過去ログ - 恵美「もし私が日本に馴染めなかったら」
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/15(土) 22:41:45.13 ID:aEntuCFko
※ちょっぴり胸クソ悪くなるかもしれないよ!
梨香「えと、遊佐さん。良かったらお昼一緒しない?」
鈴木梨香が――恵美は下の名前を覚えていなかったが――そう恵美を誘う。
内心の憂鬱さを抑えて恵美が答えた。
恵美「ごめんなさい、銀行に用事があるから」
明らかに作ったと分かる笑顔と声に梨香が怯む。
梨香「え、あ……そっか。……ごめんね、また今度誘うね」
弱々しい笑顔でそう言って離れる彼女の背を見て、恵美は他人に聞こえないよう嘆息する。
恵美(……今度、か。彼女も放っておいてくれればいいのに)
最初のうちは、美しく仕事もできる恵美に好感を持ち何人もの同僚が声をかけた。
それらに愛想のない対応を続けた結果、今では業務以外で彼女に話しかけてくるのは梨香だけだ。
入社時に義理で出席した恵美自身の歓迎会で、出身地の話が出た。
そのとき出身を誤魔化して明かさなかったのが恵美と梨香の二人だった。
その辺りにシンパシーを感じたのか、梨香は度々恵美に話しかけてくる。
相手の正確な心情は測れなかったが、それは恵美には苦痛だった。
恵美(同僚なんてどうでもいい。友達だっていらない)
恵美(だって、どうせ……ここは私の世界じゃないのだから)
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2013/06/15(土) 22:42:50.50 ID:aEntuCFko
今でも思い出す、あの日の絶望。
彼女、勇者エミリアが元いた世界、エンテ・イスラから日本にやってきた日。
それは簡単な作業のはずだった。
父の敵である魔王サタンを倒すべく乗り込んだ魔王城での死闘の末、
以下略
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2013/06/15(土) 22:43:19.10 ID:aEntuCFko
空き時間のほとんどを魔王探索に費やしたが、魔力の欠片も見つからなかった。
彼らの化け物然とした姿を思えば、自分のように人間社会に溶け込むこともできまい。
もしかすると既にどこかで野垂れ死んでいるのだろうか?
ならばいっそこの世界に腰を落ち着けることを考えたほうが建設的なのではないだろうか?
そんな考えがよぎりながらも、彼女は勇者であることをやめられなかった。
以下略
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2013/06/15(土) 22:43:45.92 ID:aEntuCFko
帰宅途中で惣菜を買って帰った。
恵美は料理をしない。そんな手間をかける情熱はなかった。
シャワーを浴び、温めた惣菜を作業のように黙々と食べる。
以下略
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2013/06/15(土) 22:44:16.47 ID:aEntuCFko
それは、偶然だった。
出社途中に降りだした唐突な雨。折りたたみ傘もなく、道端で雨宿りをしていた。
天気まで私を虚仮にするのか、と心中で憂鬱さを覚えていると、
以下略
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2013/06/15(土) 22:44:55.05 ID:aEntuCFko
立ち続けて一時間以上経ち、恵美が脚の疲れを気にしだした頃。
マグロナルドに異変があった。
恵美「ッ!?」
以下略
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2013/06/15(土) 22:45:38.25 ID:aEntuCFko
時刻は深夜。
仕事が終わりマグロナルドを出て自転車で走る魔王の背後を追う恵美の姿があった。
魔王はゆっくり走っており、また信じられないことに信号を順守しているため、
小走りで後をつけることは難しくはなかった。
以下略
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2013/06/15(土) 22:46:14.05 ID:aEntuCFko
「帰ったぞー」
「おかえりなさいませ、魔王様。今日もお疲れ様でした」
はっきりと聞いた。
以下略
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2013/06/15(土) 22:46:47.04 ID:aEntuCFko
明日は魔王の働く店に入ってみようか……と今後の計画を練りながら歩く恵美。
彼女が自分のマンションに近づくと、深夜だというのに一人で立ち尽くしている人影があった。
仮に暴漢の類だったとして、聖法気を使わずとも対処は容易い。
そう考えつつ、恵美は人影に目をやりながらマンションに近づく。
以下略
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2013/06/15(土) 22:47:18.87 ID:aEntuCFko
恵美「それで、どうしてこんなところに……? それも、今」
恵美に責める意思はなかったが、オルバは苦い顔をして頭を下げた。
オルバ「まず謝らせてもらおう、エミリア。長い間お前を一人にしてしまった」
以下略
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2013/06/15(土) 22:47:53.35 ID:aEntuCFko
恵美「あ、……でも」
今すぐ帰るわけにはいかない。
この世界に燻る大きな不安の種。
その話をしようとすると、
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2013/06/15(土) 22:48:40.12 ID:aEntuCFko
オルバ「一つ注意してほしいのは、奴らの周りに人間が少ないときに戦いを挑むことだ」
恵美「なるべく被害を出さないためね?」
オルバ「それもあるが、それだけではない。どうやらこの世界では、人間の負の感情が魔力を精製するようだ」
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2013/06/15(土) 22:49:14.40 ID:aEntuCFko
オルバ「そのための飲食店勤めではないかと思う。あのマグロナルドという店は多くの客が訪れていただろう」
オルバ「例えばあの店の食材に毒物を混ぜでもしたら、近隣の住人の苦しみの感情は相当なものではないかね」
オルバ「そうして得た力でこの世界を地獄に変える。そして更に集まった力で、今度こそエンテ・イスラを」
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2013/06/15(土) 22:49:49.42 ID:aEntuCFko
恵美はいつものようにシャワーを浴び、ベッドに寝転がった
今日も寝られそうになかった。
ただしいつもと違い、不安や焦燥感からではない。気持ちの昂ぶりを抑えきれないからだ。
恵美(明日で全てが終わる)
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2013/06/15(土) 22:50:32.94 ID:aEntuCFko
最初に向かったのは昨夜突き止めたアパートだった。
オルバの話を聞く限り、最悪そこで二人同時に相手取ることになっても負けはしないだろうという計算だ。
階段を登り、魔王の済む201号室の前に立つ。
ドアの脇には「真奥貞夫」「芦屋四郎」と書かれた表札があった。
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2013/06/15(土) 22:51:11.93 ID:aEntuCFko
恵美(お前が)
恵美(数えきれないほどの人間達を殺してきたお前が、そう言うのか)
恵美(人間のようなふりをしてそう言うのか――!)
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2013/06/15(土) 22:51:57.63 ID:aEntuCFko
恵美「このっ……悪魔の分際で!」
恵美「忠臣ヅラなんかするな……正しいことをしているような顔をするなああああ!」
言いながら、両手で逆さに握った聖剣をアルシエルの身体に突き刺す。
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2013/06/15(土) 22:52:56.86 ID:aEntuCFko
恵美は電車から幡ヶ谷駅に降り立った。
道中、じろじろと見られた気がしたのは、服に点々と着いている血の跡のせいか。
それとも抑えきれない殺意のせいか。
それもどうでもいいことだった。
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2013/06/15(土) 22:53:37.81 ID:aEntuCFko
辺りが静寂に包まれる。
店員も、客も、誰もが何が起きたか分からないように呆然としている。
その中で、仕留め損ねた、と恵美が舌打ちした。
それがきっかけだったか、
以下略
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2013/06/15(土) 22:54:21.77 ID:aEntuCFko
不快さをあらわにした顔で恵美が問う。
恵美「……どういうこと? 魔王が人をかばうなんて。バイトごっこはまだ続けるわけ?」
真奥「……どういうこと、ってのは俺のセリフだよ……」
以下略
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2013/06/15(土) 22:54:52.07 ID:aEntuCFko
真奥(……これが、力で征服しようとした報いか)
自嘲する。そして覚悟を決める。
元々相手とは殺しあった仲だ。
最早この場は戦って事を収めるしかないのだと。
以下略
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