー、と思いますねぇ。 
  
 実質が変わらないとしても、名目として今までDランクだった人がEランクになるというのは、やはり本人としては格下げ感が否めない。 
 既に制度の中に入ってくれているメンバーから反感を買うくらいなら、上を増やしていくという選択になるのでは? 
  
 まあ、作者が本当にそこまでギルドや何かの来歴を考えてやってるかどうかは別だけど  
	- 789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/25(金) 19:41:31.93 ID:I+nXy1SM0
 -  納得ってかトップが更新するたびが他まで巻き込まれてランク変動するのは無駄にお金かかるだけだろうし 
 混乱も起きるだろう 
 Dランクの難易度の依頼だったのがEになるわけだけど 
 更新される前と混同される可能性もあるし 
 そんなことが何度も繰り返されるとどんどんややこしくなるだけだしな 
 どう考えても繰り下げのほうがおかしい  
	- 790 :赤ペン [sage saga]:2021/06/26(土) 10:44:25.11 ID:ocYC8pNE0
 -  いや、そもそもがEから始まるなら最高はAだと思うんだよね 
 例えるならレベル1から10がEでレベル90から100がAみたいな? 
 そんな世界で測定できないレベル120とかをS認定するとして、じゃあどこからSSやらSSSやらに認定するかは知らないけど 
 じゃあ国にとってSランクに認定した人にはできなくてSSランク認定した人にはできる依頼って何よ?とかそんな疑問 
 魔王を倒せるパーティーがAだとしてソロで倒せてS?じゃあSSは何ができる必要があるのかとか 
 どっちにしても幽白みたいにピンキリあるけど全部Sでいいじゃん、という疑問  
	- 791 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/26(土) 18:03:44.05 ID:U6zNxiLt0
 -  やはり富樫は天才 
 はっきりわかりますね! 
 ハンタの続きはよ  
	- 792 :赤ペン [sage]:2021/06/26(土) 20:27:48.74 ID:ocYC8pNE0
 -  なんせ神様(閻魔翌様)の「お前は本来まだ死ぬはずじゃなかったんだ」をやった人だからね  
  あと水見式とか念の6系統とかそういう設定がすごく楽しい  
  そしてあの圧倒的な戸愚呂やアリの王メルエムで危険度はB+だったか…そんじょそこいらのSSSより圧がある気がする  
	- 793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/26(土) 21:29:18.96 ID:uM3zMm0o0
 -  >>790 
 トップ中のトップの依頼なんてそれこそ限られてるんだし 
 重要案件なんだから吟味して依頼出すだけでしょ 
 実際の依頼の大半は低ランクなんだから上を基準にコロコロ変えられるほうが混乱するだけ 
 SSがあってそもそも何は困るのって感じだろうし 
  
 > 魔王を倒せるパーティーがAだとしてソロで倒せてS?じゃあSSは何ができる必要があるのかとか 
 そんなのそれこそその作品によるだけでしょ 
 魔王が最強とも限らないし  
	- 794 :赤ペン [sage]:2021/06/26(土) 22:14:10.50 ID:ocYC8pNE0
 -  いや、別に古龍でも魔王でも冥王でも英雄王でも界王神でも破壊神でもいいんだけど 
 Sランクには任せられないSSランクの重要案件か…世界を滅ぼす大悪魔の討滅とか?いやありえないけど 
 SSがあって困る理由?Sランクよりも頼んだ時に金がかかるんじゃね(適当 
 あと俺の論調だと最強の魔王をソロで倒せるSが最強ってことになってしまうんですがそれは…(そして最強を遥かに超えた超最強のSSランク…コントかな) 
   
	- 795 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/27(日) 05:33:05.68 ID:YOr3+KWA0
 -  凡将伝だと、 
 S:100 
 A:90-99 
 B:75-89 
 C:60-74 
 D:45-59 
 E::30-44 
 F:15-29 
 G:1-14 
  
 かな 
  
 そうなると二郎ちゃんのステータスがやべー感じになるなw 
 絶対凡人ではない 
 数値よりはっきり見えてしまう 
 初期ステータスをもちっと低く設定すべきだったか??? 
 でもダイスロールでキメたしなあ、、、  
	- 796 :赤ペン [sage]:2021/06/27(日) 09:54:16.37 ID:F7gxEpd90
 -  考え方が凡人だからヘーキヘーキ 
 ステータスでは誰かの下位互換だとしても袁紹様は袁紹様だと言うだけで袁紹様だから  
	- 797 :赤ペン [sage]:2021/06/27(日) 14:20:29.67 ID:F7gxEpd90
 -  間違えた 
 ステータスが程々でもその生き方とかそんな感じで英雄と言っていい袁紹がいるようにステータスが高くても二郎ちゃんは凡人な考え方と生き方してるからダイジョブダヨー  
	- 798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/27(日) 14:31:40.47 ID:KaReU0ZI0
 -  冨樫信者がキモいってことがよく分かった 
 
	- 799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 01:04:19.89 ID:ND+ImxZ90
 -  神視点でもなけりゃ魔王が最強かどうかなんて分からないんだし 
 魔王倒した奴にSを与えたとして後からそれ以上に強い奴が出てきたりしてランク変動するのはおかしくないんじゃね 
 幽白みたいなピンキリなのに全部Sランクってほうがランクの意味はなくなってると思うけどな 
 依頼者からしたらピンキリなのに全部Sだと誰に頼めばいいか分からなくなるし 
 Sのピンが存在している時点でSの雑魚じゃ倒せない相手が存在してるんだから指標があまりに大雑把だと困るだろう  
	- 800 :赤ペン [sage saga]:2021/06/28(月) 09:06:22.97 ID:eU7lT9nr0
 -  恋姫と無関係の話題出した俺が言う事じゃないけど 
 なんでそんなにこの話題に食いつく人多いの?そんなにSSランクが欲しいの? 
 あとSのぴんきりはそうねえ…そう言われるとその通りだわ、問題は規格外っぽい存在がそんなごろごろしてたら世界がヤバそうな事だが  
	- 801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/28(月) 09:21:41.91 ID:ND+ImxZ90
 -  欲しいとかじゃなくてあっても特におかしくないってことだよ 
 幽白の場合のランク分けは干渉したりする霊界からの判断だったし 
 霊界の最高戦力はAでまともに戦うとSの雑魚でもどうしようもなくて結界で魔界に隔離してるだけって状態だから 
 S以上ランク分けはしてもあんまり意味はないしオマケにしかならなかったけど 
  
 ランクと言えばなのはAAAとかS+とかSSみたいなタイプだったね  
	- 802 :赤ペン [sage saga]:2021/06/28(月) 12:08:08.70 ID:eU7lT9nr0
 -  ちなみになのはのSSランクって何ができるとなれるの? 
 昔見た一期でAAAランク魔導師同士が戦えば、街が一つ消し飛びかねないとか言ってた気がするけど…やっぱり一つの次元を消し飛ばすとか?  
	- 803 :赤ペン [sage saga]:2021/06/28(月) 12:08:57.51 ID:eU7lT9nr0
 -  あ、できればA 
 
	- 804 :赤ペン [sage saga]:2021/06/28(月) 12:10:42.53 ID:eU7lT9nr0
 -  失敗した 
 できればA以上の認定基準みたいなのを教えてほしいです  
	- 805 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/28(月) 20:47:19.97 ID:Mq4vY1Wg0
 -  さて、ランクですがちょいと考えてみました 
  
 国家が管理→そんなにランク分けにコストかけらんわ 
 S以上はもう同じということで一つ。 
 むしろ数パターンじゃないかな? 
 国家資格って別にランクつけないですよね? 
 三級から一級くらいじゃないですかね。 
 建築士とかそんな感じじゃないですか。 
 後、医師資格だってランク付けないですよね。 
  
 逆にランク付けをするのは営利団体でしょう。 
 むしろランキングで盛り上がるやつ。 
 日本で言ったら相撲、将棋や囲碁が分かりやすいかな。 
 厳密な格付けがタイトルの権威を裏付けるわけですわ。 
  
 まあ、話題に出てたランキングだと多分冒険者のランキングだと思うのですよね。 
 ※それ以外に細かいランキングが想定なのは何か情報くだしあ 
  
 射幸心を煽るには細かいランキングが有効 
 そう考えたら色々と腑に落ちますね 
 ただしそれを観測する客に一定の知性や経済力が求められるのかな? 
  
 考えたことの7割くらいは書けたのでここまで 
 いやあ、楽しい思考実験だったす 
  
 赤ペン先生、どないでしょ。  
	- 806 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/28(月) 20:51:00.31 ID:Mq4vY1Wg0
 -  後は国家が敵のランクを付けるのはそれによって被害が想定できるから 
 & 
 脅威度を観測する基準、単位がきちんと完成されている 
  
 これが両立されないといかんでしょうね 
  
 具体的には天災 
  
 台風→ヘクトパスカル 
 地震→マグニチュード&震度 
  
 疫病に関してはややこしい&政治的あれこれあるからなあ  
	- 807 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/28(月) 21:11:47.37 ID:Mq4vY1Wg0
 -  ご存知かと思いますが、地震の指標に関して 
 震度:観測地での揺れの大きさ 
 マグニチュード:当該地震のエネルギー規模 
  
 なので実際の判断基準は震度のが参考になります 
 マグニチュードとか、2上回ったら1000倍になるとかいう基準じゃけえw 
 これ知らない人割といるよね 
 ニュースでそういう解説聞いたことない 
 震災(阪神以降)でもそれ報道してないよね。してた? 
 してたらソースくだしあ。その報道機関リスペクトするわ  
	- 808 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/28(月) 21:12:44.72 ID:Mq4vY1Wg0
 -  >>801 
 どうです? 
 見解語ってくだしあー  
	- 809 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/28(月) 21:13:10.85 ID:Mq4vY1Wg0
 -  それはそうとあっちをがんばる。 
 のは明日でいいか。  
	- 810 :赤ペン [sage]:2021/06/28(月) 21:50:32.30 ID:eU7lT9nr0
 -  そうですねえ 
 基本ああいうのって冒険者ギルドだし、S級で言うと協会も実際どれくらい強いのか不明でも第7位のキングさんとかいるし 
 そのあたりになるとギルドにどれだけ貢献してるか(モンスターのドロップを納品とか)で順位決まってそう 
 モンスターだと単純な強さと別に人里に出た時の推定被害とかで決まってそうかな(例えるなら某桃色とか戦闘力とは別にS級認定なりそう)  
	- 811 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/28(月) 22:04:24.68 ID:Mq4vY1Wg0
 -  >>810 
 そうなると、底辺を拾い上げるためにもランク付けてるという感じですかね? 
 射幸心煽るのと社会的地位を与える的な。 
  
 まー、実績に伴ってランキングとかワンパンマンの世界観の格付けは相撲に近いかな? 
 横綱は負けたらアカンやろ的な 
  
 もしくは最強が大関で埼玉がそれをふっとばして横綱として権威を回復とか、うん。ないですね。 
 そういうの、違いますもんね。 
  
 ちなみに二郎ちゃんなら、C-B級のモンスターを無理なく狩って安泰! 
 という絵図面を描きそうですね。  
	- 812 :赤ペン [sage]:2021/06/28(月) 22:33:34.12 ID:eU7lT9nr0
 -  むしろ二郎ちゃんはE-Bのモンスターの気を付ける点とか倒すコツとかを子飼いから聞き取り調査してそれを配下の部隊に教え込みそう(自分は教導役として後ろで見てる) 
 そして「働かない無能はもういらない」と言われて追放されるんだ。最終的に帰ってきてと言われてももう遅いしてざまあするんだ  
	- 813 :赤ペン [sage]:2021/06/28(月) 23:27:08.18 ID:eU7lT9nr0
 -  ところで>>798には某少佐のセリフで返せばいいんだろうか 
 
	- 814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/29(火) 03:27:50.57 ID:4iQ3XBVf0
 -  >>804 
 普通に認定試験受けてとかじゃなかったか 
 空戦と陸戦と総合のランク分けだった気が 
 はやてが総合でなのはが空戦 
 はやては魔翌力が莫大でSSとかだからよーいドンで近距離から闘うとフェイトやなのはのほうがはやてよりは強いとかそんな感じだったような 
 距離がかなり離れてると広範囲攻撃で街ごと潰してはやての勝ち 
 AAAで5%しかいないとかそんな設定で戦力が貴重だから一箇所に集中されないように高ランクが集まったらリミッターつけないといけない決まりにしていたけど 
 StSはそれを逆手にとってリミッターつけりゃ集まれるんだからその部隊で○○しようみたいに考えてた話だったはず 
 なのははStSでアンチとか突っ込みどころがかなり増えたけどランクづけに関しては特に言われてなかったと思う 
  
 >>805 
 >>784のなろう云々の話から始まった話だからね 
 SSはおかしいみたいに対しての反論ってだけだから別にないって決めてる作品につけろとも思わないよ  
	- 815 :赤ペン [sage saga]:2021/06/29(火) 09:06:37.25 ID:FtkZyTsA0
 -  なるほど、何かの実績での特注で付くんじゃなくて 
 ちゃんとSSランク認定の試験があってそれに受かると…なのか  
	- 816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/06/29(火) 09:56:33.54 ID:4iQ3XBVf0
 -  あくまで試験だから特定の課題を達成する能力であって単純な魔翌力や戦闘力の強さじゃないみたいなことがStSの特典に書いてあったんだったかな 
 なのはは軍隊の要素が入っているからリミッターの要素の含めて戦力評価の目安としてランクが必要だったんだろうね 
 質量兵器が禁止されている世界だから少数の個人の戦闘力に全てがかかっているといってもおかしくない世界観だし 
  
 なのはに関してはE〜Fが一般人、武装局員の大半がD〜Cだから最初から>>784のようにのように1段階ランク下げてってのも可能だったと思うけど 
 オーバーSランクやらニアSランクみたいにSランクから大きく評価に差がでるみたいな設定にしてる(A〜Sの間だけAAA+やS-があるとかやたら細かい)から 
 1段階下げてAを境目にするとトルプルエーがBBBとかBBB+みたいに見映えや表現的に微妙になるから不採用ってことだったのかもしれない 
  
 A、A+、AA、AA+、AAA、AAA+、S-、S、S+、SS、この後はおそらくSS-、SS、SS+、SSSみたいに続く事考えると 
 なのはは上位ランクになればるほど細かくランク分けしてるのがよく分かるな 
 Aランクでも細かかったのにSになるとマイナスまで出てきてランク分けしてるし  
	- 817 :赤ペン [sage saga]:2021/06/29(火) 18:11:33.23 ID:FtkZyTsA0
 -  もはや1段(初段)から初めて数字をあげていった方が良いのではwと思ったら空手百段(自称)の某達人が頭に浮かんだ 
 
	- 818 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/06/29(火) 20:51:09.22 ID:2dxfE5SE0
 -  なしてそこまで細かく区切るんでしょ 
 大物食いを分かりやすく演出するためかな? 
 格下にやられる視点とかがあったら凄いとは思います 
 逆ならともかく、めちゃストレスになりますものね  
	- 819 :赤ペン [sage saga]:2021/06/30(水) 11:13:55.60 ID:HGq6BtIM0
 -  なのははまあこうかな?って説明はできるから(目逸らし 
 多分ロストロギアに対処できるのがA以上、単独でロストロギアに対処できるのがS以上とかだよ 
 ちなS以上はなのはS+、フェイトS+、はやてSS,ゼスト(確か精霊だかと合体してパワーアップ)S+、ルーテシア(虫の召喚士)S、シグナムS-  
	- 820 :赤ペン [sage saga]:2021/07/07(水) 16:47:41.72 ID:Pfp34NS60
 -  結構返しはあったけど結局【なろうのSSランク】であの作品ではこういう設定でSSランクだよ〜みたいなのは無かったか 
 何故俺はあんな無駄な時間を(みっちゃん感  
	- 821 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/07(水) 17:16:08.95 ID:VcQ7G6yT0
 -  >>820 
 ソースが確認できたからヨシ! 
  
 どこで使うか知りませんけどw  
	- 822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/07/07(水) 19:23:04.55 ID:BpSgkNuz0
 -  真面目に付き合ったのに嫌味言ってくるのか 
 こっちが付き合って損したよ  
	- 823 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/07(水) 19:30:12.00 ID:VcQ7G6yT0
 -  >>822 
 損したんすか?  
	- 824 :赤ペン [sage saga]:2021/07/08(木) 10:40:57.30 ID:OGsNZcNM0
 -  そりゃ時は金なりっていうからね>>何故俺はあんな無駄な時間を(みっちゃん感 これよ 
 というかまじめに付き合うなら例を出してほしいんだ、俺は例えばSランクで魔王倒せるならSSは何ができるんだ?と言ってるのに 
 そんなの世界観によって違うとか魔王が最強とは限らんとか言われても話をそらしてるようにしか聞こえないんだ 
 別に作品の名前を出して、とは言わないが【某作品では星を壊せてS,銀河を壊せてSS】とかが欲しかったんだ…いや銀河を壊すって意味が分からんが 
 なのはを出してくれた人はありがたかったけどあれは【なろう作品】じゃないから  
	- 825 :赤ペン [sage saga]:2021/07/08(木) 12:19:03.84 ID:OGsNZcNM0
 -  まあそもそも恋姫二次の作品投下してる場所で恋姫と無関係の雑談に損得を見出そうとするのが間違いと言う前提もあるんだけど、言い出しっぺが言う事じゃないから言わない 
 そういや昔フジリュー版封神演義では打神鞭がBで雷公鞭が特Aとかあった気がするな  
	- 826 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/08(木) 21:12:10.52 ID:CR0E9NFa0
 -  >>825 
 それを言ったらおしまいよ、とw 
  
 まー、面白いからヨシ! 
 書き込みが殺到して処理しきれんような状態じゃない限り、 
 大体面白ければオッケーですのことよ 
  
 あと二話であっちの投下完了するのです 
 頑張るぞいっと。  
	- 827 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/08(木) 22:09:00.79 ID:CR0E9NFa0
 -  後一話 
 アレをもちっと練り上げてやったら予告通り八月からあっちでの投下が始まりますね 
  
 こっちに復帰はそれからですん  
	- 828 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/12(月) 22:34:26.69 ID:0QiS5gTt0
 -  投下完了 
 疲れたですのわー 
  
 気力があったら、前話にて地味様と韓浩のlキャッキャうふふをやりたかったんdすけどね 
 ネタはあるんや!いくらでも! 
  
 まあ、完結に向けてごりごりやるほうがええのかな。。。 
 韓浩、惜しい人を亡くしたわ  
	- 829 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/19(月) 19:43:52.25 ID:pOpcjO5j0
 -  ルックバック、読みました 
 あれは感性が若くて向上心あるクリエイターほどダメージすごいわなと 
 あれやるか普通?となりますね。 
 やるか、というかそこまでつきつめて表現できるのが凄い 
  
 思ったのは、手塚治虫という神がアレ読んだらどうすっかなーってことです。 
  
 多分、読んでもあまりなんも感じないと思うんですよ。 
 あの方、創作者としての悩みなんて「時間が足りない」くらいだし 
  
 世間の反応見て 
  
 「なんですか、こんなのが受けるんですか! 
 私ならこれよりもっといいもの描けますよ」 
  
 とか言ってマジのガチで翌日くらいに神クオリティのもの仕上げてきそうだなって 
  
 そこらへん、永井豪さんとか竹宮恵子さんとか萩尾望都さんみたいなレジェンドの反応見れたらいいな。  
	- 830 :赤ペン [sage saga]:2021/07/20(火) 09:30:51.85 ID:IwU/8dBs0
 -  でも石ノ森さんの原稿をびりびりに破いたお方だし…  
  まあ負けず嫌いらしいので書き上げそうではありますな  
  確か手塚先生はスポーツ系の作品は苦手とかどっかで聞いた覚えがありますね  
	- 831 :赤ペン [sage saga]:2021/07/28(水) 23:51:31.19 ID:ylENCo0L0
 -  にしても俺のレス読み返すと飛影はこんなこと言わない、みたいなこと言ったり謎の雑談振ったりかなりやべーな 
 
	- 832 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/29(木) 05:12:30.36 ID:uWvURL7K0
 -  せやろか? 
 
	- 833 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/29(木) 05:13:01.12 ID:uWvURL7K0
 -  一ノ瀬はもっと錯乱してるからセーフ。 
 
	- 834 :赤ペン [sage saga]:2021/07/29(木) 09:01:02.48 ID:Stncx2Ks0
 -  一ノ瀬さんはスレ主だからセーフ 
 掲示板規約に反しない限り独裁政権してもOKだから・・・たとえは出すとどこかの誰かの批判になる可能性があるので言わないけど  
	- 835 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/29(木) 21:21:40.47 ID:uWvURL7K0
 -  あそこは実力があるからセーフ 
 面白ければよかろうなのですよ 
 人格と作品は切り離そう(自分に言い聞かせる)  
	- 836 :青ペン [sage]:2021/07/29(木) 22:18:06.66 ID:ydYX+jEMo
 -  例えて言えば 
 板の各種規定が【憲法】で 
 スレ個別のルールが【法律】とか【条例】だね。 
 つまり【憲法に違反しない範疇なら法律や条例である程度規制しても問題はない】ってことやね。 
 @赤ペン占星術、これやったらどこの引用もなしで解説できるってもんでしょ?  
	- 837 :赤ペン [sage saga]:2021/07/30(金) 09:00:40.17 ID:wrOtM1Cc0
 -  流石は青ペンさん!例えが分かりやすい…でもなぜに占星術w 
 ところで一ノ瀬さんはどこの誰を思い浮かべたのかなぁ(にちゃあ  
	- 838 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/07/30(金) 18:29:57.05 ID:Ifx0emSE0
 -  >>837 
 迂闊ですね 
  
 >どこの誰を思い浮かべたのかなぁ(にちゃあ 
 >(にちゃあ 
 答え合わせはできましたね(確信)  
	- 839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/08/01(日) 20:03:33.40 ID:g/UNIMQDO
 -  あっちでPV1だけど増やしてきたよ〜 
 
	- 840 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/01(日) 20:16:18.88 ID:emzqkVWk0
 -  >>839 
 ありがとうございますー! 
 うれしい。。。  
	- 841 :赤ペン [sage saga]:2021/08/01(日) 23:32:29.05 ID:CbZpI8na0
 -  まさか最初に更新されるのがあれとはw 
 
	- 842 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/02(月) 05:57:30.14 ID:1wK1xexV0
 -  アレがあれしてあれなのかな? 
  
 あれ、順番通りですよね? 
  
 関係ないけどFGOはコヤンスカヤ爆死 
 石全部溶けたわ引退しません 
 リソースはウマ娘に比重だなあ。。。  
	- 843 :赤ペン [sage saga]:2021/08/02(月) 09:19:46.35 ID:4dahf+uJ0
 -  設定資料集の更新(笑)は予想外だよぉ 
 
	- 844 :青ペン [sage saga]:2021/08/02(月) 10:28:11.37 ID:tt7C48Djo
 -  >>837 
 sagaってなかったから先生が占星術に変換されたのかも  
	- 845 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/02(月) 19:47:09.81 ID:1wK1xexV0
 -  >>843 
 ああ、アレねw 
 やったぜ! 
 やはりここから始まる感があってええかなとw  
	- 846 :赤ペン [sage saga]:2021/08/06(金) 22:49:41.55 ID:XOPA/8TA0
 -  ヒーローアカデミアのA組生徒の何人かってあの入学試験本当に上位20人になれたのか疑問になる個性もちいるよね 
 というか透明になれるだけ(初期)の個性とか機械相手にどう頑張ってたんだろう  
	- 847 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/07(土) 05:46:52.73 ID:KS92Y/BZ0
 -  放置して悪用されるよりは囲い込め理論かなあとか思ったり 
 敵に回すとかなりめんどいですよね  
	- 848 :赤ペン [sage saga]:2021/08/07(土) 09:25:52.91 ID:qd0t4Due0
 -  B組で良いじゃん、いいじゃん 
 むしろ普通科?の心操君とかの方がヴィランになったら怖い 
 あと雄英を落ちてほかの学校に行った奴もいた気がするんだけど…それってあのもぎもぎの奴より下だったってことだよね 
 そういやあそこ偏差値めちゃくちゃ高いって設定だった気がするんだけど…硬化する奴とかもめちゃくちゃ頭いいのか  
	- 849 :赤ペン [sage saga]:2021/08/11(水) 12:26:36.84 ID:J9uMdKhx0
 -  ウルトラマンコスモスを下ネタにするとか頭の出来が違う人は本当によく思いつくものだ、と驚愕した今日この頃 
 
	- 850 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/11(水) 17:03:54.05 ID:9uaPEP3Z0
 -  字面かな? 
 
	- 851 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/11(水) 20:17:18.05 ID:9uaPEP3Z0
 -  やることが・・・やることが多い! 
 ※リアルのお仕事のお話です 
  
 ぶっちゃけ去年までがボーナスステージだったんだよなあ。。。 
 がんばろう。  
	- 852 :赤ペン [sage saga]:2021/08/13(金) 11:50:39.01 ID:WRI0B3sB0
 -  主人公と最初敵対してた奴(ヒロイン)が人間不信タイプで話を聞かなくてすぐに攻撃してきて、そのあと主人公にほだされて甘くなって赤の他人にも攻撃から始めないでその赤の他人が悪党で取り逃がす 
 そして主人公がそいつをとっ捕まえて逃がしたことを反省してるヒロインに「君は弱くなったんだじゃない、優しくなったんだ」とか言うのってなんかすごいもやっとする  
	- 853 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/13(金) 11:58:54.01 ID:XejTwEtm0
 -  なんとなく分かります 
 悪党による被害規模によるかもしれない 
 後はまあ、筆力というやつで納得感が得られるかどうかですね 
 多分いい話にしたいんだろうと推測します 
 アホか人を見ろボケとなってしまいそうですがw  
	- 854 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/13(金) 17:36:52.70 ID:XejTwEtm0
 -  取り敢えず今回の更新は明日で終了 
  
 最終章北伐編とか、前もやったら荒れるだろうなあとか思ってたんですけどね 
 とりあえずやらなあかんことやらなあかんからやったんですよね 
 そのうち一つが地味様とCPBとの別離 
 でもこれどうやっても単独では無理やなーってなってたんですよ 
 そこで韓浩が 
 「私にいい考えがある」 
 ときたもんだ 
  
 いや、ほんとそれしかないけどさあ・・・ 
 という裏話でございました  
  
 韓浩はAAキャストがながもんということで割と物語介入力があったんですよねー 
 これまで別になんもせんかったし望まなかったけど、最後の最後にこれだけは感  
	- 855 :青ペン [sage saga]:2021/08/15(日) 04:39:20.33 ID:3/cmj79go
 -  >>854 
  
 あっちでもついにあのシーンになっちまいましたなぁ…。 
  
 >AAキャストながもん 
 あー、ね。 
 そりゃ無口無表情系毒舌キャラになるわな 
 でもそうなりゃ強ち【鉄仮面】って評も 
 外れてない気がする 
   
	- 856 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/15(日) 16:02:16.68 ID:HDVNVuNo0
 -  >>855 
 はい、ありがとうございます。その通りですね。 
 鉄仮面というか鉄面皮? 
 表情筋が仕事を放棄しておりましたな。 
 オリキャラについては、かなーり想定より皆動いてくれた感があります。 
 韓浩については、ここまで地味様と相性がいいとは思わなかったw 
 最終章北伐編については色々検討してます。どうなることやら。 
 前回はとにかく早く終わらせたい、終わらせなきゃの一心だったのですよね。 
 マジで書くのが苦痛になりかけながら無理矢理出力してた感。 
 今月はもちとお休みいただいてインプット色々して考えるかなあ。  
	- 857 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/15(日) 21:19:35.85 ID:HDVNVuNo0
 -  前作からの人はネタばっれ質問ならこっちでやってくれたらいいのになあとかおもったり 
 でもこっちでおつきあいいただいてる方は前作知らんのかな 
 割と知ってる前提であれこれメタ発言しちゃってますがががががががががおがいがー  
	- 858 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/08/20(金) 08:20:28.81 ID:i2rvIFsX0
 -  みなもと太郎さんがお亡くなりになった・・・だと・・・ 
  
 「風雲児たち」は中高生の頃に知りたかった作品でした 
 日本史の勉強がどんだけ楽になったことか・・・  
	- 859 :赤ペン [sage saga]:2021/08/22(日) 10:05:40.95 ID:vZS24ve00
 -  以上のやり取りはすべて実話であり私のフィクションは入っておりません だっけ? 
 
	- 860 :赤ペン [sage saga]:2021/09/03(金) 09:21:14.19 ID:BBEqLUcz0
 -  DQとかFFみたいなゲームならそういうものって思えるけど  
  アニメの勇者パーティーみたいなので落とし穴とか部屋に閉じ込められるのとかに全員で引っかかるのって傍目にはすごいあほっぽいなあ、と  
  怪しいなあこいつ…みたいに共有しながら「あの部屋に秘密兵器があるのです」とか言われて皆で入って罠にかかるとか  
  しかも似たようなことを前に経験してたりするとおお…もう。ってなる  
	- 861 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/03(金) 22:28:01.65 ID:k/UbwOKH0
 -  一蓮托生とはこのことw 
  
 関係ないけど 
 明日ワクチン接種してきます  
	- 862 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/06(月) 20:19:15.37 ID:YvfS9d6g0
 -  筋肉痛克服くらいですた 
 次回の接種も予約取れてやったぜ! 
  
 やれたらやろう  
	- 863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/09/06(月) 20:31:10.34 ID:ONQ83KVm0
 -  スパイクタンパク単体で心臓やその他臓器に悪影響を及ぼすことがわかっています 
  
 何故一旦停止しないのですか 
  
 何故CDCが接種による若い人の心筋炎を認めているのに情報発信がないのですか 
 20代はたった1ヶ月で接種後死亡がコロナ死と同等になってます 
 因果関係の調査は?  
	- 864 :赤ペン [sage saga]:2021/09/07(火) 08:58:40.56 ID:IGPksjj30
 -  あなたのみならずあなたの周囲の人にも悪影響を及ぼす恐れがあります 
 とか書いておけば年齢制限(笑)以外特に何もしないタバコのような存在が普通にコンビニその他で売られてて規制しない国に対して何を期待してるのかね?  
	- 865 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/07(火) 21:56:52.96 ID:y/4p/zIt0
 -  日本語が不自由やなって思いました 
 BOTかなんかですかね? 
 反ワクチンって外国勢力なのかな? 
 中々に興味深いなあ。。。  
	- 866 :赤ペン [sage saga]:2021/09/08(水) 10:27:23.81 ID:WFdS+VJC0
 -  日本語は難しいからね、仕方ないね 
 「つまらないものですが」が謙遜を超えて失礼に当たるとか日本人でも面倒に思う言い回しが多すぎるんだよ 
 まあだからこそ面白かったりそういう言葉を使うか!と感心したりするわけですが  
	- 867 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/08(水) 20:32:26.39 ID:NHzelctH0
 -  さいですなあ。 
 だからこそ楽しいと最近とみに思います。 
 まー、使いこなせる方はすごいなって。 
  
 再開はもちっと待って下さいね。 
 多分10月になったら仕事が楽になる。 
 早くリタイアするFIREになりてえなあ。  
	- 868 :青ペン [sage saga]:2021/09/09(木) 01:56:01.26 ID:nORnaQkDo
 -  今さらなっがーら。 
  
 設定資料に誤字あったよー 
  
 張角が長角になってた。  
	- 869 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/09(木) 05:24:27.44 ID:F6hEwqrM0
 -  マジすかw 
 
	- 870 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/10(金) 21:38:18.58 ID:qhx+6CwT0
 -  充電期間のおかげでアイデアが降ってきた 
 もしくは電波を受信した 
 いやあ、無理に進めなくて良かったわです  
	- 871 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/11(土) 10:37:22.36 ID:y9yctgQv0
 -  それはそれとして、今月いっぱいは激務なので更新できそうにないです 
 
	- 872 :赤ペン [sage saga]:2021/09/11(土) 10:53:32.46 ID:+DKgrkLz0
 -  はいなー 
 無理はしないでね  
	- 873 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/12(日) 21:23:05.92 ID:U0RG7NHm0
 -  雑兵物語読了 
 なるほど 
 補給は現地調達、孫子なんだな 
 攻めかかる方がコストを軽く見積もるのは悪党時代からの伝統とな 
  
 なるほど、明治維新で警察は士族で軍隊は雑兵となると 
 そして日本軍は結局雑兵が兵卒であったということか 
 なるほど感がありました 
 名著でありました 
  
 戦は飢饉と思えというのは明言だな  
	- 874 :赤ペン [sage saga]:2021/09/16(木) 18:44:14.81 ID:+z6BOtnN0
 -  SAOの再放送見たけどチート使ってるGMがむかつくからそれ以上のチート使って相手のレベル1に下げて嬲り殺すとかなかなかいい性格してるなキリト  
  お前の強さはゲームのバグから発生した前のゲームのステータス引継ぎ…このゲームで積み上げたものじゃないんだが  
  そのステータスの暴力で相手に最強武器だけ渡して決闘()するとか…まあ相手も糞な性格して糞な行動してたけどさあ  
	- 875 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/18(土) 15:05:47.47 ID:ng+NdmVx0
 -  【急募】 
 山の神様の機嫌を上向かせる捧げ物  
	- 876 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/18(土) 15:40:00.43 ID:ng+NdmVx0
 -  なんとかなりました 
  
 なお捧げ物の情報は随時募集しております  
	- 877 :赤ペン [sage saga]:2021/09/20(月) 10:09:31.38 ID:AKZn7UqF0
 -  ハンカチとか石鹸とか…あとはアロマキャンドル? 
 シャンパンとチーズとかワインとクラッカー…お酒はいける口かは知りませんが  
	- 878 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/20(月) 16:52:59.16 ID:dKtBssAv0
 -  ありがとうございます! 
 やっぱ消え物が一番ですよね 
  
 スイーツを捧げてなんとかしてます 
 お酒は飲まないですねー 
 一口だけ味見、はたまにやってますが  
	- 879 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/20(月) 16:53:35.04 ID:dKtBssAv0
 -  そして月姫ゲット! 
 ちまちますすめていこう・・・  
	- 880 :赤ペン [sage saga]:2021/09/22(水) 09:01:37.17 ID:h+AOOt730
 -  コーヒー紅茶緑茶で嗜好品があるならいつも飲んでるのとは違うものを一ノ瀬さんのセンスで見繕うのも良いかな 
 自分の好きな味があるとついついそればっかり買ってしまって冒険しなくなるから  
	- 881 :赤ペン [sage saga]:2021/09/23(木) 09:40:18.35 ID:7F1h/HiF0
 -  あとはカップとか湯飲みもそれほど重くないからいいかも?…でもそれなら一緒にどういうのが良いか相談しながら買った方が良いかな 
 
	- 882 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/09/25(土) 05:54:33.56 ID:nS/zen5N0
 -  なるほどコーヒー紅茶、これだな! 
 フレーバーティとか試してみよう・・・ 
 丸福コーヒーなら阪急にあるヨシ!  
	- 883 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:10:43.64 ID:IXgTn2v80
 -  インプットやった 
 月姫はまだ 
  
 やるぞー 
 (今から始めるので今日投稿あるかは不明です) 
  
 うおおおおおおおおお 
 という気合いが出てきたぞ 
 おれはやるぜおれはやるぜおれはやるぜ  
	- 884 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:37:57.14 ID:IXgTn2v80
 -  「大変だよ!朱里ちゃん!」 
  
 あわわ、と足元もおぼつかなく駆け寄る親友に諸葛亮は気を引き締める。彼女は水鏡女学院不世出の才媛。 
 自分がいなければ間違いなく主席であったほどの、だ。 
  
 「どうしたの?雛里ちゃん」 
  
 そう言いながらもある程度の推論は成り立つ。この幽州を掌握するにあたって、諸葛亮は政務、鳳統は軍務という分担は実に自然に成り立っていた。 
 なんとなれば、軍務……特に戦術の閃きにおいては諸葛亮ですら鳳統には一歩以上譲るのだ。 
 で、あるからして。最優先事項である軍権の掌握について何らかの障害(トラブル)があったのであろうと推論(アタリ)を付ける。その推察は実に正しいが、それは彼女の想定を上回っていた。 
  
 「え?白馬義従が……?」 
  
 公孫の武威の象徴。地味とも普通とも揶揄されていた公孫賛。だがその実績、実力。それはこの中華でも有数である。 
 何となれば弱小軍閥の身で北方の護りたる幽州牧に抜擢されるほどに、だ。 
 そしてその名声、声望を高めたのが白馬義従。白馬のみで構成された騎兵。それはあの匈奴とすら伍し、むしろ正面から渡り合って圧倒するほどの強兵なのである。 
 その、北方の護り手たる白馬義従を掌握するべく鳳統は動いていたのだが。 
  
 「演習、だっていうの……?」 
  
 「あわわ、それも長期の、だよう。朱里ちゃん」 
  
 「でもいずれは襄平に帰還するんでしょう?雛里ちゃん」 
  
 「ちがうの……。 
 あわ……。このままじゃ、不味いよ……」 
  
 不在の白馬義従。その行方、その計画。その痕跡は公文書に残されていた故にあっさりと追うことはできる。出来た。だが、その所在地がなんとも。 
  
 「はわわ……。なんで? 
 南皮に、なんで?」 
  
 そう。白馬義従の目的地かつ現在の推定所在地は、袁家の本拠たる南皮なのである。 
  
 「匈奴の急襲を想定して、救援の演習らしいよ?」 
  
 「でもでもだって!州をまたいで兵を動かすなんて!しかも指揮官だっていないのに!」 
  
 言いながら諸葛亮は盛大に舌打ちをする。してやられた! 
 公孫家と袁家が癒着しているのは周知の事実。それに演習計画者はあの韓浩なのだ。袁家が断るはずもない。 
  
 「じゃあ、帰還を!即時の帰還、それも最大戦速で!それなら訓練に!」 
  
 引き込める。手元に在れば主人たる劉備の大徳でいかようにもなる。匈奴と死闘を繰り返した白馬義従が手元に並び立つというのはこれ以上ない宣伝にもなる。 
 まずは手元に戦力を!それでなくても一万の騎兵、重要さは言うまでもない。 
  
 「もうやってるよ!」 
  
 悲痛な叫びにさしもの諸葛亮も戸惑う。 
  
 「だったら、そんなに」 
  
 悲痛になることはないのではないかと。 
  
 「当初の訓練は二段階。匈奴に急襲された南皮への救援。次が要人警護。 
  その完了時期はおよそひと月後なんだって」 
  
 その、鳳雛の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。 
  
 「もしかしてその要人って……」 
  
 「うん。魯粛さん、于禁さん、秦松さんあたりらしいよ」 
  
 やってくれる!そういうことか!いや、そのあたりの人材の暗殺を警戒してのことか!今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮が歯噛みする。 
 まあ、送られてくる人材の排除については読まれていても仕方ないと思っていたのだが、備えの迅速さといったら! 
  
 「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの命令書は?」 
  
 「とうに発行してるよ。でもでもだって、こっちの呼びかけに一顧だにしないよ!」 
  
 ――白馬義従。白馬で固めた公孫の最精鋭の騎馬軍団。実際に白馬であるのは最精鋭の五百ではある。だがそれでも陣頭に立つその威容はかの匈奴をすら恐れさせる存在である。 
 そしてそれを輔弼する一万余の騎兵も精鋭。匈奴と渡り合う。いや、匈奴を排除するための騎兵たちである。馬家と並んで対匈奴で伍することのできる騎馬軍。その強大さは言うまでもない。それを手中にすべく帰還を呼びかけたのだったが。 
 絶対に必要な地歩固めすら先送りにして、最も信頼する鳳統を送り出したのだ。いかに白馬義従を重視していたかが窺い知れるというものである。  
	- 885 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:38:29.85 ID:IXgTn2v80
 -  ◆◆◆ 
  
  さて、使者として全権委任を受けた鳳統は、袁家特有の盥回しの上で目的とされる人物との面会を果たしていた。 
  
 「おやおや。残念ですねえ。韓浩さんの立案した演習案。その前半は果たされました。 
 ですが後半がその要件を満たしていません。なんせ、守護すべき要人の到着が遅れていましてね」 
  
 激しく計画の実施を求めた鳳統。それににこやかに応えたのは沮授である。 
 所詮田豊の尻尾である。公孫の軍権の引き渡しを求めたのだが。 
  
 「いやですねえ。貴女、公孫の軍権、関わりないでしょう? 
 ここは公孫賛殿からの正式な命令書を待たないと色々不味いですよねえ」 
  
 にこやかに応えるその表情が憎らしい。 
 一万もの騎兵。滞在費用についても申し訳ないと言っても。 
  
 「ああ、そんなことですか。いや、正直彼らには我が軍の演習にご協力いただいてましてね。いやあ、流石は匈奴と渡り合った騎兵とばかりに勉強させてもらってますよ。 
  え?摩擦?いやですねえ。二郎君が発案、実施した統合整備計画の折に、随分公孫軍とは連携しましたからね。 
 それに、中級指揮官は公孫にお世話になった者が結構いますから」 
  
 最前線で漢朝を守護する防人。勉強させてもらっていますよと爽やかに笑い沮授はその場を後にする。 
 彼にとっては鳳統の相手なぞ児戯に等しい。何となれば沮授は伏魔殿たる袁家中枢で長年過ごしてきたのだ。それも、あの「不敗の」田豊の愛弟子として。そして紀霊の義兄弟として、だ。いずれか一つでさえ受ける逆風がどれだけのものか。 
 にこやかにそれを。一度の弱音も吐かずに。そして比較にならぬほどに逆風を受ける彼を守るために、どれだけの研鑽を重ねたろうか。 
 正しく沮授は田豊の一番弟子であり、紀霊の義兄弟であった。 
 そして田豊と麹義。偉大なる先達が隠居したままに沈黙を続けるのも沮授の差配。 
  
 「これは大したことではないのです。反董卓連合に於いて現役復帰されたお二方が隠居なさる。つまりそれだけ此度のことは些事。 
 そしてなにかあればお二方がいる。民心安らかになるこれ以上のことありましょうか」 
  
 幼くして田豊にその才を見いだされたその才。単身で劉備の動きを把握し備える。やがて来るであろう戦乱を見据えて。 
 そして、沮授はこれ以前も以降も、衆人の前で涼やかな笑みを絶やすことはなかったのだ。 
  
 ――そして白馬義従。公孫の騎兵は正しき主に率いられることになるのであるが、それはまた別の話である。  
	- 886 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/18(月) 21:39:15.96 ID:IXgTn2v80
 -  本日ここまですー 
 感想とかくだしあー 
  
 まあ、こっからやっていきます 
 GWかお盆には完結させてたいですえn  
	- 887 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/10/18(月) 22:14:25.67 ID:8bzQzfhgo
 -  久々の乙したー 
 復活じゃああああああああああ 
  
 いくらはわあわと言えども乗り越えてきた修羅場が違うんよなぁ 
 きっちり熨斗付けてお返しするんじゃ  
	- 888 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/19(火) 05:51:32.65 ID:xD1YxAdX0
 -  >>887 
 どもです! 
  
 きっちり充電してきました! 
  
 久々は沮授くんからでしたぜ 
 ここからここから  
	- 889 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/19(火) 21:07:39.03 ID:xD1YxAdX0
 -  度数の高い火酒が俺の喉を焼く。胃から逆流した炎が双眸から溢れそうになる。かまわず、重ねて喉を焼く。 
  
 「あららー、荒れてますねえ」 
  
 ひょっこりと姿を現したのは七乃だ。その笑みは深いような、浅いような。真意を掴ませない。凪いだ水平線のように得体が知れず、それでいて引き込まれるような。 
  
 「まあいいや。お相伴に預かりますねー」 
  
 そう言って手酌でぐびぐびと杯を重ねていこうとする。 
  
 「おい、おい。俺の分なくなりそうなんだけども」 
  
 「大丈夫ですよ。ほら」 
  
 指し示した先には大徳利を抱えた風と稟ちゃんさんがいた。 
  
 「おやおや、もうお始めですか〜」 
  
 「全く、こらえ性のない!」 
  
 「稟ちゃんが言うとどこか意味深なのですよ〜」 
  
 「ふ、風?!」 
  
 二人のやり取りに、吹き出してしまう。 
  
 「てーい」 
  
 むにゅ、と柔らかいモノが俺の顔面に押し付けられ、その柔らかさを更に主張する。 
  
 「もーう。駄目ですよ?近くにいる人を忘れて遠くを見ちゃうのは。 
  それに、考えても仕方のないことは考えないに限りますよ?言うじゃないですか。 
  下手の考えなんとやら、って」 
  
  七乃の言に少し笑う。笑ってしまう。 
  
 「休むに似たりってか?なら問題ないな!いつも公務は開店休業だし!」 
  
  言ったそばからぎゅ、と抱きしめられる。七乃の体温が心地よい。常より高いようなそれが、なぜだか嬉しい。 
  
 「胸を張るところじゃないでしょう……。ほら、風もいたずらしようとしない! 
  ――この場でまで道化を演じる必要はないですよ?」 
  
 凛ちゃんの言が嬉しい。普段クールな彼女が俺を気にかけてくれるというのが、本当に嬉しい。 
  
 「あー。いや、俺が仕事しないのは本当だろうよ」 
  
  照れ隠し。それを知ってか知らずか風が俺の頬を小さな両手で挟み、真正面から目をそらさず。 
  
 「くふふ。 
 二郎さんは非常の人なのですよ。組織する人なのですよ。運営する人ではない。それは別に欠点ではないのですね〜。 
  むしろ、袁家という強大な組織の中枢において、慣例やらしがらみを無視して断を下せる。くふふ。その価値、風達が分からぬはずもないのですよ〜」 
  
  待って!なんか思ってたのと違う。そういうのを求めていなかったというか、ねえ。 
  
 「そうですよ。お父様が恐れたのもその果断さゆえでしょう。きっとそうでしょうそのはずです。 
 ええ、ですからもっとどーんと構えててくださって結構ですよ?雑事は私たちにお任せくださいな」 
  
  七乃、雑だな?!もっっと褒めて?モチベーションアップに努めて?  
	- 890 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/19(火) 21:08:38.56 ID:xD1YxAdX0
 -  「そう、貴方は断を下せばよろしいのです。後は私たちが如何様にも」 
  
 え、なんかえらいハードルが高くなってないかい。そんなん言われたら気軽に断を下せないじゃないかと怯んでしまうぜ。 
 ……違う。違うな。それほどに俺を信頼してくれているってことだろう。俺よりはるかに優秀であろう彼女らが、だ。だったら、だ。ここは気張らんといかんよなあ。かっこつけんといかんよなあ。 
  
  とりあえず。 
  
 「劉備一党、処分する」 
  
 くすり、と。くふふ、と。そして表情を全く変えずに俺の言葉を三者三様に受け止める。 
  
 「あららー、穏やかじゃないですねー。罪状はどうするのです?」 
  
 「それは七乃に任せる。この件については幽州牧である白蓮の権限において俺に一任されている。適当にでっちあげてくれ。だが、韓浩は謀殺された。この線は譲れん」 
  
 断ずる俺にこれまた三者三様の目線をくれる。その目線をそれぞれ真正面から受け止めて。 
  
 「あの韓浩が乱心なぞするものかよ。あの韓浩が自刃したんだ。それはよっぽどのことだ。 
 韓浩は多分俺より生き汚いぞ?そんなあいつがなんで自刃したか」 
  
 きっとあの韓浩をして、命を懸けねば処断できぬと思ったのだろう。処断することに命を懸けるだけの価値があると思ったのだろう。 
 そうさ。紀家軍に連なる奴らは誰一人命を粗末にしたりしない。生きてるだけで大勝利。それこそが姐さんが俺たちに叩きこんだことだからして。 
  
 「では討伐の軍を出しますか?まずは糾弾なり事情の調査なりするべきと思いますが」 
  
 「そですね。軍を出すにも編成に時間が必要ですし〜。使者を出すのはいいと思うのですよ」 
  
 ああ、そうよね。形式は大事よね。うん。 
  
 「おや、その様子では腹案があるようですが」 
  
 稟ちゃんさんの問いに応える。 
  
 「陳琳を派するつもりだ」 
  
 沈黙が広がる。その沈黙に台詞をつけるならば、「うわぁ……」というもの。 
  
 「……なるほど。本気で劉備一党と事を構えるつもりなのですね」 
  
 稟ちゃんさんの言に頷く。 
  
 「ああそうだ。まあ、あの陳琳を懐柔できたならばまだ一考の余地はあるが、な」 
  
 あの陳琳である。人の神経を逆なですることについては定評のある彼女。それの手綱を初見で握り、こちらと協調するサインを送れるのならば話は別だがな! 
  
 「承りました」 
 「承知です」 
 「了解なのですよ〜」 
  
 それぞれの諾の返事に頷く。 
  
 「よろしい、ならば戦争だ。各員の準備、よろしく」 
  
 そして北郷一刀君。俺はこれから一切の自重を投げ捨てるので。 
  
  もっとのんびりとしたかった俺の憂さ晴らし、八つ当たりをとっくりと味わうがよい。  
	- 891 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/19(火) 21:09:18.18 ID:xD1YxAdX0
 -  本日ここまです 
  
 かんそうとかくだしあー 
  
 いけるうちにいっとかないといつ忙しくなるかわからん  
	- 892 :青ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 01:09:06.45 ID:ZWGflyKDo
 -   
 >>886 
 待っていたぜぇ、この瞬間をヨォ! 
  
 さて、今回は 
 【残雪纏いし柳は鳳凰の羽ばたきすらいなす】 
 とでもしよか。  
	- 893 :青ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 01:12:34.79 ID:ZWGflyKDo
 -  >>891 
 もいっちょ。 
 【打ち込むは小さくも鋭い楔】 
 でどないや!?  
	- 894 :青ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 01:16:42.27 ID:ZWGflyKDo
 -  一応解説やで 
 >>892 
 まぁ、見ての通りやね。 
 沮授くんのやわらかーく受け流すところをピックアップ。 
  
 >>893 
 んで、こっちは反攻にへの下準備って意味合いも込めて陳琳お姉ちゃんをくさびとしてみたよ、と。  
	- 895 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/20(水) 05:53:02.37 ID:zT+QskBq0
 -  >>892 
 どもです! 
 お待たせしました!待っててくれてたと信じてます! 
  
 題名、めっちゃ考えてなかったのでありがたく咀嚼させていただkます! 
 せや、題名いるんやったわ。。。  
	- 896 :赤ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 12:59:36.80 ID:nPhwwnXM0
 -  乙でしたー 
 >>884 
 >>その、鳳雛の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。 所詮は雛よのう…という揶揄いは置いといて 
 ○その、鳳統の言に諸葛亮はギリ、と歯を食いしばる。 ここは普通に名前かな? 
 >>今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮が歯噛みする。 公文書をちょっと調べればわかるようなことで裏をかかれるとか… 
 ○今更ながらに効いてくる韓浩の一手にさしもの諸葛亮も歯噛みする。 伏せってるうちに飛び方忘れちゃったのかなw 
 >>「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの命令書は?」 これ【引き渡し】の【命令書】の送り先は袁家だよね?同格の相手に出していいの? 
 ○「州牧代の印璽はこちらにあるよ。引き渡しの要望書は?」 白馬義従に対する帰還命令は上で言ってるので袁家に出すならお願いする形のこれかな? 
 >>そしてそれを輔弼する一万余の騎兵も精鋭。 輔弼(ほひつ)は、天皇の行為としてなされるべき、あるいは、なされざるべきことについて進言すること。特に大日本帝国憲法下において天皇に大権(天皇大権)の施行に過誤がないよう意見を進言することを意味した概念 。 ウィキより 
 ○そしてそれに随行する一万余の騎兵も精鋭。 もしくは【随伴】、【随従】、【同道】、【付き従う】とかでどうでしょう…天皇は無関係ですし 
 >>885 
 >>にこやかにそれを。一度の弱音も吐かずに。 間違いではないですが 
 ○それをにこやかに。一度の弱音も吐かずに。 の方が良いと思います。ちょっと変えて【それを、にこやかに……一度の弱音も吐かずに。】とかでもいいかも? 
 >>幼くして田豊にその才を見いだされたその才。 才が重なってるので 
 ○幼くして田豊にその才を見いだされた麒麟児。 もしくは【幼くして田豊に見いだされたその才。】の方がすっきりしてるかな? 
  
 久しぶりの更新…しかもすでに2回分こいつは読みごたえがあるぜ 
 韓浩を弑殺する前に最大戦力の白馬義従の状況を把握しておかないとかかなり行き当たりばったりに感じるのは俺だけか? 
 戦争なんて段取り8割だろうにそれ以前の問題だよ…そして柳に風とけむに巻くわれらが沮授…あなたにとっては役不足でしょうねえ、それを僅かばかりも出さないでしょうが 
 下手したら無能な味方とか足を引っ張ることばかり有能な味方とか袁家の為という大目標は同じでも小目標が違うから反目する味方とかとやりあってた男だからな 
 正面から絡めて使ってきてもそりゃ受け流されるわ  
	- 897 :赤ペン [sage saga]:2021/10/20(水) 14:57:25.30 ID:nPhwwnXM0
 -  続きを 
 >>889 
 >>「まあいいや。お相伴に預かりますねー」 【ごしょうばん】なので 
 ○「まあいいや。御相伴に預かりますねー」 こうですね 
 >>「おやおや、もうお始めですか〜」    尊敬語としては【もう始められてますか〜】が正しい気もしますが 
 ○「おやおや、出遅れてしまいましたか〜」 酒盛りの場になのか、二郎がやけ酒呑んでる所によりそうのになのか、は語らない方向でどうでしょう 
  
 乱暴に言うと二郎は「これやっといて〜」と出来そうな人に丸投げして失敗したときに責任取って頭下げるのが仕事だからな…それをガチでやってくれる上司のどれだけ有り難い事か 
 あ〜どうしよっかな〜今忙しいんだよな〜(ちらっとかやってくるあほは滅べ、部下に仕事割り振るならそいつができるというお前の判断に責任取れ 
 二郎がやると決めて二郎ができると見込んだならあとはやるだけだよなぁ…なんせわざわざ温厚な紀霊の逆鱗を逆なでしてくれたんだから相応の返しをしないと  
	- 898 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/20(水) 20:24:25.00 ID:VMx6dZvg0
 -  赤ペン先生ありがとうございます! 
  
 本日はちょっと眠いので明日に更新おあずけということでひとつ 
 お話はできているといういつものやつではありますがw 
  
 眠いのす  
	- 899 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:13:30.70 ID:58OUfgWf0
 -  やるわよ。 
 
	- 900 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:14:38.88 ID:58OUfgWf0
 -   ここは夜の国。蜘蛛の巣の深奥にて秘奥。そこに踏み入れる人物の表情は眠たげではっきりと読めない。 
  実際大したものだと張?は内心でその人物の評価を一段ほど上に改める。口だけでなく、度胸も大したものだ、と。 
  そう、そこは張家の本拠地。絡新婦(じょろうぐも)の巣の最奥。そしてその支配者はにこり、といつもの貼り付いた笑みである。 
  
 「ようこそ、と言うのもおかしな話ですから、さっさとご用件をどうぞ」 
  
  にこやかに、だがどことなく素っ気ない問いである。だが程立は揺るぎもしない。ただ、くふふと笑みを漏らすのみ。 
  
 「これはどうも〜。歓迎いただいているようで嬉しい限りです〜。 
  まさかまさか、張家の本拠地にお招きいただけるとは思ってもいませんでしたし〜」 
  
 「いえいえ、仮にも二郎さんが最も信頼するらしい方ですし? 
  何かの間違いがあってはいけませんからね。ええ、何かの間違いがあってはいけませんからね」 
  
  ちらり、と張勲の視線が僅かに動く。その視線は虚空を貫くようであり、その実際は指示そのものであったろう。 
  それが分からない程立ではない。が、そこは軽く受け流す。なに、前哨戦ですらない余技未満のやりとりである。 
  張家の本拠地にての今は、ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを自覚する。 
  
 「なるほど、流石に度胸は一流といったところですか。散々と注がれた毒が見事に散らされていますしね。 
  しかして、その真意はどこにあるか伺っても?」 
  
  その過程で張?に退出を指示する。彼の見せた刹那の逡巡こそが収穫。 
 なるほど、相当のやり手であるようだと気を引き締める。 
  瞑目して不動。そのたたずまいに、手強いなと内心で警戒を更に一段階高める。 
  
 「改めて問いましょう。今回のご訪問はどういったご用向きで?」 
  
  返答は沈黙。或いは呼吸。響く低音、すなわち寝息。むしろ鼾(いびき)。 
  これには流石の張勲が戸惑う。 
  
 「ええ〜、これどうしたらいいんでしょうか」 
  
  取り敢えず眠気に有効な茶葉は実装している。あってよかったと推薦してくれた人物に何か進物でもせねばならない。そんなことを思っていたのだが。 
  これが紀霊であれば遠慮なく頬をつねるなり、声をかけるなりしたろう。だがしかし、張勲はそこまで踏み込むことはしない。むしろできない。これは彼女の、どちらかと言えば踏み込んできた相手に対応するという姿勢(スタンス)が基本であるのが大きいのであろう。 
  つまり、相性というものである。 
  そしてその沈黙は一方的に破られる。他ならぬ程立によって。 
  
 「おお、寝てました!」 
  
 いけしゃあしゃあとそんなことを言う。さしもの張勲が毒気を抜かれてしまうほどにある意味図々しい。 
  
 「いやほんとに何しに来たんですか?」  
	- 901 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:15:22.79 ID:58OUfgWf0
 -   呆れ気味に問う張勲に程立は笑みを深める。 
  
 「それはもちろん、ご相談ですよ〜」 
  
 「へえ?」 
  
  仕切り直し、とばかりに表情を改める張勲に程立は笑みを深める。 
  
 「そですね。ざっくりと中華の行く末についてのご相談というか。と言いますか。 
 つまり、わるだくみのご相談です〜」 
  
 「へえ……」 
  
  まさかの言に張勲の目が細まる。程立の言が何を指しているか、こちらに何を求めるのか。 
  常のお気楽な表情そのままに、絡新婦はその糸を張り巡らす。 
  
 「おお、こわいこわい。そのように警戒されるのも無理なきことですけどね〜。 
  むしろそれくらいでないとご一緒する気にもなりませんし〜」 
  
  茫洋とした表情はそのままに笑みを深める程立。 
  
 「まあ、ぶっちゃけた話をしますと。色々とお手を借りたいのですね。 
  なにせあちらには伝手がないに等しいもので」 
  
 「あちら、というと……。 
  ああ、やらかした彼奴らのことですか。 
  こちらもそこまで入り込んではいませんよ?」 
  
  やんわりと拒絶の意を出そうとした張勲だが、程立はそれを無視する。 
  
 「いいえ、これから無駄になるのですよ。下手に触れたら焼け落ちる。そういう相手です〜。 
  洛陽でご経験になった逆風。それがより激しくなって既存の網すら役立たずになる。 
  いえ、裏返る可能性すらありますし〜」 
  
  ぴくり、と張勲の眉がひそめられる。 
  洛陽にて、何進の支配にくさびを打つこともできずあったのは苦く、近しい記憶である。それが更に深まるとは。 
  
 「へえ、色々とお詳しいようで……」 
  
  その言はある意味白旗に等しい。だが、意地や誇りを張る場面ではないという張勲の判断であり、それは極めて実務家のものであった。 
  そしてその判断は程立と相性がいいものである。これは純然に偶然でしかないのであるが、幸運なことであった。或いは不幸なことであった。 
  その心根はまだ歩み寄りのきっかけを得ただけでしかない。だが、彼女らの陰謀、悪意、執念は捻れ、絡み合い、鮮やかな紋様を描くことになる。 
  
 「ですから、燃やしちゃえばいいと思うのですよ〜」 
 「おやおや、強引なことで。ですが無駄になるよりはいいかもしれませんね」 
  
  くすくすと、くふふと、不穏な笑みは重なり深まる。そして絵図を描く。描いていく。 
  馴れ合うのではなく、利用し合う。その理解は相互に共通しており、共犯を誓う。 
  そして、彼女らの連携を知る者はいない。 
  あえて政敵として対立することもなく、友として交流することもなく。 
  無関係を貫く両者の思惑はこれ以後少なくない影響を与えることになる。  
	- 902 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/22(金) 22:17:51.63 ID:58OUfgWf0
 -  本日ここまですー 
 かんそうとかくだしあー 
  
 仮題は「わるだくみ」です 
  
 ようやっと分岐できましたわ 
 ここからは旧作と展開が違ってくるやつー 
 つまり、分かりますね? 
 誰がアレかって。そういうことっすよっていいながら前言ったもんねw 
 頑張れみんな  
	- 903 :赤ペン [sage saga]:2021/10/23(土) 14:10:42.11 ID:XxkkJBAd0
 -  乙でしたー 
 >>900 
 >>ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを自覚する。       自覚が2回続くとちょっとなあ 
 ○ある意味まな板の上であるとも言える。それを自覚し、くふ、と漏れる笑みを止めようとも思わない。 (まな板の上だなあ…こういうのも愉しいなあ)と自覚したのか 
 ○ある意味まな板の上であるとも言える。それにくふ、と思わず漏れる笑みに自覚する。        (まな板の上だなあ、笑えてくる…ああ、自分はそういう人間だったのか)と自覚したのか 
 >>その過程で張?に退出を指示する。彼の見せた刹那の逡巡こそが収穫。 ココの地の文はそれぞれの心情が誰の物かちょっと分かりづらいので工夫した方が良いかと 
 ○その過程で張哈に退出を指示する。弟の見せた刹那の逡巡こそが収穫。 上では程立が自覚してたので最初ココも程立の物だと思っちゃいました 
 >>これには流石の張勲が戸惑う。 お釈迦様でも判るめえ って何のセリフだっけ? 
 ○これには流石の張勲も戸惑う。 〜もと書いておけば鉄面皮のあいつもにっこりよ 
 >>901 
 >>まさかの言に張勲の目が細まる。 そこまでじゃないかなあ…二郎と袁術を結婚させて袁紹を追い落としましょうとかならまさかだけど 
 ○その言に張勲の目が細まる。   というか二郎の懐刀たる風ちゃんが言うことならむしろ納得まであるというか…風だけじゃ足りないし親友だろう凛ちゃんと力を合わせるだけでも足りなさそうな事っていうと…かなり限られる中でも最大級ではあるけどね 
  
 ついに分岐点ですか…この二人が悪だくみして何がどこまで変わるのか今から楽しみですね 
 むしろ今までの交流が殆ど無かったことに驚いたかも?  
	- 904 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/23(土) 16:03:24.00 ID:Pc6fNpk70
 -  >>903 
 赤ペン先生ありがとうございます! 
  
 >ついに分岐点ですか…この二人が悪だくみして何がどこまで変わるのか今から楽しみですね 
 どうなるんですかねえ。とかいいながらルートはそこまで変わらないかな? 
 だって風だもの 
  
 >むしろ今までの交流が殆ど無かったことに驚いたかも? 
 意外となかったんですよね。 
 避けてたまでありますねこれは。  
	- 905 :赤ペン [sage]:2021/10/23(土) 17:55:55.05 ID:XxkkJBAd0
 -  二郎…お前自分の右腕と諜報の要の間をもっと取り持っておけ  
  耳目と右手がばらばらとか縛りプレイだわ  
	- 906 :青ペン [sage saga]:2021/10/25(月) 15:48:40.65 ID:huGA+1mbo
 -  >>902 
 この二人顔合わせたことなかったんか…。 
  
 ふむ。 
 しからば 
 【光と影の邂逅】とでも。  
	- 907 :赤ペン [sage]:2021/10/26(火) 08:27:11.47 ID:+mc6gRwm0
 -  顔合わせたことはあったんじゃない? 
 多分馬が合わないとかそりが合わないとかそんな感じでお互いに避けてたんだよ  
	- 908 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/27(水) 22:07:32.08 ID:gogt9w+Q0
 -  見知ってはいても、そりゃあね。 
 政敵ですものどう考えても。 
 肝胆相照らすとかはないですね。 
  
 普通にランチとか呑みにいくとかないっすね 
 なので風ちゃんお前やりおったな 
  
 頑張るぞいっと。  
	- 909 :赤ペン [sage]:2021/10/27(水) 23:08:16.99 ID:z5kervoA0
 -  じゃあ【太極と闇の中の点は交わり】で 
 政敵…紀家と張家は袁術閥で同志ではなかったのか!? 
 二郎がどっちかというと陽の者なんでその支えとしてどっちかというと陰の側になってたからなあ、同族嫌悪ってやつだと思った 
 郭嘉は…たぶん袁紹の光が強すぎて光に飲まれて陽の側になったみたいな?まあどっちかというと、程度で  
	- 910 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/29(金) 22:00:05.46 ID:JA7XXwHj0
 -  幽州への使者として選ばれたのは陳琳である。先の軍師陣の反応を見ても分かるように、常識的に考えるならば、使者として派するにはいささか以上に問題のある人物である。 
 いや、その能力には問題はない。疑念はない。頭脳明晰であり、幼くしてより名文家として知られている。容姿も眉目秀麗にて佳人と言っていいであろう。 
 怜悧たる印象を与えるその容貌は控え目に言っても七難を隠すほどのもの。 
 それでも、いやその容姿があるからより一層彼女のその特異性が活きるのかもしれない。吐く言葉は常に正論極まるもの。 
 だが。いや、だからこそ反感を買う。 
 本来であれば紀霊の守り役は陳蘭ではなく彼女であったはずなのだから。いささか守り役というには、主に頭脳面で難のある陳蘭が選ばれたのはその辺りに理由がある。 
 狷介、というのではない。傲岸でも不遜でもない。ただただ、その言動が人を苛立たせる。行いは品行方正清廉潔白。そんな彼女は今人生絶頂期にいたのかもしれない。 
 九卿たる大身に抜擢されたのはある意味妥当。そして、漢朝の威光を背負って使者となる。 
  
 控え目に言って険悪なその場。無論陳琳が恐れ入る訳がない。その必要もない。 
  
 「フン、どこの馬の骨とも知れぬ輩(やから)が州牧気取りとは片腹痛いな!」 
  
 その言葉。その場にいた劉備配下が色めき立つ。 
 そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状を陳琳はまともに聞く気はない。そしてその必要はないと切り捨てる。 
  
 「フン、韓浩のような愚鈍愚直愚図の蒙昧。あんな愚鈍(まぬけ)にそのような器用な真似ができるものか。 
 大方(おおかた)貴様らに嵌められたのであろうよ。 
 奴らしくなんとも愚昧なことだ」 
  
 韓浩とは知らぬ仲ではない。いかにも不器用な生き様は傍から見ていて不愉快極まるものであったと陳琳はしみじみ思う。 
 本当に、僚友として見てはいられなかった。あのような不器用な生き方、到底看過できるものではなかった。 
  
 「ああ、本当に不愉快極まる。あのような愚物、放っておいてもロクな末路ではなかったろうに。そして貴様らの愚かさには呆れかえるよ。 
 あれをわざわざ謀殺なんぞしたのだからな」 
  
 その言葉に諸葛亮は声を大にして異議を唱える。 
 その声に陳琳は苦笑する。激昂する。そして目線を上に上げる。 
 そして感情を言葉に載せるのだ。 
  
 「おお。このような、本当にお子様が代表して口を開くのか。開くのだな。 
 哀れなことだ。水鏡女学院の俊英。知っているぞ?確か伏竜鳳雛の片方でも得られたら天下を狙えるのであったか。 
  笑止千万とはこのことよな。双方手にした結果がこれとは。この程度とはな。 
 ああ、劉備。貴様は誤った。配下を誤った。本当に誤った。 
 貴様のような鈍牛には韓浩のような、そこらへんに転がっているような凡才が相応しかったのだ。そうとも。あいつはそうだったよ。貴様らみたいな低脳にも親切だったろうよ。 
 つくづく思うとも。 
 貴様らは、身の程を知ればよかったのだ」 
  
  視線は上に。言の葉は烈火。そして業火を招くのが陳琳である。当然それは周囲に延焼を。 
 そして。その身に怒りを込めて関羽が口を開く。 
  
 「そこまでです! 
  流石に無礼が過ぎるでしょう!」 
  
  燃え上がるような気迫である。それは効果覿面。 
  
 「ひっ」 
  
 その場に陳琳はへたりこむ。純粋な暴力。その威に晒されてへたりこむ。 
 それでも抗う。抗おうとする。 
  
 「こ、こんなこと許されると思うのか!貴様ら!」 
  
 「理不尽極まる。それは貴女でしょう?こちらが誠心誠意尽くして揃えた資料に目も通さずに!」 
  
 ふざけるな!ふざけるな。 
 その声に涙目になりながらも陳琳は叫ぶ。ふざけるなと喉を枯らす。 
  
 「匈奴!黒山賊!それに逆賊董卓軍だ!死線をくぐったあいつはそれこそ出世栄達思いのままだったのに!だからあいつは馬鹿なのだ! 
  貴様ら、許さん!五体投地とは言わんでもそれらしい態度あれば手心加えてやったというのに! 
  言い渡す!劉備!北郷一刀!死を以って償え!今ここでその身を散らすならば係累には容赦してやろうともよ!」 
  
 無論、その言い様を許す劉備陣営ではない。殺気沸き立つその場。覚悟なぞ決めるはずもなく、這う這うの体でその場を離れようとした陳琳を救ったのは爆音と轟音であった。 
  
 「火事だー!」 
  
 溢れる煙幕、震動。重なる火災。戸籍こそ辛うじて保ったものの、行政記録は消失してしまっていた。そして気づけば、陳琳をはじめとした使節団は忽然とその姿を消していたのである。  
	- 911 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/29(金) 22:02:14.25 ID:JA7XXwHj0
 -  本日ここまですー 
 かんそうとかくだしあー 
  
 いやほんと、すごく頑張った。 
 もっと陳琳ちゃんの呪詛は激しかったがマイルドセブン。 
  
 それでも人生は続くんやなって。 
  
 なお呪詛は関羽が被害被って可哀想なことにないrます 
 良心とか戦争には不必要だろうよね  
	- 912 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/10/29(金) 22:13:04.93 ID:JA7XXwHj0
 -  ちなみに陳琳ちゃんの脱出は 
 またしても六ぞろだったので文句は認めないです 
  
 文句があるなら今すぐコカコーラの株価を三倍にしてみせろ! 
 ローソンの株価を三倍でもいいぞ! 
 ほら!やれるものならやってみろ! 
  
 つまりそういうことですので、飲料と買い物についてご配慮しろくだしあー  
	- 913 :青ペン [sage saga]:2021/11/01(月) 06:36:51.13 ID:8zwuNuWXo
 -  >>911 
 乙ーい。 
 さて、どうしようね。 
 無知蒙昧を咎める者〜壱の矢〜 
 とでもしようか。 
 弐の矢参の矢当然あるだろうし。  
	- 914 :赤ペン [sage saga]:2021/11/02(火) 16:06:53.16 ID:74FkYX810
 -  乙でしたー 
 >>910 
 >>その場に陳琳はへたりこむ。純粋な暴力。その威に晒されてへたりこむ。 これだと弓矢を射掛けるとか何らかの物理的な何かがあったように読めるので 
 ○その場に陳琳はへたりこむ。武人の殺意。その威に晒されてへたりこむ。 それとも【武人の一喝。その覇気に晒されて】とか?実際関羽が殺意があったのかは分かりませんので 
  
 >>「フン、韓浩のような愚鈍愚直愚図の蒙昧。あんな愚鈍(まぬけ)にそのような器用な真似ができるものか。 
 >>韓浩とは知らぬ仲ではない。いかにも不器用な生き様は傍から見ていて不愉快極まるものであったと陳琳はしみじみ思う。 
 赤ペンこの部分だーい好き♥勝手に(ああ、こいつは袁家が韓浩の死を悼んでる中で一人で「馬鹿な女だった」とか悪態ついてたんだろうな)と思った 
 言ってることが正しいから韓浩も無下にしないで話を聞いて、それでも不器用な生き方を変えない鉄面皮と 
 理路整然と頑固にその生き方を貫く愚鈍の生き方に、自分のことを棚に上げてもっと生きやすい生き方があるだろうと物知り顔で諭してる姿が目に浮かぶわ 
 >>「ああ、本当に不愉快極まる。あのような愚物、放っておいてもロクな末路ではなかったろうに 
 まあ普通に考えたら耳に痛い諫言ばっかり言ってる愛想のない有能とか疎んじられるに決まってるよなあ…多分何度か「お前が捨てられたら私の下に置いてやってもいいぞ」とか言ってたんじゃねえかな 
 >>その声に陳琳は苦笑する。激昂する。そして目線を上に上げる。 
 さてはて、彼女の苦笑の先は、激昂の先は、上げられた目線は、誰に向けられたものなのやら…下手したらどれも劉備陣営にいってないかもしれんな 
 言葉の端々からどれだけ陳琳が韓浩を気にかけてたかが伝わってくるようでとてもいい口上でございました  
	- 915 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/03(水) 21:01:20.53 ID:Ln2jjry00
 -  >>913 
 どもです! 
  
 題名は本当に助かります。 
  
 >>914 
 赤ペン先生ありがとうございます! 
  
 >赤ペンこの部分だーい好き♥勝手に(ああ、こいつは袁家が韓浩の死を悼んでる中で一人で「馬鹿な女だった」とか悪態ついてたんだろうな)と思った 
 お通夜ムードな中、一人ぷりぷり怒ってますね間違いない 
  
 >言ってることが正しいから韓浩も無下にしないで話を聞いて、それでも不器用な生き方を変えない鉄面皮と 
 うざ絡みされてもふんふんいいながら真面目に付き合ってあげる韓浩はよくあった風景なのでしょうと浮かびました 
 まあ、お察しの通り聞くだけで聞き入れることはないでしょうけどもw 
  
 >さてはて、彼女の苦笑の先は、激昂の先は、上げられた目線は、誰に向けられたものなのやら…下手したらどれも劉備陣営にいってないかもしれんな 
 >言葉の端々からどれだけ陳琳が韓浩を気にかけてたかが伝わってくるようでとてもいい口上でございました 
 ぱっと見仲が悪そうに見えるんですが、実は・・・というやつですね 
 ありがとうございますた  
	- 916 :青ペン [sage saga]:2021/11/03(水) 22:20:45.89 ID:OyQP8hL2o
 -  >>910 
 あ。 
 なるほど。 
 最後の火災で龍鳳の仕込みを全部処分したのか。 
 …やりおる!  
	- 917 :赤ペン [sage]:2021/11/07(日) 20:13:20.18 ID:BGVcNf7C0
 -  おっと、直し忘れ 
 >>910 
 >>その言葉。その場にいた劉備配下が色めき立つ。 
 >>そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状を陳琳はまともに聞く気はない。そしてその必要はないと切り捨てる。 【そして】が重複してるので 
 〇その言葉にその場にいた劉備配下が色めき立つ。そして、諸葛亮が並べ立てる韓浩の職務怠慢、いくつもの罪状。 
  しかし陳琳はまともに聞く気はない、その必要はないと切り捨てる。 【しかし】じゃなくて【されど】でもいいかな? 
  
 ついでにちょっと手直し、ところで>>戸籍こそ辛うじて保ったものの、行政記録は消失してしまっていた。 
 これって劉備陣営にも痛手だけど後々公孫瓚がお辛くなるのでは?  
	- 918 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/09(火) 05:48:17.20 ID:aRJoUP0S0
 -  >>917 
 >これって劉備陣営にも痛手だけど後々公孫瓚がお辛くなるのでは? 
 その通りですね 
 戸籍までやっちまえと風ちゃんは主張していたんですが 
 それはやりすぎだろうという舞台裏です  
	- 919 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/16(火) 21:16:21.99 ID:p9zlev4B0
 -  お話はできておりますが 
 出力するリソースをあれこれとリアルに奪われております 
 もちっとしたら余裕が出るはずなので少々お待ちくだしあー  
	- 920 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/19(金) 22:48:43.38 ID:SFLGcUn50
 -  「はあ?」 
  
 間抜けな声を発した俺を責めるものはいない。なぜならば、そこにいる者が皆絶句していたからだ。五言絶句。違うか。 
  
 「いやいやいや。いくらなんでもそれはないだろう。いや、確かに挑発も兼ねて陳琳を派遣したんだが……」 
  
 ないだろう。流石にないだろうよ。三公に次ぐ地位である九卿の一角たる陳琳に手を上げようとするなんぞ。しかも使者だぞ使者。使者を死者にしてやろうってか。うるさいわ。 
  
 「全くですよ。誠心誠意でっちあげようとしていた罪状と、その証拠がもう意味をなさないですねー」 
  
 けらけらと小気味よく笑うのは七乃。いや、精力的に頑張っていたらしいよ。そんな彼女の努力を嘲笑うかのように事態は動いたのだ。大きく。 
 いや、大きいよね? 
  
 眼前。 
 無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようにも見える。 
  
 「陳琳。もう一働きしてもらおうか。 
 匈奴を招き入れ、九卿たるその身。その権威をないがしろにした彼奴らを討伐する。これは確定事項。 
 ならばその嚆矢は……陳琳よ。誰の仕事か分かるな?」 
  
 化粧っ気もなく、憔悴した顔。だがその双眸には炎。青白く燃え上がるそれは見る者全てを焼き尽くすような熱。 
 その熱。その想い。激情が彼女の内包する才能を燃え上がらせる。食いしばるのはその烈火を漏らさぬためか、それとも。 
  
 頼んだ。 
  
 「これからは北伐である。近日中に今上陛下へと上奏するが……」 
  
 それを頼みたい、と言う。お願いしたい、と言う。頼む、と言う。 
  
 「明日には。明日未明には必ず」 
  
 頼んだ、と言う。 
  
 静かに。爛々とその眼を、その思い滾らせた彼女が俺に届けたその文。 
 後世、「出師の表」と呼ばれるものであった。 
  
 いや、俺からのリクエストなんだけどね。いくつかのキーワードをお願いした。それを見事にやり遂げた陳琳には賞賛喝采である。 
  
 「危急存亡の秋(とき)、ですか……」 
  
 稟ちゃんさんが微妙な顔で冒頭のキーワードを読み上げる。いや、いいでしょ。 
  
 陳琳筆のその奏上文。その一節を口ずさむ。それは正に名文にして名分。劉備ご一行の悪徳をこれでもかと指摘し、糾弾する。ご丁寧に七乃が用意していた罪状すら飲み込んでいるところに官僚的な美しさすら感じる。 
  
 「七つの大罪とはよく言ったものさ」 
  
 そこまで煽られたら誰だって燃える。俺だって燃える。 
 軽口。それにすら口を挟まない軍師陣。断を下すのは俺の役割。そうだ。戦争を始めるのは俺の役割。そしてメインシナリオの核を口に出す。こういうのは言ったもん勝ちなんだよ。 
  
 「我が率いるは五虎将軍。その五軍を以って討伐する。右将軍は白蓮。前将軍に猪々子。後将軍に斗詩。中将軍に星。そして左将軍が俺だ。留守は七乃、任せる。稟は全軍統括。風は俺の傍にて助言を」 
  
 そう。そして、だ。かの天の御使いたる北郷一刀。彼が持っているアドバンテージ。それが如何に無力であるかを思い知らせてやろう。ヒントはあったはずなんだけどね。 
  
 「おやおや。それでは全軍の責任者たる二郎さん。貴方の地位、称号はどうするのですか〜?」 
  
 にこやかに聞いてくるメイン軍師に応える。 
  
 「おうよ。北伐。その軍を統括するこの身。夷狄をうち滅ぼすべし」 
  
 その称号。すなわち。 
  
 征夷大将軍、である。  
	- 921 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/11/19(金) 22:49:50.22 ID:SFLGcUn50
 -  本日ここまでー 
 かんそうとかくだしあー 
  
 今回は「五虎将軍」かなと想ったがネタバレだからそれは避けたい 
 「逆襲の陳琳」もなんか違うすね 
  
 どうしたもんかねえ  
	- 922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/11/20(土) 12:37:10.88 ID:6OScFiYqo
 -  乙ですー 
  
 陳琳ちゃんが輝く輝くw 
 こういう局地的に輝く才能って、端から見てる分には清々しく眩しいですよねぇ 
  
 題案は 
 『激情才炎、猛き文にて狼煙を上げよ』 
 みたいな感じでいかがでしょう  
	- 923 :赤ペン [sage saga]:2021/11/22(月) 14:57:13.04 ID:9IRxSMBb0
 -  乙でしたー  
  >>920  
  >>無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようにも見える。 どちらかに統一した方が良いと思います  
  ○無言で項垂れる陳琳。怒りを噛み殺しているようでもあり、打ちひしがれているようでもある。  もしくは【噛み殺しているようにも、打ちひしがれているようにも見える。】ですね  
  >>匈奴を招き入れ、九卿たるその身。その権威をないがしろにした彼奴らを討伐する。    これだと九卿たるその身で匈奴を招き入れて、権威を蔑ろにしたように見えるので  
  ○匈奴を招き入れたばかりか、九卿たるその身、その権威を亡き者とみた彼奴らを討伐する。 【ないがしろ(軽く見る)】と言うか【亡き者(ないもの)】と見たような気もするしこっちの方が良いかな?  
  >>頼んだ。  
    
  「これからは北伐である。 〜中略〜 明日未明には必ず」 ちょっと、ね?【頼んだ】が重複して……似たような言葉も連打してるし  
    
  頼んだ、と言う。  
  ○頼みがある。  
    
  「これからは北伐である。 〜中略〜 明日未明には必ず」 【明日未明には必ず(出してくれ)】と頼んだようにも見えるので手直し  
    
  その応えに、万感の想いに。頼んだ、と言う。   
  >>「七つの大罪とはよく言ったものさ」 七つの大罪(七つの罪源)は、4世紀のエジプトの修道士エヴァグリオス・ポンティコスの著作『修行論』に八つの「人間一般の想念」として現れたのが起源である。バイウィキ…ちなみに≪七つ≫になったのは6世紀に高慢を格上げしたものが最初らしい  
  ○「七つの大罪と言ったところかね」  何が言いたいかと言うとこの時代だと【よく言ったもの】ではないだろうということです  
  >>夷狄をうち滅ぼすべし」 間違いではないですが  
  ○夷狄を討ち滅ぼすべし」 討伐じゃない討滅するのでこの方が良いと思います  
    
  傲慢にも天子様を差し置いて天の御使いなどと詐称をし、強欲にも州牧の地位を簒奪しようと画策し、その補佐を務め袁家及び公孫家の信頼厚い韓浩を嫉妬に狂い暗殺し、自らの思い通りにならぬからと憤怒にかられ使者として送った九卿を亡き者にしようと弓を引き、怪しい術で誑かし天の意思だと嘯き色欲に惑わせ淫蕩に耽り、危急の時の為とした貯蓄を貪る暴食さ、剰え自らの罪に目も向けず漢が悪い、官吏が悪いと口にするだけの怠惰の極み、その果てには根拠も無く自分たちならもっと上手くやれるなどと言う虚飾虚栄に塗れた扇動でもって平和を乱す悪漢どもが、もはや貴様らを同じ人とは認めぬ、これより始めるは戦争に非ず、人非人に対する誅滅である!  
  適当に書きなぐってたら8つ入れてしまった…まあいいか、あんな連中。刹那で―――  
  ちなみに人非人は差別用語でも使われますが要は【人でなし】ですね、畜生道に落ちたとか外道の輩みたいな  
  戦争は講和もあり得るし人質取ったり捕虜交換したりするもの、誅滅は罪人を討ち滅ぼすこと…分かりやすく言うと一族郎党尽く皆殺し。な感じかな?  
	- 924 :赤ペン [sage saga]:2021/11/22(月) 15:32:44.86 ID:9IRxSMBb0
 -  8つの場合だと【八つの想念】あるいは【八つの主要な悪徳】らしいけどあまり一般的では無いからなあ 
 ちなみに暴食は>>98の>>官庫を開いたことが大きい。二千人の義勇兵を養って余りあるほどのそれを領民に還元したのである。 これを論ったものです 
 貯蓄より備蓄の方が良いか…【危急の為とした備蓄を貪る浅ましき暴食を抑えることも知らず、】ちなみに浅ましいは卑しいとか下劣が本来の意味ですがダブルミーニングで(考えの)浅さも論ってます 
 ところでなろうの方ではいまだに【西涼に馬家気炎を挙げ 大徳は都に走る】の大徳の部分が抜けたままなのですが  
	- 925 :青ペン [sage saga]:2021/11/25(木) 20:47:17.60 ID:Vm4kzhbXo
 -  >>921 
 遅れたぜぃ 
 【伍星、北への流れ星】 
 とでもしとくかい?  
	- 926 :赤ペン [sage]:2021/12/12(日) 16:52:05.84 ID:jQeT5svE0
 -  漫画でたまにある剣とか銃とか突き付けて「終わりだ、降参しろ」って言った後で隙をついて脱出されるのって  
  物語としては仕方ないんだろうけど五体満足の相手にそれってちょっともやっとする  
  せめて武器握れないように指落とすとか逃げれないように足撃っとくとかしてからじゃないの?  
  現代日本の警察じゃあるまいしモラルが高すぎてびっくりする  
	- 927 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/18(土) 14:50:16.10 ID:QpjHs23T0
 -  放置すまんでした。 
 ちょっと余裕が出てきました 
 いやあ、今期はしんどいなあと思ってたら想像以上でした 
  
 >>922 
 どもです! 
  
 >こういう局地的に輝く才能 
 このときのために存在していたのかとびっくりしたものですw 
  
 >>923 
 赤ペン先生ありがとうございます! 
  
 >ところでなろうの方ではいまだに【西涼に馬家気炎を挙げ 大徳は都に走る】の大徳の部分が抜けたままなのですが 
 ほんまや・・・ 
 管理がガバガバだと自分でもびっくりです 
 飲酒運用はよくないですね! 
 もちっとしたら手を加えますありがとうございます! 
  
 >>926 
 >せめて武器握れないように指落とすとか逃げれないように足撃っとくとかしてからじゃないの? 
 うーんサツバツw 
  
 >現代日本の警察じゃあるまいしモラルが高すぎてびっくりする 
 それは思いますね。 
 どこでどうバランス取るかが難しいとこですが、結果逃げられたらね・・・w 
 慢心よくないですね(何かを思い出しつつ)  
	- 928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/18(土) 16:43:15.45 ID:xtztq6ml0
 -  今日はやけにクソスレが上がるな 
 
	- 929 :赤ペン [sage]:2021/12/20(月) 08:46:04.68 ID:1MLgldh90
 -  慢心せずして何が王か!って世界最古のお方も言ってるし 
 でもまあ、この世の全てなど既に背負っている!この3倍は持って来い。と言い切れる人だからこそ許されるものでもありますが  
	- 930 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/20(月) 22:35:24.41 ID:fGSsEe6w0
 -  兵は神速を尊ぶ。 
 だから、さくっと一撃で劉備一味を討つ。その方針にメイン軍師他二名も賛同してくれた。 
 陳琳に作らせて俺が奏上した出師の表。それを受けて今上陛下も劉備一味に対してすんなり朝敵認定を与えて下さった。ありがとうございます。 
 ありがとうございます! 
  
 後は攻めるだけかと思っていたら、彼奴(きゃつ)等の動きは俺の想定を上回っていた。攻撃は最大の防御ということだろうか。やられたね。 
 こともあろうに麗羽様の専横を非難、俺の所業を糾弾。そして今上陛下は傀儡とまで言い放つそれはまさに宣戦布告。 
 各州牧に檄文を発し、反袁紹連合をでっちあげる。 
  
 更には今上陛下に皇帝の価値なく、袁家の傀儡であると弾劾。天の御使いたる北郷一刀がその手にある伝国の玉璽を劉備に与えて皇帝と為す。 
 これはあらゆる意味で、やってくれたものだよ。やってくれたなこんちくしょう。 
  
 「さてはて、です。 
 急展開にさしもの風も混乱しちゃうのですよ。 
 例えば何故国号を蜀としたとかですが、わけがわからないのですー。 
 漢朝の正当を継ぐつもりがあるのかさえ疑問になってきますよ」 
  
 漢朝の正当なあ。そりゃあなあ。あの面子ならば蜀になるだろうよ、とも言えず。 
  
 「知るかよ。天の知識なんて曖昧模糊なものを斟酌しているほどこっちもヒマじゃない。さくっと制圧するぜ」 
  
 劉備一味。だが、その動きは激しくあった。 
  
 「州牧、軍閥に檄文ですか……。断末魔としてもお粗末なものですね」 
  
 稟ちゃんさんの言うこと、まことにごもっとも。俺もそう思うよ。 
 全くもって、色々とおそまつなものだ。 
 まあ、当初の予定通りさくっと討ち取ればいいであろう。 
 そんな俺たちの前提をひっくり返す事態が起こったのだ。 
  
 涼州牧、馬超。出奔し、蜀に走る。 
  
 涼州牧たる翠。馬家という名家。馬騰さんという英傑が築いた漢朝での地位、立ち位置。その選択。 
 これにより俺たちの描く戦略は大崩れ。 
 中華全土を見据えるべく。あれやこれや大きく方針転換を余儀なくされるのであった。  
	- 931 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/20(月) 22:35:50.83 ID:fGSsEe6w0
 -   
 ◆◆◆ 
  
 「お姉さま、本気? 
 たんぽぽとしては正気かどうかを確かめておきたいんだけどもね」 
  
 いっそ正気を失っていれば馬家全軍でもって制圧するのだが、と馬岱は内心の憤りを吐息にて。 
  
 叩きつけられる怒気と言の葉に馬超は視線を外す。いつもにこやかに自分を肯定してくれていた馬岱の怒りに思うところがないわけではないのだ。 
 彼女とてその意味が分からないわけではない。いや、その理解の度合いについては大いに論議の価値はあるだろうが。 
  
 「それでもお姉さまは行くんだね。」 
  
 ここで馬超を討伐するという選択肢も確かにあるだろう。 
 だが、錦馬超なのだ。犠牲がいかほどになるか。 
 というか、馬家軍総出でも討ち取れるかどうかは疑問符が付く。それほどに馬超の武は頭抜けている。 
 頼もしかったそれを、重荷に感じることがあろうとは。 
 だが、それでも。 
  
 「もう、しょうがないなあ、お姉さまは」 
  
 そして、だから。 
 馬岱に選択肢はあってなきがごとし。 
 それを知ってか知らずか、その声は明るく響く。 
  
 「すまん!それでも、私は……一刀が言う、皆が笑って暮らせるという世界。それを見てみたい。そう思うんだ」 
  
 馬岱は結局、自分はおみそなのだと痛感する。何を言っても届かない。どんなに頑張っても届かない。そんな存在なのだと痛感する。 
  
 「叔父様は!叔父様がいたらきっと怒ったよ!」 
  
 でも、言う。それでも、言う。 
 敬愛する馬騰の権威を借りてでも言うのだ。言わなければならないのだ。 
  
 「父上は!私に万里を駆けよと遺した! 
 だから私は、色んなしがらみから離れてみようって思うんだ。もう、決めたんだ」 
  
 言うべきことは言ったとばかりに馬超は愛馬に跨り駆けてゆく。 
 それを見送ることしかできない。 
 馬岱はそれでも泣かない。泣いてはならない。漏れそうになる嗚咽。漏れてしまうその声。 
  
 「もう、やだよう。こんなの、あんまりだよう。 
 助けてよ。もう、やだ……。やだよう……」 
  
 押し殺した彼女の嗚咽を、慟哭を聞く者はいない。そして縋るその声も。 
  
 「二郎様……。助けてよう……」 
  
 寄る辺ない彼女は縋ろうとする。そして縋るしかないのだ。逆賊となるのだ。馬家は逆賊となるのだ。当主のその行いによってだ。 
  
 「もう……やだよぅ……」 
  
 それでも。馬家軍に対する責任が馬岱にはある。兵卒に、士官に。苦楽を共にした彼等だ。助命嘆願は義務ですらあるだろう。だって、かつての叛乱とは違い、彼らに叛意はないのだから。 
  
 だからそれでも最善を尽くすのだ。 
  
 ◆◆◆ 
  
 「二郎様、ごめんね!お姉さまを止められなかった!」 
  
 てへ、ぺろとおどける。 
 それでも、込めた思いは本当に、本当に、だ。 
 申し訳ない。申し訳ないのだ。 
 ぐにゃり、と歪む紀霊のその顔。 
 彼の背負うものを知らない馬岱ではない。 
 ごめんなさい!咄嗟にそう叫びそうになる。でもそれはできない。きっとそんなことで馬家は許されない。許してはならない。 
 それは馬岱にも分かる。馬岱でもわかる。 
  
 泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。自分一人の命で馬家軍の兵卒。彼等の命が助かればいいなあ、と。  
	- 932 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/20(月) 22:37:00.95 ID:fGSsEe6w0
 -  本日ここまですー 
 かんそうとかくだしあー 
  
 ここから、どんどこいくます 
 やるやで 
 やってやるぜ  
	- 933 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/20(月) 22:40:12.72 ID:fGSsEe6w0
 -  >>929 
 ギル様めっちゃすき 
 名誉ウルク民を勝ち取りたいw  
	- 934 :赤ペン [sage saga]:2021/12/21(火) 09:45:43.62 ID:URfqo/P40
 -  乙でしたー 
 >>931 
 >>馬岱は結局、自分はおみそなのだと痛感する。 【結局】のかかり方がちょっと違和感 
 ○馬岱は、結局自分はおみそなのだと痛感する。 馬岱の独白と言うか自嘲なのでこの方が良いと思います 
  
 >>それを知ってか知らずか、その声は明るく響く。 馬超の声が明るい…いやこの状況で明るく言えるなら分かってる訳ねーわ、草枯れる 
 >>一刀が言う、皆が笑って暮らせるという世界。それを見てみたい。 
 お前の家族とお前の部下の【皆】がお前を笑って送り出してるならいいんじゃない(諦観)と言うかその為に袁家と傀儡の偽帝討つべしってどれだけの人の笑顔を歪めようとしてるのか考えないんだなあ 
 >>私に万里を駆けよと遺した!だから私は、色んなしがらみから離れてみようって思うんだ。 だからって鶏頭となるも牛尾となるなかれをブッチして牛頭から鶏尾になるのは想定外だったと思うなあ 
 と言うかしがらみか…お前がしようとしてるのは今までのしがらみをぶっちぎって新しい(愛(笑)の)しがらみに取り込まれに行ってるだけじゃねーか 
  
 おいたわしや妹御…州牧の姿か?あれが 
 ようやく逆賊董卓を打ち取って一息つけると思った矢先に率先して戦を仕掛ける輩に義を見るか……袁紹(紀霊)が立て直そうとした漢朝を無価値と見るのか 
 正史では誰もが自分がトップになろうとしてたから千々に乱れたのをこの外史では何とか治めようとしたその想いに泥をかけるのか 
 悲しいね、タンポポ…  
	- 935 :青ペン [sage saga]:2021/12/21(火) 14:59:21.48 ID:zAEXCwxno
 -  >>932 
 乙ーい。一気に駆け抜ける感じかね。 
  
 決別〜駆ける者と護る者〜 
 とでもするか…  
	- 936 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/21(火) 21:59:59.04 ID:YJfhqPbc0
 -  >>934 
 赤ペン先生ありがとうございます! 
 やったぜ! 
  
 >おいたわしや妹御…州牧の姿か?あれが 
 鬼滅構文に草w 
 でもまあ、狂乱こそが馬超の持ち味なんだってね 
 自重させようかと思いましたがそちらの方が違和感 
 ※ダイスでもやってくれました 
  
 >正史では誰もが自分がトップになろうとしてたから千々に乱れたのをこの外史では何とか治めようとしたその想いに泥をかけるのか 
 >悲しいね、タンポポ… 
  
 馬超さんはそこいらへん気にするかというと、その、なんだ。 
 持ち味ですよね 
  
 >>935 
 どもです! 
  
 >乙ーい。一気に駆け抜ける感じかね。 
 そのつもりだったんですけど今日が早くも延期気味でござる。 
 明日はやる。 
  
 >決別〜駆ける者と護る者〜 
 決別! 
  
 これはよい感じの言葉チョイスですよ 
 お流石やでぇ  
	- 937 :赤ペン [sage saga]:2021/12/24(金) 09:05:19.82 ID:W0AziOLL0
 -  欠けてるから賭けちゃって駆け抜けた? 
 
	- 938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/26(日) 13:05:47.48 ID:n8ud9nWd0
 -  ご無沙汰してます 
 たんぽぽさんかわいそうだなと言うのが素直な感想ですが、 
 よく読むとシ□ッコ(一応伏字)もとい韓遂さん謀反未遂の主な動機ってこの辺? 
 とも思ったりもします 
  
 ところで凡将伝で虎と言えば真桜さん……、ではなくあの人だと思っておりますが、 
 単純なものなのに間に合いそうにないですすいません(泣 
 進まないので、せめて背景のような何かを計算してたら英雄ってすごいんだなと改めて実感  
	- 939 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 06:00:29.31 ID:+NPOZYks0
 -  >>938 
 どもです! 
  
 >よく読むとシ□ッコ(一応伏字)もとい韓遂さん謀反未遂の主な動機ってこの辺? 
 そりゃ馬騰さんだから風下だったわけで、 
 まだまだ未熟な娘、しかもグダグダしてますから思うところはそりゃあ。。。 
  
 >ところで凡将伝で虎と言えば 
 あの人ですね確かにw 
  
 >単純なものなのに 
 いやいや、ごゆっくりしてくださいませ 
  
 こちらもちょっと公私ともに多忙で(言い訳) 
 FGOのレイドも触ってないw  
	- 940 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/27(月) 16:01:34.53 ID:3DFUufub0
 -  信者と雑談したいだけならSNSで専用アカウント取得したら? 
 「グダグダしてます」って言ってる辺り文才の欠如は自認してるだろうしね  
	- 941 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:09:43.27 ID:+NPOZYks0
 -  さて。 
 俺の前には悄然と項垂れる蒲公英。もたらしたのは翠が出奔したというその報せ。 
 誰よりも早く伝えたのはほかならぬ蒲公英であったのだ。昼夜兼行の強行軍。幾頭も替え馬を潰したという――馬家の乗馬への扱いを知っているからこそその重大さが分かる――それ。 
 そのおかげで、恐らく翠が幽州入りするより早くその報は入ったはずだ。 
  
 「顔を上げてくれ、蒲公英」 
  
 そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた手枷も外させる。実際見てらんねえよ。 
 聞けば昼夜兼行する際もずっと自らに課してきていたらしい。おお、もう……。 
  
 「二郎様、本当に、ごめんなさい……」 
  
 気にするな、と。流石に言うわけにもいかないがどうにも調子が狂う、というか考えがまとまらない。 
 どう対応していいかも分からずに取りあえず別室に下がってもらい、傍らのメイン軍師に問うてみる。 
  
 「この始末、どうしたらいもんか」 
  
 俺のかなーり曖昧で範囲の大きい問いに、メイン軍師たる風はむぅ、と唸る。 
  
 「詳しくは稟ちゃんとも相談しなければなりませんが……。 
 そですね。ひとまず二郎さんがお気になさっているのは馬岱さん及び馬家の処遇と思いますが?」 
  
 そうだな、と頷く。実際どうしたもんかよ。 
  
 「ぶっちゃけ二郎さんのお好きにすればいいと思いますよ? 
 こと、ここに至っては些事と言っても差しつかえありません。 
 どのようなご処置であっても如何様にもなりますし、二郎さんはそれだけの地位にいらっしゃるのですから」 
  
 「んなこと言ったって、さあ」 
  
 まさかの、丸投げに丸投げで返されてしまった案件なんだぜ。 
 いや、言われてみればお説ごもっともなんだけどね。これが権力を手にするということか……。逆に怖いわ。 
 内心ブルっていた俺を知ってか知らずか言葉を重ねる。 
  
 「その上で私見を述べさせて頂きます。馬家の誅滅は悪手かと〜」 
  
  茫洋とした表情とは裏腹に、語る内容は待ったなしのガチ内容である。 
  いや、流石メイン軍師である。こういうの本当にありがたい。 
  
 「と言うと?」 
  
 「ただでさえ不穏な涼州。ここで馬岱さんを処刑しちゃうとですね。ようやっと治まる気配を見せていたのが台無しになるのは目に見えていますから〜」 
  
 韓遂がよからぬことを企むに決まっていると風はため息を盛大に。ああ、韓遂がいたね。いたよ。 
 いたよねぇ……。涼州、超やっかい! 
  
 「ん……。しかし蒲公英に何て言えばいいもんかね……」 
  
 まさか助命してやるから翠と戦えとか……言いたく、ないなあ……。 
  
 「もう、やだなー。そんなの、食べちゃえばいいんですよ」 
  
 耳元にふぅっと息を吹きかけて七乃が囁いてくる。 
 って全く気配を感じなかった。流石の穏行の技。あっさりと後ろをとられてしまっていたようだ。 
  
 「うお! 
 ……って食べるとか何を言ってんだ?」 
  
 「えー?あちらは、もともと二郎さんを憎からず思ってたわけですしぃー。二郎さんも満更じゃなかったですしぃー」 
  
 けらけらと七乃は更に言葉を続ける。 
  
 「いやあ、愚姉の不始末から一族の安全を守るため、その身を捧げる名家の姫君……。これは人気が出そうですねえ」 
  
 「おい」 
  
 ちょっと待てなんだそのシナリオ。  
	- 942 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:10:17.64 ID:+NPOZYks0
 -  「それだと俺がこう、だな。 
 地位を利用して馬家の姫たる蒲公英を手籠めにした糞野郎になりませんかねえ」 
  
 にこりとほほえみ、数秒沈黙。 
  
 「まあ、悪名の一つや二つ、今更じゃないですか?ほら二郎さんが女性にだらしないってのは、ほんとだしー。 
 よっ!この好色一代男!もげたらいいよと思われてしまえー!」 
  
  フォローないんかい! 
  
 「もげてしまったら困る方が続出してしまうのですが、それもやむなしですね〜」 
  
 ふ、風よお前もか。 
  
 「ま、世間的な体面とかはおいといて、です。中々に妙手ではないかと思うのですよ〜。 
  実際馬岱さんや馬家軍の皆さんが参軍するとしてですよ。 
 当然風当りはかなーり強いでしょう。 
 疑念の目を向けられることもあるでしょうし、むしろ何らかの害が与えられる可能性も大いにあります」 
  
 ふむ、と考え込む。蒲公英を守るためにも意味があるということか。 
  
 「つまり、だ。俺の庇護下にあるいうこと。これを示す。 
 それには最上、ということか」 
  
 「そですよ〜。 
 例え馬岱さんの首級で馬家軍の皆さんを許したとしてです。 
 当の馬岱さんはともかくとしてですが、馬家軍の将兵の皆さんから感謝されるかというと……。 
 そうではないでしょね〜」 
  
 けらけら、と明るく七乃が笑って。 
  
 「そんな馬家軍の将兵をあの韓遂さんが掌握するとか。 
 長安陥落くらいまでは覚悟しとかないといけないでしょう 
 いや、もっと迫られるかな?」 
  
 ふむ、と考え込む七乃である。 
 数瞬の真剣な表情に背筋が寒くなる。その仮定がむしろ来たるべき運命(ミゼラブルフェイト)のような。 
  
 「しかしなあ、弱みに付け込んでどうこうするってのはちょっと……」 
  
 七乃は俺の言葉に失笑。そして後ろから抱きついたままで今度は俺の耳をがじり、と齧って。 
 ああ、と思いついたように笑う。 
  
 「ご自分からは言い出しにくいということですね?ご安心くださいな。 
 既にお姫様はご納得してますから。今は湯で身を清めているころですかねえ。 
 ――無理を通すのが二郎さんのお仕事。そして道理を整えるのが私たちのお仕事でしょう? 
 いったい何を躊躇ってるんですか?」 
  
 真正面に回り込んだ七乃の笑みが、俺を刺す。 
  
 産まれたその時から袁家の闇に染まり、その闇を手繰ってきた彼女の言。 
 伝わる蒲公英の覚悟。 
 そして風が俺の背を押す。軽やかに、それでいてどこか真摯に。 
  
 「馬岱さんを助けたい。馬家軍も助けたい。更に涼州の安定も失いたくない。 
 その利があって尚、躊躇う。 
 そうすると、です。どれだけ自分に魅力がないかと思う人が出てくると思うのですよ」 
  
 蒲公英のこと、か……。 
 まあ、確かに蒲公英には失礼な話だよな……。 
  
 「まあまあ、後は当事者同士にお任せするとしましょう」 
  
 ぱん、と七乃が一つ手を打ち鳴らすとどこからか女官が出てきてあれよあれよと言う間に俺を誘導していく。お気張りくださいな、なんて声を受けながら通された室。 
 薄明りくらいの照明が入ったそこには、どこか不安げな目をした蒲公英がいた。  
	- 943 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:10:43.71 ID:+NPOZYks0
 -  ◆◆◆ 
  
 「あ、二郎様……」 
  
 砂塵にまみれ、手枷を嵌められていた先ほどとは打って変わって。小奇麗に着飾った姿は正に名家の令嬢に相応しい。 
 湯を使った後だからだろうか、どこか頬も上気している。 
  
 「に、似合わない……かな? 
 たんぽぽあんまりこういうのよくわかんないから、ね……」 
  
 てへへ、と照れるさまが可愛いぞこんちくしょう。 
  
 「ま、まあたんぽぽってばお姉さまみたいに手足長くないし、あまり見栄えはしないんだけどねー」 
  
 「卑下するこたあないさ。綺麗、だぞ?」 
  
 「わわわ、そ、そんなことないって。ここは馬子にも衣装っていう所でしょ?」 
  
 かぁ、と更に頬を上気させる蒲公英が可愛い。 
  
 「いやいや。こう、だな。 
 いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ? 
  
 わたわたと狼狽える蒲公英をいじるのはとっても楽しい。 
 とは言え、だ。きちんとせんといかん。馬家の処遇、避けては通れない。 
 そんな俺の内心を読んだのか、きゅ、と袖を掴んでくる。 
 数瞬躊躇うが、言うべきことをまずは言う。伝える。 
  
 「馬家はお家断絶。 
 ただし、馬岱及び馬家軍の戦(いくさ)働き、それ如何(いかん)による。 
  現状、馬岱は俺がその身柄を預かり、馬家軍はそれに準ずる」 
  
 まあ、翠がやらかしたことは蒲公英とその配下が購えということである。 
  
 「ふぇ?そんなんでいいの? 
 てっきりたんぽぽ、車裂きくらいはあるかなって思ってたんだけど」 
  
 まあ、そういう意見も袁家内であったというのは内緒だ。  
	- 944 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:11:11.15 ID:+NPOZYks0
 -  「蒲公英の身柄は俺が預かる。そう言ったろう?馬家軍にしてもそれに準ずるともさ。 
  ……それはそうと、よく頑張ったな」 
  
 じわり、と涙ぐむ蒲公英をやや乱暴に抱きしめる。 
  
 「よく、頑張った」 
  
 そう言うと、蒲公英はひし、としがみついてくる。 
  
 「ごめんなさい」 
  
 応えず、腕に力を込める。 
  
 「ごめんなさい。ごめんなさい。ほんと、ごめんなさい。二郎様、ごめんなさい。 
 叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」 
  
 「蒲公英は頑張った。俺がそれを知ってる。俺は分かってる」 
  
 ぎゅ、と蒲公英が俺の身体を掴む。骨が軋むくらいのそれは蒲公英の生きている証のようで、とっても、嬉しい。 
 だが、けじめはつけないといかんのだ。いや、不粋だろうが、それをはっきりと言わんといかん。 
 だけれども、できるならばもっと違う形であればよかった。できればよかった。 
  
 「……蒲公英、お前は、俺のものだ」 
  
 搾りだした声に蒲公英は応える。 
  
 「うん。二郎様。蒲公英は二郎様のもの。それでいいよ?ううん。それがいい。 
  だって、ずっとそうなりたかったもの。 
  だから、そうなって、こうなって、それでも嬉しいと思うの」 
  
 泣き笑いしている蒲公英。そ、と口づける。 
  
 「あ……」 
  
 かぁ、と頬を上気させる。そんな蒲公英がどうしようもなく、可愛い。 
  
 「お前は、俺のものだ」 
  
 こくり、と頷く蒲公英。 
 それがいじらしくて、可愛らしくて。 
 月並みな言葉を繰り返す。他に何も言えなくて。 
  
 「お前は、俺のものだ」 
  
 きゅ、としがみついてくる蒲公英。 
 荒々しく、或いは優しく。 
  
 「もっと、もっと早くこうなってたかった。ずっと、こうなりたかった。 
  でも、好き。大好き……」 
  
 或いは、あったかもしれない。馬騰さんにゴリ押しされてお見合いする俺と蒲公英。そんな未来があったかもしれない。 
 静かに泣きじゃくる蒲公英。ぎゅ、と抱きしめる。 
 今だけは。今だけは、辛いことから目を逸らそう。 
  
  嗚咽とも、嬌声とも。 
  暗闇に全ては吸い込まれていった。  
	- 945 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/27(月) 21:13:07.38 ID:+NPOZYks0
 -  本日ここまで 
 かんそうとかくだしあー 
  
 タイトル案は 
 「馬家二の姫 その処遇」 
  
 うーん、業務連絡かな? 
 しっとりした感じのやつあればくださいませ。 
  
 12/30-1/1は更新できないのでそれまで頑張りたいです頑張るぞいっと。 
 なんとか春休み、もしくはゴールデンには完結にもってきたいんですね  
	- 946 :青ペン [sage saga]:2021/12/28(火) 06:33:56.68 ID:hrLYsZeTo
 -  >>945 
 ほーん。 
 しっとり、ねぇ。 
 陽の華が溢す泪〜想いと願いと立ち位置と〜  
	- 947 :赤ペン [sage saga]:2021/12/29(水) 18:21:00.91 ID:rHP5DxZM0
 -  乙でしたー 
 >>まだまだ未熟な娘、しかもグダグダしてますから思うところはそりゃあ。。。 馬超さんについての説明ですよ 
 >>「グダグダしてます」って言ってる辺り文才の欠如は自認してるだろうしね  作者に対して何か思うところがあるのかもしれませんが読解力が低すぎると恥をかくので冬休みの間にもう少し本を読むことをお勧めします 
 >>931で 泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。 てっきり二郎(の周りの誰か)に拘束されたんだと思ったけど 
 >>941で そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた手枷も外させる。 とあるけどどういうこと?袁家の誰かに枷をはめるように自ら願い出たってことかな? 
 ○泣き出しそうな顔を見て、妥当かなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を見やり、それでも思う。 馬岱が自分でやったならこうかな 
  そう言って蒲公英が自ら嵌めてきた枷も外させる。 
 ○泣き出しそうな顔を見て、妥当かなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌めて、それでも思う。 兵士とかに頼んで嵌めてもらったならこう 
  そう言って蒲公英が自ら望んだ枷も外させる。 
 ○泣き出しそうな顔を見て、妥当だなあ。いや、軽いかなあと思う。手枷足枷を嵌められ、それでも思う。 話を聞いた誰かが「念のために」とか言って施したならこうかな? 
  そう言って蒲公英が抵抗もしなかったその枷も外させる。 あと手枷は外して足だけ残すとかちょっとマニアックな気がするので両方外しておきますね…足枷残しとく? 
 >>「この始末、どうしたらいもんか」  雷門? 
 ○「この始末、どうしたら良いもんか」 もしくは【どうしたもんか】…こっちだとちょっと軽いですが逆に軽くしようとしてるようにも読めるかな? 
 >>「その上で私見を述べさせて頂きます。馬家の誅滅は悪手かと〜」   あげないよ 
 ○「その上で私見を述べさせていただくなら、馬家の誅滅は悪手かと〜」 【述べさせる】にくっつく形で使う場合はひらがなですね、あと【ます。】で硬い感じの後に【かと〜】ってなると違和感が…少し好みを加えてみたり 
 >>942 
 >>けらけら、と明るく七乃が笑って。     実際に「けらけら」と笑う人は見たことないなあ…キン肉マンとかワンピースにはいるかな? 
 ○けらけらと明るく笑ったかと思えば。 【がははは、と豪快に笑う】とかならありかもしれませんね。後の文で急に真顔になって考え込んでるので接続詞をちょっと変更 
 >>数瞬の真剣な表情に背筋が寒くなる。 状況を思い浮かべると二郎の背中に抱き付いて耳元に口があるんだよなあ…顔見える? 
 ○数瞬の真剣な気配に背筋が寒くなる。 見える位置取りだっていうならそれでもいいですが一応 
 >>943 
 >>砂塵にまみれ、手枷を嵌められていた先ほどとは打って変わって。  手枷しかしてなかったのか足枷が見えてなかったのか… 
 ○砂塵にまみれ、罪人のような風体だった先ほどとは打って変わって。 【手枷足枷を】っていちいち書くのもなんか違う気はするんで 
 >>いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ?  ここは二郎に媚びへつらう為に扇情的な娼婦のような服を着る所でしょっ!! 
 ○いかにも深窓の令嬢っぽくていいぞ?」 実際どんな衣装着てるんだろう…何故か存在するパジャマみたいなやつかね?…あ、カッコ抜けてますよ 
 >>叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」 ほかのところでは基本的に入れてないし入れなくても良いかな 
 ○叔父様、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい」  最後は力いっぱい【ごめんなさいっ】とかもいいかも? 
  
 ちょっと飯食ってくるんで感想はまたあとで  
	- 948 :赤ペン [sage]:2021/12/29(水) 20:52:21.79 ID:rHP5DxZM0
 -  本当ならこんな糞みたいな報告した後でそんな理由で二郎の女になりたくはなかったんだろうなあ 
 二郎も(女として見てたかは置いといて)好ましく思ってた相手だしこんな形で抱くとか個人的な感情としてはやりたくなかっただろうに 
 というかもしかしてこれが初めてか?……私人としてよりも公人を優先して女を抱いたのって 
 二郎の女たちが引き込んだのはこれ色々と理由はあるだろうけど多分最終的には【タンポポを二郎が[ピーーー]選択をしたら二郎が気に病むから】が最大の理由なのでは 
 あるいは詠ちゃんの件で後悔してたのか  
	- 949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/12/30(木) 11:27:36.24 ID:hSXjvTS50
 -  >>928みたいにただいうだけ言ってればスルーされるだけで済んだのに 
 >>1の上げ足取ろうとしたばかりに赤ペン先生に添削されてしまった>>940 
 スルーしてあげてよぉww  
	- 950 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/30(木) 15:39:20.17 ID:iT9hHQ6p0
 -  >>946 
 どもです! 
  
 >陽の華が溢す泪〜想いと願いと立ち位置と〜 
 相も変わらぬセンスに戦慄 
 これはよいものだ・・・ 
  
 >>947 
 赤ペン先生ありがとうございます! 
 今年あと一回やれるかな・・・ 
  
 >とあるけどどういうこと?袁家の誰かに枷をはめるように自ら願い出たってことかな? 
 自分でやってることです 
 二郎ちゃんの信頼を裏切って、これから起こることをなんとなく分かっている 
 ※伊達のマー君の白装束とは違って本当に申し訳ないと思ってます 
  
 >本当ならこんな糞みたいな報告した後でそんな理由で二郎の女になりたくはなかったんだろうなあ 
 これです。ほんとこれです。本当にこれなんです。 
  
 >というかもしかしてこれが初めてか?……私人としてよりも公人を優先して女を抱いたのって 
 言われてみればそうかもしれない。 
 なるほど、そういうことになるのですね。うわあ…。 
 言っても双方の合意というか割と気持ち的に関係を結んでいますからね・・・ 
  
 >二郎の女たちが引き込んだのはこれ色々と理由はあるだろうけど 
 これですね。ここの読解がありがたい。 
  
 詠ちゃんはね、本当に惜しい人物でした 
 どうしようもなかった案件ではありますが  
	- 951 :青ペン [sage saga]:2021/12/31(金) 04:49:44.70 ID:euO1AdIso
 -  >>950 
 詠ちゃんおったらたぶんうまいこと 
 馬軍の取り成しとかできてたんやろなぁ…。 
 董軍と馬軍わりとちかしい感じだったはずだし 
  
 痛いなぁ…。 
 (わかってるのよ、処断しないと色々と成り立たなかったってのは…落とし前的にも建前的にも)  
	- 952 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/31(金) 12:51:42.20 ID:DuIW9Rsn0
 -  >>951 
 なお、董家陣営存命の場合馬騰さんいなければ普通に馬家が乗っ取られていたであろう未来しか見えない 
 多分馬家姉妹も納得の上で董卓をトップに賈駆が実権を握る感じだったであろう 
 馬超さんは戦場で馬家の誇りを示せてニッコリ 
  
 詠ちゃんが有能すぎるんや  
	- 953 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2021/12/31(金) 13:13:13.87 ID:DuIW9Rsn0
 -  あと詠ちゃんには野心もたくさんある 
 これは華琳様陣営以外では割とないものです 
 ※蜀陣営は考えないものとする  
	- 954 :赤ペン [sage saga]:2022/01/01(土) 00:02:55.03 ID:ybNtfgyZ0
 -  あけましておめでとうございます 
 今年もよろしくお願いします。  
	- 955 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/01(土) 12:03:14.30 ID:1XE3XIJ+0
 -  あけましたおめでとうございます! 
 今年もよろしくお願いします。 
 今年のGWくらいに完結できたらいいなー 
  
 その後はオリジナルをやるのじゃ・・・ 
 書籍化を目指すぞ 
 言うだけならタダだから言ってみます  
	- 956 :赤ペン [sage saga]:2022/01/03(月) 17:55:23.63 ID:zKx1yApj0
 -  ついでに漫画化とアニメ化と映画化も狙っていけ 
 
	- 957 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/03(月) 17:56:55.37 ID:Ls/9YdUl0
 -  ヨシ! 
 実写化も狙うやで!  
	- 958 :赤ペン [sage saga]:2022/01/03(月) 22:24:29.51 ID:zKx1yApj0
 -  忘れてた…ゲーム化も良いぞ! 
 
	- 959 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/03(月) 22:37:00.25 ID:Ls/9YdUl0
 -  挙げられたハードルをクリアしたい 
 頑張りますちょっと待ってね明日は頑張るぞいっと。  
	- 960 :赤ペン [sage saga]:2022/01/04(火) 13:33:12.67 ID:+zd7BZf10
 -  実写化?…ネギま…ルパン…ドラゴンボール・・・うっあたまが 
 金田一…銀魂…テルマエ…カイジ…そうだな!きっと大ヒット作品になることだろう  
	- 961 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/13(木) 22:26:00.79 ID:SZ/0yYA80
 -  「ゆうべはお楽しみでしたね」 
  
 「うっさいわ」 
  
 ぽこり、と風のどたまに鉄槌を振り下ろす。 
  
 「おお、痛い痛い。 
  風は主の暴虐に全身全霊で抗議する所存なのですよー」 
  
 わーわーと騒ぎ立てる――楽しそうに――風である。 
 色々と言いたいことはあるのだが、何を言おうかなあと思っていたら稟ちゃんさんが引き取ってくれた。 
  
 「風、いい加減にしなさい。ふざけている場合ではないでしょうに」 
  
 「おお、怖い怖い。まあ、それでは現状を整理しましょかね。 
  蜀と名乗る不逞の輩。コナをかけた勢力は多々ありますが脅威になりそうなのはそこまで多くありません。 
 これは二郎さんが反董卓連合の後、諸侯軍の補給の梯子を外したおかげですね。 
  まあ、それでも無視できない勢力はまだこの中華に残っております」 
  
 まあ、そうよね。黄巾の乱で認められた諸侯の私兵。それをゴリゴリと削る作業の途中ではあったのだよ。参勤交代とかやったろうかとか思っていたくらいに。 
  
 「脅威となりそうな勢力。蜀と連動しそうな順に行きましょう。 
  韓遂、劉焉含む益州、曹家、黒山賊、孫家。あとは……有象無象の諸侯ですかね」 
  
 「西方はガタガタだな……。東方の諸侯にも睨みをきかさんといかんし、手駒が足りんな」 
  
 やはりここは当初の予定通り……。 
  
 「ここは孫家を使おう。流石に手が回らん」 
  
 ちろ、とメガネを光らせて稟ちゃんさんが問うてくる。 
  
 「よろしいのですか?袁家単体で蜀を撃滅するという当初の方針を放棄することになりますが」 
  
 「構わん。お題目に拘っている場合じゃない。なに、俺の面子が潰れるくらいどうということもない。使えるモノは全部使う。全部、な」 
  
 出し惜しみなんてしている場合じゃあないのだ。彼奴らには、思い知らせてやる。誰に喧嘩を売ったのかをな。 
  
 「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召還しろ」 
  
 「大人しく来ない場合はどうしますか?」 
  
 稟ちゃんさんの問いに俺は清々しく応える。 
  
 「長安失陥くらいは覚悟しとくか」 
  
 韓遂が本気で来たらそんくらいは覚悟せんといかん。長安を空にして焦土戦術とか色々と考えたりするが、現実的じゃないしなあ。まずは蜀を討つことに集中せんと……。 
  
 「そんな二郎さんにお客さんが来てますよ?」 
  
 どこからともなく現れた七乃がそんなことを言う。 
  
 「追い返せ、今は来客の相手をしている場合じゃない」 
  
 「あららー、名前くらいは聞いた方がいいんじゃないですか?」 
  
 まあ、七乃も今がどういう状態かって分かってるもんな。取り次ぎに来たってことはそれなりの存在か。 
 ……華琳じゃありませんように。 
  
 「韓遂さんが涼州よりおいでですー」 
  
 なん……、だと……。  
	- 962 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/13(木) 22:26:34.17 ID:SZ/0yYA80
 -  ◆◆◆ 
  
 「遠路はるばるご苦労さん。丁度俺もあんたに会いたいと思ってたところさ」 
  
 韓遂は目の前の男を改めて見る。 
 ――今上帝は政務にまるで興味を示さず後宮に籠りっきりである。 
 自然、政治の全権は袁紹が握ることになる。そしてその袁紹が絶大な信頼を寄せているのが目の前の青年、紀霊である。彼が実質今の漢王朝を牛耳っていると言っていい。 
 無論それに対する反発も大きいのではあるが、表だって反抗する者はいない。 
 袁紹という後ろ盾、司徒という地位もそうなのだが。何より苛烈な宦官への粛清、弾圧――逃亡した宦官への捜査、取調べと言う名の拷問――の記憶はまだ新しい。 
 宮中を血に染めて全く揺るがぬその姿。一部で魔王呼ばわりされるだけのことはあるのである。 
  
 「涼州の一大事ゆえ。単身発った蒲公英の身も気になりますし、な……」 
  
 当然韓遂は馬岱の身の処し方については想定内。 
 いや、手の者を使い使嗾さえしたのだ。まあ、馬岱が容れられても容れられなくとも韓遂にとっては同じことではあったのだが。 
 紀霊が容れればよし、排除してもよし。 
 どちらにしても涼州の実効的支配権は韓遂の手に転がり込むのだ。後はどれだけ高値で売りつけるか、だ。 
  
 「……」 
  
 紀霊はばりばり、と頭をかき、はあ、とこれ見よがしにため息を吐き、懐から取り出した物を韓遂に投げつける。 
 すわ、暗器の類か、と身構えるも、緩やかな放物線を描くそれをぱし、と受け取る。 
  
 「これは……!」 
  
 流石の韓遂が言葉を喪う。 
  
 「おお、流石に見誤らんか。そうだ。見慣れている品だな。そう、涼州牧の印綬さ。 
  それが欲しくて洛陽まで来たんだろう?くれてやるよ」 
  
 す、と表情を消して韓遂は問う。 
  
 「随分とあっさりしていますな?」 
  
 苦笑一つ。いや、それは笑みだったのだろうか。 
  
 「馬家はお家断絶まっしぐらさ。だったら涼州をまとめられるのは貴様しかいないだろうが。 
  涼州は匈奴の盾となる重要な地域。荒らすわけにはいかん」 
  
 目を合わせることもなく、淡々とした言葉に激情が漏れる。 
  
 「……この私を駒扱いするか。舐めるなよ、小僧!」 
  
 裂帛の気合いに紀霊の横に控えていた護衛――典韋と楽進――が臨戦態勢をとる。その殺気は研ぎ澄まされ、物質化されたかのように韓遂を貫く。 
 が、幾多の修羅場をくぐった彼がそれごときで怯むはずもない。無手であっても、だ。 
  
 「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が、知れる……。 
 主の都合を洞察できないとはな」 
  
 傲岸不遜に吐き捨てる。その言に護衛の二人がたじろぐ。 
 武勇はともかく政治的なやりとりは彼女らには埒外。自分たちの行動で主に迷惑をかけたのか、と。  
	- 963 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/13(木) 22:27:05.16 ID:SZ/0yYA80
 -  「二人とも、落ち着いてねー。 
 それと引き続き警戒よろしく」 
  
 紀霊の言葉に護衛の二人はさきほどまで放っていた殺気を霧消させ、彫像と化す。 
  
 「――。 
 一頭の虎と、一万匹のネズミ。殺しつくすのって、どっちが楽かな?」 
  
 ニヤリ、と笑う紀霊の凄味。言葉の寓意。 
 韓遂が内心で驚愕する。この私が気圧されるだと! 
  
 「虎が一頭とは限りますまい。涼州騎兵は一騎当千。いかがされる?」 
  
 その声に紀霊は苦笑する。 
  
 「だったら根切りしかないだろうさ。 
 涼州騎兵、その性質。ひたすらに叛であれば世の害悪。涼州を焦土とするさ。 
 韓遂よ。俺が農業に詳しいというのは衆知の事実。これまで中華を肥沃な大地としてきた。だったら……焦土にすることもできる、と。思わないか……?」 
  
 「な!」 
  
 「まあ、そうはならんと思っているよ。馬騰さんはそんな人じゃあなかった。 
 漢朝に叛いたのも一族郎党を道連れにしてでも諫言をするためだった。 
 少なくとも俺はそう思っているよ。ああ、惜しい人物を亡くした。心からそう、思うよ……」 
  
 重苦しい沈黙が落ちる。その沈黙を打ち破ったのは韓遂であった。 
  
 「……これは紀霊殿は冗談がお得意の様子。涼州騎兵は漢朝の忠実な臣ですとも。蒲公英は身一つでその忠誠を誓いましたがな。 
 ああ、蜀なぞという不埒な賊軍。度し難いというもの。涼州騎兵の最精鋭五百、ご用意いたしました。蒲公英はあれでその軍才はなかなかのもの。 
  お役立ちになるかと……」 
  
 事実上韓遂が紀霊の軍門に降った瞬間である。 
  
 「ん、その忠勤。陛下にも伝えておく。ご苦労!」 
  
 言い捨てて去る紀霊の背を見ながら韓遂は思う。 
 流石に、義兄がベタ褒めするだけのことはあったな、と。 
  
 そして韓遂は涼州の牧にほどなくして任命されることになる。 
 馬超の出奔。更に馬岱の紀霊への従属。ともすれば崩壊しそうな涼州を支えたのは間違いなく韓遂であった。  
	- 964 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/13(木) 22:27:54.62 ID:SZ/0yYA80
 -  本日ここまですー 
 かんそうとかくだしあー 
  
 俺はやるぜ俺はやるぜ俺はやるぜ・・・  
	- 965 :赤ペン [sage saga]:2022/01/14(金) 10:16:22.54 ID:3DHIZ6uW0
 -  乙でしたー 
 >>961 
 >>ちろ、とメガネを光らせて稟ちゃんさんが問うてくる。    間違いではないですが【ちろ】だと舌とか出してそう…いやん、なまめかしい 
 ○メガネを光らせて表情の読めない稟ちゃんさんが問うてくる。 詰問するなら【ギラリ、と】そう来るか、と感心したなら【きらり、と】な気がしますがあえてここは真意を問うために無表情?でどうでしょう 
 >>「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召還しろ」 【召還】は呼び戻すことなのでちょっと違いますね(まあ州牧とかきっちりと漢の臣としての職についてるならありかもですが) 
 ○「手始めに、一番物騒な奴から手を付けよう。韓遂を召喚しろ」 FFの【召喚獣】みたいに呼び出す、呼び付けるならこちらです(直臣じゃなくて陪臣みたいなものよね?) 
 >>962 
 >>いや、手の者を使い使嗾さえしたのだ。      間違いと言うほどではないのですが【使嗾】には悪事をけしかけるニュアンスがあり、馬岱を悪い方へ誘導したように聞こえます。が、馬岱からにしろ二郎からにしろこれは悪手とは言えないので 
 ○いや、手の者を使い焚き付けることまでしたのだ。 良い事か悪い事かは置いといて小さい火を大きくするような事をしたならこのあたりでどうでしょう 
 >>「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が、知れる……。 これだと冷や汗一つは掻いてそう…傲岸不遜に吐き捨てるなら 
 ○「生(なま)の殺気を剥き出しにするなど、お里が知れる……。  の方が良さそうかな?あくまで好みのレベルですが 
  
 韓遂が馬騰さんのことを嫌ってはいても信じてたようなめんどくさい内心が溢れててとっても良き 
 求めてた物が転がり込んできた時の激発による呼び水とか見るとこいつを義弟にした馬騰さんの(自分が間違えた時はこいつが止めてくれるだろう)みたいな心情まで伝わるようで良き 
 そりゃ反董卓連合の時にこいつはしっかりと涼州守るわ…敵討ちとかはしないし部下に殺された間抜けめ、とは思ってもその娘の敵討ちの邪魔はしない感が出てた  
	- 966 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/15(土) 14:02:23.01 ID:20lo4xQX0
 -  >>965 
 赤ペン先生ありがとうございます! 
  
 >韓遂が馬騰さんのことを嫌ってはいても信じてたようなめんどくさい内心が溢れててとっても良き 
 書いてて私も「こいつめんどくさい!」とか思ってましたw 
  
 >そりゃ反董卓連合の時にこいつはしっかりと涼州守るわ…敵討ちとかはしないし部下に殺された間抜けめ、とは思ってもその娘の敵討ちの邪魔はしない感が出てた 
 そう考えると親戚のおじさんムーブに見えないこともないですねw  
	- 967 :青ペン [sage saga]:2022/01/17(月) 10:22:56.28 ID:+StJvMtJo
 -  >>964 
 乙ーい。 
 義兄の幻影〜護るべきもの〜 
 でどうかの  
	- 968 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 19:30:23.85 ID:4lqDpJYF0
 -  >>967 
 どもです! 
  
 幻影いいなあ 
 これは使いたい 
 これはいいやつっですありがとうございます! 
 なんか馬騰さんと韓遂を示唆するような言葉ないかなあ。。。  
	- 969 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:11:57.10 ID:4lqDpJYF0
 -  「凄いな……」 
  
 積み上げられた食糧の山に北郷一刀は感嘆の息を漏らす。見渡す限り物資の山、である。しかもこれは多数ある物資貯蔵庫の一つでしかないのだ。 
  
 「はい。百万の兵を百年養うだけの食糧があります」 
  
 襄平だけで、である。 
  
 「あるところにはある、か……」 
  
 嘆息する。一体、義勇軍当時の切迫した食糧事情とはなんだったのだろうか、と思う。 
  
 「食糧だけではありません。武器、防具、それに金銭……。 
 膨大な量が確認されています」 
  
 ぺらり、と資料をめくりながら諸葛亮は応える。 
  
 「袁家の財、恐るべしというか、もうなにがなんだか分からないな」 
  
 たはは、と言った風に北郷一刀は苦笑する。規模が膨大過ぎて実感がわかないというのが実際のところである。 
 そんな北郷一刀に諸葛亮は苦笑する。 
  
 「ええ、ですが。幽州のみでこれなのです。積み上げた袁家の財貨。敵に回すとなると……」 
  
 内心で諸葛亮は舌打ちする。まさかこれほどの蓄財があるとは思っていなかった。 
 流石常備軍を数万単位で運用できるはずだ。 
 いや、にしてもこれは想定外にもほどがある。 
 これほどの蓄財を、戦乱を経て可能にした袁家。その脅威に諸葛亮は内心舌打ちを重ねる。 
  
 「そっか、そうだな。ちょっと浮かれてた。ごめんな、朱里。引き締めてくれてありがとな」 
  
 「はわわ……」 
  
 先ほどまでの懊悩もどこへやら。諸葛亮は頬が上気するのを自覚する。 
 そして撫でられたところからじわり、と幸せな熱が広がっていくのも。恍惚感で思考が麻痺していくのをぷるぷる、と頭を振って防ぐ。 
  
 「お昼からの会議ですが、事前にご主人様にはご報告いたします」 
  
 劉備はともかく、実質的な組織のトップである北郷一刀が色々な報告に一喜一憂するのは好ましくない。 
 泰然と、悠然と、どっしりと構えていてくれないと困るのである。 
  
 「お、なんかあったのか?」 
  
 「はい。まずはよい報せからです。ご主人様の呼びかけに翠さんが応じてくれました。 
 州牧の地位を投げ打って此方に合流してくれるとのことです」 
  
 「翠が、か!いや、持つべきものは、だな!」 
  
 北郷一刀の声に諸葛亮は深く頷く。馬超が出奔したというのは実に大きい。 
 州僕という漢朝で十三席しかないその席を蹴ってまで動いたのだ。これにより蜀はその影響力を内外に示すことができた。馬超の動きなくしては多方面への呼びかけも所詮は絵空事であったのだ。 
 それが、だ。涼州の韓遂、益州の劉焉と劉表。荊州の孫家に洛陽の曹家。 
 さらには黒山賊や東方の諸侯。それらの動きに備えなければならなくなるのだ。 
 いかに諸葛亮と鳳統の神算鬼謀あろうとも圧倒的な大軍を前にしては勝機も薄くなるというものである。 
 贅沢を言えば、涼州まるまる手にしたかったものだが。  
	- 970 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:12:23.28 ID:4lqDpJYF0
 -  「更に行方不明だった恋さんも此方に向かっているそうです」 
  
 万夫不当。単騎で三万の軍を撃退したという呂布の武、そして騎兵を手足のように操る将才――実際に指揮を執っているのは陳宮なのだが――。 
 飛将軍の武名は中華最大なのである。 
  
 「恋か!いや、久しぶりだなあ。ねねやセキトも元気だといいなあ」 
  
 なにせ呂布だ。北郷一刀は満足げな笑みを深める。そう、呂布なのだからして。 
  
 「……黒山賊とは相互不可侵、限定的な戦力の貸与、情報交換で合意できそうです」 
  
 兵力的には最大の勢力が黒山賊である。五万とも、十万とも言うその兵力。 
 そして、そもそも黒山賊と紀霊は不倶戴天の仇敵である。漢朝で紀霊の影響力が大きくなる一方の現状が好ましくないのは分かっていた。まあ、妥当な線であろうと諸葛亮は思う。 
 ここまでの情勢、非常に順調である。そう、順調なのだ。 
 だが、一手足りない。あと一手足りないのだ。 
 諸葛亮からしたら、あと僅か一手足りない。 
 例えば、孫家の当主が孫策であればこれを好機として大いに盤上をかき乱すことができただろう。 
 例えば、曹操が州牧や太守として地方に在ったならばこの状況を利用してのし上がることを使嗾すらできただろう。 
 そして、例えば劉焉が益州の州牧であれば、荊州や漢中を分捕りに出たであろう。その、一手さえあれば、と内心歯噛みする。 
  
 「そか、結構順調だな。これも朱里や雛里が頑張ってくれたからだな。ありがとうな」 
  
 「はわわ……」 
  
 きゅ、と抱きしめられて諸葛亮は恍惚とする。このまま耽溺したいが、報告はまだ終わってはいない。 
  
 「ご、ご主人様、いけません……。まだご報告がおわってましぇん……」 
  
 「朱里はかわいいなあ。そんなに肩肘はらなくてもいいんだぞ?」 
  
 「わ、わたしたち蜀は朝敵として討伐されるとのことでしゅ……」 
  
 うっとりとその温かさに身を委ねながらも諸葛亮は義務を果たそうとする。 
  
 「朝敵?今更って感じだけどなあ……」 
  
 それがどうしたと言わんばかりの北郷一刀の剛毅な声。 
 それに再び諸葛亮はうっとりとしそうな自ら。それに喝を入れながら続けて報告する。 
  
 「と、討伐軍が組織されます。総大将は紀霊」 
  
 その名前にぴくり、と北郷一刀は反応する。 
  
 「あいつ、か」 
  
 厳しい表情もご主人さまは素敵だなあ、などと思いながら諸葛亮は報告を続ける。 
  
 「はわわ……。はい。大きく五つの軍団にて編成され、その将を五虎将と称しています。 
 紀霊本人は征夷大将軍として討伐軍の全権を握っているとのことです。 
 北伐として陳琳が出師の表なんてもので上奏したそうです……が?」 
  
 どうされました?との言葉すら吐けない。 
 どんな時も悠然としていた自らの主が、その顔色を蒼白にしているのだ。  
	- 971 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:12:49.43 ID:4lqDpJYF0
 -  「朱里、朱里よ。お前、それ。 
 それ、マジか?」 
  
 「え?は、はい。確かな情報です。五虎将は紀霊、顔良、文醜。それに星さんと白蓮さんとのことですが……」 
  
 「なんだよ、それ!くっそ!畜生!そんなの、ありかよ!」 
  
 激昂する北郷一刀に、諸葛亮は何と言葉をかけたものかと戸惑う。 
 諸葛亮の知恵をもってしも彼が何故これほどまでに荒れているのかが分からないのだからして。 
  
 「朱里……!」 
  
 「はい!」 
  
 搾りだしたような主の声に諸葛亮は応える。 
  
 「朱里。朱里は諸葛孔明、だよな……」 
  
 「はい。そうです……?」 
  
 戸惑ったような諸葛亮と目も合わせず、北郷一刀は声を絞り出す。 
  
 「紀霊――魔王。奴は俺と同じかもしれない。――いや、きっとそうなんだろう。 
  くそ!なんで気づかなかった!阿蘇阿蘇(アソアソ)!母流龍九(ボルタック)商会!ヒントはあったじゃないか! 
  あったんだよ朱理!」 
  
 苦悩に吠える北郷一刀に諸葛亮は数瞬戸惑い、まぶたを閉じる。 
 そして数秒後、刮目し微笑する。 
  
 「なるほど。分かりました。今、理解しました。全てを。 
  紀霊。それこそが発端にして元凶。 
 言わばこの世の歪み……。つまり、ご主人様の敵……」 
  
 くすくす、と諸葛亮は笑う。それまでの憂いを帯びた笑みではなく、満面の笑み。晴れ晴れとした笑み。 
  
 「朱里?」 
  
 その変貌に戸惑う声に諸葛亮は応える。 
 笑みを浮かべたままに。 
  
 「ご主人様。ご安心を。一切、お任せくださいな」 
  
 くすり、と諸葛亮は笑う。笑みを深める。深く、深く。より深く。 
 そして浮上し、破顔する。 
  
 「見ぃつけた……」 
  
 その言葉は闇に散じて、誰の耳にも届くことはなかった。  
	- 972 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/17(月) 21:14:19.59 ID:4lqDpJYF0
 -  本日ここまですー 
  
 かんそうとかくだしあー 
  
 今回はきちんと案考えたのよ、題名案ね 
  
 「発覚」 
  
 ちょっと味付けあればよろしくお願いします。 
  
 またリアルが忙しくなる前にいけるだけどんどこいきたい! 
 こっから風ちゃんが頑張るはずなのだが 
 なのだが!  
	- 973 :青ペン [sage saga]:2022/01/18(火) 05:31:13.41 ID:ptQACANGo
 -  >>972 
 ふむ…。 
 【点と線〜異世界の理が繋げた真相〜】 
 でどうじやろ  
	- 974 :赤ペン [sage saga]:2022/01/18(火) 17:11:08.71 ID:CWF4zCYm0
 -  乙でしたー 
 >>969 
 >>たはは、と言った風に北郷一刀は苦笑する。 【たはは】と言ったのかな、言ってないのかな? 
 ○呆れた、と言った風に北郷一刀は苦笑する。 この食料を溜め込まなければどれだけの民が救われたのか…僕は決め顔でそう言った 
 ○たはは、と北郷一刀は苦笑する。      ただ単純に圧倒されてるだけで実感も湧いてないようですしこっちの方が良いかな? 
 >>劉備はともかく、実質的な組織のトップである北郷一刀が色々な報告に一喜一憂するのは好ましくない。   幹部連中ならそれでも勝手に(こいつは私が守らないと駄目な奴だな(キュンキュン))とかするから大丈夫だろ 
 ○劉備はともかく、天の御使いで実質的な代表である北郷一刀が色々な報告に一喜一憂するのは好ましくない。 でもそれって根本的な解決になっていませんよね?最悪の場面で馬脚を現さないといいですね 
 >>「翠が、か!いや、持つべきものは、だな!」 間違いと言うほどではないですが 
 ○「翠がか!いや、持つべきものは、だな!」  【、か!】って喋り言葉として違和感が 
 >>州僕という漢朝で十三席しかないその席を蹴ってまで動いたのだ。 親友だった幽州牧を後ろから刺した奴がいるんですよ〜 
 ○州牧という漢朝で十三席しかないその席を蹴ってまで動いたのだ。 なぁ〜にぃ〜?やっちまったなあ! 
 >>さらには黒山賊や東方の諸侯。それらの動きに備えなければならなくなるのだ。   前の文の【絵空事であった――それが――さらに】と続くので 
 ○さらには黒山賊や東方の諸侯。それらへの働きかけにも俄然信憑性が生まれるのだ。 馬○な女が動いたことで他の奴等も動かせる可能性が上がったのでこんな感じ? 
 >>970 
 >>それに再び諸葛亮はうっとりとしそうな自ら。それに喝を入れながら続けて報告する。   頭撫でるくらいならともかく抱きしめるとかよくこの場面でできるな 
 ○それに再び諸葛亮はうっとりとしそうになる。そんな己に喝を入れながら続けて報告する。 【。】で区切るならこの方が良さそうかな 
 >>厳しい表情もご主人さまは素敵だなあ、などと思いながら諸葛亮は報告を続ける。 好みの問題ですが 
 ○ご主人さまは厳しい表情も素敵だなあ、などと思いながら諸葛亮は報告を続ける。 【情けない泣き顔でもご主人様は素敵だなあ】くらいにマイナス方面でも〜ならともかく【厳しい表情】くらいだとこの方が良さそうかな 
 >>971 
 >>諸葛亮の知恵をもってしも彼が何故これほどまでに  董卓と買駆が処刑された時も悠然としてこれ幸いと呂布の心の隙間を埋めてたのに! 
 ○諸葛亮の知恵をもってしても彼が何故これほどまでに 理解してる歴史知識と理解できないこの世界の常識にはビビらないけど理解できる自分が無関係な歴史のずれは怖い…普通だなw! 
  
 >>それがどうしたと言わんばかりの北郷一刀の剛毅な声。 それ剛毅ちゃう、理解できてないだけや。王様に「おいおっさん」っていうあれや 
 >>くそ!なんで気づかなかった!阿蘇阿蘇(アソアソ)!母流龍九(ボルタック)商会!ヒントはあったじゃないか! バロック商会「そうだよ」ゴッドヴェイドゥ「しかりしかり」農徳新書の内容「ヒントは出していたのですが」 
 見つけたぞ!世界の歪み!…俺が、俺たちが。ガンダム(正義)だ!ですね分かります…いやそうはならんやろ何でそこが蜀になるのよ歴史の歪み筆頭そこやろ 
 一刀君が気にしてないからって他全員が気にしないかっていうとどうなんだろうなあ>>朝敵認定 
 ヒロインたちは一刀を信じるとして一般兵はどうなんだろうなあ(なお魅了 …完璧な対応ですね 
 ところで>>「はい。百万の兵を百年養うだけの食糧があります」 これ盛り過ぎじゃない?1か所でその量は…いや適正な量はどれだけよ?と聞かれると困るけど 
 10万の兵を10年…そんな蔵が他にも数か所あるとかで十分な気がします  
	- 975 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/19(水) 20:28:13.85 ID:NjqS3nxp0
 -  >>973 
 どもです! 
  
 これでいいかな感がすごい。 
 いつもながら言葉のチョイスがオシャレすぎませんかねぇ 
  
 >>974 
 赤ペン先生ありがとうございます! 
  
 >それ剛毅ちゃう、理解できてないだけや。王様に「おいおっさん」っていうあれや 
 そこに気付くとは、やはり天才かw 
  
 > バロック商会「そうだよ」ゴッドヴェイドゥ「しかりしかり」農徳新書の内容「ヒントは出していたのですが」 
 見つけたぞ!世界の歪み!…俺が、俺たちが。ガンダム(正義)だ!ですね分かります…いやそうはならんやろ何でそこが蜀になるのよ歴史の歪み筆頭そこやろ 
  
 一応、二郎ちゃんが撒いてた餌はねw 
 なお、その筋の方が来てたら農徳新書見たら分かると思われます 
  
 >ヒロインたちは一刀を信じるとして一般兵はどうなんだろうなあ(なお魅了 …完璧な対応ですね 
 メタで勝ちを拾おうとする二郎ちゃんとは相性最悪とも言えますw 
 いや、本当に相性悪いんですよねどう考えても 
  
 >ところで>>「はい。百万の兵を百年養うだけの食糧があります」 これ盛り過ぎじゃない?1か所でその量は…いや適正な量はどれだけよ?と聞かれると困るけど 
 ええと、そりゃ盛ってますが盛ってません。 
 白蓮ちゃんさんはそんだけ頑張ってましたし、大事なのはインパクトですし。 
 ですが、あれですよ。ネタバレになるから開示できませんが、それでも問いましょう 
  
 「食料の備蓄は十分か?」 
  
 と。 
 正直二郎ちゃんに秀吉メソッドはやらせたくないDEATH  
	- 976 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/19(水) 20:29:03.55 ID:NjqS3nxp0
 -  日輪がまだ地平線より上る前。払暁前。 
 いつもならば立ち上がり、立木打ちをするのだが中々そういう気にもならない。 
 なんとなれば、だ。 
  
 「気が進みませんか〜」 
  
 「起きてたのか、風」 
  
 すやすやと、先ほどまで寝息を立てていた風がそんなことを言う。 
  
 「そですね、起きていたとも言えるし、今でもぐっすりなのかもしれませんね。 
  ええ、夢心地ということです〜」 
  
 ふんわりと眠たげに笑い、俺の胸に飛び込んでくる。 
  
 「どうした急に」 
  
 すぐには応えず、ぐりぐりと頭を押しつけてくる。 
 こんなにひっついてくるのは珍しい。というか初めてじゃないかな? 
 思えば、風から部屋に来るのも珍しいことではあった。 
  
 「くふふ、たまにはいいじゃありませんか。 
  常には抑えていた慕情が溢れてしまったということで一つ」 
  
 「いやそんな慕情とかあったのなら嬉しいけどね? 
  というかそんなことを口にするのも初めてじゃね?」 
  
 「くふ、そうでしたっけ? 
  これはいけませんね。思いを口にしないと伝わらないものもありますからね〜。 
  ええ、そうですね。 
  そですね〜」 
  
 ふわり、と立ち上がる。 
 一糸まとわぬその姿はある種の神々しさすらあり、息を呑んでしまう。 
  
 「幾百、幾千、幾億の夜を重ねてなお、やはり二郎さんなのですよ。 
  ええ、そうです。そうなのですよ。二郎さんの横で見る月はとても輝いてます。 
  二郎さんとご一緒させていただくお酒はとっても美酒です。 
  だから、幾度でも選びます。それが二郎さんなのです」 
  
 いつもの、ある意味胡散臭さのある言葉ではなく、透き通った心を感じた。実際、いつもの風らしくない。 
 それでも、とても大切なものが含まれている。そしてそれはとても貴重なもの。ありえないもの。 
 何より、風が涙を。 
 抱き寄せ、その真珠に口づける。 
  
 「いつだって、俺のメイン軍師は風さ」 
  
 もっと気の利いたことを言えればよかったのかもしれない。でも、俺の肺腑から出たのはその言葉だった。 
  
 一瞬、きょとんとして。 
  
 「くふふ、ありがたき幸せ、というやつなのですよ〜」 
  
 「そうかい、だったら嬉しいね。これからもお見捨てなきように頼むわ」 
  
 くすり、と笑みは深まる。 
  
 「こちらの台詞です〜。 
  ええ、二郎さんのために頑張っていこうと決意を新たにしております〜」 
  
 常ならば胡散臭い、或いは真意が五里霧中な風の言葉だ。 
 だが今日のそれは、まごころ、のように感じた。  
	- 977 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/19(水) 20:34:14.55 ID:NjqS3nxp0
 -  本日ここまですー 
  
 かんそうとかくだしあー 
  
 題名は「メイン軍師との語らい」 
  
 ですかね 
  
 はい。風ちゃんはね。そういうことです。 
 前にちょっとやりましたけんども。 
  
 「周回してます」 
  
 おやすみすやすやというのはRTAだったんですね(違います) 
 そしてここからガチで風ちゃんはやっていきます。 
 七乃さんの頑張り物語。 
 更に風ちゃんも頑張る物語であります。 
  
 頑張るぞいっと。  
	- 978 :青ペン [sage saga]:2022/01/19(水) 22:15:00.39 ID:QxwbAhZro
 -  >>977 
 ふーむ。 
 褥を重ねて、想いを重ねて 
 としてみますか  
	- 979 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/19(水) 23:19:35.88 ID:ZzqszCb70
 -  かぜの止まり木になれるような変な男…受け入れる器というには穴が開いてそうだけどw 
 でも穴が開いてるからこそ風が通り抜けれる。的な  
	- 980 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/01/20(木) 08:58:41.86 ID:7+lWwR2eo
 -  風ちゃん可愛いよ風ちゃん 
 自分にとっても最推しキャラなので今回の題案応募は気合を入れて 
  
 題案は 
 『真月麗しく、心そよ風に笑む』 
 などと。 
  
 貴方の隣で見る月は真に麗しく、貴方と共にある心はそよ風にすら笑む程に幸せである 
 その時表出したのは常は隠している『真』『心』であり、その言葉はきっと真実である  
	- 981 :赤ペン [sage saga]:2022/01/21(金) 11:08:10.14 ID:5pCQv4Cn0
 -  乙でしたー 
 >>976 
 >>いつもならば立ち上がり、立木打ちをするのだが中々そういう気にもならない。   【立ち上がり】だと倒れてたような感じがするので 
 ○いつもならば目覚ましがてら、立木打ちをするのだが中々そういう気にもならない。 あるいは【いつもならば、起きて立木打ちをする頃合いなのだが中々そういう気にもならない。】とかどうでしょう 
  
 >>二郎さんの横で見る月はとても輝いてます。 【月が綺麗ですね】ですね分かります…「私は太陽の方が好きです」とか返したら嫌みが天元突破しそうwww「死んでもいい」はこの場では不適切だしやっぱりここは「星も綺麗ですよ」が良いのかしら?…駄目だ親友にそのものずばり星がいやがる! 
 ここは「心地よい風があればこそだよ」とか言ってみるか 
 >>「いつだって、俺のメイン軍師は風さ」 その返しは思いつかなかった!まさかここで自分がこの世界にとって異物であることを教えるとは…それでも普通の相手なら分からなくてきょとんとするだけのようなわずかなそれを 
 理解されなくても構わないような吐露を、風だからこそその言葉の意味を理解できて、でも理解したことを悟らせるでもなく…ああぁ〜すきぃ〜〜 
 これまでしこしことカタカナ警察をやってた努力が望外の報われを受けた瞬間に絶頂不可避ですよ  
	- 982 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/21(金) 22:08:19.18 ID:cylJlD7R0
 -  嬉しい。 
 読み取っていただけて嬉しい。 
 感想返しはちょっと待って下さいませ。 
 いやほんと 
 嬉しい。  
	- 983 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/01/23(日) 06:00:29.80 ID:kIe2gwsT0
 -  >>978 
 どもです! 
 しっとりとしててよきです 
  
 >>979 
 感想ありがとうございます。 
  
 >かぜの止まり木になれるような変な男…受け入れる器というには穴が開いてそうだけどw 
 割れ鍋に綴じ蓋という言葉が連想されました 
 いえ、特に深い意味はないんですけんども 
  
 >>980 
 感想ありがとうございます。 
  
 >風ちゃん可愛いよ風ちゃん 
 そうなんですよね。可愛いんですよ。 
 どうしたってヒロイン多いから出番があってもコミカル腹黒描写がメインになってしまうのですが 
 久々に可愛いところをみせてくださいました。 
  
 >『真月麗しく、心そよ風に笑む』 
 美しい。仮採用ということで一つ。 
 いや、分量的に他の話とがっちゃんこする可能性も高いですが 
  
 >>981 
 赤ペン先生どもです! 
  
 > 【月が綺麗ですね】ですね分かります…「私は太陽の方が好きです」とか返したら嫌みが天元突破しそうw 
 程cになってしまうw 
  
 >まさかここで自分がこの世界にとって異物であることを教えるとは…それでも普通の相手なら分からなくてきょとんとするだけのようなわずかなそれを 
 >理解されなくても構わないような吐露を、風だからこそその言葉の意味を理解できて、でも理解したことを悟らせるでもなく…ああぁ〜すきぃ〜〜 
 言葉にしないと分からないことも多いのですし、基本的に二郎ちゃんは言葉にするのですが。ここは言わないし風も何も言わないということです。 
 読み取っていただけて嬉しい限り。 
  
 >これまでしこしことカタカナ警察をやってた努力が望外の報われを受けた瞬間に絶頂不可避ですよ 
 これがあったからこその、一度だけ使えるやつですねw 
 いつもありがとうございます。  
	- 984 :赤ペン [sage saga]:2022/02/04(金) 11:55:28.36 ID:WP4XQdx10
 -  槍は獣の爪や牙の外から攻撃できて、斧は木を切り倒すのに有用で、剣は人を殺すのに適している 
 と言う話を聞いてそう考えるとモンスターが出る世界だと普通なら剣よりも槍の方が発展しそうだよなあ、と思った 
 まあスキルとか魔法とか色々あるから一概には言えないけど  
	- 985 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/10(木) 21:12:44.61 ID:FtVdLKk00
 -  「あ、すっげえ美味しいわこれ」 
  
 ずび、と音を立てて茶を啜る。これは流琉や凪と互角以上の勝負ができるかもわからんね。いや、ワンチャン上の可能性まであるぞ。いや、素材が高級ならば上をいく感があるな。 
 茶器の上品さと供される茶の野卑さと紙一重の力強さ。それらをこの菓子が包括して高いレベルに落とし込んでいる。そしてそれが全て供される茶の格を高めている。 
 流石だな華琳よ。 
  
 「当たり前でしょ!華琳様が手ずから淹れてくださったのよ!香りと味、そしてそれらを引き出す絶妙な温度。ああもう、もっと味わって飲みなさい!」 
  
 流石万能の天才華琳である。半端ない。戦慄すらするわ。 
  
 「ふふ、お口に合ったようで何よりだわ」 
  
 そしてこの顔である。いや、そりゃ美味かったよ?文句なしだけどさあ……。 
  
 「どうせなら秘蔵の酒の方に興味があったかもしれんな」 
  
 「あら、駄目よ。まだ熟成が足りないし、あれこれと試している最中だもの。まだまだ二郎に飲ませられないわ。そのうち助言は貰うかもしれないけどね」 
  
 と、言われてもなあ。俺の適当な知識が丸裸にされて美味しいとこだけもってかれそうではある。 
  
 「で、何しに来たの?と敢えて聞いておこうかしら」 
  
 にこやかなままに華琳は俺に問うてくる。こわいこわい。 
  
 「司徒が司空に会いに来る。なにもおかしなことはないな」 
  
 やめて。華琳の目力にヒュン、となりそうだわ。 
  
 「国難だものね。そして曹家の動きが読めない。そういうことでいいかしら?」 
  
 これには流石、と頷くしかない。 
 実際、華琳が蜀――と自称するテロ組織――に与するとは思えない。理性的に考えれば、だ。しかしながら、翠の出奔。これが痛かった。 
 後一手。一手あればこっちが詰みかねないというところまで押してくるのは流石に伏竜鳳雛コンビだぜこんちくしょう。 
 あ、ちなみに割と洒落にならない戦力を飼っている黒山賊からは呂伯奢――張燕の偽名である――から張紘宛に「これからもこれまで通りのお取引をよろしく」ってことで本人自ら挨拶に赴いてきたらしい。 
 いやまあ、こっちが不利になったら途端に裏切るんだろうけどね。韓遂と同じく油断できないことに変わりはないのである。 
 ――閑話休題。 
  
 「二郎?」 
  
 現実逃避していた俺であるが、華琳の無慈悲な呼びかけがそれを許さない。くそ!なんて時代だ!戦うしかない!現実と! 
  
 「まあ、そうだな。正直不安さね。蜀と称する賊軍どもに華琳が加担する理由なんてない。利なんてないと思うけど、さ。 
  華琳がその気になれば、と思うと怖くて夜も寝られんよ」 
  
 だから昼寝してるのさ、と自虐的に笑うと、華琳は茶化すでもなく問うてくる。 
  
 「二郎、一つ聞いておきたいのだけれどもね。速攻で幽州を落とすという当初の計画は頓挫しているわよね。あの馬超のおかげで。 
  そして太尉たる公孫賛、更には三公の首座たる司徒。それらを空位にして国体の維持、どうするつもりなのかしら?」 
  
 そーだよなあ。普通そう思うよなあ。なに、腹案はある。 
  
 「権官を、設置しようと思う」 
  
 権官。正規の役職に対する代理職、或いは補佐職的なものである。有名なのは某学問の神――或いは雷神――だが遥か未来のことである。 
  
 「へえ……、意外とちゃんと考えているのね。程立の案かしら。それとも郭嘉?」 
  
 「俺が考えたとは思わないのかよ」 
  
 「あら、違って?」 
  
 「違うね、俺の発案さ。それを加味してくれよ」 
  
 俺の言に華琳は目を白黒させる。嘘でしょ、とか言うが嘘じゃないのよ。 
 まあ、蔡邑さんの知恵もお借りしてるがな!流石何進政権の知恵袋は格が違った! 
 とは言え……だ。 
  
 「ぶっちゃけ駒が足りん。前線も、後方もな。俺が思う総力戦には曹家の力が必要なのさ」 
  
 ここからが本題なのだよ。本題なのよ。 
  
 「あら、今を時めく袁家の陣容はそんなに手薄なのかしら」 
  
 ニヤニヤと笑う華琳。なに、君他人ごとと思ってやしない?それは違うぞ? 
  
 「華琳にしては安い挑発だな。俺は俺なりに最善手を打つ。それだけのことさ」 
  
 「へえ……。 
  いいでしょう。で、誰が欲しいのかしら」 
  
 その余裕に苦笑する。 
 そしてメイン軍師との語らいを思い出す。  
	- 986 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/10(木) 21:13:17.59 ID:FtVdLKk00
 -  ◆◆◆ 
  
 「で、二郎さんの腹案をお伺いしたいのですが」 
  
 くすり、と笑う風に俺は答える。 
  
 「そうだな、ネコミミと秋蘭かな。華琳を中央に残すのは怖いけど、腹黒ネコミミがいなけりゃ軽挙妄動もないだろうしな。 
  それに春蘭がいれば、そうそうおかしなことにはならんだろうて」 
  
 なにせ怖いのは華琳の動向だ。華琳の横にネコミミがいたら不安が心配で心労がMAXでどうしようもなくなることは確定的に明らかである。 
  
 そんなことは、風は百も承知だと思うのだが。 
  
 「くふ、慎重な二郎さんはなんとも魅力的ですね。 
 でもそれは、いささか以上に弱気すぎると思うのです〜」 
  
 くすくすと笑みを浮かべる風の言に俺は考え込むことになる。 
  
 「だって、常から二郎さんはおっしゃってましたよね。 
  ええ、当代一番の才能、英傑はどなたですか?」 
  
 そんなの。 
  
 「そりゃ華琳だろうよ」 
  
 魏の武帝、覇王曹操こそこの時代きっての英傑である。これは揺るぎない真実である。 
 今はまだ人材不足にて雑務で忙殺できているが、いつ飛躍するか分かったものじゃない。 
  
 いやまあ、目の前の愛しいメイン軍師を含めて華琳には一番割を食わせているという認識はあるんだけどね。 
  
 「じゃあ、最高の人材を使わない理由は、あっても弱いですよね〜」 
  
 くふふ、と笑う風がマジで妖艶。くそ、そうだよな。その通りだよ。 
  
 「だが、だが。華琳を扱える自信なんてないぞ俺には」 
  
 その言葉に風は笑みを深めたのであった。  
	- 987 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/10(木) 21:13:43.76 ID:FtVdLKk00
 -  ◆◆◆ 
  
 応える俺の言葉に華琳は意外そうに応える。 
  
 「あら、私と秋蘭、ね……。てっきり春蘭と霞だと思っていたのだけれども」 
  
 「純軍事的にはそうかもしらんがね。ぶっちゃけるとその二人の手綱を取れる自信がないよ、俺は」 
  
 特に春蘭な! 
  
 「あら、そうかしら。まあ、それはいいわ。にしてもその物言い、よ。 
  私の手綱、どうとでもなると思っているのかしら?」 
  
 ニヤ、と華琳は笑う。それが了承の合図だと気付いたのはネコミミの激昂を見てからだ。 
  
 「か、華琳様!このような汚らわしい男の要望をお受けになるのですか!」 
  
 ネコミミマジ涙目、である。そうだよなあ。華琳が俺の指揮下に入るとかどんだけ罰ゲームかって話だ。 
  
 「さて……、桂花。私は二郎と話をしているのよ? 
  口を挟む資格がないと知りなさいな」 
  
 その言葉、酷薄なようで、ネコミミを守るものであることに誰が気付くであろうか。まあ、俺は見ない振りするけどね。 
  
 「はい、華琳様。如何なる刻、如何なる場合においてもこの身、この心は華琳様のものです!」 
  
 はいちょっと主旨が歪んで伝わってますねえ。 
  
 「あら、どうしたのかしら二郎?顔色が悪いのではない? 
 ああ、麗羽は脈絡もなく無茶を言うものね。嫌気がさしたらいつでもおっしゃいな」 
  
 いや、そりゃそうだけどってそうじゃなくってだな。 
 なにしれっと地雷仕込もうとしてるんですかー!やだー! 
 だから華琳と距離感縮めたくないんだよ。それを分かるんだよ!風! 
 まあ、俺のメイン軍師にそんな甘えは通じないのは知っているんだけんどもね。 
  
 「まあ、そうだな。華琳の動き如何でえらいことになるからな。知ってると思うけど」 
  
 華琳が本気で叛を選んだら詰むんだよなー。まあ、この場ではこれ以上どうしようもないさね。 
  
 「二郎?やけにあっさりと引き下がるわね。もっと此方に食らいついてくるかと思ったのだけれども」 
  
 「この場で俺が何を言ってもわりとどうしようもないだろう。だからさ、華琳に頼むのはさ。 
 俺より遥かに影響力のある人に任せようかなって、な」 
  
 俺の言葉に華琳はぴく、と不審げに眉を顰め、それから可笑しげに笑う。 
  
 「ああ、この場にいなくて私に意見できそうな人物。――春蘭のことね」 
  
 「――そうだ」 
  
 「あの子が私に意見するかしら?」 
  
 くすり、と華琳は試すように艶然と微笑む。 
  
 「そこはほら、俺が土下座してだな。俺の額が火を噴くぜって感じで」 
  
 「ばっかじゃないの?」 
  
 ネコミミにばーかばーかと罵られるのもどうでもよく。 
  
 「まあ、俺が持ってる曹家の伝手ってば春蘭しかないからな。ちょっと泣きついてくるわ」 
  
 「ええ、あの子を口説けるものなら口説いてみなさいな」 
  
 はいよ、とばかりに手を振り、場を辞する。 
 いや、春蘭相手ってこう、出たとこ勝負なんだけどね?  
	- 988 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/10(木) 21:15:13.90 ID:FtVdLKk00
 -  本日ここまですー 
 かんそうとかくだしあー 
  
 タイトル案は「曹家との語らい(ラストバトルに向けて)」 
 なのですが趣がないので、よきものを募集しますのでよろしくお願いします。 
  
 分かる人には分岐が見えるだろう  
	- 989 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/02/10(木) 21:27:49.69 ID:kuIjl6Ue0
 -  タイパクを連想する文章だなぁ 
 言うだけなら自由だしね(笑)  
	- 990 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/10(木) 21:51:59.42 ID:FtVdLKk00
 -  >>989 
 タイパクってなんですか? 
 いやマジで知らないのよ  
	- 991 :赤ペン [sage saga]:2022/02/11(金) 11:33:29.15 ID:MawwoARe0
 -  乙でしたー 
 多分【タイムパラドックスゴーストライター】かな 
 今回の話はお互いの腹の探り合いで相手の狙いを読みつつ自分の狙いを悟らせないようにしてるから読者も言葉の裏を読まないと分かりづらい書き方してるからねえ 
 あの作品はそれぞれの人物の考え方を読み解かないと「なんでそういうこと言うの!?」ってなるとかならないとか 
  
 ネコミミよ…d姉は華琳の為なら死ねるけど逆に言えば誠実に向き合って華琳の為にもなることを提案すれば受け入れてくれるんだぞ 
 お前さんの上司はd姉を説得できるだけの話を持ってこれたならばヨシ!の精神だけどそのへん分かってるか?  
	- 992 :青ペン [sage saga]:2022/02/11(金) 23:04:49.81 ID:zODBZlHgo
 -  >>988 
 乙ーい。 
 そうねぇ…。 
 【探り合い 殴り合い】 
 とでも。 
   
	- 993 :赤ペン [sage saga]:2022/02/13(日) 11:29:23.09 ID:rZ0V6/MD0
 -  そうそう、今回は特に間違いっぽいところは見つかりませんでした 
 ところでそろそろ次スレ立てた方が良いのでは?  
	- 994 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/13(日) 16:53:35.26 ID:RiN2+QrN0
 -  >>991 
 サンクスです 
 あー、なんかチラ見した覚えはあります 
 あれジャンプだったのか 
  
 >ネコミミよ…d姉は華琳の為なら死ねるけど逆に言えば誠実に向き合って華琳の為にもなることを提案すれば受け入れてくれるんだぞ 
 >お前さんの上司はd姉を説得できるだけの話を持ってこれたならばヨシ!の精神だけどそのへん分かってるか? 
 憧れは、理解から一番離れた感情とかなんとか(うろ覚え) 
 やはりジャンプはすごいなと思うなど 
 ブリーチ、ナルト、ワンピースは再履修せんといかんなあと思っております 
  
 >>992 
 どもです! 
 ふみゅ 
 ふむ 
  
 いけるな・・・ 
 いつもありがとうございます。 
  
 次スレの季節か、流石に最終スレになるはずですね 
 本当はGW目安でしたが、順当にいけばお盆、年末年始にはずれこみたくないなあ 
 頑張るぞいっと。  
	- 995 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/13(日) 21:21:28.98 ID:RiN2+QrN0
 -  新スレ建てました 
 こっちは埋めてくだしあー 
  
 ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1644754502/ 
  
 1000とっても特にいいことあるかどうかはキメてないですw 
 フレーバー的にちょっといいことあるかも感は、既に残量からして 
 望まれても無理なのですので 
  
 んる  
	- 996 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/13(日) 22:51:04.88 ID:RiN2+QrN0
 -  最終決戦だけまだどうなるかフラフラしております 
 ダイスは振りたくない(これ大事)  
	- 997 :赤ペン [sage saga]:2022/02/13(日) 23:37:02.44 ID:rZ0V6/MD0
 -  ネコミミが実はd姉のことを憧れの目で見てるだって!?(大声で 
 まあ絶対に認めない、どころか無自覚ですらありそうだけど、華琳に重用されてる相手に対して嫉妬はもちろん自分ではできない支え方ができることを羨んでそうでもあるか  
	- 998 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2022/02/14(月) 17:02:13.72 ID:Yo7ay6Bq0
 -  >>997 
 いやそうはならんやろw 
 d姉については本気で忌々しいのか、ある程度認めているのか 
 割とこれについても解釈は分かれそうでありますね 
  
 凡将伝のネコミミは本気で忌々しい説でもよさげではありますw 
 全方位にフシャーってなってる感じ? 
  
 きっと実務が激しすぎて心の余裕がないんだ 
 やっぱり曹家はBLACK勢力なんだ 
  
 二郎ちゃんは絶対移籍しないんだがそれの要素を分からないトップと軍師 
  
 皆ワーカホリックすぎでしょ案件  
	- 999 :赤ペン [sage saga]:2022/02/14(月) 21:15:10.17 ID:bscS6YOu0
 -  そういや袁紹にとっては劉備及び蜀の連中はどういう感じなんだろう 
 元々は自分の部下だった上に今は友人の公孫瓚のもとに言ってた韓浩を殺した奴らだしけじめはつけさせないと、くらいはあるんだろうか  
	- 1000 :赤ペン [sage saga]:2022/02/16(水) 10:45:42.40 ID:TeNtR/v60
 -  >>1000ならお酒と一夜の過ちでまさかまさかの二郎の第一子を孕んだのは夏侯淵になる 
 
	- 1001 :1001 :Over 1000 Thread
 -                      ___, - 、
                    /_____)
.                    | | /   ヽ || 父さんな、会社辞めて小説で食っていこうと思うんだ
                    |_|  ┃ ┃  ||  
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  \僕はSS!/           \_/  !        ( ( (ヽ     ヽ
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   ゝ/  ̄ ̄ ̄ \     /. \/ ̄\/   .\     | ・ |─ |__   /
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