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召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その39 -
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1 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/05/14(月) 15:53:17.55 ID:WskUfeWXo
┏━ ノ ー‐ j ji |l| _,,,,,_ ji ji i i! ,_,,xz .|l| |l| ┃
┃ -イ.ー┬‐ | ーチ‐ || |! ーナ ̄| ト-、 | |! / || || ┃
┃. │ _| レ _ノ `"⌒) o ,__,,」 ノ´ 、ノ .| 丿 /^\ .o .o ━┛
. ̄
――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代……
幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である……。
――かもしれない……。
〜前回までのあらすじ〜
召喚士、戦士、魔道士、盗賊からなる4人の冒険者達。
5年にも及ぶ人間対魔族の闘いはいよいよ佳境を迎えた。
魔王ベルゼブブまでの道は、多くの命の上に拓かれた。
そして、天才最後の宿命が今ここに……。
◆7xまとめ様(いつもありがとうございます!)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html
◆かぎまとめ様(日々のまとめありがとうございます!)
http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-3022.html
◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html
◆絵とかのあぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/
◆雑談スレ(オマケみたいなSSがあったりするとかしないとか)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329994650/
◆前スレ(その38)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332420059/
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1336978397
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【安価】上条「とある禁書目録で」鴻野江「仮面ライダー」【禁書】 @ 2025/06/09(月) 21:43:10.25 ID:qDlYab/50
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ツナ「(雲雀さん?!)」雲雀「・・・」ビショビショ @ 2025/06/07(土) 01:30:36.87 ID:AfN9Rsm0O
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【安価コンマ】障害走を極めるその5【ウマ娘】 @ 2025/06/06(金) 01:05:45.46 ID:RaUitMs20
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1749139545/
貴様たちの整備のお陰で使いやすくしてくれてありがとう @ 2025/06/04(水) 20:56:21.03 ID:QjuK6rXtO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1749038181/
阿笠「わしの乳首に米粒をくっ付けたぞい」コナン「は?」灰原「は?」 @ 2025/06/04(水) 04:01:13.39 ID:ZjrmryLdO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1748977273/
レッド(無口とか幽霊とか言われるけどまだ電脳世界) @ 2025/06/02(月) 21:21:00.13 ID:ix3UWcFtO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1748866860/
2 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/05/14(月) 15:54:19.88 ID:WskUfeWXo
◆過去ログ(その1〜37)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308493316/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312161458/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1315821180/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318927989/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322122521/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324391535/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1327155768/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329482009/
◆あっちのスレ?(その1〜その2)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257262778/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/
3 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/14(月) 17:27:52.84 ID:gc6Fm9Hdo
>>1乙
4 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/14(月) 18:24:34.52 ID:WskUfeWXo
…
大参謀「失礼致します」カチャッ
大元帥「……」
大参謀「式典の準備が整いました。間もなく閣下もご移動頂きたく」
大元帥「……うむ」」スクッ
大参謀「お顔が優れませんね」
大元帥「気が重いものよ」
大参謀「何を仰られますか。本日は英雄の日、50周年の式典で御座いますよ?」
大元帥「まぁ、な。だが……英雄と称えられる者の裏には、数多の命が散ったのも事実よ」
大参謀「……如何にも、ですね」
大元帥「この英雄とて、万民が作り上げた虚像に過ぎぬやもしれんぞ?」
大参謀「……天才、と申されましたでしょうか?」
大元帥「ああ。天才……全てにおいて優れ、紛れもない英雄ではあった」
大参謀「なれば……」
大元帥「英雄とは誰が決めるものなのだろうかな。本人か、後世か……はたまた」
5 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/14(月) 18:26:41.23 ID:WskUfeWXo
大参謀「おっと閣下、お時間に御座います」
大元帥「ところで、彼らは?」
大参謀「残念ですが」
大元帥「……そうか」ザッ
大参謀「閣下、1つ……宜しいでしょうか?」
大元帥「ん?」ザッザッ
大参謀「英雄、天才とは……どんな方であられたのでしょうか?」
大元帥「君の父上や叔父上に聞いておらぬのか?」
大参謀「多少の話や文献は。しかし細かな事は一切……」
大元帥「まぁ、本人の命でもあったからな」
大参謀「文献を残すな、と?」
大元帥「一言で申せば、そういう人であった」
大参謀「成程……」
大元帥「どうしても知りたくば、資料室のこの文献の1031ページ目を見ると良い」スッ
大参謀「有難う御座います」
6 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/14(月) 18:27:30.21 ID:WskUfeWXo
…
本国王「皆も知っての通り50年も前のこの日、大きな戦いがあった」
大元帥「……」
本国王「この戦いにおいて、魔王ベルゼブブを討ち、世界には平和が訪れたのだ!」
ワアアアアァァァァ!!
本国王「前王である我が父や、母もまたその戦いに大いに奮ったと言う」
大元帥(あれからもう……50年か)
本国王「中でも、魔王ベルゼブブを己の命と引き換えに討った英雄……」
大元帥(貴方の望む世界は、これで良かったのでしょうか……)
本国王「今なお語り継がれている英雄、天才は……諸君らを今も見守っているであろう!」
ワアアアアァァァァ!!
――『ハーッハッハッハ! 何が英雄だよなぁ? 俺様なんざむしろ、戦犯だってのによ』
大元帥「――!?」バッ!!
大参謀「……如何なされました? 間もなく、閣下の演説ですよ?」
大元帥「あ、あぁ。そう……じゃな」
7 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/14(月) 18:28:14.45 ID:WskUfeWXo
本国王「今日の式典を催すにあたり、まずは青年兵大元帥より言葉を頂戴する」
ワアアアアァァァァ!!
大元帥「……」ザッ
気が付けばもう50年も経っているのだな。あの時から……。
こうして今もなお、大元帥として我が身を委ねておるのは……如何なる縁であろうか。
50年と言う区切りの良いこの刻をもって、私も一線を退くとしようか……。
こと後任に関しては、若い連中が育っているからな。戦いを知らぬ事が心配ではあるが。
今となっては古臭いが、最後はこの言葉で締めくくるとするか……。
大元帥「勇敢と無謀を履き違えてはならない、慎重と臆病を履き違えてはならない、
自信と慢心を履き違えてはならない、勇者は一人であり、全員が勇者である」
…
大参謀「素晴らしき演説でした。最後、良い言葉でしたね」
大元帥「古い言葉だがな」
大参謀「英雄の言葉……ですか?」
大元帥「ああ。いや、英雄だけではない。勇者の言葉さ――」
今日も風は穏やかで、また新しい息吹をそっと運んでいた。
8 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/14(月) 18:30:17.49 ID:WskUfeWXo
召喚士「行けっ!コカトリス!!」
〜第六十一部〜
9 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/14(月) 18:31:38.98 ID:WskUfeWXo
〜魔王城〜
召喚士「いけええぇぇーっ!!」
シュイイィィィィン……バシュウウゥゥゥゥ!!
ベルゼブブ「コカトリスか」
コカトリス「はぁ!!」ドゴォ!!
ベルゼブブ「非力な。他愛ない」
コカトリス(召喚士め、もうまともに戦える魔力ではないぞ……っ)
事実、まともに戦える者などここには居なかった。連戦に次ぐ連戦、
余力などとうになく、詩人の演奏が止まった今、魔力すら湧き出てこない。
これは敵を倒す為の戦いではない。生きる為、生き抜く為の戦いなのだ。
しかしそれこそが至難の業。生き抜く溜めの余力は乏しく、しかも相手は魔王。
召喚士(……何としても……食い止めてみせるっ!!)
彼らが戦う理由はただ1つ。その男を待っているからである。
召喚士(天才さんが来るまで……絶対に!!)
魔王ベルゼブブとの戦いの火蓋が今、切って落とされた。
10 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/14(月) 18:47:05.83 ID:0hsR+laDO
なんだこの終わりが近いような前フリは?
嘘だと言ってよバーニー!
11 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/14(月) 18:54:38.66 ID:HCACK6WDO
>>1
乙!
>>10
プロローグがな
12 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/14(月) 19:01:06.54 ID:gc6Fm9Hdo
みんなで盛り上げていこうよ!
13 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/14(月) 19:06:48.48 ID:WskUfeWXo
ひえー捕まった!とりあえず新スレでもよろしくお願い致します!
ご支援ありがとうでした!それではまた!ノシ
14 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/14(月) 19:18:57.03 ID:swoZZUWIO
懐かしいな
まだやってたのか
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/05/14(月) 19:39:04.89 ID:KhUcWKg7o
>>1
乙
なんだかホントにそろそろ終わりそうだな。
切なくなるな。俺の3年程の日課が無くなるのは…
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/14(月) 20:05:41.02 ID:mxrHze6DO
なんだか切なくなっちまったぜ……
17 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/14(月) 20:22:41.46 ID:27Ozucano
いちおつ!
母…?
18 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/05/14(月) 20:29:06.45 ID:xyIsUhz3o
切なすぎるから
あれは天才の予言で、
それが外れるってオチを希望!!
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/14(月) 20:42:08.28 ID:vmT+lkhDO
文献を残すな←まだ生きてんじゃね?死んだらやだなー
ってかサタンは倒さないでいいの?
20 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/14(月) 21:54:45.58 ID:IkODHOXIO
サタンはあくまで裏ボス的な存在なんじゃねえの?
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/14(月) 21:58:05.23 ID:8m0juz8AO
>>1
おつ
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/14(月) 22:22:29.84 ID:Q7cmCOeDO
あれだろ?ガンダムAGEよろしく次は第2世代なんだろ?
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/15(火) 05:11:26.46 ID:av5gTOx80
いちおつ
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/15(火) 08:15:41.87 ID:2fz/hSps0
>>1
乙
序章もそろそろ佳境だな
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/15(火) 08:34:57.53 ID:jlApB92AO
>>1
乙んつんであります!
26 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/15(火) 18:46:07.31 ID:4RT8Gx1yo
戦士「だっりゃああぁぁぁぁ!」
盗賊「……」ススッ
いつもと変わる事なく、戦士盗賊が全面に出て敵を引き付ける。
東方司令(まともにやりあっても通じるとは思えない。だったら……)
そこへ治癒を終えた東方司令が合流し、背後をかき回す。
皇太子「エリート、私達は奴の左側からあたるぞ」
エリート(陛下の持つ剣は聖剣だ。あれならば或いは……)
皇太子とエリートは前列と後列の中間あたりより飛び出し、
前衛が反撃を受けぬよう、間髪入れず側面より強襲する。
青年兵「召喚士さん、こちらはもう一撃で大ダメージを与えるような魔力はありません」
召喚士「俺もだよ。ここは仕掛けつつ、みんなのバックアップをメインに立ち回ろう」
青年兵「ですね。バハムートは温存し、ワイバーンを基軸に攻撃します!」
召喚士「了解っ、こっちも動きを合わせるよ!」
前列の後を追うように、2人の召喚士が召喚獣を操りながら疾走する。
残されたわずかな魔力を効率良く使い、援護と攻撃をバランスよく展開していく。
27 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/15(火) 18:47:30.96 ID:4RT8Gx1yo
魔道士「私達も行きましょうっ!」
ジュニア「おうよっ! おめぇさんは退がってろい。大切な回復薬だ」
賢者「そうするよ……ふぅ」
ジュニア「ヒゲのオッサンは?」
大軍師「戦えますが、支援程度でしょうか。元来、武力を持ち合わせてはいないもので」
ジュニア「とにかく、やるっきゃねぇよな! くそっ!」ダッ
後方、魔道士とジュニアが魔法援護を開始する。それに伴い大軍師は、
賢者の護衛を務めながら、風の魔法で前衛と召喚獣の援護へと移った。
ベルゼブブ「……」
この時点で五行もなければ4属性召喚もない。つまり、
今までのように魔王を倒す手段は、一切残されてはいなかった。
もっとも、最初からそんな画策はしておらず魔王との交戦も最悪止む無し、
と言った程度のもので把握をしていた。少なくとも国軍の者らは。
そう。全てはあの男の予言に基づく作戦であり、宿命なのだから。
大軍師(司令……っ、一体どうなさったというのです……)
28 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/15(火) 21:26:09.25 ID:6zfpFcpDO
お、おつんぽ?
29 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/05/15(火) 22:18:20.41 ID:H/mXplI1o
乙?
(
>>1
……っ、一体どうなさったというのです……)
30 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/15(火) 23:42:32.62 ID:WojGozGDO
>>1
は彼氏いるの?
31 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
:2012/05/15(火) 23:44:05.46 ID:y+OGGrJWo
きもちわるい
32 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/15(火) 23:44:32.78 ID:ZiEzdANAO
>>1
乙
そりゃ仕事してれば突然都合悪くなることもあるさ。
おとなしく帰還を待ちましょう。
33 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage ]:2012/05/16(水) 00:01:56.32 ID:qvtDMT8Go
おっ?復帰してる
落ちてたよね?
34 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/16(水) 01:15:50.46 ID:Y3OKyU2AO
>>1
おつ
35 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(富山県)
[sage]:2012/05/16(水) 12:50:23.92 ID:TZ2vctxS0
きもちわるい
>>30
がいるときいて
36 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/16(水) 13:22:34.04 ID:ovImYMpIO
>>1
は俺の嫁だから彼女はおらんて
37 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/16(水) 13:29:26.07 ID:yRguXqGDO
>>35
そういう風に聞いてねーよマヌケ
女だし
38 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2012/05/16(水) 14:29:35.32 ID:UeDxqqJmo
女だし→おっさん
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
:2012/05/16(水) 14:40:19.90 ID:HN/ztr8wo
>>37
ようおっさん
40 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/16(水) 15:54:53.28 ID:4AWS6PPDO
いちょつ
あっちでやれ
41 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:04:15.81 ID:YM2d0y+Qo
ゴウッ!!
ベルゼブブ「……」
コカトリス「はぁーっ!!」
戦士「んの……やろおおぉぉ!!」ガシュッ!!
他愛ない。ただそれだけに尽きる。ベルゼブブは思っていた。
ベルゼブブ(何故こんな連中が此処まで来れたのやら)
ジュニア「いけいけいけぇ! 魔法援護なら任せとけ、ハッハ!」
東方司令「っりゃあぁ!」バシュッ!!
ベルゼブブ「……フッ。これでは余の下僕がわざと道を譲ったとしか思えぬな」
戦士「んだとぉ!!」
ベルゼブブ「事実であろう? この程度の技量でよくも此処まで辿り着けたものだ」
ガシィ!!
戦士「!?」
ベルゼブブ「人間にしては大層な武器を手にしているな」
戦士「は……なせ……っ!」
42 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:04:45.72 ID:YM2d0y+Qo
バキイイィィィィン!! パラパラパラッ
戦士「――っ!!」
ベルゼブブ「まぁ、何ら問題もないがな。得物も使い手も」
ドゴォ!!
戦士「――っ」ミシィ
召喚士「戦士!」
戦士「が……は……っ」ドシャッ
粉々に砕けた雷切。更にはベルゼブブの拳が戦士の腹部を直撃する。
ベルゼブブ「ふむ。防具もそれなりに質は高いか」
地に膝を付く戦士めがけ、ベルゼブブの腕組みしながら魔法を詠唱する。
ゴアッ!! ズッドオオオオォォォォン!!
青年兵「くっ!」ババッ
吹き飛ばされる戦士を青年兵が支えるが、ベルゼブブは再び、魔法の詠唱を始めた。
キュイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!
青年兵「うあぁーっ!!」
43 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:05:39.03 ID:YM2d0y+Qo
戦士「っ!!」ゴシャアアァァ!!
エリート「……化け物め……っ」
その言葉が全てを言い現していた。ベルゼブブは戦士らと交戦しながら、
エリートや後方支援の面々を牽制し、有効打を一切、出させなかった。
いや、出していたのかもしれないが、ベルゼブブにとってそれは、何という事も無かった。
召喚士(戦ってみて改めて分かる。やはりベルゼブブは今までの魔王とは全く違う……っ)
ベルゼブブに対する畏怖はいつの間にか薄れていた。しかし勝てるとは到底、思えなかった。
薄れた理由は1つ。生物にとっての本能、簡単に言えば諦めたからだ。
人間は命の危機に対し、自分よりも強い者に対し恐怖、畏怖を感じる。
それは命を奪われる、死ぬという現象が脳裏に働くことで、そう感じるのである。
だが、それを越えてしまえば恐怖など薄れてしまう。つまりそれが諦めなのだ。
この者には何をどう足掻いても、到底勝ち目はない。時が経てば殺されるだけ。
召喚士(傲慢や自惚れ、過信なんてものは一切ない……、この魔王は……絶対的なんだ)
演奏会で自分の出番を緊張して順番を待っていると、直前の奏者が自分をはるかに越える、
金賞確実の演奏を奏でている。それを聞いて演奏を諦めた。召喚士はそんな心境であった。
44 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:10:47.60 ID:YM2d0y+Qo
ズゴゴゴゴ……
ベルゼブブ「……遥か昔の話だったか」
召喚士「……?」
ベルゼブブ「ある人間が箱を開けると、無数の災厄が地上に降り注がれた」
ジュニア「何を言ってやがんだ……っ?」
ベルゼブブ「慌てて閉じようとするも最後の1つの除き、全て箱より出てしまった」
皇太子「……」ススッ
大軍師「無駄ですよ。会話しながら全方位に神経を集中させています」
エリート「……っ」
大軍師「間合いに飛び込めば……一撃で重傷です」
ベルゼブブ「最後に箱の底へ残っていたものが、希望だと言う」
魔道士「希望……っ」
ベルゼブブ「余は思う。万物の摂理において、絶対などと言うものはない」
召喚士「……何?」
ベルゼブブ「他の連中は良く、力こそが絶対やら魔族こそが絶対などとのたまう」
45 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:12:22.58 ID:YM2d0y+Qo
召喚士「……っ」
ベルゼブブ「だが、絶対などと言うものは絶対なのであり、存在し得ぬものなのだ」
召喚士「だから……どうだというんだ……っ!」
ベルゼブブ「余は絶対に負けぬ、と言う事はないし、そのような事を言うつもりもない」
戦士「だったらぁ……勝ってやるよ!」
ベルゼブブ「しかしだ、貴様等も阿呆ではない。分かるであろう? 余と貴様等の……」
盗賊「くっ」
ベルゼブブ「先程も述べたが、決して超える事の出来ぬ壁の存在と言うものを!」
この辺りが魔王ベルゼブブの強さである。イブリースのように、己を力を絶対的に
過信するわけでもなければ、マーラやアンラ・マンユのように人間を蔑んでいるわけでもない。
ただ現在起きている事象、そしてそれに基づく最も確率の高い結末を述べているだけである。
敵を知り己を知り、そして他者など決して信じない。信じるものは自身の力のみ。
魔族元来の本能と、人間の、いや人間が理想とする精神、思考を持ち合わせた者、
それがベルゼブブ。100ではない。99を確信とし、1を疑い徹底的に対処する。
残る力を振り絞った一同必死の攻撃も、魔王にとっては微風の如く、いなすのみであった。
46 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:13:22.43 ID:YM2d0y+Qo
召喚士「……はぁ……はぁ……はぁ」
コカトリス「強いなどという言葉では表せぬ、この魔族は……」
大軍師「別次元ですね。よもやここまでとは……」
何分、何十分攻撃し続けたであろうか。この空間に大きな変化はない。
ただ違う事は、魔王ベルゼブブが玉座より立ち上がり、それに挑む者らが、
初対面の時と比べて疲弊しきって息が上がっている事であろう。
戦士(き、傷は思ったほどねぇ……だが……っ)
盗賊(全力ではない。それは手に取るように分かる)
青年兵(本気を出すまでもない、適当にあしらっていればいずれ終わる……そんなレベルなんだ)
東方司令「ナメ……やがってぇ!!」ジャキッ
ジュニア「魔道士ちゃん、援護だ!」
魔道士「えっ!? は、はいぃ!!」ダッ
東方司令「貴様のような奴がいるからっ、人が死んでいくんだろ!」ババッ
ベルゼブブ「……」
東方司令「貴様のような奴がいるからぁ! 兄くんのような者が生まれるんだろうが!」ブアァッ!!
ベルゼブブ「興味ないな」
47 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:14:05.02 ID:YM2d0y+Qo
ゴアッ!! ザクウウゥゥゥゥ!!
東方司令「――っ!!」
ベルゼブブ「この剣は結界石か。これでは破壊出来ぬな」ポイッ
東方司令「あぐぅ……っ」ドシャアアァァ
ベルゼブブ「不思議なものだ」
召喚士「……っ?」
ベルゼブブ「このような脆弱な力で、どうやって六道門を突破してきたとい言うのだ?」
ジュニア「ハッハ、てめぇさんみてーなのには、一生かかっても分からねーさ」
ベルゼブブ「興味深いな」
青年兵「僕達だけの力じゃないっ。皆がいたから、ここまで来れた。それだけだっ!」
ベルゼブブ「それが実に興味深い。不足するものを互いに補いあっている」
エリート「それが当然の事であろうっ!」
ベルゼブブ「そうか? 足りぬならば何故、己で求めようとしないのか」
皇太子「人間には限りがある。求めても手に入らぬものが沢山あるのだ」
ベルゼブブ「であれば、それが個々の限界なのであろう?」
48 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:15:14.46 ID:YM2d0y+Qo
召喚士「そうであっても、必要な時だってあるんだ!」
ベルゼブブ「余には得られぬ感覚だ。今だかつて足りぬと感じたものは一切ないのだからな」
戦士「そいつは……ご大層なこった!」
盗賊「はぁーっ!」
ズガガガガガッ!! ガキイイィィィィ!!
ベルゼブブ「そうか。アスタロスやアスモデウスがやられた理由は、そういう事か」
戦士「ぐ……っく」
ベルゼブブ「不足するものを互いが補いながら、何らかの手段で突破した」
ググググッ
ベルゼブブ「そして余に対しても同じ手法を施すか? 何を狙っている? どんな手段か?」
ズッギャアアアアァァァッァ!! ドドオオォォォォ
戦士「ごふ……っ」ガクッ
盗賊「うっ、ぐぐ……っ」ヨロッ
ベルゼブブ「見せてみよ、余を脅かすものかどうか推し測ってやろうぞ」
召喚士「……っ」
49 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:16:12.31 ID:YM2d0y+Qo
大軍師残念ですが、まだ不足しておりますので」
ベルゼブブ「ほぉ」
大軍師「到着まで、お待ち頂けると有り難いのですが」
ベルゼブブ「……」チラリ
詩人「……」
ベルゼブブ「良かろう。待ってやる」
召喚士「!?」
ベルゼブブ「だが、ただ待つなどと馬鹿げた事はない。まずは……」
ススッ
大軍師「……?」
ベルゼブブ「その手段とやらが整うまで、掃除にかかろうか」
召喚士「――!?」
薄れていた恐怖が再び、心の奥底から込み上げてきた。
吐き気を催すような、心と脳裏に突き刺さるベルゼブブの威圧。
明らかにそれは、これから先に起こる出来事が如何なるものなのかを、
単純に、簡単に表現していた。そしてそれを感じ取ったからこそ、恐怖が蘇った。
50 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:16:45.46 ID:YM2d0y+Qo
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
魔道士「……う……うぅ……っ」
エリート「なんという……魔力……かっ」
ベルゼブブ「業火とは地獄の炎。そして地獄の雷を招雷し、地獄の毒水をもわき起こす」
ズズッ……グゴゴゴゴゴゴゴ
ベルゼブブ「突き刺さる地獄の風に、冷たく暗い地獄の大地……」
青年兵「ま、さか……っ」
大軍師「五行っ!!」
ベルゼブブ「これらが合わさりあった時、貴様等はその生を失う事となる」
召喚士「させるかああぁぁ――」
ベルゼブブ「とくと味わうが良い。余の力、本当の力というものを」
部屋の床が一瞬にして消失した。四方の壁も消し飛んだ。
階下に積もった瓦礫の中から、微かな物音と呻き声のようなものが聞こえる。
広がった夜空の闇からベルゼブブがゆっくりと瓦礫の中心へと着地する。
ベルゼブブ「ふむ。命を失ったものは居らぬようだな」スッ
51 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:17:15.42 ID:YM2d0y+Qo
その言葉通り、ベルゼブブの一撃で死んだ者は居なかった。全員、生きていた。かろうじて。
召喚士「……」
青年兵「…………」
だが誰1人、声を発するものはなく、ましてや起き上がる者も居ない。
ベルゼブブ「生を奪った。最早、貴様等は唯、心臓を鼓動させているに過ぎぬ」
戦士「……っ」
ベルゼブブ「余の魔法で五感は失われた。ゆっくりと死に向かうが良い」
戦士「……っ」ピクッ
ベルゼブブ「そして、そこで希望が摘み取られてゆく様を感じておるが良い」
戦士「……ぇ」ゴトッ
ベルゼブブ「……?」
戦士「……ふざ……けんじゃ……ねぇっ」
ベルゼブブ「ほぉ、余の一撃を受けて、立ち上がるか」
戦士「ふざけんじゃねぇ……っ!」ザッ
ベルゼブブ「……」
52 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:19:48.39 ID:YM2d0y+Qo
ただ1人、戦士だけがその場で立ち上がり、声を発した。
ベルゼブブ「……そうか、その盾の力で、直撃は防いだのだな」
戦士「……」
ベルゼブブ「だが、視力は失われ、匂いをかぎ取る事も出来ぬようだ」
戦士「テメーの下らねぇ話を聞くぐらいなら、聴覚の方が良かったぜ」
ベルゼブブ「フッ。なかなか面白い人間だな」
戦士「目が見えなかろうが臭いが分からなかろうが、テメーのドス黒い気配なんざ1発で分かんだよ!」
ベルゼブブ「……」
戦士「みんなを助けるためにはこの命、惜しjかねええぇぇ!!」
ベルゼブブ「その槍、何かただならぬ気配を感じるな」
戦士「おああああぁぁぁぁーっ!!」ザッ!!
ベルゼブブ「ふむ。なればちと、様子を見てやるか」
戦士「――――っ!?」
ゾディアックの投擲に入った戦士は、確かにそこに居たベルゼブブの気配が、
無数に小さく細かく、四散してゆく気配を感じ取っていた。
53 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/16(水) 18:22:44.56 ID:YM2d0y+Qo
今日はここまでとします。お疲れ様でございました!
そしてご支援いつもありがとうです!それではまた!ノシ
54 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/16(水) 18:30:07.61 ID:/hcW/FiDO
神速のおつんぽ!
55 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/05/16(水) 18:32:29.43 ID:ZZtbWh+Fo
出張先から音速の乙撃!
56 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/05/16(水) 19:27:15.02 ID:Jkzbxnwno
>>1
乙
圧倒的ではないか、我が軍は…
57 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
:2012/05/16(水) 19:33:40.73 ID:h3V67TM20
いちおつ
戦士失明しちゃったのかこれ
58 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/16(水) 19:48:24.69 ID:zWLdhY/AO
雷切ェ……
59 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2012/05/16(水) 19:51:44.56 ID:K0y8pPKdo
雷切は二度死ぬ
60 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/16(水) 20:07:58.12 ID:039p80JZo
また戦士「切れッ!雷切」がはじまるのか
61 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/16(水) 20:11:52.65 ID:4AWS6PPDO
いちょつ
主人公かっけー
62 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2012/05/16(水) 22:59:05.58 ID:tbQL9Qij0
戦士「貫け!ゾディアック!!」のほうが近い
63 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/16(水) 23:27:37.27 ID:8i+VruMyo
さすが主人公
64 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/17(木) 01:17:18.34 ID:3CtgIgPAO
>>1
おつ
ベルゼブブって神様なのに蝿はキモいってんでキリスト教から悪魔認定されちゃったんだよな。このベルゼブブは蝿らしからぬ強さだな
65 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 15:51:58.34 ID:lxDfhZsro
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……
戦士「な……何の音だ……!?」
ベルゼブブ「どうした、その槍を投げぬのか?」
戦士「何をした……っ! どこへ行ったぁ!」
ベルゼブブ「勘違いするな。どこへも行ってはおらぬ。余は此処におる」
戦士「!?」
ベルゼブブ「まぁ、他の余は知らぬがな……フッ」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……
戦士「この……目障りな羽音は……」
ベルゼブブ「余の、もう1つの姿よ」
戦士「……蠅かっ!!」
ベルゼブブ「気づいたところで貴様にはもう何も出来ぬ」
戦士「何だとぉ!?」
ベルゼブブ「残された聴覚で断末魔の叫びを、じっくりと聞くが良いわッ!」
戦士「――!?」
66 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 15:52:39.31 ID:lxDfhZsro
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……
魔王ベルゼブブの肉体が一瞬の内に何千、何万匹という蠅へ姿を変えた。
蠅は闇夜へ広がってゆくと、魔王城の外へと流星群のように飛び交っていった。
戦士「てめぇ!! 何をしてやがる……っ!!」
ベルゼブブ「貴様にも味わわせてやろう」フォン!!
戦士「――!?」ズキィ!!
ベルゼブブ『……感じるか? 己の内部より迸る激痛を』
戦士「ぐあぁ……が……っ!」
ベルゼブブ『貴様の内部に侵入した余の一部が、心臓を貫き、脳を食らい尽くすのだ』
戦士「――っ!!」
激痛に身悶える戦士。触覚が残っていた事がこの時ばかりは悪条件であった。
そして戦士と同様の苦痛を味わう者らは、城外の平野へと大勢いた。
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……
足軽「……蠅? しっしっ、亡骸を嗅ぎ付けてやってきた――」チクッ
華国兵「ん? どうした?」
67 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 15:53:25.45 ID:lxDfhZsro
ズキィ!!
足軽「う……ごああぁぁ……っ」ザシャッ
華国兵「がっ、ああああぁぁぁぁ!!」ツツー
槍侶「そ、そなた達……如何したっ!?」
帝「何事じゃ!?」
王子「どうしたというのだ……っ、吐血しているではないか……っ!」
槍侶「分かりませぬ。私が見た時には既に苦しみ倒れて……」
王子「衛生兵と医者をっ!!」
竜騎士兵「ははっ!」ザッ
白虎兵「おいおい、何だってんだよ……くそ――」ズキィ!!
騎士団「な、何だ……? 急に胸が苦し――ぐがああああぁぁぁぁ!」ドシャッ
師匠「!?」
マジシャン「何がどうなってやがる……? 急に次々とぶっ倒れ始めたぞ……っ!?」
師匠「敵の気配はねぇ。てー事はだ……」
マジシャン「遅効性の攻撃か、もしくは……遠距離か」ザッ
68 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 15:54:07.48 ID:lxDfhZsro
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……
師匠「しっかし、さっきからハエがうぜぇなぁ……」
マジシャン「死体を嗅ぎ付けてきたんだろ。ったく、とんでもねぇ話だよ」
師匠「まるで地獄へ連れ去らっていくかのよう――」ズキッ
マジシャン「な……んだぁ……!?」
師匠「くぉ……っ、さっきから……これか……正体……っ!」
原因不明の痛みに一同はもがき苦しみ、そして叫びをあげる。
足軽「たっ、助け――あがああああぁぁぁぁ!!」
北方兵「ぐっるし……いぃ――」ドサッ
帝「何なのだこれは……っ、何かが……身体の中を這うような激痛が……っ」
名代「こっ、このままでは……まずい……っ」フラッ
この緊急事態にいち早く気が付いたのは師匠とマジシャンであった。
生存者を1人1人観察し、先程と周囲の相違を事細かに探っていたのだ。
師匠「マジシャン!」
マジシャン「分かって……る!」キュイイィィ……
69 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 15:55:02.76 ID:lxDfhZsro
ピキイイイイィィィィン
マジシャン「がはっ、はぁ……はぁ……っ!」
師匠「思った通りだ……っ。結界張ったら楽になりやがった……っ」
マジシャン「これで確定だな。さっきの魔物の仕業じゃねぇ。リアルタイムのい攻撃だ!」
師匠「……どこだ……くそっ」
マジシャン「考えられる手段は何だ? 空気か? いや、もっと何か別の……」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……
マジシャン「!?」
師匠「ハエだっ!! ちくしょうがっ!!」ブンッ!!
マジシャン「おい……空を見てみろよ……っ」
師匠「――!? 何ぃ、なんつー数……」
マジシャン「追っ払える数じゃねぇ! 根本を断たねーと、どうしようもねぇぞ!」
師匠「……っ」
マジシャン「魔道兵ども掻き集めて結界作らせんぞ! 移動する!」
師匠「おう」ザザッ
70 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 15:55:29.61 ID:lxDfhZsro
ヴヴヴヴヴヴヴヴ……
戦士「やめろ……やめろぉ!!」
ベルゼブブ「聞こえるだろう、断末魔の叫びが、阿鼻叫喚が」
戦士「く……そぉ!!」
現状を打破したい戦士ではあるが、視界が閉ざされ更には大量の蠅へと姿を変えた
ベルゼブブを捉える事は到底、不可能に近く、何も出来ずただもがくのみであった。
召喚士「…………」
五感を断たれた召喚士は、ただ脳裏に広がる暗闇の中を彷徨っていた。
召喚士(何も聞こえない……見る事も、感じる事もない……)
嗅覚が失われ呼吸もままならない。その為の息苦しさが召喚士を襲う。
召喚士(指先の感覚も……全身からも何も感じないや……)
自分が今、どんな状況なのか、何をしているのか、生きているのか。
それすらも分からない不可思議な状況で、ただ一筋の光を求めて彷徨う。
召喚士(……何だ……音……?)
幻聴か、はたまた自身が無音の中で作り上げたものなのか、
召喚士の脳に微かな音色が色付いていた。音は次第に、身体中へと染み渡る。
71 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 15:56:13.82 ID:lxDfhZsro
召喚士(……暖かい……そして、優しい音色)
ピクッ
ベルゼブブ「……?」
召喚士「……っ」
魔道士「…………ぅ」
ベルゼブブ「可笑しな事が起きているな。絶対とは言わぬが、有り得ぬ事が起きている」
召喚士「……ぐ……っく」ノソッ
ベルゼブブ「五感を断ち、起き上がるなど……どういう事か」
戦士「召喚士……召喚士なのかっ!?」
召喚士「戦……士……っ」
ベルゼブブ「……ああ、そうか。そういう事であったか」
1匹の蠅がくるくるとその場を周回し、1人の男の下へと飛来した。
ベルゼブブ「貴様の仕業か。音で五感を取り戻させたな?」
詩人「…………」
男は無言のまま、音を奏でる事を続けていた。
72 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 18:25:16.85 ID:lxDfhZsro
ヴ……ヴヴヴヴ……
白馬騎士「……っ?」
師匠「痛みが消えた……!? おいっ、これは……」
マジシャン「見ろっ! ハエが城へ向かってんぞ!」
帝「……っ。攻撃の原因はあれであったか」
名代「くっ、まさか魔王……
ヴ……ヴウ……゙ヴヴ……
東方司令「……っ?」ヨロッ
ジュニア「う……ぐぐ……っ」
大軍師(意識が……一体、何だったのです?)
ベルゼブブ「ふむ。余の力を封じ込めたか」
詩人「……」
ベルゼブブ「余に対する反逆か? その結末がどういう事になろうか、理解しているのか?」
詩人「……」〜♪
ベルゼブブ「フッ。覚悟の上か、良かろう……ならばもう、何も言うまい」
73 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/17(木) 18:25:59.61 ID:lxDfhZsro
召喚士(詩人……さん?)
ベルゼブブ「貴様の所業が余に対する反逆であるとすれば……」
詩人「……」
ベルゼブブ「貴様の愛しき者は未来永劫、奈落の底へと消えようぞ」
詩人「……っ」
戦士「何を……ごちゃごちゃと……」
ベルゼブブ「仕方ない」
蠅の群れが一塊となり、詩人の前へと集い始めた。
ベルゼブブ「余は、貴様の音楽をこよなく愛していた。だから貴様が望むものを与えた」
詩人「……」
ベルゼブブ「それは服従であり、貴様の身を守る術」
召喚士「……行けっ、座敷……童……」シュイイィィ
ベルゼブブ「だが貴様が余の下を離れるというならば、貴様の望みもその一切を返して貰うぞ」
詩人「――っ!?」ドクンッ
ベルゼブブ「貴様と、愛しき者へ与えたその生命、返して貰う」
74 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/17(木) 18:27:09.79 ID:lxDfhZsro
今日はここまでにて。ありがとうございました!
そして本日も沢山のご支援感謝です!いつもすみません
それでは失礼致します!またね!ノシ
75 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/17(木) 18:32:36.76 ID:bygAueNDO
最速のいちおつんつん(棒読み)
76 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/17(木) 18:32:45.84 ID:54D+f2yoo
いちおつ!
77 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/05/17(木) 19:07:01.02 ID:gFLAh0mMo
>>1
乙
心眼「何がおかしい!!」
78 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/17(木) 22:09:12.05 ID:3CtgIgPAO
>>1
おつ
79 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/18(金) 05:48:33.39 ID:/st6TfHi0
いちおつ
80 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/18(金) 08:34:08.70 ID:ecZWwXeAO
朝っぱらからの
>>1
乙んつんであります
81 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 12:58:44.67 ID:EtFb9JmSO
いけケツアナ
やっちまえ
82 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 17:57:11.84 ID:jgmQcEgyo
……――
少年は吟遊詩人になった。愛する者へ音を奏でるために。
詩人『……』
女『素敵な曲ね。名前はあるの?』
詩人『いや、特に決めてないよ。名も無きセレナーデさ』
女『そっかぁ』
本当は曲名も決めていた。でも照れくさくて言えなかった。
女『ねぇ』
詩人『ん?』
女『……おじさんも、きっと喜んでくれてるよね』
詩人『……ああ』
2人にとって、あの日の事は忘れようにも忘れられない出来事。
女『ねぇ、もう1回聞かせてくれる?』
詩人『君が望む限り、何度でも……』
あの日と同じ音色が今ここに、変わる事なく奏でられている。
83 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 17:57:49.85 ID:jgmQcEgyo
――……
〜♪
ベルゼブブ「もう1度言う。余は貴様の音楽を愛していた」
詩人「……」
ベルゼブブ「だからこそ貴様を生かしたのだ。もし余の下を離れると言うならば……」
詩人「僕は、愚かだった」
ベルゼブブ「……」
詩人「彼女をどうしても、せめてもう1度だけでも会いたいという一心で……」
召喚士「……?」
詩人「悪魔に魂を売り渡してしまったんだ。本当に愚か者だった」
ベルゼブブ「愚か? 余に服従する事が愚かとでも申すか?」
詩人「愚かだったよ。それが例え、僕の音楽を愛してくれたとしても」
ベルゼブブ「ほぉ」
詩人「1度、失った命を再び手に入れようなんて、どんな理由であれ駄目なんだ」
召喚士「詩人さん……っ」
詩人「僕はそれに気づくまで、沢山の人達を傷つけてしまった」
84 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 17:58:23.51 ID:jgmQcEgyo
戦士(……視界が戻った。何だったんだ……くそっ)ボヤー
ジュニア「……あい……つ」
ベルゼブブ「それで貴様は改心し、余を裏切ろうと考えたわけか」
詩人「……」
ベルゼブブ「いや違うな。貴様は最初からそれを狙っていた」
詩人「ベルゼブブ。あなたが僕の音楽を評してくれた事には感謝するよ」
大軍師「……っ」ヨロッ
詩人「お陰で、常にあなたの傍に居る事を許されたからね」
ベルゼブブ「そして貴様は、今日のような日をただずっと、待っていた」
詩人「……」
ベルゼブブ「余の下まで到達出来る人間を、余を討てる人間が来る事を待っていた」
詩人「そうさっ。だからこそあなたから不死の力を得て、ただずっと……待っていたんだ」
召喚士「そうか……っ、詩人さんは人間を裏切ったわけじゃなくって……」
青年兵「ベルゼブブの思惑を逆手に取り、それを利用する事で倒す機会を待っていたんだ」
詩人「……」〜♪
85 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 17:58:50.67 ID:jgmQcEgyo
ベルゼブブ「……余の力を封じるとは。初めて聞く曲だな」
詩人「ああ、あなたの前で奏でるのは初めてだ」
ベルゼブブ「何と申す?」
詩人「曲名は『魔王』。あなたの傍に居た事で作り上げた曲さ」
ベルゼブブ「だからか。余の力のみを封じ込める効果を感じられるのは」
詩人「ずっと見てきた。だからこそあなたの動き、全てを封じられる」
〜♪
青年兵「これが……たったの1人の奏でる音楽なのか……っ」
皇太子「どういう事だ。まるで幾つもの楽器や……歌までが聞こえてくるではないか」
詩人「あなたには感謝しているよ。音楽を評してくれた事は真意だけじゃない」
ベルゼブブ「……:」
詩人「いち吟遊詩人としても、評価してくれた事には感謝しているっ!」〜♪
ベルゼブブ「ハッハッハッハッハッハッ」
詩人「……?」
ベルゼブブ「詩人よ、貴様は何か勘違いしておらぬか?」
86 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 17:59:29.34 ID:jgmQcEgyo
詩人「……どういう事だ」
ベルゼブブ「貴様は余を知ったと申していたな」
詩人「……」
ベルゼブブ「余を知る? 人間が? ましてやたかが数百年でか?」
詩人「っ!?」
ベルゼブブ「笑わせるな。余を推し測る事などまかりならぬ。何千年かかろうとな」
召喚士「まずいっ!」
ベルゼブブ「余の力を抑えられるなどと、甚だしいにも程があるぞ」ゴアッ!!
詩人「――っ!!」
大量の蠅の中から左手がすっと伸びた。その左手は詩人の前へ
突き出すように伸びると、詩人の音色が一瞬、ぎこちなく揺らいだ。
詩人「……っ」
蠅は次第に左手だけでなく、人間のような形を模してゆく。
先程まで対峙していたした魔王ベルゼブブの姿である。
ベルゼブブ「さあ、命を返して貰おうか」
87 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 17:59:57.82 ID:jgmQcEgyo
詩人は苦しむように顔を歪める。そしてその顔は次第に青年のものから老人へと移り変わる。
魔道士「っ!?」
ジュニア「ど、どうなんてんだぁ!?」
大軍師「不死を取り上げられているのでは……」
戦士「何!?」
大軍師「命が急速し、終わりへと進んでいるのです……っ」
盗賊「!?」
召喚士「詩人さん!」
詩人「来るな」
召喚士「!?」
詩人「演奏の最中だ……邪魔を、しないで貰いたいな……っ」
ベルゼブブ「どんな事があろうとも演奏を止めない。一流の証だな」
東方司令「何が……一流だっ!!」
詩人「いいんだ。ベルゼブブに通じないと分かった今、僕の役目は……終わったんだ」
召喚士「……っ」
88 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:00:29.16 ID:jgmQcEgyo
ベルゼブブ「貴様の申す通りだ。もう生きる価値はない」
召喚士「ふざ……けるなっ!!」ザッ
ベルゼブブ「何が出来る?」
召喚士「何……っ?」
ベルゼブブ「貴様の残された余力で、何が出来ると言うのだ」
召喚士「やってみなくちゃ分からないさ!!」
ベルゼブブ「……愚かな」
テッテッテッテッ
座敷童子「ぬふふっ」テッテッ
ベルゼブブ「……?」
盗賊(座敷童子? このタイミングで何故……)
召喚士は五感が回復したと同時に座敷童子を召喚していた。
ベルゼブブ「召喚獣か? なんだこの脆弱なものは」
座敷童子「脆弱とは失礼なっ! ぷん!」
ベルゼブブ「……消え失せろ」フッ!!
89 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:00:59.21 ID:jgmQcEgyo
座敷童子「――――っ」
ボウウゥゥゥゥン!!
ベルゼブブ「!?」
座敷童子の能力、それは自分が消滅すると、己を使役した者をその場に呼び寄せる。
ベルゼブブ「何……ッ」
つまり、不意を衝いて敵の懐に飛び込む事が可能となるのであった。
召喚士「行けぇーっ! コカトリスー!!」
シュイイィィィィン
ベルゼブブ「――ッ!」
コカトリス「この距離だ。かわせるはずもない」
青年兵「ゼロ距離コカトリス改……っ!!」
突如目の前に現れた召喚士。そしてその直後に召喚されたコカトリス。
ベルゼブブはそれらを対処する間もなく、突撃してきたコカトリスに成す術なく貫かれた。
ドッゴアアアアァァァァ!!
ベルゼブブ「――ッ」ミシミシッ……ピキッ
90 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:01:43.54 ID:jgmQcEgyo
戦士「おっしゃあ! 魔王を石化させたぞ!」
魔道士「す、凄い……っ」
ピキキッ……ミシミシミシミシッ
召喚士「はぁ、はぁ……ど、どうだ……っ」
ベルゼブブ「やるではないか。余を戸惑わせるとは大したものだぞ」
戦士「石化してる分際で何を強がってやがる!」
召喚士「いや、この程度じゃ致命傷にもならない……」
ベルゼブブ「よく分かっているではないか。己を理解する事は進化に必須であるぞ」
盗賊「いちいち癇に障る奴だな」
召喚士「あと少し……魔力があれば……」
コカトリス「無駄だろうな」
召喚士「……っ」
コカトリス「奴を見てみろ。胸部から上は一向に石化する気配がない」
魔道士「ほ、本当だ……」
コカトリス「奴の言う通り、ここまで石化出来た事が既に、大健闘という事だ」
91 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:02:55.25 ID:jgmQcEgyo
召喚士「……くそ……っ」
ベルゼブブ「まだ何かあえるのか? なければ時間の問題ぞ」
召喚士「……せめて……詩人さんを」
ジュニア「分かってる!」ダッ
詩人「……」
ジュニア「もういいっ! しっかりしろ!」
詩人「無念だよ……」
賢者「……」ザッ
詩人「指に力が入らない……完奏出来ないなんて……ね」
ジュニア「回復は!?」
賢者「……無理だね、これは傷によるものじゃないよ……ふぅ」
ジュニア「……っ」
賢者「寿命によるもの……それは抗う事なんて出来ない……ふぅ」
詩人「この日を……どれだ……け、待ったか……」
ジュニア「おいっ!!」
92 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:03:25.28 ID:jgmQcEgyo
詩人「……いや、もっと早く……すべきだった……っ」
ジュニアの腕に抱えられた男は、もうかつての面影など全くなく、
急速に痩せこけ、皮が弛み、頭髪が抜け落ちていった。
ジュニア「馬鹿野郎っ! アイツは……メガネはなぁ! お前を信じて……お前の為にっ!」
詩人「眼……鏡……」
ジュニア「死んだんだぞぉ!!」
召喚士「え……っ?」
魔道士「眼鏡さんが……死ん……だ……?」
ジュニア「ああ、死んだ! ここまでの道を作るために、身を犠牲にして……」
戦士「嘘だろ……」
ジュニア「門をこじ開ける為に!! 魔王を倒す為にっ!!」
盗賊「……くっ」
召喚士「死んだ……眼鏡さんが……? だって……ついこの前だって……」
詩人「……」
召喚士「そんな……そんなのって……」
93 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:03:52.50 ID:jgmQcEgyo
ゴゴゴゴゴゴ……
ベルゼブブ「……?」
詩人「眼鏡……そうか……ならば、願わくばせめて……」
ジュニア「!?」
詩人「僕は……彼の……下……へ……」
ジュニア「くそっ、しっかりしろよおいっ!!」
詩人「命……尽きようと……も……」
召喚士「っ!?」
詩人「届け……最後の……歌……」
召喚士(な、何だこの感じ……っ、勝手に魔力が……吸われて……)
シュイイィィィィン
召喚士「――!?」
ベルゼブブ「それが奥の手か?」
戦士「……召喚士っ、何だ……それは……っ」
召喚士「俺じゃないっ!! 勝手に召喚――」
ケツァルコアトル「……よぉー元気そうじゃねぇの。うははっ!」
94 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:09:56.13 ID:jgmQcEgyo
……――
詩人『さぁ、もう夜も遅い。そろそろ帰るよ』
女『そうね。ま、私は別にいいんだけど』
詩人『そうはいかないさ』ザッザッ
女『ほーんと、真面目なんだから』
詩人『ん?』
女『んーん、何でもなーい。ねぇ、次はいつ来てくれるの?』
詩人『近いうちにまた来るさ』
女『じゃあその時は、曲名教えてくれる……?』
詩人『どうかな』ザッザッ
女『もうっ!』
詩人『……ボソッ』
女『えっ? なになにっ!? ムジク?』
詩人『何でもないよ。それじゃあまたね……アイネ』
アイネ『ええ、またね……詩人』
95 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:10:32.33 ID:jgmQcEgyo
――……
ケツァルコアトル「んーいい曲じゃねぇの。なんだかこう、力が湧き上がるわな」
ベルゼブブ「……」
ケツァルコアトル「さーて、魔王ベルゼブブよ」
ベルゼブブ「余を存じているとは、なかなか優秀ではないか」
ケツァルコアトル「そりゃー嫌でも覚えてるっつー話だぜ」
ベルゼブブ「何?」
ケツァルコアトル「テメーにゃ借りがあるんでなぁ。ま、キッチリ清算させて貰うけどよ。うははっ」
召喚士「ケツァルコアトル……?」
ケツァルコアトル「この曲……せつねぇな」
ジュニア「……っ!!」
詩人「……セレ……ナーデ」
ケツァルコアトル「……」
詩人「アイネ……の……ための……」
賢者「……駄目だね。もう終わりだ……ふぅ」
96 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:11:02.14 ID:jgmQcEgyo
ジュニア「っ!!」
詩人「アイネ・クライネ・ナハトムジーク――――」
サアアアアァァァァ
ジュニア「――っ!!」
両腕で抱えた詩人の肉体は、砂のようになって消えていった。
何百年も生き長らえたのはあくまでベルゼブブによる不死の施しによるもの。
それが解かれた今、何百年の生涯が一瞬の内に詩人へと降りかかり、
その肉体はあっけなく現在の時にまで時間を進める事を相なった。
召喚士「詩人……さん……っ」
大軍師「逝ってしまったようですね」
ケツァルコアトル「あいつ……そうか、そうかよ」
ベルゼブブ「もう良かろう、無駄な力を浪費させてくれるものだ」ビキッ
コカトリス「石化が解かれるぞっ!」
召喚士「くそっ!」
戦士「ちぃ……っ! 今度こそ……外さねぇぞ!」
97 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:11:28.87 ID:jgmQcEgyo
盗賊「戦士っ!?」
青年兵「まさか生身でゾディアックを!?」
召喚士「戦士っ!!」
戦士「うおおおおぉぉぉぉ――」
ケツァルコアトル「威勢いいじゃねぇか。うははっ」ブオンッ
戦士「――!?」
ケツァルコアトル「丁度いいや、ちぃと貸せや」
戦士「な――っ」
ケツァルコアトルが戦士に近づき、そのままぶつかった。
召喚士「!?」
ケツァルコアトルが消失した。戦士はうつむいたまま、その場に居た。
戦士「……」
ベルゼブブ「貴様、何をした? 器と中身が違うではないか」
ケツァルコアトル「俺は俺だ。今も昔もなんら変わりはねぇ」
戦士「俺は俺だ。今も昔もなんら変わりはねぇ」
召喚士「!?」
98 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:11:59.48 ID:jgmQcEgyo
ケツァルコアトル「召喚士、ちょいとお前の仲間を借りるぜ」
召喚士「戦士……じゃないのか……っ!?」
ケツァルコアトル「俺の力は、1人の人間に憑依する事」
東方司令「憑依? 何を言っているのだ……?」
ケツァルコアトル「そしてそいつの力を極限、最大限まで発揮する」
大軍師「人は生きるにあたり、全ての力を使っていないと聞いた事があります」
エリート「つまりそれらを全て引き出すという事なのか……っ」
ケツァルコアトル「それに加えて、この俺の力も加味する事が出来る」
盗賊「!?」
皇太子「それで、魔王に勝てるのか?」
ケツァルコアトル「!?」
皇太子「……?」
ケツァルコアトル「あんた……陛下みてぇだな」
エリート「失礼な奴だな。紛れもなく陛下だ」
ケツァルコアトル「おぉ、そうだったか。道理でよく似てらっしゃるはずだ。うははっ」
99 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:12:39.90 ID:jgmQcEgyo
皇太子「何の話だ?」
ケツァルコアトル「さぁ行くぜ。あん時は一撃だったが……今度はそうはいかねぇぞ」
ベルゼブブ「何を申しているのか理解出来ぬが、余に恨みがあるようだな」
ケツァルコアトル「ああ、あるね」
ベルゼブブ「すまんな」
ケツァルコアトル「あ?」
ベルゼブブ「身に覚えが有り過ぎて、把握しておらぬ」
ケツァルコアトル「結構だ!」
ドウッ!! ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!
東方司令「は、早すぎて……見えなかったぞ……っ」
ベルゼブブ「……」ツツー
ケツァルコアトル「いっちょまえに出血はするんだな」
ベルゼブブ「余に……傷を付けるか……っ」スッ
ケツァルコアトル「こんなモンじゃねーぞ。こっからだ!!」
ヒュッ ドッゴオオオオォォォォ!!
100 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:13:16.48 ID:jgmQcEgyo
盗賊「こ、今度は背後……!!」
大軍師「これは……人間の動きを越えている……」
ベルゼブブ「……グヌ……ッ」
ジュニア「ベルゼブブを吹き飛ばしやがった……っ」
ケツァルコアトル「うおらああぁぁーっ!!」
ドッゴオオオオォォォォ!! ズシャッ
ベルゼブブ「……く、口だけでは……ないようだな」ジャリッ
ケツァルコアトル「テメーを殺す事を、どれほど夢見た事か」
ベルゼブブ「……」
ケツァルコアトル「見えるか? 城外に広がる無数の小屋が!」
ベルゼブブ「……」
ケツァルコアトル「まるで墓標だ。空しいモンだぜ」
ベルゼブブ「……」
ケツァルコアトル「感じるか? 北の大地に消えて行った村々の断末魔が!」
ベルゼブブ「……」
101 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:13:58.89 ID:jgmQcEgyo
ケツァルコアトル「慈悲も理由もなく、暇潰しのために消されちまってよぉ……」
ベルゼブブ「……」
ケツァルコアトル「覚えているか? てめぇに挑んで散っていった勇者の顔を!」
ベルゼブブ「……」
ケツァルコアトル「俺は忘れねぇ。アイツらや仲間の顔を!」
ベルゼブブ「興味がないな。それに知る理由も慈悲を与える理由もない」
ケツァルコアトル……」
ベルゼブブ「貴様は何なのだ? 召喚獣なのか? それとも人間なのか?」
ケツァルコアトル「それこそてめぇが知る理由ってモンはねぇ。うははっ」
ベルゼブブ「大層な口を叩くではないか」
ケツァルコアトル「いちいちかまってる暇はねーんでなっ!!」
ベルゼブブ「……ッ」ガギイイィィィィ!!
ケツァルコアトル「……ぬ……おおぉぉ」
ベルゼブブ「速さにはだいぶ慣れてきた。それに貴様の力、限定的なものと見える」
ケツァルコアトル「……ッ」
102 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/18(金) 18:17:09.01 ID:jgmQcEgyo
今日はここまでと致しましょう!ご支援ありがとうございました!
それでは失礼致しますではでは!!ノシ
103 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 18:19:04.10 ID:7Sq4c69IO
乙
104 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 18:21:29.65 ID:vb7bl23DO
やっと主人公のケツアナさんのターンか
105 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/18(金) 18:25:42.08 ID:mBjF42I2o
ケツアナルがんば!
106 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 18:36:06.66 ID:zgazYjqDO
いちょつ
ケツアナさんがんば!
107 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 19:06:18.27 ID:wYSOMh/3o
ケツアナル何とかさん強キャラだったかー
108 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 20:07:47.04 ID:q2ybG7rDO
1乙
戦士のケツアナがこんなにも……
109 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 20:18:51.47 ID:kC5DnyqDO
ケツアナがどこから入ったのかが重要だ
110 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 21:08:49.51 ID:rR5mwFUAo
ただしコアトルはケツから出る
111 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/05/18(金) 21:16:26.03 ID:kAn3YSqco
おまえらのケツアナ愛に濡れた
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/18(金) 21:43:50.32 ID:vnAnSG6IO
ケツァル格好よすぎわろたwwwwww
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/19(土) 01:16:18.83 ID:dZSKfDeAO
>>1
おつ
限界まで体酷使させられるとか戦士はこの後筋肉痛なりそうだな
114 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2012/05/19(土) 03:23:11.16 ID:Lq0jRbOh0
>>1
おっつん
はたして筋肉痛で済むレベルなのか…
115 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(空)
[sage]:2012/05/19(土) 07:50:05.38 ID:jXOWNhgo0
ケツアナと詩人の再会に泣いた
116 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/19(土) 08:31:37.85 ID:53w5oD7AO
>>1
乙んつん
みんなアナルだケツだって下品だな。もっと書け。
117 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/05/19(土) 09:05:17.38 ID:SdQdI17to
>>1
乙
まいふぁーざまいふぁーざー
久し振りに思い出した
118 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/19(土) 09:52:35.82 ID:R5V7eNQDO
>>114
ベルセルクみたいなるか…
119 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/19(土) 20:45:38.06 ID:3sGTgo0IO
おい尻は入り口じゃない!出口だぞ!
120 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2012/05/19(土) 23:26:08.78 ID:rtWTR5SAO
挿れる事は出来るだろう?
なら入れるだろう
121 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/20(日) 23:22:30.36 ID:HfmtojGBo
ズギャギャッ!! ガッギイイィィィィ!!
ベルゼブブ「問題ないな。貴様の速さ、やはり把握した」
ケツァルコアトル「だったら……」
ジャキッ キュイイィィィィ
ケツァルコアトル「こいつで、どうだぁ!!」
ゴアッ!! ドドオオオオォォォォン!!
召喚士「ま、魔法剣……っ!?」
魔道士「戦士さんが……どうしてっ!?」
ケツァルコアトル「言ったろうがっ! 俺の力も加味するってよおぉ!!」
ベルゼブブ「……ッ!」
戦士、いや……ケツァルコアトルの右腕はゾディアックをぐるぐると回転させ、
そこから迸る炎と雷がベルゼブブの周囲をぐるりと取り囲んだ。
ケツァルコアトル「食らええぇぇーっ!!」ズギャッ!!
そして左手で放たれた突風と土の壁が自身を護衛するように暴れる。
ベルゼブブはそれらを対処しながらケツァルコアトルを目で追うが、その姿は既になかった。
122 :
酉なんだっけ…
[sage saga]:2012/05/20(日) 23:23:34.90 ID:HfmtojGBo
ベルゼブブ「何ッ!?」
ケツァルコアトル「アンタさぁ、すんげー強いよなぁ」
ベルゼブブ「……」
ケツァルコアトル「でもよぉ、闘いなれてねぇんだよ」
木行と土行の猛攻に気をかけながら、ベルゼブブはゾディアックを慎重にかわす。
ジュニア「何を言ってやがんだアイツは……っ」
青年兵「そうか……っ」
盗賊「……?」
大軍師「魔王ベルゼブブは今まで、攻撃を受ける機会が皆無でした」
青年兵「だからこそこういった攻撃に慣れていない……」
大軍師「おそらく今までは、一瞬で相手の命を奪う事がほとんどだったのでしょうからね」
ジュニア「……そういう事かい」
賢者「だったらここが……チャンスだね……ふぅ」
ジュニア「おーし、魔法援護……ありったけブチかましてやんぜぇ! ハッハ!」
123 :
あったあった
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/20(日) 23:25:25.73 ID:HfmtojGBo
ドッゴアアアアァァァァ!!
ベルゼブブ「……?」
ジュニア「撃て撃て撃て撃てええぇぇ!」
魔道士「やああぁぁーっ!!」
大軍師「これでっ、どうです!」ゴアッ!!
ベルゼブブ「忌々しい……」
ケツァルコアトル「はんっ! 初めて味わう狩られる気分ってのはどうだよ!!」
ドッゴオオオオォォォォ!!
ベルゼブブ「グ……ヴ……ッ」
突き刺さる巨大な氷柱。ベルゼブブは一瞬の内に凍りつく。
召喚士「何者なんだ……っ、あれほどの魔力を……戦士が」
ベルゼブブ『……この程度のもので、余が凍らせられるとでも思うてか」ビシッ
ケツァルコアトル「思ってねぇよ」ズザッ
ベルゼブブ「――ッ」
ケツァルコアトル「てめぇをとるには近距離しかねぇみたいだからなぁ!」
124 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/20(日) 23:28:10.80 ID:HfmtojGBo
存分に振り回したゾディアックはピタリと水平に止まり、一気に引く。
そしてケツァルコアトルの意志により凄まじい早さで突きを繰り出した。
ケツァルコアトル「っらああああぁぁぁぁーっ!!」
突きは無音でベルゼブブの腹部へと突き刺さった。
ベルゼブブ「――――ッ」
突き刺さった刹那、魔王の肉体は激しく後方へと吹き飛んでゆく。
そして同時に、大きな衝撃音が当たりに響き渡った。
ズッガオオオオォォォォン!!
ベルゼブブ「ゴフ……ッ」ズシィ
壁にめり込んだベルゼブブ。腹部に突き刺さったゾディアックを静かに見つめる。
エリート「音が……後から聞こえた……?」
大軍師「まさか音速を凌駕したと言うのですか……っ」
呆気にとられる一同を余所目に、ケツァルコアトルは両手に魔法を集中させる。
キュイイイイィィィィ ズゴゴゴゴゴゴ……
ケツァルコアトル「……足りねぇ。雷か? いや、風か……?」
125 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/20(日) 23:29:19.59 ID:HfmtojGBo
ベルゼブブ「これほどの力があるとは。やはり人間のものではない」
ケツァルコアトル「くそがっ、完全じゃねぇのかよ」
召喚士「……?」
ケツァルコアトル「仕方ねぇ。とにかくやるだけだ!!」
ベルゼブブ「完全ではない? ああ、そうか。これの事か」グッ
ケツァルコアトルが言う完全ではないもの。それはゾディアックの事である。
12本の槍が1つとなって存在するゾディアック。しかし現在その存在は、
騎都尉の戟がフェイクであり、真のゾディアックとはいえないのである。
ベルゼブブ「詰めが甘かったな。余に対する詰めが」
詰めが甘かったわけではない。しかし偶然が悪い方向じぇとやや傾いてしまった。
ケツァルコアトル「何っ!?」
ベルゼブブ「この肉体はくれてやろうぞ。余は、次なる姿として脱する」
ゾディアックにより壁へと突き刺さったベルゼブブの肉体が脱力する。
そしてすぐさま、人型の器から黒い粒子が溢れ出し、ケツァルコアトルの前に集う。
黒い物体は蝿の姿を模し、次第にそれは1つの巨大な蝿へと姿を変えていった。
126 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/20(日) 23:59:55.35 ID:7PRtHphDO
乙アナルコアトル
127 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/21(月) 00:05:03.22 ID:dr5SGkHAO
>>1
おつ
128 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/05/21(月) 00:29:00.02 ID:gYDywL07o
乙
129 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
:2012/05/21(月) 00:30:05.09 ID:4kMFoLK90
ケツアナさん、俺の体を使え?
130 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/21(月) 03:01:24.97 ID:eKX4dp9s0
>>1
おつ
131 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/05/21(月) 12:42:40.12 ID:8DXYfJJio
>>1
乙
スカトロ魔王強いな…
132 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/21(月) 21:55:16.24 ID:S/O8XD3IO
天才さんの出番が…
133 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/05/21(月) 23:59:37.94 ID:I2UuYSMMo
たまにはゆっくりお休み〜!!
134 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/22(火) 02:46:06.28 ID:RY3IhLz1o
乙
135 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/22(火) 18:13:09.90 ID:khGiBrFwo
召喚士「……っ」
皇太子「何だ……あれは!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
蠅は小さな1匹1匹を吸収するように肥大化し、最終的には一同よりも大きく、
しかしながらそのフォルムは紛れもない蠅そのものへとなり、飛び立った。
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ベルゼブブ「……先の手はもう使えぬな。次は何をしてくれるのやら」
魔道士「う……っ、大きな……蠅!?」ゾワワッ
東方司令「気持ち悪い。見るに堪えんな」
ベルゼブブ「己の価値観を押し付けるなどと、愚の骨頂だな」
東方司令「ウルサイ。生理的に受け付けないんだから仕方ないだろ」
ベルゼブブ「人間というものはそうやって、自身で進化を止める傾向にある」
盗賊「……」
ベルゼブブ「そして足りぬ部分を補うなどとのたまう。全くもって理解しがたい」
青年兵「人を信じて、助け合う事が人間の強さなのだ!」
136 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/22(火) 18:13:46.94 ID:khGiBrFwo
ケツァルコアトル「いいこと言うじゃねぇの、兄ちゃんよ。うはは」
ベルゼブブ「だからこそ狩られる。弱肉強食とはよく言ったものだ」
ケツァルコアトル「蠅の分際でよく言うぜ。蠅こそ人間に狩られる存在だろうが」
ベルゼブブ「フッ。だったら試してみるが良い」
ズゴゴゴゴゴゴ……
ベルゼブブ「余が貴様の言う、蠅なのかどうかをな」
1つ羽ばたくだけで地面へは強い風圧が加えられる。
青年兵「くっ」
大軍師「なんという風圧……っ、跳ね返せるであろうか」
ベルゼブブ「さぁ、次なる一手を見せてみよ」
ケツァルコアトル「望むところだ!」
ベルゼブブは2度、3度と羽ばたく。すると羽より何か粉のようなものが散り始めた。
細かく黄色い粒子はまるで鱗粉のように、周囲へと降り注ぐ。
盗賊「……何だ?」
エリート「嫌な予感がする。あの粉は浴びぬ方が賢明だな」
137 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/22(火) 18:16:03.15 ID:khGiBrFwo
東方司令「じゃあどうやって攻撃するんだよ」
大軍師「風で押し返しましょう」
皇太子「出来るか?」
大軍師「やるしかありません。そうですよね?」
ジュニア「ったく、もうあんまり魔力は残ってねーぞ?」
魔道士「お、同じく……っ」
大軍師「もうじきです。もうじききっと……到着なさるはずですから」
エリート「本当に来るのだろうな、あの男は。よもや途中で死――」
皇太子「不吉な事を申すな」
エリート「……魔法は頼んだぞ。陛下、少し距離を取りましょう」
皇太子「止むを得んな」ザッ
青年兵「召喚士さんっ、召喚獣で援護出来ますか?」
召喚士「ごめんっ、ケツァルコアトルで精一杯なんだ……」
青年兵「了解です。僕は召喚士さんの身を援護しますから」
召喚士「ごめんっ、ありがとう!」ザッ
138 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/22(火) 18:16:54.73 ID:khGiBrFwo
東方司令「残りはボクに続け! まずは奴を地上に打ち落とすぞ」
盗賊「……了解」チャキッ
ベルゼブブ「……」
鱗粉は四散し、月明かりに照らされてきらきらと輝いていた。
大軍師「いきますよっ!」ザッ
ドドオオオオォォォォン!! ゴアアアアァァァァ!!
東方司令「今だっ!!」
ケツァルコアトル「……」
皇太子「こちらも行くぞ」バッ
エリート「……っ」
ケツァルコアトル「……」
戦士『おい!』
ケツァルコアトル「……?」
戦士『何してんだ! 早く援護しろよ!』
ケツァルコアトル「……おかしい」
139 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/22(火) 18:17:35.53 ID:khGiBrFwo
戦士『あぁ?』
ケツァルコアトル「こんな単純な攻撃を仕掛けるものか?」
戦士『何が言いてぇんだよ!』
ケツァルコアトル「どのみち、放ってはおけねぇか……」ザッ
ベルゼブブ「……やはりな」
大軍師「……?」
ベルゼブブ「どうせそんな手であろうと思っていた」
ジュニア「何をほざいてやがるっ!」
ベルゼブブ「だから申しているのだ。もっと見識を広げ進化せよ、とな」
朗報司令「――っ!!」
ベルゼブブ「いつ、誰が、どこで、粉などと申したか?」
青年兵「こっ、これは!!」
召喚士「粉なんかじゃない……っ、れっきとした……生き物だ!!」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ベルゼブブ「風など意思を持つ者にとっては、ただよければ済む事だ」
140 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/22(火) 18:20:18.67 ID:khGiBrFwo
エリート「陛下ぁ!! 退きます――」
大軍師「……っ」
二段構えの策は勿論、大軍師は練っていた。
鱗粉を風で押し返し、最悪駄目であったとしても、賢者による回復を行う。
これで対処に問題はない。通常は。当たり前の話である。
ただし、これが人間の知識による範疇の限界であった。その先は人知を超えるもの。
大軍師(認識が甘かった。まさか……生物であったとは!)
失態と言うには余りにも忍びない。流石の大軍師もここまでは読み切れなかった、
いや、知識になかったのだ。他の者ならば二段構えすらしていたかどうか。
ベルゼブブ「良かったではないか。余のお蔭で1つ、賢くなったな」
飛び回る鱗粉は風をよけ、徐々に一同の身体へと付着し、鼻や耳から体内へと入り込む。
皇太子「――――っ」ガクンッ
盗賊「力が……入らな――」
ケツァルコアトル「違うっ、コイツは……」
召喚士「さっきと同じだ……。全身の感覚が抜けてゆく……っ」ガクン
141 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/22(火) 18:22:08.22 ID:khGiBrFwo
ベルゼブブ「五感の1つ、触覚を断った」
青年兵「……た、立つ事も出来ず……一切の感覚が…・…っ」ドシャッ
ジュニア「くっそ……手足がどこにどうなってるのかさえも分からねぇ!」
ベルゼブブ「少々騒がしいな。ならば次は……」
ボアッ!! ヴヴヴヴヴヴヴヴ
魔道士「こ、今度は赤い粉!?」
大軍師「くっ」
ベルゼブブ「無駄だ、やめておけ。理解はしても対処はしようがないのだ」
召喚士「どう……する……」
盗賊「!?」
赤い粉は先程の黄色い粉と同様、身体へと付着し、徐々に皮膚へと入り込んでゆく。
東方司令「が……っ、あああぁぁぁぁ!!」
皇太子(口内……いやっ、内臓が焼けるように熱く……痛い!!)
ベルゼブブ「これで味覚は断った。喋る事はおろか、口から呼吸する事も出来まい」
召喚士「……っ」
142 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/22(火) 18:29:17.06 ID:khGiBrFwo
進まねー…ほんと申し訳ないっす。もう終盤なのに…
ひとまずここまでにて失礼致します!ありがとうございました!ノシ
143 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/22(火) 18:29:52.18 ID:feqb9te2o
いちおつ!
144 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/22(火) 18:42:19.58 ID:3cnfQmLDO
いちょつ
145 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/22(火) 18:53:02.93 ID:v7ywxqCDO
おつんぽ!
146 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/22(火) 18:54:54.84 ID:6/vaORrHo
8888888888888888888
147 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/22(火) 22:55:39.97 ID:ub1fBhbIO
おつおつ
148 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/23(水) 00:44:47.10 ID:aOvd3FKg0
>>1
おつ
149 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/23(水) 01:03:27.34 ID:W1sCyjtAO
>>1
おつ
150 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:12:12.74 ID:gcDrZGGuo
魔道士「か……かは……っ」
青年兵(何とか呼吸を整えないと……くそ……っ)
ベルゼブブ「苦しいか? まあ苦しいだろうな」
盗賊「……っ」
ベルゼブブ「動けず会話も出来ず、さて……次はどうするか」
フワァ……ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ベルゼブブ「他者を信じるという貴様等だ。慈悲として視覚は最後まで残してやろう」
魔王の羽より、今度は青い鱗粉の生物が生まれ、空中へと飛び散っていく。
ベルゼブブ「次は聴覚だ。話も出来ぬのだから特に必要もあるまい」
魔道士「――っ!!」
耳の奥に激痛が走る。そして途端に、周囲の音が一切なくなった。
ベルゼブブ『さて次は嗅覚』
何も聞こえないはずなのに、ベルゼブブの声だけが頭の中へ響き渡る。
一方的な対話。とは言っても、元よりベルゼブブの問いに拒否権などない。
ベルゼブブ『さあ、呼吸の一切を止めるが良い』
151 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:13:38.30 ID:gcDrZGGuo
魔道士「か……かは……っ」
青年兵(何とか呼吸を整えないと……くそ……っ)
ベルゼブブ「苦しいか? まあ苦しいだろうな」
盗賊「……っ」
ベルゼブブ「動けず会話も出来ず、さて……次はどうするか」
フワァ……ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ベルゼブブ「他者を信じるという貴様等だ。慈悲として視覚は最後まで残してやろう」
魔王の羽より、今度は青い鱗粉の生物が生まれ、空中へと飛び散っていく。
ベルゼブブ「次は聴覚だ。話も出来ぬのだから特に必要もあるまい」
魔道士「――っ!!」
耳の奥に激痛が走る。そして途端に、周囲の音が一切なくなった。
ベルゼブブ『さて次は嗅覚』
何も聞こえないはずなのに、ベルゼブブの声だけが頭の中へ響き渡る。
一方的な対話。とは言っても、元よりベルゼブブの問いに拒否権などない。
ベルゼブブ『さあ、呼吸の一切を止めるが良い』
152 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:14:47.11 ID:gcDrZGGuo
4度となる鱗粉の粒子は、白く輝いていた。
召喚士「…………っ」
ベルゼブブ『何故、視覚を残したか理解したか?』
大軍師「……」
ベルゼブブ『互いが苦しんで死にゆく様を、その目で見届けられるようにだ』
ケツァルコアトル「ゴチャゴチャうるせぇんだよテメーは!!」バッ!!
ベルゼブブ「!?」
ケツァルコアトル「っらああぁぁ!!」
ズッガアアアアァァァァン!!
ベルゼブブ「……刀、そして槍の次は……斧か」
ケツァルコアトル「あるモンは使っていかねぇとな!」
ベルゼブブ「しかし残念だ。先程の槍に比べ、力を感じない」
ケツァルコアトル「んな事ぁ分かってんだよ」
ベルゼブブ「ならばどうする?」
ケツァルコアトル「身に着けているモンを、よーく見てみろや」
153 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:15:40.10 ID:gcDrZGGuo
ベルゼブブ「……?」
ケツァルコアトル「斧に付加されてる炎だけじゃねぇ。防具の装飾品にも……」ジャラッ
ベルゼブブ「詰まらぬな」
ケツァルコアトル「何ぃ?」
ベルゼブブ「不可能だ。そんな事は」
ケツァルコアトル「なーんでテメーに分かんだよ」
ベルゼブブ「貴様程の使い手だ。分かっているのだろう?」
ケツァルコアトル「あ?」
ベルゼブブ「五行と五感は通ずるものがある。故に、貴様はそれを持って身を守っている」
ケツァルコアトル「ああ、そういう事」
ベルゼブブ「もし斧へ五行を特化すれば、貴様の身を守る術は何もなくなると言う事」
ケツァルコアトル「うははっ!!」
ベルゼブブ「……?」
ケツァルコアトル「だったらよぉ、試してみようじゃねーか」
ベルゼブブ「「……そういう事か。ようやく理解した」
154 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:16:27.49 ID:gcDrZGGuo
ケツァルコアトル「……」
ベルゼブブ「身が削がれようとも、相打つつもりか」
ケツァルコアトル「……」
ベルゼブブ「フッ、浅はかなものだ。余と相打つなどと――」
ケツァルコアトル「うるせえ……って、言ってんだろうが!!」ギュバッ!!
ベルゼブブ「違う」
ケツァルコアトル「あぁ?」グアッ
ベルゼブブ「根底からして貴様は間違っている」
ガッシュウウウウゥゥゥゥ!!
ベルゼブブ「余の身に対し、五行は効かぬのだ」
ケツァルコアトル「――ッ!?」
ベルゼブブ「もう1度申すか? 余に、五行は効かぬ」
戦士の斧は確かにベルゼブブの頭部を切り落とした……はずであった。
地上に落ちる巨大な蠅の頭は、地面へ打ち付けられる前に空中で何千という蠅に
その姿を変え、再びベルゼブブの体内へと吸収されていったのだ。
155 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:17:21.84 ID:gcDrZGGuo
ベルゼブブ「貴様が斧を特化しようが別段、どうという事もないのだ」フオンッ
ケツァルコアトル「んな……っ!!」
ベルゼブブ「そして、貴様は余に対する武器を全て失った事となる」ガシッ
ケツァルコアトル「――!?」
ベルゼブブ「……良い斧だな。とても人が作り出した代物とは思えぬ」
バッギャアアアアァァァァ!!
ケツァルコアトル「ごー―ふ……っ」ドシャッ
ベルゼブブ「余計な手間を掛けさせるな。時間の無駄だ」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ケツァルコアトル「く……そぉ……っ」ジャリッ
ベルゼブブ「……?」
ケツァルコアトル「何か……手は……」
ベルゼブブ(……どういう事だ。奴は何故、五感を保っていられるのだ……ッ)
ケツァルコアトル「何か……武器は……武器はねぇのかよ……っ」ザッ
ベルゼブブ「……そうか、そういう事か」
156 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:18:00.35 ID:gcDrZGGuo
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ベルゼブブ「器と中身が違う、だから貴様には五感への攻撃が効かぬと言うのか」
ケツァルコアトル「……ッ」
ベルゼブブ「憑依型の召喚獣とでも言うべきか。厄介なものよ」バサァ
ケツァルコアトル「借りモンの身体だ、ぶっ壊したくはないが……仕方ねぇ」
魔王ベルゼブブはケツァルコアトルに対し、直接工攻撃を仕掛けるべく準備を始める。
それは即ち、間接攻撃が無意味と理解した上で、確実にとどめを差しにきたのだ。
ベルゼブブ「消えよ。先に涅槃へ行き、同胞を待つが良い」
ケツァルコアトル「戦士とやら、悪く思うなよ! ベルゼブブを倒す為だ!」ザッ
戦士『待てっ!! あれは……何だ!?』
ケツァルコアトル「……!?」
それは瓦礫の中にひっそりと眠っていた。そしてごんやりと黒い光を発していた。
ケツァルコアトル「あれは……っ!!」ダンッ!!
ベルゼブブ「……?」
ケツァルコアトルは戦士の声に反応し、それを瞬時の内に取りに向かう。
157 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:19:19.01 ID:gcDrZGGuo
ケツァルコアトル「間に……合ええぇぇ!!」
ベルゼブブ「……」
ゾクゥ!!
ベルゼブブ「――ッ」
油断したわけでも静観したわけでもない。それほどまでに早かった。
まるでその黒い棒が自分の意思を持って、戦士の手中に収められたかのようであった。
ベルゼブブ(何だというのだ、この気配は。余が……攻撃を躊躇したと言うのかッ)
ケツァルコアトル「……ふーっ」ガシッ
ベルゼブブ「そんなものもあったな」
ケツァルコアトル「ただのステッキじゃーねえよなぁ」
ベルゼブブ「……」
ケツァルコアトル「ステッキ越しにビンビン、持ち主の意思が伝わってくるぜぇ! うははっ!」
ベルゼブブ「言っておくが、それは魔剣だ。人間の肉体には余――」
ケツァルコアトル「気づいたか? 五感と同じだ。精神は俺だからなぁ」
ベルゼブブ「……貴様」
158 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:22:29.30 ID:gcDrZGGuo
その黒いステッキの主はかつて、魔王ベルゼブブに反逆し、挑み、そして死んだ。
戦士とは本音でぶつかり合い、戦った。だからこそ何かを感じたのかも
ケツァルコアトル「いいじゃねぇか、しっくりくるぜ」
十字架のステッキが鞘となっており、中からは仕込み刀のように、
細いながらも力強い刀身が姿を現した。
戦士『……ゲーデの……剣っ!!』
ケツァルコアトル「ベルゼブブ、てめぇは確か……五行は効かねぇとかぬかしてたよな」
ベルゼブブ「召喚獣、人間……そして魔族。まさか全てが繋がり合うとでも言うのか」
ケツァルコアトル「その通りさ。そしてそれらのパワーが集まればああぁぁーっ!」
ベルゼブブ「近接は危険か、止むを得ん」バッ
ケツァルコアトル「てめぇを葬るっ、五行以上のパワーになる!!」ゴアッ
ベルゼブブ「ならば、その前に貴様を潰すまでよ」
ケツァルコアトル「やれるもんなら――」
戦士『――やってみろや!!』
ベルゼブブ「!?」
戦士は飛ぶ。ゲーデの剣を携えて、遥かなる高みへと。
159 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:23:45.45 ID:gcDrZGGuo
ゴアアアアァァァァ!!
ベルゼブブ「跳躍のレベルではないッ、飛んでいるだと……!?」
ケツァルコアトル「ありがとよぉ、召喚士!」
ベルゼブブ「あれは……召喚獣ッ!」
クジャタ「オオォォ……」ゴオオォォォォ!!
ベルゼブブ「風で押し上げたのか……ッ、しかも――」
ケツァルコアトル「うっらああああぁぁぁぁ!!」
ベルゼブブ「余の動きまで……制御するとはァ!!」
召喚士(最後の魔力だ……。これ以上はもう……何も出来ない……)
ケツァルコアトル「いっけええぇぇぇぇ!!」
戦士『――いっけええぇぇぇぇ!!』
ベルゼブブ「クッ」
――『道は今、拓けた。運命を越えた……その先の、宿命へと』
ベルゼブブ「――――ッ!!」
三位一体。召喚獣と人間と魔族の力。3つの道が1つに交わり、
蠅の王、魔王ベルゼブブをついに地へと落とす事と相成った。
160 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/23(水) 18:27:12.25 ID:gcDrZGGuo
キリよくここまでにて!今日も少なくてごめんなさい!
本日もご支援ありがとうございましたー!それでは!!ノシ
161 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/23(水) 18:28:47.69 ID:1nHY4H2DO
おつんぽっぽ!
162 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/23(水) 18:53:36.48 ID:aOq2Bz8DO
いちょつ
主人公△
163 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/23(水) 19:00:33.59 ID:zpG1jcNxo
さすが名脇役の召喚士さんナイスアシスト
164 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/23(水) 19:21:00.26 ID:R8XHUejIO
乙
165 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/23(水) 20:15:17.14 ID:W1sCyjtAO
>>1
おつ
166 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/23(水) 21:58:36.40 ID:m9VhH5+fo
>>1
乙!
真の主人公、天才さんが出るまでもなくベルゼブブ倒せそうだなwwwwww
167 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/05/23(水) 22:05:37.67 ID:64S1vAYoo
あン時からずっとそこに転がってたんかい、ゲーデの剣wwwwww
168 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/05/24(木) 08:05:01.72 ID:mdLhcBFHo
>>1
乙
主人公はやっぱり違うな 他のサブとは一味も畉田味も違う
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/24(木) 08:45:29.29 ID:v/wIQH3AO
>>1
乙んつんであります!
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/24(木) 16:26:12.73 ID:QMihqcFDO
どんな顔して脇役がタイトルででしゃばってんの?
恥ずかしくないの?
自己中なの
バカなの
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/24(木) 16:26:53.94 ID:MFxyblQqo
みんなひでぇwwwwwwww
172 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:00:38.09 ID:vEn6TSx2o
ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!
ベルゼブブ「――――ッ」
ドッグシャアアアアァァァァ!!
召喚士「がはっ!! はぁっ!! はぁっ!!」
ジュニア「呼吸が出来……動ける……ぞ……っ」
戦士『おっしゃあ!! やったぜ!!』
ケツァルコアトル「いや、まだだ」
ザザアアアアァァァァ!!
魔道士「――!?」
床に叩き付けられたベルゼブブは、1つの巨大な蠅から無数の小さな蠅へ
その姿を変えて、粉が散るように実体を消失させる。
ケツァルコアトル「五感への精神攻撃はこれで解いた。だが……」
戦士『魔王へダメージは与えてねぇって事か?』
ベルゼブブ『やってくれる。正直、ここまでやれるとは思わなんだ』
ケツァルコアトル「魔剣と五行、これでベルゼブブとやりあうにはやりあえる」
戦士『だがそれじゃあ、トドメはさせねぇって事か……』
ベルゼブブ『……ふーむ』
173 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:01:18.41 ID:vEn6TSx2o
戦士『何が足りねぇんだ? 俺の力で何とかならんか?』
ケツァルコアトル「ならねーな。必要なのは聖行」
戦士『!?』
ケツァルコアトル「さっきの槍みてーな媒介となるモンが欲しいんだがな」
戦士『だったらゾディアックを回収して、もう1回ぶっ放すしかねぇ』
ケツァルコアトル「駄目だ。ぶっこ抜いたらベルゼブブの肉体が戻っちまう」
戦士『じゃあどうすりゃいいんだよ!』
ケツァルコアトル「……斧も未完な挙句、奴の手中。困ったなぁ……うはは」
戦士『笑ってる場合かよ……っ』
ケツァルコアトル「とにかくだ、あと少しだけお前の身体借りるぞ」
戦士『幾らでも貸してやる! だからその代わりに、仲間を救ってくれ!』
ケツァルコアトル「りょ〜かい。うはは!」
戦士『おらっ、いけええぇぇ!』
ザンッ!! バシュウウゥゥゥゥ
ベルゼブブ「何度でも努力する事と何度やっても無駄な事」
ケツァルコアトル「うりゃああああぁぁぁぁ!!」
ベルゼブブ「それを履き違えては、何の意味も持たぬ」
ガッキイイイイィィィィン!!
174 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:01:54.34 ID:vEn6TSx2o
ケツァルコアトル「な――っ!?」
ベルゼブブ「分からぬか? この姿は実体であり、実体ではない」
多くの蠅が人間の右手を模し、ゲーデの剣を握るような形で受け止める。
ベルゼブブ「1匹であろうが何万匹であろうが、余であり、余ではない」
ケツァルコアトル「く……っそ――」
ドッゴオオオオォォォォ!! ズシャアアァァァァ
ケツァルコアトル「ごほごほ……っ。ぺっ!」ビチャッ
ベルゼブブ「そして貴様等は何も出来ぬうちに、ひっそりとその命を終わらせるのだ」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ケツァルコアトル「結界だぁ!! 急げっ!!」
エリート「!?」
大軍師「いけますかっ?」
ジュニア「ちぃーっ! 魔道士ちゃんも手伝え!」
魔道士「えっ!? や、やってみます……っ」
パアアアアァァァァァ……
175 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:02:45.36 ID:vEn6TSx2o
ジュニア「全員固まれぇ! こん中なら奴の特殊攻撃も防げるかもしれん」
ベルゼブブ「考えたな。そういう事も出来るのか」
ケツァルコアトル「ざまぁみろ。これでてめぇの間接攻撃は封じた」
召喚士「戦士っ、じゃなくってケツァルコアトル! あなたも……」
ケツァルコアトル「俺まで退いたら誰が相手すんだっつーの」ザッ
ベルゼブブ「それは勇敢とは言わぬ。無謀だな」
青年兵「――――っ」ドクンッ
ベルゼブブ「決定打が無き以上、貴様に余を討つ事など不可能。いや、元より……」
ズゴゴゴゴゴゴゴ……
ベルゼブブ「不可能なのだよ」
ケツァルコアトル「やってみなきゃあ……分からんだろうがっ!!」ダンッ!!
ベルゼブブ「申したはずだがな」
ケツァルコアトル「っらああああぁぁぁぁーっ!!」
ベルゼブブ「貴様の動き、もう慣れた……と」
ケツァルコアトル「!?」
176 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:03:56.88 ID:vEn6TSx2o
蠅は人型となり、ケツァルコアトルの突進を真似るように前進する。
ケツァルコアトル「くっ!!」ババッ
回避する方向と全く同様、鏡のようにベルゼブブの動きは対象をぴったりと捉える。
ベルゼブブ「知っているか?」フッ
ケツァルコアトル「……!?」
ベルゼブブ「複眼と言ってな。蠅の個眼は2000以上にも上るそうだ」
ヴヴヴヴヴヴヴヴ
ケツァルコアトル(早いなんてモンじゃねぇ! 既に動きの先にいやがる――)
ベルゼブブ「行動パターンを把握してさえしまえば、その動きを捉える事など容易いものだ」
ズギャアアァァァァ!! ドッゴオオオオォォォォン!!
ケツァルコアトル「――――っ!!」ドシャアアァァァァ
複数の蠅は1つの巨大な塊となり、大槌のように戦士の身体を地面へと打ち付けた。
ベルゼブブ「先の礼を返させて貰ったぞ」
ケツァルコアトル「ナメ……やがってぇ」
ベルゼブブ「何をそこまでして戦うのだ?」
177 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:04:32.40 ID:vEn6TSx2o
召喚士「……青年兵くん、魔力は?」
青年兵「すみません……。もう召喚は無理ですね」
召喚士「……」
大軍師「私もあと1発、と言ったところでしょうか」
召喚士「万事休すか……」ヨロッ
ベルゼブブ「勝てぬと分かっていて、どうして戦う?」
ケツァルコアトル「説明する必要もねーな。うははっ」
ベルゼブブ「……」
バギャッ!! ドシャアアァァ
ケツァルコアトル「ぐ……っ」
ベルゼブブ「余が問うのはこの戦闘に於いてのものではない」
ケツァルコアトル「……何だよ」
ベルゼブブ「どうせ終わりを迎える命なのだ。何故、そのように死に急ぐ」
ケツァルコアトル「終わるねー為に戦ってんだろうがよ!」
魔道士「そっ、そうですよ!」
178 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:05:24.37 ID:vEn6TSx2o
ベルゼブブ「……人は寿命というものがある。長くても100年も経てば死ぬ」
召喚士「……」
ベルゼブブ「なれば何故、寿命に抗う? 大人しくして居れば、長く生きられるではないか」
召喚士「貴様らが、その命を摘み取るからだろ!」
ベルゼブブ「……」
召喚士「小さな子供から赤子まで……長く生きようとする者の命を摘み取るからだ!」
ベルゼブブ「否定は出来ぬな。しかしそれこそが宿命ではないのか?」
召喚士「命に宿命なんてあるものかっ!」
皇太子「己の意思で死にゆくものは宿命であろうな。しかし……」
ベルゼブブ「……」
皇太子「罪もない、自分の意思とは無関係に奪われる命に宿命は感じないな」
ベルゼブブ「そうか、解釈の違いはやはり種族の価値観によるものか」
ジュニア「ワケのわかんねー事をゴチャゴチャと……」
ベルゼブブ「貴様等は知らぬ事が多すぎる。故に死に、学ぼうともせぬ」
召喚士「罪もない命を奪っておいて何を――」
179 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:06:23.28 ID:vEn6TSx2o
ベルゼブブ「スーパーノヴァ」
召喚士「…………?」
ベルゼブブ「初めて聞く言葉であろう?」
戦士『何の事を言ってんだ?』
ケツァルコアトル「知らん。俺も初めて聞く……」
ベルゼブブ「先日、サタンの力を開放したであろう」
召喚士「……っ」
大軍師「そうだとしたら?」
ベルゼブブ「下らぬ探りを入れる必要はない。余とて当然、理解しておるのだからな」
賢者「……」
ベルゼブブ「サタンはもうじき蘇る。さすれば人間など、最早どう足掻こうと終わりなのだ」
東方司令「何……?」
ベルゼブブ「この地上は、全てのものが粛清され、無と化し、闇に閉ざされるであろう」
エリート「出来るものかっ、此方とてただ傍観しているわけではないのだっ!」
大軍師「その通りです。それに貴方も理解してらっしゃるのでは?」
ベルゼブブ「……」
180 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:07:20.18 ID:vEn6TSx2o
大軍師「サタンは地上に降り立つ事は不可能です」
サタン「……フッ、クッククク」
大軍師「……」
サタン「この世界の周囲にはな、数々の星が点在している」
召喚士「……?」
盗賊「何の話だ?」
魔道士「さ、さぁ……っ」
ベルゼブブ「太陽や月とてそのうちの1つだ」
大軍師「……」
ベルゼブブ「その月だが、満月の際に魔力が増幅する。魔族も人間もそうであろう?」
召喚士「……それがどうした」
ベルゼブブ「満月というものも、常に同じ1つではない」
ジュニア「複数あるとでもいうのか? ヘッ、笑わせるぜ」
ベルゼブブ「物体は1つだが、その距離の問題だ」
召喚士「距離?」
181 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:09:07.24 ID:vEn6TSx2o
ケツァルコアトル「戯言に付き合う必要はねぇぞ!」バッ
ベルゼブブ「戯言? 不快な事を申すな」
バッギャアアァァァ!! ドドオオォォォォ
ケツァルコアトル「……っ」ポタタッ
ベルゼブブ「余は講釈してやっているのだ。寧ろ、感謝して欲しいものだな」
皇太子「しっかりしろ」
ケツァルコアトル「来るなっ、結界から出るんじゃねぇ」
皇太子「しかしだな……」
ケツァルコアトル「人の事より自分の事を心配しやがれってんだ……っ」
皇太子「……っ」
大軍師「では、講釈の続きをお聞かせ願いたいものですな」
ベルゼブブ「貴様は頭が冴えている。さしずめ狙いは、時間稼ぎか何かであろう?」
大軍師(……読まれておりましたか。まぁ、流石ですね)
ベルゼブブ「まあ良い。満月は不定期ながらこの世界との距離が伸縮する」
賢者「……ふぅ」
182 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:10:38.81 ID:vEn6TSx2o
ベルゼブブ「そして満月が最も接近した時、その大きさは通常の何倍にも膨れ上がる」
東方司令「下らぬ。だからどうした!」
ベルゼブブ「それを余はスーパームーンと呼んでおる」
青年兵「スーパームーン……?」
ベルゼブブ「スーパームーンは月の大きさだけではなく、それに比例して魔力も大きくなる」
大軍師「つまり……通常の満月の何十倍にもなると?」
ベルゼブブ「察しが良いな。そういう事だ」
召喚士「だったらこっちとってもメリットはあるはずだ」
ベルゼブブ「……そうだな」
召喚士「……?」
ベルゼブブ「余も魔王ではあるが、サタンとは違う」
召喚士「は……?」
ベルゼブブ「サタンは絶対的な存在だ。余や他の魔王とは違ってな」
盗賊「……」
ベルゼブブ「その力は世界はおろか、地獄や他の星々にまで影響を及ぼす」
183 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:11:16.90 ID:vEn6TSx2o
ケツァルコアトル「いつまで……くっ喋ってやがる……!!」ジャリッ
皇太子「傷が開くぞっ」
ケツァルコアトル「……っ」
ベルゼブブ「スーパームーンの膨大な力を得る事で……」
ケツァルコアトル「ん……?」
ベルゼブブ「銀河の星々を吸い寄せるように並列させ、太陽を隠しその光をも奪う……」
ケツァルコアトル「アンタ……それ……っ」
皇太子「……?」
ベルゼブブ「そして、全ての世界にも及ぶ程の爆発を起こす」
大軍師「……ま、まさか……っ」
ベルゼブブ「それが……スーパーノヴァだ」
召喚士「――!?」
ベルゼブブ「貴様等はサタンを眠りより起こしてしまった。逆に禍であったな」
青年兵「だが、サタンはこの地上には居ないっ! そんな力を得る事は不可能だ!」
ベルゼブブ「そうだな。あれはもう何時になるであろうか」
184 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:12:42.00 ID:vEn6TSx2o
ケツァルコアトル「アンタ……それを、貸してくれっ!!」ガシッ
皇太子「!?」
ケツァルコアトル「……こんな所で出会えるなんてな」
皇太子「な、何だというのだ?」
ケツァルコアトル「アンタやっぱり、ただ似てるだけじゃねぇよ」
皇太子「……?」
ケツァルコアトル「きっと聖王の生まれ変わりなんだろうな。うははっ!」バッ
皇太子「おいっ!」
ベルゼブブ「サタンが地獄よりこの地上を目指した時、思わぬ阻止にあった」
盗賊「……」
ベルゼブブ「グングニルの槍。あの忌々しい一撃により、魔族の地上侵略は後退したのだ」
青年兵「……」
ベルゼブブ「しかもだ、聖柱などでサタンの身動きを封じたせいで、サタンは拘束された」
大軍師「……」
ベルゼブブ「しかしだ。そんなサタンでも不定期ながら魔力を得る好機がある」
185 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:14:45.65 ID:vEn6TSx2o
ジュニア「おいおい、まさか……」
ベルゼブブ「何十倍にも膨れ上がった満月による光は、深い地獄の闇をも照らす」
召喚士「っ!!」
ベルゼブブ「六芒星も破られ、地上の支配は事実上困難となった」
魔道士「……っ」
ベルゼブブ「サタンはおそらく、もう地上を捨てるであろうな」
大軍師「スーパーノヴァを引き起こすと……?」
召喚士「そうはさせない」
ベルゼブブ「……」
召喚士「スーパームーンが起こる前に、サタンを倒してみせる!」
ベルゼブブ「……次だ」
召喚士「……何?」
ベルゼブブ「スーパームーンはな、次の満月だ」
召喚士「―――−っ!?」
サタンの静かで絶望的な発言に、一同は一切の声を上げる事など出来なかった。
186 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/24(木) 18:17:24.02 ID:vEn6TSx2o
終盤になると大味になっちゃうのはRPGぽい王道って事でアレですが、
主人公だと思ってた奴が実はサブキャラという斬新な(ry
今日もご支援ありがとうございました!それではまた!ノシ
187 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
:2012/05/24(木) 18:18:12.43 ID:w2DDjDFVo
ラスボス登場wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>1
乙
188 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/24(木) 19:00:27.58 ID:pzAlRkGDO
いちょつ
サタンさん降臨しているじゃないですかあ…
189 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/24(木) 19:55:04.45 ID:lcOTpULAO
サーターン!サーターン!
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/24(木) 20:58:09.38 ID:cf+toJBmo
サタン降臨に全く気付かなかったwwwwww
頭が、ここの
>>1
乙仕様に調教されちまってる様だwwwwwwww
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/05/24(木) 21:09:49.63 ID:6Hl5A+yDo
今よっ、○ー○ームーン!
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/24(木) 22:41:35.30 ID:bCYmjJ5DO
すでに復活していたサタンたん
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/05/24(木) 23:47:50.41 ID:ubjzIxS2o
>>1
乙
美少女戦士は言うことが違うな
月に代わって粛清よか
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/25(金) 01:06:51.57 ID:d+9LwB1AO
>>1
おつ
5月5日がたしかスーパームーンだったんだよな。さすがうまいこと合わせてきよるな
>>1
は
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/25(金) 04:16:48.28 ID:pB8Mx3qu0
>>1
おつ
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/05/25(金) 09:11:15.56 ID:zp4FSGAAO
>>1
がサタン好きなのはわかった
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/25(金) 12:17:09.62 ID:Cu/gXGmIO
コカたんとケツアナさん並んだなら壮観だろーに、そんな機会はなさそうだな…
実質、兄弟みたいなもんなのにな。
198 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/25(金) 12:37:27.76 ID:+mI1VzVIO
ゲーデ忘れるとかwwwwww
199 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:13:18.62 ID:chZD5UReo
エリート「……おい、奴は今……何と言った……?」
召喚士「スーパームーンが……つ、次の満月……!?」
ベルゼブブ「理解したか? 余が無駄だと申した事を」
魔道士「そんな……そんな……っ」
青年兵「もしそれが本当ならば、世界はあと数週間で……」
ベルゼブブ「運が悪かった。いや、宿命であったのだろうな」
召喚士「……っ」
ベルゼブブ「魔王の討伐なぞに乗り出し、事実上、魔族の支配を阻止した」
盗賊「……」
ベルゼブブ「結果としてサタンは地上の支配に興味を失い、破壊へと移る」
東方司令「……くっ」
ベルゼブブ「サタンが復活し、スーパームーンが訪れる……それは即ち、世界の終焉」
ジュニア「じゃあ、俺達のやってきた事は何だったってんだよ……」
ベルゼブブ「だから申したであろう? 無駄な事をしなくば、多少なりとも長生き出来たものを」
大軍師「はたしてそうでしょうか」
200 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:15:13.01 ID:chZD5UReo
ベルゼブブ「……?」
大軍師「確かに貴方の仰る事、正論ですね」
ベルゼブブ「余は嘘はつかぬ。これは虚言でもなければ冗談でもない」
大軍師「ええ、そうでしょうね。だからこそ貴方は手を抜いて戦ってらっしゃる」
ベルゼブブ「……」
大軍師「その気になれば、城ごと吹き飛ばすなど造作もないというのに」
ベルゼブブ「申したであろう、余は無駄な争いは好かぬ。手間であるからな」
大軍師「そのようで」
ベルゼブブ「理解したのならばもう終いにしておけ。余が見逃してやると申しているのだ」
大軍師「勘違いなされておられませんか?」
ベルゼブブ「何?」
大軍師「私達は戦いを止めませんよ」
ベルゼブブ「愚かしい事だ」
大軍師「愚かではありませんよ。まだ敗北したわけではありませんから」
ベルゼブブ「それは認めよう。しかし残りはたったの数週間だ」
201 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:17:07.09 ID:chZD5UReo
大軍師「その限られた時間で、サタンを倒せば宜しいでのしょう?」
ベルゼブブ「ハッハッハッハ。余にすら敵わぬ貴様らが、サタンを倒すと?」
大軍師「はい」
ベルゼブブ「残り僅かの日数で?」
大軍師「はい」
ベルゼブブ「ハッハッハッハッハ……笑わせるのも大概にせよ」ゴウッ
大軍師「本気ですよ。少なくともあの方は」
ベルゼブブ「……」
大軍師「私もスーパームーンやスーパーノヴァの存在は今、初めて存じ上げました」
ベルゼブブ「……」
大軍師「しかしあの方にはもしかしたら、見えていたのかもしれませんね」
ベルゼブブ「何を申しておる」
大軍師「だからこそ、五か年計画という特別な、限られた日数を打ち出したのでしょう」
ザッザッザッ……
大軍師「……ですよね?」
202 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:18:12.49 ID:chZD5UReo
ザッザッザッ……ザッ
天才「……ハーッハッハッハッハ!!」
召喚士「天才さんっ!!」
天才「テメーがベルちゃんかい。いやー残念だわ」
ベルゼブブ「……」
天才「まさか俺様、最後の相手が蠅とはなぁ。ハーッハッハッハ!」
ベルゼブブ「まさかこれが、貴様等の待った最後の希望とでも言うのか?」
召喚士「ああ、そうだ!」
ベルゼブブ「取るに足らぬ。まるで魔力を感じぬではないか」
天才「あ?」
ベルゼブブ「この程度の人間に何が出来ると言うのだ。失望したぞ」
天才「何だとこらぁ」ザッ
女隊員「傷に障るッスよ……!」
天才「うるせぇ」
召喚士(天才さんっ、怪我してるのか……!?)
203 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:18:55.88 ID:chZD5UReo
ザッザッザッ
天才「テメーこそ、ガッカリだぜ」
ベルゼブブ「……」
天才「北の恐るべき魔王、ベルゼブブ。どんなモンかと思ったら……」
ジュニア「あ……いつっ、余計な挑発を……」
天才「期待外れにも程がある。ったく、急いで損したぜ」
ベルゼブブ「ならば本当に期待外れか、試してみるか?」
天才「上等っ!!」
ザッ
天才「と、言いてぇところだが」
ベルゼブブ「何ッ!?」
ケツァルコアトル「っりゃああああぁぁぁぁー!!」
ベルゼブブ「――ッ!!」
エリート「あれは……っ、陛下の聖剣!?」
ケツァルコアトル「ようやく得た。ベルゼブブ、てめぇを倒す手段をなぁ!」
204 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:19:35.71 ID:chZD5UReo
ベルゼブブ「……ッ」バッ
天才「逃がさねぇよ」
ドドオオオオォォォォン!! ビキキッ……ピシイイイイィィィィ
ベルゼブブ『氷――』
召喚士「駄目だっ!!」
魔道士「!?」
召喚士「肉体は戦士なんだっ! そんな力を使っては――」
盗賊「戦士!!」
ケツァルコアトル「安心しなよ」
フワァ
召喚士「!?」
ケツァルコアトル「肉体は借り物でも、精神は俺なんだ」
戦士『な、何だってんだ……っ?』
ケツァルコアトル「長々と借りて悪かったな、返すぜ」
戦士『――っ!?』
召喚士「え……っ?」
205 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:20:09.29 ID:chZD5UReo
一同には、はっきりと見えた。戦士から飛び出す男の姿を。
右手に皇太子、いや……かつて聖王が握りしめていた聖剣を、
左手には運命の分岐に翻弄され、魔族と化したゲーデの魔剣。
男は金色に輝きながら、ケツァルコアトルの姿を失っていた。
名無し「おおおおぉぉぉぉ!!」
ベルゼブブ「――――」
キイイイイィィィィン
両者の脳裏にあの日の出来事が蘇る。雨の降るクリスマスだった。
名無し(……な、何だ……この気配……っ)
ズゴゴゴゴゴゴゴ……
名無し(振り向けねぇ……っ! 声も……出せないだとぉ!?)
ベルゼブブ『我が部下を悉く一撃か。大したものだな』
名無し『――――!?』
ベルゼブブ『そうだな、褒美をくれてやるとしようか』
名無し「振り向く事すら許されぬ程の圧倒的な力の差だったよなぁ」
206 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:20:59.97 ID:chZD5UReo
キュイイイイィィィィ……
ベルゼブブ『この村に、大切な人間が居るのだろう?』
名無し『……め……ろっ』
ベルゼブブ『安心せよ。余は慈悲深いのだ』
イイイイィィィィ……
ベルゼブブ『村の人間は生かしてやる。代わりに、貴様の命を頂こう』
名無し『……んだよ』
グググッ
ベルゼブブ『ん?』
名無し『な、んだよ……っ。そんな……安いモンで……いいんかよ』
ベルゼブブ『余と目を合わせて正常で居られるとは、大した精神力だな』
名無し『俺の命と引き換えに……アイツら助けて……くれるんだな……っ』
ベルゼブブ『二度も言わせるな。余は慈悲深いと申したであろう』
名無し『……そうか……良か――』
ベルゼブブ「何だ……ッ? 腹の奥底が熱い……」
207 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:21:48.31 ID:chZD5UReo
ブツッ
ベルゼブブ『……見えるか? これが貴様の心臓だ』
名無し『…………』
ベルゼブブ『美味とは思えぬが、確かに頂いたぞ』ゴクン
名無し『…………』
ベルゼブブ『では、メリークリスマス』フッ
名無し『……――』ザシャッ
しとっ しとしとしとっ
名無し『――――』
しとしとしとしと……
名無し「あの日、てめぇに食われた心臓が暴れてやがるのさ」
ベルゼブブ「戯言をッ」ブワッ
名無し「!?」
天才「逃がさねぇって言ってんだろうが!!」ダンッ!!
男隊員「っ!!」
208 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:22:25.97 ID:chZD5UReo
凍りついたベルゼブブは無理矢理、その包囲を打ち破ろうと内部から発火する。
そして細かい粒子のような鱗粉へと再び姿を変え、その隙間からの逃亡を図った。
しかし、それを察知した天才がいち早く、魔王の下へと跳躍していた。
ズバッシュウウウウゥゥゥゥ!!
ベルゼブブ「――ッ」
天才の放つツヴァイハンダーの強烈な一撃がベルゼブブの逃亡を阻止する。
天才「……っ」ズザザアアァァ
ベルゼブブ「こ……の――」
天才「譲ってやるよ……ここは、な」
名無し「おおおおぉぉぉぉ!!」
〜♪
名無し「――!?」
聖剣と魔剣。光と影、その2つが交差する時、全ての力が解放される。
その男だけではない。彼を支えた数々の仲間、友人、そして主。
彼らに背中を押されながら、男の幻影は光の中へ融け込んでいった。
209 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/25(金) 18:31:17.75 ID:chZD5UReo
なぜサタンが出たのでしょう…何だか笑えなくなってきました
ここ最近疲れが取れなくて……などと言い訳はしない!!
今日もご支援サンクスでした!それではまた!!ノシ
210 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/25(金) 18:33:08.47 ID:VKuIkAqDO
最速のおつかれサマー!!
211 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/25(金) 18:36:17.42 ID:oM9t+PKDO
おつんぽ!
212 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/25(金) 18:58:26.11 ID:RPqaZ9euo
土日はゆっくり休めよー
休日なのかはしらんがなww
213 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/25(金) 19:00:58.50 ID:XJfgCIYIO
もう次回作の構想練ってるのかな
次は卑猥に始まらないともっと紹介しやすいんだがwwwwww
214 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/25(金) 19:43:30.26 ID:tMMIwjUDO
いちょつちょつ
215 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/26(土) 01:21:06.33 ID:10lrnrQAO
>>1
おつ
名無しカッケー
216 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/05/26(土) 17:15:09.98 ID:vYMUhQtro
>>1
乙
ここにきて主人公がどんどん増えてきたな
217 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/27(日) 23:30:13.94 ID:CzJadUCao
キイイイイィィィィン……
ベルゼブブ「な……んだとぉッ!?」
名無し「てめぇにも見えてんだろ?」
ベルゼブブ「あ、有り得ぬ……ッ。こんな、こんな事は……」
蝿の姿と粒子は半透明に輝き、徐々に人型へと変化する。
いや、自分の意志とは別に人型へと強制的に姿を変えさせられたのだ。
名無し「なぁ、見えてんだろ? 俺の周りによぉ」
戦士の肉体が剥がれ落ちるように、地上へと落下する。
召喚士「戦士っ!!」
ガシィ!! ズダッ
召喚士「大丈夫!?」
戦士「……っぐぅ。あ……いつは……っ?」バッ
召喚士「あそこだよ。でももう……」
戦士「……っ」
金色に光る男とその周囲に現れた人影は、魔王を捕らえた。
218 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/27(日) 23:30:48.43 ID:CzJadUCao
キイイイイィィィィン……
名無し「俺の周りに、仲間達の姿が見えんだろ!! あぁ!?」
ベルゼブブ「何だというのだ……この力は……ッ」
名無し「執念だよ」
ベルゼブブ「執念?」
名無し「死してなお、てめぇを倒す為にずっと待ってたんだよ」
ベルゼブブ「そんな事は有り得ぬッ。決してな」
――『とうとうこの日が来たんですね、隊長』
名無し「ああ。長らく待たせちまったな」
――『お主の働き、誠に天晴れかな。勇者かな』
名無し「――っ!!」
――『さぁ、最後かな。共に行こうかな』
名無し「……最後まで、お供致しまする…………陛下」
ベルゼブブ「離せッ、離さぬか」
――「陛下と隊長の為に、露払いじゃ!」
219 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/27(日) 23:31:23.18 ID:CzJadUCao
キイイイイィィィィン……
名無し「さぁ、行こうぜ」
ベルゼブブ「!?」
ガシガシッ グイッ
ベルゼブブ「無礼者めがッ、離さぬか」
――「言ったろうがっ。陛下と隊長に道を作るのが、俺らの役目」
名無し「ありがとよ。でも、ここまででいいぜ」
ベルゼブブ「こ、んな……下等な連中に……」
名無し「これで……終いだぁ!!」
召喚士「!?」
名無し「……ありがとな、召喚士……うははっ――」
召喚士「ケツァルコカトル!!」
ガッカアアアアァァァァ!!
戦士「う……お……っ!!」
召喚士「……っ!!」
220 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/27(日) 23:32:07.53 ID:CzJadUCao
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
エリート「……や……った」
大軍師「素晴らしい……戦いぶりでしたね」
青年兵「ええ……っ」
紛れもない五行の光。轟音はやがて静寂へと変わる」
魔道士「ついに……倒したんですね」
召喚士「……」
盗賊「本当に、倒したのだろうか」
魔道士「えっ?」
召喚士「天才さん」
天才「俺様の予言が外れたってか?」
皇太子「しかし、魔王は現にこうして消滅を……」
天才「見ろよ」
召喚士「!?」
天才「鱗粉が城の下層部へ流れてやがる」
221 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/27(日) 23:32:43.84 ID:CzJadUCao
東方司令「どういう……事だ?」
天才「終わりじゃねぇって事だろ?」
女隊員「でもっ、魔王の肉体は消滅したッスよ!?」
格闘家「……まさか」
天才「ああ。あくまで消滅したのは肉体だ」
ボス「!?」
召喚士「本当のベルゼブブはまだ……存在する!?」
天才「そういう事」
戦士「じゃあ、アイツは無駄死にだったってのかよ!? えぇ!!」
天才「無駄じゃねぇよ。今の一撃があったから、ようやく辿り着けたんだ」
大軍師「……では」
天才「行くぜ。ベルゼブブの本当に本当の最後を決めにな」
魔道士「……っ」
天才「念の為に言っとく。手を出すのは俺様1人。お前らは……いいな?」
召喚士「……」
222 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/27(日) 23:33:30.47 ID:CzJadUCao
ドドオオォォォォ……
名代「あの光は……!?」
帝「終わったのか?」
王子「かもしれない。だが、皆が戻ってくるまでは決して終わりではありませんよ」
帝「そうであったな」
師匠「五行の光……っ。アイツら、大丈夫なんだろうな」
マジシャン「天下無敵の天才様が付いてんだろ? 心配はねぇさ」
師匠「……だといいがな」
ドドッドドッドドッ
左翼長「……?」
北関兵「こちらは輸送隊だ! 指揮官はおられるかぁ!?」
騎士長「こっちだこっち!」
局長「武具は……もう要らんみたいだな」
左翼長「せっかくのところ悪いが、そのようだ」
鍛冶娘「あの、大軍師様は?」
223 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/27(日) 23:40:29.76 ID:CzJadUCao
騎士長「あの中さ。もうじき戻ってくるんじゃないか?」
左翼長「ヤローに何か用か?」
鍛冶娘「あ、いえ。荷物を預かっていたもので」
騎士長「荷物?」
博士「医療物資もきたのら! 急いで一夜城へ運ぶのら」
助手「りょ〜かいっ♪」
青龍士官「これで何とかなったな」
白虎長「だといいけどね。さ、私達の帰還しましょ」
白馬騎士「……どうなされた? 行きましょう」
魔法剣士「先に行け。俺はまだ、ここにいる」
三男「……?」
魔法剣士「まだいなきゃいけないような気がするんだ」
白馬騎士「しかし、貴殿も怪我が……」
魔法剣士「いいから行け。俺の事は構うな」
白馬騎士「……ご無理なさらぬよう。皆の者、一夜城へ帰還するぞ!」ザッ
224 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/05/28(月) 00:56:39.36 ID:cDYEyhmao
名無しさんベルさん倒せてませんよwwwwwwwwww
225 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/05/28(月) 01:07:34.90 ID:F0ia5qS3o
乙
226 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/05/28(月) 01:15:19.46 ID:u7wVLxRn0
>>1
の働き、誠に天晴れかな。乙かな
227 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/28(月) 01:54:23.48 ID:N51hvLTL0
いちおつ
228 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(埼玉県)
[sage]:2012/05/28(月) 02:15:06.71 ID:VixOg7Ok0
最後の最後で名前間違えられるとかケツァルさん可哀そす
229 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/28(月) 03:59:44.90 ID:dVU5h2PDO
いちょつちょつ
230 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/28(月) 04:53:02.39 ID:Wf9wJgcDO
肝心なとこで間違えるとはこれだから脇役はダメだな
231 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/28(月) 06:17:15.62 ID:KeA0AatAO
聖王はレナだったのか……
232 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/05/28(月) 10:01:44.60 ID:i59bZHJJ0
鍛冶娘タン ゲットだぜ!!
233 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/28(月) 11:45:20.01 ID:3GZupP9Go
けつあなさんとコカちゃんが合体したのかとおもった
>>1
乙
234 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/05/28(月) 12:03:02.62 ID:8x+tg8Na0
ちょwwケツァルチゴトルwwww
235 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
:2012/05/28(月) 13:17:19.27 ID:e6uHqUF1o
ケツアナとコカが合体したら、ただのヘビと鶏だろ…
236 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/28(月) 17:45:01.97 ID:T9kWvKBIO
新章
召喚士「行けっ!ケツァルコカトル!!」
237 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 17:54:20.23 ID:2MY7Cbmmo
…
天才「よいっしょ」パシッ
大軍師「大丈夫ですか?」
天才「あ?」
大軍師「かなり、疲弊なされているようですが」
天才「人の事、言える立場じゃねーだろうが」
大軍師「それはそうですが……」
天才「鱗粉がいつ途切れるか分かんねぇ。早く行くぞ」ヨロッ
大軍師(まともに歩ける状態じゃない。これでは……)
戦士「なぁ、ゲーデの剣はどうする?」
天才「ほっとけ。魔剣なんだろ? ヘタに触ると呪われるぜ」
魔道士「……っ」
戦士「でもよ、俺は……どうなるんだ?」
召喚士「たぶん大丈夫だと思うよ」
戦士「……?」
238 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 17:55:08.65 ID:2MY7Cbmmo
召喚士「ケツァルコアトルが言ってた。肉体と精神は別だって」
戦士「どういう事だ?」
召喚士「魔剣に触れたり五行を使ってたのは、あくまで彼だって事」
戦士「……まぁ、俺にそんな力はねーしなぁ」
青年兵「あくまで戦士さんの身体を借りて、己を具現化したって事ですね」
戦士「よく分かんねーけど、まいっか。別にどこにも異変はねーみたいだし」
魔道士「でも、魔剣の影響が出たら不老になっちゃうんですよね……?」
戦士「そん時はそん時だ。そういう老後も楽しむとするよ。はははっ」
盗賊「……はぁ」
東方司令「楽しめるものか……っ。気楽なアホめ」
天才「人それぞれだろ。お前は陽の当たらない道を進んだ。それだけだ」
東方司令「……っ、じゃあアンタは! 幸せだったのかよっ!?」
天才「……ああ。最っ高に幸せな人生だったぜ。お前らのおかげでよ」
東方司令「え……っ?」
天才「何でもねぇよ、ハーッハッハッハ!!」
239 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 17:56:00.81 ID:2MY7Cbmmo
…
騎士長「焦る必要はないぞ。ゆっくりと順番に運べ!」
博士「まずは医療物資からなのら。その次に食糧、最後に武具なのら」
パッカパッカパッカ……
左翼長「……おっ!? あいつらは……!!」
弓使い「見て剣士っ! こっちはもう終わってるみたいよ」
剣士「良かった……」
騎士長「無事で何より! ご苦労!」
左翼長「こっちは見ての通りだ。そっちは?」
剣士「色々とありましたが……まぁ、何とか」
幼女「……」
剣士「ご心配なく。寝ているだけです。あ、そうだ……馬を返さないと……」ザッ
騎士長「あーいいよ。どうせもう使わん。それに、あんたの方がしっくりきてるみてーだしな」
赤兎「ヒヒイイィィィィン!」ドズゥッ
剣士「……あ、ありがとう……ございます」
240 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 17:56:44.22 ID:2MY7Cbmmo
ザッザッザッザッ
天才「ふぅん、スーパームーンにスパーノヴァねぇ」
召喚士「やっぱり天才さんもご存じなかったんですね」
天才「知るわけねーだろ。知ってりゃもっと楽に進めてる」
大軍師「……」
天才「だが、ラッキーだったな」
青年兵「ええ。あと2週間とちょっと残ってますからね」
戦士「本当に2週間で、サタンを倒せるのかよ……っ」
エリート「我らも外の連中も満身創痍。回復に費やす時間が少なすぎる」
皇太子「泣き言を申していても仕方ない。やるしかないのであろう」
天才「王様の言う通りだ。ここまできたら、後はやるしかねーんだよ」
盗賊「……」
男隊員「しかし、どこまで降って行けばいいんだよこれ……」
魔道士「ずいぶんと上まで来てたんですね」
ジュニア「変な粉はまだ下まで続いてんな……」
241 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 17:57:15.74 ID:2MY7Cbmmo
足取りは重い。体力も魔力も精神力も限界を迎えている一同。
それでもなお、緑と紫に淡くぼんやり光る鱗粉のようなものを辿り、
ひたすら下へ下へと魔王城を下ってゆく。
盗賊「……」ザッ
戦士「……はぁ」
最初は会話も続いたが、次第に声も少なくなり、ただ足音だけが響き渡る。
話をしたくないわけではない。だがどうしても会話がなくなってしまう。
1つは疲労によるものであろうが、もう1つ、というか大半の理由であろう、
この先に待つのは終着点である。魔王ベルゼブブとの戦いにおける終着点。
それは即ち、ある男の死を意味するものである。そう、天才である。
彼にとっては人生の終着点となってしますので。一同もそれは無論、把握している。
だからこそ思い足取りが更に重くなり、どうしても口数を減らしてしまうのだ。
どのくらい歩いたであろうか。毒々しい鱗粉は床の隙間から下へと流れ込んでいた。
召喚士「行き止まり……?」
天才「いや、この下だな」
242 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 17:58:05.49 ID:2MY7Cbmmo
グワッ!! バッゴオオォォォォン!!
戦士「……ってぇ、ぶっ壊すならぶっ壊すって言えよな!」
天才「わりーわりー」
女隊員「……あれ? ここって」
大軍師「魔王城正面側、1階ですね」
魔道士「えっ!?」
盗賊「という事は……」
ジュニア「魔王の本体は地下って事か」
賢者「そのようだね……ふぅ」
――「大したものだね。自力でそこまで辿り着いたのかい?」ザッ
戦士「誰だっ!!」バッ
召喚士「――っ!!」
天才「魔物……だが、敵じゃあねぇな」スッ
召喚士「名士さんっ!!」
名士「ベルゼブブ、倒したみたいだね」
243 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 17:58:58.04 ID:2MY7Cbmmo
ジュニア「いや、まだだ。まだ終わりじゃねぇ」
名士「ほぼ終わったも同然さ」
東方司令「……?」
名士「この下に眠るのは、魔王ベルゼブブの核だ」
格闘家「……」
名士「それは即ち、精神や魂などと呼ばれるものに等しい」
天才「つまり、そいつを消しちまえばベルちゃんは金輪際、復活出来ないって事だな」
名士「通常、核なんてものは地獄に置いてあるはずなんだがね」
召喚士「……地獄?」
名士「核さえあれば時間はかかれど、再び蘇る事は可能なはずなのにね」
天才「トチ狂ったんだろ。欲に溺れてよ」
名士「成程ね。魔王たるものが無様な話だな」
天才「んで話の最中に悪いが、ちょっくら退いてくんねーか?」
名士「いや、そうはいかん。私にはまだすべき事が残っている」
召喚士「……?」
244 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 17:59:36.24 ID:2MY7Cbmmo
戦士「おいおい、まさか……戦おうなんて事はねーだろうな?」
名士「まさか」
召喚士「じ、じゃあ……何を……」
名士「地上に晒したと言えど、核ともなれば己の全と言っても過言ではない」
賢者「……」
名士「感じるか分からないが、並大抵の力では、開かないよ」
ジュニア「どういう事だぁ?」
男隊員「まさか、こじ開けるのにも力を使うってのかよ……っ」
名士「そういう事さ」
天才「んで、それをアンタがやってくれるとでも言うのか?」
名士「……ああ。そのつもりだ」
天才「!?」
召喚士「名士……さんが……っ!?」
名士「まだすべき事があると、先程述べたであろう?」
天才「ハーッハッハッハ!! そいつはありがてぇ話だ事」
245 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/28(月) 18:00:25.79 ID:2MY7Cbmmo
ヒュバッ!! チャキッ
天才「……何をたくらんでいやがる」
名士「……剣をおろしたまえ」
天才「答えろ。んな事してもテメーにメリットはねぇはずだ」
召喚士「天才さんっ!! 名士さんは味方なんですよ!?」
天才「……」
名士「確かに、私にとって得する事は何もないね」
天才「だったら何でだ」
名士「……良いから剣をおろしてくれないか」
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……
天才「……っ!?」
名士「余計な力を使わせるな」
天才「……ちっ」バッ
名士「素直になると、得する事も多々あると思うよ」
天才「……もし下手な真似をしたら、すぐさまぶっ殺す。いいな!」
246 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/28(月) 18:10:26.79 ID:2MY7Cbmmo
ちょっとここまでにて失礼します。本日もご支援ありがとうございました!
召喚士はすぐ言い間違えしますね全く……ははっ
ははっ……ノシ
247 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/28(月) 18:28:14.49 ID:SmbVMrWDO
脇役のせいにしただとッ?
おつんぽ!
248 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/28(月) 19:09:20.20 ID:BYDSk7M0o
まぁ召喚士ならしかたないか
乙
249 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/28(月) 19:31:49.65 ID:J/sIo7WIO
乙
250 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/28(月) 22:16:01.49 ID:mFi9hVVko
召喚士さんしっかりしてくれないと主役の戦士さんに怒られるで
251 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/29(火) 01:33:51.13 ID:f+BDWJlAO
>>1
おつ
252 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/29(火) 03:27:01.23 ID:e+f1jhEc0
>>1
おつ
253 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/29(火) 08:31:14.44 ID:sFgnA//AO
>>1
乙んつんであります。
254 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/29(火) 12:32:06.32 ID:bJUdvz7IO
この台詞を天才に言わせちゃう召喚士ェ
255 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:13:31.80 ID:c0E3QSENo
名士「それじゃ、退がってくれたまえ」
天才「……あ?」
名士「此処にいると被害を被るぞ?」
天才「テメー1人に任せろってのか? ふざけん――」
召喚士「天才さん!!」
天才「……ちっ。分かったよ、うっせーなぁ!!」
大軍師「どの程度、退がれば良いですか?」
名士「そうだね、門外かな」
盗賊「!?」
名士「結構な威力だと思うから」
エリート「従うしか、なさそうだな」
名士「ありがとう」
天才「……しくじるんじゃねぇぞ」ザッ
名士「ああ。任せてくれたまえ」
召喚士「名士さん……っ」
256 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:14:23.63 ID:c0E3QSENo
ザッザッザッ
魔道士「……大丈夫ですかね、名士さん」
戦士「アイツは前にも助けてくれた。心配はいらねーさ」
魔道士「いえっ、何だか……名士さんが心配で」
盗賊「……?」
魔道士「よく分からないんですけど、すごく堂々としてたというか……」
ジュニア「それだけ自信があるって事なんじゃないのか?」ザッザッ
魔道士「ええ。でもそれが逆に……心配で……」
召喚士「……」
ボス「んっ? あれって……門ですよね?」
男隊員「ヒャハハ! 城外に出ちまったな」
ザッザッザッ……
女剣士「……?」
くの一「あっ!!」
召喚士「外だ……っ。みんなが居る……!!」
257 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:14:59.01 ID:c0E3QSENo
女剣士「おいっ! あれを見てみろ!」
槍侶「!?」
名代「召喚士殿らだ! どうやらご無事のようであるぞ!」
大軍師「こちらの戦闘は終わっているようですね」
青年兵「ええ」
青竜士官「無事のようで何より。状況は?」
青年兵「一応、目処はついたよ。まだ終わったわけではないけれどね」
白虎長「どういう事なの?」
天才「これから魔王にトドメを差しに行くんだよ」
左翼長「これから? まだ倒したわけじゃねぇのか?」
騎士長「それじゃさっきの光は……」
天才「メンドクセーなぁ。おい大元帥、説明しとけ」ザッ
青年兵「えっ!? は、はい!」
左翼長「ったく。言ってやれよ、ワーカーの分際で大元帥に指図してんじゃねぇってな」
青年兵「……」
258 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:15:38.16 ID:c0E3QSENo
テクテクテク
鍛冶娘「あっ、大軍師様!!」
大軍師「……? ああ、荷物ですか。ありがとうございます」
鍛冶娘「いえっ。でももう必要なかったですか……?」
大軍師「……そんな事はありませんよ。助かりました」
鍛冶娘「あの、戦士……他の人達は」
大軍師「あちらにいらっしゃいますよ、ほら」
鍛冶娘「……あれ、誰です?」
大軍師「おや? 先程まではお見かけしませんでしたが。顔見知りのようですね」
鍛冶娘「忙しそうだなぁ……あの、すみませんっ。頼んでしまっても宜しいですか?」ズイッ
大軍師「食糧と応急薬ですか。承知しました、皆に配っておきますよ」
鍛冶娘「ありがとうございます」ペコリ
大軍師「貴方達も本当にご苦労様です。引き続き、作業をお願い致しますね」
鍛冶娘「は、はいっ!!」
大軍師「……あれは、魔物……ですかねぇ」
259 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:16:10.58 ID:c0E3QSENo
ザッザッザッ
召喚士「お尋ねしてもよろしいですか?」
従者「私に答えられる事であらば」
召喚士「名士さんはどうして、1人きりでベルゼブブの……」
従者「あの方の意思です。それ以上でも以下でもありません」
魔道士「意思……」
召喚士「名士さんは自分1人でベルゼブブの核がある場所、
つまり地下をこじ開けると言ってました。それは名士さんが……」
従者「私は此処へ残るよう、ただそれだけを司りました」
召喚士「……」
従者「それ以上でも以下でも――」
戦士「何を我慢してるんだよ」
従者「……ッ」
戦士「アンタ、本当は全部分かってんじゃねぇのか?」
従者「……私……っは」
戦士「アイツはよぉ、死ぬつもりなんじゃねぇのかよ!?」
260 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:16:40.77 ID:c0E3QSENo
盗賊「……」
戦士「魔道士の直観がそれを感じ取った。たぶんそうなんじゃねぇかってな」
魔道士「……っ」
召喚士「あなたは名士さんの傍で、ずっと名士さんを見てきたんだ」
従者「……」
召喚士「だから分かるはずですよね?」
従者「……下さい」
召喚士「……!?」
従者「そうかっ、あの方を……救って下さい……ッ」
戦士「……やっぱりそうだったかよ……っ」ギリッ
従者「名士様はご自身の命と引き換えに、ベルゼブブを……」
召喚士「行きましょう」
盗賊「ああ。モタモタしていられんな」ザッ
魔道士「これ以上の犠牲は絶対に出したくありません……っ」
召喚士「はいっ!」
261 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:17:06.84 ID:c0E3QSENo
タッタッタッタッタッ……ズザッ
召喚士「!?」
男隊員「どこに行くつもりだ」
魔道士「お願いですっ! お城の中へ入らせて下さい!」
男隊員「駄目だ」
戦士「時間がねぇんだよ」
男隊員「お前らがあの魔物を信じて、託したんだろうが!」
盗賊「事情が変わった」
男隊員「今更行ってどうなる! お前らに何が出来るんだ」
戦士「やってみなくちゃ分からん」
男隊員「その程度の余力で出来るとでも、本気で思ってんのか?」
戦士「……っ」
男隊員「分かってんだろ? アイツがどうして1人で担うと言ったのか」
召喚士「……」
男隊員「アイツにゃそれだけの力がある。俺達が束になっても出せねぇ力がな」
262 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:17:34.60 ID:c0E3QSENo
格闘家「信じて待ちましょう。死ぬと決まったわけではないのでしょう?」ザッ
男隊員「とにかく、何が起こるか分からん限り、城内への立ち入りは禁止する」
戦士「見殺しにするつもりなのかよ……っ」
天才「テメーで望んだ事だろ」
召喚士「天才さん……」
天才「お前らが信じるっつったから俺様は譲ったんだ」
魔道士「……っ」
天才「お前らが信じてやらにゃ誰が信じるんだよ」
盗賊「……」
召喚士「そうです……よね」
戦士「おい……」
召喚士「俺達も名士さんを信じたからこそ、託しだんだ」
盗賊「奴を助けるような真似は、逆に背信という事か」
戦士「しゃーねぇな。だがもし、時間が経っても何もなければ突入すんぞ」
魔道士「はいっ!」
263 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:18:03.00 ID:c0E3QSENo
ガカアアアアァァァァ!! ズッガオオオオォォォォン!!
召喚士「――――!?」
魔道士「きゃあーっ!!」
皇太子「何事だ!?」
エリート「城内からですっ! 爆発が……ぐおっ」
ドドオオオオォォォォ……
戦士「……ぐくっ、ま……さか」
召喚士「名士さん……っ」
シュウウウウゥゥゥゥ……
青年兵「……?」
名士「……」テクテクテク
魔道士「あぁっ!!」
戦士「……っしゃあ! 無事だ!」
名士「ん? 何の騒ぎだい?」
従者「良かった……良か……っ」
264 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:18:29.82 ID:c0E3QSENo
天才「んで、成功したんだろうな?」
名士「ああ。これで核の眠る部屋へ通じるはずだよ」
天才「あいよ、ご苦労さん」
名士「君も困難な生を受けたものだね」
天才「困難? 俺様は1度もそんな風に思った事はねーぜ」
名士「そうか。それが君の宿命かい?」
天才「さぁな。でもいいんじゃねぇの? それで」
名士「……」
天才「誰かの為とかじゃねーけどよ、何かやって自分が納得して死ぬんだからよ」
名士「ああ、そうかもしれないな」
天才「ま、死んだら次は地獄で大暴れしてやるさ。ハーッハッハッハ!!」
名士「冗談に聞こえないからやめてくれ」
天才「ありがとよ。じゃあな」ザッ
名士「ああ。君とはまた会えると良いな」ザッ
スタスタスタスタ……
265 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:19:00.81 ID:c0E3QSENo
従者「ご無事で……?」
名士「ああ。見ての通り」
従者「……っ」
名士「悲しむ事はない」
従者「…………」
名士「私はこの時代に生きた事を、大変素晴らしく思っている」
従者「私もです……っ」
名士「次代まで生きればまた何か、素晴らしいものを得られるかもしれないが……」
従者「……」
名士「私にとって、あの庭があれば、それで幸せというものだ」
従者「はい……」
名士「ベルゼブブはこれで完全に消滅する。さぁ、帰って木々に水をやらねばな」
従者「……はい……っ」
名士「この地上における残りの余生……最後まで楽しませて貰うよ」
スタスタスタスタ……
266 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:19:26.96 ID:c0E3QSENo
女隊員「……少し、明るくなってきたッスか?」
格闘家「日が昇る時間が近づいてますね」
天才「どーれ、さっさとケリをつけようかね」
大軍師「……」
召喚士「天才さんっ!!」タッタッタッタッ
天才「見ろ」
召喚士「!?」
天才「城内からとてつもない瘴気が漂ってやがる」
戦士「……っ」
天才「こりゃ地獄に等しいぜ。行くのは俺様1人だ」
魔道士「天才……さん……」
召喚士「ギリギリの所まではお供します! 護衛も兼ねてっ!」
天才「……好きにしろ」
青年兵「僕らも行きますよ。もちろん」
皇太子「ああ、私もだ」
267 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:20:17.55 ID:c0E3QSENo
…
六道門・地獄。ついさっきまでは城内へと続く道があった。
しかし今は門のすぐ先には、断崖絶壁の暗闇が広がっている。
戦士「すっげ……っ。これ、名士がやったんだよな……?」
東方司令「退がってろとはよく言ったものだ」
天才「アイツの指示に従ってなけりゃ、俺様達も消し飛んでたな。ハーッハッハ!」
ジュニア「……っ」
天才「んで、この穴の奥にベルちゃんの核があるってわけだな」
青年兵「この感じ……」
戦士「ああ……っ。地獄に似てるな」
天才「さーて、そんじゃちょっくら行ってくるかぁ」
召喚士「あのっ、天才さん!!」
天才「あん?」
召喚士「…………っ」
天才「何だよ?」
268 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:20:51.15 ID:c0E3QSENo
召喚士「……俺……俺……っ」
天才「情けねーなぁ。なーに涙目になってやがんだよ」
魔道士「なっ、なりますよ……!!」
天才「……」
召喚士「あの……っ、ありがとうございましたぁ!!」
天才「……別に、感謝されるような事はしてねーよ」
青年兵「そんな事はありませんっ!!」
天才「……」
男隊員「あんたは、英雄なんだ。俺達の……世界中の」
天才「ハーッハッハッハッハ!!」
皇太子「……」
天才「今まで数えきれんくらい無理強いして戦争を起こしてきた」
格闘家「……」
天才「その度に、何十人、何百人の命を捨てさせた」
東方司令「……っ」
269 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:21:26.34 ID:c0E3QSENo
天才「自分はおめおめと生き延びて、腐るほどの命を奪い取ってきた」
大軍師「……」
天才「そんな奴は英雄なんて言わねぇんだよ」
召喚士「でもっ、天才さんの功績は紛れもない――」
天才「いいか? もし俺様が死んだ後に称えてでもみろ」
召喚士「……」
天才「そん時ぁ、呪い殺すぜ」
青年兵「私はあなたから、数多くの事を学びました!!」
天才「……」
青年兵「わずか5年という期間ではありましたが、私がこうして
大元帥として存在するのは司令っ、あなたのお蔭であります!!」
天才「勘違いすんなよ。そりゃお前の才能と実力だ」
青年兵「しかしっ! 学んだ事については間違いはありません!!」
天才「……青年兵」
青年兵「はいっ!!」
270 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:22:09.14 ID:c0E3QSENo
天才「お前は生真面目すぎるのがやや難点だが、真っ直ぐで人徳もある」
青年兵「……っ」
天才「ただ上に従うだけじゃなく、自分の意思をしっかり持って任務を全うしてる。
だからこそ俺様は、お前を大元帥に押し上げる事を決めたんだ」
青年兵「……司令」
天才「お前なら世界を、正しい道に導ける。自信を持て! いいな!」
青年兵「……はい……ぃ!!」
天才「陛下」
皇太子「貴方には色々と、世話になったな」
天才「お互い様だよ。国軍として無茶を言い続けた。助かったぜ」
皇太子「……」
天才「あんたの性分は分かってる。だが、国だけは捨てるなよ?」
皇太子「……そうだな」
天才「そこの右大臣様に余計な心配かけんなよ、ハーッハッハ」
エリート「……っ」
皇太子「皇族を代表して、感謝するぞ。ありがとう」
271 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:22:49.34 ID:c0E3QSENo
天才「格闘家!」
格闘家「はいっ」
天才「こっち来い」
格闘家「はい!」ザッ
天才「これをやる」サッ
格闘家「……これは」
魔道士「マスク・ド・ジーニアス!!」
天才「きょうからテメーがマスク・ド・ジーニアスだ!」
格闘家「師匠……っ」グッ
天才「本当、お前の事は散々、利用しちまって……申し訳ねーと思ってる」
格闘家「そんな事はありません!」
天才「お前の才能は本物だ。一切武器も持たずここまで上り詰めた奴は初めてだ」
格闘家「師匠の教えがあってこそです」
天才「その拳は本物だ。だからこそ俺様は無理に武器を持たせたりしなかった」
格闘家「……」
272 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:23:30.19 ID:c0E3QSENo
天才「そしてその拳は、今後は平和の為に使ってくれ。そのマスクと共にな!」
格闘家「師……匠……っ!」
天才「お前の拳に憧れて、次の奴らが己を磨く。その手本となってくれや」
格闘家「……はいっ!」
天才「特遊のお前らもご苦労だったな」
女隊員「司令……っ」
天才「数々の辛い任務だったろうが、この戦いが終わった後はようやく解散だ」
ボス「……」
天才「ゆっくり休んで、今後は下の連中を育ててくれ」
男隊員「解散はしねぇぞ!」
天才「……」
男隊員「特遊はなぁ! アンタや初代や、そして……隊長の大事なモンが残ってんだ!」
天才「ああ、そうだったな」
男隊員「俺は最後までずっと……特遊を全うしますっ!!」
天才「……そんじゃあ、お前らの隊長に伝えておいてやるよ。ハーッハッハ」
273 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/29(火) 18:24:20.68 ID:c0E3QSENo
今日はここまでー。ご支援ありがとうでした!
それじゃ失礼致します!では!ノシ
274 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/29(火) 18:25:00.10 ID:SWfxo8JDO
いちょつちょつ
あの世が一気に賑やかになるな…
275 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/29(火) 18:33:08.54 ID:CqaePBWDO
ラスボスは地獄で魔王になった天才か…
いい流れだ
276 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/29(火) 18:40:38.71 ID:wLL8FvhDO
>>1
乙
相変わらずのドSっぷりだ。
なんてとこで止めんだよ。
電車の中で鼻水垂れてきた
277 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/29(火) 18:51:45.62 ID:Vc4JLNTUo
今から飲み会なのに・・・
飲むとただでさえ泣き上戸になるのに・・・
思い出さないようにしよう
278 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/29(火) 19:35:41.89 ID:U3pmtQiXo
>召喚士「だから分かるはずですよね?」
従者「……下さい」
召喚士「……!?」
従者「そうかっ、あの方を……救って下さい……ッ」
従者の
答えにクスッとした
279 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/30(水) 01:15:13.06 ID:9Frt7gzAO
>>1
おつ
ジャンプ連載ならこんなお別れしても生き残るんだがな
280 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:13:40.23 ID:yDhZWGy8o
>>278
ワロタ
× そうかっ
○ どうかっ
ごめんなさい……↓続き
281 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:14:07.23 ID:yDhZWGy8o
ザッ
盗賊「……っ」
天才「お前にゃ割と簡単に、正体バレちまったよなぁ」
盗賊「……ごめん」
天才「別に謝るような事じゃねーよ。俺様こそ色々と悪かったな」
盗賊「……?」
天才「ほら、パンツ捨てたりしちまっただろ? ハーッハッハ」
盗賊「――!? いっ、いいよそんな事は……っ」
天才「お前のセンスはスバ抜けてる。戦いにおいては天才的だ。俺様が保証する」
盗賊「……」
天才「だが、生きる事に関しては不器用だ。いいか? もっと笑え」
盗賊「……っ」
天才「どんな事も自分の糧にするんだ。辛い時こそ高らかに笑え。いいな?」
盗賊「……頑……張るよ」グスッ
天才「平穏な時代に力は要らねぇ。必要なのは笑顔だ。ハーッハッハ!」
282 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:15:18.67 ID:yDhZWGy8o
戦士「……」
天才「戦士、うつむくなよ」
戦士「……うっせ」
天才「お前は常に前を向いてなきゃなんねーんだ。それが役目だろ?」
戦士「……」
天才「お前の信念や人柄は魔物ですらを変える。それは俺様にもないスキルだ」
戦士「天才……っ」
天才「魔王を倒した後も魔物は残ってる。それを担えるのはお前の仕事だ」
戦士「ああ」
天才「それと、家族と大切な仲間、盗賊を守ってやれよ」
戦士「……ああ」
天才「楽しかったぜ。ハッキリ言って、お前みたいな奴は大好きだわ。ハーッハッハ」
戦士「やめろ……っての……っ」ギリッ
天才「オヤジにもヨロシク言っといてくれや」
戦士「……伝えとくよ、必ず」
283 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:16:16.93 ID:yDhZWGy8o
召喚士「……っ」
天才「だーから、何泣いてんだよ」
召喚士「泣かない人は……いませんよ……っ」
天才「アホ。戦いはまだ終わってねーんだぞ。泣くのは全てが終わってからにしろ」
召喚士「すみません……」
天才「ほんと、お前は頼りがいのない奴だ」
召喚士「……」
天才「だが、いざという時には必ず結果を残し、そして想像以上の力を発揮する」
召喚士「……っ」
天才「だからこっちも強敵相手に泳がせちまった。悪かったな、苦労をかけた」
召喚士「望んでやった事です! だからっ、いいんですよそんな事は……っ」
天才「お前に言う事ば1つしかねぇわな」
召喚士「……?」
天才「感謝してる。そんだけだ」
召喚士「!?」
284 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:17:01.64 ID:yDhZWGy8o
天才「お前が居なきゃこの計画は、もっと過酷なものになってただろうな」
召喚士「そんな事はないですよ……っ」
天才「いーや。お前の力は紛れもなくこの世界唯一のもので、人類の宝さ」
召喚士「……っ」
天才「だからこそ危ういとも思ったが、お前の道は正しかった。真っ直ぐだった」
召喚士「天才さんが導いてくれたからこそです……っ!」
天才「俺様は足元を照らしてただけに過ぎん。進んだのはお前本人。それに……」
召喚士「……」
天才「手を取りあってくれた仲間、誘導してくれた師匠達に感謝しな」
召喚士「はい……っ」
天才「そして、今後はそんな力は封印して、自分の為に生きてくれ」
召喚士「は……ぃ……!!」
天才「お前は紛れもない救世主だ。もう1度言う、感謝してる」
召喚士「……っ!!」
天才「また会おうぜ。きっと、な」
285 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:17:44.31 ID:yDhZWGy8o
召喚士「天才さああぁぁん!!」
ザッザッザッ
天才「……お前は流石に泣かないんだな」
東方司令「ずっと聞かされていた。今日の日の事を」
天才「ま、そりゃそーだ」
東方司令「お師匠……アンタは……」
天才「正直、合わす顔もねーんだよな。ホントはよ」
東方司令「……?」
天才「予言で全てが見えるってわけじゃねぇんだが、それでも……」
東方司令「兄くんの事なら、お師匠が気に病む必要はないよ」
天才「そうはいくかよ」
東方司令「兄くんだってボクだって、いつ死を迎えるか、覚悟の上で付いてきたんだ」
天才「……」
東方司令「いや、ボクらだけじゃなく、彼らもそうかな」
天才「――!?」
286 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:18:34.19 ID:yDhZWGy8o
ザッ……ザッ……
天才「……瀕死じゃねぇか、ったくよ」
南方司令「……生きているだけ……マシですよ」
西方司令「そそっ、そうですよ……うぅっ」
天才「情けねぇ弟子どもだ。だけどよ、お前ら……最高だよ」
南方司令「私も、あなたのような師を得て、最高でした」
西方司令「そそそっ、そうそう!!」
東方司令「いつまでも、あなたはボクのお師匠だ。ありがとうございました!」
南方司令「ありがとうございました」
天才「礼を言われるような事はしてねーよ。むしろ、こっちの台詞だ」
西方司令「師匠おおぉぉぉぉ……っ」ボロボロボロ
天才「お前らはひねくれもんで性格に難があって、どうぢようもねー奴等だけどよ」
西方司令「ひいいぃぃ……っ!」
天才「それでも人を惹きつける芯を持ってる。だから司令としてやってこれたんだ」
南方司令「……はい」
287 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:19:10.09 ID:yDhZWGy8o
天才「今後は大元帥の支えとなって、国軍をまとめてくれや」
東方司令「はい……っ!」
天才「お前らは俺様の大事なガキだ。決して孤児なんかじゃねぇ! 誇りに思え!」
西方司令「師匠おおおおぉぉぉぉーっ!!」
天才「本当はここに、お前の兄貴も居たら……最高だったんだけどな」
東方司令「……っ」
南方司令「もしっ! 生まれ変わったならば……っ!!」
天才「……」
南方司令「次こそは本当の親子として生きる事を……望みます!!」
天才「ありがとな。俺様もそう願いたいよ」
東方司令「お……師匠……ぉ」
天才「ハーッハッハッハ! 情ない顔すんなよ、兵が見てるぞ」
西方司令「ありがどぉ……ございまじ……だああぁぁ……っ!!」
南方司令「……っ」
天才「じゃあな――」
288 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:20:02.97 ID:yDhZWGy8o
――『水を差すようで悪いが、邪魔するぞ』
召喚士「!?」
天才「な……んだ?」
ズゴゴゴゴゴゴゴ……
青年兵「下からですっ! まさか……っ」
天才「退がれええぇぇーっ!!」
ゴッゴオオオオォォォォ!!
東方司令「う……っお」
エリート「な、何事か……っ」
戦士「……何だ、あの球体は……っ!!」
ゴゴゴゴゴゴ
――『在って成らぬのだ。人間如きが、此の様な事象を引き起こすなど』
召喚士「ベルゼブブ!!」
ベルゼブブ『如何にも。余はベルゼブブ、魔族の王で在る』
召喚士「これが……ベルゼブブの核なのか……!?」
289 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:20:41.67 ID:yDhZWGy8o
ベルゼブブ『故に余は、決して下等なる人間に敗北を喫する事等、許されぬ』
盗賊「――!!」
ベルゼブブ『此処より先、決して一人として帰さぬ。余と共に地獄へ堕ちよ』
天才「ちいいいぃぃぃぃーっ!!」ババッ
ガッカアアアアァァァァ!!
魔道士「……う……っ」
ジュニア「油断……したっ、まだ力が……あったとはな……」
賢者「……?」ヨロッ
大軍師「し……司令っ!!」
天才「…………」
ベルゼブブの核が起こした爆発。一同はその衝撃により門のすぐ近くまで吹き飛ばされた。
が、天才はただ1人、皆の壁となるが如く、両手を広げ立ちはだかっていた。
天才「……さ……せるかよ……っ」
ベルゼブブ『次で終わりだ。今度は逃がさぬ。確実に仕留める』
天才「させるか……って、言ってんだろうがよ!!」
290 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:21:19.49 ID:yDhZWGy8o
ゴアァッ!! ズゴゴゴゴゴゴ……
ベルゼブブ『……?』
天才「ここから先には、何であろうが通さねぇ」
ベルゼブブ『壁……? 魔法に由るものか……ッ』
青年兵「魔法の……壁……?」
エリート「あ、あり得ない……っ。どこにこのような力が……」ググッ
賢者「……命さ。彼は命を燃やして、魔法の壁を作り上げているね……ふぅ」
ベルゼブブ『死ぬ、か?』
天才「ああ、死ぬぜ。テメーを道連れでなぁ!!」
ベルゼブブ『……どうやら、伊達や酔狂では無い様だ』
天才「テメーの魔法はおろか、蠅の1匹さえ通さねぇ」
ベルゼブブ『為らば止むを得ん。閉門させて貰おうか』
天才「――!?」
ガゴンッ!! ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
魔道士「門がっ!!」
291 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:22:50.01 ID:yDhZWGy8o
召喚士「しまった!! 閉じ込める気か……っ!!」
天才「全員、外へ出ろぉ!!」
盗賊「間に……合うか……っ」
天才「クソッタレがああぁぁぁぁ!!」
ゴゴゴゴゴゴ……ガッゴオオオオォォォォン!!
ベルゼブブ『!?』
戦士「門が……止まった……?」
天才「ぜぇーっ、ぜぇ……ざ、ざまあみろ!!」
ベルゼブブ「まさか其処までの事が可能とは……ッ」
召喚士「天才さん……っ」
大軍師「今ですっ! 脱出しますよ」ザッ
皇太子「しかしっ」
天才「これでいい!!」
皇太子「……!?」
天才「これでようやく……全てが終わる」
292 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:23:24.18 ID:yDhZWGy8o
青年兵「司令……っ」
天才「大軍師の指示に従え。モタモタしてっと、門が閉じちまうぞ……っ」
魔道士「天才さああぁぁんっ!!」
天才「大軍師!!」
大軍師「はい」
天才「持ってんだろ? よこせ」
大軍師「……」
エリート「なん……だ?」
ザッザッザッ……ズイ
大軍師「先程、輸送体より預かりました。分かってらしたのですか?」
天才「さーな。単なる偶然だろ」
青年兵「あ……れは……っ」
召喚士「総司令の仮面っ!?」
天才「……ふーっ」
カポッ……スチャッ
293 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:24:15.16 ID:yDhZWGy8o
天才「前に言ったんだ。総司令は2度、蘇るってな」
大軍師「司令……っ」
天才「最後くらい、国軍の人間として逝ってやるよ。ハーッハッハッハ!!」
東方司令「お師匠っ!!」
格闘家「師匠……!!」
魔道士「天才さ……っうあぁ……うぐっ!!」
天才「魔道士!! 泣くな!!」
魔道士「っ!!」
天才「お前は認めたくねーだろうが、お前には王家の血が流れてる!!」
魔道士「うっ、うぐ……ぅ」
天才「王は如何なる時でも、威風堂々たるもんだ。そうだよな?」
皇太子「……ああ」
天才「お前のその血は、必ずや役に立つ。忘れるなよ?」
魔道士「うぐっ、ううぅぅ……っ!!」ボロボロ
天才「眠れる王子を救えるのは姫、ただ1人なんだからよ」
294 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:25:01.52 ID:yDhZWGy8o
魔道士「うああぁぁ……うっ、ううぅぅ……!!」
天才「……はぁ。命を燃やし尽くしちまった。動くこともままならねぇ……」
召喚士「天才……さ……っん」
天才「大軍師、やれるか?」
大軍師「あと1発だけ、撃てます」
天才「流石だな。んじゃ、背中押してくれや」
大軍師「……っ」
天才「死への誘いじゃねぇ。天への羽ばたきだ」
大軍師「畏まり……ました」
ザッ
天才「じゃあな、勇者達――――」
背中越しに振り向いた天才さんの顔は、濡れていた。
仮面の下から流れていたのは涙なのだろうか、それとも……。
大軍師さんが羽扇を仰いで風を起こした。扇の羽が風に飛ばされた。
白い羽は天才さんの背中に広がり、まるで天使のような姿だった――。
295 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:26:00.19 ID:yDhZWGy8o
ゴゴウッ!!
召喚士「天さ――――」
ガッゴオオオオォォォォン!! シュウウゥゥゥゥ
盗賊「……っ」
大軍師「門が……閉じました」
青年兵「司令……司令……っ!!」ザシャッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ジュニア「……!?」
ドッドオオオオォォォォォォォォン!!
今までで最も広範囲な光柱が、魔王城全体に広がり、天を貫く。
門外に影響はない。全て、場内の根こそぎを昇天させるかのように。
戦士「五……行……」
エリート「終わったの……だな」
大軍師「……っ」
光が広がる。五行に加え、朝日の柔らかな日差しが北の空へと広がる。
296 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:26:55.17 ID:yDhZWGy8o
魔道士「ううぅぅっ、うぅ……うぐぅ……っ!!」
盗賊「……っ」ギュッ
召喚士「六道門……天」
戦士「……?」
召喚士「だから開いてて、そして上空にあって……」
戦士「……なるほどな」
召喚士「天才さんが……笑ってる……」
青年兵「ええ」
召喚士「俺達も……笑わなくっちゃ。でなきゃ、怒られちゃうよね」
青年兵「……ええ」
戦士「あんたの死は、絶対に無駄にはしないぜ。俺達が必ず……決めてやる」
盗賊「そうだな」
魔道士「……っ」
召喚士「サタンを倒したその時、改めて言うよ……」
天才さん、ありがとう――――。
297 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:27:40.52 ID:yDhZWGy8o
…
門の閉じるような音が聞こえた、そんな気がした。
ベルゼブブ『――――ッ!?』
あれ……? 俺様はどうなってんだ……?
ベルゼブブ『何処に此の様な力が……残されていると申すのだ……ッ』
だーから言っただろ、命を燃やしたってよぉ。
ベルゼブブ『命……』
そうだ。テメーをぶっ殺す為に、俺は死んだんだ。そうだ、死んだんだよな。
ベルゼブブ『余が……滅すると……言うのか……ッ』
滅してくれ。でなきゃ、恥ずかしくて成仏できねーわ。
ベルゼブブ『余の全てが……無……に……?』
長かったぁ。これでようやく、僕の宿命も終わりだね。
……僕? ああ、そっか。僕だ。お師匠やナイトさんもきっと褒めてくれるよね。
――『全く、お前って奴は』
え……っ!? お……師匠!! ナイトさんっ!!
298 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:28:15.22 ID:yDhZWGy8o
お師匠『お前って奴は本当に無茶ばっかりする。でも、よく頑張ったな。偉いぞ!』
ナイト『ジュースを奢ってやろう』
天才『お師匠っ!! ナイトさん!!』
お師匠『天才、まだ終わったわけではないんだ。しっかり前を見ろ』
天才『!?』
ナイト『あれがベルゼブブか。』
天才『あっ! 人型になってる!』
お師匠『何をごちゃごちゃ言ってるんだ、早く剣を構えろ』
天才『う、うんっ! でも……腕が重くて上がらない……ぃ』
ナイト『仕方がないな。手を貸してやろう。これっきりだぞ』
お師匠『ナイト、お前は魔剣を持ってやれ。俺はこっちのツヴァイハンダーだ』
天才『ありがとうナイトさん! ありがとう、お師匠!』
お師匠『さぁ、決めるぞ』
ナイト『見ろ、敵はかなり青ざめているぞ』
天才『いくぞぉーっ!! 僕達の力を……受けてみろおおぉぉぉぉ!!』
299 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:28:53.36 ID:yDhZWGy8o
ガッカアアアアァァァァ!!
天才『……?』
ベルゼブブ『余は……認めぬ』
天才『認めろよ。テメーはこの俺様にぶっ殺されたんだ』
ベルゼブブ『……サタンは目覚める。必ずやスーパーノヴァを引き起こすであろう』
天才『ハーッハッハッハ!! そいつは無理だな』
ベルゼブブ『諦めよ。其れが人類の宿命だ』
天才『いーや。俺様には見える。その先の未来がな』
ベルゼブブ『精々、祈っているが良い――地獄でな――――』
天才『……あーすんげー景色だな』
ドドオオオオォォォォ……
天才『東西が繋がった世界ってのは、こんなに広かったんだなぁ……』
オオオオォォォォ……
天才『それじゃあな、世界。地獄で……祈ってらぁ――――』
元国軍総司令官、及び功績1位ワーカー、天才。魔王ベルゼブブと共に消滅す。享年68歳――。
300 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:35:06.45 ID:yDhZWGy8o
キリよくここまででいいですかね…スミマセン
なんか頭の中には映像があるんだけどうまく反映出来てないというか…
まぁ、適当に保管して頂ければ…。今日もご支援ありでした!感謝!!ノシ
301 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/05/30(水) 17:38:29.63 ID:SEL1WYJ7o
一乙
もうこれで終わってもボリューム充分だけどまだあるんだよなあ
てか天才68かよ
302 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 17:38:46.09 ID:oluYP1Koo
>>1
乙!
今日の誤字は天才が泣いてるように思えるな…
303 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/30(水) 17:48:51.01 ID:yDhZWGy8o
>>302
あーそれは狙っての事ですよもちろん。気づくとは流石ですねー
(どこ誤字ったか全然分からんかった…)
304 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
:2012/05/30(水) 18:07:12.01 ID:ZOx9E2GAO
天才さん…
305 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 18:18:29.90 ID:gOkbmRjSO
さよなら、天さん、、、
306 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 18:20:34.34 ID:aUtT/HTDO
餃子「さよなら天さん」
307 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/30(水) 18:20:36.06 ID:LYpYNRXto
うわあああああああ!!
てんさいさああああああああん!!
ウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!
308 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 18:22:07.88 ID:MVBy1nYQo
会社のPCで読むんじゃなかった…
>>1
乙
309 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/05/30(水) 18:53:03.59 ID:LYpYNRXto
うわあああああああ!!
てんさいさああああああああん!!
ウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!
310 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 19:20:05.73 ID:ZeVSsftPo
やっぱみんな天さんに見えたかw
311 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 19:24:21.07 ID:28QarL5DO
いちょつ
てんさああああああん
魔道士ちゃんともっとしゃべったげてよう…
312 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/30(水) 19:59:44.98 ID:6FAbePUAO
天才さん!
313 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 20:52:59.80 ID:Gg6L8w1IO
電車の中で泣きそうだ
314 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 22:46:26.07 ID:pIbLa9ZDO
やべぇ久しぶりに泣いた
鼻から涙出てきた
315 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/30(水) 23:14:58.43 ID:8doaOyhDO
最初の方かませとか言われてたのにな……
316 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/31(木) 00:00:18.63 ID:3hT/Gj4AO
>>1
おつ
天才お疲れ様
317 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/05/31(木) 08:45:16.15 ID:4jmRI0AAO
>>1
並びに天才さん乙んつん
病院の待合室で涙…
318 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/05/31(木) 11:57:00.36 ID:h/cSYtGL0
いちおつ
319 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/31(木) 12:42:54.13 ID:wRkad5LIO
天さん乙!
320 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/31(木) 16:49:57.94 ID:9YjVUJ/k0
>>1
おつんつん
てんさいさあああああああくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
321 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/05/31(木) 18:22:18.77 ID:sv3vpStIO
んんんんー
ここ最近の中で一番よかった
おつ
322 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/31(木) 22:48:30.20 ID:oz0w6JIao
…
帝「……」
王子「……」
ザッザッザッ……
白馬騎士「全て、終わったのですね」
大軍師「終わりました。見ての通りです」
未だに立ち上る白い光柱。五行の輝きが全てを物語っていた。
いや、うつむく者や泣きじゃくるもの。表情は様々だが、
その沈痛な面持ちを見れば、何が起きたのかは一目瞭然であった。
名代「見事也……」
左翼長「何だか、不思議なもんだな」
騎士長「ああ。あの司令が死ぬなんて、想像もつかなかったよ」
白虎長「そのうちひょっこり、顔を出すんじゃないかって……思えちゃうくらい」
青竜士官「……っ」
青年兵「うっ、えぐ……っ」
323 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/31(木) 22:49:01.65 ID:oz0w6JIao
タッタッタッタッ
剣士「召喚士くんっ!!」
召喚士「……剣士さん」
弓使い「終わったみたいね」
戦士「ああ。ひとまずは、な」
剣士「……次は魔王サタンか」
召喚士「しかも限られた時間はほんの少し。明日にはもう準備を進めないと」
盗賊「……」
魔法剣士「奴は、逝ったのか?」
魔道士「……っ」
魔法剣士「初めて会った時はとんだどあほうだと思ったが……」
召喚士「……」
魔法剣士「本当に強かった。人間の中では間違いなく最強だっただろうな」
戦士「越えらんねー壁だよ。高すぎんぜ」
魔法剣士「全くだ。越える前に逝くなんざ、とんだどあほうだよ」
324 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/31(木) 22:49:34.19 ID:oz0w6JIao
召喚士「あの、魔法剣士さん……」
魔法剣士「……?」
召喚士「……眼鏡さん……亡くなったって」
魔法剣士「……ああ。あの六道門・地獄で死んだよ」
召喚士「……」
魔法剣士「お前らは知っていたのか?」
召喚士「何を……ですか?」
魔法剣士「彼が魔物だという事をだ」
魔道士「え――――っ!?」
魔法剣士「なんだ、知らなかったのか」
召喚士「……なんとなく」
魔法剣士「……?」
召喚士「なんとなく、普通の人とは違うなって……そうは思いました」
盗賊「魔物の気配は全くなかった。だが、何か不思議な存在ではあった」
魔法剣士「そうか。だったら俺の間違いだ。彼は人間だったのだな」
325 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/31(木) 22:50:00.91 ID:oz0w6JIao
パッカパッカパッカ……
エリート「陛下と国軍は先に一夜城に戻らせて貰うぞ」
召喚士「あっ、はい……」
皇太子「君達も疲れているだろう? 無理せず休むように」
魔道士「ありがとうございます」
左翼長「ったくよー。重傷なのに無茶すっからだぞ」
南方司令「……分かっている。しかし正義の為だ」
騎士長「んじゃな、早く戻れよ」
戦士「おう」
西方司令「ぎゃああぁぁ!! 痛いっ、死ぬううぅぅぅぅ!!」
東方司令「早く歩け。ボクだって痛いのガマンしてるんだぞっ!」
ザッザッザッザッ……
召喚士「みんな、ボロボロだね……」
戦士「だな。まぁそれでも、生きてる」
召喚士「……うん」
326 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/31(木) 22:50:39.28 ID:oz0w6JIao
ゴトンッ
召喚士「……?」
ゴガガガガガガガガ……
魔道士「……も、門がっ!!」
盗賊「開き始めた!? どういう事だ……っ」
ゴッゴオオオオォォォォン!!
ジュニア「完全に……開いた……」
戦士「おいおいっ、まさかまだ生きてるなんてオチじゃねぇだろうな……っ」
賢者「……いや、それはないと思うよ……ふぅ」
ヒュオオオオォォォォ……
盗賊「……?」
召喚士「風が……逆流してる……っ」
魔道士「まるで、門の中に吸い込まれてるみたい……」
ヒュオオオオォォォォ……
召喚士「あ……れ……?」
327 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/31(木) 22:51:20.20 ID:oz0w6JIao
突如開いた六道門。その奥には何もない。何も見えない。
ただ光が輝いているだけであって、魔物の気配はおろか人の気配もない。
門から城内へと吸い込まれるように風が流れ込む。
そんな状況下、召喚士らは不思議な光景を目の当たりにした。
盗賊「なっ、何だこやつらは……っ!!」
うっすらと浮かび上がる人間と魔物の姿。それらが風と共に門の中へと吸い込まれてゆく。
戦士「くぉっ!! 実体がねぇぞコイツら!」
剣士「死者の魂だとでも言うのか……っ」
ヒュオオオオォォォォ……
ジュニア「――――っ!?」
魔道士「あれは……っ!!」
その姿、華奢ながら凛として、目立つ事なくもひっそりと可憐に咲く、名も無き華の如く。
魔道士「ウィッチちゃん!」
女性は笑い、この世界から立ち去るように、門の中へと歩いて行った。
弓使い「――っ!!」
328 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/31(木) 22:52:07.33 ID:oz0w6JIao
その男と女は仲睦まじく、しかし恋人や夫婦の類ではない。その絆、確かなものなり。
剣士「お父さん……っ、女賢者……さん!!」
2人は1人の男の待つ門の奥へと、ほほえみながらゆっくりと消えて行った。
戦士「隊長……っ!!」
鋸状の無骨な剣を担いだ百戦錬磨の軍人は、勇猛であり、沈着冷静でもあった。
男隊員「隊――――」ザッ
異変に気づき慌てて駆けた男の姿に目もくれず、その軍人は星となっていった。
東方司令「兄……くん……!?」
妹の声は届かず、兄はただ静かに闊歩する。その姿は凱旋するかの如く堂々たるもの。
南方司令「正義の為の職務……ご苦労であった」
傷だらけの兄弟弟子に見守られながら、自身は己の師の下へと向かっていった。
左翼長「!?」
全身を甲冑で固めた大男は、騎馬に跨り数名の共を連れて中央を進む。
騎士長「騎士団長……っ。お前らの働き、決して忘れんぞ!」
かつての上司に賞賛を拝領し、本国国軍騎士団は遠い旅へと出発した。
329 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/05/31(木) 22:52:46.62 ID:oz0w6JIao
盗賊「あ……っ」
静かなるその男は常に身に付けていた顔の布を解いた。
帝「……っ」
無口な忍は、満面の笑みという言葉で全てを表し、この世界を離れていった。
魔法剣士「――――っ」
朝日の光がその長剣と鎧と、そして眼鏡に反射しているように輝いていた。
ケルベロス「わんわんわんっ!!」
魔族から人間へとなった男は、多数の友人を連れて彼方へと旅立った。
王子「っ!!」
もう音色を奏でる事はない。そのハープを脇に抱えた男は少女に近づく。
召喚士「詩人……さん……っ」
少年に戻った奏者と少女は、その先に待つ男の下へと走り寄る。
召喚士「――!?」
男と2人は手を繋ぐと、召喚士に一礼し、風と共に去りぬ。
光柱は命の名残を吸い取り、天高く昇る龍が如く、次なる生を求めた。
330 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
:2012/05/31(木) 23:00:25.83 ID:kf8yJgvAO
乙?
331 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/05/31(木) 23:32:18.94 ID:oz0w6JIao
今日はここまでじゃ。明日にはこの部もたぶん終わります!
きょうもご支援ありがとうでした!それではおやすみなさい!ノシ
>>304-321
泣けたか分からんけどそう言って頂けて感謝です!
これ以上クオリティ下がらんように頑張ります!!
332 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/05/31(木) 23:36:14.01 ID:iA6Qs6Vho
乙
333 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/05/31(木) 23:42:51.25 ID:6fF6tEA5o
乙
アンラ・マンユ倒したときは「まだ6体もいんのかよwwwwwwwwww絶望的だなwwwwwwwwww」
とか思ってたのに、後はサタンだけか・・・
中々に名残惜しいものがある
334 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/06/01(金) 00:39:01.65 ID:4lX3jOXE0
>>一乙!
サタン「遂に来たか、この時が。この二十年間何度となく再来との戦いを思い出したぞ。私のただ一度の敗北。ゴミのような人間に大魔王が敗れたのだ。二十年間この辱めに耐えてきた。だが、今、それも終わる。お前達を葬りさり、あの敗北が人類の仕組んだ卑劣なワナだったと証明し、このわずかな傷を拭い去って完全な復活を遂げるのだ。」
335 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/01(金) 00:54:25.01 ID:nwxKkb4To
頭わいてるのに一生気付かず生きて欲しい
336 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/01(金) 01:30:43.79 ID:QFWbK4jAO
>>1
おつ
337 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/01(金) 01:53:48.49 ID:z7uhc0ODO
久々に痛々しい物をみた
338 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/01(金) 03:31:41.27 ID:TIBBscBDO
さて、次は師匠との再会編か
おつんぽ!
339 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/01(金) 04:52:38.96 ID:JJBPNhzDO
いちょつ
霊になれなかったかわいそうなドッペルちゃんと魔剣士君
師匠との対面楽しみだ
340 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
[sage]:2012/06/01(金) 06:43:35.45 ID:RjTCJ1bAO
>>1
乙
>>334
とりあえず受精卵からやり直そうか坊や
341 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/01(金) 07:36:09.54 ID:0Fw64olDO
元ネタがサルーインだと解っていても痛いな
342 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/01(金) 08:50:35.46 ID:HllzjJsAO
気がつけばもう6月か。
>>1
乙んつんであります。今回も泣けた。あの世が賑やかになるね。
343 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/06/01(金) 09:33:53.08 ID:7dqHISFp0
あの世の酒樽が空っぽになるな
344 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:44:27.33 ID:CNKwJS11o
…
玄武娘「サモナー様ぁ!!」
サモナー「ごほごほっ!!」
朱雀嬢「……凄い人数ね」
西方副司令「ええ。これでも順番に、本国へ搬送してるんだけどね」
鍛冶娘「これで最後の箱ですっ。どこに置きますかぁ!?」
ドクター「空いている所へ適当に積んでおいて下さい!」
博士「死傷者数えるのもままならんのら。公表は推定値になるのら」
参謀「構いませんよ。報道向けには少ない方が好都合かと」ザッ
博士「もう戻ると思うのら」
参謀「ええ。ですので、出迎えに行って参ります。失礼」バサッ
博士「……」
助手「博士〜。次の馬車まだぁ〜?」
博士「ああ、もう手配出来てるのら。任せたのら」
助手「はぁーい♪ そんじゃま、怪我人を積んできまーすっ」
345 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:45:13.99 ID:CNKwJS11o
…
大軍師「……」ザッザッ
参謀「お帰りなさいませ。ご無事何より」
大軍師「被害状況は?」
参謀「楽観出来るものではないとだけ申しておきます」
大軍師「おおよその人数と主たる戦死者が判明次第、連絡を」
参謀「はい」
青年兵「あ……」
大軍師「どうなさいました?」
青年兵「あ、いえっ。先に戻ってて下さい」
大軍師「承知致しました。大元帥殿も速く戻られるよう」
青年兵「お気遣いありがとうございます」ザッ
参謀「戦後処理にあたる兵を残し、北関へ移動致します。宜しいですね?」
大軍師「任せるよ。少し疲れた、仮眠を取らせて貰います」スッ
参謀「……ごゆるりと」
346 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:45:48.96 ID:CNKwJS11o
…
青年兵「はっ、はっ、はぁ……っ」
タッタッタッ……ズザッ
青年兵「あのっ!!」
師匠「……?」
マジシャン「おーう。大元帥様じゃんかよ」
青年兵「どちらへ……?」
師匠「悪いけど休ませてもらうよ。ちょいとばかし疲れちまった」
マジシャン「力を使いすぎた。これじゃサタンまでもたんぜ……ハッハ!」
青年兵「お会いにはなられないんですかっ!? 召喚士さんにっ!!」
師匠「今、会っちまったら……いや、あいつはとうに、俺なんぞ越えてる」
青年兵「……」
師匠「今更あいつと会う必要なんてねーのさ。そんじゃな」クルッ
マジシャン「次はサタンだろ? また会おうぜ」ザッ
青年兵「……っ」
347 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:46:19.38 ID:CNKwJS11o
ザッザッザッザッ……
マジシャン「会っちまったら、決意が揺らぐってか?」
師匠「……さぁな」
マジシャン「ハッハ。まー分からんでもないけどな」
師匠「……あ?」
マジシャン「俺も息子にバッタリと、会っちまったからよ……ハッハ」
師匠「何っ!?」
マジシャン「やっぱ揺らぐよ。だが、会って良かったぜ」
師匠「会っても会わなくても辛いんだったら、楽な方を選ぶってもんだ」スタスタ
マジシャン「後悔しねーのか? それでよ」
師匠「……うるせぇな。1度は死んだ身なんだ、どのツラ下げて会えってんだよ」
マジシャン「そっちが本音か? 下らねぇー意地張ってると、後悔すんぞ?」
師匠「うるせぇな!!」
マジシャン「ハッハ! まぁいいや、ちゃーんと考えておけよ」
師匠「……っ」
348 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:47:07.26 ID:CNKwJS11o
…
おさげ「あっ!! 戻ってきたぁ!!」
召喚士「こっちもボロボロだなぁ」
魔道士「ですねぇ。大変だったみたいですね……」
アマゾネス「お帰りなさい」
召喚士「皆さんもご無事ですか?」
色黒「何とか、ね」
朱雀嬢「でも、サモナーさんが……」
魔道士「え……っ!?」
戦士「まさか、やられたのか!?」
朱雀嬢「いえっ、生きてますけれど……その……」
盗賊「……召喚士」
召喚士「……?」
盗賊「あそこ。呼んでるみたいだ」
召喚士「……行ってきます」
349 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:47:37.30 ID:CNKwJS11o
タッタッタッタッタッ……
召喚士「マーメイドさんっ」
マーメイド「召喚士くん、無事のようね」
召喚士「あのっ、サモナーさんが大変だと……」
マーメイド「今は医務室で寝ているみたい」
召喚士「そう、ですか……っ」
マーメイド「ねぇ、見て」スッ
召喚士「……?」
マーメイド「私の手、前より透けて見えない?」
召喚士「……本当だ……っ!」
マーメイド「これがどういう事か、あなたになら分かるわよね?」
召喚士「……っ」
マーメイドの言わんとするそれは即ち、召喚主による魔力の低下が原因であった。
召喚士「サモナーさんが……」
マーメイド「……1か月」
350 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:48:03.90 ID:CNKwJS11o
召喚士「――!?」
マーメイド「もって、そのくらいかもしれないわ……っ」
召喚士「……くっ」
マーメイド「彼の臨んだ事とはいえ、私……っ」
召喚士「……大丈夫です。もう残る敵はただ1人ですから」
マーメイド「召喚士くん……」
召喚士「せめてっ、短い時間だったとしても……」
マーメイド「……」
召喚士「お2人がゆっくり過ごせる時間を、俺が用意しますからっ!!」
マーメイド「ありがとう、召喚士くん」
召喚士「だから、どうかサモナーさんにはこの先、ゆっくりと休んで貰うようにして下さい」
マーメイド「ええ。悪いけどそうさせて貰うわね」
召喚士「……っ」
マーメイド「残る魔力はサモナーの生命維持に……」
召喚士「ええ……っ」
351 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:48:35.90 ID:CNKwJS11o
…
スタスタスタ……
戦士「おう、この後はどうすんだ?」
青年兵「ひとまず北関へ移動致します。皆様もご一緒に」
盗賊「承知した」
大軍師「既に各自、移動を始めております。ご自由なタイミングで移動して下さいませ」
魔道士「はいっ。ありがとうございます」
鍛冶娘「戦士ーっ!!」タッタッタッ
戦士「おう、どうした?」
鍛冶娘「どうだった?」
戦士「ああ、ベルゼブブなら天才が――」
鍛冶娘「違うわよっ!! 違くないけど」
戦士「はぁ?」
鍛冶娘「鉱石っ!! 魔王が居たならあるはずでしょ!?」
戦士「あ……っ!!」
352 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:49:02.43 ID:CNKwJS11o
…
戦士「……てなわけなんだが」
青年兵「そうですね……」
参謀「流石に直後は危険が伴いかねませんね」
大軍師「戦後処理もありますし、それと並行して行わせましょう」
戦士「すまんっ!!」
大軍師「良いな?」
北方兵「ははっ!」
大軍師「あと、瓦礫の中に黒いステッキが見つかるかもしれません」
北方兵「ステッキ……ですか?」
魔道士「あ……っ」
戦士「正確には十字架みてーなステッキ型の剣だ」
大軍師「もし発見しても、決して触れぬように厳命を」
北方兵「了解致しました! 現場指揮の特遊隊長にお伝え致しますっ!」ザザッ
青年兵「宜しく頼みます」
353 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:49:30.17 ID:CNKwJS11o
テクテクテク……
召喚士「青年兵くんに大軍師さん。それに参謀さんも……」
戦士「戻ったか」
召喚士「あ、うん……」
盗賊「皆は北関へ移動するようだ。我らも向かうとするか?」
召喚士「……そうですね」
青年兵「馬車も手配してありますので、ご自由にお使い下さい」
魔道士「ありがとうございます。助かりますっ!」
戦士「顔色が優れんが、大丈夫か?」
召喚士「うん、大丈夫。みんなにも後で話さなきゃならない事があるんだ」
魔道士「……?」
盗賊「まさか、サモナーの事か?」
召喚士「……ええ」
戦士「……分かった。とにかく、北関へ移動して一息ついてからにしよう」
召喚士「うん」
354 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:50:01.41 ID:CNKwJS11o
魔王ベルゼブブ率いる最大最強の魔王軍。
幼女「う……ん……」パッカパッカ
剣士「起きたかい? 戦いはもう終わったよ」
弓使い「幼女もほんと……よく頑張ったね。お疲れ様」
人類にとっても類を見ない大戦は今、終わりを告げた。
紅孩児「なぁ、当然サタンも殺るんだろ? 俺も参加するぜ。そうすりゃ魔王は居なくなる!」
同門「勝手にしろ。俺は自分の意思で動くだけだ」ザッザッ
甚大な被害を被った一同であったが、その代償に魔王ベルゼブブは完全に消滅した。
西国兵「撤退の準備、整いました」
王子「いざ北関へ出発する。……西国兵長、安らかに眠ってくれ」ザッ
そして告げられた真実。スーパームーンとスーパーノヴァ。
槍侶「痛……っ」
帝「大丈夫か?」ナデッ
槍侶「――――!?」ブシュッ!!
名代「傷が開いたぞっ! 包帯を!」
僧兵長「槍術を磨く必要な無くなった。今後は精神を鍛える事に没頭すべし! 喝っ!」
355 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:50:31.64 ID:CNKwJS11o
残る日数はあと2週間余り。はたして人類は滅亡を免れる事は出来るのであろうか。
三男「老将軍の様子は?」
白馬騎士「未だ目覚めませぬ。今は安静にする事が最優先かと」
その方法はただ1つ。魔王サタンを討つべし。
魔道士「召喚士さん?」
戦士「どうした、行くぞ」
盗賊「……」
召喚士「行きましょうか」
〜???〜
ヒュオオオオオォォォォ……
ネクロマンサー「……終わったようですね」
魔剣士「……」
ネクロマンサー「さて、いよいよ最後の魔王です」
魔剣士「……」
ネクロマンサー「彼らならばきっと、真理の扉を……開いてくれるでしょうねぇ。ククッ」
356 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:51:04.61 ID:CNKwJS11o
…
青年兵「……」
博士「皆、行ったみたいなのら」
青年兵「博士は行かれないんですか?」
博士「もう少し、この光景を目に焼きつけておきたいのら」
青年兵「なるほど」
博士「絶対に忘れてはいけない、2度と起きてはいけない光景なのら」
青年兵「全くですね。でも、これでようやく終わり――」
博士「なのら」
ドサッ
博士「……?」
青年兵「……」
博士「しっ、しっかりするのら!! おいっ、誰か!!」
青年兵「…………」
博士「大元帥っ、大元帥ー!!」
357 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:51:32.04 ID:CNKwJS11o
……――
――「大元帥っ!!」
大元帥「……?」パチッ
――「おぉ! 全く、心配させるのじゃ」
大元帥「こ……こは……?」
――「病院なのじゃ。大元帥は演説の後、疲労で倒れて気を失っていたのじゃ」
大元帥「そう……か」
大参謀「式典は滞りなく無事、閉会致しました」
大元帥「世話をかけたな、大参謀。それに……博士も」
博士「いや、儂はたまたま通りかかっただけなのじゃ」
大元帥「そうであったか」ムクリ
大参謀「まだ、あまり動かれぬ方が……」
大元帥「構わん構わん、それよりも何か軽食を持ってきては貰えぬか? 腹が減った」
大参謀「食欲があるようならば心配はなさそうですね。承知致しました」スタスタ
大元帥「しかし博士、君と2人っきりで話すもの久しいな」
358 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:52:23.06 ID:CNKwJS11o
博士「そうなのじゃ。こうして2人きりでいると、あの日の出来事が目に浮かんでくるのじゃ」
大元帥「あの日……ああ、ちょうど今日であったなぁ」
博士「あれから50年。もう戦いの事を知る人間も僅かになったのじゃ」
大元帥「……そうだな」
博士「寂しい話なのじゃ」
大元帥「だが、それで良い」
博士「……」
大元帥「戦を知らぬ若い連中が、戦のない時代を作ってくれる」
博士「……そうなのじゃ」
大元帥「それで、博士は何故ここに?」
博士「ああ、実は南東国の王が病に伏せておるのじゃ」
大元帥「何と……っ」
博士「南東国の医療も決して劣ってはおらぬが、念には念を入れて本国へ移ってきたのじゃ」
大元帥「そうであったか」
博士「さっき、王と夫人に顔を見せに行ったのじゃ。君も行くと良いのじゃ」
359 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:53:18.62 ID:CNKwJS11o
大元帥「ああ、そうさせて貰うよ。2人に会うのも久しいしな」
博士「……さて、儂はもう行くよ。南東国王の為に薬を作らなくてはならんのじゃ」
大元帥「ご苦労様。博士も元気でな」
博士「ああ。君もな、青年兵大元帥殿」
スタスタスタ……ピタッ
博士「ところで、彼らは元気でやっておるのじゃ?」
青年兵「今日の招待状も出したんだが、音沙汰なくてな」
博士「まぁ便りがないのは無事な証拠とも言うのじゃ」
大元帥「……そうだな」
博士「じゃあ、失礼するのじゃ」パタン
大元帥「……」
サアアアアァァァァ……
風が吹いた。病室から見える中央広場の緑。そこに佇む黒ずんだ銅像。
笑っていた。口を開けて高らかに。その肩にツヴァイハンダーを担いで。
カーテン越しに風が走り去って行った。長く長く、風と共に去りぬ。
360 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:54:02.71 ID:CNKwJS11o
【第87次北伐、魔王ベルゼブブ攻略大戦 ※但し、聖王時代からの数値とする】
北伐成功。魔王城陥落、及び魔王ベルゼブブの完全討伐を確認。
また、魔王ベルゼブブ眷属であるアスタロス、アスモデウス、ウォッチマン、
オルクス(真偽不明)、オルトロスの完全討伐を確認。
併せて、ネクロマンサーのラボについての破壊も完了を確認。
上記戦闘に準じて、北の森、川中島をはじめとする複数個所の魔王軍領土を奪還。
【各被害推定人数、及び主たる戦死者一覧】
国軍戦死者:1693名(推定)、負傷者:29887名(推定)、行方不明者:8091名
西国戦死者:490名(推定)、負傷者:3668名(推定)、行方不明者:181名
東方戦死者:904名(推定)、負傷者:447名(推定)、行方不明者:67名
華国戦死者:220名、負傷者:2066名(推定)、福江不明者:1415名(推定)
ワーカー戦死者:330名(推定)、負傷者:1014名(推定)、行方不明者:193名(推定)
その他、一般人戦死者:90名(負傷者、行方不明者は記述なし)
魔王軍死者:多数(推定80万と記す手記あり)
361 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:54:38.38 ID:CNKwJS11o
【主たる国軍戦死者】
隊長(本国国軍特殊遊撃強襲隊 隊長)
騎士団長(本国国軍騎士団 団長)
北方司令(本国国軍北方司令部司令)
【主たるワーカー戦死者】
天才(功績ランク1位。元本国国軍総司令官、元UFRチャンピオン)
眼鏡「(功績ランク2位)
女賢者(功績ランク5位)
お父(功績ランク1188位)
ウィッチ(功績ランク3470位)
偽戦士(功績ランク3470位、ドッペルゲンガー)
【主たるその他、一般人戦死者】
西国兵長(西国軍、士官)
影忍(元藤蔵若頭、影 頭領)
イヌ(女侍盗賊団 団員)
ヒゲの男(最北の村屯田兵)
詩人(吟遊詩人)
362 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/01(金) 16:56:00.30 ID:CNKwJS11o
勇敢と無謀を履き違えてはならない。
慎重と臆病を履き違えてはならない。
自信と慢心を履き違えてはならない。
勇者は一人であり、全員が勇者である――――。
〜第六十一部、完〜
363 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/06/01(金) 17:06:33.60 ID:kU1+GUTLo
88888888888888
364 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/01(金) 17:12:17.75 ID:CNKwJS11o
今日はなんだか自分で書いててしんみりきちゃった…なんてキメェww
本日はとりあえずここまで…かな?ご支援ありがとうございました!
それではまた!次回よりサタン編!いよいよラストバトルでっす!ノシ
365 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/01(金) 17:23:41.28 ID:4uCJiFGHo
乙
いよいよ長いプロローグの終わりか
366 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/06/01(金) 17:42:55.01 ID:/bVGgziAO
一瞬完結したかとオモタ
367 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/01(金) 18:20:50.90 ID:JJBPNhzDO
いちょつちょつ
あとサタンのみとか…
とりあえずここから2週間丸々の日常編を
368 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/01(金) 18:28:21.77 ID:k2YE12uDO
>>1
乙
お父の功績ランク1188(いいパパ)位でクスッときた
369 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/01(金) 21:46:08.94 ID:nZRhKlfDO
福江さん…行方不明なんだ
370 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
:2012/06/01(金) 22:50:02.38 ID:FHSlU5iAO
サタン投げるかのような感じでびびったわww
毎日が楽しみすぎてやばいな
371 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/02(土) 01:44:21.06 ID:0mXOO9IAO
>>1
おつ
死傷者とかいろいろ気合いいれてるのに感心するな父の小ネタ言われるまで気づかなかったわ
372 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/02(土) 01:56:13.29 ID:RWRXufoj0
>>1
おつ
373 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/02(土) 08:24:55.55 ID:gJItpJOAO
>>1
乙んつんであります!
374 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/02(土) 21:34:29.59 ID:Pkh4IsPAo
戦士の最強装備やっとか
ゲームだったら強化が遅すぎて使えないキャラ扱いされそう
375 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/03(日) 01:37:58.74 ID:KGGB6+TDO
ベルゼブブめ……せっかく雷切パワーアップしたのに……
376 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:10:55.03 ID:THHB0k5Wo
魔王ベルゼブブの大戦から半日が経過した頃……。
〜北関〜
召喚士「もう、日没か」
魔道士「あっという間でしたね」
召喚士「ええ。何だか現実だったのかどうかの区別もつかないくらい……」
魔道士「……」
戦士「もうじき祝賀会だとよ。中央に集まれってさ」スタスタ
魔道士「戦士さん、どこ行ってたんですか?」
戦士「鍛冶娘んとこにな」
魔道士「鍛冶娘さん、ですか?」
召喚士「あ……っ」
戦士「サタン戦まで時間がねぇ。正直、雷切は間に合わんかもな」
召喚士「そっか……」
戦士「ん? そういや盗賊は?」
魔道士「一緒じゃなかったんですか? さっき1人で出かけましたけど……」
377 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:11:35.45 ID:THHB0k5Wo
…
盗賊「……」ザッザッ
名代「そうか。また一人……逝ったか」
足軽「奴ぁ、あっしの幼馴染でした。せめて髪と衣類だけでも東方に……」
名代「案ずるな。そのままの姿で東方へ帰りますよ」
足軽「っ!!」
名代「それが我らの出来るせめてもの……おやっ?」
盗賊「……あ」
名代「構いませんよ、どうさないました?」
盗賊「あの、上様は」
名代「今は陣の奥にいらっしゃると思いますよ」
盗賊「……ありがと」
ザッザッザツ
盗賊「……あの……いや、何でもない」
名代「……」
378 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:13:08.46 ID:THHB0k5Wo
…
盗賊「失礼致しまする」
帝「藤蔵の姫か、良いぞ」
盗賊「此度の戦、お見事に御座りました」
帝「世辞は無用。お主こそ天晴れであった。して、何用じゃ?」
盗賊「お頼み申し上げたく候」
帝「申せ」
盗賊「御館様へ文を頼みたく」
帝「文?」
盗賊「兄の死を記しました。これを渡して頂きたく」
帝「……良いのか?」
盗賊「……?」
帝「文で良いのか? と申しておる」
盗賊「しかし……」
帝「自身の口で述べた方が、良いのではないか?」
379 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:13:37.02 ID:THHB0k5Wo
盗賊「……」
帝「文を渡すのは簡単じゃ。此方はそれでも構わぬが」
盗賊「……っ」
帝「我らは明朝に発つ。それまで考えておくと良い」
盗賊「……お心遣い、感謝致しまする」ススッ
スタスタスタ……
帝「……」
名代「上様」スッ
帝「強いな」
名代「盗賊殿、で御座りまするか?」
帝「藤蔵の同胞を失い、兄を失い……それでもまだ気丈に戦う」
名代「彼女は東方を愛しておりまする。辛いはずがないのですがね」
帝「我らとて甘んじているわけにはいかぬな」
名代「左様ですね。最後の戦いにも無論……」
帝「私も共するぞ。嫌とは言わせぬ」
380 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:14:14.83 ID:THHB0k5Wo
…
魔道士「あっ、盗賊さんいましたよ!」
戦士「どこ行ってたんだよ」
盗賊「すまぬ。ちょっと……な」
召喚士「それじゃ行きましょうか。みんな待ってますし」
魔道士「はいっ!」
スタスタスタスタ……
騎士長「おっ!! ヒーローのお出ましだぞ!!」
左翼長「遅せぇな。何してたんだよ」
召喚士「すいません……」
青年兵「みんな揃いましたね。それでは始めましょうか」
大軍師「では陛下、お願い致します」
皇太子「……いつもの事ながら、純粋に心から祝うには辛いものだ」
召喚士「……」
皇太子「しかし、だからこそ精一杯楽しむのだ。死んでいった仲間の為にも。乾杯!!」
381 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:14:53.03 ID:THHB0k5Wo
召喚士「行けっ!コカトリス!!」
〜第六十二部〜
382 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:15:53.54 ID:THHB0k5Wo
…
キジ「お頭、もう行くのさー?」
女侍「傷も癒えたし、人が集まってきちまったからね。長居は無用さ」
キジ「でも、タダ酒飲めるさー」
女侍「アタイらは正規兵じゃないんだ。面倒は嫌だよ」
キジ「……それもそうさー」
女侍「それに、今日は飲みたい気分じゃないんだ」
キジ「お頭……っ」
女侍「それじゃ行くよ。久々にゆっくり眠りたいさね」
キジ「これからはお頭と2人っきり。頑張るさー!」
女侍「……そうさね」
ザッザッザッ
女侍「……?」
女剣士「……」ザッ
女侍「何か用かい?」
383 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:16:51.13 ID:THHB0k5Wo
女剣士「姉上」
キジ「姉……上……!?」
女侍「言ったろ? 人違いだってさ」
女剣士「宜しいですか?」
女侍「……何がだい?」
女剣士「もう、いいでしょう?」
女侍「……」
女剣士「父上の仇は討ったのです。剣聖家の復興だって……」
女侍「アタイはねぇ、道を外れちまったのさ。人の道をねぇ」
女剣士「そんな事はありません」
女侍「アンタには分からないさ」
女剣士「姉上っ!!」
女侍「構うんじゃないよっ!! これ以上関わるってんなら……」
ジャキッ
女侍「斬るよ」
384 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:18:03.21 ID:THHB0k5Wo
女剣士「姉上……っ」
女侍「キジっ! 行くよ」
キジ「は、はいさー」ササッ
ザッザッザッ……
女剣士「東方におりますからっ!!」
女侍「……」
女剣士「姉上も……どうか……」
女侍「――っ」
ザッザッザッザッ……
キジ「お頭……」
女侍「今更……どうにもならないよ……っ」
――「下らねぇ意地張ってんじゃねぇよ」
城壁の外に寄りかかる1人の男がぽつりと呟いた。
キジ「……サ、サル!!」
女侍「行ったんじゃなかったのかい?」
385 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:18:51.58 ID:THHB0k5Wo
サル「……」
女侍「んで、誰が意地張ってるって?」
サル「俺ぁよ、親兄弟の顔も故郷も知らねぇ」
女侍「……」
サル「当然、誰にも慕われず頼られず、孤独に生きてきた。これからもな」
女侍「……」
サル「でもアンタにゃアンタの身を案じてくれてる家族がいるだろうが!」
女侍「……」
サル「なのに何なんだよっ! あぁ!?」
キジ「サル、お頭はなぁ……」
サル「テメーは黙ってろ!!」
キジ「あぁ!?」
女侍「やめな」
キジ「お頭っ」
女侍「さるのくせに、随分と偉そうな口利くじゃあないかい」
386 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:19:44.81 ID:THHB0k5Wo
サル「そりゃ、アンタの事を1番理解してるのは俺だからな〜」
女侍「そうかい。そりゃ勝手な話だ事」
サル「んーふふふふっ。勝手で結構」
女侍「アンタ、これからどうするつもりだい?」
サル「……んー」
女侍「……」
サル「本国じゃーもう暴れる所はなさそうだ」
キジ「サル?」
サル「そろそろ他の場所にも行きてーが、見知らぬ土地はちょっとなぁ」
女侍「……っ!」
サル「あ、そうそう。東方ってのはこないだ行ったし……東方にでも行ってみるかぁ」
女侍「お前……っ」
サル「もちろん、お前らも行くよな? 嫌とは言わせねぇぞ」
キジ「……ハハっ! もちろん、行くさー!」
女侍「……ったく、お前ら。仕方ないねぇ……あはははっ!」
387 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:21:50.48 ID:THHB0k5Wo
…
ジュニア「ハッハ!! そらっ、飲め飲め!!」
戦士「ば――っ、入れすぎだっつーの!!」
召喚士「老将軍さんの容態はどうですか?」
白馬騎士「まだ目覚めてはおりませぬ……」
召喚士「そう……ですか」
白馬騎士「今回の戦いには勝利しました。しかし……」
召喚士「ええ。まだサタンが残っています」
白馬騎士「私は、不安でならないのです」
召喚士「……不安」
白馬騎士「確かに残るはたった1匹の魔物。ですが……」
召喚士「敵は最強の魔王ですからね」
白馬騎士「はたして本当に、止められるのでしょうか」
ジュニア「ああ、スーパーなんちゃらってやつか?」
召喚士「スーパーノヴァです」
388 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:22:44.77 ID:THHB0k5Wo
白馬騎士「もしそれが起こりえてしまったのなら、世界は……」
王子「案ずるな」スタスタ
魔道士「あー王子ぃ!」
王子「!?」
魔道士「なになに、何の話ですかぁ〜?」
王子「あ、あの……」
戦士「あー。酔ってるから放っておいた方がいいぞ」グビッ
召喚士「魔道士さんが酔うなんて、珍しいですね」
戦士「ヤケんなって飛ばしすぎてたからな」
白馬騎士「色々と、払拭したかったのでしょうね」
召喚士「……」
ジュニア「んで、何が案ずるなって?」
王子「ああ、いざと言う時は、私が何とかする」
白馬騎士「西国陛下が、ですか?」
王子「私の……アヌビスでな」
389 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/03(日) 23:24:41.29 ID:THHB0k5Wo
召喚士「――!?」
戦士「おいっ、何言ってんだよ! アヌビスってなぁ……」
王子「さしものサタンとて、アヌビスなら……」
召喚士「確かに倒せるかもしれない。でも、それは無茶だ」
戦士「ああ。だってよ、アヌビスの召喚には犠牲が……」
召喚士「しかもサタンともなれば、その犠牲は莫大なものに……」
王子「でしょうね」
戦士「はぁ!?」
王子「だが、0か1でも残るかならば、どちらを選びますか?」
召喚士「……」
戦士「全滅するくらいなら、何千、何万の犠牲も厭わないってか?」
王子「仕方のない事です。どのみち2週間余りで世界は滅亡するかもしれない」
戦士「極論だぜそんなもん。だからこそ、俺達は戦うんだろうが!」
魔道士「そうだそうだーっ!」グビグビ
召喚士「……」
390 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/04(月) 00:29:29.19 ID:uCj0gB5AO
>>1
おつ
391 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/04(月) 03:46:59.52 ID:XUOjHHXDO
いちょつ
392 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/04(月) 10:44:07.11 ID:Qi/VXXsIO
乙
393 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/04(月) 14:49:31.28 ID:7fVr1JKY0
>>1
おつ
394 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:46:40.82 ID:H7Cy52Ruo
王子「分かっているさ。だが、万が一という事で頭の片隅にでも入れておいてくれ」
戦士「お前なぁ」ザッ
王子「……」
戦士「それが王の言う事かよっ! 人々を守るのが王じゃねぇのかよ!」
王子「国を統べるものだから言っている!」
戦士「何ぃ!?」
王子「世界が無になるというならば、たとえ数える程であったとしても、
人間、動物、植物、そしてこの世界を残す。それが王としての役目だ」
戦士「……っ」
王子「人は強い。生きている限り再び、立ち上がる事も出来よう」
戦士「……アヌビスの出番はねぇ。絶対にな!」
王子「そう祈っている。頼みますよ、救世主」
ザッザッザッ……
戦士「……ちっ」
召喚士「王子だって苦渋の覚悟なんだ。アヌビスなんて使いたいはずは……」
戦士「分かってるよ。その為には頑張らなくちゃな。にしてもアイツ……偉くなりやがって。ははっ!」
395 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:47:33.04 ID:H7Cy52Ruo
…
青年兵「……」
青龍士官「お疲れ」ザッ
青年兵「お疲れ様」
青龍士官「また1人で悩んでいるのか?」グビッ
青年兵「いや、流石に今回は吹っ切れたよ」
青龍士官「だろうな」
青年兵「大元帥、自分が考えてたものとは遥かに違うよ」
青龍士官「責任がありすぎてか?」
青年兵「それもあるけど、自分の命令1つで何千の人々が死ぬんだ」
青龍士官「……そうだな」
青年兵「正直、ここから見下ろしていると、命の重みが薄れてしまうよ」
青龍士官「大元帥たる者が、1人2人の命に左右されてちゃどうしようもないからな」
青年兵「ついこの前までは、隣にいる上官や仲間が死んだだけでうろたえてた……」
青龍士官「そうだな」グビ
396 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:48:53.14 ID:H7Cy52Ruo
青年兵「覚えてるかい? 5年前の事」
青龍士官「5年前? 20の頃か。確か……ちょうど俺らが実戦デビューした頃だな」
青年兵「初めて巨大な魔物と戦った」
青龍士官「ああ、あれは強かったな」
青年兵「あの頃は無知で、専属召喚はおろか、召喚獣との会話すら知らなかったんだ」
青龍士官「弱かったよな俺ら。今じゃあんな魔物は単独で片づける自信がある」
青年兵「そんな時だった。あの人に出会ったのは」
青龍士官「……」
青年兵「専属召喚や召喚獣との会話を知って、色々と調べったっけ」
青龍士官「そうだな。お前に聞いた時は全く理解も出来なかったが」グビ
青年兵「青龍先生には一蹴され……」
青龍士官「国軍の資料室は一時利用禁止になり……」
青年兵「国軍から本国勤務に異動させられ……」
青龍士官「今思えば、結構無茶やったよな」
青年兵「……ああ」
397 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:49:49.26 ID:H7Cy52Ruo
青龍士官「竜騎士隊の前身じゃ、俺の勝手で大事な部下も失った……」
青年兵「……」グビッ
青龍士官「お前を意識するばかりに焦り、馬鹿な事をした」
青年兵「でも君が召喚獣の背に乗るという方法に辿り着いた。それは革新的な事だよ」
青龍士官「それはお前のヒントを得てからだ。それに、あの人はもうやっていたんだし」
青年兵「それを部隊規模にまで昇華させたのは紛れもなく君の功績だよ」
青龍士官「まぁ、あの下積みがあったからこそ、ここまで這い上がる事が出来たよな」
青年兵「そうだね。左大臣が死んで、召喚隊への隔たりもなくなったし」
青龍士官「お陰で問題児の俺らが大出世だもんな。皮肉なもんだよ」グビッ
青年兵「僕は大元帥、君は青龍先生。本当……随分と高い所まで来ちゃったもんだ」
青龍士官「でも、ここまでだ」
青年兵「……」グビッ
青龍士官「さっき言ってた事、お前自身が変えてみろよ」
青年兵「ん?」
青龍士官「てっぺんに居ようが、命の重みを感じるくらいの大元帥によ」
398 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:50:39.51 ID:H7Cy52Ruo
青年兵「……そうだね」
青龍士官「俺は青龍先生として、下を育てていく。青龍がますます盛んになるようにな」
青年兵「青龍召喚士として期待してるよ」
青龍士官「その間、お前は大元帥として国軍を取り仕切ってくれ」
青年兵「分かってる。左大臣みたいな奴が現れないようにね」
青龍士官「ははっ。……ずっと居座れよ、俺が死ぬまで」スクッ
青年兵「あと何十年務めなきゃいけないのやら」
青龍士官「……お前はこの世界に必要な人間だ。絶対に死ぬなよ」
青年兵「青龍士官……っ」
青龍士官「サタン戦、行くんだろ?」
青年兵「うん」
青龍士官「無茶だけは絶対にするな。もしお前が危うい時は……」
青年兵「……」
青龍士官「……あと数週間、頑張ろうぜ。青年兵」
青年兵「……うん」
399 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:51:14.36 ID:H7Cy52Ruo
ザッザッザッ
青龍士官「あ、そうそう。あの事、話さなくていいのか?」
青年兵「あの事?」
青龍士官「謎の朱雀召喚士。目撃証言がちらほらあがってるぞ」
青年兵「……」
青龍士官「朱雀なんてそう居るもんじゃない。ましてやあんな相当な使い手はな」
青年兵「……」
青龍士官「あれ……先代の朱雀先生なんじゃないのか?」
青年兵「……本人は、召喚士さんに会う気ないってさ」
青龍士官「そうか……」
青年兵「でも、どのみち召喚士さんの耳には入るだろうね」
青龍士官「……余計な迷いが生じなければいいけどな」
青年兵「心配はいらないと思うけどね。召喚士さんだし」
青龍士官「まぁ、それもそうだな。んじゃ、竜騎士隊の連中の所に戻るよ」ザッ
青年兵「ありがとう」
400 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:53:30.61 ID:H7Cy52Ruo
…
召喚士「ん……?」
ザワザワ ガヤガヤ
戦士「何だ? ケンカか?」
朱雀嬢「ちょっと!!」
魔道士「朱雀嬢ちゃんに玄武娘ちゃん〜」
召喚士「!?」
玄武娘「サモナー様っ! 駄目ですのー!」
サモナー「もう大丈夫だよ。心配ありがとう」
玄武娘「大丈夫じゃないですのっ!!」
召喚士「サモナーさん!」
サモナー「召喚士くん、ちょうど良かった。飲もう飲もう」
召喚士「……大丈夫なんですか?」
サモナー「怪我したわけじゃないから。全然問題ないよ」
戦士「……」グビッ
401 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:54:19.81 ID:H7Cy52Ruo
サモナー「それに、こんな機会はそうそうないからね」
召喚士「サモナーさん……」
サモナー「さあ、せっかくなんだし飲もうよ」トクトクトク
魔道士「そうだそうだっ! 飲みましょー!」
戦士「なぁ、本当に大丈夫なのか?」
朱雀嬢「……もうっ、知りませんわ。本人が平気と言ってるのだから平気なのでしょう」
サモナー「ほら、玄武娘も座って座って」
玄武娘「サモナー様……」
サモナー「お腹空いただろう? ほら見てごらん、料理も沢山あるよ!」
ギュルルルルルルゥゥゥゥ……
玄武娘「……」
サモナー「さぁ、食べよう食べよう!」
玄武娘「……はいですのー! いただきまーっす!」
魔道士「飲め飲めー! えへへ〜っ!」
朱雀嬢「……はぁ」
402 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:55:46.85 ID:H7Cy52Ruo
〜魔王城、正門前〜
男隊員「……」
ハヌマーン「そろそろ休んだらどうだ?」シュバッ
男隊員「ヒャハハ。お気遣いありがてぇが、俺らの腕の見せ所なんでね」
ハヌマーン「む、そうか」
男隊員「戦いも終わったんだ。アンタらこそもう帰っていいんだぜ?」
ハヌマーン「……そうだな。念のため動きを探ったが、何事もなさそうだ」
男隊員「ご苦労さん」
ハヌマーン「では、男場に甘えるとしよう」
男隊員「……なぁ」
ハヌマーン「何だ」
男隊員「アンタはどうして、人間に手を貸そうと思ったんだい?」
ハヌマーン「主であるスグリーヴァ様がそうなされたからだ」
男隊員「じゃあなんで、スグリーヴァさんは人間に手を貸したんだい?」
ハヌマーン「人間が好きだからさ」
403 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 17:56:46.32 ID:H7Cy52Ruo
男隊員「……?」
ハヌマーン「あの方は、ここが我らの居るべき所ではないと分かっておった」
男隊員「……」
ハヌマーン「南方は平和であったであろう?」
男隊員「あ、ああ」
ハヌマーン「スグリーヴァ様はずっと、見守っておったのだ」
男隊員「……っ」
ハヌマーン「魔王に等しい力を持ちながら魔王に反逆し、ずっと牽制してきた」
男隊員「ラーヴァナを、か?」
ハヌマーン「だからこそ南方は、此処とは違い、平穏であった」
男隊員「……何でそこまでする必要があったんだ?」
ハヌマーン「……それが主と、彼の約束だからさ」
男隊員「彼? 誰かとの約束だったってのか?」
ハヌマーン「古い話だ。もう何百年と前の古い、な」
男隊員「……そうだったのかよ」
404 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 18:00:41.13 ID:H7Cy52Ruo
ハヌマーン「……それじゃ、失礼致す。世話になった」
男隊員「あ、おう。こっちこそな……ヒャハハ」
ハヌマーン「……では」
男隊員「あのよっ、最後に1つ!」
ハヌマーン「……?」ザッ
男隊員「その、彼ってのは……どんな奴だったんだ?」
ハヌマーン「お主らのように熱き魂を持った男さ」
男隊員「……今も、その子孫とか……いんのか?」
ハヌマーン「さあ」
男隊員「……そっか」
ハヌマーン「……華を咲かせた」
男隊員「えっ?」
ハヌマーン「では、御免」ヒュバッ
ヒュウウウウゥゥゥゥ
男隊員「……さーて、もう一仕事頑張るかねぇ。ヒャハハ!」
405 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 18:01:39.19 ID:H7Cy52Ruo
…
オーク「うぅー。痛いです」
ラクシャーサ「ガマンしろよ。痛いのはみんな一緒だっつーの」
ガーゴイル「でもこれでゆっくり休めるジャン」
ハヌマーン「待たせた」ヒュバッ
オーク「ハヌマーン! おかえりですー」
ハヌマーン「済まぬが、皆は先に戻っててくれないか?」
ラクシャーサ「へ?」
ハヌマーン「少し立ち寄る所があってな。オーク、お前も一緒に来るが良い」
オーク「えっ!? は、はいです」
ガーゴイル「んじゃー先に帰るよ」
ゴブリン「帰る帰る! 疲れた!」
ラクシャーサ「……何だか知らんけどちゃんと帰ってこいよな」
ハヌマーン「ああ。すぐに戻るさ」
オーク「それじゃ、また後でです!」
406 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 18:02:22.01 ID:H7Cy52Ruo
〜北関〜
サモナー「はー飲んだ飲んだ。久々にこんな楽しんだよ」
召喚士「それは何よりです」
左翼長「おーい。そろそろ切り上げんぞー」
魔道士「えぇ〜? もうですかぁー?」
ジュニア「身体も癒えてないんだし、ゆっくり休む事だ」
魔道士「ちぇー」
ジュニア「なんなら魔道士ちゃん、一緒に寝る――」
大軍師「ジュニア殿、ちょっと宜しいですか?」
ジュニア「…………」スクッ
朱雀嬢「あなたはまた食べ過ぎてぇ〜!」
玄武娘「う、動けないですの……」
サモナー「あははっ。それじゃ僕も休ませて貰おうかな」
召喚士「お疲れ様でした」
サモナー「うん。召喚士くんも本当にお疲れ様。それじゃ」ザッ
407 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 18:03:20.29 ID:H7Cy52Ruo
召喚士「……」
戦士「……サモナーさん」
召喚士「うん……っ。もう、自分が長くない事……分かってるんだろうね」
戦士「最後の晩餐ってやつか」グビ
召喚士「やめてくれよ……そんな言い方」
戦士「……悪い」
朱雀嬢「あ、ところで朱雀先生」
召喚士「はい?」
朱雀嬢「戦場に居た謎の朱雀召喚士、ご存じでして?」
召喚士「へ……っ?」
朱雀嬢「やはり存じあげませんかしら」
召喚士「朱雀……召喚士……?」
玄武娘「あれはきっと朱雀先生ですのー」
朱雀嬢「朱雀先生ならここに居るわよ」
玄武娘「違うですのー。前の朱雀先生ですのーうっぷ……」
408 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 18:04:24.03 ID:H7Cy52Ruo
召喚士「!?」
朱雀嬢「こらっ!! 吐くんじゃありませんわ!!」
玄武娘「うぅ……出てきそう……ですの……」
朱雀嬢「きゃーっ! ほらっ、こっちこっち!」
タッタッタッ……
召喚士「前の朱雀……っ」
戦士「何言ってんだアイツら……」
白馬騎士「私も見ました。朱雀を使う召喚士を」
召喚士「白馬騎士さんもですか!?」
戦士「どっ、どんな奴だったんだ?」
白馬騎士「そうですね、中年の男で……かなりの使い手でした」
戦士「中年……同門じゃねぇな」
召喚士「ま……さか……っ」
白馬騎士「気になるようでしたら、他にも目撃者は居ると思いますよ」
召喚士「……っ」
409 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 18:32:46.23 ID:H7Cy52Ruo
こうして先の大戦における祝賀会はひっそりと幕を閉じた。
戦士「んじゃ、俺も戻るわ」
召喚士「うん。ていうか、足引き摺ってるけど、どうかしたの?」
戦士「筋肉痛っぽい。今までなった事ねーのに……年かなぁ」
召喚士「戦士ももう30過ぎたもんね」
戦士「うるせー! お前だってアラサーだろ!」
召喚士「あははっ。それもそうだ」
戦士「んじゃお休みー。また明日なー」
召喚士「うん、おやすみ」
スタスタスタ……
召喚士「もうそんなになるんだよなぁ……」
闇夜の中、1人佇む召喚士。
召喚士「初めて北関で……こうやって飲み明かして……っ、天才さ……ん……」
思いを馳せる程、涙はとめどなく溢れ出してくる。
召喚士「天才さんが死んだ……っ。眼鏡さんも……ウィッチちゃんも……っ」
410 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/04(月) 18:33:17.73 ID:H7Cy52Ruo
思えば、行く先々で出会い、そして別れがあった。
召喚士「うぅ……っぐ」
海峡で短髪らと出会い、分かれた。遺跡で剣士らの仲間と出会い、分かれた。
北方でお父や司令と出会い、分かれた。南方でスグリーヴァや南西砦長と出会い、分かれた。
東方で武士や五忍と出会い、分かれた。西方で神官や踊り子と出会い、分かれた。
南西国で騎都尉や兄者らと出会い、分かれた。本国で隊長らと出あい、分かれた。
鉱山で眼鏡らと出会い、分かれた。師匠と出会い、分かれた。父と出会い、分かれた。
召喚士「……う……ぅ」
数多くの大切な人達を失った。それでも召喚士には、数多くの大切な人達がいた。
召喚士は決めた。もう泣かない、いや泣けない。泣いている暇はない。
最後の戦いを控え、召喚士は真なる覚悟を決めた。今までにない覚悟。
それは死んでも仲間を守るなどという生半可なものではない。
自分も生きて、誰も死なせない。全てを守り勝ち抜くという意思。
容易ではない。皆無に等しい。それは百も承知。それでも秘めたる覚悟。
奇跡への序曲はゆっくりと今、始まりつつあった。
411 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/04(月) 18:33:49.80 ID:H7Cy52Ruo
きょうはひとまずここまでです。お疲れ様でした!
本日もご支援ありがとうでした!それではまた!ノシ
412 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/06/04(月) 18:34:50.15 ID:cPsl/D3To
>>1
乙
リアルタイムで見れたぜぇ
413 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/04(月) 18:46:19.89 ID:m58Zl0nDO
〜男場〜
ハヌマーン「疲れちゃったなー、ひざ枕して〜」
オーク「…」
414 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/04(月) 18:56:48.65 ID:QGTlYhoDO
なんだハッテン場のことか
ハヌマーンはゲイだったか
415 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/04(月) 19:12:41.13 ID:prChHfKFo
すごく面白いよ
召喚士から人がどんどん離れていく描写もなかなか
416 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/04(月) 20:48:52.36 ID:XUOjHHXDO
いちょつ
最後主人公でもないやつが締めるなんて…
417 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/04(月) 22:08:07.00 ID:pAHAKVw0o
素質があるんじゃないかって話してたけど
とうとう召喚士も魔法使いになったか
418 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
:2012/06/04(月) 22:45:12.95 ID:iIx1Ptaco
>>1
乙
序曲が始まりつつあるってことは…
良かった。1もこれがプロローグだって明言したんだな
これで安心できる
419 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/04(月) 23:15:20.65 ID:Vot/XR7mo
召喚士さんもいい年なんだからそろそろ身を固めて欲しいな
守るべき人・帰るべき場所があったほうが頑張れる気もする
>>1
乙
420 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/05(火) 01:16:32.10 ID:Ro/kO4RAO
>>1
おつ
あの世がまさに男場だな。死者のオッサンで溢れかえっておる
421 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/05(火) 08:35:18.76 ID:8zIr90R6o
>>1
乙
早く師匠と会って欲しいな
そして天国で次は俺が甦るのではないかとソワソワしだす他の故人たち…
422 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/05(火) 11:32:44.79 ID:u67quS8C0
いちおつ
423 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 17:59:54.64 ID:KzV+fqvvo
〜北の港、高台〜
オーク「ここは?」
ハヌマーン「もうじき着く。それよりも……」
オーク「……?」
老人「……」ジロジロ
女「ねぇ、あれって魔物……」
男「行くぞ」
ハヌマーン「しっかりと顔を隠さぬか。馬鹿者」
オーク「えぇ〜っ、ハヌマーンだって……」
ハヌマーン「私はほら、この通り――」
従者「どうなさいました?」
オーク「ひえっ!!」
ハヌマーン「おぉ、これは。オーク味方だ、安心せい」
オーク「あ……っ、ここっ、こんばんはです!」ペコリ
従者「どうぞ、こちらへ」
424 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:00:40.91 ID:KzV+fqvvo
〜名士の家〜
従者「どうぞ、お入り下さいませ」
ハヌマーン「失礼」スッ
オーク「へぇ、ここが名士さんの家かぁ」
ハヌマーン「名士殿はどちらに?」
従者「庭におられます」
テクテクテク……カラッ
従者「お客様です」
名士「ん? おお、ハヌマーンか」
ハヌマーン「突然のご訪問、誠に失礼を致しまする」
名士「構わぬ。楽にしてくれ」
ハヌマーン「しかし……」
名士「私はもう眷属でも何でもない。ただの隠居だ」
ハヌマーン「……」
名士「さあこちらへ。茶でも振る舞おう」
425 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:01:23.20 ID:KzV+fqvvo
…
オーク「わぁ、いい匂いです」
名士「そうであろう? まぁ人間にはちと、きつい匂いかもしれぬが」
オーク「いただきますです!」ズズー
ハヌマーン「此度の事、ノーンハスヤ様のご助力、大変感謝致しまするぞ」
名士「名士で良い。その名はもう捨てたのだ」カチャッ
ハヌマーン「しかし何故、貴方様程の方があのような……」
名士「あのままでは、ベルゼブブの奴は何をするか分からなかったからな」
ハヌマーン「……」
名士「最悪、北の大地を丸ごと吹き飛ばしかねん」
ハヌマーン「そこまでですか?」
名士「グリモワールにおける奴の大罪はグラトニー(暴食)。奴は全てを食らうよ」
ハヌマーン「……成程」
名士「出来れば蠅の姿を成す前に始末出来ればと思ったのだが……」
ハヌマーン「成し得なかったと?」
426 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:02:06.79 ID:KzV+fqvvo
名士「流石に魔王城と六道門は、そう易々とは突破出来ないものだね」ズズッ
ハヌマーン「……その後、ノーン――名士殿は更なるご助力を……」
名士「……何故だろうね」
オーク「……?」
名士「正直、あの状態になったベルゼブブはもうどうする事も出来なかったはずだ」
ハヌマーン「でしょうな。地上での肉体を失った核は……」
名士「地獄へ舞い戻る以外に手はなかったはずだ」
ハヌマーン「では何故、分かっていながら力を……」
名士「私も先程から自分に問いかけているのだよ。何故だろうね、と」
ハヌマーン「……」
名士「ふふっ、どうやら人間に感化されてしまったようだね」
ハヌマーン「名士殿……ッ」
名士「でも、悪くはない気分だ。今ならケルベロスや君の気持が良く分かる」
ハヌマーン「ですが、それと引き換えに貴方は……ッ」
名士「……」
427 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:02:39.35 ID:KzV+fqvvo
ハヌマーン「貴方は大量の魔力を失った。それも、命を脅かす程の」
名士「それでも人間よりは長く生きられる。おそらくね」
オーク「えっ? ど、どういう事……です?」
名士「オーク、君は何が好きかな?」
オーク「オラですか? えぇと……お肉とお酒と、仲間達です!」
名士「そういう事さ。好きなものがあるから生きている。守るべきものがあるから生きるのだ」
ハヌマーン「……ッ」
名士「気に病む事はないよ。見たまえ、この庭から眺める夜空は絶景であろう?」
ハヌマーン「はい」
名士「日は暮れ、夜は明け、木々はやがて枯れる。我らとて何れは死ぬのだ」
ハヌマーン「はい」
名士「それが何時か。ただそれだけの事。そこにまもるべきものがあれば、それで良いのだ」
ハヌマーン「……はい」
名士「今日は訪ねてくれてありがとう。嬉しかったよ、礼を言う」
オーク「こちらこそです! お茶、美味しかったです!」
428 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:03:32.29 ID:KzV+fqvvo
名士「またいつでも来るが良い。茶を淹れて待っているよ」
ハヌマーン「……失礼致します」
従者「門までお送り致します」
ハヌマーン「いえ結構、お構いなく」
オーク「それじゃ失礼するですっ!」
テクテクテク……
従者「……」
名士「どう思う?」
従者「彼ら、ですか? なかなか愛嬌のある者達ですね」
名士「頼もしいと思わんか?」
従者「どうでしょう。私には計りかねます」
名士「彼らのような者らが居るからこそ、私やインドラは決めたのかもしれない」
従者「……ッ」
名士「我らだけではない。スグリーヴァもきっと、そうなのであろう」
従者「しかしっ、名士様はまだ地上にご必要な方です……ッ」
429 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:04:31.76 ID:KzV+fqvvo
名士「魔王はもうじき滅ぶ。さすれば私もも不要の存在さ」
従者「そんな……」
名士「忘れたか? アンラ・マンユは消滅したのだ。この地上からな」
従者「……ッ」
名士「根源を失った私の魔力、肉体は何れ滅する。それが早いか遅いかだけの話よ」
従者「そう、でした……」
名士「何だろう、ここ数年間は今までの何百年間よりもずっと、密であるな」
従者「はい」
名士「私は光栄に思うよ。この刻に居合わせた事を」
従者「はい。私もです」
名士「そして……。おっと、茶が冷めてしまった。淹れなおしてくれないか?」
従者「畏まりました。直ぐに」ススッ
テクテクテクテク……
名士「本当に、素晴らしい景色だ」
430 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:05:07.59 ID:KzV+fqvvo
〜次の日〜
魔道士「おはようございますー」
盗賊「おはよう。顔色悪いな」
魔道士「どうやら昨日、飲みすぎちゃったみたいで……」
盗賊「珍しいな」
魔道士「うぅ……。ところで盗賊さんは、昨日どうしてたんですか?」
盗賊「……記憶にない」
魔道士「……そうですか」
盗賊「……うん」
戦士「ぐああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
盗賊「っ!?」
魔道士「せ、戦士さんの声!? 外ですねっ、行ってみましょ……いたた……っ」ヨロッ
タッタッタッ……
盗賊「――!?」
召喚士「戦士っ、しっかり!!」
431 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:06:17.14 ID:KzV+fqvvo
魔道士「ど、どうしたんですか……っ!?」
戦士「か……身体が痛てぇ……っ」
召喚士「歩くのも困難みたいです……」
魔道士「えぇっ!?」
盗賊「何があったのだ?」
戦士「知らん……。起きたら……こうなった……ぐくっ」
召喚士「ただの筋肉痛とは思えないですね」
魔道士「ええ……っ。いくら戦士さんがオジサンだからと言っても」
戦士「誰がオジサ――痛ってええぇぇ!!」
召喚士「と、とにかく早く医務室に!」
魔道士「手伝いますっ!」
戦士「触れるだけで痛い……んだっ。そーっとだぞ……」
魔道士「はいっ!」チョン
戦士「ぐああああぁぁぁぁ!!」
盗賊「……わざとだな」
召喚士「……わざとですね」
432 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:06:59.14 ID:KzV+fqvvo
〜医務室〜
ドクター「……奇病ですね」
戦士「……あーしんど」
召喚士「とりあえずベッドで横になってるといいよ」
戦士「ありがとよ。つーかそれしかねぇよな。ピクリとも動けねぇ」
魔道士「戦士さん、何か飲み物とか」
戦士「お前は近寄るなっ!! うぐああああぁぁぁぁ!!」
魔道士「ほら、騒ぐから……もうっ」
盗賊「何か原因は?」
ドクター「外傷もありませんし、触診も不可能ですしね……」
召喚士「どうなってるんだろ……」
ドクター「逆に先日の戦いの中で、何か変わった事はありませんでしたか?」
召喚士「変わった事、ですか?」
ドクター「おそらく筋肉の断裂や関節痛など、肉体の内部による影響でしょう」
召喚士「……あ」
433 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:07:47.14 ID:KzV+fqvvo
魔道士「何かありましたっけ?」
召喚士「そういえば……」
盗賊「あの召喚獣かっ!」
ドクター「召喚獣?」
召喚士「ケツァルコアトルと言って、憑依してその人の力を最大限に引き出すという……」
ドクター「それですね」
戦士「チクショー! あのヤロ……っ!」
ドクター「どれ程かかるか分かりませんが、とにかくこのまま様子を見るしかありませんね」
召喚士「そうですか……」
魔道士「戦士さん、しばらく安静に休んで下さいね」
戦士「そう思うなら早く行け」
魔道士「むー」
召喚士「じゃあドクターさん、すみませんが……」
ドクター「うん。後は任せておいて下さい」
盗賊「……宜しくお願いします」
434 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:08:52.96 ID:KzV+fqvvo
…
盗賊「肉体を極限まで駆使した反動だな」スタスタ
魔道士「大変ですねぇ」
召喚士「確かにあの時の戦士の身体能力は、人間の力を遥かに超えてましたからね」
盗賊「人は理性を持っている」
魔道士「理性、そうですね」
盗賊「その枷を外せば獣と同様。本能の赴くままに精神、肉体が働く」
召喚士「……バーサーカー」
魔道士「何ですかそれ?」
召喚士「前に師匠の家で読んだ事があります。そういう術があるって」
盗賊「東方にも似たような術があったな」
魔道士「へぇー。じゃあやっぱり、筋肉痛なんですね」
盗賊「……まぁ、そうだな」
召喚士「とりあえず戦士が治るまで動けないね」
魔道士「そうですねぇ」
435 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:09:23.75 ID:KzV+fqvvo
パッカパッカパッカ……
召喚士「あっ」
名代「これは召喚士殿、お早う御座いまする」
魔道士「おはようございますっ!」
槍侶「ど、どうも」
召喚士「もういお戻りですか?」
名代「ええ。妖は滅したと言えど、やはり東方が空なのは気が引けますからね」
召喚士「そうですよね。皆さん、こちらに来てるわけだし」
帝「盗賊」ザッザッ
盗賊「お早う御座りまする」
帝「決めたのか?」
盗賊「……つい先程まで悩んでおりましたが、決めました」
魔道士「……何をですか?」
盗賊「召喚士、魔道士……すまぬ」
召喚士「へっ?」
436 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:10:20.58 ID:KzV+fqvvo
盗賊「私、東方へ戻る」
魔道士「えぇーっ!?」
盗賊「と言っても、ほんの少しの間だけだ。心配するな」
召喚士「何か、あるんですか?」
盗賊「……兄様の死を、伝えなくちゃいけないから」
召喚士「……っ」
盗賊「最初は文で良いかと思った。ついさっきまでも……」
帝「……」
盗賊「でも、戦士がああいう状態だし、丁度いいかと思って」
召喚士「分かりました。そういう理由ならば止めませんよ」
魔道士「辛いと思いますけど、しっかりと自分の口で伝えた方がいいですもんね」
盗賊「うん。ごめん」
召喚士「いえいえ。気にしないで下さい」
魔道士「戦士さんは寂しがると思いますけどねぇ〜。えへへっ!」
盗賊「そ、そんな事は……ないだろ……っ」
437 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:11:09.03 ID:KzV+fqvvo
帝「ならば共に参ろうぞ」
盗賊「はい。直ぐに身支度して参ります」タッ
僧兵長「辛いであろうが、それも宿命(さだめ)よ」
召喚士「どのみち戦いまで時間もありますし」
帝「短い期間ではあるが、盗賊にとっての休息になれば良いがな」
召喚士「はい」
帝「良ければそち達も来たらどうだ?」
召喚士「……いえ。俺達は残ります」
帝「そうか」
名代「我らもまた戦いの折には、合流致しまするぞ」
召喚士「分かりました。お待ちしております」
盗賊「……お待たせ致しました」シュタッ
帝「では、参るか」
魔道士「お気をつけてっ! 盗賊さんも!」
盗賊「ありがとう。すぐに戻るから」
438 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:12:44.88 ID:KzV+fqvvo
パッカパッカパッカ……
召喚士「さてと、まずは戦士に報告しに行かなくちゃ」
魔道士「ですねっ。急に盗賊さん居なくなったら、戦士さん慌てちゃうでしょうし。ふふっ」
パッカパッカパッカ……
名代「……」
帝「どうした? 小難しい顔が更に難しくなっておるぞ?」
名代「あ、いえ……。召喚士殿、変わりましたな」
盗賊「そう、ですか?」
名代「以前ならば我らが馳せ参じると申しても、止められた気がします」
帝「確かにそうであるな」
盗賊「……」
名代「何か、見つけたのかもしれませぬな」
槍侶「見つけた……ですか?」
名代「はい。守るべきもの。己の信念というべきものを」
盗賊「……」
439 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/05(火) 18:16:08.53 ID:KzV+fqvvo
今日はここまでにて。今まで戦闘パートが長かったので、
ちょっとだけほんわかムードでいきまする。すみません
またすぐ展開進むと思いますのでだるい方、もうしばらくご辛抱下され…
それではまた!今日も沢山のご支援ありがとうございました!ノシ
440 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/06/05(火) 18:16:43.36 ID:Adch6Z1AO
>>1
乙
441 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/05(火) 18:55:17.70 ID:xrv9S13IO
乙
442 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/05(火) 19:31:09.40 ID:QD/M0eTLo
>>1
乙
ヤバイヤバイヤバイ、奇跡が起こるぞ、奇跡が起こるぞ!
443 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/05(火) 19:37:33.63 ID:eWxTfOoAO
オークはいい子だなー
444 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/05(火) 19:43:26.90 ID:xKwWulEDO
オークは玄武娘と被るな
445 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/05(火) 22:03:40.14 ID:yEdDvQTDO
>>1
様乙に御座いまする。
446 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/05(火) 23:00:25.70 ID:W7mQPbS/o
ほんわかムードと言うことは召喚士と魔道士とのいちゃいちゃが来るのか?
447 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/05(火) 23:37:53.11 ID:IBakvikYo
魔導士ちゃんもそろそろいい歳だよな…
448 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
:2012/06/05(火) 23:48:25.38 ID:QlJ6IlLY0
>>1
乙
ク、クロコダイーン!!
449 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/06(水) 01:34:04.34 ID:/qA1s1BAO
>>1
おつ
450 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/06(水) 02:31:33.72 ID:T9cFyPt30
>>1
おつ
451 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 21:45:57.65 ID:t9bhtO4jo
…
召喚士「あれっ?」
魔道士「今度は南東国の皆さん!」
パッカパッカパッカ……
三男「こちらでしたか」
召喚士「おはようございます」
三男「今回も色々と、ありがとうございました」
魔道士「こちらこそありがとうございましたっ!」
白馬騎士「我らはひとまず、華国へ戻らせて頂きます」
召喚士「老将軍さんの事もありますしね」
白馬騎士「ええ。次の戦、参加出来るか分かりませんが……」
召喚士「気にしないで下さい。必ず、何とかしますから」
三男「無事を祈らせて貰います」
召喚士「ありがとうございます」
白馬騎士「それでは、失礼致します」スッ
452 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 21:46:31.45 ID:t9bhtO4jo
パッカパッカパッカ……
魔道士「皆さん、お疲れですね」
召喚士「ええ。俺達もそうですけど、かなり激しい戦いでしたからね」
魔道士「はい……っ」
スタスタスタ……
召喚士「戦士ー」パサッ
戦士「!?」
占い師「!?」
召喚士「!?」
戦士「ど、どした?」
召喚士「いや、占い師さんがいたからビックリして……」
占い師「ごめん、邪魔だった?」
召喚士「いえ、そんな事はないですよ」
戦士「んでまたどうしたよ? さっき別れたばっかjねーか」
魔道士「えっと、実は……」
453 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 21:47:14.49 ID:t9bhtO4jo
…
戦士「……ふぅん」
魔道士「ふぅん……って、寂しくないんですか?」
戦士「いまさら何を言ってんだよ。だいたい本人の意思なんだろ?」
召喚士「うん」
戦士「だったらいいじゃねぇか。どーせ俺もこんな状態なんだし」
魔道士「それは、そうですけどぉ」
戦士「やっぱそういう事は本人の口から直に伝えるべきだよ」
召喚士「……うん」
魔道士「ところで、どうして占い師さんがここへ?」
占い師「ええ。実は、北の森の事で」
召喚士「北の森……ですか?」
戦士「なんでも、予言の民の所へ行きてーんだとさ」
占い師「それで、あなた達さえ良ければ一緒にと思って」
戦士「ところが俺がこのザマだろ? ちょうどそんな話をしてたとこさ」
454 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 21:48:01.56 ID:t9bhtO4jo
魔道士「なるほどですねー」
戦士「んでだ、お前らさえ良ければ、一緒に行ってやったらどうだ?」
召喚士「えっ?」
戦士「どうせ俺は動けねぇし、盗賊も居ないんだし」
魔道士「まぁ、そうですね……」
占い師「お願い、出来るかしら……?」
召喚士「1つだけお伺いしてもいいですか?」
占い師「……?」
召喚士「行く目的は……」
占い師「……天才の死を伝えるためよ」
魔道士「……っ」
召喚士「やっぱりそうでしたか。そういう事ならぜひお供させていただきますよ」
占い師「良かったぁ。ありがと」
戦士「すまねぇな。俺も行きてぇとこなんだが……宜しく頼むぜ」
召喚士「うん、分かってる。戦士もしっかり休んで早く復帰してよ」
455 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 21:51:41.78 ID:t9bhtO4jo
…
占い師「いつ出発できそう?」
召喚士「こっちはいつでも大丈夫ですよ。魔道士さんも大丈夫ですよね?」
魔道士「はいっ!」
占い師「じゃあ、今日のうちに出発しましょうか。そんなに遠くないしね」
召喚士「そうしましょう」
魔道士「それじゃ、早速準備してきますねっ!」
占い師「そんなに準備なんて必要ないわよ〜?」
魔道士「何を言ってるんですかっ! 身だしなみはレディの嗜みですよ!」
占い師「……」
魔道士「それじゃ、行ってきます!」タッタッタッ
召喚士「す、すみません」
占い師「いーえ。私も年取ったって事かしらねぇ」
召喚士「……?」
占い師「何でもないわ。それじゃ一息ついて待ってましょ」
456 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 21:53:02.98 ID:t9bhtO4jo
〜大広場〜
占い師「お腹空いた?」スタスタ
召喚士「いや、食事は大丈夫ですよ」スタスタ
白虎長「あらおはよう。珍しい組み合わせね」
召喚士「白虎先生、おはようございます」
占い師「あんたこそ珍しいじゃない」
白虎長「何が?」
占い師「こんな時間に起きてるなんて、珍しいって事」
白虎長「そう?」
占い師「飲みの後なのに朝から起きてるなんてねぇ」
白虎長「……バカにしてる?」
占い師「だっていつもそうじゃない。泥酔して昼過ぎまで――」
白虎長「昨日はそんなに飲んでないのっ!!」
占い師「何怒ってるのよ……失礼ねぇ〜!」
召喚士「……あのー」
457 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 21:55:30.71 ID:t9bhtO4jo
…
白虎長「ふーん。そっかぁ、予言の民に会いにねぇ」
占い師「やっぱり伝える必要あると思ってね」ズズー
召喚士「天才さんて、予言の民だったんですよね?」
占い師「性格には彼の母親がそうだったみたい」
白虎長「あんたと関係あるの?」
占い師「いいえ。でも詳細は知らないわ。何も教えてくれなかったもの」
召喚士「そうですか……」
白虎長「自分の事はなーんにも明かさなかったものね」
占い師「そうね。母親の事もそれしか聞かなかったし」
召喚士「確か、妹さんもいましたよね」
占い師「王宮に勤めていたって話だけど」
召喚士「……」
魔道士「あっ、いたいた! お待たせしましたー!」タッタッタッ
召喚士「魔道士さん。準備終わったみたいですね」
458 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/06(水) 22:39:19.96 ID:C9hqjaPDO
>>1
乙!
珍しい時間帯の更新だな
キャラ一人一人がストーリーを持っている感じで
>>1
の日常パーと好きだ
459 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/06(水) 22:50:36.41 ID:gAOQK5qDO
おつんぽ!
460 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 23:04:01.15 ID:t9bhtO4jo
〜司令室〜
占い師「失礼致します」
大軍師「どうぞ。おお、これは占い師殿」
占い師「あら、お取り込み中……?」
青年兵「いえ、どうぞ」
西方副司令「それでは、私達はこれで」
東方司令「失礼する」スッ
召喚士「各司令揃い踏みで、どうかしたんですか?」
南方司令「いや。帰還前の挨拶さ」
西方副司令「あとは出国の許可」
魔道士「出国?」
西方副司令「うちの参謀が東方の連中について行っちゃったのよ……」
召喚士「東方にですか?」
西方副司令「すぐ戻るって言ってたけど。どうしても行かなきゃいけないんですって」
召喚士「……そうですか」
461 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 23:04:54.18 ID:t9bhtO4jo
大軍師「それで、皆様は如何なさいました?」
占い師「外出許可を頂きたく」スッ
青年兵「……北の森。予言の民ですか」パサッ
占い師「駄目、ですか?」
青年兵「召喚士さんと魔道士さんもご一緒なんですよね?」
魔道士「はいっ!」
青年兵「まあいいでしょう。許可致します」
占い師「ありがとうございます。2、3日中には戻る予定です」
大軍師「ベルゼブブを倒したと言っても、魔物が0というわけではありません」
召喚士「分かっています。十分、気を付けます」
大軍師「お困りの時には魔王城近辺に、戦後処理の兵がおりますので」
占い師「お心遣い感謝するわ」
召喚士「青年兵くん」
青年兵「はい」
召喚士「ちょっと、聞きたい事があるんだけど……」
462 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 23:05:29.70 ID:t9bhtO4jo
…
青年兵「何でしょうか?」スタスタ
召喚士「ごめん、忙しいのに」
青年兵「いえいえ。それよりも聞きたい事とは?」
召喚士「うん。実はこないだの戦いで、気になる事があって」
青年兵「……気になる事」
召喚士「戦場に、謎の朱雀召喚士がいたそうなんだ」
青年兵「……朱雀召喚士ですか」
召喚士「かなりの使い手で中年の男性だったらしいんだ。何か知ってる?」
青年兵「報告は受けてますよ。軍の者ではないそうですね」
召喚士「やっぱり……」
青年兵「ただ、直接目撃したわけではないのでどういった人物なのかは……」
召喚士「そっか」
青年兵「すみません、お役に立てなくて」
召喚士「いやっ、こっちこそごめん。ありがとう!」
463 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 23:06:09.96 ID:t9bhtO4jo
…
魔道士「それじゃ行ってきまーす!!」
大軍師「お気を付けて」
テクテクテクテク……
青年兵「聞かれましたよ」
大軍師「おや、意外ですねぇ」
青年兵「え……っ?」
大軍師「召喚士殿のことですから、徹底追及するものかと思ってました」
青年兵「いえ。あっさりと……」
大軍師「どうやら、覚悟は相当のもののようですね」
青年兵「私情は挟まない、目の前の戦いに専念していると?」
大軍師「……ふっふ。どうやら司令の目に狂いはなかったようです」
青年兵「召喚士さん……」
大軍師「我らも朱雀先生の下に甘んじているわけには、いきませんね」
青年兵「……はい。もちろんですよ」
464 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 23:07:36.78 ID:t9bhtO4jo
…
魔道士「朱雀召喚士のこと、何か分かりました?」
召喚士「そうですね……」
占い師「朱雀召喚士?」
魔道士「なんだか、戦場にいたそうなんですよ」
占い師「ワーカー?」
魔道士「私達は、もしかしたら師匠さんなんじゃないかって」
占い師「……」
召喚士「青年兵くんは何も知らないって言ってました」
魔道士「そうですか……」
召喚士「でもあれは多分、嘘だと思います」
魔道士「えっ!?」
召喚士「いくら見ていないと言っても、大元帥の耳に詳細が入らないはずありませんから」
占い師「なるほどー。でもじゃあ何で、わざわざ嘘を?」
召喚士「きっと、気を遣ってくれてるんです」
465 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/06(水) 23:10:08.21 ID:t9bhtO4jo
占い師「気を?」
召喚士「理由は分かりませんが、きっと師匠なんだろうって思います」
魔道士「やっぱり……っ!!」
召喚士「でももし師匠であって、俺が真実を知る為に身勝手な行動を取ったら……」
占い師「あなたはそんな柄じゃないでしょ」
召喚士「かもしれませんけど、以前の俺なら分かりませんよ」
占い師「……」
召喚士「それに、せっかく決めた覚悟が崩れてしまうかもしれない」
魔道士「覚悟……ですか?」
召喚士「ええ。だからこそ青年兵くんは、濁してくれたんです」
占い師「そういう事か。全く、素敵な信頼関係じゃないっ」
召喚士「もちろん師匠ではない可能性だってありますけどね」
魔道士「とにかく、真実は全てが終わった後って事ですね!」
召喚士「そういう事です。今は戦いに集中しましょう」
魔道士「はいっ。えへへ!」
466 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/06(水) 23:13:44.97 ID:t9bhtO4jo
>>458
AKB総選挙見てました。嘘です色々とバタバタしてて…すみません
ありがとうございます!凄く嬉しい感想です!
>>459
ありあり!!
というわけで今日もご支援感謝!それではまた明日!
おやすみなさーい!!ノシ
〜オマケ。祝賀会の真実! の巻〜
白虎長「カンパーイ!!」
盗賊「……か、乾杯」
コクコクッ……バターン!!
盗賊「……きゅううぅぅぅぅ」
白虎長「きゃあぁーっ! 盗賊ちゃん!?」
盗賊「……」ピクピク
白虎長「誰かっ!! えぇー誰も居ないの!? 仕方ない医務室に……それと水とえぇと……」
夜は更けた。
467 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/06(水) 23:18:37.86 ID:AVGSCn4+o
魔道士ちゃんってもうアラサーだろ?そろそろえへへは厳しいお年頃になってまいりましたな
>>1
乙
468 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/06(水) 23:29:42.84 ID:/qA1s1BAO
>>1
おつ
そういえばコカトリスの人気投票どうなってんだろ
469 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/07(木) 08:31:20.31 ID:TD1rKZMAO
>>468
一位はみんなのアイドル
>>1
470 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/06/07(木) 09:54:57.62 ID:BkiGtPSEo
人気投票、久々に見たらwwwwこんな順位だったっけ?
戦士カワイソス
471 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/07(木) 15:15:40.31 ID:V4r2Fe+DO
>>470
主人公なのにな
472 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:04:54.84 ID:GKagw7VBo
〜ターミナル〜
西方参謀「昼過ぎには東方へ向けて出航出来ますぜ。ヒック」
帝「かたじけないな、船まで用意して貰って」
西方参謀「いまさら何を仰る……ヒック」
東方参謀「それでは、ワシらはこれにて失礼するぞ」
西方参謀「おうよ。またな〜」
名代「怪我の具合は?」
東方参謀「なぁに、これしきの傷、屁でもないわい」
東方司令「死にかけてたくせに」ボソッ
東方参謀「……」
槍侶「先生っ、どうかお元気で」
東方参謀「むっ、お主もな」
槍侶「また教えを請うても宜しいですか?」
東方参謀「何時でも構わん。まずは己を磨くべし」
槍侶「ははっ!!」ザッ
473 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:05:29.02 ID:GKagw7VBo
…
東方参謀「……?」ザッザッ
学園長「乗られます?」
東方参謀「軍用がある」
学園長「それもそうね」
水の先生「魔道学園までなんだが、いいか?」
御者「へいへいっ! お任せ下さい!」
火の先生「学園長、馬車の用意出来ましたぞ」
学園長「すぐに行くわ。先に行ってて頂戴」
東方参謀「……此度」
東方司令「ジジイ、遅れるなよー」スタスタ
東方参謀「……っ」
学園長「お忙しそうね」
東方参謀「気にするな。おほん、此度は何故また、無茶な真似を」
学園長「無茶?」
474 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:06:13.56 ID:GKagw7VBo
東方参謀「そうだ。戦場へ赴くなど無茶が過ぎるぞ」
学園長「そうかしら、生徒を連れたわけでもないし、別にお叱りを受ける筋合いはないわ」
東方参謀「あのな、自分の身を案じろと申しておるのだ」
学園長「こんな歳になって、何を案じろと言うのです」
東方参謀「そんな歳だから申しておるのだ!」
学園長「あら、でしたらそれは貴方だって同じじゃなくて?」
東方参謀「ワシは現役の軍人だ。立場が違う」
学園長「老いて後は死ぬのを待つだけなのに、案じる事などありますかねぇ」
東方参謀「お主には魔道学園で次代を担う若者を育てる義務がある!」
学園長「そうね。でももう、良いんじゃないかしら」
東方参謀「何ぃ?」
学園長「若い人達も沢山、育ってきているわ」
東方参謀「……」
学園長「そろそろ道を譲っても、良いんじゃない?」
東方参謀「だからと言って死ぬ事はなかろう」
475 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:06:55.49 ID:GKagw7VBo
学園長「死ぬ? 誰がです?」
東方参謀「だからお主が……はっ!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
学園長「死ぬ気で戦地に赴く者など……おりまして?」
東方参謀「い、いや……っ。失言であった……っ」
学園長「……歳は老いても、まだ魔力で後れを取ったとはおもっておりませんわよ」ニコッ
東方参謀「……っ」
学園長「とは言え、いつまでも道を塞いでいるわけにいかないのも事実」
東方参謀「確かに、今回の事が1つの区切りとなるやもしれぬなぁ」
学園長「貴方も退いたら?」
東方参謀「馬鹿者っ。老いてますます盛んと言うではないか。まだまだ負けん!」フンッ
学園長「ふふっ。ところで、あの子は逝ったの?」
東方参謀「ああ。馬鹿な奴だ。頑なで意地っ張りよ」
学園長「不思議な子だったわね。でも、本当に真っ直ぐで……強かったわ」
東方参謀「……」
476 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:07:28.62 ID:GKagw7VBo
東方司令「ジジイ!! 早くしろ!! もう出るぞ!!」
火の先生「学園長、そろそろ行きますぞー」
東方参謀「……やれやれ」
学園長「それじゃあまたね」
東方参謀「うむ」
ザッザッザッ
学園長「たまには貴方も、遊びにいらしたら?」
東方参謀「ふん。考えておく」
学園長「……ふふっ」
ザッザッザッ
東方司令「年寄りの話は長くて困る」
東方参謀「五月蠅い」バタン
東方司令「東方司令部はサタン戦には不参加だ」
東方参謀「魔剣はどうする? 運び手はお主以外おらんだろうに」
東方司令「それはボクが個人的に動く事だ。司令部としての仕事は終わったんだよ」
477 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:08:19.63 ID:GKagw7VBo
〜本国、軍港〜
南方参謀「それじゃあ、お疲れ様っ」
西方副司令「ええ、お疲れ様です」
南方副司令「西は次、どうするんだ?」
西方魔道長「とてもじゃないけれど、こんな戦力じゃあ参加は無理だよ」
西方副司令「そうね……」
南方参謀「私達の力不足も露呈しちゃったしね」
西方副司令「うん……っ」
南方魔道士「ま、何も前線で戦うだけが仕事じゃねぇさ」
南方副司令「そうだな。正真正銘、最後の戦いは、後方から支援しようじゃないか」
西方魔道長「そうだねぇ」
南方参謀「ところで司令はどこ行ったの?」
西方副司令「うちのも居ないから、一緒なんじゃない?」
南方参謀「早くしないと船、出ちゃうわよ……もうっ」
南方副司令「……」
478 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:09:03.13 ID:GKagw7VBo
…
南方司令「次はどうするつもりだ?」
西方司令「どうもこうもあと2週間足らずだ。全快はおろか役立つレベルとは思えん」
南方司令「やはりそうか」
西方司令「お前だってそうだろ? 回復間に合うのかよ」
南方司令「いや、こっちが無理だからお前に、と思ったのだが」
西方司令「アホー。実力伯仲の俺らが、どっちか片方なんてわけあるかよ」
南方司令「それもそうだな」
西方司令「出来る事と言や、地獄までの案内と……」
南方司令「現地での盾代わり、か」
西方司令「それでも2人で1人ってとこだわな。けっけっけ」
南方司令「お前も西に帰るのだろう?」
西方司令「ああ。事が起きるまで静養させて貰うよ」
南方司令「……」
西方司令「もう船も出んだろ。行くぞ」ザッ
479 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:09:30.70 ID:GKagw7VBo
南方司令「治ったな」
西方司令「あ? あぁー。戻ったってーか昔に戻ったってとこだな」
南方司令「ほう」
西方司令「これはこれで面倒なんだよ。武器を持つと気が触れる」
南方司令「むっ、そういえばそうだったな」
西方司令「まっ、武器がねーと気が触れてるよりマシだがな。けっけっけ」
南方司令「どっちもどっちだろう」
西方司令「テメーこそ正義大義はどうした?」
南方司令「正義の為の戦いは終わったのだ」
西方司令「ほー」
南方司令「最後の戦いは正義の為ではない。世界、人類、平和の為だ」
西方司令「戦いに理由なんざ要らねぇ。やられたからやりかえすまでだ」
南方司令「それでは復讐でしかない」
西方司令「戦いなんてのぁ、そんなもんだろうがよ。けっけっけ」ザッザッ
南方司令「……」
480 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:10:00.02 ID:GKagw7VBo
…
パッカパッカパッカ……
占い師「ところであなた達、もうじきサタンと戦うのよね?」
召喚士「はい」
占い師「いいの?」
魔道士「……何がですか?」
占い師「家族や友人に会っておかなくて」
召喚士「俺は家族なんて居ませんし、友人もわざわざ会うほどの人は……」
占い師「魔道士ちゃんはいいの?」
魔道士「……」
占い師「もう会えないかもしれないのよ?」
召喚士「占い師さん……」
占い師「事実でしょ? 別に予言云々関係なしにさ」
召喚士「まぁ、そうですけど……」
占い師「別に無理に会えって言うわけじゃないの」
481 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:10:29.29 ID:GKagw7VBo
魔道士「……」
占い師「会えば逆に迷いが生じるケースだってあるわけだし。ねぇ?」
召喚士「えっ、あ……そうですね」
占い師「まだ時間はあるわ。ゆっくり考えなさいな」
魔道士「……はい」
パッカパッカパッカ……
召喚士「あっ、もうすぐ魔王城ですよ」
占い師「魔王城? 方向が違うじゃない」
召喚士「海峡側の森を突っ切ると時間がかかりましたからね」
占い師「あ、そっか。あの時は1日以上歩いたっけ」
召喚士「今は馬車もありますし、魔王城を横切って行けば早いと思いますので」
占い師「さっすがー」
魔道士「……あれ? なんだか国軍の人が大勢近づいてきますよ?」
占い師「あら、本当ね」
召喚士「何でしょうかね」
482 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:11:06.59 ID:GKagw7VBo
パッカパッカパッカ……
騎士団「本国の馬車と見受けるが、どこの者かね?」
召喚士「あ、えぇと……」
騎士団「こっ、これは朱雀先生!! 失礼致しましたっ!!」ザザッ
召喚士「えっ? は、はぁ」
北方兵「すみません。ここから先は厳重区域の為、立ち入りを制限しておりましたもので」
召喚士「そうでしたか。こちらこそ知らずにすみませんでした」
騎士団「ささ、どうぞ。お通り下さいませ」
魔道士「ありがとうございますっ!」
パッカパッカパッカ……
召喚士「厳しいんですね」
占い師「大戦が終わったばっかりだしね」
召喚士「確かにそうですよね」
魔道士「何かあるんですか?」
召喚士「1つは魔物を警戒したものでしょう」
483 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:11:37.13 ID:GKagw7VBo
占い師「魔王を倒したからって、部下が全員死んだわけじゃないからね」
魔道士「そっかぁ」
召喚士「もう1つは人間を警戒したものですね」
魔道士「えっ? 人間もですか?」
召喚士「今回の戦いでは、大勢の人が亡くなりました」
魔道士「……ええ」
召喚士「例えば高級な装飾品を身に着けてた人なんかも居たでしょう」
魔道士「あ……っ」
占い師「追い剥ぎね」
召喚士「あとは大勢の人が居ると、行方不明者の捜索にも邪魔になりますしね」
魔道士「なるほどっ、そうですね……」
召喚士「あとは……」
パッカパッカ……ドドォ
占い師「魔王城へ着いたみたいね」
魔道士「あ、本当ですね」
484 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:12:08.26 ID:GKagw7VBo
〜魔王城、正面〜
男隊員「おーし、そのままゆっくり瓦礫を運び出せー」
女隊員「ふんぬーっ!!」グワッ
男隊員「ゆっくりって言ってんだろこのメスゴリラ!!」
女隊員「え〜っ?」
男隊員「だいたい士官のてめぇが肉体労働してんじゃねぇよ!」
恩隊員「頭使うのは面倒ッス。こっちのが楽でいいっすよ〜」ドサッ
男隊員「現場監督は俺だぞ! 逆らってんじゃねぇ!」
博士「相変わらず騒がしいのら」
男隊員「そっちもな」
助手「博士ーっ、ねぇ見て見てこれすっごくなぁ〜い!?」
博士「……」
男隊員「んで何の用だよ? 鉱石ならまだ発掘されてねーぞ?」
博士「それは開発機関に任せるのら」
男隊員「んじゃ何だ? 魔剣か?」
485 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:12:43.34 ID:GKagw7VBo
博士「だけじゃないのら。彼の武具を回収するのら」
男隊員「リサイクルか?」
博士「サタンとの戦いには、きっと必要になるのら」
男隊員「……へいへい。探しておくよ。ヒャハハ!」
パッカパッカパッカ……
ボス「ん?」
占い師「ちょっと通らせてもらうわよーっ」
男隊員「占い師……に、朱雀か」
魔道士「こんにちはー。って言っても、もう夕方ですね」
女隊員「あれ? 戦士くんと盗賊ちゃんは一緒じゃないんスね」
召喚士「ええ。少しの間、別行動なんです」
男隊員「祝賀会はどうだったよ? ったく、こっちは仕事だってのになぁ?」
女隊員「そんな気しねーって言ってたじゃないッスか」
男隊員「てめぇはいちいちウルセーんだよ!!」
召喚士「順調ですか?」
486 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:13:27.53 ID:GKagw7VBo
男隊員「まぁ何をもって順調って言うか分からんけどな」
ボス「隊長、ところで例の話」
男隊員「ああ、そうだった。お前らの耳にも一応、入れておいてくれ」
召喚士「……?」
男隊員「今回の戦闘に参加したワーカーの中で一部、行方不明の奴がいる」
魔道士「行方不明、ですか?」
男隊員「とは言っても、戦闘直後は生存確認してんだが、そのあとの話だ」
召喚士「つまり、戦いが終わってから居なくなった……と?」
男隊員「そういう事。おい、リストあるか?」
ボス「はい、これです。どうぞ」パサッ
魔道士「えぇと、紅孩児さんに同門さんに……魔法剣士さんもっ!?」
召喚士「確かに北関でも見かけませんでしたね……」
男隊員「血気盛んなあまり、単独行動を起こす可能性も否定できん」
占い師「下手にサタンなんか刺激したら、危ないんじゃない?」
男隊員「そういう事だ。もし見かけたら捕えるか控えるよう促してくれ」
487 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:14:22.65 ID:GKagw7VBo
召喚士「分かりました」ガサッ
女隊員「ところで、ここを通るって……どこに行くんスか?」
占い師「予言の民の所。こっち経由のが近いから」
女隊員「そうッスか。でももう日もくれるッスよ?」
ボス「ここで1泊していったらどうです?」
占い師「……まぁ、確かにそうね」
召喚士「邪魔にならないようでしたら」
男隊員「邪魔にはならんさ。その代わりタダ飯とはいかんぞ?」
魔道士「分かってます! お手伝いしますねっ、えへへ!」
男隊員「そんじゃお嬢は早速、占い師と夕飯の支度へ回ってくれ」
魔道士「はーい!」スタスタスタ
男隊員「……ようやくサバイバルディナーともおさらばだな」ゴニョゴニョ
ボス「ですね。マズくはないんですけど、毎日あれじゃあ味気なくて……はは」ボソボソ
女隊員「ん? 何か言ったッスか?」
男隊員「何でもねぇよ!」
488 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:15:07.98 ID:GKagw7VBo
〜東の洋上〜
盗賊「……」ザザーン
女剣士「話は上様より聞いた。大変だったみたいだな」
盗賊「……居たのか」
くの一「もう本国には、何もありませんから」
盗賊「そうか」
女剣士「頼みがある」
盗賊「何だ?」
女剣士「この子をどうか、藤蔵へ連れてってやってはくれまいか?」
くの一「私は……別に……」
盗賊「いいよ」
くの一「!?」
盗賊「一緒に行こう。父上も事情は察しているはずだし」
女剣士「ありがとう」
くの一「……っ」
489 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:15:50.41 ID:GKagw7VBo
…
西方参謀「おっとと、どうもどうも」トクトクトク
名代「確か以前、東方の酒は飲まれておりましたな」
西方参謀「ええそりゃあもう。世界中の酒を飲んできたが、東方の酒は絶品ですわ」
名代「歴史がありますからね」コクッ
西方参謀「んぐっ……ぷっはぁ!! 旨いっ!! がははは!!」
名代「西方参謀殿は何故、東方へ?」
西方参謀「んー。ちょっと人に会いにねぇ」
名代「人ですか?」
西方参謀「都に宿を構えてる女将って人さ……ヒック」
名代「……ああ、女将ですか」
西方参謀「おっ、ご存じで?」ゴクゴクッ
名代「……ええ知ってますとも。ずっと昔から」
召喚士恵方参謀「ほう。もしかして……恋仲だったとか? ヒック」
名代「いえいえ。一方的なものですよ。私達のね」
490 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:16:27.27 ID:GKagw7VBo
西方参謀「ほぉー」
名代「女将は私がまだ小さな頃より、花魁として名を馳せておりました」
西方参謀「オイラン?」
名代「はい。都一の……いや、東方一の美女という事です」
西方参謀「ああ思い出した。大スターの女優みてぇなもんだったっけか?」
名代「私や幼馴染の武士、都じゅうの男にとって羨望の的でした」
西方参謀「……だろうな。いい女だよ女将さんは」ゴクッ
名代「花魁を見初めるには莫大な費用と、そして時間がかかります」
西方参謀「へぇ〜」
名代「それを成し得たのは、ある宿場の主人でした」
西方参謀「もしかしてそれが……」
名代「はい。今の旅籠です。女将は花魁を引退し、宿の女将となったのです」
西方参謀「そういう経緯だったのかい……ヒック」
名代「しかし旅籠の主人は女将を残し、早逝致しました」
西方参謀「それで、旅籠を女将がきりもりする事になったってわけだ」
491 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:17:01.48 ID:GKagw7VBo
名代「左様」
西方参謀「再婚しないのは、ワケがありそうだねぇ……ヒック」
名代「どうなんでしょうね。私も真意は量りかねますが」トクトクッ
西方参謀「そういう、星の下にいるのかもしれませんなぁ」
名代「……?」
西方参謀「美しすぎるがゆえに、男運がない……ってね」ゴクッ
名代「……成程。そういうものなのかもしれませんね」コクッ
西方参謀「名代さんは妻を娶らないのかい?」
名代「わ、私は……陰陽師ですから……っ」
西方参謀「陰陽師ってのは妻を娶らないのかい?」
名代「そうではありませんが、やるべき事が……」
西方参謀「もう戦も終わるんだ。そろそろ自分の人生に費やす番だぜ?」
名代「……っ」
西方参謀「もしいい出会いがないってんなら、本国ので良ければ紹介するよ! ガハハ!」ゴクッ
名代「い、いやっ! あの……えっ、はい……っ」
492 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:17:35.12 ID:GKagw7VBo
〜魔王城、正面〜
男隊員「ごちっ!! あぁ美味かった〜!!」
格闘家「今日は趣向が違うと思ったら、こういう事だったんですね」
女隊員「そういえば格闘家くん、どこ行ってたッスか?」
格闘家「少し中心部まで」
男隊員「危ねぇぞ、どでかい穴が開いてんだからよ」
格闘家「ええ。でもこれを拾う事が出来ました」ゴトッ
召喚士「!?」
格闘家「師匠の仮面です。結界石で出来ているのか、破損はあまり見当たりません」
ボス「よく残ってたな……」
魔道士「天才さん……っ」
男隊員「ったくよぉ、んなモンしまっとけ! 今は楽しい食事時だろうが!」
格闘家「……すみません」
占い師「それ、どうするの?」
格闘家「特に決めてませんが、大元帥に渡すのがいいかなと」
493 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:18:12.96 ID:GKagw7VBo
…
女隊員「申し訳ないッスねぇ。こんな所に野宿で」
魔道士「いえっ、ちゃんと屋根もあるし問題ありませんよ」
占い師「お風呂がないのは残念なんじゃない?」
魔道士「そうですけど、贅沢は言えませんからねっ」
占い師「へぇ、成長したわね〜」
魔道士「慣れって怖いですよねー。野宿も平気になっちゃいましたーえへへー」
占い師「目が死んでるわね……」
男隊員「一夜城も解体始めちまったしなぁ。ま、我慢しろや。ヒャハハ」
格闘家「それじゃおやすみなさい」ザッザッ
召喚士「えっ? みんなここに寝るんじゃないんですか?」
占い師「一応個別に別れてるわよ。あなた達以外だけど」
召喚士「何でっ!!」
占い師「それじゃおやすみなさーい♪ おほほほほーっ」スタコラ
召喚士「……っ」
494 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:18:47.64 ID:GKagw7VBo
魔道士「それじゃ召喚士さん、寝ましょうか」
召喚士「そ、そうですね……っ」
魔道士「私、こっちの布団で寝ますねっ」ゴソゴソ
召喚士「は、はい……っ」モゾッ
魔道士「……星空が綺麗ですねぇ」
召喚士「えっ? あ……そうですね……」
魔道士「……」
召喚士「……」
魔道士「……」
召喚士「……あの」
魔道士「私、北の森のあと……一度、家に戻ろうかと思います」
召喚士「そ、そうですか! それはいいと思いますよ!」
魔道士「召喚士さんも来ます?」
召喚士「い、いやぁ……それは……」
魔道士「そうですか、良かったぁ。それじゃ一緒に行きましょうっ!」
495 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:19:38.30 ID:GKagw7VBo
召喚士「へっ!?」
魔道士「正直、1人だと何だか心細くて……」
召喚士「魔道士さん……」
魔道士「会いたくないわけじゃないんです。でも……」
召喚士「……」
魔道士「あの一件以来、どう接していいのか分からなくて……」
召喚士「……なるほど」
道士「私、どうすればいいんでしょうね……」
召喚士「普通でいいと思いますよ」
魔道士「……?」
召喚士「あの2人は紛れもなく魔道士さんお父親と母親で……」
魔道士「召喚士さん……っ」ウルッ
召喚士「別に魔道士さんの生い立ちがどうであれ、それは変わらない事なんです」
魔道士「……」
召喚士「だから、会って目いっぱい甘えればいいと思います」
496 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:20:18.56 ID:GKagw7VBo
魔道士「…………」
召喚士「それが魔道士さんにとっても、大商家さん達にとっても……幸せなんだと思います」
魔道士「……」
召喚士「幸せ……しあ……」
魔道士「……すーっ、すーっ」
召喚士「……あの……魔道士さん?」
魔道士「むにゃ……っ、すーっ」モゾッ
召喚士「……と、思い……ます」
魔道士「すーっ、すぴーっ」
召喚士「……おやすみなさい」モゾッ
魔道士「……大好き」
召喚士「……へっ?」ノソッ
魔道士「すーっ、すーっ、すーっ///」
召喚士「お、おやすみ……なさい……っ」ノソノソ
夜は更けた。
497 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/07(木) 18:25:24.97 ID:GKagw7VBo
召喚士が生意気なので今日はここまで
ご支援ありがとうでした!それではまた!ノシ
>>467
まだ今年で24ですたい
>>468-471
作者1位とか前代未聞のイミフなんですけれどね…
まぁその……ありがとうございます///
498 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/07(木) 18:41:09.04 ID:5yrx/HdDO
いちょつ
東方参謀と学園長の言ってたあの子って天才だよね?
ランキング久々に見たけどゴルリンわろた
499 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/07(木) 18:52:50.75 ID:pRHhwDdAO
乙
特遊に追加人員か
500 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/07(木) 19:55:34.50 ID:VUkote4IO
召喚士(28)
戦士(30)
盗賊(25)
魔導士(24)
多分合ってる
501 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/07(木) 20:01:11.86 ID:VUkote4IO
ごめん。戦士は31だった
502 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/08(金) 01:36:51.84 ID:JFbbXOMAO
>>1
おつ
ここまで続くSSが前代未聞だがなー
503 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/08(金) 02:34:01.02 ID:hrSshp3IO
恩隊員か…
やはり華国出身なんだろうか
504 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(千葉県)
[sage]:2012/06/08(金) 07:17:42.30 ID:mQCxaVWYo
早くまとめ更新せーや
505 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(神奈川県)
[sage]:2012/06/08(金) 12:40:31.86 ID:5i0Zd0Zno
召喚士恵方参謀とは一体…
506 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/08(金) 14:50:54.75 ID:agzOm53M0
>>1
おつ
507 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:43:50.09 ID:f9vio7P4o
〜次の日〜
パッカパッカパッカ……
占い師「もう魔王城の反対側なのね」
魔道士「やっぱりこっちからだと、全然早かったですねー」
召喚士「道も平坦ですし、見通しもいいですからね」
占い師「そうね。それを見越して魔王城を築いたのかしら?」
召喚士「どうなんでしょう。それもありそうですけど、元から配置も決まってたみたいですしね」
占い師「そうなの?」
召喚士「ええ。上空から見ると、サタンを中心にこう……」
キュポン……キュキュキュッ
召喚士「魔王はこんな感じで、魔法陣を描くように配置されているんです」
占い師「そういえばそんな事、言ってたわねぇ」
召喚士「これにより龍脈の流れが世界中に巡り、そして中心のサタンには……」
占い師「そのエネルギーが全て巡回するようになっていた」
召喚士「はい」
508 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:44:21.83 ID:f9vio7P4o
魔道士「でも、龍脈や回りの魔王を倒したって事は、サタンは……」
召喚士「以後のエネルギーは巡回しないでしょうね」
占い師「じゃあ簡単に倒せるんじゃないの?」
召喚士「……どうですかね」
占い師「やっぱりそう簡単にはいかない?」
召喚士「いくら周囲のエネルギーを断ったとしても、サタン自身の力もありますし」
魔道士「それに、これまで蓄積された力もあるって事ですよね……?」
召喚士「そうなんです。それがどの程度のものか、ですね」
占い師「そっかぁ」
召喚士「……不思議なんですよね」
魔道士「え……っ?」
召喚士「もうすぐ世界が終わるかもしれない。それなのに、妙に落ち着いてるんです」
占い師「でも大変なのはこれからだと思うわよ」
魔道士「そうなんですか?」
占い師「今は緘口令が布かれてるからいいけど」
509 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:44:49.37 ID:f9vio7P4o
召喚士「まさか情報が漏れると!?」
占い師「時間の問題よ。漏れない情報なんてあって?」
召喚士「……っ」
魔道士「そのj情報が漏れると、どうなっちゃうんですか?」
占い師「世界中に広まるわよ」
召喚士「もしあと2週間でスーパーノヴァが起きるなんて、世界中に漏れてしまっては……」
魔道士「……っ!!」
占い師「大パニックでしょうね。まぁ、逃げる場所なんてないけれど」
召喚士「でも、本国中が大変な事になりますよ……っ」
占い師「でしょうね。強盗、略奪、何でもありになっちゃうかもね」
魔道士「まずいじゃないですかっ!!」
占い師「だから国軍の連中はみんな、準備にかかってるんじゃない」
魔道士「へ……?」
占い師「気づかなかった? 南や西の連中は真っ先に帰っていったわよ?」
召喚士「そうだったんだ……」
510 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:46:19.85 ID:f9vio7P4o
大戦より約3日後のこの日、皇太子らと国軍一同は、
再び本国の地を踏みしめていた。
〜本国〜
男「陛下ああぁぁ!! 万歳ーっ!!」
女「北方を制圧するなんて……まるで夢のよう……っ」
歓喜の声を挙げる者。喜びのあまり号泣する者など多岐に渡る。
しかし一貫して共通する事は、魔王ベルゼブブの討伐に胸を躍らせている事だ。
そしてそれは、帰還した一同もまた同様であった。
青年兵「……」パッカパッカ
エリート「誇るが良い。この大勢の笑顔は、君や天才がもたらしたものだ」
青年兵「いえ。誰の功でもありません。人類皆の功です」
大軍師「問題はこの後ですね」
青年兵「ええ」
皇太子「乱れなく、円滑に進んでくれれば良いのだがな」
大軍師「陛下のご助力も必要になるかと」
511 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:47:08.65 ID:f9vio7P4o
皇太子「それは分かっている。出来る限りを費やそう」
青年兵「ありがとうございます」
記者「さぁさぁ号外号外っ!! 号外だよぉ!!」
大軍師「今はこの喜びを分かち合い、死者を弔うと致しましょう」
青年兵「……ええ」
〜王宮前〜
衛兵「だからっ、陛下の演説は夜だと言っておるだろうが!」
男「一目だけでも拝ませてくれよっ!」
ワイワイガヤガヤ
皇太子「民も待ちきれないと言ったところだな」
エリート「仕方ありませんよ。人類史上、初めての事ですから」
皇太子「……あまり実感は湧かないがな」
エリート「陛下はそのぐらいで良いのです」
皇太子「深く首を突っ込むな、という事だな」
エリート「やるべき役割がある、という事です」
512 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:48:01.57 ID:f9vio7P4o
皇太子「お前の小言も久々だな。ははっ」
エリート「笑っておられますが、戦場へ出るのはもう最後ですからね」
皇太子「そう約束した。今後は自身に出来る事をする」
エリート「助かります。色々と」
コンコン……カチャッ
右大臣「失礼する」
エリート「父上」
右大臣「魔王討伐、誠にご苦労様でした」
皇太子「なあに、私は従軍しただけに過ぎん」
エリート「……よくもまぁ」
皇太子「おい、心の声が漏れているぞ」
エリート「漏れているのではなく、はっきりと申し上げたのです」
皇太子「……」
右大臣「それで、今後はいかになさるおつもりじゃ?」
エリート「王宮は次戦への参加を自重致します」
513 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:49:13.06 ID:f9vio7P4o
右大臣「ほぉ」
エリート「残る魔王サタンに関しては、多勢で攻めても効果は薄いと見受けますので」
右大臣「すると、お主らもようやく政務に就くというわけじゃな?」
エリート「はい。専念致します。陛下も同意しています」
皇太子「これ以上は余計な迷惑になるやもしれぬからな」
右大臣「おぉ……これは良き知らせ……っ」
皇太子「何も涙を浮かべる事はなかろう」
右大臣「誰のせいでこれまで……ごほごほっ!」
エリート「年なんですから、あまり大声をあげられるな」サスサス
右大臣「……ごほん。すると残るは、ご婚礼ですな」
皇太子「……」
エリート「ええ。陛下には1日も早く皇后を迎え入れ、国民に安寧の――」
右大臣「お前もじゃエリート」
エリート「……」
右大臣「2人揃って年も年。人の事を年寄り呼ばわりしている場合ではないぞ?」
514 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:50:26.94 ID:f9vio7P4o
〜国軍本部、司令室〜
青年兵「はぁ〜」ドサッ
大軍師「どうです? 久々の司令室は」
青年兵「あまり実感はありませんよ。ましてや大元帥になってから座ったかどうかすら……」
大軍師「それもそうですね」
青年兵「さて、次なる準備にかかりましょうか」
大軍師「大元帥は先の戦いの疲労を癒すのが先決かと」
青年兵「それは大軍師さんも同じですよ」
大軍師「いえいえ。私は戦いの直後、仮眠を取らせていただきましたから」
青年兵「か、仮眠って……そんな何時間のレベルじゃないですかっ!」ガタッ
大軍師「はい。私とした事が6時間も眠ってしまいました」
青年兵「……」
大軍師「お陰様で今はすっきりしておりますよ。ですからご心配なく」
青年兵「……」
大軍師「……ん?どうかなさいましたか?」
515 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:51:13.46 ID:f9vio7P4o
〜魔王城、正面〜
鍛冶娘「出たっ!?」
北方兵「うーん……らしきものとしか言えねぇな〜」
鍛冶娘「すぐ行くわよっ!」ダッ
工兵「おいコラ! ったく……」スタスタ
男隊員「あんだけの戦いの後だってのに、元気だ事……ヒャハハ」
局長「あいつにとっちゃこっちが戦いみてーなもんだ」
男隊員「なーるほど」
ザッザッザッ
男隊員「あん?」
ジュニア「入っても平気かい?」
男隊員「よぉトップランカー」
ジュニア「やめろ。好きでなったわけじゃねーよ」
男隊員「それもそっか。んで、お2人さんは何用だい?」
ジュニア「コイツは勝手に付いてきただけだ。俺は知らん」
516 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:51:53.97 ID:f9vio7P4o
賢者「……ふぅ」
男隊員「ま、いーや。あんまりいじくり回すなよー」
ジュニア「へいへい。お邪魔しますよっと」ザッ
賢者「……」ザッザッ
ジュニア「んで、お前は何しにきたんだよ?」
賢者「……君が無茶しないか、見張りだよ。ふぅ」
ジュニア「誰が無茶するかよ! ったく……」
ザッザッザッ
ジュニア「お前、賢者っつったっけか?」
賢者「……ふぅ」
ジュニア「確か学園長の孫だったよな?」
賢者「……ふぅ」
ジュニア「国軍にもワーカーにもならねぇで、目的な何なんだ?」
賢者「……ふぅ」
ジュニア(会話にならねぇ〜っ!)
517 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:52:49.37 ID:f9vio7P4o
…
ジュニア「……ダーメだ。何にもねーや」
賢者「……」
ジュニア「サタン討伐の為のヒントでも見つかるかと思ったんだけどなぁ。ハッハ」
賢者「……」ゴトッ
ジュニア「……何だそれ?」
賢者「……ハープだね……ふぅ」
ジュニア「ハープ? ああ、詩人ってヤツのか」
賢者「……」スッ
〜♪
ジュニア「おっ!? ひけるのかよ?」
賢者「……」
〜♪
ジュニア「俺は音楽に関しちゃサッパリだけどよ、なかなかいいと思うぜ」
賢者「……彼さ……ふぅ」〜♪
518 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:53:34.51 ID:f9vio7P4o
ジュニア「あ?」
賢者「僕じゃない。彼が奏でているのさ……ふぅ」
ジュニア「……ふぅん」
賢者「……彼の悲しい想いが……伝わってくるようだ……ふぅ」
ジュニア「……」
〜♪
ジュニア「よっ、ブラボー!」パチパチパチ
賢者「……君、家族は? ふぅ」
ジュニア「は? まぁいるけどそれがどうしたよ?」
賢者「今のうちだよ……会えるのは……ふぅ」
ジュニア「……お前は?」
賢者「……そうだね……ふぅ」
ジュニア「今のうち、か。どうだかねぇ」
賢者「……」スッ
ジュニア「ハッハ、まぁいいや。さてと帰るか。それ、持って帰るんだろ? 行こうぜ」ザッ
519 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:54:21.82 ID:f9vio7P4o
〜バーテンの店〜
バーテン「……」
戦士父「……」
バーテン「んで、何でテメーらがさも当たり前のように居るんだよ」
マジシャン「ハッハ! 何をすっとぼけていらっしゃるのやら」
師匠「教会最寄りの拠点だろ? その為に、ここに店開いたんだろ?」
バーテン「違げぇよ。だいたいここはテナントなんだからよ」
マジシャン「えっ? 持ち店舗じゃなかったの?」
師匠「情けんぇな〜。バリスタの大佐が賃料払って経営かよ……」
バーテン「お前ら出てけば?」スパー
マジシャン「冗談だっつの。ハッハ!」
バーテン「そうそう。お前らにいつかこれ渡そうと思ってたんだ」バサッ
マジシャン「あん? 何じゃこりゃ?」
バーテン「ツケの代金だ。さっさと返せ」
師匠「――っ!?」
520 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:55:06.33 ID:f9vio7P4o
マジシャン「バっ、おま……チャラになったんじゃねぇのかよ!?」
バーテン「チャラ? いつ誰がそんな事を言った?」
マジシャン「召喚士達が払ったんじゃねぇのかよ!?」
バーテン「あんなんで足りるか」
師匠「何で俺の弟子がてめぇの分まで払ってんだよ!」
マジシャン「テメーが死んでからこちとら、てめーのツケも払ってやってたんだぞ!」
師匠「そりゃてめぇの勝手だろ!」
マジシャン「じゃあ召喚士だってそうだろ! テメーに払うより俺に払った方がマシだって事だ!」
師匠「あぁ!?」
マジシャン「おぉ!?」
戦士父「……騒がしくて休養もままならん」
バーテン「ったく。まぁ今はいいさ」
戦士父「……そうだな」
師匠「表出ろやコラ! 瞬殺してやる!」
マジシャン「こっちの台詞だボケ。灰になってあの世に戻るんだな! ハッハ!」
521 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:56:02.84 ID:f9vio7P4o
〜北の森〜
パッカパッカパッカ……
占い師「うーん、もうちょっとかしら」
召喚士「景色がほぼ一緒なので、全然分かりませんね」
魔道士「でも、前来た時のような不快感はなくなりましたね」
召喚士「やはりバフォメットを倒したからでしょうか……」
占い師「……」
パッカパッカパッカ……
北関兵「あ、あのっ」
占い師「着いた?」
北関兵「前方に建物が! あれ……でしょうか?」
魔道士「あっ、見覚えありますねっ! 確かここですよ!」
召喚士「ようやく到着ですね」
占い師「ご苦労様。馬車はここで待ってて。すぐに戻るわ」
北関兵「は、はい……っ!」
522 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:56:41.88 ID:f9vio7P4o
…
占い師「確か、この1番奥の家だったわよね」
召喚士「ええ」
テクテクテク……ピタッ
占い師「あの――」コンコ……
ババ様「入りな」ガチャッ
魔道士「!?」
ババ様「何をビックリしてんだい。予言でお見通しだよ」
召喚士「あ、そっか……。お邪魔します」スタスタ
ババ様「早く座りな。紅茶が冷めちまうよ」カタッ
魔道士「い、いただきます……っ」
ババ様「ベルゼブブを倒したみたいだね。正直、感動したよ」
占い師「やっぱり予言では見えませんでしたか?」
ババ様「ああ。どうにも魔王は力が強すぎるからね」
魔道士「それじゃやっぱり、サタンとの戦いもどうなるか分からないですよねぇ……」
523 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:57:12.05 ID:f9vio7P4o
占い師「うん。でもどの分、他の観点から捉えれば、多少は見えるけどね」
魔道士「えっ?」
ババ様「要は間接的に予言を占うんじゃよ」
召喚士「そうかっ、それならサタンと直接の関係はないですよね!」
魔道士「な、なるほど……っ。それで、何か分かりましたか?」
占い師「……実は、怖くてまだ見てないの」
召喚士「……っ」
ババ様「あんたが見なきゃあ、どうしようもないよ」
占い師「そう……なんですけどね」
ババ様「何なら代わりに見てやろうかい?」
占い師「……いえ。私が見ます」スッ
召喚士「……?」
占い師「前に話したっけ? 手で直に触れると、その人の未来が見えちゃうのよ」
召喚士「えっ? あ、あの……」
占い師「じゃあちょっと失礼」
524 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:57:58.30 ID:f9vio7P4o
スッ
召喚士「――!?」
占い師「え……っ?」
バチイイイイィィィィ!!
魔道士「!?」
占い師「痛……った」
召喚士「だ、大丈夫ですか!?」
占い師「う、うん……っ。何かしら今の。魔力?」
ババ様「……」
召喚士「そ、それで……何か見えましたか?」
占い師「な、なんだかよく分からなかったけど……」
召喚士「……?」
占い師「召喚士くんが、地上とは思えない所で大勢の魔物と戦ってるのが見えたわ」
召喚士「えっ!?」
占い師「おかしいわね……。サタンって1人なのよね?」
525 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:58:40.94 ID:f9vio7P4o
召喚士「え、ええ。そう聞いてますけど……」
ババ様「どれ、こっちへおいで。見てやろうぞ」
召喚士「は、あはい」
ババ様「……」
召喚士「……」
ババ様「……むっ」
バチイイイイィィィィ!!
魔道士「さっきと同じっ!」
召喚士「ど、どういう事……」
ババ様「こやつは何か、特別な力があるようじゃの」
召喚士「……っ」
ババ様「ま、多少は見えた事もある」
召喚士「ど、どうでした!?」
ババ様「あんた、地獄に落ちるわよ」
召喚士「――――!!」
526 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 17:59:21.58 ID:f9vio7P4o
〜北関〜
左翼長「おいーす」
戦士「……うっす」
左翼長「どうだ調子は?」
戦士「全っ然、動かねぇ」
左翼長「ははっ。このまま起きなかったりしてな」
戦士「不謹慎な事、言ってんじゃねぇ!」
左翼長「悪い悪い」
戦士「……ったく」
左翼長「ま、ゆっくり休んどけ」
戦士「そうしたいのは山々なんだが、そうもいかねぇ」
左翼長「だが、休む以外ねーだろ。どうせ動けないんだし」
戦士「……そうなんだよなぁ」
左翼長「何か食うか? 一応、色々と持ってきたつもりだが」
戦士「おっ、助かりまっす!」
527 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 18:00:00.06 ID:f9vio7P4o
…
戦士「ところで、親父は?」モグモグ
左翼長「そういやあれっきり見かけてねーな」
戦士「……?」
左翼長「いやな、戦いには居たんだが……早々に切り上げて行っちまってな」
戦士「そうだったのか……」
左翼長「バーテンと一緒だし、多分あいつの店だろ」
戦士「そっか」モグモグ
左翼長「サタンとの戦い、絶対に生きて帰れよ」
戦士「へっ? 当たり前だろ。死ぬつもりなんざ毛頭ねーよ」パクパク
左翼長「……そうだよな」
戦士「何だよ、気持ち悪いな……」
左翼長「もういいか?」
戦士「あ、おう。ごちそーさん! 助かったよ」
左翼長「明日にはせめて、腕だけでも動くといいな」スクッ
528 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 18:00:27.23 ID:f9vio7P4o
戦士「だな。食事まで人の手を借りてってのは、なんか申し訳ないし……」
左翼長「俺は今晩、北方司令部に戻る」
戦士「そっか。お疲れ様」
左翼長「……」
戦士「んじゃ引き続き、お互い頑張りましょう」
左翼長「なぁ」
戦士「ん?」
左翼長「サタンとの戦いが終わったら、俺の所へ来い」
戦士「……は?」
左翼長「どうしてもお前に話したい事がある」
戦士「母親の事か?」
左翼長「っ!?」
戦士「……そんな気ねぇよ」
左翼長「今はな。考えておいてくれ」バサッ
戦士「……ちっ」
529 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 18:01:11.20 ID:f9vio7P4o
〜ババ様の家〜
召喚士「じ、地獄に落ちる……って」
占い師「まさかっ、召喚士くんが死ぬ――」
魔道士「そんなの嘘ですよっ!!」
ババ様「予言は予言さ。嘘偽りもなく、真実だけを伝え取とる」
召喚士「……っ」
ババ様「さっき言ったろ? 要は解釈1つさ。地獄に落ちても、死んだとは出ておらん」
召喚士「……えっ?」
ババ様「あんたは間違いなく生きるさ。まだまだずっとね」
魔道士「予言ですかっ!?」
ババ様「いいや、勘だよ。長く生きた者としてのね」
召喚士「あの、1つお伺いしたい事があったんですが」
ババ様「……何だい?」
召喚士「あなたの正体についてです」
占い師「えっ!?」
530 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/08(金) 18:03:52.27 ID:f9vio7P4o
召喚士「あなたは随分と昔の事までご存じだ」
ババ様「……」
召喚士「それはもはや、人間の寿命ではないですよね?」
占い師「ちょっと、何を言って……」
ババ様「ほっほっほ。いやはや、やっぱりあんたはタダ者じゃあないね。特別な人間だよ」
召喚士「今まで不老である人は何人か見てきました。しかし……」
ババ様「……」
召喚士「不死であるんあんて人は見た事がない。それは有り得ない事なんです」
魔道士「で、でもっ……現にこうして……」
召喚士「人間でなければ、寿命は長い。そういう事ですよね」
占い師「まさか魔物だとでも言うの!? ババ様は予言の力だってあるのよ!?」
召喚士「人間に化けるのではなく人間になる。俺はそんな魔物を1人知ってます」
魔道士「!?」
召喚士「そうすれば予言の力だって引き継げる。そう、あなたは……ドッペルゲンガーだ」
ババ様「……」ニヤリ
531 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/08(金) 18:04:51.38 ID:f9vio7P4o
本日ここまでにて失礼致します!
週末はいつも通りまったりモードで失礼するかと…
ご支援ありがとうございます!それではまた!ノシ
532 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(島根県)
[sage]:2012/06/08(金) 18:07:04.27 ID:pheJJkm5o
乙!
細木数子wwww
533 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/08(金) 18:10:37.86 ID:uan2XLIro
ババ様が完全に細木数子で再生される…
シリアスなシーンなのに、なんてこったい
534 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/08(金) 18:44:29.81 ID:QKfSnk6DO
まさかドッペル数子だったとわ…
おつんぽ!
535 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/08(金) 19:09:40.43 ID:R10NoOgDO
いちょつ
やめてくれうつるだろ
536 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/08(金) 19:24:47.58 ID:h1CGrK4fo
>>525
>>1
乙
ババ様…細きかずこだったのか
537 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東)
[sage]:2012/06/08(金) 21:55:00.24 ID:3pvaj0vAO
もう細木数子にしか見えない
538 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/08(金) 22:59:29.27 ID:rhVfQRUIO
>>1
乙
何?この下らん流れ。低脳過ぎて寒気がするわ。
539 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/09(土) 02:48:14.72 ID:4tws0xdAO
>>1
おつ
540 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/06/09(土) 08:20:03.90 ID:3BwcOU80o
>>538
寒いの?あたためてあげよっか?
541 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/09(土) 10:23:35.05 ID:8vntNnODO
この流れは
>>1
も少なからずねらってただろ
542 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/09(土) 16:15:00.48 ID:+xkwDTnn0
>>1
おつ
543 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/10(日) 01:31:54.34 ID:vyXHjJbro
くあああああ
2年ぶりにみたらまだやってるじゃないか
専用あぷろだのとあるzipのpassがとけないまま2年近く…
空気読まずに悪いがだれか助けてくれ
544 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/10(日) 08:23:07.92 ID:4v96XoRDO
2年間分全部見てきたら教えるよ
545 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/10(日) 15:22:03.42 ID:6jEjCwSDO
>>1
にまとめあるだろ
それくらい見ろよ
546 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 17:42:47.04 ID:bQ3vMVdIO
>>543
産業な
2年分
読め
それからだ
547 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 17:56:34.88 ID:z+fRuNpEo
占い師「どういう事……? ドッペルゲンガー……って」
召喚士「その人自身になる事が出来るんです」
魔道士「じゃあ、戦士さんの時と同様に……」
召喚士「はい。あなたは本物のババ様ではありませんね?」
ババ様「……」
召喚士「ババ様をコピーしたドッペルゲンガー。つまり偽物……」
ババ様「あっはっはっはっは!!」
召喚士「……」
ババ様「あんたは本当に、面白いコだねぇ」
占い師「ババ様……っ」
ババ様「あんたの言う通りさ。あたしゃ元はドッペルゲンガーさ」
魔道士「!?」
ババ様「でも偽物ってのはちょっと違うかもしれないねぇ」
召喚士「……どういう事です?」
ババ様「あたしゃ本物になったのさ。頼まれてねぇ」
548 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 17:57:08.84 ID:z+fRuNpEo
魔道士「え……っ!?」
ババ様「人間の寿命なんて、どんなに長くても100年いくかってとこだ」
召喚士「……」
ババ様「彼女はもう何百年も前に死んだ」
召喚士「やっぱり……」
ババ様「でも予言で、今日のような日が来る事を知っていた。ずーっと待っていた」
召喚士「つまり、その意思を継いだ……と?」
ババ様「この日の為に行く末を見届ける為に、予言の民を存続させる為に……」
占い師「ドッペルゲンガーであるあなたに、自分の全てを与えた」
ババ様「彼女の予言にやっぱり狂いはなかった。彼女も喜んでいるだろうよ」
魔道士「そうだったんですか……っ」
ババ様「でもね、さっきも言ったように魔王に関する予言はどんな事であろうと見えない」
召喚士「それを確認するのも、あなたの仕事というわけですか」
ババ様「本物は死んでも、その意思はここにある。見る事で何かあるわけじゃあないけれどもね」
召喚士「いえ。大切な事だと思いますよ」
549 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 17:57:35.16 ID:z+fRuNpEo
…
ババ様「私も素性は分かって貰えたようだね」
召喚士「はい」
ババ様「で、あんたらは何か伝えに来たんだろ?」
占い師「あ、ええ……。実は……」
ババ様「天才が死んだかい?」
占い師「……っ!」
ババ様「悲しい男さ。死ぬ事でしか償う術を知らないんだからねぇ」
魔道士「……っ」
ババ様「でもいいのさ。それが本人の望みであったわけだし」ズズッ
召喚士「でも、天才さんは……」
ババ様「まだ必要な人間ってかい? 治世にあんな怪物は無用なのかもねぇ」
召喚士「乱世にしか生きられない人間なんて……いませんよ」
ババ様「まぁね。でも、乱世だからこそ生まれた人間ってのも居るのさ」
召喚士「……」
550 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 17:58:27.88 ID:z+fRuNpEo
ババ様「あんまり難しい話はもういいかねぇ。乱世ももう終わるんだ」
魔道士「あのっ」
ババ様「……?」
魔道士「天才さんは……予言の民だ……って」
ババ様「前も言ったけど、預言者って女の息子さ」
占い師「……」
ババ様「預言者は、自分の持つ予言の力を人の為に生かしたい、その一心で……」
召喚士「ここを出て行った……」
ババ様「そう。そして天才と妹を生んで、間もなく死んだ」
魔道士「妹さんは……」
占い師「生前、彼が言うには王宮に侍女として務めたって聞いたけど」
ババ様「……預言者が死んで身よりのない孤児となった2人は、ある男に拾われた」
召喚士「……?」
ババ様「その男は国軍の軍人でね。孤児である2人を引き取ったのさ」
召喚士「なるほど」
551 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 17:58:58.73 ID:z+fRuNpEo
ババ様「天才はそこで、剣や勉学を教わり、ワーカーをえてやがて、自分も国軍となる」
占い師「妹さんは……?」
ババ様「母親に似たのか、小さい頃から身体が弱かった」
魔道士「……っ」
ババ様「でも回りの支えもあって成人し、ある孤児院で働いてたのさ」
召喚士「孤児院で……?」
占い師「孤児であるからこそ、そういう道を選んだのかもね……」
ババ様「でも孤児院はある時、財政難の窮地に立たされてね」
魔道士「えっ?」
ババ様「結局、救済するには国営として本国が支援する以外に手はなかった」
召喚士「それが縁で、侍女として務める事に?」
ババ様「国営ともなれば職員も民間人ではなく、本国の役人になるからね」
占い師「……そうね」
魔道士「でもっ、そのまま働く事だって……」
ババ様「見初められたのさ。その時の国王にね」
552 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 17:59:27.39 ID:z+fRuNpEo
召喚士「――!?」
ババ様「本人も孤児院に残りたかったかもしれない。でも、そういうわけにはいかなかったのさ」
占い師「本国に助けて貰った義理もあるし、無下に断れないわよね」
ババ様「ましてや国王直々の所望だしねぇ」
魔道士「……っ」
ババ様「それから彼女は、侍女として王宮に入り、国王の為に働いた」
魔道士「あの……」
召喚士「ちょっと待って下さい!!」
魔道士「え……っ?」
ババ様「……」
召喚士「その話は、ちょっと待って下さい」
魔道士「ど、どうしたんですか?」
ババ様「イイ男じゃないかい」
魔道士「へっ?」
ババ様「魔道士だったっけね? あんたの為さ」
553 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 17:59:59.20 ID:z+fRuNpEo
魔道士「私の……?」
ババ様「そうさ。ここから先を聞くかどうかは、あんたに選ぶ権利がある」
魔道士「あ、あの……どういう……」
ババ様「あんたに関係のある事あからさ」
召喚士「……っ」
ババ様「どうする? 聞くのを止める事も出来るよ?」
魔道士「……」
ババ様「……また、逃げるかい?」
魔道士「……聞きます」
召喚士「魔道士さんっ!!」
魔道士「いいんです。以前は私、そんな話……聞きたくもありませんでした」
召喚士「魔道士さん……」
魔道士「でも今は違います。聞かなくちゃいけない。聞く事が私を強くする」
ババ様「ほぅ」
魔道士「それに、何があろうとも……私の家族は変わらない」
554 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:00:42.42 ID:z+fRuNpEo
召喚士「っ!!」
魔道士「私のの生い立ちがどうであれ、それは変わらない事なんですっ」
それは紛れもなく、召喚士が魔道士に伝えた言葉であった。
ババ様「分かった。それじゃ続けよう」
魔道士「……はい」
召喚士(俺は分かっていたのかもしれない……)
ババ様「天才の妹は侍女となった後、ある男と恋仲に落ちる事になる」
召喚士(でもあえて、気付かないフリをしていたのかもしれない……)
ババ様「男はずっと想いを募らせていたんだろうねぇ。でなきゃ自ら、見初めたりしないわな」
占い師「……まさか」
ババ様「そうさ。妹は国王と恋仲になり……1人お女児を生んだ」
占い師「――――っ!!」
ババ様「それが誰なのか、分かってるね?」
魔道士「……はい。私です」
召喚士(俺はずっと……天才さんにこの事を……っ)
555 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:01:15.27 ID:z+fRuNpEo
占い師「ちょっと待ってよ! じゃあ、魔道士ちゃんの本当のお母さん……って」
ババ様「天才の妹さ」
占い師「そ……んな……っ」
召喚士「俺っ、気付いてたのかもしれない……っ」
占い師「……?」
召喚士「よく分からないけど、なんとなく……気付いてたのかもしれない」
占い師「召喚士くん……」
召喚士「色んな話を聞いて、気付こうと思えば気づけたのに……すみませんっ!!」
魔道士「……いいんです」
召喚士「……?」
魔道士「……だって私……わた……し……っ」
ババ様「あんたも気付いてたのかい?」
魔道士「天才さん……っ、夢魔に襲われた私を……助けてくれた……」
召喚士「夢魔……そ、そういえば」
魔道士「夢の中に入るには……近しい肉親じゃないと出来ないって……言ってたから」
556 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:01:50.12 ID:z+fRuNpEo
召喚士「っ!!」
魔道士「なのにっ! 認めたくないからって、強がって、何も聞けずに……」
ババ様「あんたが悪いわけじゃない。天才だって何も語らなかっただろう?」
魔道士「何も言ってくれなかった……っ。私、天才さん……伯父さんだったのに!」
ババ様「そういう事さ。あんたも天才も、互いに認め合う必要なんてなかったのさ」
魔道士「うぅ……っ」
ババ様「あんたは自分で言ってただろ? 父母は国王や天才の妹なんかじゃあないんだ」
召喚士「それでも天才さんは、影ながら……支えてくれたんだ……っ」グッ
魔道士「う……あぁ……っ」
ババ様「天才に感謝しな。あれは光であって影。太陽であり、月だったのさ」
占い師「……」
ババ様「だからこそ仮面を付けて隠し、1つに交わる事なんてなかった」
召喚士「……っ」
ババ様「さっきも言った通り、死ぬ事でしか償う術を知らない……悲しい男さ」
魔道士「天才さん……っ」
557 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:02:19.73 ID:z+fRuNpEo
…
ババ様「いいかい? 決して悔いたり嘆いては駄目だよ?」
魔道士「はい……っ」
ババ様「天才だって、あんたらの笑顔が見たくてここまでやってきたんだ」
召喚士「……はい」
ババ様「だからそれでいいんだよ。自分が生きてく事をしっかり考えてな」
占い師「色々とありがとうございました」
ババ様「あんたはいいのかい?」
占い師「え……っ?」
ババ様「前にここへ来た時、言ってたろ? 落ち着いたらゆっくり聞くってさ」
占い師「……まだ、落ち着いたわけじゃないですから」
ババ様「そうかい」
占い師「本当に全てが終わったら、その時にまた来ます」
ババ様「いつでも待ってるよ。なんせ、寿命は長いからねぇ……ひっひっひ」
占い師「そうですわね。ふふっ」
558 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:02:56.27 ID:z+fRuNpEo
ババ様「1つだけ」
占い師「……?」
ババ様「あんたがその力を捨てたいと思っても、それは適うものじゃあない」
占い師「……っ」
ババ様「でも、付き合って生きていくには2つの方法があるさねぇ」
占い師「2つの方法?」
ババ様「1つはその力を最大限利用して、幸福な人生を得る」
占い師「それは……」
ババ様「何も私欲だけに使えってわけじゃないさ。色々とあるだろ? 使い方だってさ」
占い師「……まぁ、そうですけど」
ババ様「もう1つは、全く未知なる人生を楽しむ事」
占い師「……どういう事?」
ババ様「その力が効かない人間と共に生きていけばいいのさ」
占い師「そんな人は……」
ババ様「いるだろう? 魔力を通して予言するんだから、要は魔力がなければいいのさ」
559 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:03:28.40 ID:z+fRuNpEo
占い師「だからそんな人なんているわけ――」
魔道士「あ……っ」
召喚士「……いる」
占い師「えっ? あ……えっ!? えぇっ!?」
ババ様「どんな人生であろうと、不幸なんてほんのちっぽけなものさ」
占い師「……っ」
ババ様「もっと視野を広げて生きていきなさい。楽しい事の方が、沢山あるはずだよ」
召喚士「その通りですよね……。ありがとうございました!」
ババ様「元気でな。何か悩みがあったら、また来るといいさ」
魔道士「……はいっ! ありがとうございました!」
ババ様「きっと勝てるよ、あんたらならサタンにさ」ニコッ
召喚士「勝ちます……必ず!」
魔道士「みんなの、世界の為にも!」
占い師「じ、じゃあまた……っ!」
3人は北の森に住む予言の民、ババ様の下を去って行った。
560 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:03:56.95 ID:z+fRuNpEo
その日の夜、本国ではついに恐れている事態が着々と進行しつつあった。
青龍士官「状況はどうなっている!?」
本国兵「現在、王宮前には群集が怒声をあげております!」
青龍士官「くそ……っ。陛下には何も関係はないというのに」
カツカツカツ……
青年兵「すまない、君にまでこのような事をさせてしまって」
青龍士官「何を言っている。人材不足なのだ、四の五の言っている場合かっ」
大軍師「どうやら本部の前にも集まり始めているようですよ」カツコツ
青龍士官「それで、どうする? 収束するにはかなりの労力だぞ」
青年兵「説得する以外にないさ」ザッ
青龍士官「待てっ! まさかお前直々に行く気か!?」
青年兵「他に誰が話すというのさ」
青龍士官「よせっ!! それでは――」ガシッ
大軍師「ここは大元帥にお任せ致しましょう」
青龍士官「……くっ」
561 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:04:34.34 ID:z+fRuNpEo
…
青年兵「……」
ザワザワザワザワ
男「出てきたぞっ!! おいコノヤロー!!」
女「きちんと説明しなさいよー!!」
老人「噂は本当なんじゃな!? 何とか言わんか!!」
青年兵「皆さん、まずは話を聞いて下さい」
男「なんなんだよっ、スーパーノヴァってのはよぉ!!」
女「本当に世界は終わっちゃうの!?」
青年兵「そんなわけありません。絶対に」
老人「だったら、どうしてそんな話が出とるんじゃ!」
青年兵「仮にそうであっても、世界が終わるなんて事は一切ありません」
男「だから根拠を示せって言ってんだよぉ!!」
ブンッ!! ガツッ
青年兵「……っ」ツツー
562 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:05:03.63 ID:z+fRuNpEo
門兵「石を投げたのは誰だ!! 逮捕だぞ!!」
青年兵「……気にしなくて……いい」
門兵「しかしですね……っ」
青年兵「何か、布かタオルを」
門兵「し、承知いたしました!」タタッ
青年兵「いいですか皆さん。今日これまで何の為に我らが戦ってきたかお分かりですか?」
男「……」
青年兵「それは皆さんが笑って、何も不自由なく、苦しみも、哀しみも、
誰も死ぬ事なく、幸せに、平穏に暮らせる……そんな世界を築き上げる為です。
それももうあと2週間程度で叶う、手に届くところまできているのです!
なのに世界が終わるだとか、人間同士がいがみ合っている場合ではないんです!」
老人「……っ」
青年兵「もしもそんな事が起きるならば、それを知っていて隠していたならば、
国軍はここまで戦ってきたと思ういますか!? 何の為に戦ってきたのですか!?」
女「……っ」
青年兵「全ては魔王軍をっ、魔物を、魔王を倒す為に戦ってきたのでしょう!?」
男「く……っ」
563 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:05:33.40 ID:z+fRuNpEo
青年兵「もし私の言葉が信じられないと言うのであれば、投石でも何でもするが良い!」
男「!?」
青年兵「しかし今も戦っている彼らの事は、どうか信じてあげて下さい」
老人「……」
青年兵「あと2週間、その時に分かるはずです。誰が正しかったのかどうか」
女「ほ、本当に……信じていいのね……?」
青年兵「はい」ニコッ
老人「そ、そこまで……言うなら、なぁ」
男「……でも、何でこんな噂が流れるんだよ!? 火のない所に煙は立たねぇっていうぜ?」
大軍師「それは私がご説明致しましょう」ザッザッ
青年兵「……?」
大軍師「ここは私に。大元帥は止血を」
門兵「どうぞっ、お使い下さい!」
青年兵「……ありがとうございます:」スッ
大軍師「ではご説明させて頂きます」
564 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:06:11.88 ID:z+fRuNpEo
バサッ
大軍師「これ、何だか分かりますか?」
女「古い本にしか見えないけれど……」
大軍師「その通り。古書です」
男「……バカにしてんのか」
大軍師「これはもう何百年も前に書かれたものです。内容は予言書、とでも言いますか」
老人「なんじゃと!?」ザワザワ
大軍師「これだけではないのですが、古い書物を見る度に同じような事が書かれております」
女「なになにっ!?」
大軍師「大抵、魔王を討伐するという局面において、終末論が記載されております」
男「え……?」
女「どっ、どういう事!?」
大軍師「いつの時代もおそらく不安なのでしょうね。魔王を倒す事に倒して」
老人「じゃあ……此度の事もそうじゃと言うのか!?」
大軍師「スーパーノヴァというものが本当にあるのかどうか、私には分かりかねます」
565 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:06:47.02 ID:z+fRuNpEo
青年兵「……」
大軍師「しかし、スーパームーンなる現象がその前兆としてあると耳にしました」
老人「そうじゃそうじゃ! そういえばそんな事を言っていたぞ!」
大軍師「そのスーパームーンに似た記述も、やはり古書の中に幾つかあるのですよ」
男「えぇっ!?」
大軍師「この本にはそうですね……ああ、ここです。およおそ450年前になりますでしょうか」
パラパラパラッ
大軍師「こう記されております。『闇が訪れ、世界は長き夜に包まれた』……と」
男「それが何だってんだよ! 意味がわかんねぇ!」
大軍師「この頃は天文学的なものも今よりずっと劣っておりましたからねぇ」パラパラ
女「何が言いたいのよっ!」
大軍師「えぇと次はこちらですね。およそ110年前の文献です」
パラパラパラッ
大軍師「……『月が太陽を飲み込み、真昼であるにも関わらず夜が生まれた』とあります」
老人「夜? 夜がどうしたんじゃ?」
566 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:08:08.22 ID:z+fRuNpEo
大軍師「ところで皆さんはご存じですか?」
男「……あ?」
大軍師「この世界を中心に、周囲には数々の星々に囲まれております」
女「そんなの……毎晩、空を見上げれば分かるわよっ!」
大軍師「そこにある太陽と月。これらも世界をぐるぐると回っております」
男「……」
大軍師「例えば東方で朝を迎えれば、反対側の西方は夜であり、
西方が昼ならば東方は夜であり、本国は朝なのです」
男「サッパリ分かんねぇよ」
大軍師「決して交わる事のない太陽と月が、ごく稀に交わる事があるのですよ」
老人「な、なんじゃとぉ!?」
大軍師「それが今述べた、文献にある現象です。そしてそれは、スーパームーンもまた同じ」
男「――っ!?」
大軍師「おそらく2週間後、世界は一時的に闇に包まれます」
女「じ、じゃあやっぱり世界は終――」
大軍師「終わりませんよ。すぐに光が訪れますから」
567 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/11(月) 18:11:27.10 ID:z+fRuNpEo
週末は忙しくて来れませんでしたすまんね
ごめんなさい…そろそろサクっと話も進み始めると思いますので…
それでは今日はこの辺にて。ご支援ありがとうでした!!ノシ
>>541
正直すまなかったです……
>>543
2年ぶりとか嬉しすぎます感謝!またヨロシクです!
568 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 18:14:13.97 ID:vSRI6GByo
大軍師は相変わらず喋りがうまいなぁ
>>1
乙
569 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 18:39:41.59 ID:PsI7z89DO
おつんぽ!
570 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 18:50:43.47 ID:PlCDyi2IO
格闘家×占い師か
571 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 19:05:53.45 ID:TgXu4V3DO
いちょつ
格闘家は開花したじゃないですかー
572 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/11(月) 19:33:04.40 ID:1G95t3rao
>>1
乙
そうか、俺か…魔力無いし
573 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 20:11:19.60 ID:X0/dsfnDO
おまえは魔法使いにも賢者にもなれるじゃん
>>1
乙
574 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/11(月) 20:17:24.88 ID:AbhMCGlAO
>>1
おつ
575 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 20:42:20.15 ID:yXS8IhHwo
不特定多数の聞いた情報ならともかく、スーパーノヴァは初出の10人くらいしか聞いてない情報だから
誰が漏らしたかすぐ分るな
阿呆の召喚士が第三者がいる場所で他の人に説明しちゃったかジュニア辺りか
576 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 20:43:44.46 ID:xfaiFJ9Ao
壁に耳あり正直メアリー
577 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 21:11:17.07 ID:ns3sz/xuo
>>575
あの場に10人ぐらいしかいないと、いつから錯覚していた?
578 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 23:08:22.88 ID:OucNrScIO
えーっと天才が68歳で、魔導士ちゃんが28歳くらいだっけ?
じゃあ、魔導士ちゃんのお母さんは天才と十歳くらい離れた兄妹じゃなきゃ、国王はとんだ年増好きになっちまうなw
579 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/11(月) 23:22:11.44 ID:vSRI6GByo
>>578
>>497
>>500-501
580 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/12(火) 01:48:04.74 ID:miToZVlm0
>>1
おつ
581 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
:2012/06/12(火) 04:24:55.67 ID:s3ZtKRaz0
占い師って皇太子に触れて予言しなかったっけ?
582 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:01:03.09 ID:n742dPR5o
同時刻、王宮前では……。
エリート「……っ」ザッザッザッ
おっさん「陛下の説明でもなきゃ、納得いかねぇぞー!」
中年「そうだそうだぁ!!」
エリート「本当に行かれるのですか?」
皇太子「約束したしな。私の力も惜しみなく貸す、と」
エリート「……。良いか、蠅の1匹とて陛下に近づけるなよ」
衛兵「ははぁ!!」ガシャッ
皇太子「諸君、まずは私の話を聞いて欲しい」ザッ
中年「陛下だっ!!」ザワザワ
皇太子「君たちは今、ただの言葉に惑わされてしまっている。
これまで長年、君たちや国軍、そして同盟国の苦労を蔑ろにしてだ」
おっさん「……っ」
皇太子「もしも諸君らが本当に戦う意思を持ち、そして我らを信じてくれているならば、
何があろうとも言葉に惑わされるなどという事はなかったであろう」
中年「!?」
583 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:01:36.84 ID:n742dPR5o
皇太子「これはひとえに私の力不足であり、国軍の力不足である。
それについては、今はひとまず控えさせてもらうとする。
まずはスーパーノヴァなる現象、誰も見た事がないし聞いたこともない。
そのような現象を有無で回答するには些か、お門違いというものであろう。
だがもし、次の満月に世界が滅ぶような事があったとしよう。万が一にだ。
それは誰のせいだ? 国軍か? 私か? 皆か? 違うであろう?
それは魔王の仕業、ただそれだけに過ぎない。魔王が存在するからこそなのだ。
今までとて魔王という存在に世界はずっと脅かされていた。今日までずっと。
スーパーノヴァの有無に関係なく、小さな命から国家単位まで大小関係なく。
つまり私が言いたい事は1つ。今更騒いでも無意味だと言う事だ。
どんな状況かであろうと魔王が存在する限り、世界は危険に晒されているのだ。
そして、そんな現状を打破する為に、皆が戦っている。諸君らも含めてだ。
国軍が戦場で戦い、諸君らが本国から支援という形で戦っている。
それをスーパーノヴァなどという言葉に惑わされて蔑ろにしてはならない。
私は戦場へ赴き、何度も死地を潜り抜けてきた。諸君らの中にも居ると思う。
そして何度も見てきた。目の前で、背後で、真横で死してゆく同胞達を。
諸君らの友人、知人、家族にも少なからず居るであろう。そういう者らが。
その魂を、意思を、誇りをたった1つの噂で汚す事はならない。許されないのだ。
諸君らに出来る戦いとは何だ? それをもう1度考えて欲しい。
私が思うその1つ、それは前線で戦う者らを信じて祈る事ではないだろうか。
まやかしに惑わされる事なく、彼らを信じて、共に戦って欲しいのだ。
非難や咎は全て、この私が一切を引き受ける。彼らを攻める事は許さん。
それを肝に銘じて、2週間足らずではあるが、共に戦って欲しい。
もし2週間が経過し、世界が終末へと導かれるのであれば、手遅れかもしれぬが、
この私を死罪にでも何でも好きにするが良い。だがそれまでは頼む。何度でも言う。
どうか命をかけて戦っている者達に力を貸してくれ。信じてくれ。戦ってくれ。
世界中の人々が思いを1つにせねば、魔王サタンを倒す事は困難である。
私からの言葉は以上だ。反論や非難は幾らでも引き受ける所存だ。
もし、あるのならば今ここで言葉にすると良い。沈黙は肯定、同意とみなす」
584 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:02:13.10 ID:n742dPR5o
中年「…………っ」
おっさん「……」
皇太子「分かって貰えたようだな。では解散としようではないか」
エリート「正式なコメントは明日の新聞や本部の大元帥から通達がある」ザッ
衛兵「そら、もう終わったのだ。帰れ帰れ!」
ゾロゾロゾロゾロ……
エリート「見事でしたな」
皇太子「あれで良かったのだろうか」
エリート「嘘偽りは申しておりません。問題はありませんよ」
皇太子「だがな、スーパーノヴァが起きてしまえば……結局、世界は混乱するぞ」
エリート「そこまでは我らの仕事ではありません。国軍に任せましょう」
皇太子「次の満月の刻、真価が問われるな」
エリート「勝ちますよ。勝つ以外に選択肢はないのですから」スタスタ
皇太子「それもそうだな。私も命を賭けてしまったし、勝って貰わねば困る」
エリート「……ええ」
585 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:03:10.23 ID:n742dPR5o
〜国軍本部、司令室〜
大軍師「お疲れ様でした。なんとか事態は収拾出来ましたね」
青年兵「ありがとうございました」ギシッ
大軍師「いえいえ、私は補佐したまでに過ぎません」
青龍士官「傷は大丈夫か?」
青年兵「こんなもの、ついこの前までの戦いに比べたら大した事はないさ」
青龍士官「それもそうだな」
青年兵「それに彼らの痛みを考えれば、この程度……」
青龍士官「……」
大軍師「さて、とりあえずこの場は切り抜けましたが、次の手を打つ必要がありますね」
青年兵「そうですね。このまま当日を迎えれば、結局、混乱は必至ですからね」
大軍師「間もなく王宮からも連絡が来るでしょう。それから――」
ジリリッジリリッジリリッジリリッ!!
青年兵「……はい」カチャッ
エリート『私だ。こちらの事態は収束した。そちらは?』
586 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:07:24.74 ID:n742dPR5o
青年兵「こちらも何とか問題なく。ありがとうございました」
そう言いながら青年兵は受話器の口を指差し、大軍師に合図する。
青龍士官「凄いタイミングだな……」
大軍師「だから申したでしょう? 間もなく王宮からも一報来ると」
エリート『陛下の演説で民衆は落ち着いたが、場当たり的なものだ』
青年兵「分かっております。明朝、改めて声明という形を取ります」
エリート『新聞社にはこちらから根回ししておく。あとは……』
青年兵「情報源ですか? 追及は困難かと思いますよ」
エリート『まぁな。そっちは無駄な人材も割けんだろう。こちらで対応する』
青年兵「了解です。明朝、改めてお伺い致します」
エリート『ああ、頼む。それではまた明日』ブツン
青年兵「……流石エリート様ですね」
大軍師「完全にこちらの動きを読み取って頂いていたようですね」
青龍士官「とりあえず今日のところは終いか?」
青年兵「うん。明日の朝、改めて対応にあたろう」
587 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:09:27.06 ID:n742dPR5o
〜明朝、北関〜
パッカパッカパッカ……
北関兵「ご苦労様ですっ!」
占い師「ご苦労様、馬車はここでいい?」ザッ
魔道士「ふ……っうぅ〜!!」
馬車から降りるや否や、両腕を高々と伸ばし背伸びする魔道士。
召喚士「おはようございます。寝られましたか?」
魔道士「おはようございますっ! 少しですけど。召喚士さんも一緒に寝れば良かったのに〜」
どうやら魔道士の言葉から、召喚士は気を使って馬上に居た事が汲み取れる。
召喚士「さて、戦士の様子はどうかな?」
魔道士「もう3日目ですもんね。流石によくなってそうですけど……」
ザッザッザッ……バサッ
召喚士「戦士、おはよう」
戦士「……おう」
魔道士「だ、大丈夫ですか?」
588 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:16:01.60 ID:n742dPR5o
戦士「見ての通りだ。我ながら情けねぇ……」
車椅子に乗った戦士は、右肘と左肘を交互に出して筋トレしている。
召喚士「何とか腕は動くみたいだね……」
戦士「ああ。だがまだ歩けねぇし、首もほら……」グググッ
魔道士「痛そう……っ」
戦士「痛みは引いてきたんだけどな。なにせ全然動かん」
召喚士「でも少しずつよくなってるし、時間の問題だね」
戦士「まぁな。でもあんま悠長には待ってらんねーしなぁ」
魔道士「あと10日しかないですもんね」
戦士「10日か……」
召喚士「戦士」
戦士「ん?」
召喚士「俺らはこれから魔道士さんの家に行ってこようと思うんだ」
戦士「おっ、ついにか! しっかり挨拶してこいよっ!」
召喚士「……へっ?」
589 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:17:59.50 ID:n742dPR5o
〜本国、王宮〜
青年兵「失礼致します」カツカツカツ
皇太子「昨晩は大変だったそうだな」
青年兵「陛下こそ。ご助力、大変感謝致します」
皇太子「私と君の仲だ。気にする事はない」
青年兵「ありがとうございます」
エリート「待たせたな、新聞社への手配は既に完了したぞ」カツカツ
青年兵「ありがとうございます」
エリート「それで、声明は何時からだ?」
青年兵「10時を予定しております」
エリート「了解した。護衛を編成しておこう」
皇太子「頼むぞ。本国だけではない、世界の命運がかかっている」
青年兵「心得ております」ザザッ
カツカツカツカツ……
青年兵「……!?」
590 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:20:17.19 ID:n742dPR5o
高官「おはよう、大元帥殿」カツカツ
青年兵「高官……さん……っ」
高官「少し良いかな?」
青年兵「はい」
高官の後に続き、青年兵は1つの小さな応接室へと足を踏み入れる。
着席と同時にすかさず、侍女が紅茶を淹れ、室内へは柔らかな香りに包まれた。
高官「……聞いたよ」ズズッ
青年兵「……」
その言葉に青年兵はただ黙ったままであった。
高官「ウィッチの事だ。昨日、国軍の関係者が報告に来た」
青年兵「……そうでしたか」カチャッ
高官「分かってはいたのだが、心のどこかでは生きていて欲しいと願っていた」
青年兵「……」
高官「私が殺したも同然だ。実の……娘を……っ」
青年兵「いえっ、高官さんのせいでは……」
591 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:21:36.32 ID:n742dPR5o
高官「良いのだ。私が間違っていた。全ては私の責任だ」
青年兵「そんな……」
高官「何故……何故っ、私はもっと……ウィッチの事を……」
青年兵「……っ」
高官「……済まない。君にも辛い思いをさせてしまった」
青年兵「いえっ、私こそ……私こそウィッチさんを救えるはずだったのに……っ!」
高官「……ありがとう。その思いだけで十分だよ」スクッ
青年兵「高官さん……っ」
高官「実はね、近いうちに私は……辞職しようと考えている」
青年兵「――っ!!」
高官「自分の娘すら理解出来ぬ男に、国を動かす仕事など釣り合わんよ」
青年兵「何を仰います! 高官さんのような方こそこれからの――」
高官「もう決めた事なのだ。それに、私など居なくとも本国は安泰だよ」
青年兵「っ!?」
高官「君らのような、若く、そして素晴らしい人材が居るのだからね」ニコリ
592 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:24:22.42 ID:n742dPR5o
〜北関〜
魔道士「召喚士さーん、準備オッケーですか?」
召喚士「はいっ。こっちはいつでも」
魔道士「sれじゃ行きましょっか!」ニコッ
召喚士「魔道士さんの実家は大きな街ですから、ここからなら割と近いですよね」
魔道士「はいっ。占い師さんが馬車を用意してくれるって言ってました」
召喚士「わざわざいいのに……」
魔道士「そうなんですよ、私もそう言ったんですけど……」
ザザッ ピーガガガガッ
召喚士「……何だ?」
将軍『えー、北関の諸君らに告ぐ。これより大元帥による声明がある。心して聞くように』
魔道士「声明?」
召喚士「一体なんでしょうね? 聞いてから行きましょうか」
魔道士「そうですねっ、そうしましょう!」
召喚士と魔道士は足を止め、スピーカーへと聞き耳を立てた。
593 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/12(火) 18:25:07.23 ID:n742dPR5o
ひとまずここまでにて失礼致します!
今日もご支援ありがとうございました!ではまた!ノシ
594 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/12(火) 18:45:20.31 ID:XOI6blpAo
>>1
乙!
595 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/12(火) 18:47:12.90 ID:uN6V+fSIO
乙
596 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/12(火) 19:54:59.27 ID:3y4ErzSmo
>>1
乙
うおーーーいよいよいよいよ最終決戦か
興奮しすぎて勃起が治まらない誰か助けて
597 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/12(火) 20:03:52.29 ID:FG8YYvaHo
皇太子産業
598 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/12(火) 21:28:25.92 ID:tIm+ptHAo
ウィッチ姉は出落ちか
599 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/12(火) 21:38:13.13 ID:ilJLjtrDo
召喚士はそろそろ魔道士ちゃんに腕マクラくらいしてやるべき
600 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/13(水) 01:06:28.16 ID:viJFKn/X0
>>1
おつ
601 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/13(水) 02:09:05.03 ID:t+nc3iaAO
>>1
おつ
皇太子の長文頑張ったなww文も最高だし
602 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)
:2012/06/13(水) 03:24:23.93 ID:4v/Esx9AO
噛まない皇太子…だと…
603 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(空)
[sage]:2012/06/13(水) 10:12:08.72 ID:H0kRxW1E0
序章もついにクライマックスか・・・
>>1
乙
604 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/13(水) 12:47:49.15 ID:G7tGus2IO
噛まない皇太子はドッペルゲンガー
605 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:33:46.71 ID:zUZRv1N7o
〜本国王宮、正門前〜
青年兵「この放送をお聴きの諸君、私は本国国軍大元帥、青年兵である。
今日は国軍が誇る研究機関が開発した通信システム『電話』にて、
各地への同時伝達をする為に、このような形を取らせて頂いている。
顔が見えぬ無礼、許して頂きたいと共に、声のみで失礼する。
まず、今日このような場を設けて頂いた事に感謝したい。そして、
これから話す内容を真摯に受け止め、今後の指示に従って貰いたい。
先日、魔王ベルゼブブを討伐し、北方を平定した事は記憶に新しい。
無論、私も参加し、数日間における交戦にて前線で奮闘したと自負する。
そして残る魔王、サタンの討伐も2週間余りと控えたところ、そんな矢先だ。
皆の耳に噂話が入ったのは。内容は今更語る必要もないであろう。
その噂、スーパーノヴァについてだが、これは魔王ベルゼブブが語ったものである。
内容は、サタンが次の満月において、世界を破滅に導くというものである。
実に馬鹿げた話である。そしてそんな話を真に受ける現状があるのも確かなのだ。
そもそも、五か年計画とはわずか5年の間に、全ての魔王を倒すというものである。
スーパーノヴァなるものがあろうとなかろうと、計画に狂いはない。順調なのだ。
結果として魔王サタンを倒せば我ら人間の勝利、敗北すれば最後、
人間はまた暗黒時代へと突入し、この地上でひっそりと暮らす事になりかねない。
それについては皆も同意の上であろう。私は少なくともそう聞いている。
議会において五か年計画が承認された際、国、軍、民において、
その内容に基づく作戦を了承したと聞いている。それは間違いであろうか?
否、それは信念に基づいた行動であり、我らが目指す正しき道のりなのだ。
にも関わらず、後から惑わしの如くスーパーノヴァなど騒がれても、全くの無意味。
今、我々が成すべき事は五か年計画の完全なる遂行。つまりは魔王サタンの討伐。
かつての勇者はこう言った。『勇者は一人であり、全員が勇者である!』と!
生きとし生ける者全員が戦っている勇者なのだ。一丸となり、1つとなり。
そして初めて1人の勇者となる。1人はみんなの為に、みんなは1人の為にだ!
国民よ立て! 悲しみを怒りに変えて。立てよ国民! 本国に勝利を!!」
606 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:34:17.07 ID:zUZRv1N7o
シーン
青年兵「……」
男「……お……おぉ」
おっさん「おおおおぉぉぉぉ!!」
男「本国に勝利を! 本国に勝利を!」
女「本国に勝利を! 本国に勝利を!」
青年兵「……ふーっ」ザッ
ザッザッザッ
大軍師「ご苦労様でした」
青年兵「あえて本国に括ってしまいましたが、良かったですかね?」
大軍師「問題ないでしょう。電話は本国のみのものですし、我らは国軍ですから」
エリート「あとは新聞が煽ってくれるさ。これで下らぬ噂話として収束するだろう」
大軍師「漏らした者は処罰しないで頂きたい」
エリート「分かっている。反逆者はもういない。ただ不安であっただけであろう」ザッザッ
大軍師「これより新聞社へ向けた会見を行います。本部へ戻りましょう」
607 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:34:50.99 ID:zUZRv1N7o
昨晩行われた皇太子と青年兵の演説に続き、今回の青年兵の声明。
更には各新聞社による青年兵のインタビュー、それを補足する大軍師の解説、
過去の文献における酷似点とそれに基づく確証の薄さを展開し、
本国内における騒動は一時、驚くべきほどの収束をみせる事となる。
大軍師「これであとは当日、制御出来るかどうかですね」
青年兵「ええ。逃げ場はどのみちないわけですし、注意すべきは……」
大軍師「略奪などの自暴自棄に走った末の行為ですね」
青年兵「当日は何とか、店舗などの閉鎖を促す事は出来ますか?」
大軍師「やってみましょう。他にも外出を控えるよう通達する必要がありそうですね」
青年兵「食糧や必需品は本国から各家庭に配布できるか確認をお願いします」
大軍師「畏まりました。満月の3日前から行動に移すと致しましょう」
青年兵「各司令部にも同様の通達を」
大軍師「すぐに行いましょう」
青年兵「中の対策は一応、形は見えてきましたね」
大軍師「次は外、つまりはサタンへの対策ですね。夕刻より打ち合わせましょう」
608 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:36:12.61 ID:zUZRv1N7o
〜北関近くの町〜
パッカパッカパッカ……
魔道士「青年兵さん、かっこよかったですね〜!」
召喚士「ええ。やっぱり若くても大元帥って感じでしたね!」
魔道士「なんだか不思議な感じですよね。青年兵さんが大元帥だなんて……」
召喚士「そうですね。でも、俺らも変わりましたよ」
魔道士「まぁ、そうですけど……」
召喚士「思えば最初からずっと、不思議な巡り合わせでした」
魔道士「ええ」
召喚士「名も知れぬワーカーが4人集まって、冒険を始めたんです」
魔道士「はいっ」
召喚士「最初の頃なんて全然弱くて、ほんと苦戦しましたよね」
魔道士「今思い返すと、ほんと弱かったですよねぇ……ふふっ」
召喚士「それが何故か不思議と、すごい人達とばかり巡り合えて……」
魔道士「そうなんですよね……。何故かみんな、偉い人だったりとか……」
609 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:37:10.41 ID:zUZRv1N7o
召喚士「だからこれって運命とか宿命とか、導かれてたものなのかなって思うんです」
魔道士「なるほど」
召喚士「そんな多くの出会いが、俺らの力になって、ここまでこれたんです」
魔道士「ほんと、その通りですね……」
召喚士「だから、絶対にサタンを倒して、またみんなで笑って再会しましょう」
魔道士「……私との出会いも、宿命ですか?」
召喚士「え? あ、それはもちろん……」ハッ
魔道士「前に召喚士さん、全てが終わったら話があるって言ってました……よね?」チラ
召喚士「……っ!」ゴクッ
魔道士「あのっ、私……待ってますから。ずっと」モジモジ
召喚士「――――っ!!」ドキィ!!
魔道士「私も、召喚士さんとの出会いは……宿命だって……想ってますからっ」ドキドキドキ
召喚士「そそそっそうですよね! あはっ、あ……北関付近の町かぁ〜!
そういえばっ! ここで女侍さん達にあったりもしましたよね〜! あはは……っ」
魔道士「そうでしたねぇ。そういえば見かけませんけど、元気ですかねぇ」
610 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:37:56.54 ID:zUZRv1N7o
〜東方、都〜
サルしっかし見た目と違って、遅っそい船だったなぁ〜」スタスタ
女侍「前は1日もあれば着いたのにねぇ」スタスタ
キジ「でも、船が遅くなったというより、なんか変な感じさー」
サル「あ?」
キジ「なーんて言うか、海が広いさー」
サル「……。あーはいはい、海は広いな〜大きいな〜ってか? バカかっ!」
キジ「そうじゃないさー! えぇと――」
女侍「静かにしなっ!」
キジ「!?」
サル「どうし……おいおいっ! ありゃ軍の船じゃねぇのか!?」
キジ「なんでさー!」
サル「ったくよぉ〜。どーこに行ってもこーんな目に遭うってのかよぉ」
女侍「どうやらちょっと、様子が違うみたいだねぇ」
サル「……あーん?」
611 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:38:54.50 ID:zUZRv1N7o
ゴゴオオオオォォォォン
足軽「ええいっ、下がれ下がれ!」
町娘「姫様ーっ!!」
町人「凱旋じゃあ! 祭りじゃあ!」
ザッザッザッ
帝「凄い騒ぎだな」
名代「本国での噂はもう、耳に入っているようですな」
子供「うえさまーっ! おかえり〜!」
帝「ふふっ」ニコッ
名代「癒されますな」
帝「ああ、やはり故郷だ。この景色が一番、落ち着くよ」
僧兵長「上様、それでは我らはこれにて」ザッ
帝「世話になった。また改めて城まで来てくれ」
僧兵「ははっ!」
盗賊「それじゃ、また」
612 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:39:38.39 ID:zUZRv1N7o
ザッザッザッ……
帝「それで盗賊、お主はどうする?」
盗賊「あまり時間もありませぬ。このまま東方を目指しまする」
名代「思いの外、時間もかかってしまいましたからね」
盗賊「おそらく、世界が広がったせいかと」
帝「そうだな」
名代「宜しければ馬を。もうこちらは使いませぬゆえ」
盗賊「感謝いたします」
帝「ではまた、帰りに立ち寄ってくれ」
盗賊「御意に。それでは失礼致しまする」スッ
女剣士「くの一、達者でな」
くの一「色々と、感謝します……っ」
盗賊「それじゃ、行こう」
くの一「……はい」
盗賊とくの一は港より馬を飛ばし、街道を北へと進んだ。
613 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/13(水) 18:44:31.37 ID:Vc4fgFHDO
青年兵の正体はギレン閣下だったのか なるほど
おつんぽ!
614 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/13(水) 18:45:24.89 ID:zUZRv1N7o
今日はここまで!短くてゴメンよぉ……
それでは失礼致します!ご支援感謝っ!ノシ
615 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/13(水) 18:49:55.86 ID:pDcsdQADO
いちょつ
>>613
氏ねと言おうと思ったらなんだと…
616 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/13(水) 19:10:38.47 ID:UKiSkdSAO
ハマーン様ばんざーい!
617 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/13(水) 19:44:07.62 ID:O/aA6LEjo
ペニスやらクリトリスがここまできたわけだ
618 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/13(水) 20:26:37.25 ID:zIyGOdKuo
>>1
乙
サラマンダー召喚してウフフしてた青年兵の第一印象が拭いきれず、
演説したのも誰か別のキャラなんじゃないかってくらい違和感を感じた15の夜
召喚しは絶滅しろ!!
619 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/06/13(水) 22:48:14.48 ID:JtDM0Jwbo
>>1
乙
話を逸らそうとして出てくるのが他の女の話という辺りが召喚士クオリティ
620 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/14(木) 01:21:14.95 ID:ZmYApN4AO
>>1
おつ
621 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/14(木) 01:58:46.18 ID:Nr+4lvw40
>>1
おつ
622 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 17:59:23.50 ID:WQrV5ZQbo
〜北方、最北の村〜
ザッザッザッ……
参謀「ここ、ですか?」
副官「はい……」
参謀と副官をはじめ、数人の目の前には川らしき黄奎が広がっている。
らしきとは、つい先日出来たばかりで、まだそれが川と認識されたわけではないからだ。
青年「ヒゲのオッサンはよぉ……最後まで戦い抜いたんだぜ……」
参謀「ええ。彼もまた屯田兵、つまりは本国の軍人でありました」
副官「……っ」
参謀「献花を」
ザザッ……スッ
青年「オッサン、安らかに眠ってくれ。この村は必ず……俺達が守っていくからよ」
参謀「……さて、行きましょう」
副官「……はい……っ」スクッ
この後、新たに川として認められたそれは、ヒゲの男の名前を冠した。
623 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:09:55.75 ID:WQrV5ZQbo
…
参謀「では、我々は北方司令部へ戻らせて頂きます」
青年「ありがとうございやした」
副官「……」
青年「副官のネーチャンよ、いつまでも悔やんでても仕方ないぜ」
副官「……ええ」
青年「オッサンだってきっと、そう思ってる。あんたはほんと、良くやってくれたんだからよ」
副官「……ありがとう」
青年「そんじゃまた。たまには顔見せに来てくれよなっ!」
参謀「また収穫期になったらお邪魔しますよ。手伝いもかねて」
青年「そいつはいいや! 待ってるよ」
ザッザッザッ……
参謀「この村は君が思っている程、弱くはないですよ」
副官「そう、ですね……」
参謀「次は君が強くなる番です。私は支えますよ、貴女は私の副官なのだから」
624 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:10:46.13 ID:WQrV5ZQbo
〜東方司令部〜
東方参謀「……もう昼か。あんな戦いがあった後だと、時が早く感じるわい」
東方司令「独り言がデカイな。流石ジジイだ」テクテク
東方参謀「行き遅れのババアが偉そうに」
東方司令「生き遅れてないっ! ボクは行ってないだけだ!」
東方参謀「ふん」
東方司令「北側に魔王軍の残党が2000ほど終結してるそうだ」
東方参謀「結構な数だな。面倒な真似を」
東方司令「ここの兵を全軍、海峡に移す」
東方参謀「何? ここはどうするのだ?」
東方司令「解体する。前にもそのつもりで話したはずだ」
東方参謀「……本部の許可は?」
東方司令「本部が言ってた事だろ。東方司令部を解体するってな」
東方参謀「何時の話だ。あれは左大臣一派の……」
東方司令「うるさいなぁ。とにかくここはもう要らん。東方司令部は解散する」
625 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:11:30.78 ID:WQrV5ZQbo
東方参謀「お主はそれで良いのか?」
東方司令「良い? 良いに決まってるだろ」
東方参謀「なら、何も言うまい」
東方司令「左大臣もお師匠も死んだ。各司令部にボク達が駐屯する意味はもうない」
東方参謀「それもそうだな。しかし、皮肉なものだな」
東方司令「皮肉?」
東方参謀「かつて捨て石とされた海峡が残り、月の宴の拠点とされたここがなくなるとはな」
東方司令「時代の変化ってやつだろ。これが正しい姿なんだろうな」ザッ
東方参謀「しかし、解体となると……ワシも参謀職を外れるわけか」
東方司令「本国にでも戻ったらどうだ? 東方セ・ン・セ」
東方参謀「貴様はどうする?」
東方司令「ボクは自由に生きる。全てが終わったらな」
東方参謀「……」
東方司令「それじゃ、進軍の手配は任せたよ」ザッザッ
東方参謀「勝手な奴よ。全くもってな」ザッザッ
626 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:12:16.71 ID:WQrV5ZQbo
〜夕刻、大きな街〜
パッカパッカパッカ……
魔道士「うわぁ、久しぶり〜!」
召喚士「確かにそうですね。いつ以来だろ……」
魔道士「街並みもそんなに変わってないし、なんだか落ち着くなぁ〜」
召喚士「色々と、思い出深い所でもありますよね」
魔道士「そうですね〜」
パッカパッカパッカ……ドドォ
魔道士「着いたーっ!」
召喚士「……っ」ゴクッ
魔道士「まだ正面も空いてる。召喚士さん、行きましょう!」
召喚士「あ、はいっ」
スタスタスタ
使い「へい、毎度どうも! 明日の取引もヨロシク!」
魔道士「あ、使いさんだ!」
627 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:12:58.24 ID:WQrV5ZQbo
使い「むむっ、すんませんね今日はもうお終い……」
魔道士「使いさん、お久しぶりです!」ニコッ
使い「お終い……おし……しいいぃぃぃぃ!?」ダッ!!
召喚士「行っちゃった……」
魔道士「……?」キョトン
タッタッタッタッタッ!!
大商家「ま、魔道士……っ」
母「魔道士……魔道士っ!!」ダッ
魔道士「お父さん、お母さん……ただいまっ!」ダッ
ギュッ
母「よくぞ無事で……っ、良かった……!!」
魔道士「い、痛いよぉ……もうっ、えへへ」ギュッ
大商家「朱雀先生も元気そうで何よりですな。ささ、中へ」
召喚士「は、はい……っ。失礼致します」
使い「お嬢さん……っ! ますますお綺麗になられて……くぅ〜っ!!」
628 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:13:26.93 ID:WQrV5ZQbo
〜大商家の家、居間〜
母「ごめんなさいね。帰ってくるならご馳走を用意したのに〜」ドササッ
大商家「そうだぞ全く。どうしていつも、連絡をくれないんだ」ゴトッ
コンモリ
召喚士「……」
魔道士「十分だと思うけど……」
母「そう? とりあえず有りあわせの商品を持ってきたんだけど」
使い「旦那様っ、酒はこんなもんで良かったですか?」ドサッ
大商家「ご苦労。お前もそろそろ休んでくれ」
使い「へいっ!」
大商家「さぁ、まずは飲もうじゃないか」キュポン
召喚士「い、いただきます……っ」トクトクッ
母「この前、大きな戦いがあったでしょう……? 大丈夫だったの?」
大商家「そうそう。それに良からぬ噂も流れておったようだし……」ゴクゴク
魔道士「うん。えっと実は……」
629 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:14:06.64 ID:WQrV5ZQbo
…
大商家「ほうほう、そうだったのかぁ」
母「それじゃあまだ、最期の戦いが残っているのね……」
魔道士「うん」
母「それが終わったら、落ち着くのよね?」
魔道士「うん。私、絶対に無事……戻ってくるから!」
母「当たり前よ、もうっ」
大商家「それで、その時にか?」
魔道士「へっ?」
大商家「今日はその為に、朱雀先生を連れて立ち寄ったのだろう?」グビッ
召喚士「その為? あ……」
魔道士「違う違う違う違うっ!! 違うのっ! それは関係なくてまた後での事なのっ!」
母「後で?」
魔道士「――っ!! もうっ! いいからその話はおしまいーっ!!」カアァ
召喚士「……っ」
630 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:14:44.21 ID:WQrV5ZQbo
…
母「お風呂の準備が出来たみたいだから、入ってきたら?」
魔道士「あっ、じゃあお母さんも一緒に入ろうよ!」
母「そうね、じゃあ一緒に入りましょうか♪」ニコッ
魔道士「それじゃ行ってきますー」
大商家「男湯の方も準備出来てるようだな。朱雀先生も先に入ったらどうかね?」
召喚士「いえっ、お先にどうぞ!」
大商家「いやいや、私は自分の風呂があるのでね。気にしなくて結構だよ」
召喚士「そ、そうですね。それじゃあ……」スクッ
大商家「場所は分かるかな? 正面玄関の右手側だ」
召喚士「ありがとうございます」
スタスタスタ
召喚士「しかし、ほんとホテルのような家だなぁ……」
スタスタスタ
召喚士「あ、ここか……」
631 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:15:12.45 ID:WQrV5ZQbo
カポーン
召喚士「……はぁ〜っ」バシャッ
ガラッ
召喚士「!?」
使い「おっと、これはお客人! ご一緒させていただきますよ!」ザブン
召喚士「あ、どうぞどうぞ」
使い「すいやせんね。元来、従業員用の風呂なもんで」
召喚士「なるほど、だからこんなに広いんですね」
使い「そうなんですよ。ぷっはぁ〜」ザバァ
召喚士「使いさんは、ここでお勤めしてもう長いんですよね?」
使い「そっすねぇ。お嬢さんがまだこーんな小さい時から務めてますから」
召喚士「まだお若いのに?」
使い「孤児だったんで、8つの時からなんで、もう20年目っすわ。はははっ」
召喚士「20年……ん? てことは、28ですか!?」
使い「へいっ!」バシャバシャ
632 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:15:47.90 ID:WQrV5ZQbo
召喚士「俺と同い年ですよっ」
使い「そうだったんですかい!? いやぁ、信じられないっすわなぁ」
召喚士「そうですか?」
使い「ええ。あっしはただのしがない商売人見習いじゃあないっすか」
召喚士「そんな事は……」
使い「いえいえいいんす。でもお客人、あなたは違う。立派な方だ!」
召喚士「俺にとっては、使いさんの方が全然立派ですよ」
使い「へぇっ!?」
召喚士「1つの事に20年間、逃げ出さずに頑張ってる」
使い「いやぁ、それしかする事も出来る事もねーし、何より好きなんすよ、この仕事がねっ」
召喚士「そういう風に思える事が素晴らしい事だと思います」
使い「へへっ。そいつはありがとうございやすっ!」
召喚士「やっぱり将来は商人に?」
使い「そうっすねぇ……。今は旦那様の下にいるのが楽しいんで、考えてないっす」
召喚士「へぇ〜」
633 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:16:20.16 ID:WQrV5ZQbo
使い「取引のまとめ役やらして貰ってるんでそれがもう楽しくて」
召喚士「大商家さんも信頼して、使いさんに全部任せているんでしょうね」
使い「ははっ、そうだといいっすけどねぇ」バシャッ
召喚士「これからは商人の時代になりますよ」
使い「えっ?」
召喚士「魔物との戦いが終われば、ワーカーは激減するでしょう」
使い「ああー、そうっすねぇ」
召喚士「そうすれば食糧やハンティングの頻度も減りますし……」
使い「そうかっ! 流通する物資が減る。そして仕入れる側も減るってわけだ」
召喚士「流石ですね」
使い「でも、何でそれが商人の時代に?」
召喚士「仕入れが減るという事は、今後は自分達で仕入れなくてはいけません」
使い「えぇっ!? あ、でもそうか……」
召喚士「はい。しかし経験がないので経験者を募る必要がある」
使い「そうっすねぇ。今まではお抱えのワーカーとか……あっ!!」
634 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:17:04.68 ID:WQrV5ZQbo
召喚士「そうです。今後は自分達が元ワーカーを雇う事になると思います」
使い「そうだよなっ、競争率も激しくなるし……」
召喚士「いくら魔物がいなくなったとはいえ、獰猛な獣を相手にしたりもします」
使い「断崖絶壁の崖や、辺境の地にも行くかもだし……」
召喚士「その為にはワーカーの力が必要なんです」
使い「……こりゃあ今からでも動く必要があるな」ニヤッ
召喚士「……?」
使い「だってそうっしょ。いい人材からドンドン消えていっちまう! 今から声をかけとかないと!」
召喚士「そうですね!」
使い「他のとこに取られちまったらどうしようもねぇ! さっそく調査だ!」ザバッ
召喚士「は、早いですね……っ」
使い「善は急げってね! 色々とありがとうございやす!!」
召喚士「いえ、こちらこそ」
使い「なかなかセンスありますよ、商売のね!」
召喚士「!?」
635 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:17:32.29 ID:WQrV5ZQbo
使い「あ、そうそう」ザバッ
召喚士「……?」
使い「どうか、お嬢さんの事……宜しくお願いしやす!!」ペコッ
召喚士「へっ!?」
使い「先生なら安心ですわ。旦那様も含め、みーんな喜んで賛成ですよっ」
召喚士「えっ、あの……っ!」
使い「良かったらこの大商家を継いで、2人で更に繁盛……」
召喚士「いやいやいやっ!! それは無理です!!」
使い「……そうっすか、残念。そしたら俺も働き甲斐があるってもんなんだけどなぁ」
召喚士「そっ、そもそも一緒になるなんてまだ一言も……」
使い「そこは頼みます」
召喚士「!?」
使い「あなたは本当に立派な人だ。お嬢さんを守っていけるのはあなたしかいないっ!」
召喚士「……っ」
使い「だからこそっ、どうか頼みます……お嬢さんを!」
636 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:18:07.45 ID:WQrV5ZQbo
…
大商家「長かったね、ゆっくり出来たかな?」
召喚士「は、はいっ。いい湯でした……っ」
大商家「使いと一緒だったらしいね、聞いたよ。のぼせたんじゃないか?」
召喚士「えっ、ええ……色んな意味で……」
大商家「じゃあちょっと、バルコニーで涼しみがてら、1杯付き合わんか?」
召喚士「え、ええ。喜んで」
スタスタスタ……
召喚士「あぁ〜涼しいっ」
大商家「だろう? 今日は少し、肌寒いくらいかな」スッ
召喚士「あ、いただきます」
大商家「……あれから、魔道士はどうかな?」
召喚士「え……っ?」
大商家「私達が本当の親ではなく、自分が落胤だと知ってから……」
召喚士「色々と悩でいる時もありました。でも、今はもう……」
637 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:20:06.10 ID:WQrV5ZQbo
大商家「そうか」
召喚士「むしろ魔道士さんにとって、お2人は本当の親なんだと思います」
大商家「……?」
召喚士「魔道士さんは王家の落胤だという事をむしろ……否定的で」
大商家「……」
召喚士「あっ、もちろん憶測なんですけど、でも言葉の節々にそれを感じるような事も」
大商家「そうか……」
召喚士「ついこの前もそうでした」
大商家「この前?」
召喚士「はい。サタンとの最終決戦を前に、家族と会っておけという話が出たんです」
大商家「……」
召喚士「その時、魔道士さんは王家ではなく、お2人の事だけを語っていました」
大商家「……っ」
召喚士「そしてそれは、俺も同じ意見であり、気持ちです」
大商家「魔道士……っ」
638 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:20:46.50 ID:WQrV5ZQbo
召喚士「魔道士さんは王家の人間なんかじゃない。紛れもなくこの大商家の1人娘なんです」
大商家「……ありがとう」
召喚士「……いえ」
大商家「左大臣の時の事もあって、王家は完全に魔道士から手を引いている」
召喚士「え、ええ……。あの……それが何か?」
大商家「私はあの子の父親で、良いのだな?」
召喚士「もちろんです。それが、みんなが幸せになる1番の形だと思います」
大商家「では、あの子の父親として言う。どうか、魔道士を幸せにしてやってくれ」
召喚士「――――っ!?」
大商家「朱雀先生、君ならば付き合いも長いし、あの子の全てを受け入れてくれている」
召喚士「あの……あの……っ」
大商家「どうか魔道士と一緒になって、本当の自由を、翼を与えて欲しい」
召喚士「そ、そんな……っ!」
大商家「かつてあの子は言った。自分は籠の中の鳥なんだ、と」
召喚士「……っ」
639 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:22:05.98 ID:WQrV5ZQbo
大商家「魔道士は気付いていたのかもしれないな」
召喚士「え……っ?」
大商家「落胤であり、それを知る我らがお目付けとして家族を演じていた」
召喚士「……っ」
大商家「常に監視の目があり、どこへ行くにも護衛が付いていた」
召喚士「大商家さん……」
大商家「私達のそういった思いも、自然と伝わっていたのかもしれないな」
召喚士「そんな事はありませんよ……!」
大商家「だがこれだけは勘違いしないで欲しい」
召喚士「……はい」
大商家「私達夫婦は、彼女を本当に娘だと思っていたし、愛してきた」
召喚士「はい。もちろんそれは、感じますし分かっています」
大商家「……今、魔道士はようやく、羽ばたける機会を得られた」
召喚士「……」
大商家「魔道士を、私の娘をどうか……っ! 幸せにしてやってくれ!」
640 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/14(木) 18:28:33.24 ID:WQrV5ZQbo
ほのぼのは苦手…戦闘はもっと苦手だけど…
今日はここまでにて失礼致します!!
今日もご支援ありがとでした!それではまた!ノシ
641 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/14(木) 18:29:32.95 ID:bboKRLQDO
返事前に切るとは
このドSがっ!
最速おつんぽ!
642 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/14(木) 18:33:19.04 ID:bazuMa4bo
日常パートはにやにやしちゃうな
>>1
乙
643 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/14(木) 18:38:12.30 ID:uAj4658IO
…ヒゲ川か
644 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
:2012/06/14(木) 18:38:44.81 ID:mb0NffO5o
>>1
乙
ボス川か…
645 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2012/06/14(木) 18:40:53.51 ID:mb0NffO5o
おうふ
ヒゲだった…orz
646 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/14(木) 18:42:12.77 ID:uAj4658IO
どんまいオマオレ
647 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/14(木) 19:23:28.01 ID:Lh728As2o
>>1
乙
ヒゲ川って、近くに住んだらいじめられそうだな
648 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/14(木) 21:09:59.92 ID:DOunsE9H0
やーいヒゲ川ー
649 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/14(木) 21:13:31.12 ID:WY9cwJmCo
以来、そこで溺れたもの皆、ヒゲの姿になてしまう呪的川。
650 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/14(木) 21:55:37.00 ID:SaPkQKkIO
髭川ならなんとか……ならないな。
651 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/14(木) 23:11:07.43 ID:ZmYApN4AO
>>1
おつ
652 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 00:02:41.75 ID:Ca+gxfPDO
ヒゲ川温泉とか出てきて観光地になるんだろうなぁ
653 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
:2012/06/15(金) 00:15:30.99 ID:4TdBRzgXo
はげの湯温泉
654 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/15(金) 03:09:08.12 ID:RwIY/8QO0
>>1
おつ
655 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 12:38:35.37 ID:RCcmz/xIO
命名
つ ヒゲ川
656 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 16:06:32.36 ID:Ryso9ZQS0
これで苦手とか…
657 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 17:52:28.54 ID:TScfHZbbo
〜東方、藤蔵〜
ドドッドドッドドッ……ザザァ
盗賊「着いた」
くの一「……」
盗賊さ、行こう」スタッ
くの一「はい」ザッ
盗賊「少し離れているといい」
くの一「……?」
盗賊「来たっ」
シュバババッ!! ズザザァ!!
くの一「――!?」
盗賊「はあぁーっ!!」
キィンキィンキィンッ!! バシュシュシュッ!!
盗賊「……ふーっ」
くの一「な、何事……?」
658 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 17:53:03.84 ID:TScfHZbbo
盗賊「なかなか腕を上げたな。しかし、いい加減に気付いて欲しいものだ」カシャン
下忍「……姫っ!?」
盗賊「ご苦労。道を開けてくれ」
下忍「こっ、これは失礼を……っ!」ズザザッ
盗賊「行こう」
くの一「……っ」
ザッザッザッ
くの一「警備の者、ですか? 以前とは人が違ったような……」
盗賊「……ああ。警備などもはや無用であると言うのにな」
くの一「……」
盗賊「仕事柄、そういう性分なのであろう。藤蔵はな」
くの一「……なるほど」
ザッザッザッ
くの一「藤蔵の中へ入るのは……あの時以来か」
盗賊「ちっ! 退がれっ!」
659 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 17:53:32.91 ID:TScfHZbbo
くの一「えっ!?」
盗賊「わああぁぁーっ!!」
タタタタタタッ……ガバァ!!
侍女「ひーめーっ!!」ムギュー
盗賊「苦しいっ! はっ、離せぇ……っ!」
くの一「……あの」
侍女「あらっ? 今日は一人じゃないの?」
盗賊「けほけほ……っ、説明も何も、出来たものじゃないよ全く……けほっ」
侍女「しかも女の子? 東方の子よね? めっずらしーっ」
盗賊「別に珍しくないだろ」
侍女「姫が連れてくるのが珍しいって事よっ」
盗賊「…………」
侍女「とりあえず入りましょっ。さぁさぁ!」
盗賊「お、押すな……たわけっ!」
くの一「し、失礼します……っ」
660 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 17:54:02.58 ID:TScfHZbbo
…
侍女「……よっし! いいじゃなーい! 似合ってるわんっ♪」キュッ
くの一「ありがとう……ございます……」
侍女「ていうか、あの時のお嬢さんだったのねぇ。言ってくれればいいのに〜……」ジロジロ
くの一「……っ」
侍女「……結構可愛いじゃないの」
くの一「へぇっ!?」
盗賊「遊んでないで行くぞ。お館様は自室か?」スッ
侍女「あら、構って貰えなくて妬いてるみたい。うふふっ」
ドゴッ!!
盗賊「早くしろ!」
侍女「冗談なのに……っ」サスサス
くの一「……ぷっ、くふっ!」
侍女「あっ! やっと笑ってくれた〜。うふふふっ!」
盗賊「……ふっ」ニコッ
661 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 17:55:35.71 ID:TScfHZbbo
〜御館様の部屋〜
侍女「失礼致します」スッ
御館様「……盗賊か」
侍女「如何にも。お通し致します」
スススッ
盗賊「失礼致しまする」ススッ
御館様「もう一人、客人がおるようだな」
盗賊「……入れ」
くの一「はい」ススッ
御館様「此度は何用じゃ」
盗賊「……ご報告したき事が御座いまして」
御館様「申してみよ」
盗賊「はっ」
くの一「……」
盗賊「……兄様が……逝きました」
662 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 17:56:10.74 ID:TScfHZbbo
侍女「――!!」
御館様「……そうか」
盗賊「ようやく不死の身より解放され、人として……逝きました」
侍女「そ……んな……っ」
御館様「見届けたのか? 貴様はその目でしっかりと」
盗賊「はい。見届けました」
御館様「ならば良い。ご苦労であった」
盗賊「……はっ」スッ
御館様「それで、話はそれだけか?」
盗賊「……実は、このくの一を藤蔵に置いては頂けませぬか?」
御館様「……」
盗賊「くの一は影、唯一の生き残りです」
御館様「……」
盗賊「影は彼女を残し、滅びました。その償いは藤蔵にもあると思います。ですからっ――」
御館様「今現在、藤蔵には余裕がなくてな」
663 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 17:58:01.83 ID:TScfHZbbo
盗賊「――!?」
御館様「経済的な話ではない。人員の話だ」
盗賊「え……っ?」
御館様「先の戦にて五忍が逝き、見たであろうが下忍が警備をする有様だ」
くの一「……っ」
御館様「もし忍の心得がある者が居るのならば、藤蔵としても助かるというもの」
盗賊「そ……それじゃあ……」
御館様「それに、奴とも約束した事だしな」スクッ
盗賊「!?」
御館様「侍女、後は貴様に任せるぞ」
スタスタスタ……
盗賊「……父様……っ」
侍女「良かったわねぇ、くの一ちゃん!」
くの一「……私……私……っ」
盗賊「気にしなくていい。君は今日から藤蔵のくの一だ、宜しくな」
664 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 17:59:02.56 ID:TScfHZbbo
…
ザッザッザッ……
御館様「……逝ったそうだ」
線香が立ち上るその部屋は、寺の本堂のような光景であった。
御館様「……」
正面に座する仏像の前に対面して座する御館様。
その間には、法名の書かれた幾つかの位牌が並んでいた。
その中央にある古びた位牌に、御館様は続けて話しかける。
御館様「そっちで面倒を見てやってくれ。久々に、親子水入らずで過ごすと良い」
言い終えると、中央の古びた位牌から今度は周囲を守るように取り囲む、
五つの綺麗で新しい位牌へと目線を移す。
御館様「そっちは賑やかになるな。その代わり此方は、寂しいものだ」
彼の心にはある一つの思いがあったが、それは全てを見届けてからと決めていた。
御館様の清々しくもどこか寂しげな表情は、それを現すものなのか。
立ち上る線香がゆらゆらと、慰めるように漂った。
665 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:00:25.20 ID:TScfHZbbo
…
侍女「えっ!? もう行くの……?」
盗賊「まだ全てが、終わったわけじゃないから」
侍女「そう……」
盗賊「それじゃ、行ってくる」ザッ
侍女「……姫っ!!」
盗賊「ん?」
侍女「頑張ってっ! 必ず、帰ってくるのよ!」
盗賊「うん。分かってる……ありがとう」
くの一「祈ってます。皆の無事を」
盗賊「藤蔵を、宜しくな」ザッ
パッカパッカ……ドドッドドッドドッ……
侍女「……っ」
くの一「代わりなんて出来ない。けれど、出来る事は何でもします……っ!」
侍女「……ありがと。今はあなたという存在だけで、藤蔵にとっては十分よ」
666 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:01:48.79 ID:TScfHZbbo
〜次の日、北関〜
ザバアアァァァァ!!
戦士「くぅ〜っ!」バシャバシャッ
ドクター「痛みなどは、どこにもありませんか?」
戦士「ああ。少し筋肉痛が残ってるくらいのもんだ」
ドクター「良かった。それならばもう大丈夫でしょう」
戦士「まさか完治に丸3日も費やすとは思わなかったぜ……」
ドクター「全くですね。私も初めての症状でしたよ」
戦士「今後の医療にお役立ちするかい?」
ドクター「ははっ。そうかもしれませんね」
戦士「……ぷはぁ。やっと身体も洗えたし、あとはたらふく食って飲んでやる!」
ドクター「召喚士さん達はまだ戻ってこないのですか?」
戦士「ああ。各自、色々とあるしな」
ドクター「そうですか」
戦士「さ、メシメシ! 腹減ったぁ〜」
667 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:02:47.72 ID:TScfHZbbo
…
戦士「いただっきまーす!!」カチャッ
ドクター「なるほど。ご家族に会いにですか」
戦士「そういう事っ。うんめぇ〜!」モグモグ
ドクター「確かに医者の立場からしても、それは推奨したいところですね」
戦士「うん?」モグモグ
ドクター「臨終の際、1番に後悔する事と言えば、家族や親しい人との事ですから」
戦士「……」モグモグ
ドクター「死ぬ前に会いたかった、和解したかった……そう言った事が多々あります」
戦士「なるほどな」
ドクター「戦士さんはいいんですか?」
戦士「あー。うちはおふくろは死んだし、親父はどうせまた会うだろうし」
ドクター「……?」
戦士「このままのうのうと過ごすタマじゃねぇしな。サタン戦にも出張るに決まってる」モグモグ
ドクター「……は、はぁ」
668 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:03:23.05 ID:TScfHZbbo
戦士「……でも、そうだな。確かに最後にきちんとケジメはつけるべきか」
ドクター「えっ?」
戦士「いや、何でもない。ごちそーさんでした!」カチャッ
ドクター「戦士さん」
戦士「んー?」
ドクター「異変を感じたらすぐに知らせて下さいね。本国の病院に戻ってますので」
戦士「おう、サンキュー!」
ザッザッザッ
戦士「さーてと、俺も行くか」
将軍「そこでいいぞ、よし……そのまま降ろせ」
戦士「おっ、ご苦労様です」
将軍「戦士か、もう具合は良いのか?」
戦士「おかげさんで。これ何すか?」
将軍「北からの輸送物資だ」
工兵「あっ! 戦士さん、ちょうど良かった!」ザッ
669 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:03:57.42 ID:TScfHZbbo
戦士「あん?」
工兵「鉱石、見つかりましたよ!」
戦士「本当かっ!?」
工兵「ええ。鍛冶娘から伝言で防具はここに置いていけって」
戦士「分かった! 頼むぜ!」
工兵「ういっす」
戦士「よーし……っ、これで五行全てが揃った……っ!!」
将軍「しかしあれじゃないのか? その五行全てを使う事になれば……」
戦士「……もちろん俺自身もタダじゃあいかんだろうな。でも、いいんだ」
将軍「……?」
戦士「死ぬつもりなんて毛頭ないけど、そんぐらいの覚悟はしないと倒せねぇ」
将軍「サタン……そうやもしれぬな」
戦士「んじゃ、俺行くわ。お世話になりました」ペコッ
将軍「行く? 皆を待たなくて良いのか? そもそもどこへ……」
戦士「へへっ。まぁ色々とね!」
670 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:06:41.37 ID:TScfHZbbo
〜大商家の家〜
魔道士「それじゃ、行ってくるね」
母「魔道士、これ持っていきなさい」スッ
魔道士「お守り?」
母「そうよ。これで何かあるわけじゃないけど、私の願いを込めて作ったの」
魔道士「お母さん……! ありがとう……っ」ウルッ
大商家「朱雀先生、魔道士を頼みます」
使い「お嬢さんを頼みます!」
召喚士「わ、分かりました……っ」
魔道士「召喚士さん、行きましょう」
召喚士「お世話になりました。それでは、失礼致します」
大商家「全てが終わったらまた、その時に」
召喚士「……はい」
魔道士「へっ?」
召喚士「さぁ、行きましょう! ははは……っ!」
671 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:08:25.55 ID:TScfHZbbo
満月の夜まで残り13日。各地では束の間の時間を各々が過ごしていた。
マジシャン「……」
手にした小さな肖像画。そこには仲睦まじい男女と、その手に抱えられた赤子が描かれている。
……――
師匠『あと2週間足らずだ。悪いが俺は瞑想に入る』
バーテン『2週間も瞑想すんのか?』
師匠『そこの仙人だよ。生活の中に取り込むって話だ』
戦士父『どうするつもりだ?』
師匠『自分ちに帰る。邪魔すんなよ』
マジシャン『……』
師匠『安心しろい。期日までにはちゃーんと戻るって』
マジシャン『んじゃ、俺はどうしようかねぇ』
師匠『分かれた女房のツラでも拝んで来たらどうだ?』
マジシャン『今更んな真似、出来るかっつーの……ハッハ』
――……
672 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:09:04.74 ID:TScfHZbbo
ガチャッ
マジシャン「――っ!?」
――「やっぱりここに居ると思ったぜ。ハッハ」
マジシャン「……ジュニア」
ジュニア「にしても……その様子から見ると、居合わせたのはたまたまだったかな」
マジシャン「何か用か?」
ジュニア「……」
ザッザッザッ……ピタッ
ジュニア「次のサタン戦、生き抜く保証はねぇ。その前にどうしても聞きてぇ事がある」
マジシャン「……」
ジュニア「……おふくろに会う気は……ねぇのか?」
マジシャン「……」
ジュニア「おふくろはなぁ、今でもあんたの事を――」
マジシャン「悪いが、俺はお前らを捨てた。それだけだ」
ジュニア「――っ」
673 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:09:57.18 ID:TScfHZbbo
マジシャン「今更あいつに会おうなんて気は、さらさらないね。ハッハ」ザッ
ジュニア「……っ」
マジシャン「分かったら出ていけ。行かんなら俺が出てくぞ」
ジュニア「何なんだよっ!!」
マジシャン「……」
ジュニア「おふくろはなぁ……っ、今でもあんたの帰りを待ってんだぞっ!!」
マジシャン「……」
ジュニア「あんただって、おふくろの事……気にかけてるからこそ、仕送り続けてたんだろ!?」
マジシャン「……」
ジュニア「理由があったんだろ!? だったら何でなんだよっ!!」
マジシャン「理由はどうあれ、俺はお前らを捨てたんだ。それに変わりはねぇのさ」
ジュニア「それでいいのかよっ!! 何とも思わねぇのかよ!!」
マジシャン「――っ」
ダァン!!
マジシャン「思うさっ! 思うからこそ……会えないんだろうがっ」
674 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:11:56.53 ID:TScfHZbbo
ジュニア「っ!!」
マジシャン「いいかジュニア、俺は決してお前らを見捨てたわけじゃない」
ジュニア「だったら――」
マジシャン「だからこそ会えない時だってある」
ジュニア「!?」
マジシャン「知っての通り、ワーカーは常に死と隣り合わせだ」
ジュニア「……」
マジシャン「もし迷いが生じ、自分の命を優先すれば、多くのものを失う可能性だってある」
ジュニア「そりゃ……でもっ」
マジシャン「場合によっちゃ、世界を滅ぼす羽目にあうかもしれん」
ジュニア「じゃあ、あんたは覚悟を……だから家族を……」
マジシャン「本来、あっちゃならねぇんだろうけどな。でも、それだけ愛していたんだ」
ジュニア「……っ」
マジシャン「だからこそあいつの希望を叶えてやりたかった」
ジュニア「希望……?」
675 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:17:06.89 ID:TScfHZbbo
マジシャン「子供だよ。つまりは、お前さ」
ジュニア「――っ!!」
マジシャン「だがな、妻と息子という宝を得ちまった俺は……覚悟が薄れちまったのさ」
ジュニア「……っ」
マジシャン「情けねぇ話だよ全くもってなぁ……ハッハ」
ジュニア「……いいのかよ」
マジシャン「あん?」
ジュニア「会わなくて、いいのかよ……っ」
マジシャン「……悪いがよ、俺はお前と違う」
ジュニア「!?」
マジシャン「サタンだろうが何だろうが、死ぬつもりはねぇ」
ジュニア「――っ!!」
マジシャン「生きて帰ればいい。それだけの話だろ……ハッハ」
ジュニア「じゃあ、生きて帰って……」
マジシャン「そん時は親子3人、再会といこうじゃないか。ハッハ!」
676 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/15(金) 18:21:42.91 ID:TScfHZbbo
すげー途中ですがここまでにて失礼致します!
私信ですが土日月と外出のため、お休みさせて頂きます!
今日の夜は来れそうだったら何とか……どうか期待はせずに!
本日も沢山のご支援ありがとうございました!!ノシ
677 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 18:33:00.69 ID:8AUfodRDO
乙橋克也!
678 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 18:55:20.65 ID:9utGATbXo
>>1
乙!マジシャン絶対生きて帰れ!!
679 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/06/15(金) 19:03:15.35 ID:TgLkxOUbo
死亡フラグビンビンじゃないですかぁ・・・
680 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 19:05:57.74 ID:BGGJ8swIO
魔導士がお守りを開けるとそこには一言
「魔導士、[
ピーーー
]」と。
681 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 21:34:11.36 ID:xwCroZZP0
おつんつん
682 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/06/15(金) 21:42:44.75 ID:Yo4k0+X8o
乙
そろそろ一回天国見たいなぁ...
683 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/15(金) 22:35:25.14 ID:BA+rfFJgo
おおおおお良いところで火曜までおあずけですかああああぁぁあああ
ところで、くの一って最初は北で盗賊稼業してた黒マントだっけ?
随分素直な子になったよな
684 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/16(土) 01:18:33.12 ID:8EAXZlJAO
>>1
おつ
マジシャン隻腕でボロボロのくせに無茶しやがって
685 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/16(土) 01:30:35.96 ID:dXpLcEAD0
>>1
おつ
686 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/16(土) 13:54:09.34 ID:ibtsMiCIO
マジシャン死亡フラグ立て過ぎて[
ピーーー
]ないだろwwww
687 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/18(月) 10:23:38.52 ID:h3qbLsiCo
最後に人物まとめが欲しいところ
688 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2012/06/18(月) 10:26:27.30 ID:E/NfkCtSo
世の中には、言い出しっぺの法則という、それは恐ろしい律法があってだな
689 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/18(月) 12:14:56.58 ID:bjQ6AklIO
>>687
よろしくな!
690 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/18(月) 17:27:10.91 ID:Y3E2y3eDO
>>687
一旦序章でまとめといた方がいいぞ
本編入って新キャラが増えたら大変だからな
691 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/18(月) 20:24:47.38 ID:fF90ZHjC0
流石
>>687
気がきくなぁ
692 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(鹿児島県)
:2012/06/18(月) 21:52:48.13 ID:yeeyu08y0
そっかまだ序章だったな
693 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/18(月) 22:03:13.34 ID:CMAXDojZ0
お前らwwwwww
687の気持ちも考えろよ
内緒で作って俺たちを驚かそうとしてんだぜきっと
694 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/19(火) 12:28:50.70 ID:BTvmCx6Jo
>>1
乙
>>687
早く作れよ。あと焼きそばパン買ってこいコラ。
695 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage ]:2012/06/19(火) 14:43:55.92 ID:xq21ySeyo
また、意味のない悪ふざけレスで無駄にスレを消費している訳だが
その後荒れる展開が見える
696 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/19(火) 16:37:19.01 ID:J61zNaQIO
お前さえレスしなけりゃ誰も何も言わなかった
俺も無駄レスつけなかった
697 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:05:37.46 ID:kaPZOh/bo
〜東方、都〜
家老「疲れは癒えましたかな?」
帝「う〜。少し寝すぎてしまったようじゃ」ゴシゴシ
家老「ひと戦を終えて疲れたのであろう。ゆっくり休まれなされ」
帝「そうはいかぬ。まだすべき事もあるのでな」
〜♪
帝「ん? 何の音だ?」
名代「戦の勝利と上様の帰還を祝い、民が朝から騒ぎ立てておtりまする」スタスタ
帝「……そうか」
名代「老中、昨晩頂いた報告書以外の動きはないのですね?」
家老「うむ。東方内は最早、安定の一途を歩んでおる。何も心配は要らぬであろうな」
帝「報告書には何かあったか?」
名代「いえ。西の未開地に罪人共徒党を組んでおりますが、それも時間の問題でしょう」
帝「本国と同盟した今、挟撃する形であるしな」
名代「はい。下手な手は出せないでしょうね」
698 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:06:12.51 ID:kaPZOh/bo
帝「ならば気兼ねなく臨めるな」
家老「何とっ、まだ戦場に出られると申すのか!?」
名代「本国において、最後の敵が残っておりまする」
家老「し、しかし……それは本国へ任せておけば良いのでは?」
帝「そうもいかぬ。小さくとも戦力は一人でも多い方が良い」
名代「左様。特に上様や私の力は本国にはなく、重宝するかと」
家老「むぅ、なれば仕方あるまいが……くれぐれも気を付けなされよ」
名代「上様のお命は必ずや、お守り致しまする」
家老「そなたが居れば、心配はないと思うがのぅ」
帝「して名代、この後は如何にするつもりじゃ?」
名代「私は法力の補充を致したく、しばし滝行に入りまする」
帝「そうか。ならば私は一先ず、城にて待つと致そう」
名代「上様も疲れを癒し、万事備えて下さいませ」
帝「うむ、そう致そう」
名代「では失礼致しまする」ザッ
699 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:06:58.63 ID:kaPZOh/bo
〜都、旅籠〜
西方参謀「おはようさ〜んっと……ヒック」
女将「もうお昼ですよぉ。ゆっくり休めましたか?」
西方参謀「ええ、お陰さんで……ヒック」
女将「でも昨晩はビックリしましたわぁ。いきなり倒れはるんですもの〜」
西方参謀「がははっ! 俺とした事が飲みすぎちまったみたいですわ……ヒック」
女将「西方参謀さんでもそんな事があるんですわねぇ」
西方参謀「そうですなぁ〜!」
女将「……何か、ありました?」
西方参謀「がははっ!! 女将さんには隠し事出来ませんなぁ!!」
女将「……?」
西方参謀「……実は、伝えたい事がありましてな」グビッ
女将「伝えたい事?」
西方参謀「隊長の事ですわ」
女将「隊長さん、どうかなさったんですか?」
700 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:07:35.54 ID:kaPZOh/bo
西方参謀「……」
女将「あの……」
西方参謀「実は……もう会えないって言うんですわ」
女将「えっ?」
西方参謀「話すと長くなるんですがね、ちょいと特殊任務で遠くへ旅立つ事になりましてな」
女将「……そう……ですか」
西方参謀「落ち着いたら、女将さんに伝えたい事があるって……言ってたんすがね」
女将「……」
西方参謀「まぁ、そんなわけで。全く、薄情な奴ですわ。がははっ!」
女将「いつ、戻ってくるん?」
西方参謀「……」
女将「隊長さんはいつ、戻ってきはるんですの?」
西方参謀「すんません。俺にはちょいと、分からんですわ……ヒック」
女将「……そう」
西方参謀「おっ、やべぇ……こんな時間か。そろそろおいとましないといけませんわ」スクッ
701 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:08:31.02 ID:kaPZOh/bo
…
西方参謀「そんじゃ、世話になりました」
女将「また、来てくださいね」
西方参謀「ええ、必ず」
女将「……その時は、隊長さんもまた」
西方参謀「ですなぁ。2人で来ますわ……必ず」ペコッ
スタスタスタスタ……
女将「……っ」ギュッ
スタスタスタ……
西方参謀「……あんないい女……哀しませやがって」
スタスタスタ……
西方参謀「酒飲んでぶっ倒れるなんざ、初めてだよ……くそっ」
ピタッ……ゴクゴクゴクッ
西方参謀「……くそっ、酔えるかよ」
この後、西方参謀が旅籠を訪れる事は、なかった。
702 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:09:15.44 ID:kaPZOh/bo
〜北関〜
召喚士「えぇっ!?」
魔道士「戦士さん、どこか行っちゃったんですか!?」
将軍「ああ。ヤボ用がどうとか行っていたが、どこへ行くかは聞いておらぬ」
魔道士「どこ行っちゃったんだろ……」
召喚士「盗賊さんもまだのようですし、集合場所だけワークショップ知らせておきましょうか」
魔道士「そうですねっ」
将軍「2人はこれからどうするのだ?」
召喚士「まだ特に、何も決めてないんですよね」
将軍「そうか。では本国辺りでゆっくりしたらどうかね?」
召喚士「うーん、そうですね」
将軍「北方ではまだ戦後の慌しさもあって、ゆっくりできなかろう」
魔道士「そんな事は……」
将軍「いやいや、気にするなかれ。実際まだまだ、処理は山積みだ」
召喚士「……」
703 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:10:07.03 ID:kaPZOh/bo
魔王城攻略からおよそ5日が経過。北の地では将軍が述べたように、
まだまだ慌しさが続く状況であった。
〜魔王城、正面〜
北方兵「積荷は以上だな!? よし、馬車を出せ」ガラガラッ
ボス「北方司令部からの伝言だそうです」スッ
男隊員「んー」ガサッ
女隊員「なんスか?」
男隊員「……馬車がもうショートしたってよ。ったく使えねー」
格闘家「どうします? まだ運ぶものは山ほどありますよ?」
男隊員「しゃーねぇ。北の港から馬車とワーカーを回すように言っとけ」
格闘家「了解」
男隊員「あーあとそれから、北の港経由で直に本国へ送るから、軍船もな」
女隊員「おぉ、何だかちゃんと隊長っぽい仕事ぶりッスね」
ボス「確かに」
男隊員「ぶっ飛ばすぞテメーら! 働け!!」
704 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:10:45.82 ID:kaPZOh/bo
局長「それにしても、もの凄い臭いだな……」ザッザッ
男隊員「なんだ、いたのか」
局長「今日で5日が経過。ぼちぼち死体も腐り始めてる」
男隊員「夏じゃねぇだけマシだけどな。こればっかりはどうしようもねぇ」
局長「蠅が多いな。くそっ」ブンブン
男隊員「蠅……ねぇ。ったく、見るたびに嫌な思いをする事になるとはなぁ」
局長「あん?」
男隊員「何でもねぇ。んじゃぼちぼち鉱石発掘開始といきますかぁ。ヒャハハ!」
激しい戦闘に加え、開戦直後かkら続いた不安定な天候も相まって、
瓦礫や遺体の回収は困難を極めた。それでも手を休める事はない。
生存者はもう居ないかもしれない。それでも彼らは手を休める事はない。
中には昨日、瓦礫の下から生存者が見つかった例もある。
魔物も同様。かろうじて生きている者も中には少なからず居た。
男隊員「おーい、様子はどうだ〜?」ザッザッ
北方兵「ご苦労様ですっ! この通り」ガシャッ
705 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:12:10.73 ID:kaPZOh/bo
男隊員「……おい、生きてっか〜?」
トロル「……」
男隊員「魔王はもう死んだ。お前らの居場所はもうねーぞ」
トロル「……」
男隊員「……ダンマリかい。まぁいいや、お前らには2つの道しかねぇ。よーく聞け」
トロル「……?」
男隊員「1つはこのまま潔く死刑。あの世に行って貰います。ヒャハハ!」
トロル「……ッ」
男隊員「もう1つは……南に行く」
トロル「は!?」
男隊員「やーっと喋ったな。お前ら、まとめて南へ行け。いいな?」
トロル「どういう意味ダ?」
男隊員「南によぉ、お前らを必要としてくれる奴がいんだよ」
トロル「アァ!?」
男隊員「だーかーらー。お前らを必要としてる奴らがいるんだよ!」
706 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:19:33.72 ID:kaPZOh/bo
トロル「な、何デ……」
男隊員「……あいつらはよぉ、俺らの為に戦ってくれたんだ」
トロル「……?」
男隊員「人間の為に、人間が好きだからって言ってよぉ!」
トロル「――!?」
男隊員「だったら今度は、俺らが魔物の為に、魔物を好きになる番だろうが」
トロル「オ前……ッ」
男隊員「それが、奴らに出来る恩返しだ。お前らはどうする?」
トロル「……ッ」
男隊員「強制は「しねぇ。しねぇが、野放しにするわけにゃいかねぇ」
トロル「クッ」
男隊員「ここで死ぬか、南であいつらと暮らすか、2つに1つだ」
トロル「…………」
男隊員「華、咲かせて見ろよ。もう誰にも縛られない、自由が待ってんぞ? ヒャハハ」
この後、魔王軍の捕虜は1匹たりとも殺される事なく、南方へと移送された。
707 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/19(火) 18:21:06.28 ID:kaPZOh/bo
咳が止まらんですわい…台風も近づいてきたし…
という事でひとまずここまでにて!また後で来れたらきます!
長い事お休みいただいてすみませんでした!
また今日から頑張りまっす!それでは!ノシ
708 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage ]:2012/06/19(火) 18:26:59.08 ID:xq21ySeyo
>>1
乙
709 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/19(火) 18:34:36.99 ID:hnYNtn48o
>>1
乙!!
残された魔物にも道があって安心した
710 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/19(火) 20:22:31.22 ID:BTvmCx6Jo
超酷いよね人間
711 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/19(火) 21:40:24.87 ID:e1cm7dIG0
お互いsummer
712 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 23:57:11.69 ID:rmOPokD1o
〜戦士の故郷〜
戦士「……」ザッ
青年「あの、村に何か用……」
戦士「……青年か? おっきくなったなぁ」
青年「戦士さん!? 戦士さんっ!!」ダッ
戦士「おっす!」
青年「戦士さん!! 久しぶりじゃないか!!」
戦士「元気そうでなによりだ。村は変わりないか?」
青年「ああ、何とかね。見ての通り変わってないよ」
戦士「良かった。やっぱ北だからよ、少し心配してたんだ」
青年「戦士さんに負けてらんないからね! みんな頑張ってるよ!」
戦士「……?」
青年「戦士さんの活躍は、村にまで届いてんだからっ」
戦士「そっか」
青年「みんな喜ぶよ! ほらっ、行こう!」
713 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/19(火) 23:58:34.12 ID:rmOPokD1o
〜幼馴染の家〜
青年「おじさん! 戦士さんが帰ってきたよ!」
戦士「……お邪魔します」
幼馴染父「おぉ……っ」ザッ
戦士「ご無沙汰してます、親父さん」
幼馴染父「キミの活躍ぶりはこの辺境にまで響き渡っているよ」
戦士「いや、無我夢中でやってきただけなんで……」
幼馴染父「それが結果として付いてきている。戦士くんが頑張ってきた証拠だよ」
戦士「実感は……ないっすけどね……」
幼馴染父「……ささ、座りたまえ。時間はあるんだろう?」
戦士「えぇと、まぁ」
青年「聞かせて下さいよ! 僕らに冒険の話を!」
戦士「冒険っつってもなぁ……」
幼馴染父「私もぜひ聞きたいところだ」
戦士「……うぅん。そんじゃあ――」
714 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 00:00:00.27 ID:t4bJMoFWo
…
幼馴染父「……そうか。色々とあったのだなぁ」
戦士「もうありすぎて、何から説明していいのかどうか……」
青年「でも、やっぱり凄いっすよ戦士さんは! この村の英雄だ!」
戦士「英雄なんてのは俺よりもっと沢山、世界中にいるよ」
…
幼馴染父「……そうか。色々とあったのだなぁ」
戦士「もうありすぎて、何から説明していいのかどうか……」
青年「でも、やっぱり凄いっすよ戦士さんは! この村の英雄だ!」
幼馴染父「それで、全て終わったのかね?」
戦士「いや、ままだ最後の戦いが残ってるんすよ」
幼馴染父「最後の戦い……」
戦士「今日はその戦いの為に、けじめをつけにきたんです」
幼馴染父「……そうか」
715 :
>>714なんだこれ……?
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 00:01:39.64 ID:t4bJMoFWo
…
幼馴染父「……そうか。色々とあったのだなぁ」
戦士「もうありすぎて、何から説明していいのかどうか……」
青年「でも、やっぱり凄いっすよ戦士さんは! この村の英雄だ!」
戦士「英雄なんてのは俺よりもっと沢山、世界中にいるよ」
幼馴染父「それで、全て終わったのかね?」
戦士「いや、ままだ最後の戦いが残ってるんすよ」
幼馴染父「最後の戦い……」
戦士「今日はその戦いの為に、けじめをつけにきたんです」
幼馴染父「……そうか」
青年「戦士さん、ケジメって……」
戦士「……」
幼馴染父「……行くか」スクッ
戦士「はい」スクッ
青年「……?」
716 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 00:03:51.69 ID:t4bJMoFWo
…
ザッザッザッ……
戦士「……」
青年「幼馴染さんの……墓」
幼馴染父「戦士くん、私達は教会の中で待っているよ」
戦士「……ありがとうございます」
青年「戦士さん?」
幼馴染父「さぁ、行こう」
青年「……っ」
テクテクテクテクテク……
戦士「……ふーっ」ポリポリ
手にした小さな花束を、幼馴染の墓前へと戦士は添える。
戦士「随分と遅くなっちまったな」
スッ
戦士「今日は、伝えたい事があって……来たんだ」
717 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 00:09:44.92 ID:t4bJMoFWo
サアアアアァァァァ……
戦士「……俺、好きな人が、守りたい人が出来たんだ」
――『分かってる。盗賊さんだよね?』
戦士「ああ。俺な、盗賊の事を……愛してる」
――『うん。それでいいんだと思うよ』
戦士「すまないな。お前には待たせた挙句……」
――『何言ってるのよ。私が勝手にしてた事なんだし』
戦士「……」
――『私はもう、大丈夫だから。何も心配はいらないからね?』
戦士「……ありがとう」
――『頑張ってね、私……見守ってるからね』
戦士「……ありが……とよ……っ」
――『さようなら……戦士くん――』
戦士「……ほんと……ありがとよ」
胸のポケットから取り出した古い四葉のクローバーは、風に乗って消えていった。
718 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage ]:2012/06/20(水) 00:15:38.83 ID:rizlHkKvo
まさかの深夜更新
お疲れ様です
719 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/20(水) 01:16:17.20 ID:fwUonylAO
>>1
おつ
720 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(静岡県)
[sage]:2012/06/20(水) 02:02:40.29 ID:szrfbQd30
>>1
おつ
>>714-715
の流れで笑っちまったwww
721 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/06/20(水) 08:20:37.14 ID:iLMxJWkdo
まぁ、大事なことだからな
3回ぐらいは言っとかないと
722 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/20(水) 08:22:42.67 ID:RnNUJvbAO
>>1
乙んつん
723 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/20(水) 12:37:16.62 ID:cdyls3awo
>>1
乙
>>715
無限のループから抜け出して
724 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/20(水) 14:22:39.69 ID:aQNhtnZ0o
まさかイザナミか・・・
725 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:21:18.88 ID:V9R2we8Po
〜夜、本国〜
魔道士「すっかり暗くなっちゃった。あっという間ですねぇ」
召喚士「そうですね。戦いの時は1日が長く感じますけど」
魔道士「そうですね〜」
召喚士「さてと、宿はどうしましょうか?」
魔道士「何だかホテルに泊まるのも久しぶりな感じ〜」
召喚士「言われてみればそうかもですね」
男「よっ、新婚さんかい? ウチの宿なら防音だよ! どうだい? 安くしとくよ!」
魔道士「へっ!?」
召喚士「けけっ、結構です!!」ソソクサ
魔道士「何で防音なんですか?」
召喚士「さ、さぁ……はははは……っ」
魔道士「ホテルはいつもの所でいいですかね?」
召喚士「そうしましょうか。あ、先にワークショップへ寄りましょう」
魔道士「はいっ!」
726 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:22:06.28 ID:V9R2we8Po
〜ワークショップ〜
召喚士「こんばんは〜」ガチャッ
店員「いらっしゃいませ。ご用件は?」
召喚士「伝言とお金の引き出しを」
店員「かしこまりました。こちらの書類に記入を」ズイッ
魔道士「あっ、そういえば」パラパラパラ
召喚士「あれ? 書式変わったかな? あ、でも前より分かりやすい……」
魔道士「……やっぱり!」
召喚士「!?」ビクッ
魔道士「召喚士さんっ!!」ズイッ
召喚士「な、何です!?」
魔道士「功績ランキング、大幅に変わってますよ」
召喚士「ランキング?」
魔道士「1位がジュニアさん、2位が魔法剣士さん。そして3位が……召喚士さんになってます!」
召喚士「――!?」
727 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:22:42.89 ID:V9R2we8Po
バッ!!
召喚士「そうか……っ、天才さん達……」
魔道士「はい……っ」
店員「あのぉ、書類を〜」
召喚士「あ、あぁ。すみません!」スッ
店員「では今しばらく、お待ち下さいませ」スタスタ
魔道士「天才さんも眼鏡さんも、女賢者さんも……消えちゃいました……」
召喚士「……」
魔道士「だから順位も繰り上げで……」
召喚士「あっ、魔道士さんも8位になってますね」
魔道士「前回は13位だったんで、急に上がっちゃいましたね」
召喚士「やっぱり魔王討伐は功績が大きいんですね」
魔道士「ですねぇ。剣士さんも7位ですし、弓使いさんと幼女ちゃんもトップ10入りしてますからね」
召喚士「……上位ランカーに知ってる名前しかない」
魔道士「確かに……。あ、でもこの6位のナイトさんだけ知らないですね」
728 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:23:19.73 ID:V9R2we8Po
召喚士「前回の戦いに居たんですかね? でも前から上位にいた気がしますね」
魔道士「前回の時も盗賊さんの下で9位くらいじゃなかったでしたっけ?」
店員「お待たせ致しました」スタスタ
召喚士「ありがとうございます」
店員「こちらが書類の控えと預金残高明細ですっ」
魔道士「はいっ。ありがとうござ――」バッ!!
召喚士「!?」
魔道士「なななっ、なんですかこの預金額は……っ」
召喚士「えっ!? あ、あぁー。そういえばここ最近あんまり使わなかったんで……」
魔道士「……とんでもない額じゃないですか……っ!」マジマジ
召喚士「ま、まぁ平和になったら4人で分けて、老後も安泰って事でいいんじゃないですか?」
魔道士「は、はは……あははっ」
召喚士「あははっ。さて、ホテルをとりに行きましょうか」
魔道士「はいっ!」テクテクテク
店員「ありがとうございました〜」
729 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:23:53.94 ID:V9R2we8Po
〜東方、都〜
パカラッパカラッパカラッ……ドドォ
盗賊「何とか今日のうちに帰ってこれた」ザッ
飛脚「はいはい、どいたどいた〜!」タッタッタッ
盗賊「賑やかだな」
テクテクテクテク……
盗賊「ここは、静かだけど」
都の入り口にかかる大橋。奥に広がる提灯の明かりとは裏腹に、
朱色の橋はその上に立ち止まる者なく、川のせせらぎだけを響かせていた。
町娘「ねぇねぇ、そういえばここに居た怖〜い顔のお坊さん、最近見かけへんねぇ」
芸者「あ〜そういえば」スタスタスタ
町娘「なーんか怖いお人やったけど、居ないとそれはそれで、何だか寂しいわねぇ。ふふっ」
芸者「そやねぇ。うふふふっ」
盗賊「……」
少し誇らしげに、盗賊は大橋の中央を渡り、城へと向かっていった。
730 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:24:23.21 ID:V9R2we8Po
〜帝の城〜
門番壱「どうぞ!!」ササッ
盗賊「うえっ!? あ、どうも……っ」
門番弐「最早、一里先からでも気づくようになりまして御座る!!」
盗賊「はぁ」
門番壱「馬、お預かり致します!!」
盗賊「ど、どうも」
門番弐「おみ足、洗いましょうか!?」
盗賊「いや、いいです」
スタスタスタ……
帝「おお盗賊、戻ったか」
盗賊「上様……?」
帝「どうだ? 似合うか?」ヒラリッ
女剣士「お前も着るんだぞ、早く」
盗賊「へあっ!?」
731 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:24:57.52 ID:V9R2we8Po
…
盗賊「……これで……いいですか?」チョコン
帝「浴衣だと言うのにこれ程までに胸を強調されるとはな」フー
女剣士「上様?」
盗賊「あ、あのぉ……これで一体どうしろと?」
帝「街は見てきたか? 祭りじゃ祭り」
盗賊「祭り、ですか?」
女剣士「上様たってのご希望だ。私達が一緒ならば護衛にもなる」
盗賊「なるほど」
帝「さぁ行こうぞ。いざ戦の地へ!」
女剣士「ノリノリだな」
盗賊「ノリノリだね」
帝「ん? 何か言ったか?」
盗賊「い、いえっ!」
女剣士(……可愛い)
732 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:25:38.44 ID:V9R2we8Po
…
シャンシャンシャン ピーヒャララー
帝「おおぉぉー!」キョロキョロ
女剣士「上様、あまりきょろきょろなさらない方が……」
帝「むっ!? あれhア金魚掬い! いざ行かん、決戦の地へ!」ピュー
盗賊「上様っ!?」
露天商「はいらっしゃい! お嬢ちゃん達可愛いねぇ。オマケしちゃうよ!」
帝「それはありがたい。では早速」グイッ
女剣士「上さ……帝ちゃん、腕まくりなんてはしたないですよ」
帝「五月蠅い、気が散るっ!」
女剣士「!?」ガーン
帝「……とりゃああぁぁ!!」クワッ
ビリッ!!
帝「――っ!!」
露天商「はい残念」
733 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:26:08.60 ID:V9R2we8Po
盗賊「上様、次は私が」
露天商「上様?」
盗賊「……上からサマっと水平に掬うのがコツ……ぶつぶつ」
露天商「……?」
盗賊「精神を研ぎ澄ませ、一点の曇りもない心で。これぞまさに、無我の境地――」
シュバッ!!
帝「おぉっ!!」
ビリッ!!
盗賊「わああぁぁ!!」
帝「何だ、変わらんではないか」クスクス
女剣士「どけ。帝ちゃん、私が取ってみせまする」
帝「ほほう、よほど自信があるとみえ――」
女剣士「ほいっ、えいっ、とあぁ!」
シュバッ!! ヒョイヒョイヒョイッ
盗賊「!?」
734 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:26:56.84 ID:V9R2we8Po
帝「何故!?」
女剣士「十九、二十、二十一いいぃぃ!」
露天商「もうやめてくれぇ!!」
女剣士「ふーっ。ざっとこんなもんです」
露天商「もう……やめてぇ……っ」
盗賊「す、凄い……」
女剣士「はい、帝ちゃん」タプンタプン
帝「要らぬ」
女剣士「えぇ!?」
帝「自分で掬ってない金魚など要らぬ」プイッ
女剣士「えぇーっ!?」ガビーン
帝「盗賊、次じゃ次」
盗賊「は、はい」スタスタスタ
女剣士「……返す」ドサッ
露天商「えっ!? あ、どうも……」
735 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:27:32.30 ID:V9R2we8Po
…
帝「次はあれじゃっ、あれが食いたいぞ!」
盗賊「太りますよ?」
帝「……」
…
女剣士「お、花火だ」
帝「綺麗だのう。束の間の癒しとはいえ、疲れが取れるな」
盗賊「ええ」
…
女剣士「上様、そろそろ戻りましょう」
帝「むぅ、もうこんな時間か」
盗賊「今日は沢山、楽しみましたね」
帝「まだ遊び足らぬが仕方ない。戻るとしようか」シュン
女剣士「さ、それでは参りましょう」
帝「うむっ」
736 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:28:09.79 ID:V9R2we8Po
…
帝「今日は有難うな。感謝するぞ」
盗賊「いえ、こちらこそ上様の共が出来て、楽しかったです」
女剣士「たまにはこうやって、羽を伸ばしても罰は当たらないでしょう」
帝「そうだな。明日からはまた東方の主として、働かねばならぬな」
盗賊「それでは、お休みなさいませ」
女剣士「ごゆっくりお休み下さいませ」
帝「そなたらもな。それじゃお休み。ふわわぁ……」スタスタスタ
女剣士「普段は気丈に振る舞っておられても、年ごろの乙女なのだ」
盗賊「ええ」
女剣士「今日のような日々が、今後も訪れれば良いのだがな」
盗賊「その為に、今こそ戦わねばならぬ」
女剣士「お前もだろう?」
盗賊「へっ!?」
女剣士「上様にも誰か、良き殿方が現れれば良いのだがな」
737 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:28:47.08 ID:V9R2we8Po
王子「ぶぇ〜っくしゅ!!」
西国兵「汚ねぇっすね……」
王子「口の聞き方に気を付けるのだな。左遷もも覚悟しておけよ?」
〜西国の城〜
王子「ただいま戻りました」
女王「まぁまぁ、長き戦い……ご苦労様でしたね」
王子「まだ全てが終わったわけではありませんよ」スタスタ
王女「皆もまた、無事なのですか?」
王子「ええ。中には死んだ者もおりますがね」
王女「……っ」
王子「姉上の気にかけている方達は皆、無事ですよ。ご安心を」
女王「少し、休まれたらどうなのです?」
王子「ええ、そうさせて貰いますよ」
スタスタスタ……
王子「……」
738 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:29:32.94 ID:V9R2we8Po
バタン
王子「……はぁ」ボフッ
フワアアァァァァ
神官『王子、どうかなさいましたか?』
王子「別に」
神官『悔やんでおられるのですか? 西国兵長を失った事を』
王子「別に」
神官『……アヌビスを使うつもりですか?』
王子「……」
神官『使ったところで、王子は英雄にはなれませんよ?』
王子「そんな事はどうでもいい。僕はこの世界を守りたいだけだ」
神官『魔王サタン相手にアヌビスを使い、どれだけの命が失われると?』
王子「滅亡よりはマシさ。0と1じゃあ全然違う」
神官『残された1は、それで本当に喜びますか?』
王子「だったら!! どうすればいいんだよっ!! みんなやられたら僕がやるしかないんだよ!!」
739 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:30:08.16 ID:V9R2we8Po
ガバッ!!
王子「……朝、か」
〜次の日、戦士の故郷〜
戦士「そんじゃ、また」
幼馴染父「必ず、生きてまた会おう」
青年「戦士さん! 絶対に、絶対にまた……っ!」
戦士「ああ。それじゃ行ってきます」ザッ
テクテクテクテク……
青年「……戦士さん……っ」
幼馴染父「戦士くんは強くなった」
青年「そうっすね……」
幼馴染父「あんな目を出来るようになるなんて、本当に強くなったよ」
青年「目、ですか?」
幼馴染父「彼の目は清々しかった。あれはいつでも死を受け入れる、そんな目だ」
青年「っ!!」
740 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:31:26.80 ID:V9R2we8Po
テクテクテクテク……
戦士「さーて、次は……」
――「きゃああぁぁぁぁ!!」
戦士「!?」
ガサガサガサッ!!
――「たっ、助けて!!」
戦士「あん?」
野盗「もう逃がさねぇぞ〜。その美しい顔をぐしゃぐしゃの泣き顔に変えてやるぜぇ〜!」ガサッ
戦士「何……なんだよ……」
野盗「ちっ、どけ! そのアマこっちに渡し――」
バギャアアァァ!! ドグシャアアァァ……
戦士「何やってんだよコラァ!!」
野盗「こんの野郎ぉーっ!!」
戦士「何やってんだって言ってんだろうがああぁぁ!!」ドゴォ!!
――「……んふ〜。強いジャン♪」
741 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:32:11.02 ID:V9R2we8Po
…
戦士「……」
野盗「ど、どうせ……世界は終わりなんだ……っ」
戦士「だからってこんな真似が許されるとでも思ってんのか!? あぁ!!」
野盗「どうせ死ぬんだ! みんな死ぬんだよ!!」
戦士「死なねぇよ!! そのためにみんな、頑張って戦ってんだろうがっ!!」
野盗「知るかよ!!」
戦士「てめぇも何とかしようと思わねーのかよ!! 何かできんだろうが!!」
野盗「……っ」
戦士「……ちっ。おい大丈夫か? 行くぞ」
――「ありがとうございます……っ」ペコペコ
戦士「気にすんな。ほれ、行くぞ」ザッ
テクテクテクテク
戦士「そういやお前、名前は? 俺は戦士ってんだ」
――「私、美女って言います。本当にありがとうございましたっ」モジモジ
742 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/20(水) 18:35:59.36 ID:V9R2we8Po
今日はここまでじゃよ。ご支援まことにありがとうございました!
それではまた明日!失礼致します!!ノシ
>>724
イザナミだ
743 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(富山県)
[sage]:2012/06/20(水) 18:42:38.17 ID:mCTSQBtw0
>>1
おつ
王子爆ぜろ
744 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/20(水) 18:48:12.32 ID:gowoVIOTo
流石はメイン主人公、あちこちでフラグを立てまくるとは戦士さんかっけぇっす
745 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/20(水) 18:48:42.56 ID:6OV9xXldo
>>1
乙!
帝「次はあれじゃっ、あれが食いたいぞ!」
盗賊「太りますよ?」
大食いの盗賊が言うなよwwwwww
746 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2012/06/20(水) 18:51:17.11 ID:MfeVzC+fo
>>1
おつ
戦士もげろ
747 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/20(水) 19:43:33.41 ID:dprfclhDO
>>1
乙
>>745
まあ盗賊は食べたものは全部胸に行くからな
748 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/20(水) 21:25:36.83 ID:PS7DR6CDO
>>732
左大臣がいるように見えるww
749 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/21(木) 00:45:09.29 ID:2A0TD5NAO
>>1
おつ
>>737
の王子の反応が予想通りでワロタwwフラグ立てまくったもんな
750 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/21(木) 05:15:37.71 ID:V9AR5DxN0
>>1
おつ
751 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/21(木) 06:26:16.36 ID:OtGQqqlAO
>>1
乙!
>>749
死亡フラグだろ?
752 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
:2012/06/21(木) 08:00:12.82 ID:Nf/coYVY0
死亡フラグだろ
爆発しろ
753 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/06/21(木) 10:03:15.59 ID:5OOJPHlJo
お前らの王子嫌いは根深いものがあるなww
俺も嫌いだ
754 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛媛県)
[sage]:2012/06/21(木) 12:36:26.33 ID:FffuqO/No
俺は好きだよ
755 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 12:51:18.46 ID:S6yxhDR0o
帝ちゃんを守るためにアッー
756 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 17:58:03.09 ID:aBy1Xk5To
〜本国、ホテルのロビー〜
魔道士「おはようございますっ!」
召喚士「おはようございます。ゆっくり休めましたか?」
魔道士「はいっ! 久々の広いベッドでぐっすり寝ちゃいました! えへへっ」
召喚士「それは良かったです」
魔道士「今日はどうします?」
召喚士「さっきワークショップへ行ってきたんですが、まだ2人から連絡はありませんね」
魔道士「そうですかぁ。じゃあ今日も2人っきりですね〜」
召喚士「どこか行きたい所はありますか?」
魔道士「私は特に。もう実家にも帰りましたし。召喚士さんはないですか?」
召喚士「……もし良かったら、付き合って貰えませんか?」
魔道士「……え……っ!?」
召喚士「ちょっと行きたい所があるんです」
魔道士「えっ、あ……ええ! いいですよっ、お付き合いいたします……っ!」ドキドキドキ
召喚士「良かった。ありがとうございます」
757 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 17:58:54.48 ID:aBy1Xk5To
〜南東国、東の城〜
三男「よくぞ来てくれた」
剣士「こちらこそお声をかけて下さり、有難うございます」
白馬騎士「本日お集まり頂いた理由は、お分かりですかな?」
ハヌマーン「南方における、今後の動向と言ったところか」
白馬騎士「その通りです」
剣士「しかし本国抜きで協議して宜しいものでしょうか……?」
白馬騎士「本国はまだ多忙であられる。一先ずは我らで意見をまとめておきたいのです」
ハヌマーン「その方が伝わりやすくて良かろう」
剣士「なるほど」
三男「では任せるぞ」
白馬騎士「陛下もご参加下され」
三男「国政は白馬に任せている。私が口出す問題ではない」
白馬騎士「しかし……っ」
三男「案ずるな、さじを投げているわけではない。最終判断は私が下す」ザッ
758 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 17:59:24.49 ID:aBy1Xk5To
…
三男「……」カツカツカツ
幼女「もう、終わったのですか?」
三男「幼女さん、貴女も来ておられたか」
幼女「ええ。お邪魔してます」ニコッ
三男「会議は君の父上らに任せたよ」
幼女「宜しいんですか?」
三男「……正直、私は武力も政治も持ち合わせておらぬ」
幼女「そんな事は……」
三男「いや、良いのだ。事実そうであるのだから」
幼女「陛下……」
三男「だがそれでも、華国の王族として生まれ、王位を継ぐことと相成った」
幼女「……」
三男「兄が2人も居るにも関わらず、数奇な運命だ」
幼女「……ええ」
759 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 17:59:54.55 ID:aBy1Xk5To
三男「過程ははともかくとしても、今現在、私が王で在る事に変わりはない」
幼女「はい」
三男「王は存在だけで良いのだ。存在する事に意味がある。力などなくても、な」
幼女「確かに、そうなのかもしれませんね」
三男「孤独ではあるが、王で在り続ける事こそが王の務め」
幼女「……本当は支えがあれば、良いんですけれどね」
三男「そうだな。まぁ私もまだ若い。支えになってくれる相手はゆっくり探すとするよ」
幼女「ふふっ、それもそうですね」
三男「それとも、幼女さんが支えになってくれますか?」
幼女「えっ!? えっ、あ……いやっ、そそっそんな滅相もない……っ!!」
三男「ははっ。こんな頼りない男性はお断りですか?」
幼女「そっ、そうではなくてっ! 一国の主に嫁ぐにはもっとちゃんとした女性が……っ!!」
三男「幼女さんはちゃんとしておられないと?」
幼女「ちゃんとしておられないですっ!!」
三男「……ぷっ、ははっ。あははははっ!」
幼女「……うぅ……っ///」アセアセ
760 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:00:29.99 ID:aBy1Xk5To
…
白馬騎士「ほぉ、法師殿が?」
ハヌマーン「うむ。投降した魔族を見事に諭し、騒ぎの1つも今のところは起きておらぬ」
剣士「流石ですね……っ」
ハヌマーン「しかもその魔族らが今度は仲間らを説得し、拡散しておる」
白馬騎士「良い傾向ですね。今後も増える可能性は十分、ありますしね」
ハヌマーン「スグリーヴァ様の残した土地は広大だ。何万いようと迷惑かけずに住む事が出来る」
剣士「迷惑だなんて……」
ハヌマーン「いや、やはり違う種族、しかもついこの間までいがみ合っていた間柄だ」
白馬騎士「……」
ハヌマーン「多少の距離感をもって共存する事が、現状は望ましいだろう」
剣士「……確かに言われてみれば、そうかもしれませんね」
白馬騎士「人間側が魔物を迫害する恐れとてありますからね」
ハヌマーン「家族を殺され、魔族に恨みを持つ人間も少なからず居るであろうしな」
剣士「……」
761 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:01:08.11 ID:aBy1Xk5To
ハヌマーン「なぁに、何れは時が解決してくれるさ。尤も、その頃にはそなた等は居らぬであろうが」
白馬騎士「行く末を見届ける役目は、ハヌマーン殿にお任せ致しますよ」
ハヌマーン「承知した。何百年先とて、しっかりこの目に焼き付けてくれようぞ」
剣士「であれば、あえて国境などは引かず、しかし過度な干渉は避けるという事で」
白馬騎士「条約とまではいきませんが、文面にして互いにまとめておきましょう」
ハヌマーン「うむ。それを本国の連中へも伝えてやってくれ」
白馬騎士「承知致しました」
ハヌマーン「……感謝するぞ、剣士殿」
剣士「えっ?」
ハヌマーン「国境の件だ。気を利かせてしまったようだな」
剣士「いやいや。国境なんてものがあるから、国や種族で争いが起きるんです」
ハヌマーン「うむ。しかしなければ起きる争いもある」
剣士「はい。ですから必要のない所に設ける事はありませんし、完全に撤廃する必要もないんです」
ハヌマーン「お主のように柔軟な人間が増えれば、共存の日も一層近しくなるな」
剣士「ははっ。だといいですね!」
762 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:01:34.41 ID:aBy1Xk5To
〜本国、中央広場〜
召喚士「……んーっ、今日は天気が良くて気持ちいいですね〜」
魔道士「あの、召喚士さんが来たかった場所って……ここですか?」
召喚士「ええ。駄目でしたか?」
魔道士「いえいえいえっ! そんな事はないですけど……意外だなって」
召喚士「そうですか?」
魔道士「だって、ここはいつでも来られるじゃないですか」
召喚士「う〜ん。言われてみればそうですね。はははっ」
魔道士「何か理由でもあったんですか?」
召喚士「……ここは、俺にとって特別な場所なんです」
魔道士「特別……?」
召喚士「覚えてますか? 今から5何前の事」
魔道士「……あ……っ」
召喚士「あの日、俺はこの辺りで1人、ぽつんと立ってたんですよね」
魔道士「……っ」
763 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:02:04.90 ID:aBy1Xk5To
召喚士「ワークショップでパーティー募集の告知をして、ここで待ってたんです」
魔道士「……そっか。そうでしたよね……っ」
召喚士「何人かが来ては、初心者だと知っては去っての繰り返しで……」
魔道士「そんな時、私が……」
召喚士「はい。声をかけてくれました。俺にとって初めての仲間でした」
魔道士「私にとっても初めてでした……」
召喚士「それからまたしばらくして、戦士が声をかけてくれて」
魔道士「そうでしたねぇ。その前に何人も来ては笑われましたけど」
召喚士「戦士が仲間になった直後、盗賊さんも仲間になったんでしたよね」
魔道士「そうそうっ。いきなり居てビックリした覚えがありますよ。ふふっ」
召喚士「sここで初めて、俺らはスタートラインに立ったんですよね」
魔道士「はいっ。あの時はこんなところまで来れるとは思いませんでしたけれど」
召喚士「……俺、もう1回辿ってみたいんです。自分達が歩んできた道を」
魔道士「はいっ! お付き合いしますよっ」
召喚士「……ありがとうございます。じゃあ早速、行きましょうか」
764 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:02:30.55 ID:aBy1Xk5To
〜南東国、東の城〜
三男「……うむ。良いと思うぞ」
白馬騎士「それではこの内容にて、本国と協議に入りたいと思います」
ハヌマーン「宜しく頼む。それではそろそろ失礼する。また後日」スッ
剣士「もう行かれるんですか?」
ハヌマーン「うむ。まだ魔族の受け入れも最中であるしな」
剣士「……サタンとの戦いには?」
ハヌマーン「残念だが我らは参加出来ぬ」
剣士「そうですか……」
ハヌマーン「手を貸したいとは山々なのだが、地獄はちと、辛いのでな」
白馬騎士「辛いとは……?」
ハヌマーン「瘴気が濃すぎる。地上に居る時とは桁違いにな」
白馬騎士「ハヌマーン殿らにも影響が?」
ハヌマーン「理性を保てなくなる、というか本来の魔族に戻るといったところか」
剣士「ハヌマーンさんでも、ですか?」
765 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:03:06.13 ID:aBy1Xk5To
ハヌマーン「制御する自信はない。下手に踏み入らぬが吉よ」
ザッ
ハヌマーン「お主らと戦う事になるなど、愚の骨頂であるからな」ヒュバッ!!
剣士「……ハヌマーンさん」
白馬騎士「剣士殿は行かれるのか?」
剣士「可能であれば、何かしらの役には立てるかと」
白馬騎士「そうか」
剣士「老将軍様の容態は?」
白馬騎士「未だに意識不明のままです。回復すれば良いのですが」
剣士「そうですか……」
白馬騎士「私とて行きたい気持ちはある。あるのだが……っ」ギリッ
剣士「気になさらないで下さい。すべき事が沢山あるはずです」
白馬騎士「……すまぬっ。せめて華国より、出来る限りの支援はしたいと思います」
剣士「ありがとうございます。そのお気持ちだけで、皆も力になると思いますよ」
白馬騎士「……っ」
766 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:04:18.35 ID:aBy1Xk5To
…
剣士「それではまた」
三男「幼女さんも行くのか?」
幼女「はい。役に立てるか分かりませんけれど」
三男「……そうか。くれぐれも気を付けてな。無理をしないよう」
幼女「ありがとうございます」
白馬騎士「吉報を、お待ち申し上げております」
剣士「必ずや」
ザッ……カツカツカツ……
三男「……華国は情けない、などとは思わぬぞ」
白馬騎士「……」
三男「背伸びしても仕方がないのだ。出来ない事に時間を費やすよりも出来る事をすべき」
白馬騎士「陛下の仰る通りだと思います」
三男「華国の本当の役目は、サタンを倒した後の世にある。私はそう思う」
白馬騎士「……本当に、その通りだと私も思いますよ」
767 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 18:19:30.77 ID:RNZqUcQDO
三男爆発しろ!
768 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 18:25:27.79 ID:RS+kpH9DO
ここに来て美女という新キャラが出たというのに、まぁ大体どんな奴かわかったが
769 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:25:56.34 ID:aBy1Xk5To
〜港町〜
船員「港町〜港町〜。入港時間は30分です。お降りの方は速めに――」
魔道士「着きましたーっ!」
召喚士「すっごい久々な気がしますね」
魔道士「剣士さんの結婚式で立ち寄って以来でしたっけ?」
召喚士「ああ、そうかもしれませんね」
魔道士「最初の頃は、ほーんとお世話になりましたよね」
召喚士「ええ。本国とここのほぼ往復みたいな感じでしたからね」
魔道士「魔物の牙や動物の毛皮とか狩りつつ、届け物とかも担って……」
召喚士「そうそうっ。全然お金にならないんですよねっ!」
魔道士「そうでしたそうでした! えへへっ!」
召喚士「……ついこの間のような、そんな気がするのになぁ」
魔道士「もう、5年も前の事なんですよねぇ」
召喚士「……さて、次に行きましょうか」
魔道士「はいっ!」
770 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:26:28.97 ID:aBy1Xk5To
〜北の街道〜
パッカパッカパッカ……
美女「ねぇねぇっ、どこ行くのー?」
戦士「北関だ! お前はそこで軍に保護してもらえっ!」
美女「えぇ〜っ!? 嫌だよぉ」
戦士「嫌じゃねぇ!! こっちは忙しいんだよっ!!」
美女「じゃあ私もっ、一緒に行くー」
戦士「行かねぇよ!! 遊んでるわけじゃねぇんだこっちはよ」
美女「そんなぁ〜」
戦士「とにかく、北関に着いたら国軍に引き渡す。いいな?」
美女「……ぶぅ」
戦士「家族とかいんだろ? 心配してんぞ今頃」
美女「していないですって〜」
戦士「お前が言うなっ!!」
美女「うふふふ〜っ♪」
771 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
:2012/06/21(木) 18:27:31.76 ID:dLLydNrzo
ハヌマーン「国境の件だ。気を利かせてしまったようだな」
772 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:28:25.42 ID:aBy1Xk5To
〜遺跡〜
召喚士「……」ザッ
魔道士「もう、来る事はないって思ってましたけど」
召喚士「悲しい事が、多すぎましたから」
魔道士「ええ……」
召喚士「ここでも色々な事がありましたよね」
魔道士「はい。ここで初めて、剣士さんや弓使いさんと一緒に戦って……」
召喚士「影忍さんと初めて会ったのもここでした」
魔道士「そして、魔王パズズに……青龍先生……っ」
召喚士「最初はまさか、そんな重要な遺跡だとは知りませんでしたけれど」
魔道士「そうですよね。何度も足を運んでいるうちに、分かってきたんですもんね」
召喚士「……そして、奴と初めて会ったのもここだ」
魔道士「……っ」
召喚士「ネクロマンサー。奴はまだ、終わっていない」
魔道士「絶対に、終わらせなきゃ……っ!」
773 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:31:05.54 ID:aBy1Xk5To
〜本国、病院〜
ナース「面会時間終了になります」
朱雀嬢「ほら、行きますわよ」
玄武娘「はいですの……」
サモナー「玄武娘、毎日来なくても大丈夫だから」
玄武娘「いんですのっ! 私が勝手に来ているだけですの!」
サモナー「それはそうかもしれないけれど、君にはまだ、すべき事があるだろう?」
玄武娘「すべき事……」
朱雀嬢「そうですわよ。あなたは自分の回復も考えなくては……」
玄武娘「そんなのご御食べてれば大丈夫ですの!」
朱雀嬢「……まぁ、あなたなら一理ありますわね」
サモナー「とにかく面会終了だし、今日はもう帰りなさい」
玄武娘「……また、明日ですの」トボトボ
朱雀嬢「それでは失礼致しますわ」カチャッ
サモナー「ありがとう」
774 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:38:37.47 ID:aBy1Xk5To
〜夜、山あいの町〜
魔道士「ここに泊まるのは何年振りでしょうかねっ!」
召喚士「懐かしいですね! やっぱり海沿いの町はいいなぁ」
魔道士「分かります〜。内陸育ちだから、ちょっとテンション上がっちゃいますよねっ?」
召喚士「そうですね。海産物をふんだんに使った料理も美味しいですし!」
魔道士「ワインなんかとよく合いますよねぇ〜」
召喚士「あ、いいですねワイン! ちょっと飲んじゃおうかな」
魔道士「お付き合いしますよ〜。テンション上がって飲みすぎないよう、気を付けないとですねっ!」
召喚士「そうですねっ!」
魔道士「それじゃ早速、行きましょ〜! えへへっ!!」
召喚士「明日はこのまま、南方方面でいいですかね?」
魔道士「あ、はいっ!」
召喚士「それじゃ先に、馬車の手配をしておきますね」
魔道士「じゃあ私、レストランの席、確認してきますっ!」タッタッタッ
満月の夜まであと、10日。
775 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/21(木) 18:41:01.90 ID:aBy1Xk5To
何とかキリよく今日はここまでにて!
ただですらチンタラ進まないのでパーティー結成の回想シーンは省きました
決して以前、本編のどこに書いたのか探したけれど、
見つからず分からなかったわけではありませんので!!!!
今日も沢山のご支援ありがとうでした!それではまたっ!ノシ
776 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 18:45:58.62 ID:V1SOqtSDO
>>1
乙
777 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 18:57:27.24 ID:bKFrSgYIO
乙
778 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 19:32:36.53 ID:RNZqUcQDO
パーティー結成シーンは二度程でてた気がする
おつんぽ!
779 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
[sage]:2012/06/21(木) 19:40:58.92 ID:U+gGZqUro
なるほどそういうことにしておいてやろう
>>1
乙
780 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 20:25:34.08 ID:9pBu6Jrdo
そういう時は『パーティー募集』とかでスレの頭から検索かけるとすぐ見つか・・・39スレか
うん、諦めてさり気なく呟いてマニアに任せよう
781 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/06/21(木) 20:28:12.84 ID:w81c2Ptho
召喚士「誰も来ないですねえ・・・」
魔道士「新米ですから・・・」
戦士「パーティ募集ってのはここか?」
盗賊「・・・」コクン
みたいなのは覚えてる
782 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 21:19:43.00 ID:sble/nkDO
>>1
乙!
この日常パートの平和な感じいいなぁ…
このままサタン戦が始まらずに戦士の連れている美女から始まる厄介事に巻き込まれて
いつものように冒険が始まって、物語がずっと終わらなければいいのになぁ…
783 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 21:27:18.50 ID:sble/nkDO
パーティー募集ひとつはこれか
ttp://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice/1260686779_15.html
784 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/06/21(木) 21:30:31.55 ID:MslxdSmv0
もうひとつがこれか
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice/1329482009_15.html
785 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/21(木) 21:54:15.98 ID:S6yxhDR0o
出おったなマニアども
786 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/22(金) 01:26:01.27 ID:AQZJ3WqAO
>>1
おつ
盗賊は昔に比べておしゃべりになったもんだな
787 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/22(金) 02:26:40.79 ID:/1gRl9EN0
>>1
おつ
788 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/22(金) 08:32:32.22 ID:zPd+2xxNo
>>1
乙
サーターン!サーターン!
早く王子三男ペニスを消してくれ
789 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:03:56.24 ID:oaEO3VFho
〜次の日、北関〜
将軍「……おぉ……っ」
局長「おら、どけどけぇー。鉱石様のお通りだぞ!」
北関兵「とんでもない大きさだな……っ」
鍛冶娘「このまま仮設工房へ運びますよっ」
ゴトンゴトンゴトン
戦士「……おっ?」スタスタ
美女「何ですかぁ、これ?」
戦士「もしかして、鉱石か!?」
将軍「おぉっ、戻ったか!」
戦士「うっす。ほんとは立ち寄る予定なかったんだけど……」
将軍「……?」
鍛冶娘「!? あっ、戦士! ちょうど良か――」
美女「……?」キョトン
鍛冶娘「……誰その人?」
790 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:04:38.51 ID:oaEO3VFho
…
美女「……」
鍛冶娘「……」
戦士「……な、なぁおい」
鍛冶娘「ふーん。それで、野盗に襲われている所をたまたま通りかかって助けた、と」
戦士「だからそう言ってんだろ」
鍛冶娘「……ま、別に私には関係ないけど。盗賊さんに言っちゃお」ボソッ
戦士「はぁ!? 盗賊は関係ねーだろ?」
美女「ねーねー、盗賊って誰ですかぁ?」
戦士「お前には関係ねぇ!!」
美女「ひゃっ」ビクッ
戦士「あぁもう! んで、鉱石はどうだ!? いけそうか?」
鍛冶娘「……知らないっ」ガタッ
戦士「あっ! おい!!」
美女「行っちゃった。あ〜あ、怒らせちゃいましたねぇ〜んふっ」
791 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:05:23.24 ID:oaEO3VFho
戦士「てめぇが発端だろうが!」
美女「怖いよーっ! 怒鳴らないでぇ!」
将軍「入るぞ」ガチャッ
戦士「!?」
将軍「!?」
美女「ヒックヒック……」
戦士「勘違いするなよ?」
将軍「……よく分からんが、まぁいい。それでさっき言ってた話とは?」
戦士「ああ、こいつを保護してやってくれ。事情は報告書に記入しといたから」スッ
将軍「……野盗か。まだそんな連中が居るとは、我らの責任でもあるな」
戦士「しっかり取り締まっといて下さいよ国軍サン」
将軍「むぅ、すまぬ。とにかくその娘の件は承知した」
美女「えぇ〜っ? イヤよイヤイヤっ!」
戦士「ワガママ言うな!」
美女「……ぶぅ」ムスッ
792 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:06:23.95 ID:oaEO3VFho
…
将軍「次はどこへ行く? 朱雀先生らも気にしていたぞ?」
戦士「ワークショップ経由で連絡あるからいいっすよ。んじゃ」ザッ
美女「もぉ〜っ、離せー!」
北関兵「こらっ、暴れるな!」
戦士「……はぁ」
ガチャッ……テクテクテク……
戦士「……?」
鍛冶娘「……」
戦士「あーその、すまん!」
鍛冶娘「……何で謝るの?」
戦士「いや、だってよ……」
鍛冶娘「戦士が何か悪い事したわけ?」
戦士「してねぇよ」
鍛冶娘「じゃあ謝らなくていいじゃん。バッカみたい」
793 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:07:14.65 ID:oaEO3VFho
戦士「……」
鍛冶娘「……ん」ゴソゴソ
戦士「何だ? 手紙?」
鍛冶娘「お父さんとお母さんに渡しといて。行くんでしょ?」
戦士「……何で分かったんだ?」
鍛冶娘「アンタの事だからどうせそうだろうと思って」
戦士「……そっか」
鍛冶娘「頼んだわよ」ザッ
戦士「あ、ああ」
鍛冶娘「……鉱石はやっとくから」
戦士「え……っ?」
鍛冶娘「別にっ、戦士の為じゃないんだから。世界の為よ。勘違いしないで!」
ザッザッザッ……
戦士「……サンキュ」
次なる目的地、鉱山の町へ向かう為、戦士は北関を後にし北の港へと出発した。
794 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:08:26.27 ID:oaEO3VFho
…
将軍「それじゃあ任せたぞ」カツカツ
北関兵「ははっ。ほら、大人しくこっちに来なさい」
美女「……甘くみやがって」
北関兵「何か言ったかぁ?」
美女「ううんっ、何でもないの……ただ……」スススッ
北関兵「お、おい……っ」ゴクッ
ドカッ!! バキィ!! ドサッ
美女「……フンっ」パンパン
北関兵「……」
美女「戦士とか言ったわね。そう簡単に諦めるもんですかっ」
ザッ パッカパッカパッカ
将軍「ん? おい、誰が勝手に馬を……」
美女「どいたどいたぁ〜っ!!」ドカカッ
将軍「――っ!?」
795 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:09:31.32 ID:oaEO3VFho
〜東方、都〜
盗賊「では、行って参ります」
帝「我らもすぐに向かう。また後程な」
盗賊「はっ」シュルッ
帝「さて、と。女剣士よ、ちょっと付き合って貰えぬか?」
女剣士「内容次第にて」
帝「剣の稽古じゃ。出来る限りやっておきたい。無駄にはならぬはずじゃ」
女剣士「御意に。短時間ですので、厳しくいきますよ」
帝「臨むところよ」スクッ
女剣士「……」
帝「どうした、行くぞ?」
女剣士「はい」
出来れば帝には極力、前線にて戦って欲しくはない。そんな思いはあるものの、
今や戦力として貴重な存在であるのも事実。女剣士の心中は複雑なものであった。
昨晩見た帝の顔がどうしても脳裏から離れないままでいた。
796 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:11:02.36 ID:oaEO3VFho
〜南方、南の街〜
魔道士「南方には最近も何度か来ましたけど、この街は近くを通るとかそのくらいでしたよね?」
召喚士「確かにそうかも。赤壁とかは頻繁にありましたけどね」
魔道士「ここでも色んな思い出がありますね〜」キョロキョロ
召喚士「これ、覚えてます?」スッ
魔道士「――っ!!」
召喚士「魔道士さんがくれた指輪。今も大事にしてますよ」
魔道士「……付けてないから……もう捨てちゃったのかと思ったぁ……っ」
召喚士「えっ!? あ、いやいや! 戦闘中に壊れたりするといけないと思って!」
魔道士「もぉ〜っ。そうならそうって言ってよぉ」ポカポカ
召喚士「す、すみません……っ。ネックレスに通して、肌身離さず持ってますからっ!」
魔道士「肌身離さず?」
召喚士「はいっ。……いや! だって、えっと! そ、そう簡単に外すものでもないですし!
魔道士「で、ですよね〜!///」
召喚士「……っ///」
797 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:12:47.60 ID:oaEO3VFho
南方参謀「……」ジーッ
召喚士「おわあっ!!」ビクゥ!!
魔道士「南方参謀さんっ!? ビックリさせないで下さいよ!!」
南方参謀「たまたま通りかかっただけよ。てか、ここ店の前だし」
召喚士「店……?」クルッ
南方参謀「アタシのお店♪ なんなら働いてく?」
魔道士「ちょっとくらいなら構いませんけど……」
南方参謀「魔道士ちゃんに用はないわよっ。用があるのは……」ズイッ
召喚士「!? ま、まさか……」
南方参謀「ここ2丁目界隈じゃ、ちょっと評判のお店なのよ?」
召喚士「やっぱりオカマバー!!」
南方参謀「失礼ねぇ。最近じゃあ、オネエ系って言うんだからっ」
召喚士「行きましょう、魔道士さん」
魔道士「ちょっと働いて行ったらどうです!? 召喚士さんっ!!」ギラギラ
召喚士「働きません……っ!」
798 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/22(金) 18:24:22.82 ID:oaEO3VFho
今日はあんまり進まなかった…ひとまずここまでにて
キリがないのでそろそろ飛ばしていきたいところですね…
ご支援ありがとうございました!それではまた!ノシ
799 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/22(金) 18:25:32.84 ID:vhsfspwDO
戦士もげろ
おつんぽ!
800 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/22(金) 18:33:54.77 ID:ASat6KMro
再来の召喚子
>>1
乙
801 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/06/22(金) 19:16:24.75 ID:mbAyUw1do
召喚士が女装とかするから・・・
興味本位でやってしまって抜けれなくなったんだよなぁー
懐かしい
802 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/22(金) 19:24:32.53 ID:TSZ+Cf+Io
>>801
ワロタwwwwwwしかも安価801ておい
803 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/22(金) 21:28:41.94 ID:Qs+X2Q4No
そういや青年子さん、今ごろどこで何をしてるんだろうな(棒)
804 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/22(金) 22:04:26.69 ID:nj51cqXC0
>>801
おまえが優勝
いろんな意味で
805 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/23(土) 01:14:38.60 ID:TE4UJ38AO
>>1
おつ
806 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)
[sage]:2012/06/23(土) 02:38:16.31 ID:NveAuIS0o
乙
オカマとおネエ系は別物だぞ
ゲイとホモは差別的ニュアンスの違い
女装=オカマ≠おネエ系=ゲイ=ホモ
おネエ系はゲイ、ホモの中の種別
女装、オカマは必ずしもゲイ、ホモではない性癖や趣向に分類されます
乙
807 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/23(土) 08:23:43.51 ID:i92Y3HTAO
>>806
と
>>1
乙んつん
あ〜俺もポカポカされたい
808 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/23(土) 09:34:12.76 ID:gTAy08Q7o
>>806
ん?
オカマは異性愛者ってこと?
809 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/23(土) 22:42:16.00 ID:LrZlo2Ofo
>>806
一緒だなんて言ってないと思うが
810 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
:2012/06/23(土) 22:47:48.52 ID:21shaxgVo
>>806
めんどくさ
811 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/24(日) 18:14:58.66 ID:nf2BoTiY0
ここで
>>1
が久々颯爽登場!!
↓
812 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/24(日) 18:16:04.69 ID:4GYhVq7bo
__
/。 \
|ノ ゚|
ノ ゴ ハ
813 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)
:2012/06/24(日) 19:42:48.98 ID:lnIrGejAo
はいはいおもしろい
814 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/24(日) 23:12:28.64 ID:hwfRgeyAO
__
/。 \
|ノ ゚|
ノ ゴ ハ
815 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:45:01.82 ID:Ps8PZq7Oo
〜北の港〜
戦士「流石にデカイ大戦の後だし、人も少ねぇか?」
スタスタスタ
ワーカー「……!? ちょいとアンタ」
戦士「あん?」
ワーカー「アンタよ、もしかして朱雀パーティーの戦士さんじゃないかい?」
戦士「お、おぉ。えっと……どこかで会ったっけか?」
ワーカー「こないだのベルゼブブ戦、俺もワーカーとして参加してたんだよ」
戦士「そうだったのか、すまん……」
ワーカー「いやいや。アンタは知らなくて当然、気にしないでくれや」
戦士「お互い生きてて、何よりだな」
ワーカー「ああ。俺とアンタじゃ戦う舞台が違うけど、アンタはまだ戦うんだろ?」
戦士「ああ。最後の戦いになると思うけどな」
ワーカー「こんな俺が言っても仕方ねぇけど、アンアタなら出来るさ。頑張ってくれ!」
戦士「ありがとよ。俺やあんたや世界の為に、やれるだけやってくるよ」
816 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:45:35.26 ID:Ps8PZq7Oo
〜南方、マーマンの泉〜
召喚士「はぁ、さっきは危ない目に遭った……」
魔道士「危なくないですよ〜。もったいない」
召喚士「!?」
魔道士「ところでここって……」
召喚士「あ、ええ。久々ですよね」
魔道士「ここで初めて会った時は、ちょっとビックリしましたけど」
召喚士「鬼丸さんもそうでしたけど、あんな親しい魔物は驚きでしたよね」
魔道士「はい……っ。でも、マーマンさんがいたから、分かり合えたんですよね」
召喚士「ええ。魔物にも善悪が、いい魔物がいるんだなって気付けたんですよね」
魔道士「……っ」
召喚士「ここ、いい所ですよね。水も空気も綺麗で」
魔道士「はい、私もそう思います。何だか、パワーを貰えますよね」
召喚士「人間の為だけじゃない。マーマンさんの思いも忘れちゃいけないですよね」
魔道士「はいっ。改めて、強くそう感じますね……」
817 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:46:02.38 ID:Ps8PZq7Oo
〜夕刻過ぎ、鉱山の町〜
戦士「……さーて、やっと着いた」
テクテクテク……コンコン
おかみ「はいはい〜っと」ガチャッ
戦士「うっす」
おかみ「おやっ、戦士! どうしたんだい?」
戦士「おやっさんいる?」
おかみ「え、ええ。いるけど……」
戦士「何か、まずかったか?」
おかみ「いやっ、そうじゃなくって……。その子、誰だい?」
戦士「へっ?」
美女「どうも〜。こんばんはー♪」
戦士「んなっ――!? なんでここに!!」
美女「えぇ〜っ? だって私と戦士さんの仲じゃない〜」
戦士「はあぁ!? ふざけんなっ!!」
818 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:46:31.76 ID:Ps8PZq7Oo
…
おかみ「……ふーん。それで一緒にねぇ」
美女「そうなんですっ」
戦士「そうじゃねぇ! お前は北関で国軍に預けてきたはずだろうが!」
美女「だってぇ。戦士さんと一緒の方が楽しいんだもん〜」
戦士「あのな、だから俺は……」
鍛冶屋「やはははっ、はいはいはい。お待たせ〜」スタスタ
戦士「あ、おやっさん!」
鍛冶屋「今日はどうしたんだい? 色々と噂は聞いてるけど」
おかみ「そうだよ。あんた、まだ近いうちに戦いがあるんだろ?」
戦士「そうなんだ。その件でちょっとな」
鍛冶屋「武具について、かな?」
戦士「……これを」ゴトゴトッ
おかみ「なんだいこれ?」
鍛冶屋「……雷切」
819 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:47:02.43 ID:Ps8PZq7Oo
戦士「ああ。こないだの戦いで魔王に木っ端微塵にされちまってな」
おかみ「これを直すのかい?」
戦士「もし出来れば、だけど」
おかみ「どうだい?」
鍛冶屋「……正直、これはほぼ不可能に近いね」
戦士「……」
鍛冶屋「破片も足りていないようだし、完全な復元はおそらく無理だろうね」
戦士「やっぱそうか。いや、それならいいんだ」
鍛冶屋「出来るとすれば2つ」
戦士「……?」
鍛冶屋「1つはナイフのような、刀身の短いものに打ち直す」
戦士「もう1つは?」
鍛冶屋「今ある他の何かに付加する」
戦士「……」
鍛冶屋「どうする? 僕はどちらでもいいけど」
820 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:47:28.59 ID:Ps8PZq7Oo
戦士「じゃあ、決まってるよ」スッ
鍛冶屋「なるほど。これか」
戦士「ああ。こいつのパワーアップにゃ打ってつけだ」
鍛冶屋「そうだね。では打ち直すのはやめて、付加にしよう」
おかみ「それじゃこいつらは預かっておくよ」
戦士「ちなみに時間は……」
鍛冶屋「安心していいよ。これなら2、3日もあれば出来るよ」
戦士「良かった」
鍛冶屋「用件はそれだけ?」
戦士「いや、メインはこっちなんだ」ズイッ
おかみ「あ、あんたそれ……っ」
鍛冶屋「……やっぱり、やるんだね」
戦士「ゾディアックが未完成じゃ、おそらくサタンには効くとは思えねぇ」
鍛冶屋「でも、ゾディアックを完成させるという事は、もちろん意味は分かっているよね?」
戦士「……ああ。でも、それは死ぬつもりで持つわけじゃあないんだ」
821 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:47:59.23 ID:Ps8PZq7Oo
おかみ「……?」
戦士「俺は絶対に行き抜いてみせる。その為に覚悟をもって持つんだ」
美女「……」
戦士「でも、どうしても使わなきゃいけない時は、迷わず使う」
鍛冶屋「戦士くん……っ」
戦士「それが俺の、覚悟であり、生きる意味だ」
鍛冶屋「……分かった。君がそこまで言うならば、止めはしない」
おかみ「あんた……っ」
鍛冶屋「いいんだ。僕らに止める事は出来ないだろう?」
おかみ「……っ」
戦士「つー事で頼む。ちなみに、これ……間に合うかな?」
鍛冶屋「さっきのも合わせて……1週間、いやもう少しか」
戦士「……ギリギリだな。なんとか頼んます!」
鍛冶屋「分かっているよ。これが僕の戦いだからね」ニコッ
戦士「あんがとよ、おやっさん……!」
822 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:48:28.22 ID:Ps8PZq7Oo
〜南方、鉱山の村〜
パッカパッカパッカ……
召喚士「ここなら無人でも、寝泊りくらいは出来そうですね」
魔道士「アンラ・マンユとの戦い以来、この村の皆さんも……」
召喚士「……あれ? 明かりが灯っている……っ!?」
魔道士「えっ!? 何で……っ」
ザシャッ……タッタッタッタッ……
召喚士「――!?」
村人「っ!! なっ、何だぁ!?」
魔道士「人が……いる?」
村人「魔物……じゃねぇよな……っ。な、何だよあんたら……」
召喚士「あの、あなた達は……?」
村長「何の騒じゃ?」ザッザッ
召喚士「あなたは……っ!」
村長「!?」
823 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:48:58.86 ID:Ps8PZq7Oo
…
魔道士「そうだったんですか……。皆さん、この村に戻って……」
村長「うむ。まだ安全とは言えぬかもしれぬが、やはり生まれ育った村だからの」
召喚士「……っ」
村人「でも帰って来て良かったよ。今は魔物ももう寄っちゃ来ないしな」
召喚士「おそらく魔王が倒されたからでしょうね」
村長「あんたらのお陰じゃ。ありがとう、本当に感謝するよ」
村人「なぁ、そういや……魔物も居たよな? この村の為に戦ってくれた奴が」
魔道士「あ……っ」
村人「元気でやってんのか? あいつもよ」
召喚士「……ええ。今でも元気に、やってますよ」
村人「そうかっ! それは良かった。あいつにもヨロシク伝えておいてくれよ!」
召喚士「……はい……っ」
村人「何もない村だが、まぁゆっくりしていってくれ」
魔道士「ありがとうございます……っ」
824 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:49:28.39 ID:Ps8PZq7Oo
〜鉱山の町、バー〜
戦士「……」グビッ
美女「ねーねー、何であの人の家に泊まらなかったぉ?」
戦士「お前なぁ、俺はまだしも、お前は初対面だろうが」
美女「別にいいと思うけどなぁ……」グビッ
戦士「って何で飲んでんだよ!!」
美女「別にいいじゃない〜」
戦士「よくねぇよ! お前いくつだ!」
美女「安心してっ♪ ちゃーんとお酒の飲める年だから」
戦士「……本当だろうな?」
美女「そうよん♪ だから何シたって……大丈夫」ムギュウ
戦士「ぶほっ! や、やめろっ!」グイッ
おかみ「戦士くんっ、いるかい!?」ガチャッ
戦士「!?」
美女「いやぁん」
825 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:49:58.65 ID:Ps8PZq7Oo
おかみ「何をやってんだい!」
戦士「何もしてねぇ! てか何か用じゃねぇのか!?」
おかみ「そうそうっ! 鉱山の1ヶ所で落盤が起きてさ、いけるかい?」
戦士「おっしゃ、任しとけ!」ガタッ
美女「私も行きます〜」
戦士「来なくていい!」ダッ
美女「行〜く〜の〜!」ダッ
タッタッタッタッタッ……
戦士「おいっ! どこだ!?」
男「すまねぇ! ここの上だっ!」
戦士「ちっ、1番深い所かよ……」ザザッ
美女「……ふぅん」キョロキョロ
戦士「お前らは念の為、周囲の奴らを避難させといてくれ!」
男「お、おうっ。了解……って、そこの嬢ちゃん! 危ねぇぞ!!」
美女「ばいば〜い♪」タッタッタッ
826 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:50:29.84 ID:Ps8PZq7Oo
…
戦士「……ここか」ザッ
美女「うーん。すっごい瓦礫ですねぇ」
戦士「だぁっ!! だからなんでてめぇがいるんだよ!!」
美女「行くって言ったじゃないですかぁ」
戦士「ここは危険だ! 早く帰れ!」
美女「それよりも取り残された人がいないか確認しないと〜」
戦士「そうだっ! おーい、誰かいるかぁ!?」
ゴトッ
戦士「!?」
ワーカー「こ……ここだ……っ、助けてくれ……」
戦士「今行くっ! 待ってろ――」ガシッ
美女「ちょーっと待った」
戦士「離せ! 早く助けないと!」
美女「なーんか怪しいと思いませんかぁ?」
827 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:51:01.39 ID:Ps8PZq7Oo
戦士「何が!」
美女「色々と♪」
戦士「――っ」ワナワナ
美女「ねーねー、あなた本当に人間〜?」
戦士「この期に及んで何を言って……」
美女「いや……人間だったってとこかしらん。ついさっきまで」
男「……」
戦士「お、おい……」
男「……キキキッ」ググッ
戦士「!?」
ドガアアァァ!!
男「察しがいいじゃねぇか、ネーチャンよぉ!」グワッ
美女「やーっぱり」
戦士「お前……なんで……」
美女「ほらほらっ、きますよぉ」
828 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:51:50.36 ID:Ps8PZq7Oo
男「死ねえぇーッ!」ゴアッ
戦士「くっ!」
男「グヘヘッ、丸腰で何しにきやがったァ!」ギュオッ!!
戦士「しまった! 武具はおやっさんちに預けっぱ――」
バギャッ!! ドガガアアァァ
戦士「……ぐく……っ」
男「キキキッ、他愛ネェ!!」
美女「大丈夫ですかぁ?」
戦士「う……るせぇ!」ググッ
男「さーて、まずはテメーから料理して……」ギロッ
美女「……?」キョトン
男「その後でゆーっくり、喰ってやんぜぇ! ネーチャンよぉ!」
美女「いやーん、怖い〜」
男「てなワケでまずはお前、死ね!」
戦士「簡単に死ぬかボケ!」
829 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:52:21.17 ID:Ps8PZq7Oo
ギュバッ!! ガシィ!!
戦士「武器がなかろうが……拳がありゃ戦えるんだよぉ!」グオッ
男「おっとォ」バサッ
戦士「飛んだ!?」
男「キキキッ」バッサバッサ
美女「あちゃー。羽が生えちゃいましたねぇ」
戦士「ちくしょう……っ。空に逃げられたんじゃ手が出せねぇ」
美女「どうします〜?」
戦士(こんな時、召喚士や魔道士がいりゃ……いや、四の五の言っても仕方ねぇ)
男「打つ手なしみてぇだな。んじゃ一方的にトドメささせてもらうぜェ!」
戦士「今は、せめてこいつだけも守らねぇと!」
美女「んふっ。仕方ないなぁ、手伝いますよぉ」
戦士「はぁ!? お前に何が出来んだよ!」
美女「いいからいいからっ♪ ねっ?」
戦士「ね……って。ほんとに出来んだろうな? んじゃお手並み見せて貰おうか」
830 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:53:14.87 ID:Ps8PZq7Oo
男「ゴチャゴチャ何を言ってやがるウゥ!!」
戦士「くんぞっ!」
美女「はいはーい」
男「キキキーッ!!」ゴアッ
美女「……ボソボソ」
戦士「おいっ! くるって言って――」
美女「飛びたてっ、ア・ドライグ・ゴッホ!」
戦士「――!?」
シュイイィィィィン
男「ナニイイィィィィ!?」
戦士「あ、赤い龍……っ!? まさか……召喚獣かっ!?」
美女「さぁ、やっちゃいなさーい」
ア・ドライグ・ゴッホ「ゴガアアアアァァァァ!!」
男「――――ッ!!」
美女「はい、いっちょあがりー。んふっ♪」
831 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/24(日) 23:54:55.99 ID:Ps8PZq7Oo
今日はここまでにておしまい!
週末のご支援、まことにありがとうございました!
それではおやすみなさいです!また明日!ノシ
832 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 00:45:44.10 ID:7AJ2rz9ho
なん…だと…?
833 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 00:47:16.47 ID:cjHbOGoBo
どういう事だってばよっ!!
834 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/25(月) 00:50:36.98 ID:z50g2Cv50
えっ…!
835 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 01:12:09.91 ID:SuZrCE2DO
まさかの新たな戦力
836 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2012/06/25(月) 01:42:01.58 ID:KqqJosoIO
何と?
837 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 01:51:02.46 ID:t1Tf1LuIO
乙
838 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/25(月) 03:49:09.83 ID:MHKJzAlS0
>>1
おつ
839 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 04:35:52.25 ID:WzmqaBDDO
いちょつ
なにこの聞いたこともない竜は
840 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/25(月) 04:58:48.37 ID:BhwYyTZAO
>>1
乙
ウェールズの国旗じゃないかwww
何気に上級召喚獣では…?
841 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/06/25(月) 14:11:38.86 ID:luGY7zNeo
召喚子じゃね?
842 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長崎県)
:2012/06/25(月) 15:14:51.69 ID:qCtlP/oNo
この鉱山もなかなか曰くつきだな
843 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 17:58:12.98 ID:Jv/U+2/Jo
…
男「おっ、どうだった!?」
戦士「いや、あのよ……」
美女「残念ですが、生存者はいなかったです〜」
男「……そうか」
美女「あとぉ、まだ魔物が居るかもだから封鎖した方がいいですよ? ねっ、戦士さん?」
戦士「あ、あぁ」
男「分かった。国軍に知らせておこう」
美女「ヨロシクー♪」
戦士「……」
おかみ「大丈夫だったかい? まさか、魔物がいたなんてね」
戦士「まぁ。今回はこいつが……」
美女「戦士さんのお陰で円滑に終わりましたねっ。流石ですっ!」
おかみ「そうかい。魔物が居るって分かってたら武器も一旦、返したんだけどさ」
美女「あの程度の魔物なら、武器なしでも平気ですよっ。ねー?」
844 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 17:58:41.82 ID:Jv/U+2/Jo
おかみ「とにかく無傷で良かったよ。ほんと、ありがとね」スタスタスタ
美女「んふ〜。任務完了♪」
戦士「おい」
美女「はーい?」
戦士「お前、何者なんだ?」
美女「と、言いますと?」
戦士「あれは召喚獣だよな? しかも見たこともねぇ……青龍か?」
美女「おぉー。詳しいですね」
戦士「お前は何者なんだ!? 目的は何だ!!」
美女「……野暮な事は言いっこナシですよぉ」
戦士「真面目に答えろ!」
美女「私が何者だあろうと、関係なくないですか?」
戦士「……」
美女「いち青龍召喚士。ただそれだけです」ツン
戦士「……」
845 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 17:59:14.04 ID:Jv/U+2/Jo
〜次の日、国軍本部〜
大軍師「失礼致します」ガチャッ
青年兵「おはようございます」
大軍師「決戦の刻まであと、8日ですね」
青年兵「そろそろ最終準備に取り掛かろうかと」
大軍師「ええ。私もその為に、ここへ来ました」
青年兵「……その荷物は?」
大軍師「北からです。戦後処理もかなり進んでいるようで」
青年兵「生存者は?」
大軍師「戦後4日程度までは多少なり居たようです。今はもう無理でしょうね」
青年兵「……そうですか」
大軍師「これ、大元帥にと贈り物です」
青年兵「……?」
大軍師「凄いですね。あれだけの破壊において、無傷で残っているとは」
青年兵「これは……っ!!」ゴトッ
846 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 17:59:51.09 ID:Jv/U+2/Jo
大軍師「元司令の仮面です。宜しければ形見に」
青年兵「……っ」
大軍師「……さて、本題へと入りましょう。サタン討伐の流れですが……」
ドサドサッ
青年兵「これは?」
大軍師「元司令が残した、サタン関連の資料です」
青年兵「なるほど……っ」
大軍師「まず最も重要な事は、地獄への突入です」
青年兵「1度、経験はしていますが……常人では負担が大きいでしょうね」
大軍師「そんなにもですか?」
青年兵「空気に触れただけで吐き気を催す、そんな感覚でした」
大軍師「成程」
青年兵「肉体はともかく、精神的にやられてしまってもおかしくありません」
大軍師「ではやはり、参加メンバーは限られるという事ですね」
青年兵「はい。大軍で押してもおそらくは無意味かと思います」
847 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:00:31.15 ID:Jv/U+2/Jo
大軍師「ですね。そして主軸となるのはやはり、五行でしょう」
青年兵「再来がサタン討伐を試みた際の資料がこちらです」
青年兵「……」パラパラ
大軍師「五行以外の攻撃はほぼ無効とみて良いでしょう」
青年兵「……最低でも3行以上の付加攻撃でなくば、難しそうですね」
大軍師「ええ。その中で唯一、単体攻撃の効果があったものが石化です」
青年兵「……コカトリス」
大軍師「今回の戦いにおいても、キーマンは彼でしょう」
青年兵「もちろんです。申し訳ないですが、召喚士さんには主軸となって貰いますよ」
大軍師「あとは必要な人材ですね」
青年兵「五行、いや……最低でも三行以上が扱えて、心身共に強い事が条件」
大軍師「国軍、他国、ワーカー問わず掻き集める必要があるでしょう」
青年兵「いや、その必要はありませんよ」
大軍師「……?」
青年兵「自ずと集まってくれるはずです。きっと……」
848 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:01:21.20 ID:Jv/U+2/Jo
大軍師「ふふっ。それもそうですね」ヒラヒラ
青年兵「あれ? 羽扇、どうしたんですか?」
大軍師「ああ、新調しました。やはり無いと落ち着かないもので」ヒラヒラヒラ
青年兵「出発は余裕を持って3日前に定めたいと思います」
大軍師「問題ないと思います。一応、ワークショップなどにも伝えておきましょう」
青年兵「……地獄への突入方法は?」
大軍師「往路は問題ありません。サタン封印の地から直に行けますので」
青年兵「問題は帰路」
大軍師「資料にももはや、精神論しか記入されておりませんからねぇ」
青年兵「祈るしかない、か」
大軍師「まぁサタンを倒せさえすれば、光明はあるでしょう」
青年兵「どのみち勝つしかないわけですし、勝ちますよ、絶対に」
大軍師「ふふ、そうですね。最後に注意事項を1つ」
青年兵「……?」
大軍師「これは召喚士の方々のみの事なのですが……」
849 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:02:12.06 ID:Jv/U+2/Jo
青年兵「何でしょうか?」
大軍師「資料によると通常、地獄における召喚は不可とされています」
青年兵「えっ!? それではサタンとの戦いで召喚士は……」
大軍師「それはご心配なく。再来とて召喚出来たではありませんか」
青年兵「あ、確かに……。では一体どうして……」
大軍師「サタン封印の地は、結界石のお陰で特殊な空間が生じております」
青年兵「そうか……っ! 結界石の効能で地獄の力が遮断されていると」
大軍師「おそらくはそういう事でしょう」
青年兵「では、注意事項とは一体……」
大軍師「つまりその領域以外は、保証出来ないという事です」
青年兵「……っ」
大軍師「もし万が一、封印の地、以外の地獄へ足を踏み入る事になれば……」
青年兵「でも、そのような機会はないのでは?」
大軍師「己の意思ではなくとも、強制的に起きる可能性はありますからね」
青年兵「強制……」
850 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:03:00.46 ID:Jv/U+2/Jo
大軍師「例えば、サタンの攻撃によるものであったり、地獄における敵の援軍もあるやもしれません」
青年兵「……た、確かに」
大軍師「ですから、召喚士の皆様はくれぐれもご注意なされますよう」
青年兵「分かりました。対策を考えましょう」
大軍師「雑務については全て、こちらで手筈を整えますので」
青年兵「ありがとうございます、助かります」
大軍師「それではまた夕刻、青龍先生や白虎先生も交えて打ち合わせ致しましょう」
青年兵「あの、大軍師さん」
大軍師「……?」ヒラヒラ
青年兵「この仮面、本当に僕が頂いても宜しいのですか?」
大軍師「と、申されますと?」
青年兵「大軍師さんは、要らないのですか?」
大軍師「ふふっ。質素な暮らしなもので、飾るにも不釣り合いですから」
青年兵「いえっ、あの……」
大軍師「それでは」カツカツ……
851 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:04:09.86 ID:Jv/U+2/Jo
〜鉱山の町〜
店員「いらっしゃいませ」
戦士「ワーカーの名簿を見せて欲しいんだけど、いいか?」
店員「はいはいどうぞ〜」
戦士「……美女……美女」
美女「偽名だから、探しても無駄だと思うよぉ」ヒョコッ
戦士「どわぁ!!」
美女「おはようございますぅ〜」
戦士「……ようやく1つ分かったぜ」
美女「ほえ?」
戦士「今、お前……偽名だから探しても無駄っつったよな?」
美女「はい。言いましたよんっ」
戦士「つまり本名で載ってる、やっぱお前……ワーカーだって事だな?」
美女「おぉ〜。名探偵っ!」
戦士「うるせぇ! いい加減に正体を言え! 何なんだお前はよ」
852 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:05:01.91 ID:Jv/U+2/Jo
美女「戦士さんの最愛のパートナーってのはどうでしょう?」
戦士「どうもこうもあるかっ! もういい、じゃあな」スタスタ
美女「あぁ〜ん、ちょっとー!」タッタッタッ
戦士「付いてくるな!」スタスタ
美女「機能のお礼、してもらってないも〜ん」
戦士「……」
美女「まさか助けて貰って、タダでしらばっくれようなんて思ってないですよねぇ〜?」
戦士「……何だよ」
美女「んーと……」
戦士「着いたから後にしろ」
美女「えぇ〜。仕方ないなぁ」
戦士「おやっさん!」バンッ
鍛冶屋「びびびびっくりしたぁ! なになにっ? どうしたの?」
戦士「んっ?」
鍛冶娘「あっ!! いたーっ!!」
853 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:05:41.15 ID:Jv/U+2/Jo
美女「――!?」
北関兵「ひっ捕らえろぉ!!」
美女「ちっ、しつっけぇなぁ……ボソボソ」ダッ
北関兵「ご協力、感謝致しますっ! 追え〜っ!」
戦士「な、何事だ?」
鍛冶娘「あんたがうちに行くって知ってたから、もしかしてと思って」
戦士「……あいつ、何かしたのか?」
鍛冶娘「北関の衛兵をぶん殴って、馬を盗んで逃走したのよ」
戦士「…………」
鍛冶屋「やははっ。手紙貰ってすぐに会えるなんて、不思議だねぇ」
鍛冶娘「仕方ないじゃないっ! これも仕事なのよ」
鍛冶屋「うんうんっ、分かってる。嬉しいだけなんだ、やはははっ」
戦士「とにかくこれでやっと解放された……。助かったぜ」
鍛冶娘「何もなかったでしょうね?」
戦士「まぁ、色々あったけどな」
854 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:07:15.09 ID:Jv/U+2/Jo
鍛冶娘「何ですってぇ……?」ムカッ
戦士「えっ!?」
鍛冶娘「……はぁ。もういいわ、何でもない」
戦士「……んじゃ俺、いったん本国に戻ります」
鍛冶屋「うんうん。1週間以内に何とかするから!」
戦士「頼んますっ!」ペコリ
鍛冶屋「目処がついたら、ワークショップに連絡しておくよ!」
戦士「うっす! そんじゃ」
鍛冶娘「あの女、何者なの?」
戦士「青龍召喚士でワーカーだって事だけは何とか分かったが、素性や一切は何も話さねぇ」
鍛冶娘「ワーカー? あんな弱そうなのが?」
戦士「別に前衛じゃなきゃあんなのゴロゴロいんだろ」
鍛冶娘「あー確かに。あんたんとこの朱雀先生もそうだしね」
戦士「せめて女で例えてやれよ……」
鍛冶娘「それもそうね。同じ召喚士だからかしら……」
855 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:07:53.92 ID:Jv/U+2/Jo
〜南西砦〜
召喚士「はっくしゅ!!」
魔道士「大丈夫ですか?」
召喚士「え、ええ。何だか急にくしゃみが」
魔道士「戦士さんあたりが噂してるのかもしれませんね。ふふっ」
召喚士「ははっ。かもしれませんね」
魔道士「あれっ? ここって……」
召喚士「あの時は凄い人の数でしたけど、今は閑散としてますね」
南西砦兵「誰だっ!?」
召喚士「すみません、ちょっと立ち寄っただけですんので」
南西砦兵「あっ!! 知ってる!! あなた確か……コカトリス使いの!!」
魔道士「そうそうっ。朱雀先生ですよ〜」
南西砦兵「アンラ・マンユ討伐の時はお世話になりましたっ! 今日はその件で?」
召喚士「いやっ、その件ではないんですけど……ちょっと久々にと思いまして」
南西砦兵「そうでしたかぁ! いやぁ、なんか嬉しいな……へへっ」
856 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:08:31.36 ID:Jv/U+2/Jo
…
召喚士「今はもう、国軍も少ないみたいですね」
南西砦兵「ええ。魔物は居ませんので、最低限の人数だけです」
魔道士「寂しいですね……」
南西砦兵「まぁそうですけど、元々は火山や周辺を見張る為の砦ですからね」
召喚士「落ち着いた今、存在する意味はなくなってしまったわけですね」
南西砦兵「魔物さえ居なければ無かった存在なんです。それが本当の姿なんですよ」
召喚士「……なるほど」
南西砦兵「でも、どんな姿になっても……ここは好きですけどね」
魔道士「……」
南西砦兵「南西砦長様が己の全てを費やして育て、守り抜いた場所ですから」
魔道士「……っ」
南西砦兵「あ、なんかすんません……暗い話になっちゃって。へへっ」
召喚士「南西砦長さんの為にも、お互い頑張りましょうね」
南西砦兵「はいっ。もちろんそのつもりです!」
857 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:09:21.09 ID:Jv/U+2/Jo
〜鉱山の町〜
店員「いらっしゃ――あら、またですか?」
戦士「さっき途中だったんでな。名簿と伝言がないか頼む」
店員「はいはいっ」
戦士「偽名だってんなら名前じゃ確認は出来ん。だったら別の角度から」パラパラ
店員「あらっ!? 戦士さんって、朱雀パーティーのあの……!?」
戦士「おう。何か伝言は?」
店員「ありますよ。はいどうぞ」
戦士「召喚士と魔道士か。どれどれ」パラパラッ
店員「暗号使わないんですか?」
戦士「いちいち覚えるのもダルイし、不正解読されたって大した事は書いてない」
店員「珍しいですね」
戦士「……そうかぁ。あいつらも色々と回ってんだな! おし、あんがとよ」
店員「それで、名簿は何を?」
戦士「あーいやいや、大した事じゃないんだ」
858 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:09:48.52 ID:Jv/U+2/Jo
店員「人探しですか?」
戦士「まぁそんなとこ。なぁ、名前以外で探す方法って何かないか?」
店員「特にないですねぇ。あとはコメント欄から特技や特徴をさがしあてるしか」
戦士「だよなぁ」
店員「でも書いてる人少ないですよ?」
戦士「あいつ、単独行動って事はソロなのか?」
店員「えっ?」
戦士「あー悪い。何でもない、サンキュー」パタン
店員「もう、いいんですか?」
戦士「ああ」バタン
テクテクテク……
戦士「つーか何で俺、いまだに素性探ししてんだ?」
鍛冶娘「いたっ。あんた本国行くんだっけ? 今すぐなら国軍の船に乗せて貰えるわよ?」
戦士「マジか!? そいつは助かるぜ!」
鍛冶娘「もうすぐ出ちゃうわよ。早く行きましょ」
859 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:10:26.60 ID:Jv/U+2/Jo
〜東方、洋上〜
盗賊「……」
ザザーン
盗賊「……?」
――「お1人ですか?」
盗賊「……ええ、まぁ」
――「初めまして、私……漫画家と申します」
盗賊「どうも」
漫画家「東方の方ですか?」
盗賊「……まぁ」
漫画家「なかなか珍しい恰好ですね」
盗賊「……忍なので」
漫画家「シノビ? もしかしてニンジャですか!?」
盗賊「……まぁ」
漫画家「これはラッキー! ちょっとご相談に乗って貰えませんか!?」
860 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:11:02.94 ID:Jv/U+2/Jo
…
漫画家「実は私、漫画を職業にしておりまして」
盗賊「……漫画家!」
漫画家「はい。まぁそんなに有名なものではないんですけど」
盗賊「……それで?」
漫画家「実は、新キャラにニンジャを出したくて、東方まで取材へ行ったのですが……」
盗賊「……」
漫画家「どこを探してもニンジャは見つからず……。諦めて帰路についている途中でした」
盗賊「……なるほどな」
漫画家「そこでご相談なのですが、どうかニンジャの取材をさせて貰えないでしょうか?」
盗賊「へえっ!?」
漫画家「いや、取材と言っても難しい事はなくって、簡単な仕事の内容とか……」
盗賊「……仕事の……内容」
漫画家「あとそうだな……っ、武器とか道具なんかもあればぜひ!」
盗賊「……じゃあ……少しだけ」
861 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:11:38.06 ID:Jv/U+2/Jo
…
漫画家「これが手裏剣かっ! 話には聞いてたけど、実物は初めてっ! 結構重いんだね!」
盗賊「うん。あとこれが……撒き菱」
漫画家「凄いなぁ! 色んな小道具があるんだねぇ! ちょっと絵にさせてねっ!」カキカキ
盗賊「……」
漫画家「盗賊ちゃんの衣装もこのままスケッチさせて! そのままっ!」
盗賊「うえっ!? あ……うぅ」
漫画家「いいねいいね〜! カッコイイ!」
盗賊「……っ」テレッ
漫画家「……よし、っと。これだけ素材があれば新キャラが出せそうだ」
盗賊「……」
漫画家「盗賊ちゃん、今日は本当にありがとう!」
盗賊「あ、いえ……」
船員「まもなくターミナル、ターミナルでーっす!!」
漫画家「あっ、着いたみたいだね」
862 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:12:49.42 ID:Jv/U+2/Jo
盗賊「……あの」
漫画家「そうだっ! 何かお礼をしなくっちゃ」ゴソゴソ
盗賊「いやっ、別にそんな……」
漫画家「ごめんね、今はこんなものしかなくって」ゴソッ
盗賊「あ……っ」
漫画家「それじゃまたっ! アイディアを忘れないうちに描くぞ〜!!」タッタッタッ
盗賊「……?」
風のように去っていく漫画家を茫然と見つめ、盗賊は掌に無理矢理
握らされた紙包みを、 そっと広げて中身を取り出してみた。
盗賊「―――−っ!!」
男の子「あーお姉ちゃんいいなー! 猫さん剣士のお人形持ってるー!」
母親「しっ、見ちゃいけません」
盗賊「……」ポケー
船員「あのー、終点ですけれども……」
盗賊「……」ポケー
863 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:13:46.87 ID:Jv/U+2/Jo
〜三日月島、上空〜
バシュウウゥゥゥゥ!!
魔道士「夕日が綺麗〜!」
召喚士「本当ですね」
魔道士「ねぇ、召喚士さん。コカトリスなんて使っちゃって大丈夫なんですか?」
召喚士「ええ。前回も枯渇したわけではないですし、ある程度循環させておいた方が……」
コカトリス「だな。幾ら蓄積しようと未使用では質も劣るというもの」
魔道士「なるほどですね。じゃあ少しくらいはマメに使った方が良いって事ですねっ!」
召喚士「そういう事です」
コカトリス「見えたぞ、あそこで良いのか?」
召喚士「うん。お願いっ」
バシュウウゥゥゥゥ……バサァッ
コカトリス「さぁ、着いたぞ」
召喚士「ありがとう」
魔道士「三日月島……ここも久しぶりですね〜」
864 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:14:34.46 ID:Jv/U+2/Jo
…
魔道士「今日もすっごい賑わってるなぁ」テクテク
召喚士「夜になると毎日がお祭りみたいですよね」
魔道士「ねーっ」
召喚士「今日はここで食事をして、夜のうちに船に乗りましょう」
魔道士「船、ですかぁ?」
召喚士「はい。西国へ向かおうかと思いまして」
魔道士「了解ですっ!」
召喚士「それじゃ食事にしましょうか。どこで食べましょうかね」テクテク
魔道士「お店もいいですけれど、せっかくなら露店で色々と買って食べるのはどうです?」
召喚士「あ、それもいいですね! そうぢましょっか」
魔道士「はいっ! えへへ!」
テクテクテクテク
魔道士「……あ……れっ?」
召喚士「どうしました?」
865 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:15:32.15 ID:Jv/U+2/Jo
魔道士「ここ……」
召喚士「広場ですね」
魔道士「このベンチで……一緒にスイーツ食べたんです」
召喚士「え……っ?」
魔道士「盗賊さんと食べてたら、踊り子ちゃんが来て……」
召喚士「……っ」
魔道士「……そっかぁ。あれ以来、なんですね」
召喚士「俺も西国拠点で、神官さんと話をしました」
魔道士「……」
召喚士「今も思うんです。神官さんを救う手は本当になかったのか……って」
魔道士「召喚士さん……」
召喚士「俺にとって神官さんは、住む国は違っても、召喚術でお互い、通じるものがありました」
魔道士「……私も、ウィッチちゃんとは同い年で……してる事も環境も全然違ったけど……」
召喚士「心の、芯の部分でつながってるんですよね。きっと」
魔道士「ええ。みんなだってきっと、通じ合ってるんですよね」
866 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:16:09.98 ID:Jv/U+2/Jo
〜本国、国軍本部〜
大軍師「では以上、宜しくお願い致します」
青龍士官「はっ」
白虎長「地獄、かぁ」
青年兵「お2人なら何も心配はないと思いますよ」
白虎長「そうかもだけど、何だか怖いわね」
青龍士官「幼い頃、悪さをすれば地獄に落とされるなどと父に叱られたものだがな」
白虎長「まさか本当に地獄へ行くだなんてね」
青年兵「先程も話しましたが、くれぐれも召喚には気を付けて下さい」
青龍士官「ああ、把握した。最優先で注意しておこう」
国軍兵「失礼致します。大元帥殿にお客様が」
青年兵「……? 急ぎか?」
大軍師「会議は終わりましたしどうぞ。後片付けはこちらで済ませますから」
青年兵「すみません。それではお言葉に甘えて」
国軍兵「応接室でお待ちです。ご案内致します」
867 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:16:53.87 ID:Jv/U+2/Jo
〜応接室〜
青年兵「お待たせいたしました」ガチャッ
戦士「おっす」
青年兵「戦士さん、どうしたんですか? というか……お1人ですか?」
戦士「まぁ色々とな。すまねぇな、忙しい時に」
青年兵「いえいえ。それで、何か用ごで?」
戦士「実は青龍召喚獣の事でちょっと聞きたくてな」
青年兵「召喚獣ですか?」
戦士「ああ。あのよ、赤い龍を知ってるか?」
青年兵「赤い龍? 召喚獣ですか? いや、知らないですね」
戦士「やっぱそうか……」
青年兵「あ、ちょっと待って下さい。あいつなら知ってるかも」
戦士「……?」
青年兵「すまないが青龍先生を呼んできてくれないか?」
国軍兵「ははっ」ザッ
868 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:19:10.53 ID:Jv/U+2/Jo
…
青龍士官「赤い龍?」
戦士「ああ。結構な大きさでとんでもねぇ速さだったな。一瞬で魔物を粉砕しやがった」
青年兵「直接見たんですか!?」
戦士「ああ。とある召喚士が使っててな」
青龍士官「まさか……っ」
青年兵「知ってるのか?」
青龍士官「その召喚士、かなりの高齢では?」
戦士「いや、お前らくらいかもっと下の女だった」
青龍士官「そうですか……」
戦士「心当たりがあるのか?」
青龍士官「かつてトップクラスの1人として数えられたワーカーに、赤い龍の使い手がいたと聞きます」
青年兵「……ワーカー?」
青龍士官「今でも成果1位に君臨する、通称……赤い彗星」
戦士「何ぃ!?」
869 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:20:53.54 ID:Jv/U+2/Jo
青龍士官「だが、赤い彗星は既に高齢。しかも足も不自由で引退したと……」
青年兵「さっき僕らぐらいの女の子って言いましたよね?」
戦士「あ、ああ」
青年兵「それって、孫娘なんじゃないですかね?」
青龍士官「……なるほど。引き継いだという事か」
戦士「あり得る! 玄武娘の例もあるしな!」
青年兵「でもどうして、今頃になって……」
青龍士官「もしそうならば、赤い龍は戦力になるんじゃないか?」
青年兵「うん。あの赤い彗星と関係があるならばね」
戦士「いやーやめた方がいいと思うぞ」
青年兵「えっ?」
戦士「戦力になっても人格に問題アリだ」
青年兵「まぁそうですけれど……」
青龍士官「人格に問題ある者なんて、今更じゃないですか?」
戦士「……まぁ……それもそうだけどよ」
870 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/25(月) 18:28:21.82 ID:Jv/U+2/Jo
今日はここまでにて失礼するぞ!
今回遅筆すぎてスレ消費に2か月かかりそうな勢い…orz
ご支援ありがとうございました!それではまた!ノシ
871 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 18:45:43.16 ID:SuZrCE2DO
シャアだ!シャアが来たぞ!!
872 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 19:32:09.33 ID:7AJ2rz9ho
召喚獣の能力の差が戦力の決定的差でないことを教えて下さるんですねありがとうございます
873 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 20:30:36.00 ID:l4RaGXsro
魔翌力って精子みたいだなって思いました、
>>1
乙
874 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/25(月) 21:42:46.60 ID:SO4j3LxDO
>>1
乙
夫人のターンはまだか
875 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/26(火) 02:21:42.27 ID:Kce38TfJ0
>>1
おつ
876 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 07:52:28.06 ID:jtBP5ljIO
功績ランキングと成果ランキングの違いってなんだ?
あいかわらず堂々としたシノビっぷりの盗賊にワロタ
忍んでないしwwww
877 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/26(火) 08:31:49.50 ID:pi+FYN7Io
>>1
乙
戦士ばっかりズルいな…
股間の魔力が枯渇したらいいのに
878 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:14:04.12 ID:OAZ+BOzOo
…
青年兵「なるほど。北関にですか……」
戦士「一旦、逃亡して北の港へ来たんだが、北関の連中にとっ捕まったはずだ」
青年兵「そのような報告は?」
国軍兵「いえ、特に」
青龍士官「また逃げたんじゃないのか?」
青年兵「……。分かりました、とにかくこの件はこちらで引き受けましょう」
戦士「頼む。こっちも何か情報が掴めたら連絡するよ」
青年兵「お願いします」
青龍士官「しかしやはりというか、戦力として招聘するには難しそうだな」
青年兵「ああ。何やら国軍を嫌っているような節もあるし……」
青龍士官「何より使い手なら、魔王討伐戦に参加していてもおかしくないだろうに」
戦士「そういやそうだな。何で今まで共闘する機会がなかったんだろ」
青年兵「おそらくワーカーとして、戦う事に興味がないんでしょうね」
戦士「……なるほどな。そういう事か」
879 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:14:34.31 ID:OAZ+BOzOo
青龍士官「だが、戦士さんに付き纏うとは、何か別の目的があるようにも感じるが」
戦士「うーん……身に覚えはねぇ」
青年兵「まぁ、戦力として断念するのであればこちらも片手間にはなってしまいますね」
戦士「そうだな。俺達にゃもっと大切な事があるわけだし」
青年兵「召喚士さん達はまだお戻りには?」
戦士「どうなんだろうな。ぼちぼち合流できる頃かとは思うけど」
青年兵「討伐戦にはスーパームーンの3日前に予定しております」
戦士「……あと5日か」
青年兵「間に合う日程だとは思いますが、宜しくお願い致します」
戦士「りょーかい! そんじゃ、今日はありがとよ」
青年兵「こちらこそ。それではまた」
スタスタスタスタ
戦士「……偽名、ワーカー、ほんとに何者なんだ」
門兵「ご苦労様ですっ!」
戦士「おーう」
880 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:15:02.25 ID:OAZ+BOzOo
スタスタ……
戦士(実力がないわけじゃねぇ。あんだけの召喚獣を持ってんだからな)
スタスタ
戦士(なのにあいつ、野盗に襲われてた。追い払うくらいどうって事ねぇだろうに)
美女「……」スタスタ
戦士(それに鉱山での判断力。にも関わらず……)
美女「ねーねー」
戦士「うっせぇなぁ。ちょっと黙ってろ」
美女「ちぇーっ」
戦士「って何いいぃぃぃぃ――!?」
美女「おこんばんは〜」
戦士「てんめぇ!!」グアッ
美女「叫びますよ? キャーって」
戦士「!?」ピタッ
美女「んふっ♪ なーんてねっ」
881 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:15:32.53 ID:OAZ+BOzOo
戦士「……いい加減にしろ。何が狙いだ」
美女「今回はたまたまなんですよぉ」
戦士「たまたまだぁ?」
美女「本国に来たら戦士さんがいただけ。追ってきたわけじゃないですよっ」
戦士「北関の連中に捕まったんじゃねぇのかよ? 何でここにいやがる!」
美女「あんなの簡単に逃げられますよぉ。それに本国には自宅もあるし〜」
戦士「何だよ、じゃあさっさと帰れ」
美女「帰りますけど〜、その前に1つ忘れてません?」
戦士「は?」
美女「ほら、鉱山でのお礼っ」
戦士「……そういうとこはしっかりしてんだな。んで、どうすりゃいいんだ?」
美女「そうねぇ〜」
戦士「特にねーんなら、また今度――」
チュッ
戦士「――――!?」
882 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:16:03.90 ID:OAZ+BOzOo
美女「……くちゅっ、ぷはぁ」
戦士「……ん……なっ」
美女「お礼、貰っちゃった」
戦士「お、おま……っ」
美女「でも、私の初めてもあげちゃった……っ」
戦士「――っ!?」
美女「なーんて、純情じみた事は言いませ〜ん。焦ったぁ?」
戦士「て……めっ!」
美女「叫びますよ?」
戦士「ぬぐ……っ!」グッ
美女「それじゃ戦士さん、またね〜」
戦士「ちょっ、待てよ!」
美女「私、実家はここだけど今は南方にいるから。会いたくなったら来てね〜♪」タンッ
戦士「……ちっ」
女性とは思えぬ身のこなしで走り去ってゆく美女を、戦士は悔しがりながら眺めていた。
883 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:16:32.92 ID:OAZ+BOzOo
〜次の日、西国〜
魔道士「今日も天気良くて、良かったですね〜」
召喚士「魔王城攻略の日以降は、天気に恵まれてますね」
魔道士「まずは……お城ですか?」
召喚士「そうですね。西国の戦後状況も気になりますし」
魔道士「それじゃ早速、行ってみましょう〜!」
テクテクテクテク……
魔道士「こんにちは〜」
召喚士「陛下に面会をしたいのですが」
西国兵「では、こちらを記入の上、武器をお預かりさせて頂きます」
魔道士「あれ? こんなに厳しかったでしたっけ?」
召喚士「いや、でもこれが普通ですよね」
魔道士「確かに……」
召喚士「国軍とか顔パスっておかしいですもん、普通……」
西国兵「それではしばし、お待ち下さい」ザッザッ
884 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:17:21.78 ID:OAZ+BOzOo
…
西国兵「お待たせ致しました、どうぞ」ザッ
召喚士「失礼します」テクテク
魔道士「何だかお城も少し小さくなったような気が……」
王子「ええ。必要のない箇所は取り壊しました」
召喚士「陛下!」
王子「召喚士さん、魔道士さん。よくお越し下さった」
魔道士「どうして壊しちゃったんですか?」
王子「必要もないのに残していても、無駄な費用が掛かるだけですからね」
魔道士「おぉ……っ」
召喚士「だから警備も……」
王子「それもありますが、国としてもっと規律を持たねばと思いましてね」
召喚士「いい心掛けですね」
王子「さ、王宮内へ。大した持て成しも出来ませんが」
魔道士「いえいえっ、お構いなく!」
885 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:18:13.08 ID:OAZ+BOzOo
…
女王「よくぞ来てくれました」
王女「お姉様、お会いしとうございましたわ」
魔道士「王女様もお元気そうで何よりですっ。えへへ!」
王子「食事の用意を」
召喚士「何だかすみません……っ」
王子「何を今更、申されるか。気にする方が無礼ですぞ?」
召喚士「ははっ、それならばお言葉に甘えて」
王子「さぁ、存分に食して下され」
魔道士「美味しそう〜っ」
女王「最近では交易のお陰で、食卓も彩りが良くなりました」
王女「皆様方のお陰ですわ。本当に心より、感謝致します」ペコリ
召喚士「い、いえっ! 陛下や他国の皆さんが頑張ってくれたからこそですよっ」
王子「またまたっ。ご謙遜を」
召喚士「いや本当に……っ! は、はは……っ」
886 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:18:49.94 ID:OAZ+BOzOo
…
魔道士「ご馳走様でした〜」
女王「お口には合いましたかしら?」
魔道士「それはもうっ! とっても美味しかったです!」
王女「ちゃーんとデザートもご用意してありますのよ?」
魔道士「それは嬉しいっ!」キラキラ
王子「召喚士さん、少し……宜しいか?」
召喚士「えっ? あ、はい」ガタッ
カツコツカツコツ……
召喚士「えぇと、どうしまし――」
ガバッ!!
召喚士「……へぇっ!?」
王子「……ごめん……少し……このままでいさせて」
召喚士「あ、あの……陛下……?」
王子「今は、今だけは……陛下じゃなくって、王子って……呼んで」ギュッ
887 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:19:40.26 ID:OAZ+BOzOo
…
召喚士「……王子」
王子「ずっと僕は、西国の王なんだ、しっかりしなきゃいけないんだ……って頑張ってきた」
召喚士「……うん」
王子「神官も居ない今、僕がやるしかないんだ……って」ギュウ
召喚士「うん」
王子「でもっ、怖いんだ……! 本当は世界が滅んじゃうんじゃないかって!」
召喚士「……」
王子「そんな事、思っちゃいけないのに……! 強くなきゃいけないのにっ!」
召喚士「王子、それでいいんだよ」ナデナデ
王子「……?」グスッ
召喚士「みんな誰でも、不安を抱えて生きてるんだ」
王子「お兄ちゃん……っ」ウルッ
召喚士「でも、1人では解決出来ない。だから家族や友人や、仲間がいるんだ」
王子「……っ」
召喚士「1人じゃ駄目かもしれないけれど、俺がいる。みんながいる。だから、頑張ろ」
王子「……うん。ありがと、お兄ちゃん」ギュッ
888 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:20:45.43 ID:OAZ+BOzOo
…
魔道士「美味し〜い!!」
女王「これは元々、東方のデザートを改良したものなのです」
魔道士「へぇ〜っ! 凄いですねっ!」
王女「こういった事も、本当にお姉様方のお蔭ですわ」
魔道士「いえいえ。さっき召喚士さんも言ってましたけど、みんなのお陰ですよっ!」
女王「その皆の中に、魔道士さんも含まれているんじゃなくって?」
魔道士「……そうかもしれませんけど、私の力なんてちっぽけなものです」
女王「そんな事はありませんわ。貴女は、西国を救ってくれたではありませんか」
王女「そうですわっ。自信をお持ちになって、お姉様!」
魔道士「……は、はいっ」
女王「さぁ、どんどん召し上がって。たんと用意致しましたから」
魔道士「……えへへ〜」ニマー
王子「お待たせしました」カツカツ
魔道士「あっ、おかえりなさ〜い。先にいただいてます!」
889 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 17:21:59.68 ID:OAZ+BOzOo
召喚士「何ですかこれ?」
魔道士「東方のデザートを改良した、西国の新しいデザートだそうですっ」
召喚士「へぇ〜」
王女「あら、どうかなさった? 目が赤いけれど」
王子「ちょっとゴミが。それより召喚士さん、その東方の話ですが」
召喚士「東方が何か?」
王子「魔王イブリースを倒し、世界が繋がったと聞きます」
召喚士「ええ。つまり西国から西へ西へ進めば、おそらく東方に繋がっているかと」
王子「……なるほど。東方がより一層、近くなったわけだ」
召喚士「そうですね。本国を介さなくとも、東方へ行けるようになるんですからね」
王子「試してみる価値はあるな。最後の戦いが終わったら、海路を開いてみようか」
女王「あら、それは素敵ではないですか」
魔道士「楽しみですねっ!」
召喚士「絶対に、生きて帰ってこないと」
王子「……」
890 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/26(火) 18:14:55.37 ID:OAZ+BOzOo
あまり進まなかったのであわよくばまた後で進めたい…
ひとまずここまでにて失礼致します!
本日もご支援感謝です!それではまた!ノシ
891 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 18:15:41.03 ID:1Sy+Fizko
王子乙
892 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 18:27:14.86 ID:TjMb0ksDO
いちょつ
不覚にもニマニマしちったw
893 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 18:33:14.15 ID:ZtLIstaDO
不覚にもおにいちゃん大漁だった……?のコピペ思い出した
894 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 18:48:58.81 ID:6f8f0TOIO
魔導士が薄い本を描くな…
895 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 19:38:19.03 ID:v0kMEv1Mo
>>893
イ、イサキは?イサキは、と、取れたの??
>>1
乙
896 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 21:00:15.75 ID:+Ncf0qGyo
航海王子か
相変わらず微ネタを混ぜてくるな
897 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/06/26(火) 21:18:31.69 ID:d6aHnQhf0
>>1
乙。
>女性とは思えぬ身のこなしで走り去ってゆく美女を、戦士は悔しがりながら眺めていた。
>女性とは思えぬ身のこなしで走り去ってゆく美女を
>女性とは思えぬ身のこなしで
…戦士ドンマイ。
898 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)
[sage]:2012/06/26(火) 21:21:18.79 ID:d6aHnQhf0
>>1
乙。
>女性とは思えぬ身のこなしで走り去ってゆく美女を、戦士は悔しがりながら眺めていた。
>女性とは思えぬ身のこなしで走り去ってゆく美女を
>女性とは思えぬ
…戦士ドンマイ。
899 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/26(火) 22:07:59.57 ID:1O2o7N7AO
>>1
おつ
900 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 22:08:26.68 ID:SovyBXuDO
>>898
女の子とは思えない程のスピードや勢いで走り去っていく美女さんを
街中で人混みをかき分けてまで追いかけようとは思えない戦士くんは
くやしがりながら見おくりました。
これで意味わかる?
901 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 22:09:57.99 ID:v0kMEv1Mo
いやまて、もしかしたら
>>898
は美女(♂)の可能性を示唆しているのかもしれない
902 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/26(火) 22:34:54.12 ID:ZtLIstaDO
なんだやっぱりホモなんじゃないか(歓喜)
903 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/26(火) 22:35:39.27 ID:q0vAcfWZo
なんという名前詐欺・・・これは戦士でも訴訟も辞さないレベル
904 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/26(火) 23:13:54.48 ID:QtOYiIIuo
南方にいるからね(意味深)
905 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 23:34:27.18 ID:NxxDIDYZo
〜本国、ホテル〜
戦士「……」スタスタ
フロント「おや、眠れませんでしたか? 何か不備でもございましたでしょうか」
戦士「いや、単に寝付けなかっただけだ。すまんな」
スタスタスタ
戦士「……ちっきしょう。あいつのせいでペース狂っちまったぜくそっ」
スタスタ……ピクッ
戦士「あ……」
盗賊「戦士」
戦士「と、盗賊……っ」
盗賊「どうした?」
戦士「いやっ、別に。それより早かったな。もういいのか?」
盗賊「うん」
戦士「その表情だと、何か収穫があったみてーだな良かった良かっ……」
盗賊「……くふっ、ふふふっ」
906 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 23:35:23.59 ID:NxxDIDYZo
戦士「!?」
盗賊「これ」ズイッ
戦士「……猫さん……剣士、だっけか?」
盗賊「そうっ!」ニンマリ
戦士「それが、どうした?」
盗賊「貰った!!」
戦士「「へっ?」
盗賊「作者に貰った!」
戦士「そ、そうか……。良かったな」
盗賊「……あげないぞ?」
戦士「いらねーよ」
盗賊「戦士はもう、いいのか?」
戦士「ん、ああ。俺もやる事はやったよ。あとはあの2人が帰ってくるのを待つだけだ」
盗賊「そうだな」
戦士「ま、それまではノンビリ待ってるとすっか!」
907 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 23:45:35.18 ID:NxxDIDYZo
〜鉱山の町〜
魔道士「到着〜っ」
召喚士「……」
魔道士「どうかしましたか?」
召喚士「いえ、ちょっと眼鏡さんとの事を思い出してしまって……」
魔道士「あ……っ」
召喚士「初めて会って時から、不思議な人でしたよね」
魔道士「……ええ」
召喚士「でも、イヌが凄く懐いてて、とても悪い人とは思えませんでした」
魔道士「はいっ。案の定、とってもいい方でしたね……」
おかみ「ありゃ!? 今度はあんたらかいっ!」
魔道士「おかみさんっ! お久し振りです〜」
召喚士「今、何て?」
おかみ「ああ、ついこないだ、戦士くんが来てたからさぁ」
召喚士「えっ!?」
908 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 23:46:10.37 ID:NxxDIDYZo
〜鍛冶屋の家〜
召喚士「そういう事でしたか」
鍛冶屋「やはははっ。どうやら行き違いだったみたいだね」
召喚士「いいんです。お互い、色々と考えがあっての行動ですから」
おかみ「ねぇ、召喚士くんや魔道士ちゃんから見て……あいつどう思う?」
魔道士「へっ?」
おかみ「昔はただ、猪突猛進みたいなとこがあったけどさ、今は何て言うか……」
召喚士「戦士は、俺が言うのもなんですけど……凄く強くなりましたよ」
鍛冶屋「……」
召喚士「昔からほんと、頼もしいですけど、今はそれだけじゃないんです」
おかみ「……あんたらがからその言葉が聞けて良かったよ」
召喚士「え……っ?」
鍛冶屋「正直、戦士くんの手前だから受けたけど……ゾディアックはね……」
魔道士「っ!」
鍛冶屋「やっぱり気が引けると言うか、使い方1つで身をも滅ぼすから」
909 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/26(火) 23:56:45.84 ID:NxxDIDYZo
召喚士「確かに。でも戦士は大丈夫だと思います」
鍛冶屋「うんうんっ。そうみたいだねぇ」
召喚士「むしろ危ういのは……彼の父親」
魔道士「戦士父さんですかっ!?」
召喚士「雷切はなくとも戦士には、五行の斧があります」
鍛冶屋「うん、そうだね」
召喚士「ともなれば、おそらくゾディアックは……」
魔道士「戦士父さん、来ますかね?」
召喚士「必ず来ると思いますよ。あの人ならば……」
おかみ「息子やあんたらを守る為ならば、死をも厭わないってかい?」
召喚士「あの人はそういう人です。だから、無茶して欲しくない……」
おかみ「全く、厄介な親子だこと……」ズズーッ
召喚士「まぁ2人とも分かってはいると思いますけどね」
鍛冶屋「窮地、いざと言う時には……って事だよね」
召喚士「そうはさせませんよ。俺が絶対に、誰1人として死なせませんから」
910 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)
[sage]:2012/06/27(水) 00:23:16.29 ID:81NWYIe9o
1乙
>俺が絶対に…
脇役が調子に乗ってんな。
911 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/27(水) 00:31:29.95 ID:1uzYmpqDO
美女♂は南方参謀の店の子だな
912 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/27(水) 03:32:33.62 ID:wGBfVEqI0
いちおつ
913 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/27(水) 11:15:33.71 ID:QlrHgp810
まさか男の娘がでるとは(歓喜)
914 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/27(水) 12:08:58.28 ID:WEEToDBIO
_,,;' '" '' ゛''" ゛' ';;,,
(rヽ,;''"""''゛゛゛'';, ノr)
,;'゛ i _ 、_ iヽ゛';, 召喚士それ魔界でも同じ事言えんの?
,;'" ''| ヽ・〉 〈・ノ |゙゛ `';,
,;'' "| ▼ |゙゛ `';,
,;'' ヽ_人_ / ,;'_
/シ、 ヽ⌒⌒ / リ \
| "r,, `"'''゙´ ,,ミ゛ |
| リ、 ,リ |
| i ゛r、ノ,,r" i _|
| `ー――----┴ ⌒´ )
(ヽ ______ ,, _´)
(_⌒ ______ ,, ィ
丁 |
| |
915 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage ]:2012/06/27(水) 18:14:06.93 ID:NYkWcOIro
魔界じゃなくて地獄じゃね?
916 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:32:57.55 ID:11nH79ESo
…
魔道士「それじゃ、お邪魔しました〜!」
おかみ「頑張ってくるんだよ」
召喚士「はい。行ってきます」
テクテクテク……
おかみ「……」
鍛冶屋「戦士くんもだけど、召喚士くん……凄い覚悟だったね」
おかみ「うん……。あんな強い主張を言うような子じゃなかったのにね」
鍛冶屋「5年もずっと戦ってきたんだ。強くなったんだよね」
おかみ「みんな、無事帰ってくればいいんだけどね」
鍛冶屋「帰ってくるよ。彼らを見ていると、そういう気にさせられるもの」
おかみ「……そうだね」
鍛冶屋「さてと、こっちもその為に頑張らないとね」
おかみ「手伝うよ。間に合わせなきゃ意味ないもんねっ」
鍛冶屋「やははっ、そうだね」
917 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:33:34.91 ID:11nH79ESo
〜師匠の家〜
師匠「……何だよ」
マジシャン「お主、なかなかやるな! なんつってな、ハッハ!」ザッ
師匠「てめぇと遊んでる暇はねぇんだよ」
訪ねてきたマジシャンを見る事もなく、師匠は目を瞑ったまま座禅を続けている。
マジシャン「あと1週間だぞ?」
師匠「何? もうそんなにか」
マジシャン「どんだけ瞑想してんだおめーはよ」
師匠「てめぇと違って、やるときゃうやる男なんでな。がははっ」
マジシャン「はぁーっ!? まぁいい、そろそろ行かねぇか?」
師匠「あ?」
マジシャン「地獄だよ。他の連中が来る前に、露払いしとかにゃよ」
師匠「それもそうだな」スッ……ドサッ
マジシャン「……?」
師匠「足が痺れた。手ぇ貸してくれ」
918 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:42:09.43 ID:11nH79ESo
〜本国、中央広場〜
戦士「なぁ、覚えてるか?」
盗賊「ん?」テクテク
戦士「ここで初めて会った時の事」
盗賊「……ああ」
戦士「当時、俺はソロワーカーでさ、故郷を飛び出して10年……限界を感じてた」
盗賊「……」
戦士「これ以上先へ進むには、1人の力じゃ無理だってな」
盗賊「……うん」テクテク
戦士「色んなパーティー募集の張り紙を見てさ。前衛募集してるとこ、片っ端から訪ねたよ」
盗賊「……」
戦士「どこもかしこも、経験の浅い奴はお断りだって突っぱねられたっけか」
盗賊「……うん」テクテク
戦士「そんで、途方に暮れてた折、お前らに会えたんだ」
盗賊「……うん」
919 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:43:21.02 ID:11nH79ESo
……――
戦士『よう、パーティー募集……まだしてっか?』
召喚士『えっ!? あっ、も……もちろん!』
魔道士『おっ、お願い出来ませんか!?』
戦士『いや、情けない話……俺も断られてばっかでな』
魔道士『!?』
戦士『26の戦士で、ソロ経験しかない奴じゃ未熟だとさ。まったく……』
召喚士『そ、それじゃあ……』
戦士『おう! 俺の名は戦士。ぜひ一緒に組んで欲しい!』
召喚士『もちろん! 喜んで!!』
魔道士『あ、ありがとうございますっ!! エヘヘ!!』
戦士『前衛は俺に任せてくれっ』
召喚士『はいっ! こちらこそ!』
魔道士『二人とも後衛だったので頼もしいですっ!』
――……
920 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:44:23.26 ID:11nH79ESo
戦士「あん時、巡り合えなければ……今の俺はなかった」
盗賊「……」
戦士「盗賊やあいつらのお陰で、俺は強くなれた、ここまでこれたんだ」
盗賊「……うん」テクテク
戦士「今更だけどよ、感謝してるぜ」
盗賊「うん。私もだ」
戦士「そういやお前は何で、パーティー組もうと思ったんだ?」
盗賊「私は……」
戦士「……?」
盗賊「未知の国で心細かったから」
戦士「そっか」
盗賊「それに……」
戦士「それに?」
盗賊(……言えないよ。戦士の後ろ姿が兄様に似ていたからだなんて)
戦士「……?」
921 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:45:10.32 ID:11nH79ESo
……――
盗賊『……』
戦士『おう! よろし――』ビクゥッ!!
召喚士『!?』
戦士『な、何だお前!? いきなり……』
盗賊『………ゴニョゴニョ』
戦士『あ……? な、何だって?』
盗賊『……そ……その』
戦士『パーティー募集で来たのか?』
盗賊『……』コクン
召喚士『本当ですか!? 喜んでっ!!』
魔道士『宜しくお願いします〜っ! 女の子だ! 嬉しいなぁ……エヘヘ!』
盗賊『……よよ……よっ、よろ……しく』
――……
922 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:45:39.01 ID:11nH79ESo
盗賊「私も、あの2人には本当に感謝してる」
戦士「……ああ」
盗賊「当時、魔法も使えなかった、そして非力な私の力を最大限に活用してくれた」
戦士「ああ」スタスタ
盗賊「召喚士と魔道士、そして戦士が居たから……私は今日まで生きてこられたんだ」
戦士「……」スタスタ
盗賊「私は絶対に死なない。生きて必ずまた、帰ってくる」
戦士「……ああ」
盗賊「猫さん剣士の続編も見たいし」ボソッ
戦士「何か言ったか?」
盗賊「い、いやっ!」
戦士「お互い無事に戻ってきたらよ、結婚しようぜ」
盗賊「えっ、あ……うん。…………は!?」
戦士「……?」
盗賊「えっ、ええええぇぇぇぇ――――っ!?」
923 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:46:06.76 ID:11nH79ESo
〜夕刻、北の港〜
召喚士「すっかり日もくれそうな時間になってしまいましたね」
魔道士「今日はここで宿泊ですかね〜」
召喚士「そうですね。それにしても、人が少ないなぁ」
魔道士「そういえば」
召喚士「大戦の後だからか? それとも……」
魔道士「ここでも、色々な事がありましたね〜」
召喚士「ええ。中でも印象深いのは……」
テクテクテクテク……
魔道士「ここって……っ!!」
召喚士「魔道士さんも好きでしたよね?」
魔道士「……はい!!」
召喚士「UFRの地下格闘場。ここでお父さんと初めて出会ったんです」
魔道士「……っ」
召喚士「ちょっとだけ覗いてみましょうか」
924 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:47:28.74 ID:11nH79ESo
…
ワーワーワー
魔道士「うわぁ〜っ!!」キラキラ
召喚士「目が輝いてる……」
レフェリー「赤コーナー! 先の大戦でも多大なる成果をあげたご存じ……チャンプー!!」
チャンプ「フンッ」ワーワー
レフェリー「青コーナー! 新進気鋭、謎の僧侶……ヨガ男!!」
ヨガ男「……」
チャンプ「ふんっ、ずいぶんと威勢がいいようだが、格の違いを見せつけてやるぜ」
魔道士「召喚士さんはどちらが勝つと思いますっ!?」
召喚士「そうですね……あの僧侶も何やら不気味ですけど、ここはチャンプじゃないでしょうか」
魔道士「私もそう思いますっ! あの僧侶の人も風貌からして不気味ですけど……」
レフェリー「ファイッ!!」カーン!!
召喚士「おっ! 始まっ――」
魔道士「いけーっ! 速攻速攻! あぁもうっ、何やってるのよーっ!」
925 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:48:24.51 ID:11nH79ESo
…
チャンプ「……くっ」
ヨガ男「はぁはぁ……」
レフェリー「さぁどちらも足が止まったぞ!? 両者共に苦しそうだーっ!」
ヨガ男「くそっ!」
レフェリー「おぉーっと! 先にヨガ男が仕掛けたーっ!」
チャンプ「フンッ! 馬鹿め!」
レフェリー「出たーっ! 足が止まったのはブラフ! チャンプ十八番の待ち作戦だったああぁ!」
チャンプ「ふんっ!!」ズギャッ!!
ヨガ男「――っ!!」ドシャア
レフェリー「KO!! チャンプの勝利だぁ!!」
チャンプ「くにへかえるんだな。おまえにもかぞ――」
魔道士「やっぱりチャンプでしたねっ!!」
召喚士「ええ。もうこんな時間……行きましょうか」
魔道士「はいっ! あぁ、楽しかったぁ〜♪」
926 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/27(水) 18:49:07.46 ID:11nH79ESo
ひとまずここまで!今週はあまり更新出来ないかも…
いつもご支援ありがとうございます!それでは失礼致します!ノシ
927 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/27(水) 18:50:15.48 ID:Mrtzh6tDO
いちおつ!
チャンプ…(';ω;`)
928 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/27(水) 18:50:17.23 ID:1uzYmpqDO
こりゃ戦士は死ぬフラグだな
てか、氏ねww
929 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/27(水) 19:24:02.19 ID:Ll/xTGWgo
格闘家はどうした
930 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(西日本)
[sage]:2012/06/27(水) 19:30:07.15 ID:gfF+4Vhvo
ヨガオ…(´・ω・`)
931 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/27(水) 19:34:30.92 ID:xfR7yiBDO
>>1
乙
数々のフラグをぶちこわしてきた戦死だがこんどのフラグは果たして打ち破れるのか……
932 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/27(水) 19:57:30.16 ID:mpQ0s7eUo
戦士さんは主人公だから大切なフラグ以外はぶち折ってくれるって信じてる
>>1
おつ!!
933 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/27(水) 20:00:30.52 ID:FWO8X5Uno
>>1
乙
ここでひとつの疑問が生じた
ヨガ男とはヨガオトコなのか、それともヨガオなのか
934 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/27(水) 20:07:01.05 ID:D2ewPCTOo
ヨガナンだろ
935 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/28(木) 01:24:07.63 ID:p3HnWJ0k0
>>1
おつ
936 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/28(木) 01:32:21.22 ID:4TT/qrNAO
>>1
おつ
937 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:01:25.24 ID:iHEXOalFo
…
魔道士「すっかり暗くなっちゃいましたね。すみません、はしゃぎすぎちゃって……」
召喚士「いやいや、いいですよ。楽しんでもらえたみたいで良かったです」
魔道士「なんだか久しぶりに、心から楽しめたような気がします」
召喚士「……」
魔道士「あっ、召喚士さんといるのが楽しくないとかっ、そういう事じゃないですからねっ!?」
召喚士「えっ、あ……ええっ。分かってます、大丈夫ですっ」
魔道士「……っ」
召喚士「……」
魔道士「ご飯、食べに行きましょうか」
召喚士「そうですね。何か食べたい物はありますか?」
魔道士「いえっ、お任せしますっ!!」
召喚士「……うーん、じゃあアレにしましょうか!」
魔道士「……?」
召喚士「行きましょう。こっちです」
938 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:01:57.59 ID:iHEXOalFo
…
魔道士「ここって……」テクテク
召喚士「前に戦士が教えてくれた料理屋です。ここでどうでしょうか?」
魔道士「全然オッケーですよっ! 入りましょうっ」ガラッ
店主「……らっしゃい」
食事処へ入ると、ヒゲ面の無愛想なオヤジが新聞を手に、カウンターの奥へ座っていた。
召喚士「えーっと、この席でいいですか……?」
店主「好きにしろ」バサッ
魔道士「えっとぉ、どうしようかな……」
召喚士「俺は、肉野菜炒め定食と……餃子で」
魔道士「私は天津飯をお願いしますっ」
店主「あいよ」
ジャッ ジャッ ジュワアアァァ
魔道士「いい匂い〜っ」
召喚士「待ち遠しいですね」
939 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:02:59.96 ID:iHEXOalFo
…
店主「ほらよ」ドンッ
召喚士「おぉー!」
魔道士「いただきまーっす!」
召喚士「美味いっ!!」
魔道士「ほーんとっ、病み付きになっちゃいそう〜!」ニマー
店主「……」
…
魔道士「ご馳走様でしたーっ! 満腹〜♪」
召喚士「ご馳走様でした。お会計」
店主「……金はいい。それより」
召喚士「……?」
店主「あんた朱雀先生だろ? ほれ」バサッ
召喚士「新聞? あっ、俺だ……っ!!」
店主「悪いんだけどよ」
940 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:03:34.94 ID:iHEXOalFo
…
召喚士「……っと」カキカキ
魔道士「これでいいですか?」
店主「ああ。あんがとよ」ムスッ
召喚士「こ、こちらこそ! 食事代は本当に……」
店主「いいって言ってんだろ」
召喚士「じ、じゃあ……」
魔道士「ご馳走様でした〜!」ガラッ
店主「……」ムスッ
召喚士「食事代の代わりに、俺らのサインなんてどういうつもりなんでしょうね?」
魔道士「分かりません? あの朱雀先生が来たってピールですよ!」
召喚士「!?」
魔道士「噂が広まれば、今回の食事代の100倍は元が取れますよっ!」
召喚士「……無骨な感じなのに、しっかりしてるなぁ」
後年、クチコミで注目を浴びたこの店は、北の港有数の食事処へと変貌を遂げるのであった。
941 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:04:05.97 ID:iHEXOalFo
〜次の日、バーテンの店〜
ガチャッ……チリチリン
バーテン「おう」
マジシャン「食い物だ食い物!」
バーテン「はぁ?」
師匠「断食しすぎた……何か食う物を……」
バーテン「……どうしようもねーな」
戦士父「早かったな」
マジシャン「下準備もあるしな。ハッハ」
戦士父「そうか」
マジシャン「アンタらも参戦するんだろ? どうする? 一緒に行くか?」
バーテン「おいおい、勘弁してくれよ。俺は行かねーぞ」コポコポ
マジシャン「薄情な奴だな」
バーテン「馬鹿言え。退役した民間人が行って何が出来る。しかも相手はサタンだぞ?」
戦士父「……」
942 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:04:35.81 ID:iHEXOalFo
マジシャン「あのなぁ、役に立つかどうかなんてのは、アンタが決める事じゃねぇぞ?」
師匠「そうそう」モグモグ
バーテン「てめぇっ! なに勝手に食ってやがる!」
師匠「いいじゃねぇか別によ……」モグモグ
バーテン「まーいいけどな。どうせそれ、馬のエサだし」
師匠「……」ボトボト
戦士父「確かにバリスタならば、五行の媒介となる事は可能だな」
バーテン「……お前なぁ」
戦士父「ま、好きにするがいいさ。俺は行くぞ」
バーテン「あーはいはい、勝手に行きな。俺はここでお祈りしててやるよ」シュボッ
マジシャン「……っ」
師匠「あと6日か。さーて、どうなる事かねぇ……がははっ!」
戦士父「どうにかするしかないだろうな」
マジシャン「だからって死ぬなよ? ハッハ!」
戦士父「……」
943 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:05:36.64 ID:iHEXOalFo
〜本国、国軍本部〜
大軍師「急なお呼び立て、申し訳ありません」
戦士「いや。んで、もしかして用件ってのは……」
大軍師「はい。赤い龍の召喚獣を扱う召喚士の事で」
盗賊「……?」
戦士「昨日、軽く話したろ。俺が絡まれたっていう変な奴だ」
大軍師「大元帥殿にお伺い致しましたが、それは恐らく『ア・ドライグ・ゴッホ』でしょう」
戦士「あ? ドライグ……?」
大軍師「かつて、赤い彗星と呼ばれたワーカーが専属としていた召喚獣です」
盗賊「……」
大軍師「間違いなく、赤い彗星の関係者でしょう。親族か弟子かは分かりませんが」
戦士「親族なら孫娘で間違いないだろうな。話を聞く限り、年も合いそうだし」
大軍師「……しかし、1つ懸念があるのです」
盗賊「懸念?」
大軍師「調べてみたのですが、赤い彗星に孫娘はいないのですよ」
944 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:06:36.65 ID:iHEXOalFo
戦士「……どういう事だ!?」
大軍師「孫が居るには居るのですが、男性なのです」
盗賊「じゃあやっぱり弟子……」
大軍師「しかしそんな年の離れた弟子というのも考えにくいですしね」
戦士「孫弟子かもしれんな。なぁ、赤い彗星には会えないのか?」
大軍師「……まぁ、会おうと思えば」
戦士「んじゃ行ってみようぜ! それが1番早いだろ」
大軍師「そうですね。そう致しましょうか」
戦士「んじゃ早速、出発!」
盗賊「うん」
大軍師「赤い彗星は引退後、本国に住居を構えておりますからね」
戦士「昔は違ったのか?」
大軍師「以前は常に北方へ居たと伺っています」
盗賊「……?」
大軍師「ああ。以前、元司令に聞きましてね。戦友だったそうですよ」
945 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:07:17.58 ID:iHEXOalFo
〜北方司令部〜
左翼長「よぉ」
召喚士「こんにちは。戦後処理は順調ですか?」
左翼長「あらかたな。完全な終息には1年以上かかろうだろうが」
魔道士「そうですか……」
左翼長「これでも早い方なんだぜ?」
召喚士「そうなんですか?」
左翼長「ほれ、各方面に魔物がいなくなっただろ」
魔道士「えっと、それが何か……?」
召喚士「もしかして、ワーカーですか?」
左翼長「そーいう事。連中、働く場所は今、ここしかないって事よ」
魔道士「あ、そっか……っ!」
召喚士「どうりで北の港に人が少ないはずだ……っ」
左翼長「ここいらの奴らも含め、みーんな成果報酬目当ての出稼ぎさ」
召喚士「人手が多いからこそ、処理も早いわけですね」
946 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:08:07.88 ID:iHEXOalFo
左翼長「戦闘を避けるワーカーはここしか稼ぐチャンスがねーからな」
召喚士「しかも、戦闘に出向くワーカーも、魔王軍が皆無な今では……」
左翼長「みーんな分かってんのさ。魔物が居なくなれば廃業だって事はよ」
魔道士「……っ」
左翼長「稼げるうちに稼ごうって魂胆さ。ま、こっちは人手が余るほどで大助かりだけどな!」
召喚士「そうですね……」
左翼長「んで、今日は何用だ?」
召喚士「あ、いえ……特に用があって来たわけじゃないんです」
左翼長「……?」
魔道士「ただ魔王との戦いの前に、今までの形跡を辿ってるんです」
左翼長「……なるほどな」
騎士長「おーい! ちょっといいかー?」
左翼長「おーう、いま行くー! 悪いな。そんじゃま、ゆっくりしてってくれ」
召喚士「いえいえ、俺らもそろそろ失礼します。ありがとうございました」
魔道士「頑張って下さいね! ではまたっ!」
947 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:08:54.80 ID:iHEXOalFo
ザッザッザッ
騎士長「アイツら、2人きりでどうしたんだ?」
左翼長「最後の戦いの前に、自分らの道程を辿ってるんだとさ」カチッカチッ
騎士長「……どっちだろうな」
左翼長「……?」シュボッ
騎士長「そういう時ってのはよ、死を覚悟した時か、絶対に生きて帰ろうって時か、だろ?」
左翼長「……後者だろ」プカァ
騎士長「だよな。愚問だったな」
左翼長「不甲斐ねぇ、とは思わんけど……何かしてやれたらいいんだがな」
騎士長「1度は枯れた花がここまで咲いたんだ。十分だろ」
左翼長「それもそうだな。ふっ」スパー
騎士長「んで、お前はいつになったら禁煙するんだ?」
左翼長「んな事、言ったっけか?」
騎士長「お前なぁ……」
左翼長「そうだなぁ、あいつらがサタンを倒して無事、帰ってきたら……そん時は考える」スパー
948 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/28(木) 18:10:25.25 ID:iHEXOalFo
うへぇ、今日ははここまでですー!お疲れ様でした!
焦らしてるわけじゃないのですが最後の最後でなかなか進まないものですな…
来月からはペースあげられるといいけど…
それではまた!失礼致します!ノシ
949 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/28(木) 18:21:41.85 ID:RI3M7nyDO
やはり男の娘 ゴクリ
おつんぽ!
950 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/28(木) 18:23:14.75 ID:f8oCj63mo
戦士x美女(♂)か魔道士ちゃんの胸が熱くなるな・・・
>>1
乙
951 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/28(木) 19:51:00.19 ID:lvv9Jcsbo
熱くなるけど厚くはならないんだな
952 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/28(木) 19:52:19.03 ID:ignjGuuN0
美女というライバルの登場に召喚子はどうするのか
953 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/29(金) 01:33:02.69 ID:+x8b+92AO
>>1
おつ
954 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/29(金) 03:53:30.90 ID:PhBxTNX50
いちおつ
955 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/29(金) 08:01:07.13 ID:G7JLtqmfo
>>1
乙
おいおいおいおい、佐藤かよ!
いやまてよ、西野かな?!ひょっとして、芹沢かも!!
956 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/29(金) 12:35:18.60 ID:YptKhQKyo
ごめんなさい、
>>955
誤爆してました
957 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/29(金) 14:57:06.23 ID:PmBIZTUDO
赤い彗星こと芹沢さんなのか…それともナイトこと芹沢さんなのか…
958 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:52:50.23 ID:5xqeYui3o
〜本国、豪邸〜
戦士「……俺、この家知ってるぞ」
盗賊「私も」
大軍師「大通りから抜けて正面ですし、ホテルなんかも近いですからね」
戦士「ここって赤い彗星ってやつの家だったのか……」
大軍師「さて、参りましょうか」
テクテクテク
衛士「何か用か?」
大軍師「赤い彗星殿にお目通り願いたい」
衛士「ふむ。しばし待たれい」ザッ
戦士「経験でモノを言うが、金持ってて私兵まで連れてるような奴はだいたい性格が悪い」
盗賊「すごい偏見だな」
戦士「だから経験でモノを言うって前置きしたろ」
衛士「許可が出た。入りたまえ」
大軍師「お邪魔致します」
959 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:53:29.36 ID:5xqeYui3o
スタスタスタ
戦士「でけぇ庭……」
盗賊「うん」
戦士「でもまー、ひと昔前なら言葉を失うほどビックリしてたんだろうが」
盗賊「……?」
戦士「お前んちとか見てるからもうへぇーっ、程度にしか思わん」
衛士「総帥はこちらの離れでお待ちだ」
戦士「……総帥?」
大軍師「彼はワーカー組合を取り仕切っておられるのですよ」
盗賊「組合?」
戦士「一部のワーカーが互いに協定結んで助け合ってんのさ」
盗賊「ほぅ」
戦士「成果稼ぐにゃその方が手っ取り早いからな」
盗賊「……?」
戦士「俺らみたいなワーカーは自分の手で魔物をブッ倒してナンボだろ?」
960 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:54:19.22 ID:5xqeYui3o
盗賊「ああ」
大軍師「しかし成果重視のワーカーは、大人数で数をこなした方が得なんですよ」
戦士「例えば遺跡の発掘とか。1人でチマチマやってたら何十年もかかっちまう」
盗賊「それを……皆で手分けしてやるわけか」
戦士「そゆこと」
大軍師「赤い彗星殿は組合の中でも最も大きいグループの長ですからね」
戦士「そうだったのか……」
大軍師「皆様もご利用なされているでしょう? 郵便システムのあれですよ」
戦士「何っ!?」
大軍師「他にも道の開拓や補修、地図の作成など多岐に渡ります」
戦士「……そりゃ金持ちなわけだ」
盗賊「私達の生活を、支えてくれているんだな」
大軍師「そういった見えない部分で戦っているのが、成果ワーカーですよ」
戦士「フィールドは違えど、互いに頑張って来たわけだ」
盗賊「うん」
961 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:54:58.14 ID:5xqeYui3o
テクテクテク……ジャリッ
衛士「お連れ致しました」
大軍師「失礼致します」
離れ、と言っても十分な大きさの一室。その中央に円卓があり、男が座っている。
高齢ながら凛々しく、しかしながら穏やかなその表情は安心感を与えていた。
赤い彗星「よく来てくれたな。まぁ座りたまえ」
大軍師「お目にかかる事ができ光栄です、赤い彗星殿」
赤い彗星「赤い彗星か。懐かしい通り名だな」
大軍師「こちらは戦士殿と盗賊殿。朱雀パーティーをご存じですかな?」
赤い彗星「勿論だ。彼らがそうだと?」
盗賊「……一応」
赤い彗星「驚いたな、まだ若いではないか」
大軍師「ご自身とて、30の頃には名高きワーカーであられたのでは?」
赤い彗星「時代が違うよ」
大軍師「ご謙遜なさいますな。さて、本題に入らせて頂きましょう」ヒラヒラ
962 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:55:30.67 ID:5xqeYui3o
…
赤い彗星「確かに。ア・ドライグ・ゴッホは私の召喚獣だ」
大軍師「今も所有されている、というわけではありませんね?」
赤い彗星「ああ。既に息子、孫へと代々、受け継がれているよ」
戦士「やっぱりそうか……っ」
大軍師「それではそのお孫さんについてなのですが……」
赤い彗星「また、何かやらかしたのかね?」
戦士「また?」
赤い彗星「少々、ヤンチャでね。私も息子もてを焼いているよ」
大軍師「今はどちらに?」
赤い彗星「さぁ。見当もつかないな」
戦士「ここには帰ってきてないんすか?」
赤い彗星「……帰って来たのか?」
衛士「え、ええ。何やら荷物だけ取りに来られたようで、すぐに出て行きましたが……」
赤い彗星「だ、そうだ」
963 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:56:05.66 ID:5xqeYui3o
スタスタスタ
秘書「総帥、そろそろお時間です」
赤い彗星「そうか。すまない、仕事が入っていてね。この辺で失礼したいのだが」
大軍師「季重なお時間をありがとうございました」
赤い彗星「いや、気にする程の事でもない」
戦士「あの、最後に1つだけ」
赤い彗星「……?」
戦士「お孫さんは、女……ですか?」
赤い彗星「……男だ」
戦士「……ありがとうございます」
赤い彗星「……困ったものだよ。我が一族としても、な」スッ
戦士「……」
赤い彗星「しかし、赤い彗星も地に落ちたものだな」
盗賊「……?」
赤い彗星「今、若い連中が頑張っているというのに、何も出来んとはな」
964 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:57:54.40 ID:5xqeYui3o
秘書「では」スッ
赤い彗星は秘書に車椅子を押されるまま、離れを後にした。
戦士「男……」
盗賊「男だとどうかしたのか?」
戦士「い、いや……っ」
大軍師「外見が完全に女性であったという事でしたので」
衛士「……やはりか」
大軍師「何か、ご存じのようですね」
衛士「総帥も頭を悩ませておる。お孫さんにはな」
盗賊「……」
衛士「どうやら女装癖があるらしく、自分を偽って……」
戦士「……や、やっぱりそう……なのか」
盗賊「そんなに肩を落とす事もないだろう?」
戦士「……うるせぇ」
大軍師「何やら思い出したくない記憶でも――」
戦士「うるせぇ!!」クワッ
965 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:58:51.41 ID:5xqeYui3o
…
大軍師「それではもしまた、訪ねてくるような事があればお知らせ下さい」
衛士「うむ」
大軍師「それでは」ザッ
戦士「はぁ」
盗賊「まぁ、そう落ち込むな」
戦士「いや落ち込むだろ」
盗賊「何故だ?」
戦士「……いや、いい」
大軍師「とにかくこれで、召喚獣の正体は判明しましたね」
戦士「まぁな」
大軍師「赤い彗星が駆った、かの名高きア・ドライグ・ゴッホとなれば……」
戦士「サタン戦に引っ張り出すってか?」
大軍師「本人の力量次第ですがね」
戦士「いかに召喚獣が凄いといえど、使い手が大した事ないんじゃ力も半減だもんな」
966 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 17:59:37.97 ID:5xqeYui3o
大軍師「そのあたりはどう思います? 一度ご覧になられたのですよね?」
戦士「一瞬だったけどな。でもまぁ……強かったよ」
大軍師「成程。では本人の意思を確認致しましょうか」
盗賊「場所が分かるのか?」
大軍師「確か南方にお住まいと言っていたのですよね?」
戦士「ああ。間違いねぇ」
大軍師「であれば、南方、北の街で間違いないでしょう」
戦士「東の町は?」
大軍師「東の町や他の村は元からの南方出身者がほとんどですから」
盗賊「移住者は場所が限られるわけか」
大軍師「港街など北側も商業区域がメインですし、考えられるのは北の街だけですね」
盗賊「……なるほどな」
大軍師「それに……」
戦士「……?」
大軍師「偶然とはどうしても、思えないんですよねぇ……ふふふっ」ヒラヒラ
967 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 18:00:27.21 ID:5xqeYui3o
…
バシュウウウウゥゥゥゥ
コカトリス「見えたぞ。海峡だ」
召喚士「ほんとだっ!」
シュウウゥゥゥゥ……バサァ
魔道士「コカトリスさんっ、今日もありがとうございました!」
コカトリス「もう慣れた。気にするな」
召喚士「……さて」
魔道士「花、バッグから出さなきゃ」ゴソッ
もう何度目だろうか。見慣れた墓に献花し、目を瞑り祈る2人。
東方司令「誰の墓だ?」ザッザッ
召喚士「東方司令さん!」
東方司令「こんな所で何してんだ?」
魔道士「ちょっと各地を回っている最中で……っていうか、東方司令さんは何で……?」
東方司令「東方司令部はもう、必要ないからな。全軍こっちに移してきた」
968 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 18:00:55.69 ID:5xqeYui3o
召喚士「そういう事でしたか」
東方司令「何やら北で魔王軍の残党もコソコソしてるみたいだしな」
魔道士「魔王軍がまだ……っ」
東方司令「なんなら手伝っていくか?」
召喚士「必要ならば」
東方司令「……要らん。どうせ雑魚だろうし、勝手にお前ら使ったらボクが怒られそうだ」
召喚士「はは……っ」
東方司令「それで、その墓はなんだと聞いているんだ」
魔道士「あ、えっと……」
…
東方司令「ふぅん。律儀な奴だなお前らも」
召喚士「そうですかね……」
東方司令「だって親しくもなかったわけだろ? たった1回、共闘したからって」
召喚士「でも、初めての事でしたし……俺らにとってはどうしても忘れられないんです」
東方司令「ふーん。まぁそれならここは保護しておいてやろう」
969 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 18:01:25.98 ID:5xqeYui3o
魔道士「……?」
東方司令「東方司令部を解体したら、海峡を増築しなきゃならないからな」
魔道士「そうなんですか?」
東方司令「砦だけじゃ狭すぎて、寝泊りも窮屈だろ」
召喚士「まぁ、確かに」
魔道士「じゃあ東方司令さんも今後は海峡に?」
東方司令「……いや。ここは将軍にでも任せるつもり」
魔道士「えっ!?」
東方司令「ボクはもう、国軍を辞めるよ。どうせお師匠も居ない事だし」
召喚士「そうですか……っ」
東方司令「サタンを倒したら戦いも終わりだろ? あとは好きに生きるさ」
魔道士「……それもありかもですねっ」
東方司令「んじゃ、頑張ってこいよ。ボクの為にもな」ザッザッ
魔道士「はいっ! 行ってきます!」
召喚士「必ず、勝ってきますから!」
970 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 18:01:57.19 ID:5xqeYui3o
〜本国、軍港〜
大軍師「宜しいのですか? 私1人でも構わないですが」
戦士「ここまできて引き下がれるかってんだよ」
盗賊「……まぁ、私は戦士に付いて行くだけだし」
大軍師「そうですか。ならば共に参りましょうか」
戦士「満月まであと5日しかねーけど、どうせやる事もねーし、スッキリさせてやらぁ!」
盗賊「おー」
戦士「んで、まず向かうは?」
大軍師「南方司令部です」
戦士「司令部? なんか許可でも必要なのか?」
大軍師「いえいえ。キーマンがいるでhないですか」
盗賊「キーマン……誰だろ……」
戦士「……あ」
大軍師「どうも私には、関連性がないとは思えないのですよ」
戦士「あぁーっ!!」
971 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 18:02:39.61 ID:5xqeYui3o
〜南方司令部〜
南方参謀「……うーん」
南方副司令「どした?」
南方参謀「私が留守の間に、お店がヒドい事になっちゃってね」
南方副司令「そうか、分かった。頼むから仕事しろ」
南方参謀「してるわよっ。失礼ねぇ」
南方副司令「んで、何がどうしたってんだ?」
南方参謀「不在の際に任せておいたコがトンズラして、大赤字&お客からクレーム三昧よ……」
南方副司令「そりゃお前が悪い。ナンバー2には信頼出来る確実な人間をつけるべし」
南方参謀「他に居なかったのよ」
南方副司令「そう。強いて言うなら俺みたいな?」
南方参謀「……話、聞いてる?」
南方副司令「それで、何だって?」
南方参謀「もういいわよ」
南方副司令「そうか。じゃあ仕事しろ」
972 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 18:04:01.16 ID:5xqeYui3o
〜次の日、国軍本部〜
青龍士官「あと4日だぞ!? 大軍師も居ないというのに大丈夫なのか?」
青年兵「焦っても仕方ないさ。招集はかけたんだし」
青龍士官「さすが大元帥殿ですな。こんな状況下におかれましても落ち着いて……」
カタカタカタカタ……
青龍士官「……そうでもないか」
青年兵「貧乏ゆすりじゃないぞ? 下半身の運動だ」
青龍士官「ほぉー」
白虎長「お邪魔するわよ」ガチャッ
青年兵「どうしました?」
白虎長「この子が大元帥に話がしたいって」
青年兵「……アマゾネスさん?」
アマゾネス「……」
青年兵「分かりました。お伺い致しましょう」
アマゾネス「すまん」
973 :
◆1otsuV0WFc
[sage saga]:2012/06/29(金) 18:05:34.34 ID:5xqeYui3o
…
青年兵「……なるほど。あなたもサタン戦に参戦したいと」
アマゾネス「どこまで力になれるか分からないけれど、じっとしているのは嫌なんだ」
青年兵「……他の皆さんも、ですか?」
アマゾネス「行くのは私だけでいい」
青年兵「……なるほど」
アマゾネス「無理強いはしない。あくまで、判断は委ねる。戦力として適切であれば――」
青年兵「構いませんよ」
アマゾネス「!?」
青年兵「ですが1つだけ約束して下さい」
アマゾネス「……何だ」
青年兵「何があっても、後悔はしませんね? 我々とて自分の身を守る事で精一杯ですから」
アマゾネス「分かってる。覚悟の上だ」
青年兵「決意は固いようですね。分かりました、宜しくお願い致します」
アマゾネス「こちらこそ」
974 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/29(金) 18:10:25.60 ID:5xqeYui3o
ちょっとまたあとで来ます!ひとまずこれにて!
もう残りわずかですね。2か月以内に消費出来そうで良かった良かった!
今日もたくさんのご支援ありがとー!それでは!ノシ
975 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/29(金) 18:32:24.50 ID:Ecxltkrio
おつおつ!
盗賊ちゃんはプロポーズされたのに割りとナチュラルだな・・・!
オマケで悶々とした夜の盗賊ちゃんとか書いてもいいのよ(チラッ
976 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/29(金) 18:33:51.17 ID:vUNQK2RDO
で、ペニスのプロポーズはいつだい?
977 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/29(金) 18:36:54.97 ID:3cnTD0KDO
いちょつ
ペニスは死ぬから問題ない
978 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/29(金) 19:24:12.59 ID:5OeBe3Nfo
あと4日か…
979 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/29(金) 20:24:00.87 ID:tl6j5EQf0
>>977
じゃあ魔道士ちゃんはいただいていきますね
980 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/29(金) 21:13:01.95 ID:ltMhVmJDO
>>979
そんなに美女(♂)がいいのか
981 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/29(金) 21:55:11.46 ID:k1NrxzGAO
魔導師ちゃん(78)ぺろぺろ
982 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/29(金) 23:17:09.12 ID:L/cFD1ygo
サタンの前に仕事なくしたワーカーに殺される召喚士
983 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/29(金) 23:36:14.26 ID:aXUoTmIWo
そういうのは向こうでやれ
984 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/30(土) 00:08:20.69 ID:cFZVZ21vo
先に立ててきました!
祝!40スレ目突入!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1340982413/
985 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage]:2012/06/30(土) 00:11:29.22 ID:rwYHyR9Lo
>>982
サタン「えっ!?出番は!?」
986 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/30(土) 01:17:12.03 ID:YbE+tiPAO
>>1
おつ
海峡で誰死んだっけ?忘れちまったわ
987 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/30(土) 01:19:19.93 ID:yB2TKtzDO
短髪
988 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/30(土) 01:51:13.40 ID:YbE+tiPAO
あぁそっかサンクス。律儀だな召喚士は
989 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)
[sage]:2012/06/30(土) 03:34:55.63 ID:RL+zwsfT0
>>1
おつ
990 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/30(土) 04:59:05.21 ID:6bzHqkTDO
うめー
次スレで討伐しませんように
991 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)
[sage saga]:2012/06/30(土) 08:01:24.59 ID:a6CYyiuUo
>>1
乙
魔導師ちゃんがどんどん高齢になっていくのは何でだ?
当初は60代前半だったよな…
992 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/30(土) 14:36:03.85 ID:hQJItXjIO
うめ
993 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/30(土) 15:32:51.67 ID:gR9w7WMDO
うめ
994 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(石川県)
[sage]:2012/06/30(土) 16:21:03.51 ID:nGyZYgd+o
しゃけ
995 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)
[sage]:2012/06/30(土) 16:36:22.48 ID:Vas6ahGAO
おかか
996 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/30(土) 16:52:51.89 ID:OC8AdpeHo
たらこ
以前おかえりが「おかか」でただいまが「たらこ」な人がいたなぁ
997 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/30(土) 17:10:25.47 ID:yB2TKtzDO
おかか
ただうま
998 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage saga]:2012/06/30(土) 21:51:24.82 ID:cFZVZ21vo
たらこもおかかもいいけど、ツナマヨ!
次スレから更新再開しますね!
オカマと男の娘、便宜上どちらにしようか悩み中……うぅむ
999 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2012/06/30(土) 22:05:37.47 ID:7L+5UeUZo
>>999
ならオカマ
ツナマヨもいいけどオカカチーズ!
1000 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)
[sage]:2012/06/30(土) 22:17:07.82 ID:0SavrNRYo
>>1000
なら
塩銀シャリ
1001 :
1001
:Over 1000 Thread
| |\ /| |
| |::.::.\.________./.::.::| |
| |:::.::.:.:.| ⊂⊃ ⊂⊃ |.:.:.::.:::| |
| |:::.::.:.:.l∧_∧ ∧_∧|.:.:.::.:::| | NIPは誰でもウェルカム
| |:::.::.:.:.|,, ´∀`) (・∀・ ,,).:.:.::.:::| |
| |:::.::.:⊂ つ ( つ .::.:::| |
| |:::.::.:.:.| ヽノ____Y 人|.:.:.::.:::| | SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
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|_|,.. '" "' .,|_|
1002 :
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【レシピ書く】 お料理実験室 【誰か作ってくれさい】 @ 2012/06/30(土) 22:16:13.90 ID:rU13ROzR0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1341062173/
キリコとコブラでむせる @ 2012/06/30(土) 22:11:28.42 ID:n3CjMYIK0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341061888/
VIPローゼンA雑連絡スレ@22 @ 2012/06/30(土) 22:09:09.79 ID:/w4iNbGBo
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あゆむスレ @ 2012/06/30(土) 21:56:28.12 ID:Lfrt6r+Xo
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初めて告白されたんだが、間違って振ってしまったかもしれない @ 2012/06/30(土) 21:00:22.85 ID:Zgbefc3k0
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【アイマス】安価でアイドル作ってSSスレ【もどき】 @ 2012/06/30(土) 20:19:13.06 ID:tTmFKxqx0
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ここだけ魔王の城 コンマ00で魔王様に怒られる @ 2012/06/30(土) 20:08:23.88 ID:8lWYG4e3o
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私語 @ 2012/06/30(土) 20:01:01.43 ID:pnsqFuBao
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